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1967-07-19 第55回国会 衆議院 商工委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十九日(水曜日)    午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 河本 敏夫君    理事 中川 俊思君 理事 田中 武夫君    理事 中村 重光君 理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    岡本  茂君       黒金 泰美君   小宮山重四郎君       小山 省二君    齋藤 憲三君       坂本三十次君    田中 六助君       丹羽 久章君    橋口  隆君       武藤 嘉文君    兒玉 末男君       佐野  進君    千葉 佳男君       中谷 鉄也君    永井勝次郎君       平岡忠次郎君    古川 喜一君       塚本 三郎君    吉田 泰造君       近江巳記夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業大臣官         房長      大慈彌嘉久君         通商産業省通商         局長      山崎 隆造君         通商産業省企業         局長      熊谷 典文君         通商産業省重工         業局長     高島 節男君  委員外出席者         通商産業省企業         局商務第二課長 諸口 昭一君     ————————————— 七月十九日  委員中嶋英夫君及び帆足計辞任につき、その  補欠として兒玉末男君及び石野久男君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員兒玉末男辞任につき、その補欠として中  嶋英夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  商品取引所法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三一号)(参議院送付)  貿易大学校法案内閣提出第五六号)      ————◇—————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出商品取引所法の一部を改正する法律案を議題として、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。兒玉末男君。
  3. 兒玉末男

    兒玉委員 通産省のほうにお伺いをしたいのでございますが、商品取引所審議会が昨年の十一月二十四日に答申をいたしております。この答申内容から判断いたしましても、特に最近における商品取引実態というのは相当変化をし、法律が制定された当時からは客観的な諸情勢も大きく変わっておるわけでありますが、そういう状況に置かれながら、ほとんど過去十年間この改正が全然行なわれない、しかもいわゆる取引に参加する委託者大衆仲買人との間に商品取引をめぐって相当数紛争も提起をされ、相当これは政治問題化されておるわけですが、こういう問題が過去十年間も放置されてきたのは一体どういうことなのか。  それから、今回出されました答申内容というものが法改正の面において具体的にどのように処理されてきたのか。この辺について、一応いただきました資料により読ましていただいておりますが、この際、あらためてお聞きしたいと思います。
  4. 熊谷典文

    熊谷政府委員 第一点は、改正がおそきに失してはいないかという御質問だろうと思います。この取引所運営の問題が大衆参加によりまして非常に問題になりましたのは、この数年来の問題だろうと思います。われわれといたしましても鋭意そういう面についての改善考えたわけでございますが、御承知のように、取引所改正というのは非常に多岐にわたるわけでございます。したがいまして、昨年度におきまして法律改正が間に合わないという関係もございまして、昨年の四月から、行政運営によりまして相当強力な指導を、つなぎとしていたしたわけであります。その後、いろいろ研究いたしまして、今回ようやく改正案を見るに至ったわけであります。  それから第二点の、答申の線をどういうように実行しておるかという御質問でございますが 今回の答申におきましては、仲買人に対する規制の強化、受託の健全化売買取引の公正の確保、商品取引所管理機能の充実、主務大臣あるいは取引所の監督の強化というような、大きく分けまして五点にわたって答申をいただいたわけでございます。われわれといたしましては、この答申にきわめて忠実に改正案をつくったつもりでございます。
  5. 兒玉末男

    兒玉委員 それでは具体的な問題についてお尋ねいたしますが、補足説明の中で、特に今回の制度改正のポイントといわれるいままでの登録制から許可制に切りかえたわけですが、それに対しましてこの法改正により、適用については三年間のいわゆる猶予期間を置かれているわけですが、特に私は問題の本質から考えまして、三年間という期間は、やはり過去十年間法改正が行なわれなかったという一つの体系に立つにしましても、少し猶予期間が長過ぎやしないか。しかも現実に法廷まで持ち込むほどかなり悪質な取引も行なわれておる、あるいはそういうような大衆委託者に対するところの誇大な宣伝という問題も提起されておるというような点から勘案する場合に、三年間という猶予期間を置いた理由は那辺にあるのか、もう少しこれは短縮し、もう少し積極的な取り組みをする必要があるんじゃなかろうか、このように考えるわけでありますが、その辺の経緯をひとつお聞かせいただきたい。
  6. 熊谷典文

    熊谷政府委員 経過規定で三年間の猶予期間を置いたわけでございますが、御承知のように現在の仲買人状況といいますのは、資本金額で申し上げますと七〇%以上のものがやはり五千万円以下の中小の仲買人である実態にございます。今回の改正の眼目でございます純資産額の引き上げとか、あるいは委託証拠金分離保管というような措置をとったわけでございますが、これを一気に強制いたしますと、たとえば分離保管を五〇%初年度にやるというような形になりますと、現在の仲買人の実情からいいますと、その約六割がやはり非常に苦しい状況にある、へたをすると倒産のような状況に追い込まれるという実態に実は克明に調査いたしました結果あるわけでございます。われわれのほうといたしましては、できるだけ正しい姿に早い機会にするということと同時に、やはりこの仲買人がいたずらに倒産いたしますと、委託者に必要以上の迷惑もかけるという両面を加味いたしまして、三年間の猶予期間を設けておる。しかしながらこの三年間においてすべて猶予するというわけではございません。いまの資産的な問題はそうでございますが、その他の過当勧誘の禁止とか、その他いろいろやりました措置につきましては、逐次適用をいたすわけでございます。それと同時に、三年間におきましても、純資産にしましても分離保管にしましても毎年度ごと引き上げていくわけでございまして、仲買人にとっては相当努力が要る問題であろうかと思います。そういう実態とあわせてそういう措置をとったわけでございます。
  7. 兒玉末男

    兒玉委員 この点についてはあとでもう少しお聞きすることにしまして、時間の関係もありますので次に進みたいと思いますが、委託者紛議といいますか、この紛争状況というのはここ二、三年どういうふうな経過にあるか、その概略でもけっこうでございますが御説明をいただきたいと思います。
  8. 大和田啓気

    大和田政府委員 委託者紛争は、農林省関係だけの取引所に限らないわけでございままけれども穀物関係相当委託者紛議が起こっておりますので、状況を申し上げますと、三十七年に百七十四件でありましたものが、三十九年度におきましてピークに達しまして五百二十九件でございます。四十一年度におきましては三百八十二件となっておりますが、私ども、この紛議が起こりましたことを契機といたしまして今回の法律改正に至るわけでございますが、法律改正に至る前、四十年くらいから取引所指導いたしまして、相当きつく外務員登録制度改善でありますとか、あるいは過当な広告宣伝自粛でありますとか、いろいろなことをやっております関係で、四十二年度に入りますとよほど紛議が少なくなりまして、第一・四半期は、最近まとめたところによりますと大体四十件程度でございますから、紛議はよほど減りつつある、しかし今後も、一・四半期四十件というのは前に比べれば少のうございますが、決してそれで落ちついたというふうには私ども思っておりませんので、紛議の発生の根源を除くよう、今回の法律改正契機として、いよいよ仲買人の厳選あるいは外務員の適正な活動というものを指導いたす所存でございます。
  9. 兒玉末男

    兒玉委員 いま経済局長から答弁されました数字を見ますと、三十九年度は五百二十九件ですか。四十年はどうなっておるか御説明がなかったようですが……。
  10. 大和田啓気

    大和田政府委員 それでは年ごとに申し上げますと、三十七年が百七十四件、三十八年が三百三十二件、三十九年が五百二十九件、四十年が四百八十四件、四十一年が三百八十二件でございます。
  11. 兒玉末男

    兒玉委員 いろいろといままでの資料なり新聞その他の集計を見てみますと、いま局長が言われました数字紛争調停委員会において処理されたものか、あるいは調停委員会にかかる以前に当事者間で話し合いをつけて、一応紛争としては提起されたけれども解決を見たものか、その辺の区別はどうなっておるか、お聞かせいただきたい。
  12. 大和田啓気

    大和田政府委員 私が申し上げた件数は、私ども紛議調停のやり方といたしまして、軽微なものはまず取引所事務局解決をして、事務局解決しづらいものを調停委員会まで持ち上げて解決をするというのが主でございます。したがいまして、全然取引所にも連絡がなくておのずと解決されたというものは入っておらないと思いますけれども取引所まで来たものはどんなに軽いものでもいまの数字に入るわけであります。
  13. 兒玉末男

    兒玉委員 先ほど企業局長からも説明がありましたが、商品取引所に対してかなり行政上の指導強化した、こういうことがいわゆる仲買人委託者あるいは仲買人取引所、こういうことで紛議というものが表面化しない、そういう傾向になってきたんじゃないか、これは私どもは類推でありますけれども、特に三十九年をピークとして四十年から下降線をたどっているわけですけれども、この点は内面的に実際そういうような紛争がなくなったのかどうか、この辺の見解はいかがでございますか。
  14. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども考えますのに、とにかく仲買人あるいは外務員自粛がある程度まであらわれましたこと、それから一般お客の側で相当損害をこうむっていわばやけどをした人たちが現にあるものですから、したがいまして、一般大衆の方がアズキならアズキ、そういうものを簡単にさわってはいかぬということで、仲買人外務員側事情、あるいは一般大衆客事情、両方相まちまして私は実質的に紛議の数が少なくなったというふうに考えております。
  15. 兒玉末男

    兒玉委員 せっかくの機会でありますから、参議院における質疑応答の中で、特に四十一年、先ほど局長の答弁されました三百八十二件の紛議、これは特に農産物でありますけれども、どうしてアズキに集中的な紛議が起きたのか。これは特に農産物価格形成の中枢をなす商品取引所の任務というものの重大さは十分理解するわけでありますけれども、需要と供給のバランスのくずれ、そういうところを見越して、これはきわめて極端な表現で言うならば、悪質な紛議ではなかろうかというような感じを私は抱くわけでございますが、その三百八十二件の紛争内容というものも資料となって出されておりますけれども、非常に委託者の無知につけ込んだような紛争が起きたようにこの内容から判断されるわけでございますが、一体どうしてこういうふうにアズキに限って多くの紛議が出されたのか、その辺の経過と、これに対する処置をどういうふうにされておるのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  16. 大和田啓気

    大和田政府委員 商品取引所全体の中におきましても、穀物取引所の中におきましても、アズキ取引量が圧倒的に多いわけでございます。これはアズキ一般に非常に親しみやすい商品であるということもありましょうし、豊凶によって生産量が非常に動くということもありましょうし、また、世界のどこからでも大量に輸入できるというものではございませんで、供給量にある程度の制限があるというところから、いわば投機を好む人たちにとって一つの絶好の対象であるというふうに申し上げてよかろうと思います。それで、商品取引所外部資金がたくさん集まりました経緯としては、証券市場が当時穏やかであったといいますか、活発でなかったといいますか、そういう事情もあったと思いますし、また、仲買人外務員相当使って、外務員活動が三十九年ごろから非常に活発になったという事情もあるだろうと思います。また、外務員活動いたします場合にも、決してお客さんに損をさせないということでお客さんをだましたという事例も事実相当あるようでございます。一般大衆投機的な心理につけ入って、外務員相当悪どい勧誘をしたということも三十九年を頂点として紛議がしきりに起こったことのやはり大きな事情であろうと私は思います。私ども、今後は仲買人の経営の健全化あるいは外務員活動適正化ということと同時に、できるだけ機会を求めて取引所等指導して、一般大衆の自覚というと大げさでございますけれども、何も知らない人たち商品取引所に来れば金がもうかるということで宣伝を絶対にしないようにという十分の注意をして、両々相まって今後紛議の少なからんことを期待をいたしておるわけでございます。
  17. 兒玉末男

