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1967-05-12 第55回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十二日(金曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 關谷 勝利君    理事 伊能繁次郎君 理事 塚田  徹君    理事 八田 貞義君 理事 藤尾 正行君    理事 細田 吉藏君 理事 大出  俊君    理事 山内  広君 理事 受田 新吉君       荒舩清十郎君    内海 英男君       桂木 鉄夫君    佐藤 文生君       塩谷 一夫君    高橋清一郎君       橋口  隆君    藤波 孝生君       武部  文君    楢崎弥之助君       浜田 光人君    山本弥之助君      米内山義一郎君    伊藤惣助丸君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 二階堂 進君         国 務 大 臣 松平 勇雄君  出席政府委員         宮内庁次長   瓜生 順良君         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         行政管理庁行政         監察局長    稲木  進君         科学技術庁長官         官房長     小林 貞雄君         科学技術庁原子         力局長     村田  浩君  委員外出席者         宮内庁長官官房         秘書課長    野本 松彦君         行政管理庁行政         監察局監察審議         官       杉浦  滋君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一三号)  宮内庁法の一部を改正する法律案内閣提出第  八三号)  行政機構並びにその運営に関する件      ————◇—————
  2. 關谷勝利

    關谷委員長 これより会議を開きます。  行政機構並びにその運営に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありまするので、これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 どうも長官がちょいちょいおかわりになるものですから、古証文を持ち出すわけにいかないので困るのですが、そのつど質問をしてまいりまして、いつもいろいろお約束をくださるわけですけれども、結果的にどうもあまりその実があがっていないという気がするのですけれども公社公団、あるいは特殊法人等にいたしましても、あるいは審議会整理問題等にいたしましても、なかなかどうも私ども見ていて進まないわけでありますが、整理あるいは統合廃止というふうな点について、その最大原因はどこにあるとお考えになりますか。
  4. 松平勇雄

    松平国務大臣 最大原因と申しますと、役人公務員割拠主義がやはりその原因じゃないかと思います。
  5. 大出俊

    大出委員 その公務員割拠主義、お役人割拠主義の中になわ張り争いもいろいろありましょうが、それに政党政派の側もいささかというより、きわめて多く一枚加わっておるというところに、ますますもって行政管理庁長官新聞発表をおやりになっても、あるいはみずからの談話を発表されても、とたんに各方面からがしゃんと出てくるわけですから、したがって、鋭鋒次第に鈍って、そういうことは言ったとか言わないとか、言った覚えはないといってしまうところにあるのではないかと思うのですけれども、そこのところひとつはっきりしておいてもらいたい。役人だけかという点。
  6. 松平勇雄

    松平国務大臣 役人の根性が大きな障害になるわけでございますが、お説のとおり、国会議員の中の一部の方には、やはり総括論としては賛成するけれども、個々の問題になると、多少意見が違うというようなことも出てまいります。
  7. 大出俊

    大出委員 そこで、もう少し突っ込んでものを言いたいのですが、これは行管長官松平さんに申し上げておきたいのですけれども、何でもかんでも整理統合だ、こう言ったからといって、ものは解決しない。理由づけを逆にされるということになってしまうわけでありまして、それなりにやはり筋が通っていなければならぬと私は思うわけです。そこで一つの例をあげますけれども設置法がたくさんこの委員会に出ておりますけれども、その中で各省に聞いてみますと、行管スクラップ・アンド・ビルドという方針だ、だからいずれかをスクラップしなければ、いずれかをつくることは認めないんだ、そういう言い方で、どう考えても必要なんだけれども、万やむを得ずそちらを泣いて新設の部局をつくることにしたんだ、こういう説明が出てくるわけですね。だから、どこの省も一律にスクラップ・アンド・ビルドなんといっていると、必要欠くべからざるものまで、今度は逆につぶしていかなければならぬことになる。そういう逆の面が出てきているわけです。その面からものを言われると、必要なものをなぜつぶしたと言われると、行管のほうはそこを一歩下がる。下がると、今度はそれが一つの理由づけになって、行管考えた全部の構想がくずれてしまう。こういう例が先国会でありました。だから、その辺のところをぴしっと押えた上で——これは行管幾らさか立ちをしてみたって、きのうの藤尾さんの質問じゃないけれども政党政治をやっているのですから、本家本元のほうは、行管庁がけしからぬじゃないかということになってくると、長官が孤軍奮闘してみても、孤立無援でいつの間にか終わっているということになる。だから、そういう点を大筋として行政管理庁としてものを言わないと、幾ら行管が書いたものを並べてみても、勧告を出してみても、片づかない。ポイントはここだと私は思っているのです。だから、そういうことで、各党の総括的な問題のみに限らず、具体的な問題についても協力体制をとっていかなければ、だれが考えても要らないと思っている特殊法人が存在をしていたり、たいへんな国費が乱費されていたりということを認めてしまう結果になると、私は思うのです。そこら長官としてはどう御判断をなさっているかということを冒頭にはっきりさせていただきたいわけであります。
  8. 松平勇雄

    松平国務大臣 御承知のとおり、臨調答申は、十八指摘してございます問題に関しましても、あるいは整理統合とだけ言っておりませんで、再編成ということばを使っております。したがって、中には整理統合しなければいけないものもあるし、あるいは逆に少し仕事をふやしていいんじゃないかというような面もございます。あるいはまた、法人特殊法人ではなく、民間法人に変えたらいいんじゃないかというような御意見も入っております。ただいま御指摘スクラップ・アンド・ビルド方式は、今日まで行管としてとってまいりました。しかし、四十二年度予算編成にあたりまして、これではスクラップを持っている省ならば新しいものができるけれども、持っていないところは幾ら必要であってもできないというようなことになるわけでございまして、それではおっしゃるとおり実情に沿っておりませんものでございますから、行管方針といたしましては、特殊法人はなるべくふやさない方針は通しておくつもりでございますが、しかし、やはり世の中の進展につれて、あるいはそういったものも必要なものも出てくると思います。ですから、必要なものはつくりまするけれども、同時に、その必要なものと関連なく、その省とも関連なく、廃止あるいは統合してもいいものがまだ既存の百八の中にはあるはずでございますので、それとは別に関係なく、今度は整理統合したいということで、ただいま作業にかかっておるわけでございます。
  9. 大出俊

    大出委員 行政管理年報の第十二巻というのがあります。これはむずかしいことを申し上げるわけじゃないけれども、この中に公社公団、つまり特殊法人等についての臨時行政調査会答申中身、あるいはそれ以後の経過等が触れられておりますね。きのう説明要旨なるものを拝見をすると、「臨時行政調査会答申趣旨に基づき」ということで、この答申趣旨に基づいて皆さんのほうは統合なり廃止なり整理なりということをやろうとしているんだというように、これで見ますととれるのです。  そこで承りたいのですけれども、例の愛知用水公団は、皆さんのほうから行かれて実際に調査されたはずだと思いますけれどもおいでになった方に出てきていただきたいということを私申し上げておきましたが、参事官がおいでになったそうでありますので、そこで承りたいのですが、あとから理屈は申し上げますけれども、行って調査をした結果、水資源公団一緒にするなり、あるいは六年前にすでに終わってしまっていて、豊川のほうをやっておるわけでありますから、それらの点で行管として調査の結果、一体具体的にどうすべきだという結論をお持ちになったのか、そこのところをまずひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  10. 稲木進

    稲木政府委員 愛知用水公団のほうには、先般杉浦監察審議官以下数名の者が行って、いろいろと話を聞いたり調査をしたわけであります。実はこの調査に参りました趣旨は、先ほどからお話しになっておりまする特殊法人整理統合という角度ではなくて、実は私どもことしの二月ごろから水資源開発利用に関する行政監察というものをやりたい。したがって、監察対象としましては、経済企画庁あるいは農林省、建設省、通産省、厚生省、その他関係のある各省庁対象にして、水資源開発利用に関する行政監察をやる計画を立てておりました。それで実は、その監察は四月から調査にぼちぼちかかっておるわけであります。水資源開発利用に関する行政監察ということになりますれば、その監察対象としては、愛知用水公団水資源公団といったようなところも監察対象になるわけでございます。たまたま愛知用水公団の本部が名古屋にございますので、そちらのほうに関連して調査に行ったわけでございます。それとあわせて、実は先ほど長官からもお話がありましたように、例の特殊法人実態調査というものも、臨調答申に即して整理統合を推進するという方向での調査も別にあるわけでございますが、たまたま調査対象行政監察のほうとダプるわけでございますので、そういう点も考慮しながら、実はその調査に行ったわけでございます。しかし、主目的はいま申し上げましたように、この水資源開発利用に関する監察としての角度に重点を置いてやっておるわけでございますが、この調査した結果は、先ほどからの特殊法人整理統合に関する調査ともいろいろ組み合わせて検討していきたい。実は調査に参りましたけれども、まだその後調査した結果、調査は全部終わっておりません。引き続いて中部管区行政監察局に、まだ調査残りの問題を引き続いて調査さしておる、こういう段階でございます。
  11. 大出俊

    大出委員 この愛知用水公団については、前から何回か論議されておる点ですけれども行管方針としては、愛知用水公団のごとき公団をどうすべきだという結論になっていますか。
  12. 稲木進

    稲木政府委員 結論としてはまだ公式なものは出ておりません。
  13. 藤尾正行

    藤尾委員 関連をしてちょっとお伺いをしたいのですが、あなたはいま愛知用水公団のことは向こうへ行って調査したと言っておるのですが、調査しなければあなたのところの方針はわからぬのですか。そういうふざけたことを言っているんじゃ、行政管理庁という役所は一体どうするのですか。そういうふまじめな態度はよくないですよ。行政管理庁としてはこうしたい、ああしたいということは、何も行かなくたって、そんなものは向こうから出ておる資料を見たって、出てきておるはずでしょう。そういう国会をなめたようなことを言っちゃいけませんよ。そんな態度で何ができると思っているのですか。返答しなさい。
  14. 稲木進

    稲木政府委員 調査に参りました趣旨は、先ほど申し上げましたように……
  15. 藤尾正行

    藤尾委員 そんなことを聞いているんじゃないよ。
  16. 稲木進

    稲木政府委員 水資源開発利用に関する監察としての調査に参ったわけでございます。したがって特殊法人整理統合の問題についての……
  17. 藤尾正行

    藤尾委員 それだから、調査に行かなければわからぬのかと言っているんじゃないか。返答してみろ。
  18. 稲木進

    稲木政府委員 この問題についての行政管理庁考え方決定につきましての方法は、ただいまお話のありましたように、いろいろの資料等もその判断の重要な要素になると思います。しかし、その資料だけで解明できない問題につきましては、調査も必要であるというふうに考えております。
  19. 大出俊

    大出委員 藤尾さんじゃないが、怒りたくもなる。それじゃ聞き直しますが、行政管理庁が百八ある特殊法人について、十八を取り上げてものを言いましたね。その十八あげてください、何と何か。
  20. 大国彰

    大国政府委員 これは臨時行政調査会が取り上げました十八……
  21. 大出俊

    大出委員 臨調はそれでいい、わかっている。臨時行政調査会答申に基づいてと書いてあるんじゃないか。だから聞いている。
  22. 大国彰

  23. 大出俊

    大出委員 そこでいいですよ。愛知用水公団は、臨時行政調査会指摘事項一つじゃないですか。二つ目に入っているでしょう。だから私は念を押している。これは長官に聞きたいのだけれども、あなたが報告書を出している中に、さっき私が読み上げたように、臨時行政調査会答申に基づくとなっているでしょう。とにかく基づいて進めておるでしょう。そうなると、指摘を受けている事項でしょう。そうすると、行管として指摘を受けている事項について、どういう方針でという方針がないはずはない、初めから。そうでしょう。そこのところをあなた答えてください。そんなこと、基づいたことにならぬじゃないですか。
  24. 松平勇雄

    松平国務大臣 方針は、臨調答申方針に基づいて決定をいたしております。
  25. 大出俊

    大出委員 長官自身臨調答申趣旨に基づいてやっておりますというなら、指摘事項の二番目にちゃんと書いてある。何も全部言ってもらう必要はない。わかっているんだ、そんなこと。そうでしょう。そうだとすると、それについて何も方針がございませんというばかな話はないじゃないですか。長官自身が基づいてやっていると言っているでしょう。どういう方針でやっているのですか、それならば。それじゃ、臨調愛知用水公団のところを読んでください。
  26. 大国彰

    大国政府委員 これは御指摘のように臨時行政調査会意見にはっきり出ておるわけでございまして、その内容といたしましては、四十二年度に豊川用水工事完了以降水資源公団に吸収すべきであるという意見が出ておるわけでございます。その工事終了後の施設管理業務等については、地方公共団体に委譲すべきであるということもつけ加えて言っております。その具体的な実施方法につきまして、私のほうとしまして前向きで検討しておるわけであります。
  27. 大出俊

    大出委員 それなら、水資源調査をするんだというけれども、いまの答弁によれば、この方針に基づいて前向きで調査を進めるというのだし、しかも、長官先ほど臨時行政調査会答申趣旨に基づいてやっておりますと言っているわけだから、明確な方針があるのじゃないですか。あなたは方針がないと言うんだけれども、もう一ぺん答弁してください。
  28. 稲木進

    稲木政府委員 ちょっとお尋ね方針ということばについて私の答弁があるいは食い違いがあったかもしれませんが、この方針愛知用水公団を将来どうするかということにつきましての臨調改革意見は、ただいま管理局長から申し上げたようにはっきりしているわけでございます。これを水資源公団統合するというようなことになった場合に、その善後措置その他の問題もあると思います。統合なら統合の場合に、統合方式とか、いろいろ付随的な問題もある。こういう点についても検討しなければならぬ問題がある。そこまでわれわれとしてはいろいろ考えていく必要があるということで、いろいろ調査しておるということであります。
  29. 大出俊

