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1967-07-04 第55回国会 衆議院 商工委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月四日(火曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 河本 敏夫君    理事 田中 武夫君 理事 中村 重光君    理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    小笠 公韶君       岡本  茂君    神田  博君       黒金 泰美君   小宮山重四郎君       小山 省二君    齋藤 憲三君       櫻内 義雄君    田中 六助君       丹羽 久章君    三原 朝雄君       武藤 嘉文君    岡田 利春君       佐野  進君    中谷 鉄也君       平岡忠次郎君    古川 喜一君       鈴木  一君    塚本 三郎君       近江巳記夫君    岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         科学技術庁研究         調整局長    高橋 正春君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君         通商産業省公益         事業局長    安達 次郎君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  石原 寿夫君         大蔵省主計局主         計官      岩瀬 義郎君     ————————————— 七月四日  委員吉田泰造辞任につき、その補欠として鈴  木一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員鈴木一辞任につき、その補欠として吉田  泰造君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油開発公団法案内閣提出第六七号)  公益事業に関する件      ————◇—————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  公益事業に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 各新聞の報ずるところによりますと、一昨二日関西電力和知発電所ダムの第三水門が吹き飛んだということが報道されておるわけです。新聞の報道によりましても、ダム流域住民が非常に驚愕して、消防団その他役所等が総動員して住民に対して警告をして回って、たいへんな騒ぎになったということが伝えられておるのでありますが、私どもも、ダムの決壊であるとか、その一部にいたしましても水門等が吹き飛ぶというようなことは、全く想像できないところであります。わが国でも初めてのことであるといわれておるのでありますが、私はこれは重大な問題であると思うのであります。したがいまして、この点に対してひとつ状況を御報告願いまして、それによりまして二、三あるいはお尋ねするかもしれません。一応状況を伺ってみたいと思います。
  4. 安達次郎

    安達政府委員 御説明申し上げます。  場所は、京都府の由良川水系由良川中流部にございます和知発電所でございます。この和知発電所と申しますのは昭和四十一年の二月に着工いたしました発電所で出力五千七百キロワットでございます。このダム型式越流型重力式コンクリートダムで、高さは約二十四メートル、長さは百四十四メートル、四門のテンターゲートを持っているダムでございます。この事故の前六月二十六日に河川法及び電気事業法に基づく建設省通産省——通産省におきましては大阪の通産局でございますが、の湛水検査を終了、同日以降湛水を始めまして、六月三十日に満水となっております。事故の当日、七月二日午前十一時ごろでございますが、当日は三号ゲートを二、三十センチあけて流量調整を行なっておりますうちに、ちょうどおりからの雨で上流からの流木やごみが右岸に集結したために、それを排除するために四号ゲートを操作し、そのため三号ゲートを全部締めて四号ゲートの巻き上げを行なおうとした際に、一、二秒のうちに三号ゲートが破壊されて、約百メートル下流まで三号ゲートが流失いたしました。時間は十一時十五分ごろでございます。  状況から先に申し上げますと、直ちにダム操作にあたっておりました関西電力の社員の連絡によりましてダムのサイレンを吹鳴して、十分後には警報車四台をもって下流警報の徹底を期しております。また関係市町村、それから関係警察署に報知するとともに、上流大野ダムがございますが、そこでは発電放流をいたしておりますので、その発電放流を直ちにやめさせております。当時川で釣りをしていた五、六十名の人たちがおられたようですが、警報によりまして大部分が待避できましたが、綾部市の一地点において警報車の一台が二名の方が遭難しているのを発見し、うち一名は救助されましたが、一名は行くえ不明となられました。その後数十名の捜査隊による捜査の結果、ちょうどヘリコプターの捜査隊が約二十四時後に綾部市の上流約二キロのところでその死体を発見されて、身元が確認されております。  それでダムのほうでございますが、ゲートの破損による出水が毎秒約五百トンの出水を見たのでありますが、約三時間後には全部が流出が終わりまして、あとは自然に流れ込んだ分だけが流れるという状況になっております。   〔委員長退席河本委員長代理着席〕  当然関西電力も副社長以下現地に対策本部などを設け、諸般の対策を講じております。  事故原因でございますが、ただいまのところ——これは重力式ダムでございまして、ダム型式といたしましては、わが国発電用ダムでは最も多く使われているものでございます。したがって、その安全性なりなんなりについての技術的解明というものは至れり尽くせりというふうに従来関係者理解しておったようなものでありまして、全然その原因というものが思い当たらない。当然最初は設計審査をいたします。それからダムの実体といたしましては岩盤検査、それからダム本体検査、それから湛水検査、それから地下に埋めたおもな導管の検査、あらゆる検査が終わってから後に——使う前にそういうそれぞれの過程における検査を全部進めてまいってきておるわけでございまして、ちょっとただいまのところ思い当たらない。ただ、ただいま三号ゲートが約百メートル下流に流失しまして、テンターゲートといいますと、ちょうど扇子のような形をしたゲートで、扇の骨のように三本の支柱が一カ所に集中しているその扇のかなめの部分、それがダム本体に結びつけられておるという構造になっております。それがちょうどただいま百メートル下流に流失しまして、ただいま警察関係現場保存なりなんなりの手続などもございますし、それから水も相当多うございますので、まだ引き揚げるところまでまいっておりません。同時に、中の状況を上から見ましても、まだアームが下になって河中にあり、約三十トンの重量物でございますので簡単に扱えません。いまのところそのゲート引き揚げをいたしまして、そしてその吹っ飛んだピンまわりと申しますか、アーム状況を、そのようなところからの検討をいたさないと、据えつけ過程における過失があったのか、あるいはそれぞれの部門における材質上の欠陥があったのか、設計上の欠陥というものはどうしても考えられませんので、いまのところその原因については、今後そのゲート引き揚げてからの検査に待たなければならぬ、こういうふうに考えております。  なお、この機会に、たとえば先ほど申し上げましたように、この重力ダムというのは、わが国では一番ポピュラーな型式ダムでございますし、従来このような事故は全然起こっておりません。このようなことの原因がむしろはっきりしないままで推移いたしましたならば、あらゆるダム下流住民不安感をそそることにもなり、これはゆゆしい問題でもあろうと思われますし、何とかしてこのダム原因究明をはかりたい。それでただいま建設省通産省、それと第三者、学者などを入れまして、直ちに京都にその原因究明対策委員会を設けることに決定いたしております。それから同時に、関西電力社内体制として、メーカーなり学識経験者なりを入れたやはり原因究明対策委員会を発足させております。  ただいままでの状況は、アウトラインを申し上げますと以上のようなことでございます。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 あなたも新聞をお読みになっておるだろうが、新聞だけではなくて、現場からの御報告がいまありましたが、おそらくその報告に基づいていま御説明があったのだと思う。ところが新聞の伝えるところによると、水門溶接部が強い圧力によってはずれたのだ、そういう見方をしている。特に京大の石原藤次郎教授は、水門溶接部か、コンクリート柱への取り付け工事不備としか想像できない、こう言っている。ところが関電森岡社長は、原因は、水門構造にあると思うと、こう語っております。そのいずれも、何か溶接部がいわゆる水圧によってはずれたという見方もできるのだけれども、一方では工事不備という見方、一方森岡社長のほうは構造上に欠陥があったのだということになってくると、設計上とも見られるのですね。ある程度その原因に触れた談話を発表している。ですから、あなたの報告というのは、非常に重要な問題であるから、そう軽々な説明はできないということはよくわかるのですが、もう少しつかんでおるのじゃないか、こう思ったのです。そこで、あなたもいろいろな角度からの検査をやったのだといういま御報告があったわけですが、先月の二十六日に建設通産両省検査をやっているわけですね。それによると、満水時には約千トンの水圧があるというのだから、検査の際には千トン相当水圧があるという形において当然水圧検査がなされなければならなかったのじゃないか。そういう検査をおやりになったのかどうか、その点、非常に重要な点であろうと思うのですが、いかがでございますか。
  6. 安達次郎

    安達政府委員 湛水をいたしますまでに、先ほど申し上げましたように、岩盤検査やら、あるいはダム本体、あるいは同時に湛水検査と申しておりますが、そのような検査を全部いたします。水をためてからの検査というのは、これは全部工事完了後の最終的な検査段階でいたすことになるわけでございます。それで建設省検査と私のほうの検査とが同時に行なわれておりますが、これは河川法体系電気事業法体系とで、河川法ではそれで検査完了でございますが、電気事業法では、湛水検査が終わりまして、あとまた電気まわりのいろいろな検査をやりまして、初めて完成検査ということが終わるわけでございます。それでちょうど通産省では、河川法関係では最終の検査が終わったということになっております。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 私が言うのは、水をためてからでなければ完全な水圧検査ができないということはわかる。しかし水をためてしまったのでは、今度のような事故が起こるわけです。だから、水をためる前に千トンの水圧に耐え得るかどうかという、そういう水門等構造上あるいは工事上の検査というものがなければならない。ためてからやるのだということでは問題がある。現実にこの問題が起こってきた。だから、千トン相当の水が入った、この程度水圧がかかるという想定のもとの検査というものは技術的になされなければならないと思うのです。でなければ、水がたまってからでしかできないというのはたいへんだと思います。その点どうですか。
  8. 安達次郎

    安達政府委員 御指摘のとおりでございます。先ほどの六月の二十六日に検査が完了いたしたという湛水検査、これは当然そういうダム構造上、そこが満水になって、そこでもってそれにかかる圧力に全部耐え得るだけのダム本体水門、地盤、あらゆるそういう設計上の内容に初めからなっているわけでございます。それが設計段階岩盤段階ダム本体段階あるいは水門段階、先ほど申し上げましたように、それぞれの工程に応じてそれぞれ検査が終わっているわけでございます。たとえば、いま御指摘水門なら水門ダム貯水量の全体の水圧に耐えられるような工事が行なわれているか、そういう検査が、一応湛水検査では終わっているわけでございます。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 由良川の今度の場合は、日照り続きで水があまりたまっていなかった、いわゆる減水の状態であった、これが増水しておって、そして今度のような五百十万トンですか、そういう膨大な流水があった場合、その被害というのはどの程度に及んだと想像されますか。
  10. 安達次郎

    安達政府委員 今回は、それまでの間たまたま一般に雨量も少のうございましたので——下流には相当平地田地田畑が両岸にございます。そのようなことで、もしもこれがずっとふだんから水が増水しておりまして、ダム容量が小そうございますから、さらにそのときにこういう事故が起こりますと、平地田地田畑被害がある程度出たことも予想されるかもしれません。しかしこれは仮定の話でございます。平地相当多うございます。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 ダムをそこへ建設するという場合に、最悪の場合を想定して、これを認めるか認めないかということ、あるいは流域住民の同意を求めるということだってあるだろうと思います。だから、その調査は当然そういう検査をしておられたろうし——由良川の水が渇水状態であったから、幸いにして人畜にも田地田畑にもたいして被害がなかった、ただ釣りに行っていた者が一人なくなった、こういうことが報道されている。ところが、これはたいへんなことになると思っているから、消防団にしても、あるいは市役所にしても、その他の関係者たちが、警報を出して、そうして避難を求めるというようなことをやっているのだから、私のいま尋ねたことに対しては、もし由良川の水が増水状態であった、そういうような場合は、単に田地田畑というだけではないのじゃありませんか。おそらく田地田畑だけだということならば、そういうような大騒ぎをやって警報でもって避難をさせるということをする必要はなかったと思います。あなたのような答弁をされる必要はなかったのじゃないですか。
  12. 安達次郎

    安達政府委員 私ただいま田地田畑と申しましたが、当然民家、住民の安全も含めての説明と御理解をいただきたいと思います。ダム構造から申しますと、洪水流量を大体二千六百トンという程度に計画されております。というのは、従来の統計上百年に一ぺん程度洪水、この洪水に耐えられるだけの施設、構造になっているわけでございます。ただ、あくまで今回の場合のように、ちょっといま考えられないような、急に水門がこわれて、それで一挙にそのダムの水が流れ出るという場合に、その川の水位が相当高ければ、増水か何かしている段階では、一挙にそのような事故でも起これば、たとえばダムとしての容量がそう大きいダムでなくても、瞬間的には相当下流平地もございますので、田地田畑住民の危険も予想できたかとも思います。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 今度の事故流域住民が、もうダムを使ってもらっては困る、これは廃止してしまえというような反対運動が起こってくるという可能性がありますか。
  14. 安達次郎

    安達政府委員 ただいま事故の起こった直後でもあり、同時にその原因究明も、まだ水門引き揚げもできないような時期でございますので、まだ地元側のそういう反応については何も報告を受けておりません。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 いろいろお尋ねしたいことがありますが、時間の関係もありますので、きょうはこれでやめますけれども、ともかく万全の対策をやって、単に今回の事故流域住民だけの問題ではない、私は全国的にダム流域住民というものはたいへんな不安にさらされておるというように思うわけです。ですから、この重大性ということを十分認識されて、あらゆる調査をおやりになる必要がある。同時に、今回の事故犠牲になった方々に対しましては、関電としてもそれぞれの補償の規定があろうと思いますけれども、万遺憾なきように、単になくなられた犠牲者のみにとどまらず、非常な不安と衝撃を与えた、そういう点に対しても十分な慰問、補償の措置というものが講じられるように通産省としても指導していただきたいと思います。一応これで終わります。  最後に通産大臣から私のいまの質問に対してお答えを願いたいと思います。
  16. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほど閣議建設大臣からこの詳細な報告がありまして、いまその報告の中で、局長が述べなかったことが一つあるように思うのです。それは、満水になって、にわかに大雨が降ってなにしたので、流木がずいぶん流れてきた。そこで、第四の水門をあけてその流木を流そう、そこで、第三のほうはいままで水を流しておったのでありますが、第三のほうの水門を閉じた、その閉じた瞬間に第三水門が破壊されたということであって、建設大臣がそういう報告をしておりましたから、それだけちょっとつけ加えておきます。  それから、いまの犠牲者に対する問題については、これは関西電力のほうに昨日すでに私のほうからも、できるだけのことをせいというように注意をいたしておきました。  それから、きょうも建設大臣は、この事件で、日本は各地区でダムをつくっておるので、このダムに対する危惧の念を国民に抱かせてはいかぬから、この調査については万全を期して調査して、そして将来こういうことが起こらないようにやりたいということを、建設大臣がきょう閣議で発言しておりましたから、それだけちょっと御報告しておきます。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 中村委員質問に関連して、要望だけを申し上げたいと思っておりましたのですが、いまの大臣答弁でその一部はあったと思うのです。まず原因究明というものを徹底的にやらなければいけないと思うのです。それには通産建設両省完成検査に手ぬかりがなかったかどうか、それからとびら自体瑕疵がなかったのかどうか、取り付け工事自体瑕疵がなかったのかどうか、いろいろあると思います。  それからいま大臣も申しておりましたが、ダムというものに対する国民の心理的な影響というものを考えなければいけないと思う。これからはダムをつくるということになれば、これははっきりしておかないと、うんと下流まで被害があり得るということに立って、やはり反対だとかなんとかということが出てくると思う。したがって、今回の事故に対しましても、民間の学識経験者等も入れて、すでに調査委員会というようなものが発足しておるようでございますけれども、これは十分ひとつ調査をする、起こった事故に対して十分な補償等をすることはもちろんですが、今後の問題に対して十分な原因究明と、こういうあるべからざる事故があったのですから、そのことに立って、十分な調査とその対策を考えていただくよう要望しておきます。
  18. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お説のとおり、今後の問題にいろいろ波及いたしますから、原因十分調査をして、そうして国民がみな安心のできるように、通産省建設省とまた相談してやりたい、こう考えております。      ————◇—————
  19. 河本敏夫

    河本委員長代理 次に、内閣提出石油開発公団法案を議題とし、審査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。岡田利春君。
  20. 岡田利春

    岡田(利)委員 わが国石油の需要が爆発的に増加をしてきたことは御承知のとおりでありまして、特に石油では最大の輸入国であり、また第三位の石油消費国である、こういう状態から考えて、過般の中東動乱に基づくその後の影響というものは、当初政府は楽観的な見解を示しておりましたけれども、石油製品の値上がりは避けられない状態になってきておるのではないか、こう実は予測されておるわけです。しかもこれは大体七月から九月にかけて百円ないし五百円のキロリットル当たり値上げは必至である、こう実は言われておるわけですが、その後の見通しについて、一体どういう対策を立てておられるか、あるいはまた、この中東動乱余波はどういう具体的な影響になって今日あらわれているか、まずこういう点についてお伺いいたしたいと思います。
  21. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私からちょっと概括的なことだけをお答えしておきますが、御存じのとおりスエズ運河が閉鎖されました。したがいまして、アラビア諸国からヨーロッパスエズ運河を通じて石油が運ばれておったのが、南のケープタウンを経由してヨーロッパに運ばれるようになりましたから、したがってそれだけ時間を多く要しますから、それによって生ずる問題は、タンカー不足してきたという問題、したがいまして運賃値上げの問題が起こってきて、それが石油価格影響を及ぼしてきたということが言われるのであります。したがいまして、今後日本においても、それに関連して石油価格値上げということが当然起こってくるということで、それに対していろいろと対策を考えなければならぬということがいまのところの影響だ、こう考えております。
  22. 岡田利春

    岡田(利)委員 問題は、キロリットル当たり三百円ないし五百円の値上げは今月から九月にかけては必至である、こういう明確な事実が実は出てきておるわけです。したがって、それに伴う具体的な対策というものがすでに用意されていなければならぬのではないか、これは担当局長でけっこうですから、一体これに対してどういう対策を今日とられておるかお伺いいたしたいと思います。
  23. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま大臣から御答弁を申し上げましたように、今回の中東動乱余波といたしまして、世界的にタンカー船腹不足状態になってきておりまして、わが国のさがしております新しいスポットものの契約につきましても、大体従来の五倍ないし六倍のフレートになってきておる次第でございます。したがいまして、われわれとしましては、この船腹量不足というものにいかに対処をいたしてわが国に対する石油安定供給を確保するかということについて、現在各方面の意見をまとめまして、石油連盟において検討をいたしておる次第でございますが、主たる要点は、各タンカー相互融通ということを行なう、あるいは荷役の集中化ということを行なってタンカー運営効率を高めるということにつとめる、あるいはタンカーの建造を促進しまして船腹量の絶対量をふやしていこうというような各種の努力をいたして、主としてタンカー面での対策を通じて安定供給の確保をはかりたい。さらにできますならば、輸入源というものを長距離の地点から近距離の地点に振りかえていくというようなことも考慮いたしたいと考えております。
  24. 岡田利春

    岡田(利)委員 今回の中東動乱に基づいて、西欧諸国は十年前のスエズ動乱に比べれば非常に落ちついておる、こう言うことができるのではないかと思うわけです。   〔河本委員長代理退席委員長着席〕 そういうことから、わが国においても非常に楽観的な態度に終始をする傾向があったと思うのですが、十年前のスエズ動乱に比べてヨーロッパ諸国が今回の中東動乱にあたって落ちついておる、この点については、ヨーロッパ中東依存というものが変化をしたことに大きな原因があると思うのですが、それ以外にヨーロッパ諸国が非常に落ちつきを見せている要因というものは何かございますか。一体その点についてどう理解をいたしておりますか。
  25. 両角良彦

    両角政府委員 スエズ動乱のときに比較いたしまして、今回の欧州の情勢がやや落ちついておるという御指摘でございますが、一つはあの一九五六年当時の経験にかんがみまして、欧州各国政府はかかる事態をあらかじめ予想いたしまして、特にOECDにおきます石油委員会等中心に、いわゆる想定事態というものに対処する綿密な計画を数年にわたりまして討議をし、かつ各国政府協力関係というものをこの問題を中心にして展開してきておったわけでございます。さような面から、いわば予想事態が発生したということだけに、各国政府反応のしかたも、中東動乱に対しては落ちついておったということが言えるかと思います。もう一つは、中東依存度の減少ということに対して欧州各国とも努力をいたした結果、アフリカにおける現在の輸入依存が二七%というところまで高まっておりますが、これはスエズ動乱のときにはゼロであったということから見まして、いわば供給ソースが安定化してきているということが一つの大きな理由ではないかと思います。
  26. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういうヨーロッパ諸国の今日の状況にかんがみて、日本の海外油田の開発、いわゆる自立性の確保、あるいは供給源の分散化という点については、非常におそきに失したのではないか、私はこの法案の審議にあたってしみじみと実はこう感ぜざるを得ないわけです。  そこで、この石油開発公団は一体どういう答申の根拠に基づいて提案をされているのか。もちろん提案理由にはその理由を述べておりますけれども、おそらくそれぞれの各種審議会もございますし、いろいろな答申がなされておるわけですから、この根拠は一体何に求められてこの法案を提案されたのか、この点をまず明らかにしていただきたいと思うわけです。
  27. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この石油開発公団を設立するに至りました根拠についてお尋ねがあったと思いますが、これは御承知のとおり、総合エネルギー調査会の石油部会における昨年の八月の中間報告並びに同調査会の本年二月の第一次答申の趣旨に基づいてつくることにいたしたのでありまして、この答申の本旨は、石油の低廉かつ安定的な供給を確保するという目的のためにはわが国自身の手による石油開発の飛躍的な推進が必要であるということと、なお石油の開発事業自体が非常に膨大な資金を要しますし、かつリスクもきわめて大きいので、これは国が積極的に乗り出さなければならないということから、この石油開発公団を設けるということにいたした次第であります。
  28. 岡田利春

