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1967-07-19 第55回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十九日(水曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 多賀谷真稔君    理事 藏内 修治君 理事 中川 俊思君    理事 西岡 武夫君 理事 三原 朝雄君    理事 岡田 利春君 理事 八木  昇君       田中 六助君    野田 武夫君       石川 次夫君    細谷 治嘉君       渡辺 惣蔵君    田畑 金光君       大橋 敏雄君  出席政府委員         文部省初等中等         教育局長    齋藤  正君         通商産業省石炭         局長      井上  亮君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君  委員外出席者         自治大臣官房参         事官      鎌田 要人君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   市嶋 武視君     ————————————— 七月十九日  委員木原深與志君辞任につき、その補欠として  石川次夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員石川次夫辞任につき、その補欠として木  原津與志君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石炭対策に関する件(産炭地域振興に関する諸  問題)      ————◇—————
  2. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  石炭対策基本施策に関連して、石炭需要部門及び輸送部門関係者参考人として出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、参考人出頭日時、人選等の決定につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  5. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。  産炭地域振興に関する諸問題について質疑の通告がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  6. 細谷治嘉

    細谷委員 私は産炭地域振興について若干御質問いたしたいのでありますが、まず篠栗線油須原線工事進行状況はどうなっておるのか、お尋ねしたいと思います。
  7. 増川遼三

    増川政府委員 篠栗線延長につきましては、篠栗桂川間の十六キロメートルにつきまして昭和四十三年三月開業目途にいたしまして、現在鋭意工事中でございます。総工事費は三十億で、延長十六キロの工事でございます。四十一年度までに投じました資金は二十一億四千万円、四十二年ます。あと六十億ばかりが四十三年度以降にわたりますけれども、これは開業並びに開業後の若干の工事を残すのみでございまして、本年度中には開業できるものと全体の見込みをつけておる次第でございます。  次に油須原線でございますが、油須原線漆生油須原間の線でございます。これが延長二十七キロでございます。このうち漆生から豊前川崎に至る間はすでに完成をいたしまして、昨年の三月に開業をいたしたのでございます。残りました豊前川崎から油須原の十キロ余り、これが現在工事中でございまして、これまでに投じました資金五億七千万円余り、四十二年度におきましては二億ばかりをかけまして、総工事費の約半分は本年度中に投ぜられるわけでございます。残ります。億ばかりが四十三年度以降の工事にわたるわけでございまして、これにつきましても、早期完成目途に、工事を促進させたいと考えておる次第でございます。
  8. 細谷治嘉

    細谷委員 いまお答えにございましたが、篠栗線につきましては四十一年度までに二十一億四千万円、四十二年度八億、全体として三十億であります。いまあと六十億というおことばがあったのですが、四十三年度以降六千万円ということになるわけですね。
  9. 増川遼三

    増川政府委員 六千万円の間違いでございます。
  10. 細谷治嘉

    細谷委員 油須原線は四十三年度以降七億円程度残るわけでありますから、大体四十三年度で七億円全部つける予定でございますか。
  11. 増川遼三

    増川政府委員 現在のテンポでまいりますと、工事のぐあいにもよりますけれども、二年ないし三年で完成できるのではないかというふうに考えております。
  12. 細谷治嘉

    細谷委員 篠栗線は四十年度着工したと思いますが、四十一年までに二十一億といいますと平均大体十億程度工事を消化いたしておるわけです。したがいまして油須原線の場合は、残り十キロの部分についておやりになっておるわけですから、四十三年度以降の残事業七億というのは、産炭地域現状からいきまして、いまのお話ですと四十三、四十四年の二ヵ年かかるようなおことばでございますけれども、いかがでしょう、これは四十三年度工事を消化できるのじゃないかという感じがいたすのであります。この点お願いしたいと思います。
  13. 増川遼三

    増川政府委員 金額的にはあるいはそのくらいの資金は投ぜられるかと思いますけれども、実際の現地の地理的左条件その他ございますので、こういった点につきましては鉄道建設公団のほうで十分調査をさせました上で結論を出したいと考えておりますが、こういったものにつきましてはいつまでも長い期間をかけることは得策でございません。投下資本はなるべく生かしたいという考えをもちまして、相当進んでおりますものは重点的に早期完成するようにいたしたいと思うのでございます。
  14. 細谷治嘉

    細谷委員 そこでお尋ねいたしたいのでありますが、篠栗線は四十三年三月を目途といいますと、来春開業ということです。地元事情をお聞きいたしますと、四十三年の二月に竣工式が行なわれるのだと伺っておるのでありますが、そういうことなんでしょうか、お尋ねいたします。
  15. 増川遼三

    増川政府委員 その辺のところは、開業式をやるかどうかということは工事進捗状況によりまして現在のところでは何とも申し上げかねるのでございますが、大体線も引っぱられて列車を通すのに差しつかえないような状況にでき上がりますのは、年が改まりますころにはだいじょうぶじゃないかと思います。したがいまして、あと残工事がございますが、この残工事が実際のサービス上支障がないかどうかというようなことで開業の日取りをきめたいと考えております。
  16. 細谷治嘉

    細谷委員 六千万円程度四十三年度予算が必要なわけでありますから、それは大体あと片づけという程度でございますが、これでこの篠栗線というのは来年二月とかなんとかに工事完成式というように承っておるのでありますが、篠栗桂川とが結ばれて、あと六千万円の工事をやりますと、これでこの工事は終わりということになるのでしょうか、お尋ねいたします。
  17. 増川遼三