    大出委員 監察局長、あなたはもうちょっとはっきりしなければ困る。そういうことばかり言っていると、論議のしようがなくなる。さっきあなたは、水資源開発ということで調査に行ったので、整理統合には関係ないと、明確に答弁したじゃないですか。ところが、順番に話が進んでいくと、長官答弁によれば、臨調答申趣旨に基づいてやっておりますという。臨調答申というのは何だ、あげてみろと言ったら、二番目にあった。その中身は一体何ですか。四十二年度で豊川のやつが終わったら、水資源公団一緒にしろ、そうでしょう。しかも、施設愛知県に譲り渡すという方針が出ている。それに基づいて進めているというのでしょう。当然水資源の問題は大きな関連があって調べに行くのだから、整理統合に何ら関係がなくて行ったのなら、何のために行ったかということになる。そういうことになるじゃないか。あなたは整理統合に一切関係がないと言った。いまの答弁からすれば、統合するにしてもいろいろなことについて調べなければならぬことがあると言った。そういういいかげんな答弁はいかぬ。長官、もう一ぺん答弁し直してください。管理局長が明確にしているのに、監察局長がそういうことでどうするのですか。
  30. 松平勇雄

    松平国務大臣 監察局長の御答弁が少し足りなかったのだと思うのですが、実は今度行きました調査団がどういうあれで行ったかというお尋ねだったものですから、当初の行った大きな目的は、今年度の計画水資源開発事業に関する行政監察というのを掲げてございましたものですから、二月ごろからその準備にかかっておったわけでございます。しかし、愛知用水公団の問題が俎上にのぼるのは当然のことでございますので、題名はそういうふうに掲げてございましたけれども愛知用水公団、それから水資源公団に関しまして、実地に検討いたしたわけでございます。御承知のとおり、臨調ではこういうふうに答申が出ておりますが、地元ではまだ反対の御意見があるわけであります。やはりそういったものも調査して、どういうものが正しい姿であるかということを積み重ねて、私どもとしては勧告なりその他の形にして出したいということで参ったわけでございまして、監察局長ことばが少し足りなかったのじゃないかと思います。
  31. 大出俊

    大出委員 調査に行かれたのは二十四日ですか。
  32. 杉浦滋

    杉浦説明員 二十四日からでございます。
  33. 大出俊

    大出委員 皆さん調査に行かれる四日前、つまり二十日に予算委員会愛知用水公団の問題が論議されていますね。これは私は、政党政派の問題で言っているのじゃない。そのときに、農林大臣答弁等が明確になっている。ますますもって愛知用水公団というようなものは、木曽川開発を含めて発展させるのだという答弁をしている。長官、これは地元反対だけじゃないのだ。倉石農林大臣がその点を明確にしている。政府部内でこれはあなた、どう考えるのですか。
  34. 松平勇雄

    松平国務大臣 倉石農林大臣はそういうふうに御答弁されたのを、私も聞いておりました。しかし、まだ私のほうの調査が全部進んでおりませんものですから、正式には農林大臣とはまだ交渉いたしておりません。
  35. 大出俊

    大出委員 地元反対とおっしゃるけれども愛知県知事も、この問題は中部圏というものを取り上げて、最新式の機械を備えているこの種の公団というものは、当県としてはこれは離さない、中央と話がついておる、新聞記者にそう言っていますね。あなたはお読みになったことがあるでしょう。新聞に出ていますよ。地元反対というのは、どういうことだったのですか。いま長官は、地元反対意見もあるから、それもあわせて調査させるとあなたは言ったでしょう。
  36. 松平勇雄

    松平国務大臣 地元からきております反対は、引き続き愛知用水公団を存続してやるようにという御意見でございます。
  37. 大出俊

    大出委員 その調子だから、幾ら臨調答申に基づいて進めますの云々のと言ってみたって、まだ農林省とも話はしておりません、地元の側もまだ残してくれというだけでしょう。そういうことを言っていたら、これはいつになったってやりようがない。だから、どうするのだと冒頭から私は聞いているわけだ。臨調答申に基づいて進めますというだけ。進めますならば、農林大臣が何を言おうと、地元がどう言おうと、これは進めるべきものは当然進めなければいかぬ。実にどうもたよりなくて、話にも何もならぬ。だから、ここのところは私は冒頭から、何が最大原因なのだ、お役人さんだけか。それもあろうけれども、その上にいろんなやはり政治的な要素がある。そこのところを皆さん——あなたは政治家なんだから、行管長官といえども単なる事務官僚じゃないのだから、そうだとすれば、そういうところをやはりあなた方のほうで配慮をして、行管の立場で推し進めていくという姿勢でなければ、これはあなた方と私どものやりとりは、論議のしようがないでしょう。あなた、それでやれると思っているのですか。
  38. 松平勇雄

    松平国務大臣 ただいまお話し申し上げましたように、臨調答申意見のほかに、いま地元その他から別な意見が出ておりますので、私のほうといたしましては、ただ大まかな判断結論を出すわけにはまいりませんので、やはりそういった両面の御主張を検討いたしまして、そして結論を出して主管大臣お話しするわけでございますが、大体その目標は、来年度の予算編成前の八月までに調査を完了して、そして交渉に入るというふうな考えを持っているわけでございます。
  39. 大出俊

    大出委員 来年の八月までに調査を完了するのですか。ことしの八月までですか。
  40. 松平勇雄

    松平国務大臣 ことしの八月、来年度予算編成前でございます。
  41. 大出俊

    大出委員 ところでそこから先を聞きたいのですけれども先ほどお話によると、何か行政管理庁政府とは別個な機関のようなことをおっしゃっているのですけれども臨調答申趣旨に基づいて進めていくのは、政府方針じゃないのですか。行管だけの方針ですか。
  42. 松平勇雄

    松平国務大臣 政府方針でございます。
  43. 大出俊

    大出委員 政府方針だとすると、農林大臣政府閣僚の一員じゃないですか、そうでしょう。
  44. 松平勇雄

    松平国務大臣 仰せのとおりでございます。
  45. 大出俊

    大出委員 だとすると、政府方針だというのに、政府閣僚の一人の方から、強力に将来ともに存続させるのだといって、衆議院の予算委員会で、しかも皆さん調査に行く二十四日のことをわかっているのに、二十日の日に、政府方針であるにもかかわらず、まだ行管結論も出ていないというのに、政府閣僚が強力にその発言をされておったら、一体これはどういうことになるのか。そこらをあなたはどうお考えになるか。結論は八月にならなければ出ないのでしょう。
  46. 松平勇雄

    松平国務大臣 いまちょっと農林大臣発言を的確に私は覚えておりませんが、たしか農林大臣はそういった方針でやるというようなおことばではなかったかと思いますが、これは速記録を見ればはっきりわかると思いますが、手元にございませんので、いま正確にはお答えできませんが、断定的におっしゃったのではないと思うのでございます。
  47. 大出俊

    大出委員 では、新聞に載っておりますから、読みましょう。「公団が建設中の豊川用水は、今年いっぱいで完成するが、わたしはぜひ愛知用水公団を残したいと考えている。そのすぐれた技術と経験を、これから木曽川用水開発事業に生かしたい。」こう答えている。はっきりしている。あなたのほうは、まだ結論を出していないのでしょう。行管は、いまのお話では、八月というのが政府方針だとおっしゃる限りは、行管調査中で八月に結論が出るというのに、四月二十日の段階でこういう農林大臣がものの言い方をするというのは、一体どういうことなのか。はっきりしてください。
  48. 松平勇雄

    松平国務大臣 農林大臣のおっしゃった意図はちょっとわかりませんですけれども、すべて行管の今日までの仕事を振り返ってみまするに、やはり行管考え方と当該の省庁との意見が食い違っておる場合が多いわけでございます。そこで、私のほうは勧告という形でいろいろなものを出しますから、大臣が並列でございますから、そこで意見が合致するときはそのまますぐ実際に実行に移せますけれども、そうじゃないときには、調整のため官房長官なりあるいは最後は総理大臣が出ておきめになるという形が出て、初めて内閣方針決定するというような形が多いわけでございます。したがって、この問題も、農林大臣意見が違ったことになれば、そういった機関であって調整を、あるいは決定をしていただくという形になるかと存じます。
  49. 大出俊

    大出委員 これはあなた方だけにしりを持っていってもしかたがないということは百も承知で私もものを言っているのだけれども、しかし、それだからこそ、行管が少なくともぴしっとしていてくれなければ困ると私は思っている。さっき監察局長の話を聞いておってそう思うのだけれども、ここで言い過ぎるとまたどこからかがしゃんとくるんじゃかなわぬという、そういう受け取り方をせざるを得ない答弁をしていることになると、これは私は行管というものは一体何のために存在するのかということになる。これは目に見えている。この倉石農林大臣予算委員会答弁を受けて愛知県知事が何を言っているかというと——愛知県知事は今度全国知事会の会長が何かにおなりになったけれども木曽川開発をこれから盛んにしていくのだということで中央と話がついていると言っている。そうなると、倉石さんがはっきりものを言っているのだから、農林大臣と少なくとも愛知県知事との間には、存続をさせて、しかも木曽川——これは何年先になるかわからぬ、半永久的にこの公団は残すのだといわんばかりの話がついていると言っている。そういう中で、行管臨調答申に基づいて進めていく、こう言っている。これはずいぶんおかしな話ですよ。これから一体八月までに何を調査するのか、調査目標を言ってください。
  50. 稲木進

    稲木政府委員 現在作業をしております特殊法人実態調査、これは百八つ現在あるわけであります。これは一応全部実態調査をするわけであります。調査の内容としましては、もちろんその基本線としては臨調答申の精神に即して、整理、再編、統合、そういうようなことをしていくわけであります。その調査の具体的な作業の内容としましては、臨調答申が出ましてから若干年数もたっておりますので、その後の状況の実情を見てみるということがある。そしてそれによりまして、臨調答申に基づいて整理、再編成する場合の具体的な措置案と言いますか、そういうものをつくってみたい、こういうことでございます。
  51. 大出俊

    大出委員 臨調答申が出てから何年ぐらいたちますか。
  52. 稲木進

    稲木政府委員 三十九年の九月だったと思いますが、答申が出ております。ことしが四十二年でございますから、三年近くたっております。
  53. 大出俊

    大出委員 その間、あなた方のほうは何をやっておったのですか。
  54. 稲木進

    稲木政府委員 私のほうでは行政監察をやっております。
  55. 大出俊

    大出委員 三年近くもたつというのに、あと八月までと長官は言っているのでしょう。いま五月でしょう。もうまとまっていなければ、八月までに措置概要も何もできるわけはないじゃないですか。そうでしょう。そんなことはあなた、幾ら行管の人手が足りないとかなんとか言うても、答申が出て三年もたっているものを、そうでしょう、それをその後年限が経過したから実態の変化なども調査したいというけれども、あと三カ月で、三年たっちゃったからといってやっているうちに三カ月ぐらいたっちゃいますよ。その変化をまた調査するのですか。そういうわけにはいかぬでしょう。  そこで聞くけれども愛知用水公団がやってきた予算的な執行過程をながめてみると、九百億ぐらいの金が出ていますよ。そうでしょう。これは愛知県下における、あるいは中部圏地元の建設業者その他には、ありがたくてしようがないだろうと思う。そこで、この農家に対する賦課金ですよ。当初の予定計画から見て、たいへんに縮小されて、これでやっていけるのかなと思われるところにきているのだけれども、それらの責任をどうお考えになりますか。
  56. 杉浦滋

    杉浦説明員 御指摘のように、今度の調査は、愛知用水公団のさしあたりの対策の問題の一つとして、いま御指摘のような問題があるわけでございますが、これは当然愛知用水公団並びにその主務官庁としての農林省が、責任をもって始末しなければならぬ。そういう具体的の方策を出さなければならぬというふうに思います。
  57. 大出俊

    大出委員 もう少し気のきいた説明をしてくれぬですかね。愛知用水公団ができ上がったのは、それ以前、農林省が昭和二十五年まで直轄工事をやっていたわけですね。その後十三年たっているわけだ、この公団事業に移るまで。そうでしょう。その中で出ている金というものは、五十一億ですよ。そうすると、その以降九百億という額は、主として公団になってからです。なぜそれだけの金をつぎ込むかということについて、当時賦課金問題が大きな問題になって、おおむねその話がついて、それがPRされて、あるいはそれだけの金を使うために誇大にPRをしたのかもしれないけれども、PRされて今日に至っておる。ところが、こんな高い水は買わないということでみんなけ飛ばされて、その金が取れない。それよりも、簡単にあなたが言うように、農林省が措置をすべきものと思う。農林省が措置するといったって、農林省が金を出せば、国の金である限りは国民のものです。行管として、それに対する責任の所在その他をなぜ指摘できないのですか。そこを聞いている。あなたは農林省じゃないのだから……。
  58. 杉浦滋

    杉浦説明員 私が申し上げましたのは、農民の利用に対しまする負担は、これは趣旨から言いまして、当然農民が負担しなければならぬわけでございますが、先生御指摘のように、利用の面積が当初の計画と非常に違いまして、非常に小さくなっておるということでございます。それで、この問題についてどういうふうに始末をするかということも、一つの今度の具体的の調査の重点でございますが、その結論と申しますか、その内容はまだ詳細は承知しておりませんけれども、その方向といたしましては、やはり負担すべき者が負担する方法をどうすればよいか、こういうことでございます。それで先生いま御指摘のように、非常に農民の負担が当初に比べまして少なくなった結果と申しますか、その利用面積が少なくなったということに対しまして、投資に対します資金の回収のソースが農民には求められないというような事情もあるわけでございますので、その点をどういうふうに持っていくかというようなことも、ただいま調査しておりますけれども、そのようなことだろうと思います。
  59. 大出俊

    大出委員 あなたは調査に行かれたのなら御存じだろうと思うのだけれども、賦課金の今日の実情は、当初計画とどのくらい違うのですか。
  60. 杉浦滋

    杉浦説明員 賦課金の金額でございますが、それはたしか、詳細には記憶しておりませんけれども、十アール当たり四万三千円というような計算のところが、ただいまのところは千円ずつ徴収の実績があがっておるという段階でございます。
  61. 大出俊

    大出委員 あなたも調査に行かれたんでしょう。私は愛知用水公団のことを聞くから、調査に行った方に御出席をいただきたいときのうから言っている。あなたはそういういいかげんな答弁をしてはだめですよ。当初計画がどのくらいで、いまどのくらいかと私は聞いているわけだ。そうでなければ、調査にならないじゃないか。何の調査に行ったのです。当初計画からいけば、十アール当たり四万三千円が十四年間返済、こうなっておったわけです。それが一体調査の結果は、あなたはいまどうなっておると思っておりますか。
  62. 杉浦滋

