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1967-07-20 第55回国会 衆議院 商工委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十日(木曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 河本 敏夫君    理事 田中 武夫君 理事 中村 重光君    理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    岡崎 英城君       岡本  茂君    神田  博君       黒金 泰美君   小宮山重四郎君       小山 省二君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    田中 六助君       丹羽 久章君    橋口  隆君       三原 朝雄君    武藤 嘉文君       石野 久男君    佐野  進君       多賀谷真稔君    千葉 佳男君       中谷 鉄也君    永井勝次郎君       平岡忠次郎君    古川 喜一君       塚本 三郎君    吉田 泰造君       近江巳記夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      田中 康民君         農林政務次官  草野一郎平君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業大臣官         房長      大慈彌嘉久君         通商産業省通商         局長      山崎 隆造君         通商産業省企業         局長      熊谷 典文君         通商産業省化学         工業局長    吉光  久君         通商産業省繊維         雑貨局長    乙竹 虔三君         通商産業省公益         事業局長    安達 次郎君  委員外出席者         通商産業省鉱山         局石油業務課長 小幡 八郎君         運輸省海運局参         事官      野村 一彦君         運輸省航空局監         理部長     手塚 良成君         労働省労働基準         局監督課長   藤繩 正勝君     ————————————— 七月二十日  委員中谷鉄也辞任につき、その補欠として下  平正一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員下平正一辞任につき、その補欠として中  谷鉄也君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  貿易学校法案内閣提出第五六号)  商品取引所法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三一号)(参議院送付)  液化石油ガス保安確保及び取引適正化に  関する法律案内閣提出第一四六号)  液化石油ガス保安確保及び取引適正化に  関する件  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件      ————◇—————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出貿易学校法案議題として、審査を進めます。     —————————————  本案に対しましては、昨日質疑は終局しております。
  3. 島村一郎

    島村委員長 この際、河本敏夫君外三名から本案に対して修正案提出されております。
  4. 島村一郎

    島村委員長 まず、提出者から趣旨説明を聴取いたします。田中武夫君。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 貿易学校法案に対する修正案について、自由民主党日本社会党民主社会党及び公明党代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  修正案は、お手元に配付したとおりでありますので、ごらんをいただきたいと存じます。  次に、提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように、貿易学校は、貿易の振興に資するため、高度の国際的識見と能力を具備した貿易人の養成を目的とするものでありまして、主として民間企業職員であって、大学卒業後数年の実務経験のある者を対象とする特殊な教育研修機関であります。貿易学校は、このような特殊な教育研修機関であるにもかかわらず、これに大学という名称を付することは、各省庁等付属機関として設置されている各種の大学校類似機関と誤解されやすい難点があると思うのであります。各種の大学校は、ほとんど官公庁職員対象とするものでありまして、民間人対象とするものも、主として官公庁職員に採用することを前提とする場合が多く、対象者知的水準も、中には大学卒業程度の者もありますが、概して高等学校卒業程度となっているのでありまして、貿易学校とは質的に異なっているのであります。  また、大学校という名称教育研修機関特別法により設置することは、他の各種の大学校との関係あるいは学校教育法等教育機関体系との関係において、無用の論議を誘発するおそれが多分にあると思うのであります。このような見地から、貿易学校名称実体とかけ離れた不適当なものと考えざるを得ません。  他方、貿易学校教科内容は、大学卒業後数年の実務経験のある者を対象とする高度のものでありまして、一般的な語感として、研修がこれに当たるものと思うのであります。また、貿易学校は、将来本科のほか、セミナーコース語学研修コース等の設置が予定されておるのでありまして、全国各地から参集する受講者国際的貿易人に育成するための中核機関として、まさにセンターの名に値するものであります。したがいまして、貿易学校にかわるものとして、貿易研修センターという名称実体を的確に表現する最も適切なものであると考えるわけでございます。  以上が修正案趣旨でございます。委員各位の御賛同をお願い申し上げまして、提案を終わりたいと存じます。(拍手)
  6. 島村一郎

    島村委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  7. 島村一郎

    島村委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論申し出がございませんので、直ちに採決いたします。  貿易学校法案について採決いたします。  まず、河本敏夫君外三名提出修正案について採決いたします。  本修正案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  8. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  9. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決され、本案は修正議決いたしました。     —————————————
  10. 島村一郎

    島村委員長 次に、河本敏夫君外三名から、自由民主党日本社会党民主社会党及び公明党共同提案にかかる、本案に対して附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  まず、提案者から趣旨説明を聴取いたします。千葉佳男君。
  11. 千葉佳男

    千葉(佳)委員 附帯決議案について、自由民主党日本社会党民主社会党公明党代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    貿易学校法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、次の点について適切な措置を講ずべきである。  一、設立発起人には中小企業代表者が入るよう指導すること。  二、役員には有能な民間人が起用されるよう指導するとともに、中小企業代表者も選任されるよう配慮すること。  三、中小企業者がこの機関を利用しうるよう、授業料及び教科課程等について適切な指導を行なうこと。  以上であります。  第一は、設立発起人中小企業代表者を入れることであります。研修センター設立発起人の資格については、貿易または貿易に関連する経済活動について専門的な知識を有している者となっているのでありますが、中小企業がわが国の貿易に重要な地位を占めております実情にかんがみまして、設立発起人中小企業代表が入るよう指導すべきであります。  第二は、役員の選任についてであります。研修機関運営にあたっては、自主性を重んずることが望ましいばかりでなく、また、研修内容についても、貿易実務に直結し得るものとする必要があるのであります。したがいまして、役員には民間の有能な者を起用することはもちろんでありますが、貿易等に従事する中小商社貿易商社の中に大多数を占めていることにかんがみ、この機関運営には中小企業意見を取り入れることがより効果的であると考えられますので、役員には中小企業代表者を選任するよう配慮すべきであります。  第三は、中小企業に属する者の研修についての特別措置をとることの指導についてであります。中小企業に属する者の受講希望者並び受講者については、研究機関に参加することによる当該中小企業が受ける経営影響等を勘案して、授業料の減額その他の助成措置を講ずるとともに、本科コースには、一定の範囲に受講希望者を受け入れる方法を講じて、研修機関を真に中小企業に利用しやすいようにするための適切な指導を行なう必要があると思うのであります。  以上が趣旨でありますが、何とぞ委員各位の御賛同をお願いし、説明を終わります。
  12. 島村一郎

    島村委員長 以上で、趣旨説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  13. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。菅野通商産業大臣
  14. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいまおきめになりました附帯決議趣旨を尊重いたしまして、本研修センター設立並びに設立後における経営につきましては、御趣旨を実現するように努力したいと存じます。     —————————————
  15. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  本案に対する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  17. 島村一郎

    島村委員長 次に、内閣提出商品取引所法の一部を改正する法律案議題として、審査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。
  18. 田中武夫

    田中(武)委員 商品取引所法改正法案につきまして、若干の質問をいたしたいと思うわけでございますが、もう国会会期末もあすに控えまして、いわゆる秒読みの段階でございます。したがいまして、本格的な質疑応答をここで続けるならば、時間的に間に合わないことも考えられますので、まず冒頭大臣にお約束をしていただきたいと思うわけでございます。  実は、この法案が当委員会へ付託せられる、そうして先日、特定繊維構造改善臨時措置法に関連をいたしまして、私が若干の発言をいたしました。そして大臣答弁がございました。そうすると、すぐにそれが、小さくではあったが新聞に出たら、いろいろと投書がございました。ここに二、三投書を持ってきておりますが、その投書内容を申し上げますと、一つは、商品取引所理事者の不正をなぜ許しておるのかというやつであります。さらにもう一つは、これはこまかくいろいろと意見を書いておりますが、一口に言いますならば、日本経済新聞に私の質問の一部が載りましたことについて、上場商品はすべて検討し直す必要があるということを発言したことについて、全く賛成である、こういう意味の投書であります。それからもう一つは、昨日同僚の中谷委員もだいぶ掘り下げて議論をしておられたようでございますが、いわゆる委託者紛議の処理について、幾ら東京繊維商品取引所商品仲買協会に、紛議について調停を申し入れても何の返事もないし、そのままほうっておかれておる、この際もっと委託者の保護をしてもらいたい、こういったような投書がきておるわけであります。そのことは、現在の商品取引所あり方、これについていろいろと問題があり紛議がある、そういうことを物語っておるわけであります。そこで私は、商品取引所を置いておく必要がどこにあるのか、あるいはまた、これを廃止すべきではないか、こういう議論を持ち、またそういうことについて論議をいたしたいのでありますが、これをやっておりますと、先ほど申しましたように、時間的に間に合わない。あらためて廃止等は考えるといたしましても、現在のこの改正案は、一応商品取引所存在する上に立って、いままでにいろいろと問題を起こした点、あるいはまた改善しなければいけないという点について、若干でも前向きのいわゆる改正であります。したがいまして、質問冒頭でこういうことを言うのはどうかと思いますが、そういう時点の上に立って、われわれは賛成をして、きょう採決に応ずる、こういう態度を持っておることをまず冒頭に申し上げておきます。したがって、法案は処理せられましても、あらためてこの問題につきまして十分に論議をする。あるいはまた、私は来年の予算委員会でやってもいいと思っていますので、そういうことをまず大臣約束をしていただいてから、質問に入りたいと思います。いかがですか。
  19. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この商品取引所法改正は、お話しのとおり、いままでの商品取引所としての活動に対して反省し、またそれを一歩前進した改正案なのであります。しかし、なおこの商品取引所の今後のあり方については、検討すべきものが多々あると思います。そういう点については、今後われわれのほうも検討いたしまするし、またあらためて御審議をお願いする機会があると思いますから、どうかその節には皆さん方の御意見、御高見を拝聴したい、こう存ずる次第であります。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 その確認が得られますならば、もし参議院のほうから大臣要求がありましたならば、きょうは精力的に参議院のほうでやってもらわなければいけないので、私は参議院のほうへ大臣を渡すという約束をしておりますから、どうぞ要求があれば、行ってください。  それでは質問に入りたいと存じます。まず、一口に言って、商品取引所存在意義といいますか、メリットといいますか、目的は何か、こういうことでありますが、それは当然、同法の第一条の目的をあげられると思います。そこで、現実商品取引所の動きとこの目的とが一体どうなっておるかということについて、若干の質問をいたします。  まず、この商品取引所目的といいますか、取引所存在意義は「商品価格形成及び売買その他の取引を公正にする」、このことが一点だと思います。実際の場面において、「商品価格形成」それが下の「取引を公正にする」というところにかかって、ほんとうに公正な価格形成がなされておると考えておられますか、いかがですか。
  21. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話しのとおり、商品取引所目的は、公正な価格形成するという点であります。それでは、事実、公正な価格ができ上がっておるかどうか、形成されておるかどうかということについては、今日までの実績からいうと、私は公正な価格形成されていない場合も多々あったと思います。
  22. 田中武夫

    田中(武)委員 この目的に沿わなかった面も間々あった、だから今回はたとえ少しでも改正しよう、そういうことであろうと思うのです。しかし私は、まず目的の第一点である取引の公正が確保せられるかどうか。むしろきわめて投機的な心理的な作用が大きく動くところの商品取引所の場にありましては、公正な取引が阻害されるのじゃないか、こういう危惧を持つものであります。また何が公正かということにも問題があろうかと思いますが、一口に言うならば、資本の大きいもの、力の強いものが有利なことをやる。先ほどもちょっと読みましたが、取引所理事の不正をこのままにしておいていいのか。これには、現実取引所理事者は、白昼堂々とその権力を利用し金もうけをしておる、こういうように書き始められておるのであります。ここで、どこの理事かということは申し上げません。もう企業局長あるいは農林省経済局長のもとでは、これが何であるかということは、あらかじめ通告してありますからおわかりだと思います。こういうことで、公正な取引確保できていないというおそれがあるということを申し上げておきます。  次に、「商品生産及び流通を円滑にし、もって国民経済の適切な運営に資すること」、こういうことになっておりますが、「商品生産及び流通を円滑にし、」——はたしてそうだろうか。実は私かつて、化学繊維について商品取引所商品とすることはおかしいではないか、こういう議論を展開いたしました。それについてこたえたのかどうか知りませんが、商品取引所審議会委員中央大学教授になっております藤田国之助という人が、反駁論を書いておるのであります。私も中央出身ですが、こんな人は知りません。その中に、「さて、メーカー諸君商品取引所というものは流通段階において需給関係を反映する鏡のようなものだ。」と書いておる。もちろん、そういうことであって初めて、ここでいう生産及び流通を円滑にすることになろうと思いますが、はたして今日の商品取引所の実態が需給を反映する鏡であるかどうか、いかがでしょう。この論文につきましては、あらためてこの当事者を呼びまして、十分議論をしてみたいと思っております。さしあたりそう書いてありますので、鏡と言い得るかどうか、どうですか。
  23. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 商品取引所本質自体は、いまそういう学者が言われたような形であるべきであると思いますが、実際上はそうでない場合が間々あるのでありまして、そこでわれわれといたしましては、いままでの商品取引所法というものを検討して、今度改正しようとしておるのであって、問題はやはりこの前も申し上げましたとおり、取引所自体が、不正な理事がいるような取引所では、公正な取引ができないと私は思います。取引所役員が全部信頼され、取引員外務員も信頼されるということであれば、流通を円滑にし、そして公正な価格形成せしめることになる。この商品取引所設立目的自体がそうでありますから、そのようになると考えております。
  24. 田中武夫

    田中(武)委員 そうあるべきであります。しかし、それには前提があるのです。もちろん取引所理事役員仲買人——今度の改正取引員となりますが、そういう人たちのモラルの問題いろいろございましょうが、もっと、たとえば生産あるいは輸入、こういうことが自由に行なわれるということが前提でなくてはならないと思う。あとで各品目にわたって若干の詰めをいたしたいと思っておりますが、片や生産においてコントロールがなされておる、あるいは輸入ということにおいて、今日自由化だといわれているが、まだ割り当て制度のものが残っておる。そういう中におって、需給の、あるいは生産流通との間の鏡のごとき役割りは果たせない。したがって、商品取引所をあるべき姿に戻すためには、その前提を整備すべきである。しかし繊維局長も見えておりますが、私は先日も議論をいたしましたように、いわゆる生産段階においてコントロールする、あるいはいうならば計画経済とまではいかなくとも、計画性を持った強力なる行政指導、ないしこれにかわるべき機関、たとえば協会をつくってやろうとしているのと、片やこういう存在と、それから消費者につながるところにおいて、はたしてそういうような本来の姿が発揮できるかどうか。これはもう何回も私は申し上げたことですが、もう一度大臣にお伺いして、確認をいたしておきます。そのためには前提が必要であるということです。
  25. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 大体、取引所というものが生まれてきたのは、やはり自由経済の帰結です。したがって、自由経済取引がなければ取引所というものの存在がなくなるということは、たとえば食管の制度の前に、日本において米が取引所花形商品であったように、生産も自由であるし、売買も自由だというようなものであります。したがって、生産並びに流通についていろいろ制限があり、統制があるというようなものは、おのずから商品取引所上場商品になるに適しないものであるというように考えてよいと思っておるのです。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 いまの大臣答弁、私もそうであります。やはりその土台と前提があって初めて、あるべき姿の商品取引所存在がある。一方において制限をし調整をしておるのに、どうもおかしいということは、私はかねてからの持論であります。これをこれ以上ぼくは論争しようとは思いません。しかし大臣、あるいは政府委員も、十分にいまの大臣答弁の上に立って、各品目検討が必要であろうことを申し上げておきます。  そこで、次にお伺いいたしますが、戦前あって、戦争中になくなって、そして昭和二十五年に商品取引所法ができて、また復活したわけです。そしてその後数回にわたって商品指定追加が行なわれております。たとえば昭和二十六年政令三十七号、同じく二十六年政令百三十二号、同じく三百四号、二十七年政令三十九号等々ずっとあります。それには、必要であり、かつそのことが目的の第一条に沿うとして追加せられたものであります。この法成立後、商品をいわゆる政令によって、第一条によって追加せられる、これについて、全部とは言いませんが、二、三、いかなる観点に立って政令改正をなされたのか、お伺いをいたします。
  27. 熊谷典文

    熊谷政府委員 政令追加いたしましたものの例示を申し上げますと、昭和二十五年九月にスフ綿追加しております。それから二十六年の五月に人絹織物及びスフ織物追加いたしております。これを追加指定いたしました理由は、御承知のように、当時は取引所設立自体登録制でございました。またそういう関係もございまして、上場商品につきましても、業界の希望があれば前向きに処理するというような機運が、実はございました。法律でこのスフ糸とか人絹糸指定されているわけでございますが、織物関係につきましても、当時朝鮮動乱等影響もございまして、相当価格が大幅に変動した、こういうような関係がございまして、当時の商品取引所審議会におきまして、慎重な検討をいたしました。そのときに、指定すべきじゃないというような議論もございましたが、大勢は、当時の経済情勢から見て、政令指定をすべきだということになりまして、指定をいたしたわけでございます。しかしその後の実績を見てまいりますと、経済情勢も非常に変化してまいりました関係もございまして、当初の予定どおりに、これを上場商品にいたしまして取引取引所を中心に行なわれているかどうかという点につきましては、相当疑問なきを得ない問題がございます。そういう意味合いにおきまして、今後、情勢も変わっておりますので、上場商品については検討をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 まあ検討してまいりたいということであれば、これで答弁がなったと思いますが、たとえば人絹スフにつきましても、あとから追加をしたんでしょう、これは朝鮮動乱価格の変動が多かったから……。そして、たとえば大阪化学繊維取引所では、指定が二十六年五月で、二十六年六月から上場をやって、二十七年十月限りで休止になっておるんですね。あるいは大阪の同じところで、スフですが、これも二十六年五月に指定し、二十六年六月から上場を始めて、二十七年十月、同じ時点から休止しておる。ステープルファイバー等につきましては、初めから何もなされていないわけです。指定だけせられてあるわけです。それから農林省関係につきましても、あるいは魚肥、魚油ですか、こういうものは同じく二十六年の三月に指定して、二十六年七月から上場することになっておるが、出来申さずということです。これはそこの慣例語か何かですか、出来申さずそうろう——そうろうはないですが、出来申さず。こういうものをなぜ、法の指定あるいは政令指定をしておりながら休止をし、できないものまでもそのままほっておったんですか。なぜほっておったんですか。当然そういうものならば、出来申さずとあるならば削除すべきである。昭和二十七年十月限り、もう十五年かにわたってできていないんです。上場をやっていないんですよ。そういうものをなぜ法律の中に政令の中にとどめておったんですか。政令指定する、法律商品指定するということは、そういう無責任なものでいいんでしょうか。当然常に検討すべきことであります。必要ならば追加することも私はやぶさかでない。しかし必要でなくなったものは直ちに再検討すべきであります。なぜほっておったのかということと、それから大臣、きょう修正案を出しますと、おそらく通らないと思うのでありますが、この中に必ず、商品については一いわゆる第二条の第二項でしたかの定義でいうその商品については、常に検討するという検討条文を入れてください。入れることを約束しますか、いかがですか。
  29. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 上場商品の変遷と申しますか、変化と申しますか、それは当然あるべきだと私は思うのです。いままで出来申さずというのは、もう商品取引所取引商品としては不適当だというものだと思いますが、いままでそれを検討していなかったことは、これはわれわれのほうの落ち度でもあると私は考えます。しかしこの際は前向きに、この上場商品についてはひとつ検討して整備したいというのが私の気持ちであります。これはもちろん商品取引所審議会にかけなければならぬと思いますが、そこにかけて、この際はっきりしたい、こう存じておるのであります。でありますから、大体田中委員の御趣旨の点は、これでひとつ実現したい、こう存じております。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 いまさら私申しませんが、これは怠慢ですよ。十五年もほっておいた、全然最初から出来申さずをほっておいた、こういうことはその衝に当たられる方の怠慢である。  そこで、大臣のいまの答弁は了承いたしますが、もう一歩進んで再検討するという条文、常に検討をする——それはもちろん審議会にはかるとかなんとかいう、一とはけっこうでしょう。常に検討するという、いわゆる再検討条文というものを入れるか入れないか。入れるようにやると御答弁願いたいと思いますが、いかがですか。いまやれとは言いません。次期国会でも、近い機会に……。
  31. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 上場商品検討はすべきである、またこれから検討いたしますから、次の国会までにはひとつ、検討したものを、上場商品として政令で規定したいと思いますから、そうすると、いま田中委員の言われることもあるいは必要でなくなるのではないか、こういうように考えております。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、たしか日米安全保障条約に基づく行政協定の中の米軍の施設使用につきましても、常に検討を要するといういわゆる検討条文というものがあるわけです。あってもやらなければ何にもならないことになりますが、私はこの時点において、大臣の整理をするということでいいですが、やはりこういうものについては検討条文というものが必要じゃないか、そういうように思いますので、あえてこれを要望しておきます。  次に、第一条の締めくくりなんです。目的の締めくくり、いうならば取引所存在メリット、存在意義の締めくくりが、「国民経済の適切な運営に資することを目的とする。」最近のと申しますか、戦後のいわゆる経済立法の目的には、国民経済の発展に資するというようなことばが書かれておるのです。ここだけではちょっと用語が違うのです。国民経済の適切な運営というのは一体どういうことですか。国民経済の発展のためにということならわかりますが、運営というのはどういうことです。国民経済の発展のためにということなら、このごろの経済立法すべての目的にうたわれておるところの例示的文言です。法制局来ておられますか。どう違いますか。これはやはり少し遠慮をしてこういう書き方をしたのか。それから国民経済の適切な運営というのは一体どういうことなのか。国民経済の健全な発展とはどう違うのか。
  33. 田中康民