    増川政府委員 現在の篠栗線建設工事というものは一応これで終了という姿に相なります。
  18. 細谷治嘉

    細谷委員 そこで問題があるのでございます。せんだって福岡県知事をはじめ地元関係市町村なり議会の代表等も見えまして、私ども陳情を受けたのでございますけれども局長さん大体地図は御存じかと思いますけれども、この篠栗桂川というのが選ばれておる根拠というのは、大正十一年にさかのぼりまして、鉄道敷設法の第一条別表中に「福岡篠栗ヨリ長尾附近至ル鉄道」、こういうことになっておるわけでございます。そういうことでありますから、いまお話しのように篠栗桂川間が済みますと、筑豊本線との連絡がとれるわけだからそれで終わりなんだ、こういうことでございましょうけれども、この「附近」というところに問題が現実には出てまいっておると思うのであります。篠栗線桂川、これは筑豊本線でありますけれども、それから碓井、言ってみますと下碓井付近ということになるわけでありますが、そこには鉄道は来ております。その碓井から下山田、上山田と通じますと、今度は油須原線連絡をいたすわけです。そうなりますと、この油須原線を通じまして、西瀬戸内、いわゆる行橋、苅田港、こういうところに連絡をするわけなんであります。ですから、言ってみますと、この筑豊を横断する唯一唯一というのは何ですけれども、最短の鉄道ということになるのであります。その距離は、桂川碓井との間は四キロ程度なんです。難工事かというと平たん地でありまして、たいした難工事でもないわけなんです。そういうことでありますから、地元陳情にもありますように、この「福岡篠栗ヨリ長尾附近至ル鉄道」とあるのを、福岡篠栗より桂川を経て下碓井付近に至る鉄道、こういうことに改めていただくのが、せっかく巨費を投じての産炭地振興事業、しかもこれで横断が完成するのでありますから、そういうふうにあらためていただくことが私は妥当であり、それによって初めて経済効果があがってくる、産炭地振興の大きなてこになる、こう思うのでありますけれども、この点についてひとつ運輸省の御意見を聞かせていただきたいと思うのであります。
  19. 増川遼三

    増川政府委員 桂川碓井間に鉄道をさらに延長するということにつきましては、私ども地元からいろいろ御意見を承っております。これをつなぎましてさらに川崎−油須原間が完成いたしますと運行系絡上まことに有効な線ができ上がると考えます。しかしながら現在の敷設法にあげております表現の方法は、行政区画をもって表現されておりまして、これを篠栗線の中に碓井まで含むということはちょっと困難でございますので、これにつきまして、これをさらに約四キロばかり延長して先ほどのような線を短絡させるということでございますれば、将来予定線への編入をいたしまして、法律改正も必要になってくるかと思うのでございまして、この点につきましては鉄道建設審議会のほうにもおはかりしなきゃならぬと思うのでございまして、われわれのほうにおきましても十分慎重に検討さしていただきたいと思います。
  20. 細谷治嘉

    細谷委員 おことばにありましたように、この第一条別表中の百十、「福岡篠栗ヨリ長尾附近至ル鉄道」、一体この「附近」というのはどういうことか、こういう問題がありますけれども、正確を期するとしますと、篠栗より桂川を経て下碓井付近に至る鉄道、こういうふうに法律別表を改めなければならないと思うのでありますけれども、ところでこの四キロを短絡するといたしますとどのくらいの経費が予定されておりますか。
  21. 増川遼三

    増川政府委員 現在この間はまだ予定線として取り上げておりませんのではっきり申し上げかねるのでございますが、通常の地理的条件でございますれば、キロ当たり一億五千万ぐらいで工事ができるのではないかというふうに考えております。
  22. 細谷治嘉

    細谷委員 キロ当たり一億五千万といいますと大体六億円ということなんですね。せっかく篠栗桂川間も三十億円、そして油須原線につきましてはすでに七億七千万円の資本を投下しておる。あと七億でございますから全体として十五億円程度の投資をするわけでございます。でありますから、ひとつ桂川碓井という線は是が非でもやっていただくべきであろう、そういうことによって、博多湾から頴田を通ずる、最近道路等も整備されたのでありますけれども、何といいましても鉄道輸送力、しかも経済効果があがる西瀬戸内とをつなぐ、こういうことでありますから、ひとつ是が非でもやっていただきたいと思うのでございます。もう一度鉄監局長さん鉄道建設審議会にはからねばいかぬということでありますが、これは前例のないことではないわけでありますから、実情に即した、しかも産炭地振興でこの油須原線篠栗線は取り上げておるわけでありますから、ぜひひとつやっていただかなければならぬと思うのでありますが、重ねてひとつ御答弁をいただきたい。
  23. 増川遼三

    増川政府委員 鉄道敷設法別表にあります線を拝見いたしますると、非常に古いものもまだまだたくさん残っております。しかしながら、その当時の状況と現在の実情考えてみますると、必ずしもこれが効果的なものではないものになっておるものもございます。鉄道を引っぱるよりも、かえってこれを道路にしてバス輸送あるいはトラック輸送に転換したほうが非常に経済的であるというようなものもございます。またこの別表に入っておりませんものにつきましても、別表に記載されておりますものより以上に、今日の時代におきましてははるかに経済的に、また社会的に効果的な線というものも考え得るわけでございます。桂川碓井間につきましても、大体そのようなものに該当するような気がいたします。したがいましてお説十分尊重いたしまして、今後われわれのほうといたしましては慎重に検討さしていただきまして、鉄道建設審議会の機会にこういった点もおはかりしてみたいと考えます。
  24. 細谷治嘉

