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1967-05-23 第55回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十三日(火曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 關谷 勝利君    理事 伊能繁次郎君 理事 塚田  徹君    理事 八田 貞義君 理事 細田 吉藏君    理事 大出  俊君 理事 山内  広君    理事 受田 新吉君       稻葉  修君    内海 英男君       加藤 六月君    桂木 鉄夫君       佐藤 文生君    塩谷 一夫君       高橋清一郎君    広川シズエ君      三ツ林弥太郎君    渡辺  肇君       稻村 隆一君    木原  実君       式部  文君    浜田 光人君       山本弥之助君    吉田 之久君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 坊  秀男君         通商産業大臣  菅野和太郎君         運 輸 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         厚生大臣官房長 梅本 純正君         厚生省環境衛生         局長      舘林 宣夫君         厚生省医務局長 若松 栄一君         厚生省児童家庭         局長      渥美 節夫君         通商産業大臣官         房長      大慈彌嘉久君         特許庁長官   川出 千速君         運輸大臣官房長 町田  直君         運輸省海運局長 堀  武夫君         運輸省港湾局長 佐藤  肇君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省航空局長 澤  雄次君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君  委員外出席者         厚生省社会局更         生課長     蔵田 直躬君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 五月二十三日  委員赤城宗徳君、井村重雄君、内海英男君及び  藤波孝生辞任につき、その補欠として広川シ  ズエ君、渡辺肇君、三ツ林弥太郎君及び加藤六  月君が議長指名委員に選任された。 同日  委員加藤六月君、広川シズエ君、三ツ林弥太郎  君及び渡辺肇辞任につき、その補欠として藤  波孝生君、赤城宗徳君、内海英男君及び井村重  雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月二十日  許可、認可等の整理に関する法律案内閣提出  第一三二号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一七号)  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第三〇号)  厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一五号)      ————◇—————    午前十時三十四分開議
  2. 關谷勝利

    關谷委員長 これより会議を開きます。  通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山内広君。
  3. 山内広

    山内委員 前回のこの委員会のときに非常に重大な発言大臣及び長官がされておるので、実は会議録を整理してはっきりした形でお尋ねしたいと思いましたが、会議録もできてまいりませんし、また採決も急がれておりますので、私から率直にそのときのことを申し上げて、もし御訂正があるなら訂正していただきたい。  まず、大臣にお尋ねいたしますが、特許法全面改正を私の在任中に提案したいという意味の御答弁だったと思います。しかし、前回廃案になりました特許法全面改正は、審議会がたしか六年以上かかったと思います。答申を得て、あと庁内の取りまとめだけでも二年もかかったという非常に難事業を控えて、それがとうとう日の目を見ないでしまった。そういうことで、その後の審議会の動きその他を観察いたしましても、大臣在任中に私、これを提案できる段取りにはならないという考え方を持っております。しかし、そういう自信を持っておられるならば、もう一度その点を詳しく明らかにしていただきたいと思います。在任中に出すという約束ができなくなりますと、やはり政治責任にも場合によっては発展するこれは重大な発言だと思いますので、その点をお聞きしておきたいと思います。
  4. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 特許制度改正の問題につきましては、私自身も非常に責任感じておるのでありまして、この前申し上げましたとおり、自民党の特許制度改正特別委員会委員長を私がしておりましたので、それで、あの法案が通過することを私も非常に念願しておったのでありましたが、いろいろの関係廃案になりました。この特許制度改正がいかにむずかしいものであるかということ、利害関係が相反するということは、私も十二分に知っております。がしかし、この前六年間せっかくいろいろ苦心されてできた法案でありましたが、それでもいろいろの反対、賛成の議論がふくそうしたのでありますけれども、この前の法律案によって関係業者も大体何とかしなきゃならぬという気持ちにはみななってくれておると思うのでありますからして、したがいまして、今度も、いま工業所有権審議会を開いてやってもらっておりますが、おそらく皆さまもなるだけ早くやりたいという気持ちを持っておられると思います。そこで、そういう関係で私自身責任を持っておりますから、ひとつ審議会のほうの審議もできるだけ早く促進してもらって、それが幸いにして私の在任中であれば、その審議会答申を待って、法案が出れば私は責任を持って通すようにお願いしたい、こういう意味で申し上げたのであります。私が在任中に審議会答申なんか無視してやるという意味ではありませんし、また、これは専門的な問題でありますから、技術的な問題でありますから、私自身もそういうことについては自信がありませんが、答申が出れば、その答申を成文化するように私としては極力努力したい、こう考えておる次第であります。
  5. 山内広

    山内委員 大臣は何年間大臣をおつとめになるつもりでそういう自信のあることをお考えになっておるか知りませんけれども、大体大臣というのは一年三カ月、あと出されるとすれば、この次の通常国会である、こう判断せざるを得ないわけです。通常国会にもし特許法全面改正が出るとすれば、廃案になったものをそのまま今度は大臣政治力にまかせて通すという形で出してくるものか、私は善意にそう実は解釈します。しかし、それがなされないで、この前からの長い議論の内容を織り込んで改正して手直しして出すとすれば、これは私はやはりたいへんな作業になると思うのです。審議会の現在の進渉状況はどの程度になっておるか、事務当局の回答でけっこうです。
  6. 川出千速

    川出政府委員 工業所有権審議会で現在昨年の十一月以降たびたび審議を行なっておりますが、特許庁といたしましては、大臣から諮問をする際に希望を申してございますけれども、それは特許制度重要性にかんがみ、なるべく早く結論を出していただきたいということで、本年内にできたら出していただけないだろうかという希望を表明をしております。工業所有権制度の問題につきましては、先生指摘のように、権利関係法律だものですから、いろいろと慎重に審議をしなければならない面もございますけれども、といって、この前の審議会でも相当期間審議をした同じテーマもまた重複しております。私どもとしては、なるべく早く結論を出してもらいたいと考えておる次第でございます。
  7. 山内広

    山内委員 その点は大臣約束さえお聞きしておけば、別にこれ以上議論することもないと思います。  ただ、今度は長官にお尋ねしますけれども受田委員質問に対して、この出願滞貨の山をどうしてなくするんだ、今度の改正程度でなくなるのかどうかという意味の御質問だったと思うのですが、それに対して自信がないという御答弁だったと思います。これはほんとうの直接の特許庁責任を持っておられる長官としては、非常に無責任な御発言だと思うのですが、その真意はどこにあったのか、その点を明らかにしてもらいたい。
  8. 川出千速

    川出政府委員 はなはだ自信のない答弁を申し上げまして、申しわけないと思っております。この際、あらためて私の考えを申し上げておきたいと思いますが、受田先生の御質問の趣旨を、私は、来年現在の滞貨よりもふえないようにする自信があるか、現在の滞貨七十三万件くらいございますけれども、一年後にこれがふえないようにする自信があるか、あるいはもっと減らすということができるかどうかという御質問であったものですから、来年ということになりますと、もう一年後のことでございます。現在の処理能力考え、それから現在の出願状況考えますと、これは私は非常に困難であると思いましたものですから、さような答弁をしたわけでございまして、しかしながら、それは努力をしないという意味じゃございません。長期計画を立てまして、そうして人員増加予算増加その他を通じまして、いまの審査というものは長いわけですから、これはやはり正常な期間にもっていかなければいかぬ。それには若干の時間がかかるというつもりでございまして、そういう意味では自信がないわけではございません。
  9. 山内広

    山内委員 歴代の長官——これはいまに始まった滞貨でないので、毎年累増していっておるわけです。そして七十三万ということで、前の長官がおられたときからふえてはいるけれども、減ってはいないわけです。しかし、どの長官定員増だとか何とか出しますと、これが問題になったときはだんだん減っていくんだという説明がなされております。たとえば、今度は機械化されて電子計算機を入れる。そうすれば人手はどの程度で、それ以上の増員要求しないけれども、今度機械が消化して滞貨は減っていくというような答弁もなされたこともある。ところが、その電子計算機も確かに買って使用されておるはずでありますけれども、ちっともその効果というものは数字の面ではあらわれてきておりません。この機械化とか電子計算機というものはどういうふうに使用され、どれだけの能率をあげているものか、将来この電子計算機がますますふえていくのか、あるいはもう手余りしてこれがなくなるのか、どういう感じがなされているのか、ひとつ御返事をいただきたい。
  10. 川出千速

    川出政府委員 電子計算機を現在使用しております主要な部門は、出願事務処理でございまして、これは一年間に四十一年度は三十二が件の処理出願されている三十二万件の処理になりますと、さらにその数倍の書類が往復することになります。この膨大な書類事務的処理ということは、たいへんなことでございます。これを人手でやりますと、相当の人員がさらに必要なわけでございますが、電子計算機を活用いたしますと、電子計算機パンチャーやその他の人員は要りますけれども、それらを人手でやるよりもはるかに能率をあげているつもりでございます。それでは審査のほうに電子計算機を使ったらどうかという話も、各国の中に出てきております。これも非常にむずかしい問題でございまして、現在特許庁でもその試験的な研究はしております。これを全面的に情報計算として活用するには、遺憾ながらまだ至っていないわけであります。今後の研究課題だろうと思っております。
  11. 山内広

    山内委員 出願事務処理に使っておる電子計算機は、どれだけ能率をあげているとお考えになっておりますか。
  12. 川出千速

    川出政府委員 三十九年度以来の出願につきましてテープに吹き込む、その後の補正その他の異動もテープに吹き込んでおるわけでございますが、三十九年以後の出願につきましては、大体九割ぐらい入れておりまして、近く一〇〇%になるだろうと思います。
  13. 山内広

    山内委員 では、具体的にお聞きします。その電子計算機を入れたために、人員に換算すればどれくらいの人員節約になっておることになりますか。
  14. 川出千速

    川出政府委員 人員増加してやろうとしますと、おそらく二百名近いいろいろ書く人等が要るだろうと思います。ただし、電子計算機を使っておりますので、そのパンチャーあるいは電子計算機を運用する人が計四、五十名は要るのですが、それを差し引きますと、百四、五十名の人員節約になっておるだろうと思います。
  15. 山内広

    山内委員 パンチャーは現在どういうことになっておりますか。フルに採用されておりますか。出勤状況はどうなのですか。病気とかそういうことで休んでいる人はおりませんか。その辺どうなっておりますか。
  16. 川出千速

    川出政府委員 パンチャーは、御承知のように非常に特殊な業務でございますものですから、長く勤務しておりますと、いわゆるパンチャー病と申しますか、外からはわからないのですけれども、肩が痛くなる、手が痛いというようなことで、フル稼動ということにはいっておりません。現在パンチャーは二十数名おりますけれども、一割——あるいは一割以上だったかもしれませんが、休んでおります。あるいは今後配置転換をやっていかなければいかぬと思っております。
  17. 山内広

    山内委員 ちょっと意地の悪いような聞き方をいたしますけれども、実は私も、この特許制度というものはあまりどういう事務的な処理をされるかわからぬので、前回一度見せていただいた。非常に環境が悪い。いろいろな点から非常に同情しまして、もう少し抜本的な解決をしなかったらたいへんじゃないかということで、いろいろ話し合ったこともあるので、若干の知識を持っておるわけですが、いま一割かそこらというような軽い気持ちでおっしゃっているけれども、私はそう聞いておらないのです。非常に欠勤率が多い。そうしてよそへやめていく人も多い。充足に困難を感じておる。そういうことで、電子計算機そのもの能率も非常にフルに発揮できない状況にある。人手の問題、その点はっきり率直に、ていさいのいいことは要りません、改善すればいいのですから、そういう意味でどういうふうに労務管理をやっているのか、全般の労務管理の問題に触れて御答弁いただきたい。
  18. 川出千速

    川出政府委員 パンチャー室の問題になりますと、これはタイプで打ちますから、やはり騒音を防止する施設もしなければなりませんし、そのためにいろいろ防音装置をやったりしております。それから換気も非常に重要でございます。根本的には建屋の問題がございまして、現在の庁舎は非常に古く、かつ狭隘でございますので、もう少しパンチャーを入れたいと思いましても、入れる余地があとそうないというような問題もございます。御指摘のように、問題がないわけじゃございません。出願事務電子計算機を導入いたしますと、ここの能率が直ちに全庁の事務に影響します。出入口でございます。私どもといたしましては、これに最大の関心を持っておりまして、ここがネックになって審査事務の促進を阻害することのないように力を入れておるつもりでございます。
  19. 山内広

    山内委員 ひとつその辺も率直に認められたようですから、十分にお考えいただかないと、この滞貨一掃というのも、この辺にかえってガンがあるのではないか、隘路があるのではないか、こう判断されるわけです。そこで、先ほど長官の御答弁に、滞貨一掃のための長期計画というお話がありました。これはもっと具体的に、何年ぐらいかかって、どれくらいの陣容で、どういうふうにいまの計算機類似のものを入れるとか、いろいろあると思うのですが、そういう点を示していただきたいのです。
  20. 川出千速

    川出政府委員 長期計画で、まだ正式に決定したものは持っていないわけでございます。いろいろの前提がございますものですから、非常に見通しがむずかしいわけですが、まずその前提になりますのは、出願が今後どういうふうにふえていくかという問題でございます。これは過去十年間に、出願は七%平均でふえております。ただし最近の五年間に八割ないし九割ぐらいふえてきておりまして、今後五年ないし十年の間に過去のようなベースでふえていくのか、あるいはスローダウンするのか、その辺が非常にむずかしいわけでございますが、かりに過去十年間の平均七%、最近の情勢よりは鈍化した形で伸びていくということにしたしますと、現在審査期間はいかんながら四年ぐらいになっております。延びつつあるわけでございます。これを、いろいろな人の考えがございますが、二年半ぐらいが正常であるというふうに考えますと、今後五、六年の間にそこへ人員増加で持っていこうということになりますと、審査官だけで毎年やはり百名ぐらいずつは増加させていかなければならないと思います。そのほかに、それに見合う事務処理あるいは審判等々がございますものですから、そういう点は、人だけでやっていくにはおのずから限界もあろうというふうに考えておるということでございます。
  21. 山内広

    山内委員 この取り扱い件数増加見通しというものですね、これは、私は非常に甘いような気がするのです。これはあなたのほうで出された資料ですけれども、いま平均処理期間が四年ぐらいになっておると言われた。ところが、三十九年は四年八カ月、四十年が五年一カ月、四十一年は六年五カ月となっておるのです。これはあなたのほうからいただいたあれなんです。そうしますと、いま四年や五年で計画立てたら、すぐそれ自身でくずれちゃうと思うのです。そしていまになって、まだいろいろな要素があるために計画が確定しないという御答弁も、私はおかしい御答弁だと思う。はっきりどういう方法でこの滞貨一掃する、それくらいのことをまだ公表できないような、煮詰まらない計画でこれからおやりになるということは、私ちょっとふに落ちないのですが、長官、ここはもう少し御答弁が必要だと思う。
  22. 川出千速

    川出政府委員 先生のただいま御指摘になりました数字は、それは審査ではなくて、審判だろうと思います。審判は、現在一万件くらいの請求がございまして、これは処理が四、五千件でございますので、年々ふえておりまして、ただいま御指摘になりましたようなかっこうになろうかと思います。審判官増員というのは、供給源審査官に限られております。民間から登用するというわけにも参りませんので、これは特許庁としては難問中の難問になっております審判期間の短縮であります。審査期間につきましては、審判の以前の実際の審査でございますから、これにつきましては、現在のところ四年くらいになっておりますが、これを人員増加その他のいろいろな対策をとりまして、五、六年先には二年半くらいに持っていこうという計画を現在立てておるわけでございます。そのためにはいろいろ前提がございまして、人員の確保のためには待遇改善もしなければいけませんし、それから人員がふえてまいりますと、その処遇の問題、これは俸給、昇格の問題がございます。そういう人事管理の面も非常にむずかしい問題が出てまいります。庁舎が狭隘で、現在も三つくらいに分かれております。これも一カ所に集中する計画も必要だというような、いろいろな問題がございます。
  23. 山内広

    山内委員 人の採用が困難だということは、確かに待遇の問題、その待遇は、直接収入の問題もございましょうし、働く環境の整備も、もちろんこれは待遇だと思うのです。そこで、現在支給されております若干の調整額を認めているわけですが、これは妥当な調整額だとお考えですか、どうですか。
  24. 川出千速

    川出政府委員 現在審査官補四%、審査官審判官八%の調整額が、これは一般行政官吏よりも多く上乗せされておるわけでございます。私どもは、数年前からこの増額を人事院及び大蔵省要求し続けてきておりますけれども、いろいろなバランスの問題があるらしくございまして、いまだ実現をしていないのは遺憾に思っておる次第であります。十分とは考えていない次第であります。
  25. 山内広

    山内委員 どれくらいが妥当な、採用可能な調整額と判断されますか。
  26. 川出千速

    川出政府委員 現在はその八%を倍に一六%、四%を二倍に八%にということで要求をしております。
  27. 山内広

    山内委員 それからこれは私、この前いい案だと思って実は聞いて現在実行されておるのに、非常勤調査員採用したいという御相談があったことがあります。高年齢層方々採用するということで、これは一石二鳥じゃないか、非常にいいことじゃないかと思うのですが、現在この調査員はどういうことになっておりますか。採用の状態、今後の採用の見込み、そういうものをお知らせいただきたい。
  28. 川出千速

    川出政府委員 現在三十九年及び四十年の両年にわたりまして予算要求をして、いま合計百十名の非常勤調査員採用しております。その仕事は、一つはいろいろな調査分類、もう一つ仕事審査官の下請と申しますか、下調査、こういうふうな二つの部門で活用しておりますが、会社等を定年退職された優秀な技術者の方が集まってきておりまして、欠員ができた場合に補充の募集をするわけですが、非常に優秀な方が殺到しておるのが現状でございます。来年はこれをさらに大幅にふやしたいと考えております。
  29. 山内広

    山内委員 常任委員会のほうへ行かれるそうですから、かいつまんでお聞きします。現在、特許庁能率をあげていない一つの因子として判断されることに、庁舎の問題があると思うのです。お聞きしますというと、三カ所に分散されておる。この問題の解決はいつごろのめどで、どういう計画で解消されるのか、お聞きしたい。
  30. 川出千速

    川出政府委員 現在特許庁は、いまの昭和八年にできた建物に大部分がおりますけれども審判部総務部は入り切れなくて外に出ております。現在本省に新しい総合庁舎を建築中でございまして、この第一期工事が来年の秋に完成すると聞いております。第二期工事が、さらに引き続き二、三年かかって行なわれるわけでございます。この一期、二期が完成しました際に、特許庁は入り得る余地ができるのではないか。一期だけでは多少無理なような感じがしております。
  31. 山内広

    山内委員 庁内に企画委員会というものを部内で設けておられるような資料が出ておるわけですが、これはいつから発足したのか。
  32. 川出千速

    川出政府委員 私、特許庁に昨年就任をいたしまして、特許庁職員数は千数百名ございまして、いろいろ実務をしている人の声を聞いて長期計画を立てたほうがいいと思いまして、私が就任いたしましてからつくったわけでございますが、現在作業中で、近く結論が出る運びになっております。
  33. 山内広

    山内委員 この委員会で検討されている中身を見ますと、やはり問題のほとんど、これがうまい結論を出せば問題の解決になるような多岐にわたる、しかも庁内の方々ですから、詳細な検討をされておるわけですが、これは早く結論を出して、これが生かされる方向でどこかに出てこなければいかぬと思うのです。特に私からもお願いしておきます。  そこで大臣に、もう時間がありませんから希望だけ申し上げておきますけれども特許庁は歳出より収入のほうが多いわけです。そして、かって三、四年前は三億から一いまはあまりそれまでもないようですが、三億から二億ぐらいが大蔵省の金庫の中に納入されておるわけです。これだけ行き詰まった特許庁行政を改善するためには、人の採用だろうが何だろうが、何もここからかすり取る必要は、国庫としてはないわけです。この歳入に見合うだけのものは、どんどんお使いになって、こういう行き詰まった行政を打開する御決意をお持ちになる必要があろうと思うのです。そういう意味で、やはり強い主張をして問題の解決をいたしませんと、これはたいへんなことになる。その希望だけを申し上げておきたいと思います。
  34. 關谷勝利

  35. 木原実

    木原(実)委員 関連をして。時間がないようですから、大臣一つお聞きしたいのですが、どうも先ほど来山内委員の御質問にもございましたように、なかなか滞貨一掃されない。その隘路の原因はおおむねわかっているわけですが、その上にただ一つ、どうも特許庁というのが通産省のいわゆる外局で、たとえばいまだに長期計画が立たない、また解決めどが立たない、ということの中には、たとえば首脳部人事につきましても、通産省人事の中の一環として、ともかく特許庁長官在任期間が非常に短い。そういうことで、いわば腰かけに使われているんじゃないか、こういうきらいも考えられるわけです。そこで、これは意見になるかもしれないが、お伺いしたいわけですが、もう少し腰を入れて長期計画を立て得るような責任体制をひとつつくる意思があるかどうか、その辺をひとつお伺いいたしたいわけであります。  それから、いま山内委員のほうからお話がございましたが、歳出、歳入の面、あるいは法改正の面、これらはいずれもたびたび議会の中でも論議になりました。そのつどしかるべき答弁があったわけでありますけれども、いずれも実現を見ていない。しかも、事実の問題としては滞貨の山がある。こういう状況ですから、特許庁の特許行政というものは、文字どおり行き詰まりに来ているのではないか。これをやはり何か抜本的に改正をやるためには、法改正は十分慎重にやると同時に、やはり抜本策をおやりになる気持ちがあるかどうか、その辺のことの御決意を聞いておきたいと思います。
  36. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 特許制度についての根本的な御高見を拝聴したのですが、お話のとおり、やはり人の問題もあると思うのです。これも私は考慮しなければならないと思う。それから、いまの山内委員のお話しのとおり、相当歳入が多いものですからして、どんどん予算を増して、人もふやすし、必要な装備もするということをやはりやっていかなければならないという問題もあると思います。いずれにいたしましても、この特許制度ということが日本の産業の発展に重要な関係を持っておりますから、したがいまして、通産省としては、外局だからこれをないがしろにするという意味では決してなくて、外局にしておるということは、特許制度というものの重要性を認めて外局にしたのでありますから、したがいまして、これは私たちも数年前から特許制度を何とかしなければいかぬということを主張してきたものでありますが、それだけ私自身責任感じておりますので、私としては、ひとつ全力を注いでこの特許制度解決に努力したい、こう考えておる次第であります。
  37. 關谷勝利

    關谷委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  38. 關谷勝利

    關谷委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。  通商産業省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  39. 關谷勝利