    田中(康)政府委員 通常の経済立法におきましては、国民経済の発展という、いわゆる前向きの姿勢を書くのがあたりまえであるということは、まさに先生御指摘のとおりでございます。それは普通は、そういう法律が、大体ある国民経済を実際問題としてどう処理していくかというような、実質にわたっていろいろ規定が設けられるためにそういうことを書いているというのが、前向きに目的を書く理由一つだと思います。ところが、この商品取引所法は、主としてはそういう実質にもちろんわたりますけれども、一種の取引という手続的な行為を規制するというようなことでございますので、そういう運営をある程度前向きにどうするということでなくて、運営を適正にするということで、その通常の状態であるべき運営が期待されるわけでございますが、そういう期待される状態の出現を期するというふうな意味で書いたわけでございます。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 わかったようなわからぬような答弁なんですが、議論はやめておきましょう。  いま法制局田中部長は、いわゆる国民経済の手続的なものだから、こういう表現をしたのだが、これじゃ的確な答弁にならぬと私は思うのです。それじゃ法律にこういう文言でなくて、いわゆる例示的な国民経済の発展と書いてあるのはあるじゃないですか。たとえば輸取法はどうですか、あれは手続じゃないですか、ということになるのですが、それはやめておきましょう。私は、これはやはりつくるときから少し遠慮をした、こういう感じです。ということは、競輪、競馬と同じように、そこまでいかないとしても、あまり堂々と大手を振って——かつて影山中小企業庁長官は大いばりで、中小企業政策を進めます。こう言った。これは大いばりでやれるということではなくて、若干初めから遠慮をした結果だ、こう思いますが、いかがですか。そうであるとは答えられないと思いますが、私の意見だけ言うておきます。
  35. 熊谷典文

    熊谷政府委員 私は実態的にお答え申し上げたいと思いますが、こういう表現を使いましたゆえんのものは、適正価格形成なり、あるいはこの取引所自体の本来の使命としては、生産流通の円滑化というように、やはり国の経済の流れの一環である、こういう規定のしかたをいたしたのだろうと思います。そういう意味で、生産を円滑にする、流通を円滑にする、その間において価格を適正にするという役目をはっきりここで出しておる、これが将来のやはり取引所の目標でなければならない、かように考えておる次第であります。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 商品価格、バイカイその他の取引の公正、商品生産及び流通、これを円滑にする、これが前段でもって目的なんです。最終目的です。これはやはり国民経済の発展あるいは安定、こういうことでなくちゃならぬ。いまさら昭和二十五年に制定せられた目的の文言をとやかく言いませんが、次の機会には、この文句は考える必要がある。経済立法にはすべて同じような例示が入っているわけです。これだけ違うということは、やはり少し奇形児です。奇形児的運命を持つて生まれてきたと断定いたします。違いますか。
  37. 熊谷典文

    熊谷政府委員 今後の取引所あり方にも関係する大事な問題であろうと思いますが、将来の問題としまして、十分検討さしていただきたいと思います。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 取引所法の三条三項では、「商品取引所は、営利の目的をもって業務を営んではならない。」これは当然のことを当然と規定しておるのですが、これに対して、実際商品取引所運営にあたっておる人たちが、天地神明に誓って恥じないと言い得るかどうか。三条三項の規定に向かって、手を上げて宣誓し得るかどうか。もう大臣も、あるべき姿のままに運営せられていないことを最初にお認めになったのですから言いませんが、こういう点からいっても、その役員理事の不正なんということは絶対に許されない、そういうことだけを申し上げておきます。  そこで一つ提案なんですがね。一つ商品について全国に数カ所の取引所がある。その場合に、東京、大阪、名古屋とあった場合に、その価格形成というものが三つあるほうがかえっていいのかどうか。これを一商品取引所といったような考え方ではどうか。  それからもう一つは、穀物、農産物等、こういうものには収穫期と端境期とがある。だから上場時期等を、収穫期とか端境期とか等によって隔月にやるとかなんとかいうような方法、さらに人絹スフのような寡占状態にある商品につきましては、その大きな生産地、いわばメーカーが存在するところ、あるいはアズキとか大豆とかいったようなものは、主たる輸入港、陸揚げ地、そういうところにおいて、商品取引所を一品目一カ所主義でやるということはどうでしょう。ここで問題になるのは、商品取引と市場ということを混同せられているということです。商品市場と取引ということが混同せられております。取引は市場の上に立って動くと思うのです。そうするなら、市場の形成は主たる生産地あるいは主たる輸入港、こういうようなところにおいて市場というものがつかめるのじゃないか。そういうこともあって、商品取引商品市場とはどう違うか、こういうことも詰めていきたいと思いますが、そういういとまがないのでやめますけれども、私のいまの提案、おわかり願ったと思いますが、いかがでしょうか。とんでもないという提案になりましょうか。
  39. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまのお話ですが、生産地、輸入地に設けることも一つの案です。同時に、需要地に設けるということも一つの案であって、いままでの取引所は、おそらく生産地よりもむしろ需要地において設立されておるのではないかという気が私はしますので、この点について検討すべきじゃないか、こう考えております。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 需要地ということですが、いわゆる東京に経済力が集中しているのを分散しなければならぬ、国会まで、移そうじゃないかという時代です。したがって、これはひとつ検討すべきじゃないかと思うのです。ただしその生産と需要ということで検討するならば、先ほど言ったように、生産あるいは輸入というものが前提になるのだから、これがコントロールせられて、自由化せられていない中にあっては、たとえばアズキなんというのも、これはかってにどんどん入れられないのでしょう。そうじゃないですか。個人が何ぼでも入れようと思ったら入れられるのですか。そういうものとは違うなら、違った方式を考えるべきじゃないか、こういう提案なんです。何かありましたら……。
  41. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 アズキは現在輸入制限をいたしておりますので、かってに輸入するというわけにはまいりません。参考に申し上げますと、穀物取引所は全国に六カ所ございますけれども、いずれもそれぞれ伝統のある生産地、需要地、輸入地にございます。将来とも六カ所は絶対に必要であるというふうにも、私実は思いませんけれども、それぞれいままでの伝統があることでありますから、統合することについても、なかなか根気と時間がかかるのではないかと考えております。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 繊維については、何回か申し上げたように、生産段階において規制をする、あるいは行政権が介入する、またアズキにおいては輸入制限がせられておる、そこに、先ほど来申し上げている自由なる生産、自由なる輸入、いわゆる供給ですね、これを前提とするものが対象商品になっておるということにはどうも疑問があります。したがって、そういう点については、別な考え方を持つべきじゃなかろうかと思うのです。  それから、農林省経済局長のいまの御答弁で、生産地、輸入地が主として六カ所ある、これにはそれぞれの伝統があり歴史があるから、全部必要とは思わぬけれども、整理するのにはなかなか困難も伴うだろう、首切りでは反対ですから、そういうことも考えられると思うのですが、これは大臣、先ほど来私の言っているような、上場商品を考え直すと同時に、取引所の所在、あり方、これも考え直す。ということは、いわゆる需給を鏡として映すだけの機能を持ち得るようにするのには、あまり多くてもいけないのじゃないか。一商品一市場というほうが望ましいのじゃないかというような意見を持っているということだけを申し上げておきます。先ほど来検討すると言われたこととあわせて検討していただけますか。いかがです。
  43. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話しのとおり、今日までの商品取引所は伝統の関係で設けられたものがあると思います。それは、今日の時勢においてはそれを存続さすことがいいかどうかということを検討しなければならぬのでありますから、上場商品のみならず、その取引所設立自体についても再検討する必要があるという考え方をいたしております。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 そういう点において検討してもらうということで、次に進めたいと思います。  今回の改正一つの点ですが、商品仲買人の登録制を、名前を商品取引員に変えて許可制にする、これが改正の一点なんです。そこでお伺いいたしますが、現在の商品仲買人、これはすべて模範的ないい人だという上に立って、この改正案を考えておられるのかどうか。といいますのは、附則第三項において、現に仲買人である者は新法によって許可せられた新たなる改正法による商品取引員となること、こういうことですね。それでいいのかどうか。もちろん既得権の問題もありましょう。しかしながら、この際一度ふるいにかけて選別したらいかがですか。きのう中谷委員が、だいぶ深く紛議処理のことを聞かれておったようです。そして農林省からいただいたこの事例集、これをあけて見ても、会社というか仲買人の名前はわからない。しかしあなた方のほうでわかっているはずなんです。そういうように、過去において紛議をたびたび起こした、あるいはその存在にとかくのうわさがある、あるいは今回の新しい改正の基準に照らしてどうかと思う者、こういう者に対しては一応選別をし直すということはいかがです。附則第三項によって、いままでと同じようないわゆる経過規定で、これこれとみなすということでは少し甘いのじゃないですか。この際一ぺん再検討されたらいかがです。それは既得権という問題もあります。これは憲法上の権利だと主張するかもわかりませんが、公共の福祉のためには制限できます。まさに多くの紛議を起こしトラブルを起こしておるようなところは、この際切って捨てるべきだと考えますが、いかがですか。
  45. 熊谷典文

    熊谷政府委員 内容的に申し上げますと、今回の許可要件というのは、過去に比べますと非常に飛躍的にシビアーなものであろうと思います。特に財産的な問題につきましては、これは従来から見ますと相当大きな負担になる、こういう考え方を持っておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、現在の仲買人が、私どもはすべて正しい運営をされておると思っておりません。これは直していただかなければいかぬ。しかし、直していただくにしても、漸進的に考えていく。それと同時に、たとえば、非常に紛議を起こしておるというようなケースがございますれば、三年間登録制のままでまいりますが、登録の取り消しができるわけでございます。それはできないということにはなっておりません。その面の規定は動くわけでございますので、そこの辺を厳重に運用いたしまして、一たん登録を取り消された者が、次に許可を受けようと思っても、それは社会的信用がないというような運用が十分できることになっておりますので、三年間の猶予期間を設けましても、その間に仲買人が正しい方向に向いていただくということについては、十分自信を持って御指導申し上げられる、かように考えておる次第でございます。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 許可の取り消しはできる、これはもう当然でしょう。しかし、こういう改正をした際に、いままでの仲買人をすべて、新法の附則第三項によって、認めたものとみなす、こういうことはどうですか。その後いけなければ許可を取り消すんだ、こういうことだけれども、この際、とかくのうわさのある者、ブラックリストに載っておる者もあるのでしょう。ありませんか。指摘しましょうか。そういうのは許可を与えない。すなわちこの際仲買人を、この新改正法にのっとって、それを通して選別し直すということは、いかがです。できませんか。
  47. 熊谷典文

    熊谷政府委員 御指摘のような事例があります場合は、いま直ちにでも登録の取り消しあるいは営業停止という措置ができるわけでございます。そういう措置を受けました方は、その後いろいろ改善していただく。非常に進歩がありますれば、許可制に移りました場合に許可になり得ると思いますが、そうでない限りにおいては、許可はできないわけでございますので、現在の法制において運用よろしきを得れば、十分御希望の点には沿い得る、私はかように考えております。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 これ以上言ったって、やむを得ぬと思いますから、この際一ぺん新しい基準に乗せてみて、ふるいにかけるべきであり、とかくのうわさがあり、いままでにそういうことのあった者に対しては、一ぺん審査をし直す、そういう主張をいたしておきます。  次に、商品仲買人、この問題につきましても、昨日中谷委員からだいぶ質問がありました。とかく紛議の発端となるものあるいはそういうものの一番多いのは、外務員の行動からくるものが多かろうと思うのです。そこで、外務員の待遇の問題とか、あるいは外務員の登録の要件を厳格にするとか、あるいは研修をするとか御答弁になったようでありますが、業務の研修よりか、むしろモラルの研修だと思うのです。そこで、外務員について二、三の質問をいたしますが、労働省おいでですか。——この商品仲買いの外務員、今度は取引員外務員、労働基準法の適用はありますか。——それでは、外務員と労働基準法との関係あと回しにいたしまして、これは通産、農林に尋ねるのがいいのか、あるいは法制局にお伺いするのがいいのかわかりませんが、外務員のとりました行動がその仲買人に及ぶ範囲はどうですか。いうならば、外務員の代理権はどの程度ですか。これは特に、いわゆる商法上の慣習というものでいくのか。民法上の表見代理でいくのか。よく、だまされたということでクレームをつけると、それは外務員がかってにやったことで、私は知りません、そういうことが、この商品取引だけでなしに、証券取引の場合においてもたくさんあるわけです。だから、外務員の行なった行動、行為、どの範囲において仲買人というか、取引員の義務になるのか。言いかえるならば、外務員の、仲買人あるいはこれは会社といってもいいと思いますが、代理権はどの程度なんですか。
  49. 熊谷典文

    熊谷政府委員 外務員の行為につきましては、御承知のように、勧誘といいますか、お客さんの世話をするという活動だけでございます。その点は証券取引法とは相当の違いがございます。契約にはタッチできない、こういう形になっております。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 だが、実際は、その外務員の勧誘の方法が行き過ぎたり、だましたりということで紛議があるのではないですか。だから、これは私は、もちろんここで直ちに答弁をもらおうとは思いません。しかし、こういうことにつきましては、まず第一に、外務員のやったことに仲買人が責任を持つということを明確にうたうべきだ。たとえばダンプカーで大きく何々建設会社と書いたもので、その運転手が事故を起こしても、その責任は、その表示をした会社にもぼくは及ぶと思うのです。これはいわゆる表見代理の問題になるだろうと思いますが、そういうことではなくて、ともかく全部責任を持つのだということをたてまえとし、そこに外務員の故意あるいは詐術——うそ、だますというようなことがありますならば、そのときには今度は仲買人から外務員に求償する、こういうふうにしていいのではないですか。大衆投資者といいますか、取引の参加者というふうにこの際は言うわけですね。そういう人の保護のためには、表見代理というか、もっと大きく解釈する、あるいはもっと法律でまず取引員の行為とみなす、そうしておいて、なお次のときにはこうこうこうだというような行き方でいいのではないですか。そういうような立法論は、法制局いかがです。
  51. 田中康民

    田中(康)政府委員 私は、ただいまの外務員につきましては、法律上、契約まで行けないということがございますので、一応、法律上にさらにいまおっしゃったようなことを書くことが必要であるかどうかにつきましては、なお検討いたさなければならないと思います。それよりも前に、お説のように、民事上の表見代理であるとか、あるいは使用者責任がかぎれる——民法の不法行為に基づくものとして、そういうものがかぶされる場合がもちろんございますので、そういうものとの調整をとりつつ、立法論として検討していかなければなりませんが、そういうものを直ちにこの法律で行なわなければならないかどうかにつきましては、なおもう少し通産省と相談しなければなりません。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 契約まで行けない、勧誘だけだ。実際はそうではないのです。それが一つ。  それから、話はとっぴなことに関連を持つようですが、公害についても、企業責任を明確にせよということがきまったはずです。そういうような複雑な社会機構の中にあっては、私はまず、こういう者のやった行為は使用者が責任を持つのだということが明確にされなければ、安心した、いわゆる円滑な流通はできない、そう考えるのです。ここで田中さんに、必要である、しかし、法律でやりますというところまで答弁をいただく気持ちはございませんが、大臣どうです。私の言ったこと、無理でしょうか。
  53. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 外務員の責任の問題ですが、私ども昨日差し上げました資料によりましても、外務員関係のものがほとんど全部といっていいくらいでございます。法律的にいうと、なかなかやかましい問題がございましても、実際に紛議解決の事例では、その中に約三十五件ほどございますが、その中で大体係争金額の六割程度の補償を顧客に対してやっておるわけで、決して外務員がやったんだから仲買人はかまいませんというふうには、私どもさしておりません。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、それとは別な話ですよ。現に、申し出はやっておるんだが——あとでこれを見てもらってもいいのですが、何も返事もなくて相手にしてくれぬ、という投書もあるのですよ。泣き寝入りのものもある。現実に話し合い、調停というかっこうですが、紛議処理ということで、足して二で割る、あるいはちょっと多目に六割というような事例もあるようです。そういうこととは別に、私は使用者責任ということをもっと明確にすべきじゃないか。これは何も法律というよりか、ぼくは判例等もそうなってきておると思うのですがね。だからそういう点について、はっきりとした指導あるいは立法を考えるべきじゃないか、そういうことなんです。農林省局長答弁は、これはいままでの実態を言ったんだから、それはそれでいいとして、立法論としてはどうですか、大臣
  55. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いままでは運用上においては、そういう点について、できるだけ仲買人に責任を負わすように運用してきておりますけれども、しかし実際上においては、私はいろいろ紛議が起こっておると思います。現に私のところにも投書があるわけでありますから、したがいまして、やはり私の考えでは、外務員の行動はイコール取引員の責任ということにはっきりしておいたらいいんじゃないかと思います。しかし、私、法律の頭がありませんから、私の考えはそういう考えですが、ひとつこの問題については、検討さしてもらいたいと思います。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 企業局、それから農林省の経済局、法制局等で、いまの大臣答弁の上に立って、検討していただきます。  労働省入っていますか。——この商品取引所の仲買人が今度は取引員なんですが、その外務員は、労働基準法の適用はありますか。八条八項か九項どっちですか。
  57. 藤繩正勝

    ○藤縄説明員 お尋ねの商品取引所の仲買人の外務員と申しますか、そういった種類の方々が、労働基準法上の労働者に当たるかどうかという点でございますが、こういった問題は、実は商品取引所あるいはさらには一般民間では生命保険会社の外交員がどうであるかという点につきまして、従来判例等も区々に分かれておりまして、ただいま先生お尋ねの点につきましても、判例では、東京地裁と東京高裁で違った判決を出しておるような次第でございまして、私どもといたしましては、労働基準法で労働者の定義をいたしておりまして、労働基準法適用事業所に使用される者で賃金を支払われる者は、すべて労働者である。そこで、事業所として労働基準法が適用があるということは否定すべくもありませんが、あとは、使用されているかどうか、賃金を払われているかどうかという点でございますが、これにつきましては、たとえば生命保険の外交員等につきましては、労働の時間あるいは場所等を制限するということが実際になされているかどうかという実態に即しまして、いままで判断しているような次第でございます。  そこで、お尋ねの点につきましても、私どもとしては、単にそれが雇用契約でないからということだけではなくて、労働の実態に即して、できるだけ広く解釈をしてまいりたいと思いますけれども、しかしながら、いま申しましたとおり、判例も分かれていることでもありますので、本件につきましては、労働の実態に即して判断をさせていただきたいと思う次第でございます。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 当然適用がある。その事業というものは八条九項に当たるでしょう。八条にいうところの事業所、営業所だと思うのです。そこで、一つ重要な発言があったと思うのです。こういう外務員は、その仲買人との間に雇用契約が成立しておるのか、あるいは請負契約とでもいうのか、これだけ取ってきたらどうだとかいうような、そういう契約になっているのですか、どうなのです。
  59. 熊谷典文

    熊谷政府委員 私どもの見解といたしましては、外務員は仲買人との雇用契約に基づく従業員であると考えております。それ以外の者はもぐりである、このように考えております。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 そういたしますと、労働基準法が全面的に適用になることは明らかになりました。そうなりますと、この外務員のいろいろの点の中で、きのうも、固定給ということが待遇改善とあわせて問題になったと思います。そうすれば、当然労働基準法二十七条の保障給は支払わるべきですね。
  61. 藤繩正勝

    ○藤縄説明員 もとより労働基準法適用の労働者であるとすれば、お尋ねの点は異論のないところでございます。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 ありとすればでなしに、雇用契約があるということですね。そうすると全面適用ですね。だから二十七条の保障給は、もちろん労災だとかあるいは休日だとか勤務時間は、若干特例があるかもわかりませんが、すべて適用になる、こういうことをここで確認をしたいと思います。  そこで、これは企業局と農林経済局ですか、きのうも中谷委員が、社会保険の加入率等をあげて質問しておられたようです。労働基準法が全面的に適用になる、したがって労働基準法二十七条でいうところの保障給を支払うべきである、勤務中における災害については労災の適用がある、こういうような、全面的に労働基準法が適用になるという上に立って指導を行ないますか、いかがですか。
  63. 熊谷典文

    熊谷政府委員 労働基準法その他の法規が全面的に適用になる、その前提に立ちまして、今後指導を行なってまいりたいと思います。
  64. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 農林省も同様でございます。
  65. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすることと、それから登録の厳格化、それから研修はただ仕事の上だけでなく、ふだんの問題等もあわせやることによって、外務員によって起こされるところのトラブル、紛議が若干減ってくるだろう、こういうことで、あえて質問したわけですが、いまの御答弁のような指導を強化してください。それだけを申し上げておきます。  次に、もう時間の関係で、こまかくはやりませんが、受託業務保証金の払い戻しの問題です。現行の仲買保証金にかえて、今度の改正で受託業務保証金が商品取引所に預託されておるわけですね。これは、受託者が損害を受けたりなんかした場合に、これによって補償しようというわけです。ところが、きのうもそういう話がちょっとあったような気もするのですが、商品取引員の倒産とか非常の場合ですが、これは早い者勝ちということになると思うのです。そこで、これに対して委託者間の公平を保つということで、何らかの考慮がなければならぬと思いますが、いかがでしょう。
  66. 熊谷典文

    熊谷政府委員 おもに倒産等の場合の問題になるかと思いますが、昨日も、そういう場合に、被害の補償について公平性が大事だという点が、御意見として非常に強かったわけでございます。私どもといたしましても、そういうことは必要でございますので、今後これをどういう形で払い戻しを受けるか、その時期はいつかというようなことを、省政令できめることになっております。その過程におきまして、十分公平が期せられますように、できるだけの手当をしてまいりたい、かように考えております。
  67. 田中武夫

    田中(武)委員 それは省政令できめられますかな。権利の行使に対する、制限といえば制限になるのですよ。法律的な委任項目はありますか。省政令できめられるでしょうか。
  68. 熊谷典文

