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依田委員 非常に大事な点ですから、実は
通告制度のほうへ入りたいのですが、この点もう一回だけお聞きします。
どうも
納得がいかないのは、
法務大臣が、
刑法のほうの範疇に入る
案件だからまかしてくれ、それでそういうふうに
おまかせをいたしました、こういう
答弁で、
内容はそれしかないと私は思うのです。それが唯一絶対のものであるならともかく、それなら、これを持っていけば、先ほど私がしばしば言いましたように、
刑法の中における刑の
体系がくずれてくるわけです。はっきりこれはアンバランスになってくるのです。もう
学者が何人も
指摘しておるように、
殺人やその他に比較しまして、
過失に
懲役を科すなんということはたいへんな問題なんです。せいぜい
禁錮まで。それも判定が非常にむずかしいですから、能力以上の責任を負わせることになるのです。そういう点でこれが問題になっておるのです。しかも今回のこの
通告制度を出して、御
承知のようにこれは
警察のほうでは七〇%が助かっちゃうんです。全部
警察のほうでは簡単になる。ですから
交通警官がいま何人おるか、これは私ちょっと知りませんけれ
ども、これはまた
資料でお聞きしたいところなんですが、警官の手が省け、簡裁が省けるんですね。その全力というものは全部取り締まりのほうに回るのです。従来
交通事故というものは、
交通工学でよく三E政策ということを言っております。設備と教育と
行政、処罰だ。この処罰の面だけを
警察庁が
中心になっておやりになる。これは調べていく過程の中でよく話が出るのですが、じゃ、車両法をやっておる
運輸省のほうはこれと一体どういう
関係にあるか、これは全然
連絡がないのです。これは
あとでもって、五百キロ以上の問題について触れたいと思うのですが、こちらのほうでは重量計を要求しているのだが、
運輸省のほうは、そんなものは時期が尚早だ、そんなことをやったら事業主が困るからつけません、こういうことになっているのですね。取り締まりの面だけがいま独走しているのです。ですから、事業主との間の刑のアンバランスが出てきておる。今度の
道交法では体刑が入ってきております。刑が非常に重くなってきている。しかも労働者だけがその中にはさまってしまって、ノルマの過激な中でもって一家をささえて働いておるのです。これはどこにあるかというと、これは付帯
決議の中ではっきりいわれているように、警官に対する指導、これは第七項でいっております。これは
局長にまたどのような
措置をしたかということを聞きたいのですが、いろいろ御
答弁があると思いますが、この
附帯決議に出ておるのは、信号あるいは
道路施設その他の横断歩橋等の、地方公共団体その他に対する、
道路管理者に対する義務化の
規定を法定しろ、これはどこにも出ておりませんよ。そういうことについて綿密な指導をいたし、設備をいたし、一体として設備もやります、教育もやります、そして処罰のほうもやります、こういう三者一体の形で
交通問題を取り上げなければ、歩行者の保護にもならなければ
運転者の保護にもならないし、また産業を通しての国に対する利益にもならない、こういうわけです。そういう面に対して、この
通告制度は、膨大な人件費と予算が省けるわけです。また
通告制度以外の処罰事項にしてもどんどん重くなっておる。こういうような
抜本改正を目の前にしながら、なぜ去年、おととしと同じように、ことしもまた二百十一条を
政府から
提案してまいったか。これに対する自治省は去年とは違うのです。おととしとは違うのです。ことしはこれは様相を一変しておるわけです。
道交法の第四次改定、第一次が大きな改定であって、第二次、第三次は形式的な改定なんです。今度は抜本改定なんです。これはしかも新しい
制度の創設なんです。七割の負担が軽くなるのです。それだけに教育面あるいは設備の面にも、投資もできれば時間もさける。こういうことを目の前に置きながら、なぜまた
大臣として
——あなたが
法務大臣の
意見を聞かなければならぬ
立場にないわけですから、随時自分の
所管について
総理に
提案をして、
閣議であなたが
発言をとって
閣議決定事項にできるわけです、
内閣法の所定するところなんですから。それをどうしてやっていただけなかったか。私は地方
行政委員の
道交法を
審議する一人として、今回
道交法の占める割合があまりにも大きいのです。
刑法のような
基本法をいじくるということは、これに手を加えるということは、よほどのことがなければならぬわけなんです。間に合う間は間に合わしていく、これがわれわれの
趣旨なんですが、それを
法務大臣の
所管だから、
刑法の
所管だからといってこれを
おまかせになりましたその辺のいきさつ、御
判断について、もっと具体的に、ひとつ
国民の
納得のいくように御
説明願いたいと思います。