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1967-07-18 第55回国会 衆議院 商工委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十八日(火曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 河本 敏夫君    理事 中川 俊思君 理事 田中 武夫君    理事 中村 重光君 理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    岡崎 英城君       岡本  茂君    神田  博君      小宮山重四郎君    小山 省二君       齋藤 憲三君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    田中 六助君       丹羽 久章君    橋口  隆君       三原 朝雄君    武藤 嘉文君       石野 久男君    佐野  進君       中谷 鉄也君    永井勝次郎君       平岡忠次郎君    古川 喜一君       塚本 三郎君    吉田 泰造君       近江巳記夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         農林省蚕糸局長 石田  朗君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業大臣官         房長      大慈彌嘉久君         通商産業省企業         局長      熊谷 典文君         中小企業庁長官 影山 衛司君         中小企業庁次長 金井多喜男君     ――――――――――――― 七日十八日  委員石野久男君及び中谷鉄也辞任につき、そ  の補欠として帆足計君及び下平正一君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員下平正一辞任につき、その補欠として中  谷鉄也君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月十四日  産金対策確立に関する請願池田清志紹介)  (第三五一一号) 同月十七日  万国博覧会場敷地内にスポーツ施設設置に関す  る請願吉田泰造紹介)(第四〇七七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月十七日  中小企業対策強化に関する陳情書  (第四四九  号)  人口激減地域総合的振興対策確立に関する陳  情書  (第四五〇号)  電気工事業を営む者の営業所登録等に関する  法律案反対に関する陳情書  (第四九二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  小規模企業共済法の一部を改正する法律案(内  閣提出第六六号)  中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一一五号)  商品取引所法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三一号)(参議院送付)  通商産業基本政策に関する件      ――――◇―――――
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件について、調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 簡単に質問と確認を災害に関しましていたしたいと思います。  もう十分御承知のように、去る七月九日西日本一帯を襲いましたところの豪雨による災害、これは七月十三日八時現在の警察庁調べで死者が三百三十一名、行くえ不明が三十八名、負傷五百八十一名というような人的にも大きな被害を与えておりますし、また物的には総額で六百十三億円だと言っておるが、まだまだもっと出るだろうと思うわけなんです。特に通産関係といたしましては、大企業関係としては、神戸日本エヤーブレーキが若干被害をこうむった以外は、あまり大企業関係ではなかったようですが、中小企業関係あるいは石炭関係等相当被害もあったようでございますので、それらの点について十分なひとつ配慮をしていただきたい、こう思うわけであります。  そこでまず第一点、これは大臣も総理もいないので、宇野次官にお伺いをして、次官より内閣に対してそういうものについて強く要望していただきたい、こう思うのですが、その第一は激甚地災害指定という問題であります。それからもう一つ緊急査定の実施でございます。  実はきょうは総理府からも来てもらうように連絡をしておったのですが、総理府災害対策本部が実はこの問題をやっているということで出席しておりませんので、ひとつ宇野次官から大臣を通じ、総理府のほうに十分に連絡をして、その御決定を急いでいただきたい、こう思うわけですが、いかがですか。
  4. 宇野宗佑

    宇野政府委員 今回の災害に関しましては、われわれといたしましても、その罹災者に対して衷心よりお悔やみを申し上げる次第でございます。  いま先生仰せの、特に激甚地指定に関しましては、新方式と旧方式とがございますが、通産省といたしましては、いわゆる新方式公務員等所得を除外いたしますると完全に今回は激甚地指定ができるという指数を持っておりますので、これを強く内閣に訴えまして、ぜひともその実現をはかりたいと思うのでございます。  なおかつ、緊急査定の面に関しましても、私は大臣に申し上げまして、事務的な能率を一〇〇%発揮して、すみやかに罹災者方々に、不満足ではございましょうが緊急の措置をとりたい、かように存じております。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 実はきょう私の兵庫県からも知事、神戸市長等が参りまして、朝いろいろとこの災害の問題について話し合ったわけですが、その話の中で、通産省のとった措置はおおむね迅速でよかった、こういうように聞きまして、さすが中小企業庁長官、うまくやってくれたと思っておるのですが、それだけで終わりではございませんので、たとえば資金の確保とか、現在貸し付けいたしておりますところの元利金の支払いの猶予、あるいは新規貸し出しについては据え置き期間を設けるとか、担保条件緩和、それから手続簡素化迅速化、こういう点についてはもう相当な配慮がなされておるように伺っております。それから特別保証についても、これは信用保証協会に一億二百万円が出されたようでありますが、なお足らぬ場合はもっと考えてもらわなければならぬと思います。それから臨時金融相談所を十五カ所設けて相談を受ける、こういうようにしておられるのもけっこうだと思いますが、佐賀県、長崎県、広島県それぞれ数カ所設けられておるのですが、兵庫県はその必要がなかったのかどうか知りませんが、兵庫県には設けられていないので、その点をひとつ考えてもらいたいということ。それからこれは要望として、さきの質問なり要望と重複することがあると思いますが、まず第一点は、激甚災害指定を急ぎ、特別措置を講じてもらいたい。それから政府関係金融機関災害特別融資資金ワクを広げてもらいたい。これはすでにやられております。それから被災中小企業に対する政府系機関のすでに融資した分の融資条件緩和、これもやられておりますけれども、もっと考えてもらいたい。それから被災中小企業高度化資金償還期限延長、被災害中小企業者事業用資金、これは全壊、流失、半壊等いろいろありますが、こういう事業用資金に対するいわゆる緊急融資措置考えてもらいたい。それから貸し付け金利の引き下げとこれに対する国の利子補給という点がまだ行なわれてない、こういう点についても考えてもらいたい。それから、この問題はここだけでは解決しないと思うのですが、災害ごとに論じられる問題でございますが、いわゆる個人災害企業災害についてどこまでめんどうを見るのかということです。今日まででは個人災害については、ほとんどのめんどう間接的な資金とか融資とかいうことでは見られておりますが、直接的なめんどうが見られていないわけなんで、これは災害ごとにいつも問題になるわけです。たとえば農地については、災害についても若干の個人災害に対するカバーというものが考えられておるわけなんです。そうするなら、工場敷地とかあるいは事業場敷地等についても、あるいはいわゆる宅地等についても同じような考え方を持ってもらいたいと思う。こういう点だけを要望いたしまして、あとは中村委員が具体的に質問してくれるそうですので、私は終わりますが、要望質問を兼ねましたが、一言答弁をしてもらって終わりたいと思います。
  6. 宇野宗佑

    宇野政府委員 ただいまの要望並びに御質問の趣旨に関しましては、十分尊重いたしまして、それが早期に実現するようにわれわれといたしましても努力することをお約束申し上げます。
  7. 島村一郎

  8. 中村重光

    中村(重)委員 ただいま田中委員からも触れられたのですが、私ども今次の集中豪雨被害の見舞い並びに調査で、実は私は九州三県を回ったのです。中小企業庁指導よろしきを得て、通産局並びに関係政府関係金融機関あるいは保証協会現地にさっそく出向いて、調査をする、相談を受ける、あるいはいろいろと対策を講ずる、従来の災害の場合に全くなかったような手回しのよい措置をとっておられたということに対しては、深く敬意を表しておきます。しかし、あとどうこれを実らせるかというところに問題があるわけですから、その点は大いに期待をいたします。  一応お尋ねをしておきますが、商工業関係被害状況はどういうことになっておりますか。
  9. 影山衛司

    影山政府委員 七月九日の集中豪雨による直接被害商工業関係でございますが、これは長崎県、佐賀県、広島県、兵庫県、大阪府、和歌山県、愛媛県、京都府、これを合計いたしまして、商業関係が六十一億二千四百万円、鉱工業関係が三十三億六千百万円、合計いたしまして九十四億九千万円という、七月十五日現在の調査になっております。
  10. 中村重光

    中村(重)委員 激甚災害指定は、おそらく両三日中に行なわれるだろうと私は期待をいたしておるわけであります。激甚災害指定ということになってまいりますと、政府のそれぞれの措置が変わってくるわけであります。激甚災害指定になるということを見通しての諸対策というものが講ぜられておるのであるか、ただいま長官から御報告ございましたそうした被害に対して、どのような具体的な対策が講ぜられておるのか、いわゆる融資関係その他いろいろあるわけでありますが、一応それらの点に対してお答えを願いたいと思います。
  11. 影山衛司

    影山政府委員 激甚法の発動でございますが、これは大体九十五億の直接被害があるわけでございますので、大体事務当局間では、激甚法指定をいたそうということに内定をいたしておるような次第でございます。  この激甚法が発効いたしますと、保証保険関係につきましては、災害関係保証保険の特例が発動いたされまして、おのおの別ワクで借り得る。それから保険料につきましても、特別の保険料によって保証保険が行なわれるということになるわけでございます。  それと同時に、各県のほうで保証の目標を立ててもらいまして、それに応じまして保険公庫のほうからも融資基金を相当額流すわけでございます。それと同時に、地方庁のほうも応分の出捐なりあるいは貸し付けを行なってもらうというようなことをいたすことにいたしております。  それから政府関係の三機関につきましては、特利融資をいたすわけでございます。六分五厘の融資をいたすことになります。商工組合中央金庫につきましては、利子補給が必要なわけでございますが、すでにそのために、商工中金に対しましては十億の出資が行なわれておるわけでございますので、それを援用いたしまして、商工中金は六分五厘の金利融資を行なうということになっております。それに伴いまして、貸し付け期間は、三機関につきましてはそれぞれ二年あるいは五年の延長をいたします。それから据え置き期間につきましても、実情に応じましてこれを半年ないし一年の延長をいたします。それから担保につきましても、これは二百万円まで無担保というふうに、できるだけそれをこえるものにつきましても弾力的に運用いたすということになるわけであります。それから、特に手続迅速化ということをはからなければいけません。この点につきましては、一般の貸し付けに優先して取り扱いをする、あるいは調査簡素化をはかるというようなことで、これの手続迅速化をはかるということにいたすわけでございます。
  12. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど長崎県の県議会代表から陳情がございましたように、具体的な例として出されたのは、長崎県の福江市の例であります。陳情の中にもございましたけれども福江大火、これも特に激甚地指定があったことであります。それの償還に対してたいへん苦労をしておられる。さらに今回の集中豪雨被害というものは非常に大きい。したがいまして、旧債償還ということが問題になってまいりますが、もちろん旧債償還の繰り延べという措置もあるのでありますけれども、特別の扱いが必要になってくるであろうと思うのであります。償還期限の問題あるいは利率その他の関係について、いわゆる旧債償還に対してどのようなお考えを持っていらっしゃるか、お伺いをしたいと思います。
  13. 影山衛司

    影山政府委員 これは災害関係につきましては、一般的に三機関におきまして、旧債につきましては弾力的に延長するという基本方針を持っておるわけでございまして、この福江市のような場合、過去の大火及び今回の水害という二重の災害を受けられたところにつきましては、特にその点につきましては旧債償還等については親切に扱ってあげるように、これは特段に、特別の指導をいたしたいと思っております。
  14. 中村重光

    中村(重)委員 離島というところは、御承知のとおり特に所得水準が低い。かてて加えて福江市のような例があったのでありますが、大火のなかったような離島の中でも長崎県の対馬、これは御承知のとおり離島中の離島といわれておる。この対馬にも相当な被害があったわけでありまして、福江市のような例とは若干違うのでありますけれども所得水準が非常に低いという面においては、今回受けた直接被害あるいは間接被害というものは大きいものがあると私は思うのであります。したがいまして、これらの点に対しても十分の配慮がなされなければならないと思いますが、これらの点に対してはどのようにお考えになっておりますか。
  15. 影山衛司

    影山政府委員 離島地区につきましても特段措置を講じまして、親切に、弾力的にめんどうを見てあげることにいたしたい、こういうふうに思います。
  16. 中村重光

    中村(重)委員 それから、今回の水害というのは、御承知のとおり都市災害といわれますだけに、中小企業被害というものが非常に大きいというのが特徴的な点であろうと思うのであります。私は佐世保に参りましてその現状を見まして、全く気の毒に思ったのでありますが、ほとんどの商店床上浸水でございます。したがって、商品というものはすっかりいかれてしまっておるわけで、三分の一程度にたたき売りをしておるという現状なのであります。そういうことから、都道府県におきましても特別の措置を講じなくちゃならない。具体的な問題といたしましては、保証をつけます場合に、保証料の全免という措置をとっておるのであります。そうなってまいりますと、保証協会の運営というものにも支障が出てくるわけでありますが、もちろん出捐金等を大きく求めていくということも考えられるわけでありますけれども国自体といたしましても、特別これらの点に対しては配慮をしていく必要があるのではないかと思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
  17. 影山衛司

    影山政府委員 国といたしましても、信用保険公庫から融資基金を、これは低利の融資になるわけでございますが、それを必要額を流していきたい、それによって地方庁措置を援助したいということをいたしたいと思います。
  18. 中村重光

    中村(重)委員 それから、私は今回見舞に参りまして、長崎県におきましても、あるいはその他の県におきましても、政府関係金融機関方々といろいろと話し合いをいたしたわけです。ところが中小企業金融公庫は、御承知のとおりこれは設備資金でございますために、間接被害に対する融資を行なわないのである。しかし、私はそれらの点に対しても、何か弾力的な扱いをする必要があるのではないかと思うのでありますが、どうでしょうか。中小企業金融公庫間接被害に対してめんどうを見るというような扱いができないのかどうか、その点の配慮はいかがでしょう。
  19. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業金融公庫は、たてまえといたしまして、先生御指摘のとおりの普通の場合は運用をいたしておるわけでございますけれども、こういう災害非常事態でございますので、間接被害等運転資金につきましても、実情に応じて貸し出しをいたすという方向で指導いたしたいと思っております。
  20. 中村重光

    中村(重)委員 それから、大臣が昨日の本会議答弁において、高度化資金貸し付けを行なっているものに対しては、免除または延期等緩和措置を講ずるという意味の御答弁をなさったように私は聞いたのでありますが、その免除ということが可能なのかどうか。私だけが聞いたのではなくて、私の聞き違いであったかどうか、ほかの同僚議員も聞いておったのでありますが、たしか免除という答弁がなされたようであります。その点は長官にも連絡があっておると思うのでございますが、可能ですか。当然そうあってしかるべしと思うのだけれども
  21. 影山衛司

    影山政府委員 原則といたしまして、近代化高度化資金の場合は償還期限延長をいたすわけでございますが、これは対象滅失いたしておるような場合は免除もできる。こういうふうになっております。
  22. 中村重光

    中村(重)委員 滅失解釈がなかなかむずかしくなってまいろうと思うのであります。完全滅失でなくとも、確かに機能を相当喪失するというような点も私はあると思う。あるいはいろいろと電気関係のものになってまいりますと、その修理を大幅にやらなければ使用にたえないという点もあるであろう。そういう場合に、これを滅失と見るのか見ないのかということによって変わってまいりますから、できるだけ何とかひとつこれを保護してやるという考え方の上に立って取り組む場合と、できるだけ金を出すまいというような考え方によって措置いたします場合とでは大きく変わってくるわけでありますが、長官、どういう指導方法をおとりになりますか。これはむしろ政務次官からお答え願ったほうがよろしいかと思います。
  23. 宇野宗佑

    宇野政府委員 お答えいたします。いま長官がお答えいたしましたとおり、滅失ということばの解釈でございましょうが、確かに先生おっしゃったとおり、対象物がその機能を失っておる場合には、これは頭から問題になりません。したがって、こうした点をもあわせ考えまして、完全にその実態を掌握し、極力、高度化資金融資の目的が喪失されたという時点におきまして、仰せのとおりの措置をとりたいと考えております。
  24. 中村重光

    中村(重)委員 いろいろまだお尋ねしたいこともございますが、他の法律に対する質疑等の時間の関係もありますから、これでとどめたいと思いますが、非常に積極的な取り組みをしたいという意欲があらわれた政府の態度に対しまして、深く敬意を表します。冒頭にも申し上げましたが、どうか単なる答弁に終わらないで、今回の災害に対して積極的な取り組み冒頭おやりになりましたことを最終的に実らせるように、ひとつ政府の精力的な取り組み期待をいたしたいと思います。  以上であります。
  25. 島村一郎

  26. 永井勝次郎

    永井委員 今度の災害都市災害である、したがって被害を受けた対象個人災害であるということは必然であろうと思います。そうして、都市に発生したのでありますから、今度の被害結果でも明らかなように、商店関係被害が主要な部分を占めておる、こういう結果になっておるのでありますが、いままでの日本災害の実績というのが農村地帯に起こる、山間地帯に起こる、こういうことで、都市地帯に集中的に起こったというのは今回が新しいケースではないか、こう思うのであります。そうしますと、そういう一つの新しい災害の側面から、いろいろな対策等も、いままでと変わった立場から検討し、実情に合ったような対策を立てなければならないものであろう、こう思うのであります。いま中村君からるる具体的な事例をあげてお尋ねがありました。具体的な問題はこれから時々出てまいろうと思いますが、基本的に、たとえば金融の問題にしても、いままでの三公庫金融ワク内で、あるいは若干の追加程度で対処できるのかどうか、もしそういうワク内でやろうとするならば、既存の予定した金融の中に食い込んで、従来のものが災害のそばづえを食うという結果にもなります。でありますから、既存金融ワクには影響を与えないで、災害についてはプラスアルファをその中に積み上げて対処する、こういうふうにしていかなければならないと思うのであります。そしてまた、個人災害に対しては、いまの法律の適用の中ではめんどう見れないという状況になっておると思う。そういたしますと、即刻できることは、金融措置の中でやっていかなければならない。金融措置といたしますならば、これは考え方でどうにでも、行政措置なり何なりでできることだと思うのであります。そういうことについて取り組み方、実情の把握のしかた、それから個人災害なり商店災害に対してどういうふうに取り組もうとしておるのか、この点について、政務次官長官からお答えいただきたい。
  27. 宇野宗佑

    宇野政府委員 先生おっしゃるように、確かに今回の災害都市集中でございますので、いままでの災害ケースと違うところが多々あろうと存ぜられます。したがいまして、特に中小企業者に関するところの災害も、先ほど長官が申し上げましたとおり、すでに九十五億というようなばく大な数字が出ておるわけでございますが、調査実態をいろいろこちらで聞いてみますると、まだ十分な調査ができておらない地域もございまするので、さらに災害の量はふえるのではないかと思われます。したがいまして、とりあえずできることは金融措置でございまするが、これに関しましては、先ほど長官よりお答えいたしましたとおり、弾力性を持ちまして、緊急に能率をあげて、罹災者方々に何としてでも一日も早く復興していただくというような体制を整えたいと思っておりますし、また、その金融ワクというものが従来のワクに食い込みます場合には、当然政府といたしましては、そのようなそごを来たさないような措置をとって、万全の手当てをしていきたいと考えておるのでございます。  なおかつ、先ほど田中委員からも御質問ございましたし、またいまも先生から御質問ございましたが、個人災害を今後どうするかという問題に関しましては、われわれといたしましても、やはりこうした災害を契機といたしまして、十分今後検討をしていただかなければならないのじゃないかと考えております。  特に今回の都市災害におきまして顕著なものは、先日永井先生も本会議で申されましたとおり、こうした豪雨による天災であるとともに、人災もまたある、これは私たちも認識をしなければならないと思うのであります。したがいまして、そうした災害が起こらない事前の対策も必要でございましょうが、そういう要素によって罹災された方々に対してどうするのかということにつきましては、農地の例もございますが、工場個人商店等敷地等に関しましても、新しい要素として、前向きの姿勢で検討してはどうかと私は考えておりますので、その点は十分大臣に申し上げまして、政府全般といたしましても、そういう新しい問題に取り組むような体制を整えたいと考えております。
  28. 影山衛司

    影山政府委員 ただいま政務次官から御答弁申し上げましたことで尽きるわけでございますが、私どもといたしましても、このたびの災害につきましては、中小企業庁からも係官を現地に派遣いたしまして、実情を把握いたしておるような次第でございまして、この都市災害につきましては、特に商店街が非常に大きな災害を受けておる次第でございますので、できるだけ実情に合った対策を強力に進めていきたいと思うわけであります。  中小企業金融関係の三機関ワクの問題でございますが、これは先ほど政務次官から御答弁申し上げましたように、既存ワクにとらわれないで、災害関係には迷惑をかけないというふうに私どもはやっていきたいと思っております。  それからまた、個人災害につきましては、個人の方の多くは商店を営んでおられる方だと思いますので、中小企業者であります限りは、国民金融公庫等の措置を十分講じていきたいと思うわけでございます。さらにそれ以上の進んだ措置というものについては、前向きに検討いたしたいと思っております。
  29. 永井勝次郎

    永井委員 もう一問だけ。外国の例によりますと、こういう災害については、予防措置としての法律措置がいろいろ講じられている。また、災害が現実に発生した場合には、一般的な社会保障制度の中で救済措置がとられる、あるいは事象によって無過失の責任というものが社会的に保障されていて、そうして今度のように、本人の過失ではない、奥地が荒らされた、あるいは宅地造成によって山地の崩壊が起こった、こういうように個人では対応できない災害の中に個人が巻き込まれたというようなことについては、責任の所在というものを明らかにして、個人に全部しわ寄せをすることのないような、こういう民主的な基盤ができていて、その中で救済されておるのでありますが、日本の場合は、そういうものが非常に不備であります。不備でありますが、現実に個人が災害を受け、商店の企業の存立の基盤が侵されたというような問題については、法律ができなければしょうがないということでなしに、その実態に沿うような経過措置というものが考え方によってはできる、あるいはその経過措置のやり方によっては、次の立法措置一つの経験として発展さしていくことができる。こういうふうに国の施策なり何なりの不完全なゆえに、個人の責任にしてほおかぶりをしないという、少なくとも政治責任を自覚してこの問題に対処するという姿勢からは、いろいろな対策が具体的に出てくるはずであると思うのであります。えてしてこういう問題は、問題が起こったときに、一応そこを安定させる、応急措置を講ずるということで、ことばだけでは救済できるような答弁をするのでありますが、時間の経過と具体的な扱いの中では、そういうものは法律がないからできない、こういう関係金融ベースでいくからできない、こういうようなことで、時間の経過とともに無責任な結末になってしまう例があるのであります。これらに対して、大臣御出席でありますから、ひとつその場だけの言いのがれということでなしに、明確な、また現実にこういうことが期待できるといったような被災地に対する方向を、みなが聞いて、これならばという、期待のできるような、具体性のある、誠意のあるかまえで御答弁をわずらわしたい。
  30. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いま永井委員から、こういう災害に対する補償その他のことについて有益な御示唆を得たのであります。なるほどお話しのとおり、実際に世界的に見て、日本ほど天候、地震による災害の多い国はないと私は考えておるのでありますが、その日本よりも災害のない国においていろいろそういう制度ができておるということであれば、これはわれわれ大いに参考としなければならない、また、日本としては外国よりもより多くそういう制度を設けなければならぬということの御示唆を得たのでありますが、そういう点についてはわれわれは検討したいと思っております。なるほどお話しのとおり、いままでの災害は、災害は災難だというような考え方できておったと思いますが、それではいけないのであって、自分の行為によって損害をこうむったのであればやむを得ませんが、地震、天候などによっての被害は、できるだけ政府が何とかすべきであって、その人が再起のできるようにすべきであるというふうに考えておりますから、そういう点については、もう一度研究させてほしいと思います。なお、現在の段階においてもいろいろ金融措置を講ずるよりしかたがないと思うので、すでに政府委員からも答弁があったと思いますが、一日も早く立ち直ることのできるように特別な措置考える。またそれについては府県あるいは関係の各官署とよく協力して、罹災者が一日も早く立ち直るように努力したい、こう考えておる次第でございます。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 長官、市町村長の証明ということを特別措置を講ずるときにやるのですが、それが実にめんどうなんですね。それで時間がかかる。だからもう少し弾力的におやりにならなければいけないわけです。中小企業関係は組合があるわけです。ですから、組合の何か調査あるいは証明といったようなもので、ともかく特別の措置を講じて、市町村長のその証明というものが必要になる場合、これはあくまでも事後的な証明でいいと私は思う。もっと形式にとらわれないで——間に合わなければこれはどうにもならないので、そういう点は配慮してもらいたい。      ————◇—————
  32. 島村一郎