    關谷委員長 起立総員。よって本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 關谷勝利

    關谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  41. 關谷勝利

    關谷委員長 運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  42. 大出俊

    ○大出委員 前会、自動車関係、あるいは陸運関係事務等との関連から、また、この設置法の面からまいりまして、激増する自動車事故、及び自動車の排気ガス等による大気の汚染についての社会問題、これにどう対処するかというようなこと、あるいは自動車の安全対策、あるいは自動車の公害、この防止というような面で研究する、こういうふうな問題が出ておりますことに関連をいたしまして、大臣に例をあげて実は御質問申し上げたわけでありますが、たまたま、春の交通安全運動というものが二十二日から十日間全国一斉に行なわれるということで、いろいろな行事が方々に行わなれておりますが、相当大きなウエートで、無謀なダンプカーの追放ということ、それから子供たちを守る、通学あるいは幼稚園等を含めまして守るという運動が起こっているわけですが、この事故件数などを見ますと、一月から四月末までの人身事故が十三万八千二百七十九件、昨年同期より一万八千九十八件ふえている。こういうわけです。まさにこれは激増のたぐいと思うわけですが、この種のことを早急に対策を立てるという意味では、いまどき研究などと言っておること自体が、私はおかしいような気がしてなりません。そういう意味で具体的に、ではどうするかということで、先般来現実に行なわれている事情の説明を申し上げまして、何とか対策がないのか、こう焦点をしぼって申し上げているわけです。この間申しましたように、陸運の関係におきましては、一都七県にわたるこの種の責任を負う免許あるいは許可、あるいは免許後におけるところの行政指導、あるいは事業監査、街頭監査など、こういうことの責任を負うところが、わずか十一名の人間でやっているなどというばかなことがあり得べきではないという気がするのであります。東京陸運局の自動車の第二部貨物第一課というところ、ここは関東各一都七県の路線の区域の免許、許可、認可、事業監査、街頭監査、これだけの仕事があるのが十一名、こういうようなことを、この間は時間がなかったので申し上げなかったのですが、もう少し大臣の立場で何とかするという気持ちを持っていただきたいと私は思うのです。もう一ぺんひとつ恐縮ですけれども答弁願いたい。
  43. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 陸運局の定員が少ないことについての御質問でございますが、私も運輸省へ参りまして、陸運局ばかりでなく、海運局における船舶検査、また航空局における航空機の機体検査、こういった人員と、各方面に人員が非常に不足しておるような点に気がついたのでございます。今年度におきましても、そういう意味でいろいろと人員増加をはかっておりますが、御承知のとおり、人件費の増高につきましては大蔵当局も非常に神経質でございまするので、なかなか思うにまかせぬ点がありますことは遺憾にたえない次第でございます。それでも今年は、陸運局については、特に車検要員ということで多少の増員をはかったような次第でございます。今後におきましても、機会あるごとに必要な人員増員するということが交通安全につながる運輸省の大きな一つの使命であると考えますので、さような意味で極力つとめたいと思っております。
  44. 大出俊

    ○大出委員 私の手元にあるこの数字を見ますと、車両検査という面で、これは昨年の交通事故の死亡率で、交通事故が史上最高になった、こう言われておるのですが、ことしはまたそれがふえている、こういう状態なんですが、この中で陸運事務所の整備課——実は、昨日も私横浜の陸運局に行ってみたのですが、所長さんにもいろいろ聞いてみましたが、たいへんなことなんですね。この車両検査の一例をあげますと、一人の検査官が一両の車両を検査するに要する時分は、普通にこれならだいじょうぶという程度にやるについて二十五分かかるんだそうです。ところが、タイムスタディーという例の計算の機械で計算をしてみて、少し省いてやってみても、どうしても一台が十七分かかる。ところが、一両当たり五分でやったのでは、たくさんで終わらないというんです。だから二、三分ぐらいで片づけなければいけない。担当官に聞いてみても、検査のしようがないんですね。検査じゃないですよ。そこで問題は、東京陸運事務所の場合でいきますと、六コースあって一日九百十両を検査しております。だから、一コース当たりが百五十二両になるのです。二コース当たりの検査要員が、組で五人だそうです。一コース二・五人で百五十二両をやらなければならない。そういうことになると、百五十二両を検査するに二・五人、だから一人当たりの一コースの検査車両数が六十一両になりますね。そうなると、驚異的スピードで、二、三分でどうあっても片づけてしまわないと、六十何両も検査できないですね。こうなると、この面で安全を確保しなければならぬ責任を法的に負わされているわけだから、心配でたまらぬけれども、ともかく自分のからだのほうも心配だというぐらいなんです。だから、それは完全な検査なんてできるものではないということを現場の諸君が言っている。一方で交通安全対策というようなことを閣内その他でいろいろ論議されたり機関をつくられたりしておるのですけれども、現実に一番その衝に当たるところを押えてどうするかということにならなければ、私は安全対策にならぬと思うのです。だから、ここらあたりをもう少し皆さんのほうで御考慮いただけないか。さらに、この車両検査業務を、したがって一部民間に委託をしておるわけですけれども、それに対する監査などのチェックをするわけですが、人がいないために、ほとんどチェックしてない。整備事業の認証だとか、整備士の技能検定だとか、運送業者の監督業務、運行管理だとか、車両管理、自動車事故対策、こういった意味の保安行政なんというのは、手のつけようがないというわけです。だから、そういうふうなことになると、これは大阪陸運局の整備部の整備課では、昨年の一月から五月の月平均認証工場等の関係業務が、新規認証で百件、廃止が約三十件、変更が百二十件、これを係長一名と係員一名の二人で処理するというのですね。こんなものができるはずもないわけです。とにかく何といいますか、日常茶飯事になったバスやトラックの衝突事故、人身事故、こういうふうなものの原因を調べたり、事前、事故の監査を行なったり、あるいは通行管理者あるいは通行管理者を選任する面での自動車の保安行政、こういうふうな点についても、全く人がいないに類する要員しかない、こういうわけですね。こういうところに重点を置かないで交通安全対策というものは成り立たないと思うのですがね。道路行政も大切でしょけれども、にわかにできるものじゃない。こういう点がどうも放任されていることは、皆さんがあげておられる交通安全対策というについては、どうも私は理解に苦しむわけなんですが、この辺のところを運輸大臣という立場で、ひとつもうちょっと何がしかの方法について御説明がいただけないものかと思うのですが、いかがでございますか。
  45. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 従来、事務増加に伴う要員の拡充ということが、とかく運輸省においてなおざりにされてきた感があるわけでございまして、その結果が、ただいま大出委員の御指摘のようなめちゃくちゃな状況に相なっておるわけでございます。これが是正は、長年かかってでき上がったことでございますし、なかなか一朝一夕に直ちに完ぺきを期するということにはいかないかもしれません。機会あるごとに極力努力いたしまして、すみやかに完全な体制をとるようにいたしたいと考えます。
  46. 大出俊

    ○大出委員 これは別なことですが、いまの点は、いまの大臣の御答弁と、この間交通安全の関係機関に持ち込まれたというお話だとか、あるいは警察関係にいろいろ相談をされたということも承りましたが、あわせて、これはきわめて前向きで御努力をいただきたいという点を申し上げておきます。  なお、一つだけ自動車関係で承りたいのですが、索道というのがございますね。スキー場のリフト、これを索道といっているのですね。これは冬季それから夏季、いろいろあるわけでありますけれども、これは法に基づいて監査をしなければならぬことになっている。安全の確認後運行させるということにぴしっときまっているわけです。ところが人がない、旅費がないということで、札幌陸運局の鉄道部なんかでは、運転保安課で四名、技術課で四名で、道内の私鉄の監査その他全部をやらなければならない。四十三索道事業者の監査を行なう。したがって、旅費法による旅費の半額支給の形で分けてやっている。これはあるいはまあ国鉄バスなんかもあるのでしょうけれども、いずれにしても足りない、こういうふうなことも一面出てきているようであります。ここらあたり、関係の方がおいでにならなければ、あとからひとつ御連絡いただいてもけっこうですけれども、不合理だという気がするわけでありまして、半額にしているのは、旅費法からいけば違法ですけれども、ただしかし、他に国鉄の関係ということで便宜措置が講ぜられておって、それがある意味で適法だというならば、これはまたそれなりに考えようがございます。ただ、私が言いたいのは、いろいろの面でたいへん重要であり、かつ忙しいということから、とかく担当者の正当な収入が減らされているということになるとすれば、これはやはりそういう点ははっきりさせておかなければ、たいへん忙しい諸君に気の毒ですから、そういう意味でいま御答弁いただければけっこうですし、そうでなければ、御検討いただきまして、後ほどでも御連絡いただきたいと思いますので、その点だけひとつ……。
  47. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ちょうどいま担当者が参っておりませんので、まことに恐縮でございますが、後ほどお答えさせていただきます。
  48. 大出俊

    ○大出委員 航空、それから陸運、いまの索道関係等を申し上げましたが、いずれもたいへん人命に関する問題でございますだけに、ぜひひとつお力を入れていただきたいと思うわけであります。運輸省にのみものを言っても、さいふの口は大蔵省が握っておるわけですから、別な機会に、そのほうには私のほうからももっと突っ込んだ質問をしたいと思っております。ぜひひとつ御尽力をいただきたいと思います。  それから港湾関係で御質問申し上げたいのですが、労働省の方、お見えになっておりますか。——この間、実はお願いしておいたのですが、労働省の関係がどうしてもあるのですが、運輸省に一ぺん承って、その上で、結果いかんで質問時間中に御連絡願いたいと思うのです。  中身は、沿岸荷役をやる諸君について、港政課長さんの通達がいにしえに出ているわけです。というのは、時間がありませんから読み上げませんが、つまり倉庫寄託の貨物というものは——寄託であっても何でも本来一括しておりてくるのですけれども、課長通達によれば、つまり倉庫寄託の貨物というものは、これは運搬その他横持ちいろいろやるのですけれども、これは倉庫荷役の範疇に入る、こういう見解なんであります。したがって、港労法ができ上がりましたけれども、なかなかうまく登録その他の数字の上にあがってこない。この倉庫関係の荷役をやられる方々のところは、幾つかの古い歴史的な、ある意味ではわれわれの認識以外の形になっている業者がございますから、その諸君の意思で出さぬといえば出てこない、こういうことになってしまう。これは地区の審議会でいろいろ論議をされたりしてきている経緯があります。これは労働省の側からすると、その諸君等は、できれば港労法の適用をしてもらいたいというんだ。それから倉庫業の方々のほうも、ごく一部を除いては、港労法の適用を受けさせたいんだという。ところが、港政課長通達その他の関係もあって、なかなか思うようにいかない。だから、実態調査をした結果として、労働、運輸両省で話し合って結果を明らかにするということになっていて、その後何か通達か何かをお流しになったようでありますから、話し合いがついているんだと思いますけれども、ここのところ多少私も手を抜いておりますので、そこのところを、どういうことになったのかという点を一たしかこれは倉庫荷役に関する港湾労働法適用についての小委員会報告なんというのが、実は地区審議会の中から出てきておりまして、運輸省なり労働省なりのほうの検討の結果として行政指導が行なわれた結果ということになっていると思うのでございますが、四十二年の四月十日付の労働省告示の第十九号による適用地域の指定云々なんという問題も出てきておりますので、それらの関連で実は労働省の諸君に来ていただきたかったのでありますけれども、港湾局長さんのほう、あるいは港政課長さんも見えておるようですが、関係のほうでひとつおわかりの点を御答弁いただきたい。
  49. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 倉庫荷役につきまして港労法を適用するという問題は、当初からあったのでございます。先ほどお話がございましたように、倉庫業界のほうからも、適用してほしいという申し出がございました。ただし、労働省といたしましては、実態を調査してからということで、実は実態を調査しておったわけでございます。そのときに、先ほど御指摘になりましたような、港湾運送事業法の適用をはずすというような問題も出ておるという通牒があったということが、一つ問題として出てきてまいったわけでございます。労働省の調査に基づきまして、港労法を適用しておる港につきまして、五百メートル以内にある海側の貨物を三〇%以上扱う倉庫につきましては、四月十日から港労法の適用をするということになったわけでございます。
  50. 大出俊

    ○大出委員 まあ水切りから山側、つまり横持ち距離の長いという判定は、どこできめたのですか。いま五百メートルとあなたはおっしゃったけれども……。
  51. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これは臨港地帯にございましても、必ずしも全部海からあがる貨物の倉庫ではないわけでございまして、そういうようなことで実態調査した結果、五百メートル以内にあるものは、海側の貨物を三〇%扱っておるものがある。したがって、これについては、港湾運送事業者が下請しておるということもございますし、労働者が同じであるということから、その実態を把握してきめたわけでございます。
  52. 大出俊

    ○大出委員 ただ、これは地区審議会その他でいろいろ論議しておる過程では、山側の作業についても港労法の適用をさせろという非常に強い意見も出ておるわけですね。だから、判定というのは、非常に現実の問題としてはむずかしいことになっておると思うのです。だから、私は、ここで明らかにさせていただきたいのは、つまり倉庫業者——あるいは倉庫荷役と言ったほうがいいのですかね、いまの御答弁でいささか私は納得しかねるのですけれども、労働省の方もおいでになりませんから——実態調査はおそらく労働省のほうでやったのじゃないかと思います。運輸省のいまの見解だけ簡単に承っておきますが、ここでひとつ承っておきたいと思いますのは、倉庫荷役に対する港労法の適用、この点なんです。そうすると、いまのお話では、そちら側は沿岸になるわけですから、倉庫荷役のほうについては、あくまでも倉庫荷役でいく、港労法の適用はしない、こういう御見解ですか。
  53. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 ただいま申し上げましたのは、倉庫荷役について港労法を適用するということにしたわけでございます。
  54. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、沿岸との関係は、どういうふうに区分をされるわけですか。沿岸荷役と倉庫荷役は違うのですね。したがって、これはどういうふうに線を引かれるか、もう一ぺん言ってください。
  55. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これは実は非常にむずかしい問題でございまして、作業の実態は、沿岸荷役と解されるわけでございます。しかし、倉庫に寄託を受ける場合に、荷役も含めて要するに貨物をはしけから揚げたときから倉庫業者の責任になる、こういうことで、これは倉庫荷役とみなしているわけでございまして、作業の実態からいって、これを沿岸であるかどうかということは、非常に問題があるというところでございます。したがいまして、先ほどお話がございました適用排除の通達につきましては、適用排除ということではなくて、倉庫荷役とみなし得るという点で、その点を一応適用排除ということで否定したわけでございます。実態に即してどういうふうに取り扱うべきかということは、現在検討しておる、こういうことでございます。
  56. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、いまのでわかりましたが、倉庫荷役の場合も、つまり港湾荷役機械でおりてくる場合、一緒に入ってくるのですから、そうすると、その中の一つは、倉庫寄託貨物、片一方はそうでない。そこに倉庫だけ取り上げる、こういうことになれば、その場合に、倉庫寄託の場合は、いまの港政課長の通達でいけば、同じことをやっておるのですよ。   〔委員長退席、細田委員長代理着席〕 船からおりたとたんに水切りなんですから。そうすると、同じようにおりてくるのだけれども、片方は寄託貨物だ、倉庫荷役だ、片方はそうでないから沿岸荷役だ、こう仕事の面で同じことをやっていて分かれてくる。これは、港政課長通達があったからそうなる。だから、まず港政課長通達を否定していただいて、排除していただいて、それをなくしていただいて、そこからおりてくる荷物は同じことをやっておるのだから、同じことをやっておる限りは、港労法の適用を受けるのだというふうにしていただかなければいけない。さらにいまお話しになったように、倉庫荷役というものも港労法の適用を受ける、一番最後のところ、そう理解していいわけですか。
  57. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 倉庫荷役が海側から上がった貨物につきましては、公労法の適用を受けるということにしたわけでございます。
  58. 大出俊

    ○大出委員 倉庫荷役というのは、水切りからホッパーに入れる。そうしてここではクレーンの運転者が一人いるわけですね。それから袋入れをやる。そうすると、引き抜きというか、抜き屋なんというのがいて、抜く。それからはかる人がいて看貫やるわけですね。それからミシンで縫って、縫い上げる。それからコンベアーで流れてくる、あるいはパレットで乗せていくということになる。で、倉庫で張りつける、こうなるわけですね。場所をきめて運転していくわけですから、これは全部作業形態というものが違うわけですね。これは一種の請負料金ですね。だから、労働省、運輸省で共同でお調べになったとすれば、この請負料金というものは、港労法の適用を受けるという場合に、どういう形の受け方になるか。普通ならば、張りつけなんというのは一番高いんですね。どんどん運んでくるやつがうまくいかなければ、作業能率はあがらない。これはグループでやっておるわけですから、そのグループで請け負って、金をグループで配分するわけですね、張りつけが一番高いということでやるわけですから。これは一番前近代的な形態なんですよ、賃金からすると。そうすると、そういうものに港労法の適用を受けさせるとすれば、どういうふうに一体ランクをつけていくのかという問題が出てくるわけです。そこらのところは、両省共同でおやりになった結果として、どういう御見解、たとえば、運ぶほうからいけば上方なんというのは、八十キロ、六十キロ、まあ四十キロなんというのは実際必要ないようなものですけれども、その辺から、ずっといって、いま言ったような各職種、それらについては、どういう範囲で港労法の適用をというふうに考えていますか。
  59. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 倉庫の場合には張りつけが高くなるというようなことはあるかもわかりませんが、沿岸が上屋に持ち込む場合も同じでございまして、いまの労働の種別による賃金はどうなっているかということは、これは労働省の方がおられませんので明確にお答えできませんが、港湾運送事業の場合も、倉庫の場合も、同じと考えていいと思います。
  60. 大出俊

    ○大出委員 つまり倉庫荷役というものを、港政課長通達を排除して、海側から来たものについては港労法の適用を受けるんだ、こういう解釈になるとすれば、この職種も適用を受けることになるわけですね。そこで一つの問題は、同じとおっしるけれども、違うわけですね。全部私、ここに行って調べてみた。なかなか違う。これは、まあいまの最後の御答弁で労働省がとおっしゃるから、前労働大臣がおられるけれども、これは担当が違いますから向こうに聞きますけれども、そこらあたりまで、実は、港政課長通達廃止といいますか、否定をするという立場になるとすれば、ほんとうはお考えいただかないと、地区審議会みたいなところでもめるだけになってしまう。現にいろいろもめごとがあるわけです。だから、小委員会をつくっていろいろやっている。何か一つの基準をつくってその行政指導みたいなものをやらないと、おのおのの立場がありますから、これはなかなか片づかないという点が心配なんで、その点聞いてみたわけですけれども、いまの御答弁で、大体その点は労働省だということですから、あらためて聞きましょう。  それから、いまいろんな港湾審議会等の中で答申がたくさん出ておりますが、三つ部会がありましたね。ちょっとあげてみてくださいませんか、正式名称を。
  61. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 港湾審議会には「部会を置くことができる。」というようになっておりまして、その「部会を置くことができる。」ということを受けまして、計画部会、管理部会、港湾運送部会の三つの部会がございます。ただし、港湾運送部会につきましては、昭和四十三年三月三十一日までの時限的な部会でございます。
  62. 大出俊

    ○大出委員 ところで、管理部会の答申が出ているわけですね。これはこの管理部会を審議したときに、佐藤さんと私、だいぶこの問題で論議したことがある。港湾が、現にもう運営という時代を過ぎて経営という時代に入ってきているという認識のもとに、いろいろな面で港湾管理あるいは経営というものを検討しなければならぬ。それから日本の港湾というのは、六大港、七大港含めてみても、独立採算なんということを考えられる港湾は、一つもないわけです、外国と違って。ロッテルダムのような市がやっているわけでもないのですから。そうなると、どうしてもここでひとつ管理、運営、特に経営という意味で、財源という問題ですね、これらを検討しなければならぬということで、たとえばロンドン港のような港税なんというものもある。あるいは関税収入が年間二千八百億くらいあるでしょうけれども、そのうちの二〇%くらい持ってきたらどうだ。いろいろな意見が当時役所の間にあった。それらのものをずっと整理していくとどういうことになるのかという点を運輸省の港湾局の側も勉強してみて、ひとつ管理部会の中でいろいろな意見を聞いてみたい、こういうふうになっておったわけですね。ところで、その答申の結果として出てきたのだと私は思うんですけれども、つまり外貿埠頭公団なんというものも出てきている。とすると、その検討の結果、答申が出て、ここに答申を持っておりますから読んでおりますけれども、何が一体中心なんだという点が、いろいろな箇所の答弁が出てきてなかなかはっきりしない。何を一体やろうとする答申なのか、何が一体ねらいの外貿埠頭公団なのかという点を、ずばり言っていただきたい。
  63. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この管理部会の答申は、「港湾管理者の財政基盤の強化及び港湾施設の効率的使用の確保のため緊急に実施すべき方策に関する答申」ということで、これですべてを尽くしておるわけではありませんが、緊急にやるべきものは、管理者財政というものを強化することと、施設の効率的使用を確保するということでございます。これに至る経緯といたしまして、港湾の発展段階というようなものから、横浜、神戸のようなものについては、整備した港湾という考え方を持っております。こういう港湾では、独立採算とはいかなくとも、企業的な経営をなすべきであるということを示唆しております。  それからもう一つ、とりあえずこの財政基盤を強化するといいますか、管理者財政をこれ以上圧迫しないで効率的な運営をはかるためには、国と港湾管理者が一体になって一つの企業的な母体をつくって、それが施設をつくって使用料で借金を返していく方法を考えたらどうかという、一つの提案がございます。それに基づいて外貿埠頭公団をつくった、こういうことでございます。
  64. 大出俊

    ○大出委員 そこで承りたいのですが、この港湾管理者の財源の確保ということが、一つ前面に出てきているわけですね。これは前からいろいろな角度からの論議があったわけだけれども、つまり港湾管理者の独立採算とまではいかぬにしても、もっと財源的なものを含めた確保のしかたが、たとえば関税を一部持ってくるのでもなければ、港税の新設でもなければ、あるいは港湾使用料の値上げでもなければ、外貿埠頭公団によってということに当面なってきた、こう理解していいのですか。
  65. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この答申におきましても、いまお話がございましたように、管理者財政を強化するということから、まず一点は、官庁会計方式でなくて、企業会計方式に切りかえて、どうして赤が出るかということが明確になるようにしなさい、これが一点でございます。  もう一つは、適正な使用料を取るようにしなさいということでございまして、先ほどお話がございましたように、関税を国が移譲したり、また新たに目的税的なものを創設すべきではないか、そういうことについて検討せよ。しかし、その場合にこの利用者が二重に税を取られるようなことを避けなさいということがございます。これらの問題は、当然われわれとして検討すべきことでございますが、緊急に貨物のふえていくのに対応して施設をふやさなければならない。施設をふやしていけば、港湾管理者の財政の行き詰まっているのがはなはだ悪い状態になる。これを解決するのが、やはり第一のわれわれとしてやらなければならない問題でございましたので、外貿埠頭公団をつくったわけでございますが、これでもって終わりとするわけではございませんで、やはり管理者の財政基盤が強化されて、全体の港というものをいわゆる成熟した港湾という観点でりっぱに管理していくにはどうしたらいいかという問題は、今後検討しなければならない問題として残っておりますし、管理部会そのものも、まだこれで終わりとしないで、広域港湾その他全般的な管理の新しい方策についてまだ問題をかかえている、こういうことでございます。
  66. 大出俊

    ○大出委員 管理部会は、いまのところ広域行政の方向に入って検討しているのだと思うのです。したがって、いまの外貿埠頭公団以外にくっついているいろいろな問題は、いつ結論が出るかちょっとわからぬ、こう言わねばならぬと思うのです。私どものようなしろうとからも、たくさん、関税を持ってこいとかいろいろな意見が出てまいりますから、そういう意味では、当然そういうものがついて、将来検討せよという言い方にならざるを得ないと思うのだけれども、ただしかし、いま出てきているのは、港湾埠頭整備公団ですね、これになっている。  そこで承りたいわけなんですが、埠頭ターミナル促進法というようなものが一つありますね。これだけは切り離して考えるというのですが、つまりどういう点をどう切り離すわけですか。
  67. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 いまお話がございました埠頭ターミナル法でございますか、そういう法律の構想を得たことはございますが、これは例の三・三答申におきまして、港湾労働法をつくっていかなければならない、それに対応して港湾運送事業の集約をしていかなければならないというときに、いわゆる公団方式による新しい埠頭ができるのであるならば、一つのモデル的な集約方法をその場においてやろうではないかという構想であったわけでございます。しかし、幸いにいたしまして、港湾運送事業法の改正ができまして、これをもとにして集約化ということが進められるわけでございますので、そのほうが先にまいりましたので、これを受けて今度新しくできます専用埠頭についてのターミナルの運営についても考えていけばいいわけでございまして、現在はこのターミナル法というような運営法というようなものは、考えてはおりません。
  68. 大出俊

    ○大出委員 じゃ、これは切り離して考える云々ではなくて、その埠頭ターミナル促進法というのは、かつての構想はなくなったということでございますか。それでいいですね。
  69. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 そのとおりでございます。
  70. 大出俊

