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1967-07-18 第55回国会 衆議院 地方行政委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十八日(火曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 亀山 孝一君    理事 大石 八治君 理事 岡崎 英城君    理事 奥野 誠亮君 理事 久保田円次君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君       木野 晴夫君    久保田藤麿君       塩川正十郎君    中馬 辰猪君       辻  寛一君    登坂重次郎君       永山 忠則君    古屋  亨君       山田 久就君    井上  泉君       太田 一夫君    河上 民雄君       島上善五郎君    華山 親義君       依田 圭五君    折小野良一君       有島 重武君    小濱 新次君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         通商産業省化学         工業局長    吉光  久君         自治政務次官  伊東 隆治君         自治省行政局長 長野 士郎君         消防庁長官   佐久間 彊君         消防庁次長   川合  武君  委員外出席者         海上保安庁警備         救難部長    長野 義男君         建設省都市局参         事官      小林 忠雄君         建設省住宅局調         査官      三宅 俊治君         自治大臣官房参         事官      鎌田 要人君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         消防庁教養課長 村山 茂直君         消防庁予防課長 高田  勇君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 七月十八日  委員井上泉君及び沖本泰幸辞任につき、その  補欠として内藤良平君及び有島重武君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員内藤良平辞任につき、その補欠として井  上泉君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月十七日  東京都旧目白町三、四丁目等の住居表示に関する請願阪上安太郎紹介)(第三八九二号)  同(依田圭五君紹介)(第三八九三号)  同(神近市子紹介)(第四〇九三号)  東京都旧高田本町一、二丁目の住居表示に関する請願河野密紹介)(第三八九四号)  市町村営有線放送電話施設助成等に関する請願大橋武夫紹介)(第三八九六号)  同(櫻内義雄紹介)(第三八九七号)  同(竹下登紹介)(第三八九八号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第三八九九号)  同(廣瀬正雄紹介)(第三九〇〇号)  同外一件(三ツ林弥太郎紹介)(第三九〇一号)  同(小沢貞孝紹介)(第四〇四四号)  同(前尾繁三郎紹介)(第四〇九四号)  指定自動車教習所助成に関する請願大久保武雄紹介)(第三九〇二号)  同(松澤雄藏紹介)(第三九〇三号)  同(江崎真澄紹介)(第四〇九一号)  同(古川丈吉紹介)(第四〇九二号)  道路交通法の一部を改正する法律案反対に関する請願島上善五郎紹介)(第四〇二五号)  同(林百郎君紹介)(第四〇二六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月十七日  地方公務員定年制実施に関する陳情書(第四二〇号)  町村行政水準引上げに関する陳情書(第四二一号)  町村財政確立強化に関する陳情書外一件(第四二二号)  特別区の区長公選に関する陳情書(第四五九号)  指定自動車教習所助成に関する陳情書(第四六三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  住民基本台帳法案内閣提出第一〇九号)(参議院送付)  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案内閣提出第一二六号)(参議院送付)  小委員長からの報告聴取  消防力充実強化に関する件      ――――◇―――――
  2. 亀山孝一

    亀山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる住民基本台帳法案議題といたします。  本案については、昨十七日、質疑が終局いたしております。  これより住民基本台帳法案討論に付するのでありますが、別に討論申し出もありませんので、直ちに本案の採決を行ないます。  住民基本台帳法案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  3. 亀山孝一

    亀山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決されました本案に対する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  5. 亀山孝一

    亀山委員長 消防に関する件について調査を進めます。  この際、消防に関する小委員長から、消防に関する小委員会調査の結果について報告いたしたいとの申し出があります。これを許します。奥野誠亮君。
  6. 奥野誠亮

    奥野委員 消防に関する小委員会調査の経過を御報告申し上げます。  近年におけるわが国の経済高度成長に伴う社会情勢変化は目ざましいものがありまして、都市特に大都市におきましては、産業及び人口過度集中によりいわゆる過密の問題が生じております。反面、町村特に農村地帯をかかえた地域におきましては、男子を中心として若年層の離村が激しく、いわゆる過疎問題を起こしていることは各位の十分御承知のところであります。  こうした社会経済情勢変化は、それぞれの地域における火災の態様及びこれに対処する消防につきましても必然的に影響を与えておりまして、超高層ビル地下街における防火消防態勢をどうするか、臨海工業地帯におけるコンビナート災害または海上火災航空機火災への対処方法はいかにあるべきか、あるいは逐年減少の傾向にある消防団員確保をどうするか、またこれらに関連する消防常備化広域化も緊要の問題となっているのであります。  一方、昭和四十一年の火災の実態を見ますと、出火件数四万七千余件、損害額四百六十二億円、死者千百五人に及んでおります。特に死者は戦後最高になっているのであります。  これに対して、消防現状はどうかと申しますと、消防力におきましても、消防体制におきましても、その近代化の実現にはほど遠い状況にあるのであります。  このような実情にかんがみまして、昨年第五十二回国会閉会中及び第五十三回国会に引き続き本国会においてもさらに消防に関する調査を行なうため、三月十七日本委員会において小委員十一名からなる小委員会が設置されたのであります。  五月十六日第一回の小委員会を開会して以来、七回開会し、その間消防庁より、消防の現況、消防関係者処遇消防財政実情救急業務体制、超高層建築物及び地下街防災対策等について説明を聴取するとともに、五月三十一日は、消防研究所をはじめ、消防大学校、東京消防庁四谷消防署におもむき関係者の要望を聴取するとともに、油火災消火方法出動演習及び火災救急指令センター等の視察を行なったのであります。  また、六月七日には、朝日新聞論説顧問荒垣秀雄君外四名の参考人より意見を聴取するなど熱心に調査を進めてまいったのであります。  調査の過程において論議されたおもな内容を申しますと次のとおりであります。  その一は、消防体制常備化広域化についてであります。  消防力増強するためにその常備体制強化をはかることはいうまでもないが、今後、たとえば、市で未指定のものは指定する等政令指定範囲拡大するとともに、特に一部事務組合等共同処理方式活用することによって常備消防力整備並びに消防活動広域化近代的装備による機動力強化をはかる必要がある。  また、消防吏員待機宿舎の建設を推進し、緊急出動体制確保をはかる必要がある。  その二は、消防団員確保処遇についてであります。  全国の大部分の農山漁村では消防活動消防団にゆだねているが、近年、消防団員が年々減少の一途をたどっている。これは火災のみならず各種防災特に水防活動考え合わせるとき将来の消防体制の根幹をゆるがす問題である。  そのためには、消防署消防団との間の機能の分化を考慮しつつ、常備化と並行して、消防団員確保対策を講ずる必要がある。その一環として、消防団員報酬及び出動手当並びに退職報償金増額等、待遇を改善するほか、内閣総理大臣顕彰制度活用特別ほう賞制度の適用、自治大臣表彰旗の設定及び生存者叙勲拡大等をはかることによって士気の高揚をはかる必要がある。  また、婦人消防隊の積極的な育成についても検討すべきである。  第三は、消防施設整備強化についてであります。  市町村消防施設については逐次整備されてきたが、社会経済実情に即応するよう消防力基準あり方検討を加え、早急に消防力強化拡充をはかる必要がある。  また、山村、離島等僻地における消防施設を計画的に整備強化すべきである。  第四は、非常災害及び特殊災害に対する防災体制整備についてであります。  予見しがたい大震火災に対処し得る対策を平時から調査研究する体制を早急に樹立して、防火帯水利施設避難路等を計画的に整備するとともに、空中消火法開発研究に対し十分な予算措置を講ずべきである。  また、最近における危険物施設石油コンビナート地帯増加、あるいは超高層ビル地下街増加等消防対象量的増大質的変化に対処するため、化学車排煙車消防艇ヘリコプター等施設拡充化学消火薬剤備蓄等科学消防力増強をはかる一方、企業自体保安をはかるため、企業責任を明確にして、従来の自衛消防組織のほか、消防活動上必要な施設を設置させるべきである。  第五は、防災対策指導体制についてであります。  災害対策基本法に基づく地方公共団体事務指導を積極的に実施するとともに、水防活動における消防機関水防団指導あり方検討すべきである。  なお、湾湾及び空港における防災体制を再検討し、関係行政機関責任の分野を明確にする必要がある。  第六は、救急業務拡充強化についてであります。  本年九月から救急業務実施市町村基準人口五万に引き下げることとされたが、それ以外の市町村においても実施しているところが多い実情である。最近の交通事故その他の災害が多発している現状にかんがみ、消防本部、署を置く市町村は原則的に救急業務を実施するよう基準改正を行なうこととすべきであるが、小市町村においては共同処理により広域的運営をさせるよう勧奨すべきである。なお、現に救急業務任意に実施している市町村に対しても財源措置を行なうべきである。  これらの措置に対応して救急施設充実救急隊員訓練等に努力すべきである。  第七は、消防財源充実についてであります。  社会経済要請にこたえて市町村消防力増強をはかるため、消防力基準検討に対応して地方交付税基準財政需要額積算基礎を再検討するとともに、消防施設に対する目的税創設検討市町村自主財源強化する必要がある。と同時に、消防施設に対する国庫補助金を大幅に増額すべきことはいうまでもなく、補助単価の是正と補助対象事業拡大をはかる必要である。  また消防関係起債については、損保債増額し、その金利を政府債並みに引き下げ、また償還年限の延長をはかるとともに、政府資金による消防施設債拡充し、資金区分に従って貸し付け対象をさらに明確にすることにより資金対象施設及び整備実績が比較できるよう検討すべきである。  以上が現在まで行なわれたおもな論点であります。本小委員会といたしましては、今後引き続き消防制度検討を行なうこととし、当面、昭和四十三年度の施策として、少なくとも消防体制整備強化消防力充実強化基本とした次の措置を講ずることが緊要であるという意見の一致を見たのであります。 一、消防施設に対する目的税創設等市町村自主財源増強化学車消防艇ヘリコプター等科学消防施設及び弱小市町村一般消防施設に対する国庫補助金増額並びに起債ワク拡大及び損保債利率の大幅な引き下げについて特段の措置を講ずること。 二、消防常備化広域化を促進するため、消防本部署必置市町村指定範囲拡大するとともに、共同処理方式活用をはかること。 三、消防署消防団との間の機能分担あり方検討するとともに消防団員に対する報酬出動手当及び退職報償金増額、並びに表彰制度の運用の改善につとめること。 四、救急業務実施市町村指定基準をさらに引き下げ、市町村間の業務共同処理を勧奨するとともに、現在任意に実施している市町村に対して所要の財源措置を行なうこと。  なお、救急機材整備及び救急隊員教育訓練強化すること。 五、液化石油ガス等の貯蔵、取り扱い及び運搬について消防としての保安規制強化するため、行政の一元化を推進すること。 六、高層建築物地下街等における避難施設整備等防災対策強化すること。 七、石油コンビナート地帯港湾等における特殊災害に対処するため、企業責任内容を明確にして、すみやかに総合的な防災対策を樹立し、消火薬剤備蓄消化技術研究救命艇開発等措置を講ずること。 八、大震火災等非常災害に対する調査研究体制をすみやかに整備するとともに、空中消火法等技術開発に対し、十分な予算措置を講ずること。  以上、御報告申し上げます。      ————◇—————
  7. 亀山孝一

    亀山委員長 内閣提出にかかる消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、これを許します。河上民雄君。
  8. 河上民雄

    河上委員 ただいま上程されております消防法及び消防組織法の一部改正につきまして、二、三の点についてお尋ねいたしたいと思います。  今回の改正法案を拝見いたしますると、市町村消防に対しまして、府県消防救急業務に関しましていろいろ助けていくというような趣旨が述べられているわけでございますけれども、御承知のとおり、消防法のたてまえは、昭和二十三年以来市町村消防中心とするということになっておるわけでございますが、今回の救急業務に関連する改正が、将来府県消防に移行するのではないか、そういう布石ではないかというようなおそれを若干感ずるわけでございます。政府においては、この問題につきましてどういうお考えでありますか、懸念のないような御答弁をいただければ幸いだと思っております。
  9. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 消防はあくまで市町村がやるということがたてまえでございまして、そのたてまえは絶対にくずさないつもりでございます。ただ、今回の改正におきまして、府県が補完的な役目をいたしますのは、どうしても市町村消防ではむずかしい、交通がひんぱんでありながら、市町村救急業務ではやっていけないというところを、非常に例外的につかまえまして、それを府県で補完をするということでございまして、このことが将来消防府県に移していくのではないかというような御懸念でございますけれども、そういう考え方は絶対持っていないわけでございます。
  10. 河上民雄

    河上委員 ただいま大臣より非常に明快な御答弁をいただきまして、この問題に関する政府の将来の態度というものがはっきりいたしたわけでございますが、今回救急業務をやらなくてはならない市町村の規模を十万から五万に引き下げたわけでございますが、従来とも五万以下であっても任意救急業務をやっているような市町村も若干あるわけでございますけれども、今回の改正によりまして、こういう任意にやっております五万以下の市町村府県消防との関係は今後どういうふうになりますでしょうか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  11. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、私どもといたしましては、できるだけ市町村救急業務責任を持たせるような方向に進めてまいりたい。そこで、ただいまお話のございましたように、従来人口十万以上の市に義務づけておりましたものを、今回五万以上の市に義務づけるということにいたしたわけでございますが、五万未満の市でありましても、御指摘のように、任意救急業務を実施しているところが相当あるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、できるだけ市町村にやられるところは救急業務をやらせていこう、こういう考え方でございまするから、できますれば明年度においてはさらに五万という人口基準を引き下げるようにしたい。そして、少なくとも市でありますれば、単独で、あるいは共同してこの救急業務を行なうというような体制になるべく早く持ってまいりたい、かような考え方をいたしております。そのような措置をとりましても、なおかつ救急業務を行なっていない区域で、しかも交通事故等の頻発する道路のある区間があるわけでございますし、そういうところは沿道町村もきわめて貧弱な町村でありますし、かつその事故を起こしますものも、その町村民でなく、よそから通過しておるものだ、こういうようなことから考えてみますと、そういう場合にそこの町村救急業務をやらせるということも無理ではなかろうか、かような場合には、今回の法案で御提案しておりますような、府県が補完的な意味においてやるというような方法を利用してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  12. 河上民雄

    河上委員 ただいまの御答弁によりますれば、五万以下の義務づけられていない市町村においても、任意にやっている場合には、そうしたものの意欲をそぐことなく、むしろ奨励してやるというようなお話のように承ったわけでございますが、ついで最近高速道路が非常に多くなっているわけでございまして、非常な高スピードのために、事故もまた非常にふえておるように思うのであります。御承知のとおり、高速道路の場合は、インターチェンジのあるところ以外は車ははいれないわけでございます。そういたしますと、事故が起こりました場合に、その担当地区市町村消防が飛んでまいりたくとも行けないというようなことがあると思うのです。また、県単位にいたしましても、そういうことは当然あると思うのでございますけれども、そういう場合は、これをどういうふうに処理されるつもりであるかどうか聞くところによりますると、名神高速では、私もあまり詳しく知らないのでございますが、関係の各市の消防が職員を派遣して、高速道路専属救急班というようなものをつくっているやに聞いておるわけでございますけれども、何かそういうような一部事務組合的な共同処理方式というようなものを考えてみるのも一つじゃないかというふうに考えるのでございますが、これに対して、今回の改正にあたって、政府ではこの問題をどういうふうにお考えになっておるか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  13. 佐久間彊