    兒玉委員 三十九年から一応件数が減少の方向にあることは喜ばしいことだと思いますが、この二、三年間に紛争調停委員会において処理された件数内容、それから現在法廷において争われている件数はどうなっているのか、どこに問題点があるのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  18. 大和田啓気

    大和田政府委員 私が申し上げました紛争事件の大体七割程度解決しておるわけでございます。大体事務局のところで解決をしまして、紛争調停委員会にあがるのは毎年各取引所数件でございます。大体事務局で片づいております。七割程度片づいておりますが、あとは、片づかないままでそのままになってしまうものもありますし、訴訟対象になるものもございます。穀物関係で申し上げると、四十年度に十件、四十一年度に十四件程度訴訟になったというふうに承知いたしております。
  19. 兒玉末男

    兒玉委員 訴訟問題になるのは、結局委託金の返還をめぐる問題ではなかろうかと思うのですが、内容は大体どういうことですか。たとえば、事件紛議内容で、一任売買とか、無断売買とか、あるいは仲買人がかってに玉の処分をしたとか、いろいろな例があるわけです。いずれにしても、この委託者が過大の被害をこうむったということが争いの焦点ではなかろうかと思うのですが、その辺はどういうふうな内容になっておりますか。
  20. 大和田啓気

    大和田政府委員 大体申し上げますと、訴訟になりましたものの一つのグループは、外務員に過度にだまされて今日非常に損をしたというケースが一つございます。それからもう一つは、営業所長なりあるいは支店長なりの権限をめぐって、会社のほうからいいますと、それは支店長なり営業所長の越権だと言うし、お客のほうからいうと、当然それは会社の責任であるということで、支店長なり営業所長なりの活動をめぐっての責任問題で訴訟に至っている事件があると思います。
  21. 兒玉末男

    兒玉委員 いずれにいたしましても、この商品取引所制度は非常に封建的な制度もとに長年運用されてきた。そのことが、法制定以来大幅な改正が十七年間もできなかったというような状況から判断しますと、また、いままで私たち関係者から聞いた状況から判断しますと、いま局長も答弁されましたとおり、この仲買人の手先になって働いている外務員の質的な向上ということが要請されるのではなかろうかと思うのですが、現在この外務員の待遇なりあるいは労働条件、また今後の外務員の質的な向上をはかるためにどういうふうな指導をしていかれようとするのか、この辺の状況についてお聞かせ願いたい。
  22. 大和田啓気

    大和田政府委員 私どもも、外務員資質向上あるいはその活動適正化ということがこの問題を解く大きなかぎだと思っております。それで、最近、外務員をたくさん雇っております四十の仲買人について調査いたしましたところの結果を申し上げますと、俸給については、固定給が二〇%、それから固定給がちょっとで、歩合給が主というのが七%——詳しいお話は省略いたしますけれども、やはり歩合相当たよっていて、外務員相当お客さんを勧誘しなければ収入がふえないというような状態になっておるわけでございます。ボーナスの支給についても、そういう傾向があるわけでございまして、これは一々仲買人指導して、できるだけ固定給本位にしなさいといいましても、簡単にそうなるものとも私ども思っておりませんけれども、今後の私ども指導方針としては、あまり無理な外務員活動にたよらざるを得ないような給与制度はできるだけ改善をしてもらうようにということで強く関係者に言っておるわけでございます。そのほか、なかなか言ってもむずかしいことでございますけれども取引所を中心とした研修、実務講習等についても十分つとめるつもりでございます。
  23. 兒玉末男

    兒玉委員 この外務員仲買人関係等についても、いま局長の答弁されたとおり二〇%程度固定給をもってしては、当然これはノルマ過剰という形で、過当な宣伝なり勧誘なりが行なわれる危険性が十分予想されるので、今後の行政指導面においても積極的に取り組んでいただきたい。同時に、委託者のほうにも、投機心をあおると、ついそれに乗って過大なもうけをしようとして、商品取引の正しいあり方というものに対する認識が欠けておるところにこのような紛議が起きると私は思うのです。でありますから、今後の法改正委託者保護に最重点が置かれることはけっこうでありますが、同時に、大衆に対する商品取引への認識を深める。そのために、私はやはりPR活動ということが必要ではなかろうかと思うのですが、せっかく委託者保護のこの答申が出され、法改正まできているわけでございますが、肝心の大衆商品取引に対する正しい理解を持たないと、このあやまちというものは、りっぱな法律ができてもさらに繰り返されるのではなかろうかと思うのですが、この辺の対策についてはどういうようにお考えになっておるのか、お聞かせいただきた  いと思います。
  24. 大和田啓気

    大和田政府委員 私も全く同じ考えでございます。法律を直しまして、仲買人あるいは外務員制度について相当改善をいたしましても、制度だけの問題ではございませんで、実際の活動内容の問題でございますから、この法律改正の趣旨を生かすように今後十分仲買人あるいは外務員についての指導につとめるつもりでございます。
  25. 兒玉末男

    兒玉委員 いままで資本力の小さい仲買人等相当数倒産をして、ほとんど委託者泣き寝入り状況にあるということがいろいろな新聞等でも報道されてきたわけですが、現在までの倒産並びにそれぞれの被害状況、こういうものはどういうふうになっているのか、この点お聞かせをいただきます。
  26. 大和田啓気

    大和田政府委員 最近におきます仲買人倒産状況を申し上げますと、農林関係通産関係、両方含めまして二十の取引所関係で、三十七年から四十一年の五カ年間にわたります倒産仲買人の数は総計三十七でございます。委託者延べ口座数が二万三百ほどでございます。被害金額は、これも二十の取引所全体を合わせまして五十二億ほどに及んでおります。
  27. 兒玉末男

    兒玉委員 五十二億という金額は、おそらく零細な投資者ばかりだと思うのですが、この五十二億の損害額というのは、全然委託者は補償されてないのか、まるまるこれだけの被害が起きているのか、あるいはそのうちの何%かの金が委託者に返されているのか、その辺はどういうふうになっているのですか。
  28. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども関係を申し上げますと、倒産仲買人が出ました場合は、取引所指導いたしまして、名前はいろいろございますが、債権者協議会をつくりまして、仲買人倒産についての債務の分配について、適正な分配が得られるように、取引所が中に入って相当努力をいたしております。それで、中には被害額の三、四割、あるいは五割程度を回収する事例もございますし、非常にまずい例の場合は数%程度の回収にとどまるものも実例としてございました。それで、被害相当多いような場合には、取引所が自分の積み立て金を吐き出して、多少の、千万あるいは場合によって五百万という例もございますわけですけれども取引所自体見舞い金を送って処理をするという例もございます。
  29. 兒玉末男

    兒玉委員 倒産並びに今後予想される問題でございますけれども、たとえばアズキの三百八十二件の紛議の中で、一任売買紛議が三十三件、無断売買、いわゆる委託者許可を得ずにかってに売買した件数が七十二件、それから仲買人外務員を通じての連絡をしないまま玉の処分をしているのが二十八件、こういう点から考えますと、やはり委託者よりも仲買人等がかってに売り買いをして損害を与え、事件を引き起こしておるという点から考えますと、もちろん委託者は資金的にも、あるいは法的な知識も浅いし、紛争なりあるいは訴訟になった場合は結局泣き寝入りをせざるを得ない、こういうようなかっこうが大多数の実例ではなかろうかと思うのですが、この昨年のアズキ紛議内容から判断いたしましても、相当これは積極的な指導をしなければ、やはり委託者保護重点が置かれておる答申法改正というものが、結局もとのもくあみになってしまう危険性というものが多分に予想されるわけでございます。この辺の指導ということをどういうふうに法的にも強化されていこうとするのか、この辺明らかにしていただきたいと思います。
  30. 大和田啓気

    大和田政府委員 先ほども申し上げましたが、紛議の大体七割程度は円満に解決いたしておりますが、現に倒産仲買人に関する紛議は、調停がうまくいかないのが普通でございます。倒産仲買人に関するものを除いては、八〇%程度紛議が現に円満に解決をいたしております。今後の問題といたしましては、もちろん紛議を少なくするように努力をいたすわけでございますが、そのためには、一つ倒産仲買人というものが出ないように、これは私ども検査を厳重にして、純資産額がへっこんでいるような場合は、これを厳重にもとに復させるように努力をいたすということは当然でございますが、同時に、仲買人資質全体を評価できるように、今回の改正登録制許可制に改めたということも、一つはそこにあるわけでございます。それ以外に、紛議が起こりました場合の処置としては、私ども四十年に定款を改正して、紛争調停委員会取引所に置きましたことで、またその運用が比較的うまくいっておりますので、紛議が起こりましてからの措置としては、大体この道を進めばいいと思いますけれども紛議が起こることを少なくするために、先ほどから申し上げておるように、仲買人外務員の事業の健全な運営についての指導を強める必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  31. 兒玉末男

    兒玉委員 あと、それでは二点だけにしぼって質問したいと思いますが、今回のこの制度上の大きな改正としては、現在までの登録制許可制に変える、これは画期的なことでありますが、やはり実現には相当の困難が予想されることを局長も答弁されたわけでありますけれども許可制に切りかえることによって実質的な差異というものはどうなのか。また、もちろん許可制によって今後の取引運営というものは公平適正に行なわれていくことを期待するわけでありますが、この根本的な制度改正の違いというものと、その効果というものをどのように期待をされておるのか、この辺を明らかにしていただきたいと思います。
  32. 熊谷典文

    熊谷政府委員 従来の登録制におきましては、一定の純資産額と、それからあと法律違反等の欠格条項、そういうものがない場合は自動的に登録されたというような、非常に形式的な要件のみでございます。今回の許可制におきましては、そういう純資産等の財産的基礎につきましても強化をはかりますとともに、さらに負債比率、流動比率等の経営上の比率等も採用いたしております。それと同時に、今後の取引仲買人の社会的な信用を高めますために、仲買人相当の知識、経験を要する、それと同時に社会的な信用も要求する、こういう形をとっておるわけでございます。なお、大衆の参加あるいは過当投機の原因になります営業所の設置等につきましても、これを一つ許可の要件にいたしておるわけでございます。したがいまして、従来から見ますと非常に質的面が強化されたということがいえると思います。  そういうことによりまして、今後いわゆる倒産防止あるいは被害が起きた場合の仲買人の資力の充実による弁済というような面につきまして、私ども相当の効果をあげ得る、かように考えておる次第でございます。
  33. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、今回理事長が理事を選任する制度理事長が理事を選任するということになったわけでありますけれども、私は、むしろこのことは、いままでの長い間の因襲等により、その選任の方法ということはきわめて問題だろうと思うわけですが、この理事長が理事を選任する制度をわざわざここに改正したのは、どういうことを目的としてこういうような制度改正を行なったのか、その利点について、あるいは私たちしろうととしてはむしろ弊害が助長されるのではないかという懸念をするわけでございますが、その辺のいきさつは、どうしてこういうような制度改正になったのか、この点御説明をいただきたい。
  34. 熊谷典文