    熊谷政府委員 今回の改正におきまして、主務省令への委任ということで、九十七条の六で、「保証金の預託、払渡し及び取戻しに関し必要な事項は、主務省令で定める。」こういう規定がございます。もちろん、御指摘のように、極端な形はできないと思います。おもに手続的な問題になろうかと思いますが、この点につきましては、法制局並びに法務省とも十分打ち合わせまして、相当の限度においては、そういう趣旨が設けられるだろうということを打ち合わせておりますので、御希望の点にはある程度沿える、かように考えております。
  69. 田中武夫

    田中(武)委員 法律に省令への委任があれば、その範囲内においてできぬこともないと思うのですが、権利の行使、これに対する公平という上に立っての分配の問題ですね。そうこまかく省政令できめられますか。田中さんどうです。
  70. 田中康民

    田中(康)政府委員 権利そのものを制限するという形で省令に書くとすれば、その省令は、少なくともその権利をどうするというところの条文における、委任省令という形になって書かれるのが普通だと思います。ただいま企業局長の申しました条文は、そういうところで書いてあるのではなくて、一般に手続を委任するというような意味で書いてあるところにございますので、先生がおっしゃいましたように、権利をそれによって制限するところまで省令で書くことは、もちろんできないものと私も考えますが、ただ、早い者勝ちでどんどんやったほうがいいか、あるいはそうじゃなくて、ある程度まとめて、それが一定の公平の原則にかなうような配分ができる方式が、手続でもって規定できないかと申しますと、私は、やはりその手続の範囲内において、ある程度公平の原則にかなう手続がとり得るものと、実は考えておるわけでございます。
  71. 田中武夫

    田中(武)委員 手続を委任しておるわけです。権利を制限する、いわゆる請求権、債権、これの制限を委任しておるわけじゃないのですね。だから、この辺のところは、これ以上論議はやめますが、これはもっと突き進んで検討しておく必要があると思うわけです。したがって、熊谷さんの言った、法制局ともよく御相談をして、これはもう一ぺん検討しなさいよ。そうじゃなかったら混乱を起こしますよ。  次に、委託証拠金充用の有価証券の流用の禁止という問題がある。かつて神戸にある三洋物産という——現在はないのですか、三洋物産というのが、委託者から預かったところの有価証券を、担保として自分の借り入れ金に使ったということで、紛議を起こしたことがございます。まあこれはこれだけでなくて、たくさんあろうと思います。それに対しまして、訴訟があったのだと思うのですが、昨年の七月十三日、最高裁において、昭和三八年(あ)第一四一七号について、判決が出ております。もちろんそれには少数意見がついておりますが、この有価証券は、商品取引所法九十二条でいうところの「物」ではない、こういう判決だと思うのです。これは、やったことが適法だということでなくて、有価証券が商品取引所法九十二条による「物」ではないという判決ではなかったかと思うのですが、最高裁の判決がこう出たら、やってもいいのだというような解釈を持たれると困るのです。それはいいとは言っていない。ただ「物」ではないということですね。この判決の真意は、これは裁判官に聞くほうが真意はわかるのかもしらぬけれども、出ました判決の理由とか、そういうところから見ると、そうじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  72. 田中康民

    田中(康)政府委員 ただいま御指摘の昭和三八年(あ)第一四一七号の最高裁判決は、先生のおっしゃいましたように、商品取引所法九十二条にいう「物」ではないということをいっておるにとどまります。この事件は刑事事件でございますので、さらにいわゆる横領事件というのと両方がひっかかっている事件でございますが、横領罪が成立する云々は格別といっておりまして、そちらのほうについてはなお判断の余地があるということで、破棄、差し戻しをいたしておるわけでございまして、この判決がいっておりますのは、あくまでも九十二条でいう「物」ではないということだけでございます。
  73. 田中武夫

    田中(武)委員 したがって、横領罪とかほかのことでは、あるわけでしょう。  そこで、問題になるのは、これは言うならば仲買人、取引員、これは、証拠金の代用として有価証券を預かっておる。一種の質権を持っておるのじゃないかと思うのですね。そうすると、この期間内においては、民法三百四十八条の転質権があると思うのです。そうなってくると、私は混乱が起こると思うのですが、どうですか。だから、この判例が誤って解釈せられないように、そして、少数意見が指摘しているように、質権を有するならば転質権が認められる、そういうことならば、たとえばいま例にあげました神戸の三洋物産のことも、問題ないというようなことになるのです。そういうことでは、私は済まされないと思うのですね。これに対してしっかりした歯どめというか、規定を設けるべきじゃないか。まずそういうことはなかろうと思いますが、この最高裁判決によって、これが曲解せられ、やってもいいのだ、こういうことになれば、たいへんです。どういう指導と今後の検討をいたしますか。ことに、民法三百四十八条の転質権との関係等々を、どういうようにやっていくのですか。
  74. 熊谷典文

    熊谷政府委員 規定を設けることによりまして、横領罪が成立するかどうかという問題は別にいたしまして、実態的に、こういう判決が出たことによって、流用はいいのだというようなことになれば、これはまさにおっしゃるように、たいへんな問題でございます。そういう意味合いにおきまして、私どものほうは、今回の改正におきまして、流用禁止よりまだ強い、五〇%の分離保管の制度をとったわけでございます。残りの五〇%の問題でございますが、これは、先般も申し上げましたように、実態を洗いますと、委託者のための立てかえ金とか売買証拠金とか、いわゆる委託者のために使っておる金とも考えられるわけであります。したがって、残りの五〇%は、そういう意味でわれわれは猶予しておるわけでございますから、それが変な方向に使われないような規制は当然必要でございます。それを法律的に書くかあるいは受託契約準則にまかせるかという問題は、検討したわけでございますが、むしろ法律に書くよりは受託契約準則で、その目的なり方法なりあるいは時期と、こまかくきめさしたほうがよりベターであろう、こういうように考えまして、受託契約準則にまかしたわけであります。この受託契約準則違反は、当然主務大臣の処分の対象にもなりますし、刑事問題を別にいたしますれば、われわれとしては、御趣旨の線は十分確保できると考えております。
  75. 田中武夫

    田中(武)委員 私は必ずしもそれによって解決するとは思いません。だからこれは検討してもらいたいと思うのですが、私当初申しましたように、基本的な問題から論議に入るならば、きょうはとうてい間に合わない。そこで、はしょっての質問で一応片づけます。こういうことで入ったと思うわけです。  そこで、最後に一つお伺いいたしますが、取引というものは当事者主義が原則ですよ。ところが、いわゆる大衆の参加というのがいまだんだんと多くなりつつある。私はこれにはいろいろと問題もあろうと思うし、あるいは委託者の側にも助平根性があると思うのです。そこに賭博とまでいかなくても、それに似たような考え方等が出てくると思うのです。そういう点から、あくまでも取引は当事者主義がほんとうである。したがって、大衆参加には一定の限界が必要ではないか。無制限に大衆参加を許すことは、取引の原則から言ってもむしろおかしい、そのことがいろいろな紛議を起こす原因になる。したがって取引のいわゆる大衆参加について、一つの限界を考える必要が出てきておるのではないか。さらに、そういうように大衆参加が大型化してきている今日においては、先ほど来二、三あげましたような委託者保護の規定をもっと強化する必要がある。したがって、大衆参加のこの限界の問題と、そしてこの参加した委託者保護の強化ということをあわせ考えるべきであることを最後に申し上げておきます・が、大臣いかがでしょうか。
  76. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 大体お話しのとおり、取引というものは相対取引が中心であります。そこで、この商品取引所は一般大衆も参加のできる制度になっておるのですが、また、業者以外の人が参加するというところに、商品取引所の妙味もあらわれてくるのでありますから、したがいまして、こ・れを一がいに制限するということについては、いろいろ問題があると思いますが、要は、やはりみんなが信用のできるものであるということが前提条件であって、そうして無知な大衆が損害をこうむらぬようなことについてのいろいろの規制は、やらなければならぬというように考えております。そういうことで無知な大衆が損をこうむらぬように、また不正な取引が出てこないように、害が出てこないように、今後いろいろ処置をとるべきだ、こう考えております。
  77. 田中武夫

    田中(武)委員 最初から言っておるように、基本的な問題に立ち入っての論議を、きょうは避けてまいりました。したがって、あらためて論議の場を持ちたいと思いますから、きょうはこの程度で私の質問を終わりたいと思います。先ほど来私が言っておること、商品取引所が真に商品取引所たるには前提が必要である、あるいは上場商品を再検討する必要がある、あるいは大衆の参加についてもっと配慮すべきである、保護を強化すべきである、いろいろございますが、きょうはこの程度で終わりたいと思います。
  78. 島村一郎

  79. 中谷鉄也

    中谷委員 昨日、私は委託者保護という観点から、紛議の防止は、紛議の適正迅速な処理ということが前提でなければならない、こういう点についてお尋ねをしたわけでありますが、その際、農林省に資料の要求をいたしまして、事例に関する資料をいただきました。そういう資料をいただいた責任上、いただいてそのまま質問のしっぱなしということではいけませんので、一、二点だけ、資料に基づいてお尋ねをいたしたいと思います。  委託者紛議理事例集を、昨晩検討いたしまして、こういうふうな感想を持ちましたので、この点についてお答えをいただきたいと思います。いわゆる紛議の類型的なものを要領よくお出しになっておられると思いますけれども、何と申しましても、処理事例集に登載されている事例の数が非常に少ない。さらにこの点については整備されなければならないという点が一点。いま一点は、処理事例集について十分に分析検討はいたしておりませんけれども、必ずしも同一類型の、たとえば無断売買であるとか、一任売買あるいは過当勧誘等の事例につきまして、事例一と二の処理の方針といいますか、判断基準が一定していない、非常に浮動的である、こういう感じがいたします。別のことばで申しますると、法的安定性を欠いているのではないかという感じがいたしますので、さらにそういうふうな処理の事例が直ちに正しいものだとして、これが仲買いの人たち等に配付せられるときには、これが一つの基準になってしまうということでは私はいけないと思う。特にこの事例集につきましては、このような処理がはたして適正であり、社会的合理性を持っているかどうかについて、農林省等においては、詳細にひとつ事例を検討されて、処理としてはこのように処理さるべきが適当ではなかっただろうか。これは具体的な名前等が出てまいりますと、すでに処理されたものについてそういうような指摘をすることは、かえってまた混乱をしますけれども、いわゆる法律屋のことばで申しますと、判例研究ということを盛んにやって、判例そのものを前進させているわけでございますけれども、そういう処理についての研究会というものを開くというふうなことがなければ、ただ前例としてこういう処理があった、今後それを基準にしていくというふうなことでは、私はいけないと思うのです。そういうふうな点について、ひとつ紛議防止という観点から、お答えをいただきたいと思います。
  80. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 委託者紛議理事例集は、実は私ども初めて最近編集をいたしたものでございます。最初のことでございますから、私ども自分で考えましても、整備されておらないと申しますか、あまり斉合性がない事実の集積であろうかと思います。ただ私どもいままで全然こういうことをやっておりませんので、これを第一歩といたしまして、今後は定期的に、できるならば毎年全体の情勢がわかるような資料とあわせて、今後紛議紛争の解決にあたって基準をつくるのに役立つような事例を、詳細紹介をして、定期的な刊行物にしたい。もちろんこれは部内資料でございますから、公刊する筋合いのものではございません。そういうことを考えております。  それから、これができましたのもごく最近でございますが、各取引所関係者に配付して、現在検討をしておるところでございまして、私どもも資料の整備とあわせて、これも定期的に取引所関係者を集めまして、私ども中に入りまして、この基準のよしあし、あるいは今後——きのうも私、事例集を積み重ねていって、そこからおのずから公平妥当な基準をだんだんに練り上げていくというふうに申し上げましたが、それに役立つような検討も十分いたしたい、そういうふうに考えているわけでございます。
  81. 中谷鉄也

    中谷委員 あと一点だけお尋ねをいたします。  たとえば、先ほど田中委員がお尋ねをいたしました商品外務員の問題、これがいわゆる表見代理あるいは無権代理の問題になるのか、それとも、申し込みの誘引に従って、不当な申し込みの誘引に基づく契約の取り消しという問題になるのかというふうな、複雑な、特別法とそれから一般法とのからみ合った、しかもその事実関係も非常に錯雑している問題が私多いと思うのです。そういうことから、私この処理事例集を拝見いたしまして、必ずしも法的に安定をしていないというふうな感じがする。俗なことばで言えば、若干腰だめ的な処理というものがなされているのではないか。こういうところではどういう問題が起こってくるかと申しますと、昨日、私申しましたように、いわゆる弱い委託者については十分な権利の保護がされないという問題も出てくるだろうし、あるいは声の大きい非常に強い主張をする委託者というのが保護されるというふうな問題も今度は生じてくるだろうと思うのです。いわゆる委託者保護というのも、公平、正義の原則によって貫かれなければならない、非常に書生っぽいことを申し上げますけれども、そういうことでなければならないと思います。ただ、そういう意味では非常に何か、事例集を拝見いたしまして、処理が十分整理をされておらないというふうな状態の中には、いわゆる示談屋というか、この場合は紛議屋というふうなことばを使っていいのだと思いますけれども、そういう人が入り込んでくる余地がかなりあるんじゃないかと思う。保護されるべきは、善良な委託者というのがあくまで保護さるべきである。その善良な委託者が仲買人との関係において保護さるべきであって、いわゆる善良な委託者を食いものにするというふうな、そういうようなことがあると、善良な委託者は二重の、いわゆるダブルパンチを受けることに相なると思うのです。いわゆる善良な委託者をだまして、紛議の申し立てをしてやろうということを言って、さらに世話料を取るというような人が出てきたらたいへんなことになる。そういうふうな点から、まず私は事例集を拝見して、確かにこういうふうな処理のしかたの場合には、紛議屋というものが出てくるだろうという感じを直感的に持ちました。そういうふうな者がはびこっておるとするならば、交通事故については交通示談屋というものがありまして、警察庁などは総力をあげてそれの追放に努力しております。最近においては、若干その成果をあげておりますけれども、そういう実態があるのかないのか、この点について、事実関係をお尋ねすると同時に、当然そういうふうな者は追放されなければならないと思いますけれども、その点についてのお答えをいただきたい。
  82. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 これは取引所の紛争の処理の事例でございますから、裁判所の判決ではございませんので、法律的な吟味から言うと、相当常識的な解決が行なわれている点がございます。それは私、そのとおりであると思います。  それから、紛議の背景に、いま紛議屋というふうに言われましたけれども、そういう人たちが介在している事実もございます。ただ、私どもどんなに声が小さくとも、その人御本人の声をよく聞くために、取引所指導いたしまして、代理の出席を認めないで、とにかく紛議の調停にあたりましては、御本人から話を聞く、どんなにかぼそい声であっても、御本人の声に耳を傾けるという指導をしておりますから、紛議屋が乗り込んで声を大きくしたからどうこうということは、私はまずないというふうに思います。それで、法律的には常識的な解決でございますが、お読みいただけばわかりますが、わりあい仲買人を泣かしている事例のほうが多いわけであります。委託者保護といいますか、そういう点では、私は御了解いただけるのだろうと思います。
  83. 中谷鉄也

    中谷委員 けっこうです。いわゆる代理人制度というのが、こういう紛争の場合に原則的に認められるというふうなことと、いわゆる法的な資格を持たない人を代理人にするというふうなことは、事件屋、事故屋、示談屋、紛議屋というものをはびこらせて、一そう混乱に拍車をかけることになると思うので、代理人を認めていないということについては、私は適切な措置だと思います。私はその点については、いいことだと思います。  それから、そういうことで、あと私のお尋ねすることはないわけですけれども、かなり仲買人を泣かしている例が多いというお話がありましたので、気にかかった事例を一点だけ申しておきますけれども、今後仲買人と委託者との間に直接紛議についての話し合いができたものについても、実態の把握をしていただきたいということを昨日申しましたけれども、この事例集の中に、仲買人と委託者との間で、五十万円で一ぺん示談ができたものを、紛議調停の申し立てをしたことによって、さらに百五十万支払うことに相なったという事例があります。そうすると、どちらが正しいのかということになりますと、五十万払ったのが正しいとすれば、百五十万は出し過ぎになるだろうし、百五十万さらに追加したのが正しいとすれば、五十万というのもあまりにも過少だということにこれ相なるだろうと思うのです。たまたまこれが紛議申し立てがされたから、そういうことが明らかになったわけですけれども、いわゆる仲買人と委託者との間に直接取引所が介入せずに示談解決をされたものについて、かなり権利の上に眠っている善良な委託者があるのではないか。こういう点については、実態を把握した上で、今後とも善良な委託者、あくまでも善良なということばにアクセントを置きたいと思います。の保護について万遺漏なきを期していただきたい、このことだけを、昨日に引き続いてお願いしておきます。  終わります。
  84. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  本案質疑は、これを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、本案質疑は終局いたしました。     —————————————
  86. 島村一郎

    島村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論申し出がございませんので、直ちに採決いたします。  商品取引所法の一部を改正する法律案について、採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  87. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  88. 島村一郎

    島村委員長 この際、天野公義君外三名から、自由民主党日本社会党民主社会党及び公明党共同提案にかかる、本案に対して附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  まず、提案者から、趣旨説明を聴取することにいたします。古川喜一君。
  89. 古川喜一

    ○古川(喜)委員 私は、商品取引所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、自由民主党日本社会党民主社会党及び公明党代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    商品取引所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、最近における商品取引の実態にかんがみ、商品取引所あり方について根本的検討を加えること。  二、経済の実情に対応し、上場商品の適格性について再検討すること。  三、過当投機の抑制および委託者の保護について、さらに万全の対策を講ずること。  以上であります。  商品取引所、とりわけ商品仲買人、商品外務員の現状は、すでに審議の過程で明らかになったように、きわめて多くの問題をかかえております。したがって、この際、今回の改正程度にとどまらず、制度の根本にさかのぼって検討することが必要であります。  また、上場商品の適格性については、種々議論のあるところでありますので、この点についても、この際あらためて再検討すべきであります。  なお、過当投機の抑制、委託者保護については、政省令、行政指導などにより、さらに万全の対策を講ずることが必要であります。  以上が、附帯決議趣旨であります。委員各位の御賛同をお願いいたします。
  90. 島村一郎

    島村委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  91. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり、附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。菅野通商産業大臣
  92. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいまおきめになりました附帯決議趣旨を尊重いたしまして、各項目の実現について努力いたしたいと存じます。
  93. 島村一郎

  94. 草野一郎平

    ○草野政府委員 ただいま御決議のありました三項目に関しまして、まことに適当な御決議であろうかと考えます。したがって、この問題につきましては、御趣旨を体しまして、十二分に対処いたしたいと考えます。     —————————————
  95. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  本案に対する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  97. 島村一郎

    島村委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時五十分休憩      ————◇—————    午後一時五十三分開議
  98. 島村一郎

    島村委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  内閣提出液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。佐野進君。
  99. 佐野進

    ○佐野(進)委員 液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律案について質問を申し上げるわけですが、きょうは時間がないので、民社党、公明党の方もあと質問する予定になっておったのですが、できないということで、私が代表するという意味ではございませんが、それらの意向もある程度受けながら、質問をしてみたいと思いますので、その点、冒頭にひとつ申し上げておきたいと思います。  一番最初に、この法案については、消費者はじめ業界、あるいは関係するそれぞれの機関が非常に注目しておる法案であります。これがいい内容で早く通って実施してもらいたい、こういう希望が、特に消費者方面から強く叫ばれておる経緯があるわけです。ところが、この法案の国会に対する提案についていろいろな曲折があった、こういうような経過の中で、会期末の迫ったきょう審議を始めなければならない、こういうことについては、各方面からたいへん残念だという声が上がっておることは、大臣も御承知のとおりだと思います。これについて、どうしておそくなったのかという点について、大臣から、まず最初にその理由をお伺いしたいと思うのです。
  100. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 詳細なことは政府委員からお答えしますが、御存じのとおり、LPガスというものの普及が最近においては急に拡大したという点、したがって、いままで予想しないほど急に需要が拡大してきたというところから、いろいろ問題が起こってきておると思うのです。ここでいう保安の問題、あるいは取引方法の問題、そういうような問題もあるし、一方では需要が急激に増加して、いままであったガス事業法とまた抵触する点も出てきたということで、そこで一般にこの需要の増大に対してどうこれに応ずるかということ、消費者あたりの事故の起こらぬようにどうするかというような問題について、従来からあった法律とのにらみ合いというような問題、それからこれが消費がふえてきたということによって、従来からのそうした都市ガス法との関係、これをどうするかということ、そういうようなことでいろいろの新しい問題が起こってきたので、それとのにらみ合い、それとうまく調節するということについて、いろいろ事務当局において苦労したのでありますが、ようやく大体話がまとまったのでありますが、これが会期が迫ってきて急に皆さん方の御審議をお願いしなければならぬことになったことは、私たちも非常に遺憾に思っておるのであります。先ほどからお話しのとおり、これは一般消費者としては、この法律のできることを待っておられることだと思うし、また業者もこの法律のできることを待っておられることだと思うのでありますが、そういう点について、まことに皆さん方の御期待に沿い得ないような結果になったことを、非常に私ども遺憾に思っております。
  101. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで、実は一昨日だったと思うのですが、ある新聞に「安全プロパン道遠し」こういう新聞記事が出ておりました。その中で特に問題になるのは、国会のほうでこの法案について非常に熱心でない、いわゆる通産省当局は非常に熱心にこの問題については取り組んで成立をはかりたいと考えておったんだが、国会がこの問題についてきわめて冷淡な処置しかしてくれない、そのために法案が日の目を見ないのだということになって、「安全プロパン道遠し」という記事が出ておるわけです。特にこの中で通産省は「連日、担当係り官が国会に日参、商工委の理事者を重点に議員さんたちに成立を強く働きかけているが「善処する」とだけで、見込み」がない。特に「「消費者保護では”票”につながらないし、政治資金にもはねかえらない。ノレンに腕押し。この法案に対する議員さんの熱の入れ方をみると、そんな勘ぐりをしたくなります」と同省の若い担当官はぶぜんとした表情だった。」、こういうように記事に書かれています。この記事がはたして正しかったか正しくないかということは別の問題として、これを読んだ関係者が、一体どういうように国会に対して理解をし、通産省がどういう立場に立っておると理解をするかということになると、国会議員の一人として、特に商工委員会に属する私としては、たいへん腹立たしい思いがするわけです。御承知のとおり、この法案提案されたのが先月の末ごろであるし、提案理由説明が行なわれたのがほんのこの前、そういうことがあるから、先月の初旬には、わが党の田中委員のほうから特に大臣発言を求めて、LPG法案提案がいつ行なわれるのか、どういう理由において提案されないのかという点について、強く大臣の善処と決意を求めた事実があると思うのです。そういう事実に対して、おそらく担当局長もあるいは担当係官もこの席上にいたと思うのです。いたにもかかわらず、そういうようなことをかえって新聞に出させるというようなことは、全く国会を、特に商工委員会を侮辱しておるのじゃないか。そういうような意図的なリモートコントロールを国会に対して行なおう、そういう意図に基づいてやったのじゃないかというような気がするわけですが、こういうことについて、ひとつ大臣と担当局長の見解を聞いておきたいと思います。(田中(武)委員「担当課長が言ったんだろう」と呼ぶ)
  102. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私もその記事を見て、びっくりしたのでございます。それは、もししゃべったとすれば、全く実情を知らぬ人の談話だと思います。事実は先ほど申し上げましたとおり、この新しい法案を出すについては、いろいろ事務的な折衝、これについてはまず通産省内における事務折衝、それから法制局などで——責任は通産省にあるといいますが、法制局のほうでも、これを法案化するのに相当長い間の時日を要したのでありまして、そんなことで提案がおくれたのでありますから、私らから言うと、むしろ国会の皆さま方から熱心に早く出せ早く出せと言われて、私どもも実は提案することに急であったのでありましたけれども、そういう事務的な手続の関係でおくれたのであります。   〔委員長退席、河本委員長代理着席〕 でありますから、そういうような記事がどこから出たものか知りませんが、事実を知らぬ人の談話だ、こう私は考えておるのです。なお、この問題については、事業者の方も、この法案を早く出してほしいという要望があるし、また議員の方も御要望があるし、またLPガスを消費しておる一般の人の、早くこういう法案を出してほしいという御要望にも基づいて、私たちも一日も早く出したかったのでありまして、その点は先ほど私がおわびしたとおり、提案がおくれたことは、そういうような事情でおくれましたことを、重ねておわびしたいと思っております。
  103. 吉光久

