運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-07-21 第55回国会 衆議院 大蔵委員会財政制度に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十二年五月十日(水曜日)委員 会において、設置することに決した。 六月二日  本小委員委員長指名で、次の通り選任され  た。       菅  太郎君    河野 洋平君       永田 亮一君    西岡 武夫君       原田  憲君    藤井 勝志君       村上信二郎君    山下 元利君       阿部 助哉君    広瀬 秀吉君       堀  昌雄君    横山 利秋君       竹本 孫一君    広沢 直樹君 六月二日  藤井勝志君が委員長指名で、小委員長に選任  された。 ————————————————————— 昭和四十二年七月二十一日(金曜日)    午前十一時三十分開議  出席小委員    小委員長 藤井 勝志君       菅  太郎君    永田 亮一君       西岡 武夫君    山下 元利君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       横山 利秋君    竹本 孫一君       広沢 直樹君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       岩尾  一君  小委員外出席者         大 蔵 委 員 大村 襄治君         大 蔵 委 員 吉田 重延君         大 蔵 委 員 武藤 山治君         大 蔵 委 員 田中 昭二君         大蔵省主計局法         規課長     小田村四郎君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 七月二十一日  小委員河野洋平君六月七日委員辞任につき、そ  の補欠として河野洋平君が委員長指名で小委  員に選任された。 同日  小委員広沢直樹君六月十四日委員辞任につき、  その補欠として広沢直樹君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員村上信二郎君六月二十三日委員辞任につ  き、その補欠として村上信二郎君が委員長の指  名で小委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  財政制度に関する件      ————◇—————
  2. 藤井勝志

    藤井委員長 これより財政制度に関する小委員会を開会いたします。  まず、財政制度審議会審議経過等について説明を聴取いたします。岩尾主計局次長
  3. 岩尾一

    岩尾政府委員 財政制度審議会経過について簡単に御説明申し上げます。  財政制度審議会は、先生方も御承知のように、三十九年でございますか、例の財政法第六条によります剰余金の二分の一繰り入れを五分の一にいたします際に、こういうものをよく検討するために、従来の財政制度審議会をさらに拡充していこうではないかということで、先生方の御審議をいただいた法案によりまして、四十年度委員その他の拡充を行ないまして、新しく発足をしてきたような経過でございます。そこで、特に四十一年におきましては、四十年度末から赤字補てん公債が出てまいりまして、そのあと四十一年に建設公債が出てくるようになりましたことから、特にこういった公債体制に伴います一般財政制度整備ということを中心に、御議論をいただくということにしたわけでございます。  そこで、最初に四十一年の四月二十七日にはそういった財政の全般についての御検討を願い、そのあと重点減債制度について置きまして、この減債制度中心に小委員会をつくり、その小委員会をまた委員会のほうに上げるというような形で特に御議論をいただき、その結論を十二月の二十六日にちょうだいをいたしまして、これに基づいていま御審議いただいておる新しい減債制度法案をつくったような次第でございます。  それから、この審議に伴いまして、財政運営といたしまして、できるだけ弾力的な運営をはかるべきだという御議論皆さん方からいただいておりますので、そういう弾力性のある運営につきましても小委員会におきまして議論をしていただき、これについても一応の答申をいただいておるわけでございます。  簡単に申し上げますとそういう点でございますが、なお、この委員会は各学識経験者の方ではございますけれども、こまかい法制上の問題につきましては、特に法制部会をつくりまして、そこに法制関係の権威の方に集まっていただいて、法制上の御論議もいただき、それを本委員会等に反映さすというような形で審議をいたしてきたような次第でございます。  そこで、ただいま申し上げました十二月二十六日に大蔵大臣のほうに提出をいただきました財政制度審議会報告をお手元にお配りしておきましたので、ごく大略の御説明をさしていただきたいと思います。  目次をまずごらんいただきますと、「今後の財政運営について」ということでございまして、公債発行に伴って、財政規模なり、歳出歳入についてどういうふうな考え方でいくかということが書いてあるわけでございます。それから第二部の「減債制度について」は、ただいま御審議をいただきました国債整理基金特別会計法改正になりましたような減債制度現状方向といったものについての答申がされておるわけでございます。  そこで第一部でございますが、当審議会は一昨年十一月、四十年でございますが、いわゆる赤字公債発行という事態に対処いたしまして中間的な報告をした。なお、今後新しい建設公債について、いろいろな点についてどういう考え方をとったらいいかということについて補足していきたい。そこで、経済全体についての方向が書いてございまして、四十一年度予算に御審議いただきました七千三百億円の公債発行、これが現実には四十年度税収減を受けまして、一種振りかわりと申しますか、特にまた四十一年は、先生方承知のように、平年度三千億円にのぼるような大きな減税をやりましたので、そういう減税をやったということに伴って七千三百億円の公債発行した、したがって、その点が非常に大きな負担になっておるということを書いておるわけでございます。初年度は、ですからそういうことで大きな振りかわりができるわけでございますけれども、こういうものは何年も続けられるというわけじゃないということでございます。  それから、財政規模については、これはやはり非常に国民経済全体に対して大きな影響があるので、その需要全体についてよく財政全体の規模調整していくことが今後の経済のために必要ではないかということを述べております。  そこで、九ページにまいりまして、歳出につきましては、特に経済情勢に対応して弾力的な調整ができるのは、一般的な経費は非常に硬直的と申しますか、そういう点でございますので、公共事業費等投資的経費についてはある程度の弾力が期待できる、そこで、そういうものによってできるだけ予算全体の弾力的執行を考えていったらどうか。具体的には景気が過度に沈滞するようなときには、支出の促進とか国庫負担行為の活用、予算補正等が考えられるし、そういったもので今後の財政景気調整機能というものを強化するような方向財政法規改正検討したほうがいいということを言っております。  大体、以上が歳出についての話でございます。  それから歳入につきましては、いろいろと減税議論がございますけれども租税負担は下げよ、社会保障西欧並み水準に近づけよ、社会資本整備は急げ、しかも、公債依存度は低下させよというのはそもそも無理な話なんで、そういうようなことについては、ある場合には租税負担についても適正な租税負担ということで、財政検討は必要であろうし、社会資本整備につきましても、公債依存度につきましても、全体をいま言ったような観念で、適正なバランスのとれた姿で持っていくことが必要ではないかということを言っておるわけでございます。  それから公債につきましては、この発行額を幾らにするかということは非常にむずかしい問題である、わが国公債累積高というものは外国に比べて非常に少ないけれども一般会計予算に占める公債収入割合は、これは非常に高い、そこで、この高い割合をできるだけ少なくするように今後の方向としては持っていかないと、さっき申し上げました弾力的執行その他について非常に問題が生じてくるのではないかということを言っておるわけでございます。特に均衡財政の場合には、税の自然増収をどういうふうに使うかにつきましては、減税かあるいは歳出の増かというような二つの方法があったのでございますけれども公債発行下におきましては、さらにその公債額を減少するというような新しい方策が考えられる。そこで、繰り返しになりますけれども、できるだけやはり一般税収で投資的な経費もまかなっておくようにしておいて、そういった弾力のあるような方向で考えたらどうかということを言っておるわけでございます。  以上が、大体公債発行に伴います財政弾力性に関する全体の考え方でございます。もし御必要ならばあとで読み上げますが、概略はそういうことでございます。  それから、その次の第二部が減債制度でございまして、減債制度におきましては、公債につきましては戦争の際の非常に苦い経験があるので、一般国民の方の御理解がなかなかいただけないのであるけれども、一がいに公債そのものを罪悪視するというのはいかがか。したがって、公債というのは、やはり一般国民蓄積というものを銀行を通じて民間投資のほうに幾ら振り向けるか、あるいは公共投資、道路、港湾といった社会資本の充実のほうに幾ら活用するかという、民間蓄積をどう利用するかという方法ではないか、そういう意味解釈をしていくことを前提にいたしまして、しかし一般会計公債残高というものがだんだん増加していくということは避けられないわけでありますから、この増加を適正な範囲にとどめるということについては、いろいろと節度を守って、特に民間の方の御理解もいただいていかなくちゃならぬ。この際の議論といたしましては、新しく公債発行することになるのならば、特に減債その他について、償還の金を入れるということをするくらいの余裕があるのなら、新しい公債発行をとめたほうがいいじゃないかという意味での公債償還不用論というようなものも非常に議論があったわけでございます。外国等におきましては、減債制度は現在ほとんど有名無実のような状態になっておりますが、その考え方は、いま申しましたように、償還のために減債その他の金を入れるくらいなら新しい公債発行をとめるほうが筋じゃないかという気持ちが強いわけでございます。そういう意見もまた現実審議会であったわけでございますが、しかし、戦後いままでやらなかった公債発行を新しくやることでもございますし、国民全体の方の理解信頼を得るためには、公債発行というものが節度を持って発行をされるという一つの歯どめといいますか、そういう意味からもやはり減債制度はつくったほうがいいだろう、こういうことを言っておるわけでございます。  そこで、実際にそういった意味で全体の公債を考えまして、公債管理政策として公債償還をやっていきます場合の考え方でございますが、その場合には、これもいろいろと御議論がございましたが、審議会のほうでは、いわゆる借りかえというもの——一部は一般財源により、一部は償還のための起債、いわゆる借りかえ債によってまかなってもいい、これを繰り返しながら税収等一般財源によって償還をしていくことになるであろうということを言っておるわけでございます。  そこで、減債制度現状問題点でございますが、ここには、現在は、これも御審議をいただきましたが、国債整理基金特別会計法第五条に基づく償還のための起債によって借りかえをやっておるわけでございますが、一般会計からの財源繰り入れにつきましては、御承知財政法第六条に基づきまして、毎年度発生する剰余金のうちの——特例法がなくなりましたので、本年からは二分の一を下らない金額を償還財源に充てるということが一本ございます。三十八年、三十九年には、御承知のようにこれを五分の一というふうに下げておったわけでございます。それから、国債整理基金特別会計法第二条においては、前年度首国債総額の万分の百十六、ただし三千万円を下らない——これは昔でございますが、万分の百十六ということでずっとやってき、それから昭和七年以降はこの三分の一というふうにいたしまして、さらにその後一般会計剰余金がふえましたのでこの繰り入れを停止し、毎年毎年、御記憶にあるように停止の法律を出しておったわけですが、昭和三十六年度以降は、当分の間ということで、定率による繰り入れを停止いたしまして、そして現状に至っておるということでございます。  こういう現行制度前提といたしまして、これからの繰り入れについてどういうふうに考えていくかということをあとに書いてあるわけでございます。  あと、三一ページ以降、減債制度の意義と効果につきましては、先ほど私が申し上げましたように、新しく公債が出ていくからには、この減債制度を確立することによって国民理解信頼を得るということがやはり一番の根本のねらいである、いろいろな議論はあるけれどもそれが一番のねらいであるということをまず言っております。それで、そういうことがねらいでございますけれども、結果としては、あるいは財政支出を平準化する効果もあるでございましょうし、また、ある程度の資金の滞留するものによって国債の繰り上げ償還等を行なうことによって、一種信用保持と申しますか、そういう面での効果も期待できることを言っておるわけであります。  そこで、方向といたしましては、もうよく御存じのように、まず定率繰り入れ一つの柱といたしまして、前年度首公債残高の百分の一・六——そこで百分の一・六というのは、公債によって出てくる見合い資産というものが効用を発揮する期間、それを四十一年度発行対象中心検討いたしますと六十年になったわけでございますが、そういった見合い資産が平均的に効用を発揮し得る期間一般税収等による一般財源で返していくということをまず一つの柱とする、そして、さらに現行法の第六条によります一般会計剰余金の二分の一の繰り入れというものを行なう、そしてなおかつ足らない場合には予算によって必要な額を繰り入れる、この三本の扱いを柱といたしまして新しい公債制度に対する減債制度の基本を組み立てていこう、こういうことでございます。  大体以上が、非常に簡単でございますが、財政制度審議会報告の内容でございます。
  4. 藤井勝志