    岡田(利)委員 この公団法を提案するにあたって、通産省通産省自体でその構想をいままでまとめてまいったと思うわけです。そしてその構想を具体化するためにこの法案を提出し、さらにまた今年度大蔵省に対して予算の要求をしたと思うわけです。しかし私は、その通産省の構想は相当くずれている、あるいはまた予算面においても非常に後退しているのではないか、こういう判断を実はいたしているわけです。したがって、当初の通産省構想と、それが一体どういう経過をたどって本法の提案に至ったか、この点を明らかにしていただきたい。
  29. 両角良彦

    両角政府委員 通産省といたしましては、ただいまの大臣答弁にございましたエネルギー調査会の答申の趣旨にのっとりまして、石油開発公団の設立構想を検討いたしてまいった次第でございますが、その際われわれとしましては、理想的な形態として、いろいろな海外開発プロジェクトにつきましてきわめて大規模な案を当初検討いたしたのでありますが、これを実際に移す段階になりますためには、十分あらゆる角度から検討を加えました結果、特に現在進行しておりまする各種開発計画の実態、あるいは予想される公団業務の内容等々から判断いたしまして、四十億円という出資が適当ではないかという結論に到達いたした次第でございます。
  30. 岡田利春

    岡田(利)委員 どうも経過が具体的に明らかではございませんけれども、わが国の国内石油資源の開発のために昭和三十年にSKが設立をされて、そしてまた四十年にはその法の一部改正を行なって海外の油田の開発を行なう、こういう方向が実はきめられておるわけです。しかも通産省当局の当初の案では、国内の開発についてはあくまでも事業部門というものは存立をさしていく、そして公団の性格はいわゆる融資を行ない、あるいはまた地質調査、技術援助あるいはまた機械の貸与等を行なう、そして資金の保証等も積極的に行なっていこうではないかという構想で当初出発をしたと思うわけです。ところが、この法案を見ますと、SKを解消してSKの業務をこの公団の中で行なう、こういう変則的な形で公団の設立を余儀なくされておるわけです。その理由は一体どこにあるのか、どうしてSKを解消して機械的にこれを継承しなければならなかったのか、この間の状況を明らかにしてもらいたいと思うわけです。
  31. 両角良彦

    両角政府委員 御承知のように、海外におきまする油田の開発あるいは国内におきまする油田の開発、すべてこれは重要なエネルギーの供給源の確保という点において共通でございますので、石油資源開発株式会社といたしましても、今日まで国内及び海外の双方の開発につとめてまいったわけでございます。今後、かような見地から一そう海外開発及び国内の探鉱をも促進をいたすという必要性があるわけでございますが、その際、特に資金的な面で公団形式をとりまして、海外の開発促進をはかっていく必要性が高いのではないかということから、今回の公団構想におきましては、資金の供給は海外に対して行なうという内容にいたしておるわけでございます。しかしながら、国内につきましても、先生御指摘のように、過去におきます石油資源に対します総出資金が九十億円ございます。この九十億の出資を回転いたしまして、国内の開発というものも一そう今後も公団形態において促進をいたしていくということになるわけでございます。そのような構想のもとに、いわば石油資源株式会社というものを一応解消いたしまして、新しく全く構想を新たにした石油開発公団をつくることが観念的には考えられるわけでございますが、御承知のように石油資源開発には、現在営業を行なっております天然ガス及び原油の採取販売という事業がございます。しかるに公団というものは、本来営利事業になじまない性格のものでございますので、この間の調整をいかにするかということがいろいろ問題になったのでありますが、営業部門を一挙に独立せしめたり、あるいは一挙にこれを別会社に移したり、ないしは帝国石油会社との関係を一挙に解決するということは、いろいろな問題をかかえておりましてなかなか困難でございますので、一応公団の中に事業部門を取り込みまして、三年間の経過期間内において、これらの処置を慎重に検討してきめてまいりたい、こういうことになった次第でございます。以上のような事情がそれぞれ相からみ合いまして、今回のような石油資源会社から石油開発公団への移行という形態に落ちついた次第でございます。
  32. 岡田利春

    岡田(利)委員 私の聞いている範囲では、国内の事業部門は、これは新しいSKの形態で残して、ここで事業部門を担当する、海外及び融資その他出資等については、公団業務に引き継ぐ、これが通産省の当初の案であったと思うわけです。しかし政府の方針として、あるいは行管の方針として、新しい公社、公団、特殊法人等をつくる場合には、ある一つの特殊法人を含めなければ新しい公団の設立は認めない、こういう方針の中で、これらの検討が行なわれたように私は聞いているわけです。行管の局長も来ておりますけれども、そういう理解について間違いがないかどうか、承っておきたいと思います。
  33. 石原寿夫

    石原説明員 お答えいたします。ただいまおっしゃった御趣旨で特殊法人の数をふやさないということが政府の絶対的な方針でございますので、つくられる以上は、一つは減らしてもらわなければならない、ことに非常に業務の関連の深いものについては、整理統合をはかってもらいたいというのが行政管理庁の考えでございます。それから三年間継続しますSKの業務というものは、法律にありますとおり、私どもはこれは臨時業務というふうに解釈をいたしておりますので、三年たてば終わるものというふうに行政管理庁としては考えておるわけでございます。
  34. 岡田利春

    岡田(利)委員 どうもそういう認識が、私どもとしては理解ができないわけです。三年たったならばどうして一体この業務が終わるのか。必ずこれを代行する機関、組織がなければならないわけです。ですから、一度SKを公団の中に権利義務すべてを継承して、これを解消した、しかしながら、その事業部門というものを今度三年に限って、これをさらに解消するという場合には、新しい組織をつくらなければ解消できないと思う。御存じのように、国内石油資源の開発については、すでに出資等も出ておりますし、また審議会のそれぞれの答申を見ても、一応現在の実績から、昭和六十年度に向けて大体百万キロリットルまでは確保する、こういう方針が出ているわけです。ですから、せっかくあったSKというものを機械的に解消して公団に引き継いで、公団自体が変則的な形で運用されて、当初の性格と変わってきた、三年に限って、これをさらに解消する場合には、公団の小会社にするか、あるいはまた特殊法人にするかは別にして、いずれにしても、公団の小会社であっても国の出資なんですから、そういうものをさらにつくらなければならぬわけですね。ですから、そういう一つ関係のある特殊法人を解消しなければ公団はできないのだ、つくることはまかりならぬという機械的な方針自体に私は非常に問題があると思うのです。特にエネルギーの問題については、フランスやイギリスあるいはまた西ドイツにおいても、もう日本の大先輩国として、それぞれの国家機関によって海外の油田開発が積極的に行なわれている、あるいはまた国内資源の開発も積極的に進められているわけです。ですから、すべてをそういう機械的に割り切っていくという方向が、よりこの法案の内容をひん曲げ、あるいはまた、さらに次に一体どういう組織ができるのか。そこには多くの人々がまた働いているわけです。特にまた国内資源の場合には、地域経済とも関連があるわけですから、そういう点をそういう一つの方針でひん曲げていかなければならぬというものごとの考え方がどうも私は納得できないわけです。ほかの公社、公団と性格が違うと思うわけですね。また、諸外国の場合についてもそういう面を検討してみれば、この当初の通産省の構想というものはむしろ積極的に今日支持されなければならないものではないか、こう私どもは理解せざるを得ないわけです。この点いかがですか。
  35. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この石油開発公団を設立するに至った経過を私から申し上げたいと思います。  いま岡田委員が言われような成り行きで実はこれを設けることにしたのでありまして、御承知のとおり、公社、公団を設けないという大体政府の方針でありましたが、私はこのエネルギー問題の百年の大計を立てるがためには、どうしても石油開発公団をいまにして設立しなければ間に合わないということを強く総理と大蔵大臣に主張しまして、そうしてぜひ、石油開発公団は日本の百年の大計を立てる経済政策だから、ひとつこれを認めてほしいということを申し上げたのでありまして、その結果、総理も大蔵大臣も、それではそういう意味で認めようということにしていただいたのでありまして、その後の事務的の折衝は、いま行管あるいは私のほうの局長からもお話がされると思いますが、事務的にいろいろ折衝がありましたが、根本方針はそういう意味でつくることになったのでありまして、ちょうど岡田委員がお考えになっておられるような意味でこれができたということをひとつ御了承願いたいと思うのです。
  36. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は本会議で総理に対してもこの問題について質問をいたしているわけです。要は公社、公団、特殊法人等については、これを統合するには積極的に統合してまいらなければならぬと思うのです。あるいはまた任務の終わったものについては、これは当然積極的に解散をしなければならぬと思うわけです。しかしまた、わが国の経済政策上、国策としてどうしても必要なものは、積極的に充実した内容で設立すべきだと思うわけです。その点がどうも、いまの政府の方針といいますか、それを受けて担当している行管の方針も機械的過ぎるのではないか。そうして私どもから言わせれば、あまり必要でもないような公庫などつくってみたりして、わが国の百年の大計を立てるそういう特殊法人をつくらねばならぬ場合においても、何か従来の方針というものにしがみついている。こういう間違った形で奇形的に公団というものがつくられていくとするならば、私は非常に残念なことだと思うわけです。したがって、通産大臣がいま言われた趣旨は理解できますけれども、実際問題、SKがあり、これを継承して石油公団ができるわけですが、どう考えても合理的なのは、事業部門というのは当初から切り離すことが望ましいという点についてはいかがですか。
  37. 両角良彦

    両角政府委員 先ほど御説明申しましたように、理想的には、先生御指摘のごとく、当初から切り離すことが考えられると思いますが、実際問題といたしまして、なかなか現状におきましては、その切り離しの形態をどうしたらよろしいか、あるいは帝国石油との関係をどう調整したらよろしいか等々につきまして、この公団設立の早急の間に対処方針を立てることがなかなか困難でございますので、一応公団の事業部門としてこれを承継いたしまして、慎重に将来の形態というものを検討して再出発をはかっていくことが妥当ではあるまいか、かように考えまして、このような形態をとった次第でございます。
  38. 岡田利春

    岡田(利)委員 国内の帝石と旧SKとの関係については、歴史的に見れば帝石は国策会社であり、その後民間に移行された。そして新たに政府は国内石油資源開発のためにSKを設立をした、こういう経過をたどってきているわけです。ですから、たとえばSKの仕事を公団に継承しないで、一応事業部門だけは新しいSKの形態として残しておいても、いずれ帝石とSKとの関係をどうするかとか、いわゆる石油開発の再編成はどうするかという問題は、同じ問題なわけでしょう。公団の本来の性格に基づかない性格のものを、そういう要素というものを公団の中に持ち込むことは、どうも公団の性格自体からいってまともではないということだけは事実ではないか。私がここで明らかにしていただきたいのは、この構想がこういう形になったのは、いまの政府の、ある一つ関係のある特殊法人を解消しなければ、あくまでも新しい公団の設立は認めない、こういう方針から、やむを得ずしてこういう方法を考えざるを得なかったのではないか、そうであろうと思うわけです。これは認められないですか。
  39. 両角良彦

    両角政府委員 特殊法人の新設につきましての閣議決定の方針がございまして、それが今回の石油開発公団の設立構想におきましても前提条件になったことは御承知のとおりでございますが、それだけではなくして、ただいま申し上げましたように、より実際的な円滑な移行を考えるためには、やはり一応公団にSKの業務を引き継いでいくことが実際的ではあるまいか、かように考えた理由も、もう一つあるわけでございます。
  40. 岡田利春

    岡田(利)委員 そう言われるのであれば、三年間という期間は非常に短かい期間です。本法が成立をして、しかも実際の仕事というのはもう今年後半から始まるわけですね。しかも一、二年というのはこの海外開発の目的を持つ公団からすれば非常に短い期間です。また三年でなければならぬという問題ではないですからね。この法律の内容を見れば、来年でも再来年でもいいわけです。そのくらいのことを、技術的に実際的にそうあったほうがいいと判断された考え方、これも私は納得できないわけです。それは五年でも十年でも、期限はないのです。いずれにしても十分検討を加えて、そういう国内石油資源の再編成やいろいろな面を検討して、そしてそういう時期が来た場合には新しく一つの機関をつくるというのであれば、私はある程度いまの答弁理解できるわけですよ。しかし少なくとも三年に限っているわけでしょう。これは三年以内にやりなさいということです。やらねばならないということです。それくらいの見通し、判断がつかないというのはおかしいと思うのです。ですから実際的というよりも、そういう政府閣議決定の方針に基づいてこういう形にせざるを得ないということで公団は発足させざるを得なかったというのが主たる理由ではないですか。
  41. 両角良彦

    両角政府委員 三年の点につきましては、いろいろな考え方もあり得ると思いまするが、私どもといたしましては、公団という性格の組織が営利事業をあまり長期間にわたりまして継続していくということは、性格から見まして適当ではない、できるだけ早くこれを分離していくことが本来の姿ではないかということから、三年ということが一応適当な期間ではないか。したがいまして、三年以内にできるだけ早い時期にいわゆる事業部門の独立の方向、形態というようなものにつきまして、石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会等に議論をしていただきまして、その方向を見つけて円滑な移行をはかりたい、かようなことを考慮した次第でございます。そのこととただいま御指摘のございました公社、公団の設立抑制方針というものと、二つの事情が重なったというふうに御了解をいただければ幸いでございます。
  42. 岡田利春

    岡田(利)委員 大体審議会の答申なり閣議方針の目ざしておる方向を見れば、これはすっきりした形で公社、公団の構想を実際は描いていると思うのですよ。そういう前提に立って、本来であればSKを新たな構想で法改正をして出発させるというのが、この答申の示している方向だったと思うわけです。ですからあらためて審議会にかけなければならぬというのは、こういう形態で公団が出発をしなければならぬから、そういう事情に追い込まれたから新たに今度審議会にかけなければいかぬのじゃないですか。この点いかがですか。
  43. 両角良彦

    両角政府委員 いろいろな見方もあり得ると存じますが、私どもとしては、ただいま申し上げましたような諸般の事情の結果、かような形態をとったというつもりでございます。
  44. 岡田利春

    岡田(利)委員 コンニャク問答みたいなものですけれども、私はこの点非常に残念だと思うわけです。いわゆるおそきに失して、しかもその公団の出発がすっきりした形で行なわれなかった。さらにまた予算面においては非常に少ないわけです。しかし、すでにSKが海外の開発について出資を行ない、あるいはまたそれぞれの調査等も進めているわけです。そうしてある程度の開発地点については想定をされ、私どもの聞いている範囲では、昭和六十年度までには一説によれば五十五地点、一説によれば四十七、八地点で海外の原油を開発する、そしてエネルギー答申が示す三〇%の自主性というものを確保する、所要原油の五〇%は開発をするのだというのが実は基本になっているわけですね。この所要資金は一体どの程度見込まれておりますか。
  45. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま御指摘のございましたように、昭和六十年度におきましてわが国に対する原油供給の三割がわが国資本の企業によって開発、促給されるということのために必要な開発計画としましては、現在の施設では大体地点数が四十五地点くらい必要ではなかろうかと考えております。これに必要な探鉱の資金等は、エネルギー調査会での議論の過程で出ました数字を申し上げますと、探鉱につきまして約三千億円、また当たりました油田の開発のためには約八千億円程度必要ではなかろうかという見込みでございます。
  46. 岡田利春

    岡田(利)委員 当初通産省の試算では、年平均七百億程度の資金の必要性が見込まれる、探鉱については二百四十億、開発については四百六十億、これはおそらく五十五の開発地点を前提にしての試算だったと思うわけです。その後四十五地点に変わり、探鉱については二百億、開発については四百三十億、こういう形で一応の資金の需要が見込まれておるわけですが、この変わっている理由は何ですか。当初は五十五地点という方向で構想を描いておったと思うのです。それがその後四十五地点になった。資金については、いま申し上げましたように探鉱の二百四十億が二百億になり、開発については四百六十億が四百三十億になっておる。これは昨年の七月から昨年の九月にかけて、大体二、三カ月の間にこの構想が変わっているわけです。これはどういう理由に基づくものですか。
  47. 両角良彦

    両角政府委員 将来の海外開発地点というものの選定は、現在の段階におきましては決定的な材料でもって行なっておるわけではございませんので、各承認国政府の意向あるいは諸般の調査の資料に基づく判断、あるいはわが国側の進出希望意欲の程度、計画の有無等、いろいろな要素で開発の予定地点検討いたしますために、情勢の変化によりまして、いろいろと計画内容にも変更が起こってくることはやむを得ない次第でございますが、大きな筋、大きな計画というものには修正はないと御了解をいただきたいと思います。
  48. 岡田利春

    岡田(利)委員 大蔵省にちょっとお尋ねしますけれども、この公団を発足させるにあたって、構想について十分検討されたと思うわけですが、いま局長から言われましたように、多少当初の計画よりも後退したものに見えますけれども、実際は、ともかく所要原油の五〇%を開発する、そして三〇%は確保するのだ、自主性確保のために三割を確保するのだ、こういう構想で進められておるわけです。それは、ちょうど本会議で申しましたように、いまのアラビア石油をさらに十つくらなければならぬ、十開発しなければならぬという意味に実は通ずるわけです。したがって、局長説明した数字からいっても、探鉱に三千億、開発に八千六百億ですか、大体一兆一千六百億の資金が必要である。しかもそれは昭和六十年度を前提にしての主張である。私が大蔵大臣質問しましたら、相当調査をしておりますし、相当金もつぎ込んでおるから、そう金はかからぬであろうと本会議答弁しておりますが、担当官としては、この構想については十分御承知ですか。
  49. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 通産省の御要求につきまして、私どももかなり慎重に検討いたした次第でございますが、御承知のように探鉱につきましては、一つを掘りますのにもかなり金がかかるわけでございます。同時に、これは多数の個所を掘りまくるということで、この中から掘り当てるという可能性が多くあれば非常にいいわけでございますけれども、私どもとしましては、現在SKが着手いたしております地点、あるいは有望と思われる地点を一応拾いまして、その地区の中でとりあえず四十二年度はまずそこに着手していくべきではないか、その地区だけを拾いましても相当多額の資金が必要なわけでございます。  それからもう一つは、探鉱資金につきまして、今後考え方といたしましては、基礎探鉱的なものは政府の資金を活用すると同時に、個々のそれ以上のものについては、民間資金を活用することも考えていかなければならぬというような観点から——また諸外国の例を先ほど先生から御指摘がございましたように、フランス、ドイツ、イタリア等につきましても、現在約十五ないし二十カ所くらいのところを探鉱をやっておりまして、必ずしもまだ成果があがっておらぬというようなことでございます。したがって、いま四十二年度既着手のものと四十二年度に新しく着手する予定のものを入れまして、大体十カ所程度日本の現段階における探鉱地点として有望な個所として考えたものをあげたわけでございます。一応先生の御指摘の点をいろいろ検討いたした結果きめた数字でございます。
  50. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、ただ今年度の予算だけにこだわっているわけじゃないのです。この公団を発足させるにあたり、その構想からいって、いま通産省から示された所要資金の展望といいますか、大体の見通し、こういう方向については理解をされておられるのかどうかという点についてお伺いしておるのです。
  51. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 エネルギー調査会の答申等もございまして、日本の将来における石油の需要というものから考えて、日本がそのうちみずからの手でどのくらいの石油を開発すべきか、これはいろいろ議論があるかと思いますが、一応試算としては三割ということを目標にいたしております。これとても、アラビア石油のように当初から相当有望視されて、きわめて短期間に探鉱が成功したという場合もございましょうし、かなり長期にわたってやっても成果があがらなかったということもあると思います。したがいまして、目標をどこに置きましても、はたしてそれだけの、三割のものが確保できるかどうかということになりますと、必ずしもそれは把握できないわけでございます。したがいまして、いま私どもとしましては、六十年度のそういう構想については、一応聞き及んでおりますけれども、とりあえず地に足のついた探鉱から、しかも有望なものから着手していくということで、先生のおっしゃる長期の見通しと短期の予算の獲得は必ずしもかみ合いませんけれども、六十年度までの見通しというものを一応参考にしながら、とりあえず単年度四十二年度の方針をきめたということでございます。
  52. 岡田利春

