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1967-07-21 第55回国会 衆議院 大蔵委員会財政制度に関する小委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
本小
委員会
は
昭和
四十二年五月十日(水曜日)
委員
会において、設置することに決した。 六月二日 本小
委員
は
委員長
の
指名
で、次の通り選任され た。 菅
太郎
君
河野
洋平
君
永田
亮一
君
西岡
武夫
君 原田 憲君
藤井
勝志
君
村上信二郎
君
山下
元利
君 阿部 助哉君
広瀬
秀吉
君 堀
昌雄
君
横山
利秋
君
竹本
孫一
君
広沢
直樹
君 六月二日
藤井勝志
君が
委員長
の
指名
で、小
委員長
に選任 された。
——
——
——
——
—————————————
昭和
四十二年七月二十一日(金曜日) 午前十一時三十分
開議
出席小委員
小
委員長
藤井
勝志
君 菅
太郎
君
永田
亮一
君
西岡
武夫
君
山下
元利
君
広瀬
秀吉
君 堀
昌雄
君
横山
利秋
君
竹本
孫一
君
広沢
直樹
君
出席政府委員
大蔵省主計局次
長
岩尾
一君 小
委員外
の
出席者
大 蔵 委 員 大村
襄治
君 大 蔵 委 員 吉田 重延君 大 蔵 委 員 武藤 山治君 大 蔵 委 員 田中 昭二君
大蔵省主計局法
規課長
小
田村四郎
君 専 門 員 抜井 光三君
—————————————
七月二十一日 小
委員河野洋平
君六月七日
委員辞任
につき、そ の
補欠
として
河野洋平
君が
委員長
の
指名
で小委 員に選任された。 同日 小
委員広沢直樹
君六月十四日
委員辞任
につき、 その
補欠
として
広沢直樹
君が
委員長
の
指名
で小
委員
に選任された。 同日 小
委員村上信二郎
君六月二十三日
委員辞任
につ き、その
補欠
として
村上信二郎
君が
委員長
の指 名で小
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
財政制度
に関する件
——
——
◇—
——
——
藤井勝志
1
○
藤井
小
委員長
これより
財政制度
に関する小
委員会
を開会いたします。 まず、
財政制度審議会
の
審議経過等
について
説明
を聴取いたします。
岩尾主計局次長
。
岩尾一
2
○
岩尾政府委員
財政制度審議会
の
経過
について簡単に御
説明
申し上げます。
財政制度審議会
は、
先生方
も御
承知
のように、三十九年でございますか、例の
財政法
第六条によります
剰余金
の二分の一
繰り入れ
を五分の一にいたします際に、こういうものをよく
検討
するために、従来の
財政制度審議会
をさらに拡充していこうではないかということで、
先生方
の御
審議
をいただいた
法案
によりまして、四十
年度
に
委員
その他の拡充を行ないまして、新しく発足をしてきたような
経過
でございます。そこで、特に四十一年におきましては、四十
年度
末から
赤字補てん公債
が出てまいりまして、その
あと
四十一年に
建設公債
が出てくるようになりましたことから、特にこういった
公債体制
に伴います
一般
の
財政制度
の
整備
ということを
中心
に、御
議論
をいただくということにしたわけでございます。 そこで、
最初
に四十一年の四月二十七日にはそういった
財政
の全般についての御
検討
を願い、その
あと重点
を
減債制度
について置きまして、この
減債制度
を
中心
に小
委員会
をつくり、その小
委員会
をまた
委員会
のほうに上げるというような形で特に御
議論
をいただき、その結論を十二月の二十六日にちょうだいをいたしまして、これに基づいていま御
審議
いただいておる新しい
減債制度
の
法案
をつくったような次第でございます。 それから、この
審議
に伴いまして、
財政
の
運営
といたしまして、できるだけ
弾力
的な
運営
をはかるべきだという御
議論
も
皆さん方
からいただいておりますので、そういう
弾力性
のある
運営
につきましても小
委員会
におきまして
議論
をしていただき、これについても一応の
答申
をいただいておるわけでございます。 簡単に申し上げますとそういう点でございますが、なお、この
委員会
は各
学識経験者
の方ではございますけれ
ども
、こまかい
法制
上の問題につきましては、特に
法制部会
をつくりまして、そこに
法制関係
の権威の方に集まっていただいて、
法制
上の御論議もいただき、それを本
委員会等
に反映さすというような形で
審議
をいたしてきたような次第でございます。 そこで、ただいま申し上げました十二月二十六日に
大蔵大臣
のほうに提出をいただきました
財政制度審議会
の
報告
をお手元にお配りしておきましたので、ごく大略の御
説明
をさしていただきたいと思います。 目次をまずごらんいただきますと、「今後の
財政運営
について」ということでございまして、
公債発行
に伴って、
財政
の
規模
なり、
歳出歳入
についてどういうふうな
考え方
でいくかということが書いてあるわけでございます。それから第二部の「
減債制度
について」は、ただいま御
審議
をいただきました
国債整理基金特別会計法
の
改正
になりましたような
減債制度
の
現状
、
方向
といったものについての
答申
がされておるわけでございます。 そこで第一部でございますが、当
審議会
は一昨年十一月、四十年でございますが、いわゆる
赤字公債発行
という
事態
に対処いたしまして中間的な
報告
をした。なお、今後新しい
建設公債
について、いろいろな点についてどういう
考え方
をとったらいいかということについて補足していきたい。そこで、
経済
全体についての
方向
が書いてございまして、四十一
年度
予算
に御
審議
いただきました七千三百億円の
公債
の
発行
、これが
現実
には四十
年度
の
税収減
を受けまして、
一種
の
振りかわり
と申しますか、特にまた四十一年は、
先生方
御
承知
のように、平
年度
三千億円にのぼるような大きな
減税
をやりましたので、そういう
減税
をやったということに伴って七千三百億円の
公債
を
発行
した、したがって、その点が非常に大きな
負担
になっておるということを書いておるわけでございます。初
年度
は、ですからそういうことで大きな
振りかわり
ができるわけでございますけれ
ども
、こういうものは何年も続けられるというわけじゃないということでございます。 それから、
財政
の
規模
については、これはやはり非常に
国民経済
全体に対して大きな影響があるので、その需要全体についてよく
財政
全体の
規模
を
調整
していくことが今後の
経済
のために必要ではないかということを述べております。 そこで、九ページにまいりまして、
歳出
につきましては、特に
経済情勢
に対応して
弾力
的な
調整
ができるのは、
一般
的な
経費
は非常に硬直的と申しますか、そういう点でございますので、
公共事業費等
の
投資的経費
についてはある程度の
弾力
が期待できる、そこで、そういうものによってできるだけ
予算
全体の
弾力的執行
を考えていったらどうか。具体的には
景気
が過度に沈滞するようなときには、
支出
の促進とか
国庫負担行為
の活用、
予算
の
補正等
が考えられるし、そういったもので今後の
財政
の
景気調整機能
というものを強化するような
方向
で
財政法規
の
改正
を
検討
したほうがいいということを言っております。 大体、以上が
歳出
についての話でございます。 それから
歳入
につきましては、いろいろと
減税
の
議論
がございますけれ
ども
、
租税負担
は下げよ、
社会保障
は
西欧並み
の
水準
に近づけよ、
社会資本
の
整備
は急げ、しかも、
公債依存度
は低下させよというのはそもそも無理な話なんで、そういうようなことについては、ある場合には
租税負担
についても適正な
租税負担
ということで、
財政
上
検討
は必要であろうし、
社会資本
の
整備
につきましても、
公債依存度
につきましても、全体をいま言ったような観念で、適正なバランスのとれた姿で持っていくことが必要ではないかということを言っておるわけでございます。 それから
公債
につきましては、この
発行額
を幾らにするかということは非常にむずかしい問題である、
わが国
の
公債
の
累積高
というものは
外国
に比べて非常に少ないけれ
ども
、
一般会計予算
に占める
公債収入
の
割合
は、これは非常に高い、そこで、この高い
割合
をできるだけ少なくするように今後の
方向
としては持っていかないと、さっき申し上げました
弾力的執行
その他について非常に問題が生じてくるのではないかということを言っておるわけでございます。特に
均衡財政
の場合には、税の
自然増収
をどういうふうに使うかにつきましては、
減税
かあるいは
歳出
の増かというような二つの
方法
があったのでございますけれ
ども
、
公債発行下
におきましては、さらにその
公債額
を減少するというような新しい方策が考えられる。そこで、繰り返しになりますけれ
ども
、できるだけやはり
一般税収
で投資的な
経費
もまかなっておくようにしておいて、そういった
弾力
のあるような
方向
で考えたらどうかということを言っておるわけでございます。 以上が、大体
公債発行
に伴います
財政
の
弾力性
に関する全体の
考え方
でございます。もし御必要ならば
あと
で読み上げますが、概略はそういうことでございます。 それから、その次の第二部が
減債制度
でございまして、
減債制度
におきましては、
公債
につきましては戦争の際の非常に苦い
経験
があるので、
一般
に
国民
の方の御
理解
がなかなかいただけないのであるけれ
ども
、一がいに
公債そのもの
を罪悪視するというのはいかがか。したがって、
公債
というのは、やはり
一般国民
の
蓄積
というものを銀行を通じて
民間投資
のほうに幾ら振り向けるか、あるいは
公共投資
、道路、港湾といった
社会資本
の充実のほうに幾ら活用するかという、
民間
の
蓄積
をどう利用するかという
方法
ではないか、そういう
意味
で
解釈
をしていくことを
前提
にいたしまして、しかし
一般会計
の
公債残高
というものがだんだん増加していくということは避けられないわけでありますから、この増加を適正な範囲にとどめるということについては、いろいろと
節度
を守って、特に
民間
の方の御
理解
もいただいていかなくちゃならぬ。この際の
議論
といたしましては、新しく
公債
を
発行
することになるのならば、特に
減債
その他について、
償還
の金を入れるということをするくらいの余裕があるのなら、新しい
公債発行
をとめたほうがいいじゃないかという
意味
での
公債償還不用論
というようなものも非常に
議論
があったわけでございます。
外国等
におきましては、
減債制度
は現在ほとんど
有名無実
のような状態になっておりますが、その
考え方
は、いま申しましたように、
償還
のために
減債
その他の金を入れるくらいなら新しい
公債発行
をとめるほうが筋じゃないかという
気持ち
が強いわけでございます。そういう
意見
もまた
現実
に
審議会
であったわけでございますが、しかし、戦後いままでやらなかった
公債発行
を新しくやることでもございますし、
国民
全体の方の
理解
と
信頼
を得るためには、
公債発行
というものが
節度
を持って
発行
をされるという
一つ
の歯どめといいますか、そういう
意味
からもやはり
減債制度
はつくったほうがいいだろう、こういうことを言っておるわけでございます。 そこで、実際にそういった
意味
で全体の
公債
を考えまして、
公債
の
管理政策
として
公債償還
をやっていきます場合の
考え方
でございますが、その場合には、これもいろいろと御
議論
がございましたが、
審議会
のほうでは、いわゆる借りかえというもの
——
一部は
一般財源
により、一部は
償還
のための
起債
、いわゆる借りかえ債によってまかなってもいい、これを繰り返しながら
税収等一般財源
によって
償還
をしていくことになるであろうということを言っておるわけでございます。 そこで、
減債制度
の
現状
と
問題点
でございますが、ここには、現在は、これも御