    藤井委員長 これにて説明は終わりました。  引き続き質疑に入ります。  通告がありますので、これを許します。横山利秋君。
  5. 横山利秋

    横山委員 この最初のところに、十一月中間報告をしたと書いてありますが、財政制度審議会が付託されておる案件というのは、そもそも何ですか。
  6. 岩尾一

    岩尾政府委員 現在の財政制度審議会法律に基づいてつくっておりますけれども、実際上の運用といたしましては、正式に大蔵大臣のほうから諮問をするという形ではなくて、具体的に審議会でこういうことを御審議いただきたい、そこで、参考としてこういうようなものがございますというふうに御説明をいたしまして、そしていま申し上げたようなこういう御報告をいただいたという状況でございます。  先生のおっしゃいました点につきましては、現在までは、先ほど申し上げましたように、減債制度についてどういうふうに考えたらいいかということが中心でございまして、副次的に財政弾力的執行のためにはどういう方途があるかというこの二点を四十一年度においてはいろいろ御相談をした、そして御報告をいただいた、こういうことでございます。
  7. 横山利秋

    横山委員 さしあたり弾力的運営減債制度ですが、国会でよく問題になっておる財政法の問題ですね。大体、この財政弾力的運営というのは、ことばをかえていえば何ですか。財政法をうまくごまかして予算をつくるということに通ずるわけなんですが、ある意味ではそういうことですか。
  8. 岩尾一

    岩尾政府委員 財政弾力的運営と申しますのは、各国におきまして、あるいはわが国におきましても、国民経済情勢その他がかなり動いております。そういう状況において財政が持っております長期的な性格、質的な性格、そういうものとともに毎年毎年の経済に対するフィスカルポリシーと言っておりますけれども景気調整的な動き方もあるわけでありまして、そういう意味で全体の財政をどういうふうに運営していったらいいかという意味で、できるだけその点に弾力的な運用のできるような方途はないかということをまず検討いたしまして、その結果、それはしかしどうも財政法上やれないということになりましたならば、財政法をそれではどう変えたらいいだろうかという話になるわけでございまして、財政法を適当に扱っていこうということを議論しておるわけではございません。
  9. 横山利秋

    横山委員 それは問題提起のしかたがぼくはおかしいと思うのですよ。制度審議会でしょう。財政制度審議会制度以前に何とかうまい抜け道はないものか、現行法のままにもっと解釈のしようによっては弾力的運営のできる道はないだろうかという問題提起のしかたはぼくはおかしいと思うのですが、ぼくの質問しているのが誤解であるならばいいのですが、最近、財政法国会で問題になるときには常に解釈的問題について新しい解釈大蔵省がして、それでもいけるんですよと、そんなかってな理屈があるかという問題がわりあい多いのですね。また、ここで学識経験者に頼んで抜け道をさがしてちょうだいよということじゃないのですか、それは。
  10. 岩尾一

    岩尾政府委員 全く逆でございまして、学者の方は、こういうことはやれるではないかということをおっしゃるわけですが、われわれは、いや、それは財政法上こういうことはできませんということでお断わりをしておるのが内情でございます。
  11. 横山利秋

    横山委員 それなら、なぜ弾力的運用ということを注文するのですか。弾力的運用というのはこちらから検討してくれといったことですか。
  12. 岩尾一

    岩尾政府委員 先ほどお話をいたしましたように、いわゆる建設公債発行は初めてでございます。そこで、公債につきましては、金融面におきましてもいろいろな点に関係があるわけでございますから、そういう意味で、公債中心とした弾力的な運営というものの要望が各界から当時あったわけでございます。そういう意味で、われわれといたしましては、私らは財政法の適正な運営からいってこのくらいの限度しかできないというふうに考えるけれども、そういう御議論もございますから、何か皆さん方のお知恵があるならばということで聞いたわけでございます。
  13. 横山利秋

    横山委員 うまいことを言っておるけれども、自分で言いたくないものだから学者に言わせて、いやいやと言いながらうまいことやろうとしているようなきらいが多分にありますね。それで、政府は、制度審議会ですから、国会議論があるかないかは別としても、今日の日本経済というものは非常に発展もし変化もあるんだから、この経済発展の現象に沿う財政制度はいかにあるべきかというオーソドックスな検討をなぜしないのですか。
  14. 岩尾一

    岩尾政府委員 ちょっと私申しおくれましたが、四十年でございますか、四十年に、まず第一は例の臨時行政調査会でございますか、あそこから予算制度に対する答申をいただいたことがございます。ここで現在の財政制度についてもう少し弾力的に運営できないかという議論がいろいろと、たとえば事業別予算でございますとか、あるいは年度区分でございますとか、そういう面でございました。さらに平和会議でございましたか、何かそういったほうからもいろいろと現在の予算制度についての御議論もございました。そこで、四十年度には現在考えられるそういった皆さん方の御意見も全部網羅いたしまして、こういう点が非常に問題だということで、私らは一応制度審議会にすべての項目を出しまして、こういう点は平和会議のほうでは検討されておる、こういう点を行政調査会のほうでは答申をいたしておる、そこで、これをどういうふうにお考えいただくかということを全部御説明をしたことがございます。そういたしまして、これについていろいろと御議論をしていただこうと思っておったのでございますが、ちょうど先ほど申し上げましたような税収補てん公債発行するような事態に相なりまして、さらには建設公債という事態になったものでございますから、そのほうの議論はちょっと中断をいたしまして、先ほど申し上げました弾力性のほうは、むしろ公債発行に伴って出てくる財政弾力性の問題、こういうように限定されてきたという経過にございます。
  15. 横山利秋

    横山委員 私は、これはずいぶん問題のあることだけれども財政制度審議会に問題をまともにぶつけて、まともに審議してもらうことを望みたいので、そんな財政弾力的運用はいかにあるべきかというて国会の目をかすめ、うまい新奇な解釈を発明し、くふうして、現行法規のワク内で弾力的運用をはかるということは正攻法のやり方じゃないと思います。だから、この間も沖縄特別委員会でテレビの法案のときに、こういう解釈財政法違反の疑いがあると言うたところなんですが、そのやり方については厳重に注意を喚起したい。  それから二番目に、この減債制度ですね。これは一応公債についての減債制度ですから、この減債制度を取り上げようという思想は、何も一般会計における公債だけではないでしょうね。どうです。思想的には政保債やあらゆるものについても同じことが言えるのではないかということです。
  16. 岩尾一

    岩尾政府委員 ここで議論いたしましたのは、財政法第四条によります新しい建設公債発行することに伴って必要となる公債管理のための減債制度だけ議論いたしました。
  17. 横山利秋

    横山委員 それはわかっております。だから、政府発行する赤字公債なり建設公債だけの減債制度が必要であって、ほかの政保債や何かはそういうことは要らぬのだとは言えないでしょうね。
  18. 岩尾一

    岩尾政府委員 そういうような御議論は十分あると思います。
  19. 横山利秋

    横山委員 私ども減債制度について、その趣旨には同感するところが多いのです。だから、検討しこれを実現する際には、当然のことのようにその議論が起こると思うのですね。だから、ほかに公債発行しておるところも、少なくとも政府関係機関政府保証債関係のところはすべてこれにならえといわなければおかしい。これは非常に重大な大きな問題を企業的にも呼ぶ問題ですけれども、そういうことに政府側も考えて準備をなさっておるでしょうね。
  20. 岩尾一

    岩尾政府委員 一番問題になりますのは、一つ地方財政ですね。それからいまおっしゃいましたような三公社等政府機関が問題になるかと思います。三公社等政府機関につきましては、これは企業体でございますから、私らが国として減債制度をどういうふうに考えるかというのとは、ちょっとスタンスが違うわけであります。地方は、まさにおっしゃるように国と同じような立場でございますから、したがって私らは、国がこういった意味減債制度をつくっていくことにならって、地方もできるだけ検討してもらいたいという気持ちを非常に持っております。しかし、企業体のほうは企業体として企業の今後の成長発展をはかるためにどういうような減債制度がいいのか、いまちょうど国がやっておるままのようなものでいいのか、あるいは、もっと違う方法を考えなければならぬのかということは、非常に問題があるところでありまして、各企業体においてもその問題は御議論をいただいておることと思っております。
  21. 横山利秋

    横山委員 しかし、理屈はそうですけれども、そのさいふのひもは、予算という意味においてあなた方が握っておるんだから、だから、地方にしろあるいは企業体にしろ、私ども減債制度をとることについては賛成してきたのだから、国でやるというならば、おまえのほうは認めぬ、おまえのほうは水準をたがえてやるというわけにはまいりますまい。
  22. 岩尾一