    岡田(利)委員 これは単にエネルギーの長期計画だけではなくて、わが国の経済の長期計画からいっても、エネルギーの需要見込みというものは、各界ともそう意見の食い違いはないわけです。したがって、昭和六十年度には運賃を含めると実に五十億ドルの外貨をそのために必要とするであろう、一兆八千億に及びであろう、こう実は長期経済計画でも見通されているわけです。そういう計画に基づいて、エネルギー調査会の答申に基づいてこの方向をどうしても切り開いていかなければならぬということで、この公団を発足させることに政府は踏み切ったと思うわけです。ですから、そういう意味において、エネルギー開発については資金の問題が最重要の問題であろうと思うわけです。しかも国内の場合においても、海外の場合においても、相当のリスクを伴うことは避け得られない問題でもあるわけです。まして供給源の分散をするわけですから、ある程度困難な地点の開発も探鉱も積極的に進めなければならぬわけです。あるいは西ドイツは、わが国と同じように七十万キロリッター程度の原油しか国内で産出することができなかった。それが今日は、その十倍の国内原油の生産を見ている。このためには八十億マルクの金が投資された。こういうふうに各国とも積極的な財政投融資の対策を集中的に立てて、このエネルギーの確保のために万全を期しているわけです。ですから、せっかくこの公団ができても、この公団が発足にあたって、その構想について、大蔵省当局、通産省当局、政府部内として、ある程度の意見の統一というものがなければならないのじゃないか。それだけこれはわが国の経済発展の非常に重要な課題である、このように私は考えるわけです。しかしこれは、当面だけを見て今年の予算をつけたのだ、そういうわが国の長期経済計画やエネルギー答申に出されている方向については、これからぼちぼちそういうような検討を加えていくのだというのでは、どうも積極性がないと思うわけです。その点についていかがですか。そういう認識はされているのですか。
  53. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 海外の原油を日本の手で開発しなければいけないという点は二つの点があると思います。それは、国際石油資本というものに対する日本の発言権というのか、そういうものを確保するという点と、それから、やはりいざというときに、中東動乱のような例がありましても、日本石油をみずからの手で確保するということが必要であることはわかるのでございますが、その三割という目標につきましては、私どもはそれに到達するように努力することは必要かもしれませんけれども、なかなか現実にそういう可能性——三割という数字がはたして適当であるかどうかということにつきましては、必ずしも大蔵省として認識をいたしておるわけではございません。三割なければ国際価格に対して日本の発言力がなくなるとか、必ずしもそういうような問題ではないと思います。  それから、石油の需要についての問題からまいりますならば、日本の手で三割を確保しなければいかぬということは別にないわけでございます。価格の点における問題はあるかも存じませんが、この辺は必ずしも、将来、昭和六十年度における姿というものを、答申の線を私どもは参考としつつ、しかしそれを全面的に現在取り上げて、大蔵省としてそういう御方針に従うというふうにまだ考えておるわけではございません。
  54. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産大臣、いまお聞きのとおりなわけですね。しかし、通産大臣の提案理由の説明の中には、答申の線を受けて、これは産業のかてである。産業活動の血液でもある、そういう面から考えて、どうしてもこの方向は達成していかなければならない、こういう意欲をこめて本法を提案したと私は思うわけです。政府部内では、この法案を出すにあたって、その点の認識の統一をはかられておるのですか、おらぬのですか。
  55. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 石油の問題は、先ほど申しましたとおり、これは百年の大計であるからして、今後この石油開発については、資金がますます多く要ります。したがいまして、それだけの資金の確保ができるかどうかということが、やはり先決問題として考えられなければならないのであります。しかし石油というものは絶対必要なものでありますからして、したがって、絶対必要な石油を確保するについては、その必要な資金はまた絶対に確保しなければならないというつもりでおりますので、今後におきましては、大蔵省と折衝して、その資金を確保するように努力したい、こう考えております。
  56. 岡田利春

    岡田(利)委員 主計官にこれ以上質問しても、なかなか言いづらいだろうと思いますし、この程度でやめておきますけれども、しかし、国策としていま石油開発公団というものを発足させる、しかもこの問題は、他の公団とは違って、わが国の長期計画の骨幹をなす重大な政策であります。この点をまず十分認識してもらわなければならぬと思うわけであります。そうして、もちろん昭和六十年度という時間はそう長い時間ではない。その間にこれだけの構想を実現するということは多くの困難が伴いますし、資金調達の面でも相当にこれは問題点があることはわれわれも承知できるわけです。だからといって、毎年の実績主義だけで、この国内原油開発と同じような、むしろ逆に後退性を招くというようなことがあってはならないと思うわけですね。この点だけは、特に私は強く——エネルギー資源の確保、なかんずく自立性を確保し、また外貨の節約もはかる、こういう基本政策、あるいは安全保障の面からいって分散化をはかる、このための新たな地域を積極的に探鉱開発をしていくという方向だけは、ぜひひとつ認識をしておいていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  そこで、今日のわが国石油資源開発、特に国内の石油資源開発の現況はどうですか。これは御存じのように、SKと帝石によって国内原油の開発が行なわれておるわけですが、まずその現況について伺っておきたいと思います。
  57. 両角良彦

    両角政府委員 国内におきまする石油及び天然ガスの状況でございますが、昭和四十一年度におきましては、原油の生産は八十七万キロリットルでございました。また天然ガスは十八億三千万立米の生産が行なわれました。今後原油につきましては、大体かような水準で推移をしていくと予想されますし、天然ガスにつきましては、さらに三%程度の増産のテンポで上昇をしていくことと考えております。
  58. 岡田利春

    岡田(利)委員 今日のSK、帝石の企業の内容、会社の内容はどういう状態にありますか。
  59. 両角良彦

    両角政府委員 石油資源開発及び帝国石油の今日の経理面からの内容でございますが、昭和四十一年度におきまする売り上げ高を申し上げますと、帝国石油は八十八億円でございます。石油資源開発が五十一億円ということになっております。  また、同年度におきまする収支の面から見ますると、帝国石油は二億円の赤字、石油資源開発は三億二千万円の黒字、こういうことになっております。したがいまして、累計の現在までの損失額は、帝国石油が約三十二億円、石油資源開発が十九億円ということになるわけでございます。  なお、四十一年度末におきまする両社の借り入れ金は、帝国石油が百八十二億円、石油資源開発が十八億三千万円、かような数字になっております。
  60. 岡田利春

    岡田(利)委員 SKの場合、資産内容の問題なのですが、不良資産が約六十億、こう言われておるわけです。さらにまた、帝石の場合には、累積赤字が三十億に達している、こう言われておるわけですが、この点は間違いございませんか。
  61. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま申し上げましたように、四十一年度末におきまする石油資源開発の赤字は十九億三千万円、それから帝国石油の赤字が三十二億円、こういう状況でございます。
  62. 岡田利春

    岡田(利)委員 SKの資産内容については具体的に検討したことがございますか。いま局長から説明がございましたけれども、SKの資産内容について、不良資産が六十億に達しているという点については検討されたことがございますか。
  63. 両角良彦

    両角政府委員 石油資源開発株式会社の不良資産六十億というのは初めて伺ったわけでございまするが、今日まで石油資源開発といたしましては、探鉱のための投資を行なってきておりまして、そのような探鉱投資というものは、石油の探鉱開発というような性格の事業におきましては、まずその回収に時間がかかる。したがいまして、現在の段階だけをとりますと、石油資源としては累積赤字が十九億円あるわけでございまするが、これは当然今後探鉱の成果が回収されてくるに伴いまして解消されるべき筋合いの赤字でございまして、決して不良な性格の資産とは考えておりません。
  64. 岡田利春

    岡田(利)委員 見解の相違もあるでしょうけれれども、この点は、いずれ権利義務は承継するわけですから、十分ひとつ留意をして検討していただきたいと思うのです。  昭和四十一年度、四十二年度の探鉱投資の問題なんですが、政府予算では、昨年は九億円、今年は十二億ですか、こういう形になっておりますが、このSKと帝石で投資をする探鉱投資はどの程度の額になるのですか。
  65. 両角良彦

    両角政府委員 四十二年度の計画につきましては、まだ最終的な段階になっておりませんけれども、計画地点といたしましては、石油資源開発の分といたしまして北スマトラ沖、それから東カリマンタン、カナダ西部、ニューギニア等の諸計画を推進いたしたいと考えております。また帝国石油のサバの計画も推進をいたしたい。  新たに四十二年度からアラスカの探鉱並びにオーストラリアの探鉱、南カリマンタン沖の九州石油の計画及び石油資源開発によりますカナダのオイルサンドの計画等を新規の計画として検討いたしたいと考えております。
  66. 岡田利春

    岡田(利)委員 SKと帝石で今年は四十五億程度の探鉱投資が見込まれておるはずなんですね。政府補助金が十二億ですから、五十七億、こう見込まれておるわけですね。これは国内に限ってでしょう。どうですか。
  67. 両角良彦

    両角政府委員 国内につきましては、ただいま御指摘の点に関連しまして、帝国石油の探鉱投資額は二十億九千万円、石油資源につきましては二十四億八千万円をそれぞれ予定をいたしております。
  68. 岡田利春

    岡田(利)委員 私がここで申し上げたかったのは、いかに探鉱投資というものがばく大であるか。ですから今日SKなり帝石が行なっておる現状というのは、非常に無理をして今日まで業務を遂行してきていると思うわけです。いま政府のこういう中途はんぱな政策では、なかなか石油資源開発の企業というものは成り立っていかないということはいまの質問によって大体明らかではないか、私はこう思うわけです。そういう認識についてはどう思われますか。そうではなくして——帝石は三十億の累積赤字がある。あるいはまたSKについても私どもがその内容等からいろいろ検討すると、多くの問題点をかかえている。そしていまの質問で明らかになったように、その企業収益の約五〇%は探鉱投資に向けなければならない。政府はそれぞれ補助金を出しておりますけれども、さらに積極的に国内石油資源の開発を進めていくということになれば、こういった程度の政策では企業自体が成り立っていかない、私はこういうことになるのではないかと思うのですが、そうでないとすれば、たとえば帝石なら帝石が現状の国内開発の政府の施策で赤字を解消して企業が自立できる見通しがありますか。赤字を解消することができますか。この点の見解を伺っておきたい。
  69. 両角良彦

    両角政府委員 御承知のように、わが国におきます石油及び天然ガスの賦存状況並びに今日までの探鉱の成果等に徴しますと、将来の努力は一応別といたしまして、今日までの経緯に徴しますと、これらの産出規模をもちましてきわめて収益性の高い経営を行なうということは、なかなか困難であろうかと思います。
  70. 岡田利春

    岡田(利)委員 国内石油資源開発については、大体今日まで進めてまいりましたのは浅層の部面だけに限られているわけですね。いままで一番深い探鉱はどの程度までの実績がありますか。
  71. 両角良彦

    両角政府委員 約四千メートルでございます。
  72. 岡田利春

    岡田(利)委員 何本ありますか。
  73. 両角良彦

    両角政府委員 二本です。
  74. 岡田利春

    岡田(利)委員 やったという感じだけしかない。感じだけが残っていると思うのです。平均して深さはどの程度の探鉱をしているのですか。
  75. 両角良彦

    両角政府委員 実情は千メートル前後、二千メートル前後というような段階のものでございます。
  76. 岡田利春

    岡田(利)委員 諸外国で、たとえば西ドイツのように六年間でとにかく十倍の国内原油の産出を見た。この西ドイツあたりでは、深層部面の開発が積極的に行なわれているわけです。この深層の場合は、今日どの程度の深さまで達していますか。
  77. 両角良彦

    両角政府委員 わが国におきまして将来考えられる深層探鉱は、大体四千メートルないし五千メートルくらいが考えられております。また大陸だなの海底探鉱につきましては、技術的な制約もございますが、水深五十メートルないし八十メートル、あるいは将来は二百メートルというような計画が検討されておると聞いております。
  78. 岡田利春

    岡田(利)委員 ボーリングのメーター当たりの単価は、千メートルあるいは千五百から二千五百、二千五百以上あるいは三千五百から五千、こういう形でどの程度になりますか。
  79. 両角良彦

    両角政府委員 千メートル程度まではメーター単価一万円、それから三千メートル段階におきまして二万円、五千メートル段階で五万円というふうに累増していく由でございます。
  80. 岡田利春

    岡田(利)委員 この法案で、SKの仕事を継承して、この公団は今年度国内の石油資源開発のためのボーリングはどの程度まで計画していますか。
  81. 両角良彦

    両角政府委員 四十二年度につきましては、基礎調査費として国の予算で五億八千万円を計上しております。その資金を使いまして、公団も天然ガス等の基礎調査を行なうわけでありますが、それと並びまして試掘につきましては、帝国石油において三十九本計画いたし、石油資源開発においては二十七本を計画いたしております。
  82. 岡田利春

    岡田(利)委員 その場合、五千メートルラインまでの計画はございますか。
  83. 両角良彦

    両角政府委員 五千メートルの計画は一本だそうでございます。
  84. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産大臣昭和三十年にSKができて今日までの国内石油資源開発の実情というのは、いまの回答で明らかになったとおりなんです。いわゆる安上がりで手っとり早く開発できる地点だけに集中してきた、こう言われてもやむを得ないと思うわけです。しかし国内の石油資源、特にわが国のような推定賦存状態から判断すれば、深層掘りをしなくては本格的な国内石油資源の開発にはならないわけですよ。そこに示されているボーリングの費用等を見ても膨大なものを必要とするし、またボーリング機械についても、五千メートルラインを掘れる機械というものはいま一台か二台しかないのじゃないですか。石油資源は持っていますか。おそらく一台あるかないかじゃないですか。これで国内石油資源の開発は終わった、こう言われるのはどうもおかしいと思うのです。大臣はどうお考えになりますか。
  85. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 もう少し深く掘らなければならぬということはあちこちから私も注意を受けておりますので、先般も局長に、五千メートルくらい掘らなければほんとうに石油は出ないじゃないかということを申したのでありますが、局長は今後はそういう方針でやりますということでありますから、いままでのような浅いのでは石油が出ませんから、どうしても五千メートルくらいは掘って、ひとついい油田を見出すように努力いたしたい、こう考えております。
  86. 岡田利春

    岡田(利)委員 国内石油資源の開発は、昭和六十年度で百万キロリットルとここで押えているわけですね。しかも一時的にはこれから七十五万くらいに落ちて、八十万に達して、昭和六十年度には百万キロリットルの開発をする。現状の年間採油総量を維持するための探鉱費用というものは膨大にかかるわけです。そしてまた百万キロリットルをコンスタントに採取するという場合には、どうしても深層ボーリングの開発をしなければならないということになっていくと私は思うわけです。ですから、一応通産省としては百万キロリットル程度に押えておりますけれども、この前提は変わらないのですか。百万キロリットルで押えるんだという方針については変わらないのですか。それともさらに意欲的に国内石油資源の開発を通産省当局としては考えておる面があるかないか、この点の見解を聞いておきたいと思います。
  87. 両角良彦

    両角政府委員 エネルギー調査会の数字によりますと、昭和六十年度で国産原油の採取量を御指摘のように百万キロリットルと推定をいたしておりますが、もちろん今後国内の開発につきましては四千メートル、五千メートルの深層の探鉱を行なう、あるいは大陸だなの開発を積極化すること等々によりまして、新しく有望な油田もしくは油徴が見つかるならば、それに対応いたしまして当然将来の開発規模の増大ということも考えられると考えます。
  88. 岡田利春

    岡田(利)委員 ということは、この百万キロリットルにはこだわらない、むしろ前進的に考えていきたいということですね。国内石油資源の開発の五カ年計画というのが一応策定されておるわけですね。これは再度やり直す必要があるんではないかと思うのですが、この点についてはいかがですか。
  89. 両角良彦

    両角政府委員 御承知のように、石油及び天然ガスの開発五カ年計画は現在第三次計画に入っておりまして、二年目にきております。この計画につきましては、毎年審議会におきまして計画内容について再検討を行なっておる次第でございます。
  90. 岡田利春

    岡田(利)委員 そこで具体的に、SKの継承の問題ですね、公団に継承する問題についてお尋ねしますが、SKには約千三百名をこえる社員が働いておるわけです。したがって、権利義務の継承は労働者のすべての権利義務を含めて継承すると思うわけです。ただし、公団が今度できて、むしろ部門が拡大をされてくるわけですから、従来のSKの陣容では不足を来たすのではないか。技術陣についても、あるいは管理部門についてもある程度不足を来たすのではないかと私は思うわけです。この公団の構想はそういう権利義務を完全に継承し、しかもその陣容についてはどういう規模になるのか、具体的に明らかにしていただきたいと思います。
  91. 両角良彦

    両角政府委員 石油開発公団は石油資源開発の一切の権利義務の承継をいたすわけでございますが、その発足当初の陣容はおおむね五十名程度と考えております。しかし将来探鉱開発業務の促進の重要性にかんがみまして、漸次業務の充実をはかってまいります。その規模、人員等も増加していくことと考えます。ただし事業本部におきますいわゆる別経理によってSKの事業部門を受け継ぐ人数はこれと別でございます。
  92. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、公団の五十人の人員以外に現在おる千三百二十四名というのは、別経理のSKの事業として全員吸収をする、そういう理解でよろしいですか。
  93. 両角良彦

    両角政府委員 現在四十一年度末におきますSKの従業員千三百八名は、特別な事業本部のほうの人員に切りかえられることになっております。
  94. 岡田利春

    岡田(利)委員 人の問題ですから、四十年度が千三百八名で四十一年度は千三百二十四名ではないですか。
  95. 両角良彦

    両角政府委員 さようでございます。
  96. 岡田利春

    岡田(利)委員 SKの関係に従事する人員は拡大されますか。それとも今後の事業計画から判断をして縮少される傾向にございますか。三年間とにかく公団が引き継ぐわけですから、どういう見通しですか。人員がふえるか、あるいは減るのか。定数で大体やっていくという方針なのか。
  97. 両角良彦

    両角政府委員 国内開発につきましては、この人員でやれると考えます。
  98. 岡田利春

    岡田(利)委員 権利義務が継承されるわけですから、SKの従業員の身分あるいは退職金を含んだ一切の労働条件、そういうすべてが現状のままで継承されるかどうか、あるいは変更が伴いますか。
  99. 両角良彦

    両角政府委員 公団に引き継ぎます際の従業員の給与その他身分、あるいは従来石油資源開発株式会社との間で結んでおりました一切の労働条件は、そのままの形態、内容におきまして公団に引き継ぐ方針でございます。
  100. 岡田利春

    岡田(利)委員 別経理ということは、いわゆる公団の構成員とは違うのですか。公団には五十名の新たな従業員というものを管理職を含めて配置しなけれでならない。別経理でSKの千三百二十四名の配置をされる。この場合の五十名と千三百二十四名の身分はどうなんですか。いずれも公団の職員なのですか。
  101. 両角良彦

    両角政府委員 いずれもひとしく公団の職員でございます。
  102. 岡田利春

    岡田(利)委員 そういたしますと、三年間に限り、この業務が公団に引き継がれるということになるわけです。ここではいわゆる権利義務が完全に継承されるわけですが、三年という期限が切られておるわけですから、これまた非常に不安定なわけです。一応公団に引き継がれた以降、三年以内に一体どうなるのであろうか、実はこういう心配があるわけですね。したがって、三年に限って事業部門を公団から切り離す具体的な構想があるのですか。ないとするならば、そういう構想はどういう機関でどういう検討が加えられて、大体三年を限って結論を出す考えなのか、三年以内に結論を出す考え方なのか、この点についてはいかがお考えですか。
  103. 両角良彦

    両角政府委員 公団が石油資源から引き継ぎまする直接の事業部門の将来の形態につきましては、現在確定した案はまだございません。しかしながら、これはただいま御指摘のように、従業員の各位におかれましてもきわめて重要な問題でございますので、公団が発足次第、早急に将来のあるべき姿というものの検討を開始いたしたいと考えますが、その場といたしましては、たとえば石油及び天然ガス資源の開発審議会というようなものを積極的に活用してまいる、またできるだけ従業員の要望、声も反映できるような姿においてその運営をはかりたいと考えております。
  104. 岡田利春

    岡田(利)委員 この新たにできる組織については、非常に重大なる関心を私どもは払わざるを得ないわけです。特に先ほどから明らかになっておりますように、千三百名をこえる人々が一体その後どうなるのであろうかという問題が出てまいるわけです。しかしいまの審議会には働く者の代表者が参加していないわけです。こういう次の組織形態をどうするかということを審議をする機関に、働いておる従業員の代表が参加してないという組織であってはならないと私は思う。いまの審議会のメンバーには入っていないわけです。この点については、従業員の代表も含めて検討する考えがありますか。
  105. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のように、現在、石油及び天然ガス開発審議会には労働組合の代表は参加していただいておりませんが、今後この問題の重要性にかんがみまして、さような代表の御参加も検討してまいりたいと考えます。
  106. 岡田利春

    岡田(利)委員 いまの見通しでは、大体三年目にそういう組織ができる、こういう考え方ですか。
  107. 両角良彦

    両角政府委員 おそくとも三年目にはできる、できるだけ早く明確な方針を立てたいと考えます。
  108. 岡田利春

    岡田(利)委員 その場合に、新たな特殊法人はその構想の中に入りますか、それとも、特殊法人によらざる公団全額出資の組織が考えられるか、あるいはまた、先ほど局長が述べられたように、いまの帝石の現況から考えて、次に新たにできる組織は、唯一の民間の石油資源開発の会社である帝石との組織調整というものが考えられますが、この点についてはいかがですか。
  109. 両角良彦

    両角政府委員 将来の組織は、少なくとも特殊法人でないということだけは現在明らかに申せると思いますが、それが帝国石油との関係におきまして、あるいはみずからの姿におきまして、どのような形態をとるかということこそ、まさに先ほど申し上げました審議会において御検討いただきたいと思っておるところでございます。
  110. 岡田利春