    ○吉光政府委員 ただいま大臣からお話しいただいたとおりでございますが、なお、私この記事を拝見いたしまして、実は担当のほうに照会いたしたわけでございますけれども、意図的にこういうふうな記事を書いていただくような、そういう者はだれも発見できなかったわけでございまして、むしろ私自身の率直な感じを申し上げますと、先ほど大臣からお話しございましたように、私どもの不手ぎわで非常におそく提案になりましたにもかかわらず、関係の諸先生方には、積極的にこの法案について御配慮をいただいておりまして、かえって逆に、私自身心から感謝申し上げなければならない、こういう立場にあるというふうに、私自身考えておるわけでございまして、むしろ私どもの法案提出がおくれましたということ自体について、私ども自身が深く反省しなければならないところではないかというふうに考えております。
  104. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大臣の話で大体了解しますが、局長にひとつ詰めて聞いておきたいと思うのです。これは大臣にも関係するのですが、商工委員会にかかった法案は、それぞれ当面する中小企業対策をはじめ、非常に重要な議案がたいへん多くかかったわけです。それらについてわれわれは全く真剣に取り組んで、ほとんど全法案について、協力的な姿勢の中で上げてきていると思う。したがってこの法案についても、早期に提案されておるならば、当然いまごろはもう参議院におくられ、法案の成立が期せられたと、私どもはいままでの議案審議の経過を見て、はっきり断言することができると思うのであります。それができ得なかった最大の原因は、いま大臣並びに局長が言われたことが原因だと思うのです。そういう点について、新聞記事の一般に与える影響というものは非常に大きいわけですから、この記事の内容が、いま田中先輩が言っているように、課長がしゃべったのかというような話もあるわけですけれども、課長がしゃべったかだれがしゃべったか、これはわかりませんけれども、いずれにしても、当該新聞に対して、その真意について、早急にその内容説明して理解を求める、こういうような措置がとられてしかるべきだと思うのですが、そういう措置をとったかどうか、この機会にひとつ聞いておきたいと思うのです。
  105. 吉光久

    ○吉光政府委員 この記事を拝見しまして後に、担当課長のほうから、真相はこういうことでございますという意味で、一応のお話は申し上げてございます。
  106. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは、今後の善処を要望して、次へ進みます。  私は、この法案をいろいろな角度から研究さしていただきました。各方面の御意向、特にこの法案提案に至る経過の中で、テレビとかあるいは新聞その他マスコミが、特に消費者の立場を中心にして、いろいろな観点において論じておりました。それらを、私もよく見たり聞いたり読んだりしました。その結果痛感しましたことは、何としてでもこの法案が、いまの液化石油ガス保安確保という面からするならば、たいへん大切な法案だという認識を持ちました。ところが研究をすればするほど、なぜもう一歩進めて、いわゆる電気事業法なりガス事業法なり、こういうようにいま公共の福祉のために、安全を確保取引適正化をはかるために最も必要だと考えられるそれらの法案に対置する意味において、LPガスの問題についても、そこまでいかなければ解決できないんじゃないか、いく必要があるんじゃないかということを、研究すればするほど結論づけられるわけですが、そこにいかないで、こういうような保安確保取引適正化という形の中で、LPガスに対する、液化石油ガスに対する法案を出した、出さざるを得なかったと思うのですが、その点について明快にひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  107. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 その経過について、ありのままを申し上げますと、御承知のとおり、ガス事業法という法律があります。そこで、LPガスというものは最近一般に普及した業務でありまして、このLPガスの事業といままでの都市ガスの事業と競合する点が少なくないのであります。その間の調和をどうするかという問題で、実は長い間いろいろ研究したり検討して、あちこち業者との話し合いをしたりなんかしたのでありましたが、いまお話しのとおり、研究すればするほど、この問題が複雑になってまいりましたので、そこで都市ガス法の問題についてはもう少し研究をして、これはあらためて次の国会に、ひとつそれまでに成案を得て、法案を出したい。しかし、それより前に必要なことは、LPガスが普及することによって最近頻発しておるのは、各家庭などにおける事故でありまして、いままで高圧ガスの取締法があったのでありますが、これは事業所における取締法でございまして、各家庭における取り締まりの法規ではない。でありますから、いままでの高圧ガスの取締法では適用できないというようなことで、一方では使用の普及が拡大するに従って事故が頻発しておるということで、この安全の確保についての法律を早く出さなければならぬということ。それから、どうもLPガスの取引が不明確な点がある。その間において、販売業者と一般消費者との間の紛争も起こっておるというようなことでありますので、そこで安全の確保と正常な計量の取引をするというこの二つの目的で、とにかく本国会でひとつ成立せしめたいということで急いできたのでありましたが、さてそうなってくると、お話しのように、またいろいろ問題がありまして、なかなか法文化することに時日を要したのであります。したがいまして、われわれの希望に反して提案がおくれたことは、先ほども申し上げましたとおり、まことに申しわけないと思うし、一般消費者またことにLPガスの事業者に対しても、一日おくれることがそれだけ少なからぬ不利益も与えることだと思いますので、その点において、非常に私たち自身も遺憾に思っておる次第であります。
  108. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大臣は、参議院から出席してくれということでありますから、私がまとめて大臣に対する質問を早目に行なって打ち切りたい、こう思います。  そこで大臣、お尋ねしたいことは、この法案が、先ほどからお話しのように、消費者の保護と取引適正化という形の中で、その経営を健全化していくんだ、こういうような形において出されたということはよくわかるわけですが、この法案が、いまのお話のあったように、内容について、出せ出せと言われたから出したという面もありましょうし、あるいは緊急事態だからということで出したということもありましょうけれども、相当不備な点が、検討をいたしましてあると思うのです。したがって、大臣も、いまガス事業法との関連の中で、この次の国会までに内容をさらに整備しよう、こういうようなお話でございますから、私はそれで了解をいたしたいと思うのですが、いずれにいたしましても、新聞記事にあらわれるように、あるいはまた消費者が非常に心配するというような事態の中にありますように、法案の成立あるいはこれの適用、こういうことについて、多くの国民がこの法案に関心を持っている、こういう事態でありますので、担当の局はもちろん、通産省として、体制の整備あるいはその他関係方面との折衝等について十分なる配慮をしてもらう、そういうことが必要じゃないかと思うのですが、その大臣の、単なる提案したという説明だけでなく、今後の運営面における、この法案が成立するまでの取り組みにおけるそれらの面について、ひとつ決意をお聞かせ願って、大臣に対する質問を終わりたい、こう思うわけです。
  109. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話しのとおり、一般消費者もまた事業者も、この法案の成立を熱心に希望されておると思うのであります。しかし、さてこれから皆さま方の御審議をお願いするのでありますが、この法案自体についても、いま申し上げたように、ある意味では急いだ点があるかとも思います。そういう点において、皆さん方からごらんになれば不備な点があるかもしれませんが、先ほど申し上げたように、二つの目的を早く成文化したいということで、われわれも急いだのでありまして、そういう点において、ひとつまた皆さん方の御審議をお願いして、よりよい内容のものができればわれわれ非常にけっこうだ、こう存じておる次第でございます。そしてまた、一般ガス法との関係も、これもうまく業者との間の話し合いあるいは事務当局の話し合いなども円滑にして、そしてひとつ完全な法律をつくりたい、こう考えておりますので、それも来たるべき通常国会までには、皆さん方の御審議をお願いするようにしたい、こう決意いたしておる次第でございます。
  110. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そこで局長質問したいのですが、いま大臣から、次の通常国会までさらによりよい前進をはかりたい、こういうような答弁があったから、蛇足になるかもしれませんが、このガス事業法に対応するLPガス事業法と前進的に取り組みたいという、そういう姿勢、そうしなければならないという、そういうことに対して、一番大きなネックは何だったか。いわゆる巷間伝えられるように、都市ガス業界の妨害によってそうなれないのだ、こういうようなこともよくいわれるわけですが、それらの点について、ひとつ答弁をしていただきたいと思います。
  111. 吉光久

    ○吉光政府委員 先ほど大臣からお答えがございましたように、当LP業界、あるいはLPの需要と申しましてもけっこうでございますけれども、三十七年に五百八十万世帯程度の需要であったわけでございますけれども、それが本年になりますと、千三百万世帯に近いというぐらいに急激に需要が伸びてまいりまして、それに対応いたしまして、LP事業をおやりになる事業者の方の数も相当急激にふえてまいったわけでございます。そういうふうな中におきまして、やはり保安確保取引適正化というふうなことになりますと、従前、これはもう御説明するまでもないわけでございますけれども、ただ単純に販売施設等についての保安基準だけで許可基準をきめておりましたものに対応いたしまして、むしろその企業自身のまさに事業としての性格と申しますか、そういう点について着目いたして、許可基準を整備する必要があるというふうに観念いたしまして、従前の許可事業と違いまして、新しくいわゆる事業許可という制度をこの法案の中に採用いたしておるわけでございまして、いわばいままでの単純な施設許可から事業許可へと、いわゆる事業法への一歩前進がこの法案の中で行なわれておるわけでございます。  ただ、先ほど先生から御指摘がございましたが、いわゆるLP事業法——ガス事業法、電気事業法等と対応する形でのLP事業法というところまでできなかったわけでございますけれども、これは先ほども、この立案過程におきます問題として、大臣からお答え申し上げましたように、実は特に導管供給事業等の問題をめぐりまして、根本的に導管供給事業そのものについても、この法案の中で位置づけを明確化したいというふうに考えておりましたけれども、検討すればするほど、やはり公益事業規制の根本問題にまで触れる問題だというふうな状況に立ち至ったわけでございます。   〔河本委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、そういう問題につきまして、将来さらに早急にどう位置づけるかということを、内容を固めました上で、その次の体制を考慮してまいりたい、こういうことでございます。
  112. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それはまたあとにも関連しますから、一応提案の経過の中でとらえたという措置について、ひとつ質問を打ち切っておきたいと思います。  次に、この法案にうたってある保安確保という問題について質問をしてみたいと思います。保安確保ということは、結局、事故を防止し、消費者並びに取り扱い者あるいはそれに関連する人たちの生命なりあるいは財産なりに発生するいろいろな危害をなくする、こういうようなことになろうと思うわけですが、いま局長も言いましたけれども、事故が過去五年間——ここにも資料として提出されておりますが、出た内容を分析してみましても、単にいわゆる消費者のために起こったものとか、取り扱いが不備だとか、こういうような説明だけでは律し切ることができないいろいろな条件があるように、私は見た結果、考えるわけです。そこで、この法案保安確保という、こういう意味においてつくり上げたその真のねらいは、いろいろなことが書いてありますけれども、一言に言ってどういうところにあるのか、原則的な面で答弁を求めてたいへん恐縮ですが、ひとつお答えを願いたいと思います。
  113. 吉光久

    ○吉光政府委員 やはりあくまでも、この法案の第一条「目的」のところに規定いたしてございますように、何と申しましても、災害事故の発生というものが非常に急激にふえてまいっておりますし、しかもそれが人身災害を伴うものが多いという状況でございますので、第一には、あくまでも災害を防止することによりまして一般消費者の保護をはかりたいということが根本的なねらいであろうかと思うわけでございますが、と同時に、そういうふうに急激に需要がふえてまいりました関係上、取引面等におきましても、たとえば計量等の点であれこれと問題を起こしていることもございますので、そういう事業者自身が保安なりあるいは取引等を適正化することによりまして、自分の姿勢を正すことによって、さらに将来への事業者の健全な発展をはかってまいりたい、こういうことも、間接的には効果として意図いたしておるところでございます。
  114. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そうすると、その事故発生の状況が、昭和四十一年、昨年度で見ると、高圧ガス全体による事故が百八十一件で、そのうちLPガスの事故が百五十一件、消費先の事故が百二十五件、うち一般家庭が八十九件、こういうような分類がなされておるわけですが、こういうような分類による直接的な事故ですね、たとえば取り扱いによる事故なのか、十分でない器具を使ったことによってそういうのが起きたのか、あるいはどうなのかということについて、この際ひとつお聞きしておきたいと思います。
  115. 吉光久

    ○吉光政府委員 いま御指摘がございましたように、昭和四十一甲におきまして、LPガスの関係で起こりました事故が百五十一件でございますが、そのうち一般消費先に起こりました事故が、約八割の百二十五件でございますので、この百二十五件の内容を分析したものにつきまして、お答え申し上げたいと思うわけでございます。  その百二十五件のうちの三割くらいに相当いたしますものが、実は消費者の不注意から起こっております。よく新聞記事等に出ておりますような、コックを締め忘れたとかいうようなことで起こっておる事故が約三割程度ございます。それから第二の理由といたしまして、消費者のほうの不注意も関係はいたしておりますけれども、容器を配達いたしましたときに、配管の点検を行ないますとか、販売業者のほうで消費者にちょっと注意を喚起していただければ、おそらく起こらなかったのではないであろうかというふうに思われます事故が、やはり約三割を占めております。それから、販売業者の処置が誤りましたり、あるいは燃焼器具自身に欠陥がございまして、その器具の欠陥から直接の原因になって事故を起こしておるというふうな例、それら合わせまして約三割と申しますか、というふうな形になっておりまして、あとさらに、たとえば配管工事自身の構造上の欠陥があるというようなことも事故例になっております。
  116. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そうすると、いままでの事故が百五十一件の中で、いわゆる消費者の不注意が三割以上、あるいは消費者の不注意と販売店の保安サービスの不徹底ということで二割以上、あるいは販売店の処置の欠陥が一割三分、こういうような説明ですが、そうなりますと、これらの非常に多くの事故、特に私どももいままで毎日この法案が出るということで、新聞を見ていて、LPガスによる事故の発生というと、どきっとするような思いにかられる場合があるわけですが、そういうような事故発生に対して、いままで当局は、この法案が通るまでの間に、各都道府県において、その事故発生の防止に対してどのように対処してきたか、現実面として対処してきたか、その対処のしかたについて、ひとつ説明していただきたいと思います。
  117. 吉光久

    ○吉光政府委員 先ほどの原因の三割を占めております消費者の不注意という問題でございまするが、これに対応いたしましては、実は今度新たに、消費者啓蒙宣伝費と申しますか、こういうような形で予算をいただきまして、その予算を有効に使うことによりまして、対処いたしたいと考えております。  なお、昨年までは、そういう意味での予算的措置は行なわれていなかったわけでございますけれども、これは随時テレビ、ラジオ等を活用いたしまして、あるいはまた全国LP業界の方々の御協力を得まして、昨年度は二回いたしたわけでございますけれども、LPガスの災害防止週間と申しますか、そういうふうなもので、災害防止についての一般の認識を高揚していただく、こういう催し等によりまして、一般消費者の方のLPガスに対する正しい認識を得ていただくというふうな努力をいたしてまいっておったわけでございます。  なお、今度具体的な取り締まり体制のほうの問題でございますけれども、先ほどお話しございましたように、取り締まり体制といたしまして、まず中央におきましては、実は通産省の本省の化学工業局の中に保安課というものを設けまして、いわゆる生産行政と保安行政とを分離いたしまして、保安独自の活動をしていただくというふうな意味での、一つの機構を設けたわけでございます。同時に、これに対応いたしまして、各都道府県の取り締まり体制につきましても、これは直接的な人員増加というようなことを要求するわけにまいりませんので、知事会等を通じまして、そういう取り締まり人員の強化等について御協力を要望いたしておりましたが、同時にまた、自治省を通じまして、こういう取り締まり要員に対する交付税の算定基準につきまして、大幅な改善をしていただくというふうなのが、現在までの努力の成果でございます。
  118. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私のお聞きしているのは、そういうことと同時に、いままで何人くらいそういう仕事に各都道府県では当たっておるか、こういう点がひとつ聞きたいところなんです。
  119. 吉光久

    ○吉光政府委員 都道府県で高圧ガス関係で現に担当しておりますのは、現在で二百五十六名でございます。これは今年になりまして十九名ふえておりますので、本年十九名増員を得た上で、二百五十六名というふうな人員でございます。
  120. 佐野進

    ○佐野(進)委員 百八十一件の高圧ガスに関する事故が発生して、しかも一件起こるたびに非常に大きな社会問題になっている。これは現実に通産省が直接指導できるものではなく、都道府県に委託しなければならない問題です。その委託しなければならない問題に対して、事故が発生したからということで、困った、困ったということでなく、発生に対する予防その他について、いま少しく努力をしなければならない責任があると思うのです。ところがいまの二百五十六名を全国で割った場合、大きな県、小さな県というものがあることになれば、平均すると一体何名くらいになるかというと、せいぜい三名くらいという結論が出ると思う。これでそういうことができて、事故防止の行動ができ得るとは、私どもはどうしても言えないと思うのです。今回この新法ができた場合、一体どの程度の人員増加を予定しておるのか、これをひとつお聞きしたい。
  121. 吉光久

    ○吉光政府委員 まことに御指摘のとおりでございまして、都道府県の担当職員の現状をもっていたしましては、災害防止のためには不十分であるという点につきましては、私ども痛感いたしておるわけでございます。したがいまして、今後におきましては、いわゆる役所のなわ張りと申しますか、そういうふうな気持ちを一てきいたしまして、従前通産省と都道府県というパイプで行なっておりましたこの取り締まり行政に対しまして、さらにそれぞれの市町村の消防機関の御協力をいただくというふうなことにいたしたわけでございます。したがいまして、この法案の中に、たとえば最初に施設基準の認可等を求めてまいりました場合に、地元消防署長の、保安上支障がないという意味での確認書をいただくことにいたしましたり、あるいはまたその他の面で、危険があるということを消防署員の立ち入り検査によって発見いたしました場合には、都道府県知事に対して、この法令上の措置を請求することができるというふうな規定等を置きまして、最末端におきますところの取り締まり体制につきまして、市町村消防のほうの御協力を得た上で、万全を期してまいりたいというふうなことで、従前の通産省、都道府県というルートにさらにそういう機構を付加いたしまして、この問題に対処いたしたいというふうに考えておるわけであります。ただ、御指摘のような都道府県の職員の増強問題につきましても、なおさらに一そう自治省等とも御相談申し上げまして、強化につとめてまいりたい、このように考えています。
  122. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そういうようにともかく人員を増加し、いわゆる事故発生について、通産省としてもこの法律のもと、できる限り体制を整える、こういうことになろうと思うのですが、しかしそのことは必然的に、いままで提案説明の中にもいわれているように、いわゆる高圧ガス取締法の一環として取り扱ってきたこの部面について、通産省内部における機構の整備ということについてはどう考えているのか、この際ひとつ聞いておきたいと思います。
  123. 吉光久

    ○吉光政府委員 先ほどちょっとほかの角度でお答え申し上げたわけでございますけれども、実は昨年の四月に、私のほうの内部の行政機構を改革いたしまして、従前無機化学課と申しましたところで、保安の問題と同時に、無機化学に関する生産行政を扱っておったわけでございますけれども、そういう生産行政の面を、この課の仕事から一てきいたしまして、ただもっぱら保安の任務に当たるというふうな意味で、保安課というものを通産省内部に設けたわけでございます。これによりまして、まさに保安そのものを扱う機構をつくることによりまして、保安対策の万全を期してまいりたい、こういう意図で設けたわけでございます。
  124. 佐野進

