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1967-06-22 第55回国会 衆議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十二日(木曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 松澤 雄藏君    理事 秋田 大助君 理事 加藤常太郎君    理事 佐藤洋之助君 理事 志賀健次郎君    理事 田村  元君 理事 中井徳次郎君    理事 森本  靖君       小渕 恵三君    加藤 六月君       上林山榮吉君    亀岡 高夫君       木部 佳昭君    徳安 實藏君      橋本登美三郎君    水野  清君       井手 以誠君    大柴 滋夫君       金丸 徳重君    八百板 正君       樋上 新一君    田代 文久君       古内 広雄君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小林 武治君  委員外出席者         郵政政務次官  田澤 吉郎君         郵政大臣官房長 竹下 一記君         郵政省簡易保険         局長      武田  功君  出席政府委員         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 六月十五日  有線放送電話制度確立に関する請願外十件(大  野明君紹介)(第一三一三号)  簡易郵便局法の一部改正に関する請願外九件  (大野明紹介)(第一三一四号)  同外四件(森山欽司紹介)(第一三一五号)  岡山県に民間テレビ放送局増設に関する請願(  大村襄治紹介)(第一四〇〇号)  戦傷病者に対する放送受信料免除に関する請願  (伊能繁次郎紹介)(第一四二一号)  長野県の民間放送テレビ局増設に関する請願(  下平正一紹介)(第一四三三号)  大阪国際空港周辺住民テレビ受信料減免に関  する請願山下榮二紹介)(第一四八六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和二十二年以前の郵便年金契約に関する特別  措置法案内閣提出第八六号)      ————◇—————
  2. 松澤雄藏

    松澤委員長 これより会議を開きます。  昭和二十二年以前の郵便年金契約に関する特別措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。金丸徳重君。
  3. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私は、この問題についてお尋ねを申し上げます前に、少しお断わりをしておかなければならないのでありますが、たいへんむずかしく、勉強すれば勉強するだけ非常に迷い込んでしまうような面がありまして、したがいまして問題の中心点にいきなり触れて簡明直截な御答弁を得て、そして了解するものは了解するということにいけばよろしいのでありますが、私は実は夕ベもいろいろと調べものをしております間に、ますます迷路に入ったような気がしてまいりました。お尋ね申します点はあるいはダブったり、あるいはすでに審議対象になり、解明された点も多々出てくるのではないかと思うのでありますが、問題が問題でありますだけにそのような点はお許しをいただいて、もしすでに論点となり解決点のあった点につきましても、簡単でよろしゅうございますから御答弁をいただいて、だんだんと審議を進めてまいりたい、こう思うのであります。  そこで第一にお伺いいたしたいと思いますのは、この問題を取り上げた動機ということであります。といいますのは、これは終戦以来二十二年間にわたって問題とされてきたところであります。あるいは加入者のほうからたびたびの請願、陳情なども行なわれてまいったことであり、当委員会においてもたびたび論議の対象となり検討が進められてまいったところでありますが、なかなか解決のめどがつきかねる。そのように非常に複雑な問題を包蔵しており、また関係するところもいろいろと広くわたっておるようでありますから、歴代の当局が非常にこの問題に苦心を払いつつもなかなか解決への手を打ちかねておったやに受け取れるのであります。しかるところ今回この難問題解決に乗り出されたというのについては、何か特殊な動機もしくは動因というものがあったのかどうか、これは事務的でもよろしゅうございますからお答えをいただきたい。
  4. 小林武治

    小林国務大臣 これは事務的ではありません。私は前々からかようなものを長く放置することは適当でない、こういうふうに思っておりましたし、就任以来投書を見ますると、とにかく六十万件もあって一件平均年額百五十何円、これが一体年金目的を果たすものか、いたずらに加入者に対しても、政府としても事務の繁雑を来たすだけで迷惑しごくであるというふうな投書がひんぴんとして参りますし、正直に申しまして、私はこれを事務当局に相談を持ちかけておっては解決つかない。したがって私は大局的にとにかくこの際これは解決しようということで、最初に私が閣議に持ち出しまして、この問題をこの際解決する、これは断行する以外にないので、いろいろ積み上げて相談しておったのでは容易なことではできません。したがって、まずこの問題をこの際一気に解決をする、こういう政府方針閣議決定をしてから下におろしまして事務的に検討してもらった、こういうことでありまして、出発点は大きく申して、一つの政治問題としてこれを解決するということで、閣議決定を優先してからこの問題に取り組んだ、こういう事情であることを申し上げておきます。
  5. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 非常に大事な問題であるから事務的に処理しようとしても従来の足取りを繰り返すにすぎない。ついてはここでもって政治的に大勇断を持って解決しなければという大臣のたいへんな決意から閣議決定を先行してやられたというようなことでありました。しかしそれにはそれなりの用意がなければならないのではないかと私は思うのでありますが、それについてはどういうふうな政府方針をおとりになっておられたのか、この八十万件にも及ぶところの小口年金契約を解消するといいますか、端的にいいますと、これをなくそうというためには、相当事務要員用意も必要ではないかと思うのであります。それからして長い間問題になって解決への道が発見され得なかったのは、この問題解決には相当の原資を要するのではないか、もともとインフレがものすごく高進したために、従来は小口ではなかったものがきわめて小口化してしまった。従来はそれでも年金契約としての意義があったものが、インフレのためにその意義を失うに至ったということでありまするので、それについては何らかの資金的な用意、そして契約者の納得できるような道が開けてはじめて私は解決への勇断もできるのではないか、こう思うのでありますが、それらについてはどのような用意をなさっておられましょうか。
  6. 小林武治

