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1967-07-14 第55回国会 衆議院 大蔵委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十四日(金曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 原田  憲君 理事 藤井 勝志君    理事 三池  信君 理事 毛利 松平君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君       足立 篤郎君    大村 襄治君       菅  太郎君    小峯 柳多君      小宮山重四郎君    河野 洋平君       砂田 重民君    西岡 武夫君       村上信二郎君    村山 達雄君       山下 元利君    阿部 助哉君       野口 忠夫君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       村山 喜一君    山田 耻目君       永末 英一君    田中 昭二君       広沢 直樹君  出席政府委員         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵省主計局次 武藤謙二郎君         長         大蔵省関税局長 谷川  宏君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         運輸省港湾局長 佐藤  肇君 委員外出席者         法務省刑事局  村上 尚文君         参事官         大蔵省主計局給 津吉 伊定君         与課長         大蔵省関税局企 植松 守雄君         画課長         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 七月十二日  公認会計士特例試験延長等反対に関する請願  (広川シズエ紹介)(第二九三〇号) 同月十三日  公認会計士特例試験延長等反対に関する請願  (田村元紹介)(第三一七二号)  同外一件(辻寛一紹介)(第三三五六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月十三日  国有財産の市町村への無償交付に関する陳情書  (第三  五〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度における旧令による共済組合等  からの年金受給者のための特別措置法等規定  による年金の額の改定に関する法律案内閣提  出第七五号)  昭和四十二年度における公共企業体職員等共済  組合法規定する共済組合支給する年金の額  の改定に関する法律案内閣提出第一〇一号)  国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三六号)  通関業法案内閣提出第一一三号)(参議院送付)  資産評価法の一部を改正する法律案内閣提  出第一一四号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案及び昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合支給する年金の額の改定に関する法律案議題といたします。  両案については、すでに質疑は終了いたしております。
  3. 内田常雄

    内田委員長 この際、両案に対しまして、自由民主党日本社会党民主社会党及び公明党を代表し、藤井勝志君外三十八名より修正案提出されておりますので、提出者趣旨説明を求めます。藤井勝志君。     —————————————
  4. 藤井勝志

    藤井委員 ただいま議題となりました両修正案につきまして、提出者を代表して、提案趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  修正案の案文は、お手元にお配りしてありますので、朗読は省略させていただきます。  御承知のとおり、公務員関係年金制度につきましては、昭和三十一年に公共企業体職員等共済組合法が施行されたのを契機といたしまして、三十四年には国家公務員、さらに三十七年には地方公務員についても恩給共済制度を統合した共済組合方式による新制度へと移行し、自来、今日まで共済組合制度につき幾多の検討改善が加えられてきているところであります。  本年度におきましても、恩給法等改正内容に準じて、既裁定年金額引き上げ等を行なうため、政府より年金改定法案提出されているのでありますが、この際、政府原案を修正して所要の措置を講ずることが適当であると考え、両修正案提出した次第であります。  次に、修正案内容について申し上げます。  まず、昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案に対する修正案内容でありますが、その第一は、退職一時金にかかる男子についての選択期間を延長することであります。すなわち、昭和三十六年通算年金制度の創設に伴いまして、通算退職年金の原資に充てるため、退職一時金について、その一部が控除凍結されることとなりました。その際、受給者期待権を尊重いたしまして、その者の選択により全額支給を希望できる道が講ぜられましたが、男子については、すでに昨年十月三十一日をもって当該選択期限が到来しているのであります。しかしながら、通算年金給付水準現状等を考慮して、その期限昭和四十四年十月三十一日まで、さらに三年間延長するよう必要な規定原案に追加しようとするものであります。また、この際、農林漁業団体職員共済組合法に基づく通算退職年金退職一時金との選択期間についても、同様に措置することといたしております。なお、私立学校教職員共済組合法に基づく通算退職年金退職一時金との選択期間については、同様に措置されることとなります。  第二は、現に増加恩給受給権を有している者に対する取り扱いであります。  今回新法施行の際、増加恩給等を受ける権利を放棄した組合員に対する給付につきましては、公務上の廃疾年金支給できるよう規定を改めることとし、これに伴いまして、現に増加恩給支給権を有している者についても、再び当該受給権を放棄して公務上の廃疾年金支給を受ける機会を設けることといたしております。  しかして、その選択申し出期限は、原案では、この法律の公布の日から六十日以内となっておりますが、増加恩給受給権特殊性等にかんがみ、これを退職の日から六十日を経過する日までに改めることとしようとするものであります。  次に、昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合支給する年金の額の改定に関する法律案に対する修正案内容でありますが、退職一時金にかかる男子についての選択期限を、国家公務員における場合と同様、昭和四十四年十月三十一日まで、なお三年間延長しようとするものであります。  以上が、両修正案の概要であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  5. 内田常雄

    内田委員長 これにて両修正案趣旨説明は終わりました。  両修正案については、質疑申し出もありません。     —————————————
  6. 内田常雄

    内田委員長 これより討論に入るのでありますが、両案並びに両修正案につきましては、討論申し出がありませんので、順次採決いたします。  最初に、昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案及び同案に対する修正案について、採決いたします。  まず、藤井勝志君外三十八名提出修正案について採決いたします。  本修正案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決いたしました。  次いで、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これを可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、修正部分を除く原案は可決し、本案は修正議決いたしました  次に、昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合支給する年金の額の改定に関する法律案及び同案に対する修正案について、採決いたします。  まず、藤井勝志君外三十八名提出修正案について採決いたします。  本修正案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決いたしました。  次いで、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これを可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、修正部分を除く原案は可決し、本案は修正議決いたしました。     —————————————
  11. 内田常雄

    内田委員長 ただいま議決いたしました両案に対し、自由民主党日本社会党民主社会党公明党を代表し、武藤山治君外三十八名より、附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  この際、提出者より趣旨説明を求めます。武藤山治君。
  12. 武藤山治

    武藤(山)委員 ただいま議題となりました附帯決議につきまして、各党を代表して、提案趣旨説明をいたしたいと存じます。  今回附帯決議をつけました理由は、すでに関係当局政府自身質疑応答を通じてよく認識されておることだと思いますが、共済組合法については、年々抜本的改正あるいは部分的な多くの要求項目質疑の中で明らかにしてまいりましたが、大蔵省は、財源の都合その他、共済組合制度の体系上から抜本的なすべての改正をすることができない実情にあるとして、今日附帯決議を付して今後の検討にまつという態度を院は決定せざるを得ないという情勢でございますので、各党話し合いの結果、次に申し上げる、お手元に配付された七点についての附帯決議を付することにいたしたわけであります。  その第一は、「公的年金スライド制についての調整規定運用については、すみやかに、統一的な責任官庁を定め、関係機関との調整をはかりつつ、実効ある具体的措置を講ずるよう、四十三年度を目途として検討すること。」かような決議をいたしたいのであります。  その理由は、一企業に二十年間、人生の三分の二に匹敵するほど長い間つとめた方々に対し、老後の生活資金となるべきものは年金でありますから、当然、生活資金になり得る額を支給しなければなりません。しかるに、最近の日本経済は、諸物価の引き上がり、特に昭和三十五年以降の物価騰貴は顕著なるものがあり、十年前に退職した者は、その当時は一時的にせよ、生活資金の一部となっていた年金が、今日では人間らしい生活もできない年金となっている状態であります。このことにかんがみ、第五十一国会では、この点を考慮して、国民生活水準国家公務員給与物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案し、すみやかに改定措置を講ずるものとするとの調整規定法律が定められたわけであります。せっかくこの法律が制定されても、いまだ具体的なこの調整内容についての討議が行なわれず、今国会においても法律改正の手続がなされなかったことは、まことに残念に思う次第です。そこでわれわれは、政府におかれては、昭和四十三年度を目途として、個々ばらばらの今日の年金制度あり方を、統一された官庁において責任ある検討をなされるべきであるということを強く要望して、第一の附帯決議と相なった次第であります。したがって、政府は、すみやかにこの附帯決議趣旨に沿った措置をとられるように、強く期待をいたしている次第です。  第二の「共済組合給付に要する費用公的負担については、他の社会保険制度との均衡を考慮してその改善に努めること。」この点につきましては、昨年の五十一通常国会において附帯決議が付され「組合財政健全化及び組合員負担が過重にならぬよう速やかに国庫負担制度についても検討すること。」という決議がなされているのであります。現在の短期給付においても、医療費高騰によって、使用者並びに組合員負担部分というものは急速に増高の傾向をたどっているわけであります。しかし、これらの高騰の要因は、政府経済政策の結果の問題と同時に、医療技術の進歩という二つの面を持っておるとは思いますが、これらの掛け金の上昇に対しましては、使用者並びに国、本人、三者によって負担さるべきが当然であるという精神から、昨年の国会、今年の国会を通じて強く政府に要望され、議論をされたところであります。したがって、この附帯決議の第二の精神をすみやかに実現するために、社会保険制度全般十分検討の上、これらの趣旨が早く生かされるように、強く期待をいたしたいのであります。  第三の点は「組合員退職一定期間内に発病した場合における療養給付について、他の医療保険制度との関連を考慮しつつ、四十二年度中に検討すること。」この問題は、継続療養の場合には最高五年間まで給付が認められるのでありますが、退職をした者が一年後あるいは半年後に発病した場合には、全く共済適用がないという実情であります。われわれは、聞くところによると、五十五歳あるいは六十歳になって退職をし、発病する者はほとんど退職後二、三年の期間中で、この間の発病者が圧倒的に多いということを聞いているのであります。これらの者は、二十年以上共済掛け金をかけ、共済組合適用を受けたのが、退職をして間もなく発病をしたために、何らその保障措置がなく国民保険に移行するということは、長い間の掛け金をかけてきた人たち立場を考慮するときに、運営をいささか改善する必要があることを痛感するわけであります。したがって、退職一定期間政府が十分に検討された期間でけっこうでありますから、これらの実態医療給付対象になれるような検討をすみやかにしていただきたいという趣旨であります。  第四の「外国政府外国特殊法人最短年金年限をこえる職員期間通算については、恩給に関する措置にしたがい措置すること。」この点につきましては、私ども恩給局長とも十分話し合いをいたしてみましたが、恩給局では、共済組合適用者が圧倒的に多いのであるから、共済が独自にこれらの改善をすべきであるという意見の開陳があり、また、大蔵当局に尋ねますと、これはシステムの上から恩給改善して、しかる後に共済改善に波及するのが至当であるという、まさにボールの投げ合いが行なわれている状態であります。したがって、われわれは、これらの問題についても、日満日、日満の場合には通算がなされ、満目の場合には通算がなされないということではまことに不公平であると思うのであります。  いまや、在外財産の補償をめぐって、もはや戦後処理は終了するという段階でありますから、これらの満州におった特殊法人に勤務した諸君も、当然戦後処理として処理してしかるべきではなかろうか、かような考え方に立つ決議案でありますので、どうか、四点についてもすみやかなる措置をされるように期待をいたすものであります。  第五の「掛金および給付額算定基礎となる俸給最高限度額は、長期にわたり据えおかれているので、公務員給与実態を考慮し、すみやかに再検討すること。」という項目につきましては、地方行政委員会附帯決議にならった決議でありますので、特に多いのは、公社、公団あるいは地方自治体等にこの該当する者が多いと思いますが、国家公務員、三公社現業関係におかれましても、これらの実態を十分把握し——もちろん給付関係にこれがはね返る点がありますので、そう無制限的な引き上げは不可能かと思いますが、それらの点は組合財源を十分勘案して、すみやかに適切なる措置を講ぜられるべきであると考えるのであります。  第六の「遺族給付を受ける遺族範囲は、主として組合員収入により生計を維持していた者に限定されているが、その取扱いにつき、実情に即した運用が行なわれるよう検討すること。」と付したのであります。この点は、国家公務員共済組合法第二条第三項の適用範囲を拡大し、支給をしていただきたいという趣旨であります。  御承知のように、現在、組合員が死亡した場合、その組合員生計を一にし、生計を維持していた同居の配偶者、父母、孫、祖父母に限られております。したがって、たとえ子や配偶者がいても、それが組合員収入によって生計を維持していなかったとすれば、給付対象にならないという実情にあります。組合員立場からいうならば、せっかく二十年間掛け金をかけ、組合員として十分その義務を果たしてきたのであるから、一人の遺族はだれかしら受け取れるようにすべきではなかろうか、一時金をその際受け取る者が同一生計内にいない場合でも、一人の受け取り人はあってしかるべきではないか、こういう強い不満と要求がいままでなされてきたわけであります。本員はこれらの実情を考え、すみやかに政府実情に即した運用をなすべきであると思いますので、これらの点についても、強く、すみやかなる検討期待する次第であります。  第七に「旧令共済組合員期間を有する者に関する特例老齢年金については、年金制度通算改善を図る際、検討すること。」これはなかなかむずかしい問題のようにわれわれは受け取ったのでありますが、今日の通算法によりますと、旧令共済新法、あるいは恩給厚生年金、これらの期間がかりに五年ずつあったといたしますならば、それらの年数に応じた年金額が別々の窓口から支給されているという通算法そのものにも多くの不備と欠陥を見出さざるを得ません。これらの問題は早急に改善をされてしかるべきであると思いますし、厚生省自身、その矛盾をわれわれの前に明らかにいたしたのであります。私たちは、これらの矛盾を解決する際には、ぜひとも特例老齢年金についての通算改善に関し、その際十分効果的な改正をすべきであるという趣旨を強く訴えてまいったのであります。そういう趣旨でございまするから、政府はすみやかにこれらの問題についても、厚生省との打ち合わせ、検討を進めていただきたいと存じます。  以上、七点に及ぶ膨大な附帯決議案でありますが、大蔵省におかれましては、本院における各委員質疑応答を通じて、皆さんも委員の意のあるところは那辺にあるかということを十分承知のはずでございまするから、誠意を持って、すみやかにこれらの附帯決議が実践されることを心からお願い申し上げまして、附帯決議についての提案趣旨説明にかえる次第であります。     —————————————   〔参照〕    昭和四十二年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律案及び昭和四十二年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合支給する年金の額の改定に関する法律案に関する附帯決議(案) 一、公的年金スライド制についての調整規定運用については、すみやかに、統一的な責任官庁を定め、関係機関との調整をはかりつつ、実効ある具体的措置を講ずるよう、四十三年度を目途として検討すること。 二、共済組合給付に要する費用公的負担については、他の社会保険制度との均衡を考慮してその改善に努めること。 三、組合員退職一定期間内に発病した場合における療養給付について、他の医療保険制度との関連を考慮しつつ、四十二年度中に検討すること。 四、外国政府外国特殊法人最短年金年限をこえる職員期間通算については、恩給に関する措置にしたがい措置すること。 五、掛金および給付額算定基礎となる俸給最高限度額は、長期にわたり据えおかれているので、公務員給与実態を考慮し、すみやかに再検討すること。 六、遺族給付を受ける遺族範囲は、主として組合員収入により生計を維持していた者に限定されているが、その取扱いにつき、実情に即した運用が行なわれるよう検討すること。 七、旧令共済組合員期間を有する者に関する特例老齢年金については、年金制度通算改善を図る際、検討すること。     —————————————
  13. 内田常雄