    岩尾政府委員 いま横山先生のおっしゃいましたのは、何といいますか、ちょっと意味が強うございまして、私どもそれほどの権限は持っておりません。たとえば、企業体につきましては、財政投融資の金でございますとか、あるいは補給金を出すとかいう程度の権限しかございません。したがって、そういう補給金を出し、あるいは予算書に載っております政府機関につきましては予算調整という権限が私どもにあるわけでございますが、その面を通じてできるだけ、いまおっしゃったような、たとえば国鉄等につきましても、考えてみますと、あれだけの借金をしてどんどん利子がふえておるわけでございますから、そういう状況で今後もいっていいのかという点は、今後も十分検討していかなければならぬという意味で、そのつど指導はいたしておるわけでございます。
  23. 横山利秋

    横山委員 あなたは大臣だと思っておるわけじゃないけれども、ただ、この減債制度財政制度審議会審議する際に、あなたのほうでは資料も出す、意見も出すだろうけれども、そのときに、国だけが焦点になって議論されておると、実現性及び影響等について審議が見当違いになって困る、そういう意味で御注意を喚起する。  その次は、財政制度審議会財政弾力性という観点では私は賛成できないんだけれども、少なくとも財政制度を改善するという場合に、改正の対象になる法律はどんなものが検討に値しますか。ずっと列挙してみてください。
  24. 小田村四郎

    ○小田村説明員 財政制度審議会の御検討の結果、改正する法律がどのようになるかという御質問でございますが、たとえば、昨年御報告をいただきました減債制度報告の結果に基づきまして改正する法律は、ただいま国会で御審議をいただいておりますところの国債整理基金特別会計法改正ということで進んでおるわけでございます。それが、たとえば財政法改正ということになりますか、あるいは会計法の改正ということになりますか、特別会計法の改正ということになるか、あるいはほかの、たとえば物品管理法とか債権管理法というような法律もございますから、どのような法律改正されるかというのは、やはり御報告いただく内容によることでございます。いずれにしても、財政、会計に関する法律になることが多いと思いますが、その内容いかんによってきまりますので、現段階でいずれになるかということは・・・。
  25. 横山利秋

    横山委員 いずれになるかということじゃなくて、改正検討の対象になる法律はどんなものがあり得るかということです。わかりませんか。
  26. 小田村四郎

    ○小田村説明員 財政制度全般に関しまするところの範囲が非常に広うございます。御承知のとおり、一番大きな法律財政法でございますが、このほかにも会計法、それからこれと関連いたしまして各特別会計法がございます。それからそのほかの各種の法律といたしましては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、いわゆる補助金適正化法と申しておりますが、そういう法律予算執行職員等の責任に関する法律、そういうものもございます。それから債権管理の問題といたしましては、国の債権の管理等に関する法律、こういう法律がございます。それから物品管理の面では物品管理法、これは二、三年前に改正方を御審議いただいたのでございますが、そういう法律がございます。それから、状況によりましては国有財産法、これも国の財産に関する管理の問題、そういう法律もあるかと思います。そのほかに、こまかいと申しますか、いろいろ法律はございますが、どれになるかということは今後の問題でございます。
  27. 横山利秋

    横山委員 最後に、あなたのほうで財政制度審議会に、先ほどお話ししたように、外から問題を提起されたことがあるんですが、あなたのほうとして、財政制度に関して、部内、部外で問題提起をされたものを整理されたものがありますか。ありましたら、次会にでも出してください。財政制度に関する問題点として今日まで問題提起されたこと、内部で問題としておること、あるいは財政制度審議会で問題となっておる諸問題。
  28. 岩尾一

    岩尾政府委員 現在のところは資料はございませんが、経過をずっとたどりまして、問題点を整理した上で御提出いたしたいと思います。
  29. 横山利秋

    横山委員 以上です。
  30. 藤井勝志

  31. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)小委員 私は、ことしの予算関係で、財政投融資の問題でありますが、これは予算の付属書として参考程度に国会に示されたわけです。この問題は、予算総額の約半分近い数字が最近では計上されて、これだけ膨大な、しかも国民の零細な資金がこの原資になっておるにもかかわらずこの使用が一切政府にまかされている。こういう問題こそ、今日財政民主主義といいますか、そういう根本原則からいえば国会の議決を要するようにしていかなければ、公債を抱いた財政という形になって、景気調整機能とかなんとかいいますけれども、こういう問題が政府のほしいままにやられているというようなことは、日本の財政制度全般に対する一つの大きな盲点になっておるのじゃないか、こういうように思うのです。これは当然国会の議決事項にすべきではないかという考えを持つわけですけれども、こういう点について、財政制度審議会にこの問題をはかるというようなことは考えておりませんか。
  32. 岩尾一

    岩尾政府委員 先生もおっしゃいますように、最近財政投融資のシェアが非常に大きくなりまして、経済全体に及ぼす影響も、一般会計予算あるいは特別会計の予算以上に大きなものを持っておるということは言えるかと思います。  しかし、いま申されました議決対象として財政投融資を入れるかどうかということにつきましては、現在の財政法の規定によりまして、国会で御議決を願うものはどういうものかということはきめられておるわけでございます。したがって、その点を財政法上変えて、議決対象に入れるかどうかということになりますと、これは非常に大問題でございますし、なお慎重に検討を要さねばならぬと私は思います。しかし、いま先生のおっしゃいましたような御趣旨で、先生方がよく検討していただいて、そうして結論を出していただくという参考のための資料は、これは十分出したいということで、予算書におきましても、おそらく議決項目といたしましては項だけでございますから予算書の三分の一にも当たらない程度のものでございますが、予定経費要求書の形で詳しい御説明をいたしております。さらに予算説明を出しまして、財政投融資も含めてそこで説明をいたしておりますし、なお、状況に応じていろいろな資料を出して御審議の対象にしておる、参考にしておるという状況でございますので、現状で十分先生方に対しましての御要請にはこたえ得ているのではないかと私は考えておりまして、しいて議決の対象に財投を入れるかどうかということについては、財政法全体の構成から見ていろいろ問題があるかと思いますので、今後検討いたしたいと思います。
  33. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)小委員 国全体の財政の問題、さらに財政投融資が二兆三千八百億円というような膨大なものになっておりますと、やはり金融の問題などともこれは密接にからむことに当然なりますし、そういうものを総合的に把握をしていかなければならない、そういう段階にきているんじゃないかと思います。単に公債政策が導入されたという段階で、これをフィスカルポリシーの唯一の問題点だ、これが入って財政における景気調整機能とかいうようなものの一つのそういう面では公債があったほうが機能を発揮しやすいんだというようなことも当然ありますけれども、その額から見れば、はるかに膨大な、三倍にも四倍にもなるようなそういうものが、政府の考え一つで、しかも、その予算のいわゆる与党との折衝段階というもので、これがいわゆる圧力団体なんかのために、もう財源はない、しかし財投でそれじゃ色をつけようというようなことでやられるということは、これはフィスカルポリシーそのものを非常にゆがめることにも当然なるわけです。  そういうようなことをいろいろ考えますと、やはり予算と同じ程度に国会審議に十分さらして、とにかく、それは先生方が十分そういうことも考えてやってもらえばそれでも済むんだ、こう言われるのですけれども、しょせん、何ぼ言ったって、それは政府が計画をつくり、つくったものを変えることもできないわけです、議決事項でないのですから。したがって、そういう点では、こまかなこういう説明も出ていますけれども、しかし、こういうものに対する価値判断なり何なりというものに基づいて、あるいは全体の景気調整というようなものの観点から見てもどうにもならない、国会ではどうにもならない、そういうものが予算規模の半分近くにも達する、こういう状況では、どうも国民の意思がそういう面では全く通らない、政府の恣意にまかされている。まあ恣意といっても、これは当然パブリックサーバントとしての良識を持ってやられるには違いないのだけれども、しかし、はたしてそれがほんとうに正しく民意を反映して運営されるかというと、そういう面ばかりでもない。不当な圧力に屈するというような面も相当あるし、それからさらに、もうこれ以上ふやしてはならない面に対してもそういうものの資金がふやされていくというような、そういうものもありますので、これはやはり財政法改正してでもこの問題はやはり国会審議事項、議決事項にしていくようなものにしなければならないのだ、こういう見解を私ども強く持つのですけれども検討されるということですから、いずれまた大臣がお見えになった機会にでもこの問題はさらに検討したいと思うわけであります。  それから、国債整理基金の問題で、交付公債が今度もまた在外財産の問題で千九百二十五億円ですか、著しくふえるわけですね。もうこれに対してはいわゆる定率繰り入れの作用をしない、したがって剰余金の二分の一、これはしかし国債の減額に充てられるということから剰余金は幾らも出ない。その二分の一ということになると幾らでもないだろう。これはそのつど予算でやっていかなければならぬわけでありますが、ここにもありますが、交付公債発行というものはかなりの数字にのぼると思うのです。これに対して、返し方、こういうことについてはいまどんなふうにお考えですか。これは毎年予算で措置をする、こういうことだけですか。
  34. 岩尾一

    岩尾政府委員 いわゆる交付公債と申しますものは、財政法第四条に申しておりますような一般財源として入れるために発行する公債ではないものを交付公債と言っておるわけであります。まあ、言ってみれば年金証書のようなものでございますから、そういった意味の国の債務証書のようなもので、毎年毎年十年間に一定額ずつ渡していくという債務を国が保証するような証書というのが交付公債になるわけでございます。四十年度末、四十一年度首で大体八百四十二億円程度であったかと思います。この中には、先生御記憶にございますもとの引揚者給付金の五百億円でございますとか、あるいは未亡人の特別給付金でございますとか、あるいはその他の農地証券でございますとか、いろいろな交付公債が入っているわけであります。それが全部で八百四十二億円ぐらいになっておったかと思います。したがって、この分についてはいま先生のおっしゃいますように、もちろん毎年毎年払うものでございますから、定率対象にするのもおかしいということで定率対象にもいたしておりませんが、いま申しました定率繰り入れの額、あるいは財政法六条による剰余金の二分の一の額、あるいは予算上そのときどきに入れていく額、そういうものを全部含めまして償還をしていくことになるわけでございます。一千九百二十五億円という在外の総額、一年にいたしますと百九十二億円になりますが、これが今後ふえていくことになるわけでございますけれども、一方、いま申しましたようなたくさんの、十幾つかあったと思いますが、そういった公債の中には古い公債がありまして、十年あるいは五年の期限が来まして落ちていくものもあるわけでございます。そこで、総体としての八百何十億円というものはもちろんふえはいたしますけれども、そう大きくふえていくわけでない、落ちるものが一方にありますから。その振りかわりで見ていくということで、私らは一般会計から足りない分は入れていくつもりでございますけれども財政上の負担としては今後そう大きな負担になっていくことはないようにいたしたいというつもりで、交付公債についてもその額についてどうするかということについて検討をやっているようなわけであります。
  35. 堀昌雄

