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1967-07-11 第55回国会 衆議院 商工委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十一日(火曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 河本 敏夫君    理事 田中 武夫君 理事 中村 重光君    理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    岡本  茂君       倉成  正君   小宮山重四郎君       小山 省二君    齋藤 憲三君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       田中 六助君    丹羽 久章君       橋口  隆君    三原 朝雄君       武藤 嘉文君    石野 久男君       岡田 利春君    佐野  進君       中谷 鉄也君    平岡忠次郎君       古川 喜一君    塚本 三郎君       吉田 泰造君    近江巳記夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      荒井  勇君         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         経済企画庁総合         開発局長    加納 治郎君         外務政務次官  田中 榮一君         外務大臣官房長 齋藤 鎭男君         外務大臣官房会         計課長     鹿取 泰衛君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業大臣官         房長      大慈彌嘉久君         通商産業省通商         局長      山崎 隆造君         通商産業省貿易         振興局長事務代         理       高橋 淑郎君         通商産業省重工         業局長     高島 節男君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君  委員外出席者         議     員 倉成  正君         議     員 中村 重光君         外務大臣官房外         務参事官    内田  宏君         外務大臣官房営         繕管理官    塚本 良次君         大蔵省国有財産         局国有財産第一         課長      竹内  勉君         文部省大学学術         局学生課長   石川 智亮君         労働省職業安定         局業務指導課長 保科 真一君     ――――――――――――― 七月六日  委員中谷鉄也辞任につき、その補欠として下  平正一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員下平正一辞任につき、その補欠として中  谷鉄也君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員櫻内義雄辞任につき、その補欠として倉  成正君が議長指名委員に選任された。 同日  委員倉成正辞任につき、その補欠として櫻内  義雄君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月六日  液化石油ガス保安確保及び取引適正化に  関する法律案内閣提出第一四六号) 同月十日  離島振興法の一部を改正する法律案早期成立  に関する請願(池田清志君紹介)(第二七八六  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月五日  資本取引自由化に関する陳情書  (第二二六号)  同(第二八  一号)  資本取引自由化等に関する陳情書  (第二八二号)  輸出振興に関する陳情書  (第二八三  号)  人口激減地域総合的振興対策確立に関する陳  情書  (第二九七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石油開発公団法案内閣提出第六七号)  離島振興法の一部を改正する法律案倉成正君  外二十一名提出衆法第三〇号)  液化石油ガス保安確保及び取引適正化に  関する法律案内閣提出第一四六号)  貿易学校法案内閣提出第五六号)      ――――◇―――――
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  理事会の協議に基づきまして内閣提出特定繊維工業構造改善臨時措置法案審査のため参考人から意見を聴取することとし、その人選、日時、手続等に関しましては委員長に御一任願っておきたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 島村一郎

    島村委員長 内閣提出石油開発公団法案を議題として審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 それでは鉱山局長お尋ねいたします。  危険物取り扱い規制に関する問題です。給油車及びガソリンスタンド、そうしたところにおける火器あるいは器具等取り扱いに関しては、危険物規制に関する政令が制定されておるわけですが、ところが私どもスタンドに行ってみますと、タイヤ修理を、危険物との間に障壁を設けていないところでやっておるというところを目撃をするわけです。非常な危険を感じるわけです。だから、そうした政令はあるわけですが、取り締まりの面においてどのようにやっていらっしゃるのであるか。法の不備という点も私はあるのではないかと思いますし、行政指導が不徹底であるというような面もあるのではないかと思います。  なおまた、時間の関係から、私が問題点指摘をしてお答えを願いたいと思うのでありますが、このパンク修理に対しては、技術者の身分というか、免許制になっておるのではないか、いわゆる技能者検定という制度があるわけです。そうした修理をやっている人は、すべて技能者検定資格を有する者でなければならないのではないか、その点どうなっているのか。以上の諸点についてお答えを願いたいと思います。
  6. 両角良彦

    両角政府委員 お答えいたします。  ガソリンスタンドにおきまする保安につきましては、直接は消防法によりまして規制が行なわれておりまして、御承知のようにガソリンスタンド設置許可制がとられております。それは一定の施設基準に該当いたしたものが許可をされる、かようになっておるわけでございます。この場合、ただいま御指摘のございました火災予防上の構造につきましては、特に道路あるいは隣接構築物との間の境界線からの距離が規定をされておりまして、タイヤ修理その他の事業の遂行上周辺地区に危険が及ばないような基準が設けられておる次第でございます。その基準に即して許可が行なわれておると承知をいたしております。なお、責任者技術上の資格等につきましても、消防法上の規制がとられておると承知しております。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 お答えのとおりだろうと思うのです。ところが現場においでになって、あなた見られたかどうか。私は何カ所かのガソリンスタンドへ行ってタイヤ修理をやっている現場を見ているのです。ところが障壁も何もないのです。そこで火器を扱っている。非常に危険であると思います。ですから何か遮断設備をしなければならないのではないかと思います。これをやってないということは、いまあなたがお答えになったような、いわゆるそうした規制というものに対して、それを守っていないということになるわけですから、もしこれは大火災が起こったらどうするか。私が調べてみたところによりますと、日本ではそうした火災というものは起こったことはないのでありますが、イギリスではたいへんな大きな火災が起こったということがある。いままで私どもの常識ではあり得ないであろうというようなことで、先般例のダムが一部決壊をするという事故が起こったわけですね。たいへんなことだと私は思う。ですからガソリンスタンドに対して、火器を使いながらこれに遮断設備がないということを放置しておくということは絶対に許せないことだと思うのであります。だから、いまあなたがお答えになったとおりであると思いますから、そのとおり消防法によってやる、また一連の行政指導というものをとる必要があろうと思うのであります。それをやってないということになるのであります。  それと、いまの技能検定の問題ですけれどもパンク修理をやっている人は、私は免許を持っている人がやっていると思いますが、非常に未熟な技能者というか、未熟な人がやっておるのではないかと思う。その点も問題があると思うのであります。その行政指導の面について、あるいは政令というのですか規則というのですか、そういうことを再検討して、もっと厳格な規制を行なうということにする必要があるのではないかと思うのでございます。
  8. 両角良彦

    両角政府委員 ガソリンスタンド保安問題は今後ますます重要な問題であろうかと存じます。ただいま御指摘のございましたように、ただいま政令によりまするスタンド保安基準の中で、周囲には二メートル以上の障壁を設けろというふうな規定になっておりますが、それがはたして現実に十分順守されているかどうかというような点、あるいは技能者技能十分水準に達しておるかどうかというような点は、今後消防庁あるいは運輸省十分連絡をとりまして、実態に遺憾のないように努力をいたしたいと存じます。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 いままでどうなんですか。そういうタイヤ修理ということに伴って、何らかの事故が起こった、まあ大火災は発生しなかったけれども事故が起こったという事実はないのですか。それから私、昨日電話で様子を伺ったのですが、行政指導をやっているのだということであった。行政指導をやっておるのに、いま私が申し上げたとおりの現状ですから、行政指導はどういう行政指導をしていらっしゃるか。また行政指導をやっておるというが、これではいけない、だからこれをそういう基準に従って設備をやれというようなことを、現場を見て、その認識の上に立って指導していらっしゃるのか。それならば、そういう行政指導の結果を追跡調査等をやっていらっしゃるのであるかどうか、その点どうなんですか。
  10. 両角良彦

    両角政府委員 スタンドに関しまする行政指導で現在通産省が行なっておりますのは、スタンド設置の場所をきめます基準につきまして行政指導を行なっておりますが、個々のスタンド保安の順守につきましては、これは消防庁の権限になっておりまして、当省としては直接行政指導としての行政は行なっておらない次第でございます。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 だから、消防庁昨日から出席要求をしているんだけれどもまだ来ていない。だから次の質問に入りたいと思うんだけれども、これはやむを得なくてあなたにお尋ねをしている。それから、昨日私がその行政指導をやっているかと電話で尋ねましたところ、やっているということであったのだが、ガソリンスタンドタイヤ修理をやっているということについて、私は尋ねたんだから、その行政指導というものはそれじゃ具体的にどうやっておるのかということについては、いまのあなたのお答じゃなくて、これは消防庁がやっているんだから、通産省は直接関係はないのですというのであるならば、それじゃその行政指導というものはどういうものなのかということになるわけですね。だから消防庁との連絡というようなものを密にして、事故が起こらないというような対策指導というものが当然なされなければならないと思いますね。そういう点から申しますと、いまのあなたの答弁は私は不十分だと思います。
  12. 両角良彦

    両角政府委員 ガソリンスタンド保安がきわめて重大な問題であるという点は私ども全く同感でございまして、この保安対策といたしましては、通産省が今後とも消防庁並び運輸省十分連絡をとりまして、あらゆる方面からする行政指導につきまして、万全の体制を整えたい、かように考えます。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 それでは時間の関係がありますから次に進みます。  総合エネルギー供給の六〇・五%を石油は占めておる。そこでこのエネルギー伸び率というのは、大臣承知のとおり一一%程度の伸びですね。そうなると石油比重というものは非常に高まってくるであろうということは十分想像できるわけです。将来の石油に対する比重というものは変わってくると思いますけれども現状においては中核であるということはまた事実である。そういう点から今度の石油開発公団法案の提案という形になったと思うのでありますが、各委員が数日間にわたって質疑をいたしておるわけでありますが、それに対する政府側答弁を実は聞いておりますと、海外原油開発が非常に重要であるという点は強調しておられるわけであります。ところが、総合エネルギーの中における石油位置づけというものをどう考えておられるか。特にこの海外原油開発、この位置づけというものをどのように考えていらっしゃるのかということが必ずしも明確ではございません。ですから基本的な問題でありますから、その点をひとつ明確にお答えを願います。そして具体的な問題について入ってお尋ねをしてみたいと思います。
  14. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 石油開発公団並びに石油エネルギー資源における位置づけについては、いままで私からもまた政府委員からも大体お答えしたつもりでありますが、将来エネルギー資源としては石油が最重要性を帯びておるということはもう皆さん御存じのとおりであります。したがいまして、不幸にして日本国内石油資源がないために、海外から石油供給を仰がなければならない。しかも、従来は外国資本によって供給されておるということについて非常な不安定があるということで、総合エネルギー調査会答申にありますとおり、低廉かつ安定的な供給を仰ぐためには、日本資本海外油田開発をやるべきであるという答申を得ておりますので、その答申に基づいて石油開発公団というものを設けまして、そして実質的に安定かつ低廉な石油供給確保したいというつもりでこの法案を出した次第であります。したがいまして将来におきましては、昭和六十年におきましては大体この石油開発公団によって確保する石油が全体の石油量の約三割を占めるというような計画をいたしておりまして、それによって石油の低廉かつ安定的な供給を仰ぐということにしたいと思います。  なお、最近の中東問題によりまして、中東だけから石油供給を仰いでいることには安定性を欠きますので、したがいまして世界各国油田開発にあたりたいというような考えをいたしておりますし、同時に、できれば日本国内あるいは日本の近くにおいて石油油田開発をやりたいというようなことで、それについての調査費もまた別に計上いたしておることでありまして、とにかく必要な石油量はどうしても確保するということで、今後いろいろの対策考えておる次第であります。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 大体いまお答えになったような点、いままでの各委員質問お答えになっているわけですね。そこで私がやはり政府考え方が明らかでないということでお尋ねをした点に、四十二年三月十三日の閣議決定であったと思うのですが、経済社会発展計画、これによりますと昭和四十二年度から昭和七六年度までの経済運営の指針として海外原油開発のための施策を拡充する。そしてこの計画期間中の重点政策ということにこれが明示されておるわけですね。その一カ月前であったと思いますが、総合エネルギ調査会答申が行なわれている。それによりますと、「エネルギー政策の展開」ということで、石油政策が明らかにされておるのでありますが、それによると、いまお答えがございましたように原油低廉安定供給確保という点を非常に重視し、その一つとして昭和六十年度において総原油所要量の約三〇%を海外開発原油供給するということを目途として「そのために必要な規模の開発を行なうべきである。」そのための体制として公団形態による総合的推進母体の設立をはかり、効率的に推進すべきであるというように示されておるようであります。  そこで政府はこの答申を受けて今回の公団をつくるということになったと思うのでありますが、これはわかります。ところが、その前提であるべき海外石油開発目標というものが樹立されていないのではないかということを、私はいろいろ答弁を伺いましてもその疑問がやはり解けない。そこでまず総合エネルギーの中の石油、なかんずく海外開発原油をどう位置づけするのかということを先ほど私はお伺いしたわけでありますが、その答弁を聞きましてもその点はやはりはっきりいたしません。私の疑問は解けない。特にここで疑問を解けないという問題を具体的に申し上げるのでありますが、答申されたその中身に三〇%開発確保するという点があるのでありますが、この点に対しまして各委員質問に対しても明確でない。明確でないということよりも大蔵省主計官答弁であったと私は思うのでありますが、これは政府施策として決定しているわけではない、そういう答弁があったということであります。ここを私はやはり問題にするのであります。石油開発公団をつくるその前提は、やはりこの三〇%の開発をやるのかどうかということです。その前提を忘れて、ただ形だけをつくっていくということには問題があるのではないか。そうなりますと、この公団そのもののあり方というのがやはり問題になってくるわけであります。あとでずっとお尋ねをしていきたいと思うのでありますけれども、やはりそこに公団の性格づけというものが変わってくるのではないかというように思うのでありますが、まずこの三〇%の問題をどのようにお考えになっていらっしゃるのか、大臣の明快なお答えを伺ってみたいと思います。
  16. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 三〇%の石油確保するについて、地点については大体目標を持っておるのでありますが、問題は、資金のことが問題になると思います。これは、私がこの前のこの委員会お答えしましたとおり、今後の日本産業というものは、石油確保しなければ産業発展はできないのでありますから、したがいまして、その必要な石油量というものはどうしても確保しなければならぬ。そこで必要な石油確保できないということであれば、日本産業はストップする、あるいは停滞するということになるのでありますから、日本産業経済発展せしめるという意味において、どうしても必要な石油確保する、その必要な石油確保するに必要な資金、これはまた確保しなければならぬということで、その点については、今後大蔵省とも折衝して、やるつもりでありますし、また、今度の石油開発公団を設けるについても、大体公社、公団を新設しないという政府の方針でありましたが、この石油開発公団は、エネルギーの百年の大計を立てるという意味において、総理も大蔵大臣も快くこの開発公団の新設を認めることになったのであります。でありますから、政府全体として、今後、石油資源確保するということについては、おそらくだれも異論も唱えず、将来とも、資金の点においては私は確信を持ってお答えすることができるのじゃないか、こう考えております。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 必要な石油確保しなければならぬ、いわゆるエネルギー低廉安定供給ということですね、そのためには必要な資金が必要である、当然な話です。ところが、大臣が、中東動乱の教訓であるとか、それから石油というものが産業のいわゆる血液であると重要視しておるという点からいたしまして、そのことを絶えず各委員質問に対しましても強調されてまいりました点からいたしましても、どうも必要な資金というものが確保されない、現段階においてはまだそこまでいっていないのだ、だから一応の目途としては三〇%ということは考えておるのだけれども、まだそれを確認するまでに至っていないのだという点は、私はどうしてもその点が抵抗を感じるのですよ。石油開発公団というものを、板川委員質問に対してあなたはお答えになったと思うのでありますが、石油政策の転換であるともお答えになったのですね。それから石油政策確立であるともお答えになったわけです。それほど石油開発公団というものをあなたは重視していらっしゃるのでありますが、その石油開発公団中身がこれでいいのかどうかという点です。御承知のとおりSKは探鉱もやっておりましたが、採取業務もやっておったですね。今度の開発公団は、この直接の業務であるところの採取業務というものをやらない。これはどうしてであろうかと私は疑問に感じておるのであります。いろいろ伝えられるところによりますと、業界がこれに反対をしたのだ、そこで妥協の産物としてSKがいままでやっておりました業務を、三年間はこれをまず継承してやろう、そして三年後にはこれを分離をしていくのだということになっておるようであります。あなたがお答えになっておりますように、私は海外原油開発というものはきわめて重要であると思います。そういう観点からいたしまして、この海外油位置づけというものは、きわめてこれは重要な問題点であるわけでありますから、まずこれどうするのかということをおきめにならなければならない。御承知のとおり、石炭問題に対しましては、一次、二次、三次と調査されて、答申が行なわれてきた。そのつど政府は、石炭政策大綱というものをお立てになった。今度の審議会答申に対しましても、五千万トンというものを直ちに政府はこれを大綱として決定をなさったわけです。ならば、この海外原油の場合におきましても、いろいろ資金の問題もありましょうが、はっきり三〇%なら三〇%ということをまず確認をする。これを決定をする、政府意見を統一する、その上に立って資金をどうするかということをお考えにならなければならないのではないか。さらにまた、石油開発公団の問題にいたしましても、ただ融資をするとか債務の保証をするとか、あるいは機械を貸与するとか、そういうことだけで足りるのかどうか。やはりいままでSKがやっておりましたように、直接の採取業務というものもやらなければならないのではないかという問題点がそこに出てくるのではないかと思うのであります。せっかく大臣が強調されるのでありますけれども、どうも中身というものはことばのとおりになっていない。そこに私どもは、重要であるだけに、問題を感じておるのであります。いま一つ大臣のその点に対するお答えを伺ってみたいと思います。
  18. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 石油問題がいかに重要であるかということについての中村委員の御意見については、私たちもまた同じ意見を持っておるのであります。中村委員の御心配になるのは、せっかく石油開発公団というものを設けたけれども、これのほんとうの活動が将来できるかどうかということについて御不安を持っておられるのではないか、こう思うのであります。  そこで、問題は、総合エネルギー調査会答申につきましては、これは大蔵大臣もよく承知いたしております。昭和六十年には三割の目標でやるのだということで、この石油開発公団というものは、エネルギーの百年の大計を立てるために、ぜひ設けなければならぬということになったのでありますから、石油開発公団を設けることを承認したということは、この重要性を認め、これらを育てなければならぬという考え方については、大蔵大臣と私と意見が一致した、こう思うのであります。でありますから、その点において石油開発公団位置づけというものは確保されておる、こう私は考えておるのであります。また、繰り返し申し上げることでありますが、エネルギー資源というものが確保できなければ日本産業発展しないのでありますが、日本産業発展すれば同時にそれによっていわゆる税源というものが増加しますから、したがって、それによって政府財政収入がふえてくるわけであります。その財政収入によって、また開発公団に対する資金づけということも考えられると思うのであります。これは因果関係、両々相まって発展すべきものであると考えておりますから、したがいまして、石油の需要が将来増すということは、日本産業発展するということの裏づけでありますから、それによって政府も十分な財源をあげることができるし、したがって、それによって石油開発に対しての必要な資金は、政府がこれを支出するということについては、私は喜んでやってくれるのではないか、こういうように考える次第であります。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 私はそういう希望的観測というようなことじゃだめだと思うのですよ。答申がはっきりなされたのですね。諮問をしてこれに答申があった。それなら、これをどうするのかということをはっきりおきめになるということが当然ではありませんか。あなたと大蔵大臣との間には、昭和六十年でありますか、三〇%ということで話はできているんだと言う。ところが当委員会においての質問に対して、一主計官が、政府の意思としてこれを決定してないということをはっきり答弁をしている。あなたもそれをお聞きになっていらっしゃる。少なくとも両大臣がそういうことを話し合いをしてそれをきめた。それならそれでよろしいのかどうか。やはり石炭政策大綱というものが閣議決定がなされるように、海外原油開発の問題等に対しても、両大臣がお話しになったその場合は、閣議決定の必要があるのかないのか、私はあると思うのでありますが、そういう手続をなぜおとりにならないのか。その必要がないとお考えになるならば、三〇%ということが両大臣の間において確認をされておるというならば、あなたの目の前で一主計官がそれを否定するような答弁をするのに対して、あなたはなぜに黙ってそれを聞いて、そうではないということでこれを改めようとなさらないのか。そういう点からいって、あなたがどのように、石油開発公団設置と関連をいたしましてエネルギー重要性石油政策重要性ということを強調されましても、実体がそれに伴っていないではないか、それを私は指摘せざるを得ないのです。やはりその点はここではっきり、答申をどう扱うのか、そのことをひとつ明確にしていただきたいのであります。
  20. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 総合エネルギー調査会答申は一次的な答申でありますので、まだ最終答申は得ていないのでありますからして、この最終の答申ができ次第、これは政府閣議決定にしたい、こういう手はずにしておるのであります。  そこで先般も、先ほど主計官のお話がありましたが、事務当局できまらない問題は大臣同士で話をきめるということを閣議で申し合わせをしましたので、したがいまして、石油開発公団のことにつきましては、これはもう大臣ベースできめようということできめてやったのでありますからして、したがいましてこれは大臣ベースできめたことを、主計官は知っておるかおらぬか知りませんけれども、もう閣議決定と同じことでありますからして、したがいましてこの大臣ベースできめたことがやはり将来とも拘束されるものだと、こう私は考えておる次第であります。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 私はおかしいと思うな。板川委員はあなたにも質問したのですよ。あなたの答弁が明確でなかったのですよ。大蔵省主計官にも質問した。主計官は明確にこれは政府の意思は統一されてないと答えた。ところが私のいまの質問に対しては、事務当局できまらないものは大臣ベースできめるのだ、それで決定したのだ、こうお答えになる。なぜに先回の委員会において板川委員質問をしたのに対して、明確にそのときにお答えにならなかったのか。私がきょう重ねてこういう質問をしなければ、この問題はあいまいになっておっただろうと私は思うのであります。だから、その点はもう少しはっきりなさらなければ、どうもあなたのお答えは一貫していないと思うのですね。
  22. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私が大臣ときめたことは、とにかく予算について事務ベースできまらない場合は大臣ベースできめるということで、石油開発公団というものは御承知のとおり新しい公社、公団を設けることでありますからして、事務ベースではなかなかきまらなかった問題であります。でありますからして、この問題については総理並びに大蔵大臣と話もして、大臣ベースできめたわけであります。そこで、先ほど申し上げましたとおり、これはやはり答申閣議決定をしなければならぬと思います。その点について中村委員御不満を持っておられると思うのであります。この閣議決定は、いま申し上げましたとおりこの間の二月にもらった答申案が第一次の答申案でありますからして、最終の答申案をやがてまたいただくことになっておりますから、そのときに閣議決定をしたい、こう考えておる次第でありまして、おそらく閣議決定を得られると私は確信しておりますから、そうすれば、閣議決定石油資源についての将来の方針というものは決定されるわけですからして、その閣議決定までしばらくひとつお待ちを願いたいと思います。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 私は公団の予算の問題をお尋ねしていないのだ。この三〇%をどうするのかということを尋ねておる。そうして大蔵省主計官がああいう答弁をしたのだがどうなんだとあなたに尋ねておるのだから、その線に対しての答弁だと受け取るのはあたりまえのことなんですね。ところがあなたのいまのお答えは変わってきておる。だから非常に混乱するわけです。それは、ことばじりをとらえるようでありますから、いまの答弁ではっきりしましたからそれでよろしいのですが、そこで閣議決定が行なわれるであろうということ、いわゆる答申の線が確認されるであろうということをあなたは確信をしておるとおっしゃった。そのことは、通産大臣としては第一次答申に示されたいわゆる海外原油開発三〇%は、これを確認をしなければならないというお考え方をはっきり持っていらっしゃるのであるかどうか。その点をひとつ明らかにしていただきたいと思う。
  24. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 それは三〇%を確保するということではっきり閣議でも申すつもりでおります。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 それから、先ほども私の考え方として申し上げたこの石油開発公団がいわゆる採取業務ということをおやりになる考え方があるかどうか。そこまで拡大をしていこうというお考え方を持っていらっしゃるのかどうか。その点をひとつお答えを願いたいと思う。
  26. 両角良彦

    両角政府委員 石油の探鉱開発につきましては、今日まで民間の事業としてこれをやってまいっておりまして、今後も原則としまして探鉱開発は民営で行なうことが適当ではないかと思います。しかしながら、石油の探鉱はリスクがきわめて大きい、あるいは事業の規模が非常に大きくて多額の資金を要するというような特殊性にかんがみまして、政府もしくは国がこれに積極的な助成を加える必要がある。その役割りを総合的に石油開発公団に期待をいたしたい。そういう趣旨から申しますと、石油開発公団は、本来は、探鉱開発の総合推進母体という性格でこれを拡充育成をはかっていくことが適当ではなかろうかと考えておる次第でございます。
  27. 中村重光

    中村(重)委員 石油開発公団をつくろうとする構想の中からは、現段階においては、いま局長答弁のとおりの線は出ていないであろうと思う。ところが、いま大臣からもお答えがございましたように、この海外原油三〇%を確保するという点になってまいりますと、あるいは、もっとエネルギー需要がふえてくるわけでありますから、これは拡大をしていかなければならぬと私は思う。そうなってまいりますと、やはりただ探鉱をする、指導する、そういうようなことだけでなくて、SKがやっておりましたような業務というものもやることを考えなければならない段階がくるのではないかと思うのであります。だからして、そうした情勢の中において、公団業務を拡充していくという考え方も検討するというお考え方を持っていらっしやらないかどうか。
  28. 両角良彦

    両角政府委員 公団の発足後、新しい事態の進展に対処いたしまして、公団業務をさらに前向きに拡充強化する必要が出てまいったという際には、これを検討いたしたいと存じます。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 先ほども触れた点でありますが、三年以内にSKから引き継ぎましたところの業務というものを切り離していくことになるわけですね。その場合にどういう構想を持っていらっしゃるのか。伝えられるところによりますと、その業務によって幾つにもこれを分離していくというような考え方もあるようにも言われている、あるいはまた、そうではなくて、総合的、一体的に運営をするようなそうした会社をつくらせなければならないというような考え方もあるように伝えられている。その点はっきりしないのですが、ひとつこの際考え方を明らかにしてもらいたいと思うのであります。
  30. 両角良彦