    岡田(利)委員 公団業務の場合には、御存じのように、業務の内容として一、二号において「海外における石油の探鉱に必要な」云々ということで、一、二号は海外に限っているわけです。そういたしますと、国内の場合には、「石油の探鉱に必要な機械の貸付けを行なう」四の「石油の探鉱及び採取に係る技術に関する指導を行なう」、五番目に「委託を受けて、国内における」云々で、地質構造調査ですね、この三つに実は限られるわけです。この構想は、国内石油資源開発の探鉱については、従来の補助金制度でいくんだ、こういう考え方が基本になって組まれたんではないか、こう思うのですが、そういう理解でよろしいですか。
  111. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま御指摘のように、国内の石油資源の開発につきましては、探鉱補助金というものを四十一年度までにすでに約十四億出しておりますが、四十二年度さらにこれを六億二千万円計上をいたした次第でございますし、また、基礎調査費というもので国が公団に委託をいたしまして、国内の石油及び天然ガスの賦存状況の基礎調査を五億八千万円計上して推進をいたすわけでございます。将来ともさような方向で国内の開発を推進いたしますとともに、今日まで昭和三十年度から三十八年度までの間に石油資源開発に対しまして出資いたしました総額約百億円近い資金、これの回転をもはかりまして、国内の探鉱の活発化を推進したいと考えています。
  112. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、次にできる事業部門の探鉱開発の組織形態というものは、審議会の結果、構想を明らかにされてくると思うのですが、それまで別に一、二号は海外ということに限る必要はないんではないか。たとえば、新たにできたところに出資をまた伴う場合もあるかもしれない。三年後にどういう組織ができるか知りませんが、出資金何億という形で——十億になるか五十億になるか知りませんけれども、そういう組織ができますね。必要によってはまた出資をこの公団がしなければならぬということになるのじゃないか、こういう場合も想定されるわけですね。あるいは、融資についても考えなければならぬ場合も出てくるのではないか。一にかかって、どういう構想が打ち出されてくるか。探鉱に対しては、国内の場合には、補助金を出しているんだから、むしろ融資よりも積極的な施策なんだ、こう言われるかもしれませんけれども、次にでき得るそういう組織がどういう組織なのか。公団の小会社であれば、この小会社に出資が伴うわけですね。したがって、第三章の業務の一、二の「海外における」という「海外における」を削ってはどうかと思うわけです。そうして新たな構想が出て、その中でどうせ法改正をして、その場合に明確にしたほうがいいんではないか。別に、ある人は、海外及び国内と入れろというような議論もございますけれども、国内を入れるんじゃなくて、一、二号の「海外における」を取ってしまったらいいんではないか、こう私は思うのですが、この点についてはいかがですか。
  113. 両角良彦

    両角政府委員 先ほど申し上げましたように、国内の開発の促進ということは、探鉱補助金並びに基礎調査費等々の一般会計予算の支出によって端的に直接的にこれを助成してまいる。かつ、国内事業が、今日までの経緯に徴して、必ずしも収益の高い、また回収可能な性格のものでもございませんので、むしろ国がかような資金を直接補助金として交付して探鉱を促進していくことが適切ではあるまいか。同時に、先ほど申しました、今日まで国内向けに出資されております資金が約百億、それをあらためて回転して効率的に使っていくということで同じような目的が達せられる、かような判断のもとに法案を作成いたした次第でございます。
  114. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、大体審議会という逃げ場があるわけですけれども、帝石との組織調整ができないとすれば、これはもう公団の子会社以外にないのですよ。せっかく特殊法人があったのをこれを解消して、公団に引き継いだわけですから、つくるとすれば、今度は子会社になるわけですけれども、その出資は公団が金額出資をすることになるでしょう。必要によってはさらに公団が出資をしなければならぬでしょう。あるいは場合によっては債務の保証をしてもいいんじゃないですか。全部をやれというわけじゃない。補助金は積極的にこれをやらなければならぬわけですよ。そういう意味では、私は、この一、二号の「海外における」というものを削っておいていいんじゃないか。あとは業務方法書でできるわけですから、しかも附則で三年に限ってSKの業務をやるわけですからね。三年たってどういう——この子会社の場合には法律事項でないかもしれません。ないとしても、公団に引き継がれたものがさらに小会社に引き継がれていくわけです。そういう場合に、もし法改正の必要があれば法改正をすべきではないか。そしてやはりそういう議論を通じてこれらの問題を解決していく、こういう方向のほうが、働いておる人も安心するでしょうし、また、私どもとしても、よりこの公団の内容を充実していくという立場からすれば、そのほうがより好ましいのじゃないか、実はこういう判断を私は持っているわけです。そういう意味では、あまりこだわらなくて、思い切って、そういう方向で公団を発足させてはいかがですか。どうせ変則的に発足させるのですから、それを受けて、この業務の内容についても、別に海外と限らないでおいても問題はないのではないか、こう思うのですが、この点についてはいかがですか。
  115. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のように、将来直接事業部門が切り離されましたときに、その切り離された組織に対しまして公団が出資の形式をとるということは当然予想されるわけでございます。それにつきましては、この法律案の附則の第九条におきまして、さような出資が公団としてはできる、国内向けの出資ができるという規定を設けておる次第でございます。
  116. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、できるということはいいわけですよ。そのことについて別に反対しているわけじゃないわけです。何も附則で受けないで、第三章の業務で受けておいていいのではないか。あと具体的には業務方法書をきめ、毎年の計画を策定するわけなんですから、そうして海外についてはこうする、その場合にこういう公団に対してはどうする——公団の小会社ができた場合についても、出資が伴う場合には、この条項で業務でこれはやらなければおかしいですよ。もう法改正なんていうのはめんどうくさいから、しなくてもいいようにすべて附則のほうで処理してしまうという考え方がどうも、率直にいえば気に食わないわけですよ。あまりこだわる必要はないんじゃないですか。私どもは、この公団の発足をより充実したものにして将来ともひとつ大いに発展させなければならない、こういう気持ちで審議もいたしているわけですから、そういう点あまりこだわる必要はないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  117. 両角良彦

    両角政府委員 起案者側といたしましては、先ほど申し上げましたように、国内開発というものにつきましては、補助金制度を根幹として運営をしてまいりたいし、従来の出資の効率的な運用をはかってまいりたい。これから政府の資金を投入しまする対象は、より将来性の高い海外開発事業に重点を置いてまいりたいということを示しておるつもりでございます。
  118. 岡田利春

    岡田(利)委員 局長、いまの答弁はちょっと無理ですよ。海外に大宗は依存する、国内は百万キロリッター程度だ、これは量の問題じゃないですよ。国内の場合、地域開発の問題もあれば、いろいろあるのですから、量の問題ではないのです。そういう意味では重要視しなければならぬわけです。国内は国内でまた海外と違って、単に安い石油を大量に供給できるかどうかという問題だけではなくて、地域開発の問題がありますから、いろいろ付随する問題点があるわけですから、そういう意味で評価を変えてはいけないと思うのです。やはり重要なわけです。しかも前提になる構想は、そういう方向に向いていくわけですから、そういう意味において特に重要視する必要がある。公団の業務の中で消化していく、こういう体制が私は望ましいと思うわけです。  そこで委員長にちょっとお尋ねしますけれども、こういう問題は、法案が出されておるわけですから、ここで一問一答をやって、よろしゅうございますというわけにはなかなかまいらぬと私は思うのです。委員長がお聞きになっておるとおりでございまして、別にこだわる必要はないわけです。そういう点で、理事会か理事懇談会でこの面について議論をひとつしてもらいたい、大幅に方向を変える修正ではないのですから。私はそう希望するのですが、委員長いかがですか、この取り扱いについて。
  119. 島村一郎

    島村委員長 これは委員諸君ともよくお話し合いをしてもらいたいと思います。
  120. 岡田利春

    岡田(利)委員 だから、われわれは委員なんですから、委員懇談会か、委員が大ぜいおりますから理事会でも理事懇談会でもけっこうですから、この扱いについて検討できるように委員長として措置していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  121. 島村一郎

    島村委員長 了承いたしました。
  122. 岡田利春

    岡田(利)委員 今日のわが国の海外開発の現況について伺っておきたいと思います。
  123. 両角良彦

    両角政府委員 海外開発の現況でございますが、大きく分けまして三つのグループがございます。一つは、すでに開発段階に入っておる事業、二番目は、すでに探鉱活動を開始した計画、三番目はこれから控鉱に着手しょうという計画、この三つのグループがございます。  それぞれについて申し上げますと、第一に、開発に入っておりますのは、御承知のとおりアラビア石油がクウェート中立地帯において現在稼働中でございます。また北スマトラの石油開発が、インドネシアのペルミナ社との間で石油の開発及び輸入をいたしております。  それから第二のグループの、すでに探鉱に着手しましたものとしましては、石油資源開発の東カリマンタンの計画、ニューギニアの計画、カナダ西部の計画並びに北スマトラ沖の計画がございます。これに合わせまして、帝国石油のサバの開発計画があるわけでございます。  第三に、四十二年度新たに着手を検討いたしております計画といたしましては、アラスカ石油のアラスカ計画並びに九州石油開発の南カリマンタンの計画、さらに石油資源開発のカナダオイルサンドの計画及びオーストラリアの計画等々がございます。
  124. 岡田利春

    岡田(利)委員 石油資源は、北スマトラ海洋石油資源開発株式会社に七億六千万の出資をして、サバ・テイセキオイル会社には三億百万の貸し付けをし、管理費等一億円を出しておるわけですね。そこで、こういう会社が設立されておるところには出資をしたり、貸し付けをしたり、融資をする。これを継承すればよろしいわけですが、今日、帝石自体が探鉱を進めている点については、新たに会社を設立するのか、それとも帝石の仕事をそのまま継承するわけですから、帝石が海外でやっている面については、石油公団が直接やる形になるのか、この点はどうなんですか。
  125. 両角良彦

    両角政府委員 石油資源開発会社自体が直接の事業で行なっております部門、たとえばカナダの計画あるいはインドネシアの計画、さようなものにつきましても、これからはそれぞれ現地の事業を遂行するために必要な法人組織というものがつくられていくことになろうかと思っております。
  126. 岡田利春

    岡田(利)委員 この場合に、石油資源のSKの権利義務を継承して、そういう新たな法人を設立するという構想であるということに理解していいですか。
  127. 両角良彦

    両角政府委員 さようであります。
  128. 岡田利春

    岡田(利)委員 この場合は、当然SKの義務でありますから、全額公団出資の法人組織である、こう理解してよろしいですか。あるいは公団出資及び民間資本を含めてそういう構想での法人組織をつくるという方針ですか。それとも全額公団出資になりますか。
  129. 両角良彦

    両角政府委員 将来新たに設立される子会社の考え方あるいは現在あります子会社の将来の資金調達の考え方等々の中で、できるだけ政府資金のほかに民間資金をも積極的に活用してまいりたいということは望ましい方向ではないかと思っております。
  130. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうしますと、先ほどSKの業務を引き継ぐ場合に、別経理でやる、こう言われたわけです。国内の場合にはわかりますけれども、いまの海外の場合も含むわけですか、別経理の中に。
  131. 両角良彦

    両角政府委員 国内及び海外を通じまして直接の事業というものは、つまり公団業務の投融資に関係のない業務は、SKになるわけでございます。
  132. 岡田利春

    岡田(利)委員 なかなか複雑ですね。そうしますと、将来三年に期限を切って新たにできる法人組織、これは海外は含むのですか、含まないのですか。その場合の構想としては国内だけに限るのですか。この点は別に方針はございませんか。
  133. 両角良彦

    両角政府委員 形式的には将来三年後もしくは三年以内に新たに考えております事業部門との切り離しは国内だけではございませんが、実質上は、海外部門につきましては、おそらくきわめて早い時期にそれぞれの経営形態というものが具体化してまいるのではなかろうか、最後に国内のものの切り離しということになると思っております。
  134. 岡田利春

    岡田(利)委員 その海外の場合にも審議会で審議をすることになりますか。
  135. 両角良彦

    両角政府委員 石油資源株式会社のいわば発展的な再編成の問題でございますので、できれば審議会等の御意見も伺っていきたいと思っております。
  136. 岡田利春

    岡田(利)委員 SKの決算報告書を見ますと、子会社に対する出資が三億三千万円、そして投資有価証券十三億五千万円、こういう数字が出ているわけですが、これはどういう内容ですか。
  137. 両角良彦

    両角政府委員 現在石油資源開発の子会社といたしましては、海外関係では北スマトラ海洋石油、それからジャペックス・カナダ、ジャペックス・オーストラリアの三社がございます。また国内につきましては、石油、天然ガスの生産販売を行なっておりますSK産業というのがあるわけでございます。これに対しまして、その一部株式を保有している企業が約四社ございます。以上総計いたしますと、石油資源としましては、十九億円余りの出資額を持っておりまして、これが公団に引き継がれることになろうかと思います。また保有有価証券は、四十二年度末におきまして約三十七億円、そのうち株式は十九億三千万円、その他の債券が十七億七千万円、かような内訳でございまして、これもひとしく公団に承継されるわけでございます。
  138. 岡田利春

    岡田(利)委員 投資の場合は、これは当然公団業務でよろしいわけですが、SKの子会社という場合は、そうしますと今度は公団の子会社になるわけですか。
  139. 両角良彦

    両角政府委員 形式上は公団の子会社でございますが、実質上はSKである事業本部の子会社であるということでございます。
  140. 岡田利春

    岡田(利)委員 この面についても、当然これは将来審議会で、新たに法人組織をつくる場合に、それではこれも含めて処理される、子会社の場合、処理されるべきものだ、そういうお考えですか。
  141. 両角良彦

    両角政府委員 先ほどのお話にございましたように、石油資源会社のいわば現地における探鉱開発の推進の形式をどうするかという問題は、発展的な再編成の問題でございまするので、審議会等で、御審議いただくべきことかと思いますが、この出資または単なる有価証券の承継問題ということは機械的に行なわれまするので、それ自体に関する限り、特に審議会の御審議をまつまでもないかと思います。再編成問題につきましては、十分御意見を承りたい、かように思っております。
  142. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産大臣にこの際、いままでの問答でも明らかになっておるわけですが、この三年に限って、三年以内に再編成をして新しい法人組織をつくるんだという方向だけは明らかになっておるわけですが、これをいつやるかということですね。大体私の見通しでは、もうこれは三年ぎりぎりになるのじゃないかと思うのですよ。ただ、これが三年以内だから、即決主義でぱっぱっとやるのか、この点は、三年に限っても時間があるのですが、ある程度明らかにしておいたほうが落ちつきがあると思うんですよ。これはいつになるかわからぬというんじゃ、しょっちゅうきょろきょろしていなければならぬわけですから、結論を出す時期は明らかにしておいたらどうですか。
  143. 両角良彦

    両角政府委員 問題がなかなか複雑でございますので、ただいま時期を明確に申し上げることはできませんのですが、われわれとしましては、公団発足後、できるだけすみやかに審議会等の御意見を承って、計画の方向というものを明らかにしたいと思っております。
  144. 岡田利春

    岡田(利)委員 三年限りという命題ですから、三年をこえることがあってはならないわけですね、これは。しかしこえる場合があった場合は、拘束力はどうですか。
  145. 両角良彦

    両角政府委員 法律の条文によりましてさようなことが不可能になっておりますので、われわれとしては、三年内に必ず方針を立てまして、計画を確定いたしまして、それによって新しい事業部門の分離を実施いたしたいと考えております。
  146. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、わが国石油資源開発の歴史的な経過にかんがみて、しかも、先ほど来明らかになったように、民間の帝石の今日の経理内容等を判断する場合に、国内の場合にはやはり帝石との調整ですね。それから、組織再編成というのは、かつて帝石が国策会社として発足をした歴史的な経過にかんがみて、この点をやはり相当重点を置いてやらなければならぬ、検討しなければならぬ問題点だ、私はそう思うわけです。そうしますと、多少時間がかかる場合も想定されるわけですね。私はしかしこれは、やった結果その面はめんどうだから切り離してこうするんだということになるならば、三年に限ってできますけれども、それをほんとうに含めてとことんまで検討して、どうしてもそういう問題が、再編成が帝石を含めてできないという場合には、新たな別な構想で、含めるという構想以外の構想で踏み切っていかなければならないでしょうけれども、もし再編成を帝石を含めてやるという場合には、三年に限るという時間はちょっと短いのではないか、こういう気がするわけです。しかし、その場合に、またこの部面に限って法の改正をするということは、芸のない話だと思うのです。だから、以内なんですから、もう少し時間に余裕を置いたらどうですか。三年でできてもいいじゃないですか。私は、その熱、構想の考え方の問題なんですけれども、再編成ということが、帝石と話をするけれども、だめなら別にやるという方向でいけば三年以内で新しい法人組織ができるでしょうけれども、ほんとうに今日の国内石油資源開発の企業の現況にかんがみて、これを含めて再編成をする、そういう積極的な意欲をこめている場合には、相当時間がかかるのではないか。その場合に私は、三年にこだわる必要がないのではないか。そうして、五年以内でもいいのじゃないですか。以内だから三年でやってもいいのですからね。そのくらい余裕を持っていたほうがいいのではないか。まじめな真剣な態度というものがそういう中から受けとめることができるのではないかと思うのですが、この点についてはどうですか。これも別に、限ってということになりますとあれでしょうけれども、以内でやればいいのですから、五年にしておいてもいいのじゃないですか。
  147. 両角良彦

    両角政府委員 お話にございますように、再編成自体はたいへん複雑であり、かつなかなか見通しのむずかしい問題もございますので、あるいは万が一にも三年内にめどがつかないということが想定されるかもしれませんけれども、問題は、公団から切り離すことが三年内に行なわれることが望ましいということでございまして、われわれとしましては、公団の性格にかんがみまして、事業部門を公団の中に置いておくという変則的な状態はできるだけ早くこれを解消することが好ましい、公団の本旨から考えましてさように判断して、一応三年ということでございまして、かりに再編成問題がなおめどがつかない場合には、とにかく切り離して、そうして再編成というものについてはもう一度腰を据えて、そこで新しい推進をはかっていくということも考えられると思うのでございます。したがいまして、公団の組織論としましては、私は、変則的な事業部門の吸収形態というものは、三年以内にできるだけ早く切り離していきたいというふうに考えております。
  148. 岡田利春

    岡田(利)委員 局長の言われることはわかるわけです。ほんとうは初めから含めなければよかったのですからね。それを、含めたから、三年以内、こういう話が出るわけですよ。含めなければ何もこんな問題は出ないわけです。含めた、短い期間の三年以内、しかし、含めた以上は、今度は新たな法人組織をつくる場合には、徹底的に再編成をして新しい法人組織をつくるということが望ましいと思うのですね。これを別に今度は新たな法人組織をつくって、それからまた時間をかけて再編成をするといっても、なかなかこれは、むしろ不可能だと思うのです。だから、五年以内であっても、不可能の場合には不可能で、これははっきり法人組織をつくらなければいかぬわけでしょう。ぼくはそこを問題にしているわけです。だから、あくまでもこれは、今度の新組織は再編成をするのだという前提が強く打ち出されていないと、再編成もなかなかできないと思いますし、私は、ぜひ、新組織をつくる場合には、法人組織をつくる場合には再編成が達成されるのだ、こういうことを強く期待をいたしたいわけなんですが、そういう面で、三年ということを言われておるわけですが、これもそうこだわる必要はないのじゃないですか。しかし、できない場合には三年で切り離すということが考えられますけれども、ある程度話が相当いいところまでいっているという場合には、三年にこだわらなくても、一年おくれても再編成は達成すべきだ、こう思うのですが、そういうものごとについての考え方はどうですか。
  149. 両角良彦

    両角政府委員 私どもといたしましては、全力をあげましてこの問題に取り組みまして、必ず三年内に具体的な方向を打ち出したいと考えております。
  150. 岡田利春

    岡田(利)委員 同僚の質問もあるようですから、一応終わりまして、あと、先ほど委員長に確認していただきましたので、別な機会でペンディングになっている問題については議論していきたいと思います。
  151. 島村一郎

    島村委員長 鈴木一君。
  152. 鈴木一

    鈴木(一)委員 この前中東の石油問題に関連いたしまして、公団のことにつきまして概略のお尋ねはしてございます。ただ大臣が参議院の本会議の都合か何かでおられなかったのでございますので、きょうは重要な点につきまして大臣にお伺いしたいと思います。  この前大まかなことはお聞きいたしましたので、法案の条文に沿いましてお尋ねをしてみたいと思います。  第一条の目的に関連してでございますが、今度のこの公団は、総合エネルギー調査会の答申に基づきまして、その趣旨を実行するためにこの法案が出てきたと私思うわけでございますが、また先ほども大臣が申されておりましたように、ここで百年の計を立てられるという非常な意気込みであることも私は大いに多とするものでございますが、しかしそういうふうな意気込みにもかかわらず、何となくこの第一条はその意気込みが感ぜられないのですね。非常に平凡な感じでございます。やはり国内外の石油資源の探鉱、開発を急速かつ計画的に行なうのだというくらいの力強い表現があってしかるべきものと思うわけでございますが、そういう点、大臣、もし実際の意味は私が言うとおりだ、こういうことならそれでもいいわけでございますが、何となく力が足りない、意気込みが足りないというような感じがするわけでございます。そういう点についてお伺いしたいと思います。
  153. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、石油開発公団を設けるについては、政府は公団の新設を認めないという考え方であったのでありますが、石油開発公団は、日本のエネルギー政策の大計を確立する上からも、これはことしやらなければいかぬということを私のほうで強調したのであります。いま鈴木委員の言われた急速という意味では、ことしこれを立てなければ、一年おくれればおくれるほどそのエネルギーの資源の大計がおくれてしまうということで、強く、ことしこれを設ける必要があるということを総理や大蔵大臣に私が訴えたわけであります。したがいまして、そこには急速という意味は当然入っておると思うのです。  それからなお、最近中東の問題が起こってきてから一そう石油開発公団というものを急速に設立しなければならないということを痛感した次第でありまして、この石油開発公団というものの設立が計画されたことが、中東問題によって一そうその必要性を内外ともに認められてきたのではないか、こう考えております。したがいまして、鈴木委員の言われるような急速という意味は大いに含んでおりますから、その点はひとつ御了承願いたいと思います。
  154. 鈴木一