    小林国務大臣 これは御承知のように戦後の物価異常騰貴というようなことからも、民間保険等においてもいろいろの処置が講ぜられたことは御承知のとおりでありまして、これらも戦前契約が実情に沿わない、こういうことからして何らかの措置が必要であるということでおやりになったのでありまして、保険契約のやりかえといったようなことでいろいろな面においてこれらがある程度処置されてきております。しかしてこれらの問題は、まず資金用意してからとかいろいろなことをやっておったのではできません。とにかくやるということをきめて、それに合わせてひとついろいろの事務的な処理検討を加える、こういう方法でやったのでありまして、私は何らかの解決をしなければならぬということは世間の常識であったのではないかと思う。したがってまず断行する、こういうことをきめて、そしてそれに応じて世間の納得のいくような適当な方策を考える、こういうことで、そういう決定をしてから、鋭意、極力、あらゆる知恵を動員しましてこの問題の一応の案ができ上がった、こういうことになっておるのでありまして、その資金の問題もとにかくこの問題を解決をするということをきめてから、たとえばいまのような三十億円でこれをやろう、こういうふうになってきておるのであります。
  7. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そうしますと事務的の手当てというものはあとからいったということになって、はたして政府のそうした大問題解決に乗り出したという政治的方針とそれを裏づけるところの事務的な準備というものがマッチしておるかどうか、これはもう結果的にこういう法案が出てきましたからこの法案によって見る以外にはないのでありますが、私はどうもそうした大問題解決に乗り出すための人的準備、それからことに資金的準備が何かもの足らぬような気が総括的にいたすのでありますが、この点はいかがでありましょうか。
  8. 小林武治

    小林国務大臣 この問題を解決したい、断行する、そういう方針決定に基づいて各種の事務的な処理をしてここにお願いをしてありますから、この案が適当であるかどうかということを、ここで御判断、御審議をいただいておる、こういうことでございます。
  9. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 それではここでこまかく入ってまいりたいと思うのでありますが、言うところの小口、いま大臣のおっしゃるような年金としての意義を失ったような小口契約というものは、いまの百十一万件の契約の中でどれくらい持っておられるのでございますか。それからそれは時期的に見まするといつごろまでの契約がそういうものであるのか、これは事務当局のほうからお答えをいただきたい。
  10. 武田功

    武田政府委員 今回の対象といたしました契約は、昭和二十二年十二月三十一日までに効力を発した契約、こういうことにいたしました。したがいまして、それの対象件数が約六十万件でございます。ただ、その中でどれを小口と申しますか、いろいろと見方はございますけれども、大体二百円以下の年金額がほぼ七八、九%でございます。また五百円以下が一二、三%でございます。五百円以上千円以下、これが六・五%程度、こういうことでございまして、大半が千円以下でございます。それをあるいは小口と申し上げていいかと存じます。
  11. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 年額千円以下のものは小口と観念して、それらをできるだけ対象にしたい、こういう方針のもとにこの案が立てられたのでありますか。
  12. 武田功

    武田政府委員 私どもは小口契約をどうこうするということよりも、先ほど大臣から答弁がありましたように、全体的に見てこまかいもの、こういうことでございまして、それを対象といたします際に、社会通念として、いわば戦前あるいは戦争直後にしたもの、こういうことから昭和二十二年で区切ったわけでございますので、昭和二十二年以前の契約、こういうふうにおとりいただきたいと思います。
  13. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 問題が、インフレ高進に伴う問題処理、さらに一歩を進めて、それとはまた別に、小口であるから小口のものはもう、たとえば月額百円というものは、老後の生活を保障するという年金契約目的から遠ざかるから、そういうものはこの際整理したいという、どっちが主になっておやりになったのか。大臣先ほどの御説明によると、小口のものはもうあまり役に立たぬから、この際どうであろうか。そういう考えのように受け取れた。もちろんそういうものは、戦前契約が大部分を占めていることは明らかであります。しかし戦後といえども、また二十二年十二月三十一日後におきましても、そういうものは相当あるのではないか。確かに現場においては、もう小口でも何でもよろしい、件数の責任を果たさなければ、それはまた、ちりも積もって山をなすという意味において、小口契約をも勧奨の対象にしたときが戦後相当期間続いているはずなんです。だから、小口のものは年金契約の趣旨に沿わないからこの際考えようということであるならば、それらをも考え対象にしなければならなかったのであります。どういうものか、さっきのお答えでは六十万件と言われましたが、いまのお話の千円以下というふうなことになりますと、六十万件どころか八十万件にも達するのです。これはどっちをねらって本件の解決に取りかかったのか。
  14. 小林武治

    小林国務大臣 これはいろいろの考え方がありますが、要するに戦後の異常な貨幣価値下落という現象があって、その後年金にお入りになった方は、承知の上で小口にお入りになっておるわけです。ところが二十二年以前のものは、そういうことがわからない。承知でなくて、それが年金としての相当の効果がある、こういうふうなお考えのもとにお入りになった。だからして、その貨幣価値下落の後に入った方は、御承知の上で入られた。それでもよろしい。それ以前のものは、何がしかまだそれで年金の役に立つと思ってお入りになった方が、あとでいわば事志と違った、当てがはずれた、こういうふうなことで、その後と前とでは加入者考え方が非常に変わっておると思うのです。そういうわけでありますから、貨幣価値下落する前のものに大体目安を置いてやったらどうか、こういうふうなことに考えております。したがって、その後お入りになった小口の方もあると思いますが、これはそれでよろしいということでお入りになった方であるから、戦前の方とはおのずから変わったものがあろう、こういうふうに思います。
  15. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 確かにああしてインフレの中において貨幣価値が下がった。それを承知の上で入ったものとそうしたことは夢にも思わなかった時代契約とについては違うものがあるかもしれません。しかし小口であるがゆえに、いまから考えるとやはり年金としての意義を失うという点については同じように思うのであります。そしてまた、そういうものを切りかえて新しい時代の新しい向きの年金に向けなければならないということも、私は同じに扱っていいんじゃないかと思うのでありますが、この点はどういうふうになさるおつもりか。本案についてはどういうふうな取り扱いをなさろうとしたのでありますか。
  16. 武田功

    武田政府委員 先ほどから申し上げておりますように、小口云々というような形で切りませんで、切りますときは二十二年十二月三十一日、こういう形で切ったわけでございます。と申しますのは、たとえば制度的に二十一年十月は最高六千円、ところが二十三年になりますと、一月からは二万四千円、こういうふうに制度的に変わっております。また最低額も、二十一年の末までは三十円、これが二十三年になりますと二百四十円というように変えております。したがいまして、先ほどから大臣が申されましたように、制度的に入り得べき状態になっておりますので、額そのものをとらえるよりも、こういう場合はその制度の切りかえ、また同時に物価指数の動き、そういうこともにらみ合わせまして、そこで線を引いた次第でございますので、その後のいわば小額と申しますか、その点は今回はこの対象にしなかった、こういうわけでございます。
  17. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そうしますと、この二十二年十二月三十一日で切った主たる理由というものはどこに求めたらよろしいのか。インフレが一応ピークに達したそのときだ、あるいは制度と言いますか、最低額を切りかえたときだ、いろいろぼくは切り方はあろうと思うのですが、二十二年十二月三十一日、本案はそういう切り方をした。それはどこに主たる理由を置かれたか。
  18. 武田功

