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1967-06-28 第55回国会 衆議院 商工委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十八日(水曜日)    午前十時五十分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 河本 敏夫君 理事 中川 俊思君    理事 田中 武夫君 理事 中村 重光君    理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    小笠 公韶君       岡本  茂君    神田  博君       黒金 泰美君    小山 省二君       齋藤 憲三君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    丹羽 久章君       橋口  隆君    三原 朝雄君       武藤 嘉文君    佐野  進君       中嶋 英夫君    中谷 鉄也君       永井勝次郎君    平岡忠次郎君       古川 喜一君    塚本 三郎君       吉田 泰造君    近江巳記夫君       岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      田中 康民君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業大臣官         房長      大慈彌嘉久君         通商産業省重工         業局長     高島 節男君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部長 曾我 正雄君         通商産業省重工         業局航空機武器         課長      加藤 博男君         運輸省航空局監         理部監督課長  住田 正二君         運輸省航空局技         術部長     松本  登君     ————————————— 本日の会議に付した案件  航空機工業振興法等の一部を改正する法律案(  内閣提出第五五号)      ————◇—————
  2. 小川平二

    小川(平)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のためおくれて出席いたしますので、委員長の指名によりまして私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出航空機工業振興法等の一部を改正する法律案を議題として、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 航空機工業振興法等の一部改正法案について若干の質問をいたしたいと思うのですが、実は私も時間の関係がありまして、一、二点だけ質問して失礼したいと思っております。あと実質的な審議につきましては、同僚委員がやることになっておりますので、私は改正案を見ましてちょっとふしぎに思った点について、一、二点伺います。  まず第一点ですが、従来国が出資する特殊法人につきましては、その出資金額条文において何十億あるいは何千万と明記せられておった。それが五、六年前あるいは七、八年前になりますか、そのころから「予算範囲内」においてというように改正せられてきたわけです。そういうように変わってきたわけです。その当時私は、その行き方はいけない、国の出資を明確にする、そのつど出資を増加した場合には法の改正をやるということが当然であって、そうでなく「予算範囲内」こういうことであるならば、国会審議をのがれよう——もちろん大まかに予算審議でやるじゃないかと言われるけれども、そうじゃない、そういうような私は反対の気持ちを持っておりました。しかし、実際問題としてそのように法案は出てまいりました。ところが今回は、それがまた逆になっております。いわゆる一般流れは具体的な金額を明示しておった、それが「予算範囲内」に変わっておる。ところが、この法案は逆に「予算範囲内」とあるやつを、十二億円ふやしまして出資額四十二億円と、具体的に書くことになっている。こう見てみますと、この法案だけが何だか一般的な政府出資特殊法人規定のしかたから逆行してきたのじゃないか。むしろ私はこのほうがほんとう態度だと思っているのですが、なぜほかの法案と違って、「予算範囲内」というような方向をとっているときにそれを直して具体的な金額を明示することにしたのか。実は態度として私はこのほうがいいと思うのですよ。その理由を聞かしていただきたい。
  4. 高島節男

    高島政府委員 今回の法案の具体的な経過とからめまして、私から御答弁申し上げます。  一般論といたしましては、いろいろな議論があり得ることだと思います。田中先生のおっしゃるような方向議論もございますし、またできるだけ弾力性を持たせろということで、金額を明示しないでやるべきだという説もございましょうが、そこを一応離れまして、今回の四十二億円で限定いたしました実態的な気持ちを御説明いたしますと、いろいろ数次にわたりましてYS11の航空機の問題は国会審議を経て今日までまいっております。なかなか売れ行きの見通しというものがむずかしゅうございまして、その結果、最近になりまして、輸出を基調にしてようやくその見通し自信が持てる段階に入ってきたわけでございます。そしてその自信の程度は百二十機はいける、百二十機というところまでがかたい線で、それは何とかいけるのじゃないか。そういたしますと、それを一応の基礎として、これ自身非常に採算の苦しい事業でございますから、政府出資をしていかなければならないことになってまいります。これは先生承知のように、当初の予定は、量産段階に入ると政府出資はしませんということになっておりまして、非常にシビアな条件がこの法律附則で途中で改正されたときについております。それが今度は、一つの新しい事態として、政府出資はする、しかしめどはつける、百二十機売ったら四十二億の出資ということで、これの終点をとらえまして、そこまでで事業を一区切り完成しよう、こういうめどがついてまいりましたので、四十二億円、すなわち今度の追加出資十二億という予算を計上いたします際に、政府としては出資はこれを限りにして、そしてこの百二十機売ってYS仕事というものを一段落つけよう、こういうめどをようやく責任を持って言える段階に入ったという感じでございます。したがいまして、これは予算折衝上はわれわれもいろいろなことを申しました。諸説を立てていろいろ申した段階もございましたが、結局めどをうたうならば、むしろそういう実態に即応して四十二億というように限定を置いてはっきりしていったほうが男らしいのではないかという感触で私ども政府部内の意思を統一いたしたような次第でございます。  全般論につきましては、私から申し上げるのはちょっといかがかと思いますが……。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 男らしく明示した、こういうことだが、法制局田中さん、突然ですが、私が言っておるのは、政府出資特殊法人については、初めのうちの態度としては出資金何億、そしてそれを増資した場合には法改正の方法をとって、出資金条文を改めておった。それが数年前からそういうことはやらずに、「予算範囲内」において、こういうような態度に変わったわけです。私このことに疑問を持ちました。これは国会審議権を省略させようというねらいではないか、こういう疑問を持ってその当時も議論をしたことを記憶しておる。ところが今度は「予算範囲内で」というのが四十二億円と明示せられたわけです。いうならば私はこのほうがシャープな態度だとは思うけれども一般流れからいえば昔の型に戻った。なぜこういうような条文のきめ方になったのか。聞くところによると、これは大蔵省の注文とかなんかでそうなったのだ、これは裏返したら、いま高島局長言ったように、もうこれ以上は出しませんということを明言するために四十二億円とうたったのだ、こういうように受け取れるのですが、大蔵省折衝段階における経過から法律条文タイプを変えるということはどうかと思うのです。そこで、突然ですので、あなたいま資料お持ちでなければあとでいいのでありますが、現在政府出資特殊法人のうち「予算範囲内」となっておるのが幾ら、具体的な金額を明示しておるのが幾ら、そしていままで、たとえば中小企業金融公庫等もそうですか、資本金を明示しておったのが「予算範囲内で」というように変わった経過、これは資料ができますか。と同時に、今回の場合なぜそういうような資本金明示タイプをとったか、法制局審議段階においてどういうお考えを持たれましたか、伺いたい。
  6. 田中康民

    田中(康)政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、私たちは立法技術段階といたしましてこういう法律案にタッチいたしますが、その考え方といたしましては二つございまして、一つは、先生指摘のように、従前の方式で、毎年度毎年度予算をもって追加される部分を出資いたしまして、たとえば百億円が二十億円追加になればまた百二十億円というように法律条文を改める方式、これを従来はとっておりました。その後、これはもう四、五年前になると思いますが、四、五年前に法律案の件数をなるたけ少なくするというようなこともございまして、立法段階措置しなければいけないことでないようなものについては、たとえば予算につきましては、当然予算についての議決を国会に求めるわけでございますので、法律で一々何百億円というふうに書かなくてもいいんではないかという意見が大勢を占めまして、ただいま通常やっておりますような方式に改めたわけでございます。ところが、今回のこの輸送機会社につきましては、一見前の方式というようなものがとられておるように思われるわけでございます。新しい方式から前の方式に戻ったというふうにお考えになることは確かに表現上そのとおりでございますが、なぜそういうふうにしたかと申しますと、実はこの前新しく新方式によりました場合におきましても、あれはあくまで原則としてああいう形をとるので、一般的にたとえば金融公庫みたいに毎年度毎年度資本金を増額するというようなものにつきましては、そのつどやる煩を避けたということでございまして、もうほとんど今後増資なんぞしないんだというようなものにつきましては、やはり一つ一つ書くのが筋ではないかという議論があったのでございまして、そのいわゆる例外的措置は当時でもなお消えておったわけではございませんが、その例外的措置が今回の法律改正であらわれた。だから、この輸送機会社に対する追加出資というものは、やる段階があまりない、だから、今回四十二億ですか、それでもって一応金額を明示しておくのが一番いいのではないかというふうに実は考えたから、こういうような表現にいたしたわけでございます。  なお、ただいま先生指摘資料につきましては、私のほうで調べればわかりますので、でき次第直ちに御提出いたします。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 いまおっしゃったように、毎年ごとに出資するような特殊法人については予算範囲内ということでいく、そうでなくて、ときおり出資を増額するような特殊法人については、いわゆる金額を明示するタイプでいく、それは法制局態度としてそういうことははっきりきまっておるんですか。それから、同時に、いわゆる例外的なタイプと、こういうように言われたが、私は、それはちょっとおかしい、むしろ「予算範囲内で」というのが例外だと思うのです。そういうことに対して、法制局政府提出法案について審議しながら、法制局でいろいろ他の法律との関係審議しているわけであります。こういうものについては、原局から出してきた、通産省あるいは重工局から出してきた四十二億円というこれをそのまま見たのか、あるいは、その置き方について法制局のほうで論議の結果、もうこれ一回限りということならこういうほうがいいのじゃないか、こういうようにやられたのか。私は、法制局立法技術上において一つのはっきりした筋道を持っておられないのじゃないか、ただそのつど原局から出たものに対して検討するということ、その結果であり、そのもう一つもとは、大蔵省との予算折衝段階における強い意見等によって法律タイプが左右せられてきておるんではないか、こういうような感じを受けるんですが、そういう規定の置き方についてのどちらが例外原則かは別として、私は、資本金額を明示するのが原則であって、むしろ「予算範囲内」とするのが例外だと思うのです。そういうようなことについていままではっきりとした態度があったのか、これからもそういう態度は堅持していくのか、お伺いします。
  8. 田中康民

    田中(康)政府委員 法制局といたしましては、四、五年前に改正いたしましたときに、やはり確固たる信念で、原則としては今後は、大体毎年毎年追加出資するようなものにつきましては、予算の定める範囲内でというようなことで、いま仰せられましたように新方式によるという原則は、これは確立しているわけであります。ただ、その例外としての措置といたしまして、非常に限られた年度あるいはもうほとんど追加出資しないというようなものにつきましての取り扱いは、そのとき、今後必ずそうしよう。ただし書きみたいなもので打ち合わせ全部済んでおるというものはもちろんございません。ございませんけれども、やはり法律は、その形式として条文に書きますけれども、体をあらわすほうがいいということは、一般にいわれておりますところでございまして、今度のようなほんとうに一回限りのもの、あるいはありましてもほんとうに二、三回のものというようなものにつきましては、体をあらわすために、その現状なり何なりを法律でもって資本金額として明示しておくというほうがいいのではないか。これもまた一般的原則として法制局内部で一応取りきめられてございます。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほど要求しました資料をいただいた上で、法制局がそのような、原則例外かはちょっと意見がなにしますが、いわゆる新しいタイプと古いタイプはきれいに交通整理ができておるのかどうかは、この法案だけじゃなく、他の法案資料をいただいて検討することにします。ただ、高島局長田中部長との御答弁の中から考えられることは、はっきりと今回限りである、もう絶対に増資はいたしません、   〔小川(平)委員長代理退席委員長着席〕 そういうことですね。どうです。限時法を出してきたときに、何年何月までという時限をきめながら、いつでもその前になったらこれを延長するというのが通産省やり方ですよ。きょうのこの二人の答弁で、絶対に今後は一切政府出資はいたしません、増加いたしません、こういう確約と受け取りますが、よろしいか。
  10. 高島節男

    高島政府委員 私ども考え方はこういうふうに思っております。現在御心配をかけておるYS11の飛行機というものを日本航空機製造株式会社の使命としてやってまいりました。そうして今日まで非常な苦労をして、あと輸出を中心に百二十機でYS11というのは……。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 それはいい。絶対やるかやらぬかだけでいい。
  12. 高島節男

    高島政府委員 その点はYS11というものに関連いたしましてははっきりめどを持ちましたので、これは出資はここが限界である。しかし、将来日本航空機製造をどうしていくかということは、これはまた将来の予測とからんでまだ私どももきめていないのであります。これについて出資をもしやるようなことがございましたら、これは単に予算要求を申し上げるだけじゃなく、この委員会審議していただいて、そういう方向にいよいよ具体的に踏み出す際にもう一度十分にはかるべき性格のものであり、われわれもその御審議を経て御理解を得てやっていくべきものではなかろうか、こういう気持ちでございます。ちょうどYS11というところに一つの節が出ましたので、そこで出資限度はつけておく。しかし、いま先生に言われまして、私どもとして、将来にわたって絶対にこの法律増資という形で持ってこないかということは、これは一つの新しい別の問題が出てまいります。YSに関する限りはこれで区切りをつけていく、こういう気持ち出資限度をきめました。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、法案改正案に対して法律論をやっておるのですよ。YS11ということは条文から何ら出てこないのです。いいですか。今回限りだということだから、「予算範囲内」というやつは改めて四十二億と具体的な資本金を明示したんだという。それならば今後一切やらないかというと、そうではなくて、YS11に関してのみというんなら、これはちょっとおかしいですよ。YS11とこの法律とはどういう関係がありますか。具体的に法案の何条によってそのYS11は今回限りというのが出てくるのですか。それは会社の運営であり、あるいは通産省政策でしょう。私はいま、具体的な政策については同僚委員がやるが、ちょっと見て変に思うた点だけを大臣の来るまでに片づけたい、こう言ってやっておるのでしょう。いまの答弁ならどうですか、先ほどの答弁と違うでしょう。絶対今後は増資はいたしません、少なくとも政府出資における増資はいたしませんと、こういう確約でなくては、先ほど来のあなたの答弁は通りません。
  14. 高島節男

    高島政府委員 先ほど冒頭にYSのことを申し上げましたのはそういう気持ちでございました。この会社の将来の仕事というもので一応限度をつけますと、YS仕事を完成する、それについては金の見通し採算見通し等一つめどを得ましたので、これは四十二億円を限るというところに結びつけて出資限定を置いたわけであります。それをふやそうというときはまたあらためて法律事項としても審議をしていただくというくらいこれは非常に重大なことではないだろうかという気持ちがございましたことが一つ。それからさらに、この航空機会社が出発をいたしました——これは先生のほうがよく御承知と思いますが、何年前でございましたか、その当時は、要するに量産段階に入ったらもう出資しないということをつけてスタートしております政府側一つ責任と申しますか、そういうものもはっきりございました。そういう経緯できましたものをここで出資限度を全部はずすということは、具体的な経緯にかんがみて、めどがついた以上はつけなければいかぬ。しかしそのつけたのは、事情の変更ということは、これは世の中いろいろございますから、その際はあらためて御審議を経なければいかぬという性格のものではないだろうか。そのときそのときに見通しを持ちます。これから先五年、十年たちましてどういう事態になっておるかということは非常に予測は困難でございますが、計画の見通しがついたところまでの線をとらえて、一応出資限度という形で、そこに押えを置いたという形で恭順の意を表したと申しますか、そういう形の姿勢をとったわけでございます。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 私は法律規定のしかたについて言っておるのですよ。したがって法律条文の上で答えてください。これのいきさつがYS11をつくるために始まったのだということ、そういうことは私も記憶しております。さらに、この会社YS11で終わるのじゃない、もうすでにあれは古い型なんで、新しいジェット輸送機を開発しなければならない、そういうことはわかっていますよ。しかし先ほど来法制局及びあなたの答弁は、これで終わりでございます。ただしYSという一字が抜けておった、こういうことについて私ははっきりとした一つのあれを持たなくちゃいけないと思うのです。私はその点についてはまだ釈然としません。しかしこっちの都合もありますので、この点につきましてはそのくらいにいたします。  同時に、もう一点ですが、一部を改正する法律の一部を改正する法律案、いままでに何回もやりましたが、しかし今回の特に改正法の成立と同時に、本法に埋没する場合、一部改正法というのはなくなるわけです。ところがそうでなくて、一部改正法一つ単独法律として残る場合がある。それを今度改正するときに一部を改正する法律の一部を改正する法律案ということになるのだ。こういうことで、どういう場合に埋没をし、どういう場合に一部改正法として単独法律で残るのかということを少し当たってみたわけです。そうするといろいろ例外はあるかもしれませんが、原則として附則の場合。本文条項を変えるときは改正法が成立したときにもう直ちに本文の中に埋没してしまう。附則の場合に残るのだ。そうすると一体附則は何を書くのか。前の法制局長官の林さんの著書なんかを見ましたが、これもはっきりしていないのです。大体公布施行の時期を書くとか、経過規定を書くとか、そういうようなことになっておるわけですね。そういうものを直したときには埋没せずに一部改正法として単独昭和何年法律第何号として残るのですね。この辺がまだはっきりしてないじゃないかという感じを受けるのです。これは高島さんには無理だろうから田中さんにお伺いしますが、一体附則には何を書くのがほんとうなのか、こういうことに対して法制局ではっきりしたところの一つ見通しがあるのかないのか。私はそれを見ておるうちに感じましたのは、いわゆる公布にしろ、施行にしろ、経過規定にしろ、いわゆる時期、これに関係のあるものが附則にあるのがほんとうだ、そう見たわけですが、どうでしょうか。
  16. 田中康民

