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1967-07-14 第55回国会 衆議院 商工委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十四日(金曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 河本 敏夫君    理事 中川 俊思君 理事 田中 武夫君    理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    岡崎 英城君       岡本  茂君    神田  博君       黒金 泰美君   小宮山重四郎君       小山 省二君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    塚田  徹君       丹羽 久章君    橋口  隆君      三ツ林弥太郎君    三原 朝雄君       武藤 嘉文君    渡辺  肇君       加藤 清二君    佐野  進君       多賀谷真稔君    中谷 鉄也君       平岡忠次郎君    古川 喜一君       塚本 三郎君    吉田 泰造君       近江巳記夫君    岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      田中 康民君         公正取引委員会         事務局長    竹中喜満太君         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業大臣官         房長      大慈彌嘉久君         通商産業省企業         局長      熊谷 典文君         通商産業省繊維         雑貨局長    乙竹 虔三君         中小企業庁長官 影山 衛司君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部長 柿沼幸一郎君         労働省労働基準         局監督課長   藤繩 正勝君         労働省職業安定         局雇用政策課長 細野  正君         日本国有鉄道山         陽新幹線建設部         工事課長    斎藤  徹君     ――――――――――――― 七月十四日  委員齋藤憲三君、橋口隆君、三原朝雄君、武藤  嘉文君、千葉佳男君及び中谷鉄也辞任につき、  その補欠として三ツ林弥太郎君、塚田徹君、渡  辺肇君、広川シズエ君、加藤清二君及び下平正  一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員塚田徹君、広川シズエ君、三ツ林弥太郎君、  渡辺肇君、加藤清二君及び下平正一辞任につ  き、その補欠として橋口隆君、武藤嘉文君、齋  藤憲三君、三原朝雄君、千葉佳男君及び中谷鉄  也君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月十三日  離島振興法の一部を改正する法律案早期成立  に関する請願(山中貞則君紹介)(第三二二一  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月十三日  石油開発公団法案の一部修正に関する陳情書  (第三一六号)  資本取引自由化反対に関する陳情書  (第三一七  号)  電気工事業を営む者の営業所登録等に関する  法律案反対に関する陳情書  (第三九三号)  中小企業振興対策に関する陳情書  (第三九四号)  東北開発促進法等改正に関する陳情書  (第三九五号)  人口激減地域総合的振興対策確立に関する陳  情書  (第三九六号)  低開発地域工業開発促進法の一部改正に関する  陳情書  (第三九七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  特定繊維工業構造改善臨時措置法案内閣提出  第六五号)  商品取引所法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三一号)(参議院送付)  小規模企業共済法の一部を改正する法律案(内  閣提出第六六号)  中小企業団体組織に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一一五号)      ――――◇―――――
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定繊維工業構造改善臨時措置法案及び同じく商品取引所法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 特繊法につきまして、若干質問をいたしたいと思います。  もうわが党の繊維特別委員長加藤さんをはじめ同僚委員がだいぶ質問しておられますので、なるべくこれらの質問と重複しないように心がけながらやりたいと思いますが、逐条でお尋ねするほどの時間もありませんけれども、やはり順序として条文に従って御質問を申し上げたいと思います。  まず第一の目的でございますが、ここで特定繊維構造改善ということがうたわれておるわけですが、構造改善というのはどういうことなのか。設備をスクラップして、そしてビルドする、入れかえる、これが構造改善なんですか。構造改善とはどういうことか。かつてわれわれも構造改革なるもので議論したことがありますが、よくわかりません。構造改善ということを教えてください。
  4. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 お答え申し上げます。  企業合理化、特に設備近代化、これと構造改善の違いでございますが、構造改善の中の非常に重要な要素は依然として設備合理化近代化でございます。ただ構造改善とわれわれが申しておりますそのねらいどころは、一つ企業体質改善する場合、設備改善以外にもいろいろの手があるわけでございますが、そういうものを有機的に結合して、企業全部の体質改善をはかることが第一。第二に個々企業体質改善のみならず、その産業ぐるみ体質改善をはかるということ、特に後者の場合を強く意識いたしまして構造改善と申しております。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 いまの局長答弁でも体質改善構造改善ということばが二つ出てきたわけであります。一体構造改善体質改善はどう違うのか、こういうことになりますと、質問が横道にいきまして、相当時間もかかるだろうと思いますのでやめますけれども、私はただ単に一つ企業あるいは特定産業、これの設備改善する、生産性を上げる、これだけが構造改善ではないと思います。より必要なことは、その産業に携わっておる者のことに指導者経営者、これらの人たちの頭の切りかえ――前近代的な経営者の頭をもってやるならば、いかなる新鋭機械をもってしても、私は構造改善はできないと思う。むしろ経営者指導者の頭の切りかえが大事だと思いますが、いかがです。
  6. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 構造改善ということについてはいろいろ解釈できますが、設備改善あるいは組織改善とかいうようなことが考えられます。同時にこれは労使ともに頭の切りかえということがやはり基本でありまして、その点においてやはりそれが構造改善ということの基本になっておるのであります。時勢が変わってきたので、したがって労使ともに頭をかえて新しい産業機構に向かって進んでいくという意味で、この構造改善ということをうたっておるわけであります。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 労使という話ですが、それもそうですかより指導的な立場にある者――ずはり言いましょう。通産省繊維行政に携わる者の今日までの見通しの誤り、見通しの甘さ、これが何回かにわたる法改正、法の延長をもたらしてきたわけでございます。それらも含めて切りかえが必要であることを申し上げておきます。  次に、経営規模適正化ということが第一条にうたってありますが、規模適正化ということは紡績それから織り屋のほう、それぞれにわたってどの程度が適正な規模と考えておられるのか。あるいはこの文面から受ける感じといたしましては、中堅企業の養成ではあるけれども零細企業切り捨て一いまの内閣の性格からいって、いかなる経済立法にいたしましてもそれはそうであろうと思いますけれども、より零細企業切り捨てということが浮かんできます。それが転廃業という条項につながるのじゃなかろうかと思いますが、そのような点。さらに、適正な規模ということは、これは生産だけではないと思います。これは需給という上に立っても、需要、供給を考えなくちゃなりません。さらにこれらの適正化をはかるため、あるいは構造改善をするためには、ただ単に紡と織り屋のほうだけではなくて、これに関連するところの――これはだれか触れたようでございますが、メリヤス染色整理縫製等々、これらの関連企業といいますか業種といいますか、これらも含んだところの構造改善並びに適正規模と申しますかそういうことを考える必要があろうと思いますが、いかがです。
  8. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 お答え申し上げます。  第一に、適正規模でございますが、これは商品製品種類によりまして非常に違います。紡績の例をとりました場合に、いわゆる量産番手、二十、三十、四十番手のものとその他端番手のもの、また特に織布におきましては量産もの、生地、綿布の類、糸染もの等で特にデザイン、品質で売っていきます布等商品によりまして非常に適正規模が違っておると思います。ただ一例を申し上げますと、われわれの今回の構造改善の目標といたしておりますものにつきましては、紡績量産糸につきましては五万錘はほしいと思います。それから織布につきましては、量産ものにつきましては、できるならば三百台、少なくとも百台は生産単位としてほしいと考えます。かわり織りにつきましては五十台程度は必要であると思います。  第二に、この適正規模零細企業切り捨てにつながるのではないかという御質問でございますが、われわれ考えまするのは、国際競争場裏に立って競争してまいります場合に、どういたしましても、その商品に必要とされる適正規模は備えておらなければならないと考えます。封鎖経済の場合は別でございますけれども、今後国際的な競争をしてまいらなければならない場合に適正規模は必要である。その際に適正規模に達しない零細企業につきましては、私たちは極力いろいろな手をもちましてこの零細企業がその商品生産のためないし経営のため必要な適正規模までに持ってまいりたい、この努力をいたしたいと思います。この方法といたしましては、零細規模が協業すること、グループ化することないしは中核企業中心としてまとまること等があると思います。しかし商品種類によりまして、適正規模の非常に小さな商品も、これは特に零細企業問題が織布業についてあると思うのでございますが、非常に適正規模の小さい四、五台の機をもっても十分やっていける規模もあると思います。そういう場合には、この規模において設備なり経営なりの近代化指導をしてまいりたい。もちろんこの転廃業問題を構造改善の中に入れておりますけれども、零細企業を転廃業させるというふうな意図でこの規定を設けたものではございません。  次に、適正規模は御指摘のように生産だけの適正規模ではございませんので、当然経営適正規模が伴わなければならないと考えます。  さらに最後に、御指摘のとおり繊維工業構造改善を考えます場合には、最終製品国際競争力を持っていなければならないわけでございますので、当然のこと、編み製品におきましてはメリヤスを、さらに染めるものにつきましては染色整理を、さらに衣料品になるものにつきましては縫製品業界体質改善が必要でございますし、御指摘のとおり個々業界おのおのが独立したと申しますか、分立しただけの体質改善ではいけませんので、業界関連業界相互間のバランスのとれた構造改善が必要であるというふうに考えます。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 メリヤスとか染色整理とか縫製等々、これらの構造改善というかこういうことも必要である。こういうことだけでは済まされぬと思う。一体どういう計画で、いつやることを考えておられますか。
  10. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 現にいま御指摘業種近代化促進法対象業種になっておりますけれども、われわれはこれでは不十分であると考えます。したがいまして、今回の法案によります構造改善が織布業において成功をいたしますならば、この手法を応用いたしましてメリヤス染色縫製品等にも及ぼしてまいりたい、かような前提を置きましてすでにメリヤス染色につきましては今年度予算二千万円をもちまして調査を開始しております。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 いままでは何回か法の改正あるいは延長を行なってきたのは、主として紡のほうである。今回は織のほうを入れておるところに若干の新しみがあると思います。しかし何といっても紡のほうに重点が置かれて、織のほうがおろそかになってはいけない、こういう点が一つ考えられるのと、さらに構造改善たるものは生産関連、いま申しました、同時に流通の面においても構造改善せられなければならない。でなければ、結局はいかに生産の面において構造改善をし合理化をいたしましたとしても、大衆消費財となるときにおいて何らこれにプラスする面がなければ一体だれのための構造改善か、こう言われるのであります。紡の面においていろいろと生産性の向上を考える、しかし糸の値段はこれら需給関係とか生産のコストダウン、もちろんこれらを含むと思いますけれども、これらとは関係のない場所、言うならば第三者の手によってきわめて投機的にその値段がきめられておる、形成せられておる。そして織の面においてはそういうところできめられた糸を使用して布を織る。ここに、紡と織との間に第三者が介入しておる。生産等の面においては国が援助をし介入しあるいはコントコールし、いろいろな方法をとって調整しておる。しかしながら、流通の面においては現在これはすべてではございませんが、商品取引所対象品目はすべてそのようなこととは関係なく投機的にきめられておる。そのことが織屋にあるいは大衆消費者に対して大きな影響を持つと思います。そこで流通の面において構造改善、しかもいつも私は言うことですけれども、生産面においてコントロールしておりながら流通の面において糸がきわめて自由な競争というか、もっと文学的に言うならばアダムスミスの見えざる手にあやつられる。この上に立っての取引を土台にする商品取引においてやられておる。しかも化学繊維ならば天気とか自然現象とはあまり関係なくコンスタントにできるわけです。商品取引所一つ機能といいますか、その目的一つは、綿花だとかあるいは穀物であると自然的現象によって定められる、こういう危険がある。その危険をも含めて将来の需給を見定めて、いわゆる先値を立てて取引をする、こういう仕組みだと思うのです。こういう意味におきまして矛盾はないか。これは企業局長繊維局長の双方から御意見を承ります。さらに、経済学の大家、通産大臣の御所見を伺います。
  12. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 商品取引所の前に、繊維構造改善は結局国民大衆衣料生活を豊かにし、また外貨をかせいで輸出を振興するということをねらっておりまするゆえに、御指摘のように流通段階近代化がなければ生産段階体質改善国民大衆利益として結実しないと思います。したがいまして、なおつけ加えさせていただくならば、生産段階から調整をいたしますことは、物資不足の時代のある意味では遺物とも言えるわけでございまして、近い将来におきまして新法が廃止される暁におきましては、当然需要消費に敏感に反応する生産機構がなければならない、この間のパイプは流通によってつながっている、御指摘のとおりでございます。したがいまして、通産省におきましてもそのときに備えますために、すでに産業構造審議会繊維部会におきまして専門の小委員会を設けまして、鋭意検討をしておる次第でございます。  次に、御指摘のように現在綿糸につきましては設備制限が行なわれております。この設備制限取引所におきます自由価格形成とは原理的には矛盾しておりますことを、私率直に申し上げなければならないと思います。ただし現実の問題といたしまして、この現在行なわれております設備制限登録制は絶対的な設備過剰の存在を前提にいたしまして、設備の新増設を押えているものでございまして、そのときどきの価格に応じて需給調整を行なっているものではございません。このことは昭和四十一年から本年にかけまして、この現在の制限登録制のもとにおきましても、綿糸四十番手の相場が二百二十九円から百四十円台まで大幅な下げを示したことによっても示されておると存ずる次第でございます。
  13. 熊谷典文

    熊谷政府委員 流通機構改善の問題でございますが、御意見のように、私もそう考えております。これは繊維のみならずやはり今後の構造改善といいますものは、生産流通消費、こういうものを一貫して考えられなければならない、かように考えております。いままでの段階流通改善策というのがおくれておりますが、通産省の今後の姿勢といたしましては資本自由化あるいは物価対策、いろいろなものを考えまして、この点につきましては重点施策として今後急速に努力をいたしたい、かように考えております。  それから商品取引所関係が出ましたが、設備制限をしながら自由な価格形成をやる商品取引所と矛盾しないか、これは乙竹政府委員からも答弁がございましたので、私は根本的に、しかも長期的には、片方制限しながら片方で自由ということはおかしいと思いますが、現在いろいろな措置というのは、構造改善措置でございますので、しばらくの間両立させていただきたい、こういうふうに考えております。  それから、今後流通改善をやり、あるいは商品取引所をどういうように持っていくか、上場商品のお話も出ましたが、やはり取引所というのは御指摘のように適正な価格形成される、あるいはヘッジの機能が的確に行なわれるということが私は一番大事だと思います。そういう意味で今回商品取引所法改正案もある程度のものを提出いたしておるわけでありますが、根本的に考えますと、流通機構改善に伴いまして上場商品をどうするか、あるいはこの取引所流通改善の一環としてどういうように位置づけるかという問題は将来に残された問題でございます。この点は今後流通改善とからみ合わせてしばらく時間をかしていただきたい、必ずそういう方向で検討してまいりたい、かように考えております。
  14. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 取引所の問題についてお尋ねありましたが、取引所というものが存在しておるのは、そこにやはり必要性があるから存在しておるのでありまして、ただいま局長が申しましたとおり、価格を公示するということ、それによってその公示をされた価格によってみなが取引を行なうということ、そこで取引所における価格というものはあくまで公正な価格でなければならない、こう思うのでありまして、そこで問題は、その公正な価格形成されるかどうかというところに問題があると思うのです。ところがとかくこの取引所取引というものは、また投機的な取引対象になりやすい場所でありまして、これが今日までの日本取引所のあり方であったとも思うのであります。そこで問題は、投機的な取引が行なわれないようにするということが今後の取引所政策に対する根本、基本だ、こう考えておるのであります。したがいまして、取引所に上場される商品種類あるいは取引所における取引方法、たとえば取引員登録制ではなくて許可制にして、まじめな取引員取引をする、そういうようなことについての制限を加えるというようなことにして、今後においては取引所における取引が公正な取引価格形成するように指導していきたい、こう存じておる次第であります。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 いま特定繊維産業構造改善をやろうというわけです。先ほど来、るる言っておるように、そのためにはそれに関連する各業種、さらに流通面構造改善がなければならないのじゃないか。そうでなければ、この施策は単に生産者のみの利益のために行なうということになります。このことによって大衆消費財、いわゆる第二次加工製品等にまで一体どれだけの価格形成の面において影響があるのかということはわかりません。流通面における繊維構造改善こそ必要である。幸いにいたしまして、今回商品取引所法改正案が出ております。時間がございませんから議論は次に回しますが、商品取引所法の第二条、これをすべて検討し直す必要があると思いますが、さしあたり六号、七号のところは十分に検討する必要があろうと思います。さらに別表等に至りましても研究、検討していただきまして、後日商品取引所改正法のときに答えを出していただきたい、このようにいたしまして、時間の関係上次にまいりたいと存じます。  次はまず第二条ですが、定義についても問題がありますから、いろいろと議論をしたい、こう思っておるのですけれども、これは時間の関係から除きます。そして二項、これは過剰設備について政令で定める精紡機を処分しよう、こういうことですが、これはいかなる時点に立っていかなる観点からこの特定精紡機が過剰であるのかないのか、そういう点はどうしてきめるのか、具体的に簡単でよろしいからお伺いいたします。この政令のきめ方、これが一つの問題だと思いますので、お伺いいたします。
  16. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 特定精紡機に関しましては昭和四十二年度のこの法律の施行時期に定めるのでございます。現実数字をはじきます場合には四十二年度の糸の総需要を出しまして、百七十万三千トンと出しておりますが、うち紡績糸が百三十万三千トン、そのうち綿スフ合繊紡績糸百十万トン、その中の今回問題となりますいわゆる第一区分の糸九十五万八千トン、これに所要の錘数千九十三万錘という数字を出しまして、過剰紡機政令をつくってまいりたいと思っております。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 政令にはそういった具体的な数字を入れるのですか。
  18. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 政令には具体的な数字は入りません。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 どういう文言になりますか。
  20. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 まだ一応部内検討中の試案程度でございまするけれども、「特定繊維工業構造改善臨時措置法第二条第二項の政令で定める精紡機は、繊維工業設備等臨時措置法第三条の規定に基づき同法別表第一第一号に掲げる登録区分について登録を受けた精紡機中梳毛式トウ式その他これに準ずる合繊用紡機を除いたものとすること。」という趣旨のものとしたいと考えているのでございます。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 まだどうも納得がしかねますが、時間の関係がありますので次へまいりますが、このすでに繊維新法等近代化せられた紡機があるはずです。また現に不足をし、今後も不足をするであろうと考えられる合繊用紡機、こういうのを処理対象とするのかしないのか。もしするならば、私は一括処理対象から除外しなければこの考え方に逆行するのではないかと考えますがどうです。
  22. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 御指摘のとおり今回の措置は過剰とされております綿糸スフ糸生産する紡機中心に考えております。ただ法律的に第一区分というかっこうでつかまえざるを得ないので、御指摘のとおり合繊糸専用に紡糸いたします紡機綿糸スフ糸に再転換の不可能な設備一括処理より除外をいたします。これは単に杭毛式トウ式を一番はっきりした例として掲示いたしましたが、これに準ずるのも含めるつもりでございます。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 それではもうすでに近代化せられたもの、さらに合繊用紡機、こういうのを一括処理対象からはずす、こう理解してよろしいですね。
  24. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 すでに近代化された紡機でございましても、合繊綿糸スフ糸両方をひき得るようなものは除外はできないわけでございます。ただ御承知のように、主として合繊専用紡機のうちの近代的な紡機は、合繊以外のものはひき得ないというふうになっておりますので、事実上除くことになります。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 繊維新法のときもそうだったのですが、いつも問題となるのは両棲動物だと思うのです。どちらにも切りかえ得るというのがやはり問題点ではないかと思うので、その点についても法の趣旨を生かすという意味において、私は今後とも検討すべきであろうと思いますが、いかがでしょう。
  26. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 御趣旨のような方向に沿いまして検討いたします。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 本法の八条三項で一括処理は一年以内に限って行なう、こういうことになっておりますが、一括処理の指示はいつごろ行なうのか。これはまた一回限りでなければ、何回も繰り返すようでは効果があがらないし、また需給調整措置に逆戻りする危険がある、こう思いますが、そもそも一括処理ということが需給調整なのかでないのかというところから出発いたしますが、おそらくそうでないと思う。そうなら早期かつ一回限り、こういうことが一つの大きな前提になろうと思いますが、いかがでしょう。
  28. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 御指摘のとおりでございます。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 そのとおりやる、こういうことですか。そう考えておるということですね。
  30. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 御指摘のような趣旨でございますので、当然一括処理は早期、通産大臣の指示は一年以内に出さなければならないわけでございますので、それを受けました実施計画は四十二年度及び四十三年度に限るわけでございます。なおやり方といたしましては、極力早期にまとめてやらなければ、御指摘のような需給調整に堕する。ただ当然この場合に綿糸価格等関連産業ないしは消費者に及ぼす影響を慎重に考えて処理せねばならぬというふうに考えております。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 できるだけ早くということでなく、大体のめどはありますか。
  32. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 本年の下期、この法律案の施行時期以後一年以内ということでございますが、そのうちできるだけ早く綿糸価格の鎮静を待ちましてという趣旨におきまして、本年の下期以降できるだけ早期に実施いたしたいと存じます。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 四条、五条等々聞きたいことがありますが、少なくとも急行程度として六条の二項にいきます。ここでは「関連労働者の職業の安定につき配慮するものとする。」こういう規定になっておりますね。そこで、まず通産省と労働省の間に六条二項を具体化するために、いままでどのような話し合いをしあるいはどのようなことをきめたか、簡単にひとつお願いします。
  34. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 この条項を入れますにつきまして通産省から意見を出し、労働省の全面的な協力、合意を得て入ったものでございます。  具体的な内容といたしましては二つございまして、一つは離職者に対する十分なる措置、すなわち、これにつきましては、現行の雇用促進事業団によります雇用促進の一般対策の活用をはかりますほか、職業転換給付金の活用の拡大、職業あっせんの広域的なあっせんの強化等につきまして、十分労働省において措置をしてもらうということになっております。第二に、定着の問題につきましては、通産省におきましても必要なる指導を行ないますほか、労働省におきましても全面的な協力をするという話になっております。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 労働省どうです。
  36. 細野正

