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1967-06-23 第55回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十三日(金曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 多賀谷真稔君    理事 神田  博君 理事 西岡 武夫君    理事 三原 朝雄君 理事 岡田 利春君    理事 八木  昇君       進藤 一馬君    菅波  茂君       田中 六助君    中村 寅太君       野田 武夫君    井手 以誠君       石川 次夫君    細谷 治嘉君       田畑 金光君    大橋 敏雄君  出席政府委員         通商産業省石炭         局長      井上  亮君         通商産業省鉱山         保安局長    中川理一郎君  委員外出席者         参  考  人         (石炭鉱業合理         化事業団理事         長)      田口 良明君         参  考  人         (九州鉱害復旧         事業団理事長) 讃岐 喜八君         参  考  人         (鉱害基金理事         長)      天日 光一君         参  考  人         (電力用炭販売         株式会社副社         長)      稲葉 五郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件(石炭対策基本施策)      ————◇—————
  2. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  本日は石炭対策の諸施策に関連して御意見を述べていただくため、参考人として石炭鉱業合理化事業団理事長田口良明君、九州鉱害復旧事業団理事長讃岐喜八君、鉱害基金理事長天日光一君及び電力用炭販売株式会社社長稲葉五郎君の御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席を賜わり、まことにありがとうございました。本委員会におきましては、目下石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案などの審査をはじめ、石炭対策基本施策について調査をいたしておりますが、この際、参考人各位からそれぞれの事業団等業務内容についての概況を御説明願い、あわせてそれぞれの立場から見た将来の業務あり方等について忌揮のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  それでは田口参考人からお願いいたします。田口良明君。
  3. 田口良明

    田口参考人 石炭鉱業合理化事業団理事長をいたしております私田口良明でございます。理事長工藤昭四郎が余儀ない事情のため出席できませんので、かわって申し述べさせていただきます。  合理化事業団運営につきましては、平生諸先生方をはじめ関係各位の多大の御指導、御協力をいただきまして、まことにありがたく厚くお礼を申し上げる次第でございます。  なお、本日はここに意見を申し述べる機会を得ましたことにつきまして、まことに光栄に存ずる次第でございます。  まず、合理化事業団の行なっております業務概要について簡単に御説明申し上げます。  諸先生方にはすでに御高承のとおり、当事業団業務はこれを大きく分けますと二つに分けられるわけでございまして、その一つはいわゆる炭鉱スクラップ業務、他の一つ炭鉱ビルド関係業務としての各種融資貸し付け業務でございます。  第一のスクラップ業務概要でありますが、お手元に配付いたしました本年三月末における業務実施状況でごらんのとおり、買収方式によりまして、この買収方式と申しまするのはいわゆる旧方式と申しますが、この買収方式で二百七十三炭鉱、約六百三十万トン、また整理促進交付金交付方式、これはいわゆる新方式と申しておりまするが、これによりまして三百二十六炭鉱年間生産数量にいたしまして約千九百六十万トンの炭鉱整理いたした次第でございます。さらに、本四十二年度におきましては、生産数量にいたしまして約三百万トンの整理を計画いたしておりまするが、現在すでに約二百五十万トン程度の申し込みがございます。  第二の、ビルド関係貸し付け融資業務といたしましては、近代化資金整備資金再建資金開発資金等各種資金貸し付け業務のほかに、整備資金及び経営改善資金保証業務と、さらに機械貸与業務などがございます。  近代化資金貸し付け状況は、お手元資料にございますとおり、三月末における貸し付け残高は約二百七十億円に上っております。なお四十二年度におきましては、さらに年間約四十八億の貸し付けを予定しておる次第でございます。この財源といたしましては、出資金約二十四億円、償還金二十四億円となっております。最近におきまする炭鉱資金逼迫状況にもかんがみまして、ある程度先行融資を行なうよう目下準備を急いでおりまするので、できるだけ早期に先行融資を実行いたしたいと考えておる次第でございます。  なお、当事業団業務の詳細につきましては、別冊昨年十月一日現在の「業務概要」をお手元に差し上げてございます。  以上、はなはだ簡単でございまするが、おもな業務実施状況を御説明申し上げた次第でございます。  さて、一体抜本的安定対策の第一年に当たります本年度から、諸先生方に御審議を願っておりまする諸法案の成立を見て、これからいよいよ炭鉱の安定をはかってまいるわけでございますが、はたしてこの答申案によってのこの対策によって炭鉱の安定を期することができるであろうか。この問題につきましては、私も非常に憂慮しておるものの一人でございまするが、答申案が出されてすでに一カ年、炭鉱の赤字はますます増加いたしまして、金融の逼迫もその極に達しておる今日、炭鉱の安定につきましては、非常に困難な要素を含み、非常な困難な状態に追い込まれておることは事実でございます。あるいはへたをすると三、四年のうちにわが国石炭産業取り返しのつかないような羽目に落ち込むかもしれないというようなことを憂えているものは、私は相当多数あるのではないかと思うわけであります。しかし、ここにこの石炭鉱業安定対策が打ち出され、皆さん方の精力的な御審議のもとにこれから実施に移す以上は、おくればせながら生死を賭して最善の努力を払ってやってみなければならぬと考えておるわけであります。  それでは一体これからどういうふうにすることが必要であろうかということでございまするが、時日のズレ致命的ギャップはこれは事実でございますから、今年度の予算はそれといたしまして、早く執行できるようにしていただきたいということと、補正で増加できるようなものは極力それに期待をすることにいたしたい。なお、四年後の四億よりも今年度の一億のほうが資金効果が多いということは常識でございます。四十二年度予算こそは、先行き増加する石油関税還付金を引き当てに一般会計からでも思い切ってこの特別会計への予算増加をはかっていただきたい。しかも、この内容につきましては、前向きの対策を十分ひとつ増ワクすることが絶対に必要でございまして、石炭産業の安定の成否は一にかかってここにあると申し上げても過言ではないと存ずる次第でございます。  そこで石炭政策全般につきまして私の考えておりますることをこの際少しばかり申し上げまして御参考に供したいと存ずる次第でございます。  まず第一点でございますが、これは労働対策の点についでございます。炭鉱労務者不足状況ほんとう憂慮にたえないところでございます。合理化事業団が四十年から四十一年度にスクラップいたしました炭鉱炭鉱ございますが、この中で、ほかの理由もございまするが、労働不足とろうためにこれを閉山の理由にあげておる炭鉱が三十二炭鉱にのぼっております。さらに、本年一月から三月まで約二十の炭鉱が閉山いたしましたが、その中には労働力不足のために黒字でありながら倒産に入ったというようなものもございました。まことに炭鉱は、内面的には炭鉱に対する不安感のために炭鉱を去っていく者、また外部からは他産業の猛烈なスカウトなどのために、特に最近労務者が量的にも質的にも次第に不足を生じてきておるということが目立ってまいっておりまして、このままの状態で推移いたしますならば、遠からずして生産の維持さえ非常に困難な事態に立ち至りはせぬかということを深く憂える次第でございます。したがいまして、この際、関係者といたしましては炭鉱労務対策についてほんとうに真剣に取り組む必要があることはもちろんでございまして、特に、労働力確保を考えるときに、定着のための年金制度、ただいま御審議になっておられると思いまするが、この年金制度の問題につきましても、支給額の増額いうようなことやその他所要の点につきまして十分考慮を払っていただいて、ぜひひとつこの炭鉱労務者定着性に非常な効果的な施策であるということにお願いをしたい次第でございます。  また、特別に労務者持ち家制度を考えるとか、あるいは農菜園支給を考えるとか、あるいは娯楽施設の充実など、生活環境改善にも十分ひとつ考えを持っていただきまして、なおさらに坑内外作業合理化機械化等によりまして、高能率、高賃金確保に対しまして不断の努力がこの際特に望まれる次第でございます。  なお政府の手厚い炭鉱労務者の援護に関する措置でございまするが、この点につきましても、再就職につきましてもっともっと手厚い考え方をここに指向すべきではないかということを特に痛感する次第でございます。  第二は、第一の点とも関連いたしまするが、炭鉱機械化促進についてでございます。採炭切り羽深部移行その他自然条件の悪化、そういうようなことで、坑内作業がますます重労働化傾向を示しておりまするが、何とかして機械力によってこの負担を軽減するようにするということとか、あるいは労働者確保の困難な今日におきましては、どうしても新鋭高能率機械開発導入いたしまして、炭鉱完全機械化自動化実現することが急務であると考える次第でございます。幸い皆さま方の御協力によりまして、合理化事業団は四十一年から機械貸与制度実現いたしまして、とにもかくにも四十一年度は三億、四十二年度は六億の出資金の計画となっておりまするが、とうていこの程度では不十分でございまして、一日も早くこれを拡充強化する必要がございます。昨年秋全国出炭の約八〇%を占める全国主要炭鉱機械化の余力を調査いたしました診断班調査結果によりますると、当時まだ三十八億にのぼる機械化需要があったということでございまして、またこの機械貸与の運用につきましても、現行の割賦販売方式のみでなく、機械導入補助金制度というようなものを新設いたしまして、事業団機械を保有し、直接中小炭鉱などの掘進、採炭指導する方法だとか、あるいは機械化のために必要な技能者オペレーター等の養成など、炭鉱機械化推進技術訓練センターとか、あるいは現地に修理工場部品倉庫などの完備をするようなことが、この際特に必要と考えられる次第でございます。  第三でございまするが、石炭需要確保対策についてでございます。原料炭九州においてあるいは中国方面においては不足ぎみでございます。また北海道炭は若干余りぎみともいわれております。このように地域的な格差はありまするが、一般炭につきましては暖房用炭その他一般産業用需要が減退いたしておりまして、生産をある程度調整しておりまするけれども、なお貯炭増加の一途をたどっておりまして、ただいま山元貯炭だけでも六百万トンをこすというような状態にございます。こういうような貯炭増加に対しまして、炭鉱がどんなに経理面において重大な圧迫を加えられておるかということは、ここにこと新しく申し上げるまでもないところでありまして、この点はほんとう憂慮にたえない次第でございます。今回の抜本対策実施によりまして、債務の肩がわり安定補給金、坑道掘進補助金等実現を見ますると、炭鉱経理は相当の改善が期待せられますることは、これは言うまでもございませんが、ただ需要確保が前提でございまして、これがくずれるようなことがありますると、せっかくの炭鉱経理にきわめて大きな影響を与えますることは言うまでもないところでございます。  したがいまして、特に一般炭需要確保対策として、まず石炭火力の増設でございまするが、電発火力あるいは九電力火力共同火力自家発電など、いろいろ強力に推進すべきであることはもちろんでありまするが、特に積み地、すなわち産炭地に別ワクとして石炭火力を増設すべきであるということを痛感するわけでございます。このことは、輸送負担の軽減により、また増加引き取り資金にいたしましても、比較的少なくて済むというようなメリットもあるわけでありまして、ぜひひとつこの石炭火力発電の強化ということが今日急務であると考えられるわけであります。  なお、石炭新規需要開発でございまするが、何と申しましても、ただいま考えられる点は、活性炭の利用の確立をすみやかに実施するとろうことでございまして、川口燃研方式工業化実現を早めることはもちろんでございますが、こういうことによってスモッグなど汚染空気の清浄あるいは汚濁水の処理というような公害対策からも、一般炭活性化ということが非常に注目されておるわけでありまして、こういう点につきましては、ぜひひとつ石炭業界におきましても、赤平とか太平洋とか三池とかばらばらでなく、一丸となってこれが完成に全力を尽くすべきときではないかというふうに考えるわけでございます。  第四は、流通合理化対策の問題でございまして、石炭専用船建造について申し上げます。石炭専用船は、昭和三十七年度から四十年度の間に二十九隻の建造をいたしたわけでございます。これが年間輸送量が七百三十万トン、これは石炭の全海送量の二六%に当たっておるわけです。なお、これの建造費は九十八億と称せられております。しかしこの効果について申し上げてみますると、この専用船効果ほんとうに著しいものがありまして、昭和四十一年度の実績においても、北海道地区から京浜地区輸送に要した石炭トン当たり輸送費において、これを他の汽船に比べますると、トン当たり約二百三十円の割り安となっております。しかもこの二十九隻の輸送量が、ただいま申しましたように、全海送炭のわずか二六%にすぎないということに着目いたしまして、もっとさらに少なくとも海送炭の五〇%は専用船によるというような目途のもとに、さしあたって十五隻ないし二十隻の石炭専用船建造が必要であると考える次第でございます。  なお、前述の需要対策にも関係がございまするが、この際石炭需給調整機関が必要であるということは、毎回各方面から述べられておるところでございますが、結局ただいまの山元貯炭の累増にかんがみまして、さしあたって相当量貯炭を国家においてこれを持つということによって、石炭銘柄の統一とかあるいは混炭の操作、あるいは交錯輸送の是正というようなことに供することは非常に大きいのではないかと考える次第でございます。  第五番目でございますが、鉱区調整及び企業合同問題について申し上げたいと思います。  合理化法が改正されまして、この鉱区調整につきましては大臣決定権が付与されまして、いままでの鉱区調整についての単なる勧告というようななまぬるい時代はもう過ぎておるわけであります。ぜひひとつこれは御当局におきましても、この鉱区調整の問題についてはできる限り積極的にこれをやっていただくということが特にこの際必要であると考えるわけであります。  ただ、このときに問題なのは、譲渡価格の問題でございますが、これも大臣の指示によってできることになっておりますが、実際問題といたしましては、なかなか炭鉱にも金がないというような時期でございますので、この問題についても特段の考慮を払う必要があると思います。  事業団保有鉱区及び抹消鉱区につきまして、四十一年度から法律の改正によりまして、鉱業権の取得及び処分についての業務が追加されたわけでございます。これで四十一年度からはこの事業団保有鉱区を二炭鉱について約二千万円、鉱区を譲渡したわけでございまして、四十二年度になりまして現在申請のものが四炭鉱、この譲渡価格一億六千万円程度、さらに今後七炭鉱が追加されるような傾向にございます。こういうようなことを考えてくるときに、ただ一方で法律の圧力によってこの鉱区調整等をはかるというばかりでなしに、やはり親切な面に思いをいたしまして、この鉱区代金支払いについて、仮称でございますが、鉱区調整資金というような無利子の金の融資をひとつここで考えていただくということが必要であると思います。それでこの鉱区代金支払いは、これはそういうような融資の金によって直ちに譲り渡す炭鉱に渡されるわけでありますが、譲り受け炭鉱につきましてはこの融資金償還は租鉱料の納入方式というような面で徐々に返していただくということにいたしますと、非常にこの鉱区調整分合に役立つのではないか。これはひとり合理化事業団保有鉱区あるいは抹消鉱区ばかりでなしに、鉱業権者同士の中においてもこういうような制度によってこの鉱区調整分合促進されるということが考えられるわけでありまして、さらにこの企業合同によって石炭鉱の大企業化大型化をはかるのにこれが非常な威力を発揮するのではないかというふうに考える次第でございます。  最後に私は、結局問題は炭鉱ビジョンの欠乏というようなことから、いかにしてこの炭鉱に魅力を持たせるかという対策について一言申し上げてみたいと思います。  わが国炭鉱は、欧米の炭田に比しまして地質構造が複雑化しております。また稼行区域がますます深部化してまいります。しかもガス、湧水盤圧地下温度の上昇など、こういうような悪条件が重なっておりまして、経済的採掘がまことに困難であることは御承知のとおりでありまするが、それにもかかわらず、わが国石炭産業生産性の向上は今日まことに目ざましいものがございまして、能率におきましてもフランス、英国を凌駕し、西ドイツに迫らんといたしておるわけでございます。  最近の統計でございまするが、外国統計は若干古くて新しいのが見当たりませんが、ここに御参考までに一例をあげますならば、西ドイツフランスイギリス日本というこの四カ国の全鉱員能率一方、一人当たりのトン数を調べてみますと、昭和三十八年度に西ドイツでは一・九八トン、フランスでは一・三五トン、イギリスでは一・六七トン、日本ではこれは四十年度で若干新しくなっておりますが一・四六トンでございます。また切り羽能率につきましては、西ドイツ昭和三十八年に五・八七トンでございます。フランスはちょっと数字がございませんが、イギリスでは四・九五トン、日本昭和四十年の資料でございまするが、五・九二トンというように切り羽能率におきましては若干統計の年次が違っておりまするが、もらすでに西ドイツも凌駕せんとしておるというような状況でございます。日本採炭技術というものがよくもこの悪条件の中でこれほど伸びてきたということは私は驚異に値するとともに、炭鉱人たち経営者にいたしましても技術者にいたしましても、もっとプライドを持ってしかるべきではないかというように考える次第でございます。このプライドを持ってこそ、まず炭鉱ビジョンを与える一つの素地ができるのではないかと考えるわけであります。  さらに私は申し上げたいのは、もっと炭鉱スクラップダウンを推進いたしまして、新鉱開発ビルド鉱の数をふやし、炭鉱近代化ムードをもっともっと盛り上げてモデルマインの表彰というようなことを設定いたしまして、そして炭鉱について関係しておる方面不安感というものを除去するということが第二の重要な問題であると考える次第でございます。  第三番目には、日本がこれだけの技術水準になってまいりました以上は、日本マインエンジニア優越性を利用しまして、コンサルタントあるいは炭鉱技術の輸出というような目的も考えあわせまして、また日本で最もいま必要としております海外原料石炭の入手の確保をはかる意味からも国が石炭開発株式会社あるいは公団というような名称でもよいのでありまするが、こういうものをやはり至急につくりまして、そしてこの国内炭の新鉱開発はもちろんのこと、海外原料炭供給確保というようなことにつきまして、もっと調査開発並びに輸入の確保ということに政府が強力なバックをすることによって、この石炭開発機関というものをこの際至急につくることが必要ではないか。  ただいま、いろいろな資料によりますると、世界をあげていま各国で特に関心を持ち、非常に積極的に動いておるのが製鉄用原料炭確保対策のようでございます。これはわが国におきましてもこの面に手を打つことがおくれますると、将来取り返しのつかないようなことにならないとも限らないのでございまして、私は、太平洋を取り巻く外国炭鉱開発、特にカナダ、豪州炭というようなもの、また中共、樺太というような方面石炭につきましても十分ひとつ日本の優秀なる炭鉱技術導入をはかるべき時期に来ておるのではないかと考える次第でございまして、この点につきましては、私は昨年の十一月の八日と記憶しておりまするが、例の石炭鉱業審議会経理審査会におきまして、国内炭並びに海外原料炭開発のためにすみやかに石炭開発株式会社仮称でございますが、これを設置すべきであるということを御当局にもお願いしたことも記憶しておりまするが、ぜひひとつこういうことによって、この炭鉱に働く若い人たちに夢と希望を持たせ、日本炭鉱界というものがますます今後世界各国の間に伍して石炭資源開発に貢献をするということを、一日も早くその実現を見たいということを切に希望しておるわけでございます。  たいへん長々とお話し申し上げましたが、要するに今日の石炭業界は非常に困難な立場に立たされておる。これに対しましては、どうしてもここに思い切った施策を講じなければならぬ。その施策はすでに答えが出ておる。これを早く実行することである。しかも時間的なズレというものを十分考慮いたしまして、やはり四年、五年先よりも今日の予算措置が最も炭鉱を救う近道、またこれを誤ることによって取り返しのつかない事態にもなるかもしれないということを考えまして、特に諸先生方におかれましても、ぜひひとつこの石炭問題につきまして特段の御配慮をお願いいたしまして、私の参考人としての御意見を申し上げる次第でございます。(拍手)
  4. 多賀谷真稔