    ○佐野(進)委員 ですから、それは高圧ガス全体に対して保安課を設けたわけでしょう。今度は新しい法律によって、LPガスの保安取引適正化をはかるということで、新しい法律ができて、事故なりあるいはその他をなくしようというのでしょう。そうしたら、その新しい事態に対処して、何もやらないのですか。高圧ガスの取り扱いも、ますます重要性を帯びるでしょう。さらに長期の見通し、あなたのほうで出しておるLPガス産業の現状と長期の見通しからいうならば、取り扱い量はばく大もなくふえていく、そういうことが考えられるわけですね。それに対して、法律は通したけれども、あとは何もしないんだ、いまの答弁ではこういうことになるのじゃないですか。
  125. 吉光久

    ○吉光政府委員 私は、御質問のほうを少し取り違えておりまして、保安だけの面からお答え申し上げたわけでございますけれども、実は先ほどお答え申し上げましたように、保安課では保安行政の面を扱っておりますけれども、LPガスの生産需給というふうな問題につきまして、実は従前は鉱山局の石油課で扱っておったわけでございまするが、やはりLP関係の事業が非常に増大してまいっておりますので、この鉱山局にございます石油課を二分割いたしまして、LP関係を担当するところの部局というふうなものを、鉱山局の中にも設けたわけでございます。そういうふうなことで、両部局で、LP関係業界の健全な発展の関係の仕事と、それから私どものほうの保安の対策をやっておりますところの仕事、こういうふうな両部局で、両々相まってやることに相なったわけでございます。  この新法ができますと、この新法自身は、まさに取引適正化の問題、保安確保の問題、両方の問題を内包いたしておるわけでございまして、いますぐに機構を改革して両部局を一緒にするというふうな考え方は、いまの段階では持っておりませんけれども、さらに検討いたしますと同時に、その両部局間の連絡体制というものを、さらにさらに密接にやってまいる必要があるのではないだろうかというふうに考えております。
  126. 佐野進

    ○佐野(進)委員 都道府県における人員並びにこれらに対する取り扱いをもっと拡充する、こういうことと、いまの通産行政内部における、これらの新しい法律の成立に伴う機構整備をやらなければだめだ、こういう点については、あとで、この次の質問が終わったところで、ひとつ政務次官の見解も聞かしてもらいたいと思うのです。  そこで、私はそれに関連して、この法律を読んでみると、保安確保のためにいろいろな処置をするということになっておるのですが、一番問題になってくるのは、高圧ガス保安協会、これによって指導、監督機構を強化する、そして必要に応じて消防、警察関係者と協力体制を整備する。いま局長の言ったことは、消防、警察関係者の協力、整備という形で、消防のほうはこの前法律も通りました。しかしそれはそれとして、この提案する趣旨の根本的なものは、高圧ガス保安協会によって保安確保をはかるんだ、こういうように受け取られるのですが、そうなのかどうか、ひとつこの際聞いておきたいと思うのです。
  127. 吉光久

    ○吉光政府委員 私ども、実は御指摘のような考え方は持っていないわけでございまして、あくまでもこの保安確保のための基本的な問題は、LP事業者自身がもう少し体質強化された事業者であってほしいということを、一番の念頭に置いておるわけでございまして、LP事業者のほうで、まず第一に一般消費者に対する保安能力を補完していただくと申しますか、そういう保安サービスをも売っていただくと申しますか、そういう角度を前提にいたしておるわけでございまして、この法案自身で、保安協会自身に、LPガスの保安についての主導権と申しますか、あるいは相当大きな地位と申しますか、そういうところまで占めてもらおうという気持ちはないわけでございます。保安協会自身は、従前やっておりますような技術上の基準等の策定、あるいはその他いわゆる技術的な事項等について御協力を得たい、こういう考え方でございます。
  128. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そうすると、ここに書いてある文章といまの説明とで若干違うし、いま局長の言われたような答弁のほうが私も適切だと思うので、さらに、それではその点について質問を続けてみたいと思います。  そうすると、一局圧ガス保安協会指導監督機構を強化する、同時に現在それぞれの地域にある業者の保安の組合、そういうものとの関連はどのようにつけられるのか、具体的にひとつお聞かせ願いたい。
  129. 吉光久

    ○吉光政府委員 私説明するまでもなく、高圧ガス保安協会は、昭和三十八年に、高圧ガス取締法の改正によってできた協会でございますけれども、この協会設立されました目的と申しますのは、あくまでもこういう災害防止のための保安に関する技術的な事項について、調査、研究、指導等を行なっていくというふうな性格を帯びた機関でございます。したがいまして、その性格の範囲内において、この法令上お手伝いいただくところについてお手伝いいただきたいという意味で、この法律にのっかっておりますある特定の技術上の基準につきまして、協会意見をお伺いする、あるいはまた、ガス器具の検定につきまして、状況いかんによったら——これはほかにやる機関がないというふうな事態を前提にするわけでございますけれども、すぐに始めようという気持ちはございませんけれども、ほかにそういう機関がないという場合には、やるというふうなこと、あるいはまた、販売店での従業者と申しますか、従業員等の保安教育等の関係について、これも現実の問題といたしまして、保安講習会等を開いておりますので、そういう現にやっております仕事につきまして活用をはかってまいりたい、こういうことでございまして、既存のいろいろな業界の団体がございますが、その団体で現におやりいただいておるような、そういう領域のものについてまで、保安協会のほうで積極的にやっていくというふうな意図は全然ないわけでございます。
  130. 佐野進

    ○佐野(進)委員 この法案提出理由の中で、高圧ガス取締法の範囲の中で、LPガスの取り締まりなり、適正な保安確保をしたり適正な取引を促進することはむずかしいのだ、したがって新しい法律をつくっていくのだ、そのことについては、先ほど来大臣その他からたびたび言われておるわけです。したがってそういう精神から言うならば、高圧ガス保安協会というものと、それから高圧ガス全体、特にLPガスが出る前の事態を一応主たる対象としてやられてきたのじゃないかと思うのですが、まあ一緒だったということも成り立ちますけれども、そうだとすると、この法律の成立を機会に、もっとこの協会の整備をはかるなり、あるいは業界の自主的な、いわゆる内部から盛り上がった力を活用するなり、そういうような方向にしないと、いわゆる通産省、都道府県、それから高圧ガス保安協会、この縦の線で、いわゆる官僚的な組織だけで保安確保をはかり、あとは取り締まりの対象者として全部があるのだ。自主的なそれぞれの業界の中にあるところのいわゆる民主的な意見を吸い上げて協力を求めるということが非常にむずかしくなるのではないか。したがって、この際、高圧ガス保安協会の組織と切り離した、具体的な何か対象者によってこれらのものをやる必要があるのではないか、こういうように感ずるのですが、その点についてひとつ見解を聞いておきたいと思います。
  131. 吉光久

    ○吉光政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、この法律のねらっておりますところは、やはりあくままでも販売業界の方々が非常に強くなっていただきまして、そして自主的に保安能力を向上してまいると申しますか、そういう自主保安体制というものが一番望ましいということから、それを柱として出発いたしておるわけでございまして、御質問のございましたような、保安協会がこれに出しゃばってどうこうするという気持ちは毛頭持っていないわけでございます。同時に、この一般の販売業者自身の力が強くなってまいるということが、即そういう業界の団体の力もまた強くなってまいる。そういうふうな意味で、具体的な活動の問題におきましては、従前ともそれぞれの地方機関の御協力を得た上で、実際の保安行政が行なわれておるというのが現状でございます。
  132. 中村重光

    ○中村(重)委員 関連。業者のいわゆる自主保安体制を強めていくというか、持つということは、私は、それはそれなりに必要であるし、またそうでなければならぬと思います。ところが、いまあなたがお答えになっている保安協会あり方がまず問題になるのではないかと思う。御承知のとおりに、特殊法人の保安協会に対して、保安指導であるとか、あるいはその他保安上のいろいろな業務をやらせる。その際に、非常に重要な保安業務というものをこの保安協会に持たせるならば、国が保安協会に対して助成するということもやはり必要である、そういう中から監督指導というものを強めることができるのだという意見を、私どもは強く出してきたわけです。それで御承知のとおり、いま高圧ガス保安協会に対して国が助成をしておる。ところが、この保安協会というものは手足を持たないですね。では、末端はだれがやっているのかというと、任意団体であるところのそれぞれのプロパン協会というものがやっておる。一般の業者はこの高圧ガス保安協会につながっているかというと、つながってはいないのです。ところが、金は、会費というか、いろいろな名目をもってどんどん吸い上げられて、八千万円程度吸い上げられておる。そして還元金というものが、その任意団体であるプロパン協会に対してどの程度なされておるかというと、五百万円程度しかなされていないのです。仕事はさせておいて、還元金はほんのわずかしか出さないですね。高圧ガス保安協会は国から助成金をもらう。そして末端の業者からはどんどん金を吸い上げていく。高圧ガス保安協会存在というものが、いまあなたが言われたところの、自主保安体制を強化していくためにどれほど有効な働きをしているかということについては、疑問がある。そして今度改正案の中に、保安協会役割りというものをさらに強化していくという形になってくると、いま問題となっておるそれらの問題を解決しない限り、あなたが期待するところの自主保安体制の確立ということはあり得ない。だから、ただ頭の中でこうあるべきだということで適当に描いて、その考え方の上に立って法律案をつくりましても、現実というものはなかなかそう動いていかない。私は、まず現実を踏まえて、その上に立って、いろいろな体制を整えていくということでなければならぬと思う。その点をあなたはどのように認識していらっしゃるか。また私が指摘いたしましたよらな問題の解決を、どういう方法でやろうとお考えになっているのか。まずその点を明らかにしてほしいと思います。
  133. 吉光久

    ○吉光政府委員 ただいま御指摘になったとおりであろうかと思うわけでございますが、実は、私ども、この法案におきまして、特に保安協会の機能を強化してまいろうというふうな意図は全然持っていないわけでございまして、たまたま現在やっております仕事につきまして、この法律の規定の中に記入いたしたということでございます。ただし器具等の検定の問題につきましては、これは、他にやる機関がない場合にというふうな意味でございまして、これも民間の自主的な機関というものを前提にいたしまして、そういうところでおやりいただくことを前提に置いております。したがいまして、そこで全部できるという体制であれば、保安協会自身に器具の検定をやらせるというつもりは持っておらないわけでございます。いまの保安協会民間の団体でございます協会との関係の将来のあり方の問題でございますけれども、私はやはり民間関係機関の御協力なくしては、こういう保安問題についての、あるいは取引適正化の問題についての解決ということは非常に困難であろうというふうに考えるわけでございます。したがいまして、そういうふうな線で、将来の団体運営についても、いま申し上げました線で考えてまいりたい、このように考えるわけでございます。
  134. 佐野進

    ○佐野(進)委員 保安協会の問題については、いまの説明では、なお納得しかねる点があります。特に考えられることは、通産省と高圧ガス保安協会、こういう一環の中で、この新法運営保安問題を処理しよう。もちろん、それぞれの立場における役割りはあるにしても、自主的な民意に基づく保安確保の点をやはり取り上げなければならぬ。特にこの法案が通った場合、中央集権的な官僚統制的な取り締まりのみによって解決しよう——実際上の問題として、取り締まりのみによって解決できるものではないわけですから、その点での危惧はひしひしと感ぜられる面があるわけであります。中央集権的な、ただ命令だけでものごとを通すんだということでなくて、運営の妙をはかる。そういう意味において、この保安協会というものについて、私としては危惧を持たざるを得ません。したがって、私は、この保安協会について、いままでの経過と、これからの事業の方向について、資料の提出をひとつ委員長にお願いしたいと思います。一応要求しておきます。  そこで、取引適正化を除いて、保安確保という面から見るならば、この法案趣旨は、全くいわゆる消費者の保護ということに尽きると思うのであります。消費者保護ということが、現実の問題として、事故発生防止というところに視点が合わされておるというふうに考えるわけですが、はたして消費者保護ということについて、この法案に対して多くの消費者が寄せる期待の焦点が、これによって、いわゆる事故を防止するということによって終わるかどうか。私はまだまだそうではない面がたくさんあると思うのです。したがって、政務次官に、先ほどの都道府県の人員の問題、あるいは内部の機構の問題、消費者保護について、それらの問題について総括的に答弁をお願いしておきたいと思います。
  135. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 いまおっしゃいましたとおり、この国会に提出をいたしました消費者行政に関する唯一の法案である、かように感じております。また他にも、通産省といたしましては、割賦販売に関する法律、これもまた消費者保護、そういう感じで出したわけでございますが、一口消費者行政と申し上げましても、私は、保護と教育という二つがあわせて行なわれなくてはならないといりような感じがするわけでございます。特に今日の行政をながめてみますと、消費者行政が非常におくれております。たとえばこのプロパンに関しましても、また他の商品企業に関しましても、今後は消費者行政というものを推進しようとしますと、御承知のとおり、消費者には商品企業から安全を保障される権利であるとか、あるいは商品企業を自由に選択する権利であるとか、あるいは商品企業に関する情報を得る権利であるとか、以上三つがかなえられなければクレームをつける権利、こういうものがわが国の消費者行政の面においては、私は確立されておらないと思うのでございます。したがいまして、通産省としましては、もうすでに千三百万世帯に普及されておりますこの貴重なプロパンの存在ということを考えてみました場合には、どういたしましても、消費者保護と教育というものを併立せしめて推進していかなくちゃならない、こういうふうに考えておりますので、御指摘のとおり、保護の面は法律によってなされるかもしれませんが、他の面におきましては、やはり都道府県なりその他民間協会と力を合わせまして、消費者に対する教育の普及にもつとめていかなくてはならないのではないか、かように感じますので、そうした面では、政府、都道府県あるいは民間団体、業者、この間におきますところの円満な運営をなしたいと思います。同時に、やはり消費者保護と一口に申しますが、単に業界の取り締まりだけではこれは達成されないのであります。要はその業界自体が安定し、また業界自体の経営が非常に信頼されるような立場になることにおいて、初めて保護というものも行ない得るということを、通産省といたしましては考えていかなくてはならないのじゃないか。いま御指摘のような点に関しましては、今後十二分に多角面にわたりまして検討させていただきまして、前向きの姿勢で、消費者保護というその精神を貫いていきたいと思うのであります。
  136. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは次の質問に入りたいと思うのですが、いま言ったように、消費者保護という形の中で、保安確保をはかるために、この法律はでき上がっておるわけですが、その反面、したがって、いま政務次官が言っておるように、業界の安定なり発展というものがなければ、その目的は達せられないということは当然なんですが、その業界の安定なり発展というものに対して、この法律をつくる場合に一番大きな問題点となったというのは、先ほども大臣から話がございましたけれども、LPガス販売事業と都市ガス事業との関係、特に導管に関する解釈の相違、そういうところが法律案提案をおくらした最大の原因だった、こういうように言われておるわけです。したがって、私はこの際、導管供給の解釈の問題、これの解釈について総合エネルギー調査会に委託した、まかす、こういうことになったということを、商工委員会の調査室から出た資料は書いてあるわけですが、その点について若干質問をしてみたいと思うのであります。  いわゆるガス事業法における導管というのは、管状のパイプである、こういうように定義しておるということですが、そのことから、現在ガス事業法による導管というものをLP事業に適用するということは、これはしてもらっては困るのだという、全国ガス事業のほうから、私どものほうにも要望書が出ておりますが、この点について、折衝の過程の中で、どのような点に解釈上の一致点が見出されておるのか、この点をひとつお聞きしておきたいと思うのです。局長でいいです。
  137. 吉光久

    ○吉光政府委員 御指摘のように、非常にむずかしい問題でございますけれども、実は私どもの考え方といたしましては、小規模導管供給というようなものにつきまして、それを一括いたしまして、これは全部ガス事業法であるとかないとかいうふうな考え方はいたしておらないわけでございまして、やはり個別的にある、そこで配管される現実の実態と申しますか、そういうものを個別的に判断した上で決定さるべき事項ではないか、そのように、一般論としては考えておるわけでございます。
  138. 佐野進

    ○佐野(進)委員 率直に答弁してください。言いにくいなら言いにくい、また経過の途中だからというなら経過の途中でいいのですが、いわゆるLPガスを取り扱う、もちろん都市ガス事業の中でもLPガスを一部取り扱っていることがありますが、ほとんど全体の事業の量から見るときわめて微々たるもの、そういう現実の中では、さっき大臣なり政務次官が言っているとおり、千三百万に及ぶ、あるいはこれからさらに需要が伸びようとする、また伸ばしていかなければ都市生活の向上のためにならないという現状の中で、いわゆる都市ガス事業との対峙の中で、二つ並んで対立した形の中で、ものを判断するというだけでなく、現実消費者の利便を考えた際、この問題について、さっき大臣は、もう一年くらい、この次の通常国会までに結論を出すと言うんだけれども、現状の中で、局長のほうでこれと取り組まれて、どの程度までがその解釈として適当であるかという結論を出し得ないなら出し得ないでけっこうです。率直に言ってください。取り組みとしてどういう考えかということを聞いておきたいのですから、そういう面において、経過の中でおくれた最大の条件、将来どうしようかという方向だけでもいいのですから、御答弁願いたい。
  139. 吉光久

    ○吉光政府委員 御承知のことでございますけれども、実はLPガスの導管供給というふうなものは、最近に至りまして急速に伸びつつあるわけであります。私ども保安の面から考えました場合には、個別ボンベ主義と申しますよりか、むしろできるだけ導管供給でやっていただくほうが、保安上の観点からは災害が少ないであろうというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、このLPガス供給形態といたしまして、導管供給事業というものがだんだんと発達してまいるということは当然であろうかと思うわけでございます。ただこれをエネルギー資源として考えました場合に、どういう規制のしかたで、そういう事業というものがあったらいいか。先ほど御指摘の中に、LP事業法というふうなものもお話が出ておったわけでございますけれども、現にございますガス事業法の適用を受けておりますガス事業者、それからこういう集合配管形態でガスを供給する事業と申しますか、どういうふうな形に位置づけられました場合に、この小規模導管供給事業をいまの現行のガス事業法で全部処理していくか、これは相当の負担も当該事業者に伴うわけでございますので、そういう形がいいのか、あるいはまた、現在のガス事業法自身のあり方も再反省をした上で、全体の事業者の位置づけと申しますか、そういうふうなものを確立していったほうがいいのか、そういう点で実はいろいろの考え方があろうかと思うわけでございまして、端的にどういう方向で結論づけるというふうなお答えができませんことは非常に残念でございますけれども、むしろそういう大きな問題でございますので、私どものほうといたしましては、先ほどちょっとお話がございましたように、総合エネルギー調査会の中にガス部会というふうなものを設けまして、ここでいま申し上げましたような角度からの検討をやっていただくというふうに考えておるわけでございます。
  140. 佐野進

    ○佐野(進)委員 LPの需要の数と都市ガスの需用の数は、先ほど大臣お話ししておりましたとおり、片一方は一千三百万、都市ガスのほうは七百三十万、約半分だ。しかも施設その他の軽便の面からいっても、これから飛躍的に増大し得るのがLPガスだ、こういうことは衆目の見るところだというぐあいにいわれておりながら、さて現実に、その中で保安面において、導管供給が最も時宜に適しているという解釈がされながら、なおかつ総合エネルギー調査会のほうに回さなければならない、そういうことについては、私どもとしては非常に理解に苦しむ。しかし幾ら理解に苦しんでも、現実の問題だから、これをどうだこうだと言ってもしようがないわけですが、私は、当局としては、この導管供給については一刻も早く勇気をもってこれに取り組んで、早急に解決し、保安確保取引適正化の、本法の趣旨を貫徹するようにひとつ努力してもらいたい、こういうことを、さっき大臣答弁がありましたけれども、考えるわけであります。これについて、政務次官からひとつお答え願いたいと思います。  さらに、関連して、総合エネルギー調査会というのが、通産省の中でどういう位置づけをされており、どのような人たちによって構成されているのか、もし即答できないならば、資料によってひとつ提出いただきたいと思います。
  141. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 小規模導管供給に関しましては、いまおっしゃったとおり、今後長期的に、私どもといたしましても検討を続けていきたいと思うのであります。現状認識といたしましては、千三百万世帯のうち、導管供給が六万世帯であるということも考えました場合に、私は、やはりそういう現状認識に立った上での判断も必要ではないかというふうなことも考えております。これは、先ほども大臣が申されましたとおり、総合エネルギー調査会にその趣旨を伝えまして、非常に長い観点で、ひとつ調査検討していただくということになっておりますので、御了解のほどをお願いしたいと思います。  なお、総合エネルギー調査会と通産省との関係でございますが、これは資料によりまして提出いたしたいと思います。御了解を賜わりたいと思います。
  142. 佐野進

    ○佐野(進)委員 それでは、この問題については終わって、次に進みます。  この法律が実施される場合、一番問題になるのは、いわゆる保安確保という形の中での器具についての制限、あるいは貯蔵設備の点、あるいは保安要員の確保の面、非常に大きな制限がいわゆる取り扱いの業者にかけられると思うのであります。したがって、そういう部面から、取り扱い業者がこの負担にたえかねていくという危険性を当然予測しなければならないと思うわけです。これらの点について、この法律提案するに際して、通産省としてはどのような考え方を持っているかということについて、ひとつ聞いておきたいと思います。
  143. 吉光久