    ○堀小委員 関連して。  いまの交付公債というのは、法律の基礎はどこですか。
  36. 小田村四郎

    ○小田村説明員 お答えいたします。  交付公債発行いたします場合にはそれぞれ根拠法律がございまして、それによって発行いたしております。ですから、根拠法律と申しますと、たとえば今回の引揚者交付金の問題の場合には、ただいま御審議をいただいております引揚者等に対する特別交付金の法律、これが根拠法になるわけでございます。なお、財政法十五条には「法律に基くもの又は歳出予算の金額若しくは継続費の総額の範囲内におけるものの外、国が債務を負担する行為をなすには、予め予算を以て、国会の議決を経なければならない。」とございますので、この十五条の規定との関係でいえば「法律に基くもの」ということになるわけでございます。
  37. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)小委員 次の問題は予算書の出し方の問題ですけれども、これは予算委員会あたりでもかなり問題になって議論もされたと思うのですけれども、あの予算書を見ても、私ども、これはどういうことに大体幾ら使われるのだという程度のことがわかるだけで、これはどういう形で積算がされ、そして、たとえば施設をつくるには幾つくらいの施設ができるんだろう、そしてそれはどういう程度の規模のものができるんだろうというようなことも全然わからないというような出し方になっておるわけです。したがって、予算委員会審議が、いつも外交問題とか大きな、たとえば公債が多いか少ないかというような、これは相当大きな問題点であるには違いないのですけれども一つ一つ予算が適正であるかどうかというようなことを判断するためにはきわめて不適当な予算書になっておると思うのです。これは、最近朝日新聞あたりでもそういう点について国会議員にアンケートなんかをとったりしておりまして、予算書をどのように活用されて、予算書がわかりますかというような端的な質問までされておるのですが、私どもこれに対して、これはほんとうにわずかしか活用する面がない、ばく然と必要なところをちょこっと見てどのくらいの予算だなということがわかる程度だという返事を率直に書いたのですけれども、こういうようなもので、一国の予算なんですから、やはりかなりこまかいところまで積算の基礎や、それから何カ所それをつくるのだということまでつけ加えたような親切な説明書というものがないと、具体的な予算委員会でのきわめて地についた、国民がほんとうに知りたがっているような面が知られないままに、大づかみの概論的な議論ばかりで過ぎてしまう、こういう結果になるだろうと思うのです。ああいう問題に対して、もっと予算書のスタイルというようなものを変えて、幾ら膨大になってもいいと思うのです。これはそのときそのときによって必要な部分だけ見ていけばいいのですから、必要な部分を見てもそれがわからないという現在の仕組みですから、しかし、膨大なものであっても、これは全部見るのはなかなかたいへんだとしても、必要だと思うところは、調べようと思うところはきちっと調べられるというような、そういうものにすることは一向にこれは差しつかえない。予算書の経費がかさんだって、五兆円の予算のうちこれは微々たるものでありますから、そういうものについてくふうが必要ではないか。このことは私ども非常に痛感をするところなんです。こういう問題等についてはどのように考えておりますか。
  38. 岩尾一

    岩尾政府委員 予算書の形式でございますけれども、これは先生のおっしゃいますように、まことにわかりにくいものであるかと思いますが、われわれが予算書を編成いたしますのは、財政法に基づきます議決対象としてどういうものを御議決いただくかということを中心予算書がずっとこれまでつくられてきたわけでございますが、おっしゃるように、それだけではなかなか内容がわからない。いまの予算書は、目的別の分類をいたしまして、その額について御審議を願うという形でやっておりますけれども、いまおっしゃいますように、こういう施設にどのくらいの金がいくのかということも知りたいというようなことにつきましては、なかなかこれだけでは御理解がいかないという点もよくわかります。そこで、できるだけそういう点は財政法二十八条にいっております参考資料なり、その他私らで考えられるお役に立つ資料をできるだけ出すことによってカバーをしていきたい。最近は予定経費要求書以外に、各国明細につきましてもかなり早く国会に御提出をするということでやっておりますので、各目明細と予定経費要求書と両方ごらんいただいて、なおかついろいろと御疑問がございましたならば、御注意いただければ、それに応じた資料を提出いたしまして、できるだけ御審議の便宜をはかりたい、かように考えております。
  39. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)小委員 ですから、そういうことではなしに、そういうことで各目の問題について当然これは要請がいままでも何回かあったというような場合もあるだろうと思うのです。その程度のものは、やはりその部分だけに出すのじゃなくて、やはり国会議員全体がわかるように、予算というものは、何といっても最大の国会における審議事項でありますし、特に衆議院がこの予算については優先的議決権を持っているというようなことでもありまするので、予算というものについての国会審議における重要性というものが憲法でそういうことをすら定めているというような、それだけ重要なものですから、やはりそれにふさわしいもので、少しぐらい膨大になってもいい、こういうような気持ちで、そういう事例があるわけですから、そういうものをあらかじめ予想して、ほんとうに親切な出し方というものを全般についてやるべきではないか、こういうふうに思うのです。
  40. 岩尾一

    岩尾政府委員 現在、予算書の形式につきましても、古くからおられる先生方はお気づきになっておられると思いますが、われわれ毎年毎年、できるだけ予算書をわかりやすく御理解しやすいようにしようということで、改正をするつもりでいろいろ議論をしておるわけでございます。  たとえば、最近でございますと、予算説明で申し上げておる重要経費別の分類を予算書のほうで索引できるように各予算書に項目を打って、番号を打つというようなことをここ三、四年前からやっておりますが、そういったようなくふうもいたしますし、できるだけわかりやすいようにしたいという努力を続けておるわけでございます。各目明細につきましても、これは各省がつくるわけでございますけれども、できるだけ早くつくらして出すということをやっておりますが、ただ、経費の性質上、たとえば単価等がはっきり出てしまうと、実際上の入札その他をやります場合にかえって弊害が起きるというものもございますので、その辺に限界はございますが、そういう限界内であるならばできるだけお出しをしたいということで急がす努力をしております。また、毎年毎年、いまおっしゃいましたような意味で、できるだけわかりやすいようにするにはどうしたらいいかということで努力を続けておるわけでございますが、何と申しましても、予算ができまして二週間でこれをつくるわけでございます。大体の概算がきまりまして二週間で予算書をつくって国会に提出するという時間的な制約も非常にございますし、御満足がいただいていないようでございますが、今後もできるだけ努力はいたしたい、かように考えております。
  41. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)小委員 これは何もかも大蔵省で統一してやらなくてもいいと思うのです。各省別の予算はやはり各省から出さしてもいい、そういうことであってもいいのじゃないか、こういうように思うのですが、どうでしょう。そういう方法はやれるでしょうか。
  42. 岩尾一

    岩尾政府委員 現在の予定経費要求書あるいは各目明細につきましては、これは各省が出しておるという形でございます。
  43. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)小委員 いまのままでは、これはやはりどうしても私ども検討しようといっても、そのつど係官を呼んで、ここはどうなんだああなんだと聞く以外には手がない。こういうようなことではいかにも非能率的だし、これはもうやはり見ればわかる、そういうものにするということは当然のことだろうと思うのです。  そういう点で、ひとつこれは大いに検討をして、これはいまだれしもが国会議員は考えておることですから、そういう方向にいくようにやっていただきたいと思います。  それから、公債償還計画の問題ですが、これはまだ何ともわからぬ。というのは、第四条一項ただし書きで建設公債を出せるのだ、それに対しては、今度は償還計画を国会に出すのだということになっておるわけですね。しかも、これはいわゆる公共事業というようなものだから出せるのだ、出資金あるいは貸し付け金だから出せるのだということになっているわけですね。これを受けた形でこの二十八条の予算参考書類ですか、これの第四号で償還年次表に関する調書——これはあくまで調書ですね。償還年次表調書ですよ。計画とは一つも書いていないですね。こういう状態になっている。これを受けているのがこの二十八条と解釈されているのですか。
  44. 岩尾一

    岩尾政府委員 二十八条の参考書類は二十八条の参考書類でございまして、お手元にもしございましたら、今回出しております四か何かに載っておると思いますが、それが償還の年次表の調書でございます。それから、いろいろ議論の対象になっております償還の計画というのは、第四条に基づいて出すものでございまして、二十八条の参考資料ではございません。これは条文をお読みいただきますとおわかりいただけると思いますが、二十八条の書類は、必要に応じて政府が参考と思うものを出しなさい、こういう規定でございますが、第四条の償還の計画は、そこにありますように、必ず政府償還計画を出すということになっておりますから、二十八条の参考書類ではなくて第四条に基づく償還の計画表である、こういうことでございます。
  45. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)小委員 これは国債整理基金特別会計法が通ってしまっている段階で議論するのもどうかと思いますけれども、しかし、やはり償還計画表というものが、いまおっしゃられた点でもきわめて不十分なものである。これは公共事業だ、出資金だ、貸し付け金だということになれば、もっと具体的な償還計画というもの——償還の財源をどうするか、償還方法をどうするか、償還の年次をどういうようにして年次計画にそういうものを当てはめていくかということまでなければいかぬと思うのです。財政制度審議会は、これは大蔵省でたいへんだたいへんだというものだから、それに合わしてくれたんじゃないかと思うのです。まあその程度のものでいいじゃないかと書いてありますけれども、これはしかし、やはり国民を納得させるものじゃないんじゃないかと思うのです。もう一くふうどうしてもあっていいというように考えるのですが、これは大蔵大臣もそういう方向が正しいということは認めておられますね。国会の速記録を調べてみますと、銘柄別にそういう償還計画というものを出していかなければならぬものだ。それが望ましいということは言っているのですよ。そういう見地からどういうようにお考えになりますか。
  46. 岩尾一

