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1967-03-24 第55回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年三月二十四日(金曜日)    午前十時十五分開議  出席委員    委員長 松澤 雄藏君    理事 秋田 大助君 理事 加藤常太郎君    理事 佐藤洋之助君 理事 志賀健太郎君    理事 田村  元君 理事 中井徳次郎君    理事 森本  靖君 理事 佐々木良作君       小渕 恵三君    加藤 六月君       上林山榮吉君    木部 佳昭君       四宮 久吉君    徳安 實藏君       根本龍太郎君    羽田武嗣郎君      橋本登美三郎君    水野  清君       安宅 常彦君    大柴 滋夫君       金丸 徳重君    樋上 新一君       古内 広雄君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         郵政政務次官  田澤 吉郎君         郵政大臣官房長 竹下 一記君         郵政省電波監理         局長      淺野 賢澄君  委員外出席者         郵政省電波監理         局放送部長   左藤  恵君         参考人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参考人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参考人         (日本放送協会         専務理事)   三熊 文雄君         参考人         (日本放送協会         専務理事)   赤城 正武君         参考人         (日本放送協会         専務理事)   松井 一郎君         参考人         (日本放送協会         専務理事)   野村 達治君         参考人         (日本放送協会         専務理事)   浅沼  博君         参考人         (日本放送協会         理事)     川上 行蔵君         参考人         (日本放送協会         理事)     志賀 正信君         参考人         (日本放送協会         理事)     長沢 泰治君         参考人         (日本放送協会         理事)     佐野 弘吉君         参考人         (日本放送協会         総合企画室総         務)      野村 忠夫君         専  門  員 水田  誠君    ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ————◇—————
  2. 松澤雄藏

    松澤委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。木部佳昭君。
  3. 木部佳昭

    木部委員 NHK前田会長にお尋ねしたいと思いますが、昭和四十二年度予算、御承知のとおり第二次の六カ年計画最終年度であります。この四十二年度予算の持つ特徴ないしは重点的な施策は何でありますか。
  4. 前田義徳

    前田参考人 お答え申し上げます。  御承知のように長期計画は第一期、第二期を通じまして、御審議いただく明年度予算はその第二期計画最終年度ということになっておりますが、私どもの根本的な考え方といたしましては、もっと長い目で見た考え方の中の第二期の最終年度という考え方を持っております。したがいまして私どもは四十二年度予算というものはそれに続く長期構想のいわゆる潜在的初年度であるという考え方で、そういった何と申しますか関連的な考え方の中で四十二年度予算というものは非常に重要な地位を占めているというのが根本的な考え方でございます。したがいましてこの年度予算は、これまでの長期計画の総締めくくり、その中で特に私どもが重大な問題と考えておりますのは、過去六年間あるいは全期を通じて約八年間にわたって推進してまいりました少なくとも三つの問題、第一は事業の膨脹、技術革新に基づく新しい放送形態、それと長期計画に基づいて各波に対する番組内容充実と、放送時間の充実というこの点から、私どもとしては、これまでの長期計画効果を測定して、それを足場として次の長期構想との具体的な調整を行なう年度であるという考え方を持っているわけでございます。
  5. 木部佳昭

    木部委員 ただいまの前田会長お話はよくわかったのでありますが、思うに前田会長は第二次の六カ年計画に続いて次の長期計画というようなものを考えておられるのじゃないか、こういう気持ちもするわけでありますが、そうした展望について、お考えがありましたら、御意見を承りたいと思います。
  6. 前田義徳

    前田参考人 四十二年度予算を基盤として次の長期構想という考え方については、現在具体的な検討を開始いたしております。したがいまして、具体的な内容についてはまだ申し上げる時期に達していないことは残念でございますが、おおよその構想としては、少なくとも昭和四十三年度以降十年間ぐらいの内外の動き、技術開発方向、それから国民生活の経済的、社会的、文化的発展方向、それと同時に国際社会の中での日本立場というようなものを勘案しながら、少なくとも十年構想の中でまず第一期として五ヵ年を考えるか、七ヵ年を考えるかということを目下検討中でございます。
  7. 木部佳昭

    木部委員 次に、小林大臣に御質問申し上げたいと思います。  二十二日付の新聞によりますと、大学通信教育に関する郵政大臣閣議発言が報道されておりますが、大臣は、テレビラジオ大学通信教育についてどのような構想をお持ちになっておられますか、お伺いいたしたいと思います。
  8. 小林武治

    小林国務大臣 これは実は、先般の衆議院の予算委員会で一委員からさような要請があったのでありますが、ラジオテレビ等の社会的の機能からいたしまして、これによって現在十二チャンネル工業課程高等学校講座がある。またNHK高等学校普通課程通信教育をしておる。これはある程度の効果をあげておりますので、大学教育についてもこれを活用して通信教育ができないか、こういう問題でありまして、非常にむずかしい問題でありまするが、私どもはできたらさような機能をひとつテレビに発揮をしてもらいたい、こういうことで、二十二日の閣議でこれを話題として提供いたしたのでございます。これはまたあとで御質問があると思いますが、詳しく申し上げますと、現在大学の入学も非常に困難になっておる。しかし学生数をふやすこともまた困難である。学校の入れもの、教師、いろいろな問題から定員をふやすことは困難であるが、テレビ等を利用することができますれば、これらの欠陥を補う上において非常に有効、適切ではないかということで、私は文部大臣に対しまして、そういうようなことが一体可能であるか、またそういうことが適当な方向であるかということを閣議の席上質問をしたのでありますが、文部大臣は、それはできれば非常にけっこうだと思うが、いまの通信教育というものは各学校責任においてやっておる。たとえばNHK普通課程も、NHKの学園というものをつくっておる。また科学技術財団の十二チャンネルも、工業高等学校という学校を免許して、学校責任においてやっておる。こういうことであるから、大学教育においてもどこかの大学責任を持たなければならぬ。現在大学教育通信教育ということでやっておりますが、これも各学校責任においてやっておるので、漫然とやっておるのではない。現在ある特定学校責任においてやっておるわけでありますから、テレビでもって大学通信教育講座をつくるにいたしましても、その学校をどうするかというふうな問題もあるので相当な検討をしなければならぬ。もう一つめんどうな問題は、通信教育については、一度学期末その他に集めて実地教育をするスクーリングの問題があるが、こういうことも大学教育については相当困難な事情がある。いずれにいたしましても、こういうことができれば非常にけっこうであるから、これからひとつ文部省でも真剣に対策あるいは内容検討をいたしましょう。それで郵政省なりNHKなりと、これらについては相談のための協議会みたいなものをつくって取り組んでまいりたい、こういうふうな発言をされております。いずれにいたしましても、これは早急にはなかなかできない問題であります。たとえば四十三年度からやるにしても、いまからそういうことをやらなければできないから、文部省もあらためてひとつその対案というものを考えて御相談をしたい。郵政省あるいはNHKにおいてはテレビ通信教育のため時間を提供ずるということで、この時間が提供できるかできないかも問題でありますから、これらは三者が一体となって真剣に相談してまいろう。閣議におきましても、そういう意味検討をしてもらいたいということに相なっております。
  9. 木部佳昭

    木部委員 大臣、これから慎重に検討しようというようなお話でございますが、テレビによる大学通信教育実施する場合には、学校教育法との関係もあると思うのです。同時にまた、どういう科目を大学通信教育放送するかということは文部省の所管でもあると思うのです。そういう点を、大臣いまいろいろお考えを述べておられましたけれども文部省等とももう少し具体的に議論をされる必要があるのではないか、こういうふうに私考えております。同時にまた、通信大学スクーリングの問題でございますが、いま大臣もおっしゃいましたように、これを実施するためにはどうしても新しい大学が必要ではないか、こういう考え方を持っておるわけですが、その辺につきまして大臣は具体的なお考えをお持ちでありましょうか。
  10. 小林武治

    小林国務大臣 これは主として学校教育との関連において文部省に実態的の意見なり方策をきめてもらわなければならぬ。郵政省関係においてはそのための時間を提供する。現在、高等学校課程においては、文部省からNHK並びに十二チャンネル学校が認められておる、こういうことでありますから、これらの問題についてもほとんど主導性というものは文部省がおとりになる。そういうことは向こうにひとつ検討してもらおうということで、私どものほうでそういう実態的な方策考えるという立場にない。したがっていまのようなことは文部省にお願いをしなければならぬ、かように考えております。
  11. 木部佳昭

    木部委員 特にテレビ大学通信教育というものは、やはり電波を使うわけでありますから、いまNHKなり十二チャンネルがそれぞれ放送されておりますけれども、たとえば理工系の問題などなかなか問題があると思うのです。現在実施されております高等学校通信教育放送にいたしましても、大体文科系が非常に多いわけです。特に電波を使う場合には放送時間というものは限られておりますから、大学通信教育特定の学科を取り上げることはなかなか困難もあるのではないか、こういうふうに私は考えておるわけでありますが、大臣のお考えを承りたいと思います。
  12. 小林武治

    小林国務大臣 これはお話しのようにやはり非常に困難な問題があろう。ことに、やっても人文科学系のことしか当面やれないのじゃないか、こういうことも考えますし、また時間そのものについては、NHKその他の放送当局者の了解、協力がなければできませんから、そういう実態的なものを考えると同時に、いまのそういう時間が許せるかどうかということは十分協議をいたさなければならぬ、こういうふうに思っております。通信教育ができれば非常にけっこうだと概念的にはどなたもお考えでありますが、ただ非常に困難な事態である。しかし、困難な事態であるが、いいことは何とかみんなで都合してみることはどうか、こういうふうな考え方でございます。
  13. 木部佳昭

    木部委員 全く大臣のお考えに私も同感であります。特にテレビというものは国民共有の財産でもありますし、同時にまた、全国的にあまねく津々浦々まで通信教育が普及するということは、社会的に見ても非常に大事なことだと思うのです。そこで大臣は、先ほどNHKにやらせるか、また十二チャンネルというようなお話もありましたけれどもNHKにやらせるのか、ないしは民放実施をさせるのか、また新しい放送局というものをつくるお考えがあるかどうか、こういう点についてお考えを承りたいと思います。
  14. 小林武治

    小林国務大臣 いまのところ、別にこのために新しいものというようなことは考えておりません。これはNHKその他の方と御相談の上で、既設のものでできるならばいたしたらどうか、それから、これにつきましては、やるというても、ただNHKその他の民放の犠牲においてお願いするというようなわけになかなかまいるまい、したがって、スクーリングとかいろいろな問題についても、政府補助金なんかも当然考えなければならない、国が相当な出費をすることも考えなければなるまい、そういうふうに思っております。
  15. 木部佳昭

    木部委員 大臣のお考えのように、また新たに全国的にテレビ局を設ける、こういうような事態考えねばならないのですが、新たに全国的にテレビ局を設けるという場合には、Vの波はないわけですから、どうしてもUの波を使う、こういうことになりますと、Uのチャンネルプランというものもある意味では考えなければならない、こういうような気持ちもするわけでありますが、大臣はどうお考えになりますか。
  16. 小林武治

    小林国務大臣 Uの問題はいま申し上げるように、通信教育等のため特別にというふうな問題に考えておりませんが、いずれの場合にいたしましても、今後新しい免許ということになれば、いまの周波数の事情から言うてUを割り当てる、こういう問題が必ず起きてきますから、そう遠くない将来において、Uのチャンネルプランというものはぜひつくらなければならぬということで、さような検討もいたしております。
  17. 木部佳昭

    木部委員 NHKがもし大学通信教育実施するということになりますと、現在高等学校通信教育の時間を十八時間持っておるわけでありますが、この上に、いま大臣のお考え大学通信教育というものを実施する場合に、時間的に多少疑問が残るのじゃないか、こういう考え方も私はあるわけであります。  そこで、もしNHKにもう一波割り当てでもして、専門的にこれを実施するという場合には可能とも考えられますけれどもNHK自身通信大学をやる御意見があるかどうかわかりませんけれども、そうした技術的な問題も多少残されているのではないか、私はこういう気持ちがいたしておるわけであります。
  18. 小林武治

    小林国務大臣 これはお話しのとおり、まだNHKに全然御相談申し上げておりません。政府がそういう方向に向かって、検討なり歩みを出すことがどうかということを私はおはかりをして、それはやったらよかろう、こういうことでありますから、これからすべていろんな問題について、NHKにもお話を申し上げる、それから、ことに一番大事なことは、文部省が実態的にそういうことを希望して、具体的な案ができるかどうか、こういうことがもとになりますし、いまのようなことはこれから相談をしなければならぬし、またそれをやることがぜひ必要だとなって、時間帯がもし取れないというふうな場合においては、またあらためて御相談をしなければならぬ、こういうことでありますが、いまのところは、まだそこまで参っておらないということでございます。
  19. 木部佳昭

    木部委員 だんだん大臣のお考えも理解できるわけでありますが、先ほど大臣からもお話がありましたように、大学通信教育というものは働く青少年のため、ないしは社会的に見ましても、教育の使命というものを考えた場合でも、非常に重要な問題であると思うわけであります。  そこで、大臣指摘のように、多少問題も残されておるわけでありますが、この大学通信教育というものを実施するためには、非常に慎重に検討する必要もあろうかと思います。たとえて申し上げますれば、審議会のようなものをつくって、そして間に合えば四十三年から実施をする、こういうようなことも当然考えられるわけでありますが、大臣はそうした審議会のような機関というものをつくって、そうして問題を解決できるように、十二分慎重に検討する御意思というものがあるかどうか承りたいと思います。
  20. 小林武治

    小林国務大臣 これはお話のように慎重に検討する必要がありますので、文部大臣とも——ただ両方の事務当局とかその他の話し合いではなしに、もっと広く皆さんの御意見を聞いて結論を出したらどうかということで、お話のような審議会というようなものもつくるようになろう、かように考えております。
  21. 木部佳昭

    木部委員 NHK会長にお尋ねしますが、大臣も先ほど大学通信教育につきましては、まだNHKとも相談されてないようでありますが、前田会長は、先ほど私が申し上げましたように、現在高等学校通信教育を十八時間放送されておりますが、NHKとして、もしこれが実施された場合には、どういうような施策を講ずることが一番適切な処置であるか、こういうことをお尋ね申し上げたいと思います。
  22. 前田義徳

    前田参考人 御指摘の点につきましては、私どもは現在の通信高等学校をつくる当時から、その卒業生をも救済しなければならないという考え方をも加えて、実は大学教育通信課程をつくる社会的責任があるというように考えてまいっております。ただ大学教育につきましては、ただいま大臣も御指摘のとおり、文部当局あるいは政府全体でまだ固まった考え方がございません。ただNHKといたしましては、その試験的放送として、おおよそ十年間にわたって、主として人文科学中心でございますが、日曜大学というのを実験的に行なってきております。これは毎日曜にやって、おおよそもう十年目ぐらいになります。ただ将来この放送による通信大学を、いわゆる広域教育の一環として行なうためには、私どもとしては、率直に申し上げて、現在の波では不十分であろうという考え方を持っております。したがいまして、私どもとしては、そのようなことが実現されることは私どもにとってまことに歓迎すべきことではございますが、同時にチャンネル割り当てについても、国民の良識の発展と申しますか、そういうために、特に政府当局におかれて特別の配慮をしていただけるならばまことに幸いだ、このように考えておるわけでございます。
  23. 木部佳昭

    木部委員 NHK昭和四十二年度予算のうちで、放送衛星開発研究費というものを三億円計上されておるわけであります。前田会長はこの放送衛星に対して非常に熱心な推進者の一人でもあります。これからその研究を行なうのに、どうした年次計画によってNHK衛星研究をされるか、こういうことにつきまして前田会長のお考えを承りたいと思います。
  24. 前田義徳

    前田参考人 放送衛星につきましては、御指摘のとおり御審議をいただいております明年度予算の中で、研究部門で三億円を計上いたしております。これは衛星本体研究でございます。大体計画といたしましては、昭和四十四年を目標にして、この実験本体の製作を完了いたしたい、このように考えておるわけでありますが、この問題については野村専務から補足させたいと思います。
  25. 野村達治

    野村(達)参考人 私から多少こまかい点について御説明いたしたいと思います。  衛星につきましては、郵政省中心にいたしまして、通信並びに放送衛星ということの研究を進めて、四十四年には本体が打ち上げられるような段階に持っていきたいと考えておりまして、昨年度二億一千万円の経費を計上し、本年度三億円を計上いたしまして、テレビジョン放送を行ないますための、前進いたしますための方式の研究、あるいは衛星本体を働かせております電源、中継機、そのほか衛星の姿勢を検出するというようなものにつきまして、四十一年度かなり研究をある程度実施いたしまして、本年度はさらに環境試験設備等を行ないまして、宇宙開発におきましてもかなり程度部品並びに本体がもつということを確かめるという研究を進めておるわけでございます。  なお、地上設備につきましては、受信機につきましてある程度のことを進めておりますが、送信設備その他につきましては郵政省との間に研究調整をはかりまして進めていきたい、一応四十二年度としては考えております。  それから本年度衛星のプロトタイプなるものを一応試作を進めてまいりまして、それの環境試験そのほかの状況を勘案しまして、四十三年度本体を本物に近いものにしていきたいというふうに考えております。
  26. 木部佳昭

    木部委員 衛星開発計画というものは、やはりこれは国策として推進をしなければならぬということは申し上げるまでもありません。特に、日本技術革新といいますか、ある意味ではこの衛星開発というものが世界の注目であり、国民が大きな期待をかけておると私は思うのです。そこで、たとえば、科学技術庁であるとか郵政省NHKないしは電電公社、東大の技術研究所、こういうところで成功されるためにそれぞれ技術者の方が鋭意努力をされておるわけでありますが、やはり目的昭和四十六年に打ち上げるということの予想もあるようでありますが、研究が相互に重複するようなことがありますといかぬ。そこで、やはり連絡ないしは協調体制というものを十二分にとって、そうして、この研究機関の一元化をはかる、こういうことが私は非常に大事なことじゃないか、こういうふうに考えておるわけでありますが、小林大臣、何かお考えになりましたら御意見を承りたいと思います。
  27. 小林武治

    小林国務大臣 これはお話のとおり、統合調整と申しますか、そういうものはぜひ必要だ。郵政省関係におきましては、公社あるいは国際電電あるいは、NHK郵政省、こういうことで連絡協議会なるものをつくって相談をし合っておりますが、そのほかにもお話のように、文部省科学技術庁、こういうところでそれぞれ同じ目的に向かって研究を進めておる。ことに、衛星本体につきましては郵政省NHKその他で研究しますが、これを打ち上げるロケットそのものはわれわれはいま関係がない。科学技術庁なり、文部省でやっておる、こういうことでありまして、私は最近科学技術庁長官とも話をしまして、政府部内において、ことしはとにかくとして、もう来年四十三年度においてはおのおの相当な研究も進み、予算も膨大になるとどうしてもこの統合調整のために政府機関が必要ではないか、こういうことを話し合っておるのでありまして、たとえば宇宙開発省とかいうふうな構想はどうかというようなことを科学技術庁長官とよく話し合っております。私ども、実はこの問題でありませんが、自由民主党においてもひとつ宇宙開発委員会というふうな特別委員会をつくって、そしてこの方向にひとつ協力をしてほしいということを申し入れておるわけであります。お話のような機関がぜひ必要だ、かように考えております。
  28. 木部佳昭

    木部委員 先ほど野村専務さんから、衛星本体のことにつきましてちょっとお話があったのですが、わが国の初の通信衛星本体というものが大体いつごろ完成する見込みなのですか。同時にまた、われわれは希望的な観測で早く打ち上げが成功してもらいたいと思うのですが、いまのところNHK技術陣を総動員して研究されておる範囲では、大体打ち上げ時期はいつごろになりますか、お尋ねいたしたい。
  29. 野村忠夫

    野村参考人 お答え申し上げます。現在衛星本体につきまして一番の問題になりますものは、やはり打ち上げましてからどれだけの期間寿命があるかということで、これは地上で使っております場合には修理ができるというようなことであまり重要視されなかった点でありますが、現在アメリカにおきまして、あるいはヨーロッパ諸国においてもかなり努力が重ねられておりますが、非常に長く持続させるということを進めておりまして、これに従いまして私どもも現在この問題を扱っております。したがいまして、現在すぐこれが五年もつ十年もつということはまだ言える段階ではございません。少なくとも二年ないし三年くらいはもちそうだというような程度のところまでは、衛星の中に使いますものにつきまして現在考えがまとまってきております。試験もかなり進んできております。したがいまして、大体四十四年度に打ち上げられるといったものは、四十三年度に試作を完了いたしまして、十分なる一年間の試験をするというようなことで仕事を進めていくというように考えておる次第であります。
  30. 木部佳昭

    木部委員 前田会長はアジア放送連合の会長であられます。同時にまた、私が先ほど申し上げましたように、放送衛星を打ち上げる熱心なる推進論者の一人でもあるわけであります。アジア放送連合のいろいろな使命というものもよくわかるわけでありますが、アジア放送連合として、こうした衛星に対する国際間のアジア地域の交流というものもそろそろ考えていかなければならぬ時期だ、こういうふうに私は思うわけであります。そこで、熱心な前田会長のことでありますから、会長としてもそういった施策をそろそろ検討されておる、こういうふうに思うわけでありますが、そうしたことにつきましてのお考えを承りたいと思います。
  31. 前田義徳