    ○細野説明員 ただいま乙竹局長からお話があったとおりでございます。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 この法を実施していく中で考えられることは、一面、いま不足しておるといわれておる労働者の確保ということ、他面、この実施の中から起こってくる転廃業等々、合理化によって失業してくる者も出ようと思います。そういう不安が少なくとも関連労働者の中にあろうと思います。そういうようなことについてどう考えておるのか。  時間がありませんから、全部まとめて聞きます。  さらに、これは一口に言うならば、古い設備を新しい設備にかえていこうということです。新しい設備になって生産性が上がるならば労働時間の短縮が望ましいと思うが、逆に三交代制操業がますます行なわれてくるであろうというような観測もある。昨日も参考人として来ていただきました繊維労連の小口参考人は、三交代制について反対を表明しました。また全繊同盟の久村参考人は条件つきで賛成というような意味の発言がありました。その条件とは何かというと、週四十時間制等々であったと聞いております。したがいまして、そういう合理化と時間短縮の問題、三交代制について、たとえば婦人の深夜労働の問題、こういう問題についてどのように考えておるのか。これはあくまで労働基準法六十二条の女子の深夜作業については、いろいろと特例はあるようですが、時間を少し延ばしたりおくらしたりという程度であって、ほんとうの深夜は禁止しております。そういう点についてどう考えるのか。  さらに、これは否定せられるだろうと思いますけれども、現に織機二十台や三十台――これはあとで触れたいと思っておりますが、業者が今度新しいのと転換するといっても、資金を全部貸してくれるわけではありません。しかもおとといですか加藤委員も触れておられたようですが、計画のときよりどんどんと値上げをするのでついていけない。協業化の中に入れない。グループ化の中に入れない。こういうことが、家内産業というか家内労働に転落ということばが当たるのか、あるいはもぐるということばが当たるのか知りませんが、なるほど十分予想されます。  そこで労働省は、いままで申しました三交代制の問題、ことに婦人の深夜労働の問題、さらにILO条約との関連において週四十時間の作業等々についてどう考えるのか。きょうは課長さんですからあまり深くは伺いませんが、同時に、先ほど来言っておるようなことから、家内労働法の制定が考えられなければならない時期にきておると思います。わがほうにおきましてもすでに検討を進めておりますが、労働省では家内労働法についてどう考えておられるか。一括して労働問題をお伺いします。
  38. 藤繩正勝

    藤繩説明員 お答え申し上げます。  一つは時間短縮の問題でございますが、最近各産業を通じまして、生産性の向上に伴いまして時間短縮が進んでおります。繊維産業数字を見ましても、一般的には時間が短くなっておるわけでございますが、労働省といたしましては、国民生活水準の向上あるいは経済の発展というような事情から、生産性の向上と見合って労使が話し合いで労働時間を短縮していくということは非常に好ましいことだというふうに考えております。ただ問題は、全産業を通じて見ましたときに、まだ大企業と中小企業との間にかなりの格差も見られます。それからまた、最近問題になっておりますような自動車の運転手でありますとか、あるいは印刷、製本、窯業、金属等に見られますような過長な、恒常的な長時間労働というものがまだたくさんございますので、そういったものについては労働基準法の規定に照らしまして厳重な監督を加えることによって是正していくという方向で進んでまいりたいという考えでおるわけでございます。  第二点の交代制の問題でございますが、本問題もそうでございますけれども、最近技術革新が進みまして膨大な設備投資が行なわれる。それに伴いまして機械設備のフル運転というような要請から交代制の問題が非常に重要な問題になってまいっております。私どもといたしましては、こういった技術革新に伴います単純な労働の問題につきまして先般来研究を進めておりまして、東大の尾高教授を座長といたします専門家会議も最近設置いたしまして、こういった問題についても取り組んでいるわけでございますが、特にいま御指摘の女子の深夜業の問題につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、労働基準法ではこれを禁止しているわけでございます。国際労働条約を見ましても、あるいは先進諸国の例を見ましても、またわが国の実情からいいましても、工場法以来一貫して女子の深夜業は禁止をされておるわけでございます。そこでこの問題が昨年のいまごろから問題になってまいりましたときに、私どもは昨年の八月、紡績協会の方にも来ていただきまして事情の聴取を行なうとともに、女子の深夜業を伴うようなことは絶対困るという申し入れもしておるわけでございまして、今後ともその点については、私どもとしましては労働基準法の規定に基づいて女子の深夜業については厳重な監督、指導を加えてまいりたいというふうに考えております。  最後に御指摘の家内労働の点につきましては……(田中(武)委員「落としたけれども、最低賃金も一緒に言ってください」と呼ぶ)最低賃金につきましては、先生御承知のように、最低賃金審議会の答申に基づきまして今国会に根本的な最低賃金法の改正案を提出いたしておる次第でございまして、私どもとしてはそういった方向でやってまいりたいと思っておりますが、家内労働につきましても、家内労働審議会をすでに設けておりまして、研究を進めております。できれば早い機会に家内労働法の制定をしたいということを大臣も国会で明らかにいたしております。私どもは早い機会にやれるように鋭意努力を重ねておる次第でございます。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 労働省の方に注文をしておきますが、最低賃金法の改正が出ていることは承知いたしておりますが、あれがほんとうの意味の最低賃金であるかどうかということには大きな疑問を持ちます。家内労働法につきましても、これは言いわけ的なものでなく、真に家内労働を保護するというような観点に立った法制定を急がれることを要望します。  次に、第八条と十二条、あるいはそれに関連して十四条、十五条等々の質問に入りたいと思います。  まず第八条の関係ですが、一括処理の場合、通産大臣特定精紡機処理することに関連する共同行為の実施を指示する、とこうなっている。どんな共同行為が一体考えられるか。このことについてはいろいろ九条で共同行為のことについて書いてあるが、これは種類関係ではなくて、共同行為の限界といいますか、越えてはならない点をきめておると思うのです。そうすると八条で考えられるのは、どのような具体的な共同行為が考えられるのか。
  40. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 一番ポイントになりますのは過剰錘数をきめまして、その過剰錘数を共同行為によって廃棄すべしという指示であります。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、過剰をきめて、それを廃棄すべしということが共同行為になりますのですか。それを種類からいえば、カルテルという観点に立ったら、設備についての共同行為ですか、そういうことになりますか。生産に関する共同行為、こういうことになりますか。
  42. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 ことばが足りないで失礼申し上げましたが、過剰の錘数を示しまして、それを廃棄する。その廃棄に必要なる共同行為を結ぶべきであるという指示でございます。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 どうもその辺がはっきりしないのです。かつて、あなたが企業局次長のときに審議未了、廃案になりました特振法を一ぺん頭に入れて考えてみたら、設備調整ということがありましたね。あのときに問題になったのは、この法律をなぜ必要とするか、ほとんど独禁法の適用によってやれるのじゃないか。できないのは設備調整だということが問題になった。このことは私は設備調整ということの行為につながると思うのです。廃棄するということ、処分するということは設備調整だと思うのです。そこで、どうも三年前になくなった特振法の亡霊のにおいがいたします。あなたはにおいがせぬかもしらぬが、私はそう感じます。そういうような点につきまして、あと十四条、十五条に公取委との関係が出てまいりますが、公正取引委員会の竹中事務局長はどう考えますか。私はどこかやはり特振法が死に切れずに迷っておる、そういう感じを受けますが、これで公取委よろしいですか。まず繊維局長から……。
  44. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 設置されております設備を廃棄しようということでございます。
  45. 竹中喜満太

    ○竹中政府委員 設備調整の問題は別にこの法律に限らずほかにも適用除外法律がございます。そこでこの法律特定繊維工業構造改善のために特にこういうことが必要であるというお話で、私のほうもいろいろ折衝いたしました結果、やむを得ぬじゃなかろうかということになりましたので、別にこれによって特振法が生き返ってくるというようには私は考えておりません。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 なかなか簡単な答弁をしたが、生き返ってきたとは言わない、亡霊のにおいがする。このごろ公正取引委員会はだいぶん姿勢を正したのですが、もっとしっかりしてもらわぬと、こういうところの抜け穴を見て、特振法がよみがえった、そういうことを警告しておきます。  さらにこの十四条で、これは独禁法の除外になっている。十五条が公正取引委員会との関係で、一項が協議、二項が通知ということになっておるが、公正取引委員会としてはこれでいいんですね。
  47. 竹中喜満太