    内田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  おはかりいたします。  本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。大蔵政務次官小沢辰男君。
  15. 小沢辰男

    小沢政府委員 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしまして、誠意を持って検討してまいります。
  16. 内田常雄

    内田委員長 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  18. 内田常雄

    内田委員長 国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案通関業法案及び資産評価法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。村山喜一君。
  19. 村山喜一

    村山(喜)委員 通関業法案は、参議院先議でございまして、参議院におきましてだいぶ論議を深めておる議事録を見ました。そこで、重要な点だけを私は質疑を行なってまいりたいと思うのでございます。  議事録によりますと、いま通関業者免許を受けておりますものが八百四十二にのぼっているようであります。その中身は、ほとんどが兼業であるという実態のように承るのでありますが、その兼業の七割が港湾運送業者であり、三割が運送業者であり、また倉庫業者である、こういう実態から考えてまいりますと、ここに、通関業という業務だけを独立して業務内容としてやるということについては、独立採算の上から見て事実上できないのではないかという気がするのであります。  そこで、これは従来から慣行としてそういうような兼業形態というものが生まれているものだと思うのでありますが、しからば、その港湾運送事業に携わっているものの状態がどういうふうになっているのかという問題をあわせて考えなければならないかと思うのでございます。そのような意味において、いま港湾運送事業法によりまして、縦横のいわゆる集約化がなされておるわけであります。そういう中におきまして、一つ合理化体制のもとに企業整備が行なわれておる状態がございます。そうなってまいりますと、先ほど申し上げましたように、兼業の七割が港湾運送事業に従事するものであるということになっておりますと、こちらの面におけるところの合理化がある、そしてまた、今度通関業法の新しい抜本的な法律案が出されてまいりまするが、その中におきましても、やはり一つ整備といいますか、そういうようなものも近代的なものにするのだという含みがあろうかと思います。  そうなってまいりました場合に、一番大きな問題は、いま乱立をしているように思われますいわゆるそれらの兼業業者諸君業務内容というものが今後どういうふうに変転をしていくのかという見通しと同時に、それらのもとにおいて働いておりまする労働者諸君が、将来このような法律改正がありました際において問題はないのかどうか、ここに私は第一の非常に注目しなければならない問題点があるのではなかろうかと思います。  そのような意味において、いま免許業者八百四十二といわれているこれらのものが、兼業でなければ食っていけないのかどうか、そしてまた、そういうような兼業という事態が正しいと認識されているかどうか、そしてまた、これを一つの専業の形式に指導の方向を持っていかれるつもりがあるのかどうか、そこらの、いわゆる法律が制定された後における今後の指導行政あり方についてお伺いをしてまいりたいと思います。
  20. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 ただいま仰せのとおりの状態でございますが、私どもは、この通関部門を担当いたします通関業者並びにその従業員の今後の経営の問題、また生活の問題に急激な変化を与えないような形で合理的なやり方を押し進めよう、こう考えておるわけでございまして、いまお話のとおり、現在の税関貨物取扱人の経営形態は、兼業のものが大部分でございまして、また、非常に多くの部分が港湾運送事業との兼業になっておるわけであります。  港湾運送事業自体の合理化の問題は、運輸省において慎重に検討が加えられておるわけでございますが、この港湾運送事業との兼業が多いという関係におきまして、港湾運送事業が合理的な経営をやるようになり、経営の基礎が強固になれば、私どもの関係しております税関貨物取扱人、新しい法律にいうところの通関業者の経営の基礎も、おのずから結果的に強固になるという筋合いのものであるわけであります。  ただ、その間に、集約化が進む過程におきまして、弱小の業者が非常に多いわけでございますので、この弱小の業者に対する行政のあり方が問題になるわけでありますが、私どもは、現在の免許を受けておる税関貨物取扱人が今後安定した経営を維持できますよう、必要な行政的な指導をやってまいりたい、かように考えておるわけであります。
  21. 村山喜一

    村山(喜)委員 取り残しがあるのですが、専業形態で推進をしていく指導をなさるのか、兼業形態が是として、そのような方向で指導をされるのか、このことについて……。
  22. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 現在の税関貨物取扱人の場合におきましては、大部分が兼営でございます。これは税関貨物取扱人の仕事の性質が、ほかの専門業者になることが非常にむずかしい事情があるわけでありまして、専門的な仕事でありますけれども、そのことだけで切り離して成り立たない、すなわち物を外国に輸出する、あるいは外国から輸入するという場合の通関の関係の事務処理に当たるわけでありまして、それは物の輸送あるいは物の保管というものとの関連を持った仕事であるわけでありまして、税関に対するいろいろな申告書の提出であるとか、検査の立ち会いであるとか、そういう全体の問題のうちの一部分の仕事である関係上、どうしても輸送業務あるいは倉庫の保管業務というのと関連があるわけでありまして、これと切り離して仕事をすることができない性質を持った仕事でありますので、おのずから兼業形態が多いわけであります。  今後どうなるかということでありますが、今後も、傾向としては兼業形態で経営が行なわれていくと思います。ただ、最近の例といたしまして、航空貨物に関する通関業者が、東京航空貨物通関株式会社というのが最近できたわけでありますが、これは、航空貨物の通関の代理店が集合いたしまして一つの会社をつくって、もっぱらこの通関業務を専業として行なっておるわけでありますが、こういうような形で中小の通関業者集約化いたしまして、一つの会社組織で専業的な形態で経営をするということが今後出てくると思いますけれども、なかなか、中小企業の合併、集約化にはいろいろな問題がございますので、私どもも、専業を中心として今後通関業が経営をやっていくという傾向を見通しながら、なお中小の業者が集約化をする過程におきまして、こういう合併をした新しい会社組織で専業的な経営が成り立つような場合におきましては、極力こういう形態の発展に対しまして行政的に援助を惜しまない、こういう考えであります。
  23. 村山喜一

    村山(喜)委員 承っておりますと、兼業の形態というのは、仕事の内容から見て必然的なものである、しかし、羽田空港における一つの専業的な形態のものも新しくできてきておるので、育成をしてまいりたいという方向で、積極的に兼業でなければならない、あるいは専業でなければならないという指導目標はないのだ、現在のものをより近代化をし、合理化をしていくのだという一つの思想、こういうようなものでございますね。  こうなってまいりますと、これは通関業務自体はそういうような形の中で推移してまいりましても、兼業部門の合理化なり集約化なりというものから影響を受けて、弱小のものがはみ出してくるという傾向が今後あり得るのではなかろうか。そういうものについては一体どうするのかという方向が、やはり指導方針としてはなければならないじゃないか。これはいかがでございますか。
  24. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 港湾運送事業合理化集約化の過程におきましても、弱小の業者がその経営を維持できなくなるような事態にならないように関係当局指導をしていくべきものだと考えますけれども、かりに兼業部門の、たとえば港湾運送事業の分野におきまして、場合によっては弱小の企業が脱落をしていくというようなことになった場合におきましても、通関部門を担当しております通関業の分野におきましては、現在におきましても、貿易の量が年々増大していくのに対しまして、必ずしも過剰ではないという状況でございますので、そういう中小の通関業者に対しましては、あるいは合併、あるいは系列化ということを通しまして、今後ますます健全な経営が維持できるように指導してまいりたい、こう思います。
  25. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、だからここで運輸省のほうから、四十三年の十月一日から実施をしようとするところの現在の免許基準の引き上げの問題、それは横のほうでありますが、並びに縦の一貫直営体制の確立の問題、こういう問題が見通しとして、どういう形で今後推移をし、そしてそれが弱小の業者並びに労働者に犠牲が行なわれない形で推進ができるかどうか、この問題がやはり通関業法との関係においてきわめて重大な問題でございます。現在の港湾の機能が最近においてはだいぶ変化をしてまいりますし、輸送体系の上においてもコンテナ輸送等が行なわれる時代を迎えておりますので、そういうような時代の要請等ももちろんございますが、それに伴ういわゆる港湾運送事業の近代化あるいは合理化という問題がどのようなテンポでいま進められておるのか、そしてまた、それが先ほど申し上げましたように、弱小の業界なりあるいは労働者の上に犠牲を生じないという保証があり得るかどうか、この点について運輸省から説明を願っておきたい。
  26. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 昨年の六月に港湾運送事業法改正したわけでございますが、その要点は、一つは、免許基準を引き上げることによって集約化を進める、もう一つは、法の第十六条でございますが、一貫責任体制をとれるように系列化していく、この二つでございます。  これにつきましては、港湾審議会の中に港湾運送部会というものを設けまして、その中で審議をしていただいたわけでございますが、この三月に答申が出ております。  この答申によりますと、ただいま御指摘のありましたように、縦の集約と申しますか、責任体制をとるということにつきましては、昭和三十四年十月一日を目標にいたしまして、中間的には改正運送事業法の十六条に合うような責任体制をとれるようにするということが一つです。もう一つは、横の集約と申しますか、同業種間の集約につきましては、免許基準の二割増し程度に集約を進めるということが答申されております。  一方、この免許基準の改正につきましては、昨年十月一日、法が施行されるときから新しい免許についてはかかわるわけでございますが、既存の業者につきましても、事業計画の変更に際しましてはこれが準用されることになるわけでございます。この三月に各事業者から提出されました事業計画書によりますと、必ずしも免許基準に達していない場合があるわけでございまして、それらのものにつきましては、昭和三十四年十月一日を目途とする整備計画書を提出させておるわけでございます。私どもは、答申の趣旨に従いまして、現在各業者から提出されました整備計画書を検討し、これによって、各港ごとに整備計画、要するに集約の方向というものを打ち出して、業界の方々とも相談いたしながら、基準に合致するように集約を進めていきたいと考えてみるわけでございます。  一方、この港湾運送事業法改正そのものは、港湾労働者の確保ということと、その生活の安定ということが裏にあるわけでございますが、私どもは、集約によって常用労働者を確保できるということと、それを福祉的な生活ができるように持っていくということをあわせて、この集約を進めていきたいと考えておるわけでございます。
  27. 村山喜一

    村山(喜)委員 労働者は、最近労働力の不足ということによりまして心配はない、常用労働力を確保して、それの福祉対策を推進したい、これはそういうふうに願いたいのであります。しかしながら、零細な業者、承りますと、三百万円以下の資本金を持つものが業者の三分の一の数に及ぶということを聞くのであります。そしてなお。免許を持っておりますのが三千三百社とも聞きまするし、それらのいわゆる零細の業態が今日なお存在をしておるわけでございます。貨物の輸送量が、貿易量の拡大に伴いまして増大をしていくことも間違いございませんし、また、日本の産業構造の変化に伴って、軽工業から重工業に移ってまいりますから、それだけ今度は品物の量等も拡大をして乙とも間違いないことだろうと思うのです。しかしながら、はたしてそういうような零細な業態がそのまま存在を許されるということはおそらくないであろう、とするならば、そこには、そういうような人たちを救済する何らかの手だてというものが考えられてしかるべきではないかと思うのでありますが、何か協同組合の事業化とかあるいは協業化とか、いろいろな方向も検討されているやに承るのでありますが、そういうようなものがございますか。
  28. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 先ほど申し忘れたわけでございますが、この三月に出されました集約化の答申の中には、その進め方といたしまして、要するに、免許基準に合致している業者につきましては、モデル方式等でさらに理想的なものを考えて、これを指導していく、それから、基準に達しないような零細業者につきましては、ただいまお話がございましたような組合方式のやり方で集約を進めていく、とりあえずはそういう形をとったらどうかということでございますが、私どもは協業化ということが一番望ましいと考えまして、その方向で進めたいと考えております。
  29. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、見通しを私はお尋ねいたしたいのでございますが、港湾運送事業法の十六条によります一貫直営体制が縦の系列としては進められてくる。横のほうの事業規模の拡大については、これは現在の免許基準の約二割ほど引き上げて、それによって集約をはかっていく、それからやや落ちるものについては、協業化の方向において拾い上げて、その協業化したものに新しい免許を付与していく、こういうような形でわりあいにすっきりしたものになろうと思うのであります。  そこで、その際に、やってみなければわからぬわけでございますが、それからあふれ出るものがあるのかないのか、それによって完全に零細な業態は救済ができるのかどうか。それと、私は、そういう零細な業者でありながら、なお通関業務に携わっているものがあるのではないかと思うのであります。片方ではみ出てしまって、そうして通関業務だけが残ってしまったということになりますと、これは片一方の足がとられてしまうのでありますから、通関業として生活をすることがなかなかできないという事態が出てくるのではなかろうか。それを受けてあなた方のほうとしては、そういう零細な業態については、何か協同株式会社みたいなもので処理しようというような考え方に承るのでありますが、はたしてそういうような方向で、長い間業務としてこれによって生計を立ててまいりました人たちが路頭に迷うようなことはないかどうか。この点は、新しい制度をつくりますときには、慎重に検討をしなければならない問題だと思いますので、その兼業実態が、私は概数だけはわかっておりますが詳細な実態がわかりませんので、それらはだいじょうぶ責任を大蔵省としてお持ちいただけるかどうか、この際、明らかにしていただきたい。
  30. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 港湾運送事業合理化が進むに伴いまして、万が一脱落をする企業が出た場合におきまして、それを兼業しております通関部門の業態がどういうことになるかという問題につきましては、私どもは慎重にその成り行きを見定め、それをどういう形で従来の企業を安定した経営のもとに継続できるかということを検討しているわけでございますが、港湾運送事業合理化の過程にきましても、極力そういう企業が脱落しないように、関係各省と連絡をとっていくつもりでございます。  また、万一兼業しておりますところの部門がうまくいかなくなったような企業が残った場合におきましては、通関業務をそのまま継続したいという業者に対しましては、極力協業化をすすめまして、通関業として健全な経営ができるように十分配慮してやってまいりたい、こういう考えでございます。
  31. 村山喜一