    細谷委員 鉄道建設公団の方もいらっしゃっておりますから、いまの点についての公団としてのお考えも、ひとつこの際伺っておきたいと思うのであります。
  25. 市嶋武視

    市嶋参考人 公団といたしましては、鉄道建設審議会から建議を受けましたものにつきまして、運輸省から基本計画として指示を受けております範囲で従来工事を実施しております。この線につきまして予定線に入っておりませんので、また公団のほうでこうというような段階でございませんので、公団としてお答えする内容を持たない次第でございます。  ただ私どもとして技術的に考えた場合に、いま局長からお話がありましたように、鉄道建設審議会におはかりして逐次公団守備範囲に入った場合に、非常な効果のあがる線というふうに考えてはおりますが、まだ公団としてこうだというお話をする段階に至らないことをひとつ御了承願います。
  26. 細谷治嘉

    細谷委員 委員長にお願いしたいのですが、この点について大体鉄監局長さんのことばで私は足りると思いますけれども、非常に重要な問題でもございますので、ひとつ運輸大臣に、時間が都合できたら、大臣のこの点についてのおことばをお伺いしたいと思っておりますから、便宜をはかっていただきたいと思います。
  27. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 承知いたしました。
  28. 細谷治嘉

    細谷委員 それから公団のほうにお願いしたいのでありますが、油須原線につきましては、四十二年度に二億程度事業をやるわけで、残りが七億円ということであります。いま鉄監局長さんにお伺いしますと、大体残りの七億円というのは四十三年度と四十四年度二ヵ年ぐらいになるのではないか、こういうお話を承ったのであります。あなたが見えないときでありましたからこの点を留保しておったのでありますが、七億というのは、油須原線だけで大体十億くらいの金が要るわけです。篠栗線は一年間に十億以上の事業費を消化しているということからいきますと、やれないことはないのではないか。しかも今回の産炭地実情を申し上げますと、ぜひ四十三年度くらいで残事業を片づけていただけないものだろうか。これはあなたのほうの守備範囲じゃないかと思うのですよ。やはり経済効果をあげれば、鉄道建設公団は赤字だろうと思うのでありますから、経済効果をあげることによって産炭地も助かりますし、おたくのほうも助かるわけですから、公団としてのお考えを聞かしてもらいたい。
  29. 市嶋武視

    市嶋参考人 篠栗線年間かなりの予産を消化したわけですが、これは非常に長いトンネルがございまして、トンネルを両口から工事に着工いたしました。したがいまして一ヵ所で相当の予算が消化できます。油須原線の場合には、そういったまとまったトンネルがございませんので、もちろんありますが、大部分は事前にできております。あとはこまごました工事の累積でございます。また開業を控えますと、国鉄協議の上でいろいろな開業に付帯する建物設備とかあるいは信号保安設備とかあるいはレールを延ばすとか、予算はあまり必要といたしませんが、非常に時間と手間のかかる仕事が大部分でございます。そういう点で比較的予算額は少なくても実績はあげ得るのでございます。また国鉄協議その他非常に時間を要しますので、年間予算はそう必要としないというような段階でございます。少なくともこれから開業設備につきまして、国鉄協議してそういったこまごました仕事を片づけるためには、やはり二年ぐらいの工期が必要かと思います。
  30. 細谷治嘉

    細谷委員 いま二、三年ということになると、四十五年までかかってしまうということになるのですが、鉄監局長は四十四年ぐらいまでと言っておりましたですよ。私のほうはもうちょっとスピードアップできぬかと言っているわけです。
  31. 市嶋武視