    ○大出委員 いまのところは、答申案について港湾局長といろいろいろな方々が出かけていってやりとりをしているのであって、記録がありますが、そこで、あなたのほうで埠頭ターミナル促進法とは切り離して考えているという意味答弁があったと書いてあるので、したがって念を押したのですが、なくなったということですね。  ところで承りたいわけですが、財源の比率ですね。あなたがいま言われる港湾管理者というのは、自治体だと思うのですが、そういう意味では、一般と国と自治体つまり港湾管理者、何か六対三対一というふうな比率——大蔵省の最終了承を得ていないがというようなことが経過の中にあるのですけれども、今日、大蔵省との関係を含めて、どうなっているわけですか。
  71. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この公団を考えます場合に、出資四割としたい、残りの六割を財投で借り入れたい、こういう構想でございます。したがって、その四割のうち三割を国の出資で、一割を地方公共団体の出資にしたいというのが、予算要求の構想であったわけでございます。予算が決定いたしましたときには、出資は二割でございました。国と公共団体の出資割合は一対一でございます。残りにつきましては、本年度の予算におきましては、半分を政府保証債にいたしまして、残りの四割につきましては縁故債ということで、縁故のあるものから公団が借りるという構想になっております。
  72. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、これは運輸省がこの答申を受けて考えたときには、つまり六割が財投で四割が出資だ、こういうことなんですね。国と地方公共団体が三対一にする。この一番底辺にならなければならぬのは、地方自治体の財政能力という点ですね。最近エコノミストなんかに「動き出したコンテナ対策」というのを厚川正夫さんが書いているけれども、この中で強調しているのは、国と公共団体の比率が半々になったということ、これはたいへん重要なことなんだ。地方公共団体は、その他のいろいろなはんぱな資金が出てくるから、埠頭なら埠頭をつくるだけで済まないわけですよ。そうすると、旧来の例からいうと、自治体が、国との関係から、いろいろの冗費を入れると七割くらい持っている。それは一般会計その他から出てきている。市民の負担なんだ。そうしてみると、今回のようなこういう比率の分け方になると、これはまさに自治体がかぶりっぱなしになる。だから、はたして将来やるのかという意味の言いっぷりになってくる。それから神戸の原口市長なんかも、負担割合が変われば了承しない、と言い切ったかどうかわかりませんが、そういう見解が出されたりしていましたね。そうしますと、ここでいうところの一対一という比率は、どうもいささかふに落ちないわけですが、このところあたりで、自治体で一体どれだけ財源能力があるか。つまりあなたのほうの御説明からすれば、港湾管理者といいますか、管理主体といいますか、ポートオーソリテイですか、そちらの側の財源確保というものをねらったというならば、自治体財源の面で枯渇してにっちもさっちもいかないようなことはすべきでない、こう私は思うので、そこらのところでどうお考えですか。
  73. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 私、エコノミストの資料は読んでいませんが、港湾管理者財政の行き詰まりというのは、むしろ起債の元利償還額がふえてきて、それで非常に苦しくなったということでございます。先ほどの七割というのは、埋め立てあるいは上屋をつくるというような分については国の補助がございませんので、全額起債に仰いでおる、それが財政行き詰まりの大きな原因でございます。したがいまして、一対一ということで二割の出資というのは、全体の事業費からいうと少ないようでございますが、あとは全部公団が財投なり縁故者からの借り入れでございまして、港湾管理者に迷惑はかけてないわけでございます。そういう意味において、管理者財政に負担をかけないということは、成り立っておると思います。  それからもう一つ、道路とかあるいは貨物がふえるためにいろいろな都市施設が出てくるというのは、これは公団の範囲外でございますので、この分についてはあるいは負担の軽減ということは考えられないかもしれませんが、これは従来と同じことでございます。少なくとも港湾施設をつくっていく面においては、管理者の負担は十分軽減されておると考えます。
  74. 大出俊

    ○大出委員 一九六三年の第一表というのが、ここに主要港湾の管理者財政一覧表というのがあるのですがね。これは「港湾日本」という本の第四十巻の二の二号にあるのですが、これによりますと、東京の場合に、収入が三億七千九百万ですね。支出が四十二億八千四百万、だから、差し引き赤字が三十九億五百万、こうなっているですね。この中で国庫負担金はわずか五億三千八百万しかない。だから、一般財源として三十三億六千七百万、これは赤字補てんの内訳です。公債が一千万、こういう内訳ですね。横浜をながめてみても、港湾収入のほうは二億九千八百万しかない。ところが、支出のほうは十五億九千二百万ですよ。だから、差し引きの赤字が十二億九千四百万、国の支出は二億五千八百万しかない。そうしますと、差し引き十億三千六百万の赤字補てんをしなければならぬ。したがって、そのうちで一般財源から七億八千四百万持ち出している。そのほかに公債で二億五千二百万、こういうわけです。だから、いまあなたのほうで公債等の利子とおっしゃるけれども、一般財源が主要部分ですよ。これはいま東京の例、横浜の例です、名古屋へ行きますと、一般財源の持ち出しが十五億二千三百万ある。大阪に行きますと、一般財源二十億九千七百万、神戸でさえも三億九千五百万、一般財源で出している。小さいところ下関が一億、門司が一億八千万、こういうわけです。そうしますと、少し見当違いではないかという気がする。あなたは公債その他の関係でとおっしゃるけれども、そうでなくて、相当な自治体負担になっている。実際問題としてそういうことですね。これは名のある人のまとめているものですから、その間違ったことを書いていないと思うのだけれども、角田達郎さんの「港湾財政について」という本にございます。したがって、私は、「港湾の財政と管理・経営の在り方について」、これは例の松宮さんがまとめられた、これを見ると、こういう一覧表が全部出ております。したがって、私はいまの自治体の財源規模というものからいきますと、そう簡単ではないのですね。たとえばこれが一対一であっても、相当の一般財源の持ち出しを続けてきているということですから、つまりいまの港湾というのは、幾つか分類されますよ。それは横浜、神戸のようなところ、あるいは東京のようなところ、あるいは八幡の洞海みたいなところ、みんな違います。違いますけれども、全体的にながめてみて、やはり一番一般財源という形の支出が多いとなると、これは市民のふところなんですね。だから、一番多いのは市民のふところで、港湾使用料なんというものがべらぼうに安くて、それがある意味では産業擁護の形になる、こういう結果になっている。だから、そこのところを、外貿埠頭公団なら公団を問題にするにあたっても、どう考えるかということがないと、やはり原口市長のように、負担割合が変わってくるならおれは了承しないぞと言わんばかりの話が出てくるわけです。あそこは、港湾に関してはいろいろ先へ進んでものをやっていますよ、乙仲という人に金を貸して倉庫業をやらせて、倉庫業ですなんということを言う人だから。そこでもやはりこういう意見を吐いているわけでしょう。だから、ここらのところは運輸省が当初考えた比率六、三、一です、この比率からすると、とても縁故債なんというものはあまり賛成できない。みんなひもがついてしまって、管理主体の権限なんというものは、いまでもないのですから、これはどうなってしまうかわからない、こういうふうに考えざるを得ないと思うわけです。  そこで私は、性格的な点をひとつ承っておきたいのですが、例の公共埠頭などということばがありますように、公共性の非常に強い港湾法をかかえていられるわけです。そうして先ほどおことばにあったように、未来は専用なんです。だんだん大企業、大資本集中のところに新しい埠頭ができていくという形になる。だから、それは専用なんです。これは明らかに、占有までいかぬにしても、専用なんです。そうだとすると、性格的にこれは非常に変わったものになってくるという気がしているわけです。だから、その面からすれば、当然法律改正が必要になる筋合いのものです。ところが、あなたのほうのいろいろな人のやりとりの記録によりますと、法律はいじらないというので、そこらの関連で、まずもって性格づけをしておいていただきたい、どういう埠頭になりそうだという、法律との関係はどうなるかというところを。
  75. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 港湾法におきましては、国の補助を受けた施設については一般に開放するという原則がございます。この原則がそのまま続けられなければならない港湾というものは日本の大多数でございまして、先ほど申し上げました成熟した港湾については、専用使用のようないわゆる独立採算的な構想が必要であるということは、答申に打ち出されておるわけです。したがいまして、外貿埠頭公団法によって、港湾法の特例として専用使用の埠頭ができた、かように解しておるわけでございます。
  76. 大出俊

    ○大出委員 将来の展望、港湾五カ年計画、前の答弁でいけば六十三年ぐらいまでいくのですね。中期経済計画に合わせて港湾五カ年計画をやってきましたね。あの中身からいうと、先行きは昭和六十三年ぐらいまで続いていくような質問に対する答弁がございましたが、あれはいろいろ変わりましたが、先行きをながめてみると、特例じゃなくて、専用埠頭形式のもの、将来ほとんどそうなっていくということになるとお考えになりませんか。
  77. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 将来、いまの成熟した港湾につきましては、やはり専用使用方式というものを相当取り入れていくことが必要だと思います。  それからもう一つは、その場合に、現在の港湾管理者の体制というものが、いまのようないわゆる市の部局として港湾が管理運営されていくべきかどうかという問題もあるわけでございまして、やはりこの港湾法の改正というものは、管理体制を変えていくということと、その運営をどうするかということと、あわせて将来の問題としてもちろん検討しなければならないわけでございますが、現在の公団のやる範囲については、公団法によってきめられることが港湾法の特例と考えればいいのではないか、かように思っております。
  78. 大出俊

    ○大出委員 つまりそうなると、ねらいは、将来は港湾管理の主体が変わるということになる、いまのお話からすると。そういう構想をお持ちなわけですね。
  79. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この管理部会の第一次答申にもございますように、「港湾管理の主体、最近における広域行政の要請に対応した広域港湾のあり方に関する基本的な問題及びこれらを前提とする根本的な港湾の管理運営の改善策については、結論を得たい。」ということを書いてございますが、この問題はどういう形になるかということはいま明らかにできませんが、現在のままの管理体制がいいということは、だれも言っていないと思います。したがいまして、そういうような意味で将来の問題としてこれがあるということは言い得ると思います。
  80. 大出俊

    ○大出委員 したがって、私の質問しているのは、賛否の意見を私はいま申し上げているのではない。運輸省がお考えになっている考え方を聞きたい、こう申し上げているわけです。答申というのは、あくまで部会なんですから、したがって、法律を出されるのは運輸省なんですから、だから、港湾行政というもののあり方は、憲法に規定されている官庁である運輸省がきめなければならぬことですね。してみると、この答申をめぐって外貿埠頭整備公団を出してこられた段階で、将来を展望して、一体港湾の管理主体というものはどうあるべきかということが頭になければならぬ。そうだとすると、専有専用の形に将来進んでいくということになるし、ならざるを得ない。特に縁故債だとかなんとかその分がふえるということは、そういう方向にますます引っぱっていかれることになる。それに対しては相当の反対意見がある。だから、あなた方が現在の時点でものを言っておられるのは、建設だけの埠頭整備公団なんですという意味のことをかつて方々で言ってこられた。埠頭をつくるのだ、こう言ってこられた。だから、管理運営主体という問題は先々の問題だと言ってこられたのだけれども、ここまでくると、おおむね明らかになってきている。だから、そこらはやはり明確にすべきものはして進んでいっていただきたい。したがって、見解の相違は相違で出てくるはずですけれども、それはしかたがない、こう思っているわけです。だから、そういう意味で承りたいわけです。
  81. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 大出委員のお説は、まことに同感でございます。今日港湾の発展の趨勢を考えてみますと、港湾荷役の機械化、また船舶の構造それ自体の変化、こういうような情勢が伴ってまいりますので、さらにまた、船舶の価格が騰貴するに従いまして、荷役時間の短縮、こういったような海運界の大勢でございます。これに順応いたしますには、従来のごとき公共埠頭だけでは、さばき切れないのではなかろうか。どうしてもこの際は海運業者のために専用埠頭を設けて、そうして積み荷の集積によるところの荷役の短時間化、迅速化、さらに専用埠頭における特別の高度荷役の機械化、こういったことをしなければならぬ状況に相なっておるわけでございます。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕 そういう意味におきまして、公共使用を原則とする従来の公共港湾の原理と現実の輸送手段の進歩に応じまして、若干修正しなければならぬ段階に来ておるのではなかろうか、こういうふうに思います。そうしてそれに適応するための特別の料金なりあるいは特別の使用関係とか、こういうことを含めまして、このたび外貿埠頭公団法を提案した次第でございます。
  82. 大出俊

    ○大出委員 その限り、よくわかりました。意見は意見でいろいろございますが、討論をしていると、これまた時間がございませんので、聞きたいという立場で実は申し上げているわけで、そこでもう一つ承りたいのですが、いまの点は明らかになりましたが、この埠頭運送事業法というふうなものを別途にお考えになっていると考えているのですが、そういうことですか。
  83. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 現在の段階におきましては、埠頭運送事業法という新しい種別を考えておりません。
  84. 大出俊

    ○大出委員 つまり本船の回航率を高めて、ロスをなくすことによって最大限の利潤を得よう、これは筋ですから、そういう筋書きからすると、公団が建設もしくは運営する港湾においては、現行の港湾運送事業法ではまずいことになる。公団の場合ですと、専用使用になっておりますから。そうすると、別個の法律を策定することによってそのことを解決しようとせざるを得ないのだと、ぼくは思いますが、名前をどうつけても——ちょっと聞いてください。ということは、いまのたとえば横浜なら横浜の港湾形態ならば、埠頭形態ならば、種々雑多の旧態依然たるものが渦巻いているというものから整備されておりますから、外貿埠頭公団で埠頭をどんどんつくろうとして、縁故債なり政府保証債が入ってくる。国の財源、市の財源がばんばん出てきて、それが専用貸しになってくる。その中に旧態依然たる港湾労働の形があったんでは、まさに経費のロスですよ、検数、検量を含めて。そうなると、埠頭運送事業という名前はいいかどうかわからぬが、港湾運送事業の業種免許その他ではなくて、まつり埠頭運送事業法みたいなものができ上がって、その認可を得たものでなければそこで仕事をすることができないという制限を加えることができるとすれば、たとえば現在のような、さっき大臣が言われたように、機械化がどんどん進む。そうなると、中途はんぱなものは排除できるわけですよ。そうでしょう。そうなると、荷役の合理化ということになる。あるいは近代化という名前をつけるかもしれない。だから、そういうものの解釈からすると、これもはたしてだれが言ったことかわかりませんが、つまり港湾運送事業法を改正して、あるいはまた埠頭事業法という変なものをつくって、運輸大臣の諮問機関というふうなことで、つまり港湾運送の合理化審議会みたいなものを設置して、そして欧州あるいはアメリカに比べて立ちおくれている日本の港湾というものを、経済の発展度合いに合わして思い切って大幅に変えていく。片やコンテナという輸送革命の時代に入っているから、そこで考えてもふしぎではない、皆さん方の考えでは。しきりにものの本にそういうことが論ぜられてくるようになると、どこかにこの考え方がなければならぬ。だから、私は論ずる立場よりも聞く立場だと申し上げているのですが、ここまで来ると、考えておられることは全部表に出していただいて——いま大臣は賛成しておられたけれども、出していただいて、——最近のように港湾関係でたくさんの論文が出たようなことはないわけです。三・三答申以降ですよ。三十五年のときにもありましたが、微々たるものです。だから、ここまで来ているのですから、だとすれば、われわれのようなしろうとが興味を持って調べる段階なんですから、やはり持っている構想は出していただかないと、先々業界も困るし、あるいは労働の側も困るし、港湾管理者も困るし、そうでしょう。だから、そこらの構想は、見当つければこういうことだというのでなくて、やはり明らかにすべきものは、この際私は——特に内閣委員会ですから、前回三つの港湾審議会における部会は、一つ一つこの委員会審議してきめてやっているわけですから、ぜひひとつ、そこらの意味もあわせて、はっきりしていただきたいと思います。
  85. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 現在の港湾運送事業の体制というものはまことにばらばらで、先生のおっしゃることは当然であります。したがいまして、一貫責任体制、さらに進んで一貫直営体制ということが現在考えられております。これには港湾運送事業法を改正していただきまして、それに基づいて、いま集約を考えている段階でございます。したがいまして、今度公団がつくる埠頭につきましては、船会社等が専用借りをしておるわけでございますから、その借りたものは当然——運営がいままでのようなものでは高い使用料を出すわけはありませんから、そういう船会社は当然一貫直営体制の整ったような運送事業者でなければ、この埠頭の運用をさせないと思います。特に埠頭運送事業法であるとかそういうような特定なものを考えなくても、現在の集約というものが促進されるのではないか、かように考えているわけでございます。
  86. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、埠頭ターミナル促進法のときに考えていたような、また埠頭運送事業法というふうな、これはうらはらですけれども、そういう考え方は今回はやめた、そういうものを必要としない、いまの集約方式をどんどん進めていけば、かつまた外貿埠頭公団の整備方式のようなものが進んでいけば、必然的にそうなっていく、こういう考えだというわけですか。そう理解していいですか。
  87. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 先ほど申し上げましたように、当初には港湾運送事業法の改正より先に、そういういまおっしゃられましたような埠頭運送事業法のようなものを考えたらどうかという時期があったのでございますが、現在は、いま先生がおっしゃられたとおりの方針で進んでいるわけでございます。
  88. 大出俊

    ○大出委員 考え方はわかりました。  そこで、港湾の施設の使用料ですね。これは荷役料金等を含めて、あまりにもどうも安過ぎる。これはたとえば日本の六大港、サンフランシスコ、ロスアンゼルス、 ニューヨーク、ホノルル、モントリオール、バンクーバー、ずっとありますが、この国際比較をずっと調べてみると、ロッテルダムみたいに市財政に組み込んでいるもの、これは市営港ですね、そういう形態ですから、ここは比較的安いのですが、そのほかと比べると、話にならぬくらい安い。日本の六大港でいきまして、トン数のあれもありますが、七千トン——四千トンというところで例をとっておりますから、ほんとうは大型になるともっと開くと思います。ニューヨークの六分一、以下、ロスアンゼルスの五分の一、モントリオールの五分の一、バンクーバーの四分の一、シドニーあたりに比べても五分の一、香港よりはだいぶ安い。シンガポールの五分の一、マニラの五分の一、こういうわけですね。この数字を見ますと、ハンブルグなんか高いですけれども、そういう状態です。いまのは主として岩壁使用料の比較ですが、おまけに積み取り比率の関係も、最近うんと変わってきているでしょう。そうすると、産業保護の政策だということを強調するのかもしれないけれども、しかし、さっき自治体の実例をあげましたように、今日までの港湾諸経費を検討してみると、あまりにも市民負担の形になり過ぎている。さっき数字をあげましたが、あわせて国際的な面で、貿易外収支の赤字というようなことが、港湾料金が安過ぎる、カルカッタの四分の一ですから、ということのために出てきているわけです。その辺についての運輸行政という面での国の責任、運輸省の日本の港湾行政の中での、ある意味ではこれは一つの中心ですよ。それについての見解がもう一つ出てないと、さっき言ったように、管理主体のポートオーソリティーの財源を枯渇させないようにとおっしゃるけれども、ここらあたりは一体どうお考えなのかということを明らかにしていただかないと、意味がない。
  89. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私も、かねてから日本の港湾使用料が諸外国の料金に比べて非常に低廉過ぎるという感じを持っておったわけでございます。かつて池田内閣時代におきましては、貿易外収支勘定という見地からいっても、もう少し引き上げを考慮してはどうだという意見が、閣議の席上でも出たことがございます。いま御指摘を伺いまして、私も内心びっくりしたような状況でございますが、何ぶんにもいろいろな方面にいろいろな影響を及ぼす事柄でございますから、急激な改善は不可能だと思いますが、逐次諸外国の例にならうように、使用料の引き上げについても今後検討を加えてまいりたいと存じます。
  90. 大出俊

    ○大出委員 岸壁だとか埠頭だとかの基本使用料といいますか、これは法律に基づいて建設する場合には、国と自治体が持つでしょう。それが非常に安いということは、つまりそれが産業保護になっているんだとすれば、これは国民の負担、市民の負担、県民の負担でいうならば産業保護をやっているということになる、これは間違いない事実です。これがいままでずっと続いてきて、せっかく三部会ができて、運輸省の港湾審議会の中で検討を進めてきているわけですけれども、なおかつ今日に至っても——産業保護もいいですよ。あるいは国際競争力という面をこの面で強化するのもいいですよ。いいですけれども、もう目に見えているわけでしょう。おまけに積み取り比率なんかにしましても、これは最近の状況からいくと、大体外国の船が半分近いですね。それではぬれ手にアワなんですね。半分も外国の船で日本にやってくるわけです。輸出、輸入を比べてみると、なおそういう感じが強い。だから、そういう輸出の面の積み取り比率からいきますと、五三・七ですから、これは半分を越えてしまうわけですね。輸入のほうは四一・三ですね。そうすると、これはとにかく知らなければ済んでしまうようなものの、ほんとうに国民の諸君なり市民の諸君が知ったら——何か外貿埠頭公団ができたんだ。国と市が一対一で基本になるものはやるといっている。それから縁故債なんかが入ってくる。政保債なんかも入ってくるんだ。こういうことになるんだけれども、いま港湾経済ということからいったらどうなんだ。日本の岸壁使用料はじめべらぼうに安くて、おまけにそこに働いている人の荷役料金もべらぼうに安くて、国際収支の面からでも大赤字になっている。そういう状態に放任をされておいて、片一方で外貿埠頭公団だということになると、詳しく説明すれば、ほんとうにわかった人はおこるんです。だから、いろいろな関係があります。輸出入ばかりでなく、国内でも動くんですから、移出入という面もあるでしょう。それは安くて助かっているかもしらぬが、これもまた国、県、市民の負担だ。だから、もうここまで来ると、港湾管理者の財源を何とかするんだというたてまえでするなら、このくらい大きな矛盾はないと思うんですが、どうですか。専門の港湾局長いかがですか。
  91. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 まったく御指摘のとおりでございまして、港湾管理者の収入をあげるという意味で使用料を上げるということは、現在進めております。  ただ、なぜいまおっしゃられたような結果になっておるかと言いますと、やはり港湾に対する認識が、産業保護というよりも、道路と同じである、だれでも使えるんだ、ただで使えるんだという昔からの観念があるから、そうなっておるわけでございます。答申にもありますように、一つは、外郭施設、すなわち防波堤、それから水域施設、こういうようなものにつきましては、使用料を取るということが港湾法で禁じられておりますので、事実上泊地とか臨港道路の使用料は取り得ないわけでございます。したがいまして、総合チャージといいますか。そういうものにかかった費用を総合して貨物にかけていこうという総合チャージ制をとっております。もう一つは、入港料という形で、水域施設、外泊施設にかかる金を取れということを検討しております。総合チャージにつきましては、一体どうやってそれを取ったらいいのかといういろいろ問題がございますが、これはまずおいても、入港料だけでもすぐに取るようにしたいということで、一応成案を得まして、船主協会その他と港湾管理者が話し合いをしておるのでございます。何ぶん先ほど申し上げましたように、日本に帰れば、これは道路と同じでただであるということが頭にこびりついておりまして、非常に話し合いがうまくいかないのでございます。私ども考えますのに、やはり金を取っていくからには、サービスもよくしてやるんだから、外国並みに金を出せということを指導して、なるべく使用料というものは適正に取っていくように、すみやかに体制を整えたいと思っておるわけでございます。
  92. 大出俊

    ○大出委員 日本の場合は、大阪なんか違いますけれども、軍隊との関係もあって、主要港は国営であった。そういうふうな歴史がありますから、それはそういう考え方になるかもしれないと私は思いますが、いうならば、港湾というものは国内経済、国際経済のターミナルである。そうなると、皆さん方の頭のほうが、運営ではなく経営というようなものの言いようになってきた段階までくると、そのことのよしあしについては意見はあります。私は、旧来から関税の二割くらいは持ってこいという意見です。ロンドン港のように港税のようなものを取れということですが、そういうものでなければならぬ。それにしても、そこまでくるとすると、やはり矛盾は排除しなければならぬ。当面の市民負担、県民負担というものを変えていかなければならぬというふうにぼくは思う。そこのところをはっきりさせたいわけです。  それからここでもう一つ聞いておきたいことは、今度の外貿埠頭公団の中に、つまり金の償還年限が三十年というのがあるのですが、これはどうなっておるのですか。
  93. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 公団の借り入れ金については、三十年の償還期限ということで大蔵省と話し合いをしております。
  94. 大出俊

