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1967-05-16 第55回国会 衆議院 大蔵委員会石炭対策特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十六日(火曜日)     午後五時二十三分開議  出席委員   大蔵委員会    委員長 内田 常雄君    理事 原田  憲君 理事 藤井 勝志君    理事 三池  信君 理事 毛利 松平君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君       足立 篤郎君    大村 襄治君       小峯 柳多君   小宮山重四郎君       西岡 武夫君    村山 達雄君       山下 元利君    阿部 助哉君       只松 祐治君    堀  昌雄君       永末 英一君    田中 昭二君   石炭対策特別委員会    委員長 多賀谷真稔君    理事 神田  博君 理事 藏内 修治君    理事 西岡 武夫君 理事 三原 朝雄君    理事 岡田 利春君 理事 八木  昇君    理事 池田 禎治君       進藤 一馬君    野田 武夫君       井手 以誠君    木原津與志君       田畑 金光君    田中 昭二君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵省主計局次         長       岩尾  一君         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         厚生省年金局長 伊部 英男君         通商産業大臣官         房会計課長   矢島 嗣郎君         通商産業省石炭         局長      井上  亮君         通商産業省鉱山         保安局長    中川理一郎君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君  委員外出席者         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策特別会計法案内閣提出第四五号)      ————◇—————   〔内田大蔵委員長委員長席に着く〕
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより大蔵委員会石炭対策特別 委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、大蔵委員長の私が委員長の 職務を行ないます。  石炭対策特別会計法案議題といたします。     —————————————
  3. 内田常雄

    内田委員長 趣旨の説明は、さきに配付いたし てあります資料により御了承願うこととして、質 疑の通告がありますので、これを許します。三原 朝雄君。
  4. 三原朝雄

    三原委員 今次一連石炭対策中、特に石炭鉱 業の過重な負担一千億円の財政資金によります肩 がわりであるとか、あるいは安定補給金の交付、そ れから、ただいま議題となっております特別会計新設等は、私企業におきまする体制下において は、一産業に対する国の援助としては全く画期的 なものだと敬意を表しております。しかし、内容 的につぶさに検討してみますと、いろいろ憂慮す べき問題点があるわけでございます。そういう点 について特に大蔵大臣に所信を承りたいと思いま すが、法案内容にもありますように、この法律 は四十五年で一応廃止をするという時限的な立法 になっております。そこで、私どもは、石炭産業現時点における問題点、あるいは将来に対します 見通し等考えてまいりまする場合に、問題の整 理についてそれがはたして完全に消化できるかと いうような点について非常に心配をいたしており ます。  そこで、大蔵大臣はいろいろそういう点につい て御検討なさって今次の特別会計新設をなさっ たと思いまするが、石炭産業の位置づけの問題な り、あるいは現在及び将来に対しまする石炭産業見通し等について、大臣の御意見をひとつ承り たいと思います。
  5. 水田三喜男

    水田国務大臣 石炭産業についてはいろいろ問 題がございますので、特にああいう石炭鉱業審議 会をつくって検討していただいたその結果、答申 が出てまいりましたので、私どもも、あの答申の 線に沿った対策が結局石炭対策として最低限必要 なものだろうとい認識のもとに、あの線に沿っ た措置を今度はとりました。特別会計をつくるこ とも、特別財源をここに付与するということ で、一連措置をとったわけでございまして、こ の措置によって一応石炭問題もある程度解決 を見るというふうに私は考えております。
  6. 三原朝雄

    三原委員 どうも、私ども自身石炭産業現状 と将来の見通しとを考えてまいり、しかもこの特 別会計制度内容を検討してみますと、大臣のい まの御意見によりますと、答申内容十分納得 をしてこれを採用したという御意見でございます が、私どもとしては、先ほど申し上げましたよう に非常に心配になる。はたして四十五年までに自 立安定するような石炭事情になるのかどうかとい うような問題を、石炭産業プロパー立場考え ましても、そういう点を痛感いたしております。 なお、この法案内容を見てまいりますと、国民 経済の重荷を排除するための積極的な施策という ことは一応受け取れますけれども、しかし、問題 はそういう簡単に私は受け取ることができませ ん。したがって、この問題については運用問題 に触れてひとつお尋ねをいたさねばならぬと思う わけでございます。  まず第一には、この中にあります財源をさらに 拡充する必要が次々に考えられるわけでございま するが、そういう立場から、関税収入増加分問題なく本会計繰り入れられるというようなこ とを、私どもはそうしてほしい、またそうさるべ きであろうと考えておりまするが、この点につい てはどういうお考えでございますか。
  7. 水田三喜男

    水田国務大臣 石炭対策に使うために特定財源 を基礎にしたこの特別会計をつくったのでござい ますから、この収入はこの対策に使うということ は当然でございます。
  8. 三原朝雄

    三原委員 そこで、次にお伺いいたしたいの は、石炭対策費がこの会計の限度で不足する場合 もあるわけでございますが、一般会計から繰り入 れることが可能であることは、私もその点はいま 大臣の御意見理解をしますが、その際に何らか 条件を付加されるというようなことはございませ んか。
  9. 水田三喜男

    水田国務大臣 この特別会計財源は、先に いってだんだんに豊富になる財源をもとにしてお りますので、そのことを考え、もう一つは、石炭 対策は現在が重要でございますので、現在有効な 対策を立てなければならぬ、それについては、い ま見込まれる財源では困難だという点があろうと 思いますので、そういう意味で、当面必要なもの は、この財源が不足する場合は一般会計から出し てもいい、それはもうこの財源だけで縛らないと いうかわりに、これが先にいってこの財源が余ら ないということなら、それはそれでやむを得ませ んが、もし一定の必要な対策を立ててなおかつ財 源が余るという事態になれば、一応これは一般会 計に返してもらう、こういう最初からの関係省の 約束でこの特別会計ができておりますので、いま 必要なものは私どもは金を惜しまないで一般会計 からも出しますかわりに、これが余った場合には 一般会計に返してもらう、これはこれでいいん じゃないかと思っております。
  10. 三原朝雄

    三原委員 先ほども申し上げましたが、四十五 年でこの法律廃止になるわけでございますが、 簡単に石炭のことを考えておられぬことも十分わ かりますけれども先ほどもお尋ねしましたよう に、四十五年までに石炭業者自立安定できると いう考え方にお立ちになっておるかどうかという ような点、もう一回ひとつはっきり御意見を承り たいと思います。  これは大蔵大臣に云々というよりも通産大臣の 所管でございますけれども、ただ私は、特に特別 会計問題関連をして質問をいたしております ので、ひとつ大蔵大臣から、そういう見通しに 立っておるから四十五年で廃止をするのだという ような点を承っておきたい。それについては、私 は、この法律を見ますると、どうも大蔵省事務 当局あたり考え方としては、石炭産業はめんど うであるから、一応こういうことで施策をしてお いて、これでまあ何とか片づけたいというような 考え方もありはしないかというような心配もある ものですから、特に大蔵大臣に、四十五年度で廃 止をするというようなことをお立てになりました 基本的な方針についての御意見を承っておきたい と思います。
  11. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは、石炭鉱業についての専 門家が集まった審議会で、そういうふうにいま答 申の措置をとったら大体五年において一応解決す るだろうとい見通しのもとに答申してきましたので、私どもはそれに従ったということでござい ますが、実際において五年たったらいまの石炭対 策というものはこれで所期の目的を達するのかそ うでないのかというような問題については、これ はこちらからひとつ御答弁をしてもらうことにい たします。
  12. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいま大蔵大臣が御答弁に なったとおり、答申で大体五年たてば自立ができ るとい見通しをしております。われわれのほう も、いまそういう見通しでいろいろな案を立てて おるのでありますが、しかし、いま大蔵大臣が言 われましたとおり、五年先において自立ができぬ ようであれば、またそのときはそのときで考えて みたい、こう考えております。
  13. 三原朝雄

