○鴨田
委員 ただいま議題となりました
特定繊維工業構造改善臨時措置法案に対する附帯決議案について、私は自由民主党、
日本社会党、民主社会党、公明党を代表し、その提案の
趣旨を御説明申し上げます。
まず案文を朗読いたします。
特定繊維工業構造改善臨時措置法案に対する附帯決議案
政府は、本法施行にあたり、わが国経済に占める
繊維産業の重要性にかんがみ、次の諸点につき適切な
措置を講ずべきである。
一、
紡績業並びに織
布業の
構造改善計画を総合的かつ有機的に実施するため、両部門を通じての総合性を確保すること。
二、
繊維工業の
構造改善を円滑ならしめるため、所要資金の確保および税制上の優遇について充分な
措置を講じ、中小
企業については特に配慮すること。
三、
構造改善の
対象業種については、
繊維産業の実情を考慮し、その拡大に努めること。
四、
構造改善の実施に当つては、従業員の身分、労働条件等に不
利益を生じないよう万全の対策を講ずること。
五、紡織機等
繊維機械の性能の向上を促進するため、研究開発等に関する援助を行なうこと。
六、
繊維製品の輸出振興を図るため、対日輸入
制限の排除について経済外交を強力に推進すること。
七、中小
繊維業者に
関係の深い逆委託加工貿易については、悪
影響が生じないよう充分配慮すること。
以上であります。
以下各項目にわたり補足説明をいたします。
第一は、御承知のように
特定紡績業の
構造改善対策は、
通産大臣が
構造改善基本計画及び実施計画を定めて行なうことになっております。一方
特定織
布業の
構造改善は産地組合が事業計画をつくり、
通産大臣の承認を受けて実施することになっております。
このように
特定紡績業と
特定織
布業の計画立案及び実施については異なるやり方となっており、必ずしも両部門を通じて総合性が確立されているとは申されないのであります。したがって、両
業界の間に総合的かつ有機的連携を保ちつつ計画が立案され、実施されることが必要であります。
第二は、
構造改善に必要な資金の確保と税制の優遇
措置であります。
本法施行のため、本年度予算に百六十八億余円が計上されておりますが、今後
構造改善計画を実施して、
関係業界の
体質改善を進めるためには膨大な資金が必要であります。しかしながら
繊維工業者の資金調達力にはおのずから限度があり、特に中小
紡績業者や織
布業者の自己資金の確保についてはきわめて困難な実情にありますので、政府は必要資金の確保について一そうの
努力を払うとともに、グルーピングについての税制上の優遇
措置等に万全の対策をとるべきであります。
第三は、
対象業種の拡大についてであります。
本法は、
特定紡績業と
特定織
布業を
対象としてまずこれらの
構造改善を行なうことにしておりますが、
繊維産業に真の
国際競争力をつけるためには、
メリヤス業、
染色加工業、編みもの業等第二次加工部門について
近代化、
合理化を進める必要があると思います。したがって、
繊維産業の実情を十分考慮しつつその拡大につとむべきであります。
なお、
対象業種の拡大とともに、
流通部門の
改善措置についても十分配慮され、適切なる対策をとることを切望いたします。
第四は、
構造改善の実施にあたっての従業員の身分、労働条件等についてであります。
わが国の
繊維工業は、労働集約
産業として今日まで労働力に依存し、労働力が
繊維工業の発展に多大の貢献をいたしてまいったのであります。しかるに、現下の
繊維工業をめぐる環境には、労働集約的
産業から資本集約的
産業へ移行しておりますが、
特定繊維工業の
構造改善が実施されますと、
繊維産業に従事する従業員に無用の不安と不
利益になるのではないかとの危惧の念を持つ者がありますので、この際特に労働者に対しては身分の保障及び生活の保障を実施し、そうして不
利益を生じないように万全の対策を施すべきであると思います。
第五は、紡織機の研究開発についてであります。
わが国の紡織機の性能は、諸外国に比べ優秀なものとなっておりますが、
繊維工業の
国際競争力を一段と強力なものとするためには、さらに
製品の多様化、高級化をはからなければならない。そこで
紡機、織機の性能の向上をはかり、機械を工業化するには、
紡績業者、織
布業者と機械メーカーの長期にわたる技術上の協力が必要となるのであります。したがいまして、
紡績機並びに織機等の研究開発にあたっては、格段の助成を行なう必要があるのであります。
第六は、
繊維製品の輸出に対する諸外国の輸入
制限措置についてであります。
わが国の
繊維製品の輸出については、最近、発展途上国の
繊維自給化の進展と輸出への進出並びに先進諸国の長期にわたる各種の輸入
制限措置により、多くの困難な問題が生じております。
そこで、
繊維工業の
構造改善を一段と効果あらしめるため、
繊維製品の輸出の拡大には、米国をはじめとする先進諸国の対日輸入
制限の排除について経済外交を強力に推進すべきであります。
第七は、逆委託加工貿易についてであります。
現在、わが国から原反を韓国に送り、韓国において加工してわが国に持ち帰る、いわゆる逆委託加工の貿易が行なわれておるのであります。
この場合、現行の関税制度においては、原反及び加工の付加価値分を含めた
価格に関税が課せられているのでありますが、その
製品の国内販売
価格が国内
製品の販売
価格に比べ安いということで、国内の
繊維製品製造業者に打撃を与えると憂慮されている現状にかんがみ、十分配慮すべきであります。
以上が附帯決議案の
趣旨であります。
委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)