    ○大出委員 これは私がよく例にあげるロンドンポートなどへ行きますと、ボンドあるいはビルというのがあって、これは短期債券のようなもので、回転資金です。ところが、その他の基本になるものは、九十九年債というものもある。永久債です。本来ならば、ここまでくると、そのくらいのことを考えなければならぬ。これは港湾管理者のたとえば支出するもの、負担するものなんかは、なるべく減らさなければいかぬ。そうだとすれば、何かそういうものを国がぼつぼつ考えなければ、ほんとうの意味での——これは縁故債というものは、電電公社にもありますよ。国鉄の建設勘定にもありますが、電電公社のほうがはるかに多くなっておる。地下にケーブルを埋設するということは大きな利益なんだから、四百五億の縁故債を集めたら、これは集まりますよ。ただ、これはスペシャルインタレスト、特別な利益があるからです。そういうところに中心がいってしまったんでは、まずいのではないか。私は論争したくないので強く言いたくないが、そういう考え方を持っておる。そうだとすると、三十年ということはいかがなものか。なぜもっと延ばせないか、こういう気がするわけです。大蔵省の言い分はどうなんですか。
  95. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 外国の港につきましては、非常に長い公債を募集している例が間々あるわけでございます。一般港湾管理者のいわゆる裏負担といいますか、公共事業の補助分の残りに対する起債の償還年限は二十年でございます。これに対して公団の償還年限は三十年でございますから、だいぶ有利になっておるのでございます。  それからもう一つは金利の問題でございますが、日本の金利は必ずしも安くないわけでございまして、そうすれば、一体長期が使用料が安くなるのかどうかという問題もございますので、将来検討していかなければならないと思います。
  96. 大出俊

    ○大出委員 金利は、欧州なんか見ますと、みんな片っ端から三分以下です。今度は日本の場合どのくらいになるのですか、外貿埠頭公団の関係で。
  97. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 政保債につきましてよ、七分三厘でございます。それ以外の縁故債については、市中金利になると思いますが、これについてはまだ明らかにしておりません。
  98. 大出俊

    ○大出委員 時間の関係で、こまかいことを申し上げるのを遠慮いたしますけれども、いま私が承った範囲だけでも、これはもう少し、やはりここまできて、せっかく三部会をつくったのなら、なるほどと思うようなところに触れていただきたいですね。たとえば三部会あるわけですから、輸送、管理など。そうすると、さっきから言うように、荷役料金なんかも、これはつい去年の十二月ですか、十一月ですか、業者の港湾運送料金をきめましたね。あのときのいきさつなんかも、私陰ながら調べてみましたが、集約化その他近代化のあれから三年ばかりたつから、その限度が幾ら幾らだから、それだけは差し引いてなんて、いろんなあれがついておりましたが、それとの関連も出てくるけれども、しかし、やはりもう少し外国と比べてみて——アメリカの八分の一だとかなんとかいうような料金でしょう。それからさっきの使用料は、例にあげたとおりでしょう。そういうものをつまりさっきから申し上げておるスペシャルインタレスト的な、たとえば東京の晴海埠頭じゃないけれども、五階建ての何か上屋をつくっちゃって、二階から上のほうは東京にあげます。下はバナナ小屋で、これは日通の専用だ、専有だというような形でしょう。神戸の摩耶埠頭にしたって、りっぱなものができたといったって、これもやはりポートランドをつくるでしょう。だけれども、みんな専有、専用ライナーポート式になっていくわけですね。だから、そうすると、やはりこのあたりで抜本的なもの、それが一つ出てこないと、私はやはりどうも特殊な、つまり利益関係のあるところだけを中心に縁故債をやったら、金が集まってきた、公団でそこの埠頭をつくったら大量に金が入ってくるということで、したがって、理論づけができるから、専用というかっこうにばかり進んでいってしまう気がするのです。そこらのところは、結論的にこれからどういうふうに三部会を使ってお進めになるのか、抜本的な問題を、そこらのところをひとつ聞かしてください。
  99. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 おっしゃられました一つは、料金体系の問題だと思いますが、これは国際比較で安いわけでございます。いずれにしても合理的な料金体系というものを明確にしなければ、それから先のことが進まないわけでございまして、この問題は目下港湾運送部会に審議をお願いしておる段階でございます。  もう一つは、専用か公共かという問題だと思いますが、これは産業保護、いまいろんなことがいわれますが、諸外国の港においても相当専用使用が多いわけでございます。日本の港において今度初めて公団が専用使用を考えましたのは、定期船が相当多く入ってくる。しかも一つの船会社が常に十隻以上も配船するもの、そういうものを対象にすれば、これは専用使用方式を一般のオープン使用に含めることによって全体として港の港率があがる、こういう観点でございまして、一番最後に大きな問題は、やはりそういうような総合的に見て港湾を、いわゆる企業的に運営していく管理母体をどうつくっていくかということが一番大きな問題だと思いますが、これについては管理部会にお願いして審議を進めていく、こういうように考えておるわけでございます。
  100. 大出俊

    ○大出委員 また機会をあらためて意見等申し上げますが、ここでひとつ聞かしていただきたいのは、最初四十二年度予算のときに、京浜外貿埠頭公団、阪神外貿埠頭公団の新設をきめる前に、運輸省構想というのは、外貿埠頭公団は一つである、東京に本社を置いて、あと支社を置くのだ、こうなっておりましたね。それが予算編成のところで、いつの間にか、新聞見たら何だこれはというふうに私は思ってびっくりしたのですけれども、どういうわけでああいうふうに急に手のひらを返すように変わったのですか。
  101. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これは当初われわれとしては、先ほど来お話のあるポートオーソリティーというような問題あるいは広域港湾というような考え方から、両地区に分けておくのが非常に望ましいと考えておったのでございます。二つにしておくということが。しかし、こういう公団、公社のようなものをつくるということはきびしい制約がありましたので、二義的ではございますが、一本でやるということが、機構が小さくなり、見てくれがいいというようなつもりでございます。しかし、実際に運営を考えてみますと、公団は、直接船会社に貸す。また荷主の意見も聞かなければならぬ。そうすると、本社と支社というようなことで、どこが意思決定するのかというようなことで、そこがまぎらわしくなりまして、二重構造になるのではないか。それより、思い切ってこの際、できるかできないかは別として、筋を通すべきであるということで二つに分けた、こういうことでございます。
  102. 大出俊

    ○大出委員 この公団の本年度の事業費が五十億ですね。政府出資が五億、財政投融資が二十億、残る二十五億円は地方公共団体の出資と縁故債だと思うのですがね、さっきあなたの説明ではっきりしなかったから申し上げるのですけれども。そこで公団の業務というものは、コンテナ埠頭及び背後のコンテナヤード、それから外貿埠頭、定期船及び背後の上屋の設備、それから施設の貸し付け、こうなっておるわけですね。これは間違いないですね。ちょっとお尋ねいたします。
  103. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 おっしゃるとおりであります。
  104. 大出俊

    ○大出委員 それから四十二年度から四十九年度までの事業計画の総事業費が千百十四億円、そうですね。その内訳が、京浜が総事業費が六百七億、コンテナバースが十一で、定期船バースが二十六、計三十七バース、これは現有施設が三十二バース。それから阪神が総事業費が五百七億、コンテナバース十一、定期船バース二十六、計三十七バース、こういうことになるのですね、これは四十一バース現にあるわけですから。ところで、この負担がさっき言った一対一、こっち側からいえば五対五ですね、半々ですから、こうなっておる。そこで承りたいのですが、このコンテナヤード、コンテナ埠頭、ここなんですが、これで終わりたいのですけれども、これは大井埠頭だとかあるいは横浜云々、こうなっておるのですけれども、二カ所だろうと思うのですけれども、とりあえずの問題を含めて簡単に御答弁いただくと、どうなりますか。簡単に当面の問題、ひとつ……。
  105. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この十一バースの内訳は、横浜が三バース、それから東京が八バースでございます。  それから、これができるのが、昭和四十四年の四月でございます。それまでにコンテナ船が日本の船会社に就航するということでございますので、理論的に、品川にできたばかりの埠頭がございますので、これを利用して、たしか船は二隻、四グループでございますが、二隻のバースを予定すればというので、それを対象にして考えているわけであります。
  106. 大出俊

    ○大出委員 ところで運輸省でいっておるのは、8×8×20フィートという大きさですね。それはシーランド社とかあるいはマトソン社などというところの大型を多少使うようでございます。8×8×20フィートなんという形にしておりますね。それにしても、これは新しいコンテナ船を中心に六隻ですか、船は。六隻つくるわけでしょう、コンテナ船を。そういうことになりますね。行政指導されたのですね。
  107. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 北米太平洋岸に行くものにつきましては、六隻……。
  108. 大出俊

    ○大出委員 北米太平洋岸以外のものもあるのですか。
  109. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 将来北米大西洋岸、これには十四隻でございます。
  110. 大出俊

    ○大出委員 海運造船合理化審議会答申で、太平洋岸コンテナについての行政指導を運輸省からしましたね。その分が六隻ですね。あとのほうはそこまでいっていないのですね。
  111. 堀武夫

    ○堀(武)政府委員 そうでございます。
  112. 大出俊

    ○大出委員 そうなると、ここで一つ承りたいのは、荷役の問題も、倉庫の問題も、港湾労働の問題も、一ぱい出てくるわけですね。ポイントだけ聞きますが、日本の場合、コンテナは入り口から入り口までという輸送革命の前提に立っているわけですが、国鉄コンテナは、五トンコンテナですね。一つの船に七百積むとすれば、回収時間があるから、千個ぐらいつくっておくという形になる。コンテナ埠頭に着いて、機械荷役をやって、コンテナヤードを流していって、そこから先、いまの日本の道路事情、交通事情で、このままでは、つまり入り口から入り口までという輸送はできませんね。そうすると、どこかあらためてコンテナ荷積みするところでもこしらえて、そこでコンテナを解体して輸送をしなければ、輸送ができないのではないか、こういう気がするのですが、そこのところはどうですか。
  113. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 日本の場合は、コンテナ船におきましてどれだけドア・ツー・ドアのものがあるかということは、いろいろ意見がございますが、非常に少ないのではないかというのが定説でございます。この場合、われわれが考えておりますのは、港頭のフレートステーションに持ってきてもらって、そこでバン詰めをしてマーシャリングヤードに持っていく、こういう方法を考えております。ただ、しからば8×8×20から先は絶対だめだということではございませんで、東京都が調べたところによりますと、大体輸出産業に関係ある工場というのは環状七号線に沿ってある、こういうことから、環状七号線を使えば工場と港頭との間の8×8×20のコンテナ輸送も可能である、こういう結論を当局は出しております。
  114. 大出俊

    ○大出委員 8×8×20でこれは何トンですか。
  115. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 これは容積トンで二十トンでございますが、実際積み荷を調べたところでは、内容が十二トンくらい、バン詰めを入れても十六、七トンだろう、こういうことでございます。
  116. 大出俊

    ○大出委員 いま積載貨物の制限は、自動車の場合は二十トンでしょう。正味二十トンあったら、これはぎりぎりですね。
  117. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 車両制限令ではたしか二十トンでございますから、バン詰めされたものの重量が二十トンあれば、これはだめです。
  118. 大出俊

    ○大出委員 したがって、積み荷の中身いかんによるということでしょう。
  119. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 コンテナは容積でございますから、それを重量に換算した結果の調査によれば、日本の輸出品については十二トンくらいである、その8×8×20のコンテナの中に入るものは十二トン程度である、こういうことでございます。
  120. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、二十トンの制限があるから、それ以内におさめたということになるのですか。
  121. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 二十トンという制限があるからそれ以内におさめたのではなくて、二十トンという制限の中で8×8×20が動けるかどうかということで、具体的に中に積まれる貨物を調べたら、中身は十二トン程度であるという結論が出た、こういうことでございます。
  122. 大出俊

    ○大出委員 そこで、当面はどういうことをするのですか。コンテナ問題の受け入れ、先行きですね。たとえば大井沖ですか、品川沖ですか、さしあたりこうするというのはあるでしょう。
  123. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 将来は、昭和四十四年以降におきましては、公団のつくった専用埠頭でコンテナを扱ってもらう。その間につきましては、品川埠頭——これは一般雑貨のためにつくった埠頭でございますが、背後に相当広い用地がございますので、これを使用して、専用使用でなくて、臨時的にコンテナの優先的使用という形でやっていきたい。それから阪神地区につきましては、同じく摩耶埠頭の一番新しくできたピアにつきまして、同じことを考えておる次第であります。
  124. 大出俊

    ○大出委員 有馬さんがお見えになりましたので聞いておきたいのですが、運輸省の港政課長の通達があって、倉庫寄託貨物の問題で、これは倉庫荷役であるということになっていたわけです。それで、港労法の適用を受けられておるが、登録面になかなか上がってこないということから、地区審議会その他でいろいろ問題になった。そこで労働省側としては調査をし、業者の諸君も港労法の適用を受けさせたいということであったし、それから倉庫関係のほうも同様のことを考えておられるようなので、何とかそれは行政指導その他をするということでおやりになったようでありますが、先ほど運輸省側の皆さんからお聞きしたところが、水切りから五百メートルですか、つまり海側から入ってきたものは、倉庫荷役ではなくて、港労法の適用を受ける——先ほど、港政課長通達はこれを否定して、倉庫関係のほうも港労法の適用を受けるというふうな答弁をいただきましたが、そこのところはどうなったかという点を有馬さんから御答弁いただきたいと思います。
  125. 有馬元治

    ○有馬政府委員 倉庫業の適用問題は、港湾労働法の施行以来懸案でございましたが、この四月から新しく適用するという方針のもとに適用いたしておるわけでございますが、海側、陸側の境をどうするかということで、いろいろ関係者の間で協議いたしました結果、御指摘のように五百メートルを基準に適用の範囲をきめるという考え方で所要の措置をとったわけでございます。したがって、いまの登録定数を倉庫業の適用に伴いまして改定をしなければならぬという問題が出ておりますので、現在、定数の再検討をして、近く審議会の御意見を聞いて、大体七月一日に間に合わせたいという予定で検討を加えておる段階でございます。
  126. 大出俊

    ○大出委員 倉庫業と申しますと、職種別に見ますと、中身はたくさん分かれておるわけです。さっきこまかく申しましたから繰り返しませんが、そういう形のグループの形になった請負です。そうなりますと、これは港労法の適用を受けるとなると、どういうかっこうで一体適用を受けるかという中身のところをどうお考えになりますか。つまりグループで一貫作業をやるから、一貫作業をやって、金をもらって、どこが一番重点というので、幾ら幾らといって分けるわけです。こうなっておるわけですが、そこらのところは、港労法のたてまえから見て、どういうふうに労働省側ではお考えになりますか。
  127. 有馬元治

    ○有馬政府委員 これはいままでの登録労働者については同じ問題があるわけでございますが、職種別のあまり小さなグループに分けますと融通性がなくなるという欠点がございますので、非常にむずかしいのですが、やはり職種、技能をある程度そういう基準で区分けをいたしまして、適材を適所に配置就労できるような仕組みで運用をしてまいりたい、かように思っておりますが、具体的なやり方については、各港ごとの審議会の御意見を尊重してやるということになっております。
  128. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、これは港ごとに違ってもいいですね。
  129. 有馬元治

    ○有馬政府委員 多少の港ごとの違いはいままでもございますし、多少の点は違ってくるかと思います。
  130. 大出俊

    ○大出委員 労働省の機会がありますので、たいへんお忙しいところをおいでいただきましたけれども、あらためてひとついまの点は承りたいと思います。  港湾局がお出しになっておる四十二年二月六日の港湾運送事業の合理化のための事業の集約化にかかわる具体的方策についてというのがあるのですが、この中の中間的な目標、「それぞれの港湾における各事業者が、昭和四十三年十月一日には、港湾運送事業法施行規則別表第二に掲げる取扱貨物量の二〇%増程度の貨物量を処理しうる施設および労働者を有する事業者となっていること。」というこの二〇%というのは、どういうことをいうのですか。
  131. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 ただいまの資料は、ことし三月三日に港湾運送部会が出した集約の具体的方策の答申の中で、横の集約を取り扱った目標でございます。したがって、この二〇%増というのは、改正港湾運送事業法の十六条の下請禁止の項で二カ年の猶予期間がございます。それまでに新しい免許基準まで到達しなければならぬわけでございますが、集約の精神から考えて、さらにその二〇%増しまで集約の実をあげていこう、こういうことでございまして、それじゃ二〇%か二五%かというところは、あまりはっきりしてないわけでございます。
  132. 大出俊

    ○大出委員 それはまことにいいかげんな話だけれども、ここで論議している時間がございません。あとの方もおいでになりますので、いまの点はひとつあらためてやりたいと思います。  それからいまの十六条の問題が出ましたが、これは有馬さんの所管する部分の中でたくさんございまして、約束ごとでございますが、港労法の適用を受けた十六条ただし書きなんというものについても、いろいろ問題がある。実際それは運用してみて、その上で悪ければ直す、簡単に言ってしまえばそういうことでやってきたわけです。そうすると、これはお直しをしていただかなければならぬ論点がたくさん出てきますから、あらためて労働省関係のところで持ち出したいと思いますが、そのときに運輸省港湾局のほうにかかわる問題もございますので、どなたかお出しいただきたいと思います。  時間の関係で終わります。
  133. 増川遼三

    ○増川政府委員 先ほど大出委員からの御質問で、大臣答弁を保留せられました点でございます。札幌の陸運局の索道の保安監査にあたりまして、旅費が不足しているために業界に迷惑をかけているのじゃないかというふうに伺ったのであります。こういう点につきましては、現地の局長にも確認をいたしましたが、保安監査につきましては、計画的にスケジュールを立てまして、予算旅費の範囲内でいろいろ差し繰りまして苦心して実施しておる現状でございます。決して業界に迷惑をかけるようなことはさせておらないつもりでございます。なお、今後とも監査の範囲を検討しまして、できるだけの効果をあげていきたいと考えております。
  134. 關谷勝利

    關谷委員長 受田新吉君。
  135. 受田新吉

    受田委員 いま四十五分でございますから、四十分から五十分程度質問を終わるように……。(伊能委員「四十分程度に」と呼ぶ)それじゃ一時半で終わることにしましよう。  ではポイントを押えまして運輸大臣にお尋ねをさせてもらいます。  まず法律改正案のポイントについてお尋ねをいたします。私は、今度の運輸省設置法改正案の中に、名称の点で納得のいかない改正がされていることを指摘したいと思います。それは、付属機関としての船舶研究機関というものが、実際は自動車、鉄道、電子航法、そうした陸運関係の運輸機関を総合した研究所であり、また、今度も改正案の中にはっきりと、自動車の公害対策まで含める改正要望がなされておるのでございますが、船舶だけの研究所のようにレッテルは書いてあるわけです。いまや運輸研究機関として総合的な研究所である以上は、かつて運輸研究機関であった名称をそのまま用いて、港湾を分離したときのように、陸海空まで含むのでございますから、運輸技術の研究所としてもよろしいし、あるいは交通関係機関技術研究所としてもよろしいし、名称をすかっと実態に合わすようにしていただきたいと思います。
  136. 町田直

    ○町田政府委員 御趣旨ごもっともでございます。ただ運輸技術研究所は、ただいま先生の御指摘がございましたように、本来運輸省の研究すべてをやっておりましたが、昭和三十七年の四月に、港湾研究が分かれまして港湾技術研究所ということに相なったわけでございます。その後一年間経過いたしましたが、実態的には同研究所の研究分野中船舶技術に関する研究が非常に大きな割合を占めておりますので、そういう実態に合わせまして船舶技術研究所というふうに名前を変えた次第でございます。
  137. 受田新吉

    受田委員 現実に電子技術を研究する機関を持っておる。それを今度は独立した付属機関にしようという。独立機関にするほどの大きな電子航法の研究をあわせてやっておられるわけである。にもかかわらず、船舶のほうが比重が非常に大きくてあとは小さい存在のようにいま御答弁があったわけでありますが、独立の付属機関研究所をつくろうというような、電子航法だけでもそこまで進んでいるときに、船舶技術だけが中心のような研究所というこのあなたの言い分は、私は納得できないのでございます。いかがですか。
  138. 町田直

    ○町田政府委員 確かにおっしゃるとおりでございますが、電子航法は最近それ自体が非常に発達いたしましたし、今後とも力を入れてやらなければならないということで、数年来の懸案が今回電子航法だけが独立するということになった次第でございます。そういう意味で、現在までのところは、ただいま申しましたように、船舶関係が非常に大きかった、こういうことで船舶技術研究所ということにいたしておった次第でございます。
  139. 受田新吉

    受田委員 大臣、いまの御答弁は私納得できないのです。船舶関係研究機関、それから人工衛星、電子航法、これはおそらく二つを一緒にして新しい航法を電子航法研究所へ持っていかれるというのですが、大まかに分けて船舶、電子航法関係、鉄道、軌道、自動車、航空機と、五つの内容を持った技術研究所である。今度その一つが電子航法研究所として独立をする。残されたものは船舶技術研究所で一括されるというこの行き方には問題がある。名は体をあらわすということを私はしばしば指摘しておるわけでございますが、役所の名前というものは、やはりそうした実態をりっぱに表明する形のものでなければならない。外務省が中南米・移住局というものをつくったときにも議論があって、中南米局でいいじゃないかというけれども、移住をその比重の一つにしている以上は、たとえ比重のかけ方が少なくても、中南米・移住局という名称を用いている。それほど役所の名前というものは実態に即さなければならないわけです。いまこの機会に——船舶技術だけがウエートを置かれているわけじゃないのだ、いまはもう自動車から鉄道から航空機、みな比重が置かれている。今度は公害対策まで一緒に含めるような機構が拡充強化されておるというときに、船舶技術というものでこれを片づけてくると、だれでも船舶技術研究所というと船舶のことしか思わないようになる。むしろ、そこへ運輸技術研究所とか、あるいは交通関係技術研究所とかやっておけば、一般庶民が役所へ行っても、はっきりと、交通関係機関なら、おれのほうは自動車だか、航空機だか、こういうことがわかるわけです。役所の名前というものは非常に名称の付し方が大事だと私は思う。軽々しくその一つを取り上げて他を無視するような形の名称を用うべきではない。大臣、あなたはこの法案を出されるときに、この点十分研究されなければならなかった。いかがですか。
  140. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 まことにごもっともな御質問でございまして、お答えすることもなかなか容易でないのでございますが、実は運輸省といたしましては、船舶研究と自動車、鉄道の研究を一緒にやらせるということについては、最初から疑問を持っておったのでございまして、これはおのおの独立して研究機関を設けることが、研究の目的を達成する上からいって適切ではなかろうかという考えを持っておったわけでございますが、諸般の事情から、自動車、鉄軌道の研究について独立の機関を設けることが許されませんでした。しかし、自動車、鉄道の研究は必要でございまするし、ぜひ研究をしなければならぬということに相なりまして、研究をすることはいいけれども、しかしその研究のために独立の機関をつくるのはいかがであろうか、こういう結論に相なりまして、その結果は、自動車あるいは鉄道等の研究も、現在ある船舶研究機関であわせてやれ、こういうことで船舶研究機関が自動車、鉄道の研究をも一緒にやらなければならぬような結果になった次第なのでございます。そこで、運輸省といたしましては、やってはみましたものの、独立の自動車あるいは鉄軌道の研究機関をつくることが理想である、こう考えまして、将来しかるべき機会にはそういうものをつくりたいということで、船舶研究機関の名前をそのままにしておいたわけでございます。
  141. 受田新吉