  5. 讃岐喜八

    讃岐参考人 九州鉱害復旧事業団理事長をしております讃岐でございます。鉱害問題並びにわれわれ鉱害復旧事業団運営につきましては、かねて一方ならぬお世話になり、あたたかいお気持ちで御指導、御援助を賜わっておりますことは、われわれ一同深く感謝しておる次第でございます。この席をおかりしましてあつくお礼を申し上げます。  なお、本日はお呼び出しをいただきまして、私どもの願いごとを聞いてくださるということでございます。まことに光栄に存ずる次第でございます。  初めに私ども事業団業務概要を御説明申し上げまして、その次にお願いごとを申し上げたいと思うのでございます。お手元に小さな印刷物がまいってございますが、九州鉱害復旧事業団業務概要となっております。それをお開き願いたいと存じます。鉱害復旧事業団概要と申しましても、もうすでに先生方のほうがお詳しいのじゃないかと存じますが、簡単に申し上げます。  九州鉱害復旧事業団昭和二十七年八月一日の法律によりまして二十八年一月二十六日に設立されております。同時に中国鉱害復旧事業団も設立されました。その後東海鉱害復旧事業団常磐鉱害復旧事業団という三つの事業団も設立されておりますので、鉱害復旧事業団というのは、九州を含めまして四事業団になるわけでございます。  業務内容につきましては一ページに書いておりますとおり、復旧基本計画の作成、復旧工事の施行、かんがい排水施設の維持管理、納付金、負担金の徴収、維持管理費の支払い、それから復旧費のうち納付金、受益者負担金及び事業団負担金の支払い、復旧についての測量、設計の受託等でございます。組織につきましては二ぺ−ジから三ページにかけて書いてあるとおりでございまして、理事四名、監事四名、職員は六月一日現在二百八十一名ということになっております。職員の問題につきましては後ほどお願いのところで申し上げることにいたします。  三ページの評議員会というところがございますが、私ども事業団は三者設立機関といわれておりまして、炭鉱と被害者とそれから市町村の三者で設立されているわけでございまして、合理化事業団とか基金とかその他の事業団とは非常に趣を異にしている次第でございます。この評議員会というのは議決機関でございます。各代表より十二名ずつ、三十六名の評議員をもって構成されておりまして、定款の変更とか賦課金の賦課、徴収の方法、業務の方法の決定、変更、借り入れ金の借り入れ、債券の発行、会計規程の設定及び変更、収支予算及び決算、復旧基本計画の作成及び変更等が評議員会の議決事項となっておりまして、政府に認可を申請する事項はすべてこの議決を経た後になるわけでございます。  次に復旧事業の経過でございますが、五ページに年度別復旧費、単位千円で出ております。昭和二十七年度には八千七百万円程度で発足したのが三十二年度には十億になり、三十八年度には二十二億に伸び、四十年度には三十三億、四十一年度は五十一億、本年度は予算で七十一億というふうに、急速な伸びをいたしております。これは一に予算の問題でございまして、このように予算の増額をいたしていただきましたことは、政府並びに国会の諸先生方に深く感謝をいたす次第でございます。そういうことで昭和二十七年度から四十一年度までの間に、農地にして三千八百九十三町歩、家屋で九千九百三十五戸の復旧をやっておるわけでございます。  それで、これは九州全体の数字でございますが、これを団営工事、私どもの直接やっております工事から申しますと、七ページに書いておりますように、昭和二十九年度から非常に小さな数字で始まりましたのが、昭和四十年度には十億、四十一年度は二十億、四十二年度の予算では三十五億ということに急速に伸びております。これは先ほどの年度別復旧のところで申しました。全体の伸びと同時に無資力の関係が非常にふえたということでございまして、無資力関係はほとんど私ども事業団で担当しておるわけでございます。昭和四十年以来まことに急速な増加を遂げておりまして、これに対応する手段、方法等については日夜苦心を重ねておるような次第でございます。  業務概要は以上簡単に申し上げたとおりでございます。  次にお願いいたしたい事項につきまして申し上げます。と申しましても、私どもお願いいたしたいことは、御承知のとおり昨年石炭鉱業審議会におかれまして鉱害処理の抜本対策が答申されております。そこで私どもの願いというのは、もうその答申にほとんど全部盛られておりまして、その答申に尽きるのでございまして、一日も早くその答申の内容実現していただくということがお願いになるわけでございます。その旨委員長に申しましたところ、まあそれでもいいから、その中のことで言いたいことを言ったらいいじゃないかというお話でございますので、一言申し上げたいと思います。  四点ばかりございます。  まず第一は、予算の問題でございます。逐年予算増加をはかっていただきまして非常に感謝する次第でございますが、今年度の予算は御存じのとおり復旧費にしまして全国ベースで七十七億、九州にいたしますと七十一億ということになるわけでございます。それで鉱害部会の答申によりますと、五カ年の長期計画に基づきまして残存鉱害量のほとんど全部を処理してしまうということになっているわけでございますが、この分でまいりますと五年間で処理してしまうということは非常にむずかしいのじゃないか。八十億といたしまして四百億ということになるわけでございます。来年度以降の予算の増額が非常に期待されるわけでございます。この点につきましては、先日来の当委員会でも十分審議が尽くされているように議事録で拝見したのでございます。この上ともよろしくお願いいたしたいと思います。  次に、実は私この理事長に就任いたしましてちょうど一年と少しでございます。約一年九州におりまして、鉱害の復旧の仕事に携わったわけでございますが、一番困りましたことは被害者の同意の問題でございます。多くの人は鉱害を復旧することについて同意してくれるのでありますが、ごく少数の人がどうしても承知してくださらぬ。いろいろもっともな意見はありますが、おおむねあまりもっともでない意見をもって同意を拒まれるわけでございます。同意を得られないときはどうするかというと、法律上こまかい規定がございまして、同意が得られないときはその旨を書いた書面をつけて実施計画の認可を申請する。そうすると、主務大臣は計画を縦覧に供しまして、その間に異議の申し立てをさせる。異議の申し立てに対しては決定をする。それで認可になれば被害者は協力しなければならぬというように法律上の手続等は完備いたしておるのでございますが、どうしても同意してくれない、それで何とかしなければならぬということで、これがためにわれわれの払う努力、時間、まことにばく大なものがございます。それでその面からわれわれの仕事の進捗が非常におくれ、能率が悪いような結果が出るのでございまして、まことに残念に思いまして、何とか同意権を排除し得るような方法はないかということを常々考えるのでございますが、幸いにしまして、今度の答申には、鉱害審査会を政府に設けられまして同意のあっせんをしてくださるということでございまして、この制度にわれわれはたいへん期待をかけておるわけでございます。この点につきましても、先日の委員会におきまして十分審議が行なわれたと存じますが、どうぞその点をおくみ取りいただきまして、格別の御配慮をいただきたい、かように存ずる次第でございます。  そのこととも関連するのでございますが、われわれ事業団全国統一と基金との合併という問題も出ているようでございます。先ほど来申し上げますように、私ども事業団の設立の由来からして、他の事業団と非常に性格が違う。たとえば職員を獲得いたしますには、官庁職員の出向制度が全然とられないのでございます。それでなくてもわれわれの仕事のためには、技術力が非常に必要でございまして、一番必要な技術は、農業土木、次に建築の技術でございます。このいずれもが目下払底の状態でありまして、まごまごしておりますとわれわれのほうが引き抜かれてしまうというような状態でございます。それを急速に伸びる事業量に応じて獲得し、充員していくということはたいへんなむずかしさでございまして、かねがね官庁関係の若い優秀な人の出向ができるように、そういう制度お願いしておりましたが、これは全国統一が行なわれまして、われわれの事業団が正式に政府出資機関となりますれば、そのことは可能になるのだというふうに期待しておりますが、まあそういう面から非常に困っておるということをお含みいただければ幸せだと存ずる次第でございます。  次にもう一点、追加工事の問題でございます。追加工事と申しますのは、これも答申の中にあるのでございまして、主として農地でございますが、一たん復旧いたしまして、それが永久に効用未回復という状態にあるわけでございます。これの処置について政府の間におきまして法の運用によって何とか考えていただいておるわけでございますけれども、現地の被害者の感触からいいますと、とれを立法化して法律による制度としてほしいという希望がまことに熾烈でございます。私どももその点につきましては全く同感でございまして、この法制化と申しますか立法化と申しますか、制度として確立されんことを期待しておるわけでございます。これらの点につきましては、先ほども申し上げますとおり、当委員会におかれまして十分御審議された事項ではございますが、鉱害地の現地におきまして実際に仕事をやっておる者の気持ちを申し上げまして、蛇足ではありますがお願いとする次第でございます。  どうもありがとうございました。(拍手)
  6. 多賀谷真稔