審議
をいただきましたが、
国債整理基金特別会計法
第五条に基づく
償還
のための
起債
によって借りかえをやっておるわけでございますが、
一般会計
からの
財源繰り入れ
につきましては、御
承知
の
財政法
第六条に基づきまして、毎
年度
発生する
剰余金
のうちの
——特例法
がなくなりましたので、本年からは二分の一を下らない金額を
償還財源
に充てるということが一本ございます。三十八年、三十九年には、御
承知
のようにこれを五分の一というふうに下げておったわけでございます。それから、
国債整理基金特別会計法
第二条においては、前
年度
首国債総額
の万分の百十六、ただし三千万円を下らない
——
これは昔でございますが、万分の百十六ということでずっとやってき、それから
昭和
七年以降はこの三分の一というふうにいたしまして、さらにその後
一般会計
の
剰余金
がふえましたのでこの
繰り入れ
を停止し、毎年毎年、御記憶にあるように停止の
法律
を出しておったわけですが、
昭和
三十六
年度
以降は、当分の間ということで、
定率
による
繰り入れ
を停止いたしまして、そして
現状
に至っておるということでございます。 こういう
現行制度
を
前提
といたしまして、これからの
繰り入れ
についてどういうふうに考えていくかということを
あと
に書いてあるわけでございます。
あと
、三一ページ以降、
減債制度
の意義と
効果
につきましては、先ほど私が申し上げましたように、新しく
公債
が出ていくからには、この
減債制度
を確立することによって
国民
の
理解
と
信頼
を得るということがやはり一番の根本のねらいである、いろいろな
議論
はあるけれ
ども
それが一番のねらいであるということをまず言っております。それで、そういうことがねらいでございますけれ
ども
、結果としては、あるいは
財政支出
を平準化する
効果
もあるでございましょうし、また、ある程度の資金の滞留するものによって
国債
の繰り上げ
償還等
を行なうことによって、
一種
の
信用保持
と申しますか、そういう面での
効果
も期待できることを言っておるわけであります。 そこで、
方向
といたしましては、もうよく御存じのように、まず
定率繰り入れ
を
一つ
の柱といたしまして、前
年度
首公債残高
の百分の一・六
——
そこで百分の一・六というのは、
公債
によって出てくる
見合い資産
というものが
効用
を発揮する
期間
、それを四十一
年度
の
発行対象
を
中心
に
検討
いたしますと六十年になったわけでございますが、そういった
見合い資産
が平均的に
効用
を発揮し得る
期間
に
一般税収等
による
一般財源
で返していくということをまず
一つ
の柱とする、そして、さらに
現行法
の第六条によります
一般会計
の
剰余金
の二分の一の
繰り入れ
というものを行なう、そしてなおかつ足らない場合には
予算
によって必要な額を
繰り入れ
る、この三本の扱いを柱といたしまして新しい
公債制度
に対する
減債制度
の基本を組み立てていこう、こういうことでございます。 大体以上が、非常に簡単でございますが、
財政制度審議会
の
報告
の内容でございます。
藤井勝志
3
○
藤井
小
委員長
これにて
説明
は終わりました。 引き続き質疑に入ります。 通告がありますので、これを許します。
横山利秋
君。
横山利秋
4
○
横山
小
委員
この
最初
のところに、十一月
中間報告
をしたと書いてありますが、
財政制度審議会
が付託されておる
案件
というのは、そもそも何ですか。
岩尾一
5
○
岩尾政府委員
現在の
財政制度審議会
は
法律
に基づいてつくっておりますけれ
ども
、実際上の
運用
といたしましては、正式に
大蔵大臣
のほうから諮問をするという形ではなくて、具体的に
審議会
でこういうことを御
審議
いただきたい、そこで、参考としてこういうようなものがございますというふうに御
説明
をいたしまして、そしていま申し上げたようなこういう御
報告
をいただいたという
状況
でございます。
先生
のおっしゃいました点につきましては、現在までは、先ほど申し上げましたように、
減債制度
についてどういうふうに考えたらいいかということが
中心
でございまして、副次的に
財政
の
弾力的執行
のためにはどういう
方途
があるかというこの二点を四十一
年度
においてはいろいろ御相談をした、そして御
報告
をいただいた、こういうことでございます。
横山利秋
6
○
横山
小
委員
さしあたり
弾力的運営
と
減債制度
ですが、
国会
でよく問題になっておる
財政法
の問題ですね。大体、この
財政
の
弾力的運営
というのは、ことばをかえていえば何ですか。
財政法
をうまくごまかして
予算
をつくるということに通ずるわけなんですが、ある
意味
ではそういうことですか。
岩尾一
7
○
岩尾政府委員
財政
の
弾力的運営
と申しますのは、各国におきまして、あるいは
わが国
におきましても、
国民経済
の
情勢
その他がかなり動いております。そういう
状況
において
財政
が持っております長期的な
性格
、質的な
性格
、そういうものとともに毎年毎年の
経済
に対するフィスカルポリシーと言っておりますけれ
ども
、
景気
調整
的な
動き方
もあるわけでありまして、そういう
意味
で全体の
財政
をどういうふうに
運営
していったらいいかという
意味
で、できるだけその点に
弾力
的な
運用
のできるような
方途
はないかということをまず
検討
いたしまして、その結果、それはしかしどうも
財政法
上やれないということになりましたならば、
財政法
をそれではどう変えたらいいだろうかという話になるわけでございまして、
財政法
を適当に扱っていこうということを
議論
しておるわけではございません。
横山利秋
8
○
横山
小
委員
それは
問題提起
のしかたがぼくはおかしいと思うのですよ。
制度
の
審議会
でしょう。
財政制度
の
審議会
が
制度
以前に何とかうまい
抜け道
はないものか、
現行法
のままにもっと
解釈
のしようによっては
弾力的運営
のできる道はないだろうかという
問題提起
のしかたはぼくはおかしいと思うのですが、ぼくの質問しているのが誤解であるならばいいのですが、最近、
財政法
が
国会
で問題になるときには常に
解釈
的問題について新しい
解釈
を
大蔵省
がして、それでもいけるんですよと、そんなかってな
理屈
があるかという問題がわりあい多いのですね。また、ここで
学識経験者
に頼んで
抜け道
をさがしてちょうだいよということじゃないのですか、それは。
岩尾一
9
○
岩尾政府委員
全く逆でございまして、
学者
の方は、こういうことはやれるではないかということをおっしゃるわけですが、われわれは、いや、それは
財政法
上こういうことはできませんということでお
断わり
をしておるのが内情でございます。
横山利秋
10
○
横山
小
委員
それなら、なぜ
弾力的運用
ということを注文するのですか。
弾力的運用
というのはこちらから
検討
してくれといったことですか。
岩尾一
11
○
岩尾政府委員
先ほどお話
をいたしましたように、いわゆる
建設公債
の
発行
は初めてでございます。そこで、
公債
につきましては、
金融面
におきましてもいろいろな点に
関係
があるわけでございますから、そういう
意味
で、
公債
を
中心
とした
弾力
的な
運営
というものの要望が各界から当時あったわけでございます。そういう
意味
で、われわれといたしましては、私らは
財政法
の適正な
運営
からいってこのくらいの限度しかできないというふうに考えるけれ
ども
、そういう御
議論
もございますから、何か
皆さん方
のお知恵があるならばということで聞いたわけでございます。
横山利秋
12
○
横山
小
委員
うまいことを言っておるけれ
ども
、自分で言いたくないものだから
学者
に言わせて、いやいやと言いながらうまいことやろうとしているようなきらいが多分にありますね。それで、
政府
は、
制度
の
審議会
ですから、
国会
で
議論
があるかないかは別としても、今日の
日本経済
というものは非常に
発展
もし変化もあるんだから、この
経済発展
の現象に沿う
財政制度
はいかにあるべきかというオーソドックスな
検討
をなぜしないのですか。
岩尾一
13
○
岩尾政府委員
ちょっと私申しおくれましたが、四十年でございますか、四十年に、まず第一は例の
臨時行政調査会
でございますか、あそこから
予算制度
に対する
答申
をいただいたことがございます。ここで現在の
財政制度
についてもう少し
弾力
的に
運営
できないかという
議論
がいろいろと、たとえば
事業別予算
でございますとか、あるいは
年度区分
でございますとか、そういう面でございました。さらに
平和会議
でございましたか、何かそういったほうからもいろいろと現在の
予算制度
についての御
議論
もございました。そこで、四十
年度
には現在考えられるそういった
皆さん方
の御
意見
も全部網羅いたしまして、こういう点が非常に問題だということで、私らは一応
制度審議会
にすべての項目を出しまして、こういう点は
平和会議
のほうでは
検討
されておる、こういう点を
行政調査会
のほうでは
答申
をいたしておる、そこで、これをどういうふうにお考えいただくかということを全部御
説明
をしたことがございます。そういたしまして、これについていろいろと御
議論
をしていただこうと思っておったのでございますが、ちょうど先ほど申し上げましたような
税収補てん公債
を
発行
するような
事態
に相なりまして、さらには
建設公債
という
事態
になったものでございますから、そのほうの
議論
はちょっと中断をいたしまして、先ほど申し上げました
弾力性
のほうは、むしろ
公債発行
に伴って出てくる
財政
の
弾力性
の問題、こういうように限定されてきたという
経過
にございます。
横山利秋
14
○
横山
小
委員
私は、これはずいぶん問題のあることだけれ
ども
、
財政制度審議会
に問題をまともにぶつけて、まともに
審議
してもらうことを望みたいので、そんな
財政
の
弾力的運用
はいかにあるべきかというて
国会
の目をかすめ、うまい新奇な
解釈
を発明し、くふうして、
現行法規
のワク内で
弾力的運用
をはかるということは正攻法の
やり方
じゃないと思います。だから、この間も
沖縄特別委員会
でテレビの
法案
のときに、こういう
解釈
は
財政法違反
の疑いがあると言うたところなんですが、その
やり方
については厳重に注意を喚起したい。 それから二番目に、この
減債制度
ですね。これは一応
公債
についての
減債制度
ですから、この
減債制度
を取り上げようという思想は、何も
一般会計
における
公債
だけではないでしょうね。どうです。思想的には
政保債
やあらゆるものについても同じことが言えるのではないかということです。
岩尾一
15
○
岩尾政府委員
ここで
議論
いたしましたのは、
財政法
第四条によります新しい
建設公債
を
発行
することに伴って必要となる
公債管理
のための
減債制度
だけ
議論
いたしました。
横山利秋
16
○
横山
小
委員
それはわかっております。だから、
政府
の
発行
する
赤字公債
なり
建設公債
だけの
減債制度
が必要であって、ほかの
政保債
や何かはそういうことは要らぬのだとは言えないでしょうね。
岩尾一
17
○
岩尾政府委員
そういうような御
議論
は十分あると思います。
横山利秋
18
○
横山
小
委員
私
ども
も
減債制度
について、その趣旨には同感するところが多いのです。だから、
検討
しこれを実現する際には、当然のことのようにその
議論
が起こると思うのですね。だから、ほかに
公債
を
発行
しておるところも、少なくとも
政府関係機関
、
政府保証債関係
のところはすべてこれにならえといわなければおかしい。これは非常に重大な大きな問題を
企業
的にも呼ぶ問題ですけれ
ども
、そういうことに
政府側
も考えて準備をなさっておるでしょうね。
岩尾一
19
○
岩尾政府委員
一番問題になりますのは、
一つ
は
地方財政
ですね。それからいまおっしゃいましたような三
公社等
の
政府機関
が問題になるかと思います。三
公社等
の
政府機関
につきましては、これは
企業体
でございますから、私らが国として
減債制度
