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1967-06-30 第55回国会 衆議院 大蔵委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月三十日(金曜日)     午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 内田 常雄君    理事 原田  憲君 理事 藤井 勝志君    理事 三池  信君 理事 毛利 松平君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君       足立 篤郎君    大村 襄治君       小峯 柳多君   小宮山重四郎君       笹山茂太郎君    砂田 重民君       西岡 武夫君    村上信二郎君       村山 達雄君    山中 貞則君       渡辺美智雄君    阿部 助哉君       只松 祐治君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       村山 喜一君    柳田 秀一君       山田 耻目君    田中 昭二君       広沢 直樹君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         大蔵政務次官  小沢 辰男君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       海堀 洋平君         大蔵省主計局次         長       岩尾  一君         大蔵省主税局長 塩崎  潤君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         国税庁長官   泉 美之松君  委員外出席者         大蔵大臣官房財         務調査官    堀込 聡夫君         会計検査院事務         総局第一局長  斎藤  実君         日本専売公社総         裁       東海林武雄君         日本専売公社企         画部長     高村健一郎君         日本専売公社外         国部長     湊 良之助君         日本専売公社販         売部長     斎藤 欣一君         日本専売公社生         産部長     大塚 孝良君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 六月二十八日  音楽、舞踊、演劇、映画等入場税撤廃に関す  る請願外三件(川上貫一紹介)(第一九一九  号)  同(田代文久紹介)(第一九二〇号)  同外三件(谷口善太郎紹介)(第一九二一  号)  同外四件(林百郎君紹介)(第一九二二号)  同外八件(松本善明紹介)(第一九二三号)  公務員の共済組合制度改善に関する請願谷口  善太郎紹介)(第一九二四号) 同月二十九日  貸金営業法制定に関する請願遠藤三郎君紹  介)(第二一二八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本専売公社法の一部を改正する法律案(内閣  提出第四二号)  国の会計税制及び金融に関する件      ————◇—————
  2. 内田常雄

    内田委員長 これより会議を開きます。  日本専売公社法の一部を改正する法律案を議題とし、あわせて、国の会計税制及び金融に関する件について、調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。広瀬秀吉君。
  3. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 専売公社法の一部改正について御質問をいたしたいと思います。時間がないものですから、公社のほうでも、ひとつ答弁を簡にして要を得てやっていただきたいと思います。  たなおろし資産が最近非常に急速にふえておる、こういうことで今回のような措置も必要になってきたわけであります。当然のことですけれども、ただ、そのたなおろし資産がどういうわけでふえてきたかということについて若干の疑問もあるわけであります。たとえば、昭和三十九年度は国内産葉が歴史始まって以来の豊作だったというにもかかわらず、したがって基準在庫量というようなものがほぼ満ぱい以上に達した、そういう段階で、四十年度に対前年比数量で四〇%、金額で六〇%、こういうぐあいに葉たばこ輸入をやった、こういう事情について、この辺から急速にたなおろし資産が増加をしたという事情もありますので、そこらのところは一体どういうことであったのか、こういうことをまずひとつお伺いしていきたいと思います。
  4. 湊良之助

    湊説明員 お答えいたします。  四十年度に、従来の数字からいいますと、御指摘のような非常に大きな数字になっておりますが、これは当時「ハイライト」を中心にいたしまして、高級銘柄品の売り上げが急速に増加しましたので、その手当てといたしまして万やむを得ず古葉を買った次第であります。もちろん所要量全額買ったわけではなくて、できるだけ減少いたしまして買っております。したがいまして、四十一年度の輸入額は再び正常に返っているはずであります。
  5. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 現在、それでは基準在庫量といいますか、その問題は在来種それから黄色種輸入葉と、こういうようなものでかなり上回っているのじゃないですか。その数字をちょっとあげてください。
  6. 湊良之助

    湊説明員 外葉基準在庫量は、適正在庫は二十四カ月、つまり二夏を過ぎて使うという計算にしてありますが、現在の基準在庫量を上回っているものはございません。
  7. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 それでは、その点はけっこうです。  ことしの専売公社予算書を見ますと、葉たばこ輸出代金が、在来種の場合に単価購入単価を大きく下回る数字が明らかに出ておるわけですが、これはバーレーの輸出は逆現象になっておりますけれども、それはどういう理由でございますか。
  8. 湊良之助

    湊説明員 たいへん残念でありますが、御指摘のように、現在の在来種輸出赤字になっております。これは最初から赤字であったのではもちろんございませんでしたが、最近収納価格の値上げその他でやむなく赤字になっておりますが、その赤字解消につきましてはわれわれも十分努力しておるつもりであります。なお、輸出全体では赤字にならないように配意しております。
  9. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 それでは答弁にならないと思うのですけれども国内産葉が上がっても国際価格がそれじゃやはり国内産葉を大きく上回っているんだ、こういうことなのか、輸出コマーシャルベースではそれ以上は価格の面では改善できないのだ、こういう国際環境があるんだ、こういう説明ですか。
  10. 湊良之助

    湊説明員 わが国葉っぱはアメリカの葉とかギリシアの葉のように特有な葉ではありませんでして、非常に代替性のある葉っぱとして各国買いつけておるわけであります。したがって、わが国の葉をあまり高くしますと、買わないで、よその国の葉にかわる危険を十分持っております。過去において、そのために相当な注文が一挙にゼロになったという年もあります。したがいまして、できるだけ輸出をしようとしながら、その赤字の幅をできるだけ小さくしたいというふうに努力いたしております。
  11. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 次の質問に移りますが、専売公社から耕作団体交付金が出されておるわけでありますが、その中で、職員日当七百六十円、総代日当六百四十円、こういう数字が出ておるわけでありまして、これは耕作団体等から、あまりにも安過ぎるということをいわれておるわけであります。しかも、実際にこれは耕作組合等実情を私調べてみたのでありますが、こういう単価で積算をして、これだけ仕事量があるということで、専売公社に出していく、しかし、大蔵省との予算の折衝の段階で、たいがい二割ぐらいは査定されて切られてしまう。しかし、どうしても仕事は当初要求しただけのものがある。しかも単価がこういうところです。そうしますと、どうしてもこういう単価がもっと実際の運用の中では安くならざるを得ない。いわば、地方財政における超過負担のような不合理が、この安い中にさらに輪をかけて出ている、こういうような状況もあるわけであります。特に総代さんというのは耕作者自身でございます。したがって、これは総代日当といいましても、私ども旅費日当などという、ちゃんと給料を確保されておって、出張した場合に日当をいただくというものとは全く違って、これはもう農民自家労賃そのものなんです。それが六百四十円で評価をされ、しかもそれ以上に手間をつぶしても、その分は結局支払われないというかっこうにも相なる、こういうことは非常に不合理だろう。この点は、これは責任ある総裁として、そういう事情と、この六百四十円というものが総代さんの日当として、一日手間を供出してこれしかならない、こういうことでは非常にいけないと思うのですが、この点、改善する御意思があるかどうか、このことをずばりひとつお答えをいただきたいと思うのです。たいした金ではございません。
  12. 東海林武雄

    東海林説明員 お答え申し上げたいのでありますが、なるほど、七百六十円と六百四十円というのは安過ぎるかと思いますけれども、これは日当というような意味ではなくて、謝礼という意味でお出ししておるように聞いておりますので、その点は、これが適当であるかどうかということはさらに検討さしていただきたいと思います。
  13. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 総裁答弁とも思えないのですけれども、いわゆる薄謝で、今日、しかもこれは公社仕事をやるわけであります。総代公社から委託された組合事務をやるわけでありますから、したがって、交付金計算の中でこの程度に出しているというのは、やはり非常識ではないか、こういうように思うわけでありまして、謝礼だからやむを得ないのだというようなお答えをされますと、私の質問も、いつまでもこの点だけでも食い下がっていかなければならぬ事情にもございます。いかにも安いのであります。実際の姿ではいろいろ運用をやっておりまして、栃木あたりでやっておる場合には、基本は三百二十円だ。そうして、その耕作者総代がかかえている人数で二十二円を掛けるとかいうように、これをさらに単価単価として分解してやっているというような実情にもあるわけです。そういうようなややこしいこともございますし、この絶対額がどうしても安い。これは総代がほんとうに、あっちこっち山間部を登ったりおりたりしながら、各戸に連絡したり、植えつけ検査の手伝いをしたり、しかも、こういう労力の供出というものがなければ、公社職員仕事なんというのはいまの二倍も三倍も日数を要するというような事情にもあるわけです。何番地のどこですかというようなことを一々聞いて歩いているようなことでは、これはとてもいけないわけです。ところが、総代がついてちゃんちゃん案内するということになって能率もあがっていくわけで、喜んでやってもらうためには、こういう時代ずれしたものではいけないわけであります。来年度は改善するなら改善するという約束をこの際——来年度といわず、ことしの年度途中においてもこのくらいの金はやりくりで幾らでも出てくると思うのです。これは経理全体を調べてみましても、そのくらいは出るわけであります。そういうことで、もう少し色よい返事をこの際お聞きしたいと思うのです。
  14. 東海林武雄

    東海林説明員 この問題は、実はこまかいことにつきましては私もよく存じておりませんが、先ほど申し上げましたように、前向きでひとつ検討さしていただきたいと思います。
  15. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 総裁が検討をされるということは、これはもう改善をされる、こういうように了解をいたしまして、次に進みたいと思います。時間がございませんので、かけ引きのある答弁をされないようにひとつお願いいたします。  次に、国産葉たばこについて、長期計画の中で品質重点生産方針を推進する、こういうように書かれておるわけでありますが、たばこは非常に葉をとる、しかもかなり大きい葉でございますから、それが密集して植えられておる中になかなか機械をそう入れるということも困難な面もあるわけですが、最近機械導入省力栽培生産性向上、こういうようなこともとられておるわけですけれども品質向上の面で若干ぶつかる面があるのじゃないか。品質向上というものに重点を置くということと省力栽培ということがはたして両立するかどうか、非常に綿密な手入れ、手当てをしていい葉もできるのでありますが、省力省力ということをあまりにも推進することも、一方においては言われておるわけで、その点矛盾はないかどうか。今日までの実績に照らして確信のほどをひとつ伺っておきたいと思います。
  16. 大塚孝良

    大塚説明員 喫煙者の嗜好が緩和の良質な葉たばこを要求しておりますので、一方では品質主義指導いたしております。また、農村の事情その他から省力耕作指導しておりますけれども、われわれは省力耕作粗放耕作指導をいたしておるつもりはございませんで、たとえば、その試験の結果、土寄せの回数を減らしてもだいじょうぶだとか、追肥の回数を減らしてもだいじょうぶだとか、そういう観点に立って指導いたしておりますので、そういう矛盾を来たさないように指導いたしております。ただ、大ぜいの中には、多少そういう指導の面で欠けるところがあるかと思いますので、いままでもそういたしておりましたが、今後十分その点を気をつけて指導いたしたいと思います。
  17. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 もう一つの問題は、長期計画の中で非常に合理化が促進をされていく計画になるわけでありますが、そういう中で、耕作者に対して生産性向上メリットを還元していく、こういうような考え方が非常に薄い、あくまで長期計画というものが、企業合理化とか、たばこ製造面における合理化生産面における合理化ということを考えて、しかも、そういう合理化メリットというものを、ほとんど国庫納付金あるいは消費税というようなところに振り向けてしまって、生産者に返すという考えが非常に薄い、ほとんどなきにひとしい、こういうことについて、どういうように国内の耕作者に対して、収納代金の引き上げなり、あるいはその他、たとえば常時栃木県のごときはひょう害にさらされる、あるいはまた、たばこの性質上、非常に気象条件にも左右されるというようなことで被害も多いわけでありますが、そういうものなどに対しても農薬の補助一つやったためしがありません。こういうことを考えましても、一部、災害補償等について前進はありましたけれども、もう少し耕作者に対する利益の還元、耕作者をもう少し大事にしていく、こういう面について、何かいままでにやらなかったようなものをこれからやってやろう、こういうような考えはないかどうか、この点いかがですか。
  18. 大塚孝良