    熊谷政府委員 仲買人の経営の運営あるいは外務員のあり方等につきまして、先ほど御指摘がありましたようにもう少し近代的にしなければならないということは当然でございます。それと同時に、やはり取引所自体のほうも近代化されていかなければならない。それと同時に、取引所の機構は会員同士の私的な機関ではございますが、いわゆる公正価格の形成とかヘッジとか、いろいろ公共的な仕事をしておるわけであります。われわれは将来そういう面に非常に期待をいたしておるわけでございます。したがいまして、取引所の公共性といいますかそういうものは相当高まっていく。今回の改正におきましても、たとえば自治権に基づく監査機能の強化とかあるいは内部制裁の強化とか、いろいろ公共性を確保するための規定を入れたわけでございます。理事理事長による選任もその一つのあらわれでございまして、御承知のように証券取引所、これは商品取引所とは違いますが、やはり公益理事の増員ということは常に議論の的であるところでございます。そういうこともございますので、できるだけ公益的な人を入れたいという意味でこういう改正をしたわけでございます。しかし、これがよろしき人を得ませんと、御指摘のようた弊害が他面出てまいると思います。したがいまして、われわれは内部指導といたしましては、りっぱな方にこの公益理事になっていただくように十分指導してまいりたい、かように考えております。
  35. 兒玉末男

    兒玉委員 もう最後でありますけれども、せっかく大臣もお見えになっておりますので、一言要望と御質問を申し上げたいと思います。  いままで関係局長からいろいろ問題点をお聞きしたわけでございますけれども、特に仲買人等のいままでの登録から許可制、それにしましても、やはり委託証拠金分離保管等の問題もあって、三年間の余裕期間を置いてその間は登録制度で運用していく、こういう非常に多くの問題が残されているわけでございますけれども商品取引に参加する委託者大衆がいままで相当被害をこうむっている。これは制度上の欠陥であり、また人的構成のもたらした弊害でもあるわけでありますが、今回の法改正を転機としまして、特に大衆保護と制度改正にやはり私たちは積極的な行政指導ということが要請されるわけでございますが、この辺に対する大臣の御所見と、そしてまた今後の一つの展望についてぜひ大臣の御所見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  36. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いまのお尋ねは、日本の商品取引所がほんとうの機能を発揮しておるかどうかという問題が第一点だと思うのでございますが、これはもう私から申し上げるまでもなく、商品取引所というものは公正な価格を形成する場所として活用すべきであるし、一つは保険つなぎの意味において商品取引所取引を利用するということで、おのずから将来の公正な価格を形成さすというような機能を持っておるわけであります。  そこで、今日までこれが登録制であったために、実力のない人が仲買人になったり、あるいはまた登録制であるために、外務員制度などの規制もないために、おかしな外務員が出てきていろいろ介入したりして、一般の人に迷惑をかけておるというような事例が続出してきましたので、そこで、一般の人にそういう損失を与えないように外務員の取り締まりをきびしくするし、それから仲買人取引員としてりっぱな資格を持った人を取引員にするということにして、この取引所の機能をより完全なものにしたいということで今度の改正案を出した次第でございます。  そこで、この商品取引所というものは、申すまでもないことでありますが、やはり取引が大量的な取引になりますと商品取引所というものの必要性を感ずるのでありますからして、日本においても今日二十幾つ取引所がありますが、しかし昔からの伝統的な意味において存続しておる取引所もあると思います。これについてはもちろん検討しなければならないものもあるのじゃないかと思いまするし、またしかし、新たな商品によってまた新たにつくらなければならない取引所も起こり得ると思うのであります。そういうことについては、この取引所法をきめた当時と今日とは事情がだいぶ変わっておりますし、今日の経済事情、将来の経済事情に応じて商品取引所の今後のあり方というものについてはわれわれ十分検討して、そして取引所の正しい歩み方を指導するようにやっていきたい、こう存じておる次第であります。
  37. 島村一郎

    島村委員長 中谷鉄也君。
  38. 中谷鉄也

    ○中谷委員 茶の間に赤いダイヤが入ってきたということで問題になっております。そこで、そういう全く初めて大衆参加をするというふうな人の立場に立って、一、二お尋ねをいたしたいと思うのです。  結局、紛議の防止ということに相なると思いますけれども紛議の防止ということは、紛議の適正かつ迅速な処理ということが、かえってそのことが回り回ってきて紛議の防止に役立つ、こういうように私、思うわけです。そこで、こういうことを最初お尋ねをいたします。お借りをしてきたのですけれども、東京穀物商品取引所の定款がございますが、この定款は、会員が「訴訟の当事者となったとき又はその判決があったとき」には、その旨を届けねばならないという定款になっておるようでございます。この法意は一体どういうことでございますか、農林省にお尋ねをいたします。
  39. 大和田啓気

    大和田政府委員 これは取引所としては、当然売買の業務が適正に行なわれることについて十分の関心と責任を持っておるわけでございますから、紛議調停につきまして、取引所の中で紛議調停委員会調停いたしておりますように、それが場合によってこじれて裁判所に持ち込まれたり、あるいは取引所を経ないでいきなり裁判所に持ち込まれる場合もないことはないわけでございましょうが、いずれにしろ取引所としては重大な関心を持って紛議の裁判の経過を見守る必要があるということでございます。
  40. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そのとおりだと思うのです。  そこで、この場合の訴訟というのは、いわゆる裁判所に対する調停の申し立て及び本訴を含む、あるいは仮差し押え、仮処分等、そういうふうなものも含むのかどうか。これは私、含むだろうと思うのです。広義に解釈すべきだろうと思うのです。ところで、紛議が非常に多い。農林省の御所管の関係で三百七十二件でございますか、そういう紛議がある。しかし、取引所のほうに申告のあったものだ、こういうことなんです。そこでお尋ねいたしますが、訴訟については、本所に対して報告しなければならない、届け出をしなければならない。そうすると、会員である仲買人委託者との間において取引所の関知していないところの紛争いわゆるトラブル——紛議ということばを使わずに、トラブルと申したほうがいいと思います。そういうトラブルについて、報告させることを定款にきめていないわけです。これは一体どういうことであろうか。取引所まで申告されていないところの、申し立てされていないところの仲買人委託者の間の紛争の実数についてはどのように把握されているか。この点についてお答えいただきたいと思います。
  41. 大和田啓気

    大和田政府委員 アズキを中心としました穀物の紛議につきまして、農林省としても相当な関心を持って紛議の実質的な調停あるいは指導に当たっておるわけでございますし、取引所自体相当神経質になっておりますから、きわめてささいなもので、取引所の耳に入らない、取引所に来ないというものが、ないことはございませんけれども、大体取引所において、私が申し上げております五百件あるいは三百数十件ということは、大体トラブルと言えるほどのトラブルの実数に見合うというふうに御了解いただいてよろしかろうと思います。
  42. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そうすると、お尋ねを続けていきたいと思いますが、三百七、八十件の紛議というものは取引所が——こういうことばが適当かどうかわかりませんけれども、自分のところへ申し立てがあって、申告があった、その分について三百七、八十件だというのではなしに、申し立てばないけれども、それを職権で探知しているのだ、実態を把握しているのだという趣旨でございますか。実態はそうじゃないでしょう。要するに営業者と委託者との間でかなりの金額についての紛争の処理もやっていますよ。この点について、いまの御答弁は、私がお尋ねしていることについて率直にお答えいただいてないと思うのです。  私が聞きたいのは、こういうことなんです。訴訟について報告義務を課しているんだから、仲買人と委託人との間に紛議があった場合、それについて定款で報告義務を課したほうが、より一そう委託者保護の趣旨に沿うのじゃないか。そういうふうなことを課することは仲買人に対して非常な重い荷を負わせることになって、不適当なのかどうか。私は、先ほど申しました、お茶の間に赤いダイヤが入ってきた、そういう大衆参加の立場に立ってお尋ねするわけですけれども、それは、仲買人のいろんな立場も考えなければなりませんでしょうから、その点についてはどうですかということです。
  43. 大和田啓気

    大和田政府委員 私が申し上げております紛争件数は、取引所に申し立てのあった件数でございます。私が先ほど申し上げましたことは、お客さんも自分の金については相当神経質でございますから、仲買人とトラブルがあって、相当な問題でありますれば、そのまま消えてしまって泣き寝入りするという事例はまずまずございません。取引所に言ってくる場合が非常に多いものでございます。したがいまして、取引所に申し立てのあった件数というものは大体トラブルの件数に見合っておりましょうというふうに申し上げたわけでございます。ただ、いまお話しの、仲買人が自分限りでおさめた問題について取引所に報告させることはどうかという御意見でございますが、私ども、大体の紛争取引所に申し立てられておりますから、いまの制度でいいと思いますけれども、なお、そういう報告の義務といいますか、取引所に対し仲買人に報告させるシステムをとりましても、仲買人にとってはえらい負担になるとも思いませんから、これは私は十分検討をいたしたいと思います。
  44. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そうすると、たとえば東穀の定款でいえば、第十条、「遅滞なくその旨を本所に届け出なければならない。」「訴訟の当事者となったとき又は判決があったとき」という問題については検討するというふうなお答えとお伺いしてよろしいわけですか。その点は、いまの政府委員の御答弁は、紛争実態についての御答弁としては、私のしろうとの感覚からいったら、違うと思います。と申しますのは、たとえば商品買い人が預けたお金をその日のうちにふところに入れて使ってしまった。こんなものを、委託者仲買人のところへ行って、使い込まれてしまったと言えば、とにかく仲買人のほうは文句なしに返すわけでしょう。返さざるを得ませんね。これは紛争というようなものではないですよ。紛議というようなものではないですよ。どんぴしゃりそのもの、とにかく文句なしに悪うございましたというできごとですね。こんなものについて取引所に申し立てがあるはずはないと思うのです。仲買人委託者との間で話がついてしまうと思うのです。そういう実態の把握をしておられるかと聞いておるのです。農林省、いかがですか。
  45. 大和田啓気

    大和田政府委員 仲買人の店先において事件が完全に解決をしたというようなものは、私ども承知しない場合があると思います。
  46. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そうすると、三百七、八十件だというけれども、実際のいわゆる紛争紛議というものは一体どの程度あるのだろうか。ことに紛争処理委員会というのは、何も調停に対する前置主義をとっておるわけではありませんね。そういたしますると、いわゆる裁判所に対する調停あるいは直ちに裁判所に対する本裁判の提起というようなものも、これはあり得るわけです。そうすると、この場合は、何といっても委託者保護ということをわれわれは真剣に論議しておるわけでございますから、紛争の実数、実態、少なくとも取引所が把握したものだけをもって紛争実態だというようなことでは、私は、そう委託者の保護にならないと思うのです。もっと実態の把握については、農林省は御熱心であってもらいたいと思うのです。一体、実態について、実数はどの程度あると思われますか。
  47. 大和田啓気

    大和田政府委員 仲買人の店頭において、どの程度の、お客さんとの争いと言うに至らないような争いがあったかということは、私ども具体的に仲買人の検査をいたして発見する場合もありましょうけれども、それ以外の道としては、取引所を通じて、あるいは仲買人を通じて、伝聞として聞く以外はなかなか把握のしようがないわけでございます。
  48. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そうすると、紛争紛議について最も典型的な、もうどうにもこうにもそんなことは仲買人のほうで抗弁のしようがないというふうなものについては、取引所のほうにあがってこないと思うのです。そういうようなものについて、所管官庁であるとか、あるいはまた取引所が知る機会、知る方法が私は必要だと思うのです。そうすると、先ほどの十条等のいわゆる報告の義務については、訴訟の当事者以外のそういう紛争があったものについても、的確に知り得る方法というのをお考えいただきたいというふうに考えます。もう一度念を押しておきます。いかがでしょうか。
  49. 大和田啓気