    鈴木(一)委員 計画はどうですか。
  155. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 計画は当然百年の大計ということが計画でありまして、ことし百年の大計を立てなければいかぬということは、これは総合的な計画という意味を含んでいるわけでございます。
  156. 鈴木一

    鈴木(一)委員 先ほど大蔵省の主計官の御答弁があったようですけれども、皆さんが考えているほど真剣にこの問題については考えていないような気がしたわけでございますが、これは大蔵省の立場ですから、将来の年度にわたって予算を拘束するようなことが言えないからあるいはああいうふうに言ったのかもしれませんが、やはりそういう雰囲気というものがなければ、いかに皆さんたちが力んでみても、急速、計画的にはできないわけでございますから、そういう点につきましても、もっとこの重要性というものを認識させるような努力が望ましいと思うわけでございます。  なお私、公団について、公団の一般論でございますが、一国の産業が高度化されてくると、いろいろ調整機能も必要になってくると思います。それは直接政府ができない、あるいはまた民間会社だけでもできないという場合もあるわけでございます。ですから、特殊法人の公団とか公社というものの必要も私はあり得ると考えられますし、一がいに行政整理という観点からこれを否定することも私はどうかと思います。ただしかし、せっかくそうしてできた公団なり公社というふうな特殊法人の運営そのものが眠っておるようなことでは所期の目的を達し得ないし、この前の参議院の議院運営委員会あるいは決算委員会で問題になったように、いたずらに高級官僚の退職金かせぎのたらい回しみたいな公団になってしまうおそれなきにしもあらずでございます。ですから、そういうふうな公団の運営という点については格段の配慮が必要だと思うのでございますが、大臣はどうお考えでしょうか。
  157. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話しのとおり、公社、公団についての批判は、この運営がうまくいってないというところにあると思うのでございまして、したがいまして、この公社、公団というものの必要性ということは、ある業種によっては認められると思うのです。しかし、公社、公団自体の運営がうまくいってないからして、したがってすべて新設してはいかぬというような考え方が出てきたと思うのでございます。でありますからして、皆さんの御批判がないようにするがためには、運営をうまくする、はっきりするということが必要だと思うのです。そういう意味におきまして、この公社、公団の理事者といいますか主宰者というか、総裁あるいは理事長に適任者を選ぶということが先決問題だ、こう思うのであります。
  158. 鈴木一

    鈴木(一)委員 八条のところに役員の問題が出ておりますが、この間も政務次官から御答弁があったわけでございますが、いろいろうわさが出ております。われわれは何もそんなうわさによって左右されるものでもないし、またそれを信じてお尋ねするわけでもないのでございますが、公団、公社、特殊法人の設立を規制するいまの状態においてこういうものが認められ、大蔵省からも予算を獲得した、そのかわり、この総裁なり役員には大蔵省のほうからひもつきで人を押しつける、またそれを通産省も暗々裏に了解しておるのだというようなうわさも出ておるわけでございますが、そんなことはないと思います。またわれわれも、この公団の意味合いにつきましては非常に高く評価しておるわけでありますから、われわれの意見も聞いて——ほんとうの生きのいいのをぜひ出したいと思っておるわけでありますが、大臣のお考えはいかがですか。
  159. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 そういうような約束をしたということは私は全然聞いておりません。先ほどから申し上げましたとおり、適任者を選ぶということが先決問題であって、何ぼ公社、公団をつくっても、その組織ができただけでは実際はほんとうにその公社、公団は動かぬのであります。問題はやはり人でございますからして、したがって、有能な適任者を選ぶということで、私はそういう意味でいまいろいろと人を物色しておる最中であります。
  160. 鈴木一

    鈴木(一)委員 ついでにお伺いしておきますが、これはこの法案とは直接関係ないことでありますが、公団、公社には監督官庁からずいぶん人が出ておるわけですね。これは連絡を密接にするため、あるいは大蔵省から予算を獲得しやすくするため、いろいろ配慮もあろうと思うのでありますけれども、ただ私思いますに、高級官僚と称される方々の退職があまりに早過ぎるという面もあると思うのです。われわれぐらいの年配では、次官をやっている人はあまりいない。五十を越すとたいていどこかへ行ってしまう。しかし実際五十になってみても、まだ子供は大学の教育も終えていないというような場合も非常にあるわけでございますが、そういうような一つの客観的な事実というものが変に公団、公社、特殊法人と結びつくようなきらいも私はあると思うのです。やはり五十ともなれば、いままでの経験を生かしてこれから大いに働かなければならぬ、そういうふうな時期になっておると思うのですけれども、私は少し交代が早過ぎると思うのです。これは大臣にお聞きしたところで何ともならないことかもしれませんが、政府全体としてはやはり考えるべきではないかと思います。役員の問題はその程度にしておきます。  また、第一条の目的に戻りまして、最後のところに、「安定的かつ低廉な供給の確保を図る」こういう字句が出ておるわけでありますが、どの程度のものを低廉な供給というふうに考えておるのか。せっかく海外に金を出して石油が出た、しかし非常にコストが高くついて所期の目的を達し得ないというふうな場合も出てくると思うわけでありますが、現在の市場価格というものと比べてみて、どの程度のものを低廉な価格というふうに考えておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。これは局長にお願いします。
  161. 両角良彦

    両角政府委員 原油の価格は、今日海外におきましてもやや下がりぎみでございまして、わが国が買い付けております原油で申しますと、大体四十一年度の数字ではFOB三千二百円余り、CIFで申しますと四千二百円余りが一応の平均価格ということになっております。したがいまして、今後わが国自身の手によりまして、海外原油の開発をはかりまして低廉安定供給を達成するためには、当該原油の輸入のCIF価格がただいま申し上げました水準並みもしくはそれ以下であるということが低廉な線として一応考えられると考えております。言いかえますと、これは商業採算に乗る開発コストというもので行なうべきである、それが低廉な供給につながることになろうかと考えております。
  162. 鈴木一

    鈴木(一)委員 大臣にお伺いいたします。現在、資本の自由化ということが大きな経済並びに政治課題になってきておるわけでございますが、いまこうして海外の開発を積極的にやって、日本の原油の確保を、昭和六十年ですかには三割ぐらいは日本で確保したい、そういうような計画で進めておられるわけでございますが、しかし何といっても、御承知のように、現在の日本石油事情というものは海外に依存し、また精油関係も外資が半分入って、向こうの規制を相当強く受けているわけですね。現在せっかく片一方ではこういう日本の独自のシェアを拡張しようというように努力をしている、片一方では外資の圧力日本の独自の立場というものが消されていく薄められていくというような懸念もなきにしもあらずだと私は思うわけであります。この間の新聞に出ておったのでありますが、四十二年六月二十七日の日本経済新聞に、シェルと昭石との合併に関連していろいろなトラブルがあるやに出ておるわけであります。私も私なりに情報を集めて検討してみたわけでございますが、現在の昭石の場合は、シェルが半分、それから日本側が半分の資本構成になっておるわけですね。半々とはいってみても、実際外資のほうは一つにまとまっておるわけですね。こちらのほうはいろいろ分散しておる。ですから、だれかが、わずかな株主でもシェル側にくっついてしまえば、簡単に日本の立場はなくなってしまう、人事や何かでも向こうに一方的に押し切られる、こういうような事態も起こるわけなんですね。重要でない産業というものは私はないと思いますけれども、しかし石油日本にとっては非常に重要な産業だと私は思う。そういうふうなものが、一方的に外資によって日本の独自性もなくなり、人事権から経営権から一切向こうの言いなりになるというような事態になることは、まことに望ましいことではないと思う。しかし、これは取引でありますから、われわれがそういうふうに思ってみても、何ともならない場合もあると思います。しかし幸いにして、この石油に関しては、石油事業法というようなものがあって、かなり強力に通産省がこれを規制し得るような立場に立っておるわけですね。ですから、そういうふうなことが起こらないように、おれのほうが半分持っておるのだ、だからおれの言うことを聞け、こういうような方向にいかないように、資本を出資しておっても、それなりの収益があがれば外資としても満足すべきだし、あくまでもこれは日本の会社に対しての出資であり、日本の国内で商売しておるわけでありますから、日本側のメンツ、体面というものも十分立ち得る、外資も立ち得る、共存し得るというような、しかもまた先ほど申し上げましたように、日本にとっては非常に重要な産業でありますから、外資の不当な圧迫のないような方向に行政指導も、これはなかなかむずかしいことかもしれませんけれども、しなければならない問題ではないかというふうに私考えておるわけでありますが、このことは単に昭石とシェルの問題だけでなくて、今後将来こういう問題がたくさん随所に起こり得ると私は思うのですよ。そのときにどうやって日本の立場を保持し得るかということに対して大臣はどのようなお考えでおられるのか。おそらく大臣は博学多識であられますから、こういう問題についても十分知っておられると思います。あるいはまた、そんなことは、昭石とシェルの関係については全然知らぬとおっしゃるかもしれませんが、いずれにしても、一般論としてどういうようなお考えでおられるのか、お伺いしたいと思います。
  163. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 資本取引の自由化につきましては、原則としてはフィフティ・フィフティということが第一原則なんです。そこでフィフティ・フィフティですが、向こうの会社も、何といいますか、日本の市場をじゅうりんするというような会社に対しては、こちらは認めないという方針でいきます。あくまで双方とも利益を得るというような会社であれば、これを許すという方針でやるのでありますから、したがいまして、昭和石油の問題も、資本金は半々でありますけれども、日本人に経営さすという条件を付しておるように聞いております。でありますから、今後におきましては、日本人が経営する、そこへ外国資本は参加してもらうという方針で進めていきたい、こう考えております。しかし、一〇〇%外国資本でやってもいいという自由化業種は認めましたが、これは一〇〇%向こうの資本ですからして、もちろん向こうの人がやると思いますけれども、一〇〇%でやっていいという業種は、おそらく外国の資本はこないと考えております。そのうち、私はホテル業だけはひとつ一〇〇%きてもらいたいという考えをしておるのであります。そんなことで、御心配になるようなことはないように今後行政指導をしていきたい、こう考えております。
  164. 鈴木一

    鈴木(一)委員 このシェルと昭石の合併、もともと昭石は外資は入ってなかったのがシェルの資本が半分入った。そういういきさつで、ちょうどこのころ、なくなった高碕さんが大臣でありましたが、私、通産委員会で将来のことを心配のあまりお尋ねしたことも記憶しておるわけでありますが、その後シェルの資本が入って、五〇・五〇で、今度日本シェルと昭石が合併する場合は半々でいこう、こういう話にはなっているようです。社長とか会長とか、人事は日本人にするんだ、こういうことも大まかなところは了解事項として合併が進められているように聞いておるわけですが、この前の新潟地震のときにあれだけの大きな損害を出した。おそらくそれは融資を円滑にするためであろうと思うのですけれども、大蔵官僚がシェルの社長になった、これは御存じのとおりです。ところが、こういうふうな合併の基本線があるにもかかわらず、この社長はどういうふうに思ったのか、シェルの本社に対しては、外国人要するに英国人が新会社の社長なり会長になってもいいんだというふうなことを言うたやに私らは聞いておるわけですね。それが根となって——これは新聞に出ていますから申し上げますが、本人はまことに迷惑だと思うのですけれども、朝海さんですか、前の大使をやった方を会長にどうかということをシェルの本社のほうから昭石のほうに申し入れがあった。ところが重役会では、一対八かなんか圧倒的多数でそれはだめだというて否決されておるわけですね。ところがシェル側としては、そんな本社の言うことをきかないような重役ならやめてもらうというようなことで、現在ごたごたしているやに私たち聞いておるわけでありますが、せっかく日本社長が現在そこにおって、そして合併の条件を日本人を会長なり社長にするということまで取りつけてあるにもかかわらず、また社内のそうした意向、それはまた通産省もおそらく同じだと思いますし、日本人として全部そういう気持ちを持っておると思うのですけれども、日本人の社長、会長にするという話がついておるにもかかわらず、向こうの英国人が社長や会長になってもいいんだというふうなことを言って問題を紛糾させるということは、まことに私は良識のない話だと思います。こういうことについて通産省がああせいこうせいと私から言ってみても、直接人事にまで介入はできないことは私よく知っておりますけれども、できるならば、こういうトラブルが現在あるわけでありますから、昭石の首脳部を呼んでいただいて、それとなく事情を聞いて、いま大臣答弁されたような趣旨に問題が処理できるように御努力を願いたい、こういうふうに考えておるわけであります。この英国人の考え方が、全部がそうじゃないのかもしれませんけれども、まだまだ日本よりは自分たちは上なんだ——それは民主政治とかそういう点ではわれわれも大いに見習わなければならぬ点は多々あろうかと思いますけれども、しかし産業その他、経済その他については、場合によってはこっちが上のものもあるでしょうし、何もかも全部向こうの言うことをきく必要はないと思っております。しかし何となく旧植民地経営をしたときの気分が抜けないのか、自分たちの考えておることは金科玉条で、無理無理押しつけてくるというふうなきらいもなきにしもあらずだと思います。いかにフィフティ・フィフティとはいっても、また実際問題として、さっき言ったように、ちょっと一部のものが外資側につけば完全に会社をリードできることも私らはよく知っております。しかしお互いが独立国で提携しておる以上、そこにおのずとフィティの限界、これは無限の力ではなくて限界ということがあると私は思う。おそらくそういうようなことがわからずに、日本の事情もわからずに、おれたちの言うことを聞けということでこうした紛争が起こるのじゃないかというふうにも思われます。また同時に、明治維新の場合を見ても、日本自身が植民地になる寸前までいっておったと思う。ただしかし、これが極東という地理的に遠かったために植民地にならなかったということではなしに、やはりそれなりにその当時の政治家なり指導者がしっかりしておったから植民地にならずに済んだと思うのですね。名もない足軽階級が命がけでこういう問題を処理したから植民地化しなかったと思うわけでありますが、大蔵省出の優秀な方だと思うのですけれども、向こうの会社の社長になっていって、そうして日本側の当然主張すべき立場も主張せずに、ただ向こうの言いなりになる。社長は向こうの人を出してもいいのだというようなことでは、まことに私は嘆かわしいことだと思っております。こういうことについて通産省に多くを期待することはできないと思います。しかしいま現にそういうふうな問題が起こり、今後も各方面にこういうことが起こり得る可能性は多々あると思いますので、政府としてひとつ、やりにくい点もあろうかと思いますけれども、当事者である昭石を呼んで、監督官庁として事情を十分聴取して、向こうの立場も言うし日本の立場も言う。いまは資本と経営というものは分離されてきております。ですから、金は出す、しかしその責任は日本に持たせて、そして十分な収益をあげて、外資を出資した成果は向こうに十分向けてやる、そのかわりこちらにまかせてくれ、そういうふうな方向にぜひ私は持っていってもらいたいと思います。これ以上申し上げると憶測とかそういうことになりますから、差し控えますけれども、そういう方向で何らかの御指導を願いたい、こういうふうに考えております。もう一度……。
  165. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この問題につきましては、いま鈴木委員の言われるとおりの方針で進んでおりますから、さよう御了承願いたい。
  166. 鈴木一

    鈴木(一)委員 なかなか安い原油を開発して持ってくるということは至難なことだと思いますけれども、しかしそういうことをするために、世論の反対を押し切ってこの公団ができたわけでございますから、それなりの十分な資金、技術その他の裏づけをひとつ考えてもらいたいと思います。  そこで、資本金でございますが、第四条に四十億と書かれておりますけれども、最初からこの程度のことを考えておられたのか。それにしてはあまり金額が少な過ぎると思うわけでありますが、予算の折衝の関係でことしの年度においてはこの程度のものしか取れなかったんだ、しかし将来はこうするんだというような構想がございましたら、お知らせ願いたいと思います。
  167. 両角良彦

    両角政府委員 昭和四十二年度の事業計画等を慎重に検討いたしました結果、四十二年度の公団に対する出資金というものは四十億というふうに計上いたしたわけでございます。しかしながら、御指摘のとおり、決してこの金額をもって十分であるというわけではございませんので、次年度以降、極力海外開発を積極的に推進いたしますために必要な出資というものは確保いたすよう努力をいたしますが、それに対応いたしまして、公団の資本金も増加をしていくというふうに法律上のたてまえもつくってあるような次第でございます。  なお、四十億のほかに、今日まで石油資源開発に対しまして百二十八億以上の出資が政府から行なわれておりますが、この出資金も当然公団の資本金として加算されてまいるわけでございます。
  168. 鈴木一

    鈴木(一)委員 私、先ほど計画的と申し上げたのはこういうところに関連しているわけでありますが、今後逐次増資もしていくというふうな御答弁でございましたが、少なくともこういうふうな画期的な法案をお出しになった以上、十カ年ぐらいの計画というものは立てて臨むべきじゃないか、こういうふうに考えます。それは何か審議会にはかってということでございますが、あるいはそういう答弁になるかもしれませんが、やはりそこにはかる前に、実際の衝に当たる皆さんたちのほうでもう少し、今後十カ年ぐらいの間にこの程度のものをするんだという計画的な一つのプランがあっていいと思うのですが、もしございましたら、もう少し詳しくお伺いしたいと思います。
  169. 両角良彦

    両角政府委員 エネルギー調査会の答申に対応いたしまして、昭和六十年度までにわが国の所要原油の三割を開発原油によってまかないたいそれに対応しまして、約四十五地点の開発をそれまでに達成をする必要がある、これに所要の探鉱総資金は約三千億円というふうに見積もっておるわけでございます。かような膨大な資金を今後毎年計画的に調達をしてまいるということは、もとより必要であり、かつ望ましいわけでございますが、何ぶん財政支出に関連が多い問題でございますので、一応の長期の見通しのもとに、各年度におきましてできるだけ当方の計画の実現を可能にするような出資金は要求し確保してまいりたいと考えております。  なお、その場合、われわれとしては、最高年間約二百億程度の財政出資が必要な年がくるかと思いますが、それをピークといたしましてあとはまた漸減に向かっていくと思っております。
  170. 鈴木一

    鈴木(一)委員 せっかくひとつ御努力を願いたいと思います。  それから、十九条のこの業務の範囲でございますが、先ほども岡田君からこの問題についてはかなり詳しく御質問があったようでございますが、これを一号から七号まで見てみますと、海外のほうに重点が置かれている。国内のほうは、書かなければまた文句も出るから、お茶を濁しておる、そういったような感じが強いわけであります。先ほども、国の補助その他によって国内のほうはまかなっていくというような御答弁であったようでございますが、やはり海外は海外、国内は国内としてやってみなければ私はわからないと思うのですね。ですから、この問題については、少なくとも国内外というふうにはっきり差別をせずにうたったほうが私は賢明じゃないか、こういう感じがするわけでありますが、その点いかがですか。
  171. 両角良彦

    両角政府委員 国内の開発につきましては、ただいまお話のございましたように、基礎調査費もしくは探鉱補助金あるいは国産原油に対する関税の還付制度、ないしは公団そのものによりまする設備機械の貸与あるいは技術指導といったような各種の方策を兼ね合わせまして、これを推進をいたしてまいりたい、かような方針でこの十九条の文案を作成をいたした次第でございますが、出資につきましては、すでに昭和三十年度から三十八年度までの間に国内向けの探鉱出資といたしまして約百億が出資済みでございます。この資金を基金として回転を効率的に行なうことによりまして、国内探鉱開発ということにつきましては、出資が行われると全く同じ効果、さらには、補助金等を合わせますと、それ以上の強力な助成策を講じておるというふうに私どもとしては考えている次第でございます。しかるに、海外に対しましては、探鉱補助金あるいは基礎調査費等には国からこれを支援する方法がございません。したがって、全く進出企業の負担において行なわれるわけでありますから、これに対しましては低利の安定資金を供給をして、リスクを図においても出資形式によって分担をしていくということが必要であるというたてまえで、かような十九条の案を整備した次第でございます。
  172. 鈴木一

    鈴木(一)委員 御説明はそういうふうな御説明ですが、何となくそれをそのままわれわれとしては受け取りにくいんですね。国内は、実際やってみても大したことはない、当たってみても、量は少ないし高くつく、だから、海外に重点を置いていくんだ、こういうことでこの法案が書かれているようにしかわれわれには受け取れないので、やはり先ほども御質問ありましたように、海外は海外、国内は国内としてそれぞれに重要でもありますし、まだ日本海の大陸だなその他も今後大いに開発しなければならぬ点もたくさんあるわけでございますから、できるならばこの差別をせずに、両方をやっていくんだというような案文であったほうが私はいいと思うのですが、あくまでもこういうふうに固執されますか。
  173. 両角良彦

    両角政府委員 国内の探鉱開発がきわめて重要であるという点は、私ども全く同感でございまして、特に地下資源の有効利用あるいは裏日本の地域経済の振興ないしは国全体としてのエネルギー源の安全供給源としまして、きわめて本腰を入れた探鉱活動を今後とも継続すべきであるという点については、私ども全く同感でございます。  その方法といたしまして、私どもは、先ほど来申し上げておりますように、基礎調査費ないしは探鉱補助金等、出資よりもはるかに強力な具体的な助成手段を講じてきておる次第でございます。これは海外開発には与えられない特典でございます。これを中核といたしまして、かつ、今日まですでに行なわれました出資というものを効率的に運用をしていくという体制で、国内の開発を拡充強化をしてまいりたいというのが当方の方針でございます。決して海外に片寄る、国内を軽視するという考え方ではなくて、国内開発の特殊性にかんがみまして、むしろ国内に重点を置くがゆえにこの十九条のような表現をいたしたというふうに御了解をいただければ幸いでございます。
  174. 鈴木一