    市嶋参考人 私は今年も入れて二年か三年、四十四年ぐらい、こういうつもりでございます。
  32. 細谷治嘉

    細谷委員 いろいろな事情がおありかと思いますけれども、要はやはりこの油須原線工事する目的というのは、やはり産炭地振興の重要な柱としてやっておるわけでございます。今日産炭地問題というのは喫緊の問題となっておるわけでありますから、一日も早く工事が完了するように、特段のひとつ御努力を運輸省鉄監局及び公団のほうにお願いを申し上げておきたい、こう思うのであります。
  33. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  34. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 速記を始めて。  細谷君。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 この問題につきましてはまだ問題が残っておりますが、あと運輸大臣見えられるようでありますから、その節お願いすることにして、産炭地教育の問題について御質問をいたしたいと思います。  産炭地域教育陥没の問題につきましては、この特別委員会におきましても常に取り上げられてまいったところでございます。三十九年の石炭鉱業調査団答申の中にも特に文教対策等が取り上げられまして、産炭地域文教対策につきまして、具体的には「このため、産炭地域青少年関係の各機関、団体等は相互に緊密な連携をとり、良き生活環境、良き社会環境の醸成に努める必要がある。また、産炭地域実情を勘案し、いわゆるカウンセラーなどの増員を図り、これを重点校に配置する等極力非行少年対策効果があがるようう配置する。さらに、就学援助給食設備、教材、理科教育および産業教育設備学校建物などが充実強化されるような財政上の措置を講ずる。とくに学校給食については、それが円滑に実施されるよう特段の配慮を払う。」こうなっておりまして、いま読みました「いわゆるカウンセラーなど」という「など」というものについてはどういう考えを持っているかという質問に対しまして、高橋特別調査員は「カウンセラーなど」というのはその他の教職員を必要と認める学校に配置する、さらに養護教諭事務職員等考えた、こういうのを「など」というのだと特別調査員高橋さんはこの委員会参考人として参ったときに言っておるのでございます。  昨年の七月二十五日に出されました石炭鉱業審議会答申も、一番末尾に「市町村財政の窮状を考慮し、公共事業の実施について、その援助措置の促進を図るとともに、文教対策充実等炭地域社会環境の整備を積極的に推進する。」こういうふうにうたわれておるのでございます。  ところで、残念ながら私の見るところではこの答申というものによっていろいろ文部当局も御尽力をいただいておるようでありますけれども現実青少年非行の問題あるいは産炭地教育というものがよくなるどころか陥没をしておる、破壊されつつある、こういうふうにいわなければならないと思うのであります。この点について文部当局は現在の産炭地教育というものをどう受けとめていらっしゃるのか、これをまずお尋ねいたしたいと思います。
  36. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 石炭鉱業審議会答申、その前の調査団答申というものにつきまして、文教施設関係の事柄につきましては、該当市町村財政力考えましてかさ上げ措置をとる、あるいは学童に対しまする就学援助措置につきましてもかさ上げ措置をとるというようなことを実施してまいりました。あるいはまた生徒児童担当の充て指導主事の増配というものを累年積み上げてまいりました。  そこで、それらの点につきましては前国会でも申し上げておりますので、四十二年度について予算上どういう措置をさらにいかに用意していったかという点を申し上げますと、第一には前回御議論になりました、比較的準要保護児童等の多い学校等につきましての学校事務量を考慮して、事務職員加算をする方法がないかということの御希望が非常にございましたので、その点につきまして一定の制限はございますけれども定数範囲内において処理できる措置といたしまして、今回政令の改正をいたしまして、要保護、準要保護児童が多い地域に対しましては事務職員加算をする措置を講じました。また、それ以前に現在の定数上の措置といたしまして、人口が減っていく地域に対しますいわゆる急減緩和措置というものがございますので、これはただいま御指摘の養護教諭の問題につきましてもあるいは校長教諭の問題につきましても措置し得ることになっておりますので、たとえば一番急減緩和による最低保障に要します福岡県のような場合につきましては、本年度校長教諭等で六百六十七人、それから養護教諭について三十四人というようなワクの救済措置をとる、そうして県といたしましては県全体のそういう配分の中で、中学校につきましても小学校につきましてもいまお話しの補導、あるいは一種の学級に対する促進的な意味をもちまして教職員の厚みを増すという措置をそれぞれとっておるわけでございます。  それから、準要保護児童等就学に対する対策の一つといたしまして、今回は全般的な問題といたしまして、通学用品費を従来の学用品費に加えまして、そして、学用品費通学用品費を込みで使用できるような仕組みにいたしましたので、これにつきましても、関係市町村かさ上げというものを実施するようにいたしました。  それから、施設につきましては、従来の義務教育施設等のほかに、一種社会体育のプールでありますとか、運動場の設置につきましても、かさ上げ措置をとるようにいたしたのであります。  以上が昭和四十二年度について、文部省として産炭地域に対してとった措置でございます。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 四十二年度にとった措置について、具体的なお答えがあったのでありますけれども、私が冒頭御質問した点は、いままで、いろいろ文部省に御努力いただいたのでありますけれども現実産炭地教育というものが陥没しているということは事実である。一向上向きの傾向を示していないということは事実だろうと思うのです。私は、前々回のこの委員会におきまして、この二月発表されました産炭地白書というものを見たのであります。それによりますと、家庭はずいぶん悲劇なんですね。たとえば、離婚というのが非常に多い。福岡県全体の八割くらい離婚がある。それから、高校進学率というのを見ますと、県全体としては、たしか七割八分ぐらいだったと思うのでありますけれども産炭地高校進学率というのは五割程度しかない。こういうように白書は述べておるのであります。さらに、局長さんごらんになったかと思うのでありますけれども、私は、「産炭地の教師は訴える」という産炭地教育白書第三集というものが、——これは教職員組合がつくったのでありますけれども、今年の二月に発表されておるのであります。これを拝見いたしましても、産炭地教育というのは、依然として悲惨な状態に置かれておるようでございます。その点、いわゆる産炭地教育現状というものについて、局長としてどう理解しているのか、どう認識しておるのか、これを伺ったわけです。この点をまずお聞かせいただきたいと思うのです。
  38. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 教育現状というものは、いろんな相関関係がありまして、そのどこのポジションをつかまえて議論をするかということはむずかしい問題でありますけれども、たとえば、数字的にとりやすい問題として、非行化は、全国平均と比べて、非行の件数がどうであるかというようなこと、それを見ましても、全国平均よりは高い数字がある。それから、いわゆる長期欠席児童生徒という問題につきましても、小中学校とも、産炭地全体といたしますと、差はわずかでございますけれども福岡の例を見ますと、やはり全国平均よりも上回っておるという実態がございます。こういう実情から、産炭地教育が困難な点があるということは、私ども重々考えております。  それから、生徒指導の問題。こういう事象に照らしまして、一体青少年指導の観点から、現地の先生たちがどういう問題点をかかえておるかということを、今回の全般的な生徒指導という問題とは別個に、私のほうの生徒指導の講習会の一つの独立した分科会といたしまして、今年度実施をして、非常に困難左青少年の指導問題というものについても、できるだけ解明をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから高校進学率の問題は、実は、全国の平均が本年は七四%であります。これは数字のとり方でありますが、七三から七四がそれでありまして、進学率だけを議論いたしますと、特に、この進学率は、全国平均いたしましても、五割をちょっとこした府県がいろいろな事情でまだ存在しているというようなところがございまして、進学率自体は、実は、個々の市町村を当たってみた場合は、そう大きな開きはない。むしろ別の要因で、産炭地の中に、県全体の問題としてあるところはございますけれども、進学率自体は、他よりはそうあまり顕著に出てこないわけでございますが、いずれにいたしましても、産炭地教育の困難というものは、他のいろいろな要因のある困難地域と同じように、生徒指導の問題、あるいは現実の学習指導の問題ということに困難があるという認識は持っておりますので、われわれといたしましては、先ほど申し上げましたような点をまず四十二年度は実施をしたいという考え方でございます。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 進学率だけではきまらないのでありますが、私は、産炭地教育白書第三集にありますところの、ある小学校の知能テストの状況を申し上げてみたいのでありますけれども、一、二、三、四、五という五段階に分けますと、産炭地の合理化というものが進められ始めた昭和三十四年を見ますと、いわゆる指数が七五以下というのが三十四年には四%にすぎなかったのでありますけれども産炭地の合理化というのが徹底的に進められた昭和四十年度段階におきましては、一一%と、三倍に上がっているわけです。それから、指数が七五から九一の方が、一九%から二六%と、こういうふうに上がってまいっております。それから、三番目の九二から一〇六というのが、二三%から三一%と、こういうふうに上がっているわけです。合理化が始まる前の昭和三十四年度には、一〇七から一一二という段階の人たちは四割あったのでありますけれども、これがもう大幅に減りまして、二六%ということになっております。一二二以上の指数の方というのは、一五%のものが六%に減ってしまっているわけです。このことから見ましても、産炭地教育というものはたいへんな実情におちいっておる。その根本的な原因というのは、石炭の合理化によりまして、家庭が破壊されている、地域社会が破壊されている、さらには、学校の先生も手が届かないような状態になっておる、こういうことに起因すると申さなければならぬと私は思うのであります。こういう実情局長としてお認めいただけると思うのでありますが、いかがですか。
  40. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 ちょっと先生、知能指数の問題は、いまの八〇云々は、このことはあまり——学業不振、環境が悪くて学業をやれないというような実態があって、それをどう振興するかというくふうはわれわれ考えなければいけませんけれども、知能指数というものをどういうふうにアップするかということは、これは非常に危険なことでございまして、いまおっしゃったように、八〇、七〇というものはむしろ環境ではなくて、一体特殊教育にどう当てはめるかという問題でありまして、学力なり知識の修得度というようなことで議論いたしますと、かえってむしろ誤解を受けるので、その知能指数というものをどういうふうに担当者がお取り扱いになったか、私はむしろそれは危険なことだと思うのであります。学力とかなんとかというようなことでの調査をしてならよろしゅうございますけれども、そうではなくて、知能指数という問題を議論するのは、教育上、普通教育に耐えられるか、あるいは耐えられないで、特殊教育の発生度をどう見るかという問題でございますから、IQという観点で議論いたしますことはむしろ所在の児童たちに対して気の毒なことであって、これはばく然とした印象でございますけれども、私は検査の方法に少し慎重を期していただきたいという感じを持っております。それよりはむしろ学業なり、あるいは学校外の指導というものが不十分であって、伸びるべきものが伸びられないというように考えて、それをだんだん教育条件の整備ということでカバーしていくという方向に行くべきものであって、私はIQの問題については率直なところ先生とちょっと所見を異にするものでございます。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 私は一つの例としてこれにあることを申し上げたのであって、いまあなたも認めていらしゃるように、教育条件というものが、言ってみれば非常に破壊されておる、非常な困難な状態に立ち至っておるということはあなたも認めたとおりであります。そういうことでありますから、今日喫緊の問題はやはり教育条件を整備しなければならぬ、こういうことを私は申し上げたかったわけであります。したがって、そういう教育条件が、文部省のある程度の努力にかかわらず整備されておらぬところに幾多の問題があるのであります。  そこで、私はお尋ねをいたしたいのでありますけれども、これ以上この資料を使って、たくさんの問題がありますけれども、申し上げないのでありますが、いろいろ充て指導主事等々を配置していただいた。私が県教育委員会からいただいた資料によりますと、現在まで八十二名配置していただいておると思っておるのですが、そのとおりですか。
  42. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 今年度を含めて八十四名になっております。全国でやっております充て指導主事の総数が五百三十八名に相なっております。この中で多いのは北海道の百十一名、それから福岡の八十四名、これが一番多いわけでございます。実は北海道は僻地関係の者と重複しておりますから、重複した意味で多いわけでございますけれども、端的に産炭地関係として申しますならば、相当福岡県に対して配慮されて、多くの充て指導主事を配置しておると考えるのであります。そのほかに県が運用されます場合に、先ほど申しましたように教員だけでも六百余にのぼります。急減緩和措置というものを現在県としては活用されておるわけであります。  なお、生徒指導について、職種としてどういうようなことを考えるかということはかなり基本的な問題でございますので、私どもは早急に検討してまいりたいと思いまするし、また、いろいろな意味で教育困難地区の実態と、それと教職員定数関係というようなものにつきましても、私どもは検討を開始する用意を持っておるわけでございます。現行法が進行中の間におきましては、現行法のワク内をフルに活用して、それぞれの困難な事情をお持ちの府県が対処できるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  43. 細谷治嘉

