○古屋
委員 ただいま議題となりました
道路交通法の一部を
改正する
法律案に対する
附帯決議につきまして、私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党、公明党の四派を代表してその趣旨を御
説明いたしたいと思います。
案文は、お
手元に配布してありますので、朗読を省略させていただきます。
次に、
提案の趣旨を御
説明いたします。
まず第一点につきましては、日ごとに困難性を増しつつある現下の交通の実態に対処して、
道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑をはかるためには、交通
警察の活動をさらに
強化する必要があると存じますが、その交通の指導
取り締まりは、申すまでもなくあくまでも適正に行なわれなければならないのであります。とりわけ、画期的な交通反則通告
制度も遠からず発足することであり、
警察官の資質の向上、指導
取り締まりの姿勢、態度等について、その教育の徹底につとめ、いやしくも
取り締まりのための
取り締まりにならないよう周到な配慮と責任ある指導を行なうべきものとするのであります。
第二点につきましては、積載制限
違反について
運転者のみを責めるのはその雇用の実態からして酷であります。したがいまして、積載制限
違反の
取り締まりにあたっては、単に
運転者の責任を追及するばかりでなく、雇用者、運行管理の地位にある者及び荷主等の責任をも重く追及することが妥当と存ずるのであります。
なお、積載制限
違反防止の実効を
確保するためには、
車両に計量器を備えつけることがさしあたり最も有効な手段と思われますので、
自重計の備えつけを義務化するよう早急に
検討すべきものとしております。
第三点につきましては、
交通事故の場合、
運転者に責任がなく、
被害者のみに責任がある場合もありますことにかんがみ、
違反とか過失のない場合、あやまって仮
停止をし、かりそめにも
運転者の生活権を侵害することがないよう、
運転免許の仮
停止にあたっては、
違反及び過失の有無を慎重に
検討し、誤りなきを期するよう十分に指導すべきものとしております。
第四点につきましては、交通の安全と円滑を
確保し、危険を防止するための要件は多々ありますが、その基本をなすものは、歩行者、
運転者はもちろん雇用者に至るまで、交通法令その他交通安全のための心得を十分にわきまえ、真に交通道徳を身につけるとともに、交通
安全教育をさらに強力に
推進すべきものと存ずるのであります。
第五点につきましては、あらためて申し上げるまでもなく、交通の安全と円滑をはかるためには、単に
罰則の引き上げや
運転者に対する
取り締まりを
強化するのみで
交通事故の減少をはかることは不可能であり、その際、当然の前提として
考えるべきことは、
道路及び
交通安全施設等の
整備強化であります。
道路の
整備、特に
交通安全施設の
緊急整備につきましては、現在、
交通安全施設等の
緊急整備三カ年計画が実施されておりますが、
交通事故の現況にかんがみ、今回の法
改正に伴う
交通安全対策特別交付金の交付にとどまらず、さらに国は、
道路の
整備費や
交通安全施設に要する経費について、
府県や市町村に対し十分な
財源措置を講じ、その万全を期すべきものと存ずるのであります。
なお、地方団体に対しても、
交通安全対策に必要な地方財源については、今回の
交通安全対策特別交付金のような応急的かつ不安定な措置でなく、恒久的かつ安定した
財源措置をとるべきものとしております。
第六点につきましては、本
改正案では、交通反則通告
制度を成人にのみ適用し、少年には適用しないこととしておりますが、
交通事犯のうち少年によるものが大量にのぼっておりますことは周知の事実であり、その法的措置をどうするかは緊急の問題と存ずるのであります。そこで、この問題の重大性とその
影響とを
考え、
運転免許を受けた少年による
道路交通法違反についても、成人と同様の手続をとることができるよう早急に
検討すべきものとしております。
第七点につきましては、
交通事故に伴う刑事
裁判、民事
裁判の遅延が今日大きな問題になっておりますし、また、
一つの
事故について、刑事
裁判所、民事
裁判所、
公安委員会の真相についての判断がそれぞれ別個に行なわれますのも、
運転者等関係者の権利の保障の面において問題があるのではないかと思います。
したがいまして、
交通事故の当事者の権利の保障を全うしつつ、
交通事故の真相を明らかにし、
交通事故防止に寄与することのできる交通審判所のごときものの
設置を
検討すべきものとしております。
以上が本決議案の趣旨であります。何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。
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道路交通法の一部を
改正する
法律案に対する
附帯決議(案)
政府は、国民生活の一大脅威となっている現下の
交通事故激増の深刻な
事態に対処し、人命を尊重し、
交通事故防止の徹底を期するため、特に左の諸点について、すみやかに強力かつ抜本的な措置を講じ、その
対策に遺憾なきを期すべきである。
一、
道路交通法に基づく交通の指導取締り、とくに交通反則通告
制度の運営の適正を期するため、
警察官の資質の向上、指導取締りの姿勢、態度等についての教育の徹底につとめ、いやしくも取締りのための取締りとならないよう周到な配慮と責任ある指導を行なうこと。
二、積載制限
違反の取締りにあたつては、
運転者のみならず、雇用者、運行管理の地位にある者および荷主等の責任をも追及するよう配意すること。なお、積載制限
違反の防止のため、
自重計の備付けを義務化するよう早急に
検討すること。
三、
運転免許の仮
停止にあたつては、
違反および過失の有無を慎重に
検討し、いやしくも過誤なきを期するよう十分に指導すること。
四、交通の安全を
確保するため、交通
安全教育をさらに強力に
推進するとともに、遵法精神を昂揚し、交通道徳の
確立をはかること。
五、
交通安全施設等(歩道、信号機、ガード・レール、街路照明灯、横断歩道橋、
道路標識、踏切道の改良等)の
整備をさらに促進するため、国において十分な
財源措置を講ずるとともに、特に、地方財政の現況にかんがみ、
道路交通安全対策に必要な地方
財源措置についても万全を期すること。なお、
交通安全対策特別交付金にかえて、すみやかに別途十分な
財源措置を講ずるよう
検討すること。
六、
交通事故の現況にかんがみ、少年による
道路交通法違反についても、成人と同様の手続きをとることができるよう早急に
検討すること。
七、
交通事故にともなう事案の適切かつ迅速な
処理をはかるため、交通審判所(仮称)の
設置について
検討すること。
右決議する。
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