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1967-05-18 第55回国会 衆議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十八日(木曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 關谷 勝利君    理事 伊能繁次郎君 理事 塚田  徹君    理事 八田 貞義君 理事 藤尾 正行君    理事 細田 吉藏君 理事 大出  俊君    理事 山内  広君 理事 受田 新吉君       荒舩清十郎君    内海 英男君       桂木 鉄夫君    塩谷 一夫君       高橋清一郎君    藤波 孝生君       武部  文君    楢崎弥之助君       浜田 光人君    山本弥之助君      米内山義一郎君    吉田 之久君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 三木 武夫君         通商産業大臣  菅野和太郎君         国 務 大 臣 二階堂 進君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         科学技術庁長官         官房長     小林 貞雄君         科学技術庁計画         局長      梅澤 邦臣君         科学技術庁研究         調整局長    高橋 正春君         外務政務次官  田中 榮一君         外務大臣官房長 齋藤 鎭男君         通商産業大臣官         房長      大慈彌嘉久君         通商産業省貿易         振興局長    今村  曻君         通商産業省企業         局長      熊谷 典文君         中小企業庁次長 金井多喜男君  委員外出席者         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 五月十八日  委員井村重雄辞任につき、その補欠として田  中角榮君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田中角榮辞任につき、その補欠として井  村重雄君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一三号)  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九号)  在外公館名称及び位置を定める法律及び在外  公館に勤務する外務公務員給与に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第一〇号)  通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一七号)      ――――◇―――――
  2. 關谷勝利

    關谷委員長 これより会議を開きます。  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、これを許します。受田新吉君。
  3. 受田新吉

    受田委員 改正法案に直結する問題をとらえてお尋ねをいたします。  この科学技術庁というお役所は、科学技術行政につきましては、少なくとも各省にまたがる関連行政統一して、よく調整する責任のある役所であり、またそれを推進する役所であると判断をします。にもかかわらず、この改正案にも指摘してあるとおり、科学技術庁そのものが、科学技術各省にまたがる分化的現象を一向統一することができておらぬ。特に宇宙開発推進本部というものが厳として存在しているにかかわらず、その権能というものは、たとえば東大航空宇宙研究所あるいは郵政省の所管の通信衛星の問題、防衛庁のこれに関連する衛星問題等を、どこで科学技術庁統一し、宇宙開発行政一元化をはかろうとしておられるのか。この間も、郵政大臣がかってにこの宇宙開発行政一元化閣議発言しておられるようなことも、報道で伺っておるのです。これは科学技術庁長官がおやりになることなんです。よその省の方が御放送になるというのは、筋違いではないかと思う。この法案に直結する問題として、長官の御答弁を願いたいと思います。
  4. 二階堂進

    二階堂国務大臣 科学技術行政の問題について、いま受田先生からお話がございましたように、本来の調整機能とか、あるいは科学技術振興の姿勢についての一元的な体制というものができていないじゃないか、こういうことでございますが、お説のとおり、私もそういう感がないでもないわけでございまして、特にいま御指摘になりました宇宙開発の問題につきましては、すでに実用衛星時代に今日入ってきておるときでもございますので、この実用衛星を打ち上げる業務等のことに関連いたしまして、最近私も一元的な機構をつくる必要があるということを力説してまいっておるのでございます。郵政大臣一元化の問題を閣議において発言をされたというおことばでございますが、実はこの問題は、私が閣議において二回も、先ほど受田先生のおっしゃったようなことを痛感いたしまして、どうしても実用衛星時代になってきておる今日、研究大学において行なわれており、また関係各省においても違った目的のためにつくられるものの打ち上げが進められておるというような実情でもございますので、やはりわずかな国の金と頭脳を有効に使う、そして効率的に運営をしていくという上には、どうしても一元的な機構というものが必要であるということを発言をいたしまして、その趣旨に賛成しての郵政大臣の御発言であったわけでございます。そこで、宇宙開発につきましては、従来、十カ年余りにわたって、東京大学中心になって、宇宙空間の探険、科学的分析等をやってまいっておりましたが、さらにこれをビッグサイエンスというような大型のプロジェクトとして取り組んでいくためには、どうしてもそこに一元的な打ち上げ機構というものをつくる必要がある。それに郵政省も、運輸省も、あるいは気象庁も、あるいは建設省も、いろんな形での衛星を打ち上げようという計画もございますので、そういう打ち上げをする機構というものを一つにまとめることが大事だと思いまして、いま関係各省とも密接な連携を保ちながら、できるだけ近い機会に一元化構想というものをまとめてまいりたい、こういうふうに考えております。このことにつきましては、どこまでをこの機構でやるのか、いま大学とかあるいはそれぞれ関係各省において研究されておりますそのもの自体も含めてやるのかというようないろんなこまかい議論もございますが、そういうことなども含めまして、一元的機構がもしできるとすれば、そういう機構が持つものの範囲というものをもう少し明確にして、できれば宇宙開発に関する長期的な計画というものを立て、政府の方針を明確に出して、そして打ち上げる責任体制というものをば明らかにしていきたい、こういう考えで、目下私の省が中心になりまして、それらの一つの試案というものを作成しつつあるような次第でございます。
  5. 受田新吉

    受田委員 大臣の御熱意はよくわかります。ただし、たとえば東大宇宙研究の打ち上げロケット失敗、また内之浦の実験の中止、こういうような、宇宙開発推進本部ロケット及び人工衛星の打ち上げ等に関して各行政機関統一をはかって、むだな金を使わないようにという設立の趣旨に反するような現象が起こっているわけですね。ところが、今度の改正案を見ると、委託に応じて人工衛星追跡を行なうということが一項入っておる。従来も、ロケット及び人工衛星の打ち上げ及び追跡を行なう任務があるのです。あるのに、委託業務一つここに入ってきておるわけです。ちょっとここでお尋ねしたいのですが、委託業務というのは、どういうことになるのですか。
  6. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 お答え申し上げます。ただいま長官から御答弁ございましたように、一元化機構がどのような形に相なるかということは、最終的な形がまだ検討中でございますので、具体的に申し上げることをはばかりますけれども、たとえば文部省の衛星というようなものができました場合も、これを委託して行なうこともございましょうし、あるいは各省庁の衛星各省庁がつくりました場合におきましては、これを委託を受けまして、打ち上げ業務は一元的に行なうということを意味するわけでございます。ただし、その衛星自体開発がどうなりますかという今後の推移によりまして変わりますけれども、現時点におきましては、各省庁がそれぞれ衛星計画をいたしておりますので、そのような場合を想定できるものと存じます。
  7. 受田新吉

    受田委員 どうもはっきりしない点があるのですが、各行政機関でそれぞれ人工衛星研究が進んでおる。運輸省であるならば気象衛星というものがあるし、郵政省であるならば通信衛星というものがある。航海とかあるいは放送等関係する衛星各省研究されており、国立大学にはそういう専門機関東大に設置されておる。そうすると、宇宙開発推進本部そのものは一体何をやっておるのか。委託とかいう議論は乗り越えて考えても、宇宙開発推進本部自体中心になって、そこを根拠にして各省のそうしたロケット及び人工衛星の打ち上げ等の宇宙開発推進がされなければならないのに、予算関係などで科学技術庁が終始冷遇されておるということであるならば、思い切って予算を大いにお取りになっていただきたい。少なくとも科学技術の基本的な行政推進する役所は、私は科学技術庁だと思う。科学技術庁他省に圧倒されるような現象では、科学技術庁を設置した意義が私は成り立たないと思う。科学技術庁が、特に宇宙開発については宇宙開発推進本部が、陣頭に立って他省を圧倒するようなリーダーにならなければいかぬと思うのです。現実現象はそうなっていない。他の行政機関に圧倒されておるような印象さえ受けておる。特に多額経費を節約する意味宇宙開発推進本部法的基礎を付与されておる現実から見て、ひとつ御意見を伺いたいと思います。
  8. 高橋正春

    高橋(正)政府委員 お答え申し上げます。受田先生の御指摘、まことにそのとおりと存じますが、ただいままでの宇宙開発推進本部業務は、昭和三十九年の二月に得ました宇宙開発審議会答申に基づいて開発本部が設置されました、その際に本部の担当いたすべき業務といたしましては、「人工術星開発製作」、これの要するに共通的な部分、それから「気象等実用化ロケット早期開発」、「ロケットの能力のかん養」、これは主といたしまして液体ロケット開発でございます。それから「各種観測計測機器開発」、この四つの事項を達成するために、さらに先生から御指摘のございましたような、各省庁が重複いたしまして、しかもこのためには多額経費を要する、こういうものにつきまして宇宙開発推進本部がこれを行なうということになっておったわけでございます。  なお、現実の姿を申し上げますと、打ち上げますべき人工衛星の種類と申しますか、こういうものが、日本技術的な段階のみならず、いろいろ国際的な問題ともからみまして、これはたとえば国際的の外国衛星利用等の問題でございますが、そのような諸般の事情から、実は昨年の八月に「人工衛星の打ち上げおよびその利用に関する長期計画」ということにつきまして、宇宙開発審議会から建議をいただいておりますが、その際にもなお明定いたしておりません、その建議ができました後に、関係各省のほうでこれに基づきまして今後打ち上げるべき衛星をいろいろ開発しようという機運が高まってまいりましたので、そのような点につきましても、今後の長期計画とそれに伴いましての一元化体制考えますときに、十分に配慮して考えたいと思っております。いままでの現実の姿は、先生の御指摘のとおりだと思っております。
  9. 受田新吉

    受田委員 長期計画の樹立とその実践という問題にこれから乗り出していくわけですが、私、昭和三十五、六年ごろからこの委員会で、宇宙開発推進のために科学技術庁陣頭に立つことを提唱して、私が提唱してから四年も五年もたってから宇宙開発審議会が設置されたというような現象が起こっておる。とにかく科学技術庁は終始人のしり馬に乗るようなかっこうで、科学技術行政を進めておるような印象を受けておるわけです。それで、他省に圧倒されてきているわけです。役所が、スタートでおくれたということも原因しておると思うのだが、特にロケット人工衛星等研究、試作も、権限として持たれておるような状況です。国立大学研究所のようなものは、これは単に一大学研究所であって、国家の宇宙開発研究機関としては新宅立場にあるもので、本家がとろっとしておって、新宅ばかりが景気をつけておるような印象を与えておるわけです。この点、宇宙開発の基本の役所らしい仕事を、いま局長もこれからというお話でございますが、これからを少し計画的に、しかもリーダーになる役割りを果たすごとくにやっていただきたい。この間も委員会議論になった原子力船のようなもの――これは原子力のほうへ発展しますが、これでも、ばかげた金を使って、それがまだ成功するかせぬかわからぬような問題に多額の金をかけておる。むしろ原子力を用いた電源開発、こういうところをもっと力を入れて、これは採算上火力や水力よりももっと強大に、熱資源を獲得するのには原子力を用いるほうがいいというような答えが出ている以上は、そういうほうへ力を入れるというようにしてもらって、金の使い方をもっと有効に、適切にやってほしいと私は思うのです。そこにやはり科学技術行政推進する科学技術庁が、各省関係研究統一する責任がある。すでに科学技術会議はこういう答申をしています。国立科学技術研究機関というものを、こういう大気汚染のきびしいような大都市でなくして、ずっと空気のきれいなところへ一括して研究学園都市を建設すべきである。国立研究学園都市というものが成立をすることを好ましいと思うという答申も得ておる。そういうものをむしろ科学技術庁が真剣に取っ組んで、各行政機関宇宙開発も、またその他の科学技術も、そうしたあのほんとうにきれいな空気の澄んだ、また公害の被害を受ける影響力の少ないような場所で、知能をすぐって、各省のエキスパートもそこで互いに連絡調整をはかりながら研究できるような、そういう問題を真剣に取っ組んでいくほうが、私はいいんじゃないかと思うのです。この国立科学研究機関の新鮮な地域での研究学園都市をつくるという構想は、せっかく科学技術会議が御意見を述べておられるのに、これをどういうふうに進めようとされておるか、これは大臣から御答弁願いたい。
  10. 二階堂進

    二階堂国務大臣 いま科学技術行政についての御激励を賜わりまして、非常に意を強くする次第でございますが、私も、今日まで政府無為無策であったとは考えておりません。しかしながら、科学技術の目ざましい今日の進展の状況、特に世界における状況等考えてみますると、これはもうおっしゃるとおり、強力にこの施策を進めていかなければならない。外国におきましても、技術を制するものは経済を制するとか、あるいはヨーロッパ、アメリカ等政治家、外交の舞台におきましても、技術格差という問題が非常にやかましく論議されて、OECDの中にも、技術格差をどうして縮めていくかという問題で一つ専門部会ができておる、こういうような状態、特にまた資本の取引の自由化を控えた今日、技術経済を制するということになるという心配もなきにしもあらずでございます。しかもまた、いろいろなプロジェクトが大型化してまいっております。この大型化した宇宙開発の問題あるいは原子力平和利用推進問題等考えてみましても、これはやはり官民一体となって総力をあげていかなければならない時代がきておるということを、私は痛切に感じております。しかも、そういう時代に、わが国におきましては、軍事目的でそんなものをやっておるんじゃないので、真の平和目的のみに限っていろいろなことを進めていく。この現状アメリカとかその他の国に比べてみますと、軍事目的のために相当な金がつぎ込まれている。そうして長足の進歩を来たしているというようなことなどを考えてみますと、少ない金で、しかもわずかな頭脳を有効適切に使うためには、やはりおっしゃったような大きな研究施設とか、共同研究をする場所とかいうものを早急に整備して、そしてこの大勢におくれをとらないという施策を講じていく必要があると私は思っております。いま政府のほうで考えておりまする研究学園都市筑波山麓においてこれをつくる計画が進められておりますが、ここにおきましては、首都圏整備委員会あるいは関係各省と協力いたしまして、そうした目的に沿うような一つ研究施設をつくるように、目下準備を進めておる段階でございます。
  11. 受田新吉

    受田委員 そうすると、筑波山麓研究学園都市としてこれをひとつ強力に進めるという点においては、もう態度がはっきりしておる。行政機関部門にわたって、共同研究とそれぞれの役所知能をそこへまとめて発揮せしめるように進める、これの具体的な計画をちょっと御説明願いたい。
  12. 梅澤邦臣

    梅澤政府委員 お答え申し上げます。現在学園都市につきましては、三十九年から約十年間でこれを片づけるということで始まりましたが、実際のところ少しおくれております。しかし、ことし一ぱいに約五百七十万坪の土地買い上げだけは見込みが十分立ちまして、それで土地買い上げと街路その他公共関係につきましては、首都圏のほうから住宅公団建設省にお願いして、順番をきめてそちらでやっていただいております。それから研究所につきましては、そのリーダー科学技術庁がなりまして、現在やっていますのは、一番問題は、いまのまま引っ越してはいけないんではないか。もっと近代化していく。そうしますと、電子計算機の問題、あるいは分析機の問題、共通的な問題をどういうふうに近代化していくかということを、われわれのほうで各パネルを設けまして、この二年間で大体その案をつくり上げました。それからこれができ上がりましてあと、現在も公共関係のほうの状況とマッチさせるように、どの機関から先に移るかということの検討がこれから始まり、ことしじゅうには入っていくという状態になっております。科学技術庁のほうがそのリーダーとしてやっております。それからもう一つ無機材質研究所、それから防災センター、これは事実上いま借家に住んでおるわけでございます。これを一番もとの柱としまして、りっぱな研究所として、来年からはどうしてもこれを向こうにつくってみせてはどうかということで、まず科学技術庁研究所からいこうではないかということで、現在進めている現状でございます。
  13. 受田新吉

    受田委員 国立大学研究機関というのは、科学技術庁、あなたの持つ勧告権の中にも、対象からはずされておるわけです。これはやはり科学技術行政の大事な問題であって、大学研究機関というものが科学技術行政からはずされるということになると、私は問題だと思うのです。研究そのものは自由である。しかし、その機関というものは、十分科学技術行政統一、強化される方向利用されなければならない。この基本問題をひとつお答えを願いたい。
  14. 二階堂進