    杉浦説明員 ただいま申し上げましたように、十アール当たり千円の負担金が回収されておるわけでございます。
  63. 大出俊

    大出委員 当初の計画からいくと、四割に満たないですよ、十アール当たり千円というのは。そうでしょう。そうすると、六割以上のものをどうにかしなければならぬ。だから、それはどういうふうに責任を負わせるのかと聞いているのです。あなたの言うのは、農林省が措置すべきだということで、行管としての役目が果たせぬじゃないですか。どうお考えですか。
  64. 杉浦滋

    杉浦説明員 私が申し上げましたのは、農林省が主務官庁でございますので、その点を責任をもって対策を講じなければならぬということを申し上げましたので、具体的にどうすればよいかというようなことにつきましては、よく実態を調査してみませんと、はっきりした方策が申し上げられないと思います。
  65. 大出俊

    大出委員 実態を調査してみませんとと言ったって、あなたは調査に行ってきたんじゃないですか。
  66. 杉浦滋

    杉浦説明員 私は調査に行ってまいりましたけれども、ただいま監察局長が申し上げましたように、調査の詳細はただいま現地で続行しております。私が参りましたのは、大体概要につきましての調査をいたしましたのですけれども、まだ先生の御質問に満足な御回答を用意できるまでには調査ができておりません。
  67. 大出俊

    大出委員 そうなると、何のために調査に行ったのですか。だって、基本になるべきものが明らかになっていないと言う。そんなものは、調査に行った限りは、資料がなくてもみな頭の中に入っていなければならぬ。行管としては、こういうふうに農林省なら農林省に措置をさせるべきだとか、どのくらいの予算——これはそれこそ愛知用水公団というものは、この状態からいけば破産するですよ。豊川のほうだって、愛知用水のほうの事情がはっきりしているのだから、右へならえ、公団は赤字続き、これはちょっと計算のしようもないほど大赤字だ。しかも、そういうことになってきて、一方から臨調答申が出てきて、水資源公団との統合が出てきて、施設は公共団体に、となっておって、こういう状態になっているのに、片っ方では農林大臣木曽川開発を、これから何年かかるかわからぬけれどもやるんだ、地方と話はついているんだという。全く、そうなれば親方日の丸もいいところです。そうでしょう。だから、利権がからむなんていううわさがやたら飛ぶんだ。にもかかわらず、行管が、当初計画はどうなっておって、今回どのくらいどうなったかということを調査に行った人がわからぬという。そういうばかな話はないでしょう。中央からおりて行った方は、一ぱい飲んで帰ってきて、あとは出先のほうにおまかせしてきた、あとはよろしく、おまえたち、おれは帰っちゃうから、調査結果は資料として上げろなんて言ってきたなら別だけれども、そうでない限りは、わからぬことはないでしょう、あなたのほうで。調査してみないとわかりません——だれが調査に行ったのだ。あなたが自分で行った。そういうことだから、あなた、行管というものは、各省大臣に一言言われれば吹っ飛んじゃうのだ。筋が通らぬじゃないですか、どこから考えたって。長官、どうお考えになりますか。だれがどこで責任を持つのですか、一体。
  68. 松平勇雄

    松平国務大臣 今度杉浦審議官が参りましたのも、御承知のとおり、日数はごく限られておりますので、さらに名古屋の監察局に詳細なる調査を指示いたしまして、そして帰ってまいったわけでございます。
  69. 大出俊

    大出委員 それじゃ、名古屋の監察局の出先に指示しに行ったのですか。詳細な指示をいたしてまいりました——そういうばかげた話はないじゃないですか。とにかくいまのような御答弁じゃ、これは長官答弁としては受け取れないですね。あなたは、いまのこういった状態をながめて、行管長官という立場で、臨調答申に基づき、一番うしろのほうには「最小の経費で最大の行政能率をあげうるよう行政組織運営の簡素化、能率化を今後更に推進して行く所存であります。」とあなたの見解を明らかにしております。そうでしょう、こんな放漫な経営はないですよ、さっき申し上げたように。賦課金にしたって四割に減ってしまうなんという、しかも今度は木曽川とひっかけて何年存続させるかわからぬという、調査に行った方は、指示はしてきたけれども調査はしていない、こういう状態、一体、臨調答申に基づいて最小限の経費で最大の行政能率をあげる、組織運営の簡素化や能率化をさらにこれから推進する、そういう考えですというあなたの御見解から、いまの状態を見てどうお考えになりますか。
  70. 松平勇雄

    松平国務大臣 愛知用水公団は、御指摘のとおり、いろいろな問題を含んでおります。あとの管理の問題とか、それから相当な借金をいたしております、そういったものの整理の問題とか、それから賦課金の問題とか、それからさらに進んで木曽川開発の問題も含んでおりますので、私のほうといたしましては、先ほど申し上げましたように、今年の八月を目途として結論を得るように指示してございますので、現段階におきましては、まだ調査の途中になっておるわけでございまして、御要望のようなお答えが出ないのも、そういった関係からでございます。
  71. 大出俊

    大出委員 実際これはもう話にならぬな。  それではもう一つだけあなたのほうに聞きたいのですが、先ほどあなたが一番最初にあげられました魚価安定基金というものがありますね。管理局長さっきお読みになりましたね、魚価安定基金愛知用水公団と、こう言いましたね。魚価安定基金については、どうお考えになっておりますか。
  72. 大国彰

    大国政府委員 魚価安定基金につきましては、これは御承知のように主としてサンマの魚価の安定ということを目的に設立されたわけでございますが、臨調答申によりましても、その後たいした活動がなしにまいっておりますので、これを農産物関係の総合的な価格安定機構をつくってこれに吸収すべきだ、こういうようなことになっておるわけでございます。農産物全体につきましての総括的な価格調整機構といいますものが、いろいろ検討しておりますがなかなかむずかしい問題でございまして、私どものほうといたしましては、こういった魚価安定基金をもとの特別会計その他のほうに戻す方策はないかというふうな点で検討を加えておるわけでございます。
  73. 大出俊

    大出委員 これは、サンマはとにかくいまとれないわけですわね。そうすると、これは安定も何も、いま仕事をしていないということについて、あなたのほうはこれまたその後何年かたちましたから調査いたしますというかもしらぬけれども、少なくともあなた方は実態を知らないはずはない。そうすると、これは現在用をなしていない、そういう実態にあるということは、お認めになりますか。
  74. 稲木進

    稲木政府委員 魚価安定基金につきましてのわれわれのいままで見てきた考え方は、ただいま先生のおっしゃるように、現在ほとんど何も動いてないという実態にあるというふうに見ております。
  75. 大出俊

    大出委員 あと二、三分しかないので、もう一つ聞きますが、北海道地下資源開発株式会社というのがありますね、特殊法人で。これは一体いまどの程度役に立っていると思っていますか、実態は。——時間がかかるから、私が言います。これは昭和三十三年にできているわけですよ。政府の出資額が九億円ですね。民間出資が一億です。そういう開発会社。赤字総額三億四千万円。これがやる目的は何かというと、北海道の炭鉱その他の地下鉱脈を探鉱する、そういう目的をもってつくられた会社ですよ。政府がこれだけ出資しているわけですから、これは明確な特殊法人です。北海道開発庁の傘下にある。これは自主探鉱という、つまりこの会社が独自で地下の鉱脈その他をポーリングするというふうな仕事は、あまりやってない。民間の会社その他から委託されたものをやって、手間取りをやっている。それが三分の二をこえている。三分の一足らず、きわめてわずかのものしかやっていない。この設立の目的趣旨からいくと、全くお話しにならぬ。副業で食っているということです。だから、東京の支店のほうが本店みたいになっちゃっている、人の数からいっても、何からいっても。こういうおかしげなことになっている。しかも三十三年にできているのですよ。本年は四十二年ですからね。こういうようなものについて私が聞いたら、あなたは一生懸命探している。公社公団の問題がいまこんな大きな問題になっているというのに、どなたも御存じない。一生懸命探さなければ出てこないなんという、そこらあたりがさっぱりわけがわからないのだけれどもね。私から御説明を申し上げましたが、どなたかひとつ、現状、実態についてどうおつかみになっているか、お知らせいただきたい。
  76. 稲木進

    稲木政府委員 またおしかりを受けるかもしれませんけれども、現状につきましてただいま鋭意調査しております。いろいろ新聞記事その他では私どもも見ております。しかし、最近調べておりませんので、目下現状を一生懸命調査しておりますから、これは先ほど申し上げましたように、そう期間が長くかかるほどの問題じゃないと私は思っております。
  77. 大出俊

    大出委員 これはともかく、臨時行政調査会なるものは、たとえば蚕糸事業団にしてもそうだけれども、それなりに全部ものを言っておるわけです。そうでしょう。調査がそう長くかかるものでもないからこれからやりますと言うけれども、三年たっているのですからね。そうだとすると、中身というのは、百八しかないのですから、現状把握くらいのことは入っていなければ——私は行管がどうすると言ってくれる必要はないのですよ。現状はどうかということを聞いている。  これ以上聞くのは時間がないし、半までだということになると、ものの言いようがないのだけれども長官にひとつ承りたいことは、先ほど私があげました行政管理庁行管局の四十二年一月の行政管理年報第十二巻の中に「第六章審議会等の整理」というのがある。ここで、臨調改革意見について政府、閣議、部内その他閣僚間におきましても、いろいろな機関をつくられて整理をする、こういう方針で進めてきておられますね。きのうは藤尾さんから質問が出ているのだから、その中で気に食わない——気に食わないと言っては失礼だけれども、私は長官の御答弁でどうにも納得できないことがある。私は各省一つずつにしろとか、そんなことを言った覚えはないという言い方をあなたはされているのですが、審議会というものは、なくなってしまってもいいのですよ。そうでしょう。官房副長官に聞いてみても、審議会だ何だと出ろ出ろ言われて、一年三百六十五日かけずり回りっぱなしということを言っているのだから、あなたは行管の責任者として、きのう野党質問ならまだしも、与党の方から質問を受けている世の中で、あわてて新聞に出ていることをあなたは否定して、私はそんなことを言った覚えはない、そんななまはんかなことじゃなくて、行政管理庁方針として、これだけ閣僚でも取り上げたり、懇談会をこしらえたり、協議会をつくったり、法律までつくって、整理に関しそこまで政府としてもやっているのに、そんな審議会というものは一つもなくなってしまったほうがいいのだ、そうでしょう。もう一ぺん答弁し直してください。審議会整理については、どういうふうに考えているのですか。
  78. 松平勇雄

    松平国務大臣 きのう藤尾委員の御質問については、ああいったことを言ったかというお話でございましたので、実は私は言ったことはない、ああいうようなことを言ったのでないことを申し上げたのでございまして、それが行管方針であるということで、私の方針だということではないのでございます。審議会整理も、非常に速度はおそいのでございますが、少しずつやっておるわけでございまして、審議会等の整理に関する法律案も提出して、御決定願ったわけでございます。今後の私の考え方といたしましては、お説のとおり、審議会というものは理想的にいえばないほうがいい。そして専門的知識の要るものは、そこの所管省の役人の方が少し勉強して専門的知識を得てもらって、そうして公正の確保という立場からいたしましたら、公聴会とか、聴聞会とか、そういったものをなるべく利用して、そして団体等の意見も聞くような制度にして公正をはかっていく、そしてなるべく審議会というものを設けないようにしたいというのが、根本方針でございます。
  79. 大出俊

    大出委員 珍しくはっきりお答えをいただいて、その限り了解しますが、初めからそう言ってくれなければいかぬですよ。きのうはまだ、質問があったときにあなたのおっしゃるのは、そう言った覚えはない。あなた自身の見解はどうなんだと言わない。おしまいに藤尾さんこれを引っぱり出して、この一番最後に書いてあるのは何だと言う。そうしたら、それに基づいてやっていきますと言う。あなたもいまおっしゃっているように、審議会を山ほどこしらえるくらいなら、憲法上の行政機関は要らないですよ、はっきり言って。そうでしょう。ならば最小限度のもの、だれが考えても納得できるものでなければならぬ。ところが、今日の審議会——あげている時間がないけれども、私もいま公団式に端からあげたいのだけれども、何が学識経験者かさっぱりわけのわからぬ人を入れてみたり、まさに明らかにこれは政治的な風当たりその他を配慮しての緩衝地帯をつくったにすぎないというふうに受け取れるものが、たくさんある。そのたびに国費の冗費、乱費をしているわけだ。だとすると、長官がいま言われるように、行政管理庁としては、明確に行政機関というものがあるのだから、必要最小限度、できればないほうがいいという基本方針で強力に審議会というものは整理していくのだという、進めていく姿勢でなければ困る。これは明確にしてもらわなければ困るのです。そういうはっきりした態度になってくれなければ、冒頭に申し上げたように、長官がちょいちょいかわってしまうものですから、古証文を持ち出しても、あなたは、前任者のことでございますになっちゃうから言わないのだけれども、そういう立場になってもらわなければ、これを見たって、二十一法人の要求があったのでしょう。特殊法人の問題だとあなたの説明に書いてある。二十一法人廃止法人。それに対して七法人を新設して三法人廃止する、こう書いてある。廃止のしかたはここに書いてあるとおり、臨調答申があるから、それに基づいてやっていくのですと、えらそうに、努力していきますと書いてある。努力しながらふやしているのだ、行管というのは。これも四法人ふえちゃった。これが通ってしまうと、百八が差し引きまたふえる。そういうことで、一番最後にとってつけたように、臨時行政調査会答申に基づいて進めていきます、簡素化していきますといったって、簡素化していない。そこらのところを長官がもうちょっと——きょうは時間がないからこれ以上申し上げないけれども、この次の日程を組んでいただいたところで審議会も事こまかに一つずつまた質問しますけれども、もうちょっとやりとりの能率があがるように、それこそ皆さんのほうで整理して、実態把握なら把握、いま審議会はどうなっている、この審議会はこうだ、山ほどあるといったって、皆さん専門の官庁なのだから、そのくらいのものはそろえておいて、もうちょっとスムーズな答弁をしてくださいよ。そうしなければ、せっかく貴重な時間に進まないですから。結論を出していこうにも、あなたのほうが顔見合わせちゃってわからないなんと言っているのでは、話のしようがないのだから、そういうふうに準備してくださいよ、あらためて質問しますから。  きょうはこれで終わります。
  80. 藤尾正行