    大和田政府委員 仲買人が店頭で自力でうまく解決したものの報告をさせるとして、はたしてほんとうに一〇〇%の形で出てくるかどうかということは多少の疑問がありますけれども、定款にこれを書き込むかどうかは別として、私どもも、今回の法律改正あるいは改正に至る過程として、三十九年、四十年以来いろんなことを委託者の保護のたてまえからやっておりまして、その延長として取引所まであがってこない実態紛議がどの程度あるかということを私ども相当了知できるような何かのシステムをつくるということについては、私も十分勉強いたしたいと思っております。
  50. 中谷鉄也

    ○中谷委員 何かもう少し的確な御答弁をいただきたいと思いますね。何かのシステムというのではちょっと。ですから質問を続けます。三百七、八十のうち七割程度は円満に解決をいたしておりますという御答弁が、先ほど兒玉委員質問に対してありました。あなたの円満ということばがくせ者だと思う。要するに一任売買だとか無断転売だとか、こういうことばは私は初めて覚えて聞いているのだけれども、そういうふうなものがあったが円満に解決しているという。結局紛議というのは、一任売買があった、あるいはそのことによって損害を受けたんだ、無断転売されて損害を受けたんだということだから、結局金を幾ら返してくれということになるわけです。そうでございますね。何も、だまされて腹が立つから、取引所おこってくれというような紛議を申し立てたというのじゃないわけですね。幾らお金を返してくれという申し立てだと思うのです。そうだとすると、円満にというのはどういう実態解決されているのか、私はこの点の把握が大事だと思う。ことに、店先での解決というのは、まあお互いに悪いんだから、あんたのほうにも過失があったんだから、いいところで手を打ちましょうというようなことで、足して二で割るような形の解決が往々にして行なわれているのではないかと思う。ことに茶の間の奥さんなんというものは赤子の手をひねるようなものですよ。このようなものは少しも円満でないと思う。農林省にお尋ねしますけれども解決はどのように解決されているか。一体請求金額は幾らになるか、幾ら払うことになりますかというような、少しややこしい質問になりますけれども、円満にとおっしゃるから、円満にというのは一体何割払って解決しているのか、全部全額払っているんですかというようなお尋ねのしかたをしてみたいと思います。
  51. 大和田啓気

    大和田政府委員 紛議の約七割は解決されておりますが、円満にというのは、当事者も納得してというふうに御了承いただいてよかろうと思います。それで、請求金額の全部が得られた場合ももちろんありましょうけれども、それが半分だったり、三分の二だったりする場合も当然ございます。これはお客のほうの申し立ても、要するによくわからない。無断である無断でないということはよくわからない場合があるわけでございますから、お客のほうの責任といいますか、過失ということもある程度ある場合もございますから、解決した場合に、請求金額のすべてが得られて解決したということばかりでは、もちろんございません。そのうちの何分かでまあまあやむを得ないというので終わった場合も当然あると思います。
  52. 中谷鉄也

    ○中谷委員 だから、円満にとかいうのは、それが、むずかしいことばで言えば、いわゆる社会的合理性をもった解決でなければいかぬわけです。もっとむずかしいことばを使えば、それが正義に合致していなければいかぬというようなことを言えるわけですね。ですから、たとえば委託者の中でやかましいのがおる、大きな声を出すから、とにかくたくさん金を払いましょうとか、声が小さくておどおど取引所に入ってきたから、わずかなところで解決するというようなのではいけないと思うのです。そうすると、納得した解決件数が問題じゃなしに、解決の中身が問題なんです。どのような事実関係がどのように解決されたかが問題なんです。そういうことについて、農林省も実態の把握があるのですかないのですか。
  53. 大和田啓気

    大和田政府委員 どれだけ具体的に請求金額があり、どれだけの金を払って解決したかということは、私ども承知いたしておりません。
  54. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そうすると、先ほど政府委員の御答弁の中には、委託者のほうにも若干の問題がある場合がある。法律的に言えば過失相殺でございましょうね。そうすると、いわゆる一任売買のときに、何か委託者のほうにも悪い点があったというふうな点についての、いろいろな解決の基準、こんな場合は幾らくらいの金を返すべきだとか、ABCD何百人といういわゆる被害を受けたと称する人が委託者でいるわけなんです。Aについてはかなり割りのいい解決がなされ、あるいはBについてはそうじゃない解決がなされた、また相手方の、ある仲買い店では非常に委託者の保護のための解決をした、別な仲買い店では何かうまく言いくるめてしまって、非常に委託者に割りが悪かったということがあり得ると私は思う。こういう点についての、いわゆる紛議防止でなしに、紛議処理の適正、紛議処理が社会的合理的に行なわれているかどうかということについての対策というのは、実態把握が前提になると思うけれども、そういう実態を全然お持ちになっていないということですか。
  55. 大和田啓気

    大和田政府委員 三百件あるいは五百件という紛議件数を、全体の取引所で処理に当るわけであります。一つ取引所で五、六十というものを扱うわけでございます。ある人に対して非常に有利な解決をしたり、あるケースについて非常に不利な解決をしたりするということは、これはだんだん紛議調停の実績が積み重なっていくわけでございます。いわば判例的なものが出てくるわけでございますから、事務局なりあるいは紛争処理の委員会において、そう恣意的に解決の基準をきめるということは、私は万ないと思います。それから、万ないばかりでなしに、私ども事例集の編さんを取引所と相談いたしておりまして、だんだんに各取引所においてそういう事例集ができるわけでございますから、その事例集の中からおのずと処理の基準が生まれる。そう急に明快に何かの数式で金額がはじかれるというものではございませんけれども、何年かの調停事例の積み重ねによって、おのずから公平な基準が生まれる、私どももそういう方向で指導をいたしておるわけでございます。
  56. 中谷鉄也

    ○中谷委員 お尋ねをいたします。調停件数がわずか十件前後、非常に少ないと思うのでございます。要するに、取引所の職員が調停をされる以前に処理をされるということなんです。これは一つ考え方としては、迅速な処理という点からそういうことになったのではないかと私は思うのですが、その点に疑問があるのでただします。  いわゆる取引所の職員が処理したものについては、それは事例集として完全に書類として、事実関係解決、判断というふうなものが示されておりますかどうか、いかがでしょう。
  57. 大和田啓気

    大和田政府委員 紛争の処理委員会にかけないで、事務局がやりますものは、迅速に処理するということもございますけれども関係がそう複雑でなくて、当事者の申し立てによって比較的簡単に処理ができるというものでございます。事務局が処理いたしましたもののすべてについて、文書として残しておるわけではございませんけれども、問題として残しておくべきだと思われるものについては、事務局としても書類として残してあるわけでございます。
  58. 中谷鉄也

    ○中谷委員 ただ事例集といいますけれども、そういうものは実際あるのでしょうか、この点についてお尋ねをいたします。要するに商品取引所法関係の判例というものは非常に少ない。少なくとも判例は少ないですね。そうすると、もう一度お尋ねをいたしますけれども、政府委員のお考えとしては、取引所のほうで把握しておられる三百七十何件かの紛議、これは本来は調停の申し立てをしてきたものを、調停委員会を開かずに取引所職員のほうで処理あるいは勧告をするということなのか、それともその内訳は、調停処理委員会に対する調停の申し立てじゃなしに、ただ取引所に対して申告があったものを取り上げてというのか、その内訳は一体どうなっているか、いかがでしょう。
  59. 大和田啓気

    大和田政府委員 取引所紛議調停委員会がございますけれども取引所に対して調停の申し立てというシステムにはなっておりません。要するにお客さんが苦情を言ってきたものを事務局が引き受けて、事務局限りでやれるようなものは事務局で処理し、むずかしいようなものを紛議調停委員会にかけるということでございます。
  60. 中谷鉄也

    ○中谷委員 いま何とおっしゃったのでしょうか。穀物取引所の定款によりますと「申立をすることができる。」と相なっておりますね。
  61. 大和田啓気

    大和田政府委員 定款の百四十四条によりますと、「当事者は、本所に対し、調停の申立をすることができる。」ということでございます。
  62. 中谷鉄也

    ○中谷委員 いいです。ではもう一度分析をしてください。三百七、八十件、多いときには五百件あった。これは取引所に対する百四十四条の申し立てが、調停委員会が開かれずに取引所職員べースで解決されたもので、結局調停委員会のほうに調停に付されたものは実際十件とか二十件とか、非常に少ないということになるのかどうかの点をまずお伺いしたいのです。
  63. 大和田啓気

    大和田政府委員 総体の件数として申し上げております三百件とか五百件とかという数字は、書面で申し立ての来ましたものばかりではございませんで、はがきで言ってきたり、あるいは電話で言ってきたり、あるいは人が口頭で言ってきたりしているものすべて含んでおるわけでございます。
  64. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そこで、調停の申し立てば一体何件あったわけですか。
  65. 大和田啓気

    大和田政府委員 最近の事例で申し上げましても、百四十四条の条文を基礎にして、調停の申し立てをする件数というのは、私ども非常に少ないというふうに聞いております。電話、はがき、あるいは口頭で言ってきたものの中で、むずかしいものを紛議調停委員会にかけているというのが実情でございます。
  66. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そこでお尋ねをします。あくまでも委託者——法律も何も知らない、とにかくアズキと呼ぶのか小豆と呼ぶのかも知らないわけで、結局誘われて大衆参加をしたという、そういう人の立場に立ってお尋ねをしますが、調停の申し立てば書面によらなければなりませんか。それともそういう定款を、大衆保護という観点から、口頭による調停の申し立てでもいいんだというふうにひとつ改めてやることが大衆保護の一環にはなりませんか。いかがでしょう。
  67. 大和田啓気

    大和田政府委員 定款の規定によりますと、申し立てば書面をもってしなければならないということでございますけれども先ほど申し上げましたように、書面による正式の申し立てがなくても、口頭でありましても、事案によって紛議調停委員会にかけられておるわけでございます。
  68. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そうすると定款そのものも、それは運用の面で、書面によらない申し立ても調停に付すという趣旨なのか。それともたとえば、私きょうは六法を持ってまいりませんでしたけれども、たしか簡易裁判所の調停の申し立ては、必ずしも書面によらなくてもよかったはずです。いわゆる裁判所というお役所でさえも口頭による調停の申し立てを受け付けているんです。だから大衆参加委託者の保護ということをいわれている、取引所という司法的機関じゃないところの申し立てが、書面によらなければならないと明定されていることは、必ずしもほめたことじゃないじゃないか。この点についても検討されてしかるべきだと思うが、いかがでしょうか。
  69. 大和田啓気

    大和田政府委員 現在の運営を申し上げますと、書面をもって申し立てるのではなくて、御当人が電話なり、はがきなり、特に取引所に来られて紛議についての話をされるわけですが、そこで調停の申し立てをして、調停委員会にかけてしかるべきものは、実は事務局のほうで手伝いといいますか、そこで書面をこしらえて申し立てをするという、そういうシステムになっておるわけでございますから、実態として、ある程度申し立てば書面ではっきりさせるほうが望ましいわけでございましょうから、書面で来ないものは全然受けつけないということではございませんので、口頭で来ましても、それを書面に事務局が直すということでございますから、それで実態としては差しつかえないのではないかというふうに思います。
  70. 中谷鉄也