    佐久間政府委員 名神の場合におきましては、沿道救急業務を実施いたしております市がございますが、実施いたしておりません市町村協議会を持ちまして、相互応援協定を結びまして、そして救急業務をやっております市が、やってない市町村区域道路上で起こりました事故に対しても出動する、こういう措置をとっておるのでございます。  しかし、今後だんだんに高速道路もできてまいりますと、そういうような方法でどこでもやれるかどうか。そういう方法でまいります場合に、関係市町村がみな同意をいたしましてこの方法がとれますれば、それはけっこうでございますけれども、ただいま先生もおっしゃいましたように、それらの市町村の中には、インターもない、自分のところでやろうと思っても全く手の届かない、いわゆるそこの市町村責任とすることが非常に無理な犠牲を強いなければならぬというような場合が多いわけでございます。  そういうことになりますと、もう少し合理的な、そういう場合に処してやれる方法検討する必要がありゃせぬかということで、今回改正法案で御提案をいたした次第でございまして、一つは、都道府県知事が現にやっておりまするところに、やってない地域道路上の救急をやるように要請をするという方法でございます。むろん、要請いたしました場合には、そこの市町村がよその分までやるわけでございますから、適当な財源措置考えていくことになろうと思いますが、しかし、そういう方法でやりましても、もよりのところに適当な、現にやっております市町村がない。何十キロもの間、沿道救急業務をやっておる市町村がないというような場合には、やむを得ませんので、府県がそれに分駐所を設けまして、そこでやるというような方法もとれるようにしようというのが今回の提案でございます。
  14. 河上民雄

    河上委員 いまのようなお話でございますけれども、もし愛知県で何か起こった場合でも、実際には静岡県から入らなければやっていけないというような場合もあり得ると思うのでございます。そうなりますと、県と県との間の当然共同処理というものも必要になってくるわけでありまして、何か上からやるというよりも、関係地方自治体が、下のほうから積み上げて、一定の高速道路に関しては、一部事務組合的な共同処理方式をつくったほうがいいんじゃないか、こういうふうに私は考えておるわけでございます。いきなり府県でやるとか、あるいはまた、その県と県の上の何かを設けるというよりも、下から積み上げていくほうがいいのじゃないか、これが私の質問の趣旨でございますが、それについていかがお考えになりますか。
  15. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先生のおっしゃるとおりに、私どももできるだけ、市町村間の共同処理によりまして解決のつくところは、そういう方法解決のつくように指導いたしたいと思っております。ただ、救急業務は急を要しますので、事故が起こりまして十五分か二十分ぐらいで現場にかけつけられるというような体制にいたしておかなければなりませんので、沿道相互援助によってくまなく救急網を張れるような状況にありますところは、市町村間の応援あるいは共同処理方法でいくわけでございますが、そういうようなこともできにくい場合のことも考えまして、改正法で御提案したようなわけでございます。考え方は、むろん市町村間の共同処理でいけるところは、できるだけその方法をやってもらうようにしたい、こういうつもりでございます。
  16. 河上民雄

    河上委員 それと、もう一つ関連いたしまして、市町村消防は力がないからという考え方が全般にあるように思うのでございますけれども、この問題は、理想的にいえば、市町村消防財源を与えればできないことはないわけでございます。財源のひもを閉じておいて、能力がないというふうに言うのもどうかと思うのであります。そういうようなことについて、もう少し財源の面で何か考慮するというようなお考えはないものでありましょうか。
  17. 佐久間彊

    佐久間政府委員 仰せのように、私どもも、市町村消防能力がないからこれを府県消防にすべきだというような議論、これは世間の一部にはないわけでもございませんけれども、そういう考え方につきましてはまっこうから反対をいたしております。市町村消防をできるだけ力をつけてやるという方向でものごとを解決していきたいわけでありますし、財源的なことにつきましては、なるたけ市町村消防に財政的な措置をしてやるという方向考えていくべきものだという考え方をいたしておる次第でございます。
  18. 河上民雄

    河上委員 いまの財源の問題と多少関係があるのでございますけれども事故が起こりましたときにまず飛んでまいります救急指定病院というのがあるわけでございますが、各市町村で聞いてまいりますと、救急指定病院の数がどんどん減っておる。その理由はと聞いてみますと、むしろ病院のほうで指定を返上する、遠慮するというようなことがあるようでございます。このような状態を放置しておきますことは、いかに救急業務体制を整えましても、十分な処置ができないというようなことになるおそれもあるわけでございまして、こういう場合、救急指定病院に対する財政的な助成といいますか、そういうようなものも一つの裏づけとして伴わなくてはならぬのではないかというような気がいたすのであります。こういうような状況につきまして、救急指定病院がいま一体どういうような状況になっておるか、また、それに対する助成を行なう、ふやしていくようなお考えはないのかどうか、それについてちょっと御説明いただきたいと思います。
  19. 佐久間彊

    佐久間政府委員 救急指定病院についてでございますが、私ども先生のおっしゃいますように、病院側にとってはあまり指定を喜ばないという空気も一部にあるように聞いておりますし、同時にまた、逆に非常に積極的にその都市救急に協力をしようということでやっておられるところもあるようでございます。ただ、問題になりますのは、救急車によって運ばれまして医療を受けました者が、むろん、その者が自分の治療に要しました経費は負担をして病院に支払うべきでありますが、往々にしてそれが支払い能力がなかったり、あるいは途中で逃げてしまうというようなことで、病院に御迷惑をかけておるというケースがあるようでございます。そこで、東京とか大阪とかいう大都市になりますと、救急病院側に対しまして、若干の助成をいたしておるところもございます。それで、私どもといたしましては、今回救急業務を全国的に整備をしようという考え方でございまするので、そういうことになりますると、この問題も各地方団体と病院との間の話し合いだけということではなくて、ひとつ全国的に実情調査をいたしまして、何か中央において指導すべき点があれば指導もするようにいたしたい、一つ検討事項といたしたい、かように考えておる次第でございます。
  20. 河上民雄

    河上委員 指定病院というのは、どういうふうにして指定がなされるのでございますか。
  21. 佐久間彊

    佐久間政府委員 病院側が救急患者を収容するに相当する施設能力を持っておりまする場合に、それの申し出によりまして都府県知事が指定する、かようなことになっております。
  22. 河上民雄

    河上委員 ついでに伺いますけれども、自動車事故で脳をやられる人が非常に多いわけでございますが、脳外科の専門医とか、そういうふうなものは、各県あるいは各市ごとに必ず一名いなければならないとか、そういうような形での指導をしておられるのかどうか、それとも、そういうことはまだ全然やっておられないのかどうか、そのことを伺っておきたいと思います。
  23. 佐久間彊

    佐久間政府委員 救急医療の点になりますると、厚生省が主管ということになりまするので、私どもあまり詳しくは存じていないわけでございまするが、できますれば、脳外科の専門医が相当な都市には配置されることが望ましいと私ども考えておるわけでございますが、現実にはまだそこまでは至っておりません。この点につきましては、厚生省においてもいろいろ検討をされておるようでございますが、私どもも今後連絡をとりまして、できるだけそうした面でも整備をするように努力をいたしたいと思っております。
  24. 河上民雄

    河上委員 アメリカで聞いた話では、脳外科専門医の卒業生の数があまりふえないように、また、足りなくならないように非常にきびしい制限をして、ある一定地区には必ずそういう専門医がいるように指導しているやに聞いておるわけでございます。この問題は、厚生省の関係ではあろうと思いますけれども消防庁としてもひとつ研究課題にしていただきたいと思うのです。  次に、非常にこまかいことをいろいろ伺うようで恐縮でございますが、最近石油とかそういうものの使用量が非常にふえてまいりまして、それに伴って火災の様態もだいぶ変わってきたように思うのでございます。特殊な高価な消火剤を使わなければならないというふうなケースが非常にふえてきておるように思うのです。水ならば一応安いということで、火事の被害者あるいは原因者が特にその補償をするということはないように思うのですけれども、消火剤の場合は、費用の負担は一体だれがやるのかというような問題が、将来ますます多くなるのではないかと思うのでございますが、陸上の場合と、海上の場合とに分けまして、その点をちょっと聞いておきたいと思うのです。  普通のガソリンスタンドとかそういうような場合はどうなっておるか。それから最近、きのうの新聞などにも大きく出ておりますLPガスの会社からガスが流出して非常に危険な状態になったというようなことがありますけれども、そういうような場合。それから、海上で石油タンカーが衝突して、それによって火災が起きた、そういうような場合。それぞれ費用の負担は一体だれが負うのか。海上の場合ですと海上保安庁が負うのか、あるいは市がやるのか、あるいは企業責任を負うのか。陸上の場合も同様な問題があると思います。そういうことについて政府の態度、方針というものを確認しておきたいと思います。
  25. 佐久間彊

    佐久間政府委員 油火災に対しまして、普通の水では消火がむずかしいということで、あわの薬剤でありまするとか、あるいは噴霧状にいたしました消火方法でございまするとか、いろいろあるわけでございますが、そうした消火薬剤の経費の分担、あるいはそうした消火の責任の分担がどうなっているか、こういうお尋ねでございますが、陸上におきましては、コンビナート地帯等におきましては、企業自衛消防組織を義務づけることにいたしております。そうして、その一定規模以上の企業におきましては、自分のところで化学車、それに必要な薬剤の備蓄をするようにいたしております。それでございまするから、その企業の事業所内で火災が起こりました場合には、まず第一次的には自衛消防で消火に当たる。それで、もちろん市の消防がまたかけつけてまいるわけでございます。そして、市の消防が使いました薬剤につきましては、むろん市の経費で負担をするわけでございます。それから、海上につきましては、海上保安庁と消防機関とがどこまで責任を分担し合うかということにつきまして、必ずしも明確になっていない点もございますが、現在におきましては、昭和二十四年に、海上保安庁と当時の国家消防本部との間におきまして協定をいたしましたものによっております。これによりますると、入渠中の船舶あるいは接岸しておる船舶の火災につきましては、消防機関責任を持つ、そして海上保安庁のほうがこれに協力をする。そうでなく、陸から離れておりまする船舶の火災につきましては、海上保安庁が責任を持って消防機関が協力をする、こういうことになっておるのでございます。  しかし、昭和二十四年当時と今日とを比べてみますと、当時は今日のいわゆる石油コンビナート地帯といったようなものもまだできていない時期でもございまするし、港湾における船舶のふくそうの度合い、あるいは火災危険の度合いというようなものは、当時から見ますと格段の差があると思うのでございます。そこで、近年、港湾における消防体制をもう一度検討すべきじゃないか、こういう声が起こってまいりました。私どもといたしましても、それはぜひ実情に合うようにもう一度検討をすべきじゃないかということで、現在、海上保安庁と昭和二十四年に行ないました協定の改定方につきまして、いろいろ折衝をいたしておるのでございます。  私ども考え方は、港湾の実情によりますると、消防機関がもっと責任を持ちまして船舶火災の消火に当たるということにすべきじゃないか。現に東京消防庁あたりは、東京港といわれておりまするところ、船舶がふくそうしております地域は、全部東京消防庁責任を持つということに協定をいたしておるわけでございます。そこで、消防機関の海上消防力も漸次増強をいたしまして、そしてこれに対応するようにしていきたい、そういう方向で現在海上保安庁と折衝をいたしておるところでございます。したがいまして、経費の負担の問題も、それによって新しい責任の分担がきまりますれば、それに応じて経費の分担をしていくというようなことにいたしたいと考えております。
  26. 河上民雄

    河上委員 消防に関する責任の分担、費用の分担につきまして、詳しい御説明をいただいたわけでございますが、いまおっしゃいました海上保安庁と消防庁との間にかわされております昭和二十四年の協定書の改定というものは、近々に行なわれると理解してよろしいわけですか。
  27. 佐久間彊

    佐久間政府委員 さように御理解願ってけっこうでございます。
  28. 河上民雄

    河上委員 また非常にこまかいことを伺うようですけれども、プロパンガスの利用などで一般の家庭でもそれに類した火災が起こる危険は非常に多いわけでございますけれども、そういう場合の消火剤の費用などは、従来どおり市の消防ということで間違いないわけでございますか。
  29. 佐久間彊

    佐久間政府委員 さようでございます。
  30. 河上民雄

    河上委員 最後に、昨日LPガスの会社からガスが流出して住宅街に非常に大きな不安を与えたという記事が出ておりますけれども、その後、LPガスに関しましては、従来ばらばら行政で一貫した指導はできない、そういうことがこういうような事件の発生する温床であるというようなことが指摘されておるわけでございますが、今回の法改正によって、この問題についてこういう事件の再発を予防する上でどれだけの実効があるのか。また、この法改正では不十分であって、今後さらに一貫した、徹底した法体系、法取り締まりというものを必要とするのか、そういう点についての政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  31. 佐久間彊

    佐久間政府委員 プロパンガスの問題は、通産省の所管する高圧ガス取締法の規制するところとなっておったわけでございます。ただ、事故が起こりますと、消防機関が出かけまして、火災の鎮圧なり人命の救助に当たっておったわけでございますが、最近御指摘のように、プロパンによる事故が非常に多くなっております。何とかしてこれをもう少し事前に防止できるような体制をつくらなければいかぬということで、今回通産省ともいろいろ相談をいたしました結果、法案を御提案をいたしたわけでございますが、消防側といたしましては、従来こういうLPG等の高圧ガスがどこにどのくらいの量存在をしておるのかということがはっきりつかめなかったのでございます。そこで、そういうことでは、予防査察と申しておりますが、平素消防職員が見回って、危険なところは注意をして回るというようなことがなかなか励行できませんでしたので、今回はそれを消防機関に届け出をさせることによりまして、消防機関といたしましては予防査察が励行できるようにしていく、それからまた、一たん事故が起こりました場合には、それに対してどう対処したらいいのかということにつきましても、あらかじめ研究ができるようにしていこうということで、九条の二の改正を行なおうとするわけでございます。もちろんこれだけでは不十分でございまして、実は通産省のほうから別途本国会に御提案になっておりまするLPG関係法案の中に、さらにそちらのほうの法案で、通産省関係の許可とか届け出を要することになっておりますものにつきましては、その許可とか届け出をやる機関が消防機関に通報するというような規定も設けておるわけでございます。また、この許可をいたします場合には、消防機関意見書を申請書につけさせるというようなこともそちらのほうの法律に規定をいたさせることにいたしましたので、あれこれ両方いたしまして、従来よりもLPGによる事故の防止につきましては、相当前進した体制がとれるのではなかろうか、かように思っておるわけでございます。しかし、一方、LPGの一般家庭における消費量が非常に激増いたしておりますので、これらの事故の防止のためには、今後さらに努力をいたさなければならぬ、かように思っておる次第でございます。
  32. 河上民雄

    河上委員 最後にもう一つ、先ほどの消防委員会の報告の中でも、都市化現象に伴ってそれに消防体制が即応できないというようなことが訴えられておるわけでございます。たとえば東京都下の町田市などは、非常に大きな町になっているにもかかわらず、消防署員が非常に少ないという事態があるわけでありますが、こういう寒心すべき寒々とした事態に対しまして、消防署員の養成というようなことについては、現在どういうようなプランを持っておられるのか。実は、私が住んでおります渋谷の西原の近所に消防学校があるわけでございまして、最近何か増築などやっておるようでございますけれども、一体こういう問題について消防庁としてはどういうようなお考えを持っておられるか、ちょっとそれをお伺いしておきたいと思います。
  33. 佐久間彊

    佐久間政府委員 おあげになりました、町田のように急激に都市化が進んできておりますところにおきましては、消防力都市化の傾向に追いついていけないというような状況にありますことは事実でございます。私どものほうでは、そういうところにつきましては、従来消防団でやっておりましたところをできるだけ常備消防をするように持っていこうということで、これは消防本部署といっておりますが、消防本部署をつくるように政令で指定をいたしております。そういうことで消防本部署を持つ市の指定というものをここ二、三年の間に急に増加をいたしてきております。今後さらにこれはふやしてまいりたいと思っております。そして消防団に依存しないで、そういう都市化した区域におきましては、常備消防の力で消防がやっていけるというような体制に持っていきたいということを考えておるわけでございます。さらに、そうした消防署のできましたところにつきましても、消防署員の数が必ずしも十分でございませんので、これにつきましては、年々必要なものにつきましては、増員をするための財源措置地方交付税によりまして措置をいたしてきております。  それからもう一つは、お尋ねの職員の教育、訓練の問題でございます。これは単に量的に職員をふやすだけではなくて、質的にその向上をはからなければならぬということは緊急のことであると思っております。現在消防学校が府県単位、それと大都市にはございます。府県ではまだ独立の消防学校を持っていないところもございますが、早急に府県には消防学校を整備させるような方針でやってまいっておりますので、さらにその消防学校の内容充実の点につきましても、これから力を入れてまいりたいと思っております。現在のところ、東京、大阪のような大都市は別といたしまして、地方の県に参りますと、消防学校はできましたが、消防学校の教官等につきましてまだ必ずしも十分整備されていないところもございますので、そういう点の整備につきましては、今後さらに努力していきたい、かように考えております。それから、中央に、私どものところに消防大学校というのがございまして、これは消防署の幹部職員の教育をいたしております。ちょうど警察で県に警察学校があって、中央に警察大学校がありますような関係で、府県消防学校を出ました者で、さらに将来幹部として養成をしていく必要がある者については消防大学校に派遣をしてもらって、ここで教育をするという仕組みをとっておるわけでございます。
  34. 河上民雄