    岩尾政府委員 これはまた議論の蒸し返しになるわけでございますけれども、実際上、四条で言っております償還の計画と申しますのは、いま先生のおっしゃいました一般財源から、いわゆる税収からですね。いま申します公共事業等を頭に置きますと、公共事業をやることによって、そうしてふえていく、一般の税収というものからどういうふうにして返していくか、財源によってどう返していくかという計画を求めておるものではなくて、ほんとうの償還の年次というものを求めておるのだというふうにわれわれは解しております。決して財政制度審議会にお願いをしてそういうふうにやってもらったというわけではございません。  これは、一つには従来から、たとえば各公社法あるいは特別会計法等に、同じように借り入れ金とかあるいは公債発行いたしました場合に償還計画を出せという規定がございます。その規定に従って従来出しております償還の計画も、いま申しましたように償還年次、実際に償還をするのはいつかというやり方で計画をつくっております。  そういう経過もございますし、それから実際上、先生のおっしゃいますような、いつ一般財源で返すのか——公債に借りかえはつきものでございますから、したがって、ある程度償還期限がまいりますと一応全部返すわけでございますが、返したあと、なおその償還財源を獲得するために新しい起債を行なう、これは借りかえでございますが、そういう借りかえを行ないましたものがどれくらいの借りかえ額になり、あるいは、将来それがまた次のその償還期にどれくらい借りかえされるのかということは全くわからないことでございますので、こういうものについてはっきりした計数を出していくということは実際上不可能だと思います。そういう意味でも、どうもあの償還の計画というのは、一般財源からの償還計画を出せという御要求ではないのではないかというふうにわれわれは解しておりまして、ここ一、二年先生方に御審議を願っておるわけでございます。  したがいまして、具体的にはそういう一本一本について一般財源からどう返していくのかということをお示しすることは不可能であり、かつ、従来の例から申しましても、償還計画はいわゆる償還の年次を示すものでいいのであって、あれは非常に簡単だということで、ばかにしておるじゃないかという御意見もございますが、将来いろいろ銘柄の違ったものが出てくるということになりますと、その辺もかなり複雑なものになってまいると思いますし、まあまあの計画でいいのではないかと思います。  ただ、あの計画表に対しまして、あとで備考に、先生方の御疑問もございますので、具体的にどういう方法で返すのかということについては、先ほど申しましたように、あるいは第六条によります繰り入れ、あるいは一般会計からの予算繰り入れ、あるいは今回御審議をいただきました定率繰り入れというような金がさらに入っていくし、また、実際上はいま申しましたような借りかえもあるし、あるいはまた、逆に買い上げ償還、繰り上げ償還もあるということでいろいろ方途はあるけれども、実際に起債に対する償還期というのはこういう時期でございますというのをお示しすることによって御期待に沿えるのではないかということで、一貫した考え方でわれわれは考えておるわけであります。
  47. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)小委員 それから、この借りかえは、これは当然予定されることだし、それも当然のことだろうと思うのですけれども、それじゃ借りかえた公債はどうやって返済していくのかというようなことについてはまだ何にも方途が示されないわけですね。こういう点でも、やはり返済制度についても、どうもわからぬ、納得がいかない面も出てくる、こういうような借りかえのものについても、定率繰り入れの対象にするならするというような形のものがやはり出てこないと、日銀引き受けでどんどんやっていくわけですから、借りかえはやれるのですから、それだけやはり心配も残るのです。ここらのところはどういうことになりますか。これは定率繰り入れの返済の対象になりますか。
  48. 岩尾一

    岩尾政府委員 もちろん借りかえたものも定率繰り入れの対象になるわけでございますが、いま先生のおっしゃいましたように、具体的に償還期がまいりまして借りかえというのは、そのときの金融情勢経済情勢に応じて、まあ個人分につきましては全部これは償還いたしますが、あと、金融機関の持っておるものについてどれだけ借りかえていくか、あるいは金融機関の中には、どうしてもわしのほうは借りかえはいやだ、起債はいやだ——現在非常に預金が少のうございますからいやだというものもあるかもわかりません。したがって、現実にその事態になってどれくらい償還のための起債が行なわれるかということは全く予測をしがたいわけでございます。そういう意味で、われわれはいまの借りかえについて償還計画をお示しすることは不可能であるというふうにいま考えるわけです。  それから、先生、日銀引き受けということをちょっとおっしゃいましたけれども、これは先般の平林議員の御質問にさような御趣旨があったかと思いますが、これはちょうどその前段階で理財局のほうから、ここ四、五年の間の減債国債額についてどういう借りかえをやってきたか、あるいは今後の四、五年どうやるかという場合に、現存しておりますものは全部日銀が持っております公債であったわけです。これは、御承知のように戦前にはそういった日銀引き受けの公債発行しておったわけでございますから、いまあるのはそういうものでございますけれども、この新しい建設公債あるいは赤字補てん公債が出てまいります四十七年からは、少なくとも日銀引き受けの公債は少しもないわけでございます。全部市中金融機関が持っておる市中消化の公債だけになるわけでございます。もちろんこの場合にも、あるいは買いオペ、売りオペ等の関係から一部日銀に残っておるものがあるかもわかりませんけれども、大半は金融機関の持っておるものになる、そういたしますと、その金融機関の持っておる公債額についてどの程度現金償還をやるのか、あるいはどの程度また新しい起債によって償還をしていくのかということは、全くそのときの情勢によるものでございますので、これはどうも予測しがたい、したがって償還計画というものもなかなか立てにくいということでございますが、全体としての国債について、そういった借りかえを前提としてどれくらいで返していくつもりだという御質問に対しましては、先般御審議をいただいた国債整理基金特別会計法の一部改正による定率繰り入れによりまして、これはわれわれは建設公債発行いたしましたその発行対象となったいろんな道路、港湾その他の効用発揮期間の間に返そうじゃないかという主張から、大体六十年の間には全部返すのだということでこの繰り入れ額を決定した、こういう次第でございます。
  49. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)小委員 大体昭和四十年度の例の赤字補てん公債、これは市中銀行消化が千百億円ぐらいあった。そのうちの六割程度はいま日銀の手持ちになっていますということは、国債課のほうで私調べたらそういう御返事がきた。だから、少なくとも四十年度発行の例の二千億円のうち六、七百億円は日銀の手持ちになっている、こういう状況もあるわけですね。これがまた今後の金融事情や景気の問題とも関連して、今度は四十一年発行のものも、もうすでに一年経過しているから日銀で買いオペの対象にもなるというようなことになりますと、これもまたかなりふえていくのじゃないか。こういうようなことで、日銀手持ちというものが昭和四十八年までにはかなりふえていくのじゃないか。それはもちろんこれからの景気の動向、金融情勢、そういうようなものとも密接にからんで、その間に売りオペもあるだろうし、いろんな操作もあるでしょうけれども、いまよりはかなりの累増がやっぱりあるのじゃないかと思うのです。その場合、やはり常にこの借りかえはそういうところに安易にやれるわけですから、そういう問題についても、資料的にも日銀がどのくらい公債を手持ちしているかというようなことなんかも、これはときどきは何らかの形で発表しておくという配慮も——そういう制度が特別会計の予算総則の五条あたりでやれることになっているわけですから、そういう場合には、やはりそういう制度がある以上それは可能なんだという形で、そういうものに対する認識を国会筋にもはっきりさせておくというような努力は当然なされていないといかぬと思うのです。そういうものはやはりそのつどそのつどいまどうだと言う前に、そういう知らせる方法というものも考えておくべきじゃないか、こういうように思うのです。  それからもう一つは、これもたいへん財政問題についてのしろうと的な発想かもしれないけれども、決算書が国会に出てくる場合、前々年度のものが出てくる、こういうことになると、どうもピンぼけしてしまって、決算に対する審査というものが適切にいかない。健全な予算を編成していこうという立場からいって、決算を非常に参考にしていく、前年度決算状況というものを次年度予算にかなり強く反映をしていくということは大事なことだと思うのですね。ところが、前々年度になると、こういう流動の時代にはかなり条件も違ってくるし、非常に問題があると思うのです。大体五月ぐらいには収入支出とも締められるわけですね。そういうことですから、少なくとも次年度の下半期くらいには決算書というものが提案されるような状況にはならぬものかどうか。そういうことになれば、補正予算を組む際に、もうすでに前年度の決算というものは参考になる、こういうようなこともあろうと思うのですが、そういうような点での改善というものもやはり財政制度にとっては必要なことではないか。これは従来どおりひまがかかる、決算したものは、ゆっくり時間をかけてきちんと整理をして、それから出せばいいのだ、これも一つ議論かもしれないけれども、そういうことで伝統的にやってきたけれども、やはり決算と予算との関係を密接に関連づけて、前々年度の決算だけが対比表として出されるのでは、予算と決算の食い違いというものは相当大きいものもありますししますから、そういう点での改善ができないものかどうかということも、これはやはり財政制度の問題として一つの大きなポイントじゃないかと思うのです。そういう点で見解はいかがでしょう。
  50. 岩尾一

    岩尾政府委員 第一の御質問の、日銀にどの程度の公債があるかということについての御質問でございますが、そういうものをなるべく早く知らすようにしたらどうだ、これはちょうど平林議員の御質問の際に堀先生からも御指摘がございましたが、結局、現在の経済情勢で成長通貨としての通貨の増発をどの程度にするか、そのために買いオペ、売りオペが常時金融情勢に応じてどういう形で行なわれるかということにかかってくるわけでございまして、そういう意味で、担当ではございませんが、できるだけ現在の金融情勢から見まして金融資産がどういうふうにオペレーションの対象になっていくかということをよく御理解いただくような手だてを講ずる必要は十分あるのじゃないか。そういう点では、特に関係局のほうにその旨を伝えておきたいと思います。  それから決算のお話でございましたが、決算は、現在の財政法におきましても、四十条でございますか「内閣は、会計検査院の検査を経た歳入歳出決算を、翌年度開会の常会において国会に提出」しろということでございます。普通の場合に、会計検査院の検査というのはかなりおくれまして、大体十二月の末ごろにでき上がる、そしてそのあくる年の一月の常会に出されるというのが常例でございます。ただ、出されるのではございますけれども、決算委員会における審査がかなりおくれておりまして、古いのをずっとやっておるものですから、実際に先生方のほうで御批判いただく対象として検討するのはそれよりさらにおくれていくというようなことになっておるわけでございます。われわれのほうの決算自体の締めは七月三十一日に全部締めることになっております。その結果、ある程度の決算状況はできておるわけでございますので、それに対する会計検査院の検査を了していきますとその年の十二月の末ごろまでかかる、そして、それを了した上であわせて出していく、こういう形になるかと思います。できるだけ早くやりたいとは思っております。
  51. 藤井勝志