    ○吉光政府委員 御指摘のように、現在の液化石油ガスの販売業者の圧倒的多数は、中小企業者でございまして、大体ウェートにいたしまして、九五%以上というのが中小企業でございます。したがいまして、今回の法律では、保安確保のために相当いろいろな負担をお願いすることになっておりますので、相当苦しいところも出てこようかと思うわけでございまして、そういう九五%を占めております販売業者に対しまして、むしろ積極的に、先ほど政務次官からお答えございましたように、応援体制と申しますか、国のほうでの応援体制を整備する必要があろうかと考えているわけでございます。現在やっております措置といたしましては、実は保安施設に対しまして、中小企業設備近代化資金というふうなものの融資制度が設けられておりますし、また、先般当委員会でも御承認いただきました中小企業振興事業団等によりまして、いわゆる協業化資金というふうなものについても、こういう事業団を通じて、積極的に融資の道を開いてまいりたいということでございます。  それからなお、税制上の問題といたしまして、実は今年度から新たに障壁とか地下タンク・ピットあるいは今度ここへ入ってまいります分析器等につきましては、いわゆる特別償却制度というものを採用していただくということになっておりまして、この場合には、通常償却の場合の償却に加えまして、取得価格の三分の一までの割り増し償却を行なうことができる、こういうことになるだろうと思います。これらの金融、税制上の措置を講じながら、さらに体質改善というふうなことにつとめていただくよう、あるいはまだ不十分な点があろうかと思いますけれども、そこらの条件等につきましてもさらに一段と検討を加えまして、できるだけそういう体質の強化というものができるようなほうに、私たち自身も積極的に研究してまいりたい、このように考えております。
  144. 佐野進

    ○佐野(進)委員 いま全業種の九五%は中小零細だ、こういうように言っておられるわけですが、業界の急激な発展から、この業界における財政的あるいは施設の面における整備が十分でないということは、通産省の出した資料にも書いてあるわけですが、しかしその面で非常に危険だと一般に考えられておる企業、そして新法によってさらに多くの負担がかかるというような企業に対して、近代化促進法の指定業種にまだなっていない。私は対象業種を見たのですが、近代化促進法という法律趣旨と、この業界との関連の中で、どうしてならないのか、ちょっとふしぎに思わざるを得ないのですが、近促法の対象業種になっていない現状について、ひとつ答弁を願いたい。もし中小企業庁のほうでいないなら、通産政務次官でけっこうですから、お願いしたい。
  145. 小幡八郎

    ○小幡説明員 ただいま御指摘がありました、液化石油ガス販売事業が、中小企業近代化促進法の指定業種になぜなっていないかという御質問でございますが、液化石油ガス販売業の近代化、合理化の方策といたしまして、私どもは、容器の大型化と、これに計量器を取りつけまして、配達及び料金調定の合理化をはかることが最も効果的な方策ではないかというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、これには販売業の規模として、少なくとも月十トンないし十五トン以上の規模のものが望ましいというふうに考えておるわけでございます。ところが現在、月十トン以上の販売事業者は全体の二〇%に満たない状態でございまして、大部分が一トンから十トン末満の販売規模の業者でございます。したがいまして、業界全体の合理化、近代化の前提といたしましては、これらの零細規模の販売業者の協業化による規模の拡大が必要と考えておりまして、当面これに対する中小企業振興事業団の融資による助成を施策の中心として取り上げてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、近代化促進法の業種指定の問題は、零細業者も含めた業界全体の問題でございますので、業界としての受け入れ体制、さらに業界としてやはり負担の問題もございますので、関係業界とも十分相談をいたしまして、今後さらに検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  146. 佐野進

    ○佐野(進)委員 いわゆる取引適正化をはかるということで、必然的に零細企業者に対して幾多の負担がかからざるを得ない法案内容になっておる。そうした負担がかからないように指導援助するということを、この法案をつくる際において当然考えなければならぬ。当然考えなければならぬことを怠ることによって、法案の精神が失われていくということは、だれでもわかるわけです。そうであるとするならば、貯蔵義務なり調査義務なり、あるいはその他非常に大きな器具その他におけるところの購入費の増大、あるいは設備の近代化をはからなければならぬ等々多い。そうした場合、近代化促進法の指定業種にするように、ただ業界のほうとの話し合いをしなければならないからということだけで放置しておくということは、その取り締まりにのみ急であって、業界の健全なる発展と取引の適正をはかる上に、きわめて不備な内容を露呈しておる、こう思うわけです。これらの点について、ひとつ政務次官から答えてもらいたいし、さらに税制上、金融上のことについて特別考えておるということを言っておるが、何も特別考えていない。いままでいわゆる中小企業振興事業団法を審議したり、協業組合法を審議したり、中小企業関係のいろいろな法案審議したその域を出るどころか、その域以内にすらあるという印象を受けざるを得ない。それではどうして取引適正化がはかられるかということが考えられるわけです。いまの答弁ではちょっとお粗末ではないか、こういう印象が強いわけですが、もう少しひとつ親切に答弁してください。
  147. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 御指摘の点は、まことにそのとおりと私も感じます。しかしながら、今日までの近促法指定業種にならなかった理由等に関しましては、いま課長が答えましたこと等の問題がございましたので、御了解を賜わりたいと思います。いずれにいたしましても、この法案一つの柱である取引適正化という面から考えました場合には、私が先ほど申し述べましたとおり、業界の安定なりその発展を望むことが当然必要でございますので、あらゆる努力をいたしまして、業界とも十分話し合いをして、当然の負担に対する金融措置等を講じてまいりますので、どうぞ御了解賜わりたいと思います。
  148. 佐野進

    ○佐野(進)委員 中小企業関係については、さらに積極的な指導援助を行なう、こういう政府側の答弁もありましたので、この面については終わりたいと思います。  最後に私は、この取引適正化をはかる形の中で、LPガスの需給及び価格の安定という点について質問をしておきたいと思うのです。  需給及び価格の安定をはかる最大の条件は、LPガス事業法が制定されることによって、法律としてこれらの面について種々規定をされればそれに越したことがないと思うのですが、たとえば需給安定法というようなものが考えられたということも資料の中に書いてあるわけですが、その需給安定法というものの内容、考え方、こういうものについて御説明願いたいと思います。
  149. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 昨年度の需給安定構想と申しますものは、御承知のとおり、昭和三十九年秋から四十年春にかけて相当LPガスが不足いたしまして、そうした供給が確保できないというような面もございましたので、いろいろ考えてまいったのでございますが、幸いにいたしまして、昨今液化石油ガス生産が急増いたしましたし、また輸入面におきましても、そのような危険が遠のきましたので、いまのところは需給安定ということはだいじょうぶであるというような考え方で、この法案提出させていただいたものであります。またこのことは、さらに将来にわたりましても、一応需給安定ということをこの法案の中に入れなかった趣旨でもある、こういうふうに御了解賜わりたいと思います。
  150. 佐野進

    ○佐野(進)委員 ところが、二、三日前のある新聞によれば、中東における紛争が石油の輸入に対して相当大きな障害となりつつある、必然的にLPガスの、卸売りですか元売りですかの値段を上げなければならぬ、そういうような記事が出ておったと考えるのですが、そういう記事の内容と、いまの政務次官の答弁はたいへん食い違う、こういうぐあいに考えるわけですが、当面の需給については、それらの点について心配ないと考えていいのですか。
  151. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 スエズ問題でございますが、一時配船等が遅延をいたしましたので、多少このような危惧がございましたが、いまのところは順調に供給が行なわれておりますから、そうした危惧はないというふうにお答え申し上げたいと思います。
  152. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そうすると、現在のLPガスが、消費者千三百万戸に対して供給し得る日数の限度は、幾日くらいあるのですか。
  153. 小幡八郎

    ○小幡説明員 現在のLPガスの在庫量は約二十四万トンございまして、これはほぼ二十四日分に相当いたします在庫量でございます。なお、四十二年度上期におきます需要量は、全体で百七十七万トン想定されておりますが、これに対しまして、現在の国内の生産量及び輸入予定量、合計いたしますと、供給力は百八十一万七千トンございますので、供給には支障ないというふうに判断しております。
  154. 佐野進

    ○佐野(進)委員 百七十七万トンに対して百八十一万トン、きわめて僅少の差だと思うのですが、二十四万トンで二十四日ですか、そうすると、一日一万トンということですね。
  155. 小幡八郎

    ○小幡説明員 ほぼ。
  156. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そうすると、いわゆるLPガスの需給について、生産事情は間違いない、流通もそうたいした差がない。そうすると、季節だとか地域においても、当面全然心配は要らない、中近東の問題があっても、その他の問題があっても、需給については心配が要らない、こういうぐあいに解釈していいですね。
  157. 小幡八郎

    ○小幡説明員 現在の見通しでは、地域的に見ましても、供給に支障は免じないというふうに判断しております。
  158. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そうすると、需給はいいということですね。これは専門家が言うことだから、どう心配してもしようがない。  そうすると、その次には、結局価格の安定ということになるわけですが、この法案が通ったら価格は上がるのではないか、こういうような心配があるということをそれぞれのところで言われておるわけですが、それについてはどのような御解釈をしておりますか。
  159. 小幡八郎

    ○小幡説明員 本法律案の施行に伴いまして、液化石油ガス販売業者に新たに課せられます負担は、貯蔵施設の設置義務、それから販売の制限、これは表示を付し、封を施したもの以外は販売はできないという制限でございます。それから、需要家に対する保安その他取引等の注意事項を記載した書面の交付、需要者の消費設備の調査の義務、業務主任者の代理者の選任義務等でございますが、このうち、貯蔵施設、調査等につきましては、通常すでに販売業務といたしまして実施している場合が多いわけでございまして、この中で特に負担となると考えられますのは、販売の制限、表示を付して、封を施したもの以外販売できないという意味では、分析が伴います関係で、これがおおむね十キログラム当たり、二、三円程度増加するのではないか、こういうふうに考えられております。そこで、この液化石油ガスの販売事業の合理化、近代化のためには、先ほどから御説明いたしておりますように、保安施設に対する中小企業近代化資金の融資とか、あるいは協業化資金の融資等の施策を講じていきますので、現在の段階では、この程度のコストアップは、末端価格の上昇にほとんどつながらないのではないか、こういうふうに判断しております。
  160. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そうしますと、この法案によって、需給及び価格の安定は何ら障害がなく行なわれる、こういうように判断していいわけですね。これは政務次官、ひとつ答弁してください。
  161. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 そのとおりでございます。
  162. 佐野進

    ○佐野(進)委員 第一回の質問でありますから、十分要領を得ない質問も多かったと思うのですが、政府側の熱心な答弁に感謝いたします。  先ほど申し上げたとおり、この法案によって消費者保安確保並びに取引適正化ということで、多くの国民が待望する法案ですから、私どもも、一刻も早くこの法案の成立を期したいと思うのですが、なお内容等について、いままでの質問に対する答弁等でなお聞き漏れた点その他については、同僚議員からさらに質問があることと思います。私もなお研究して、本法案がこの目的に合致するように、ひとついい法案になるように努力してみたいと思うのですが、最後に、政務次官のほうから、冒頭大臣から聞きましたけれども、この法案提案についての考え方、並びに運営についての決意、こういうものについて、ひとつ締めくくりを聞かせていただいて、質問を終わりたいと思います。
  163. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 冒頭大臣が申し上げましたとおり、この法案趣旨は、あくまでも消費者保安確保であり、また同時に、取引適正化である。それは消費者のためでもあり、また業界にそれだけの努力をしてもらう、私どもも今後できるだけの行政指導なり、援助をしていかなくてはならないと思います。それによりまして、いまや一般家庭において欠くことのできない燃料となったわけでございますから、その燃料を通じまして、国民生活がさらに健全な発展をするように、そのことをひたすらこいねがいまして、委員各位のこの法案に対する格段の御協力のほどをお願い申し上げたいと存じます。
  164. 佐野進

    ○佐野(進)委員 質問を終わります。
  165. 島村一郎

    島村委員長 吉田泰造君。
  166. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 時間があまりありませんので、ごく一部の点だけを質問させていただきまして、あとは次の機会に譲りたいと思います。  まず、その一番最初でございますが、この政府案の発想について、まず第一点、お伺いを申し上げたいと思います。  前国会において、液化石油ガス需給安定及び取引適正化法案というものを提出するといいながら、未提出に終わった。さて、この国会に、いま液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律案が、わずかに一年の間に、政府案の構想から需給安定が後退をして、保安確保が前面に出てきた。非常に大きな変化を来たしていますが、その構想変化の、発想が変わってきた原因をまずお伺いしたいと思います。
  167. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 お答えいたします。  先ほどもお答えいたしましたとおり、実は昨年の需給安定構想というものは、昭和三十九年並びに四十年にかけましての商品の不足、これに対しまして当然対処しなければならぬというようなところでございましたが、昨今いろいろな国内、国外の事情等も好転をいたしまして、その点、需給は非常に安定したものになるという考えを持つに至りましたので、ひとつこの際はそうした観点に立って、消費者保護というものを一歩強く進めなければならない。ついては保安確保とその取引適正化、それを骨子として、今回の法案提出した次第でございます。
  168. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 佐野委員から質問がございました点は、できるだけ重複を避けさせていただきます。  まず、いまの政務次官の御答弁でございますけれども、計画について、一年くらいで、その当時の時点としては計画変更の発想が変わってきたという趣旨はよくわかるのですが、もう少し長期的な考え方が望ましいということを要望しておきまして、政府案のいう公共の福祉ということばがありますが、この第一条の目的の公共の福祉とは何か。続いて、液化石油ガスを家庭燃料として消費している世帯数というものは、すでに一千万世帯を上回っております。あるいは都市ガスの世帯数をはるかに上回った現状でございます。したがって、液化石油ガスの家庭消費は、都市ガスあるいは家庭の電力、電灯、水道、これらの消費と同じく、国民生活にとって必需品の消費であることは、これは言を待ちません。私の意見としまして、その第一条、「目的」の公共の福祉ということばが明確でないということ、言いかえますならば、消費者の利益保護ということをもう少し明確に打ち出すべきではないかということについて、御答弁を賜わりたいと思います。
  169. 吉光久

    ○吉光政府委員 ここに、私ども公共の福祉ということばを使いましたのは、実はまず第一点といたしまして、液化石油ガスによる災害を防止するという意味での、公共の安全を確保すると申しますか、災害の防止をはかるということで、公共の安全を確保し、同時にまた、これが取引適正化等と相まちまして、国民の利益を確保する、こういう意味で、その両方の意味を含めました上で、公共の福祉というふうなことばで最後を結んでおるわけでございます。
  170. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 個々のことにつきまして、もっと深く質問を申し上げたいのでございますが、時間が大体十分くらいでやれということでございますので、次の機会に譲らしていただきます。  一番最後に、佐野委員質問されました小売り価格の問題で、一点だけ私の質問として触れさせていただきまして、終わらしていただきたいと思います。  先ほどもお話がありましたけれども、十九日のある新聞、これは産経新聞でございますが、小売価格——政務次官から、需給計画については間違いがない、たいした変動がないだろうという御答弁がございましたが、現在の見通しでは、小売り価格は、末端の消費者のところに行った場合に十キロボンベで六百円、六百五十円のものが、この新聞によりますと、九百円くらいになる予想だ。大体二五%あるいは三三%ぐらい上がるんじゃないかというような記事が、十九日の新聞に出ておりますけれども、それについて明確な御答弁を、再度賜わりたいと思います。
  171. 小幡八郎

    ○小幡説明員 お答えいたします。  現在、小売り価格は六十円ないし八十円程度のところに多くたまっていると思いますが、もとの生産業者あるいは輸入業者から出荷する価格は、これはその工場のタンク渡しで、ほぼ十五、六円というところでございます。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたように、需給の問題で六十五円のものがかりに九十円になるとした場合、そこに二十五円原料の価格が増加する、アップするということになるわけでございます。そういたしますと、現在十五、六円のものが四十円にならなければならないということになるわけでございます。しかし、かつてそういう値段というものは出たこともございませんし、生産業者、輸入業者の仕切り価格は、二年ほど前から比べますと約四割、現在下がっておる状態でございます。したがいまして、多少の変動というものは考えられましても、いま先生のおっしゃったような急激な変動というものは考えられないというふうに思います。
  172. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 いまの御答弁でございますが、その意味はわかるのでございますが、政府案には、小売り価格の安定について規制すべきものがないように思うのです。どういう形をもって小売り価格を——将来いわゆる需給が全く安定であるというようなことも、この問題にあまり触れておりませんけれども、やはりほとんどが海外依存の現状では、そういうこともあり得よう。そうした場合に、価格の安定をどこに求めていかれようとしているのか、それについてお伺いしたいと思います。
  173. 小幡八郎

    ○小幡説明員 価格の安定のためには、まず需給の安定が必要であることは申すまでもございません。現在LPGの供給源といたしましては、国内の石油精製業あるいは石油化学工業から約七〇%、それで足らないものが輸入として三〇%入っておるわけでございます。ところが、その石油精製業あるいは石油化学工業が近年非常に著しく伸展いたしました関係で、かつて予想した以上にLPGの生産が増加したわけでございます。したがってここ当分は、特に輸入をふやさないでも供給力は確保できるという見通しでございます。したがいまして、あと生産と需要との季節的なアンバランス等を、貯蔵設備の増強によって吸収するという措置を講じていく必要があろうかと思います。したがいまして、通産省といたしましては、貯蔵設備の増強に特に力を入れまして、生産業界及び輸入業界を指導してまいりまして、着々その目的を達しつつありますので、将来の需給については安定していくものと考えております。したがいましてそれ以降の価格につきましても、多少の季節的の原因等による変動というものはあるにいたしましても、大きな変動というものはないというふうに考えております。
  174. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 まだいろいろ質問いたしたいのですが、同僚の近江君が待っておるようでありますので、改めまして質問さしていただくことにして、私の質問を終わります。
  175. 島村一郎

  176. 近江巳記夫

    ○近江委員 私も時間の関係で、質疑に入るということで一、二点お伺いし、次の機会に譲りたいと思います。  まずお聞きしたいことは、プロパンガスの集合配管をめぐりまして、都市ガス業界と対立があって、その調節がつかないために、本法案の国会提出が若干おくれた。結局またいろいろな問題点がたな上げになっている。LPGの配管方式で供給している事業者は、結局新法の対象外となっておる。いま非常に——先ほどからも事故の話がございましたが、事故のそうした多発しておる現況からして、早急にガス事業法の改正及びLPG法案の再改正など、私は必要に思うわけです。その点どのような御見解を持っていらっしゃるか、この点をまずお聞きしたいと思います。
  177. 吉光久

    ○吉光政府委員 先ほどお答え申し上げたのでございますけれども、私どもといたしましても、実はこの法案提出いたしますまでに、そういう問題についての結論を得ました上で、それも合わせまして御提案申し上げたいと思ったわけでございますけれども、何ぶんにも小規模導管供給事業というものの本質が、公益事業規制の根本問題に触れるというふうな状況でございまして、したがいまして、その問題自身を解決して法案を国会に提出するというふうなことにいたしますとすれば、それでなくてもずいぶんおくれたわけでございますが、さらに提案の時期がおくれてまいるというふうなことにもなりかねないという状況でございましたので、現実のプロパン関係の災害が主として起こっておりますボンベ売り等を中心としたものといたしまして、それでとりあえずまとめて、災害の防止あるいは取引適正化というふうなことを早急に実施いたしたいということで、その問題については検討を他日に譲った、こういう事情でございます。
  178. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、都市ガス業界との紛糾が考えられるわけですけれども、どのように対処していかれるか。根本的な点をひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  179. 吉光久

    ○吉光政府委員 先ほどお答えいたしましたように、公益事業の根本的問題に触れる問題でございますので、当然にこれは都市ガス事業のあり方、あるいはまた導管供給事業としてのLPG供給事業のあり方、そういうふうなものについての調整問題になろうかと思うわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、現在通産省に総合エネルギー調査会というものが設けられておりますので、ここで学識経験者を中心といたしました中立委員の方の御意見をもお借りいたしながら、この調査会の中にガス部会というものを設けまして、その場で、いろいろの角度からの問題点について検討をいただくというふうにいたしたいと考えております。
  180. 近江巳記夫

    ○近江委員 ちょっと内容にも触れておきたいと思うのですが、販売事業の許可基準の第三号を規定した理由ですね。また具体的には何を審査するか、この問題について、ちょっとお聞きしたいのです。
  181. 吉光久