    藤尾委員 ただいま大出さんの質問の中で、私のきのうの質問の内容のことが出ましたので、それに関連して長官にお伺いをしたい。  あなたはいま、審議会については全廃をしていきたい意向であるということを言われましたね。それ、ほんとうにそうですか。
  81. 松平勇雄

    松平国務大臣 理想は全廃をいたすことであります。
  82. 藤尾正行

    藤尾委員 その理想とあなたの方針との間には、まだギャップがあるのですか、ないのですか。
  83. 松平勇雄

    松平国務大臣 ただ、省庁によりましては、ほんとうに有効に活用していま働いてもらっておる審議会があるわけでございますので、全廃ということを言い切るわけにはまいりませんが、しかし、理想としては全廃されて、先ほど申し上げましたような機関を利用して、公聴会とかあるいは専門員をつくるようなふうにしたいということです。
  84. 藤尾正行

    藤尾委員 いまの政治の体制というものは、政党政治ですから、政党が責任を持ってやる、それを行政官庁にやらしめるというのが、いま行政官庁に立っておられるあなた方大臣の立場です。ですから、本来政党がきめるべきものなんです。その方針さえきちっときまっていれば、何もあらためて審議会に諮問する必要もなければ何にもないのです。あなたは理想としてとおっしゃるけれども、私はそれは政党政治のたてまえだと思う。それが責任政治ですよ。ですから、そういう方向に向かって努力をしていきたいというあなたの御答弁というものは、私は高く評価しておりますから、ひとつそのつもりでおやりを願いたいと思います。  もう一つ、私ちょっと気に食わないから、あなたに一言言っておきたい。きのう私があなたに質問をいたしましたときに、公団特殊法人整理統合について、あなたここで何か読みましたね、ぐにゃぐにゃと。読みましたよ。私は、その内容なんか、ほんとう言うと、たいしたことじゃないと思うからうわのそらで聞いていたから、中身を覚えちゃいませんけれども、しかしながら、きのう私の非常に腹の立ったのは、夕刊の記事を見ますと、あなたは私に答弁する前に、きのうの午前九時からの総理府の行政監理委員会でやっておられるのですね。そうでしょう。行政監理委員会も大事かもしれぬけれども国会というものも大事なんですから、それをてんびんにかけられたのじゃかなわないので、そこのところはあなたがどう思ってどうされたかということを一言だけお聞きして、それはそれとして、私はまた他日にみっちりやりますから……。
  85. 松平勇雄

    松平国務大臣 昨日の行政監理委員会は、定例で九時から開かれたのでございまして、そこでこの問題が取り上げられましたので、当委員会で御答弁申し上げましたような内容をあの委員会でもって開陳いたしたわけでございます。
  86. 關谷勝利

    關谷委員長 藤尾君、次にしてください。長官が時間で、参議院のほう待たしてありますから……。      ————◇—————
  87. 關谷勝利

    關谷委員長 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。大出俊君。
  88. 大出俊

    大出委員 冒頭に、きのう村田さんの御答弁少しかけ足だったので、あらためてひとつ御説明をいただきたいことがあるのです。海上における人命の安全に関する条約なるものがございますね。この発効の時期と中身の要点をまずあげておいていただきたい。
  89. 村田浩

    ○村田政府委員 これが発効いたしましたのは一昨年、昭和四十年の五月二十六日だったと思います。  中身は、海上人命安全条約というのは、元来一般の商船についての安全の問題を規定する国際条約でございますが、一九六〇年の海上人命安全条約におきまして、特に新たに第八章に原子力船という章が起こされたわけです。この新たに起こされました原子力船の章の中で、原子力船に関する安全の問題についての国際取りきめの基本が規定されたわけであります。しかしながら、まだ何といいましても原子力船というものは他の船舶に比べて歴史の非常に浅いものでございますし、そこで他の船舶の章に比べますと、非常に基本的な事項を一応定めておる、そういう形に相なっております。  その主たる内容は、原子力商船の安全性につきましては、この商船を持っております国の政府があらかじめその商船の設計、構造、機能等について詳細なる安全説明書をつくりまして、この安全説明書を、訪問したいと思います国に、相当早い時期に、つまり相当の余裕を持って送付し、あらかじめ受け入れ予定国の検討を受ける期間を持たせるようにする。他方、政府の発行します安全証書というものをその船に持たせる。そうして相手国のほうでその受け入れにつきまして、安全説明書をもとに審査し、よろしいということになりますときには、その国の審査の条件等に服することになるわけでございます。ただいま手元に法律を持っておりませんが、主たる内容はそういうことであったと記憶しております。
  90. 大出俊

    大出委員 したがって、サバンナ号寄港をめぐっての日本政府側とアメリカとのやりとりですね。これはもちろん、原子力委員会から外交手続を経て、安全性の確認なり、さらにまた賠償というふうなことについてのやりとりが行なわれておるわけでありますが、どこが具体的に食い違ったのですか。
  91. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいま申し上げましたように、一九六〇年海上人命安全条約では、その条約の性質上、原子力船の機構上等の安全性についてだけの規定しかございません。原子力施設関係で、国内でもそうでありますように、各国ともそのような安全施設についての規定のほかに、万々一の原子力損害が生じました際の賠償措置規定というものをそれぞれ持っておりますが、原子力商船につきましてのこのような国際的な原子力損害賠償措置の条約は、すでに国際的に検討が行なわれまして、一九六三年でございましたか、ブラッセルにおいてその条約草案ができております。これを通常ブラッセル条約と申しておりますが、その主たる内容は、原子力船を国際的に運航いたします場合には、運航国の政府は、この原子力船が運航することによって生ずべき万々一の損害、これについては絶対責任をとる、アブソリュート・ライアビリティをとる。そうしまして、万一損害を生じましたときの責任の補償額は、十五億フランとなっております。これは大体換算いたしますと、米価で約一億ドルに相当いたしますが、この額まではこの条約に加盟した国は責任をとる、大体こういうような内容のものでございます。  そのように草案はできたわけでございますが、現実の状況を見ますと、まだこの条約は今日発効するに至っておりません。また、ただいまのところでは、いつ発効するかということを具体的に申し上げられない状況であります。といいますのは、この条約の発効のためには、現に原子力商船を保有する国一カ国を含めての批准がないといけないということになっておりますが、現在は、御案内のとおり、原子力商船を持っておりますのは、アメリカのサバンナ号とソ連のレーニン号と二隻だけでありますので、米ソ二カ国が現実に批准する気配を見せておらないわけでございますために、発効の見通しがつかないわけでございますが、先々、わが国あるいはドイツという、原子力商船計画をすでに持っておる国がこれを批准をすることになりますと、発効のめどがついてくる、こういう段階でございます。そういう状況でございますので、この条約が発効しておりますと、安全性についての海上人命安全条約に基づくがごとく、賠償措置につきましても——もちろんそれが発効する前には国会の批准をお願いするわけでございますが、このブラッセル条約に基づいた措置がなされておればよろしい、こういうことに相なるわけでございますが、残念ながらあとの一つがまだ国際的にきまっておりませんので、これにかわるべき措置がやはり何らかの国際的な形で必要だ。これを原子炉等規制法では、外国原子力商船の許可の基準といたしまして、第二十四条の二におきまして、「原子力損害を賠償するに足りる措置が国際約束により講ぜられていること。」という基準を一つ置いておるわけでございます。その国際約束というのは、原子力商船を保有します国とわが国との間で、ブラッセル条約にかわる形の何らかの国際約束が存在しまして、それによって、万々一わが国水域に立ち入りました際に原子力損害が生じましたときには、その国際約束によって、先ほど申しました絶対責任制のもとに必要な補償が行なわれるということをはっきりさせておきたい、こういう趣旨であったわけであります。  そこで、今回アメリカのほうから、サバンナ号をわが国に入れたいという要望がございました際に、当然のことでございますが、わが国の原子炉等規制法に基づきます手続によって、立ち入り許可申請に対する審査を始めたわけでございまして、総理大臣から原子力委員会に諮問された。原子力委員会としては、この船体構造等についての安全性については、原子炉安全専門審査会にさらに諮問した。これは、先般も申し上げましたとおりに四月の十三日でございましたが、その結論をまとめて、委員会答申をされたわけであります。原子力委員会のほうは、その内容をさらにチェックされますとともに、他の許可要件でございます幾つかの事項、たとえば、これは当然のことでございますが、平和目的であるかどうか、あるいはこの運航者が技術的能力を持っているかどうか、さらに、この運航者が経済的基盤を持っているかどうか、こういった問題をあわせまして、原子力損害を賠償するに足りる措置が国際約束で十分できているかどうかということを審査されることになったわけでございます。そのためには国際約束がなければならないわけでありますが、これにつきましては、主管の外務省を通じましてさっそく米国政府と種々折衝いたしましたところ、先方の希望します入港の時期が、諸般の向こうの運航計画関係であろうかと思いますが、大体今年の六月ごろという希望でございました。そういたしますと、ここで必要な国際約束をつくるためには、両国の議会あるいは国会の批准を要するような条約でございますと当然間に合わないということでございまして、向こうがぜひとも六月をということでありますと、いわゆる行政協定の範囲でこの国際約束ができるかどうかということが必要な条件になってきたという形になったわけであります。そこで、この点につきましては、外務省はもとよりでございますが、法制局とも相談しました結果、行政協定の範囲でできるための条件というものがございますから、それらを協定内容としてつくりまして、米国側と折衝したのであります。しかるところ、残念なことでありますが、その中のいわゆる絶対責任制といいますか、この点についての事項を協定上明記することは、現在のところ米国政府としてはその権限を米議会から与えられていない、こういうことで、その条項が行政協定上入れられない、こういう回答が最終的に得られました。そうなりますと、私どものほうで考えております——あるいはこれは法制局に御相談したのですが、原子力損害を賠償するに足りる措置という点で、国内にございます原子力損害賠償法とバランスのとれた形の補償措置がとれるとはいえない、こう判断されますので、これを形を整えますためには、議会の批准を要する形にするか、あるいは他の方法をとるか、いずれにいたしましても、とても六月までにその措置をとることができないというふうに考えられ、お断わりせざるを得ない状況になったという経緯でございます。
  92. 大出俊

    大出委員 そこで承りたいのですが、つまり絶対責任制なるものを米国政府が議会から権限を与えられていないと判断をした、そういうことになりますね。ところで、先ほど申し上げた人命安全条約等についても批准されていない。原子力船は確かに二隻ですね。サバンナ号とレーニン号、レーニン号は砕氷船でしょう。オットー・ハーン号が三十九年に進水していますが、艤装をやっておりますと四十二年になるでしょう。だから、確かに仰せのとおり、進水、艤装を終わって西ドイツのオットー・ハーン号が動き始めれば、あの国を入れて批准国のかっこうをとっていかなければならぬことになるのですが、それも今日ない。そこで、原子力損害の賠償に関する法律というのが日本にございますね。それからもう一つ、原子力損害賠償補償契約に関する法律がありますね。この絶対責任制という意味で、日本の原子力損害の賠償に関する法律というのは、はたして絶対責任制を持ち得るものかどうかという点、どう判断をされますか。
  93. 村田浩

    ○村田政府委員 原子力損害賠償法の第三条及び第四条で規定しておりますとおり、無過失集中責任ということを明記しております。この絶対責任制、アブソリュート・ライアビリティというのは、このことと同等のものであると了解しております。
  94. 大出俊

    大出委員 いまおあげになったのは、原子力損害の賠償に関する法律の第三条の「無過失責任及び責任の集中」、これでしょうね。ところで、ここに問題になるのは、金銭的な点等いろいろありますけれども、七条の損害賠償措置、これは「一工場若しくは一事業所当たり(原子炉を船舶に設置する場合にあっては、一隻当たり)五十億円(政令で定める原子炉の運転等については、五十億円以内で政令で定める金額とする。以下「賠償措置額」という。)」こうなっているわけですね。これは「科学技術庁長官の承認を受けたもの又はこれらに相当する措置であって科学技術庁長官の承認を受けたものとする。」、こうなっているわけです。金銭的な額についてはこれだけですか。あと保険がありますが、ほかに何かございますか。
  95. 村田浩

    ○村田政府委員 金銭の額を明記したのはそこだけでございますが、第十六条のほうで国の措置を定めておりまして、政府としては原子力損害が生じた場合に、この第三条のただいまの規定によりまして損害賠償の責めに任ずべき額が、賠償措置額、ただいまの五十億円でございますが、これをこえ云々という場合には、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を国が行なうことができるということで、それ以上にこえましたものについては、国が必要な援助をする仕組みになっておるわけでございます。
  96. 大出俊

    大出委員 この十六条ですが、私はそう解釈はできないので御説明いただきたいのですが、「政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者が第三条の規定により損害を賠償する責に任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、」政府が議会の承認を得て何がしかの額を認めるという、一つの制限がある感じがするのです。たとえば横浜にサービスサイトをつくった、損害が起こった、そうしたら、これは天変地異——この賠償の法律の中に、大天災、大災害のようなかっこうのものが入っておるわけですから、その際の原子力事業者の責任の免除なんというのが入っておるのですから、関東大震災みたいな震災が起こって、船をぶつけて原子力の防護装置がおっぱずれたようなことになった場合には、大天災、大震災ですよ。そうでしょう。責任免除措置もあるのですから、そうなると、将来は何が起こるかわからない。横浜港からあの辺みんな使いものにならなかったら、これは五十億や六十億の賠償、とんでもない話になりますよ。賠償し切れやしません。そうなると、どうも私はいまの状態で、この国の法律なるものが最終責任をそこまで負い得るのかどうかという点が、この法律解釈の面では多少疑義がある。これでいいのかどうか。日本が、横浜に限らず、どこの港にしても、つまり絶対安全性、絶対責任制というものを国民のみなさんに説明をし得る、そういった議会の責任あるいは国の責任ということを考えますと、ここに書いてあるこれだけでいいのかどうかという気が私はしてならないのですけれども、そこのところはどう考えておりますか。
  97. 村田浩