    ○竹中政府委員 これで足りると思います。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 第三章、十六条に入ります。十六条で「特定布業商工組合」とこううたってあるのですが、ここでは中小企業団体法による商工組合、これをやるのはこの商工組合に限るのか、中小企業等協同組合法によるところの協同組合ではできないのか、いかがです。
  49. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 商工組合に限ります。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 現に協同組合でやっているところはどうします。それから、なぜ協同組合ならいけないのか。商工組合に限る理由は何か。
  51. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 現実問題といたしまして、ほとんど二枚看板でございます。つまり、協同組合であって商工組合というふうな人的構成、メンバー構成にもなっております。  それからなお、商工組合の構成員といいますか、今回の構造改善現実に実施していくものといたしまして協同組合を活用するということを考えております。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 中小企業関係の方は見えないのですが、影山さんかだれかおりますか。――いなければいいですが、だれか中小企業庁がおったらこっちへ来てください。  現在、中小企業団体法による商工組合と中小企業等協同組合法による協同組合とのやることは、ほとんどみんな一緒になっているのです。ところが現実問題として二足のわらじをはいておる、二重看板である、こういうこと自体が私はむだだと思うのです。したがって、法の整備ということをこの前も申し上げました。しかし二重看板をあげておるからこうだということでなくて、商工組合に限るというならその根拠がなくちゃいかぬでしょう。中小企業等協同組合法によるところの協同組合ではいかぬという根拠を示さなくては答えになりませんよ。
  53. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 商工組合は調整行為と、それから共同事業と同時にできるように現在の法律はなっております。協同組合は調整事業はできません。そういうことによりまして、商工組合を活用するのが今回の構造改善事業として一番適当であるということで、こういうふうな案をつくり上げた次第でございます。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 この答弁はいただきかねます。中小企業団体法と中小企業等協同組合法を全部並べて比較対照してください。ことばは違います、調整行為ということは書いてないが、中小企業等協同組合も、いわゆる事業の共同施設としてやれます。調整ということばは使わないけれども、同じことがやれるはずです。この点はもうこれくらいにしますが、これはあなたのほうに貸しておきます。調べてください。中小企業庁の方がおられましたら、ひとつそれに聞いてもいいのですが、ここで議論になると時間がありません。したがって、大臣、一本貸しておきましょうかな。これは、なぜ商工組合でなくてはいけないのかということになると議論がありますよ。いま乙竹局長が言ったように、協同組同ではできないということに私は疑問を持ちます。これは、法制局の部長が見えておりますが、私は事業の共同施設としてできる、こういうように考えております。もう法律議論はやめます、やったって、どうせあなたは勝てないのだからやめます。やめますが、これはよく研究して考える必要があります。いかがですか。
  55. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 十分研究いたします。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 よく勉強してください。  ここで、順序としていよいよ問題の繊維工業構造改善事業協会に入るわけですが、いいのは少しあとへ回しまして、もう少し繊維新法との関係を伺っていきたいと思う。  きのうの宮崎参考人の意見にもございましたが、現行法すなわち繊維新法と申し上げましょう。これの十三条は何回も申しておるように難解な規定です。しかも繊維新法一つ中心をなす規定であります。これの運用いかんということがこの法案成立後の実施する上においても大きな役割りを果たすのじゃなかろうかと思います。またこの運用によっては必要な近代的設備に対して不足を来たすようなことになるおそれもある。現に大きな紡績業はもう小さいところから紡機を買っておると思うのです。そういうようなことをも含めてこの十三条と本法案との関係、十三条の運営について簡単でいいですから……。
  57. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 制限登録に関しましてはもちろん本法案新法前提といたしております。新法の運用に関しましては新法御審議のときに十三条につきまして御審議がなされておりまして、元局長磯野が御答弁申し上げておりますが、この方針どおりに踏襲をいたします。その要旨でございますけれども、十三条は実態に即して実質的に運用をいたします。この実質的にという意味でございますが、第一区分の中で綿スフの過剰紡機がございましても、所有者がそれをつぶして合繊紡機をつくる意思がない場合、あるいは第七条または第九条によりまして第二区分あるいは第三区分から第一区分へ移ることを慫慂いたしましても、希望が予定どおり出ない場合にも運用をいたしたいというふうに考えます。  次に、十三条の「一の登録区分」という文句がございますが、この意味は、同一村区分内の特定の糸、たとえば綿糸、スフ糸、合繊糸のおのおのにつきまして別々に考えるというふうに運用してまいりたいと思います。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 ここで磯野発言が出たわけですが、そうすると、磯野発言が生きるのならば新井発言は消えるわけですね。違ったこと言っているんでしょう。ここにいわゆる繊維新法の施行にあたって繊維局長談話というのがあるのです。これは磯野元局長が言ったのです。この繊維新法成立にあたっての答弁です。これが生きるというならば、その後新井局長がやってきたことは若干疑問が出てきますね。
  59. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 ただいまの御指摘の点は、新井局長当時十三条がそういう弾力的な意味において発動がされなかったではないかという御指摘かと存ずるのでございますが、その当時におきましては非常な綿糸不況ということでずっとまいってきておりまして、十三条を弾力的に活用する必要がなかったというふうに私は考えております。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、ここでそれをさかのぼって議論はやめますが、違っておるのですよ。新井君ははっきりと、あの際そう言わなければ法律を通してもらえなかったから磯野局長はそう言ったんだという発言をしたことがある。そういうことはよろしい、その十三条の運用いかんにかかっておるということ、これを誤りましたならば構造改善というよりかむしろ阻害になる。輸出関係が阻害されるとか糸ができなくなるとか、いろいろな問題を起こしてくると思うのです。こまかいことはいろいろありますが、時間の関係で触れません。しかし十三条の運用ということは十分に考えてもらうことが本法案との関係においてより一そう必要になってきたということだけを指摘いたしておきます。  それからこれは加藤委員が触れておられましたからもう触れなくてもいいと思いますが、設備買い上げのときの紡機の一錘当たりの単価は答申によると三千五百円というようなことになっておるのが、だんだん上がってきておる。いろいろそういうことについては先輩の加藤繊維博士も指摘しておられますので、その辺のところは私は飛ばします。飛ばしますが、この一括処理がいわゆる審議会答申の規模で実施せられるということであろうと思いますが、時代は――時代というよりか事態は動いておるということですね。これをうまくつかまないといままでもよく繰り返した、いわゆる通産省繊維業界といいますか、繊維の動向に対する見通しの誤りということになり、朝令暮改のそしりを免れないというようなことになりますことを御忠告いたしておきます。  次に、現在の原糸の市況はどういうことになっておりますか。
  61. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 定期相場四十番手二百一円前後と承知しております。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど私がいわゆる商品取引の問題に触れましたが、これはきわめて心理的な状態によって変動するわけです。中東で戦争が起こった、そのために英国のどこかで綿糸取引が停止せられてものすごく上がった。しかも私が心配するのは、紡績業界が糸の市況の変動によって悪いときには乗ってくるが、よくなると強気になる。こういう動く事態に即して、一体この法律で考えておるような一括処理等々がうまくいくものかどうかということ、これに一つの危惧を持っております。  それから先ほどちょっと言ったが、大手紡績は中小の紡績からもう機械を買い入れておると聞いておるし、一体どのくらいの値で買っておるのか、あるいはこれによってどのくらいのスクラップの申し出が現にあるのか、いろいろなことを伺いたいのですが、そういうことを一括して簡単にお願いします。現にそういうことでスクラップの申し出があるのかどうか。これは協会ができないと具体的につかめないと思いますが、しかしそういう動きはわかると思う。あるいはそういう権利を買うというか、何かそういう意味で大紡績が中小のものを買い取っておるということを聞いておるが、そういうような事態について、本法実施ということと関連して簡単でよろしい。
  63. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 現在の市況はわれわれは続かないと思っております。その理由は、糸の生産コストから考えてみましても、競争国の糸値から考えましても続かないと思います。糸値は当然低下いたすと思いますが、それによりまして一括処理も関連業者、消費者に迷惑をかけないで可能である。この規模は、審議会の答申によりますと一括処理二百万錘というふうにいっておりますけれども、百五十万錘程度のものをぜひやってまいりたいというふうに考えております。今回のチャンスを失しましては構造改善はできないということで、業界の大多数はその程度のスクラップについての準備をいろいろ進めておる次第と心得ております。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 思うように乗っていくかどうか。これは繊維だけではありません。他の業界についてもいろいろ問題があって、不況だということでいろいろな対策を立てようとしたとたんに、何らかの事情によって価格が値上がりするとそっぽを向いてしまう、そして悪くなるとぎゃあぎゃあいってくるんですよ。この辺のところは十分に考えてもらわないと、どれだけの熱意を業界が示すのか。現に陳情合戦の中においてすら、私はこんなことはいいんですが、ともかくやってくださいというようなのもおったんですよ。そういうことだけを申し上げておきます。  それから、結局は、この法案繊維新法の期間を延長することになりますね。そこで、先ほど来申し上げておることと関連をいたしまして、本法は繊維新法延長する。期限をちょっと延ばすことになる。したがって、設備制限登録制はさらに延長ということになろうと思うのですが、四十七年六月三十日ですか、こういうことがこの法案の終期ですね。それからなお延ばさないかどうか、延ばすというような考え方は絶対持たないかどうか。それから、現在登録制をやっておる業種について、登録制延長するというようなことはやらないかどうか、あるいは登録制対象をふやさないかどうか、そういうことについてお伺いします。
  65. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 あとからお答え申し上げますが、登録制対象品種を増加する意思は全然ございません。次に、再延長ももちろん考えておりません。今回の構造改善法案の附則によりまして新法延長を最小限度考えましたのは、構造改善法によりまして一括処理をやるその必要なために制限登録制延長を最小限度やるという趣旨でございますので、当然新法の再延長というものは考えておりません。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 対外問題を一括してちょっとお伺いいたします。  一つは化繊綿、いわゆるポリエステル綿とかアクリル綿とかいうやつですね、これが韓国や台湾へ出されておるが、内地向けと比べて韓国、台湾へ売る価格のほうが安いといわれる。どのぐらいの差があって、なぜか。  それから第二点は、韓国から最近ワイシャツが入ってきておる。そのワイシャツは日本合繊綿と韓国の綿との混紡である。そういうようなのが入ってきておるというが、そういうのは事実かどうか。  それから、最近パキスタンからもいわゆるふとんの綿糸が入ってきておるというが、そういうことがあるのかどうか。これは一括して対外関係をお伺いします。
  67. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 化合繊綿の輸出値段が内地向けの綿値よりも安いことは事実でございます。各取引によりまして違うと思いますが、一割ないし一割五分程度は安いようであります。これは、こういう安値でございませんと、アメリカとかイギリス等、他の化合繊輸出国との競争に勝てないというために安くしておる、安くせざるを得ないということであるということであります。  第二の韓国製のワイシャツに使われております糸でございますが、申しわけございませんけれども、至急調査をさせていただきたいと存じます。  第三点、パキスタンの糸が、現に二十番手の糸が相当数入っておりまして、年内三万弱入るというふうに推定をいたしております。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 議論はいたしません。調査の結果報告を願います。  最後に、問題の点に入りますが、繊維工業構造改善事業協会、長たらしいから自後協会と申し上げます。これは法の二十二条によって「協会は、法人とする。」こうなっておる。この協会は法人であることには間違いないんですが、どのような性格を持つものですか。
  69. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 法律的には、この法律をもちまして設立されましたる特別の法人でございまして、民間設立ではございますけれども、非常に公共性の強い、したがいまして、政府の厳重な監督下に置かれておる法人でございます。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 何かわかったようなわからないような答弁をしたのですが、いわゆる特殊法人であるのかないのか。
  71. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 特殊法人ということばはわれわれも始終使っておりまして、民法法人ないし商法法人ではない、特別の法律によりまして、特に国の意思が強く反映しております。政策目的等によりまして設立される法人をわれわれは通常特殊法人と申しておりまするが、この通常申しております特殊法人の中にはこの協会は入ると思います。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 いわゆる特殊法人、通常いわれる特殊法人に入る、こういうことですね。私は、実は、新法律学辞典等で特殊法人の定義なんぞを調べてきております。特殊法人でないというならその点を議論しようと思っておったのですが、認めるなら次にいきます。  そこで、法制局の田中さんですが、法制局では特殊法人を三つに分けて考えておられるようですね。いわゆる広義の特殊法人、それから狭義の、あるいは行管がタッチする行管管理の特殊法人、そうしてさらに最狭義の特殊法人、こういうふうに分けて考えておられるようですが、これは当然法制局の見解も、第一点の広い意味の特殊法人であることは確認せられますね。
  73. 田中康民

    田中(康)政府委員 先生仰せられますように、議論といたしましては、大体三つぐらいに特殊法人というものを部類分けいたしますれば分けられると思います。それで、いま仰せられましたように、広義の特殊法人には私も入るものと考えます。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、少しこの協会の性格につきまして問題が出てくるわけです。そこで、行政管理庁のほうへお伺いいたしますが、行政管理庁設置法第二条四号の二、これはどういう趣旨で置かれた条文ですか、この規定が置かれた趣旨をちょっとお伺いします。
  75. 大国彰

    ○大国政府委員 お答えいたします。  行政管理庁設置法の第二条の四の二の立法趣旨でございますが、これは行政管理庁はそもそも国の行政機関の組織、定員を管理するわけでございますが、その観点からいたしまして、特別な法人のうちで特に国の行政組織の一環として考えられるものの設立等につきまして審査をする、こういう目的で入れたものでございます。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 先日、この法人の性格に対して、私が納得のいかないときにはこの法案は通りませんよと宣言しました納得のいく御答弁をこれからお願いいたします。  先日の論議で、この行管設置法第二条四号の二、これは前段と後段に分かれます。前段のほうは、これは特別なやつです。後段のほうの「特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人」これがいわゆる法制局で狭義の特殊法人といっておる、あるいは行管タッチの特殊法人だといわれる。先ほど行管の局長さんの御答弁からして、この協会は私は行管がタッチすべき性格のものであろうと思うのです。どうなんです。「特別の法律により特別の設立行為」をこの前あなたは設立委員を政府が任命する、こういうことだ、こう言われました。なるほどこの法人は政府が設立委員を任命するかっこうはとっておりません。しかしそれは幾何学ではないが逆もまた真なりということであるならば、設立委員を政府が任命するものには行管法の第二条四の二の法人以外にあるかないか。ありますよ。民法法人で政府が設立委員を任命するのがあるのですよ。そうするとあなたのこの間の答弁はちょっとおかしくなるのですが、その辺どうです。
  77. 大国彰

    ○大国政府委員 「特別の法律により特別の設立行為をもって設立」するということに関しては、「特別の法律」と申しますのは民法商法等を除きました個別の法律により、しかもその設立にあたって政府が設立委員を任命する、こういうふうな解釈と存じておるわけであります。
  78. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、それが二条四の二の「特別の設立行為」、こういうことだと言ったのでしょう。そこで私がいま言っておるのは、たとえばモーターボート競走法の二条、これで日本船舶振興会というのが民法法人、財団法人として設立せられるようになっております。いわゆるモーターボート競走法の附則第二条によって運輸大臣が設立委員を任命するということなんです。したがってあなたの先日の答弁、政府が設立委員を任命する、そのことが二条四の二の特殊法人の要件ということにはならないですね。設立委員を政府が任命するということが要件のようにこの前あなたはお答えになったのです。そうしたら民法法人でもいわゆる行管のタッチする法人でないものに設立委員を政府が任命するものがあるわけなんです。この日本船舶振興会は百八の特殊法人に入っておるのですか。
  79. 大国彰

    ○大国政府委員 日本船舶振興会は百八の中に入っております。
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 この百八の中のやつは、それじゃ他のたとえば特別な単独法でなくても入っておるのがたくさんあるわけですか。設立委員を政府が任命するものはすべて百八に入っていますか。
  81. 大国彰

    ○大国政府委員 全部特別の法律に基づいておるわけでございまして、ただいまの日本船舶振興会もモーターボート競走法でございますか、これに基づいてできたもの、こういうふうに解釈しております。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 モーターボート競走法の第二条にあるのですが、その性格は民法法人ですね。それが百八の中に入る一そうするとやはりもとへ戻って、政府が設立委員を任命するものが行管設置法の二条四の二ということになるのですね。それ以外のものはいかなるものであってもかまわない、こういうことになる。それでいいのかということです。こういうことです。
  83. 大国彰

    ○大国政府委員 お話のとおりでございます。私どものほうといたしましては国が設立委員を任命するということは、すなわち国がみずからつくる、こういうことでございますので、いわゆる行政組織の一環として見るあるいは行政組織に準ずるものだという実質的な要件をその点で限ったわけでございます。
  84. 田中武夫

    田中(武)委員 どうもぴんとこないのですがね。この一般の手続によるところの設立行為、すなわち発起人総会でやるとかいうやつですね。そうでなくてそれ以外の特別な行為による設立、これを言うのじゃないですか。したがってあなたの言うような、政府が設立委員を任命するというだけが二条四の二の「特別の設立行為」になるのか。私はそうじゃなくて設立行為を一般的手続によるものと特別な形によるものと、こう分けて、特別なものはこれだと解釈する、一般的なものは発起人総会を開いてどうするとかこうするとか商法なんかに全部規定してございますが、そうでない設立行為、こう解するのですが、田中さん、どうですか。
  85. 田中康民

    田中(康)政府委員 確かに「特別の設立行為」と申しますのは、いま先生がおっしゃいますように、一般の設立行為、たとえば発起人が集まりまして、定款を作成する、総会をやるというようなことを一般の設立行為と呼ぶのだ、それに対比してそれと質的に変わるのを「特別の設立行為」ということは、この文脈から明らかだと思います。  そこで、それでは一般の設立行為と「特別の設立行為」を分ける基準はどういうところにあるかということになりますと、一般の設立行為が先ほど申し上げましたように、その法人をつくろうとする人たちが集まっていろいろな行為をすることというふうに解されるのでありますから、それ以外の「特別の設立行為」といえば、それをつくろうとする人たちは、結局法人は国でございますので、大体国が主導権を持って設立する。そのあらわれの一つが設立発起人を命じて設立させるというのが普通になってくるというふうに思いますが、それしかないかと言われますと、ことばの上ではもっとあると思いますが、現実には政府が責任を持って法人を設立いたします以上は、やはり公務員としての設立委員を命じてやるのでなければ目的は完全に達することができないと思いますので、現実にはそれしかないのじゃないかというふうに私は考えるわけでございます。
  86. 田中武夫

    田中(武)委員 若干行管の局長さんと法制局の食い違いがあると思うのです。  それでは観点を変えてお伺いいたします。  今五十五国会で当委員会でいわゆる百八の中に入る行管タッチの特殊法人あるいはそれをのがれたものではないかというのが四つあります。行管タッチのやつが石油開発公団、中小企業振興事業団、これをもぐったであろうと考えられる、俗にいわれる認可法人あるいは新聞等でこのごろいわれておる隠れ法人といわれるのが貿易大学校、それからこの繊維協会です。この四つの対照表をつくってみました。そうしてまず資本のほうを見ますと、全部政府が出資しております。役員の任命は、総裁とか理事長いろいろ分かれておりますが、大体大臣の任命による。この貿易大学校は専任の大臣の認可ということになっておりますが、この繊維協会のほうは他の石油開発公団、中小企業振興事業団と変わりありません。名称の独占、全部名称を独占いたしております。それから役職員の公務員たるの地位、身分、すなわち刑法の適用においては公務に従事するものとみなすといういわゆる役員の地位といいますか、身分といいますか、この規定は貿易大学校を除いては全部あります。この役職員の刑法上の適用にあっては公務員と同じに扱うということが、私は狭義の特殊法人の一つのあらわれだと思う。こう比べてまいりますとみんな、石油開発公団と中小企業振興事業団と繊維協会とは同じなんです。どこが違うかというと、前二者は設立の委員を政府が任命するという、まさに行管の言われるとおりである。貿易大学校のほうは設立について大臣の認可ということです。協会のほうはもう一つ強く、設立の認可を申請を出せといって、出したものに対して大臣が認可するよらなかっこうをとっている。そうして、設立行為に対して政府がタッチするという点において、設立委員の任命と大臣の認可とはどれほど違うのか。私は行管設置法第二条の四の二の特別の設立行為に全部入ると思うのです。いかがですか行管の局長さん、どう違うんですか、設立委員を任命するということと大臣が認可するということとはどれほど違うのです。
  87. 大国彰

    ○大国政府委員 設立委員を国が任命いたしますのと――大臣が認可するとおっしゃいましたのは、大臣が法人として認可するという意味ではないかと思うのでございますが、御質問趣旨が……。
  88. 田中武夫

    田中(武)委員 先日の中谷委員質問に対してのあなたの答弁、私の関連質問、それは、設立委員を政府が任命するということにかかったのですよ。いいですか。そこで、今国会当委員会で問題になったというか、当委員会に出てきました四つの法人、これをいま対比したわけなんです。そうすると、前二者ははっきりした行管タッチの特殊法人。これはなるほどあなたがおっしゃったように、設立委員は大臣が任命している。貿易大学校はしばらくおきましょう。ところが繊維協会のほうもこれは大臣が認可ということになっている。十名以上の学識経験者や知事がどうとかこうとかいうようなこともごてごて書いてますが、結局は大臣の認可でしょう。それも、申請を出してこい、それを認可しましょうというかっこうになっておる。どこが違うのです。大臣の認可と設立委員の任命とはどれほど違うのです。
  89. 田中康民

    田中(康)政府委員 大臣の認可と申しますのは、これはもう先生よく御存じのように、認可というのは補充行為といわれまして、主たるにない手は認可を受ける人たちが認可を受ける。形式的に言えば、それのほうが主体となっておって、国のほうは従としておるわけなんです。ところが、設立委員の任命というのは、設立委員という公務員を任命するわけでございますので、これはまさに政府みずからが設立をするということになります。これは全く形式論理でございますので――その意味ではないかと思いますが、御質問意味が……。
  90. 田中武夫