  7. 天日光一

    天日参考人 鉱害基金の理事長を命ぜられております天日光一でございます。  鉱害基金の業務の概況につきましては、お手元に御配付を願っておきました「業務概要」四十二年四月一日版に、概要と申すよりはむしろ詳細と申したほうがいいくらいに設立以来のことを詳しく記載いたしておるわけでございます。なおまた、この概要の主要な数字を取りまとめまして、三枚の表に集約いたしましたので、これをごらん願えればなお完全なわけでございます。それから本日私の陳述いたします要旨は、陳述要旨といたしましてお手元に差し上げてあると思いますので、ごらんを願えればほぼ申し上げたいことは尽きるわけでありますけれども、しかしながら御審議案件多数ございまして、お忙しい先生方にごらんをお願いいたしますと申し上げるのはなははだ僭越でございまして、さようなことはちょっとも考えておりません。以下ごく要点だけをつまみまして申し上げ、また業務の要点の報告に織りまぜまして、若干の考えを付加させていただきたいと思います。時間はごく短くて済むつもりでおります。  最初に申し上げたいと思いますのは、私は先年命によりましてヨーロッパ各国の鉱害対策を視察に参ったことがあるのでございますが、結論といたしまして得ました感じは、石炭鉱害につきまして日本ほど立法的に、また財政措置として手を尽くしておられる国、また困難を感じておられる国はヨーロッパ各国にはイギリスといい、ドイツといい、フランスといい、決してなかったことを記憶いたすのであります。これは申し上げるまでもなく、日本の国土の狭小、人口の稠密、また鉱害物件の大半が御承知のごとく水田である、日本の国家経済、国民経済の上において非常に大きなウエートを持ちますところの水田が被害物件の冠であるという諸事情からであろう。またもう一つは、日本が近代国家になりまするために、地下資源、ことにエネルギー源とされました石炭の急速な開発が必要であったということの結果であるかと思うのであります。しかしながら、石炭の鉱害は石炭の採掘には御承知のごとく不可避とされておるわけでありますから、日夜、年々歳々継続いたしております石炭採掘を存続する限りは、ある程度の鉱害は——御承知のごとく鉱害は安定するにはある程度の年数を要しますので、必ず常にある程度の鉱害は持続するのが当然であろうと思うのであります。ただ御承知のごとく、異常なる膨大なる残存鉱害が存置していることに問題の核心がある。またこの累積鉱害の急速な処理、解消にこそ先刻申し上げましたとおり日本が立法的にも財政的にも非常な大きな努力がされておるのであると思うのであります。  さように先年ヨーロッパ各国を回りましてそういう感じを得ておるわけでありますが、御承知のごとく昭和二十五年に特別鉱害に関する法律、また二十七年にいわゆる臨時石炭鉱害に関する法律が制定されまして以来すでに十数年、朝野をあげて累積鉱害の解消につとめてまいっておるわけであります。しかしながらそれにもかかわらずなお膨大な残存鉱害がありまするために、関係の地区におきましては大きな社会問題、またひいては国土保全の問題ということになりまして、国会等においてもしばしば御論議をいただいたことは御記憶のとおりであります。  かような背景と事情からいたしまして、御承知のごとく石炭鉱害賠償担保等の法律が三十八年に国会の御協賛を得て成立いたしたわけでありまして、この法律に基づきまして、鉱害基金というものが法律の施行と同日の三十八年七月一日から発足いたしたわけであります。  基金がいま申し上げた事情と背景からつくられたものでありまするからして、基金の性格とか業務とかと申しまするものは、当然にいま申し上げた背景、事情を反映しておのずから定まってまいっておるわけであります。その当時ありました鉱業法改正審議会、石炭鉱対策審議会等の御答申を受けて立法されたものでありまするからして、基金の使命といたしましては、石炭鉱業及び亜炭鉱業の採掘に伴う鉱害の被害者を救済するため、また兼ね合わせて石炭鉱業及び亜炭鉱業の健全な発達に資するためという目的を持っておるわけでありまして、また基金の性格といたしましては、全額政府出資による資本をもって営むという性格を持っておるわけであります。  かような次第でありまして、業務といたしましては、当然のことでありまするが、鉱害の賠償のための担保の管理を法律上命ぜられておるわけであります。もう一つの大きな業務は鉱害の賠償に関する資金の供給、貸し出し、かような二つの業務を使命とされておるわけであります。  しからば、三十八年発足以来近日でちょうど四年になるわけでありますけれども、四年間に幾ばくの仕事をなしてきたかということ、大量観察を願うために個々の年度のこまかい数字は省きまして申し上げたほらが御理解いただくのによいかと思うのでありますが、端的に申しますると担保の受け入れ、基金が担保として預かり込みましたものは、三十八年からこの四十二年度の末の姿を想定してあわせて申し上げるのでありまするが、担保の受け入れ額は十九億六百四十五万円と相なるわけであります。これに対して四十二年度末の姿を込めまして申し上げますと一体幾ら貸し出しをしたかということでありますが、貸し出しの累計額は契約高でありますが、八十四億一千四百万円ということになるわけであります。ざっと申し上げますると受け入れ高の約四倍半に近い貸し出しをしたことになるわけでありますが、十九億の預かり金をもって八十四億の貸し出しをするということは、申すまでもなく他の財源の補給に依存することは申すまでもないのであります。  その点は少しくあとで触れるかと思うのでありますが、まず業務の第一種類でありまする担保の管理でありまするが、この担保と申しますのは、御承知でございますとおり鉱業法によりまして以前法務局に供託されておりましたいわゆる供託金を取り戻して法務局から移管を受けたのでありまして、これが移管を受け、また移管の際に基金に払い込まれたいわゆる旧供託金の性格のものはみんなで六億九百五十三万六千円となるわけであります。これに対しまして、払い出した額は二億三千百八十三万四千円、したがいまして、四十一年度末には幾ら預かり残になるかと申しますと、三億七千七百七十万二千円となるわけであります。これは担保の第一種類であります。すなわち供託金であります。これは事業基金といたしましては、預託金という名称をもって処理いたしておるわけであります。  担保のもう一つは、新法によりまして基金に炭鉱から払い込まれた積み立て金であります。これは新しい法律の規定によって通産局長が年々金額を調定されて通知される。その通知に基づいて基金に払い込まれるものであります。この担保の第二種類でありまする積み立て金は幾らかと申しますると、おおむねただいまのところ年間三億円前門後でありますが、当初以来本年度末で受け入れておる額は幾ばくとなるかと申しますと、十二億九千六百九十一万四千円となると想定をいたしております。これはまた法律の規定によりまして払い戻すことがあるわけでありますから、幾ら払い戻したかと申しますと、二千六百九十二万四千円払い戻したことになるのであります。本年度末には幾ら基金が預かっておるか、管理しておるかということになりますると、十二億六千九百九十九万円ということになります。  以上申しました二種類が担保として基金が管理いたしておる金額であります。  なお、こまかい点でありますが、鉱業法による供託金は平均いたしますと、御承知かと思いまするが、トン当たり五円五十銭程度であったのでありますが、基金になりまして制度が変わりまして、積み立て金となりましてからは、おおむね十五円ないし十七円——端数を省いておりますけれどもトン当たりの数字になりますからして、概略いたしますれば供託金時代よりは三倍になっておるということは申し上げられるかと思うのであります。  以上が担保の管理の状況でありますが、なお供託金には法律の規定に従いまして二分四厘の利息をつけて支払らことになっております。これも法定されておるわけであります。この二分四厘は基金となりましてからも同じく適用されておるわけであります。  次に貸し付け状況でありますが、先刻申し上げたとおり、貸し付けの契約の累計高は八十四億と申し上げたのでありまするが、その内訳を申し上げますると、第一類と申しましょうか、鉱害の賠償、資金貸し付け、これが七十一億四千九十万六千円となります。それからこれに関連しまして復旧事業団の工事資金という意味で貸し出しましたものが、累計いたしますと二億五千万円になります。それから四十年から法律が改正されまして、賠償だけではなくて、鉱害の防止のための措置に必要な資金も貸し出し得ることになったのであります。これは累計いたしますと、十億二千三百万円、これが八十四億一千四百万円の内訳なんでありまして、しからば八十四億一千四百万円の貸し出しをいたすのに預かった供託金、積み立て金約十九億のほかに、何の財源によったかという点を一言申し添えますると、政府出資の資本金、これが三億から始まりまして、本年度で十二億になりましたから、この十二億を全部投入いたしておるとお考え願いたいのであります。そのほかに財投、つまり政府資金運用部から年々金を借りて貸し出しに充てておりますので、これが合計いたしますと、政府からの借り入れ金が四十七億円になります。それから貸し付けた金で償還期限が——分割返還でありますからして、償還を受けて返ってきた金がございます。それが十三億三百万円になるわけであります。かような財源を持ちまして、先刻申し上げた八十四億円の貸し出しをいたすということになるわけであります。  なお付言いたしますると、積み立て金には四分五厘の利息を付することに規定されておりますし、それから政府からの借り入れ金は六分五厘の利息を払うことになっておるのであります。いま申し上げたとおり、政府出資金は三億、一億、三億、三億、二億という刻み方で本年十二億に達したわけでありますが、また政府からの借り入れ金は、初年度はゼロでありましたが、三十九年度から五億、十一億、十三億、本年度は十八億円借りることになるわけであります。合計四十七億円になるわけでございます。  なお細目でありまするが、貸し出しの条件の概要といたしましては、貸し付けの限度と申しますか、ケース当たりの限度は、原則といたしまして百分の六十、六割を借すということに業務方法で許しを受けておりましたけれども、最近の情勢にかんがみられまして百分の七十、また、終閉山に関する貸し付けにつきましては百分の八十まで認められることになりました。それから貸し付けの利息は六分五厘を徴しておるわけであります。ただし、この利息の点につきましては、石炭対策の一環といたしまして全部の貸し付けではございませんが、賠償に関する貸し付けにつきましては三分の利子補給のような形で支給されることになりましたから、差し引き六分五厘であった利息が三分五厘に軽減されることになるわけであります。本年度の三分の補給の所要額はおおむね三千四百万円と想定いたしております。  それから貸し付けの返還の年限でありますが、当初は二年据え置き三年均等償還という方式が許されておったのでありますけれども、これも最近の石炭界の情勢にかんがみまして、三年据え置き五年償還、つまり八年以内償還ということに条件を緩和することになったのであります。  それからなお貸し付けの回収の確実をはかるためには、担保はもちろん徴しなければならぬのでありますが、概略いたしますると、担保物件といたしましては、鉱業財団あるいは不動産等を担保に抵当権を設定いたしておるわけであります。  業務概要を要点だけをつまんで申し上げると、以上申し上げたことに尽きるわけでありまして、あとはもしおひまがございましたら、今度は各種貸し付け先の九州、北海道別でありますとか、大手、中小別でありますとか、あるいは賠償と防止との比率でありますとかという点を書き上げておきましたから、ごらん願えればけっこうだと思います。  なお申し落としましたが、毎年度の積み立て金の調定額の収入状況が、年によって多少の変動はありますけれども、九六ないし九八%程度の収納をいたしておりまして、収納率はまずまずというふうに一応考えておるわけであります。  それからこれは非常に御参考までにつけておいたのでありますけれども、法務局から取り戻した供託金は——一口に取り戻したと申し上げましたが、実は全国の九十六の法務局から、十数年前からの供託金を取り戻したのでありまして、件数にいたしますとおおむね八千件くらいあったかと思います。それからなお供託金で取り戻しましたのは、御承知のとおり鉱業権なり租鉱権が、併合したり分割されたり設定されたり消えたりいたしますと、これはほんの一例でありますが、初めの二つが一緒になって、また八つに分かれてまたくっついて、常時変動があるのでありまして、これに従って私どもの預かり金の台帳金額をずっと分けて、それぞれ分割していかなくちゃならぬのであります。実は先生方を驚かして申し上げるわけではありませんので、この資料に要約しておるので、ずいぶんとれでもめんどうくさいと思ったのでありますが、種本はこちらであります。一つの供託金を分割、併合、租鉱権の設定、消滅などあわせますと、私自身でも、これはしろうとがラジオの組み立てをいたすよりも困難でありまして、これは専門の職員にやらせるよりほかないのでありますが、簡単にしましたのがこんなようなものでありまして、これは一口に預かって保管するといいましても、管理するということは、ただ口数を書いておくことだけでないことを御了解願いたいと思います。  以上で私の申し上げたいことは終わったのでありますけれども、ただ一点つけ加えることをお許しいただければ、一体毎年貸し出す金額は何できまってくるのか、もっと貸し出せないのかという御質問を間々受けることがあるのでありますけれども、私のほうの貸し出しの金額の所要額は何できまるかといいますと、毎年度の、いわゆる臨鉱法による鉱害復旧の事業の規模、たとえば本年は七十八億とか八十億ということからして、炭鉱負担金、納付金が幾ら要るということはおのずから出てまいりますし、また臨鉱法によらないけれども炭鉱が年々賠償をことしは幾ら払わなければならぬ、また自己復旧で幾らやらなくちゃならない、また鉱害の発生を防止するためにどういうことをしたいということの大きさから、自然に所要額が出てきまして、それに必要な金が出まして、そのまた貸し付け率は、先刻申し上げたとおり一定の率があるのであります。でありますからして、御同情いただきまして本年度百億政府からお貸しいただいても、百億を消化することにはやはり困難がある。必要な土台が基礎からずっと出てくるのでありますから、さような点で往々にしてもっと出せないのかというお尋ねを受けますけれども、性質がそういうことになっておることをただ一言申し上げたいわけでございます。  以上で尽きたわけでありますけれども、なお、先刻、九州鉱害復旧事業団讃岐理事長からも一言申されたのでありますけれども、今後の鉱害対・策としましては、新しく申し上げるまでもないのでありますけれども、要するに異常なる累積鉱害の解消が根底であり主眼であろうと思いますので、このためには、あるいは長期にわたる計画の樹立あるいはそれを推進するための機構の拡充強化というような点が必要かと思うのであります。そういう際には、石炭対策の片すみにおる基金でありまするけれども、大きな方針の推進にはできるだけの対応した努力はいたしてまいりたい、かように考えております。  お尋ねがありましたら、なおお答えいたします。(拍手)
  8. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 次に、稲葉五郎君。
  9. 稲葉五郎