    ○村田政府委員 その点につきましては、この法律を国会で御審議いただきますときにも、種々御議論のあったところでございます。  第一に、五千億円という賠償措置額が、はたして原子力損害に対して事業者に課する賠償額として適当であるかどうか、この判断でございますが、これにつきましては、各国の状況等もいろいろ調べたわけでございますが、これは御案内のとおり、各国でかなりまちまちでございます。五十億より低いところもあれば、アメリカのように非常に高いところもある。その国々のいろいろな状況によりまして違っております。わが国の場合に一応五十億と定めましたのは、わが国としての置かれた状況並びに賠償措置をいたします際の国内における可能性、たとえば保険プールにかけ得る最大限度、そういったような点が配慮されて五十億円になったわけであります。しかしながら、先ほどのこの絶対責任に関しましては、それをこえるような損害がかりに起こった、あるいはまたこの法律の目的を達成するため必要があるということは、被害者の保護ということがそこの目的にうたわれておるわけでございまして、そういうような状況が生じましたときには、国が援助することができるようになっておる。その場合には、先ほど申しました責任の集中という第三条、四条に規定してあります点に沿って、あくまでその責任の遂行はその事業者にさせる。そこで、国はその事業者に援助する、そういう形をとったわけであります。そこに何か国の援助には限度がありそうではないかというお話でございますが、これは法律解釈上は、国会の議決がございましたならば、それは一つの条件ではございましょうが、法的には無限の責任がある、いわゆる青天井の責任を負っておる、こういうふうに解釈いたしております。
  98. 大出俊

    大出委員 この原子力損害の賠償に関して免責条項はないのですか。
  99. 村田浩

    ○村田政府委員 天災等の場合は別にあります。
  100. 大出俊

    大出委員 何条ですか。
  101. 村田浩

    ○村田政府委員 第三条の中にただし書きがございまして、「ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない。」という規定がありますのがそれであります。
  102. 大出俊

    大出委員 社会的動乱、それから異常な天災地変とは、たとえばどういうものをさすのですか。
  103. 村田浩

    ○村田政府委員 これはいわば国全体が非常に大きな天災地変、先ほどお話がございましたが、大地震であるとかそういうことのためにいろいろ災害が生じましたときには、現在国あるいは地方自治体がいろいろめんどう見ることをいたしておりますが、国として、直接この原子力損害とかなんとかということにかかわらず、当然国民を守るために何らかの措置をしなくちゃならぬようなそういう事態をさしておるということであります。社会的動乱というのは、このことばだけではっきりしませんが、たとえば戦乱の中に巻き込まれるというようなことも含まれるものと思います。
  104. 大出俊

    大出委員 どうも狂潤怒濤ということばが最近よく使われる世上ですから、社会的動乱もあり得るかもしれません。  ところで、いまのお話しのように、たとえばさっき私が申し上げたように関東大震災——ところが、とんでもないところにサービスサイトを置いておいたら、倉庫に入れておいた核燃料が飛び出してしまう。防護壁なんかつくってはあるけれども、集中的に被害を受けるのは、その地域ですね、問題は。これは仮定のこととおっしゃるかもしれぬけれども、法律上あるんですから、法律はそこまで予測しておるわけですから、その場合には責任がないのですね。そうでしょう。異常な天災ですから。あるいは狂欄怒濤、怒濤狂欄か知らぬけれども、社会的動乱、何か一発落っこってきたら横浜という地域がとんでもないことになってしまったとか、あるいは横須賀の久里浜、あそこら辺はあぶないですよ。やみにサーチライト照らして弾薬を揚げたりするんですから、相当これはあぶないですよ。だから、そういうことになると、正直のところ、どうもそういうところを避けて、富士山のてっぺんに置いたんじゃ船の役に立ちませんけれども、やはりそこらのところまで考えなければならぬような法律なんですね。その場合には、免責条項があって、法律上の責任がないんです。だから、そういう意味で、私は絶対責任制ということを国民一般の側に立ってまともに受け取ろうとすれば、どうもこのままでは、日本も原子力船をつくるということで予算上認められて進んでいる世の中なんだから、いささかどうも不穏当、足らない面があるんじゃないかという気がする。だから、たまたま最初というのは、いまの原子力船開発事業団としても、三十六億の予算で始めたら五十五億六千七百万になってしまったという、わずかの間にそのくらいの違いがある。西ドイツのほうではオットー・ハーンというようなものがいよいよ動き出す。アメリカでは原子力コンテナ船を三隻つくるという発表もしたのです。EECあたりでも、共同開発をやっているということになってくる。とすると、そこらのところをもう少し高い次元でもう一ぺん考えておく必要があるんじゃないかという気が私するのですが、長官そこらのところどうですか。
  105. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいまの御質問の前半の点について少しく申し上げてみたいと思いますが、先生御指摘の免責は、原子力事業者に対する免責であります。これによって国までが免責されてしまうわけではないのでありまして、先ほどの国のとるべき措置を定めているところをごらんいただきますと、第十七条でございますが、「政府は、第三条第一項ただし書の場合においては、被災者の救助及び被害の拡大の防止のため必要な措置を講ずるようにするものとする。」すなわち、事業者は免責されておりますが、国はこれによって措置を講ずる、こういうことに相なるわけでございまして、だれもめんどうを見ないということはあり得ないわけであります。ただいまの横浜の例で申しますと、一般の場合につきましては、この場合、事業者は原子力船開発事業団に相なるわけでございますが、開発事業団が集中的に絶対責任を負う。しかし、ただいま御指摘のただし書きにあるような天災地変とか、そういうことで事業団が免責される場合は、この第十七条によりまして国が措置を講ずる、こういう形になるわけであります。
  106. 大出俊

    大出委員 長官、ちょっとお待ちいただいて、いまの点について申し上げますが、先ほどあなたの解釈、大天災なんという異常な天災地変が起こったという場合どうなんだと言ったら、あなたの言い分としては、それは原子力損害によって、賠償するとかしないとかいうことよりは、国が一体その天災地変に対してどういうふうに措置をするかという問題だ、こういうお話が出てきた。大震災になったら、全般的にこれは国が何とかしなければならぬことだ。となると、先ほどあなたがそういう御答弁をされたから、したがって、私がいま申し上げているように、それならばつまり最終責任、絶対責任制という点から見て、こういうあいまいな表現でなくて、もうちょっとぴしっとしておく必要があるんじゃないかという点を、長官にここで——原子力船まで日本がつくります、目下変わったけれども、特殊貨物運搬をやりますなんて言い出したから、このあたりで古証文は一ぺん検討し直す必要があるんじゃないか、こう申し上げているのですよ。どうですか、長官そこらあたりは。
  107. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 いま天災地変あるいは社会の動乱等がもしあった場合の損害等についての国のとるべき措置等についていろいろ御議論がございますが、なるほど法律上、たいへんな天災地変等が起こった場合には、その原子力船のみならず、国全体、国民全体がたいへんな被害を受けるわけでございますから、そのときには当然これは国がすべてのめんどうを見る。これは法律があるなしにかかわらず、そういうことになるだろうと私は思います。法律以上の問題が起こるときでございますから……。しかし、いまおっしゃったように、法律の内容——これはいつできた法律かわかりませんが、その改正法かどうか私よく存じませんが、一方において科学が相当進んでまいりますし、技術の開発、原子力船あるいは原子力発電、そういうものは進めてまいらなければならぬことはこれは申し上げるまでもないのでございますが、その反面にまた、国民がそのことに対して非常な不安を感ずるとか、あるいは万一の事故があった場合にはどうなるのかということを非常に懸念しております。その懸念に対して、私はやはりできる限り法律がそれを守ってやるようなものをつくるということは、これは必要であると思っております。大出さんは法律の専門家でありますから、詳しい議論がございますが、そういうこと等につきましては、私は法律のことをあまりよくわからないのでございますが、よく御意思を体して検討を加えてみたいと思っております。
  108. 大出俊

    大出委員 これは原子力開発事業団が一番最初——この法律は三十七年ですね。そうしますと、やはり五年ばかりたっておりますね。ずいぶん世の中が変わってきておるわけでありますから、はたして五十億という規定がいいのかどうかわからない。片一方の事業団で二十何億という金がふえている世の中ですから。そうだとすれば、これはやはりもう一ぺん検討してみなければならぬ、どこにサービスサイトを置くにしろ何にしろ、私はそういうふうに考えるのです。だから、この法律がいい悪いということよりも、絶対安全性、絶対責任制というものは、やはり明確にしなければ、将来原子力船なんということを考える場合に、昨日も申しましたが、パイオニア的に最初にやるという方々の場合に、どこをさがしても地元民が反対であって、事業団はできたが宙に浮いたんじゃ困る。だから、そういう政府の配慮というものも一面あって、そこまで責任を負うという姿勢が表に出てきたほうがいい。私はこの点はそう思う。だから、そうなるとどういうことになるかと思って調べてみたら、いささかどうも古過ぎやしないかという気がする。確かにこれは四十六年ですから、四十六年というとまだこれから四年ばかりある。いまこれで説明しているわけですから、そこのところを頭に置いてもらわないと、供託云々の項もありますけれども、もう一つここで承っておきたいのは、契約に関する法律の側で、つまり原子力損害に関する保険ですね、これはどういう取り扱いになっておりますか。
  109. 村田浩

    ○村田政府委員 事業者は、この法律の定めるところによりまして、みずから五十億円に相当する資金を用意しまして援助できるようにするか、普通はそういうことはなかなか行なわれませんので、保険にかける。現在原子力保険プールというのが国内にできておりまして、この保険プールは、国内の各損保保険会社が共同してつくっておるものでございます。さらにまた海外の保険プールとの間にも連携いたしまして、補償の完全を確保する形をとる。そこで、この保険との間に原子力損害賠償措置を講じたことを、この法律の定めるところによりまして科学技術庁長官に承認してもらう、そしてその措置ができる、こういうことになるわけでありますが、同時に損害賠償補償契約の取りきめがございます。この保険プールのほうで、これは民間の機関でございますから、海外の保険プールと提携はいたしておりますけれども、保険約款の中でいろいろの条項もございますし、かつまた、そのときの経済情勢その他で十分なことができないかもしれない。そういう五十億円までの補償措置につきましても穴があく、そういった場合には、これを埋めるために国との間にもう一つ補償契約をする、こういう仕組みになっておりまして、これは毎年予算の中でこれについての措置が記載されるようになっております。
  110. 大出俊

    大出委員 この原子力船開発事業団の、四十二年四月の第一船の定係港についてという文章があり、わが国の原子力第一船という説明資料がありますが、この中に契約補償の問題については一切触れていない。私は、非常に不親切きわまると思っております。補償に関する、契約に関する法律も存在するのですから、してみると、これはかくかくしかじかでこうなんだという賠償措置、その他絶対責任制の問題も含めて、これはやはりそこまで明らかにされていなければならぬと思います。それはいつやるのですか。
  111. 村田浩

    ○村田政府委員 これは、この事業団が原子力船の建造の許可をとって以降になるわけであります。まだ現段階では許可がおりておりませんので、おりるかおりないかわからない不分明の状況でございますが、許可がおりましてから早急にやる、こういうことでございます。
  112. 大出俊

    大出委員 賛否いろいろ世の中に議論がありますけれども、ものごとはやはりすべて明らかにした上でなければ、議論というものはかみ合わない。だから、そういう意味で、許可になるとすれば——予算を組んでいるからなるのでしょうが、なるとすればこうこうだという、つまり損害補償ということが考えられる。さらに補償に関する、原子力損害の契約に関する法律もあって、かくかくしかじかのことになるということまで触れないと、何かすっかり安心です、安全です、だいじょうぶなんですということでは、事済まないとぼくは思います。そういうところまでやはり配慮した形のものにしていただかなければならぬ、こんなりっぱなものをつくるなら、私はそう思います。これは長官のほうで監督責任がおありになるのですから、やはりそういうふうなところは御注意いただきたいと思うのです。  そこで、この原子力船開発事業団の収支内訳は、政府その他に分けて、民間を含めてどのくらいになっておりますか。たしか四千何百億か分かれていましたね。
  113. 村田浩

    ○村田政府委員 四十一年度までに原子力船開発事業団に出資しました総額は、民間出資を含めて約十億円でありますが、そのうち約二億五千万円が民間の出資になっております。  それから、先般申し上げました四十六年度までの総事業計画に要します経費見積もりが約百八億でございますが、これに対しまして、民間出資は二十億円を予定しています。
  114. 大出俊

    大出委員 最終までにですね。
  115. 村田浩

    ○村田政府委員 はい。
  116. 大出俊

    大出委員 これは、将来は訓練費だとか、人件費だとか、全部含まれるわけですが。そこで、この運航をやったからといって、採算がとれるものでもない。サバンナ号の例を見れば、これは明らかだ。そういう経費はどうするのですか。
  117. 村田浩

    ○村田政府委員 乗員の訓練費等は、もちろんただいまの百八億の中に四億二千万円くらい見てございまして、この中には、ことしから始める予定でございますが、乗り組み員に採るべき者につきまして、原子炉に関する基礎的な研修から始めまして、先々は、これはサバンナ号がどういうふうになるかということもございますが、できましたら、サバンナ号の乗船訓練あるいは——これは相手のあることでございますから、交渉の結果にもよりますが、向こう側とうまく提携できますならば、これに乗って訓練を行なうというようなことをさせたいと考えております。
  118. 大出俊

    大出委員 だから、いま予定されているのは七十六名ですね。この七十六名云々でなくて、どうせこれは運航すればするほど赤字になるだろうと思うのですが、特殊貨物を運ぶにしても、それは将来どこが負担するのかということです。
  119. 村田浩

    ○村田政府委員 この船ができ上がりまして、その使用目的は特殊貨物の輸送と乗り組み員の訓練、この二つになるわけで、乗り組み員の訓練のほうは、本船自身の乗り組み員の訓練と思っているわけでありますが、できました後は、その他の一般の船会社の乗り組み員の訓練をいたすわけでございます。将来の原子力商船時代に備えましてやるわけでございますが、これについては、乗り組み員を派遣いたします船会社から研修費を取ってさせる、こういう予定でございます。
  120. 大出俊