    田中(康)政府委員 ただいまお尋ね附則規定する事項はどういうものであるかということでございますが……。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 それより一部改正単独に残る場合は……。
  18. 田中康民

    田中(康)政府委員 一部改正単独にそのまま残るという場合は、先生指摘のごとく一部改正法附則だけだと私も思っております。と申しますのは、一部改正法本則というのはそもそも本法そのものの中に入りましてその中に埋没いたしますので、一部改正法の中に将来ともなお効力を有するものが、本則に入るということはわれわれとしてはいたしておりませんので、附則が一部改正法として将来効力を有することになると思うのです。その場合、附則はどういうものを規定するかということでございますが、附則はいま御指摘のように、まず最初に施行期日を書く、その次にたとえばその法律によって廃止する法律がございますれば、その廃止法律というものを書く、それに引き続きまして、いわゆる経過規定というのがあるわけでございますが、経過規定の中には、たとえば法人を設立するというような場合におきましては、法人を設立するための政府からの委員の任命その他の行為がずっと一連のものとして書かれます。それ以外に本則と申しますか、その法律施行になった場合、その改正になったままの形で施行されますと、非常に取引の安全その他を害するというようなことがございますので、そういうことがないように一定の期間経過期間といっておりますが、経過期間を置いて施行するような手続をずっと書いておるというのが普通でございます。それから他の法律の一部改正というふうになるのが普通でございます。他の法律の一部改正に伴うまた経過規定がございまして、そのうしろにつくというようになっております。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 一つ法律をつくる、その附則において関係のある法律——これは新法ができて旧法を廃止する場合、これは私はいいと思うが、一つ法律附則において他の法律を直すということはよくないと思う、いままでそういうこともありましたが。それから公布、実施いろいろあるわけでありますが、それを要約していくと、法人設立手続とか何かあるが、時、時期に関するものがおもじゃないかと思う。たとえばこの法律でも、量産に入ったときは云々というようなことでも、これは一つの時期ですよ。不確定な時期ですよ。あるいはその時期が停止条件である場合、解除条件である場合、不確定な場合、いろいろありますが、私は大体時期というもの、期間というもの、法律でいうならばこれに関係のあるものが附則にいくのじゃないか。そのほかでやるのは、私はむしろ、新法ができて旧法を廃止するのは当然でしょうが、関係法を直ちに附則によって改正していくやり方は私は賛成できない。できるだけ単独にやるべきである。そうでなかったらごまかすのです。たとえば今国会で提案せられた税制簡素化のための国税通則法、酒税法等の一部を改正する法律案とか、わけのわからぬ法律でばっと最近十ほど税法を直したことがあるでしょう。よく大蔵委員会あんなことやらして黙っていたなあとぼくは本会議で気がついた。したがって、そういうものについてもっとはっきりした法制局としての態度をきめてもらいたい。私の言っておることは間違ってますかどうですか。その上に立って法制局は論議して答えを出してください。
  20. 田中康民

    田中(康)政府委員 いまの一部改正における経過規定の中心は、時期ということを中心として経過規定が書かれておるというのは確かでございます。ただ、時期に属すると思いますけれども、この法律の一部改正が現にやっておりますように、新しく改正法で入れた事項について、その事項が一定の六ヵ月とかなんとかということではなくて、入れた事項そのものについては今後はやらないというようなこともあり得るわけでございます。これは、時期といえば時期なんで、前のほうについては少なくとも除かれている時期でございますから、そういう意味では先生おっしゃったように時期中心ということであると思います。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 ではけっこうです。またあらためてやります。
  22. 島村一郎

    ○島村委員長 中谷鉄也君。
  23. 中谷鉄也

    ○中谷委員 YS11の需要の見通しについて一番最初にお尋ねをいたしたいと思います。  本法が成立をいたしましてから通産省当局の一貫した昭和四十年までの御答弁というのは、要するに、YS11の製造計画の長期見通しとしては、昭和四十六年ころまでに百五十機を製造する、そうしてこれを販売をする、その百五十機の内訳というのは、約九十機程度が国内民需、それから政府関係機関の購入、いわゆる官需というのは二十機ないし三十機、そうしてあとの三十機ないし四十機程度を輸出に期待する、こういう考え方で一貫をしてきていたと思うわけです。ところが、現在における需要の見通しというのは、そういう従来一貫して御答弁になっていたところとだいぶ違ってきているわけですけれども、需要の見通しと、それが従来の御答弁と食い違ってきたわけ、この点についてひとつ簡単に最初御答弁をいただきたいと思います。
  24. 高島節男

    高島政府委員 中谷先生指摘のとおり、従来需要の見通しにつきましては、どちらかといえば、輸出をとらえるということよりは内需のほうに期待を大きくかけてまいったようであります。一応、いまおっしゃいました内需の民間関係で九十、それから官需と申しますか、そういう面で三十機、合計百二十機程度が国内の需要であって、輸出にさらにまた三十機くらいが期待される、こういう姿勢で、おそらく二年ほど前まではそういうところに期待を置いて話を進めておったかと思います。ところが非常に最近実態がその点は変わってまいりまして、一言で言えば内需の伸びはそれほどにはいかない、しかし輸出関係の伸びが三十機とかいうどころではなくて、非常に大幅に増加する可能性が出てまいっております。それを一応今日の段階で見てみますと、輸出は、比較的手がたく見まして六十五機程度は伸びていくのではないか。それから国内は、民間と官需と合わせまして五十五機。結果から申しますと逆に半分以上が輸出である、こういう感触に需要構造が変わる期待を持ってまいったわけでございます。  それで、現在そういうふうに変わってきた原因を振り返ってまいりますと、内需の伸びは、日本の国内の航空会社のむしろローカルラインにおける伸びぐあい、これが期待に反してまいったという面がございます。それに対して輸出のほうは、主として東南アジアをねらっておりましたが、それではこの飛行機の需要というものはさまで大きく将来期待できないという観点から、南米あるいは北米方面に対しまして需要の開拓等々を心がけてまいりました結果、相当な需要確保ができるというめどが今日ついてまいりました。現在、御説明いたしました百二十機計画というところを手がたいベースに置いて、一つの資金上の見通し政府援助の姿勢等々を、今回の予算で算定いたしましたときの計算基礎としまして、大体六十五を輸出に持っていって、それによってこの百二十機という最低必要なエアラインの需要を確定する、こういうことにまとまったわけでございます。
  25. 中谷鉄也

    ○中谷委員 輸出が手がたく見積もっても六十五機を予想することができる、非常にけっこうなことだと思うのですが、反面、いわゆる国内ローカル線が昭和四十二年三月末までに十七機、そうしてあと需要見通しとして国内ローカル線は三十機なんだということになってまいりますると、先ほど御答弁のありました、ほぼ二年前まで政府見通しを立てておりましたところの、九十機程度が民間航空会社いわゆる民需なんだという見通しと、相当大きな食い違いを生じておるということについては、これはいなめない事実であろうと思うのです。そこで当時、その九十機という見通しがはたして適正なものであるかどうかについては、かなり論議はされているわけです。その点につきまして、国内ローカル線の旅客の伸び率が現在鈍化している、あるいはまた中短距離ジェット旅客機の出現等が需要減少要因なんだという説明がされておりますけれども通産省政府委員の方、あるいは運輸省の方おいでになっておられましたら、どちらからでもけっこうですから、国内ローカル線の伸び率鈍化ということ、当時九十機というものを見通したときの基礎になった伸び率、現実の伸び率ではなくて、その当時基礎になった伸び率と、現在の伸び率との間に、どの程度の食い違いがあったのか、この点についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  26. 高島節男

    高島政府委員 食い違いの内容につきましては説明員から答弁していただきますが、私の感じから申しますと、当時の需要の予測というものは非常にむずかしい段階にあったと思います。これはYSそのものの性能等々についての国内的な使い方、こなし方等々について十分でない状態でございまして、これはいろいろな面において危惧の念も当時持たれたと思いますが、むしろそういう感触が響いたというよりは、やはり旅客の伸びそれ自身のとらえ方に相当にまだ問題があったのではないか。したがって、飛行機それ自身は運輸省側のほうにおいても非常に熱意を持たれまして、ローカルラインにはYSという感触は強く持っておられたと思います。それで、大きく申しまして、内需の伸びぐあいというものは、新幹線ができましたり、その他いろいろ交通事情の変動という、変動期がちょうど参っておった時期でございますから、そのあたりのからみで、伸びが予想よりは非常に小さかったということではないかと常識的に承知いたしております。  運輸省側もお見えになっておられますので、若干なお補足等をさせていただきます。
  27. 加藤博男

    ○加藤説明員 この際具体的に御説明いたします。ただ、ただいま具体的に資料を持っておりませんので、数字その他について若干不正確な点がございますが、たしかあの計画をつくりましたのは三十九年のころでございました。当時ちょうど日本の航空界が非常に発展いたしておるときでございまして、当時の伸び率は、旅客はたしか約三割をこえておったはずでございます。したがいまして、そういうテンポで伸びた場合に、そういうお客さんを吸収するのに、YSで吸収すると考えた場合にどのくらいの需要が出るであろうという試算をいたしますと、先ほど御指摘のような約九十機という数字が出てまいったわけでございます。その後、最近の旅客の伸び率は残念ながらそこまで伸びておりません。一〇%強かと存じますが、そういう観点で試算をし直しますと、やはり九十機を見込むのはかなり無理ではないか。特に今回のように企業の事業計画を一応見通すという観点からいきますと、やはりかた目におさめるというのが、事業の健全性からいきましても、必要かと考えまして、それでトータル約三十機という見通しにしたわけでございます。  以上でございます。
  28. 中谷鉄也

    ○中谷委員 国内の民需がかなり需要動向の予測において現在食い違いを来たしておるということについては、本日の私の質問の主たる点ではございませんので、この程度にしておきますが、たとえば経団連の防衛生産委員会資料によりますと、これはYS11に限っておりませんけれども昭和四十一年度航空機工業の将来規模という中で、民間用が九十九億円、そして昭和四十六年に至りまして八十四億円、これは輸出を含むということで、こういうふうな一つ資料もあります。もちろんこの資料につきましては、需要予測についてはやや手がたく見込まれ過ぎている感がありというふうな批評があることは私も承知いたしておりますけれども、先ほど御答弁になりましたローカル線三十機、そして輸出は六十五機、手がたく見積もって六十五機なんだというこの見通しにつきましては、これは需要動向の予測の中で食い違ってくるというふうなことはないというふうに御答弁いただけるかどうか。ことに、私全くのしろうとでございまするけれども、いわゆる中型輸送機の経済単位としては、百五十機から二百機で一応中型輸送機を開発したときの目的を達するのだというようなことも承知をいたしているわけですが、手がたく見積もって六十五機ということでございますると、一つの単なる希望的な観測ではなしに、いわゆる実感的な、あるべきといいますか、予想される輸出としては六十五機ないしこの程度まではあり得るというようなことも、ひとつこの機会に御答弁をいただきたいと思うのです。
  29. 高島節男

    高島政府委員 需要の動向、特に外国の需要の動向ということになってまいりますので、これは非常にむずかしい予想を含んでおると思いますが、私ども勉強をいたしましたときにいろいろな裏づけがございます。先般木村教授からも参考人として御説明がございましたように、このYS11という飛行機は一つのターボプロップ・タイプの典型的なもので、あと競争機が、六つでございましたかあげておられる程度にありますが、YSが南米あるいは北米にデモフライトをやりまして、その反響等を見ておると、相当に引き合いが現に参り、またこれからくる可能性が出てまいっている段階にございます。それを基礎にいたしまして、一応の需要予測を立ててみました際に、南米あたりにはおそらく三十から三十五機はいき得るのではないか。それから北米にも、これは目下商談中でございまして、これは一度非常にはでなニュースが新聞等にも出ましたが、ああいう形にいきなりいくわけではございませんで、いま着実な商談が隠密裏に進んでおります。そういうあたりを頭に置きますと、大体二十から三十はいくんじゃないかという感じを持っております。そのほか、当初から期待しておりました東南アジア方面、これが十機から五機という程度の幅で一応需要の想定ができてまいるわけでありますが、南米の三十五機というのを踏まえまして、小さい数字をとってまいりまして、大体その幅のうちの小さいほうで六十五機という私なりの胸算用をいたしましたが、それは先般来のデモフライトのあとでいろいろと引き合い等がまいっておりますものを頭に置きまして計数を整理いたしてみた結果でございます。
  30. 中谷鉄也

    ○中谷委員 政府委員のほうから御答弁があったわけですが、いわゆるはでな話と申しますか、昨年の春から九月ごろにかけて七十三機というふうな飛行機について商談があったというふうなことが新聞に報ぜられているわけですけれども、そういたしますると、手がたく見積もった需要予想の六十五機というふうなことはこれは全然けたはずれの話になってくるわけです。昨年のお話のことだと思いますが、その七十三機の引き合いがあったのだというふうなことについては、デモンストレーションまでおやりになったのですけれども、一体どういうふうなことになったのか、この点いま少し詳しく御答弁いただきたいと思います。
  31. 高島節男

    高島政府委員 昨年の夏まずアメリカにデモンストレーション・フライトをやりまして、これは非常に私は意義のある試みであったと思います。一口でいえば、非常に評判がよかった、人気が一度にあおられたというような感じでございます。それは単にアメリカだけでなく、南米も注目をいたしております。東南アジア諸国も注目をしておる、こういう感触でございます。そのときにはいきなり七十三機でございましたか、あるいはもっといくかもしれないというふうな話も出まして、外電でにぎやかにそれを伝えてまいったわけでございます。ただ、もちろんその段階において、具体的に引き合いがファームになっているとか、そういうことではございませんでしたが、向こうのエアライン、飛行機会社が非常にYSに注目をいたしまして、ちょうどアメリカの中都市と中都市の間をつなぐのには、飛行距離がそう長くなくて、しかも滑走路が短くて、安定性があって、六十人も乗れるという飛行機は、いわば穴場をうまくとらえたものとして非常な需要を引き出したわけでございます。しかし世の中はそう簡単にはなかなかまいりませんで、一応そういう雰囲気が出てまいりましたが、米国におきまして当時からちょうど金融の引き締め段階に入っておって、銀行筋の力というものが相当強い。したがってそのあたりの圧力とか、また競争会社もなかなか黙ってはおりませんで、巻き返し等もいろいろと行なわれてくる。他方、バイアメリカンというふうなものも思想的には先方にも浸透しているというような面がありまして、具体的な商談はむしろ南米のほうから先に開けてきたような感触がございます。もちろんハワイ等には契約がその機会にファームになってまいりましたものもございますが、アメリカ本土のほうはちょっとその後足踏み状態であるという感じでございます。ただ現在の段階の中で商談中のものが実はあります。これはどこがやっておるということを言いますと、えらい商売ががたがたになってまいりますので、ごかんべんをいただきたいところでございますが、現在商談が相当に進行いたしてまいりつつございまして、そういう情勢を加味いたして考えてみますと、北米のほうにも二、三十機の確保は、これはいき得るのではないかという期待を抱き得る情勢に現在あるわけでございます。
  32. 中谷鉄也

    ○中谷委員 いろいろな航空機輸出の困難性ということは、調査をいたしまして、おおむね承知をいたしております。  そこで、先ほど御答弁がありましたが、この点については一応簡単にお尋ねをしておきたいと思います。  現在、昭和四十二年度見通しとしては、六十五機という需要の見通しの中で、アメリカに対してどの程度の商談、契約が成立する見通しがあるのかどうか。ことにここ一年で勝負だというようなことが言われておりますけれども、一体どういうことになっているんだろうか。そしてもしよろしければ、すでに新聞で報道されている点でございますが、いわゆるピートモント航空からの引き合いについての現状、一体どうなっているのか、この点について御答弁をいただきたいと思います。なおアルゼンチンの関係でございますね、アルゼンチン航空についても、すでにこの点については半ば公知の事実になっておりますので、この点についてもよろしければひとつ御答弁いただきたい、この点をお尋ねいたします。
  33. 高島節男