    武田政府委員 ただいま申しますように制度的に切りかえのときでございまして、それ以後でございますと、かなりな額に入り得る状態になっておったということでございます。もちろん動機は、先ほどから大臣が申しておられますように、いわゆる戦争中あるいは戦前契約というものが動機でございますが、どこでこの線を引いてこの際整理をするかというときの判断基礎は、ただいま申しますような制度的に入り得べきときということを限界としたわけでございます。
  19. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 その切った前の契約のうちの小口と観念するものが六十万件という計算になるのか、それともどこかにありましたような八十万件と推算したのか。これはどちらか。
  20. 武田功

    武田政府委員 お手元の資料にもつけてございますように、二十年以前でそして本特別措置法対象になりますものは六十万件でございます。
  21. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そうすると六十万件全部がこの措置対象にはなるけれども、なお残るものがあると見なければならないですね。全部きれいさっぱりというわけにもいくまいと思う。この点はどういうふうに推算されておるのか。といいますのは、いま原簿面でそういうものが六十万件あると推算しましても、その中にはあるいはすでに死亡しておるものがあるかもしれません。あるものは行くえ不明になっておるかもしれない。これを一々届け出ることは物理的には不可能、にもかかわらず原簿面においては生きておるものがあると私は想像する。しかもこれは相当数あるのではないかと思うのでありますが、あえてこれを六十万件そのもの全部を対象として考えた根拠というものはどこに置かれたのか。
  22. 武田功

    武田政府委員 この対象といたしました件数算定は、保険局で持っておりますところの申し込み票、いわゆる原簿でございます。それで計算いたしましてそして六十万件と推算したわけでございますが、もちろん内容には仰せのようにあるいはすでになくなっておるというものもかなりあると思います。
  23. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 あると思いますということでなくて、そういうものを一応推算して、それはもう考え対象からのけてもいいわけですね。六十万件のうちのあるいは半分くらいになるかもしれぬ、六割くらいになるかもしれぬというものを推算して対策を練らぬというとたいへんなむだを生ずるのじゃないかと私は思うから、そういう点についてはどういうふうに推算されたのか、原簿そのままを一括していまここに六十万あるから六十万に対する対策を練る、こういうことなのか、その中には相当数のもう対象にしなくてもいいのがあるはずだから、それを推算して実質面として事務要員考えなければならぬ数、資金対策考えなければならぬ数というものを推算して、そして対策が練られぬというとほんとうのものにはならないですね。この点はどういうふうに計算されておられるか。
  24. 武田功

    武田政府委員 そういうような準備のための計算基礎は、やはり一応現在持っておりますところの契約件数対象としなければならないと思います。また同時に本特別措置申し出を待って整理をする、こういう式をとっておりますので、したがいまして、そのためには案内を出すとかまたその他いろいろとPRをいたしますけれども、そういうようなことをした上でそして申し出のあった分について整理をする。したがいましてやはり私ども準備いたしますとき、またこれらのものを考えますときは、対象契約そのものを前提としていろいろと判断をしていく、これが筋じゃなかろうかと思います。
  25. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 筋は筋でもたいへんむだな筋があるのじゃないかと思うのですね。たとえば死んでおるところへ案内状を出すとか、勧告文を出すとかということもむだじゃないかと思うものですから、それらについてどういうふうな対策を練られたかということをお尋ねしたかったのであります。  そこで、六十万件をことし来年に処理しようとしますならば、これは原簿整理検討あるいは案内状の発送だとか、受け付けであるとか、あるいは計算であるとか、相当数人員及び事務的な経費用意も必要とすると思うのでありますが、これはどういうふうに用意されておられるか。
  26. 武田功

    武田政府委員 この準備期間相当の日数を充てております。来年の一月一日から取り扱いを開始するということで相当余裕を見ておりますので、これに要しますところの人手もできるだけ節約をしてやれる、やりたいということにも相なりますし、またその方法もいま払い込み支払い中のものもありあるいは据え置き中のものもあります。支払い中のものは比較的簡単にできます。また据え置き中その他のものは、これはあらためてこちらから案内を出さなければならない。しかし要するに全体に案内を出すということにまず手間がかかるわけでございまして、それからあと支払いの問題に相なりますので、それほどの人手を要さなくてもできる問題でございます。
  27. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私は、六十万件を対象として用意を進めるということについては、片手間にやる、従来の人員をもってこと足れりというふうな甘い考えでは混乱を起こす心配がありはしないかと思う。もし私が想像するように、この六十万件のうちには多くのものがもう死んでしまっておるとかあるいは行くえ不明になっておるとかあるいは転居しておってほとんどもうこれを、わずかの金ですから当てにしない。長い間にはそういうような——言ってみますれば今回の措置対象にしなくてもいいようなものが相当数あると想像するのです。かりにこれを半分としても三十万件、この三十万件の事務的処理というものは、ただ案内を出すとかいうだけならばいいのですけれども、ここに書いてありますように特別付加金というものの算定をしなければならない。そしてこれについては例の平均余命というものが従来のものでなくて、新しい平均余命を使うというようなものでもあるし、同じ年金支払いとはいいながら、今回の措置支払い関係については相当保険局、本局のほうにおいても計算事務もふくそうしてきやせぬか。同時に窓口において申し込みを受け付けるとか、およそそれについての応対をするとかいうような事務もことし来年に向かっては相当ふえると思うのです。そういうことについての用意なしにこのような措置片手間にやられることについてはいかがかと思うのですが、これはどういうふうになりますか。私は六十万件という対象考えておるだけになおその感を深くするものでありますが、どうでありますか。
  28. 武田功