    鈴木(一)委員 これはいずれ理事会等で御相談したいと思いますけれども、別にこの法案を否定する立場ではないのですから、海外はこういうふうにしていく、国内はこうしていくのだというふうにさい然と分けて、いま局長が言われたような趣旨がもっとはっきり盛られるような形にしたい、私はそういうふうに希望しておるわけでありますが、これ以上やりとりしてもどうにもならないでしょうから、むしろこれは国会側として、いずれ理事会その他で御相談したいと思っておりますが、ひとつよろしくお願いいたします。  それから、二十五条の借入金及び石油開発債券の問題でありますが、「長期借入金若しくは短期借入金」とありますが、これは主としてどこから借りるわけですか。
  175. 両角良彦

    両角政府委員 この二十五条で規定しておりまする「長期借入金若しくは短期借入金」は、長期もしくは短期の、通常の市中金融機関から借り入れを行なうことを考えております。
  176. 鈴木一

    鈴木(一)委員 政府管掌の機関からは借りないのですか。
  177. 両角良彦

    両角政府委員 資金運用部からの借り入れは、二十五条によらずして可能でございますから、当然それは考えております。
  178. 鈴木一

    鈴木(一)委員 それから附則の点でございますが、三条の「設立委員を命じ」云々とありますが、これはどういうメンバーをお考えになっておりますか。
  179. 両角良彦

    両角政府委員 設立委員の構成につきましては、他の公団の設立の際の委員の構成を参考にして定めたいと思っておるのでございますが、従来の例によりますと、関係各省庁の代表者もしくは関係機関の代表者からなっておるようでございまして、本件の場合を考えますと、通産省、大蔵省、内閣法制局並びに、民間側としましては石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会の会長、石油連盟の会長あるいは石油資源の現代表等々の方々が一応想定されると考えております。
  180. 鈴木一

    鈴木(一)委員 わかりました。  それから八条の、これも前にだいぶ詳しい質問があったわけでありますが、三年というのはどういう根拠でやられたのか。私としては、むしろ大きな転換でありますから、もちろんそれは時間をかけて慎重にするということも一つの考えと思いますけれども、やはり多くの人たちの身分にも関連することでもありますし、できる限りこれはすみやかに、三年を待たず二年ぐらいで、あるいは一年ぐらいで片をつけるべき性質のものではないかという感じがするわけであります。どういう根拠で三年となったのか。石の上にも三年ということばがありますから、三年たてば何とかなるということなのかもしれませんが、なるべくこれは公団が発足したら一年以内ぐらいに一切の片をつけるべきだし、何でもかんでも審議会に持ち込まなくても、皆さんのほうで十分関係者の意見を聞いて、こうだということであれば、審議会の意見ももちろん聞かなければなりませんけれども、なるべく早く処理するのが親切なやり方ではないかという感じがするわけでありますが、重ねてこの点お伺いしたいと思います。
  181. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のとおり、公団が営利事業ないしは直接事業をいつまでも担当をするということはきわめて変則的な事態でございますので、できるだけこれを短期間に整理をしていくということが好ましいわけでございまして、お説のとおり、私どもは法律上三年間という一応の期間は与えられておりまするが、その中でもできるだけ迅速にこの石油資源開発会社を含めました直接事業部門の再編成の方向というものを設定して実行に移してまいりたいと考えております。
  182. 鈴木一

    鈴木(一)委員 先ほどから申し上げましたように、一年以内くらいに片をつけるべきだと思います。でないと、皆さんたちが仕事を実際やるわけではありませんし、そこのSKの従業員諸君が実際仕事をするわけでありますから、どこへいくのか身分もはっきりしない、三年たてば何とかなるというようなことでは、あまりにこれは気の毒でありますから、すみやかに——国会ではすみやかとか抜本とかさまざまなそういう抽象的なことばがやりとりの中に多過ぎると思いますけれども、少なくとも一年くらいに片をつけていただくように強く希望しておきます。これは答弁は要りません。希望しておきます。  それから、私は先ほどこの部屋を出ておった関係上聞いていなかったかと思いますけれども、SK関係の海外開発関係の子会社があるわけです。そういうようなものは三年後どういうふうな形になるのか。重複するかもしれませんけれども、お尋ねしたいと思います。
  183. 両角良彦

    両角政府委員 御案内のように、今日石油資源株式会社は、海外原油の開発に関連しましては、北スマトラ海洋、ジャペックス・カナダ、ジャペックス・オーストラリアの三子会社を持っておりまして、国内につきましてはSK産業を持っておるわけでありますが、これは公団の設立に際しましては公団に吸収されて、公団の子会社としてSKの資産内容が公団に承継されてくるわけでありますが、将来のこれらの形態がどうなるかということは、まさに先ほど御指摘のございました石油資源開発の直接事業部門としての再編成問題というものに関連がある問題でございますので、十分各方面の御意見を伺った上で、その方針というものを定めてまいりたいと思います。
  184. 鈴木一

    鈴木(一)委員 各方面の意見を聞かれる前に、一応この部門の最高責任者である局長はどういうふうにお考えになっておりますか。
  185. 両角良彦

    両角政府委員 この海外開発を推進していきます場合には、各地域単位ごとに開発推進の組織体がそれぞれ独立に設定をされていくことが好ましいと思いますし、かつ効率的であろうかと思います。またかような組織体が民間の資金をも導入しまして、政府資金と並びまして開発資金の調達をはかっていくということが、実際面から見ても効果があるのではないかと考えております。さような方向での現在のSKの子会社の独立ということが、将来の見取り図の中に入ってくることになろうかと思っております。
  186. 鈴木一

    鈴木(一)委員 そうしますと、三年後は公団から離れて完全に民間会社として独立して仕事をやっていく、こういうことですね。
  187. 両角良彦

    両角政府委員 そのようなことが可能な組織体につきましては、三年の期間を待つことなくそれぞれ独立をしてまいることが想定されると思います。
  188. 鈴木一

    鈴木(一)委員 わかりました。  それから、現在SKには帝石の出資があるわけですね。これが公団に吸収されれば、公団の出資に切りかわっていくと思うのでありますが、三年後にこのSKが何らかの形で公団から事業部門として分離されていくわけでしょう。その際は、現在帝石のSKに出ている出資というものはどういうふうな形になるのですか。
  189. 両角良彦

    両角政府委員 法律案の規定によりまして、公団設立の際には、帝国石油石油資源会社に出資しておりました株式は公団が買い取り償却ということに規定されております。これは事実上は石油資源開発株式会社の債務として、その債務を公団が承継いたします。そうしてその債務につきましては、三年据え置き七年返還という条件でもって債権者との間で話をつけたいと考えております。そのような方向で帝国石油の株式というものが処理されるわけでございます。
  190. 鈴木一

    鈴木(一)委員 それは間違いないですね。
  191. 両角良彦

    両角政府委員 ありません。
  192. 鈴木一

    鈴木(一)委員 それから、帝石の現状について先ほどお答えがあったようでありますが、かなり苦しい現状にあると思います。パイプラインを引くために高い金利の金を借りて、再建整備をしなければならぬような段階まで追い込まれたわけでありますが、その後大いに努力されて、何とか持ちこたえて今日まできておるわけでございます。帝石だけの力でああいうパイプラインを引いたことは、国策としては大いに協力的であったかもしれませんが、企業の損得という面からすれば、いささかこれは冒険に過ぎたと思うのです。ですから、いまそんなことを言っても、これは取り返しのつかないことでありますけれども、そのパイプラインで東京瓦斯にガスを売っているわけでありますが、東京瓦斯は相当の収益もあげておるわけでありますから、これも行政指導等によって、現在も高く買っておるというふうにも聞いておりますが、帝石の経営をよくしてやるために、そうして海外開発等この法案の趣旨にあるようなことが積極的にできるように身軽にしてやるためにも、もう少しそこに賢明な通産省の皆さんの行政指導のようなものが発動されてもいいのではないか、私はこういうふうな感じがするわけであります。企業はお互い別とはいうものの、買うもの売るものの立場かもしれないが、またそこに買うもの売るものがあって、お互いが連帯して存在しているわけでありますから、もう少し帝石の経営が楽になるような方向に協力を求める指導ができないものかどうか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
  193. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のとおり、帝国石油の経理内容はなかなか苦しい実態でございますが、東京瓦斯に対しましては、一般の販売単価よりも三円高くというきわめて帝国石油にとりましては有利な条件で契約ができておりますので、これはこれといたしまして、帝国石油の再建の問題、経理の健全化の問題等につきましては、長期的な観点から、積極的にこれを検討すべきであると考えております。たとえば北樺太からの天然ガスの輸入の実現、あるいは将来さような世界各地からの天然ガスの輸入販売というようなことを通じまして経理の改善に資するという方向も具体的に打ち出されてくることも可能なわけでございまして、さような見地からも北樺太問題等々の積極的な打開につとめておるわけでございます。いろいろな方策を通じまして、帝国石油の経理的な健全化については、私どもも十分帝国石油と協力いたして、努力をいたしたいと考えております。
  194. 鈴木一

    鈴木(一)委員 私、帝石という企業体を見て気の毒な点があると思うのです。各社の開発部門だけを集めて出発して、精製部門というものは全然なかった。そういう点では企業体としては気の毒な形で戦後再出発しておると思うのです。そのためのあせりかとも思いますが、パイプラインなんかに対して多額の投資をし、しかもそれが正常な金利の金でないものがかなり使われたというようなことでありますが、現在ではそうした不当な金利と申しますか、市中銀行の金利以上の高いものは全部整理されておるのですか、それともまだ若干そういうものは残っておるのですか。
  195. 両角良彦

    両角政府委員 現在四十年度末におきまして、帝国石油の借り入れ金残高は百八十億円、そのうち長期の借り入れ金百四十億、短期が十一億、社債が二十九億という数字になっております。これらにつきましては、開発銀行あるいは長期信用銀行その他大銀行が主たる債権者でございまして、いわゆる高利の金というものはすでに整理をされてきております。
  196. 鈴木一

    鈴木(一)委員 あらゆる面から帝石の健全化に対しては協力をしなければならないと私たち思うわけでございますが、先ほどお尋ねしましたこの資源開発への出資分が今後公団の債務となって、そうしてあとでこれは帝石に返っていくわけでありますが、もちろん現在出資はされておるけれども、SKからは配当なんか全然もらってないと思うのでありますが、公団として、金利相当分の、金利全部ではなくても、何らかそういうものを考えてやるようなお考えはありますか。
  197. 両角良彦

    両角政府委員 具体的に帝国石油の経理対策について公団が何らかの方策を予定するということはございません。考えておりませんが、側面的に帝国石油の行ないます探鉱活動ないしは天然ガスの採取活動というものに対しまして、公団の業務としてできる限りの範囲においてこれに協力するということは当然いたすつもりでございます。
  198. 鈴木一

    鈴木(一)委員 最後に一つお伺いして私の質問を終わりたいと思いますが、幸いにしてこの公団が所期の目的を達して、海外から相当の原油が入ってくるというような事態になった場合、はたして現在日本の精製業者が、外資のひもつきの連中が協力するかということも一つの懸念だと私は思うわけでございます。これは、そういう事態になることは望ましいのですけれども、金は使ってみたがなかなか思うようにいかなかったということになるかもしれません。いずれにしても、入ってくるという前提に立った場合、いろいろここにまた先般のアラビア石油と同じようなトラブルがあると思うわけでありますが、今後石油の消費量というものは、エネルギー調査会の答申にありますように、相当膨大なものになっていくし、また精製業者もそれなりに皆さんの許可をもらって設備の拡張もしなければならないと私は思います。そういう点では相当の生殺与奪の権を通産省としては持っておりますから、いまからそういう問題も心して今後の精製業者の設備拡張に対しては対処してもらいたい、こういうふうに考えておりますが、そういうお考えがありますか。
  199. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のとおり、開発原油の国内引き取りという問題はきわめて重要な点でございまして、アラビア石油の例にかんがみましても、今後の海外の開発は、まずもって国内精製業界の協力というものを前提にして出発をいたすということが望ましいという点につきましては、私どもも全く同感でございます。そういう方向で各開発会社の進出計画というものを精製業界の協力を得ながら進めてまいるということにつとめますとともに、たとえば、石油精製業の設備増加の許可の決定にあたりましても、さような開発原油の引き取りというようなものに対する協力を特に精製業界に要望いたすというような行政面での配慮もあわせて行なっておる次第でございます。さらに、全体としましていわゆるひもつきというものの率を低めていくように、外資法等の適切な運用を行ないまして、全体として開発原油の引き取りがより円滑に行なえるような措置を行政上とってまいりたいと考えております。
  200. 鈴木一

    鈴木(一)委員 先ほど大臣にお伺いしたのですが、昭石、シェルのような問題もあるわけですから、外資というものはなかなか強力だし、中にはそれは、日本の事情もよくわかって共存しよう、そしてまた成果をあげているところもあると思いますが、シェルのように日本の国内事情もわからずに一方的なことをやってくるところもあるわけでございますから、業界に対しては、ただ要請するというような低姿勢ではなくて、場合によっては、こういうものを受け入れなければ許可もせぬ、設備の許可もしないというような、もう少し強い態度を堅持してもらいたい、こういうふうに考えるわけでございます。答弁は要りません。  以上、前の岡田君の質問となるべく重複しないようにお尋ねをした次第でございます。これで終わります。
  201. 島村一郎

    島村委員長 本会議散会後再開することとし、この際休憩いたします。    午後一時五十一分休憩      ————◇—————    午後四時二十五分開議
  202. 島村一郎

    島村委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  内閣提出石油開発公団法案を議題として、質疑を続行いたします。近江巳記夫君。
  203. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほどから問題が出ておりましたが、海外原油開発の具体的な計画です。国産原油の開発について、四十一年度を初年度とする第三次石油及び可燃性天然ガス資源開発五カ年計画があることは御承知のとおりです。ところが、海外の原油について、総合エネルギー調査会の答申で一応の目標は出ておりますが、具体的なそういうような点があかされてないように思うのです。この点について具体的な計画をお聞かせ願いたいと思います。
  204. 両角良彦

    両角政府委員 海外原油の開発計画につきまして、昭和四十二年度の具体的な計画内容は、継続事業といたしまして、北スマトラ沖、東カリマンタン沖、カナダ西部、ニューギニア、サバの五カ地点を行なうことにいたしておりまして、新規の計画といたしましては、アラスカ、南カリマンタン沖、カナダのオイルサンド並びにオーストラリアの四計画を推進をいたす予定でございます。  今後の開発計画につきましては、これら諸地域の探鉱進展状況並びに産油国側の動向もしくは国内の企業進出の動向等を勘案いたしまして、具体化について検討を加えてまいりたいと考えております。
  205. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは大体いつごろ発表されますか。
  206. 両角良彦

    両角政府委員 四十二年度計画につきましてはすでに計画地点というものは大体内定をいたしておりますが、四十億円の出資をいただきましてこれを各地点にいかに分配するかということは、今後公団法の成立後に慎重に検討いたしたいと思います。
  207. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、いま大体アウトプランを聞かしてもらったわけですが、東シナ海の問題を私は前の委員会で取り上げたわけです。そのときに局長からも、これは鋭意調査に当たっていく、こういう非常に前向きな答弁があったわけでございますが、この問題についてどのように考えていらっしゃるか。
  208. 両角良彦

    両角政府委員 エカフェによります第三回の沿海鉱物資源共同探査調整委員会の会議はソウルで開催されまして、昨日終了いたした由でございますが、その会議には通産省側からも地質調査所から二名出席いたしております。したがいまして、この調査委員会におきます各国からの議論の内容、もしくは提示されました資料等々の報告を受けました上で、具体的な対処方針をきめたいと思っております。
  209. 近江巳記夫

    ○近江委員 エカフェの問題が出たわけでありますが、政府委員は二名ですね。オブザーバーは何名行かれたのですか。
  210. 両角良彦

    両角政府委員 石油資源開発会社及び帝国石油会社から各一名の専門家が出席いたしております。
  211. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると二名ですか。
  212. 両角良彦

    両角政府委員 さようでございます。
  213. 近江巳記夫

    ○近江委員 大学の教授の参加はなかったのですか。
  214. 両角良彦

    両角政府委員 わが国出席者は四名ということになっております。
  215. 近江巳記夫

    ○近江委員 その東シナ海に関連いたしまして、私は日本近海のそうした海底資源の問題についてもお聞きしたわけです。外国のそうした計画の概要についてはいまお聞きいたしましたが、要するに日本近海のそうした海底資源、さらに東シナ海等の問題については、案外灯台もと暗しで忘れられているのではないか。いままで何回もこの問題については叫ばれてきてはおりますが、しかしながらその具体的な実施に入っておらない。この点については、この前の答弁も非常に抽象的であったように思うのです。この点について明確な今後の計画を聞かしてもらいたいと思います。
  216. 両角良彦

    両角政府委員 日本中心とします大陸だなの開発につきましては、すでに石油資源開発株式会社におきまして、水深八十メートルまでの有望地点についての鉱区の設定が行なわれております。新たに出光興産は、昨年北海道から能登半島に至ります日本海の水深二百メートルまでの大陸だなにつきまして鉱業権の出願をいたしてきておる次第でございます。同時に、出光興産はアメリカのスタンダードオイル・オブ・インディアナ社と共同の計画のもとに空中磁力探査をこれら裏日本日本海一帯にかけて行なった次第でございます。その結果は現在分析中でございますが、今日まで得ております情報によりますと、きわめて有望な地点が幾つか存在をいたしておるようでございます。今後かような日本の大陸だなの開発につきましては、石油資源と出光興産とがそれぞれ相協力をいたしまして、必要な技術導入等をはかりながら、積極的に推進をいたしてまいると考えております。
  217. 近江巳記夫

    ○近江委員 科学技術庁にお伺いしますが、あなたのほうでも日本近海並びに東シナ海等の問題については非常に積極的に検討なさっておる、このようにも聞いておるわけです。今後科学技術庁として具体的にどのような調査、またどのような対策を立てていらっしゃるのか、ひとつ答弁を願いたいと思います。
  218. 高橋正春

    ○高橋(正)政府委員 お答えいたします。私どものほうの所管いたしますことは、各省庁で行ないます研究の調整、総合的な推進という立場から事をいたすわけでございます。御承知のとおり、海洋開発は、科学的な観測、分析、いろいろな技術の面におきまして、各省庁が担当いたしておりますところの研究の内容が競合いたしますので、互いに結集いたしませんと効果が及ばないものでございます。そこで私どもは、海洋科学技術審議会という共管の諮問機関がございまして、これが三十八年でございますか、海洋科学技術に関する総合調査研究計画という今後の研究の大綱をお示しいただきました。これにのっとりまして、それぞれの各省庁が行ないますところの研究の内容の大綱が定めてございますので、これに基づきまして各省庁が研究を行ないます場合に、これを予算の見積もりの調整を行なうことが第一点。それから各省庁が総合的研究を進めます場合に、予算的な裏づけといたしまして、私のほうから研究調整促進費というものを支出いたしまして、関係各省庁が総合的に研究を行なっていく、これがいままでのやり方でございます。  御指摘の点でございますけれども、たしか四十二年度におきまして海洋開発に関しますところの各省庁の研究予算は三億に満たないような数字でございますので、この点やはり新しい国家的な大型のプロジェクトとして今後開発していく必要があるというふうに考えております。ただ、ちょっと申し上げましたとおり、これは実施官庁が農林省、運輸省、通産省、文部省と各省の所管にわたりますものが非常に多うございますので、その点につきましては十分調整をいたしました上、国全体といたしまして総合的に推進するような方向に持っていきたい、こういう考え方で現在今後の長期的な計画の推進につきましての案を検討いたしておる段階でございます。
  219. 近江巳記夫

    ○近江委員 まず一つは、各省庁のそういった連絡調整並びに当然そうした指導方向をやはりきめていらっしゃるのが科学技術庁であると思う。私が聞いておるのは、アウトプランなりそうしたものを示してもらいたい。考えておるということはわかっておる。そのことを聞いておるわけです。もう一ぺんその点を答えてください。  それから両角局長は、要するに前向きにそうした海底の資源の調査をやっていくとこの前あなたは答弁なさった。いまの話では三億。あのときに私は、海上保安庁なりあらゆるそういった省庁と連絡をとって十分なる調査をしてもらいたいと言ったときに、あなたは約束なさった。連絡調整、科学技術等で三億だ。何ができるのですか。両方から答弁してください。
  220. 高橋正春