をどういうふうに考えるかというのとは、ちょっとスタンスが違うわけであります。
地方
は、まさにおっしゃるように国と同じような立場でございますから、したがって私らは、国がこういった
意味
で
減債制度
をつくっていくことにならって、
地方
もできるだけ
検討
してもらいたいという
気持ち
を非常に持っております。しかし、
企業体
のほうは
企業体
として
企業
の今後の
成長発展
をはかるためにどういうような
減債制度
がいいのか、いまちょうど国がやっておるままのようなものでいいのか、あるいは、もっと違う
方法
を考えなければならぬのかということは、非常に問題があるところでありまして、各
企業体
においてもその問題は御
議論
をいただいておることと思っております。
横山利秋
20
○
横山
小
委員
しかし、
理屈
はそうですけれ
ども
、そのさいふのひもは、
予算
という
意味
においてあなた方が握っておるんだから、だから、
地方
にしろあるいは
企業体
にしろ、私
ども
も
減債制度
をとることについては賛成してきたのだから、国でやるというならば、おまえのほうは認めぬ、おまえのほうは
水準
をたがえてやるというわけにはまいりますまい。
岩尾一
21
○
岩尾政府委員
いま
横山先生
のおっしゃいましたのは、何といいますか、ちょっと
意味
が強うございまして、私
ども
それほどの権限は持っておりません。たとえば、
企業体
につきましては、
財政
投融資の金でございますとか、あるいは補給金を出すとかいう程度の権限しかございません。したがって、そういう補給金を出し、あるいは
予算
書に載っております
政府機関
につきましては
予算
の
調整
という権限が私
ども
にあるわけでございますが、その面を通じてできるだけ、いまおっしゃったような、たとえば国鉄等につきましても、考えてみますと、あれだけの借金をしてどんどん利子がふえておるわけでございますから、そういう
状況
で今後もいっていいのかという点は、今後も十分
検討
していかなければならぬという
意味
で、そのつど指導はいたしておるわけでございます。
横山利秋
22
○
横山
小
委員
あなたは大臣だと思っておるわけじゃないけれ
ども
、ただ、この
減債制度
を
財政制度審議会
で
審議
する際に、あなたのほうでは資料も出す、
意見
も出すだろうけれ
ども
、そのときに、国だけが焦点になって
議論
されておると、実現性及び影響等について
審議
が見当違いになって困る、そういう
意味
で御注意を喚起する。 その次は、
財政制度審議会
の
財政
の
弾力性
という観点では私は賛成できないんだけれ
ども
、少なくとも
財政制度
を改善するという場合に、
改正
の対象になる
法律
はどんなものが
検討
に値しますか。ずっと列挙してみてください。
小田村四郎
23
○小田村
説明
員
財政制度審議会
の御
検討
の結果、
改正
する
法律
がどのようになるかという御質問でございますが、たとえば、昨年御
報告
をいただきました
減債制度
の
報告
の結果に基づきまして
改正
する
法律
は、ただいま
国会
で御
審議
をいただいておりますところの
国債整理基金特別会計法
の
改正
ということで進んでおるわけでございます。それが、たとえば
財政法
の
改正
ということになりますか、あるいは会計法の
改正
ということになりますか、特別会計法の
改正
ということになるか、あるいはほかの、たとえば物品管理法とか債権管理法というような
法律
もございますから、どのような
法律
が
改正
されるかというのは、やはり御
報告
いただく内容によることでございます。いずれにしても、
財政
、会計に関する
法律
になることが多いと思いますが、その内容いかんによってきまりますので、現段階でいずれになるかということは・・・。
横山利秋
24
○
横山
小
委員
いずれになるかということじゃなくて、
改正
の
検討
の対象になる
法律
はどんなものがあり得るかということです。わかりませんか。
小田村四郎
25
○小田村
説明
員
財政制度
全般に関しまするところの範囲が非常に広うございます。御
承知
のとおり、一番大きな
法律
は
財政法
でございますが、このほかにも会計法、それからこれと関連いたしまして各特別会計法がございます。それからそのほかの各種の
法律
といたしましては、補助金等に係る
予算
の執行の適正化に関する
法律
、いわゆる補助金適正化法と申しておりますが、そういう
法律
、
予算
執行職員等の責任に関する
法律
、そういうものもございます。それから債権管理の問題といたしましては、国の債権の管理等に関する
法律
、こういう
法律
がございます。それから物品管理の面では物品管理法、これは二、三年前に
改正
方を御
審議
いただいたのでございますが、そういう
法律
がございます。それから、
状況
によりましては国有財産法、これも国の財産に関する管理の問題、そういう
法律
もあるかと思います。そのほかに、こまかいと申しますか、いろいろ
法律
はございますが、どれになるかということは今後の問題でございます。
横山利秋
26
○
横山
小
委員
最後に、あなたのほうで
財政制度審議会
に、
先ほどお話
ししたように、外から問題を提起されたことがあるんですが、あなたのほうとして、
財政制度
に関して、部内、部外で
問題提起
をされたものを整理されたものがありますか。ありましたら、次会にでも出してください。
財政制度
に関する
問題点
として今日まで
問題提起
されたこと、内部で問題としておること、あるいは
財政制度審議会
で問題となっておる諸問題。
岩尾一
27
○
岩尾政府委員
現在のところは資料はございませんが、
経過
をずっとたどりまして、
問題点
を整理した上で御提出いたしたいと思います。
横山利秋
28
○
横山
小
委員
以上です。
藤井勝志
29
○
藤井
小
委員長
広瀬
秀吉
君。
広瀬秀吉
30
○
広瀬
(秀)小
委員
私は、ことしの
予算
関係
で、
財政
投融資の問題でありますが、これは
予算
の付属書として参考程度に
国会
に示されたわけです。この問題は、
予算
総額の約半分近い数字が最近では計上されて、これだけ膨大な、しかも
国民
の零細な資金がこの原資になっておるにもかかわらずこの使用が一切
政府
にまかされている。こういう問題こそ、今日
財政
民主主義といいますか、そういう根本原則からいえば
国会
の議決を要するようにしていかなければ、
公債
を抱いた
財政
という形になって、
景気調整機能
とかなんとかいいますけれ
ども
、こういう問題が
政府
のほしいままにやられているというようなことは、日本の
財政制度
全般に対する
一つ
の大きな盲点になっておるのじゃないか、こういうように思うのです。これは当然
国会
の議決事項にすべきではないかという考えを持つわけですけれ
ども
、こういう点について、
財政制度審議会
にこの問題をはかるというようなことは考えておりませんか。
岩尾一
31
○
岩尾政府委員
先生
もおっしゃいますように、最近
財政
投融資のシェアが非常に大きくなりまして、
経済
全体に及ぼす影響も、
一般会計
の
予算
あるいは特別会計の
予算
以上に大きなものを持っておるということは言えるかと思います。 しかし、いま申されました議決対象として
財政
投融資を入れるかどうかということにつきましては、現在の
財政法
の規定によりまして、
国会
で御議決を願うものはどういうものかということはきめられておるわけでございます。したがって、その点を
財政法
上変えて、議決対象に入れるかどうかということになりますと、これは非常に大問題でございますし、なお慎重に
検討
を要さねばならぬと私は思います。しかし、いま
先生
のおっしゃいましたような御趣旨で、
先生方
がよく
検討
していただいて、そうして結論を出していただくという参考のための資料は、これは十分出したいということで、
予算
書におきましても、おそらく議決項目といたしましては項だけでございますから
予算
書の三分の一にも当たらない程度のものでございますが、予定
経費
要求書の形で詳しい御
説明
をいたしております。さらに
予算
の
説明
を出しまして、
財政
投融資も含めてそこで
説明
をいたしておりますし、なお、
状況
に応じていろいろな資料を出して御
審議
の対象にしておる、参考にしておるという
状況
でございますので、
現状
で十分
先生方
に対しましての御要請にはこたえ得ているのではないかと私は考えておりまして、しいて議決の対象に財投を入れるかどうかということについては、
財政法
全体の構成から見ていろいろ問題があるかと思いますので、今後
検討
いたしたいと思います。
広瀬秀吉
32
○
広瀬
(秀)小
委員
国全体の
財政
の問題、さらに
財政
投融資が二兆三千八百億円というような膨大なものになっておりますと、やはり金融の問題などともこれは密接にからむことに当然なりますし、そういうものを総合的に把握をしていかなければならない、そういう段階にきているんじゃないかと思います。単に
公債
政策が導入されたという段階で、これをフィスカルポリシーの唯一の
問題点
だ、これが入って
財政
における
景気調整機能
とかいうようなものの
一つ
のそういう面では
公債
があったほうが機能を発揮しやすいんだというようなことも当然ありますけれ
ども
、その額から見れば、はるかに膨大な、三倍にも四倍にもなるようなそういうものが、
政府
の考え
一つ
で、しかも、その
予算
のいわゆる与党との折衝段階というもので、これがいわゆる圧力団体なんかのために、もう財源はない、しかし財投でそれじゃ色をつけようというようなことでやられるということは、これはフィスカルポリシーそのものを非常にゆがめることにも当然なるわけです。 そういうようなことをいろいろ考えますと、やはり
予算
と同じ程度に
国会
の
審議
に十分さらして、とにかく、それは
先生方
が十分そういうことも考えてやってもらえばそれでも済むんだ、こう言われるのですけれ
ども
、しょせん、何ぼ言ったって、それは
政府
が計画をつくり、つくったものを変えることもできないわけです、議決事項でないのですから。したがって、そういう点では、こまかなこういう
説明
も出ていますけれ
ども
、しかし、こういうものに対する価値判断なり何なりというものに基づいて、あるいは全体の
景気
調整
というようなものの観点から見てもどうにもならない、
国会
ではどうにもならない、そういうものが
予算
規模
の半分近くにも達する、こういう
状況
では、どうも
国民
の意思がそういう面では全く通らない、
政府
の恣意にまかされている。まあ恣意といっても、これは当然パブリックサーバントとしての良識を持ってやられるには違いないのだけれ
ども
、しかし、はたしてそれがほんとうに正しく民意を反映して
運営
されるかというと、そういう面ばかりでもない。不当な圧力に屈するというような面も相当あるし、それからさらに、もうこれ以上ふやしてはならない面に対してもそういうものの資金がふやされていくというような、そういうものもありますので、これはやはり
財政法
を
改正
してでもこの問題はやはり
国会
の
審議
事項、議決事項にしていくようなものにしなければならないのだ、こういう見解を私
ども
強く持つのですけれ
ども
、
検討
されるということですから、いずれまた大臣がお見えになった機会にでもこの問題はさらに
検討
したいと思うわけであります。 それから、
国債
整理基金の問題で、交付
公債
が今度もまた在外財産の問題で千九百二十五億円ですか、著しくふえるわけですね。もうこれに対してはいわゆる
定率繰り入れ
の作用をしない、したがって
剰余金
の二分の一、これはしかし
国債
の減額に充てられるということから
剰余金
は幾らも出ない。その二分の一ということになると幾らでもないだろう。これはそのつど
予算
でやっていかなければならぬわけでありますが、ここにもありますが、交付
公債
の
発行
というものはかなりの数字にのぼると思うのです。これに対して、返し方、こういうことについてはいまどんなふうにお考えですか。これは毎年
予算
で措置をする、こういうことだけですか。
岩尾一
33
○
岩尾政府委員
いわゆる交付
公債
と申しますものは、
財政法
第四条に申しておりますような
一般財源
として入れるために
発行
する
公債
ではないものを交付
公債