    細谷委員 充て指導主事等につきまして、八十四名を福岡県に配置していただいた。北海道にも配置しておるわけであります。文部省の激変緩和等も含めたいろいろな努力にもかかわらず、どうしてもこれではやっていけないということから、福岡県独自でいろいろな措置を講じておるようであります。たとえば御承知と思うのでありますけれども、標準法の政令の附則十三項に該当する学校というのが、小学校で二十四あり、中学校で十九もあるわけでございますけれども、そのうちのある学校を見ますと、要保護児童、準要保護児童というのが七割程度——六九・七%も占めておるところがあるのであります。八百十四名の児童がおるのに準要保護児童、要保護児童というのが五百六十八名、六九・七%、こういう高率のところがあるわけであります。こういう状態でありますと、これはいろいろな問題等があるわけでありますから、これはたいへんなことだろうと思うのであります。そういうことから、福岡県では、県独自で、たしか四十二年度には、事務職員、養護教員等も含めまして百五十一名程度をやっておるわけです。独自の県単の定数を置いておるわけです。これもやはり県の財政としてはたいへんだと思うのでありますが、これについて、どうお思いでしょうか。
  44. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 教員定数法が始まりましたときの状況というものは、福岡県だけではございませんけれども、若干の県としては、非常に高率のものをかかえておられましたが、人口の減に比例いたしまして、それを全部定数に合わせることはできないという事情で、私のほうとしては、最大限の率をもちまして急減緩和措置を講じて、そうしてできるだけ救っていったのでありますが、現状といたしまして、府県がその限度を越えてお持ちになること自体は、それ自体としては悪いことではないのでありまして、それぞれの府県の政策によって若干その標準の上のものもあるし、下のものもあるということは避けられないことであります。ただ、われわれといたしましては、そういう実情がありますから、先ほど申しましたように、今年度校長等につきましても急減緩和措置によりまして六百四、それから要保護については三十二の救済措置を講ずるようにいたしたわけであります。  今後に起こる問題といたしましては、府県の実態をよく見まして、われわれとしても今後の対策考えていきたい、かように考えておるわけであります。
  45. 細谷治嘉

