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1967-06-27 第55回国会 衆議院 商工委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十七日(火曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 河本 敏夫君    理事 中川 俊思君 理事 田中 武夫君    理事 中村 重光君 理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    大村 襄治君       岡崎 英城君    岡本  茂君       神田  博君    熊谷 義雄君       小山 省二君    齋藤 憲三君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       塩谷 一夫君    白浜 仁吉君       田中 六助君    丹羽 久章君       橋口  隆君    三原 朝雄君       武藤 嘉文君    石野 久男君       岡田 利春君    佐野  進君       中谷 鉄也君    永井勝次郎君       古川 喜一君    塚本 三郎君       吉田 泰造君    近江巳記夫君       岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      田中 康民君         公正取引委員会         委員長     北島 武雄君         経済企画庁国民         生活局長    中西 一郎君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業大臣官         房長      大慈彌嘉久君         中小企業庁長官 影山 衛司君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      岩瀬 義郎君         運輸省自動車局         業務部長    蜂須賀国雄君     ————————————— 六月二十七日  委員遠藤三郎君、小笠公韶君黒金泰美君及び  中谷鉄也辞任につき、その補欠として熊谷義  雄君、大村襄治君、塩谷一夫君及び神近市子君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員大村襄治君、熊谷義雄君、塩谷一夫君及び  神近市子辞任につき、その補欠として小笠公  韶君遠藤三郎君、黒金泰美君及び中谷鉄也君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月二十六日  離島振興法の一部を改正する法律案倉成正君  外二十一名提出衆法第三〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業振興事業団法案内閣提出第八一号)      ————◇—————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業振興事業団法案を議題として、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 中小企業振興事業団法案について質問をいたすわけですが、中小企業に対する指導業務、これも新しい事業団の大きな仕事一つでございますので、どういう観点に立って今後中小企業指導していくのか、そういう問題も含めて、中小企業カルテル問題等を爼上に上げてまず質問いたしたいと思うわけです。  その前に、まず基本的な態度といたしまして、中小企業に対する政策というか対策がいろいろございます。しかし、大まかに分けて、私はやはり三点だと思うのです。その第一点は、中小企業相互間の過当競争排除していく。それから中小企業に対して多くの予算をつけ、そしてあらゆるきめこまかな政策をしていく。これも、今日までのいわゆる保護政策から振興政策への転換が必要だと思うのです。さらにもう一点は、これは政府とわれわれと意見が若干違うところであろうと思いますが、社会政策を加味すべきである。この三点だと思うのです。この三点に対して、今日まで通産大臣中小企業者に対してどのような態度をとっておられますか。
  4. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいまお尋ねの三点のうちのまず最初の過当競争排除するということ、これは中小企業振興一つの目標であります。それについては、今日まで協同組合をつくってやるとかいうような方法をとってきたのでありますが、今回は協業組合をつくって協業化、共同化を今後大いに指導していこうということを考えたわけです。  それから、保護政策から振興政策に移るべきだということ、これはお説のとおりであって、いままではどっちかというと助長とかいうことばを使っておったのでありますが、今後はやはり振興ということを主眼としてやるべきだ、そういう目的でこの中小企業振興事業団を設けようということを考えたわけです。  第三の社会政策ということでありますが、私は社会政策ということばを使いたくないので、これはあくまで経済政策として中小企業自立自存のできるような政策をとるべきだという考え方をしておるのであります。社会政策というと何だかひけ目というか、自立ができないというような考え方になると思うのであって、これはむしろ通産省としてはあくまで経済政策でいくべきだという考え方であります。社会政策という立場はもちろん厚生省やなんかのほうで考えてもらうということで、あくまで経済政策として中小企業自立自存のできるような政策をとるべきじゃないかという考え方をしております。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 第三番目の社会政策という点につきましては、かつて中小企業基本法法案審議のときに、われわれと政府との間に大きく食い違いました四点ばかりのうちの一点です。しかしながら、私も、これも表現の問題であって、中小企業基本法経済合理性追求、すなわち中小企業問題を経済的に解決していこう、こういう態度であることはわかっておりますが、しかしその中にもすでに若干の社会政策的なものが入っているわけなんです。私がここで言おうとすることは、もう一歩それを進めて、いわゆる緊急な救済、ほっておけばばったばったと倒れていくとなった場合に、緊急救済というようなこと、あるいは転廃業に対して特別な援助をするということ、もっと言うならば、たとえば中小企業退職金共済事業団ですか、あれなんかでも考えようによれば社会的な政策だとも言えると思うのです。したがって、あえて現在の佐藤内閣社会政策と言うことがいやであるならば、そのことばはどうでもよろしい。しかしその方向に進まねばならないことは必至だと思うのです。いかがですか。
  6. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 社会政策ということばが、これはもう内容自体田中委員が言われたことを通産省としてはやっておるというか、やらなければならぬと考えております。それを社会政策ということばであらわしたほうがいいのか、私は転廃業の問題も、これも一つ経済政策というふうに私のほうでは考えておるのであって、だから内容は同じことであって、ただことばの使い方が違うということにすぎないということで、お説のとおり、田中委員の言われる社会政策的な仕事は、今後われわれとしてもますます重要視してやっていくべきである、こう考えております。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、この十年ばかり前からずっと中小企業基本法ができるまでといいますか、あるいはそれ以後もそうですか、中小企業過当競争排除する、そうして中小企業がみずからを守らなくちゃならないということで、多くのカルテル除外法をつくってまいりました。たとえば中小企業団体法環境衛生法、みなそうなんです。そのころは政府法律によって過当競争排除のための政策はとる、しかし金を使う面はあまり出さなかったのです。ところが若干でも最近は中小企業政策に対し予算の面においてふえてきておることは認めます。その一つが今度の中小企業振興事業団であろうとも思いますが、いままでは、これはそうでなかったとおっしゃるかもわかりませんが、まず過当競争排除して、そういう方面に重点を置いてきたことは確かです。そのために、中小企業に対していわゆる保護政策という面へいったと思います。その結果が、相当中小企業団体による一口に言えばカルテル調整規定だとかあるいは制限だとか、ことばはいろいろ使っておりますが、カルテルです。そこで、われわれも実はそういう上に立って中小企業の行なうところのカルテル、これについては私は積極的に賛成をしてまいりました。いうならば保護政策の上に立ってやってまいりました。ところが、今日消費者立場から見た場合に、相当問題ではなかろうかと思うわけです。これは影山長官もあるいは専門家田中法制局第四部長も十分御承知と思いますが、中小企業、ことに協同組合等カルテルに対しまして、学説が二つに分かれていることは御承知だと思います。われわれはそのうちの第二説とでも申しますか、いわゆる厳格説に対する同情説とでも申しますか、そういうような立場をとってまいりました。すなわち、中小企業等協同組合法あるいは中小企業団体組織法等々は、ともに独禁法と同じ性格を持っております。したがって、弱者強者から守る、中小企業経済的弱者経済的強者から守る、こういう上において同じ法律にあるものだということで、ある程度私的独占禁止法除外規定も認めてきたわけです。しかし今日では、これが大きな値上がりの原因であり、価格を下げるべきものが下がらない一つの大きな原因をなしておる。また中小企業は、このような政府あるいはわれわれの保護政策の上に安眠をして、みずからの強化——だからこれは構造改善だと言うかもしれぬが、みずからの体質改善をしようということを進めなかった。そしてカルテルの中に安住しておったことは事実です。これはむしろ公取のほうが当然だろうと思いますが、そちらでもつかんでおられるかもわかりませんのでお伺いしますが、いわゆるカルテルが現在幾ら存在しておるか。このうちの中小企業にかかわるカルテル、それはいろいろあるでしょう。根拠法中小企業等協同組合法団体法環衛法輸出入取引法、いろいろあろうと思います。一体、今日どの程度中小企業カルテルが存在しておるかお調べになったことがありますか。
  8. 影山衛司

    影山政府委員 さしあたり、中小企業協同組合法によりましてカルテルをやっておりますものの中で、生産販売調整をやっておるものが二百十三、それから価格調整事業を行なっておるものが千十六というような数が過去においてあったわけでございます。これはちょっと古い資料でございます。昭和三十六年の調査でございます。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 いま長官があげました事例は私も持っております。これは中小企業庁が三十六年に中小企業協同組合に対して行なった調査の結果で、回答九千九百五十六のうち共同購入に関する協定共同購入事業としてやっておるのが三千四百八十九、共同販売が千四百五、生産販売調整が、いま長官が言われたとおりで二百十三、価格調整が千十六であります。この千十六という価格調整を見た場合に、私はその内容を一々知りませんが、私的独占禁止法中小企業等協同組合法の間に私は考えねばならない問題があるのではなかろうか、こう思うわけですが、いかがでしょう。
  10. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業協同組合は主として小規模の中小企業者団結をいたしまして共通の利益追求し、中小企業者の地位の向上をはかるという趣旨に基づいて団結権を認められておるものでございますが、先ほど先生指摘のように、中小企業過当競争排除及び中小企業保護という見地のほかに、物価対策という大きな政策的な要請が出てきたわけでございまして、そういう観点から中小企業庁といたしましても、たとえば価格協定のための価格協定というようなものについてはもう少し指導強化をしてまいりたい、あるいは先ほど先生指摘のように、カルテルの上に安住しておりまして、中小企業合理化努力というものがないがしろになっておるというようなものについても、これは少し指導強化していきたいという方針を昨年来とってきておるわけでございまして、その一つのあらわれといたしましては、中小企業団体法に基づきますところのアウトサイダー規制命令を五年ないし十年以上続けておるものにつきましては、もう少しこれを、業種別体質改善をはかることによって、アウトサイダー規制命令をかけなくてもいいような方向にもっていきたいという方向指導いたしておるわけでございます。現在の協同組合価格協定自体につきましては、先ほど私答弁いたしましたが、三十六年当時千十六あったわけでございますが、指導をいたしまして、この価格協定を減らさしたわけでございます。真にやむを得ざる価格協定だけにしなければならない、それからまた全県にわたるものについては、商工組合のほうに移行すべきであるというふうに指導いたしまして、昭和四十一年十二月末現在におけるところの事業協同組合価格協定実施件数は、全国で二百七十九組合ございまして、これは四十一年二月十五日現在では四百四十一組合でございますので、大体百六十二組合ほどこの価格協定を実施しておるところの組合を減らしたわけでございます。そういうふうに、物価対策という見地から相当強力に指導をいたしておるような次第でございます。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 北島さん、あなたちょっとおくれてきたわけですが、実は中小企業カルテルをいまやっているわけなんです。ことに、中小企業協同組合等法律に基づくものを取り上げて、逐次やっているわけです。そこで、公正取引委員会としては、いまカルテル幾ら存在するか、うち中小企業にかかるカルテル幾ら、そのうち価格協定に関するものが幾ら調査がございましたら、ひとつ言うていただきたい。
  12. 北島武雄

    北島政府委員 手元に正確な資料がございませんが、一応私が記憶しておるので申しますと、ことしの三月末現在で千四十のカルテルがございまして、これはただいま中小企業庁長官がおっしゃいました中小企業等協同組合のものは除きまして、他の法令に基づくものが千四十ございまして、そのうち中小企業団体法に基づくものが六百三十四、それから輸出入取引法に基づくものが二百十、環衛法に基づくものが百二十三、内航海運組合法に基づくものが二十一、これは大体中小企業関係——輸取法では大企業でございますけれども、大部分中小企業関係、こう考えてよろしかろうかと思います。なお価格協定をやっておりますものは、最近では内需物資ではたった二つでございまして、自転車用ベルト田中(武)委員根拠は何ですか」と呼ぶ)それは根拠中小企業団体法です。もちろん輸取法関係では輸出物資に関する価格協定もございますが、内需物資につきましては現在二つ自転車用ベルト、もう一つはちょっと忘れましたが……。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 公取で把握できるのは、いわゆる法律のたてまえから、公取と協議するあるいは認可を必要とするあるいは通告をも含めて何らかの形において公正取引委員会がつかめたもの。たとえば中小企業等協同組合法によるところのカルテル、これはつかめないわけです。したがって、この協同組合カルテルというのは、いうならば法律上野放しになっておる、そう申し上げても過言でないと思うのです。しかし、はたして中小企業協同組合の行なうところの事業に関する協定が野放しであっていいのか、こう考えるわけなんです。実は私も、先ほど言ったように中小企業保護政策の上に立っておりますから、あまりこういう点を言わなかったのです。しかしながら、少しこの際ぴりりとやっておかないと、ますます安易な方向へ流れて、結局中小企業者それ自体も私は将来よくないと思いますので、はっきりしたいと思うのです。  そこで通産省、これは大臣でも長官でもよろしい。あとで法制局、それから公取委員長にもお伺いをいたしますが、中小企業等協同組合法に基づくカルテルには、野放しであってはいけない、一定限界が必要である、私はこう思うのです。その限界はどこにあるのか。一定条件限界が必要だと思うのです。そのことについて少し議論を進めたいと思います。いいですか。いま言っているのは、法律上野放しのかっこうであるのです。しかし理論的に限界が必要であり、条件が必要である。
  14. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業等協同組合小規模事業者共同利益追求という見地から認められております点にかんがみまして、この協同組合の行ないますところの価格協定があまりに広域的に流れまして、商業組合工業組合商工組合のやるべき分野というところまで広がっているという場合には、これは協同組合の行なうべき価格協定限界を逸脱したものというふうに考えているわけでございます。
  15. 田中康民