    二階堂国務大臣 いまおっしゃったとおり、大学研究部門にわたるところは除外されておるようでございますが、私も、その各大学における研究の自由というものは、これはあくまでも守っていかなければならぬと思っております。しかしながら、行政上の立場から申しますと、貴重な国費が乱費されるというようなこと、また研究成果が国民の産業経済の発展、福祉の向上に役立つように、集約的にその成果運営していくというようなことは、これは将来の問題にもなりますけれども、やはり十分そういう点には留意して、行政運営を行なっていかなければならぬものじゃなかろうかと、私は思っております。ただ、大学における研究というものの自由を国の一つ機関が侵すというようなことは、これはやはり考えなければいかぬ点ではなかろうかと思っております。
  15. 受田新吉

    受田委員 研究の自由は、これは大学の自治の上からも当然大事なことです。ただ、東大宇宙航空研究所自身がどれだけの金を使っておるか、数字が出ておると思うのですが、そのばく大な金を使って、そして宇宙開発研究をしておいでになる。これをもっと有効な方向へ使えば、総合的な知能をすくって――人材東大だけにおるのじゃないんだ。もっと各省にみなおる。また民間にもおる。そういう知能をすぐって、より強大な研究をして実績を積み上げるということのほうが、科学技術行政上たいへんな効果があるということは、大臣御存じだと思う。その金の使い方を、かってに失敗を繰り返さして、そして、より人材を吸収して、より高度の効果的な研究のできることを阻止しておるということは、これは筋が違う。承るところによると、東大宇宙航空研究機関責任者たちの間にも、意見の対立がとかくありがちだと聞いておる。そういうところよりも、科学技術庁長官として二階堂先生、あなたは佐藤総理にも信頼されておる強力なる国務大臣ですから、ひとつそういうのをすかっと、もうばく大な国費をむだ使いせぬという意味から、宇宙開発行政というものはおれにまかせろというような、副総理にも――まあうしろにも副総理格三木先生がおられるが、ひとつ科学技術行政日本知能はおれであるというぐらいの馬力を持ってやってもらいたいのです。各省にかってなことをやらして、むだ金をどろ沼の中にぶち投げるようなかっこうでやられたのでは、これはたいへんなことだと思うのです。あなたの決意を伺っておきたい。
  16. 二階堂進

    二階堂国務大臣 私も、そういう決意科学技術行政、特に宇宙開発の問題と原子力平和利用開発の問題はフロンティア的な部面だと思っておりますから、受田先生お説のような、それにも劣らない迫力を持って、二十一世紀に挑戦していくという態度で私はこれに取り組んでまいりたい、かように考えておるわけであります。
  17. 受田新吉

    受田委員 あなたは非常にいい決意を表明されたが、つまり東大宇宙ロケットの打ち上げに使う金は、閣議で御承認になった金なんです。その金をもっと有効なところに使わして、大学研究研究でいいから、実際の実験にあたっての能率を有効化させるためには、金をもっと有効のところに振り当てる、そのために、東大が最初から幾ら金を使っておるか、ひとつ大臣から答弁を願います。
  18. 二階堂進

    二階堂国務大臣 東京大学が今日まで使った金は、施設、それから機械、研究費等含めて、大体百億でございます。四十二年度は三十四億予算がついておりますが、私はこういう金の今日までの使途について、いろいろ問題が出ておることも承知いたしておりますが、何しろ十カ年間における世界のおくれを取り戻すために急速な開発が行なわれたわけでございますので、その間において研究開発、これは失敗もある、ロスもある、そういうことを積み重ねて一通りの、世界がびっくりするような研究成果が出てきているということは、私は認めなければいかぬと思っておりますが、そういうようなことを考えましても、今後はやはり大学で行なう研究範囲というものが、おのずから出てきておると私は思います。そこで今後は、研究の費用がむだ使いされないように、しかもわずかな頭脳と少ない金を有効に使うために、ひとつ何か一元的な機構というものをつくって、強力に推進したいということが、私の考えでございます。
  19. 受田新吉

    受田委員 それでは二階堂大臣、御苦労でしたが、どうぞ。事務当局はちょっとどなたか一人、沖繩に派遣される電波追跡所における職員の待遇について、外務省と関連するので、御説明の方だけ残っておっていただきたいと思います。      ――――◇―――――
  20. 關谷勝利

    關谷委員長 外務省設置法の一部を改正する法律案、及び在外公館名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑申し出かあります。これを許します。受田新吉
  21. 受田新吉

    受田委員 外務省設置法改正要点一つ外務審議官一人を増置することとあるわけでございます。この外務審議官という職務は、各省にまたがる同種、同名の職種があるわけだが、これとの関係外務省の中にも単なる審議官というのもある。それとの関係を御説明願いたいと思います。
  22. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 お答えいたします。外務省の場合の外務審議官は、他省にはこれに類するものはございません。また、外務省におきましては、外務審議官以外に審議官というのがございますが、これは官房の中に置いてありまして、単に諮問に応じて答申するということでございますが、外務審議官の場合には、設置法に書いてありますように、「外務審議官は、命を受け、重要な外交政策の企画立案及びその実施に関する事務を総括整理する。」ということでございまして、単に諮問に応じて答申するだけでなくて、実施についてそれを総括整理するというところまでやれるわけでございます。
  23. 受田新吉

    受田委員 これはいわばアメリカの制度などでいう国務次官補、でなくて外務次官補というようなかっこうのものですか。
  24. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 外務省において、アメリカ、英国その他外国にあります次官補制度に類するものは必要と思いますが、外務審議官はこれとは異なります。異なる点は、外国における次官補は、幾つかの局を総括整理いたしますけれども、外務省の場合には、外務大臣の命を受け、特別の事項について総括整理するのでございまして、その点は、外国のように大臣、次官と下の局長との間にあって、組織の中に入って各局を統括するというものとは違っております
  25. 受田新吉

    受田委員 そうすると、外務省における外務審議官の地位は、外務次官と各局長の中間ぐらいのところにあるのか、あるいは局長と同格である立場にあるのか。
  26. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 地位としては、外務事務次官と局長の間でございます。
  27. 受田新吉

    受田委員 こういう職種が大臣外務省にあるわけですがね。他省にはないのです。きょう行管どなたか来ておられますか。――おられないですか。こういう制度が外務省だけに必要であるということになっておるのですが、これはこういう職種そのものをちょっと検討してみなければいかぬと思う。いまの次官補のような立場でもない。そうすると、外務次官補佐官という形のようなものかどうか。
  28. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 先ほど申しましたように、次官補的なものが必要と思いますが、現在の段階では、ほかの省との関係もございまして、外務次官補というものは認められないということで、単に特殊の重要事項、大臣から命を受けた重要事項について次官補的な活動をするというものでございます。
  29. 受田新吉

    受田委員 それは、次官で間に合うのじゃないですか。
  30. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 最近の外交事務が、非常に技術的になってまいりましたと同時に、国際的に協議を要する――要するに二国間だけの外交事務ではなくして、国際的な協議を要するものが非常に多くなってきたということで、そういうもの、すなわち各局の局長、各局の仕事を調整する必要があると同時に、ほかの国と交渉するようなものにつきましては、単に次官が一人でこれをまかなうにはあまりにも問題が複雑であり、多過ぎるということで、次官を助ける意味外務審議官というものを置いた次第であります。
  31. 受田新吉

    受田委員 一人増員したものと従来の一人との職務の分担は、どうなっておりますか。
  32. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 従来一名で長期の外交政策の企画立案と、それから個々の重要問題の実施に関する総括整理、この両方をやっておりましたが、今般はこれを二つに分けまして、新しくできる現在御審議をお願いしております外務審議官は、そのうちの長期の外交政策についての立案というものをつかさどる予定になっております。
  33. 受田新吉

    受田委員 その審議官に長期政策のと従来のと、これを分離しておられるということですけれども、それを補佐する者がなければ、一人では一人相撲になってしまうわけです。どういう形でやるわけですか。
  34. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 現在官房に国際資料部というものがございまして、これは主として調査及び資料の収集に当たっておりますが、同時に調査に密接の関係を持った企画立案の事務をその国際資料部に取り扱わしております。同時に事務のみでなく、各局の意見を参考にするという意味で外交政策企画委員会というものがございまして、これもいま先生のおっしゃった意味においては、この長期政策を担当する外務審議官を補佐する役目をしているわけでございます。
  35. 受田新吉

    受田委員 これは行管の意見も確かめなければいかぬのですが、外務省が独特の職名を持った審議官なるものが、現実にはいわゆる次官補の仕事をやっておる。しかし、それは非常に強大な権限を持っておることを私いま伺い、それにスタッフがどういうふうにくっついているのかも伺ったわけです。これを二人にするということになると、要するに、いわゆる次官級の人間が一人ふえるということですね。実質的には次官級の人間が一人ふえるということなんで、これは簡単に見えて簡単でない問題になってくると思うのです。  そこで質問は次へ発展しますが、この外務省設置法改正法案にまた並んで一つ出ている、在外公館名称及び位置を定める法律関係の大事な点を一つ確かめます。  在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律改正案になっておるのですが、これは従来から、外務公務員給与の中で一般公務員及び特別職の公務員とちょっと違う手当が出ておる。すなわち在勤俸、これはもう十数年にわたって私が提唱しておるのですが、俸給の性格を持たない在勤俸というものにこの「俸」の字を使うのは、外国語に訳した場合は別として、国内には通用しない。これは在外勤務手当であるとしばしば言うております。科学技術庁も今度の改正案の中に、沖繩電波追跡所に置かれる職員に、俸給、扶養手当、期末手当、勤勉手当のほか在勤手当――これは在外勤務手当の約だろうと思うのですが、これはすでに南方連絡事務所の職員が法律によってこの在勤手当をもらっておる。そこで、政治的には沖繩という地域は国内か国外か、外務大臣にひとつ……。
  36. 三木武夫

    三木国務大臣 この施政権というものを中心考えれば、日本の施政権が及んでいないのですから、そういう意味においては国外と言わざるを得ないが、日本人であるという国民感情から言ったならば、なかなか引っかかるものがございます。国外というものには引っかかります。しかし、施政権を中心にして考えれば、国外であります。
  37. 受田新吉

    受田委員 沖繩の連絡事務所に勤務する公務員は、外務公務員か、これは日本の一般公務員か、これをひとつ事務当局でけっこうですから……。
  38. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 いわゆる日本法律でいう外務公務員ではございません。
  39. 受田新吉

    受田委員 そうすると、純粋な日本国内の一般公務員と同じものだと判断いたします。
  40. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 施政権がアメリカにございますので、わが国とは関係がないということであります。
  41. 受田新吉

    受田委員 沖繩の南方連絡事務所におる所長以下の職員ですよ。
  42. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 一般の国家公務員でございます。
  43. 受田新吉

    受田委員 そうすると、政治は形の上で外国の所管になっているところに国内の公務員が行っておる、こういう形であると判断するのですが、総理府の人事局の増子さんもおられるのですけれども、これは、そうすると、沖繩にある南方連絡事務所というものは、外交的には権限があるかないか、これはどうなっておるのです。外交交渉をする権限があるのかないのか。
  44. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 沖繩の那覇にございます南方連絡事務所の機能、職権の範囲は、設置されましたときから十三項目ときまっておりまして、たとえば戸籍の事務とか、経済関係の情報の収集とかでございまして、したがって、普通の出先公館のように外交特権を持ったり、あるいは施政権を持っている米国当局と折衝するというような形にはなっておりません。
  45. 受田新吉

    受田委員 大臣現実に政治はアメリカになっているのです。それに派遣されている南方連絡事務所長、私はかねてからこれを考えておったのですが、沖繩県民を希望あらしめるためには、強大な外交交渉によって現地の高等弁務官などと、もう国務大臣クラスの仕事が十分できるような、強大な一等大使あたりを――大使に一等とか二等とかいう名称をつけるのは好きでないが、高度の外交能力を持ったいわゆる外務次官クラスの大使クラスの人を沖繩に駐在せしめて、高等弁務官などとり高度の外交交渉を現地でやることができるように、現地即応の外交ができるようにやるべきだと仏はかねてから提唱しておったわけですが、これはいかがでしょうか。大臣として沖繩のいまの御答弁を聞いても、単なる国内事務のようなかっこうになっておる。それではアメリカの強大な権限を持つ在外使臣であるこの高等弁務官などとの交渉などは、全然できぬ、でくの坊のような存在が南方連絡事務所長ということになる。一等大使級の人材沖繩の南方連絡事務所長に任命して、外交的な手腕も十分付与するような機構改革をされて、即時、あるいは早急に祖国復帰を推進せしめる。一々ここへ来て総務長官や外務大臣と国内で交渉するのでなくして、現地で終始現地民のしあわせを願って、祖国復帰へ近づける高度の外交交渉を含めた手腕の発揮できるような立場の南方連絡事務所長を――あるいは機構を改革して特別の名称を用いてもいいが、そういうものを任命するということを、副総理格である三木外務大臣としてどうお考えになっておられるか。
  46. 三木武夫

    三木国務大臣 受田君のいまのサゼスチョンは、非常に貴重なるサゼスチョンであるとして承っておくことにいたします。
  47. 受田新吉

    受田委員 非常に貴重な意見である、傾聴に値すると、次のことばがないのでちょっとどうも……。それは大事なことなんですよ。私も沖繩へ行ってみて、あの南方連絡事務所長の権限というものは、実に薄弱です。現地で何らの交渉がない。しかも、政治は外国であるとあなたも言われておる。そういうところをひとつ機構上と人事行政の両方をかね合わせて、強大な拠点を沖繩に置いて、現地問題をすみやかに解決する――貴重な勧告を受けたと、いま御答弁があったわけですが、この貴重な勧告を即時実施に移す決意を承りたいのです。
  48. 三木武夫

    三木国務大臣 今日の段階では、貴重な御意見であるとして十分承りました。この答弁以上のことは、今日の段階では適当でないと考えます。
  49. 受田新吉

    受田委員 ここでまたちょっともとへ戻るのですが、この沖繩のいわゆる在外公館に当たる南方連絡事務所に勤務する人には、在勤手当というのがある。在勤俸というものは、私は在勤手当としてこれを名称を変えて、国民も納得できるように――本俸はここでもらっておる。それから勤勉手当、期末手当、みなもらっておる。こういう制度の中に、別に外務公務員だけが在勤俸というものをもらっておるのですから、国民も納得する意味からは――俸給が二重に出ているような印象を与えるのですね。このあたりで齋藤さん、インドネシアという困難な外交事務をすかっと切り抜けた、歴代の大使の中であなたは最も光った存在だと私は現地で聞いた。あなたが官房長に御在任中に、ひとつこの在勤俸の名称なども、国民が納得する形で、俸給の二重払いという印象を与えない意味からも、海外勤務地手当だということをすかっと打ち出していただきたいと私は思うのです。歴代の官房長は、私の意見を終始傾聴に値する意見として聞いておって、実施に移してないのです。このあたりであなたが御意見を持たれれば、今度は大臣がきっと納得されると思うのです。サゼスチョンだけではなくて……。
  50. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 ただいまお話がありましたこと、私就任以来聞いておりまして、そこに矛盾も感じております。ただ、従来手をつけませんでしたのは、ずっと以前から在勧俸ということで言いなれているということと、いわゆる在勤俸が本俸に比較してきわめて額が大きいということで、あるいはその従来の用語をそのまま使用していいかというふうに考えておりましたが、ただいまの御意見もありますし、ただいま外務省にこの在勤俸を中心とした外務公務員給与に関して検討をする機構をつくりましたので、そこにおいて十分に検討していきたいと考えております。
  51. 受田新吉

    受田委員 これは外務公務員の一般職ですね。これは一般職の職員の給与でございますから、これは当然人事院がその在勤俸の額について勧告しなければならぬ責任があると思うのです。人事院はなぜこの在勤俸の勧告をいままで怠っておったか、人事院から御答弁願います――。さっきお願いしたのは、まだ来られないですか。  これは外務省にその機関が最近できたとおっしゃる。これはおそらく人事院が勧告してくれないものだから、外務省がそういう臨時措置をされたと私は思うのです。これは一般職の公務員だから、当然人事院が勧告権を行使しなければならぬ大事な対象になる問題だと思っておる。外務省機関というものは、一体どういう顔ぶれでやっておられるのでしょうか。
  52. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 これはもちろん正式な機関ではございません。官房の中に室を設けまして、そこにこの問題についての知識の深い者、それから現実給与問題を扱っておる者の協議機関でございます。
  53. 受田新吉