    両角政府委員 三年後の直接事業部門の切り離しの形態につきましては、ただいま御指摘のございましたように、現在の石油資源会社のような形での一体的な切り離し方というものもあり得ると思いますし、また、そのときの新しい情勢に応じた別の形態も起こり得るかとも存じますが、いずれにいたしましても、公団発足後の新事態のもとで、いかなる切り離し形態が最も合理的かつ効率的であるかという点につきまして石油及び天然ガス開発審議会の場におきまして、ここに各方面からの参加を得まして十分ガラス張りの議論をしてきめていきたいと考えております。その場合の形態は、御指摘のような形態ももちろんあり得るということでございます。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 それからこの公団が債務保証業務をおやりになるわけですが、この資金調達というのが、先ほど大臣からもお答えになりましたように、非常に重要な問題点になってくると思うのであります。そういう点からいたしまして、この保証業務というものを弾力的におやりにならなければならぬと思うのでありますが、まずこの点に対してどのようにお考えになっていらっしゃるのか伺ってみたいと思います。
  32. 両角良彦

    両角政府委員 公団の行ないます債務保証は、石油の探鉱、開発に従事いたします企業のあらゆる借り入れ金につきましてこれを行なっていきたいと考えておりますが、財源の許す限りこれを効果的に使いたいと考えております。  この際、特に特定の種類の金融機関、たとえば政府金融機関というようなところからの借り入れ債務につきましても、これが可能となるような方向で検討をいたしたいと考えております。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 大臣は各委員質問お答えになりまして、この中東動乱の教訓として、いま中東に九割程度依存をしているが、これは非常に危険である、だから中東以外にたよるようにしなければいけないと言われている。いわゆる供給源の分散という形になるわけですが、ところが、考え方というものはわかるのでありますけれども、分散ということはなかなかむずかしいと思うのです。いわゆるコストの問題もあるわけであります。ソ連からの石油受け入れの問題に対しましても、大臣は、現段階においてはどういう話し合いが進められておるのであるかわからない、聞いていないというお答えがあった。私は時間がございますならば、この点に対しましても、大臣はこういう重大な問題を聞いていないということをどうしてお答えになったのであろうか伺いたかったのでありますが、御承知のとおり、これは数年来の日ソ間における一つの懸案事項なんです。今度も調査団が参りましていろいろと話し合いをいたしておりますけれども、この話がなかなかつかない。延べ払い期間の問題あるいは生産分与方式というような点から意見が一致しないのです。そういう点からいたしまして、ソ連から石油を入れるということは、これは非常に低廉であり、かつまた安定いたしましょうけれども、シベリア開発というような問題は、そういうことでなかなか問題がありますから、急にはいけないという点もあると思います。  いろいろな点からいたしまして、これの供給源の分散というものは言うべくして行ないがたいという点があるであろう。しかしながら、いまのような備蓄の状態というようなことであっては、いわゆるエネルギー安定性という点からして問題でありますから、どうしてもこの供給源を分散していくということももちろん重要でありますけれども、より重要なことは、この備蓄をふやしていくということでなければならない。考え方といたしましては、各委員質問に対しまして大臣も同感の意を表明された、局長も特にその点は強調されたのでありますけれども、ところが、必ずしもどうするかということについての明確なお答えがないのであります。どの程度備蓄をするのかということ、それからその備蓄は業界だけにこれをゆだねるのかあるいは今度設立いたしますところの公団に対しても備蓄ということを考えさせるのかどうか。従来どおり任意制かあるいは義務制にするのか、そういう備蓄に対する考え方というものは、当然この段階においては確定をし、明らかにされなければならぬと思う。中東動乱関係から相当深刻な問題になったのでありますし、通産大臣といたしましても、この点に対しましては、深く憂慮していろいろと検討されてきたところであろうと思いますから、いま少しくこの点に対する、いわゆるエネルギーの安全供給という面からいたしまして、はっきりした考え方をお示し願いたいと思うのであります。
  34. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 備蓄の必要性ということは、今度の中東問題でわれわれも痛切に感じた問題であります。したがいまして、今後製油会社などが新設あるいは増設する場合などには、六十日分程度まではちゃんと貯油するという条件をつけて許すというような方針をとりたいと考えておりますし、これは製油会社のみならずあるいは重油、石油などを使うところの会社、たとえば電力会社なども、そういう貯油をするという条件を付するというようなことで、できるだけ備蓄ということをより多くするように、ひとつ今後は極力奨励していくつもりであります。
  35. 中村重光

    中村(重)委員 もう少しはっきりした考え方はかたまっていないですか。いわゆる義務制にするのかどうか。それからお尋ねしましたように、公団に対して備蓄というようなことも考えなければならないのではないかというように思いますが、その点どうなんですか。
  36. 両角良彦

    両角政府委員 石油の備蓄の増強につきましては、ただいま大臣が御答弁申し上げましたようにあらゆる方策を使ってこの実現をはかりたいと存じております。当面設備許可制に伴いまする条件といたしましてあるいは大型原油基地の建設等につきましてこれを推進するというたてまえで、政府としましても資金並びに税制面での助成措置等も今後検討いたしたいと考えておりますが、義務づけということは一応考えておりません。もっぱら石油企業によりまする自主的な貯油の増強ということに対して強力な行政指導を行ないたいというのが当面の方針でございます。しかしながら、石油企業によりまする自主的な貯油の努力に対しまして、さらに国としまして将来増強をはかる必要が新たに出てまいるならば、その際公団等におきまする業務としてこれを扱うことが適当かどうか、積極的に検討を加えたいと存じております。
  37. 中村重光

    中村(重)委員 それから公団と従来のSKとの関係、従業員の身分関係がどうなるのかということです。給与の問題も、公団SKの場合より高いわけであります。今度新たに公団に新規に採用されるわけでありますが、そういう給与の差が出てくると私は思うのでありますが、その点はどのようにお考えになっていらっしゃるのかという点、いわゆる身分の点、給与の点、それからこれは三年後になるわけでありますけれども、これを切り離すという場合において整理をするということが起こってこないのかどうか、それらの点をひとつ具体的にお答え願いたいと思うのであります。
  38. 両角良彦

    両角政府委員 公団の設立に伴いましては、石油資源開発株式会社の業務を全面的に公団に移行するたてまえになっておりまするので、当然石油資源株式会社の職員、従業員はすべてこれを公団に引き受けることになるはずでございます。また、将来公団から直接業務を切り離す場合におきましても、当該直接業務部門で働いておられる職員、従業員の方々は、当然ひとしく同じ姿で独立の形態に移っていただくということになるわけでございます。そこには何ら人員の整理を伴うような事態はございません。のみならず、むしろ今後石油開発業務が拡充、拡大をしてまいるということを考えますと、かえって人員の不足ということすら想定されるのではないかと考えております。  また従業員の給与等につきましては、石油開発公団法によりまして、その支給基準につきまして、通産大臣の承認を要することになっておりますが、その中身は、石油資源開発株式会社の現在の給与規程をそのまま引き継ぐというたてまえでこれを行ないたいと考えております。また、退職金の規定等につきましても、現在の石油資源開発株式会社の退職金規程を引き継いで通産大臣の承認を行なうというふうな予定をいたしておる次第でございます。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 新規の採用の関係もありますから、低きにつけるということであってはならぬと思います。やはり一応そのまま引く継ぐわけなんで、これは当然改定されるということにならなければならぬと思います。新規の採用の者をやはりそれより下がらないように高い水準に均衡さしていく、そういうことでなければならぬと思いますから、そういう指導をひとつやっていただきたいという点であります。  それから、引き継ぎますところの資産あるいは株式の評価というものが当然出てくるのでありますが、その点はどのようにお考えになっておりますか。
  40. 両角良彦

    両角政府委員 法律の規定によりまして、石油資源開発株式会社の営業全部の出資を公団が受けます際に、その譲渡資産の評価ということが行なわれるわけでございますが一これにつきましては、評価審査会というものを設けまして、厳正中立かつ公正な評価が行なわれることになっております。その評価に基づいて資産譲渡が行なわれる、かような次第でございます。
  41. 中村重光

    中村(重)委員 それから私は大臣公団の性格という点についてひとつ考え方を伺ってみたいと思います。  従来、御承知のとおりに臨調答申によって、百八の公団あるいは事業団、公庫の問題がいまきわめて重要な問題点となっておることは御承知のとおりであります。しかしいま一応十八だけが爼上にのぼっている。今回七つの公団、事業団をおつくりになるということであります。ところが私は、その公団あるいは事業団の問題は、その公団をつくる、事業団をつくるというそのことにいろいろ批判があるのではない。公団、事業団というものがいわゆる官界をやめた人たちの救済の場、そういう人たちの組織になっているお役所的な非能率の面を、今度は公団、事業団というものによってこれをきわめて能率的なものにしていかなければいけない。民間から有能な人たちを登用して、効率的な運営をしていかなければならぬということが公団、事業団等に対して期待を持たれておるわけです。しかし現実は必ずしもそういうことになっていない。そこに私は批判の目が向けられておるのであろうと思うのであります。したがいまして、今回のこの石油開発公団がどういう役割りを果たすか。あなたも、先ほど私が申し上げましたように、まあ実態がどうであるかは別として、石油政策の転換であるとか、あるいは石油政策確立であるとか、非常な公団に対して期待を持っておるならば、この公団というものはいままでのようなおざなりのものであってはならない。あなたの期待どおりの公団業務の運営がなされるように、そういう組織でなければならないし、性格でなければならないし、またこれに任命されますところの、総裁であるのか理事長であるのか知りませんけれども、そうした役職の人たちは責任を持って業務の推進をはかっていくということでなければならない。そのためには、適当なことばであるかどうか知りませんけれども、自由裁量というのか当事者能力というのか、やはりそうした権限というものも十分与えて、意欲を持って推進をしていくということでなければならぬと思う。いわゆるエネルギーの革命の中において、原子エネルギーというものが今度は大きく登場してくるでありましょう。現在の中核である石油エネルギーというものが、その位置を変えて第二の石炭という形にならない保証はないと思う。そういう面からいたしまして、海外原油開発ということはきわめて重要でありますから、その重要な役割りを十二分に果たさせるための公団の運営であり、役職員の人選でなければならぬと思うのであります。だから、以上申し上げたことに対して、大臣はどのようなこの公団に対して性格づけをし、どのような権限を与え、どのような人選をやろうとお考えになっていらっしゃるのか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思うのであります。
  42. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいま中村委員の言われたとおり、公社、公団のいろいろ批判されておるのは、公社、公団そのものではなくて、そのものの運営がうまくいっていないというところに非難の的があるということは、全く私も同感であります。  そこで、この公社、公団がほんとうに業績をあげさえすれば何も批判も起こらなかったと思うのでありますが、せっかくこの石油開発公団を設けるのでありますから、これは先ほども申し上げましたとおり、低廉かつ安定的な石油供給確保するという大きな目的を持っておりますから、したがって、この開発公団の運営ということについては、私としては多大の関心を持っておるのであります。したがって、せっかくつくった以上は、ひとつ皆さんの御期待に沿うようなりっぱな業績をあげるようにしたいという考えを持っておりますから、したがって、この公団の総裁の選任ということにつきましては、私もひそかに苦心をいたしておるのでありまして、この石油開発公団の目的を十二分に達成のできるような人物を選びたいということでいろいろ苦心をいたしておりますが、皆さん方の御期待に沿うようにひとつやりたい、こう考えております。
  43. 中村重光

    中村(重)委員 まだいろいろお尋ねしたいところもありますけれども、ひとつ大臣並びに担当局長の責任ある推進を期待をいたしまして、石野委員から関連質問もありますし、時間の関係もございますから、これをもって私の質問を終わりたいと思います。
  44. 石野久男

    ○石野委員 関連して、大臣にちょっとお尋ねしますが、今度この公団ができます場合、一番大きい問題は、やはり石油をどの程度備蓄してエネルギー供給安定性確保するために役立たすかということだと思うのです。先ほど大臣から、六十日分の貯蔵の問題を許可基準にしたいというような、こういうお話。局長さんからは、それの義務づけということの点については、義務づけの考え方はないけれども行政指導をしたい、こういうふうに言っておる。そこで六十日分の貯蔵というのは、なかなかいまたいへんなことだろうと私は思うのですが、その構想をどういうふうに描いておるのか、この際ちょっと聞かしていただきたい。
  45. 両角良彦

    両角政府委員 御承知のように、今日、石油の貯蔵は約四十六日分ございます。したがって、六十日分に到達いたしますには、さらに約半月分の貯油の増強が必要であろうかと思います。  これにつきましては、貯油能力というものが原油タンク等においては一応存在をいたしておりますが、今後とも十分な能力を付加していくということが必要でございますので、新しい設備許可にあたりまして、さようなタンク能力等の増強を条件といたすということが第一点でございます。  また第二点として、そのようなタンク設備の増強がしやすくなりますように、税制上もしくは金融上、今後の助成施策を検討いたしたいと考えております。  さらに第二点といたしまして、大型の原油基地というものを各社が共同であるいは単独で建設する計画が進んでおりまして、これを積極的に推進をいたしたいと考えております。これらの措置を通じまして、原油もしくは製品の貯蔵能力の増強をはかった上で、各社のコマーシャルベースでの処理の増強をお願いをいたしたい、かように考えております。
  46. 石野久男

    ○石野委員 その最後の大型の原油基地なるものの構想ですが、間々聞きますところによると、民間では海底貯蔵というようなことなども考えたりしておるようでございます。いま通産省はその問題について積極的に力を入れているのですか、またこの公団ができますと、やはりそういうところにも力を入れるような考え方がいまあるのかどうか、そういう点についてちょっと聞かしていただきたいと思います。
  47. 両角良彦

    両角政府委員 大型原油基地の建設促進につきましては、予算をもちまして調査費が計上されておりまするので、それに基づきまして大型原油基地の調査委員会を設ける次第でございます。この委員会におきまして、ただいまお話の出ました海上もしくは海底貯油施設というような問題も含めまして、今後の原油基地のあり方、その立地条件等々について検討を加えたいと考えております。
  48. 石野久男

    ○石野委員 大臣にちょっとお尋ねしますが、この国内で六十日分の貯蔵をするという問題は、言うことは簡単ですけれども、なかなか困難だと思います。国内におけるところの基地の設定もさることながら、やはり海外におけるところのそれをどのようにして調達するかという問題もありまするし、それからその中途で輸送をどういうふうにするかという問題もあろうと思います。現在の情勢で、いまの海外に手をつけておるという段階で、それは可能だというふうにごらんになっておるのかどうかという点についての通産省の所見をこの際ひとつ伺いたいと思います。
  49. 両角良彦

    両角政府委員 貯油の増強につきましては、現在わが国が開発しておりまする、たとえばアラビア石油等々からわが国に持ち込んでくる油自体についての貯蔵能力の拡充ということも当然必要でございますし、また各社がアメリカ系の資本から買っておりまする原油等についての貯蔵能力、貯蔵量の増強も必要でございまして、いろいろなソースを通じまして貯蔵量の増強をはかってまいるということが必要ではないかと考えております。
  50. 石野久男

    ○石野委員 私は関連ですから、これで終わります。
  51. 島村一郎

    島村委員長 田中武夫君。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、もう同僚委員が相当詳細な質問をいたしておりますし、基本的に反対すべき法案ではないので、簡単に確かめるというような意味におきまして一、二点だけ御質問いたしたいと思います。  まずこの法律の成立と同時に廃止の運命にある石油資源開発株式会社法の第七条第一項、もちろんこれはSK業務をうたったものでありますけれども、そこに、「国内において、次の事業を営むものとする。」云々とあるわけです。ここに国内ということが法律的に出てきておるわけですね。この規定がなくなる。そうして公団法の十九条一号あるいは二号等々に、「海外における」、こう出てくるわけです。なるほどこの公団海外での石油探鉱その他に対して援助をしようあるいは金を貸そう、こういう公団ですからそう書くべきだと思いますが、前に岡田君かだれかの議論があったように、なぜ特に「海外における」とうたう必要があるか。こういうことでSK法が廃止の運命になったときに、それじゃ国内においてはどうするのか。もちろん行政的にいままで出しておった奨励金とか補助金とか何かを考えると、こういうことであろうけれども、それは行政的な約束にすぎないわけです。法律的に国内開発についてうたったものがなくなるでしょう。そうなりませんか、どうでしょう。
  53. 両角良彦

    両角政府委員 法律的にはさようなことに変わってまいるかと存じまするが、ただいまお話のございましたように、実態におきましては国内開発は、公団の設立後三年を経ました後の直接事業部門の分離後も、従来以上の努力をもちまして、補助金もしくは基礎調査等々を通じまして、これを推進をいたしたいと思います。また、国産原油につきましての関税還付制度もございまして、わが国の地下資源の有効開発という点につきましては、今後とも一そうの努力をいたしたいと存じます。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、答弁はそれでいいと思うのですよ。私の言っているのは、いつも私が言っているように、行政権にゆだねること自体が不安定だ、ということは、三年先に大臣もそうであり局長もそうであるとは限らない。すべて行政におけるあるいは予算におけるということになると、大蔵省との折衝問題がある。その場合に、少なくともSKというのがあって、法律において国内開発をこうやるんだとうたっておるときには、予算折衝その他においても、法的裏づけがあるといわねばならない。しかしこれでこの公団ができたら、海外開発については法的裏づけのあるものができたのです。しかしながら、SK法は、これは廃止の運命にある。そうすると法律的な裏づけがなくなるということについて、やはり今後国内における開発もより積極的にやるんだという姿勢をどこでどう示すのか。そうでなくては、三年後の国内開発についての予算折衝はやりにくくなりますよ、どうですか。
  55. 両角良彦

    両角政府委員 石油資源株式会社法との関連におきましては、御指摘のとおりでございまするが、公団法の第十九条第五号におきまして、今後とも国内の石油及び天然ガスの地質構造調査は、公団といたしましても受託事業としてこれを推進するたてまえになっておりまするし、また石油及び可燃性天然ガス資源開発法の第三章第十四条におきまして、ガスの探鉱に対しまして予算の範囲内において補助金を交付するということは、法律上のたてまえとして認められておりまして、今後はこのような前提のもとに国内の天然ガスもしくは原油開発の助成措置を強化してまいりたい、かように考えております。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 私はもうこの段階において、この時点において、いまさらあまり議論はやりたくないのですが、これはあくまで地質調査なんですね。やはり積極的な開発助成ということについてはちょっと違ってくる。そういう点を十分に大臣がここで確約をする、こういうことで、なおこの法律の中においてそのようなことを書くということは、ちょっと公団の性質上無理かと思うのです。しかし少なくともSK法がなくなっても、国内における開発は積極的にやる、しかもそれは行政の面で折衝してやるだけでないということだけは、はっきりしておかなければならぬと思うのです。そのためにあえてこの質問をしたわけです。  もう一点は、これももうわかり切ったことですが、このSKの債権債務、これは潜在債務を含むと思います。あるいはいろいろなものを含むと思いますが、これを今度の公団が承継するわけです。その場合に、法律上あるいは法律外の債権債務があると思います。一番私がここで言っておきたいことは、潜在債務でございます。たとえば退職金等々はいわゆる潜在債務です。それも当然承継するものであろうということは、これはもうはっきりしておりますが、確認をしておきます。
  57. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 初めの問題について私からお答えしたいと思いますが、国内資源の開発の問題については、御指摘のとおりやっていきたい、こう存じております。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 それから公団人事についても触れたいのですが、もういまさらそんないやらしいことを聞いてもどうかと思いますのでこれは触れませんけれども、巷間伝えるところでは、大蔵省との折衝の中においてすでに副総裁はこっちへよこせとかどうとかということがきまっておるやに伝えられておる。そういうことがいつも公社、公団あるいは特殊法人についての問題の一つなんです。それから潜在債務としての退職金その他ももちろん承継するけれども、そのことはいわゆる職員あるいは従業員等の退職金が変更した場合どういうことになりますか。規定が変わった場合、どっちをもって承継しますか。
  59. 両角良彦

    両角政府委員 潜在債務の承継につきましては、石油資源株式会社の純資産額を公団が引き受けることになっておりますので、評価審査会において純資産額をきめます際に、積極財産から一切の消極財産を引いたものを純資産といたす考えでございますので、その中に御指摘のような潜在債務は当然入ってまいると思います。  なお、退職金規定等が変更された場合はどうかという御質問でございまするが、承継の時点におきまするそのときの規定内容に従って承継が行なわれると考えます。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 いやいや、たとえばよくなった場合、これは当然遡及すべきでしょう。こういう議論はやめておきましょう。しかしやれば幾らでもあるのですが、ここでやると予定が狂うそうですからやめますが、しかし地下資源の開発、ことに石油中東戦争のときにもわれわれは苦い体験を持とうとした。そういうことにかんがみて海外の探鉱その他は必要である、国内においても十分にやると同時に、この問題から起こる一切の労働問題等は起こさない、そういうことの確約を願いましたならば、一応この法案関係においてはあらためて運営についてその時点において質問する、あるいは追及することにいたしまして、もう法案についての質問は終わります。  最後に大臣ひとつ大きな声で確認してください。
  61. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほど副総裁について大蔵省がこういうことを内定しているというようなことを言われましたが、それは私も全然聞いておりません。  なお、公社、公団の運営については、私も皆さんと同じような意見を持っておるので、これは閣議で一ぺんこの問題については国会でも済めばひとつ相談したいと私は申し出ておるのであり、まして、運営の問題については根本的にひとつこの際政府考え直す必要があるのじゃないかということを、私も考えを持っておりますから、したがいまして人事の問題につきましても、そういう大蔵省から何人とるとか通産省から何人とるとかということについては、もう少し根本的に検討したい、こう存じております。  それからいまの御心配の点はないようにひとつ極力事務当局には申しつけておきますから、その点は御安心願いたいと思います。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 最後に要望をひとつ申し上げておきますが、石油開発公団法案、しかし業務の内容を見ると石油開発というより金貸しなんです。かつて初め金属鉱物探鉱融資事業団が金属鉱物探鉱促進事業団になったように、これをもって満足することなくより積極的につぎ込んでいくという姿勢を要望しておきます。
  63. 島村一郎

  64. 近江巳記夫

    ○近江委員 この前の委員会におきまして、エカフェにおける海洋資源のことについて御質問したわけでございますが、そのときに政府委員がまだ帰っておられなかったものですから、内容がわからなかったのです。幸いに帰国されているようでございますので、採決の前にこの際報告をお願いしておきます。
  65. 両角良彦

    両角政府委員 私からかわりまして報告を受けました内容の概略につきまして御説明を申し上げます。  去る六月二十九日から七月四日まで韓国のソウルにおいて開かれましたエカフェの沿海鉱物資源共同探査調整委員会におきましては、極東地域におきまする大陸だなの開発の諸問題について技術的な意見の交換が行なわれたのでございまするが、その際特にアメリカ代表からは、韓国及び台湾の沖合いにおきまする大陸だなの航空磁力調査等々の調査について関心があるということでございました。またわが国からはフィリピン並びに台湾沖におきまする航空磁力調査について協力の用意がある旨発言をいたしております。しかしながら前回御指摘をいただきました東シナ海の大陸だなの開発問題につきましては、各国代表からいずれも積極的な発言がないままに終了をいたした、かように聞いておるわけでございます。
  66. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると韓国、台湾の沖合いですね、これは当然東シナ海にかかっていると思うのです。もう少し内容的にわかりませんか。
  67. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま地図を持参いたしておりませんが、説明では、韓国、台湾沖の大陸だなの中には、東シナ海の中共の大陸だなは含んでおらないということでございます。
  68. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃまた報告の詳細を、私のほうへ資料をいただけますね。——以上で終わります。
  69. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  本案の質疑はこれを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、本案の質疑は終局いたしました。     —————————————
  71. 島村一郎

    島村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  石油開発公団法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  72. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  73. 島村一郎

    島村委員長 この際、鴨田宗一君外三名から自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案にかかる本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提案者から趣旨の説明を聴取いたします。古川喜一君。
  74. 古川喜一