    前田参考人 御指摘のとおり、私は現在アジア放送連合の会長として、昨年以来第二期目に入っておりますが、アジア放送連合の加盟各放送機関の要望は、四年前のシドニーの総会以来日本がキー・ステーションとなって放送衛星中心学校放送番組の提供を受けたいという熱烈な要望が続けられております。第二回総会においても、第三回総会においても同様の決議が繰り返されております。これに関しまして第三回、昨年の総会では、コムサットの幹部並びにジュネーブの国際機関のこの間なくなったサワラテ事務総長などにおいで願って、アジア放送連合は非常に熱心にこの放送衛星の利用の可能性について検討した次第でございます。またユネスコもこれに協力してくれておりまして、ユネスコはやはり四年前に私も招請されて、パリの会議でいわゆる開発途上にある諸国家、これは単に東南アジアだけでございませんが、アフリカをも含めて、衛星を基礎とする教育、文化の向上をどのように発展させるかという会議が持たれ、さらにきのう二十三日ときょう二日間パリでユネスコが中心となって、続いて専門家会議が開かれております。こういう情勢のもとで、私といたしましては、アジア放送連合の会長として、少なくともオーストラリア、ニュージーランドを含めて南太平洋地域並びにトルコから中近東を経てアラブ連合に至る諸地域を含むアジア放送連合の各放送機関の熱烈な要望にこたえるためにも、放送衛星が一日も早く打ち上げられることが必要である、このように考えており、同時に放送連合の機関の強化のために事務局が強化されることが望ましいという考え方で、昨年以来私は事務総長のサー・チャールズ・モーゼスと相携えて、各種の可能性を検討してまいりましたが、事務当局の強化については、今回フォード財団が年度別の継続援助ではございますが、総額二十万ドルの援助をアジア放送連合の事務局に行なうという決定をしている次第でございます。
  32. 木部佳昭

    木部委員 アジア地域として、衛星による特に教育の問題、こういうことはわれわれも現地へ行きますと、熱心に東南アジア諸国からも要望があるわけであります。しかしアジア放送連合としての役割りは、別の意味もあると私は思う。特に放送衛星を打ち上げることも必要でありましょうし、いま会長の御決意というものを承ったわけでありますが、やはりアジア放送連合というものは、こうした衛星が打ち上げられるという時期に来ておるときに、アジア地域の相互理解ないしはまた平和維持、こういうものにも役立たしていくということが、アジア放送連合の別の意味の大きな使命であろうとも思うわけであります。そういう点につきまして、前田会長はアジア放送連合の会長として、何か構想をお持ちになっておるかどうか、こういう点につきましてお導ねをいたしたいと思います。
  33. 前田義徳

    前田参考人 全く同感でございまして、アジア放送連合を設立した理由も実はその一点に集中されるわけでございます。したがいまして、私といたしましては、アジア放送連合の活動を、そういう方向に主要点を目ざすというようなことについては、各参加放送機関の完全な支持と賛成をいただいております。そういう意味で、情報の交換と申しますか、相互理解を深めるためのニュースの交換という点につきましては、もう数年来NHKがキーステーションとなって、参加放送機関NHKにニュースを送って、これは国際放送を通じて行なっておりますが、そのニュースを要望する各国に再分配するという意味での、もうすでにキーステーションとしての役割りを数年間行なってまいっております。まことに同感でございます。
  34. 木部佳昭

    木部委員 大臣にもう一度お尋ねしたいと思うのですが、先ほどの大学通信教育の問題でありますが、大臣からもお話しのように、この通信教育の問題は、学校教育法との問題ないしはまた放送NHKにやらせるか民放にやらせるか、内容の問題、こういう問題等につきまして、われわれはもちろん必要、重要であるということは全く同感でありますが、こうした大きな、四十三年から実施するという場合には、先ほど私が申し上げましたようになかなか問題もあるようであります。私が先ほど審議会のような機関を設けてこの機関で十二分に検討する、こういうことを申し上げたわけでありますが、大臣文部省等とも慎重にこの問題は検討する、こういうお話がありました。やはり重要な問題でありますから、私は審議会のような機関をつくる、こういうことを申し上げたとおりでありますが、もう一度大臣の、この大学通信教育に対する基本的な構想といいますか、お考え、簡単でけっこうでございますからお尋ねを申し上げたいと思います。
  35. 小林武治

    小林国務大臣 これはお話しのとおり非常に大事な、しかも非常に困難な問題でありまして、一つはまた学校教育にかわる教育、こういうことでありますから、その内容とか可能性とか、こういうものについては文部省がその資格を認めなければ何にもなりませんから、一番大事なものは通信教育を受けた者を文部省が国家的に資格を認める、これがなければ意味がない。そのことについてはいろいろの科目その他において文部省がある程度の自信を持ってつくらなければできない、こういうことでありまして、郵政省あるいは放送当局者はそれに通信教育の手段を提供する、こういうことがおもな役目でございますが、あくまでも実態は文部省において構想をまとめてもらう、こういうことにいたさなければならぬと思います。したがいまして、いまお話のようにそれだけの時間がいまの放送時間の中にあるかどうか、こういう問題もありますし、もしどうしても国家的に必要ならば何らかの手段でその時間もふやす必要も生じてくる、こういうことから、関係者をひとつ包含した審議会等で十分の検討をいたして、そして結論を得たい、かように考えております。
  36. 松澤雄藏

    松澤委員長 この際お願いを申し上げておきます。速記の関係上各発言者の方々は少し声を高めにお願いいたしたいと思います。  樋上新一君。
  37. 樋上新一

    ○樋上委員 時間の関係上簡単にお尋ねいたしたいと思います。  私は日本放送協会四十二年度予算審議にあたって、最近のテレビラジオ国民生活、特に青少年に与える影響が非常に大きいということを痛感するのでございますが、特に教育の面でどのような配慮がなされているか、それをお聞きしたいと思います。   〔委員長退席、加藤(常)委員長代理着席〕  さらに四十二年度予算の事業計画をみますと、教育テレビは一時間半時間をふやして十八時間に拡充することにしていると聞きますが、その内容はどういうものか、またどんな番組を新設することにしておられるのか、協会の御方針、会長の御方針を伺いたいと思います。
  38. 前田義徳

    前田参考人 全く同感でございまして、NHKの社会的使命あるいは放送法上の使命の重大な一つとして、御質問の事項がわれわれの任務として規定されていると考えております。したがいまして、NHKは青少年の教育あるいは教養の向上については、特にNHK放送法に基づいて制定しております番組基準の中でその問題を各方面から規制いたしまして、これを促進していくという原則をまとめているわけでございます。ただいま御質問の点につきましても、私どもは年々積極的な方向で番組審議会の御意見も承り、さらに各方面の御意見をも参考といたしまして、毎年新しい番組制作を行なっているわけでございますが、御質問の後段につきましては、放送総局長をしております浅沼専務から詳細にお答えさしていただきたいと思います。
  39. 浅沼博

    ○浅沼参考人 お話しのように、教育テレビジョンは一時間半の時間増を行ないまして、その内容は語学教育の拡充とそれから教養番組の増強でございます。語学教育内容は、中国語とスペイン語、それから教養番組の内容といたしましては、長時間にわたるN響の演奏会、あるいは古典芸能の鑑賞、それから教育記録番組といったようなものが予定されております。
  40. 樋上新一

    ○樋上委員 教育テレビのいわゆる学校放送は、現在どの程度利用されておるか。これを幼稚園、保育園、小学校、中学校、高校というぐあいに別々にお答えをお願いしたいと思います。
  41. 浅沼博

    ○浅沼参考人 学校放送がどういうぐあいに利用されているかと申し上げますと、幼稚園の場合にはラジオが四四%、テレビが八一%、それから保育所の場合はラジオが三五%、テレビが九一%、それから小学校の場合はラジオが五四%、テレビが七八%で、ここまではラジオよりテレビのほうがより多く利用されております。それから中学校以上になりますとこれが逆になりまして、中学はラジオが三〇%、テレビが二七%、それから全日制高校におきましてはラジオが三三%、テレビが約八%、次に定時制高校におきましては、ラジオが一七%、テレビが約六%、大体中学校以下はテレビのほうが多く利用されておる。それから中学以上はラジオのほうが利用率がよろしいという結果になっております。
  42. 樋上新一

    ○樋上委員 ただいまの御答弁によると、高学年になるほど利用率が減っているというが、これには何か対策がおありになるのですか。
  43. 浅沼博

    ○浅沼参考人 高学年になると利用率が減ってくるという根本的な理由の一つは、中学以上になりますと教科担任制ということになります。つまり小学校の場合にはほとんど全科目を一人の先生が授業いたしまして、その先生の裁断で放送時間に授業時間を合わせるということが可能でございますが、中学校高等学校になりますと、各科目ごとに先生が違ってまいります。したがって、放送時間に授業時間を合わせるということがすこぶる困難になってくるわけでございます。これを救済する方法としましては、ラジオ番組の場合にはテープでとる。それで適当な時間に再生する。それからまた小型のビデオテープレコーダーというものがもっと普及してまいりますれば、テレビの番組もそういうふうに、ラジオのケースと同じように扱うことができるだろうというふうに思っております。それから高等学校になりますと、入学準備というものが非常に激しく行なわれておりまして、つまり進学のための受験準備ということのために、視聴覚教育というものが第二義的に扱われているというのが現実の姿でございまして、これは昭和三十九年度あたりから、私ども高等学校向けの番組を増強いたしましたり、また全国の高等学校の約三千七百校の先生方を放送教育研究会に加入してもらいまして、視聴覚教育というものがいかに本質的に重要なものであるかということを研究していただいておりますので、逐次そういった高学年になるに及んで利用率が減ってくるという傾向が少なくなってまいるのではないかというふうに存じております。
  44. 樋上新一

    ○樋上委員 いまお伺いしまして大体わかったんですけれども、私も、テレビの小型ビデオですか、これを中学なんかの専科のときに多く利用されて、また放送局から技術指導などに出向かれてそういう点に力を入れられれば、この利用度は多いと思うのでございます。これは私の私見でございます。  では次に、NHK学園の通信制高校についてお尋ねしたいと思います。NHK通信高校は設立後四年を経過しておるが、放送を手段にした通信教育はかつてない教育形態であるだけに、各方面から非常に注目されておる。その成果は十分あがっておるのでしょうか。いわゆるNHK教育放送の向上に十分役立てることができたとお考えになっておるか。ことし初めて卒業生が出たといいますが、その点はどうでありましょう。
  45. 前田義徳

    前田参考人 私どもとしては、ことし初めて卒業生を送り出して所期の目的を達したという確信を持っております。ことし卒業いたしましたのは合計二千四十数名でありまして、通信高等学校、これは全国にございますが、その卒業生のうちの三分の一強がNHK学園の卒業者であったという実績をまず獲得したわけでございます。私はこの点については、年を追うごとに放送番組の内容等と関連しまして効果はますますあがるもの、このように考えております。
  46. 樋上新一

    ○樋上委員 では次に、中波による混信対策についてお尋ねいたしたいと思います。中波による放送は年々外国電波による混信がひどくなっておると聞きますが、被害の程度はどういう程度か。またその対策としてはどんな手段を講じておられるか。この問題につきましてはNHK並びに郵政省両面から御答弁願いたい、こう思う次第でございます。
  47. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 中波の混信状況でございますが、ここ数年来近接諸国からの電力が増大してまいっております。御指摘のように混信妨害の状況は年々ふえてまいっておるのが、実情でございます。現在この被害を受けております状況は、NHKの第一放送で約十四波、第二放送で四波、民放で十三波、大体こういった状況であります。これらの混信は中共、韓国、ソ連、こういった点からでありますが、当然わが国の電波権益に関係するものでございますから、それぞれの関係国に対しましては抗議を行なっておるという状況であります。本件につきまして毎々委員会におきまして御指示いただいております。私どもといたしましても極力この点は抗議をいたしておりますが、なかなか解決しないのが現状でございます。それでこういった隣接諸国の電力は強くなってまいる。またそういった状況に伴いまして私どもといたしましても極力実際上の自己防衛の面から抗議することもいたしますが、別途波の調整等もいたしておる次第であります。ただ、どういたしましても、ラジオの周波数の中におきましては解決が困難であるといった点にもぶつかっております。この点につきましては将来超短波放送等を一緒にいたしまして解決策を考えていくことになろう、かように存じます。
  48. 三熊文雄

    ○三熊参考人 NHK側からお答え申し上げます。  ただいま電波監理局長のお答えのとおりでありまして、われわれといたしましても非常に困っておる次第でございます。解決策の希望といたしましては、ことしの秋に再免許の時期がきますので、NHKとしましてはでき得る限りそういった機会に周波数の変更をお願いし、また増力できるものは増力をお願いしたい、こう考えております。  同時に第二放送につきましては、御承知のとおり大阪超大電の計画がいま進んでいまして少し時期はおくれたのですが、来年度になりますとそれが完成すると思いますので、そうしますと九州一円についての混信はある程度軽減される、こう思っております。  またただいまのお話のとおりFM放送によりまして、必要な区域につきましてはそのFM放送を利用していわゆる短波の混信の対策ということも現在考えております。
  49. 樋上新一

    ○樋上委員 混信対策として大阪に超大電力局を建設しておる。それはいつごろ完成するのですか。
  50. 三熊文雄

    ○三熊参考人 はなはだ申しわけないのですが、昨年からずっとかかっていました土地の問題がなかなか解決しなかったのですが、二月の終わりに一応土地問題も解決いたしまして、したがって、これから着手いたしまして、いまの予定では四十三年度一ぱいと少し四十四年にかかると思いますが、四十三年の五月か六月くらいになるかと思いますが、早く完成したい、こう考えております。
  51. 樋上新一

    ○樋上委員 超大電力局ができても県別放送の救済はできない。結局FMによらざるを得ないのではないか、こういうことを考えておるのですか、そうなんですね。
  52. 三熊文雄

    ○三熊参考人 この第二放送の大阪の超大電の目的は、いわゆる大阪をカバーするというのが目的でなくて、九州その他のところをカバーするという目的で出すものですから、おっしゃるとおり超大電の周辺のローカル放送はむずかしい、こう考えております。
  53. 樋上新一

    ○樋上委員 次に放送センター第二期工事の進捗状況は現在どうなっておるか、お尋ねしたいと思います。  もう一つ続けて言いますが、第二期工事の規模はどれほどか、第一期工事より大きいのか、こういう点も……。
  54. 三熊文雄

    ○三熊参考人 放送センターに関しましては、御承知のとおり第一期工事を完了しまして現在運用しておるわけですが、現在のスタジオ事情から申し上げまして、テレビが第一期の工事では八つあります。しかしながら第二期におきましてはそれを十二ふやしまして二十というように拡張していくわけなんですが、第二期工事自体の規模を申し上げますと、総面積一万四千三百坪、そういう坪数のものをいま建設中でございます。大体の予定はこれのできますのが、家自体は四十三年の三月完成しまして、内部に機械を置きますと、四十三年六月までに全体的に完成する予定でございます。
  55. 樋上新一

    ○樋上委員 第二期工事完成後、いわゆる外国放送センターと比較してどうか。また第二期工事の完成によりスタジオの事情はどういうように改善されるか。また本館との有機的な使用について十分考えておられるか、こういう点について伺いたいと思います。
  56. 三熊文雄

    ○三熊参考人 一番初めの外国との関係に関しまして申し上げます。  第二期工事完成後におきますNHK放送センターは、よそに対しまして相当優位な立場にあると思います。ただし現在モスクワで建設中であります放送センターに比べますと、約半分程度という状況であります。   〔加藤(常)委員長代理退席、委員長着席〕 その他ほかの国に比べましてもNHK自体のものは大体上位に位する、こう考えております。  それから第二期工事が終わりましてからのスタジオ事情を申し上げますと、現在の第二期工事が終わりますと、あちらで娯楽及び教育関係の番組は全部やります。それであと現在の放送会館では報道関係及び国際放送をやります。そうしますと、スタジオ事情とすれば十分である。こう考えます。ただし遠い将来のことを考えますと、やはり日進月歩する状況でありますから、場合によると増築その他のことを将来は考えなければならぬ、こう考えますので、余地は十分残しております。  それから最後に、センターと会館との間の問題につきましては、十分その点を考慮しまして、いま申し上げましたとおり会館側にはいわゆる報道及び国際放送、それからいろいろなものを出します送出センター、それから統括センター、経営センターというものは全部残す予定でございます。したがって会館とセンターとを有機的に十分活用できる方向へ進めていく予定でございます。
  57. 樋上新一

    ○樋上委員 四十二年度テレビの置局計画ラジオ並みのカバレージに近づくためには四十三年度以降は何局くらいの建設が必要か、協会側のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  58. 三熊文雄

    ○三熊参考人 四十二年度で御承知のとおり百二十局行ないますが、それで九五・五%のカバレージになります。その後九八%を目標として考えますと、大体五年近くかかりますが、そうしますと、全体の数で申し上げますと約千地区、局にしまして千二百局以上つくらないと九八%にならない、こう考えております。大体それを五ヵ年程度でやりたい、こう考えております。
  59. 樋上新一

    ○樋上委員 最近のテレビの子供番組は非常に俗悪な漫画が多いように思うのです。漫画というものは子供はみな喜ぶのですけれども、この漫画が非常に俗悪な漫画が出てきて、親たちも顔をしかめなければならぬようなことが出てくる。NHKとしては子供番組についてどのような方針を持っておられるか、こういう点についてひとつお伺いいたします。
  60. 浅沼博

    ○浅沼参考人 NHKの子供番組に対する編成方針をまず一口に申し上げますと、児童の人間形成と情操教育ということに主眼を置いております。もう少し具体的に申し上げますと、私としましては、ともかく児童に対して誠実と愛情と勇気というものを与えることが何よりも大事ではないかというふうに考えておりまして、具体的な番組といたしましては、東洋、西洋を問わず名作物語、あるいは子供の科学知識を普及するための科学ものとか、それから情操教育のための音楽もの、それからまた幼児に対しましては、情操教育のための人形芝居とかお話とか歌とか、そういったものを放送いたしております。おっしゃるとおり、これはたとえばゴジラとか、ああいった怪獣もの、それから漫画ものというのは確かに子供に絶大の人気がございますけれども、いまのNHKの子供の時間ではそういうものは取り扱っておりません。
  61. 樋上新一

    ○樋上委員 郵政大臣にお伺いしたいと思います。  先ほどテレビ大学講座の問題が出ましたが、まだまだなかなか進捗は長期を要するとおっしゃいましたが、現在、科学教育振興というねらいで東京十二チャンネルが発足しておる。これに向かって、非常に経営が財政的に思わしくないという結果が出ているようにも聞くのでございますが、この点何とか、現在の十二チャンネルに——科学教育がいわれているのですから、政府がこれを助成していく、わずかばかりの補助はそれは出ておるんだろうと思いますけれども、このせっかくできた十二チャンネルをもっともっとこういう赤字財政でなしに、いわゆる高度に生かしていく。またこの十二チャンネルにおいて利用している通信制工業高校、この運営状況は一体どうなっているのか。この程度の放送教育効果があるか、いわゆるこの通信制工業高校の効果というような点についてどう考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  62. 小林武治

    小林国務大臣 ただいま十二チャンネルが財政的な困難のために営業時間もたった五時間半に短縮しておる、したがって、電波国民のために効率的に活用する、こういう意味からいたしますればきわめて遺憾な状態にある、こういわなければなりません。現在五時間半のうちの三時間がいまお話し工業課程高等学校のために使っておる。これは四年制をとっておりまして、現在まだ三年でありまするが、そこまでであります。生徒がいまのところ四千七百名入っておるということで、教育内容そのものについてはあまり遺憾の点がない、ある程度効果を発揮しておる、こういうふうに考えております。すなわち五時間半のうち三時間はいま工業教育課程の通信教育をやっておる、こういうことでありまして、現存の学校通信教育についてあまり私どもは悪い点はない、こういうふうに思っております。しかし、全体としましていまの十二チャンネルの状態はきわめて遺憾な状態にある。財団当局におきましては、この累積赤字等も解決をして、そうして堅固な財政基盤によって再建をしたい、こういうことで着々いま計画を進めておるようであります。私どもも四月一日からそういう体制のとれるように具体的の計画を持ってくるようにということを督促いたしておりますので、財団当局はそのつもりでやっておりますが、まだ私どものところにはさようなものが出ておらない、こういうことでございます。大体われわれもただ断片的に聞いておるのは、これを八時間半に延長をして、そして電波の活用をはかっていきたい、こういうことになっております。急いでまた計画を出させまして、検討の上でひとつ電波の使用上について遺憾のないように指導をしたい、かように考えております。
  63. 樋上新一