    受田委員 他の各省から出る出先の人々にもみんな、この外務省の公務員の在勤俸が基準になるのです。だから、在勤俸が上がることを、他の行政機関から出た出先の人も、非常に期待している。海外移住事業団という機関も、それに準じた扱いをされておるということになると、これは非常に大事な根拠になる。在外勤務手当、この勤務手当はいま官房長指摘のごとく、アメリカの大使など二万ドルというばく大な、つまり年間にすると七百二十万円というばく大な在勤俸をもらっておる。それをじょうずに貯蓄しようとすれば一挙にして産をなすというほどの金額、それをもらっておる大使がおるかと思うと。これは十年間据え置きで、三十五年でしたか改正されまして一挙に引き上げられたのですけれども、十一号俸をもらう理事官という立場の人、あるいは三等書記官というような立場の人は、非常に低率のところにあって、人間としての待遇差があまりにも著しい在勤俸になっているのですね。これは下を多少手直しされておるけれども、このあたりで、いませっかくそういう機関ができたのでありますから、この上下の差を人間としての立場で縮める。こういう努力をしていただきたい。  それから、いま名称はそこで検討するということになると思うのですが、私の提案したことは、そういう研究を待つまでもなく、もうだれもが納得する問題で、即時にこれを実施されるように、齋藤さん、事務的に推進していただき、大臣が決裁してもらいたい。  尾崎さん、御出席でございますが、いま一般公務員の立場にある外務公務員の本俸とかあるいは扶養手当だとか、あるいは勤勉手当、期末手当というようなものは、もう一般と同じように外務公務員が勧告を受けて、それで処遇を受けている。ところが、国内でいう暫定手当に当たる部分、あるいは隔遠地手当に当たる部分、寒冷地手当とかいうものに当たる部分の在勤俸という制度が外務公務員にあって、この在勤俸については何ら人事院が勧告していないという現象が起こっているわけです。そこで、いま齋藤官房長から、外務省で独自の機関を設けて、そこで研究を始めたということであるが、これは人事院が勧告してくれないからそういうようなことをなさるようなことになったかと、私は不安になってしようがないのです。人事院は、なぜ一般職である外務公務員の、特に在勤俸の部分だけについて勧告をなされないのか、お答えを願いたいのですの。
  54. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 外務公務員給与につきましては、お話のように本俸、扶養手当等につきましては、一般職の給与法そのままの適用になっておるわけでございますけれども、お話のように、在勤俸につきましては、特例ということによりまして別のたてまえになっているわけでございます。これはたしか昭和二十七年であったかと承知しているのでございますけれども、外務公務員につきましては、一般の国家公務員法の特例を設けまして、その給与につきましても特例を設けたいというお話があったのでございまして、その趣旨を人事院としていろいろ検討したのでございますけれども、何ぶんにも外務公務員の在勤地域が広範にわたっておりますし。それを人事院の組織、機構、人員等をもって詳細に調べてまいるということにつきましては、仕事の能率関係から申しましても非常に問題があるという点もございますので、在勤俸につきましては、特例としましてそういう別立てのたてまえになったというふうに承知しているのでございます。それで、もちろんそうう制度そのものは公務員法の二十八条に基づきます一般的な情勢適応の原則につきまして、そういう制度が適当かどうかという点につきまして、人事院としましてはそういう観点から気にはしているところでございます。しかしながら、そういう別立てにした趣旨、それからその後における在勤俸の運営等の実情をときどき承っておるわけでございますけれども、特に現行の制度を改めるというほど支障が生じているというふうには考えていないのでございます。
  55. 受田新吉

    受田委員 これは人事院としては職務怠慢だと思うのです。権限逃避、それは一般職の公務員ですから、人事院の所管ですよ。国内では暫定手当制度がある。それにまた隔遠地手当というのもある。寒冷地手当というのもある。そういう手当制度を十分研究されるというたてまえから国外の勤務者についても、当然その国の物価、その国の為替関係、そういうものを外務省のいろいろな資料をもとにし、また直接意見を聴取して、人事院が公正に国家公務員法の規定に基づく勧告の対象にすべきです、その他の事情等も勘案して。そこで初めて給与の適正というものが考えられるのであって、外務公務員の在勤俸だけは、私のほうは手が足らぬからあなたのほうでやりなさい、この特例は、何の特例でやられたのですか。いかなる特例があるのですか。国家公務員法の勧告を免れた在勤俸の特例の法的根拠をお示し願いたいのです。勧告しなくてもいいという、勧告の対象からはずすという特例がどこにあるかです。
  56. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 もとより外務公務員も一般職の公務員でございますから、国家公務員法の適用も受けますし、また一般職の給与法の適用も受けることは当然でございます。それから、二十八条9情勢適応の原則に基づきまして、広い意味で人事院として管轄をしておるということは、言うまでもないところであるわけでございます。しかしながら、先ほど申しましたように、この広い地域に、かつ比較的に少数の職員がいわば散布をしているわけでございますので、それにつきまして私のほうで一々調査をするということは、実際問題としてなかなかむずかしい点がございます。そういう関係で、一般職の給与法の特例としまして在勤俸に関する法律が制定されておるわけでございますので、広い意味での勧告権というものはもちろんあるわけでございますけれども、在勤俸の制度その他につきましては、それは勧告権があるわけでございますが、在勤俸の額その他につきましては、その特例を設けました趣旨から申しまして、現在それぞれの公館で調査をなさったものを統一的に外務人事審議会検討をされている、そういう関係につきまして、特別に支障は現在は生じてない、運営が適当に行なわれておるというふうに承知しておるのでございます。
  57. 受田新吉

    受田委員 どうもおかしいです。それは尾崎給与局長、おかしいですよ。これは運営が適当にやられておるから支障がない、これは逃避的ですよ。これは沖繩の問題については、在勤手当というのが出ておる。これは人事が在勤手当を勧告したのですかどうですか。沖繩の南方連絡事務所におる職員の在勤手当というものは、人事院が勧告した制度かどうか、勧告の対象になっているかどうか。
  58. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 南方連絡事務所におきまして在勤しておる職員につきましては、現在在勤手当が出ているのでございますが、これは総理府設置法の関連で出ているということでございますが、その関係につきましては、法律的に申しますれば……。
  59. 受田新吉

    受田委員 勧告の対象にしておるのか、しておらないのかということです。
  60. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 二十八条との関係が若干明確を欠いているという点はあるかとも思うのでございますけれども、そのあり方が、いまお話し申し上げております外務公務員に準ずるという関係にございますので、同じような取り扱いというふうに考えておるのでございます。
  61. 受田新吉

    受田委員 ますますおかしいことになったです。沖繩に勤務する公務員は外務公務員に準ずるから、人事院の給与関係の勧告の対象からはずしてある。そうすると、こちらの外務省が言うのは、沖繩の公務員は外務公務員じゃないのだ。こっちからも逃げられ、人事院からも逃げられて、沖繩に勤務している公務員はさなきだに苦悩しておるのに、大臣、南方連絡事務所の人たちが両方から逃避されておる、両方から守られていない、こういう現象が起こってきておるのです。これはもう当局に私が申し上げるまでもなく、これ以上は追及いたしませんが、議論すればこれだけで二、三時間はほしいが、人事院は、一般公務員の暫定手当、隔遠地手当に当たる沖繩の在勤手当というものも、為替レートというものが当然対象に入って、その地の生活状況、物価等を勘案して、ちょうど外務公務員の在勤俸と同じ基準でいっておるということをいまあなたが言われた。私もそう思う。そういうものを含めて、給与専門は人事院なんですよ、人事院が当然諸般の事情を考慮した適正な給与をきめるというのが、人事院の勧告権行使の根拠なんです。当然、外務省は幾らでも各国の資料を私は提供してくれると思う。外務省、いかがですか。
  62. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 現在までも各公館から資料を集めて、今般考えております組織というものは、そういうものを検討してしかるべく意見を申し上げたいということでございます。
  63. 受田新吉

    受田委員 そうすると、外務省から資料が幾らでもくる。外務省でちゃんとおぜん立てしたものを、あなたのほうの人員でゆっくり大所高所から他の公務員と比較、検討しながらぴしっときめる、そういう勧告をする権限があなたのところにあるのだから、あなたのところで所管なさいませ。つまり外務省から出された資料に基づいて、国家公務員法の本則をりっぱに実行する人事院になってもらいたい。そうしないと、他の公務員とのバランス、国内、国外、あらゆるものを判断して、公務員の品位を保つ、そういうことができない在勤俸が用いられる制度になるのです。これはひとつ総裁と御相談されて、私のこの意見を十分に実行に移してもらうようにさっそく検討してもらいたい。御答弁願いたい。
  64. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 申すまでもなく外務公務員は一般職が大多数でございますので、そういう意味で国家公務員法の適用下でございますし、一般職の給与法の適用下でもございますので、われわれとしましては、深甚な注意を払ってまいっておりますし、今後もまいりたいというふうに思っておるのでございますが、先ほど申しましたように、現在の制度につきまして、個々の地域につきまして調査をし、検討するということは、実際問題として困難でございます。そういう関係で現行制度が成り立っているものと承知しておりますけれども、やはり御指摘のように、一般職の公務員でございますし、その関係の処遇につきましては、人事院といたしましては、当然第一義の責任を持っておるのでございますので、御趣旨に対しまして今後も検討をいたしたいというふうに思っておるのでございます。
  65. 受田新吉

    受田委員 なかなかお苦しいような答弁で、時間がかかってしようがないのですが、それで、私は私の意見を尊重する段階がきておると思うのです。つまり膨大な金額になっておるのだから、在勤俸のほうが高額なんですから、ひとつ研究してもらわなければならぬ。それでは本論に入ります。これも本論の一つたったのですが、外務大臣、今度外務省はソ通のハバロフスクへ総領事館をつくられる、そうですね。日ソ領事条約がいま外務委員会に付託されておるようです。あれを見ると、ソ連は日本の札幌へ、日本はナホトカへ領事館を置くという。ところが、日本が今度ハバロフスクへ総領事館を置くとするなら、ソ連はまたどこへ置くということをきっと言うてくると思うのです。これはいまの日ソ領事条約の、両方が一つずつ領事館を置くというようなものに関連して、当然別にもう一つ高いウエートの総領事館を、この法案関係において、日本はソ連からどこへ置くということを要求されておるのか、お答え願いたいのです。
  66. 三木武夫

    三木国務大臣 まだソ連のほうは札幌だけしかきめてきてないのです。ほかのほうはこれからの問題でして、日本はハバロフスクの次にはナホトカへ置こうというので、日本はきまっておるのですが、ソ連はまだきまっておりません。
  67. 受田新吉

    受田委員 これは当然ソ連から言うてくるということが予想されますね。その予定地は、どこへ置かしてもらいたいと言うてないからわからない。少なくとも日本だけが先に要求しておるというかっこうですね。そこで、実はきょう十一時、川島さんがソ連に行かれた。もう立たれたのですか。
  68. 三木武夫

    三木国務大臣 立ちました。
  69. 受田新吉

    受田委員 この特使という資格は、プライベートの資格であると了承しているが、しかし、外務大臣として、特使の存在をどうお考えてなるか。日ソの今後の国交についてのある程度の影響力のある存在か、ちょっと骨休みにいくという、外務大臣としてはあまり特使の派遣にたいした意義を認めておらぬ、プライベートだからという軽い気持ちか。外務大臣の職権に関する問題でございますので、御答弁願いたい。
  70. 三木武夫

    三木国務大臣 川島議員の訪ソは、これは全体の使命は、日ソの親善関係の増進ということにあると思います。川島氏が自民党の外交調査会長という地位にもございますし、前副総裁という重要な地位につかれておった川島氏でありますから、そういう意味において、日ソ親善という目的においてはやはり重要な意義を持つものであろうと、私は考えております。
  71. 受田新吉

    受田委員 総理の特使、旅費はもちろん、プライベートだから本人が出すという関係だと思います。間違いないですね。
  72. 三木武夫

    三木国務大臣 そうです。
  73. 受田新吉

    受田委員 そういう関係で、日ソ親善で、外交交渉を川島氏がやるとするならば、それは民間外交と了解してよろしゅうございますか。
  74. 三木武夫

    三木国務大臣 川島氏は、外交交渉をやる目的は持っておりません。いろいろ話し合いはしても、それは日ソ親善という大きなワクの中の話し合いでございまして、それを称して外交交渉とは考えておりません。
  75. 受田新吉

    受田委員 民間外交のワクに入るかどうか。
  76. 三木武夫

    三木国務大臣 もし外務省という外交機関を通じないでいろいろ親善関係を増進することが民間外交と言うならば、その中に入ると思います。
  77. 受田新吉

    受田委員 日ソ中立宣言、国交回復を経て以来十年以上たちました。にもかかわらず、一向平和条約締結の段階になっていない。これはおそらく領土問題がからんでいるからだと思う。しかし、このあたりで平和条約締結への意欲を日本からもわかし、また川島氏からも、そういう民間外交の線で平和条約締結へのある程度の予備工作というようなものを民間外交の立場で進めさせる必要があると、私は思うのです。平和条約締結に対する外務大臣の意欲を承りたい。このままで放置していいのか。
  78. 三木武夫

    三木国務大臣 日ソ関係というものは、このままで放置していいとは思っていないわけであります。しかし、現実には、いま御指摘のような領土問題というような重要な問題もございまして、なかなか平和条約の締結というものの困難性があることは、受田君御承知のとおりでございます。しかし、意欲はあるのかと言ったら、意欲はある、こうお答えするよりほかにはない。
  79. 受田新吉

    受田委員 その意欲をわかさなければいかぬのです。意欲を眠らしてはいかぬのです。もう国交回復以来十一年たっておる。こんなに長い間、しかも領事館を交換する。文化協定もはかっておる。現在ソ連との間に航空協定もできておる。私は昨年東部シベリアを旅行したときに、すでに日本に一番近い東部ソ連地区は、非常に日本との関係を強化することを期待しておる。平和条約締結の意欲を心にしまっておかないで、行動の上にあらわし、言動の上にあらわす時期がきていないか。お答え願いたい。
  80. 三木武夫

    三木国務大臣 それはいまのような状態というものは、平和条約が結ばれていないものですから、これはいま差しつかえはないといっても、国交の正常な関係というためには、平和条約を締結する必要がありますので、今後機会あるごとに平和条約の締結への努力をいたしたいと考えております。
  81. 受田新吉

    受田委員 ソ連とは外交交渉をする機会がしばしばある。その際において平和条約の締結の提案をしたことがあるかどうか、全然ないのか、お答え願いたい。
  82. 三木武夫

    三木国務大臣 私は一昨年ソ連に参りまして、この問題についてコスイギン首相との間で話し合ったことは、私自身の記憶にございます。
  83. 受田新吉

    受田委員 正式の外交交渉の段階でやったことがあるかないか、御答弁願いたい。
  84. 三木武夫

    三木国務大臣 問題は領土問題ですね。平和条約に対して、領土条項というのは平均条約の一番重要な部門ですから、領土問題を何とか解決しようではないかという努力は、即平和条約締結への努力に通ずるわけであります。そういう問題を全然抜きにして平和条約といっても、なかなか領土問題というものに対して話し合いがつかないと、平和条約の締結は前提条件に欠けるわけですから、常に領土問題を何とか解決しようということは外務省としても機会のあるごとにソ連と話し合っておるのですから、そのことは即平和条約締結への努力と解すべきだと思います。
  85. 受田新吉

    受田委員 領土問題が平和条約の基本になる、領土問題を除いた平和条約というのはあり得ないということですか。
  86. 三木武夫

    三木国務大臣 まあ、あり得ないということは、領土問題に対して何らかの解決策がないと、平和条約はあり得ない。何らかの解決策が見出されないと、平和条約というものを締結する条件はなかなか整うことにはならぬと私は考えております。
  87. 受田新吉

    受田委員 外務大臣意見は、領土問題をたな上げにしての平和条約はあり得ない、かよう了解してよろしゅうございますね。条約局長としても、事務処理として領土問題抜きの平和条約はあり得ないという大臣答弁は、納得されるかどうか。
  88. 三木武夫

    三木国務大臣 これは政治の課題ですから、私からお答えしたほうがいいと思うのですが、この領土問題が何らかの形で解決をしなければ、平和条約の締結ということは困難であると思います。
  89. 受田新吉