    ○古川(喜)委員 ただいま採決されました石油開発公団法案に対する附帯決議案について、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    石油開発公団法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。  一、石油資源の急速かつ計画的な開発を図るため、国内外にわたる石油資源総合開発長期計画を早急に策定し実施すること。  二、石油資源開発が巨額の資金を要することにかんがみ、探鉱開発資金が継続的に確保されるよう財政上十分の措置を講ずること。  三、国内における石油資源開発は、海外原油開発の基盤であることにかんがみ、深層及び海底大陸棚の探鉱等を積極的に推進し、基礎調査の大幅拡充、探鉱補助金その他助成措置の充実を図ること。  四、石油開発公団の事業部門の分離については、現在の石油資源開発株式会社とその出資会社が、将来、自立安定しうる形態となるよう配慮し、従業員の身分、労働条件等に不利益を生じないよう万全の対策を講ずること。  五、石油開発公団の行なう債務保証業務については、資金調達が円滑に行なわれるようその実情を十分考慮し、弾力的に運用すること。  六、石油開発公団は、わが国石油政策の中核的存在であることにかんがみ、今後、常時、制度的、財源的にあらゆる角度から検討を加え、公団業務の拡充強化について積極的に努力すること。  七、石油備蓄の増強は、石油の安定的供給確保するため、喫緊の要務であることにかんがみ、早急にその施策を講ずること。 以上であります。  第一点は、石油資源総合開発長期計画の策定についてであります。御承知のように、総合エネルギー調査会答申においては、昭和六十年度における総所要原油の三〇%を海外開発原油供給することを目標としております。また、国内については、第三次石油及び可燃性天然ガス資源開発五カ年計画がありますが、今回石油開発公団が設立されることに伴い、石油資源の急速かつ計画的な開発を促進するために、五年ないし十年程度を計画期間として、海外及び国内を包含した具体的な計画を策定、実施することが必要であります。  第二点は、資金確保についてであります。石油資源総合開発の具体的計画に基づく探鉱開発資金が、十分かつ継続的に確保されるかいなかは、石油資源開発の成否を決定する最も重要なポイントであります。今国会において、石炭対策については原重油関税を財源とする特別会計が設置されたことでもあり、石油資源開発についても、財政上十分の措置を講ずることが必要であります。  第三点は、国内における石油資源開発についてであります。国内における石油資源開発は、海外のそれにまさるとも劣らない重要なものであります。したがって、今後四千メートル、五千メートルに及ぶ深層の探鉱、とりわけ北海道地区の白亜紀層の探鉱あるいは海底の大陸だなの探鉱を行なう等積極的に推進し、国が直接行なう基礎調査を大幅に拡充するほか、現行の探鉱補助金を充実するなど助成措置を強化することが必要であります。  第四点は、石油資源開発株式会社の取り扱いについてであります。石油資源開発株式会社は、石油開発公団に引き継がれ、三年内に分離されるわけでありますが、その場合、現在の石油資源開発株式会社とその子会社を一体として存続させるという考え方もあるので、この考え方を十分参考にし、これらが将来自立安定し得る形態になるように配慮することが必要であります。また、その際、従業員の身分、労働条件等が不利益にならないよう万全の対策が必要であります。  第五点は、公団の債務保証についてであります。海外における探鉱開発資金は、その大半が輸出入銀行等の融資によって調達されており、国内に担保となるものがないため、商社がこれを保証しておりますが、商社保証も限界にきているのが実情であります。したがって、公団の債務保証業務については、市中銀行からの融資分だけでなく、輸銀等の融資分についても適用することが必要であります。今後探鉱開発の進捗に伴い、資金調達の円滑化はますます重要となりますので、実情を十分考慮し、債務保証業務の弾力的運用をはかることが必要であります。  第六点は、石油開発公団の拡充強化についてであります。石油開発公団は、今後わが国石油政策の中核的存在となっていくものであります。したがって、公団のあり方について常にあらゆる角度から検討し、将来においては、たとえば探鉱開発事業、開発原油の引き取り、貯油などについて考慮し、公団業務の拡充強化について積極的に努力することが必要であります。  第七点は、石油備蓄の増強についてであります。備蓄の増強は、石油の安定的供給確保するためにきわめて重要でありますが、わが国の場合は諸外国に比較してはなはだ備蓄量が低いのであります。今回の中東戦争を考えても、備蓄の増強をはかることは緊急の要務でありますので、早急にその対策を講ずることが必要であります。  以上が附帯決議案提出の趣旨であります。委員各位の御賛同をお願いいたします。
  75. 島村一郎

    島村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  76. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。菅野通商産業大臣
  77. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいまおきめになりました附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、各項目の実現について努力する所存であります。
  78. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  80. 島村一郎

    島村委員長 去る六日付託になりました、内閣提出液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律案を議題とし、通商産業大臣から趣旨の説明を聴取することといたします。菅野通商産業大臣
  81. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいま議題となりました液化石油ガス保安確保及び取引適正化に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  近年家庭用燃料としての液化石油ガスの普及はめざましく、昭和四十二年度の全国需要世帯数は約千三百万戸に達し、国民生活の向上に大いに寄与しておりますが、これに伴い、液化石油ガスによる災害事故も増加しており、特に一般家庭等の消費先における事故が激増しているのが実情であります。加うるに、液化石油ガス販売事業は、容器による販売という特殊な形態によるものであるとともに、きわめて短期間に急速に発展した事業であること等のため、計量等に関する取引条件も必ずしも適正とはいえない状況にあります。  これに対し、現在液化石油ガス関係規制は、その製造を含め、高圧ガス取締法により行なっておりますが、同法は、本来事業所を対象として制定されたものでありますため、一般家庭等における液化石油ガスの災害の防止をはかるためには、種々不適切な点が生じてきております。  このため、一般消費者等に販売される液化石油ガスにつきましては、販売事業者が一般消費者等の保安能力を補完することによりその災害の防止をはかるとともに、その取引を適正にするため、一般消費者等に対する液化石油ガスの販売を規制するとともに、保安の万全を期するため、液化石油ガス器具等の製造及び販売等を規制する必要があります。  次に本法案の概要を御説明申し上げます。  第一は、液化石油ガス販売事業の規制であります。  すなわち、一般消費者等に対し液化石油ガスを販売する事業は、通商産業大臣または都道府県知事の許可を要することとし、許可基準といたしましては、販売施設及び販売方法が一定の基準に適合すること並びにその事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有すること等を規定しております。  この許可を受けた販売事業者に対しましては、液化石油ガス保安確保取引適正化をはかるため、必要な義務を課しております。すなわち、販売事業者は、その販売施設及び販売方法を一定の基準に適合するように維持しなければならないものとし、この基準に適合していない場合またはその事業の運営が適正を欠いている場合には、通商産業大臣または都道府県知事は、必要な措置をとるべき旨の命令または勧告をすることができることとしております。  さらに一般消費者等の保安能力を販売事業者が補完することにより液化石油ガスによる災害を防止するため、販売事業者は、定期的に、一般消費者等の消費設備を調査するものとし、これにより消費先の保安指導に当たらせることとするとともに、保安確保のための順守事項を一般消費者等に徹底し、あわせて取引条件の明確化を通じてその取引適正化をはかるため、所定の事項を記載した書面を一般消費者等に交付しなければならないこととしております。  第二は、液化石油ガス指定製造事業に関する規定であります。  これは、液化石油ガス中の有害成分を一定の許容限度以下に押えることによって保安確保をはかるとともに、液化石油ガスの成分による規格を明示することによって取引適正化をはかるため、液化石油ガスの充てん事業を行なう者のうち、液化石油ガスの分析のための機械器具を有する等一定の資格を有する者を指定し、その指定を受けた者が分析し、かつ、これを充てんした容器に所定の表示を付したものでなければ、液化石油ガスを一般消費者等に販売してはならないこととしたものであります。  第三は、消費設備規制であります。  過去の事故例についてみますと、消費先の配管工事の欠陥が原因となっているものが少なくない実情にかんがみ、この種の工事で一定規模以上のものは、十分な知識経験を有する者の監督のもとでなければしてはならないこととしております。  第四は、液化石油ガス器具等規制に関する規定であります。  圧力調整器、燃焼器等の液化石油ガス器具等は、一定の基準に適合する製造設備及び検査設備を有する登録製造事業者が通商産業大臣の型式承認を受けて製造したものまたは登録製造事業者以外の者が製造した場合にあっては、通商産業大臣等が行なう検定に合格したものでなければこれを販売してはならないこととし、液化石油ガスに関する規制と相まって保安の万全を期しております。  これが、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  82. 島村一郎

    島村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本案についての質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  83. 島村一郎

    島村委員長 次に、去る六月二十六日付託になりました倉成正君外二十一名提出離島振興法の一部を改正する法律案を議題として、提出者から趣旨の説明を聴取することといたします。中村重光君。
  84. 中村重光

    中村(重)議員 ただいま議案となりました離島振興法の一部を改正する法律案について、提案者を代表して提案の理由を御説明申し上げます。  現行の離島振興法は、本土から隔絶した離島の後進性を取り除くことを目的として昭和二十八年に制定され、その後数回にわたり一部改正を行ない、今日に至っております。この間、公共事業を中心とした離島振興対策事業の進展に伴ない、多年にわたる後進性の除去にはなおかなりの歳月を要するとはいえ、年々離島の面目を一新しつつあることはまことに喜ばしいことであります。  しかしながら、ひるがえって離島における教育、文化、厚生等の社会面を見ますと、公共事業の整備に比べて立ちおくれが著しく、これが離島振興上の大きな障害となっております。最近、政府は社会開発の一環として、僻地における教育問題並びに厚生医療対策を重点事項として大きく取り上げ、その推進をはかっていますが、離島こそは、その置かれている自然的、社会的条件により、後進地域の縮図ともいうべく、教育及び社会福祉面における国の強力な対策が、従来から強く要請されていたところであります。  これにかんがみ、離島における塩害、風害等の特殊な気象条件により施設の損耗度が著しいこと、及び運賃コストの割高等によって工事費の増大が地元の超過負担を招き、そのため離島市町村の貧弱な財政力をもってしては施設の完備が不可能である現状であり、この対策を早急に行なう必要があります。さらに離島は水が乏しく、地形が急峻で風も強く、さらに家屋が密集しているため、一たん火災が発生すると大火になりやすい条件にあり、離島の市町村財政をもってしては前述と同様、消防施設の整備が困難な状態であります。  したがって、義務教育諸学校施設及び同災害復旧、教職員住宅及び集会室施設、保育所施設、並びに消防施設の国庫補助率を引き上げて、地域の特殊性に応じた諸対策をさらに一層推進する必要があります。  以上が本改正案の提案の理由であります。  すみやかに御賛同をお願いをいたしまして、提案説明を終わります。(拍手)
  85. 島村一郎

    島村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  86. 島村一郎

    島村委員長 本案に対して質疑の申し出がありますのでこれを許します。鴨田宗一君。
  87. 鴨田宗一

    ○鴨田委員 離島振興法の一部改正に対する法律案の内容について、ほんとうに限られた時間でございますけれども二、三お聞きしておきたいと思いますので、ひとつ簡単にお答えを願いたいと思います。  昭和二十八年、離島振興法が施行実施されましてから十次にわたりまして、いろいろ離島振興に対する各個別的な指定がありまして、八十五もあったわけでございます。大体全国には八百四十七の島があるそうでありますけれども、いまも提案理由の中にありましたとおり経済的、文化的いろいろの面で後進国であるし、さらにまた文化の程度もおくれておりますので、これに対して指定をされるということがどんなくらい国のバックアップがあるかということは、私が申し上げるまでもないと思います。そういう意味で八十五は指定したのですけれども、これからまだまだ残ってたくさんありますので、これをどんなふうなことでもって指定していくか、その内容についてひとつ提案者、大臣のほうからお答えを願いたいと思います。
  88. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御指摘のようにただいままで十回にわたって指定をいたしておるわけでございます。なお一、二の地方から特定の島について追加指定を希望しておられるわけでございますので、それらにつきましては離島振興審議会の議を経まして、審議会で御異存なければできれば加えていきたい、こう思っております。
  89. 鴨田宗一

    ○鴨田委員 指定をできるだけしていただきたい。現在財政力も非常に劣っておりまして全国平均の財政力は御承知のとおり三二%でございます。ところが特に離島関係の平均が二一%、非常に地方の財政力が劣っておりまして、やはり国の強力な補助アップであるとか、あるいはまた財政的援助がなければならないのでありますけれども、これに対して従来他の本土と違う財政的措置をとっておるようでありますけれども、簡単でけっこうですが、具体的にどのような財政的措置をとっておるか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  90. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御指摘のように、昭和四十年度におきましても、財政力指数は全国平均がただいま仰せられましたように三七でございますが、離島は二一でございます。かなり低うございます。そういう意味で、従来の離島振興法といったようなものがそれを補完をしてまいった実績がかなりのものであると考えておりますけれども、最近ではそのほかにいわゆる辺地債——辺地に特別に出します辺地債でございますとか、ある遠隔地の是正といったようなこともいたしております。そのほか航路等につきましても補助がございますことは御承知のとおりでございます。
  91. 鴨田宗一

    ○鴨田委員 ちょうどただいま法案が上がりましたけれども、例のYS11の、いわゆる離島に対してこれが空港の設置という問題も非常に意義のあることであろうと思いますので、ただいまの言質をとるようでありまするけれども、そういうような航空面においての道路、交通関係について格別な御配慮をひとつお願いいたしたいと思います。  実は、きょう私質問に立ちましたのは、議員立法であり、しかも四党共同の提案であるということで、質問の余地もないのですけれども、だれか一人くらい質問をいたしませんと、この法案の意義もどうかと思いますので、進んで出たわけであります。この点ひとつお含みを願いたいと思います。  離島関係につきまして、あるいは文教であるとか厚生であるとか、本日の議員立法の中の内容にありまする消防施設であるとか、こういうふうなものは一般的な国の予算の中に盛られておりまして、離島だけのものというものは見当たりません。特に消防施設につきましてはこの法文の第四条の第三号ですか、ここにいろいろ水害であるとか、あるいは災害は、ただいまの例の四十二年の七月の台風の豪雨のような災害の場合、こういうような場合の面がここに書いてありますけれども、それをバックアップします消防ということが実はうたわれておりませんが、法改正の「国土保全施設等」という意味はそういう意味でございますか、ひとつ議員さんにお聞きしたいのですけれども、ちょっとお答え願います。——わかりますか。消防の件が第四条の中にありませんね。それで、第四条の三号に「等」を入れたでしょう。この改正法の中に「等」というのが入っているのです。おそらく議員立法をつくりました方々の考え方は、この「等」の中に消防を含めたい、こういう考え方であろうと推察するのですけれども、そう考えていいですか。
  92. 中村重光

    中村(重)議員 お説のとおりでございます。
  93. 鴨田宗一

    ○鴨田委員 お聞きいたしますると相当時間がかかりますけれども、とにかく十分というわけでありますので、それではこの提案されておりまする義務教育の学校の施設、公立文教施設——私は実は消防のほうをお聞きいたそうと思っておりましたけれども、相次ぐ災害で現地に行ってしまってだれもいないそうでございますので、消防のほうについて、私、意見を持っておりますけれども、実は消防のほうは緊急五カ年計画というものを全国的にやっております。しかし、消防そのものは、いわゆる離島分というものがございませんので、私はやはり離島は離島として来年あたりから五カ年計画を策定して、そして消防というのはいわゆる火を消すだけでなくて、やはり災害の防除、あるいは水害の防除に非常に大きな働きをしておりますので、そういう面から緊急五カ年計画を離島だけに施行、実施するようなお考え大臣ございませんか。
  94. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御提案が院議として決定いたしました際には、やはりお説のようなことが必要であろうと考えております。
  95. 鴨田宗一

    ○鴨田委員 消防施設の補助率も全国的に非常に低うございますし、別して離島に関する消防施設の補助率については、本土とは違ったアップをしていただきたい。  さらにまた、消防については救急車なんかも非常に重要な役割りをいたしますし、特に離島は離島なりにいわゆる消防船あるいは救急船というものが必要ではないか、こういうふうにも考えますので、この点ひとつ御勘案くだされまして、ひとつそういうふうな予算的な措置もしていただきたいと思います。  学校の校舎の件につきましては、これはいろいろ問題がございますけれども、きょうも実は文部省関係を呼んでいただくつもりでしたけれども、時間の関係でそれも省きました。ただ、現在小学校においては三分の一、中学においては三分の二の補助率でございます。これは本土でございますけれども、離島のほうにおいてはこれを全部三分の二にしてくれというふうな議員立法でございまして、これは離島自体から考えますとけっこうではありますけれども、これは大臣にお聞きしても部外でございますから、文部省のほうに私のほうからお聞きするのが当然ですけれども、ただいま申しますようなわけで、この問題は議員立法のとおりひとつお願いをしてもらうように、私のほうからも文部省のほうに要望いたしたいと考えております。  さらにまた、第二の問題といたしましては、いわゆる厚生施設の問題でございます。この議員立法の中にございます。たとえば保育所の問題にいたしましても、離島には現在三百十カ所の保育所がございます。しかし、まだこれから約六十カ所も必要であるようなことでございますので、この問題も、やはり補助率アップと同様に、大臣のお考えによりまして、政令でできるようなものでありましたならば、これをひとつかなえていただきたい。議員立法としてほんとうに簡単な法でございますけれども、本日提案いたしましたのは補助率のアップがほとんど全部でございますので、これが通過いたしますと、大体厚生省の関係、文部省の関係、あるいはまた自治省の関係もおありでしょう。こういたしますと、提案者の議員さんにお聞きするのですが、総額幾らぐらいの予算措置に相なりましょうか。
  96. 中村重光

    中村(重)議員 補助率のアップによりまして予算的には大体四億程度のアップになろうと思います。  なおまた、いろいろ御意見がございました中で、法律事項でなくて予算措置によって施行できる面があるわけでございます。四十二年度の予算編成にあたりまして、文部省あるいは厚生省その他関係各省から大蔵省に対しまして御意見のような点のものを盛り込んだ予算要求がなされたが、改正案が実はまだ通っておりません。そういうことから、一応法律事項とあわせましてそうした予算措置の面も一緒にひとつ来年度からやろう、そういうことで実は今年度は見送りになった経緯があるわけであります。せっかく御審議いただきまして、改正案が成立いたしますならば、御意見のような点は、予算措置の面において、強力に経済企画庁にも関係各省と連絡をとりまして実現をするように要請をしてまいりたいと思うわけであります。
  97. 鴨田宗一

    ○鴨田委員 ただいま提案者の御説明がありましたが、数字的にちょっと違いますので訂正をさせておきたいと思いますが、総額で四億ではございませんで……(中村(重)議員「わかっています」と呼ぶ)大体七億八千万円ばかりでございます。  詳しく御質問いたしましても時間にも際限がございますので、先ほど申しましたとおり、特に離島に対しましては慎重な御考慮をお願いいたしまして、約百二十六万人の離島民が本土の住民と同じような生活レベルで生活ができ、低開発地区でありまする産業、しかも第一次産業で、この大きな高度成長のしわ寄せのあふりを食っておりますこの離島の住民に対しまして、この法案をできるだけ具体的に施行、実施していただきまして、これが実現をはかっていただきたいと思います。  賛成演説のようなことになってしまいましたが、以上をもちまして私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  98. 中村重光

    中村(重)議員 実はいま鴨田委員から数字のことについて御意見があったのでありますが、この補助率アップによりまして、国費の所要見込みが大体どの程度であろうか試算をしたのでありますが、四億九千五百三十九万という数字が実は出たのであります。ですけれども、これは概算でありまして、大体四億程度でいけるのではなかろうか、もちろん予算措置の面は別であります。御意見の点にはいわゆる予算措置の点が入っておるのではないか。法律案の改正面におきましての補助率アップは、申し上げましたように、大体四億九千五百三十九万でありますけれども、四億見当というようにも考えております。
  99. 島村一郎

    島村委員長 橋口隆君。
  100. 橋口隆

    ○橋口委員 ただいま提案されております離島振興法の一部改正法案に対しまして、私は特に賛意を表するものでございますが、あわせて若干の質問を行ないたいと思います。  離島は、この提案理由にも書かれておりますように、自然的、社会的な条件によって、まさに後進地域の縮図ともいうべきでございます。特に離島の市町村の貧弱な財政力をもってしては、各種施設の完備が不可能でありまして、そのために今回の法案提出されたわけでございますが、これに関連しまして、従来要求されておったことで足りない分について、提案者並びに政府に対してその所見を承りたいのでございます。  まず今回のこの一部改正法案に落ちておりますが、公立高等学校の危険校舎の改築に要する経費の国庫補助割合は現行三分の一でございますが、これでは不足でございますが、将来どういうふうになさるつもりでございましょう。
  101. 中村重光

    中村(重)議員 公立高等学校とかあるいは養護学校のそうした補助率アップは、実は今回の改正案の中に盛り込んでいないのであります。申し上げましたような、また御意見がございました公立高等学校、これは当然義務教育の諸学校と一緒にやるべきではないかということで、いろいろ話し合いをやったのでありますが、大体特定の、たとえば長崎県なんかのように離島が非常に広いところは、そうした該当する高等学校も多いけれども、全国的に見ると数は少ないのではなかろうかというような意見もありまして、とりあえず今回は義務教育の諸学校だけの補助率アップということにして、ひとつ将来の懸案事項として実は残したわけであります。御了承を願いたいと思います。
  102. 橋口隆

    ○橋口委員 次に、公立養護学校の施設の新増築及び改築に要する経費の国庫の負担、または補助率の割合も現在三分の一でございますが、これを多少引き上げる点についてもこの次ということでございますか。
  103. 中村重光

    中村(重)議員 実は養護学校というのがいまのところ離島にはないわけなんです。高等学校は先ほども申し上げましたように、若干あるのでありますが、養護学校がない。そういうことから、高等学校の問題とあわせて、この養護学校の問題もひとつこの後の検討事項としていこうではないかということで提案者の意見がまとまったのであります。  御意見の点ごもっともでございますので、できるだけそういう点はもっときめこまかい問題を盛り込んで、さらにまた離島振興というのは、産業振興政策というようなものが強力に行なわれなければならないわけでありますから、そうした抜本的な離島振興対策というものを打ち立てる中で、御指摘がございましたような点は十分ひとつ生かしていくように努力をいたしたいと考えております。
  104. 橋口隆

    ○橋口委員 これにさらに関連いたしまして、同様な問題になるかと思いますが、病院、診療所の施設についての補助率アップあるいは通学に要する船舶等に対する措置もきわめて必要だろうと思われますが、これについてはいかがお考えになりますか。
  105. 中村重光

    中村(重)議員 ただいまの御意見の点は、実は予算措置ということになっておるわけです。したがいまして、予算措置の面でこれをひとつ生かしていきたい。  先ほども申し上げましたように、四十二年度の予算要求の中で関係各省から大蔵省に予算要求したという経緯もございます。必ず四十三年度におきましては、そういう点は盛り込まれるものであろうということで期待をいたしております。
  106. 橋口隆

    ○橋口委員 次に、経済企画庁長官にお伺いしたいと存じますが、現在わが国の地域開発の法律は非常に複雑多岐でございまして、またこれに対する予算措置も不十分であると思われます。そういう点について、特に離島振興法あるいは山村振興法等を含めまして、新しいそういう地域開発法の整備という点についてはいかがお考えになっておられますか。
  107. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御指摘のように、地域開発の法律が次々と出てまいりまして成立いたしましたために、体系が非常に複雑でございます。それらのものについては、ほぼ一年くらいの間に何かの形で整理をいたしたいと考えまして、すでにその検討を始めております。ただ、その場合でございましても、離島振興あるいは山村振興は、これは地域というとらえ方をいたしませんで、特定の条件にある地方ではなくて、特定の条件にある地域について法律があるわけでございますから、私は、この両者はそのまま残してまいるほうがいいのではないか、いわゆる各地方の開発の法律については何かの形で整理をいたしたい、こう考えております。
  108. 橋口隆

    ○橋口委員 いまのような地域開発の問題とあわせまして、最近国土総合開発計画はどうしても再検討されなければならない時期にきておると思うのでございます。これにつきましては、政府が法律の整備あるいは予算の充実等によりまして、根本的な対策考え直さなければならない時期にきていると思うのでございますが、重ねてその点についての御所見を承りたいと思います。
  109. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 国土総合開発計画を書き直す必要があるのではないかという御指摘に対しましては、私どもそのとおりであると考えております。したがって、すでに予算措置についてもお認めをいただきましたので、来年の夏。ころまでにはこれを全部書き改めたい、かように考えまして、すでに仕事を始めたところであります。
  110. 橋口隆

    ○橋口委員 以上をもって質問を終わります。
  111. 島村一郎

  112. 中谷鉄也

    中谷委員 一言だけ長官にお尋ねをいたしておきたいと思います。  ただいま同僚委員のほうからの質問があったわけでございますけれども、要するに、離島振興法の一部改正の法案、まことに時宜に適したものでありますけれども、ただ問題は、この機会にお尋ねをいたしたいのは、山村振興法の問題でございます。  要するに、まさに陸の離島、陸の孤島といわれているようなそういう山村の問題というものは、この一部改正の本法案の提案理由の説明と全く同じような状態に山村が置かれている。それを過疎対策という面でとらえるのか、あるいは人口流出というのはどのように理解するかという問題でとらえるか、あるいは弱い産業基盤をどのようにして強くしていくかという問題でとらえるのか、いろいろ問題がありますけれども、教育、医療、いろんな面の中で山村が現在非常に苦しんでいます。そういうような点で、離島振興法の趣旨については全面的に賛成すると同時に、私は長官に山村振興をどのようにするか、特にその山村振興法、すでに制定されて足かけ三年でございますけれども、いわゆる離島振興法に追いつけ、離島振興法並みのひとつ山村対策としての措置を講じてもらいたい、こういうことが強くいわれているわけでございますけれども、先ほど若干の長官の御答弁がありましたけれども、この点についての御見解を承りたい、こういうことでございます。
  113. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 確かに山村に、人口流出いわゆる過疎問題が非常に目立ってまいりましたことは御指摘のとおりでありまして、それらの山村をどう考えるかということは、先ほど御質問との関連で申し上げましたが、やはり全国総合開発計画を改めます際に根本的に考えるべき問題であろうと思っております。  山村振興策といたしましては、法律が定めておりますように、特定の条件に当たるものを指定しまして、その調査をして、そして基本計画を立てていわゆる振興策をやっていくということが従来の考え方でございまして、それは今後とも推進をしてまいる必要があると思います。  なお、全国総合開発計画との関係でも、いわゆる山村のあり方というのはもう一度検討してみる必要がある、こう考えております。
  114. 中谷鉄也