    ○中谷委員 その点はその程度にいたしまして、もう一度お尋ねします。非常に気にかかる点なので……。円満に紛議解決をしたのが七割という兒玉委員質問に対しての御答弁があって、私その点疑問があると思ってお尋ねしているうちに、解決ということで、円満なということばが取れましたね。納得ということを最初おっしゃったけれども、その納得も取れちゃった。それでいいと思うのです。解決というふうに正確にいわれるべきだと思うのです。そこで事例の積み重ねがあるということですけれども、裁判所の裁判だってそう当事者が納得していないのが多いのです。そういう法律の専門家の裁判官がおやりになった裁判にしたって、当時者というものは納得しない場合が多い。フィガロの結婚という戯曲の中に、裁判官だって自分の裁判についてはどんな裁判をするかわからないということばがございますね。そういうことで、取引所というのは本来仲買人が会員になっておる。事例の積み重ねだからといっても、委託者が大体取引所解決というもの、紛議調停というものについてどれだけの信頼性を持っておるかということにかかってくると思うのです。そうすると、いまの農林省の御答弁のように、実態は円満に——恣意な、恣意なというおことばを使われましたね。みだりな、わがままな、かってな解決はしていないはず。かってな解決をしていたらたいへんなことです。しかし解決が適正なのか、社会的な合理性に支えられておるのか、委託者保護ということに貫かれておるのか、それとも法的ないわゆる判断を間違っていないかというようなことについての実態の調査は、私は当然やっていただかなければならぬことだと思う。この点についてはどうも資料がないようです。実態の調査をおやりいただけますか。それとも実態の調査があるということであれば、事例集があるということならば、そういうことについて資料として本法案審議中にお出しいただけるかどうか、その点をひとつお答えいただきたいと思います。
  71. 大和田啓気

    大和田政府委員 事例集、数多くございません。一冊でございます。資料としてあとで御提出いたします。なお紛議調停の積み重ねによって、公正なといいますか、適正な判断が望ましいわけでございますから、私ども具体的な事例について、適正かどうかということも、取引所と一緒に十分検討いたすつもりでございます。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと議事進行。いまの農林省の政府委員の答弁等については御忠告を与えていただきたい。こういう、あと一日か二日という秒読みの段階に入っておるわけです。質問に答えることができず、資料を後日提出ということならば、その資料が提出されるまでは審議ができぬ、あるいはそれまでは採決ができぬということなればどういうことになりますか。あす私はこの法案に対して質問をいたします。もし私の質問中に、そういうような事例がありましたならば、直ちに私は質問をやめますから、そういうことを政府委員なり、あるいは内閣に、大臣にも十分言っておいてください。あと資料を出しますとか、あとで合議の上で答弁申し上げるとかいうような段階ではない。すでに秒読みの段階ですから、そういう答弁は許されない。そういうことを十分言ってください。
  73. 島村一郎

    島村委員長 政府委員にちょっと御注意いたしますけれども、これはもう時間が一日、二日に迫っておる今日ですから、できるだけはっきり御答弁をいただきたいと思います。
  74. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ははっきり御答弁をいたしておるつもりでございます。ただ、御要求の事例集が手元にございませんから、それをあすにでもお届けいたしますということでございます。
  75. 中谷鉄也

    ○中谷委員 じゃ、こういうことをお尋ねいたします。たとえば東穀の商品外務員規則というものがございますね。それによりますと、不都合行為の定義というものが第八条に出ております。たとえば商品外務員は一から八までの不都合行為をやってはいけませんよ、商品外務員とはこんなことですよと書いてある。一号は「自己の所属以外の商品仲買人売買取引の委託を斡旋すること」とか、五号は「委託者から受けた売買取引の注文を、その指定された条件と異った条件で所属商品仲買人に通すこと」とか、六号は「無断売買を行なうこと」とか出ておりますね。  そこで私もう一度お尋ねいたしますけれども、たとえば商品外務員はそういう不都合行為をやってはいかぬと書いてある。そういう不都合行為をやった。そういう不都合行為に基づく委託者からの紛議があった。いわゆる事例の積み重ねということをおっしゃったけれども、こういう場合にはこういう解決をすべきだという取引所としての紛議解決の準則というか基準というか、ケース・バイ・ケースだといっても、おのずから類型的に分類できると私は思うのです。そういうことについての努力をする、そうして仲買人の方が、いやしくも、法の無知につけ込んで委託者に、そんなことは訴訟を起こしてもだめですよ、どこへ行っても相手にしませんよということで、適当なところで話をつけるというようなことのないようにする。いわゆる判断に一つの客観性がなければいかぬと私は思う。事例の積み重ねといっても、事例の積み重ねは非常に少ないと思う。そういうことについての研究会をするなり、あるいはそういうことについての一つの準則をつくるなり、もちろんケース・バイ・ケースですから、準則をつくったからといって、その準則どおりしゃくし定木にやったらたいへんなことになりますよ。そういうことでないのですけれども、そういうことをしなければ委託者の保護というのは守れないのじゃないか。紛議の防止ということは、紛議が起こったときに適正に紛議解決されることによって初めて仲買人自粛されるのではないか。仲買人に幾らそういう通達をお出しになっても、その通達を出したことによって実際に紛議解決がされているのだったら、それは精神訓話にすぎなかったのじゃないかというのが私の言いたかった一点なんです。いかがでしょうか。
  76. 大和田啓気

    大和田政府委員 紛議の類型に従って基準を設けるということはなかなかむずかしいことでございますけれども、おっしゃるとおり、一つの基準をつくれば、それで万事処理できるというわけではございませんが、私ども、たとえばいま御指摘になりました八条のような一々の事例にかなうような場合に、取引所としてどういうふうにすべきかということについては、十分取引所を含めて研究をいたすつもりでございます。
  77. 中谷鉄也

    ○中谷委員 では、紛議については、もう少しお聞きしたい点もありますけれども、この程度にいたしておきます。  次に、今度は紛議の防止という観点から、同僚委員からも質問がありました商品外務員の問題についてお尋ねをいたします。ひとつ通産省のほうからお答えをいただきたいと思いますが、商品外務員の方についての定着性の問題でございますね。これはちょっと私ひど過ぎるのじゃないかと思うのです。と申しますのは、同じく私はここに六月三十日の「東京穀物商品取引所日報」を持っておりますが、その「取引所ニュース」というのによりますと、商品外務員の登録を新しくしたのが十四名、商品外務員の登録抹消をしたのが十三名ということに相なっております。そうすると、平均をとって勤続年数が二年四カ月だとか二年六カ月だとか、参議院で論議されたようなことはこの場合あまり意味がないのじゃないか。それよりも東穀の商品外務員のうち、一カ月に一体どれだけ入れかわりがあるのだろうか。たとえばこれを見ると、一月もつとめずにやめておる方もいるような感じがする。一体どの程度の入れかわりがあるのですか。入れかわりということばは非常に粗雑ですけれども、お答えをいただきたいと思います。
  78. 諸口昭一

    ○諸口説明員 お答え申し上げます。商品外務員の登録につきましては、各取引所毎月一回登録がえをいたしております。私どもでデパート仲買人四十社、これは非常に大きなものを優先にとって調査いたしましたが、御案内のとおり商品外務員は五千三百人でございます。そのうちの三千百十九人について調査しまして、平均勤続年数、いわゆる定着率二年七カ月というふうに一応なっておるわけでございます。ただ御指摘のように、最近はある程度小康を来たしておりますけれども外務員の移動が非常に激しゅうございまして、要するに同一の店に長くいるよりもわりあい短期間に移動するというような事例も見られますので、なるべくそういう点については定着率をよくする。いろいろ給与体系その他の問題もございますけれども、そういう点について今後外務員制度というものを業界とも一緒になりまして検討してまいりたいというふうに存じております。
  79. 中谷鉄也

    ○中谷委員 結局、六月三十日の日報によれば、登録をした人は十四名、登録を抹消した人は十三名でございますね。そうすると三十日といいますか、お休みの日もありますけれども、大体四百名から四百四十名くらいの人が新規に登録をしたり抹消をしたりしているということになる。そういうことになれば、一体三千幾らの中の何割になるのですか。これはもう平均をとって二年四カ月とか六カ月の勤続年数ですよというようなことは全然論外のことだと思うのです。こういうことの対策というものを何かもっと明確に打ち出していただかなければならぬと思うのです。政府委員のほうからひとつ御答弁を願いたいと思います。
  80. 熊谷典文

    熊谷政府委員 外務員の定着性の問題は、外務員自体の問題でありますと同時に、過当勧誘の原因にもなると私は思います。したがいまして、今後の問題といたしましては、研修の期間相当長くする、内容強化するという問題と同時に、やはり従業員が外務員になるわけでございますが、その店においてどの程度の実習をした者を外務員にするというようなことを考えてみたいと思います。これは知識、経験の問題もございましょうが、いま申し上げましたように、学校を卒業して、簡単に外務員の講習を受けてなる、それですぐ気に入らなければやめるということを防ぐ意味において相当効果があるので、そういうことをぜひやってみたいと考えております。
  81. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そうでしょうか。私は違うと思うのですよ。結局一年以上とにかく外務員としてではなしにお店で働かして、それから外へ出すというのですけれども、そんなことをはたしてほんとうに通産省、取引所仲買人考えておられるとすれば、私は実態に沿わないのじゃないかと思う。  六月の二十八日に全国商品取引所仲買人協会連合会が各会員に対して「商品外務員の社会保険加入状況について」という書面を出しておりますね。この書面によりますと、調査した四十五社、二千六百八十七名のうち、歩合給外務員というのは九百十九名おるのでしょう。そして資料によると、外務員の収入はかなりいいわけですよ。何か九万円くらい取っておるということになっておる。そういう外務員をとにかく一年外へ出さないでお店で使う。外務員の仕事をさせない。仲買人のほうはそういう人にまともに固定給を払っていくつもりがあるかどうか。そこまでやはり通産省はお考えになって、固定給を払わします。もうほとんど歩合給との併用にして、固定給の割合を増すような強力な行政指導をする、そのことについてまで自信があるとおっしゃられるのかどうか。そんなことができるならやったらいいと思います。いいことだと思うのです。それならば分離保管の問題にしても、とにかく五〇%じゃなしに七〇%即刻という問題も出てくると思います。一年間の講習期間を設けて、外には出さないような趣旨のことがはたしてできますか。いかがでしょう。
  82. 熊谷典文

    熊谷政府委員 今後いろいろ業界サイドとお話し申し上げる場合に、いろいろな問題が出てまいろうかと思います。分離保管の五〇%の率、いろいろ慎重に検討したわけでございますが、その問題もございますが、私はやはり根本的には、この取引仲買人あるいは外務員を含めて、経営をもう少し近代化していただくということが私は一番大事な点だろうと思います。したがいまして一年は相当仲買人としては苦しいと思います。御指摘の点はあろうかと思います。むずかしい問題はございますが、私どもとしては、できるだけ固定給にしていただくという指導を強力にやりますと同時に、この一年の原則は、ぜひ守っていただきたい、そういう形で折衝するつもりでございます。
  83. 中谷鉄也