    河上委員 私の質問はもうこれで終わりたいと思いますが、何ぶん現在の都市化現象に伴いまして、消防、また道路交通のひんぱん化に伴って救急業務責任が非常に大きくなっておると思いますので、私がお願いいたしましたような点については、格段の御努力をいただきますようにお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  35. 亀山孝一

    亀山委員長 次に、小濱新次君。
  36. 小濱新次

    ○小濱委員 私は、何点かについてこれから質問をしたいと思いますが、その最初にお伺いしたいことは、今度の法案の要綱の中にも、第一項の第二に救急業務ということが示されております。これによると道路交通事故の発生ということが主として取り上げられておって、海上関係救急業務ということが書いてないようですが、この場合は海上は含まないのか、海上の救急業務というのは必要ないのか、そういう点についてひとつ長官からお願いしたいと思います。
  37. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この消防法救急業務と申しておりますのは、救急車と救急隊員をもって構成することに相なっておりますので、したがって、陸上の場合を念頭に置いて規定がなされております。したがいまして、今回改正法案の中で救急業務と申しておりますのは、海上は含んでおりません。
  38. 小濱新次

    ○小濱委員 ただいまも長官の御答弁の中で、陸上消防と海上保安庁との関係についていろいろ説明がございました。二十四年度に保安庁と協定ができた、そして、ドックに入っている入渠中の船、あるいは接岸している船、これは当然陸上消防でやらなくてはならない。その他は全部海上だ、保安庁のほうの責任になっている。もちろん、それだからといって、事故が発生した場合に、陸上消防はそのままでいるとは思いませんけれども、いろいろと調査をしてみますと、海上保安庁との責任区分について、どうしても海上保安庁の現有消防力ではまだ十分でない、こういうふうに聞いておるわけです。そういう点で、いろいろといままでにも尽くされてまいりましたけれども、どうしても今後発生することが残念ながら想定される海上火災について、もっと何らかの方法充実強化をはかっていかなくてはならない、そういう責任があると思うのです。私ちょっと横浜港のことを調べてみましたが、いま年間大体六千から七千隻くらいの船が入るそうでありますが、その四八%までが油船である。そう油船が事故を起こした例がたくさんございます。三十七年の五月五日、タンカー船火災、これは鶴見の安全町で起こった運河内の問題でございますが、春景丸という小さな船でございましたけれども、ここでやはり死者を二名出しております。それから第一清江丸、これも死者を出しておりますし、四十年の五月十三日には鶴見の大黒町、これは運河の中で東亜丸、二百トンが爆発火災を起こして、付近に停泊中の十一隻を類焼させました。死者も出ております。負傷者も出ております。それから三十七年十一月十八日に衝突事故が川崎で第一宗像丸、これは約二千トンばかりの船でありますが、事故を起こしまして、そうしてこれはガソリンに引火いたしまして、死者が何と四十名、重傷、軽傷十数名を出しております。で、小型タンカー二隻、どういう船かわかりませんが、小さい船も何隻か沈めております。一番大きいのは、何と言っても四十年五月二十三日室蘭港に起こった日石の石油淺橋で外国船が事故を起こしました。淺橋に衝突いたしまして火災が発生して、流れた原油に引火いたしまして、死者が五名、行くえ不明五名、重傷、軽傷が十名近く、二十二億六千万円の損害を出しておりますし、また燃失したトン数は二万三千トン、こういうふうにいわれております。こういう問題が起こると、もう手のつけようがない。あれよ、あれよと、ただ見ているだけで、そうして遠く離れて防御対策を講じながな時間が過ぎてしまう。非常に火熱も高いし、また噴煙も高くのぼりますし、危険この上ないので、だれも近寄ろうとしていかない、こういう状態が非常に多いわけですが、何とかしてこの対策を講じていかなければならない。  今後の見通しですが、その海上火災に対する対策がどうも手ぬるいように、重きが置かれていないように、言うならば無関心であるような、そういう感じを受けるわけです。とにかく四八%からの油船が出入りしておる。これは横浜港ばかりではありません。川崎も、東京もみんなそうであろうと思いますけれども、そういう危険な船がたくさん出入港しているところで起こったとき、その対策がないでは、責任追及をされてもやむを得ないと思うわけです。いろいろと話は聞いてまいりましたけれども、どうも長官としてまだ責任を感じておられないようにも見受けられますので、この際長官からひとつ意見を聞かしていただきたい、このように思います。
  39. 佐久間彊

    佐久間政府委員 海上における火災、特に油火災に対しまして対策が手ぬるいじゃないか、あるいは関心が薄いじゃないかという御指摘でございますが、私どももこの問題につきましては真剣に取り組んでいかなければならぬ、かように思っておるわけでございます。   〔委員長退席、和爾委員長代理着席〕  一つは、海上保安庁との間の責任の分野をもう一度検討し直していこうという点でございます。この点は、先ほど河上委員の御質問に対してもお答え申しましたように、昭和二十四年の協定は、当時の状況と港湾交通のふくそう、船舶火災の危険度等、非常に違っておりますので、今日の実情に合いますように改定をしていきたい、こういうことでございます。海上保安庁は、先生も御指摘のように、調べてみますと、海上火災に対する体制はきわめて不完全なもののようでございます。おもな港におきまして船舶が配置されておりますけれども、巡視艇が大半でございまして、消防そのものを主たる任務としたものではないようでございます。しかも海上保安庁は日本列島の周囲全部が守備範囲でございますから、どうしても特定の港湾に力を集中するというわけにはいかない実情のようでございます。そこで、私どもといたしましては、船舶火災事故の多いのは、やはり全国でも幾つかの港湾でございますから、そういうところにひとつ重点を置いて、海上消防力強化をしていきたい。そして、そういう港湾については、消防機関は、接岸中の船舶だけじゃなく、停泊しているものについても責任を持つようにしていきたい、こういう考え方で現在海上保安庁と話し合いをいたしておるところでございます。  それで、まずその手始めといたしまして、本年度予算から消防艇を国庫補助の対象に加えることにいたしました。本年度四隻をそれぞれ主要の港湾に配置することに内定をいたしておりますが、さらに明年度以降も消防艇の国庫補助も増加をしていきたい、かように思っておるわけでございます。  それからもう一つは、海上における火災に対する消火の技術の研究開発の問題でございます。この点につきましては、私ども消防研究所でも、あるいは東京消防庁におきましても、いろいろと研究開発に努力をいたしております。まだ研究の余地が非常に多い分野でございますが、これもできるだけ促進をいたしまして、早く実用化できる、有効な防御の方法ができるようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。もちろん大型のタンカー等の事故がございますと、これは消防機関がいかにいたしましても、それだけではとうてい力が及ばないのでございますから、これらにつきましても大型タンカーの航行規制等の措置も必要ではなかろうかと思うのでございますが、これは関係各省庁ともよく連携をとりまして、今後検討を進めてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  40. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほど自治大臣は、そういう施設に対しては大体地方自治体の自己負担が原則である、このようにおっしゃったのであります。いまの国庫補助ということになりますと、その率はどのくらいになりますか。
  41. 佐久間彊

    佐久間政府委員 本年度予算に計上いたしておりますのは、大体三十トン級の中型の消防艇でございまして、一隻が三千万円、それの三分の一を国庫補助ということにいたしております。
  42. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣、いま三分の一という話が出ました。これは自治体としてはまことに大きな負担であります。この点については、私どもは三分の二あるいは二分の一に持っていくべきである、このようにも考えておるわけでありますが、ひとつお考えを聞かしていただきたいと思います。
  43. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 この国庫補助三分の一でございますが、その自治体の負担分につきましては、起債でこれを見たり、あるいはその翌年度からの問題につきましては元利というようなものも見ていくわけですが、もちろんこうした、特に港を持っておる市町村がこういう問題について特殊な負担をするわけでございますから、今後補助率の引き上げとか、あるいはその他財政的な措置については十分考えてまいりたいと考えております。
  44. 小濱新次

    ○小濱委員 長官にお尋ねしたいのです。消防艇は一隻三千万円を一応予定しておるということですが、その消防艇の中に装備された使命ですね。ただ消防艇というと、水だけなのか、あるいは化学消防艇なのか、あるいは人命救助のために高速を出して急に応ずる応急艇という使命を持つものであるか。あるいはまたタンカーが座礁して油が流れ出し、海面火災になった。その船の上で人が動いている。こういう場合に、油火災の中を船を直進させなければならないわけでありますが、そういうときには、どういう船を使うのか、これもまた問題になると思います。散水艇というのか、船に水をかぶりながら出ていく、そういう方式のものであるか、あるいはまた、船の喫水をぐっと上げて、海上火災に対しては支障ないような、そういう特殊な船をつくって救援におもむいていくのか、その消防艇についてひとつ考えを聞かしていただきたいと思います。
  45. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この消防艇の規模はいろいろございますが、私どもの補助の基準にいたしております三十トン級のものになりますと、もちろん油火災に対する能力を主に考えております。それからまた速力も三十ノット程度出せるものを考えておりますので、先生のおっしゃいました救助艇としての機能も持つことになるわけでございます。  それからあとちょっとお尋ねがございましたのは、所管の課長からお答えいたします。
  46. 村山茂直

    ○村山説明員 ただいまの海面火災の中で、海面が火災になっておるところを走っていくという船は、現在まだ考案されておりません。今後そういうような船ができれば非常にけっこうだと思っておりますが、現在のところはまだそのような研究をいたしておりません。
  47. 小濱新次

    ○小濱委員 いま村山教養課長のお話がございました。  そうすると、ただいまの佐久間長官の話ですと、接岸中と入渠中の船以外は海上保安庁の責任区分になっている、そういうことですが、しからば東京湾内に消防艇あるいはまた化学消防艇でもけっこうですが、とにかく海上火災に対処できる、そういう準備の船はどのくらいございますか。
  48. 長野義男

    長野説明員 海上火災に対処し得る船艇は、海上保安庁といたしましては全国で百五十六隻持っております。その中で油等の火災に対処する化学消防艇が二十四隻ございます。その二十四隻の中の七隻が消防艇専用でございまして、そのほかは消防及びほかの海上保安業務も兼ねた巡視船艇でございます。
  49. 川合武

    ○川合政府委員 消防関係消防艇は総計十四隻でございまして、そのうち化学消防力を持っておりますものが八隻、したがいまして六隻はその能力はないと申しますか、不十分なものでございます。八と六と合わせまして十四隻ございます。
  50. 小濱新次

    ○小濱委員 長野部長にお尋ねしたいのですが、東京湾内に配置されている現状をちょっと説明していただきたいと思います。
  51. 長野義男

    長野説明員 東京湾内に配置されております消防能力を有します巡視船艇といたしまして、消防専用艇と申しますか、これが二隻横浜に配置してあります。そのほか東京、千葉、横浜等に化学消防能力を持っております巡視艇が二隻配属されております。
  52. 小濱新次

    ○小濱委員 海上保安庁として、東京湾内で年間何万という船が出入りをしておる、横浜港だけでも六千、七千入っているでしょう、その出入りをしている隻数が、全部数えればこれはえらい数字になると思いますが、そうした東京湾の海上火災に対する対策が、いまお話がありましたように消防専用のものが二隻である、化学消防、これは巡視艇を兼ねているのだ、こういうものが二隻である、こういうことですね。接岸、入渠以外の東京湾じゅうにある船舶に対する対策がこれではたして万全かどうか。これでいいならば、先ほどお答えがあったように、そこまでは研究しておりません、こういうことばもわれわれは了解できると思いますが、いまのような体制で、そして大きな事故があったときに何ら処置ができなかったということで、えらい事故の結果を出してしまったということになれば、私ども大いに責任を感じなくちゃならないわけです。そういう点少し計画性がないといいますか、そういう抱負というか、ビジョンというか、未来像に対するその考え方を大いに持たなくちゃならない、こういう現状のように思われるのですが、先ほどのことばから、どうも私もまだ納得できませんので、もう一度長野警備救難部長にお答えいただきたい、こう思います。
  53. 長野義男

    長野説明員 船舶の激増あるいはタンカー船の増加に伴いまして、交通の危険はもちろん、火災というものは当然予想されます。また、昭和四十年におきましては室蘭港におきましてヘイムバード号の火災事件もございましたので、昨年いわゆる消防能力整備というものについて海上保安審議会の答申を得まして、その答申をもとにいたしまして、これから整備計画を進める次第でございますが、その計画の一端を申し上げますと、消防艇整備でございます。最もタンカーの入港が多くて、しかもそのタンカーが大型であり、そのタンカーの火災による危険が非常に激甚だと予想せられますところの三地区に対しましては大型消防艇——約百八十トン程度の消防艇でございますが、東京湾、伊勢湾、和歌山下津地区、この三地区に一応大型消防艇を配置する計画をいたしております。  なお、現在持っております七隻の消防専用艇につきましても、さらにその性能を向上させる計画を持ちますとともに、そのほかの石油精製基地等の港につきましても、化学消防能力を持ちました巡視艇の整備を逐次はかっていく計画でございます。
  54. 小濱新次

    ○小濱委員 東京でも川崎でも横浜でもいろいろと声がありました。海上保安庁の現有消防力は、いまで十分であるとは必ずしも言い切れない。はっきり言っています。もう少し、大いに関心を持ってもらいたい、こういうことですが、昨年ですか本年度の予算ですか、何か鉄鋼船の建造を申請したそうでありますが、大蔵省によって削られたとか、あるいはそこまでいかないうちに消されていったとかという話を聞いておりますが、そういうことがあったのかどうか、一ぺん伺いたいと思います。
  55. 長野義男

    長野説明員 昭和四十二年度予算におきまして、先ほども申し上げました大型化学消防艇の設計費四百八十八万円が認められております。
  56. 小濱新次

    ○小濱委員 横浜の海上消防艇の設備は三隻あるそうですが、二隻が駐留軍から払い下げられた改造された老朽船で、あともう一つは平沼号というのができておるそうですが、そういう内容です。それから保安庁のほうでは二隻ある、このようなお話でありました。こういう状態で、全出入船舶の数字、あるいは全国一といわれるトン数が出入港いたしておりまするそこに、海上消防施設はそれだけしかない。もし火災が起きたならばどういうふうにやっていくであろうかと想定すると、非常にはだ寒いような戦慄を感ずるわけであります。   〔和爾委員長代理退席、委員長着席〕 こういう状態で、先ほど消防艇の計画を持っておる、三千万だということなんですが、三分の一国庫補助、その他またいろいろと方法は講じていきたいという大臣からのお話もありましたけれども、こういう態勢で、いざ事故が発生した場合に対処ができるかどうか、非常に私は疑問を持つわけであります。きょうは大臣がおいでになっておりますので、こういう現状について大臣のお考えを聞かしていただきたい、このように思います。
  57. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 タンターが非常に大型化されてきておる、そうしてしかも日本の港が非常にふくそうしているというようなことから、タンカーの事故というようなものは予想できるわけでございます。それに対して対策がおくれていることは率直に認めるわけでございまして、そういう意味におきまして、港を持っておる市町村消防艇の補助というようなものもことしから始めたわけでございますし、また運輸省のほうにおきましても、大型な消防艇を持ちましてこういう事態に備えようとして設計費を認められておるわけでございますが、今後とも海上のいろいろな火災事故に対処し得るような能力充実につとめまして、そうして不安をなくしてまいりたいと思います。もちろん単に消防施設充実だけでこれを防ぐわけにはいかないのでございまして、これは運輸省のほうでございますが、たとえば大型タンカー航行の規制をある航路においてはやらなければならぬというような問題も起こってくると思いますが、こうした総合的な対策によりまして、海上に起こるであろう大災害を予防するように今後もつとめてまいりたいと考えております。
  58. 小濱新次