    武田政府委員 片手間ということはなかなかむずかしゅうございます。ただこの手順を簡単に御説明申し上げますと、まず六十万件に対しまして案内状を出す、この案内状の出し方も現在支払い中のものは当該郵便局から出せます。またその他のものは地方保険局から出すことに相なります。年金はまことに千差万態でございまして、加入年齢その他それぞれ一件一件違います。したがいまして、また途中に解約もございますし、いろいろと態様が違いますので、最初こういう制度ができてこういうふうに特別一時金でもってお払いをしましょう、こういう案内をまず出しまして、そして郵便局申し出てもらう。ところがこれは郵便局でもなかなか計算は大へんでございます。したがいまして、現在の保険金支払いのように本省で詳細なる表をつくりまして、その表にはめれば現場でもすぐに払えるというような手順をきめております。したがいまして、現場におきましては、現場処理できるものはその表を合わせましてやれば即時払いができる。なおその間、その契約の中で、たとえば受け取り人が変わったとか、いろいろ手間なものがございます。それはこちらの各原薄を持っております地方保険局に送ってまいりまして、地方保険局で審査をして、そして払うということでございます。  なお本年度といたしましては、案内を出します準備のために非常勤をもって保険局のほうを充てるように考えております。それから来年度になりますと、今度は現実の支払いが始まりましていたしますが、郵便局でも、一局をとりますとそれほどの件数を持っておりません。したがいまして、もし当該局要員をもって不足の場合は、これまた非常勤を充てるというふうな措置をとればできると思いますし、何ぶん二年間でございますので、その間にやっていけば、そうさして多くの経費を要さずに済むのじゃないかと考えております。四十二年度は、一切がっさい、宣伝費とか、非常勤の賃金とか、合わせまして約三千万ちょっとを予算に計上しております。
  29. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 四十三年度はどれくらいの用意をなさる計画でありますか。まあおそらく四十三年度に支払い事務は集中していくのじゃないかと思う。それについてはどれくらいの用意をなさるお考えでありますか。
  30. 武田功

    武田政府委員 問もなく来年度の予算編成にかからなければなりませんので、目下いろいろと推算しておりますけれども、目の子で申しまして、あるいは来年全部と見れば一億くらいは用務費を計上しなければならないのじゃないかと考えております。
  31. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 せっかくこの難問題処理勇断を持って当たられることになりましたので、この問題処理については契約者との間に、やれ支払いがおくれたとか、計算が間違っておったとか、納得できないとかいうようないざこざのないような形で、これを処理してもらいたいと私は思うのです。もう二十年間も契約者保険局との間にもめ抜いておったことでもありますし、そういう意味においては準備万端ととのえるという中においてこの問題処理に当たってもらいたいと思います。来年度一億という用意を計画されておるということでありますが、私は、これは一億かかろうが三億かかろうが、大事なことですから、そういうふうな事務について準備が不十分だったというようなことのないようにしてもらいたいということをここで要請申しておきます。  そこで次の問題に入りますが、そういう事務的な用意と同時にもう一つ大きな問題、資金をどうするかということになるのであります。もちろん通常の場合においては、積み立てたところのもので支払ってやればということになるのでありますが、今回の特別措置については、積み立て金をもっては足りない面が出てくる。ことに、涙金とでも申しますか、気の毒料とでも申しますようなものを、付加することになっておるのであります。政府のほうでは三十億ばかりの原資の手当てを持っておるということでありますが、この三十億の内訳というものは、元来積み立て金から支払うべきものと、それから今回の特別措置によるところのまあ気の毒料あるいは涙金とでも申しましょうか、というものとに分けて、どういうことになりますか。
  32. 武田功

    武田政府委員 全体でほほ三十億を予定しております。その内訳は、繰り上げ支払い金のほうが約十五億、それから特別付加金が十五億、こういう内訳でございまして、その原資といたしましては、契約準備金をもって充てます分が十二億ちょっと、それから剰余金を引き当てにいたします分が十七億七千万ということでございます。
  33. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 いま年金関係全体としての積み立て金はどれくらいになっておりますか、また剰余金はどれくらいになっておりますか、この際ちょっとお示しが願いたい。
  34. 武田功

    武田政府委員 積み立て金はちょっといま資料を見ますので、とりあえず剰余金のほうを申し上げますと、剰余金は約三十四億程度でございます。積み立て金は二百二十三億でございます。
  35. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 その三十四億ばかりの剰余金のうちに、問題になっているところの二十二年三月三十一日以前の契約のための剰余金、これはないのかもしれませんけれども、あれば、どれくらいあるのか、同時に、その分の積み立て金はどれくらいになっているのか、おそらく計算されであると思いますから、お示しが願いたい。
  36. 武田功

    武田政府委員 積み立て金といたしましては、先ほど申し上げましたように約十二億ちょっとでございます。  なお、先ほど申しました十七億という剰余金の引き当てでございますが、この中には定期年金の当然出さなければならない分も含めておりますので、全部が特別付加金ではございません。  なお、剰余金の中身でございますけれども、これは累年ずっと積み上げましたものでございますので、どの分がいつの分ということはちょっと申し上げかねます。
  37. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 確かそれは、どの分がどれだけということをはっきり何円何銭というまでにはいかないかもしれませんけれども、この問題処理については、考えの中に置かなければならない重大な問題なんです。あるかないかということが一つ。あるならばどれくらいあるかということが一つ。それはおよそどの程度に考えを持っておられたか、ひとつお示しが願いたい。
  38. 武田功

    武田政府委員 特別一時金を出します際に何をもって充てるかということが一番問題でございまして、私どもも現在あります剰余金は加入者全体のものともちろん考えておりますが、今回のこの措置をいたしますについて、いろいろ検討いたしましたけれども、とにかく企業内で整理をしていこう、こういうことになりまして、この剰余金を引き当てにしよう、こういうことでございます。お尋ねのように、この対象契約のための剰余金は幾らということは、ちょっと算定いたしておりません。
  39. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 古いこの契約については剰余金はないと見なければならぬのじゃないですか。剰余金があるような状況だったら、この問題は起こらなかったのですね。と言いますのは、今回は、インフレの問題もあるのですけれども、もう一つには、戦後の特殊事情として日本人の平均寿命が驚異的に延びている、したがって、これはもう年金加入者平均余命というものも、契約当時のものよりもある者は倍くらい、ある者は少なくとも二、三割は延びているのです。その延びている者に対して、従来の計算方法——計算方法といいますか、従来の原資で支払っていくのですから、私は、これは剰余金があるということは常識的には考えられないと思うのですが、これはどういうふうに観念されているのですか。
  40. 武田功