と言っておるわけであります。まあ、言ってみれば年金証書のようなものでございますから、そういった
意味
の国の債務証書のようなもので、毎年毎年十年間に一定額ずつ渡していくという債務を国が保証するような証書というのが交付
公債
になるわけでございます。四十
年度
末、四十一
年度
首で大体八百四十二億円程度であったかと思います。この中には、
先生
御記憶にございますもとの引揚者給付金の五百億円でございますとか、あるいは未亡人の特別給付金でございますとか、あるいはその他の農地証券でございますとか、いろいろな交付
公債
が入っているわけであります。それが全部で八百四十二億円ぐらいになっておったかと思います。したがって、この分についてはいま
先生
のおっしゃいますように、もちろん毎年毎年払うものでございますから、
定率
対象にするのもおかしいということで
定率
対象にもいたしておりませんが、いま申しました
定率繰り入れ
の額、あるいは
財政法
六条による
剰余金
の二分の一の額、あるいは
予算
上そのときどきに入れていく額、そういうものを全部含めまして
償還
をしていくことになるわけでございます。一千九百二十五億円という在外の総額、一年にいたしますと百九十二億円になりますが、これが今後ふえていくことになるわけでございますけれ
ども
、一方、いま申しましたようなたくさんの、十幾つかあったと思いますが、そういった
公債
の中には古い
公債
がありまして、十年あるいは五年の期限が来まして落ちていくものもあるわけでございます。そこで、総体としての八百何十億円というものはもちろんふえはいたしますけれ
ども
、そう大きくふえていくわけでない、落ちるものが一方にありますから。その
振りかわり
で見ていくということで、私らは
一般会計
から足りない分は入れていくつもりでございますけれ
ども
、
財政
上の
負担
としては今後そう大きな
負担
になっていくことはないようにいたしたいというつもりで、交付
公債
についてもその額についてどうするかということについて
検討
をやっているようなわけであります。
堀昌雄
34
○堀小
委員
関連して。 いまの交付
公債
というのは、
法律
の基礎はどこですか。
小田村四郎
35
○小田村
説明
員 お答えいたします。 交付
公債
を
発行
いたします場合にはそれぞれ根拠
法律
がございまして、それによって
発行
いたしております。ですから、根拠
法律
と申しますと、たとえば今回の引揚者交付金の問題の場合には、ただいま御
審議
をいただいております引揚者等に対する特別交付金の
法律
、これが根拠法になるわけでございます。なお、
財政法
十五条には「
法律
に基くもの又は
歳出
予算
の金額若しくは継続費の総額の範囲内におけるものの外、国が債務を
負担
する行為をなすには、予め
予算
を以て、
国会
の議決を経なければならない。」とございますので、この十五条の規定との
関係
でいえば「
法律
に基くもの」ということになるわけでございます。
広瀬秀吉
36
○
広瀬
(秀)小
委員
次の問題は
予算
書の出し方の問題ですけれ
ども
、これは
予算
委員会
あたりでもかなり問題になって
議論
もされたと思うのですけれ
ども
、あの
予算
書を見ても、私
ども
、これはどういうことに大体幾ら使われるのだという程度のことがわかるだけで、これはどういう形で積算がされ、そして、たとえば施設をつくるには幾つくらいの施設ができるんだろう、そしてそれはどういう程度の
規模
のものができるんだろうというようなことも全然わからないというような出し方になっておるわけです。したがって、
予算
委員会
の
審議
が、いつも外交問題とか大きな、たとえば
公債
が多いか少ないかというような、これは相当大きな
問題点
であるには違いないのですけれ
ども
、
一つ
一つ
の
予算
が適正であるかどうかというようなことを判断するためにはきわめて不適当な
予算
書になっておると思うのです。これは、最近朝日新聞あたりでもそういう点について
国会
議員にアンケートなんかをとったりしておりまして、
予算
書をどのように活用されて、
予算
書がわかりますかというような端的な質問までされておるのですが、私
ども
これに対して、これはほんとうにわずかしか活用する面がない、ばく然と必要なところをちょこっと見てどのくらいの
予算
だなということがわかる程度だという返事を率直に書いたのですけれ
ども
、こういうようなもので、一国の
予算
なんですから、やはりかなりこまかいところまで積算の基礎や、それから何カ所それをつくるのだということまでつけ加えたような親切な
説明
書というものがないと、具体的な
予算
委員会
でのきわめて地についた、
国民
がほんとうに知りたがっているような面が知られないままに、大づかみの概論的な
議論
ばかりで過ぎてしまう、こういう結果になるだろうと思うのです。ああいう問題に対して、もっと
予算
書のスタイルというようなものを変えて、幾ら膨大になってもいいと思うのです。これはそのときそのときによって必要な部分だけ見ていけばいいのですから、必要な部分を見てもそれがわからないという現在の仕組みですから、しかし、膨大なものであっても、これは全部見るのはなかなかたいへんだとしても、必要だと思うところは、調べようと思うところはきちっと調べられるというような、そういうものにすることは一向にこれは差しつかえない。
予算
書の
経費
がかさんだって、五兆円の
予算
のうちこれは微々たるものでありますから、そういうものについてくふうが必要ではないか。このことは私
ども
非常に痛感をするところなんです。こういう問題等についてはどのように考えておりますか。
岩尾一
37
○
岩尾政府委員
予算
書の形式でございますけれ
ども
、これは
先生
のおっしゃいますように、まことにわかりにくいものであるかと思いますが、われわれが
予算
書を編成いたしますのは、
財政法
に基づきます議決対象としてどういうものを御議決いただくかということを
中心
に
予算
書がずっとこれまでつくられてきたわけでございますが、おっしゃるように、それだけではなかなか内容がわからない。いまの
予算
書は、目的別の分類をいたしまして、その額について御
審議
を願うという形でやっておりますけれ
ども
、いまおっしゃいますように、こういう施設にどのくらいの金がいくのかということも知りたいというようなことにつきましては、なかなかこれだけでは御
理解
がいかないという点もよくわかります。そこで、できるだけそういう点は
財政法
二十八条にいっております参考資料なり、その他私らで考えられるお役に立つ資料をできるだけ出すことによってカバーをしていきたい。最近は予定
経費
要求書以外に、各国明細につきましてもかなり早く
国会
に御提出をするということでやっておりますので、各目明細と予定
経費
要求書と両方ごらんいただいて、なおかついろいろと御疑問がございましたならば、御注意いただければ、それに応じた資料を提出いたしまして、できるだけ御
審議
の便宜をはかりたい、かように考えております。
広瀬秀吉
38
○
広瀬
(秀)小
委員
ですから、そういうことではなしに、そういうことで各目の問題について当然これは要請がいままでも何回かあったというような場合もあるだろうと思うのです。その程度のものは、やはりその部分だけに出すのじゃなくて、やはり
国会
議員全体がわかるように、
予算
というものは、何といっても最大の
国会
における
審議
事項でありますし、特に衆議院がこの
予算
については優先的議決権を持っているというようなことでもありまするので、
予算
というものについての
国会
審議
における重要性というものが憲法でそういうことをすら定めているというような、それだけ重要なものですから、やはりそれにふさわしいもので、少しぐらい膨大になってもいい、こういうような
気持ち
で、そういう事例があるわけですから、そういうものをあらかじめ予想して、ほんとうに親切な出し方というものを全般についてやるべきではないか、こういうふうに思うのです。
岩尾一
39
○
岩尾政府委員
現在、
予算
書の形式につきましても、古くからおられる
先生方
はお気づきになっておられると思いますが、われわれ毎年毎年、できるだけ
予算
書をわかりやすく御
理解
しやすいようにしようということで、
改正
をするつもりでいろいろ
議論
をしておるわけでございます。 たとえば、最近でございますと、
予算
の
説明
で申し上げておる重要
経費
別の分類を
予算
書のほうで索引できるように各
予算
書に項目を打って、番号を打つというようなことをここ三、四年前からやっておりますが、そういったようなくふうもいたしますし、できるだけわかりやすいようにしたいという努力を続けておるわけでございます。各目明細につきましても、これは各省がつくるわけでございますけれ
ども
、できるだけ早くつくらして出すということをやっておりますが、ただ、
経費
の性質上、たとえば単価等がはっきり出てしまうと、実際上の入札その他をやります場合にかえって弊害が起きるというものもございますので、その辺に限界はございますが、そういう限界内であるならばできるだけお出しをしたいということで急がす努力をしております。また、毎年毎年、いまおっしゃいましたような
意味
で、できるだけわかりやすいようにするにはどうしたらいいかということで努力を続けておるわけでございますが、何と申しましても、
予算
ができまして二週間でこれをつくるわけでございます。大体の概算がきまりまして二週間で
予算
書をつくって
国会
に提出するという時間的な制約も非常にございますし、御満足がいただいていないようでございますが、今後もできるだけ努力はいたしたい、かように考えております。
広瀬秀吉
40
○
広瀬
(秀)小
委員
これは何もかも
大蔵省
で統一してやらなくてもいいと思うのです。各省別の
予算
はやはり各省から出さしてもいい、そういうことであってもいいのじゃないか、こういうように思うのですが、どうでしょう。そういう
方法
はやれるでしょうか。
岩尾一
41
○
岩尾政府委員
現在の予定
経費
要求書あるいは各目明細につきましては、これは各省が出しておるという形でございます。
広瀬秀吉
42
○
広瀬
(秀)小
委員
いまのままでは、これはやはりどうしても私
ども
検討
しようといっても、そのつど係官を呼んで、ここはどうなんだああなんだと聞く以外には手がない。こういうようなことではいかにも非能率的だし、これはもうやはり見ればわかる、そういうものにするということは当然のことだろうと思うのです。 そういう点で、ひとつこれは大いに
検討
をして、これはいまだれしもが
国会
議員は考えておることですから、そういう
方向
にいくようにやっていただきたいと思います。 それから、
公債償還
計画の問題ですが、これはまだ何ともわからぬ。というのは、第四条一項ただし書きで
建設公債
を出せるのだ、それに対しては、今度は
償還
計画を
国会
に出すのだということになっておるわけですね。しかも、これはいわゆる公共事業というようなものだから出せるのだ、出資金あるいは貸し付け金だから出せるのだということになっているわけですね。これを受けた形でこの二十八条の
予算
参考書類ですか、これの第四号で
償還
年次表に関する調書
——
これはあくまで調書ですね。
償還
年次表調書ですよ。計画とは
一つ
も書いていないですね。こういう状態になっている。これを受けているのがこの二十八条と
解釈
されているのですか。
岩尾一
43
○
岩尾政府委員
二十八条の参考書類は二十八条の参考書類でございまして、お手元にもしございましたら、今回出しております四か何かに載っておると思いますが、それが
償還
の年次表の調書でございます。それから、いろいろ
議論
の対象になっております
償還
の計画というのは、第四条に基づいて出すものでございまして、二十八条の参考資料ではございません。これは条文をお読みいただきますとおわかりいただけると思いますが、二十八条の書類は、必要に応じて
政府
が参考と思うものを出しなさい、こういう規定でございますが、第四条の
償還
の計画は、そこにありますように、必ず
政府
は
償還
計画を出すということになっておりますから、二十八条の参考書類ではなくて第四条に基づく
償還
の計画表である、こういうことでございます。
広瀬秀吉
44
○
広瀬
(秀)小
委員
これは
国債整理基金特別会計法
が通ってしまっている段階で
議論