    島村委員長 次に、内閣提出小規模企業共済法の一部を改正する法律案及び同じく中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。中村重光君。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 中小企業振興事業団法の最終的な質問をいたしました際に、政府与党に協力をいたしまして、できるだけ——当日緊急上程をやりたいというので、協力も全面協力、超協力で、私も秒読み質問をやって、十分質問を詰めてなかった。ですから、この法律がこれから働いていくわけだから、具体的にこの法律をどう運用していこうとされておるか、そういう点がもう少しただしてみたいところでありますから、補足的に質問をいたします。  貸し付け期間延長あるいは据え置き期間の問題等に対しては、考え方としてはお答えがあったようでありますけれども、具体的に据え置き期間をどの程度延長しようと考えておられるのかという点についてお答えが明確ではなかったという点が一点であります。  それから、御承知のとおり附帯決議をつけたのでありますが、国の負担割合を引き上げていく、それから利率を引き下げていくということ、その他附帯決議を尊重して、最も早い機会、おそらく臨時国会もあるでありましょうが、臨時国会、あるいは予算措置関係等から四十三年度ということになることもあり得ると思います。だがしかし、その間弾力的な運用によって処理し得る面もあるわけでありますが、これらの点についてはどのようにお答えになっていらっしゃいますか。
  34. 影山衛司

    影山政府委員 貸し付け期間延長いたしたわけでございますが、その中での据え置き期間につきましては、団地関係が現在三年でございますが、これは一応三年ということにいたしております。それから協同組合関係につきましては二年でございます。それから工場の貸与関係につきましても据え置き期間二年ということにいたしておりますが、据え置き期間につきましても、これは一応の基準でございまして、あとは実情に応じて弾力的に取りはからっていきたいというふうに考えておるわけでございます。——ちょっと間違えました。共同施設につきましては、従来一年だったのを二年に延ばしたわけでございます。いずれにいたしましても、それには拘泥しないで、できるだけ弾力的に取りはからっていきたいと思っている次第でございます。  それから附帯決議の中で経過的に運用の面でやっていける点がないかどうかということでございますが、特に第三号あたりは「中小企業者が集団化計画に参加する際の旧債の処理、跡地の処分等につき必要な助成を行なうよう配慮すること。」というふうに附帯決議ができておりますが、そのあと地の処分につきましては、いろいろとむずかしい点もございますので、今後とも検討していきますけれども旧債の処理につきましては、集団化計画に参加する企業がたくさんの旧債を持っておるというような場合があるわけでございますが、これにつきましては、たとえば団地を助成いたします場合にはその前提といたしまして診断を行なうわけでございます。その診断の結果に基づきまして旧債を処理をさせることが必要であるということがわかった際には、たとえば商工組合中央金庫の融資の肩がわりをさせるとか、あるいはそれから補完的に融資をいたすというようなことで、さしあたりの問題を処理をいたしておきたいというふうなことでございます。
  35. 中村重光

    中村(重)委員 利率の点についてのお答えは実はなかった。この点私がお尋ねをいたしまして、事業団の場合において利率はむしろ安くなる、そういうお答えがあったんですね。私は、そうじゃない、いままで無利子であったものが今度は三分五厘の利子がつくんだから、融資ワクが一五%ふえたからといって利子が安くなるということはあり得ないではないか、これは引き下げでわかっているじゃないかということで、平行線みたいになって、これは秒読みになり、こういうことになって実は私も全くあと味の悪い思いで質問を打ち切っておったのであります。これを蒸し返すわけじゃないんだけれども、附帯決議もきちっとつけておるんだから、むしろこれはひとつ大臣のほうがよかろうと思うんだけれども、心がまえを聞いておかなければならぬのですからお尋ねをするのです。事業団の場合、今度はたとえば一億の事業の場合六千五百万円ということになる。そうなってくると、事業団が四千万、都道府県が二千五百万になる。都道府県の場合は利子はゼロだ。事業団の場合の四千万に対して三分五厘の利子がつきますから、これが百四十万になる。したがってこれは金利が百四十万つくことになる。ところが従来の特別会計の場合どうであったか。六千五百万ということになってまいりますと二千五百万ずつ国と都道府県が出すのでありますから、この五千万に対しては利子はつかない。いわゆる無利子である。千五百万に対してこれは自己負担ということになってまいりますから、これには八分二厘の金利がつくということになってまいりますと、計算をしてごらんなさい、百二十三万円になる。事業団によってやります場合には百四十万の利子を払わなければならないが、同じ額に対して従来の特別会計であると百二十三万円で足りるじゃないか。明らかにこれは十七万という利子負担が加重されることになる。数字は正直なんだから、これはいかに長官答弁上手でねじ曲げようとしても、なかなかねじ曲がらない。だからして、あなたは事業団のほうが利子が少なくなるという計算はどういう算術計算をなさればそういうことになるのか、ひとつお聞かせ願いたい。
  36. 影山衛司

    影山政府委員 金利の問題でありますが、先般の質問のとき先生と意見が分かれたわけでございますが、先生と意見の分かれました点は、結局のところ、従来の中小企業高度化資金貸し付けが必要資金の五〇%を満たすのであるということを前提として、先生のような計算ができるわけでございまして、その場合には先生御指摘のように総合金利が多少やはり従来のほうが安いという結果が出るわけでございますけれども、私どもといたしましては、五〇%というのは形式的にそういうことになっておるけれども、実質の高度化資金関係で負担しておるのは三五%である。だからそれを前提にして総合金利を計算いたしますと、むしろ今度のほうが安いではないか、そういうふうな計算でございまして、そこのところが意見の食い違うところでございますが、いずれにいたしましても、やはり私どもといたしましても頭に置いておりますところは、少なくとも従来と比べて総合的な金利の負担といういうものが高度化資金時代よりも負担が多くなっては困るということを念頭に置いて、いろいろと計算をしたり、折衝もいたしておるような次第でございます。これは計算のいたし方がいろいろとあると思いますけれども、この附帯決議の趣旨にのっとりまして、私どもといたしましては今後とも、たとえば現在計算の基礎になっておりますところの事業団の借り入れ金あたりは、結局のところ政府保証債たしか七分、あるいは一般からの政府保証借り入れ、これは八分二厘くらいなものでございますか、そういうものを負担しておるからでございまして、これを財政投融資の負担ということになりますと、これは六分五厘で借りることになる、そういう点もございまして、できるだけ今後金利の引き下げというものにつきましては努力をいたしていきたい、こういうことであります。
  37. 中村重光

    中村(重)委員 あなたが附帯決議を尊重して、金利引き下げのために最大限努力をいたします、そういうお答えなんだから、私は重ねてそれを追及しないのだけれども、従来必要資金の三五%であったという答弁を、私はあなたがこの公式の席上である当委員会において答弁なさることそのものが問題だと思うのです。必要資金の五〇%を出します、出しておるのですとあなたは終始答弁してこられた。またそういう資料を当該委員会にもお出しになった。ところが現実には必要資金の三五%しか出していない。それはあなたのほうの、必要資金の五〇%を出すということを実行なさらなかったのです。そこに問題が一つあるわけです。ですから、従来三五%であったのでございますから、今度は必要資金をもっと計画のとおりに出すようにいたしますから、そういう計算をいたしますと、事業団方式によることのほうが利率は安いのでございます。そういうような答弁をあなたがなさるということは、これは内輪話としてはできても、公の席上においては問題があるのですよ。それとあなたにこの際、特に政務次官にも十分お考えを願いたいのですが、医療金融公庫あるいは環衛公庫——従来は環衛業種に対して特別の貸し付けワクを設けて貸し付けが行なわれた。これに対しては、従来は八分二厘であったのでありますが、これは今度は環衛公庫ができますと六分五厘という、いわゆる特利融資が行なわれる。一般の中小企業とお医者さんたち、あるいは環衛関係の業者の方々と、どうしてそういう金利差をつけるのかということに問題があるのですよ。私は若干この点は前回の委員会におきましても触れたと思いますから、あまり多く申し上げませんけれども、ともかく一般の中小企業の支出の中において、環衛関係あるいはその他の業種と比較いたしまして、その比重においてまさっても劣らないものがたくさんある。だからそれに対しては六分五厘の特利というものを、当然これはお考えにならなければならない。その点に対して、私は中小企業庁のかまえというものは非常に弱いと思うのです。だからして、特段取り組みをやってもらわなければならぬと思います。  それからいまあなたが、従来は三五%であったということでございますが、しからばこの後は必要資金の六五%を完全に融資をすることになりますか。どれほど内容的に変わってくるのです。
  38. 影山衛司

    影山政府委員 従来は一般会計からの金を使っておるわけでございますので、まあ補助金的な考え方も残っておりまして、単価あるいは面積等につきましても、頭打ちであるとか、制限があったわけでございます。今度事業団の設立を機会に、そういう頭打ちとか単価の問題等につきましても、実情に応じて、非常識でない限りは、弾力的にこれを行なっていくという方式に改めますので、六五%は十分確保されるということは私ども考えておるような次第でございます。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 では具体的にお尋ねをするのだけれども、従来は建物なら建物、あるいは機械なら機械というのが対象になるのだな。その機械を据えつけて、それに伴うところの付帯設備というものがあったのですね。たとえば電力の設備とか、あるいはその他あった、これは対象から除外されておった。したがって、先ほどお答えのように、実質的には三五%という形であったろうと私は思う。今度は完全に工場をつくる、土地造成もこれはもちろんやるのでありますが、それに基づいて機械を持ち込む、機械を動かす、それに対してのいわゆる関連的な設備というものが行なわれる、それら全部をひっくるめていわゆる必要資金ということになるわけでありますから、その必要資金の六五%を出すということになってまいりますか、そうなってくると、従来よりもその施設に対する融資の拡大ということになってくるのでありますが、そういうことに改善されたと理解をしてよろしゅうございますね。
  40. 影山衛司

    影山政府委員 従来共同施設などにおきまして、付帯設備を対象から除外いたしておったわけでございますが、今後はそれを対象にいたします。
  41. 中村重光

    中村(重)委員 明確にお答えになった。明確にお答えになったならば、そのとおり実行なさらなければいけません。  それから、今度は三五%は政府関係金融機関において融資するということになってこようと思うのでございますが、いわゆる協調融資というものが行なわれてくることになると思います。その場合いろいろ担保の条件等が問題になってこようと思いますが、それはどのように扱いますか。
  42. 影山衛司

    影山政府委員 担保条件につきましては、できるだけ弾力的に、協調融資する場合に、商工中金でございますので、事業団ともいろいろ話し合いをしながら、担保の点等につきましてはいろいろな措置を講じてまいりたいと考えております。
  43. 中村重光

    中村(重)委員 その点は明確にしておかなければならないのですよ。できるだけでは困る。必要資金の六五%だけしか事業団と都道府県では出さないのだから、三五%足りないのだから、ところが必要資金ですから、できた品物は一〇〇%の価値があるわけでしょう。その三五%だから、したがってその施設に対するいわゆる二番担保という形になると思います。それ以外の担保は要求しないということを明確にひとつお答え願っておかなければいけません。
  44. 影山衛司

    影山政府委員 事業団関係につきましては、持ち込みといいますか、でき上がり担保でいいというふうにできるだけ指導いたしまして、その点において、たとえば商工中金なり、あとは地方の金融機関等が融資をする際の担保の余力ができるように、そういうふうにいたしたいと思っております。
  45. 中村重光

    中村(重)委員 どうもそれでも明確ではない。私は信用保険法の改正案の際にも申し上げたのでありますが、当然保証を全部つけるのです。これはある程度やむを得ないと思う。私は問題を感じるのです。政府中小企業金融公庫の場合は政府の金なんだな。その政府の金を融資するときに、同じ政府資金である保険公庫資金保証協会に流れておるわけだから、これで保証するということはほんとうはおかしいのですよ。政府資金融資するのに政府資金でもって保証するというのは自分の金で自分を保証するということになる。これは本来からいえばおかしいです。しかし現実にはそれが行なわれているのです。だからある程度はこれはやむを得ない。私はあまりしゃくし定木にはこの点については申し上げませんが、ともかくそういう保証協会保証以外に他の金融機関の場合といえども、ほかから担保を持っていらっしゃいというような要求をしないということにしておかなければ、これはたいへんなんです。先ほど旧債であるとかあるいは古い資産の問題等も申し上げたのでありますが、ともかく特定のところでいま工場を持って事業を営んでいる。ところが国の政策によって団地に入るわけなんです。それに対しては新しい設備投資をやらなければならないが、従来のそういう資産の処分も、負債が伴っておりますから、全部担保に入っておりまして、なかなかこれができない。ところが新しく設備投資をしたのに対して、担保力が十分でないから、その残り三五%に対してほかから担保を持っていらっしゃいということになってくると、これはたいへんなんです。だから協調融資の三五%に対しましても、当該施設に対していわゆる二番手抵当という形において一〇〇%融資が行なわれるという形にならなければいけないと私は思いますから、そういう行政指導をしてもらわなければいけません。その点は議論の余地はないんじゃありませんか。
  46. 影山衛司

    影山政府委員 基本的なものの考え方といたしまして、全く先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ具体的な問題につきましては、たとえば地方銀行が協調融資をいたすというような場合には、これはやはり金融機関でございますので、いろいろな問題点があると思いますけれども、個別的、具体的な問題でもございますので、そのために事業団ができたわけでございますので、そういうところが指導しながら、お互いに協調し合いながら、担保の点につきましても十分弾力的な運用をしていきたい、こう思います。
  47. 中村重光

    中村(重)委員 だから全然担保がないんじゃございませんでしょう。保証協会保証がつくのだから、七〇%から八〇%のてん補率があるのだから、民間金融機関の場合において危険負担はもうほとんどないじゃありませんか。だからあなた方の行政指導でこれは可能なんですよ。基本的にあなたがそうだとお考えになるならば、具体的にそういうことになるように指導なさらなければいけないですよ。基本的にはそうだと思いながら、具体的にはなかなかそうはまいりませんと言うのじゃお話にならないですよ。そうでしょう。政務次官どうですか。
  48. 宇野宗佑

    宇野政府委員 いまおっしゃることは、長官がお答えいたしましたとおり、基本的には全く同感でございます。同感である以上は、そういうような形をとるように強力な指導をいたしたいと考えております。
  49. 中村重光

    中村(重)委員 明確な御答弁です。決して無理なことを言っていません。保証協会保証をつけるなと私は言っているのじゃないのです。保証をつけなさい、そう言っている。そういう場合には七〇から八〇というてん補率があるのだから、危険負担はないのです。私も経験があるのだから、役所にできないむずかしいことをやりなさいやりなさいなんて現実遊離なことを言うのではない。政務次官が明確にお答えになった。  最後に問題の二十条、二十一条との関係、これだけを明確にいたしておきます。  これはあまり時間をとらないように、ひとつ前もって、その点を質問いたしますから、はっきり研究していただくように連絡しておきましたので、あなたのほうの答弁の準備は十分できていると思う。  二十条一項三号、「都道府県から必要な資金の一部の貸付けを受けて、前号イ及びロに掲げる業務を行なうこと。」というのに対しては、これは当該地方団体においては単独でできないというようなことがあり得るので、二県以上にまたがる場合は事業団が行なうことになるのであると、細谷委員質問に対してあなたはお答えになった。ところが二十一条の「業務の委託」になってまいりますと、このイ、ロが、イは金融機関に委託をし、ロは「地方公共団体その他政令で定める者」に対してその一部を委託することができると書いてあります。二十条の一項三号において地方公共団体がこれを行なうことができないのだから事業団がやるのでございますと答弁しておいて、二十一条において同じ事業をその一部といえども当該地方公共団体等に委任をするということは、明らかに二十条における答弁と二十一条の条文との矛盾がありますから、この点はひとつ明確にしていただきたいと思います。
  50. 影山衛司

    影山政府委員 この点につきましては、従来の私の答弁に不十分な点があったわけでございます。大体私どもは頭に置いて御答弁申し上げましたのが融資事業でございまして、第二十条の第一項の二号の口に書いてございます造成あるいはこれの建設譲渡というような点は頭に置いていなかったわけでございます。先生御指摘のように、第二十条第一項三号におきましては、口の業務すなわち建設譲渡、造成等の事業が中小企業振興事業団の直接事業になっております業務としてこれは書いてございます。さらに第二十一条の第二項におきまして、地方公共団体にもこの業務の一部を委託することができるというふうに書いてございまして、その点につきましては、一貫して業務のうちの一部が地方公共団体にも流れていくと言うことができるのでございます。これは私の説明が不十分であったということを申し上げます。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 明確になったようでございますから、その点はそれでよろしいです。せっかく事業団をおつくりになったのだから、事業団が十二分に働きができるように、その運用をひとつ配慮していただくということが必要であろうと思います。私どもは、せっかくつくったものが何のためにつくったのかわからないというようなことにならないように、十分バックアップをしてまいりたいと思いますから、指導監督よろしきを得て、事業団をつくってよかったと当該中小企業団体から喜ばれるようにやってもらいたいと思います。  次に、小規模企業共済法の一部を改正する法律案に対してお尋ねをいたしますが、これは時間の関係がございますから、いろいろ基本的なことでお尋ねしたいこともございますけれども、そのものずばりに法律案の運用の問題に対してお尋ねをいたします。  還元融資を行なわなければならぬということを、この法律案を審議いたしますときに私どもはその必要性を大いに強調したのでございますが、還元融資の実績というものはどういうことになっておりましょうか。
  52. 影山衛司

    影山政府委員 還元融資自体につきましては、まだ掛け金の蓄積が一億をちょっと出たようなことでございますので、還元融資そのものはまだ行なっておりません。これは今後掛け金が蓄積いたしましたならば、早急にこれを実施をいたしていきたいと思うわけでございますが、それにかわる措置といたしまして、この掛け金で商工組合中央金庫に対しましてその割引債あるいは利付債を購入をいたしておりますので、それを見返りといたしまして、商工組合中央金庫に木制度の加入者のために特別融資を行なってもらっておるような次第でございます。これは大体一年以上掛け金を払い込んだ者に対しましては、十万円単位で最高百万円まで簡易な方法で融資を行なうということを行なっておりまして、本格的な還元融資が可能となるまでの暫定措置でございます。すでにその実績は、六千八百万円をこえるところの融資実績があるわけでございます。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 きょうはでき得れば本会議に緊急上程をいたしたいと思いますので、かけ足で質問をいたします。  掛け捨ての実情はどうなんですか。ということは、都道府県別加入状況の表をもらったのだけれども、実にアンバランスがあるというだけでなくて、加入の状況が悪いのですね。特に私がこの表を見まして意外に思うのは、茨城県なんというのは五千九百二十一、東京が千五百九十六、神奈川が四百十五、愛知が三百七十二、京都が二百二、大阪が五百五十八、兵庫三百五十四、こういうようになっておって、茨城がどうしてこういういい成績をあげているのか。これはずいぶん努力のあとがうかがわれるのですが、ところが大都市が非常に悪いですね。これはどういう機構または加入をさせるための取り組みをやっているのか、そういうことと、いまお尋ねをいたしました掛け捨ての実情、これをひとつお答え願います。
  54. 影山衛司

    影山政府委員 最初の掛け捨てにつきましては、一年未満のものにつきましては法律上掛け捨てということになっておるわけでございますが、現在のところ脱退をいたしましたものの中で掛け捨てになったものが二十三人、それから任意解約をいたしましたものの中で二十五名というような数字が出ておるような次第でございます。  それから各県によりまして加入の実績が非常に違っております点は、これはまだ一年余りのPRの段階におきましてこういうアンバランスが出ておるような次第でございまして、小規模共済事業団の理事長以下各地に出向きまして、非常なPRと、それから各県当局あるいは中央会、商工会、商工会議所等の団体に呼びかけをいたしておるわけでございます。それを受けて立ってくれたところが実績が非常に伸びておるような次第でございまして、茨城県におきましては、特に茨城県自体が先頭に立って、各商工団体と協調の上でこの加入の促進につとめていただいたような次第でございまして、そういう点でアンバランスが出てきたわけでございますが、これからまだまだPRをし、この呼びかけをいたすわけでございます。これから大都市等につきましても働きかけをいたしまして、加入の促進をはかってまいりたいと思います。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 たしか目標は三十万ということであったと私は思うのだけれども、いまわずかに一万八千五百九十四、口数にして五万七千五百六十八ですね。こういう成績ではどうにもならない。いままた理事長も出向いて大いにやっているのだということなんだけれども、そうすると、理事長が総会等に行ってよろしく頼みますということだけではどうもしょうがないですね。商工会なんかに委託をしてやっているのだろうけれども、そういう場合にやはり手数料というのが、何かこれは中小企業なかんずく小規模企業の方々がみずからの共済をやることになってくるのだから、そういうような特別の手数料等の配慮がなくともやるのがあたりまえではないか。相互扶助だからということには理屈としてはなるのだけれども、現実にはなかなかそうはまいらない。だから何か特別に加入を促進するための意欲的な配慮というものが私はなされなければならないような気がするのですが、何か検討しておることがありますか。
  56. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業団体に対しましては、これが加入をしてもらった口数に応じまして事務代行手数料と申しますか、還元手数料を出しております。
  57. 中村重光

    中村(重)委員 それから附帯決議には事業協同組合を対象にしろということも申し上げたつもりでありますけれども、企業組合は対象になりますが、事業協同組合は対象になっていない、これはどういうことなのか。それから今度新設しようとする協業組合は対象にするお考えを持っていらっしゃるのかどうか。
  58. 影山衛司

    影山政府委員 企業組合を指定いたしまして、協業組合をまだ指定いたしていないわけでございますが、大体の基本的な考え方といたしまして、まず企業体としての形を整えておるものを指定していこうという方針に基づいておるわけでございますので、今度の協業組合も一応企業体と見られるわけでございますので、これは早急に、協業組合法が通過成立をいたしましたならば、政令で指定をいたします。  それから協同組合につきましては、この役員につきましては、いろいろと中小企業退職金共済事業団のほうでも便宜の措置を講じておるというような実情もございますので、もう少しそういう点等の実態をよく調べまして、これもやはり基本的な考え方といたしまして、中小企業団体、特に協同組合等につきましても指定をいたして、これの対象にするということを早急に進めていきたいと思っておる次第でございます。
  59. 中村重光

    中村(重)委員 この第一種、第二種について、今度は現行のは第二種で、新たに新設するものは第一種ということになるのだが、内容的に検討してみますと、特別に第一種と第二種とを区別しなければならぬというふうには感じないのですが、特に区別した積極的な理由は何ですか。これは一本でいいんじゃないですか。
  60. 影山衛司

    影山政府委員 先生御指摘のように、一本でもいいという見地からもいろいろと検討いたしておるような次第でございますが、現行の共済契約すなわち今度の第二種共済契約は、共済事由が事業の廃止のほかにいわゆる法人成りでございますとか、あるいは隠居あるいは満期というようなものが共済事由になっておりまして、これは全体の性格といたしまして貯蓄共済的なあるいは生命保険的な色彩を持っておるわけでございます。そこでこの一方では、掛け金につきまして全額所得控除をしてくれという強い要望もあったわけでございますが、その点につきましていろいろ検討いたしました結果、やはり多少社会保険的な色彩を濃厚にしなければそういう点ができないということもございましたので、ただいま申し上げました現行の共済事由の中で、事業の廃止につきまして、あるいは会社の解散につきまして、特に取り上げまして、これを共済事由とする第一種をつくりまして、これなら社会保険的な色彩を持てるということで、全額所得控除の対象にするというような制度をとったわけでございます。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 御答弁の点を含めて私は一本にすべきだと言っているのです。これは小規模企業が対象でしょう。従来のを第二種としていわゆる保険控除というのにとどめた、少しも前進をしていないのですよ。その限りにおいては附帯決議の趣旨は生かされていない。いわゆる今度掛け金の全額控除をするということになるのだから、そう区別しなくとも、一種であろうと二種であろうとすべてこれは一本にして、掛け金の全額控除をしてもいいじゃありませんか。どうしてこの小規模企業をそんなに社会保険がどうのとか社会保障の関係がどうのという、そういうふうな区別をしなければならぬことがありますか。それは中企業と小規模企業というものを一本にしてこれを分けるというなら話はわかるけれども、小企業を対象にしたものをことさら区別するというのは私はおかしいと思うのです。大蔵省の反対にぶつかったのだろうと思うのだけれども、これは一本にすべきじゃありませんか。
  62. 影山衛司