    武田政府委員 確かに、仰せのように剰余金の歴史を振り返ってみますと、かなり出た年もございますし、また全然出ないで、いわば赤が立っておるというような時期もございまして、そういう点では、この年度までの分が現在幾ら残っておるかということは、ちょっと算定は困難な問題だと思います。
  41. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 その算定をしてかかりませんと、この問題についての解決策を発見することがなかなかむずかしいと思うし、また契約者に対しても、そういう点について納得してもらうのになかなか困難なのじゃないかと思うのですよ。それが剰余金があるかのように観念しておるというと、相手方への説得力というものも弱まりはしないかと思うのですね。事務費は戦後のインフレによってものすごく上がっている。それから平均寿命は延びている。だから、年金事業にとっては、そういう意味における致命的な材料を持っている。にもかかわらず、なおここに剰余金があるという考え方は、私はあり得ないと思うのですが、どうなんです。くどいようですけれども、私はこの問題を進める上についての一つのポイントだと思いますからお伺いをしておるわけです。
  42. 武田功

    武田政府委員 御案内のように、この特別会計上年金勘定と保険勘定と分けておりますけれども、ただ現場におきましては、仕事をしております者は、多くはほとんど保険年金と総合複合しておるわけでございます。したがいまして、この事務費の分け方もなかなかむずかしい点がございまして、現在のところは大体年間二億ないし三億の剰余金を年金勘定において出しておる、こういう形になっておるわけです。
  43. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 くどくていけないのですけれども、これは役所のほうから出された「郵政要覧」の中の一部なんですけれども、年金事業はなかなか経営が困難であるから、「事業費の一部を簡易保険事業に依存する状態からいまだ完全に脱却するには至っていない。」これはあなたのほうで書かれた報告書の中にあるのです。これらから推算しても、いわんや古い年金契約などにおいては、剰余金はあるべしとも思われないが、どうでありますか。これはわからぬと言われれば、一々当たるわけにもいきませんが、常識論としてい九がかということをお伺いしておるわけです。
  44. 武田功

    武田政府委員 そこにも書いてございますように、現場におきましての事務費は、保険年金、なかなか分計は困難でございます。したがいまして、特別会計におきまして勘定別の際の決算のやり方といたしまして、また資金の運用のやり方といたしまして現実のような姿になっております。したがいまして、年間二億ないし三億の剰余金が立つような決算の方式をとっておるわけでございます。
  45. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 二億ないし三億もしくは四億の剰余金が出だしたのは、大体三十年以降なんですね。それは新しい年金契約をとり出した、そういうことのために、つまり年金事業が正常の足取りで経営し得る状態から初めて出てきたところの剰余金、こう私は観念しなければ間違いだと思うのです。このことはくどくなりますから、そういうことで次の質問を進めるのであります。  剰余金がこの対象契約の中にないと限定いたしますと、積み立て金十二億何千万円というもの以外は、他のものから入れなければ、この契約特別付加金というのは出てこないんですね。どこから出すかということが私は問題だと思うのでありますが、これは、さっきからのお話によりますと、年金の剰余金の中からということであります。これは一体どういう考え方に出発しておるのか。いまあるところの剰余金というものは、新しい年金契約者の新しい年金契約によって生じたところの剰余金であって、本法案対象になった契約ではないとしますと、どうも他の契約者の利益を持ってきて、当然還元すべきものを持ってきて、古い契約者に涙金といいますか、気の毒料を出しているというような形となる。どうも人のふんどしで相撲を取っている感が強いのでありますが、こういうことについてはどういうふうな考えを持って進められたのでありますか。
  46. 武田功

    武田政府委員 確かに、たとえば二十年、二十一年の年次をとりますと、剰余金が非常に少ないとか、ないとかいう年もございます。ただ現在の剰余金が全部その後のものだけに限るとは申し上げかねます。と申しますのは、現実に六十万件のものが現在の総契約に入っております。その準備金も十二億何がしではございますが、やはりその全体の剰余金を生み出しますところの原資のもとには入っておるわけでございます。したがいまして、私どもは、この六十万件が現在の剰余金の中に何らの貢献もない、こういうふうには考えておりません。したがいまして、この剰余金の一部についての貢献度は十分あります。したがいまして、この剰余金をもってとりあえず財源に充てるということについては、全然できないというものではないと観念しておる次第であります。
  47. 森本靖

    ○森本委員 関連して。これは、この法案に基づくところの二十二年の十二月三十一日以前に効力の発生した郵便年金契約が問題になっているわけでございますから、この法案に関連するところの年金の剰余金というものは一体何ぼあるか、こういうことを聞いておるわけです。それがわからぬと、実際その剰余金というものはどこから出てくるかということがわからぬわけだ。あなたが何ぼ新しい年金契約者の剰余金でないということをいっても、常識的に考えた場合には、今回のいわゆるこの剰余金というものは年度年度の剰余金の積み立て金によって出されるということになるとするならば、少なくとも新しい契約者によるところの剰余金ということに考えざるを得ないわけなんだ。だから二十二年の十二月三十一日以前に、いわゆる法案に関連をするところの年金の剰余金というものは、一体何ぼあるかということをさっきから金丸委員が聞いておったら、あなたは二億か三億の剰余金——二億か三億の剰余金というのは現在の問題なんです。われわれが聞いておるのは、二十二年のいわゆるこの小額契約によるところの年金のいわゆる剰余金というものは一体どの程度あるかということを聞いておるわけだ。そこでそれは保険局長も答弁をしておるように、剰余金というものは年度年度の決算決算において出てきておることは間違いないわけだ。だからそれが一切がっさい一つのふろしきの中に入っておる形にはなっておる。しかしそういうやり方と同時に、こういう法案を出す場合には、縦の系列の剰余金というものも考えてみる必要があるのではないか。要するに事業運営をするという場合においては、たとえば年金なら年金のその種類別によって、これは推定になると思う、実際のはっきりした金額というものは出ないと思うが、しかしこれについては剰余金はどの程度になるということを——いわゆるこの年度年度の決算によるところは、一切がっさいどんぶり勘定による剰余金になっておるわけだから、しかしこういう法案を出す限りにおいては、今度はいわゆる縦の筋の系統によって剰余金というものを出さなければこの計算のしょうがないのだ、これはわれわれがこの法案審議をする場合に。そのことをさっきから金丸委員が、このいわゆる小額年金の剰余金というものは幾らかということを聞いておるけれども、あなたは何だかかんだか言って一つもそのことについて言わぬものだから、金丸委員はおとなしいから、先に進もうとしておるけれども、そんな答弁があるか、君。なければない、わからぬならわかりませんと一しかしこういう法案を出す限りにおいては、私は横の決算というものと縦の決算というものは普通の事業、普通の会社であるならばこれはやるのです。だからこれは一つの年金の種類別におけるところの、もうかっておるか、もうかってないかというところの一つの計算はできるはずです。それができてないとするならば、こういう法案を出す際には一つの大きな怠慢であると言わざるを得ない。だからこの小額年金のいま整理をしようとしておるところの剰余金というものは一体どうなっておるのか。それは事実問題としてインフレになった、それから人件費もかさんできた、しかしこれはほんとうは剰余金はありませんならありませんと、あるならある、どの程度あると、これをはっきり答弁してくれと言っても、さっきからうそ——うそは答弁していないけれども、ほかのことばっかり答弁しているじゃないか、君はさっきから。これははっきり答弁してもらいたい、こういうことです。
  48. 武田功