するのもどうかと思いますけれ
ども
、しかし、やはり
償還
計画表というものが、いまおっしゃられた点でもきわめて不十分なものである。これは公共事業だ、出資金だ、貸し付け金だということになれば、もっと具体的な
償還
計画というもの
——
償還
の財源をどうするか、
償還
の
方法
をどうするか、
償還
の年次をどういうようにして年次計画にそういうものを当てはめていくかということまでなければいかぬと思うのです。
財政制度審議会
は、これは
大蔵省
でたいへんだたいへんだというものだから、それに合わしてくれたんじゃないかと思うのです。まあその程度のものでいいじゃないかと書いてありますけれ
ども
、これはしかし、やはり
国民
を納得させるものじゃないんじゃないかと思うのです。もう一くふうどうしてもあっていいというように考えるのですが、これは
大蔵大臣
もそういう
方向
が正しいということは認めておられますね。
国会
の速記録を調べてみますと、銘柄別にそういう
償還
計画というものを出していかなければならぬものだ。それが望ましいということは言っているのですよ。そういう見地からどういうようにお考えになりますか。
岩尾一
45
○
岩尾政府委員
これはまた
議論
の蒸し返しになるわけでございますけれ
ども
、実際上、四条で言っております
償還
の計画と申しますのは、いま
先生
のおっしゃいました
一般財源
から、いわゆる税収からですね。いま申します公共事業等を頭に置きますと、公共事業をやることによって、そうしてふえていく、
一般
の税収というものからどういうふうにして返していくか、財源によってどう返していくかという計画を求めておるものではなくて、ほんとうの
償還
の年次というものを求めておるのだというふうにわれわれは解しております。決して
財政制度審議会
にお願いをしてそういうふうにやってもらったというわけではございません。 これは、
一つ
には従来から、たとえば各公社法あるいは特別会計法等に、同じように借り入れ金とかあるいは
公債
を
発行
いたしました場合に
償還
計画を出せという規定がございます。その規定に従って従来出しております
償還
の計画も、いま申しましたように
償還
年次、実際に
償還
をするのはいつかという
やり方
で計画をつくっております。 そういう
経過
もございますし、それから実際上、
先生
のおっしゃいますような、いつ
一般財源
で返すのか
——
公債
に借りかえはつきものでございますから、したがって、ある程度
償還
期限がまいりますと一応全部返すわけでございますが、返した
あと
、なおその
償還財源
を獲得するために新しい
起債
を行なう、これは借りかえでございますが、そういう借りかえを行ないましたものがどれくらいの借りかえ額になり、あるいは、将来それがまた次のその
償還
期にどれくらい借りかえされるのかということは全くわからないことでございますので、こういうものについてはっきりした計数を出していくということは実際上不可能だと思います。そういう
意味
でも、どうもあの
償還
の計画というのは、
一般財源
からの
償還
計画を出せという御要求ではないのではないかというふうにわれわれは解しておりまして、ここ一、二年
先生方
に御
審議
を願っておるわけでございます。 したがいまして、具体的にはそういう一本一本について
一般財源
からどう返していくのかということをお示しすることは不可能であり、かつ、従来の例から申しましても、
償還
計画はいわゆる
償還
の年次を示すものでいいのであって、あれは非常に簡単だということで、ばかにしておるじゃないかという御
意見
もございますが、将来いろいろ銘柄の違ったものが出てくるということになりますと、その辺もかなり複雑なものになってまいると思いますし、まあまあの計画でいいのではないかと思います。 ただ、あの計画表に対しまして、
あと
で備考に、
先生方
の御疑問もございますので、具体的にどういう
方法
で返すのかということについては、先ほど申しましたように、あるいは第六条によります
繰り入れ
、あるいは
一般会計
からの
予算
繰り入れ
、あるいは今回御
審議
をいただきました
定率繰り入れ
というような金がさらに入っていくし、また、実際上はいま申しましたような借りかえもあるし、あるいはまた、逆に買い上げ
償還
、繰り上げ
償還
もあるということでいろいろ
方途
はあるけれ
ども
、実際に
起債
に対する
償還
期というのはこういう時期でございますというのをお示しすることによって御期待に沿えるのではないかということで、一貫した
考え方
でわれわれは考えておるわけであります。
広瀬秀吉
46
○
広瀬
(秀)小
委員
それから、この借りかえは、これは当然予定されることだし、それも当然のことだろうと思うのですけれ
ども
、それじゃ借りかえた
公債
はどうやって返済していくのかというようなことについてはまだ何にも
方途
が示されないわけですね。こういう点でも、やはり返済
制度
についても、どうもわからぬ、納得がいかない面も出てくる、こういうような借りかえのものについても、
定率繰り入れ
の対象にするならするというような形のものがやはり出てこないと、日銀引き受けでどんどんやっていくわけですから、借りかえはやれるのですから、それだけやはり心配も残るのです。ここらのところはどういうことになりますか。これは
定率繰り入れ
の返済の対象になりますか。
岩尾一
47
○
岩尾政府委員
もちろん借りかえたものも
定率繰り入れ
の対象になるわけでございますが、いま
先生
のおっしゃいましたように、具体的に
償還
期がまいりまして借りかえというのは、そのときの金融
情勢
、
経済情勢
に応じて、まあ個人分につきましては全部これは
償還
いたしますが、
あと
、金融機関の持っておるものについてどれだけ借りかえていくか、あるいは金融機関の中には、どうしてもわしのほうは借りかえはいやだ、
起債
はいやだ
——
現在非常に預金が少のうございますからいやだというものもあるかもわかりません。したがって、
現実
にその
事態
になってどれくらい
償還
のための
起債
が行なわれるかということは全く予測をしがたいわけでございます。そういう
意味
で、われわれはいまの借りかえについて
償還
計画をお示しすることは不可能であるというふうにいま考えるわけです。 それから、
先生
、日銀引き受けということをちょっとおっしゃいましたけれ
ども
、これは先般の平林議員の御質問にさような御趣旨があったかと思いますが、これはちょうどその前段階で理財局のほうから、ここ四、五年の間の
減債
の
国債
額についてどういう借りかえをやってきたか、あるいは今後の四、五年どうやるかという場合に、現存しておりますものは全部日銀が持っております
公債
であったわけです。これは、御
承知
のように戦前にはそういった日銀引き受けの
公債
を
発行
しておったわけでございますから、いまあるのはそういうものでございますけれ
ども
、この新しい
建設公債
あるいは
赤字補てん公債
が出てまいります四十七年からは、少なくとも日銀引き受けの
公債
は少しもないわけでございます。全部市中金融機関が持っておる市中消化の
公債
だけになるわけでございます。もちろんこの場合にも、あるいは買いオペ、売りオペ等の
関係
から一部日銀に残っておるものがあるかもわかりませんけれ
ども
、大半は金融機関の持っておるものになる、そういたしますと、その金融機関の持っておる
公債額
についてどの程度現金
償還
をやるのか、あるいはどの程度また新しい
起債
によって
償還
をしていくのかということは、全くそのときの
情勢
によるものでございますので、これはどうも予測しがたい、したがって
償還
計画というものもなかなか立てにくいということでございますが、全体としての
国債
について、そういった借りかえを
前提
としてどれくらいで返していくつもりだという御質問に対しましては、先般御
審議
をいただいた
国債整理基金特別会計法
の一部
改正
による
定率繰り入れ
によりまして、これはわれわれは
建設公債
を
発行
いたしましたその
発行対象
となったいろんな道路、港湾その他の
効用
発揮
期間
の間に返そうじゃないかという主張から、大体六十年の間には全部返すのだということでこの
繰り入れ
額を決定した、こういう次第でございます。
広瀬秀吉
48
○
広瀬
(秀)小
委員
大体
昭和
四十
年度
の例の
赤字補てん公債
、これは市中銀行消化が千百億円ぐらいあった。そのうちの六割程度はいま日銀の手持ちになっていますということは、
国債
課のほうで私調べたらそういう御返事がきた。だから、少なくとも四十
年度
発行
の例の二千億円のうち六、七百億円は日銀の手持ちになっている、こういう
状況
もあるわけですね。これがまた今後の金融事情や
景気
の問題とも関連して、今度は四十一年
発行
のものも、もうすでに一年
経過
しているから日銀で買いオペの対象にもなるというようなことになりますと、これもまたかなりふえていくのじゃないか。こういうようなことで、日銀手持ちというものが
昭和
四十八年までにはかなりふえていくのじゃないか。それはもちろんこれからの
景気
の動向、金融
情勢
、そういうようなものとも密接にからんで、その間に売りオペもあるだろうし、いろんな操作もあるでしょうけれ
ども
、いまよりはかなりの累増がやっぱりあるのじゃないかと思うのです。その場合、やはり常にこの借りかえはそういうところに安易にやれるわけですから、そういう問題についても、資料的にも日銀がどのくらい
公債
を手持ちしているかというようなことなんかも、これはときどきは何らかの形で発表しておくという配慮も
——
そういう
制度
が特別会計の
予算
総則の五条あたりでやれることになっているわけですから、そういう場合には、やはりそういう
制度
がある以上それは可能なんだという形で、そういうものに対する認識を
国会
筋にもはっきりさせておくというような努力は当然なされていないといかぬと思うのです。そういうものはやはりそのつどそのつどいまどうだと言う前に、そういう知らせる
方法
というものも考えておくべきじゃないか、こういうように思うのです。 それからもう
一つ
は、これもたいへん
財政
問題についてのしろうと的な発想かもしれないけれ
ども
、決算書が
国会
に出てくる場合、前々
年度
のものが出てくる、こういうことになると、どうもピンぼけしてしまって、決算に対する審査というものが適切にいかない。健全な
予算
を編成していこうという立場からいって、決算を非常に参考にしていく、前
年度
決算
状況
というものを次
年度
予算
にかなり強く反映をしていくということは大事なことだと思うのですね。ところが、前々
年度
になると、こういう流動の時代にはかなり条件も違ってくるし、非常に問題があると思うのです。大体五月ぐらいには収入
支出
とも締められるわけですね。そういうことですから、少なくとも次
年度
の下半期くらいには決算書というものが提案されるような
状況
にはならぬものかどうか。そういうことになれば、補正
予算
を組む際に、もうすでに前
年度
の決算というものは参考になる、こういうようなこともあろうと思うのですが、そういうような点での改善というものもやはり
財政制度
にとっては必要なことではないか。これは従来どおりひまがかかる、決算したものは、ゆっくり時間をかけてきちんと整理をして、それから出せばいいのだ、これも
一つ
の
議論
かもしれないけれ
ども
、そういうことで伝統的にやってきたけれ
ども
、やはり決算と
予算
との
関係
を密接に関連づけて、前々
年度
の決算だけが対比表として出されるのでは、
予算
と決算の食い違いというものは相当大きいものもありますししますから、そういう点での改善ができないものかどうかということも、これはやはり
財政制度
の問題として
一つ
の大きなポイントじゃないかと思うのです。そういう点で見解はいかがでしょう。
岩尾一
49
○
岩尾政府委員
第一の御質問の、日銀にどの程度の
公債
があるかということについての御質問でございますが、そういうものをなるべく早く知らすようにしたらどうだ、これはちょうど平林議員の御質問の際に堀
先生
からも御指摘がございましたが、結局、現在の
経済情勢
で成長通貨としての通貨の増発をどの程度にするか、そのために買いオペ、売りオペが常時金融
情勢
に応じてどういう形で行なわれるかということにかかってくるわけでございまして、そういう