    影山政府委員 私どもも、これが小規模企業者の共済制度でございますので、先生御指摘のように、全額所得控除を一種、二種を通じてやりたいと思っておるわけでございますが、この掛け金の全額所得控除につきましては一つのルールがございまして、社会保険につきましては、これは全額所得控除になっておりますが、この社会保険につきましては、大体において強制加入あるいは強制微収の制度があるわけでございます。そこまでは、強制加入のところまではまだわれわれも踏み切れないということなんですが、特にこれが小規模事業のための制度であるということを勘案いたしまして、第一種共済契約につきましては強制加入も強制徴収もございませんけれども、社会保険に準じて全額所得控除という制度を設けたような次第でございまして、基本的なものの考え方といたしましては、私ども先生御指摘のとおりでございます。いろいろと折衝上の経緯もございますし、ルールもございまして、私どもは不十分ではございますけれども、この程度でとどめ得るところはとどめ得ておるような次第でございます。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 少なくとも小規模企業対策として、あなたのほうはこれを一つの柱としてお出しになったのだから、区別しないで全部を一本にする。今回は修正をするという態度を避けたいとは風成ですけれども、あなたのほうとしても特に二本にしなければならないという積極的な理由はないでしょう。でき得ればやはりこれを一本にして、掛け金等に対しても全額控除という形に前進させなければならぬというお考え方は持っていらっしゃるんでしょう、どうですか。
  64. 影山衛司

    影山政府委員 先生お説のとおりでございます。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 それから共済金の増額、国の補助及び事務費の増額、こういうことについて特別の配慮をしろということを附帯決議をつけました。これも全然目を向けてないというわけじゃありませんが、いまいろいろと私が指摘いたしましたこと等を含めて、附帯決議が生かされていないというように思うのでございますが、この点はどういうことですか。
  66. 影山衛司

    影山政府委員 人件費、事務費あるいは管理費等、これは一般会計から補助金を出しておりまして、四十一年度は一億四千四百五十六万円でございましたが、四十二年度は一億八千七百万円にいたしておるような次第でございます。  それから共済金の増額につきましては、これは不十分ではございますけれども、第一種共済契約におきます事業の廃止等の場合におきましては、普通の共済金よりも一〇%を増加するようなたてまえにいたしておるような次第でございまして、先生御指摘のように、不十分ではございますけれども、数歩前進させたというふうに考えておるわけでございます。
  67. 中村重光

    中村(重)委員 関連することでございますからお伺いをいたしますが、この商工会の指導員及び補助員というのがある。これがどうも旅費であるとか手当てであるとか、そういうものが画一的になっておるようでございます。この点は離島であるとか僻地であるとかいうようなところに対する配当基準を緩和する、それから手当ての支給ということを、特に離島等は物価もそれだけ高いわけであります。交通費等も非常に高くつくわけでありますから、特別の配慮がなさるべきだと思うのでございますが、その点いかがでしょうか。  それから、商工会に対して記帳継続指導員という制度があるのだと思います。このワクが大都市に偏重しているように思うのでございますが、この点はどういうことになっておりますか。
  68. 影山衛司

    影山政府委員 商工会の補助員につきましては、従来三千百九十八人でございましたけれども、それを三千二百六十一人に増加いたしまして、補助員につきましてはほとんど完全配置ができるというようなところまで持っていっております。ベースアップも行なっておるような次第でございますが、なおこの点につきましては、実際上の配分等につきましては、離島につきましても特別の配慮をいたすことにいたしております。旅費あるいは員数ともに、少なくとも来年度予算においてはその配慮をいたしたいと思うわけであります。  それから、税務記帳指導員につきましても、四十一年度は延べ二千八百十三人の予算をとっておりましたが、今度は四千九十五人に増加をいたしております。今年度につきましては、十分な配置ができるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  69. 中村重光

    中村(重)委員 それから、災害がございましただけに特に感じるのでございますが、災害を受けた中小企業個人災害、民間災害というものがいま対象になっていないために、ここに問題があるわけであります。これは災害基本法の趣旨から考えてみましても、何としてもこの中小企業者のための災害救助法というものですか、そういうようなものを制定をしていく必要があるのだろうと思うわけでございますが、大臣、この点いかがでしょうか。
  70. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 災害救助法の問題につきましては、先ほどちょっと永井委員にお答えしたのですが……。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 助成法、災害助成法ですね。
  72. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 中小企業については、特にいままでは特別の補償の制度は全然考えていなかったと思いますが、中小企業の問題については、災害のために再起のできないような人がいままでは多々あったと思うのです。災害一つの災難というぐらいな、あきらめの考え方をしておったと思いますが、今後におきましては、中小企業の人が災害にあったときには、特別にひとつ考慮すべきじゃないかということを、特にいろいろ皆さん方からも示唆され、またわれわれのほうもその問題についてはあらためて検討していきたい、こう存じておる次第でございます。
  73. 中村重光

    中村(重)委員 それから、最近の新聞報道等を見ますと、大企業のための措置というものがいろいろと考えられておる。特に中堅企業というものに対しての立法措置等も検討しておるということが伝えられておる。開放経済体制下において、私はそれなりにその意義を認めます。ですけれども、非常に零細性の強いところの小売り商業、小規模企業の存在というものは、これはどうすることもできない。いろいろな対策を講じましても、なかなか抜本的な対策というものは出てこない。だが、これも放置するわけにはまいらぬということになるのでございますが、そのためには小売り商業育成のための小売り商業振興法の制定等も検討しなければならないのではないかと思いますが、その点いかがでございましょうか。
  74. 影山衛司

    影山政府委員 零細企業対策につきましては、十分遺憾なきを期したいと思うわけでございます。  小売り商業振興法の制定の要否につきましては、ただいま私どもといたしましても検討中でございまして、実はその結果を待ちたいと思っておるわけでございます。
  75. 中村重光

    中村(重)委員 次は、団体法の法律案の内容についていろいろお尋ねしたいことがあるのであります。  その前にお尋ねをいたしますが、この団体法の九十三条の二のいわゆる制裁処分、具体的には事業停止命令が新たに法文化された、これは改正案として出されたわけでありますが、これの働きがどういうことになっておるのか、具体的な問題としていろいろ私どももその陳情を受けたり事情説明を聞いたりしたセメント瓦工業会の問題もあるのであります。これはたしかカルテル行為としての認可がなされておったと思うのですが、その調整期間は実は過ぎているのではないか。ところがこの事件は訴訟事件に発展をした。なかなかその調整に従わない。これに対していろいろな措置を講じてもむしろ反発をするというので、依然として過当競争というものは改まらなかった。こういうことをいろいろと、当委員会において附帯決議をつけたことと関連をいたしまして、どうも国会はせっかく法律改正をやりながら、一方附帯決議においてそれをチェックして、その改正を無意味なものにしておるではないかというような指摘が実は強く出されたのでございますが、これらの条文の働きがどういうことになっておるのか。また具体的な問題として、私がいま申し上げました、このセメント瓦工業会のこの調整規程違反の問題の終末はどういうことになったのか、伺ってみたいと思います。
  76. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業団体の組織に関する法律第九十三条の二の事業停止命令でございますが、これは昭和三十七年五月の衆議院の附帯決議にも、業務停止命令の運用については特に慎重を期するようにという附帯決議もございまして、この業務停止命令はできるだけこれを発動しないで済ますように私ども指導いたしておるような次第でございまして、先生御指摘のセメント瓦の件につきましては、他県から入ってきた人がなかなか商工組合の調整行為に従わないという点で問題になりまして、訴訟になったわけでございますけれども、その後の指導の結果、他県から入った工場も商工組合に加入いたしまして、全体の調整行為に従う、その一環として事業を行なうということになりましたので、今回、ごく最近でございますが、不起訴の処置になったというふうに私どもは了解しておるような次第でございます。
  77. 中村重光

    中村(重)委員 この問題の処理は、いまの答えでよくわかったのでございますが、私どもがこの法律案の改正の際に附帯決議をつけたということも、伝家の宝刀を直ちに抜くということは、決してほんとうの意味の行政であるとは言えないのでありまして、やはりそういうようなことが起こらないように十分中小企業者指導して、また組合も特権意識という形になったのでは民主化を阻害してまいりますので、政府指導、業者並びに組合の自覚、両々相まってこのせっかくの団体法の目的に沿うということでなければならないというような点から、改正は必要であろうけれども委員会としては附帯決議をつけたということになるのであります。いま長官のお答えを聞いておりますと、いろいろそういうことにならないように指導しておるというのだけれども、業界の方々が、どうも全然規程を無視する、調整に従わない、これじゃどうにもならぬじゃないかということでいろいろきびしい態度で臨んでもらうことを通産局あるいは企業庁あたりにも要請する。いや、国会で附帯決議がつけられておるのだから、それでどうにもならないのだ、それさえなければ強力にやれるのだけれども、というような逃げ口上というか、どうも責任転嫁というような傾向がなきにしもあらずであります。だから、それらの点に対して、長官はいまお答えのようにお考えになっていらっしゃるだろうけれども、現場ではなかなかそういうことになっていないのではないかと思うのでございますが、それらの点を把握しておるところはございませんか。
  78. 影山衛司

    影山政府委員 十分中小企業庁なり各通産局なり、御指摘の線で指導をしていきたいと思います。
  79. 中村重光

    中村(重)委員 実は、今度の国会において、相当会期も長かったのでございますけれども中小企業関係法律案が五本程度出されたのでありますけれども中小企業の基本的な問題について大臣お尋ねをする機会が実は一回もないのであります。そこで、時間をかけまして、この中小企業の振興に対し、開放経済体制下でもございますし、資本自由化が行なわれておるときでございますから、大臣の所見を伺ってみたいと思うのでありますが、きょうももう残り予定の時間というものは四十五分しかございません。したがって、法律案の内容についてお尋ねをいたしますと、基本的な問題についての時間が実はないわけであります。ですけれども一、二点だけ伺うのでございますが、資本自由化という国際的経済場裏に対応させるために、非常に数の多い業種業態、これは千差万別でございますが、そうした中小企業実態に対して、大臣中小企業対策をどう進めていこうとお考えになっているのか、基本的な考え方をこの際伺っておきたいと思います。
  80. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 資本自由化に対する中小企業対策ですが、全体の意味では、問題は、中小企業と大企業との所得の格差があるというところに中小企業問題があるのであって、大企業と同じような所得をあげることができて、そしてその中小企業が安定してその営業を継続することができるということであれば、中小企業の問題は消えてしまうわけであります。そういう意味で、中小企業と大企業との所得の格差をなくすべくいろいろ法案をつくっておるわけであって、困ったときには金のめんどうを見るとか、あるいは税金を安くして、そうして支出を減らすとかいうようなことでいろいろの施策を講じてきておるのであります。中小企業の振興事業団なども、これは大企業と対立していくのには中小企業が個々別々の営業では対立ができないから、そこで協業して、そうしてその協業の力で大企業と対立していかすように指導したいということで、今回協業組合という案も考えたりなどしたのでありまして、また、それに対して特別の融資の方法も考えるというようなことで、とにかく大企業と所得の格差をなくすということが中小企業対策のねらいであると私は考えておるし、また今日までそういう点において政府がいろいろと努力してきた、こう考えておる次第であります。
  81. 中村重光

    中村(重)委員 大臣のいまのお答えは中小企業基本法の目的でもあるわけです。経済の二重構造を直す、そのためには大企業と中小企業との格差を解消していくということでなければならない、そのための施策というものが講ぜられてきたわけであります。また、いま大臣お答えのとおりに、協業組合というものをつくることもそのためであるということ、それは大臣の提案理由の説明の中にも実はあるわけであります。ところが、今日までいろいろ中小企業のための新しい政策というものが次から次に出されてまいりました。大臣も、就任なさって、従来の中小企業政策というものはどういうものがあったのか、またそれがどういうように働き成果をあげてきているのかということに対しても、批判、検討をされたものであると私は思うのであります。ところが、いままでいろいろと講ぜられてきた中小企業の政策、たとえば官公需の受注の機会を与える問題、ボランタリーチェーンの問題、投資育成政策、工場アパート、機械貸与の問題等々数多くあるが、ところがほんとうにそれらの法律案というものが有効に働いておるのか、強力に中小企業政策が推し進められてきたのかどうか、そうして大臣がいまお答えになりましたように、中小企業と大企業との格差というものの是正をされるという方向に進んできたのかということになってまいりますと、必ずしもそうではない。倒産相次ぐというような実態は御承知のとおりであります。大企業の進出というものは、これはむしろ積極的に行なわれてきている。これを阻止する何ものもないということになってまいりますと、格差は拡大する一方であると私は思うのであります。これではいけない。だからして新しい中小企業政策というものを次から次に出してくることも、それがほんとうに有効に働くものであるならばよろしいわけでございますけれども、実際は大した効果を発揮してないということになるならば、新しいアイデアを追うというのではなくて、じっくりと中小企業の政策というものを実りあるものにして、そうして大臣がいまお答えになったような格差の解消というものを実現をするということでなければならぬと私は思うのであります。そのために出てくるものは何か。いわゆる中小企業の保護育成政策というものも一つの柱でありましょう。それから中小企業の体質を改善するというような方策、これが中小企業政策における二本の柱であると私は思うのであります。ならば、保護育成の策としてはどういうものがあるのか、中小企業の体質改善をする政策というものは具体的にはどういうものがあるのか、この両者をどういうようにからみ合わせていこうと考えられるのかということが、当然大臣考え方として出されなければならないと思うのであります。この点はいかがでございましょう。
  82. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 今日まで、中小企業の育成ということは政府もいつも唱えておるし、また与党も野党の皆さん方もいつも唱えておることであるが、しかし中小企業の問題は決して解消はしていないということは御承知のとおりであります。その点はわれわれもまことに遺憾に存じておるのであります。しかし、いままで中小企業対策をいろいろとってきたおかげで、中小企業の格差というものがだんだん幅が狭くなっておることは事実であります。大企業と同じようにはまだなっておりませんけれども、その格差がだんだん狭くなっておるということは、いろいろの対策を講じた結果ではないかと思うのであります。しかし、格差をなくするようなところまでまだいっておりません。その点において、いままでの努力が足らないじゃないかというようなおことばもあったのでありますが、中小企業の問題というものは、業態は千差万別でありまするし、そうしてまた、時代の変化、経済情勢の変化というものが非常な勢いでありますからして、その経済事情の変化に応じての対策をそれぞれ考えなければならないと思うのであります。たとえば協業組合の問題でも、いままではそれを考えなかった。いままではほかの協同組合の制度で事が足りるように思っておったのでありますが、最近のように労働力が不足してくるとか、あるいは生産設備がだんだんと大規模になってくるとかいうようなことになってきますると、どうしても協業ということを考えなければならぬというようなことで、経済情勢の変化に応じてそれぞれ対策をいままで考え出してきたのであります。しかしながらそれだけの効果をあげてないと言われれば、もちろん私は全部が目的を達成したとはいえません。しかし、たとえば協業の問題にいたしましても、先ほどの共済事業の問題にいたしましても、それほど予想したとおりの結果は出ていないではないかというようなおことばでありますが、それは私は日本人の性格として、共済組合、相互扶助的な精神というものがわりあい少ないんじゃないか。そういうことを説得するというところにもう少し力を入れなければならぬじゃないか。この協業組合なども、これもよほど指導しなければ、お山の大将でありたいというのが日本人の性格でありますからして、小規模でも、どうぞこうぞやっていけば、自分で独立してやったほうがいいという考え方が強いのでありますが、しかしもう時勢はそれではやっていけない時勢になっておるのでありますから、大勢をよく説き聞かして、そうしてお互いが協業組合をつくってやったほうが自立ができるのであるということを説得しなければならない。よほどこの説得については私は努力を要すると思うのであります。そういうことで、指導センターをいままで設けておったのでありますが、指導センターと金融機関との間を合わせたものが中小企業振興事業団であります。一方においては高度化資金や何かの資金の運用を教えると同時に、こういう運用があるということをよく指導して、そうしてそれには協業組合をつくってやったほうがよろしいということをこれから指導していくのでありますからして、問題は、今後の指導の強弱に私はかかると思う。そこで問題は、やはり指導者です。適当な指導者がなければ、何ぼ組合をつくったって、ほんとうの組合の効果をあげるものではありません。りっぱな指導者が組合を指導していけば成績をあげていくと思うのでありますからして、今後はその有能な指導者をまず選び、またそれを育成するということが、私は中小企業の今後の解決の道を見出すまず第一歩じゃないか、こう考えておるのでありまして、そういう意味で今回の中小企業振興事業団なども設けたのであります。しかし、これは政府もやるが、同時に府県の地方団体の諸君もみなともにやってもらうし、あるいは商工会、商工会議所の人もやってもらうし、また先ほどのお話のように、共済事業というようなものを知らない人々もあるのでありますから、したがって、そういうようなPRもこれから盛んにやる必要があるというようなことで、この際はひとつ、中小企業に従事しておる人たちに対して、中小企業に関心を持ち、また中小企業のことをやっておる人々ができるだけPRをして、そして皆さんの力を合わせて指導するという態度でいきたいというように考えておるのであります。また政府のほうでは、こういう制度をつくったからこれでいいというような考え方では私はだめだと思う。せっかく皆さん方の御協賛を得てこういう制度をつくるのでありますから、この制度が十分にその効果を発するように、今後政府も献身的にやるべきであるし、同時に中小企業者自身もひとつ、せっかくこういういい制度があるのだから、これを活用して大いにやるのだ、自分らが生きるのだというような意気込みを持ってもらいたい、そういうことで中小企業の問題の解決をはかりたい、こう存じておる次第であります。
  83. 中村重光

    中村(重)委員 私が大臣に申し上げたいのは、大臣がかわれば何か新しいものを出さなければならぬという気持ちになる。中小企業庁長官がかわればまた新味なものを考えなければならぬということになる。形ばかりを追うということになるのですよ。私はそれは全然むだであるとは言いません。しかし、そういうアイデアを追うのではなくて、従来の法律の中においていかに中小企業政策というものを強力に進めていくかということに重点を置きなさいというのです。それは体質改善、そのとおり必要なんです。協業組合もいいでしょう。ですけれども、保護育成の中で典型的なものとして出ておるのはどういうものがあるのか。百貨店はどうなんだ。いろいろな購買会はどうですか。農協はどういうことをやっておるのですか。あるいはいろいろな厚生施設がある、そういうもののために中小企業はいかに苦しんでおるのか。しかしそれらの問題の解決のために、それでは中小企業庁はどういう取り組みをやっていますか。保護育成の典型的な問題としてそこへ出てきておる問題に対して、ほとんど手を染めてはいないじゃないですか。農協をやることは、農業団体が圧力団体であって、これの気に食わないことをやるということは、これはおそれをなしておるのかどうか知りません。しかし農協が、特に市街地農協が常識はずれの金融事業をやるとか、あるいは百貨店まがいの商売をどんどんやっておるとか、厚生施設であろうとも、一つ工場とか会社の中ではなくて、町のどまん中に厚生施設の看板を掲げて員外利用をじゃんじゃんやっておる。税金を納めて大きな経営努力を払っておる中小企業者は、どのようにそのための打撃を受けておりましょうか。しかし一つも解決をしていないじゃありませんか。私は、そういうように身近な問題、それらの点に対して、もっと情熱を傾けて、責任を持って中小企業の保護育成のために力を注ぎなさいというのです。しかしそれらの問題よりも、形をつくるということのみにうき身をやつしておるというような感なきにしもあらずだ、いま大臣は、格差は解消されていないけれども、幅は縮まりつつあるのだ——そうではございません。労働需給が非常に逼迫をいたしまして、寄らば大樹の陰で、若い労働力というものは大企業のところへ行ってしまう。これを何とか引きつけなければならぬというので労働賃金を上げてきたということは私はあると思う。しかし、それは中小企業に余力があって労働者の賃金を上げておるのではありません。非常に苦しい経営の中において、無理をして労働力確保のために労働賃金を上げてきておるということが私は現実であると思う。そのことがまた倒産へ続いておるということも否定できないと思うのであります。だから、労働賃金の面において大企業との差が若干縮まったということをもって、これは均衡がとれつつあるのだというような評価をすることは危険であると思うのであります。  私はいろいろ具体的な問題についてお尋ねをしたかった。たとえば労働生産性はどういうことなのか。これは私の調査によると、大企業の二分の一である。資本の集約度、機械の装備率はどうか。これは両者ともおおむね二分の一であります。賃金水準はどうか。大企業の三分の二であります。売り上げ高の純利益はどうなんだ。これもおおむね大企業の二分の一であります。常用従業者一人当たりの純利益率はどうなっているのか。これも大企業の二分の一であります。労働所得の分配率は大企業より若干上回ってきておるのであります。ここに、中小企業の経営がいかに苦しいか、労働力確保のために無理をしておるかということがはっきりあらわれてきておるのであります。時間の関係がございますから、一つ一つこれらの点に対しましてお尋ねをして分析をしたかったのでありますけれども、これは省略をいたします。いずれ適当な機会にこれらの問題に対してお尋ねをしてまいりたい。  よく、自己努力をしなさい、何でもかんでも政府がやることに依存してはなりません、こう言う。ですけれども、私がいまあげましたように、資本の集約度、機械の装備率なんというものは非常に低い。低いけれども、労働者に対しては、配分率というものが大企業よりもずっと高くなってきておる。それでも賃金は大企業より安い。経営者がいかに苦労をしているか、労働者が安い賃金で、また悪い労働条件の中でもがまんをしていかに働いておるかということがはっきりあらわれておる。そして今日、日本の企業の経済の中に中小企業というものが大きな役割りを果たしている。一面から言うならば、私は、中小企業の犠牲のもとに日本の経済の健全な確保というものが実は行なわれておるのだとさえ申し上げたいのであります。だからして、中小企業の政策というものは、ほんとうに情熱を傾けて、もっと積極的に現実をほんとうに見詰めて、そしてその上にがっちり足をおろして取り組んでいくというものでなければならぬ。親企業と下請企業の関係も、大臣ごらんなさい。資本自由化のもとにおいて特にいま締めつけが激しくなっていますよ。  いま私があげました諸問題についてひとつ総括的に大臣からお答えを願いまして、法律案の内容についていろいろとお尋ねを進めてまいりたいと思いますから、一応お答えを願います。
  84. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 中村委員の言われるとおり、決して中小企業が大企業と平等の地位にあるということは私も申し上げていないのであります。格差があるということは私認めておるのであります。先ほど申し上げましたとおり、政府でいろいろ制度をつくっておっても、ただ制度をつくっただけではいけない、これを活用しなければいけないということを申し上げたわけでありまして、これを活用するかしないかということは政府の心がまえにあることだと思うのでございます。とかく法律をつくったらそれで事足れりというような考えを持ってはいけない、せっかくの法律はこれを活用してこそ値打ちがあるからして、そういう意味で中小企業の問題につきましては従来とも通産省ではみんな一生懸命にやってきたのでありますが、皆さん方の御期待のような成績をあげ得なかったことは非常に遺憾に思っております。結局は、やはり制度というよりも、政府当局の熱意いかんだと思うのでありますからして、そういう点におきましては、今後は中小企業の問題については、中小企業の地位をよりよくするためにわれわれはできるだけの努力をすることをこの機会にお誓い申し上げて、ひとつ皆さん方もまた御協力くださることをお願い申し上げたいと思います。
  85. 中村重光