    武田政府委員 いまお尋ねの中にも出ましたように、いろいろな要素がございまして、私どもの現在のやっております方式では、この対象件数に対する剰余金は累積して幾らということは算定できません。したがいまして、ここではっきりといまお答えする用意がございません。
  49. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 もし剰余金が対象契約からも出るとすれば、私はこの特別措置というこの措置について、基本的に考え直さなければならぬと思うのですよ。もし剰余金があるような状態であるならば、もっと、これからさらに五年も十年もおくらしておいて、剰余金をうんとためておいて、そうして涙金をよけい出すというほうが賢明のようにも思う。にもかかわらず、もうこれ以上はといって、大臣勇断をなさったというのについては、もう言外にあれするのですけれども、これを持っておってもたいへんだ、そうして契約者にも迷惑をかけるだけだから、この際ひとつきめてしまおうということであろうかと思うのですよ。だからもうこれからは、剰余金どころか、持っておれば持っておるだけ、契約者にも役に立たないかもしれぬけれども、保険年金事業者としても、これは赤字を累積するだけだということでないと、この特別措置をこの際とるという理由がはっきりしがたい、こういうことなんです。どうでありますか。わからぬというお答えがあるいは一番賢明であるかもしれませんけれども、わからぬでは何かたよりない。それは、大臣の御説明の中にもありましたように、赤字になって契約者にも迷惑だし、われわれも困るからということが今度の法案  の提案の根本の理由ですね。ですから、それははっきりしておかぬといかぬのじゃないかと思うのですが、これは繰り返すようですがひとつお答えを願って、それから次に進みます。   〔委員長退席、秋田委員長代理着席〕
  50. 武田功

    武田政府委員 先ほどから申し上げましたように、現在確かに特別会計法上年金勘定に剰余金が出ております。したがいまして、今回のこの措置に踏み切りましたときにここに財源を求めたわけでございます。その財源を求めた理由は、やはり先ほどから繰り返し申し上げますように、現在の剰余金の形成にもこの六十万件はやはり貢献をしておりますので、その分配にあずかることはおかしくはない、そういうところから剰余金をもって財源としたわけでございます。
  51. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 たいへん基本的な問題の行き違いがありますから、これだけでも相当掘り下げていかなければいかぬと思うのですが、それでは私の時間が足りなくなりますから、これはまた後刻他の委員によっても掘り下げていただくこととしまして、一応それはたな上げした状態において次に進みます。  いま十二億何千万の積み立て金があると言われましたが、今回の措置によって繰り上げ年金の支給をするために要するものはどれくらいと計算されておりますか。十二億何千万の従来の積み立て金をもってしては私はとうてい足りないと思うのですが、これはどういうふうに計算されますか。
  52. 武田功

    武田政府委員 先ほど申し上げましたように、全体は約十五億でございます。この十五億の中で十二億五千万が契約準備金という形で積み立ててございまして、なお二十六年までやっておりました定期年金がございます。それの料率改正のために、それ以前に契約をしておった分につきましては剰余金から引き当てまして、分配金という形で出しておりますので、先ほど申し上げました剰余金の中の約二億五千万はそのほうで出ていく。したがいまして、平均余命をかけて推算いたしました六十万件の繰り上げ支払い金の総額は十五億でございます。
  53. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 それが十五億なんですか。そうすると従来の契約時分の平均余命というものはごく短いですね。終戦後二十三年か四年ぐらいからぐんぐん平均余命が延びていって、いまや男性は六十九歳何カ月、女性は七十二歳何カ月、前は五十三歳とかいう、その五十三歳のときをもって積み立て金の計算はできておるはずなんです。その積み立て金をもって、今日の女子でいうと七十二歳というものに繰り上げ支給をしようとするならば、これは足りないのがあたりまえで、これも私は常識で考えられることだと思うのです。それが十五億と計算されたのか。そうとするならば従来の積み立て金というものは、対象契約の積み立て金というのはおそらく十億とか、もう少し少ないものであろうかなどと、私はしろうと計算で腰だめではありますけれども、思う。どういうふうに見ておられるのか。
  54. 武田功

    武田政府委員 平均余命を採用いたします際にどういう見方をするかということを、私どもいろいろ論議いたしました。仰せのように、かつての九表あるいはその前の表という時代とだいぶん変わっております。  それからもう一点は、やはりこれから先のことを一般的な生命表を使って計算をするというようなことに対する加入者の心情というものも考えまして、第十一回生命表を使って計算をいたした次第でございます。したがいまして、お尋ねのような前のときよりは多少平均余命が延びておるという、この一番新しい十一表を使っておりますので、その点は計算の上からは前よりもふくらましがかかっておるわけであります。
  55. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私のお伺いするのは、前よりもよけい要るというそのよけい要るものがどれくらい計算されておるか、こういうことなんです。十五億といま言いましたが、その十五億のうちには延びた分までも入っている、こういうお答えですから、それじゃその前の平均余命によって積み立てられたものはどれくらいか、こういうことをお尋ねしている。
  56. 武田功

    武田政府委員 現在準備金として積み立てておりますのは、十二億でございます。
  57. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そうすると、ざっと三億ばかり積み立て金は足りないということになるわけですね。この三億ばかりの積み立て金の足りないところはどこから持ってこられるのか。
  58. 武田功