    高島政府委員 輸出の年次別の見通しでございますが、これはどうもセットで約束ができ上がりますので、これが今年度、これが来年度ということの点は非常に行き届かない点があるかと思います。が、一通り私のほうの勘を申し上げますと、六十五機ということを言っておりますが、十機程度は四十一年度の末までに大体契約はもちろんでき、引き渡しも進んでおりまして、五十五機程度が四十二年度から四十四年度までの間にどんなふうにはまってくるかということになります。大まかな勘を申し上げますと、四十二年度で大体二十機、四十三年度が一番ピークになりまして、ここで三十機、そして四十四年度はむしろ残りのところでいくという形で、百二十機以上売れる可能性も非常にございますから、六十五機プラスアルファといったような感じに需要の予定を大体つけております。  なお、その間の商談等については、対米関係は新聞等で少し抜いておる傾向は確かにございますが、私の口から申したということになりますと、せっかくでき上がりかけているものが、競争者もおりますし、またここで何かの文句が出てまいりますと、はなはだ画竜点睛を欠くということに相なりますので、ごかんべんいただきたいのですが、先ほど申し上げましたように、相当期待を抱いていいのではないかという感じに対米関係は見ております。  それからアルゼンチンのほうも大体商談中でございまして、契約の進行状況等は加藤航空機武器課長からその点の詳細を具体的に申し上げさせたいと思います。
  34. 中谷鉄也

    ○中谷委員 いわゆるダグラス機、DC3の問題につきましては、前回参考人としての木村先生からもお話を伺いましたし、資料等も拝見をいたしましたので、先ほど四十四年度においてあるいは百二十というようなこともあるのじゃないかというふうな中で、ひとつ大臣に御答弁いただきたいと思うのですけれども量産体制に入ったということなんです。しかし、私この点については、最初お尋ねをする前に、しろうとなりの感想を述べさしていただきたいと思いますけれども、日本の戦時中のいわゆる航空機産業というのが最盛期で二万五千機、そうしてその航空機産業に従事しておった関係者が百万人、これは特に異常な状態だと思いますけれども、そういうことが言われている。そこで、量産体制に入ったというのだけれども、これは大臣から御答弁いただきたいと思いますけれども、たしか現在月産二機でございますか、そういうふうな現在の設備の現状の中で、一体どの程度まで月産の生産量をふやすことができるのか、そうしてかりに輸出の振興、非常に積極果敢に輸出をやるのだというようなことが答申の中にも盛られておりますけれども、そういう中で現在の生産設備というのがほんとうのわれわれ常識的に考え量産体制というようなものに即応しているのかどうか、この点ひとつお答えをいただきたいと思います。もう一度申し上げますけれども、これは個人的なしろうと考えかもしれませんけれども、月産二機あるいは一・三機というのが量産体制というようなことになるのかどうか、はなはだその点については疑問ですが、従来からの先輩の商工委員の方全部量産体制ということばで終始しておられますので、私もあえてその点についてそういうことばを使っていきたいと思いますけれども、御答弁いただきたいと思います。
  35. 高島節男

    高島政府委員 失礼でございますが、大臣答弁になります基礎になる事実だけを申し上げたいと思います。  戦争中たいへん大きな数字の機数をつくっておった。ただ、これは機種が違いまして、軍需を中心にしたものでございます。これに対して、現在問題になっておりますのは旅客機で、六十人乗って、相当の長距離を多くのお客さんを運んでいく、こういった型の需要に切りかわってしまっておりますから、したがって、この程度の旅客機でございますと、やはり百二十機あるいは百五十機、そういったところが一つのユニットになってまいりまして、飛行機を設計して、その型のものをつくり上げて、大体何機売らなければいかぬかという感触から申しますと、百二十あるいは百五十、その辺がおおむねの一つのセットになってき、合理的なコスト、若干の政府援助はありましても、まずまずやれるというところの基準になってまいるようでございます。それから、したがって月産も、このYSに即しまして何機くらいのところでこれがいき得る体制にあるかという事実関係でございますが、輸出の需要というものが伸びてまいりまして、先ほど申しましたような大体需要で進みますといたしますと、現在の生産ピッチが月産二機という御指摘のような状態にあります。これを逐次上げていって、体制を整備して、十一月の末から十二月ごろにかけまして月産三機というコンディションに持っていけるように現在進めてまいっております。それから生産のほうの体制の基礎といたしまして、輸出の需要とからめて考えてまいりますと、先ほどの六十五機プラスアルファという程度のところの需要にはマッチできる体制にいくのではないか。ただ現状においてはまだ三機に達しておりません。達し得る見通しをつけておる、こういう大体感じでございます。
  36. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 飛行機の生産についてのお尋ねでありましたが、月産三機ではまだ量産とまでいかぬと思います。がしかし、いままでゼロであったのがここまできたのですからして、その意味においては私はよくここまできたと思っておるのでありますが、しかし私は、飛行機というものは成長産業だと思うのです。幸いYS11が性能などで各方面から高く評価されておりますから、したがって、この飛行機の生産については政府もできるだけ援助も与え、奨励して、そしてこれを量産し、どんどん海外へも輸出するというようにやっていきたい。問題は、やはり性能が問題です。そこで、エンジンもまだ日本でできてないような状態ですからして、将来はエンジンも日本で国産して、そしてりっぱな飛行機をつくっていけば、私は将来この航空機事業というものはますます発展すると思います。日本国内においても、各地の飛行場が整備されれば、もっと飛行機の需要というものは盛んになると思いますからして、その目標でひとつこの飛行機の生産を奨励したいと思っております。それから、御承知のとおり、今日自動車などでももう世界の第二位の生産高になったのですが、終戦後というものは自動車などほとんど日本でできなかったのが、わずか二十年間にこんなにまで成長したのでありますからして、したがって、私は、自動車の例によっても、この飛行機の生産というものを成長産業として育てて、そしてひとつどんどん海外へ輸出するというように大いに奨励したい、こう存じておる次第であります。
  37. 中谷鉄也

    ○中谷委員 先ほど大臣おいでになるまでに田中委員のほうから若干御質問があったのですが、まずそういう量産体制に入っていく。そうすると、いわゆる逓減効果と申しますか、要するにコストが下がってくるという問題との関連でお尋ねをいたしますが、現在の生産設備能力というものが、七年間の空白、いろいろな問題がありまして、必ずしも満足すべきものではない、そういうふうな状態を前提としてお尋ねをいたしますけれども大臣に御答弁をお願いします。  YS11については、昭和四十二年度においては十二億円、すなわち政府出資の総額を四十二億に限定をする、それ以上は出さないんだという方針は間違いがないことだ、こういうふうに政府委員のほうから先ほども答弁がありましたが、これはやはり大事なことだと思いますので、YS11に限ってはそういうことになるのだということの御答弁をいただいておきたいと思います。
  38. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 現在のところでは、政府出資はそれで一応事足っておると思います。しかし、ここでYS11がどんどん売れて、そして採算ベースに合うということになれば、政府出資しなくても、会社自体であるいは増資するなり何かして、私はけっこうやっていけるんじゃないかというふうに考えておりますから、できればひとつ会社自体が増資もやるし設備の拡張もしてやれるように伸びてもらいたいというのがわれわれの念願しておるところです。
  39. 中谷鉄也

    ○中谷委員 大臣にこの点をもう一度お尋ねをいたしたいと思います。先ほど輸出のネックになっているような問題について、四十一年も七十機を上回るような商談と申しますか問い合わせがあった、引き合いがあった、ところが、どうも話としては成り立たなかったというふうな中で、いろいろな輸出の障害、ネックになっている問題があると思うのですが、そのような問題について、輸出を振興するという観点から、どのような措置をとるべきだというふうにお考えになっているか、この点についてひとつ大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  40. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 それはもう一言にして言えば、日本の生産の飛行機の性能がよいということです。世界的に見て高く評価されるということであれば、私は海外からどんどん買いにくるというように考えておるのであって、その点で、日本のエンジンもまだ国産をやっておりませんし、まだまだ日本の飛行機の生産というものが完全に発達しておるとはいえない、私はこう思うのでありますが、しかし幸い、先ほどお話しのように戦時中の経験によって、当時の技術者も残っておるし、したがって、このYS11がここまで性能を持ってきたということは、やはり日本の技術家の力だ、私はこう考えております。したがって、もっとよい性能の飛行機にするように、これはひとつ官民ともに努力したい、こう考えておる次第でございます。
  41. 中谷鉄也

    ○中谷委員 私の調べた経過では、性能がいいということが、必ずしもイコール輸出振興には結びついていないようなんです。むしろそのことは、業界にしろ関係者の中で、問題点として非常に指摘されているようでございます。そこで、私はあまりこういうふうな言い方は好まないのですけれども航空機工業審議会の答申でございますね。これは必ずしも問題点をきわめて的確に御指摘になったようには私思わないのですけれども、この航空機工業審議会の通産大臣に対する答申の中には、輸出の振興については、YS11の今後の販路拡大の重点は、輸出の増進にある、そこで日航製としては有効適切な広報活動、積極果敢な販売活動を展開すべきであるというようなことを御答申になりまして、さらにそのあといろいろな輸出振興のための措置についての答申をしておられます。このような点について、ひとつ大臣のほうで、その答申のこの点についてはこう考えるというような点について、具体的に御答弁をいただきたいと思います。特に、性能がいいということを輸出振興の中でどのように結びつけていくのかという問題、PRの問題にしろ、いろいろな問題があると思うのです。それから後発された新発の航空機だという問題、いろいろな問題があると思うのです。そういうようなこととの関連において御答弁をいただければ幸いだと思います。
  42. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 性能のいいことが輸出振興にならぬという先ほどのお話、ちょっと私解しがたいのであります。PRというのは、性能がいいからPRできるのであって、コスト、費用も高くかないし、輸送力も多いということから、この飛行機を使ったほうが得だというようにPRをしなければならぬ。それが私の言う性能がいいということなのであって、そういう意味でYS11が今日のところでは高く評価されているというので、YS11を使ったほうが得だ、利益だということをやはり世界にPRしなければならぬと思うのです。そういうことでYS11については現在いろいろPRしていると私は思っております。そういうことでPRして輸出の奨励をやりたいと思っております。性能がよければ売れるということで、実は私自身が航空会社の社長をしておりましたから、性能のいいものを買うようになる。私自身の体験からしても、DC3、バイカウント、フレンドシップ、みな性能がいいからそれを買うということにだんだんなってきて、今日はYS11を使うということになってきているのですから、やはりその飛行機を使ったほうが利益であるということさえはっきりすれば、私は、YS11がそういうような長所を持っておれば、今後ますます海外で売れるということになる、こう思っております。
  43. 中谷鉄也

    ○中谷委員 性能がいいにもかかわらず、そのことでむしろ他の競合している機種に比べて輸出の面においてそれほど進出できない、この点は一体どうだろうという悩みがある、こういう趣旨の質問なんです。  それはそれとして、じゃ政府委員の方に御答弁をいただきたいと思いますけれども、答申の中にいろいろなことが書かれておりますけれども輸出入銀行の資金の積極的な活用をはかるというような措置をしてもらいたい、これが一つありますね。いま一つは、アフターサービスの問題、この点についてはすでに措置をされているようでありますけれども、この二つについて御答弁をいただきたいと思います。
  44. 高島節男

    高島政府委員 いま中谷先生指摘の点と、大臣の御答弁と関連いたしてまいりまして、YS11の輸出振興のための措置でございます。第一点は、先ほど大臣からお話がありましたPR活動を中心にしまして、これはちょっと補足いたしますと、今回ジェトロの協力を得るために、業種別のジェトロのPR費の中に航空機のワクを設けて、その活動を積極的に推進するということに具体的措置をしてやる計画でございます。第二は、ただいまお尋ねの点でございますが、輸銀資金の活用といたしましては、輸出入銀行はこういった輸出の飛行機に対して一応窓口を開いているわけであります。輸銀資金の問題は、今回の予算の編成にあたりましてもいろいろな角度で議論がございます。したがって、大きな、三千億でございましたか、三千数百億のワクの中に、この航空機の資金の問題も包括されておるわけでございます。おおむね先ほど申し上げました程度の輸出実績でございますと、今年度は百五十億程度が航空機輸出のためにさかれてまいるという大体見当になっておりまして、輸銀当局も、これは非公式にわれわれと話しました際には、航空機には特に力を入れて、せっかく出かかった輸出だから、輸出入銀行としてもいろいろな意味で応援をいたしてまいろうということで、この問題に好意的に臨んでくれておるわけであります。  それから第三にアフターサービスの点でございます。これを若干具体的に申し上げますと、アフターサービスの体制を整備強化することが一番商売の上できめ手になってくる点が多々ございます。そこで、何しろ海の向こうの話でもございますから、この点についてはいろいろと苦心をしますし、ここをうまく切り抜けないと、なかなか将来うまく押しのけて勝っていくということができない点でございますので、まずさしあたって補用品を円滑に供給できるように、向こうで先方の体制を日本航空機製造株式会社として整備をいたしまして、補用品にこと欠くことのないように準備をいたしております点が第一点。それから第二に、航空機の引き渡しに先立ちまして、パイロットや整備員のトレーニングをやっていくということが大事でございます。ただの売り切り商品とその点が非常に違いまして、実地訓練等もまじえまして、引き渡しに先立って教えていく、こういう方法をとってまいっております。それから第三点に、引き渡してしまいまして後、向こうで使っておりますと、いろいろな問題が出てまいりますので、当方から技術者を一定期間派遣いたしまして、これを応援して、手をとり足をとりといいますか、そうしてやっているところもございます。そういう体制にも万遺憾なきを期していきたいと思っております。それから第四に、ユーザーの技術的要求。これは普通の品物と違いまして、ここをちょっとこう直してくれとか、使ってみてからいろいろ人によって違った要求がどうも出てまいるようでございます。したがって、これに臨機応変に適切なサービスをしていくということが必要なので、そういう面ではいまの指導員等の活用のほかに、サービスニュースというものをまとめて、売った先に常に流していくということに心がけていっております。  要するに、こういった輸出の伸展に伴って、海の向こうへのサービス、売りっぱなしでない、あとの行き届いた営業活動というものに十分力を用いるよう、日本航空機製造自身も常に考えております。またわれわれもそういう具体的な案がございましたら、逐次話をして進めていきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  45. 中谷鉄也

    ○中谷委員 ハワイ航空のほうに、昨年三機就航したということを聞いておりますが、特にアメリカに対する足がかりにもなるということで、アメリカの各ローカル航空会社のほうからも、ハワイ航空の運航実績というものに対して注目をしている。同時に、日本のほうもハワイ航空の実績については常に観察を怠らないというふうな状況のように聞いておりますが、この点について、ハワイ航空に昨年輸出されました三機——六十便のうち十四便というようなことも聞いております。この点についての運航実績なんか、非常に好評なのかどうか、これは一言でけっこうですから、お聞かせいただきたいと思います。
  46. 高島節男

    高島政府委員 航空機の就航状況は世界の注目の的でございまして、これいかんが非常にYSの将来のために響いてまいりますので、心配いたしておりましたが、幸い、現在運航率ほとんど一〇〇%、欠航はないという状況でございます。乗客の乗りぐあいは、去年四十一年の前半の状況でございますと、これは満席のようでございます。その点は一般に非常に好評を博しておって、それが南米方面に最初に伝わり、それから御指摘の北米関係も、ある意味で今後有望という形になってきている一つの手がかりではないだろうかというので、その点では非常に喜んでおる次第でございます。
  47. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そこで次にこういう問題を提起をしておきたいと思うのです。と申しますのは、YS11の特徴的な点としては、YS11の経済性ということと、いま一つYS11の短距離離着陸能力、STOL性というのでしょうか、その二つを関係者は常に指摘をし、あげるわけなんですが、問題は、対米輸出に関連をしますけれども、アメリカのローカル航空会社のほうでは、YS11を貨物運送専用機としてというふうな話もあるらしい。あるいはまた、これはかなり専門的なことで、この点私はSTOL性に関係をしてくることだということの理解しかございませんけれども、たとえば現在のYS11の離着陸性能が、カテゴリーIランディングというようなものを、アメリカのほうは購入にあたっては、IIランディングというところまで性能を向上させる必要があるというような希望が非常にある。このことは、いわゆる経済性、あるいはSTOL性というふうな面の性能の向上ということが、安全性とどういうふうに関連をしてくるのかどうか、ことにそういうふうな性能の変更というもの、旅客機を貨物専用機にするということ、あるいはIランディングというものをIIランディングにするというような、そういう性能の向上ということが、安全性というものを確認することの上において、どの程度の実験あるいは試験、あるいは観察期間を置かなければならないのかというようなことの関連で御答弁をいただきたいと思います。この御答弁は運輸省の方になるのでしょうか、私にはわかりませんが、関係者から御答弁をいだたきたいと思います。
  48. 高島節男