    受田委員 それは、あなた方のほうの便宜主義のことであって、行政機関の名称というものは実態を把握したものでなければならぬ。これはあなた御自身も御存じのとおりです。したがって、すでに船舶だけでなくして、電子航法の分も分離して独立の機関をつくろうというようなことになれば、船舶以上に電子航法のほうは比重が高いわけです、現時点においては。そうなると、それらを含めた総合的な名称という形がいまの時点において一番適切であると思うのです。やがて今度は自動車技術研究所をつくり、今度は鉄道技術研究所をつくる、その伏線として船舶でそっとしておくということになると、運輸省は機構の拡充強化の伏線をいますでに用意しておるということになる。それは行政機関としての考え方として適切でない。やはり現時点における実態をはっきり把握した名称を用うべきである、私はかように思うのです。もうやがて自動車技術研究所も別個におつくりになる。来年ころにはそれをお出しになる。そのうちに航空技術研究所もおつくりになるという伏線と心得てよろしいのかどうか。
  142. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 正直なところ、そういう気持ちが多少あるわけでございます。そのために名称もかような次第になっておるようなわけであります。そこで、これを筋を通していまのように御質問をいただきますると、まことにどうも申しわけない次第で、お答えのことばもないような次第でございます。
  143. 受田新吉

    受田委員 軍門に下ったような御答弁で、これは大臣、いまの機会にやはり行政機関の本質的な考え方に立ち返っていただくべきであって、それからまた、そういうことを一緒にやられるときを待つというのであれば、電子航法をいまここで抜き出して、ちょっぴりちょっぴりやられなくても、航空機技術というものは電子航法以上の重要性もあるわけです。現時点においては、航空事故をどう防止するかというような研究はより大きくやっていただかなければならぬ。船舶は代表してと言われるが、そのことがおかしいわけです。そうして、そういうことであるならば、電子航法の研究部を大いに拡充強化して、いまのままで運輸技術研究所として、そして船舶部、それから電子航法部と、それぞれの部を拡充強化しておけばいいので、新しい電子航法の研究所を別に独立してつくる必要はないのです。そういうことであれば、その日を待って一斉にやる日を迎えるべきで、その部内でいまのままで拡充強化が幾らでもできるわけです。別に研究所をつくらなくても、いまのままで内部の操作で幾らでも拡充強化できます。付属機関をいたずらにつくるということは、われわれとして好ましいことではない。いまのままでそっとしておくべきです。  それからもう一つ、これはいま政府自身——これはどうですか、またあとから伊能さんと相談して、ちょっと名称を私は変更してみたいと思うんですよ。大臣、軍門に下っておるような御答弁で、これは私、非常に気ざわりです。船舶だけの……。
  144. 關谷勝利

    關谷委員長 受田委員にちょっと私から申し上げますが、これはいろいろないきさつもありまして、そうして、その経過も今度の行管の懇談会の際にこれは詳しく申し上げて、そこで御相談することにいたしたいと思います。
  145. 受田新吉

    受田委員 そうすると、お家の事情ですか。
  146. 關谷勝利

    關谷委員長 いやいや、そうでなくて、お家の事情ではなくて、行政管理庁と運輸省の折衝の経過その他がありますので、そういうことをはっきりここで質疑応答をやっておりますと非常に長くなりますから……。
  147. 受田新吉

    受田委員 それじゃ、それは別の時間に承って、その点の結論の出たものをもう一ぺんあらためて法案を通す前に確認するということで了解したいと思います。
  148. 關谷勝利

    關谷委員長 それはちょっと間に合わぬ。
  149. 受田新吉

    受田委員 間に合わぬままでこれをやってしまうんですか。
  150. 關谷勝利

    關谷委員長 それはあとでもできるのです。今度のこの法案には間に合いません。
  151. 受田新吉

    受田委員 それじゃ、それはそのあとの相談の結果ということにしましよう。  それでは私は、次に航空整備計画についてお尋ねをしたい。  法案改正点の中にもはっきりと、飛行場部の設置がうたわれているわけでございますが、大体運輸省の用意しておられる航空整備五カ年計画で、いま政府管理の十七ある第二種空港の扱いはどうされようとしておるか。いま地方の第二種空港の中には、千二百メートルの滑走路、そして三十メートルないし四十メートルの幅員を持っておる。私の郷里にも宇部という空港が一つあるわけてございますけれども、これなどは——第二種、第三種一緒にお尋ねしますが、千二百メートルでスタートしておる。千二百メートルじゃジェット機はつけないのです。すでに第二種空港では宮崎には727を発着させておるわけなんですけれども、第二種空港の整備ということは、これは東京、大阪の国際空港に準じて大いに力を入れていかなければならぬ。その拡充強化政策を簡単にお答え願いたい。
  152. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 第二種空港につきましては、五カ年計画におきましては、航空交通の安全強化、航空需要の増大及び航空機の高速化、大型化に対処しようということのために、原則として滑走路を二千メートル級または千五百メートル級に延長し、エプロン等空港施設を整備いたしますとともに、ILS、VOR、航空灯火等の航空保安施設の整備を行なう方針でありますが、その具体的な計画、内容等につきましては、関係省並びに関係地方団体と協議の上詳細を決定していきたいと思ってをります。
  153. 受田新吉

    受田委員 宮崎にはジェット機が飛んでいるわけですね。政府がいま企図されておるいわゆる騒音防止法というものは、これは国際空港だけ、東京、大阪だけに適用しようとしている。宮崎の騒音防止はどう考えるのか。この騒音防止対策というのは、第二種空港、ジェット機がすでに飛んでいる地域をいまはずしておるわけです。これはどういう計画をもって進められようとしておるのか。
  154. 澤雄次

    ○澤政府委員 今国会に御審議をお願いしております航空機の騒音防止法の適用港といたしましては、先生のおっしゃいましたように、とりあえず東京空港と伊丹の大阪空港、それから今度できます新東京国際空港、この三空港を対象にいたしております。  先ほど大臣が申されましたように、第二種空港が漸次二千メートルに拡張されまして、ジェット機が入ってくるようになりまして、その騒音の程度が東京、大阪とひとしいくらいの騒音の程度になってさましたら、将来はそういった空港にも適用を考えることがあるかと思います。ただ現在のところは、宮崎のように一日一便あるいは二便入るというような状態で、直ちに騒音防止法の適用範囲にすることは非常に困難かと思います。ただ、宮崎につきましては、飛び方、飛行方法を検討いたしまして、これは現地の空港長その他関係の市民の方と御相談いたしまして、飛行方法を変えることによりまして騒音を減少しようということで御相談をいたしております。
  155. 受田新吉

    受田委員 私は、いわゆる騒音防止法案なるものは、これは将来第二種空港にジェット機を飛ばすということを予期した形で検討さしていただくべきものだと思うのです。その分はなるべく騒音を出さぬようにくふうするんだと言ったって、そのときの事情で、たとえ一、二回であっても、大事なときに騒音が振りかかってくるのはたいへん迷惑なのであるから、そのことも一緒に含めた対策が同時に検討されておらなければならぬ、やがて検討しようということでなくて、その伏線としての検討が進められていなければならぬと思うのです。これは第二種空港の今後の滑走路延長、それに伴うところの保安施設の拡充強化を含めて、もう当面する問題になっておる。長い問題じゃないのです。航空整備五カ年計画というものはそう長い問題じゃない。すぐ手をつけなきゃならぬ問題だ。また、そのつどつどでなくて、そういう騒音防止法の基本対策、これに該当すればこうだという第一次、第二次的な線まで含めた騒音防止対策というものを用意しておかなければならぬと思うのですが、大臣の御見解を伺いたい。
  156. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 できるだけ早くから用意しておくに越したことはないと思いますが、第二種空港が騒音防止対策を必要とする時期はなお今後にありますので、その時期までに用意すればまずまずそれで間に合うのではないか、これが私ども考え方でございまして、これをいつまでもほうっておくというつもりはございません。間に合うようには必ず用意したいと思います。
  157. 受田新吉

    受田委員 現に間に合っていないのです。宮崎は迷惑しているわけです。宮崎は何らの迷惑を受けてないというわけじゃないのですよ、大臣。いかがですか。
  158. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 いま宮崎空港においてもジェット機が発着いたしております。御迷惑のことはむろんよくわかりまするが、騒音防止法に盛り込んであるような諸般の対策を現在宮崎空港において適用するということについてはまだ時期的に無理がある。将来むろんああいう対策を全面的に実施しなければならぬ時期はまいると思いますが、いまのところはまだそこまでは宮崎空港はいっておらぬ、こういう判断であります。
  159. 受田新吉

    受田委員 地方空港は、これは一挙に東京、大阪の国際空港と同じようなことにはなりません。それからまた将来も比重が違ってくる。そういう場合の対策というものは、ちゃんと第一次的、第二次的な国際空港に準じた扱い方というもの、一応腹案がなければならぬ。もうすでに宮崎などを含む腹案がなければならぬ。時間の関係でそれはここで一応おきます。  それで、第二種空港の夜間飛行の可否というものはどういうふうに判断しておられますか。
  160. 澤雄次

    ○澤政府委員 第二種空港のうち照明施設の整備、それから計器進入のあれも第二種空港については整備を考えております。それから、第三種空港は、原則といたしまして照明施設を整備するということを考えております。照明施設が整備されましたら夜間飛行は可能になる、このように考えております。
  161. 受田新吉

    受田委員 いま地方空港の不安は、松山事件を契機として著しいものがある。それに対する保安施設、進入角指示灯の設備その他滑走路の末端とのつなぎ合わせというようなものは、これはそうばく大の経費が要るわけでもないわけでございますから、ちゃんとした準備を拠点、拠点にできるだけすみやかに用意する対策を進めてもらいたい。これを特に要望しておきます。  具体的な質問は全部避けて基本だけをお尋ねいたしますが、次に、やはり航空に関係するのでございまするけれども、先般といっても昨年の三月です。御存じのBOACのジェット旅客機が富士山ろくで百二十四名のとうとい生命を失わしめた、その補償の問題です。ワルシャワ条約、ハーグ条約というものが一応あって、ワルシャワは三百万、ハーグは六百万まで補償をすることになっているし、またIATAの協定にも日本は参加しておる、これは私よく承知しております。人命の価値というものをアメリカは最高に要求した結果でもありましょうが、二億円以上の補償をしておるのもあれば、最低が三千万円、日本の場合はわずかに三百万が今度六百万に上がっただけです。人間の生命の価値にこれだけ大きな差があるというものが国際条約で認められるということはいかがですかね。
  162. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 お説のとおり同感でございまして、政府といたしましても、今国会にまずハーグ条約の批准案件を提案いたしております。
  163. 受田新吉

    受田委員 批准案件で六百万までの批准。IATAの関係はどうですか。
  164. 澤雄次

    ○澤政府委員 IATAでは、この件についての関係は特にございませんで、先生のおっしゃったのは、おそらくアメリカの航空当局が七万五千ドルの保険をつけなければ米国の領域からの離発着も許さない、こういうことで、米国はハーグ条約にも加盟してないわけです。ハーグ条約が低いのです。それで米国を経由いたします航空会社が相寄りまして、七万五千ドルの保険を付しておる、そういうことになっております。世界でアメリカだけが別の政策をとっておるわけでございます。
  165. 受田新吉

    受田委員 全日空の場合は、昨年の事故でも、いろいろな見舞い金などを含めて、五百万程度のものにとどまって、三百万プラスアルファになっておる。これは民間航空会社であると、その財政負担に耐え得ないで、会社そのものがつぶれるという、事故が頻発すればそういうことになる。そういうことも含めた対策というものをあわせて検討しておるのかどうか、お答え願いたい。
  166. 澤雄次

    ○澤政府委員 この補償金は保険でカバーしまして、航空会社が保険料を払っているわけでございます。これは運賃の原価計算の際に、運賃の中に含まれておりますので、国といたしまして、直接補償関係にはタッチしていない。ただその運送約款を認可しておる、そういう関係でございます。
  167. 受田新吉

    受田委員 全日空などは見舞い金を出しておりますね。そういう負担というものは、これは事故が重なれば当然会社の経営の基礎に影響してくる。いかがですか。
  168. 澤雄次

    ○澤政府委員 従来日本はワルシャワ条約にしか加盟しておりませんでしたので、国際、国内の関係も含めて三百万円の限度額を認可していたわけでございますが、今度はハーグ条約に、これは国会に御審議をお願いしておるわけでございまして、ハーグ条約に加入いたしますと、国際線はもちろん六百万円を限度といたすわけでございます。国内線につきましても、国内線はハーグ条約とは直接の関係はないのでございますが、やはり国際線との関係から、国内線につきましても、この保険限度額を六百万円に上げるように行政指導をしてまいりたい、このように思っております。航空会社毛そのことは大体了承いたしております。
  169. 受田新吉

    受田委員 補償問題ということは、事故の該当者になった人々には非常に重大な関心です。だから、ワルシャワからハーグに切りかえられたとしても、次にまた独特の見舞い金要求というものが出てくるのです。これは決して消えるものではないのです。そういう対策を、航空会社の経営というものを運輸省として十分指導よろしきを得て航空事故の絶滅を期するとともに、その対策も用意しておくことを御検討願いたい。  法案関係を終わって、十五分間に今度は別個の問題を扱います。  鉄道建設審議会なるものが、運輸大臣、あなたの関係の機関がある、ここで鉄道建設計画を千三百五十キロという赤字覚悟の新線計画を発表しておる。しかしながら、従来六十二個所でしたか、いますでに着工して完成をしていないローカル線があるわけです。これは赤字覚悟でやっておるのでございますから、なかなか遅々として進んでいない。そのすでに着工した赤字線に対しても、なおかつ完成を見ないような形のもとに千三百五十キロの新線計画をお立てになっているという鉄道建設審議会の昨年末の発表というものは、運輸大臣、一体どういうふうに判断されるのか。  もう一つは、それに伴う問題として、地方の赤字覚悟の線をつくるよりは、道路を整備して、国鉄の、ハスを運営することによって、よりサービスを向上せしめて、その赤字線にかわる対策があるのですが、あえて政治的な圧力でこの赤字路線をどんどんつくり、また着工したままでじんぜん日をむなしくして完成していないこういう現象を、大所高所から運輸大臣として御判断を願いたい。御答弁願います。
  170. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 鉄道建設審議会は、国鉄が将来運営すべき鉄道線路の新設につきましての審議機関でございますが、御承知のとおり、国有鉄道といたしましては、新線の建設にあたりましては、経済基盤の強化ということと同時に、地域格差の是正による地域ら発展、こういう公共的な使命をもになっておるわけでございます。したがって、そういう意味で、いわゆる赤字路線といえども、公共的見地から必ずしもその建設を拒むことのできないものもあるわけでございます。全国的にこれらの線を検討いたしました結果、鉄道建設審議会において、今後国鉄が建設しなければならない必要な路線を掲げたものが御指摘答申でございます。
  171. 受田新吉

    受田委員 こま切れの着工をしたままで、工事の進んでいない路線の対策はどう考えておられますか。
  172. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいま政府の新線の建設についての考え方といたしまして、一応新線を二つに分類いたしまして、一つは新線の建設によって十分採算がとれるであろうと見込まれる路線、それから第二は、その線だけでは採算が困難と認められる路線、この二種類に分けております。そして、前者につきましては、利子のつく起債という方法で建設費をまかなっておりますが、後者につきましては、国有鉄道の収入からの繰り入れ金及び政府の一般会計からの繰り入れ金、こういうものを財源として建設することにいたします。そして、完成いたしました後には、国鉄が経営して採算がとれるだろうという線は有償をもって国鉄に貸し付けますが、赤字の見込みの路線は公団から無償でもって貸し付ける、こういうやり方をいたしておるわけでございます。ただいま建設中の路線のうち、東京周辺におきまする一、二の路線は十分採算がとれると認められますので、これは起債をいたしまして工事を急いでおります。これにつきましては、四十六年ころまでに必ず完成したいということでやっておりますが、その他の不採算路線につきましては、毎年の一般会計及び国有鉄道会計からの繰り入れ金の範囲内で工事を進めるということになっておるのでございまして、政府としてもいろいろ一般会計からの繰り入れをふやすように努力はいたしておりますが、しかし、これらを完成いたしますにはなお数年を要すると思うのでございまして、いずれにしても、できるだけ早く完成して役に立てたい、そして、これと並行して、未着手の線につきましても、公共性の高いものから着手してまいりたい、こういう考えで進んでおるわけでございます。
  173. 受田新吉

    受田委員 あなたの御郷里の島根県の日原から岩国に通ずる岩目線というのがある。これも赤字というふうに初めいわれておったが、現時点においては黒字を出しておる。これはいつ完成しますか。あなたの地元と私の地元との問題です。
  174. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私も地元の関係で、選挙の都合もございますから、自分の選挙区に関係ある路線については注意をいたしたいと思っておりまするが、しかし、何と申しましても、立場上、さような自由のきかない立場にございますので、各線につきましては、一切公団の立案にまかせておるわけでございまして、ただいまのところ私自身は、そういう事情で存じませんので、ただいま政府委員からお答えを申し上げさせます。
  175. 増川遼三

    ○増川政府委員 ただいま例にあげられました岩目線のうち岩日北線につきまししては、現在、広瀬−六日市間約十五キロの工事の実施計画案につきまして、国鉄と公団とで協議中でございますが、これにつきましては、大体四十七、八年ごろに完成ということになるのじゃないか。現在まだ協議中でございますので、はっきりした日限は申し上げかねます。
  176. 受田新吉

    受田委員 東海道新幹線に次ぐ山陽新幹線、これは昭和四十六年までに、国鉄の第三次長期計画の末期に完成させるという目標を持っておられる。引き続きまして、昭和五十年には博多までをやり遂げるという御計画のようです。この計画は、計画どおりに進行しておるのかどうか、お答え願いたい。
  177. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 現在のところ、新幹線の建設といたしましては、具体的に確定しておりますのは岡山まででございますが、この計画は、計画どおり進行いたしております。したがって、この勢いをもってまいりますならば、四十八年には必ず広島まで竣工し、五十年には必ず博多まで竣工するものと確信をいたします。
  178. 受田新吉

    受田委員 国鉄もいまたくさんの借金をかかえて、その利払いにも追われておるような状況であります。一般会計からの繰り入れも意のごとくならぬとなると、たとえば東海道新幹線が八千万ドルの世銀の借款を求めたようなかっこうで、この山陽新幹線も世銀のごやっかいにならざるを得ないのかどうか、そういうことをごやっかいにならぬでも、計画どおり四十六年には岡山まで東京から四時間で飛べるのかどうか、お答え願いたい。
  179. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 世銀の借款については、最近世銀の方針といたしまして、後進国向けの融資を優先的に扱う、こういうことになっておりますので、現状のところでは、新幹線はどうも世銀としての融資を仰ぐことは困難な事情にございます。国鉄といたしましては、現在のところでは、いかなる困難を排除いたしましても、この新幹線の建設は、これを必ず所定期間内に完成させるという決意で進んでおるわけでございます。
  180. 受田新吉

    受田委員 低開発国向けの融資ということを力点にしておる傾向はある。しかし、従来の方式で借金をかかえ込んでいる国鉄が必ずやるということになると、やはり何らかの形で外部の、国外の借金を背負わなければならぬということになるのじゃないか。そこはやっぱり運輸大臣としては、大所高所から国鉄のあり方を見守っておらなければいかぬと思うのですが、今度の大量の整理を考えたりしておるほどきびしい状況であって、決して安易な国鉄の経理ではない。いまの世銀がだめとなれば、鉄道外債というようなものも入れる方法があるわけですが、そういうようなものに踏み切らなくてやっていけると、大臣は運輸行政の最高責任者として判断されておるのかどうか、お答え願います。
  181. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 現内閣は、今後数年間の日本の経済見通しにつきまして、経済社会発展計画というものを樹立いたしておるのでございますが、この経済社会発展計画におきましても、新幹線に必要な資金は国内において調達するという方針でうたってございます。したがいまして、私は、現在の計画は期限どおり進行できると思います。  ただ、御心配になる点といたしましては、最近の国鉄の経営事情、財政状況という点だろうと存じますが、これにつきましても、昨年来いろいろ政府間で協議をいたしました結果、昭和四十三年の予算編成を目途といたしまして、国鉄経済の立て直しについて具体策を立てよう、こういうことで、ただいま大蔵省、運輸省、国鉄、三者間で打ち合わせをいたしております。来年度の予算は必ず経営面において相当な改善を見得るものと確信いたします。
  182. 受田新吉

    受田委員 そうすると、外国からの借金にはたよらなくて済むと、大臣いま御答弁があったと了解してよろしゅうございますね。  三分ほど残っておりますから、最後に、交通事故に対する大事な点だけをお尋ねします。  日本の道路というものは、人間が通る道か、車が通る道かという疑義をはさむほど、最近の都市の交通事情というものに不安が起こってきておる。東京二十三区の道路の面積とニューヨーク、ロンドン等の外国の大きな都市における道路の面積とを比べたときに、東京は二十三区の全体の面積の一〇%ばかりが道路、ニューヨークは三五%、ベルリンが二八%、ロンドンが二三%というように、非常に道路の占める面積が広い。そして、人間の通る道路というようなものがちゃんと用意してある道路が多い。ガードレールというものが、日本では一体どういうふうになっておるかということにもわれわれとしては非常な不安を抱いておるわけですが、人間を大事にするという観点で運輸行政をやり、また、交通対策を各省が共同でやっていただくならば、歩行者個人に責任を負わすのでなくして、車を持っている人間に責任負わす——いま大体オーナードライバーのような立場になっていく人々というのは、ほんに国民の一部ですよ。庶民は自動車を持ってのうのうと旅ができるような立場にない。そのごく一部の自動車を持つ豊かな階層のために庶民が犠牲にされているというのが私は現実じゃないかと思うのです。この点については、自動車を用いる人が歩行者を大切にするという基本的な感覚で、今後の運輸行政、交通対策を考えていただくべきであると思うのですが、どうでしょうか。
  183. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 まことにお説のとおりだと存じます。そこで、現在自動車を利用する人の問題でございますが、自動車の利用にあたって、自動車を運転する運転免許証、これの許可にあたりましても、いまおっしゃったような考え方を基礎にして免許をする必要があろうかと思うのでございますが、同時に今度は、車を買い入れる場合、特に今日問題になっておりますのは、大型の自動車及びダンプカーでございます。これが買い入れにつきましては、現在は自家用車については自由になっておりますが、いまおっしゃったような点を十分審査の上、今後は合格者にだけ買い入れを認めるというような制度に改めてはどうかというので、運輸省といたしましても、研究をいたしておるところでございます。
  184. 受田新吉

    受田委員 免許制の問題にも関連することです。そこで大型車の免許というようなものを、年齢を引き上げて、相当本人の判断力が高まったところへ、たとえば十八歳から二十歳に引き上げるとか、経験年数ゼロから何年か、二年でもふやすとかいうような方法で、大型ダンプカーについてはより一そう基準を高めるとかいうようなことで、まず運転者に対する政府のきびしい態度というものを用意される必要はないか。  それからもう一つは、今度は警察の仕事にもなるのですが、公安委員会どなたかおられますか。——それは大臣に、あなたは前に警察をやられたことがありますね。
  185. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 はい。
  186. 受田新吉

    受田委員 だから、あなたでも国務大臣として御答弁を願いたいのですが、幾ら大きな事故を起こしても、一年たったらそれがまた再び免許を復活できるような制度があるわけですが、大事故を起こしたような不届き者には、もうきびしい期間を、あるいは一代取り上げて、おまえのようなやつは運転を免許するわけにはいかぬというような措置をとるとか、いま私が具体的に申し上げたところで、人間を大事にするほうへ重点を置いて、運転者に責任を負わせるという形で、ごく一部の人が自動車を運転し、多数の人は自動車を持たないで歩いておるという、その歩いておる一般の庶民を擁護する基本策を進める必要はないかと思うのです。具体的な計画があれば承りたいのです。
  187. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私自身としては、運転免許についての年齢制限につきましては、具体的な計画を持ち合わせておりませんけれども、担当の大臣に十分御趣意のあるところを伝達いたしたいと思います。運輸省といたしましてただいま具体的に考えておりまするのは、五トン以上の大型トラック並びにダンプカーが特に事故を惹起する頻度が多い。また、その被害も非常に大きくなっておりますし、人身事故にわたるものが少なくない。こういう観点から、五トン以上のトラック及びダンプカーの取り締まりを強化するようにいたしたい。その方法といたしましては、さきにもちょっと触れましたように、これらの特殊の車両の購入をしようという場合においては、現在のごとくディーラーから自由に購入することは許さない。自家用といえども、官庁の許可を受けさせる。そうして事故を起こしたような場合には、容赦なく許可の取り消しをして、そういうものを二度と運転できないようにしよう、こういうことをいま検討いたしまして、成案を得次第、交通安全対策本部へ持ち出しまして実現を期したいと思っております。
  188. 受田新吉