    受田委員 事務当局意見を押えていまの大臣の見解は、非常にりっぱです。りっぱですからちょっと聞きますが、先般私がモンゴル問題で指摘した牛場次官の発言の中で、モンゴルとの国交回復ということについては外交上の利益がないという意見を記者会見で述べておるのですが、外交上の利益がないというような発言は、これはたいへんな発言だと私は思うのです。牛場さんはそのときおられなかったから確かめ得られなかったということですが、御本人が記者会見において、モンゴルとの国交回復については外交上の利益がないと言ったという。これはどの新聞にも書いてある。外交上の利益がないなどということは、モンゴルに対しても失礼だし、たいへんな発言だと思うが、その記事を大臣読まれて、御所見を伺いたいのです。事務当局がそういうことを言うておるのです。
  90. 三木武夫

    三木国務大臣 この記事を読んでみますと、今後もモンゴルとの間に非公式な接触を続けていきたい。それから個人としては、いまですよ、いまということに意味がある。いま国交の樹立を、いま現在することは外交上の利益がないと思う。この問題は、いろいろ個々のことばをとらえますれば、必ずしもこれは適当だとは私は思っていない。しかし、この言わんとするところは、いまやはり非公式の接触は続けていくんだ、いまこの段階では、国交を樹立することは、いまのところは、いますぐやることは考えていないということなんですね。これはちょっと、利益とかなんとかということは……(受田委員「外交上の利益なんていうことばは言うべきではない。しかりなさい、しかりなさい。」と呼ぶ)これはあまり適当なことばではないと、私も考えております。
  91. 受田新吉

    受田委員 大臣、これは注意してもらいたい。モンゴルとの国交回復は、いまの段階では外交上の利益がないというようなことばは、向こうさまにも失礼です。事務次官がかってに政治問題を発言することを大臣が許しておられると――外交上の利益がないということは、非常に不愉快なことばでありまして、国際親善をはかって世界の国々と融和をはかるために、世界一つでもそういう平和な関係の国ができることは、外交上の利益ではないですか。利益がないなどと言うことは、たいへん失礼だと思う。一つでも友好親善国がふえることは外交上の利益で、向こうも国連加盟国でこっちも国連加盟国です。外交上の利益は確かにあるのです。いまやっても外交上の利益がないという発言は、取り消すべきだ。大臣から聞きたいのです。これは非常に不愉快なことばです。
  92. 三木武夫

    三木国務大臣 一ぺん言ったんですから、取り消すということで……。しかし、この話の重点は、いまやらぬけれども、これから接触を続けて前向きに考えていくという意味でありまして、この点は御指摘のとおりだと思います。外交上の利益ということは、今後注意をいたします。
  93. 受田新吉

    受田委員 時間も迫っておりますが、いま一つの質問も大事なことで、これは外交の基本になりますが、平和条約第二条の信託統治の対象になる地域として、沖繩、小笠原の島々を入れております。しかし、同じ日本は、その後国連加盟国になっておる。主権平等の原則で、国連へ全く人格のりっぱなものがそれぞれ加盟しておる、国家人格のりっぱなものが加盟しておるという段階で、信託統治制度というものが日本の領土の一部に考えられるということは、適切かどうか、それに対する態度はどうか。外務大臣沖繩問題は基本の問題としてここでもう一度蒸し返します。
  94. 三木武夫

    三木国務大臣 この問題は、平和条約の第三条に、アメリカが唯一の施政権者として、これが国連の信託統治を提案することができることになっておるわけでありますが、現在アメリカは、沖繩は信託統治にしないというようなことは発言はしてないわけですけれども、歴代大統領の発言などを見ますと、いまそれをしないということを公にはっきり立場を明らかにしておりませんが、アメリカの現在の状態は、これをまたもう一ぺん国連の信託統治にして、それから日本に返還を考えるというようなことではなくて、やはり将来の返還ということは、現在のアメリカの施政権を日本に返還するということをアメリカ自身は考えておるのではないか。だから、三条の規定にそういうことがあっても、一ぺん沖繩を信託統治にするようなことは、われわれ自身としても、そういうことはあり得ない、こういうふうに考えておるわけであります。ただ、三条の規定は、どうしてもしなければならぬという義務は課してありませんから、いつまでにしなければならぬという期限も課していないわけでありますから、この問題は、いまのアメリカの施政権の行使が三条に抵触するとは思わない。しかし、実際問題の処理としては、もう一ぺん信託統治にしてそれから日本にというふうには、われわれも考えていないし、おそらくアメリカ考えていないであろう、こう考えておるわけでございます。
  95. 受田新吉

    受田委員 ケネディさんも、沖繩日本の領土だということをはっきり言っておるし、早く日本に返す時期を待ちたいというようなことを言ってくれておる。しかし、この第三条の、アメリカのいかなる提案にも同意するというこの規定を正式に放棄するという発言もしておらぬ、そういう状況である。だから、これは国連憲章の精神からいって、七十八条、七十七条の規定からいっても、これは信託統治というような考え方を持つことが間違っておるんだ。この信託統治のいかなる提案にも同意するというこの規定を、外交交渉を通じてアメリカから放棄させるような努力をされてはどうですか。外務大臣、いかがです。
  96. 三木武夫

    三木国務大臣 条約局長からお答えしたほうがいいと思いますけれども、放棄というのは、現在のアメリカの施政権の行使が条約に反しておるとは、私は思わない。国連憲章に、一国のある一部分を信託統治にするということを禁止する規定はないと、私は解釈している。
  97. 受田新吉

    受田委員 これは議論です。法理論です。いまあなたは一部を信託統治にすることを禁止していない、信託統治にすることができるとも書いてない、だからあってもいいんだというような、こんなやぼな議論を吐いておると、大国日本としては権威喪失です。少なくともこの国連憲章の七十八条には、主権平等の原則がはっきりと明記してある。シリア問題などというのも途中で発生はしておっても、はっきり明記してある。だから、国全体が信託統治にはなれないが、一部はなれるというような解釈を大臣自身が持ってくれちゃ、たいへんですよ。国全体はなれないが、一部はなれる、あなたはこれを肯定しているということになる。大臣はこの平和条約第三条を肯定しているのですか。これは大事な問題だ。驚くべき大臣だ。
  98. 三木武夫

    三木国務大臣 実際問題として、これが信託統治に付されて、それから日本に返還というようなことは、私自身も考えてはいないのです。しかし、これをいま受田君のように、三条というものは国連憲章にも違反しておるではないか、三条の内容というものがやっぱり国連憲章違反だ、こういう伏線としてあなたが御質問をされるならば、こちらもそういうふうにお答えをしなければならぬが、実際問題の処理としては、現在アメリカの施政権下にある沖繩日本に返してもらいたい。これをもう一ぺん信託統治にするというようなことは、われわれも考えてはいないんだ。しかし、それなら国連憲章に三条が違反するのではないかと開き直って議論をされるおつもりならば、こちらもやはり法律的にお答えをせざるを得ない。
  99. 受田新吉

    受田委員 開き直るというのは不穏当なことばですが、それは国連憲章の七十七条の立場からいっても、われわれは十分議論のある問題なんだ。そうすると、三条というものは国連憲章に違反していると、日本態度をはっきりしていいと私は思う。それはそこでおきます。大臣は、外務大臣として、日本の外交の置き方をアメリカに追随するわけでもない、ソ連、中共の手先になるわけでもない、ひとつ自主独立の外交を進める上においては、この信託統治問題などということは、すかっとアメリカにこの平和条約第三条にはこう規定があるが、アメリカは一切この規定を適用するものではないんだ、施政権の返還という段階に運ぶのみであるというぐらいの確約は、とってもらっていいと思う、外交努力で。それはどうですか。
  100. 三木武夫

    三木国務大臣 いままでも、アメリカに対する日本の主張は、常にそういう主張ですよ。これを平和条約三条によったように、もう一ぺん信託統治にして、そうしてからというようなことは、一切言っておりませんよ。アメリカの施政権を日本に返してもらいたい。アメリカもまた、日本に直接返すことは平和条約第三条の規定上なかなかむずかしいんだというようなことを言ったことはない。一昨年も私、佐藤総理と一緒に行ってジョンソン大統領とも会ったわけです。一日も早く極東の情勢が沖繩日本に返還できるような事態になることを期待する、コミュニケの中にもそういうことを書いてございますし、実際の話し合いから見ると、その間の途中はアメリカ考えていないものと思います。
  101. 受田新吉

    受田委員 外交が弱腰なんです。これは放棄するというぐらいのことは一応はっきり言わしておいて、それから施政権返還という運びにいくスケジュールが一つあるのです。第三条というものは、国民に非常に悪い印象を与えておるのだ。これをすかっと放棄するくらいの意見を――放棄すると彼らはまだ言うておらぬのだから、それを言わせる努力を引き続き続けて、施政権返還に積極的に取り組んでもらいたい。  最後に一問。海外移住の問題で、事業団をつくって十四億の国家投資をやっております。わずかに千人しか移住が成功してないというのに、十四億の事業団の経費の七億は人件費である。七億しか事業費に回っておらぬというこういう現象在外財産の補償問題がいろいろされているが、あの審議会答申には、国策に沿って海外へ行った者に対する功労に報いよということが書いてあるが、この在外財産の補償問題もろくすっぽ片づかないかっこうで、さらに前向きの政策を進めるのには、その点からもまた問題があると思う。どうですか。十四億の国費をつぎ込んで、七億を人件費に費す、そして七億しか事業費がないような形で、わずかに千人の、技術中心にはなっておるけれども、こういう海外移住問題というのは、これは外務省としては責任官庁としてよほど考えてもらわなければいかぬ。しかも外務省が御存じのように、日系海外人がいま日本へ来て、きょうは尾崎記念館で議長のレセプションがある。海外十何カ国かの日系人が、南北アメリカから東南アジアにかけていま日本へ来ておる。その人たちが、日本の国威を発揚し、日本の国策に従って出ておる。そのあとを継ぐ者がわずかに千人というようなことでは――昭和三十五年の八千人をピークに海外移住者はどんどん減っておる。こういうようなことは、外務省としてはよほど職務怠慢である。しかも、機構改革で移住局というものを廃止しようという計画があると承っておる。この計画もひとつ承り、いま私が申し上げた移住振興についての大臣の御答弁を願って、質問を終わります。
  102. 三木武夫

    三木国務大臣 今日まで十五万ぐらいの人が海外へ行ったわけですね。それがいまは、大体海外から引き揚げてきた人は再移住しやすい立場にあるわけですが、その人たちもだんだん行ってしまったわけですね。国内の景気がよくなってきて、労働力が不足する、生活水準も高まってきたというので、移住の意欲というものが非常に減退したという事態が、客観情勢の変化で起こっておると思う。だから、多いときは一万人近く行ったわけですが、それがいまは御指摘のように千人足らずということなんです。しかし、私はこれは受田さん、一つの変化があると思っているんですよ。ただ労働力の移住ということではなくして、やっぱり相当の技術を持った形の移住というものでないと、単に労働力という形では受け入れる国々も喜ばなくなってきている。そういう点で今日移住の性格に変化がある。そういう変化にマッチして、海外移住の事業団についても、私は再検討する時期にきておると思いますよ。いまのままでいいとは思わぬ、こういうことで、こういう客観情勢の変化ともにらみ合わして、もっと受け入れる国にも喜ばれるような形の移住の促進ということについては、再検討いたしたいと考えております。この内容は満足しておるのかというと、私も満足はしていないのです。ブラジルなんかへ行っても、特に興味を持って移住地なんかへも参りましたが、いろいろ問題がある。そういうことで、これはいろいろと、今後のこの問題についての進め方は、検討いたしたいと思っております。  移住局は、廃止する意思はありません。
  103. 受田新吉

    受田委員 これで質問を終わりますが、公明党の方の御質問に譲りますが、いかなる場合でも中南米・移住局と、移住局という名称は残す。これは今後も移住局という名称は残しますね。それははっきりしておいてもらいたい。
  104. 三木武夫

    三木国務大臣 これは永久末代まで、そういう意味ではなしに、現在のところ廃止の意思はございませんとお答えしておきます。
  105. 受田新吉

    受田委員 外務省官房長、この在外公館名称という法案で、今度はアイスランドのレイキァヴィークなどに大使を置くことになっている。アイスランドなんか、人口十万ぐらいしかない国です。その国に大使を置く必要性がどこにあるか。それからレオポルドヴィルの公館を移す必要性がどこからきたのか、説明が全然ないものだから、これはいろいろ書いてあるのに、位置がどこにあって、何の必要性でそこへ移したか、そういう親切な説明がこれにないわけです。ばく然とした地図をほかっと書いて、この国はどういう必要性で大使館を置くという個々の必要性を――大使は認証官ですから、認証官を置くような重大な法律を、ただこの国へ大使を置く、この町へ総領事官を置くというようなことでは、われわれ国会議員が審議をするのに根拠がない。もっと親切に、その国での必要性、大使を交換し、総領事館を置くに至った事情を個々にどこかに解説をしてもらいたいと思うのです。これは非常に不親切な資料で、親切に書いてない。これがさっさっと通るということになると、外務省のやっていることをみんなついうのみにされるような危険がある。私は、この在外公館を置く位置とその必要性について、また在勤法の金額について、一々ただしたい。そのためには数時間を必要とするということで、審議に支障を起こすので、やむを得ないのだが、親切な資料を出してもらいたい。これで質問を終わります。
  106. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 必要な資料を提出いたします。
  107. 關谷勝利

    關谷委員長 伊藤惣助丸君。
  108. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 初めに、先ほど質問がありましたが、外務審議官名称についてお伺いします。いい悪いは別にいたしまして、現在、官房に審議官という名称があり、審議官が現在六名おります。そしてまた外務審議官、非常にまぎらわしいように思います。そういう点について実際上困ったことがあるのではないかと思いますが、その点についてお伺いします。
  109. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 外務審議官制度設置の場合に、名称が非常に問題になったと了解しております。先般来御説明のとおりに、次官補という制度が認められておりませんので、そのかわりにただいま御審議中の外務審議官というような性格になったのでございますが、名称はしたがって次官補ではいけないということで、あらゆる名称検討されたのでございますが、行政管理庁から考えますと、ほかの職務とまぎらわしいものは困るということで、結局大臣の命を受けて重要政策に参画するという意味で、やはり審議官である。しかし、その場合に、官房の審議官と混同すると困るというので外務審議官、外務という名前をつけたわけでございます。御質問のとおりに、名称としてはきわめてあいまいでございますけれども、妥協の産物でやむを得なかった次第でございます。他方、この名称を使用することによって従来支障があったかと申しますと、事実外務審議官とそれから審議官と厳密に分けておりまして、外務省に関する限りは支障がなかったということを申し上げられます。
  110. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 次官補では不適当であるというお話でありますが、では適当な名称考えてつけるべきではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  111. 齋藤鎭男

    齋藤(鎭)政府委員 ただいま御説明申し上げましたとおりに、行政管理庁も外務省も知恵をしぼったのでございますが、結局適当な名前がないというので、こうなった次第でございます。
  112. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 御検討を願いたいと思います。  外務大臣にお伺いします。ベトナム問題については、大臣からまたいろいろな点で聞いておりますが、非常にその明快でない点、また私たちは国民の立場からもう少し明快にしていただきたいという点について、お伺いします。  最近、ベトナムの和平の問題について大臣は見解をまとめた、このように聞いております。一つは、和平に至るまでのわが国の努力、次に、和平の具体的構想、三番に、和平後のわが国の役割り、これらの三本の柱を立てまして、わが国がオネストブローカーの労を積極的にとるように検討している、このようにいわれておりますが、具体的な内容についてお伺いしたいと思います。
  113. 三木武夫

    三木国務大臣 ベトナムの和平に対する考え方をまとめた、こういう御発言でありますが、伊藤さん、これはもうだれもかれもが頭を悩まして、なかなかいい解決案というものが見つからないのです。だから、日本が言えることは、あれだけ戦争に対して使っておるエネルギーをもう少し国内の平和建設のために向けられないのかということで、われわれとしてもできるだけの努力をしてみたい。その解決の方法としては、いまこれは北と南とに分かれて、北のほうはもうベトナムは一つだ、こう言っておるわけですけれども、いま政権が分かれておることは事実です。そうなってくると、早くこの問題を解決をしようとするならば、一応ジュネーブ協定などにいわれておる十七度線、それで北と南との間に話し合いをつけるという以外にいまのところの解決はないのではないかということで、何かそういう方法で日本もできるだけの役割りを果たせる方法はないかということで努力はしておるのですが、これは、おれがかかったら解決できると言い切る者はだれもないわけです。みなが総がかりになっておるのですが、両方がお互いに信用しないですからね。ああは言ってもほんとうはどうだろうということで、非常な不信があってこの話し合いがつかないわけですが、今後とも、日本は自分の力がないから大したことないと言っても、しかしそれだからといってみなもうだめだ、だめだと言えば、これはいつまでたってもそういう和平への世界的な空気が盛り上がりませんから、やはり限られた中においてもできるだけ努力をしていきたい。そうして平和が回復した後には、国内の建設に対してできるだけの日本は協力を惜しまない考えでございます。
  114. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ウ・タント国連事務総長が六月ごろ来日するというふうに伺っておりますが、その点についてお伺いいたします。
  115. 三木武夫