    村山(喜)委員 これは小沢政務次官に私は政府としての御見解をお聞きしたいと思うのですが、いま港湾運送事業実態というものは大体千五百社あるけれども免許はそれぞれの業種に基づいて行なわれておりますから、三千三百余りだと聞いておりますが、中身を調べてみますと、三分の一は三百万円以下の資本金の零細な業者である。そういうような業態である港湾運送事業実態というものと、それから八百四十二社に及びます今日の通関業免許業者、それからもう一つは、今度は荷主の側になりますいわゆる商社関係の実態というものを調べてみれば、大手が二十社で、中小の非常に零細なものが約七千社あるという。それで、いままでは小さな荷主の側になります商社関係がはしけ等を使いましたりいたしまして、そうして港湾運送事業の小さな人と連携しながら、小口の輸送あるいは輸入という業務に携っておる。ところが、港湾の機能がだんだん変化をしてまいりまして、輸送体系の上においてもコンテナ輸送というような問題があらわれるように、近代化が要請される、そして、貿易の拡大がさらに経済発展計画等において大きく取り上げられている、こういうような時代を迎えてきたわけです。今回は、さきに港湾運送事業法改正が行なわれまして、そういうような過程で集約化が行なわれ、近代化が行なわれて、片一方、こちらにおきましても、大蔵省としても、通関業法整備が近代的なものとして打ち立てられていく、ところが、残っておりますのは、商社関係が、そういうような形の中で今日なお依然として七千社にも及ぶような零細な存在が現実においてあるわけですね。この問題は、それぞれ所管内容が違うとはいうものの、やはり一体的に考えなければならない問題ではなかろうか。その中において落ちこぼれるものは、協業化の方式なり、あるいは協同化の方式で救済をしていきながら、それらの人たちがその業務としてまいりましたそれらによる生計の道が閉ざされないような形の中で配慮しながら、近代化の要請に応じて体制をつくっていくということでなければ、今後の日本の貿易の拡大というものは生まれてこないのじゃないかと思うのであります。  これらの問題については、総合的な立場から取り組まなければならない段階だと私は思うのですが、小沢政務次官は、いま私が質問をし、答弁がされました中において、これらの問題についてどういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせ願いたいのでございます。
  32. 小沢辰男

    小沢政府委員 新しい法律をつくります場合には、近代化を進め、合理化を進め、また、新しい、近代的な輸出入の体制に合わすために必要な措置であるといいながら、やはりそうした既存の業界の問題も十分考えてまいらなければいかぬことは、おっしゃるとおりでございます。運送業のほうでもどんどん集約が行なわれ、近代化が行なわれていっておるわけでございますが、いまおっしゃるように、これを利用する貿易関係の業者が大小非常に多く、七千社というような数字につきましては、私、いまはっきりした資料を持ちませんけれども、とにかく非常に大きな数にのぼっておる、それらを総合的にどういうような方向で合理化するか、また、その際に弱小の方々の仕事ができるような方向で考えなければいかぬのじゃないかと思うが、そういう全般的な問題の見地から、私に、政府委員としての見解を、というお話でございますが、ただいま私の立場としては、御審議を願っている通関業の関係のことにつきまして、先ほど来関税局長が申し上げておりますように、新法適用いたしまして、それが行なわれましても、過去のそうした業者、通関業者につきましては、行政上の指導によりまして、支障のないように、また、支障なからしめるようにいたしたいと考えておるわけでございまして、運送業との兼業が七割以上になっておることもおっしゃるとおりでございます。したがって、片方が近代化し、集約化しているという過程におきまして、通関業だけで一体成り立つのか、こういう点も、十分それらの進行を——何ぶん運送事業の集約化か進行中でございますので、そういう動向について、大蔵省としても十分注意を払いまして、これと通関業者あり方との関係につきましては、そのときどきの実情に応ずるように、しかも、おっしゃるように、弱小の業者が直ちに仕事から脱落していくことのないように十分配慮しながらやっていきたい、かように考えております。
  33. 村山喜一

    村山(喜)委員 まあ、答弁を求めるほうが無理かもしれませんでしたが、問題は、あなたはやはり政務次官ですから、これは運輸省だ、これは大蔵省だ、これは通産省だというのでなしに、大臣のかわりにきょうは出席をしていただいているのですから、そういう立場から、日本の貿易政策というもののあり方の問題、今後のいわゆる発展の問題をひとつ総合的に見渡して、そしてこれからも検討を進めていただきたいと思います。  そこで私は、この際資料の要請を大蔵省に申し上げておきますが、議事録を拝見いたしますと、兼業でやっていくのには、月間の輸出の取り扱い件数が百件ぐらいならば成り立つ、輸入であるならば四十件ぐらいで成り立つ、それから専業であるならば、これは千件ぐらいで成り立つ、輸入の分については、専業は四百件ぐらいで成り立ちますという説明をされているのを見ました。そこで、これでどういうふうにして成り立つのか、その代表的な事例でよろしゅうございますから、それの成り立つという資料をこの委員会にお出しを願いたいと思います。あなた方はそれをはっきり言われているわけでありますから、そうであるならば、業態としては成り立つという一つの形が示されなければならないかと思いますので、これはいまお出しをいただくという意味ではなしに、あとでよろしゅうございますから、当委員会にお配りを願いたい。よろしゅうございますね。
  34. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 さっそく資料をつくりまして、提出いたします。
  35. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで私は、もう一、二点お尋ねをいたします。  それは、今回通関業法の大改正が行なわれることになりまして、この中で、いままで古い免許を持っておったものを新しい免許に切りかえることになったのでございますが、これは適格条項に該当しない限りは、原則としてはこの新免に切りかえる、こういうようなことで、経過措置も、通関士を三年間は置かなくても業態としては認めるという措置がとられておりますね。そのことについてはけっこうでございますが、問題は、ここに新しく通関士という制度が生まれてきているのでございます。これは国家試験をやるということになりまして、現在の業態の近代化のためには、これまたそれらの責任を持たせることも必要であろうと思うのでありますが、私は、この内容をずっと拝見をしてまいりまして、ちょっとおかしな点を見出すのでございます。それは十四条でございましたか、通関士の審査が、そこに資格を持った通関士が記名押印をするという条項がございます。そこで、それくらいの権威をそこの十四条においては認めておきながら、これが二十一条でその法的効果が否定されているわけです。それがなかったからといって、効力に影響はないものだ、こういうようなことになって、ここでは、話を承りますと、行政措置でそういうようなことにならないようにするんだというようなことを言っておられるわけであります。私は、通関士という一つの国家試験をやり、資格を与え、それの権限を与え、しかも、それに違反をした場合には、あとに出てまいりまするように、資格の喪失等もございまするし、通関士に対するところの懲戒処分があるわけです。しかもこれは、四十四条によりますると、三万円以下の罰金に処することになっておるわけです。そういうようなふうにして懲戒処分が加えられ、罰金まで規定をされ、そのようなきつい規定がありながら、そして一つの権威が付与されて通関士というものが、業務内容といたしまして十四条で記名押印をする。ところが、そういうようなきつい拘束を受けながら、二十一条においてはそれの法的な効果が否定をされる。そういうような程度の資格と権利義務との関係というものが今日認められていいのであろうかどうか。やはりそれらの資格を与えているのであるならば、それに基づいてなされたものが効果が発生をするということを期待するのが、立法のたてまえではなかろうかと思うのでありますが、なぜそういうような矛盾をしたものをおつくりになったのか、このことはきわめて重要でございますので、お答え願いたいと思います。
  36. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 十四条の規定によりまして、特に重要な書類につきましては、国家試験に合格しまして資格を得た通関士が記名押印をしなければならないという規定になっておるわけであります。この規定の実行につきましては、税関長が、部下職員に対しまして広く励行確保につとめさせるということは当然のことでございますが、一方におきましてこの記名押印をすべき書類を提出をし、この通関に関連した仕事をすることになるわけでございますが、その場合に、単に記名押印がなかったからその手続が無効になるということにいたしますと、それによりまして通関手続がとんざを来たしまして、それによって通関がおくれる、また、取引の安定を害するということになりまして、これまた不適当なことだと考えるわけであります。  一方におきまして、重要事項につきましてはできるだけ通関士に記名押印させる、記名押印すべきものにつきまして記名押印しなかった場合におきましては、通関士あるいは通関業者に対しましてその責任を問う、しかし、一方において、荷主の依頼を受けて通関業者が通関手続をするわけでありますので、その通関の仕事自体にまでその影響を及ぼすということが、取引の円滑な運行を害するということでございまするので、この点につきましては、取引の安全に重点を置きましてこのような措置をとるということにしたわけであります。
  37. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、やはりそこに新しい制度を設けて証明をし、そうして記名押印までして、そうして通関士の何を非常に高く評価するからこそ、あとのほうにおいて通関士が懲戒処分を受ける、そういうような義務が発生をする、そうしてまた、罰金も納めなければならない、こういうようなものは、一つの権威に伴う義務として発生をするものだと思う。そういうようなものがなしに、義務のほうだけが強化されて、懲戒処分にあったり、あるいは三万円の罰金を納めなければならないというような事態になるならば、これは非常におかしな資格の付与ではなかろうかと思う。  もう一つお尋ねをいたしますが、この通関士というのは、通関業者があってこその通関士であるから、それから雇用が断続をした場合においては、切れた場合には、通関士の資格を失うのでありますか。法律案を見ますとそういうふうになっておるようでありますが、これは資格として与える、免許ではないのだ、資格なんだからそういうような取り扱いをするのですか。学校の教職員免許法などによりますと、免許状というものが出されたら、それは永久不変のものとして与えられるわけでしょう。この通関業法によります業者は、営業の免許をもらうわけでしょう。営業免許をもらって、そこで通関士が働いておるのですが、働かなくなったら通関士の称号は用いられないということになりますると、資格の付与のしかたというものにおいて非常に差があるというふうに考えられるのですが、それらについてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  38. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 前後の御質問に対しましては先ほど御答弁申し上げましたとおりでございますが、私どもは、通関をするということに伴う法律行為と、それからその法律行為の上における書類の形式の問題と、区別して考えておるわけでございまして、通関の仕事はできるだけ迅速、円滑、適正に処理をしなければならないわけでございまするので、その一定法律にかなった書式が出された場合におきましては——内容法律にかなっていなければ、その書類をそのまま処理することはできませんけれども、一応内容的に法律にかなった書類でございましたならば、通関士の記名押印がかりにない場合におきましても、その法律効果に影響を及ぼしてはならないという考え方をとっておるわけでございます。一方、そういうことになりますと、記名押印の意味が失われるのではないか、重要な事項につきましては通関士をして記名押印させる、その励行を確保するためには、通関士に対する責任を追及するということによりまして、法律のねらいであるところのこの通関士の記名押印ができるだけ一〇〇%励行し得るような指導をしながら、一方において、通関の仕事そのものに対する影響という問題は別個のものとして考え、取引の安全を確保していくという考え方に立っておるわけでございます。  それから、次の問題でございますが、通関士の資格は、試験に合格したものは通関士という資格を持つわけであります。この資格は、一ぺん資格を得た以上は、欠格条項に該当しない限りは、永久にその資格がその者に付与されるわけでありますけれども、ただ、その通関士という資格を持っている者が通関業務に従事しているかどうかということを税関当局において確認をする必要があるわけであります。通関士の業務内容の性質上、税関におきまして、通関業者がどの程度の数の通関士を雇用しているか、また、どういう名前の通関士が雇用されておるかということを確認しながら、平素通関士の素質の向上に対しましても指導をやっていく必要があるわけであります。  そういうような関係で、一ぺん通関業務をやめて、また再び通関業務に従事しようとする場合におきましては、その際に、通関業務に従事しようとする意思を税関長に届け出まして、そして、その確認を受けるということによりまして、税関と通関業者並びに通関士との連絡の密接を確保してまいりたい、こういう趣旨でこの三十一条の規定ができておるわけでございます。
  39. 村山喜一