    大塚説明員 生産性の向上した分に対しましては、四十二年度の価格算定におきまして、四分の三の分だけは耕作者に還元いたすような方向で価格算定をいたしております。
  19. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 その算定方式の中にはそういう思想が幾らか入っておるわけです。しかも、大体専売公社は、生産者にはほとんど品質に応じて買い上げという以外は金を出さないのでまことに有名であります。災害があって、それを途中で食いとめるために農民が一生懸命農薬を散布する。これは農林省関係作物だったら、大体農薬ぐらいは、県や何かを通じて農林予算の中から農薬無償供与するなんということは常時行なわれるわけですが、そういうこともない。少なくともその程度くらいのことは、農薬に対する無償供与、たとえばひょう害があった、あるいは風雨にたたかれた、そうして倒伏した葉がいたんだ、そういうようなところにすぐ病害が出るわけでありますから、すぐに農民は薬剤の手当てをしなければならぬ、そういうことが常時ある。しかしこれは、算定方式の中には、そういうよけい手間がかかって、よけい費用がかかってというようなことは、これは入っていないはずです。そういうようなものに対してもう少し金を出す、ただ、指導と、それから生産性向上分の半分ですか、平均値の半分は農民に返すという形をとっていますけれども、そういういま私が申し上げたような面で、農民に対してきめこまかいものをやっぱり出していくべきではないか。単なる指導だけで——農民の労苦に報いる金を出さないで、指導だけで生産性向上をはかっていく、あるいは安定耕作をはかっていくということでは、もうそろそろ限界に来たのではないか。栃木あたりでもここのところもう数年間にわたって減り続けているというようなことは、やはり常襲災害地帯だというような、そういう面か非常にあると思うのです。しかし、大体これからの長期計画のめどもついているのだから、耕作面積は大体確保できたからということで、長い伝統を持つそういうところにあまり冷たい仕打ちで、どんどんやめていきなさいと言わぬばかりのことでは、非常に残念だと思うわけです。いつ何どきまた新しい耕作地帯なんかが、より有力な作物なんかが導入されて、たばこ以上に有利だということになれば転換せざるを得ない、そうなれば、やっぱり既存のところなんかにまた頭を下げて頼まなければならぬという事態だって出ないとも限らぬと思うわけです。そういうことは仮定の論議でありますけれども、いずれにしても、そういう点にきめのこまかい配慮を考えてもらいたいと思いますが、総裁、どうですか。
  20. 東海林武雄

    東海林説明員 いまのお説は非常にごもっともだと思いますので、今後のそういうような指導方針、ただ指導だけではなくて、全面的にそういうようなものを考慮して、あくまで耕作者農民立場というものを考えていきたい、かように考えております。
  21. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 ぜひひとつそのようにお願いをいたしたいと思います。  次に、収納所の統廃合問題、収納取り扱い所が大体全国に八百カ所近くある、これを半分くらいにしたい。これは抽象的な言い方としては、企業合理化といいますか、効率化をはかっていくというようなことで、抽象的な理論としては了解できる面もあるわけでありますけれども、しかし、一つ一つ現地に当たってみますと、やはり非常に農民がこれによって不便をこうむり、犠牲を受ける、こういうような面もあるわけであります。したがって、こういう面については、これから計画を着々と進められるようですけれども、その問題について、これによってどの程度公社としてメリットが生まれてくるのか、そういう問題についてもこの際明らかにしていただきたいことと、それから地域の耕作者意思というものをまるっきり無視したような形でこれを進めてはいけない問題だと思いますので、そういう点について御意見を承っておきたい。
  22. 東海林武雄

    東海林説明員 この問題は、実はほかの委員会でも再々申し上げておりますけれども、現在七百八十カ所、八百近いそういうような収納所がございますけれども、これを整理、統合するということは、いまの運送関係道路関係経済関係から見まして、そうしたほうがいいのじゃないか、こういう考え方でございます。したがって、いま御指摘のあるように、その地方の特性によって、そういうことを好まないというところには、御相談をしまして、これは強制的にやろうという考えではございません。その点は御了承願いたいと思います。
  23. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういうようにひとつお願いしたいと思います。  それから、長期計画を見ますと、製造工場原料工場などの合理化計画があるわけでありますが、この問題は、大蔵大臣もお見えになりましたからやめておきます。  ただ、最後専売関係でもう一つお伺いしておきますが、製造たばこ輸出ということについて、輸出市場を開拓していくという考え方、これをどの程度専売公社としてウエートを置き、そしてまた伸ばす見通し、こういうものがあるかどうか、こういう点についてお伺いしたい。
  24. 東海林武雄

    東海林説明員 葉たばこ輸出につきましては、これは優先的にやろうということで努力しておりますけれども、先ほど申し上げましたように、これはどっちかというと頭打ちになっておるというようなかっこうになっております。したがって、国産葉を主体にしました国産たばこというものの製品が輸出ができるかできないかということが、私どもにとりましては一つの活路なんです。これを積極的に伸ばしていこうということでございますが、現在のところは数量的にはたいして伸びておりませんけれども、今後伸ばしていくつもりでおります。
  25. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 最後に、たばこ耕作者共済年金制度、こういうものが、専売公社財団法人全国葉たばこ耕作者共済会というものを認可をいたしまして葉たばこ耕作者共済年金事業をやっておるわけでありますが、約三十万人の耕作者のうち、これはもう発足して三年目を迎えておると思いますが、まだわずかに四万人ちょっとこえた程度加入者しかない、こういうことで、はたしてこれが年金事業として、定款等に盛られた約束、給付というものが実施されていくのか、正常な運営がはたして可能なのかどうか、こういうようなものを数字によって——認可官庁としてまた監督官庁として、これは任意団体ではございまするけれども、やはり耕作者にかかわる問題であり、財団法人として認可をしているそういう監督立場にもあるわけでありますから、この現在の状況を明らかにしていただくと同時に、これについての今後の指導方針といいますか、監督方針といいますか、そういうものをこの際お伺いいたしておきたいと思います。
  26. 大塚孝良

    大塚説明員 たばこ耕作者共済会お話でございますけれども、なるほど、おっしゃるとおり、四十年四月に発足をいたしておりまして、現在二〇%程度加入者でございます。  そこで、先ほどの確実であるかどうかというお話でございますが、予定利回りは一応六・五%を見込んでおりまするのに対して、四十年、四十一年の両方が七%以上、それは事務経費を差し引いた残りでございますので、現在のところ、健全な運営がいけると思っております。
  27. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 責任を持ってそういうことが言い切れますか。その根拠はどういうところにございますか。
  28. 大塚孝良

    大塚説明員 先ほど申し上げました予定利回りを上回っているということが、その根拠だと存じます。
  29. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 私どもとしては非常に疑問を持っておるわけですが、きょうは時間がありませんので、いずれまた別の機会にその問題を取り上げたいと思います。  大蔵大臣がお見えになりましたので、専売関係一つだけお聞きをいたしたいと思いますが、昭和二十九年までは、専売公社には内部留保と申しますか、そういうもので大体千三百億円程度手持ちがあったといわれるわけでありますが、その後専売納付金方式を変えることによりまして、その手持ち金を食いつぶして、しかも今日では、国庫納付金をするためにかなり長期借り入れ金、一年をこえる借り入れ金がどんどん増大をして、今日では非常に大きな額にのぼっている、こういう状態になっている。国庫納付金をやるためにどんどん借金をしている、こういうような姿で、これはたなおろし資産が増加したのだから、たなおろし資産は当然利益金に計上さるべきだ、こういう考え方でしょうけれども、しかし、こういうことで国庫納付金を、まず大体これだけ国財政歳入上必要だということで押しつけておいて、あとはゆるみなく取り上げていくという形では、これは公共企業体といえども一つ企業体であるとするならば、まことに、妙味といいますか、経営の弾力性といいますか、そういうようなものは奪われていく姿が今日出ていると思うのです。そういうことについて今回は若干手直ししようかということで、いままでの計算上千六百五十億円出るやつを五十億円は内部留保として認めよう、こういうことになったようですが、その限りにおいてはけっこうなことですけれども、やはり国庫に納付すべき現金に不足のある場合、余裕金を繰りかえ使用したりあるいは日銭で払っていくということができなくなっていくような、そういうものがどんどんまた借金がふえていくということについて、大蔵大臣として、企業体としてのメリットを少しは残していくということを考えないと、長期計画などにおいて非常に無理な合理化を進めるというようなことになって、これが労働組合に対する、かなり長い間かかって積み上げてきた労使慣行という、労働条件改善というようなものがだんだん合理化の中で奪われていくという現象なんかにも発展するということで、非常に問題もあると思うのでありますが、国庫納付金というものはまず優先している、こういう方向について、たとえば、たなおろし資産がふえたにしても、それはまだ倉庫に眠っているのであって、それはやがて製造たばこの販売となっていくのでありますから、何もそういう一般企業会計と同じような姿でやる必要もないのではないか、しかも、十分監督の行き届く監理官を派遣して常時見張っているところにそこまでやる必要があるのかどうか、こういう点、ひとつお伺いをしたいと思います。
  30. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 公社の財務体質を健全にするということは必要なことでございますので、御承知のような措置を今回の改正でとりました。国が一般会計が公債を発行しておるというようなときでございますので、結局、どれくらいの内部留保を認めるのがいいかということはそのときどきの財政事情を勘案して適切にきめるのがいいだろうと考えますが、いまの状態では、私どもは一応五十億円前後が最大限のところじゃないかというふうに考えてやったことでございますが、財政事情との勘案において今後適切な運営をはかっていきたいと考えております。
  31. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 あまり大蔵省、財政専売だからといって、国庫納付金消費税、これを打ち出の小づちのようにどんどん専売公社からしぼり上げるような感覚というものをぜひひとつこれからも改善していっていただくように要望しておきたいと思います。  これで、専売公社関係を終わりますから、どうぞ御退席ください。  次に、最近における経済、財政、金融、国際収支等、一般問題について、若干大蔵大臣にこの際お聞きしたいと思います。  六月二十七日でございますか、大蔵省ではインパクトローンの認可額が非常に急増したということを発表されました。対前月比で二・五倍になる、前年同期に比べれば八〇%もふえた、その額も六千八百九十万ドルという、しかも当分続くだろう、こういう見通しも語っておられるわけであります。もちろんこれは在日支店、特にアメリカの銀行の在日支店が例の金利平衡税を支店経由の貸し出しについては免除するというような措置がとられた。あるいは、海外金利の低下とか、産業界がやはり新しい金融市場に対する需要というものを非常に意欲的に見せて積極化してきた、こういう事情があるといわれておるわけでありますが、インパクトローンでありますから、特定の使途を限定されないというところに非常にいい面もあるわけでありますが、この認可にあたって大蔵省の態度というものが一体どういうものなのか。これは多々ますます弁ずで、どんどんやっていっていいものなのかどうか。外審の答申で「対内直接投資の自由化に関連するその他の問題」の三、「五年以上のローンによる対内直接投資の自由化」というところを見ますと、これはやはり五年以上の期間にわたるものなんかが先ほどの数字の中にはかなりあるということもいわれております。そうなりますと、これは投資と同じだ、インパクトローンといえども直接投資と同じように見るんだという考えもあるわけでありまして、このようなローンが積極化してきているということか——もう一つ質問をいたしますと、資本自由化に備えて、外資がそういう形をすすめているのではないかということが一つの疑問、それから日本の金融機関との競合関係という意味で、限界というものはどこら辺のところにあるだろうかということも問題になる、その点はどうか。それから景気の問題で、安易にそういうものが認可されて入ってくるということになりますと、そういう面から、日本の都市銀行筋なんかでも金融ポジションがだいぶ悪化したという、目立つほどではないにしても、引き締まり気味にある。そういうようなところにそういうのかどんどん入ってくる。景気調整というような段階を迎えたときに、何かそういうものとの関連でどうなっていくんだろうか、こういう疑問も出てくるわけであります。この問題についての大蔵省のそれぞれの立場における所見をひとつお伺いしたい。大臣からは総括的な御答弁をいただきたい。
  32. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 インパクトローンが入ってきておること、最近相当ふえておることは事実でございますが、統計で見ますと、昭和三十八年度中は三億四百万ドル、三十九年は三億六千九百万ドルというようなインパクトローンの流入がございましたが、それに比較しますというと、四十一年、四十一年はもう一億ドルを割っておる額でございまして、六千何百万ドルというような、昔の流入に比べて非常に小さい額であるということと、過去の借り入れは、ここ二、三年の間に相当多く返済が続いておりますので、そういう点から見ますと、いま程度の流入であればそう問題はないであろう。また、わが国企業経営に影響を及ぼすことも、この程度なら別に問題はないというふうに私ども考えております。また一方、国際支収の問題に関して、外貨の準備はやはりできるだけ多いほうがいいというような事情にもぶっつかっておりますので、そういう面から見ましても、いま程度のものは、むしろ好影響を持っておっても悪影響はないという考えで、この程度の増加が、もう少し傾向が続くということであっても、私どもはこれを自由に認めていいのじゃないかという考え方でございます。
  33. 堀込聡夫