    三木国務大臣 ウ・タント事務総長が日本に参ることになっています。ウ・タント氏がベトナムの早期平和的解決に払っている努力は、われわれとしても評価をいたしておるわけでございますので、ウ・タント事務総長が参りますならば、このベトナムの問題について、おそらくこの問題が中心になると思いますが、話をしたいと考えております。
  116. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いまもお話がありましたが、これらのベトナム和平工作については、最近ではカナダまたはセイロンなどの独自の和平案も発表されておりますが、ウ・タント事務総長を中心にこのような和平への努力が続いておりますが、いずれも失敗に終わっております。そこで、この来日を一つの契機といたしまして、わが国といたしましては、先ほどありました三木外相の話を、もう一歩具体的にこのような態勢でまた話を進めていきたいという所信がありましたならば、お聞きしたいと思います。
  117. 三木武夫

    三木国務大臣 私は、ウ・タント氏が日本に来られれば、真剣にベトナムの平和解決ということを話し合ってみたい、あらゆる角度から話し合いをいたしてみたいと思っております。
  118. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 その中に、即時停戦をさす。そしてまた関係諸国を東京に招いて、そしてまた日本がオネストブローカーの労を積極的にとる、このように考えてよろしいでしょうか。
  119. 三木武夫

    三木国務大臣 それはもう即時停戦になればそれにこしたことはないのですが、停戦という以上は、戦争当事者がその気にならないと、ウ・タント氏と私が寄って即時停戦と言っても、当事者が聞かないと実現いたしませんから……。即時停戦にこしたことはないのですが、そういう意味で、問題は、いかにして戦争の当事者が納得するような解決案を出すかということでしょうね。また、何もあまり東京にこだわる必要はないので、東京でどうしてもそういう会議を開きたいからといったら、日本は大歓迎ですよ。一日も早い平和を望んでおるわけですから……。しかし、東京にぜひしてくれという性質のものでもないし、必要があれば、東京の座敷を貸すことは大歓迎である。しかし、こちらから東京、東京と言っても、解決案が出ることが第一番ですからね。そうすれば、場所はどこでもいいかもしれない。そういうことで、どうして戦争当事者が納得する解決案を出すかということが問題の中心であって、その会合の場所というものは第二義的なものだ。あまり東京、東京ということは考えておりません。
  120. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私が言いますことは、外務省でまとめた見解の中でいま話しておったわけです。和平会議は東京でやりたい……。したがって、この構想を積極的に推進していただきたい、そのように要望します。  続きまして、南ベトナムにおけるLSTの問題であります。これも、いままで何回となく取り上げております。しかし、明快でない点がございますので、その点もまたお伺いしたいと思います。これは、昭和三十九年の一月、ダナン基地に上陸中の船員がベトナコンと間違えられて射殺された事件、それにまた先月四月二十日の、やはりベトコンの襲撃による五人の死傷事件、また今回の事件でありますが、これらの事件が続発しているわけであります。このことについては、米軍と個々の日本人との直接契約に基づいて乗り組んでいるので、政府はこれをやめさせることができないという立場をとっていますけれども、しかし、事故が続発する場合には何かの措置を考えなければならない、このように言っております。その後どのような具体的な方策があるか、お伺いしたいと思います。
  121. 三木武夫

    三木国務大臣 この問題は、非常にむずかしい問題を含んでおる。先般の問題も、ベトコンからの砲撃を受けたわけですが、私もこれは日本人の生命が、一人であろうが二人であろうが、やはり失われるということに対しては、関心を持たざるを得ないわけであります。この間、シャープ太平洋司令官と話をしましたときも、むずかしいことではあるにしても、日本人の生命を守ることに最善の注意を払ってもらいたい。もし被害者が出た場合に、それに対する補償の措置というものも十分やってもらいたいということを言ったわけですが、いまのところ、これでLSTの乗り組み員に何らかの処置をとるという考えは持っておりませんが、しかし、どういうふうに将来この被害の状態がなっていくかということには、注意深く事態の推移を見守りたいと考えております。
  122. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 現在LSTの乗り組み員は、約千数百名従事しているようであります。しかし、このような事件がきょうまた起こらないとは断言できないと思います。さらにまた、続発する可能性は非常に大きいと思います。これはまだ考えを持っていないという外相の話でありますが、早急にこの事故をなくす方策を講じなければならない、このように思います。御所見を承りたい。
  123. 三木武夫

    三木国務大臣 現在のところ、これを何らかの処置でとめる意思は、いま持っておりませんが、なるべくそういう生命などに対するいろんな被害を受けないように、われわれのできる範囲内のことでは注意をいたしていくことは、当然だと考えております。
  124. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 人命保護という立場から、私は、直ちに、日本人の働くLSTが危険水域に入らないように、このように米軍に要請することはできないだろうか、また、すべきではないか、そう思いますが、御見解を伺います。
  125. 三木武夫

    三木国務大臣 ベトナムにおける戦争は、危険地域ということが、わりあいベトコンの活躍がああいうゲリラ的な戦いですから、何かフロントがあってやっておるのでないでしょうから、そこは実際問題として非常にむずかしい点があると思いますが、そういう普通の戦いと違っているので、危険地域という解釈が、ゲリラ戦の場合には非常にむずかしい問題がある。われわれはできるだけのそういう人命保護の努力をいたしますという以上のことは、ちょっとお答えはこの場合できません。
  126. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 先ほどの外務大臣の話によりますと、ベトナムの和平問題については積極的に行なうということとこのLSTの問題の発言とは、どうも食い違うのじゃないか、そう思います。さらにまた、政府関係ないといっても、たとえば契約の自由であるとか、また一時的な金の問題でアメリカのこのような危険な仕事をさせるのではなくて、政府として何らかの方策を考えるべきである、このように思います。この点、御見解をお伺いします。
  127. 三木武夫

    三木国務大臣 人命保護という見地から、政府はできるだけのことを考えることは、伊藤さんの言われるとおりいたしたい所存でございます。
  128. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 また、LSTの日本人乗り組み員の現在のままを外相は認められますか。
  129. 三木武夫

    三木国務大臣 これは認めるといっても、個人の契約で行っておりますから、この契約自体をもうだめだというように、これをいま何らかの処置をとるといったら、いろいろ旅券などというような処置でしょうが、現在のところは、そういう処置をとる考えはございませんが、しかし、いま言ったように生命という大事な問題に触れておるのですから、今後どのようになるかということは、われわれが非常な関心を持たなければならぬと考えております。
  130. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 現在のまま放置するならば、日本のベトナム戦争への介入、また自衛隊の海外派兵などにもつながる、このような声もあるわけです。そのような誤解をますます増大するのではないか。さらにまた、国際的な信用という面からも問題になるのじゃないかと思います。その点の御所見をお伺いします。
  131. 三木武夫

    三木国務大臣 日本ばかりでもなしに、ほかからも契約して雇われておるのでして、これをもってベトナム戦争への介入というふうには考えていないわけです。われわれの関心を持っておるのは、日本人の生命の保護という問題で、この問題に重要な関心を持っていきたいということでございます。
  132. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いずれにいたしましても、ベトナムの和平を積極的に解決する姿勢を示すならば、やはりこの問題についても世界から誤解を受けないように、外務大臣今後やっていただきたい、そのように御要望しておきます。  次に、昨日ですか、話がありましたようですが、日米安保協議委員会において日米の合同演習の点に触れたかったけれども、時間がなかった、このように御発言がありましたが、触れたかったけれどもという点について、どのような御所見があったのか、ひとつお尋ねしておきます。
  133. 三木武夫

    三木国務大臣 この日米安保協議委員会には、太平洋艦隊司令官も来ておるわけですから、あれに対する見解などをただしたいと思ったのであり  ましたが、ちょうど限られた時間でありますから、いろいろほかにも問題があったから、その席では入らなかったのであります。しかし、記者会見のときに、この問題についてはいままでいろいろないきさつがあるけれども、この演習をやめるなんという考え方はないのだということを両方の責任者が発言をしておる。そしてまた、あとの機会においても、そういう意見を述べておりました。したがって、これはいろいろ今後の問題の推移というものもわれわれとしても注意をしなければならぬでしょうが、いまのとこころ、演習をどうというふうな問題には考えていないのであります。
  134. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 今回の日本海域における日米合同対潜演習、またその後の米国と韓国との合同対潜演習、これはソ連並びに北朝鮮を刺激したことは、新聞に報道のあるとおりだと思います。そこで、私は前の予算委員会の分科会におきまして、この演習問題については、国際情勢、特に極東情勢の緊迫している現在、沿岸のソ連や中共を刺激することはないか、やらないほうがいいのではないか、このように防衛庁長官に申し上げたわけであります。長官はそのときに、毎年演習をやっているし、決して刺激することにならない、このように答弁をされました。しかし、現実にはそのとおりになりました。特にタス通信によりますと、ソ連政府は、日米合同演習をソ連沿岸で行なうこと自体、計画的、組織的、挑発的、軍事的示威とみなさざるを得ない、このように言っております。その点に対しての外務大臣の所見を伺いたいと思います。
  135. 三木武夫

    三木国務大臣 これは、増田防衛庁長官が答えたようですが、毎年やっていることですからね。これが特にこの際にやったというわけでもないですから、そう非常な刺激を与えたというふうには、われわれも考えていないのでございます。
  136. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 今回の日米合同演習では二回にわたって衝突事故が起きたわけでありますが、これはわが国にとっても重大な問題だと思います。日本の自衛艦がソ連の駆逐艦と衝突する可能性も、また十分考えられたと思います。そうなりますと、当然日ソ間の問題になるのではないかと思うのですが、外務大臣の御所見をお伺いします。
  137. 三木武夫

    三木国務大臣 これは各国とも非常に注意深く戦争を防止して平和を維持していくということで、各国とも好んで戦争をしようという国はどこにもないですからね。いろいろな抗議をしたり、異議を申し立てたりというようなことは国際政治のうちにありますけれども、しかし、戦争というワクの中では問題をどの国も考えていないのでありますから、誤解があるとするならば、誤解を解く努力はしなければならぬと思います。
  138. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 戦争の歴史を調べてまいりますと、実にささいな問題から起きているわけであります。したがって、今度の問題も、現代の国際情勢は少し違うかもしれませんが、しかし非常にそういう危険がある。また、なぜソ連の沿岸で演習する必要があったか、私はわかりません。しかし、今後無用な刺激を避けるべきである、このように思います。その点について、また大臣の御所見をお伺いします。
  139. 三木武夫

    三木国務大臣 不必要に外国を刺激するということは必要はないですけれども、公海における演習などというものは、毎年やっておるような場合に、こういうことをすれば刺激するのだろうかなんかということばかりも考えていられませんからね。そこはそのときのいろいろな情勢判断をして、なるべくよその国を刺激しないようにということは、伊藤さんの言われるとおりでしょう。しかし、そのために、ちょっとでもあまり喜ばぬ国があったら演習もできぬというのも困りますから、そういうところはやはりそのときの情勢を判断すべきであります。
  140. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 時間も過ぎたようでありますから、簡単に申し上げます。今後また演習はすると思いますが、いい悪いは別にいたしまして、十二分に刺激のないように、またそういう沿岸で誤解を受ける行動をとらないように、どうか外務大臣といたしまして、今後の問題として検討していただきたいと思います。  以上をもって終わります。      ――――◇―――――
  141. 關谷勝利

    關谷委員長 通商産業省設置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑申し出があります。これを許します。大出俊君。
  142. 大出俊

    ○大出委員 これは本会議でいろいろ説明をされておったようですけれども、私なかなか理解しにくい点がありましたから、もう一ぺん要点の御説明をいただきたいのです。中小企業振興事業団の創設の問題ですね、この目的等について、要点をもう一ぺんここで御説明いただきたいのです。あわせて質問がございますから……。
  143. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 中小企業振興事業団の創立の目的は、従来からありました近代化資金の問題と、それから指導センターの問題、それを設けておったのでありますが、その資金の問題と指導とあわせて一本でやるべきじゃないかということ、また同時に中小企業の協業化、協同化をはかる、そういうことについてむしろ積極的に指導すべきではないかということで、それらの事業を一本にして振興事業団をつくったらいいということで事業団をつくった次第であります。
  144. 大出俊

    ○大出委員 日本ボランタリーチェーン協会というのがございますね。こちらのほうから過般要望書が通産省に出ていると思うのです。中小企業振興事業団の創設に伴う助成強化という項がございまして――いまここで近代化資金、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、現行の高度化資金――近代化資金というよりもむしろ高度化資金、それの制度の不備を、中小企業の構造改善、こういう意味でここでひとつ補ってもらいたいという趣旨、それからあわせて中小企業関係のボランタリーチェーン本部に対する融資ワクの大幅増大をしてほしいという要望が出ておりますが、これに対してどうおこたえになるつもりですか。
  145. 金井多喜男

    ○金井政府委員 ただいま大臣が事業団について御答弁申し上げましたが、中小企業、製造業関係、流通関係を通じまして、資本の自由化あるいは労賃の高騰等の内外の環境の変化に即応して協業化を大いに推進していかなければならないというふうに、私ども平素考えておる次第でございまして、こういった面において、まず小売り商業の段階における協業化をどういうかっこうでやるかということにつきましては、私どもといたしましては、ボランタリーチェーンの推進が一番の根本である、かねがねこういうふうに考えておる次第でございます。ところが、率直のところ、前年度より政府におきましては本部の倉庫等についての税制の割り増し償却等の措置を講じ、一方高度化資金につきまして融資の道を開いたわけでございますけれども、遺憾ながら前年度の実績はあまりあかっていないという言うにいわれてもやむを得ないような事情にあるわけでございます。その根本をいろいろ探ってみたわけでございますけれども、それについては、一方において大きな問題としては、まだ流通関係、なかんずく小売り商におきまして、こういったボランタリーチェーン等を主体にした協業化という方向についての意欲なり経験というものが積まれていない。それが一つ。それからもう一つは、融資の制度におきまして、従来の高度化資金のやり方、すなわち国と県とで需要金額の半分を出してやるというやり方、これは相当な助成策と思っておったわけでございますけれども、いろいろとボランタリーチェーンに意欲を持つ方々の御意見を聞いてみますと、もっと国が前向きに助成策を考えるべきではないかというような要望もありますし、そういう必要もあるというふうに私ども考えた次第でございます。そういった点で、助成の金額につきましては、従来の国と県と合わせて五割というものを、今回は国が四割、府県が二割五分、こういうことにいたしまして、六割五分を助成の対象にいたす、こういうことにいたしたわけでございます。こういうかっこうでまいりますと、先ほど申しました事業団は、構造改善についての指導をあわせ行ないますので、こういった事業団における指導という仕事と助成の強化というものと相まって、業者のボランタリーチエーンへの意欲を相当促進する材料になるのではなかろうか、このように思っておるわけでございます。  それから第二番目の、来年度どの程度助成の対象を考えているか、この点でございますけれども、この点につきましては、今度の事業団をつくりました一つのそういう事務的な面からのメリットと申しますと、従来は高度化資金については、工場団地がこのくらいの予算とか、商業団地がこのくらいの予算とか、ボランタリーチェーンがこのくらいの予算とか、あるいは商店街の共同店舗がこのくらいとか、近代化がこのくらいの予算だとかというふうにこまかく分かれておったのでございますが、これを今度は一元的に、包括的、にやることができますので、ただいま国会で御審議を願っておる現在の事業団の予算等からいたしますと、業界の需要に対して予算上どうもついていけないというようなことはないんじゃなかろうか、私どもこのように考えておる次第でございます。
  146. 大出俊