    細谷委員 そういうふうに県といたしましてもたいへんな努力をいたしておるわけでありますが、何と申しましても、いろいろ努力は重ねてきたけれども現状は一向改善されておらないというのが産炭地教育の実態でありますから、文部省としても、答申にもあることでありますから、ひとつ十分お考えいただきたいのであります。  いま、産炭地域における公立の小学校及び中学校の学級編制及び教職員設置に関する特別措置等に関する法律案というのが参議院で議論されております。この法律の中の第七条の国の補助の特例等については、先ほどお話がありましたように、生徒の通学に要する交通費等のほんの一部は考えられておるようでありますけれども、全般としてはこの産炭地実情から要請されておるものと比べますと、なおなお今日貧弱だ、こういうふうに申さなければならないと私は思うのであります。  そこで、もっと積極的にこの参議院で審議されております法律案に取り組む姿勢が必要じゃないかと思うのであります。いろいろ具体的なことは申し上げませんけれども局長さんのお考えを承りたいと思います。
  46. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 この法案は私どもも承知しておりますけれども、中心の部分につきまして教職員定数に関する問題が多うございまして、これは先ほど来申し上げておりますかなり基本的な事柄でございますし、また現在五ヵ年計画の最終をそろそろ迎えるという段階で、われわれといたしましてはこの既定計画を遂行するのにまず当面かからなくちゃならない。しかもその既定計画を遂行するにあたっても、法律範囲内でできる限りの実情に合うようなことを考えるということが、率直に申しまして定数問題については精一ぱいの状況でございます。  ただ、私どもは、近い将来にこの産炭地問題を含めましていろいろな事由による就学困難地区に対する学級規模の問題でありますとか、あるいは教職員の問題でありますとかいうことの課題に取り組まなければならぬということは思っておりますので、われわれはこの問題について検討を開始いたしたい、かように存じておるわけでございます。
  47. 細谷治嘉

    細谷委員 参議院で審議中のいま申し上げました法律というのは、全国にあります産炭地域に対してこの法律をそのまま実行いたしましても、大体十七、八億円程度の経費だと私は承っておるのであります。いま局長さんは本格的にこの問題等を含めて取り組むのだという言明でありますが、ぜひひとつ取り組んでいただきたい。そういうことによって産炭地教育陥没を食いとめ得るものと私は思うのであります。  そこで私はお尋ねしたいのでありますが、この問題を検討したいということでありますけれども、四十三年度で標準法が一応軌道に乗ってくるわけですね。いま経過措置中でありますから、四十三年度にはそうなるわけであります。四十三年度になってまいりますと、ある程度定数上の変化というのが起こってくるかと思うのでありますけれども、この辺はどういうふうになさるおつもりでしょうか。
  48. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 定数の五ヵ年計画は、いま御指摘のように、全国的な原則といたしましては、実は四十三年度完成時期でございます。しかし数府県におきまして問題がございまして、法律はなお二年の経過措置というものがございます。実情についてどう考えるかということはございますが、いまその実態につきまして各府県の事情を聴取いたしまして、四十三年度で締め切っていいものか、悪いものか、むしろ締め切ることによって人事行政上いろいろな問題が起こるというようなことがあるとすれば、現行の法律範囲内でも四十三年度に若干の措置はできますし、そういうことの検討を始めているわけでございます。  基本的な問題につきまして、学級編制の従来の標準、しかもそれは二十六と四十九というふうに分かれます方式というものが、経済的に見ましてもはたして効率的であるのか、逆に教育的に見てどうなのかという点は、実はこの定数法の実施で学級規模というものは平均的にかなり減少しておる実態でございますので、そういう一般的な問題並びにいろいろな事由によります、産炭地もございます。あるいはスラムのような地域でありますとか、あるいは同和の地区でありますとか、いろいろな意味の就学困難地域に対する検討を始めてまいりたいと思いますけれども定数法自体の改正につきましては、私は四十三年度の完結を待つてからいたしたい。そして四十三年度は二年間の経過措置のところを重点に見ながら各府県の実情をよく聞いて、これから判断してまいりたい。これが現在私どもがとっておる立場でございます。
  49. 細谷治嘉