    ○樋上委員 放送番組その他に関しまして質問を終わりますが、お願いすることは、冒頭に申し上げましたように国民生活、特に青少年に与える影響が非常に大きい、こういったところに重点を置かれまして、社会のためにひとつ十分なる検討計画とを持たれてこれを実施をしていただきたいという希望を申し上げて、放送に関する問題は終わりたいと思います。よろしくお願いします。  最後にこの受信料問題についてお聞きしたいのですが、私はこの問題は小林郵政大臣NHK前田会長から直接答弁していただきたい、こう思うのでございます。昨日の委員会で森本議員から質疑がありましたが、来年度から乙の受信料を全廃した場合は四月一日から実施をする受信料の収入見込みが七億二千万円減収となる、協会並びに郵政省としてはこの減収分をどういうふうに補てんされるお考えでありますか、テレビの受信世帯の伸びが頭打ちをしている傾向にあり、七億二千万円は協会財政にもかなりな影響をもたらすと考えますが、どのようにお考えですか、お伺いしたいと思います。
  64. 小林武治

    小林国務大臣 これは昨日申し上げましたように、ラジオ単独の受信料は廃止をするほうがしかるべきであるというふうな方々の要望がありまするので、私どもはこの問題について検討をしておりまするが、昨日ここで答弁をいたしたように、ここに出ておる予算にはひとつ影響のないようにしたい、かように考えております。
  65. 前田義徳

    前田参考人 乙料金の問題は、私ども立場で申しますとこれは放送料金の中の、ある意味では技術的な名称だと考えております。ただ現行放送法によって、現行放送法がある限り私どもとしては、たてまえ上もそれからNHKの性格からいってもこれを全廃するかどうかという問題は、NHK自体にとってはこれを決定し得ない問題であるというのが私どものたてまえでございます。同時に、しからば御指摘のような財政上の問題がどうなるかという点になりますと、これはやはりその部分で取り上げてみますと七億数千万円というような御指摘の数字もございますが、毎年ラジオ放送に投じておる経費は大体平均して考えて百十五億に達しております。したがいましてただ単に全体の一部を取り上げて、私どもとしては、経営の責任をまかせられる者としては単純にこの問題を考え得ないという考え方を持っているわけでございますが、明年度予算は、御審議の過程で御理解いただけるかと思いますが、新たに負担にたえない方、また社会政策上負担を免除するほうがよろしいという考え方のもとに郵政大臣のお許しをいただいてその措置をとることにしているわけでありますが、この問題はNHK自体としては将来構想の中でこれをどう解消していくかということを考えるべきだというたてまえに立っているわけでございます。
  66. 樋上新一

    ○樋上委員 いまの甲料金の三百三十円に含まれているのですね。ラジオの分が三十円含まれている、そうなんですね。
  67. 前田義徳

    前田参考人 現在のたてまえはそのとおりでございます。
  68. 樋上新一

    ○樋上委員 われわれとしては、庶民の負担が少しでも軽減することが望ましい、いわゆる全廃してやっていただきたい、こういうことをこの際強調するものでございます。今度の問題につきましては慎重に、経営の面についても、健全な財政面についても、十分な配慮をしていただきたい、こう要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  69. 松澤雄藏

    松澤委員長 午後一時より再開することとし、この際休憩いたします。    午前十一時三十一分休憩      ————◇—————    午後一時十四分開議
  70. 松澤雄藏

    松澤委員長 これより再開いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を続行いたします。森本靖君。
  71. 森本靖

    ○森本委員 この四十二年度予算案を審議いたしますのにつきまして、郵政大臣意見書が例年のとおりっいておるわけでありますが、まず私はこの郵政大臣意見書について郵政大臣にお伺いしたいと思います。  この意見書は、例年の意見書と違ってかなりNHKに対する注文といいますか、そういうものが相当加味せられておるように考えるわけでありますが、この中で、意見書の最初の前文に、「事業計画中、放送網の建設計画については、免許方針との関連において、変更の必要が生ずる場合もあると考える。」とありますが、これは具体的にいいますと、内容はどういうことであるのか。この具体的な内容をひとつ御説明願いたいと思うわけです。
  72. 小林武治

    小林国務大臣 ことしの意見書が格別そう大きな意味があって変わった、こういうふうには考えておりません。当然のこととして、公共的使命を負っておるNHKの心がまえとして、予算執行の適正化、健全化に一そう気をつけてもらいたい、こういうことをいうておるにすぎないのでありまして、ただいまの具体的な内容についてのお尋ねでありますが、これについては電波監理局長からお答えをいたさせます。
  73. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 ただいま大臣から申し上げましたように、ことしの意見書が特に例年と変わっておるというふうなことはございません。第一項におきましては、NHKは当然放送法によりまして多くの使命を負っておるものでありますから、放送の普及、発達とともにその使命は年々重くなってくるわけであります。その点からもNHKが事業全般の運営に一そうつとめていくということを期待しておることは当然であろうと、かように思うわけであります。  第二項につきましては、NHKの事業はまず受信料から成り立っておるわけでございます。したがいまして一般聴視者から徴収いたすことに相なりますし、いたずらに聴視者の負担増を将来とも招くことのないように、経費の節減、効率的使用、こういった面に留意してもらいたい、こういったことをここに書いてあるわけでございます。  第三項につきましては、放送を全国的に普及する、こういったNHKの使命を全ういたしますために、建設費に余裕を生じました場合、テレビジョンの難視聴地域の解消のために置局の促進等一そう配慮せられたい、こういった意味で書いてあるわけでございます。
  74. 森本靖

    ○森本委員 それで、具体的にというのは、この「事業計画中、放送網の建設計画については、免許方針との関連において、変更の必要が生ずる場合もあると考える。」ということはどういうことか、こういうことです。
  75. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 その点、実は周波数の問題がからんでまいるのでありますが、特にいま超短波放送の建設等四十局くらい予定されております。このためには省でつくります周波数計画、またこれに伴う免許方針等にも影響いたしますので、そういう点等とも考え合わせて、予見し得ない場合もあるかもしれない、周波数の割り当てにつきましては必ずしも現在きめるわけにいかない点もございますから、その点を特に書いただけであります。
  76. 森本靖

    ○森本委員 「放送網の建設計画については」というのは、そうすると主にFM放送のことですか。
  77. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 特に想像されます心配点はその点でございます。前回でありましたか、四十一年度につきましても同文を書いてございますので、当時におきましても同じことであったと考えております。
  78. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、今年度、結局このチャンネルプランその他によって変わってくるというのは、このFM放送という意味ですか。
  79. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 その程度しかいま予見はいたしておりませんが、それ以外につきましてもポイントいかんによりましては影響するかもしれませんが、まず想像されますのはFMの地点ではないかと考えます。
  80. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、この「免許方針との関連において」云々ということは主にFM放送のことであるということでありましたが、今回のこのNHKの出しておりますところのテレビの置局方針、この中で具体的にいま波の割り当てのないところについてはどの程度あるわけですか。
  81. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 まだ具体的なポイントをよく見ておりませんが、まだ出していないと思います。
  82. 森本靖

    ○森本委員 具体的なポイントをまだ見てないということあるか。「おおむね適当と認める。」と書いてあるじゃないか。君のほうはおおむね適当と認めるのだったら、その内容については、一応一通り検討しておるということになるわけだ。
  83. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 いまちょっと、見てないつもりで申し上げましたが、もちろんそういった点見ております。ただその中におきまして、若干ポイントによってはまだ判断ができない点もある、かように申し上げたわけであります。
  84. 森本靖

    ○森本委員 だから私が聞いておるのは、今年のテレビ放送網のいわゆる置局方針について、具体的に波の割り当てがない局は、いまのところどの程度予想しておるか、こういうことですよ。
  85. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 これは非常にたくさんのポイントがございますから、まだそこまで計画を立てていないという意味であります。
  86. 森本靖

    ○森本委員 計画を立ててないことはないよ。この中にテレビ放送局の置局については何局程度ということが予算にあるわけです。この候補地というものも大体こういう程度ということはこの資料に出ておるわけです。だからこの程度は、郵政省に出ておるでしょう。
  87. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 出ております。ただ、出ておりますが、これは非常にポイントが丁寧に出ておりますので、広域圏との関連等もございますし、これはまだ検討してみなければわからない、かように考えております。
  88. 森本靖

    ○森本委員 これは検討してみなければわからぬようなものをNHK予算として出して、そうしてこれはおおむね妥当であるというふうなちゃらんぽらんなことばをつけて出すのはどうかと思う。要するに郵政省としてはおおむね適当である。しかしながら具体的にはこうだということを書いてあるわけです。だからその具体的な内容について電波割り当てその他について云々というから、それでは今年度テレビ放送の置局については、このいわゆるNHKから出しておるところの置局の方針についてはどの程度波の割り当てがあるのかということなんです。それが初めから君、わからぬようじゃ審議にならぬぞ。
  89. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 FMの波は少なくともNHKに関する限りは十分にあるわけであります。ただ現在御存じのように、実験局、実用化試験局でやっておるわけです。そういった場合に、将来の全体のFMチャンネルプランをつくります場合等を考えますと、広域圏の扱い、広域圏内のポイントの扱い等もいろいろ関連いたしてまいりますので、これはまだきめる段階にはないわけであります。したがいまして、波自身としてはございますが、きめ方につきましてはまだ問題はあるのではないか、かように考えております。
  90. 森本靖

    ○森本委員 一つ一つ区切っていきたいと思うが、私がきのう要求した資料のうちの二六ページに、「昭和四十二年度テレビジョン・標準および超短波放送網置局候補地区名」というものがあるわけです。これらのうちで具体的にいまのプランにおいて波の割り当てがないものはどの程度あるか、こういうことを聞いておるわけです。
  91. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 ここに出ておりますポイントというものは微小局がだいぶある。微小局につきましては、二次プランとしてやるのではなしに、申請のつど審査をしていく、こういった点でありますから、問題が残るのではないか。将来のポイントのとり方と、これは民放との間も影響してくるわけであります。そういった点は、当然そのとおりにはならない場合もあるのではないか、かように思います。
  92. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、微小電力局というものについては、将来第三次、第四次というようなチャンネルプランというものを発表してやるという形をとらぬわけですね。
  93. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 現在のところはとっておりません。ポイントのとり方が、まあ山の中にありますし、よいところを相当慎重に調べる必要もある、こういった点もあると思います。
  94. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、その微小の電力局については、UであれVであれ、そういうものについての具体的なプランというものは発表しない、こういうことですね。
  95. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 さようでございます。
  96. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、このいわゆる微電力以外のところで、この置局について波の割り当てがないところはどの程度ありますか。
  97. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 波自身はすべてございます。
  98. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、これはいわゆる第二次チャンネルプランの中に全部入っておるわけですか。
  99. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 二次プランのところはございません。
  100. 森本靖

    ○森本委員 それはどこだ。
  101. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 これは全部微小局でございます。
  102. 森本靖

    ○森本委員 これは全部微小電力局ですか。
  103. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 二次プランの局は本年度内で終わりますので、これは全部微小局であります。
  104. 森本靖

    ○森本委員 NHKのほうに聞きますが、これは全部微小電力局ですか。
  105. 三熊文雄

    ○三熊参考人 ただいま電波監理局長がお答えいたしましたとおり、二次チャンネルプランは全部終わりまして、二次チャン以外のものが全部出ています。したがって、第三次関係のものがありませんので、まあ微小電力局と称せられるものと思います。
  106. 森本靖

    ○森本委員 それじゃ、微小電力局以外は全部できておるということであって、これから先は全部微小電力局だ、こういうことですね。
  107. 三熊文雄

    ○三熊参考人 そうでございます。
  108. 森本靖

    ○森本委員 それから最初に戻りまして、このいわゆる超短波放送の問題については将来変わるかもわからぬというふうなことでございましたが、いま超短波放送についてはどういう名目でやっておるわけですか。
  109. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 実験局と実用化試験局と、両方の名前でやっております。
  110. 森本靖

    ○森本委員 実験局と実用化試験局は、いま何局ありますか。
  111. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 本年度末で百三十だと思います。
  112. 森本靖

    ○森本委員 百三十も実験をしなければいかぬですか。
  113. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 これは、ここ数年かかりまして、そういった考えできたわけであります。内容といたしましては、受信機の普及発達、それからステレオとモノとに分けてやっております、といった意味も入っております。
  114. 森本靖

    ○森本委員 私が聞いておるのは、実験局というふうに、そういうふうに実験を百何ぼもやらなければいかぬのかということです。今年許可するのは大体何局程度ですか。
  115. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 四十局であります。
  116. 森本靖

    ○森本委員 百六十以上になるわけですが、それほど実験をやらなければわからぬですか、日本技術は。
  117. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 そこは非常にむずかしいところでありますが、受信機もふえていくことに貢献するという幅の広い意味で、現在までこの予算考えられてきた、かように考えております。
  118. 森本靖

    ○森本委員 本論に入りたいと思いますが、いわゆるFM放送については、実験放送局として始めてから、もう五年くらいになると思うのです。いつまでも実験、実験でやるということはおかしいんじゃないんですか、実際問題として。これはもうそろそろ、いわゆる実験局ということでなしに、FM放送局としてNHKに許可をするという形になっていくのがほんとうじゃないですか。
  119. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 その点はおっしゃいますとおりでありますが、少なくとも現在まで民放と、NHKこういったたてまえで、こういった問題を考えてまいっておりますので、そういった点等から考えてみますと、ここまで実験局と実用化試験局とがふえてまいりますと、ぼつぼつ本格的なあり方を考えていかなければならない時期が近づいておるということは考えられます。
  120. 森本靖

    ○森本委員 時期が近づいておるということよりか、もうすでにやっておらなければならない問題であって、実際問題として放送法の改正もようやらぬいまの政府ですから、そういう問題についても具体的にやれというほうが無理かもしれぬけれども、しかし、それは、やはりFM放送等についても具体的にもうはっきりしておらなければならぬ。いつまでも、これが実験局というような形で、何かまま子扱いになるような形の名前でやるということは非常におかしいと思うわけです。  そこで、先ほど大臣木部委員質問に対して答えておりましたが、UHFのチャンネルプランも近いうちに発表したいというようなことを申しておるわけでありますが、具体的に大臣としてUのプランというものを発表する意思があるわけですか。
  121. 小林武治

    小林国務大臣 まだいつと申し上げる時期にはなっておりませんが、そういう機会を持ちたいと思っております。
  122. 森本靖

    ○森本委員 機会を持ちたいというのは、そういうふうないわゆるUのチャンネルプランというものをこの年内に発表するというような意思があるわけですか。
  123. 小林武治

    小林国務大臣 確定的の時期は申し上げられませんが、私の希望としては、できたら年内に発表するようにしたいというふうに考えております。
  124. 森本靖

    ○森本委員 年内というのは、四十二年度中にこのUのいわゆるチャンネルプランを発表したい、こういうことですか。
  125. 小林武治

    小林国務大臣 私の希望としては、そういう考えです。
  126. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、このUのチャンネルプランの発表については、同時にFM放送のプランも発表する、こういうことになるわけですか。
  127. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 直接には関係づけてはおりませんが、しかし、ただいまのお話等もあり、極力早い機会に考えはまとめなければいけないとは思っております。
  128. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、結論的に言うと、Uのチャンネルプランと超短波放送のいわゆるFM放送についてのチャンネルプランも本年度中に大臣としては発表したい、こう考えられておると解釈をしていいわけですか。
  129. 小林武治

    小林国務大臣 いま、一応そういうふうに考えております。
  130. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、そのチャンネルプランについては、放送法の改正があるなしにかかわらずそれをやっていこう、こういうことですか。
  131. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 放送法電波法の改正につきましては、すでに前回の、当時のいろんな御意見中心に鋭意検討努力いたしておりますが、それと並行的に考えていかなければならないのではないかと考えております。
  132. 小林武治

    小林国務大臣 いま、電波監理局長からお話のように、われわれとしましては、なるべく早い機会に放送法の改正を出したいということで準備をいたしておりますが、現在確定的にこの国会に出せるかどうかということになると、この際はっきりお答えはできない、こういう段階でございますが、検討は、いまお話のように、同時に進めていきたい、こういうふうに考えております。あるいはずれが出るかもしれぬということは考えられることであるというふうに思っております。
  133. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、UとFMのチャンネルプランは、年内には発表したいと言っておられるわけですから、具体的に、それでは、放送法を改正をして、そうしてチャンネルプランを発表するということが正規の道であるけれども、年内に一方でチャンネルプランを発表し、いまの国会において放送法電波法の改正を国会に上程をして通過さすということは、ほとんど政治的に困難である。こういう情勢にあるわけですから、いまの大臣の答弁を総合してみますと、結局、放送法電波法の改正については考えておるけれども、これがおくれるかもわからない。しかしながら、全国的にUのチャンネルプラン並びにFM放送チャンネルプラン等については、ぜひ発表したい、こういうことを言っておるわけですから、大臣が言われておるとおりそれがずれてチャンネルプランだけが発表されるということもあり得るということになるわけですか。
  134. 小林武治

    小林国務大臣 これは私が希望を申し上げておるだけで、必ずそうなる、そういうことを申し上げておるわけではありませんが、しかし、そういう場合には、ずれることもあり得るかと、かように考えております。
  135. 森本靖

    ○森本委員 そうなりますと、これは非常に重要な問題でありまするが、そうすると、このUのチャンネルプランを発表するということについては、個々の地区におけるプランを発表するということでなしに、全国的なチャンネルプランを一ぺんに発表してしまう、こういう形をとるわけですか。
  136. 小林武治

    小林国務大臣 私は、これらの問題は、事務当局意見をできるだけ尊重しなければなりません。したがって、これらのことについて事務当局が私にかわってお答えしたことは、私の考えと同じにひとつおとり願いたい、かように考えます。したがって、局長から随時お答えすることをお認めを願いたいと思います。いまの問題につきましては、私はただそういうことを希望しておる、こういうふうに申し上げておるのでありまして、もしそういう事態があるとすれば、やはり局部的でなくて、広範と申しますか、そういうふうな意味においてできるであろう、こういうふうに考えております。
  137. 森本靖

    ○森本委員 私のほうは、大臣に聞くときは大臣に聞いておるわけであって、事務当局に聞くときは事務当局に聞くということを言うわけですから、大臣、御心配なさらずに、大臣に聞いたときには大臣からお答え願いたい。やはりいまのような問題は、これははっきりいって事務当局では答えができないわけです。これは明らかに政治的な問題であって、そうして最高の責任者が断を下さなければならぬ問題でありますから、特に大臣から聞いておるわけでありますが、いまの大臣の御発言でいきますと、Uのチャンネルプランは、発表する際には、個々の具体的なチャンネルプランを発表するということでなしに、全国的なチャンネルプランを発表することになると、こういうふうに解釈をしていいわけですか。
  138. 小林武治

    小林国務大臣 これは、私が役所の方針なりを確定的にこれを申し上げておるわけじゃありませんが、私がいま申し上げておるように、そういうことを希望しておる、したがって、そういう際にはお話のような事態になりはせぬかと、かように考えております。
  139. 森本靖

    ○森本委員 お話事態になりはせぬか、こう考えておる、ということでなしに、これはやはりあなたがきめることですよ。事務当局事務当局として、単なる事務的な意見をあなたに進講するでしょう。しかし最終的には、これは大臣責任においてきめるべき重要な問題です。だから、私はあなたに聞いておるのは、いま言ったようなそういう重要な問題についてのみ大臣に聞いておるわけです。そういたしますと、結局、このUのチャンネルブランを発表するというときには全国的なチャンネルプランである、個々のチャンネルプランではない、こう解釈していいわけですか。
  140. 小林武治

    小林国務大臣 私が申し上げておることは、先ほども、個々の問題ではないようにしたいんだということを申し上げておるから、お話のとおりじゃないかと思います。
  141. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、具体的にそういう問題について、大臣としては、どういう形におけるUのチャンネルプランというものを発表したいというふうに考えておられますか。
  142. 小林武治

    小林国務大臣 これはいま申し上げるように、きまっておればさっそく申し上げますが、そういうことを希望しておると、こういうことでありますから、まだ形体とかそういうようなことにつきましては具体的に申し上げる時期でない、時期になっておらぬ、こういうことでございます。
  143. 森本靖

    ○森本委員 具体的に内容ということでありますけれども大臣も就任せられて、かなりいろいろ内容をもう承知しておられると思いますので、いわゆるチャンネルプランをつくりたい、こう言われておる。そのつくるということについては、一応どういうふうな構想においてつくりたいと考えておるのか、これを聞いておるわけです。だから、詳細なものを聞いておるわけじゃない。大体のアウトラインというものはどういうものであるかということを聞いておるわけです。
  144. 小林武治

    小林国務大臣 そのアウトラインもまだできておらない。私は、たとえば年内にさようなものをつくりたい、こういうことを考えて、そしていま検討をひとつさしておる、こういうことでありまして、そういうふうな、どんな形とか、どんな方法とか、こういうようなことをまだ私も聞いておりませんから、ただ私はそういうチャンネルプランをできるだけ遠い将来でないうちにつくったらどうか、こういうことを言うておるのであります。
  145. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、具体的に聞いていきたいと思いますが、Uのそういう全国的なチャンネルプランをつくるという場合に、Uの親局も設置していくと、こういう方針ですか。
  146. 小林武治

    小林国務大臣 まだそれらのことについて、むろん成案を得るとか、検討の結果が出ておるとか、こういうことではございませんから、さような向きについてはさしむきお答えができない状態にあるということでございます。
  147. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、Uのチャンネルプランを発表したい、内容はさっぱりわからぬと、こういうことですか。
  148. 小林武治