    田中(康)政府委員 行政指導上と申しますよりは、私のほうは法律的な限界ということでお答え申し上げますが、まず独禁法二十四条第一項ただし書きによる限界がございます。それ以外にどういう限界があるかといいますと、これは先ほど先生が仰せられましたように、厳格説に立つか、あるいはもう一つ同情説とおっしゃいましたが、同情説に立つか、このいずれに立つかによって、そこに限界がおのずから違ってくるところがあるものと考えます。厳格説によりますと、これは中小企業者組合であります協同組合の行ないます事業は、そもそもいわゆる統制型の事業と申しますか、いま申しておりますような価格協定的な事業は行なえないということ、ただ単純にそれだけを目的としては行なえないという観点から申すわけでございますが、それがほかのたとえば共同施設事業一体として、そこに価格協定なり生産協定なりというものを補充的に加味する場合には許されるのではないかというふうに考える説が一つあると思います。それからもう一つは、同情説のほうでございますが、同情説に立てば、これは独禁法中小企業協同組合法も同じ目的を持っている、弱者強者から保護するというようなものでございますので、そういうものが行ないます価格協定は、弱者中小企業者側が大企業等強者に対してする協定であるから当然許される、大体普通の協定は許されるというふうに出てくるものと思われます。しかし、この二つの説がございますが、少なくとも現行法律を見ますと、一方は中小企業等協同組合という任意型の法律であり、いわゆる統制というものが排除されている型であり、もう一つは、やはり同じ中小企業者について団体を認めております中小企業団体法あるいは環境衛生組合法というものが統制的な事業を行なうことを主として認めているというような二つ法体系があるということを考えますときに、おのずからそこに中小企業等協同組合法による事業には限界がなければならないということは明らかだと思います。しかしながら、それをどこに引くかということになりますと、それは中小企業等協同組合法そのものにそういうことをやってはいけないという規定もございませんし、非常に疑問なしとしないわけでございます。そこは私たちといたしましては、もちろん全然そういう統制事業というものを行なえないというふうには申しませんけれども、相当程度の高い限界を設けなければならないのではないかというように考えるわけでございます。
  16. 北島武雄

    北島政府委員 私は中小企業等協同組合法のたてまえはよく存じ上げておるわけでございますが、いままで中小企業等協同組合法共同施設の中で価格協定ができるということはどうもぐあいが悪いのではないかという、私個人の考えであります。これはいろいろ反対もございましょうが、弱者たる中小企業者協同組合をつくって強者から守る、こういった趣旨のものである。共同販売になると当然価格まできめるわけですから、価格協定まで共同施設の中に含めるのだ、こういう説もあり得るかと思いますが、私はそれはどうも賛成ができません。ただし、これは実際はいままでそれで行なってきておるのですから、ただあとどういうふうに考えていくかという問題かと思います。独禁法的に申しますと、もちろん二十四条の規定ただし書きがございまして、協同組合などでも「不公正な取引方法を用いる場合又は一定取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りでない。」こういう見解でございますから、このような場合は、価格協定をいたしましても、それが独禁法違反になる、こういうことになるわけでございます。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 それぞれ担当の上に立っての幾ら表現のニュアンスは違います。そこで私は私の見解を述べたいと思います。  まず影山さん、独禁法二十四条、私はこれは条件だと思います。私は先ほど条件限界と言いました。これが条件だと思います。限界は何かというと、その根拠法精神目的だと思います。すなわち、中小企業等協同組合法に基づくものならば協同組合法精神団体法も、あるいは環衛法その他もそのとおりだと思うのです。すなわち、二十四条の各項目が条件である。その限界根拠法目的精神を逸脱してはならない、こう定義いたします。したがいまして、先ほど来申し上げておるように、いわゆる独禁法も、中小企業組織関係法も、ともに経済的弱者経済的強者から守るための法益を同じくするというようないままでは保護説同情説に立っておりましたが、今日のやり方を見ると厳格にやらなくてはならない、厳格説のほうへ移行すべきときであろうと思います。私もそういう態度をとりたいと思います。  そこで北島さん、あなたがおいでになる前からかおいでになった直後か知りませんが、現在、中小企業等協同組合による価格、あれは法律制限と書いていますね。それが現在存在しておるものは四百四十一ですね。これを一々中小企業等協同組合精神を逸脱しているかどうか、これを調べるのはたいへんだと思うのです。しかし、北島さんは先ほどこれは公正取引委員長という立場から、中小企業等協同組合による価格協定はでき得ない、こういうように立つべきじゃなかろうかと言われておる。そうだと思うのです。そこで、これは価格制限ということばを使っておりますが、カルテルとしてみなしてはいけないと私は思うのです。いいですか影山さん。これはやはり中小企業協同組合事業範囲でなければならない。共同事業範囲において価格制限する行為、こう読むべきだと思うのです。しかしそれが一般消費者に対して、やはりカルテルと同じ効果を発揮しておる。すなわち、やはりカルテルです。この四百四十一に対して今後どのような指導をとろうとしておりますか。これは二百七十九に減った。その現在ある二百七十九に対して、どういう指導をとられるのですか。
  18. 影山衛司

    影山政府委員 すでに四十一年二月十五日現在四百四十一ありましたものを、十二月末現在において二百七十九組合に減らしたわけでございますが、さらに今後とも指導をしていきまして、これを減らしていくという方向で厳格にやっていきたいわけでございますが、その指導方針といたしましては、一つは広域にわたるところの価格協定をやっておるもの、県の範囲内等で当然商工組合でやるべき性質のもの、これは価格協定として協同組合ではやれないという方向指導いたします。その他の問題につきましては、真にやむを得ざるをやっておったほうが経営の安定にも役立つというような場合に限って、真にやむを得ざる場合に限ってこれを認めていこうというふうな方針でやっていきたいと思っております。  いずれにいたしましても、その前提といたしましては、弱者の集まりである協同組合は、やはり事業範囲内におきまして価格協定ができるのであるという前提に立つところの対策はとっておるわけでございますが、ただ厳格説立場から、あるいは価格対策という面から、物価対策という面から、相当範囲を厳重に調整をしていきたいという説をとっておるわけでございます。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 通産大臣、それから北島公取委員長、皆さんに申し上げますが、私がここで定義を下します。それで間違っておりましたら間違いであるという点を指摘してください。そうでなかったら、今後その上に立って指導し、取り締まりをしてもらいたい。  先ほど申しましたように、企業カルテル、これは調整といい、制限と、それぞれことばが違って法律には書いてあります。これを一括してカルテルと申します。まず第一に、これは当然のことですが、独禁法二十四条のただし書き条件を厳格に守るべきである。これは要件である。そうしてその限界は、それぞれの根拠法協同組合法団体法環衛法等々、これの目的精神に反してはならない。したがって、たとえば協同組合法によって申しますならば、組合事業としての共同経済事業の一環としての価格制限に限る。それを越えるものは独禁法違反である。いかがでしょう。法制局もあわせてひとつ御見解をお伺いいたします。そういう態度で臨みますか。
  20. 影山衛司

    影山政府委員 共同経済事業の一環としての価格制限共同経済事業の一環としてのみ価格協定が行なわれるという場合、これが共同販売をやっておる、あるいはボランタリーチェーンをやっておる場合に、その共同経済事業に伴う場合の価格できないのだということになりますと、ちょっとそこの点で従来からの解釈あるいは法的安定という見地から、多少そこのところを弾力的に、中小企業それぞれの根拠法目的精神に反すべきにあらずという説には賛成するわけですが、その目的精神に反するかどうかということは、(田中(武)委員「これは中小企業等協同組合法でいってあるのですよ。」と呼ぶ)その中小企業等協同組合法根拠精神から申しまして、これは中小企業協同組合というのは元来が小規模の弱者の集まりである、それの安定のためにやる価格協定はやれるんだ、しかし行き過ぎは是正する、だから小グループでの価格協定というようなものは認めるべきである、しかしながら広範囲にわたる、中小企業団体法で認められておる商工組合で手続を踏んでやるべきものを、それを協同組合の形で、手続を踏まないでやれる、こういうようなものはだめだというところまではいけますけれども、全然価格協定ができないというところになりますと、中小企業協同組合法目的精神からいって、そこまで厳格説を厳重にとらなければいけないのであるかどうかという点について、どうも私は問題があるのではないかというふうに考えております。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 では法制局、あなたは法律のたてまえだけ答えてください。
  22. 田中康民

    田中(康)政府委員 私は独禁法二十四条一項のただし書きの要件を満たし、かつ中小企業等協同組合法の法的精神に合致する、こういうところは当然励行されなければならないと考えます。  最後の点でございますが、私は、これは厳格説、それからもう少し緩和された説と二つございますが、その厳格説そのものにも確かに理由があり、そのように考え、また指導することは当然できると思いますが、ただその法律解釈として、もうそれでなければいけない、たとえばみずから価格協定をやっているものだけについても、もう今後すべてこれは違法なんだということまで言えるますことというような事態も考え合わせまして、全く絶対に違法であるということまでこれはいますぐ申し上げることは不可能である。ただ、そういうものについては、中小企業団体法等の手続におきましては……(田中(武)委員「いまあげているのは協同組合です、ぼくが提起したのは」と呼ぶ)届け出その他公正取引委員会……(田中(武)委員「それはあとでやる。あなたは私の質問の先のことまで言っちゃいかぬ」と呼ぶ)ということから考えまして、そういう厳格なものはある程度設けなければならないことは当然だと思いますけれども、絶対違法であるということまで実はこの現状において申し上げるだけの自信がないわけでございます。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 公取委員長、どうです。
  24. 北島武雄

    北島政府委員 私個人としては田中説に賛成でございます。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 これは、中小企業庁長官中小企業指導という上に立って、直ちに私の説というか意見には賛成しがたい、ある程度の弾力性を持たなくてはという気持ちはわかります。しかし私は、いま公取委員長が言われたように、これは法の精神を離脱しちゃいけないということ、もう一つ締めれば、いま私が申しましたような、いわゆる組合事業の一環としてでなくてはいけない、いわゆる協同組合共同事業をやるんだから、共同事業の一環でなくてはならない、そう厳格に解さなければ、あとで問題を提起いたしますが、他の中小企業のそれぞれの組織法との間に矛盾が出てまいります。ここで中小企業庁長官が、直ちにこれはその範囲を離脱したのは違法だから云々とは言えないでしょう。しかし私の言っていることについて、そういう気持ちで今後指導しなければならないと思うのです。私と北島委員長はやや同意見のようです。独禁法立場から見て、カルテルというものから消費者を守るということになれば、その態度をとるべきである。私は一番最すね、独占。寡占化あるいは市場の独占をねらってやるところの行為である、こういうところから、中小企業協定等々はいわゆるカルテルではない、こういう考え方を一時持っておったのであります。それはすなわち私も申し上げ、法制局田中さんも申されたように、独禁法中小企業関係の組織法における態度も、ともに経済的弱者強者から守るという法域に属するのである、したがって独禁法にいうところのカルテルではない、こういう解釈を持ったんですが、先ほどから言っているように、これがはんらんしてきている。しかも今日物価の問題に大きな影響を与えているのは、むしろ大企業もさることながらこれもだ、こういうことでだんだんと私の態度も変わってきたということ、それをいま申し上げておるわけです。したがって、中小企業庁におきましてもそのような態度をもって進まなければ物価問題は片づかない。またそのことは中小企業将来のためによくない。いかがですか、もう一度お伺いします。
  26. 影山衛司