    田中(武)委員 ことばの解釈からいってどちらに主体があるということであなたは答弁をせられた。そういうことにおいては、なるほどあなたの答弁のようだと思います。しかし実体においてどう違うのです。主体が政府であるとかなんとかということも、大臣の意思がなければ設立できないのですよ。その点において同じじゃないですか。  もうこれ以上議論はやめます。やったとて、これは逃げるとすれば詭弁にすぎません。はっきり申し上げまして、大臣、この協会は、いわゆる狭義の特殊法人として設立すべくやった、しかし拒否せられた、そこでこの設立行為のところだけを変えて、そしていわゆる認可法人あるいは問題になっておる隠れ法人というかっこうで出してきたことに間違いございません。この設立行為以外のところは全部同じです。対照表をつくっております。同じです。したがいまして、大臣は、はっきりと、これは本来は行管タッチの狭義の特殊法人としてやりたかった、しかし世論の動向あるいは臨調の勧告等々の中にあって、どうも行管との間に認可がとりにくい、あるいは拒否せられたかどうかわからぬが、したがって、認可法人、いわゆる隠れ法人として設立したものでございますと明言してください。
  91. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまの田中委員の御質問に対してお答えしたいと思います。  なるほど田中委員の言われるとおり、初めは特殊法人として設立すべくいろいろ準備をいたしたのでありますが、いろいろ諸般の情勢からして、その特殊法人を設立することは困難だということ、ところが一方においてはこういう協会をつくらなければならない必要性に迫られておりますので、そこでまあやむを得ずと申しますか、多少性格を変えてこういうものをつくったのであります。
  92. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣の率直な答弁に敬意を表します。  そこで行管さんですが、こういうもぐり法人について一体どう考えるのか。いろいろ新聞等にも書かれ、考えておられる点があるようですが。これは今回は、私は率直に言って、大臣の答弁で、もう五分ほどの後に私は質問を終わりますから、そうすると採決になります。したがいまして賛成して通します。しかし、こういうことを今後許したら、幾らでももぐり法人というものができるわけなんです。行管みずからが首を締めることになるのですよ、いいですか。今後こういうものに対してはどういう態度をとる。  さらに、これも私は行管設置法第二条四の二の法人とするというところに持っていきたかったのです。しかしもうやめますが、行管さん、しっかりしてくださいよ。こういうことでは、幾らやかましく特殊法人が問題になっても整理がつかない。勇気を持って事に当たることが必要であろうと思います。  同時に、行管設置法の二条四の二があるということは、国がやるべきものの一環をそういう特殊法人がやる、あるいは国策に沿ってやるとか、あるいは国民経済等々にぜひ必要だからやるのだということで政府が出資をするわけです。国民の血税ないし財政投融資等々が出資になるわけです。だからこそ行管のほうでタッチするということになっておるのです。そうでしょう。行管設置法二条四の二というのは、あるのはそういう意味なんでしょう。それを、みずからからをかぶるということは、行管の権威というか職務ということからいって問題があります。しかしこれ以上申しません。どうです、態度をどういうように今後とります。
  93. 大国彰

    ○大国政府委員 ただいまいろいろお話がございましたのでございますが、私ども、確かに、特殊法人として出してこられましたのを、いろいろお話を申し上げて、今回のような法律案になったわけでございます。私どものほうといたしましては、いわゆるもぐり法人という考えは持っていないわけでございます。お話のように、二条の四の二の、この特別の設立行為ということの解釈につきましては、いろいろまた問題があろうかと思っております。ただ現在までこれは政府が設立、任命したものという解釈でずっとやってまいっておりますので、なおこの点につきましては十分検討いたしたいと思います。  それから政府が出資する場合には、すべて行管がタッチしたらどうかというお話でございましたが、結局私どものほうは行政機関の組織、定員というものを管理するという面からいたしまして、それに近いあるいはまたそれに準ずるものに限っておるわけでございます。そういう関係もございますが、現在の私どもの解釈でやっております。百八選んだ対象になっております法人の中にも、いろいろの形式的な条件で縛った関係もございまして、いろいろ問題になるような特殊法人もございますので、現在こういった百八以外の、これにきわめて類似した性格の法人等を当たりまして、今後行政管理庁の真に審査の対象とすべき法人というものをまずはっきりいたしまして、それを全部カバーするような立法措置を考えなければならないのではないかということで目下検討中でございます。
  94. 田中武夫

    田中(武)委員 行管の局長の御答弁にはまだ不満があります。しかしこれは当面の責任省庁でありませんので、特殊法人論につきましては後日に譲りたいと思います。実を言うと、これは私は相当まだ本法案についても、ことに特殊法人なのかどうかという協会の性格についても疑問と議論を持っております。実はこれだけでも私はきょうの審議をとめる自信を持っております。しかし先ほどの大臣の率直な御答弁に敬意を表して私の質問を終わります。  最後に結論に入りたいと思いますが、これは聞くだけでもけっこうですし、意見があったら言っていただいてけっこうだと思いますが、先ほど来の質疑応答の中あるいは先日来加藤委員をはじめとする各委員に対する答弁の中等から考えまして、まず第一に言えることは、この法案は、先ほども申しましたが、繊維新法の期限を延長したことになる。そのことはいわゆる磯野談話、磯野声明と相矛盾する、さらにこれは加藤委員紡機、織機について触れておられましたが、私は糸値について触れますが、昨年この答申案がなされたころ、例の綿糸の四十番手は一ポンド百五十三円だったのが現在二百三円に上がっておる。したがって先ほど来言っておるように事態は動いておる。したがって最初答申を受けたときの予算等々では十分な成果をあげ得ない、そのしわ寄せは中小、零細にくる、こういうことが言えると思います。いずれにいたしましても、今日までの通産省繊維政策は甘過ぎる、見通しを誤り過ぎる。それが繊維関係法に関する限り期間の延長、再延長改正また改正、また新法を出すといったような朝令暮改とも言うべき変転を続けてきた。そういうことを肝に銘じていただきまして、この法律の施行にあたっては、弱いところ、零細のもの、労働者等々にしわ寄せがいかないように、また約束をしたことがまたぞろ延長しますとか、お願いしますとかということのないよう、一括処理にあたっては迅速にかつ勇気を持って行なう等々を要望いたしまして私の質問を終わります。
  95. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  特定繊維工業構造改善臨時措置法案の質疑はこれを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、特定繊維工業構造改善臨時措置法案の質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  97. 島村一郎

    島村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので直ちに採決に入ります。  特定繊維工業構造改善臨時措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  98. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     ―――――――――――――
  99. 島村一郎

    島村委員長 この際鴨田宗一君外三名から、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案にかかる、本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提案者から趣旨の説明を聴取いたします。鴨田宗一君。
  100. 鴨田宗一

    ○鴨田委員 ただいま議題となりました特定繊維工業構造改善臨時措置法案に対する附帯決議案について、私は自由民主党、日本社会党、民主社会党、公明党を代表し、その提案の趣旨を御説明申し上げます。  まず案文を朗読いたします。    特定繊維工業構造改善臨時措置法案に対する附帯決議案   政府は、本法施行にあたり、わが国経済に占める繊維産業の重要性にかんがみ、次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。  一、紡績業並びに織布業構造改善計画を総合的かつ有機的に実施するため、両部門を通じての総合性を確保すること。  二、繊維工業構造改善を円滑ならしめるため、所要資金の確保および税制上の優遇について充分な措置を講じ、中小企業については特に配慮すること。  三、構造改善対象業種については、繊維産業の実情を考慮し、その拡大に努めること。  四、構造改善の実施に当つては、従業員の身分、労働条件等に不利益を生じないよう万全の対策を講ずること。  五、紡織機等繊維機械の性能の向上を促進するため、研究開発等に関する援助を行なうこと。  六、繊維製品の輸出振興を図るため、対日輸入制限の排除について経済外交を強力に推進すること。  七、中小繊維業者に関係の深い逆委託加工貿易については、悪影響が生じないよう充分配慮すること。 以上であります。  以下各項目にわたり補足説明をいたします。  第一は、御承知のように特定紡績業の構造改善対策は、通産大臣構造改善基本計画及び実施計画を定めて行なうことになっております。一方特定布業構造改善は産地組合が事業計画をつくり、通産大臣の承認を受けて実施することになっております。  このように特定紡績業と特定布業の計画立案及び実施については異なるやり方となっており、必ずしも両部門を通じて総合性が確立されているとは申されないのであります。したがって、両業界の間に総合的かつ有機的連携を保ちつつ計画が立案され、実施されることが必要であります。  第二は、構造改善に必要な資金の確保と税制の優遇措置であります。  本法施行のため、本年度予算に百六十八億余円が計上されておりますが、今後構造改善計画を実施して、関係業界体質改善を進めるためには膨大な資金が必要であります。しかしながら繊維工業者の資金調達力にはおのずから限度があり、特に中小紡績業者や織布業者の自己資金の確保についてはきわめて困難な実情にありますので、政府は必要資金の確保について一そうの努力を払うとともに、グルーピングについての税制上の優遇措置等に万全の対策をとるべきであります。  第三は、対象業種の拡大についてであります。  本法は、特定紡績業と特定布業対象としてまずこれらの構造改善を行なうことにしておりますが、繊維産業に真の国際競争力をつけるためには、メリヤス業、染色加工業、編みもの業等第二次加工部門について近代化合理化を進める必要があると思います。したがって、繊維産業の実情を十分考慮しつつその拡大につとむべきであります。  なお、対象業種の拡大とともに、流通部門の改善措置についても十分配慮され、適切なる対策をとることを切望いたします。  第四は、構造改善の実施にあたっての従業員の身分、労働条件等についてであります。  わが国の繊維工業は、労働集約産業として今日まで労働力に依存し、労働力が繊維工業の発展に多大の貢献をいたしてまいったのであります。しかるに、現下の繊維工業をめぐる環境には、労働集約的産業から資本集約的産業へ移行しておりますが、特定繊維工業構造改善が実施されますと、繊維産業に従事する従業員に無用の不安と不利益になるのではないかとの危惧の念を持つ者がありますので、この際特に労働者に対しては身分の保障及び生活の保障を実施し、そうして不利益を生じないように万全の対策を施すべきであると思います。  第五は、紡織機の研究開発についてであります。  わが国の紡織機の性能は、諸外国に比べ優秀なものとなっておりますが、繊維工業国際競争力を一段と強力なものとするためには、さらに製品の多様化、高級化をはからなければならない。そこで紡機、織機の性能の向上をはかり、機械を工業化するには、紡績業者、織布業者と機械メーカーの長期にわたる技術上の協力が必要となるのであります。したがいまして、紡績機並びに織機等の研究開発にあたっては、格段の助成を行なう必要があるのであります。  第六は、繊維製品の輸出に対する諸外国の輸入制限措置についてであります。  わが国の繊維製品の輸出については、最近、発展途上国の繊維自給化の進展と輸出への進出並びに先進諸国の長期にわたる各種の輸入制限措置により、多くの困難な問題が生じております。  そこで、繊維工業構造改善を一段と効果あらしめるため、繊維製品の輸出の拡大には、米国をはじめとする先進諸国の対日輸入制限の排除について経済外交を強力に推進すべきであります。  第七は、逆委託加工貿易についてであります。  現在、わが国から原反を韓国に送り、韓国において加工してわが国に持ち帰る、いわゆる逆委託加工の貿易が行なわれておるのであります。  この場合、現行の関税制度においては、原反及び加工の付加価値分を含めた価格に関税が課せられているのでありますが、その製品の国内販売価格が国内製品の販売価格に比べ安いということで、国内の繊維製品製造業者に打撃を与えると憂慮されている現状にかんがみ、十分配慮すべきであります。  以上が附帯決議案の趣旨であります。委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  101. 島村一郎

    島村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  102. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。菅野通商産業大臣
  103. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいまおきめになりました附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、各項目の運用並びに実現に努力する所存であります。     ―――――――――――――
  104. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  106. 島村一郎

    島村委員長 本会議散会後再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      ――――◇―――――    午後三時五十分開議
  107. 島村一郎

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。内閣提出小規模企業共済法の一部を改正する法律案及び同じく、中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。吉田泰造君。
  108. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 まず、中小企業団体組織に関する法律の協業組合の創設について質問をいたします。  現在ある協同組合あるいは企業組合、そういうそれぞれの行き詰まった制度上の問題から、このたびの協業組合がつくられたと思うのでございますが、現場の数多い企業組合のメンバーの方たち、あるいは事業協同組合の中小企業者の方々、その人たちのいわゆる盛り上がってきたそういう御意見で今度の法改正が行なわれようとしておるのか、あるいはまた、中小企業庁のいわゆる行政上の誘導政策としてこういう問題を取り上げたのか、質問に入ります前に、まずそういう問題について長官から御答弁を賜わりたいと思います。
  109. 影山衛司

    ○影山政府委員 本協業組合制度は、中小企業者の盛り上がる総意によりましてこの設立を考えたような次第でございます。
  110. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 中小企業者の盛り上がるそういう要求によって新しいこの制度がつくられるということでございますが、中小企業者の強い要請があるという以上、現在の組合、事業協同組合あるいは企業組合――企業組合の場合非常に少ないと思うのでありますが、そういう現在の組合数、並びに将来そういう組合から協業組合に転換をするであろうと予想されるところの組合数、その比率、これの御説明を賜わりたいと思っています。
  111. 影山衛司

    ○影山政府委員 ただいま事業協同組合の数が四十一年の十二月末に二万八千五百九十七組合あるわけでございますが、その中で大体協業を行なっておる組合を見ますれば約二千、そのうち全部協業を行なっておりますものは約二百でございます。
  112. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 現在事業協同組合から協業組合にいわゆる行政上指導をなさって転換をしようとする組合が幾つかあると思うのでありますが、実質的に、協業組合的な仕事を現実的に現在行なっている事業協同組合の数が相当あると思うのです。その問題につきまして、これまで脱法的な事業活動が行なわれておりましたが、そのことについての中小企業庁の指導は、いままでその問題についてはどういうふうに行なってきたか、この問題についてお尋ねいたします。
  113. 影山衛司

    ○影山政府委員 中小企業協同組合の中で、全部協業に近い仕事をやっておりますのが約二百あるわけでございます。これにつきましては、形式上は違法なものも中にあるわけでございますけれども、この協業組合ができますならば、それに移行するようにというふうな指導をいたしておるような次第でございます。
  114. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 実質的に協業組合的な事業を行なって、形式的には現在事業協同組合という形で残っておる事業協同組合が二百ほどある、さらに、この法律が施行されるならば、相当数が移行するであろうというようなことでございますけれども、税法上から見ると、協業組合に移行してそんなにメリットはない。したがって、現在それほどスムーズに移行が行なわれるであろうかということについての中小企業庁の見通しについて承りたいと思います。
  115. 影山衛司

    ○影山政府委員 協業組合に対する税法上のメリットにつきましては、事協からこれが移行するものにつきましては、本年の六月一日現在において協業を行なっているところの事業協同組合が三年間のうちに移行をいたしますならば、それは事協と同様な税法上のメリットを与えるということになっております。そういう点から申しまして、移行は相当スムーズに行なわれるのではないかというふうに私どもは期待いたしておるわけであります。
  116. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 もう一点お伺いいたしますが、たとえば事業協同組合から協業組合に移行さすためのそういうメリット、それは理解できるのですが、もう少し本質的に、たとえば三年間の期限をつけて――もう少し突っ込んで、中小企業のいわゆる育成という意味ならばもう少し考えて、期限付じゃなくてもう少し税法上の特典を与えるような行政上の処置がとられないか、また、その考えがないか。大蔵省との考え方のいろいろな問題もあると思うのですが、そういうことについてもう少し中小企業の行政指導上、誘導政策上、大きく発展させようという高度のねらいがあるならば、もう少し税法上のメリットを考える必要があるのではないか、これについて長官の御見解を承りたいと思います。
  117. 影山衛司

    ○影山政府委員 協業組合に対する税法上のメリットにつきましては、私どもといたしましては、事業協同組合に認められておるのと同様な税制上の特別措置を講じてあげたいということで努力いたしたような次第でございますが、協業組合はちょうど企業組合と同じように企業体でございますので、事業協同組合と性質を異にするということで、事業協同組合並みの税法上の特別措置は遺憾ながら認められなかったわけでございます。そこで、暫定的ではございますけれども、現在協同組合になっておるものが移行する場合には、協同組合と同じような特別措置を講ずるというところまでやっとこぎつけたわけでございまして、今後ともこの協業組合、それからまた企業組合も同様でございますけれども、これに対する税制上の特別措置を増加していく、改善していくということにつきましては、私どもは今後とも努力をいたしたいと思うわけでございます。
  118. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 それならば、いま協業組合に移行しようとする意思を持った事業協同組合が、その税法上のメリットを最大限活用しようとして、たとえば期限一ぱいまで現状のまま――法的な問題点は、いままで見過ごしてきたのですから、たとえば一部協業しておるところで事業協同組合、あるいは全部協業しておるところで事業協同組合のままで行なってきた、そういうところが、いま協業組合に移行しなくて、昭和四十五年の期限一ぱいまでそのまま事業協同組合で二三%という税法上の利益を受けながら、最後になって、まだ三年間あるんですね、そういうことが行なわれても、これは指導法律的にそれを規制する何ものもないわけですね。そういうことは考えられませんか。たとえば、それならいまかえる必要はないじゃないか、あえて税法上のメリットのない企業組合なりそうい形と同じようになるならば、三年間手一ぱい待っておって、その後に協業組合に移行する。そうすると、六年間の税法上の恩典を受けられるじゃないか。この問題については、行政上の指導だけなんですか、法律上何らかの規制があるかどうか、また指導上のどういうお考えをお持ちか、この点について承りたいと思います。
  119. 影山衛司