    三原委員 私どもから見ますと、両大臣はきわ めて楽観的なものの考え方なり進め方をなさって おるように思います。特に、現時点におきまする 石炭産業の現況、あるいはその他これに関連をい たします鉱害復旧でございますとか離職者対策問題、そういう問題等考えてまいりますれば、 それだけでもこの特別会計それ自体財源でまか ない得ないという感を深くいたします。  そこで、以前から問題になっておりましたよう に、財源が不足する場合には、炭鉱離職者問題 でございますとか、鉱害復旧問題であるとか、 産炭地振興関係問題等は本会計ワク外とし てはどうだというような意見もあったのですが、 そうした石炭産業なりこれに関連する諸施策とを にらみ合わせながら、これは財源的に不足すると いうような場合も考えられるわけでございます が、そうした立場考えました場合に、本会計ワク外に置くというようなことは、もうすでにこ れはワクの中で処置をしておられまするけれど も、そういう点についてはワク外にするという意 見も相当強く述べられたわけでございます。そう いう点についてひとつ大蔵大臣の御意見を承りた い。あるいは先ほどお話しございましたように、 足らなければ一般会計からこれは繰り入れるんだ という御意見もありましたが、そういうものと関 連をして特に御意見を承っておきたいと思いま す。
  14. 水田三喜男

    水田国務大臣 石炭産業につきましては、それ に伴ったいま言った離職や何かのいろいろな問題 を付随して持っておる産業でございますから、こ ういうものをくるめて解決特別会計をつくろう というように、特別会計をつくる目的がむしろそ こにあるのでございますから、この会計の中で処 理するのが私は妥当な行き方だ。もしそうでなく て、ほかのものはみんなこの特別会計の中から出 すんだということでしたら、特別会計をつくる意 義というものは私は失われるんじゃないか。ま た、いま石炭鉱業のあり方について特別な考慮を 払うからこういうことができたのでございまし て、そうでなければ、普通一般産業で特にこれ ほどの優遇する国の措置などというものはなかな かあり得ないことだ。他産業との均衡から見たら これは非常な措置でございますが、あえて石炭産 業の特殊性にかんがみてこういう措置を私どもが とるということでございますから、そのために財 源を与え、これに付随した問題を片づけようとい うのですから、金が少し足らないからといって、 その中のいろいろな項目を外へ出そうとい考え 方自身がもう間違いだと思っております。した がって、私どもは、その考えを生かすために、当 面足らない金は一般会計から出してもいいんだと いうふうに、その特別会計をつくった性質をやは りはっきりと認識をしてもらわなければ困るとい うことで、いろいろなものをワク外に出すことを 私どもは賛成しないできたのでございますが、こ れは当然だと思っております。
  15. 三原朝雄

    三原委員 それは、ただ石炭産業それ自体と、 あるいはいまのそうした諸対策との問題等で、考 え方のウエートの置き方でいろいろな意見も成り 立つと思いますが、そういう議論はいまいたしま せん。一応この法案に示されたものに同調しなら話を進めてまいりたいと思います。  ただ、最後に一言申し上げておきたいのは、ど うもこの処置自身が、先ほども申し上げましたよ うに、私企業体制下における一産業に対する国の 助成としては、私は限界だと思います。しかしな がら、これだけで現在の至難な石炭産業並びに一 連の関係施策が四十五年までに、特に石炭産業 それ自体自立安定できるような体制にいくかど うかという点については非常に心配をいたしてお ります。したがって、そういう立場から、大蔵大 臣なり大蔵当局に対しましては、せっかくそうし た国の基本方針として石炭対策を立てたのでござ いますので、四十五年にこの法が廃止される前ま でにはぜひひとつ石炭自立安定できる方向に 持っていくように御努力を願いたいと思うのであ ります。そういう立場において、この特別会計運用面におきましては、主務大臣である通産大臣石炭施策を遂行しやすいような体制大蔵当局運用を願いたいというのが結論でございます。 そういう体制においてあまりにもワクをはめ過ぎ て——私は少し極論をいたしましたが、事務当局 の中には、石炭対策をきわめて困難な、どちらか というと非常に重荷になる、各施策重荷になる ような感じを与えておるような点もあろうかと思 います。そういう点で、とりあえず、こういうこ とで石炭対策処置を得ておきたいというような 安易な考えはなかろうと思いますけれども、われ われが石炭施策と取り組んでまいりまする間にそ ういう杞憂を抱くものでございますから、特にこ の際せっかくのこの時点におきまする石炭の抜本 対策としてこの処置がとられておりまする関係 上、特に大蔵大臣に対して、いま申し上げました ように、ひとつぜひ、これが廃止になりまするま で石炭施策運用しやすいような財源措置を特に 考えておいていただきたい、これを申し添えて私 の質問を終わります。
  16. 内田常雄

  17. 岡田利春

    岡田(利)委員 ただいまの三原委員質問にも 関連するわけですが、この特別会計法昭和四十 五年度までと期限が定められておるわけです。も ちろん、これを廃止する場合には廃止に関する法 律案を提案されると思いますけれども、しかし、 今度の石炭政策の柱になっております異常負債一 千億、この元利均等償還は、市中銀行の場合には 十年間、政府関係機関の場合については十二年間 で償還をするとい計画が定められて、今年百二 十五億一千万円が計上されたわけです。もちろ ん、この程度財源でございますから、これが廃 止されれば当然一般石炭政策の中で、一般予算の 中で計上されるということになると思いますけれ ども、私は、しかし、昭和四十五年度において石 炭政策が、それぞれの企業自立できて終わると は考えられないわけであります。その面から考え ますと、この昭和四十五年度に限ったという点に ついてどうも理解しにくい面が実はあるわけで す。これはあくまでも、四十五年度で完全に自立 できるとい確信と、それ以降については残され ておる面を含めて一般会計でこれは計上してい く、こういう大蔵省基本的な態度の上に立って 定められたものかどうか、こういう点についてま ず見解を承ります。
  18. 相沢英之

    相沢政府委員 四十一年七月の石炭鉱業審議会答申にもございますが、今回の答申は四十五年 度までの対策基本骨格を設定するということに なっております。したがいまして、本特別会計も 四十五年度までの対策ということを目途といたし まして考えられたわけでございます。
  19. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、本法の附則 6、7項ですが、今年四十六億程度一般会計から 繰り入れられておるわけですけれども、私どもの 想定では、その四十五年度までに繰り入れ一般 会計の金というものを、これをさらに戻すという ことは、おそらく石炭政策考えられないのでは ないか、こういう実は判断をいたしておるわけで す。したがって、四十五年度まで限るという、そ のはっきりした立場をとる場合には、足りない場 合には一般会計から出す、余れば一般会計にこれ を繰り戻すということは、一応立法上の技術的に はそうなるでしょうけれども、実際問題として は、これがわずか四年間の石炭政策自立ができ て、しかも今年四十六億、来年はどうなるか知りませんけれども、そういう一般会計から繰り入れ たものがさらに繰り戻しできるという状態にはな いんじゃないか、こう私は判断をするわけです。 この点について見解を承りたいと思います。
  20. 岩尾一