意味
で、担当ではございませんが、できるだけ現在の金融
情勢
から見まして金融資産がどういうふうにオペレーションの対象になっていくかということをよく御
理解
いただくような手だてを講ずる必要は十分あるのじゃないか。そういう点では、特に
関係
局のほうにその旨を伝えておきたいと思います。 それから決算のお話でございましたが、決算は、現在の
財政法
におきましても、四十条でございますか「内閣は、会計検査院の検査を経た
歳入
歳出
決算を、翌
年度
開会の常会において
国会
に提出」しろということでございます。普通の場合に、会計検査院の検査というのはかなりおくれまして、大体十二月の末ごろにでき上がる、そしてそのあくる年の一月の常会に出されるというのが常例でございます。ただ、出されるのではございますけれ
ども
、決算
委員会
における審査がかなりおくれておりまして、古いのをずっとやっておるものですから、実際に
先生方
のほうで御批判いただく対象として
検討
するのはそれよりさらにおくれていくというようなことになっておるわけでございます。われわれのほうの決算自体の締めは七月三十一日に全部締めることになっております。その結果、ある程度の決算
状況
はできておるわけでございますので、それに対する会計検査院の検査を了していきますとその年の十二月の末ごろまでかかる、そして、それを了した上であわせて出していく、こういう形になるかと思います。できるだけ早くやりたいとは思っております。
藤井勝志
50
○
藤井
小
委員長
堀
昌雄
君。
堀昌雄
51
○堀小
委員
財政制度審議会
の
報告
の前書きのところに少しく
問題点
があるように思うのです。 その
問題点
の
一つ
は、さっきちょっと
横山
委員
が触れました問題について二ページで「なお、上述のように
経済情勢
に対応する
予算
の
弾力的執行
は、
現行法
制上も不可能ではないが、
景気
調整
に対する
財政
の役割は今後ますます増大するものと考えられるので、
財政
の
景気調整機能
を強化する
方向
で
財政
関係
法規の
改正
を
検討
することが望ましい。」と、こう
問題提起
がされているわけですね。そこでこの
財政
関係
法規ということは
財政法
を含めての問題になろうかと思うのですが、現在の
財政法
の十四条の二、十四条の三、十五条と、すでに継続費、繰り越し明許費及び国庫債務
負担
行為、この三項によって、
財政法
というものは、本来単
年度
主義といいますか、そういうものが非常にリジッドであったものがだんだん
弾力
的にできるようにこういう条項が設けられてきておる経緯から見ると、私がちょっと伺いたいのは、これ以外にまだ
弾力
的にする
方法
というのは一体何だろうか。すでに継続費、繰り越し明許費、国庫債務
負担
行為と、この三つを使い分けたらかなり
弾力
的になる。それが「
現行法
制上も不可能ではないが、」と書いてあるところでしょう。どうも私はこの感触は、
財政制度審議会
の
委員
が、さっきあなたもちょっと触れられたわけですが、大いに
弾力
的にやれと言っておられるが、われわれは少しディフェンスしている、こういう話のようですが、そういう形は、
委員
構成に少し問題があるのじゃないか。いまのあなたの
意見
がそのとおりに主張されておるなら、できるだけ
財政法
というようなものは動かさない。これは憲法みたいなものですから、
財政法
がしょっちゅう動くようなことでは
——
いまの交付
公債
の問題でも、もとをたどればこの
財政法
が基本法としてある。そういう
意味
で私は、こういうような
意見
がここにはっきり出ておることは、その
委員
の一人一人の問題を言うわけではありませんけれ
ども
、それがこういう形で集約されるというのは、ここへ集まっておられる方は、現在の
財政法
は変えるべきだという発想を持っておられる方が少し多過ぎるのじゃないか、そういう感じもするのです。 そこでこれ以上に、いまの十四条の二、十四条の三、十五条以外に一体何を求められたのか。われわれはこまかい
審議
経過
の中身をもらっていないのでよくわからないのですが、その点を少し
説明
してください。
岩尾一
52
○
岩尾政府委員
ただいま御指摘になりました十四条から十五条に至るものは、
財政
の
弾力性
といたしまして、ある年だけに単
年度
主義でやるものではなくて、将来にわたってやれるようなものを継続費とかあるいは国庫債務
負担
行為、そういうものを考えておるわけであります。
財政
の
弾力性
と申します場合には、もちろん現在ある
予算
をもっと大きく使っていくという
弾力
もございますし、現在ある
予算
を少なく執行していくという
弾力
もあるわけでございます。その両面から考えてみます場合に、
景気
の
情勢
に応じて、
予算
をある場合には執行をしない、御議決いただいた
予算
を押えていくという必要があるときもあるのではないか。これは現在、たとえば支払い計画あるいは
支出
負担
行為計画等によって各省と
調整
はいたしますけれ
ども
、しかし、御議決をいただいた
予算
をその金額の範囲内でとめるならばとめてもかまわない、こういうことにはなっていないわけです。それはちゃんと御議決いただいたわけでございますから、その項の金額については全体としてそれを使うというたてまえでいかなくてはいけない、この点に
政府
としてフリーハンドをいまの
財政法
は持っておらぬ、こういう点がございます。 それから実際上の
弾力性
で、翌
年度
までといいますか、そのときにもっとたくさん出したいという場合には、
現状
許されておりますのは予備費でありますが、あるいは補正
予算
というようなことにもなりますので、そういう点でももう少しフリーハンドを持ってもいいのじゃないかというような御
意見
もございます。
委員
の方には、決していま申し上げたような
意味
で不適当な方はございませんで、皆さんごりっぱな方でございますので、私らも現在の
財政法
は順守していきたいという
気持ち
でございますが、いま申しましたような、
景気
に応じて非常に楽に動ける、たとえば、
外国等
におきましては
景気
調整
として一番大きな力を持ちますのは税でございます。この税につきましては、
わが国
は特に全部法定主義でやっておりますのでこれは身動きがつかない、こういう点をできるだけやったらどうかという
意味
で今度御議決いただきましたけれ
ども
、ああいう金利等につきましては、新しく
政府
に
調整
権があるというふうな形にしたらどうかというような御
意見
も、実はこの
答申
に従ってわれわれは
検討
した次第でございます。
堀昌雄
53
○堀小
委員
私は、ふやすほうの問題は、いまあなたの触れられたように補正
予算
という問題があるわけですし、最近、私昨年からずっと調べてみると、皆さんのほうは、財源があるときには、かなり予測しにくい項目については、たとえば災害費でも相当積んでおられるわけですから
弾力
があるようになっていると思うのです。災害のようなものは、もし起きなければそれは繰り越すことになるだろうと思いますが、場合によっては、それは完全に残ってしまうものもあるかもしれません。問題は、フィスカルポリシーという問題の中で、日本の場合に一番重要なのは逆のほうですね。常に
財政
が前へ出過ぎていて、しぼるほうには、私は、いまのあなたの
意見
の中でこれはちょっと考えていい問題があると思うのですね。というのは、これからは、これまでみたいに金融でぎゅっと締めてブレーキをかけるということはできなくなってきたわけですね。
国債
を出している
関係
では金融サイドで締めるということは非常にむずかしくなってきている。そうなると、どうしても
財政
自体でかなりいくのをしぼらなければならぬ。私は、この問題はすでに本年じゅう、この
年度
内に考えなければならぬ問題として後半に出てくるだろうと思う。現在
政府
は実質成長率は大体九%という見通しできているのだが、それがこの調子でいけば一三%くらい、実質一三%を少しこえるのではないかと私はいま見ているわけです。それでは一体後半は金融で締められるか、こうなると、なかなかいまの状態は金融では締まらない。というのは、内部留保が非常に多くなっているわけですから、自己資金でかなりのものが前へ進むようになっている。
民間
の設備投資に対する金融のコントロールはいま非常に弱まっている。そうなると、当然にまず
投資的経費
をかなりしぼるという問題を考えなければならぬ。これはしかし、場合によっては、いまの継続費その他のような、お話のように後に延ばし得るようなものがほとんどではないか。だから、各省庁の消費的
経費
のところをどうやるかというのは、この前一割節約なんというような問題が
予算
執行上の問題で一時ありましたね。だから、いわゆるフィスカルポリシーのほうのふくらますほうは補正
予算
を組む、場合によっては、この間やったようなかっこうで処置ができる余地は私はあると思うのですが、ブレーキをかけるのが、増税というやつは
国会
の開会中でなければそう簡単にできるわけでもないしするから、この点は問題があると思うのですが、これをもしやるとすれば、これはどういう形でやることになりますか。
岩尾一
54
○
岩尾政府委員
現在の執行面で継続費のほうはやりやすいではないかというお話でございますが、これは継続費と御議決をいただいておるとともに、
歳出
に計上いたしております。
歳出
としても制約があるわけでございます。そこで実際上、お話のありました、たとえば一昨昨年ですか、ちょうど不況になるときに一割削減、こう申されましたけれ
ども
、これは削減ではございませんで、そのとき考えましたのは、
支出
負担
行為計画といたしまして、各省が実際にその
年度
に執行していく計画を
大蔵省
がきめるわけでございますが、それはさしあたり前半にやる仕事をなるべくやらないように、後半に持ち越すような形にしなさいということにしておいて、そうしてだんだん悪くなりましたために、秋には補正
予算
をお願いして、実際にそれを断ち切るということでございまして、もし補正
予算
を行ないませんと、
年度
の上半期にはなるべくやらないで下半期にはやる、こう持っていきますと、補正
予算
等で切らない限りは少なくとも計画としては下半期まである、その結果、繰り越しになることはありましても、実質的にそれをこの年は使っちゃいかぬぞということはわれわれにはできないわけでございます。そこに制約があるわけです。それをやるためには、いま申しましたように、
現実
に十一月に補正
予算
を組んで、少ない額の
予算
を御議決いただくという手順を踏まないとできにくい、そういう点を
財政法
、あるいはこれに伴います予決令その他においていろいろ規定があるわけでございます。そういうもので、一連の法規に対してある
検討
を加えていく必要があるんじゃないかということを、この
財政法
の
弾力性
という
意味
でおっしゃっておるんだと思います。
堀昌雄
55
○堀小
委員
そこのところでちょっとそれに関連があるのですが、もう少し前へくると、八ページに「最近において
予算
補正が恒例となっている公務員の給与改訂、食糧管理特別会計繰入れ等については、人事院勧告の時期、米価の決定
方法
等の再
検討
を行なう必要がある。」こうあるわけですね。いまの場合は、これはまさにもう秋には補正を組まなければならぬルールになっちゃっているわけですね。同時に、大体
景気
の過熱にコントロールを加える必要が起こる時期というのは、およそ秋が多いですね。これはなぜかというと、
財政支出
がぐっと出始めたところで加速度がついてくるということに私は理由があるだろうと思うのですが、大体秋から年末にかけて締めなければならぬという場合がきわめて多い。だから、その限りでは、いまあなたが言われたように、それをすでに年初に見越しておれば、それを後へずらしておいてあのようなかっこうで補正で切り落とすということは、一ぺんすでにやったことでもあるし、今後それはやり得るんじゃないかと思うのですが、要するに私が言いたいのは、大体フィスカルポリシーという
やり方
は、ふくらすほうにはきわめてストレートにできるが、締めるときにはあまり実は影響力のないものなんです。どちらかというとないものなんですが、それでもなおかつ、日本ではこれまでは金融ばかりにそれをやらせて、片方で金融は締めていて、
財政
はまだふくらんだやつをどんどん出すという、まことにアンバランスな
やり方