    武田政府委員 足りないと申し上げてよいかでございますが、いままでの計算で積み立てておきました分が十二億でございます。それに対しまして、先ほどから申しますように、二億何がしというものが剰余金のほうから補てんをするという形になりまして、合わせて十五億ということでございます。
  59. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そうすると、従来の十二億の積み立て金に三億ばかりまたこれも剰余金のほうから足してそして原資とした、こういうことなんですね。そこで私はこれは仮定のようなお尋ねになっていかぬのですが、こういうふうな戦後における特殊事情、片やインフレという特殊事情、片や非常な平均余命の延びという特殊事情から勘案してみますと、インフレの問題は別個にいたしましても、このように急速に延びてきたということについては、そのままの計算でいくというと、ここに年金支払い不能の面が出てくる。現に三億ばかりの支払い不能が出てくるわけですね。計算上は出てくると思うのです。そうしなければ契約どおりの年金が払えない、積み立て金は十二億きりないのですから。そして剰余金は、もし理想とするならば、年々出てきた剰余金はそのまま当時の契約者に支払っていくということになってくるというと、その積み立て金は三億現段階において足りないということになる。これは本来言えばだれが負担しだれがこれを支払う責任があるのか、年金団体としてはこれは原資がないわけです、十二億きりないわけですから。たまたまどこかから剰余金を生ずる摩詞不思議なものがあるからいいようなものの、これが、そういうものがなかったら、たちまち三億支払い不能ということになる。一体今度の問題処理についてどういうふうな考え方で取り扱われようとされたのか。
  60. 武田功

    武田政府委員 三億をそのまま全部不足分とお考えいただいてはちょっと困るのでございますけれども、額はともかくといたしまして、現在の契約準備金は、現在をすぽっとここでとりまして出そうといたしますための準備金でございます。御案内のように年金はだんだん消えてまいるわけでございます。したがいまして、そういうことからいたしますと毎年毎年の運用利差というものも見てまいりますから、いまここで区切って出すなら十二億ほっておいたら足りなくなるじゃないかということではございませんで、運用利差というものがございますから、したがいまして、これはいま全部ここで六十万件が切れるから十二億を準備してあった分として出す、こういう意味でございます。
  61. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 だいぶ私とあなたとの考え方の基本が違うようです。それは利差もあります、死差もあります。しかしそういうものを一切抜きにして、当初の計算どおりこの契約については積み立て金は幾ら、契約グループがあるわけですから……。そうしてそれが予定どおりの死亡を計算するならば一銭も残らないはずですね。そういうものが私は積み立て金だと思う。それ以上の積み立てをする必要もなければそれ以下の積み立て金では困る。それだけは積み立てよう、こういうのが積み立て金の制度なんです。それが十二億だ。ところが現実に今度の案では十五億を必要とする、計算をすると三億足りない。これは年金事業者の責任でもなくて、世間一般の非常な急激な寿命の伸びということなんです。すみやかにその寿命の伸びに対して年金契約金というものを改訂しなければならなかったのですけれども、それまでの段取りがないために、従来の平均余命をもって計算してきた、こういうことから出てきたことだろうと私は思うのですよ。今度はたまたまインフレというものが加わってきたり、それから高金利といいますか、そういう状態からして予定利率よりも一分ないし一分五厘くらいの利子の差もありますからそういうことでカバーできるのですけれども、理屈だけ言いますと積み立て金では足りないという現象を来たした。そういう場合においてはそれは事業者が負担すべきものじゃなくて、こういうものにおいてこそ私は国の経営、公企業の立場からいってそういうものは国が負担してもよろしいのじゃないか、こう思うのでありますが、この点はどういうふうに考えられてこの問題に向かっておられたか、こういうことなんです。
  62. 武田功

    武田政府委員 先ほど来申しますよう二、この契約準備金を立てます方式といたしまして大体予定利率を四分と見て組んでございます。したがって、現在年金勘定の資産運用の利回りは約七分ちょっとでいっております。したがいまして、その運用利差から考えてまいりましても、私どもは将来の支払い準備に欠くということのないようにやっていけると思っております。
  63. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 どうも筋違いのようになってまずいのですが、では次に聞きますが、私の言おうとするところはこういうことなんです。剰余金は今度の対象契約の中からは出てこないばかりでなくて、今度の対象契約者の持っておるところの積み立て金をもってしては、繰り上げ年金額さえも足りない。いまおっしゃるように三億ばかりも足りないという現象を来たしておる、こういうものと、さらに契約者側からしますと、自分たちの責任ではないので、たいへんなインフレを来たしてしまった。このインフレの損害というものは、何らかの形において国が見てくれないかというのが率直の年金契約者の念願であったんですね。その念願は今日まで、先ほど大臣のお話の中にもありましたのですが、たびたび投書においていわれておることであります。それから本委員会においてもたびたび質疑の中にも出てまいりましたし、要望の中にも出てまいりましたし、現にかつての逓信委員会においてはこれについての陳情、請願を取り上げておりまして、国は何らかの措置を講じてこの年金契約者の損害を補償といいますか補てんといいますか、ことばはいろいろ使い方があろうと思うのですけれども、何らかの措置を講ずべきであるということについての意見をも具申してあります。それからもう一つは、先般の郵政審議会の答申の中にも、もちろん保険事業者としてはできるだけの措置を講じなければならないが、なお国もこれに協力して、そして小口年金整理を急げという答申が出ておるように私は聞いておるのであります。それらを勘案してこの積み立て金では足りないもの、それからしてよそからの契約者の剰余金まで食わなければならぬというような状態の中において、理屈を言えば国が負担しなければならないようなもの、契約者側からすれば、こういうときにこそ公企業の真価を発揮して国のほうで見てもらいたいというその希望にこたえるための措置というもの、具体案というものを講ぜられたかどうか、またどのようになさったかということをこの際承っておきたい。
  64. 武田功

    武田政府委員 確かにもっと多額の補償と申しますか、そういうことを希望する向きもございます。それからまた先ほど御指摘のような郵政審議会の答申の中でも、できるだけ一般会計から相当額の支出を求めたらどうか、こういったような御意見も出ております。私どももこの点もいろいろと検討いたしたわけでございますけれども、やはりこの制度のたてまえが本来任意年金制でございまして、それを運用して支払いに充てる、こういう仕組みをとっております関係で、やはりこの際これを整理しますには企業内で整理するのが筋ではないか、こういう結論になったわけでございます。   〔秋田委員長代理退席、委員長着席〕
  65. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 事業内で処理するのが筋だというのですが、私は事業内で処理してはいけないことじゃないか、こう思うのです。先ほどから申しましたように、これは事業経営者としての責任じゃない。別に投資に失敗をして赤字を出したということでもなければ、非常に見込みが違って大きな困難におちいったということでもない。問題は敗戦ということから起きたところの急激な貨幣価値下落ということから、こういうことになった。むろん契約者の責任でもない。こういうものについては、やはり国が何らかの対策を練ってほしいというのは、契約者の一部といいますが、私は契約者の全体の気持ちであろうかと思います。そして事業経営者としては、そういう間に立って最善の努力をする責任があるのではないか、こう思うのですね。私が冒頭申し上げましたように、この問題については二十年以来練りに練り、苦心に苦心を重ね、そして解決策を見つけ得ずに今日に及んできたのであります。この際解決をするということになればそういう点について重点的に努力をし、対策のめどを持つことが先決のように思うのであります。これについてはどういう努力をなさったのか。
  66. 小林武治