    岩尾政府委員 四十五年までに特別会計終期 を設定した理由は、先ほど申し上げたとおりでご ざいまして、この対策基本になります法律が全 部四十五年を終期として提案をされておるわけで ございます。特別会計は単なる受けざらでござい まして、そういう意味から申しましても、他の法 案との関連もあり、特別会計法としては四十五年 に限ったわけでございます。  それから、今年、御指摘になりました四十六億 というものを一般会計から入れたわけでございま すが、附則にも規定がございますように、余裕が できたときにはこの会計から返すというふうに規 定がございます。したがいまして、われわれとい たしましては、特別会計終期になる四十五年ま でに返していただきたいということで法律は定め られておりますが、しかし、実際上は、現在の関 税収入がどういうふうに伸びていきますか、ある いは先生のお話しになりました石炭対策というも のがどういうふうにふえるか減るか、この辺のと ころは今後の推移を待ちませんとわかりません。 ただ、長期的に関税収入だけを取り上げて見ます と、先ほどからお話がございましたように、将来 非常に伸びる財源であるということで、かなりの 金が入ってくるつもりでございますので、四十五 年度までには四十六億は返せるのではないかとい うふうにわれわれは考えております。
  21. 岡田利春

    岡田(利)委員 まあ法の立て方としては理解で きるわけです。もちろんそれは実態の推移に伴う ことでございますから、これ以上は申し上げませ んけれども、ただ、いま通産大臣が四十五年度ま でにわが国の石炭企業というものが自立できると いうことを実は明言いたしておるわけです。私 は、いまの政策では自立不可能であるという実は 前提に立っているわけです。ということは、ここ 四年間見通しまして、むしろコスト上昇要因と いうものが新たに生まれてきて、あるいはまた、 炭価の手取りの部面についても、当初の予想以上 の手取り減というものが当然私は出てまいると思 うわけです。あるいはまた、深度は深くなってま いりますから、それに伴う条件悪化をどう一体 克服するか、こういう問題がもうすでに出始めて いるのではないか。たとえば、手取り減の最たる ものは、御存じのように、原料炭北海道のほう に重点が移っていく、そうすると、これはむしろ 北海道がいままで販売しておった高いシェアより も安い市場に石炭を運んでこなければならない、 しかもその距離は、中部から近畿、おそらく中国 地方の水島あたりまでは、四十五年までは北海道原料炭を供給しなければならなくなる、こうい うことで、これは二重の流通経費がかかり、しか も手取りが減じられていくわけです。こういう ファクターというものがすでに出ておるわけで す。あるいはまた、電力用炭については、生産を されておるというけれども、これも大体下降ぎ み、こういう面もある程度われわれは見通しを十 分立てておかなければならないんじゃなかろう か。あるいはまた、今年の春闘で見られますよう に、労働者がいまなかなか集まらない、そういた しますと、結局世間相場というものがあるわけで すから、目安の七%におさまるかどうかというこ とは、私は今日常識ではないかと思うわけです。 さらに、先ほど申し上げました条件悪化という ものが伴っていく。こうなってまいりますと、む しろいまよりもマイナス要因、いま予想している 以上にマイナス要因というものが明らかに出てく るのではないか、私は確信を持って実はそう判断 をいたしておるわけです。そういう点について は、そこまで精査をされていま再建整備計画が出 されているのか、そういう一応の当初の予想され る面は十分精査はしているけれども、いま言った ようなファクター等についてはまだ未検討の上に 今日進められておるのか、こういう点についてま ず通産大臣見解を承っておきたいと思います。
  22. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この答申案が、大体答申案どお り実施すれば石炭産業が安定するというたてまえ で答申ができたのでありまして、したがいまし て、通産省もこの答申案内容どおりに実施をい たしておるのであります。  そこで、答申が出たときから見ればいろいろま た違う条件が出ておるではないかといお話だっ たのでありますが、もちろんそういうことも出て おるのであります。しかしながら、現在のところ では、この答申案のとおりにやれば大体安定でき るとい見通しを一応いたしておりますが、その ファクターが、非常に変わってきたファクターが あらわれてくれば、またそれについて考えなけれ ばならぬと考えておりますけれども、現在の状況 では、大体安定ができるとい見通しをいたして おります。
  23. 岡田利春

    岡田(利)委員 関税収入の場合には自動的にこ の特別会計に入るわけですが、ただ、一般会計繰り入れは、これはどういう形で繰り入れされま すか。たとえば、従来一般会計等には、四半期ご とに繰り入れをするとか、年度末に繰り入れをす るとか、いろいろあるわけなんですが、この点に ついてはいかがですか。
  24. 岩尾一

    岩尾政府委員 一般会計からの特別会計への繰 り入れにつきましては、法律上は繰り入ればでき るということで、予算の定むるところによって四 十六億というものを計上いたしております。この 計上いたしておるものを実際上どういうふうに入 れていくかというのはこれからの政府執行の態 度でございまして、現状におきまして、たとえば 現在は暫定予算でございますけれども、これは二 十七、八日になりますと本予算になります。特別 会計執行になるわけでございます。その際に、 特別会計としての出ていく金と入ってくる金との 繁閑を見ながら、必要に応じて入れていきたい。 やり方はいろいろございますが、四半期最初に 入れる場合もございますし、四つに割って入れる 場合もありますし、あるいは四半期の終わりに入 れる場合もありますが、その状況を見ながら適切 に入れていきたい、こういう考えでございます。
  25. 岡田利春

    岡田(利)委員 今年度特別会計予算内容を 見ますと、特に注目さるべきものは、いわゆる炭 層探査費及び坑道掘進費補助金五十億円、トン当 たり大体百円です。次には、石炭鉱業元利補給金 百二十五億一千万円、トン当たりに直すと二百五 十円です。石炭鉱業安定補給金二十五億、大体こ れは百二十円。これは対象炭鉱だけであります。 それから、石炭増加引取交付金、これは四十一 億。こういうところが注目されるところでありま すけれども、この中で特にお聞きしておきたいこ とは、石炭増加引取交付金の中の鉄鋼の問題なん です。私どもの当初承っておりましたのは、大体 大蔵省当局は鉄鋼の負担増対策は六百二十二円程 度で一応態度を表明されておる、おそらく六百五 十円くらいでこれはきまるのではないか、こう実 は予測されておったことも御存じのとおりであり ます。ところが、これが予算決定と同時に七百円 の大台に乗った。今日の鉄鋼の状況というものに ついては、すでにもう大蔵省当局が十分理解され ておるところであります。この点の積算基礎とい いますか、考え方は一体どういう立場に立ってこ の七百円という額が算定されたのか、大臣から見 解を承りたいと思います。
  26. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 鉄鋼に対します負担増対策 につきまして、従来は重油の還付方式でやって おったわけですが、還付方式は非常に、何と言い ますか、不公平な点も起こりますし、また不十分 な点も、ございます。特に鉄鋼につきましてはこう いった点が顕著でございますので、本年度から御 承知のような輸入炭価格との価格差を補償すると いうような負担増対策に切りかえたわけでござい ます。輸入炭価格との格差ということになります と、やはり各製鉄会社の現実の輸入炭価格という ものと国内炭の価格との価格差をとるわけでござ いますが、昭和四十年度あたりの実績によります と、お説のように六百二十円というような金額も あるわけでございますが、最近のデータによりま すと、七百円をむしろこえるというような実績見 通しになっておりまして、そういうようなところから、これはむしろ大蔵省立場というよりも通 産省の立場からしますと、七百円を少しこえると ころできめてもらいたかったというのが私どもの 率直な意見でございます。そのかわり、こういう のを毎年一々変えるのもどうかと思いますので、 四十五年度まではある程度それで一定をする、一 定するためには七百円をもうちょっとこえてきめ たほうがいいのではないかとい意見を、大蔵省 当局にも私どもも申し上げたわけでございます が、結論的には一応七百円ということに査定を受 けたわけでございます。決してこれが、何と言い ますか、多過ぎるということはございません。む しろ、私どもから見ますと、見通しとしましては 少し少ないのではないかという感じすらいたして おります。
  27. 岡田利春