    稲葉参考人 私は、電力用炭販売株式会社副社長の稲葉でございます。かねてより、石炭対策につきまして御熱心な御検討を賜わっておりまして、まことにありがたく深く敬意を表する次第でございます。本日は、また石炭対策につきまして意見を申し述べます機会を与えられましたことを厚く御礼申し上げます。  最初に、簡単でございますが、当社の営んでおります業務概要につきまして御説明申し上げたいと思います。お手元に口述要旨と当社の事業概要を提出しておりますが、それをごらんになりながら私の話を聞いていただきたいと思います。  当社は、去る昭和三十七年、第一次石炭鉱業調査団の答申を受けまして、石炭需要確保対策の一環としまして、電力用炭代金精算株式会社の名称で、三十八年の十月に発足したものでございます。その後石炭鉱業の構造的不況克服のために第二次調査団が編成されまして、三十九年の十二月、炭価の引き上げを含む一連の安定対策が答申されたのでございますが、その実効を期するために、四十年の六月に当社を改組強化いたしまして、電力用炭の販売契約を当社に集中することによりまして、炭価の安定、数量の引き取りの確保をほかることになりまして、名称を電力用炭販売と改めまして、今日に及んでおる次第でございます。  当社は、改組にあたりまして一億円増資をさしていただきまして、現在資本金は四億でございます。うち、政府出資を仰いでいる額が一億五千万円でございます。残りの二億五千万円は石炭業界の出資になっております。  業務機構としましては、本社を港区に置きまして、総務部、業務部、輸送部の三部に分けまして、それぞれ事務を分掌しております。地方機構は、各電力会社の本社所在地に七つの営業所、出張所を設けておりまして、他に北海道の室蘭及び九州の若松に、輸送配船業務のために駐在員を置いております。この全国的範囲の業務に対しまして、極力人員配置の節減をはかりまして、現在従業員数は男子職員五十六名、ほかに女子が三十一名でございまして、たとえば揚げ地の電力所在地の出張所などは、男子の所長一人と女子のアシスタント一人という最小限の人員構成でやっております。  この機構と人員をもちまして購入、販売事業を行ないまして、昨年四十一年度の実績は、数量が二千四万トン、これは引き取り約束数量は二千五十万トンでございますが、常磐共同の勿来分の二十六万一千トンは、当社の取り扱いワク外になっております。そのほかに湿分引きの一%のものがございますので、結着数量は二千四万トンとなりました。それから販売金額が七百四十五億、なお石炭専用船運用事業におきまして延べ七百四万トンの輸送を行ないまして、さらにこれらに付随する業務を遂行しておる次第でございます。  これらの事業につきまして若干御説明をさしていただきたいと思います。  電力用炭の購入並びに販売事業は、先ほど申し上げました電力用炭販売株式会社法が改正制定されまして、当社が改組発足いたしましてより当社の主要業務となったものでございますが、この主眼は、去る四十年の電力用炭炭価の三百円引き上げを確保しまして、その後の炭価安定を期することでありまして、電気事業者並びに石炭の販売業者から電力用炭をこれだけ購入したい、販売したいというそれぞれの申し込みをいただきまして、この申し込みが合致したときにおいて、通産大臣の定めます炭価によって当社で一手に販売、購入契約をいたすものでございます。この業務を通じまして、電力会社の負担増のアンバランスを当社におきましてプール、調整いたしまして、石炭の販売業者には一律に三百円上げベースの価格で支払っておるわけでございます。年度内におきましては電力会社の石炭引き取りベースがまちまちでございますために、おおむね上期は相当額のプールじり赤字になります。当社の資金の持ち出しとなる次第でございますが、お預かりしております資本金の運用によりまして、石炭業者には滞りなく石炭代をお支払いしておる次第でございます。  次に、電力用炭の代金の繰り上げ払い業務でございますが、昨年四十一年度上期、特に四月−六月は電力用炭の引き取りが非常に低調でございましたために、石炭業者より資金事情逼迫の訴えがございまして、当社は有力市中銀行十四行に対しまして協調融資の借り入れ申し込みを行ないまして、その御協力によりまして五月分炭代から石炭業者に一カ月の繰り上げ炭代の支払いを行なってまいったのでございます。この措置は、季節引き取り差が解消する下期に入って終了をする予定でございましたが、石炭鉱業に対する資金対策の一環として繰り上げ払いを継続するように御当局並びに関係者の御要望がございましたので、再度銀行団に御協力を要請いたしまして、現在月約五十億円の炭代を毎月石炭業者に繰り上げ払いをいたしております。  続きまして当社の行なっております専用船運用事業並びにその関連業務について御説明申し上げます。御高承のとおり石炭の流通合理化に資するため政府近代化資金の御応援を得まして低コストの石炭専用船が三十七年度以降逐次建造されまして、現在二十九隻、デッドウエイトで十五・四万トンの船腹が動いております。この専用船の効率的な運用、荷主の公平な使用の観点から当社が船舶の運用を行なっておりまして、三十八年度から逐年船腹の増強により取り扱い量は漸次増加いたしまして、四十一年度までの四カ年の実績におきましては、取り扱い数量は千五百八十万トンになっております。運賃効果額——従来の海運賃の実績に対しまして運賃節約となった額でございますが、効果額で輸送トン当たり百九十二円、総額で三十億円にのぼる効果をあげまして、大きく石炭流通合理化に寄与いたしております。  また、北海道各港を主といたしまして配船の調整業務を行なっておりますが、これは、とかく石炭積み込みに向かう運炭船が積み出し港に込み合いますので、荷主、船会社と話し合いまして合理的配船の調整を行なっておるものでございます。この結果、昨四十一年度の実績におきまして、実は昨年度は好天に恵まれましたせいもございますが、北海道各港における一隻当たりの滞船日数は〇・入五日でございました。配船調整実施前三十四年度の滞船実績を見ますと、室蘭港で二・八日、小樽港では二・七日となっておりました。これに比べますと大幅に短縮する効果をあげまして、これまた輸送合理化に非常に寄与しております。  なお、この他に当社は、販売銘柄の整理とか、輸送面のさらに進んだ共同化の問題とか、流通合理化に関する調査を進める仕事を行なっております。  以上、当社の営んでおります業務につきまして概略を申し上げまして、仕事をやってまいりますメカニズムとか、その遂行状況とかにつきましては、お手元に御配付申し上げました事業概要を御一読賜わりますれば幸甚に存じます。  最後にこの機会を拝借いたしまして、石炭対策に関しまして御要望したい事項をお聞き取り願いたいと存じます。  まず電力用炭需要の拡大確保対策でございます。これにつきましてはかねて石炭業界の代表者より本委員会にるるお願いされたと承知しております。また、先ほど田口参考人からもお話があったのでありますが、私からも、電力用炭の販売を担当いたしておる立場から重ねてお願いいたす次第でございます。何と申しましても一般炭の一般需要は、業界の需要確保努力にもかかわりませず、今後さらに急速に需要が減退してまいるものと考えざるを得ないわけでありまして、結局政策需要電力の引き取り増加を期待しております。幸い当委員会において電力需要確保を重大施策としてお取り上げくださいまして、昨年「電発火力について、現在建設中の三基を含め、昭和四十五年度までに八基を建設することと」「需要確保のため、消費者のエネルギー源選択自由の原則に若干の制限を加え、特に公益事業として特殊の地位を占める電力会社に対し強力な指導監督を行なうこと」の御決議をいただいておりまして、まことに時宜を得ており感謝にたえぬ次第でございます。この線に沿いましてさらに強力に具体的に対策推進の御検討をお願いするわけでございます。特に現在一般炭生産の主力となっております西九州炭特に三池炭、また東の常磐炭が、その品質面で硫黄分が多いとか、灰の溶融点が低いとかでとかく売れ悩んでおりますこれらの炭の消化を行なら発電所を、技術的にはこれらの炭を専焼している火力が現在もあるわけですから、バーナーとか設備に若干くふうを加えて品質面をカバーしていただいて、そういう発電所をしかるべき地点に早急に建設していただくよう特にお願いいたしたいと思います。  次の点は電力会社にもかねてお願いいたしておりますが、石炭年間平均して引き取っていただくよう御指導を賜わりたいことでございます。最近数年の傾向では、電力全体で上期に四五%、下期五五%先引き取るという状況でありますが、石炭業者といたしましては、上、下期平均に引き取っていただくことを希望いたしております。先ほど申し上げました当社の炭代繰り上げ払いも上、下期ならして炭代を支払いまして石炭業者の資金事情緩和の一助とする目的で始めたものでございます。下期に片寄って納入するのは冬期輸送障害の起こる時期でもありましてむずかしい問題もありますし、国の資金を仰いでつくっていただいた石炭専用船の有効効率的な運用のためにも年間平均して引き取っていただくことが望ましい次第でございます。  次に石炭専用船関係お願いでございます。先ほど申し上げましたとおり、現在二十九隻の専用船が動いているわけでございますが、今後電発用炭が次々にふえてまいる、九電力会社にも増量引き取りをお願いする、また原料炭も逐次増量され輸送対象数量がふえてくることとなります。専用船の果たしている運賃節約効果は顕著なものでありますことは前述のとおりでございまして、この際専用船をさらに増強追加建造していただきたいのでございます。  なお、その際、解撤比率、専用船建造する条件としてスクラップ船が要る、その比率でございますが、その解撤比率が現在一・五となっておりますが、この条件が専用船の船価を高くし、運賃コストの低減を妨げておる点に御注目をいただきまして、これを極力緩和するように御配慮を願いたいと存じる次第でございます。  以上簡単でございましたが、当社の概況の御説明に加え、二、三御要望を申し上げまして私の公述といたします。
  10. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これにて参考人各位の御意見の陳述は終わりました。     —————————————
  11. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これより参考人各位の御意見に対する質疑を行ないます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。大橋敏雄君。
  12. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 本日は四人の参考人の方々の貴重な意見を聞かしていただきましてありがとうございました。きょうのいろいろな意見資料といたしまして今後委員会活動に大いに反映させてその実現努力していきたいと考えておりますが、時間がございませんのでまず最初に田口先生にちょっとお尋ねしたいわけであります。  もちろん現在の石炭政策はスクラップ・アンド・ビルド政策の上にのっとっての振興でございまして、先ほどの話の中にも、無資力、いわゆる非能率炭鉱はまだどしどしと合理化し、閉山させて、そうして有能な炭鉱に集中していきたいというような話もございました。これはもっともな政策上の問題であろうと思いますが、私が現実に産炭地におりまして離職者の方々の声を聞く中にこのようなことがあるのです。どこまで真実かどらか知りませんけれども炭鉱が閉山になってそして失業した、当然退職金がもらえるのにまだその何分の一くらいしか手に入っていない、あとの退職金はほとんど見込みがないのじゃないか、このような心配をしておる人や、あるいは合理化事業団のほうから経営者のほうにはそうしたお金は渡っているのだけれども経営者がふところに抱き込み、われわれにはくれないのだ、こういう、うわさを聞くわけであります。私はたまたま先週地元に帰りましたときに、山田炭鉱の閉山の話を聞いたわけでありますが、これははっきりしているというふうに聞いたのですけれども、その点どうでしょうか。
  13. 田口良明