    ○小濱委員 この問題についてはこれで終わりますが、いろいろと名称を私どもは聞いております。先ほども申し上げましたけれども消防艇があるし、化学消防艇があるし、あるいはまた救命艇があるとか、応急艇、散水艇、そういう名称のことばが出ているくらいですから、そういうものが当然考えられていかなければならない。この船はどういう使命を持っているのであろうか、この船は何ノットくらいの速力で急行すればいいのか、あるいは海面火災に対してはどういうふうに処置していけばいいのかというようなことは当然考えられていかなければならないと思いますが、お伺いすると非常にまた関心が薄いようでありますので、今後一そう努力をしていただきたいことをお願いして、その問題については終わります。  それから次は、今度は陸上問題であります。東名高速道路がいま急ピッチで進められておりますが、インターチェンジの問題を少し調べてみました。会議録を見ますと、たしか佐久間長官は十五分間隔くらいのところにインターチェンジをつくることが理想である、このようにおっしゃておるようであります。名古屋の先まで一応全部調べてみました。ところが区間によっては三十八・八キロもインターチェンジのないところがある。まあ二十五キロ。それ前後のところがずいぶんあるようですが、たとえば四十キロ、十里とすると、まん中で事故を起こしたとしても、そのインターチェンジのあるところまで、病院までかつぎ込むのに相当の時間がかかるわけです。そういうわけで、いまつくられているこの計画で四十三年度には大体が東京から神奈川県内ですね、あるいはまた静岡のほうも四十三年の三月にはでき上がってまいりますし、名古屋方面も四十三年の九月にはでき上がりますが、御殿場−沼津方面はちょっとおくれまして四十四年三月、こういう完成の予定で進められております。できてしまえばどうにもならない、このようにも考えられるわけでありますが、非常に間隔のある地域が五カ所くらいあるわけであります。この地域にインターチェンジの必要性が感じられるわけでありますが、この点について佐久間長官からお答えをいただきたいと思います。
  59. 佐久間彊

    佐久間政府委員 私が小委員会のときに申しましたのは、十五分以内に事故現場に到達可能な区間、距離にいたしますと大体二十キロメートルくらいになろうかと思います。  そこで、いま先生のおっしゃいました東名高速道路でありますが、一番インター間の距離の長いところが三十八・八キロでございますので、大体十五分間、二十キロということにいたしますと、両方のインターチェンジからそこへ参りますならば、これで私の申した距離と合うことになるのじゃなかろうか、かように思っておるわけでございます。
  60. 小濱新次

    ○小濱委員 ちょうどまん中で事故が起こってくれればちょうどいいでしょうけれども……。わかりました。とにかくこの問題についてはその地域内の救急施設のあるところ、政令によって救急市に指定されているもの、これがその関係する市町村の中では非常に少ないですね。ほとんどないところが多い。静岡県なんかでは三十都市がありますけれども、この中で将来予定されるものは二つありますが、これを含んでも八つしかありません。愛知県でも神奈川県でも、指定されているところが非常に少ないようであります。この問題についてもいろいろと論議をされてまいりましたけれども、大いにひとつこれからの交通事故に対する対策を進める上において、この地方行政委員会としては大いにこれを取り上げていかなくちゃならないであろう、こう思うわけですが、この点については今後一そう努力をしていただきたい、こういうふうに思います。  先ほど油火災について話をいたしましたが、この間ここで参考人意見を聞いたときに、朝日新聞の荒垣秀雄論説顧問の御意見の中にもございましたが、川崎地区にあるところのコンビナートの上空を、国際機はさすがに飛んでいないようでありますが、国内機が一日三百機飛んでいる。月にすれば約一万機だ、年間にすれば十二万機だ、起きてはならないそういう事故が起こることが想定される、こういうことで何とかこの上空を飛行機を飛ばさないようにすることはできないかどうか、これは非常に関心のあるところであります。この点についてはここで結論を示せということは無理なようでありますが、飛行禁止については何とか一日も早くこれを実現をさせてもらいたい、こういうふうに地元でもあるいはその関係の衝に当たる人たちの意見が聞かれるわけであります。この点については、自治大臣、どうでございましょうか、ひとつ意見を聞かせていただきたいと思います。
  61. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 これは運輸省の問題でございますけれども、特に定期航空と申しますか、そういうものについては今後さらに検討をいたしまして、そういう危険な上空を通らないような航空規制をやることが必要だと思います。現在も事実上の指導で、おそらくそういうコンビナートの上などを飛ばないようなことを航空会社には指導をいたしておると記憶をいたしておりますが、今後それでも十分でない場合には、やはり何らかの法的な航空規制の問題も生じてまいると思います。ただ、定期航空でないメンターやヘリコプターなどについては、どういうことになりますか、私もよくわかりませんけれども、そういうものにつきましてもできるだけコンビナートの上などを飛ばないように指導をいたしまして、危険を未然に防がなければならないと思っておる次第でございます。
  62. 小濱新次

    ○小濱委員 この間も、論説顧問のお話の中にも出ておりましたが、起きてはならないことではありますけれども、世界第三次大戦が起きた場合は、ほんとうにこの周辺は全滅していくんだ、その対策考えなくちゃならない、こう意見を述べられておられました。また悪いくせで、大きな事故が起きないと対策を真剣に考えていかない、そういう例がこの間も新聞に出ておりました。子供さんの横断歩道について非常に地元で声があったけれども、商店街の反対があってできない、そうして叫ばれていたが、あれよ、あれよ、という間に事故を起こしてしまった。ところが、事故が起こったあくる日にその工事に取りかかっておったというふしぎな例が新聞に二つ述べられておりました。起きてからではもうどうにもならないわけでありまして、いまから真剣にその対策考えていかなくちゃならないであろう、こういうふうに思いまして、意見を聞かせていただいたわけであります。  私はほかにもいろいろときょうは質問を用意してきたわけでありますが、この問題についてはわが党としては理解をしておりますし、いろいろ問題点をかかえておりましたのでお伺いいたしましたが、これからこうした問題点を取り上げていただいて、真剣な対策を練っていただいて、未然に事故防止ができるような、そういう結果を一日も早く実現をしていただきたいことを心から念願をいたしまして、私の質問を終わります。
  63. 亀山孝一

    亀山委員長 木野君。
  64. 木野晴夫

    ○木野委員 私は、民法の第七百九条並びに明治三十二年三月八日法律第四十号、失火ノ責任ニ関スル法律がございますが、その解釈につきまして、政府当局の御意見を聞かせていただきたいと思います。といいますのは、消防あり方にもある意味において非常に関係するのではないかと思いますので、この点につきまして消防庁の御意見を聞かせていただきたいと思うのでございます。といいますのは、火事がありますと、不法行為によりまして損害賠償の責任があるのでございますが、失火につきましては重大な過失がないときにはその責めを負わない、こういうふうに法律はなっております。ところで、火災があった場合に、消防庁はそれでは失火者に対してこれだけの金が要ったんだからといって、それじゃ損害賠償の請求といいますか、そういったものを持てといえるかどうかということでございます。鉄道につきましては、たとえば事故がありますと、列車が何分おくれた、ないしはこれこれの車体の損害があった、したがって、賠償金を払えというようにやっておると思います。消防につきましては、火災があった、失火の場合は別でありますけれども、重大な過失があった、その場合に消防はこのために損害を受けたんだ。だからこれこれの賠償をよこせと言えるかどうか、その辺の解釈でございます。
  65. 川合武

    ○川合政府委員 御承知のように、私のほうで原因調査をいたしますが、その失火、放火の問題につきましての問題に至りますと、これは警察と申しますか、端的に申しますとその問題に移るわけでありますが、ただいま御指摘の点は、一般の延焼を受けたところの隣家の損害賠償の点の問題かと承りました。ちょっと恐縮でございますが、私聞き漏らしまして……。
  66. 木野晴夫

    ○木野委員 隣接した家屋が焼けた場合は、ただいま申しました民法の規定並びに法律第四十号の規定があるわけでございますが、消防の場合にはどうであろうかということでございます。消防のほうで、おまえのところは火事を起こしたのだから、これこれの労苦なりこれこれの経費なり使った、損害賠償というようなことがあるかどうかということでございます。
  67. 川合武

    ○川合政府委員 お尋ねの点につきましては、消防自体につきましてはさようなものを請求するたてまえになっておりませんのでございます。
  68. 木野晴夫

    ○木野委員 鉄道の場合には、そういった事故がありますと、おくれたといって請求しておるのでございます。消防の場合には、ただいま次長のお話をお伺いいたしますと、やっておらないということでございます。たとえばそれが放火である、放火のために隣接した家屋が焼けた、その人はもちろん損害賠償を請求いたします。また放火した人につきましては、刑事上の責任が課せられます。消防としてその場合にやれるかどうかということでございます。もう一度その点の解釈をお願いいたします。
  69. 川合武

    ○川合政府委員 答弁が不十分かと思いますので、恐縮でございますが、また御指摘をいただきたいと思いますが、消防が消火いたします、あるいは人命を救助をいたしますその消防活動の問題は、消防本来の任務でございますので、それに基づきまして、かりに消防が損害を受けました場合においても、これをいわゆる火元に請求する、かようなたてまえはとっておらないわけであります。
  70. 木野晴夫

    ○木野委員 消防のたてまえはわかるのでございますが、法律の解釈ではどういった関係でこうなっておるのか。たとえば不法行為でいいますと、権利を侵害されたものであります。隣家が焼けたという場合には、家が焼けたのだ、侵害されたのだということでございます。消防の場合にはそういった権利が侵害されていないのだ、こういう解釈でございますか。警察庁のたてまえというのでなくて、法律の解釈のこのことによって、しないのだ、したがって、この七百九条はこういった意味で適用がないのだ、そういった点をお聞かせ願いたいのであります。
  71. 川合武

    ○川合政府委員 失火ノ責任ニ関スル法律、その基本となっております七百九条の思想と申しますか、これの解釈でございますが、これは御存じのように、故意または過失によって他人の権利を侵害した者に対しての場合でございまして、消防機関消防活動を行ないまして、それによって何らかの損害を受けたといたしましても、それは消防自体の活動、本来さようなことを行なうべきたてまえの機関であるので、この場合の権利の侵害に該当しない、かような解釈をいたしておるわけでございます。
  72. 木野晴夫

    ○木野委員 鉄道の場合にはそういった事故がありますと、これこれで車体がなにした、したがって、権利の侵害を受けたといって請求しているようでございます。消防につきましては、ただいま消防庁の御意見を聞きますと、そういった本来の業務としてやっているのだということで、権利の侵害は、七百九条の点はよくわかりました。  ところで、相手の人が消火の義務があるわけでございます。その場合に七百三条の不当利得の点はないのでございましょうか。
  73. 川合武

    ○川合政府委員 どうも申しわけございませんが、ちょっともう一ぺん教えていただきたいのでございますが、たとえば近隣の者が消火に協力した、こういうような場面でございましょうか。
  74. 木野晴夫

    ○木野委員 先ほど申しましたのは、消防庁が金を使ったという場合に権利侵害じゃないかということを申し上げたのでございます。今度は出火をした人、火事を出した人が、本来ならば消さなければならない義務がある、それをみなで消してくれたのだ、したがって、もうけたのだ、不当利得にならないだろうかということでございます。
  75. 川合武

    ○川合政府委員 七百三条の不当利得とただいまのお話との関連でございますが、さような場合に不当利得を受けたというふうな解釈は私どもいたさないで、この場合七百三条該当にならないというふうに解釈をいたします。
  76. 木野晴夫

    ○木野委員 私は七百九条並びに七百三条の解釈はどうか、どれが正しいか、専門家でございませんのでわからないのでございますが、消防庁のただいまの御見解を聞きまして、一応私なりにわかったわけでございます。  つきましては、私考えますのは、消防は鉄道と違うのだ、鉄道ならば損害賠償の請求をするというようなことをいたしておるようでございますが、消防は、事故があった場合に、これだけ金が要ったから金をくれというようなことをいたしておらないのでありますが、そのかわり私は消防法は一般の人に対して、設備はこれこれの設備をしろ、これこれの報告はしろ、これこれのことは守れというふうにいたしておるのじゃなかろうかと思うのであります。私はそこに消防あり方といいますかを実は感ずるのでございまして、ただいま申しました金が要ったから金を取れとかいうことを申しておるのではなくて、消防の責務といいますか、あり方といいますか、そのものを見るということからいたすのでありまして、そういった意味で、そのかわり報告義務、設備の義務等を課しておるのじゃなかろうかと思います。きょうは時間がありませんが、そういった意味で消防あり方並びに今後使うLPGの関係の事柄につきままして、全体をまだまとめておりませんが、わかるような気がいたすのでございますけれども、その点につきまして、消防庁の御意見を聞かしていただきたいと思うのでございます。
  77. 佐久間彊

    佐久間政府委員 私もまだ研究不十分でございますが、おそらく消防という業務の特殊性から、一般の場合を律しております法理と違ったものがあるだろうと思います。それは先生のおっしゃいましたような、気持ちとしてはそういう気持ちと思います。たいへん示唆に富んだ御質問をいただきましたので、今後実務の上に十分に参考にさしていただきたいと思います。
  78. 木野晴夫

    ○木野委員 それから、消防につきまして、たとえば化学消防車が要るというような話ないしは消火艇が要るという話がございましたが、私はそういった設備をした場合に、一般の市民にそう関連があるかどうか、ある場合にはそういう特殊なものは、もう少し利益還元といいますか、利益関係者のところで持つというふうに、そういう点を少し研究してみる必要がこの際あるのじゃなかろうか。実はこの前四谷の消防署に行ってみましたが、一般の一階建ての市民には関係ないのでありまして、そうすると高層関係だ、そうするとそういった関係の経費はどこで持つのがいいか、もう一ぺんこの際検討したいと思うのでございますが、消防庁の長官の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  79. 佐久間彊

    佐久間政府委員 火を消す、あるいは火災にならないように予防につとめるということは、これは法人たると個人たるとを問わず、国民全体のまず第一次的につとめなければならないことであろうと思います。そこで、企業の場合におきましては、先刻も御質疑の間に申しましたが、企業自衛消防組織を持つことを義務づけることにいたしております。その企業内における火災予防なり消火なりにつきましては、まず企業が第一次的に責任を持ってやるのだ、しかし、これはそれだけでは力足りませんので、むろん消防機関がそれについて応援をするといいますか、かけつけて、あとは消防機関が本来の仕事としてやるということになりますが、これは企業の場合には特に法律の規定を設けておりますけれども、かりに法律の規定を設けておりませんでも、個人の住宅の場合におきましても、まず火が出ましたならば、バケツの水でもけっこうでありますし、とにかく消火につとめる、そこで力が足らぬところは、消防機関がかけつけてあとはやってもらう、そういうことであって、火事が起きたら、消防機関のことだからといってみんなすぐ逃げてしまう、こういうような性質のものではなかろうと思います。ただ、そうかといいまして、個人の責任だというて、消防機関が時期を失する、そして被害を大きくするというようなことになりましては、これはまた保安責任を持つ消防機関といたしまして適当な処置とはいえませんので、その辺のかね合いがむずかしい問題だろうと思っております。ただ企業などの場合の経費負担あるいはみずからの自衛消防組織を持つといったような点につきましては、もう少し考えていく必要があるのではないかということは、私どもも問題といたしまして、検討をいたしておるところでございます。
  80. 亀山孝一

    亀山委員長 本会議散会後再開することとして、この際、暫時休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ————◇—————    午後三時二十五分再開
  81. 亀山孝一

    亀山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。細谷治嘉君。
  82. 細谷治嘉

    ○細谷委員 消防法及で消防組織法の一部を改正する法律案について御質問を申し上げますが、消防法の第九条の二というのが新しく入るわけでございます。この第九条の二に、「圧縮アセチレンガス、液化石油ガスその他」と、こう書いてございますが、「その他」というのは一体何でしょうか。
  83. 佐久間彊