    藤井委員長 堀昌雄君。
  52. 堀昌雄

    ○堀小委員 財政制度審議会報告の前書きのところに少しく問題点があるように思うのです。  その問題点一つは、さっきちょっと横山委員が触れました問題について二ページで「なお、上述のように経済情勢に対応する予算弾力的執行は、現行法制上も不可能ではないが、景気調整に対する財政の役割は今後ますます増大するものと考えられるので、財政景気調整機能を強化する方向財政関係法規の改正検討することが望ましい。」と、こう問題提起がされているわけですね。そこでこの財政関係法規ということは財政法を含めての問題になろうかと思うのですが、現在の財政法の十四条の二、十四条の三、十五条と、すでに継続費、繰り越し明許費及び国庫債務負担行為、この三項によって、財政法というものは、本来単年度主義といいますか、そういうものが非常にリジッドであったものがだんだん弾力的にできるようにこういう条項が設けられてきておる経緯から見ると、私がちょっと伺いたいのは、これ以外にまだ弾力的にする方法というのは一体何だろうか。すでに継続費、繰り越し明許費、国庫債務負担行為と、この三つを使い分けたらかなり弾力的になる。それが「現行法制上も不可能ではないが、」と書いてあるところでしょう。どうも私はこの感触は、財政制度審議会委員が、さっきあなたもちょっと触れられたわけですが、大いに弾力的にやれと言っておられるが、われわれは少しディフェンスしている、こういう話のようですが、そういう形は、委員構成に少し問題があるのじゃないか。いまのあなたの意見がそのとおりに主張されておるなら、できるだけ財政法というようなものは動かさない。これは憲法みたいなものですから、財政法がしょっちゅう動くようなことでは——いまの交付公債の問題でも、もとをたどればこの財政法が基本法としてある。そういう意味で私は、こういうような意見がここにはっきり出ておることは、その委員の一人一人の問題を言うわけではありませんけれども、それがこういう形で集約されるというのは、ここへ集まっておられる方は、現在の財政法は変えるべきだという発想を持っておられる方が少し多過ぎるのじゃないか、そういう感じもするのです。  そこでこれ以上に、いまの十四条の二、十四条の三、十五条以外に一体何を求められたのか。われわれはこまかい審議経過の中身をもらっていないのでよくわからないのですが、その点を少し説明してください。
  53. 岩尾一

    岩尾政府委員 ただいま御指摘になりました十四条から十五条に至るものは、財政弾力性といたしまして、ある年だけに単年度主義でやるものではなくて、将来にわたってやれるようなものを継続費とかあるいは国庫債務負担行為、そういうものを考えておるわけであります。  財政弾力性と申します場合には、もちろん現在ある予算をもっと大きく使っていくという弾力もございますし、現在ある予算を少なく執行していくという弾力もあるわけでございます。その両面から考えてみます場合に、景気情勢に応じて、予算をある場合には執行をしない、御議決いただいた予算を押えていくという必要があるときもあるのではないか。これは現在、たとえば支払い計画あるいは支出負担行為計画等によって各省と調整はいたしますけれども、しかし、御議決をいただいた予算をその金額の範囲内でとめるならばとめてもかまわない、こういうことにはなっていないわけです。それはちゃんと御議決いただいたわけでございますから、その項の金額については全体としてそれを使うというたてまえでいかなくてはいけない、この点に政府としてフリーハンドをいまの財政法は持っておらぬ、こういう点がございます。  それから実際上の弾力性で、翌年度までといいますか、そのときにもっとたくさん出したいという場合には、現状許されておりますのは予備費でありますが、あるいは補正予算というようなことにもなりますので、そういう点でももう少しフリーハンドを持ってもいいのじゃないかというような御意見もございます。  委員の方には、決していま申し上げたような意味で不適当な方はございませんで、皆さんごりっぱな方でございますので、私らも現在の財政法は順守していきたいという気持ちでございますが、いま申しましたような、景気に応じて非常に楽に動ける、たとえば、外国等におきましては景気調整として一番大きな力を持ちますのは税でございます。この税につきましては、わが国は特に全部法定主義でやっておりますのでこれは身動きがつかない、こういう点をできるだけやったらどうかという意味で今度御議決いただきましたけれども、ああいう金利等につきましては、新しく政府調整権があるというふうな形にしたらどうかというような御意見も、実はこの答申に従ってわれわれは検討した次第でございます。
  54. 堀昌雄

    ○堀小委員 私は、ふやすほうの問題は、いまあなたの触れられたように補正予算という問題があるわけですし、最近、私昨年からずっと調べてみると、皆さんのほうは、財源があるときには、かなり予測しにくい項目については、たとえば災害費でも相当積んでおられるわけですから弾力があるようになっていると思うのです。災害のようなものは、もし起きなければそれは繰り越すことになるだろうと思いますが、場合によっては、それは完全に残ってしまうものもあるかもしれません。問題は、フィスカルポリシーという問題の中で、日本の場合に一番重要なのは逆のほうですね。常に財政が前へ出過ぎていて、しぼるほうには、私は、いまのあなたの意見の中でこれはちょっと考えていい問題があると思うのですね。というのは、これからは、これまでみたいに金融でぎゅっと締めてブレーキをかけるということはできなくなってきたわけですね。国債を出している関係では金融サイドで締めるということは非常にむずかしくなってきている。そうなると、どうしても財政自体でかなりいくのをしぼらなければならぬ。私は、この問題はすでに本年じゅう、この年度内に考えなければならぬ問題として後半に出てくるだろうと思う。現在政府は実質成長率は大体九%という見通しできているのだが、それがこの調子でいけば一三%くらい、実質一三%を少しこえるのではないかと私はいま見ているわけです。それでは一体後半は金融で締められるか、こうなると、なかなかいまの状態は金融では締まらない。というのは、内部留保が非常に多くなっているわけですから、自己資金でかなりのものが前へ進むようになっている。民間の設備投資に対する金融のコントロールはいま非常に弱まっている。そうなると、当然にまず投資的経費をかなりしぼるという問題を考えなければならぬ。これはしかし、場合によっては、いまの継続費その他のような、お話のように後に延ばし得るようなものがほとんどではないか。だから、各省庁の消費的経費のところをどうやるかというのは、この前一割節約なんというような問題が予算執行上の問題で一時ありましたね。だから、いわゆるフィスカルポリシーのほうのふくらますほうは補正予算を組む、場合によっては、この間やったようなかっこうで処置ができる余地は私はあると思うのですが、ブレーキをかけるのが、増税というやつは国会の開会中でなければそう簡単にできるわけでもないしするから、この点は問題があると思うのですが、これをもしやるとすれば、これはどういう形でやることになりますか。
  55. 岩尾一

    岩尾政府委員 現在の執行面で継続費のほうはやりやすいではないかというお話でございますが、これは継続費と御議決をいただいておるとともに、歳出に計上いたしております。歳出としても制約があるわけでございます。そこで実際上、お話のありました、たとえば一昨昨年ですか、ちょうど不況になるときに一割削減、こう申されましたけれども、これは削減ではございませんで、そのとき考えましたのは、支出負担行為計画といたしまして、各省が実際にその年度に執行していく計画を大蔵省がきめるわけでございますが、それはさしあたり前半にやる仕事をなるべくやらないように、後半に持ち越すような形にしなさいということにしておいて、そうしてだんだん悪くなりましたために、秋には補正予算をお願いして、実際にそれを断ち切るということでございまして、もし補正予算を行ないませんと、年度の上半期にはなるべくやらないで下半期にはやる、こう持っていきますと、補正予算等で切らない限りは少なくとも計画としては下半期まである、その結果、繰り越しになることはありましても、実質的にそれをこの年は使っちゃいかぬぞということはわれわれにはできないわけでございます。そこに制約があるわけです。それをやるためには、いま申しましたように、現実に十一月に補正予算を組んで、少ない額の予算を御議決いただくという手順を踏まないとできにくい、そういう点を財政法、あるいはこれに伴います予決令その他においていろいろ規定があるわけでございます。そういうもので、一連の法規に対してある検討を加えていく必要があるんじゃないかということを、この財政法弾力性という意味でおっしゃっておるんだと思います。
  56. 堀昌雄

    ○堀小委員 そこのところでちょっとそれに関連があるのですが、もう少し前へくると、八ページに「最近において予算補正が恒例となっている公務員の給与改訂、食糧管理特別会計繰入れ等については、人事院勧告の時期、米価の決定方法等の再検討を行なう必要がある。」こうあるわけですね。いまの場合は、これはまさにもう秋には補正を組まなければならぬルールになっちゃっているわけですね。同時に、大体景気の過熱にコントロールを加える必要が起こる時期というのは、およそ秋が多いですね。これはなぜかというと、財政支出がぐっと出始めたところで加速度がついてくるということに私は理由があるだろうと思うのですが、大体秋から年末にかけて締めなければならぬという場合がきわめて多い。だから、その限りでは、いまあなたが言われたように、それをすでに年初に見越しておれば、それを後へずらしておいてあのようなかっこうで補正で切り落とすということは、一ぺんすでにやったことでもあるし、今後それはやり得るんじゃないかと思うのですが、要するに私が言いたいのは、大体フィスカルポリシーというやり方は、ふくらすほうにはきわめてストレートにできるが、締めるときにはあまり実は影響力のないものなんです。どちらかというとないものなんですが、それでもなおかつ、日本ではこれまでは金融ばかりにそれをやらせて、片方で金融は締めていて、財政はまだふくらんだやつをどんどん出すという、まことにアンバランスなやり方をとっている。われわれはここへ山際さんを呼んでいろいろお話を聞いたときも、もう少し財政も考えてもらわなければ金融はたまらぬということをここで何回か言われたことがあるわけですね。  われわれはそういう経験から見ると、しぼるほうについての検討というものはもう少しあってもいいのではないかと思いますが、現実にはいまのようなことをやれる道はあるわけですね、やったことがあるわけだから。だから、そこらはもう一つ問題点としてあるわけですが、いまの公務員の給与改定、食糧管理特別会計のほうの問題ですが、これも、私はこの前公式に発言したかどうかは別として、これは毎年あることだから、ある程度予算に組んだらどうか。私に言わせたら、補正予算というのは、予算の作成後に起きた事由によって、こうなっておりますね。確かにこれは予算決定後に起こる事由なのだけれども、本来の補正予算の目的は、あらかじめ予測のできないものであるべきじゃないかと思うのですね。当初予算を組むときに、すでに現在の物価はこれだけ上がりますということを政府経済見通しで明らかにしておる限り、あるいは個人消費はこれだけ上がるのだということを明らかにしておる限り、そういう物価や個人消費の伸びから見て、まずニュートラルな立場で考えたとしてもこのくらいはどうしても最低要るのではないかというものが、私は公務員ベースと食管の問題にあると思うのです。ところが、公務員ベースなんかについては一円も組まれていないわけですね。そこでことしの段階、これはあなたに言うことではなくて、今度一ぺん大臣に委員会のほうで言わなければならぬのは、ことしは自然増収が非常にありそうだ、こうなっている。これは一般的な通説ですね。金融界の諸君が、ともかくこういう情勢民間と競合するからひとつ国債発行についてはスローダウンしてくれ、こういう話を大臣にすると、大臣のほうは、いや、それはスローダウンしたいけれども、ここでスローダウンして国債を減らすほど財源があるのなら、要するに食管の消費者米価をできるだけ押えてそこへつぎ込めとか、公務員べースを五月に繰り上げろとか言われるから、いまそれはできないのだ。どうもわれわれとしては全くおかしな大臣の話し方だと思っているのだが、これは一ぺん委員会でとっくりやらなければいかぬと思っておりますけれども、しかし、そういう議論が出るもとは、やっぱり当初予算に、ある程度予測をされておるもの、米価だって、物価の上昇なり、個人消費の上がり方なり、いろいろなものから推計すれば今度千九百円幾ら上がったのだけれども、何も千九百円積むことはない。どっちにしたって千百円か二百円積まなければこれはしかたがない、あと幾らになるか、これはあとで補正をするかどうかは別としても、ということぐらいになっていないとちょっとおかしいのではないかと思う。特に人事院勧告の給与問題なんかになると、まず財源がありませんという話がしょっちゅう出るのです。私は、それは財源がないのではなくて、払う気がないのだと思っておりますが、あなた方は公務員なのだけれども、その支払い者側の仕事を担当しているけれども、受け取るときにはあなた方も公務員として受け取ることになるのだから、またがるわけです。そこを考えてみると、補正予算のこちらのほうは、人事院の勧告の時期、米価決定の方法を動かせ、こういうことになっている。私は、こっちよりも財政のあり方のほうでもうちょっと考えていけば、場合によっては予備費をもう少し積んでいくことによって、この補正予算の問題の処理は、何もこういうかっこうでなくてもできるのではないか、これは政策論というよりも技術論としてあり得るのではないかと思うのですが、その点はどういうふうに考えておりますか。
  57. 岩尾一