    ○影山政府委員 その先生の御指摘のような点もあるのではないかと私どもも考えておるわけでございまして、そういう点もございますので、まず指導上の措置といたしましては、中小企業団体中央会に対しまして、各県の中央会に一名ずつ指導員を助成対象として今度増加したわけでございます。そういう指導員が協業組合への移行につきまして、強力に指導を行なうということを行なっていきたいと思っております。それから、中小企業振興事業団の事業対象になるわけでございますので、そういう場合にも協業組合のほうに移行をすべきであるという方向で、事業団の助成を行ないます場合にもやはり指導をしてまいりたいということを考えておるわけでございます。
  120. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 そういう行政上の指導だけで、たとえば税率一本とってみましても二三%から二八%ですか、長官のお考えになっておるように簡単に何の制約もないのですから、たとえば事業協同組合がたまたま不利な方向に向いていくだろうか。いま中央会の話が出ましたが、小規模企業でまたその問題について後ほど質問したいと思いますが、たとえばそういう、一人派遣したのだ。なるほど行政上の措置としては御答弁になっていると思うのです。ところが、事実上そういうことでほんとうに組織の移行ができるのかどうか。また実際長官自信がございますか。たとえばそういうことで指導して早く協業組合に移れと言ってみても、必ずそれが指導によって、税法上不利なほうに向いていくかどうか。税法上のメリットをフルに利用しようとする業者の強い希望があると思うのです。それについてどういう御見解をお持ちですか。
  121. 影山衛司

    ○影山政府委員 先生がおっしゃいますようなことを大蔵省が私に対して言ったわけでございます。事業協同組合から協業組合に移行する場合に事協なみの税制上のメリットを与えてもらいたいという要請をいたしました際に、それでは中小企業庁の長官としてその期間内に事業協同組合を協業組合に移行させる自信があるのかということを主税当局も言ったわけでございますけれども、私どもといたしましては、この協業組合が税制上だけの特別措置というだけではございませんで、組織上のメリットもあるわけでございます。企業体として活動しやすい組織上のメリットもございます。あるいは先ほど申し上げましたように、中小企業振興事業団の対象にもいたすような次第でございます。あるいは先ほど申し上げましたように、中央会の特別の指導員を置くような次第でございます。そういう点から、私どもといたしましてはこれが早期に協業組合に移行するであろうということを私どもは期待をいたしております。また自信も持っておるような次第でございます。
  122. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 現実にある事業協同組合が、長官の意思とは逆に、いわゆる税法上のメリットが非常に――税金というのは一般の中小企業者は鋭敏でございますので、それだけに二三%から二八%という方向に、ほかのメリットと勘案してはたしてついていくだろうか。率直な意見として、やはりすれすれの線までは必要ないじゃないかというような考え方もあると思う。たとえば中小企業の事業協同組合が組織上の恩典はやはりあると思うのです。たとえば税法上を除いて、協業組合をつくることによってどれほど違いますか。いま組織上という長官の御答弁がありましたが、その比較。組織上にどういうメリットがあるかということについて、税率を抜いて御答弁を賜わりたいと思います。
  123. 影山衛司

    ○影山政府委員 組織上のメリットにつきましてお答え申し上げますが、各協同組合の中で協業化が非常に進んでおる業種があるわけでございますけれども、そういう人たちは積極的に私どものほうに相談に来ております。そういう人たちはそういう税制上の問題があることを承知いたしておりながらも協業組合に移行したいということを相談に来ておるような次第でございますので、私どもといたしましてはそういう点は自信を持っておるわけでございますが、協同組合と比べまして組織上、運用上のメリットがある。第一の点は議決権につきまして、協同組合におきましては平等に一人一票主義でございます。この一人一票主義で行なわれます結果、事業経営上意思決定の機動性を欠く。それからもう一つは、出資限度については二五%というような限定もございますので、出資意欲が阻害をされるというような点があるわけでございます。そういう点で、一方におきましては一人一票主義の議決権によりまして経営上の意思決定の機動性を欠くわけでありますが、出資につきましても百分の五十以下までは一組合の出資口数は出し得るというふうに資本限度というものも尊重をいたしておりますので、こういう点で出資の意欲というものが協業組合のほうが出てくる。従来の事業協同組合の欠点といたしましては、どうもそういう点から申しまして出資が、資本力が足りないという点が非常に大きかったわけでございます。そういう点からも協業組合のほうが機動性があるということが言えるのではないかということでございます。
  124. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 その問題については後ほどまた関連がありますので別に質問させていただきますが、この制度が円滑に運営されるというのに私は一つ前提条件があると思うのです。それはいわゆる中小企業者の企業者自身の協業による企業性の発揮、企業心の問題、長官御存じのように、中小企業者というのは、われわれの接する範囲内においては一匹オオカミ的な独立心が非常に強く育ってきたと思うのです。したがってそういうものがなくならなければ、非常に協業化というのは文章としてはりっぱな組織ですが、実際現実にその運営がスムーズに行なわれるか、われわれは内面的に非常にそういう心配があるのです。いろいろな点で、いま長官のお手元のところに御相談が来る、お見えになるということですが、そういうところは何か企業性を喪失したり、何かそういう一つの集団がわりとまとまりやすいという点を非常に危惧するのですが、それは長官どのようにお考えになりますか。
  125. 影山衛司

    ○影山政府委員 私どものほうへ相談に来ておりますところの業種は、やはり小規模零細の人たちが多いわけでございまして、そういう人たちが今後競争力をつけあるいは近代化合理化を行なっていきますためには、個々企業の力ではとてもだめである、やはり大同団結をして団結の力で合理化をはかっていかなければいけない、そういう自覚に燃えて相談に来ておる人が多いわけでございますので、企業性が喪失しておるというような消極的な理由で私どものほうヘアプローチをしておることはないわけでございます。
  126. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 協業組合がその運営の妙を発揮して、現実にいま協同組合と事業協同組合の中ですでに協業組合と同じように一部協業あるいは全部協業をやられておるものが二百あるというお話でございますが、現実にそういうものを協業化した場合、どの程度いわゆる生産性なり収益率が上がっておるかということについて、具体的な二百の企業についてもし御参考までに御教示願えればお示しを賜わりたいと思います。
  127. 影山衛司

    ○影山政府委員 協業化の効果でございますが、これは私どものほうで調べたものがあるわけでございます。たとえば従来では典型的な手工業形態をとっておったあんこの製造業者でありますが、これが六人ほど集まりまして協業化を行なった。そのために生産性が二倍になる。品質の均質化、向上がはかられたというような例がございます。  それから家具の製造業者が集まりまして協業化を行ないました結果、やはりこれも生産性が二倍以上になって、大規模な受注が確保できるようになったというような例もございます。その他、自動車部品の受注下請メーカー等につきましても非常に生産性が上がり、共同作業場によりまして、流れ作業方式が採用できるようになったという例も出てきておるわけでございます。
  128. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 そういう特定な成功した例、それと同時に失敗した例もずいぶんあると思うのです。たとえば、この間ある雑誌を見ますと、協業化に比較的早く先べんをつけて進んだといわれるクリーニング業の協業にしても、現在実際収益が落ちたというような論文を拝見しました。そういうことは、たとえばあんの業者ですか、そういう一例ではなくて、反対に、たとえば二百の中のどの程度、何%くらいが成功して、収益率が二倍になっておるのだ、たとえば二百の中のあんの業者はその一つだと思うのです。そうではなくて、二百の中に成功した例がどのくらいあって、失敗した例がどのくらいある。失敗した例もあると思うのです。その具体的な成功の一例をもって――二百の中の成功の一例じゃなくて、例証を聞きたいのです。二百の中でどのくらいの率で成功し、どのくらいの率で失敗しておるか。失敗例をひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。
  129. 影山衛司

    ○影山政府委員 失敗例としての統計は、私どものほうには載っていないわけでございますが、私どもが調べた二百八組合についての調査によりますと、能率が向上したというものが五三%ばかりあるわけでございまして、逆に申しまして、あと四十七%でございますかは、まだ所期の効果を達していないというようなことも言えるのではないか。それから、コストの引き下げができたというものが、やはりこれも五三%程度ございます。そういう点もございまして、先生御指摘のように、全部が全部うまくいっているとも限りませんけれども、やはり協業組合というものは、先生御指摘のように一国一城のあるじの人たちが集まって、また零細企業者が集まって仕事をやるわけでございますので、なかなかむずかしい仕事であろうかと思うわけです。だから、単純にこれが集まっただけということでは困ると思いますので、私どもといたしましても、この協業組合を設立するものにつきましては、やはりあと協業組合としての経営管理面とか、あるいは市場開拓面とかいうような指導につきましても、十分行なっていかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。
  130. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 いまの長官の御答弁と、その前の御答弁の中の、たとえば中小企業者は一匹オオカミ的で、私が、企業性がないじゃないか、このことによって企業性をなくしてしまうのではないかという質問をしたときに、長官はそんなことはない。ところが現実にいまの御答弁で、能率が上がり、コストが下がっている――私がいまお伺いしたいのは収益なんです。なるほど、一緒にやれば生産性も上がるでしょう、コストも下がるでしょう。しかし、その付加価値生産性利益はどうなっておるか。私が先ほどクリーニング業で言うたのは、能率は上がっている、しかし利益は低下しているのだというような説が出ておると思うのです。私はあとで関連があるから質問しますが、いま長官に申し上げたのは、いわゆる中小企業者がそうやって集まった場合に、企業性を――非常に積極的な意見でおやりになっておるという先ほどの御答弁でしたけれども、実際はそういう一面もあると思うのです。また逆に、みんなが集まってみて、そういう訓練もされておりませんので、おそらく企業性がなくなってきて、だんだん、なるほど能率は上がったけれども収益が下がったというような、現実的な利益を失うのではないか。収益性について、ひとつ御見解と御報告があれば承りたいと思います。
  131. 影山衛司

    ○影山政府委員 こういう協業化の元来の目的が、やはり生産性を向上いたしまして、その結果、収益性を上げるということを目的にして集まるわけでございまして、その点につきまして、当初の間はやはりこういうものにつきまして資本を投下するような場合も多いわけでございます。そういう点で減価償却の点だとか、その他のコストだとか、操業経費がかかるわけでございます。最初の間はやはり利益が思うほど上がってこないというような点もあろうかと思います。それからまた業界全体がやはり過当競争を行なっておるというような場合には、そういう点での手当てもまたしていかなければならない。私どもといたしましても協業組合をつくったから、これで集まったから、これで万事終われりというふうに考えておるわけではないということを申し上げたいと思います
  132. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 協業組合をつくって万事終われりではないということは、なるほど私は当然だと思うのです。ところが、往々中小企業政策はためにするという声が多いと思います。こうだからこうするんだ、その結果ではなくて、アフターケアはほとんど行なわれていないと思うのです。あとで小規模と一緒に触れますが、たとえばいまの長官の協業化の意識高揚をどうするかという御答弁の中で、商工会の人を一人ふやすんだということでございますね。あとで実態をお伺いしますが、それはなるほど答弁であって、実質は実のない返答だと思うのです。ということは、収益性がどういうふうになったか、具体的にそのアフターケアをほんとうにお考えになった答弁がほしいのです。こういう措置をこうだからこうやったんだ、こういう問題があるからこういう改善をしたんだ、改善をしたからこうなったんだという回答をもらうようにならなければ、中小企業問題というものは解決できないのです。だからいまの御回答の中でも、そういうことは収益を上げるためにいわゆる高度化するんだ、なるほどそのとおりなんです。現実に効果が上がっていないような保護政策、そんなことは意味ないじゃないですか、将来上がるんだと言いながら、たとえば税法上の問題、いろいろな問題で大蔵省に乗り切られるからそうなんだとか、そうじゃなくて、ほんとうに、抜本的に保護するような、そういう結果がよくなるような数字を私は期待をしておるのです。やってみても、ためにやった行為に終わってしまうのではないか、それについては長官どうですか。
  133. 影山衛司

    ○影山政府委員 私どもといたしましては、これから協業組合をつくらせまして、協業組合を中心にしてそういう企業性、収益性を上げるように、今後ともひとつ指導していきたい。つくったあとのアフターケアが従来足りなかったという点は、御指摘のとおりでございまして、中小企業振興事業団をつくりましたのも、やはりそういうアフターケアを十分に行なわせるためにつくったわけであります。指導と申しますのも、また当該各県に人を一人ずつ置きましたのも、やはりアフターケアを含めた意味での指導をやっていく、そういうふうに考えておるわけでございます。
  134. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 その収益性の問題と関連をしまして、いわゆる協業組合の経営の問題でございますが、現在一番危惧されるのは法律上の問題でなくて――法律上の問題をお伺いするのではございません。企業勘定といいますか、実際は、いわゆるしっかりした者に企業がとられてしまうというような懸念はございませんか。これは法律上のお答えをちょうだいしたいと思うのではございません。行政上そういうことはあり得ないだろうか、たとえばボスができて――これはうしなければまとまらぬものだと思うのです。だれか指導者がおって、そういうときにいわゆる員外指導を認め、外部の出資を認めているというのは、比率では規制されておるけれども、力関係によって、いわゆる弱肉強食の姿が、この協業組合の中に出てこないかということについて、長官の御見解はどうでございますか。
  135. 影山衛司

    ○影山政府委員 大企業も加入できることになっておりますけれども、これはやはり中小企業の中でも指導者的な立場にある人、中核となる人に加わってもらいまして、その経験を生かしまして、協業組合全体がうまくいくということを考えておるわけでございまして、そういう点から申しまして、またこの協業組合に参加いたします場合には、大企業でございましても、大企業自体も自分の仕事をやめて参加をしなければいけない。そういう点から、この協業組合に参加するところの大企業も、それだけの決意をもって融合してくるべきだと考えるわけでございますが、法律上につきましては、あとそういう危険性が現実となってあらわれました場合等は、たとえば改善命令というようなものもあるわけでございますので、そういう点で十分監督指導していけるものと考えておるわけでございます。
  136. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 いまの長官の御答弁の中で、大企業がいわゆる協業組合に参加すると、自分の事業をその業種に限ってやめなければいかぬというお答えでございますが、現実にそういうことを長官想定なさいますか。そんなことがはたしてまともにそういうふうに取っ組んでお考えでございますか、それについてひとつ……。
  137. 影山衛司

    ○影山政府委員 協業組合を結成いたします場合には、全部協業の場合でございますけれども、それは大企業であれ、中小企業であれ自己の企業の従来の仕事を破棄しなければいけない、そういうのが協業組合をつくる大前提でございます。もしも協業組合をつくらなければいけないその場合に、中小企業を卒業したような大企業も加わってもらう場合も、やはり事業をやめなければいかぬ、これが大前提でございます。先生御指摘のような心配はないというふうに私どもは考えております。
  138. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 たとえばその業種について全然別個の資格で自分のしにせを守るということはございませんか、子会社をつくって。そういう法律上の問題点は起こりませんか。
  139. 影山衛司

    ○影山政府委員 子会社を協業組合に加入する際につくるとは申しましても、この子会社が従来の事業といいますか、協業組合が定款で定めておるところの事業を行なっていなければいけないわけでございます。またたとえば子会社をつくりましたにしましても、その子会社はやはり事業をやめて入ってこなければいけないわけでございます。  それから法律的には議決権につきましても各組合員に平等に配分される割合が二分の一以上となっておりますので、出資割合によるところの議決権も制限されております。子会社をつくりましても支配ができるというようなことは、私どもはないように制度をつくっておるつもりでございます。
  140. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 たとえばある単一の会社じゃない場合ですね。たとえば商社関係なんかの場合、こういう協業組合に各パートが経営参加しますね。要するに別会社、子会社をつくった場合、これは同じ業種でも法律的に何ら規制できませんね。だから一番危惧することは、たとえば商社なんかの場合だったら何でもこのごろ手を出しますからね。そういう場合には、たとえば子会社をつくって、新会社をつくることは私は違法じゃないと思うのです。これはどうですか。
  141. 影山衛司

    ○影山政府委員 先ほど申し上げましたように、そういう場合も起こり得ると思いますけれども、議決権等につきましては制限がございます。そういう点から申しまして、そういう人たちの支配が行なわれるということは私どもはないというふうに考えております。
  142. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 私が長官に御答弁をお願いしたのは、法律上の御答弁はけっこうです。これを読めば法律上はそういうことは当然です。だから支配はされぬでしょう。しかし力関係でそういうことが起こらぬかどうか。行政指導上そういうことはないだろうかということは、法律上は制約はありますよ、議決権の問題で。そうでなくて力関係でそんなことになりはせんだろうかということを私は心配する一人なんですが、長官の御見解はおそらく起こらぬとお考えでございましょうか。
  143. 影山衛司

    ○影山政府委員 私どものほうへいろいろ協業組合をつくりたいということで相談にきておられますけれども、その中にはそういう事例はございません。
  144. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 いま私が御質問申し上げておるのは、将来そういうことが起こった場合の確認のお答えを聞いたのです。私はそれを一番心配します。それと同時に協業組合の最後の目的というのはどこにあるのかということですね。企業組合、事業協同組合、この協業組合、一般の中小企業者は非常にむずかしいと思うのです。その問題で協業組合を指導なさる場合に、最終目標はどこに置くのか。たとえば全部協業が最終的な目標であるべきだと思うのですが、そういう問題について、全部協業にどの程度の期間を置いてそういう最終目標を設置されようとなさっておるのか、それについてお伺いいたします。
  145. 影山衛司