    中村(重)委員 私はいま中小企業庁ということで言ったのですが、少なくとも通産大臣というのは閣僚の中でも重要閣僚なのです。また通産省の比重というものは日本経済の中において非常に大きな役割りを果たすわけです。だからしていろいろ私があげましたような問題、もちろん中小企業庁は大いにがんばってもらわなければならないけれども中小企業庁ではどうすることもできない問題がある。一つの例として市街地農協の百貨店的なやり方ということを私は申し上げたのであります。これはもう政治の問題なのです。だから、いま大臣がお答えになりましたような積極的な取り組みをやるという中において問題は解決されなければならぬ。いろいろ施策をおあげになりました。私は金融の問題も申し上げたかったのであります。中小企業金融はどうなのか。ほんとうに中小企業金融緩和をはかろうとするならば、政府関係金融機関融資ワクを拡大するということでなければならぬと私は思う。それに相当な重点というものが向けられなければならぬと思う。しかし現実はどうなのか。現実は政府関係機関において八・五あるいは九%というその線を上がったり下がったりしておるではありませんか。ただ絶対額がふえているから中小企業関係金融機関において政府の施策というものは十分考えられておるのだというお答えがよくあるのであります。これは物価が上がっておるのでありますから、絶対額がふえてくるのは当然です。三機関の比率というものが上がる、そういうような施策を講じてこそほんとうの金融緩和の道に通じてくると思うのであります。民間の金融機関に依存することもそれはあるでしょう。政府関係金融機関と合わせますと、民間の金融機関等と両者でもって五二%程度になる。まだまだ都市銀行に依存する比率というものは非常に高いのでありますから、この点はひとつ大臣に十分御配慮を願いたいと私は思うのであります。  そこで、法律案の問題についてお尋ねをいたしますが、このおつくりになる協業組合に対して、中小企業者がどの程度関心を持っておるとお思いになりますか。
  86. 影山衛司

    影山政府委員 この協業組合につきましては、中小企業者は非常な関心を持ってきております。私どものほうにもいろいろな業種からこの協業組合についての相談を持ちかけてきておりますし、協業組合の関係の法制が成立するのが一日も早いことを待ち望んでおるような次第でございます。
  87. 中村重光

    中村(重)委員 相談を持ちかけてきたというのですけれども、協業組合法というものがなくとも、いままで国の施策として協業化というものが大きな柱であったわけですね。ところがその協業化というものがなかなか進まない。それで協業組合法というものをつくった。それによっていわゆる中小企業の協業化というものが強力に進むのか。私は形づくっただけではなかなか進まないと思う。せっかくできたけれども結婚の相手はないというような形になるのじゃございませんか。どうもそういう感じがしてならない。つくろうとする積極的な理由は何ですか。
  88. 影山衛司

    影山政府委員 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、中小企業をめぐる周囲の環境は非常にきびしくなっておりまして、協業化というものをやらなければいけないという気運が非常に強くなっております。先般も関東地区の商工会の連合会の総会に私のところの部長が出席いたしましたけれども、そういう指導者の人たちも、この協業組合という形で小規模零細層の近代化をはかっていかなければいけないということを強く主張をされておったような次第でございます。しかしながら協業組合の制度をつくっただけではなかなか軌道に乗っていかない点もあるかと思うわけでございまして、これにつきましては強力な指導も行なっていかなければいけない。そのために各県の中央会に各一名ずつの指導員を今度増置したような次第でございまして、これは協業組合の設置の指導に当たらせるということを考えたわけでございます。
  89. 中村重光

    中村(重)委員 私が言いたいのは、企業庁長官、この協業化というのは一番しやすいのは団地の企業者なのです。ところが団地で事業協同組合による協同組合はできている。しかし協業組合というのはできない。組合はないんだからできないのはあたりまえなんだけれども、いわゆる協業化というものはなかなか進まない。一番手がつけやすい、また、企業庁としても指導しやすい、そういうところで協業化というものができない。協業組合という法制化をやっても、ほんとうにこの協業化というものができるのかどうか、やはり何かの、そういった法体系ということだけでなくて、積極的な協同組合をつくらなければならぬというような裏づけになるものがなければならぬと思うのですが、それがどうも弱いですね。従来の法体系の中において協業化ができない、阻害されておるというものがはっきりあれば別なんですね。しかし、阻害要因というものがたいしてない。ただ一点あった。長崎県のみそ、しょうゆ協同組合の例があった。大臣が私に雑談的に話したことがありますが、協業組合法というものができ上がると、みそ、しょうゆ組合の問題も解決をするのですがということを言われたことがある。私は、ああいうことが協業組合法をつくらなければならぬという積極的な理由というものには乏しいと思うのです。何かあるような気がするのですが、どうですか。
  90. 影山衛司

    影山政府委員 先生が例示をいたされました長崎県のみそ、しょうゆの協同組合は、全部協業組合の近くまでいっておるわけでございますが、それに類したところの協同組合は全国で現在私どもが調べたところ二百協同組合ほどあるわけでございます。これらの全部協業をやっておりますところの組合は、これは協同組合法上もう一歩を進めますと、員外者利用の問題であるとか、あるいは事業者でなくなるというようなことで、違法な組合になりかねないわけでございますので、そういう点は、こういう進んだ協業の形を違法な組合として片づけますよりも、むしろそういう積極面をとらえまして、正面からこれを取り上げて法制化したというような次第でございますので、やはり従来の制度では律し切れないところの問題もあってこの協業組合制度ができてきたような次第でございまして、長崎県のみそ、しょうゆに類するような組合も積極的に協業組合のほうに移行したいという意向も強いわけでございます。  それから、先ほど先生からお話がございました団地関係につきましても、全国の団地協議会でも非常に大きな関心を寄せておりまして、具体的には愛知県等にあるような家具の工業団地等につきましても、協業化を協業組合でやったほうがむしろ適当だと思われるような団地もあるわけでございますので、そういう点も、私どもといたしましては、中小企業振興事業団の対象にもこれをいたしておるような次第でございます。助成の面も、指導の面等を兼ねましてこれを推進いたしていきたいと考えております。
  91. 中村重光

    中村(重)委員 この協業組合の法律をつくる、そこで非常に中小企業として困っておる問題、いわゆる労働力の需給の逼迫、こういうものが協業組合法をつくることによって解決する道が見出されることになるのかどうか。総理大臣あてに中小企業政策審議会の「協業組合の創設について」という意見具申がある。これをずっと読んでみた。なるほどこれを読んでみると、協業化の要請として、一、労働集約から資本集約、二が市場条件が変化をした、三に需要構造の変化、いわゆる所得水準であるとか生活様式が変わるということで、需要構造がこれに伴って当然変化をしてきた、それから大量消費、大量販売、そういうものの要請から質の向上というものが求められてくるのだ、それから技術革新の進展、大量生産方式の導入ということによって大幅にこれをコストを引き下げていくということが必要だ、物価が上昇しておる、これはやはり生産性がおくれておるというところにあるのではないか、諸原材料は高騰した、賃金は上昇し、経営を困難にしておる、したがって、生産性を上げていかなければならぬ、コストの上昇要因を生産性を引き上げることによってこれに吸収していく、こういうようなことが内容として意見具申の中に盛り込まれておる。これは協業組合の創設についてというような意見具申でありますから、この協業組合をつくらなければ、意見として指摘されるような問題が解決しないとするならば、協業組合は積極的な意義がある。大いにこの組合をつくること、この法律をつくることを歓迎したい。しかし、これらの問題がいままで強力に進められてこなかった。柱としては立てられながらも進められなかった。したがって、たいした成果はあがっていない。そこで、いかにもこの協同組合というような法律に基づくところのものによらなければ、実際は意見の中にある内容というものが成熟しないのだ、こういうふうには直接結びついてこないと私は思う。賛成をしようと思っておるのでありますから、これはできれば協業組合法を制定することについての積極的な理由というものを見出したい、積極的な理由を大臣あるいは長官から答えとして引き出したい、こう考えておるからお尋ねをしておるわけなんですが、少なくとも私に対するいままでの答弁の中では積極的な理由づけというものがない。だから、従来中小企業政策というものを強力に進めてきたのだけれども、いまの法制化の中においてこういうことが問題になってきたのだ、だから、この法律をつくってもらうことにおいて、協業組合をつくり、中小企業の共同化というものを強力に進めていく、こういうことにしたい。そして中小企業基本法の基本理念であるところの二重構造を解消し、大企業との格差是正ということに役立たしていきたいというような、そういうことが単なる答弁でなくして、実感として私どもが感じ得るようなことがないものかどうかということですね。私はそれを求めておるのです。
  92. 影山衛司

    影山政府委員 この協業組合の目的におきましても、「生産性の向上等を効率的に推進し、その共同の利益を増進することを目的とする。」というふうにうたってございまして、生産性の向上ということがこの協業組合の一つの大きな目的でございます。  それからまた、先ほど御指摘の労働力の確保というような点も、この協業組合によってこれを達成していきたいということを考えておるわけでございまして、これはこの協業組合の制度をつくります前に、協業化の効果につきましても、私どもとしてもいろいろと調査をいたした次第でございます。その中で、典型的な協業化を行なっておる事例を調べてみました結果、中には生産性は二倍にもなった、新規の若年労働者の採用も非常に円滑に行なえるようになったというような例が多々あるわけでございます。そういうふうな実際の調査もいたしまして、積極的な意義もあるということを私どもは確信をいたしました上で、この制度の調査に乗り出したわけでございます。そういう点も御了承の上、この協業組合というものの積極的意義をお認めいただきたいと思うわけでございます。
  93. 中村重光

    中村(重)委員 大臣が参議院のほうに出席を求められておるようでありますので、協力をするためにあと一問程度質問を打ち切りまして、この法律案は上げたいと思うわけであります。ただ、私は大臣に注意を喚起したいと思うのでございますが、この協業組合法を制定するにあたって、白書の中にもあったのでありますが、規模の適正化を強調していらっしゃいます。規模の適正化ということはどういうことであろうか。なるほど規模の適正化ということは、経営単位としては成り立っても、経済単位として成り立ち得るのであろうか。その規模の適正化というものがこの小規模企業というものをどうしようと考えていらっしゃるのか。切り捨てて社会保障的にこれを救済しようとお考えになるのかどうか。そこらあたりも明確にされていないということであります。だからして、規模の適正化というものの基準を、ひとつこの際明らかにしていただきたいということ。それから、いま申し上げたように、規模の利益ということに問題をしぼってまいりますと、小規模企業に問題が出てまいりますから、これに対するひとつ考え方もこの際明らかにしておいていただきたいと思うのであります。
  94. 影山衛司

    影山政府委員 適正規模の問題でありますけれども、この適正規模につきましては、中小企業近代化促進法におきましては、基本計画を制定いたします際に、生産の適正規模を検討する、きめるということになっております。それに基づきまして適正規模をきめるわけでございますが、大体私どもいままで適正規模を調べてみますと、中小企業の範疇に属するところに適正規模が落ちつくものが非常に多いわけでございますので、そういう点でむしろ小規模零細層の人たちをそういうところへ積極的にもっていってあげたいということ。それから同時に、個別、具体的な問題につきましては、やはりこの適正規模が経営単位として成り立つかどうかということにつきましては、おのおの診断制度等も活用いたしまして、ケース・バイ・ケースに、ひとつその実態に即したように指導をしていきたいと思う次第でございます。
  95. 中村重光

    中村(重)委員 最後に、基本的な問題だから大臣から……。
  96. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 先ほどから協業組合のことについていろいろお尋ねがありましたが、協業組合の必要性については繰り返し繰り返し実は申し上げておるのでありますが、しかしぴんとこないということであったのでありますが、われわれの発言方法がまずいのか、われわれの熱意が足らぬのか、その点まことに遺憾に存じておるのでありますが、協業組合をつくらなければならない経済情勢になってきたということをお考え願いたいと思います。協業組合をつくらなければ、中小企業が今後は自立ができない情勢になってきたということで、われわれはぜひ組合をつくって、また組合の力によって中小企業の存立をはかれると考えております。が、しかし、中小企業者自体は、まだ協業組合の必要性を感じていない人もそれはたくさんあると思います。しかしそれは私は、何でも新しい制度をつくる場合には、ごく少数の人たちが初めは理解できずして、漸次その制度の利益を知ることによって、またその制度に加入してくるというのが常でありますからして、これはわれわれといたしましては協業組合の有利であるということ、また協業組合をつくらなければ中小企業は自立のできないということの実例を今後示して、それによってPRしていく。そしてひとつ多数の人に参加してもらう、そしてまた多数の人が、中小企業の人がこれによって生きていってもらうということを考えたいと思っておるのでありまして、そういう点においてはいままで以上のひとつわれわれは熱意をもって協業組合の必要性を叫びたい、こう考えておる次第であります。  なお、その点についてはひとつ委員各位も、この協業組合の必要性を大いに御理解していただいて、各地においてまた御宣伝していただくことを、この機会に私のほうからもお願い申し上げたいと思う次第でございます。
  97. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  両案の質疑は、これを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、両案の質疑は終局いたしました。     —————————————
  99. 島村一郎

    島村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出もございませんので、直ちに採決に入ります。  まず、小規模企業共済法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  100. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  101. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  102. 島村一郎

    島村委員長 この際、鴨田宗一君外三名から、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案にかかる小規模企業共済法の一部を改正する法律案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提案者から趣旨の説明を聴取することといたします。中村重光君。
  103. 中村重光

    中村(重)委員 ただいま議決されました小規模企業共済法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    小規模企業共済法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、共済制度の拡充強化を図るため、第二種共済掛金についても第一種共済とほぼ同様の税制上の措置を講ずるよう検討すべきである。 以上が案文でございますが、その内容につきましては、質疑の過程で明らかなところでありますので、省略いたします。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  104. 島村一郎

    島村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  105. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。菅野通商産業大臣
  106. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 ただいまおきめになりました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、その実現方について努力したいと存じます。     —————————————
  107. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  両案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  109. 島村一郎

    島村委員長 本会議散会後再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時五十八分休憩     —————————————    午後三時二十七分開議
  110. 島村一郎

    島村委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  内閣提出商品取引所法の一部を改正する法律案を議題として、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。塚本三郎君。
  111. 塚本三郎

    ○塚本委員 政務次官お尋ねいたします。  最初に、商品仲買人の資質の向上につきまして、お尋ねしたいと思います。  最近における商品取引所制度の最大の問題は、商品仲買人と委託者との紛議、ざらには商品仲買人の倒産による委託者の損害の増大という事態であります。これらはいずれも商品取引所制度の本筋から見てあるまじき事態でありますが、その原因としては、商品仲買人の中にはその資質に欠けている者が相当数にのぼっていることが第一にあげられましょう。政府は今回の法改正において、商品仲買人の資質の向上をはかるためいかなる措置を講ぜんとしておられますか。また許可制度をはじめとするこれらの措置によって、実際には不良仲買人をほんとうに排除することができるかどうか、法改正だけでそういうふうな実があがるかどうか、自信のほどを最初にお伺いしたいと思います。
  112. 宇野宗佑

    宇野政府委員 御指摘のとおり、最近における紛議あるいは倒産等の実情から考えますと、どういたしましてもやはり委託者保護ということを行政の立場からは考えていかなくてはならないと思います。したがいまして、特に仲買人の営業態度あるいはまた資力、そういう問題に関しましては、通産省といたしましても、委託者を保護せんがためにはシビアな態度をもって臨みたいと思うのでございます。そこで、いまおっしゃったとおりに、その一例といたしましては、従来登録制でございましたが、これを許可制にいたしまして、資質の向上なりあるいはまた資力はだいじょうぶであるかということをはっきりと通産省といたしましても確認をして、その後取引所の所期の運営ができるような形を整えていきたいと思いますので、幸いにいたしましてこの法を御可決いただきました場合には、法の精神を生かしまして、強力な行政指導に基づいて、御趣旨の点を実行に移したいと考えておるものであります。
  113. 塚本三郎

    ○塚本委員 許可制になさる場合に、現在まで登録制になっております業者が、何か既得権のごとく優先権があるような状態に持っていかれるのではないかと想定されるわけでございます。しかし、私どもが二、三聞き及んだところによりますと、証券取引所と違いまして、商品取引の場合、委託者に対してきわめてたくさん問題を提起してきたと思うわけでございます。そういうことだからこそ今回許可制度に移られたと思うわけです。そういう問題を起こしたがために、政府が本腰を入れてこれに対する監督の強化をはかろうとしておるとき、そういう者がいわゆる既得権のごとくに許可の立場に立つということは何か矛盾しておるやに考えられますが、許可にあたりましては、おそらく厳重に最初から全部やり直しなさることでございましょうから、一店一店その資格について審査をなさらなければならぬと考えますが、その点についての御見解はどうでしょうか。
  114. 宇野宗佑

    宇野政府委員 許可制にいたします場合には、当然先ほどお答えいたしましたとおり、商品仲買人の純資産額を大幅にまず引き上げて、それによってその信用の度合いというものをはっきり確認をしたいと思うのであります。  第二番目には、受託業務保証金制度というものを設けることにいたしまして、その二分の一を常に取引所に預託をしておく。それによって、従来ありましたように、あまりにも過剰な勧誘に基づいて、委託者が無知無能であったがために——無知無能といえば言い過ぎかもしれませんが、あまりにも商品取引の実態を知らないがために損失をこうむっておる、そういうことのないようにいたしたい、そういうふうに考えておるものでございます。だから、そういう一連の措置は直ちに行なえればけっこうでございますが、やはりおっしゃるように相当従来の既得権というものは尊重はいたしますけれども、いま申し上げましたとおりの幾つかの資格に欠ける場合は、やはり断固としてその承認をしないというような態度で臨むべきではないか、こう考えておりますので、一応この法案の趣旨といたしましては、三年間程度の経過措置によりまして、いま先生御指摘なされました点は、十二分に、本来この法律に示されたとおりの資格を持っていらっしゃる方、その人に限ってひとつ許可制にしていきたい、こういうふうに考えております。これは何と申しましても仰せのとおり実行していきたいと思っております。
  115. 塚本三郎

    ○塚本委員 私は外務員の制度についてお聞きしたいと思うわけでございますが、先ほど委託者があまりに無知であったという話ですが、私は逆に、委託者の責任に帰せしめるよりも、外務員の質が実はあまりにも悪かったというところに問題があったかと思います。株式の発達によりまして投機的な心理が国民の中に充満いたしております。しかもこのことはひとり国民大衆だけの責任じゃないと思うわけです。公営で競輪、競馬等賭博的な競技が財源確保という美名のもとに行なわれている国民的風潮の中において、実は御承知のような投機的な気分をこの外務員たちがあおってきたわけでございます。私はここに根本的な問題があるのではないか、かように思うわけでございます。したがいまして、委託者の紛議の原因の第一は、何と申しましても商品仲買人の過当勧誘にありますが、このような不当行為は実際には勧誘員というよりも商品の外務員によって行なわれているといったほうが適当であろうかと思っております。取引所の本質を考えるに、わが国の取引所は当事者主義によっており、関係業者が商品取引の中心になるべきものとするならば、商品の外務員の必要性はきわめて乏しいといわざるを得ないわけでございます。したがって、第一として、現在の商品外務員制度は一般大衆を不当に取引に誘引する役割りを果たしており、取引所の健全な運営を阻害していると思うが、これをおやめになる気持ちはないかどうか。おそらく関係のない一般の家庭の主婦などのところまで外務員が入り込んでいって、そうして当事者とは関係のない——仲買人がそれを行なうならばまだ業者として私は妥当性を認めますけれども、外務員がわざわざ保険の勧誘員と同じような態度でもって入り込んでいって、利益をえさに、損失を保証する等の甘言をもって誘い込むというようなあり方は、根本的に間違っておりはしないか。この点を考えますときに、まずこの外務員をおやめになることが私は最も妥当ではないかというふうに考えるわけです。  それから二番目として、今後とも外務員制度をもし存続させるとするならば、政府はこれに対していかなる改善策を用意しておられるのか。大衆保護の具体的な立場から、どうしても今日の取引所の制度の実態から考えてやめられないとするならば、大衆保護に対するきつい何らかの規制措置を講じておかないと、ひんぴんとして起こっておりまするそういう紛争というもの、表面に出てきておる数はわずかであるかもしれませんが、現実には紛争が表面に出てこない数というものはたくさんあがってきておると思うわけです。この二点についてお尋ねしたいと思います。
  116. 宇野宗佑

    宇野政府委員 いま御指摘されましたとおり、外務員があまりに行き過ぎた勧誘をして、あるいはまたお金を預かっても、そのお金がどこかへいくという事例は、私は具体的にたびたび聞いております。したがいまして、どういたしましてもこの外務員というものの行き過ぎた行為は禁止しなければならないと考えておるのであります。ただし、正常な取引所を維持せんがためには、やはり外部資金というものも導入が必要でございますので、この点に関しましては、外務員の今後委託者に対する正しい知識普及あるいは必要なサービス等々は必要でございますので、ただいまのところ外務員制度を廃止するということは私どもとしては考えておらないのでございます。ただし、廃止しなければ、当然今日までの行き過ぎた行為だけは規制しなければならないのではないか、当然の仰せでございますので、この法律におきましても、不当勧誘行為等禁止の旨を法文上明確にいたしまして、あるいはまた取引所に制裁義務を課するというようなことをやった次第でございますので、その辺のところを御了解賜わりたいと思います。なお、ちょうど局長が参りましたから、もし私の答弁におきまして答弁漏れがございましたら、局長のほうから補足をいたします。
  117. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 御指摘のように、外務員制度はよほど健全な運営をはかりませんと弊害があるということは、私ども承知しております。この外務員制度をどういうふうに持っていくかという問題につきまして、私は、御指摘のように数の問題と質の問題があると思います。数の問題につきましては、いま政務次官からお話し申し上げましたように、これを全面的に廃止するわけにはまいりませんが、これが過度にわたりまして過当競争を起こすというような場合におきましては、外務員の数につきまして定款等で今後きめさせていくということも考えてまいりたいと思います。それから質の問題につきましては、一番大事なのは、研修等を強化する、それである程度実習もしてもらうということが必要ではないか。それと同時に、過当勧誘の禁止またやはり外務員の給与体系というようなものまで考えていきませんと、行き過ぎた勧誘行為が行なわれる、こういうことになりますので、今後給与体系の問題も取引所と連絡して研究してまいりたい、かように考えておる次第であります。
  118. 塚本三郎

    ○塚本委員 御承知だと思いますけれども、その人の人格に応じた、あるいは経済的な信用に応じた額にふさわしい取引というものが日本の経済社会における慣例だと思うわけでございます。にもかかわらず、この商品取引におきまして、あるいは不動産取引におきましては、本人の信用あるいは本人の動かし得る経済的な背景をはるかにこえる金額を動かしておるということでございます。大会社の社長というと言い過ぎかもしれませんが、相当の会社の社長さんでも、数百万円の金をそんなに簡単に売った買ったということは、これはなかなか日本の経済慣行の中ではなし得ないものであり、相当の裏づけと信用のもとにしかなされないのです。ところが商品取引と不動産取引だけは、自分は一銭も持っておらない、そして社会的にも何ら信用のない者が、一言でもって売った買ったということを平気で行なう。そしてそれに対する現物の何ら裏づけ的な信用を相手に与えることなくその売買がなされておる。ここに不動産に対しても連日のごとく、そしてまた毎回のごとく週刊誌に、取引に対する紛議が問題とされてきておるわけでございます。ひとり商品取引においては週刊誌の問題にこそなっておりません。おりませんけれども、実際に不動産取引と違わないくらい、末端においては紛争が起きておることを知っております。そういう状態は、最初申し上げたように、日本の経済慣行で何百万というものを動かし得る、それにふさわしい人格と経済的な裏づけがあってなされておるにかかわらず、この二つの業種だけは、その裏づけがなきままに、ほんとうに口先だけでもって行なわれておる。きわめて危険なことだと思うわけでございます。それが取引の慣行としてなされてきておるだけではいけないと思うわけです。単にそれが研修の問題やあるいはそういう問題だけにとどまらず、私はいまお話のありましたように、仲買人に対しては相当の裏づけをもって取引所自身が預託のいろいろなことをこれからなさろうとすることは、きわめてけっこうなことだと思うわけでございます。しかし、現実に紛議を起こしておりますのは外務員だと思うわけでございます。その外務員の一言一言が、テープレコーダーを持って勧誘にいくわけでもございません。したがって、外務員の起こした紛議が、いわゆる仲買人そのものに責任を一〇〇%果たし得ないところにまた紛議の種があるのではなかろうか。そういたしますと、この外務員に対しても、単に研修だとか、それだけではなくて、全幅的な委託者保護の制度を強化されないといかぬと思うわけです。現に聞いてみますと、何か教育的な処置だけにとどまっておるような感じがするわけですが、重ねて決意のほどを承りたいと思うわけです。
  119. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 私どもも、御指摘の取引所を今後こういう方向に持っていかなければいかぬという点は全く同感でございまして、今度の改善案もそういう点を志向している、こういうように考えているわけでございます。過大な、分に過ぎたいろいろの取引をするというところに問題があるわけでございます。外務員の問題につきましては、御説明いたしましたように、研修の強化、いろいろなことを申し上げましたが、やはり外務員を使いますのは仲買人でございます。仲買人が、やはり従業員でございますので、自分の正しい姿としてこれをうまく使っていくという形にならなければ問題は解決しない、かように考えております。将来の方向といたしましては、私どもはこれを正しい流通機構の中に入れていく、御指摘のように、やはり現物取引を中心としたものにだんだん改善していく、こういうことを考えておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、現在のところ、研修とかいろいろな問題は一つの方法ではございますが、基本的な考え方としては、そういうことで、あらゆる面について御指摘のような点を強化してまいりたい、かように考えているわけでございます。したがいまして、今後登録要件も相当やはり強化していく、こういう形をとっておるわけでございます。
  120. 塚本三郎