    ○高橋(正)政府委員 ただいま構想の段階でございますが、先ほど申し上げました海洋科学技術審議会におきまして、技術的に開発すべき研究項目として次のようなものがあげられております。第一番目は有用生物資源、これは要するに漁具で捕獲するようなもの、あるいは養殖というようなものによりまして、主として海産物関係の漁獲技術でありますとか、あるいは資源の保存技術でありますとか、あるいは海況の予報技術でありますとか、その他各般のこまかい技術的な内容にわたっております。  それから第二番目の柱は、海底の鉱物資源でありまして、石油、天然ガス、石炭、金属あるいは非金属等の採鉱技術、あるいは海上からのボーリング技術、あるいは探鉱採鉱技術等の開発ということが必要である。  それから三番目は、海水に溶存をしております塩、マグネシウムというような資源の能率的な採取の技術を開発しなければいかぬ。  四番目には、いわゆる海洋のエネルギー源としての利用でありまして、たとえば潮流のエネルギーであるとか波浪のエネルギー、そういうふうなエネルギー源としての海洋のとらえ方。  五番目には海水の淡水化、これは工業用の問題あるいは船舶、離島等で用います飲用水の問題でございますが、コストの安い水の製造技術を目的としておるものと思います。  そのほか、海洋を利用いたしますために最近渡海工事でございますとか、あるいは海岸の工事、海底の構築物あるいは海底公園というような種々の面で海洋の利用を考えておるわけですが、これらを実現いたしますために、関連いたします技術を開発するということを考えております。そのうち大陸だなの開発の問題でありますけれども、これは先ほど申しました審議会の過程でも御指摘がございましたし、私どもといたしましても、早急にこれを取り扱う必要があると思いまして、四十年度以降特に海底の、これは主としていまのところは水産資源を考えておりますけれども、そういうものを開発いたしますために、その基礎となりますところの潜水技術の開発をまずやっております。それからその次には沿岸の大陸だなにおきますところの地形あるいは地質というものを、できれば海底図というものを今度作製するような必要もあるかと思いますので、そのような沿岸大陸だなの地形、地質に関しますところの総合調査研究、特にボトムソーナー及び超短波によりますところの海底の地形等を調べますところの機器をただいま開発いたしております。それからこれは海洋のマイナスの面と申しまするか、沿岸海湾にいろいろな災害的な要素のものも加わりますので、沿岸の海湾におきますところの海象に関しますところの研究をいたしております。そのほか、これは国際的な関係でございますけれども、御存じのとおり、政府間海洋会議におきまして、黒潮の調査をするということであります。特に日本は東洋におきまして黒潮の研究につきましては多年蓄積を有しておるわけでございます。四十年度以降特に黒潮が変動いたしますが、この変動の状況につきまして、三カ年計画で現在も総合的な調査研究を進めております。なお当庁独自といたしましては、水深六百メートル程度に潜航いたしまして、科学的な観測並びに実用面におきますところの種々の調査等を行ないますために、四十一年度から三カ年計画で潜水調査船をただいま建造中でございます。これが四十三年度に完成いたしますと、海底におきますところの種々の科学的並びに応用的調査研究につきまして、大幅な進歩が生ずると思います。現在私どものほうで考えておりますことは以上でございまして、その他につきましては、各省庁からの御要望によりまして、これを十分に調整いたしまして協力ができるように相はかりたい、このように考えております。以上でございます。
  221. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のように、大陸だなの開発につきましては、通産省といたしましても、当然前向きの姿勢でこれを推進する所存でございます。特に石油の開発につきましては、すでに通産省に置かれておりまする石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会におきまして、海底油田の開発を優先的にかつ重点的に推進すべきであるという方針が立てられております。この方針に即して今後も諸般の計画を推進をいたす所存でございますが、今日までのところ、政府みずからの予算といたしまして、秋田沖におきます基礎調査につきまして一億五千万以上の投入をいたしております。また補助金といたしましては、新潟県の頸城沖の海底探査のために一億円の補助金を計上いたしておる次第でございます。このほか政府以外の民間で行なわれまする海底開発、先ほど申しました出光の計画等につきましても、極力これを支援いたす体制をとっておりまして、たとえば膨大な鉱業権の出願が行なわれておりまするが、その処理の迅速化につきましては、各通産局を督励して遺憾なきを期しておるわけでございますし、また将来開発公団等が発足になりました際には、設備の貸与あるいは技術の指導といった面でも、民間の計画に対しまして積極的な協力体制をしくことになろうかと思っております。通産省としましては、以上のような諸般の施策をあわせまして、大陸だなの開発ということに取り組んでまいりたいと考えております。
  222. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまお聞きしましたが、私が前からいろいろと申し上げておる東シナ海のそうした調査が全然計上されてない。要するに、やりますやりますということにおいて、具体的にそれをしなければならないのに、その場限りの答弁では——これは一年も前から、ずっと以前からもこの問題が取り上げられている。あのエカフェの参加の問題にしても、要するに最初にそのように調査をしておいたところがやはり最優先権がある。日本全体のことを考えれば、当然この問題については積極的に取り組むべきである。あなたもこの意見については同意なさったはずだ。その問題を言っておる。  それから科学技術庁、特に石油の問題についてどのような調査また対策を練っていらっしゃるか、その点をもう一度お聞きします。
  223. 高橋正春

    ○高橋(正)政府委員 私どもの業務の所管範囲は、先ほど申し上げましたとおり、単独で業務を行なう官庁でございませんで、各省庁が研究業務をおやりになります際に、これを調整いたし、かつ必要な場合には調整費等の予算を計上いたしまして研究を促進するという立場でございますけれども、先生御指摘のような点につきましては、先ほど申しました海洋技術審議会の御答申の中にも触れておったというように私記憶いたしておりますので、調整の際には、通産省当局とも十分に御相談いたしまして、できるだけ前向きな形で、事後的な調整ではなくて事前的な調整もはかりたいと思っております。なかなか予算のワク等もございまして実現をいたしておりませんけれども、今後十分に努力いたしたいと思っておる次第であります。
  224. 両角良彦

    両角政府委員 東シナ海の大陸だなの問題につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、エカフェにおける鉱物資源調整委員会の審議の経過、内容、各国の見解等を報告を受けまして、具体的な対処方針を定めるつもりでございますが、ただいまのところで申し上げますと、御承知のように、シナ大陸から張り出しておりまする大陸だなは、水深二百メートルまでのところでございますが、これはほとんど圧倒的な大部分が中共に所属をする大陸だなでございます。したがいまして、わが国の面積の倍にも及ぶ広大な大陸だなは、そのほとんどすべてが中共の大陸だなでございまして、その地下資源の開発権は中共に所属しておるわけでございます。したがいまして、わが国としてこれから東シナ海大陸だなにつきましてどの程度有効な、かつわが国安定供給に寄与する探鉱が行なわれるかどうかは、はなはだ心もとない情勢であろうかと思っております。
  225. 近江巳記夫

    ○近江委員 それではこれは要望でありますが、科学技術庁も非常に前向きの、ただ単なる調整ではなく前向きに進めていきたい、こういう意見もいまお聞きしたわけです。調査といっても、なるほど厳密な調査はボーリングをしなければならないし、ばく大な費用がかかる。しかしそうした近海の調査とかいう点については、いろいろな点において簡単に調査できる方法があるわけです。そういう点において早急に日本近海さらに東シナ海の総合調査を今後通産省として全力をあげてやっていくかどうか、あなたの前向きな最終的な意見を承りたいと思うのです。
  226. 両角良彦

    両角政府委員 日本海を中心としまする大陸だなの開発、特に石油の探鉱のための大陸だなの開発につきましては、積極的な姿勢で対処してまいるつもりでございます。東シナ海の問題は、ただいま申しました特殊な問題でございますので、現段階におきましては、われわれとしては関心がないというところでございます。
  227. 近江巳記夫

    ○近江委員 関心があるとかないとかの問題では私はないと思うのですよ。幾ら大陸だな条約かもしれないけれども、要するにそうした調査においてはそれほどの大きな費用はかからない。私は将来のことを考えて、この点について前向きに調査すべきである、この点を申し上げておるのです。その点についてどうですか。
  228. 両角良彦

    両角政府委員 先ほど来申し上げておりますように、最終的にはエカフェの調整委員会の報告を受けました上で、態度をきめたいと考えております。
  229. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、それはあくまでも物理的な問題ですね。あなたは中共の問題という政治的な問題とからませたけれども、エカフェの報告によって、そういう可能性が非常にある、そういう場合においては、政治的な問題を当然入れないで、純粋な立場で調査する、こういうことですね。
  230. 両角良彦

    両角政府委員 政治的な問題ではございませんで、要するに、他国の大陸だなについては、わが国に開発権がないというだけの事実を申し上げておるわけでございますが、調整委員会の報告を待つというのは、調整委員会におきまして、いろいろ技術的な問題をこれに加えて議論があっただろうかと思いますので、さような点も加味して、われわれの態度をきめたい、こういう趣旨でございます。
  231. 近江巳記夫

    ○近江委員 今度は公団の問題ですけれども、まず一つは、業務方法書ですね。当然公団法が成立して、それから一歩踏み出すことと思いますけれども、大体のアウトプランはできておるのですか。
  232. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘の業務方法書は、この法律案の通過を見ました後に、公団が発足いたしまして、その公団における責任者の意見をもとにつくられてまいると考えております。
  233. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう明細等については、それは当然そうですよ。責任者のもとで、当然それはつくるべきである。しかし、事実上、この成立も間近い状態です。けれども、やはりある程度のアウトプランができてないで、ただトップに置いた人だけにたよる、こういうようないいかげんなことで公団をつくってはちょっとまずいと私は思います。だから、私の言うのは、大体のアウトプランを聞いておるのです。
  234. 両角良彦

    両角政府委員 御承知のように、業務方法書は、公団の業務の運営に関する公団内部の基礎的な取りきめでございまして、その業務は、法律案の第十九条に掲げましたような各種の探鉱資金の供給もしくは債務保証、機械貸し付け、技術指導等々の業務になっておるわけでございます。それぞれこれら業務に対応いたしまして、その円滑な運営が公団の組織内部で行なわれるよう明細な規則をつくることになろうかと思っております。
  235. 近江巳記夫

    ○近江委員 ではその問題は、今後成立になってから、またいたします。  それから、公団は、開発事業といいますか、これを直接やらないわけですね。ですから、そういう点において直接探鉱並びに開発、そういった点にまで手は延びないのか、その点をお聞きしたい。
  236. 両角良彦

    両角政府委員 海外における探鉱もしくは開発につきましては、石油開発公団は直接事業を行ないません。国内につきましては、国内の石油及び可燃性天然ガスの探鉱に必要な地質構造調査は、直接事業として行なうことになっております。  なお、経過的な三年間は、現在石油資源の行なっておりまする直接事業を承継することになっております。
  237. 近江巳記夫

    ○近江委員 その理由は何ですか。
  238. 両角良彦

    両角政府委員 元来、石油の探鉱開発は私企業が行なうのが原則でございまして、政府もしくは公団、そういった公的な立場からは、その運営もしくは事業がやりやすいように、これに助成をし、援助を与え、協力をするというたてまえをとるべきであると考えております。かような意味におきまして、公団はもっぱら総合的な開発の推進母体という役割りを果たすべきでございまして、開発そのものに従事いたしますのは、私的な企業にまかせるのが妥当である、かような判断のもとにかようにいたしたわけでございます。
  239. 近江巳記夫

    ○近江委員 その私的な企業を国際的に見ると、やはり相当の差があると思うのです。そういう点において相当の圧迫を受ける。こういう点から考えて、強力なそういった作業というものを進めていかなければならない、このように私自身は考えておるわけです。この点はどうですか。
  240. 両角良彦

    両角政府委員 わが国石油開発に従事します企業が、国際的に見まして、なお弱体であり、かつ国際競争場裏におきまして十分な力を発揮し得ないではないかという点につきましては、全く同感でございますが、まさに石油開発公団は、そのような弱体なわが国の進出企業というものに対して資金的、技術的なバックアップを与える、それによっていささかでも強力な進出体制を整えてもらうということを目的にいたしておる次第でございます。
  241. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、この石油資源開発株式会社はどのくらいの負債があるんですか。
  242. 両角良彦

    両角政府委員 昭和四十二年度末におきまして、十八億三千万円でございます。
  243. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、現在の石油資源開発株式会社そのままの内容を受け継ぐわけですね。
  244. 両角良彦

    両角政府委員 法律の規定によりまして、さようでございます。
  245. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほども問題になったようですが、要するに、期限は三年間である。会社にちょっと聞いてみますと、千三百二十四名ですか、従来員がいる。そういう点において不安がっておるわけです。将来その運営についてどのようにそういった点を考えていらっしゃるか。そういう人事等の面も含めて大体の構想をお聞かせ願いたいと思います。
  246. 両角良彦

    両角政府委員 公団に承継をいたしました場合に、公団の中で現在石油資源の行なっております直接事業を担当しまする部分は、区分経理を行ないます特別な組織においてこれを担当いたすことになります。その特別な組織は、現在の石油資源開発株式会社の事実上の組織をそのまま受け継いでくる形態になろうかと予想をいたしております。
  247. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから税金の問題ですけれども、いま大体ガソリン税で三千八百五十三億、それから関税、軽油引取税、石油ガス税、総計すると五千七百七十二億、このくらいの税金になっておるのではないかと思いますが、今後の税金の問題について、要するに開発公団が民間にそうした海外の開発を実際に当たらせる点において相当負担がかかるのではないか。直接税金とは関係はないと思いますけれども、助成措置、その点をどのように考えていらっしゃるか、この点をお聞きいたします。
  248. 両角良彦

    両角政府委員 御質問の趣旨は、多少私誤解いたしておるかもわかりませんが、四十二年度における石油関係の諸税、すなわち関税、揮発油税、軽油引取税、石油ガス税を合わせまして、税収見込みは、五千五百七十二億円という巨額の見込みでございます。これは石油政策のためということ以外に、いろいろな財源として用いられておりまするが、これが現段階におきまして、はたして石油価格体系の面から見て妥当な税体系であるかどうかというような点は、なかなかむずかしい問題でございまするが、今後エネルギー調査会におきましてこの問題を検討をいたしまして、税及び価格のあり方というものについて、長期的な方針を見出していきたいと思っております。
  249. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは、もう時間もだいぶ切迫しておるようでございますので、私の質問は以上で終わらしていただきたいと思いますが、これは要望でありますが、先ほど私の申し上げた特に東シナ海の問題、それから日本近海のその点について、総合的な全域の調査を、通産省のほうで強力に推進をしていただきたい。この点を特に要望しておきまして、私の質問を終わらしていただきます。
  250. 岡本富夫

    岡本(富)委員 関連質問でございますが、両角鉱山局長に、先般の船舶の油による海水汚濁防止法案のときに、百五十トン以下のタンカーが、石油コンビナートのところへ油の給油に来た場合、これはバラスト水、油のかわりに水を必ず積んでこないと、船がひっくり返って、そこまではこれない。こういうことになりますと、どうしても油の給油においては、そのバラスト水の処理施設がないと、その付近の海水は汚濁してしまう。それについてそのときに、あなたとそれから運輸大臣説明を求めましたが、両省においてよく相談をして、そして私のほうへ返事をしてもらう、こういうようになっておったのですが、その後何の返事もない。それで通産大臣と運輸大臣でこの重大な問題についてお話し合いがあったかどうか、それについてひとつ。
  251. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまの問題につきましては、当時承りました御見解では、石油会社側にバラスト水の処理施設を義務づけることを考えているかどうかという御質問と記憶いたしております。さような点につきましては、今回の海水油濁防止法案の趣旨は、港湾管理者におきまして海水油濁防止施設を設置することをたてまえといたしておりまして、それ以外の者が設置をいたします場合は、許可もしくは届け出でこれを行なうという制度になっておるわけでございます。したがいまして、石油のサイドから申しますと、港湾管理者が設けまする海水油濁防止施設の運営等につきまして、あるいは敷地の選定その他について積極的な協力はいたすべきものと考えておりまするけれども、石油業界がこれを義務づけられるという問題につきましては、法律のたてまえが変更になりまするので、運輸省における御検討も待った上でないと、通産省としてもにわかに意見を申し上げるわけにまいらない、かような趣旨を申し上げた次第でございます。その後運輸大臣の御見解も、その点につきましては全く同一の御見解であることを、参議院の公害特別委員会において表明をしていただいておりますので、運輸省及び通産省の間の見解は、ただいま申し上げましたような趣旨において、一致をいたしておるという点を御報告を申し上げます。
  252. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうすると、港湾管理者のほうでそれはやるのだ。その港湾管理者が要するに義務づけられたあの指定港は大体六カ所あったと思うのです。それ以外に、たとえばあのとき私は言いましたように、今度播磨工業地帯に出光石油が進出してきて石油コンビナートをつくる。これについて播磨あるいは家島のほうの漁民が、むしろ旗を立てて、そうしてタンカーから出てくるところのバラスト水を防ごうと、猛烈な反対をしているわけです。暴力ざたにもなりかねない。こういう面を考えますと、これは全国至るところ——経済の発展のためには石油事業は必要である。ところが、それによって漁民が被害を受けて、生存権をあぶなくされる、こうなりますと、あの法案はまたざる法になる。したがって私は、あのときに、石油コンビナートのある施設のところには必ずそのバラスト水なんかの排水の処理をしないと、これは結局使えなくなる、今度その石油コンビナートから油を給油しようとすると海がきたなくなる、こういうような矛盾があるから、あの法案以外に、石油コンビナートのあるところには必ず施設を義務づける、こういうようにしないと、日本の経済は発展はしないし、漁民の反対にあって今後たいへんなことになる、こういうことで両大臣、要するに両省において意見を一致させてもらいたい、こういうように言っておきましたが、いまあなたの答えによると、どうも関係ない。私が言ったのと全然違う。要するにあの法律案だけについてのお話であって、次に来たるべきところの、実際の現実に日本の国の漁民を守る、海を守る、しかも今度は石油事業を発展させていく、それにはどうしてもこれが必要である。こういうことについて、私は両省で意見をきちんとして一致させて報告をしてもらいたい。どちらかといえばこれは通産省のほうの問題であると私は思うのです。ですから通産大臣どうでございましょうか。
  253. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私いま初めて聞いたので、全然存じませんから、私からちょっとお答えはできません。
  254. 岡本富夫

    岡本(富)委員 鉱山局長、あのときの模様をあれしますと、あなたははっきり私の言うことを聞いてなくて急に立ち上がったわけですが、これは若干あなたは勘違いをしている。しかも私は、全漁民の——またみな夏になりますと海水浴なんかを楽しむ、それに対してどうしても必要だから申し上げた。それに対して大臣報告もしていない。こんなことではあのときあの委員会に何で出席をなさっておったか。またあと大臣にこの報告をしていないということは、非常に怠慢でないかと思うのですが、どうですか。
  255. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘の、石油業者に義務づけることが将来必要でなかろうか、それについて運輸省と見解を調整せよという御意見と承っておりまするが、そもそも今回の海水油濁防止法案を作成いたしまする段階におきまして、運輸省及び通産省事務当局は、それらの問題を含めましていろいろな検討をいたしたわけでございまして、結局の結論は、石油側は荷主としての立場である、したがって海面の油濁の防止の義務というものは、むしろタンカーの運航を行なう側か、あるいは港湾管理者の側が第一義的にこれを考えるべきではなかろうかということが運輸省側の御見解でもあり、またわれわれもこれに賛成をいたした経緯がございまして、したがいまして、法律案といたしましては、荷主としての石油業界につきましては直接的な義務を負わせるたてまえをとりませんで、港湾管理者がまず一元的に油濁防止施設を設置、管理をいたす。それに対しまして石油業界もユーザーの立場から運賃その他の面で協力をしていくということになっておるわけでございます。したがって、その点につきまして、われわれはただいま申し上げたような解釈で運輸省と通産省との間に見解の統一が行なわれておると考えておるわけでございます。なお、さような趣旨でございますので、あらためて石油業者にこれの義務づけを行なってはどうかという御質問を先般承ったので、それはむしろ新しい問題といたしまして、石油業界としては協力のつもりはあるけれども、義務づけについては別の問題といたしまして考えなければならないという御答弁を申し上げた次第でございます。
  256. 岡本富夫

    岡本(富)委員 あなたあのとき答弁しなかったのですよ。あの問題は運輸省の問題ですと言い、運輸大臣に聞くと、それは通産省の問題ですと言って、両方押しつけ合って、結局ぼくは折衷案をとって、両省で相談をして、この法律案にかかわらず今後どうするか——これは現実の問題ですからね。石油事業を発展させよう、これは日本の経済にとって非常に大事なことです。それについては今度は漁民の反対あるいは住民反対石油コンビナートができない、こういうことになってはぐあいが悪いから、あの法律案と関係なく両省でよく相談をしてと、現実の問題について私は要望をして、そして打ち切ったわけですけれども、それについて、この法律案については何か見解が一致したとか言いますけれども、この海水油濁については全然そのあとの話し合いは大臣が知りませんからね。通産大臣、これは大事なことですよ。ですから、いま石油公団のいろいろな話も出ておりますけれども、結局今度は日本の国で使う状態、あらゆるところに給油されて、そしてそれを運営するにおきましては、いまのあなたのような考えでは、これは行き詰まってしまうのです。したがって、これはやはりどうしても施設を義務づけていく。ちょうど便所がないのと一緒ですからね。これはこまかく私はあなたに説明したはずです。バラスト水をあの法律案できめられたように一万メートルも先へ捨ててきて、そうして給油所のところへ来て入れられるのだったらよろしい。ところが、そんなことをすると船がひっくり返るわけです、特に季節風なんか吹きますと。そうすると、どうしてもその給油のところへ捨てなければならぬ。そうすると漁民が困る、あるいはまた住民が困るというわけで、いま反対しているわけですから。そうするとそれはタンカーのほうの、要するに輸送のほうの関係であって、石油会社は関係ないのだ。それではちょっとおかしいと思うのです。私はこれはこまかくるるあなたにも、また運輸大臣にも説明をしまして、では両省でよく相談をして、これは次の問題ですけれども、返事をしますと、こういうことになっている。通産大臣、実はこういうことになっているのです。ですから、いま鉱山局長がうまく両省で意見一致しましたと言うのは、あの法律案については意見一致したのです。ところが現実に今度は石油コンビナートを使ってする場合には、これは意見どころか、まだ何も検討していない。検討したのだったら、した経過を私に言ってください。
  257. 両角良彦