    佐久間政府委員 「その他は」政令で指定をいたすわけでございますが、ただいま予定をいたしておりまするのは、一例を申しますと、核燃料物質、放射性同位元素、有毒物質、火薬類等でございます。
  84. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、消防庁からいただいた資料でございますけれども、その資料を拝見いたしますと、この「その他」というのが案に書かれてございます。「圧縮アセチレンガス、液化石油ガス、核燃料物質、劇毒物等を」と、こういう案だったと思うのであります。それが、「核燃料物質、劇毒物等」というのが「その他」に変わったように思うのでありますけれども、その間の経過はどうなっておりますか。
  85. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいま先生のお読み上げになりましたものは、私もはっきり、どの段階の案でしたか、記憶はいたしておりませんが、別段、当初考えておりましたものを内容的に考え方を変えたわけではございません。
  86. 細谷治嘉

    ○細谷委員 内容的に変わっておらぬといっても、「その他」というのは、「液化石油ガス、核燃料物質、劇毒物等」というのとずいぶん違うんじゃないですか。別段変えておらぬと言うけれども、ずいぶん違うでしょう。
  87. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先生のお持ちの資料がどういうものか、私もちょっと見当がつきかねますが、この第九条の二の案といたしまして消防庁で当初から検討いたしておりました三月三十日現在のものがございますが、これも表現は「圧縮アセチレンガス、液化石油ガスその他」ということにいたしておりまして、ただいまお読み上げになりましたような案文を持っておりましたことは、ちょっと記憶がないのでございます。といいますのは、これは当初からこの条文のねらいとしておりましたのがいわゆる高圧ガス、圧縮アセチレンガスや液化石油ガスを一番念頭に置きながら検討をいたしておりましたものでございます。
  88. 細谷治嘉

    ○細谷委員 「液化石油ガス等保安規制に関する消防の関与について」という、あなたのほうからいただいた資料なんだ。おそらくこれは五月上旬くらいにどこからか入手したものと私は思うのであります。それによりますと、「消防機関は、次のとおり、火災予防及び消火活動に支障となる物質につき、その一定量以上の所在を掌握できることとされる。(1)圧縮アセチレンガス、液化石油ガス、核燃料物質、劇毒物等を一定数量以上貯蔵し取扱う場合は、あらかじめ消防機関に届け出ることとする。」消防法改正、こういうふうになっておるのですよ。
  89. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいまお読み上げになりましたものは確かに私のほうでつくりました資料の中にございます。でございますが、この資料は、液化石油ガス等保安規制に関する消防の関与につきまして、関係法令に規定されるであろう事項をわかりやすく取り出して説明のためにつくりましたものでございまして、核燃料物質や劇毒物を法律に規定をするという意味でつくったものではございません。
  90. 細谷治嘉

    ○細谷委員 法律の案の文章は「その他」ということになっておるわけでありますが、私は、圧縮アセチレンガス、液化石油ガスといいますといわゆる高圧ガスでございますから、ある程度わかるわけでありますが、「液化石油ガス」のその次に「その他」ときますと、あなたが冒頭答えた核燃料物質とか劇毒物等を予想しておるということはどなたも考えられないのですよ。「圧縮アセチレンガス、液化石油ガス」ときたら、その次に「その他」とくると、いまこれから開発されようとしておるたとえばLMG、液化メタンガス、こういうようなものが「その他」の中に入ってくるのじゃないか。それは政令等で数量なり種類をきめるということで受け取れるわけですよ。核燃料物質と劇毒物ということになりますと、常識では「その他」の中に入ってこないのですよ。私がお尋ねしているのは、あなたが答えたような「その他」なら問題があるのであって、それじゃこれは別記すべきですよ。そして、予想された物質もあるのですから、等とかなんとか最後につけるならいいですけれども、二つだけ書いて、「その他」の中にはこういうものが予想されるというふうなことで政令にゆだねるということはできない。問題があるですよ。お答え願います。
  91. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先生の御質問の意味がよくわかりましたが、この条文で趣旨といたしますところは、現在消防機関がその貯蔵、取り扱いにつきまして実情が把握できない物質でございまして、しかもそれが火災予防あるいは消火活動に重大な支障を生ずるおそれのあるものにつきましては、一定数量以上貯蔵し取り扱う場合には消防機関にあらかじめ届け出をさせるようにしよう、かような趣旨からでございますので、そうした火災予防あるいは消火活動上の支障の見地からいたしまして必要なものはこの条文の規制の対象にいたしたい、かように考えておるわけでございます。  なお、圧縮アセチレンガス、液化石油ガスが例にあがっておりまするので、「その他の」といたしました場合に、政令でどの範囲まで委任されたものと考えるかというような問題があるいはあろうかと思いますが、私どもといたしましてはこれらも、この条文を設けようといたします趣旨からいたしますと、同様のものとして取り扱って差しつかえないのじゃなかろうか、かような考え方をいたす次第であります。
  92. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そんなばかなことないんだよ。この液化石油ガスというのはこれは可燃性のものなのだ。核燃料物質というのは、核の分裂というものを利用してエネルギーを取り出そうというものなんです。ですから燃焼という問題じゃないのです。燃焼じゃないですよ、これは。言ってみますならば、いわゆる従来の意味においては燃えることによって化学変化を起こすのだ。核分裂というのは、一種の化学変化という常識的な意味における化学変化じゃないのだ。核分裂なんだから。しかも核エネルギーというのはたいへんな問題になっているのだ。そういうものを「その他」の中にいつの間にかひっくるめて、それは政令でやっていくのだなんと、そんな法律を書かれてはこれは許すことはできない。ですから、私が質問したいのはわかりましたと言うけれども、あなた方が法律案要綱で予想しておった圧縮アセチレンガス、液化石油ガス、核燃料物質、劇毒物等、こう書きたかったのでありましょう、それが一体どういうことでこういうふうに変化したのか、そのいきさつと、それから、全く異質なものを「その他」の中に含めるなんということは、これは許されない、たいへんなことになるのですから。ですからいまのお答えならこれはこのまま通すことはできない。これははっきりしてくださいよ。経過よりそっちのほうが問題だ。
  93. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これは先ほど申しましたように、「核燃料物質、劇毒物等」と書きましたのも、政令でそういうものの指定が予想されるということで例をあげて書いたわけでございまして、最初法律へ書こうといたしましたものが何らかの事情で政令に譲られた、かような経緯はございません。それで私ども考え方は、この核燃料物質の内容についてとやかく規制をしよう、こういう趣旨ではございませんで、あらかじめ消防火災予防上の見地から予防査察を励行しよう、そして事故がありました場合には消防活動が適切にできるように研究をしておこう、そういうことのためにあらかじめ届け出ておいてもらうことが必要だと思われる物質を、ただ届け出だけを規定しようというつもりでございます。
  94. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまの答弁でもこれは困るのです。「その他」というのは、「圧縮アセチレンガス、液化石油ガスその他」というのが、これを受けて常識的に考えられるものならともかく、核燃料物質とか劇毒物なんという、何かえたいがわからないような形で、それが「その他」の中に入って、それが今度は政令で定めるのだ、こういうことになりますと、この法律はこのままではちょっとやはり通すわけにはいかないのであって、「その他」というのは圧縮アセチレンガスなりあるいは液化石油ガスなり、これに類似のものだ、それに限られるのだ、核燃料物質とか劇毒物——劇毒物というのは別表にあるわけですから。別表にない何を一体予想しておるのです。劇毒物というのなら、そういう全く異質なもの、常識で考えられないものを政令で定めるなんて、そんな政令にゆだねるということは、これは法律がおかしいのですから、そんなことは許されません。ですから「その他」ということについてはぴしゃっとここでワクをはめておかなければいかぬ。「その他」で、核燃料物質というのを消防法で扱わなければいかぬ事態がきたら、またそういう必要性があるならぴしゃっと書いておいていただけばいい、そう私は思うのです。これははっきりしてください。
  95. 高田勇

    高田説明員 法律に圧縮アセチレンガスあるいは液化石油ガスを特徴的に例示いたしまして、あとの物質につきましては「その他」といたしましたのは、圧縮アセチレンガスあるいは液化石油ガスにつきましては、この法律の届け出の趣旨というものが、先ほど長官から申しましたように、火災予防の査察指導を容易にすることとか、あるいは現場におきます消防活動確保をはかるとか、あるいは消防団員がこれによって過去にも大きくございましたような犠牲を少なくするとか、そういう趣旨もあるわけでございます。したがって、そういったものについて、従来の例から見ましても、そういう見地から見ました事故というものが液化石油ガス等にも多く、今後もあるし、過去においてもあったということから見まして、特段にそういう趣旨の規定からいきましての特徴的にあげた例になっておるわけでございます。したがって、物質そのものをあげたという形ではございませんで、その物質そのものが、過去におきましても、ただいま先生が御指摘になりましたように、たとえば核燃料物質というようなもの、あるいは放射性同位元素というようなものにつきましても、過去において横須賀におきます病院火災等において、それがたまたま金庫に収納されていたがゆえにそのときは無事にすんだというようなことがございますが、これが非密封の場合においては事故になったというようなことも考えられますので、そういう見地からいって、物質を押えていこうということで押えておりますので、物質そのものの性質という観点からの押え方で届け出の義務を課したというものではないので、趣旨はそういう趣旨なのでございます。
  96. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そんなことになりますと、これはたいへんなことだ。核燃料物質というのはいまどこが扱っておるかというと、原子力委員会なりあるいは科学技術庁ですよ。アセチレンガスとか液化石油ガスというのは、高圧関係で通産省が扱っておるのです。私は原則的に、消防上きわめて重要なものは、多少のものでも消防の専門家がチェックする必要があるということを前々から強く主張しているわけだ。だからそれはけっこうであります。けっこうでありますけれども、今日ここに問題になっておりますアセチレンガスの爆発事故とかあるいは液化石油ガス、LPGの事故とか、こういうものを問題にしておる段階で、「その他」の中に核燃料物質、劇毒物、こういうものを、何か別表に入っておらぬものを、とてつもない考えられないような異質のものまでその中に含めるということは、これは消防庁、いってみますと、他省との間にたいへん問題を起こしますよ。やみで先に法律に書いてしまう、こういうことですよ。こういうことでは、縦割り行政の弊から、消防上の全きを期することはできないのです。消防庁考えているのは、むしろ人のわからないうちにおれのところの領分に核物質を入れてしまう、そんなことになるのだ、これはいかぬですよ、そんなことでは。ですから、「その他」の中には核燃料物質とかそんなものは入らない、劇毒物で必要ならば、別表に入れたらいいですよ。別表に入らないからというので、こういう書き方はいかぬですよ。ですから、「その他」の定義はここでひとつはっきりしていただきたい。私は消防上、いまのやつは病院か何か事故があった、金庫に入っておったから、たまたまたいへんなことにならなかったというのでありますけれども、いま日本でたくさん使っているのは原子力発電所でしょう。核燃料物質は今度そういうものについての事業団ができるわけですよ。そういうことでありますから、この核燃料物質なんという考えは、この法文に関する限りはひとつはずしていただきたい。そう思うのですよ。
  97. 佐久間彊

    佐久間政府委員 いろいろ先生からお教えをいただきまして、私どももこれは反省しなければならぬと思っておりますが、私どもがこの法案で意図いたしました趣旨は、先ほど申し上げましたような趣旨でございます。しかし御指摘いただきましたように、条文十、この条文から政令でそこまでいけるかどうかということにつきましては、確かに問題があろうかと思います。したがいまして、その点につきましては、さしあたり除くことにいたしまして、なお今後よく検討してみたいと思います。
  98. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしたほうがいいでしょう、これは例がないのです。私も驚いたのだ、「その他」の中にそういうものを含めているものですから。これはたいへんなことだ。ほかの法律もあるわけですから、「その他」というのは上にあげました二つ、これから常識的に出てくるものであって、現在特にあげなくてもいい、こういうものにしていただき、核燃料物質がどうしても消防法上取り上げなければならぬものならば、あるいはメチルエチルケトン・パーオキサイドがしまわれているのがわからなくて消防活動をやったためにたいへんな事故が起こった、そういうことから消防活動上危険だということであれば、これはここで処置すべきじゃないかと私は思う。劇毒物があったら積極的に消防法の別表に入れることに努力することによって、「その他」という形で何が出てくるかわからぬという、そういうやり方は、ひとつやめていただきたいと思う。いま消防庁長官が答えたそういう「その他」ということで私は了解をしておきたいと思います。  そこで第九条の二でございますが、「ただし、船舶、自動車、航空機、鉄道又は軌道により貯蔵し、又は取り扱う場合その他政令で定める場合は、この限りでない。」と書いてございます。私は、せっかく第九条の二を新しく起こしまして消防長なり消防署長に届け出ということに義務づけることによりましてチェックをしようということなんでありますけれども、西宮事故というのは自動車ですね。タンクローリーというのは自動車の中に入っておるんでしょう。あるいは航空機といいますと、この間の参考人の話ですと、羽田に東京消防庁の出張所をつくろうとすると土地がきまらぬ、運輸省が貸さぬ、こういうことまであったようでありますが、このただし書きで今日の状態では目的を達することができないと思うのでありますが、いかがですか。
  99. 佐久間彊

    佐久間政府委員 羽田あるいはタンクローリーの例をおあげになりましたが、ここで扱っております場合は、空港で扱うという場合も入るわけでありまして、この飛行機により貯蔵し、取り扱うということで、航空機の中で運ばれておるというような場合だけを除いておるわけでございます。それから、そういうことになるというと、消防で意図したことがあまり実効があがらぬようになりはせぬか、こういう御趣旨でございますが、この政令で予想いたしておりまするのは、たとえばアセチレンガス、液化石油ガスにいたしましても、高圧ガス取締法等の規定でそれぞれ他の機関に届け出あるいは許可を必要とする場合がございます。そういう場合には消防に届け出もする。それから高圧ガス取締法の所定の機関に届け出あるいは許可の申請をするということになって、手続が二重になっては困るからということで、そのような場合はこれから除きまして、届け出または許可を受けました高圧ガス取締法の所定の機関から消防機関に通報させる、このようなことを念頭に置きましてこうした規定を設けたわけでございます。
  100. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この点はたいへん重要な点でありますから、消防庁長官にお尋ねしたいのでありますが、タンクローリーは規制できないんでしょう。西宮の事故は、あれは規制できるんですか。たとえば消防庁長官として、いまのタンクローリーの運転についてはどうも問題があるといった場合でも、ものを言うことができますか。西宮の場合は、あなた方は傍聴で聞かしてもらっただけでしょう。相談にあずかっておらぬでしょうが。傍聴で聞かしてもらっただけでしょう。ですから、私は極端な話を言うのでありますが、西宮のときは関係ないんだから消しに行きなさぬな、こう言ったことがあるんです。こういうことを言ったら、消防法第一条にいう人命、財産を守るというのが私どものつとめであります、そう書いてあるから行くんだと言っておった。けなげな話で、けっこうなことですが、タンクローリーはどうしますか。
  101. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先ほど御答弁のときに忘れましたか、タンクローリーはだめでございます。
  102. 細谷治嘉

    ○細谷委員 消防庁長官にひとつ率直な意見を伺いたいのであります。  消防法の立場からいって、今日非常に事故が多発しておるのです。きのうの夕刊にもございましたね。バルブから漏れた、どうにもならなくなって警察に通報した。警察官が半径二キロのところの交通どめをして、全部ストップした。ガスをたくこともマッチをつけることも全部禁止した。幸い事故は起こらなかったのでありますが、一触即発なんであります。ですから、現在多発しておるLPGの問題を消防庁の立場から、どういう点とどういう点とどういう点を規制してもらわなければならぬというお考えがあるか、そのポイントだけ教えていただけませんか。
  103. 佐久間彊