    ○塚本委員 あらゆる面についてというお話でございますが、登録要件も一つの条件だと思いますが、何かそのほかに考えていますか。
  121. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 先ほども申し上げましたように、従業員でございますので、これをほんとうの正しい姿に持っていきますためには、従業員らしく給与制の問題を考えないといかぬと私は思います。それから、場合によりましては、経営規模の問題も出てまいりますので、やはり外務員の数の問題、その規制の問題、こういう問題を取り上げていかなければいけない、こういうふうに思っております。
  122. 塚本三郎

    ○塚本委員 給与の問題の話が出ましたが、やはり歩合制度的なことにいたしますると、勢い被害が委託者に及んでくると思うわけでございます。おそらく専門家の立場から十分御検討いただいておると思いますが、この点についてよほど厳重な状態に、この機会でございますから、施策を施していただきたいと思うわけです。  それとうらはらな関係で私は大衆参加についても問題があると思うわけでございます。商品取引所を運営していく上に、現物とは何ら関係のない大衆を参加させることに問題があると思うわけでございます。特に商品取引所の知識、経験を全く持たない家庭の主婦までが、外務員の執拗な勧誘によって参加しているありさまでございます。極端な状態になりますと、損失補償をするというようなそんな甘言まで弄して、家庭の主婦なんかにこれを持ち込みまして、後日の紛争の種を起こしておる、こういう状態になっておるようでございます。このような状態では、単に委託者保護上問題が多いばかりか、取引所の本来の目的にも悪い影響を及ぼすと考えられているが、政府はこの点どのように考えておいでになりますか。大衆参加の限度につきまして、何らかの制限を設ける必要があると思いますが、この点に対する見解をお伺いしたいと思います。
  123. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 過度の大衆参加、しかも知識のない大衆の参加ということは、これは好ましくないと思います。そういう意味で、今回の措置におきましては、過当勧誘を禁止したり、あるいは委託証拠金につきましてその料率を上げるというようなことで措置しているわけでございますが、やはり根本的には、おそらく先生の御指摘は、たとえばドイツで、一般大衆が参加する場合は資格の要件をきめる、あるいはアメリカ方式で、その買い得る、委託し得る数量をきめるような措置をとっている面もございます。そういうことを考えるかどうかという御質問だと思いますが、なかなか大衆の資格要件をきめるということはむずかしい面があろうかと思いますが、アメリカ式の、一般大衆が委託し得る数量制限というものは、今後の課題としまして、この取引審議会等で十分検討してみたい、かように考えている次第でございます。
  124. 塚本三郎

    ○塚本委員 まだ具体的にどうしようというそういう結論は出てないのですか。
  125. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 現在のところ、どの程度にするかという結論は出ていません。今後の検討事項でございます。
  126. 塚本三郎

    ○塚本委員 審議会もその点では別にまだ具体的なことをやってないわけですか。
  127. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 審議会でも検討していただきたいということは申し上げておりますが、具体的な検討には入っておりません。今後この法律が成立いたしまして実施の段階になりましたら、そういう問題を今後の運用の問題としてあわせて至急検討してまいりたい、かように考える次第でございます。
  128. 塚本三郎

    ○塚本委員 次に委託証拠金の流用につきましてお伺いをしてみたいと思っております。この点につきましても今度は新しい一つの道をお開きになったようでございますが、委託証拠金は委託者が商品仲買人に預けた金銭または有価証券であり、商品仲買人としてはこれを安全に保管しておくべきであって、取引に流用すべき性質のものではいと思うわけでございます。ましてこれを自分の取引の資金に流用するようなことは、商品仲買人としてあるまじきことであると思うわけです。しかしながら、現状においては相当の部分が不当に流用されていると聞いております。放漫経営によって倒産などにおちいった場合、委託者に多大の損害を与えているのが実情でございます。私はたいへんな問題だと思うわけです。政府としては今回法律上は委託証拠金の流用を禁止しておられないようでありますが、それならば具体的にいかなる手段をもって流用規制を行なおうとしておられるのか。私見を申し上げてみまするならば、この際流用者に対してははっきりと禁止なさることが必要ではないかと考えるわけです。古い慣例やしきたりによってそれができないとおっしゃるかもしれませんが、もっと極端な表現を使ってみるならば、預けたお金を、聞くところによると、自分の建物にまでこれを流用してしまっておるというようなことなども聞いてみますると、私は刑法上——これは法務省を呼んだわけではございませんけれども、横領の疑いが濃くなってくるのではなかろうかというふうに思うわけでございます。全然違った方向に使ってみたり、あるいは方向は同じであっても、頼んでないにもかかわらず別に流用しておるというようなことは、社会常識としては考えられないことだと思うわけでございます。それを平気で、特に仲買人の店の建物にまでその金が流用されておるというようなことは、全くナンセンスではないかと思うわけです。この点禁止なさるという方向に進むわけにいかぬのですか。
  129. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 御指摘のように、この委託証拠金を自己の建物の建築に利用するようなことは、これはわれわれとしても最も慎むべき問題だと考えております。現在の実情を申し上げますと、仲買人といたしましては、これも本来ならば、自分が金を借りてやるということが一つ考え方でございますが、現実は、たとえば委託を受けた場合の立てかえ金に三割ぐらい、それからいわゆる取引所で取引委託を行ないます場合は、売買証拠金というのを納めますが、大体その委託証拠金のうちの二割程度がそれに使われる。したがいまして、今回とりました措置は、残りの五〇%というものを変な方向に使っていただいては困るので、これは取引所に完全に分離保管する、こういうことでございます。したがいまして、筋論から言いますと、そういうものは全部委託いたしまして、分離保管をして、要る金は自分が金融機関から借りて使う。これが本来かと思いますが、それがためには、ある程度金融措置が必要だろうと思います。したがいまして、今回は五割程度の分離保管にしたわけでございます。ただ残りの金につきまして、全然私どもは規制いたしませんと、変な方向、御指摘のような点に使われる可能性もございますので、法律的には禁止いたしませんが、いわゆる受託契約準則というのがございます。そこでこういう用途ならいい、こういう用途はいかぬということをきめこまかくきめさせまして、それによって仲買人は動いていく、それに違反した場合は、いわゆる行政的な措置をとるというような手段でカバーをしてまいりたい、現在のところそういうふうに考えておる次第でございます。
  130. 塚本三郎

    ○塚本委員 そうしますと、法律的には禁止しないけれども、実質的には流用の余地がないという状態にまで、今度の改正案で追い詰めておるというふうに断言できますか。
  131. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 今後の受託契約準則のきめ方でございますが、われわれといたしましては、いわゆる委託者のためにならないような、はずれた道には絶対に使わせないというような運用を受託準則でやりたい、かように考えております。
  132. 塚本三郎

    ○塚本委員 運用でございますけれども、これは、実際にこの計算からいきますと、そういうふうにきちっと筋からいってなるものですか。まだ指導しないとそこまでいかぬということじゃないですか。
  133. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 受託契約準則できめさせますと、法律できめる罰則はかかりませんが、あとで行政処分の対象になりますので、実際的には法律できめたと同じ効果をあげ得る、かように考えております。
  134. 塚本三郎

    ○塚本委員 行政処分の対象といいますと、結果としてどんな形になりますか。
  135. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 これに従いません場合は、改善命令の対象になります。さらにこれに従いません場合は、過料といいますか、いわゆる取引所がやっております制裁の対象になるわけでございます。あるいは将来許可等の運用につきましては、こういうものは許可しないというような形になるわけでございまして、相当経済的には効果をあげ得る、かように考えておるわけでございます。
  136. 塚本三郎

    ○塚本委員 政務次官お尋ねしますけれども、これが流用された場合に、私は刑法の対象になるというふうな感じがする。横領になるのじゃないか。返せばいいだろうというふうに言うかもしれませんけれども、実際に金額として持っておる場合はいいのですけれども、ほかに流用してしまったり、まして建物等にこの金が使われておる場合は、私は、完全に預かった者の目的と意思に反する方途に実は使われたということは、相手方からの訴えがないからいいというふうな前提になるかもしれませんけれども、これは横領になる危険性が多分にあると思うのです。どうですか。
  137. 宇野宗佑

    宇野政府委員 非常にむずかしい問題でございますが、常識的に考えますと、けしからぬ話であって、横領罪を適用してもいいじゃないかというような考え方もあるわけでありますが、学説上の問題といたしましては、まだ横領にはならないというような結論が一応出たというようなことも承っておりますので、この辺は今後におきまして、いろいろとまた法制局等とも御相談いたしまして、考えてみたいと思うのでありますが、いまのところでは、私どもといたしましても、常識的にはそういう考えはございますが、法律的にはどうであろうか、こう思っておりますので、さように御了解いただきたいと思います。
  138. 塚本三郎

    ○塚本委員 何か調査室の資料によりますと、質権の運用ですか、そんなことで逃げているようでございますけれど、頼んだ金であって、いわゆる質権といいますのは、すでに対価か何か与えてあるときに質権というものの設定がなされると思うわけでございまして、いいチャンスのときに買ってもらうためにということで預かった金を、いわゆる質権だというふうに、——その目的のために使う場合におきましてはそれはいいと思うのですけれども、それが質権か何かの応用か何かでもって逃げているようでございますけれど、私はこれはあまりにも詭弁だと思うわけでございまして、いまここで今日までのものを横領と断定して追及する意思はございませんけれど、真正面から刑法と取り組んでいった場合においては、すでにその目的と違っているほうに流用されたものについては横領になる、そのほうが私は常識だと思うわけでございます。したがって、このような事態は早く方向を変えていかれたほうが賢明だろうと思うわけです。質権など持ってきて、それで逃げるというところは、どうも刑法上から考えても、それは、民法と比較してみますとき、やはり刑法のほうにかかるほうが強いと思うわけでございます。しかし、こんなところでそんな議論をしておってもつまらぬと思いますから、十分この点は早くこのような事態を逃げていただくように希望申し上げておきます。  次に、受託業務の保証金につきまして二点ほどお聞きをしたいと思います。商品仲買人は今後委託者のために受託業務保証金を取引所に預託することになっておりますけれど、その額は委託証拠金の二分の一と聞いております。委託者保護のためには、その額を分離保管させるのが最も徹底しており、二分の一では低過ぎると思いますが、政府はこの点どう考えておられますか。  それからもう一つ、実施の期間を三年間——経過措置という答申に従って、政府は三年間ということで、数年を三年間と限られたのだから、ある程度英断だというふうに内輪の中では思ってみえるかもしれませんけれど、私どもから言わせるならば、たとえば農産物でも、長くて一年で新しい商品が出てまいるわけでございます。そういうことから考えたら、なぜ三年間も待たなければならぬのであろうか。いけないということがわかり、大きな紛議の種である、しかも金額が億ではなくて兆という単位で動かされている。このばく大な金額の取引に対して、実はずいぶん大きな危険が伴っているとするならば、三年という経過措置、審議会の数年に比べて短くなさったという腹かもしれませんけれども、今日まで私たち外部からながめておりますと、長くても一年かかれば新しい商品が出てくるのだから、一年間でこのことを実施なさるというふうにするのが正しいのではないか。逆に言うならば、不当に流用した金が多過ぎるものだから、仲買人がそんなことをやられたら倒れてしまうから、三年間待ってやろうという底意が見え過ぎているように思うわけでございます。そんな危険なことがよくなされておったと思うのでございますけれど、実際にはここ一年でこれを実施してしまわれるぐらいな英断を持たなければ、危険ではないかというふうに思いますが、この二つの点についてお尋ねしてみたいと思います。
  139. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 二分の一の分離保管を考えました点は、先ほども申し上げましたように、現在の仲買い人の実情から、やはり委託者からの立てかえ金的なものが三割程度ある。あるいは売買証拠金も要るというようなことで、五〇%分離保管という形をとったわけでございます。  それから三年間の猶予期間を設けた問題でございますが、これはわれわれとしましては、単に抽象的にこの程度がいいだろうということではなしに、業界の実態を十分洗ってみたわけでございます。その結果を申し上げますと、もしこの五〇%の分離保管を一年間でやるといたしますれば、現在の仲買人の六〇%のものはどうも経営が成り立たない、こういう実態調査の結果が出たわけでございます。そういうこともございまして、三年の経過期間を設けたわけでございますが、しかしそれだからと言って、単に漫然とその間やらしておくという意味ではございません。その間に仲買人自体も経営の改善に努力していくというのが一つ。それからもう一つわれわれが考えましたのは、これを一年間で強行いたしますと、仲買人にもし万一のことがありまして倒産を誘発するというようなことになりますと、多数のいわゆる大衆が委託者としてついております。その方に非常に御迷惑をかけるということもあわせ考えまして、三年間の猶予期間を持ったわけでございます。その間に仲買い人の質をよくするということには全力をあげてまいりたい、こう考えております。
  140. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 ちょっと関連。いま塚本さんからの話で、三年は長過ぎる、三年間もこれをやってやるなんということはおかしいじゃないかという御質問でありますが、私は与党の立場において、私も実際そう思うのです。御承知のとおりに、この商品取引所の今度の法案の一部改正を読ましていただくと、勉強が足りませんけれども、私は非常にいいことだと思うので、大証があのような事態を起こし、日証もあのような事態を起こし、全くいま信用しているところが、そういうびっくりするような事態があちらこちらで起きております。いままだ届け出はしていないけれども、相当商品取引の問題に対しては整理をするとそういうところがたくさん出てくるだろうと私は思っておる。そういう点から、親心をもって三年間の猶予を考えてやるとおっしゃるけれども、預かった金が他のほうに流用せられておって、三年の間にもとへ戻ってきて正常に復すればよいけれども、逆な傾向になってきたら、結果は大衆により大きな迷惑を及ぼすということになるのじゃないですか。私は三年よりももっと短いほうがいいと思う。別に塚本さんと相談したわけでも何でもないが、感じたことを率直に申し上げる。  それからもう一点は、三百二十とかいう仲買人に対して、今後まじめな人で申請した人に対しては、あなたのほうは許可を与えていこうというお考えを持っていらしゃるか。現にいまやっておる者だけに限って調査をして、そうして不正の者に対してはこれを取りやめさせるとか、あるいは処分をするとかいうお考えを持たれるのかどうかということを一点聞きたい。  もう一点は、最近の暴力取り締まりによって、非常にむずかしくなってきた。むずかしくなってきたから、どちらかというとこういうところへもぐり込んで、そうして看板だけりっぱなよその看板を借りて、内容においてはそういうような連中が入り込んでやっておるという傾向がなきにしもあらずと申し上げても過言でない例があるのです。ずっと調べ上げていきますと、結局そういうような証拠金を預かってパアになっちゃった。そうしてあなたのほうでいよいよ手を入れられた時分には影も形もないような結果になっておる。政府は補償もしてくれない。泣くのはだれかというと大衆が泣くだけじゃないですか。だから、これは三年というよりも、本来の姿からいくならばもっと早く二年に切り縮めてもいい。実際一年は無理かもしれない。これだけの実態を把握してそうして整理していくためには、それはむずかしいので、一年なんというようなことは希望せぬけれども、三年なんというようなことは実際お役所仕事だと私は思う。けっこう二年でやれますよ。もっと短縮してやっていただきたいと私は思う。そうしないと、きっと大衆が泣く事態があっちこっちで起きてくると思うのです。だからもう一ぺんよくお考えいただきたい。それだけが聞きたかったから私はじっとさっきから待っておったが、塚本君が私に許してくれたから関連質問をさせていただきます。一ぺんよく御検討いただきたいと思います。いま法案を直すということは困難だとおっしゃるかもしれませんけれども、三を二にするだけのことで、そうむずかしいことではない。まことに次官恐縮でございますが、一ぺんよく御研究していただきたいと思うのですよ。ほんとうにこういう取引所を改正していくという意味に立って、そうして大衆に迷惑がかからないようにしてやろう、そうして政府がそれを指導していくのだという考え方なら、ぼくは塚本君の言われることも一理ある、こう考えております。あなたのほうの原案は三年だ。どこまでも三年の日にちをもらわなければうまくやれぬというのならば、その間にいろいろな問題が起きたら全部政府は責任を負ってくれますか、こう私は尋ねたい。しかしそれは時間もないようでありますからおきますけれども、三を二にすることはそうむずかしいことではないから、よく研究していただきたい。
  141. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 われわれもこの取引所をよくしていく、委託者保護に万全を期するという気持ちは十分持っておるつもりでございます。しかし御承知のように、過去のことがいい悪いは別にいたしまして、現在仲買人の構成を見ますと、いわゆる中小企業関係の仲買人が七〇%を実は占めておるわけでございます。そういうことも考え、しかも先ほど申し上げましたように、過程におきましていたずらにこれが倒産をするというような形になりますと、これはかえって委託者の御迷惑にもなるということを考えまして、三年の猶予期間を設けております。しかしその間におきましても、御心配は、それで委託者のほうが万全かという御疑念だろうと思いますが、その間におきましても委託証拠金の分離とか、あるいは純資産の積み増しは三年間の猶予期間を設けておりますが、年度ごとにだんだん理想に近づいていく。たとえば分離保管でいきますと、初め二〇から出発いたします。次の年は三〇、次の年は四〇でなければならない。三年間ほっておくわけではありませんで、だんだんふえていくという形を段階的にとってまいるわけでございます。それと同時に、過当勧誘の禁止とかあるいは外務員の規制とか、そういう問題は三年間の猶予期間は認めません。それは直ちに実行してまいりたい、こういうことになっておるわけでございます。そういうことをかみ合わせますと、私どもとしては、このくらいの猶予期間を設けて、これを円滑にやっていくというのが消費者保護にも通ずる道ではなかろうかということで、この点はわれわれは十分慎重に検討したつもりでございますが、そういう結論になってこういうような案を提出しておる次第でございます。
  142. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 企業局長さんに申し上げますが、過去のことはいい悪いは別としてと言って、大衆に迷惑をかけて倒産したのはいい悪いは別ではないですよ。あげ足をとったわけではないけれども、それが倒れて大衆が迷惑したら、これは悪いことにきまっておるでしょう。過去のことはいい悪いは別にしてと言って、それよりもむしろ過去にそういうことがあったから、今度は改正してよくしていこうというお考えであって、倒れたものの悪いことは、そんなことは言わぬでもわかったことです。局長のおっしゃるのが、三年ではあるが一年ごとに大衆に迷惑のかからないような行き方でいくんだ、そういうことならよく理解できるのです。だから塚本君の言っておられるように、一日も早くそういうことを実行に移してもらって、大衆が安心し得る体制を整えてもらいたい。それには三年という前提というものは、たとえばどうしても直らなければ、法律で三年もけっこうですよ。けれども、書かれておるから三年間は安心だというような考え方を持たせない指導のしかたをひとつしてもらいたい。これが私の強く要望するところなんです。このままでいくならば、ずいぶんいろいろの問題が起きてくると私は思っておる。内容が実態に伴っていない人が多いのですから。これはもう局長は十分にお調べの上だろうと思う。このままほおっておいたらたいへんなことになるということで、法律の一部改正をお考えになったろうと思うのです。だから、その点ひとつよくお含みをいただきたい。それは含んだ御答弁ですから、これ以上何も申し上げることはございませんが、私ども考えていることも、民社党の考えていることも一緒だと思うのです。大衆が汗水たらして働いて、そうして奥さんたちがへそくりを持っていって、ちょろまかされて——ちょろまかされてといっては語弊があるけれども、もうかりますよ、もうかりますよと朝から晩までつきまとわれて、銀行の利息よりよろしいですよ、これ買っておきなさい、確かにもうかりますからといって、そうしてどえらい赤字をしょって、最後には、私のほうは取りかえるから、あなたのほうは払っていただかなければいけませんというようなことで、泣く泣く、主人にも話せない。そうしてあちらこちらへ行って金策をして、高い高利貸しの金を借りて穴埋めをするという実態をいっぱい私は耳にしておる。何とか改正しなければならぬものだと思っていたときに改正できるようになったのだから、うれしいことだと私は思っておりますが、どうぞその点十分にこれを聞いていただきたい。先ほど三という数字を二にせよということは簡単だと言ったけれども、あなた方の御研究の結果はそうは簡単にいかぬらしい。だから、実質的な二年にひとつ踏み切っていただくようにお願いをいたしたい。もう答弁は要りませんから、次官もお聞きのとおりですから、ひとつ十分心がけていただくようにお願いいたします。
  143. 塚本三郎

    ○塚本委員 先ほど局長のほうから、一年でこれを実施したときには六〇%が倒産をする危険性がある、こんな御答弁をいただきましたが、それはどういう金にこれが行っておるのか。たとえば、物として何らかの形で残っておるというふうになっておるのかどうか。あるいは実際にはそういうふうな形でなくて、実質は損失になっておるのか。その六〇%の危険性について、おそらく何らかの物に残っておると思いますが、その点はどうでしょうか。
  144. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 これは百三十一社を調べた結果でございますが、この百三十一社というのは、比較的大きい社を調べた結果でありまして、これでもこういう結果になっておるわけでございますが、おそらく個々のケースによって相当の違いがあると思いますが、やはり先ほど御指摘になりましたように、相当の営業拡張をやっております。そういうことで、その営業所の拡張に金を使ったというような形で、こういう結果になっておると思います。しかし、先ほどから申し上げますように、過去にそういう問題はあったわけでございますが、今後は絶対にそういうことはしてもらっては困る、そして委託金はできるだけ多く分離保管していただかなければいかぬということで、金融の道も考えつつ、漸次引き上げてまいりたい、かように考えておる次第であります。過去のことを云々しておしかりを受けましたが、その過去の現状をただす、ただすためにはしばらくの猶予期間を置いていただかないと、なかなか——非常に急激な変化で、変な倒産というような事態も起こってくるというところを御了承をお願い申し上げたい、かように思います。
  145. 塚本三郎

    ○塚本委員 お聞きしていますと、営業所の拡張ということは、委託証拠金をもって不動産に変えているということですね。いわゆる別な方向の証券を買っておるということの流用ではなくて、全く関係のない自分たちの店の拡張に委託証拠金を使っておるというのは、正気のさたじゃないと思うのです。これは完全に横領、いわゆる刑法を適用されるものだと私は思うわけです。しかし委託者がこれを告発しておりませんから、私は取り立ててこれを申し上げるつもりはございませんけれども、きわめてこの姿は、業界が全部そんなふうになっておるから平気だと思いますけれども、冷静にひとつこの事態を判断していただきまするとき、きわめて重大な問題だと思います。しかし一面から考えますならば、これが不動産にかえられておるということは、担保力を持っておるということにもなると思うわけです。ならば、私は、六〇%倒産の危険性があるとおっしゃるが、しかし担保力のある不動産にかえておるんだから、金融でもって、いま丹羽委員からお話があったように、一年がいけなければ、二年にしてでも短縮をして、金融でもってこれを補って、早くその道をつくってやると、へたなことをしたならば店を取られてしまうんだ、こういう意識に追い込むことによって、彼らを一刻も早く正常化への道をたどらせるということになりますので、やはりこれは三年というのを妥協して二年という話が出ましたけれど、不動産にかえているなら幸いだと思います。金融でこれを補ってやる、そんな道をお開きになる。いまここで結論はいただかなくても、もう一ぺん検討なさる意思がおありでしょうかどうですか。
  146. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 三年間に段階的に上げていくにいたしましても、現状では、小さな業者については、金融の道を講じてやらなければいかぬ、そうしなければついていかれないという問題があろうかと思います。したがいまして、金融的な道というのは、できるだけ私は講じていくべきだ、それでいい方向へ持っていく、かように考えております。しかし、これを二年間ならだいじょうぶというところまでわれわれが金融の道を講じられる自信はございません。そういう意味で三年間の猶予期間を願ったわけでございますが、御指摘の点は十分わかりますので、この三年間の間にできるだけ早く本来の姿に戻るように十分指導はいたしてまいりたい。  なお、五〇%の分離保管でございますが、指導といたしましては、これは多いに越したことはないわけでございますので、できるだけ会社につきましては、さらにこれを多く保管していただくということもあわせて指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  147. 塚本三郎