    ○影山政府委員 最終目標をどういうふうに考えるかということのお尋ねでございますが、中小企業関係の制度も、事業協同組合ありあるいは企業組合ありあるいは今度つくりましたところの協業組合あり、おのおのその特色を持っております。全部が全部協業に持っていくのだということを私どもは考えておるわけではございません。やはり事業協同組合も多数の事業者が同志的結合でおのおの自分たちの地位の向上をはかるための協同事業を行なっていこうということ、それはその限りにおきまして非常にいい制度でございますから、それはそれでいたしますが、事業協同組合がだんだんと協同事業を進めていくうちに、組合全体が企業体として活動したい、しかしながらその場合に企業性というものを発揮したいが、やはりメンバーも残しておいて、中小企業者の企業感情にふさわしい、即したところの人的な色彩も残しておきたいというような要請にこたえるものが協業組合でございますから、それに適したものは協業組合のほうに持っていくというふうに、おのおの実態に即しまして私どもとしましてはじみちに指導をいたしていきたいと思うわけでございます。何年間にどれだけつくるかというようなことは、まだ現在のところ考えていないのであります。
  146. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 最終的には全部協業を目標にする、これは法律の成立の考え方からすれば、そういう考え方だと思うのですが、たとえばそんなに早く全部協業を目標にしていないのならば、組織上のメリットはあるにしても、現在の事業協同組合のまま置いておいても税法上のメリットのほうで余るのじゃないかという気がするのですが、全部協業を最終的に目標にするというような考え方でした場合は私は矛盾点が出てこないと思うのですが、そんなに急いでやらないのだということであれば、現在の事業協同組合そのままでいいじゃないですか。
  147. 影山衛司

    ○影山政府委員 現在の事業協同組合の形をとっておりまして、それでいわゆる全部協業をいたしました場合には、員外者利用の制限でございますとか、あるいはメンバーが事業者でなくなったという場合にこれは違法になるわけでございます。従来はやはり協業組合という制度も正面からなかったわけでございまして、そういう協業の動きというのも例外的であったわけでございますけれども、今後は協業組合をつくりまして、そういうものの経済的実態をつかまえまして正面からこれを取り上げるということになったわけでございますので、そうなりますと事業協同組合の形でそういうものをやっておるものは違法ということにもなります。あるいは税法上も、たびたび国税庁等からも指摘されるわけでございます。そういう形の事業協同組合というのは、もう企業体であるから、事業協同組合としての税法上のメリットは認めないというような警告も発せられておるような例もあったわけでございます。今度は、そういう協業組合というものを正面から取り上げたわけでございますので、事業協同組合のままでいつまでも残っているということは、やはり行政指導上も好ましい形ではないというふうに考えるわけでございます。
  148. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 質問を先にいこうと思ったのですが、もう一点、ちょっとひっかかるようなことがありますので。いまの御答弁の中で、事業協同組合をたとえば違法のまま協業化して、いわゆる一部協業しておる事業協同組合がそのままで、いわゆる組織がえをしなくて、先ほど質問しましたが、三年間待つ、それに対して行政指導をするのだということでございますが、しなくとも違法は過去と同じように認めるのですか。警告が大蔵省から出ておるといいますが、認められておるわけですね。たとえばある事業協同組合で組織がえをしないとしますね、それに対しても何ら法律上の規制はないわけですね、いままでも違法を認めてきたわけだから。
  149. 影山衛司

    ○影山政府委員 正面から認めておったわけではなくて、協業組合というような正面からその穴を防ぐ制度がありませんので、目をつぶっておったということでございます。今度は正しく正面から取り上げる制度ができますので、違法なものは違法として適正なものに移っていくように指導しなければいけないということでございます。
  150. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 長官、それは指導であって、たとえばかえないと言ったらどうします。たとえば事業協同組合が、違法でいままでやってきたのだから、そのままでいくということであっても、行政上の指導であって、法律上の制約がないですね。たとえばおれの組合はこのままで行くのだと……。
  151. 影山衛司

    ○影山政府委員 そういう場合には、業務改善命令を出しまして、はっきりと違法であるというものについては指導しなければいけないと思います。
  152. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 この業務改善命令というのは、強制権を持っておるのですか。
  153. 影山衛司

    ○影山政府委員 命令違反につきましては罰金があるわけでございます。
  154. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 先ほどの質問の中で、商工会の話が出ましたので、あわせて小規模企業共済事業団とこの質問の中で重複してまいる分がございますので、質問を変えまして、小規模企業共済法の問題について質問をいたしたいと思います。  この中でまず冒頭に、対象業者が大体三百万もおるのにかかわらず、いままでの契約者が非常に少ない、二万にも満たない、これはなぜですか。それについての理由を承りたいと思います。
  155. 影山衛司

    ○影山政府委員 この制度は、発足以来一年半くらいでございますので、その間に約二万人の加入者があったわけでございますが、私どもといたしましては、この制度につきましては、やはり最初はPR期間、啓蒙の期間が必要であるというふうに考えて、そのつもりで仕事をいたしておるわけでございまして、そういう点で、この小規模企業共済制度は、非常に小規模事業者からも歓迎される制度ではございますけれども、まだPRあるいはその趣旨というものが徹底していないのじゃないかというふうに考えております。今後ともPRをいたしまして、加入促進につとめたいと考えておるわけでございます。現在二万人とあるのは、私どもといたしましては、むしろ非常に成績がいいのじゃないかというくらいに思っておるわけでございます。
  156. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 いまの長官の御答弁で、一万九千、二万近くで非常に成績がいいという回答、私は非常にふに落ちないのです。たとえば小規模共済事業団、これは三百万の対象者のうち〇・五%くらいですね。何か企画をする場合に、対象が三百万で、それの〇・五%で成功であるという理由、二万足らずでなぜ成功しておるというふうにお考えなのですか。
  157. 影山衛司

    ○影山政府委員 成功というのは、当初は非常に加入者が少ないであろうということを予想しておりましたけれども、やはり事業団のほうで一生懸命に加入促進につとめてくれて成績をあげてくれたわいというほどの意味でございまして、三百万の小規模企業者の数全体からいいますと、これはもちろん不十分でございます。
  158. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 もう一回いまの質問をいたしますけれども、当初の予想よりも成績が非常にいいというが、ところがこの小規模企業の共済事業団の内訳を見てみますと、出資金一億、それから政府の補助金一億八千七百万円、そのうち理事長以下の人件費が、年間一億八千七百万円の半分の七千万円くらい食っているわけです。これは役員四名、職員五十八名の人件費が、ほとんど政府補助金の一億八千万円の半分くらいです。それでいわゆる三百万を対象にして〇・五%の加入で成功とするこの行政のあり方に、その辺やはり反省すべき点があるのではないか。私らは成功だとは思わないのです。たとえば事業団をこしらえて、そうしてこれだけの三百万のうち一万幾らの加入者をとった、PR不足であったという長官の御答弁でございますが、予算の半分が人件費、こういうことはどういうところから成功というのですか。予想外にうまくいっているというが、それでは国民は納得しないと思います。
  159. 影山衛司

    ○影山政府委員 現在の段階で思ったよりよくやってくれたということを言ったわけでございまして、これが絶対的に成功があるというようなことを申し上げているわけではございませんので、その点は御了承願いたいと思います。これは中小企業退職金共済事業団の加入者の増加の過去のぐあい等を見てみましても、やはり最初の間はPRも徹底しませんし、加入者が非常に少ないわけでございます。そういう点で、私どもといたしましては、加入者及び加入の掛け金の総額に比べまして、事業団自体の人件費あるいは事務費というようなものが非常に多いわけでございますけれども、これはやはり長い目で見ていただかなければいけない問題ではないだろうかと思うわけでございます。現在小規模企業の共済事業団の理事長以下の役員が各府県等にも出向きまして、非常に懸命の努力をしてくれているわけでございます。それからまたPR等につきましても、説明会を開いたり、講習会を開いたり、あるいは県のほうにもお願いしてPRを行なったりというようなことで努力いたしております。そういう点で、国からくる補助金等も将来花を咲かしてくれるのではないかというふうに考えております。また今度新たな第一種共済契約制度というものもつくりました。そういう点で、またそういうものの魅力によって今後もふえていくのではないかと考えております。
  160. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 いまの長官の御答弁で、理事長以下東奔西走して非常にがんばっておる、これは私はあたりまえのことだと思うのです。私が言いたいのは、そういうことではなくて、これは当然の仕事ですから、これはふえるんじゃなくて――給料なんかもどんどん上がっておるわけです、この理事長以下。ところが、それは当然の仕事をしておるんです。努力をしておる。国民の前で税金を食っておるんですから、努力しておるんです。いっかはやるだろうということでございますが、少なくとも長官の御答弁としては、それならば三百万に対して、いままあ初期としては非常にいいんだ。ところが長期的な見通しはあるかどうか。三百万に対してどういう考え方であるのか。いま人件費が高いけれども、いつか花を咲かすだろう。いつどういう形で花を咲かすという構想なんですか。
  161. 影山衛司

    ○影山政府委員 大体現在のところ五年間で三十万人程度まで加入者をふやしまして、それによりますところの掛け金の総額が大体百億ぐらいということになると思います。第一段階の加入目標はそういうところに置いて努力をしていきたいと思うわけでございます。
  162. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 これはPRが非常に足らない、というのは、これは知らない。たとえば菓子屋のおやじさんをつかまえて聞いても知りません。ほとんど知りません。それは、たとえば長官の先ほどの御答弁の中にもありましたように、何か中小企業の対策がすぐに商工会という名前で出てくると私は思うのです。ところが、商工会の実態は、たとえば四十を過ぎた一人前の男が、おそらく給料は四万円ぐらいですね。そんなことではたして――それで予算としては二十五億の金を使っておるのです。ところが、みんな足らないままに使っておるわけです。抜本的な方策がないような気がするのです。ただ何となしに……。この問題でもそうなんです。小規模企業、これを見ましても、おそらく二億八千万のうちでほとんど人件費と事務費だ。それについての答えが、長官は五年後に三十万だとおっしゃいますが、もしできなくても努力をしたんだということで、結果の責任がだれにもないような気が私はするのです。少なくとも青写真ができて、一年後こうなるんだ、二年後こうなるんだ、したがって、いまかける金とか人件費というものはこれでいいんだ、あとでよくなるんだというような一つの青写真が全然示されていないわけです。したがって、いわゆる商工会で人をふやしてやるといってみたところでPRもできませんし、また現場で働いている人の声を聞いてみても、政府は何かあれば商工会だと言うけれども、商工会そのものは案外私はほんとうの実態から遊離してしまっていると思うのです。政府の施策と、それから実際の現場の動きというものは全然離れてしまっているんじゃないか、むだな金を食っていると私は思うのです、結論的に言って。ところが、中小企業政策だから何かせなければいかぬということで、つき合いで何かやっているだけのにおいがするのです。効果があがっていないと思うのですが、それはどうですか。
  163. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほどから吉田委員のいろいろお話で、まあ私も共鳴するところもあるのでありますが、まだ先ほどの協業組合の問題についてその必要性がないのじゃないかというお話があったのですが、この協業組合というものが今日そういうものをつくらなければならないように最近の社会経済情勢が変わってきたということをまずお考え願いたいと思います。いままでは事業協同組合や何かでやっておったのでありますけれども、それでは追いつかぬというように経済情勢が変わってきたので、どうしても小資本では、中小企業だけではだめだ、彼らの力を合わせてそしてやっていかなければならぬということ。それはどういうことかと言えば、いま繰り返して申し上げておりますとおり労務者が足らぬというようなこと、あるいはまた生産規模がだんだんと大規模になってきたためにそれだけ資本をより多く要する。そこで彼らの中小企業だけでは、個人企業だけではやっていけないということで、お互いに力を合わせてやろうじゃないかということです。ところが元来日本人はそういうことには向かない性格を持っています。お山の大将になりたいという性格を持っていますから、したがって、こちらは親心でこうしたほうがまあ中小企業の生きる道だということで一つの制度をつくったのでありますけれども、一般の国民はそれだけの利益というものをほんとうに理解しませんからして、これはなかなか協業組合でやれというてもむずかしいです。が、しかし、これは協業組合をやることが彼らの利益であるということをよく指導して、教育してやっていくという必要がある。したがいまして、決して私はこれはむだな制度ではないと思うのでありますからして、そういう意味においてよほどの努力は要ると思いますが、まあ何事でも初めは理解がないためにそうにわかに協業組合がたくさんできるということはとても期待ができません。なるほど協業組合をやったおかげで利益があるなというようなことが世間でだんだんとわかってくることによって、また協業組合をつくろうというような機運が起こってくる、こう思うのでありますからして、その点はにわかに成績がいいとかなんとか、たくさんできたとかいうようなことは私は期待をしちゃいかぬ、こう思っております。  それから、小規模共済の制度ですが、大体共済制度自体も日本人にはぴんとこない制度でありまして、自分が何か事が起こって共済制度のありがたみがわからなければ、日本人というものはそういうことに入らない性格を持っております。たとえば生命保険やなにかが一例ですが、まあ考えてみれば生命保険というものは死ななければありがたみがわからぬもので、生きている間は何も恩恵に浴しないということでありますから、生命保険の勧誘員というものは非常に苦労しておるのであります。それと同じことで、この共済制度というものが、みんなが寄り合うてお互いに助け合うということ、それによってお互いが何か事があったときには恩恵に浴するということ、平素はむだな金を出すというような感じもしますから、したがってなかなか共済制度というものは日本では発達しにくいのでありまして、その点において私は、この共済制度というものは設けたけれども、これが全部の中小零細企業者が恩恵に浴しないということは、入らなくてもいいじゃないかという気持ちをみんな持っていますから、入ったらそれだけ掛け金が要るし何だか損をするような気持ちがするからであります。しかし万が一のときには役立つのだということでこれは理解をさせなければならぬ。したがって、お話のように全部入ってないじゃないかということは、これは私はまだまだ、できてまだ間がないのでありますからして、これを発達さすためにはあるいは五年、十年はかかる、こう思うのであります。日本の生命保険なども初めは明治十四年に始めましたけれども、だれも加入する人がほとんどない、それを勧誘員や何かが苦労して、そして今日においては生命保険というものはあれだけ発展してきたのであります。そういう意味において、この共済制度もいまはそれほどの功績をあげてない、人も大ぜい使っておるじゃないかという御意見でありますが、これを広げるために、広報するためには、PRするためにやはりそれだけの大ぜいの人を使うてやっていって、またそれだけの金を使うけれども、それほど効果はお話のとおりあがってはおりません。が、しかしながら、これはやがて何年か後には実を結ぶのでありますから、したがってやはり長期的にお考えを願って、この制度はあったほうが万が一のときにはみんなが助かるのですからして、そういう点において私はこの共済制度というものはやはり設けて、そして中小企業者の万が一のことがあったときの助けにしてあげたい、こういうように存じておる次第でございます。
  164. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 いまの大臣の御答弁で、その趣旨は非常によく理解できるのですが、ただひとつ私は、先ほどから長官に質問を申し上げておったのは、中小企業政策はなるほど政策が先行してしまって、ビジョンがおそらく――たとえば小規模一例をとってみても、私がそれを言いたいのは、いま経費をよけい使っておるじゃないか、おかしいじゃないかということではなくして、たとえばこの創設されるときに、これならば何年後にこうなるんだという青写真が引かれてない。引かれた上の結果、いましんぼうすべきなんだ、もう少ししんぼうしなければ花が咲かないんだということであるならば、国民は納得できると思う。ただ現在時点をつかまえて、うまくいってもいかなくても、案外どこにも責任がないのじゃないか。といって、一生懸命やるんだから、それはいま大臣がおっしゃるように、なるほど私なんかと違って大臣は経済学者でもあるし、これはよく御存じで、そのことは私もよくわかります。ただ、それ以前の問題で、私はもう少し国民にビジョンを示してもらいたい。小規模とはこうあるのだ、いまPRが足りないけれども、将来こうなるぞという姿を示さなくて――もちろん大臣のおっしゃるように、あったほうがいいことはこれは自明の理なんです。ただ、どういう姿でどういうプロセスを経てこういうところに到達するんだということがないから、案外数字だけを見ると、いま事業団をつくって、いまはやりの天下りの高給者を使うてじゃないかといわれるのも、ビジョンがないからそういうことをいわれるのじゃないか。それを書くと、政府はそのとおり実行できなかったことに責任が伴いますからたいへんでしょうが、しかしやはり責任ある回答をPRの中にもすべきじゃないか。そして、いわゆる保険の料率なんかも、それこそいまある保険料率よりも一〇%上げても、私はこの間計算してみると、そんなに金は要らぬわけです。だから、そういう具体的な、もう少し前向きの姿勢を――何か政策だけが先行してしまって、こういうようにしたんだ、こういうようにしたんだ、いいことずくめの政策で、アフターケアがないような、青写真がないような、そういう気がしてならないのです。私はそういう意味で同じような質問を何回もしておるのです。これは長官どうですか。
  165. 影山衛司

    ○影山政府委員 先生御指摘の点はごもっともな点があるわけでございまして、私どもも最近反省いたしておりまして、中小企業対策にビジョンをつくるということと、アフターケアを行なわなければいけないという点については、十分今後も施策を講じていきたいと思っておるわけでございます。ビジョンづくりということにつきましては、私どもも寄り寄り議論したり話しておりますけれども、なかなかむずかしい点はありますけれども、やはりこれはつくっていきたいと思っております。それから、常に施策につきましては反省をしていかなければならないと思います。中小企業庁にも施策普及室というのをつくっておりますけれども、これは施策の啓蒙普及というものをやりますと同時に、施策効果の反省を行なうという任務も持たしておるわけであります。そういう点から、ビジョンをつくるとともに施策の反省を常に行ないながら中小企業対策を進めていきたいと考えております。
  166. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 最後に私の希望だけを述べさしていただきまして質問を終わらしてもらいたいと思うのですが、いま長官の御答弁の中で、私は、具体的な回答、これは非常にけっこうなんですが、先のビジョンを示す場合に、もう少し大胆に、責任が伴うかもしれないけれども、数字を示したようなビジョン、それがないのはやはり責任を逃げられるような形にもなるでしょうし、また国民も真剣味が加わってこないと思うのです。数字を示すこと、そこまでやらなければいけない。たとえば小企模企業の共済加入にしても、ことばじゃなくて数字を示しておくと、現場の人もふるい立つであろうし、長官も数字が残っておるから責任が伴うから、そうすると国民も釈然とすると私は思うのです。むずかしいことであろうけれども、そういうような考え方をもう少し取り入れてもらえないだろうか。そうしなければ、何かいわゆるきれいごとの並んだ政策だけであって、国民は、なるほど言うておることはみないいことなんです。ところがだれも信用しやせぬというのが、案外現在の中小企業政策ではなかろうか。もう少し数字を具体的に示してもらいたい、大胆になってもらいたい、責任をとってもらいたいということを要望しまして、あとまだもう一人つかえておりますので、これで終わります。
  167. 島村一郎

