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高島政府委員 いま
塚本先生御指摘の点が、ちょうどいまから半年ぐらい前に
YS11の今後の
見通しを得まして、そしてどうこれを
乗り切るかというときの一番の焦点になった点でございます。御指摘のように、確かに研究
開発費の償却と、それから利息の負担が年に十数億になるという点、この二つが問題点でございます。それと同時に、これは当然のことでございますが、
需要というものが、
自動車のように、人口が伸びていく、国民所得が上がる、それに伴ってふえるという簡単な形で予測がつかないで、確実にこういう
分野に売れるというところをつかまえる、商談の一歩前までいくのでないと、
注文生産的なものでございますから、
需要が確立しない。したがって
量産していいかどうかわからない。こういう悩みが二つあったわけであります。ところが幸いに、後者のほうについての
見通しは、御説明いたしましたように、一つの確立を得ました。これから先、大体確実に売れるのは百二十機見当である、こういうめどが一つついてまいりました。そうすると、問題は第一の点に精力的に集中して解決をしなければいけないということで、いろいろと
考えたわけでございます。で、利息の支払いが非常に多いということは、逆に申しますと、御指摘のような
開発費段階において全部出
資金を食ってしまって、そして運転
資金は全部
政府保証債の金利負担と、いま申し上げました
民間の調達
資金というものに一部依存しながらやっておる、これが非常に大きくなっている原因であるから、この点は、まず自己
資本をふやす
——この法律の改正自身がそうでございますが、
量産段階に入ったら出資はしないのだということが実は法律の附則に書いてございます。これが非常に障害になり、そこの点は、
量産段階になって
見通しがついたならば、ここではっきりした金額の出資をしまして、
政府も
民間も同時に相
協力した形で進んでおるわけですから、それぞれ応分の出資をして
資金コストを引き下げるということがまず第一の前提ではないだろうか、こういう点が問題のスタートになったわけであります。
それから第二段に、それでまいりましても、百二十機以上売れれば別でありますが、なお収支計算上は若干の
コストアップということも残ります。そのあたりも頭に置きまして、
民間ともいろいろ御相談をしたわけでありますが、何かの形でこの際
日本航空機製造の
事業の中に
助成の
体制を入れていきたい。それは出資という形で全体の
コストを安くする、
資金コストを安くしていくというだけではなく、たとえば今回
アメリカ向けの輸出につきましては、一トンほど荷物を積むところの能力をふやしてくれ、あるいは貨客の混合のスタイルに直してくれというような話が出てまいりました。これは
飛行機を直すということはちょっと容易なことではございませんし、
技術的な問題もからんでまいります。それに伴いまして若干の
助成金を出していく。そのほか、運営上の全般の問題もございますので、それも含めまして五億円
程度の補給をしていくという
体制をとりまして、出資による
資金の
コストの軽減とそういう
助成金によるところの
——これは利子補給じゃございません。利子補給と形式的には言い出してはおりませんが、利子が高くて
コストが高いのをそういった形で埋めていくというかっこうで、両方相まってやっていきますと、
需要が百二十機であれば、収支はこれで、お互いの間の企業
努力も含めて、どうにかとんとんにやっていけるところのめどを得、それ以上に売れればこれはプラスアルファになり得るという見当をつけたわけでございます。
YS11の姿勢としましては、この二つの突っかい棒によりまして、これから四十四年ぐらいまでのところだと思いますが、百二十機を輸出を含めてやって終わるところの経済
援助の姿勢という形をこれで一応完結できるというめどを大きく得たわけでございまして、それで今回御提案を申し上げた次第でございます。外国の例でも、いきなり利子補給ということでやっているのは少のうございます。問題が一つございますのは、これは対外関係に出ていくウエートが非常に大きくなっておる。特にいままで国内に消化していたのが今度は
海外に消化するので、これが輸出品として出ていくウエートが非常に高くなった段階でございます。そういたしますと、各国ともやってないのと同様に、
日本も利子補給という姿勢を示すことは、対外関係においてどうであろうか。直接補助金の印象も与えてくるという辺に一つ問題を
感じましたので、
助成金ということが一つのその辺の、端的に申せば苦心の結果というような
感じもございまして、出資のほかに
助成をとることによってこの問題をやっていこうとした次第でございます。若干ざっくばらんに申し上げますが、そういう
経過でございます。