    大出委員 国の負担ではないというわけですね。あくまで民間から金を取る。したがって、将来にいかに赤字になっても民間が負担する、そういうことですか。
  121. 村田浩

    ○村田政府委員 これはいわば授業料でございますが、授業料で船の運航費すべてをまかなうということは考えておりません。ただいまの試算でございますと、特殊貨物の輸送等がどのくらいになるかということは、推定にすぎませんが、年間で二億程度の赤字が出るのではないかと考えております。この赤字については国が補給する、こういうことを考えております。
  122. 大出俊

    大出委員 とにかく、これは総トン数八千三百トンですか。そうでしょう。載貨重量が二千四百トンですね。だとすると、これはサバンナ号等の規模とはうんと違いますけれども、相当の赤字が予測されるのが当然でしょう。いまの話は、将来ともに二億ずつの年々の赤字を予算に組んでいくわけですか。そういうことになるのですか。
  123. 村田浩

    ○村田政府委員 貨物の輸送あるいは乗員訓練等による収入との関連で、そのときの運航計画上、赤字の出ます場合には、それは予算に組んでまいります。
  124. 大出俊

    大出委員 そうすると、先々どのくらいの赤字になるかということは予測つきませんけれども、いまのところ二億という想定をしておるということですか。
  125. 村田浩

    ○村田政府委員 ただいま申し上げました数字は、想定でございます。  なお、申し上げておきますが、この事業団は、般を建造し、実験航海をするというところまでが、法律上の機能になっておりまして、ただいま申し上げましたような特殊貨物の輸送等の業務をこの事業団がさらにやるのか、あるいはまた、そのときの状況で、民間で引き受けるというところがあって、民間に経営させるのか、あるいはまた、別な形で運航をどこに委託するか、この点は、現段階ではまだ最終的にきまっておりません。私が、予算に組んで、と申しましたのは、何らかの形で国の機関がこれを補給して運航するという形になりました場合、あるいは民間に委託した場合で、委託経営に基づいてこれを補給することが必要となった場合、こういった場合について申し上げたわけであります。
  126. 大出俊

    大出委員 サバンナ号自体が委託運航じゃないですか。それでたいへんな赤字になっておるわけですね。にっちもさっちもいかなくなっておる。したがって、委託運航するにしても、相当規模の大きさの赤字が出てくると思います。そういうことは長官、やはりあいまいにしておかないで、はっきりしておいてもらわないといけない。第一船ですからね。そこのところは一体どういう方針なのかという点を、国会ですからね、私はいいかげんにしておくべきではないと思うのです。
  127. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 サバンナ号についても、いまおっしゃるとおり赤字で、アメリカ政府が相当な負担をしておると思いますが、いまわが国で考えておりますこの第一船は、どっちかというと、端的に申しますと、研究をし、実験をする船でございますから、したがって相当なリスクというものも当然考えられる。これをいきなり民間に背負わせるということであっては、私は筋が通らないと思うのです。これは国がこういう原子力船をつくる方針をきめ、そうして事業団をつくって乗り出すわけですから、その方針から申しますと、これがほんとうに役立つ、実際コマーシャルベースに乗るというところまでは、ある程度まで国が責任を持って、そうして研究、開発を進めていく、訓練をしていくということは、私は当然しなければならないと思います。私、想定で二億円くらいの赤字だという計算をいたしまして、ことしの予算折衝のときも大蔵省にお話ししたわけですが、もう少しもうかるような運営はできないかという。これは船ができてみなければわからぬことで、船をとにもかくにもつくらしてくれ、こういうことで話をして、つくることになったのです。そういうたてまえでもございますので、これはやはりおっしゃるとおり、私は国の責任というものは明確にしておく必要がある、こういうふうに私は考えております。
  128. 山内広

    ○山内委員 関連して。いまの問題でちょっとこの際お聞きしておきたいのですが、この原子力船の建造の当初の目的は、いま長官のおっしゃったように、そういう技術の開発とかそういうことで、観測船ということで出発をしたわけです。ですから、そうなれば国が所有をして、技術員の養成とか、そういう意味で国費をどんどんつぎ込んでいくということなら、大義名分が明らかなわけです。それがいつの間にか、どういう経過かわかりませんが、特殊物資の運搬ということに使用目的が変わったわけですね。一体、この経過はどういうことでそういうことになったのか、その点をひとつ……。
  129. 村田浩

    ○村田政府委員 御指摘のとおり、当初この日本原子力船開発事業団を設立しまして、原子力第一船の建造計画をつくりました際には、この船ができ上がりました後においては、海洋観測並びに乗り組み員の訓練に当てるという目的になっておりました。その後種々の事情で建造への着手がおくれてきたわけでありますが、特に一昨年に船価の問題で再検討するということになりました際に、原子力委員会関係者に集まっていただきまして、原子力船関係者懇談会を持ちまして、約一年間種々の角度からこの計画について検討していただいたわけでございますが、その検討の中には、その後の諸外国等における原子力船の情勢というものも、いろいろ勘案いたしたわけであります。船価の検討とあわせてそういうことをいたしたわけでありますが、今後この第一船に続いて、いわゆる第二船以降がどういうふうになっていくか、また、していくべきかということも、同時に十分に考えなくてはならないということで、これらの点は、その後長期計画の専門部会ができました際にも、引き続き検討され、現在長期計画に書かれておるとおりになっております。すなわち、昭和五十年代には、原子力商船の実用化が国際的に実現する。その場合に、わが国として最初に取り組むべき実用船は、原子力コンテナ船、すなわち高速貨物船の可能性が大きい、こういう見通しを立てたわけでございます。この平和利用の一環でございます原子力商船を一刻も早くそのような形で実用化に持っていくといたしますと、その持っていくことにつきましての第一船の意義というものをできるだけ高めたい。三年前に着工いたしたとすれば、海洋観測という形で、つまり非商業船、完全に国が所有する船という形でよかったと思いますが、いまからおくれて着工いたしまして、でき上がりもおくれてくる一方、実用化というものは五十年代の前半に考えられるとしますと、その間をつなぐ方策としては、純然たる非商業船よりも、一歩進んで、確かに完全な商業船とはいえないが、商業的活動をも行なって、そうして次の実際の実用商業船へ種々の経験というものが生かされるようにすべきではないか、こういうような意見もいろいろ出てまいりまして、そのような観点並びに船価の検討等から、あわせてこれが完成しました後、実験航海を所要の約二年間行ないまして、使う目的を特殊貨物の輸送及び乗員の訓練、こういう形に変更をいたしたわけであります。
  130. 山内広

    ○山内委員 それは、はなはだ奇怪な御答弁を私は聞きました。これは初めから別に商業ベースに乗せるというような考え方は、何にもないのですよ。純然たる日本のそういう原子力に対する技術の向上ということでやってみよう。それを今度、三年前ならばそれで通ったけれども、あとの三年間の今日にどういう変化があったか、かえって私から言わせればたいへんに国民の疑惑を招くことになっているのですよ。しかも、その特殊物資とは何ぞや、運搬する目的は何かということになりますと、私どもは非常に割り切れないものを持ってきたわけです。むしろ三年前ならば、サバンナ号の実績というものもわからない時代であった。ところが、もういまでは収支も償わなくて、アメリカでもてあましているでしょう。そういう実態が出ているにもかかわらず、これを民間にやらせて、あるいは委託して、そして今度国費をそれにつぎ込むようなことも考えるなんということは、これはもう言語道断ですよ。やはり純粋の学術の研究、そういう意味で観測船に残すべきです。
  131. 村田浩

    ○村田政府委員 御意見いろいろあると思うのでございますけれども、観測船としてかりにつくられましても、その運航には相当多額の経費が必要なわけでございます。他方観測船には現在種々の——東大あるいは文部省等にもございます、海上保安庁にもございますが、いまから三年前の当時の計画したときに比べましても、その後にも新しい計画——三千トン級の大型海洋観測船というようなものが出ております。そういった点も配慮しますと、海洋観測船としても、相当の赤字といいましょうか、経費増を考えませんと運航できないだろう、こういうことも当然予想しなくちゃいけないわけでございます。原子力船でなければ海洋観測ができない何か要素がある、こういうことでございますと、これはもう経費とは無関係に、ぜひ原子力の海洋観測船ということでございますけれども、海洋観測の目的の上から必ずしもそうでもない、むしろ海洋観測船としては少し型が大き過ぎるということもございます。でございますが、確かに山内先生御指摘のとおり、主たる目的は技術開発であることはそのとおりでありますので、技術開発という意味でやはりそういう非商業船のほうがふさわしいという考え方はあろうかと思います。しかし、その後、サバンナ号というものは非常に赤字で失敗したということはそのとおりだと思いますけれども、この船は、御存じのとおり、米国政府として一つのデモンストレーション用につくられた船で、船価は非常に高い船であります。たしか総額百六十億程度かかっておると思います。そういう高い船でありまして、いわゆる豪華船につくってございますために、運航経費がまかなえない、こういうような点があるようでございますが、現在そのアメリカにおきましても、一方でサバンナ号を係留するというような話がある反面、他方では現在真剣に原子力高速貨物船の建造計画が検討されている。これは最近の海運の傾向でございますが、高速コンテナ船を原子力でもってやろうといいますのは、原子炉を搭載いたしますと船価がどうしても高くなりますが、三十ノット程度の高速になりますと、原子力のほうが経済的に有利になる可能性を持っている。そういうことから、数隻の原子力コンテナ船をつくって、これを極東航路に回そうというような計画が、真剣に検討されておる状況であります。こういう情報もございます。そういった際に、造船国であり、海運国であるわが国としては、やはり今後の原子力商船の開発の動向というものを考えつつ、第一船の計画を適切な形にしていくべきではないか、こういう考え方に基づいて一部計画の修正をしたということでございます。
  132. 山内広

    ○山内委員 それではお聞きしますけれども、今度貨物船に使用目的を変更して、どれくらいの年間収入をお考えになっておりますか。
  133. 村田浩

    ○村田政府委員 これもまだ想定の域を出ませんが、大体年間で二億から二億五千万円程度と考えております。
  134. 山内広

    ○山内委員 たいへんな話ですよ、これは。六十九億も船自体にかかり、それらを運航するために現実に百八億かかるのでしょう。たいへんな高い船になっておるのですよ。これを運賃を年間二億円くらいと見込むならば、二億円でもって純粋の学術の研究機関として国費をつぎ込むことのほうが、りっぱなことじゃないですか。たった二億しみったれて、そうして使用目的を全然かえて特殊物資だけを輸送する。しかも局長さんよく御存じでまだ隠しておるのは、単価が今日こんなに高くなった一つ原因は、初めの海洋観測船を今度は輸送船に変えようというので、途中で設計変更をやったでしょう。そうしていろいろ変えたりして、そういうことも一つの因子になって非常に建造費を膨大にふくれ上がらした。こういうことは言いたくないのだけれども、当時舶用炉の売り込みも外国から非常にあって、競争したでしょう。ですから、当初から一隻ではなくて、その次二隻、三隻ということを考えておるのですよ。ですから、こういうことをやって商船にしたって、二億くらいじゃ、とてもじゃないがどこにも足しにならぬでしょう。これは初めからやはり純粋の研究機関として国費を入れるべきだった。それであなた方貫かなければ、こういう金のかかった船を建造して、そうして二億円くらい赤字になって民間に委託して、それに毎年不足分というと何億になるかわかりませんけれども、それをぶち込んでいくなんていったら、ますます国民の不信感を買って、原子力なんてますます信用を落としてしまいますよ。
  135. 村田浩

    ○村田政府委員 この設計変更を行なったことは事実でございますが、それに搭載する原子炉は、海洋観測船のときに考えましたものと同じ原子炉を搭載することを考えております。したがって、変更の幅というものはきわめて限られておるわけであります。船価も、したがってそのために非常に高くなったということはございません。  それから、この程度の船をつくりましたときに運航経費がどのくらいかかるかといいますと、結局大ざっぱに申しまして、これは推定ではございますが、総額で四億か四億五千万程度かかろうかと思います。これは年間大体三百日の稼動ということを前提としてでございます。その三百日程度稼動しまして、運航経費が大体四億ないし四億五千万くらいかかるだろう。ですから、これがもし収入がございませんでしたら、それだけの赤字が毎年蓄積されるわけでございます。収入二億とか二億五千万とかいうものは非常に低いのではないかという御指摘でございますが、先ほど年間の赤字が約二億程度と想定されると申しましたのは、必要な年間運航経費からただいまの収入見通しを差し引いたものを申し上げたわけでございます。  そこで、実際の貨物の輸送に一体どれだけそれが役立つかということだと思うのですが、その点は、むしろ商業船として動きますためには、先ほどのサバンナの例がございますように、実際にアメリカなりその他の国の港を訪れて荷積み、荷おろしの作業等もするということでございまして、そういったようなことが原子力船において円滑にいくような状況というものができてこなければ、真の意味での原子力商船というものにならない。そういったことにおいても、この船は特殊貨物輸送ということではございますけれども、一部将来の原子力商船へのつながりとしての開拓者の役割りを果たすものである、こういうふうに考えておるわけであります。
  136. 山内広

    ○山内委員 この問題は意見の相違で、この当初の目的を貫いてくれれば、われわれもこれは賛成してあげた、建造に協力したつもりなんです。使用目的が変わり、このとおり経費もかかってくるということになり、将来が考えられると、いまでは私非常に疑義を持っております。しかし、これは場所をあらためてまた議論したいと思っております。
  137. 大出俊

    大出委員 ちょっと一つだけ確めておきたいのですけれども、原子炉は確かに原子力発電の十分の一程度でしょうから、たいして大きなものじゃないでしょう。だから、計画は変わっておらぬかもしれぬけれども、経費が設計変更であまりかからぬというお話なんですけれども、そうすると、三十六億が五十五億六千七百万円になったのは、主としてどこに金がかかっておりますか。
  138. 村田浩