    ○中谷委員 それはもうそういうことであればいいのです。ただし、そうなると、外務員に対する待遇の問題と、とにかく一年の原則を守りなさいといっても、外務員は飯を食べていかなければなりませんですね。そこでお尋ねいたしますけれども歩合給外務員の九百十九人を調査したところが、失業保険の加入率が一五%です。まさに前近代的ですよ、これは率直にいって。何でそういうふうな実態なんであろうか。これはおそらく労働省の人に聞いてみても、そんなことはわけがわからぬというお答えが出ると思うのです。失業保険一五%なんていうことは、どういうことでそういうことに相なってきたかと思われますか、この点いかがでしょう。
  84. 熊谷典文

    熊谷政府委員 根本的には、先ほど来御議論がございますように、歩合制で、とにかく給与体系がそういう形でいっていて、それで外務員も気に入らなければやめる、こういう形で、むしろ仲買人も、従業員ではございますが、ほんとうに自分の従業員としてそういう姿勢で経営をやっておるあるいは管理をしておるという心がまえが不足しておるのがやはり根本的原因であろうと私は思います。そういう意味合いにおきまして、この問題はやはり経営の総合的な面から、保険の問題、いろいろな面から考えていかなければならぬ、このように考えております。これがために、私は相当外務員としては経費はかかると思いますが、ぜひそういう点を改善することこそが今後取引所あるいは仲買人外務員を正しい流通機構の中に織り込んでいく一つの目標であろう、かように考えておる次第でございます。
  85. 中谷鉄也

    ○中谷委員 外務員の問題は非常にむずかしい、この点についてどこで紛議を防止するかという観点とのかね合いで私はむずかしいと思うのですけれども外務員の講習会でございます。これはどこの取引所でも大体二日でございますか。そうすると、開議あいさつがあって、取引所の話があって、それから定款、諸規程の解説があって、受託契約準則の話があってというふうなことで、九時に始まって五時には終わる。それの二日の繰り返しでございますね。こういうことで試験を受けるわけだけれども、はたしてよろしいのかどうか。いかがでしょうか。
  86. 熊谷典文

    熊谷政府委員 率直に申し上げまして、期間の点につきましても、内容の点につきましても、不十分だと考えております。したがいまして、期間内容とも格段の強化をいたしてまいりたい、かように考えております。
  87. 中谷鉄也

    ○中谷委員 仲買人協会に対して商品仲買人外務員の身元保証金預託をいたしますね。この金額は一体幾らなんでしょうかと思って調べてみましたら、一万円なんですね。これは実態に沿わないし、関西のことばで言えば、気は心というのはこういうことをいうのじゃないですか。これは一体、はたしてこういうことで委託者保護なんということの実績があがっているのかどうか。とにかく、一万円の身元保証金預託なんということは、私書類で見ましたけれども、農林省いかがですか。
  88. 大和田啓気

    大和田政府委員 一万円は確かに気は心ということであろうと思います。私ども、だんだんに上げることに努力をいたしたいと思います。
  89. 中谷鉄也

    ○中谷委員 それでは、アズキの輸入の問題についてもお尋ねしたいと思うのですが、その前に、法律のうち、改正対象にならなかったものについてお尋ねいたします。取引所法の九十二条の問題です。九十二条については、昨年の八月一日付で農林省の農林経済局長さん、それから蚕糸局長さん、それから通産省の企業局長さん、三名の名前で、各取引所に対して通達をお出しになりました。そこで問題は、もう時間もないようですから私の見解だけ申し上げますが、私は今度の業務上横領商品取引所法違反被告事件最高裁判決については、やはり奥野さんの少数意見が正しいと思うのです。私はそういう考え方に立っている。通産省の倉八さんなどがかつてお書きになった商品取引所法の解説には、明確には出ていないけれども、通産省は従来から九十二条でいう「物」の中に充当有価証券は入るのだという考え方をとっておられた、これは私は常識だと思うのです。ところが最高裁の判決が出た、こういう通達をお出しになった。そうして何か昨日の質疑の中では、行政的な監督、行政上の権限で、九十二条の最高裁判決があってもカバーできるのだというふうな答弁があったようだけれども、私はやはり、業務上横領罪が成立するかしないかというような疑義を残すような九十二条をそのままにしておくことはおかしいと思う。最高裁判決が出た以上は、九十二条にいう「物」の中には有価証券が入るのだ、充当有価証券は入るのだという趣旨の規定を入れたからといって、私は別におかしくはないと思うのですが、こういうふうな点についてどのようにお考えになるか、御答弁をいただきたいと思います。
  90. 熊谷典文

    熊谷政府委員 まず、従来九十二条の「物」の中に有価証券が入るという考え方を行政庁としてはとっておったということは御指摘のとおりでございます。そういう観点から、それを具体化するために、従来指導によりまして、受託契約準則におきまして、こまかい点をきめたわけでございます。  最高裁の判決が出ました後の取り扱いの問題でございますが、この点は横領罪との関係もございますので、規定をすべきかどうか十分検討したわけでございますが、実態的に申し上げますと、この委託証拠金の半分を分離保管する、それで委託者からの直接請求権を認める、こういう措置をとりますと、これは流用禁止よりも数等強い措置になるわけでございます。そこで五〇%の問題になるわけでございますが、私ども実態を洗ってみますと、あとの残りの五〇%といいますのは、売買証拠金に充当するとか、あるいは委託者のための立てかえ金、未払い金その他に充当しておるわけでございます。五〇%程度でございますと、委託の趣旨に反した運用は非常にできにくくなる、こういう問題があるわけでございます。今回分離保管を五〇%とりました関係もございましたので、残りの五〇%については、法律的に流用禁止という措置よりは、実態的に申し上げますと、いま申し上げたような売買証拠金とか立てかえ金というようなものにもう少し使わざるを得ないのが実態でございますので、それをどういう方法で、どういう時期に、どういうように使うかということを、きめこまかく規定したほうがむしろ実態に合うのではないか、こういうように考えまして、取引所のいわゆる受託契約準則にまかしたわけでございます。  それから法律的効果の問題でございますが、法律に正面から規定いたしますと、御指摘のように、それで横領罪という問題の一つのてこにはなるわけでございますが、受託準則に規定いたしましても、仲買人はそれによらざるを得ないということになります。もしそれによらない場合は、こちらといたしましては許可の取り消しとかあるいは営業停止というような処分主務大臣がとれるわけでございますので、仲買人に対する取引面の運用としては、われわれは実態的に十分である、かように考えたわけでございます。したがいまして、結論的に申し上げますと、横領罪の関係だけは、法律に規定いたしませんと、少し問題が残ってくる、こういうことは率直に認めざるを得ないと思います。
  91. 中谷鉄也

    ○中谷委員 この判決については、私はみんな非常にあわてたと思うのです。いわゆる秋田の裁判所の判決があり、福岡高裁の判決があって、どんな判決が出るだろうかと思っていたら、最高裁の判決としてはちょっと意外の判決が出た。だからこそ、三局長連名のこういう通達までお出しになったと思うのだけれども、そうすると、現在の紛議に関連してお尋ねいたします。  九十二条違反などの違反あるいは業務上横領罪というようなことで、刑事事件として係属している件数、これは一体どのくらいあるのでございましょう。
  92. 熊谷典文

    熊谷政府委員 最近はそういう事例を聞いておりません。
  93. 中谷鉄也

    ○中谷委員 聞いていないということは、ないという御答弁じゃないわけですね。ずいぶんあると思うのです。現に私なんかもそういうのをやっております。やっておるというのは、その事件を弁護人としてやっておりますから、たくさんあるのですよ。その点は次に飛ばします。  この点についてはいかがですか。要するに、分離保管をされたということで、その取引所取引員が預ける、こういう状態で、従前であれば委託者が優先弁済権を持っていた。ところが、今度は取引所に対して直接請求ができる。そうすると、これもきわめて素朴な大衆の立場からの疑問を提起いたしますが、たとえば神戸の穀物取引所というのを想定してみます。私の知人が和歌山に住んでいる。そうすると、土曜日にその仲買人がうまくなくなったということで、それが土曜日の十一時にわかった。大阪や神戸の人はすぐとにかく飛んでいって請求をして、払い戻しを受けた。和歌山は、とにかく時間で二時間ないし三時間かかるために、土、日と続いて月曜日行ったら、もうからっぽになっていたという問題は、これは倒産をした場合には当然生ずると思うのです。そうすると、結局優先弁済を受けられるというかっこうになっているほうが、むしろそういう問題が起こらない。直接請求できるということになっていて倒産をした場合のほうが不公平が生ずるおそれがある。こういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  94. 熊谷典文

    熊谷政府委員 優先弁済権の場合は、いわゆる配当計画というような問題になりますので、御指摘のように公平は期せられるかと思いますが、しかし御承知のように、反面受けられる限度が非常に少なくなることも事実でございます。したがって、その救済をする限度の問題と、それを公平に救済しなければいかぬという二つの要請があるわけなんであります。今回の制度におきましては、直接請求権ということでございますので、へたをいたしますと早いもの勝ち、御指摘のような事例が起こらないとも限らないと思います。この点も法制局、法務省等と十分検討をいたしたわけでございますが、いっそういう事態になるかという判定の問題、あるいはそれをやりますためには、通常の事態の場合は払い戻しをしないというような状況も要るわけでございます。そういうことを考えまして、法律的には真正面から規定いたしませんでしたが、御指摘のように、確かにできるだけ公平にやるという点は大事な問題だろうと思いますので、私どもとしては、手続的にそういう不公平にできるだけならないように、省令でこの手続をきめることになっております。法務省と十分連絡いたしまして、手続的にあまり不公平が生じないような措置は可能な限り講じてまいるつもりでございます。
  95. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そこまでは参議院で話が進んでいるのです。要するに省令できめたいと思う。しかし、そこで何か質問がとまってしまっているのですよ。だから、私は納得できないのです。公平ということが、倒産した場合には一番大事な原則なんです。これは取引所はたいへんなことになりますよ。土曜日行った人はもらった、日曜日締まっていて、月曜日行った者は全然もらえなかったということになると、たいへんな紛争が起こると思うのです。だから、この倒産の場合高く掲げなければならない原理というのは、公平の原則だと思うのです。省令でどうおきめになりますか。少なくともその概要をお伺いしないことには、私、大衆委託、大衆参加という立場に立って納得ができないし、分離保管がイコールかえって非常な不公平を来たすというようなことでは、一歩進んだものが喜んで迎えられない面があるのではないか。疑問を提起した以上は、その点についてお聞きしたい。
  96. 熊谷典文

    熊谷政府委員 法制的には非常にむずかしい問題でございますが、私の気持ちを率直に申し上げますと、いっそういう事態になると判定するかという判定の問題が一つあろうかと思いますが、そういう判定をいたしました場合は、期間を限って通知いたしまして、その間に申し出たものはできるだけ平等に払うという措置をぜひとっていきたい、これは法制的には非常に問題の点もございますが、そういうことができるように考えてみたいと考えております。
  97. 中谷鉄也