    ○堀込説明員 補足して御説明申し上げます。  ただいまの外審からの答申のことでございますが、これは答申にも書いてございますが、OECDコードにつきまして、自由化をしようとしますのは金融機関相互のローンでございまして、一般的にこういった企業のあれは自由化の範囲外になっておるわけであります。今回のこの答申に言っております趣旨は、こういったものがいわゆる経営支配のためのものであるかどうかということはなかなか区別がしにくいということで、当分こういうことは考えないという答申になっております。  それから、前半の金融に対する影響の問題でございますけれども数字的に申しまして、これらのインパクトローンの資金の金額は、非常に大きかった二、三年前の時点におきましても、流入の規模において三億ドル程度でありまして、純増ではさらに少ないというような形でありまして、日本の投資資金の流れ全体に対する影響の度合いというものは比較的軽い、軽微なものではないかというふうに考えております。
  34. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 四月から六月が六千八百九十万ドル、第一四半期でそういうことになっておる。ことしは年間を通じてどのくらいインパクトローンが入るだろうか、この見通しについては、どのくらいという見通しを持っておられますか。
  35. 堀込聡夫

    ○堀込説明員 この影響は、ただいま御指摘のとおり、本年の四−六月では六千八百万ドルというふうにかなり大きい金額にのぼっております。しかし、一面同期間におきまして約同額の流出がございまして、純増ではほとんど横ばいのような形でございます。  年間のこういった形が今後どういうふうに推移するかということは、流入がどういうふうに推移するかということでございますが、これは御承知のとおり、最近におきましてアメリカの利子平衡税の取り扱いの改正の関係で、在外米銀行が貸す貸し出しに対しまして利子平衡税がかからないということになりました。そういった突発的なことに伴いますところの一時的な影響、それからまた内外金利差、日本側の金融調整、また、向こうにおきます一時的な金利の低下といったふうにタイミングがぶつかった、そういった二、三の特殊的な要因が重なりまして、最近は流入額が非常に大きいのじゃないかというふうに考えます。年間を通して考えますれば、おそらくこういった規模は落ちていきまして、これを四倍したような金額には当然ならないのではないかというふうに考えます。
  36. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 次に、最近の景気の動向と国際収支の問題について、見通しと対策についてお伺いしたいわけであります。  大蔵省が法人企業統計を発表されて、一−三月の段階で設備投資は三割増になっている、こういうようなことをいわれております。設備投資が前年同期比でそういうことになっておる。こういう傾向はかなりこれからもことしは続くのではないか。最近、大来佐武郎さんがやっておられる十八カ月予想といいますか、日本経済研究センターが発表されたところによりましても、対前年比二四%ぐらいの設備投資の伸びもあるのじゃないか。これは、政府が予算を組んだ当時の予測からすれば非常に大きなものだと思うのです。大きな予測の食い違いであろうと思うのです。そういうように、最近、ある見方からすれば、設備投資のほうも比較的落ちついた動きを示しているという見方もあるようでありますが、やはり二十何%というようなかなり高い成長を示すというようなことがあるわけであります。一方において、鉱工業生産指数なんかを見ましても、一七%くらいは伸びるだろうというようなことの見通しも出ておるわけであります。そういうような中で、国際収支のほうは、ことしの一月から、通関ベースで見る限りにおいて、少なくとももう輸出が減り続け、輸入が増大を続けている。その貿易じりにおける累積赤字だけでも七億四千三百万ドル、これはたいへんな数字だと思うのですが、こういうようなことになっておる。三月、四月だけ見ましても、これは史上三番目くらいの赤字にもなっているというような数字まで五月あたりには出ている。こういうようなことでございます。三十九年のときにもかなりこういう事態が出た。しかしあのときには、下期においてアメリカの景気上昇というような局面に救われて、輸出の面で非常に改善されてきた条件があった。だけれども、今回の場合は、世界的に先進諸国が昨年よりも少なくとも経済の実質成長率が鈍化をしている。アメリカなんかでも、去年の五・四%に比して四%くらいだろうといわれるし、カナダの五・九%が四%くらいに落ちるだろうといわれ、西ドイツが二・五%が一%くらいだろうといわれる、イギリスも同様だ、フランスも下回る、イタリアも下回る、こういうような景気予測も出ているわけです。そうしますと、なかなかたいへんなことになるのではないか。大来さんの見通しはかなり楽観的で、短資などの流入を考えれば、結局外貨準備などは減らないだろう、しかし、貿易収支は大体二、三億ドルの赤字が出るだろう、二億八千万ドルとかはじいていますね。しかし、大蔵省の見通しとしては——やはり一番いま警戒を深めているのは大蔵省だといわれているわけでありますが、五億ドルという数字まで最近は出ている。六月二十二日の朝日にそういう大蔵省の見通しが語られたという報道もされているわけでありますが、総合収支じりでの赤字が、貿易との関係、その他の貿易外収支の関係等で一体どのくらいになるだろう、この見通しいかんによっては、やはり金融政策、財政政策なども、あるいはいまポリシーミックスといわ  れるような両面のものも必要になってくるだろうと思うのですが、こういう点について、見通しと、それから対策という点についてお話をいただきたいと思うのです。
  37. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 御指摘のように、設備投資、在庫投資、個人消費というものはいまきわめて堅調でございます。と同時に、鉱工業生産というものもかなり伸びておりまして、やはり急上昇期にある。需要が伸び、供給が伸びている。いま経済の拡大しておることは確かでございますが、この拡大が比較的均衡を得ている。均衡拡大ということがちょうど現在の経済情勢の一つの特徴をなしているだろうと私は考えています。  この均衡拡大のこれからの先行きがどうなるかということが問題でございますが、たとえば、工作機械の製造部門のごときを見ますと、二年近い受注をもうみな持っておる。フル操業だ。そこまでいったら工作機械製造業自身が設備投資をやるかといいますと、ここらが非常に慎重でございまして、そう簡単にそういう部門からの設備投資が始まっていないということになりますと、三十六年ごろに見られましたように、設備投資が設備投資を呼ぶというような状態、過熱状態というものが見られない、いまのところ心配するような様相を呈していないということが一つの安心材料になっております。物価がそう破綻を来たしていない、大きい変化を示していないということも、そういうところから来ておるものだろうと思います。そうしますと、国内経済は、いま国内だけで見ますと、わりあいに均衡をとった行き方をしているということが言えると思いますが、その中心が設備投資であるということになりますと、国際収支においては輸入がだんだんにふえてくる傾向にありますし、また一方、米国経済の停滞というようなことから輸出が伸び悩んでおることも事実でございまして、四月、五月、六月、第一四半期で大体国際収支が二億ドル、非常な赤字を出すという状態になっていると思います。この調子で今後第二四半期、第三四半期へいくということですと、おっしゃられるようにいろいろ心配しなければならぬ点があると思いますが、ただ、いま鉄鋼業を中心として第一四半期の末ごろから輸出意欲というものが非常に出てきておるということと、鉄鉱石、鉄鋼の原料というようなものの輸入がピークを越えたという事情もございますので、輸入は増大傾向にございますが、伸び率がいままでの調子の輸入というものは避けられるのじゃないか。  それから、一方、アメリカ経済も下期から回復されるということは、一つの通説になっておりますし、これに伴って、私は、輸出もいまのような程度の伸びではない、下半期にいってある程度輸出も期待される。最初政府がきめた輸出の予想よりも、輸出会議において多い輸出予想を持ったということもそういう事情からだろうと思いますが、そうしますと、この経済の拡大が外貨の資金繰りで始末できないほどのことになるかどうかというところがやはり最後の問題でございまして、外貨の資金繰りで何とかやっていける範囲の国内均衡拡大なら、そう心配することはない。しかも、設備投資からくる一時的な国際収支のアンバランスというものは、将来、すぐにこれが輸出増になって黒字に転換する要素を含んだ一時的なアンバランスということになりますので、これが資金繰りで切り抜けていける範囲のものであったら、そうばたばたしなくてもいいということになりますので、私どもは、その点をどの程度に調整するかということで、一方、国内の経済においてもその伸びをならすように、なるべく押えぎみでいくと同時に、一方、輸出増進策を着実にとっていくというようなことで、その間に介在する金融問題も財政政策をうまくやって切り抜けることができるのなら、今年度の経済運営はそう心配しないでやっていけるのじゃないか。非常な楽観論といわれますが、全体の見通しとしては、いま私はそういうふうに考えています。
  38. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いまのところ、そういういわば楽観的な考えがある。しかし、ベトナム戦争は、いよいよアメリカももうこれ以上拡大はできないようなところまできている。何らかの形で北爆あたりも停止をしようというような空気もあるというようなことになってまいりますと、アメリカの景気後退というのが、意外に早い時期に下期の日本経済を左右するようなかなり大きな影響がそういう面からも出てくるのじゃないかということで、輸出の増強という面がかなり支障を来たすというようなことも考えられるのではないか、そういうこともあるわけであります。  そういう場合を想定いたしまして、何らかの手を打つという——これは税の自然増収の問題、公債発行の繰り延べ、それをさらにどれだけ削減するかというような見通しとも関連をしてくると思います。フィスカルポリシー、マネタリーポリシー、両方弾力的に運用しながら過熱を押えていく、また、景気局面に対応していくような諸施策をやられる、いわばそういう面での政策判断の時期は大体どのくらいの時期になるだろうか、その時期をひとつお聞かせいただきたいわけであります。  それと、時間がないものですから、あと公債発行の問題で、七、八月の金融逼迫期に去年の三百億円の実績を百億円に減らして、それを九月に持っていく、こういう措置を決定せられたわけであります。これは当然の措置であると思いますが、大蔵大臣も八千億円の公債発行の予定額に対して三百億円くらいは減らしたい、最終的に昭和四十二年度全体を通じてそのくらい減らしたいというめどを持っておられるようでありますが、自然増収というようなことが見込みよりもかなり大幅にふえるだろう、これは五千億円をこえるのではないかといわれるようなめども最近出てきた。そういう経済の見通しも出てきたというようなことから考えまして、どのくらい——三百億円というのはあまりに低過ぎるのではないかというようなこともあるわけであります。もっと減らす可能性というものが大きく出てきておるのではないか、こういうように思うのですが、その点についてひとつお伺いいたします。
  39. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 国際収支の見通しは、いま言いましたように、第一四半期で相当な赤字を出しておりますが、まだ第二四半期は続くと思いますので、これは九月まで情勢を見て、それから対策を考えるのがいいというふうに考えています。  それから、一方国債の問題でございますが、前に三百億円と申しましたのは、いま予定している国債を三百億円削減すると、初めて去年の国債依存率になるということを言ったのでございまして、依存率を下げる方針だといっております以上は、大体百億円以上になるだろうというふうに考えておりますが、しかし、それはいつ考えるかということになりますと、これはやはりその問題を具体的に考える時期はことしの十一月以降になるというふうにいまのところは考えております。
  40. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういうようにひとつお願いしたいと思うのですが、もう一点だけ質問をいたします。時間がもうありませんので、これ以上いたしません。  在韓商社の課税問題ということで塩崎主税局長が韓国に行かれた。それで、大蔵大臣あるいは主税局長、大蔵次官等が佐藤総理ともいろいろ協議をされたということがあるわけでありますが、これは国際租税条約の精神からいえば、非常にものすごい、まさに非常識なことが行なわれておる、こういうことのようであります。日本における幹国の在日法人、企業、そういうものに対しては内国人並みの待遇をちゃんとしておるけれども、それがとられていない。まさに、こういう面で日韓条約において当時政府が国民に約束した、ほんとうにこれによって、日韓の関係というものは実に友愛と信義の中で友好が促進されるのだということでありますが、どうも韓国政府のやり方というものが、あの選挙における非民主的なやり方といい、またこういう問題についても、在韓商社に対して課税上非常な不平等待遇をしておる。しかも、何かそれを取引の材料に絶えず使っておるというような面が出ておると思います。けさの新聞にも、いろいろな援助の強化というようなことを最近申し入れてきておるという、こういうようなことをえさにしながらそういうものを獲得していこうというような態度もあるのではないか、こういうような考えも持つわけであります。閣僚の一人として、この問題を今後どういうぐあいにして、国際租税条約の精神、内国民と同一待遇を租税の面でやっていくという精神から今後どういう態度で臨んでいくか、この問題について、今日の実情を、簡単に、韓国へ行かれた主税局長からお話いただいて、あと、今後の政策の進め方について大蔵大臣から伺いたいと思います。
  41. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 在韓日本商社の課税問題は、たびたび新聞紙上でも報道されておるとおりでございます。  韓国の税制が、いろいろな意味におきまして、私どもが見ましたところ、十分国際的慣行に従っておるというふうにもまだまだ見受けられないようでございます。そんなような意味におきまして、外国企業、ことに支店を持ちます外国企業に対する課税が、私どもの見るところ、少し国際慣行からはずれておるのではないか、さらにまた、第二点といたしまして、特殊な取引形態が日本商社にはございますが、そういった点につきまして、どうも他の国の企業と類推して課税される利益率の認定その他について、そういった意味では相当問題があるかのように見受けられるわけでございます。  こういった問題を解決するのには、何と申しましても、租税条約が一つの取っかかりであり、先決問題であります。そんなような意味で、私どもは、先般お許しを得まして韓国へ参りまして、租税条約の基本的な考え方説明し、さらにまた、外国企業に対する私どもの課税のしかた、これら等を説明いたしまして、できる限り国際慣行に合うような課税方式をお願いしてまいったような次第でございます。また、これに対しましては、先方といたしましては十分検討をする、こういうお話がございましたけれども、確定的な返事はない段階でございます。
  42. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 主税局長がいま説明しましたように、たとえば、商社にしましても、日本の商社はわずかな手数料でやっている。しかし、向こうの商社は、商社と名がついても、実質的に相当大きい取引の利益を得ているというようなことから、商社の利益に対する考え方が違うというところから、日本の商社へ不当な課税をするというような問題が起こっておりますが、要するに、まだ国際慣行に従って租税協定を行なうような、ほんとうの先進国的な税制が向こう自身にも確立してないというような問題もございますので、今後両国でこれをじっくり討議し相談すれば、一応国際慣行に合ったような両国間の租税協定はできるというふうに私は考えておりまして、今後その交渉を、相当長引くかもしれませんが、両国でやっていく、この租税協定は必ずここで成立させたいというふうに考えております。
  43. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 それは早急に、しかも、何か日本が対韓問題については屈辱的な立場に今日立っておる、何かと言いがかりをつけられては、それに屈服しておるような状況が見られるわけでありまして、佐藤総理、きょうですか、大統領就任のお祝いに行かれるようでありますけれども、そういうものをほったらかしにしておいては、ほんとうの反好関係なんというものは生まれるはずもないわけで、その点、ひとつ日本の堂々たる立場を主張して、すみやかに租税条約が諸外国並みに、国際慣行並みにできるように要請をいたしまして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  44. 内田常雄