    岡田(利)委員 今日の鉄鋼の状態から見れば、 これは別に石炭は自由化品目ではございません し、しかもやはり国内資源を使うとい立場もあ るわけですから、そういう面から言っていかがか と思うのですが、そういう点について今後十分検 討して対処していただきたい、こう申し上げてお きたいと思います。  私は、特にこれからの四十五年を目がけての石 炭政策というものは、前向きの政策というものを 真剣に考えなければいかぬのではないかと思うの です。先ほど申し上げましたように、この原料炭北海道のほうに漸次ウエートが変わっていく。 そうすると、水島あたりまではどうしても北海道原料炭を送らなければならぬ。二重炭価の手取 り減というものが出てくる。こうなってくると、 この流通経費をどうしても軽減するとい措置を とらなければならないと思うわけです。しかもそ れは五千トン程度石炭専用船ではむしろ小型で ありますから、大型の石炭専用船をつくる、そう いう、面でカバーをしていくという、こういう前向 きの流通合理化政策が次に出てこなければいかぬ のではないか。あるいはまた、ビルドの炭鉱とい うのは海底炭鉱が非常に多くなってくるわけで す。三池についても、有明についても、あるいは 端島、高島、松島、あるいはまた太平洋、こうい う炭鉱は海底炭鉱なわけです。有明湾の場合に は、これは普通のやぐらボーリングで調査ができ ますけれども、それ以外の荒海の場合は、どうし てもボーリング専用船によって調査をしなければ ならない。しかも事前に調査をしなければ、せっ かく補助金を出して坑道を展開していったところ が、炭層の条件が当初の予想と違った、ものすご い投資というものをむだにしなければならない、 あるいは大きな変更をしなければならない、こう いう問題が出てくるわけです。こういう点につい ては、陸上の場合には一応終わっておりますけれ ども、海底の場合には終わっていなかったわけで ありますから、こういう点をビルドアップ政策と 相呼応して前向きに政策考えなければならない のではないか。あるいは、採鉱技術では、ドイツ のホーベルを使って、あるいはまた自走鉄柱を組 み合わせる、これがいままで最高の技術であっ た。ところが、時代はさらに進歩して、ソビエト のシールドワクを使う、ドラムカッターを使う、 こういうふうに非常に新しい技術も漸次ずっと進 んできておるわけです。私は、そういう意味にお いては、四十五年で自立をさせるというのである ならば、そういう前向きの政策についてこれから 具体的に検討されなければいかぬのではないか。 これは来年度に向けての課題だと私は思うのです が、こういう点について、大蔵大臣石炭政策に ついてどういう見解を持っておられるか、お聞き したいと思うのです。
  28. 水田三喜男

    水田国務大臣 石炭はいわゆる斜陽産業と言わ れておりますが、しかし、何といってもこれは日 本産業にとっては基本産業でございますので、そ れをそのままにして日本経済の均衡発展というこ とを望むことはできない。それだけ石炭産業とい うものは日本経済にとって大きい関係を持ってお るものでございますから、私どもは、ほかの産業 と区別して、この石炭という基幹産業の位置づけ をはっきりやって、日本経済の均衡発展に資する ための思い切った措置を今回とったということで ございます。四年間に二千何百億円の国費をここ へぶち込んでこの問題と取り組もうとするのです から、それだけの金をかけて、四年たってみたら なおかつ石炭は全然合理化もしてないし整理もで きてないでどうにもならぬ、コストが非常に高く てこれをどうするかというような問題にくるよう でしたら、これは特別会計をつくって国費を入れ る対策は無意味だと思いますので、それだけの金 をかけて石炭問題解決をしようとする以上は、 相当前向きのことをやっても、これが四、五年の 間には所期のような合理化が望めるというところ まで私はやはりやってほしいと思いますし、政府 もそれについては全力をあげて尽くすつもりでい なければならぬことだと私は思っております。
  29. 岡田利春

    岡田(利)委員 今回の石炭答申関連を持つ炭 鉱労働者特別年金制度というものが近く法案と して本国会に出される見通しであるわけです。年 金局長が来ておりますから、一応年金部会の答申 について私も拝見をいたしておりますので、内容 については必要ございませんけれども、この負担 割りを一体どう考えられておるのか、この点につ いてだけ御見解を承りたいと思うのです。
  30. 伊部英男

    ○伊部政府委員 石炭年金制度につきましては、 有澤先生の年金問題委員会が相当長期間にわた りまして各方面の意見を徴しまして、去る八日実 施に関する考え方がまとまったのでございます が、この中において、負担のめどといたしましてト ン当たり四十円程度をめどと考えということが 明らかにされておるのでございます。この考え方 は負担の総ワクを示しておるのでございまして、 基金制度が発足をいたしまする過程におきまし て、これの実際の負担のしかた、これにつきまし ては、基金のほうともよく相談をして適切な結論 を出したい、かように考えておる次第であります。
  31. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭局長、今年度の合理化事業 団への納付金はトン当たり幾らになるのですか。
  32. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 従来三十円を、さらに十五 円値上げいたしたいというふうに考えておりま す。
  33. 岡田利春

    岡田(利)委員 私の聞いておるところでは、年 金局ではまだ固まっていないと思うのですけれど も、普通、年金というのはそれぞれ個人割合で、 負担は、事業主が負担しようが個人が負担しよう が別として、個人割合でやるのが一応の原則です ね。しかし、石炭年金というのはこういう特殊な 年金である、便宜さから考えトン当たり四十円 なら四十円で徴収するということになりますと、 企業別のしかも個人に支給する年金の連帯的な負 担という形に実質上なるわけです。私は、そうい うもし方法をとるのであるならば、本年は予算が もうすでに参議院で通過する見込みでありますか ら無理でしょうけれども、そういう連帯的なもの であるならば、これは政策としてある程度消化を するような——別にそれを負担するとい意味 じゃなくて、消化するような考え方に立ったほう がいいのじゃないか。どうせこれだけの金を出し ておるのですから。しかし、企業別個人割合でそ れを事業主が負担するという場合は、これはまた 別になるわけですね。従来の年金負担の原則が、 大体われわれが聞いておるところでは、便宜さも あってトン当たりでいくということになると、連 帯負担ということになるのではないか、こう私は 考えるわけですね。そういう連帯負担であるなら ば、むしろ政策として含めてささえていくほうが いいのではないかという感じがするのですが、大 蔵省はどういう御見解でしょうか。別にまだき まっておりませんか。
  34. 伊部英男