    ○中谷委員 私はいいと思うのです。おおむねの考え方としてはそれでけっこうだと思うのです。法制的にむずかしいということと、公平を守るということとは、私はそのことのほうが優先するのではないかと思います。したがって結局、いまおっしゃったようなことで早いもの勝ちにならない——しかしいまの法律をまともに読めば早いもの勝ちになるという点について、省令はきちっときめてもらいたい。これは私のほうからも、そういうことで省令がきめられるなら、納得をするということを申し上げておきます。  いままで紛議解決処理の実態についてお尋ねして、商品外務員の問題についてお尋ねをして、そうして九十二条、そうして最後にといいますか、今度は仲買人の問題でございますけれども、こういうことをお尋ねしておきます。  こういう点については何べんも行政指導をおやりになっておられると思いますけれども仲買人の受託業務を適正に行なうという点について、農林省などのほうからも通達を穀物取引所にお出しになっておりますけれども、そういう業務の適正化ということについては、たとえば「勧誘行為等の適正化について」というようなことについていろいろなことがありますし、「運用預りの禁止」というような問題、それからいろいろな問題がありますけれども、そういう点についてこういうことでひとつ紛議を防止したい、事故をたないようにしたい、仲買人に対する監督指導というふうなことについて、ひとつ一般的にお答えいただきたいと思います。
  98. 熊谷典文

    熊谷政府委員 やはり仲買人の経営の健全化といいますか、自分の資力に応じた取引をしていただくというのが、私は紛議解決の根本であろうかと思います。それと同時に、取引員、外務員等についての問題もあるわけでございます。これは先ほど申し上げましたように、質の向上、過当競争の防止等を通じましてやってまいりたい、かように考えております。  なお今後の問題といたしまして、非常に過度な大衆参加が行なわれます場合には、もちろん取引所ベースで建玉の制限とかあるいは売買証拠金の増徴というようなことをやりますと同時に、通産省あるいは農林省といたしましても、委託証拠金等の率につきましては、そういう面を十分考えてきめてまいりたいと思います。  今回改正を行ないました点はそういう点でございますが、将来の問題としましては、大衆参加につきましてはこの数量を規制したらどうかという議論も実はございます。これはアメリカにおきましては数量制限をいたしております。そういう問題が日本の実情から見て可能がどうかというような問題も、今後残された問題として検討してまいりたい、かように考えております。
  99. 中谷鉄也

    ○中谷委員 農林省にお尋ねいたしますが、農林省は一昨々年の十二月末、「商品仲買人の受託業務の適正化について」という通達をお出しになりましたね。その通達の中に、「仮名等による受託の制限について」という項がございます。その中に、「商品仲買人が受託を行なうにあたっては、委託者の氏名、住所等準則に規定する事前通告事項を記載した委託者名簿を本店および営業所等に整備しておくとともに、仮名等による受託は事故、不正の原因となりやすいので、努めてその受託を行なわないようにすること。」という項がございます。そうすると、原則としてはこれはつとめて行なわないようにすることということであって、仮名による受託というものについてはやむを得ないのだという考え方をおとりになっているのか。そうだとすると、仮名による委託というのが事故を起こしやすい原因だということは当然しろうとでも指摘ができる。そういう委託の実態については、どのように把握しておられるか。この点いかがでしょうか。
  100. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども取引所における売買で、仮名で行なうことについてはいろいろ紛議の種にもなりやすいことでございますから、できるだけそれを避けるべきだという考えに立っておるわけでございます。ただ委託者のほうでぜひともということがある場合に、絶対だめだというふうにいま指導することが適当かどうかということに多少疑問もございますので、原則としては困る、やらないようにという程度の趣旨で、まず踏み切ったわけでございます。
  101. 中谷鉄也

    ○中谷委員 仮名による委託の実態を把握しておられるかという質問があります。
  102. 大和田啓気

    大和田政府委員 これはなかなか実態の把握はできませんけれども、まだかなり残っているというふうに承知いたしております。
  103. 中谷鉄也

    ○中谷委員 では最後に大臣にお尋ねしたいのですが、いわゆるアズキの問題でございますね。たとえば、こういうふうな実態調査報告というのを私図書館でお借りをしてみたのですけれども穀物取引所連合協議会の実態調査報告によりますと、農業に対するアンケートを求めたものです。そうすると、取引所の相場はどういう点で役に立ちますかというアンケートに対して、作付計画を立てるため、穀物を売るため、というのがかなり多いのですけれども、ヘッジのためだというのが一八%ぐらいしかないわけなんです。そうすると、たとえば作付計画を立てる、あるいは雑穀を売るためということであれば、たとえば北海道の農家の人の場合はホクレンなどという強大な農家のための組織があるわけだから、かなりそういうところで代替といいますか、それができるんじゃないかという感じもする。そうして反面、これはもう何べんもどの委員からも指摘されたところでございますけれども、最近のいわゆる生産量に対する出来高の倍率といったものを見てみますと、綿糸の場合が〇・六二でございますか、人絹が九・五、毛糸が二・三、ゴムが〇・九四、小豆が九六・八四ということに相なっている。これは異常であるということが指摘できると思うのです。こういう過当競争というか、倍率の高さというか、いろいろな問題を小豆は含んでいると思うのですけれども、こういうものが商品取引所対象になっていることについて、そしてそのことが要するに茶の間に赤ダイヤが入ってくるというようなことでずいぶん週刊誌等でも問題になりましたけれども、家庭の奥さんとかサラリーマンとか、退職した学校の先生というのがお金をすったというふうなことが盛んにわれわれの耳に入ってくるという中で、大臣としてはまず紛議の防止についてどのようにお考えになるか。先ほど私いろいろな点をお尋ねいたしましたけれども、必ずしも紛議が防止できるという的確な御答弁を私いただけなかったと思うのです。さらに一歩御努力をいただかなければならぬ点があると思う。法改正は、紛議の防止のため、委託者保護のための法改正ではありますけれども、さらに私は抜本的な解決行政運営をせねばいかぬという感じがする。その点についてどうお考えになるかという点と、それから小豆そのものについてひとつ通産大臣のほうからお答えいただきたいと思います。いつまでもこういうかっこうで小豆が商品取引所対象になっていいのだろうか。これは何べんもお答えをいただいておりますけれども、あらためてこの機会にお尋ねをいたしたいと思います。
  104. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 商品取引所のあり方等についてお尋ねだったと思いますが、大体商品取引所はいままで登録制や何かでむしろ自由的な扱いをしておったと思います。これは戦後における経済の自由化という原則に従いまして、すべての経済取引は自由に行なわせるという方針をとってきた。したがって仲買人ども登録制であるし、大衆もかってにいつでも参加できるし、外務員もかってな者が外務員になれるというような制度をとってきたと思うのです。しかしその後における状況から見ると、不正な外務員が大ぜい出てきて紛議が起こるし、仲買人も信用できないというようなことで、取引所が公正な価格を形成する場所でなくして、むしろスペキュレーションの場所に化してきたというところで、今回の改正法律案というものが出てきたのであります。したがいまして、問題は、取引所というものが国民からほんとうに信頼のできる場所であるということ、これが私は先決問題であると思います。したがって、取引所における取引というものが信頼のできるものであるということであって、それはもちろん取引員がまた信頼のできる取引員でなければならぬ。そういう点において今度は免許制をとったりなどもして、資格については、十分な素質を持った者でたければ取引員になれぬというような制度をとるし、また取引員が信用できるということは、同時に外務員が信用できる人でなければならないということで、外務員についても今度いろいろ制限を設けるということにしたのであります。これによって一般大衆の無知な人が、外務員も信頼できる、取引員も信頼できる、同時に取引所の行なう取引も信頼できるのだということになれば、私は一般の人々がだまされるというようなことは大体ないと思いますが、しかし現在の状態では、お話しのとおり紛議はさっきの件数以上にあると思います。現に私のところにも、数日前に兵庫県のあるいなかの婦人から、こういうような損害を受けましたという手紙をもらったほどであって、私はさっそく、そういう問題については取引所へひとつ実情を訴えなさいということをなにしたのですが、最近の手紙によると、無事解決しましたから御安心くださいという手紙をいただきました。どういうふうに解決したか知りませんが、それを聞くと、全く無知な婦人が外務員の甘言に乗せられて、そして私らが見ても相当金額損害を受けておるということでありますので、そういうことのないように、要するに、先ほどから申し上げましたとおり、取引所自体が信頼できるということ、これにはやはり取引所の職員がその地方における名望家、信頼できる人であるということ、従来日本の証券取引所にしましても、あるいは前の米穀取引所にしても、そこの理事長というものは、大体世間的に見てりっぱな人という人がなっておったのでありますが、今後においても、やはり理事長には信頼できる人を選ぶ、そしてまたその理事長の運営によって取引所自体が全く公平な処置をとるということ、同時に、先ほど申し上げましたとおり、取引員が信頼のできる取引員、外務員も信頼できる外務員にしたい、こういうねらいで今度の改正法を出したのでありますから、これによって私は一般大衆のこうむる損害の防止ができるのではないか、こう考えておりますし、また取引所で取り引きすること自体が、そういうような甘言などによっていわゆるスペキュレーションに参加しないように、これはやはり大衆の啓蒙運動をする必要がある、こう考えておる次第であります。
  105. 中谷鉄也

    ○中谷委員 私、もういろいろなことをお尋ねいたしまして、特に外務員が信頼されなければならない、しかし同時に、そのことが外務員の処遇の改善、待遇の向上ということと結びつかなければならない、このように指摘したわけですから、そういう点については、行政官庁として努力をしていただきたい。また仲買人については、私が指摘したのは、要するに紛議の防止、かりに紛議が起こったときには、仲買人が適正な紛議解決、逆に言うと、委託者保護の立場に立って、仲買人に、紛議が起こると自分らの腹がうんと痛むということが徹底すれば、かなり紛議の防止ということに役立つのではないかということが二つ。その他いろいろな点を申し上げましたけれども、あくまでも大衆参加という現状のもとでの委託者保護という点についていろいろな点をただしたつもりです。  ところで、いま「委託者紛議理事例集」をいただきましたが、この点について、実態についてどうですかという点についてお尋ねをして、それ以上質疑が進まなかった点なので、あす田中委員質問される際に、私これを今晩よく検討させていただいて、質問したい点がありましたら、一、二点補足的にお許しいただきたい、そういうことで本日は終わっておきたいと思います。
  106. 島村一郎

    島村委員長 本会議散会後再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ————◇—————    午後三時四十一分開議
  107. 島村一郎

    島村委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  内閣提出、貿易大学校法案を議題として、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中谷鉄也君。
  108. 中谷鉄也

    ○中谷委員 貿易大学校法案につきまして二、三お尋ねいたします。  なお、政務次官にお尋ねをいたしたいと思いますが、以下お尋ねする事項につきましては、民主社会党の同僚委員の方々あるいは公明党の同僚委員の方々とだんだんの相談をいたしまして、以下お尋ねするような事項をまとめてみました。  まず最初にお尋ねいたしたいのでございますけれども、いわゆる貿易大学校という名称でございます。これはいわゆる法人の性格あるいはこの研修機関の目的、内容実態等からいたしまして、必ずしも適切なものではないのではないか。たとえば名前といたしましてはその他の名前、例示をいたしますならば、貿易研修センターなどと称せられることがむしろ適切ではなかろうか、こういうふうに感ずるわけでございますけれども、この点についての御答弁をお願いいたします。
  109. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 校名に関しましては、過般来いろいろと論議があったところでございます。特に中谷委員がいま申されました学校の性格なりそうした点より判断いたしますと、いま仰せのようなことも十二分に考えてよいのではないか、かように存じております。
  110. 中谷鉄也