    内田委員長 おはかりいたします。  日本専売公社法の一部を改正する法律案の質疑は終了いたしておりますので、この際、大蔵大臣に対する一般質問を一町中断して、本案の採決に入り、討論の申し出がありませんので、直ちに本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 内田常雄

    内田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、従来どおり、委員長に御一任願います。     ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  46. 内田常雄

    内田委員長 引き続き、大蔵大臣に対する一般質問を続行いたします。平林剛君。
  47. 平林剛

    ○平林委員 きょう私が取り上げる問題は、中小金融の制度をめぐりまして、金融制度に関する調査会がいろいろな試案をめぐって議論をしておりますけれども、専門的な今後のあり方につきましては別の機会に譲ることにいたしまして、私は、最近の動きをめぐって、中小金融機関に起きておる問題点を指摘して、政府の考えをただしていきたいと考えておるわけでございます。  そこで、具体的な問題に入る前に、大蔵大臣一つ、二つ前提としてのお尋ねをしておきたいと思います。  ただいま申し上げたように、金融制度調査会では中小金融機関のビジョンを求めて三つの試案、滝口試案と呼ばれるものだとか、末松試案とか、川口試案とか呼ばれる幾つかの構想が議論の対象になっておるようでございますが、この結論というのは大体いつごろ出るか、中身の説明はけっこうでございますが、いつごろ出る見込みであるかというその時期の目標についてお聞かせをいただきたいと思います。
  48. 澄田智

    ○澄田政府委員 私のほうからお答え申し上げます。  ただいまの中小企業金融問題は、特別委員会を設けて特別委員会でもっぱら検討いたしておりますが、特別委員会の結論を得て、金融制度調査会の答申というような形になる時期といたしましては、私どものいまの予想では、十月ないし十一月、こういうころにはそういう運びに持ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  49. 平林剛

    ○平林委員 そこで、要約して、そのいま議論を薄れ募る三つの試案をいえば、最近の中小金融機関のいろいろな問題点を検討して、たとえば、金融の態度が一般銀行と非常に類型化してきたということや、大口貸し出しが多くなった、それからまた、最近の状況から見て、信用金庫と相互銀行、相互銀行と普通銀行というような形で、異種の金融機関が合併もしくは統合していくというような考え方が示されておるわけでございますが、大蔵大臣、もしも十月の末、十月一ぱいくらいまでの間に結論が出てまいりましたならば、いまの見通しとしては、こうした異種の金融機関の合併、統合を促進するような何らかの法律案を用意するつもりでございましょうか、その点をひとつお伺いしたいと思うのです。
  50. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いわゆる資本の自由化というものをめぐって、これに直面して今後一番むずかしい問題は、金融制度の問題ではないかと私は考えております。いままではこれでよかったのですが、貿易の自由化までは何とかきたとしましても、いよいよ資本の自由化という段階に入りましたら、日本の長期資金のあり方はこのままでいけない、やはりもう一段金利の水準が下がる体制がとられなければならぬということははっきりしておりますので、そういう意味から申しますと、金融制度調査会に諮問するのは、この中小企業金融機関のほうが先であったか、むしろ逆に、大きい金融機関の今後のあり方についての諮問が先であったかとすら私は思っているところでございますが、いずれにしろ、一方の答申がもうこの秋には出されるという状態になりましたので、それとすぐに追っかけて、銀行のあり方についても、私は引き続いて検討してもらいたいというふうに考えています。ですから、ほんとうはその二つを寄せ合わさないと、ほんとうの金融機関対策というものはできないんじゃないかと思っておりますが、しかし、答申が出ましたら、先にいってどうしようとしても、とりあえずこの異種の機関が合併できるということは、法律制度としての道だけは開いておきたい、そういう立法措置はとりたいというふうにいまのところ考えております。
  51. 平林剛

    ○平林委員 将来の金融制度のあり方につきましては、いま大蔵大臣お話しになりましたように、単に中小金融だけでなくて、全般の金融につきまして、の検討が当然必要でありますし、そのことについて、金融証券小委員会で専門的に検討を続けるものと私は期待をしておるわけでございます。ただ、私がこれから取り上げようと思いますのは、さしあたり中小金融の制度についていろいろ議論がある中で、将来のビジョンを描いて、それに幾つかの試案が出されて、そしてそれをどういうふうにまとめていくかということももちろん大事なことでありますけれども、私に言わせると、いま表で議論をされておりますのは、そうしたそれぞれの試案、将来における金融制度のビジョンを目ざしておるけれども、試案そのものの議論が行なわれておりまして、そして、私に言わせると、それは試案それぞれが一つの設計図を描いてやっているだけだ。それはもちろん大事なことだけれども、私は、いま信用金庫とかあるいは信用組合とか相互銀行というものは、それぞれ特殊な沿革を持って、それぞれの分野でその仕打をしておるわけでございますから、いまの制度の中でどういう点を解決しなければならぬか、いまの制度の中で欠陥がないか、そしてまた、それぞれの特質を助長していくようなやり方はどうあるべきかというようなことがもう少し議論されなければならぬではないかという感じを持っておるわけであります。そのことを政府においても検討してもらいたいと思いまして、私はきょうこれから少し問題を投げかけていきたい、こう思いまして質問に立ったわけでございます。  大蔵大臣はゴルフには関心をお持ちでしょうか。——かりにゴルフには関心がなくても、金融の問題としては総責任者でありますから、初めに、こういう問題をご存知かどうかをお尋ねをしてみたいと思います。  それは三和開発という会社が昨年倒産をいたしました。株式会社三和開発、これは昭和二十五年九月に創設されたものでございまして、資本金が四億五百万円、事業目的はゴルフ場の建設、経営を主体といたしまして、ホテル経営とか不動産等についても事業目的にしておる会社でございますけれども、神奈川県に葉山国際ゴルフ場の経営をしておったわけでございます。また新葉山ゴルフ場、さらに倒産の一つの動機になりましたのがシーサイドゴルフ場の建設、いずれも神奈川県にあるゴルフ場なんです。この会社が負債総額、五十億円あるいは六十億円ともいわれておるのですけれども、巨額の負債をかかえて倒産をしたという事件を大臣記憶されておりますか。
  52. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 内容はあまりよく存じておりません。
  53. 平林剛

    ○平林委員 銀行局長のほうはどうですか。
  54. 澄田智

    ○澄田政府委員 私は具体的な事例を詳しくは存じておりませんが、そういう問題かあり、そして、それに対して一応当時調べたものがあるようでございますので、いまその書類を手元でちょっと見ていたところでございます。
  55. 平林剛

    ○平林委員 最近は、特に昨年来は、ゴルフ場の経営で行き詰まって倒産が多くなったというのが目立った事例でございます。三和開発だけでなくて、昨年来、一時のゴルフブームに浮かれまして、ゴルフ場経営が、ある意味では向こう見ずに過当競争が行なわれた。そして破れ去った会社だけで、たとえて言うと、昭和振興というゴルフ場経営の会社は、負債二十億円を残しまして昨年の十月倒産をしております。不渡りを出したところもございます。筑波開発というのも負債七億円を残しまして去年の十一月、私がいま取り上げておる三和開発が、ゴルフ業界最大の負債をかかえて、昨年十一月不渡りを出したことから倒産をしたわけであります。このほかにも鎌倉カントリークラブが十二億円の負債を残して昨年十二月、富十五湖観光開発も五億円を残して去年の十二月いずれも倒産、不渡りを出して問題を提起いたしてまいりました。  いま大蔵大臣はあまりよく御存じない、銀行局長は昔の書類を調べておるというお話でございますが、私は、金融の大元締めである大蔵省が、私のこの質問に対して、どこに焦点があるか、どこに問題があるかということを気づかないということに−最近の中小金融機関のあり方に対し警告をしなければならぬということなんであります。  この倒産をした会社に融資をしておる金融機関を私調べてみました。また関係のある金融機関は、都市銀行が七行、地方銀行が一行、相互銀行が三行、生保関係が二社、信用組合が三つ、それに個人の金融業者、これとともに神奈川、東京を含めて信用金庫が十五関係しておる。しかも、東京のTという信用金庫は純債額一億九千三百万円、荒川にあるN信用金庫は一億二千二百万円、大田にあるHという信用金庫は一億円、この十五の信用金庫だけで総額九億九千四百万円の融資をしておるわけでございます。この純債額を負うた信用金庫あるいは相互銀行、都市銀行、それぞれ事情はございましょうけれども、内容を調べてみると、担保力も十分でない、そしてまた、かなりずさんな貸し付けが行なわれておる、そしてその融資をめぐっていろいろな報道がされておる、こういうことを承知しておるわけでございまして、こうした状況について、私は、銀行局長がもう少しぴんときて、的確な指導に乗り出さなければならぬはずだと思うのでございますけれども、政府のお考えをひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  56. 澄田智