    小林国務大臣 ただいまはそういうことでございます。
  149. 森本靖

    ○森本委員 そういうことでございますということでありますと、内容を聞いてもわからぬと、こういうことになりますから聞きませんが、しかし、それは大臣答弁としては一応無責任な答弁だろうと思うのです。実際問題として今年度中に発表したいということを言われるならば、現に大臣としてはどの程度の構想において持っておるかくらいのことは——内容がなければ、発表したいなんという答弁をすべきじゃない。だから、そういう点についてもまだ検討をしておるということならわかるけれども内容を発表したいということを言っておって、具体的な内容はまだ全然わからないというふうな、そういう無責任な答弁をしてはいかぬと思う。答弁についてはそれぞれの関連があるわけでありますから、そんなら初めから、Uのチャンネルプランについては全然まだ考えておりません、こう言ったらすっきりする。Uの全国的なチャンネルプランについては考えております、内容についてはわかりませんということでは、答弁の前後がおかしいわけでありますが、しかし、別にあげ足を取ってどうこうというわけじゃありませんので、この問題についてはこの程度にしておきますけれども、そういたしますと、放送法の改正についてもいま鋭意検討中、こういうことでありますが、その放送法の改正については、具体的に内容については、それじゃまだ一つもわからぬ、こういうことですね。
  150. 小林武治

    小林国務大臣 これまたおしかりを受けるかもしれませんが、検討をしておるのでありまして、いろんなことを追加したい、あるいは調整をしたいと、こういうことを考えておるわけでありますが、多少わかったこともあろうと思いますので、もし何なら電波局長からひとつお答えをいたさせます。
  151. 森本靖

    ○森本委員 局長からは要らぬ。それでは、内容はまだわからぬ、こういうことですね。
  152. 小林武治

    小林国務大臣 ここで申し上げる段階に至っておらぬ、こういうことであります。
  153. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、内容は一切わからぬという答弁でありますので、一切わからぬものを何ぼ聞いてもわかりませんから、これ以上聞くことはやめますが、さらにこの第二項の「放送網の建設計画については、免許方針」云々ということについては、これは一応FM放送のことが主であるということがわかったわけでありますが、それから次の一の項ですが、これをひとつ具体的に説明を願いたいと思います。これは事務当局からでもけっこうです。
  154. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 ここに書いてありますことは変わったことばではないのでありまして、テレビの普及はますますふえてまいりましたことに伴って、社会的責任がふえてくる。だから厳正な態度をもって事業の運営をしっかりやってもらいたいというだけの、これは事業全体に対する一般的な要望であります。
  155. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、これは具体的にこれという内容があって言ったのでなしに、一般的にばく然とこう言った、こういうことだね。あなたの答弁と大臣の答弁と同じようなもので、ばく然とこう言ったと、こういうことだな。
  156. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 一番は事業全体に対しまして、(森本委員「ばく然と言った」と呼ぶ)ばく然といいますか、しっかりやれと、こういうことであります。
  157. 森本靖

    ○森本委員 これはなかなかしっかりした意見書ですから、NHKはこの意見書に基づいて一生懸命やるでしょうが、こういうような書き方をするよりは、ほんとうに意見があるなら具体的に一「厳正な態度をもって事業の健全な運営に努めるべきである。」という書き方をするならば、その裏には何か厳正な態度でやっていないということがあるのじゃないかという邪推がなきにしもあらずです。だからそういう点には遠慮なしに、裏でごちゃごちゃ言わずに出せばいいと思うのです。それは裏でごちゃごちゃ言うたかどうか知らぬが、とにかくいずれにしてもこういう一般的な戒めといいますか、こういうことでは非常に焦点がぼやけるのではないかというふうに考えるわけであって、私は最後にこの意見書について言おうと思っておったわけですが、その次の二項についても、そうするとやはり「その財政の健全性を将来にわたり確保するため、経費節減に対する認識を新たにし、経費の効率的使用について格段の努力をする必要がある。」これなんかはさも何か裏には意味がありそうにとれる。しかしこれも意味がない、ばく然たる戒めである、こういうことですか。
  158. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 年間の予算が一千億に近づいておるわけであります。これを全部自主的に運営をして、国民に対する放送サービスをやってもらいますためには、やはりそういった経費の節減に対しましては極力合理化、節減をはかる、こういったときには政府としては言っておくべき内容であろう、かように考えておるわけであります。自主的にまかしておるだけに、これくらいの要望は必要である、かように考えております。
  159. 森本靖

    ○森本委員 これもとりようによっては、現在の財政の健全性を将来にもずっと貫いていけ、それから経費節減についても少しぜいたくに使い過ぎる、だからもう少し引き締めてやれ、こういうことですか。
  160. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 経理というものは常に節減、合理化、これは経営者、担当職員ともに念頭に置いてやるのが当然であります。そういった意味において書いてあるわけであります。
  161. 森本靖

    ○森本委員 電波局長は経理局長をやったことがあるからそういうことを言って答弁か何かわからぬが、そうするとこれも結論的に言うならばばく然とした戒めと、こういうことですね、具体的にこれということはないと。
  162. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 私どものほうは直接執行にタッチいたしておりませんので、やはり包括的に事業運営をりっぱにやってもらうように期待をするという体制になっておりますと、こういう書き方でお願いをするのがいいのじゃないか、かように考えております。
  163. 森本靖

    ○森本委員 要するに、これもばく然たる一般の戒めと、こういうことにとっていいわけですね。
  164. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 ばく然とでなしに、こういう形でしっかりやっていただきたい、そういう意味でございます。
  165. 森本靖

    ○森本委員 だから私が言っているのは具体的にこれこれという問題でない、一般論としてこういうふうにやってもらいたいという、教育勅語みたいなものですね、これは。
  166. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 具体的な問題ではございません。
  167. 森本靖

    ○森本委員 それから次の三番目ですが、この三番目は私はちょっと具体的になっておると思う。この意見書では「建設計画においては、放送網の建設のほか、演奏所の整備、放送設備の整備等を行なうこととしているが、協会は、放送の全国的普及というその基本的な使命にかんがみ、テレビジョン放送の難視聴地域の解消の促進に、特に力を注ぐべきである。」これは今年度予算を見ても、いわゆる演奏所の整備、放送設備の整備等にかなり金を注いでおるということは事実なんです。だからこの趣旨というものは、そういう面に金を注ぐこともけっこうだけれども、具体的にまだ見えないところがたくさんあるじゃないか、そのほうが先ではないか、これはこういう意味だと私は解釈をして、もっともだと思う。それがもし私が解釈をした意味であるとするならば、そういうふうに考えていいわけですか。
  168. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 せっかく演奏所の整備、放送設備の整備等、いろいろ協会も考えておるわけでありますが、この点はまことにけっこうでありますが、その際にも実際に行なうに際しては少しでも経費を節減し、そのお金をもって全国的普及、難視聴地域の解消がやはり第一である、こちらのほうに極力合理化をした線はまず第一に充当していただきたいという意味でありまして、これは先生おっしゃいましたとおりであります。
  169. 森本靖

    ○森本委員 私もその意見については賛成でありますが、これはNHKのほうにお聞きしたいと思いますが、今年度の建設計画予算と、この放送網の、いわゆる演奏所の整備、放送設備の整備に要する総額は、幾らと幾らになっておりますか。
  170. 志賀正信

    志賀参考人 新年度の建設費が百九十億でございますが、この中でテレビ放送関係の建設費が三十億八千万円であります。それからラジオ放送網の建設関係が十一億五千八百万円でございます。それから演奏所の整備といたしましては、放送センターを含めまして五十八億一千万円でございます。それから放送設備等の整備につきましては七十億九千五百万円でございます。  以上でございます。
  171. 森本靖

    ○森本委員 これは会長にお聞きしますが、これはNHKとしてもいろいろ意見はあろうと思います。確かに現在の県庁所在地の局におけるところのカメラとか、あるいはまたスタジオとかいうものがあると思いますが、いま志賀理事から言われたように、演奏所の整備計画その他が百二十八億、それからテレビの建設局の計画が三十億円、これは少しバランスが違うのではないか、これが逆になっておってもいいのではないかという気がわれわれとしてはするわけですが、どうですか、会長
  172. 前田義徳

    前田参考人 数字の面からお考えになるとごもっともな御意見だと考えますが、放送は電信電話と違いまして、局を置いたから使用にたえるというものではございません。したがって、局を置く以上はやはりNHKのもう一つの責任である番組内容充実、これとを勘案しながらさらに先ほどいろいろ御指摘がございましたが、第二次六カ年計画最終年度として技術革新に応じ得る体制を整えながら、その置局の中身を有効ならしめるということが絶対に必要だと考えております。そういう意味で、数字の面でたとえば演奏所そのものと、それからテレビラジオとの置局の総額とはむしろ置局のほうが多いわけでありますが、同時に内容設備という点については、これはかなりの額を必要とするということになるかと思います。
  173. 森本靖

    ○森本委員 それは会長が言われるとおり幾ら局をつくっても、その中に放送するところの内容が伴わなかったらだめだということは、それはそうでありますけれども、具体的にこの七十億と五十八億というものの内容には、そういうところに限って云々ということでなしに、やはり各地方それぞれの演奏所その他の整備についても入っておると思います。だから、そういう点を考えた場合に、いまテレビの難視聴地域ということについてやかましく言われておるような情勢下にあってするならば、そういう演奏所の整備あるいはそういうところの放送施設の整備ということもきわめて重要であるということはわかりますけれども、現に放送しておるわけです。その放送はいまの内容においてもどうにか放送できるわけです。それをまだ見えないところがあるわけでありますから、その見えないところを先にやるのがほんとうではないか。そうかといって、これを全部捨ててしまえということを私のほうではもちろん言っておるわけではありません。しかし、少なくとも、一方が百二十八億で一方が三十億ということは、現在の放送設備その他についてあまりにも下部の要求を取り入れ過ぎているのじゃないか。そして一般の見えないところの国民の要望というものはあなた方に直接入ってこない。そういう点を会長という経営者の最高責任者である人においてはいま少しやはり考えていく必要があるのではないか。これは予算として出ておりますから、今年度をどうこう言ったところでしようがないけれども、将来にわたってやはり相当考えていくべき点があるのではないか、こういうことを私は言っておるわけです。演奏所の整備とかその他についてはあなたのほうへ直接聞こえてくるわけだ、それぞれ、ここが悪い、あそこが悪い、ここをこう直してもらわなければやれぬということは。しかし、実際に三十億のほうの声は聞こえてこないわけですよ。そういう声なき声のほうを多く先に取り上げていくということを考えていかなければならぬのじゃないかということを私は言っておるわけであって、郵政大臣のこの三項の意見書もおそらくそこにあると私は思います。そういう点は、これは郵政大臣意見書であっても私はかなり将来にわたって尊重していくような態度をとるべきではないか。そうでなかったら、郵政大臣がせっかく意見書をつけても何にもならぬわけであって、その点、本年度のこの予算についていまさら修正云々ということはならぬけれども、将来にわたっては十分考えていかなければならぬのじゃないか、こういう点です。
  174. 前田義徳

    前田参考人 御説ごもっともだと思います。私どもとしては、やはり置局計画放送法の精神からいっても最高の責任であるということを考えておりますが、これにはやはり行政措置との関連もございまして、波の割り当てがおくれる場合もありますし、やはりそれとの関連において、可能な限度は何かということを常に考えざるを得ないわけであります。そういう意味では、私どもとしても、この責任を果たし得る波の割り当て、速度、それから地域というものの決定が非常に迅速にお願いできるならば、もちろんその方向に行くべきだという考え方には変わりはございません。ただいまのお話の中で、局内の施設とか演奏所については耳に入りやすいのではないかということをおっしゃられたわけで、その点は、物理的にはそのようでございますが、しかし、全国の要望については私どもかなり神経質になってこの問題を検討しているということも事実でございます。したがいまして、そういう意味ではもう一つ申し上げますと、これから置局をしていくためにはやはり経済的な技術開発が必要でもございますし、それらの点を勘案し、実情から見ますと、残念ながら、一般技術開発方向におくれをとらないためには、このような数字の盛り方が現状においては必要だと考えております。それからまた、結論的に申し上げますと、第二次六カ年計画最終年度に、振り返ってみて、当時当委員会で御検討をいただきました六カ年計画の置局計画の総数を約六〇%上回って今日まで置局しているという実情も御勘案いただきたいと存じます。
  175. 森本靖

    ○森本委員 ここで一つの要素が出てきたわけで、こういう質問をやってもあながち無意味でないということはわかったわけでありますが、郵政省としては要するにそういう演奏所その他の整備も必要だろうけれども、やはりいわゆる難視聴地域の解消に全力を注ぐべきである。NHKとしてはむろん注いでおります。注いでおりますけれども郵政省のほうの電波割り当てその他についてちっとも行政が進みませんので、その局がわれわれのほうでやりましても迅速にできると思いませんというふうな意味のことがあったわけでありまして、ここに一つの問題点が内容が明らかになってきたわけです。こういう点を大臣承知をしておりますか。いまの答弁について、明らかに会長の答弁と電波局長の答弁を聞いておると、ちょっとは違いますが、NHK郵政省との間に若干すれ違いのところがあるわけです。これは私が前から言っておることですが、この予算内容その他については、郵政省というものが差し出がましいことをあまり言うてはならぬ、しかし今後具体的に置局していくというような点については、これは電波割り当てと免許の問題にからんでくるから、そういう内容については遠慮なしに郵政省NHKとが事前によく打ち合わせをしろ、よろしゅうございますということになっているわけでありますが、そういう打ち合わせはやっておりますか。まず大臣にひとつ聞いておきたいと思う。
  176. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 いま会長申がされました行政の面からおくれるのではないかという点でありますが、この点はFMについては若干あったかもしれません。テレビ等に関してはまず絶対にない、かように考えております。FMにしましても方針に関連しておる場合にあると思います。しかしそれも工事は大体終わっておると思います。会長はむしろこういう意味におっしゃったのじゃないか、ああいう二次プラン以下微小局になってまいりますと、土地の選定それから道路工事、用地買収、こういった面でおくれるからという意味ではないかと私は考えております。少なくとも波の割り当てその他につきましては技師長もしょっちゅう言っておられますし、私らもそういった微小局の波というものはそうむずかしい問題じゃございませんから、きわめて円満にいっておる、かように考えます。
  177. 森本靖

    ○森本委員 きわめて円満にいっておるというように電波局長は大みえ切ったけれども、やはり実際に許可する場合には下のほうでそういうことはあり得るんだよ。電波監理局がなかなか許可せぬで、それでおくれて困る、ひとつ電波局に言うてくれぬかということもあり得る。私のほうから電波局に行ってみたところが、突っぱったすっぱったといって結局最後にはまとまったということがあるわけですが、いずれにいたしましても私はそういう小さい問題をごとごと言おうとは考えておりません。はしなくも、しかし若干にしてもニュアンスの違いがあったにせよ、そういうふうなみぞがNHK郵政省との間にあったのではまずい。とにかくおれのところはいい、おまえのところが悪いということを言っておったのでは話にならぬ。そういうことの結局みぞがあるとするならば、両者がお互いに提携をして克服をしてやってもらいたい、その他の問題については郵政省がとやかくくちばしをいわれる必要はない。しかし置局の問題については、これは行政庁として免許の問題にからんでくるから、予算審議する前には郵政大臣意見書を付するわけでありますから、その前に十分に置局方針その他については、事前に郵政省当局とNHK当局とが、置局に関する限りにおいてはよく打ち合わせをしてやってもらいたい。前の茨城の放送局の二の舞いを二度と演ずるようなことをやってもらいたくないというのが、われわれ予算審議する側の言い分になるわけです。だから郵政省NHKとが、おまえのところが悪い、おれのところはいいとやったところが話にならぬ。それを私が言っておるのは、そこを円満に上手にやって結局国民に喜ばれるようにしてもらいたい、こう言っておるわけでありますから、こういう点は、郵政省並びにNHKのほうも今後ともこの予算の編成にあたっては、置局については十分に連携を密にしてやってもらいたい、こういうことをひとつつけ加えておきたいと思います。  さらに郵政大臣にお聞きしたいと思いますが、NHKの経営委員がいま四名たしか任期切れになっておると思いますが、これはその後どうなっておりますか。
  178. 小林武治

    小林国務大臣 これは、昨年九月でございましたか、任期満了になっておるのでございますが、その人選等も進めまして、手続をしたいと思っておったのでありまするが、特別国会やら解散やら、いろいろな事情で延び延びになっておりまして、この点遺憾に存じておりますが、ただいま手続を進めるようにお願いをしております。
  179. 森本靖

    ○森本委員 これは、昨年の九月の十二日に任期切れでありますが、あれから大体何ヵ月になっておるわけですか、電波監理局長。
  180. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 六カ月になっております。
  181. 森本靖

    ○森本委員 六カ月も前任委員がそのまま任務をとっておるということは、これはあまり喜ばしい事情ではない。大臣も確かに遺憾であると言われましたけれども、特別国会のあるなしにかかわらず、これは九月でありまするから、十月に本来ならば任命しようと思えばできるわけであります。あるいまた、上十二月に任命しても、国会は事後承認でかまわないわけです。いずれにしましても、こういう重要なポストがこれだけあくという点については、私は、郵政省としては任務を怠慢にしている、こういうふうに言われてもやむを得ないのじゃないか、こういうふうに考えますが、この四名の後任については、この国会中に任命をする、こういうことですか。
  182. 小林武治

    小林国務大臣 そうなると思います。
  183. 森本靖

    ○森本委員 そこで、この国会中に任命をするということでありますが、そういたしますと、この国会に、おそらくこの人事案件の承認ということになろうと思いますが、このうちの地区選出の問題は別としても、全国選出については、いつも、議運でもよく問題になるわけでありますが、いわゆる大衆を代表した者、そういうものがいつも入ってないということで問題になるわけでありますが、この次は考える、この次は考える、というのがいつも政府側並びにその方面の回答でありますが、今回の四名の後任については、そういう点も十分に勘案をして私はやっていただきたい、こう思うわけでありますが、どうですか。
  184. 小林武治

    小林国務大臣 これは端的に申して御趣旨に沿うかどうかわかりませんが、広く国民を代表する、こういうふうな意味において選考いたしております。
  185. 森本靖

    ○森本委員 この経営委員で、いままで一番任期の長かった人は何期やっておりますか。
  186. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 三期であります。
  187. 森本靖

    ○森本委員 この今回改正になる人は何期ですか。
  188. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 今回交代の時期にきておられます委員は三期の人が一名……。(森本委員「現在で三期か」と呼ぶ)はい。二期が二名、一期が一名、合計四名であります。
  189. 森本靖

    ○森本委員 まず最初にお聞きしたいと思いますが、そうすると、全国区の経営委員を選ぶ方式はどういう方式をとっておりますか。
  190. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 東京の在住者をたてまえといたしまして、学識経験のある方、かようになっております。
  191. 森本靖

    ○森本委員 東京に居住するというのは、それは法律のどこにあるのだ。
  192. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 法律上にはございませんが、そういうふうに選定の立場を置いているわけであります。選定する場合に、東京に住所のある方のうちから選ぶことを第一義的に従来は考えておったと考えます。
  193. 森本靖

    ○森本委員 これはどこできめておるの。
  194. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 これは内部で、そういうたてまえで考えておるだけであります。
  195. 森本靖

    ○森本委員 どういうわけで内部でそういうふうになっているのですか。
  196. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 会議をちょいちょい——地方のほうは距離的にも遠いということで、そう毎月何回もおいでいただくわけにはいかない。全国的な立場という四人の方については随時出席していただく、こういうたてまえから東京在住者を選定の基礎に置いておる、こういうふうに考えております。
  197. 森本靖

    ○森本委員 それはどの法律の第何条にありますか。
  198. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 法律上はございません。
  199. 森本靖

    ○森本委員 法律にないことをやってもらったら困る。全国区の経営委員というのは、全国どこでも、いわゆる優秀な人をとるというのがこの法律の趣旨でしょう。東京に在住しなければならぬというならば東京に在住しなければならぬと法律に書くわけで、われわれが審議したときにはそんなことをきめた覚えはない。何で東京に在住しなければならぬか。  それから、東京に住んでいる人はちょいちょい来てもらうというが、ちょいちょい来てもらって何をやるか。経営委員会というものを正規に開かなければ経営委員というものをちょこちょこ呼んでも何にもならない。個人的な見解を聞いても何にもならぬ。正規の経営委員会というものは、正規に、一等旅費か飛行機賃か知らぬが、旅費が出ているはずだ。日当も、この資料を見てみたら、ちゃんと二万円出ている。君はそんな心配をする必要はない。そんな、遠いとこから来るとか、来ないとか言って……。
  200. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 地区を通じてという意味は、全国代表という意味というだけで、法律上はございますが、しかし、この方たちはなるべく東京在住の方を中心にひんぱんに研究していただく、こういう意味であったと聞いております。
  201. 森本靖

    ○森本委員 ひんぱんに全国区の人に研究してもらうというようなことは、どこにそんな意味があるのか。聞いたことがない。
  202. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 これは経営委員長並びに経営委員会できめておるんだと思います、運営方法、その他を。
  203. 森本靖