    田口参考人 ただいまお話ございました山田炭鉱につきましては、まだはっきりしておりません。ただ先ほど閉山の場合に、その交付金が経営者のほらのふところに入ってしまうというようなお話がございましたが、事業団のただいまの整理促進交付金の交付にあたりましては、あらかじめ交付金の留保割合と申しますか、配分割合がございまして、まず二五%を債務の処理に充てる、それから五〇%を賃金あるいは退職金等に充てる。それからさらに二五%を鉱害問題の関係に渡すということにいたしておりまして、なかなか現在において、鉱業権者のふところに入るというような段階に立ち至っていないというのが実情であろうと思います。
  14. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それで安心いたしましたが、いまの山田炭鉱はまだ閉山ではないというようなお話でございますけれども、実はそこに働いている従業員の方から、はっきりとそこで退職希望者を募られているということのようであります。そこで具体的にその退職金のことでしょう、特別補給金と言っておりましたが、抗外夫あるいは抗内間接夫については、勤務期間でしょう、十五年というものを基準といたしまして、十五年以上は百五十日分だとか、あるいは十五年以下は百二十日分だとかという具体的なことを話しておりましたのですけれども、これが山田炭鉱について、局長さんでもけっこうです。その点ひとつよろしくお願いします。
  15. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 まだ正式に話を聞いておりませんけれども、ただそういう、いま先生お尋ねのような問題につきましては、結局労使で、要するにおそらく退職金——もしやめる場合にはどうするということになりますと、やはり労使間協定がありましょうから、労使間協定に従っておそらく労使で話し合うということになろうと思いますが、退職者に対して、どの程度退職金を出すとか出さぬとかいうようなことは、私どもとしては関知いたしておりません。
  16. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それじゃ、合理化事業団としては、その点には全然手は差し伸べられないわけですか。
  17. 田口良明

    田口参考人 事業団といたしましても、ただいま石炭局長からお話がございましたように、労使の間でよく話し合っていただく。そうしてそれに従って、私のほうは先ほど申しましたような交付割合ということについて金を出すということにいたしております。
  18. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 そういう実情でしょうけれども、私はしろうとでありますので、なかなか理解が悪いのでありますが、むしろ労働者側から考えた場合、そういう退職金だの、ほかの交付金だのが的確に、あるいは正確に自分の手元に入るかどうかということに非常に関心を持っておると思うのです。私はむしろ合理化事業団がそこまでの仕事をなさっているというならば、こういう点まで具体的に指示や、あるいは内容までのことに立ち入られるような立場になるべきではないか、このように思うのでありますが、田口先生の御意見としてはこれはどんなものでしょう。ぼくが聞きたいことは、要するに離職していく労働者の一番心配することは退職金その他のお金の問題にあるわけでありまして、こういうのがむしろただ単に労使の間での話し合いということでなくて、もっと政府から、あるいは事業団のほうから退職金はこのようにあるべきであるというようなことを具体的に指示されるようなことにならないものだろうか、こういう点なんです。
  19. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 ある山が閉山いたします場合には、先ほども申しましたように、当該山を経営いたしております経営者と労働者の間で、やはり山をつぶします場合には、当然労働者との間には退職金とか、あるいは未払い賃金をどうするとか、あるいは社内預金はどうするとかというような問題があるわけであります。まず退職金協定があるのが一般普通でございます。ただ中小炭鉱の一部には退職金協定のない山もございますけれども——そこでいまお話の山につきましては、まだ閉山するという話を正式には私聞いておりませんけれども、しかしかりにそういうようなことがあった場合には、やはり退職金協定というものがありましょうから、この退職金協定というのは会社と労働組合との間の協定でございまして、会社は協定をとにかく順守する義務があると思います。それから労働者はそれを主張する権利もあります。そういう関係の協定ですから、これは政府が介入するとかなんとかという問題ではなくて、労使の間でその協定を話し合いの一つのもとといたしまして話し合いをされるのが、これは普通の筋ではなかろうか、こう思っております。ただ政府措置といたしましては、先ほどちょっと触れましたように、中小炭鉱の一部で退職金協定がないような、これはまた非常にひどい話だと思いますけれども、というような場合が遺憾ながらときどきあるわけであります。そういうような実態がありますので、政府としましては、合理化法によりまして、そういう中小炭鉱の山については一般の離職金のほかに、政府が差し上げます離職金のほかに、特別離職金というような制度を設けまして、特にそういう気の毒な離職者に対して特別配慮しているというようなことはやっております。この業務事業団お願いしてやっていただくということにしております。
  20. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 それではいまのは大体わかりましたので、次に、讃岐先生にちょっとお尋ねしますが、先ほどのお話の中に特融費が九州で七十一億四千万円ですか、これは前年に比べるとかなり伸びているようでありますが、何か九州のほうで答申の意思に基づいてもうすでに五カ年計画ができ上がった、鉱害の年間の必要資金が私のぼんやりした記憶では百五十万から百七十万ぐらいだと思っておりましたけれども、福岡のほらで立てられた今度の予算から見ると、七十一億ではとてもこれは思う存分の仕事にならぬのではないかと私は心配しておるのですけれども、その点はどうですか。
  21. 讃岐喜八

    讃岐参考人 ただいまの御質問の点でございますが、昭和四十年度に通産省の主宰で鉱害量調査というのが行なわれたわけでございます。その集計によりますと、九州の残存鉱害量が約五百億ということになっておりまして、それで先ほど私申し上げたのは、石炭鉱業審議会全国べースで五カ年の長期計画で残存鉱害量を全部処理してしまうということを答申されたわけでございます。まあその線に沿った説明をしたつもりでございます。九州だけの長期計画をつくるには——九州だけの計画はなくちゃならぬのでございますが、まだそれが決定的にその後にきまったということは聞いておりません。おそらく石炭局でまとめられる案の中の九州分は、福岡の通産局のほうの担当者の方々が参画してきめられることだと思います。そのように了解しております。
  22. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 先ほどのお話の中で、鉱害復旧事業団の統合、統一といいますか、その話も出ておりましたが、私もずっと前の委員会でそのことを一度話したことがあるんですが、鉱害復旧事業団の内部ではどの程度そういう話が進んでおるものやら、もしお差しつかえなければ聞かしていただきたいのですが。
  23. 讃岐喜八

    讃岐参考人 鉱害復旧事業団全国統一問題というのは、先ほども申し上げましたとおり、昨年の七月の石炭鉱業審議会の答申のあったころからの問題でございまして、これにつきましては地元の被害者、市町村あるいは中立の方々、まだいろいろお考えはあろうかと思います。そのことにつきまして正式にどうこうということは実はまだ話し合ったことがないわけでございますけれども、私ども事業団といたしましては、これはまことにけっこうなことでございまして、かねて念願していることでございます。先ほども申し上げましたとおり、私ども事業団運営につきまして、人的に非常に困っておると申し上げましたが、——まあそれだけではございませんが、そういうことで私ども事業団の機能が強化されるということはまことにありがたいことでございます。それでなくては今後の鉱害の処理が困難であろう、このように考えておる次第でございます。
  24. 大橋敏雄

    ○大橋(敏)委員 きょうは時間がございませんのでこれで失礼いたしますが、どらか今後とも皆さんしっかりがんばっていただきたいと思います。  ではこれで終わります。
  25. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 井手以誠君。
  26. 井手以誠

    ○井手委員 せっかく四氏においでをいただきましたので、簡単に一問ずつお尋ねをいたします。  基金ですから天日さんのほうからまずお伺いいたしますが、あなたの先刻のお話の中に、鉱害予防措置について十億ばかり融資をなさったという報告があったようであります。それはどういう方面にお出しになったのでしょうか、差しつかえない範囲でひとつ御説明を願いたいと思います。
  27. 天日光一

    天日参考人 ただいまお尋ねの鉱害の予防措置のほうに貸し出した金額は、先刻申し上げたとおりであります。先生、この表をごらん願いたいのでありますが、「融資状況(三十八−四十一年度四カ年間)」という見出しの表がございますが、防止関係といたしまして、内容は「坑内充填、廃水処理、ボタ処理、事前かさ揚げ」というように対象細目が分かれておりますが、地区的に申し上げますと——地区はどこかに書いておいたと思いますが、大体当初は北海道が多うございました。北海道の石狩川でございますが、石狩川の流水がいわゆる汚濁防止の見地から規制をされることがきまってまいりまして、石狩川に流出する洗炭汚水を浄化するという必要からしまして、石狩川沿岸の炭鉱が浄化装置をつくるのに貸し付け申し込みが多うございました。それからもう一つは、常磐地帯、これは常磐炭鉱が採掘あるいは能率を向上させる必要からしまして、坑内充てんの方式をとることにしましたが、このほうの貸し出しが相当ありました。九州方面にまいりますと、河川の汚濁防止とかあるいは坑内充てんというほうが、まだそれほど——それほどというか、それよりはやはり廃水処理とこの事前かさ上げという処理が少し九州ではございました。それからボタ処理が九州でほかなり口数が多かった、そのように記憶いたしております。  そのようなことでございます。
  28. 井手以誠

    ○井手委員 この制度を設けたのは、将来鉱害復旧するよりも事前に坑内充てんをしたほうが国家的見地からも経済であるというたてまえで、お互いが協調してやっとこの制度ができたわけです。したがって、土地が陥没をする、そういったおそれのあるところに坑内充てんをするための措置が私は大事であると考えておりますが、ただいまの御説明では、これは炭鉱保安のほうが重点である。鉱山保安局の保安業務関係がお竜のようです。所管から申しますと、ボタ山の保安の関係です。それを私はどうのこうのとは申しません。鉱害が起きないようにされることはけっこうです。だけれども、本来の目的である坑内充てん——将来鉱害復旧にトン当たり千円もかかるようなところを、充てんによって五、六百円で済まさせるという対策が国家的には必要だという意味でつくったものですから、やはり運用について広義に解釈されるととは、私はあえてきょうは文句は申しません。けれども、やはり本来の趣旨である坑内充てんにひとつ運用の重点を向けてもらいたい。あなた、ようわかっているはずです。
  29. 天日光一

    天日参考人 ただいま井出先生から御懇篤な御示唆をいただきまして思い出したのでありますけれども、これも先年、石炭鉱害問題対策審議会に私席をけがしておったのでありますが、お説のとおりすでに数年前におきましても坑内充てんを取り上げまして、いわゆる発病してからの手当てよりも、体質改善のような意味で、発病しないような措置こそ必要である。経済的にも国家的にもそのほうが有利じゃないかという構想の論議がありましたことは、御存じのとおりであります。私どもといたしましても、一面お説のごとく、保安にも関連がありますけれども、本来のなには鉱害防止、先立っての防止ということから発足したのでありますからして、この運営につきましてはもとよりその考えを捨てておることは毛頭ないのであります。さように御了承願いたいと思います。
  30. 井手以誠

    ○井手委員 私はこういう石炭状態ですから、あまり法律上の問題を言おうとは思いませんが、趣旨だけはひとつ踏み誤らないようにしてもらいたい。  次に、田口参考人にお尋ねいたします。  あなたのほうから出された資料によりますと、買い上げトン数は、旧方式が六百三十万トン、それから新方式が二千三百万トンということになっておりますが、この中に分割による買い上げが幾らであるかお尋ねをいたします。
  31. 田口良明

    田口参考人 ただいまの井出先生の御質問、旧方式が六百三十万トン、新方式が約二王二百万トンということになっておりまして、その中で分割鉱区が幾つあるかというお尋ねでございますが、ただいま資料をここに持ってきてございませんがこの数字につきましては当然事業団にあるはずだと思いますので、後刻お届けいたしたいと思います。
  32. 井手以誠

    ○井手委員 あることはあるわけですね。大体概算どのくらいですか。一割か二割か三割ぐらいですか。
  33. 田口良明

    田口参考人 これはいずれ詳細の数字をあとで申し上げますが、ただいまの御指摘では大体およそと、こういうようなお話でございますので、まあ私のおぼろげな記憶では二割にはならぬ、一割五分ぐらいのものではないか。これはきわめてラフなお答えでたいへん失礼でございますが、後刻正確なところを申し上げます。
  34. 井手以誠

    ○井手委員 けっこうです。  そこで、その法的根拠はどこになっておりますか。分割していいということについては、鉱業法か合理化法か、いずれかの何条でしょうか。
  35. 田口良明