    受田委員 時間です。終わります。
  189. 關谷勝利

    關谷委員長 鈴切康雄君。
  190. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 運輸大臣、四月十九日の佐藤総理と石坂経団連会長の会談の内容を明らかにしていただきたいと思います。
  191. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私はその内容を承っておりません。
  192. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 少なくともこの問題については大きな政治問題に発展しておるにもかかわらず、大臣が全然知らないということはどういうわけですか。
  193. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 私は、その問題を知る必要がないと考えまして、いままで聞いておりません。
  194. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 閣議後の記者会見で、航空界の再編成はこの際根本的に再検討する必要があると発言したが、その内容についてお願いいたします。
  195. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 おそれ入りますが、末尾のところをちょっと……。
  196. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 閣議後の記者会見で、航空界の再編成はこの際根本的に再検討する必要があると発言をされたが、その内容についてはどういうことでありますか。
  197. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 航空界の再編成につきましては、御承知のとおり、昨年以来政府の方針がきまっておりまして、国際一社、国内二社という方針で進んでおるわけでございます。それにつきまして再検討というような必要は考えておりません。
  198. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 運輸大臣は、全日空に要望した中に、経営規模縮小もやむを得ないと言っておるが、自由私企業の経営上の重要な問題にまで監督官庁が介入しておるという批判があるが、その点について大臣はどうお考えになっておるか。
  199. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 御承知のごとく、航空事業において最も必要なことは、安全の確保ということでございまして、この点について全日空が昨年二回にわたりまして、航空史上におきましても相当大きく取り扱われるべきような大事故を起こしましたということは、まことに残念しごくでございます。そこで運輸省といたしましては、監督官庁の立場から、二度とかような事故をあらしめてはならないという見地から、立ち入り検査を実行いたしたのでございまして、その目的は、航空の安全の確保という一点にこれをしぼっておったわけでございます。その目的のために必要があれば事業の縮小というような結果を生ずるような場合があっても、安全第一のためにはやむを得ないであろう、こういうふうなことに相なったものなのでございます。しかし、特に縮小すべきであるということを申したのではございません。これこれの事項を順守しろ、安全のために絶対に必要である、この措置をやるために経営の規模が縮小されるという結果があっても、それはどうも安全のほうが優先的であるからやむを得ない、こういう趣旨でございます。
  200. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大臣の言われる監督官庁として、安全確保という観点からの勧告も当然のようには思われますが、しかし、自由私企業の経営上の重要問題にまで、監督官庁が介入するということは、絶対に私は許される問題ではないと思うのです。万一こういうようなことがまかり通るようなことがあれば、わが国の全産業界のためにもまことに憂慮すべき慣例になってしまうのではないか。運輸省の全日空の経営規模の縮小を求めている点は、明らかに私は何かしら行き過ぎのようにも思われますし、これは明白な経営権の侵害であり、自由な私企業に対する制裁というように世間ではとられているわけでありますが、その点についての大臣のお考えを伺いたい。
  201. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 航空事業は自由企業ではございません。これは、御承知のとおり、飛行場という政府の営造物を使用する特権を与えられ、その特権を基礎にして運送事業を営んでおるわけでございますから、これは自由企業にあらずして免許企業でございます。その免許企業に対しまして、政府といたしましては、営造物の管理という立場以上に、人命の確保という至上命令に基づいて厳格なる監督をいたしておるわけなのでございまして、人命確保のために必要があれば、その必要の限度内においては、企業の経営についても指図が当然できるものと私は心得ております。
  202. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これは四月二十六日の朝日新聞でありますが、「政府としても関心」というふうに大橋運輸大臣、あなたが語られているところでありますが、その中に、「全日空は民間企業ではあるが、政府の管理する飛行場を使い、国から独占的な営業権を与えられている企業であるから、営業のあり方や、社長人事については重大な関心をもっている。」これはわかります。しかし、重大なる関心を持っているにもかかわらず、それに介入するということは、うまくないのではないか、その点はいかがですか。関心と介入とは違う。
  203. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 その点は全く同感でありまして、重大なる関心を持ってはおりますが、商法の規定によりまして、民間会社で自由に選任すべき役員人事について、政府がみだりに介入することは適当でないと思います。
  204. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、いままでの政府は、経営条件等に制限をつけ、あるいは経営意欲を低下させる傾向があるというふうにいわれているわけでありますが、それについては、運輸大臣は、今後そのような行政指導というふうなことはされないわけですね。
  205. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 実は私は、具体的に申し上げますと、全日空の経営については非常に心配をいたしておるのでございまして、昨年の事故の結果信用が低下しておる、そのために経営状態が悪化しておる、これをひとつ早く立ち直らせてりっぱな経営をさせたいという熱意を持っておるわけでございまして、そのために、私就任以来、大阪、九州、北海道などへ旅行するときは、いつでも率先してでき得る限り日航機よりは全日空機を選んで乗る。それも、パスも持ってまいりますけれども、しかし経営の悪い会社にパスで乗るというのもいかがであろうということで、いつも料金を払って乗っているのですが、そういうことをいたしまして、運輸大臣が始終乗っておるところを見れば、全日空ももうだいじょうぶなんじゃないかという気持ちを、少しでも一般の人に与えることによって、全日空の経営意欲が燃えたてばたいへんしあわせだ、このくらいなつもりでやっておるような次第でございます。
  206. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに昨年全日空は二回にわたって大事故を起こしたということについては、大いに反省しなければならぬ点もありますし、安全確保という面においては、当然そうされなくてはならないと思うわけですが、しかし航空界の再編成の問題について、事態のあまり進まないのに業を煮やして、人事にまで介入するという短兵急なやり方というのは、私は好ましい姿ではないと思うわけです。その点についてもう少し——この間佐藤さんの人事介入のようなそういう発言があったということに対しては、私は、本筋の行政面、または粘り強い監督指導がなされるべきではないか、そのように思うのですが、運輸大臣の御見解をお聞きします。
  207. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 運輸省としては、同じように感じておりまして、全日空の指導につきましては、きめこまかくしんぼう強く当たってまいりたいと思っておりす。航空界の再編成につきましては、昨年その計画を決定いたしました当時、大体合併等につきましても目標時期を定めておるわけでございます。いまのところ、その目標時期に比べまして別に再編成がおくれておるというようなことはございませんので、運輸省といたしましても、特にその問題についてあせっておるという事実はございません。  それから、佐藤総理の発言でございまするが、私、先ほど申し上げましたごとく、佐藤総理の発言の内容については、これを特に伺っておりませんからつまびらかにいたしておりませんが、いろいろ佐藤総理が航空問題について述べておられまする片言隻句等から察知いたしまして、私企業の人事について介入するという意図は毛頭なかったものとお察しいたしております。
  208. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 航空業界の再編成を取り上げる場合に、この基本的な視点をどこに求めるかはきわめて重要な問題だと思います。それで航空界の再編成の問題について、西欧型でいくのか、それとも米国型でいくのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  209. 澤雄次

    ○澤政府委員 だたいま先生のおっしゃいました西欧型といいますのは、どちらかというと国が資本その他を入れて統制的に行なうということで、アメリカ型とおっしゃったのは、いわゆる完全な自由主義、こういうことではないかと思います。それで、日本におきましては、何と申しますか、その中間と申しますか、国際航空につきましては、御承知のように日本航空に政府が出資をいたしておりまして、過半数の株を政府が持っております。その意味におきましては、これは西欧型、BOACあるいはBEAのような型であろうかと思います。それから、国内の航空につきましては、日本航空は国内の航空もやっております。これは別といたしまして、その他の航空会社につきましては、政府は株を持たず、航空法の規定に基づきまして、認可、許可を通じて行政指導をしていく、このようなやり方をとっております。
  210. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 航空機の技術革新は激しい勢いで進んでおります。これは航空会社の経営に大きな影響を及ぼすことは当然なことの問題でありますが、この問題に対して運輸大臣としては行政的にどのように対処されていくおつもりでありますか。
  211. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 航空業界が日進月歩という状況であることはお話しのとおりでございます。特にいま問題になっておりまするのは、ジャンボ丁一ツーあるいはSSTというような新鋭の航空機が、現実に世界の航空界にあらわれようということでございますが、特に、まず国際航空にこれは取り上げられるべき問題だと思います。政府といたしましては、日本航空を通じまして、世界の大勢におくれざるよう、これらの新鋭飛行機の活用にいまから準備させておるわけでございまして、そのためには、もちろん多額の出資を必要とするわけでございますが、今年度においては二十六億円の増資をいたします。これは、政府の出資が二十六億円でございまして、これに対応いたしまして、ほぼそれに近い増資が民間側からも行なわれるわけでございます。この増資は、年々金額を増しまして、五カ年間継続をいたしたい。これによって、新事態に対応すべき日本航空の財政の体制を整えたいと存じております。
  212. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 航空事業において、巨額の資金が機材に投入されるという実情でございます。しかも、機材の進歩は著しいので、その更新のためには、さらに巨額の資金が要るということは、いま大臣お話しのとおりでありますが、それに対して、航空事業会社に対してもっともっと長期に低利な金を融資をしていくという、そういう考え方はありませんか。
  213. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 政府といたしましては、日本航空の必要な資金に対する政府の手当てとしては、まず第一に、いま申し上げましたように増資を考えておるわけでございます。この増資の計画は、今年度分二十六億円、これは政府出資分でございますが、これは毎年二割ずつ増加いたしまして、そうして五カ年間継続をしようということでございます。これに対応いたしまして、民間の増資もほぼそれに近いものが年々行なわれていくわけでございます。そのほかに、国内におきましては開銀融資等も考えておりますし、また実際これを用いた例もあるようでございますが、今年度は、その必要がないように思いますので、今年度には計画はございません。しかし、将来は考えなければならぬ時期もあろうかと思います。
  214. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 通行税並びに着陸税の値上げが予定されておるように聞いておりますが、それはほんとですか。
  215. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは安全対策といたしまして、地方空港の整備五カ年計画を実施いたしまして、総額といたしまして千百五十億、これは年率の伸びにいたしますと五〇%以上の伸びになります。他の公共事業に見ない伸びでございます。国はもちろんその大部分を負担するわけでございますが、航空会社、またさらには航空機の旅客、乗客にもこれを分担してもらいたい、こういう考えで、着陸料は二〇%値上げいたします。これは航空会社がほとんど負担するという形になります。それから通行税は元来は一〇%でございましたのを、航空については従来租税特別措置法で五%に下げてもらっていたわけでございます。これを、この飛行場の整備の機会に、原則の一〇%に戻しまして、これは旅客に負担してもらうということでございます。その金はあげて空港整備五カ年計画——特別会計ではございませんが、あげて空港整備五カ年計画の原資に充てる、こういう大蔵省との了解をつけておる次第でございます。
  216. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 日航の話でありますと、新幹線とのかね合いで、航空の運賃を上げることはむずかしいというような話もちょっと聞いたのですが、その点、しわ寄せが会社に参りますと、経営がなおさら弱体化されるというおそれがあると思うのですが、その点についてはいかがですか。
  217. 澤雄次

    ○澤政府委員 この五%の値上げと申しますか、五%の通行税の値上げは、まるまる航空会社の収入としては五%響くわけでございますから、これは値上げをどうしてもせざるを得ないわけでございます。ただ、東京−大阪間につきましては、現在でも航空機と新幹線とは非常に競争関係に立っておりますので、これ以上、五%値上げすれば、航空旅客が非常に減少するだろうということで、この点については値上げをしないという方向で航空会社のほうは検討しておるように聞いております。まだ申請書が正式に運輸省にあがってまいっておりません。
  218. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それに対して、当然通行税、着陸税が上がるというふうになれば、一応日航のほうとしては上げないとは言っておるわけですが、もし上げるということの申請をしてきた場合に対するところの運輸省の御見解をお伺いします。
  219. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 これは、当該会社において引き上げたいという場合には、必ず認める方針でおります。
  220. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 航空保険のうち、機体保険の料金は、非常に割り高になっておるようでありますが、保険料が年間経費に示す数字はかなり大きいものがあります。多いところにおいては大体二二%にまで達しておるような、そういうところもありますが、経営上大きな負担になっておるということには間違いありません。ゆえに、何かそれに対するよい方法はないものでしょうか。
  221. 澤雄次

    ○澤政府委員 保険料の比率の資料をただいま持ち合わせておりませんが、先生のおっしゃるように、経費の中の非常に高い部分を示しておることは事実でございます。これを国の対策として直接救済するという方法は困難かと思いますが、この保険料は、事故が少なくなってまいりますと、これは航空会社と保険会社との話し合いで、保険料をだんだん下げることが可能なわけでございます。それで政府といたしましては、航空機のいろいろな安全対策、飛行場の整備、その他を実施いたしてまいりまして、航空機の事故を少なくして、それによって保険料が自然に下がっていく、こういう方向に行政をやってまいりたい、このように考えております。
  222. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国としては、航空保険の再保険というふうな考え方はないわけですか。
  223. 澤雄次

    ○澤政府委員 ただいまのところ考えておりません。
  224. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 日本の空というのは、非常に国際的な重要ないろいろの要素が含まれております。外国の航空会社の進出も激しいし、事態に対処する日本の航空行政が立ちおくれておるというふうに感ずるのですが、その点について……。
  225. 澤雄次

    ○澤政府委員 これはよく世間からも言われるところでございます。それは航空の発達が非常に激しくて、航空行政がこれに追いついていかなかったという面は確かにあると思います。しかし、これは歴代の大臣が非常な御努力をいただきまして、航空関係の要員、航空関係予算につきましては、他の運輸省の予算よりもいつも比率を厚くつけてきていただいておるわけでございます。まだまだ現在の日本の航空の実際の発展に比べれば、航空行政は、まだおくれておると言われてもやむを得ないと思う点が多々あるわけでございます。
  226. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そのおくれている原因に、わが国の航空行政は、各省庁に分割されておるために、相互の面には重複があって一貫性に乏しい。急速な航空界の進展に対処できないし、また航空機生産並びに航空事業、保安などの一貫した航空行政が必要であり、一元化が必要だと思うのですが、その点についての大臣の御所見を……。
  227. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいま御承知のとおり航空機の生産は通産省の所管になっておりますし、航空機の運航についての管理監督は、運輸省の所管ということに相なっておるのでございます。この点は、自動車につきましても生産が通産省、監督が運輸省ということになっておるわけでございまして、必ずしも航空機にのみ特殊な形ではございません。いまの日本の行政機構といたしまして、これはやはり一つの在来の型であると思うのでございます。これを改めることがはたして適当かどうか、これは議論のあるところだろうと思います。私どもは、もっぱら航空機の運航面に非常な問題があるこの際でございますから、運輸省といたしましては、いたずらに守備範囲を広げるよりは、個有の守備範囲でありまする安全運航、その他運航管理の面にしばらく全力をあげてまいりたいと思っております。
  228. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国際航空路線の権利は、重要な国家権益の一つであります。ところが、わが国はすでに十数カ国と航空協定を結んでいるが、その中に相手国の路線だけを認めた一方的なものがあるが、こうした不平等協定、協約を、すみやかに是正していく考えはありませんか。
  229. 澤雄次

    ○澤政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたのは、航空協定を結んで相手国がこちらに入っているのに、日本航空が向こうへ行っていない、こういう国は確かにございます。たとえばスイスその他ございます。しかし、これは日本航空が行かなければ、向こうには絶対に入れないというそういう考え方もございますが、日本航空はいま三カ年計画あるいは六カ年計画で、世界の主要な国にはほとんど航路を持ちたい、このように考えているわけでございます。それで、御承知のように、いざその国に入ろうという場合に、協定を結ぼうといたしましても、これはなかなか困難でございます。それで相手国から申し入れかございましたときに、いわばこちらがまだ向こうに行かないのでございますから、協定上いろいろ有利な条件をつけまして協定を結んで向こうを入れておきまして、そうして二年なり三年先にその国に入るということも、これは日本として非常に得策ではないかということで、そういう国との協定を結んでおるわけでございます。
  230. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国際線の拡大については、長期計画のもとに着実に推進する必要があると思います。少なくとも五年ないし十年ぐらいの路線拡充についての計画を持っておられるかどうか、それについて、具体的な姿をお示し願いたい。
  231. 澤雄次

    ○澤政府委員 これは、具体的な計画を持っております。昭和四十二年四月一日現在で、日本航空は国際線を約七十便やっております。これを昭和四十六年には百四十便にふやす予定でございます。その内容は、現在実施いたしております便数を増加するということが第一、それから新しい空路を開いていくということ、それからさらに近回りにおきましては、東南アジアにおきまして、路線網をさらに充実していくということでございます。東南アジアのものは、こまかいものが多うございますので省略いたしまして、近々拡充しようというところは、先般開始いたしました世界一周の大西洋路線、現在二便でございます。二便ではこれは非常にかたわでございますので、来年から週七便に拡大したいということ、それからメキシコまで、これはカナダを経由いたしまして来年はぜひメキシコまで新路線を開拓したい、このように計画をいたしております。
  232. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 安全対策としての、特にローカル空港に対しての五カ年計画は、十分なものでしょうか。
  233. 澤雄次

    ○澤政府委員 先ほど受田先生の御質問に対しまして、大臣がお答え申し上げておりましたように、空港整備五カ年計画、これは二種空港、三種空港に重点を置いております。それで二種空港につきましては、ジェット機が将来入るような空港については、原則として二千メートル、それからYS11のようなターボプロップ機が入ります飛行場は、原則として千五百メートルに拡充いたしますほか、二種空港の大部分につきましては計器着陸あるいはGCA、このようなものを整備するという計画にいたしております。それから第三種空港につきましては、将来は千五百メートルに延ばしていくということで、五カ年計画のうちその若干のものについて手をつけ、さらに照明装置は、この三種空港のほとんどにこの五カ年計画のうちで整備しよう、このように考えております。
  234. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現在ローカル空港は幾つあって、そして現在使用されていないところはどことどこですか。
  235. 澤雄次

    ○澤政府委員 ローカル空港と申しますか、二種空港が十七と、三種空港が二十九ございます。使用されていない空港と申しますと、全然使用されていない空港はないのでございますが、いわゆる定期便が入っていないという空港は、これはございます。松本空港その他若干ございます。それから北海道の空港が、定期はほとんど、特に冬は入っておりません。
  236. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ほとんど使用されていないような飛行場を、なぜつくったのか。
  237. 澤雄次

    ○澤政府委員 三種空港の設置者は、御承知のようにこれは都道府県知事が設置者でございまして、数年前この三種空港を方々につくりましたのは、そのころ都道府県及び地元の方の空港設置に関する御要望が非常に強くて、一つの県に必ず一つの飛行場をというようなことと、それから航空会社が当時飛行場ができればそれに定期を必ず入れたい、こういう要望が非常に強かったわけでございます。それで三種空港につきましては、国は地元の御要望に対しまして、補助をする立場でございますが、航空会社も現実に定期を入れたいということで、そのような飛行場をつくったわけでございます。しかし、その後航空会社の経営状態が非常に悪くなって、不採算路線を廃止するというようなことで、現在定期が寄ってない飛行場が若干あるわけでございます。しかし、これは私たちとしては、決してむだな飛行場ではなくて、一種の地方長期開発の先行投資でございまして、将来航空会社の財力が立ち直り、そしてまた国民の富力も上がっていけば、また定期を必ず再開する日が来るであろう、このように考えておる次第でございます。
  238. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そのような場所に巨費を投じていくというよりも、私はむしろそれを空港整備に向けたほうがいいのではないか、そのように思うわけです。その点についてお伺いしたい。
  239. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 いままで使った金は、どうもいたし方ございませんが、今後はお説のとおりにいたしたいと思います。
  240. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国内離島航路に対する政府の考え方についてお伺いします。
  241. 澤雄次

    ○澤政府委員 国内離島につきましての離島航路についての考え方は、いろいろあると思います。これは、船につきまして離島航路補助を出しております。それからバスにつきましても、離島バスについて補助を出しているわけでございます。それで航空局の事務局といたしまして、これと同じような考え方で、航空機の離島航路につきまして、補助金を出したいと、このように考えたのでございますが、航空機に対するいろいろな考え方がございまして、航空機の利用者は、どちらかといえば富裕な階級に属するというような意見もございまして、現在までのところ離島航空に対する補助というものは、実現していないわけでございます。
  242. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 離島の場合においては、それは船のほうもありますが、私は一つは、飛行機というものが、今後重要な役割りをなしてくると思います。それについて、現在離島の路線については、公益上必要な路線で、経営が赤字になっているというところも多々あるわけです。それについて、私は船舶に補助を出しているのと同じように今後考えていかなくてはいけないのじゃないか、そのように思うのですが、御見解を伺いたい。
  243. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 いま局長から申し上げましたように、今年度の予算要求の際に、御趣旨のような考え方で要求を出したのでございますが、どうもわれわれの努力が足りませんで実現することはできませんでしたが、しかし、考え方は依然として正しいと思いますから、来年度においてはさらに重ねて努力をさしていただきたいと思っております。
  244. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 航空業界の再編成の最終的な基本方針と構想を、大臣から一応お示しいただきたいと思います。
  245. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 日本の航空業界の再編成につきまして、現在とっておりまする方針は、御承知のとおり国際一社、国内二社、すなわち国際的には日本航空という特殊会社一本で押し立てていこう。国内二社といたしましては、国内二社の一つの柱といたしまして日本航空の国内線に国内航空を合併させ、これを国内二社の一つにする。もう一つは、全日空に東亜航空及び長崎航空を合併させまして、これを一社にする。したがって、国内は二社にする、この方針で目下進んでおるわけでございます。しかるに、昨年の事故以来、この考え方では不十分ではないか、むしろこの際思い切って国際一社、国内一社という考え方に切りかえるべきではないかという議論もちらほら聞いておるのでありますが、政府当局といたしましては、終局的に一社になるようにいたしましても、とにかく現在ある各社を、一応二社に集約するということがそれよりも先に行なわるべき事柄だ、こう考えまして、当面の方針といたしましてはあくまでも国際一社、国内二社、これをできるだけ予定どおりに実現する、こういう方針で進んでおるわけでございます。したがって、それが実現いたしました後において、さらに、国際一社の国内一社というような考え方を取り入れるかどうかは、その段階において考慮されていいのではないか。いまの行政当局の指導方針といたしましては、あくまでも国際一社、国内二社という考え方で進みたいと思っております。
  246. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは成田空港のことについて少しお伺いしたいと思いますが、成田新空港はいつごろから使用できると大臣は判断されますか。
  247. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 予定といたしましては、昭和四十六年の四月に、四千メートルの滑走路一本が供用開始に相なることになっております。
  248. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和四十六年といういまお話がありましたが、昭和四十四年あるいは四十五年には、御承知のとおりジャンボジェットの超大型機が就航するようにいわれておりますが、成田空港使用開始の前に来ることについては、どのような対処をなされるつもりですか。
  249. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 お説のとおり四十六年四月以前において、すでにジャンボジェットが日本に飛来することは十分予想されるのでございまして、このためには現在の羽田空港の三千メートルの滑走路でこれを離着陸せしめるという計画でございます。ただし羽田の滑走路はいいといたしましても、現在スポットが不足いたしておりますので、このスポットを増設しなければならぬ問題があります。さらに羽田のターミナルの施設がジャンボジェットの大量の客を一時に受け入れるにはあまりにも狭隘でございますから、これが対策をやはりあわせて講じなければならぬ、こういうふうな考えでございます。
  250. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 新空港は、御存じのとおりニューヨークのケデネィ空港の約半分、すでに限度にきているロンドン空港とは、ほぼ同じくらいの規模であります。それについては非常に狭いという意見について、運輸省が計画の基礎としているところの旅客の伸びと受け入れ能力の算定について、どのような考え方を持っておるかどうか。
  251. 澤雄次