    ○伊部政府委員 年金制度の保険料の徴収の方法 といたしましては、ただいま先生御指摘のよう に、わが国の年金制度におきましては報酬比例が 通常になっておるわけでございます。しかしなが ら、やはり本来社会保障は相互連帯になっておる わけでございまして、たとえば年金の現価につき ましても、年齢が高いグループと年齢が低いグ ループと非常に格差があるわけでございますが、 その間にプールをいたしておく、たとえば厚生年 金の中におきましても、第三種の被保険者の中で もすでにプールをいたしておりますし、さらに第三種がその他の一般の被保険者とプールをいたし ておる。そこで、有澤委員会の答申にもございま したように、約半分程度は他産業が負担しておる というような状況でございまして、さような点も 御考案願いたいと考える次第でございます。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 いずれ打ち合わされるのでしょ うけれども、そういう点も十分含めて消化してい ただきたいと思います。  時間もございませんから先を急ぎますが、今度 の予算の中で再建資金が新規に盛られているわけ です。大体これは積算の基礎はあるのでしょうけ れども、私は、特に予算でこのように組まれてし まうと、従来と違って財投関係ではございません から、弾力性に欠くのではないか、こう思うわけ です。むしろこういう再建資金というものは、い つ企業がどうなるかわからないという面があるわ けですから、事故など起こると中程度企業とい うものは一ぺんに再建炭鉱に転落する、こういう 例が炭鉱の場合非常に多いわけです。そういう意 味で、私は、この再建資金についてはむしろ弾力 的に運用でき得ることを十分配慮すべきではない か。しかし、すでに予算で計上されておるのは額 が決定されておるわけですから、これは動かし得 ないでしょうけれども、そういう点は弾力的に運 用できるかどうか、見解を承っておきたいと思い ます。
  36. 相沢英之

    相沢政府委員 再建資金はどの程度今度の歳出 で見積もったらよろしいか、これはなかなか議論 があったわけでございますが、当面、石炭局とも いろいろ相談いたしまして、さしあたり五億程度 見積もっておけばいいのじゃなかろうかというこ とで組んだわけでございますので、経費の性質 上、どれだけの所要額が見込まれる、そういうこ とをもととして出したものではございませんの で、その運用はお説のとおり弾力的にやっていき たい、かように考えております。
  37. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭政策の抜本的な対策として 特別会計が審議されておる現時点において、少な くともわが国の今年の出炭に大きな影響を与える 山で非常に緊急に対策を立てなければならぬとこ ろがあるかどうか、石炭局長に聞きたい。
  38. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 緊急に対策を立てなければ ならない山はどこかという御質問でございます が、率直に申しますと、ほとんどすべての山につ きまして緊急に対策を必要といたしております。 御承知のように、四十二年度から抜本策を実施す るという予定にいたしておるわけでございます が、現実に助成策の恩典に浴します時期は、やは り夏以降、予算が通りまして法案が全部通過いた しましたそのあとになろうかと思います。どうし てもおそくなろうかと思います。今日の現状にお きましては、大手におきましてもトン当たり平均 大体五百円程度あるいは五百円以上の赤字を計上 いたしております。したがいまして、資金その他 も非常に窮迫しておりますので、すべての企業と 言っていいかと思いますが、緊急に対策を必要と するわけでございます。しかし、その中でも一日 を争うとい企業もございます。まあ名前は、こ ういう席でございますからちょっと遠慮させてい ただきますが、東に大手で一つ、西に大手で一 つ。中小炭鉱につきましても、閉山を進めなけれ ばならぬというところも随所にございます。簡単 でございますが……。
  39. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭の中程度の規模の場合は、 何か事故でも起こると緊急に対策を立てないと、 生きる者も死んでしまわなければならぬのです、 山は動いておるわけですから。それで、これから の石炭政策では、つぶすものははっきりしておる わけですから、否定しておるのですから、これは つぶすでしょう。しかし、巻き添えを食って、生 かさなければならないはずの山も、たとえばガス が出たとか坑内火災が起きたとか、あるいは、そ うでなくても、予想しない断層ができて採掘状況 が変わり、別に転換しなければならないという場 合に、急速にやらなければ、いまの場合ぎりぎり でやっていますから、死んでしまうわけです。こ ういう点について、私は、特にその対策をできる だけすみやかに立て、通産省、大蔵省とも意思統 一をして、十分連絡を取り合ってそういう配慮を していただきたいということをこの機会に申し添 えておきたいと思います。  次に、ヨーロッパでは、国有、国営、国家管理 の炭鉱が多いわけですが、われわれ伝え聞くとこ ろによれば、西ドイツの炭鉱経営者は、もう今日 の時点では石炭産業は国におまかせしましょう、 いわゆる社会化の上に立ってひとつ西ドイツの炭 鉱を維持していこう、こういう積極的な機運が社 長会議等において議論され、そういう意見がすで に海外のわれわれにも耳に入ってくるわけです。 ヨーロッパで大きな産炭国としてドイツが今後一 体どういう石炭政策を出してくるか、このことは わが国の石炭政策を進める上において重大な参考 になることは間違いがないと思うのです。そうい う事実を聞かれておるかどうか。また、日本の石 炭経営者は、この際苦しいのだからひとつお国に 鉱区その他施設を返しましょう、こういうような 意見はないかどうか。いろいろいままで再建計画 を立てる上において折衝されておるのですが、そ の点承っておきたいと思います。
  40. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ドイツの話は、私まだ寡聞にし て聞いておりません。日本国内においては、炭鉱 経営者から国営にという話はまだ一度も私は聞い ておりません。
  41. 岡田利春

    岡田(利)委員 最後に、低揮発の原料炭、強粘 結炭、いうなれば高炉銑鉄のための味の素に匹敵 する低揮発の原料炭、この確保というものは国際 的に見て非常にむずかしくなっていくのではない か。特に国際的に、大きいアメリカあたりの製鉄 会社がそういう鉱区を押え、あるいはそういう炭 鉱とも資本提携をしてしまう、こういう動きが非 常に積極的に出てきているわけです。今国会に石 油開発公団法案というものが出ておるわけです が、いま日本にあるものは、石炭が五千万トンに セットされるわけですから、余ってくるのは日本 の炭鉱技術というものが余ってくるわけです。日 本の炭鉱技術というものは日本の炭層条件に合っ た特殊な技術を持っているわけです。たとえば急 傾斜あるいは比較的薄層、こういったものに対す る特殊な技術を日本の炭鉱は持っているわけで す。このまま放置しておきますと、この技術は消 滅をしてしまうわけです。しかし、われわれのい ろいろな資料等による研究によれば、マイナス 二〇以下の低揮発原料炭の開発地点というもの が、国際的にまだほかの外国の技術では手をつけ ることができませんから、そういう面でこういう 地点というものが予見されるわけですね。そうす ると、わが国の長期的な鉄鋼生産の伸び、こうい うものを見てまいりますと、これは石油と同じよ うにその技術を活用し、いまにして手をつけてお く、確保しておく、こういう政策を進められるこ とが最も当を得ておるのではないか、技術は活用 できるし、鉄鋼の場合、技術的なものすごい革命 でもあれば別ですが、ある程度二十年なら三十年 というふうに長期的にはいまの体制でいくわけで すから、これは石油開発公団と同じような考え方 に立たなければならないのではないか、そういう 検討を始めるべきではないか、こう私は思います が、その点についての見解を承っておきたいと思 います。
  42. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまのお話の件でありますが、 私の承っているところでは、たとえば豪州などに おきまして、製鉄業者と石炭業者とが共同でそう いうことを考えておるということは聞いておりま す。
  43. 岡田利春

    岡田(利)委員 これは単に豪州のみならずカナ ダ等にもあるわけです。そういう点では先手を 打って、日本がそういう面についての方向づけを するということが、これまた非常に緊急を要する のではないか、私はかように考えるわけです。し かもそれを炭鉱の余剰の技術が消滅しないうちに やるということ、こういう点について、国策上必 要なわけですから、十分検討していただきたいと いうことを申し添えまして、私の質問を終わりた いと思います。
  44. 内田常雄