    高島政府委員 非常に専門的な御質問でございますから、私のほうの航空機課長から答えていただきますが、私の常識的な感じを申しますと、まず安全性ということは、飛行機については、むしろそれを比較するということよりは、絶対要件であろうかと思います。これがまず固まりまして、そのあとで経済性の問題の一つとしてSTOL性があり、スピードの問題があり、飛行場の使い方の問題がある、こういうように考えられると思います。それを前提といたしまして、カテゴリーランディングの問題等を航空機課長から説明いたさせたいと思います。
  49. 加藤博男

    ○加藤説明員 安全性と申しますのと、カテゴリーIIあるいはIということは、ある意味でやや別の次元の話でございまして、カテゴリーII、Iについては、いま手元に詳細な資料を持っておりませんのでなんでございますが、簡単に申しますと、要するに視界が悪くても離着陸できるようにいたしておりますのがカテゴリーIIランディングでございます。なお、カテゴリーIIとIとの差は視界の広さによってきまっておりますが、ちょっとその点、いま手元に資料を持っておりませんが、そういうことでございまして、現在のYSクラスの飛行機はYSに限りませんで、すべてカテゴリーIの飛行機でございます。  なお、カテゴリーIIランディングと申しますのは、アメリカにおきましても、わりに最近採用されつつあるものでございまして、これが載っていないためにYSの安全性が低いという筋のものではないわけでございます。やはり飛行機の技術の進展、あるいは運航の技術の進展に伴いまして、逐次新しい要求として出てくるものでございます。このたびアメリカでそれが議論になりましたのも、現在それがなければ使えないというものではございませんで、むしろ将来を見込みまして、そういうものを装着いたしておくほうがユーザーとしてお得だと申しますか、いいという判断でそういう御要望が出てきたものでございます。  なおカテゴリーIIランディングにいたしますと、あらためて試験その他が必要ではないかという御指摘でございますが、この点もちょっと不確かな点がございますけれども、いずれにいたしましても、飛行機の場合には日本に限りませんで、アメリカでも安全性のための法規上の規定が非常に厳重にしかれております。したがいまして、カテゴリーIIランディングを装着したために再度試験を必要とする場合には、これに合格いたしません限り飛行機自体が飛べないわけでございます。したがいまして、そういう法規上のものがございますが、もちろんそれを受けまして合格をするということになるわけでございます。ただ、ランディングIIについて必要かどうかについては、ちょっと私はいまはっきりいたしておりません。もし必要でございましたら運輸省のほうから……。
  50. 中谷鉄也

    ○中谷委員 運輸省の方にはまたあとお尋ねいたしますが、そこでこの点について、安全性というようなことばについて私問題を提起しまして御答弁があったのですけれども、私は非常にがっかりしたことが一つあるのです。と申しますのは、この前参考人の方においでいただきまして、YS11の日航製のいわゆる簡単なパンフレットをいただいたわけですね。そのパンフレットをいただきますと、PRのようなものですけれども、「YS11の特徴はどこか」ということでお書きになっている。高島局長も御答弁になったように、安全性と経済性というようなものは同じように並べられる概念じゃないんだ、安全性というのは絶対なんですよという御答弁なんですけれども、どうも感覚としてはそういうふうな考え方というものが必ずしもYS11の中に浸透していないんじゃないかと私は思うのです。と申しますのは、「YS11の特徴はどこか」ということになると、まず第一に特筆されるべきものは、とありまして、「離着陸性能がすぐれ、しかも旅客搭載量が大きい」、要するにSTOL性の問題が出てきている。そして二番目に「経済性がすぐれている」、三番目に「高温時でも何らの制限なしに使用できる」とありまして、やっと四番目に、安全性が高いんだ、こう出てくるわけなんです。なお、技術屋さんというのは、そういうふうな考え方、この航空機の特徴は何か、その点に一つ執念をお持ちになっておられると思うのですけれども、日航製の設計部長、技術部長さんの談話などを見てみましても、必ずしも安全性というようなことばが出てこない。この飛行機についてはSTOL性と経済性ということを常にいろいろな航空機関係の書物の中で強調しておられるけれども、安全性ということについてはあまり強調されないわけなんです。同時に、もっとその点について申し上げますと、航空機工業審議会の答申それ自体も、何も安全性というものを、短距離離着陸性能というようなものと別個の一番大事なものとしては掲げていないわけなんです。要するにそれらと安全性というものを並列している。もう指摘しなくてもいいと思いますけれども、「米国への輸出が具体化する等、その短距離離着陸性能、安全性、経済性、搭載容量の大きさ等について」云々、こういうふうな記載がございます。というふうに、この点について問題は、この機会にこういうことを提起すべきことが適当かどうかは別といたしまして、安全性というものは絶対なんだということが現実のいろいろな文書あるいは考え方、実務の中においては必ずしも浸透していないんじゃないか。この点については、育成に当たられる通産省の立場としても、十分に安全性の強調ということを大眼目に置いていただきたいということをひとつこの機会に要望しておきたいと思います。
  51. 高島節男

    高島政府委員 非常にごもっともな御指摘だと私は考えます。いろいろ答申とか、あるいは日本航空機製造のパンフレットとかというものの中での取り扱い方、及び航空機専門家の頭の中を私なりに推察いたしますと、この飛行機が特に長時間の非常に激しい試験をやりまして、安全性について他に見ない非常な強度の試験をやったという点がございます。そのためにその点を強調しようといたしまして、たとえばSTOL性とか経済性とかというものに並べまして安全性ということを言われることが、よく私も耳にいたすわけでございます。これはむしろそういう事実を強調するという気持ちが強いので、論理的に言いますと、むしろ安全性は航空機の絶対要件としてアプリオリにもうきまってくる問題であって、いわゆるこの飛行機をお買いなさいというセールスポイントではないという感じが正しいのではないかと思います。ただ、そういう特別な試験をして、長時間の試験に耐え得たのだということを、いろいろと売ります際に、特にそういう経過を強調いたしまして、安全性の問題に触れてきているという気持ちだと思います。しかし、問題の基本的な考え方は、まさに先生のおっしゃるとおりであります。今後いろいろなそういう対外活動あるいは対内の説明等につきまして、日本航空機製造等のほうにもそういった趣旨のよく徹底するようにやってまいりたいと存じます。
  52. 中谷鉄也

    ○中谷委員 もう一点だけ安全性の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。この点については現在どのように解決されているのかということをお尋ねをいたします。  四十八国会本法審議にあたりまして、参考人として全日空などの関係者の方を招致いたしました。そうして参考人の方の意見の陳述があったわけですが、その中で次のようなことばがございました。福本参考人のことばでございますけれども、これは全日空の立場から日本航空を批判しておるわけですが、その中で国内航空の場合は「幹線とともに、」要するに国際線あるいは国内幹線ともに航空会社相互間に過激競争、過当競争の様相を呈しておる、だから安全性もきわめて憂慮されるような状態だ、こういう趣旨の発言があるわけなんです。この点について、これは当事者自身が、ちょうど昨年のきわめてふしあわせな事故のあった約八ヵ月ぐらい前の委員会でございますけれども、そのときに安全性についてはきわめて憂慮されるような状態である、こういうふうな意見陳述が一つと、いま一つは別の参考人の意見陳述でございますけれども、飛行機を新作をした、そういうふうな航空機についてはいろいろな改修をすべき点が次から次と出てくるのだ、そういうふうな点について、たとえばその改良改修をした場合には、少なくとも三千時間くらい飛んでみなければ安全性があるということについてはなかなか保証しがたいのだという趣旨の意見陳述があったわけなんです。私が先ほど指摘をいたしました一つの点は、いわゆる旅客専用機として本来つくられているYS11が貨物専用機になるということは、その性能の重大なあるいは重要な変更ということになって、さらに試験あるいはかなりの飛行時間をそういうことで飛んでみるということを必要とするのではないかというふうな疑問を提起したわけなんです。  いま一つは、これは運輸省の方に御答弁をいただきたいと思いますけれども、過当競争というふうなことが安全性を阻害をしているのだということについてひとつ御答弁を願いたいと思います。
  53. 加藤博男

    ○加藤説明員 前半についてお答えを申し上げます。  先生指摘のように、飛行機についての大きい改修がございますと、それの耐久力あるいはその強さ等についての試験をいたさなければならない場合がございます。YS11について申しますと、ただいまYS11A型という積載能力をふやす設計をいたしております。また貨物機専用の設計も一応進めております。こういう場合に、中の構造等に重要なあれがまいりますと、強度試験あるいは耐久力試験等もYSの当初と同様にいたしております。これは改修の程度によりましておのずから軽重がございますが、それは十分な対策をとっております。  以上申し上げます。
  54. 住田正二

    ○住田説明員 過当競争の問題についてお答えいたします。過当競争の問題は、国際線と国内線と両方考えられるわけでありますが、国際線につきまして競争が激しいということがよく言われておりますけれども、これは、企業において競争が行なわれるのは当然でございますし、一般の企業に比べて特に激しいということはないと思います。特に国際線をやっております企業は、最近非常に高収益をあげておりますし、競争の結果赤字を出して、それが安全性に響いてくるというようなことはないと思います。いままで過当競争の問題が取り上げられておりましたのは、国内幹線あるいはローカル線の問題でございますが、国内幹線につきましては、昨年来航空審議会の答申あるいは石坂経団連会長のあっせん等によりまして、日本航空と全日空との提携、これは特にプールの問題でございますけれども、プールの話し合いを進めておりまして、近くプールができるという見通しになっております。したがって、国内幹線のほうの過当競争というものは今後防げると思っております。それからローカル線につきましては、現在大体独占的な営業が行なわれておりますので、過当競争という問題はないのでございますが、一部といいますか、日本国内航空と東亜航空の企業内容が非常に悪いということで、昨年来国内航空の再編成ということで、日本航空と合併あるいは全日空と合併という方向で、現在統合が進められております。したがって、そういう再編成が終わりますと、企業内容も強化されますので、安全性の問題という点につきましては心配する必要はないと思います。そういうふうに考えております。
  55. 中谷鉄也

    ○中谷委員 どうもいまの御答弁あまりすっきりしなかったのですけれども、時間もないようですから、質問をそろそろ終わりたいと思いますけれども、たとえばYS11の函館空港滑走事故、あるいはYS11の同じく大阪空港片車輪着陸事故、その他小さい、いわゆる事故とまでいかない問題になるのはずいぶんたくさんあると思うのです。そのようなものについて、それぞれを改修していくということが私大事なことだと思うのです。この二つの事故の結論というのは、苦干その性能そのものについての指摘もあるわけなんですけれどもYSの函館空港滑走事故については、要するに操縦のミス、パイロットのミスということが一応指摘されているというふうに読めると思うのです。いま一つ大阪空港の問題については、その整備について至らない点があったというふうな指摘というふうに読めるわけなんです。しかし問題は、安全性ということについて考えてみましたら、そもそも本来操縦のミスというふうなことが直ちに危険の発生に結びついていく、ささいな操縦のミスがそういうふうに結びついていくというところに問題点もあろうかと思うのです。本来そういうふうなものではなくて、いわゆる安全性というのは、ささいな操縦のミスというようなものは制御できるというふうなものでなければならないというふうに私は思うわけなのです。そこで、質問を終結いたしますが、きわめてふしあわせな事故であった松山事故についての調査が現在進んでおりますが、その見通し、いつごろ調査結果が出せるのか、この点について関係政府委員のほうから御答弁をいただきたいと思います。
  56. 松本登

    ○松本説明員 松山事故の事故調査の見通しという御質問でございますけれども、その前に、現在の調査の現状、どの程度まで進んでおるかということにつきまして簡単に御説明いたしまして、それから結論の時期等を御推定をお願いいたしたいと思います。  松山の事故は、御承知のように、昨年の十一月十三日に起こった事故でございますが、この事故は非常に大きな事故でございましたので、運輸省といたしまして、東大の航空学科の佐貫教授を団長といたしました調査団を臨時に編成いたしまして、調査に当たってもらっております。これは国際民間航空条約の附属書の規定がございまして、この規定によります調査を進めますのがたいへん能率的であるというようなことが、わが国でもほかの事故から経験されましたので、それによりまして調査団の内部に四つのグループをつくりまして、運行グループ、ヒューマンファクター、これは人間関係でございます。遺体とか、証言とか、ヒューマンファクターのグループ、構造グループ、これは主として機体関係でございます。それから発動機グループ、これにはプロペラも含んでおります。このようなグループをつくりまして、調査を現に鋭意努力していただいているわけであります。  まず機体の構造グループといたしまして、現在まで調べました状況を簡単に御報告いたします。機体を松山の空港にとりあえず海中から揚収したわけでございます。それをさらに調布の飛行場に送りまして、調査しやすく、大体現物と同じような配置に並べまして調査をしております。いままで見たところでは、機体の下部と左主翼の破壊が、右主翼に比べまして非常に大きくなっております。といいますのは、大体機体は、現在のところ考えられますのは、比較的水平な姿勢で左に傾いた状態で、さらに大きな沈下速度で海水に接したものというふうに考えられておりますが、この機体の現物から考えますと、昨年起きました羽田の全日空の727の事故の機体、それから富士山の山ろくのBOACの事故の機体、カナダ航空機の事故の機体、カナダ航空機はだいぶ焼けたのでございますが、それらから見ますと、破壊の程度が非常にひどうございまして、相当大きな力で接水したのじゃないかと思われます。それからエンジン、プロペラにつきましては、事故当時プロペラシャフトの疲労でプロペラが飛んだのじゃないかとか、あるいは、左プロペラの一枚の羽が海中に離れ飛んでおりますので、この辺が空中で飛んだのじゃないかというような説もございましたが、いままで調べました結果では、エンジンのプロペラシャフトの疲労とかプロペラが空中に飛んだというような、機材そのものの故障に基づいた事故であるというようなところは、いまのところ発見されておりませんです。機体の破損の状況からも、現在までのところは、機体に腐敗があった、そのために起きた事故であるというような点は発見されておりません。さらに遺体の状況とか、証言とか、そういうものを現在鋭意調査中でございます。繰り返しますが、現在まで調査団で調べております状況では、機体そのもの、あるいは発動機あるいはプロペラ、そのようなものからの故障で事故が起きたという点は、現在までのところは発見されておりません。  このような調査の現状でございますが、非常にむずかしいのは、なぜ海水にあのような大きな沈下速度で落ちたのかということでございまして、これは主として運航グループのほうで調査をお願いしておるわけでございます。全員死亡というような事故で、しかもフライト・レコーダーなんか積んでおりませんので、事故調査としては非常にむずかしい事故で、昨年起きました四つの事故のうちでも一番むずかしい事故調査になるのではないかと考えております。調査団といたしましても、十一月の一周忌までには何とか最終報告をつくりたいというような目標で努力をしていただいておりますが、何せ先ほど申し上げましたように、非常にむずかしい事故でございますから、さらに今後いろいろな試験とか調査とか、そういうものも新たにやらなければならぬものも起きてくる、そのような状況でございますので、ここで調査団としてもいつ発表できるかということはまだ申し上げる段階ではないと思いますが、できるだけ早く最終結論を出すように調査団としての努力をお願いしております。
  57. 中谷鉄也

    ○中谷委員 次に、次のようなことをお尋ねいたしたいと思います。  要するに、今度昭和四十二年度予算で十二億円を計上した。しかしそれからはこのYS11については、非常に俗なことばで言えば、とにかく一人歩きができるのだということで、それ以上の出資はしない。これは先ほどお伺いしたとおりなんですが、ただ問題は、ここ一、二年が輸出の面から見て勝負どころだ。いわゆる七〇年前半で中型輸送機としてのYS11については、すでに一つ仕事が終わってしまうということになってまいりますと、当然新機種の問題というものが生じてくるだろうと思うのです。その中で、この点についての諮問をすでにしておられるそうでございますけれども、いわゆる新機種の開発についてどのようにお考えになっておられるか、この点についてまず最初に大臣のほうから——この点についてはいろいろ質問したい点がありますが、まず新機種開発についてということで御答弁をいただきたいと思います。
  58. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 先ほどからいろいろ御質問がありました中で、ちょっと私から御答弁しておきたいことは、YS11が貨物用に使われるということについて多少疑問を持っておられたようなんですが、これから貨物は飛行機で運ぶような世の中に変わってまいります。そういう需要に応じて、人を乗せるだけではなくして、貨物用の飛行機をつくるということで、いまいろいろと研究をいたしておるのであります。将来太平洋などは船でなくして飛行機で——現にそういう飛行機会社ができておるのですから、そういうことになると思います。  それから、過当競争のために事故が起こったということですが、これは私自身が経験を持っておるので、やはり競争で整備などが不備な点はあったと思います。そういう点で、私も全日空に多少関係がありますので、事故が起こったときに社長に、整備員の人員が不備ではないかということで私いろいろ申し上げた。整備員ももう少し強化しなければならぬということを申し上げたのでありますが、今日ではそういうことをやっておられると思うのです。やはり競争で、人が足らないでもとにかく飛ばさなければならぬということで、勢い整備というものが不十分だったのじゃないかということが考えられると思うのであります。  それから飛行機というものは、これは科学技術が進歩するに従ってだんだん新しい飛行機をつくらなければならぬということでありますから、たとえばDCの飛行機でも、DC3、DC4、DC6いまはDC8というようなことで、それぞれ飛行機会社が毎年新しいものをつくろうとしてやっております。これは自動車が、御承知のとおり、何年型というふうに毎年違った自動車をつくるのと同じであります。したがいまして、現在のYS11でわれわれは決して満足しているのではないのであって、もっとよりよいものをつくるということにおいて、今後もできるだけ政府も経費を出して、そして新しい飛行機をつくるようにやっていきたい、こう考えております。
  59. 高島節男