    ○中谷委員 法の六条につきましては、発起人についての規定が置かれているわけでございますけれども、設立に関する発起人十五名ということにこれは相なっておりますけれども、特に政務次官にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、この発起人の中にはいわゆる日本の貿易の大部分と言ってもいいくらいをになっておるところの中小企業の代表の人たち、そういう人たちを発起人として入れるべきである、こういうことは当然の措置として私はやってしかるべきだと思いますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  111. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 仰せのとおりでございますので、発起人の中には中小企業者の代表を加えたいと存じております。
  112. 中谷鉄也

    ○中谷委員 前回及び前々回お尋ねした点でございますけれども、あらためてこの点を明確にひとつ御答弁いただきたいと考えますので、重ねてお尋ねをいたします。  いわゆる受講と申しますか、研修と申しますか、そういう受講、研修の希望者の選定の問題でございますけれども、そういう選定にあたりましては、いわゆる大企業に偏重するようなことがあってはいけないということを前々から各同僚委員も指摘をいたしました。したがいまして、規模別あるいは学閥あるいは性別等によって教育、研修を受ける機会を失うというようなことがあってはならない。そういうようなものについて規模別、学閥、性別等について差別されないような措置というものが私は当然講ぜられるべきであると思う。そういうような配慮があってしかるべきであるし、具体的な措置としてそういうようなことを行なわなければならないと考えます。この点についてはいかがでございましょうか。特にこの研修機関の運営にあたっては、いわゆる教育の機会均等、研修の機会均等というふうな観点から、性別の差別をしてはならないという前提において、女子研修生というものは当然入所することが考えられますが、そういう女子研修生が入所したときに収容する施設を設ける、そういう受け入れ体制を十分に用意しておくというようなことは当然必要であるし、考えられるべき点であると私は思いますけれども、この点についてはいかがでありますか。
  113. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 御指摘のとおり、入学につきましては企業規模、学閥、性別等による差別をすべきでないと考えております。そこで、入学希望者の選定にあたりましては、公平を期するために、特に中小企業在籍者につきましては、実質的に入学が困難となることのないような措置をいたしたいと考えておるのであります。具体的に申し上げますと、中小企業に適した研修内容のコースの設置、中小企業在籍者のための別ワクの設定、授業料の減免等の諸措置を講ずることといたしたいと思っております。  また最後にお尋ねの女子研修生の場合でございますが、そのことを考慮いたしまして宿舎を設ける等、女子の利用につきましても十分配慮をいたす所存でございます。
  114. 中谷鉄也

    ○中谷委員 先ほど設立発起人の問題についてお尋ねをいたしましたが、役員の選任の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。これは設立発起人と同じような配慮があってしかるべきだと私は思います。要するに、役員の選任にあたりましては、民間の人を中心とする、そうして同時に中小企業の代表者がそこに加わっている、こういう姿でなければならないと思いますが、この点についても御答弁をいただきたいと考えます。
  115. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 貿易大学校は研修、訓練という事業の性格から、その運営につきましては、できるだけ自主性を重んずることが望ましいと考えております。また研修内容も実務に直結し得るものを選ぶということが必要でございますので、この点役員に関しましては、いま御指摘のとおり、民間の有識者を多数採用いたしたいと考えておりまするし、また先ほども申し述べましたとおり、中小企業の立場も十分配慮する必要がございますので、中小企業の代表者を役員に加えたいと考えております。
  116. 中谷鉄也

    ○中谷委員 かりに本法案が制定をせられた場合、この研修機関と学校教育法との関係は一体どういうことになるのだろうか。この点は私、前々回にお尋ねをいたしましたが、あらためて学校教育法との関係についてお尋ねをしておきたいと思います。御答弁をいただきます。
  117. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 貿易大学校は、各企業に在職する者に対して実務的な研修を行なうための機関であり、これは学校教育法に基づく一般の学校教育の体系とは全く異なるものでございます。したがいまして、貿易大学校の設立によってわが国の学校教育の一元化が乱されることはない、私たちはさように思っております。
  118. 中谷鉄也

    ○中谷委員 以上で、同僚各議員と冒頭に申し上げましたごとくおいおいの相談をいたしましたことに基づく質疑を終わるわけでございます。  あと一点あるいは二点だけ、時間の都合がございますので、この機会にお尋ねをしておきたいと思います。  実は、ほぼ十日くらい前の新聞でございましたかによりますと、今度また通産省が情報処理大学院でございますか、そういうふうなものを設立するという計画がある、これはしかも通産省、文部省ともども現在相談中だというふうなお話もございます。一体そういう構想のアウトラインは、どういうものなのか。どんな目的で、どんな構想に基づいて、そしてその所管はどうなるのか。また同時に、全くの仮称中の仮称でございますけれども、大学院というふうな名前が、今度の貿易大学校と同じような論議を呼び起こす可能性も私はあると思う。一体そういうようなことについての配慮はどうされるかというような点について、ひとつ関係の方の御答弁をいただきたいと思います。
  119. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 いま中谷委員のお話しの点は、情報処理センターといたしましてわれわれが考えている問題と存じますが、これは特に海外における外資の日本への進出とか、そういった問題が将来非常に起こりますので、海外における大企業、世界的企業のビヘイビアその他の情報等を収拾するために機関を設ける必要があるんではないかと現在検討中でございます。
  120. 中谷鉄也

    ○中谷委員 大臣おいでになるまでに、貿易大学校法案について政務次官のほうから非常に適切な御答弁をいただいたわけですけれども、大臣にこの機会に一言だけお尋ねをいたします。と申しますのは、私前回、貿易大学校法案質疑にあたりまして、いわゆる貿易振興、国際貿易人の養成が大事なことなんだということに関連をいたしまして、武器輸出の問題についてお尋ねをいたしました。大臣が名古屋に参られて、そうして談話を発表された。何べんも同じことを申し上げますけれども、輸出を前提に生産した武器でも認める、こう新聞の見出しが相なっている。そうしてそれは通産相が総理と食い違う発言をしたんだということの見出しが出ておるわけです。したがいまして、これは予算委員会でのいわゆる政府の統一見解と申しますか、日本からの武器輸出は自衛隊用のものをつくる段階で余力のある場合、貿易管理令の範囲内で輸出してもよい。この点についても問題ありますけれども、そういうことなんだ、余力のある場合に限って輸出があり得るということなんだ。それを、輸出を前提にして生産をする、そういうふうなものでもいいんだ、そういう武器でも認めるんだということになれば、これは四月二十六日、二十七日の予算委員会におけるその答弁とこの記者会見におけるところの談話とは違うというふうに私はいわざるを得ないと思う。同時に、その点について前回私が本委員会においてお尋ねをしたときの大臣の御答弁は、名古屋での談話とそうして予算委員会におけるところの答弁との、ちょうど中間的な色彩を私は持っていたと思う。どうも必ずしも明確でなかった。したがって、この点について、そういう方針が変わったのか、あるいは変わらないとすれば、一体武器輸出について大臣はどのようにお考えになっているのか。この点についてひとつ明確に御答弁をいただきたいと思います。
  121. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 明確というと、私のことだから明確にようお答えしませんが、適切なお答えをしたいと思います。なお、中谷委員法律家で、ことばのつかい方がなかなかきびしいので、ひとつ原稿によってお答えしますから、どうぞ御了解を願いたいと思います。  日本の武器産業は防衛庁需要に対応することを基本としており、今後においてもその方針を変更する考えはありません。したがって、武器の製造設備も、防衛庁需要に対応して整備していく方針であり、特に輸出のために設備を新増設することを認めようという考えはありません。  以上述べましたような考えからすれば、輸出する武器は防衛庁用の武器の製造設備に余力がある場合にこれを利用して製造するということになります。この意味で輸出する武器は防衛庁用の武器と同種類のものであります。このことを総理が答弁しているのでありまして、私も同じ考えを持っておるわけであります。  わが国からの武器の輸出によって国際紛争などを助長することは厳に避けなければならないので、ケース・バイ・ケースに慎重に処理しますが、軍隊が使用して直接戦闘の用に供せられる武器の輸出については、三原則——これはこの前申し上げたとおり、共産圏あるいは国連が決議した国、あるいは紛争当事国あるいは紛争同調国、その三原則に抵触する場合は、原則として輸出をしないことにしております。  なお、以上申し述べましたことからおわかりのとおり、政府といたしましては武器輸出を特に奨励しているのではないのです。この点が、この前も武器をどんどん輸出しますかという御質問がございましたから、いやどんどん輸出しないのだということを私は答弁しておいたのであって、いまのようなベトナム戦争や中東のこういうようなときには武器の輸出ということは考えられないということを名古屋で答弁したのでありますが、そのことは新聞には出てないのであって、私はあの記事を見て非常に遺憾に存じておった次第であります。
  122. 島村一郎

    島村委員長 中村重光君。
  123. 中村重光

    ○中村(重)委員 いわゆる問題になっている中小企業貿易商社、その数がどの程度で、またこの貿易専門家を養成をする研修機関に入り得る対象となる商社マンはどの程度あるというふうに調査していらっしゃるのか。
  124. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 現在貿商社及びメーカーで貿易担当部門に属する人々、そういうのを合わせますと約十四万人になります。そのうちこの貿易大学校で考えております対象、実務三、四年経験者といいますものは、現在商社及びメーカーの中に約八千人おります。
  125. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、通産省であるとか政府関係機関ということになると、特殊法人のジェトロであるとか、そうした貿易に関係を持つ職員、そういうものもこの対象になるのではないかと思うのですが、そうなのかどうか。それからその対象人員はどの程度になるのか。
  126. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 現在的確な数字は存じておりませんが、大体通産、大蔵あるいはジェトロなどが対象になると思いますが、いずれにせよ、きわめて少数の人数であると思います。と申しますのは、実務経験三、四年の人から選びますと、出向させる省あるいはジェトロ等の都合もありますので、該当人員はきわめて少数になる、こう考えております。
  127. 中村重光

    ○中村(重)委員 貿易商社の場合は、研修を受けます場合のいわゆる授業料というのはその商社が出すだろうと思う。ところが政府関係機関になりますと、そうはまいらない。その場合に授業料は本人負担になるのか、あるいは政府職員の場合は国が、あるいはその他の特殊法人等の団体の場合においてはそういう機関が授業料を出すという形になるのか、その点どうですか。
  128. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 企業から派遣されます者は企業が負担すると思います。それから、官庁あるいはジェトロから出します者は、官庁ないしジェトロが負担することになる予定でございますので、むしろ来年度の予算からこれを組んで、現在のところは、これに該当する準備は、まだ予算的な措置は講じておりません。
  129. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、教授であるとかあるいは講師であるとか、何というか、専任教授あるいは講師というのは考えているのか、あるいは兼務なのか、その点どうですか。
  130. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 いろいろ予算の制約がございますので、現在考えておりますのは、約二十七名を大体教授陣に充当いたしまして、これは専任でございまして、この半数が語学関係の教授という予定になっております。その他特殊な科目につきまして、臨時に講師をお願いするというような予定にいたしております。
  131. 中村重光

    ○中村(重)委員 では、けっこうです。
  132. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  本案の質疑はこれを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、本案の質疑は終局いたしました。  次会は、明二十日木曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二分散会