    ○大出委員 そこまで言われるならつけ加えて説明してほしいわけなんですが、問屋チェーン等の申し込みがあっても、重点は小売りなんですから、なぜ小売り集団のチェーンができないかという点について一つ非常に大きな問題は、流通機構に対してメスを入れるという立場から見て、有効な法律も何も存在していないというところに一番大きな点があると思う。いまおっしゃったような技術的な問題じゃない。これは根本的な問題です。これはあとから申しますが、いまここでお答えをしておいていただきたいのは、私も、去年質問をいたしまして詳細に御説明いただいており、意見も申し上げておりますが、県なら県が五百万、国が五百万、合計一千万、こうなった場合に、業者が一千万集めておればそういった助成をする。つまり業者団体が、たとえば小売り店舗が百店舗十万円ずつ集めて一千万円である。そうすると、国が五百万、県が五百万、合計二千万、つまり業者の一千万の資金に対して一千万を貸すということになっておる。こういうときは、一年据え置きで六年返済、計七年無利子ということだった。今度大きな違いがあるのは、利子を取るということだと思う。ここのところを説明していただかないと、単に助成措置が前進をしたという御説明では――この利子も小さくないのです。明らかにしてください。
  147. 金井多喜男

    ○金井政府委員 利子を取る点について御指摘を受けまして、私ども大事な点について御説明に手落ちがあって痛み入る次第であります。率直な話、私どもこの利子の問題については、関係官庁、なかんずく大蔵省あたりとはかねがね相当検討した次第でございます。でございますけれども、要するに、こういった中小企業の協業化推進のために政府が前向きで考えるといった場合に、その利子の問題につきましては、一つの基本的な考え方といたしまして、一応中小企業基本法の精神に基づいて業者の自主的努力というものを前提に考えて、無利子ということよりも、多少なりとも金利を取って、金融的な性格をもって考え、そのかわりに量的な面において拡大するというようなことに落ちついた次第でございます。これが第一点でございます。  それから第二点といだしましては、従来の高度化資金制度におきましては確かに無利子でございましたが、先ほど申しましたように、何といっても高度化資金特別会計というような形式でありますと、資金の運用について個別的に団地等のワクをあらかじめ想定しておくというような事務的な慣習になっておりますので、この点弾力的な運用に欠けるという問題があったわけでございますが、これを今度は事業団で包括的にやりますと、先ほども答弁申しましたように、一応ボランタリーチェーンについていまから何億というふうにはっきりきめておかなくても、実態に応じて彼此うまく融通できて、全体として事業団の予算の消化がうまくいく、こういうことに相なるわけであります。その点、従来の制度から申しますと、形式的には五割ということになっておったわけでございますけれども、実態につきましては必ずしも五割というふうにはいっておりませんでして、たとえば極端な場合には、工場団地等の場合だと、三割とか三割五分しか融資されてない。そうすると、かりに市中の金融機関から九分程度で借り受けるということにいたしますと、国の金なり府県の金が無利子であっても、そういう有利子のシェアが非常に多くございますと、結果的においては事業者の資金計画なり金利計算から見ますと五分程度に落ちついておったというのが、過去の団地等の実績から見ての統計的結論でございます。この点、私どもは六割五分という線は、ぜひ事業団の監督指導をうまくやって、融資ワクについて、従来の高度化資金制度と同じように、見せかけは六割五分だけれども実態は五割であったとか四割五分であったということのないようにつとめなければいけませんけれども、それがうまくいきますと、事業団のほうで御指摘のように三分五厘の金利を取りましても、実際の事業者の全体的な市中の協調融資と自己資金調達等の金利の平均から申しますと、四分五厘程度で落ちつくのではないだろうか、こんなふうに予想いたしまして、またその程度で落ちつくように、ただいまも申しましたように、融資ワクの比率については是正をしてまいりたい、こういうように思っております。
  148. 大出俊

    ○大出委員 大臣にひとつ聞きたいのですが、本会議であなたがおっしゃったところによれば、中小企業の諸君を集めて、おまえたちも一生懸命やれと言ったということですね。どういう諸君を集めたのですか。
  149. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 中小企業の諸君を集めてじゃない、繊維産業の人と話をした。中小企業じゃありません。
  150. 大出俊

    ○大出委員 自主的努力を期待する意味で利子をつけたというのは、どういう意味ですか。
  151. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 大出君も御経験があるかどうか知りませんが、私自身の体験から申しますと、やはり利子を払ったほうが本人の努力目標になると思うのです。大阪でもそうです。私は大阪で育っておりますが、利子を払わなければならぬということで、そこで努力をするということで、おそらくそういう意味でいま次長が説明されたことと思うのでございます。それも高い利子ならともかく、安い利子でありますから……。無利子であると、人間はとかく安易に考えますから、ひとつ努力目標という意味で利子を取ったほうが本人が一生懸命働くのじゃないかということであって、結局中小企業の問題でも、何とか本人が自主的に活動しなければ役に立たない。何ぼ政府が指導してもだめなんですから、本人が自主的に働く、活動をするように指導していかなければならぬ。私自身はそう考えております。
  152. 大出俊

    ○大出委員 菅野流のかってな解釈をしてはだめですよ。昨年の議事録に明確に残っているのですからね。無利子ということは明らかになっている。そうちゃんと答えている。三木さんが大臣だ。三木さん自身が自由連鎖店構想を新聞に発表して、一生懸命あおった。いつもそういういいかげんなことで、一年もたたぬうちにころころ変える。そういうことをするから、みんな疑心暗鬼になってしまう。いま大臣が言うように、何といったって個人の努力がなければだめだ。そうじゃない、構造を変えなければならぬから、ボランタリーチェーンというものができているのです。個人がいかに努力してもどうにもならないから、したがって構造の変化を求めようというところにボランタリーチェーンの発想の出発点がある。個人がさか立ちしたって片づきやしない。構造を変えるのです。だから金が要るのです。もう一ぺんよく考えて答えてください。
  153. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 構造を変えるためにボランタリーチェーンをつくるので、それについては各自が協力するという精神がなければならぬ。構造だけ変えたって、各自が協力しなければ何にもならない。各自が協力するというその精神が大事である。そこで、そういうものでお互いがみんな努力して、協力してやろうじゃないかということを指導するのが、政府の役目だと私は考えています。
  154. 大出俊

    ○大出委員 あなた協力すると言うけれども、ボランタリーチェーンというのはどうなっているのか、いまの答弁でほんとうに知っているのかね。気をつけて答えてくださいよ。一々文句を言わなければならぬ。時間がないから次長に聞きますが、昨年無利子のものがことし四分五厘の利子がついている。安い利子だと言うけれども、利子はただだったんです。四分五厘もついたら、ひとつも安くないじゃないですか。もう一ぺん答えてください。
  155. 金井多喜男

    ○金井政府委員 私、先ほど申し上げましたのは、要するに、事業者がたとえば一億なら一億という計画をもってやりました場合に、従来の高度化資金制度におきましては、その半額を国と県で無利子で見る、そういうことに相なっておるわけであります。ところが、今度は六割五分を国と県が負担するわけでございまして、まさに御指摘のように、そのかわりに有利子ということになっておるわけでございますが、私が先ほど申し上げましたのは、今度は事業者の全体の事業計画というものから込みで計算をいたしますると、無利子の金がなくなって有利子になりましても、全体として金利のきわめて低い金のシェアが大きくなりますので、その点は、事業者全体から見ますると、そう従来と変わったことにならないかとも思います。しかし、その場合に、当然六割五分という見せかけの融資比率にしておきながら、それが従来の高度化資金と同じように八掛けにするとか七掛けにするということになりますと、御心配のような問題が出てまいるわけでございます。その点、私どものほうとしては、その事業団の融資制度におきましては、従来の高度化資金制度等の欠点と同じような、見せかけで終わらないように大いに努力いたしたい、このように考えておる次第でございます。  それからもう一つ、ちょっと先ほどの大臣の御質問に対しての答弁をさせていただきますと、まさに先生の御指摘のように、私どもこの事業団構想を打ち出しましたときは、無利子ということで予算要求をいたし、関係官庁等と相当そういうことで交渉いたした次第でございます。しかしながら、通産省はそういうつもりでございましたが、政府全体といたしましては、先ほど申しましたような結論に相なった次第でございます。
  156. 大出俊

    ○大出委員 大臣、ひとつ気をつけて答えてくださいよ。あなたのほうが予算要求をしたときは、昨年ちゃんとここでも三木通産大臣自身が答えているのです。いいですか、新聞にまで発表して、私が質問したら明快に答えて、議事録に残っている。来年も無利子で返済期間をもっと延ばすように努力すると言ったのです。そうでしょう。その通産省か予算要求をするときに、利子をつけて要求するはずがない。それをあなた、そういう小手先答弁をするからいかぬのです。大蔵省が粘っちゃって、どうにもならぬで、通産省が折れたわけじゃないですか、さんざんやり合って。そうでしょう。あなたはそのときにはいたのかいないのか知らぬけれども、そうでしょう。そうだとすると、私の一番の心配は個人の問題じゃない。これだけたくさんの、全国百三十万もある小売り店舗でしょう。その方々が、あの通産省の発表に非常に鼓舞激励されて、これからひとつ欧州やアメリカのような形の自由連鎖店方式をとろうということで、方々でいま勉強しているんですよ。それは非常に熱心なものです。私も林信太郎さんに御足労いただいて、横浜のお菓子屋の小売り屋さんを一ぱい集めて――一人も帰らないんですよ。三時間も四時間も説明を聞いて、克明にメモをとって、メモなんかとったことのないお菓子屋さんがやっているのだから…。そうでしょう。そこまで真剣にこれは考えてきているわけですよ。そのやさきに、政府の助成措置というものが後退したという印象を与えたくない、正直に申し上げて。だから、これは何も皆さんに当たる筋合いでないことは百も承知している。百も承知なんだが、あなた方が所管庁だから、言うべきことは申し上げておく。大蔵省にも言うべきことは言いますよ。だから、前向きにやはり答えてくれないと――私の経験によると、私はそう思いますなんと言ったって、本来、通産省はそういう要求をしていないんだから、そうでしょう。だから、先ほど言えば切りがなくなるからやめたんですけれども、そこらあたりは将来ともひとつ考えていただかなければだめですよ。そういう事情なんだから、それは世の中の方々にすれば、六割五分より、四分五厘というなら、五割でただだったんですから、五割にしておきますからもとへ戻してくれと言いますよ。返済期間は何年ですか。
  157. 金井多喜男

    ○金井政府委員 事業団の創立の一つの問題として、返済期間とか融資条件、こういう問題が一つの大きな問題として残っております。これが従来の七年だとか五年だとか、あるいは一部には十年というものもございますが、こういったのが改善されないでそのままでは、事業団創立の意味も相当薄らいでくるというふうに、私ども事務当局としては心配いたすわけでございます。この点につきましては、実は大蔵省に予算折衝で金額がきまりましたときに一緒にきめてもらうように交渉した次第でございますけれども、大蔵省の立場からいたしますと、当時非常に各省予算の整理等で混雑をきわめておりまして、これについては、法案の審議と並行して、とにかく事業団の発足までによく両省でもって話し合ってきめよう、こういうことに相なっております。ただ、私どものほうの大蔵省に出しておる希望といたしましては、土地とか建物というような不動産関係については、当初二十年というふうに申しておりましたが、いまいろいろの話の段階で、必ずしも二十年は一年欠けてもいかぬぞというようなことではございませんで、まあできるだけそれに近いような線にしていただく。また、これはボランタリーチェーンに直接関係はございませんけれども、機械関係につきましては、耐用年数の期間ぐらいは見てもらう。また据え置き期間につきましても、従来よりも二年程度ないし三年程度はふやしてもらう、こういうような要望をいたしております。
  158. 大出俊

    ○大出委員 昨年、卸関係でなくて小売りの関係で、ボランタリーチェーンの発足を見たものは幾つありますか。二つですか、三つですか。
  159. 金井多喜男

    ○金井政府委員 たぶん二つでございます。
  160. 大出俊

    ○大出委員 そこで一番根本になる、なぜ――政府のせっかくのPRあるいは親切な指導、これは私は敬意を表します。ほんとうに商業課の方々なんというのは、どこへでも出てきて、それこそどんな小さな集まりでも、呼ばれれば行って詳しく説明しておりますよ。たいへんな努力を払っておることを私は認めておる。私も手がけておりますからね。ところが、にもかかわらず、踏み切れないのはどこに理由があるかというと、いい例を一つ私申し上げますが、この三十七、八年という年に、皆さんのほうからしきりに大量販売組織ということを、つまり流通革命という意味で大量仕入れあるいは共同仕入れということを相当強く言われた時期があるんですよ。スーパーマーケットなんかも当時から出始めましたが、そういうことに力を得て、そこで三十九年に幾つもの大量仕入れ機構機構ができておりますね。いいものも悪いものもあります。ありますけれども、ここでできた。千葉県あるいは尼崎などもありますが、岡山あるいは金沢等々に幾つかできました。ところが尼崎なんというのは、市内六千店の小売りのうちの半分持っていたわけですね、三千店。たいへんな規模だったわけですね。これは県の商工組合その他が音頭をとってやっているから、全体会議できめてやっているからこうなるんですけれども、千葉の場合にこれはみごとに失敗して、六千万円の負債を残して倒産しましたね。この倒産をするまでの過程には、ずいぶんいろいろなことがある。関係者の方々が、二千五百万しか資本金がないから、みんな私財を蕩尽させて、小売り店舗を助けてきたわけですよ。しかし、どうにもならぬで倒産をした。この間に政府のほうは、この種の流通機構について大量仕入れ、共同仕入れの形で切り抜けていこう、一割、二割必ず安いわけですから、そういう形にしようという民間一般の努力、大臣の言うとおりたいへんな努力をやっている、それこそ死にもの狂いでやっている、にもかかわらず、何らこれを助けようとしない。御存じですか、そこのところ。
  161. 金井多喜男

    ○金井政府委員 実は、私どものほうの関係官が先般先生に御指摘を受けまして、初めて私ども知ったような実情で、まことにおそれ入る次第でございます。
  162. 大出俊

    ○大出委員 そうお答えになると、これはどうも質問のしようがなくなりますが、私、これはずっと調べてみたのです。前に千葉へも行ってみたのです。ところが、ほんとうにそれは泣きの涙で話をするのですよ。というのは、二千五百万の金を持ってメーカーに行った。共同仕入れ機構ができて、しかも県の商工組合が全部集まって、満場一致賛成してこれは出発したのです。だから、相当な地位の方々が直接担当者になって始めたわけです。ところが、メーカーに行くと、そっぽを向かれる。私のところの古い問屋さんを殺すわけにまいりません、というわけです。そこで、普通の場合は、第一次問屋、第二次問屋、小売りと、こうなるわけです。現金を持っていますから、第一次問屋に行って、第一次問屋から仕入れる。二十円のキャラメルは十四円です。仕入れられた。非常に喜んでそれを流した。ところが、一週間という期限つきで金を回収しないと、資金が足りないから回転ができない。ところが、旧来の問屋さんなら、小売り店対策のために一カ月でもほっぽっておく。そういう点もありました。かつまた、この配達に金がかかるということもございました。しかし、最初のうちは換金物資その他をどんどん売ってくれた。ディスカウント商品等をどんどん売ってくれた。ところがその途中から、それが大きくなりそうになっていく段階で、もう四苦八苦してやっていく段階で、問屋が総勢集まってメーカーに圧力をかける。さらにその売った問屋に対して圧力をかける。そうすると、第一次問屋は、売りたいのだけれども売れない。それこそ血みどろの状態ですね、これは。県内至るところにそれがあったのです。いろいろな業種、いろいろな商品の種類にわたってそれがあった。悪戦苦闘して、とうとうつぶれて六千万の負債を負っている。こういうことですよ。こういう点について、今日法的にこれを何とかささえるというものは何にもないはずなんですけれども、何か適用法規がありますか。
  163. 金井多喜男