    高島政府委員 ただいまの大臣の御答弁に関連いたしまして、御質問の新型の輸送機についての準備はどんなふうに進んでいるかという点でございます。YS11がいまのように一つのセットで売り切れた後の飛行機の問題としまして、どういう型のものをやったらいいかということを検討、研究いたさなければならぬわけでございます。四十二年度予算に二千万円ほどを計上いたしまして、開発をいたしてまいります前提として、飛行機の大きさあるいは型、速度、航続距離といったような性能を分析いたしまして、日本のみならず、これからむしろ輸出に立ち向かうことになりますから、世界全体の需要の動向あるいは飛行場の状況といったようなものをかみ合わせまして一つの答えを出していかねばならぬ、どこをねらったらいいかということを的確につかまえなければいかぬという作業に目下着手いたしております。これには学界の方にも入っていただきまして、極力早く、この十一月ごろまでには中間的でもいいから何かのめどをつけて、将来の航空機の新しい機種のあり方というものを見当をつけたい、こういう努力を目下いたしておる段階にございます。
  60. 中谷鉄也

    ○中谷委員 その点、もう少し詳しくお尋ねしておきたいと思います。  昭和三十二年に輸送機設計研究協会が設立をされて、そして試作機第一号が初めて飛んだのが昭和三十七年でございましたか、要するに試作機で五年間の日数を要しているということでございます。そこで、本年度予算で二千万円以上の研究開発費が計上されているわけですけれども、一体この新しい機種の開発にはどの程度のお金が要るのか、こういうことです。これは出資金十二億との関係で問題があった点ですけれども、端的にお尋ねしますが、一体どの程度のお金が要るものだろうか。  大臣、非常に航空機に詳しいのでお尋ねしたいと思いますけれども、新機種の場合の問題になる点を先ほど政府委員のほうから御答弁があったわけですが、いわゆる搭載乗員数でございますね。六十人を上回るようなものであることは間違いないと思うのですけれども、それが百人前後、あるいは百五十人というようなことになるのかどうか。大体百人くらいじゃないかと思いますけれども、この点一体どういうようにお考えになっておるのか。  それからいま一つは、これはエンジンについては、現在とは違ってターボファンといいますか、こういうものであろうかと思いますけれども、そういうことも当然新機種開発の中で予想されることだと思うのですけれども、できたらひとつ御答弁をいただきたい。速度だとか航続距離だとか、いろんな問題点がありますけれども、開発さるべき新機種というものは一体どのような性能を持ったものであるべきだろうかということを、ひとつ大臣のほうから御答弁をいただきたいと思います。
  61. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 技術的のことは私もわかりませんが、要するに、飛行機に乗るお客さんがだんだんふえれば、したがって飛行機もだんだん大きくならざるを得ないということで、私が経営したときは初めは十人乗りだった。それが二十人乗りとか三十人乗りとかいう飛行機をだんだん使うようになってきたのですから、やはり飛行機に乗るお客さんがだんだんふえれば、五十人乗りが百人乗りとか百五十人乗りというような飛行機をつくらなければいかぬことになると思います。現にソ連が何百人乗りの飛行機をつくっておりますから、それがやがて日本にも飛んでくるような時代になると思います。したがって日本の飛行機も、何も現在の六十人で甘んずるわけではないので、これを百人にするなり百五十人にするということは考えていかなければならぬ、こう私は考えております。
  62. 中谷鉄也

    ○中谷委員 では、新機種を開発するために四十二年に研究開発費を二千万円以上お組みになったわけですが、要するに新機種開発の基本設計を一体いつまでにするのかというような、いろいろこまかい段取りというものがあると思うのです。ただ、一つ見通しとして、要するに新機種を決定するのは一体いつごろかということと、それから今度のYS11もずいぶん苦労していることはわかりますけれども、今度はさらにそれよりも性能の高い飛行機だという。これは日本の技術陣がどのくらい受け入れるかということがありますけれども、試作機第一号を一体いつごろまでに飛ばしたいという問題点もあると思うのですが、この二つをお答えいただけませんでしょうか。
  63. 高島節男

    高島政府委員 先ほど申し上げましたことしの調査開発といいますよりも、まず調査してどんなものを開発したらいいかという検討、これが十一月ごろまでに一応のめどをつけておりませんと、その結果が総合的に出てくるわけです。どのくらいの人間を乗せたらいいか、どんなエンジンでなければいけないか、その結果として金がどのくらい要るか、そこが全部同時決定をして出てまいりまして、最後は電子計算機のごやっかいになって、非常に複雑な計算をして一つの数値を出し、そしてそこから答えを導き出そうという作業でございまして、私も実は専門的には非常にとらえにくいわけでございますが、いずれにいたしましても、この秋までかかりましてそこのめどをつけて、そしてできます飛行機は——YSの六十人乗りというものは、これはターボプロップのこのくらいの中間輸送機の中では一番人間の乗せ方としては大きいほうに落ちついているわけでございます。したがって、将来次に日本はどんなところをとらえたら世界に売れる飛行機になるだろうかというところは、いたずらに欲を深くして、非常なスピードで長距離へ行けて大きいものを必ずしもねらわないでもよろしい。現にYSの教訓から、そういったアメリカ、中南米等の中距離都市間の輸送にうまくはまり込んだというところがございますが、そういうポイントは一体どこであろうかということが、需要動向あるいは経済性との総合計算の結果出てまいりますので、いまのところここだということがまだなかなかとらえ切れないという段階にございます。しかしこれは、開発いたしてまいります費用としては、もちろん百億単位の大きな費用に資金としてはなってまいろうと思います。採算との関係は、これはまだかいもく見当がつきませんので、政府の臨んでいく助成の姿勢というものも全く見当がつかない。したがって今回の出資とはまた別の第二段の大きな問題として、来年度以降の話として真剣に具体的に切り込んでいかなければならぬことではないか。十一月の調査の結果をつかんでみませんと、まだ私どもも何とも御説明ができないという段階にあるわけでございます。
  64. 中谷鉄也

    ○中谷委員 航空機の研究開発費というのを昨夜調べてみましたら、ずいぶんたくさんかかるというので驚いたわけなんですが、たとえばアメリカの場合は、ただ軍事目的の飛行機と一緒になっているからだとも思いますし、いわゆる人工衛星などとも関係があるのかどうか、この点はよくわかりませんが、いわゆる開発研究関係予算だけで二兆八千六百億円ということのようでございます。そうすると、日本の今度決定しなければならない新しい機種の開発費について、百億単位のお金が要るだろうということは私は当然予想できるわけなんですが、そういうふうなことで当然われわれとしてもこの問題については注目をしていかなければいかぬという中で、開発のその飛行機がいつ基本設計に着手して、いつそれが試作機第一号として飛ぶというふうなことについて、いまのところ全く白紙ということでなく、世界の航空機業界の情勢というものは一日一日と進歩して、いわゆるYS11についても七〇年前半でその運命は終わってしまうという中で、そういう段取りというのは、機種がどのようなものになるか別として、早急に決定さるべきだというよりも、そういうことについての一応の下敷き程度のものはあるのじゃないでしょうか。この点はいかがでございますか。
  65. 高島節男

    高島政府委員 機種の内容を決定する段階にはございませんけれども、われわれのばく然たる腹づもりから申しますと、YS11の売れぐあい、これが百二十機以上あるいは売れるかもしれぬという感触は持っておりますので、先ほど申し上げました四十四年よりもあと、それがなお生産されて売れていくという段階も相当想像がつきます。ただ、それから一応離れまして、四十三年にはやはり基本設計に着手をしたい。そしてことしオペレーションリサーチという需要調査を中心にした作業を目下進めているということでございます。そういたしますと、大体四十七年には試作が完了するのではないか。四十六年か七年ころ初飛行といったような問題が出てきまして、そこからいよいよ姿をあらわしてくる、大体こういう感じでないだろうか。そういたしますと、YSが四十四年あるいは五年くらいまでは予想より若干伸びがございまして、引き続いて生産してなお売っていくという可能性も十分あると思いますが、そのちょうどあとくらいに、試作完了がその辺にちょうど間に合ってくるということにはなり得るのではないか。ただこれは、開発されます飛行機の内容自体が、OR調査の結果、具体的にきまってない、あるいはもっと早いかもしれない、あるいはもっと問題を残すかもしれない、あるいは需要の中に日本の開発機が入り込む余地が非常にむずかしいかもしれぬ、そこいらはこの秋までの調査ということによりまして、方向をきめなければいけませんが、幸いうまくいくといたしましたときの私どものごくラフな心づもりは、そんなところにめどを置いておるわけでございます。
  66. 中谷鉄也

    ○中谷委員 もうこれで質問を終わりたいと思いますが、一点だけ。これは機種のいわゆる基本設計のない前にこういう話をするということはおかしいと思うのですけれども、従来の論議をかなり私拝見してみますと、やはりエンジンの問題ですね。この問題が輸入品じゃないかということ、しかし輸入品でやむを得ないのだ、開発についてずいぶん金が要るんだ、やむを得ないのだという見解と二つあるように思うのですけれども、この飛行機の心臓というべきエンジンあるいはプロペラが輸入品だというようなこと、新しく決定される機種について頭から輸入品でいくんだというのじゃお話にならないと思うのです。むしろ原則としては、エンジン、プロペラは開発される新しい機種については国産でいくべきだという考え——私はナショナリストではありませんけれども、そういう考えがあってしかるべきだと思うのです。そういうような点について大臣考え方として、基本設計も何もできてない段階で恐縮ですけれども、開発される機種のエンジンあるいはプロペラ等についての基本的な考え方について、これはむしろ原則として国産化すべき方向だというふうな考えか、あるいはそれはまだわからない話だということになるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  67. 高島節男

    高島政府委員 ちょっと私から御答弁の前に事実関係だけ申し上げます。これは私もしろうとで、今度勉強いたしまして初めてわかったような次第でございますが、エンジンの開発というのは非常にむずかしいのです。端的に言いまして、YSのエンジンが国産でかりに開発されておりましたら売れたろうかということも、極端に申すと出てまいりまして、これは一朝一夕でなかなかできない。ロールスロイスのエンジンというのは世界的に風靡しております。ほかの国もそれを買ってそのかわりあとの部分をみずからつくるという形で、自分の国の飛行機であるという形でやっております。事実関係はそういうふうになっております。なかなか難問であるということが一点と、それからもう一つの問題点は、飛行機の設計の新しいものに着手いたしますそのときには、まずエンジンのほうが開発されてでき上がっていないと、エンジンを前提にして飛行機の設計が行なわれるものですから、時間の関係から言いましてロスが出ないように、エンジンが先行するというもののようでございます。したがいまして、次期輸送機についてエンジンの国産化の開発ができているかと申しますと、事実残念ながらできておりません。われわれの計画といたしましては、次期輸送機についていま御指摘のような方向で研究いたしますと同時に、エンジンの問題は——それと、また第二段といたしまして、大型プロジェクト予算というのがことしも顔を出しております。超高性能の電子計算機等と同じように、政府のまるがかえで開発費を持ってやっていくというのでなければ、将来の日本のエンジン開発というものはどうもうまくいかぬのじゃないかということで、まだ大臣にも御説明をいたしておらぬ段階でございますが、そういう方向で来年度予算等もとっていきたいという気持ちで、勉強をしておるという事実だけ申し上げておきます。
  68. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 それはもう、理想としてはエンジンもプロペラも国産でいきたいという考えをわれわれも持ち、また日本人なればできると私は考えております。がしかし、国産でなければ採算が合わぬのかというと、そうでもないので、日本の造船がいま世界一でありますけれども、エンジンには外国のエンジンを使っている例があるのですからして、日本人のことですから、外国のエンジンを持ってきて、そして安く生産できて、また売れるということは、日本人なればできるのじゃないかということでありますが、しかし国産でいくのが私は本体だと考えております。
  69. 中谷鉄也

    ○中谷委員 終わります。
  70. 島村一郎

    ○島村委員長 午後二時より再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時五十一分休憩      ————◇—————    午後二時十七分開議
  71. 島村一郎

    ○島村委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  内閣提出航空機工業振興法等の一部を改正する法律案を議題として、質疑を続行いたします。  近江巳記夫君。
  72. 近江巳記夫

    ○近江委員 午前中からいろいろな質問があったわけでございますが、YS11につきましては、政府委員の皆さん方も、また世間の評判も非常にいい、こういうわけで、私も、国産機といたしまして、日本の国民の一人として非常に誇りを持っておったわけであります。  そこで、今回の法案提出にあたりまして、私もそれぞれ航空会社なり、そうした関係者のところに行ったわけであります。ところが、当たるたびにだんだんと私がそのように誇りを持っておったのが、一つ一つ何となしに打ち消されていく、そういうような悲哀を味わったわけです。ちょうどわが子の成績がいい親が胸をふくらまして学校へ行きまして、そこで先生からいろいろな点を聞かされる、それに似たような気持ちを私は受けたわけです。そういうことについて私が聞いた範囲で二、三のことを申し上げてみたいと思うのです。  たとえば性能の点でありますが、本質的には設計どおり、計算どおりいっておる、しかしこまかい点においていろいろな点が出てきておる。たとえば雨が降ってくれば窓ワクというか、そこに雨がにじんでくる、そうなってくれば当然配線系統にも湿気が伝わってきて、回路をこわす。非常にこれは危険なことになるわけです。さらに胴体の中に、これはどんな飛行機でもそうらしいのですが、水がたまる。その水抜きの穴が非常に小さい。あるいは室内のキャビンといいますか、塗装にしても何かちぐはぐな塗り方だという。あるいはまた部品を何とかして早いこと取りかえてほしい、なかなかこない。いろんなそういう話があるわけです。こういう話を政府委員は知っておられるのですか。この点をお聞きします。
  73. 高島節男

    高島政府委員 ただいま御質問の点のYS11の性能と申しますか、いろいろ飛行機としての、実際上使ってまいります上において問題が出てくる、バイタルな問題ではございませんが、こまかい問題がいろいろあるということは、具体的に一々記憶をいたしておりませんが、そういった苦情が全般的に比較的多いという感触、これは私もそういう印象を持っております。ただこれは、飛行機というものが、新しい型のものとしてここで一つ生まれまして、これを使いこなしてもらうといいますか、使っていくうちにいろいろこまかい点で不行き届きがあったことがお互いにわかっていくという点が、どうも多分にあるようであります。その結果は、いま御指摘のような点で、何だそれくらいのことは最初からわかるじゃないかというところに、案外たいしたことはなくても手をつかねておるというような面、これはお互いの間の情報交換、特にメーカー側の日本航空機製造のほうのサービス精神というものの充実によって、逐次解決をしていかなければならぬ点だと思いまして、実は一年ほど前でございますが、いよいよこの飛行機がいわゆる量産段階に入る、輸出めどもついてきた時期から、特にサービス部という部を設けまして、その間に人員の充実等もはかりつつ、問題にいま臨んでおるわけでございます。特に部品の取りかえ等のサービスは、これは飛行機会社のやっていく活動の中の中心になるもので、飛行機というものは単に売ってしまえばそれでいいものではなくて、機体を売ると同時に、サービスをするということがむしろ販売の一環であるという心がけでやっていかなければならぬ段階かと思います。いま御指摘のありましたような点については、会社の体制を切りかえるべき重点に当たるところかと思います。今後は厳重にそのような点は指導してまいりたいと心得ております。
  74. 近江巳記夫