    内田委員長 田畑金光君。
  45. 田畑金光

    ○田畑委員 最初大蔵大臣基本的な問題についてお尋ねしてみたいと思います。  御承知のように、今年の二月に総合エネルギー 調査会が答申を出しております。それによれば、 わが国経済の発展に伴いエネルギー需要はこれま で急速に増大し、今後も伸び率は若干鈍化するが なお欧米諸国に比べて急速な増大を示すというこ とで、エネルギーの最終需要量を見ると、昭和三 十年度を単位にしますと、昭和四十年度には二・ 八四倍、昭和四十五年度には四・二八倍、昭和五 十年度六・〇三倍、六十年度一〇・七三倍、このよ うに急速に伸びていくわけです。しかも、エネル ギーの輸入依存度というのが、昭和四十年度が六 六%に達し、これに必要な外貨が十六億ドルに及 ぶ、こう言っているわけです。このままの状況推移いたしますと、昭和六十年には輸入依存度が 九〇%、これに必要な外貨が約六十億ドルにのぼ ると指摘しております。しかも、石油は、御承知 のように国際的大資本が世界の石油市場を荒らし 回っている。国内を見ても、販売部門においては 外国の資本が大きく、供給体制は自主性が失なわ れつつあるわけです。エネルギー供給の一番大事 な長期低廉、安定供給というのは国民経済あるい は国民生活の上において欠くべからざることであ りますが、このように、総合エネルギー調査会の 指摘するようなエネルギーの長期需給構造が出て くるということについて、これは非常に大きな問 題があろうと私は考えているわけです。ことに、 財政金融の最高責任者であり、経済運営について 大きな責任を持つ大蔵大臣として、このようなわ が国エネルギーの需給構造の推移についてはどの ようなお考えをお持ちであるか、これをまず承っ ておきたいと思います。
  46. 水田三喜男

    水田国務大臣 エネルギー需要が年とともに増 大することは、大体すでにおっしゃられるとおり の速度で進んでいく。昭和四十五年の推定もいま できておりますが、その際、それではこのエネル ギー対策をどうするかとい問題でございます が、国産のエネルギー源を開発することは、それ 自身非常に意味があることで、やれればやるとい うのがほんとうだと思います。問題は、その国産 のエネルギー源と、外国から石油を買ってこれを エネルギー源にすることとが、どちらがコストが 安いかということは、日本の経済に大きい影響を 与えるものでございまして、国産のエネルギー源 を特に高いコストで国内産業に使わせることに よって日本のコストが上がるということでした ら、日本が国際競争に負ける原因をエネルギー源 によってつくっておるということが言えるのでご ざいますから、ここは、私どもは、これがほんと うにペイしない産業である、どうにもしかたがな いということでしたら、日本の長期計画の上にお いて考えなければならぬというふうに考えていま す。しかし、今後の答申で見られますように、日 本の石炭はまだ五千万トンぐらいの需要を確保で きるのだ、そうしてそれだけの出炭を保障する形 の経営ができるのなら、決して他のエネルギー源 と比べて日本の産業を脅かすものにはならないの だ、保護の余地があるということでございますの で、私どもは相当の国費を投じても国産の石炭を 守ろうとしていることでございますが、これが実 際に他産業に比べてあまりに特別措置をとりな がらなおかつこれが合理化されぬというようなこ とでしたら、日本経済全体の問題から考え直さな ければいけない問題を含んでいるというふうに私 は考えております。
  47. 田畑金光

    ○田畑委員 大臣答弁にありますように、総合 エネルギー調査会の答申も、また昨年七月の第三 次有澤答申も、わが国の将来の経済のあり方、国 際収支の問題、あるいはまたエネルギーの安全保 障、確保の問題、あるいはまた雇用の安定の問 題、さらには地域経済の繁栄を維持する問題等々 から、国民経済の全般的な視野に立って判断した ならば、現在の情勢のもとにおいては石炭の五千 万トンを維持することは緊急の課題である、こう いう前提で政府もこの答申を受けて、昨年の八月 閣議決定により、当面緊急に行なうべき具体的な 石炭政策を決定されたものと考えるわけです。総 合エネルギー調査会の答申の中にもそのことを明 確にうたっておりまするし、また、先ほどあげま した第三次有澤答申、これを受けた昨年八月の閣 議決定などには強く——特に昨年八月の閣議決定 は、御存じのように五千万トン以上確保のため努 力するということをはっきりうたっているわけで すね。したがって、政府としてはそういう前提の 上に立って今回の一連石炭政策を展開されたも のと考えておりますが、確認の意味大蔵大臣見解を承っておきます。
  48. 水田三喜男

    水田国務大臣 そのとおりでございます。
  49. 田畑金光

    ○田畑委員 そのとおりであるとすれば、次に私 がお尋ねしたいことは、石炭特別会計の規模は歳 入歳出五百二十二億でございます。一体この程度施策でもって当面の石炭の抜本安定策というも のができるかどうかということを、先ほど質問 の中にもありましたように、私は強く疑問を持つ ものです。なぜなれば、御承知のごとく、今回の 石炭政策の柱は、政策需要の増量を中核とした需 要の確保、もう一つは、肩がわり措置、安定補給 金、炭層探査及び坑道掘進補助金による経理改善 対策が柱になっておるわけです。ところが、今日 の状態はどうかと申しますと、答申のときに想定 された需給見通しとその後の需給実勢とには非常 に大きな違いがもうすでに出ているわけです。特 に、一般産業向け一般炭の減少傾向はきわめて 急ピッチに進み、それは輸送業あるいは製造業だ けでなく、暖厨房炭にすら顕著にその傾向は出て いるわけです。このままでは、政策需要が当初の 計画どおり増量されたとしても、供給過剰が解消 するどころか、貯炭の過剰というものは現実に進 んでおるわけですね。そういう一つの問題をとら えてみても、もうすでにこの予算規模では破綻が きておる、こう私は指摘したいわけですが、どの ようにお考えになっておるか、これをひとつまず 承っておきたいと思います。
  50. 水田三喜男

    水田国務大臣 現実がどんどん動いております から、当初の計画を立てても、いろんな狂いが出 てくることはあり得ると思いますが、私どもの心 配しますことは、石炭対策の重要性を認識して 去年からこの問題と取り組み、私も予算の編成は 十二月からやっておるのでございますが、まだ予 算はきまらず、こういうものもきまらないで、実 施する方法はないと非常に私ども心配して、む しろいらいらしているのでございます。   〔内田大蔵委員長退席、多賀谷石炭対策特別   委員長着席〕 国会がフィスカルポリシーをやってくれていると いう意味じゃないとは思いますが、こういう問題 は、急速にこの国会がきめて、動かして対策を立 てることによって、その推移に対する対策を次々 に打っていって早くやらなければいけないことで ございまして、一日でも早く実際は私は対策を立 てたいと思っているのですが、これがおくれてい る間に、いろいろ事態はおっしゃるとおり進んで おりますので、これはもう早く対策を立てなけれ ばならぬと思っていますので、よろしくお願い いたします。
  51. 田畑金光