    影山政府委員 精神といたしまして、そういうふうに物価対策見地から、この協同組合の行ないますところの価格協定につきましては、厳重な態度をもって指導をしていきたいと思うわけでございます。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 ここで大臣、よく聞いておいていただきたいんですが、なぜ私がいま申しましたような厳格なる態度で臨むかということにつきまして、一、二の例をあげてみます。これはちょっと田中さんが触れかけたんですが、たとえば先ほど来論議になっておる中小企業等協同組合による価格協定、これは一応野放しのかっこうである、それは条件とか限界はあるけれども、それもいままで守っていなかった。ところが同じ目的で、あるいはそれ以上に保護するという目的でつくられましたところの中小企業団体組織法では価格協定はどういうふうになっておるのか、第十九条で価格制限条件がうたわれております。そうして九十条第一項によって公取委員会の同意を要する、あるいは協議を要する、これは二項です、こういうようになっておるのです。このことは一口に言いますならば、いろいろな協定というか共同行為、たとえば生産だとか技術だとか何かあるわけです、そのすべてをやり通してみてもなおかつ救われない場合に限って価格制限を、いわゆる価格調整協定を守るという立場に立った、しかもそれも公取委員会の同意あるいは協議というような条件がついておる。環境衛生関係営業適正化法というのですか、むずかしい名前ですが、それが一体価格がどうなっておるか、と考えてみました場合には、それは第十三条第一項で公取委への協議がなされるようにせねばならぬことになっております。その前に九条第一項によって適正化規程の認可を関係大臣から受けなくちゃならぬことになっております。そして環境衛生法団体法条件を見ました場合に、団体法では一号から四号まで、それから環境衛生法では一号から三号まであって、いわゆる環境衛生の……こういうことは必要でないな。ともかく不況カルテル問題等について若干の違いがあるのです。一号から四号まで、片っ方は一号から三号まであって、その間に一つだけが違う。いわゆる二号が一方に載ってないという、こういう関係がありますが、それはもうあまりこまかく言うのはよしましょう。しかしながら団体法で言えば、団体法それ自体が何のためにできたのか、先ほど私が冒頭に申し上げましたように、中小企業保護の一環として仲間同士の過当競争排除して守ってやるという精神の上に立ってできた法律です。その法律でもいろいろな行為をやって、なおかつやれないときに限って価格協定までやれる、しかもそれには公取委員会との関係における規定がある。環境衛生またしかりです。ところが中小企業等協同組合法は、公正取引委員会との関係において何もない。したがって、この法律を見た場合に、同じ中小企業、零細企業保護のための組織法であるとするならば、一方、協同組合法を厳格な上にも厳格に解さなければ、団体組織法あるいは環衛法との間のバランスを失することになります。したがいまして、私がここで提案したいことは、まずさしあたっては中小企業等協同組合法による協同組合価格協定に対しては、私の言うような厳格説の上に立つ、より厳格な指導で臨むこと、そして近き将来において——これはいま申しました法律のほかにたくさんあります。団体法環衛法、輸取法、その他たくさんございます。これらの各法律を根本的に価格協定の点については掘り返す、そして同じような態度で法の改正をすべきである。でなければ、中小企業の行なうカルテル、ことに価格協定について、その法律法律によって一貫したものがないということは一体どういうことなんです。したがって大臣、まずさしあたっては、野放しになっておる中小企業等協同組合法による協同組合、これの価格協定に対しては厳格なる態度をもって臨む、そしてできるだけ早い機会において、いま申し上げておるような、たとえば団体法環衛法あるいは輸取法等々が、価格協定において違った態度をとっておるということに対して、同じような思想の上に立ち、同じような取り締まりを、あるいは公正取引委員会との間の接触を行なう、そのように根本的改正をなすべきであろうと思いますが、大臣いかがです。
  28. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほどから、田中委員並びに政府委員からのいろいろな話をずっと伺っておったのでありますが、私から言うと、結局田中委員は、いわゆる立法論で、今後の中小企業団体に対してどういうようにするかという御意見であると思います。それから長官は、いまの解釈論で、そういう価格協定もやむを得ない場合もあるということを言っておるのですが、そこで問題は、法律の解釈ということは第二段といたしまして、田中委員が十年前とは自分は考え方が違ってきたというのは、これは私も、そういうように考えが違ってこられたことは、私自身も同じような考えをしておるのであって、十年前は、既存の中小企業をいかにして存立さすかというところに観点があったと思うのです。そこで、協同組合を設けて、何とかして自立自存のできるようにしてあげようというようなこと、弱者強者から守るというような立場から、こういう協同組合やいろいろの団体法ができたと思うのであります。しかし、そういうような考え方、既存の中小企業の存立を認めるということ自体は、これは私から言うと、いままでの経済政策は生産・流通を維持拡張しようという基本的な考え方から出ておったと思うのです。が、しかし、もう今日になりますると、消費者という立場からすべての経済政策を考えていかなければならないというように変わってきた。田中委員の言われる物価の問題も、消費者という立場から考えていく。そこで、私ら日本の今日の経済状態からいうと、消費者行政と申しますか、消費者立場からすべての経済政策を検討する必要があるという意味において、いままでの既存の法律もそういう意味においてひとつ再検討する必要がある。したがって、中小企業団体もお話しのとおりひとつ再検討していく、消費者立場を考慮してひとつ再検討をしていくということにおいて、田中委員の言われるとおり、私も同じことで、再検討したい、こう考えております。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 立法論とか解釈論ということでなくて、すべての法律に対して一貫した思想が必要であるということが立法論です。それ以外は全部政策論です。したがって、もう一度お伺いいたしますが、私が言っておるように、まず中小企業等協同組合法による組合価格協定に対しては、厳格なる態度をもって臨む、それは先ほど私が言っておる条件限界を見た上で。そして今後の立法論とすれば、いま言ったように団体法環衛法、輸取法、まだまだたくさんあります。それが一貫した思想の上に立っていない。これを再検討してやらねばならないじゃないかということです。それを肯定するのか否定するのか、それだけでよろしい。もしそれぞれの、輸取法は輸取法としての精神がある、環衛法環衛法精神があるから違うのだということであるならば、議論をあとに展開します。
  30. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 経済事情がだんだん変わってきましたから、十年前に設けた法律も、その後設けられた法律も、いろいろ内容が変わってきておると思いますが、そこで問題は、先ほど申し上げましたとおり、日本の経済事情が変わってきておりますから、したがって、私は、消費者本位ですべての今後の経済政策を立てるべきだという考えをしておりますから、したがって、既存の法律については再検討していくべきだという考え方です。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣も、何だか前置きが長かったけれども、私のやつを肯定したわけですね。法制局、いいですね。——公取、どうですか、いま私の言っているようなことは。あなた自体が、通産省等々と同意する、協議をする、通告を受ける、いろいろあるのですが、それに対しどうですか。
  32. 北島武雄

    北島政府委員 カルテルを認める場合に、公取が認める場合は独禁法でやります。それから主務大臣の権限による場合は、それぞれ公取に対する同意とか協議とか通知という制度があるわけであります。ただ、いまの中小企業等協同組合価格協定については、それが法律上ない。これは先ほども私申しましたように、現行法ではたしてそれが読めるのかどうかという問題にもからまってくると思いますが。とにかくそういう規定はない。これはやはり片手落ちな点じゃないか。やはり全体を通じて、何らかのかっこうにおいて公取がタッチできるような法的な組織にならなくてはいけないのじゃないか、そんな感じがいたします。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 私の主張を、大臣公取委員長法制局、ともに肯定をせられたから、次へ参ります。  北島さんにお伺いしますが、兵庫県の牛乳商業組合に対しまして、去る六月十日に、この商業組合が行なった価格協定独禁法違反であるからということで、排除の勧告をなされました。それに対して、拒否の通告が二十日に出たそうであります。続いて、同じようなことに対しまして、愛知県の牛乳商業組合あるいはまた、東京都杉並といったように、これは相当な問題を呼びつつあると思います。そこで、この問題に対して簡単に経過をお伺いいたします。
  34. 北島武雄

    北島政府委員 ただいま御指摘の三組合価格協定容疑事件につきましては、それぞれ四月の初旬に着手いたしまして、先般、ただいまお話のように、価格協定の事実を証拠によって私ども認定いたしまして、価格協定を破棄するように勧告いたしたのでありますが、これを応諾しませんので、法律規定に基づきまして、これを審判開始することにいたしました。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 影山さん、これはいわゆる団体組織法によるところの商業組合、この三月三十一日ですか、理事会において決定をいたしました牛乳類を二円引き上げる、このことは団体法によるところの手続をとった調整制限ではございませんね。
  36. 影山衛司

    影山政府委員 理事会が決定をしたかどうかということについて、ただいま何か争いがあるようでございます。もしも理事会の決定があったということを前提といたしますならば、手続は法律に従ってやっていないというふうに考えるわけであります。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 問題は、理事会が決定をしたということに争いがあるのと、それから四月一日から二円引き上げますというビラを配布したことに争いがある、そういう点だと思うのです。しかし、やっておりますこの行為は団体組織法に基づくものでない、これだけははっきり言えますね。
  38. 影山衛司

    影山政府委員 団体組織法に基づきます場合には、価格協定をやります場合にいわゆる二段バネの制度があるわけでありますが、二段バネの手続も踏んでいないわけでございます。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 問題は、北島さん、いわゆる三月三十一日の理事会において、一斉に四月一日から値上げをするということの共同謀議をなしたのかどうか、あるいはそのことについてのビラをまかしめたのかどうかという点だと思うのです。これの事実認定の問題につきましては、ここで争ってもなにかと思いますので、審判を開始せられるということでありますので、それに先立ってここに参考人を呼ぶということは私は避くべきだと思いますので、その事実の主張の違いの点はしばらくおきまして、次に議論を進めていきたいと思うのですが、こういう問題につきまして、最近公正取引委員会の勧告を拒否する、こういう風潮が出てきたら私はたいへんだと思うのです。そこでそのためには公正取引委員会は人数が少ないけれども、いまこそ張り切ってと言ってはおかしいが、いまこそき然たる態度で臨んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
  40. 北島武雄

    北島政府委員 全くお説のとおりでございます。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、いつも問題になることなんですが、そういうようなカルテルの結成、これの間に行政庁が介入した、これは行政庁でいうならば、行政指導であると言うだろうと思うのです。あるいは問題が出てきたら、そんなことを言った覚えがないということもあろうと思いますが、行政庁が介入した場合には違法性が阻却せられるということを、あなたじゃないが、いつかの公正取引委員長がそれらしき発言をして物議をかもしたことがございます。そういうことは絶対にない。確認いたしましょう、いかがです。
  42. 北島武雄

    北島政府委員 たとえ行政指導がありましょうとも、業者間に共同行為が入っておりますれば、これは独占禁止法違反です。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで農林省の畜産局長見えていますか。——これは新聞の切り抜きです。六月十七日の読売です。「「牛乳勧告」業者が拒否、兵庫」、そこにこの兵庫県の組合理事長の森本氏が、これは岡田畜産局長が値上げをしろ——この辺がちょっと違うようですが、そういうことから始まったものである、したがって審判の場あるいは行政訴訟もあえて辞さないということを書いておりますが、そのときには農林省から証人を出してもらう、こういうことを言っておりますが、この牛乳の値上げに関連いたしまして、あなたが、あるいは農林省がとった態度、経過を簡単に言ってください。
  44. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 御質問の牛乳値上げの問題につきましては、先生承知のように経過がございまして、生産者価格の値上げの問題から端を発しておるわけでございます。昨年から牛乳につきまして、加工原料乳とそれから飲用牛乳と二つございまして、加工原料乳につきましては不足払い制度から出発したわけでございます。普通牛乳につきましては、これは地域の実情なり需給の実情に応じて、おのずと形成される価格であるということで、その不足払いの対象にいたしておらないわけでございます。普通牛乳の生乳価格につきましては、御承知のように毎年きめるというのが例になっておりまして、大体四月から三月までというふうな形できまっておるわけであります。昨年生乳価格につきまして、制度の発足もありまして、メーカーと生産者の交渉が非常におそくなりまして、四月末、五月ごろから出発したわけでございますが、なかなか価格がきまらないということがございまして、十二月末までいわゆる乳価闘争という形で行なわれたわけでございます。その結果ほとんど値上げができないというふうな状態でございまして、その原因といたしましては、なかなかメーカーに支払い余力がないということが原因であろうと思うわけでございますけれども、一方におきまして、生産者価格につきましては、かなり生産費を割っておるというふうな地域もあるわけでございます。そこで御承知のように、昨年は非常に生乳の生産が減退をいたしたわけでございます。一方、そのために乳製品の輸入というものもふえたわけでございまして、今後の牛乳、乳製品の世界的な需給の実情から見まして、国内でどうしても生産をふやさなければいかぬというふうな要請があるわけでございます。生産者のほうとしましても、この際原料価格の値上げをぜひやりたいという要望が強くて、四十二年度の生乳の取引価格につきましては、相当大幅の値上げの要請がメーカーにあったわけでございます。私たちのほうは、本来価格というものは、先ほど申し上げましたように、それぞれの段階においてそれぞれの当事者の間で自由にきまるべき価格でございますので、この価格内容に介入するということは考えておりません。しかし生産者の要請は、これは妥当であるということで、メーカーに対しましては原料価格の値上げの要請をいたしまして、生産者に協力をしてもらうようなことを話したわけでございます。生産者価格が上がりますと、現在の実情のもとにおいては、卸売り価格なり、小売り価格がこれを吸収してしまうということは不可能であろうというふうに私たちは判断をいたしておったわけでございますが、しかしそうかといって、価格をメーカーと生産者が幾らであり、メーカーと小売りの段階では幾らであるかというふうなことにつきましての指導はいたさないということを先般も明らかにいたしておるわけでございます。
  45. 田中武夫