    田口参考人 これは申請をいたしましてから後に分割する場合が非常に多い、そういうわけで、私どもといたしましては、特にこの法律的な根拠と申しますか——これはすべて旧方式にいたしましても新方式にいたしましても、鉱業権者の申請に基づいて事業団が受け付けるということにいたしております。(「ちょっと違いますよ」と呼ぶ者あり)失礼いたしました。私ちょっと勘違いしておりまして、先ほど分割のお話がございまして、分割の数字ということにこだわっておりましたので、申し上げることが違いました。  これは申請後の分割はないわけでございます。申請前に分割をするということで私どもは受け付けておるわけでございます。
  36. 井手以誠

    ○井手委員 それは申請前は直前でしょう、大体一カ月か二カ月か……。買い上げてもらうために申請前におやりになるわけですね。
  37. 田口良明

    田口参考人 これは非常にいろいろまちまちでありまして、やはり普通から申しますと、申請前に分割するようなことが多いのは事実でございます。ただ前から分割しておきましてそして申請したものもあるということで、これはいろいろございます。
  38. 井手以誠

    ○井手委員 私きょうそれを取り上げたのは、何も法律をあまり論議しよいという意味ではございませんが、最近大手の中に、買い上げの際、一番鉱害の多いところを分割して買い上げてもらうという傾向が非常に強いのです。いわゆる法律を逆用と申しますか利用すると申しますか、そういう傾向が多うございますので、私は何回も現地に調査に行った際に、もうこの鉱区はだめになりました、大断層がございますから予定どおり終掘でございます。そういう説明があったかと思うと、十年か二十年あとには、ただいま買い上げの申請をいたしておりますという話も聞いたことがございます。私がここで申し上げるまでもございません、合理化法には分割についての規定はないはずでございます。鉱業法は合理的に開発するための法規、基本法でございます。鉱区の分割については、鉱区を二つに分割することによって両方の鉱区がより合理的に開発できるという立場でできているはずでございます。買い上げのために分割することは許されておりません。これは鉱業法制定当時の記録にも明らかです。また鉱業法についての権威者の見解についてもこれは明らかです。安易にそれを利用されてもらっては困るのです。私は、先刻申し上げますように石炭のこの今日の立場でございますから、一々法をたてにいろいろ申し上げたくはないのでありますけれども、あまりそれが大手に利用され過ぎているという傾向がございますので、今日警告のために三百私は申し上げておきたいわけです。あなたのほうで注意をして運用なさるならばそれでけっこうですが、この際特に私は警告しておきます。
  39. 田口良明

    田口参考人 先生の御指摘のように、石炭鉱業合理化法に基づくスクラップの問題は、あくまでも非能率炭鉱を買収閉鎖していく、あるいは末梢鉱区に対して整理促進交付金を交付するということでございまするので、やはりそういうような便宜的なことによってこういう法律を悪用するということにつきましては、私も先生と同感でございます。運用の衝に当たりまする合理化事業団の私といたしましても、そういうことにつきましては十分ひとつただいまの適切なる御警告に対しまして、できる限りこれが防止に私ども運用の面で努力してまいりたい、かように考えておるわけであります。
  40. 三原朝雄

    ○三原委員 鉱害に関連して一言お尋ねをいたしたいのですが、それは五十三国会か五十四国会か、どらも記憶がはっきりしませんが、石炭局長大臣に質問をして善処方をお願いをした件が現地において具体化しておりません。というのは鉱害復旧の問題で、市街地の鉱害復旧で、農地の鉱害復旧に休耕補償が法制化されておりますけれども、市街地の鉱害復旧においては商店の休業補償がない。したがっていま各地で市街地鉱害復旧がなされて、商店が短いところで三カ月くらい休業をする、前後合わせて四、五カ月になるというふうな状態で、きわめて問題をかかえておるわけですが、その点についてあの当時の大臣の答弁では、御趣旨に沿って来年度予算から何とかひとつ善処いたしたい、法制化がいろいろ早急にできない場合には、運用面でということでしたが、讃岐参考人、昨年度あたりからやっておられるわけですが、本年度はそういう点について特別運用面で休業補償等の配慮がなされて予算化されておるかどうか、お伺いをいたしたい。
  41. 讃岐喜八

    讃岐参考人 営業補償の問題につきましては、御指摘のように通産省で御検討されておるようでございます。それをどのようにしたらいいかということで、私どもも御相談を受けておることは受けておるのでございます。今日までのところ残念ながらまだそれが予算化されたというところまではまいっておりません。御了承をお願いいたします。
  42. 三原朝雄

    ○三原委員 どうもそれは大臣の答弁とだいぶ違うようですが、この問題を石炭局長
  43. 井上亮

    ○井上(亮)政府委員 実現努力いたします。
  44. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 岡田利春君。
  45. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 どらも貴重な御意見ありがとうございました。大体参考人の述べられた意見というものは、私どもが当委員会で特にこれからの石炭対策として指摘をしている点とほぼその内容のすべてではなかったか、こう実は私承ったわけです。  質問が多数ございますけれども、時間の関係上しぼってこれから御質問を申し上げたいと存じます。特に合理化事業団田口さんにお聞きいたしますが、近代化資金貸し付けは今年から掘進補助金制度が採用されましたから、近代化資金の大宗をなしていた第一種の主要坑道関係融資は今年からなくなっているわけです。したがって、機械設備関係の第二種あるいは保安融資さらに流通合理化、これらの部面に限られてくるのではないか、しかし、内容をずっと見てまいりますと、昭和四十一年度では流通合理化のためにはわずか一件、一億二千三百万円程度、三池のサンバースの融資、これが出されておる、こういう実績よりないわけです。しかもこの制度が設けられて以来流通関係融資というものは非常に少ないわけです。私はこの対象に問題があるのではないかと思う。たとえば北海道のように炭鉱が非常に奥地にある。したがって、専用鉄道を敷いて石炭輸送する、あるいはまた地方鉄道であるけれども、その大宗は石炭輸送するために敷設をされておる。この輸送合理化このものは私は対象になっていないと思うわけです。ある一部においてはむしろ産炭地事業団資金を活用しておる、こういう面は若干あるわけです。しかし私は流通合理化という考え方に立てば、石炭が選炭されてこれが消費者に渡るまでの間が流通過程なわけですから、そういう意味で特に流通合理化の対象を鉄道関係もちろん荷役その他については含まれておりますし、専用船は別途近代化資金で検討されておるわけですが、そこまでやはり対象をこの際広げるべきではないか、こう実は考えるわけです。こういう点について特にいままで業務遂行上そういう申請があって御相談があったかどらか、あるいはそういう点についてどうお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  46. 田口良明

    田口参考人 ただいま先生から御指摘のありました近代化資金につきましては、お説のように四十二年度から第一種、特に大坑道関係、これが坑道のほうの私のほうの近代化資金のワク外に出たわけでございます。これは御指摘のとおりでございますが、ただ近代化資金といたしましては選炭機の問題でありますとか、あるいはその他炭鉱の動かすことができるような機械や何かの問題、こういう方面近代化資金が食われるということになっておるわけであります。  なお財源につきましてはただいまお話のございましたように坑道関係が減りましたけれども償還金がございますので、先ほど冒頭に御説明申し上げましたように、本年度の四十二年度は四十八億、そのうちの半分が償還金であるということを申し上げたわけであります。  そこでただいまの流通合理化の問題でございまするが、確かに私ども流通合理化につきましては、先ほど専用船の問題につきまして公述申し上げましたように、石炭の値段の低下ということを目途としておる今日、流通合理化における効果の大であるということは、先ほどの石炭専用船においても顕著なわけであります。特に鉄道やなんかにつきまして、そういう点はただいま御指摘のように非常に多いかと思うのでございますけれども、ただいままでの一応の流通合理化のほうの資金の手当てにつきましては、それぞれの細則がございまして、たとえば港やなんかの荷役設備、そういうふうなものが特に多いわけであります。ただ事業団がただいま弱っておりまする、滞っておる資金の中に若松の埠頭の合理化に対する近代化資金貸し付けを、私どもといたしましても非常にちゅうちょをいたしたわけでございますけれども、その当時の情勢から非常に強力な御要請もございましてあそこに貸し付けたわけでございますが、これがいまとどこおってしまって、所期の目的を達成していないというような情勢にございます。ただいまの鉄道の問題につきましては、これは貸し付けの規定のほうからいってなかなか困難であるというふうに考えております。
  47. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 もちろんいまの規定からいえば、大体会社が別になっておりますから問題点はあろうかと思います。しかし、大体専用鉄道の場合には同系資本の会社によって運用されておることは間違いがないわけです。したがって、その対象をくふうをされて、たとえばその炭鉱がこういう形で輸送合理化をする、こういうプランが双方で練られた場合には対象炭鉱というのはあるわけですから、そういう面でくふう、検討されてしかるべきではないか、かように私は考えますので、この点は今後の検討課題として御検討願いたいと思うわけです。昨年は七十二億ですが本年は五十二億、昨年は第一種を除けば三十二億の予算だったと思うわけでず。そういう意味では予算規模がふえているわけですから、従来の対象範囲にこだわらず、もう少し積極的、弾力的に運用されてしかるべきではないか、かように実は存じますので、御検討をわずらわしたいと存じます。  次に、交付金制度で、資料によれば五万五千二百四人の方々が離職金の右払いを受けているわけです。しかも二千三百万トンのスクラップが行なわれているわけですが、新方式によって七割、労働者の退職金もしくは賃金未払い、その支払いが優先的に行なわれるわけですが、この業務を通じて退職金、未払い賃金がそれで消化された炭鉱と七割程度しか払えなかったあるいはそれ以下の炭鉱等があるわけですが、この実績は大体どういう数字が出ておりますか、お伺いいたします。
  48. 田口良明

    田口参考人 ただいまの御質問でございますが、この交付金の交付割合につきまして、鉱害を除きまする場合には七五%の賃金の未払いあるいは退職金の支給に充てるということになっておりますが、御承知のように従来トン当たり千二百円の場合には大体においてこの賃金未払い関係において十分でなかった、それがために改正になったわけでございまして、トン当たり二千四百万円ということになりましたために、今度全額支払いを完了したという炭鉱が四炭鉱ございます。これは明らかに先生御指摘のようにトン当たり整理促進交付金の単価が上がったことによって是正された、そういう炭鉱がまるまる払われたのが最近四炭鉱ございます。
  49. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 この点、資料には細部は載っておりませんから、この状況をぜひひとつ資料であとからでけっこうですから出していただきたいと存じます。  次に、整備資金の問題ですが、整備資金は特に昨年から償還が非常に多いわけですね。私ども手元の数字では約四十二億、今年の償還の見込み額はどの程度になりますか。
  50. 田口良明

    田口参考人 ただいまの御質問の整備資金償還見込みのお話でありますが、これは一応整備資金とそれから再建資金償還の計画がございますが、整備資金につきましては、四十九年度までに三百七十四億七千万円の償還の予定になっておりまして、これが年度別に三十八年度から四十一年度末までに入った実績が四十一億九千八百万円、このときの計画が五十一億七千六百万円で、その差額が十億ばかりあるわけです。  それから再建資金につきましては、これは償還期限が四十二年度から四十六年度までの五カ年間の予定になっております。これで三十七億の年次別の償還予定になっておるわけです。  なお、近代化資金の問題でございますが、これは別途、近代化資金としての償還期限はかなり長期にわたっております。申し上げますと、この近代化資金のほうのあれはものによっていろいろと償還方法なり期限が変わっております。たとえて申し上げますと、選炭機や何かの問題はそういう設備の貸し付け金、近代化資金については据え置き二年で償還が五年ということになっておりますし、坑道関係は非常に長期で、五年据え置きで一カ年償還、こんなふうになっております。  なお、整備関係でございますが、四十二年度には大蔵省に返還する一応の予定が五十八億ということになっておるのが現状であります。
  51. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 これから年々償還金がふえていくわけですね。これが順調に償還されるかどらかという問題なんです。御存じのように石炭政策もおくれて、そういう面で当初の見込みと相当狂いが出てくるのではないか、こう私は判断をしておるわけです。その点についてはどうですか。
  52. 田口良明

    田口参考人 ただいま先生の御指摘のように、私どもこの仕事を担当しております当事者といたしましては、将来、こういう資金償還ということについて非常に心を痛めておるわけであります。それなればこそ先ほど来申し上げましたように、ここでどうしても炭鉱に立ち直ってもらわなければいかぬ、それがために今度の抜本対策というものも出されたわけでありますが、ぜひひとつこういう貴重な政府資金償還というものの実行ということから見ても、炭鉱の今後の再建、安定化をぜひはかってまいらなければいけないというふうに考えております。
  53. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 田口参考人石炭については非常に大先輩なわけで、先ほどの機械貸与業務についての考え方について実は私共鳴を覚えたわけです。実績も出ておりますように、いまの場合にはこれは範囲が広くもございませんし、比較的に見てもまだまだという感じがするわけです。しかし、炭鉱の近代化機械化ということはどうしてもこれはある程度のリスクを伴っても進めなければならない立場に立たされておると思うのです。しかし、御存じのような状態ですから、なかなか投資が思うように伴わない、こういうジレンマにあるのが各社の実情であると思うわけです。したがって、たとえば数億もする機械を買う、しかし、なかなかその実情に合わないからまた機械を取りかえなければならない、こういう実情等も炭鉱技術の場合には当然私は出てくると思いますし、また諸外国炭鉱機械化の実情から見れば、ある程度、日進月歩とは申しませんけれども、相当新たな機械も出てまいっておりますから、こういう面で、より能率を維持し、あげるためには思い切って機械を取りかえる、こういうことがどうしても伴ってくるわけです。そういたしますと、機械貸与というのは、実際はこれは貸与されたのですけれども、お返しをしますと、こう簡単にはまいらないわけですね。しかしその機械は、日本全国炭鉱を見れば融通して活用するという方法もあるわけですね。これを活用するためにはどうしてもある程度受ける体制というものが必要ではないのか。そこまでいかなければ、今日立たされておる日本石炭産業の現状では思い切った機械化というものを進めることはできないのではないか、こう私は思うのです。したがって特にこれから前向きで政策を考える場合には、ここに相当ウェートをかけるべきではないか。そのためには制度的に改正するものは改正する。前進的な制度をつくるならつくるという方向にいくべきではないか、こう私は思うわけです。先ほども意見ございましたけれども、この点についてもう一度御見解を承っておきたい。
  54. 田口良明