    ○村田政府委員 約五十六億円の内訳は、船体自身につきまして約三十億円、それから原子炉部分、これは狭い範囲の原子炉部分で、主機等は全部船体に入れてありますが、これが約二十六億円、合わせて約五十六億円、こういう数字になっております。それで、前に三十六億円と査定いたしましたときには、船体並びに原子炉の価格がほぼその半ば、つまり十八億対十八億という程度の見通し、こまかい数字はちょっとここに持っておりませんが、大体そういう見通しであったわけであります。その点から見ますと、今回の船価は、船体においても、かつまた原子炉部分においても、高くなっておるわけでございます。このように相当大きな船価の違いが出てきましたところの理由としては、先日も申し上げたと思いますが、一番大きな理由は、やはり三十六億を査定した当時の情報の不足であったと思います。当時、先ほど指摘もありましたように、またサバンナが動いていないというような状況でもございまして、サバンナに関する種々の技術情報が入ってきたのはその後でございます。最近はサバンナの安全審査をいたしましたくらいに情報が全部入っておるわけでありますが、そういった技術資料等が利用できなかったということから、主として外国でこの程度の大きさの動力炉について出ております資料等から船価を推定していたということが、原子炉関係ではあると思うわけであります。それから船体関係では、この点もSOLAS条約等もまだ発効しておらなかったこともございまして、一般の計画造船における船価というものを船価査定の一つの基準にいたしたわけでございますが、もちろんその計画造船のトン当たりの船価に比べますと、大体その倍ぐらいを見たことになっております。しかしながら、実際にSOLAS条約等で要請される条件、さらには原子炉を搭載しましてこれを船体と結びつける諸般のむずかしい技術的な工作、これはまあ艤装の中に入るわけですが、その艤装の経費等の見積もりというものにつきましては、情報不足から、きわめて不確かな推定であったと思われます。そういう情報不足による査定違いが一番大きいと思いますが、そのほかに、ただいま触れましたように、安全性についての国際基準ができたということからくるいろいろな値上がりの問題がございます。安全性につきましては特別に注意してございますので、そういった点の船価上昇があったわけでございます。さらにまた、ここ三、四年来の物価あるいは工費の上昇等ということも一部ございます。それらを総合しまして、ただいま申し上げた約五十六億の船価になったわけでございますが、今回この船価をもって適切であると判断いたしましたにあたりましては、特に一番情報の面で不確かとも思われます原子炉につきまして、同じ大きさの原子炉を外国から輸入した場合にどのくらいになるかということをあわせて検討したわけで、特にドイツにおける状況等を参考にいたしましてやりました結果、原子炉につきましては、国内でつくりましても、外国のものを買いましても、やはり二十五、六億という線が出たわけでございます。現段階においてこの程度の船をつくるについては、安全性の点について十分なことをいたしていきますと、大体必要な価格だろう、そういう点からこういうふうに見たわけでございます。
  139. 大出俊

    大出委員 時間の関係もありましょうから、あと三つだけ質問をいたしますので、簡単に答えていただきたいのですが、この法律にいう事業者は、そうすると開発事業団になるのですね。乗り組み員の七十六名、身分はどうでございますか。それから、その方々に対する原子力損害に類する問題、これは防護壁その他があるからということでございますけれども、そういうような点については、どのようにお考えになりますか。
  140. 村田浩

    ○村田政府委員 先ほど申し上げましたとおり、損害賠償法でいう原子力事業者は、日本原子力船開発事業団になるわけでございます。少なくともこの法律に基づいて実験航海を行ないますまでは、そういうことになるわけであります。  それから乗り組み員は、ただいまの七十六名のうち、二十名は研修者、五十六名が実際に仕事をしておる乗り組み員でございますが、これらは、特に五十六名は事業団の職員であります。そうしてこの乗り組み員に対するいわゆる原子力損害の問題は、ただいまの法律は、御案内のとおり第三者を保護するための法律でございまして、従業員は含めておりません。したがって、この船の場合も、乗り組み員につきましては労災法あるいは船員法等によって救済されることになっております。
  141. 大出俊

    大出委員 ところで、アメリカのサバンナ号が二万二千トンくらいですか、ドイツのオットー・ハーンが二万五千九百五十トンですか、そのほかに一万七千トン級のコンテナ貨物船を三隻つくるという発表がアメリカからありますね。ソビエトは一万六千トンの砕氷船ですか、レーニン号、そのほかに砕氷船を二隻つくるんですね。そのほかに捕鯨基地の意味での原子力燃料補給船、原子力タンカーをつくる、こういう進み方ですね。英国も研究中。そうすると、科学技術庁のお立場からお考えになって、長官にはっきりお答えいただきたいのだけれども、日本の原子力コンテナ船などに類するもの、将来に向かってのその種のものを、科学技術庁の立場でお考えになっておりますか。
  142. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 もちろんいまつくりますのは、先ほどからお話を申し上げておるように第一船でございますが、将来はコンテナ船のようなものをつくるという、五十年代の半ばごろからというように一応計画を立てておるようでございます。
  143. 大出俊

    大出委員 だとすると、先ほど長官に念のために申し上げたように、そういう各国の動きというものを詳細に皆さんのほうでもおとりになってはおられるけれども、かつまた、国際条約などという問題もありますから、そういう意味での絶対責任制、安全性という問題がありますから、そこでまずその種の条約を発効しておりますからね。これは日本でも将来は批准をする場面があるいは出てくるかもしれぬ。それらの関連と、それから先ほどの現行法の検討をもう少ししていく必要があるんじゃないかという点を、最終的にひとつお答えいただきたいと思います。
  144. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 この損害賠償等に関する国際条約、ブラッセル条約と思いますが、まだこれは発効していないわけでございます。これは先ほどからお話がございますとおり、何と申しましても安全性が第一でありますから、また万一の事故の場合に備え、損害賠償とか人命保護の措置というものは、これはきわめて重要なことは申し上げるまでもございませんので、各国とのいろんなそれに対する措置等につきましては、なお一そう研究を重ね、また国際条約等が締結される段階になれば、国会にもお願いをして批准の手続をするようにすることは、当然だと思っております。
  145. 大出俊

    大出委員 いまの点は、批准国がないからいま効力がないわけですよ。そうでしょう。そうなると、私がいま申し上げたように、各国でそういう趨勢が出てきているとすれば、原子力船が現に運航している国、そこに対しても批准をさせるような国際的な立場が必要になってくるでしょうし、日本の場合も、艤装が終わってさて運航するといったようになった場合に、あなたの御説明でいけば、外国の港に貨物を運んでいくということがあり得るわけだから、そうだとすれば、それらの点についてもう少し国民一般に知らせる、こういうものがあってこうなったということは知らないですからね、そういう必要がありゃせぬかということを申し上げているのです。長官はそのような意味のことをちょっと言われておりましたからいいわけですが、その御努力のほどをお願いしたい、こう思うわけです。  長官をもうお呼びにきているそうですから、このくらいにいたします。      ————◇—————
  146. 關谷勝利

    關谷委員長 宮内庁法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。伊能繁次郎君。
  147. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 今回の改正案を拝見しますと、私ども宮内庁内の御事情をあまり承知しない者にとって、たいへん能率的に人事の処理、定員の配置を合理化せられるような状況に相なっておりますが、これらの実際の運用について、こういうようになさった場合にどういうような結果になるのか、どういうように運用されるのか、という御方針等について伺いたいと思います。
  148. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 現在までは定員表のところに特別職職員二十二人、一般職千百九十四人というふうに分けて書いてございますが、こういうような改正案を特にお願いしようということになりました動機を申し上げますとおわかりいただけるかと思いますが、両陛下、皇太子両殿下などの側近の方の仕事は、いろいろ御活動の状況ですとか、あるいはまた新しく宮さんがお生まれになるとか、またお生まれになった方がだんだん成長されますと、いろいろ仕事が変化してまいります。実はいろいろ側近の仕事もふえてまいりますので、四十二年度の予算の面で女官を一名定員をふやす、それから東宮職の関係では、東宮侍従を一名、東宮女官か二名ふやす、そのかわり一般職のほうの定員は三人削る、総体ではふえないというようにいたして合理化をはかりたいというので、予算面では大蔵省のほうも一応そういうふうに認めてもらっておるわけであります。今後そういうような場合、全体の定員は動かないが配置転換していくような場合に、これは一々法律の改正をまたないでも必要なときにそれができるようにする。しかし、必要なときにできると申しましても、宮内庁限りでやるわけでもなくて、これは人事院規則の改正によって行なうわけでありますから、人事院のほうの審査も受けて改正をいたすわけでありますので、そう乱におちいるおそれもないわけであります。そういうふうにいたしまして、側近の御事情が変わって特に人が必要な場合に、全体の定員をふやさないが、一般職のほうを削ってそのほうの定員で側近のほうをやっていくというようなふうにいたす。必要な場合に法律の改正という手続をとらないでやらしていただけるならば、非常に円滑に、合理的に簡素化——事務の簡素化でございますが、そういうようにいたせる。実は特別職のほうの定員は、昭和三十六年の国家行政組織法の改正までは、法律に掲げてあります。宮内庁長官、侍従長、侍従次長、式部官長、長官の秘書官と東宮大夫、その六人の分は法律でちゃんと取っておりますが、その他の分につきましては、法律の規定による制限がなかったのであります。予算による制限はございました。三十六年の国家行政組織法で各官庁で常勤でつとめておる人の数をそれぞれの省庁設置法できめるというようになりまして、その際からこれは法律に載ってまいるようになったわけであります。そういう経緯もございますので、決して乱に入らないように運用いたすつもりでございますので、よろしく御了承をいただきたいと思うわけでございます。
  149. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 ただいまの御説明で今回の法律改正の趣旨はわかったわけでございまするが、人事院規則には依然としてそれが特別職ということになるのだろうと思いますが、人事院規則には依然として、二十二名が今回は二十五名になるわけですか、残って。その間の定員の流用については、最近の行政の合理化、定員の合理化等の趣旨からいって、私ども適当だろうと思うのでございます。ことにただいま御説明のように、皇族の御活動状況も、最近の御多忙な点、あるいは皇族の御誕生、御成長、さらに国内だけでなく、海外等にも最近はいろいろとお出向きになられるというような点等から、逐次お仕事が多くなっておるということはわかるわけでございますが、今回の場合には、一般定員、特別職でない定員の流用で処理ができたというようなことですが、この点は将来決して常にそういう形でいけるわけでもなかろうと存じますので、その辺の運用についてはできるだけ万遺漏のないように——おそらく、あるいは突き詰めたお尋ねかもしれませんが、従来等でも兼任等でやられておられる、そういうようにもうかがわれますが、お仕事が多忙になられるにつれて、一般定員と特別職との分界等については、ただいまお示しの侍従、女官長、女官、東宮侍従長、東宮侍従、東宮女官長、東宮女官、この内容はおそらく常識的に考えますと、一般の宮内庁職員とはある程度区別せられて御処理をなさって、人事院規則には依然としてこの名が掲上せられることと存じますので、こういう点について将来の問題等もございますので、定員の配分その他については、まあ大蔵省、人事院等と御相談を願うこととは存じますが、できるだけ適正な御配置をいただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。
  150. 關谷勝利

    關谷委員長 受田新吉君。
  151. 受田新吉

    ○受田委員 いまの伊能委員の質問関連することをまずお尋ねいたしますが、この特別職と一般職は、国家公務員法の上において扱いに相違点があるわけですね。その相違点はどういうかっこうで調整されるわけですか。
  152. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 御承知のように、特別職のほうは、国家公務員法によって規律をされないで、別の扱いになっております。採用するような場合も、一般職の公務員のように、こういう職にはこういうような学校を出て、こういう試験を通ってというような、そういう制限がございません。この侍従とか女官というものの採用の場合には、そうした形の上の制限よりも、もっと広い範囲内でその適任者を任用するというようなことが必要な場合がありまして、そういう場合に、一般職でないと、広い範囲からいい方を選べるというような点がございます。それから身分上の関係でいきますと、国家公務員法では、一般職については相当、以前よりは身分保障の点が強くあるわけであります。特別職のほうは国家公務員法の適用がないものですから、ですから、昔の文官分限令ですか、ああいうことによる保障はございますが、国家公務員法による保障はございません。しかし、そういって、別に特別職のほうを簡単にするというわけではございませんけれども、しかし、また性質からいいますと、侍従とか女官というものは、学識経験ともりっぱでなくてはいけませんが、なお個人的な人柄とかいろいろな関係で、要するに両陛下、皇族の方のほんとうの信頼を得られる人でなくてはいけないわけでありまして、そういうような見地からも、場合によると、事によってはかわっていただくということも、そうむずかしくなくてできるほうが合理的な場合もあると思うのです。そういうようなこともございまして、やはり特別職であったほうがよろしいという考えで、侍従や女官は特別職になっているのであります。
  153. 受田新吉

    ○受田委員 この法律の改正のような特別職と一般職の職員の区別をなくして一括するというような扱い方は、他の官庁の中にありますかどうですか。お調べになったかどうか。
  154. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 特別職の多い外務省あたりではやはり区別してきめているそうでございますが、宮内庁の場合と同じような例はほかにないようであります。今度のように改正をしていただくような例は別にないようでありますが、しかしながら、こうしてやっていただくほうが円滑に、合理的にやれる、弊害が伴わないようなふうにやれるということでお願いしたいと思います。
  155. 受田新吉

    ○受田委員 現行のままでどういう不便があるのですか、ちょっと私理解しかねるのです。
  156. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この経緯を申しますと、最初にはこういうふうな改正にするかどうかというところまで必ずしも意見が固まってなかったので、特別職の職員というところを二十二人を二十五人に直して、一般職の職員というところを一千一百九十四人を一千一百九十一人というふうに直したらどうかという一応案を持ったのであります。それでいろいろ法制局とか相談をしておりましたうちに、この点は一本にして合理化をはかったほうがいいのではないだろうか。その制限としては、もちろん人事院規則による制限もありますししますから、こういうふうに行政事務の合理化をはかったほうがいいのではないかというような御意見もいろいろありまして、こういうふうにお願いしようということになったので、経緯を申し上げますとそういうことになります。
  157. 受田新吉