    岩尾政府委員 いま御指摘になりました点は、私らも十分理解をしておるつもりでございます。従来から補正予算といいますのは一つの慣例のようになっておるのでございまして、この理由は、一つは人事院勧告、一つは米価、一つは災害、この三つだろうと思います。それから歳入の見積もり自体にある程度のゆとりがあるという点もあるかと思います。したがって、そういうような点を全部考慮いたしまして、なるべく予算で全部統合したいというつもりでやっておりまして、たとえば人事院勧告につきましても、ここ三年来、人事院勧告の時期というものはもう少し予算に反映できるような時期にやってもらえないだろうか。と申しますのは、先ほど米価のことをお話しになりましたけれども、かりに予備費に積むといたしまして、まあそのときの予算を組みます場合には、全体の規模をなるべく少なく組みたい、そういう気持ちがございますから、なかなか予備費には組みにくいわけでございますけれども、かりにその場合に予備費にある程度のものを組んだといたしますと、今度はその予備費を当てにして、必ずそこまでは生産者米価が上げられるというようなことにもなりかねない、あるいは、人事院勧告といいますか、そういう面も、そういうものを目当てにして人事院の勧告が出されるということにもなりかねない、そこで予備費として持っておく限界というのがあるので、やはりそういうものを見込んで予備費を組むということではこの問題は解決をしない。やはり予算作成のときに生産者米価もきめ、人事院による引き上げもきめるという態勢が整いましたならば、われわれといたしましては、いまのような形で補正予算というものは考えないでいくということになり得るかと思いますけれども、どうも従来はこういう慣例になっておるものですからなかなかうまくいきませんで、またことしもそういうことになるかと思いますが、いま申しましたような意味で、予備費等に積んでいくということも考えたことはございますが、それよりも、この時期自体を予算編成に間に合うようにしていくということに重点を置いて十分検討したいと思っております。
  58. 堀昌雄

    ○堀小委員 前文で特にちょっと気のついたことはそういうことなんですが、もう一つ、さっきちょっと横山委員も触れたわけですが、私は、今後の日本の金融の問題というものを考える場合には、どうしてもオープンマーケット、公社債市場というものが、これは先進国の例から見てもできなければいかぬと思っているわけです。オープンマーケットができるようになってくると——いまはなるほど国債を上場していますけれども、これはお互いが非常に道義的といいますか、愛国心というか、経済原則と全く離れた時点の感覚で持っておるわけですよ。だからまああのくらいになるのですがね。私に言わせたら、いまの情勢でフリーマーケットにしたら実際は国債価格はがさっと下がる、こう思っているのです。しかし、オープンマーケットはやがてどうしてもできなければならぬ。そのためには、ここにも書いてあるように、ここでは、金融の問題で下がる分は別だ、しかし、一時的に下がるときには減債基金から買いささえ資金を出してもいいのじゃないか、こう書いてあるのですが、もちろん金融政策という問題よりも、これは日本経済全体の問題としてそういうことが起こってくるわけですから、そのときにはオープンマーケットになれば、ここで初めてプライスメカニズムが働いて、公債発行が不可能になって出せないという問題が出てきて、非常にいいわけです。しかし同時に、そうはいっても、なおかつそういうときに限って実は財源も要るという問題があるとすれば、ある程度の買いささえをしなければならぬということが起こる。そういうことも含めて、そういうことをここで公債でするならば、これはやはり地方債なり、さっき横山さんが触れた政府保証債とか、そういうところも私は同じことになるだろうと思うのです。だからそれは、あまり下がったときに出せないから、それは出さなくていいわけだけれども、過渡的なそういうへこみが起こったときにこれをやるためには、やはりそういうことに対応する基金というものが地方自治体そのものに、一つ一つが持つ必要はないかもしれないけれども地方減債基金というようなものがどこかにぽかんとできて、それに対しては、各地方自治体は自分たちの債券発行に応じて幾らかを積むのだというような問題は、償還計画の問題とは別個に将来考えておかなければならぬ問題になってくるのじゃないか、こう思うのですが、ここらについてはどう考えますか。
  59. 岩尾一

    岩尾政府委員 全く私も同感だと思います。思いますが、御承知のように、普通のプライスメカニズムが働くようなオープンマーケットができました場合におきましても、公債あるいは地方債というものは、これは国の信用というものを背景にしておるわけでございますから、おのずからその点である程度の差は出てくるのじゃないだろうかと思います。むしろ実際上の金利なりあるいは債券市場の操作というものは、公債なり地方債を中心に動いていくというような形にオープンマーケットはなっていくのじゃないか、そうなるのが正しいというふうに私は考えております。そういう意味で、ここにありますような意味での買いささえが出ることがあるいはあるかもわかりませんけれども、そういう事態にならないでいくのが普通の状態ではないか、そういうふうに持っていかなくちゃいかぬ、かように考えております。  特に、現在でも公債で一番問題なのは償還期限でございます。これは先生から御指摘もありましたように、非常に短い、七年というような償還期限でございます。これは一般の市場もできておりませんし、一般の社債その他等との比例を考えてきめたわけでございますけれども外国等の例を見ましても、五十年あるいは百年、あるいはコンソル公債のように永久公債というようなものもあるわけでございますから、そういう意味で、現在の日本の公債償還期限というものについてさらに検討を加える必要は十分あるというふうに私は考えております。  それから、地方につきましては、おっしゃるように、やはり国がこれだけのことをやるわけでございますから、地方についても当然そういった態度でやっていただくのが正しいのじゃないか、かように考えております。
  60. 堀昌雄

    ○堀小委員 いまのお話の終わりのほうの問題なんですけれども、七年になっているもとは、オープンマーケットがないから七年でなければ、要するに主としてこれは金融機関その他が買うのだから長期のものは困る、こういうことなんですよ。永久公債なんというものがなぜ出せるかというと、オープンマーケットがあって、いつでも売ったり買ったりできるから永久公債を出せるわけですね。だから私は、そういう意味では、あなた方だって、七年の公債なんか出すから、この間の平林君のあのときの議論じゃないけれども、あなたはいまオペレーションでちょっと入るぐらいだと言われたが、七年先のことはいまちょっとわからないですよね。案外日銀にたまっているかもしれないわけです、それはなぜかというと、都市銀行あたりが、いま預貸率の関係で上へ問題が出ているのは、債券勘定だけが非常に彼らは負担になっていると思っておるが、今後私は——いま金融小委員会で金融の展望をやっているわけですが、これから、いろいろな点で金融情勢というものは非常に変わってくるですよ。そういうふうに変わってきたときに、はたして彼らが、これからまだまだどんどん出てくるやつを、ずっと、はいさようでございますか、はいさようでございますかで持てるかどうか。ちょうどこの間三菱銀行が、金融債の上積みはお断わりというふうに言っているように——あれはまだ相手が長期銀行だからお断わりと言っているけれども、背に腹をかえられなくなったら、今度は国債断わり、お断わりできないならば日銀に質ぐさに持っていくということになる可能性はずいぶんあると思うのですね。私はやはり七年先の償還時期には日銀に滞留しているものがあると思います。これはまた七年ぐらい先に——あなたは偉くなっちゃって役所にいないかもしれないけれども、私はまだ七年先にも大蔵委員でおるつもりだから、そのときに、さあどうなったかということで、そこらはもう一ぺん詰めて話はできると思うけれども、そうなると、やっぱりここでちょっと私が言っておきたいことは、財政法五条のただし書きで「特別の事由がある場合において、」あるいは十四条の二の継続費について「特に必要がある場合においては、」ということで、継続事業であってもどれでも継続費にできるわけではないので、継続事業のうち「特に必要がある場合においては、」というように十四条の二には入っているわけですね。いろいろなところに、特別の事由とか特に必要とか書いてある。これは日本語というのは、そういうふうに抽象的に書かれると解釈の幅は無限に広がり得るような感じがするのですね。そこで私は、やっぱりこういう財政法のようなきわめて基本法的なもので特別の事由だとか特に必要があるというものは狭く解釈するという原則を、どうしても財政当局にはとってもらいたいと思うのですよ。基本法の解釈を広げて解釈するということは、財政法のような基本法としては非常に問題があるから、できるだけ財政当局は狭く解釈する。そうなると、この間ちょっと私が触れたように、これから七年先からは借りかえが起こるというのは既定の事実で、初めに予測はできるし、毎年起こることは特別の事由でなくなってくるわけですね。おまけに、いまの日本銀行にかなりそれがずっと根っこから積まれてくるような情勢になったとしたら。そうすると、やはり単に予算総則に書いたから処理ができるというようなことではなくて、やはり何かきちんとした処置をしなければならぬ。いまはまだ七年前だからいいですよ。七年後の公債償還する前までには、やはりこの規定に基づいた処置を考える何らかの方法が必要なんじゃないか。だから、これまでのものは特別な事由ということで処置ができるとしても、これから発行するものはもうわかっている既定の事実ですからね。そういう点は、やはりいまのこともそうだし、要するに特別の事由とか、特に必要というようなことを狭く解釈するという原則は少し考えてみたほうがいいんじゃないか、こう思うのですが、その二点をお聞きしたい。
  61. 岩尾一