    中谷委員 一問で御質問を終わるつもりだったのですけれども、もう一点だけお尋ねをいたします。  要するに山村振興という問題は、真剣にそのことを望んでおる山村の住民たちの気持ちというのは、補助率等について離島振興法並みに山村の補助率をとにかくアップしてもらいたい、そうでなければとうてい山村の疲弊の状態というのは救えないのだという問題なんです。そういう点について前向きにぜひとも御検討いただけるかどうか、この点が一点です。  それから、これはある意味においては非常に粗雑な議論になるかもしれませんけれども、たとえば山村振興の問題に対しましては、産業基盤の開発整備であるとか産業開発であるとかいろんな問題がございますけれども、いわゆる経済的な投資効果という面から山村振興問題をとらまえていった場合に、何かどこかに突き当たる問題があると思うのです。それには社会開発といいますか、そういう観点から山村振興問題というものを取り上げていただかなければならない、たとえばかつて非常に裕福であったところの山国、たとえば和歌山県の山村などについては現在目をおおうような疲弊の状態にある、こういう点についての御見解を承りたい、こういうことでございます。
  115. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 御質問の御趣旨はよくわかっておるつもりでございます。その問題は実は長いこと議論されておりまして、今日なお懸案であります。いままで政府がいたしてまいりましたことは、財政上のほうで辺地債を出すとかあるいは遠隔地の補正をするとかいうことはいたしておりますし、山村振興計画というようなものも法律に従ってやっておるわけであります。ただ山村を離島と同じように補助率を引き上げる形で救うかどうかということについては、実は政府部内でもなかなか意見がまとまっておりません。おそらくは、先ほど申し上げました全国総合開発計画を書き直しました段階で山村というものの姿がはっきりしてまいって、もう一ぺんそういう議論が再燃をするということになろうかと思うのでございますが、いま政府全体を代表いたしまして、離島のような措置を法律をもって考えるということを御答弁するまでの用意がございません。もちろん山村の問題を考えますのは投資効果という意味考えるのではございませんで、そこに住んでいる人々の意思、格差是正という観点から考えるわけでございます。
  116. 中谷鉄也

    中谷委員 終わります。
  117. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  本案の質疑はこれにて終局するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、本案の質疑は終局いたしました。     —————————————
  119. 島村一郎

    島村委員長 本案は、予算を伴う法律案でございますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣に対して意見を求めることといたします。宮澤経済企画庁長官。
  120. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 本案が法律として成立をいたしますと、後年に向かって何がしかの財政負担を増すことになるわけでございます。  なおまた、先ほど御質問にもございましたが、補助対象を一律に、区別することなく補助率の引き上げを御提案されておられることについて、多少の議論、意見がないわけではございません。しかしながら、両院の院議として同意が成立いたしましたときには、もちろんそれに従いまして行政をいたすべきが当然のことであると考えております。
  121. 島村一郎

    島村委員長 これにて内閣の意見は終わりました。     —————————————
  122. 島村一郎

    島村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決いたします。  離島振興法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  123. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  124. 島村一郎

    島村委員長 この際、倉成正君外三名から、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案にかかる、本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提案者から趣旨の説明を聴取いたします。倉成正君。
  125. 倉成正

    倉成委員 ただいま採決されました離島振興法の一部改正法案に対し、私は提案者の一人でありますが、この提案において足らざる点及びこの法案に伴う行政上実施すべき点について、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党を代表して、次の附帯決議を付したいと思います。  まず、案文を朗読いたします。    離島振興法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当り次の点につき特段の配慮を払うべきである。  一、この法律改正にかかる事業に要する経費は、経済企画庁の所管に一括計上すること。  二、国庫補助率が予算措置とされている公立文教施設、社会教育施設、医療施設および清掃施設で離島に設置する施設の整備に要する経費の補助率を引き上げること。 以上のとおりであります。  申すまでもなく、離島が置かれている環境は本土に比しすこぶる不利であり、離島住民の生活はまことにきびしいものがあるのであります。  本決議案はこの趣旨に基づいて提出されたものであり、離島に対する国の施策の円滑化を期するため、予算上の窓口を経済企画庁一本にすべきであること、並びに離島における文教、社会、厚生施設等の国の補助をさらに拡大すべきであるというものであります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  126. 島村一郎

    島村委員長 以上で趣旨の説明を終わりました。  直ちに採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  127. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、経済企画庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。宮澤経済企画庁長官。
  128. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいま御決議を拝承いたしました、御決議の前段につきましては、多少私ども事務的な準備を実は必要といたしますので、それをできるだけ急ぎまして、可及的すみやかに御決議の趣旨に沿うようにいたしたい。  後段につきましては、よく政府部内で検討させていただきたいと存じます。(拍手)     —————————————
  129. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  131. 島村一郎

    島村委員長 次に内閣提出貿易学校法案を議題として審査を進めます。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。武藤嘉文君。
  132. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 貿易学校法案につきまして、私はその趣旨あるいは目的というものについては全面的に賛成でございます。わが国の輸出もついに百億ドルの規模に達しましたし、これからますます貿易を盛んにしていかなければいけない。日本経済発展さしていく上においては、何としても貿易立国である日本にとっては貿易の振興が必要である。そういう面からいたしまして、この趣旨、目的は非常にけっこうだと思いますが、しかしこういう国際的な経済人を養成するという点において、あるいはその他今後国内の経済力をもっと高めていく、あるいは輸出秩序を確立する、そういったことも必要だと思いますが、通産省といたしまして、貿易を今後数年間に一体どれほど輸出を拡大をしていこうとしておるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  133. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 お答えいたします。  御承知のように本年度の三月末におきまして、約百億ドルに近い数字に通関実績でなったわけでございまして、従来から大体五年ごとにわが国の輸出の数字は倍増しておりますので、従来の情勢その他最近の国際情勢を分析いたしまして、昭和四十六年度、すなわち昭和四十七年三月末現在の通関実績が二百億ドルになるように大体われわれとしては目標といたしております。
  134. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 関連いたしまして、先ほど申し上げましたように、輸出の振興にはこういう問題だけでなく、たとえば延べ払いの問題もあるかと思いますが、延べ払いをやはり緩和する方向にいかなければ、貿易の振興というものはやはりだめじゃないか、こう思いますが、その点についての今後の考え方をお聞かせ願いたい。
  135. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 延べ払いにつきましては、大きなプラント類につきましては、やはり国際慣習上どうしても延べ払いでなければ輸出が可能ではありませんので、わが国といたしましても必要に応じて延べ払いをやっておるわけでございますが、各国の歩調を乱してまでやりますと、先進国同士で延べ払いの期限の緩和ということの過当競争ということがございますので、英、仏、独等、その他先進国と常時連絡をとりまして、延べ払い条件による過当競争におちいりますと、お互いに将来混乱におちいるということで、この点においてはセーブいたすようにいたしておりますが、何といたしましてもこういうプラント類を必要とする低開発国におきましては、外貨の保持の状態がきわめて乏しいものでございますので、これらの要望をあわせまして、しかもわが国の輸出が伸びますように、漸次緩和の方向にいっております。
  136. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 次に、いわゆる貿易大学校といわれるものの性格について少し承りたいと思いますが、これは非常に緊急なものであり、当然なものであるという意味からいたしまして、私個人といたしましては、民間の方々がこれは発意になって、現在準備が進められておるようでございますけれども、もっと早く一そう政府の立場から、進んでこういうものの設立というものが行なわれるべきではなかったか。民間から言われる前に、通産省といたしまして、貿易の様相が非常に変わってきております今日、こういう国際経済人の養成といいますか、いろいろと高度の技術を身につけさせるというようなことは、政府の積極的なイニシアチブのもとにやられるべきではなかったか。その辺について、かえってために性格が非常にあいまいなものになっていると思いますが、その点いかがでしょう。
  137. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 確かに最近の国際経済情勢の変化に伴いまして、国際経済人と申しますか、の養成につきまして、各国とも熱心に行なっておるわけでございまして、アメリカにおきましては一九四七年からすでに開校をいたしております。またフランスにおきましても一九六一年から開校いたしておりまして、日本はやや立ちおくれの感がございますが、ただ政府がこれを率先してもうちょっとイニシアチブをとる必要があったかどうか。その点につきましては確かに私も同感でございます。しかしながら各企業におきますところの人材の養成といいますものは、やはり企業のある程度のイニシアチブをもちまして養成すべき筋合いではないかと考えまして、またその足りないところ、あるいはその企業独自の力ではできませんいわゆる中小企業、そういった人たちの養成ということから、政府としてもやはりこれに対して助成を行なうのが適当だと思いまして、民間のイニシアチブの、特に大企業のイニシアチブに基づきまして政府が助成措置を行ない、そして中小企業の独自で行ない得ない企業の人材の養成ということが、現在の日本の情勢におきまして最も好ましいかっこうだ、こう思いまして、現在の法案を御審議願っておる次第でございます。
  138. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 わからないこともないのですけれども、かえってそのためにいろいろ性格上非常に問題が出ているのではないかと思います。  ここでひとつ行政管理庁からもお越しいただいておりますので、行政管理庁に、特殊法人というものの解釈についてちょっと私教えていただきたいと思うのでございます。行政管理庁設置法第二条四の二で見ておりますと、「法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立」するものが従来特殊法人といわれておるわけでございますが、どうもこの文章を見ただけでは、たとえば「法律により直接に設立される」これは直接に国がやるという意味でよくわかりますけれども、「特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきもの」というのは、一体どういうものを運用面で解釈をしておられるのか、その点をひとつ承りたいと思います。
  139. 大国彰

    ○大国政府委員 行政管理庁の審査の対象になっておりますいわゆる特殊法人についての範囲といいますか、ただいまお話ございましたように、一応法律の第二条四の二におきまして、二つの範疇に分けてあるのでございます。一つは「法律により直接に設立される法人」とありまして、これは現在ではいわゆる三公社だけでございます。それからもう一つは「特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人」ということになっておりまして、これは国がその設立に強いイニシアチブをとるというのをこういう形で押えればいいんじゃないかということで規定されたわけでございまして、私どものほうの解釈といたしましては、「特別の設立行為」と申しますのは、政府が設立委員を直接に任命して設立をさせる、こういうふうに解釈をしてずっときているわけでございます。
  140. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 政府が直接に設立の委員を任命するということと、それから国がイニシアチブをとるということは同じものであると解釈していいものか、あるいは別でございますか。国がイニシアチブをとるということと、国が直接そういう委員を任命するということ、これは国がイニシアチブをとるというのが、とりもなおさずそういう国が直接に委員を任命することになるのか、そうでなくて、国がイニシアチブをとる場合並びに国が委員を任命する場合、こういうふうに解釈するのか、どちらでございましょうか。
  141. 大国彰

    ○大国政府委員 国が強いイニシアチブをとるということの表現として、設立委員を任命するということがまあ形式的に出てくるというふうに解釈しておりまして、設立委員を任命するということ自体が国の強い意思を発表しておる、こういうふうに解釈しております。
  142. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 まあ私、日本語が理解できないのかもしれませんが、その辺は、そうすると大体ニュアンスとしては非常に似通っている、こういうふうに解釈して差しつかえないわけでございますか。
  143. 大国彰

    ○大国政府委員 お話のとおりでございまして、こういう特別の法律により設立される法人と申しますのは、大体国家目的にある程度の関係のあるものでございます。その中で行管の対象といたしますのは、特に強い国の発意によるという面で、直接に設立委員を任命したものだけを行管の対象にする、こういう意味でございます。
  144. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 もう一度確認いたしますが、そうすると国の強い発意があるということが必要だ、こういうふうでいいわけでございますね。
  145. 大国彰

    ○大国政府委員 発意があって、それが具体的には設立委員の任命ということであらわれておるというふうに解釈しております。
  146. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 そういう点においては今度の貿易学校法案というものは私は特殊法人ではない、こういう解釈でいいんじゃないか。というのは、いまの御説明によりますと、非常に強い国の発意によって国が任命するという点からいけば、今度の場合は、まあ私の気持ちとは違いますけれども、民間の発意によってこれは進められておるわけで、ございまして、そういう点では特殊法人ではない、こういうふうに解釈ができるんじゃないかというふうに考えます。そこで、このこととは違いますけれども、関連してちょっとお聞きいたしますが、いろいろといままで特殊法人というものが多過ぎるのじゃないか、整理統合あるいは廃止すべきじゃないか、こういう意見が出てきております。確かに効率の薄いものとかあるいは存在価値のなくなっているものもあるのじゃないか、そういう点においては極力早急に整理統合なりあるいは廃止をすべきものはそのような方向でやっていただきたいと思いますが、その点につきまして現在行政管理庁で、いま百八あると言われておりますけれども、それに対してどんな方向で検討が進められておるのか、その辺少し承りたいと思います。
  147. 大国彰

    ○大国政府委員 三月七日に閣議の申し合わせがありまして、特殊法人に関しまして整理統合を推進する、極力推進するということになったわけでございまして、私どもといたしましては四月以降現存いたします百八の全部の特殊法人につきまして実態調査を行ないまして、大体八月の終わりを目標にいたしまして現在作業を進めておるわけでございます。何ぶん数が多うございます関係もございまして、いま全庁あげてそれに取り組んでおるわけでございますが、まだ目下調査中という段階でございます。
  148. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 次に、法案の内容につきまして二、三通商局長に御質問申し上げたいと思います。  まず第一に、この名称の問題でございます。まあ大学校という特定のことば、ほかにも防衛大学校とか自治大学校とかいろいろあるようでございますが、私ども一般の常識から考えて、どうも学校教育法のいわゆる大学、普通の大学と混同しやすいじゃないか、もっといいほかの名前がないだろうか。漏れ承るところによりますと、国際経済人研修センターとかあるいは私はまあ国際経済活動センターでもいいのじゃないかと思うのですが、そういうような名前ではどうもまずいのか。あるいはやはり皆さんが非常に頭をひねってお考えになったんでしょうから、この名前が非常にふさわしいと思うというようなもの、あるいは感覚でもけっこうでございますが、その辺いろいろ名前につきましては御議論もあったように承っておりますので、その辺のところをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  149. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 御指摘のように貿易大学校といいますと何となくやはり大学程度の教育を行なうということで、むしろほかの名称、すなわちこの場合におきましては大学の教育を主として経ましたあと実務の経験を経た人を入れますところの再訓練機関ということから、大学に相当するような印象を与える大学校というのは不適当であって、むしろ大学院というべきであろうという御意見がたしか中山伊知郎先生、特に大学の先生からはそういう御指摘がありました。またそのほかの面では、大学院という名称は用い得ないという文部省の見解から、それでは国際経済研修センターとかあるいは国際経済研修所というような名称がいかがという御意見が多々出たわけでございますが、これは貿易大学校法という特別法でこの名称を明示いたしまして、大学ないしあるいはそれに相応する教養を持っている人の再訓練機関ということは誤解があるまいと、そういうことから、一般の民間の方々は、むしろ大学校という名称を用いたほうが印象としてわれわれは何となくオーソリティーを感ずるということから、募金その他の関係もございますので、その名称に落ちついた次第でございます。
  150. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 次に、この研修を受講する方々を選考する場合でございますけれども、その発起人の方々が、承るところによりますと、わりあい大企業の経営者の方が多いという意味において、案外大手の商社の社員によって受講者が占められるのじゃないか、こういう心配が私どもされるわけでございますけれども、やはり日本経済考えますと、貿易商社にも中小の貿易商社もございますし、中小の貿易商社の中にも非常に優秀な社員もおると思いますので、そういう点において中小の貿易商社の従業員、社員を対象にした一定のワクと申しますか、百二十人と聞いておりますが、百二十人なら百二十人の中に最初から一定のワクを設けてあげるということがいいことではないか、あるいはまた受講料にいたしましても、本科の場合、一年の受講料が三十万円で、それに寮費を加えますと相当な金額になると思いますけれども、そういうものは、大企業の大手商社は負担することはそんなに痛痒を感じないかもしれませんが、中小の貿易商社にとりましては非常に大きな負担だと思うのでございますけれども、そういうことで一定のワクを設けて、中小企業の貿易商社の中の社員で、これに耐え得るだけの適格な人があったならば、その一定のワクでそれを確保して、その上なおかつ、そういう受講者に対しては、受講料あるいは寮費というものについて何らか軽減措置を考えるということが非常に必要なことではないかと思うのでございますが、その点についてひとつ承りたいと思います。
  151. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 この大学校をつくりますにあたりましては、昨年の十一月十日に貿易大学校設立準備協議会というものが発足をいたしたわけでございますが、この設立準備協議会は貿易大学校に対する拠金を行なうという考えからの人の集まりでありますので、石坂会長をはじめ大企業が設立準備協議会のメンバーになったわけでございますが、この本法律案が通りました後におきましては、別途発起会というものができまして、これが本学校の法人の設立に当たるわけでございますが、この発起人会の中には中小企業の代表の方々も入るのがしかるべきだと私は考えております。また将来の運営におきましてはまさに御指摘のとおりと思います。と申しますのは、この貿易大学校というのは、大企業の方の再訓練ということだけではなくて、むしろ大企業は独自の力でできるという面も多々ございまして、またそういうことをいっておる面もございます。しかしながら、中小企業におきましては、そういう点が独自の力では困難だと思います。したがいまして、中小企業の人材の養成という点に重点を置くということが、政府が助成する以上きわめて当然なことと考えます。しからば、その方法としてはどうしたらよろしいかという点では、まさに御指摘のとおり、われわれはA、B、C、Dと各コースを設けますと同時に、本科であるAコースにつきましても、十分ワクを設けるとか、あるいは軽減措置を設けるとか、中小企業がその点だけから入れないというようなことがないようにするのは当然かと存じますので、その点については十分留意いたしたい、こういうふうに考えております。
  152. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 もう一つ、受講者の対象で、たとえば、これはそれだけの適格者でなければいけませんけれども、民間だけでなくして、いわゆるジェトロの職員、特に私ども外国でよくジェトロの職員にお目にかかりますと、非常に若手の方が一生懸命やっておられるのを見受けますけれども、そういう方々も受講の対象にされるのかどうか、その辺ちょっと承りたいと思います。
  153. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 受講の対象といたしましては、まだ明確な決定はございませんが、現在よりより準備協議会で相談いたしました範囲におきましては、商社、メーカー、銀行、それから官庁、ジェトロの職員も官庁に準ずると思います。あるいはジャーナリストという分野も考えておりますので、御指摘のジェトロの職員の養成という面におきましても、必要と思いますので、十分留意していきたいと考えております。
  154. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 時間もございませんので、最後にいわゆる講師の顔ぶれ、これはきまってなければけっこうでございます。もしきまるというか、予想されておれば、その顔ぶれ。  それから、特に語学の研修というのがうたってございますけれども、語学の研修ということになれば、当然その講師というのは外人のほうがいいのじゃないか、やはり日本人が教えるということでは無理じゃないかと思うのでございますが、その辺あわせてひとつ顔ぶれを承りたいと思います。
  155. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 現在設立準備協議会の中の教科目部会というのがございまして、この部会長には中山伊知郎教授が当たっておりまして、現在東京都内の各大学の教授の特にこの方面に関心あるいは研究されている方々が集まって教科目を作成しているわけでございますので、これらの人が中心になるかと思います。  それから教授といたしまして二十七名程度を予定しておりますが、語学関係がこの半数でございますので、これは大体外人をもって充てるというふうに考えております。教授陣の詳細につきましては、発起人会ができまして、法人設立後におきまして法人の理事がこれを具体的に決定するという段取りになっておりますので、現在のところはまだ決定いたしておりません。
  156. 武藤嘉文

    ○武藤(嘉)委員 これで質問は終わりますが、ぜひひとつ先ほどお願いいたしました、いろいろ留意をいたしますとおっしゃいましたことにつきましては、そう実現をされるように御要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  157. 島村一郎

    島村委員長 本会議散会後再開することとし、この際休憩いたします。    午後一時十八分休憩      ————◇—————    午後三時十九分開議
  158. 島村一郎

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出貿易学校法案を議題として、質疑を続行いたします。中谷鉄也君。
  159. 中谷鉄也

    中谷委員 前回に引き続きまして質疑をいたします。  私が政府に対してお答えを求めた一つは、本件貿易大学校がいわゆる大企業の幹部、若手社員のための研修センターということに相なって、日本の輸出の五〇%を占めているところの中小企業の職員については閉ざされた門になるのではないか。そのようなものであるとするならば、貿易大学校というのは大企業のためのものであり、高いところに土持ちするところの制度でしかないという点についての危惧を申し述べたわけであります。そこで、その点について通産大臣お答えをいただく前に、次のようなことを私はお尋ねいたしたいと思います。  まず最初に、文部省の政府委員の方においでいただいていると思いますので、私がお尋ねをいたしたいのは、最近ある週刊誌に「就職情報」というふうな特集がありまして、「これでも学歴は無用か」という特集がなされております。その内容は、求人指定校というものが公然と行なわれておる。要するに、いわゆる新興大学と申しますか、地方大学というか、新しく発足した大学については、その大学の卒業生は大企業、いわゆる一流会社の採用試験を受けようとしても、そもそも求人指定校として指定をされてこないので、受験の資格がそもそもない、こういうふうなことが報ぜられているわけであります。このようなことにつきまして、文部省といたしましてはすでに各事業主に対して、これは当然のことであろうと思いますが、大学学術局長の名前をもちまして、いわゆる青田刈りについての防止の問題と、そうして就職についての機会均等の問題について通達、依頼をお出しになっておるようでありますけれども現状は一体どうなのか。本日すでに七月の中旬に差しかかっておりますけれども、現に青田刈りが行なわれておるのではないか。もちろん青田刈りの問題は、貿易大学校の法案審議とは直接の関係はございませんけれども、いわゆる新興大学、地方大学の卒業予定の諸君は、すでに人生の出発点において就職機会を奪われているのではなかろうか、こういう点について、ひとつその実情と、これに対する文部省の現在の段階におけるところの対策、どういうふうな措置をされておるかという点についてお答えをいただきたいと思うのです。何月何日に通達を出した、しかし、というふうなお答えではなしに、どうするかという問題についての御答弁をひとついただきたい。
  160. 石川智亮

    ○石川説明員 いま先生がおっしゃいましたように、本年も毎年の例にならいまして、二月四日付で各経済団体、中小企業の連盟その他に約二千通の御依頼を申し上げまして、いわゆる個人の資質、能力が形式的なもので左右されないようにということで、私のほうから毎年の例に従いまして御依頼を申してあるわけでありますが、御指摘のように十分にその効果を発揮して、遺憾の状態ではないということをちょっと申し上げかねる段階でございます。ただ、先生から御指摘ございました地方大学の問題でありますが、地方大学の問題にしましても、私どものほうの文部省と労働省の関係で、地方大学を中心にした就職の問題は、ブロックごとに協議会を持ちまして、これのあっせんは私のほうでやっております。ただ、御指摘になりましたように、パーセントから見ました場合に、昨年の例を見ましても、中小企業のほうは大体三割から七割くらいの差で、制限をしないようなルールで動いてございますが、企業が大きくなればなるほど、そういった関係が御指摘になったようなものが見受けられます。これは職場に出る前に一生懸命勉強しておる学生の問題にしましても、資本自由化を目前に控えて人材の確保が強く要請されているときに、人材の養成に制限を加えるということは、あるいは産業界自体にとっても大きな損失になることがあるやと見受けられますので、趣旨はおわかりになりかねるかもしれませんが、その趣旨に沿いまして今後とも十分にやらせていただきたいというふうに考えております。
  161. 中谷鉄也

    中谷委員 貿易大学校の問題についてお尋ねをする導入的な質問になるのでありますけれども、職業選択の機会均等というものの本旨、そういうふうなものが根本にあると思うのです。そういうふうな本旨にのっとって、大学によって制限をする、あるいは昼間部、夜間部によって差別をするというふうな、本人の資質、能力に関係のない形式的理由によって不利益な取り扱いをしてはいかぬということ、さらにまた女子学生だというふうなことで、その点についての差別があるというふうなことについても好ましくないではないかというふうなことは私言えると思うのですけれども、そうすると、文部省としては、結局毎年そのようなことについて、選考、推薦あるいは採用試験について、いろんな点についてのお願いはしているけれども、実態はなおそのような実態なのだ、これについては一歩進めて、今後この問題についてこのように解決をしたいという具体策についての御答弁がさらにあってしかるべきだと私は思うのです。常にそういうふうな大企業とは密接な、いわゆる行政指導をする関係においての主管省であるところの通産大臣もきょうはおいでになるこの商工委員会なんです。そういうような点について、文部省としていま一歩進めたところの御答弁があってしかるべきだと私は思うのですけれども、いかがでございましょうか。
  162. 石川智亮

    ○石川説明員 この問題につきましては、私のほうでも研究をいたしまして、さらに具体的に、先生が言われましたような何か得策がないだろうかということは検討いたしておりますが、いまここで、実はこういうことがあるのだということを申し上げられない段階でございまして、今後とも検討させていただきたいと思います。
  163. 中谷鉄也

    中谷委員 労働省にお尋ねをいたします。  業務指導課長さんにおいでいただいているわけですけれども、労働省としては、そういうふうな職業選択の機会均等というふうな問題について、特に私がいま指摘いたしましたようないわゆる求人指定校というようなことで、昔からあるいわゆる有名大学あるいは新しくできてきておるところの新興大学、昼間部、夜間部などというふうなことで、学生の資質と関係なしに能力と関係なしに、そもそも受験の機会を奪われておるというふうなことについては、特別な措置をされておるかどうか。この点についてはいかがでございましょうか。
  164. 保科真一

    ○保科説明員 大学の学生につきましては、職業安定法第三十三条の二によりまして、大学の校長が責任を持って職業紹介、職業指導をやるというようになっております。労働省といたしましては、先生御指摘のような事実に対しましては、できるだけそういう学校の差別なく就職の機会が均等に与えられるということが望ましいと考えておるわけでございまして、業界等に対しましても、機会あるごとに、機会均等にそういう就職の機会を与えるようにというふうに呼びかけをいたしております。  職業安定機関といたしましては、先ほども文部省のほうからお答えがございましたけれども、ブロック別に地方学生就職問題連絡協議会というのを八県に設けております。それから、さらに各ブロック別の安定所に学生就職促進本部というのを置きまして、大学卒の求人につきましても安定所で受付その他をいたしまして、できるだけ就職の機会等をはかるように考えております。  さらに、非常にむずかしい問題でございますが、大学の特定校、有名校に求人が集中いたしますので、その一部をオープン化しまして、こういうような学生就職促進本部等におきまして、オープン化した求人をあっせんするというように将来持っていきたいと思いまして、考慮中でございます。
  165. 中谷鉄也