    村山(喜)委員 それで、三十二条に「通関士は、次の各号の一に該当するときは、通関士でなくなる」、一号に、通関業者通関業務に従事しないこととなったときには通関士の資格を喪失する、こういうふうに規定してある、だから、いわゆる独立して業務を行なうものではなしに、通関業者と雇用契約の関係において成り立ち得る一つの資格なんですね。そういうことに解釈をした場合には、当然通関士の資格試験というものは——ここに許認可等の改革に関する臨時行政調査会の意見書にも出ておりますが、そういうような場合には「一定年限の実務経歴または、その他の方法により資格を付与できることとする。」こういうようなゆるい規定がなければならないかと思うのです、か、そういうような取り計らいになっておりますか。
  40. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 通関士自体が個人で通関業の経営を行ないたいという場合におきましては、通関業としての許可を受ける必要かあるわけであります。そういう場合におきましては、通関業を、その通関士の資格を持った者が許可を受けた後において行ない得るわけでありますが、多くの例の場合におきましては、従来の経歴からいきまして、通関業の許可を受けた者が、通関士を雇用するという形になるわけでありますが、そこで、三十一条の二項で「次の各号の一に該当する者は、通関士となることができない。」通関士として通関業務に従事するという意味において、通関士となることができないということでありまして、たとえば、第二項の第二号で、二年を経過しない者、二年を経過した場合におきましては、また税関長に届け出て、確認を受けてまた通関士となることができるということで、全体として、通関士の資格というものと通関士として仕事をする場合のあり方を区別いたしまして、通関士の資格を持っている者が通関業務に従事しようとする場合には、必ず税関長の確認を受けるというたてまえをここでとっておるわけであります。  それから、一定業務の経験がある者に対しまして、これをどう扱うかという問題でございますか、国家試験の実施をいたす場合におきまして、この第二十四条におきまして試験科目の一部免除を規定しておるわけであります。通関業者通関業務に従事した期間通算して十五年以上になる者につきましては、この二十三条の二項の一号、関税法以下の法律、それから二号の「通関書類の作成要領その他通関手続の実務」、この試験科目は免除される、また、同じように、従事した期間が五年以上になる者につきましては、通関書類の作成要領その他通関手続の実務に関する試験の科目は免除をするということにいたしまして、そうして実務の経験を尊重して通関士の試験を行なうということになっておるわけであります。
  41. 村山喜一

    村山(喜)委員 まあ、実際試験を受けたら、そうむずかしい試験じゃない。実務経験によりまして、十五年もしたら通関業法の試験だけが残るというようなことになりますると、ほとんど一〇〇%近く合格をするということになるというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  42. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 必ずしも一〇〇%合格するということにはならないと思いますが、できるだけ適正に試験を実施したいと思います。  御参考までに、過去におきまして、事実上税関長が税関貨物取扱人の従事員に対する試験をやっておるわけでありますが、その合格率は大体六〇%前後であるわけであります。これはほかの、たとえば税理士試験の合格率一〇%から二〇%、あるいは公認会計士の合格率五%に比べれば、相当ゆるやかな、いい合格率になっておるわけでありますが、今後、国家試験の場合におきましても、この程度の合格率ではなかろうかというふうに考えております。
  43. 村山喜一

    村山(喜)委員 この内容をいろいろ検討してまいりますと、こういうような通関士を設けて、記名押印をしてやらなければならないような、そういうチェックをしなければならないものかどうかも、ちょっと実際の業務の上から、それが適正であるのかどうかわからない点もあるのです。というのは、そういうような制度をつくるのであれば、やはりそれには責任を持たせるような、そうして、その法的な効果が伴うようなきちっとしたものでなければならないのに、片一方のほうの通関業者には永久免許を与えて、片一方のほうは自動的に、雇用契約の上で退職をした場合は通関士の資格がなくなるような、その程度の資格を付与していくということについては、まさに通関業者の保護を目的とし、そして通関士に対しては、まあ、いいかげんなというのですか、中途はんぱな資格要件、そして罰則だけはえらいきびしいようなふうに受け取られるのですが、ほんとうにそういうような懲戒処分をしたり、罰金を取ったりしなければ、この通関業自体を時代の要請に沿うて近代化していくことができないというふうにお考えになった理由は、これはどうも、いままでいろいろ承っておりましてもわからないのですが、その点、補足説明ができましたら、納得かできるように説明をしてもらいたいと思います。
  44. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 現在の税関貨物取扱人の従業員立場は、この税関貨物取扱人が兼業をしている形態がだいぶございますが、そういう形態のもとにおきまして、その地位が非常に低いのが現実であるわけであります。   〔委員長退席三池委員長代理着席〕 この税関貨物取扱人制度改正に関しましては、業界の有識者の意見を十分に聴取したわけでございますが、業界の方々の意見も、従業員の素質の向上をはかることがきわめて重大な問題である、また、その従業員に励みを与えるという意味におきまして、たとえば国家試験のようなものをやってほしいという希望もあったわけでございまして、私どもは、通関業者の資格の適正化をはかりまして、その素質の向上をはかると同時に、従業員の社会的地位の向上、また、経営体の中におけるところの立場を高めるということについていろいろ検討した結果、国家試験を行ないまして、そして通関士という名称を付与することによって従業員に対する励みを与える、そしてその素質の同上をはかるということにいたしたわけでございます。  そういうような次第でございますので、たとえば、法律の十五条でございますが、その税関長が税額につきまして更正をするとかいうような場合におきまして、法令の適用上の解釈の相違がその原因であるというような場合におきましては、通関業者の意見を聴取しなければいけない、通関業者の意見を聴取する場合におきましても、この通関士が中心になりましていろいろ検討をし、その意見を通関業者の意見として反映させるということができるような規定にもなっておりますし、通関士としてのこの業界の中における地位は、従来よりも一そう高まってくるというふうに考えております。そうすることによりまして、通関士の全体の素質の向上をはかって、そして通関事務の円滑な運用に寄与してもらうというたてまえをとっておるわけでございます。
  45. 村山喜一

    村山(喜)委員 日本の最近の法律制度の中におきまして、何々士というような、国家によって資格が与えられ、またそれを歓迎し、それによって資質の向上をはかるというような名目のもとに、これはもう拾い上げたら非常に数多くあるのです。私は、いつかまた行政監理委員会にこれを持ち出しまして、一体、そういうような資格を与えなければ資質か回上しないのかどうか——その職場を去ったらその何とか士というのは使えなくなるような、そういうようなものまで規制をしながらやっていくというのは、まさに、日本の国は官僚行政の発想の政治が横溢をしているというふうに世間で見られると私は思うのです。そして、いまの説明を聞いておりましても、どうも中途はんぱなものをすぐなにしているが、そのようなことをやるよりも、通関業務に携わる人の資質の向上は、もっとほかのやり方でできるのではないかと思うのであります。さればこそ、この法律自体を見ましても、五大港であるとかあるいは羽田空港においてはこういうような措置に順応できるけれども、地方港においては、そういうような通関士が三年後においてなかなか得られないような場合においては、特例を設けて免除しなければならないような実態があると私は思うのですよ。そういうものまで法律にわざわざつくり上げてやっていく発想というものでなく、もう少し近代化して、そういうふうな国家の権威によって資格を与えなくとも、自分たち業務は自分たちでやっていくのだという、それらの合理的な考え方というものを業界も持たなければならないし、また、あなた方行政に携わる人たちも持ってもらわなければいかぬと思うのです。  声を荒らげて反対するような内容のものでもございませんけれども、どうも日本の行政組織機構の上において、これらの資格付与の条件等については、臨調のほうの答申にもありますように、もっと抜本的に整理、合理化をして問題を処理するという能度を確立しなければならない、こういうふうな意見を持ちますので、ひとつ、小沢政務次官あたりが大局的な立場からそういうのは考えてもらって、こうしてせっかく出された法律でございますけれども、何か、どうも官僚王国のような感じがしてなりませんし、その点は、お互いにそういうようなことでなしに、自主的な問題として解決する態度をつくらなければならない時期に来ていると思いますので、それらを今後において十分検討されることを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  46. 三池信