    ○塚本委員 お聞きしますと、まさに第三期的症状だといわなければならぬと感ずるわけでございます。しかし、おそきに失したといたしましてもこの点に気がついたということは、たいへんけっこうなことだと思います。しかし反面から言いますると、よくも今日まで放置せられておったものだという感じがいたすわけでございます。  先に進めさせていただきますが、今度は取引所の運営の改善にいきましてお尋ねしたいと思います。  取引所は関係業界の安定に寄与すべく設けられたものですが、いままではほとんど業界にこれがまかせられておったようなきらいが見受けられるわけでございます。しかし実際には公共機関としての機能がこれからどんどんと高まってくると思うわけでございます。したがって、その運営には、常に業界に対して寄与するよう公正に行なわれることが必要でございまするし、また大衆に対する保護という立場も考えていかなければならぬと思います。したがって、公正に行なわれる必要があるわけでございますが、現状においては、商品仲買人の意向に沿って運営されているようでございます。これは取引所の役員のうち、商品取引所の仲買人の占める比重がきわめて大きく、さらには取引所の経費が主として商品仲買人にたよっていることに原因があると思います。この点、現状はどうなっておりますか、政府としてはいかなる改善策を用意しておられるか、公共性確保の方策を具体的に述べていただきたい。業界だけにまかせておきまするならば、いまのように雪だるま式に負債がふえていってしまって、雪だるま式に流用だけが大きくなってしまって、業界同士がこれをおぶっておりますから、お互いにわれわれ第三者から見たならば、よくもこんな横領罪的な膨大な金額を、そうして想像できないような病状を公開しておりましても、今日まで放置せられておったという状態だと思うわけであります。しかし、これは一面からいいますと、これは全く公共的な機関としてこれも扱っていかなければならぬと思うわけでございます。したがいまして、これに対する公共性の確保に対してどのような方策を考えてみえるか。具体的な改善の案が出されておりまするが、さらに信念のほどを述べていただきたいと思います。
  148. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 まず現状を申しますと、御指摘のように、役員は現在までのところ会員がやはり中心でございます。会員以外の役員は、通産省関係でいいますと一割程度でございます。九割が会員の役員ということになっておりますが、その九割の中で五割程度がさらに取引所の仲買人関係の役員でございます。  それから取引所の収入の状況でございますが約八割が定率収入、定率といいますのは取引高に応じて入ってくる収入です。それから残りの二割でございますが、二割のうちの一割が定額収入、これは会費的なものでございます。それからあとは利子収入、こういう形になっております。今後取引所の公共性を高める必要があるというお話でございますが、われわれとしてもそういう感じがいたしまして、今回の改正におきましても、取引所にいわゆる自治権に基づく監査機能を認めるとか、あるいは市場の操作といいますか、適正にするためのいろいろな手だてを認めるというふうに、取引所の公共性を高める措置をとったわけでございますが、役員関係につきましては、いわゆる理事長の権限が非常に重要になってまいります。それと同時に、やはり公益理事という必要もございますので、理事長が理事会の承認を得て公益理事を選任できるというようにいたしまして、今後できるだけ公益的な立場の人に理事になっていただくように措置してまいりたい、かように考えております。  それから収入の点でございますが、これまた定率収入ということになりますと、いたずらに取り引き高をあおるというような形にもなりますので、定額収入をできるだけ多くなるように持ってまいりたい、かように考えております。この点につきましても現在取引所と相談しております。できるだけ定額収入で取引所が運営できるように、これは少し時間がかかると思いますけれども持ってまいりたい、かように考えておるわけであります。
  149. 塚本三郎

    ○塚本委員 農林省の方にお尋ねしますが、私全く相場のことはしろうとでございます。一般大衆の中にはアズキはこわいものだということが普通名詞としていわれておるのです。アズキに手を出すとどんなことになるかもわからない、あまりにも相場の変動が激しいのだ、こういうことがしろうとの私たちの印象にあるわけでございます。ところが、政府の説明を聞いてみますと、この相場の変動をできるだけゆるやかにするためにこの取引所の機能があるのだというふうに言われて、だから大衆も参加して、この変動をできるだけなくするというところに取引所の特に大衆参加の意義があるのだというふうにお役所の方々が説明をなさるわけであります。私どもの印象からいいますと、取引所が大衆にまで相場に口を入れさせるものだから、金がうんと集まって、よけいに変動を強くしておるのだ、だからアズキはこわいものだという形になってきておるように見受けるわけです。どうしてアズキがそんな形になってきておるのか。私はこのことを、まともな取引所の中で競輪、競馬以上の大ばくちというふうに世間ではアズキに対してささやかれておることばを考えるとき、農林省に責任があるように感ずるわけです。どうしてそんな形になるのでしょうか。
  150. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私ども穀物商品取引所を全国に六つ持っております。その中でアズキの取引高が一番多いわけでございまして、三十七、八年くらいからアズキの相場に対する大衆の参加が目立って多くなってまいりまして、いま先生おっしゃられたように、アズキはこわいとか、けがをするとかいうことが事実いわれておるわけでございます。これは私ども、大衆参加自体は決して悪いことではなくて、相当程度外部資本が中に入って大量取引が行なわれることによって、相当鋭敏に将来の需給の動向を察知して、適正な相場が形成されるということは、取引所の本来のたてまえでございますから、相当の人が入り相当の資本が入ること自体が決して私は悪いとは思っておりません。現在のようにアズキが乱高下するようでございましても、それでも私ども古い記録をたどりまして——実はアズキにつきまして最前には小樽に取引所が大正十四年に設立されたわけでございますけれども、その前後の十年間の北海道におけるアズキの現物の相場の高下の状態と最近十年間のアズキの相場の高下の状態を調べますと、必ずしも取引所があるから相場が乱高下するということじゃなくて、むしろ戦前における取引所のなかった時代の値動きのほうが現実において激しいわけであります。したがって、相当相場が大きくゆれているようでありましても、やはり取引所があったほうが現物の相場の値動きの激しさが少しでも薄められるというのが実態でございます。ただ、私考えますのに、アズキの生産量に比べますと、取引所の取引高というものは相当大量になっておるわけでございますが、家庭の主婦その他全然商品取引についての知識のない人たちが、勧誘員等の——私とも不当あるいは過当な勧誘と思いますけれども、アズキをやれば必ずもうかるということで、相場をよく知らないままに引き入れられて、相当の損害をこうむっておるという事態がございますので、そういう過当勧誘あるいは不当な勧誘ということは、あくまで厳正に取り締まっていかなければならないというふうに思います。事実私ども昭和四十年ごろを境として、今回の立法を待ちませんで、勧誘員の活動なり営業所の数の規制について相当ドラスティックな手段を講じて、少しずつ過当投機をひやしてまいっておりますので、昨年までは相当紛議がございましたけれども、四十二年になりましてからは、よほどアズキをめぐる紛議の数が減ってまいっておるわけでございますが、私ども別にそれに油断しないで、今後もある程度の大衆の参加ということは決してとがむべきことではないけれども、勧誘員の過当あるいは不当な勧誘によって全然知識のない人が無理に引き込まれるという事態はできるだけ回避して、その点に対する監督は十分やっていきたいというふうに考えておるわけでございます。   〔委員長退席、河本委員長代理着席〕
  151. 塚本三郎

    ○塚本委員 アズキなんかかえって取引所が開設されたことによって高下が少なくなったということはけっこうですけれども、大衆を参加させることによってよりそれを薄めていくというところにいわゆる政府の意図があるのじゃないかと思うのです。ところが、今日までは取引所によって確かにそれは緩和せられたけれども、大衆が参加することによってアズキのごときは逆に高下がはなはだしくなったのじゃないかというしろうとの印象でございますが、そんなことはありませんか。
  152. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私ども実は取引所とアズキとの関係につきまして、いろいろ調査検討いたしております。いま先生が言われたような疑念も、私自身そういうことはないのかということでずいぶん調べましたけれども、私どもが冷静に数字を扱って、またいろいろ古老の言などを参考にして聞きますと、取引所がなかった時代の北海道の現物の動きはもっともっとすさまじかったということは、いろいろな統計の資料でも立証できるわけでございます。
  153. 塚本三郎

    ○塚本委員 政務次官にお聞きしたいと思いますけれども、許可制度にするということも、先ほど丹羽委員からもちょっと触れたのでございますけれども、あくまで業界にまかせておいてきたということから考えると、今度の許可制度にしても、新たにそれをやろうとするものを、業界が中心だからよそものはなかなか入れないという形で、業界だけをそっくりそのまま許可してしまってというような形で、それが既得権のごとくにそういう形にいく危険性があると思います。実態は、結果としてそうなっても私はいいと思いますけれども、逆に申し上げるならば、いままでやってきたのは、いってみるならば、使っていけないところに使ってきておるのだ、だから、こういうものに対してはより厳密にこれから許可する一年生よりもマイナスを背負ったものとして審査をなさい、そして新しく参加しようとするものこそ白紙だから、傷がないのだから、純真にやらせるのだ、しろうとの考えからいいますと、これから新たに許可をなさる場合に、そういう形で進むべきではないかと思うのです。しかし心配になりますのは、いままでのそういう諸君が既得権としてすっぽりと許可になって、そして新しくこれに参加しようとするものが、何らかの権利をそこから買うなり、そういう形でしかもぐり込めないような不安を感ずるわけでございます。そういうことはおそらくあり得ないというふうに御答弁なさるでしょうけれども、純真に、ひとつ新たに許可制として、いままでの弊を一新して、相当——この内容から見ますと、一年でやると六割の倒産の危険性があるというくらいに、私どもから見るとなまぬるいと申し上げてもいいのですが、政府としては、全く出直しの、業界だけの相互の運営できたのが、公共性を中心とする新しい出発になるのだということでおそらくこの法案をお出しになったと思うわけです。そうであるとするならば、許可につきましては、全く新しい気持ちでお進みになるべきではないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
  154. 宇野宗佑

    宇野政府委員 おっしゃるとおりでございます。したがいまして、先ほどもお答えいたしましたとおりに、まずその資質、これがたちが悪いということは、過去の実績によりましてもはっきりしておりますので、相当今度は条件等も厳格にいたしておりますので、おのずからそのふるいにかかっていくのではないか。いいものはいいとして育て上げていきたいと思います。また資力の点に関しましても、とうてい資力が足りないという方々もいらっしゃると思いますが、そうした方々は、これは従来使い古されておりますが、勢い協業という形において公正な取引の場に参加してもらうような要件を備えてもらいたいと私たち思っておりますので、決して既得権だけを——尊重しなければならない面もございましょうが、それだけのワク内で私たちは今回の改正をしようとは考えておらないのでございます。おっしゃるとおりに、白紙の立場で、新しいスタートであるというくらいの意気込みで許可制度に踏み切った、またその実効をあげていきたい、かように考えております。
  155. 塚本三郎

    ○塚本委員 時間がないようでございますから、もうこれで終わりたいと思いますが、最後に、上場商品につきましてお聞きしたいと思います。  今回の法改正においては、遺憾ながら上場商品について何ら手をつけていない。上場商品は、商品取引所制度の最も基本となるべきものでございます。今後予想される流通機構の整備をはじめとする日本経済の発展成長に伴って、上場すべき商品も当然変わってくるべきものと思います。現に、現在の上場商品の中には、相当期間上場を休止しているものもあると聞いております。政府は、上場商品の問題について真剣に検討された経緯はあるのかどうか、今度この問題を検討される用意があるかどうか、この点。さらに、特に先日通過しました繊維の構造改善によって糸の値が安定されようとしておりますが、商品取引所の舞台で、これを投機的になぶられたとするならば、政府の施策は水泡に帰するものだと思います。せっかく構造改善によって、そして国際競争力をつけるということから、当商工委員会の中におきましては、今年度における最も大きないわゆる法案として、そしてまた最も大きな予算の裏づけを持って出発したはずでございます。にもかかわらず、この舞台でこれが投機的になぶられてしまったならば、何らの用さえ足さなくなってしまいますし、私どもが繊維について熱心に討議した価値さえも、これによって押し流されてしまうと思うわけでございます。したがいまして、この点について、もしこんなことでもって投機的なものに左右されるとするならば、私は政府の信用そのものにも傷がついてしまうと思うわけですが、どうでしょうか。
  156. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 最後の流通機構の問題からお答え申し上げますが、私も全く同感でございます。御承知のように、やはり今後の日本経済、繊維といわず、すべての経済について、私は流通機構の問題を取り上げていくことが一番大事なことであろうかと思います。そういうことで、繊維の生産面の構造改善にあわせて、今後は企業局と繊維局が一体になりまして流通問題に取り組んでまいりたい、さように考えております。  なお上場商品について検討したか、あるいは今後どういうふうに考えているかという御質問でございますが、実は取引審議会におきましても、上場商品の適格性につきましては、相当の検討をお願いしたわけでございます。ただ、検討をお願いしましたが、それをやめるべきか、あるいは今後どういうように持っていくかという問題は、いま御指摘になりました流通機構の問題と非常に関連をいたしているわけでございます。私どもの理想といたしましては、この商品取引所というのを、やはり今後の改善された流通機構の一つの中に入れていく、こういう形をとるべきではなかろうか。その過程において、あるいは廃止する商品があり、あるいは商品取引所の形が変わっていくという問題は当然出てこようかと思いますが、そういうふうにからめて解決しなければ問題が解決しない、こういう結論になったわけでございます。したがいまして、今後われわれとしては、上場商品あるいは取引所のあり方等につきましては、さらに流通機構の改善の一環として取引審議会で十分検討していただきたいし、あるいは役所としても検討するつもりであるという覚悟でございます。
  157. 塚本三郎

    ○塚本委員 私ども議員は、法案が出てこないと真剣に取り組むというチャンスがなくなってしまいますので、この舞台で法律案が出るときには、実に真剣な態度で取り組まれるわけでございますが、いってしまうと、私どもがお役所の方に何かくちばしを入れることが行政府に介入するようで、特にあとの立場からは心理的におくれの気持ちを持つわけでございます。しかし現実に地域におきましては大きな問題を提起しております。特に繊維といわず、流通機構としてとおっしゃいましたけれども、繊維の問題だけは、特に繊維の中でも今回格別力を入れてまいったのは織り布の舞台だと思います。それがために膨大な資金まで用意をなさったはずでございます。しかし、せっかくそんな形で構造改善がなされておっても、糸の値段が片一方において自由になぶられてしまいますならば——かつて私昭和一千三年から五年ころまでの記憶の中で、たしか織り布屋さんが、せっかく労力をかけて反物にしたところが、糸の値段よりも安かったといって、綿工連の諸君から泣いて訴えがあったことを記憶いたしております。万が一構造改善によって、通産省がこんなに真剣になって討議なさったものの、片一方において糸がなぶられて、そして織布よりも糸の値段が高かったというふうなばかなことが出てきてしまいますならば、これはひとり局長だけの問題ではなくて、大臣の責任まで問われなければならぬことに今度はなってくると思うわけでございます。そういう意味におきまして、私は一般商品はともかくとして、特別立法として繊維の問題だけは、特に織布の問題については、そんな事態が発生したら私は威信地に落ちてしまうと思うわけでございます。したがって、もう一ぺんこの点は局長だけではなくして、次官からも決意のほどを承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  158. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 一般の問題も申し上げましたが、取引所の上場しておる品物は、御承知のようにゴム以外は繊維でございます。そういう面におきまして非常に関連があると思います。したがって、先ほども申し上げましたように、取引所の首脳部にも私は申し上げているわけでございますが、取引所は取引所、流通機構は流通機構、生産は生産というような考え方では今後はとうてい通らない、したがって、そこの辺は今後取引所自体としても一体になって考えていかなければならぬということをくどく申し上げておるわけでございます。そういう意味で、今後一つの重要課題として真剣に、企業局としてもあるいは取引所側としても取り組んでまいるような指導をしてまいりたい、かように考えております。
  159. 宇野宗佑

    宇野政府委員 過般の繊維新法御審議の際にもいまと同じような御意見が各委員からも出されました。したがいまして、上場商品の適格性というものに関しましては、先ほど来局長が申しましたとおり、わが国の生産と流通機構という問題にも重要な関係がございましょうが、通産省といたしましても前向きの姿で、また審議会の十分なる御助力を賜わりまして、今後御期待に沿えるような意味合いの適格性、それを発見すべく極力努力いたしてまいります。
  160. 塚本三郎

    ○塚本委員 終わります。
  161. 河本敏夫

    ○河本委員長代理 近江巳記夫君。
  162. 近江巳記夫

    ○近江委員 本論に入る前に、私は今回西日本、関西を襲った集中豪雨による災害のことについて若干お聞きしたいと思います。  今回の災害は、人災プラス天災といわれておりまして、そのことについては政府委員の皆さんもえりを正して今後の万全の対策をお考えになっていらっしゃると思いますが、私は特にこの商工委員会委員の立場といたしまして、特に中小商工業者のそうした対策について若干お聞きしたいと思います。  まず中小企業庁長官お尋ねしますが、被災中小商工業者に対する災害復旧資金融資等について、融資ワクの増大、融資条件緩和等々、具体的な措置考えているかどうか、この点をまずお聞きしたいと思います。
  163. 影山衛司

    影山政府委員 このたびの七月九日の災害につきまして、私どもといたしましては、この被害の復旧につきまして万全の措置をとりたいということを思っておるわけでございます。今回の災害被害が全国的に及びまして、特に激甚災害指定をするかどうかということにつきましては、すでに被害額が九十五億にも達しておりますので、まず激甚災害指定をするという方向で大体事務的には打ち合わせをいたしておるような次第でございます。   〔河木委員長代理退席、委員長着席〕 その激甚災害指定ができますならば、政府関係機関につきましては六分五厘の特利でもって融資をいたすということになるわけでございます。それに伴いまして貸し付け限度、貸し付け期間あるいは据え置き期間、あるいは担保あるいは手続迅速化というような点につきましても、特段措置を講じてまいることになっております。  それからまた保証保険につきましては、激甚災害指定がございましたならば、これは災害関係の特別保証保険ということになるわけでございますので、特別ワクでさらに保証保険ができると同時に、保険料も特別の保険料をもってこれを再保険にかけるということと同時に、各県の融資目標ができ上がりますに応じまして、中小企業保険公庫のほうから低利の融資基金必要額を流していくということをいたしたいと思っておるわけでございます。
  164. 近江巳記夫

    ○近江委員 長官としてのいまの御答弁をいただきましたが、激甚地の指定について特に今後努力をしていただきたい、このことを強く要望いたします。で、以下私がいまお聞きしようとする点について若干触れられた点があったわけですが、あらためて一、二点お聞きしたいと思うのです。  内容として、信用保証による融資促進のために中小企業信用保険法による災害関係保証の特例を適用する、また信用保証協会に対する信用保険公庫貸し付け金についての特別の配慮をする等、災害を受けた業者を助成する考えがあるかどうか、この点をひとつ明確にお聞きしたいと思います。
  165. 影山衛司

    影山政府委員 保険関係につきましては、中小企業保険公庫から保証協会に対して特別の融資をいたすということを考えておりますが、兵庫県、佐賀県、長崎県、広島県につきましては、それに対する各県及び保証協会において対応体制ができ上がっておりますので、私どものほうも早急にこの融資基金を流していきたいと思っておるわけでございますが、大阪府のほうは、それについての具体的な御相談もまだないわけでございますから、大阪府のほうから御相談がありますれば、私ども積極的にこれには対応していきたいと思うわけでございます。
  166. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は何も大阪出身だから大阪のことを言うのではありませんが、要するに向こうから言ってきたらこっちは腰を上げる、こういうことでは私はいけないと思う。やはりこちらからいってどうだとか、あらゆるあたたかい手を差し伸べるべく努力をしなければ私はいかぬと思う。これは根本的な問題だと思う。その点について長官、あなたの見解を聞かしてください。
  167. 影山衛司

    影山政府委員 私の答弁が受け身でやっているように受け取れましたことは遺憾と思いますが、大阪府につきましても、災害がございました翌日、信用保証協会のほうにも金融課のほうで電話をいたしまして、積極的な措置を講ずるようにということで打ち合わせをいたしておるような次第でございます。
  168. 近江巳記夫

    ○近江委員 じゃひとつ積極的に助成の手を差し伸べてもらいたいと思います。これは要望しておきます。  それから、被災中小企業に関する政府関係金融機関の既融資分の融資条件緩和することに政府としても配慮していると思いますが、具体的な案は出ているかどうか。また災害の度合いが甚大な企業に対して返還期間を延長するとか、その返還を一部免除するとかいった対策考えられておるかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。
  169. 影山衛司

    影山政府委員 旧債の処理につきましては、償還期間の延長その他につきましても、実情に応じまして弾力的にひとつ措置をいたしたいと考えておるわけでございます。
  170. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから中小企業近代化資金等助成法による貸し付け金の償還期間を延長する考えはないか、もしも延長するならば何年間くらい延長するか、この点についてお聞きしたいと思います。
  171. 影山衛司

    影山政府委員 激甚災の指定がございましたならば、先生御指摘の中小企業近代化資金等助成法に基づきます近代化資金あるいは高度化資金につきまして、償還期間の延長をはかることになっております。大体二年くらいの延長をはかることになっております。
  172. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、いまの御答弁によりますと、要するに激甚地のその指定がなければだめだというような感を私はいま受けたわけでありますが、そうしますと根本的なこの問題がだめであるならば、いま長官がおっしゃったことは適用されない、そういう点において私は先ほど要望として長官に努力してもらいたいということを言ったわけでありますが、要望だけじゃなくて、長官としてこの激甚地の指定を必ずとるというあなたの強い決意と明確な答弁をひとついただきたいと思う。
  173. 影山衛司