    ○澤政府委員 成田空港につきましては、先ほど大臣がおっしゃいましたように、四千メートルの滑走路一本と二千五百メートルの滑走路一本と、それから三千二百メートルの、これは横風用でございますが、滑走路を一本建設するわけでございます。それでこの滑走路による離着陸の能力を算定いたしますと、これは二十六万回の離着陸の能力があるわけでございます。昭和四十六年に供用開始いたしまして、その後の国際線、国内線の旅客の伸びを考えますと、四十六年から約十年はこの成田空港で十分処理できる、これは羽田と合わせてでございます。羽田と成田空港で四十六年から十年間旅客を処理できる、このように考えております。
  252. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この程度の空港で、今後ますますわが国の国際的地位が高まり、東京を中心とする国際輸送の一そうの増大を前にして、長期の使用にはたえられないという意見が強いようでありますが、はたして十年というものはだいじょうぶであるかどうか、それについて大臣の御意見を伺いたい。
  253. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 ただいま説明いたしましたとおり、技術的に見まして、十年間は完全にだいじょうぶだ、こう信じております。
  254. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 新空港と羽田空港の使い分けは、どういうふうに考えられますか。
  255. 澤雄次

    ○澤政府委員 羽田空港は、国内航空専用に使います。それから新空港は、当初は国際線に使いますが、国際線が成田に移りましても、羽田も五年くらいでまた一ぱいになってしまいます。そうすると、国内線も新空港で処理しなければならなくなる、こう思っております。
  256. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それにつきましても、都市への輸送の問題ですが、輸送計画について、香港−新空港よりも、新空港−東京のほうが、場合によっては二倍以上も時間がかかってしまうというような輸送計画の問題に私は非常に問題があるというように思います。それについて、できたことはいいけれども、その新空港が使用にたえられないというような、そういう危惧にもおちいるわけでありますが、その点についてどういう輸送計画、道路計画を建設省とおはかりになっているか、その総合的な今後の計画についてお願いしたいわけです。
  257. 澤雄次

    ○澤政府委員 新空港と東京との間の輸送計画につきましては、道路と鉄道との両方を使用するつもりでございます。それで道路につきましては、京葉道路に出ます高速道路をつくりまして、京葉道路に出まして、それから東関東自動車道という、これは従来から建設省の計画でありますが、それに乗りまして、その途中から成田空港線というものを入れまして、成田に参ります。これは計画によりますと、約五十五分で都心から新空港まで参れるという計画になっております。ただこの計画の非常なウィークポイントといわれますのは、京葉自動車道が混んでないかということでございまして、この点につきましては、建設省ともさらに詳細打ち合わせをいたしております。鉄道は、現在の鉄道路線を複々線化し、あるいは複線化し、さらに電化いたしまして、これは現在の大手町まで来てます地下鉄を総武本線に直接くっつけまして、そしてこれは一時間以内で確実に成田に到達する、こういうような計画にいたしております。
  258. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これは建設省ともの話になるわけですが、新空港と都心を結ぶ間の専用道路、またあるいは地下鉄、そういうふうな計画がやはり今後必要ではないか。やはり国際空港となれば相当の人が乗りおりもしますし、また国際的な一つの大きな見地に立って、そのでき上がるときには少なくとも京葉道路とか、そういうところはふくそうしてしまうのじゃないか、そのように懸念されるわけですが、その点について建設省と運輸省との話し合いを強力に進めていく考えはあるかどうか……。
  259. 澤雄次

    ○澤政府委員 建設省とも、この問題については単に京葉道路を通るというだけじゃなしに、京葉道路——たとえば四車線でございますが、これを六車線に拡充するというようなことも具体的に打ち合わせております。  それから建設省のほうでは、湾岸道路と申しまして、東京湾の海岸をぐるっと回る道路、これは昨年でございますが計画をいたしております。ただいまはこの湾岸道路から直接東関東自動車道に入るということも計画をいたしております。しかし、この湾岸道路計画昭和四十六年の供用開始には間に合わないであろうと思います。  それから東京と成田との間の直接の、京葉道路その他を通らない直接の自動車道につきましては、まだ検討の段階に入っておりません。
  260. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現在新空港の土地の買収問題についていろいろ問題になっているわけですが、その点について今後また新たな航空計画のもとに、現在の場所以外にも、東京を中心としたところの第三空港を建設するような考え方はありませんか。
  261. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 政府といたしましては、ただいま成田空港の期限どおりの完成ということを、ひたすら目途といたしておりまして、まだ第二空港について検討を加える段階にはなっておりません。
  262. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に、いずれにしても昨年の大きな事故が続いたときでもあり、世界じゅうは日本の航空事業にある種の不信感も抱いているような状態であります。そういう意味において、新空港建設は、政府の大きな使命であると思いますので、最後に大臣のこれに対する御決意をお伺いしたいと思います。
  263. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 お説のとおり、昨年相次ぐ事故が不幸にして起こりました。これは日本の所属の航港機ばかりでなく、外国の航空機もあったのでございます。外国の航空機の遭難に対しましても、やはり日本の航空路の管理なり、飛行場の管理なりということについて信用を落とした点もあろうかと存じます。これはまことに遺憾しごくのことでございます。日本の国際的な地位並びに日本の置かれている地球上の位置という点から考えまして、日本が航空事業に最も力を入れなければならないことは申すまでもないのでありまして、そのためには日本の航空界が世界的な信用を回復するということが必要であります。そういう意味で今後努力を続ける決心でございます。      ————◇—————
  264. 關谷勝利

    關谷委員長 厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。大出俊君。
  265. 大出俊

    ○大出委員 設置法との関連で、これは公害対策基本法のほうで審議はすることになるわけでありますけれども通産省に相当いろいろものを申し上げた関係で、厚生省の側にも少し承っておきたいことがあるのです。  この基本法案がようやくまとまってきているわけですけれども、厚生省が旧来案をつくられたりいろいろやってまいりましたが、その過程からながめて、世の中ではたいへんどうも後退し過ぎて、重点がみんなぼけてしまったんだという言い方になっておりますけれども大臣のお立場でどう考えますか。
  266. 坊秀男

    ○坊国務大臣 新聞等で読みますと、公害対策基本法は、立案の過程におきましてだいぶん骨を抜かれたというような記事を私も承知いたしております。しかし、私といたしましては、ものごとがまとまっていく過程におきましては、いろいろの議論があって、そうしてそういったような議論が戦わされた結果、結論が出てくる、これはもう世の中の常だと私は思います。かような意味におきまして、公害対策審議会から厚生省がその答申を受けまして、厚生省がその答申に従いまして厚生省案なるものをつくった。ところが、御承知のとおり、公害排除の問題は何しろ十数省にもまたがる問題でございますので、これを総理府へ持ってまいりまして、総理府で関係各省が集まりましていろいろ意見を戦わせまして意見の調整をやったわけでございます。結局その結果、公害対策基本法の要綱試案というものができたわけでございまして、その要綱試案と厚生省がつくりましたいわゆる厚生省案というものを比較いたしてみますと、この基本法の要綱試案に全部そっくりそのままということはございませんけれども、私は基本線におきまして大きな後退をしたというふうには考えておりません。
  267. 大出俊

    ○大出委員 実は、後退をしていないと、通産大臣が、いま厚生大臣が言われたように答えております。先般閣議で決定された日の午前中私が質問をこまかくしてまいりましたが、結果的に後退だということになったわけですけれども、厚生省の側が後退をしていないということを強弁をされるのは、どうもいささか筋が通らぬと私は思います。通産省の側ならば、これは企業、産業をかかえておりますから、そういう意味で言っておられることはある意味では理解できるわけでありますが、あなたのほうがそういうことを言われるとなると、旧来の経緯に照らしてあまりにもどうも感心をしない結果になる、こう思っておるのです。私は旧来の経過から見て、まことに厚生省の側としては残念しごくだ。しかし、今日の情勢、あるいは各省の相互関係、あるいは財源その他を含めてやむを得ぬとおっしゃるなら別、ここのところを実は私ははっきりさせていただきたいのです。  そこで、まず一つの問題というのは、十五項目からなっている例の中間報告がつくられて出てきたわけであります。この中で、第一には公害に対する責任を明確にするということ、これは旧来たくさん論議があったところであります。「公害によって生命、財産その他の利益に一定の受忍限度をこえる損害が生じたときは、原因者である企業のほうがこれを賠償する責任を負うこととする。」というのが、十五項目の中に明確にあった。それから国や地方公共団体が公害防止に必要な公共事業を実施する、あるいは企業側がその費用の一部を負担することなどという原則が、明確に入っていた。さらに、公害というものを五つばかりに分類して明確にきめた、こういうふうに進んでまいりまして、この中間答申の中では、特に公害防止の行政を担当する機構の設置が必要だということを言っていたわけです。被害者の救済措置としての企業と国が分担する公害基金の構想などが出ていたわけです。このほとんどが消えてしまったということになると、この答申は厚生大臣に出た答申ですから、そうなると、それでも後退じゃないというのですか、やむを得なかったというわけですか。
  268. 坊秀男

    ○坊国務大臣 厚生省のつくりました厚生省試案というものには、そういったようなことがうたわれておったということ、これがなるほど今度の法案要綱におきましては姿を消しておるということは、御指摘のとおりです。しかし、それが姿を消したからといいましても、この試案におきましては、公害の責任者がだれであるか、また責任者がどういった責任をとるかといったようなことを明らかにしておりますから、いまお述べになりましたような、なるほどその基金構想だとかあるいは行政機関といったようなものが最後の案におきましてなくなっておりますけれども、最初私が申し上げましたとおり、基本線におきましてはこれは後退はいたしておりません。具体的な事項につきましては、若干そういったようなものが最後の案におきましてはなくなっておりますけれども、公害防止をする基本対策、基本方針といったような点につきましては、これは後退をしておりません。こういうお答えを申し上げております。
  269. 大出俊

    ○大出委員 大臣がいまおっしゃったのは、いささかこれはお読みになっていないせいだと思うのですけれども、私がいま申し上げたのは、中間答申を申し上げたので、厚生省試案を申し上げておるのではない。あなたは厚生省試案と言われるけれども、いま申し上げたのは中間答申の中にあった。そこで、この中で問題になるのは、厚生省が一時、公害行政のための公害行政委員会みたいな構想をお考えになったことがある。これも各省が寄ってたかって意見を出してつぶれてしまったなどという経過がありまして、私は順序を追ってものを申し上げておるので、中間答申が出たあとで——これは新聞にたいへん好評を博していろいろ書いた。とたんに、これは経団連から公害をおそれるあまり産業振興を忘れることは許されない、こういう意味の意見書が飛び出した。これを契機にこの答申自体がまずぼけた。最終答申の中から逐次消えていってしまっているわけです。このあたりからすでに通産省、厚生省のものの考え方がはっきり分かれてしまっている。厚生省が公害行政委員会等というふうな着想をぽっと出したのは、そのあとですよ。これはある意味で私は、こういうふうに後退していったやつに一喝を入れる意味でのアピールをしたのだというふうに思う。ところが、これまたつぶされたわけですね。それをとらえて私は厚生省の側がもう少し考えていただかないと、これから先行きが問題なんで、この基本法というものは精神条項なんだから、したがって、そこのところを聞いているのだけれども、いまここで大臣、そういうふうなことを言っているということになると、先行きがちょっと思いやられる。ものを取り違えてお答えになっては困る。あらためて御答弁を願います。
  270. 坊秀男

    ○坊国務大臣 いま中間答申、こういうふうにお述べになりましたが、これは中間報告でございまして、審議会答申はその後答申として出てまいったものでございまして、その答申の趣旨に対しまして厚生省が厚生省としての案を立てたわけでございます。中間報告から見ますれば、審議会答申がその中間報告とはだいぶ趣の違うものが出てまいっておる、こういうことになっております。
  271. 大出俊

    ○大出委員 ところで、この公害関係行政機関ということになると、十一省にわたっているのですね。したがって、これはどこかが相当積極的に前に進めてもらわなければ困るわけですね。そこで、いまは各省にかかわりがあるから、いままでは総理府が所管をする形になる。だから、総理府総務長官がまとめてきたと思うのだけれども、この法律自体は、将来に向かってこれは厚生省が中心になる、こう理解してよろしゅうございますか。
  272. 坊秀男

    ○坊国務大臣 法律の主管と申しまするか、主務官庁は厚生省でございます。
  273. 大出俊

    ○大出委員 したがって、つまり産業利害との関係できわめてうらはらの関係にある通産省ではなくて、事厚生省だから、いまここで論議している中心は厚生大臣なんだから、やはりそういう立場でものをお考えいただかぬと、たとえば原子力基本法ができましたが、その後に原子力損害に関する賠償法もできたし、契約法もできたし、問題は、この精神条項はきまっても、そこから先の細分化されていく法律事項によって一々これまた変わってくるわけですから、したがって、そこのところをあわせ考えるときに、二のあたりで、世論はしきりに骨抜きになった、後退をしたといっているわけですから、この時点でひとつ厚生省のほうでももう少し前向きにものをお考えいただきたい。こういうことで冒頭から念を押しているわけですが、もう一ぺんお答えをいただきたいのです。
  274. 坊秀男

    ○坊国務大臣 この基本法を御審議の結果成立をさせていただきますならば、この基本法の精神、立法の趣旨にのっとりまして、これに伴う具体的ないろいろな制度が打ち立てられる、あるいは法律がまたつくられるということに相なろうと思いますけれども、そういったような具体的なものにつきましては、あくまでもこの基本法にのっとりまして、公害防止の目的を達成していくように厚生省といたしましては全努力を注いでいく、こういう方針であります。
  275. 大出俊

    ○大出委員 この基本法の中に、二十一条になるのですか、新聞と一条違っているようですから、二十一条じゃないかと思うのですが、事業者に費用の全部または一部を負担させるとしながらも、この二十一条の中では、この負担額、その方法などは、これは別の法律で定める、こうなっているはずでございます。つまり別な法律をあらかじめ予定しているわけでありますから、私の持っているこの基本法全文でいきますと二十条なんですが、おそらくそちらのほうでは一条繰り下がっているのじゃないかと思うのですが、そこで事業者は、その事業活動により発生する公害の防止のために国または地方公共団体が実施する事業について、当該事業に要する費用の全部または一部を負担するものとする。費用負担というところです。前項の費用負担に関し、負担の額及び方法その他必要な事項については別に法律で定める、こうなるわけですね、法律上は。そうなると、この精神にのっとるというても、別にどう定めるかによって、この基本法はこう書いてあるけれども、この法律の性格はこうだという規定が逆になってしまう。別に定めるところできわめてあいまいにぼけてしまったのでは、これは全くのざる法といわれることになってしまう。したがって、この精神に従ってとおっしゃるのだが、しからばその精神とは何だという点をお答えいただきたい。
  276. 坊秀男

    ○坊国務大臣 御指摘の二十一条でございますが、この二十一条の後段、「当該事業に要する費用の全部又は一部」、これを事業者に負担せしめる。その費用をきめる手続、そういったようなことにつきましては、第二項によりまして別途の法律できめる。実体はあくまでも第一項によりまして、「事業者は、その事業活動による公害を防止するために国又は地方公共団体が実施する事業について、当該事業に要する費用」、どんなことがあってもその事業者は「費用の全部又は一部を負担する」ということを、はっきりここでうたったわけでございます。
  277. 大出俊

    ○大出委員 この二項のほうがむしろ問題で、つまり額という表現、つまりこの一項のほうには、どのくらい負担するのか皆目見当がつかない。全部か一部かどっちかだということになっている。そうでしょう。ところが、この二項のほうでは、費用負担に関して、負担の額、明確に「額」、こうなっている。この額は別な法律できめる。そうでしょう。この二十一条の一項には額は触れてない。「全部又は一部」と抽象的に述べているにすぎない。それはどのくらいという具体的にずばり額をきめるのは、別な法律なんです。だから、別な法律のほうの額が、それこそ吹けば飛ぶようなことになってしまったのでは、「全部又は一部」といったって意味がなくなる。これは水質保全法の例だって、ばい煙規制法だって、みんなそうです。だから、そういう点をよほど皆さんのほうで前向きにお考えいただかないと、この基本法の精神に従ってやりますと言ったって、結果的に別途きめた場合に、何だこれはということになったのでは、精神はどこかに飛んでしまう。物事形にあらわれなければ、政治ではないのです。だから、そこのところをどうお考えかということを聞いているのであって、表面の解釈は書いてあるとおり、そんなことはわかっている。そこのところをどうお考えか。だから、私は経過を申し上げているのだけれども、企業責任というものは明確にしていけということが、当初から答申に一貫して流れていることなんですね。それが非常に——何も学問的に、いま論ぜられているように集中責任制とかいろいろあります。あるいは企業の無過失責任制とか、いろいろあります。そのことをいま論議をしたって、時間がないことだ。意味がない。だから、別途といっているのだけれども、その点についてはどういうふうにお考えかということを聞いたほうが早い。そう思って聞いているわけですから、お答え願いたい。
  278. 坊秀男

    ○坊国務大臣 前段におきまして「全部又は一部」と、こういうことになっております。そこで、これは全部の場合もございましょうし、一部の場合もございましょう。そういうようなきめ方を第二項におきまして、別途の法律によってこれをきめていく、こういうことを規定したのでありまして、それは全部の場合もございましょう。あるいはその中の一部の場合もございましょう。それはそのケース・バイ・ケースによりまして、私は全部の場合も予想されることである、こう考えております。
  279. 大出俊

    ○大出委員 法律を提案される以上は、こういう表現をしている限りは、何がしかの想定がなければ表現できないわけですね。そうでしょう。こういう条文をつくったについては、こうこうこういう場合、ああいう場合、いろいろな論議の上にできていると思う。そうすると、どういう場合に全部、どういう場合に一部、そういうことが全然なければ、こういうまとまり方にならぬ。したがって、額をきめるということになるとすれば、いま大臣がおっしゃったように、全部もある、あるいは一部もある。それじゃどういう場合に全部、どういう場合に一部、おおむねそういう背景について御説明いただかないと、文章だけではわからないわけです。そうでしょう。それでなければ意味がないのですから、その辺のところはどうですか。
  280. 坊秀男

    ○坊国務大臣 それは私は公害の具体的のケースが出てまいりませんと、こういったような公害には具体的にいろいろ態様がございましょうし、いろいろな姿がありましょう。そういったようなものがありますから、公害が現実に出てきた、その公害をとらえまして、それによって私はケース・バイ・ケースによって、全体の場合もありましょう、また一部の場合もあろうということでございまして、いまこういった場合にはどうだ、こういうようなお答えをここでいたしますのは、少し私は先走ったことじゃないかと思っております。
  281. 大出俊

    ○大出委員 つまり公害対策審議会ができて進んでくる過程というのはどうなってきたかといえば、現にここにも公害が山ほどこれは収録されておりますが、山のような公害があって、あっちもこっちもスモッグ警報まで出たり、四日市ぜんそくみたいなものもあったり、浮島なんかように、住民が追い出したような企業があったり、しかもいろいろやかましくなって、それで審議会をつくってやるというような今日、山のように公害がある。あったら、じゃない。あるからこそ、審議会ができて、あるからこそ、この法律を要綱から始まってくるようになった。してみると、法律を出す以上は、現在山ほどあるんだから、その世論の上に出ておるのでしょう。そうであるならば、四日市だっていろいろな例があります。だから、川崎の浮島町のように、いろんな例があります。あるいは都道府県知事が中止をさせたところだってある。そういうことを背景にして出ている法律だから、したがって、そういうものと離れて法律は条文をかってにつくったんじゃない、そこらのところを御説明願いたい。そうしないと、別途といわれるところを踏まえて申し上げておるのです。いまないようなことを言われても困るのです。
  282. 舘林宣夫

    舘林政府委員 今日このような種類の費用に関する法律上の負担規定はございませんが、現実に公害防止事業団が実施いたしております地方公共団体を主体とする公共的事業に該当する公害の保全地区のグリーンベルトといいますか、あるいは緩衝地帯といいますか、そういうものを設置いたしておる事例がございますが、それは千葉並びに四日市においてすでに工事にかかっておるわけでございます。それらの費用負担の企業側の負担割合は、三分の一ないし四分の一でございます。そういうものがすでに先例として設けられて、それが知事の調停のもとにそれぞれの負担者が一応納得して負担がきまっておるし、また将来におきまして汚水を処理する下水道のような特殊なものができまして、これを主として工場側の排水を処理するようなものを地方公共団体が事業をする。そのような場合に、一種の代理執行的な公共事業でございますが、このような場合にはあるいは全額企業側が負担するというようなことになろうかと思いますので、それらの事例を踏まえた法律設定を行なうわけでございます。
  283. 大出俊

    ○大出委員 これは大臣に重ねてもう一ぺん申し上げておきますが、これは妙な意味で言うのじゃないのですよ。先ほどのあなたの答弁に引っかかるわけじゃないけれども、将来に向かって公害があったら、こういう公害だからこれこれ、こういう公害だから全部、こういう公害だから一部、それじゃ困るのですよ。いまたくさんあるからこそ、将来に向かって公害を起こさないようにというのが、法律の趣旨なんです。全然逆です、大臣の言っているのは。公害があっちゃ困る。将来、こういう公害が起きたから、ぜんそくが起こったから、あるいは水俣病みたいなものが起こったから、この基本法で全部一緒にやるというのか。それじゃ人命にかかわってしまうわけです。将来そういうことを起こさないようにという前提に立って考えなければならぬ。だから、例をあげれば、横浜の磯子というところに電源開発の火力発電の一号機ができ上がっている。いま二号機をつくろうということになっている。しきりに横浜の理事者側に対して早くきめてくれ、早くきめてくれと言っておられるわけです。ところが、なかなかきめかねている。一号機の結果が、どのくらいあの周辺に公害という形で累を及ぼすかという点をもうちょっと慎重に考えたい。つくって、公害が起こって騒いだってしようがない。起こって騒いだときには、もうだれかがその犠牲になっているわけでしょう。だから、大臣の言うように、起こったのをゆっくりながめて、これはたいへんだから全額負担、これは一部負担というわけにはいかない。二号機をつくってからではなく、できるときに、いままでの前例から見て、これをなまで設置するようにすれば、原油その他をぶっかけて燃すのですから、だとすれば亜硫酸ガスがその辺に流れてくる。そうすると、この地域にこのぐらい公害が及ぶ、だから施設を取りつけなければならない、その施設の負担割合は、ということになる。そうなってからではいけないのです。そのことを別途法律できめようということでしょう。そうすると、あなたの答えたような前例があったからこそ出てきているのだ。これからじゃない。そこのところ、大臣のような答弁じゃ——厚生大臣なのですから、いまから起こってみてからというのでは、厚生省の責任上ゆゆしい問題ですよ。だから、厚生省の皆さんと一緒になって、横浜市の場合は皆さんのほうからお出かけいただいて、七月二十日、二十七日の二回大気拡散調査ということにしているわけですよ。一号機の結果をやってみて、そうして二号機設置については、この法律の趣旨に沿うように早く企業側と理事者側その他を含めて相談をしてきめられる割合はきめて、防止対策を立てる、こういうふうに進めていこうということになるわけです。そういう趣旨で、厚生省なのですから、通産省じゃないのですから、しかも法律の所管省だから、そういうことで別途おきめになるにあたっては、いまのような先例がありますが、できる限り企業責任ということをお考えいただいて、そうして公害を未然に防ぐという形で科学的なものを算定していただきたい、こういう趣旨です。大臣いかがですか。
  284. 坊秀男