    田中(武)委員 だいぶ長らくくどくどおっしゃいましたが、一口に言えば、生産の売り渡しの価格といいますか、いうならメーカーの買い取り価格について考えろ、こういうことは言った、しかしそのときは、そのことが直ちに価格にははね返らない、こういう気持ちで言った、簡単に言えばそういうことですね。
  46. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 生産者価格を値上げしますと、程度によりますけれども、生産者価格の値上げをすれば、おそらく卸売り価格、小売り価格に影響なしとしないという判断をいたしておったわけでございます。
  47. 田中武夫

    田中(武)委員 それならあなたは、生産者から高く買いなさい、買うようにしてくれ、その結果は販売価格、これは卸、小売りを含めますが、上がるであろうことを予想したのですね。そうしてあなたの申し入ればおそらく理事長にせられたのだろうと思うのですが、それはそういうことを理事長に申し入れれば、組合として相談するであろうことは予見せられたと思うのですが、そうですか。
  48. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 理事長に対して値上げをしてもらいたいという要請は私のほうはいたしておりません。しかし、生産者価格が値上がりすれば卸売り価格、小売り価格に影響するであろうということはわれわれとしては予想いたしておったわけでございます。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 要請はしてないけれども、生産者価格を高く買いなさい、それは卸売り、小売り価格に吸収できる、上がらないというなら私はまだいいと思う。上がるであろうことをあなたは予見したのでしょう。そしてそれを全員に一人一人当たってその話をしたのではなくて、組合代表に言ったのでしょう。その組合代表は組合役員を集めて相談するであろうことは予見せられるでしょう。したがいまして、この行為は不法なカルテルとして審判の対象になり、そういう決定がなされるときは、あなたはこの不法なカルテルの教唆犯になりますよ。どうですか。
  50. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 組合長に対しましてそういうことを申したことはないわけでございます。私は、先般も物価対策特別委員会で参考人を呼ばれて、一体農林省はこの生産者価格の値上げが吸収できるかどうかというふうな御質問がございました際にも、おそらくいまのメーカーなり小売りの実情からすると、吸収することはむずかしいと思いますという答弁をいたしておるわけでございます。
  51. 田中武夫

    田中(武)委員 あなた長たらしく言ってよく要領がつかめなかったのですが、端的に言いますから答えてくださいよ。  生産者価格を上げてくれ、すなわちメーカーの買い入れ価格を上げろということは、あなただれに言ったのです。
  52. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 生産者団体からの要望もございまして、これはそれぞれのメーカーに話をいたしております。
  53. 田中武夫

    田中(武)委員 大きなメーカーはまあいいです。それじゃ兵庫県のこの牛乳商業組合の場合はだれに言ったのです。
  54. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 要請はメーカーにいたしまして、小売りにいたしておりません。
  55. 田中武夫

    田中(武)委員 メーカーにした。そのときにメーカーが、それじゃ卸なり小売りに対して値を上げるであろうことは予見したわけですね。そういたしますと、ここで言っておる兵庫県の牛乳商業組合組合長である森本あるいはそういうような卸業者には言った覚えはない、メーカーに言った、そういうことですね。しかしそのときには小売りあるいは卸の価格にはね返るであろうということは予見できた。その方法についてはメーカーが卸あるいは商業組合等に伝えるという上に立っておっしゃったわけですか。その辺はどうです。
  56. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 要するに、メーカーは直接生産者に乳価を支払う立場にあるわけでございます。したがいまして、生産価格を上げるとすれば、メーカーに要請せざるを得ないということになるわけでございます。したがいまして、私たちのほうはメーカーには生産者価格の値上げをしてほしいというふうな要請をいたしておるわけでございます。そこで、メーカーが生産者価格幾ら上げるのかということについては、われわれは価格内容に立ち入った指導はいたしておりません。したがいまして、これは生産者とメーカーとの話し合いによってきまる性質のものであります。  それからメーカーが生産者価格を上げました場合にそれを吸収できるかどうかというのは、メーカーの判断になるわけでございますが、従来の、昨年の乳価交渉等の経過を見ましても、なかなかメーカーとしては支払い余力はないであろう、したがいまして若干の値上がりはやむを得ないであろうというふうに考えておりましたけれども、具体的に幾ら上げるべきかは小売りとメーカーとの話し合いによってきまるべき性質のものでございまして、われわれが内容にタッチしまして幾ら上げるべきであるというふうなことの指導はいたしておらないわけでございます。
  57. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたはメーカーに言ったから、だから直接それの卸であるところの商業組合の行為については関係がない、こう否定せられるわけですね。しかし一面において、高く買えと言えば当然消費者価格にも及ぶであろうことは予見できた、こういうことですね。これだけははっきりしておきましょう。  そこで審判あるいは行政訴訟を起こすと言っております。証人に来てもらうと言っております。もちろん裁判所あるいは公正取引委員会等から証人として呼び出しがあれば、これは特別の理由がない限り行かねばならぬと思うのですが、あなた出ますね。
  58. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 必要とあれば出席いたします。
  59. 田中武夫

    田中(武)委員 そのメーカーの中に、たとえば守山乳業会社あるいは筑波乳業会社、こういうものにも伝えたんですか。
  60. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 私は一般的にそういう話をいたしておるわけで、個々のメーカーが幾ら払うべきであるというふうな話はいたしておりません。したがいまして、全部の乳業者というのは非常にたくさんあるわけでございますので、主として大メーカーには個別的にも話はいたしております。中小メーカーに対しては一般的に話はいたしておりますけれども、特に全部の乳業者に要請をいたしたわけではございません。
  61. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは具体的に、いつどこで、だれに言ったのです。
  62. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 だいぶ前のことになりますので、いつどこでどういうふうにしたかということについては、現在はっきりした記憶は持っておりません。
  63. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、あなたがそういうことを言ったのは特定であって不特定多数じゃないのですね。特定ですね。その特定はどういうところを特定したのですか。ここをはっきりしておきましょう。
  64. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 一般的に値上げをせざるを得ないであろうということは申し上げておりますし、それから新聞等にも私が申し上げたことは出ておるわけでございます。まあメーカーの中でも乳製品協会の会長だとか牛乳の会長だとかそういう方々に、こういうことで値上げをせざるを得ない情勢にある、牛乳の生産をふやすためにはやはり生産者価格を上げざるを得ないということを話しておるわけでございます。
  65. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると不特定多数に言った、そして中には特定の人に言った、こういうことですね。どうですか。
  66. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 さようでございます。
  67. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、新聞記事によりますと、森本理事長が、経済企画庁は上げるなと言うた、農林省は上げいと言う、まるで同じ行政府で意見が違うんだというようなことを言っておるのです。この新聞見たことありますか。あなたのほうはどういう態度をとりましたか。
  68. 中西一郎

    ○中西政府委員 経済企画庁としましては、三十七年あるいは三十九年に行なわれましたような農林省からの価格行政指導、それはやめてほしいということに尽きるわけでございます。その結果牛乳が下がるのか上がるのか、そこは市場の実態の進み方いかんで、また販売段階あるいは消費段階での合理化が促進されていくというような経過でおのずからきまるというふうに考えております。したがって、行政指導価格そのものについてはすべきでないということなんで、価格が下がらなきゃいかぬとかあるいは据え置きでなきゃいかぬというふうなことまでは言っておりません。
  69. 田中武夫

    田中(武)委員 価格を上げるような方向での行政指導はやめてもらいたい、そういうことを農林省へは言ったんですね。農林省ではなくて不特定多数にそういう意見を新聞や何かに言ったのですか。農林省はそういう価格値上げのような行政指導はやめてもらいたい、これは正式に経済企画庁から言ったわけですか、言わなかったのですか。
  70. 中西一郎

    ○中西政府委員 値上げの行政指導ということではなしに、値下げの場合にです。行政指導というのはよくないということを申し入れまして——値上げ、据え置き、あるいは下がる、いずれの場合でも行政指導というものは安易に行なうべきでないという趣旨を農林省に申し入れまして、それの実行をされたという経過であります。
  71. 田中武夫

    田中(武)委員 わかりました。それでは、岡田局長、あなたが不特定多数に生産者価格を上げてもらいたい、あるいは特定の大メーカーに対して言ったのは、経済企画庁のそういういま言ったようなことがあった以前ですか、以後ですか。
  72. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 この問題は、私のほうは、生乳の価格を値上げしなければ生産がふえないであろうということ、これは政府内部でもよく話はいたしております。ただ生産者価格を上げるということは、これはあくまで牛乳をふやすために必要で、それはもうずっと前から指導いたしておるわけです。価格の問題につきましては、卸売り価格、小売り価格をいかに上げるかという問題につきましては、私のほうは指導はいたしておりません。
  73. 田中武夫

    田中(武)委員 この辺まだあいまいな点もございますが、これ以上質問していると検事的態度にならざるを得ませんので、やめますが、あとはできるだけ行政訴訟を起こして、その場においてやろうじゃないですか。  それで委員長、この件について関連質問が永井さんからありますので、お許し願います。しかもこの時間は、私の質問時間からはのけていただいて、十二時半というのはそれだけおそくなります。
  74. 永井勝次郎

    ○永井委員 岡田畜産局長にお尋ねいたします。  先ほど来の質問で、生産者価格を値上げした場合、メーカー及び卸売りにその値上げがはね返るであろう、こういう予想がされたという話でありますが、この生産者価格の値上げは畜安法に基づいてなされたものと思いますが、いかがですか。
  75. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 自由な価格形成のもとにおいて行なわれたものでございます。
  76. 永井勝次郎

    ○永井委員 この生乳価格のコスト計算には指標価格がきめられておる。その生産者の指標価格は乳製品の市場価格よりずっと低いところに現在決定されておる。でありますから、生産者は非常に不利である、メーカーは非常に利益であるという、こういう指標価格の間における不利な条件があることを御承知ですか。
  77. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 先生のお話しのは畜安法ではございませんで、加工原料乳の不足払いの法律であろうと思うのでございますが、政府は乳製品の安定指標価格をきめるということになっておりまして、乳製品の安定指標価格からメーカーのコストを引きましたその残りが基準取引価格ということになっておりまして、基準取引価格と生産費との差額が不足払いとして政府から支払われるということになっておるわけでございます。
  78. 永井勝次郎

    ○永井委員 したがって、その不足払いはメーカーの負担ではなくて、不足払いにおける政府一般会計の財政負担になっておる、こういう関係にあることは明らかである、これが一つ。  それから一頭当たりの牛乳の生産量をコスト計算の中では五千キロと計算しておる。しかし実際に生産酪農民の一頭当たり生産量は三千二百キロから三千三百キロ、そうすると五千キロと計算されているコスト計算の基礎からは、一頭当たり千七百キロから千八百キロの開きがある。それだけ生産を上げていくという目標としてはそれは適当かもしれないけれども、現実の取引としては生産者は一頭当たり千八百キロから千七百キロの損をしている、こういうことになるわけであります。   〔委員長退席、河本委員長代理着席〕 でありますから、その計算はもう畜産局は百も承知だと思う。指標価格で市場よりも非常に低い価格で押えている。一頭当たりの生産量において五千キロという目標を与えて、実際は三千二、三百キロより生産してない。そういう差額はみんなメーカーの利益として収奪されているので、その収奪されている不利な条件を今度の値上げによって生産者に還元する、不正を是正するという働きとしての値上げであって、その値上げがすぐメーカーにはね返っていかなければいけない、卸売りにはね返るという関係にあるものではないとわれわれは判断するのでありますが、これはいかがですか。
  79. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 御質問の第一点でございますが、この不足払いにつきましては、一般会計から事業団に交付します交付金と、それから輸入乳製品の事業団の輸入の差益によりまして、両方で交付をいたすことにいたしておるわけでございます。  それから第二点でございますが、ただいまお話のありました五千キロというのは、これは非常に高いものでございまして、私たちのほうでは生産費調査をいたしまして、その生産費調査の結果に基づきまして生産費の算定をいたしておるわけでございまして、本年算定をいたしましたのは四千八百六十五キロということになっておるわけでございます。  そこで、ただいま先生のお話しになりました点は、これは御承知のように原料乳の問題でございまして、市乳の問題ではないわけでございます。したがいまして、市乳は市乳としての領域におきまして自由な価格形成に基づいて形成さるべき価格であるわけでございます。
  80. 永井勝次郎