    ○近江委員 第四十八回国会における附帯決議、これは四十年三月二日ですか、この点において、内容として、国内航空路線にYS11を優先採用させるということ。私も国内の航空会社の使用状況を調べてみたのですが、日本航空にはこれはまだ一機も入っていないのですね。日本国内航空は八機、全日空が五機、東亜航空が四機で、外国機種のほうが多い、こういう現状なのです。われわれがものを買うときでも、やはりいいものならどんどんもっと買ってもいきますし——それはなるほど先に外国機が入っておったというような事情もいろいろあるし、そうしたタイミングが若干おくれた、量産体制に入ったときに若干タイミングがおくれたということはわかるわけですが、しかし積極的に、それじゃ、外国機を古くなってきたから次に取りかえていこうかというような、さらにもう一歩の熱意が感じられない。わが国の国産機としまして、ほんとうにみんなが何とか押し上げようという気持ちはあるわけですが、それをちゅうちょせざるを得ないということは、これは非常に問題だと私は思うのです。こういう点についてほんとうに真剣に、そういう一々の問題を真剣に考えていかないと、これからどんどん——外国はまだそういった問題が出ておりませんし、表面に出ていないけれども、これからさらにそういう小さな故障が大事故を誘発する。そうした場合に、先ほど百二十機は確実ですといわれたが、百二十機どころか、これはもう頭打ちになってしまう。膨大な国民の血税を飛行機にかけているわけです。そうであるならば、やはりこれを成功させなければならぬ。飛行機の事故というものは、これはもう一回やったら大事故になるわけです。そういう点の体制といいますか、それをこの際ほんとうに真剣に考えていかなければいかぬと思うのです。それで、私は小牧のほうもずっと視察に行かしてもらいましたけれども、これはいただいている資料の中にもありますが、非常に内容的にメーカーがたくさん寄っていますね。補助翼フラップが日本飛行機、主翼が川崎航空機工業、ざっとこういった調子で、八社が入っておる。そうしてそのもとに日本航空機製造会社がある。いうなら、マネージメントといいますか、そこに完ぺきなマネージメントをし、サービスをしていく、それだけの体制があるか。たとえば尾翼の故障があった、そうすると、八社のうち一社に行く、いや私のところじゃない、向こうです、そういうように、連絡も悪い。こういったように、一つの故障があって、それを頼んでもなかなか期間がかかる、非常に不安である。ところが外国機の場合は、故障でもあればすぐにぱっと来てやってくれる、こういう話を随所で私は聞いた。要するに、そういったサービス体制あるいは生産体制について、このままでいいと思っておられるのかどうか。今後さらに一歩前進さして、こういうふうにやっていく、そういう構想について私一ぺんお聞きしたいと思うのです。
  75. 高島節男

    高島政府委員 先生指摘のように、サービス体制について、まさにいま日本航空機製造としまして、力をうんと入れなければいけないという段階に差し迫っておることははっきりした事実でございます。そこに今後売れていく場合の一番の大事な点があるかと思います。しかも中心が輸出に移ってまいりました。海の向こうに対してサービスをしていく場合、外国と見劣りしないのみならず、海を越えてのむずかしさというものがございまして、一番頭を悩まして会社当事者も経営に当たっておるポイントでございます。それで、大体どういう具体的なことを考えておるかと申しますと、まず、先ほど御指摘のありました部品関係、補用品と普通称しておりますが、これが円滑に継続的に供給されるという体制が整備されることが何よりもまず必要でありまして、現在羽田で、海外向けまで入れまして補給所の充実整備をはかっておりますが、それにさらにできればプラスいたしまして——輸出に伴って、南米あたりが中心になるかと思います、あるいはマイアミ辺をねらったほうがいいかと思いますが、補給所を確立していくということを考えなければならぬ段階に差し迫ってまいっております。  第二に、引き渡しまして事故等が起こりますことをまず防止するためには、パイロット及び整備員に対して十分なトレーニングをつけて、飛行機と一体をなして、そういう知識、操縦ということと関連した実地訓練等もやっていくということが一つのサービスの中身になってまいりまして、この点に特に心がけてやっていくように、実地訓練を中心にいたしましたパイロット、整備員のトレーニングに会社として力を用いていこうといたしております。  第三に、引き渡し後飛行機を使いこなしてもらわなければいけません。特に輸出の場合は、こちらからすぐ飛んでいくということはできませんので、輸出先に対して一定期間技術者を派遣していく、非常に技術者の頭数が少なくなってきている際でございますから、この間のマネージメントもなかなか容易ではない、そういう状態でございますので、これに対して何とかやりくりをつけて、人をつけて手をとって一定期間を教えていく、ここいう面に対して十分に心を用いていきたい。  それから第四に、ユーザーのほうから、先ほど御指摘がありましたような点を中心にいたしまして、使ってみたけれども、いろいろ技術的に、人により使い方によって違うようでございます。これは不特定多数の一般的な商品と違いまして、どうも人によるところの使い方と結びつきが適切でないと行き届かない面があり、そういうことがまた事故の原因の一つにもなる。それでお互いにサービスのユース、こういうことが使い手のほうで起こる、それから飛行機を供給したほうでは、それに対してこうすればいいんだというその間の連絡をはかっていくための適切なサービスセンター的な要素を十分に果たすように、内外全般にわたりまして心がけていきたい。そのあたりが問題のねらいどころであろうかと存じております。その辺に会社の経営責任者がまず心を用いてもらいますれば、私どもその線に沿って会社の運営がいくように指導していきたいと考えております。
  76. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまの局長のお話を伺いましてアウトプランはわかったわけですが、そこで私、別にことばじりをとらえるわけではありませんけれども、たとえばパイロットのそういう飛行機になれさせるためのサービス、これは要するに航空会社にいわせればサービスじゃないんですよ。飛行機に乗り込んで、この飛行機をどうやって動かすか、パイロットは基本的なことは知っておるけれども、その飛行機にはそれぞれの特性があるものですから、当然それは教えるのはあたりまえなんだ。要するに、この一点の考え方なんです。私、別に会社の内部とかそういう点にどうしろというような権限もありませんし、そんなことは言えません。だけれども、私ここでお伺いしたいことは、日本航空機製造株式会社のスタッフといいますか、要するに実権を握っておる人たちは、このメンバーの中に、ほんとうにもう心を砕いてきたそういうようなベテランが民間航空から入っているんですか。その会社の構成を言ってみてください。
  77. 加藤博男

    ○加藤説明員 先生の御質問にお答えする前に、ちょっと先ほど御指摘がございました雨漏れの点でございますが、輸出商品でございますので、お答えをさしておいていただきます。確かにかなり前にそういう事実があったように私もエアラインの方から聞いたことがあります。他の飛行機でもそういうことは絶無ではないわけでございますが、それが配線の関係でいろいろ事故を起こすのだというお話も聞いたことがございます。これは御指摘のとおりでありますが、その点も完全に直しておりまして、現在の商品についてはそういうことはございません。輸出商品でございますので、この席をかりまして一応お答えさしていただきます。  それから、いまの御質問の日本航空機製造の人的構成の点でございます。この点につきましては、ちょっと詳細の資料持っておりませんので、出身別の一覧表をまだお答えできませんけれども、いままで相対的に少なかったことは先生指摘のとおりだと存じます。特に、最近輸出問題その他ということで、先ほど局長からお答えいたしましたように、会社としてはやはりサービスということが本来の商品を売るのと同等の意義と申しますか、同等のものと考えなければいかぬという点については、非常に明快な反省と、いわば積極的な意欲を持っておりまして、現在の社内の体制を整えていくと同時に、逐次人間の増加の過程におきましてそういう方々を迎えまして万全を期したい、そう言っておりますし、われわれもこれについては全面的に賛成をいたしております。
  78. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでわかりましたが、ひとつそういう点でほんとうにその道で苦労してきた人の意見をよく聞く、そういう点の体制をとらないと、ほんとうに国策会社からいつまでたっても抜けることはできないと思う。大きな期待はできなくなる。それからサービス等の点においても、それは先ほどサービスじゃないと申し上げましたけれども、たとえばパイロットの訓練の宿泊所においても、つけもののにおいがするとかで、外国のパイロットがみな苦情を言っておる。やはりこういう点も考えなければなりませんし、さらに注文を外国で受けてくる、それを三菱の小牧の組み立て工場で、これは一例ですが、キャビンの改装をやる、そのあとでまた変更がくるとか、そんな何回も何回も変更をやっておっては当然赤字にもなってくるでしょうし、ですからそういったセールスマンと三菱との間においても、そういう繰り返しのない体制をとらなければいけないと思います。私は、三菱にしろ八社のあり方を見ておるのですけれども、要するに軍用機をつくっておりますし、特にミサイルなんかもやはり受けておるわけですね。そうすると、どうしても人間本位ということを忘れるわけです。ですから、たとえばパイロットもYSを操縦したら非常にしんどい。なぜかなと私も操縦席に入ってみたら、いすが非常に固いといいますか、そこまでの人間工学的な配慮がされてない。これは全般に言えると思うんですね。旅客機なんですから、相当これを満足させるというところまで勉強しなければならないし、しかもそれを実現できるだけの体制をとっていかなければ、これからの日本の飛行機というものの評価は落ちると思う。どんな商品でもそうなんです。ちょっとしたことでけちがついてだめになっておる。ちょっとした最後の配慮が大事なんです。たとえば、サービスの点でも力を入れておりますと局長言われましたけれども、いま聞いてみたら五、六名だというのですね。少なくとも五十名くらいのスタッフで修理等のあれも技術員をかかえてやっていかなければだめだ。五名や六名で何十機の飛行機を売り込んでどうやってやれるか。手が足りない手が足りないでなく、どこかのそういったところに契約してやってもらうとか、その点考えなければいかぬと思うんですよ。さらにもう一歩こういった点で、十二億からの融資をするわけですし、根本的にいま一番考えるべき時期だと思うのです。その点についてもう一回明確に、力を入れるなら入れるということを伺ってみたいと思うのです。
  79. 高島節男

    高島政府委員 御指摘のとおり、ここで十二億の出資をいたしまして、いよいよYS11の生産段階が本格的なところに入りますわけで、サービスの部分というのは、いままでどちらかといえば、試作し、開発し、完全なものをつくり上げるという基礎的な方向に努力が集中されてきたきらいがございます。これは初期においてはある程度やむを得ないことであると思います。力の入れ方も、人間の頭数だけでなく、そちらのほうはまずできてから先という感じは、これはいなめない事実として過去の例等にどうもあったように思います。これは現在の段階から見てみると、相当遺憾な点も、正直に申しまして感じられるわけでありますが、先ほど申しました、去年から、いよいよこれから売り込みの本格化という段階に差しかかりました点から、その点を心がけ、会社側のほうも十分にのみ込んで、体制を整備しておりますだけでなく、会社の役員の個々に申し上げてもいささかあれでございますが、営業活動、サービス方面についての非常に練達の士等も入ってもらい、またその仕事もその人を中心にだんだん動くというデリケートな変化も現在ございます。売ってサービスをしていくというか、サービスということでなしに、売ることそれ自体だ、先生の御意見全く賛成であります。売ることの一部としてあとのアフターケアに十分の注意を払っていくということでいかないと、この六十五機の輸出ができ、あるいは全体で百二十は確実であるということの基礎をくずしていくということにも相なります。したがって、その努力には会社側の協力を得て万全を期したいと強く決意している次第でございます。
  80. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから機体の、要するに八社ですね。これについては、たとえば同じ名古屋であっても小牧工場と大江工場は非常に離れていますね。それは要するに何時に運搬するのか、深夜か明け方にかけてやります。しかし機体にしろ何にしろ、非常に飛行機の部品というのは精密を要します。ところが、電車道のがたがたのところをトレーラーで、確かに警察がパトカーで護衛して運んでおる、そういうことも聞いておりますけれども、名古屋ならまだいい。宇都宮あたりからそんなものを持ってきて、運搬費の点にも膨大なものがかかると思いますし、こういう点で、将来の日本の航空機産業としてこのような体制で存続してそれでいいのかどうか。素朴な疑問ですけれども、これについて将来どのように考えていらっしゃいますか。
  81. 高島節男

    高島政府委員 YS11が航空機各社の共同の体制をとってスタートしたゆえん、またそれを方向としてやっておりますところの基本的な考え方でございますが、日本の航空機工業は残念ながら各企業、それも大きな機械メーカーのそれぞれの仕事の中に芽ばえてといいますか、戦争前からの残りが芽として残っておる、それを糾合いたしまして、何とか日本でも、エンジンは輸入でございますけれども、国産の飛行機ができるようにしたいという構想のもとに出発をいたしました。その際に、一社あるいは数社で、それぞれが自分のところで一貫して全部がやれるという体制にはとてもございません。現在の体制においても、世界の状況は日進月歩で、日本はだいぶおくれている体制で進んでおりますから、その点は相当の格差がどうしてもまだございます。そうすると、なけなしの技術屋さんを糾合して、人知を総合してやっていくという必要がどうしても強く出てまいりまして、設計に取りかかるのには、各社の連合体で総力をあげて問題にぶつかろうということにいたし、また各社も一緒に出資をして、政府もそれに出資をしてもらって、そして研究開発に当たろうではないか、そして飛行機をつくり上げて売っていこうではないか、こういう形でスタートをいたしてやってまいったわけでございます。したがって日本の現在の発展段階は、ヨーロッパ諸国、アメリカはもちろんのこと、これに対してかなり格差がございます。今後も軍需といったようなものが大きくないといいますか、日本としてはない状態、先方はいろいろその面では大きなものを持っておりますから、研究開発費等も国から流れていく面もかなり多いというような基本的な弱さがございます状態で、今後外国に太刀打ちしてまいるのには、やはりこういった総力をあげた体制が、航空機、特に輸送機という形の六十人乗り以上の大きなものについてはどうしても必要な段階ではないか。そのために起こりますいろいろな不自由な点は、これは確かに御指摘のとおりでございます。しかしそれは何とか今後のマネージメントの上の努力とか経営の合理化とかいうもので切り抜けていかないと、結局日本としては航空機工業が芽ばえてくるきっかけがない、こういう弱みを持っておるわけでございます。  それで現在、生産の体制のほうから申しますと、各社に分かれてまいりますが、これはそれぞれめいめい得意の分野、専門生産体制ということをよく機械なんかでも申しますが、こういう部分はこの会社が得意といったものが多分にございます。またその会社に設備があるという形のものがあります。その設備を二重に投資して一社に集中するということでなくて、各社それぞれの設備の操業度をめいめいに上げながら、全体で組んで飛行機一本になっていく、こういう方法をとって、作業上、交通上のロスがないような形でやってまいるわけでございますが、ただ、御指摘のように、これは一つの大きな工場の中でどんと一貫体制でやるものと違いまして、輸送等の問題が必然的にどうも起こってまいります。したがって、輸送に伴って若干のコストアップというようなものが、半製品等を組み立て工場に集める過程において御指摘のようにかかってこざるを得ないわけでございますが、他方、こういう分散方式をとっているために、わりあい小さいメーカーで償却済みの設備を持っているというようなものがございまして、その面から、新しく施設をしたり、でっかい工場で大がかりにやるということよりも、コスト上においては小じんまりといって、かえってコストダウンになるというものもございます。その辺が生産上いろいろ出てくるわけでございますが、これを総合的に取りまとめた結果は、コストアップにならぬ、運賃の差くらいのことはこれは消していけるという形で現在動いているわけでございますが、しかし輸送上の問題等は、これはやはりコストを切っていくという努力をし、知恵を出していかなければならない。大江——小牧間の輸送のしかたに明らかにあらわれておりますように、ほかの地区においても同様の事例もございます。この辺は輸送コストの節減のため、各社の間での合理的な体制をいま一歩突き進んで技術的にも検討していきたいというように考えて、せっかく検討いたしておる段階にございます。
  82. 近江巳記夫