    ○受田委員 どうも私納得いかないのです。特別職にある人と一般職にある人と、それぞれ分離して、それぞれの増員、減員措置をとってどこに不便があるか。ただ、これをなくすと、交流、配置転換等に便利がいいというようなことをお考えになっておるわけですね。
  158. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 そのとおりでございます。
  159. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、身分の確保、処遇等に人事院によって終始擁護される立場にある一般職と、それから特別職、これはまた裁量でどちらにでもなる、融通のきく特別職と、それが本人にとっては非常な差異が認められるわけなんですがね。その差異を納得できるようなかっこうがつくのかどうか。  それからもう一つ、他の官庁にない例外をここへおつくりになっておられるのですが、この点現行制度をそのまま続けていって、一人一人の身分上の立場をそのまま擁護するという形で身分、給与、どちらも有利な形で確保してあげるほうが、筋が通るのではないかと思うのですがね。これは他の省庁に類似のものがあって、人事院などの見解も聞いて措置されたということであれば、それは前例もあることであるということで納得もできるわけですが、職員の身分、給与に関する基本問題が手伝っているものですから、これを一括してどんぶり勘定で片づけるような問題とは、ちょっと性格が違うと思うのですがね。これは人事院の所見もちょっと伺いたいことですし、それから定員に関係することですから、行管意見も聞きたい。それとどういうふうな御相談をされておったか、経緯を御報告願ったらと思うのです。  最後に、職員の処遇の指摘もしてあるわけですが、一々女官長、東宮侍従長及び東宮女官長のくだり、女官、侍従のくだりを一人ずつ細工しているわけですが、このたった三人の措置をするために、この基本的な特別職と一般職の相違する処遇上の問題を一ぺんに片づけられるものかどうか。従来は、現行制度のままで増員計画、減員計画をやってこられましたね。今度は初めてこれを一括処遇、整理されたわけですが、どうしてこういうことをやらなければならぬか。見ると、「合理化」と、こう書いてあるのですが、「定員管理の合理化」ということばが、どうも私にははっきりしないのですがね。「定員管理の合理化」、これはこの問題を専攻されておる課長さんでもけっこうですが、御答弁——どうして合理化になるか、そのつど法案を出さなければならぬめんどうがあるというだけのことなら、これは各省とも、一人の増員、一人の減員でも法律を出しておるのですから、決して不合理、めんどうとはいえないわけなんです。
  160. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 私のさっきの説明の点で幾らか誤解があってもいかぬと思うから申しますが、特別職のほうになりますと、何か一般職よりも身分上不安で損をするようなことになりはせぬかというふうなことで御心配のようでございましたが、実際問題としては、そういうことは——形の上ではそういう規則がありましても、実際は、任用の点ではもちろん非常に便利ですけれども、ついてからも身分の点でそう不安を感ぜられることはないわけです。  なお、この給与などの点にいきますと、これはざっくばらんに申しますが、特別職のほうが一般職よりもまあ比較的幾らか有利だ、こういうのは一般職の他の官庁と同じような基準でいきます。こういう特別職のように昼夜分かたず側近におるというような仕事はほかにないものですから、同じような規則で、俸給表なりいろんなものでいく場合より幾ら——これだけの分は、この給与の関係なんかも、人事院というよりも、人事院の勧告の中に入らないわけで、前ですと、大蔵省の給与課ですか、そういうところが扱っております。いまは総理府の人事局のほうで扱っておりまして、特に特別な事情があるということでお話しをしまして御理解をいただく。ほかのほうに対して響きがあまりなくて済むというようなこともございますので、必ずしも不利益な身分になるということではございません。  それからなお課長にお尋ねがありましたが、課長からまた補足してもらいますが、この特別職の二十二人の定員というものは、さっき申し上げました、昭和三十六年から上げるようになって、それからずっと変わっていないわけです。一般職のほうですと、たとえば皇居の造営があった、その要員がふえるとかいうようなことで変わってきておる。そういう場合に、いままでは、概していいますと、総理府設置法の改正の場合に一括して宮内庁法の部分についても定員の部分を改正していただいておったわけであります。現在のような状況ですと、一般職の職員のほうは、定員一ぱいはいないわけであります。これもざっくばらんに申し上げたほうがいいと思いますが、凍結等がございまして……。この特別職のほうを三人ふやす場合に一般職三人削るといいましても、現在一般職におる三人やめてもらうということにむずかしく考えなくても、定員の融通がつく。それによって側近の事務が円滑に、合理的に進み得るならば、この法律の改正をまたずにそれができるならば、より迅速に、円滑にできるということから、いろいろ協議の結果、こういうふうに改正をお願いして、国会の御議決をいただいたほうがいいのではないかということに実はなったわけであります。
  161. 受田新吉

    ○受田委員 これは私ちょっと拝見したいものがあるのです。特別職の俸給表というものを宮内庁の内部でどういうふうにやっておられるのか、ちょっと見せていただきたいのですが、特別職二十二人の俸給表ですね、それと一般職との対比検討もさせていただきたいと思いますし、特別職は終始左翼を回っておるということでありますが、それはそういうことがあればあらためて考えなければならぬと思う。特別職と一般職というものは、国家公務員の規則のまっ初めにはっきりと区別して扱いがしてある問題ですから、それを軽々しく法律の末尾、十一条の分離したものをまとめて整理するというようなことは、どうも法律をはなはだしく軽視する傾向があると私は思うし、公務員制度そのものが宮内庁では非常にずさんに扱われるというそしりも免れないと私は思う。特別職の俸給表というものおありですね。
  162. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 この特別職の俸給表はございます。ただ、特別職の中で、特に長官、宮内庁長官秘書官、待従長、待従次長、東宮大夫及び式部官長というものは書いてありますけれども、待従それから女官長、女官、これは一般職の俸給表を準用するというようになっておりまして、ですから、その俸給表をどこかに当てはめて準用しているということでございます。
  163. 受田新吉

    ○受田委員 準用しておれば、一般職と俸給の上には差はついていないわけですね、いかがですか。
  164. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 そういう方は、俸給表そのものには差はないわけであります。ただ、どこへ当てはめていくかというような場合——これもいま申しました総理府の人事局あたりと相談してきめるわけでありますが、その場合に、そういう側近の特殊事情にある立場も考えていただいて適当なところでやっていただきますから、そういう点で、場合によるとやや本人に有利な場合がある。
  165. 受田新吉

    ○受田委員 防衛庁の職員でも、全部特別職になっておって、一般職ではない。特別調達庁の職員であった人も、みな特別職に変わってしまった。それは一括して防衛庁は特別職の対象にされてしまっておる。これはいろいろ問題はあったけれども、宮内庁は、分離した二つの職を整理するかっこうに単独で今度おやりになる。ちょっと私ここで功罪をもう少し検討させていただいて、御説明を承ったことをもとにして、もう一度次の委員会で人事院の御意見も伺いたいし、行管の御意見も伺って——お気持ちはわからないことはありませんけれども、こうした人事行政上の基本問題が法律の改正で軽く扱われるようでは、たいへん問題が発生すると思いますので、次に、いまの問題に関する限り、いま指摘した役所の方と論議さしてもらいます。  もう一つ、宮内庁の職務が宮内庁法にはっきりと書いてあるわけでございますが、「皇室関係の国家事務及び政令で定める天皇の国事に関する行為に係る事務を掌り、御璽国璽を保管する。」という重要任務をつかさどるわけですけれども、天皇の国事代行者というものは、法律できめられることになっておるわけです。現に、皇太子御夫妻は本日南米リマにおいでになっておる。こういうときに天皇の国事代理が可能であるような法律がせっかくできているのでございまするが、天皇御自身が、移民六十年の歴史を持っておる南米などへ行かれると、非常に好感を持って日系人等に歓迎され、感謝されると思うのです。このことは国々によって多少の問題はあるが、南米の三国などは、天皇がおいでになられたとしても決して問題になるような国ではない。移民のたくさん行っている国だけに、天皇の国事代理行為がどなたかにゆだねられるような法律がせっかく制定されておるとき、陛下御自身が、両陛下御一緒おいでになるにはまことによい対象の国であると思います。今度皇太子が行かれて、また次の機会を選ばれてもいいと思うのですが、陛下のそうした海外御旅行といったようなもののいい対象になる国には、ぜひ実行していただきたいと思うのです。天皇御自身の御意思も、おそらく瓜生先生お聞きになってごらんなさい。あなたは海外においでになる御希望はないでしょうかといったら、よし自分は行ってみたいときっと言われると思うのです。せっかく法律ができたのだから、陛下にその御意思をいかがでもこざいましょうかとお聞きをされたことが現実にあったかどうか。法律はできたけれども、自分は絶対にまだ海外旅行はできないというきびしい情勢にあると嘆かれておるとしたら、これは天皇陛下御自身に関する大きな人権に関する問題だと思います。現在の情勢等を勘案しても、南米三国などは、天皇が御旅行なされるのにたいへんいい国家だと私は判断しております。次長さんの御意見をお伺いしたい。
  166. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 国事行為臨時代行法が先般できまして、天皇陛下が外国御旅行の場合、皇太子殿下が代行されれば国事行為については支障はないから、その法律のできる前はお出になりにくかったけれども、法律ができましたので、御旅行も昔ほどはむずかしくなくなったことはけっこうだと、われわれ非常に喜んでおるわけでございます。ただ、実際の場合にあたりまして、皇太子殿下が御名代で、この法律ができる前からずっと御答礼のような意味でよくお出になっておった。その後のことにつきましても、あの法律の制定のころも、皇太子殿下が御名代としておいでになっておったが、今後は、陛下御自身でお出になるという方針に切りかえるのではないかというふうに伺っておるのであります。陛下がお出ましになるのに最もふさわしくて、ちょうど事情も非常にそれに適当であるというような場合には、お出になったらよろしいというふうにわれわれも考えておるわけでございまするけれども、しかし、いままでのところ、特に陛下がお出ましになるのにふさわしくて、まことに適当だという場合に、まだぶつかっていないように思うわけであります。何か適当なときがあったらと思うのでありますけれども、一番むずかしいのは、その国によって、ある国は名代で、ある国は陛下御自身というふうに区別することになってもいけないというふうなことがありまして、なかなかそこら辺にむずかしいところがございます。しかしながら、こちらのほうでは前向きでそういういい機会がないだろうかということで考えつつあるわけでございます。
  167. 受田新吉

    ○受田委員 来年は、ハワイで移住百年記念式典が行なわれる。十七万の日系人がおる。これは非常にいいチャンスでもあるわけです。私は、この国へ陛下が行かれる、皇太子が行かれるということで差別をつけるというようなことではなくて、国際融和をはかる上からも、日系人のたくさんいる国へ行かれる、足を踏み入れられるということは、どこからいっても理屈は成り立つのです。今度の南米などは、むしろ陛下に御苦労願って行っていただいたほうがよかったと思うし、また現地の皆さんの希望と勇気をわかせることになると思う。来年のハワイの移住百年祭などはまことにかっこうの陛下のおいでになるチャンスであると思います。一々そういうことを考えておったら、法律をせっかくつくって、陛下の海外旅行をお認めさしていただいたようなこういう情勢は、何らの特典もないことになるのですね。これは何かの機会に——長官政府委員としておいでいただけないので、いつも次長が苦労されておる。長官政府委員になっておらぬのはどういう意味か、私宮内庁長官政府委員になっておらぬ理屈が理解できないのです。宮内庁長官はどういう理由で政府委員になれないのでございますか。
  168. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 宮内庁長官は、いままでの考え方では、まあ陛下の側近でのいろいろの御用が常にある。地方のみならず、東京都内でも行幸啓にお供をされるばかりではありませんで、宮中におられるときも、よくお呼ばれになって御用をされる。それで政府委員というふうにして、国会のほうに用がある場合に、それを大事に考えて飛んでくるということは、必ずしも適当ではないから、そこで事務の関係で全体の調整をとっている次長が政府委員になる。しかし、宮内庁長官お尋ねがあって、ぜひ長官の出席を必要とするような場合には出席をする。陛下との関係がかち合わないような適当なときであれば、それは何もここに出席することをいとうわけではもちろんありませんので、特に長官の出席が必要であるという場合で、時間が都合つけば出てくる。その場合は、政府委員でなくて、説明員ということではございまするけれども、出てくることになっております。
  169. 受田新吉

    ○受田委員 説明員でなくて、政府委員に任命しておかれて、都合の悪いときには次長が出られるというかっこうで筋が通ると思うのですよ。政府委員に任命しておられないところに私何か疑義があるわけなんですが、それはそれとしておいて、いま私が指摘した陛下の海外旅行の機会を、宮内庁としては積極的に考えてさし上げなければいかぬと思うのです。私がいま指摘した来年の移住百年祭などは、これはアメリカへは行かなくて、ハワイだけ行ってこられても、ほんとうに私は意義があると思うのです。具体的に陛下の海外旅行というものを積極的に考えてさし上げる、これは外務省との連絡もございますが、宮内庁が担当の役所ですから、宮内庁が積極的に考えていかれるべき筋合いだと思うのです。次長として、いま私の指摘した点について、陛下御自身のお気持ちというものをお伺いしたことがあるかないかも含めて、御答弁願います。
  170. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 具体的な例として、この場合は陛下がおいでになったらいかがですかというふうにお伺いしたことはないようであります。というのは、いままでのいろいろな例の場合は、皇太子殿下が御名代でおいでになってしかるべきであろうというような例でありましたので。しかしながら、基本論として、何か適当な機会があればお出ましを願う、陛下も、そういう場合であったならば喜んで出かけるというふうにおっしゃっておられます。
  171. 受田新吉

    ○受田委員 陛下もそうおっしゃっておられたんですか、そういう場合は喜んでいくと……。
  172. 瓜生順良

    ○瓜生政府委員 その必要な場合には——これは実は新聞記者会見が、去年ですか、那須の御用邸でありましたね。そのときにも、新聞記者にもそういうことをおっしゃっておりました。しかし、いろいろな事情があって、そう簡単にはなかなか出かけるということもできかねる場合が多いけれどもということで、そういうような御意向を漏らされたのが新聞に載った事実もございます。
  173. 受田新吉

    ○受田委員 私は、もう法律ができて三年も四年もたっておる現段階で、これはすみやかにそういう機会を陛下にお与えする愛情が要ると思うのです。これはもうこの段階にきてから、どこにも当たりさわりはありません。宮内庁自身が積極的に取っ組んでいただきたい。  あとはもう時間も進行しておるからよしますが、いまの問題は、一般職と特別職の問題が次の機会に論議されるときに質問を残させていただいて、きょうはごくろうさまでございました。
  174. 關谷勝利

    關谷委員長 次会は、来たる十六日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十二分散会