    影山政府委員 激甚災害指定につきましては、すでに関係当局とも事務的に打ち合わせをいたしておりまして、激甚災害指定をすることに内定をいたしております。
  174. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは積極的なさらに一そうの尽力をよろしくお願いします。要望しておきます。  次に商取法のことをお聞きしたいと思うのですが、まず第一に私は、商品取引所の目的、機能及び現況を、最も重点的な簡潔なことばでお答え願いたいと思います。
  175. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 商品取引所の目的といいますのは、多量の需給を合わせまして、そこで適正な価格を形成する、しかもその場合に将来の見通し等も入れて適正な価格を形成する、それによって将来の業界で需給の調整をはかっていく、こういうことでございます。それからもう一つは、いわゆる保険つなぎといいますか、ヘッジの機能を持つ、こういう二点にあるわけであります。  商品取引所の現況でございますが、取引所は御承知のように二十でございます。そして取引高は約十三兆、こういう数字になっております。それから仲買人の数は三百二十二名、こういう数字になっております。外務員の数が約五千、こういうのが現況でございます。
  176. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま局長答弁によりますと、先ほども委員から質問があったわけですが、要するに価格の混乱を防止する、こういうお話があったわけですが、逆に現実には価格の混乱を招いておるような私は感を受けるのです。たとえば、先ほどお話がありましたがアズキなんかの点です。要するにそういった点において相場対策としてどのような案を持っていらっしゃるか、これをお聞きしたいと思うのです。  それから、三十五年当時に比較して、三十六年ごろから毎年飛躍してきています。四十一年度では、いまお話あった十三兆円を上回っているわけですね。この原因については、大衆参加にあるというふうにもいわれておるわけでありますが、要するに過度に大衆参加した場合に、はたしてその公正な価格が形成されるか、まずこの二点をお聞きしたいと思います。
  177. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 取引所が需給に合わした適正な価格を形成するという目的になるということは申し上げたとおりでありまして、今回委託者の保護ということを中心にして改正案を考えたわけでございますが、それと同時に、仲買人の許可制あるいは過当勧誘の禁止等、各般の措置をとりましたゆえんのものも、やはりこの適正な価格形成ということに役立たせようという点にあったわけでございます。  問題は、御指摘の、そういうねらいではあるが、大衆参加した場合にどうなるかという問題でございます。私ども考えとしましては、価格形成あるいはヘッジ機能を営むためにある程度の外部資金の導入ということは、これは適正であればいいもの、こういうように考えております。これが過度にわたりますと、先ほど申し上げました目的を逸脱するわけでございます。したがいまして、われわれとしましては過度な大衆参加はできるだけこれを押えていきたいというように考えております。今回の改正におきましても、万全ではございませんが、そういう点を志向いたしましてやつたつもりでございます。
  178. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、いま過度と適正ということばがあったわけですが、それでは適正というのは、あなたのお考えになるのは要するにどのような基準を示すのですか。さらに、その過度を防ぐために具体的にどういう手を打ったのですか。
  179. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 過度と適正の問題でございますが、これはなかなかきめ手はむずかしい問題でございます。といいますのは、商品によって相当やはり違ってくる、こういうように私は考えております。そういう意味合いにおきまして、いわゆる生産高と取引高というものを少し対比して研究してみたらどうかという問題がございます。諸外国においてもそういう問題を研究しているようでございます。ものによりまして、取引所における出来高と生産高が二倍程度のものもございますし、あるいは五十倍というような大きなものもございます。したがって、今後どの程度のものにしていくかということは、一つの目安としては、この出来高と生産高というような関連性の問題を研究していかなければいかぬ、かように考えている次第でございます。  なお、大衆参加、特に過度の大衆参加についてどういう手を打ったかというお話でございますが、これは先ほども申し上げましたように、一つはやはり過当勧誘の防止、したがいまして過当勧誘行為を今回禁止いたしております。それからもう一つは、やはり仲買人の質の向上をはからなければならぬ、さらに進んでは外務員の質の向上をはからなければならぬ、こういうことでその面の手当てをいたしたわけでございます。その他こまかい点はございますが、おもな筋としてはそういうことを考えたわけでございます。
  180. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたの大体のお考えはわかったのですけれども、それでは生産と出来高の関連性について、やはりこのぐらいだというそれがなくて、ただ何とか調整していけばいいだろう、それでは私は具体的な対策もできないと思う。基準もできないと思う。あなた自身のお考えとしてどの程度を目安にしているのです。
  181. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 これは先ほども申し上げましたように、ものによって非常に外国でも違っておるようでございます。したがいまして、一律には申し上げられません。過去のトレンド等を十分今後研究いたしまして、そういう傾向から見て、出来高と生産高の比例から見て、そのときの相場はこうであったというようなことを研究いたしまして、今後一つの指針にしたい、こういうことでございます。したがいまして、たいへん申しわけないわけでございますが、現在すぐ一律にこれを何倍ならいいという目安というのは持っておりません。今後商品ごとにこの問題を取り上げて検討してまいりたい、それを一つの目安、こういうことにもしてみたい、こういうことを申し上げた次第でございます。
  182. 近江巳記夫

    ○近江委員 私はいま、その問題は今後に譲るとしまして、あなたのほうで研究なさったことを私のほうに文書をもって研究成果として提出してください、こう要望しておきます。  次に、商品仲買人の概況とその純資産額についてお聞きしたいと思います。
  183. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 数は、先ほど申し上げましたように、実数といたしまして三百二十二でございます。昭和四十二年三月三十一日現在でございます。  これを資本金別に見ますと、やはり中小的なものが非常に多うございまして、資本金五千万円以下のものが約七〇%を占めており、資本金五千万円以上のものが三〇%、こういう形になっております。それから純資産額別に見ますと、五千万円程度までの純資産、それ以下の純資産を持っておるところが三百二十二社のうちの百七十六社、五五%、それから五千万円以上の純資産を持っておるのが百四十六社、四五%、こういう数字になっております。
  184. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、この商品仲買人の登録についてどのような指導を行なっていくか、さらに登録の実績はどのようになっておるか、この点をお聞きしたいと思います。
  185. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 今回の改正によりまして、仲買人は登録制度から許可制に移ったわけでございますが、従来の登録制では、純資産額をきめまして、それ以上のものであって欠格要件、いわゆる法律違反等の欠格要件がない場合は登録をいたすという制度になっております。今回はそれを許可制に改めまして、資格要件を厳重にしたわけでございます。いままでの登録業者の実情でございますが、一番最盛期には四百社ございました。その後いろいろなことで減ってまいりまして、現在は先ほど申し上げましたように三百二十二社、こういうことに相なっておる次第でございます。
  186. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほども減ってきたという話があったのですけれども、これについてはまたあとで聞きますが、大体大まかに分けて、どういう理由で減ってきたのですか。
  187. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 克明に分析しておるわけではございませんが、傾向を申し上げますと、やはり一つは仲買人としては規模が小さくて成り立たなくなったというような問題があろうかと思います。それからもう一つは、いわゆる少し無理をし過ぎて店じまいをせざるを得なくなった、自分の力以上に少し業務を拡張し過ぎたという面、こういう面があろうかと思います。その他いろいろ問題はあろうと思いますが、大きく言いましてその二点であろうかと考えるわけでございます。
  188. 近江巳記夫

    ○近江委員 四百社のうちからそれだけの数が減るということは、私は異常な傾向と思います。これはあとでお聞きします。  それから次にお聞きしたいことは、商品外務員制度に非常に多くの問題があるわけです。これは先ほどからも各委員から質問があったとおりでありますが、資格要件についてまずお聞かせください。
  189. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 現在のところは、登録要件でございますが、一応外務員は仲買人の従業員であるというのが一つの要件でございます。それから、取引所が行ないますいわゆる講習会に出て、そこを修了という証明書の確保、こういうのが要件になっておるわけでございます。
  190. 近江巳記夫

    ○近江委員 私がいままで聞いてきた範囲ですけれども、外務員の質が非常に落ちている、これが一点です。二番目には、外務員の数が非常に過多である。三番目は、外務員採用時の調査と後の研修が怠っておるのではないか。四番、待遇、身分保障、給与体系に非常に不満が多い。五番、店は外務員を通してしか客を知ることができない。こういうような制度上の欠陥が非常に多い。こういつたことを私は聞いたのですが、こういう要因は、結局外務員に事故が多い、そういう点にひっかかってくると思う。その悪事のケースについては、仲買人と外務員がぐるになって悪いことをするとか、非常に私は問題が多いと思うんですね。そういう点から、外務員さらに仲買人等の指導監督を今後非常に強化していかなければならない、私はこのように思うのです。これに対してどのようにお考えになっておりますか。
  191. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 結論的に申し上げますと、御指摘のように、仲買人、外務員に対する監督を十分しなくちゃならぬ、全くそのとおりでございまして、われわれもそういう面を志向しているわけでございます。いま御指摘になりました外務員の質の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、従来は講習会というようなことをやっておりましたが、この内容を見ますと、私どもは、まだ相当不十分な点がある、したがって、この講習会の内容を飛躍的に強化したい、かように考えております。それと同時に、やはりそういう講習会を受けただけでは不十分とも考えられますので、やはり仲買人のところで、従業員として一年くらいは実務を経験する、その実務経験も必要ではなかろうか。したがいまして、そういうことも考えてみたい、かように考えております。  それから、外務員の数が過大ではないかというお話がございました。これは今後の商品取引所の取引高の推移にも関係する問題でございますが、先ほども答弁申し上げましたように、将来必要によっては、外務員の数を取引所の定款等できめさすということを検討してみたい、かように考えております。  それから給与体系の御指摘がございましたが、私は非常に大事なポイントだろうと思います。いまのいわゆる歩合制を固定給的なものにできるだけ切りかえてまいりたい、これも取引所に研究をお願い申し上げておる次第でございます。  そういうことによりまして、量、質、両面にわたりまして御指摘のような指導強化あるいは資質の向上というようなものをはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  192. 近江巳記夫

    ○近江委員 私はこの外務員の制度について、これは根本的なことですけれども商品取引所の機能として、外務員制度というのがどのような存在価値があるか、この点をお聞きしたいと思うのです。
  193. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 御承知のように、取引所の機能といいますものもだんだん専門化されてきておるわけでございます。その方向としては二つございまして、一つは、これは先ほど御議論がございましたが、行き過ぎますと弊害はございますが、一般大衆の問題、それからもう一つの問題は当業者関係、いわゆる関係業者関係等におきましても、やはりこの専門化された仲買人あるいは外務員に取引を頼むという形になっております。そういう意味合いにおきまして、やはり仲買人あるいは外務員というものは、そういう専門化された分野におきまして、知識、経験を持ってそれに当たるという面において、一つの特徴といいますか分野がある、かように考えております。それと同時に、一般大衆が参加いたします場合に、むしろ、不当な勧誘をするということでなしに、やはり正しい取引所の姿なり、この取引というものを一般大衆に知らした上で、その取引に参加したいという人は参加していただく、いわゆる委託者に対する知識を普及さす、こういう面の役割りがあるのじゃなかろうか、かように考えております。ただ、御指摘のように、それがうまくいっていないという問題はあるわけでございまして、われわれといたしましては、そういう外務員のいわゆる役割りというものを心得た指導を今後してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  194. 近江巳記夫

    ○近江委員 要するに、委託者と外務員との間の事故というものは多過ぎます。こういう点において私がいま申し上げたのは、外務員制度というものを根本的に考えなければならない。さらに今後委託者、大衆を守る意味において具体的な改善の道を講じなければならない、私はこのことを強く思います。このことを特に局長要望しておきます。  それから次に、いまも出てきましたが、委託者紛議の動向とその原因、及び発生した紛議の処理並びに紛議防止のためにとった対策について述べていただきたいと思います。
  195. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 お答えは通産省と農林省両面からさせていただきたいと思います。  まず通産省関係から申し上げますと、昭和四十一年度でございますが、紛議は四十六件ございました。そのおもな原因は、倒産だとか資産内容が悪くなったということで、委託証拠金を返すのが非常におくれる、こういうことによるものが四十六件のうち十五件ございました。それから断定的な判断、いわゆるこれを買うと必ずもうかります、あるいは損をした場合は補償しますとか、あるいは利益は保証しますというような不当な勧誘によったものが十二件、それからいわゆる一任売買的なものでございますが、委託者の十分な了解を得ないでやった件数が七件、こういうことでございまして、この三つが大きな原因となっております。  処理の状況でございますが、この四十六件のうち、取引所に調停の機関がございますが、それで調停が成立したものが三十四件ございます。あと十二件は、調停は成立いたしませんが、当事者同士の話し合いで調停を取り下げるというような措置がとられたようでございます。ただ、その中の一件につきましては現在裁判になっております。そういう状況に相なっております。  それから委託者紛議の防止対策でございますが、いま申し上げましたように、この紛議の原因をたぐってまいりますと、資産内容の悪化、あるいは過当勧誘等に基づくものが圧倒的に多いわけでございます。そういう意味合いにおきまして、今回仲買人の登録制を許可制にいたしまして、純資産額の合算制とか、あるいはその他の資格要件を厳重にいたしたわけでございます。それと同時に、過当勧誘に基づくものが多いわけでございますので、過当勧誘を禁止するという措置をとったわけでございます。それと同時に、この許可後におきまして、やはり資産内容が悪化しないかどうかあるいは業務の運営が適正であるかどうかというようなことを常にチェックいたしますために、改善命令の規定を置きまして、常にこれがチェックできるというようにしたわけでございます。なおそういう面につきましては、役所のみならず、取引所自体も自治権に基づきます監査によりまして、それを早期に発見していくという体制をとったわけでございます。そういうことによりまして、私どもはこの紛議の防止に全力をあげていきたい、かように考えておる次第でございます。
  196. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 農林省関係の紛議について御説明いたしますと、私どもの扱っております取引所は穀物、海産物、砂糖、それに生糸、乾繭の十三取引所でございますが、合わせまして、三十九年に三百三十三、四十年に五百二十九、四十一年に五百八件というふうに、主としてアズキが大きな割合を占めておるわけでございますが、それだけの紛議がございます。ただ、この紛議の調停につきましては、役所も相当力を入れておりますが、単純なものにつきましては、大体取引所の事務局で処置をいたしますし、複雑なものにつきましては、四十年に取引所に紛議調停委員会というものを設けまして、そこで取り扱っておりますので、紛議の件数は相当多いわけでございますが、大体七割程度は解決いたしておる状況でございます。  紛議の原因といたしましては、いま通産省からお話がございましたように、倒産した仲買人に対する委託証拠金あるいは利益金の返戻、あるいは無断売買、一任売買、追証の不納、事務上の連絡不十分等々、事情は通産関係とあまり変化はございません。私ども、アズキ関係を中心にして投機が相当激しくなりました四十年を中心にいたしまして、今回の立法を待ちませんで、取引所に通達を発して、定款あるいは業務規程等を直しまして、たとえば広告、宣伝の自粛でありますとか、過当勧誘の禁止でありますとか、あるいは利益保証誘導の禁止でありますとか、一任売買の禁止、あるいは仲買い保証金の引き上げ等々、いろいろな措置を講じております。これは取引所の自粛もございまして、先ほども申し上げましたように、四十二年に入りましてからはよほど紛議の件数は減っておると思っております。
  197. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま報告を聞きまして、やはり一番大きな問題は穀物ですね。穀物の中でもアズキ、四十一年になって減っていると言っておられますけれども、これは要するに四十年に比べて若干下降線を描いてきた。三十五年の当時から比べますと、三十五年当時は五十件です。四十年はいまおっしゃった五百二十九件、十倍以上にもふえている、こういう紛議によって家庭が全く破壊されてしまう、自殺する人も出てくる、どれほど深刻なそういう犠牲者が出ているかわからない。右も左もわからないそういうしろうとが引っぱり込まれている。十倍もこのような事故を発生さしたというのは非常な責任ですよ、社会的にも大問題です。先ほどからもそういう取り締まり等についてのいろいろなお話がありましたけれども、よほど当局が腹を引き締めてやっていかないと、ほんとうにこれは幾らでも犠牲者が出てくる。特に私は農林省の局長にお聞きしたいのは、アズキの問題が特に非常に多いわけです。あなたとして、いま対策を述べられましたけれども、今後どのようにされるか、あなた自身の決意を一ぺん聞かしてください。
  198. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 農林省関係の紛議の全体で、四十年が五百二十九件でございます。四十一年が五百八件でございますから、農林省関係全体としての紛議は四十一年はそう減っておりませんが、アズキ関係で申し上げますと相当の減少がございます。ただ、私が申し上げましたのは、四十二年に入りましてよほど減った——これは実は紛議があります場合には、相当部分が役所に連絡がございまして、陳情等があるわけでございますけれども、その数が四十二年度になりましてよほど減ったという意味で申し上げたわけでございます。穀物特にアズキ関係でこういう数の紛議がありますことは、行政上きわめて遺憾なことでございますから、先ほども申し上げましたように、私ども四十年以降いろいろな形で取引所を指導をして規制をいたしてまいっております。その効果がだんだんあらわれまして、四十二年度においては相当な減少を来たしたというふうに思います。ただ、四十二年度において紛議が減ったということによって、先ほど申し上げましたように私ども決して安心しているわけではございませんで、今回の取引所法の改正を契機にして、いよいよ取引所の指導あるいは仲買人の指導につとめて、こういう紛議ができるだけ早い機会になくなりますように精一ぱいの努力をいたしたいと思っております。
  199. 近江巳記夫

    ○近江委員 今度は仲買人のことについて聞きますけれども、仲買人の倒産発生の動向とその原因及び仲買人の倒産により生ずる委託者の被害状況とその処置について述べてください。両方で述べてください。
  200. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 仲買人の倒産といいますか、その原因を申し上げますと、先ほどもちょっと触れましたが、やはり圧倒的に多いのは、少し自分の力以上に店を拡張し過ぎたという面があろうと思います。それと同時に、規模が小さくて、経済界の変化についていけなかったという問題もあろうかと思いますが、そういう面が多いと思います。  そこで、倒産の件数でございますが、三十七年から四十一年度までの過去五年間におきます件数は三十七件になっております。被害の委託者数は二万三百名、それから被害金額が累計で五十二億という数字になっております。ただ四十一年度におきましては、四十年度に比べますと減っております。それから、そのとった措置でございますが、今後の問題としては、やはり先ほど申し上げましたように倒産をさせないようにする。あらかじめ純資産の増加をはかるとか、きずがあるならば早期に発見して、役所も業界も手当てして、倒産をさせないようにするのが根本的な措置でございますが、万一倒産した場合におきましては、従来はこれが解決というのは話し合いによるほかは手がなかったのであります。余った財産を話し合いによって公平に分けるというようなことを役所としてはあっせんしたわけでありますが、今後は、先ほど御議論が出ましたように、業務保証というものを五割積ますわけでございます。それと同時に、繊維業界等におきましては、むしろ業界自体で、そういう事態が起き委託者に迷惑をかける場合には、いわゆる共助組織で補償しよう、委託者に迷惑をかけないようにしようという機運が盛り上がりつつあります。これは非常にいいことでありますので、五〇%の分離保管とあわせて、そういう機運を盛り上げまして、それによって不幸な倒産の事態に対処して委託者の保護に万全を期してまいりたい、かように考えております。
  201. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 いま企業局長からお話がありましたのは通産、農林両省関係の合計の数字でございます。  農林関係だけについて申し上げますと、三十七年から四十一年までの五年間で倒産仲買人の数が二十八、委託者の延べ口座数が一万一千、被害の金額が二十四億ほどでございます。これは農林物資関係の仲買人だけをあげた数字でございます。  私ども、倒産をいたしました場合に、実は被害者に対しての取り扱いはなかなかむずかしい問題がございます。根っこから仲買人が参っておるわけでございますから、被害者が損害の補償を受けることがきわめて困難な事態でございますが、私どもできるだけ中に入って当該仲買人と話を進めるばかりではなしに、関係の取引所と話をいたしまして、苦干でも見舞い金を出すことができないかということで見舞い金を出した例もございます。  今後の問題といたしましては、何といいましても仲買人を強くする、あるいは外務員を適正にする、あるいは大衆参加ということで全然無知といいますか商品取引所についての知識のないたとえば家庭の主婦等がいきなり巻き込まれることのないよりに考えることが先決でございますが、万一の場合に備えまして、企業局長が言いましたように、取引所あるいは仲買人の互助的な救済の制度ということも、これからできるだけ進めていきたいというふうに考えております。
  202. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほどは外務員のことをお聞きしたわけです。いま仲買人の倒産等によってこれだけの被害を受けている。これはたいへんなことですよ。外国でもこんな大きなケースというのはないわけです。これは私が口を悪くして言えば、幾らでもそういった原因を推測して言うことはできます。そこまでは言いませんけれども、よほどこの点において指導、監督を強化していかないと、先ほども委員の話がありましたが、ほんとうによくこのままきたものだと思う。こういう点について、こういうケースをほんとうに減少さすということよりも、なくしていくという点において、ひとつ力を入れて監督強化をやっていただきたい。このことを特に要望しておきます。  その次は、仲買人の違反行為の状況とその処置を述べてもらいたい。このことについては、過日私はざっと触れた問題でありますが、特にそういった事例をあげて説明願いたい。
  203. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 まず通産省関係を申し上げますと、四十一年に処分をいたしました件数は十九件ございます。検査は二百件ばかりいたしたわけでございますが、その中で一割程度、十九件思わしくないものがあったということで、それぞれの処分をいたしたわけでございます。  その処分の内容でございますが、登録の取り消しをいたしましたものが一件、それから受託業務の取り消しをいたしましたものが三件、それから戒告をいたしましたものが四件でございます。そのほかにつきましては、違反が軽微なものでございましたので、始末書を取りまして厳重に注意した、こういう形になっております。農林省関係につきましては、農林省のほうからお答えしていただきたいと思います。
  204. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私ども農林省関係商品取引所十三につきまして、四十一年度に検査いたしました件数は二十九件でございます。そのうち違法状況の相当はなはだしいもので営業停止処分にいたしたものが八件ございます。文書をもって戒告いたしたものが十四件にのぼっておるわけでございます。
  205. 近江巳記夫

    ○近江委員 私はおもだった件を聞きますけれども、カネツ商事、これは脱税で国税局の査察を受けた。このカネツ商事に関する検査は現在どのくらい進んでいるか、結論が出るのはいつごろか、どのような脱税行為であるか、その点について伺いたい。
  206. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 カネツ商事の脱税問題が先般新聞紙上に載りまして、私どもさっそくカネツの関係者を呼んで話を聞いたわけでございます。私どもも、さっそく検査をして、商品取引所法関係で違法行為があれば、それに即した処分をするつもりでございましたけれども、一切の帳簿関係が国税局にいっております関係で、それが戻り次第私どもの検査をして非常な厳重な処分をいたしたい、しばらく国税局の調査の推移を見ておる段階でございます。
  207. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃあなたは国税局のほうに対して調査のスピードアップを言ったのですか。
  208. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 国税局とは十分連絡をいたしております。
  209. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、その国税局の結論が出るまでは処分はしないわけですか。
  210. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私ども予断をもって処分をするわけにまいりませんので、帳簿その他の資料に基づいて検査をし、それに基づいて処分をするわけでございますから、残念ながら現在帳簿を押収されておりますので、帳簿が戻り次第、できるだけ早い機会に検査をいたすつもりでございます。
  211. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは脱税の行為がはっきりしているわけです。こういうケースで六カ月も十カ月も先にいかなければ結論が出ない、こういうことをやっているから、業者は、政府のそういういろんな項目について指導はしておっても、結局次から次に出てくる。ただ国税局の結論が出るまで待っています、こういう点あなたが責任を転嫁するとは私は言わない。だけれども、こうした違反行為については、もう少し前向きにやはりびしびしやっていかなければいけないと私は思う。これについてあなたのお考えはどうですか。
  212. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私どももできるだけ早くこの問題について処置をいたしたい気持ちで一ぱいでございまして、決して時期をおくらすつもりはございませんけれども、国税局といたしましても、相当複雑な事件のようで、もうちょっと待ってくれということでございます。私どもできるだけ早く検査ができるような状態にしてほしいということを申し入れをいたしておるわけでございます。
  213. 近江巳記夫