    ○近江委員 その量産体制に入った場合にコストダウンする形は、理論としてはわかると思うのです。しかし、これは一例ですけれども、ちょっと落ちる話ですが、飛行機の中のトイレですね、あれの要するに便を受ける底といいますかね、聞いてみたら一個十万円だというのですね。そんなものをジュラルミンでちょんとつくれば、量産体制では五千円くらいでできるというのです。それがどこからそういうことになるのか。それは要するにばらばらにつくっているから、結局いろいろな点においてそういう不合理な点が出てくるのです。やはりこれは一貫してやっていったほうが、ずっとあらゆる総合的な点において、コストの点においてもあるいはサービスの点においても万全を期せられる、こういうように実際にタッチする人が言っているわけです。局長の答弁ですと、確かに合理的にいろいろ考えていく試行錯誤の状態ということはわかります、まだスタートして間がないのだから。だけれども、将来航空機産業はこういうようにしていくというビジョンを描いてかかっていかなければ、何といったって航空機というのはあらゆる技術が結集したすばらしい産業ですよ。これはやはり育てていかなければならぬ。しかし、将来こうしたいというそれがなくて、ただ何とかやっていくうちに何とかなるだろうというばく然としたものでは、日本の航空機産業は育たないと私は思う。これについてよほどの腹をくくっていかなければならぬと思う。大臣、どうですか、これについて。
  83. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 この航空機生産が成長産業であるということはお説のとおりです。まだ生産して間がないものですからして、先ほどお話しのとおり故障があちこち出てくると思います。部品なども間に合わないものが出てきたり何かして、航行上に非常に支障を来たす場合もいままであったと思います。そこで、そういういろいろの欠点はそれぞれに応じて修繕したり改善したりしておると思いますが、結局先ほど申し上げましたとおり、航空機の性能さえよければ需要は今後非常に拡大されていくというように考えておりますから、そこで日本ではあらゆる知識、技術を集めて、外国にも例のないようなひとつりっぱな飛行機をつくるということをやりさえすれば、今後私は伸びていくと思うのであって、そういう意味で、戦後自動車生産というものをほとんどやっていなかったのが、ここ二十年の間にこのように世界第二番目の生産国になったのでありますからして、航空機生産もひとつ自動車の例にならって、そこまで発展さすように、われわれ政府としては助成したいし、また製造に直接関係のある人々もそういう理想でひとつやってもらいたい、こう考えておる次第であります。
  84. 加藤博男

    ○加藤説明員 具体的な点を二、三、先生から御指摘がございましたので、ちょっとさかのぼりましてお答えをいたしたいと思います。  一つは、トレーニング問題につきましては、現在外国の操縦士その他の訓練を会社の寮その他を利用してやっていることは事実でございますけれども、これからの輸出の拡大に見合いまして、しっかりしたトレーニングセンターみたいなものをつくる準備をいま進めております。遠からず先生の御指摘のような点は改善されまして、りっぱなトレーニングができるものと考えております。  それからもう一点、サービス要員が数人ではないかという御指摘がございましたが、これは何かの間違いかと存じますが、会社には数十人のサービス関係の要員を持っております。ただこれは、輸出をいたしましたり、いろいろな点をやっておりますので、ある特定会社に対して接触いたしておりますのがあるいは数人ということはあろうかと存じますが、全員としては決して数名という貧弱なものではございません。なお今後も拡大の予定をいたしております。  それから操縦が非常に疲れるという御指摘がございました。私ちょっといままでそういう情報を得たことがございませんので、的確なお答えができかねますが、実は外国のデモフライトその他におきましても、そういう苦情はあまり出ておりませんので、あるいは特定の方の体格と座席との関係で起こったのではなかろうかとも思います。これはちょっと私断定的なお答えまでまいりませんが、ほかの例であまりそういう情報を聞いていないので、そういう推察もできようかと思います。  それから、ただいま御質問でございまして、運搬に基づく問題点がございます。コストの問題については、ただいま局長からお答え申し上げたとおりでございますが、事実上そういうことがいいのだろうかという御指摘、まことにごもっともな問題かと存じます。ただ、これは日本だけの現象ではございませんで、実は外国でも、最近はイギリスとフランスとが共同生産をするということで、何と申しますか共同生産体制というのが、YSとはある意味では違った目的かもしれませんが、各国で最近盛んに行なわれておるわけであります。そういう段階では、たとえばイギリスからフランス、どっちで組み立てるかわかりませんが、海を渡りまして運ばなければならないというような例は、そのほかにも非常に多いわけでございます。また国内においても、YS以外にもそういう共同生産体制をとっているものがございます。この場合には、運搬のときには決してどんがらのまま、ささえも何もしないで送るということをいたしておるわけではございませんで、十分振動その他によって変形したり何かしないような対策をしてやっておるわけでございますし、事実分散をして生産をしようという決定をいたす以前においても、そういう点は十分検討いたしまして、だいじょうぶだということで現在の体制をとっておるわけでございます。  以上、ちょっとこまかい点でございますが、御説明申し上げます。
  85. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまの課長答弁わかりました。けれども、要するに、どのようにすればいいかというような点の真剣なディスカッションがそこになければいけませんし、研究がなければいかぬと私は思います。日本の将来の航空産業の発展のために、そうした計画をまたいつかの機会に一回ひとつ発表してもらいたい、このことを要望しておきます。  それから安全性という問題でありますが、先ほども事故の問題が出ましたけれども、松山事故、大阪事故、函館事故、このような事故が起きております。この事故の真相について中間報告等はありますけれども、どこの事故もそうですか、非常に正式な発表がおそい。確かにそれだけの時間を要するということはしろうとなりにわかるわけです。だけれども、要するにその発表の底には非常に政治的なものがからんでおる。たとえばパイロットのミスであるといえば、当然ユーザーの立場ですから、要するにあとの営業上まずい。機体が悪かったといえば、今度はまた航空機にその反動が来る。そういう点よくわかるのですが、しかし人命を守るという立場から、この真相について、明確にこの点が原因である、そういう点を明らかにして、一歩一歩やはり前進しなければいけない、私はこう思うのです。飛行機だから、それは飛んでいるものだから落ちるのもしかたがないだろう、まさかそのようには考えておられないと思いますけれども、しかしもっと人命尊重という立場について真剣な自覚があるなら、私は事故の究明についてもさらに早く、そして真実を押えていく、こういう態度であってほしいと思うのです。この三件の事故、いま松山事故はお聞きしましたけれども、大阪、函館については飛行機自体の事故のように私は思うのですが、これについて運輸省はどうですか。
  86. 松本登

    ○松本説明員 ただいま、事故調査については政治的な判断を入れないように公正な調査をやってもらいたいという先生のお話でございますが、全く私もそのとおりだと思います。私たち事故の調査にあたりましては、そういう政治的な考え方というものは一切入れないで、純技術的に調査をいたしまして発表しておるつもりでございます。ただ松山の事故の例をとっても、事故が起きますと、すぐ翌日あたり報道機関などにパイロットのミスかというようなことが出てまいります。これは事故調査に全く関係のないことでございまして、そういう新聞の報道等がエアラインのパイロットの方を非常に刺激しておるというような事例が従来ございます。したがいまして、事故調査といたしましては、ある程度確信を持つまでは一切発表をしないようにいたしております。また事故調査につきましても、予断を持ってこれはパイロットのミスじゃないかとか、機材の故障じゃないかというようなことを当然考えませんで、公正な立場で、白紙で事故調査をやるようにいたしておるつもりでございます。先生の御指摘もございますので、今後さらにその点を十分留意いたしまして、純技術的に調査を進めたいと思っております。  それから大阪のYSの脚の故障、函館のランウエーをオーバーランした事故でございますが、これにつきましては、大阪の脚の故障の事故は本年の一月二十日でございました。事故調査結果を発表いたしましたのが二月七日でございます。それから函館の過走事故、オーバーランにつきましては、一月二十二日の事故を三月一日に発表いたしております。これはあるいはもっと早く調査の結果が出るのではないかという御指摘も当然あるかと思いますが、特に函館の場合などは非常にデリケートな、構造上、またパイロットの操作上デリケートな点もございまして、調査に非常に慎重を期したために、このように一ヵ月以上かかったわけでございます。松山の事故につきましては、午前に御報告申し上げましたとおりで、委員の方にできるだけ早く発表いたしまして対策を講じていただけるよう、そのための対策も必要でございますので、そのための努力をいたしておるのでございますが、午前中申し上げましたように、非常に調査に困難な事故でございます。しかしいずれにしましても、国産機でございまして、性能も全部わかっている飛行機でございます。それからエアラインも日本のエアラインでありまして、外国に何の気がねすることもないというか、そういう必要もないわけでございます。できるだけ早く事故の調査を完了いたしたいと思っております。  それから、これは弁解じみたことになりまして恐縮なんでございますが、こういう大きな事故調査につきまして、外国でやっております状況を簡単に御参考のために申し上げますと、たとえばボーイング727、アメリカのユナイテッド・エアライン、UALが、おととし八月にミシガン湖に突っ込みまして、これは全員死亡でございます。ちょうど全日空の羽田の事故の全員死亡というのと飛行機が同じでございます。これにつきましては、まだアメリカ政府は完結を発表いたしておりません。アメリカではCAB、民間航空委員会が大きな機構を持っており、また、連邦航空庁がありまして、ともに相当な大きな機構を持って調査をしているのでありますが、やはりこういう全員死亡というような事故につきましては、アメリカでもまだ発表になってはおりません。しかしながら、同じ727で一昨年、ほかに二件事故がございました。その場合にはパイロットが生きておりましたり、フライトレコーダーが回収されたりいたしまして、これは大体おととしの事故が去年発表になっておるわけでございます。
  87. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、先ほども局長から百二十機の需要を想定されておられるわけでありますけれども、要するにこの目標達成ですね。百二十機は大体計画倒れになるのではないか、私はこのように思うのですけれども、どのように確信を持って百二十機いけるのか、その計画についてちょっとお聞きしたいのですが。
  88. 高島節男

    高島政府委員 百二十機の需要が確実にあるであろうと考えております背景を申し上げてまいりますと、いささか商談とからんでおりますので、デリケートなところもございますが、やはり一番の中心は輸出にあるのではないかと思います。内需については、午前中御説明いたしましたように、当初民需が九十機、官需が三十機と、百二十機という大きな期待を持っておりましたが、内需の関係、特に民間関係の伸びの鈍化で、大体五十五機という程度に安全を見ておいたほうがいいのではないか、こういう感触で期待の中心を輸出に移しておるわけで、この輸出がうまくいくかどうかということが、一にこのYSの問題を大きく左右する基礎になっていくかと思います。輸出はどうも相手があるものの予測でございますが、去年の夏、いままでどちらかというと販路の開拓につきまして消極的であったといいますか、基礎が固まりませんものですから、外国まで大幅に進出していくだけの大がかりなデモンストレーション・フライト等が行なわれていなかったのを、思い切ってアメリカに向けてやったわけでございます。その結果の反響は、アメリカからまず大きな注文が出そうだという感触が一つ出まして、これは午前中も御質問がありましたように、現在まだ商談進行中という程度のところで見るのが手がたい実情ではないか。これは向こうの銀行筋等の金融引き締めといささかからんだ圧力等もありまして、エアラインがそれに左右されて、円滑に予想どおりに七十何機とか百機、これはちょっといまのところは期待ができませんが、現状の商談ぐあいから、二十機から三十機のものは、これはつかみ得るのではないか。二十機については相当確実な段階にいま進みつつございまして、直ちに人を派するかどうかというような段階までまいっております。それから、それとややおくれまして南米に向けてデモンストレーション・フライトをやりました。これはすでにアメリカにやりましたものの評判といいますか、これが南米側のほうに非常に関心を呼んでおりまして、そこでやりましたので、相当これは大きく現在反響が出てまいっております。たとえばブラジルあるいはアルゼンチンといったあたりで非常に具体的に商談が進んでまいりまして、特にブラジルの場合は、十二機程度のものはいよいよ契約がサインをされる。日本、ブラジル両国政府のそれぞれ承認の輸出輸入についての手続がございますが、実際のところ商談がこれは固まってきて、場合によっては二十機かそこらまで上がっていける確実性が出つつあります。それからアルゼンチンのエアラインとも目下商談中でございますが、さしあたり六機程度固まってまいりまして、これもいま一歩進めば相当のところまでいくのではないか。したがって、南米のような中距離といいますか、比較的六十人乗りくらいの飛行機であって、そう遠距離でない都市間を結んでいくような性格を持った、アメリカのいなか、南米の都市間の輸送というようなものに、わりあいにこれが穴場を見つけてはまり込んでいった傾向が強うございまして、その結果、南米中心に相当商談がいき得るのではないか。そういたしますと、南米には私の感じでは、大体三十五程度のものはいき得るのではないか。北米はいまのような段階にございますが、二十機というかたいほうをとりますと、またさらに東南アジア方面に需要が——フィリピンとかその他の国でございますが、やや外貨事情等の問題もございまして、かたく見れば五機程度のものは考えられるのではないか、その辺を総合いたしますと、すでに商談が固まって動いているペルーとか、その他の分も入れてまいりますと、大体六十五機ということ——百二十機という中の六十五機、これから売る分が五十五機見当になりますが、その辺のところに数字としてまいるのは決して夢ではないといいますか、むしろ手がたいくらいの感じに目下なりつつある。ただ御注意のように、こういう大事な時期にやはりサービスといいますか、アフターケアを十分にやっていくということが非常に必要でございますし、また世界各国ともそれぞれエアラインに対する売り込みにあの手この手と考えております。支払い条件等についての点も、こちらも相手方といいますか、競争者の出方を十分に見ながら条件を調整をしていかねばならぬという辺にくふうがまだ大いに残っておるかと思いますが、たまたまこういった飛行機に対する需要が、ほかに新しく急に開発されて競争者が飛び出すというのでもなく、いま現に横並びに並んでおります中型輸送機の競争者の中では、比較的優位を確保できつつあるという状況は争えないことではないだろうかと思います。  したがって、ここにこの程度の需要について一つめどを確立しまして、腹をきめまして、今回十二億の出資をしていただいて、それから若干の補助金の要請も来年、再来年にわたりまして必要がございますが、十二億の出資を中核として、今後のYSの百二十機プラスアルファといった販売体制の中に突入してまいる。大体こういう予定を立てておる次第でございます。
  89. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで、飛行機は外国も全部これは形も違いますし、収容の客数も違います。価格も差があることはわかるのです。ところが、一般の評判では、YSは非常に高い。フレンドシップあたりは、客数も少ないのですけれども、三億程度。あるいはバイカウントにしてもそうですし、アブロ、いろいろな飛行機があると思いますが、要するにYSは高い、こういった評判が非常にあるわけです。四億八千万で売っていたのが、今度五億一千万くらいになるのではないか。要するに、量産体制に入ってくれば、当然コストが下がらなければならぬのに、逆に上がっている。どういう背景でこうなっているか、それについてお聞かせ願いたい。
  90. 高島節男

    高島政府委員 非常に商売にからみますのでデリケートなことになってまいります。結局、売り手のほうであります日本側としましては、極力これは高値に売ってまいりたい、買うほうからいえば極力安く買いたいということとからんでまいりまして、御説明申し上げるのが非常にむずかしい点でありますが、高過ぎるという評判はあまり、私自身は聞いておりません。平均四億八千万から、もう少し高目に売れているのもございます。これは一々の商談によって波がございまして、四億八千万よりか若干高値で最近売れている感じではないかと思います。コストという点におきましては、最近のうちは、非常に大きな赤字を出して、しかも売れる値段のほうは、買い手のほうからいえば、あまり見なれない飛行機があらわれたといいますか、それを使っていく立場でもあり、また欠陥等も、いろいろこう直してくれと言われる前の姿でございますから、売れ値のほうは最初のうちは比較的よくない、それから、コストに応じて下げていくという感じで販売をしていくということではなしに、販売のほうがむしろしり上がりにいろいろの改善等を加えて需要の中にうまく入っていくということが販売単価の動き方のラインではないか。コストのほうは、その間に非常に習熟をしてまいりますからなれがきて、下がっていって、百二十機全部をつくり上げたところで採算がどうか、こういう形でございます。したがって、日本航空機の現在までの経理は、非常にその点では赤をしょっていかざるを得ないという形になっておりまして、これからが取り返しの時期になってくるかと思うのであります。  そういう販売価格とコストとの関係に立ってまいりますが、一つ今後輸出の問題について目新しいこととしては、改造ということがございます。これはアメリカあるいは中南米等に売ります際に、貨客の混合の形のものにしてくれ、あるいは搭載量を一トンほどふやしてくれという要望が具体的に出てまいりました。前者にこたえますのには、いろいろと飛行機のスタイルを変えねばならぬ、後者のほうの要望のためには、床をもっとしっかりした厚いものにしなければならぬという形で、まあ価値の高いと申しますか、そういうものをつくることをお客のほうから要求をされてまいっております。それはそれでこちらもやっていかねばなりませんし、政府のほうもこれに若干の助成金を出してまいることにいたしておりますが、同時に、売り値のほうは、そういう価値の増加に即応して上げていかないとこれまたいけないということで、こういう形の改造型については私たちは高く輸出していくのが当然ではないかという姿勢で、会社側のほうにもその点は注意をいたしまして、輸出商談等について合理的な方法で進めるように要望をいたしておる次第でございます。
  91. 近江巳記夫