    ○澄田政府委員 私が先ほど古い書類を調べている、こう申し上げましたのは、実は、きょうこの問題の御質問があるというふうな用意がございませんでしたために、係のほうからいま書類を取り寄せておったところであったのでそう申し上げたのでございます。  内容は当時もちろん調べておりまして、ただいまお示しの金融機関の貸し出し状況等につきましては、こまかい数字は別といたしまして、大体においてそういうような状況になっております。ことに、信用金庫が全部で十五金庫これに貸し出しているということは事実でございます。担保等につきましては、三和開発はゴルフ場の建設と、それから住宅用の分譲事業の開発というようなことをやっておりまして、相当の不動産を持っておりますので、担保状況は、金庫によっては若干不足しているというところがありますが、おおむね債権額をカバーできるのではないか。これは換価処分に相当な時間がかかる困難もあるという問題はもちろんございます。そういう状況でございます。  いま私どもの手元でわかっておりますのでは、一つの信用金庫だけが担保設定が高順位のために一部不足がある、こういうような数字を手にいたしております。信用金庫の貸し出しのあり方としては、本件に遺憾な点があるということは御指摘のとおりでございまして、信用金庫に対しては、当時厳重に注意をいたしたわけでございます。
  57. 平林剛

    ○平林委員 私、大体その明細を持っておるわけでございますけれども、いまのあなたのお答えそのものにも問題があると私は思うのです。なぜかというと、こうした事態について鋭い感覚がない。そしてまた、必要な措置をとることにゆるみがある。それは現在の中小金融機関のあり方がいろんな形で議論される最大の原因になる。もちろん、金融機関が不動産業その他に融資するということは、これは悪いというわけじゃございません。そして、この三和開発の融資機関の中におきましても、商業ベースで融資した機関もありますし、信用金庫もあることは承知しています。しかし、いま担保力が十分あると言いましたけれども、ゴルフ場なんというものはそれができ上がって初めて価値かあるものであって、換価すればどうだ、いま担保力が出るというお話でございますけれども、ゴルフ場が経営されなければ、山の奥にあるものは百の値打ちもないものですよ。それが担保力が出るなんというのは何年先になるかわからぬというようなことでございまして、そうしたいまのお答えそのものに、まだこうしたことの取り扱いの深刻さをお感じになっていないのじゃないか。直接銀行局長がすべてこまかいところまで目を届かせるというわけにはいかぬでしょうけれども、私はその点を指摘しなければならぬと考えておるわけでございます。同時に、こうしたレジャー産業に対して、信用金庫というものの性格から考えて、一億数千万円の融資をするということが妥当であるかどうか。  いまあなたは厳重な注意をしたと言いますけれども、厳重な注意というのは、一体どういうことですか。それによって改められるものでなければ厳重な注意とは言えないですよ。厳重な注意をしました、あるいは、それに対して通達を出しましたといって、しかし、それに注意をしたり通達を出しても、それは形式ですよ。実効が伴っていなければ何にもならぬわけだ。私は、自行の責任体制を越え、一つの法令を無視して、そうして不当なことをやった場合にはきびしい行政措置をとるということが必要ではないかと思うのです。これにつきまして、あなたは厳重注意をやったと言うけれども、どういうふうになさいましたか。これをお尋ねしたい。
  58. 澄田智

    ○澄田政府委員 本件につきましては、当時それぞれ監督している財務局において、責任者に対し、今度の債権保全について十分に努力をするようにということで、個別的にいろいろ厳重な戒告と慎重な指導というようなことでやらしております。  現在の状態におきましては、こういう事態が発生いたしまして、信用金庫の融資のあり方として問題のあるのは御指摘のとおりでございます。したがいまして、今後の中小金融制度の検討という場合におきましても、信用金庫の融資限度、融資対象等について、こういう事例を一つの先例といたしまして十分検討してまいりたい、こういうような融資が今後繰り返されることのないように、その点については、十分われわれとしては今後努力をしてまいりたい、こう考えております。すでに発生しました三和開発に対する債権の回収という問題は、今後監督権によって十分この目的を達するように指導していくつもりでございます。
  59. 平林剛

    ○平林委員 大蔵省は、こうした一つの問題が起こるたびに指導方針を出し、厳重注意をやり、行政措置をとられる。しかし、それがみな空文に終わっているのです。そんなものはどこ吹く風かということで、それがそのまま放置されておるという現状なのです。  少なくとも、大蔵省のいまのような態度をとっていることに対して、世間はどういっているか。大蔵省が強い態度で監督指導できないという背景には、この融資あっせんに元の大蔵官僚がいるからだ、三和開発の融資の背景に元大蔵官僚がいるからだ、それから信用金庫界の政治的な意味では大ものと呼ばれる人がいるからだ、こういわれているのです。こういうことに対しまして、銀行局はどの程度まで御承知になっておりますか。
  60. 澄田智

    ○澄田政府委員 本件については、三和開発の取引停止処分がありまして、不渡りが発生した以後に事案を承知いたしたわけでございます。それ以前につきましては、いまお話のようないろいろ政治的な動きがあったというようなことは、全然私ども承知をいたしておりません。事案が起こりまして、そして内容をいろいろ調べてみた、そして貸し出しの状況ないし債権の保全の状況というような点に遺憾な点があるということを知った次第でございます。
  61. 平林剛

    ○平林委員 そこら辺が問題なのですね。私は、そうしたことをもう少し——監督指導の任に当たる者は、ただ厳重注意をしたらいい、通達を出したらそれで済んだということでなしに、実効のある形がとられなかったら、もう役人をばかにしておりますよ。大蔵省監督指導は何だ。私はある関係の人に聞いたことがある。何と言ったって平気ですよ。そんなものがあったって、ちゃんと手を打ってある、こう言われているのですよ。同時に、今度の場合でも、倒産の寸前、もう企業が悪くなったということを知っていて金を集める。しかもそれが、信用金庫界の相当の人物が中心になって金を集める。そして担保も不十分で、信用金庫界の働きかけで融資をしている。こういうことも御存じないでしょう。私はそこに問題点があると言うのですよ。将来ビジョンを描くことはいいけれども、現実の中小金融機関の経営者の中にこうした不純なものがあっては、それは将来のビジョンを描く前に是正しなければならぬものがありはしませんか。しかもそれが、大蔵官僚が存在しているからだとか、私があとで指摘するいろいろな事例があるから、監督指導も単なる形式に終わっているというような批判を受けるようでは、私は十分な監督指導はできないだろうと思うのです。  大蔵大臣、もう一つこの問題に関連をして、とにかく中小金融機関が合併、統合するというようなことは、ある意味ではそうした信用金庫界に大きな影響を与えていることは御存じだと思うのでございます。そうしたら、将来、全部の信用金庫というわけじゃないですよ。良心的なよい信用金庫もある。あるけれども、中には、これはたいへんだ、もしそういうようなときには経理の内容のからくりも暴露されるし、この際自分さえうまくやればいいというようなことで、いろいろな動きがあるのですよ。いま前段で私がお尋ねしたように、十月までに結論が出る、法律案もそういうような道は開いておきたいということを情勢として見れば、不健全な経営をやっておるところの役員の人たちの動きはどう出るか。  そこで、私はある情報を知っておるわけであります。合併のために話をあちこちに持ち込んだ、私利私欲のために、そうした機関を踏み台にしようとする幹部、具体的な事例は幾らでもあります。しかし、きょうは代表的なことを一つ申し上げます。   〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕 こうした動きにいち早く対応いたしまして、いつ退任してもいいように、退職金を五千万円、慰労金を二千万円、これを理事会で決議をさせたというような信用金庫界の大立て者がある。私は、こうしたことにつきましてその事実を調べてもらいたいと思うのです。
  62. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまの事例につきましては、実は私どものほうで調べて見ませんとわかりませんので、早速調査をいたします。
  63. 平林剛

    ○平林委員 調査をしてみまして、かりにそれが事実であるとすれば、大蔵大臣、こういうようなことは一体いかがなものでしょう。ひとつ、大蔵大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  64. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 どう思うかという御質問でございましたが、銀行局は調査すると申しておりますので、調査の結果を見ないと、その具体的な事例がわかりませんが、問題は、こういうことができるというのは、信用金庫の運営が民主化していない、そうして、一部少数のいわゆるボス幹部でどうにでもなるというところに問題があるのだと思いますので、今度の答申においてもそういう点に答申が触れられると思いますが、ここでやはり金庫の運営を民主化するという方向への改善がなされれば、いま言ったような問題も防げるのではないかと考えております。
  65. 平林剛

    ○平林委員 これは調査なさったあとで、事実に照らして、大蔵省がどういう態度をとるか、あらためて見詰め、また必要があれば私は発言を求めたいと思っております。  そうした意味では、問題点のあるのは、私の手元にあるだけでも十数件ある。きょうは時間がありませんから一々全部を述べません。述べませんけれども、私は、将来の金融、特に中小企業金融界、ここは大事なところだと思っているのですよ。そして信用金庫という特殊性からかんがみ、中小企業者に対する健全な融資を行ない、その育成をはかるという重要な任務が与えられておるそういうところが、ただ額が多くなったから相互銀行になるとか、それからどこと合併して大きくなるとかいうことが問題じゃないのですよ。問題は、その質、内容、いま大蔵大臣がおっしゃられたように、民主化、そうしたものが伴わなければ、どんな絵をかいたってだめだ。そういう現実がころがっておる。私はこれは全部一々申し上げませんけれども、そうしたことについて、もう少し大蔵省は大所高所に立って指導してもらいたいと思うのです。特に、私はこういうことができないという理由は、信用金庫界関係だけをちょっと調べてみたのでありますけれども、同族関係の経営が非常に多いということです。たとえば父と子供の関係のもの、それから父と女婿の関係のもの、あるいは兄と弟の関係のもの、おじとあるいはおいの関係のものというようないわゆる同族的な経営が関東財務局管内の金庫総数百四十一のうち二十二もある。私は、ここに同族経営的なものの中から、いろいろな中小金融機関に問題がありながら表に出にくい問題がある、それから、民主化をはかろうとしても民主化をはかれないような状態に置かれておるというところに問題があると思うのです。私は、去年かおととしからも、この同族的な経営につきましては適切な指導を行なって、できるだけ——りっぱな人物もありましょうけれども、こうしたことを避けるような指導をしてほしいということを述べたのですけれども、何か措置がとられたのでしょうか。その当時から比べて何か具体的な進展が見られたのでしょうか。
  66. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいま大臣からも申し上げましたように、信用金庫の運営について非常にワンマン的な経営ができる、これをチェックする制度がいまの信用金庫の組織には欠けている面がある、総代会とかあるいは理事会とかの運営も非常に名目的になりやすい、こういう弊があることは私どももきわめて遺憾に存じておるところでございまして、今後の金融制度の検討の上でこの問題を一つ重点として取り上げていきたい、こういうふうに考えております。  同族的な経営につきましては、お示しのようにいろいろな例がございますし、非常に同族的な幹部が多くて、それが金庫の内部の運営に種々弊害がある、こういう事例があるわけであります。金庫の監督あるいは検査等を通じて、役員の構成等についても、実情に応じてかなり強く注意はいたしておりますが、何と申しましても、現在の金庫の制度からいってそういうふうな選任が行なわれやすい、行なわれたものは任期中そのまま続いていくという、こういう形でございますので、なかなか思うにまかせないという実情でございます。ただ、金庫の実態の検査等の場合に、同族の場合等は、ことに債権等について情実的な貸し出しにおちいりやすいとか、債権の保全に十分でないというような弊が出やすいのでありますので、そういうことが出ないようにというようなことで、監査の場合にも十分注意はいたしております。先ほど関東財務局の中の数字をおっしゃいましたが、私どものほうで同族的経営とそうでない経営とでもって、経営のいろんな指標で見まして、たとえば不良貸し出しのような、分類資産と申しておりますが、そういう分類資産の状態等を同族的なところとそうでないところと比較もしておりますが、いままでのところ、必ずしも同族的なところのほうがそういう分数資産が高いというようなことにはなっておりません。これは関東だけの例で全体のあれはできませんが、関東だけ君申しますと、同族的なところのほうが全体の水準よりはむしろ低いというような結果が出ております。したがって、同族なるがゆえに直ちに非常な弊害があると断ずるわけにはまいりませんが、そういうような傾向はやはり問題ではありますし、今後の制度検討等の場合には十分その弊を是正できるように、そういうふうに持っていきたい、こういうふうに考えております。
  67. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 関連質問を許します。只松祐治君。
  68. 只松祐治