    ○金井政府委員 これが取引の上で不公正なものであると、一応独占禁止法の対象になるのではないかというふうに考える次第でございます。
  164. 大出俊

    ○大出委員 実は、私この前、赤城さんが農林大臣のときに、公取の委員長さんもお呼びいただいて質問したのですけれども、公取は別な見解を持っております。これはお調べをいただきたいのですが、一つ例を申し上げておきますけれども、岡山県の、いま私が申し上げていると同じ意味の共同仕入れ機構、ここの理事長さんは磯島正一さんというのですが、ここで加入店舗が一千五百店で、これは頭へきて――これはソーセージなんですが、日本水産を相手取って公正取引委員会に訴えた。実際に訴えておるのですよ。ところが、公正取引委員会はいろいろと理屈をつけて動こうとしない。となると、これは私はあまりといえばひど過ぎると思う。そこで私の一番心配なのは、いまの点も御存じならお答えをいただきたいのだけれども、問題は、皆さんの指導方針というのは、できるだけ卸屋さんを排除して、小売り店舗だけのボランタリーチェーンをつくれといっているわけです。一部卸が入ってもいいけれども、ともかく卸屋さん中心になったのでは認めないというのが、皆さんの方針です。それは当然です。英国の場合だってそうなんです。だから、そうだとすると、小売り屋さんが集まってやるとなれば、その仕事全部がもちろん共同仕入れではありません、ごく一部がボランタリーチェーンの仕事の中の共同仕入れ方式なんです。共同計算センターもあれば、あるいは陳列方式もあれば、たくさんあります。ありますが、しかしその一部、主要なものの一つとして、いやでもおうでも共同仕入れ機構になる。そうなると、小売り屋さんだけの集まりだということになると、いまあらわれているこの倒産をしている共同仕入れ機構というものと同じ結果が出てきはせぬかという心配が、どうしても残る。何らかここに助成措置がもう一本ないと、せめて行政指導ができる措置が一本ないと、せっかく商業家、資本家の方々が、それこそ末端の担当の方々まで一生懸命――あなたはそこに印刷物を持っておられますが、教師用としろうと用とある。けれども、そこまでお調べになって、外国の例を引っぱり出して説明をされているのだが、いざやるという側にしてみると、そこがどうしてもふん切れない大きな原因です。私が手伝ってきたところは、今月の末に始めますが、しかし、これはお菓子屋さんの小売り店舗だから、これはパイオニア的な存在です、そんなものは全国にないのだから。あなた方の指導の方針どおり進めようというわけですから。そうすると、その中でもやはり論議になるのはいまの問題です。だから、私は今回、大臣が先ほど言われたような意味での個人的な努力をいかにやっても、機構上どうにもならぬという今日の流通というものについて、何かそこにひとつ押える行政措置が行なわれ得るものをつくっておかなければ、いかに中小企業振興事業団なんというものをこしらえたって、現実には前に進まない。これは私は一番大きな問題として申し上げたいわけです。これだけは大臣、一ぺん――あなたがおっしゃる、それはわかりますよ、個人が努力しなければならぬことは。しかし、自分の店の盛衰をかけているのですから、いやでもおうでも死にもの狂いで努力せざるを得ないのですよ。そうなると、やった結果として、いま私が例にあげた千葉の共同仕入れ機構ではないけれども、相当な人物が中心になってやった。しかも小売り店舗を育てたいというので、私財を蕩尽して裸になってやった。それでも力尽きた。その間いろいろな働きかけをしておるが、ついに政府は見て見ぬふりをしている。なぜか。法的によりどころがない。何にもないという理由なんですね。何かあれば、官僚機構の中の皆さんが手を出せる。問題は、何にもないからですよ。ここにこの問題の一番のウイークポイントがある、私はこう考えておりますが、その点どうですか。
  165. 金井多喜男

    ○金井政府委員 千葉県共同仕入れ機構、それから岡山県共同仕れ機構につきまして、先生が非常によく実態を把握していただきまして、こういう場で御教示をいただきましてありがとうございました。私、ありがとうございましたというのは、通り一ぺんで申し上げるのでなくて、実は私の不勉強かどうか、そういう点に一つの大きな問題があるということについて、私実はただいままで知らなかった次第でございます。もし先生のおっしゃるような実態であるということでございますと、これまた理屈がましいことになるかもしれませんけれども、私先ほどあげました中小企業基本法の精神、条文から見ますと、自主的な努力はしてもらうけれども、不利の是正ということについては、これは中小企業対策の大きな根幹として政府がやるのだ、こういうことになっておりまして、この点、私ども実態をなおよく勉強をいたしまして、そういう実態を何らか公正取引委員会とも相談して、せっかく自主的努力はあるのに、そういう問屋とかメーカーの圧力によってせっかくの協業化制度、なかんずくボランタリーチェーン制度がかけ声と全く違って、そういう不公正な取引のために効を奏しないということのないように、ひとつ大いに勉強して努力したい、このように思っております。
  166. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 関連。いま大出君から中小企業の振興にとって深刻なお尋ねが出たのですが、その問題と逆に、非常に円満にいっているという例があったら、お知らせを願いたい。
  167. 金井多喜男

    ○金井政府委員 その点、実態を調査いたしまして、後ほど先生に直接御連絡申し上げます。
  168. 大出俊

    ○大出委員 この尼崎が、さっき私が例にあげました、六千店舗あるうち三千店舗握っているわけですね。だから、今度は一次問屋のほうが――メーカーではないですよ、最初三千店舗、半分握っちゃったのです、だから、この共同仕入れ機構にへたにへそを曲げられると、これは干されちゃうということですね。だから、そっちを向き始めた。そうすると、今度はメーカーのほうもあんまり一次問屋を気にしないで済む。そういう分野が出てきて、尼崎は続いているわけですよ。問題は、いま皆さんが指導されている指導方針からすれば、まずどのくらいがいいのですか。私が先般聞いたときに、皆さんのお答えは、せいぜい百店舗か二百店舗とおっしゃっている。そうすると、横浜市内でお菓子屋さんの小売りの組合に加入している方々は、七百店舗です。ところが、七百店舗を組織しようと思ってもできない。なぜかというと、足が違うから。小さいお菓子屋さんがたくさんあるでしょう。そうすると、十万円の金を集めることはたいへんなんですよ。出せないのですよ。せがれさんがみんなつとめに行ってしまう、店はじいちゃん、ばあちゃんがやっているというところがたくさんあるのですから。親のあとは継がないのです。なぜかというと、小売り店で生きていけない、おもしろみがないからです。だから、近代化が必要なんです。構造的に変える必要があるのです。そうすると、金が出せない。せがれたちとみんな別になっている。せがれが入って一緒にやれば別。そういうところがたくさんあるのです。見てくれはよくても、組織できるものは七百店舗のうち百店舗か、百二十店舗集められれば精一ぱいなんです。それだけの資金しかない。だから、私は利子の問題を問題にするわけです、正直に申し上げて。そこで問題になるのは、あなたがおっしゃったとおり、中小企業基本法がつくられて、共同仕入れという問題が大きくクローズアップされてきた。協業化、共同化ということも問題になってきた。なぜなら、中小企業は脱皮しなければならない。そのためには、共同事業、合併といった方法を積極的に考えるべきであると法律に規定してあるからです。そうなれば、この法律は国民に何をいっているかといえば、脱皮しなさい、そして協業化、共同化のほうに進みなさい、積極的にやりなさい、こう法律は規定しているわけです。その方針でやったら、アメリカの学者の言うとおり、流通機構というのは経済の分野における暗黒大陸だというけれども、ここにぶつかった。なまけている古い問屋さんというようなことを東大の学者も言っているけれども、あぐらをかいているわけですよ、一次問屋さんは。二次問屋さんはまだしも、法的に何もないから、公取も動かないから、あぐらをかいている。キャラメルの再販価格の問題だって、私が一昨年質問をして、公取の方からみんな引っぱってきて、ずいぶん激しくものを言いました。これはぴたり一年たった二月十日に指定解除です。だから、お菓子の組合の方々は何を言っているかというと、これは記念日だといっている。建て値そのものの値動きも今日しているのです。あのときにチョコレートの問題をあげた。二十円売り六十個で建て値九百九十円ですよ。明治、森永、古谷、グリコ、全部そうです。チョコレートメーカー六十ある、五番目は長崎屋ですよ。どこへ行ったって九百九十円、そんなばかな話はない。協定価格です。公取が手をつけようとしないのはなぜか。相手が大き過ぎるからだ。そんなばかな話はない。だから、六十で九百九十円を割れば、明確に十六円五十銭が仕入れですよ。それで三円五十銭もうかる。一割七分二厘の利益です。税務署の徴税とらの巻を見ると、二割三分から二割五分税金をかけることになっておる。それじゃ大臣、幾ら努力したって成り立たないでしょう、幾ら個人の努力と言ったって。だとすれば、機構を変える以外に手はないのですよ。してみると、どうしてもボランタリーチェーン式のものを育てなければならない、どこから考えても。その助長措置が後退をする姿になってくることは、どうしても困る。そこのところをもう少し、せっかく皆さんが努力されておるのだから、仏つくって魂入れずにされておったのでは、できません。それを皆さんにお願いしたいわけですよ。いま基本法をおとりになりましたから私は例をあげたのですが、基本法は明確なんです。いまの千葉のような例を規制する何らかの法的措置は一項もないというところに、いまの暗黒大陸といわれる古い流通機構を温存してしまうことになるのです。だから、最小限度の利幅のものであっても、一番根っこと末端の小売り店舗の間で、価格が二倍になる。それでは私は物価対策にはならないと思う。そういう意味で、英国なんか皆さんの調査によると、ボランタリーチェーンが五二%くらいになってきた段階で、小売り物価が二割下がった。下がるはずなんです。だから、そこのところをぜひ皆さんのほうで何とか、これを大臣に即答はいただきませんが、そこを御検討いただきたいと思うのです、法的な措置を含めて、公取の関係を含め。いかがでしょうか。
  169. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 大出委員から承ったのですか、そういうような実情があるとすれば、ボランタリーチェーンについても根本的に考えてみなければならない、こう思いますので、慎重にひとつ検討したいと思います。
  170. 大出俊

    ○大出委員 次長にお願いがあるのですが、返済年限ということについても、先ほど固定資産的なもののお話をされておりましたけれども、実は倉庫をつくる、ボランタリーチェーンの本部をつくるという方針をお出しになっておられる。ところが、むだなんですよ、実際問題としては。たとえば協同組合をつくりますね。何がしかの協同組合があると、そこには本部一つあるわけですよ。その本部を使えばやれるのですよ。そうすると、資金事情が枯渇しておる段階で、そういった不経済なものをわざわざつくらなければならない、それでなければボランタリーチェーンでないというものの考え方は、私は間違いだと思う。だから、そういう本部が明確にあればいい。したがって、本部をつくったり、倉庫をつくったり、自動車を買ったりするところに皆さんが助成する金を使うようでは、ボランタリーチェーンは伸びない、つぶれますよ。だから、そこらの考え方を変えていただきたいと思うのです。
  171. 金井多喜男

    ○金井政府委員 いずれにいたしましても、私どもボランタリーチェーンにつきましては、先ほど先生に御答弁いたしましたように、まだ前年度二件くらい、これがボランタリーチェーンの完成の姿だとか、あるいは理想の姿だということではなくて、いろいろとそういう実態的な調査、勉強を今後重ねまして、根本的に日本の流通機構の合理化、近代化、あるいは物価対策、こういう点から、今後とも大いに勉強していきたいと考えております。
  172. 大出俊

    ○大出委員 ところで、この具体的な点を、時間の関係もございますから、簡単に承ってまいりたいのですが、開銀の融資ワクはたしか十五億だったと思ます。だいぶ残っておると思いますが、こちらのほうは今回はどうなるのですか、四十二度年以降。
  173. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 開銀の融資ワクにつきましては、大体本年度と同じようなものを予定いたしております。
  174. 大出俊

    ○大出委員 昨年の残額を含めて、プラス十五億、こういう意味ですか。
  175. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 残額を含めてという意味ではございません。ことしのワクといたしまして、昨年と同じ程度の十五億を考えております。
  176. 大出俊

    ○大出委員 協業組合法という問題について、皆さん御検討いただいておるわけですが、これはどういうことになりますか。
  177. 金井多喜男

    ○金井政府委員 通常協業組合法と申しておりますのは、実は中小企業団体の組織に関する法律を一部改正をして、従来の協業組合では協業化がなかなか円滑に進まないという点について、新しく完全協業を目ざしての組合制度を樹立するというような趣旨を織り込んだ法律の改正でございます。
  178. 大出俊

    ○大出委員 団体法の形で、この国会にすでに出しておりますか。
  179. 金井多喜男

    ○金井政府委員 今週火曜日の閣議で決定いたしまして、近く国会で審議していただく、こういう予定に相なっております。
  180. 大出俊

    ○大出委員 先ほど私、申し上げましたボランタリーチェーンの協会のほうから商業構造改善促進調査の実施についてという御要望を皆さんのほうに申し上げてあるはずですが、そこらのところはどういうふうに了解をされておりますか。中身を申し上げましょう。流通機構の改革を促進するということで――おわかりになりますか。それでは申しません。
  181. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 商業問題は、御指摘のように、卸、小売り、いろいろな段階がございますが、特に今後の問題として、小売りの段階が非常に大事だと思います。そういう意味で、本年度の予算としまして調査費をとりまして、御指摘の点につきまして、これはすべてはできませんが、二十品目くらいにつきまして、今後小売りについてどういう手を打ったら一番いいかということを克明に調査したい、かように考えております。
  182. 大出俊

    ○大出委員 どうも自分でいろいろ調べたりなんかしてきている関係で、先ほど少し言い方が激し過ぎて恐縮だったのですが、ここで実はぜひやっていただきたいことがあるのは、二十品目といわぬで、十品目でもいいですから――さっき私、チョコレートのことを申し上げましたが、たとえば百ボール買ったらリベートは幾らであって、二百ボール買ったら幾らであって、三百ボール買ったら幾らであって、根っこの建て値というものは九百九十円だ、二十円売りは。七十円のハイクラウンだとかエリートなんかは五十六円五十銭だというところから始まって、全部明確に出してもらいたいわけです。世の中に明らかにしてもらいたい。そうすると、一次問屋の利益は幾らで、二次問屋の利益は幾らで、末端の小売り店は幾らなんだ。末端の小売り店は、さっきの二十円で申し上げれば、一割七分二厘しかもうかっていないのです。税金は二割三分ないし五分、間違いなくかかっているのですから、売り上げをごまかさなければ、お菓子屋さんはもうからないのです。そういった実態を明確に私は出してもらいたいのです。そうしませんと、日本の流通部門の焦点が浮き彫りにならない。そのためには、やはり調査費がなければやれないのです。相当手がかかります。私どもがやったって、たいへんなものです。だから、その点はぜひひとつ、あまり間口を広げないので、ポイントになるべきものを選定をしていただいて、的確に出していただきたい。日本の今日の法的な措置その他は、全体をここで申し上げる時間がありませんけれども、それは卸重点主義ですよ。メーカーの育成、保護はもちろんのこと、これは卸重点主義です。ですから、メーカーは卸屋さんをちゃんとどこかへ連れていく。温泉旅行で徹底的に歓待をするわけです、一次問屋さんについては。その中で、新製品をこれこれ宣伝をして売り出します、テレビで毎日やります、したがって、これこれの規模でつくります、つくるからおたくとおたくは何ボールくらいとってくれ。一ぱい飲まして、さんざっぱらリベートをやっておいて――チョコレートのリベートは三分から一割二分くらいになっている、仕入れの箱数によって違うのですから。だから、ときにはこういうことが起こるわけだ。千ボールなら千ボールおたくで何とか無理でも引き受けてくれ、こうくる。企業競争をやっていますからね、新製品の。そうすると、じゃリベートを少しはずんでくれ、よろしい、こうなると、リベートを少しよけいもらっておいて、そのてっぺんだけ自分のふところに問屋さんは入れておいて、あとのリベートは値にかけてそれを引いて、卸値よりもはるかに安い価格でぽんと売っちゃうわけです。だから、ハイクラウンとかエリートは世の中では七十円で売られているというのに、あるストアに行ったら――名前をあげないほうがいいと思いますけれども、あるストアに行ったら五十五円で売っている。隣の菓子屋さんの仕入れ値段は五十六円五十銭。仕入れ値段のとおり売ったって、隣のストアに行けば同じものを五十五円で売っているのですから、売れやしませんよ。そういうことが起こるわけですね。そうすると、一番泣きの涙で商売やっておるのは、末端の小売り店になるわけですね。だから、そこのところを明確にしていただかないと、これは前に進まない。助成措置も出てこない。基本法があるだけになってしまう。だから、ぜひそこのところを調査費を使って価値あるように有効にやっていただきたいということを、私はお願いしておきます。
  183. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 先生指摘の流通問題に関する御意見、私も実は全く同感に考えております。この流通問題を取り上げる場合に、その小売りなら小売り面だけを取り上げても、意味ないと思うのです。やはり卸の問題、メーカーとの関連の問題、そういうように総合的に問題を追っていかないと、改善はできないと私は考えております。そういう意味合いにおきまして、中小企業庁のほうでは、商業調査といたしまして一般的な調査をやっておりますが、私のほうは、もう少し数は少なくてもいいから実態をつかんでいく、こういう調査をやるつもりでございます。御指摘のような趣旨に沿ってできるだけやってみたい、かように存じます。
  184. 大出俊