    中谷委員 貿易大学校の核心に触れていきたいと思いますが、大臣お尋ねをいたします。  大臣は、何といっても教育の御専門家でもありますのでお尋ねをするわけでございますけれども、文部省は毎年、毎年いわゆる通達を出している、しかし実効があがらないという趣旨の御答弁として受け取りました。労働省についても、いろいろな点で御努力をされているようだけれども、この点について必ずしもそれが具体的に効果のある、いわゆるそれだけの力を発揮するかどうか、たいへん配慮をしておられるけれども、私はなかなかむずかしい問題だと思う。そうすると、われわれ商工委員会の中で常に問題にいたしております中小企業の振興と、中小企業に優秀な人が行ってもらうというふうなことは、まず言っておりますけれども、同時に反面裏を返していいますと、学生がとにかく受験の資格、機会くらいは与えられてもいいのじゃないか、これは与えられるのがあたりまえじゃないか、これがいわゆる就職の機会均等じゃないかということが当然言えるだろうと思うのです。そういうようなことについては、それは本来文部省のお仕事であり、労働省のお仕事であるかもしれませんけれども、そういう大きな企業のあり方というふうな点に関連をいたしまして、通産大臣としては、そのような、まず門前払いを受けているというような新興大学、求人指定校にならないことによって、玄関払いを受けておるところの、昼間部ではないところの夜間部の学生諸君の問題について、どのようにお考えになるかというような点について、ひとつ大臣の御所見を承りたい、こういうことでございます。
  166. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いろいろむずかしい問題について御質問がありましたが、大企業者が求人する場合に有名校を指定しておるということは事実だと思います。しかし私は、有名校の卒業生がはたして社会に出て実際にやれるかどうかということについては、私自身疑問を持っておるのであって、必ずしも有名校でない卒業生でも、りっぱに社会で活躍しておる人がたくさんあるのであります。したがいまして、私などは、私も私立学校を経営しておる者でありますから、有名校ではありませんが、しかしうちの卒業生を使ってくれというてお願いしておるのでありまして、決して有名校と劣らぬような成績をあげている卒業生もあるのであります。でありますから、私から言えば有名校ばかりから採用するというやり方自身は、これは大企業者としては反省してもらうべきじゃないか、こう私自身も思います。そうしてまた有名校の卒業生が全部みな相当社会において働いておるかというと、そうでもないのでありますから、したがいましてどこに人材がおるか、有名校でないところに人材がおるか、あるいは大学を出なくても人材もおるのであるからして、そういう人を使うようにするのがよいと思うのでありまして、松下さんなどの社長が学歴無用論というものを唱えられているのもそういう理由からだと思うのでありますからして、そういう意味で有名校ばかりから卒業生を募集しておるということ自体は、私からいうと時代錯誤の考え方だ、こう思っておるのであります。しかしその会社、会社でそういう方針でやっておるのでありますから、それに対してそういうことをしてはいかぬという注意というのか、親しい間であればそういう注意はしますけれども、そういうことをしてはいかぬということは言えないのであります、その大企業者、大企業者の方針でやっておりますから。そういうことでありますから、文部省のほうでもいろいろその点については機会均等ということを言っておられるのでありますが、私から言うと、卒業生が必ずしも大企業に入ること自体が、はたして本人のためになるかどうか、その点も問題だと思います。むしろ中小企業で苦労なさったほうがいいのじゃないか、そうすると結局大をなすのじゃないか、こう思うのでありまして、私のところにずいぶんいろいろな方面から就職を頼みに来ますが、私はむしろ中小企業に行きなさいということをおすすめしておるのであって、それがほんとうの実力を発揮する。大企業は組織の力でみな動いておるのでありますから、ほんとうの実力は発揮できないから、ほんとうの修養ができないから、中小企業のほうに行きなさいということを、私自身は、私のところに問い合わせが来たときにはそういうふうにおすすめしておるのであります。したがって、大企業へ行くこと自身がいいか悪いか、これも問題だと思います。でありますから、大企業が有名校からばかり募集しておることが悪いということは一がいにそれは言えないと思うのであって、むしろ本人にとっては、大企業へ行かなかったほうがあるいはあとで幸いだと思う人もたくさんあるのであります。中谷さんあたりもその一例じゃないかと思うのです。でありますから、有名校ばかりへ青年があこがれておること自体は私自身は反対でありまして、むしろ、私自身は有名校でない学校ばかりやってきた男でありますが、有名校でない学校で苦労したほうが、ほんとうに人間としてみんな育っていくのではないか、こういうような考えを私の体験から申し上げておる次第であります。そういう意味で、一がいに機会均等を失っておるとかいうことで、それのよしあしを論ずること自体は私はどうかと考えております。
  167. 中谷鉄也

    中谷委員 非常に大臣の熱意のある御答弁をいただいたのですけれども考えてみると、中小企業へ行ったほうが仕合わせになる人がおるかもしれぬ、そのとおりだと思うのですが、ただ問題は、大企業についての受験機会、就職機会を与えられた中において、みずからの意思において中小企業を選択をするということがなければいかぬと私は思う。大企業のほうはそもそも門を閉ざしておって、中小企業へ行ったほうがいいかもしれませんけれども、右すべきか左すべきか、自分で選択——右のほうへだけおまえは行け、そういうことで右のほうに行ったらいいかもしれぬというのでは、これは非常におかしいと思う。  そこで、これは私所管外ではないかというふうな感じもいたしますけれども、どうも文部省の文書を拝見いたしましても、お願い、御依頼というふうな文章でございます。文部省というようなところが、結局学生の立場からいうと採用をしてもらうというかっこうで、文章としてもまさに依頼の文章でしかない。労働省というお立場も、大企業あるいは企業に対する影響力が少ないと思うのです。ひとつ大臣に私この機会にお願いをし、またさらに一歩進んで御所見を承りたいのですけれども、ひとつ、個人的にお会いになったときに就職機会を与えなさいよというお話ではなしに、一歩進めて、通産大臣として、そのようなことについて見解をお出しいただきたいと私は思う。そういうようなことでなければ、幾ら文部省が努力したって、結局私は文部省になかなかそういうふうな力がないと思うのです。むしろそういうような問題については通産省も入っていただいて、閣議等においても問題にしていただく問題かもしれませんけれども、いずれにいたしましても、通産省においても最低文部省や労働省の考えておるような、そういう就職の機会を平等に与えるということについて、さらに通産省自身もリーダーシップをとって努力していただく、こういうことについてはいかがでございましょうか。
  168. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 通産省としてそういう指令というか、というようなことを出すこと自体はどうかと思うのです。何か機会があったときには、まあ勧告するとかいうことは私はいいと思うのです。現に私自身が、ある大阪の有名な会社ですが、それは東大の卒業生でなければ採用しなかった過去がありますが、それではいかぬ、少し天下の人材を求めなさいよということですすめて、各方面から卒業生を採用する方針に変えた、これはずっと前の、戦前の話ですが、そういう大会社もあるのであります。でありますから、やはりそこの経営者の頭によるわけで、経営者がもう少し人材を天下に求めるという気持ちがあればよし、もしそういう気持ちがなければ、何べん言ったところでだめだ、こう私は思うのです。
  169. 中谷鉄也

    中谷委員 四十一年四月十三日の貿易大学設立に関する意見書の、貿易大学コース別内容一覧表によりますと、いわゆる本科、セミナー、語学研修班、別科それから留学生というようなことに相なっております。そういうことで、最近は貿易大学校に設置するコースの内容というものについては、いわゆるAコース、Bコース、Cコースというふうなことに相なっておる。そこで問題は、特に先ほど私が指摘をいたしました最初の四十一年四月十三日のいわゆる貿易大学コースと最近の案との間の一番大きな違いというのは、別科コースというものについて最近のものにはあらわれていないという点だろうと思うのです。政府委員局長さんにひとつお答えをいただきたいと思いますが、この別科コースというのが消えてきたと申しますか、少なくとも当面の計画の中に出てきていない。このわけについてはいかがでありましょうか。
  170. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 先生の御指摘のとおり、四十一年四月一三日の貿易大学設立に関する意見書にはいわゆる別科コースというものをうたってございまして、これは高等学校を卒業いたしました者を各都道府県知事の推薦で入れましょう、そして二年間にわたって教育をしようという考え方から出たことで、ございまして、かつての東亜同文書院その他の構想の復活という考え方から、これを非常に要望する方がございました。それで現在はAコース、Bコース、Cコース、Dコースになっております。なぜそういうふうに変わったかと申し上げますと、かつての別科コースを全然やめたわけではございませんで、このA、B、C、Dコースというのは最近の情勢、各方面の意見をお伺いしまして、来年度、いわゆる本科がスタートいたします来年の秋ごろと思いますが、その際にとりあえずスタートするコースということで、別科コースというものはその様子を見まして実施いたしたい、情勢に合わせて検討したいということで、現在の案にはもとのままの別科コースというものはあらわれておりません。と申しますのは、この四月十三日に書いてございます別科コースはやや将来の問題に属しまして、この別科コース卒業生の将来の方向、動向、あるいは企業の採用の動向等を十分見きわめませんと、いきなり実施することはどうかという点からなお検討を要するということで、現在のDコースという形態にとりあえず相なった次第であります。
  171. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、この法案が予想している貿易大学校のいわゆる一番核になるというか、中心になるクラスというのはAコース、大学卒業者で企業等に在職する者、人数は約百二十人、期間は一年間、このAコースであろうかと思うのです。前回私がお尋ねさしていただいたことをもう一度御整理いただいてお答えいただきたいと思いますけれども、要するに貿易大学校に入所できる、入学できる資格の人というのは商社、メーカー、その他政府機関さらにそのほかの者もあるということなんです。そこで、これは入所の機会をだれにも与えるということだけれども、先ほどから指定校の問題などという一見無縁のような問題を私が取り上げたのは、要するにこういう研修センターなんですから、試験をして成績のいい者からとにかく採用していくのだというふうな、そういう採用のしかたをされるのか。それとも百二十人というワクが動かないものだとするならば、たとえばメーカーについてはこの程度、商社についてはこの程度、あるいはまた政府関係機関は非常に少ないというような御答弁が前回ありましたけれども、かりにこの程度、さらにまたメーカーの中においても特に業種別であるとか、さらにまた企業の規模別であるとか、ことに私が前々から申し上げておりますところの中小企業の若手幹部の人たちが入所の機会を与えられるだろうかどうだろうかという問題を提起しているわけですけれども、そういうふうな百二十人の割り振り、内訳、そういうものについての構想、こういうものを私はこの機会にお示しをいただきたい、こういうことでございます。
  172. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 具体的な答弁はあるいは政府委員から答えるかもしれませんが、中谷委員の御心配になるのは、Aコースは大企業の者ばかりが入るのじゃないかというようなことだと思います。しかしそれは、ここの資格として大学卒業生という資格にしておりますけれども、私は何も大学のコースを経なくてもりっぱな人はたくさんおるのですから、そういう人たちは特別にまた入校さす方法があると思います。でありますから、何も大企業者ばかりでなければならぬということも考えておらぬし、先般も民間の金を集める委員をしておられる堀江さんにもお目にかかったのでありますが、十五億の金を集めるというのは大企業から集めなければならないけれども、しかし中小企業のほうでもお金を出したいという人があったら喜んで受けたらどうかということを私申し上げておいたのでありまして、それで私自身は、もちろん大企業者の社員も入りますけれども、中小企業者の人で——実は私の教え子などが今日、中の貿易商をやっておりますが、このことを聞いて非常に喜んで、自分の社員にそういう勉強をさせたいのだ、しかしいままでそのチャンスがなかったので、これができたらうちの社員をそういうところにやります、しかし三十万円は高いという話をちょっとしておりましたから、三十万円はまた何か特別の方法があるわいという話もしておいたのであります。でありますから、私はむしろ中貿易の人でこのような貿易大学校の設立を望んでいる人が相当あると思うのです。大企業者でありますと、自分のところの費用で海外留学生みたいにして海外の支店に出したりして、そこで語学を勉強させたり何かさすチャンスはあると思います。中小貿易者ですとそれだけの余裕がありません。これは一年間遊ばすようであるが、実際は非常に将来に役に立つと私は思うのであります。したがいまして、今度の貿易大学校を大企業者ばかりに利用さすというような方針では根本的にはないのでありますから、その点はひとつ誤解のないようにしていただきたい。  それから商社、メーカー、あるいはメーカーの中には技術家も入れなければならぬと私は考えますが、そういうような人については、政府委員のほうで考えておるかどうか知りませんが、私は校長になる人にそういうことについては方針をきめてもらうべきじゃないかと思うのであって、いまから政府がこういう方針でやると言うのではなくして、これはやはり校長に教育は一任するというようにやらすべきではないか、こう私は考えております。
  173. 中谷鉄也

    中谷委員 ちょっと政府委員の御答弁をいただく前に、大臣の御答弁の中でどういうふうにつながっていったのかわかりませんが、ちょっと気にかかった点が一つございました。寄付を、特に中小企業の人にも出したい人があったら出さしなさい、出してくれたらいいのですよということをおすすめになった。けっこうなことだと思うのですけれども、入所するということと寄付をする、要するに十五億の金の幾分かを中小企業のだれが負担するとか大企業のだれが負担するかというふうなことは、入所と全然関係のないことでございますね。要するに寄付したからその見返りとして自分のところの会社から若手幹部を入所させるというふうなことではないので、何か御答弁の中に寄付の話が出てきましたので、非常に気にかかりました。びた一文寄付しなくたって入所したい者は入所できるということではないか、その点ひとつ……。
  174. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 それはお話のとおりであります。だからして私はこの貿易大学校が大企業者でつくったというその組織が気に入らぬので、これは全国の貿易業者がみな拠出してやったんだというような大学校にひとつしたいというのが私の考え方でございます。大企業者ばかりでつくったということになるとおのずから中小企業の人も入学するについてはひけ目を感じたりするから、これは貿易業者なりその他のメーカーがみな参加しているのだというような大学にひとつしたい、こういう私の考え方だ。入学と寄付とは全然別です。その点は誤解のないようにしてください。
  175. 中谷鉄也

    中谷委員 じゃ政府委員の方に御答弁いただきますが、結局百二十人ということになりますと、これは規模の大きさというのはいろいろな問題があってでしょうけれども、この前もお尋ねしたのですけれども、商社、メーカー、要するに対象となっている企業の中で、毎年どのくらいの人が採用されていくのですか。要するに貿易経済人としての仕事に従事しているのが四、五年ぐらいということで出していけば、何人の中から何人ぐらい、希望者はどのくらいあるだろうという問題が出てくるだろうと思うのです。その中でどう考えても私は中小企業ははじき出されるような気がしますね。もうほんとうに明確な、百二十人のうちのワクで百人までは中小企業にしますというふうなことをおきめにならない限りははじき出されて、先ほど大臣が御答弁になったように、大企業は海外の支店に研修を兼ねて駐在をして、そこで自分の能力を向上させることができる。中小企業にはそういう機会がないというふうな、一そうこの貿易大学校が大きな企業の高いところへ土盛りするようになると私は思う。だからその点について明確な御答弁がいただきたいと思うのです。  それからもう一つ三十万という授業料が高いか安いかという問題でございますけれども、私は三十万の授業料というようなことについて心配するような中小企業というようなことだったら、そもそもこれは来ないと思うのです。問題は四、五年たった優秀な働き手が一年間仕事ができないということについて中小企業が敬遠する可能性が非常に強い。結果として、門戸を広げておっても大企業のものにしかならないのじゃないかという心配が私はある。この点について、いろいろなことをお尋ねしましたけれども、ひとつ政府委員のほうでまとめて御答弁いただきたいと思います。
  176. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 まず最初に先生の御質問の企業別に何らかの割り振りをする必要がありやなしやというお尋ねでございましたが、現在具体的にはできておりませんので、将来この問題については貿易大学校ができましたときにその責任者決定することと思いますが、しかしながら中小企業から入る人の問題につきましては、先般の中谷先生の指摘もございましたように、十分これは配慮しなければいかぬし、またこれは自然に放置して配慮するだけではいかぬということで、現在のところ一定のワクを設ける必要があるし、この法人ができます際には通産大臣業務方法書や事業計画を認可することになっておりますので、その際に中小企業から入る人につきましては一定のワクを設けたい、こういうふうに検討いたした次第でございます。そういう方向でやっていきたいと考えておる次第でございますが、しかしながら、次にかりにそのワクを設けましても、三十万円はともかく、一年という長期にわたってその企業の中心となるべき人物を出すことはできないのではないかというお尋ねでございますが、確かにこういうケースもあるいはあるのではなかろうかとも思われます。しかしながら全国多数の中小企業からでございますし、百二十名中の一定ワクで一年以上派遣することができるところも十分あると思いますので、これはこれで十分満たし得ると私は考えております。しかしそうでない中小企業も多々あり得ると存じますので、その分野については特にBコースを設けまして半年くらいの期間でやったらいかがか、こういう案にいたしておる次第でございます。
  177. 中谷鉄也

    中谷委員 あと麻生委員とそれから近江委員それぞれ質疑のあれがありました。したがって、私だいぶ質問の準備をきょうはしてきたのですけれども、あと一、二点だけで終わります。  行管のほうにお尋ねいたします。七月十日の新聞報道によりますと、いわゆる隠れ特殊法人の整理化で行管のほうでは設置法を御検討になっておる、こういうことでございます。  そこでお尋ねをいたしますが、この貿易大学校というものがどういうことに相なるのかわかりませんけれども、いずれにしても特別な法人であることは間違いないと思うのです。言うてみればこれまた特殊法人ということに相なると思うのですが、いわゆる設置法の条文の特殊法人であるかどうかは別として、少なくとも隠れ法人——あまり名前はよくないのですけれども、いわゆる隠れ特殊法人、こういうふうな法律用語あるいは行政学的な形態分類のことばがあるかどうか別として、隠れ特殊法人、そういうものが機能的にいいか悪いかは別として、隠れ特殊法人ということにこれは相なるのでしょうかどうか、行管のひとつ御見解を承りたいと思います。
  178. 大国彰

    ○大国政府委員 新聞に載りました隠れ法人というようなものがどういうことを意味しておりますのか、私どももそういうことばを使ったことがありませんのでわからないのでございますが、この貿易大学校は当初確かに通産省のほうからは特殊法人という形で私どものほうに出てまいったわけでございますが、いろいろ私どものほうで審査をいたしました結果、特殊法人として設置しないほうがいいという御意見を申し上げまして、それによって今度新しくこういう形態の法人組織で出てまいったわけでございまして、この形は、私ども審査対象になっております特殊法人ということばは、ほんとうは法律上ないのでありまして、行管の担当する法人には該当しない形で出てまいったわけでございます。
  179. 中谷鉄也

    中谷委員 これは行管のほうから御答弁がありましたので、引き続いて行管のほうにお答えをいただきたいと思いますけれども、そうすると、当初通産省は行管の設置法の監督の対象になる特殊法人としてこういうものを考えてきた、ところが行管としてはそうじゃないほうがいいだろうというふうな御指導といいますかお話し合いをされたそのわけ、そういうふうなものじゃないほうがいいだろうというふうにおっしゃったというそのわけ、経過、これは通産省のほうからお答えいただく筋合いかもしれませんけれども、御答弁がありましたので、ひとつ行管のほうからお答えをいただきたいと思います。  なおこの機会に、この問題についてはみな非常な関心がありますので、行管としては設置法の検討を始めておられる、こういうふうな事実があるのかどうか、こういう観点からも、貿易大学校というものが行管設置法の対象になるかならないかは別として、貿易大学校というものの評価と位置づけをしなければいかぬという問題が私は一つ出てくるだろうと思うのです。そこで一応新聞記事を引用してみますけれども、八月末までに行管設置法の改正の是非についての結論を出したいと思っているというふうなことを言っておられる。そうして行管の政府委員の方御自身が御答弁になって、隠れ特殊法人ということばについては一体何を意味するかとおっしゃるけれども意味するところは大体わかるのですけれども、その点についても検討を始めているということが載っておりますが、そういう事実はございますか、いかがでございましょうか。
  180. 大国彰

    ○大国政府委員 この貿易大学校につきまして特殊法人でないほうがいいと申し上げました理由といたしまして、御承知のように本年度予算の編成にあたりまして、私どものほうはいわゆる行管の審査対象になっております特殊法人はできる限りこれを認めないという方針をまず第一にとっております。それから業務の内容から申しますと、これはやはり民間の発意を最大限に活用すべきものでございまして、その意味におきまして行管の対象になります法人の設立委員政府が任命するというやり方をとらないほうがいいということでございます。その結果、特殊法人でないこういう形態になってまいったわけでありまして、お話のように特別な法人であることには間違いございませんが、私ども審査対象になっておりますのは、いわゆる特別な法律によりまして設置されたものである上に、さらにその設立にあたりまして特別な行為、すなわち政府が直接設立委員を任命するという、政府の強い発意をあらわしたものを私どもの対象としておるわけでございます。そういう意味で特殊法人でないようにお願いしたわけでございます。  それから御質問の第二の現在設置法の改正を考えているかというお話でございますが、三十八年当時私ども設置法の改正によりましていわゆる特殊法人の審査権が与えられました。当時の考え方におきましては、ここに掲げてございます「法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきもの」という二つの要件で網をかければ大体行管の対象とすべき法人が全部網羅されるという考えでこの法律の制定になったわけでございますが、いろいろその後実際の現存の法人につきまして検討いたしてまいります過程におきまして、何かこれだけではたしていわゆる行管が行政組織の一環として対象とすべき審査法人を全部網羅しておるのかどうか、あるいはまた現在百八ございます法人の中にも必ずしも行管が見なくてもいいようなものもあるんではないか、その辺が非常にばく然としてまいりましたので、私ども現在百八の法人を調べますと同時に、その周辺にありますいろんな法人につきましても研究をしておる最中でございまして、そのうちの一部を新聞がどういうわけか隠れ法人という名前をつけたように思うわけでございます。
  181. 中谷鉄也

    中谷委員 質問を次から次へと続けていきますが、憲法八十九条というのがこの前の御答弁の中に出てまいりました。そこで政府委員のほうにお尋ねをいたしますが、八十九条は、公の支配に属しない教育の事業に対して支出してはいけませんよ、こう書いてある。こうおっしゃるわけですね。そういうふうな憲法八十九条の規定があるので、結局公の支配に属さないということでお金が出せない、だから貿易学校法案という単独法を考えたのだ、こういうふうな趣旨にお伺いしてよろしいでしょうか。
  182. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 御質問がちょっと複雑で……。実は貿易大学校をつくるときには一応財団法人その他ではたしてできるかどうかということを検討したわけでございますが、こういう高度の研修を維持していきます場合には、やはり十分な助成監督がなければその目的を達することはできまいということがまず出たわけであります。そういたしますと、国の助成その他をやります場合には、普通の財団法人特に教育事業に関する財団法人に国の助成を与えますことは憲法八十九条の精神に違反するのではないか、やはり公の支配ということ、つまり国の十分なる助成あるいは監督というものが、特に監督の面で十分な国の支配が及ぶということがなければ、教育事業に助成を与えるということはやはり精神に違反するという考え方で、ちょっと裏返しの感じですが、研修の高度性を保つために助成をしていかなければなりませんのでまず国の助成が必要である。そうすると助成をしていく場合には、やはり特別法で公の支配に属するかっこうに持っていかないと八十九条の精神に違反するであろうということでまいったわけでございます。
  183. 中谷鉄也

    中谷委員 そのあたりに論点がありそうですね。要するに憲法八十九条についてはずいぶん課長さんお調べになっておられます。たくさん説があるわけですね。国費乱用防止説だとか自由権利保障説だとか併存説だとか接収説だとかいろいろな説もあるわけですね。そういうことはやめますけれども、そのあたりが私は納得できないんですよ。端的に言いますと、助成ということばでお金を出してやりたい、ところが公の支配に属さないと——教育なんだから、教育といえば社会教育だというふうに結びつけるのでしょうね、社会教育なんだ、金が出せない、だから貿易学校法案というふうな法に基づく特別法人をつくってお金を出す。要はただ一点、お金を出したい、しかし法人にしなければ助成できない、そして行管のほうからはいわゆる設置法による法人では御遠慮願いたいと言われた、そこで隠れ法人を持ってきた、それが貿易大学校法だということになれば、結局お金を出すために、助成するために貿易大学校法というのをつくっておる。だから通産省としてどうしてもお金を出さなければいけない筋合いのものではないと私は思うのです。だから端的に申しまして、商社、メーカー、日本のありとあらゆる企業が対象になる。私はしろうとでよくわかりませんけれども、そういうふうな大企業、大商社が発起人になっておる。通産省はさらに中小企業やいろいろなことについて国民の大事なお金を使わなければならぬところが山ほどある。その中で何もこのことについてわざわざ憲法八十九条に違反しない便法まで考えてお金を出すことはあるまいがということになるわけなんです。その点についてはいかがですか。局長さんいつも御答弁が非常に卒直なんで、ただ一点、決して私が助け舟を出すわけじゃありませんけれどもお答えになってもさらに反論いたしますけれども、助成と監督ということをおっしゃった。ただしかしこの助成の点にウエートが九九%までかかっておりますね、さっきからの御答弁の筋道と経過をずっとたどってみましたら。だから結局監督なんというのは法ができれば当然監督の規定ができるわけなんです。ほとんど意味がない規定だと思う。その点は私のほうから申し上げておきます。別にとにかく助成しなくても、業界はむしろこの輸出戦争の中でそういうビジョンを持っているなら、みずからのところでそういうものをつくり上げることこそ現在の激甚な戦いの中で生き抜いていく道じゃないかというふうにもいえるのじゃないかと思います。いかがでしょうか。
  184. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いろいろお話がありましたが、貿易大学校を設けた根本の趣旨は、御存じのとおり日本貿易立国でいかなければならぬということであります。そこで国際貿易人としてりっぱに活動する人を養成したいということであります。今日まで日本貿易発展したのも、技術開発とかいろいろなことがありますけれども、結局人の問題だと思います。貿易人としてりっぱな社会的な信用を得るような人が出てきたおかげで日本貿易発展してきたということで、りっぱな貿易人が出たというところに日本貿易発展がある、こう私は考えておるのであります。しかしながらこれを国際的に見て、語学の点においてもその他の点においても、あるいは人間としての修養の点においても、世界的に見て日本貿易商人はまだ必ずしも十分であるとはいえぬのでありまして、そこで貿易というものをますます今後は盛んにしなければならぬという立場からいうと、大学の卒業生だけではだめだ。だからしてその意味においてひとつりっぱな貿易人をつくろうという、そういう根本的な理由から出てきた案なのであります。しかし、それは民間にやらせればいいというお話でありますが、私は財団法人でやるという考えもあったのでありますが、民間人でありますと、おのずからやはり金もうけ中心というような考え方でいくようなきらいが、そういうような弊におちいらないともいえない。だからして国家的という大所高所の見地から国際貿易人を養成するという立場からいうと、やはり政府もこれには一枚加わっておかなければいかぬという考え方で、そういうことで政府も金を出すし民間人も金を出してやろうじゃないかということを考えてきたので、そこで初めはいわゆる特殊法人というような案も出たのでありますが、しかし大体は、ほかのたとえば航空大学とかあるいは自治大学あたりは卒業生が官吏としてみなそれぞれやるところでありますからして、なんですが、この貿易人というのは民間人の活動でありますからして、したがってもともと民間人がやるべき民間人の修養あるいは勉強のためにつくる大学校でありますからして、したがってこれはもともと民間人が主体であるべきであるけれども、やはりそこに政府が一枚加わっていることによってりっぱな国際貿易人を養成するという高い見地からわれわれは考えておるのであります。またこれによってここで修養したものは日本の将来の貿易発展のために大いに貢献してくれるだろうということをわれわれは期待しておるのであります。そういう意味考えておるのでありますからして、したがって政府も金を出す、民間人も金を出すということでやっていくのには特別法による機関でやらなければならぬということを考えてきた次第であります。まあこの前申しましたとおり商工会議所法によって商工会議所をつくったというような意味で特別法によってやるということになった、こう考えている次第であります。
  185. 中谷鉄也