    岩尾政府委員 財政法にございます特に必要がある場合というのは、私ら財政を預かる者といたしましては、先生方以上に狭く解する体質になっておるわけでございますので、当然狭く解しておるわけでございます。ただ、御指摘のございました第五条の「但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」こういうふうに書いております。この特別の事由につきましては、この前御答弁いたしましたが、先生のおっしゃるように、毎年毎年あるようなものは特別な事由ではないではないかという意味ではなくて、この本体の御趣旨を御理解いただきますと、第五条では、いわゆる発券銀行たる日本銀行に直接引き受けさせるというのは、すぐインフレにつながるじゃないか、そこでそれはやめなさい、こう言っておるわけです。ところで、借りかえというのはどういうのかと申しますと、償還のための起債でございます。したがって、財源もふえるわけじゃございませんし、一般の債務となるわけでもないということで、現実にはそれによって通貨の増発その他が起こるような問題でもない、そういうような特殊な借りかえのような場合におきましては、いま申し上げましたような、しかし国会の議決は経なければいけませんけれども、その金額の範囲内でやることはかまわない、こういう趣旨でございまして、毎年毎年やる借りかえが同じようなものだからこれは特別とは言えないぞ、こういう意味ではないと私は解しております。
  62. 堀昌雄

    ○堀小委員 それは角度が違うというと別だけれども、それはやはり、要するに日本銀行にあるものでも、本来からいえばそれは償還されるべきものだから、普通言うならば、かりに私が七年ものの公債を持っていて、七年たちました、そうしたら私は当然国へ持っていってお金をもってくるわけですね。だから、日本銀行だって同じことで、当然それは金が入るべきものなのです。言うならば、それは日本銀行としては入るべきものを入らさないわけです。借りかえというものは、新規発行したものを新たに買いなさい、相殺してゼロにする、こういうことですね。しかしそれは、私は制度上としてあなた方の考え方——いま出入りがないというけれども、やはりルールとしては、日本銀行が持っておる七年ものの国債というものは、当然そこでは金になってかわるべき性格のものだ、だから、金になってかわるべきものをかえないんだということは、つながっているかっこうでは出入りはない、こういうことになりましょうね。つながっているかっこうでは国が新たに金を出すわけでもないし、どうでもないというけれども、私はやはりそうじゃないと思うのです。本来入るべきものが入らないんだ、こういう理解に立てば、やはりそれはそれだけの分、本来ならば通貨としては増発したことになる、結果としては同じ効果を持つのじゃないかと思うのですね。要するにそれは、あなた方は連続して見ようとするから、その断面で縦に切ってみれば、当然七年ものの国債は、そこで償還期限が来れば国が財政資金をもってそれを買い取るわけですから、日本銀行に金が入ってくるわけです。日本銀行の信用は収縮しなければいかぬわけでしょう。収縮させないのだから、相対的に見ればこれはやはり日銀信用がそれだけ膨張したことですよ。だからその点が私はちょっとあなたの議論と違うわけだ。もちろん、そこに書いてある趣旨そのものはあなたの言うとおりですよ。しかし、金融サイドの問題として見たら、相対的な面からして信用をそれだけ膨張させる。それはあなたの前段で言われたその目的と同じことになる。要するに、あすこで借り入れ金したりしてはいけないということは、日銀の信用膨張を防ぐということですから、その限りにおいては、論理的には同じことですよ。あなたの論理構成はちょっと納得できない。
  63. 岩尾一

    岩尾政府委員 信用膨張の問題というよりは、むしろ日銀が引き受けることによって通貨が増発されていくということに非常に大きな問題があるわけでございます。そこで、公債発行して日銀が引き受けて、そして通貨が増発されて、それが市中に流れていくという状態はインフレにつながる道になる、そういう忌まわしい経験がございますので、第五条はそういうことはなくしようということでやったわけであります。  いまの借りかえにつきましては、先ほど来御説明いたしておりますように、現在の債券を償還するためだけの起債でありまして、それによって新しい財源ができるわけでもありませんし、ばらまかれるわけでもないという意味で、特別の事由というのに該当するのではないかというふうに私どもは解しております。
  64. 堀昌雄

    ○堀小委員 だから、それはあなたの理論からいうと、七年の公債を永久公債と同じようにあなた方は見ているからですよ。永久公債なら出入りはないですよ。初めからそれは予測されるわけですからね。資金上の出入りはない。あなたは通貨の膨張と言われるけれども、通貨の膨張と信用の膨張というのは、金融上としては同じことになるのですよ。本来ならば、日本銀行勘定としては、当然国の財政資金勘定のほうから日本銀行に七年目のところで金が入ることが予測されているのだから、当然それだけ収縮するようになっているのでしょう。収縮させないのだから、永久公債ならあなたの言うとおりで、それは何というか、そのままいくのだからいいのですが、要するに公債というのは償還期限があるということ——どうもあなた方財政当局のその点に対する感覚が非常に何か、七年だって十年だって二十年だって、日本銀行が持っている限りは同じではないか、という考えのようだが、これは違うのですよ。そこはもう少し頭の切りかえをしてもらわぬと困ると私は思うのですね。だから、期限があるということは、期限をもとにして金融の問題というものは起こっているわけだから、その期限がなくなるような借りかえをすれば、七年ものが十四年もの、二十一年ものになったと同じことになるのですね。それはあなたのほうから見たら出し入れがないですよ。しかし、金融サイドから見たら、現実には出し入れがあるわけですよ。そういうふうに理解をしなければいかぬ問題ではないですか。
  65. 岩尾一

    岩尾政府委員 おっしゃるとおりだと思います。しかし、いまおっしゃいますように収縮をするというのはとめる。問題は膨張するということなんです。そこで、もし実際に国が償還をやるならば、これは収縮いたします。しかし、やらない場合にも膨張するわけではないという意味においてこれは違うわけです。
  66. 堀昌雄

    ○堀小委員 それは膨張と収縮というのは相対的なものですから、いまあなたの言うこの項目に関してだけ見ると何かそんなふうに聞こえるでしょう。日銀全体の勘定から見ると、本来収縮するものがあれば膨張が防げるわけですからね。それを、膨脹が防げる要因に働くものを、あなた方のほうは、その要因をそこへ持っていかないわけですから、それだけ相対的にいえば膨張するのですよ。収縮なら問題ないと言うが、収縮するものを取りはずせばそれだけ膨張するのです。本来やるべきことをやらないのはどうしたって信用膨張です。次長ばかりに聞いてもあれですから、法規課長、そこはどうですか。
  67. 小田村四郎

    ○小田村説明員 日銀といたしましては、法律上の問題でございませんのであれでございますが、七年償還の満期が来た場合に、かりに現金で償還される、償還された結果・・・。(堀小委員「日銀の信用は収縮しますよ。」と呼ぶ)日銀の信用と申しますか、それだけ通貨が日銀に回収されるわけでございます。その結果、金融情勢がどのように働き、それに対して日銀がどのような金融政策をとるかということは、日銀の態度にかかるわけでございます。ところで、それが借りかえということになりますと、通貨が日銀に吸収されませんで、そのまま残るわけであります。そのことがはたして日銀の信用を膨張させることになるかというと、これは決してそういうことにはならないわけです。
  68. 堀昌雄

    ○堀小委員 私は何も金融政策のことを言っているのじゃないですよ。要するに、特別な事由というものの角度において岩尾さんが、それは通貨の増発に無関係な問題です、こういうふうな答弁が出ているわけです。要するに、日銀に引き受けさせるということは、通貨増発に明らかに関係があるけれども、借りかえというのは通貨増発に無関係ですから、別の次元のことですから特別の事由ということにはなりませんというのが岩尾さんの答弁の角度ですよ。しかし私は、そうではないんだ、要するに借りかえすべきものを——金額が小さいからそんな感じがするかもしれないけれども、いいですか、一兆円借りかえが起こる時期、二兆円借りかえが起こる時期というのがやがて来るわけです、場合によっては。国債がもっとうんと出るような時期を考えてみたとすると、まあ一兆円といいましょうか、借りかえが七年もので一兆円だ。これを当然政府償還をすれば、日本銀行は一兆円ともかく通貨が収縮するんですからね。ところが、そのときにいまのほかに信用膨張をするために、たとえば銀行その他からどんどんやっている者に対して貸し出し金か何かやって信用膨張が側面的にある。この二兆円の信用膨張が起ころうとするときに、一兆円それによって収縮するんだから、いまの二兆円の信用膨張はそのことによって一兆円に食いとめられるわけです。だから、いまの信用膨張の問題というのは、片一方に収縮する要素を与えることによってふくらみを減らすことができるんだから、そのふくらみをほっておけば、これは要するに借りかえだといっても二兆円信用膨張になる。これはここであなたどうおっしゃっても——ここまでにしますけれども、これはどう言ったってこのことは日銀の信用に関係がある。関係があるんなら、その同じルールの上で当然わかっておる特別の事由ということなら何か考えなければならぬ、私はこうなると思っております。だから、岩尾さんの言う信用には通貨の増発その他は関係がありませんという問題提起は、この限りにおいてはおかしい。きょうは時間もありませんから、この論争はこのくらいにしておきます。  これは金融サイドの人間か何か、このことについてそれはどっちだということをやってもらったほうが適切かと思う。日銀がどう言うか、そこも一ぺん聞いておく必要があると思うのですけれども、本日はこの程度にしておきます。
  69. 藤井勝志

    藤井委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十四分散会