    佐久間政府委員 LPGの多発する事故に対しまして、どういう点から消防として完備する必要があるか、そのようなお尋ねでございますが、私どもはこの九条の二にも規定しておりますように、その一定量以上のものを貯蔵し取り扱う場合の物質の所在を確知しておきたい、こういうことが一つでございます。  それからLPGの取り扱いにつきまして、通産省のほうでいろいろな保安上の基準を省令できめておりますが、この省令の内容につきまして消防庁考えを入れておく、そうすることによって必要な基準をつくってもらうようにしたい、こういうことが第二番目でございます。  それから第三番目は、通産省の関係の機関で一定数量以上の施設につきまして許可をいたします場合に、あらかじめ消防機関意見を反映させるようにしてほしい、消防機関が適当であるという内申のついたものを許可をする、こういうような形にしてほしい、こういうような点でございます。  なお、いま御指摘のありましたタンクローリーの点につきましては、これもいろいろ問題があると考えておるのでありますが、これにどういう形で消防機関として関与したらいいかということにつきましては、なお検討をしたいと考え、現在検討事項にいたしておる次第でございます。
  104. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大体私は今日の事故を見てみますと、一つは一般家庭で起こっているわけですね。これは千二百万戸といわれているわけですから、たいへんな量ですね。それから第二は、ボンベの販売所、ボンベの詰めかえをするところ、それからいわゆる給油所、こういうところ、それから大きな製造所等がありますけれども、ここでは今日までそんなに大きな事故は起こっていない。一番大きな事故が起こっておるのは給油所、それから充てん所、それから一般家庭、もう一つはタンクローリーなんです。そう私は思っておるのですが、そうじゃないですか。
  105. 佐久間彊

    佐久間政府委員 そのとおりでございます。
  106. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで私はお尋ねしたいのでありますが、通産省のほうから液化石油ガスの保安確保及び取引の適正化に関する法律案、こういうものが今度の国会に出されております。その法律案を拝見いたしますと、いま長官が言ったように、第三条の三項に、事業の許可を申請する場合には「消防長又は消防署長の意見書その他通産省令で定める書類を添附しなければならない。」ということで、いわゆる消防関係者意見がつくわけですね。それから第八十七条に、今度は、いまのように事業をやろうとする場合とか、あるいは販売施設の変更とか、そういうようなことをする場合には通報をしなければならない。それから消防庁の長官は、第二項では、必要な措置要請することができる。第三項では、消防庁長官意見を聞く。第四項では通産大臣意見を述べることができる。こういう規定がございます。そういう規定の法律で、いままで、ある意味では死蔵されておりました消防の専門家、あるいはそれでめしを食っておる人たちが、火災事故を撲滅するためにこの法律を通じてタッチできるようになったのでありますけれども、長官、これで十分だと思いますか、自信がおありですか。
  107. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これで十分かどうかということでございまするが、必ずしも十分であるとは思いませんけれども、いろいろ通産省と意見の交換をいたしました結果、まずこれで私どもとしてもやってみたい。また実際にこれの運用よろしきを得るならば、相当事故の防止につきまして消防として貢献することができるであろう、かように思っておるのでございます。いたずらにただ規定だけを設けますことが実効をあげるゆえんでは必ずしもないと思いまするので、この改正法によりまして、とにかく運用よろしきを得て、事故防止ができまするように消防としても努力してみたい。その結果、いろいろ経験をいたしました結果、なお規定上不備な点がございますれば、検討をして改めるということにいたしたい、かように思っておる次第でございます。
  108. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これで十分じゃないけれども、どうやらやっていけそうなおことばでありますけれども、長官、あなた知らないと言うだろうが、あなたのほうの消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案、これが液化石油ガスについてはどういう考えを持ったかといいますと、液化石油ガスの消費設備の工事の規制——工事についても、消防上のほうから、消防設備士というのも液化石油ガスには触れられないんだね、そうでしょう。おととしできた設備士も触れられないんだ。そういう専門家がおるんだから、そういう工事についても消防の面からチェックしたい、規制したい、こういうことを考えておったでしょう。それから液化石油の充てん所等の規制ということを考えたでしょう。工事、充てん所の規制というものを考えたですね。それから先ほどの話のように、危険物等の運搬を規制しなければならない。これもひとつ消防の専門の知識を生かしてもらう。何も通産省や運輸省の仕事を取るなんて、そんな島国根性、縦割り根性を出してはいかぬですよ。おれのほうは消防のことと、火を消すことについては自信がある。そうして火事を起こさない予防はどうあるべきかということでめしを食っておるのだから、その知識を生かさせてくれ、こういうことで、タンクローリー等についても運搬の規制をあなた方のほうは考えたでしょう。もう一つは、危険物等の大規模事業所の保安態勢も強化してもらわなければならぬ。私は、あまり最近大きな事故はなかったので、いまのところは問題がないだろうと申し上げましたけれども、製造所で事故が起こったらたいへんなことになるわけですから、これは大規模事業所の保安態勢を強化する、そういう場合にも消防としてチェックをしたい、こういうことを考えておったのだけれども、これは全部ペケじゃないですか。そうして通ったのは、「その他」というものだけじゃないですか。あなたのほうで考えておる「圧縮アセチレンガス、液化石油ガスその他の火災予防又は消火活動に重大な支障を生ずるおそれのある物質で政令で定めるものを貯蔵し、又は取り扱う者は、あらかじめ、その旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。」、これだけは通った。九条の二に入った。おもなところは何も通っておらぬですよ。これで自信がありますか。これで自信があるならそれでいいけれども、どうも自信がないのじゃないですか。答えにくいかもしれぬけれども、ずばり言ってください。
  109. 佐久間彊

    佐久間政府委員 確かに、先生がいま列挙されましたような事項も、当初私どもの部内で検討をいたしましたときには、検討項目といたしておりました。ただ一つ、最後におあげになりました大規模事業所の問題でございますが、今回通産省の、液化石油ガスの保安確保及び取引の適正化に関する法律案におきましても、また私どものほうで重点を置いて検討いたしました点も、一応家庭に近いところで起こるいろいろな事故を何とかして減少させるようにいたしたいということを主に考えましたので、大規模事業所の点につきましては、なおひとつ今後さらに連絡をとって検討をしようということで、時間の関係もございまして、これはあとに回したわけでございます。  それから運搬の問題につきましてもいろいろ検討いたしたのでございますが、運搬の問題も検討いたしてみますと、なおもう少し研究しなければならぬ。たとえば容器の扱い方などにつきましても、技術的にもさらに研究をもう少ししてから、それに対する規制を考えたほうがいいというような問題もあるようでございますし、これも引き続き両者で今後連絡をとって研究をしよう、こういうことにいたしたわけでございます。  それから工事や充てん所の規制の点でございますが、当初私どもの案では、これは全部消防機関責任でやることにしようということにいたしたのでございますが、形は、必ずしも消防機関の権限としていたしませんでも、要するに先生が先ほど御指摘になりましたように、こういう段階でいろいろ事故の原因がつくられるわけでございますから、その原因が除かれるようにいたしますことが必要でございます。そういう点から考えてみますと、工事につきまして申しますと、工事の技術上の基準というものを通産省が省令でつくるわけでございますが、その技術上の基準は、十分消防庁意見をいれたものにしてもらうということができますならば、あと今度、その基準が実際に励行されるかどうかということを確保するための措置が必要になるわけでございますが、それにつきましては消防機関が今回の九条の二の改正によってある程度の実情がつかめまするので、予防査察がやりやすくなりますので、予防査察をやる。そして予防査察をやりました結果、基準に違反する状態を発見いたしましたならば、それにつきまして改善命令を出してもらうという要求をすることができるという規定——先ほどの八十七条でございますが、それができましたので、そういうことからいたしますと、これらの問題につきましては、法律の規定の形式は当初私ども考えました案と違っておりまするけれども、それを運用することによってこちらが所期をいたしました実効をあげることができるのじゃないか、かように思っておるわけでございます。  充てん所につきましても、それの施設基準につきまして同様に消防庁意見をいれて基準をつくる。なおまたそれの基準が励行されません場合には、消防機関から措置の要求ができるという権限が新たにできるわけでございますから、それらの規定を運用することによっておおむね所期の結果を期待をしたい、かように思うわけであります。
  110. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、どうも忙しいところありがとうございました。なるべく能率よくやりますから……。  通産省の化学工業局長さん、いらっしゃっておりますね。通産省としてはこの問題についてどういうふうにお考えなんでしょうか。
  111. 吉光久

    ○吉光政府委員 私ども、先ほど消防庁長官が御答弁になられましたことと全く同感でございまして、従来の高圧ガス取締法の体系によりますと、先生承知のとおり、通産省と都道府県知事で高圧ガスの取り締まり体制ができていたわけでございますけれども、昨今の災害発生状況から判断いたしまして、現行体制に再検討を加えるべきである、こういう感じを多分に持っておるわけであります。ただ、先ほど先生御指摘になりましたように、全部同時期にやればよかったのでございますけれども、最近の高圧ガス取り締まり関係災害事故の八割程度のものがLPガス関係のものでございます。そのLPガス関係のものの中のさらに八割程度の災害が一般消費家庭で起こっておりますので、まず一般消費家庭における災害の防止というところから手をつけてまいったわけでございまして、その中でもできるだけ消防機関の御協力を得たい、それでないと実効があがらないというふうなことを痛切に感じておるものでございますので、必要な規定につきまして消防機関の御協力をいただいたということでございます。  なお、先ほどお話しございました現に残された問題につきましても、私どもは高圧ガス取締法自身の全面的な再検討をいたしたい。これはこの国会に間に合わなかったわけでございますけれども、しかしこの見直しの機会におきます私どもの態度は、やはり消防機関の全面的な御協力をいただきたい、こういうふうな感じで作業を進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  112. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで大臣にお尋ねしたいと思うのですが、通産省との間は、もち屋はもち屋という形で、たいへんな事故を起こしておりますLPGガスについては、十分か不十分かは別問題といたしまして、この法律で消防庁のお力をひとつ借りよう、消防庁のほうでもチェックしてもらいたい、こういう手続が法律的にとられようといたしておるのであります。ところが、お聞きいたしますと、この法律はどうやらこの第五十五国会で成立しないようでございますね。そこで、そうなった場合に一体どうするのかという問題が一つと、もう一つは依然として運輸省関係、また高圧技術を通じて通産省も関係がある。全然消防庁としての意見をいれる余地のない、しかも事故が多発する、起こったらたいへんな事故になる、西宮のようなああいうタンクローリー等については全く手がつけられておらない。この九条の二でも「ただし、」ということでこれは除かれておるわけですね。これはこの法律のたいへん大きな欠陥ではないかと私は思うのであります。高圧技術のほうに消防庁がしろうとのくちばしを入れることはかえっていかぬわけです。また消防のことに高圧技術の人がくちばしを入れるのもよくない。自動車運送、運搬のことについては、これはまた運輸省のものであって、それにくちばしを入れることはいかぬのでありますが、現に事故が起こるという以上は、やはり消防庁が予防上の立場からその施設等について意見を述べるということは、私は必要であろうと思うのであります。こういう現時点に立っておるわけですが、これについて大臣、どう対処されるのか、お尋ねしておきたいと思います。
  113. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 第一に、通産省のほうから出されている液化石油ガスの保安法は成立しそうもないというお見通しですが、その辺は国会の御審議のことでございますから私は何とも申し上げませんが、通産省のほうとしては成立に全力をあげておられるんだろうと考えるわけです。ですから、これが成立しなかったときどうするんだというお尋ねにはちょっとお答えしにくいんですが、今回の消防法のほうの改正で、こうしたものを「貯蔵し、又は取り扱う者は、あらかじめ、」消防機関に届け出るということだけでも、いわゆる予防消防と申しますか、あるいはまた事故が起こったときに対処する方法をあらかじめ想定しておくことができるわけでございますから、それだけの値打ちは私はあるものと思います。いまお話しの輸送の問題その他につきましても、もちろん一方においてその製造、販売あるいは運搬という面からとらえれば、これは産業官庁のほうとしてそれをとらえていくことも必要でございましょうが、災害予防という、あるいは災害が起こった場合のこれの制圧という消防本来の立場からいたしますと、そこにまた消防側からのいろいろな要求が出るわけでございます。その接点をどの辺に置くかということが結局問題だと思います。そういう意味におきまして、今後運搬の問題その他につきましても、さらにわれわれ消防を預かるほうからして、その災害予防あるいは災害の制圧という使命からいたしまして、十分その使命が達成できまするような方向に法の改正あるいは取り扱いの方法等を考えていかなければならないと思っておる次第でございます。
  114. 細谷治嘉

    ○細谷委員 もう考えていかなきゃならぬという時期じゃないと思うのです。今度の国会にできなければ、次の国会なりにこの問題については何らかの措置を講ずるというぐらいまではっきりしていただかなければ、これはタンクローリー等重要な問題があるわけですから、大臣責任ある御答弁を伺いたい。このタンクローリー問題については、大臣はこの前の運輸大臣であったのですから事情はよく御存じですから、その辺まではっきりしていただかぬといかぬと思います。
  115. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 次の国会といいますか、とにかくそういう問題、非常に急ぐ問題でございますから、十分各省と連絡をいたしまして、合理的な解決をはかってまいりたいと考えます。
  116. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこでもう一点、念のためにお尋ねしたいのでありますが、大臣は、まだ二十一日にならなければわからぬ、こういうことでありますが、吉光局長さん、私の承知している範囲では、この法律案はどうも今国会では成立しないようでございますが、そうじゃないですか。
  117. 吉光久

    ○吉光政府委員 どうも私どもといたしましては、国会のほうに提案いたしまして御審議をお願いいたしておるわけでございまして、できるだけこの国会で通させていただきたいというつもりで努力いたしております。それ以上のことは国会のほうの関係でございまして、私どもは御答弁申し上げかねるのでございます。
  118. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで、そうなってきますと、この液化石油ガスの保安確保及び取引の適正化に関する法律案というものと、この消防法の第九条の二というのは密接不可分の関係があるわけですね。現にあるわけですよ。そうしますと、かりにこの法律が国会を通らないということになりますと、この九条の二というのはどうなりますか。これは生きるのですか。
  119. 佐久間彊

    佐久間政府委員 内容的にはそれは関連のあることは御指摘のとおりでございますが、これはこれで一つのものでございまするし、これで運用をしてまいりたい。  なおまたついでに申しますと、こちらのほう、九条の二の規定は施行期日を先にいたしておりまするので、もし万一今国会で通産省の関係法案が成立しないというようなことがあったと仮定いたしましても、それまでには成立されることを私どもも期待いたしておる次第でございます。
  120. 細谷治嘉

    ○細谷委員 来年の四月一日でしょう。そうですね。来年の四月一日、次の通常国会があるからたぶん成立するかもしらぬ、こういうことですけれども、四月一日を設定したということは、準備の必要があるからそうしたことなんです。(「だめだよ、エープリルフールだから」と呼ぶ者あり)ほんとうだ。吉光局長さん、これは不即不離の法律なんですね。この法律が成立しないということになりますと、九条の二の運用というのはまことに一方的なようなかっこうになるわけなんです。あなたのほうはたくさんの業者をこの法律で規制していこうとするわけですけれども、もとのほうがなくて九条の二だけが生きてくるということになりますと、たいへん不都合なかっこう、片足、片肺飛行よりももっと悪いようなかっこうになると思うのですね、もとがないわけですから。しかしLPガスによる火災を防いでいくということは喫緊の問題でありますから、通産省としてはそうなった場合の運営——そうなった場合という確率が非常に高いのでありますから、ひとつこれを伺っておきたいと思うのです。
  121. 吉光久