    ○森本委員 経営委員会は経営委員が何人か出席しなければできないということになっておって、東京だけの委員でやるということは、法律上、そんなことはどこにもないのです。
  204. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 経営委員会は、任務としましても御存じのように、日本放送協会の重要事項を決定する立場にございますから、やはりできる限り協会にも来られていろいろ検討される、これは必要だと思います。そういった意味から、この四人の方がそういうふうに常時といいますか、ほかの委員方よりは経営委員会に出てこられる、こういうふうに運営をしておられるのではないかと考えております。
  205. 森本靖

    ○森本委員 そんな運営のしかたをしてもらっては困る。法律の趣旨は、東京の、いわゆる全国区の委員も地方選出の委員も同格なんです。それから、経営委員会は六人以上出席しなければできないということもはっきりきまっておるわけです。それから、その委員の権限は全国区も地方区も同じなんです。何も全国区の経営委員に特別に諮問しなきゃならぬというようなことは法律上はない。すべて、地方区も全国区も同格なんです。いまの参議院議員と一緒です。全国区のほうがえらくて地方区のほうがえらくないというようなことはないのです、この経営委員の法律においても。だからそういうふうな経営委員会自体において差別をつけるということ自体がおかしい。もしそれが事実であるとするならば、郵政省としては、法律を執行していく立場からするならば、その運営については注意しなきゃならぬ。そのしり馬に乗って、東京に住居を有する者なんということは、いつの間にそんなことをきめた。
  206. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 私もよくその点は実はつまびらかにしてないのでありますが、どうも、これができたときにそういうことであったというふうに聞いておるのですが、私が間違っておったらいけませんから、一応その点、保留させていただきます。
  207. 森本靖

    ○森本委員 はっきりと答弁をしてもらいたいと思いますが、できたときにそういうふうになったということにはなっていない。そういうものが何か附帯決議か速記録に残っておるとするならば、それを見せてもらいたい。法律にはちゃんと、地方区が何ぼ、全国区が何ぼということを書いて、その全国区も地方区も同一の権限。それで四名しかいないわけですから、六名以上出てこないと会議を開けないわけですから、全国区だけでは会議を開けないわけです。それで全国区については東一京に居住を有する者ということは一つも書いていない。全国的な視野に立って公共の福祉に関し、公正な判断をすることができ云々、こう書いておるだけなんです。東京に居住なんてきめるのは法律違反ですよ。どうですか。
  208. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 全国的な視野に立てばいいのでありまして、住所はどこにあってもいいと思いますが、ただ選定の第一基準として、東京にはやはり人材も多うございますし、またえらい方は非常に御多忙でございますから、経営委員になられる方は御多忙の方も多いといった意味で、東京におられる方を第一義的に選定したのじゃないかと思います。ただ私過去の状況をちょっと知りませんので、間違っておってはいけませんから、その点保留さしていただきます。
  209. 森本靖

    ○森本委員 保留されたら質問も保留になるが、これは何も東京に住居を有する者というふうにはきまっていない、はっきり言って。そういうものは便宜上郵政省でやっておるかどうか知らぬけれども、この際直してもらいたい。これはそんなら何のために日当二万円渡すことにした。法律の改正のときに……。無給では気の毒だからということでこの法律を有給に改正した、そういう点から考えるとすれば、この全国区については、東京に住居を有するという先入観念は要らぬ。全国的な広い視野に立って優秀な者を選べばいいわけです。それをかってに郵政省で東京に居住するということに解釈をするんだったならば、いまから即刻直してもらいたい。どうですか大臣
  210. 小林武治

    小林国務大臣 御趣旨はよくわかりました。
  211. 森本靖

    ○森本委員 わかったらそのとおりやりますか。
  212. 小林武治

    小林国務大臣 その点はこの際の問題として、それに合うかどうかこれはわかりませんが、森本委員のおっしゃることはまことにごもっともだと思います。
  213. 森本靖

    ○森本委員 それで全国区の委員を任命する場合は、事務的な手続としてはどういうところで選考しますか。事務当局からまず……。
  214. 竹下一記

    ○竹下政府委員 御質問の趣旨は、委員の候補者を選ぶについて、事務的にどういう形で仕事を進めるか、こういうことでございますが、まず委員の任期でございます。経営委員の場合は三年ですけれどもおおむね三期。それから同一の人について十年ということ。これはNHKの場合に限りませんで、いろいろな場合、こういうえらい方の委員の任期についてはそういうことがあるようでございますので、その線を越しそうな人はまず第一交代していただく方になっておると思います。  それから、第二番目といたしましては、いろいろな都合で出席があまり芳しくないといったような方々、それから健康上の理由、そのほか一、二あったかと思いますが、そういう点について経営委員として十全のことをやっていただくについては、いかがかなと思われる方について交代の俎上に上げるということが、第一段階の仕事になってくると思います。それからは、今度はいよいよどういう方を委員に迎えるかという人選の段階でございますが、これはきわめて事務的な仕事の取り運びを申しますと、私ども十分ではございませんけどれも、法律が定めておりますような八つのブロックにつきまして、そのブロックの中で、NHKの経営委員として最もふさわしいであろうという方々……。
  215. 松澤雄藏

    松澤委員長 官房長に委員長から御注意申し上げます。いまの答弁の内容がちょっと違うようですから、もう一ぺんお聞きになってから御答弁なさったほうがいいと思いますから、森本君に再度御質問願います。
  216. 森本靖

    ○森本委員 この全国区の委員の任命については、事務的にまずどういうふうにこれを選考しておるか、こういうことです。
  217. 竹下一記

    ○竹下政府委員 これは先ほどから電波監理局長が申し上げておるとおりでございまして、従来の慣例的な扱いとしまして、やはりいろいろな委員会に出席のできやすい人ということから考えまして、東京居住の人をまず優先的に考えるということにいたしております。
  218. 森本靖

    ○森本委員 経営委員の任命については、「委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、」選ぶ、それは、全国的なものは全国的にそういう視野に立って選ぶ。それから、地方区については、これこれの地方区から選ぶ、こうなっておるわけであって私が聞きたいのは、要するに地方区はあとで聞きますから、全国区については、事務的にだれか候補者を出さなければいかぬのです、大臣のところへ何人かを。その手続は一体どういうところでやるのか。こういうことを聞いておるわけですよ。
  219. 竹下一記

    ○竹下政府委員 法律第十六条で書いてございますように、教育、文化、科学、産業そういった分野が公平に代表されるということを念頭に置いて、そういう分野が公平に代表されますように人を選んでおるわけでございます。
  220. 森本靖

    ○森本委員 そういう人を選ぶのは、事務的にはどこでだれがやっておるわけですか。
  221. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 ただいま官房長から申し上げましたとおりでありますが、人事は官房で扱っておりますので、官房で大体そういった候補者を何名か出してまいりまして、これはあくまで事務的でありますが、そういった点で、この法律の趣旨に沿ったよい人を何名か集めてまいりました者のうちから、大臣、次官において選定される。そして、それを御承知のような内閣手続にもっていく、かような取り運びをいたしております。
  222. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、事務的には官房のほうで五、六人の委員を一人に対して出して、これが適格であるという候補者を出して、最終的にはその中から大臣がぽんときめる、こういうやり方をしておるのか。それとも、内閣総理大臣、もしくは郵政大臣のほうからこれをひとつ推選したらどうか、こういうものを持っていくのか。どういう措置をしておるか。こういうことなんです。
  223. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 従来とも官房におきまして法律の趣旨に沿ったりっぱな方を何名か集めてまいりまして、履歴書もそろえ、大体引き受けていただけるだろうという見込みを立てて大臣に御決定をいただく、こういう手続を踏んでおります。
  224. 森本靖

    ○森本委員 その場合、それは一体官房長がやるのですか。
  225. 竹下一記

    ○竹下政府委員 官房長はいろんな資料を集めましたり、そういう御判断の基礎になるようなものを用意いたしまして、それで大臣におきめをいただく、こういうことでございます。
  226. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、その出した候補者以外にぽんと上からくることもあり得るわけだね。
  227. 竹下一記

    ○竹下政府委員 過去のことは私存じません。今度予定されておりますところにつきましては、そういうことはございませんでした。
  228. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、それから次に、この地方区の任命についてはどういう手続をとりますか。
  229. 竹下一記

    ○竹下政府委員 これもおおむね同様でございます。
  230. 森本靖

    ○森本委員 同様とはどういう意味ですか。
  231. 竹下一記

    ○竹下政府委員 官房におきまして、先ほど少しくどく申し上げましたけれども、八つのブロックに分けまして、そのブロックに居住する人の中で最も適格ではあるまいかと思われる人数名を、きわめて事務的に選びまして、いろんな資料をつけまして大臣のおきめをいただく。手続上におきましては、全国区の委員を選定する手続とそう違いはないわけです。
  232. 森本靖

    ○森本委員 そう違いはないと言って、全国的な場合は君らの場合だからおそらく有名人とか、あるいは部内の元次官をやっておったとか、そういうものが手っとり早いから、そういうものに目をつけてこれとこれとこれがよかろうというようなことで出すだろうと思うが、地方区の場合、そういうことができないでしょうが。
  233. 竹下一記

    ○竹下政府委員 お答えとは直接マッチしないかと思いますけれども、全国的にながめまして、この十六条に書いてございますように、このブロックからは教育関係の方で非常にいい人がおられる、しからば次のブロックでは科学関係あるいは産業関係、こういったようないわゆる各分野が公平に代表されるというようなことを考えまして、そういう人の組み合わせといいますか、そういう点については十分配慮して選考を進めるということでございます。
  234. 森本靖

    ○森本委員 それならたとえば愛媛県と徳島県と香川県、高知県、この四県にどういう優秀な人がおるということをだれがわかる、どうやってわかる、具体的に……。
  235. 竹下一記

    ○竹下政府委員 地方の電波監理局長の意見を求めることもございまます。  それから一々地方に問い合わせませんでも、東京におきましていろいろと検討いたしますれば浮かび上がってくる人もございますし、そういう手でなければならないというものは実はございません。
  236. 森本靖

    ○森本委員 大体いいかげんなものだということがよくわかりました。結局そのときの大臣考え方においてどうにでもなる、だれを引っぱってきても任命になる、こういうことになるわけです、そういう答弁を聞いていると……。要するに、たとえば四国四県から一名出すという場合には、たとえばその四県の知事なら知事に意見を聞いてみる、あるいは電波監理局長が四県の知事に意見を聞いてみるとか、今回は四国から科学の分野で出したいと思うが、どういう人がおるだろうかというような手続を踏んでおるだろうというふうに考えておったが、そういうものは全然やっていない。あと、とにかく電波監理局長に聞くときもあるし、聞かぬときもあるということでありますから、要は、問題はいろいろ言ったけれども、最終的には郵政大臣がぽんこぽんこきめてよろしい、こういうことになるわけでしょう。
  237. 竹下一記

    ○竹下政府委員 詳細について一々申し上げるあれはございませんけれども、たとえば今度の場合にもある地方の知事さんにお尋ねをいたして、それで知事さんのお考えを十分確かめたということもいたしております。画一的なことでなくして、ケース・バイ・ケースでりっぱな人を選考できますように十分配慮してやっておるつもりでございます。
  238. 森本靖

    ○森本委員 ケース・バイ・ケースで気に入らぬことはやらぬと、気に入ったことだけやるということになるわけです。こういうことになるじゃないですか、いまの答弁を聞いていると……。結局、だからそのときの大臣の気に入った者を任命をする、気に入らぬ者はいかぬ、こういうふうに解釈をしなければならぬわけでしょう。これはあなたに言うたところでしょうがないが、いずれにしてもこの経営委員というものはきわめて重要な職務にあるけれども、その選考過程というものはきわめてあいまいもことしておるということがはっきりするわけでありまして、この問題について、いずれ放送法改正その他のときに大きな問題になろうと思いますので、残しておきたいと思いますが、それからいまちょっと官房長が言ったことで気にかかる点がありますが、三期以上はやらさないという原則がありますか。
  239. 竹下一記

    ○竹下政府委員 原則とはいえませんが、おおよその基準というものをつくってやっております。
  240. 森本靖

    ○森本委員 間違いないな、それは。
  241. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 郵政省といたしましては、従来そういう基準はきめておりません。経営委員会の委員の方々で何かそういうお話し合いをしておられたということは聞いておりますが、これは任命が内閣、国会の承認となりますので、あくまでそういったことはございません。
  242. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、何期やってもいいと、こういうことになりますか。
  243. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 たてまえとしてはさようでございますが、ただ国会におかれましていろいろ御意見のあるということは承っております。
  244. 森本靖

    ○森本委員 そこで第十六条の「教育、文化、科学、産業その他の各分野」というのをどういうふうに解釈しておられるのですか、大臣
  245. 小林武治

    小林国務大臣 これは「各分野」ですからどの分野ということなく、広く国民を代表される、こういうことでいいと思います。どの分野でなければならぬということでなく、「各分野」というのはどこからでもよかろう、こういうことじゃないですか。
  246. 森本靖

    ○森本委員 どこからでもよかろうではなしに「教育、文化、科学、産業」というふうにそれぞれの各分野が公平に代表されるようにということであって、どこでもよろしいということじゃないわけであって、たとえば教育から出ておれば、もうそれはその他の各分野から選ぶ、こういう趣旨であるわけでしょう。これは、たとえばこの中でしょっちゅうわれわれがやかましくいうことは、たとえば労働代表とかあるいは農民代表とかいうことも一つの考え方になるわけであって、そういう点も今後十分にこういう点については考慮していかなければならぬとわれわれは考えておるわけでありますが、いずれにいたしましても、今回のこの経営委員の任命についてはおそきに過ぎるということははっきりしておるわけであります。  それから経営委員の任命についても、国会承認でありまするから、議院運営委員会その他においては十分に論議をいたしますけれども、これを任命するについては、やはり郵政省としてもその候補者を選ぶ方法その他について、選考の方法について一応の確立した形を今後だんだん残していく必要があるのではないか。そのときどきの思いつきはったりでやっておったのでは——最終的にはやはりそのときの大臣の意向、それが左右いたしますけれども、しかし一応の選考のルールというものは今後残していくような形にしたほうがいいのではないか。それをとるとらぬは大臣としては別でありますけれども、またその選考の内容について外部に発表するということではないわけであります。しかし、一つのルールというものを一応郵政省の内部においても、これははっきりとしたものを確立をしておいてもらいたい。そうしないと、いつどこでだれがその候補者を持ってきたのかさっぱりわからぬ。よく調べてみても、どうも総理からきたらしいぞ、あるいは大臣だ、こういうようなことでさっぱりわけがわからぬ。そういう点で一応事務的な選考のルールというのを確立しておいてもらって、その上にさらに大臣が政治的な責任において判断をしてきめるということについて、これはまた政治的な問題でありますから当然事務当局から離れてきます。離れてきますが、事務当局としての一応のこういう選考するルールというものを今後十分に検討して、研究もして、しけるものならしいてもらいたいというふうに考えております。これについてはひとつ事務当局から、そういう用意があるかどうか……。
  247. 小林武治

    小林国務大臣 これはごもっともなお話でございますから、私どももさような準則というものをある程度のものは持ったほうがよかろう、かように考えますので、お話しのようなことをひとつ実現させたい、かように考えます。
  248. 森本靖

    ○森本委員 前談義が非常に長くなりましたが、いよいよこれから本論のNHK予算についてひとつ質問をしていきたいと思います。  まず最初にお聞きしたいと思いますが、四十二年度の収支予算書の中で前期繰越収支剰余金が二十億円というふうになっておるわけでありますが、この二十億円というものは、これは四十一年度の繰越剰余金というものであろうと思いますが、これは予想したものですか、一応決算をすれば大体この程度になるということですか。
  249. 志賀正信

    志賀参考人 前期繰越収支剰余金につきましては、過年度の総収支の差額を収支剰余金と称しておりますが、ここに二十億円計上いたしましたのは、四十年度から四十一年度へ繰り越しましたもので、総則の八条に従いまして使用いたしました、現在残額として所有いたしておりますものが二十億六千万ございまして、この中で、四十一年度末までに使用の見込みが立たないというふうに判定をいたしまして、明年度へ持ち越すことを決定をいたしまして、明年度の建設費の財源に計上いたしたものでございます。
  250. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、実際の収支決算の見通しというものは、四十一年度についてはどの程度になりますか。
  251. 志賀正信

    志賀参考人 収支決算の際に生じます収支剰余金につきましては、一応四十年度から四十一年度へ持ち越しましたものにつきましては、この二十億程度があります。それから本年度中に新たに発生いたしますものがございますれば、それが決算の際に新しい剰余金になって、明年度へ繰り越すということになるわけでございます。この数字につきましては、現在はまだ予想をいたしておりません。
  252. 森本靖

    ○森本委員 まあしかし、三月ですから二月末ぐらいについての収支というものは、おおよそわかっておるのじゃないですか。
  253. 志賀正信

    志賀参考人 毎年の例でまいりますと、全国数十の局所に予算を配賦しまして使用させております関係から若干ずつ余剰を生じて戻ってまいりますので、それらが年度末に収支剰余金のもとになるわけでございます。それから年度末ぎりぎりに至りまして、二月末ないし三月に受信料の増収等がございました場合でも、年度内に無理に使用することを差し控えておりますので、そういうものにつきましては、年度末に剰余金として明年度へ持ち越すということにいたすことがございますので、あるいはことしも十億円前後のものが生ずるかというふうに現在一応の見込みを立てておるところでございます。
  254. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、このいわゆる収支剰余金の繰り越し金の二十億というのは、四十年度から四十一年度に繰り越した金額である……。
  255. 志賀正信

    志賀参考人 お説のとおりでございますが、四十年度から四十一年度に繰り越しましたものに対しまして、四十一年度の総則第八条によりまして使用いたしました残額でございます。
  256. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、結論としては、決算をした場合には、この収支予算以外に十億円というものが出てくる、こういうことですか。
  257. 志賀正信

    志賀参考人 新しく発生いたしますものにつきましては、いまおよその見通しの金額を申し上げましたが、おっしゃるとおりの考え方でございます。
  258. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、ここで一応それだけの金額が出てくるということが明らかになったわけであります。  もう一点聞いておきたいと思いますが、この放送法の四十二条の第三項によるところの積み立て金ですね、これはいま幾らになっておりますか。
  259. 志賀正信

    志賀参考人 四十年度末には八十五億でございましたが、四十一年度末は八十四億一千万になる予定でございます。
  260. 森本靖

    ○森本委員 四十二年度末に八十四億ですか。
  261. 志賀正信

    志賀参考人 四十一年度末、この三月末で八十四億一千万になる予定でございます。
  262. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、この八十四億の中から今回のこの収支予算の中に繰り込むのは幾らになりますか。
  263. 志賀正信

    志賀参考人 明年度の、新年度放送債券の期限の到来いたしましたものにつきまして、そのうちから取りくずしまして返還をするわけでありますが、ただいまのお説のように、この中から取りくずしになりますのが三十億八千万円ございます。
  264. 森本靖

    ○森本委員 その三十億八千万円というものはこの収支予算の中には入ってないわけですね。
  265. 志賀正信

    志賀参考人 三十億八千万円につきましては収支予算に計上してございます。
  266. 森本靖

    ○森本委員 そうしますと、これは資本支出の部ですか。
  267. 志賀正信

    志賀参考人 資本収入のほうで一たん計上いたしまして、当年度の受信料から返還するものと合わせまして返還をいたしますので、お手元の予算書の資本収入というところに積立金戻入という数字がございまして、ここに三十億八千万円計上いたしてございます。
  268. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、この三十億八千百八十万円というのがそれに該当する、こういうことですか。
  269. 志賀正信

    志賀参考人 お説のとおりでございます。
  270. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、五十四億というものが四十二年度についても積み立て金として残るわけですね。   〔委員長退席、田村(元)委員長代理着席〕 さらに四十二年度におけるこの四十二条の三項による積み立て金がこの上にふえる、こういうことになるわけですか。
  271. 志賀正信

    志賀参考人 お説のとおりでございまして、明年度は三十億を過去の発行分の返還として取りくずしまして、新たに法律に基づきまして明年度末に残額の十分の一、すなわち二十三億に当たりますが、これを積みまして、明年度末には七十六億三千万になります。
  272. 森本靖

    ○森本委員 それからこの四十二条の第二項によるところの純財産額というのは何ぼになりますか。
  273. 志賀正信

    志賀参考人 純資産額につきましてはおおよそ五百億程度です。
  274. 森本靖

    ○森本委員 そこで今年度の資本収入のうちの放送債券は、この中で二十億円、それから長期借り入れ金が三十三億ということで五十三億でありますが、この五十三億というものと、それからいま言いました五十四億に二十三億を足しますと七十七億ということになるわけでありますが、そこでこの四十二条三項によるところの積み立て金の運用というものは具体的にどういうようにやっておるわけですか。
  275. 志賀正信

    志賀参考人 積み立て金の運用につきましては、期限の到来の早いものにつきましては定期預金にいたしてございます。それから期限のしばらくこないもので、相当長期にわたって保有をいたしますものにつきましては債券を購入いたしております。
  276. 森本靖