    ○三池委員長代理 広瀬秀吉君。
  47. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 いま村山委員からも前段で、今日まで行なわれてきました税関貨物取扱人法の兼業の問題と関係をいたしまして、将来の方向をどうするのだという立場でいろいろ質問をいたしたわけでありますが、いずれにいたしましても、貿易が非常に大きな規模になっている、通関輸出入貨物も多様化をしているし、スピードアップが望まれる、あるいはまた、いろいろ技術開発の急テンポに伴って新製品なんかもどんどん輸出の項目に加わってくる、こういうふうなことで、いわゆる税関の伝統といわれるものではとてもさばけない状況にきているだろうと思うのです。そういう状況を反映して、通関業務というものを近代化しよう、あるいはスピードアップしよう、さらにまた、去年通過をいたしました関税につきましても自主申告制度を認めていく、こういうものを背景にしながらこの法律をつくったと思うわけですが、現実の問題として、それでは、通関業務がこれからどういう形で行なわれるだろうかということになりますと、やはりこの兼業の問題が非常に大きい問題だろうと思います。  現在六、七〇%も港湾運送業の人たち兼業しているとか、その他倉庫業の兼業だとか、いろいろあるわけです。やはり昨年六月ですか、港湾運送事業法が通った、この港湾運送事業法で、先ほどもその問題は着々整備をされ、近代化される方向でいっているのだ、こういう御説明もあったわけでありますが、この問題について、まず、将来の問題として、通関業務というものが今日までの兼業の方向ではなくて、独立の方向ということをほんとうにやっていく気があるのか、それとも、兼業の中で通関業務というものを抜き出して、やはり規制をし、合理化をはかっていくという立場が、一体どっちに力点があるのかという、その問題を関税局長からお答えをいただきたいと思います。
  48. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 港湾における通関業の地位を考えてみますると、港湾関係のいろいろな仕事の中で、この貿易関係の関連業務、貨物を輸出する場合におきましては、税関に対して輸出の許可の手続をとる、それに伴いまして、荷物を、たとえば、倉庫に保管しておる物を輸送する倉庫業、あるいはまた陸上の運送業、また、はしけによって運搬をする、また、船舶に積み込んで外国に運ぶ、こういう運送業、倉庫業等との関連が非常に大きいわけでございます。その中で、そういう港湾関係のすべての仕事の中の一部分として通関業というものが成り立つわけでありますので、その通関部門の業態のあり方としては専業ということも考えられますけれども、むしろ、ほかの関連した業務との関連において、荷主の立場からすれば、だれか一人の人にすべてのこの仕事を請け負ってやってもらうということが便利であるわけでありますので、従来、港湾運送事業あるいは倉庫業との兼業という形で税関貨物取扱人という企業が成り立ってきたわけでございます。  今後の問題といたしましても、大型船、コンテナ船が入ってくる、また、飛行機にいたしましても大型機が入ってくるという場合におきましても、やはりこの業務内容といたしましては、通関業以外の運送保管業との関連を断ち切ることができないわけでございまして、むしろそのほうが主たる業務内容になるということからいたしまして、今後の通関業の形態のあり方としては、ほかの業との兼営という形が多く存在するということが言えると思います。ただ、その場合に、中小の企業におきましては、港湾運送事業合理化との関連におきまして、通関業だけをやっていくということも考えられますので、そういう場合におきましては、適当な規模の経営形態をとるという意味におきまして、中小の業者が合併する、そして、もっぱら通関業を営んでいくということも考えられるわけでございます。そういう場合におきまして、極力、税関におきましては過当競争にならないように、また、企業として適正な利潤が得られ、存続し得るような方向で十分に指導してやっていきたい、こう考えております。
  49. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 いまのお話でわかりましたが、昭和四十年の三月末現在の調査によると、税関貨物取扱人の免許件数は八百三十二である、業者数が五百三十四だ、こういうことで、税関貨物取扱人を専業とする者はわずか七、一・一%くらいなんだ、こういう状況でございますが、現在も大体七つぐらい、こういうことでありますか。それが一つでありますが、そういうものはこれはおそらくかなり零細なものであろうと想像されるわけでありますが、この専業でやっている者の現在の数とそれからその規模——専業の者、こういうものがやはりこれからもそのままの形で専業として、これから通関業法が通過をして実施をされた段階においてずっとそのまま存続され得る、そういう見通しに立っておられますか、それとも、兼業部門の中に吸収をされるような方向をたどると思われますか、どういうお考えですか。
  50. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 四十二年の四月一日現在の数字を申し上げますと、免許の総件数が八百四十二でございます。そのうち、専業のものが五でございます。そのおもなものは、東京航空貨物通関株式会社、資本金二千八百五十万円でございますが、そのほかに、横浜、神戸、名古屋、函館の管内に専門の会社が一つずつあるわけでございます。  それから、次にお尋ねの、この現在の専業の五が今後新法のもとにおいてどうなるかということでございますが、これは私どもは、いまの形態のままで経営を存続していくというふうに考えております。
  51. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 これは、新しい通関業法のもとで経営も十分成り立っていくものが現在専業として存在をいたしておる、こういうように理解してよろしいですか。見通しも、ちゃんと専業でやっていけるものだ、それだけの経営基盤も確立されている、こういうように理解してよろしいわけですか。
  52. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 具体的に申し上げますと、現在の専業者は、東京税関管内の東京航空貨物通関株式会社、これは十分一本立ちで今後ともやっていけるわけでございます。それから横浜の税関管内で港湾通関株式会社、それから神戸の神戸通関株式会社、これもその所在地の中小の企業が集まってやっているわけでございまして、全体の八百四十二の免許の中では中堅クラスになっておりますので、今後とも十分に経営が存続できるわけであります。それから、名古屋と函館の管内にあります専業者は個人経営でございまして、主として飼料等の貿易関係をやっておるものが、この港湾運送事業とか、そのほかのそういう事業とは別にこの通関の部門だけをやっておるわけでございまして、この二つのものにつきましては、将来どういうことになりますか、ほかの通関業者との協業のもとにやることになることも考えられるわけであります。
  53. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 それはその程度にしておきます。  そこで、運輸省にお尋ねをいたしますが、これから先もこの通関業務というものは、業法が新しく発足をいたしますけれども、大体その港湾運送事業あるいは、おたくのやはり管轄下にある陸運業者とか、運送代理店とか、海運関係の会社であるとか、航空運送の会社であるとか、そういったようなものが兼業をするということが非常に多いわけでありますね。そこで、去年法律が通りました港湾運送事業、これが何といっても、この輸出入貿易をめぐる港湾関係の大宗をなす業種でございますから、そういうところが通関業務を兼業していくという事態には変わりなかろうと思うのです。この通関業法を制定して、業者を、認可基準等もきめてしっかりしたものにさしていこう、そしてまた、通関士を置いて——貿易の構造の変革といいますか、巨大化といいますか、そういうものに対応していくというために通関士も設けられておる。要するに、そういう方向は、兼業としてそういうものが、やはり港湾運送事業という主たる業務の中で一部門として行なわれる形態になっていくとすれば、この港湾運送事業そのものが、健全に、しかも近代的な経営体として発展をしていかなければ、やはりこの通関業法の健全な運営というものもなされないだろうと思うのです。その業法が去年つくられて以来、どういう形でこれの健全化といいますか、近代化といいますか、あるいは合理化といいますか、そういうものをお進めになっておられるか、そして、その進みぐあいというものがいまどういう方向にあるのか、こういうことについて、現状をひとつお聞かせいただきたい。それと、また将来の見通しもです。
  54. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 先ほども申し上げましたことでございますが、この港湾運送事業法改正は、企業規模を大きくすることによって、経営を健全化するということと、一貫責任体制によって効率的な運営ができるという二つのねらいがあるわけでございます。そのおのおのにつきまして、この三月に港湾審議会の中の港湾運送部会から答申をいただきました。これによりますと、昭和四十三年の十月一日を目標にいたしまして、一貫責任体制につきましては、改正港湾運送事業法の十六条の規定を恪守できるように持っていく、それから事業規模の拡大、これは横の集約になるわけでございますが、これについては、法律規定する免許基準の二割増しくらいまで拡大するという中間の目標を得ておるわけでございます。それに進むように、私どもは、免許基準に到達し得ない業者につきましては整備計画書というものを提出さしておりまして、これを調整いたしまして、各港ごとに一つの集約の方向というものを打ち出して、四十三年十月一日までにその方向に持っていくように指導したいと思っております。  ただ、これは私どもだけが直接指導するということではなくて、やはり業界自体が港湾運送事業の近代化というものに目ざめて自主的にやっていただきたいという考えを現在持っておりますので、業界と十分相談をした上で進めていきたいと考えておるわけでございます。
  55. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 重ねて伺いますが、その合理化を促進するにあたって、これは免許基準に達しない、整理しなければならぬ、そういう業者がやはり出てくるだろうと思うのですね。そういうものの中に、いままで通関業務をやっておった、いわゆる税関貨物取扱人というものの免許を受けておったものはどれくらいあると推定されますか。
  56. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 この港湾運送事業者で通関業務を兼業でやっているものがおおむね六百社と思いますが、そのうちで乙仲と称されるものが二百三十一社あるわけでございます。この大部分は相当企業規模の小さいものでございますが、私どもは、これらにつきましては、協業化方式によって集約を進めていきたいと考えておるわけでございます。
  57. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 これは関税局長にお伺いしますが、この通関業法が発足をする、そうして、港湾運送事業法が着々と整備されていく、法律の効果を発揮して整備をされていく、大体三年くらいたって通関士制度が完全に発足をする段階を迎えた際には、通関業者というものの数は大体どのくらいに整理をされていると推定されますか。現在の八百四十二がどういう変貌を遂げるだろうか。
  58. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 港湾における取り扱い貨物の趨勢は港湾ごとに違うわけでございます。したがって、現在の分布状況が、たとえば八百四十二の場合におきまして、横浜税関管内が二百十四、神戸が百六十五、大阪が百三十五、東京百三十八というふうになっておりますが、今後貿易量の増大をするこれらの地域におきましては若干ふえる、そうして、一方におきまして貿易量が減少すると見込まれる地方港を管轄する税関の管内の免許の業者の数は若干減少をする、そういうことで、総体としては八百四、五十の業者が引き続き存続をするというふうに見込んでおります。
  59. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 そうしますと、やはり貿易量や何かもどんどん増大をするわけでありますから、おそらく港湾運送事業通関業兼業する最大の部門であるそういうものの整理、合理化が進んでも、通関業者自体はそうは減らない。これは貿易の発展というものとの見合いにおいて、やはり現在程度の数は、あと三年くらいの間にはやはり通関業務としての認可といいますか、それが与えられる、そういう状況だ、こういうようにお考えなわけですね。そうしますと、やはり新しい通関業法によって、現在のもの以外に新しい認可をしていく面も相当出てくる、こういうように見込まれるわけですね。たとえば、いま運輸省のほうでは二百三十一社くらいのものは、これは協業ということでかなり集約していくというのですが、そういうことになりますと、かなり減る数なのですね。それにもかかわらず、数が大体変わらぬというのは、新しい業者が相当出てくる、こういうことになりますか。
  60. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 この通関業法が施行されまして、新規の免許申請がどう出てくるかという問題でございますが、もちろん、港湾運送事業合理化との関連もございますけれども、過去の例によりますと、新規の免許件数は年間十件内外でございますので、一方において、合理化によって整理、統合されること等を考えますると、今後の港湾運送事業合理化の進行状況がどうなるかにもよりますけれども、若干はふえましても、そうたいして新規の免許の申請が出てくるとは考えられませんので、現在の数程度のものが三年後の状態においても続くのじゃなかろうか、こういうように考えます。
  61. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 どうも運輸省の港湾運送事業整備計画といいますか、そういうものと、いまのお答えがちょっと納得ができかねるのですが、運輸省のほうでは、さっき言った二百三十一社というのが、さっき私が質問しましたように、整備計画、免許の基準に該当しないとして協業でもやらなければ、というわけですね。そうしますと、この数はだいぶ減ってくるということになるわけですね。その点、どうなんでしょう。運輸省の目から見て、いまの関税局長のお答えというものとのズレはどういうようにお考えになりますか。
  62. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 私どもといたしましては、先ほど申し上げました乙仲と称しております業種につきましては、現在おそらく四〇%程度のものが免許基準に該当しないのではないかと思いますが、これが二つが一つになるとすれば、二〇%程度に減るのではないか。大体、現在整備計画書を検討中でございますので、はっきりした数字は申し上げられませんが、その程度ではないかと推定いたしております。   〔三池委員長代理退席、委員長着席〕
  63. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 これは進みぐあいを見なければ何とも言えないことでございますので、その程度にしておきます。  大蔵省に伺いますが、そういう形で通関業務を実質的にやっていくこの港湾運送事業というものの中から、やはり通関士という問題、これは新規に国家試験もあるということで、その試験に合格しなければならぬわけですけれども、通関士は、現在のそういう運送事業者に雇われている従業員の中から大体生まれていくんじゃないか、こういうように思うのですけれども、全然新しい、いままでそういう会社の従業員でなかったような人がすぽっと入っていく場合と、それから、そういう事業の中でいままでも働いておった、こういう人たちがやはり通関士となっていく、その点は、これは常識的なことですけれども、大体従来やっていた人がそのまま通関士の試験を受けてなっていく、こういうケースが非常に多いだろうと思うのですが、そういう点については、見通しはいかがでございましょう。
  64. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 いまお尋ねのとおり、従来の経験者が試験を受け、通関士の資格を得るというものが多いと思います。
  65. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 それは当然予想されるところでございますが、そういう場合に、先ほど村山委員も指摘をいたしましたように、いわば通関士というものが、申告納税制度というものが関税にも導入されたというのと見合ったような形で審査の業務をやる、いままでかなり厳重に税関で審査しておったようなものも、通関士という国、家試験を受けた、ある程度オーソライズされた資格のあるそういう者を置いて、その面での税関の手数というものがかなりこの面で省けるだろう、こういうことにもなるわけでありますけれども、したがって、それだけ企業の中での地位も高まるだろうという答弁を先ほど関税局長されたわけです。しかも、罰則、懲戒処分あるいは刑罰というようなものまで裏打ちされているわけであります。したがって、こういうものが運送事業法の中で士職といいますか、こういうものはほかにはあまりないのじゃないかと思うのです。それで、そういうものの中に今度は通関士という新しい職務が生まれてくる、これに対して、通関業者として認定をされ、しかも、主たる業務としては運送業をやっておる、そういう中での職員であった者がそういうことになっているという場合に、そういう者に企業の中でどういうメリットが与えられるかという問題については、これは運輸省なり大蔵省として、少なくとも、この中にはそういう待遇とか給与とかいうものについては何も触れられていないわけですね。実際には、それは当然指導の問題だと思うのですけれども、そういう問題について、いわゆるその仕事にふさわしい待遇といいますか、そういうものを確保していくという、その具体的な指導というようなものはどういうようになされるつもりでありますか。運輸省と両方から伺いたい。
  66. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 通関士の待遇の問題は、雇用主と通関士との雇用関係の契約によるわけでございますので、おそらく、国家試験を受けて通関士の資格を得た者と、そうでない者で通関業務に従事しておる者との間におきましては、雇用主は、待遇上通関士に対しまして手厚い措置を講ずるのではないか、こういうふうに考えますが、今後とも、通関士の素質の向上をはかる意味におきまして、通関業者とも十分密接な連絡をとりながら、その待遇の改善につきましても、もし意見を求められたならば、適正な意見を開陳いたしまして、社会的な地位あるいは企業内における地位の向上に対して、私どもも側面から努力してまいりたいと思います。
  67. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 港湾運送事業者が通関業務をやっておりましても、これは兼業でございまして、別な分野でございますので、私からはいまの問題についてお答えすることはできないわけでございます。
  68. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 おそらく、国家試験をとるのだから待遇も考えてくれるであろう、こういうことですけれども、当然これは何らかの形で民間の業態に対して、政府が直接その給与の問題や待遇の問題について介入をするということではないけれども、そういうものは、これは企業で考慮しなかったらそれまでのことであって、やはりそういうものも何らかの形で担保されていかないといかぬと思うのですが、それにはやはりいわゆる介入や支配ということではなしに、何らかの指導というものがこれは当然なされなければならぬと思うのです。そのことは、実際問題として、事実問題としてそういう方向にいくように、これは何らかの手を打っていかなければならぬと思うのですが、重ねてその問題、答弁は要りません。  ただ、通関士がそういうような待遇の問題や何かをめぐって、試験を通った、しかし何もやってくれない、そういうようなことで一つの会社をやめて、そして今度は同じ免許、認可をされている他の業者に移っていくというような場合に、その資格はどうなんですか。先ほど何かよく答弁が聞き取れなかったものですから伺うのですが、そういう場合に、これの資格はどうなりますか。通関業者は、これの営業は免許、認可だ、しかし、通関士については、やめた瞬間に、通関業をやっている者との間に雇用契約が切れた瞬間になくなってしまうのか。これは、ある一定期間続いて次の通関業者のところに移っていく者のあれはどういう関係になるのですか。そこらのところを……。
  69. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 通関士の資格を付与された者が法律に定められた欠格条件に該当しない場合におきましては、その限りにおいて、永久にその資格が本人に付与されておるわけであります。ただ、その通関士として通関業務に従事する場合におきましては、たとえば、Aという会社において通関士としての業務に従事し、そこをやめてしばらくおいてBの会社において通関士としての業務に従事するという場合におきましては、Bの会社に雇用される場合におきまして、税関長に届け出まして、その確認を得れば、そのまま通関士として通関業に従事することができることになるわけです。資格としては、適格条件を欠かない限りはずっと継続するということでございます。
  70. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 通関士の場合に、実際の運用として、同じ職場でいままで同じような仕事をやっていて、一人がこの通関士に合格をした、しかし、これはなま身のからだでありますから、その人がきょう一日休むという場合もあるでしょうし、そういう場合、あるいはそのほかちょっと旅行するとか、あるいは長期にわたって一週間なり十日休まなければならぬ、そういう場合だって出るわけですね。そういう場合に、いままで同じように仕事をやってきて、通関士には合格しなかったという人が名前をかりて、その人の名前でやってきたというような場合に、これは一体どういうことになりますか。名義貸しの禁止ということもあるわけですけれども、それとの関連も含めながら答えてください。
  71. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 具体的の場合におきまして常識的な処理がなされると思いますけれども法律上の規定から申しますと、この法律の三十三条におきまして「通関士は、その名義を他人に通関業務のため使用させてはならない。」ということになっておりますので、名義を貸して所定の記名押印させるということは、法律で禁止しておるところでございますけれども、いまのような、病気であるとか、休暇をとっている間におきまして、通関士としての資格において記名押印しなければいけないという場合におきましては、その通関業者が適宜の方法をとることも、常識的にやむを得ないものと考えております。
  72. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 通関士の資格をとった者が二つ以上の会社に籍を持つということはあり得ますか。小さな二つの会社に両方にまたがって……。
  73. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 原則としては好ましいことではないわけでございます。また、事実問題として、港湾業者がお互いに経営の秘密を連絡されるという懸念を持たれるようなことはしないと思いますけれども、例外的にそういうこともあり得ると思います。
  74. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 次は、通関行政全般について若干お伺いいたしたいと思うのですが、日本の通関行政というのは、いわば財政通関というような立場よりも保護的な立場で税関業務というのが発足したというような事情の中で、特にチェック・アンド・バランスというものが非常に重んぜられ、検査とか、立ち会いとか、そういうものが非常に即物的に行なわれたというような伝統を持っておるわけでありますが、そういう伝統は、もう日本も貿易国としても世界有数の規模になってきたし、そういうようなところから、われわれも、税関を不正に突破する輸入業者というようなものは信頼するに値しないのだというような面をもいままでかなり強調もしてきた点もありますし、いたしますが、こういうものを、これからの貿易の新しい伸展の度合いに応じてどういうふうに今後やっていくか。これはやはり迅速、的確にやる——迅速にやる、あるいは簡易にやるということと、的確に関税をつかまえていくという問題は、二律背反的な面というのがしょせんあるわけです。それを担保するものとして、監視と審査と鑑査、こういうものを中心に組み立ててきたわけですが、これについてどういう方向でこれからいこうとするのか。当然、新しい体制に即応して、的確性というものをある程度犠牲にしても、簡易、迅速化の方向がとられる方向に来ていると思うのですが、その間の調整をもっとよくはかりながら、新しい時代の要求に即応していくためにはどういう制度でそれに対応していくか、この問題についての関税局としての方針をこの際伺っておきたい。
  75. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 通関業務を迅速、円滑に処理すべきことは時代の要請であるわけでありますし、一方、税関の使命でありますところの関税法その他の法規の適正な実施ということも、同時に重要な課題であるわけであります。適正を犠牲にしてまで迅速化をはかるということは考えていないのでございまして、従来、とかく適正にのみ重点を置いて、迅速ということが置き忘れがちになるおそれがあったような傾向もあったわけでありますので、この点について十分反省いたしまして、昨年の十月一日から申告納税制度が実施されますに伴いまして、一そうその業界あるいは国民期待に沿うべく迅速な通関をやるために、いろいろな機構の改正をはかり、また、いろいろな取り扱いの手続の簡素化をはかってきたわけであります。一方において、法律を適正に執行するという点も、またそれに劣らず重要なことでございますので、その両者をあわせて、その調和をはかりながら仕事をやっていくというのが、私ども立場でございます。しかし、従来はとかく適正であることが十分にあらかじめ予知できるような問題につきましても、たとえば検査を一〇〇%施行しなければ気が済まないというような傾向もないわけではなかったのでございますけれども、こういう点につきましては、過去の経験等を十分にくみまして、検査率は何%くらいやれば十分適正さは確保できるかというようなことを判断のめどにいたしまして、仕事の手順等の改正も行なって、迅速かつ適正という二つの目標が完全に達成できるように、現在せっかく努力をしておるわけでございます。
  76. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 いまおっしゃったように、関税の自主申告を認めて、業者の信頼の上に迅速化もはからなければならぬというわけでありますが、そういう場合に、この業者とそれから今度通関士がその中に入ってくるわけでありますが、通関業者とそれから輸入業者、特に輸入業者に対する指導といいますか、的確な関税捕捉をするというために、一週間も検査とかあるいは立ち会いとかというようなことでやっていたやつが、最近ではかなり、一日ぐらいにスピードアップをしているというような実情もありますけれども、そういう中で、関税が適当に捕捉されないというような事態というのも、やはり業者の自覚なり、ことに信頼というものが裏打ちされないと、それが犠牲にされていくという事態が出るわけです。したがって、そういうものに対して、大蔵省としては業界の協力を得るんだと言うけれども、そういう面について、具体的にはどういう手を打たれておりますか。それをひとつ伺っておかないと——そして、それがどういう実績をあげて、スピードアップをして、自主申告後におけるいろいろな追跡調査というようなことによって不正を発見したとか、そういうものは決してふえてないとか、こういうようなことになっているとか、そういうようなこともあわせてこの際ひとつ聞いておきたいと思うのです。
  77. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 この適正を確保するための手段といたしまして、私ども二つに分けられると思いますが、一つは、通関の業務に対する税関における鑑査の問題と、もう一つは、法律違反の摘発に対する取り締まりの問題であります。両者相互に関連はいたしておりますけれども、まず第一の鑑査の問題といたしましては、通関業務を迅速にやるということになりますと、間違いが起こりがちでございますので、これを防止するために、通関部門の内部におきまして、書類を中心にいたしまして、別の職員がこれを事後に鑑査をする、その重点は価格の問題でございますが、価格の問題になりますと、書類を見ただけでは不十分でございますので、たとえば、商社の経理の内容全体を鑑査する、調査するということをやる必要があるわけでございまして、それの専担の職員、係を置くということを考えております。  それから、そういうようにいたしまして、通常の通関業務の調査、鑑査をやっていくうちにおきまして非常に大きな誤りがあるということがわかった場合におきましては、さらに強い調査をする必要があるわけでございますので、この場合には、たとえば裁判所の令状をとりまして強制調査をする、そして、法律違反が確認された場合におきましては、これを告発をするということによりまして、一罰百戒と申しますか、そういう考え方で、不正が起こらないようにやってまいりたいと思います。と同時に、私どもは、業界の協力を得るためには、そういう検査、調査ということのみならず、指導ということもまた大事でございますので、業界の団体等に対しまして、誤りがないように、定期的な会合を持ちまして、十分気をつけてもらうという注意を与えるということについても、今後とも努力してまいりたい、こう思います。
  78. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 御注意がありましたから、簡単にしてやめます。  もう一つ聞いておきますが、保税工場が非常にふえておりますし、今後もかなりふえるのじゃないかと思うのです。現在保税工場にどのくらいの職員を常駐さしておりますか、その立ち会いといいますか、そういうものが現在どうなっているか、それから、保税工場において今日までかなり不正があったか、不正と思われるような脱税というようなものが見られたかどうか、それから、今後保税工場はかなりふえるだろうと思うのですが、そういうようなところも、かなりいままでは自分の工場に職員を常駐さしておったというような例も多いようでありますが、それらの問題、今後の見通し、それから、現在どのくらい保税工場に対して検査などをいたしておるか、そこでの事故はどういう状況か、こういうことにつきましてお伺いしたい。
  79. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 昨年から保税工場に対する検査のやり方を変えたわけでございますが、従来は、一千余りの保税工場に対しまして、平均一人ないし二人の常駐職員を置いておったわけでございますが、これはいかにも非能率でございますので、これを機動的に検査を実施するというたてまえのもとに、地域別に保税工場の組をつくりまして、そこに一定の職員を置きまして、班を編成いたしまして、機動的に保税工場を回り、検査をするというやり方に切り変えたわけでございます。  その結果、非常に能率的に検査が実施されるようになっております。現在のところ、保税工場における法律違反というのはほとんどないというような状況でございます。今後とも、保税工場の物の流れと同時に、その帳簿の検査等を通じまして、十分に検査、監督を充実させまして、保税工場関係の違反事実が今後とも起こらないように格段の努力をしたいと思っております。
  80. 広瀬秀吉