    中谷委員 貿易の振興が大事だ、したがって国際貿易人を養成する必要がある、これはイコールで結ばれていく、ただ、だからいまだかつてないかつこうの貿易大学校、そういうものをつくらなければならないということとイコールで結ばれるかどうか。この点がどうも私はイコールにならない。しかもこの国際貿易人の養成としての貿易大学校というものが、決して大臣のことばじりをとらえるわけじゃないのですが、政府も一枚加わったとおっしゃるけれども、お金からいったってこれ五十枚加わっているわけです。しかも監督、本来民間が主体だとおっしゃるけれども、しかし結局かっこうからいうと民間じゃない、いわゆる政府が主体となってきている法のたてまえとなってきているということは、やはりどこかで本末が転倒しているのではないか。要するに、だから何らかのかっこうで政府がこれに関与をするいろいろの方法があると思うのです。講師の派遣であるとかいうような、民間でつくったものについて方法はあると思う。要は十五億の金を出さなくたって、国家的な、商売だけじゃない貿易人の養成というようなことについては、研修の内容について通産省がいろいろな点で行政指導をするということができると思う。この点についてはだいぶ私疑義があります。しかし、私ばかり質問しておっても、きょうは時間がないので、あと二人、優秀な同僚委員質問が控えておりますので、この程度にしておきます。しかしこれは疑義がかえって一そう、二回質問させていただいて深まってきたということを申し上げざるを得ないのを非常に遺憾に思います。  そこで最後に一点だけですけれども、要するに輸出という問題非常に大事な問題だ。そうしてそれは結局ただ金もうけだということで輸出してもらってはいかぬのだということなんです。ところが非常に気にかかる新聞報道がございました。輸出を前提に生産した武器、輸出を認める方針という、大臣が八日に名古屋へお行きになってそういうふうな御意見を記者会見でお話しになった。これはもう予算委員会でも非常に論議された点で、大臣とそれから総理との間に若干の食い違いがあったとかなかったということがありまして、いわゆる統一見解なるものまで出された——四月二十六日、七日でありましたか——というふうな経過があるわけなんです。ところが要するに「共産圏向け、国連が輸出禁止を決議した国、紛争国及び紛争のおそれのある国以外への輸出は認可していくつもりだ」しかもたとえば輸出を前提としておってもそれは認可していくのだというところの談話にこれは相なっているわけなんです。ということになると、従来の国会答弁と新聞記事はまるきり違うというか、非常な飛躍があると思うのです。したがってこの機会に一ぺん武器輸出ということについて通産省はどういうふうな御見解をお持ちなのか、時間もあまりありませんけれどもあらためてひとつこの機会に確認をしておきたい、お答えを願いたい、こういうことでございます。
  186. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この問題については総理並びに私からもたびたび予算委員会その他でお答えしてあるのでありますが、武器の輸出についてはこの三つの場合以外においては認めるということになっておるのであります。そこでこの三つの場合についてそれぞれ、たとえば交戦国というようなことについては、これはいろいろ解釈がありますので、これは個々のケースについて審査しますということを言っておるのでありまして、いつでも、この三つの条件に反しない場合においては、武器の輸出はできるかというと、そうはいかぬ、ケース、ケースによって考えますということを言っておるのです。この間もその話があったから、ケース・バイ・ケースで考えます。だから私は、いまベトナム戦争やあるいは中近東の戦争などがあるような場合には、武器の輸出というようなことは考えられぬということを言ったのですが、それはこれに載ってないのであって、私はそういうときに武器をどんどん輸出しますかというから、いやどんどん輸出というわけにはいかぬ。原則としてはいまの三つの条件に違反しない場合は輸出は認めるけれども、しかし、現状においては武器の輸出はそう簡単にはいかぬということを言ったわけです。その簡単にいかぬというところが抜けておるわけです。ケース・バイ・ケースで考える、こういうふうに私は答えたのです。
  187. 中谷鉄也

    中谷委員 どうも質問を終わろうと思うのですが、なかなか終わりにくいわけですが、結局いまの大臣の御答弁、一番大事な前提が抜けたのではないでしょうか。要するに四月二十六日の予算委員会では、その三つの条件に当たらなければ輸出をしていいというふうなことではなかったと思うのです。三つの条件はあたりまえなんですよ。そこで、最初から輸出の用に武器をつくる、こういうことは絶対させません。そうでございますね。しかし、いま国産を許しておるもの、これは自衛隊で使うのが本来の趣旨だけれども設備に余力がある、こういう場合に生産したものを外国へ送り出す。それが輸出貿易管理令の運用上差しつかえないものと考えているという総理の答弁でございますね。そうすると、私はやはり気にかかるのです。いまの大臣の御答弁は、三つの条件に当たらなければどんどん輸出しろというものじゃないけれども、ケース・バイ・ケースで輸出を許すんですよということになれば、何か輸出をどんどん許さないけれども、ケース・バイ・ケースで輸出を前提として、それをもくろんで武器を製造してもいいんだというこの新聞の報道のとおりのお話をされたということに相なるじゃないかという気がします。これは大事なことだし、私はそういうことを望みませんから、ひとつこの点について、いま一度明確にお答えをいただきたい。
  188. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私は原則論として、三つの条件に違反しない場合は武器の輸出は認めるけれども現状においてはケース・バイ・ケースで考えていく。それから、なお最後に、いまのようにベトナムや中近東のような場合が起こっておるときには、武器の輸出というようなことは考えられぬということを言ったのです。
  189. 中谷鉄也

    中谷委員 そうじゃないですよ。それは決算委員会でも予算委員会でも、とにかくずいぶん議論した点なんですから。そうすると、大臣、あのころと御答弁が少し変わってきていると思うのです。要するにこうなんです。輸出の用に武器はつくってはいけないんだ、そういうふうな武器のつくり方は政府はさせてないのです。この点なんです。だから、ベトナムへどんどん輸出するとかなんとかいう問題じゃないのです。設備に余力があればという点について、そんなことはおかしいですよということで、社会党は問題にしたのだけれども、そういう政府答弁なんですね。だから大臣、二回私お尋ねしたのだけれども、輸出の用に武器をつくる、輸出を目的として武器をつくるということは、ケース・バイ・ケース、ケースによってはよろしいんだということに相なるわけですか。
  190. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 三次防に関連しての私の答弁であったと思うのです。輸出のために武器を製造するということは許さぬということです。第三次防の製造は許すけれども、それ以外で、輸出のためにやるということは許さぬということを私言ったのです。でありますから、それ以外に、三次防と関連なくして武器の輸出ということで、現にいままで、武器といえば武器ですが、小銃などタイに売っておりますが、そういう場合には輸出を認めて曲るのでありますから、それを私は言っておるのであります。三次防のときには、その三次防に関連して輸出用に武器を製造するということは、これは許さぬ、こういうことを私言ったのです。
  191. 中谷鉄也

    中谷委員 これは必ずどこかで問題になると思いますが、淡谷委員質問なんです。それに対して総理はこういうふうに答えているのです。「私は、もともと海外に輸出する、こういう本来の武器製造はないと思っております。」この予算委員会での質疑のやりとりは必ずしも三次防が前提になっていないのです。と私は理解しております。これは私二十六日の予算委員会会議録を持ってまいりましたけれども、やはりこれは一応内閣委員会等でも問題になっていると思いますけれども大臣の御答弁は、三次防と関係がない輸出を目的とする武器の製造は許す、あるいはそういう輸出は例によって許していくというお考えということになるわけですか。
  192. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いままででもタイへ輸出をしておりますから、三つの原則に違反しない場合には原則として武器の輸出は認めるということになっておりますけれども、しかし、現実にはケース・バイ・ケースで考えるということを言ったのであります。
  193. 中谷鉄也

    中谷委員 タイへという前提としては、いわゆる余力があった、小銃五千丁でございましたね。それは設備に余力があったのでという前提が一つあったのです。大臣のお話だと、タイに輸出したのだ、だから本来の武器輸出のためにどんどん工場をつくっていく、工場の設備をしていくというふうなことで、最初から輸出を目的としてそういう工場設備をしていっても許される場合があり得るということなのです。  そこで、もう質問を終わりますが、武器等製造法によりますと、武器というのは、「銃砲」、「銃砲弾」、「爆発物」、それから「爆発物を投下し、又は発射する機械器具であって、政令で定めるもの」というふうなものであると規定されている。武器等製造法というのは、少なくともこれは既成の法律であって、輸出というようなことは夢にも考えていないかっこうの法律のたてまえになっていると思うのですが、それはさておいて、そうすると、大臣のお考えになっている輸出、ケース・バイ・ケースというのは、武器等製造法にいう武器、さらに武器と兵器はどう違うのかということになってまいりますと、経団連の兵器の関係委員会なんかでも若干の議論があるようでありますけれども、しかし、武器等製造法に書かれていないような、しかもこれの規制の対象にならないようなものがあると思うのです。電子関係の機械だとか、いわゆる軍需品といわれるようなものですね。しかも、それが通常の兵器に使えるようなもの、ちょっと私具体的な例が出てまいりませんけれども、そういうようなものについても、ケース・バイ・ケースで輸出を目的としてそういうものをつくっても許すのだということになるのでしょうか。
  194. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 武器の輸出は許可制でありますから、したがって、ケース・バイ・ケースで考えて、これは輸出を許したらいかぬという場合には許可しません。したがって、工場の設備ども、もちろんそれがための工場の増設などはできないはずです。
  195. 中谷鉄也

    中谷委員 じゃ、最後に一点だけ大臣お尋ねいたします。  輸出を前提に生産した武器でも、ケース・バイ・ケースでは輸出は認める方針でございますか。
  196. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 それはもうすでに今日まで武器の輸出を認めておりますから、タイなどへ輸出を認めておりますから、したがって、ケース・バイケースで許可する場合もあり得るということです。
  197. 中谷鉄也

    中谷委員 これで私は質問を終わります。  この新聞の報道は、輸出を前提に生産した武器でも輸出を認める方針という見出しになっているんです。それでいいんですかと大臣お尋ねしたら、それはいいんだ、そういうことなんだ、こうお答えになったんです。ところが、これはあと大臣と私の見解の違いになってくるんでしょうけれども、特にこの新聞の見出しは、通産大臣は総理と違うその逆の御発言を名古屋でおやりになった——要するに、従来の予算委員会での方針というのは、輸出を前提に生産した武器、輸出を本来の目的として生産した武器については輸出は認めないんだ、要するに余力があったものについては認める場合があるんだというのが予算委員会でのこの答弁の流れだと私は思うのです。そうすると、やはり予算委員会での総理あるいは当時の大臣の御答弁と私違うと思うのです。いかがでしょうか。
  198. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 輸出の余力があるというのは、いまの日本の第三次防の武器の製造で、その設備を使ってできる武器という意味のことを総理は言ったと思うのであって、同種類の品物、同種類の武器ということばを総理は言われたと思うのです。それで、いまのその新聞の記事は、私も新聞の記事を見て、それは毎日新聞だけしか書いてないことで、私も見てびっくりしたんです。こんな答弁質問もないし、私自身が見て、全然こんな答弁をしないのに、私自身がある新聞を見てびっくりしたのでありまして、一つも総理の言と私の言とは違ってない、こう私は確信しております。
  199. 中谷鉄也

    中谷委員 ずいぶん同僚の方に御迷惑をかけましたので、この程度で質問を打ち切らしていただきますけれども、どうも最後の点がはっきりしませんので、ひとつ質問は留保させていただきたい、こういうことで委員長にお願いしたいと思います。  きょうはこの程度で終わります。
  200. 田中武夫

    田中(武)委員 中谷委員の先ほど来の質問は、私は重要な問題を含んでおると思う。そこで、あらためて私も単独質問をいたしますが、ここで確認だけをいたしておきたいと思うのですが、まず第一に、行政管理庁の行政管理局長さんにお伺いいたします。  先ほどの中谷委員質問に対しましての答弁で、行管設置法の第二条四号の二のいわゆる特別の設立行為という点を、いわゆる設立準備委員等を政府が任命するものであると答えたんですね。それに間違いないですね。そうするならば、いわゆる百八つの特殊法人すべてその設立準備委員政府の任命になっているのかどうか疑問があります。したがって、この特別の設立行為というところの答弁には若干の疑問を持っておりますので、その点。  それから次の点は、いわゆる憲法八十九条との関係中谷委員が言っておりましたように、金を出すためにわざわざこういうおかしな法人をつくるんだというように聞こえるんです。これは本来がいわゆる特殊法人であるならば、これはすっきりすると思う。ところが、行管設置法の二条四号の二のこの特殊法人をのがれようとし、なおかつ、憲法八十九条の規定をのがれようとするから、ここにおかしなものができたんです。これはどう答弁をされようとも、ぬえ的な存在であることは明らかです。  それから第三点は、先ほど来の武器輸出の問題ですが、繰り返し中谷委員も言っておりましたように、いままでのいわゆる武器輸出についての国会答弁は、初めから輸出するという目的でつくる武器の製造輸出は許さない、こういう趣旨であったと思うのです。ところが、いまの大臣答弁は違っております。いかに言われようと違っております。この三点は私あらためて質問をいたします。しかし指摘だけをいたしておきたいと考えます。  何か、行管、答弁があるんだったら、どうぞ。
  201. 大国彰

    ○大国政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、私どものほうとしましては、四号の二の解釈といたしまして、特別の設立行為と申しますのは、政府が設立委員を任命したものというふうに解釈しておりまして、現在百八ありますのも、そのうち三つの公社については、これは法律が直接つくっておるわけでございますが、その他につきましては、その基準によって拾い上げたものであります。
  202. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃあとは全部設立準備委員政府が任命するという形式になっておるわけですね。間違いありませんね。
  203. 大国彰

    ○大国政府委員 さようでございます。
  204. 田中武夫

    田中(武)委員 この特別の設立行為というのはそれだけに限定すべきものなんでしょうか。設立準備委員政府が任命するというだけが特別の設立行為でしょうか。あなたはそういうように解釈したのですね。そうなんですか。いや、確認だけしておきます。そうなんですね。
  205. 大国彰

    ○大国政府委員 お話のように、特別の設立行為と申しますのは、一般の設立行為に対するわけでございまして、一般と申しますのは、いわゆる発起人によりましてそれが発起され、創立総会を経て成立するというのが一般でございまして、それに対する特別の設立行為ということでございますが、私どものほうで行管として、特別な法人の中の特に国にかわって仕事をやるような特殊法人をどういうふうな規定でするかという面におきまして、その特別の設立行為というものの解釈を、政府が直接設立委員を任命するものというふうに解釈いたしまして、今日まできたわけでございます。
  206. 田中武夫

    田中(武)委員 特別の設立行為ということは、まず一点としてあなたのお答えになったのは、設立準備委員等を政府が任命するもの、そのほかに何かあるか。政府の行為にこの設立の行為がかかっておる、こういうように限定していいのですね。いわゆる百八つの特殊法人の中に、政府の行為によって設立せられるということに限られていないものがあるんですよ。だから、その点だけ確かめておきます。私は、あらためて私の質問の時間にやりますが、あなたのいまの答弁でそのように聞こえたから、いわゆる特別の設立行為というのはあなたの答弁になられたことであると理解してよろしいですね。
  207. 大国彰

    ○大国政府委員 さようでございます。
  208. 田中武夫

    田中(武)委員 じゃ、はっきり言っておきますが、この条文に間違っておれば、この法案並びに特定繊維工業構造改善臨時措置法によるところの協会、ともに審議未了にしますが、よろしいな。——いいですか、この貿易大学校も、特定繊維工業構造改善臨時措置法による協会、ともに行管設置法の二条の四の二のいわゆる特殊法人ではないと、こういうことなんでしょう。それじゃ、特殊法人とは何かというようなものは条件が三つばかりあります。そのうちの一つとして、特別の設立行為をもって設立するもの、それは政府の行為によって設立せられるものである。そのことは何かといえば、たとえば設立準備委員政府が直接任命するもの、こう答えたのでしょう。それ以外のものがもし百八つの中にあるとするならば、あるいはいまの問題になっている貿易大学校及び繊維協会等がこれに当たるということが明らかになるならば審議未了にいたしますがよろしいか、こう言っておるのです。大臣、よろしいな。いまの答弁と違うとったら百八の特殊法人に持っていきまずよ、そういう見解だけはっきりしておきます。いいですね。——ぼくはいま考え方を申し上げただけです。そういうようにやりますが、よろしいなということだけです。
  209. 島村一郎

    島村委員長 麻生良方君。
  210. 麻生良方

    ○麻生委員 大臣お急ぎのようでございますから一つだけちょっとお出かけになる前に念を押しておきたいことがあります。  いま貿易大学の問題について、同僚委員からのいろいろと質問を聞いておりまして、私もそれを仄聞しておりますと、これは相当ずさんな法律だという印象をどうも強くせざるを得ないのです。いろいろと法律的な解釈についてもいま質問が出ております。それから全体的な構成から見ても、大企業のお歴々の名前をずらりと並べてそこから金を引き出すための呼び水に政府の金を使うなどということは、どうもこれはあまりオーソドックスな考え方と言えません。特に貿易振興にあたっては中小企業の貿易振興が重要だと言われておるおりから、ひとつこの際大臣はこの貿易大学に関する基本的な構想をもう一度お練り直しになって再提出をされるお気持ちがおありになるかどうか、これだけ念を押して、大臣に対して質問はこれだけで打ち切ります。
  211. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 貿易大学校のことにつきましては、通産省としてもいろいろこれは練って練って考えた案でありまして、われわれのほうではこの制度が最善であるというように考えておるのであります。その点において、ひとつ御了解を得て、また皆様の御賛同を得たいと思います。
  212. 麻生良方

    ○麻生委員 そういうお考えでございましたら、大臣お帰りになるのでこれは話になりませんから、私の最終的な結論はここで保留をさせていただいて、どうぞお引き取りをお願いいたします。  貿易大学の問題につきまして、いろいろ同僚議員から出ておりましたが、いまお話し申し上げましたように、これの内容につきましては私なりに所見がございます。しかし同僚議員の質問と重複する点もありますので、その点を省略をさせていただきまして、事貿易に関することでございますので、若干貿易に関する一般的な質問をさせていただきたいと思いますので、御了承をお願いしたいと思います。  初めに通産省の高橋経済協力部長にお尋ねしたいのですが、日本の商社が外国に事務所ないしは支店等を持つ場合に、通常どういう国内的な承認手続が必要とされておりますか、ちょっとお伺いしたいのです。
  213. 高橋淑郎

    ○高橋(淑)政府委員 現地に合弁会社あるいは現地法人をつくりますときは、外国為替及び外国貿易管理法上の設置に関する出資についての許可が要ります。ただし支店を設けるあるいは駐在員事務所を設けるということにつきましては、その限りにおいては許可を必要といたしません。ただし、そのための開設に要する経費の送金については大蔵大臣許可を必要といたします。
  214. 麻生良方

    ○麻生委員 いま御答弁された機関によって正式に認められている在インドネシアの商社の数及びその商社の大手筋の名前をちょっとお知らせをいただきたい。
  215. 高橋淑郎

    ○高橋(淑)政府委員 ジャカルタ市に所在いたします駐在員事務所及び一つの支店、四十三社と承知いたしております。そのうち商社は二十二店と承知いたしております。
  216. 麻生良方

    ○麻生委員 その商社の中で、日本大使館の中に事務所を設けておる商社があると聞き及んでおりますが、御存じですか。
  217. 高橋淑郎

    ○高橋(淑)政府委員 調べました結果、商社八社を含め十一社が同居しておるということを承知いたしております。
  218. 麻生良方

    ○麻生委員 その同居しておる商社及び関連商社の名前をちょっと発表していただきたい。
  219. 高橋淑郎

    ○高橋(淑)政府委員 三井物産、三菱商事、伊藤忠、兼松江商、東洋棉花、日商、野村貿易、丸紅飯田、以上が商社でございます。  それからほかに三社ほど商社以外のものが入っております。
  220. 麻生良方

    ○麻生委員 その商社以外のものの名前もちょっと聞かしてください。
  221. 高橋淑郎

    ○高橋(淑)政府委員 日本航空、東京銀行、大成建設、以上三社でございます。
  222. 麻生良方

    ○麻生委員 外務省にちょっと御質問いたしますが、インドネシアの日本大使館はいつ着工して、それからいつ完成をしておりますか。
  223. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。着工は三十九年一月でございます。それから完成のほうは、全部が完成しましたのは四十二年三月三十一日でございます。
  224. 麻生良方

    ○麻生委員 その大使館のある所在地及びその土地の広さがおわかりになりましたら……。
  225. 内田宏

    ○内田説明員 坪数で申しまして約二千坪。所在地はインドネシア共和国ジャカルタ市ジャランM・H・タムリン二十四番地。
  226. 麻生良方

    ○麻生委員 その土地に大使館が立っておるのだろうと思いますが、大使館の建物の総面積及び階数はどのくらいの大きさになっておりますか。
  227. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 大使館の事務所のほうは二千七百二十九平方メートルでございまして、二階建てでございます。
  228. 麻生良方

    ○麻生委員 それは大使館が現在事務所を使っているのが二階であり、建物全体は——それは詭弁の答弁です。ここに写真がありますけれども、全部建物ですよ。明確にお答えなさい。   〔麻生委員政府委員に写真を示す。〕
  229. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 いまお示しのありました写真につきましては、民間の寄付を受けました部分が四千七百七十七平方メートルございます。これは九階建てでございます。それでいま麻生先生のほうからこれが全部大使館の事務所ではないかという御指摘が……。
  230. 麻生良方

    ○麻生委員 そんな質問をしていないのです。よけいなことは答えなくていい。その建物をおつくりになるのに、政府はどのくらいの予算措置をとっておつくりになったのですか。
  231. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 約二億一千万円でございます。
  232. 麻生良方

    ○麻生委員 実際に、このビル、つまり大使館、これは国有財産になっているのだろうと思いますが、この大使館全体を建てるのにどのくらいの総工費がかかっておりますか。
  233. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 ただいま申しました政府予算二億一千万円の部分のほか、後に寄付を受けまして、それでいま国有財産になりました部分の建設費は四億円と聞いております。
  234. 麻生良方

    ○麻生委員 そうすると、政府予算は二億一千万円。その政府予算で大使館を建てることは不可能であったのですか。
  235. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 大使館の必要最小限度の事務所を建てるのには十分であったと思います。
  236. 麻生良方

    ○麻生委員 そうすると、政府予算を実際に調達しながら、実際に必要なものを政府予算内で建てられたはずのものが、実際、四億円も超過した建物の建造になっておる、こういうことになるのですね。その四億円は寄付によって調達した、こういうことなんですが、その寄付はどういう形でお受けになったのか、これは大蔵省のほうからひとつ御答弁願いましょう。——大蔵省でなくてもおわかりの方……。
  237. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 寄付の経緯につきましては、先ほど申しましたように、事務所の建物の工事を開始したのは三十九年一月でございますけれども、大体そのころ民間から申し出がございまして、問題は大使館の必要最小限度の事務所としては、先ほど申しました二億一千万円の建物でよかったわけでございますが、そこの建築する通りが二階建てというようなことでは許可がおりないという経緯がございまして、わがほうといたしましては、ほかの国の大使館も非常に高いものを建てておりますということも考えまして、もっと大きな建物を建てる必要がそういう面から生じてまいりました。たまたまジャカルタにおりました商社の団体から寄付の申し出がありました。これが三十九年七月でございます。そこで、これにつきましては国有財産法に基づきまして大蔵大臣の承認を必要といたしますけれども、外務省から正式に大蔵省に協議いたしまして、その結果、三十九年の九月、大蔵大臣は寄贈を受けてもいいということを正式に外務省に言ってまいったわけでございます。そこで外務省といたしましては、先ほどの団体に対しまして三十九年十月に、寄付を受けてもいいという回答をいたしました。その後、大使館の政府予算による建物の工事と同時に、民間の資金による建物が工事を開始されまして、完成は、大使館の本来の事務所のほうが四十一年の十二月だったわけでございますけれども、寄贈を受けました、本来民間の建物であった部分は四十二年の三月に完成をしたわけでございます。その後、その民間の団体から現実に寄贈をしたいという申し出が正式にまいりまして、これにつきましても大蔵省に協議をいたしまして、寄付を受けてもいいということでございましたので、寄贈を受けた次第でございます。
  238. 麻生良方