    小林国務大臣 結論的なことを申してたいへん恐縮でございますが、いま金丸委員の御主張はやはり一つの傾聴すべき主張である、こういうふうに考えまして、郵政省としても同じような努力を相当強くいたしたのでありまするが、この問題を解決するためには政府部内ではこの案でしかまとまらなかった、こういうことを一つ申し上げておきたいのでございます。私はやはりお話しのような議論があり、またこれはその無理な議論とも思われません。したがってこういう考え方でわれわれも何とかこれを処理したいと思ったのであるが、この案でしかまとまらなかった。そういうわけで、それなら一体このままこれを放置するか、こういう問題になりまして、全体としてこれを解決するのがいいかどうか、こういうふうな判断の上で、この際としてはこれで政府案をまとめる以外になかった、こういう事情にあったということだけ私から申し上げておきます。
  67. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 大臣が最善の努力をし、閣議でも問題とされ、主張されたのにもかかわらず、これ以上の案が発見し得なかったということであれば、不満を申し述べて本法案処理についての最終的な結論に入らざるを得ないのでありますが、ただ私はかりに政府のほうで現段階においてはこれ以上の措置は講ぜられないのだとしましても、次の段階においてはやはり何らかの措置を講じてもらうべき一つの段階あるいは一つの前提としてもいいのではないか、こう思うのですが、と言いますのは、いま政治問題となっておりまする在外財産の補償の問題、あるいはその前の農地報償の問題などにつきましても、いろいろ意見があったでありましょうが、全く気の毒だというようなことから政治的解決が出てきた。それとこれとは違うんだと言ってしまえばそれまでですけれども、やはりそこには一脈相通ずるものがありはしないか。これは事業内部で片づけろといって済むことでなくて、できればやはり何とかしたいものだが及ぼすところの影響も多いし、また現実面においては相当多額の金もかかるのでそうはいかぬのだということであってほしいと思う。そうしまするならば、次の段階としては、いろいろの問題がこうだんだん戦後処理として片づいてまいりますから、そういう段階になってきたならば、郵便年金のこの問題についても、現段階は事業内で処理いたします、三十億のうちの十七億ばかりは、理屈からいいますならば、出すべからざるところから出してはおきましたけれども、何かそうした世間の様子が、戦後処理としてだんだん進んでいった次の段階においては、これはひとつ何とか繰り入れてもらうというようなことも、私は考えておかれるべきではないかと思うのでありますが、こういう点についてはいかがでありますか。
  68. 小林武治

    小林国務大臣 私は、金丸委員の御意見は否定するものではありません。そういう貴重な御意見があることを承知しておるからその向きの努力を強くいたした、こういうことでございますが、何ぶんにも一般会計という問題は他に非常に大きな波及を来たすのでありまして、いまの政府部内の話としては解決つかなかった。これは郵便貯金の問題あるいはいろいろな問題について、私はここで詳しく申し上げませんが、いろいろな波及すべき事項があります。いまのお話しのように、剰余金から出すのは合理的でない、これも私はよくわかります。したがって、私は、それが一番最善の措置でない、いまお願いしておるのは最善の措置でないということはよく承知しております。それで、ただいまのところは、剰余金にしましても、どこから出た剰余金かわからないじゃないか、こういう議論もあります。これに該当する年金契約から出たものでないということも私にはわかる。しかし、とにかく企業内でこれを措置しなければならぬということがいまきまった政府部内の意見でありますから、そのために私ども実はこの年金の運用についても、そういうふうな御議論がありますから、それを埋めるためにも、今度は有利の運用のできるように、埋め合わせのできるような方法をぜひひとつ大蔵省も考えてもらわなければ困る。要するに、現在の年金加入者の分も、極端にいえば食っておる、こういうことも言えないことはありません。したがって、これを他の簡易保険等に比べても、もっと運用方法を変えて、有利の運用をすることによってこれをある程度補てんしていく、そういうようなこともいま話をいたしておるのでありまして、お話のようなことで埋め合わせをしなければならぬというようなことは十分私ども考えておるのであります。
  69. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 大臣がそういうお答えでありますと、次の段階ということに希望を持つ以外に私のお尋ねをするきっかけがないものですから、それは一応それを前提として次のお尋ねをいたすのであります。  そこで、今度の処置によりますというと、特別付加金という制度考え出して、わずかではあるけれどもこういうものを出すことになりました。きりがないから、出すとすればこういうことであろうかと思うのです。しかし、これらの算定の根拠といいますか、これでやむを得ない——十分だとは言われないでしょう。やむを得ないと考えられた根拠というものは、原資が十七億きり剰余金から回すものがないということでこういう案を立てられたのか、それとも、ずっと見てみるというとこの辺が涙金としてはいいところじゃないかという考えで積算したのが十七億になったのか、これはどういうふうに考えておりますか。
  70. 小林武治

    小林国務大臣 これは必ずしも原資にとらわれた、こういうわけではありませんが、何が根拠かということになると非常に返答に困るので、いわば極端にいえば見当でやった、こう言わざるを得ない。積算の根拠なんていうものはありません。とにかく支払い義務額の倍額。倍でなくて三倍がよかったじゃないか、あるいは四倍がよかった、いろいろこれは議論もありますが、いろいろ勘案をしてこの程度にとどめた、こうお答え申し上げるよりないと思います。
  71. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 大臣からのお答えもいただきましたので、次のこれからについての私の疑問の点をお尋ねするのでありますが、時間が過ぎましたようですから、委員長、もし何でしたら私は次に続けさしていただくことにいたしまして、きょうはこれで終わります。
  72. 松澤雄藏

    松澤委員長 明二十三日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十四分散会