    ○広瀬(秀)委員 最後に、昨日ですか、外賓埠頭公団法が衆議院を通過いたしましたが、これは外航船舶のコンテナ輸送というものに対応して、この埠頭の整備などをはかろうというわけでありますが、これかやがてだんだんに——コンテナで持ってきて、船舶を埠頭につけてその上屋におろしてしまうということでは、このコンテナ輸送の妙味というものも半減するわけでありまして、この国内の輸送体系と外航船舶による一貫したコンテナ輸送というようなものも、やがてだんだんそういう方向に進むんじゃないかと思うのですね。そういう問題について、運輸省としてこれからどういう方向へそれが進展していくだろうか、そういった場合、そういう貨物の流れになったような場合における関税局としての通関業務がどういうふうに変化するだろうか、こういうようなことについての見通しをひとつこの際聞かしていただきたいと思います。  これで終わりたいと思います。
  81. 佐藤肇

    ○佐藤(肇)政府委員 コンテナの問題は、非常に新しい、また急激な問題でございまして、コンテナの一番長所を発揮するには一貫輸送、つまりドア・ツー・ドアでございますが、現在は急速にそのドア・ツー・ドアが行なわれるとは思われません。しかし、港湾における荷役を簡素化するという意味、一般にこれはユニット化といわれておりますが、そういう意味で、今後コンテナというものは進んでいくと思います。したがって、コンテナの効率をいかに発揮するかということと、どこでどのように通関を合理的にやるかということは密接な関係があるわけでございまして、通関のあり方につきましては、コンテナの本質的な問題として大蔵省とも十分いまも連絡をとりつつありますし、今後これの伸展に応じて十分連絡をとってやっていきたいと思っております。
  82. 谷川宏

    谷川(宏)政府委員 コンテナ船が入ってきた場合における通関業務の迅速、適正化の問題につきましては、私ども内部でいろいろ研究もしておりますが、また国際的な関連がある問題でございますので、たとえば、日本にコンテナ船が入ってきた場合におきまして、コンテナをあけて検査をする場合に、それを迅速にやるためには、そのものを出す国におけるやり方との関連もありますので、そういう意味におきまして、国際的な取り扱いの統一の問題があるわけでございまして、この問題につきましては、ブラッセルにあります関税協力機構で各国の専門家が集まりまして、どういうようにしたら国際的に共通のやり方ができるかということを目下研究している最中であるわけであります。私どもは、間もなく入ってくるわけでございますので、それを待たないで、できる限り迅速に処理できるよう、施設の面あるいは人員の配備の面等についても十分に意を用いまして、遺憾なきを期してまいりたいと思います。
  83. 内田常雄

    内田委員長 次は、平林剛君。
  84. 平林剛

    ○平林委員 資産評価法改正案に関連をいたしまして、けさがたの理事会で御了承を得て、私はきょうは般若鉄工の倒産の問題につきまして、主として銀行局長にお尋ねをしてまいりたいと思うのでございます。  しかし、その前に、先般私が銀行局長にお尋ねをいたしました三和開発の倒産の問題に関連をして、最近の信用金庫業界のあり方について追及をしました。また、中小企業金融機関の再編成にからみまして、私は、制度をいじるよりは、当面する各金融界の実態というものに対してむしろ監査的な態度を強めるべきである、これを怠ることは許されない、また、その監査が十分でないのは、一つには、大蔵官僚の金融機関に対する天下りがあるし、また同時に、これらの金融機関の責任者の中には、同族的な経営を行なって、実際の行為が表に出ない、埋もれた悪もあるということにかんがみ、ひとつ、大蔵省もしっかりしてもらいたいということを申し上げました。そのとき私が特に例を出して申し上げたのは、中小企業金融機関の再編成にからんで、このときはもういよいようちの金庫はぐあいが悪いから、混乱といいますか、一つの合併とか統合とかいうようなことになる前に、自分の身の保全だけはばかっておきたいということから、退職金は五千万円、慰労金は二千万円という巨額を総代会できめて、そうした場合に備えようとするようなものがあらわれている、この事実はあるかどうかということを調べてもらいたい、それだけではない、いろいろな問題もあるから、ひとつ調べてもらいたいということを要望いたしまして、適当な機会にその調査結果を報告することになっておるわけでございます。いまだにそのお答えがございませんので、この機会に、銀行局長からひとつ調査の結果はどうであったか、どの程度までお調べが進んだかということを聞かしてもらいたいと思います。
  85. 澄田智

    ○澄田政府委員 先回の当委員会におきまして平林先生から御指摘のあった点につきましては、実は、かねてそのようなうわさが業界の一部等に流れておりまして、当時関東財務局でもって調査をさせました。その結果といたしましては、そのような事実はないというような報告を受けておりました。これは先生の御質問の前でございました。ところが、過日御質問がありましたので、重ねて財務局で問題の金庫の理事会の議事録提出をさせて、昨年来の理事会の議事録全部につきまして事実の有無を詳細に調査いたしましたところが、理事会の議決といたしましてそのような事実は確認できませんでした。と申しますことは、理事会でもってそういう議決をしておるという——お示しのような退職金五千万円、功労金二千万円、合わせて七千万円の退職に伴う支出をあらかじめ理事会で議決をとっておくというような事実はございませんでした。しかし、そのようなうわさが世間に流れ、業界の一部に流れておったことは事実でございますし、これは、この金庫の理事長がそのようなことをみずから言っておったんではないかということでございました。確かに、理事長の言動には慎重を欠くものがございました。公共的な立場にある金融機関の経営者として、はなはだ穏当を欠くことでもございますので、所轄の関東財務局から理事長に対して厳重に注意を行なわせるということにいたしまして、これはすでに注意をいたしております。なお、今後も特にこの問題に関連して監督を厳にしてまいりたい。こう思っております。
  86. 平林剛

    ○平林委員 私は、さきの委員会におきましては、特に名前を伏せてその具体的な問題を指摘したわけでございます。信用金庫は数百ある。それが直ちにどこであるかということが大蔵省当局でもわかる。これは私は、今日までの情勢につきまして、ある程度の事情大蔵省も知っておったことであると思うのであります。私が先回の委員会では名前をあげなかったゆえに、他の金庫の方々にたいへん迷惑をかけた、はっきり指摘をしなければならないということを感じたのでございます。私がただいま指摘した問題点は興産信用金庫、理事長は志津という人です。ところが、あなたがいまお調べになったというのは、私がただいま具体的に名前を指摘しました、その金庫を御調査なさったのかどうか、その点をはっきりさせてもらいたい。
  87. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまおっしゃったその金庫でございます。理事長もおっしゃるとおりでございます。
  88. 平林剛