をとっている。われわれはここへ山際さんを呼んでいろいろお話を聞いたときも、もう少し
財政
も考えてもらわなければ金融はたまらぬということをここで何回か言われたことがあるわけですね。 われわれはそういう
経験
から見ると、しぼるほうについての
検討
というものはもう少しあってもいいのではないかと思いますが、
現実
にはいまのようなことをやれる道はあるわけですね、やったことがあるわけだから。だから、そこらはもう
一つ
の
問題点
としてあるわけですが、いまの公務員の給与改定、食糧管理特別会計のほうの問題ですが、これも、私はこの前公式に発言したかどうかは別として、これは毎年あることだから、ある程度
予算
に組んだらどうか。私に言わせたら、補正
予算
というのは、
予算
の作成後に起きた事由によって、こうなっておりますね。確かにこれは
予算
決定後に起こる事由なのだけれ
ども
、本来の補正
予算
の目的は、あらかじめ予測のできないものであるべきじゃないかと思うのですね。当初
予算
を組むときに、すでに現在の物価はこれだけ上がりますということを
政府
は
経済
見通しで明らかにしておる限り、あるいは個人消費はこれだけ上がるのだということを明らかにしておる限り、そういう物価や個人消費の伸びから見て、まずニュートラルな立場で考えたとしてもこのくらいはどうしても最低要るのではないかというものが、私は公務員ベースと食管の問題にあると思うのです。ところが、公務員ベースなんかについては一円も組まれていないわけですね。そこでことしの段階、これはあなたに言うことではなくて、今度一ぺん大臣に
委員会
のほうで言わなければならぬのは、ことしは
自然増収
が非常にありそうだ、こうなっている。これは
一般
的な通説ですね。金融界の諸君が、ともかくこういう
情勢
で
民間
と競合するからひとつ
国債
の
発行
についてはスローダウンしてくれ、こういう話を大臣にすると、大臣のほうは、いや、それはスローダウンしたいけれ
ども
、ここでスローダウンして
国債
を減らすほど財源があるのなら、要するに食管の消費者米価をできるだけ押えてそこへつぎ込めとか、公務員べースを五月に繰り上げろとか言われるから、いまそれはできないのだ。どうもわれわれとしては全くおかしな大臣の話し方だと思っているのだが、これは一ぺん
委員会
でとっくりやらなければいかぬと思っておりますけれ
ども
、しかし、そういう
議論
が出るもとは、やっぱり当初
予算
に、ある程度予測をされておるもの、米価だって、物価の上昇なり、個人消費の上がり方なり、いろいろなものから推計すれば今度千九百円幾ら上がったのだけれ
ども
、何も千九百円積むことはない。どっちにしたって千百円か二百円積まなければこれはしかたがない、
あと
幾らになるか、これは
あと
で補正をするかどうかは別としても、ということぐらいになっていないとちょっとおかしいのではないかと思う。特に人事院勧告の給与問題なんかになると、まず財源がありませんという話がしょっちゅう出るのです。私は、それは財源がないのではなくて、払う気がないのだと思っておりますが、あなた方は公務員なのだけれ
ども
、その支払い者側の仕事を担当しているけれ
ども
、受け取るときにはあなた方も公務員として受け取ることになるのだから、またがるわけです。そこを考えてみると、補正
予算
のこちらのほうは、人事院の勧告の時期、米価決定の
方法
を動かせ、こういうことになっている。私は、こっちよりも
財政
のあり方のほうでもうちょっと考えていけば、場合によっては予備費をもう少し積んでいくことによって、この補正
予算
の問題の処理は、何もこういうかっこうでなくてもできるのではないか、これは政策論というよりも技術論としてあり得るのではないかと思うのですが、その点はどういうふうに考えておりますか。
岩尾一
56
○
岩尾政府委員
いま御指摘になりました点は、私らも十分
理解
をしておるつもりでございます。従来から補正
予算
といいますのは
一つ
の慣例のようになっておるのでございまして、この理由は、
一つ
は人事院勧告、
一つ
は米価、
一つ
は災害、この三つだろうと思います。それから
歳入
の見積もり自体にある程度のゆとりがあるという点もあるかと思います。したがって、そういうような点を全部考慮いたしまして、なるべく
予算
で全部統合したいというつもりでやっておりまして、たとえば人事院勧告につきましても、ここ三年来、人事院勧告の時期というものはもう少し
予算
に反映できるような時期にやってもらえないだろうか。と申しますのは、先ほど米価のことをお話しになりましたけれ
ども
、かりに予備費に積むといたしまして、まあそのときの
予算
を組みます場合には、全体の
規模
をなるべく少なく組みたい、そういう
気持ち
がございますから、なかなか予備費には組みにくいわけでございますけれ
ども
、かりにその場合に予備費にある程度のものを組んだといたしますと、今度はその予備費を当てにして、必ずそこまでは生産者米価が上げられるというようなことにもなりかねない、あるいは、人事院勧告といいますか、そういう面も、そういうものを目当てにして人事院の勧告が出されるということにもなりかねない、そこで予備費として持っておく限界というのがあるので、やはりそういうものを見込んで予備費を組むということではこの問題は解決をしない。やはり
予算
作成のときに生産者米価もきめ、人事院による引き上げもきめるという態勢が整いましたならば、われわれといたしましては、いまのような形で補正
予算
というものは考えないでいくということになり得るかと思いますけれ
ども
、どうも従来はこういう慣例になっておるものですからなかなかうまくいきませんで、またことしもそういうことになるかと思いますが、いま申しましたような
意味
で、予備費等に積んでいくということも考えたことはございますが、それよりも、この時期自体を
予算
編成に間に合うようにしていくということに重点を置いて十分
検討
したいと思っております。
堀昌雄
57
○堀小
委員
前文で特にちょっと気のついたことはそういうことなんですが、もう
一つ
、さっきちょっと
横山
委員
も触れたわけですが、私は、今後の日本の金融の問題というものを考える場合には、どうしてもオープンマーケット、公社債市場というものが、これは先進国の例から見てもできなければいかぬと思っているわけです。オープンマーケットができるようになってくると
——
いまはなるほど
国債
を上場していますけれ
ども
、これはお互いが非常に道義的といいますか、愛国心というか、
経済
原則と全く離れた時点の感覚で持っておるわけですよ。だからまああのくらいになるのですがね。私に言わせたら、いまの
情勢
でフリーマーケットにしたら実際は
国債
価格はがさっと下がる、こう思っているのです。しかし、オープンマーケットはやがてどうしてもできなければならぬ。そのためには、ここにも書いてあるように、ここでは、金融の問題で下がる分は別だ、しかし、一時的に下がるときには
減債
基金から買いささえ資金を出してもいいのじゃないか、こう書いてあるのですが、もちろん金融政策という問題よりも、これは
日本経済
全体の問題としてそういうことが起こってくるわけですから、そのときにはオープンマーケットになれば、ここで初めてプライスメカニズムが働いて、
公債発行
が不可能になって出せないという問題が出てきて、非常にいいわけです。しかし同時に、そうはいっても、なおかつそういうときに限って実は財源も要るという問題があるとすれば、ある程度の買いささえをしなければならぬということが起こる。そういうことも含めて、そういうことをここで
公債
でするならば、これはやはり
地方
債なり、さっき
横山
さんが触れた
政府
保証債とか、そういうところも私は同じことになるだろうと思うのです。だからそれは、あまり下がったときに出せないから、それは出さなくていいわけだけれ
ども
、過渡的なそういうへこみが起こったときにこれをやるためには、やはりそういうことに対応する基金というものが
地方
自治体そのものに、
一つ
一つ
が持つ必要はないかもしれないけれ
ども
、
地方
債
減債
基金というようなものがどこかにぽかんとできて、それに対しては、各
地方
自治体は自分たちの債券
発行
に応じて幾らかを積むのだというような問題は、
償還
計画の問題とは別個に将来考えておかなければならぬ問題になってくるのじゃないか、こう思うのですが、ここらについてはどう考えますか。
岩尾一
58
○
岩尾政府委員
全く私も同感だと思います。思いますが、御
承知
のように、普通のプライスメカニズムが働くようなオープンマーケットができました場合におきましても、
公債
あるいは
地方
債というものは、これは国の信用というものを背景にしておるわけでございますから、おのずからその点である程度の差は出てくるのじゃないだろうかと思います。むしろ実際上の金利なりあるいは債券市場の操作というものは、
公債
なり
地方
債を
中心
に動いていくというような形にオープンマーケットはなっていくのじゃないか、そうなるのが正しいというふうに私は考えております。そういう
意味
で、ここにありますような
意味
での買いささえが出ることがあるいはあるかもわかりませんけれ
ども
、そういう
事態
にならないでいくのが普通の状態ではないか、そういうふうに持っていかなくちゃいかぬ、かように考えております。 特に、現在でも
公債
で一番問題なのは
償還
期限でございます。これは
先生
から御指摘もありましたように、非常に短い、七年というような
償還
期限でございます。これは
一般
の市場もできておりませんし、
一般
の社債その他等との比例を考えてきめたわけでございますけれ
ども
、
外国等
の例を見ましても、五十年あるいは百年、あるいはコンソル
公債
のように永久
公債
というようなものもあるわけでございますから、そういう
意味
で、現在の日本の
公債
の
償還
期限というものについてさらに
検討
を加える必要は十分あるというふうに私は考えております。 それから、
地方
につきましては、おっしゃるように、やはり国がこれだけのことをやるわけでございますから、
地方
についても当然そういった態度でやっていただくのが正しいのじゃないか、かように考えております。
堀昌雄
59
○堀小
委員
いまのお話の終わりのほうの問題なんですけれ
ども
、七年になっているもとは、オープンマーケットがないから七年でなければ、要するに主としてこれは金融機関その他が買うのだから長期のものは困る、こういうことなんですよ。永久
公債
なんというものがなぜ出せるかというと、オープンマーケットがあって、いつでも売ったり買ったりできるから永久
公債
を出せるわけですね。だから私は、そういう
意味
では、あなた方だって、七年の
公債
なんか出すから、この間の平林君のあのときの
議論
じゃないけれ
ども
、あなたはいまオペレーションでちょっと入るぐらいだと言われたが、七年先のことはいまちょっとわからないですよね。案外日銀にたまっているかもしれないわけです、それはなぜかというと、都市銀行あたりが、いま預貸率の
関係
で上へ問題が出ているのは、債券勘定だけが非常に彼らは
負担
になっていると思っておるが、今後私は
——
いま金融小
委員会
で金融の展望をやっているわけですが、これから、いろいろな点で金融
情勢
というものは非常に変わってくるですよ。そういうふうに変わってきたときに、はたして彼らが、これからまだまだどんどん出てくるやつを、ずっと、はいさようでございますか、はいさようでございますかで持てるかどうか。ちょうどこの間三菱銀行が、金融債の上積みはお
断わり
というふうに言っているように
——
あれはまだ相手が長期銀行だからお
断わり
と言っているけれ
ども
、背に腹をかえられなくなったら、今度は
国債
お
断わり
、お
断わり
できないならば日銀に質ぐさに持っていくということになる可能性はずいぶんあると思うのですね。私はやはり七年先の
償還
時期には日銀に滞留しているものがあると思います。これはまた七年ぐらい先に
——
あなたは偉くなっちゃって役所にいないかもしれないけれ
ども
、私はまだ七年先にも大蔵
委員
でおるつもりだから、そのときに、さあどうなったかということで、そこらはもう一ぺん詰めて話はできると思うけれ
ども
、そうなると、やっぱりここでちょっと私が言っておきたいことは、
財政法