    ○田畑委員 予算が早く成立してこういう問題解決が一日も早くできることについては、私も全 く同感で、そのために、今日この時間に、このよ うにおそくなってもなおかつ連合審査会が開かれ ておるわけです。  そこで、大蔵大臣も、需給関係がすでに破綻を 来たしているということはお認めになったので、 もう一つ、経理改善対策の面についても同様に御 認識を願いたい、こう私は思うのですが、いろん な対策の実施がおくれておる。先ほども指摘いた しましたように貯炭の圧迫がある、金融は梗塞し ておる、これが今日の石炭産業を取り巻く情勢で あるわけです。したがって、もう一つの大事な柱 である経理改善対策という面から見ても、私は、 五百二十二億の規模の予算ではこれはなかなかた いへんだ、そういう状況に追い込められておると 思うのです。  ことに、私遺憾にたえないのは、昭和四十二年 度の当初予算要求を見ますと、通産省は七百八億 八千万を石炭対策費として要求しております。こ れが削られて、結局五百二十二億に落ちているわけです。いま火がついている炭鉱が、東に一つ、西 に一つ、しかもこれは大手炭鉱で、あすつぶれる かもしれぬという山があることを先刻石炭局長か ら指摘されましたが、そういう山にとって当面一 番救いの資金であろう再建資金、これを見ても、 何か先ほど大蔵省局長は——局長であるかどう か私はわかりませんが、政府委員答弁によれ ば、五億を弾力的に運用するというような答弁を しておりますが、これは石炭局が当初十五億を要 求したということを私は聞いておるわけです。こ れが五億に削られておる。安定補給金を見ても、 当初の要求は五十七億が、二十五億になっておる わけですね。そしてまた、今後の政策需要の大き な方向として、電発の火力発電の増設、これに需 要の確保を求めて、これが建設促進のために石炭 局は当初八十四億要求をしたが、二十億に減って おる。これらを見ますると、需要確保、経理改善 対策という面から見て、私は、今度の予算規模で はこれは容易でない、このように判断するわけで す。  私は、予算編成の過程において、党を代表して しばしば大蔵大臣のところにも参って大臣見解 を聞いておりますから、大臣が精一ぱい努力され たということは好意的に見ておりますよ。ただ、 しかし、結果から見ますと、このような大事な面 の予算の削減がなされたということ、これも結局 は五兆円予算を編成しなければならぬとい政府 あるいは大蔵省の当初のその前提からしてこの ような制約がなされたのじゃなかろうか。一般会 計は四兆九千五百九億一千万、それから石炭対策 特別会計新設に伴う一般会計から当特別会計へ の繰り入れ額は四百七十五億、合わせて四兆九千 九百八十四億、あと十六億で五兆円を突破すると いうところで、まあ五兆円以内におさめようとい予算編成技術、また国民に対するいろいろな思 惑が手伝ったのかどうか知りませんが、こういう 予算程度におさめたというのは、そのはね返り が石炭対策の面にも如実に出ておる、こう指摘さ れても、これは弁解の余地はないと私は考えます が、大蔵大臣、どうお考えでしょうか。
  52. 水田三喜男

    水田国務大臣 別にそういう意味で、五兆円に ならないように石炭対策の経費を切ったというこ とはございません。
  53. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 これは幸い特別会計であります ので、この特別会計の運営をうまくやれば、大体 所期の目的を達するように考えております。
  54. 田畑金光

    ○田畑委員 通産大臣、ひとつしっかり答えても らいたいと思うのですがね。大蔵大臣は、先ほど の前者の質問に対して、今後石炭対策財源につ いて不足があれば、これが増額については決して やぶさかでないということが答えられております ので、それは了としますが、ただ、私ここでお尋 ねしたいことは、石炭特別会計の歳入の財源とい うのは、本法第三条に規定されておるわけです。 しかし、第三条の一号から四号までをそれぞれ検 討してみた場合、結局この特別会計財源のほと んどは関税収入、これによって充当する以外にな いと考えておるわけです。  そこで、これは事務当局でけっこうであります るが、今後の石炭対策の死命を制する原重油関税 の財源というものが一体どのようになっていくの か、すなわち、原重油の輸入量、関税の収入及び 石炭財源推移について、昭和四十五年までどの ような形で推移していくか、この際明らかにして いただきたい。
  55. 相沢英之

    相沢政府委員 原重油の関税収入石炭財源に 充てられるものでございますが、四十二年度は御 案内のとおり五百二億円でございまして、これか ら還付繰り越し分の二十七億を控除いたしました 四百七十五億が特別会計の歳入となっておりま す。四十三年度以降は、これはもちろん推計でご ざいますが、石油審議会の議を経て定められまし た石油供給計画というものがございます。これは 本年の三月二十五日にきめられておりますが、こ れに基づきますところの試算値で申しますと、四 十三年度が五百五十九億円、四十四年度が六百十 六億円、四十五年度が六百七十九億円というふう になっております。
  56. 田畑金光

    ○田畑委員 それで、私は大蔵大臣にお尋ねをす るわけでありますが、いま主計局次長から四十二 年度以降の石炭財源として予定される関税収入に ついて金額の明示があったわけです。私は、今日 の輸入エネルギーの推移から見るならば、財源は もっともっとふえこそすれ、いまあげられた数字 以下になるとは考えておりません。そこで、私が 先ほど来申し上げておりますように、今日当面す る石炭のもろもろの悪条件考えたときには、本 年度予算はいろいろな制約があって五百二十二 億におさめられたわけでありましょうが、四十三 年度以降については、あるいは四十三年度を待つ までもなく、私は年度の補正予算でその必要が出 てくるかもしれぬと考えておりますが、もう一度 確認の意味大臣見解を承りたいのは、このよ うに四十三年度は五百五十九億、四十四年度は六 百十六億、四十五年度は六百七十九億と関税収入 はふえていくわけでありますが、当然、石炭政策 として、時の情勢によっては、このふえた財源を もってもっときめこまかく、またもっと必要なと ころにはもっと思い切って予算措置、財政措置を 講ずる準備がおありだろうと考えておりますが、 この際その点を明確に大臣見解を承っておくこ とにいたしましょう。
  57. 水田三喜男

    水田国務大臣 問題は、必要がない対策はしな くてもいいのですし、必要があると認めれば、そ れだけの対策費を計上しなければならぬ。そうい う意味におきまして、私どもは、この財源が将来 の対策費に充てるための特別会計でございますの で、どうしてもこれだけの対策は必要だという、 その実際のものに応じてこれを使うということで ございます。一、二年の対策によって石炭産業の 合理化が行なわれて、将来の対策はそれほど必要 でないということになりましたら、これは非常に けっこうなことだと思いますが、なかなかそうで はなくて、後年度さらに対策を必要とするという 事態が来ますれば、さっき申しましたように、政 府が必要と認める限りにおきましては、私ども は、必要な経費は、特定経費で足らなければ一般 会計から出してもこれはやるとい考えでおりま すので、この点はもう御心配ないと思います。
  58. 田畑金光