    ○大出委員 もう一つ、共同計算センターの設置の助成というものの考え方があるのですが、私もこれは賛成なんですが、これは念を押して申し上げておかなければいかぬですけれども、私は、この種の問題は政党政派の問題でないと思う。どうしたら今日の百三十万の小売り店舗は前に進むのか、あわせて物価にどう影響を与えることができるのか、それから流通機構というものをどうすれば、その人たちも殺さないで前に進められるのかという点が中心ですから、そういう意味で実は御答弁いただきたいのですが、共同計算センターなんというようなものは、私は今日の中小企業に対してはどうしても必要なもの、こう考えているのですけれども、このあたりはどう考えておられますか。
  185. 金井多喜男

    ○金井政府委員 先生の深い御認識をいただきまして、ありがとうございました。私どものほうも、これはぜひ必要だということで、先ほど来のお話の事業団の融資対象にするということで、これは大蔵省のほうも内々了承しておる次第でございます。
  186. 大出俊

    ○大出委員 これはここでもよく要望申し上げておきますが、給食センターというものが発足をいたしましたが、あれはもともと厚生年金の利子を、当初朝日新聞だとか日本銀行の寮に使いましたね。あれは実は私は異議があるものだから、石田博英さんが労働大臣のときに、私は議員稼業をやってないときですけれども、ものを言いに参りまして、それが出発で最初五十億ということででき上がったわけなんですが、当初これは厚生省年金局がやったわけなんですけれども、新宿の厚生年金会館が最初です。ところが、この例などから見まして、あそこに給食センターを始めたわけですね。これは成功しているセンターの例からいけば、中小企業にとって非常に経費の節減になっているわけですね。自分の工場に食堂をつくらぬで済むわけですからね。たいへんな設備投資をしなければならぬものが、やらぬで済む。中小企業だから、食堂一つつくるったってたいへんなんだから。また、職員寮その他についても融資をしておりますね。同じ意味で、いま小売り店舗の近代化の中で一番必要なことは、小売り屋さんがまずマーケットリサーチみたいなことから始めて――小売り店舗というのは、その店舗のある周辺五百メートルしかお客さんが来ないのですから、奥さんの足はそれ以上歩けないのですから、その中で何が売れるか調査して、どう安く仕入れるか。仕入れてきて、陳列して、値段の札をつけて、そして売って、ときには集金までやって、さらに計算して、納税までやったら、これは社長さんと同じことをやっているわけだから、その事務をどっかで代行できるとすれば、税務署が勘によって査定しないでも済む。店舗構成がりっぱだからといって山ほど税金がかかる、小さいから安い、そういうことじゃないのですから、だから仕入れ伝票が計算センターに送られる。ずっと出てきて、売り上げたらまた売り上げ伝票が送られる。センターが計算をする。納税の規模その他もそこで全部きまっていくということに進めていかなければ、その面からいったって実はたいへんな浪費がかさんでいるわけですね、規模が小さいですから。だから、そうだとすると、どうしてもやはり計算センター的なものに思い切った助成をして、町の一つの商業組合の中心になるところにセンターを設立して、そういった仕事をさしていくということは、ボランタリーチェーンをつくる、つくらぬにかかわらず、将来に向かって考えなければならぬことだと思うのです。青色申告会なんというものがございます。いろいろ政党の方々、一生懸命努力されておりますが、そういう形の努力じゃなくて、もっと公的にやり得るものをつくるのが正しいわけですよね。ぜひひとつそこのところをそういう角度で御検討いただきたいわけです。  それから設備の近代化と技術向上という面でこれも要望が出ているはずですけれども、このあたりのところはどうお考えになっておりますか。
  187. 金井多喜男

    ○金井政府委員 私ども、中小企業政策の基本的な態度として、そういう内外の情勢の変化に即応して、協業化という面は大いに新しい太い柱として進めなければいけない、こういうふうに考えておる次第でございますが、一方、個々の企業の近代化、合理化、なかんずく技術の向上という問題については、これまた非常に重要なことである、このように考えておる次第でございます。
  188. 大出俊

    ○大出委員 これは特に何々という業種を指してもの言うわけじゃありませんけれども、これは相当助成をして、エキスパートを皆さんのほうでつくって、その人たちがつまり小売り店舗の指導をするというところまでいかないと、市なり県なりが商工会議所の下に指導員を置いたなんていったって、チャチなんて言ったら県の指導課のほうでおこられるけれども、私どもが自分で、個人の力で調べてきてやっているよりもはるかに何といいますか、専門的でない方が指導員でございますじゃ、困ると私は思う。だから、これはやはり相当わかったといいますか、精通をした、純専門的になった方々が指導いたしませんと、これだけ複雑でむずかしい流通機構をかかえているのですから、経営診断一つできないのです。だから、そこらあたりをひとつ重点に育成をしていって、頼まれなくても皆さんのほうからいろいろな業種について診断をする、こうすべきだ、ああすべきだと出ていく、こういうふうなところまで私はやっていただきたいと思っているのですがね。ぜひこれはひとつお願いしたい。
  189. 金井多喜男

    ○金井政府委員 これもたぶん先生御承知と思いますけれども、ボランタリーチェーン組織の推進についてはとにかく日本は立ちおくれておりますので、昨年も、フランスのセルディス、それからドイツのエディカという世界的に有名なボランタリーチェーンの指導者に来ていただいて、業界に対して講演会なり指導をやっていただきましたが、来年度の予算におきましても、同様なことを考えております。それから一方、私どももいろいろ勉強しなければならぬことも多いわけですけれども、まあいまなりの知識で、県なりと一緒になって講習会等も開催することにしております。また、新しく一つの制度的に府県のほうの診断の制度として、ボランタリーチェーンの制度についても診断、指導をいたす、こういうようなことにいたしておりますが、いずれにしてもわれわれはボランタリーチェーンについて国際的な一つのいい成功の例というものを見本にいたしまして、日本のそういう流通の実態に即応した日本なりのまた独自の勉強をいろいろして、とにかくその際には実際の業者の方々と県の人たちあるいはわれわれ一緒にお互いに知恵をしぼり合って、大いに勉強していく必要がある、このように考えております。
  190. 大出俊

    ○大出委員 質問いたしますとこれは切りがないわけなのですが、こまかいですから大筋だけいま聞かしていただいたのですけれども、昨年二つできた。本年意欲が相当高まっていますからね、皆さんの御指導の結果として。高く私は評価しているのですが、したがって、ことしはおそらく相当できるのじゃないかという気がするのです。したがってその意味で、でき上がったあとの問題として、当初の三木さんの構想は――それは皆さんがおつくりになったのでしょうけれども、大臣構想としては、まあ一人歩きできるまでという意味でしょう、包括してものをいえば。税金の減免措置なんてことも当時うたわれていたのですが、何しろ大蔵省相手のことですから、先ほどの御答弁と同じように、非常にむずかしいのだとは思います。思いますが、しかしほんとういうと、やはり当初の一、二年あるいは三年くらいのところは、先ほど私が例に申し上げたようないろいろな問題にぶつかっていくわけですから、しかもパイオニア的な、初めてということになると、なお困難があるわけですから、二つに続くところは。だから、そういう意味での措置なども御検討いただかなければならぬと私は思うのですか、そこらのところ現在はどうなっておりますか。
  191. 金井多喜男

    ○金井政府委員 税制の措置につきましては、先ほど先生からは御批判がございましたけれども、一応当初の構想といたしましては、ボランタリーチェーンの共同の倉庫並びにその付属施設につきまして割り増し償却を認める、こういうことに相なっております。一方私どものほうは、そういうボランタリーチェーンという組織について、こういう協業というものについての税制については別途また必要があれば検討することにいたしておりますが、その構成員である小規模の小売り屋さんたちを頭に置きまして、例の所得税について家族専従者の完全給与制、これを来年の一月一日から実施してもらうということになりました。税制上の改正も一部進んでおる次第でございます。
  192. 大出俊

    ○大出委員 でき上がったものが進んでいく過程でいろいろなことにぶつかりますが、先ほど御検討いただくという御回答をいただきましたから、それでいいわけですけれども、ぜひひとつ――一つつぶしますと、なかなかまたあと二の足を踏んで、農林省が牛を飼え、豚を飼え、鶏を飼えというのと一緒で、やはり一つ間違えると、政府が一生懸命かねや太鼓でPRし、相当な金もふえたけれども何のこともないやということになったのでは、近代化そのものは前進しませんから、手取り足取りになりますけれども、そういうことで皆さんのほうで継続的な努力をしていただきたいと思うのです。ともかくこの種の中小企業の小売り店舗というものは、手をつけたら最後まで皆さんがごめんどう見なければならぬ、そういう業種なのです。また、そうしなければ意味がないですね。だから、ひとつそういう意味で御協力をいただきたい。この点を御要望申し上げておきたいわけです。大臣ひとつぜひお願いします。
  193. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 先ほどからいろいろお話を承っておりますが、問題はやっぱり有能な指導者を見出すということが肝心だと思うのです。それからその指導者によって指導をしてもらうということが肝心で、いかに機構をつくりましても、指導者に適任者がなければ、結局何も動かぬということになると思うのです。また、組合員自身が一生懸命やろうと思っても、指導者が悪いとまた失敗するということになりますので、通産省としては、有能な指導者を見出して、またそれを養成するというところをやっぱり重点に置いて今後進むべきじゃないかというように考えさせられておるのでございます。そういう点でひとつモデル的なものをつくって、そうして範を示して、そうして大ぜいの人に見習ってもらうというようにやっていきたい、こういうことでございます。
  194. 大出俊

    ○大出委員 時間がないのでたいへん恐縮なのですが、あとに残しますとまたあらためてのことになりますので承っておきたいのですが、ベトナム特需について、私一ぺんこの問題で三木さんが大臣時代に質問をいたしたことがあるのですが、あのときの御答弁は、向こうが知らしてくれないから皆目見当がつきませんという答弁なのです。私は、憲法上規定されている政府機関が、いかに対アメリカということがございましょうとも、見当がつきませんという答弁などということはあり得べきじゃない。何のためにしからば官僚機構というものがあるのかということになる。だから、そこらあたりは私は答弁がなっていないと思うのですがね。しかし、そういう御答弁だった。それからもう一つ残念なことは、きょう関係の省を呼んでおりませんが、まるきりわからないものを税金をどうしているのだと言って国税局のほうに聞いたら、法人税の中に入って取っているのでしょうという答弁。これまたそういうふざけた答弁はない。そんなことを言ったら、そこのところを二重帳簿をつくっておいたら、表に出てこないのだから取らずじまいになってしまう。わからないのだから、これはそうでしょう。そういうことであっては相ならぬと私は思うのですよ、税の公平の原則が云々という問題もあるのですから。だから、そういう意味で私は、やはり担当の省として的確に、どんなに努力しても握るべきものは握っておく。ただし発表してはいかぬというなら、発表していぬかものは発表しなければいい。そういう意味で、その後今日に至るまで、特需が秋風が吹き始めた今日、バイアメリカンの傾向も強いし、そう急激にはふえておりません。韓国のように派兵をしておるところとか、タイ国のように基地提供をしているところとか、いろんなところにぼつぼつはふえております。だから、日本という立場からすると、だいぶ下向き傾向になってきている感じがするのですが、だからおたくのほうは、二、三月だか忘れましたが、発表しないという時期があったようですけれども、その後どういうふうに進めてきておられるかという点を承りたいのです。
  195. 今村曻

    ○今村(曻)政府委員 特需の実態の把握が不十分ではないか、こういう点につきまして、昨年も御質問がありました事情を私はよく承知しております。特需は御承知のように日本経済にもかなりの影響がある問題でございますので、通産省としましては、仰せがあるまでもなく、極力この実態を把握しておくべきだと私ども考えておるわけであります。現在どういう方法で、これを把握しておるかと申しますると、これは先生御承知のように、金額につきましては日銀の外国為替等で、それから調達の動向につきましては、アメリカ大使館との協定によりまして資料をもらう、こういう方法でやっておるわけございます。私ども自身が考えましても、現在の把握のしかたが必ずしも十分であるというふうには考えておりませんので、今後逐次改善していこうということで努力をしてまいっております。やや具体的に申し上げますと、現在、米国大使館から資料をもらっておりますが、これはいわゆる紳士協定のようなことでもらっておる。その限りにおいて、アメリカ大使館は非常によくやってくれておると私思うのでございますが、やはりもう一つはっきりした形に進むべきではなかろうか。と申しますことは、御承知のとおり、日米合同委員会がございまして、そこでやはりそういう資料入手、情報の入手方につきまして、日米間で合意をしたほうがいいんではないか、そういうふうに通産省としては考えておるわけでございます。ただ、これは外務省関係もございますので、また、もちろんアメリカ側のこともございますので、いまのところ通産省だけの考えでございますが、そういう方向でやっていきたい。  それからもう一つ、特需の実態調査というのを昨年の十一月から暮れにかけまして行ないましたわけです。その結果は三月八日に新聞に出しましたので、あるいはお読みいただいたかと思いますが、この調査もまだいまのところ上すべりの批判は免れませんのですが、そういう意味合いの調査も今後機会あるごとに実施して、実態の把握をしていきたい、こういうふうに考えております。
  196. 大出俊

    ○大出委員 これは中身を申し上げると、もっとはっきり具体的になるのだけれども、時間がありませんので……。私横浜におりますので、だいぶ詳しく中身を調べております。発注するところが横浜でございますから、そういうふうな点で調べているのですけれども、申し上げる時間がありません。しかし、問題は、わからぬ、わからぬと言っていたらいつまでもわからないので、いまおっしゃるように、わかるような方法を講じなければならぬわけですね。だから、そのためには、やはり米軍が相手なんですから、米軍とのほうの何らかの相談をする機関、合議の機関というようなものを合同委員会の形の中に設けて――いろいろな機関がございますが、そういうものを設けて、そのつど定期的に明らかにさせるとか、何らかのことをどうしてもお考えいただきたい、こう思います。  それともう一つは、APA特需等に幾つか特需も分かれておりますけれども、大別して三つくらいになるのではないかと思いますけれども、それらの最近の傾向、ふえているか減っているか、どっちにいっているか。ここにおたくのほうの珍しく、通産省の資料と書いてあるから通産省の資料でしょう。カッコ内は月間平均、六六年十二月まで出ておりますが、したがって、十二月以降どういうふうに動いているかという点を、傾向としてお知らせいただきたいと思います。
  197. 今村曻

    ○今村(曻)政府委員 ただいま私の手元にことし三月までの含みます数字がございます。その数字について一例としてAPAの関係を、四十一年度の上期と下期とに分けて数字を申し上げますが、まず物資の調達につきましては、昨年の上半期、すなわち四月から九月までの間の契約高が三千八十一万二千ドル、それから下期、十月-三月の数字が千二百四十二万ドルでございます。それから同様、役務につきましては、上期の数字が千五百七十二万九千ドル、下期の数字が六百六万二千ドル、この二つを合計いたしますと、上期につきましては、物資と役務を合計いたしまして、四千六百五十四万一千ドル、それから下期が千八百四十八万二千ドルでございます。したがいまして、この数字でごらんいただきますように、下期になりまして急激に相当急なカーブで減少いたしてまいります。
  198. 大出俊

    ○大出委員 どうもなお中途はんぱになってしまって弱っているけれども、なるべく長い時間かけないようにやりますが、きょうばいよいよ本会議の時間がきましたので、いまの数字を承ったところでやめさせていただきまして、また理事会でも御相談いただいて、許せばひとつ例の特需問題を明らかにしておきたいと思うのですけれども、きょうのところは、そういうわけで本会議でございますから、以上をもって終わります。
  199. 關谷勝利

    關谷委員長 次会は、明十九日午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十六分散会