    ○永井委員 関連でありますから私はもうこれでやめますが、一つ政府によって加工牛乳であろうと何であろうと公定的な価格で基準が出されたら、飲料価格にしろ何であれ、それが弱い生産者に押しつけられてくることは明らかに力関係で判断できることだと思うのです。でありますから、指標価格より非常に安い乳価を決定し、生産量において現実に合わない高い基準を与えて、その不足分はみんな生産者はメーカーに収奪される、その差額は持っていかれる、こういう不利な条件に置いておるのでありますから、普通の条件よりはメーカーは非常にぼろもうけをしておる。ぼろもうけをしておるから、その会社の利益率なり配当なり経営の実情なり、今日のように大きな利益を占めておることは明らかであります。だからその不利な条件を是正したというだけにとどまる今回の乳価決定については、それがすぐメーカーに吸収できない形ではね返っていく、あるいは卸売りにはね返るという性質のものではないということだけを明らかにして、いずれ別の機会に、これらの問題については論議を進めていきたいと思います。
  81. 田中武夫

    田中(武)委員 永井委員の関連質問と私の質問とを通じて、農林省の岡田局長の考え方が明確に出ました。生産者の価格を上げてくれ、これは農民の保護のために必要である。しかし、それが直ちに卸、小売りの値段にはね返ることが予想できたということは、すなわちメーカーの今日までの利潤を当然と考え、この利潤を保護するというか、確保するというか、そういう考え方の上に立っての行政的行動であったということを断定いたします。違うなら違うと言ってください。  次に、北島さんに要望です。いま言ったような農林省の態度は、私が断定したような態度です。でなければ、違うと言ってもらったら、あとでもっと議論をいたします。そうすると、たよりは公取さんだけということになる。そこで、公正取引委員会がヤシ油の入っておるバターについて二社に排除命令を出した。その直後の六月十七日の朝日新聞の夕刊には「ヤシ油入りバター」「二社に排除命令」たよりはあなただけです公取さん。これだけ期待を持っております。こういう拒否という態度に対しては、先ほども明確に言われましたが、断固たる、き然たる態度で臨んでいただきたいことを要望いたします。
  82. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 私のほうはただいまお話しのように、メーカーの利潤を擁護するという考えは全く持っておりません。おのずから資本主義の企業として行なわれるわけでございまして、企業の採算という問題もあるわけでございます。したがいまして、採算がとれるかとれないかという問題だけを考えておるわけでございまして、ただいま多大な利潤をあげることを擁護するという考え方は全く持っておりません。
  83. 田中武夫

    田中(武)委員 詭弁です。生産者価格を上げてくれといえば、卸、小売りにはねかえりがあることを予見したんでしょう。それなら、今日までのメーカーの利潤を当然なものとし適正なものと考えなければ、出てこない結論ですよ。まだ反発がありますか。
  84. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 お話の点もございますが、企業といたしましても、いろいろな事業をやっております。したがいまして、少なくともこの牛乳の問題につきましては、要するに、企業として採算的にやれるかやれないかという問題であろうかと実は考えておるわけであります。
  85. 田中武夫

    田中(武)委員 企業が採算的にやれるかどうかという大きな問題ではない。生産者価格を上げてくれというのは、一合に対して二円以下の問題でしょう。それが直ちに小売りあるいは卸にはねかえることをあなたは予見したんでしょう。そうすれば、メーカーの上げてくれというその利潤は適正であり、これは保護すべきものであるという結論の上に立たなければ、そんな結論は出ないでしょう。私はこれ以上やると検察官的態度になるからやめたいと言っているのですが、あなたがそういう抗弁をするなら続けますよ。
  86. 岡田覚夫

    岡田(覚)政府委員 実は、先ほど申し上げましたように、生産者価格を引き上げるということで、乳価闘争というのが去年一年間続いたわけでございます。その結果、なかなか値上げができないというふうな点もございまして、このままで生産者価格を引き上げるということはなかなかむずかしいのではないか、こういうふうな判断をいたしておったわけでございます。
  87. 田中武夫

    田中(武)委員 いかに抗弁しようとも、あなたは、農林省の立場からより保護しなければならない畜産業者よりも、メーカーのほうに向いて指導したことは事実です。そうでなければ、そんな答弁は出ませんよ。もしあなたがまだそれで不服なら、争うべき場所でもっと争いますよ。この件はこのくらいにしておきますが、農林省に文句があるなら、いつでもまたやりましょう。  そこで運輸省にお伺いいたしますが、これは神戸新聞の記事なんですが、六月六日の夕刊です。兵庫県の乗用自動車協会というのが、今後タクシーには冷房機はつけない、つけた場合は五十万円の違約金を取る、そういうことを協定というか、申し合わせしたということですが、まず最初に兵庫県乗用自動車協会というものの性格をお伺いいたします。
  88. 蜂須賀国雄

    ○蜂須賀説明員 民法上の社団法人でございます。
  89. 田中武夫

    田中(武)委員 民法上の法人には、何らかのかっこうにおける協定は少しもできないはずです。それはいかがですか。公取の方からも。
  90. 蜂須賀国雄

    ○蜂須賀説明員 これにつきましては、公取のほうが主管でございますが、私といたしましては、そういう協定はできないものと思っております。
  91. 北島武雄

    北島政府委員 ただいまの乗用自動車協会のことですが、民法上の事業団体に該当するものと思います。そういたしますと、その事業団体が構成事業者の機能または活動を不当に制限するということになりますから、独禁法第八条第三号違反の疑いが十分ございます。公正取引委員会といたしましては、ただいま大阪地方事務所に連絡いたしまして、調査中でございます。
  92. 田中武夫

    田中(武)委員 大阪地方事務所というこの名前は変えたほうがいい。県の地方事務と間違えるですよ。もっと威厳のある名前にしたほうがいい。いま調査しているということも出ているのですが、その後の行動はどうですか。とにかく暑いのにタクシーが冷房機をつけられぬという、いわゆるサービスをしてはいけないという協定なんです。これははっきりしていると思います。その調査の結果及び見通し、公正取引委員会としての態度をお伺いいたします。
  93. 北島武雄

    北島政府委員 これは実情をよく調べてみませんと、一がいにどうなっておるか申し上げかねます。多分に抽象的にはしょって申し上げますと、そういうことをしたということがあれば、それは独禁法第八条違反の疑いがあるということで、ただいま調査中でございますから、そういう点はしばらく御猶予を願います。
  94. 田中武夫

    田中(武)委員 調査中ですから、公正取引委員会の人道的な性格を尊重して、これ以上突っ込まないことにいたします。  それで蜂須賀さん、ある業者がと言っておるのは、これは小さいほうだと思うのです。大体二十台ないし三十台しか持っていない。ところが、クーラーは十二万から十五万くらいするんですね。そういうのをどんどん大きいところでつけられると、われわれはだめだ、そのほうへお客をとられてしまう、かといって、その十台あるいは二十台の車に全部つけるとなれば、破産してしまう、こういうことを言っておる。これも一理あると思うのです。しかし、法は守られねばならないので、そういったサービスを排除するいわゆる排他的条件ということについては、独禁法から問題があろうと私は思う。また公取委員長も明確に言われておる。あなたのほうは、そういうものに対して、何らかそういう小さな企業にクーラーも、もう今日は三C時代とかいって、そうぜいたく品でなくなっているのですから、そういうものがつけられるような金融といいますか助成といいますか、そういう方法は考えられませんか。さらに中小企業庁長官、これは近代化、高度化になりませんか。
  95. 蜂須賀国雄

    ○蜂須賀説明員 これにつきましては、現在、中小企業等協同組合法によりますところの協同組合をつくらしておりまして、その法律範囲内におきまして助成をいたしております。
  96. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業の近代化に資するものと思います。   〔河本委員長代理退席、委員長着席〕
  97. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほどから神戸や兵庫県のことばかり取り上げていじめておるので、私は兵庫県の者ですから、少しくらいは前向きのことを言わないといかぬ。  いま、影山さんあるいは蜂須賀さんのおっしゃいましたように、近代化という上に立って、そういう弱小企業に対しての、サービスはいけないというのじゃなしに、サービスのできるような体制、すなわちそれが近代化だ、そういう方向による具体的な相談をひとつやっていただきたいと思います。よろしいか。
  98. 蜂須賀国雄

    ○蜂須賀説明員 よくわかりました。そういたします。
  99. 影山衛司

    影山政府委員 御趣旨の線に沿って、運輸省とも相談をしたいと思います。
  100. 田中武夫

    田中(武)委員 これに関して、自動車のことを言ったので、ちょっとお伺いしますが、新聞記事等によると、これは経済企画庁あたりの意見のようでございますが、もうタクシー業者なんというのを認可事業にせずに自由にやらしたらどうなんだ、こういうような意見もあるようですが、これは運輸省と経済企画庁とではやはり考え方が違うのだと思うのですが、サービスの向上ということから考えれば自由でもいいじゃないか。しかし、それには、何といいますか、事故のときの補償の問題であるとか、あるいは交通事故の関係から等々、考えるべき点もあろうと思います。しかし自動車賠償保険も上がったことですし、そんなにいままでのような厳格な態度をとらなくてもいいのじゃないか、こう思うのですが、タクシーの認可の問題について経済企画庁と運輸省の御意見をちょっと伺います。
  101. 蜂須賀国雄

    ○蜂須賀説明員 これにつきましては、先般新聞に出ましたので、経済企画庁と運輸省と打ち合わせして協議いたしております。今後の自動車行政の方向につきましては、両者で意見をまとめまして、その方向でいきたいと思っております。  なお免許制の廃止につきましては、現在の運輸省といたしましては、現行制度の運用でいきたいという考えを持っております。
  102. 中西一郎

    ○中西政府委員 いま蜂須賀氏の説明されたとおりですが、けさ物価閣僚協議会を開いていただきまして、ハイヤー、タクシーについての免許制そのものの問題、これは大問題でございますので一応別にいたしまして、運用上の問題で三点ばかりお取りきめを願いました。一つは、同一地域で、事業者によっては、運賃改定をしたくないというような人があればそれは申請しなくてもいいのではないか、地域ぐるみ一本でやろうという傾向が見られるのですけれども、その辺についての所要の措置を講ずることが一つ。それからもう一つは、個人タクシーですけれども、これについて前向きの方向でさらに認可を進めていったらどうか。第三点は労働条件あるいは給与体系等の問題について改善をはかる必要がある。この三点をお取りきめ願いました。以上です。
  103. 田中武夫

    田中(武)委員 運輸省と経済企画庁その他関係のところで十分前向きに——前向きというとどっちが前向きかわからぬけれども、検討してもらいたいと思いますけれども、いままで強い認可あるいは許可を必要とする業種は、その上に立ってサービスを怠ってきておる、こういうきらいがある。したがって私は、直ちにすべてを自由にしてしまえとは言いません。しかし一つの認可をとったことは権利だと考える。そうすると権利の上にあぐらをかくのが人の常。そうしていまのような何ぼ暑くてもクーラーをかけないというような申し合わせをしたり、あるいは乗車拒否等々のサービス不良の面が、これは自動車に限らずあると思います。そういう利用者というか消費者というか、そういう立場に立ってどうするかということを十分考えてもらって、できるだけ統制型を廃止していく、こういう方向が望ましいのではなかろうかと思います。これは意見として、希望として申し上げておきます。  それからタクシーが出ましたので、ついでにタクシー料金でありますが、これは法のたてまえは個々の業者が申請することになっておりますね。そうして認可を受けることになっておる。ところが一斉値上げということが行なわれますね。これは一体どこで相談してどこがやるのか知りませんが、一斉値上げということは独禁法のたてまえからいけば私は問題があると思う。ことに各企業ごとに申請するという法のたてまえがある。それは、いま何百、何千、何万というタクシーならタクシーの業者が個々にということはとてもかなわぬ、こういうことであるならば、法律を改正する必要がある、こう思いますが、これは独禁法との関係でどうですかな。一斉値上げ申請なんということは、形式は個々の企業者がやるということになっておる。そういうことが法のたてまえなんですね。その点について運輸、公取の御意見をお願いいたします。
  104. 蜂須賀国雄