    ○麻生委員 そうすると、すべて大蔵省と合意の上でおやりになったというのですが、この地区は、あなたのおっしゃるように、なるべく高い建物を建ててほしい地区であるということはわかります。それは何かインドネシアの政府の建築条令のようなものできまっておるのですか。
  239. 塚本良次

    塚本説明員 お答えいたします。  その件につきましては、五階以上の建物を建てるように規定されております。
  240. 麻生良方

    ○麻生委員 五階ならば、それほど無理をしなくても建てられたと思うのですが、なぜそれをまた九階というべらぼうな建物にしなければならなかったのですか。
  241. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  これは当時麻生委員指摘のごとく目抜き通りでございまして、西独がやはり九階建ての建物を建てましたので、アジアの先進工業国としての日本として、あそこに活躍している商社として、日本の大使館のほうが低いというのは非常に残念であるというので、ぜひ寄贈してでも同じ高さ以上にしてもらいたいという強い熱望がございまして、それを受けたわけでございます。
  242. 麻生良方

    ○麻生委員 たいへん奇特な商社があるもので、五階建てよりか九階建てがりっぱであるという判断は、これまたいろいろ判断の基準があると思います。私は、岡の予算に応じて大使館をつくるというのがたてまえである。どうしても五階建てでだめなら、政府が予算をふやして九階建てになすべきである。それを民間の商社の寄付に仰ぐということもいかがかと思います。いまあなたの御答弁によると、民間商社側のほうからそういうものを建てるべきだという希望があって、自発的に申し出たという御答弁の趣旨でありますが、それに間違いありませんか。
  243. 内田宏

    ○内田説明員 私の承知しております限りにおきましては、さようでございます。
  244. 麻生良方

    ○麻生委員 あなたが当時直接おいでになったわけではございませんから、これ以上追及はいたしませんが、できるなら当時大使でおられた方がおいでになればわかると思います。しかし、私の調査した報告書によりますと、この建物を建てたいきさつにつきましては、昭和三十八年九月になくなられた池田総理がインドネシアを訪問された。その際に、スカルノ大統領と懇談をしたときに、スカルノ大統領のほうから、でかいやつを建ててくれ、こういう要請があったやに聞き及んでいる。池田総理がはなはだ困惑をした。しかし、そのことを伝え聞いて、池田総理の要請に基づいて、当時インドネシアにいたある商社が、それならば民間の寄付で充てようかという話になったという経緯を聞いておりますが、そのときに民間商社で、その代表的な立場でこの折衝に当たった商社はどこですか。
  245. 内田宏

    ○内田説明員 ただいま麻生委員仰せのお話は、当方といたしましても記録等にございませんので存じませんが、当時ジャカルタにおきまして、いろいろな点で世話役になっておったのは江商であるというふうに聞いております。
  246. 麻生良方

    ○麻生委員 私の調査では、ニチボーの原社長が三十八年七月にインドネシアを訪問しておる際に、同じような趣旨をスカルノから言われて、たまたま池田総理と見解を異にして、寄付行為を行なおうとした。その後、ある事情がありまして、ニチボーは寄付行為に賛成をしなくなりました。そのいきさつをあなたは御存じですか。
  247. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。存じません。
  248. 麻生良方

    ○麻生委員 存じない方に、これ以上追及をしても始まりませんから、このことはあとへ保留をいたしておきます。  そこで、先ほどあげられた在インドネシアの商社の中でこの建物の中に現在事務所を持っている商社はどれだけありますか。先ほどの答弁に間違いありませんね。
  249. 内田宏

    ○内田説明員 もう一ぺん念のために申し上げます。  伊藤忠商事、兼松、丸紅飯田それから三井物産、日商、大成建設、東洋棉花それから江商、三菱商事、日本航空、野村貿易、東京銀行でございます。
  250. 麻生良方

    ○麻生委員 それらの商社はいずれも寄付に応じた商社ですね。
  251. 内田宏

    ○内田説明員 さようでございます。
  252. 麻生良方

    ○麻生委員 寄付に応じなかった商社は事務所を設けてないですね。
  253. 内田宏

    ○内田説明員 先ほど会計課長から申し上げました経緯によりまして、これは商社側の国有財産使用申請に応じまして使用の許可を認めたケースでございまして、ただいま申し上げた商社が使用申請をしてきたということでございます。他に申請がなかったというのが実情でございます。
  254. 麻生良方

    ○麻生委員 通商局長、いまジェトロはインドネシアではどこに事務所を持っていますか。
  255. 高橋淑郎

    ○高橋(淑)政府委員 はなはだ申しわけありませんが、手元に現在住所を持ち合わせておりません。
  256. 麻生良方

    ○麻生委員 事務所はあるのですか、ないのですか。
  257. 高橋淑郎

    ○高橋(淑)政府委員 ございます。
  258. 麻生良方

    ○麻生委員 ジェトロも当時から今日までインドネシアに事務所をおそらく持っておると思います。ジェトロからこの事務所を使用させてほしいという申し入れがあった事実はございませんか。
  259. 内田宏

    ○内田説明員 ジェトロ側から使用申請があったという事実は存じておりません。
  260. 麻生良方

    ○麻生委員 それはいささか事実に反しております。私の直接聞いた、参考人を呼んでもけっこうですが、当時ジェトロは事務所にはなはだ困惑をしておりまして、できるならば大使館の中に事務所を設けさせていただきたいという旨を東京で交渉した。ところが東京の外務省筋からの返事によると、もうすでに事務所をすべて寄付をしたものだけに貸借させておるので、東京銀行のフロアが相当広いから東京銀行と折衝してその中のフロアを借りたらどうか、こういう大使館からのあっせんがあった。ところが東京銀行に聞いてみたら、いずれ将来はここは大きく東京銀行として使う予定があるので、お貸しすることはできない、こういう返事であった、こういう事実が出ております。必要があれば参考人として招致していいのですが、そうすると、この事務所に入りたいという意思を持っておったものは寄付をしたものだけではなかったという事実が他にもございますよ。もしあなたが他の商社に入る意思がなかったと判定をされるなら、インドネシアにある他の商社に全部問い合わせを出していただきたいと思います。  そこまで確かめてよろしゅうございますか。
  261. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  もしそういう事態でございましたら問い合わせいただいてもけっこうでございます。その事態においてまた検討いたしたいと思います。
  262. 麻生良方

    ○麻生委員 本席で直ちにその是非の結論が出せませんので、これも保留にさせていただきたいと思います。  そこで、いずれにしても国有財産になった大館はあなたの言われた十二社に事務所を貸与しおりますが、その貸与の条件、貸借契約書のコピーを資料として御提出願いますか。
  263. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 これは貸しておるという契約でございません。一時的に使用を許可したということでございまして、外務省から商社の代表に対して使用許可書が出ております。いろいろな厳格な条件がついておるわけでございますけれども、これは契約ではございませんので、この提出についてはもう一回検討さしていただきます。
  264. 麻生良方

    ○麻生委員 それはちょっとおかしいと思います。契約書でなく許可書を出しておる。許可書ということになれば、そこに条件がついておるという話でありますが、これは一体家賃取っておるのですか、取ってないのですか。
  265. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 もちろん使用料取っておるわけでございますけれども、これは御存じのように、私が先ほど申し上げましたように、大蔵省と一々協議して条件をきめておりますので、私のほうも大蔵省と協議いたしまして、大蔵省のほうの了解を得ましたらコピーを差し上げたいと思います。
  266. 麻生良方

    ○麻生委員 大蔵省の了解があろうとなかろうと——いま大蔵省ここに来ておりませんか。時間がありませんから、質問を続行いたします。いまの点保留いたします。  大蔵省が合意すれば資料の提出が可能であるという話であります。これは秘密文書ではないはずです。外交秘密文書でもあれば私も常識をわきまえております。そうでない資料を大蔵省が合意しようがしまいが、これは要求されたら出すと御返答されるのがあたりまえじゃないですか。政務次官御見解はいかがですか。
  267. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 ただいまのは使用許可書ですから、これは当然公にして差しつかえない文書だと私は思います。ただ所管が大蔵省ですから、外務省がすぐ出しますと言うことは、ちょっと官庁同士の事務の関係もございますので、大蔵省から、提出いたします、こう答弁したほうが妥当であろうと思います。そういう意味で鹿取会計課長答弁したわけでございます。御了承願います。
  268. 麻生良方

    ○麻生委員 政務次官の御答弁ですから、これは保留さしていただいて、あとで大蔵省と御協議していただきたいと思います。  そうすると、それで問題となりますのは、いずれにしても事務所に貸しておるわけですね。それはしかも高額な家賃なり権利金等を取らないでおそらく貸しておるのだろうと思いますが、契約書のコピーの提出はあと回しにいたしましても、その条件、具体的な金銭的な条件を御説明願います。
  269. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 先ほど申しましたように、一時使用の許可でございまして、その許可の条件といたしまして使用料を年額二百五十万円納入しなければならないということになっております。
  270. 麻生良方

    ○麻生委員 それはすべての商社に対して同様の条件ですか。
  271. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 これは先ほど申し上げました商社全体の使用料ということでございます。
  272. 麻生良方

    ○麻生委員 そうすると、十二社入っておるわけですから一社当たりは幾らになりますか、御計算してください。
  273. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 これは、それぞれの商社の使用する面積によって違うわけでございますが、十二社を平均すれば二十三万円ということになると思います。
  274. 麻生良方

    ○麻生委員 インドネシアの事務所を借りるための相場から見て、これは妥当であるかどうかはいろいろ議論のあるところでしょう。しかし常識から見てきわめて低額な使用料で借りておるということはいえると思いますが、あなたは、これについて低額であると思いますか、高額であると思いますか。
  275. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 この金額につきましても、大蔵省と協議しました上でございまして、国有財産の一時使用におきますいろいろの使用料の算定の基準がございます。その基準並びにいろいろな特殊事情を考慮するという条項もございます。そういう条項に照らして大蔵省との間に協議をととのえた額でございまして、この場合におきましては妥当な額であると考えております。
  276. 麻生良方

    ○麻生委員 その場合においては妥当であるかもしれないが、商社にしてみればきわめてわずかな額であるということになります。そうすると、ここに一つの事実関係として、池田前総理ないし、とにかくどなたかがインドネシアに行って、そして本来なら五階建てで済むものを、わざわざ九階建ての建物にした。そして政府予算を四億円も超過した。政府予算は二億一千万ですね。そしてこの四億円も超過する建物をインドネシアに建造した。その理由は、先ほどの参事官の御説明によると、他の国が九階建ての建物を建てておるので、みっともないから九階建てにした、これだけの理由である、こういうことのようであります。そうすると、ここに入っている商社、しかも事実としては、寄付をした商社だけが現在の大使館内の事務所を使っておるということになっておるわけです。そうなっておりますね、事実として。しかもそれは非常に低額な家賃でということになりますと、この寄付行為というものは、純然たる寄付行為であると判断されるやいなや、きわめて疑問が出ざるを得ないと思うのですよ。非常に極端に解釈すれば、寄付行為をしたことの見返りとして、この事務所を寄付したものだけに特定な便宜をはからって貸し与えているという解釈も一方においては成り立つわけですね。この解釈も、絶対とは言えませんが、成り立つのですが、政務次官、あなたどうですか。そういう解釈も成り立つということをお認めになりますか。
  277. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 建設の経過、いきさつが、特定の商社から寄付を受けまして、しかも特定の商社だけが現在その国有の建造物に入居を許可されておりますので、一応そういうような解釈をされるのは、私はごもっともだと思うのでございます。しかしながら現在の国有財産の利用の運営の方法につきましては、絶対にさようなことは実は考えていないのでございまして、もしこれをこのまま使用させるとするならば、やはり希望者全体にこれを公開して、広く公平に機会均等的に利用させるというのが、私はたてまえであろうと考えております。ただスペースが限定されておることでありますから、できる、できないは別問題でありますが、考え方としては、やはりそういう考え方に持っていくべきが至当であろう。したがいまして、いまお話しのように、特定の寄付をしたものだけを入れているのだというお考えが成り立つのは、これは当然だと思いますが、われわれの考えているのは、そういう考えでは絶対にございませんから、その辺はひとつ誤解のないように御了解願いたいと思うのでございます。
  278. 麻生良方

    ○麻生委員 いま私は、これが大使館であるという前提をはずして議論をしているのです。国有財産の建物という形で議論をしておるのです。その国有財産を民間の人が寄付をした、そのときにその国有財産の使用権をその寄付をした人だけが持つということは、いかに弁解されようとも、これだけでいわゆる見返りのある利権行為だと判断されても、これはやむを得ない。いま政務次官の言われるように、寄付は寄付として純粋に受けて、できた建物があいている場合に、国有財産が、しかるべきもの、使用が妥当と認められるものに対して事務所を一時的に使用させる場合はあり得ると思います。だから、その意味から申し上げましても、国有財産の中に寄付をしたものだけが入っているという事実は好ましくない。  そこで大蔵省の方が見えられましたので、お聞きしますが、ちょっと質問を前に戻しますが、先ほどインドネシアの建物の問題についていろいろ御質問を申し上げている過程の中で、インドネシアの大使館、九階建ての建物、このうち四億円が民間の寄付により、政府予算は二億一千万によって建てられた、こういう御回答がありました。これらを建てることについて、あらかじめ大蔵省当局の了解を得て建てたものだ、こういう御答弁がありましたが、それに相違ございませんか。
  279. 竹内勉

    ○竹内説明員 相違ございません。
  280. 麻生良方

    ○麻生委員 そうすると、大蔵省にお伺いしたいのですが、政府予算を二億一千万出している。本来なら大蔵省としては政府予算の中で大使館を建造せよというのが当然でしょう。そうでしょう。しかも政府予算で立てられないというなら、便宜的方法を大蔵省考えなければならぬ、これは大使館を建造するのですから。ところが実際には二億一千万の予算が出ているのですから、現在の大使館が一、二階きりしか使用していないという実情からかんがみて、当然大使館だけをつくる予算はあったわけですね。それを民間の四億円という寄付を調達してまで大使館を九階建てにしなければならないことに同意した理由を明確にしていただきたい。
  281. 竹内勉

    ○竹内説明員 予算のほうは、本来国の大使館でございますから、国の予算で建てるということはお説のとおりのたてまえであろうと思います。しかしこのたてまえも、いつもそういうふうになっているかと申しますと、たとえば港湾合同庁舎というようなものを現在国内で建てておりますが、税関だとか検疫所だとか、そういうものになりますと、どうしても港の近くに建てる必要がある。ところがその土地はないということになりますと、民間の土地あるいは県の土地を借りて、そこに庁舎を建る、あるいは国の庁舎そのものが民間に間借りをしているというような状況もございます。それで原則は、国の金で建てるのが望ましいということでございましすけれども、本件の場合、外務省のほうから、国有財産法十四条第一項の一号、つまり国有財産を取得する場合には大蔵大臣と協議するという法律の規定がございまして、協議があったわけでございます。外務省も、私たちが承知いたしておりますところでは、まあ五階建てくらい、二億くらいのものでよろしかろうという当初は御判断であったようでございますが、あのときのいろいろな状況から、どうも五階ではぐあいが悪い、つまりほかの国等も相当高層なものを建てているようでございますので、日本の大使館だけが小っぽけなものではどうもぐあいが悪いということで予算等も考慮ぜいという状況であったようでございますが、私たちが聞いておりますのは、たまたまそういう時期に、その何とか会というものが話を聞きまして、まあこんなにちっぽけなものを建てられたのじゃわれわれも肩身が狭いというようなことで、ひとつ寄付をさせてくれないかということで、予算の問題は主計局でございますが、そういうことでひとつ寄付を受けたいがどうじゃろうということの協議があったわけでございます。それで私どもといたしましては、寄付によって国有財産を取得するという例も非常に多うございますし、まあ何か非常に弊害があれば——弊害と申しますのは、たとえば非常にもてあましたようなものをひとつ国に寄付するから引き取ってくれぬかというふうなことで寄付の申し出があっても、それはこちらのほうも管理の費用ばかりかかりますので、当然そういうものは断わるわけでございますが、外務省さんのほうで御判断なさって、そういう寄付を受けて大きな大使館を建てるということは将来の増員その他を見込んでも必要だという御判断でございましたので、私どもといたしましてこれにあえて反対すると申しますか、そういうほどのこともなかろう、まあもらえるものならばもらっておくというのも一つの手であろうということでまあ御同意を申し上げたという次第でございます。
  282. 麻生良方

    ○麻生委員 まあわずかな寄付であるならそれは別問題です。たとえば大使館をつくった、そこに調度品を寄付しようとか、あるいは装飾品を寄付しようというなら別ですよ。額は四億円です。しかも政府予算の倍額ですよ。それを寄付を受けるということについて、その寄付に何らかの条件がついているとあなたは——もしあなたがその場合の担当だったらお考えになりませんか。
  283. 竹内勉

    ○竹内説明員 これは寄付の申し出がありましたのが何でも三十九年ぐらいの話のようでございます。もちろん私の前任者の前任者ぐらいがやったことだろうとは思いますが、まあ商社が、これを寄付しますという場合に、常識的にいって、何もただ義侠心から寄付するというのも常識としてはちょっと考えられないんで、まあ若干ちょっと使わせろというぐらいなことはあるいはあったのかわかりませんけれども、しかし私たちのほうの、持ってこられました書類を見ますと、そういうことは少しも書いてございませんし、かりにまあ使わせろということがあったにいたしましても、それはもう永久に使わせろというふうなことじゃなくて、まあちょっと貸せというふうなことで貸しておる例は多々ございますので、ただそれだけがあったからといってこの寄付は絶対まずい寄付であるというふうに考えるべきかどうか、その点は若干私どもは疑問に思っております。
  284. 麻生良方

    ○麻生委員 まああなたの御疑問に思われるとおりだろうと思うのですが、参事官、当時インドネシアに商社の事務所を持つことの条件、あるいは住宅事情の条件、そういうものが背景にあると思いますが、これはどういう事情だったんですか。
  285. 内田宏

    ○内田説明員 このいま起こりましたころは、インドネシアとしまして経済も非常に窮乏しておりましたし、住宅事情は極度に悪かった、こういうことを聞いておりますし、まさにそうだったろうと存じます。
  286. 麻生良方

    ○麻生委員 まあその辺はいろいろ追及をしてみましても判明しないところでありますから、これ以上追及は避けますが、もう一度大蔵省質問しますが、先ほど、この国有財産について、民間商社が十二社入っておるわけですね、現実に。その商社に対しては当然事務所を貸しておれば、何がしかの条件がついた契約書なりあるいは許可書なりが出ておると思いますが、その許可書のコピーを提出をしてくれ、こういう要求を申し上げましたところ、大蔵省の同意がないと出せない、こういう答弁でした。同意されますか。
  287. 竹内勉

    ○竹内説明員 ちょっと私一存でははかりかねますので、早速帰りまして相談して御連絡いたします。
  288. 麻生良方

    ○麻生委員 やはり責任を持って答弁できないんじゃ困りますね。これは秘密文書ですか。
  289. 竹内勉

    ○竹内説明員 これは直接には外務省のほうがお出しになった文書でございますので、私のほうが所管をしておるのじゃないのであります。
  290. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 事務のことはわかりませんので、外務省所管でありましたら責任を持って提出いたします。
  291. 麻生良方

    ○麻生委員 いま政務次官が御答弁されたので、あとでひとつ御提出を願いたいと思います。これひとつ確約していただきたいと思います。
  292. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 はい。
  293. 麻生良方

    ○麻生委員 そこで、質問を先に進めさせていただきたいと思いますけれども、いままでの御答弁によりますと、要するに、その寄付行為は形式上は何ら条件のついてないものである、こういう御答弁に集約されると思うのです。しかし内容はいろいろ当時の住宅事情、事務所を設置する事情等もあって、寄付をした商社が、できるならば、差しつかえがなければその事務所を使いたいという気持ちは背景にあったと推察されますけれども、しかし契約上においてはそのことが何もないということであれば、万一ここに事務所を使うことについて支障が起こってきた場合は、外務省は責任を持ってこの商社との間に貸借関係を白紙に戻すことはできるわけですね。これだけは念を押しておきたい。
  294. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 先ほど申しました使用許可書に、これは一年ごとで更新といいますか、期限は、現在の許可書は来年の三月三十一日で切れることになっておりますし、それからさらに使用上の制限、使用目的その他制限しておりますので、そういう条項に違反した場合には使用許可を取り消すということができるようになっております。
  295. 麻生良方

    ○麻生委員 私の申し上げておるのは、その使用条件に違反した場合ということではなくて、客観的な条件の中で使用することが不適当と思われる事態が発生したときには、外務省はいつでも入っている商社に対して撤去してもらうだけの権限を持っているかと、こういうことをお聞きしておるのです。
  296. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 御質問の客観的な条件の変更ということが私ども必ずしも明確でないのでございますが、先ほど申しましたように形式的には少なくとも一年でいくということになっておりますので、期限が切れたときに再考慮をする、その事態を検討するという余裕はあるわけでございます。
  297. 麻生良方

    ○麻生委員 そうすると、もう一度確認しておきます。期限が切れたときに外務省の見解として許可をすべきでないという事態が客観的に発生した場合は許可をしないということができるのですね。それを明確にしておいてもらいたい。
  298. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 それは可能であろうと思います。
  299. 麻生良方

    ○麻生委員 ちょっと質問の角度を変えさしていただきますが、それらの大使館に入っている商社は当時の日イ賠償協定に関係のある商社ですか。
  300. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  その賠償の実施計画につきましては、品目、プロジェクト、それから関係商社、それからその物品等が非常に複雑しておりますので、取り調べまして、そしてまとまりましたらできる限り御説明申し上げたいと存じます。
  301. 麻生良方

    ○麻生委員 私の調査によりますと、当時の日イ賠償協定の内容、全部ここに資料がございます。いずれの商社もこれに関係のある商社であります。これはいずれの商社もですね。  もう一つ御質問申し上げますが、この日イ賠償協定の窓口は政府政府ということになりますね。したがいまして政府の代表機関である外務省ということになりますね。間違いありませんね。
  302. 内田宏

    ○内田説明員 間違いございません。
  303. 麻生良方

    ○麻生委員 まあ私は、これは憶測でございますから、ここでその件に関する質問は触れませんが、いろいろと日イ賠償についておもしろからざるうわさが取りざたされておりますことは御承知のとおりです。特にスカルノ失脚以来、スカルノ時代のでたらめな貿易関係のあり方がいま強いインドネシア民衆の批判を受けておるということも事実です。また、デビ夫人等々の非公式な証言によりますと、この賠償協定の取り扱いの中にかなり巨額なリベート等々が流れておるという非公式な証言も各所に出ております。こういうようなうわさが出ておるおりから、私はそれらの賠償に関係のある商社が、特にその代表である大使館の中に事務所を持っておったという事実は、いずれの立場から見ても好ましいことではないと私は判断をいたします。これは私の判断でありますから、これは質問ではございませんからお聞き取りを願えばよろしゅうございます。  そこで、大使館の建造のときに、現地の大使になっておられた方はどなたですか。
  304. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  建造当時おられました、在任されました大使としましては、三十九年五月までが古内広雄大使であります。その後一時臨時代理大使を経まして齋藤鎭男大使でございます。
  305. 麻生良方

    ○麻生委員 そうすると事実上現地においてこれらの民間商社の寄付行為その他のあっせんをしたのは、最高責任者は、現地における当時の齋藤大使であったということになりますか。間違いないですね。
  306. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  この寄付行為の、あっせんというのは私どもそういうふうには受け取っておりませんが、この寄付行為の議が起こりましたころの大使は古内広雄大使という時代になります。
  307. 麻生良方

    ○麻生委員 古内さんは三十七年十一月ですね。
  308. 内田宏

    ○内田説明員 ええ。
  309. 麻生良方

    ○麻生委員 その後実際にこれが建造された年月日、これを寄贈を受けた当時、その出時の大使は齋藤大使じゃないですか。
  310. 内田宏

    ○内田説明員 古内大使は三十九年の五月まで在任されております。それから、実際に寄贈を受けましたのは、これは本年の四月一日でございますので、これは現任の西山昭大使でございます。
  311. 麻生良方

    ○麻生委員 それは形式上のことでありまして、実際には齋藤大使の在任中に一番この話は具体的な折衝過程に入っておるということになると思うのです、この在任期間から申し上げまして。  それで、私は実は、当時の齋藤大使、これは現在の外務省の官房長ですかをされておるわけですね。実はきょうお呼びをする手続をとっておったと思うのですけれども、できるならばあとで一点だけ、当時の大使をしておりましたいまの齋藤房長に御質問をしたいと思いますので、委員長、御足労でありますけれども委員部から御連絡をいただいて、御足労願うようにお取り計らいを願います。  そのお取り計らいをいただいておる間に、質問を続行させていただきたいと思います。  この大使館のある地区は、インドネシア政府によってどういう地区と指定されておる地区でしょうか。
  312. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  特にいずれの地区という地区指定はございませんが、ジャカルタにおきましてはいわゆる目抜き通りというふうに観念されておると存じております。
  313. 麻生良方