    ○吉光政府委員 第五条の第三号の「経理的基礎及び技術的能力」という問題でございますが、実は許可基準は、今回の法案が前の高圧ガス取締法時代の許可基準と異なっております最大の点でございますが、従前の高圧ガス取締法の保安許可基準におきましては、個別の販売施設ごとの技術上の保安基準と申しますか、こういうことについての基準に合格しておれば、それで保安確保ができる、こういう考え方に立っておったわけでございますけれども、何と申しましても、こういう意味での施設基準だけでは、保安確保というものはむずかしいのではないかというふうな判断をいたしたわけでございます。と申しますのは、やはり事業基礎がしっかりしていて初めて、そういう施設基準等についての保安確保ができる。と同時にまた、そういう事業で初めて一般消費者等に対する保安機能の補完と申しますか、そういうことも可能ではないだろうか、こういう立場に立ちまして、したがいまして、ここで、経理的基礎なり技術的能力を有するものであるというふうな、いわば事業許可に近い、まさに事業許可そのものといってもけっこうでございますけれども、そういう形の基準を取り入れることにいたしたわけでございます。具体的な内容といたしましては、たとえばこの「経理的基礎」は、何もむずかしいことを考えているわけではないわけでございます。たとえば、その事業自身が一たん災害が発生いたしました場合に、賠償的な能力を持っておるかどうか。これは実はたとえば年間六千円の掛け金を払いますと、対人的には三百万円、対物的には五百万円程度の損害保険がかけられるわけでございます。したがいまして、そういう意味の年間六千円程度の損害保険を、かけておるかどうか、これはまさに賠償担保能力というものの審査基準になるわけでございます。あるいはまた、その事業計画自身を適確に遂行できるようにという、そういう計画自身が描かれておるかどうか。これは供給の安定性と申しますか、そういうことを確保いたしますためには、やはりこの小売り店自身が、長期的に液化石油ガス自身の購入契約をどこかと結ばれているかどうか。要するに、一たん需要家側に液化石油ガスを販売いたしまして、ところがすぐあとで品が続かないというようなことになっては困るというふうな関係もございまして、そういうふうな計画自身を持っておるかどうか、継続的購入契約にふさわしいかどうかというような点、これは取引適正化の問題とからみ合うわけであります。あるいはまた、「技術的能力」の問題につきましては、これは法令自身でも、業務主任者制度というふうなものを採用いたしておりますけれども、ただ同時にまた、その現実の取り扱い量に対応いたしまして、そこに従事いたしておる職員に過重負担というふうなことにならないかどうか。取り扱い量と人員との関係で過重負担にならないかどうか。これは結局、せっかくの陣容を擁しておりましても、それ自身がまたあやまちのもとになるというふうなこともございますので、そういう面についても、この規定で審査いたしたい、こういう考えでございます。
  182. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからもう一点は、本法の施行に伴う中小企業助成施策の点ですけれども、この点はどのように考えていらっしゃいますか。
  183. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 お答えいたします。  この法律は、御承知のとおり、消費者保護でございますが、消費者を保護しようと思えば、その業界の安定をはかっていく、その積極的な発展をはかっていく、こういう措置も必要でございます。並びに、この法律に基づきまして、販売業者にはいろいろと負担をかけるような措置も講ぜられておりますが、その点は、先ほども私が申し上げましたとおりに、そうした問題に関しましては、中小企業の幾つもの法律がございます。たとえば、今日までは近促法の業種指定はやっておりませんが、このことに関しましても、やはり業界自体の御熱望もございますので、協業化も急いでもらう、できたら、先般御採択賜わりましたところの協業組合等の設立を急いでもらう。それに対しましては、中小企業振興事業団、これを十分に活用していただく。並びに、近代化促進指定業種といたしましては、将来十二分に業界ともお話し合いをいたしまして、その熱意と受け入れ態勢さえあれば、私たちも、国民生活の安定のため、先ほどの、第一条に書いておりました公共の福祉のためにも、当然そういうような措置も講じていかなくちゃならないと存じておりますので、いずれにいたしましても、この法律が成立いたしました以上は、中小企業に御迷惑をおかけいたさないというたてまえで、積極的に諸施策を講じていきたいと存じております。
  184. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間もないようでございますから、最後、一点だけにします。  先ほどもちょっと出たのですが、七月十七日早朝に、荒川区の西日暮里のところでガス漏れがございましたね。そのように、要するに現行法では消防署では取り締まれない、消防署はこのように言っているわけです。こういった問題をどのように対処していくか、この点をひとつお聞きしたいと思います。
  185. 吉光久

    ○吉光政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、従来の高圧ガス取締法におきましては、国と都道府県、この二本立ての形で取り締まり体制をやっておったわけでございますが、やはりこういう災害問題を防止するという角度から考えますと、市町村にまでございますところの消防署の協力なくしては、災害対策の完全が期せられないのではないだろうか、こういうふうに考えまして、この法案におきましては、まずいろいろな角度から、消防署の、たとえば保安基準に該当していることについての確認書でありますとか、あるいは技術上の基準をつくります場合には消防庁の御意見を承るとか、あるいはまた、消防のほうで予防検査で立ち入り検査をされましたときに、この基準に合致していないということを発見されました場合に、都道府県知事等に対しまして、あるいは通産大臣等に対しましても、この法令上の措置、行政処分と申しますか、そういう措置がとれるように、その措置請求ができるという規定等ございまして、日常の消防活動というものが、このプロパン等による事故の防止、災害の防止というふうに直結いたしますような、そういう仕組みをこの法案では考えてまいった次第でございます。将来とも消防機関の御協力を仰ぎたい、このように考えておるわけでございます。
  186. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは、時間もございませんので、次の機会に譲りまして、私の質問を終わらせていただきます。
  187. 島村一郎

    島村委員長 丹羽久章君。
  188. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 関連で、ちょっとお尋ねいたしますが、石油液化の問題ですけれども、実はもっと早く法案審議していただいて、こんなに迫る前にやっていただけると、私は考えておりましたけれども、いろいろの事情で、理事の方々のお骨折りにもかかわらず、きょうに至って、これが重大な問題であるからということで延びるということは、私としては残念でありますけれども、これもいろいろの都合の関係でやむを得ないということになったわけだと思います。  そこでお尋ねいたしたいと思いますことは、この問題に対しては、ガス事業会社の関係と零細企業のLP業者の関係ですね。この問題に対して特に問題として取り上げられておるのは、配管的な問題がずいぶんやかましくいわれております。これは先ほど理事の方に聞くと、今後残された問題として、これを中心にして公聴会もし、あるいはいろいろの面で真剣に聞くから、あまり詳しく聞くな、そういうような理事会の申し合わせがあるから、あまり聞かぬほうがいいだろうということでありますので、聞きませんが、そう朝令暮改的に法律が変わらないような信念のもとに、調査に基づいたあり方において——公聴会がどこでどういうふうに行なわれるかは、私はまだ聞いておりません。聞いてはおらぬけれども、重要都市においては相当行なわれることだと思いますけれども、よく耳を傾けて、零細企業者のほんとうの姿というものを、そして苦労した今日というものをよく考えてやっていただきたい。そして正しいもとに、正しい一つの結論を出していただくことを、私は強く希望いたす次第でございます。  大臣が来られましたので、約束が、大臣が来られたらおいてくれということでありますので、これでやめますけれども、どうぞ大臣あとでよく局長に話を聞かれて、趣旨をよくのみ込んでいただいて、今後この問題に対しての処理方をひとつお願いしたいと思います。委員長、御苦労さんでございました。     —————————————
  189. 島村一郎

    島村委員長 この際、鴨田宗一君外三名から、液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する件について決議すべしとの動議提出されております。  まず、趣旨説明を聴取することといたします。佐野進君。
  190. 佐野進

    ○佐野(進)委員 ただいま、液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する件について決議すべき旨の動議提出いたしましたが、自由民主党日本社会党民主社会党及び公明党代表して、私から提案趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する件   政府は、液化石油ガスの一般家庭等の消費における保安確保及び取引適正化を図る措置が緊急を要することにかんがみ、現行諸法令の適切な運用により、この措置の万全を期するとともに、現在提案中の「液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律案」が成立した場合に、支障なく速やかに施行できるよう、準備体制その他に遺憾なきを期すべきである。   右決議する。  以上でございます。  液化石油ガスは、一般家庭等の燃料として、急速に普及しておりますので、消費面における保安確保及び取引適正化をはかることは緊急の問題であり、政府においても、すでに昨年から立法措置検討してまいったようであります。  しかるに、立案過程において、政府関係業界の調整に日を費したために、法律案の国会提出がおくれ、会期末になりましてようやく審議が始められましたことは、まことに遺憾であります。  この結果、時間的に、今国会で審議を終えることができませんので、法律案は継続審査に付することが妥当であろうと存ずるのでありますが、閉会中におきましては、広く民間の声を聞く等により審議を尽くし、次期国会において、できる限りすみやかに成立をはかるべきものと考えるのであります。  その間におきまして、政府は、高圧ガス取締法その他の諸法令の適切な運用あるいは行政指導により、液化石油ガスの消費面における保安確保取引適正化措置を講じつつ、現在提案中の液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律案が次期国会で成立いたしました場合に、その施行が当初の予定よりあまりおくれることのないよう、いまから、地方公共団体及び関係業界との連絡のもとに、準備体制の整備等を進める必要があると存ずるのであります。  以上の趣旨によりまして、決議案を提出した次第でございますので、何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  以上であります。(拍手)
  191. 島村一郎

    島村委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議のとおり決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。菅野通商産業大臣
  193. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいま御審議中の液化石油ガス法案につきまして、まことに適切な動議提案され、また皆さまの満場一致で御賛同を得た事柄につきましては、私といたしましては、示唆、鞭撻されるところ少なくなく、皆さま方の御期待に沿うように、今後善処したいと存じます。
  194. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  ただいまの決議の、関係方面への参考送付等の取り扱いにつきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  196. 島村一郎

    島村委員長 通商産業基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
  197. 中村重光

    ○中村(重)委員 実は離島振興法案審議の際に御出席願ってお尋ねをいたしたいと思っておりましたが、時間的な関係で本日おいで願ったわけであります。  長崎県に対馬という島があることは御承知だと思います。この対馬に数年前に水陸両用の飛行場をつくる。もちろんそのことは県の事業としてやったのでありますけれども、運輸省の航空局が指導をいたしまして、陸上飛行場としては適当な土地がない。したがって対馬の竹敷というところに水陸両用の飛行場をつくるということにして、水陸両用機を飛ばすということにすることが適当であろうというので飛行場をつくり、水陸両用機を数回飛ばすということになりました。ところが一、二回飛びますと故障が起こるというので、現在中止をするということになっておる。私は商工委員会において当時この問題を取り上げたのですが、水陸両用機を飛ばすということは不可能なことではないので、いろいろ故障はあるのだけれども、これを修理をするとかあるいは他の飛行機をチャーターするという形で飛ばすようにしたい、必ず島民の方々に迷惑をかけるということはしないのだというような明快なお答えがあったわけであります。対馬の住民は言うまでもなく、関係人たちも必ず遠からずこの飛行機の修理あるいは他の飛行機をチャーターするといったいろいろな方法をもって、せっかくつくりましたこの飛行場が十二分に活用されていくであろうという期待を持っておったわけであります。ところが、先ほど申し上げましたように、せっかくつくりました飛行場も全然使えないという形で今日に至っております。もちろんこの飛行場建設にあたりましては、国も相当な出費もしておることであります。あるいは地元も土地の提供であるとかあるいは直接相当な費用を投じておるわけでありまして、そういう面からいたしましても、何とか衆知を集めていろいろと検討を加えてこの飛行場を活用するということにしなければならないのであります。その後の経過がどういうことになっておるか、一応お答えを願いまして、いろいろとまたお尋ねをしてみたいと思います。
  198. 手塚良成

    ○手塚説明員 対馬の空港につきましては御承知の地形でございますので、昔から離島として航空機の必要性が痛感されまして、何とか飛行場をということで、地元の方々とわれわれのほうと一体となりまして、いま仰せの水上飛行場をつくったわけでございます。当時といたしましては、やはり飛行場としては陸上の飛行場で陸上の飛行機が飛ぶというほうが能率的であるということは十分わかっておったのでございますが、対馬の地形は御承知のとおりでございますので、直ちに陸上飛行場に着手するということができかねる状態であったわけでございます。そこで飛行場としてとりあえずつくりやすいという面も考慮いたしまして、水上飛行場、こういうことになったわけです。  一方、この飛行場を使用しての輸送に当たります航空機としては、当時日本国内航空が所有いたしておりました水上機を長崎航空がチャーターして運航する、こういうことになって、それでしばらく継続いたしたわけであります。しかし日本国内航空が御案内のごとく、非常に企業内容が悪くなってまいりました。政府もあるいは政府関係機関でございます日本航空からもいろいろな援助をいたしましたけれども、非常に企業内容が悪い。そこで私どものほうでは業界の再編成ということを考えまして、昨年閣議決定もいたしまして、日本国内航空は昭和四十六年を目途にして日航と合併する、こういう方針を立てまして、現在その方針のもとに日本国内航空は着々会社内の整理を進めておるという現状でございます。この整理にあたりましてどういう方法をとるかということで、まずその第一が機種の統一整理をするということが企業悪化を食いとめる一番大きな要素をなす、そのほか人員の整理あるいは不採算路線の整理、こういったようなことをあわせ行ないまして、昭和四十六年で一応会社として合併の態勢がとれる、こういう見込みになりました。  その第一の機種の統一整理ということで、いまの水上機が非常に不採算である。日本国内におきまして数もございませんので、故障の際の部品等の入手等も非常に困難である。陸上機に比べまして、水上機でございますので、日常の点検整備等にも時間あるいは経費がかかる、こういう飛行機でございますので、これを整理したい、こういう事態になりました。日本国内航空のただいま申し上げました将来の姿を前提としての整理内容でございますので、私どももその方針に同意をいたしたわけでございます。その結果、わが国の国内企業の中に水上機の持ち合わせのものが皆無になった次第でございまして、その結果、対馬の水上飛行場を利用して民間の輸送に当たるという飛行機がなくなったわけでございます。その後におきまして、その対馬の飛行場はしばらく休止の状態を続けておりました。ただいまも水上機による運航ということの将来が考えられませんので、水上飛行場としては廃止していこう、こういう方針をきめました。廃止のやり方等について目下検討しておる次第でございます。
  199. 中村重光

    ○中村(重)委員 水上機を飛ばすということは無理であるということに大体意見が統一されておるということを伺ったわけでありますが、そうなってまいりますと、陸上の飛行場の建設が可能であるかという問題が一つ出てくる。当該の長崎県におきましては四十二年度予算の中へ調査費を計上した。ところが航空局のほうにおいては長崎県がそうした調査費を計上するということについては問題にしない。したがって国自体としても水上飛行場としてはもう活用できないという考え方を持ちながら、続いて陸上飛行場を建設しようというような調査に着手しておるというような動きがないということになってまいりますと、それじゃどうするかということになってまいります。当時、長崎県としては、水上飛行場をつくって水陸両用機を飛ばすということは適当ではないのではないか、やはり離島振興という立場から陸上飛行場を何としてもつくってもらって、安定性のある陸上飛行機を飛ばしてもらいたいという強い要望にもかかわらず、航空局は、いや水上飛行場をつくって水陸両用機を飛ばせばいいんだからというので指導して水上飛行場をつくったという経過があるのですね。ところが先ほど申し上げましたように、私の当委員会においての質問に対しては、必ず飛ばすことにする、どうしてもだめな場合にはそれにかわるものを考えるのだという明快なお答えが実はあった。いまあなたの御答弁を伺っておりますと、国内航空の再編成という立場から長崎航空と全日空の合併というような問題が実は考えられておるという、そこまであなたの具体的なお答えはなかったのですけれども、大体そういうことだということでありますが、全日空といたしましても、はたして合併に踏み切るのかどうか、その点もまだ煮詰まっておるような状態ではない。かりに長崎航空と全日空が合併をしたといたしましても、対馬に陸上飛行場を建設をするということまで踏み切るかどうか、やはり問題はそこにあるわけですから、その見通しというものもどうなっているのかということを伺ってみなければならない。どうにもならないんだということでは事は済まない。だからいま一つそれらの点について詳しくお聞かせ願いたい。
  200. 手塚良成

    ○手塚説明員 対馬の飛行場につきましては、当初やはり国内企業の立場から水上機がいいというお話し合いを地元といたしました。主として財政的な見地、それから工費、工事期間の面等でできるだけ早くということもございまして、当時といたしましてはいまの水上機がただいま申し上げたような早急なリタイアをするという情勢でもございませんでしたので、手っ取り早さと経費の問題等で水上機ということで着手をしていま運航を開始したということであると思います。ただこれが運航いたしますについては、何と申しましても安全性の堅持を大前提に置いて運航が行なわれなければならないのは先生も御承知のとおりでございまして、私どもといたしましては、昨年の航空界未曽有の相次ぐ事故の経緯にも徴しまして、ただいま飛行場一般につきまして再検討をいたしております。需要の面あるいは地理的条件の面、土地の入手の面、いろんな角度から、原則といたしまして第二種空港をまず手がけて、これの滑走路の延長、保安施設の整備ということをまずやり直す、続きまして第三種空港についてやはり滑走路が現在原則千二百メートルでございますが、これを千五百メートルに延ばすと同時に航空の保安施設の整備をしていこう、その間新設の空港はしばらくやめよう、こういう方針をとっておるわけでございます。昨年末におきまして私どもの大臣の諮問機関でございますところの航空審議会に本件の諮問をいたしましたところが、ただいま申し上げたような飛行場整備に関する御答申もいただいたわけでございます。その線に沿いまして、昨年予算直後の閣議におきまして、空港整備五カ年計画ということで千百五十億の予算を向こう五カ年間にわたって決定を見ておるわけでございます。その内容がただいま申し上げましたようなことで、それぞれ優先順位をつけて進んでいこう、こういうことに現在なっておるわけでございます。対馬の空港自体につきましては、細密調査ではございませんけれども、当時水上機の飛行場をつくります際にやはりある程度の調査と比較検討はやっております。その際に、地形の関係から工事が非常にむずかしい、動かす土量も非常に多くて経費もかかる、なお気象等については詳細なるデータを今後相当長期にわたって調査をする必要もある、こういったようなことがある程度われわれにもわかっております。そういうような関係から、現在あちこちに一せいに手をかけるということがなかなかできにくい現状でありまして、閣議決定の線に沿ってまずプライオリティーをつけましてその整備を進めておる。しかしながら離島におきまする特殊な要請と航空に対する御期待等もございますので、そういった間において適時そういった地元の御要望に合うような検討は続けなければならぬというふうに思っておりますが、直ちに調査して直ちに実施に移すということについては、ただいまは考えてないというのが実情でございます。
  201. 中村重光

    ○中村(重)委員 お答えのとおりに水上飛行場をおつくりになるときに、安全性その他あらゆる角度から調査をしなければならぬ。そこで、五カ年計画ということの中に対馬が入るのか入らないのか。ある程度あなたのほうでは予定線的なものも固まっておるだろうと思うのですが、どうなんですか。対馬はそれに入りますか。
  202. 手塚良成

    ○手塚説明員 千百五十億という五カ年計画の予算の中身につきましては、実は完全に具体的な計画として策定されておるものがまだないわけであります。いま関係省庁との打ち合わせ、地元事情等の調査ができまして、逐次結論を得たものについて相進めておるわけですが、調査等の問題につきましては予算的にこれが中に一括されてぼかっと入っておりまして、どの空港から調査を始めていくかということについてこれから一々具体的な検討をいたしていくということになっておりますので、予算的に見まして、非常にあいまいなことばでございまするが、入っておるとも言えるし、入ってないとも言えるというのが実情でございます。
  203. 中村重光

    ○中村(重)委員 離島というとたいして大きな島は連想しない。長崎県は四五%は離島です。特にその離島の中でも俗に五島それから壱岐、対馬、非常に大きな島なんです。人口六万余の人たちが居住をいたしております。非常に不便な、朝鮮が近いところで、医療機関というものは貧弱なんです。いろいろの面からいたしまして飛行場の建設というものは緊急な問題になりますね。先ほど来申し上げましたように従来の経過、それからそうした島の置かれておる現状等々から考えてみまして、ある程度無理をしてでも飛行場の建設をし、陸の輸送の確保をはかるということが行政として当然なされなければならぬと思う。その点はどのようにお考えでありますか。
  204. 手塚良成

    ○手塚説明員 離島における交通機関といたしましては、現在でもそうでございますが、従来やはり海上輸送というのが主になっておると思うのです。ここに飛行機が入りますことによって、やはり急病人であるとかあるいは新聞その他の配達であるとか、時間的その他において非常に便利な機関であることはわかることでございますので、離島をできるだけ飛行機で交通網を張りめぐらしたいという考え方はあるわけでございます。ただ一方われわれ非常に問題にいたしますのは、これらの路線を開設いたします場合の運航会社としては、やはり民間ベースの運航会社がこれを運航するというたてまえになるわけでございまして、過去のこれら離島についての運航成績を見ますと、東京を中心にいたしました近辺の離島以外のところはおおむね赤字が会社としては出ておるわけであります。昨年これらの赤字に対しまして離島補助というたてまえで補助金を予算要求したことはございますが、これは予算的に認められないで終わっておりますが、やはりこれらを健全に運航するためには、企業的に規模その他において非常に充実した内容の企業が当たらなければ、なかなか一朝一夕に運航することはむずかしいのではないか。そこでわれわれといたしましては現在も、先ほど先生の言われました長崎航空の企業的な再編成を考えたい。それにはやはり大企業との合併によって大きな路線網とそれから大きな規模における機材、乗員というもののそうした融通を円滑にすることによって、一部赤字路線といえどもこれを吸収していくというような考え方で、優先するのはまずもって企業の再編成をこの際強力に推し進めたい、こういう方針を持っておるわけでございまして、この面のある種の実現方と並行いたしまして、こういった離島の運航体制というものの整備を進めたい、こう考えるわけでございます。  長崎航空につきましては、先生も御承知のとおり、遅々とはいたしておりますが、基本線は両者においてそれぞれ具体的な話し合いが行なわれておりまして、方向づけは何がしかできておるかと思うわけであります。この線の見通しを早急につけ、運航開始の見通しを得た上で新たなる空港をつくるならつくる、整備をするなら整備をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  205. 中村重光