    ○蜂須賀説明員 運輸省におきましては、申請してまいりましても、審査は個々に全部やっております。
  105. 北島武雄

    北島政府委員 結局料金は運輸省の認可ということになっておるのですから、話し合って認可申請しようというようなことがありましても、それが直ちに独禁法違反ということにはなり得ない。たとえば一緒に陳情しようじゃないかといって話し合って業者の方が通産省に陳情にいらっしゃる、これは話し合いには違いないですが、これは独禁法違反ではない。いまの認可の料金の問題についても、私はかように考えております。多少問題はあると思います。
  106. 田中武夫

    田中(武)委員 認可、許可にかかる料金については、かりに共同謀議があっても、独禁法上から考えた場合にカルテルではない——ちょっと問題があるが、これは残しましょう。
  107. 中谷鉄也

    中谷委員 ちょっと関連……。一点だけこの機会にお尋ねをしておきたいと思います。  先ほど経済企画庁の政府委員の御答弁の中に、いわゆる自動車運送業についてと申しますか、タクシーについて三つの問題点を指摘した。その中で個人タクシーについては前向きのかっこうで処理をするということをきめた、こういうことなんです。そこで個人タクシーの問題といえば直ちに道路運送法の免許の問題になってくるわけでございますけれども、結局前向きということは、東京陸運局管内で五千件以上の免許申請が出ておるけれども、三年くらい前の申請についていまなお処理されておらない、あるいは年間の免許件数などについても非常に少ないというふうなことについて、免許件数をふやしていくというたてまえですね。こういうふうなたてまえであろうと思うのですが、その点をひとつ確認と申しますか、御答弁をいただきたいと思うのです。  なお、その前提としての経済企画庁長官の談話と申しますか、お話の中に、免許制度そのもの、要するに、道路運送法のいわゆる免許制度そのものについて検討すべきだ、やめたほうがいいんじゃないかというふうな新聞を拝見いたしましたが、この問題についても、現在ただいまにおいては、免許制度の運用においてものごとを解決していけるために、ひとつ抜本的に検討するということを含んでのいまのお話なのかどうか、この点を第二点としてこの機会にお尋ねをいたしたい。  第三点といたしましては、これは特に新聞紙上等においても、こういうことは好ましくないのだということで報道されているわけですけれども、人口三十万程度の都市において、全然個人タクシーのないという都市があるわけなんです。たとえば和歌山であるとか清水市であるとか出ております。こういうふうなことは私はいろいろな問題のからみ合いがあるんだろうと思いますけれども、非常におかしいじゃないか、何か三回申請して三回とも免許申請を却下された人があるというようなことが大きく報道されておりますが、こういうような問題東京陸運局管内ではなしに、そういう地方都市の個人タクシーについては、前向きというのはどのような形において理解されているのか、この点をひとつお答えをいただきたい。同時に、運輸省の部長さんのほうからも、この問題についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  108. 中西一郎

    ○中西政府委員 私のほうから、きょうきまりました原則的なことで先生のお話にお答えしたいと思います。内容の具体的なことは蜂須賀業務部長からお話し願うことにいたしたいと思います。  個人タクシーについてきょう取りきめ願いましたのは、自動車運転者に希望を与える、あるいはハイヤー・タクシー業界に新風を注入するといったこの制度創設の趣旨を尊重して、今後一そうその育成につとめるものとするというお取りきめであります。したがって、具体的には東京の周辺あるいはいまお話の三十万以上の人口のあるところで全然認可のないところ、いろいろ実例は聞いておりますが、それらについてどう取り進めていくかは、運輸省のほうでいろいろお考えを願いたいと思っております。  それから、宮澤長官が、免許制そのものを抜本的に検討したいと言ったというふうな新聞記事がございましたけれども、せんだって参議院でも答弁されておりましたが、運用のことでいろいろ考えていきたいということに尽きるので、免許制そのものをとやかくとは考えていないというお話でありますが、われわれ事務的にもそういうふうに考えております。
  109. 蜂須賀国雄

    ○蜂須賀説明員 個人タクシーの件でございますが、東京におきましては、お話のとおり四千三百件くらい現在申請が残っております。これに対しましては、逐次、本日きまりましたその線に従いまして処理を進めるつもりでございます。なお、地方につきましては、地方都市の事情がございまして、個人タクシーというのは大体流しでございまして、ハイヤーではございませんので、大体各地区の実態に応じまして考えていきたいと思っております。  営業の自由化につきましては、先般の中西局長のお話のあったとおりでございます。
  110. 中谷鉄也

    中谷委員 もう一度関連質問ですけれども、お尋ねをいたしたいと思います。何か非常に抽象的な御答弁しかいただけておりませんので、もう一つお尋ねをいたします。  要するに、ここで道路運送法の免許というものの性格について議論するつもりはありませんけれども、基本的に免許そのものについても、はたしてタクシーについて免許が要るのかどうかというようなそういう法律論もあると思うのです。それはさておいて、法に明定されているわけですから、その前提でお尋ねをいたしまするけれども、運輸省の御答弁は、そうすると、一体前向きに個人タクシーの問題を解決をしていこうということと、現に、たとえば三十万都市である和歌山市の自動車練習所教員の市川泰一さんという人は、タクシーの営業の自由化という表題での新聞記事でございますけれども、「交通違反者を呼びつけるのと同じように、陸運局の役人が聴聞会で散々つつき回したあげく、一片の通知で理由も知らせぬまま、申請を突返すとは」と言って怒り嘆いておる。その人はもう三回も免許の申請を出しておるんだということなんです。こういうふうな実態があり、このことについては、先ほど経済企画庁の政府委員の御答弁にありましたように、タクシーの運転手さんというのは将来に希望が持てない、そういうことについて一体どうしたらいいか非常に悩んでいる。  こういう問題について、いまなお地方の実情を調査して処理をしたい、ということは逆にいうと、そういうふうなことについて国会で火がついたけれども、また同じように、陸運行政の面では個人タクシーが三十万都市において許可されるのかされないのかわからない、免許が受けられるのか受けられないのかわからないというような状態では私はいけないと思う。要するに、御答弁としては、少なくとも三十万都市で個人タクシーの免許がないなんということはおかしいんだ、そういうようなことのないような実情といいますか、実態といいますかそういう状況をつくることが前向きなんだという御答弁を私はいただきたいと思う。三十万都市等について個人タクシーの免許をするかしないか、これもなお検討をすることであって、そんなことをもどっちにするかわからないような状態で前向きというのは、ちょっと私は納得いかない。この点についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  111. 中西一郎

    ○中西政府委員 けさの閣議のあとの物価閣僚協議会でございまして、まだ蜂須賀業務部長大臣から何も聞いておられぬのじゃないかと思うのですが、中身は詳しく申し上げるわけにいきませんが、大都市の周辺部にタクシーの数が少ないような事態もあるので、その周辺部での個人タクシーの増車というようなことが一つの柱になると思います。それから関係閣僚の中にはやはり三十万程度の都市の出身の方もおられるわけで、同じような話が出ていました。みんなで前向きに検討しようじゃないかということでございます。いずれ運輸省のほうで具体的に処理してくださると思うのですが、けさのいまでございますから、少し具体的な話は差し控えたいと思います。
  112. 中谷鉄也

    中谷委員 免許するんだということを一言言ってもらえばいいのですけれども、まあけっこうです。
  113. 田中武夫

    田中(武)委員 いまの中谷委員の関連質問ですが、やはり個人タクシーの認可ということは、その前に、もうこういうものは自由にやらすんだということなら別です。しかしそうじゃないのだったら、やはりこれは考えねばならぬ問題だと思うのです。これは前向きにやっていただくことを希望します。  通産省関係以外の方はけっこうです。  これはもう聞かなくてもいいようなことだけれども、前にぼくが問題を提起したので、一応影山長官からその後の調査なり折衝を聞きたいと思うのです。  それは姫路の鉄工団地、四年間かかってようやく完成を目前に控えたところが、山陽新幹線が通るので立ちのきになるということで、地元では騒いでおり、たいへんなことじゃないか。中小企業庁あるいは通産省において団地造成ということを盛んにやっておられるときに、こういうことがあってはならない、こういう上に立って先日若干の問題だけを提起しておいたのですが、その後、日本鉄道建設公団のほうからも実は私のところへ参りまして、地図等を見せて説明を受けました。しかし、土地はかからないけれども、立ちのきということはないけれども、そのそばを通るということで一種の公害ということも考えられるのです。そういうことで、一応国鉄からは地図等で詳細な説明を受けましたので、きょうは呼んでおりませんが、中小企業庁長官のほうでお調べになったこと、あるいは国鉄に折衝をせられたこと、あるいはこういう問題に対して今後どうしようとするのか、これを簡単にお答え願いたい。
  114. 影山衛司

    影山政府委員 ただいまの問題の実情でございますが、もしも国鉄のほうで予定しておりますところの山陽新幹線が予定どおり通るといたしますと、現在の工場団地に入っておりまする企業、これが三十八企業あるわけでございますが、その中の約七企業あたりが影響を受けるということが判明いたしたわけであります。そういう実態に基づきまして、運輸省に対しましても善処方を要望いたしましたし、また通産局それから兵庫県に対しましても、間に立ってひとつ折衝するようにという要請をいたしました。現在姫路市も加わりまして折衝中でございます。それで、現在の段階におきましては、組合のほうはできるだけ線路を迂回してほしいという要望をしております。また、迂回ができない場合には、先ほどの七企業が影響を受けますので、そのためのかえ地をほしいという要求をしておるような次第でございまして、そういう点につきまして、運輸省とそれから工場団地側、その間に立ちまして通産省通産局、それから県、市というものが間に入りまして、ただいま調停中でございます。
  115. 田中武夫

    田中(武)委員 通産大臣、いまお聞きのとおりなんで、この中小企業振興事業団をつくって、どんどん工場団地を進めていこうというときに、たまたまそういった事例が出てきたわけです。そういうことによって、この団地に結集する組合員、中小企業者が熱意を失ったり、あるいは今後工場団地を進めていく上に対して支障があってはならぬ。このことは国鉄からは全部私聞きましたが、いろいろ聞き合わしても、国鉄としても、二月か三月に新線のルート決定までは言えなかった。一方から言えば、そういうこともあり得ると思って何回も聞いたのです。そしてどんどん進めていって、さあ完成するということになって発表したらこういうことになっている。影山さんとの間に私は話をして、十分指導なりあるいは要請をしてもらうようにしておりますが、これは一つの姫路鉄工団地の問題ではありません。これから出発しようという中小企業振興事業団の大きな事業一つに穴があくことになります。これは中小企業庁長官だけでなく大臣も、できるなら閣議で持ち出して解決するくらいの熱意と関心を持ってもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  116. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私もこの事情をいま初めて承ったのでありますからして、運輸大臣によく実情を聞いて、その上で善処したいと思います。
  117. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、一々説明はいたしませんが、これは影山長官との間で私は話を十分していますから、長官と話をしていただいて解決を要望いたします。  いよいよ法案プロパーに入ります。  この中小企業振興事業団は、中小企業指導センターを改組して新たに事業団をつくっていろんなことをやっていこうという法案なんです。ところが今日、御承知のように、公社、公団、特殊法人等については臨調の勧告以来いろんな問題が提起せられておる。そういうときにあたって、なおかつこういう特殊法人でなければ、なぜここに盛られておるところの事業がやれないか、特殊法人をなぜつくらなくちゃいけないのかということを、大臣からお聞きします。
  118. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 中小企業振興事業団法に盛られておる事業をするのには、この特殊法人がもっともいいとわれわれ考えた次第であります。
  119. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは答弁にならぬですね。  それでは影山さん、この事業団のする仕事をひとつ大きく分けてみましょう。  まず第一に指導事業、それから都道府県に対する融資の事業中小企業者に対する融資の事業及び施設の譲渡、それからこれは養成研修事業といいますか、調査研究、このようになるわけですね。まだそのほかにもあると思いますが。  この中で、たとえば指導事業指導センターでやっておりましたね。あるいは都道府県なり中小企業庁直接でやっておった事業があると思う。そういうのばかりだと思うのです。どれが主として事業団でなければならないのか。いまあげました五つ、もっとあると思いますが、大体おもな事業としてあげました五つのうち、事業団でなければできないというのはどれなんです。
  120. 影山衛司