    ○近江委員 私の申し上げたのは、要するにスタンダードでアップする、プラス改造ですから、さらに上がる、その点の研究、それと、今回の法案によって十二億をもって打ち切るというのですが、いままで総計いたしますと、政府出資総額は四十二億、民間の出資が三十五億、七十七億ですね。そのうち開発費が五十五億かかっておる。そうするとさっきの、量産資金としては二十二億、これで実際打ち切ってしまって、いけるのか、こういう点なんです。さらに、いま米国からのそうした取引がある、二十機、三十機というような大量な数をおっしゃっておりましたが、まあ先ほど話が出ましたが、対米輸出用の条件一つに、要するに設計変更がある。これはたとえば貨物の場合でしたらドアを大きくしなければならない。これは設計の点から、あらゆる点において、これはしろうとで考えても非常な努力をしなければならぬ。また運輸省のそうした型式証明などやはり全部取り直さなければならぬ。こういったことをやっていって、採算の点あるいは納期の点で心配ないか。あるいは、量産体制に入っていけば、生産設備と人の問題、それから資金の調達。要するに生産は、発注から完成まで大体二年ないし二年半ということを聞いておるわけですけれども、その間の運転資金というものは巨額に達すると私は思うのです。で、大体四億八千万円を標準として、一億ぐらいが金利負担になる。しかも取引条件というのは、それぞれ差があると思いますが、要するに頭金二〇%、残る八〇%は大体一年据え置いて五年の延べ払い、あるいはそれ以上、こういうことを聞いているわけです。こういう状態で、今回この十二億で打ち切って、これでほんとうにやっていけるのかどうか、根本的にひとつこの点をお聞かせ願いたいと思います。
  92. 高島節男

    高島政府委員 今回の政府出資十二億、それに前後いたしまして民間出資十億、二十二億が出資金資本金の増加という形になっておりますのは御指摘のとおりでございますが、これで全体の資金繰りをまかなっていくというわけではございませんで、こういった処置をとりましたねらいは、やはりこの百二十機というところまで需要があって生産があがれば、それによって採算がとれていくというところを一つのねらいとした次第でございます。  日本の航空機工業、この日本航空機製造YS11生産にあたりましては、やはり金利の負担と開発費の償却負担というものが相当の負担でございまして、これをいかに解決しておくかが、この会社に対する、ひいてはYS11の輸出及び内需にミートしたところの、故府としてとってやる対策ではないかという感触で今回の処置をとったわけであります。  その際に、基礎は、御指摘のとおり、需要の予測というところにございまして、需要があって、資金繰りをつけてやっていって、採算がうまくとれていくかということによって、これが経済ベースに乗るかという順序になってまいりますが、全体といたしましては相当の赤字が、もし百二十機でとまりましたときに、出るかということも一時いわれておりました。しかし、これは、いろいろ企業努力その他販売価格の引き上げ等条件が違ってくる面もございますし、赤字を消す施策を採算面においてやっていけばいいのではないかというのが、われわれの大体のねらいになってまいったわけであります。  それで、ただいま申し上げました民間出資の十億と政府出資の十二億というものが今回の増資によって達成されますので、資金コストのゼロの金が中に入ってまいります。さらにそれに加えまして今回五億円ほどの、いまの改造等にからみました助成金を特に予算計上をいたしまして、つけてまいる。この助成金は予算として将来また同額程度のものを四十三、四十四あたりで要求をいたしてまいらなければならぬ点で問題が残りますが、一応本年度で五億というものをつけまして、これだけのことが行なわれれば、売れるほうが百二十機であると、採算的にはおさまっていくのではないか、こういうめどをつけたわけでございます。その間に行なわれます資金繰りとしましては、現在までは政府の保証債が発行されておりまして、これの資金繰りの中心になっておるわけでございます。民間からも若干の資金の援助を各社いたしておりますが、中心は政府保証債でございます。ところが、今度は、先ほど御説明いたしましたように百二十機のうち半分以上が輸出に回る。特にこれからは輸出が中心だということになりますので、これは延べ払いをいたしてまいります関係があって、日本輸出入銀行の資金に期待をいたしてまいることになります。三千数百億の資金調達が、日本輸出入銀行で全体としてできております。その中に、この航空機製造の輸出代金資金の融資というものが行なわれてまいりまして、これで比較的低利の借り入れ金になってまいりまして、会社の経理採算が回転をしてまいる、こういうのが大体の構造でございます。したがいまして、一審のポイントはどこにあるのかと申しますと、やはり少なくとも百二十機売れてくれる、それが売れてくれれば、今回の処置によって確実に、赤字を残したりいたさずに、この関係が完結をしてまいる。若干の政府の補助金はございますが、それによって終点に達し得る。ただ、これはあくまでも今回のYS関係としての計画でございますので、それの一応のめどができたので、午前中御説明いたしましたような政府出資限度をここに置きまして、一区切りという形にいたしておるわけでございます。
  93. 近江巳記夫

    ○近江委員 私はなぜそのことをお聞きしたかといいますと、これは貴重な国民の血税で行なわれる国策会社です。赤字になったら、また頼んで出してもらったらええじゃないか、こんな安易な気持ちでやったのでは、これは国民に申しわけない。その点腹を引き締めてひとつやってもらいたい。  もう一つは、要するに、政府見通しというのは非常に甘くて、失敗をしておる。この飛行機の点についても、たとえばこの国内需要の見通しについても、日本航空も全日空も、試作の段階で発注の意を固めたわけです。ところが日航が三十七年の十月一日、これは海外専用ですがコンベア880、また中距離ジェット機を国内幹線に使った。また全日空はボーイング727を購入した。これはYS11が国内幹線で少なくとも国産機として主力になってこなければならない、そういうようなタイミングもおくれておる。さらに資金面についても、量産資金というのは日本航空機製造会社の発行する政府保証債、それから製造を分担している六社からの借入金、これでまかなわれておるわけですが、四十年末の政府保証債が百億一千万、民間調達が二十五億三千万、大体合計百二十五億四千万——四十一年度予算六十八億の保証債発行を要求していましたね。あのときにも結局二十億円削られておる。したがって、量産機の五十六号機から七十五号機まで二十機分のエンジン四十基しか発注できない。要するに四十六年度までに百五十機、最初はそうでしたね。そういう計画というのは大きく後退しておる。また最初は、YS11は当初東南アジア等に売り込む計画であった。ところが、低開発国は新品を買うような経済力はない。そのようなことに最近気がついてきた。こういうのは、要するに販売等についても非常に見通しが甘い。何とか売ったらいけます。売れればいいです。だけど、そういうような一つ一つの事柄について、ほんとうに総合的な真剣な計画、見通しというものをがっちりと立てていかないと、また二度もそういうような繰り返しをしなければならぬ。こういう点についてよほど腹を固めなければいかぬ、私はこう思うのです。これについて局長並びに通産大臣の御答弁を聞きたいと思います。
  94. 高島節男

    高島政府委員 御指摘のとおり、YS11の当初の需要予測、それに伴う計画というものが、当初考えておりましたような形では行ってないということは事実でございます。ただ、飛行機のワンセットは、先生承知のとおり百五十機、あるいは政府がある程度援助をいたして、量産段階にも援助をしてまいりましても、百二十か、その辺のものは売れないといかぬ。一つのセットになった需要体系にはまらないといかぬ。それでありますから、われわれ、当時といいますか、十年ほど前におりまして需要予測を立てていた人の気持ちをいろいろそんたくいたしますと、これは正直のところなかなかむずかしかったろうと思います。それはいいのか悪いのか、売れるのか売れないのか、伸びの見方というようなものに、国内のローカルラインの状況等についての予測もなかなかむずかしかったでありましょうし、また輸出の状況も、東南アジアでどう伸びるか等々について、十分の把握ができきれなかったのも無理はない次第であろうかと思います。ただ、今日の段階になってまいりまして、先ほど御説明いたしましたように、輸出についてアメリカ及び南米にデモンストレーション・フライトを現実にやってみまして、それに需要がどれくらい出てくるか、直面した商談の起こる事態ということになってまいっております。したがって、いま私が御説明いたしました需要の輸出の予定数、これは御指摘のサービス等について、気を抜かずに万全を期していかねばならぬということは、大いにやらなければならぬ点として残りますが、需要の実態の把握としては、そう不正確なものではないのじゃないか。少なくとも百二十機は、こういう情勢であったら行ってくれるのではないか。さらにプラスアルファで行くかもしれない。そうすると、採算はそれだけよくなってくる、こういう期待の持てる状態になってまいりまして、初期の方がほんとうに確定し切れない段階において需要予測を言っていましたことと、現在の予測との間には、本質的には非常に違う形の状況にまたなってきているのではないか、こういう感じがいたします。したがって、今後も採算をとる基礎といたしましての百二十機、これを達成してもらうということは、私どもとしては非常に強く期待いたしておりまするのみならず、そこを目標としてぜがひでもやり抜きたい、こういう気持ちで、日本航空機製造株式会社にも督励をいたしまして、このYS11の将来を明るいものにするように確立をしたいという決心でおる次第でございます。
  95. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 近江委員YS11機についていろいろ御心配になっておる点は、これはわれわれも同じような心配を持っておるのでありまして、はたしてこのYS11が、いまのままでやって、将来伸びるかどうかということについてのいろいろな危惧の念を持っておられるようでありますが、飛行機の生産というものは、世界各国特に競争が激しく、みなきびしく競争しておりますから、したがって、日本のYS11についても、政府もできるだけこれに対しては援助するというやり方で行きたい、こう思っておるのであります。  また、先ほども申し上げましたとおり、飛行機の将来のマーケットというものは、これはますます拡大されていくと思います。ことに東南アジア諸国などが、今後経済力が発展すれば、このYS11のような飛行機の需要というものはだんだん増していくというようにわれわれは考えておる。したがいまして、政府も一生懸命に性能がよくなるように努力するし、また会社自体もそういう勉強をしてもらうし、またこの会社自体が政府の息のかかった会社でありますからして、官民一体になって、りっぱな飛行機をつくるように努力したい、こう考えております。そういう点で日本の飛行機に関する技術、知識を総動員して、よりよい飛行機をつくるように努力して、販路を世界に求めたい、こう存じておる次第です。
  96. 近江巳記夫

    ○近江委員 YSについて最後にお聞きしたいことは、要するに今後の開発構想です。先ほどもいろいろお話がございましたが、私聞いておりまして、正直申し上げて大臣答弁は私はいいかげんだと思う。百五十人ぐらい乗る飛行機もいいだろうというようなお話もありましたが、百五十人なんといえば、いま海外の国際線に飛んでおる。いますでにコンコードとかSSTの飛行機が開発されている。日本の航空産業というのはけたはずれにおくれている。ですから、YSあとに何をするかという時点における話であるならば、私は通り一ぺんの答えだと思う。ほんとうに日本の航空機産業を発展させていこうというならば、真剣に青写真を引いた上で、少なくともある程度のことはこうだと言えるようなものを持っていなければならない。いまごろ二千万円の予算ということでありますが、いまから設計にかかりますと、YSだって五年以上もかかっているのです。この点において、ほんとうに前向きな態度がいままでなかった。それはその時点として反省してもらって、要するに今後YSの次にほんとうにどのようにしていくか、真剣にひとつ考えなければいかぬと思うのです。これについて大臣、もう一度答弁をお願いします。
  97. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 飛行機生産というものは成長産業でありますから、これを成長さすように政府が努力するということは先ほどからたびたび申し上げておるとおりであります。これが成長産業でなければ、われわれも力こぶを入れる必要はないわけでありますが、これが成長産業でありますからして、日本人なればりっぱな飛行機ができるということをわれわれは確信いたしております。またそれは自動車産業を見てもその実例があるのであります。わずか二十年の間に今日自動車が世界の第二番目の生産高をあげるようになったということ、しかも海外から自動車を輸入しておった日本の自動車が、海外へどんどん行っておるというようなことを考えてみても、日本人が官民一致してやれば必ずや——私はYS11と言わない、日本でできる飛行機というものが今後世界的に販路を拡大していくという確信を私は持っております。その点、官民ともに一生懸命に努力するようにわれわれも激励したい、こう考えておる次第です。また政府もそれに必要な資金は今後においてはどんどん出していく。二千万円ぐらいでは少ないというお話がありましたが、これはまだ調査の初期でありますからして、二千万円では少ないのでありますが、今後ともよりよい飛行機をつくるために必要な資金はどしどし政府としても出すべきだ、こう考えております。
  98. 近江巳記夫

    ○近江委員 局長も先ほど他委員の質問に対して答弁なさったわけですが、やはり推進の最も中心の立場として、さらに先頭でリードをしていく人の熱意で私はきまると思う。そういう点で私は若干心配するわけです。この取り組みについて、調査の段階にいま入ると言われましたけれども、そのぐらいの体制でいいといま思われていますか。その点のあなたのほんとうの決意を一ぺん根本的に聞かしてください。
  99. 高島節男

    高島政府委員 次期の民間輸送機につきまして、本年度いわゆるオペレーション・リサーチと称する調査に入ってきていることは、午前中に説明いたしましたとおりであります。こういう段階になってきたということ、すなわちYS11の売れ行きの見通し等が四十四、四十五あたりまでくらいのところを中心に機数を考えておるわけですが、そのあと続けてすぐ出てこない、相当の期間がかかるじゃないかというような点に、確かにお説のように問題があるわけで、ほんとうはもっと早くからとっかかるべきじゃないか、こういうことは一つの問題点だろうと思います。ただ私の率直な感じを申しますと、日本の航空機工業が世界に向けて輸出産業としての自信を得たのは、ちょうどいまから一年くらい前の、先ほどから議論のございました対米デモンストレーション・フライトあたりくらいから本格的に腹がきまったと申しますか、これはやれるなという感じを持ったのではないかと思います。それまでいろいろと内需に期待を置いた需要予測を立てて日本航空機製造も推進してまいりましたけれども輸出という形に重点を置いていかないと将来伸び得ない、しかもその具体的なめどほんとうについてきて、関係者がある自信というか、それを持ち得る時代に入ったのは、どうもそのころではないかと思います。片方にそれだけの自信がある雰囲気になりませんと、飛行機の開発というものは非常に巨額の開発費が要る、さらにあとの資金繰りもたいへんであるという性格のものであり、営業上のリスクは議論がございましたように終始あるわけでございますから、本格的にとっかかるという踏み切りがいままでのところつけ切れないで、本年度においてようやくこういう需要調査をやろうという予算が認められたのも、その辺の雰囲気を微妙に反映しているのではなかろうかと思います。それで、いよいよこれで本格的な段階に入ってまいりますので、YS11が百二十機を最低需要として確保されてこれが推進していくと、御指摘のとおりわれわれ具体的な自信も持ってまいりましたし、強力に推進してまいりますが、次期の民間輸送機の開発は、本年これで調査の結果が出てまいると思います。そうしますと、来年度以降、基本設計へ着手いたしまして、ここでどういう形のものかということが掘り下げられる、午前中御説明いたしましたように、四十七年ごろには一つの試作が完了する、そこで一号機なども出てまいるという形になる時期に入っていくのではないかと思います。ただ、それは一応の私の予定でありまして、これから秋口、十一月ごろまでやります調査の結果というものが、非常に総合的な学理的なものであります。その結果、いかなる飛行機がいつごろつくられて出ていくのが一番いいかという総合的な判断が出てくると思います。それを基礎に踏まえまして、あらためて次期輸送機の具体的な製作計画及びそのスケジュールというものを確定してまいりたいと思います。幸いに、いまYSの経験というものもありまして、リサーチの結果を待たないとわかりませんけれども、これは相当大きく金を費やしてやっていっていいという判断の方向にいくのではなかろうか、そういう明るい見通しを心の底にひそめまして、その調査の結果を待ちたいと考えております。その調査の結果がよろしければ、来年度予算等でも大いに積極的な姿勢を入れたいと思っております。
  100. 近江巳記夫

    ○近江委員 私はこれで終わりますが、先ほど申し上げたことは、要するに、YSについても国内販路を逃がした、ワンポイント逃がした。政府の新機種開発構想というものはワンポイントおくれている、ずれている。新機種開発の二千万円の予算というものは、血税という立場から考えれば貴重な額です。だけれども、いままで使ってきたその額から比べれば、二千万円の調査費というものは一部なんです。ですから、YS11の現実を把握しつつ堅実にいくということはいいけれども、新機種開発というその考え方にしては私は保守的だと思う。しかしいままでのことはよろしいですから、要するに今後そういう前進的な意欲的な考え方を持って、ひとつ前進をしていただきたい。この点を特に要望しておきます。  それから公取委員長、先ほど呼んでおいたのですが、来ておりますか。
  101. 島村一郎

    ○島村委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  102. 島村一郎

    ○島村委員長 速記を始めて。  次会は、明後三十日金曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十三分散会