    田口参考人 炭鉱機械化の問題、特に機械貸与の問題につきまして、ただいま先生から御指摘がございました。私も全く同感でございまして、今日の炭鉱を救う大きな要素といたしまして、炭鉱機械化、オートメ化を速急にやっていかなければならないということでございます。  ただいまお話がございましたように、この機械の貸与ということは、口で申し上げますると、まことに簡単でございまするが、ただいま御指摘のように炭鉱にいたしますると非常に便利な制度でございます。炭鉱の切り羽が必ず機械で成功するかいなやということは、いかなる優秀な技術者といたしましても初めから太鼓判を押すというところまではまいりかねるというのが炭鉱のむずかしさ、現場切り羽の複雑さでございます。したがいまして、炭鉱機械を貸与するという場合はあくまでもリスクを事業団なら事業団がしょって、そうして炭鉱の非常にむずかしい機械化事業団のリスクにおいてそれを推進していく、それがためにはどうしてもAの炭鉱の切り羽に合わないという場合にはBの炭鉱に持っていってこれを活用するというようなことにまでいかなければならぬのでありますが、ただ現段階におきましては、先ほど申し上げましたように割賦販売方式というような、少しぎこちないような制度でございますので、これはひとつまた御当局のほうとも十分御連絡申し上げて、もう少し機械の貸与の弾力性ある運用面について御考慮を願いたい。  それから、この機械貸与の問題につきまして、先ほども申し上げたのでございまするが、機械導入の補助金制度というようなものもひとつ新設していただきたい。これはいまのような割賦販売方式というようなものから脱却して、もっと弾力的な、しかも炭鉱機械化推進に直接寄与するような方法として、この制度は今後大いに研究していただかなければならぬ。そして早くこれを実行の段階に移していただきたい。それが一つでございます。  なお、この機械化のために必要な技能者、オペレーター、こういう者が現在炭鉱には非常に少ないというような現状にかんがみまして、これから炭鉱機械化推進技術訓練センター、まことに長い名前ですが、こういうようなところでオペレーター技能者の養成をして、これを機械につけて炭鉱にお返しするというようなことによって、その機械の効率を十分に発揮させることができる。また機械の寿命を長くもたせることができる。また炭鉱といたしましても後山の養成や何かにつきましても非常にこれが寄与するところが多いんじゃないか、さらに機械の修理の促進、こういう観点から修理工場を持つ、あるいは部分品を地区ごとに十分備えておいてこの機械の運転効率を一〇〇%活用するような方策を立てるために、部品の倉庫というようなものを各所に設置するということも必要だ、こう思っておる次第でございます。
  55. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 構想として私も同感なわけです。根釧原野の開発、そのために農地開発機械公団ができておるわけです。いままでは炭鉱はつぶすのにあまり苦しんでは困るので、いかに楽に殺すかというほうに金がずっと重点が向いていたわけですね。今度はやはり若い体質で丈夫に生きられるようにする。そこに政策の重点を向けていかなければ、口で幾ら石炭産業の安定といっても不可能だと思うわけです。そういう意味で私ども参考人の御意見の期待にこたえ、今後委員会努力しますけれども関係者として特にこの点について一そうの御努力をこの際御期待を申し上げておきたいと存じます。  もう一つお聞きしたいのですが、これからのビルドアップの炭鉱は大体海底炭鉱が非常に多いわけです。これは海底炭鉱の採掘可能の限界というのは一体いまの日本技術ではどこに線を引いて考えたらいいんだろうか。いわゆる沖合い何キロが今日の日本技術で、あるいはまた今日の政策のもとにおける可能限界の定義なのか、こういう問題がやはり議論されなければならない時期にきているし、またそういう前提に立って考えていかなければ、思わぬ障害によってビルドアップの炭鉱も思うようにそのフィールドを確保することができない、こういう事態になるととも当然考えておかなければならぬと思うのですが、田口参考人は非常にお詳しいわけですから、もし特にこの面について何かあれば、この際承っておきたいと思うわけです。
  56. 田口良明

    田口参考人 ただいま過分のお話がございましてまことに恐縮にたえない次第でございます。お説のとおり今後のビルドの山の分布状態はやはり海底下のほうに進展いたしてまいるということは、これは避けがたい事実でございます。たとえて申しますと北海道の太平洋炭鉱あるいは常磐地区の問題あるいは離島方面の松島あるいは高島炭鉱、こういう方面はすべてこれ海底でございます。またただいま新鉱開発一つに数えられております有明の海底下採炭、こういうこともあわせて考えますと、確かに御指摘のように今後のビルドの炭鉱は海底に進んでまいる、これは事実でございます。  そこで海底は一体どの程度までが今後限度であろうかといういまの御質問でございますが、これは率直に申し上げまして技術的に非常にむずかしい御質問でございます。と申しますのは、たとえば海底は陸地から何キロまで可能だというようなことを一応考えてみますといたしますと、これは三池の人工島の問題あるいは有明の問題というようなこともございますし、またこれについて人工島や何かによって四キロとかあるいは六キロとかいうことによって海底下の採掘が可能になるということは一応考えられます。ただ問題はそのときの海底の土壌なり岩石の性質によるととがまた非常に大きいわけでございます。有明のように、非常に深い、二百メートルから三百メートルに及ぶような、どろのような土壌、第四期の新しい土壌が堆積しておるようなところでは比較的長距離にまで採掘が可能である。またそれによって海底にクラックが入ってもそのどうによって自然に充てんされて坑内の安全をはかることができるというようなことからして、海底から炭層の厚さということも非常に影響するわけでございます。松島炭鉱が往年水没いたした事実がございますが、これはやはり海底と炭層との間に距離は、二百メートル程度はあったと記憶しておりますが、そのときの話によりますと、海上を動いておる船のエンジンの音が坑内で聞こえたというような事実もございます。ここは、外海の荒海のためにクラックが入っても充てん材料がないというようなことでこれもできない、そういうような災害が起きたという実例もあるわけでございます。太平洋の海底下に進んでまいります今後の計画につきましてもいろいろ技術的に問題があるかと思いますが、ただいまの御質問のように何キロまでが一応限界であるかというようなことは、もう一つの通気系統の関係で、あくまでもどこまでが現段階の現技術において可能であるかということの詳細な資料はまだ持ち合わせておりませんので、せっかくのいい御質問でございますが、この辺で御了承願いたいと思います。
  57. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 天日参考人より答弁を補足したいという申し出があります。これを許します。天日参考人
  58. 天日光一

    天日参考人 先刻井出先生から鉱害防止の貸し出しにつきましては、坑内充てんに重点を置いて運用すべきだという御趣旨の御注意のように承ったのでありますが、なお、私のほうといたしまして十分その御趣旨を体しておるという趣旨のことを申し上げたのでありますけれども、目が悪いのでちょうどいまようやく見つかったのでありますけれども、四十、四十一年の鉱害防止貸し付けの実績を見ますと、全体を一〇〇といたした場合、坑内充てんに四四・三%、廃水処理に四九%、ぼた処理、沈下前かさ上げに六・七%、こういう姿でございまして坑内充てんに重きを置いておる、こういう実績をあげておるわけでございます。  ありがとうございました。
  59. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 いま質問したことは石炭局長もおられるのですが、この点はある程度展望と申しますか科学的な分析で見通しを立てておかないと、日本石炭産業は思わぬところで挫折する危険性を持っておると私は思うのです。いまの海底炭鉱というものは、いまの計画でいけば相当長期に安定する山ばかりでありますから、この点は特にこれからの問題として政策上大事ではないかということで実は質問したわけです。いま天日さんから融資関係の補足答弁があったわけですが、一応この融資は、償還期限についてはすべて三年たな上げの五カ年償還になっているわけです。しかしその限界は八年償還まで可能であるというぐあいに示されておるわけであります。今日の鉱害復旧の現状から見てこの五年償還をさらに延ばす、いわゆる限界の八年償還まで延ばすべきものがあるのではないか、特に賠償関係について、こら私は考えるわけですが、その点について検討しておられるかどらか、もちろん資金関係もございましょうけれども、また償還の実情はそういう観点から見た場合にどういう状況にあるか御説明願いたいと思います。
  60. 天日光一

    天日参考人 鉱害貸し付け金額の償還につきまして、炭鉱の経営状態等から見まして、さらに償還期限を八年の延長という処置ができないか、またそれについてどういう考究をいたしておるかという御趣旨のお尋ねであったと思いますけれども、先刻申し上げましたように、ただいまのところでは最長八年でありますけれども、三年据え置きの五年均等償還という形をとっておるわけであります。これをさらにもしもかりにこのワクの中で八年として最終年度に全部固めますことは、炭鉱借り受け人のほうの返済の上から見まして、一時点に重点がかかるということは、かえって計画を立てる点等において困難、また支障が多いのではないかと思うのであります。しからば逆に八年を、他にも例があるようでありますが、十年、十五年というぐあいに全体を延長することはどうかという点が出てまいるわけであります。この点につきましてはなお今後大勢とそれからことに財投、大蔵省からの借り入れ金の当方からの返済期限とのからみ合いで考究いたしたいと思っておりますが、実は大蔵省から借りております金は、書いておきましたけれども、三年据え置きの五年均等償還というたてまえ、ベースでおりますものですから、もとの土台から直してまいりましたならば、あるいは御期待に沿うような姿になるかと思うのでございます。今後の研究に時間をおかし願いたいと思います。
  61. 井手以誠

    ○井手委員 いま補充説明をなさったのですが、どういう方面に坑内充てんをなされておりますか、海底炭のほうが多いのではないですか。
  62. 天日光一

    天日参考人 ただいままでのところ坑内充てんに関しましては、先刻ちょっと申し上げましたように、常磐地帯がほとんどであります。したがいましてまだ海底にまで入っていないのであります。
  63. 井手以誠

    ○井手委員 非常に参考になることですから、ひとつ坑内充てんについての資料をあとで出していただきたいと思います。  ただ保安のための充てんというのはかなりあると思いますが、鉱害防止の充てんというのはあまりないのではないかと思っております。先刻来申し上げますように私はあまり厳格なことは申し上げたくないのですけれども、やはり保安上はあるのではないだろうかと私は思っておりますが、あとで資料を出していただきたい。
  64. 天日光一

    天日参考人 井出先生の御要求は承りましたので、資料は後ほど提出させていただきたいと思います。  なお一言申し上げますが、私どものほうとしては保安対策としての貸し出しは、表面上はいまの規定では取り上げられないことになっておりますので、いままでのところはすべて鉱害防止関係として考えて対処しておるわけであります。
  65. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 電力用炭の稲葉さんに質問いたしますけれども、要望の点は私どももこれは同感でございまして、委員会でも議論されておるところです。資料によりますと、炭鉱の販売から電力会社に石炭を売る、その間の業務株式会社で行なわれておるわけです。過般来の委員会でも私は問題にしておるのですが、御存じのように、昭和四十五年には三千七百万トン程度一般炭のうち三千万トンはもう電力向けに政策需要もつけて消化をする、こういう計画で進んでおるわけです。そこで今度の電発の磯子の場合もそうなのですが、商社経由で石炭を納められる。しかしもう計画出炭のわけですから、また計画需要、政策需要でありますから、炭鉱会社から直接どこどこの電力会社に石炭を納める、その代金を精算することによって流通関係合理化できるではないか。またもう一歩進んでそこまできた四十五年の状態を考えます場合に、電力用炭販売株式会社はもう一歩機能を高めて、一切の電力関係石炭業務をやる、ある程度計画出炭、計画需要でありますから。そうしますとある程度のリスクを除いては、時間がたっても確実に消化はされるということになるわけです。そうでなければ、また石炭産業は安定しないわけです。そういたしますと、需給調整のある程度の機能を持っていいのではな  いか、このように私どもは考えますし、当委員会でもしばしば本件については議決されておるところなわけです。現在業務を扱われておる稲葉さんとして、この面についてはどういう見解を持っておられるか、お示し願いたいと思います。
  66. 稲葉五郎