    ○田畑委員 私が特に大蔵大臣に頭に入れておい ていただきたいということは、今回の予算措置立法措置によっていろいろな援助措置が講ぜられ ておりますが、同時にまた、このような火の車の 経理をやっておる石炭企業においてはいろいろな 政策的な負担を負わされておるわけです。たとえ ば、昨年の年末の臨時国会において石炭政策の一 環としてとられた合理化事業団に対する各個別企 業の納付金の問題、これは御承知のように、先ほ ど質疑応答の中にも出ておりましたが、トン当た り四十五円になっておるわけです。さらに、先ほ どもまた取り上げられました年金問題を見まして も、過般の石炭鉱業審議会の年金小委員会で、と にかく炭鉱労働者のために年金制度を創設する、 そのために企業主がトン当たり四十円を負担しな くてはならぬ、こういうこともあるわけです。さ らにまた、いままでの石炭政策の一つとして国鉄 運賃の延べ払いとい問題がございましたが、こ れも御承知のように本年度から石炭企業はそれぞ れ国鉄運賃をさかのぼって払わねばならぬ。これ もおそらくトン当たり四十円前後にのぼるでしょ う。こうなってきますと、これだけでもトン当た り百二十円前後に及ぶわけですね。せっかく政府 が、安定補給金であるとか債務の肩がわりである とか、あるいは各種補助金等々の措置をやってみ ても、すでにまた石炭企業トン当たり百二十円 を負担せねばならぬ、こういう問題が出ておるわ けです。あるいはまた、賃金の問題を見ても、御 承知のごとく、いま一般産業の賃金のベースアッ プというのは一〇%から一五%、一八%に及んで おるわけです。ところが、炭鉱労働者の賃金の引 き上げというのは、石炭の長期計画の基礎計算に おいては七%以上見てはおらぬ。七%で押えられ ているわけですね。七%という額は幾らかという ことですよ。これは一昨年は一方七十円、昨年が たしか七十八円だと思いますが、八十二、三円で しょう。二千円前後ですね。二千円足らずですか……。こういう状況で地下産業労働者が押え られて、その上に立った長期計画ということを 認識していただきたい。  同時にまた、もう一つ考えておいてもらわなけ ればならぬことは、石炭の長期計画の基礎になる 物価の問題です。物価の問題は、炭鉱経営上の諸 資材の値上がりを一%だと見ておるわけです。一 体今日一%の物価値上がりで済むと思っています か。あなた方の政策の失敗で、一%どころか、た いへんな物価の値上がりじゃございませんか。そ れを炭鉱の長期計画の基礎資料には物価の値上が りは一%に見るんだぞという形で押えられて炭鉱 の長期計画ができておるということを見たとき に、石炭産業があくまでも大きな視野に立ってわ が国の国民経済の中で五千万トン石炭を確保す ることが絶対の課題であるとするならば、私は、 やはりそれに応ずる施策を当然やってもらわなけ ればならぬし、やるべきだ、こう思うのです。こ のことを私は強く大蔵大臣に申し上げておきた い。  もう一つ特に大蔵大臣にこの際頭に入れておい ていただきたいのは、昨年の七月の答申、八月の 閣議決定に基づいて、いまこの予算措置立法措 置がとられておるわけです。ところが、振り返っ てみますと、昨年七月の答申は、いつ通産大臣が 諮問したのかというと、一昨年の六月、時の三木 通産大臣石炭政策の安定を期するためにはどう すればよろしいかという諮問案を出して、それが 昨年七月の答申となり、この国会でようやく法律予算の審議をやっておる。先ほど大蔵大臣も心 配されたように、予算が通り法律が通って、これ に基づいて個別の石炭企業政策的な援助措置を 受けるのがおそらく八月、夏以降になるでしょ う。そういうことを考えてみたならば、当面火の ついておる石炭企業はどうしていまの苦境を切り 抜けるかという大きな問題に立ち至っておるわけ です。私は、そういう意味において、石炭企業の 当面の金融措置をどうするか、資金繰りをどうす るか、この問題が特に大切だと思うのです。これ は、通産大臣も四苦八苦、一生懸命努力されてい ることは私も敬意を表しますが、やはり、何と いっても銀行に顔のきくのは大蔵大臣ですから、 大蔵大臣がほんとうにこの問題について親身に なって努力してもらわなければうまくいかぬの じゃないか、こう心配しておるのです。この点、 大蔵大臣見解を承っておきます。
  59. 水田三喜男

    水田国務大臣 法案が通過することは大体間違 いないと思いますので、そうしますと、それを当 てにした金融とかいろいろな措置も、これは実際 において私どもがやろうとすればできることでご ざいますので、その点では十分遺憾なきを期した いと考えております。
  60. 田畑金光

    ○田畑委員 大蔵大臣は正直な方と承っておりま すので、これは今後約束は十分実行してもらえる と見ておりますので、ひとつよろしく頼みます。  最後に、私はもう一つこの際お尋ねしておきた いのですが、これは特に常磐炭田並びに筑豊炭田 で起きておる問題です。それはあるいは大臣の耳 にまでまだ入っていないかもしれませんが、多く の中小炭鉱が閉山してしまったわけです。その結 果、その古い隣接炭鉱の浅部水が現在操業してお る炭鉱の坑内に浸透してきている、いわゆる坑内 水の問題ですね。現存の炭鉱に非常な負担をかけ ておる事例があるわけです。これは、私の調べた 限りにおいては、常磐地方においては常磐炭礦、 これはどういう状況になっておるかと申します と、浅部の諸炭鉱が排水していた毎分二十八トン の坑内水がほとんど深部へ浸透して、現在稼働し ておる常磐炭礦において排水せざるを得ない状況 になっておる。この経費は、電力費だけで一億七 千万、排水費の総額は二億九千万、約三億になっ ておるわけです。この浅部浸透水は、これをお聞 きになってもおわかりのとおり、負担の面から見 ましても、経費の面から見ましても、これは非常 に大きな負担になっておるわけですね。さらに、 これは筑豊の山野鉱業所、山野炭鉱を例にとりま すと、この炭鉱においては、たとえば昭和三十五 年には流入水は全然なかった。三十八年から四十 年あるいは四十二年以降になってまいりますと、 たとえば三十八年を例にとりますと毎分三・八ト ン、四十年は四・五トン、四十二年は十二・二ト ン。これが経理面にどのような圧迫を加えておる かと申しますと、かりに四十年をあげますと、 トン当たり三百十六円の負担になっておるわけで す。あるいはまた、田川地区を見ますと、新田川 炭鉱、これも同じような流入水の被害というもの が年々非常に大きくなってまいりまして、四十年 度はトン当たり百七十一円、四十一年度は百八十 八円、四十二年度は二百八十九円、このようになっ ておるわけですね。これは結局、石炭政策の結 果、もろもろの中小炭鉱が閉山されて、そしてそ の水が残存する現在稼働しておる炭鉱に入ってき ている、それが炭鉱の経理の圧迫になっておると いうのが現実の事態として出ておるわけです。私 は、この問題については、やはり国の政策的な措 置によってその犠牲をカバーするということが当 然考えられてしかるべきじゃないか、こう思うの です。今回の予算措置においてこのような面に言 及されていないということは遺憾でございます が、この際、こういう問題についても、大蔵大臣 としてももっと炭鉱の実情に耳を傾けられて善処 されることを強く私は希望しておきたいと思うの です。この点、大蔵大臣の所見と、同時に、通産 大臣はまだ一回もお答えになっておりませんか ら、通産大臣見解を承っておきます。
  61. 水田三喜男

    水田国務大臣 御指摘の点につきましては、い ま通産省において調査中のことでもございますの で、この結果によって私どもは検討をいたしたい と思います。
  62. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいま田畑委員お話しの件 につきましては、これが鉱害の一種とも見られる べきものではないかというようにも一応考えてお りますので、これは前向きでひとつ検討したい、 こう存じております。   〔多賀谷石炭対策特別委員長退席、内田大蔵   委員長着席〕
  63. 田畑金光

    ○田畑委員 私の質問はこれで終わりますが、以 上申し上げた諸点につきまして、特にさいふを握 る大蔵大臣の善処を強く要望して、質問を終わる ことにいたします。
  64. 内田常雄

    内田委員長 これにて連合審査会は終了いたし ました。    午後六時五十五分散会