    影山政府委員 一つは、第二十条第一項第二号のロでございます。「中小企業者の依頼に応じ、中小企業構造の高度化に寄与する事業の用に供する土地、建物その他の施設を取得し、造成し、及び設置してこれらを譲り渡すこと。」これは従来の中小企業高度化資金あるいは指導センターでは、たとえば工場団地を造成して譲渡するとか、あるいは共同工場を建設して譲渡をするというような仕事は、できなかったわけでございます。  それから第二点は、第三号の仕事でございまして、「都道府県から必要な資金の一部の貸付けを受けて、前号イ及びロに掲げる業務を行なうこと。」これは中小企業者に対する直接事業でございますが、たとえば二つの都道府県以上にまたがりますような場合には、従来の高度化資金が一県を通じて行なう融資事業でございましたので、できないわけでございます。  それと同時に、もう一つは、たとえば事業団及び県で七〇%を融資をする。その場合に都道府県だけが一〇%の負担であって、あと六〇%は事業団が負担をするというような場合に、七〇%全体をやりますと、県を通じてやります場合には、これは債権管理の仕事も非常にたいへんだから、むしろ事業団のほうにやってもらいたい、そのかわり、金を出すということによっての発言権を留保しようというような場合には、従来の高度化資金特別会計では実行し得なかったわけでございます。  以上申し上げましたような点が、この事業団でなければできないという事業であるかと思われます。
  121. 田中武夫

    田中(武)委員 長官なかなか答弁がうまいのでね。これはもう一つうまく言うなら、事業を起こし、それを取得し、譲渡するためには、法人格を持たなければいけないのです。そうでしょう。ところが、先日、社会党の、地方行政委員会から差しかえに来た細谷君等が、中小企業政策に対して、これは、中央集権化しようとする、地方自治体の権限を剥奪するものである、こういうような立場の意見があり、またそういう面もある。自治省もそう考えておる。私は積極的になぜ事業団でなければいけないかといえば、取得し譲渡するという行為は法人でなければできません、そうじゃないですか。
  122. 影山衛司

    影山政府委員 先生指摘のとおりでございます。
  123. 田中武夫

    田中(武)委員 そこに一つの特殊法人をつくる必要がございました、と答えたら満点だ。  次に、少しいやなことを聞くのですが、このできますところの事業団の役員人事はどう考えておりますか。これは岡本委員からも若干質問が出ておったと思うのですがね。もっとくだいて申しますならば、中小企業指導センターの役職員はどうなるのか、そういう点をちょっと聞きましょうか。
  124. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 中小企業振興事業団の役員のことは、まだ私自身も全然考えておりません。
  125. 田中武夫

    田中(武)委員 考えておらないと言うて、それじゃ困るのです。それでは、なくなるところの中小企業指導センターの役職員はどういうことになります。なくなるのですよ。片一方に何か吸収せられるのか、首になるのか、どうなるのです。
  126. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 職員は吸収しますが、役員については、この法律ができてから考慮したいと思います。
  127. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、中小企業指導センターの役員をいま当たってみたのです。理事長の越智実さん、この人は四国通産局長を最後として官界を去って、そして大阪府立の貿易館長、大阪三品取引所の常務理事、こうやってきて、中小企業指導センターができましたときに理事長になった。あとの理事の館賢三さん、楫取松若さん、これすべて、あまり言いたくないですが、官僚出といいますか、しかも商工官僚、通産官僚なんです。監事の大野連治さん、これもやはりそういったような傾向の人です。いま公社、公団が問題になっておりますのは、そういった役員人事が一つ問題になっておる。今度できます中小企業振興事業団の役員につきましても、とかくのうわさがもうすでに出ておる。大臣は知らぬとおっしゃっておりますが、出ておるわけです。いろいろとこれは批評がありますが、時間の関係で言いませんけれども、出ております。たとえば公社、公団の特殊法人に、いやらしいことばだが、天下っておるのが一番多いのは大蔵省です。これはなぜかというと、特殊法人をつくるときに、まず予算折衝の面において大蔵省と折衝が成り立たなければならない。そういうときに大蔵省から、認めてやるかわりにおれのほうにワクをよこせ。この中小企業振興事業団におきましても、副理事長は大蔵省のワクだと聞いておりますが、こんなことはないですね。
  128. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私は聞いておりません。
  129. 田中武夫

    田中(武)委員 長官どうです。そういうことはないでしょうね。
  130. 影山衛司

    影山政府委員 そういうことはきめておりません。
  131. 田中武夫

    田中(武)委員 ないという答弁ですから、ないということで聞いておきましょう。あらためて人事が発表されたときの見ものということにいたします。  そこでもう一つは、役員の給与の問題なんです。中小企業指導センターは理事長にどの程度の給与を出しておったか知りませんが、理事長その他役員の給与は、おそらく事業団のほうが高いと思います。大体政府関係機関といえば少し言い過ぎかもわかりませんが、広義の公社、公団その他は大体ランクがあるんじゃないですか。Aクラス国鉄とか、いわゆる公社ではどういうことだとか、そういう特殊法人の中にも総裁と称するものと理事長と称するもの、この総裁と称するもののほうが理事長と称するものよりか月給が高いのかどうか。大体この中小企業振興事業団が出発したときに、役員の給与はどう考えておるか、どの程度を考えておるか。
  132. 影山衛司

    影山政府委員 先生指摘のように、特殊法人につきましては、Aクラス、Bクラス、Cクラスというような大体のランクづけがあるようでございます。総裁という名前は大体公団という名前のつくものについてつけておるようでございますが、この振興事業団事業団でございますので、理事長、副理事長という名前をつけておりますけれども、私どもといたしましては、これは中小企業振興策としても非常に重要な事業団でございますので、Aクラスでお願いしたいということを大蔵省には要求をしております。
  133. 田中武夫

    田中(武)委員 公社、公団だけでなく、たとえば中小企業信用保険公庫、いわゆる公庫というやつもたいてい総裁ですね。ここでAクラスということですから、相当な給料になろうと思います。  次に、公社、公団で問題になっておりますのは、その退職金、これも法律を見ると、それぞれの主務大臣の認可を受けて定めるとか、こういうことになっております。ところが全部一律に百分の六十五でしょう。だからたとえば三十万、四十万の給与の人は、かりに四十万とすれば四、六二十四万円というものは毎月積み立てられていく、だから四年間には一千万円だということで問題になるのです。ここの役員も結局右へならえの百分の六十五ですか。法律のたてまえはそれぞれきめて、主務大臣の認可をとるとか、それぞれの手続があるのでしょう。ところが全部百分の六十五でしょう。違うところがあったら言ってください。
  134. 影山衛司

    影山政府委員 退職金規程等もこれからきめなければいけない問題でございます。今後これを検討いたしてみたいと思うわけでございますが、公社、公団の退職金問題も問題として取り上げられておりますので、そういうところも勘案いたしまして、政府全体としてもまた統一した方針が定められるはずでございます。それに従っていきたいと思います。
  135. 田中武夫

    田中(武)委員 そういうことはたてまえです。ところが実際は百分の六十五でみんな統一されている。だから、それが高い安いは別として、中小企業振興事業団の役員だけ百分の三十五にせよとは言いません。しかし百分の六十五なんという、これはべらぼうに高い。ぼくはかつて森永氏に言ったことがあるのです。大蔵省の次官をやった、それから中小企業金融公庫の総裁をやって、輸銀の総裁になって、今度またどこかへ行った。てまえは一生に何べん退職金をもらったら気が済むか。また、ここにもおられると思いますが、役人の、いわゆる高級官僚のうちで国会議員になるのは下の下だ。まずAクラスは公社、公団の役員に、あるいは総裁、理事長に、Bクラスが関係の会社の重役に天下る。そうしてあとが国会議員になる。国会議員になるやつは下の下なんです。大臣、笑いごとじゃないのですよ。たとえばここの中小企業振興事業団理事長になれるといえば、ぼくはその日に国会議員をやめてもいいです。経済的な点を考えるならば、そのほうがよほどいいのです。そういうことでありますので、これはあなただけに言ってもいかぬけれども、これは検討する必要があると思うのですが、どうでしょう。
  136. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 公社、公団のことは、いま政府においても、これを検討することになっております。
  137. 田中武夫

    田中(武)委員 公社、公団の問題を私はこの機会に行管の長官等に来てもらって、もう少し詳細にやろうと思ったのです。そうやると、この法案の上がりがおそいですから、この問題はおあずけにして、またの機会に譲ることにして、少し具体的な問題を二、三お伺いしてやめたいと思うのです。  事業団共同事業あるいは協業化事業等に関する専門コンサルタントを配置する、こうあるのですね。どんな人を選び、そのコンサルタントの身分はどうなのか。たとえばいままでの中小企業のあれは経営指導員といっていましたね。こういう人よりかいわゆる優遇するのかしないのか。あるいは、コンサルタントですから、こういう人よりか高度な知識を持つ人が必要ではないかと思う。そうすれば優遇するのが当然ですが、どういうようにコンサルタントの身分、給与を——配置するというが、どういうようにするのかということをお伺いいたします。
  138. 影山衛司

    影山政府委員 この振興事業団におきますところのコンサルタントは、非常に高度な指導能力を持ったコンサルタントを雇用したいと思うわけでございまして、指導部という部を設けまして、首席コンサルタントあるいは主任コンサルタントというようなランクを設けまして、できるだけ有能な人を高給でかかえたいというふうに考えておるわけでございます。大体選定範囲は、県のコンサルタントあるいは登録診断員の中の有能な人あるいは生産性本部のコンサルタントをやっているような人、そういうような中から有能な人に来ていただく、そういうふうにしたいと思います。
  139. 田中武夫

    田中(武)委員 そしてその身分は何ですか。この事業団の職員ですか。
  140. 影山衛司

    影山政府委員 事業団の職員でございます。
  141. 田中武夫

    田中(武)委員 したがいまして、それは期末手当等は出るわけですね。ここで一年前に影山さんと約束したことが実現していないのですね。中小企業指導員、いまどこの世界へいっても給与かける十二というのが年間収入だとは通りません。だから期末手当等も考えて、かける十四なり十八にすべきじゃないか、こういうことを去年言うたのですが、これがまだ実現してないわけです。これは中小企業指導員の身分というものがまだはっきりしてないからですが、この人たちについては身分、退職金あるいはあのとき問題になった労災関係の問題等々につきましては、まだ未解決のままです。このコンサルタントのほうは事業団職員ということならば、当然退職金、これは役員が百分の六十五で、職員には出さないということはいえないから、退職金とかあるいは期末手当、もちろん基準法に基づくところのいろいろな権利、これは保障されていますね。そうすると中小企業指導員のほうはいままでも悪かったが、あまりにも差が開くことになりますが、中小企業指導員に対して今後どう考えられますか。
  142. 影山衛司

    影山政府委員 この事業団のコンサルタントにつきましては、身分、給与等につきましても特別な配慮をはかっていきたいと考えております。それから商工会、商工会議所等の経営指導員につきましては、先生から問題を提起されました線に沿いましていろいろと折衝いたしましたけれども、どうもいろいろなバランスの点もございまして、十分な成果を予算ではあげることができなかったわけでございます。今後ともそういう期末手当の配慮あるいは社会保障関係の特に労災関係の負担金についての配慮というようなことも十分に配慮していきたいと考えるわけでございます。
  143. 田中武夫

    田中(武)委員 質問の重点は、今度できるコンサルタントの身分は——むしろこちらの置き忘れられたほうについて考えるべきだ、こう言っている。  それから、こんないやなことは聞かなくてもいいのだが、高度化事業について全国の事例を総合的に分析研究し、成功例等を広く普及する、こういうことなんですね。いままでやっていなかったのですか。
  144. 影山衛司

    影山政府委員 もちろんやっていなかったわけでございませんで、中小企業白書につきましても、施策効果というものを明らかにして書いております。それをさらに突っ込みまして、協業関係あるいは団地関係の経営管理あたりにつきましても、どういうふうに管理をうまくやっていったからこういうふうにうまくいったのだということをもう少し突っ込んで勉強し経営をしたいと思うわけであります。
  145. 田中武夫

    田中(武)委員 融資事業でも、工場団地とか商業団地、ボランタリーチェーン等々はできておりますね。工場アパートといいますか、こういうのは利子を取らない。すなわち取るのと取らないのとがあるわけです。これがいままでは無利子だったものに利子がつくということでマイナス面じゃないか。中小企業振興事業団ができて中小企業政策はプラスばかりだ、これからは大手を振って大いばりでやるんだ、こういうことであっても、マイナス面、デメリットな点もあるのだということ、そういう点で一つお伺いするのですが、なぜ利子を取るもの、取らないもの——これをちょっと見ると、取らないほうがより小さなというかより零細な企業だ、こういうところで分けたんだろうと思いますが、そういう点についてひとつお考えを伺います。
  146. 影山衛司

    影山政府委員 事業団の対象事業につきまして無利子の制度があるわけでございます。これは共同工場の貸与制度を頭に置いておるわけでございます。この共同工場を建設貸与する場合は小規模事業者を対象として施策を講ずるわけでございます。そういう点から、小規模事業対策という見地から特に無利子にいたした次第でございます。
  147. 田中武夫