    ○坊国務大臣 いかにも将来公害があったらというようにおとりになったようでございますけれども、あるいは私の舌足らずかもしれません。公害基本法は、現に起こっているいろいろな公害につきましてこれを処理するということが一つと、それから御指摘のように、将来できるだけそういったような公害が起こらないような措置をとっていくための基本方針と、両方あると思います。いままでは、公害が起こっても、この措置をとるにあたって遺憾の点も万々あったであろう。そういうようなものをできるだけ迅速に責任をもって処理していくということが一つ、将来できるだけ公害を未然に防いでいこう、こういう二つの趣旨であろうと思います。こういうふうに理解いたしておりますので、もし前言をそういうふうにおとりでございましたら、私の舌足らずであったかもしれませんので、御理解を願います。
  285. 大出俊

    ○大出委員 了解いたします。理屈はすでに通産省のところで申し上げてありますので、多く申し上げません。所管の省である厚生省ですから、より一そう前向きで御努力をいただきたい。せっかくこの際公害部をおつくりになるわけですから、一元化といっても、なかなか今日の実情、できがたい状態にある。してみれば、ほんとうにどこかの省が一生懸命になってやっていただかなければ、逆に通産省のような企業の振興という問題が片一方にあるということになると、そちらに引っぱられる形になるのであります。そういう点で厚生省の役割は大きいのではないか、こういう気持ちでございまして、そこだけ明らかにしておけばいい、こういうことでございまして、時間の関係もございますから、公害問題はそういうことにしていただきたいと思います。  それから、これまた設置法にございますので確かめておきたいのでございますけれども審議の場所でございますので明らかにしておいていただきたいのでございますけれども、身体障害者の保護費という形で新しく——この額のほうはともかくとして、形の上では非常に画期的なものが前向きにあらわれている、こういうふうに実は私ども理解ができるものが幾つか見られるわけですが、その辺についてどれとどれということと、それからいまの段階は、まだ予算の査定が終わりまして、片や身体障害者福祉法の一部改正等が出てきている段階でありますから、具体的なところについてはわかりかねるわけでございますので、いまお立てになっている、あるいは法案を提出したことについてお持ちになっている構想というふうなものを、新しく予算化されたものについてひとつ御説明をいただきたい、こう思います。
  286. 蔵田直躬

    ○蔵田説明員 お答えいたします。今回の改正は、新しい施策が四本入っております。その第一点は、従来は外部障害者だけでございましたのを、今回は呼吸器と心臓の機能障害者を身体障害者として取り入れる、これが第一点でございます。と申しますのは、ハンディキャップのある点では外部障害者と何ら変わるところがない、またリハビリテーションも可能であるという見地から、さしあたってこの二つの疾病だけを新たに取り入れることになりました。それが四十二年度予算で約三万二千七百人という数字でございます。  それからその第二点は、身体障害者相談員という制度を設けまして、これに身体障害者のいろいろな相談に応ずる、あるいは必要な援助を行なわせるという仕組みを新しくつくるわけでございます。これは都道府県知事が委託しまして、民間のボランティア活動としまして、全国に二千人配置する予定でございます。これはボランティア活動でございますので、月に三百円程度の実費弁償を差し上げたい、それでいろいろいま申し上げた活動をお願いするということでございまして、これは身体障害者のほうの団体などの御要望もございますので、そういうふうな仕組みで——ほかにも二、三例がございますが、それらにならいまして、こういうふうな制度を新たに設けることにいたした次第であります。  それから第三点といたしましては、市町村は、日常生活を営むのに非常に支障のある身体障害者、いわゆる重度の身体障害者に対していわゆる家庭奉仕員、ホームヘルパー、これを派遣するというふうな制度を新たに設けることにいたしております。これは予算案上は二百六十人、これは先ほどの身体障害者の相談員とは違いまして、月に一万六千五百円の俸給をお払いしてお願いするわけでございます。  それから第四点といたしまして、従来、私どもの施設がございますが、全部収容して訓練なり授産をするというたてまえでございましたが、新たに通所、いわゆる外から通ってこられるというような制度を取り入れて、入所とあわせて通所の制度を新たに設けた点でございます。  大体いま申し上げた四つの柱が、今回の改正案の四本柱、そういうふうに申し上げられると思います。
  287. 大出俊

    ○大出委員 いまボランティア活動という意味のことをおっしゃいましたが、この中には重症者、重症児等も含む、こう解釈していいわけですね、全体をさすわけですね。
  288. 蔵田直躬

    ○蔵田説明員 これは身体に障害のある人の相談に応ずるということでございますから、さように解釈いたしております。
  289. 大出俊

    ○大出委員 外国の例を少し調査している人たちのもののまた読みの感じなんですけれども、「両親の集い」という全国重症心身障害児を守る会の方々のものなんですね、これは毎号読んでおりますけれども、ここにボランティアのページというのがありまして、いろいろ紹介をしております。この中でオランダのハーグだとかあるいはハワイなんかも、これはだいぶ具体的に例が出ておりますが、二百人の会員をつくったりして交代で行って手帳をつくってやっておるわけですね。非常に至れり尽くせりという感じがするのですね、全部がもちろんそうではありませんが。ところが、これは施設の場合ですが、国の管理に移ってきた後と以前とを比較してみると、重症児の施設というと、これはもう全然動けない諸君ですから、そういう意味では脱臭の装置をつくったり何かして、国の施設になってから全くりっぱに変わった、特有な悪臭がなくなったという形です。これは日本の今日ある施設の中でも、重度、重症の方々のところに参りますと、そういう非常な悪臭のあるところが多いわけです、私も何カ所か歩いておりますけれども。ところが、それが非常に大きく変わってきておる。かつまた、ボランティア活動が並行して盛んになってきておる、こういうわけなんで、今回そういう意味ではほんとうのはしりだという気がするのであります。そこで念のためにお聞きしたいのですけれども、重症児あるいは重症者、もしその区別がわかれば両方教えてほしいのですが、水上勉さんがかつて総理に手紙を出されて以来、再度国はうそばかり言って困るじゃないかという、これは手紙じゃないですが、ものの本に発表しておりますね。やるやると言ったってさっぱりやらぬじゃないか、何しておるんだ、こういう発表をされておったりするわけですね。その中に、いつになったら一体正確に重症児はこのくらいあって、しかも重症者はこのくらいあって、重度といわれる諸君はこのくらいあってというふうに分明になって、しかもどうしても収容が必要だという諸君はこのくらいあって、したがって、施設はこのくらい足りない。足りないからその点については国民諸君に協力を求める、ボランティア活動等についてももっと盛んにしてくれ、なぜそう言わないかという、そこらのところについて御説明をいただければ、その後時間がたっておりますから、また年金等の関係等で調べよくもなっておるわけですから、お知らせいただきたいと思います。
  290. 渥美節夫

    ○渥美政府委員 重症心身障害児あるいは重症心身障害者に対する問題についてのお尋ねでございました。私ども重症心身障害児あるいは重症心身障害者と申しますのは、重度の精神薄弱と重度の身体障害あるいは肢体不自由、こういうのが重複してある、こういうような方々を重症の子供あるいは重症のおとな、こう称しておるわけでありまして、この対策につきましては、昭和三十八年以来、いわゆる法外の措置といたしまして少しずつこの施策を講じてきたのでございますが、その後、昭和四十年八月にこういった方々の実情を調査いたしたわけでございます。その結果によりますと、十八歳末満の子供の方々が一万七千三百人、こういうふうな数字が推定されます。おとなの方、つまり十八歳以上の方が約二千名、合計いたしまして一万九千三百名という数字が出てきたのでございます。さらに、この調査におきましては、同時にこういった方々でどうしても施設に収容しなければならない、あるいは家庭におきましても、あるいは保護者においても、こういった方々を自分の手元に置いておかないで施設に入れたい、こういうように希望されておる方が、この一万九千三百人の中で一万六千五百人、こういうふうなことであったのでございます。したがいまして、私どもといたしましては、特にこういった施設の不備を非常に感じたのでございまして、昭和三十八年以来、少しずつ民間の施設に対しまして補助を出しまして、あるいは施設に収容された方々に対しましては、いろいろの国でその生活費あるいは医療費を見たのでございますが、本年の三月末におきまして、こういった民間の施設が十二カ所、ベッド数といたしまして一千百十一床、それから国立の施設といたしまして十一カ所、五百二十床、合計いたしまして一千六百三十一床、こういうふうな数字の施設ができ上がったのでございまして、本年もさらにこの施設収容の施策を講ずることといたしておりまして、国立施設といたしまして六百床、公法人、民間の方々あるいは県立の施設等約五百床、合計一千百床ばかり本年度におきまして増設したい、かように考えております。しかしながら、いずれにいたしましても本年度末におきましても二千六百床くらいございまして、非常に少ないわけでございます。したがって、私どもといたしましては、昭和四十五年に八千床を目途といたしまして、いま計画を立てておるわけでございます。しかし、いま申し上げました収容施設に収容することが必要な一万六千という数字に比べますと、約半数ということではございますけれども、目下急途にこの施設の増加をはかっておるというのが、現状でございます。
  291. 大出俊

    ○大出委員 たいへん御努力をいただいたわけですが、私は、実は昨年の初めごろから重障児ブームというようなことばが世の中にいわれて、なぜならばリハビリテーションの対象にならない方がほとんどあるというふうなことで、橋本さんが団体の集まりに大臣の代理で行って、公式の辞を読まずに、自分の感想をしゃべった。非常に世の中の関心を引いて、進んで行くということになって、親御さんにしてみれば、非常に気強かったと思うのです。ところが何かブームが終わっていくような感じさえするのが、歩いてみて私の昨今の気持ちです。私も以来重症心身障害児を守る会の方々のお宅を何軒か歩いてみましたが、とにかくある程度の年令になりますと、手の指はまくれて伸びたままで、目はどっちも動かないで、それこそ寝たつきりです。ところが、団地に住んでいるということになると、ふろにも持っていきょうがない。ビニールのふろ——ふろにならないです。うちの中でかまでわかすというようなことで、たいへんなことですよ。口が動かせないから口が化膿するというようなことで、たいへんな手がかかる。しかも、いまのお話は、十八歳以上が二千人とおっしゃる。これは親御さんの手を離れたときに、たんがのどにひっかかってそれっきりになってしまう方もあるようですから、そういう意味で十八歳以上の方が少ないという気がするけれども、この方々がうちにおられたんでは、感情的な問題は抜きにして、家庭は暗くなる、仕事はできない。子供さんは一人でない、何人もできるわけですから、こういう方々の家は一般的生活レベルが非常に低いという定説があるけれども、そうじゃなくて、そうなると働けない、そうならざるを得ないわけです。そうだとすると、これはいまのようなムードなどといわれるものでなく、もっとそういう雰囲気を世の中にもつくり、国の施策の面でも前へ出して、どうしても十八歳以上の方、しかも年輩の御老人になれば、両親が死んだあとどうするんだということになってくるわけですから、そういうことについては国が責任を負うべきだということになる。日本の場合は、リハビリテーションの対象になる方々が先行してきた歴史があるわけですが、事実は逆ではないかと思う。そういう点を、いま四十五年八千床を目途としてと言われることも非常にいいわけですが、そういう点はもっともっとお互いに努力し合わなければならぬ。  そこで、実はひとつ承っておきたいのは、四十一年度予算から重障児の施設をつくるからということになって、四カ所から始まって八カ所に云々ということがありました。そこで、私のおります神奈川県でも、そういう方がたくさんおりますので、何とか神奈川にもつくってくれないかということを、時の与党である安藤覺さんと一緒になって、全くこれは政党政派でなくやってみた。県知事にも話をし、副知事にも話をして、そうして神奈川では国立病院、それに類する公共の療養施設の院長さんに全部県に集まっていただいて、とくと相談をして、どっかでかかえてくれないかという話までした。ところが、国の予算の内容その他逐一検討していくと、結核療養所の広いところであっても、そういうところに入れるについては、療養所の性格等からいきましても、どういうふうに区切ってやるかということがむずかしい。とうとう院長さんたちはうんと言わない。そういう事実が現実にある。そうなると、私が知りたいのは、昨年の予算を全部使って、完全にでき上がっておるのかどうかという点と、完全にできたとするならば、それは新たに建てたのか、どこかの療養施設の中にベッドを借りるとか、あるいはそこに継ぎ足すとかいうことになっておるのか。本年の見通しに立って、四十二年度は昨年と比較してどう変わっていくのかというふうなところをお知らせいただきたい。
  292. 渥美節夫

    ○渥美政府委員 重症心身障害児施設の整備の問題でございますが、その前に大出先生に申し上げますことは、重症心身障害児と申しましても、重症心身障害者、十八歳以上の者でありましても、これはむしろ年齢の別なく取り扱っていくという必要があるわけでございますので、児童家庭局におきまして、子供につきましても、おとなにつきましても、重症心身障害の場合には取り扱うということで進んでおります。したがいまして、施設の整備につきましても、子供、おとなの区別なしにベッドを考える、こういうたてまえでございます。いまの御質問の中で、国立の分と民間といいますか、県と民間と二つに分けて考えなくてはならないわけでございまして、国立の場合におきましては、国立の療養所の一角に新しく、大体四十床を一つのユニットといたしまして、病棟をつける、新設するということでございます。それが、先ほど御説明申し上げましたように、昭和四十一年度予算におきまして五百二十床、これができ上がったわけでございます。それから民間の場合は、社会福祉法人立、御承知のように、びわこ学園でございますとか、島田療育園でございますとか、ああいう部類でございますが、こういったものにつきましては、新営費の半分を国費で補助するということでございます。残りの半分のうちの半分は、都でございますとか県とか、こういうものが予算を計上するということになっておるのでございます。  そこで、問題はその施設の増設の問題と同時に、従来からこういうおとなの方あるいは子供たちの療育費についても、多少問題があったわけです。この単価が多少安いというふうな問題があったわけでございますが、本年におきましては、こういった療育費の単価も、ほとんど実情に沿う程度増額をいたすと同時に、特にこういった子供たちあるいはおとなの世話をする方々の給与の問題、処遇の改善という問題を、ことし非常に重点を置きまして、国立の施設につきましては、いわゆる五号調整額二〇%を足す。民間の施設におきましても、大体これにならうような加算を計上しておるということで、一時に比べますれば、相当実情に沿った運営ができるようになったと思います。予算といたしましては、四十一年度の予算額がおおむね九億八千九百万円くらいでありましたが、本年度におきましては、コロニーの新設の分を含めますと二十一億、こういうふうに格段の進歩をしておる。われわれとしても、この問題は重点といたしまして、進めてまいりたい、かように考えております。
  293. 大出俊

    ○大出委員 まだ質問を申し上げなければならない点が設置法のからみ合いからありますけれども、実はここで、先般文部省設置法の改正のときに、厚生省との関連がございまして、御質問申し上げた件の結着を先につけておきたいと思いますので、それを先に質問させていただきたいと思います。これは先般八田先生とのほうの理事会での話し合いもございましたので、先に申し上げたいと思います。したがって、六つばかり残りましたが、お許しを得たいと思います。  と申しますのは、診療エックス線技師法が先般の国会に提出されまして、紆余曲折がございましたが、とにかく解散というところまで審議を継続されましたけれども、流産したわけです。これには確かに改正のときにもめたところの一種、二種というような問題とからみ合いまして、医師会の意見もあったり、あるいは技師学校の校長さんの意見があったり、当初は自治省との関係大臣免許の問題があったり、いろいろなことがございました。簡単に申し上げますと、今日の診療エックス線そのものの発展の度合い等からいきまして、新物療法とか、コバルト60とか、その他のこれに類する相当高度なものを扱う。したがって、どうしても二年制では十分でない、こういう理由が私の質問の中で明らかになっておるわけです。だからこそ、国立の文部省の傘下にあるところの十のエックス線技師学校の諸君の旧来二年制の教科を、数年前から少しずつ三年制をつけ加えてまいりまして、おおむね十校全部、先生もふやして、やりたい人にはおやりくださるようにしようというわけですね。この傾向をながめたときに、もとになる法律なんですから、文部省傘下でない一般のところに、それでは現実問題として、三年制がどんどんできるかというとできない。そうなると、やはり法律改正がどこかで行なわれなければならない段階に来ている。必要上当然そうなる。だから、三年制をつくると文部省の関係のほうで言っているわけですから、その辺について、先般のときには、衛生検査技師法との関係等も含めて申し上げましたが、まだ最終的な結論を厚生省としては得ていない、実はこういうお話だったわけでありまして、しからばひとつ御検討をいただきたい、すみやかに検討いたしましょうということで、あらためて大臣のおいでになるときに承りたい、こういうことにして一おったわけでありますが、その後どういう経過になり、現在どうお考えになっておるかという点について、御答弁をいただきたいのであります。
  294. 若松栄一

    ○若松政府委員 前国会に診療エックス線技師法の一部改正法案を提出いたしました。それが、結局審議を見るに至らずして廃案のうき目に結果としてはなってしまったわけでありますが、その背景には、結局法案提出の時点におきまして、大体関係者の意見もそろったという認識が得られたのでございますけれども、残念ながらその後にさらにいろいろな意見が出てまいりまして、その間の調節がつきかねたという実情でございます。  この法案が流れまして、それでは新たにもう一度出すという段階に至りまして、また一部には、従来の厚生省原案をそのまま出せという意見もございました。また一部の団体では、新しい法案を準備して、この法案でいってくれという意向も出てまいりました。この新しい法案と在来厚生省が出しました法案とでは、かなりニュアンスが違っております。本質的な点に大きな相違がございませんけれども、細目はかなり違っております。特に関係団体の意見を調整するのに非常にむずかしい技術的な問題が、二、三ございます。そういうようなために、現在なお関係団体の意見がまとまらないという状況でございまして、おそらく今国会に再び提出するということは、困難な状態ではないかと思われます。しかし、先ほど先生の御指摘がありましたように、放射線診療機械は刻々に進歩しております。そして現在すでにリニアアクセレレーターであるとか、ベータトロンであるとか、あるいはコバルト60というような、きわめて最新式の機械がたくさんできております。しかし、なおその機械は、総体といたしますと、まだそれほど数は多くございません。したがって、すべてのそういうエックス線あるいは放射線関係の技師を、全部三年制にいま一挙にしなければならぬという状態にはなっていないと思うのであります。しかし、一応必要であり、しかも現にその教育が行なわれておるという事態から見まして、私どもも、早急に両建ての制度が実現するようにすることが、現時点においては最も適当であろうと考えておりますので、できるだけ早い機会に意見調整の上で、できるだけ近い国会に提出するように努力いたしたいと存じております。
  295. 大出俊

    ○大出委員 時間がありませんので、もう一つだけ簡単に伺いたいのですけれども、両建ての制度というお話だったのですが、この一種、二種というふうに前の厚生省原案で規定をいたしましたね。放射線技師一本でいけとか、一種、二種とかもめましたね。結局既存の、現在レントゲン技師である方々、エックス線技師である方々、この方々が、三年制ということに将来なった場合に、経過的な措置を含めてどうなるかという点、これが意見の分かれるところの中心だったんだと、私は思うわけであります。というのは、もっと平たく言ってしまえば、現在診療エックス線技師をやっておられる方々が、新しい制度に適合すべく、たとえば講習を受けても、あるいは特例教育を受けても、受けられる町の中心に住んでおる方はいい、いなかはどうするかという問題もありましょう。いつまた、受けても、いま医者の方々に国家試験受けろといったら、全部受かりゃしないじゃないですか。みんなあるいは耳鼻咽喉科なら耳鼻咽喉科と専門的になってしまうというわけですからね、いまになって国家試験を受けるなどしてみろと言ったら、何人受かるか。いまエックス線技師やっておる方は、三年制になったのだから、全部一年間勉強して大臣免許取れ、こう言われたら、まして年とって頭がかたくなって、専門的なことしか頭にないだろうから、できやしません。それをなべて経過措置ということで、全部格づけが違うのだ、試験受けて受からなければ上がっていかないのだ、大臣免許にならないのだ、都道府県知事免許だということであっては、承服できがたい、そういう意見があった。だから、新しく出てきておるというお話しになったのは、試験制度にしないでくれ。勉強はする。一生懸命新しいものに食いついてやる。また自分の職業だからやっていく。やるけれども、試験ということでやられると、受かる人もあれば受からぬ人もある、こうなってしまう。だから、そうでなしに、一定の年限ということで、これこれ必要なものは教育を受ける。しかし、早い話が、年寄り一代制みたいなものですよ。その人一人限りは差別を設けないでやってもらいたい。医師会の諸君の一部の方々、あるいは全部かもしれませんが、その考え方は、そういうことだと思うのです。とにかくそこのところに一つ問題がある。逆にまた身分法だから、そういうわけには参りませんという意見も出てくる。ここだとぼくは思うのですよ。だから、そこのところがあるからというので、現に国民医療という面で三年制にしなければならぬ段階にきておるのに、法律は出しかねるということで済むかというと、済まないはずなんですね。でなければ、文部省の設置法のほうで、先生までふやして三年制のものをこしらえておくなんということは、基本になる法律がどこかにいってしまっておるのですから、おかしな話になる。だから、そこらのところを出しかねるということでなしに、何とかしてこれをまとめるというふうに厚生省はお考えにならぬのかという点をただしたいわけです。こっちがずっと延びていきますと、いま衛生検査技師がそうです。この方々と診療エックス線技師法との違いは、三十三年ですか、ここに八田先生いらっしゃいますが、三党の共同提案で、八田先生提案者で議員立法ですよ。これは名称規制です。検査技師の名称を規制したわけであって、その方々が二万人くらいおられる。衛生検査技師でないが、業務規制でないから、やっておられる方々が一万何千人かおる、こういう状態ですね。この分野では、名称規制か業務規制かというところだけ一致すれば、この衛生検査技師法の改正をするとすれば、経過措置ということで診療エックス線とそう変わらない問題が出てくるわけですね。そこで、片一方の衛生検査技師というもののほうは、診療エックス線技師法の改正の成り行きを見ていたわけです。これがずっと延びていきますと、衛生検査技師のほうだって、医者がやっているのを最近は衛生検査技師がみなやっているわけです。対応療法としては衛生検査技師の分野できちっとやっていかなければ、医者の処方が立たないわけだから、そうなると、こっちの関連も出てくる。逆にそうなれば、議員立法でもなんでも衛生検査技師法の改正案でも出そうじゃないかという動きさえ一部出てくる、いまこういう段階で、相関連する問題があります。したがって、まとまらないというのでなくて、ひとつもう一ぺん何とかそこのところをまとめて——三年制にするのは必要なんですからね。だから、必要なことを教育を受けさせる必要があるのだから、その意味で、前向きでこれを何とかまとめて、日の目を見て、三年制のものは三年制になっていく、それだけの教育課程を経ていくということにすべきだと思うのです。そこのところはどうですか。
  296. 若松栄一

    ○若松政府委員 二本立てと申しましたのは、先般の国会へ提出いたしました厚生省の法案が、放射線技師と従来の診療エックス線技師と二本立てになっております。  そこで、先ほども申しましたように、新しい考え方の放射線技師でなければ従事できないようなリニアアクセレレーターであるとか、ベータトロンであるとか、コバルト六〇というような診療設備というものが、現在リニアアクセレレーターがわずかに四台、ベータトロンが十四台、コバルト六〇が約二百六十程度。医療機関の数で申しますと、病院が六千あり、診療所が六万あって、レントゲンの数というものはどのくらいになるか知りませんが、十万で数える単位にあるわけです。その中で、三年制の資格教育を受けた有資格者でなければ扱えないものというのは、いま申し上げたように非常に数が少ない。したがって、現段階では、すべてのエックス線技師を全部放射線技師に格上げするという必要は現実の需要としてはないということは、また明らかな事実であろうと思います。そういう意味で、すべてのエックス線技師が試験を受けて、放射線技師にならなければならぬのだという客観的な要請はございません。しかし、現に三年制の人を要求しているという事態は、これまた厳然たる事実でございますので、すべての人を過渡的に格上げしていくというような措置が適正であるかないかは別といたしまして、少なくとも三年制の養成施設を認め、それの資格をはっきりさせるということは、ぜひ必要でございますので、できるだけ早急にそのような方向で意見をまとめたいという所存でございます。
  297. 關谷勝利

    關谷委員長 次会は、来たる二十五日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十二分散会