    両角政府委員 御趣旨はよくわかりましたが、あの法律案を出しまする段階におきまして、石油業者にバラスト水の処理を義務づけるべきかどうかということは、両省の間で議論済みでございまして、結論的には、港湾管理者が設置するという案で法律案が出ておるわけでございます。しかし先般も御質問がございましたので、その後あらためて両事務当局の間でその問題を整理をいたしましたが、結論は先ほど私が御答弁申し上げたような内容に意見が一致しておるわけでございます。しかしわれわれとしては、公害が起きていいとはちっとも考えていませんで、現実にたとえば姫路の出光計画等につきましては、設備の許可にあたりまして、公害を起こさないような十分な措置あるいは設備、施策というものがとられているかどうかということを許可の判断の基準としてとってまいるわけでございまして、さような面から、もちろん漁民の方々に御迷惑をかけるような施設を放任するつもりは毛頭持っておりません。しかしながら、先般の法律案におきましては、ただいま御説明申し上げましたような経緯でございますので、その点を御了解いただきたいと思います。
  258. 岡本富夫

    岡本(富)委員 あの法律案は、あなたは御存じだと思いますが、あれは指定の港は全国で六カ所ですよ。ところがこれから石油コンビナートはあちらにもこちらにもできてくると思うのです。できなかったらいまのところは輸送に困るわけですからね。そうすると、どうしてもこの石油コンビナートをつくるのに要する船の便所、バラスト水を処理するところをつくってあげなければ、またつくらなければ、現実としてどうしようもないわけです。したがってこれは、石油業者にそのバラスト水を処理するところの施設を義務づけないと、どうしようもないわけです。次に起こっている問題ですよ、あの法案以外に。したがって、これは通産省の問題である。いや、海水がよごれるのはこれはうちと違うのだと言いますけれども、やはり日本の大きな施策からいいましたら、それをしなければ、これは運輸省ではどうしようもないのです。それは郵政省では、ほかではどうしようもない。だから石油コンビナートの施設のあるところにはその排水施設をつくる。これを陸上にしますと、陸ではガソリン補給所なんかありますね。ああいうところにおいても人間の便所もあるのです。それから車を洗うところの施設もある。非常に片手落ちじゃないですかそれでは。どうですか、片手落ちでしょう。事実、規制をしますと、船が来てそれを積めないわけです。わかりましたか、バラスト水を捨てるとみな困りますから。そうすると、そのバラスト水を処理する処理場を石油コンビナートのあるところには義務づけないと、相当な金がかかるわけですからつくらないですよ。ところがいま言うたように、そういうところに対しては許可をしないと言いますけれども、それだったら六港だけしか許可できないですよ。こんなことでは日本の国の石油事業というものは発展しないわけです、日本の国には六港しかできないわけですから。この点について、いま聞いておられてどうですか。
  259. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私も船のそういうなにの詳しいことは一向わかりませんが、あとで鉱山局長によく聞きまして、運輸省と相談すべきことがあればあとで運輸省と相談して、またあらためて御答弁することにいたします。
  260. 岡本富夫

    岡本(富)委員 じゃ、いま大臣から、まだ何も聞いてなくて、これから検討するということですから、ひとつ実際に国民の困らないように検討していただいて返事をいただきたい、これを要求しまして終わります。
  261. 島村一郎

    島村委員長 丹羽久章君。
  262. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 関連で質問せられた方がまだ聞きたいようでありますが、私も正式にお願いをいたしておきましたので、ちょっとだけお尋ねして、時間的に六時までに切り上げたいと思いますから、簡明率直にひとつお答えを願いたいと思います。お願いをします。  臨時行政調査会が公団は整理統合せよということを強く主張いたしたことは、大臣御存じのとおりだろうと思います。それにもかかわらず今度の石油開発公団という法案をでかすということについても、この公団を設置するには、総理が言っておられたように、整理統合の答申はあっても絶対に必要なものはでかすんだ、そして不要なものに対しては、答申を重んじて、これは整理統合していくんだ、こういうことでありますから、この石油開発公団というものの必要性というものは、大臣も総理も十分に御検討の上において、このような組織立った公団ができたものだと思って、私はこの提案せられた案件について読んで見ましたら、最も必要だと思うのです。あえてこれに反対する者でもございませんし、賛成する者の一人でありますが、聞くべきことは聞き、ただすべきことはたださなければならぬというのが私の使命であり、国民から送り出された議員としての責任だと私は思っております。だから一時的な答弁というよりも、ほんとうに国家を思い、そして日本の最も大切な石油問題に対して取り組んでいただく公団というものの将来のあり方という点について、あるいはこれからの運営について、私は五、六点尋ねたいと思いますから、そのつもりでひとつお答えをいただきたいと思います。  五月の十七日だと思いますけれども、私は局長さんに御答弁いただいた。それは、どういうことを私が質問して御答弁をいただいたかと申しますと、日本で生産せられるところの油はどれだけなんだ、海外からどれだけ入ってくる、そしてそれに対してもしもの事態が起きたときには、日本は一体油の持ち量はどれだけあるんだというような質問をしたことは、記憶に残っておるだろうと私は思います。そのときに驚いたことは、これだけ日本が発展をし、そしてその重要な役割りをするところの油を、海外から八十数%あるいは九〇%近くも入れておるんだ、そしてほんとうにわずかのものしか日本により生産できないという話である。そのときに、私はこういうことばを申し上げたはずです。不幸にして、いまの戦争が大きくなるようなことになったら、油がとまるというおそれがある、そういうような事態に対しては、どういうお考えを持たれるか、こう言ったら、それに対しての答えは、世界の国の例をとってみると、大体三カ月ぐらいの保有量であります、日本は二十日間ないし二十五日間だ、こういうようなお話でした。私はそのときにずいぶん声を荒くして、日本は島国であるから、よその国と違って大陸続きでないんだ、中立国家といえども、封鎖せられた場合のことを考えてみれば、そんなことではたいへんなことであるから、ひとつぜひ当局としては考え、国として考え、そしてその貯蔵量をもっと多く持つことを民間と政府とが相協力してやっていただくことが必要でないかということを要請したのです。それに対しては、そのとおりであるという御答弁でありましたけれども、私があのときに、中近東において大きな問題が起きたら、アラビア石油やなんか入らないようになる事態が起きたらと言ったら、私は先覚者であり、ずいぶん頭のいい丹羽久章だったなとほめられたかもしれない。私はそうは言わなかった。もしもということばを頭に置いて、世界を対象にして話をいたしました。六月の五日にはイスラエルとアラブとであのような事態が起きている。そしてスエズ運河は封鎖をするというような状態になってきた。しかし幸いにして、これは何とか話し合いがつき、スエズ運河の閉鎖もやがて解除せられ、そうして日本は大きな影響を受けずに済みそうだけれども、これがもし、スエズ運河が今後ずっととめられてしまうというようなことになり、日本が中立国家としての立場をなくして、イスラエルの肩を持つようなことがあったら、アラブはおそらく日本に対して反感的な考えを持って、油を売らないというような事態もないとは予言できなかった。しかし幸いにして、日本に対してアラブ国は好意を持ってくれたことは新聞にも書かれている。それがために、今日まで上がる上がると言いつつ一部では買い占めをしておっても、現在のところではまだ油の価格にあまり大きな変動のないということは、政府の指導よろしきを得たことが大きな原因であろうと、私はその点は皆さんの努力に対しては感謝している。しかし、これからさきということに対しては、私は一つの心配を持たなければならない。そういう意味から、この石油開発公団というものがいよいよ本格的な乗り出しをしてきて、石油というものの確保をしようということでこれができようとしていると私は思う。それで提案をせられている。  そこで、いよいよ第一段階に入りたいと思うが、公団をでかすゆえんというものは、総合エネルギー調査会の答申に基づいてできることになった。この総合エネルギー調査会は、どういうようなメンバーによって、どういうような形によって構成せられているかということをお尋ねいたしたいと思います。簡単に御答弁をいただきたい。これは大臣に聞きたい。
  263. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 総合エネルギー調査会設置法という法律が昭和四十年に成立いたしまして、会長は植村経団連の副会長、学識経験者で、委員が二十人、臨時委員が十六人でありまして、この総合エネルギー調査会によって答申が出まして、それによって今度の石油開発公団をつくることになった。したがいまして、総合エネルギー調査会というものは政府の提案によってできた次第であります。
  264. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 総合エネルギー調査会というものは、いまの大臣のお話を聞くと、政府の提案によってできたというが、その調査会の会長がだれであったか、一生懸命調べて御答弁いただくということは——少なくとも総合エネルギー調査会の答申を尊重してこういうものができてきたと私は考えております。そうではないのですか。そんならそれはひとつ鉱山局長から御答弁をいただきたい、あなたが一番よく知っていらっしゃるから。大臣にあまりくどく聞くのはどうかと思いますからね。
  265. 両角良彦

    両角政府委員 総合エネルギー調査会は、ただいま大臣が御答弁申し上げましたように、委員二十名、臨時委員十六名で構成されておりまして、委員長は経団連副会長である植村甲午郎氏であります。なお、これには部会が四つつくられておりまして、総合部会長有沢氏、需給部会長円城寺氏、石油部会は同じく有沢氏、原子力部会は松根氏、この方々に司会をお願いをいたしましてやっております。
  266. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 そういうりっぱな人々が総合エネルギー調査会に出ておって、そこからの石油開発公団をでかしたほうがいいだろうというような意見も取り入れ、できることになったと思いますから、それはいいのです。  今度の公団の資本金は四十億円、そういうことになっておりまして、そして石油資源開発のいままで出資されておる百二十八億五千六百万円というものと合計いたしまして、百六十八億五千数百万円でこの事業をやろうということがこの趣旨だと思うんですね。そうすると、この百六十八億ぐらいの金で、率直なことを申し上げて、海外の油を九〇%も九十数%も入れなければならぬ日本として、これだけの金で資源開発に対するほんとうの仕事ができるだろうかどうだろうか、それに私は非常な心配を持つんです。しかも今度出る金は四十億、前の株式会社でやっていた金が百二十八億だ。この百二十八億はすでにいろいろの試掘をしたりあるいは調査を進めたりして相当使われつつある状態にあろうと思うので、ほんとうに政府が出資するというお金は今度は四十億よりない。合わせると百六十数億であるけれども、実質的に使える金は一体どのくらいであるか、その点をひとつ聞きたいと思います。
  267. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のように、今日まで石油資源開発株式会社に出資をされておりました百二十八億円は、それぞれ内外の直接事業に投下をされておるわけでございますので、四十二年度以降の新しい海外開発の推進のために用いられることの可能な資金はさしあたり四十億円、四十二年度出資分の四十億円ということになるわけでございます。もとよりこの金額をもって十分な海外開発を行なうためにはなお不足であるわけでございますが、来年度以降もそれぞれ財政面から開発資金の投入をこの公団に対してお願いをするということで将来の海外開発の促進をはかってまいりたいと考えています。
  268. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 それではお尋ねいたしますが、石油資源の、今度解散するというこの株式会社組織によったこれは、いままで政府としてどれだけここへ金を出されて、どのような成果をあげてきたか、あるいはどんなような動きをしてきたかということについて、ごく簡単に説明をしていただきたいと思います。
  269. 両角良彦

    両角政府委員 石油資源開発株式会社に対しましては、政府の出資金は累計百二十八億五千六百万円という金額でございます。この出資をもちまして、石油資源開発株式会社は、国内における原油、天然ガスの探鉱、採油並びに販売を行なってきたわけでございまして、探鉱投資額は昭和三十一年度以降毎年二十億ないし二十三億の投入を行なってきております。また、原油の生産は、三十六年度以降三十八万キロないし四十八万キロといった間で生産が行なわれております。天然ガスにつきましては、大体五億立米程度の生産を行なうような段階に達してきているわけでございます。  なお、これらの出資金をもちまして行ないます営業活動の売り上げにつきましては、昨今は大体五十億円前後の売り上げを示しておる次第でございます。  また、損益計算につきましては、昭和三十五年度以降各年度黒字を計上いたしておる次第でございます。
  270. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 それでは、石油資源開発株式会社というのに年間大体二十億ないし二十三億を投入してきた。そうすると、この民間会社は特定せられた会社であったのか、全日本石油を取り扱っている人たちがこういう会社、石油資源開発株式会社に加入しておったのかどうかという点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  271. 両角良彦

    両角政府委員 石油資源開発株式会社は、昭和三十年の石油資源開発株式会社法によりまして設立されました特殊法人でございまして、その業務及び人員の主たる部分は、帝国石油会社からの受け入れによって発足をいたした性格の会社でございます。
  272. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 ちょっとそれは、帝国石油会社の何ですか、もう一度お尋ねいたします。
  273. 両角良彦

    両角政府委員 帝国石油株式会社の鉱区及び技術者、労務者を引き継ぎまして、石油資源開発株式会社という会社が昭和三十年度に特殊会社として発足をいたした次第でございます。
  274. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 そうすると、両角さんにお尋ねいたしますが、石油資源開発株式会社というのは、大体帝国石油に出資をしてきたといってもあえて過言じゃないと、こういうことなんですね。ほかの会社、日石だとかあるいは他の会社にはあまり関係なかったということなんですか。
  275. 両角良彦

    両角政府委員 政府石油資源開発株式会社に対しまして毎年出資を行なってきたわけでございまするが、その出資金は、石油資源開発株式会社がみずからの探鉱活動のためにこれを投入をしてまいったわけでございます。帝国石油に対しましては別途、天然ガスの探鉱補助金等々の交付を行なってきております。
  276. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 それでは、その問題は両角局長のおっしゃることがほんとうでありましょうから、昭和三十年当時のことで私にはわかりませんから、それはやめます。  その次にお尋ねいたしたいと思いますことは、こういうような公団ができる場合、総裁が一人と副総裁が一人、理事五人以内の役員は、通産大臣が総裁を任命し、総裁は大臣の認可を受けて副総裁、理事と任命することになっておる、こういうことですが、いま特にこの公団の役員に対しては天下り人事をやるという声が非常に多いのです。これはもう新聞でたたかれ、世論もいろいろのことを言っておる。しかも公団理事は、常任であって常任にあらずして、しかも給料はどえらい給料を取っておるというようなことが、うそかほんとうか知りませんけれども、書かれておる。特に大蔵省なんかの役人が何かそれに対しては特別頭数がたくさん入っておるというが、今度のこの公団に対して私は、特に賛成する一人として、そういう人事のないことを望むのですけれども、これは通産大臣、そういうような批判も受けないりっぱな総裁をひとつつくっていただき、そうしてまた役員をつくっていただきたいと思っておりますが、お考えをひとつ率直に述べていただきたいと思います。
  277. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 総裁は通産大臣が任命することになっていますが、総裁につきましては、御期待に沿うように目下人選中でございます。ほかの役員は総裁が大体選んで、そうして通産大臣が認可することになっておりますから、総裁にあとの役員は一任申し上げるということでいきたいと、こう考えております。
  278. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 総裁は大臣が任命する、あとの役員は総裁が任命する、こうおっしゃったのですね。それは規則にはそのとおり書いてある。けれども、出資を四十億するのは政府ですよ。だから、規則はそうなっておっても、あとは総裁だけにまかせずに、あなたがくちばしをいれられてもあえてそんなことは干渉だと言われるような総裁を認められるようなことはないと思うから、いい役員をひとつ出してもらいたい、こういうことを私は強く希望するけれども、もう一度あなたのお考えを聞きたい。
  279. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 問題は総裁をだれにするかということであって、その総裁がほかの役員をりっぱな人を選んでもらうということです。でありますから、問題は総裁だと思うのです。その総裁は皆さんに賛成してもらえるような総裁を選びたいと思って、目下人選中なのであります。
  280. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 とうふにかすがいのような話ですけれども、きき目はなくてもよう頼んでおかにゃいかぬと思ってしっかり頼んでおきますから、いい総裁を出してもらって、いい総裁がいい役員を出してもらわぬと、いまいろいろ言われておるときでありますから、もう私が言わなくてもよくおわかりだと思いますが、その点特によく御注意をしていただきたいと思うのです。  それでは、もう一点か二点聞こうと思いますが、総合エネルギー調査会の答申では、六十年度においては三〇%を海外原油でまかなうことになっておる、こう書いてあります。そうすると、そのプランはできておるのですか。三〇%からのものを海外から日本の手によって開発するというようなプラン、これはできておるのか、ただこういう文章だけによって、そういうことを書かれたものであるか、その点ひとつ局長、これは特に研究しておられると思うから、お答えいただきたいと思います。
  281. 両角良彦

    両角政府委員 総合エネルギー調査会の答申によりまして、ただいま御指摘のように、昭和六十年度におきまして、わが国の所要原油の三割、実量で一億四千万キロリットル程度の原油をわが国の手で開発、輸入をいたしたい、かような目標を立てられておるわけでありますが、これを可能にするための開発計画というものはなお未確定な要素もございます。大ざっぱに申し上げまして、開発の地点は約四十五カ所、所要探鉱資金が約三千億円、また開発に入るといたしますると、開発のための資金が約八千億円、かような程度が必要ではないかという試算をいたしております。このような計画と申しますか、もくろみに従いまして、各年度ごとに積み重ねまして、前進をはかっていきたいと考えまするが、何ぶん海外における開発事業でございまするので、相手国政府の意向あるいは国際情勢の変動等、日本サイドだけで決定できない要因も多々ございますので、それらの流動的な事態に対処しながら、着実にわが国の企業による原油の開発を進めてまいりたい、さような計画と申しますか、もくろみを一応立てておる次第であります。
  282. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 両角局長さんから、海外の事情も将来はいろいろ変動してくる、だから三〇%ぐらいはしたいという理想論である、そういう一つの目的を持つのだ、こういうことなんですね。だから、そういうようなもののプランは何も立っていないけれども、そういう目途に向かって進んでいくのだ、こういうことなんですか。そういうふうに解釈していいのですか。
  283. 両角良彦

    両角政府委員 単なる理想ではございませんで、現実に四十五地点の選定等を行なっておりますし、また期待される開発量というようなものの試算も行なった上での目標と御理解いただきたいと存じます。しかしながら、きわめて画然とした計画として、たとえば五カ年計画といったような性格の計画に比較いたしましては、なお不確定要素があるということは、事柄の性質上、現段階におきましてはやむを得ないかと考えております。
  284. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 時間的にいってやめたらどうだという鴨田理事の隣からの御忠告もありますし、いきなり質問をせよということでありましたので、何の資料も整えず思いつきのままの質問をいたしたのでありますので、私の意としては十分でありません。しかし私は最初に申し上げましたように、日本の一番中心をなす重要物資である、そして産業、工業のために大きな役割りをする石油問題でありますから、これはひとつ慎重な考え方でやっていただきたいということをお願いするのです。  それについて、最後に一つお願いすると同時にお聞かせを願いたいと思いますが、この石油開発公団法案の目的たるものは、国内がおもでなくて国外がおもだと考えていいと私は思うのです。その国外といたしますと、本年は四十億円というものが計上せられている。しかしこの金では私はほんとうのことはできないと考えておるが、政府側も、きっとこの公団をつくるについては大蔵省と相当ばく大な金を折衝せられただろうと私は思う。しかし大蔵省は、こういうものについていろいろ折衝したあげく、財政困難であるというような意味から、予定どおりの金が出なくて、四十億円にとどまったと思う。明年度からまた相当大きい金額が要ると思うけれども、こういうような金額で年々折衝するためにとおとい時間が費されて、なさなければならないことが大蔵省との折衝によって多くなったり少なくなったりしていっては、ほんとうにたいへんなことになるが、これに対する財源というものに別途な考え方を持って進むような方法はないか。たとえば特別会計的なものによっての財源をもらって、それによって確保するというような考え方でいくならば、私は安心して仕事がはかどっていくと思うけれども、そういうようなことに対して通産大臣はどうお考えになるか。これはしっかり聞いておきたいと思います。
  285. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話しのとおり、これから石油開発については資金がどんどん要ります。先ほども局長から申しましたとおり、昭和六十年度には大体三千億探鉱費用として要るというのでありますから。しかし先ほども申し上げましたとおり、石油を確保するということは絶対条件です。したがって、その石油を確保するに要する資金を確保することもまた絶対要件ですから、そういう意味で大蔵省と折衝して、必ず必要な資金は確保するように努力しますから、御安心を願いたいと思います。
  286. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 どうもありがとうございました。一番大切な問題でありますが、大臣は御心配ありませんとおっしゃったけれども、通産大臣もいつの日にかおやめになる日があろうと思う。失礼なことを申し上げるが、一生通産大臣をおやりになるようなことばないと思うが、この次の通産大臣にお尋ねしたときに、前大臣はどういうようなことを言ったかというようなことでは困るから、しっかりとほんとうに基礎的なものをお考えいただいて、そうしてこの石油開発に対しては、大臣の腹ごしらえを、だれが今度大臣になろうと、だれがあなたのいすにすわろうともやっていけるような、しっかりした財源の確保ということについて、ひとつ心がけておいていただきたい、こういうことをお願いいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  287. 近江巳記夫

    ○近江委員 私の質問でエカフェの問題が再三出てきたのですが、派遣された人が金曜日に帰りますね。金曜日にエカフェから帰ってきたら、報告をひとつしてもらいたいと思うのです。これを委員長にお願いしておきます。政府委員、よろしゅうございますね。
  288. 両角良彦

    両角政府委員 はい。
  289. 近江巳記夫

    ○近江委員 それではお願いします。
  290. 島村一郎

    島村委員長 次会は、明五日水曜日午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十分散会