    ○吉光政府委員 私ども、いま全力をあげて、現在の提案いたしております法案につきましてこの国会を通していただくようお願いいたしておるわけでございますが、万一いま先生御指摘のようにこの国会では通らないということになりましても、できるだけ早い機会に通していただくよう、さらに国会のほうにお願い申し上げたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ私のほうの法律案の施行期日、最初の予定は、法律を公布いたしましてから六カ月以内ということで、早ければ年内の十二月一日、おそくて来年の一月一日というふうなぐらいの日取りを予定いたしておったわけでございますが、あと国会の審議の関係でどのように相なりますかちょっと見通しつきませんけれども、万が一最悪の事態というふうなことになりましても、私はやはり消防機関との御協力の問題につきましては、事実上の問題といたしまして、現在の高圧ガス取締法で許す最大限の機能、あるいは事実上の問題としてもできるだけ御協力いただくような態勢で現実の仕事を進めてまいりたい、このように考えております。
  122. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大体わかりました。  運輸省の方見えていらっしゃるようであります。いろいろ聞きたいのでありますけれども、運輸省の長野部長さんはこの方面の担当じゃないですね。担当ですか。——そこで、時間もありませんからお尋ねしておきたい点は、先ほど港湾火災とかなんとかありましたけれども一つお尋ねしたいのです。さっきもちょっと申し上げたのでありますけれども、今日やはり空港の防災体制、防火体制というものは必ずしも十分じゃないわけですね。せんだって東京消防庁の総監が参考人に見えましたときに、羽田のほうも心配なんだけれども、自分のところの出張所をつくろうとするのだけれども土地も貸してくれぬ、こうおっしゃって嘆いておりました。最近聞きますと、どうやら運輸省のほうでまあまあ土地だけは貸してやろうというのだけれども、どこになるかまだきまっておらぬそうですよ。これではやはり、今日の国際空港、しかも羽田といいますと日本の国際空港の代表的なところであります。そこに東京消防庁の出張所も置くことができぬ。それも運輸省と消防庁の間の話し合いがつかぬということになりますと、不面目な話だと思うのですよ。現にもうたいへんな事故が去年あたりあっておるのです。その辺はどうなんでしょうか。早く解決してやったほうがいいのじゃないですか。同じ国同士ですからね。
  123. 長野義男

    長野説明員 お尋ねの件は運輸省航空局の所管でございまして、私、海上保安の救難のほうの関係でございますので、ちょっとお答えいたしかねます。
  124. 細谷治嘉

    ○細谷委員 自治大臣東京消防総監からその話はお聞きになったでしょう。お忘れになっておったら、あるいはお聞きになっていらっしゃらなかったら、そういう事情がございます。たいへんなことですから、早急にひとつ前運輸大臣の肩書きをもって片づけていただけませんか。
  125. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 空港のほうにも、空港自身として、空港の火災予防のための消防自動車その他と要員とを持っておるわけでございます。しかし、いまお話しのように東京消防総監も、自分のほうも責任を持っているわけでございますから、あそこの空港の中に東京消防庁施設を持ちたいということで運輸省の航空局と相談をしておりまして、報告によりますと、運輸省の航空局のほうも、そのことはけっこうである、ついては場所等について相談をいたしましょうという返事があったという報告を受けております。
  126. 細谷治嘉

    ○細谷委員 しかし、場所を貸すという返事があったのはごく最近のようでありまして、参考人としてここにいらっしゃったときは、一カ月以上前ですよ。そのときは、まだ土地がきまっておらぬ、申し込んでいるだけだということで、カビがはえているようです。これでは大臣、いかにもでありますから。それはもう自衛消防で万全を期する体制にあればよろしい。しかし自衛消防だけでいけるかというと、そうじゃないのでありますから、自衛消防に、必要とあれば東京消防庁が握っている、あるいは神奈川県が握っている全消防力を投入しなければならぬ事態もあるわけなんですから、やはりそういう体制を整えておくことが必要だ、こういうように東京消防総監も言っているわけですから、早急にひとつ解決していただくようにお願いしたいと思っております。  運輸省、いろいろ聞きたいのですが、時間がありませんから、もうよろしいです。  それではその次に第三十五条の六、これは新設でございますが、お尋ねしたいのであります。この三十五条の六につきましては、都道府県知事がこの「必要とされる救急業務を、関係市町村意見をきいて、救急業務を行なっている他の市町村に実施するよう要請することができる。この場合において、その要請を受けた市町村は、当該要請に係る救急業務を行なうことができる。」と書いてございます。これはお互いに助け合うことでありますから、たいへんけっこうでありますが、そうしてその次に第二項に今度は、「都道府県は、救急業務を行なっていない市町村区域に係る高速自動車国道又は一般国道のうち交通事故により必要とされる救急業務が特に必要な区間として政令で定める区間について、当該救急業務を行なっていない市町村意見をきいて、当該救急業務を行なうものとする。」と、こう書いてございます。  そこでお尋ねいたしたいのでありますが、一体この「政令で定める区間」というのはどのくらい考えておるのか、具体的にお聞きしたいのであります。  それから、一項に書いてございます「関係市町村意見をきいて、」というのは一体どういうことなのか。ただ意見を聞くだけなのかどうか、その辺をちょっとお尋ねしたいと思います。
  127. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この「政令で定める区間」でございますが、これは法律上の要件といたしますと、「高速自動車国道又は一般国道のうち交通事故により必要とされる救急業務が特に必要な区間」、こういうことでございます。現実にまずどの程度のところを指定をするかということでございますが、一応私ども考えておりまするのは、年間平均いたしましてほとんど毎日一件以上は交通事故があるというようなところで、しかし現に救急業務を行なっておりまする市町村、あるいはこの三十五条の六の第一項の規定を運用いたしまして救急業務を行なうことが可能な市町村、そういうものが相当の長い距離にわたりましてないというような状況にありまするところ、それを対象として考えたい、かように思っておるわけでございます。  ただ現実には、それぞれの府県の意向あるいは関係市町村の意向もよく聞いた上で、府県からの事実上の申請に基づいて政令で指定をするというようにいたしたいと思っておるわけでございます。  実は参考までに、どんなところを府県として考えておるかというようなことを照会をいたしたのでございますが、現在まだ各府県でそれぞれ検討中のところが多いわけでございますが、さしあたり全国から十数カ所、こんなところを自分のところは考えておるということを言ってまいっております。たとえば福岡で申しますと、水巻町、遠賀町、岡垣町、宗像町、福間町、古賀町、新宮町、これら四十五キロにわたる国道三号線をいま検討しているというような報告がございました。  次にお尋ねのございました、「市町村意見をきいて、」ということでございますが、それは、もしその当該市町村におきまして、自分のところは現在救急業務を行なっていないけれども、近く行なう計画があるというようなことがございますれば、それはやはり市町村の意思を第一義的に考えるべきでございますので、そういうようなことは参考にしなければいけません。そういう意味で、あらかじめ市町村意見を聞くということにいたしておるわけでございます。
  128. 細谷治嘉

    ○細谷委員 消防組織法の第十九条に書いてありますよ。この市町村消防というのは、「消防庁長官又は都道府県知事の運営管理又は行政管理に服することはない。」、たいへん厳格な規定があるわけですよ。いわゆる自治体消防市町村消防といわれておるわけです。その一角が、この三十五条の六という新しい規定によってくずれるわけですね。今度の法案でもう一角がくずれているのですよ。これは私は重大な問題だと思っておるのです。大臣、どうお考えなんですか。市町村に行きますと、いわゆるいまの自治体消防というものはやがてなしくずしで府県消防になるだろう、こういうことを言っておる人もいらっしゃる。これはたいへんな問題だと思うのでありますが、いってみますと、その次のほうに、消防組織法の第四条の、この消防に関する市街地の等級化に関する事項の一部が都道府県知事の権限になるわけです。この二点がくるわけですから、これは十九条と密接な関係を持っておるわけですね。これは問題があると思うのです。大臣と長官の考えを聞きたい。
  129. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 これは午前の河上さんの御質問にもお答えいたしたわけでございますが、まさにたてまえは十九条にはっきりありますように、市町村消防、これがわが国の消防基本でございます。それでいま、いずれは府県消防になるではないかという意見もあるとおっしゃられましたが、私どもは全然そういうことを考えておりません。ただ、今回この救急業務につきまして都道府県が補完的にやる道を開きましたのは、現在の高速道路状況、そして事故がたくさん起きるようなところが、むしろ市町村救急業務を行なっていない市町村にかかっているところが非常に多いわけでございますので、しかし、それでもまず第一には隣接の救急業務を行なっている市町村にその仕事をやってもらうように要請をする。しかもその要請をいたしましてもカバーのできないところを、都道府県が非常に例外的に、補完的にやろうというわけでございます。しかもそれをやるときにも、その関係市町村意見を聞いて、地元の市町村でやるのだというならば、それをもう歓迎するわけでございまして、そういう非常にしぼった形で、しかしまた一方交通事情、救急業務の必要性、そういうものを考えまして、非常に例外的に補完的に都道府県でやらせようというわけでございまして、あくまで市町村消防というたてまえはくずさずに、ただ例外的な補完業務として都道府県のやることを認めよう、こういうわけでございます。決してこれが、なしくずしにいたしまして、将来府県消防というようなものを考えていることでないことだけははっきり申し上げておきたいと思います。
  130. 細谷治嘉

    ○細谷委員 十九条の原則はあくまで守るということでございますから、それ以上お尋ねをいたしません。  「この場合において、当該救急業務に従事する吏員その他の職員は、地方公務員法の適用については、消防職員とする。」ということでありますから、地方公務員法五十二条の五項が適用されることになるのではないかと思うのであります。私は不敏にいたしまして、いま府県にあります消防防災課の職員が消防職員であるかどうか、あるいは消防学校の職員というものは消防職員であるかどうか知らないのですが、これもあわせてお尋ねしておきたいと思います。
  131. 佐久間彊

    佐久間政府委員 現在消防職員といたしておりまするのは、消防組織法によりまして、市町村消防事務に従事する職員だけを指しております。したがいまして、都道府県におきまして、消防主管課の職員、あるいは消防学校の職員は、ここでいう消防職員ではございません。ここでいう消防職員は要するに消防の現業と申しますか、これに従事する者を指しているわけでございます。
  132. 細谷治嘉

    ○細谷委員 都道府県関係消防費については、やはり消防関係の職員というのは、ことし、四十二年度は十六名ということを消防災害費という形で認めておるわけです。今度できるものは、現業に従事するという形で、都道府県関係の職員でありながら、これらは消防職員になりますから、地法公務員法五十二条五項の規定が適用されることになるわけですね。そうなってまいりますと、これはやはり現実に都道府県の職員の中に、地方公務員法にいうところの職員組合をつくることができないという人たちができてくるわけですね。やはりなしくずしという心配が起こってまいりますよ、これは。そうじゃないですか。
  133. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これは先生の御推察のような意図は全くございません。現実に救急車に乗る救急隊員でございますが、これは市町村の行なっております救急業務に従事する救急隊員も、府県が行なうことになります救急業務に従事する救急隊員も、全く同じ内容の仕事をするものでございますから、その取り扱いにつきましても同様の取り扱いをすることが適当であるということで規定をいたしたわけでございます。
  134. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうしますと、こまかいことですけれども、大体地方公務員法五十二条の五項の規定を受けるわけです。労働条件等についてはものを言えないわけですね。大体において市町村常設消防の職員は、一般職員より大体二号俸か三号俸か高いですよ。そういうことをやらせるということですね。認めるということですね。
  135. 佐久間彊

    佐久間政府委員 給与の点も市町村救急隊員と同様な扱いをするという趣旨でございます。
  136. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この点は、どういう人がなるか知りませんけれども消防職員になる、ほっと、お前救急業務、ということになりますと、地方公務員法五十二条の適用を受ける。そういうことになりますと、この野郎少しけったいなやつだ、消防にやっちゃえということになりますと、もうこれは組合の役員であろうと、どうにもならないですよ。そういうことがありますので、この辺、私は十九条の関連として問題点があるのではないかということを指摘しておきたいと思います。  それから、同じような関係で、四条で、「消防に関する市街地の等級化に関する事項」というのを、どういう理由でその一部を県に委譲することにいたしたのですか。
  137. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この市街地の等級化に関する事項と申しますのは、先生承知のとおり、各市街地につきまして、火災危険度あるいは消防施設状況等を勘案いたしまして、十等級に分けまして格づけをするわけでございます。そうすることによりまして、火災予防あるいは消防施設整備を促進しよう、こういうわけでございます。従来はその事務を全国の小さな市に至りますまで、全部消防庁が直接やるたてまえになっておったのでございます。しかし、消防本部長を置く市町村も非常にふえてまいっておりまするし、また消防庁がかりにやるといたしましても、いろいろな基礎になりまする調査は都道府県消防主管課がやることになりまするので、これは事務簡素化の趣旨からいたしまして、大都市とか、あるいは県庁所在地くらいのものは消防庁自身でやることにいたしまして、そのほかのところは県の消防主管課にやらせるようにしよう、こういうような考え方で立案いたしたのでございます。
  138. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大体、大都市とか県庁所在地には能力があるだろう、四条の一号をやる能力があるだろう、ほかの市町村能力がない、こういうことで、あなた、なめきっておるよ。何でこんなこと必要があるのですか。市街地の消防上の等級というのを一番よく知っておるのは、その市町村の自治体消防をやっておる専任の人なんですよ。そんなこと必要ないですよ。救急業務というのは公益的なものですから、消防の中でも特異なもの、数年前に消防に入ったものですが、この市街地の等級まで県にやらせにゃいかぬ。言ってみますと、指定市と県庁所在地くらい。あとは能力がないだろう。言語同断だ。こういうことですから、十九条の問題があるわけなんです。これはおやめになったらどうですか。
  139. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先生の御意見は、等級化の事務そのものをもやめてしまえ、こういう御意向かと思いますが、そういたしますると、それもあるいは一つの御意見かと思いますが、しかし、現在市街地の等級化に関する事務消防庁事務として規定をされておりまするし、私どもはこの事務はなお存置してしかるべき事務である、かように考えるわけでございます。この事務を存置いたしまする以上、できるだけ事務の簡素化もはかってまいりたい。わざわざ消防庁で、中央で、こまかいことまでやる必要のない部分は府県にまかせてやらせていいんじゃないか、こういう趣旨でございまして、別段先生の御推察のような、そういう深遠な考えのもとに立案いたしたものでございません。
  140. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、現在どおりでいいんじゃないかというわけです。この四条というのは、「消防庁は、左に掲げる事務を掌る。」と書いて、一号で「消防に関する市街地の等級化に関する事項」二号が「消防制度及び消防準則の研究及び立案に関する事項」と、こうなっておる。それを改めて、一号を消して、いまの二号を一号にして、現在の一号を二号にして、そうして都道府県の所掌事務の中にあらためて十号を設けるということだ。現行法でいいでしょう。自治体消防市町村は常設消防を持っておるのですから、その市街地の等級、都市計画に関係する消防に関するものなんですから、自治体消防が厳と存在しておる、消防署長もおる市なんですから、それにまかしていいじゃないか、何もことさらこの段階でわざわざ一号と二号をさかさまにひっくり返して、そして、実は県庁所在地と指定市ぐらいには能力があるだろうからやらせるけれども、あとはやめるのだということは必要ないじゃないか、現行法でいいじゃないか、こういうふうに言っているのです。
  141. 佐久間彊

    佐久間政府委員 あるいは私ことばが足りませんでしたので、多少先生誤解をされたかと思いますが、大都市と県庁所在地の市街地の等級化に関する事項は、これは従来どおり消防庁で私どもがやる、それ以外の市町村の部分は県にやらせる、こういうことでございまして、大都市と県庁所在地が自分のところの等級化の仕事を自分にやらせる、こういう趣旨ではございません。
  142. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうすると私の思い違いか。これは消防庁の権限を府県に移したということですか。
  143. 佐久間彊

    佐久間政府委員 さようでございます。
  144. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それでは通産省、もうよろしゅうございます。  次にお尋ねしたいのでありますけれども、あなたのほうから小委員会に出された資料によりますと、平均しまして大体一つ市町村に十六人強の救急業務をやっている人がおるわけですね。これが六千七百九十三人おるわけですが、七百十九台でありますから、割りますと、一台当たり九・四人です。この間参考人も言っておったとおり、少なくとも六人ぐらいかかるわけなんです。ところが消防施設については、救急業務というのは大体三人ぐらいしか見てないわけです。個々に聞きますといろいろ財政上の問題がありますけれども、この辺に救急業務についての問題点があるのじゃないですか。
  145. 佐久間彊