    ○森本委員 だがら、具体的に言うと、五十四億残るわけでありますが、五十四億のうちの定期預金と債券というのはどの程度の割合になりますか。
  277. 志賀正信

    志賀参考人 定期預金が四〇%、それから金融債類が六〇%という目安てやっでおります。
  278. 森本靖

    ○森本委員 この定期預金とそれから債券の金利は幾らくらいになりますか。
  279. 志賀正信

    志賀参考人 全体の利回りといたしましては六分五厘八毛ないし六分五厘七毛に現在回っておりますが、定期預金につきましては利息は五分五厘でございます。それから金融債等につきましては七分三厘程度でございます。
  280. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、この放送債券と長期借り入れ金の金利は幾らですか。
  281. 志賀正信

    志賀参考人 放送債券につきましては期間七年で九十九円五十銭もので現在発行いたしておりまして、利率は七分三厘でございますので、発行者の利回りとたしましては八分一厘五糸でございます。日歩に直しますと、二分二厘二毛になります。現在銀行から借り入れをいたしておりますのは、当面のところでは大体一銭六厘ないし一銭八厘のところで銀行から借りております。
  282. 森本靖

    ○森本委員 年利に直したら何ぼになるか。
  283. 志賀正信

    志賀参考人 六分五厘七毛になります。
  284. 森本靖

    ○森本委員 これは日歩にいたしますからそういうことになると思いますが、実際にNHKが持っておる金が八十四億ある。その八十四億という金は積み立て金として積み立てなければならぬ。それは要するに定期預金、債券として平均六分五厘で一応預けてある。ところが、放送債券、長期借り入れ金として借らなければならぬ。それなら、そのほうは八分一厘、それから六分五厘、七分三厘ということになる。これは実際問題として、商売人だったら金を借りる必要はないのですね、はっきり言うと。こういう商売をしておったら、普通の株式会社だったらつぶれます。これはどういうわけでこうなるのだろう。しろうとが考えてみても、自分が現に八十四億という金を持っておる。それは全部安い金利で預金をしてある。それから一方で銀行から長期借り入れ金で金を借りなければいかぬ。それから債券を出さなければいかぬ。それは預けてある金よりも高い金利で借らなければならぬ。具体的に金がないかといえば現金が八十四億円もある。これは銀行に預けっばなしで、これはどうなるものか、法律上こういう形にならざるを得ないと言うてしまえばそれまでだけれども、はっきり言うと、商売をする場合には、そういうやり方をしておったのではこれはもう笑われますよ。この辺、どうかね。
  285. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 その点は御意見のとおりでございます。放送法制定当時に、協会の財政を健全にする必要がある、それから債権者の立場考えなければいかぬといった点から、特にこういう手厚い制度ができたものと考えられます。ただし、その後協会の財政も非常に安定してまいっておりますし、それから発行額もこうしてふえてまいりますと、逆にこの点は問題点が残っておるわけであります。会長もかねてから心配しておられまして、私どもに対しましても何とかこれは検討してもらえないか、こういうお話もございました。法改正の場合には、少なくともこれはまず取り上げなければいけない、かように考えております。ただ、別途、なお解釈でできるものかどうかも、すみやかに検討いたしたいと思います。
  286. 森本靖

    ○森本委員 初めのほうはなかなかよかったが、終わりのほうは、すみやかに云々と言ってわからぬが、結論はどういうことですか。
  287. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 未償却額と申しますのは、現在放送債券が二百四、五十億だと思いますが、そういった場合をそれにひっかけて十分の一と見ますか、発行のつど十分の一と見てまいりますか、そういった点で変わってきている点もございます。しかし協会の経営の安定を考えますと、その発行のつど手厚く見ていくほうがよいようにも思われますし、しかし逆に、今度は御指摘のような点も出てまいりますので、その点は協会の財政の安定をはかりながら、極力有効に、または合理的にこれが使えるように考える、かような意味で申し上、げた次第でございます。
  288. 森本靖

    ○森本委員 これはしかし、調べてみればみるほど、やっぱり理論的におかしいですよ。法律ではちゃんとこういうふうに書いてあるわけであって、確かにNHKというものの経営を安全ならしめるためにこういう規定を設けたわけでありますけれども、いまやその積み立て金のほうが、毎年度の債券よりも多いということになってくると、この債券を発行し長期借り入れ金を借りぬでも、その積み立て金を取りくずして、そっちのほうから入ってきたほうがもっと有利にいくわけですよ、具体的に言うと。その点については、もう少し根本的に検討してみる必要があるのではないかというふうに考えるわけであって、はっきり言えば、この八十四億の中で二十億と三十三億のやつを全部この中から借りてもかまわない。何も財投のほうにお世話にならなくても、これも一つの運用になるわけなんだから、積み立て金の。その場合はどうなるのですか。
  289. 小林武治

    小林国務大臣 いまの問題は私も先般これに気がついて、これは非常に合理的でない、こういうふうに私も考えるから、何らかの方法を至急検討をして、関係の向きと協議をしたい、かように考えております。
  290. 森本靖

    ○森本委員 一応大臣のその御答弁を信頼いたしまして、ひとつ至急これは検討をお願いしたい、こう思うわけでありますが、私の質問もまだあとたくさんありますけれども、金丸委員がまだ質問をせられるようでありますので、先を急いでいきたいと思います。  具体的な問題にちょっと入ってみたいと思いますが、今年度テレビ共同聴視施設に対する助成額というものが一応ここに出ておりまするけれども、この具体的なやり方は、どういうふうなやり方をするわけですか。
  291. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 御質問にお答えいたします。  資料にございますように、本年度六百七十四施設、三億六千万円ほどの助成額を計上をいたしております。この運用につきましては御承知かと思いますが、年間を通じまして、随時全国各地から申請をいただき、それを年三回に区切りまして助成の決定をいたしております。具体的の内容といたしましては、大かた六十名から二十名くらいの世帯のエリアを取り上げております。   〔田村(元)委員長代理退席、秋田委員長代理   着席〕 これは前年度と引き続きまして、取り扱い件数並びに助成の総額においてほぼ前年度と同様でございます。今年これによりまして、大かたこの六百七十四施設で取り扱います該当の聴視者、受信者の件数は四万八百八十名ほどになろうかと推定をいたしております。これによりまして三十五年以降、総額におきまして三十三億の助成総額並びに取り扱い件数、助成の件数は五千五百施設にのぼり、あわせてこれに該当いたします受信者総数大かた五十万、こういう数字になっております。
  292. 森本靖

    ○森本委員 この共同聴視の問題については、一応成果をあげておるようでありますけれども、私がここでお聞きしたいのは、共同聴視について一応そういうことで成果をあげる、ただし、この共同聴視について、災害あるいはその他があって、これがもう根底からひっくり返ってしまうというふうなときに、再助成をいたしますか。
  293. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 いたしております。
  294. 森本靖

    ○森本委員 あまりいたしておらぬように思いますが、いたしておりますということでありますので、その言を信用いたしますけれども、これは特に台風災害の多い地区においてはほとんどこの共同聴視で、せっかく相当の金を注いでやっても、一夜の台風で一切がもうだめになったというふうなことがあるわけであって、本来この共同聴視というところについては、ここにはその微電力局でも置かなければならぬところだけれども、こちらの都合によって置かないから、共同聴視については補助をする、こういう趣旨でやっておるわけでありますから、一回補助をしたから、それで済んでしまうというものではない。できる限り、こういうものについては、しかし微電力局を設置するという方向を早めていくことが一番根本的な解決になりますので、これはひとつ今後NHKとしても、いたずらに中継局を堂々と建設をするということでなくして、私が前にも、もう七、八年前ですか、この委員会で申し上げましたように、いわゆるほとんどトランスにもひとしいような小さなものを電柱にひっかけたらいいというようなほんとうの微電力ですね、こういうものの送信機というものをもっと技術的に研究開発をしてやっていかなければ、今後もいまのような中継局をやっていっても、たとえば四国のような山国ではもう限度にきておる。あとはもう小さな部落部落に何か一つちょんと添架していくというような形を技術的に開発をしていかなければならぬのじゃないか。もう共同聴視のやり方についてもそろそろ限界がきておるところではないか。最後的には、だからそういうほんとうの極小微電力局といいますか、そういうものを技術的に開発できるのですか。
  295. 前田義徳

    前田参考人 全く御同感でございまして、数年間から先生と私との間でもこの質疑応答がかわされておりますが、いまやその研究を非常に進めておりまして、その方向で将来は処置してまいりたい、このように考えております。
  296. 森本靖

    ○森本委員 それではついででありますが、こういう場合にテレビジョンのいわゆるいまの中継局を設置していくという方針でありますが、ここでよく問題になりまするのは、中継局を設置する場合に、ほとんど山でありますから、その道路をつけなければならぬ。その道路の負担についてもめないところはないのです。その地元の町村と民放との間にもうしょっちゅう紛争を来たしておりますが、この際NHKの受信料の問題についてもいろいろとやかく論議をせられておるわけでありまするけれども、公共放送という立場からするならば、もういっそのこと、道路の負担について、ちっとばかり地元に負担せいとか民放に負担せいとかいうことでなしに、もうNHKが単独で負担をして、そうしてその利益については、甘んじてこれはみなが受けられるようにしてやるというくらいの大きな度量をここらあたりでNHKが示していいのじゃないか、もうそういう時期に来ているのじゃないかというふうに考えるのですが、その点はどうですか。
  297. 前田義徳

    前田参考人 そういう御説が非常に強いわけですが、しかしNHKとしては、まだ非常に簡単に割り切る立場まではいっていないかと思います。先ほど実はちょっと説明が足りなかったのですが、置局がおくれるという問題の大半は、いま御指摘の問題と関連する点でございます。私どもといたしましては、その意味で公共放送責任を果たすためにできれは——できればという表現もどうかと思いますが、NHKの自前でやってまいりたいという考え方を実は持っているわけでございます。ただ地方によりまして、商業放送と併置するという問題になりますと、民放の場合は営利を追求することが目的であり、したがってNHKと地方民の福利との関係が多少そこで複雑になってまいります。  こういう点で、第一に、実はここ数年来理解ある民放との間には共同建設の一つの基準ができております。ただし、その理解に達し得ない地域においては、トラブルがかなり長く続くという場合もございます。  それから第二点は、その地域において、その市町村なり、あるいはその地域の公共団体が、NHKの置局と関連して、観光施設をこれに併設するという場合等がございまして、これについてはやはりその観点からこの問題を処理してまいらなければいけないという考え方を持っております。しかしいずれにしましても、原則的には将来いま申し上げたような二つの問題がそう大きくからんでこない場合には、NHKとしては当然地域住民の文化の向上と福利の増進のために、負担の可能性のない地域はことさらのこと、NHKが独自にこれを建設すべきであるという考え方を持っております。
  298. 森本靖

    ○森本委員 ここで会長と論争しようとは思わぬけれども、これは理屈を言えば限りがないわけであって、いろいろと理論的な問題があるわけですけれども、しかし現実に各地方においてそれが相当問題になっておるということは事実であります。それからいま受信料の問題についても、何もNHKが取るだけが能ではないといういろいろの意見もあるわけです。その意見が私は一〇〇%いいとは思っておりません。それは根本的に受信料の問題については、この公共負担という点から外国の例等も考えて相当検討してみなければならぬ。軽々にいろいろな形において論断をするということは、これは即断に過ぎるという点は十分わかるわけであります。それから会長の言わんとするところのいろいろの理由もわかります。わかりますが、この九百八十何億の予算から見ると、いまの道路の負担の予算というものは、それほどどうしても地元から取らなければ、あるいは民放から取らなければNHKの経営が立っていくとかいかぬとかいう重大な問題ではなくなってきておるわけです。いまやほとんどそういうところについては済んでしまっておるわけです。だからもうあとはそれほどたいした金額ではないわけです。そこは大NHKともあろうものが、そういうことについてこそこそというよりかよしやということで、こういうときにこそ気前よく出して、締まるところは締まるということで、出すべきところは出してやっていいのではないか、こういう私の意見でありますが、おそらくこれは与野党を通じて、各委員も私の意見に賛成であろうと思います。具体的な問題に突き当たったところについては、そういうような意見も相当あるということを念頭に置きながらひとつ十分考えていってもらいたい、こう思うわけであります。  それからこれは次の五ヵ年計画構想その他についてでありますけれども、こういう点については時間がありませんし、重要問題でありますのでやめにいたしておきますが、ここで一つ私はNHKに苦言を呈しておきたいと思います。それは「知られざる放送」という本がいま出ておりますが、この中で、読んでみますると、NHK内容についてかなり詳しくしかも非難集中が出ておるわけであります。私はこの内容を全部自分で詳細に調べたわけではありませんので、その内容が全部ほんとうであるとも考えませんし、またこの内容をこういうところの委員会において個々にわたって追及しようとは思いません。思いませんけれども、こういうことが書かれること自体が、やはり何か一つの緊張の足らぬ点もあるのじゃないか、またそこに一つの問題点もあるのじゃないか。第一こういうことを書かれること自体に、私はやはりNHKとしても考えなければならぬ点が多いのではないか、こういうふうに考えるわけでありまして、別に私はNHKの士気がたるんでおるとは申しませんけれども、少しそういうふうな気風も、この本を読んでみると、少しどころじゃない、大きくたるんでおるように書いてあるわけでありますが、少なくともとにかく公共放送としてNHKが法律に基づいてきちんとしたことをやっておれば、こういうことは、おそらく書かれぬだろう、私はこう思うわけであります。しかし大木には風当たりが強い。NHK放送界にあっては大木のほうでありますから、いろいろ言われると思いますけれども、しかしそういう点うそかほんとかそれは知りませんけれども、少なくともそういう点にすきを与えるということは、私はやはり一つの大きなNHK側としても反省をしてみなければならぬ点ではないか、こう思うわけであります。こういう点について、ひとつ十分に今後NHK当局としても、いろいろいまNHKに対する批判あるいはまた建設的な意見もありましょうし、あるいは事があれと望んでおる意見もありましょうし、いろいろの意見があろうと思いますけれども、とにかくNHKは法律に基づいてできておるところの、放送網を持った日本で唯一の公共放送であるという襟度を持つと同時に、やはりそれに値するだけの内容を備えたNHKとして、この予算を実行する場合には細心の注意を払ってやってもらいたい、こう思うわけであります。  そこでいまこの内容については私はここでお聞きいたしませんけれども、たった一つ、この予算関係がある事項でありますので、これはぜひとも聞いておきたいと思いますることは、軽井沢に山荘というのがNHKにあるそうであります。この新聞——これはまともな新聞ではありませんが、それをいろいろ読んでみますると、NHKが貴族的な趣味を持って軽井沢に軽井沢山荘というものをつくって、ごく一部の者しか利用していないということが書いてあるわけでありますが、私もこの軽井沢山荘については、こういう新聞あるいは雑誌で見るまではそんなものがいつできたか、いつの予算でそれが入っておったかさっぱり知らぬわけでありますが、ここまで問題になっておるとするならば、やはりこういう委員会等を通じて、この内容については明らかにしておいてもらいたい。これは予算の伴う問題でありますから、この軽井沢山荘については一体いつつくって、どの程度の経費でつくって、どういう人々がどういう内容において利用しておるということをこの際内容を明らかにしてもらいたい、こう思うわけです。
  299. 志賀正信

    志賀参考人 軽井沢公館につきましては三十六年度に土地を購入いたしております。当時千二百九十九万円で土地を購入いたしております。それから建物につきましては三十七年度に九千六百万円を支出いたしております。それから三十八年度にまたがりまして、三十八年度には一千五十九万円を支出いたしております。三十八年度に完成をいたしましたものであります。建物といたしましては鉄筋コンクリート建てでございまして、地上二階、地下二階建てでございます。経費及び建物の概要につきましては以上のとおりであります。
  300. 森本靖

    ○森本委員 そうすると建物と土地の総合代金で幾らになりますか。
  301. 志賀正信

    志賀参考人 土地、建物を含めまして一億二千十一万三千円でございます。
  302. 森本靖

    ○森本委員 それで、その建坪は延べ坪で幾らになりますか。
  303. 志賀正信

    志賀参考人 延べ坪につきましては、本館が会議室等を含めまして三百七十坪でございます。そのほかに二十五坪の車庫がございます。
  304. 森本靖

    ○森本委員 それからこの使用の内容はどういう内容ですか。
  305. 小野吉郎

    ○小野参考人 この問題につきましては、世上いろいろ取りざたをされております。あるいはこれが別荘式な利用であるやにも伝えられておりますが、それは真相ではございません。この施設をつくります主たる目的は、職員のそういったリクリエーション関係とか、厚生施設といったようなことを主体にしてつくったものではございませんで、いろいろ海外からも番組上に出演を適当と認めます知名の士も数多くNHKに参るわけでございます。そういう際に東京の雑音の多いところよりも、そういうところでゆっくりとそういう取材番組のとれるような、そういうことを主体にいたし、かたがたいろいろ京都だとかどこというようなところへ御案内をする手数をもある程度は省けて、軽井沢の静かなところでいろいろ取材上の便もあるだろうというようなこと、かたがたそういった面を中心にいたしましての接待の便にも供する、こういった面からつくりましたものでございます。したがいまして宿泊設備だけではなしに、スタジオの設備も取り設けてございます。過去の例を見ましても、これができましてまず主たるものといたしましては、過ぐるオリンピック東京大会では馬術競技が軽井沢で行なわれました。この関係に関連をいたしました海外の知名の士特にその中にはオランダの皇太子が非常に馬術関係に御関心が深うございまして、日本のオリンピックに参観に参られた際に、軽井沢のそれを主点として行かれておったわけでございますが、そういった面の利用とか、その他沖繩関係につきましては、キャラウェー、続いてワトソン高等弁務官、これ等々との関係で、沖繩とのいろいろ番組の関係で、特にこれは教育番組が主体でございますが、そういった面における収録の設備等の調整につきましても、これはなかなか東京にいては目的を達し得ないものでございますけれども、そこで静かにひざ詰め談判でいろいろとやりました関係上、これも所期のとおりNHKの要望を満たすことができました。その他そういったような事柄を中心にしょっちゅうカメラマンその他番組関係の要員も、そこに参って番組上非常に有用な資料を収録しておる、こういうことが実態でございまして、あるいはこれをレクリエーション、こういった意味における役員関係、あるいは職員の宿泊等の施設にはあまり使っておらないのが実態でございます。
  306. 森本靖

    ○森本委員 あまり使っていないといいますが、使っておることは使っておりますか。
  307. 小野吉郎

    ○小野参考人 これはほとんど使っておりません。
  308. 森本靖

    ○森本委員 ほとんどというのは一つも使っておらぬということですか。
  309. 小野吉郎

    ○小野参考人 ただいま申し上げましたような主目的に関連をいたしまして、そういった面に案内で参ります役員関係はそういう機会に利用することはございますけれども、役員のみが単独でそう  いった面を別荘式に利用することは皆無でございます。
  310. 森本靖

    ○森本委員 それは副会長の答弁を聞いておりますとさも必要だというふうに聞こえますけれども、私に言わせたらそういうものはホテルでけっこうだ。何もNHKがそういうふうに外国の人々を接待するのに特別なものを建てなければならぬということには私はならぬと思う。だからそういうことなら、これは招聘費というものがあるはずなんだし、また来る人も旅行で来るわけなんでありますから、それはホテル住まいでけっこうだと思います。それからスタジオをこしらえてあるというけれども、どの程度のスタジオですか。
  311. 小野吉郎

    ○小野参考人 約十五坪のスタジオを持っております。
  312. 森本靖

    ○森本委員 そのスタジオというのはラジオですか、テレビですか。
  313. 小野吉郎

    ○小野参考人 ラジオでございます。
  314. 森本靖

    ○森本委員 ラジオのスタジオだったらそんなところへ置かなければならぬことはないですよ。テレビのスタジオだったらあるいは必要かもしれぬが、ラジオのスタジオだったらそんなところへ置いてやる必要はないと思う。  それから十五坪のスタジオ、三百九十五坪、大体四百坪の中に十五坪のスタジオなんというものは、これは大体申しわけ的ですよ。いずれにしても、それはNHKNHKなりに必要だというふうに考えてつくったかもしれぬけれども、われわれも全然知らぬ、それからよそから見て、そういうことをとやかく疑いを持たれるというようなものについては、私は持たぬほうがいいと思うのです、そんなものは。そういう必要があるとするならば、これはホテルに招請をして、それからホテル代をあなたのほうで支払いすればいい、かりにそういうことが必要であるとするならば、一年間三百六十五日のうちで、どの程度使用しておりますか、年間、使用日数は。
  315. 小野吉郎

    ○小野参考人 軽井沢の土地が主として非常に季節的に利用が片寄っております。したがいまして、年間使用し得る季節と申しますのは、大体四月の中ごろから、おそくて十月一ぱいから十一月の中ごろまでであろうと思います。この関係で、利用いたしますのは主として初夏から秋あたりまでの期間が多いわけでありますけれども、そういうような状況でございます。利用の点は、海外からの知名の士の来訪の度数にもよります。非常に多い場合には、延べで申しましておそらく一カ月半ぐらいの充実した利用はいたしております。
  316. 森本靖

    ○森本委員 そういうことで、海外から来るのについて必要であるとするならば、意地悪くいえば、四月から十月までとするなら、結局十一月から三月まではこれと同じものを別のところにつくらなければならぬ。だから、夏のうちだけ必要だということでこれをつくったということになるわけでありますが、実際問題としてこういうものについては必要ないのじゃないですか。それは何でもあるに越したことはないけれども、いまのNHKが、公共放送というたてまえからいって、受信料が云々せられておる際において、難視聴地域がたくさんあるという現状において、こういうものをつくってやるということは、やはりそれは疑惑の目をもって見られてもしかたがないじゃないですか。
  317. 前田義徳