    島村委員長 岡本富夫君。
  168. 岡本富夫

    岡本(富)委員 さきの方がいま小規模企業共済法法案についてのお話がありましたので、私も一緒に、続いて、させていただきます。  重複するところは抜きまして、これを見ますと現在の加入者が一万四千二百七十四人、こうありますけれども、この事業団が、やはり法人になっておりますから、うまく経営できるところの採算ベースと申しますか、加入者がどれだけあれば大体採算ベースに乗るのか。法人であるとすればそれがまず大事でなかろうか、こう思いますが、どうでありましょうか、これは長官に聞きたい。
  169. 影山衛司

    ○影山政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、加入者を増加いたしましてそれの掛け金を蓄積する、それの運用益の一部をもってこれを事務費その他の経費に対してまかなうということになりますと、五年間で三十万人、そのときに大体百億の掛け金が蓄積される。これは全部使うわけにまいりませんけれども、六%と見まして六億でございます。そういうことになりますと、大体現在一億八千七百万円の予算を計上しておるわけで、二億でございますから、こういうところにまいりますともう十分経営が、補助金等を国から出してもらわなくも、やっていけるというふうになるのではないか。  まあ一応の計算はそういうふうなことでございます。
  170. 岡本富夫

    岡本(富)委員 これはちょっと聞いたところでは、八年前では大体二万人ぐらいの人が加入すればいけるのではないかというようなことも聞きましたけれども、いまのは若干ばく然としておるように思いますが、もしも自分の企業であるとすれば、やはりまずここに採算ベースというものを考えて、そしてもっともっと努力する。政府の庇護のもとにやっておりますれば、これは先ほどの方も話がありましたように、努力が非常に少ないのではないかと思います。その点についてきょうは実はこの事業団の理事長さんあたりに聞きたいと思っておったのですが、お見えになっておりませんので、長官からよく言ってもらいたい。まずこれを申し上げておきます。  その点につきましてはそれくらいにしまして、この通産六法の中のこの法律の五十八条に「掛金及び共済金等の額の検討」とありまして、「掛金及び共済金等の額は、少なくとも五年ごとに、共済金等の支給に要する費用及び運用収入の額の推移及び予想等を基礎として、検討するものとする。」こういうようにございますが、これは何を検討するのか、どういう内容を検討するのか。  また、今度の第二種保険ですか、この前のですね、ちょっときょう複利計算したやつを持ってきてないのですが、この複利計算をしますと、この支給金が非常に少ない、こういうようにも思われるのですが、長官、どうでしょう。
  171. 影山衛司

    ○影山政府委員 現在の第一種及び第二種の共済契約につきましては、ある程度の条件を置きまして保険数理上の計算をいたしております。これは非常にむずかしい計算をいたしておりますので、私どももあまりよく理解ができない点もあるわけでございますが、その保険数理で計算をいたしておりますものが、やはり常に物価の点も違いますし、それから基礎になっておりますところの運用の利回りというようなものも違いますし、あるいはこの共済の前提となっておるところの事故率もいろいろ変わってくるわけでございますので、そういう点で五年ごとにこの制度を見返しまして、制度自体として長期的に成り立っていくのかどうか、あるいはその際にもやはりできるだけ小規模企業者のほうに有利なように共済金等の額もきめていかなければなりませんので、そういう余地はないかどうかというようなことを検討すべきであるということで、この五十八条で義務を課せられておるような次第でございます。
  172. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この第二種保険は複利計算をすると支給金が少ない、こういうことに対して長官は検討したことがございますか。なぜかならば、生命保険ですとどんどん支払いが少なくなる。そうすると生命保険のほうが有利であるということになりますので、せっかくこうして政府がつくった法律を利用する人が少ないのじゃないかというように思われるわけです。
  173. 影山衛司

    ○影山政府委員 この共済事業団のほうで生命保険の満期給付との比較をつくったものがあるわけでございますけれども、その場合に、現在の制度で三十年満期で三十年たった場合の払い込み掛け金の総額が十八万円でございます。それに対して共済金額が五十七万二千七百八十円でございますので、それの比率をとりますと三・一八倍になるわけでございます。ところが普通生命保険につきましては、払い込み保険金額から配当金の受け取り額を引いたものが三十年間で三十七万円でございます。満期の場合に受け取る保険金額が百万円といたしますと、二・七倍でございます。そういう点で、本制度のほうが生命保険よりも有利であるというふうな計算が出ておるわけでございます。
  174. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それで、今度新しく制度が変わりました分とはどれだけの差ができるわけでしょうか。
  175. 影山衛司

    ○影山政府委員 今度の新しい制度につきましては、ただいま御説明申し上げましたものよりも一〇%アップの共済金を出すわけでございます。それだけさらに有利になるわけでございます。
  176. 岡本富夫

    岡本(富)委員 その点は、五年ごとに考えてまた変えていくというのですからそのくらいにしまして、四十二年の四月現在で集まった金を見ますと一億三千六百万円ある。これを直ちに還元融資するという考えはありませんか、どうですか。
  177. 影山衛司

    ○影山政府委員 これを直ちに還元融資するということはまだ考えておりません。
  178. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうしますとあと何年して幾ら集まったら還元融資するのか、これについてお尋ねします。
  179. 影山衛司

    ○影山政府委員 中小企業退職金共済事業団の例を申し上げますと、中小企業退職金共済事業団も還元融資が法律上できることになっておりますけれども、掛け金が百億に達しました段階において還元融資を始めております。それで、それを標準にとりますと、先ほど御説明いたしましたように五年間で三十万人、それから掛け金が百億ということを目標にいたしておりますので、大体五年後くらいからは十分に還元融資ができるのじゃないかというふうに考えておるわけでございますが、ただそこまでに至りません間におきましても、現在商工組合中央金庫とタイアップをいたしまして、いま集まっておりますところの掛け金を商工中金債を買うということによりまして、商工組合中央金庫のほうでは本制度の加入者のために特別の融資を開始してもらっておるわけでございまして、一年以上の掛け金払い込み者に対しまして一口ごとに十万円単位で最高百万円まで、簡易な方法で融資を行なうということを行なっておるような次第でございます。
  180. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いま商工中金のほうにこの金を回しておる、こういうことを聞きましたが、いままで私が商工中金の実態を調べましたところが、大体中企業には案外融資もいっておりますけれども、ほんとの零細企業にはいっていない。この法律の二十三条に「事業団は、小規模企業者の福祉の増進と小規模企業の振興に寄与するため、小規模企業共済制度の運営等を行なうことを目的とする。」というようにありますが、そうしますと、現在の還元融資、要するに商工中金に出しているのは大体中企業で、零細企業には金は回ってないということになると、この法律目的と相反しているのではないかというように思うのですが、どうでしょうか。
  181. 影山衛司

    ○影山政府委員 この掛け金だけに限って申しますと、この掛け金を一億四千万円程度商工中金債を買いまして、それの見返りに加入者であるところの小規模企業者に対して還元融資をしてもらっておるわけでございます。もちろん商工中金は中規模だけというような融資方針を持っておるわけではございませんし、またわれわれといたしましてもそういうふうに指導いたしていないわけでございまして、やはり商工中金も小規模企業者にも金を貸しておるわけでございますが、還元融資という点に限って見ましても、そういう点で加入者であるところの小規模企業者に特別融資をやってもらうという特別の措置を今度とっておるような次第でございます。
  182. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうしますと、いままで加入しているところに商工中金から貸し付けたという事例、あるいはまた借りに行ったけれども貸さなかったという事例はどうでしょうか。
  183. 影山衛司

    ○影山政府委員 商工中金の本制度加入者への特別融資の実績は百六十三件で、六千八百六十五万円ということになっております。これはおそらく断わった例はないのではないかと思うわけでございます。
  184. 岡本富夫

    岡本(富)委員 先般私は当委員会でちょっと話しましたが、商工中金あるいはまた金融機関が中小企業に対して金融の措置が非常にスムーズでない。これはもう小規模あるいは中小企業者が非常に頭を痛めておる状態でございますので、もっともっと簡単な手続、これでもって金融措置をする長官の考えはないでしょうか、どうですか。
  185. 影山衛司

    ○影山政府委員 たとえば、国民金融公庫等につきましては、これは小規模零細層を対象としたところの金融機関でございますけれども、これは無担保での貸し付けをたしか二百万円までは行なっておるわけでございますが、そういう借り入れに対して簡易迅速に、手続は簡便に融資を行なっているというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  186. 岡本富夫

    岡本(富)委員 きょうはその事例を申し上げません。時間があまりありませんので……。  次は、この三十九条に評議員会云々というのがありますけれども、「事業団に、評議員会を置く。」これは七項目までありますが、今度のこの第一種共済契約について、やはりこの評議員の皆さん方の意見を聞き、どういうように答申されたか、またどういうふうにいろいろと活躍したか、これについてお答え願いたいと思います。
  187. 影山衛司

    ○影山政府委員 第一種共済契約の創設その他今回の共済制度の改善につきまして、法案作成前におきましても、数回評議員会の議を経ておるわけでございまして、元来この第一種共済契約の創設ということは、小規模事業者その他指導団体等からも要望のあった点でございます。この制度は非常にけっこうなことである、ぜひつくってほしいという意見が出ておるわけでございます。
  188. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この評議員会は十人以内で組織するように出ておりますが、現在どういう人が評議員になっておりますか。
  189. 影山衛司

    ○影山政府委員 十人でございまして、全国水産物小売団体連合会の専務理事、それから前の国民金融公庫の理事、全国中小企業団体中央会専務理事、商工会議所の専務理事、環境衛生同業組合中央会の専務理事日本トラック協会の専務理事、全国中小企業共済財団の常務理事、全国銀行協会の専務理事、全国建設業組合の専務理事、全国商工会連合会専務理事、以上の十名でございます。
  190. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この事業転換の場合、第一種共済金の支給はどういうように扱われるか、これについてお聞きしたいと思います。
  191. 影山衛司

    ○影山政府委員 第一種共済契約の共済事業は、事業の廃止、あるいは事業の第三者への譲渡でございまして、あるいは会社の解散とか事業転換の際におきまして事業を廃止するというような事態が起こりました場合には、これは共済事由になるわけでございます。
  192. 岡本富夫

    岡本(富)委員 共済理由にならないわけですね。
  193. 影山衛司

    ○影山政府委員 なります。
  194. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうしたら、この転換のときには一〇%アップの有利な共済金を支払うことになっているのですか。
  195. 影山衛司

    ○影山政府委員 転廃業と申しましても、単純に仕事が変わるという場合には、これは適用がございませんけれども、転換の際に廃業するという事態が起こりました際には、これの適用があるわけでございます。
  196. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうすると、転換の際はだめで、廃業するときはいい、こういうわけですね。――そうしますと、近促法の第十条、ここには「主務大臣は、需給構造その他の経済的事情の変化に即応して事業の転換を行なおうとする中小企業者の申出があった場合において、当該事業の転換が中小企業近代化の促進に資するものであると認めるときは、当該中小企業者に対し、その事業の転換を円滑に行なうことができるようにするため必要な指導を行なうものとする。」こうありますけれども、これとの関連はどうでしょうか。
  197. 影山衛司

    ○影山政府委員 この近促法におきますところの転換の場合の指導等の規定は、事業を継続しながら業種の転換、商品の転換を行なうという場合を想定いたしておるわけでございまして、それがスムーズに移り変わり得るように、あるいは指導をし、あるいは中小企業金融公庫等の融資を行なう、あるいは今度の事業団あたりの対象にいたすというようなことを行なうわけでございます。  この小規模企業の共済制度は、やむを得ず事業を廃止しなければいけないという羽目に立ったもの等につきまして共済金を交付するという制度でございますので、転換、すなわち事業の継続が行なわれておる場合につきましては、別途の前向きの措置で助成をするということになっておるわけでございます。
  198. 岡本富夫

    岡本(富)委員 大体事業転換なんかせなければならぬというのは、現在の仕事が行き詰まって困っておるときでありますので、たとえ百円の金でもほしい、こういうようなときですから、この点については今後ひとつこの共済金を充てられるように考えられるかどうか、これについては大臣にひとつお願いしたいと思います。
  199. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 転業する場合には、これの共済制度でなくして、ほかの金融の道をはかって転業のできるように方法を講じられると思います。この共済制度とはちょっと性質が違うと思うのです。この共済金をもらうというわけにはいきませんが、ほかの方法で転業のできるような方法を講じてあげたい、こういうことでございます。
  200. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そういうような話があると思ったのですが、実際言いますと、転業しなければならぬような人は、もう家屋も機械も、何もかも全部担保に入っております。ですから、仕入れにしましても、結局は新しいところから品物を仕入れなければならぬ、そうすると、勢い現金が要る、こういうことで、ほんとうにもう行き詰まっての転業ですから、救済方法を講じてあげるということは、事実口では言えますけれども、これはなかなかうまくいかない。ですから、このときは、もういままで掛けた掛け金、生命保険も掛けたうちから、だいぶ損するけれども、それもやめて……、こういうくらいにほんとうに行き詰まって、そして立ち上がっていくというのが現在の中小企業の姿なんです。御承知のように、いま中小企業がどんなにたくさん倒産しておるか、どんどん倒産がふえておる。こういう面から見まして、ここでひとつ考えてもらいたい、私はこういう要求をしておるわけであります。どうですか。
  201. 影山衛司

    ○影山政府委員 そういう行き詰まりまして倒産に至るような場合は、これは事業の廃止あるいは会社の解散等があるわけでございます。その場合は共済金を給付する対象になると思います。それから転換の場合におきまして、先生御指摘のように、いろいろと資金がほしいという場合が多いわけでございますが、その場合にはただいま大臣が申しましたように、別途助成の措置あるいは金融上の措置等も講ずるわけでございますが、もしもこの小規模共済事業に加入をしておる人が、そういう場合にどういう措置があり得るかということになりますと、これで還元融資ができるようになりました際には、そういう場合には還元融資の一つ対象にはなり得るのではないかというように考えておるわけであります。先生御指摘の点につきましては、ますますこの制度自体がいろいろな点で改善をしていかなければいけない点もございますので、今後とも検討は続けてみたいと思います。
  202. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それは今後もう一ぺん検討して改善をしてもらいたいと思うのです。なぜかならば、現在加入状況を見ましても、通産大臣は大阪ですが、大阪は非常に少ないですね。各県見ましても……。この普及率が非常に少ないというのは、やはりあまり有利でない。それからPRも少ないのですけれども、なかなか商売人は利にさといですから、完全なまた非常に有利なそういうものをしていかないと、ほんとうの救済制度はできないのじゃないか、こう思うわけであります。それに対して大臣から最後の表明をいただきたいと思います。
  203. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 大阪が少ないということはいま初めて聞いたのですが、それはPRが足らぬのか、その点は私もはっきりわかりませんが、大阪人というものは利益であればそれは進んで入りますが、なかなか目の前に利益が見えぬと進んでやらない性格を持っておるものでありますが、その点についてPRを大いにやらなければならない、こう考えます。
  204. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それはそのくらいにしまして、今度は協業組合の問題ですが、これを私ずっと拝見させてもらいますと、大体目的とかあるいはいろいろなものを見ますと、会社法とよく似ている。目的は営利、公益の中間的法人あるいはまた議決権のところ、これは今度は出資割りになってくる。そうすると会社法と似ておりますし、それから任意団体ですか、これも会社法とよく似ておる。それから競業禁止、ここのところも組合員、これは即役員になるわけですが、そうすると中小企業団体組織に関するこの組織法とちょっと違うのではないか、こういうようにも考えられるわけですが、どうでしょうか。
  205. 影山衛司

    ○影山政府委員 この協業組合が一つ企業体であるという点につきまして、会社と類似いたしておるようなわけでございますけれども、協業組合は会社制度と異なる面がたくさんあるわけでございまして、まず第一番目に、会社制度によりますと、一つの政策目的が与えられておるわけでございます。この協業組合につきましては中小企業構造の高度化という……。その政策目的を何ら確保する、担保する道がないわけでございます。これが第一点でございます。  それから第二点は、構成員につきましては、そういう政策目的を確保する意味から見まして、中小企業者に原則として限られておるわけでございます。ところが会社につきましては、大企業でもあるいは個人でも、だれでも会社の株を持ち得るわけでございます。そういう点で、構成員につきましての限定があるわけでございます。  それから組合員全体に対しまして競業禁止の義務がございまして、企業全体の、協業組合の事業全体の協調性を保つという点がまたこれによって確保されているような次第でございます。またさらに組合員の協調性を確保するために法定脱退制度あるいは除名制度というものがあるわけでございますけれども、会社制度にはそういうものはないわけでございまして、そういう点につきまして、会社につきましては、資本原則によりまして割り切られておるわけでございますけれども、事業経営企業性を発揮しやすいけれども、この協業組合は人的色彩というものを強く打ち出しておるわけでございまして、そういう点で会社とは違う。そうしてまた協業組合は組合でございますので、中小企業の団体であるということが言えるのではないかと思うわけでございます。
  206. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そういう点でこの中小企業団体に入れたと思いますけれども、いままで政府がたくさんの協同組合あるいは企業組合、こういう中小企業に対するいろいろ施策をされておりますけれども、一つ例をとりますれば、これは兵庫県の場合ですが、県下の協同組合あるいは商工組合、この半数が休眠組合です。すなわち寝ているわけです。書類も出さないし、役員もいないわけです。こういうのが半分ある、こういうように言われておるわけですが、こういうようになった事情ですね。どういうわけでこういうようになったのか。これは相当考えておきませんと、また協業組合をたくさんつくった、それは半分寝てしまう。寝たやつばかりたくさんできても、いま御熱心に大臣が検討されておる中小企業対策の大きなそごを来たすのじゃないか、こう思うわけですが、なぜこんなにたくさん寝ておるのか、それについて長官の意見を承っておきます。
  207. 影山衛司