    ○只松委員 いま平林委員が追及されておるような問題は、私どものところにも三通くらい投書が来ております。いずれ私も聞こうと思っておったんですが、平林君の質問に関連して一点だけ聞いておきます。  一つは、政治家が介在して相当多額の顧問料を取っておる、こういう声が外部から出ております。それからいま一つは、経理が乱脈をきわめておる。いま一つ問題になっておりますのは、同族で前のおやじさんがなくなって、優秀な専務理事理事長になる、こういう段取りになっておったら、そのむすこがちょっとぐれたようなむすこだったらしいんですが、策を弄しましてその専務理事の権限を奪って、本店ではなくて支店のほうに全部判こや何か一切持っていって、そこで専決処分を行なった。こういうことをして、いろんな工作をして、むすこがこれを乗っ取った。これは東京の信用金庫です。こういう同族の弊というのは非常に多きに及んでおります。平林委員の御指摘のような恣意的な運営というのが相当目に余るものがある。こういう点について御存じであるかどうか。それから平林委員指摘しておりますように、——時間がないので、こういうことがあるがということを聞くだけにとどめておきますが、もっと指導監督というものが、そういう面で強化されなければならないが、そういう点があるかどうか、ひとつはっきりしておいていただきたいと思います。
  69. 澄田智

    ○澄田政府委員 いま御指摘の同族の問題の、第三番目の具体例でございますが、それはいま手元の資料ではちょっと思い当たるものがございませんので、これもさっそく調査をいたします。  全体として、信用金庫につきましていま御指摘のようないろいろの問題があることは、私どもももちろん耳にしているところもございます。信用金庫の現在の会員制度として、——会員は一口出資最低は五十円くらいからあるようでございますが、五百円とか千円とかというような出資をすることで会員になれる、そうして会員から総代を選ぶ、理事長は総代会で選任するということでございますが、これは会員も、きわめて名目的と申しますか、金を払うだけで会員になる、そこもノミナルでございますし、今度は会員の理事者の行為に対するチェックという点もきわめて不徹底な形になっております。   〔吉田(重)委員長代理退席、毛利委員長代理   着席〕 これは制度的な欠陥だけで片づけるわけにはいきませんが、そういう面が非常にあるわけでございまして、そういう点は、今後の大きな問題点として、制度改正の重点として大いにやりたい、こういうふうに考えております。
  70. 平林剛

    ○平林委員 幸いにして、今日同族経営の中が、すべてが何か隠れておるというものではない。特にそういう点には重点を払って、誤りのないように監査をしていくという基本的な態度をとって未然に発生を防止していくことも必要でありますけれども、制度的にもやはり検討すべき課題だと思いますので、政府で十分結論を出すように努力をしてもらいたいと思うのです。  きょうは中小企業金融機関の中で主としてまないたにのせたのは信金関係だが、相互銀行にもあると思うのです。きょうは時間がありませんから言いませんが、そうした問題がやみからやみへ葬られておる事情一つに、大蔵省の官僚の人たちが、そうした相互銀行、信用金庫界に天下りをしておる。私、この間進出と言ったのですが、進出はちょっと上品過ぎることばで、侵略、こういう批判もございました。しかし私は、有能な人材がその実力を買われて金融機関に行かれることは、これはけっこうなことだと思います。その人がそういう意味で能力を発揮できるという意味であるならば大いにけっこうなことである。しかしながら進出が侵略になってくるということになると問題がある。私は、もう時間がありませんから言いませんが、ここに調査をしていただきました相互銀行役員への就職の状況あるいは信用金庫役員への就職の状況、四十年、四十一年を通じまして、かなりの数の人たちが、上品なことばでいえば進出をしておる。中には侵略もあるかもしれない、天下りもあるかもしれない。こういう傾向は、やはり適当な限界を設けてチェックをしていく必要があるのではないだろうか。また、こういうところに進出をしたところの大蔵省の人たちが会をつくっておる。御存じですね。これは名前は申し上げませんけれども、親睦会のようなものをつくっておる。そして、この中におきましては、何か信用金庫に問題があると、そこへ大蔵省の役人が進出をするというようなことになって、進出をすると同時に問題が表に出なくなる、こういうような批判もあるわけであります。中には、一つの信用金庫で問題を起こしながら、次の信用金庫に綱渡りをしていくという人もいる。八そう飛びまでいかないけれども、二つ、三つかえるような人たちも例としてはあるわけでございます。結局、役人というのは非常に結束がかたいということは非常にいいことだけれども、場合によっては、それが悪い弊害を起こすということも考えられるわけでございます。  そこで、同族会社の経営とともに、大蔵官僚がその人材を買われて就職をする場合は別にいたしましても、これが問題がある信用金庫界に対する進出、侵略、それが口実となって大蔵省の官僚の就職口がきまるというようなことは避けていかなければならない。大蔵大臣としては、私のこの見解についてどういうお考えであるか、そして、こうした批判に対しましてどういう形でこたえていったらいいかというお考えをひとつ聞かしていただきたい。
  71. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 信用金庫、相互銀行の数は非常に多いのですから、それから見ますと、いまおっしゃられる進出でありますか、一年に人事院の許可を受ける十何件という程度のものは、そう多いものじゃないというふうに私は考えていますが、やはりその大部分は、大蔵省というところが特殊なところでございますから、予算事務会計事務に十分経験のあるというところから人材として求められる場合がほとんど全部であるというのが、いままでの大体実情だと思うのです。そこで、求められた結果、行って果たす役割りが、いま言ったようなものについてのある程度役割りを果たすかもしれませんが、同時に、私の知っている限りにおいては、監督官庁から来ているということで、いままでは、みんなお互いがいわばなあなあでやっておった仕事も、今度はこれがいつ監督官庁にわからぬとも限らぬというので、非常に用心して、経営のあり方がよくなっていくというほうの機能を果たしておる点も多い。私の知っている限りではそういうのが非常に多いと思っておりますので、人材として求められる範囲においては、どんどんこういうところへ行くことは一向差しつかえないと思いますが、それによって、いまあなたが心配されているような機能を果たして、本省が監督を誤るというような方向へ行くのでしたら、これはたいへんなことでございますので、これは厳重に注意しなければならないと思います。
  72. 平林剛

    ○平林委員 大臣の答弁は、ちょっと私は不適当だと思われる個所があるのです。というのは、大蔵省の官僚がそこへ入れば大蔵省に通報されると思って、ちゃんと粛正をされて、きちんとするなんという考え方はおかしいのですよ。それなら、大蔵省の役人のいないところはみんな怪しいということに通ずるじゃございませんか。私は、それはあべこべだと思うのです。この点は、きょう別にあなたのことばの一部をとらえてあれしませんけれども、本質的な点はひとつ考えてもらわなければならぬ。そしてこれについては、やはり世間から批判をされないような範囲内にとどめるとか、そうした点については配慮をしてもらいたい。  時間がございませんから結論を申し上げます。  先ほど申し上げた三和開発の問題についても、元の大蔵官僚が介在することによって融資を拡大し、しかも倒産寸前にやる。信用金庫界の政治的な大立て者がある。これだけならいいけれども、まだほかにも手を伸ばしている。こういうことで、大蔵省の役人の人と、それから信用金庫界のそうした間違った考え方の者と一緒になったときに中小企業金融というものが破壊されていく、いまの信用金庫界をまじめに再建をしようとする人もいるわけですから、そういう点を考えると、将来の中小企業金融のあり方についても一いまは滝口試案とか末松試案とか川口試案とかいろいろあるが、将来のビジョンに向かっていくことはけっこうだ。しかしそれは、その試案が単なる設計図に終わらない、そして、その設計図だけ議論しているのでなくて、いまの信用金庫あるいは信用組合、相互銀行、それぞれその制度は特殊な沿革を持って存在し、現に働きつつある、こういうことを考えますと、現在の金融制度を前提として、効果あるところの金融問題を考えていく、そうして、現在の中小金融機関において同質化するという傾向があるという指摘もございますけれども、そのある部分、相当部分になるかもしれないけれども、行政指導にも問題がある点がある。同質化したとか大口化したとかいうようなことの中には、あるいは制度そのものではなくて、行政指導が十分行き届かない。あるいは大蔵大臣が言われたように、信用金庫界の民主化が十分でないから、その立場を利用して行なうというようなことも行なわれている。そうした面にむしろ問題点がある点もあるわけでございますから、こうした点についてもやはり十分警戒を払って、中小企業金融のほんとうのあり方というものを探求していってもらいたい。  きょうは私時間がありませんから、用意してまいりました資料の三分の一くらいしかお話できなかったが、これは私の手元にございますから、いずれ銀行局長にもお話します。そうして、あなたのほうでひとつ点検をしてもらいたい。委員会では、質問はこの程度にしますけれども、そのことを希望いたしまして、なお、先ほど私が留保した問題は今後見守るということにし、質問を一応終わらしてもらいたいと思います。どうもありがとうございました。
  73. 毛利松平

    ○毛利委員長代理 竹本委員
  74. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は、問題を一つにしぼりまして、中小企業に与えられておる税法上の特別措置、特別な恩典を大企業が悪用し、乱用しておることに対して、どういうふうにこれから対処していくべきかという問題についてお伺いをいたしたいと思います。  最初に、主税局長に、いま中小企業のために特に考えられておる特別償却や割り増し償却等の恩典といいますか、特別措置としてはどんなものがあるか、概略を簡単にお話を願いたいと思います。
  75. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 特別措置のうち、中小企業に適用されるものにどんなものがあるかというお話でございます。近い機会にそれを一まとめにいたしまして、資料を提出するようにいま準備をして、今明日中には御提出できるかと思います。  まず第一に、大きなものから申しますと、例の法人税の税率でございます。御案内のように、資本金一億円以下の法人につきましては、課税所得三百万円以下の部分につきましては軽減税率を適用してございます。留保部分につきましては、大法人は一律の三五%でございますが、一億円以下の中小法人につきましては二八%という税率でございます。さらにまた、配当に充てられる部分につきましては、大法人は一律に二六%でございますが、資本金一億円以下の法人につきましては二二%、こういった特別措置と申しますか、担税力しんしゃくの制度がございます。  そのほか、御案内のように、租税特別措置法の中でも中小企業構造改善準備金、あるいは中小企業貸し倒れ引き当て金、割り増し償却制度、さらにまた特定協同組合の課税の特例その他も多数にございますが、大体におきまして、資本金を中小法人と大法人のメルクマールにいたしております。その基準は、大体一億円にいたしております。
  76. 竹本孫一

    ○竹本委員 これは一億円というあれがありましたけれども、いまお話の場合の特別考慮をしておる対象は、全般を通じていわゆる中小企業というものの定義になりますが、どういうものでございますか。人数、資本その他で。
  77. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 税率の点につきましては、単純に資本金基準をとっております。資本金が一億円以下ならば、いま申しました軽減税率を適用するという単純な制度でございます。  なお、中小企業近代化促進法は中小企業近代化促進法の規定します中小企業の定義をとっておりますので、そこに若干の違いがございまして、従業員の基準が入っておりますけれども、一般的に申しますれば、単純に資本金基準、こういうふうにお考えになって差しつかえないと思います。
  78. 竹本孫一

    ○竹本委員 そこで、そうした資本金だけで押えるという押え方が正しいかどうかは若干の意見もありますけれども、これは別といたしまして、かりに一億円の資本金で押えた場合でも、要するに、これは中小企業の育成という見地から考慮を払われておる問題と思います。  そこで問題は、大きな会社が自分の支店を実は別な会社の名前にしちゃって、これを資本金五千万円なら五千万円の会社にしておる。そうして、中小企業の受けておるいろいろな特別償却や割り増し償却の恩典をそっくりいただいておるというごまかしの、法の裏をくぐったといいますか、そういうことをやっておる。  私は、きょう具体的な例をあげないとびんときませんので、具体的な例を申し上げますが、たとえば山崎パンという製パン会社がある。これは資本金十億円の会社のようでございますけれども、たとえば、大阪に支店といいますか、工場をつくる。   〔毛利委員長代理退席、藤井委員長代理着席〕 この場合に、これは株式会社山崎製パン大阪工場という形になるわけでございますけれども、それは読み方によってどうでも読めるのですが、実はごまかしがそこにあるわけです。株式会社の何々会社があって、それの大阪工場というものではなくて、その大阪工場を別の株式会社にしておるのです。そういう形で、中小企業の受けておる恩典は全部資本金の関係で受けておるという例があるわけです。こういうものについて国税庁のほうはお調べになったことがあるか。また、そうしたやり方で中小企業を圧倒するものだから、中小企業は悲鳴を上げておる向きもあるようですけれども、何かの訴えがあったか、ひとつお伺いいたしたい。
  79. 泉美之松