    ○近江委員 もうちょっと待ってくれという理由までは私は聞きません。いろいろとあるでしょう。しかしやはり一番の当局者として、こういう点をきびしくやっていかないと、いまあなたが事故は絶対に起こさないように努力しますと言ったしりから、国税局がそう言っておるからと、それだけにまかせっきりのような、ほんとうに自分が実施に当たったときに出るあなたの考え方の一面を見るような気持ちがした。こういうような点についてすみやかに結論を出すようにしてください。
  214. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私自身できるだけこの問題を早く処置したい気持ちで一ぱいでございます。決して自分でおくらせておるつもりは毛頭ございません。できるだけ早く処置するように国税局のほうにも申し入れいたします。
  215. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから豊商事、協栄物産が同じように主務省の査察を受けた。まず、いつ受けて、どのような違反行為であったか、どのような処分を受けたか、処分の発表があったのはいつか、この点についてお聞きしたいと思います。
  216. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 御指摘の商店が国税庁の査察を受けたということは私ども聞いておりません。
  217. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたは局長としてそういうことを掌握してないのですか。その点どうなんですか。
  218. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 いま資料を見ておりますので、ちょっとお待ち願いたいと思います。——いま御指摘の豊商事株式会社に対する調査は、私ども農林省の検査でございます。私は先ほど査察をされたということを聞いておりませんと申し上げましたが、国税庁関係の査察というふうに考えて申し上げたわけでございます。私どもの検査はやっております。豊株式会社につきましては、三十九年の十月十四日から二十日にわたって六日間やっております。この検査の結果、三日間受託業務の停止処分をいたしております。それから協栄物産株式会社につきましては、三十九年の十一月五日から相当長いことをかけて検査をいたしておりまして、この件につきましても、違法の事実がございましたので、五日間の受託業務の停止の処分をいたしております。
  219. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は罰則の強弱については言いません、それはあなたの管轄なんですから。だけれども、たとえば岡藤商事、これは四十年中ごろにやはり立ち入り検査を受けた。その結果、違反行為の事実が判明して営業停止処分が決定することになっておった。その後どうなっておりますか。
  220. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 岡藤商事につきましては、法規上多少の問題がございましたので、一日の受託業務停止処分の決定をいたしましたけれども、その後私どもの精査いたしたところによりますと、いままでの検査及び処分の実情に照らしまして、一日の業務停止をする必要はないという判断をいたしまして、大臣名をもって戒告をいたした事実がございます。
  221. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたのほうで一日停止処分をした。それを取り消した。主務省として罰則を加えるのに、そんな安易に、たとえ一日であろうと、罰を加え、さらにそれを停止した。その中に、そういうことになった関係が何かあるのですか。いきさつを話してください。
  222. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 これは特別のいきさつはございませんで、私ども検査を行ないまして、処分をいたします場合には、慎重に慎重を加えつつ決定いたすわけでございますから、処分を変えるということはまれなことでございますけれども、この問題に対しましては、やはり前後左右の公平の見地から一日の受託停止の処分をしたけれども、それを取り消して、大臣の戒告にいたしたということでございます。その間特別の事情はございません。
  223. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたは平然と答えているけれども、一日の停止処分をするには、それだけの重大な事故がそこにはあった。事故もないのに停止処分をするわけがない。それじゃ、あなた方のいままで言ってきたことは、要するにこれから大衆を守る、監督を強化する、そういう軟弱ないいかげんな態度でこれからもやるのですか。まだ何ぼでもありますよ。私は何ぼでも持っておる。これは中井繊維だってそうじゃないですか。これも同じように監察を受け、何の処分も受けていない。そんな弱腰で——とのようないきさつがあったか私は知りません。推測はできます。そういうような特定の業者について、違反事実がありながら、当局として処分を決定しながら、取り消す。あなた方は大衆を守るか業者を守るか、どっちなんですか。こういうことが続くなら、徹底的に私も調査しますよ。今後のあなたの腹を聞かしてください。
  224. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 岡藤商事と中井繊維の具体的なお話が出ましたので、多少中身を申し上げますと、岡藤商事につきましては、違反の事実といたしましては、未登録外務員を若干使っていたということ、それから委託金を未徴収であったということ等でございまして、それほど大きな違反ではございません。中井繊維関係にいたしましても、ほぼ同様なことでございます。私ども取引所関係仲買人の検査をいたします場合にも、違反の事実があれば、いきなり営業停止というふうにはいきませんで、実態的な事情を十分聞いた上で処分をして、しかも公平かつ厳正でありませんと、取引行政についていろいろ御批判も出るわけでございますから、その辺は違反があれば、すぐ営業停止ということではございません。事案に即して処分の内容もきめておるわけでございます。今後も、検査につきましては、厳正にこれを行ない、また処分につきましては、公平かつ厳正に行なって、仲買人の業務の適正化に私ども十分努力をしてまいりたいと考えております。
  225. 近江巳記夫

    ○近江委員 私はしつこく言いたくはないですけれども、大した違反でもないのに一日の処分をした、これは既定の事実じゃないですか。違反をしているから一日の処分をしている。はたしてその一日が適正であったかどうか、そこまで突っ込んでいけば、これはもう法廷で争わなければならない問題になるからやめますけれども、要するに、そのような安易な行政であっては私はならぬということを言いたい。あなたとして、今後どのように最高責任者としてこういったケースに対していくのですか。
  226. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 私ども今回の法律案の改正も、仲買人の営業を厳正にして大衆に迷惑をかけさせないということが第一義でございますから、検査にあたりましても、当然仲買人の検査について厳正に行ない、そうしてその処分につきましても、従来のいろいろな例も勘案し、また違反の事実の形式的な点ばかりではなくて、当事者の心境その他も考慮した上で十分厳正に公平にいたすつもりでございます。
  227. 近江巳記夫

    ○近江委員 その問題はそれで切ります。  それからもう一つ、これは別のケースですけれども、福井人絹取引所に所属している仲買人で、信和商品という会社がありますね。これが未登録の営業所を持っている、こういううわさがあるのですが、この点はどうですか。
  228. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 信和商品につきましては、あるいは先生承知かと思いますが、委託者からいろいろ従来苦情が参っております。そういう意味で、三月の二十日から三十日にかけまして検査をいたしております。そのケースについては、それぞれそれに相応した処分をいたしているわけでございますが、未登録の営業所があるということはいま初めて承ったわけであります。さっそく調査いたしまして、もし事実ありとすれば、二回目でございますので、厳重な処分をいたしたい、かように考えます。
  229. 近江巳記夫

    ○近江委員 それはうわさです。それは一つケースです。こういった内容を洗っていけば幾らでもあるのですよ。私はここの会社と言いませんよ。言わないけれども、未登録だというようなことがわかっていたならばたいへんなことになります。あなたらの預かっている金がだめになるぞ、脅迫にもひとしいことで押えられている。そういういろいろなケースがやはりあるわけです。  それから一取引所における異常出来高の問題ですけれども、たとえば吉原商品の場合、豊橋の取引所で商いをやっておりますけれども、ここの会社の取引所内に占める出来高の内容、あるいはどういうわけでそういうふうになっているのか、その点をお聞かせください。
  230. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 豊橋の乾繭の取引所におきまして、吉原商品が相当な事業量を持っていることは御指摘のとおりでございます。四十一年におきまして、月によってだいぶ相違がございますけれども、四割台から九割台に及んでおります。四十二年の一月から六月までを見ますと、大体六割ないし七割台という状況でございます。
  231. 近江巳記夫

    ○近江委員 豊橋の取引所で十五周年記念行事に、過去十五年間の、四十一年三月末現在におけるベストテンの表彰を行なった。そのときの第一位の出来高は、わずかに七万一千六百八十九枚、十位がカネツ商事で七千四百七十五枚。あなたはいまこまかい数字を言わなかったですけれども、私らのところにデータが来ている。現在の取引は何倍、何十倍ですよ。一取引所内における九割の比率を示している。これは私が思うのは、独占ということばが当てはまるかどうか知らない。しかしそれではたして適正な値が出されるか。この問題が一点です。  また二点は、どうしてこのような異常出来高になったか。その理由を調査したか。  三番は、コントロールするために何らかの手を打ったか。  四番は、このような状況ではどのような影響を受けるか。そういった点においてどのような行政指導をしたか。  以上の点をお聞かせください。
  232. 大和田啓気

    ○大和田政府委員 乾繭取引所は実は農林省の中の蚕糸局の所管でございますけれども、いま蚕糸局長を至急呼んでおりますから、ひとつ御猶予をいただきたいと思います。
  233. 近江巳記夫

    ○近江委員 それではその問題はあとにしましょう。そこで、商品仲買人の純資産額と仲買い保証金の概要をひとつ説明してもらいたい。
  234. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 純資産額につきましては、従来の制度を申し上げますと、いわゆる任意加算制という制度をとっております。これは取引所の上場商品ごとに基準額をきめまして、他の取引所にも仲買人が入っておるような場合には、必要によってある程度の額を加算する、こういう制度であります。今回改正でとります制度は、そういう任意加算額ではなくて、上場商品ごとに基準額をきめまして、その二つの商品をやる場合はそのおのおのの商品を単純に基準額を合算する、あるいは他の取引所に入っています場合は、そこできまったものについてそれを単純に合算する、いわゆる単純な合算制をとったわけでございます。そういうことによりまして、いろいろな商品を取り扱う仲買いについては純資産額の強化をはかりたい、こういうことでございます。  それから、いわゆる委託証拠金の問題でございますが、従来は仲買い保証金という制度がございましたが、これを今回廃止しまして、先ほど申し上げましたように、委託証拠金のうちの五〇%を保証金として取引所に分離保管をする、こういう制度を今回とったわけでございます。
  235. 近江巳記夫

    ○近江委員 この三年間の経過措置を設けたという理由ですが、これは最初の構想から相当後退しているように私は思う。この点についてお聞かせください。
  236. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 率直に申し上げまして、三年間の経過措置は後退いたしておるとは私は考えておりません。当初から将来の目標といいますか、それは掲げなくてはいけないが、仲買人の現在の実情等から見ますと、これを段階的に改善していかないと、一気にやりますとかえって倒産を誘発し、委託者の保護にならぬ、こういう考え方でございましたので、当初から三年は通産省としては考えていたわけなんです。ただ分離保管の五〇%というパーセンテージにつきましては、通産省としてはできるだけこれをたくさんしたいという考え方でございました。しかしその後いろいろ業界等の実態調査してまいりますと、先ほども申し上げましたように、売買証拠金的なものに二割があって、それからいわゆる委託者から金が入ってこない、その立てかえ金等に三割の金が要る。これは場合によっては考え方としては自己資金でまかなうべきだという議論もございます。それを一気に行ないますことは非常に混乱を生ずる、こういうような考えでおります。そこで五〇%にしたわけでございますが、三年自体は当初から考えていたわけでございます。
  237. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで三百二十人の仲買人を三年間で整理統合させるのじゃないか、こういうような話も一部私は聞いたことがある。この点について聞きたい。  それからもう一つは、当然この仲買人といえども取引所の会員であるわけです。当然ここで取引所の合併ということが、いいか悪いかは別問題として問題になるのではないか。この点についてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  238. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 仲買人の整理統合の問題でございますが、私ども考え方は、先ほど申し上げましたように、五〇%のいわゆる分離保管を直ちに強行いたしますと、現在の仲買人の実情から見ますと六割が合格しない、苦しい、こういう状況でございます。三年の間にそれを二〇、三〇、四〇、五〇というように漸次引き上げてまいります。その過程におきまして業界、仲買人の間で今後の体制に即応するためには合併したほうがいいという話がございますれば、われわれとしてはそういうことに御協力も申し上げたい、かように考えております。したがって、端的に申し上げますと、相当きつい条件になります。いろいろな見方はあるかと思いますが、私どもは相当きびしい条件、こういうように考えておりますので、そういう事態も好んでやるわけではございません。今後の経営改善の方策としてそういうことを考えていただかなくちゃならぬ面も出てまいろうかと存じます。  それからもう一つは、取引所の合併問題でございますが、これは一つの議論でございますし、考え方であろうかと思います。ただ取引所の合併を考えます場合に、先ほども申し上げたわけでございますが、今後の長い目で見た取引所というのは流通の一つのにない手ということになろうかと思います。合併を考える場合に、商品別に合併を考えたほうがいいか、地域別に考えたほうがいいか、いろいろな問題点が流通機構の問題にからんでございます。したがいまして、われわれとしては、今後合併問題は前向きに検討するような事態、情勢にはなってまいると思いますが、少し時間をかけて、業界の実情に合わして、商品取引所審議会等で慎重に検討していただきたい、こういうことでございます。そういう意味におきまして、今回の改正案におきましては、合併の規定は特に時期が早いということで入れなかったのであります。今後の問題として研究させていただきたい、かように存じております。
  239. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから純資産額の最低額の引き上げの問題ですけれども、ここで結局問題になるのは、要するに商品取引所は証券取引と違うわけですね。ですから各店は資力も規模も非常に小さい。先ほど報告があったように、倒産している店のほとんどが大体四、五千万クラス。ところが内容を見ていくと小さな店でも非常に堅実にやっている店がある。そういう事実ですね。ですから単純にその資産額を引き上げたからといって、抜本的な解決策になるか。それから零細規模が非常に多い。この引き上げは、結局それらの店を締め出すのではなかろうか、非常にそのような危惧を持っているわけですよ。こういう点について、どのようにお考えになっていらっしゃるか、さらに、そうした中小の規模の店について、どういう対策を今後立てていくか、この点をお聞かせ下さい。
  240. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 いわゆる規模の問題が出ましたが、私どもは、基本的に、店の規模が大きい、取引高が大きいからいいというようには単純に考えておりません。と申し上げますのは、いわゆる取引所の改正問題が出ましたのは、むしろいわゆるデパート仲買人といいますか、専業仲買人といいますか、総合仲買人、非常に規模の大きいところが業務を拡張して、いろいろな弊害が出てくるのではないかという議論が実はあったわけであります。そういう観点を考えていきますと、規模によっていい悪いをきめるのは非常に危険である、私はこういうふうに考えております。特に旧来の店で、長年まじめに同業者主義といいますか、関係業者の仕事をまじめに規模が小さくてもやっておられるところは、私は相当あると思います。そういう方々が、今回の措置によって救われないということは不都合が出る。そういう意味合いにおきまして、この単純合算制といいますのは、非常にいろいろな商品を多面的に取り扱うというところにはきついわけでございますが、むしろ専門的に一、二の商品を取り扱っていただいておる中小の企業の方には有利な制度ではないか。影響はむしろ大きいところにきついというように私ども考えております。  なお、商品によってこの基準額をきめるわけでございますが、取引所の形態、一般大衆が非常に参加しておる取引所と、そうでない関係業者の取引所であるということも加味し、しかも商品の特性を加味して慎重に基準額はきめてまいりたい、かように考えております。  それからなお、小さな方ではあるが、非常にまじめに経験を持ってやっておられるところにつきましては、三年の間に、それがやはり残って商売したい、ぜひそうしたいという御希望があるならば、われわれとしては、できるだけ融資めんどう、あるいは増資のめんどう、これは関係業界とも話しまして、親身になって御協力を申し上げたい。そういうことによって、少しでも取引所がいい姿にいくようにやってまいりたい、かように考えております。
  241. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、この分離保管制度をもっと強化しなければいけないという声が非常に強いわけです。この点について、どのように考えておられますか。
  242. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 分離保管の率をできるだけ大きくするということは、目標としては望ましいことであろうと思います。ただ、それがためには少し時間をかしていただきまして、いろいろ自己資金等も自分の手でまかなえるという措置が伴っていかないと、いたずらに倒産を誘発するだけと考えております。その意味におきまして、御承知かと思いますが、現在取引所を母体にして代行会社というような、各会員なり取引所が参画しまして金融の道をつける機構がございます。そういうものを今後拡充いたしまして、仲買人のいわゆる金融の道をつけ、この五〇%というものをさらに七〇%に将来するというようなことをしてまいりたい、そういう措置と伴って協力してまいりたい、かように考えております。
  243. 近江巳記夫

    ○近江委員 あとちょっと聞いておきたいことがあるのですが、商品仲買人を許可制にすることによる成果はどうかという問題、それから許可の具体的な審査基準というものをどこに置くか、これをちょっと聞いておきたいと思います。
  244. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 登録制から許可制に切りかえます効果といたしましては、一つは、仲買人の体質が改善されるということが言えると思います。それと同時に、従来のようにいわゆる自己資産が少しあれば、あるいは欠格条項がなければ、幾らでも商売ができたという体制と違います。そういう意味におきまして、やはり分不相応の業務拡張というようなことも次第にできなくなる、こういうことで、大衆参加の弊害というものも、こういう面を通じて防止はできる、こういうふうに考えております。特に今回の許可制につきましては、営業所の設置等につきましても、これを許可制にしているわけでございます。そういう面については、相当の改善ができる、こういうふうに考えております。  それから、特に今回許可制にしました中で大事な点は、いまのような財産的基礎のほかに、一つは、いわゆる仲買人の社会的信用あるいは知識経験というものを高く加味していきたい、こういう点があるわけでございます。  それからもう一つは、先ほど申し上げましたことと少しダブると思いますが、営業所の設置と申しますか、そういうものについても十分考えて許可制をやる、こういうことでございまして、従来の登録制が、どちらかと言いますと形式的、しかも質はあまり考えていない、こういう点がございましたのに対して、今度の許可制は質の面を非常に重視しておる、こういう形になっておる、こういうことが言えようかと思います。
  245. 近江巳記夫

    ○近江委員 局長が見えたようでありますから、先ほど私が申し上げた点をお聞きしたいと思います。
  246. 石田朗

    ○石田政府委員 お答え申し上げます。ただいまの取引所のお話にございましたのは、豊橋の乾繭取引所の例だろうと思います。この場合に、従来豊橋の乾繭取引所の関係扱い人は比較的小規模の業者の方が多かった、そこにかなり大規模の総合商社の方が進出をされたということで、その商社の扱い率がかなり高くなったという御質問であろうと思います。この点につきましては、私どもといたしまして、こういうような、ある商社のほうが取り扱い数が大きくなるということから、あるいは不公正な取引に相なり、そこに不都合な現象を生じますと、これは問題でございます。実は、私どもかねてより乾繭取引につきましては、その公正な価格形成につきまして、いろいろな配慮をいたし、必要な場合は、証拠金の増徴等、過当投機にならないような規制措置をたびたび講じてまいったのであります。昨年等におきましても、価格形成の面におきまして、問題の生ずるおそれがありますような場合には、そのような措置を随時にわたって講じまして、価格形成の面で不公正なことが起こらないように取り扱ってまいったのであります。  なお、これらの商社につきまして、平生から監督ないし、監査等につきまして、私どもといたしましても十分注意を払いまして、この面から不当な事象が起こらないように注意をいたしてまいっておる次第であります。
  247. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで全体的なことはわかりましたが、ここで私がお聞きしておきたいことは、そのように独占的な取引で、はたして適正なそういう値が出されるか、これが一点です。もう一つは、なぜそのような異常出来高になったかその理由、三番目はそれをコントロールするためにどのような手を打ったか、四番、このような状況ではどのような影響が出てくるか、その点をお聞きしたいと思うのです。
  248. 石田朗

    ○石田政府委員 ただいま申し上げましたように、私ども乾繭の取引につきまして、一般現物取引もございますし、このような清算取引もございます。また豊橋と前橋の二カ所でこの取引が行なわれております。それらを総合的にながめまして、過当投機によって異常変動が起こる、あるいはある人為的な操作が行なわれるということは、これは防止をいたさねばなりません。最後の御指摘の点とも関連いたします。この点につきましては、かなり思い切った規制措置を従来から講じておるつもりでございます。そのようにいたしまして、価格形成そのものが不公正に行なわれるということが防ぎ得ておるのではないかというふうに考えておるわけであります。かつまた、現在までいろいろな点でここに不都合な事象が生じますことは、お話がございましたように、ある商社の取り扱い率、これはときによっては変動がございますし、必ずしもある一社だけ云々ということでないかもわかりませんが、現在のところ非常に大きな率を占めておるということも事実でございます。これにつきましては十分監査、監督を行なってまいりたいというふうに考えております。
  249. 近江巳記夫

    ○近江委員 それはひとつことばだけでなくて、きびしくやってもらいたいと思います。  それから、これもお聞きしておきたいのですが、商品仲買人に対する改善命令の要件、その措置についてお伺いしたいと思います。
  250. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 改善命令を設けましたゆえんのものは、許可のときにいろいろ条件をつけましても、その後それが守られていない、あるいは運営上うまくいってないということでは意味がないわけでございます。それを担保する措置でございます。そういう意味におきまして、まず改善命令の発動要件でございますが、財産的な問題といたしましては、負債比率または流動比率、こういうものを見てまいりたいと思っております。これは具体的にはどういう場合に発動するかということを、たとえば負債比率でいいますと十倍、あるいは流動比率でいいますと百倍というふうにきめざるを得ないと思うのでありますが、そういうものをきめて発動したいと思います。そういう場合の措置といたしましては、やはり無理がいっておる点がございますので、受託業務の縮小等の措置もあろうかと思います。あるいは増資の措置をお願いするというようなこともあろうかと思います。そういうことをやっていきたいと思います。  それからもう一つは、この改善命令の要件といたしましては、法律では全部書かずに、主務省令である程度きめるという非常に包括的な規定になっております。その場合としては、今後の検討問題でございますが、一つといたしましては、収支の状況がよくない、いわゆる手数料で仲買人の経営がなかなか立っていかない、それがために純資産額が最低の基準を割るというような場合、あるいはその経営維持のために過当な数量の自己取引を行なうというような場合、さらには非常に紛議をたびたび起こすような場合、そういう場合は問題があるわけでございますので、改善命令を発動いたしたいと思います。こういう場合の措置といたしましては、受託業務縮小の問題もあると思います。経費節減等の問題もあろうかと思います。そういう措置をとってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  251. 近江巳記夫

    ○近江委員 最後にお聞きしておきたいのは、過当な委託証拠金流用によって起こる委託者保護上の問題点について、どういうようにお考えになっていますか。
  252. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 先ほども申し上げましたように、委託証拠金のうちの、三年間の猶予期間がございますが、三年後にはこの五〇%は分離保管で取引所に離したい。それで委託者からは取引所に対しては直接請求権を認めまして、それによって委託者を保護してまいりたい、それが一つであります。  それから残りの五〇%につきましては、これが先ほど議論がありましたように、いろいろ非常に不適正なものに流用されるということは好ましくありませんので、そういう意味合いにおきまして、今後いわゆる委託契約を受ける場合に受託契約準則というものに従わなければならぬという規定がございます。したがいまして、どういう場合ならばこれが流用できる、どういう場合には流用できないということを受託契約準則ではっきりきめさせまして、それに従っていただく。それに従っていただかない場合は、先ほど申しましたように改善命令の対象にする。さらにそれに従わない場合は罰則規定も動いてまいりますが、そういうことによってそれを慎んでもらうという措置をとってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  253. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたもいろいろと業界のことについてはキャッチしておられると思いますが、私の聞いておる範囲では、二十億くらいの金を集めておるところもある。客がやめたいからと言ってもなかなか返さない。最後は要するにプラス・マイナス・ゼロ、むしろマイナスになってしまって、いろいろな問題を起こしておる。さらにいま局長がおっしゃったように、委託金を預かって別の方面へ使っておる。こういう点は、私は取引所のあり方として、仲買人の問題として非常にまずいと思う。  要するに、これは一つの参考として申し上げたわけでありますけれども、いずれにしても大衆が非常に渦に巻き込まれておる。局長としても今後こういう被害が起こらないように力を入れていただきたい。  最後に、局長政務次官、先ほどからの質疑応答を通じまして、いろいろとお気づきになっていらっしゃると思います。今後の決意、さらにどのようにしていくか、そういう点を最終的にお答え願いたいと思います。
  254. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 ただいま御指摘のありましたようなことがありますと、私の感じでは、やはり今後の取引所の信用の問題にかかると思います。したがって、そういう点はどうしても防いでいかなければならぬ。それがためには、それを受ける取引員は相当痛いかもしれませんが、取引所全体のために相当厳重な措置をとってまいりたいと思います。  なお、今回の改正というのはいろいろ研究した結果で、あるいは見方によっては不十分な点があろうかと思いますが、私どもの気持ちとしては、ほんとうによくするための最後の改正である、これがうまくいかない場合はむしろ取引所の存廃問題になってくる、こういうことを業界にも申し上げておるわけであります。そういう意味合いにおきまして、役所も今後は相当の措置をとりますと同時に、業界も必ずよくなるように協力してくれるものと私ども期待しております。そういう業界の協力のもとにいい方向にぜひとも持っていきまして、取引所があってよかったという形にぜひしたい、そのように念願しておる次第でございます。
  255. 宇野宗佑

    宇野政府委員 先ほど来まことに貴重な御意見を拝聴いたしまして、多くの示唆を得ました。そしてまた具体的な事例を示されまして、われわれといたしましても非常に参考になると思うわけであります。  今回のこの取引所法の改正は、冒頭に私が申し上げましたるごとくに、要は委託者保護でございます。そうした精神で新しい取引所の公正な運営をしたい、力強い運営をして、それがわが国の経済あるいは生産並びに流通に非常なる貢献をし得るという形に持っていきたい、かように存じております。それがためには、先ほどから御指摘がありました仲買人の問題あるいは外務員の問題、そのほか資金流用問題等いろいろ問題ございますが、この法案におきましては相当シビアーな条件をつけたつもりでございますので、この点は所期の目的が達せられますように、適正かつ厳重な行政指導を今後行ないまして、御指摘の趣旨に沿っていきたいと存じております。
  256. 近江巳記夫

    ○近江委員 これからの問題が大事でありますから、どうかいま答弁していただいた点について、よろしくその実現を特に要望しておきます。  以上をもって質問を終わらしていただきます。
  257. 島村一郎

    島村委員長 次会は、明十九日水曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十一分散会