    ○平林委員 実は、私が先回名前をあげず指摘をいたしましたのは、一つの情があったからです。また、むやみに名前をあげることをちゅうちょしたからです。しかし、その後この理事長の言動を聞いておりますと、非常にけしからぬのです。ただいま会議録その他では確認できなかったということで、金庫の理事長みずからがそうした言動をとったということだけははっきりしましたが、場所は、当時信用協会の理事会での発言です。しかも、正式な発言です。自分だけではなく、他にもそういうふうにしたらどうかということまで慫慂しておるということでございまして、自分だけでなく他の金庫の理事長に対してもそうすべきだというようなことを言うておる。先回は名前をあげませんでしたけれども、私はその後の事情を聞きまして、実は少しも反省の色もないということから、再び具体的に名前を指摘して善処を求めたいと思っておるわけなんです。七月七日に熱海の伊豆山のさがみやホテルでもって、やはり東京都の信用金庫の理事長の懇談会があった。そこで彼は何と言っておるか。おれの金庫ではない、ほかの金庫だ。そのほかの金庫の名前を具体的にあげておるのです。私でさえもこの委員会で具体的な名前を指摘しなかったのにかかわらず、東信協の理事会の中で他の信用金庫の名前を具体的にあげて、非常に迷惑をかけている。私はこの行為そのものも許せない。そればかりではありません。おれは社会党にどなり込んでいったのだ。社会党にどなり込んでいったというが、だれのところにどなり込んできたか知りません。また、社会党に何でどなり込みにくるのか。社会党にはそういうどなり込まれる何もありません。それにもかかわらず、ある程度影響力のある公開の席で、酒を飲んでいたかもしれないけれども、そういう無礼千万なことを言うておる。私は、いまこういう段階になりますと、おれのところだけではないと言って、具体的な名前をあげて他に迷惑をかけたり、社会党にどなり込んでいったというようなことで、社会党に対して侮辱を加えるようなところがありますので、まだもう少し追及をしなければならぬ。また、追及して反省を求めなければならぬ。反省どころか、適切な処置を求めなければならぬということを実は感じておるわけでございます。  ただいまのお活によりますと、会議録について確認ができないということでございますけれども、その事実が実際あるかどうか、それから、お調べになった結果、その興産信用金庫にはこうした役職員の退職引き当て金というものはどういう、ふうになっていたか、これをひとつ明らかにしてもらいたい。そうすればだんだん事態が明らかになってくると思います。
  89. 澄田智

    ○澄田政府委員 先ほど私が御報告申し上げましたおり、先回の平林委員の御質問の以前にすでに私どものほうもそういう事実を聞いておったということを申しましたが、これはやはりいまお話のように、ある程度公の席でそういう話を理事長がしておったというようなことで、それが投書等もございまして、私どももそういう事実を知って、そしてその当時調査をいたしました。さらに重ねて調査を今回したわけでございます。理事会の議事録には載っておりませんので、議決としてはそういう議決はまだないということは、確認を一応したわけでございます。  なお、興産信用金庫の役職員を通じての退職金の規定といたしましては、年数に応じて最高報酬年額の十倍まで、それから功労金といたしましては、その金額に対する五割までを加算できる、こういうような退職金の規定になっております。いまお示しのような、この前の御質問のあとのそういうふうな言動等につきましても、なおよく実情を調査いたしまして、理事長に対する注意喚起につきましても、重ねて、状況に応じましてこれをいたしまして、強く反省を求めるつもりであります。
  90. 平林剛

    ○平林委員 退職金が報酬年額の十倍、最高はどうなっておるかお話がございませんでしたけれども、功労金はその金額の五割、これは一体幾らになるのか。この間神奈川県の知事さんの退職金五千万円の問題でも県内あげて大騒ぎする、それをこえる金額が実際御本人の口から出ておる。その金額は大体どのくらいになるのですか。そこまでお調べになっておるかどうか。
  91. 澄田智

    ○澄田政府委員 問題の退職金の規定につきましては、いま申し上げましたとおりでございますが、これを具体的に理事長の場合に適用して申し上げますと、理事長の報酬年額は昨年八月以降六百万円、こういうことになっておりますので、これを最高限度まで適用いたしますと、一応六千万円、こういうことになるわけでございます。それから、加算は、先ほど申し上げましたように五割でございますので、これも限度一ぱい出しますと三千万円ということになりまして、九千万円までが出し得るということに規定上、理事長の現在の報酬からの計算ではなるわけであります。
  92. 平林剛

    ○平林委員 この信用金庫は役員の退職引き当て金はどのくらい用意してありましたか。
  93. 澄田智

    ○澄田政府委員 退職引き当て金については、ちょっとまだその資料がございませんので、これも調査いたしまして御報告申し上げます。
  94. 平林剛

    ○平林委員 役員の退職引き当て金はゼロです。職員の場合すらも五百万円くらいしかない。この規定によれば九千万円、大体支払い準備金とか法定準備金でもどのくらい積んであるかということをお調べになったことございますか。調べがなければ、私から言ってもいいですよ。
  95. 澄田智

    ○澄田政府委員 これはバランスシートをいま手元に持ってきておりません。これはすぐ私どものほうでわかりますが、いま手元にございません。
  96. 平林剛

    ○平林委員 私は、この金庫の状態から見ますと、法定の支払い準備金、あるいは法定準備金ですね、こうしたものにつきましても、少なくとも一億四、五千万円はなければならぬ、ところが、実際は二千九百万円くらいしかない。そういうところで、いまお話ししたような、たとえ長年理事長をつとめておるものであるといたしましても、規定にあるような九千万円——いずれ限度額はあるでしょうけれども、そういうような事態はいかがなもんでしょう。私はその見解を聞きたいのですよ。この金庫は大蔵省の決算承認金庫じゃないですか。そこにおいてこうした規定があり、みずからもそう言うが、いままでのそういう専横的なやり方から見れば、こういう批判をしなければそのまま堂々とまかり通る、決算承認金庫のような形でなければこれは別ですけれども大蔵省はこれについてどういう御見解をお持ちなのか、聞いておきたいのです。
  97. 澄田智

    ○澄田政府委員 この金庫は、現在まで決算承認の状態でございましたが、最近検査の結果、承認を本年度からはずしている、こういう状況でございます。しかし、内容が、いままで決算承認の金庫であったということは、おっしゃるとおりでございます。内容については、そういうような問題点を持っておったわけでございます。  それからいまの退職金の規定でございますが、規定として相当高いところまで支給できるような、ことにそれが理事長その他役員が高給である場合に非常に高い金額になるというような点は、確かに御指摘のように、当該信用金庫の内容からいたしましても非常に問題があるのではないか、こういうふうに考えております。
  98. 平林剛

    ○平林委員 決算承認金庫であり、支払い準備金、法定準備金も十分ではない、その中におきまして、規定だけは九千万円も退職金を受けることができる、しかも、いまのお話ですと、決算承認金庫はことしまでだと言われますけれども、この措置が妥当なりやいなや。私はまだいろいろな問題を材料として持っております。  それから、日本銀行の取引店につきましても、規模量の低いのにかかわらずここは認めなかった理由、それはそれなりの理由がやはりあったと思うのですが、どういう理由でその措置をなされておるのか、私はそれも聞きたい。
  99. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまお尋ねの日本銀行の取引の関係でございますが、これは日本銀行のほうで、方針に従いまして取引を行なってきておるのでございます。預金量等も一応の標準になっておるようでございますが、その内容は私どものほうでは関知いたしておりませんので、どういう理由でなっていないかということにつきましては、私どもとしては承知いたしておりません。
  100. 平林剛

    ○平林委員 銀行局長さん、そこまでは行き届かないというのは、私は認めます。しかし、関東財務局は知っているはずです。それなりの理由があるからです。同時に、私が先般指摘しました三和開発の倒産のときでも、相互銀行あるいはその他信用金庫でも十五融資をしておりまして、ゴルフ経営に対して金を出していくことはどうであるかという批判もさることながら、依然としてこの理事長は神奈川カントリークラブの責任者をやっておる。そして、私はパンフレットも入手しておるのですけれども、パンフレットには堂々と書いてある。そして三和開発がすでに倒産しかけたときにおいても、他の同僚の信用金庫の責任者を語らって、それに対してお金をつぎ込もうとしていた。神奈川カントリークラブの経営につきましても、去年ですか、十二月あたりには開設をするという予定のやつがいまでも延びている。しかも、その融資の問題につきましても、私は今後かなり問題が出てくるのではないかと見ておるわけでございます。そういう信用金庫をことしで決算承認金庫からはずすというのは、一体どういうわけか。私は、局長としてももう少し調査する必要があると考えているわけです。特にあなたのほうはいろいろな通牒をお出しになっているでしょう。従来の大蔵省検査部、ことしはもう少しこうした経営内容の悪い金庫——金庫に限らず、相互銀行も同じですが、そういう金融機関に対して検査の趣旨を徹底させていく、そうして悪質なものに対しては、従来の指導方針であった役員の減俸処分、一部関係者の退任はもとより、今後経営者の退任を求めるなど、強い措置を講ずる方針である、こういう方針書も出しているけれども、私はこの間言ったように、幾ら方針書をつくっても、行政指導をやったって、どこの谷を吹いているのか松風はで、音ばかりでもって実行もされなければ、そうしたことについてむしろ軽視されている。この原因がどこにあるかということを反省してもらわなければならぬ。そうでなかったら、大蔵省検査部の検査、こんなものは何の役にも立たない、そうして、悪い指導者が横行するということになるわけでございますから、私はその欠陥を指摘して、是正すべきことは是正せよということを申し上げたわけでございます。私はそういう点をもう一度調査する必要があると思いますので、銀行局長のお考えをひとつお聞かせ願いたい。
  101. 澄田智

    ○澄田政府委員 決算承認をはずしましたのは、これは昨年の末でございますが、検査をいたしまして、その結果の判定等によりまして、これは財務局のほうでこのようにいたしたわけでございますが、なお、いろいろ不備なところがあることは、いまお示しのようなところからもそういうふうに考えるのでございますが、それまでの検査に比べて改善されてきている点もある、全体としての総合的な判断といたしましては、前よりよくなってきている、こういうようなことで決算承認という処置からははずした、こういうことであろうかと思います。なお、その辺の状況については、私どものほうでもう一度よく当時の状況等を調査いたします。決算承認というような基準からはずれましても、いろいろな点で、なお内容の充実等については大いに努力を要する、改善さるべき点が多々あるということは御指摘のとおりでございます。これからもこの金庫は、そういう意味において特によく監督をいたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  102. 平林剛

    ○平林委員 同時に、調査を進めるにあたって、こうした点もよく検査すべきであると思います。それは一つは、いま私が指摘いたしましたように、大蔵省からも不健全経営のレッテルをはられているにもかかわらず、ゴルフ場の理事長を兼任して、使途不明金を出している。昨年の秋にスタートする予定が、延び延びになっておるにもかかわらず、それを隠して資金集めをやっている。それからこの金庫は、本店の土地が志津理事長の名儀の土地であって、その名儀を譲渡担保の形で興産信用金庫の所有に変更させた。私に言わせると、高利貸しのやるような方法でございます。決算承認金庫という形で大蔵省の許可がとれないので、役員手当などは貸し付け金の形でやっておる。そのまま焦げつきになったので、償却を申請したができなくて、これを償却させた事実がある。これまでの大蔵省の検査で、ある検査官によって、三文判が二百も机の中に発見をされておる。二百も三文判が発見をされておる。お調べになればわかります、だれが、どの検査官が調べたか。そして、その三文判は架空の会社に対する貸し出しに利用して、焦げつきをさせたとして償却申請していた事実が指摘をされています。熱海に所有する分譲地の買収の資金の出所も、土地ブローカーをやるときの資金としてこの信用金庫から出されている疑いがある。興産信用金庫の本店の中に東京経済クラブというトンネル会社が同居しておる、この事実があるかどうか。先ほど申し上げました退職金、慰労金九千万円、まあ、本人が言っているのは七千万円でございますけれども、これについてもなお調査をする必要がある。  まだこのほかにもあるのですが、とりあえずこうした問題につきまして、私は慎重なる監査を行なう、その後に、いまお答えになったように、ことしではずすとか、はずさないとかをお考えになったらいい。  政務次官、信用金庫法の中には、監督機関として大蔵大臣がこうした金庫を監査するようになっています。また、銀行法によれば、それぞれ第二十一条、第二十二条、第二十三条、それぞれの検査権、経営保全命令あるいは法令違反、公益侵害等に対する処分が掲げられておりまして、金庫法に準用するようになっておる。いま私があげたような例がもし事実であるならば、まさしく、これに該当して処理しなければならぬのじゃないですか。私は、この事実はきょうはまだ調査を要請したのでございますから、事実とすれば、こうした規定適用するというくらいの考えがなければ、いまの信用界にあぐらをかいて横暴の限りを尽くしているそういうものは退治することはできませんよ。そうでなければ、いまちまたでいわれているように、大蔵官僚がそうした監督機関に天下りするから強いことが言えないのだとか、本人が言っているように、社会党にどなり込んだなどと言って、政治力を利用したかのごときことを言ってみたり、また、幾ら酒の上であったといえども、数々の放言をするようなことは、やはりこうした監督が形式的に流れている証拠だと私は思うのです。大蔵省がそういう批判を受けないためにも、私は、やはり措置すべきものは断固としてやるという考えがなければならぬと思うのです。まして私は、こうした現状をほうっておいて、ただ制度だけを変えたって意味がないし、いまのそれぞれの融資態度をながめてみますと、幾ら制度を変えたところで、中小企業金融の本来の姿を守ることはできない。まずその前にこうしたことについて、やはり勇猛心をふるって、そして整理していくという考えを持たなければならぬと私は思うのです。私はこれだけじゃありません。ほかの金庫の例についても最近憂うべき現象がございますから、銀行局にも平林メモを差し上げます。そうして、こうしたことが一日も早くなくなって、信頼される金庫界になっていくというふうにさせなければならぬのですよ。政務次官のひとつ御見解を承りたい。
  103. 小沢辰男