五条のただし書きで「特別の事由がある場合において、」あるいは十四条の二の継続費について「特に必要がある場合においては、」ということで、継続事業であってもどれでも継続費にできるわけではないので、継続事業のうち「特に必要がある場合においては、」というように十四条の二には入っているわけですね。いろいろなところに、特別の事由とか特に必要とか書いてある。これは日本語というのは、そういうふうに抽象的に書かれると
解釈
の幅は無限に広がり得るような感じがするのですね。そこで私は、やっぱりこういう
財政法
のようなきわめて基本法的なもので特別の事由だとか特に必要があるというものは狭く
解釈
するという原則を、どうしても
財政
当局にはとってもらいたいと思うのですよ。基本法の
解釈
を広げて
解釈
するということは、
財政法
のような基本法としては非常に問題があるから、できるだけ
財政
当局は狭く
解釈
する。そうなると、この間ちょっと私が触れたように、これから七年先からは借りかえが起こるというのは既定の事実で、初めに予測はできるし、毎年起こることは特別の事由でなくなってくるわけですね。おまけに、いまの日本銀行にかなりそれがずっと根っこから積まれてくるような
情勢
になったとしたら。そうすると、やはり単に
予算
総則に書いたから処理ができるというようなことではなくて、やはり何かきちんとした処置をしなければならぬ。いまはまだ七年前だからいいですよ。七年後の
公債
が
償還
する前までには、やはりこの規定に基づいた処置を考える何らかの
方法
が必要なんじゃないか。だから、これまでのものは特別な事由ということで処置ができるとしても、これから
発行
するものはもうわかっている既定の事実ですからね。そういう点は、やはりいまのこともそうだし、要するに特別の事由とか、特に必要というようなことを狭く
解釈
するという原則は少し考えてみたほうがいいんじゃないか、こう思うのですが、その二点をお聞きしたい。
岩尾一
60
○
岩尾政府委員
財政法
にございます特に必要がある場合というのは、私ら
財政
を預かる者といたしましては、
先生方
以上に狭く解する体質になっておるわけでございますので、当然狭く解しておるわけでございます。ただ、御指摘のございました第五条の「但し、特別の事由がある場合において、
国会
の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」こういうふうに書いております。この特別の事由につきましては、この前御答弁いたしましたが、
先生
のおっしゃるように、毎年毎年あるようなものは特別な事由ではないではないかという
意味
ではなくて、この本体の御趣旨を御
理解
いただきますと、第五条では、いわゆる発券銀行たる日本銀行に直接引き受けさせるというのは、すぐインフレにつながるじゃないか、そこでそれはやめなさい、こう言っておるわけです。ところで、借りかえというのはどういうのかと申しますと、
償還
のための
起債
でございます。したがって、財源もふえるわけじゃございませんし、
一般
の債務となるわけでもないということで、
現実
にはそれによって通貨の増発その他が起こるような問題でもない、そういうような特殊な借りかえのような場合におきましては、いま申し上げましたような、しかし
国会
の議決は経なければいけませんけれ
ども
、その金額の範囲内でやることはかまわない、こういう趣旨でございまして、毎年毎年やる借りかえが同じようなものだからこれは特別とは言えないぞ、こういう
意味
ではないと私は解しております。
堀昌雄
61
○堀小
委員
それは角度が違うというと別だけれ
ども
、それはやはり、要するに日本銀行にあるものでも、本来からいえばそれは
償還
されるべきものだから、普通言うならば、かりに私が七年ものの
公債
を持っていて、七年たちました、そうしたら私は当然国へ持っていってお金をもってくるわけですね。だから、日本銀行だって同じことで、当然それは金が入るべきものなのです。言うならば、それは日本銀行としては入るべきものを入らさないわけです。借りかえというものは、新規
発行
したものを新たに買いなさい、相殺してゼロにする、こういうことですね。しかしそれは、私は
制度
上としてあなた方の
考え方
が
——
いま出入りがないというけれ
ども
、やはりルールとしては、日本銀行が持っておる七年ものの
国債
というものは、当然そこでは金になってかわるべき
性格
のものだ、だから、金になってかわるべきものをかえないんだということは、つながっているかっこうでは出入りはない、こういうことになりましょうね。つながっているかっこうでは国が新たに金を出すわけでもないし、どうでもないというけれ
ども
、私はやはりそうじゃないと思うのです。本来入るべきものが入らないんだ、こういう
理解
に立てば、やはりそれはそれだけの分、本来ならば通貨としては増発したことになる、結果としては同じ
効果
を持つのじゃないかと思うのですね。要するにそれは、あなた方は連続して見ようとするから、その断面で縦に切ってみれば、当然七年ものの
国債
は、そこで
償還
期限が来れば国が
財政
資金をもってそれを買い取るわけですから、日本銀行に金が入ってくるわけです。日本銀行の信用は収縮しなければいかぬわけでしょう。収縮させないのだから、相対的に見ればこれはやはり日銀信用がそれだけ膨張したことですよ。だからその点が私はちょっとあなたの
議論
と違うわけだ。もちろん、そこに書いてある趣旨そのものはあなたの言うとおりですよ。しかし、金融サイドの問題として見たら、相対的な面からして信用をそれだけ膨張させる。それはあなたの前段で言われたその目的と同じことになる。要するに、あすこで借り入れ金したりしてはいけないということは、日銀の信用膨張を防ぐということですから、その限りにおいては、論理的には同じことですよ。あなたの論理構成はちょっと納得できない。
岩尾一
62
○
岩尾政府委員
信用膨張の問題というよりは、むしろ日銀が引き受けることによって通貨が増発されていくということに非常に大きな問題があるわけでございます。そこで、
公債
を
発行
して日銀が引き受けて、そして通貨が増発されて、それが市中に流れていくという状態はインフレにつながる道になる、そういう忌まわしい
経験
がございますので、第五条はそういうことはなくしようということでやったわけであります。 いまの借りかえにつきましては、先ほど来御
説明
いたしておりますように、現在の債券を
償還
するためだけの
起債
でありまして、それによって新しい財源ができるわけでもありませんし、ばらまかれるわけでもないという
意味
で、特別の事由というのに該当するのではないかというふうに私
ども
は解しております。
堀昌雄
63
○堀小
委員
だから、それはあなたの理論からいうと、七年の
公債
を永久
公債
と同じようにあなた方は見ているからですよ。永久
公債
なら出入りはないですよ。初めからそれは予測されるわけですからね。資金上の出入りはない。あなたは通貨の膨張と言われるけれ
ども
、通貨の膨張と信用の膨張というのは、金融上としては同じことになるのですよ。本来ならば、日本銀行勘定としては、当然国の
財政
資金勘定のほうから日本銀行に七年目のところで金が入ることが予測されているのだから、当然それだけ収縮するようになっているのでしょう。収縮させないのだから、永久
公債
ならあなたの言うとおりで、それは何というか、そのままいくのだからいいのですが、要するに
公債
というのは
償還
期限があるということ
——
どうもあなた方
財政
当局のその点に対する感覚が非常に何か、七年だって十年だって二十年だって、日本銀行が持っている限りは同じではないか、という考えのようだが、これは違うのですよ。そこはもう少し頭の切りかえをしてもらわぬと困ると私は思うのですね。だから、期限があるということは、期限をもとにして金融の問題というものは起こっているわけだから、その期限がなくなるような借りかえをすれば、七年ものが十四年もの、二十一年ものになったと同じことになるのですね。それはあなたのほうから見たら出し入れがないですよ。しかし、金融サイドから見たら、
現実
には出し入れがあるわけですよ。そういうふうに
理解
をしなければいかぬ問題ではないですか。
岩尾一
64
○
岩尾政府委員
おっしゃるとおりだと思います。しかし、いまおっしゃいますように収縮をするというのはとめる。問題は膨張するということなんです。そこで、もし実際に国が
償還
をやるならば、これは収縮いたします。しかし、やらない場合にも膨張するわけではないという
意味
においてこれは違うわけです。
堀昌雄
65
○堀小
委員
それは膨張と収縮というのは相対的なものですから、いまあなたの言うこの項目に関してだけ見ると何かそんなふうに聞こえるでしょう。日銀全体の勘定から見ると、本来収縮するものがあれば膨張が防げるわけですからね。それを、膨脹が防げる要因に働くものを、あなた方のほうは、その要因をそこへ持っていかないわけですから、それだけ相対的にいえば膨張するのですよ。収縮なら問題ないと言うが、収縮するものを取りはずせばそれだけ膨張するのです。本来やるべきことをやらないのはどうしたって信用膨張です。次長ばかりに聞いてもあれですから、法
規課長
、そこはどうですか。
小田村四郎
66
○小田村
説明
員 日銀といたしましては、
法律
上の問題でございませんのであれでございますが、七年
償還
の満期が来た場合に、かりに現金で
償還
される、
償還
された結果・・・。(堀小
委員
「日銀の信用は収縮しますよ。」と呼ぶ)日銀の信用と申しますか、それだけ通貨が日銀に回収されるわけでございます。その結果、金融
情勢
がどのように働き、それに対して日銀がどのような金融政策をとるかということは、日銀の態度にかかるわけでございます。ところで、それが借りかえということになりますと、通貨が日銀に吸収されませんで、そのまま残るわけであります。そのことがはたして日銀の信用を膨張させることになるかというと、これは決してそういうことにはならないわけです。
堀昌雄
67
○堀小
委員
私は何も金融政策のことを言っているのじゃないですよ。要するに、特別な事由というものの角度において
岩尾
さんが、それは通貨の増発に無
関係
な問題です、こういうふうな答弁が出ているわけです。要するに、日銀に引き受けさせるということは、通貨増発に明らかに
関係
があるけれ
ども
、借りかえというのは通貨増発に無
関係
ですから、別の次元のことですから特別の事由ということにはなりませんというのが
岩尾
さんの答弁の角度ですよ。しかし私は、そうではないんだ、要するに借りかえすべきものを
——
金額が小さいからそんな感じがするかもしれないけれ
ども
、いいですか、一兆円借りかえが起こる時期、二兆円借りかえが起こる時期というのがやがて来るわけです、場合によっては。
国債
がもっとうんと出るような時期を考えてみたとすると、まあ一兆円といいましょうか、借りかえが七年もので一兆円だ。これを当然
政府
が
償還
をすれば、日本銀行は一兆円ともかく通貨が収縮するんですからね。ところが、そのときにいまのほかに信用膨張をするために、たとえば銀行その他からどんどんやっている者に対して貸し出し金か何かやって信用膨張が側面的にある。この二兆円の信用膨張が起ころうとするときに、一兆円それによって収縮するんだから、いまの二兆円の信用膨張はそのことによって一兆円に食いとめられるわけです。だから、いまの信用膨張の問題というのは、片一方に収縮する要素を与えることによってふくらみを減らすことができるんだから、そのふくらみをほっておけば、これは要するに借りかえだといっても二兆円信用膨張になる。これはここであなたどうおっしゃっても
——
ここまでにしますけれ
ども
、これはどう言ったってこのことは日銀の信用に
関係
がある。
関係
があるんなら、その同じルールの上で当然わかっておる特別の事由ということなら何か考えなければならぬ、私はこうなると思っております。だから、
岩尾
さんの言う信用には通貨の増発その他は
関係
がありませんという
問題提起
は、この限りにおいてはおかしい。きょうは時間もありませんから、この論争はこのくらいにしておきます。 これは金融サイドの人間か何か、このことについてそれはどっちだということをやってもらったほうが適切かと思う。日銀がどう言うか、そこも一ぺん聞いておく必要があると思うのですけれ
ども
、本日はこの程度にしておきます。
藤井勝志
68
○
藤井
小
委員長
本日はこれにて散会いたします。 午後一時三十四分散会