    稲葉参考人 いま先生から御質問のございました点はごもっともでございまして、私といたしましては、電発が磯子並びに竹原に納入の中に、商社経由が入っておるのではないかという御質問でございますが、これは電発が磯子なり竹原で買う場合に、その地方の電力会社が現在買っておる状態をそのままひとつ踏襲してもらいたいというようなことで商社が入ったように承っております。それはなるほど御指摘のように、いままでの電力用炭についても、既存の会社についても、そういう商社には値差がございますので、それを減していきたいという考え方は、石炭業界としてはございますが、電力会社のほうにはその値差がございますので、この辺の妙味もございます。その辺の点のお話し合いがなかなかむずかしかったのじゃないか、こういうふうに考えます。  それから第二点でございますが、今後政策需要がだんだんふえてきて、そして当社の扱っておりますのは電力用炭でございますので、これが御指摘のように三千万トンになるということでございます。しかし、それではこれを扱いますほかの部分でございますが——まだ当社は、いま電力用炭だけを扱っております。その部分だけを抽出いたしまして考えると、おそらく先生のおっしゃるように、全体を当社でやるというような場合には非常な合理化が行なわれるわけでございますけれども、なおそのほかに原料炭があり、なお一般炭はおっしゃるように、一般需要向けが七百万トンくらいになってしまいまして、暖房炭については四百万トンだ。この暖房炭は、ほかの競争燃料と競争し得るので、今後はひとつ大いに売り伸ばしなりそれを維持していこうという業界の気持ちが出ておるわけでございます。そういうものの販売要因というものはまだ残ることになりますので、二重の販売機構になるような気がいたしますし、その辺は今後先生のおっしゃる線でどういうふうにやっていったらいいかというようなことを考えていかなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  67. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 結局なぜ商社経由を電力会社は好むのか、いずれにしても契約した炭価は、これは通産省も監督していますし、あなたのほらには全部契約がいくわけです。それは端的にいえば安いからです。たとえば同じ三井の石炭でも、三井物産を通じた場合にはトン当たり二百円なら二百円安いから、電発でも電力会社でも商社経由を認める。また商社側に言わせると、長い歴史的な経過があって、一時石炭の足りない場合はあっちこっち買い集めて供給したという実績があるじゃないか、こういう気分も商社側にはあると思います。しかし中小炭鉱になってきますと、その炭鉱の第二会社が燃料会社をつくっているわけでしょう。そして、その中小炭鉱から燃料会社、燃料会社から電力会社にいくわけです。もちろんそれはほかの炭もある程度扱っているでしょう。しかしいずれにしてもそれは同列の資本の燃料会社です。そういう中小の四社の会社が、磯子に対して今度納めるワクをもらった。これなんか極端にいいますと、商社に売るのは安く売って、消費者に高く売ればマージンは燃料会社で確保することが可能なわけです。こういう点が明らかである以上、これを改善しないで流通の合理化とか炭価の安定だとか石炭産業の安定というのは、どらも納得いかないというのが実は私の意見なわけです。ですから、結局それをいまの形でできないとするならば、やはりせっかく電力用炭の販売株式会社があるんだから、この機構を拡充強化して、ここでもって電力関係石炭は一切扱う、あとはもう炭鉱会社から受け渡しだけをすればいいわけです。全部山元からやることはむずかしいでしょう。しかし山元から仕切ったものを受けとめて、計画生産、政策需要なわけですから、そのことは私は配炭公団と違って、そうめんどうな問題ではないと思うわけです。せっかくやられておる立場として、ここまでいくのがほんとうじゃないですか。それが石炭の安定、合理化に通ずる道じゃないでしょうか。あるいは五千万トンの石炭のうち三千万トンの石炭の流通合理化ができるということは、流通合理化の大きな前進だ、こう理解せざるを得ない。私のこういう意見についていかがお考えになりますか。
  68. 稲葉五郎

    稲葉参考人 先生のおっしゃることはごもっともでございますけれども、いまの部分的に当社が三千万トンなりを一本でやるということが、いま申し上げましたような二重構造になるじゃないかというふうに私は思います。  それから今度全部を一本にやるという考え方でございますが、現状におきましてはわれわれが、電力用炭精算会社が始まりますときに、需要家から非常な反撃を食ったわけです。現在でも先方さんにはそういう意向がございますので、結局需要さんの大宗である電力並びに鉄鋼さんという面におきましては、結局購入の選択の自由という旗じるしを持っておられまして、それで一本になるということについては反対をしていらっしゃるわけです。われわれは、先ほど御説明申し上げましたように、将来は政策需要にたらざるを得ない、結局そういうところにお願いしてとっていただかなければならない、そういう一つの弱い面がございます。何とか電力なり鉄鋼さんなりに御協力願って、いまの需要をふやしていきたい、こういうふうに考えておりますので、その点がじょうずにいって需給がスムーズに流れていく、その段階においてお話し合いをしていったなら、先生のおっしゃることが将来達成していかれるのじゃないか、これは急激にやらずにこんなふうにやっていったらというふうに私は考えております。
  69. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私の言いたいのは、もちろん鉄鋼、電力というのは大資本で、これはウエートが昔の石炭資本と違うんですから、相当のウエートの差があるわけです。しかし少なくともわれわれ石炭関係者がほぞをきめてかからないと、もう関係者の中でもばらばらになって、いや、これはこの程度、これはめんどうだからさわらぬというような気持ちでは、日本石炭産業の安定ということはむずかしいと思うのです。やはりそういうほぞをきめて正しいものは理解を受けて通していく、あるいは関係者がお互いにそういう改革をしていくという気持ちを持っていかないと、石炭の問題というのはなかなか理解をされませんし、私は解決はされないと思うのです。私はそういう意味ではきょう来られた参考人の方々も、そういうほぞを固めてこれらの仕事に十分ひとつ努力を願いたい。この気持ちを十分ひとつ各参考人の方々にも御理解願いたいと思います。  最後に一つお聞きしておきますけれども石炭専用船の解撤比率の問題は先ほどわかりましたけれども専用船の運用上、港から港に石炭を運ぶわけですが、その場合に専用船建造されて、いままでの実績で何か問題点はございませんか。船舶のあれですね、サンバースから石炭を積みますね、船の操作の関係で問題点ございませんか。
  70. 稲葉五郎

    稲葉参考人 それは先生のおっしゃいましたことは、大体いま大口のところに専用船を配船をしております。それにつきましては、配船調整委員会でそれぞれ配船しておりますので、まずないはずでございますけれども、しかし揚げ地のほうの港によりましては、一、二揚げるのに少し支障を来たすというような点はなきにしもあらずという港もございます。それらにつきましては今後考えていかなければならぬ、こういうように思っております。それ以外のところは大体専用船を十分こなしていただきまして、能率はあがっておると思います。
  71. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 八木昇君。
  72. 八木昇

    ○八木(昇)委員 時間がございませんから、端的に鉱害問題について一点だけ一括してお伺いしたいと思います。  断片的にはいろいろ私どもも承るのですけれども、全体としての把握が私不勉強かもしれませんが、私どもの頭の中でまだ描けないのです。それで役所のほらへ聞かなければならない分はまたいずれかの機会に聞くとしまして、全国的に残存鉱害量の総額が幾らになっておるか、うち九州は残存鉱害の金額がどのぐらいか、その内訳として有資力と無資力それぞれどのぐらいの割合になるのか。それから無資力については逐次復旧していくでございましょうが、有資力のうちに近い将来会社の事情等で復旧の見通しが非常に困難だというようなものが一体どのぐらいあるのか、こういった概況。それからなお今後五カ年間におおよそどのぐらい鉱害が発生をすると見通しておられるか。そしてもし今後五カ年間鉱害復旧についての政府予算が今年度程度のものであるとするなら、既発生分は一体今後五カ年間でどのぐらい復旧ができて、そしてどのぐらいなお残るか。そして今後五カ年間うちに新たに発生する分もありますから、その新たに発行する分は一体どういうふうになっているか、そういった事柄。それでもし今後五カ年間で既発生分の鉱害復旧が全部終わらないとするなら、たとえば無資力の鉱害分については、すでに発生しておる分の復旧が全部終わってしまうまでは、ことしならことし発生したような鉱害については、それが終わる後まで六年も七年も八年も先までそのまま放置されるのであるかどうか。そういったような事柄について概況と見通し、計画、そういうものを非常に大ざっぱなところでいいですから、時間も二時から本会議ということになっておりますからお伺いしたいと思います。  もう一点は、有資力であると、鉱害復旧が特におくれるから、どうせ不景気なんだから、早く炭鉱がつぶれてもらったほうがいいという被害農民なんかの声は非常に高いわけです。結局有資力鉱害の復旧の促進の方策について、こういうふうにしたらもっとスムーズに鉱害復旧が進捗するのではないかということについて事業団としても何か意見がないか、そういったことをお伺いしたいのです。
  73. 讃岐喜八

    讃岐参考人 たいへんむずかしい御質問で、鉱害量調査関係なり長期計画の関係はむしろ政府の問題かと思いますが、事業団サイドで考えております点を申し上げてみます。  実はきょう持ってまいりました資料は十分ではないわけでございまして、あるいはお答えできない点もあるかと思いますが、昭和四十年度の全国鉱害量調査概算集計表によりますと、分け方が既採掘鉱害と将来採掘鉱害とに分かれておりまして、ビルド山有資力の未閉山、それから終閉山で有資力、無資力ということになっておりまして、その合計で有資力鉱害が五百四十二億、無資力鉱害が百三十億、合計六百七十二億というのが既採掘鉱害であります。それから将来発生する鉱害が有資力で百五十九億、合計しまして八百三十一億ということになるわけでございまして、たとえば去年発生したとかあるいはことし発生するというのも将来採掘鉱害の中に含まれておるはずでございます。  それで、その中で九州はどれだけになるかというんですけれども、私は実は約五百億というふうに認識いたしておりまして、それを基礎にしてお答えをさせていただきたいのでございますが、こまかい資料は実は持ってまいりませんでした。そこで、いま私どものやっておりますあれはほとんどが無資力鉱害の復旧をやっておるのでありまして、つまり事業団というのは有資力の鉱害の復旧につきましては目下のところ国鉄の志免とかその他例外的に頼まれるものをあれするということで、先ほど申し上げましたようにことしは三十五億ということになりまして、全体の約五〇%でございます。  そこで、私どもでいま申し上げられることは無資力のことだけでして、有資力がどうなっておるかということは、毎年の予算要求で基本計画を立てる義務がわれわれのほうにあるわけでございますから、その話は聞いておりますか、しかし実は十分というところまではまいらないのであります。その点非常に残念に存じます。  それでことしの九州での復旧量が七十一億ということになります。そのうち半分が無資力でありまして、事業団のまかなうのも大体それだということになる。しかしトータルして七十一億ということでまいりますと、五百億をやるには七年かかる。簡単にいってそうなるわけです。しかしその間におきまして貨幣価値の変動といいますか、それよりもその復旧に要する経費を構成する要素の値上がりと申しますか、それが毎年あるわけでございます。そのほかに復旧をやってまいりますにあたりまして、いわゆる関連工事といいますか関連の仕事がだんだん出てまいります。また鉱害量を調査されました時期におきまして一定の条件で調査しておるわけでございますが、その当時にやった調査をいまやってみますと違っていた、方法を変えなきゃいかぬ。いろいろな面で相当の狂いが出てまいるわけでございます。三十九年度ベースにしました五百億をただ機械的に割ってみましても七年かかるというのが、それ以上かかるというように、いまの予算でいきますとそういうことになります。先ほど申し上げましたので、これはあと四年の間にやり上げるには相当予算をふやしていただきたいということは、そういう意味で申し上げた次第でございます。  それからもう一つ、有資力の復旧をどうすれば促進できるかということでございますが、これも相当量予算にかかってくるのじゃないかと思います。と申しますのは、毎年私ども予算お願いするにあたりまして、通産局でやられますヒヤリングと申しますか、有資力炭鉱をこれだけの復旧をことしやりたいということで、希望を申し出られるわけでございますが、それを積算してみますと、去年で百三十億になったわけでございます。それに対しましていただいたあれが全国ベースで七十七億でありましたから、ことしはどうなるかと申しますと、四十三年度の予算の要求資料としていままとめております資料を集計しますと、おそらく百五十億をこすのではないかと思います。でありますから、もしことし程度予算でありますならば、希望量の半分ということになるわけでございます。予算によって制約される面が多いのじゃないかと思います。  ただ御指摘のように、炭鉱さんの中には、いろいろ御説明のありましたように、力のある方とない方とあるようでございます。力の少ない炭鉱におかれましては、被害者の要求があっても応じられないというような面があるかと思います。そういうことで、結局鉱害審査会の問題等もその活動が期待されることになるかと私は了解いたします。  これは口幅ったいことでございますが、最近総合復旧という考え方が非常に出てまいりました。私どもも復旧を担当いたしまして、将来に残るいい仕事をするにはどうしたらいいかということを考えますと、総合復旧ということで、有資力と無資力の施行をどうしても一本化していかなければならないのじゃないか。それにはいろいろ問題はございますが、そういうことによりまして、これはだれが施行するということは別としまして、そういうふうに総合復旧を要する地区は施行者を一本化しまして大いに促進していくということになればいいのじゃないか、これは鉱害部会の答申に「鉱害復旧促進地域制度の拡充」ということがございます。私どもはそういうことではないかと了解して期待しているような次第でございます。  御質問に対して十分お答えできたかどうかわかりませんが……。
  74. 多賀谷真稔

    多賀谷委員長 これにて参考人各位に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位にごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ、長時間にわたり、それぞれの立場から事業団等業務並びに今後の施策について貴重な御意見をお述べいただき、政策立案上非常に参考になりました。厚く御礼申し上げます。(拍手)  本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十二分散会