    ○泉政府委員 いまお尋ねの具体的な法人の子会社について調査いたしたことはございませんけれどもお話のように、各種の企業が自分で支店を設ける場合と、支店のかわりに子会社を設ける場合、これはあり得ることでございます。  したがいまして、私ども、法人の調査にあたりましては、単にその親会社だけの調査でなしに、子会社もあわせて調査いたしまして、双方について適正な課税を行なうということを心がけておるつもりであります。具体的な事例については、調査がどういうふうに行なわれているか、いずれ後ほど調べました上で申し上げたいと思いますが、一般的にはそういう考えでやっております。  お話のように、資本金基準だけで中小企業の恩典を与える与えないというふうにやっている場合に、実質は大会社であるのにもかかわらず、資本金の小さい子会社をつくることによって、そこは適用を受けるという点が問題になるかと思いますが、それは企業のやり方として、子会社をつくるかあるいは支店をつくるか、これは任意なわけでありまして、もしそれによって課税上弊害が起きるということでありますれば、そこに税制上、資本金基準だけでなしに、また、そういう資本金基準を考える場合に、個々の法人だけでなしにその親会社との関連を考えた制度にする、こういうことを考えねばならぬかと思います。  しかし、支店を設けるか子会社をつくるかということは、本来自由なことでありますので、そこをどれだけ制限するのがいいか、これはなかなか慎重に検討を要する問題であろう、このように考えております。
  80. 竹本孫一

    ○竹本委員 ただいまの長官の御説明でございますけれども、課税上の弊害——もちろん課税上の弊害もいろいろ出るでしょうし、また営業上のいろいろな問題も出てくるわけですが、特に課税の問題にしぼって考えましても、その場合に支店をつくるかあるいはそうしないか、それもまた会社の任意、これもおっしゃるとおりでありますけれども、実質的にとにかく大きな会社の支店と見られるべきものが、たまたまそういう子会社を資本金を五千万円くらいにして中小法人としてつくったという場合には、中小法人の受けるいろいろな税法上の恩典は現在のところ一〇〇%そのまま受けておるかどうか、まず事実についてお伺いしたい。
  81. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 現在の、たとえばいま申し上げました税率につきましては、単純資本金基準でございます。この点、問題がございますが、適用が受けられることになります。
  82. 竹本孫一

    ○竹本委員 そこで、立法論も含めていろいろ御検討を願いたいという意味で申し上げるわけでございますけれども、私、そういう例はほかにもありますが、一ついま申し上げるわけですけれども、親会社と同じマークを使い、同じ宣伝広告、PR活動をやっておる。それから人事についても同じ人である。経理運営方針等についても親会社が完全にコントロールしておる。全く親会社の工場、支店であるに間違いないということがだれが見てもはっきりしておる。ここにいろいろのものを持ってきております。また、会社の社長も、雑誌やあるいは新聞等における会見においては、私の会社であり、実は支店であるというようなことまで公言しておるといった場合にも、その税法上の中小企業にのみ与えらるべき特典をそのまま与えていくということは、どうも筋が通らぬではないか。あまりにも資本金その他名目、形式だけの基準でやるということは、それこそいろいろな弊害があるのではないかと思いますので、まず大臣に、そうした法の裏をかいているようなやり方に対してどう考えられますか、御所見を伺いたいと思います。
  83. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いま国税庁長官が言いましたように、これが非常に弊害があるということでしたら、ただ資本金で規定する以外の何かの拘束を置かなければならぬというように考えますが、いまある、よくいわれております、たとえば大企業が不動産部門を切り離して別会社にするとか、支店としていいと思うのを別の会社にするというのが、はたしてそれが税制上の問題から税をのがれるというためにやっているのかどうかということは、私は簡単に言えないのではないかと思います。たとえば、支店を出す場合に、各地域においていろいろな地域差がある。同じ会社が経営するのでしたら待遇も何も全部一本で管理しなければならぬというのですが、地方地方に別の会社として、これを独立な法人にして仕事をさせるというほうが、経営管理の上でも人事管理の上でも非常にいいというようなことで、支店にするかあるいは全部出資して子会社にするかといういろいろな問題が出てくると思います。税のほうからいうのでしたら、一方のほうは独立した法人に、中小企業にするほうが非常に税が得になるという場合には、出資者に対して配当が多く入ってくるというようなことで、そこで有利になった部分は親会社が吸収するということですから、親会社が今度税金を払うということになりますし、これが税の回避のためにそういうことがやられておるかどうかは、私いま、いろいろやられている実情がそうであるかどうかは簡単に断定できないというふうに考えております。
  84. 竹本孫一

    ○竹本委員 この点はいま大臣の指摘されたとおりであると私は思います。しかし、税法上のいわゆる合法的脱税のためにやったのかどうか、それはなかなかどうしようもできませんし、議論が多いと思いますけれども、結果として税法上の恩典を不当に受けておるということが明らかな場合がある。それに対して今日の税法ではどうにもならぬではないかということ以上に、いまの税法で国税庁長官がいろいろ苦心されても、主税局でお考えになっても、いまの税法上ではどうにもならないということであれば、これは今後の問題としてぼくは問題があるのじゃないかと思う。いかがでありますか。
  85. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 御指摘のとおりだと思います。ねらいが中小企業のための優遇ということでありますれば、まさしく中小企業にだけいくべきであって、それが大企業、大法人の利益にいくべきでないことは当然でございます。ただ問題は、簡素化と申しますか、たくさんの法人を相手でございますので、実質に突っ込みまして種々のむずかしい制度を設けること、これは別の意味におきまして弊害が多い、私はこのかね合いだろうと思うのでございます。  したがいまして、竹本委員お話を総合いたしますれば、かりに、たとえば連結貸借対照表を用いまして利益を連結するというようなやり方もございましょう。これはまあ簡単にはまいりません。さらにまた、もう一つの別の考え方といたしましては、複雑にはなりますけれども、現に、同族会社の留保課税の際には、非同族会社がまるがかえの会社には留保課税を適用しないということをやっております。このようなことをかりに応用いたしまして、非常に数が多くなって、税務執行上若干の繁雑さも生じましょうけれども、たとえば資本金一億円をこえる法人が、出資を五〇%とかあるいは何%とか持っておる法人は、こういった中小企業の特別措置の適用からは除かれるということを考えれば、これも可能でございます。いずれが簡素かの見地も非常に大事な問題でございます。そういった見地を総合いたしまして、今後の立法論の問題といたしまして、さらにまた、中小企業に対します税制上の恩典の一つといたしまして研究してまいりたいと思います。
  86. 竹本孫一

    ○竹本委員 主税局長の御答弁で大体納得ができたのでございますけれども、なお、念のために最後にお伺いいたしたいのでございますが、国税庁長官に、課税の具体的な面あるいは行政指導といった立場で、そうした問題が、まあ中小企業の問題につきましてはまた機会をあらためて論ずるといたしまして、不当にそういう中小企業をいじめておるし、さらに、税法上からいっても合法的脱税みたいな形であるという点について、何らか行政指導の面で考えられる意思、方法があるのかどうか伺っておきたい。  それと同時に、大臣にお願いをしておきたいのは、例をあげる時間もありませんので簡単に申し上げましたけれども、そしてまた、いま資本主義的な企業の自由が原則でございますから、具体的な場合になると非常に困難でございますけれども、少なくともいま主税局長答弁されたような方式によるコントロール、チェックはできると思うのです。それを立法論として前向きに考えていただけるものであるかどうかについて、大臣からもお伺いをいたしたいと思います。
  87. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 それは考えたいと思います。
  88. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、大企業が支店を設けるかわりに子会社をつくって、その子会社が大企業のマークなどを使って、あるいは大企業の能率のよい機械を使ってつくった製品を販売することによってその付近の中小企業を圧迫しておるというようなことは、事例はいろいろあろうかと思います。ただ、私どもとしましては課税の問題だけでありまして、したがって、よく私お聞きしておりますのは、製パン事業につきまして、大企業が非常に能率のよい機械を導入した、そのために、従来から能率の悪い機械でやっております中小企業が非常に圧迫を受けておるというようなことを承りますが、これはそういった事業を所管しておる農林省のほうの行政指導の問題はあろうかと思いますが、課税当局であります私どものほうで行政指導をするということはございません。
  89. 竹本孫一

    ○竹本委員 ぜひ前向きに御検討を希望いたしまして、私の質問を終わります。
  90. 藤井勝志

    ○藤井委員長代理 田中昭二君。
  91. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私が当委員会におきまして五月二十四日に総理にお尋ねいたしました歳費のみによって源泉還付の申告をしておる問題でございますが、そのときに大臣のほうから、事実はさっそく調査いたしますという御返事をいただいたわけでございますが、その後どのような調査になっておりますか、お伺いしたいと思います。
  92. 泉美之松

    ○泉政府委員 数字のことでございますので、私からお答えいたしたいと思います。  四十一年分の所得税につきまして、御要望の数字に当たるかどうかちょっと問題でありますが、私どものいま調べている数字で申し上げますと、三月十五日の確定申告の時期までに、雑所得が赤字であるということで歳費等源泉徴収された税額から還付してほしいという還付の請求のありましたのは、衆参両院議員を通じまして、現議員で三十四名、前議員で三名、合計三十七名になっております。それからその後、更正の請求の期間が二ヵ月ございますので、その更正の請求期間におきましてそういう意味で還付の請求をされましたのは、衆参両院を通じまして、現議員で二十二名、前議員で二名、合計二十四名ということになっております。
  93. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大体、大臣も忠実に国税庁に命じてそのような調査をなさっておる、このように・敬意を表しますが、いま私がお聞きしましたのは、歳費のみにて源泉還付を受けておるのはどうなっておるか。これは時間もありませんので私は削って申し上げたわけであります。いまのは雑所得がある場合についてという長官のお話でございましたけれども、この点につきましては調査ができておるようでございますから、その調査の内容を後日提出していただきたい、こう思いまして、その問題についてはもう少し別な面からお尋ねしてみたいと思います。  そのような問題を起こしたのは、どこの税務署で、その税務署ごとに、どのような申告所得金額によって還付税額を出したのか、これもあわせて資料として御提出をお願いしたいと思いますが、ようございましょうか。
  94. 泉美之松

    ○泉政府委員 いま申し上げましたのは、最初の確定申告におきまして還付の請求をされた件数を申し上げたのでありまして、すでに還付したという意味ではございません。ただ、確定申告がありますと、田中委員御承知のとおり、できるだけ早く還付いたしまして、もしその還付請求について調査しなければならない、そして、あとでこの還付請求を認めるべきでなかったというようなことて更正をするというような措置をとっておりますので、還付請求がありましたのは、先ほど申し上げましたように現議員で三十四件でありますが、そのうち還付をいたしましたのは三十二件でありますし、それから更正の請求につきましては一件だけ更正の請求を認めておりますが、あとは更正の請求をまだ認めておりません。調査中でございます。その点はお含みおきいただきたいと思います。
  95. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣もお忙しいようでございまして、横からだいぶ急げ急げというお話がありますが、だから長官にお尋ねすることを省いて、後日資料として見せていただきたいと言っておるわけです。  それで、大臣として、この問題はあのときに国民の世論になっております。国会議員は、国民から選ばれ、国民の権利と義務を決定する国権の最高機関を構成しているものである。雑所得のない者が、サラリーで赤字が出たからといって確定申告を行ない、還付金を請求するなどは現在の税法では認められていないことは十分承知しているはずである。一般のサラリーマンは毎月のサラリーから税金を天引され、生活費に赤字が出れば借金するなど、苦しい生活にあえいでおる。こういう国民大衆の苦しい生活を理解しようとせず、国会議員という立場で税務署に威圧感を与え、法を無視することは許しがたい行為と言わなければならない、私はそういう根本的なことにつきまして大臣の御答弁をいただきたいのでございます。私が説明するまでもなく、現行所得税法におきましては、給与所得の域におきましては、明らかに所得税法第二十八条において歳費は給与所得でございます。それから給与控除をして、その課税所得となることは御存じのとおりでございます。また、現行所得税法によりますれば、百一十一条の確定申告第一項の規定におきまして、その給与以外の雑所得が五万円に満たないものは確定申告はする必要がないという規定もあるわけでございます。歳費だけの政治家の源泉還付の申告は適法と考えるかどうか、大臣の後答弁をお願いします。
  96. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 この問題は、参議院の大蔵委員会におきましても社会党の議員から質問を受けた問題でございますが、私は、そのときの答弁で、間違いであったものはまた戻してもらうという措置をとりたいという、ふうに申しましたが、そういうふうにしたいと、いまも思っています。
  97. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 社会党の議員から参議院で質問がありましたことは私も承知しておりますが、その前に私はその問題はお聞きしたわけでございます。それに対しまして、いま大臣の答弁で概略はわかったのでございますが、現在の法の規定するものを黙って見てよいのか、多数の納税者のためにも、現行の法律が規定する範囲で、正しい姿勢をもってその税法の筋を通さなければいけない。また、大臣も言われました税法に問題がある、その問題があるというのは、今後その問題点を解決していこうという方向なのか、現在の所得税法をさかのぼって訂正しようとするのか、その方向をお尋ねします。
  98. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 将来はこの問題の合理化をはかるということを考えておりますし、いまの場合は、現行法に基づいて間違ったものは訂正するというふうに考えております。
  99. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 多数の国民はその早急な処置を要求しておると思います。善良なる納税者に対しましても、私は、そのことにつきましては責任を果たさなければいけない、このように思うわけでございます。その状況のもとにおきまして源泉還付の申告書を受け付けたことは、大臣としても、はっきりと議事録にも載っておりますが、誤りであると思います、間違いだと認めてあるようでございますが、長官の発言によりますと、受け付けないわけにはいかない、受け付けた事実も認めてありますが、この長官と大臣の御発言が私はすっきりしないわけでございます。また私も、そういう問題を起こしました税務署に行って聞いてみましたところが、これは国税庁のほうもそのようにおっしゃいますが、そういう申告が出たならば、検査院の指示もありまして、一応お返しいたします、このようなことでございますが、私は、きょうは検査院の方もお見えになっておると思いますが、だれが考えてみましても、受け付ける段階において間違ったものまで返せというようなことは、その指示の趣旨ではない、このように思うのですが、まず検査院のほうの斎藤第一局長から、その指示をお出しになった趣旨を答弁願いたいと思います。
  100. 斎藤実