    ○中村(重)委員 長崎航空も御承知のとおり大村から福江、大村から博多、大村から壱岐と飛んでおります。大村−壱岐間は黒字なんです。対馬まで飛びますね。さらに黒字路線としては非常に有望なものです。ほかは赤字路線であの線だけが黒字路線です。私は大企業との合併がなくとも対馬の飛行場を建設するということが可能だと思う。また可能ならしめなければならないと思うのですが、これが建設の暁においては路線としての心配はたいしてないと思います。  それから民間の企業ではございますが、純粋の民間の企業でなく、県がこれに対して当然助成をしていくということになると思います。また飛行場に対しては国の助成という道もあるわけですから、航空局が水上飛行場を建設をしたというときの経過を振り返ってお考えになったならば、何とかしなければならぬということになるのじゃないか。あなたの前任の監理部長さんが御出席になると、実はあなたの御答弁のように淡々として私の質問には答えられないのですよ。これは前の会議録をお読みになればどのような明確な答弁をしたかということがおわかりになると思う。ですけれどもこれは人の問題ではございません。それで私は当然あなたもそうした経過というものを踏まえて問題の解決に乗り出してもらわなければならぬと思う。そういうことで、あなたにいろいろとお尋ねもし、また問題の解決を強く求めておるわけです。まあこの点についてはこれ以上あなたにお尋ねをいたしましても、これ以上前進したお答えが得られないのではないかと思います。しかしあなたのお答えを伺っておると、何とかしなければならないという考え方は明らかになっておるわけです。  そこでこれと関係を持ちますのが問題の厳原のヘリポートの建設であります。水上飛行場がだめになった、こういうことで、何とかしなければならぬ。きょうは野村さんも御出席になっていますけれども、なかなか対馬というところは海が荒れる。欠航が非常に多いのですね。それで飛行機にかわるものとしてヘリをひとつ飛ばしてもらわなければならぬじゃないかということになりまして、西日本空輸が計画を立てたわけですね。そして厳原町と、それから壱岐は郷ノ浦町がヘリポートをつくった。このヘリポートをつくったときも、どうもあなたのほうの調査というもの、設計というものが実はミスがありまして、せっかく公聴会をやりましてもまたやり直すとか、あるいは竣工してからまたあれは間違えておったというようなことから、再公聴会を開いて計画を立て直さなければならぬということで、実はいろいろ問題があったのであります。いずれにいたしましてもヘリポートが実はできた。国が起債をつけているのです。ところが西日本空輸が今度はヘリを飛ばさぬということになった。これは問題なんですよ。自衛隊も一緒になって厳原のヘリポートは建設をしたわけです。ヘリポートはできた、ヘリは飛ばないということになってきたのでは、どうにもならないでしょう。前の水上飛行場はそれだ。今度はだいじょうぶだということで大きな期待をかけて国から起債を仰いでつくったヘリポート、これもまたそのまま遊ばせておるという現状なんです。土地代を払わなくちゃいけないですよ。それから今度はそれに投じた費用の元利の償還をしなくてはならない。起債だけではないのですね。また、いろいろと費用がかかっていますから、それの処理もしていかなければならないというので、町長あるいは町議会の責任問題にいま発展している。へたをやったら町長はやめなければならぬというような非常に重大深刻な事態にあるのです。私は先ほど来申し上げましたような一連の関係からいたしまして、航空局もこれは他人ごとだというような形でこれをほったらかしておくというわけにはまいらない。何とか事態の収拾をはかっていかなければならぬのではないか。お聞きになっていらっしゃると思いますが、その点どのようにお考えになりますか。
  206. 手塚良成

    ○手塚説明員 厳原のヘリポートにつきましては、これは地元からの御申請がありました際も、われわれの聞き及ぶところでは、必ずしも西日本空輸のヘリコプターによるところの定期が飛ぶということを前提にした御申請ではなかったと記憶しております。ヘリポートをつくって、ヘリポート間あるいは飛行場とヘリポートの間をヘリコプターで定期輸送することは、ヘリコプターの実情から見ましてなかなかむずかしい問題だと思うわけです。なるほど西日本空輸のそういう御計画があったことはわれわれも伺っております。しかしながら、やはりいま申し上げますように、経営的に見ますと、われわれは非常に当初からむずかしいと見ておったわけです。にもかかわらず、ヘリポートの公聴会及び認可をするということにいたしましたのは、先ほど申し上げましたような海上が荒れたりなどいたしまして、船の運航ができない、急患があるというような際に、やはりヘリポートがあるかないかによりまして、そういった輸送が臨時に早急に手だてとしてとり得るという利点はあるわけでございます。そういう意味合いを兼ねて、あのヘリポートの認可をいたしました。ヘリコプター自体による定期輸送がその上行なわれることは、非常に望ましいと思いますけれども、これも一方私企業が相手でございます関係上、国として強くこれを実施に移させるということは、やりにくい現状であるわけでございます。そういった点で、現状地元の皆さんの御期待に沿わない面があるかとも思いますけれども、われわれの考え方としては、ただいま申し上げたようなことで厳原ヘリポートの設置を認めてきたのが実情でございます。
  207. 中村重光

    ○中村(重)委員 監理部長、事情をよく知ってお答えになっていらっしゃると私は思う。厳原に建設をしたヘリポートと、西日本空輸のヘリを飛ばすということは関係がない。それはお役所人としての答弁、いわゆる型どおりの答弁からはそういうことも言えるかもしれません。しかし、何のためにヘリポートを五百万、六百万かけてつくりますか。貧弱な町村ですよ。西日本空輸がヘリの輸送をやってくれるという期待でつくった。その前に、あまり遠くない曲というところに臨時的のヘリの離着場をつくったということ。これは既存のそういう広場があった。これを利用して飛んでおった。形式は団体輸送です。ところが、形式はそうなんですけれども、実際は定期と同じ形で飛ばしていた。ところがそれは基準に合わないですよ。ヘリポートとしての基準に合わない。したがって、どうしても基準に合う場所を選定しなければならぬ、こういうことになって、自衛隊もそれじゃ協力をしよう、共同で使おうじゃないかということで、現在の場所に建設をしたのです。あなたのほうに申請書を出したのです。ところが、ヘリの定期輸送はないですね。さてどうするかということにいよいよなりまして、結局準定期という形で飛ばすことにする以外にはないじゃないかということに実はなったわけです。準定期と定期と団体輸送とはどう違うかということになって、定期と団体輸送というのははっきりいたしますが、それじゃ準定期とはどういうのか。結局は保安上の問題になってくるわけです。実質的に定期、準定期あまり変わらない。定期ということになってくると、利用者が何時にヘリは必ず飛ぶんだということがわかっている。準定期ということになってくると、これは釈迦に説法でしょう。ある程度天候の関係その他によって、飛ばさなくたってよろしいということでございますから、責任の度合いが違ってくるということになろうと思います。いずれにいたしましても、そういうことで終始あなたのほうはヘリポートの建設に対しても、西日本空輸の申請に対しても、絶えず相談に・あずかって進められてきたのです。だからして、ヘリポートの建設と西日本空輸の申請との関係はないのだ、だから西日本空輸が飛ばさないことになってヘリポートが遊ぶということになっても、その、一とについて航空局は責任を感じないという表現をあなたはお使いにならなかったのだけれども、別に航空局の責任問題という形にもならぬだろうというようには——私は事の次第から考えてみて、それじゃあまりにも対島の離島住民というものが気の毒だと思うのですね。ところが、さればといってどうするのか。西日本空輸は私企業でしょう。しかも西日本新聞であるとか、九州電力だとか、大株主が控えている。この大株主は、いままで飛ばしただけで赤字が数億出ているのに、また飛ばして赤字の連続じゃ、慈善事業じゃないのにできないじゃないか、取り下げろということで、あなたのほうの許可寸前になってこれを取り下げようということでデッドロックに乗り上げているのでしょう。しかしこれは何とか解決しなければならぬと思うのです。でなければ先ほど申し上げたようなことになるのですからね。ここは委員会の席上ですから、ある程度公式的な質問にもなり、答弁にもなるのだろうけれども、事はいま申し上げたようなことだから、何とかこれは前向きの形で問題の解決をするようにしなければならないのではないですか。どう思いますか。
  208. 手塚良成

    ○手塚説明員 対島の航空輸送につきましては、やはり基本的には陸上飛行場をつくって陸上の飛行機でもって運航するということでないと、私は、本来の航空の輸送機関としての使命は果たし得ないし、また地元の御期待にも沿い得ない姿であろうかと思うわけです。ヘリコプターによる輸送と申しましても、ただいまおっしゃいましたようなことで、せいぜい準定期といいますか、路線不定期というような姿で、定時制は確保できませんし、運航率は非常に落ちるということで、企業としては、今回の株主さんの方々の御判断のとおり、赤字の欠損になって非常にマイナスが多くなるということはいなめないと思うわけです。しかし、やはり離島の性格上何らかそういった地元の方々の御要望に沿い、航空の使命をさらに発展的に進めるということからいたしますと、何らかの措置は考えなければいかぬだろう、それにはとにかく陸上の飛行場で陸上の飛行機ということがやはり目標じゃないかと思うわけです。暫定的に、そのヘリコプター問題についても、いろいろさらに会社事情その他も私のほうでも調査をし、検討を進めたいと思いますけれども、やはり要は、離島の整備をはかってそれに対応する体質改善された企業が早く生まれ出る、こういう方向ではないかと思いますので、先ほど来お話し申し上げておりますような順序手段によりまして根本的な解決をはかっていきたい、こういうふうに考える次第であります。
  209. 中村重光

    ○中村(重)委員 確かにそうです。輸送というのをあまりヘリに多く期待するということは問題があると思うのです。確かに飛行機によるものでなければ、いわゆる空の輸送問題の解決にはならぬ。しかし、これも非常に問題があります。空の場合も非常に風が強い。そこで交差滑走路でないといかぬのではないか。そうなりますと、第一そういう適当な土地が、飛行場建設にふさわしいような土地があるだろうかという問題が一つある。それから交差する滑走路をつくるということになってまいりますと、費用の面におきましてもおそらく三十億程度かかるのではないかということも言われている。そういう面からもたいへんな難問題。しかしとりあえずの措置といたしましては、いま建設しているヘリポートを利用してヘリを飛ばすということは考えられる。しかし長崎航空が壱岐まで飛行機を飛ばしているので、これと競合するので、どちらも採算がとれないという問題も出てくる。採算のとれるような方法はないのか。長崎のほうにヘリポートをつくって、長崎から博多へ、博多から壱岐、対馬へ、こういうことになってまいりますと、十分採算がとれるということが一応計算面からは出てくるわけです。だから、いろいろな問題を爼上に上げて検討して問題を解決をしていくということでなければならぬと私は思います。しかし、その点に対するお答えをいまいただくことは無理と思いますから、前からの関係者もおられることですから、西日本空輸なり長崎県なり、あるいはその他当の対馬の町村関係者なり、そうした人たちと十分話し合いをされて、問題を解決をするという方向にひとつ取り組んでもらいたいと思います。  それから、野村さんに簡単にお尋ねいたしますが、この空路の問題と同じように、それ以上に航路の問題は重要な問題でありまして、対島の厳原−博多間、それから下関と比田勝の関係、その問題の航路をどうするかという問題について、あなたのほうも非常に頭を痛めておられるということ、何とかひとつ航路の改善のために島民の立場になって解決しなければならぬということで、鋭意努力をしておられるということはよく承知いたしております。九州郵船との関係等、必ずしも離島住民の——あるいは総理が航路の改善の問題について、いろいろと島民に期待を与えたというような経過もあるわけでありますが、その後どういう方向に進んでおるか、一応それを伺ってみたいと思います。
  210. 野村一彦

    ○野村説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、先般、先生が運輸省にいらっしゃいまして、いろいろ現地の実情をお話しくださって、また、こういうふうにすべきではないかという現地の実情に基づく御意見を拝聴したこともございます。そのときに、その先生の御指摘の線の中で、さっそく実現できるものと、それからある程度調査研究を要して実現しなければならないこと、いろいろと選別をいたしまして、そして現在対馬航路を経営しております九州郵船の社長、専務理事等を再三招集いたしまして、実情を聴取いたしました。またその間、本年の春でございましたか、衆議院の運輸委員長が島民の御要望によりまして現地を御視察になられましたので、そのときに私どもの定期船課長が同行いたしまして、現地の住民の代表の方とお会いし、また船の経営者の人ともお会いしまして、いろいろ実情を検討いたしたわけでございます。  現在までに実現できましたのは、下関から比田勝に至ります北の航路、これが御案内のように従前は百五十トン程度の船でございましたのが、これを私どもが勧奨いたしまして、九州郵船がよその会社から定期船を買船いたしまして、現在四百五十トンの船が通っておるということで、北のほうの住民の方々からは、相当改善をされたという声を聞いております。  それから、一番中心になっております福岡と厳原との航路でございますが、これにつきまして、先生からも再三御指摘があり、また私ども会社側を再三呼びまして事情を聴取いたしましたところ、会社が従来一番危惧いたしておりました点は、御承知のように、離島航路に指定をして、そして補助航路の対象になるということになりますと、これはいろいろ制約を受けるのではないかという点、それからもう一つ、現在八分ですか配当いたしておりますが、そういう会社が離島航路の補助航路の指定を受け得るのかどうかという点について、会社側が必ずしも十分な実情を知らなかったという点もあったかと思いますが、その点につきましては、私ども説明をいたしまして、現在、昭和四十一年度から離島航路の補助方式が変わりまして、航路主義ということになっておる。したがって、会社全体として八分以下であれば、たとえ配当をしておっても、当該航路が適正な経営にもかかわらず赤字になる、あるいは現在赤字でなくても、新船を投入することによってその年度はやむを得ず赤字になるというようなことがあっても、それはその離島航路の重要性等にかんがみて、離島航路に指定することができる。指定すれば、補助金も出ますし、それから船舶整備公団で建造する場合には、八割の融資が受けられるのだという制度説明いたしましたところ、会社側も、まだはっきりした決心はつきかねているようでございますけれども、相当新船の建造について、島民の要望もあり、また、私どもも及ばずながら相当会社に強く勧奨をいたしておりますので、そういう前向きの線で検討してみましょうということになっております。したがいまして、私どもは、新船の建造ということにつきましては、会社側もいろいろ計画はあるようでございますけれども、できる限り早く、できれば四十三年度に千トンクラスの新船を建造するように、さらに再三今後とも強く勧奨したいと思っております。  それから、等級の設定の点について先生からもいろいろ御指摘がございました。私のほうの定期船課長が現地を見てみましたときにも実情が相当わかったわけでございますが、基本的には、現在の等級につきまして、一等何名あるいは二等何名にするという法的な基準はございませんが、おのずからそこに常織的な線がありまして、それに基づいて一応等級をきめておるわけでございますが、そういうこともありまして、たとえば二等の席になりますと、二等の定員をきめるときには、人がすわっておるスペースを基礎にして人数を割り出すような規定に現在なっております。ところが実際には、航路等がしけますために、早く入られた方が横になられるということになると、あとから来た方がどうしてもその席に入れないということがあって、相当はみ出すというようなこともあるようでございますので、この点につきましては、船舶検査の技術面からいろいろ検討もしなければなりませんので、下級等級の増員ということをすみやかに私どもやりたいという考えは持っておりますけれども、なかなか技術的に問題もあるようでございますので、その点はもうしばらく船舶局のほうと連絡をとりながら検討をしたいと思っております。先生の従来からの御要望に対しまして、はなはだ歩みは緩慢でございますけれども、少しずつ前進をしておる、こういう状況を御報告申し上げたいと思います。
  211. 中村重光

    ○中村(重)委員 比田勝—下関間のいわゆる北の航路が百五十トンから四百五十トンになった。だがしかし、これも隔日だろうと思うのです。毎日ということになってまいりますと、よほど緩和をする。物価の問題等にも好影響をもたらすことになると思うのです。しかしいずれにいたしましても、百五十トンが四百五十トンになったわけですから、大きく緩和したということは言えると思う。  ところが、博多——厳原間ということになってまいりますと、いまあなたのお答えを伺ってみましても、約半年あるいはそれより前に計画として伺ったことと変わらないということに実はなるわけであります。しかし何とか航路問題解決のために船舶整備公団に対して新船建造を当該九州郵船にやらせようという考え方を持って接触しておられるということは、いまの答弁からもうかがえるわけです。ですが、その九州郵船としては、なるべくならつくりたくないというような気持ちがあることは、これは事実だろうと思う。だからして、よほどあなたのほうが強力なる行政指導をおやりにならなければ、計画のいわゆる八百トン級の新船建造ということまでにはなかなか進まないであろうと私は思うのであります。四十二年度に島民に対する期待というものを八百トン級の新船建造ということで持たしておったことは事実です。また、総理も、航路改善のために積極的に取り組むのだということをはっきり言明しておられるのですね。総理がせっかくああいうことを意欲を示しておられるのだから、必ずや航路問題は大きく前進するであろうと思っておった。ところが、いまのあなたのお答えでも明らかなように、問題の解決はまだほど遠いと言わなければならない。ですから、四十三年度からということになってまいりますと、もう計画も船舶整備公団としてもいろいろほかの関係があるわけですから、すみやかにこれを決定するということでなければならぬと思うのです。ですから、大体私企業の関係ではありますけれども、従来ずっと接触を続けてきておられるわけでありますから、ある程度の見通しはあると思うのです。ですから、八百トンあるいは一千トンクラスの新船建造が四十三年度には可能なのかどうか。その点についての見通しというものをひとつお聞かせ願いたい。
  212. 野村一彦

    ○野村説明員 毎年度の新船建造の船舶整備公団の融資ワクを大蔵省と折衝いたします際には、私どもといたしましては、大体旅客船事業者の希望と、私どものほうで大体見当をつけて、これは相当改善の必要があるのではないかというものを総合いたしまして、現実にこういう程度の必要性があるから、したがってこの程度の建造融資ワクをほしいのだという折衝をしております。大体具体的な裏づけをもって折衝しております。そしていままでのところ、必ずしも十分とは言い得ませんけれども、離島航路の融資ワクにつきましては昨年三億、今年度四億という融資がつきました。そして、たとえば昨年度では奄美大島に行きます千五百トンクラスの船が決定いたしましたし、今年度では隠岐の千トンクラスが決定いたしました。したがいまして、各年度相当重要な離島航路の大型の船が建造のワクの中に出て、それがきまっております。したがいまして、来年度の建造融資ワクをこれから折衝するわけでございますが、そういうときに際しましては、極力先生のお話にありますように、対馬航路の建造を実現できますように、これは最終的には私は会社側の決断いかんだと思いますが、そういう点で極力会社側を勧奨、督励をして、これに踏み切るように行政指導をしたい、このように考えております。
  213. 中村重光

    ○中村(重)委員 これでやめますが、先ほどあなたが、現在運航している船舶の定員の問題についてお話があったのですが、すわっていくか、寝て長くなっていくかということによって定員を幾らにするかということが変わってくるというのはよくわかるのです。六時間も七時間もすわっていくという形で定員をとりましても、なかなかそんなにすわっていけるものではございませんよ。何も見るものはないのですからね。だから、船そのものをつくりかえるのでなければ、船の絶対面積というものはきまっているわけですから、それに寝ていくのかすわっていくのかということによって定員の問題を形式的にいろいろいじりましても変わりませんよ。それはなるほど定員超過で乗船をさせるということは違反でしょう。ところが、現実にはどうなんです。一日か二日欠航いたしますと、イモを洗うように超満員ですよ。私は、身体障害者が船室でいっぱいで、足の悪い身体障害者ですからどうすることもできない、入るわけにはいかないので、そこで廊下に寝ている、その写真を実はとっています。あなたに一度お見せしようと思ったのだが、まだお見せいたしておりません。深刻ですよ。だから定員増という問題も、あなたのほうとしては誠意をもって何とかなればというようなお気持ちから考えられたと思う。ですから、それはそれなりにけっこうだと思います。その誠意は私は認めたいと思います。ですが、何としても大きい船をつくるとかあるいはもっと運航回数をふやしていくというようなことですけれども、現在の対州丸と壱州丸というこの二つでもっては運航回数をふやすといってもできるものではありません。ですからどうしても新船をつくらなければなりません。答えははっきりしています。ともかく離島の人の立場になってお考えになったらおわかりでしょう。欠航したら旅館かどこかに泊まらなければいけないのです。所得水準は低い。生活は非常に苦しい。離島なるがゆえに物価も高いですよ。なおさら苦しくなっていく。そのことを考えてみますときに、離島航路の問題は陸の国道、県道という考え方の上に立って問題解決をはからなければいけない。補助航路の指定というようなものもできるだけ弾力的にやりたいというあなたのお考え方を明らかにされたわけでございますから、どうかそういう点においては、より積極的に問題解決に取り組んでもらいたいと私は思うのであります。決してローカル的な問題として私はこれを取り上げて強調いたしておるのではありません。離島問題ということになってまいりますと、申し上げるまでもなく、長崎県は全国において尤たるものであります。したがって、航路の問題、空路の問題というのは、どうしても例として引用いたします場合にも長崎県の問題なんかは大きくそこで取り上げられなければならないことになるわけであります。せっかく離島振興法の一部改正もなされ、文教、厚生関係が実は大きく前進をすることになったわけです。建設公共事業関係だけが三分の二の補助であったが、今度は教育では教員の関係あるいは学校の整備あるいは病院その他の公共施設あるいは保育施設等々の問題にいたしましても補助率をアップいたしまして、三分の二の補助という形になったわけです。しかし離島問題の解決は、やはり航路の問題解決、空路の問題の解決ということがきわめて重要であるということをさらに再認識をしていただいて、ただいま私が取り上げましたところのこの二つの問題解決のために強力にひとつ取り組んでいただきたいと思うのであります。いま一度だけ手塚監理部長並びに野村参事官から決意のほどを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  214. 手塚良成

    ○手塚説明員 対馬におきます空路の航空輸送の問題につきまして、先ほど来いろいろ適切なる御見解をいただきまして、私どものかねがね考えておる点と一致しておるわけでございます。当面諸種の航空事業とのかね合いもございますし、恒久的には先ほど申し上げたような施設の整備、運航体制ということは必要であると思いますので、その方向を強力に、積極的に推進いたしますとともに、先ほどお触れになりましたようなそれまでの臨時設定という問題についても極力検討を続けていきたい、こういうふうに考える次第でございます。
  215. 野村一彦

    ○野村説明員 航路の問題につきましては、ただいま先生の御指摘のように福岡と厳原を結ぶ航路というものが中心でございまして、この航路の充実ということにつきましては、私どももかねがね御指摘のような点につきまして少しずつでもそれを実現したいと考えてやってきたわけでございますが、残念ながら今日まで必ずしもその歩みが早かったわけではございませんので、ただいま重ねて先生の御指示もございましたことでございますめで、できるだけ航路の充実、改善、また下級の等級の定員増ということにつきましてすみやかに実現できるようにいたしたいと考えております。
  216. 島村一郎

    島村委員長 次会は、明二十一日金曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会