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中村(重)
委員 私が
大臣に申し上げたいのは、
大臣がかわれば何か新しいものを出さなければならぬという気持ちになる。
中小企業庁長官がかわればまた新味なものを
考えなければならぬということになる。形ばかりを追うということになるのですよ。私はそれは全然むだであるとは言いません。しかし、そういうアイデアを追うのではなくて、従来の
法律の中においていかに
中小企業政策というものを強力に進めていくかということに重点を置きなさいというのです。それは体質改善、そのとおり必要なんです。協業組合もいいでしょう。ですけれ
ども、保護育成の中で典型的なものとして出ておるのはどういうものがあるのか。百貨店はどうなんだ。いろいろな購買会はどうですか。農協はどういうことをやっておるのですか。あるいはいろいろな厚生施設がある、そういうもののために
中小企業はいかに苦しんでおるのか。しかしそれらの問題の解決のために、それでは
中小企業庁はどういう
取り組みをやっていますか。保護育成の典型的な問題としてそこへ出てきておる問題に対して、ほとんど手を染めてはいないじゃないですか。農協をやることは、農業団体が圧力団体であって、これの気に食わないことをやるということは、これはおそれをなしておるのかどうか知りません。しかし農協が、特に市街地農協が常識はずれの
金融事業をやるとか、あるいは百貨店まがいの商売をどんどんやっておるとか、厚生施設であろうとも、
一つの
工場とか会社の中ではなくて、町のどまん中に厚生施設の看板を掲げて員外利用をじゃんじゃんやっておる。税金を納めて大きな経営努力を払っておる
中小企業者は、どのようにそのための打撃を受けておりましょうか。しかし
一つも解決をしていないじゃありませんか。私は、そういうように身近な問題、それらの点に対して、もっと情熱を傾けて、責任を持って
中小企業の保護育成のために力を注ぎなさいというのです。しかしそれらの問題よりも、形をつくるということのみにうき身をやつしておるというような感なきにしもあらずだ、いま
大臣は、格差は解消されていないけれ
ども、幅は縮まりつつあるのだ——そうではございません。労働需給が非常に逼迫をいたしまして、寄らば大樹の陰で、若い労働力というものは大企業のところへ行ってしまう。これを何とか引きつけなければならぬというので労働賃金を上げてきたということは私はあると思う。しかし、それは
中小企業に余力があって労働者の賃金を上げておるのではありません。非常に苦しい経営の中において、無理をして労働力確保のために労働賃金を上げてきておるということが私は現実であると思う。そのことがまた倒産へ続いておるということも否定できないと思うのであります。だから、労働賃金の面において大企業との差が若干縮まったということをもって、これは均衡がとれつつあるのだというような評価をすることは危険であると思うのであります。
私はいろいろ具体的な問題について
お尋ねをしたかった。たとえば労働生産性はどういうことなのか。これは私の
調査によると、大企業の二分の一である。資本の集約度、機械の装備率はどうか。これは両者ともおおむね二分の一であります。賃金水準はどうか。大企業の三分の二であります。売り上げ高の純利益はどうなんだ。これもおおむね大企業の二分の一であります。常用従業者一人当たりの純利益率はどうなっているのか。これも大企業の二分の一であります。労働
所得の分配率は大企業より若干上回ってきておるのであります。ここに、
中小企業の経営がいかに苦しいか、労働力確保のために無理をしておるかということがはっきりあらわれてきておるのであります。時間の
関係がございますから、
一つ一つこれらの点に対しまして
お尋ねをして分析をしたかったのでありますけれ
ども、これは省略をいたします。いずれ適当な機会にこれらの問題に対して
お尋ねをしてまいりたい。
よく、自己努力をしなさい、何でもかんでも
政府がやることに依存してはなりません、こう言う。ですけれ
ども、私がいまあげましたように、資本の集約度、機械の装備率なんというものは非常に低い。低いけれ
ども、労働者に対しては、配分率というものが大企業よりもずっと高くなってきておる。それでも賃金は大企業より安い。経営者がいかに苦労をしているか、労働者が安い賃金で、また悪い労働条件の中でもがまんをしていかに働いておるかということがはっきりあらわれておる。そして今日、
日本の企業の経済の中に
中小企業というものが大きな役割りを果たしている。一面から言うならば、私は、
中小企業の犠牲のもとに
日本の経済の健全な確保というものが実は行なわれておるのだとさえ申し上げたいのであります。だからして、
中小企業の政策というものは、ほんとうに情熱を傾けて、もっと積極的に現実をほんとうに見詰めて、そしてその上にがっちり足をおろして取り組んでいくというものでなければならぬ。親企業と下請企業の
関係も、
大臣ごらんなさい。資本自由化のもとにおいて特にいま締めつけが激しくなっていますよ。
いま私があげました諸問題についてひとつ総括的に
大臣からお答えを願いまして、
法律案の内容についていろいろと
お尋ねを進めてまいりたいと思いますから、一応お答えを願います。