    佐久間政府委員 一台の救急車に配属する人員でございますが、現実には三人ずつ二交代ということで、六人というのが通常の形態でございます。ただ、新たに救急業務をやるようになりますような比較的小さい市町村におきましては、火災救急の件数も少のうございますから、三人は専任でもあとの三人は兼任でやるというようなことでよろしいのじゃなかろうか、かようなことで、財政的にはそのような措置がなされておるわけでございます。しかし、これも救急業務実情がだんだんと今後変わってまいることもあろうかと思いますが、これはまた実態に即して、それらの点につきましては財政当局とも御相談をしてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  146. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 御指摘の点でございますが、昭和四十一年度の実態を見ますと、専任救急隊員が全救急隊員に対しまして占めております比率は三五%程度でございます。おおむね一隊当たり三人という数字になっておるわけでございます。そこで現在の標準団体におきます専任の救急隊員の配置は、一隊当たり三名の基準というものは一応根拠はそこに求められるわけでございますが、ただいま長官からもお答えがございましたように、実情を見ながら、さらに改善すべき点は改善してまいりたい、ただ現在の実態にはこれで合っている、こういうふうに考えておる次第でございます。
  147. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それは実態に合っていないのだよ。この間参考人も来て言っておった。本来なら六十二人か三人になるのに、私のほうはほんとうには二十五、六人しか充足されておりません、そのうち六人は——大体消防というのは当直しているから、いつでもいる、ほかは寝ているのだから、えい使ってしまえというので救急業務消防に押しつけられたのだ。おそらく喜んでいないのですよ。しかし大事なことでありますからやっているわけでありますが、それはまあ交付税計算がそういうふうになっているからそういうふうに言わざるを得ないでしょうけれども、足らぬことははっきりしているのです。何のために国費を使って参考人を呼んだのですか。  そこでお尋ねしたいのでありますが、その上に、私は消防庁長官というのは公式主義ではなくて、非常に温情あふれる方かと思ったら、そうじゃないのですね。今度は政令で指定するのは五万以上にします。ところが、いま四百二十、救急業務をやっておるわけですね。現在政令で指定されたところが百四あるわけですね。今度五万以上になりますから、新しく政令で指定されるものが百九十。現在の政令の指定市は百五でありまして、そのうち一つ救急業務をやっておりませんから、実際救急業務をやっているのは百四であります。新しく政令で指定されるのが百九十あるわけですが、任意の実施市町村というのが、大臣、百六十五あるのですよ。いままでたった三人しか見ていない、それももらわぬで——何ももらってないのですよ、何ももらわぬで、そして救急業務をやったわけだ。そして、なけなしの二十五人ぐらいの消防職員を動員してもやっておるわけです。四万八千人の市はこれはもらえないのだな。政令指定市にならないですよ。参考人もおっしゃっておった。ところが、それが百六十五あるわけですよ。この百六十五には四十二年度は財源措置をしてやらぬで、四十三年度からやりたい、こうおっしゃっておるわけだね。ところが、新しく百九十一——現在指定されておるところの一つと新しく指定される百九十、合計百九十一、そしてそのうちやっているのは百五十一でありますから、四十というのはこれからやるわけで、金ももらえるし自動車の補助金ももらえるわけですよ。そういうことでありますから、これは消防庁長官はきわめて冷血、無慈悲だ、こう申さなければならぬのであります。参考人が来るとき、さすがに長官気がとがめたのでしょう、何を聞いてくれるかと一生懸命追いかけ回したといううわさもあるのだが、ひとつ温情ある大臣、これはひどいですから、現にやっているところは、これは見てやらなければならぬじゃないかと私は思うのです。そして新しく五万以上のところは指定する、これはやっぱり見てやる。おまえのところはやっておるけれども人口が二千人足らぬからぺけだ、来年からやるようにしようなんという、そんなことは、現にやっているところにも相済まぬと思うのですよ。どうですか、ひとつ大臣お答え願いたいと思います。
  148. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 従来の地方財政の見方等におきまして、特に交付税等で処置する場合におきまして、任意でやっているものについてはそれを見ないというたてまえでございます。しかし、そのたてまえそのものがいいかどうかという御批判もあろうかと思います。人口の問題につきましては、しばしば消防庁長官もお答えしましたように、単に五万以上というのでなくて、市という市は全部、今後指定したい気持ちを持っております。また、それからはずれる、任意でやっているものにつきましての財政をどう見ていくかというようなことは、やはり積極的に研究をいたしたいと考えております。
  149. 細谷治嘉

    ○細谷委員 積極的に研究するのではなくて、大臣は参議院のほうでは、それは百六十五は気の毒だ、何とかしよう、普通交付税の段階ではもうきまっちゃったから見られないかもしらぬけれども、特別交付税か何かでは、現にやっている百六十五については考えてやろうという意味の御答弁をなさったと聞いているのでありますが、衆議院に来ますとずいぶん後退していますよ。
  150. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 積極的に考究いたしますというのは、団体の財政状況も見ますけれども、それについて十分配慮をいたしたい、そういう意味で積極的に考慮をいたしますと申し上げたわけでございます。
  151. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣のことば、非常に含みがあって、どこにあるのか私、わかりませんけれども大臣のお気持ちは了として、参議院でもお答えになったようでありますから、ひとつ四十三年と言わず、たいへんな苦労をして現にやっておるわけですから、ほんとうにその裏づけはひとつ考えてやっていただきたいと思うのであります。  いろいろ聞きたいのでありますけれども、最後に一つお聞きします。消防団員退職報償金負担金というのが、十数億の赤字を持っているわけですね。そこでそれはこの雑誌によりますと、五年計画で特別交付税か何かで見るそうです。こんなところには特別交付税とはっきり書いてあるのですよ。これは雑誌ですが、あなたの部下の、名前が書いてありませんけれども消防庁総務課とぴしゃり書いてある。特別交付税と国会では絶対おっしゃらないのですけれども、ちゃんと雑誌には書いてあるのです。交付税で赤字を補てんするために見ることもやむを得ないでしょう。こうなっている。ところで、私がお尋ねしたいのは、いままでは九百円であったのでありますけれども、今度は赤字のできないように千三百五十円見ましょう、大幅な増加だ、こういうふうにこれが自画自賛しております。これはまあいいですよ。ところが人間が四百三人というのは変わっていないのです。ところが大臣、十万の都市で四百三人という消防団はないのです。大体十万の都市になりますと、七百か八百ぐらいの消防団員がおるわけです。それはちゃんと消防庁がそうやらしておるのですから。そうなりますと、四百三人というのは、いままで四百三人であったのだから、それは押えたんだ、単価を上げたんだということであります。赤字が出てこういうふうに大幅に直して自画自賛しているんなら、掛けるほうも直したほうがほんとうじゃないでしょうか。これはひとつ大臣何とかしていただかぬと、四百三人というのは半分ですよ。特に困っておりますのは、常設消防も持っておりますけれども、それ以上にやはり消防団の力をかりておるところに、特にたいへんな問題があるやに私は伺っておるのであります。ひとつ大臣の明快な御答弁を伺いたい。
  152. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ちょっと技術的なこまかいことでございますので、経過だけ簡単に申し上げます。  現在市町村消防費の算定に用いております標準団体の行政規模におきましては、常設消防消防職員数におきましては、消防吏員六十三人、その他の職員二名、こういう規模のものを想定しておるわけでございます。非常備の消防団の団員におきましては一分団、四百三人の規模を考えておるわけでございます。この点につきましては、大体御案内のとおり人口十万、市街地六万、構造率三分の一未満、こういったもろもろの要素を積み上げまして算定いたしておるわけでございます。最近、この消防団から常設消防のほうに移行されるものも多いようでございます。その結果は、交付税全体の算定といたしましては、常設の消防を設置いたしておりまする団体の人員というものは、やや多目に交付税においては出、それから消防団を設置しておるところについては、やや少な目に出ておるようでありまして、なおこの実態というものとにらみ合わせながら、規模について検討しなければならないだろうと思っておるわけでございます。ただ当面の問題といたしましては、先ほど御指摘になりましたように累積赤字の点につきましては、既往分につきましては特交で処置をする。それから今後の分につきましては九百円を千三百五十円に引き上げる、こういうことによって措置をしてまいりたい、こういう経過になっておるわけでございます。
  153. 細谷治嘉

    ○細谷委員 多く申し上げませんけれども、千三百五十円にしていただいたことはけっこうだけれども、人数が少ないと、市町村の負担はやはりたいへんなことになるのだそうです。今度は赤字が出ないようにするのですから、消防団員の数でやられるわけですね。千三百五十円でいいかと思うと、実際は四百三名でなくて、八百三名を掛け合わせなければならぬという形になって、市町村の支出が起こってくるわけですね。ですから大臣、これはやはり実情に合わせた単価ならば、やはり人数も合わせていただかなければならぬと思うのです。これはどう思いますか。
  154. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 こういう交付税の算定の問題でございますから、各市町村が実際に持っている団員そのものに単価を掛けるというわけにもいかないわけでございます。ただ、いま鎌田君も言いましたように、四百三人という消防団員の数そのものが、一般的に申し上げて、平均いたしましても非常に実情に合わない。個々の特殊な事例の町村でなくて、一般的に申し上げても、四百三人というものが実情に合わないということでありますならば、それは再検討いたしたいと考えております。
  155. 細谷治嘉

    ○細谷委員 お聞きしますと、参議院のほうで大臣たいへんいい答弁をなさっているのですから、これもひとつ確認をしておきたいと思うのです。参議院のほうではたいへんいい答弁をなさっておられる。そうでしょう。  最後に大臣、四十八国会消防設備士制度が設けられます際に、この委員会で附帯決議をつけたのです。それはどういうことかというと、「消防設備士の業務消防用設備等の設計監理を加えるなどその業務範囲を明確にすること。」こういうことであります。先ほど議論いたしましたLPGの問題とかあるいは霞ケ関の高層ビルの問題。ビルを建てるにいたしましても、やはりその設計というのが問題なのであります。工事の監督をするだけではだめなのであります。防火上の設計あるいは火災になった場合には、その火災を消し得るだけの、たとえば水を一秒間にどのくらい噴水しなければこれはできないとか、どうしてもあわを吹かしてやらなければとてもこのビルを守ることはできない、こういう問題はやはり設計からやっていかなければならぬと思うのであります。大臣も御承知かと思うのでありますけれども、この法律ができる前は、東京都の条例は設計というのが入っておったのであります。設計、監理という字句が入っておったのであります。ところがこの法律ができたために、自治法の規定に基づきまして、法律より上回っておるということで東京都の条例が後退した修正を行なったのであります。こういうふうな実例がございますし、今日ビルの問題とかあるいは地下街対策とかあるいはLPGの施設の問題等多多あるわけでございますから、ビルディングの設計に当たっても、あるいは地下街の設計に当たっても、LPGのスタンドの設計に当たりましても、やはり消防がチェックできるように消防設備士の——まあ設備士自体に、大体一級の設備士が六種類も七種類もあって、救命具だけで設備士が一人いるというようなばかげた制度になっておるのでありますけれども、それにいたしましても、自治法とこの法律との関係でせっかくいい条例が後退したという実例があります。いまや設計についても消防の立場からチェックしなければならぬ時代にあると私は思うのであります。この点について建築士会等が、建物を建てるのに何も消防設備士なんという消防のやつがくちばしをいれる必要はないとおっしゃるのです。建物はそうでありましょう。しかしビルディングの建物は火事が起こった場合にどうするのか、予防をどうするのかということは消防の範疇なんであります。ですから、設計に当たって、その火災の予防と、火災が起こった場合の消火に対して万全を期するということは必要であろうと思うのです。この点について、ぜひ大臣にやっていただきたいのでありますが、お考えをお聞きしまして私の質問を終わります。
  156. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 法律的には、一方の建築基準法であるとか建築士法にいうところの建築設計との関係からいたしまして、工事というようなことばを使っておるようでございます。しかし実際問題としては、確かにお話しのように、これから特に特殊な建築物等が行なわれます場合には、消防的な見地からの設計と申しますか、そういう考慮が払われなければならぬと思います。したがいまして、今後消防設備士に対するいろいろな指導の面におきましても設計的な知識の涵養につとめさせますが、建築士との関係におきましてどうしても消防設備士が口が出せないというようなことがあってはなりませんので、その辺は今後十分改めてまいりたいと考えております。
  157. 細谷治嘉

    ○細谷委員 先ほど議論になりました高圧技術関係というのは、化学の技術者なり電気の技術者なり機械の技術者は、特に高圧技術についての高圧のものを取り扱う資格試験があるわけです。ですから、一級建築士、二級建築士の人が消防のことを勉強して、そういう国家試験に合格すれば、わざわざ消防設備士とかなんとかにやらぬで、その人自体が資格を持っているのでありますから、ほかの人を雇ってくる必要ないわけです。そういう形をとりさえすれば、わざわざ設計に消防設備士がくちばしをいれるというようなことを言わなくても、必要あれば自分で勉強してとればいいわけですから、そういうふうな制度をお考えになって、やはりどうしても設計に消防上のことを入れていかなければならぬと私は思っておりますから、ひとつ大臣がんばっていただきたい。
  158. 亀山孝一

    亀山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  159. 亀山孝一

    亀山委員長 これより消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案討論に付するのでありまするが、別に討論申し出もありませんので、直ちに本案の採決を行ないます。  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  160. 亀山孝一

    亀山委員長 起立総員、よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決されました本案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  162. 亀山孝一

    亀山委員長 消防に関する件について調査を進めます。  ただいま委員長の手元に自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表して、奥野誠亮君から、消防力充実強化に関する件について決議されたいとの動議が提出されております。     —————————————    消防力充実強化に関する件  政府は、社会経済の進展に対応して消防力充実強化をはかるため、左の諸点につき、すみやかにその実現を期すべきである。 一、消防施設に対する目的税創設等市町村自主財源増強化学車消防艇ヘリコプター等科学消防施設および弱小市町村一般消防施設に対する国庫補助金増額並びに起債枠の拡大および損保債利率の大巾な引下げについて特段の措置を講ずること。 二、消防常備化広域化を促進するため、消防本部署必置市町村指定範囲拡大するとともに、共同処理方式活用をはかること。 三、消防署消防団との間の機能分担の在り方を検討するとともに、消防団員に対する報酬出動手当および退職報償金増額並びに表彰制度の運用の改善に努めること。 四、救急業務実施市町村指定基準をさらに引き下げ、市町村間の業務共同処理を勧しようとするとともに、現在任意に実施している市町村に対して所要の財源措置を行なうこと。   なお、救急機材整備および救急隊員教育訓練強化すること。 五、液化石油ガス等の貯蔵、取扱いおよび運搬について消防としての保安規制強化するため、行政の一元化を推進すること。 六、高層建築物地下街等における避難施設整備等防災対策強化すること。 七、石油コンビナート地帯、湾岸等における特殊災害に対処するため、企業責任内容を明確にして、すみやかに総合的な防災対策を樹立し、消火薬剤備蓄、消火技術の研究救命艇開発等措置を講ずること。 八、大震火災等非常災害に対する調査研究体制をすみやかに整備するとともに、空中消火法等技術開発に対し、十分な予算措置を講ずること。  右決議する。     —————————————
  163. 亀山孝一

    亀山委員長 この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を求めます。奥野誠亮君。
  164. 奥野誠亮

    奥野委員 私は自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の各派を代表して、消防力充実強化に関する決議案の趣旨を御説明申し上げます。  案文は、お手元にお配りしてありますので、朗読を省略させていただきます。  近年における社会経済の実態と火災の態様の変化に即応して、消防近代化広域化等の問題を検討するため、本委員会消防に関する小委員会が設けられ、鋭意これが対策について検討を進めてまいりましたことは、先ほど私から御報告を申し上げたとおりであります。  本委員会といたしましては、この際、小委員会の報告の趣旨にのっとり、消防体制近代化消防力充実強化について決議を行なうことを適当と認め、本決議案を提出いたした次第であります。  何とぞ皆さま方の御賛同をお願い申し上げます。     —————————————
  165. 亀山孝一

    亀山委員長 本動議について採決いたします。  奥野誠亮君提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  166. 亀山孝一

    亀山委員長 起立多数。よって、奥野誠亮君提出の動議のごとく決しました。  この際、藤枝自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。藤枝自治大臣
  167. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいまの御決議、まことに時宜を得たものでございまして、政府といたしましても十分御趣旨を尊重いたしまして、消防力充実につとめたいと存じます。
  168. 亀山孝一

    亀山委員長 おはかりいたします。  本決議の議長に対する報告及び関係各方面に対する参考送付の手続などは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 亀山孝一

    亀山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。   午後五時十九分散会