    斎藤会計検査院説明員 ただいまのお話の問題を、ちょっと私、ただいま参りましたので、よく存じませんが、国会議員に対する還付金の問題のように思います。  この問題につきましては、私のほうで指示を与えてはおらないと思います。それはことしの問題でございますので、私のほうの検査は昨年度の問題をただいま検討しておるという段階でございますから、そういった間違った措置であるかどうかというようなこともまだ検討いたしておりません。指示を与えたことはないものと思います。
  101. 泉美之松

    ○泉政府委員 ちょっと補足して申し上げますと、その税務署のほうで田中委員に申し上げたのはこういう事情だと思うのであります。  と申しますのは、一時、納税者から還付の請求が出ました場合、その還付の事務がかなりおくれておった時代がございました。そのとき会計検査院の御指摘がございまして、納税者一般に対して還付を早くするように、こういうことがございまして、国税庁長官の通達をもちまして、還付の請求が出たならば、その還付の請求の内容が明らかに疑わしいと思われるものを除いてはすみやかに還付するように、こういう通達を出しておるのであります。そこで、今回の国会議員の方の還付の請求の場合にも、そういう趣旨で一応還付する、しかし、それについてあとで調査いたしまして、還付すべきでなかったというものについてはあとで還付金をもう一度取り返す、これはひとり国会議員だけでなしに、そのほかの納税者についてもそのような措置をとっておるところでありますが、私どもといたしましては、納税者の還付の請求は一応正しいもの、したがって、書面上著しくおかしいというもの以外は一応還付して、その内容についてはあとで調査して是正の措置を講ずる、こういうふうにしているわけであります。
  102. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣、還付の申告書を出した場合に、歳費だけの収入しか書いてないものが還付の申告が出されておるということならば、だれが見てみても、それ以上、整わないとか整ったとかいう問題じゃなくて、当然これは法律に従って提出されないものなんだ、そういう判定がつかないはずはない、こういうふうに私は思いますし、また大臣も、その点をはっきり間違いであったと、このように御答弁なさった、こう思っておりますが、どうでございましょうか。
  103. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私は間違いだったと思っておりますが、しかし、いま国税庁長官が言われましたように、そういう問題はあとから調査して、はっきり間違いだった場合にはこれを取り戻すというのが、いままで一般のやり方だということでございますので、いま調査をしてもらっております。それで間違いだったというようなことでしたら、これは取り戻すという措置をとりたいと思います。
  104. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それは調査する前の、申告書が出された段階で明らかに間違いだとわかる申告書なんですよ。調査する前の段階なんです。それはやはり大臣が実際の実務をなさってないからおわかりにくい点があると思います。これははっきりしておりますし、まあ、いま大臣がおっしゃった、間違いだということに含めまして、私はこれ以上追及をせずにおきたいと思います。
  105. 広沢直樹

    広沢(直)委員 関連して。  ちょっと聞き漏らした問題でありますが、先ほどの歳費だけの者の必要経費を認めて還付しているのは何件あるのですか。
  106. 泉美之松

    ○泉政府委員 私のほうで調べました事例につきましては、政治資金にかかる雑所得が赤字であると、こういう申告をされた方が、衆参両院議員を通じまして、現議員で四十七名、前議員で三名あるわけであります。その赤字だと言われる方の中で、雑所得の収入がゼロとおっしゃる方が、現議員で三十九名、前議員で一名、合わせて四十名おられまして、その中で、収入ゼロであるが、政治活動に伴う支出があったから還付の請求をしたと言われる方があるわけでありますが、そのうち、雑所得の収入ゼロで還付の請求をした人が何人かということは実は調べておりませんので、収入のある人、ない人合わせて、現議員で三十四名、前議員で三名の方が還付の請求をされた、そのうち還付いたしましたものが現議員で三十二名、前議員で三名、こういうことを申し上げたのであります。
  107. 広沢直樹

    広沢(直)委員 この問題は、いま長官はそれがはっきりしていないと——先般大きく問題になりましたことは、国民全体として、給与所得だけの必要経費を認めるという問題について大きな問題になったわけです。現行税制で、いわば雑所得も通算して必要経費が赤字になった場合においては、それはもちろん食い込んでくることは当然考えられるわけですが、しかしながら、これはもう大蔵大臣がはっきりと前回にも答えているわけです。個人の歳費の中から必要経費として認められて還付を受けるということは、明らかに間違いである。いまも答弁しているとおり。したがって、そういうものがあるならば、もう還付は当然間違いであるし、取り消ししなければならない。それははっきりしている問題であるにかかわらず、いまもってそれが内容がはっきりしないということはどういうわけなんですか。もちろんそれは延滞金等も考えて、すぐに処置できる問題である。現行税制上から考えていっても、あるいはまた大蔵大臣答弁においても、これは間違いであったのだということははっきりしているわけです。その処置に関してお答え願いたい。
  108. 泉美之松

    ○泉政府委員 いま申し上げましたすでに還付いたしました現議員三十二名、前議員三名のうち、雑所得の収入がゼロであるとして還付の請求をされ、還付を受けた人は二十八名であります。それから、これらの点につきましては、先ほど大臣もお答え申し上げましたように、調査をいたしました上で処理するということで、いま鋭意調査をいたしておる段階でございます。
  109. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そのように、結局返すものでなかったものはあとで調査をして返さすとか、そういう事務的なことだけによっては国民は納得しないのじゃないか、私はこう思うのですよ。そのようなことはあたりまえなのです。ここでこの事件が国民の前に明らかにされなければ、また政治家のことについては何も手をつけずに済んでしまったというような疑惑を残すだけなのです。また、当時の新聞にもいっておりますように、国民が納得いかない。また、このような事件を起こしたことは、国会議員として恥であります。何かの形で責任をとって、国会にもまた国民にもその名前までも発表しなさい、このような国民の世論があるわけです。ですから、それは当局のほうにお願いいたします。大臣もその後の委員会におきましても、公職者会計、個人会計というようなこともわが党の参議院の大蔵委員に対する答弁で述べておるようでございます。  最後に、そのことにつきまして、公職者会計、個人会計大蔵大臣はどのようにお考えになっておるのかお聞きしたい、こう思うわけでございます。
  110. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 それは考え方の例として述べただけでございまして、まだ検討されている案でもございません。しかし、雑所得のある人は政治的な活動の必要経費が一応認められ、雑所得のない者は認められないということは、明らかにこれは不均衡でございますので、この調節をどうするかということは、これからとにかく私どもは何かの税制考えたいといま考えておるところでございまして、その場合に、先般申しましたような形でこれを解決するかどうか、まだきまった問題じゃございません。
  111. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまの公職者会計、個人会計に  つきましては、大臣も、まだ完全ではないけれども、閣内において検討しております、このような答弁があったと思うのです。どのようなところまで検討なされておるのか、どのようなことをその問題について大臣として御発言になったのか、それをお聞きしたいわけです。
  112. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 政治資金規正法の問題とも関係するところがございますし、いま言ったような問題も、これは前向きに解決しなければいかぬ問題だと思いますので、本日の税制調査会にそういうものも含めた諮問をするというふうに考えておりますので、この答申を待って善処したいと思います。
  113. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣もお忙しいようでございますから、どうぞ……。  もう少し長官にいまの申告の関係で詰めておきたいと思うのです。  もう起こりました問題でございますから、これは当委員会税制委員会並びに理事懇談会でも、ある解決の方向に向かっておりますから、私は起こりました事実に対しましては、国税庁としましても、先ほど申し上げましたとおり、現行税法にのっとってはっきりその筋を通しておかなければ、今後私は問題があるのじゃないかと思う。税に対する、国民の財産権侵害という重大な問題で、そのときの状況によって誤ったことを残すならば、いつも私が申し上げますように、第一線の税務官吏と善良なる納税者が泣くだけでございます。そういうことも考えていただいて、ひとつ、起こりました事実についてはつまびらかにすべきであると思うわけでございます。そういう点につきまして、長官のいままでの調査の結果をもう一度お尋ねするわけです。
  114. 泉美之松

    ○泉政府委員 御承知のように、昭和四十一年度分の所得税の確定申告にあたりまして、国会議員の方は、歳費のほかに事業所得のある方もあれば、配当所得のある方、山林所得のある方もいろいろおありになりますが、やはり政治活動に伴う個人または法人からの収入もおありになる、これらは従来はっきりしておりませんでしたけれども、われわれの考えでは雑所得の収入になります。したがって、雑所得を得るために必要な経費というものは認められます。そういう経費として認められるものは、事務所の費用であるとか、私設秘書に対する給与であるとか、そういった政治活動に伴うものでございます、こういうことを御通知申し上げたわけであります。  そのときに問題になりましたのは、雑所得の収入があって、それに伴う必要経費がある場合に、必要経費のほうが多くて雑所得のほうが赤字になった場合にどうなるか、こういうお話がありまして、これについては、所得税法の規定によって損益通算を行なうことになります。したがって、雑所得の収入があって、必要経費が赤字になる——必要経費があって所得が赤字になるというケースは少ないでありましょうけれども、もしそういう赤字がある場合には他の所得と損益計算ができます、こういうことを申し上げたのであります。ところが、さらに突き進んで、所得の収入がゼロになったらどうだというお話がありまして、私どもとしては、雑所得の収入がゼロで必要経費があるということはないでしょうということを申し上げたのでありますが、さらに突っ込んで強くそういうお話がありまして、一部におきまして、まあ、それはそんならゼロにして書いておいてくださいというようなことを申し上げた事例があったようでございます。そのために、先ほど申し上げましたように、雑所得の収入ゼロで、政治活動に伴う必要経費があったために、歳費そのほかの源泉徴収された所得税を還付してもらいたいという還付の請求が出まして、還付いたしましたのが二十八件、そういうことになっておるのでございます。
  115. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いろいろお話を聞きましたが、いま申し上げましたように、その結果が大事な問題でございますから、いま調査されているものをひとつ提出をしていただきたいと思いますが、その点はいいでしょうね。もしそれでよければ、もうこれでやめます。
  116. 泉美之松

    ○泉政府委員 国税庁の一部の指導が誤っておった関係もありますので、議員さん各自のお名前その他はひとつ遠慮さしていただきたいと思います。
  117. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 以上でけっこうでございます。
  118. 藤井勝志

    ○藤井委員長代理 次回は、来たる七月四日、火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会