    細谷委員 私は教育については実際の経験はありませんけれども、外国の人が学級編制四十五人ということを聞いて、それでよく教育ができるものだ、こういうふうに批判をされたという点も私は承っております。いまのお答えによりますと、定数は一応四十五人という四十三年度の成り行きを見届けた上で検討したいということであります。しかし、僻地なり、その他産炭地を含めたそういうところについては別途検討するつもりだ、こういうことでありますけれども、私は、そうい特殊なところについては別途検討すると同時に、たとえば産炭地は参議院で審議中の、三十五人を学級編制にしてほしい、こういうことであります。一般の標準法も四十三年を見届けるということでありますが、見届ける必要もあろうと思うのでありますが、この点もやはり早急に検討すべきでないかと思うのであります。重ねてこの点、ちょっと伺っておきたいと思います。
  50. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 一般的な学級編制につきましては、必ずしも過小学級のほうがいいということは教育上言えないのでありまして、四十五人の現行の法令によりまして、実態といたしましては三十五だ、あるいは中学校で三十九だとかいうのが実態でございます。平均的に見ますと。そしてまたこれは学問的左研究のものを見ましても、平均的に見ますならば過小なほど教育上いいという議論も成り立たないのであります。むしろ私の申しますのは、いろいろ左事情によって困難が起こる。それが学級規模に及ぼす影響というものを、いろいろな事由で発生している地域というものを——定数法というのは全国を規律するものでございますから、そういう観点で私どもは検討を開始したいというふうには思っております。事務的にはその相談をしておるわけでございますが、ただ四十三年度改正いかんという御質問を端的に申されますと、私は、四十三年度は、法律といたしましてはもう完結することに努力をするし、しかも二年間の経過措置というものを活用して、特殊な府県の状態にできるだけ支障のないように努力するということが現在の段階であろうと思います。
  51. 細谷治嘉

    細谷委員 最後に一点だけ聞きたいのであります。  学校図書館法第五条によりますと、図書館は置かなければならぬ。その図書館を置いたら、司書教諭というものを置かなければならぬ、こうなっておるのでありますけれども、附則のほうで「当分の間」こういうことになっておりまして、二十九年四月一日施行以来今日まで当分の間が依然として続いておるのであります。常識的にいって当分の間というのは——二十九年からというと十二、三年になるわけですね。しかも産炭地等の財政事情からいきまして、これはたいへんな問題になっているのでありますが、本文に書いてあるのを附則で消して、そして二十九年から今日までそのままにしておくというのはいかがかと思うのでありますが、この点についてのお考えを伺っておきたい。
  52. 齋藤正

    齋藤(正)政府委員 実はその司書教諭というものはこれは専任の教諭を置くということでなくて、学校の先生が職務として学校内における図書事務を総括するという職でありますから、実はこの問題はむしろ経過措置定数上の問題ではなくて、資格の取得の状況のための附則であります。現行学校図書館法の制度につきましては、実は私どもにおきましてもそれから国会内におきましてもどういうことでいくかということにいろいろ議論がありまして、先生のほうは生徒指導の主任が命ぜられると同じように、図書の主任が命ぜられればいいので、むしろ今後検討すべき課題といたしましては、司書事務を扱う職員というものについてどうするかというのが問題になっておりまして、実は先般の公立学校定数法の改正の際には、図書の事務を担当する職員を一定規模のものから入れていったのでありますが、この問題は一つの検討の課題でありまして、ただいま御指摘の司書教諭の問題ではなくて、むしろ司書事務を扱う職員の問題になろうかと思います。
  53. 細谷治嘉