    前田参考人 おそらく一般的な印象としてはごもっともだと思います。これは率直に申しますと、オリンピックの馬場馬術、本式の馬術は軽井沢で行なわれまして、ただいまの副会長の説明を補足申し上げますが、オランダ女王の御主人が馬術連盟の会長でありまして、その人が主催して軽井沢で馬場馬術をやるということと関連しまして、日本関係者並びにオランダ政府その他から、まず第一に安全の確保を要望されまして、オランダ王族の一家は、その後結婚された女王さんも参られたわけでありますが、この一家のためにオリンピック施設の一部として最初につくることを考えたわけです。  その後の使用の目標としては、毎年何人かの知名の士、たとえばフランスの哲学者であるとかあるいは学校放送のアメリカの権威であるとか——芸術家はここにお招きしておりません。そういう方々のために、長時間講演の録音の施設としてこれをつくったわけでございます。したがって、この運営についても厳重な内規を実は設けているわけでありまして、役員が案内する場合にも、役員に関しては使用料を徴収するということにしております。したがいまして、一般職員にはこれを使わせない。その点について御意見がいろいろおありかと思いますが、そのような点については、私どもも当時の必要からこれをつくったとしても、今後の運営については疑惑を持たれないように十分戒心してやってまいりたい、このように考えております。
  318. 森本靖

    ○森本委員 これははっきり言いまして会長の答弁で納得はできません。了解しません。オリンピックのそういう馬術の関係で必要だったことはわかりますよ、しかし、それをNHKがやらなければならないことはない。NHK日本国民のために、国民から受信料をとって、テレビラジオというものを、公共放送としていいものをやればいいというのが至上命令でありますから、それ以外の任務については政府がやるなり皇室がやるなりするなら、それはけっこうです。はっきり言いましてNHKがそれをやる必要はありません。だから、NHK放送に関するところの海外の主要な人々を招くためにこれは必要であったということであるとするならば、ある程度副会長が言っておったようなことについてはわからぬでもない。しかし、いまこういう時期においてこういうものを持つということは、世間の誤解を招くことは明らかである。だからわれわれとしては、こういうものについては一それはわれわれでも、会館が一つありますが、さらにもう一つの会館があったほうがいいことは間違いない。しかしものには一応限度というものがある。それは大NHKともなればこの程度は持っていいとお考えになるかもわかりませんが、そこがやはり一般の民間放送と違うところですよ。予算というものが国民の代表によるところの国会の承認によってなされるところのNHKでありますから、やはり私はそういう点を考えた場合に、いまの会長と副会長の答弁を聞いてみた場合に、これを一億二千十一万円もかけてNHKの受信料の中からつくってはたしてNHKの公共放送としてそれに非常に役立つものであるかどうかということを考えた場合に、残念ながらこの一億二千万円というものはほかの方向に使ったほうがよろしい、私はこういう結論をつけざるを得ないと思うのです。だから、今後の運営については会長は非常に慎重にやっていかなければならぬというふうに考えておるようでありますけれども、こういうものはすべからく私は一般に開放してもらいたい。だからNHKならNHKの施設なら施設で従業員も一万三千人から一万四千人、役職員、会長以下含めておるわけでありますから、そういう人たちがいつだれが行っても順番で利用ができるという形の厚生施設につくっておるとするならば、ある程度私はまだ話はわかると思いますが、いまの答弁でいきますと、これは私はNHKの建設計画においてこういうものをつくるということについてはどうしても納得がいきかねるわけであります。だから、今後こういう問題について不正を正すという意味においては、いまのような一部の者が使うというような形をぜひ改めてもらいたい。そういう必要があるとするならば、軽井沢にはホテルもあるはずですよ。そういうホテルを使ってもらってけっこうです。NHKがみえを張って、そういう貴族趣味かどうか知らぬが、そういうものをつくって自慢げにそこへ案川内する必要は私はないと思う。だから今後この軽井沢山荘という問題についてはひとつそういうふうに一般にすべてを開放してNHKの厚生施設として便ってもらいたい、こういうふうに考えるわけです。
  319. 前田義徳

    前田参考人 厚生施設としては、職員一般のために軽井沢に最新の設備を持ったものを持っております。御趣旨の点は私にも十分理解できますが、これを厚生施設に転換するかどうかについてはいましばらく検討さしていただきたいと思います。
  320. 森本靖

    ○森本委員 厚生施設に使うことがまだぜいたく過ぎるということなら売ってしまいなさい。こういうものは売ってしまって、それから今年度の固定資産の売却代の臨時収入としてこの中に入れて、そうしていわゆる聴視者に対するサービスの方向に使うのがぼくは正しいと思う。それは実際問題として先ほども私が言いましたように、演奏所あるいはその他の整備ということについては、カメラを一台持つよりは二台持ったほうが、二台持つよりは三台持ったほうがいいことは間違いない。しかしそれにも一つの限度がある。だから私はいまのNHK予算節度からいくとするならば、こういうふうなものはぜいたくだ、もっとほかに使うところがたくさんありはせぬか、こういうことを言いたいわけです。だから私に言わせますならば、これを一般の職員に開放するとか、あるいは一般の国民、聴視者に対して開放するとかいうことをやるならばそれでもけっこうでありますけれども、それもできぬとするならば、これは何ぼに売れるか知りませんが、NHKは星条旗紙のときにも相当損をしておりますので損をすることはなれておるわけでありますが、しかし損をしてもこういう形で使うよりは売って、そしてその代金を受信料と一緒にして今年度予算の中で使っていくほうがましだと私は思う。おそらくこれに対して反対だという意見は、私は自民党にもあまりないと思う。それほどやはり公共放送NHKというものはえりを正してやらなければならぬ、こういうことを私は言いたいわけでありますので、それはいまここでどうこうということの結論なり回答を得ようとは思いませんけれども、いずれにいたしましてもこれほど世間にとやかく言われておるというものの内容がいま言ったような内容であるとするならば、NHKとしてもいま少し前進をする方向考えていかなければならぬのじゃないかということを、深く私は言っておきたいと思うわけであります。  それで、今年度のこの予算内容についてもまだいろいろ質問したい事項がたくさんあるわけでありますけれども、先ほども言いましたようにこの予算が通ったからやりほうだいということじゃなしに、ひとつ十分に自粛自戒をして、国民放送として、公共放送として恥ずかしくないような形、しかも一般の者からおもしろおかしく取り上げられることのないように、今後これを執行するにあたっては十分に注意してやってもらいたい、こう思うわけでありまして、一応私の質問をこの程度で終わりまして、また時間があったらやることにいたします。   〔秋田委員長代理退席、委員長着席〕
  321. 松澤雄藏

    松澤委員長 金丸徳重君。
  322. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 だいぶ時間も過ぎておりますし、また重要な問題につきましてそれぞれの角度から検討が進んでおりますので、私はきわめて要点のみについて短時間をちょうだいしてお尋ねいたしたいと思います。  お尋ねをいたす前に、実はただいま議題となっております四十二年度の収支予算、事業計画などについて、大急ぎで勉強をさしていただいたのでありますが、そうした中において受けました印象は、たいへんゆとりのある気持ちの中から編成されておるようであります。なぜ私がこんなことを申し上げるかといいますと、私は先年聴視料金の値上げがたいへん世間の問題となりましたころにやはり逓信委員を言いつかっておりまして、そのころたいへんに苦労なさってこの事業を経営されておることをつぶさに承知いたしております。なるほど料金の値上げをしなければならないであろうなどとさえ考えたほどであったのであります。実は料金を値上げすることについては、私どもは本来的には賛成できなかった。しかしその内容を調べ上げ、また詳しい事業計画、将来の展望などを承りますと、あるいはそれもやむを得ないではないか、こんなことを感じ取ったのであります。そしてそういう中において、政府のほうで負担すべきものは負担してもらっておいたほうがよかろうではないかという意見を私は申し上げたのであります。そういうような過去の経験、感じからいたしまして本年度予算を見せてもらいますと、たとえば大幅に料金全免の対象をふやしていったというようなことから、また当時たしか一億になったかならない程度の国際放送に対する経費が、なるほど政府のほうで一億四千万か何かの分担はしておるようでありますが、七億をオーバーするほど出しておるということであります。しかも私は、七億という計上のしかたはずいぶん遠慮した数字ではないか、実際に洗いざらい計上するともう少し大きくなりはしないかなどと想像されるような状況であります。そのほかに、いろいろの事業計画につきまして、また建設計画などにつきましても、ずいぶんゆとりのある感じを受けるのであります。いま問題になりました軽井沢山荘でありますとか、こういうところも確かにNHKの経営状況がゆとりの生じた結果でもあろうかなどと、いま質疑応答を聞きながら考えたのであります。まことにけっこうでございます。御苦労の結果としまして、このようなゆとりのある予算計画、事業計画を取り進められるような状況になったことについては、私は国民の一人として、また聴視者の一人として、御同慶にたえません。しかしまた、さらにこさいに見せてもらいますと、たとえばテレビなどにつきましても、そろそろピークに達してきた、頭がつかえてきそうだ。なるほど、さらに来年度におきましても、加入者、契約者の開拓などということばを使っておるようでございます。さらに加入者ですか、国民協力を得て契約をふやすのだというような考え方も盛られておるようでありますが、全体として、最近両三年度来の足取りを見てみますと、そろそろ伸びが鈍ってくる、頭がつかえてきそうであるというような感が持たれます。そこで、そういうようなことからいたしましてお伺いをいたしたいのでありますが、いままでのような、いろいろ問題にされているようなことさえもあるほどのゆとりの気持ちを今後も——四十二年度はこれでよろしい、四十三年度、四十四年度、今後五年ないし十年の長期展望においてどういうふうにお持ちになっておられるのか、これをまずひとつお伺いをいたしたい。
  323. 前田義徳

    前田参考人 金丸先生のおっしゃるように、私どもも振り返ってみますと、少なくとも五年前あるいはその後料金問題についてNHKの経営との関連で非常な御配慮、御指導をいただいたことを、深く感謝を新たにして思い出すわけでございます。  当時の私どもは、第二次六カ年計画が終わるまでは、たとえばカラーテレビあるいはFM放送というものが発展してくる予想はできたわけでございますが、その当時において前会長、前々会長を通じてこの委員会の席上、NHKは少なくとも昭和四十二年度末までは、社会情勢がどう変化しようとも、大きな驚天動地の変動のない限り値上げはいたしませんということを、はっきりと申し上げておったと記憶いたします。そのためには、私どもは実はいろいろ御批判をいただいておりますが、この六カ年計画を通じて合理化を強く推し進めてまいったわけでございます。この合理化がなければ、おそらく今日NHKの職員の総数は二万を上回らざるを得なかったと思います。ただいま御審議をいただいておりますこの明年度予算の中では、NHKの職員の総数は一万五千内外となっております。この点について、いろいろ御批判もあるかと思いますが、過去六年間の経営の合理化がかなりの効率をあげているというように考えます。  それからまた同時に、私どもは外部からいろいろな難問を持ち出されるわけでありますが、この六カ年長期構想考えの中でこれを消化していくという誠意は持っております。ただ、計画の根本が根本的にくずれるような場合には、心ならずもこれに抵抗しなければいけないという私自身は実は考え方を持って今日に至ったわけでございます。  幸いにして、皆さんの御指導によって第二次六カ年計画最終年度予算を御審議いただいているわけでありますが、これからあとどうなるかという問題については、私どもといたしましては、少なくとも経営の合理化が、たとえば放送センターの建設の完了あるいは番組及び現業技術での全国機械化の採用というような形においてこの効率がはっきりするのは昭和四十三年の夏ごろという考え方を持っており、御承認をいただければこの予算を土台として、私どもはことしの秋ごろからそろそろその効果の測定の上に立った新しい経営方針を打ち出してまいりたいということを考えております。  この経営方針の中でまず私どもが第一に考えることは、最近数年の物価の値上がりにもかかわらず、私どもとしては値上げを避けるという方針にまず重点を置きたいという考え方を持っております。先ほど森本先生の御指摘になった減債基金の問題これを小林郵政大臣及び淺野監理局長に対してかねがねこの点についての御高配を願いたいということを申し上げてまいりましたのも、そういう構想の一環として将来これをどう取り扱うかということを実は私自身が考えているわけでございます。こういう意味で目下私どものスタッフが最終検討に入っているわけでありますが、私は将来のことを私の一存でこうできるのだと申し上げることは、その意味検討中でございますのでまだ危険だと思いますが、私の第三次長期構想の基礎となるものは、少なくとも昭和四十五年までは値上げをしない方式があり得るかどうかという問題に帰着すると思います。その点では、先ほど森本先生から最後に指摘されたぜいたくな施設は売り払ってはどうかというような問題も、実はそれだけではないのですが、その一環として私は検討してまいりたいという気持らを持っております。先生に先立ついろんな御質問の中で、たとえば放送センターと田村町の会館との将来の関係についても触れられた御質問があったわけでありますが、第三次長期構想は、一応全国普及の置局計画は別として、放送界で一番古かった歴史の関係上、NHKの施設が内外の新しい施設と全く匹敵し得る地位に立ったということを前提とし、同時に経営合理化のスタートが切れるというたてまえとを考え合わせながら、将来の方向は経営を集約化していくというのが第三次構想の骨になるだろうということを私は期しているわけでございます。しかし、きょう午前の御質問にもお答え申し上げましたように、この構想が、今後十年間を目標として、その中で何年間を区切りとして第三次ないし第四次にしていくかどうかという検討は、経営の実態に即して目下それぞれの人々が知能をしぼっている段階で、結論的なことが申し上げられないのは残念でありますが、私としては、このような考え方で経営を進めてまいりたい、このように考えております。
  324. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私の受け取り方がゆとりのあるように受け取ったのでありますが、いま会長お話を承りまして、たいへんにきびしい態度で今後に処していかれようという御決意のようで、深く敬意を表するのであります。ただ、いまお答えの中で、経営の合理化、その合理化の対象として、もっとふやさなければならないであろうところの人件費などあるいは人数などについては、きわめてつつましやかにしておるのだ、将来もそういう方針をとるのだ、そのためにいろいろの施設をやっておるのだ、こういうようなお話であります。合理化、合理化ということがそういう方面に特に顕著にあらわれてくる最近の傾向でありますが、ただ私は、あのいろいろな金をたくさんかけた施設というものが、なるほど人件費としては減るかもしれない、人手は少なくて足りるかもしれませんけれども、一面においては、施設の維持だとかその他において多額の経費を要してしまう。人件費的には合理化されたけれども、全体の経費はかさんでまいる。ことに長い展望においてはそれをさらに改良してまいらなければならないという意味において、非常な経費の増を来たすのではないか、こういう感じも持つのであります。いま絶対に料金の値上げなどはしないんだという固い覚悟の上に立つ限りは、私は、実は料金の値上げどころか、最近はラジオの全免論などもちらちらして、非常な有力な意見として出てくるような時代になっておる、そういうときにおいて、料金増高などということはとうてい考え得られません。それをあわせ考えますと、はたしていまのような方針をとって、現在のゆとりある収入の中からいろいろの施設を、近代的な施設を増置していくことははたして可能であるか、さらにそれを維持し、改良していくことがはたして可能であるかどうか、その辺の見通しというものをもう少し詳しく承っておきたいと思います。
  325. 前田義徳

    前田参考人 先ほどお答え申し上げましたように、確実な数字的基礎の上に立って見通しを申し上げる段階にはまだないことは残念だと思います。ただ御趣旨の線に沿うて申し上げますと、私どもの経営の合理化は、労働強化を内容としたり、もしくは賃金の低下を内容とするというような考え方に立つものではございません。私は理想的にいえば、ここ十年後の日本考えますときには、働く者の労働の日にちはおそらく一週五日くらいになるであろう、そういう想定のもとに実は三回目の長期計画を打ち立てたいと考えているわけでございます。それからゆとりがある財政ということばの裏には、NHK一万五千の職員が、それぞれの分野、ことに加入関係、営業関係においては、血みどろの活動をして契約をふやしているというその実態が実はこの数字となってあらわれておりまして、行政機構のように、国家予算のもとにその財政を打ち立てるというものとは内容的には全く異なっているということを御理解いただきたいと思うのです。したがって、そのような剰余金が多いじゃないかといわれるときには、その年度、いかに営業マンが活躍しているか、そしてこれと関連して番組の質あるいは波、そういうものの改善を行なった結果にほかならない。——NHKだけだった時代はどうか私は理解できませんが、いわゆる民放と共存の形において、そしてNHKは広告放送を禁ぜられているというたてまえにおいては、一般実業と同じ努力を、私はやはり営業局を中心としてこれに注いでいるんだということを申し上げたいと思います。そういう観点に立って、しかしこれは同時に全国の皆さま方の協力をいただかなければ今後の事業の達成というものは期待できないわけで、協力をいただくというたてまえは、一般俗的な説明をかりますと、やはりよいものを安く提供するという一点に尽きると思います。したがって、私としてはまだ確たる確信を持って申し上げるわけではありませんが、少なくともわれわれの同僚がいままでどおり一致団結をして協力してくれ、そうして一応施設の近代化もできたという段階においては、少なくとも今後二年くらいは値上げをしない経営の基礎を何とかして発見したいというのが私の気持ちでございます。
  326. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 経営の合理化をはかる裏として、収入の確保増高をはからなければならない。そうしてそのために現地の職員諸君が血みどろの働きを続けておるということについては、私もこの目でよく見ておりますし、この耳でよく承知いたしております。ほんとうにいろいろの意見が出る中においてあるいはこれを弁解し、あるときにはこれを説得し、そうしながら契約維持増進につとめておる状況は頭の下がる思いさえするほどであります。  しかるに、そうした苦労の中で維持してまいった契約の中から、本年度においては料金を大幅に減免しようという計画ができております。私はある種の人々に対して、ある種の料金を減免してやるということには、理屈はともかくとして賛成できるものならしたいと思っておるくらいであります。ただ、かつて料金減免が問題になりましたときにはこういうことだったのです。  たしか三十四年の料金値上げのときであります。私は強くその意見を言ったのであります。料金を値上げするかわりには、一部の、料金の値上げにたえ得ないような人々に限っては減額もしくは全免してやるという方針も、これは加入者、契約者の気持ちとしてはそれに賛成してもらえるであろう。しかしその一面においては、NHKは加入者全体の、契約者全体の利益を擁護していかなければならない。したがって、取れる限りといいますか、漏れる契約というものがあってはならないという考え方を強く申し上げておきます。今度は、何か私の受ける印象がいけないということであるならば直してもらいたいのでありますが、今度の、いま私ども見せてもらいました減免の対象はこれでもかこれでもかといったほどできるだけ広げておるような感じを持つのであります。これはどういう考え方に出発しておるのでありますか。全体の加入者としては、できるだけ漏れなく平等にその負担をしていく。そうしてよりよき——いま会長のおっしゃいましたよりよきものをより安くぜひ見せてもらいたいという考え方だろうと思います。NHK当局としては、そういう考え方に立って契約の維持、料金の確保をはかっていかなければならないと思うのであります。こつ然としてかどうか知りませんけれども、たいへん大幅に今度は思い切って大番ぶるまいをして、料金を将来に向かってもう絶対に値上げする必要のないという長期見通しに立っての上であるならば、それもわからぬことではありません。一つの階梯として、むしろ料金を値下げできるという長期見通しであるならば、まずそういう方面から手をつけていくということも一つの考え方でありましょう。しかしいまのお答えの中には、少なくとも二年くらいはということで、ということばの裏には、もしかしたら近き将来において料金を値上げしなければならないような事態が起きるかもしれないことを、お心持ちのどこかに持っておられる。そういう中においておおばんぶるまいをして、料金全免をことしから計画されるということは、どういう理由で出発されたのでありましょうか。この点をお伺いいたします。
  327. 前田義徳