    ○麻生委員 目抜き通りには間違いございませんが、その地区はおおむね、インドネシアにおいては、どういう建物を建造している地区ですか。
  314. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  メーンストリートでございますので、大きな建物という意味で大商社、それから外交機関等の大きな建物が並んでいると承知いたしております。
  315. 麻生良方

    ○麻生委員 常識的なことばでいえば、日本でいう外交団のある地区、外交団区といいますか、要するにそういう種類の建物があるところで、その地区には商社が随意に事務所を持つことあるいは事務所を建てることは、許されない地区ではないですか。
  316. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  このタムリン地区は、決して外交団地区という指定は受けておらない由でございまして、現に反対側の町の側には大商社もございますし、これが建築制限によりまして外国の機関だけでなければ建ててはならない、そういうような規則にはなっておらないと承知いたしております。
  317. 麻生良方

    ○麻生委員 もし何でも建てられる地区であれば、商社が四億円もの寄付をして大使館をつくる必要はないのでありまして、自分たちが必要な事務所はその地区に土地を借りて建てればいいということになりますが、それができる地区なんですか、この地区は。
  318. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  この地区は特に建築制限はございませんので、この地区に建てようと思えば建て得る規則上になっております。
  319. 麻生良方

    ○麻生委員 そうすると、その土地は貸借をしておるのだろうと思います。もちろん土地まで日本の国有財産である道理はない。土地を貸借しておるとすれば、どこから貸借しておるのですか。
  320. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  これはインドネシアの国から借りております。
  321. 麻生良方

    ○麻生委員 この土地はいやしくもインドネシアの国有財産であります。だとすれば、国有財産を他の国に貸与する場合には、そこに当然使用目的というものが明記をされなければ貸与ができないと思いますが、この土地はどういう使用目的でお借りになっている土地ですか。
  322. 内田宏

    ○内田説明員 この使用目的としましては、主として大使館をつくるため、こういうふうになっておると思います。   〔委員長退席、河本委員長代理着席〕
  323. 麻生良方

    ○麻生委員 インドネシア政府から土地を借りておるわけですが、インドネシア政府日本政府との間に、土地を借りている契約書があると思いますが、その契約書は公開できますか。
  324. 塚本良次

    塚本説明員 お答えします。  本件につきましては、各国の大使館が集まりまして、共通な使用料の規定を設けようということで交渉いたしております。まだ結論は出ておりません。
  325. 麻生良方

    ○麻生委員 そうすると、何にも文書による貸借の契約書はないのですか。
  326. 塚本良次

    塚本説明員 現在はございません。
  327. 麻生良方

    ○麻生委員 これはたいへんなことだと思いますよ。じゃあだれから借りたのですか。契約書もなしに土地を使用しているというのは許されますか。
  328. 塚本良次

    塚本説明員 それは外交団から向こうのプロトコルを通して再三話してやっておりますので、国と国との話し合いをしておるわけでありますから、そういうものはなくても一あるほうがこれは当然でございますが、なくても別に支障はないと考えております。
  329. 麻生良方

    ○麻生委員 もし政府がかわって貸せないと言ったらどうしますか。
  330. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 従来の経過などもございますし、現に外務省大使館が外交目的に使用されている場合に限っては特に外交特権があるわけでございますので、その点については心配はないと思います。
  331. 麻生良方

    ○麻生委員 そこに外交特権が発生するということは、正式に大使館を建造するという使用目的を明らかにした契約が取りかわされたときに初めて国際的な立場で外交特権が認められるのであって、ただ両者の合意的な話し合いの上でこの土地を使っておけ、そこにはインドネシア政府からの証書もなければ契約書もないというような場合に、インドネシア政府に政変でも起きて政府がかわって、これは使わせない、外交特権の地区ではないと言われたときに、それでは反論のしようがないではありませんか。
  332. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  これは現に日本大使館が使っているということは通告してございますし、政権がかわりましたからといって、前政権のものがすべてひっくり返るものではない。政府政府との間の権利義務の継承はございます。それでこの点におきましては、十分現在の土地の使用は継続されると存じます。
  333. 麻生良方

    ○麻生委員 それは日本政府の一方的な見解なんです。少なくとも両方の見解が合意に達しなければ貸借というものは成り立たない。あたりまえの話であります。われわれが幾ら主張しても先方が一ぺんにそれをひっくり返されたときに、いままでの慣例だということで済むような国なら別ですよ。しかし御承知のように、そうでない事情のある国ですよ。
  334. 塚本良次

    塚本説明員 その点についてお答えいたします。  本件建築にあたりましては、ちょうど日本でいえば建設省のような役所に建築申請を出す。その場合に土地のオーナーの承諾がなければ建築できないことは日本でも同じであります。それを向こうが認めて建築許可を発行しておるわけでございます。その建築許可に基づいてわれわれは実施したわけでございます。
  335. 麻生良方

    ○麻生委員 本来、建築許可書というものと土地の貸借というものとは別個なものなんです。建築許可書をもって土地の貸借契約が成り立っておるという判定は国内にだってできませんよ。これはおのずから別個なものなんだ。私はこれ以上追及しません。しかしこれはきわめて重要なことでありますから、あなたの御答弁ではいま折衝中だと言っておられますが、外務省としては一日も早くインドネシア政府日本政府との間に正式な外交特権地区としての貸借を結んでおかないと、将来これは問題が起こったときにどえらいことになりますから、これだけは念を押しておきます。この点についての善処方を政務次官ないしは参事官から御答弁願いたいと思います。
  336. 内田宏

    ○内田説明員 まことに、ごもっともな御意見でございまして、十分御意見を体して善処いたします。
  337. 麻生良方

    ○麻生委員 この土地はいずれにしても大使館建造の使用目的を持ってお借りになった。そうすると先ほどの御答弁のように、この土地には外交特権が及ぶ、外交特権のある地区だから心配ないのだということですね。——必要なら速記録をもう一度読みますが……。
  338. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 私の申し上げましたのは、外交事務を行なっている場所についてということを申し上げたと思います。
  339. 麻生良方

    ○麻生委員 それはどういう意味ですか。
  340. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 現在大使館の事務所として使用している場所という意味でございます。
  341. 麻生良方

    ○麻生委員 それは建物ですよ。あなた、さっき土地のことを話しておったじゃないですか。その土地は大使館建造の使用目的で借りている土地なのであるから、その土地が取り上げられることはないというふうに御答弁されたじゃないですか。
  342. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 私の申し上げましたのは、その建物について外交特権がある以上は、その建物を次の政権は侵害できないという意味で申し上げたわけでございます。
  343. 麻生良方

    ○麻生委員 土地を通らずして建物を侵害するなどということはあり得ないのですよ。土地の上に建物が建っておるのです。少なくともその建物は、土地の中にあるのですよ。
  344. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 私の知る限りのいろいろな例を見ますと、少なくとも建物について外交特権がある場合には、国有財産であれあるいは民間の所有であれ、その建物に外交特権があることは変わりはないということでございます。
  345. 麻生良方

    ○麻生委員 法制局にちょっとお尋ねしますが、外交特権ということについてですけれども、たとえば日本政府がアメリカ大使館に土地を貸与しておりますね。そこにアメリカ大使館が建っておるといたします。そうすると外交特権というものは建物だけにあるのですか。土地にはないのですか。
  346. 荒井勇

    ○荒井政府委員 在外公館といいますか外交の使節団の公館というものにつきましては、国際慣習法もございます。またこれを成文化した外交関係に関するウィーン条約というものもございますが、その第二十二条で「使節団の公館は、不可侵とする。」と規定しております。ここでいう「公館」というのは、その公館の目的に供されているところの土地及び家屋であると解されますから、もちろん土地についても不可侵権はあるということでございます。
  347. 麻生良方

    ○麻生委員 いまの法制局の御答弁、私もその通りだと思います。土地に不可侵権があるから、その上に建っておる建物にも当然不可侵権が出てくる。土地に不可侵権がなくて建物だけにあるとしたら、これはとんでもない常識はずれなことになります。そうすると常識的な解釈としては、この大使館は不可侵権のある土地の上に建っている建物だという判断をせざるを得ないと思いますが、いかがでしょう。
  348. 荒井勇

    ○荒井政府委員 おっしゃることは大筋においてまことにそのとおりでありますが、先ほど読みましたウィーン条約の二十二条の第一項の中に書いてもおりますように、公館の敷地について一般に不可侵とされておりますけれども、使節団の長の同意によりましてその不可侵権の適用除外が可能であるということになっております。本件のような場合にその国有財産であるビルディングの一部について商社に、時使用を許可しているというような場合には、その部分について不可侵権の適用除外をするということは理の当然でございますし、現実にもそのように取り扱われているように聞いております。たとえばウィーン条約の二十三条の中には、「使節団の公館について、国又は地方公共団体のすべての賦課金及び租税を免除される。」という免税の特権が一つの例として書かれておりますけれども、商社が使用している部分についてはわが国の固定資産税に相当する税金を課され、負担しているというようなことも聞いておりますので、それは現地国政府としても、こういう在外公館の特権の適用対象地域である、対象部分であるというふうには、考えていないと思います。
  349. 麻生良方

    ○麻生委員 いずれにしてもいまおっしゃるようなことだろうと思います。そこで総合的に判断をいたしますと、土地は大使館の使用目的を主として借りておる。そこに大使館が建っておる。ただ、たまたま大使館をつくるについて民間商社の寄付があった。その民間商社の番付をしたところにある事情で事務所を貸さざるを得なくなった。そこでやむを得ず、あるいは好意的か、いずれにしてもそこに事務所を貸与したということになりますね。これは事実ですね。そうすると、この不可侵権の問題というのは商社には及ばないのだということになれば、及ばないことを明確に取りかわしておかないと、これは後日問題が残ることになると思いますね。われわれは及ばないのだと判断をし、たとえば当時のスカルノが、これはけっこうだと黙認をしたとしても、政府がかわって、明確にしてくるということになると全域に及んでくるということになり、非常にあいまいな借り方、あいまいな使用をしているという結果にならざるを得ないと思うのですが、この点についての御見解はいかがですか。
  350. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  不可侵権、いわゆる外交特権は一、二階の現に大使館事務所として使用している部分に及んでいるということだけは申し上げてございます。それから、事実上この大使館事務所として使用している部分と、商社の使用を認めている部分は完全に遮断されておりまして、大使館側の入り口からは商社には入れないので、商社に行くためには全く別の入り口から入らなければならないということになっておりまして、この商社向けの通路を通って入ってくる。それから、これに対するいろいろな調査とかインドネシアの関係についての調査につきましては、一切不可侵権は主張しないということは、大使から向こうのほうに申し述べてございます。
  351. 河本敏夫

    ○河本委員長代理 麻生君、時間もだいぶたちましたから結論をお急ぎ願います。
  352. 麻生良方

    ○麻生委員 委員長、これは重大なことですから、委員長から発言を制限されるような発言をされると、私はちょっと質問できないのですが……。別にきょうは理事会で制限しておるわけではございません。これは究明されるまで究明したいと思います。
  353. 河本敏夫

    ○河本委員長代理 できるだけ結論をひとつお急ぎください。麻生君。
  354. 麻生良方

    ○麻生委員 いまの御説明でも大体了解はできますけれども、しかし問題は残っておるということにこれはならざるを得ないと思うのです。  そこで私は、いま結論を急げという委員長の御指示もございましたので、結論に入らしていただこうと思いますけれども、土地を大使館の使用目的のために借りており、そこに建物を建てておる。しかし、その入る場所は別々だというても、それは通用しません。建物全体が大使館ということになっておる以上は、それは一方的な解釈にならざるを得ない。そこで、これは明確に、外交特権というものがどこにあるかということについて、形式的であるにせよ、インドネシア政府との間に合意を取りつけておかないと、将来禍根を残すことになろうと思われます。  それからもう一つは、大使館の中に商社があるという実例は世界にたくさんございますか。
  355. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  あとのほうからお答え申し上げますが、大使館の中に商社があるのではございませんので、国有財産の中の一、二階を大使館が使用し、そのほか使用申請がございましたので、その商社に一時使用を認めたというのが実態でございます。ですから、大使館に商社の同居を認めたという例はございません。  それから、その次に外交特権につきましては主張しないということにつきましては、大使と先方との間には了解はございますけれども、麻生委員指摘の点はまことにごもっともな点もございますので、なるべく近い将来において善処するように考えておるわけでございます。
  356. 麻生良方

    ○麻生委員 そうしますと、一つの矛盾があるのです。土地は大使館建造の使用目的で借りておりながら、今度建物を建てた。しかし大使館はその一部であり、他の一部は商社に使わせていいんだとかってに日本政府が判断している。これは使用目的に矛盾しませんか。
  357. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  この点につきましてはインドネシア、特にジャカルタにおける極度な住宅事情の逼迫という特殊事情から起こったことでございまして、これは先方政府も了承しております。これはあくまで商社の一時使用の許可でございますので、全く特別な例でございます。
  358. 麻生良方

    ○麻生委員 大体以上申し上げまして——まだ保留しておる部分がございます。しかし、私はこの種の問題をあまり国際的な問題にもしたくもございませんし、できるなら私がこれから申し上げる最後の結論的なことについて、特に外務省の官房長をされております齋藤さんからひとつ責任のある御答弁をちょうだいして、私が納得できれば、この質問はここで打ち切って、その後の善処にゆだねたい、こういうふうに思います。  いままでの質疑の過程で明らかになりましたように、この問題に私は幾つかの疑義を持たざるを得ない。その一つは、大使館、公舎等の建造について、民間両社から不必要な寄付を受けることについての可否ということがございます。これは当然寄付を受ければ、情においても何がしかの見返りをしなければならぬという情が出てくる、これは当然であります。だから、これから特に在外における大使館、公舎等をつくる場合に、それがどうしても間に合わないのであれば、大蔵省はそれに必要なだけの予算措置を当然とって、他の民間その他の助力によらずして、日本政府の権限で、日本政府の予算内でこれは建造すべきが至当でありますから、今後このような大使館をつくる場合に、こういうケースが二度とあってはならないと私は思います。この点についての官房長の御判断、大蔵省の御判断、これをひとつ御答弁願いたい。  それからもう一つは、いずれにしても、寄付をした商社に、ある意味では利権とまぎらわしい、取りざたされるような形で事務所を貸与するということは好ましくない。なるほど合法的であるかはしらないけれども、これは好ましくない。なぜなら、ここに入っている商社以外にも、日本の商社は他にあります。しかもその日本の商社は、窮屈なインドネシアの住宅・事務所事情の中で苦境に立っております。またジェトロでは言うに言えないような事務所におるとき——ジェトロは政府貿易機関ですよ。ジェトロにさえ事務所を貸与しないで、民間商社にこれを貸与しているというだけでも、これは政府としては大問題です。外務省だって通産省だって、もとは政府です。そういうことについても考えたときに、寄付をした商社に利権とまぎらわしいような形で、外国にある国有財産を貸与することは好ましくないと私は判断するが、この点についての特に官房長大蔵省の御見解、これも第二点としてお伺いをしたい。  それからもう一つは、これは言わずと知れた——どう弁解されようと、これは大使館なんです。土地は大使館をつくるために借りておるのです。ただ、たまたまぐあいが悪いから、いろいろな事情があって、政治的にこういうことになった、それはわかります。当時の大使をされておりました齋藤さんの御苦心もよくわかる。また上のほうの政治折衝で、不当な寄付が要求された事実もたぶんお知りでしょう。しかし、それは言えないでしょう。しかし、いずれにしても、そういういろいろな事情があって、この大使館の中に商社が入らざるを得なくなったと思いますが、この商社が永久にここに入っていることについて、外務省としては妥当とお考えになっておられるのか、いないのか、この点についてひとつ御答弁を願いたいと思います。  これらの三つの点の御答弁によりまして、最後にもう一点だけ質問をさせていただいて、質問を打ち切りたいと思います。御答弁願います。
  359. 齋藤鎭男

    齋藤(鎮)政府委員 お答え申し上げます。  第一の予算との関係でございますが、まさに御指摘のとおり、私もそう思います。当時のことにつきましては、私もあまり詳しくは存じ上げませんが、予算も決定しまして、一方、先方政府と話もついたので、なるべく早く建築を始めたいという希望がございまして、一方、一部の民間会社から、建てるならば、近くのほかの大使館に負けないようなものをつくってもらいたい、またインドネシア政府もそういうことを希望しておるからということで、寄付の申し出があって、これを受けたのでありますが、これはまさに非常な特例でございまして、将来はもとより先先のおっしゃったとおりにやるべきだと考えております。   〔河本委員長代理退席、委員長着席〕  それから第二の民間会社、これは商社だけでございませんで、銀行もございますし、航空会社もございますし、建設会社もございますので、民間会社といったらよろしいかと思いますが、これもごく一部に限定したのではないのじゃないかと私は思っております。当時そういう希望のあった民間会社に希望を募って、その結果十四社というものが集まったわけでございます。当時ジェトロその他一部の商社は、ほかの理由で希望を申し出なかった、こういうように考えております。政府としては、もちろんそういう場合には、一部の会社だけでなくして、できるだけ機会はあらゆるものに均てんさせるという方針でいくべきだと思っております。  それから第三の将来の問題でございますが、ただいま内田説明員からも申し上げましたように、これは私の在任中のことになりますので、ここで申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、まさに住宅事情が非常に払底しておりまして、一部の商社は中国人の店の二階に間借りしているというようなことで、事務所を非常に希望しておりました。たまたまホテルの前に二十九階建ての大きな建物が日本の賠償でできるはずでございましたが、御存じのような政治、経済情勢で、これはできなくなる、そういう見方が当時非常に強くなりまして、できればこういう大きな大使館をつくるんだから、もし余裕があれば入れてもらいたいということになったのだと思います。しかし大使館の土地として借り入れたことはもちろんでございまして、本来これは大使館のために使うべきだと考えております。一方、将来大使館の施設というものももっと拡充すべきだと思いますし、あるいは館員の宿舎等も新しく建てるかあるいは何か措置を講じないといろいろ問題がございますので、将来大使館としてもどうしてももっと広いスペースが必要になるという事情がございます。また他方建築事情も逐次あの国の政治、経済情勢が改善されるに従ってよくなると思いますので、将来はしかるべき方向、すなわち望ましい方向に持っていきたいというように考えております。
  360. 竹内勉

    ○竹内説明員 お説のとおり、国が使用いたしますところの庁舎等につきましては、原則といたしまして、国がみずからの予算をもちまして取得すべきものであるというふうに考えておる次第で、ございます。
  361. 麻生良方

    ○麻生委員 いまの齋藤房長の御見解、私もそれが妥当だろうと思います。これ以上追及は申し上げませんが、いずれにしても先ほど来資料の御提出も願っておりますので、それらを検討した結果、私としても再質問するかしないか態度は保留をさせていただきたいと思います。  そこで最後に一点、いずれでもいまの御見解によれば、望ましくないという御見解であろうと思いますから、これは私は特に念を押しておきますが、日本の政党が商社の貿易活動を阻害してはならない。私はそれをやはり助長させて援助していくのが大使館としては当然の任務であろう。しかしそれにはそれの道筋がある。いやしくも特定の商社にだけ特定の利益を与えるかのごとき、また国際的な立場から見ていかがわしいと思われるような方法でこれを援助すべきでは決してございません。その援助の方法は別個に筋を通して行なうべきだ。だから私はこの質問をもって、ここに入っている商社を非難するつもりは決してございませんが、しかしいずれにしても近い将来官房長が責任を持って商社の代表をお招きをいただいて、この事情を説明されて、善処をしていただく、その御確約が得られるかどうか、これを最後の質問としてお願いをしたいと思います。
  362. 齋藤鎭男

    齋藤(鎮)政府委員 お答えいたします。  ちょっと先ほど申し上げましたように、現地の建築事情もございますし、それから大使館自体現在二十五、六名の人員でございますが、これもますますふえてまいると思いますので、方向としてはもとより大使館が現在のまま民間会社に使用を許可していくということは、見通しとしてはできなくなっていくと思います。  他方、一方でただいまのような建築事情で、民間会社に入っていただいた事情もございますので、これは将来民間会社が外で活動ができるという状況をも見合わせて処置をしたいと思います。御質問もございましたので、御質問の趣旨はよく関係会社の責任者にもお話ししておきたい、こう考えております。
  363. 麻生良方

    ○麻生委員 以上をもちまして私の質疑はこれで打ち切ります。
  364. 島村一郎

  365. 中村重光

    中村(重)委員 いま答弁を聞いておりますと、数点疑問に感じておることがあるのです。しかし時間の関係がありますから、一点だけお尋ねすることにいたします。  土地の使用目的は、麻生委員から指摘がありましたように、大使館の敷地として借りる、それから建物の建設目的、これはインドネシア政府許可が出ているのだと思うのですが、これも大使館の建築、こういうことで、その目的が明確ではないかと思います。ところが先ほど大使館の中に商社が入っているのではないか、国有財産の中に大使館とそれからいわゆる民間の数社が入っている。そうしてインドネシア政府もそのことを了承しておるのだ、さらには一時使用であるからこれはいいのだ——いいのだということばを使われたのではないのだけれども、受け取るほうは一時使用だから支障はないのだ、いつでもこれを解除することができるのだという意味答弁があったのですね。期限を一年というのでありますから。それを期限がきたらあとは更新するかあるいはこれを契約を解除するかということは、その段階にきてみて……。だからそういうことでインドネシア政府の了承を取りつけているのだから、別に支障はないのだという意味答弁がなされたと私は思うのですね。そこでこの大使館の敷地として借りた建物も、大使館を建てるということで建築申請がなされておるのだが、これに対してインドネシア政府が、この契約の更新に対しあるいは解除に対して、何か干渉するというのか、異議を言うというのか、何らかのインドネシア政府の発言というものがそこに出てくる余地がないのかどうかという点が一つ、お答えを聞いて何か危惧があるわけです。ですからその点をひとつはっきりしていただきたいということと、大使館の中はこれは申し上げるまでもなく治外法権であるわけです。ところが大使館の建物である、その建物全体の中に、インドネシア政府のいわゆる官権の何らかの形の介入というものがあり得るのかあり得ないのか、そこいらはどういうことになっているのか。  それから土地は借りているというのですが、そのいわゆる地価、これは借りておる場合は賃貸料ということになるのでありますが、その大体の相場ですね。それはどのくらいであろうか。四億という金を寄付をした、先ほどの答弁ですと、くれるというならもらっておいたほうがいいのだ、全く何というのか、答弁を聞いておって、よくそうした答弁ができるものだなと思って、私は何といったらいいのか、無責任きわまる答弁だと思って聞いておったのです。しかしそれは私はあえて追及いたしません。質疑応答を通じて非常にこれはあいまいだ、もう少し何かすっきりした、明朗な説明、契約というのか、そういうものができないものであるか。  それからジェトロの問題について、入居の申請がなされたということを麻生委員指摘をしたのでありますが、そういう事実はないということであったのでありますが、これは非常に私は重大な関心を持ちます。ジェトロに対しては、日本政府としてもできるだけこの事務所の使用等については協力をしていかなければならない、政府の一つの機関なんですから。だからそのことはひとつはっきりしていただいて、いまここでお答えができないなら、あとで調査をしてそのことははっきりしていただきたいと思います。  以上の点について、どなたからでもけっこうでありますから……。
  366. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  中村委員の御質問、大体四点だと拝聴いたしたのですが、第一にこの国有財産のスペースを民間会社に使用許可している。これが契約更改時においてインドネシア政府から何か文句が出ないかということが第一点だと存じますけれども、この点につきましては、先方との話で三階以上は民間会社に使用許可しているのは存じておりますし、それからインドネシア政府としても地方税をすでに取っておりますので、日本政府が使用を認める会社にこれを使わしているのだということは存じておりますので、その点についてインドネシア政府からだれに使わせろというようなその指名は出ないのではないかと存じます。  第二点の不可侵権の問題でございますが、不可侵権につきましては、先刻御説明申し上げましたように、明瞭に商社使用部分につきましては、不可侵権は主張しないということでございます。またこれのいろいろな疑いを持たれませんように、各種の面におきまして、その入り口とか何とかを整備しまして、その疑いが持たれないような配慮も加えております。  それから第三点の地代でございますが、これは国有地でございますし、また非常なインフレの時代で、レートが非常にフラクチュエートしておるので、ちょっとただいまのところお答えいたしかねます。事実上困難ではないかと存じます。  それから第四点の、ジェトロに貸せという、この点先ほど麻生委員の御質問がございましたが、いままでのところ、当方といたしましてジェトロから入りたいという申請はちょうだいしていないわけでございますけれども、いま麻生委員、それから中村委員のお話のございました、ジェトロにそういう強い御希望があるならばまた御相談申し上げたい、こう存ずる次第でございます。
  367. 中村重光

    中村(重)委員 地代が非常に高い。三階以上ということになっているのですね。直接地代を商社は払う必要はないわけですね。だから何か使用料を払っているのだけれども、地代を払うだけの出費があったならば、いわゆる建物の使用料を払うということで、なおそれが安いかもしれないという点ですね。それから民間の商社がインドネシア政府からそれらの土地を借りることができるのかどうか。借りられない、だからして大使館を建てる。大使館建設の用地に建物を建て、これを民間に貸す。こういうことになってくると、いかにも四億というたくさんの金を寄付してもらったんだ、実際はそのために便宜を供与したということだけになってまいりまして、国有財産の使用というような問題からやはり何か、私はこれから検討してみたいと思うのでありますけれども、問題が出てくるような感じがいたします。しかしそのことについてのお答えはいただきません。ありますれば、していただいてけっこうでありますが、決算委員会等において私はこれらの問題は取り上げてまいりたいと思っておるのでありますが、何かお答えがあればひとつ……。
  368. 島村一郎

    島村委員長 次会は、明十二日水曜日、午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時十二分散会