    細谷委員 これは職員の問題ですよ。職員の問題はどうなっているかといいますと、PTAで雇ったり、PTAで雇ったのが長くなりましたから、いま市町村がなけなしの財政負担をしつつ市の職員という形でやっておるわけです。私は、少なくとも学校図書館法というのができてその日的を達成するには、やはり法律の本文に書いてありますように、司書教諭を置いて、それだけではいけませんから、やはりそれに事務員を配置するということがぜひとも必要であろうと思うのであります。でありますから、そういう観点で、時間がありませんからこれ以上言いませんけれども、たいへん困っておる問題でありますから、十分に検討して、やはり司書教諭とそれから必要な事務職員を配置するということで御検討をいただきたいことを特にお願いをしておきます。
  54. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 岡田利春君。
  55. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 自治省来ておりますか。——ちょっとお伺いいたしますが、いまいろいろ教育問題が出ましたけれども、一例をあげますと、北海道の留萌の近くに小平町という町があるのですが、今度新たに新日本炭業の福久炭鉱の閉山を会社側として正式に態度をきめ、近く閉山が予定されておるのです。そこで従来もこうしたケースがあったかと思いますけれども、小平町ではこの炭鉱の子弟の学校教育のために、起債をして不燃性の学校を実は建てたわけであります。しかし今日の石炭産業の実情からなかなか経営が成り立たないということで、当初は長期的に石炭採掘をする予定でありましたけれども、突如閉山に踏み切らざるを得ない、こういう事態が実は出ておるわけであります。そういたしますと、閉山になれば、この学校というものは事実上閉鎖しなければならぬわけでありますが、しかし一方町当局としてはばく大な起債をして学校を建てた、こういうことで今後この償還をしていかなければならない立場に追い込まれたわけであります。実は当委員会でこの問題は前にも意見がでまして、こういう面については財政上のいろいろな角度から検討して、何とか措置をするように考慮したい旨の自治省から答弁もいただいておるわけでありますが、こういう点について一体どういう角度で対処されようとしておるか。あるいはまた今日までずいぶん閉山も行なわれておるわけでありますが、閉山になれば御存じのように鉱産税は入らないわけです。そういうものと関連してどういう措置をとられてきたか。これは学校のみならず、公共施設の場合には当然同じようなケースがございますけれども、この点についての見解を承っておきたい。
  56. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 いま小平町の例をお引きになりましてお尋ねがあったわけでございますが、私は実はこういったたぐいの問題初めてでございます。おそらく、従来もこういう形で私どものほうへあがってまいりましたケースは、私いまの財政担当の参事官になりましてちょうど二年でございますが、いまだかって実は聞いたことがないわけでございます。したがいましてこの問題がこういう形で集中的な形で出てきたといいますのは、寡聞にして存じませんが、おそらく初めてのケースではないかという気がいたします。初めてのケースと申しますのは、せっかく学校をつくったが、いつの起債でいつから工事にかかられて、どのくらいの規模の学校がつくられて、それが閉山によりまして今後の学校の経営規模がどういうふうになっていくのか、ちょっとその辺の事実関係がわかりませんけれども、初めてのケースと私が申しますのは、おそらく新築の成ったとたんに実質上閉山に伴う廃校、こういうケースはおそらく初めてではないだろうかという気がして、いま伺っておっわけでございます。  そこでこういうものに対してどういう形で救済をしてまいるか、ちょっと簡単に結論が出そうで出ない問題がありますのは、たとえば適切な例でないかもしれませんけれども、ある地域に工場が来る、そういうことで先行投資を公共施設等についてやるわけであります。ところが不況によりましてその企業が来ない。結局これは先行投資の分は全部から振りになってしまうわけであります。現実にそれに類した問題は実は少なからずあるわけでございまして、結局そういった過大投資というものが結果的にはその団体の赤字原因をつくって、実質的には財政再建をやらなければならない、こういうところに追い込まれておる例は一、二あるわけでございます。そういう団体につきましては、私どもなり、あるいはこの場合でございますと道の指導のもとに再建計画をつくっていただきまして、計画的な赤字解消計画を立てていただくわけでございます。その赤字の解消計画の過程で、たとえば起債の借りかえをするなり、あるいは特別交付税において見れるだけのものは見る、こういったような措置を講じておるわけでございますが、実情がよくわかりませんので、非常に抽象的なお話になって恐縮でございますが、そういったケースの関連も考えながら、ひとつ北海道庁の地方官を呼びまして、この実情をよく私どもつまびらかにいたしました上で、個別的な解決の案を検討いたしまして、あらためて御返事申し上げたい、こう思う次第でございます。
  57. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 財政が赤字になる場合には非常に対処しやすいわけですけれども、そのためにそういう起債の負担を抱いておるものですから、結局全体に財政支出が詰まってくる、こういうことが当然考えられるわけでございます。あるいはまた奈井江町の三井砂川の白山が採掘をやめて三井砂川本町のほうに全部従業員が移転をする、ここにはもちろん三省鉱業という中小炭鉱もございますけれども、この学校の場合もやはりりっぱな不燃質の建物が建設されておるわけであります。これはもちろん周辺に中小炭鉱及び若干の農村がございますから、学校は閉校ではございませんけれども、その大半は移転に伴って学校として使用する必要はなくなるわけです。これも同様に起債でございますから償還をしなければならない。しかし一方においては、これはあくまでも長期的に採掘をするのだという前提がありましたから、鉱産税もいただいてかりますし、大体学校をつくる場合には不燃質のりっぱな学校をつくるというのが方針でございますから、そういう場合に一体どういう対処のしかたがあるのか。こういうケースはやはり出てまいると思うのです。したがって実情その他についてはなお詳しく調査をしなければならないでしょうけれども、私はやはり何らかのこれに対して、有効な対策を立てる必要があるのではないか、こう実は考えるわけです。そういうケースは決していまの小平町だけではございませんから、そういう意味でひとつこの対処のしかたについて自治省として十分検討してもらいたい。また、いま申し上げましたような学校は閉校にはなりませんけれども、十教室あったものが二教室で間に合うとか、そういう場合などについては、いままで筑豊などでは例があったのではないか、こう思いますが、そういう点については別にケースはございませんでしたか。
  58. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ただいま御指摘になりました生徒数が急減をする、こういったものにつきましては、実は四十一年度の特別交付税から、全国平均よりも生徒の減少率の著しいところ、こういうところを対象にいたしまして、大体全国で二億五千三百万ぐらいでございますが、特別交付税で見るという道を開いております。この問題の場合でございますと、さしあたり考えられますのは、結局特交ででも何とかならぬかということに相なるのかと思いますけれども、その前提といたしまして、いま申し上げました財政の内容を一応検討さしていただきたいということをお答えさせていただきたいと思う次第でございます。
  59. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 次会は、明二十日、理事会及び委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十三分散会