    前田参考人 御指摘の御疑問は当然かと思いますが、しかし今回の免除の総額が歴史的に大きいものであるということではございません。御記憶だと思いますが、一番大幅に免除を申請したのは、昭和三十七年かと考えております。御指摘のとおりでありますが、これは有線放送との関連において、そういう事態が生じたわけでございますが、今回の免除の範囲と額と総数はそれに比べますと、あるいはそれに次ぐものということになるかもしれません。しかしこれはなぜそれを行なったかということは、御承知のように生活環境昭和三十七年に比べましても非常に変わっておりますし、それから俗にいわれる所得倍増政策といいますか、この結果としていろいろ勤労者あるいは社会福祉上の観点から見て、それに該当する方々の生活がかなり困難になっているという実情もございます。それらを勘案しながら、放送法三十二条によって私どもが自主的に決定した範囲がこれであるということを申し上げたいと思います。  これと関連して御質問の中で将来値上げの可能性も内在するかもしれないじゃないかという御質問でございますが、これは私といえども経済情勢の変化いかんによって、やはり世間並みのNHKの同僚も生活を維持向上させていくというたてまえから考えれば、そういう事態も起こりかねない——絶対起こらないということは私も申し上げられないと思います。しかし今回の免除の範囲は従来の方針に基づく法律的な原則に立っての問題であって、この点いろいろな御理解のしかたもあるかと思いますが、私といたしましては負担の公平あるいはラジオであろうとテレビであろうと、NHK放送が聞き得る者は契約をしなければならないという三十二条の原則を曲、げたものではないということを申し上げたいと思います。
  328. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 料金問題につきましてはいずれば別の機会において当委員会において論議がかわされるべきだと思います。私は料金をできるだけ軽くして、多くの人々に気楽に放送を楽しんでもらおう、放送によって社会的な利益を得てもらうということはたいへんいいことだ、料金減額をはかるという方針につきましては、私は実は賛意を表したい。ただしかしそれはNHKの将来の計画なり、全体の事業運営について大きな支障を来たすような形の中からやられることは、かえって利用者、契約者としては迷惑を感じはしないか、こう思うからでございます。  そこで、会長は三十二条によってNHKのほうに許された範囲内でやられた、こういうことでございます。まさにそうであろうと思います。しかし世間にはそれ以上にもうこの辺で少なくともラジオ料金なんかについてはきれいさっぱりやめておいてもいいじゃないかという意見もあるようであります。そしてその意見は、こういうような理由づけの中からもちらちら私の耳に入る。といいますのは、まじめに良心的に契約しておる者と、それから知らずか知ってか知りませんけれども、料金を免れている者と比較をすると、契約をしない、免れている者のほうが多い。しかもますます多くなりそうな気配がある。たびたびテレビなんかで注意を受けるカーラジオなんかについても契約をすべきであるというようなことを聞くのでありますが、そういうことを聞くにつけても、そういう方面にかなりあるのではないかなどと私なりに想像をしておるのであります。そういう者や、あるいは事業場、職場その他において、これは負担に耐えないような人ではない、進んで料金を高度に納めてもいいような人々の中に、めんどうくさいかどうか知りませんけれども、契約をしない人たちが多い。しかもますます多くなる。そこでいっそのこともう良心的な人が少ないのならば、やめちゃったほうがいいじゃないかというような意見どもちらちらする。これにつきまして会長はどんなふうなお考え、また見通しを持っておられましょうか。
  329. 前田義徳

    前田参考人 私どもが端的に調査した結果から、いわゆる乙料金、ラジオだけの契約をしているという方には三種類あると思います。その第一種類は、テレビジョンのカバレージがまだその地域をカバーしていないという場合、第二の種類は、地域のいかんを問わず、ことにFMの実験放送あるいは実用化放送というもののステレオを楽しむために、ステレオに重点を置いてラジオの契約だけをしているという方、第三種類は、先生が御指摘されたラジオ契約によって、いわゆる甲料金の支払いを免れているということになると思います。この第一種の方々に対しては、ただいま申し上げたようにいま御検討いただいているいわゆる免除の範囲というものをわれわれとしては確定して御検討を願っているわけでございます。第二の種類の方々、これについては現実にステレオ、FMを楽しまれるけれどもテレビは持っておられない。カバレージの中には入っておるけれどもテレビは持っておられないという方ですから、これは当然乙料金を払っていただくという考え方であります。第三種類の人々に対しては、総力をあげて実は新しい契約をしていただくという考え方でおります。  それでいま御審議いただいている予算書の中でも、明年度の甲契約の増加を九十八万件と見込んでおりますが、これはなかなかの難事かと思いますけれども、その調査の実情から申しますと、やはりそれを達成する努力をするべきである。そうでなければ公平な負担の原則は、非常にりこうな方々に対しては適用されない結果になりはせぬかということをおそれるわけでございます。ただしこの明年度予算書のいわゆるテレビのカバレージが実際上九五・五%になるという状況において、それからまたこの御審議いただいておる予算書が第二次六カ年計画最終年度のものであるという観点に立って、この次の長期構想との関連で、一体受信料の問題をどうすべきかということにつきましては、もちろん諸先生の御指導をいただきたいと思っておりますが、われわれも自主的に、もしこの予算承認していただいた場合には、その直後に、協会内に特別の委員会をつくり、さらに外部の知識をも拝借しながら、長期構想のスタートとしてこの問題を検討してまいりたい、そのように考えております。
  330. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 収入の確保についてはいまのような見解を持ちながら、さらに方策を講ぜられるということであります。なかなか現地において苦労しておる人々の様子を見ますと、すみやかにその根本論をやられる必要はあろうかと思います。ことに最近のようにラジオ料金全免論などがちらちらいたす場合におきましては、一そうその甲契約の確保といいますか、勧誘もどうもおかしいのでありますが、困難を来たすのじゃないかというような気もいたすのであります。そしてまたそういうことからいたしまして、もしさらにテレビ契約などにまでいまのような気持ちが及んでいくということになりますと、せっかくこうした長期計画の中でいろいろの事業をお進めになるという原資にさえも詰まるような事態にもなりはしないかということをおそれるのでありますから、さような意味におきまして、すみやかにその根本対策につきましてはお進めすべきではないかなどと思った次第であります。  そこで、時間がだいぶ過ぎますから、次の問題に移るのでありますが、郵政当局にお伺いいたします。  民放がどういうふうな経営状況をもって推移いたしておるか、これはどこまで民放の経営状況についてタッチし得るか、調査し得るか、私は知らぬのであります。しかし概況については、放送全般の管理をなさっておられる、電波の監理をなさっておられるという立場からしまして、その電波を主たる業務対象とする放送会社などの経営状況などにつきましては、大づかみでもその推移というものはつかんでおられると思います。始まってから十年余りになるのでありましょうが、どんなふうの足取りをもって進んでおりますか。今後どういうふうな状況でやられましょうか。概括でよろしいから、ひとつお示しが願いたいと思います。
  331. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 現在ラジオテレビの兼営をいたしておりますものが三十三社であります。テレビだけの経営をいたしております分が十二社、ラジオだけのものが十三社、結局民放一般放送事業者といたしましては五十八社あるわけでございます。この五十八社で四十年七月から四十一年六月までの間の収入を見てみますと、千二百六十八億、こういう状況でありまして、利益金としましては九十億、大体きわめて順調にいままで伸びてまいっておる、かように考えております。
  332. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 千二百何がしという収入の大部分は広告収入といいますか、そういう方面だろうと思うのですね。それが最近全体として急激にふえておる傾向があるやに思われる。そういう点について特に顕著にふえておるというような事実があれば、と同時に、これからどのような足取りをもってそういうものがふえていくであろうかなどということを知るためにほしいのであります。おわかりになりました程度でよろしいからお示しが願いたい。
  333. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 最近とみにふえたと申しますよりも、これは景気とともに歩んでまいっておりまして、去年からよくなってまいったわけであります。一両年は御存じのように停滞しておりましたが、昨年からの景気回復とともに大体よくなってまいっておりますが、それで広告費全体で四十一年が約三千八百億でありますが、その間に商業放送の占めておりますのは、先ほどの数字と変わってまいりますが、ラジオ全部入れまして、営業外収入も入れますと、四十一年度の終わりまで入れまして千四百億になります。三七・三%。したがいまして、非常にその点は……
  334. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 その前年はどれくらいになります。
  335. 淺野賢澄

    ○淺野政府委員 前年はちょっと私持っておりません。ちょっと書いておりましたものですから……。去年からは非常に順調である、かように考えております。
  336. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 実はなぜ私がこういうことを気にするかといいますと、わが国の全体の広告費の総額が大体四千億くらいになりますか、というように承っておる。そういう中において、放送による広告というものが急激にふえてまいった。これは私はそうあるだろうと思われるのは、確かに広告価値が多いものですから、景気がよければいいなりに、悪ければ悪いなりにやはり放送を通じて活発に広告するであろうというような気がしておるのであります。昨年もしくは一昨年あたりから急カーブをもって上昇しておる。今後においてますますそのカーブは高くなるのではないかなどと思われるのでありますが、そういうことからいたしまして、民放はそうした潤沢といいますか、多く入るところの広告収入をもってますます放送内容充実する。ときによると外国から高いフィルムを買い込んで、いいというかお客さんのつくような放送電波を流すであろうということが予想されるのであります。そういうことになりますと、私は公共放送との間にアンバランスが出てきやせぬか、こう思うのですよ。こういうことについて考えを及ぼしたかどうかわかりませんけれども、私はそういうことが非常に気になってきた。ますます片や経営条件がよくなります。ますます内容充実してきます。局をつくるかもしれない。スタジオもりっぱなものをつくるかもしれない。それ以前に外国のたいへんな金をかけたフィルムを持ってきてやるかもしれないということになると、それはいい。それはいいですけれども、今度はNHKがいかにがんばろうとしても——現にNHKの収入が七百何ぼでございますか、料金収入というものは。民放全体としてはすでに千三百億、来年あたりは千七、八百億にもなるかもしれない。NHKの倍くらいの収入を得るかもしらぬ。そういう収入の中から内容充実していくということになると、ここに妙な形のものが出やせぬかと思う。そういうようなことに対して電波監理の立場にある者としてはどういう監理を持っておられますか。これは大臣、もしそういうことについて考えを進められておったとすればお漏らしを願いたいのでありますが、全体の放送業務として、これは公共放送も営業放送も含めましていい調和の中から進めていきませんと、料金を片一方は取る、取らなければならないというような非常なハンディキャップを持っているものとしては非常にやりにくくなってくるのじゃないか、そういうところからして、放送業務全体あるいは放送体制とでもいいましょうか、そういうものについての何か片ちんばのもの、あるいはひびが入る、そういうような心配を持つのでありますが、その心配を持つのは私の杞憂でありましょうか。
  337. 小林武治

    小林国務大臣 いまのお話は必ずしも杞憂ではない、こういうふうに思います。しかし、体系が公共放送と商業放送とこういうふうに分かれておりまして、商業放送のほうは広告料収入をもって維持する。しかも、これには株主もある、資本もある、利潤の配当もしなければならぬ、こういうことであります。一方、NHKには資本もなければ株主もない、利益の配当も要らない、こういうことになって、全く体系が違う。商業放送のほうからいわせれば、NHKは十分の資金を持っておる、すなわち、利息の要らない金を持っていろいろな施設をやっていてまことに羨望にたえない。片方は自由企業であるからして利潤も出さなければならないし、利息の要る金も使わなければならない、こういうことで、これと比べること自体が非常にむずかしい問題であります。中には、NHKから多少回してもらったらいいじゃないかという議論もありますが、両方の体系は全く別個なものであるのでございまして、NHKとしますれば、私ども考え方はこれはもう一種の公共企業体みたいなものであって、利潤も要らない、配当も要らない、こういうことであるから、実は全くの公経済と同じで、NHKは自分のNHKを維持、経営するに必要な料金収入を得れば、それで十分だ、人のことを見るような立場にない、こういうふうに考えなければならぬと思いますので、格差がおいおい一いまでも現に出ておるし、番組の内容についても世間ではいろいろな批判をしておりますが、これをプールのようなかっこうでどうするなんという問題はあり得ないと思うのでございます。自由企業としての商業放送自体が自分の財政状態あるいは番組を向上させていく、こういうこと以外には、いまではそれしかないのじゃないか、かように考えております。
  338. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 その商業放送としての自由を認めるという、これはそれよりほかないと思います。また、NHKのほうについては公共放送としての大きな責任をしょいながら、ハンディキャップを持ちながらいかなければならないというようなところで、私の心配するのは、片や非常に活発にぐんぐん伸びている、そして、内容ももしかすると、いまでこそNHKのほうが内容もいいといわれている、施設もいいといわれている、しかし、やがてこのままいくと、これが逆になりやしないか、現に収入というものは、もし五年ほど前と比べてみますと、いまとは逆になってきているのではないか、ますますその程度はひどくなりはしないか、こういうことを危惧する。そこで、こういうものについてそのままいっていいのか、こういうことなのであります。といいますのは、だんだん商業放送のほうが内容充実してくるということになりますと、NHKのほうの聴視者が実際に減る心配もある。そういうことになってきて、これがまた料金問題に響いて、料金の未払いの原因になるということが一つ、そういうところから料金確保のために苦労しておる現場の人々に一そうその苦労がかかりはしないか、こう思うものですから、政府のほうではそういうようなことをも考えながら、何かその辺についての調節策というか調整策とでもいうようなものをいまから検討しておく必要がありはしないか、こういうことでございます。ラジオ料金全免論などがもう出てきたということからして、それは少し早いのじゃないかなどと思ったものですから、これを機会にそういうようなことをも念頭に置いて、あらためて基本的な調査なり検討なりを進めていかなければならぬのじゃないか、こう思ったからであります。どうも少し私の考え方が飛躍をしていけないのでありますが、実は、たとえば放送法制定当時といまと考えてみますと、まるでこの世の中が違ってきておる。それから先ほどもなにいたしましたけれども、料金値上げを論議しなければならないようなときもつい五、六年前にあった。それがたちまち現実には料金の全免のワクをふやそう、あるいは全免してもいいのじゃないかというような意見さえも出てきたように変わってきた。そういうふうに非常な変わり方をする放送事業、放送体制でありますだけに、いまの民放が、一昨年くらいと、ことし来年との間には非常に伸びが出てくるというようなことも勘案して、あらためてそういう事態の中から放送業務全体、放送体制というものについての検討を進めるべきときがきたのじゃないか。十分検討を進めた中において、NHKの料金問題もおのずから結論が出てくるのじゃないか、NHKの経営の基本方針もおのずから出てきはしないか。いま承ったこれだけをもって非常にゆとりがあるはなやかな経営方針というものをこのまま、四十二年度はけっこうといたしましても、五年後においてはそういう見地に立ちますとこれでいいかどうかについては私は心配を持つものだからであります。決してこれは民放を制約したいとか、民放の営業放送の自由を縛ろうなどという考え方に出てきたわけではございません。できるならば商業放送と公共放送との間にある種の協調点を持ちながら、研究考え、その他についてはお互いに調和しながら伸びなければならない、そういう方面に進んでおる、それをもっと制度化するというようなときが来はしないか。それをいまから検討をお進めになるお考えがあるかどうか承りたい。
  339. 小林武治

    小林国務大臣 私は、民放NHKと比べて、お説とはまた違った考えを持っておって、とにかく民放NHKのレベルまでいけるなんということは当分考えられない。これはそういう状態にあります。多少広告収入がふえたといっても、出発点から非常な違いを持っておる。あらゆる設備を比べてみても問題にならない。したがって御心配のように今度は商業放送がよくなってNHKが追いつかないというようなことは、今後しばらくは私は考えておらない。NHK自体としましては、聴取者の数が減るなんということは考えられない。とにかく聴取し得る設備さえすれば、聞こうが聞くまいが料金の契約は結ばなければならない、したがって聴視率の問題などは関係がない、見ても見なくても設備をすれば契約をしなければならない、こういうことでありますから、いまの内容をよくしてもらわなければならぬのは当然でありますが、それによって収入が減るなんということは、いまの放送法のたてまえにおいては考えられない、こういうふうに思っておりまするので、私どもむしろどうしたら商業放送をもっとレベルアップできるかというふうなことを考えなければならぬのじゃないか、かように考えております。いまの受信料の問題にしましても、NHKの現在の七百億、八百億のあれから見れば、ラジオの受信料などはその一%にもならぬ。しかもこれは捕捉が非常に困難であるし、また徴収なども驚くべき費用をかけてやっておるので、であるからして、ラジオの施設者自体の現状から見ても、全免をしてもNHKの経済にたいした影響はなかろうし、またそういう非常な苦労をして、これを把握することのできないものに無用な努力も要らないじゃないか、こういうふうな考え方で、私どもは、NHKの経済が悪くなる、こういうようなことを考えたらとてもこんなことはできないので、そういう心配はなかろう、こういうことでこれ々やっておるのであります。それでこの問題については、いまの受信料というものは前々からここで問題になっておる、これは何だろうということでありますが、要するにいまの法律では設備さえしたらもう契約しなければならぬ、こういうことになっておりまするから、むろん今後の設備がそう大いに——すでに二千万に達しておる。今後これからどんどんまだふえていく、ふえていけば複数でふえていくが、複数であっても聴視料は同じである、こういうことであるから、ことし九十何万も認めたということになれば、これは実は認めたというても、従来あったところにまだ捕捉しておらぬものが相当今度は入っておる、こういう状態で、四十二年度が急に伸びる、こういうことでもあるまいと思いまするが、要するに私は料金の率がどうかということは問題としまして、払う数が減っていくというようなことは考えておりません。  それからなおこれはNHKの将来の問題として考えなければならぬが、とにかくいまNHKというものは何も資本がなくて、これだけ大きくなってきて資本費というものが、いま放送債券なんか出しておりますが、ほとんどかかっておらない、また利益配当も全然要らない、こういうことであって、受信料の中から相当多額の建設費が払われておる、こういうことも普通の経営においてはあまりないわけですね。だからしていまあなたのおっしゃるように、ゆとりのある予算であって、これがそう急にゆとりがなくなるなんということは、私どもはいま予想しておらぬというふうに考えております。
  340. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 これで終わりますが、私も理論からいいますれば契約者が減るなどということは考えない。のみならず、これからもいろいろと、ここにありますような受信者の開発でありますとか、協会事業の周知、受信の改善などをはじめ契約者をふやしていくという努力が必ず実を結ぶであろうことを信じたい。信じたいのですけれども、それにはそれで相当の苦労を要する、相当の対策をしてかからなければいけないのじゃないか。いまのような民放がだんだん放送内容がよくなるというような事実も考えなければならぬという意味におきまして、理屈では減ることはあるまい、しかし減らさないためにはいままで以上の非常な努力をし、またそれなりの方策を講じていかなければいけないように思う、こういうことでございます。それで実は私はなぜこんなとっぴな考え方を思い立ったか、心配になりましたかといいますと、こんなことでありました。簡易保険が一時民保と競合してはいかぬとかなんとかいうことが言われておったのでありますが、そしてまた一時は簡保が民保全体を合わせたと同じような状況だったのです。いまはもう民保の中の一社が簡保と匹敵するくらいの契約を持つに至った。これは終戦後の厳然たる事実なんですね。それほど非常なスピードを持って民保が進んできた。私は営業放送においても、いまはそうであるかもしれぬけれども、そういうときがこないとも限らないということを思ったものですから、ある種の条件が整いますと、それほどに猛スピードで発展する要素を持っておる、いわんやこの時を得た放送事業などというものはそういうことになりがちでもあろう、こんなことを思ったものですから、そういうことをも予想するということになりますと、郵政大臣としましては、何かこの辺で放送法というものを、いずれは検討されるときにおいてその根本的なる考え方を、何かの機関、調査会といいますかどうか知りませんけれども、そういうものをもって進めておかれる必要がありはしないか。これは公共放送のためにも、また営業放送、商業放送のためにも、わが国全体における放送業務、放送体制というものをおかしくしないために必要ではなかろうか、こう思ったのであります。いささかこれはよけいなことであったかもしれませんけれどもNHK予算審議にあたりまして気がついたものですから申し上げた次第であります。
  341. 秋田大助

    ○秋田委員 関連して。NHKラジオの料金の全廃の御意向についていろいろお話があったのでありますが、これを論ぜられるときに乙種料金の全廃ということばもありますが、簡単にラジオ料金の全廃ということばも使っておられます。これは将来誤解を招くおそれが非常にあろうと思いますので念のために伺っておきます。世上ラジオ料金の全廃といわれておるが、正確にいえばこれはいわゆる乙種料金の全廃とお考えになっておることと私は思うのであります。いやそうばかりでもない、乙種料金、すなわちラジオ施設だけを持っておる人の料金ばかりでなく、すべてラジオ料金そのものを全廃する意味も含んでおると考えられるのでありましょうか、どちらでございましょうか。ただ単にラジオ料金の全廃とだけ言っておりますと、またその意味だと解釈いたしますと、甲種料金に含まれておるところのラジオ部門、これは現に説明はいかにいたそうともあるわけであります。これがなければ、NHKは料金収入がなく、しかもラジオ放送もずいぶんしておるわけでありますから、それを補てんできないわけであります。将来甲の料金支払い者にいろいろの問題を波及して起こすおそれがありますから、念のために、これは大事な点だと思うので、大臣のお考えを伺っておきたいのであります。
  342. 小林武治

    小林国務大臣 これはごもっともでございまして、私どもは乙種料金をさしておる。ただ世間にそういってもなかなかわからぬものだから、乙種料金なんという特別なことばはわからぬからして、まあ簡略にラジオと申しておりますが、乙種料金のこと、こういうふうにお考え願いたい。
  343. 秋田大助

    ○秋田委員 了解をいたしました。これは一応念を押しておかなければ誤解を世上に流すと思いますから念のために申し上げたのであります。
  344. 小林武治

    小林国務大臣 先ほどの金丸委員のお尋ねでありますが、やはり御趣旨のことはわれわれも十分検討したい。ただテレビというものは売る時間がもうきまっちゃっておるから、保険などのようなものと全く違う。一日十何時間会社として時間というものは限定されておるから、ただ、テレビ会社がもしふえればまた広告料も違っていく、こういうことも言われますが、とにかくこのほうは時間の限定があるから、保険に比べてのような御心配はあまりないだろう、かように考えます。いずれにいたしましても、この料金体系というものはやはり検討しなければならぬ、こういうふうに考えております。
  345. 松澤雄藏

    松澤委員長 これより直ちに理事会を開き、明二十五日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十二分散会