    小沢政府委員  平林先生がおっしゃることは、まことに私も同感でございます。法に照らしまして、十分よく調査も進め、また、法律上必要な措置が必要でありました場合には、もちろん厳正な態度で臨むつもりでございます。ただ、私、おっしゃいましたような事実関係につきまして、私自身がまだ調査なりあるいはその結果を聞いておりませんので、事実関係の問題につきましては何とも申し上げられませんけれども、おっしゃいますように、中小企業のための、また、国民の大事な金を預かる金融機関といいますと非常に公的な性格の強いものでございますから、私どもとして、あくまでもおっしゃるように厳正な態度で臨んでいきたいと思います。
  104. 平林剛

    ○平林委員 調査の結果を待ちまして、その措置が政務次官おっしゃられるがごとく実行せられるかどうか、私も監視をしてまいりたいと考えます。  それでは、次に般若鉄工の倒産の問題につきまして質疑を行ないたいと思います。  般若鉄工というのは、冨山県の高岡という市にある旋盤のメーカーでございまして、わが国の旋盤のシェフの中では六割を占めて、当時は従業員三千名と呼ばれる、異常な進出を遂げた旋盤メーカーでございます。経営のまずさから昭和三十六年に不渡りを出しまして、会社更生法の適用を受けることになったわけでございます。会社更生法の適用を受けて再建の努力が続けられたのでございますけれども、再び三十九年に第二次の倒産をやりまして、今日破産の状態にありまして、破産の管財人の手によりまして今後の問題が検討されておるという会社でございます。この般若鉄工の倒産の問題につきましては、参議院においてはすでに二回、商工委員会、大蔵委員会において取り上げられました。また、衆議院におきましても、法務委員会におきまして、かって同僚の藤田議員がこの問題につきまして政府措置をただしたことがございます。今日に至るもその措置は進められず、これらの問題についての再建も見通しが立たないという状態にありまして、先般、私どもこの問題につきまして何らかの処理を進める必要がある、議会でも両三回にわたって議論されたものをそのまま放置するわけにはまいらぬ、そこできょう私がこれを取り上げることになったわけであります。  さてそこで、問題はどこにあるかと言いますと、まず第一番に問題なのは、この二度にわたる会社の更生計画にかかわらず破産になりました。その間、三千名をこえる勤労者の賃金、退職金、社内預金、それがすべて不払いのままに置かれておるわけであります。当時の金額で申しますと、当然勤労者が受けるべき賃金、それの金額は一億円、それから退職金だけで二億五千万円、そのほか、会社に対する預け金、つまり社内預金的なものなぞを含めますと、勤労者が失っておる金額は相当なものになりますし、また、現在まで再建のために努力しておった従業員にとりましては、家族を含めて数千名の人の生活の問題につながっておるのでございまして、依然として未払いのまま置かれている、これについてどう対処するかという問題が、一つの今後解決すべき点でございます。  第二の問題点は、これに対して最近金沢国税局は、どうも再建がうまくいきそうもない、それならば、この会社をひとつ公売に付するということになりまして、その調査を進めておるそうです。私は、この間、税の執行に関する小委員会で国税庁長官に対しましては、この措置は議会でも問題になって、どう処理するかということが検討されているやさきであるから、国税庁の任務はわかるけれども、ひとつ、今後の処理と相まって検討するように要請をいたしておきました。きょうは国税庁長官はこの席には呼びませんでしたが、こうした問題点一つあります。  第三の問題点は、これは、こうした勤労者の賃金が不払いである、しかも、労働基準法違反として告発、告訴されておるくらいに働いている者が犠牲になって、幾ら労働基準法違反として告訴、告発いたしましても、証拠不十分として不起訴になっておる。犠牲になっておるのがこうした勤労者であるにかかわらず、これに融資をしておった銀行、北陸銀行、これはのうのうと担保物件を自分のふところに入れている、自分では少しも損をしないという形をとっておるわけでございます。もちろん預金者保護というたてまえから、銀行の経営に欠陥がないようにそれを保全するという任務は、私は否定をするわけではございません。しかし、諸般の法規、法律から照らしてみまして、単に銀行だけがその融資を確保するだけで済まされるかどうかという問題点が私はあると思うのであります。  しかも、その批判とともに、こうした措置かなぜ行なわれたかということを調べてみますと、会社更生法が適用されるや、北陸銀行の重役が経理担当としてそこの会社に入った。もう倒産やむなし、破産やむなし、こういうことであるので、その経理担当として入った地位を利用して、まず北陸銀行の担保だけは確保するというやり方は、私は、道義的にもいかがなものであろうか、こういうことを考えるのでありまして、都合、三つの問題点があるわけであります。  そのほかにも、私はきょうは労働省がかんべんしてくれと言うからこれを認めたのでありますけれども、労働省が、数千名にわたる家族、三千名の従業員のこうした問題点について、その後一体いかなる措置をとったか。政府というものは、労働省というものは、こういう問題に対して、何らかの積極的な手、あるいは解決すべき行政指導などについても、私は、これだけの人数になってきますと、これは法律でもって、労働委員会でやればいいんだというような措置ではないのではないか。しかも、議会で取り上げられてきておる問題ですから、政府においても何らかの措置をとらるべきものであると思うのでございます。まあ、総括すれば四つほど問題があるのでございます。  しかし、きょうは銀行局長に主としてお尋ねをしたいと思うのでございますけれども、この状況に対しまして、銀行局のほうでは何らかの措置、相談、そうしたものを受けられたことがあるのかどうか、それから、私がいま指摘したような問題につきまして、どういう見解をお持ちか、そのことにつきましてお尋ねをいたしたいと思うのです。
  105. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまの御質問のうちの北陸銀行との関係の点でございますが、北陸銀行と般若鉄工とは、前には手形割引というような関係の取引だけでありましたが、般若鉄工が、いまお話のように更生会社となりました。   〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕  三十七年の初めに更生会社となりましてから、地元の有力な企業であったわけでございますので、地元の銀行としてこれに協力すべきであるということを県及び市から強い要請を受けまして、それ以来、手形割引だけでありましたのが、更生計画に従って会社更生の手続を進める上に必要な融資というものをいたす、こういうことになりまして、協力関係に乗り出しました。そのために、非常勤の役員というような形で、初め役員を入れました。あとから常勤になりましたが、役員を入れた、こういうことであります。したがって、更生会社になってから、会社更生のために融資をしていった、こういう関係でございます。そうして、これに対しまして、現在同社の工場を担保にとっていることは事実でございますが、これはいわば更生計画を行なうため、適正な手続に従って担保権も設定した、更生管財人の承認を受けて担保権を設定した、こういう形でございます。  したがって、法律的には、更生計画を執行するための共益的な債権である、こういうような債権でございますし、適正な手続で担保権も設定されている、こういうことでありまして、そのこと自体は、銀行の行為として特に批判さるべきことというものでもない、かように考えるわけでございます。  ただ、お話のような賃金の不払い、あるいは退職金等も不払い、こういうこともあるのでございます。そうして時間も経過をしている、こういうことでもございました。  お話の、昨年の衆議院法務委員会での藤田委員の御質問等のあと、北陸銀行が有力債権者として、すみやかな処理と、そして、その場合に社会通念的に現在の従業員のそういう状態というようなものを考慮して、適正な処置をとるというようなことをわれわれの立場においても慫慂をして、銀行側にもそういう意味話し合いもしてきておったところでございます。いろいろその後はかばかしくまいってない、こういうような状態であるようでございますが、なお、銀行側もそういうような態度で臨んでいるものと承知をいたしております。
  106. 平林剛

    ○平林委員 会社更生のための融資をされて、破産になってきた。その前に、法に基づいて適正な手続をとられたということは、たてまえとしては、私はそのとおりだと思いますが、更生管財人の承認を得たといいますけれども、更生管財人そのものが労働基準法違反に問われているわけですね。しかも、地元の新聞では、ほかの不正の問題からも事件を巻き起こして検察当局の追及を受けるという状態でございます。いわんや、情勢が悪くなったと判断をされたときに、北陸銀行の債権に見合うものだけを根抵当として押えた、いわゆるかけ込み抵当権の設定のやり方は、私は、広い意味の社会道義的な問題として、やはり非難を免れるわけにまいらぬと思うのであります。  いまの銀行局長のお話によりますと、昨年、北陸銀行に対しましては、たてまえはたてまえとしても、何らか適正な措置をとるようにすすめたというお話でございますから、その様子をもう少し見てもよいのでございますけれども、実際は、北陸銀行は般若鉄工の倒産によって実損は受けていないと思うのでございます。もう時間がございませんが、その辺はどういうふうな実情であるのか。  それから、この根抵当を担保として押えた以外に、四億円の手形を押えておると聞いておるわけであります。この四億円の手形はその後落とされたかもしれないというような実情でございまして、もし落とされているということが事実であるとするならば、一方においては、数千名の家族が労働の報酬を求めて、いまだに支払われていない。これは、解決のときにあまりに片寄った処理のしかたになってはいないか、この点もひとつ御調査をいただきたい。  それから、私は繰り返して申し上げますが、経営者として乗り込んでいった責任ということも、ある程度考えてもらいたい。会社更生法に基づいて経理担当として乗り込んでいった責任ということを考えますと、北陸銀行が社会的にとるべき措置というものも、またおのずから出てくると思うのでございまして、そういう意味では、ただいま申し上げた点を御勘案の上、引き続き銀行局において話し合いを進められるように私は希望するのですけれども、いかがでしょう。
  107. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまお話のような点は、なお私どものほうとしてさらに調査をいたします。そして、現在銀行がとりつつある措置並びに今後の考え方等についても、お話のございました社会通念に従って、しかるべく処置をするように、なおよくその点については銀行に話してみたいと思っております。
  108. 平林剛

    ○平林委員 般若鉄工の再建の問題は、私は今日依然として県民の要望であると承知いたしております。これは知事も商工会も土地の有力者の人たちも——とにかく、ここは新産都市に指定されておるわけでございますから、新産都市に指定をされている地域での問題であるということをやはり政府自体においてもお考えをいただきたいのです。そして、再建は県民の希望である。高岡市の市長も冨山県の知事も、地場産業の育成、擁護のためにはかなり努力をされておると思うのであります。同時に、私に言わせると、貴重な各生産施設を活用するということも考えていいのではないか。そうでないと、いま国税庁がおやりになっておるような公売に付してしまいますと、こうした願望を砕いてしまうようなことにもなるわけです。  政務次官、この点は、私は直接国税庁長官に注文を発しておきましたけれども、ただいまの事情から考えまして、こうした再建の願望を公売という形によって砕いてしまうことのないような配慮もせねばならぬと思うのであります。同時に、これを逆に見ますと、このままの状態でほうってしまいますと、機械なんかは、それをほしがるブローカーの利権の巣になってしまいますし、それから、土地などにつきましても、土地ブローカーの奪い合いということになりましょう。それよりも、私がきょうここで取り上げましたのは、憲法とか労働法規で保障された労働者の権利が全く無視されている。労働基準法に掲げられている二十三条、二十四条の規定は、今日の措置は何らの役に立っていない。もう時間がありませんからこまかく読み上げませんけれども法律趣旨は全く無視されて、抹殺されておる。これは社会的、人道的な問題であるとともに、法律の値打ちそのものがいま失われておるということにおきまして国税当局でもなし得るべきものがあるのではないか。労働省もどうすべきかということを考えるべきだ。同時にまた、大蔵省としては、北陸銀行としても、そういう道義的立場から何らかとるべき措置はないかということをきょうは指摘しておきたいと思うのでございます。  銀行局長からも適切なお答えがございましたが、最後に、政務次官からそのお考えを承りまして、私は、きょう一応この質問を終っておきたいと思います。
  109. 小沢辰男

    小沢政府委員 ある会社がつぶれまして、その影響が各方面にわたることはやむを得ないことでございますが、その際に、銀行あるいは税の当局だけが実損を全然見ないで、その被害のしわだけが一方に片寄ったりいたしますことは、確かに、それぞれの立場から見ますと、法律上、形式上は妥当かもしれませんけれども、おっしゃるように、全般的に、常識上見て、いろいろ問題があることは事実だろうと思います。したがいまして、私、ただいま、特に地元においてはこの優秀な技術を持った会社を再建したいという御希望が強いように承りましたので、国税当局が考えております措置については、十分現地の事情等も聞きまして、慎重にひとつ検討していきたいと思います。  なお、銀行につきましては、先ほど銀行局長も言いましたように、おそらく私は、北陸銀行のとった措置については、法律上これをとやかくいうようなものはないのじゃないかと思いますけれども、先生おっしゃるように、経営者として考えました場合には、やはり会社更生というものの責任の一端を負っているということでございます。そういうような意味において、なお手形等のお話もございましたので、総合的に銀行当局の意見も聞きまして、私どももできるだけ他の面でなお研究の余地がないか、ひとつ研究をしてまいりたいと思います。
  110. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 次回は、来たる十八日、火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十八分散会