    ○影山政府委員 先生御指摘のように、協同組合の中に休眠組合が相当数あるということは御指摘のとおりでございます。こういう休眠組合ができますのは、やはり中小企業者の共同化あるいは協業化に対するところの考え方が、まだ十分熟していない点もあるのではないかというふうに考えるわけでございます。共同化あるいは今度つくりますところの協業組合の場合には、やはり自分たちがしつかり腹をきめまして、協調性を保ちながら事業活動を行なっていくということが必要であるわけでございます。そういう点につきまして、今後は協同組合を結成し、あるいは協業組合をつくります際には、中小企業庁もあるいは商工会中央会並びに県というようなものを通じましてよく指導をいたしまして、そういういいかげんな組合をつくらないように、ひとつ今後指導していきたいと思うわけでございます。
  208. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そういういいかげんな組合をつくらない、そうすると今度は逆に言いますと、りっぱな組合がどの程度設立される見込みなのか、これについて長官の今後の見通しについてお聞きしたいと思います。
  209. 影山衛司

    ○影山政府委員 もちろん協業組合の設立の指導を十分行ないながら移行をさせあるいは設立をさせなければいけないわけでございますが、現在中小企業の事業協同組合の中で全協業にまでほとんど至っておるという組合が約二百あるわけでございます。そういうところをひとつ主体にいたしまして指導しながら発展をさしていきたいと思うわけであります。さらに現在相当広範囲の業界、たとえばパン、みそ、しょうゆ、家具、クリーニング、製材あるいは港湾荷役あるいは鋳物というような業界から積極的にこの制度の内容についての照会がまいっております。まだそういう数ははっきりいたしておりませんけれども、指導いたしながら設立をさせるというふうに考えておるところでございます。
  210. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そこで大体この協業化しようとする事業というものは非常に零細な企業だと思うのです。これは前にも長官にお聞きしたと思うのですが、現物出資の問題ですけれども、現物出資する場合に、これはもう一ぺんはっきりしておきたいと思うのですが、ほとんどみな現実は抵当に入っています。そのままだったら受け取らない。要するに今度この協業化されるほうが、あとの二軒なら二軒が、そういう抵当に入ったものを受け取るわけはないと思うのですが、そういう場合の救済措置と申しますか、現在抵当に入っている、抵当を抜かなければならぬ、こういう場合はどうすればよいか、実際について長官の意見を承りたいと思います。
  211. 影山衛司

    ○影山政府委員 抵当に入っておる土地、機械類も法律上現物出資をすることができるわけでございます。ただそれがそういう付属物のついているところの現物出資はなかなか協業組合側としては受け入れかねるという場合も多いと思うわけでございます。そういう場合にはやはり結局のところ、出資に必要な金というようなものも商工中金等が信用保険制度を利用いたしまして、やはりこういう前向きの金につきましては融資をするように指導していきたいと思うわけでございます。こういう点はやはり具体的な問題でございますから、ケース・バイ・ケースに相談を受けながらやっていきたいと思うわけでございます。
  212. 岡本富夫

    岡本(富)委員 ではこういう場合はケース・バイ・ケースですから、それぞれ絶えず中小企業庁に相談すれば、要するに通産省に相談すればいけるわけですね。ケース・バイ・ケースというが、全部赤になったらまずいですか。
  213. 影山衛司

    ○影山政府委員 中小企業庁もございます。それから各地に通産局もございます。通産局のほうには中小企業のためのそのような相談室を設けておりますから、そちらのほうで相談に応ずるということになっております。
  214. 岡本富夫

    岡本(富)委員 次に申し上げたいことは、スーパーマーケットがどんどんいまできてきまして、零細な小売り商店が倒れていく、小さな商店が集まって協業化しましても、やはりどうしてもスーパーの大企業の進出でみんなやられてしまう。こういう場合を考えまして、したがって、このスーパーの規制法をつくる必要があるのではないか。たとえば百貨店法の、規制法のようなものをつくらなければならないのじゃないか、こういうふうにも思うのですが、長官どうでしょうか。
  215. 影山衛司

    ○影山政府委員 数年前に、小売りの分野におきまして流通革命ということが叫ばれまして、非常にスーパーマーケットの脅威ということが叫ばれたわけでございます。それに対しまして、小売り商の団体の人たちから、スーパーマーケットの規制法というものをつくってほしいという御要望もあったわけでございますけれども、一方におきまして、中小企業者の保護という点も大事でございますけれども、消費者保護あるいは物価対策というような見地から、あるいは小売り商の近代化というような点から申しまして、スーパーマーケットというものは新たな一つ近代化の形でもございますので、これを規制するということは私どもは行なわないという方針を立てたわけでございます。そのかわり、零細な小売り商の人たちも寄り合いまして、協業スーパーでありますとか、あるいは寄り合い百貨店を前向きにつくっていくというような人たちにつきましては、過去におきましては高度化資金の対象にいたし、今後は中小企業振興事業団の対象にも積極的にしていくというかっこうで、前向きにこれを解決をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。また零細な小売り商と、大きな、大資本によるところのスーパーマーケットの問題につきましては、各県庁あるいは通産局あるいは場合によりましては中小企業庁というようなものが間に入りまして、事実上そういう点の紛争の調停等も行なった例もございます。今後もそういう方向で、行政指導としてそういう調停を行なっていきたいと思うわけでございます。
  216. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いま現実に神戸に港川スーパーというのがあるのですが、これは資本金四千五百万円、これくらいだったら相当なものだったのです。それがこのほど資本金一億二千万円ですか、このスーパーチェーンふたぎ、ここに身売りするようになった。これはいままで協業をやっていたのですが、やはりこの大企業の攻勢には勝てなくて、そうしてこういうふうに身売りするようになりました。いま協業スーパーに対してはいろいろと手を打っている、こういう話がありましたが、これは神戸でも相当なところなんです。これがこういうふうに倒れていくというこの現実の面を見まして、若干スーパーの規制法もつくらなければならぬじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうでしょう。
  217. 影山衛司

    ○影山政府委員 規制法をつくりましても、例の小売商業調整特別措置法で実例がございますように、次から次へと抜け道をつくってまいりまして、一片の法律を出しただけではなかなか解決がつかない問題が多いわけでございます。それと同時に、先ほど申し上げましたように、消費者行政あるいは物価対策というような見地から、小売り商も新しい形態でのスーパーマーケット形式で企業近代化を行ない、あるいは労務者不足に対処していくということが必要な企業形態でもございますので、いたずらにスーパーマーケットを規制していくということは、私どもはむしろ好ましい方向ではないというふうに考えておるわけでございます。港川スーパーの場合等におきましても、やはりこれは経営管理自体につきましていろいろ問題もあったことかと思うわけであります。そういうスーパーマーケット、これが中小企業で行なわれておる場合におきましては、スーパーマーケットとしての経営管理のやり方等につきましても、これは県の総合指導所等も中心になって指導を行なっておるような次第でございます。そういう点で経営管理の合理化というような指導を通じまして、育成をしていくという方向でできるだけやっていきたいと思います。
  218. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうすると、中小企業振興事業団もできたのですから、今後そういう協業スーパーあたりはどんどん企業診断し、指導し、また助成をしていく、こういう考えですね。わかりました。  それではその点は時間がありませんので、次に聞きたいことは小売り市場ですね。小売商業調整特別措置法ですか、これによって市場が許可になっておりますが、この市場は、今度新設しようとすると、既存の市場から距離が幾らとか、そういうような規制があるように聞いているのですが、どうでしょうか。
  219. 影山衛司

    ○影山政府委員 小売り市場を設置いたします際には小売商業調整特別措置法の要件に該当するものにつきましては、都道府県知事の許可を必要とするということになっておりまして、その許可の基準が一定の距離の制限をいたしておるということになっておるわけでございます。
  220. 岡本富夫

    岡本(富)委員 ところがそれがざる法でございまして、いまどういうようにやっているかと申しますと、地図を持っておりますけれども、兵庫の西宮市にみやこ市場というのがあるのですが、その近所に、距離はあるらしいのですが、その距離内に幅四メートルぐらいの道をつくって、その両側に二軒、三軒ずっと家を建てる。そしてこれが商店街になっておる。八百屋と魚屋が入っていなかったら普通の商店だから一応市場とみなさないが、そこにちゃと屋根をして、魚屋も八百屋も入れちゃう。それに対して五十万円以下の罰金があるわけです。そういうようにいたしまして、いままで大体払った罰金を見ますと、二十万ぐらいらしい。一軒で一万円ずつ罰金を出したらもうおしまい、そうしたらそのままずっと市場でいける、こういうのが現在の法の姿である。現実にそうなんです。私どものほうにもその点について詳しいいろいろなデータを持ってきておるわけですけれども、そういうようなことではこれは小売商業調整特別措置法というりっぱな法律もしり抜けだと思うのですが、これについて長官の意見を聞きたいと思うのです。
  221. 影山衛司

    ○影山政府委員 先生御指摘のように違法な市場というものがございまして、それに対しまして告発を県あたりがやっております。その告発によりまして、裁判を受け、罰金を課す、刑を科せられるわけでありますけれども、その罰金刑を払ってもなおかつその違法な市場を営んでおる。これは、遠法な市場の中に入る小売り商の人たちが悪いわけではございませんで、小売り市場自体を建設してこれを分割譲渡しあるいは貸与する、そういう業者が主として悪いわけでございますが、罰金を払いながらもやはりそういう違法な市場を続けていくという順法精神を欠くところの人たちがおるということは、これは私は日本全体にとりましても非常に不幸な例ではないかと思っておるわけでございます。
  222. 岡本富夫

    岡本(富)委員 処置としまして既存の業者、いまやっておるのはもうしかたがないと思うのです。いま長官から話があったように、そういうような不動産業者あるいは建築業者に対して罰則を加えていかなければ、この小売り市場というものは保護できないというように思うのですが、今後どういうように処置をされるつもりであるか、それを聞きたいと思うのです。
  223. 影山衛司

    ○影山政府委員 私どもといたしましては、都道府県と一緒になりましてこれの摘発と指導を行なっていきたいと思うわけでございますが、一方におきまして適法な市場を営んでおってまじめにこれを営業しておるという人たちにつきましては、むしろ協業化という方向にこれを指導いたしまして、近代的な小売り商の協業の形におけるところの市場形態を営ませまして、それをやはり助成の対象として、たとえば中小企業振興事業団の助成の対象にしていくというように、まじめに適法にやっているところの小売り市場を指導助成していくという形でも問題の解決をはかっていきたいと思うわけでございます。
  224. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうすると、いままでの小売り市場に対しては助成措置をしてそれでやる。今後建ってくるそういうものに対しては、どういうような方法で摘発し、またどういうような罰則を加えどういうようにするのか、これをひとつ明確にしていただきたいと思うのです。
  225. 影山衛司

    ○影山政府委員 小売商業調整法に規定されておりますところの要件がいろいろとあるわけでございますが、それら要件を満たしていない市場ができておるというものにつきましては、都道府県知事のほうで告発をする、これは厳重に励行をしていきたいと思っておるわけであります。
  226. 岡本富夫

    岡本(富)委員 ではそれはそのくらいで、あとは実例を見せていただきたいと思います。  これに反して今度は消費者の側に立って物価対策、これが一番問題になっておりますが、再販規制法案がこの国会に上程されるような話があったのですが、それが業界の猛反対でつぶれてしまったということなんです。これについて、公取の方見えておりますか。――一言聞きたいと思います。
  227. 柿沼幸一郎

    ○柿沼説明員 公正取引委員会といたしましては、昨年夏の物価問題懇談会の勧告もございまして、現在の再販売価格維持契約規制の規定を強化いたしますことを検討いたしてまいったのでございますが、本年四月下旬一応単独立法の要綱をまとめまして、その線に沿いまして立法化を急いでおったわけでございます。ただ、独占禁止法に基づく法律としてこれをつくるわけでございますが、規定の上に法律技術的にいろいろむずかしいこともございますし、それから規制の対象が現在変転きわまりない流通段階の問題でございますので、法制局の指導を受け関係各省と鋭意検討を進めてまいっておったわけでございますが、今国会中に提出する見込みが立たなくなりましたので、もう少し時間的に余裕をいただきたいということで、提案を断念いたした次第でございます。
  228. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうすると、次の国会にはそれが提出されるという見込みなんですね。
  229. 柿沼幸一郎

    ○柿沼説明員 引き続き検討を進めまして、できるだけ早い機会に立法の措置をとりたいということで努力いたしております。
  230. 岡本富夫

    岡本(富)委員 では、それはそのくらいで……。  せっかく通産省のほうで企業団地――これは姫路の中小鉄工団地ですが、これができたのでありますけれども、いまは山陽新幹線がその中を通るようになった。それで盛んに騒いでおるわけですが、影山中小企業庁長官はこのことは御存じでございましょうか。
  231. 影山衛司

    ○影山政府委員 本件につきましては承知いたしておりまして、現在大阪通産局を中心にいたしまして、国鉄、兵庫県それから姫路市、それから組合の間で話し合いを続けておるような次第でございます。
  232. 岡本富夫

    岡本(富)委員 斎藤工事課長が見えているのですね。――この問題についての御意見を承りたいと思います。
  233. 斎藤徹

    ○斎藤説明員 いま問題になっておりますルートにつきましては、昨年の暮れにルートを発表したわけでございますが、御存じのように新幹線は現在の姫路駅の裏に併設するということがきまっております。それから線路の近くを、将来のスピードアップに備えまして、最初は四千メートルという非常に大きな半径で回らなければならない、そういうような規格上の制約もございまして、それから前後にかなりの大きな集落もございまして、技術的に選びましたルートが、たまたま団地と国鉄の山陽本線の間に七メートルの道路がございますが、ちょうどその道路の上空使用というような形に、われわれのほうでルートを選んだわけでございます。それにつきまして、まだ実は測量もやっておりませんので、具体的な設計ができておらないので、こまかいお話を団地関係者の方々とできる段階にはまだ至っておりませんので、具体的に将来どういうふうにするかあるいは条件をどういうふうにするかというような問題は、目下折衝中である段階でございます。
  234. 岡本富夫

    岡本(富)委員 せっかくこうして鉄工団地を通産省のほうで力を入れてつくって、そしてここへ新幹線が通ってつぶしてしまう、こういうことになりますれば、これはちょっとまずいと思うのです。そこで、先般運輸委員会のときに、大橋運輸大臣は非常に紳士的な態度で、成田の空港についても現地との話し合いが少なかった。ほんとうは白紙に戻してもう一度話し合ってみたい、こういうような気持ちだ。また山陽新幹線につきましても、いまのこの問題に関係するわけですけれども、尼崎あるいは西宮においては、国鉄は一方的である、現地の人たち意見を少しも聞かない、こういうことを私のほうに言ってきているわけです。いろいろな点から考えますれば、せっかく姫路にできたところの鉄工団地も、あなたのほうの国鉄が一方的にやってしまう。そしてあとで問題が起こるのじゃないか、こういうふうに思うわけでありますので、その点についてどうでしょうか。
  235. 斎藤徹

    ○斎藤説明員 山陽新幹線のルートにつきましては目下のところ全線運輸大臣に認可をいただいておりますが、ルートを選定するにあたりましては、事前に地元の方々の御意見を一々聞いてルートを選ぶということは事実問題としてはいたしておりませんが、現地のいろいろな客観情勢、いろいろな条件をすべて考慮に入れまして技術的にいろいろなルートを選びまして、その中で社会的に及ぼす影響の一番少ないものということでわれわれはルートを選ぶわけでございまして、ただ、その選んだルートについて一方的に仕事を強行しようという意思は毛頭ございませんので、あとは具体的な設計をいたしまして、条件その他につきましては十分地元の関係者の方々とお話し合いをして納得の上で工事を進めたい、こういうふうに考えております。ただいまの団地の問題につきましても今後できるだけ具体的な設計をやりまして、団地工場その他の機能に支障を与えないような具体的な設計を考えまして、お話し合いをしたいということでございます。
  236. 岡本富夫

    岡本(富)委員 これについて運輸大臣は、国鉄が一方的になってはいけないというわけで認可をするのを三月延ばした、こういう話だ。国鉄が地元の人とよく話し合うかどうか、その期間を置いたのだ、こういう話でありましたが、いまのお話を聞きますと、やはり現地の人とは一々話をしてからやっていると間に合わないし、またそういうことはしないのだという話であります。したがって運輸大臣の考えとは若干違うと思うのです。そこで今後現地の方とよく話をしないとトラブルが起こるのじゃないか、こう思うわけです。この姫路の鉄工団地については、どうかひとつ通産省の影山長官あたりが中に入って調整しながら、トラブルが起こらないように特にお願いしておきたいと思います。要望しまして、私の質問を終わります。
  237. 島村一郎

    島村委員長 次会は来たる十八日火曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十六分散会