    田中(武)委員 すべてが無利子が望ましいが、先ほど来言っております特殊法人をつくる、これは私が言ったように権利のあるいは義務の主体となる必要がある。ところが一方において、それの経営といいますか、運営のための金が要るから、無利子でやっておったならば立っていかないから利子を取る、こういうことだと思うのです。それが、この全体を見たときの行政権との間はどうだとかこうだとかいうことは別にしましても、中小企業政策の面から見ると、その点がマイナスになる。したがって、施策はすべて私は前向きでなくちゃいかぬ、こういうことであろうと思うのですが、マイナス面については、これは事業団の運営費をまかなう一つのもとになると思うのですがね、これはできるだけ取らないような方向で今後考えていくべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  148. 影山衛司

    影山政府委員 先生指摘のように、事業団という一つの法人格ができましていろいろと運営をいたします場合に、コストが必要でございます。そういう点でそのコストをまかなう最低限のものを取るというのが金利を取る一つの理由でございます。それから実質の負担金利は、従来よりも有利になるように考えておりますので、必ずしも金利を取ったからこれは直ちにマイナスであるということにはならないと私ども考えておりますけれども、先生指摘のようにコストの負担をできるだけ軽減いたしまして、中小企業者に対する金利を軽減していくということは、さらに努力をしていきたいと思うわけでございます。
  149. 田中武夫

    田中(武)委員 公害の共同処理施設をつくる、こういうことが仕事一つになっておるわけですが、これこそ私は急いでもらわなければならぬと思う。いままで地元のことをだいぶたたいたので、ここでちょっといいことを言っておかなければいかぬと思うのですが、御承知のように西脇の先染め業者、これが零細なるために処理ができないのです。それが全部加古川に流れてきて、加古川がものすごいことになっている。私は加古川の下流ですから、その水を飲まされているわけです。そこで高砂の市長がこれらの人たちを相手どって損害賠償の訴訟を起こしたというような事件もあるのです。御承知だと思います。こういうところにこそ事業団をつくった威力を出してもらいたい、こう思うのです。かつて私は西脇の先染め業者の問題で、団地をつくれ、そして共同の処理施設をつくったらどうか、こういう話もしたことがあるのですが、いかがでしょうか。これは別に陳情ではありませんがね。
  150. 影山衛司

    影山政府委員 公害の処理施設につきましても、これは現在公害防止という問題が非常に大きな問題になっております。事業団の対象といたしまして、これも先ほどの共同工場と同じに無利子であります。そういう点で、ひとつ今後とも事業団ができましたならば、そういう方向で強力に指導していきたいと思うわけでございます。
  151. 田中武夫

    田中(武)委員 ここで特定繊維工業構造改善臨時措置法案との関係を聞きたいのですが、これはもうやめます。  次に、中小企業指導担当者の養成ということなんです。これは先ほど言っている中小企業経営指導員なんかも含むんだろうと思うんですが、その中にちょっと考えねばならないのは、中小企業者またはその従業員を研修する。その従業員の研修というのは何をやるんですか。技能ですか。思想的教育をしてもらっては困るんですがね。
  152. 影山衛司

    影山政府委員 技能教育と申しますより、もうちょっと高度な技術教育でございます。
  153. 田中武夫

    田中(武)委員 技術教育、けっこうだと思うんですが、この養成とか研修とかということはいいことではあるが、一歩誤ると、大きな言い方をすると、中央政府考え方を押しつけていく、そういうようなことになりかねないし、またそれが地方から見ればけしからぬということにもなるわけです。だから、そういう点十分に注意をしてもらいたい。  それからなお、この二十条の三項でしたか、二府県以上にまたがる場合云々というのは。その政令の規定についてだめを押したいんですが、これはそうでしたね、政令で定める。あの細谷君の質問で二府県以上。だから、一体この三項で政令を出すのはどういうときとどういう場合ということを言ってください。
  154. 影山衛司

    影山政府委員 第三項で政令で範囲を定めます場合は、一つは第一項の第三号につきまして、政令で定める場合でございます。それは第一点は、二府県以上にまたがる場合でございます。それからもう一つ、これは県のほうからの要望が非常に強いわけでございますが、先ほどちょっと御説明いたしましたが、事業団と県とで七〇%まで出す、その中で一〇%しか県が負担をしないという場合があるわけでございます。そういう場合、七〇%を、自分が一〇%しか出さないのに、県を通じて出して、そのために債権管理という非常に大きな責任を持たせるのは困る、むしろその一〇%分を事業団に出して、その点では発言権を留保し、さらにもう一つは、指導面、診断指導という点で発言権を留保しておくということで実質的な発言権を留保するという点さえあれば、債権管理のめんどうな仕事は、これはやりたくありませんという都道府県のほうの強い要望があるわけでございます。そういう場合には、その直接事業の中に含め得るということを考えたわけでございます。
  155. 田中武夫

    田中(武)委員 この二十条三項に基づく政令は、大体三つ考えておられるようです。いま言われた二府県以上にまたがる場合、それから後段に言われた一〇%しか出さない云々というやつですね。もう一つは、特定繊維工業構造改善臨時措置法案が通った場合に、それに対する政令を考えておる。この点が地方行政権との間に疑問の出てくる点なんです。したがいまして、これの政令についてはこちらも意見なり問題を提起したいと思います。これはあとで中村君がやると思いますので、私はこの程度にして、これは二府県以上の場合のみということに限るべきではないかというような考え方を持っております。しかし長官が言った二つ目の点が、地方からの要望だというのと、地方はそれをやられるからというのとではちょっとニュアンスが違うんだが、そういう点はあとの質問者に譲るとともに、われわれの見解だけをはっきりさしておきたいと思います。
  156. 影山衛司

    影山政府委員 ちょっと補足的に……。第二番目の七〇%の中で、一〇%というのは、大体において繊維の構造改善の場合が該当するんではないかと思うわけでございます。
  157. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、繊維が通っても、これに基づく政令は二点ですね。三点になりませんか。
  158. 影山衛司

    影山政府委員 大きく分けて二点になると思います。
  159. 田中武夫

    田中(武)委員 その点につきましてはなお意見がありますから、あとへ譲ります。  最後に、これは中小企業指導センターの一切の権利義務を承継する、引き継ぐということですが、これは当然法律上の行為、法律外の行為、いろいろあると思います。潜在的債務をも含むと思います。この「一切」ということは文字通り一切ですね。
  160. 影山衛司

    影山政府委員 先生指摘のとおりでございまして、中小企業指導センターからの権利義務として明らかなものは五億二千万円ということになろうかと思います。
  161. 田中武夫

    田中(武)委員 いま潜在債務、その五億何千万の中には入っていないと思います。ということは、先ほど言った中小企業指導センターの職員等の退職金、勤務年数がどうなのか。今日まで何年かつとめてきたでしょう。これは潜在債務として中小企業指導センターに残るんでしょう。したがって、法律上の債権債務だけじゃなくて、事実上潜在債務に対しても受け継ぐんだということを明確にしておきたい、こういうことです。
  162. 影山衛司

    影山政府委員 先生指摘のとおりでございます。
  163. 田中武夫

    田中(武)委員 まだありますが、これ以上やるとどうも委員会全体の予定が狂いそうでございますので、この辺で私の質問は終わります。
  164. 島村一郎

    島村委員長 中村重光君。
  165. 中村重光

    ○中村(重)委員 あらかじめお断わりいたしておきますが、実はできるだけ政府に協力をするつもりでこの法律案を早く上げたいと考えておるわけです。ですけれども、質問に対する答弁があまりにもとてつもないような答弁になったりいたしますと、そうもまいらないわけです。ですから、簡潔にして、あまり一つの問題について私もいろいろとお尋ねしなくていいように明快にひとつお答えを願いたいと思います。  前の質問者と重複する点も私はあるのじゃないかと思うのですが、そういう場合は、前の質問者にお答えしたということでおっしゃっていただけば大体納得すると思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、大臣にお尋ねをしますが、御承知のとおり、各委員からも指摘されましたように、臨調答申によって、公社、公団の整理統合をやらなければならぬ、やはりあまりつくらないようにしなくちゃならないというような臨調の答申によって、政府も協力をするという姿勢を示しておられます。そういう際にこの事業団を設立しょうということについては、やはり積極的な意義がなければならぬ。どうもいままでの答弁を聞いておりますと、その積極さ、積極的意義を私は感じられない。そこで、大臣、どうでしょう、この事業団設立の積極的な趣旨と意義、それはどこにあるのか、まずお答え願いたい。
  166. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この中小企業振興事業団を設けました積極的な理由といたしましては、一つは、従来ありました高度化資金の問題と、一つ指導の問題、これが従来二つに分かれてやっておるところに効果が効率的でなかった、これを一つに合わせてやるほうが効率的であるというところに、この事業団を設けた積極的な理由があるわけであります。
  167. 中村重光

    ○中村(重)委員 高度化資金特別会計とそれからいまおっしゃる指導事業、これが別になっておった、うまくいかなかったというが、どういう弊害があったのでしょう。
  168. 影山衛司

    影山政府委員 指導事業が伴いませんというと、従来の高度化資金方式では小規模事業者に浸透し、共同化、協業化をさせるということが不十分であるということが第一。それから第二点は、アフターケアが指導の面でまだ十分でなかったということで、事業団をつくりまして、アフターケアも専心にやってもらうということを考えております。
  169. 中村重光

    ○中村(重)委員 私はそういう程度であるというと、別に事業団をつくる必要がなくて、いろいろと改善をする方法はあったというように思う。  なお高度化資金の問題については、あとでまた質問の中でお尋ねすることにいたしまして、先に進みますが、この法人の性格、独立採算制でやるのかどうか、その点どうです。
  170. 影山衛司

    影山政府委員 望むらくは独立採算制でやりたいわけでございますけれども、やはり非常にリスキーな仕事でございますので、必ずしも現在のところ独立採算制は考えておりません。
  171. 中村重光

    ○中村(重)委員 独立採算制を考えていない。そうなってくると、この事業団が大きな欠損を出した、そういった場合の責任は国が全面的に負う、そういうことに理解してよろしいですか。
  172. 影山衛司

    影山政府委員 欠損と独立採算制は別であろうかと思うわけでありまして、欠損は絶対に出さないように指導もあわせてやっていきたいと思うわけでございます。
  173. 中村重光

    ○中村(重)委員 おっしゃるとおり独立採算制と欠損と、必ずしも直接の結びつきはないのですけれども、いかにこれを効率的に運営していくかということについては、やはり関連性が出てくる。そういうことになりますと、独立採算制というものをあまりに堅持することにおいて、肝心のこの事業団が働かないということも出てくる。それで欠損というものが出てこないように指導するのだとおっしゃるのだけれども、効率的に運用しよう、この事業団の公共性ということを考えて、そうしてせっかく臨調は事業団をつくるなというのに対して、これをつくったんだから、つくったその意義というものを十分生かしていこうということになってくると、やはり欠損というようなことも出てこないということの保証はできない。だからそこらあたり、欠損が出た、これは県に金の貸し付けをやっておったということで、そのしりぬぐいは県がやりなさいというような形が出てくるというようなことになってもいけない。したがって、その責任の帰趨ははっきりしておく必要があると思う。だからあなたのおっしゃるように、欠損は出さないようにしますという答弁では納得できない。やはりそういう事態を考慮して、今日までいろいろ検討されてきたと思うのです。だからもう少しそこらは責任のある、なるほどと納得のできる答弁をしてもらいたい。
  174. 影山衛司

    影山政府委員 事業団の貸し付け対象の工場団地等が運営がうまくいかなかった場合に、それでは回収をどういうふうにするか、その事業団と都道府県との責任負担の問題でございます。これは原則といたしまして、事業団と県とが分担をしていきたいというふうに考えております。
  175. 中村重光

    ○中村(重)委員 その点は非常に問題を感じる。この事業団の運営に対して県がどこまでタッチするのか、欠損が出たという場合に、都道府県に対して、そのしりぬぐいをさせるという問題が起こってこないかどうかということですね。その点は十分検討の要があると私は思います。しかし、先に進みます。  公団、公庫と、この事業団の定義というものはどうなったのか、公団、公庫と事業団はどう違うのか。
  176. 影山衛司

    影山政府委員 大体におきまして特殊法人であるということは一致しておるわけでございますが、事業団というものは、大体におきまして、特定の政策的な事業を国にかわって行なうことを目的とする特殊法人でございまして、大体において公団のほうは財団的な性格が強うございまして、どちらかと申しますと、公団のほうが先ほどお話の出ました独立採算的な見地が強く働いております。それから事業団のほうは、どちらかと申しますと、非採算的事業が多いというふうになっておるようであります。
  177. 中村重光

    ○中村(重)委員 別に長官をテストしているわけではないのだけれども、特殊法人の正確な定義は何かという質問に対して、行管の長官すら答弁ができなかったのだが、あなたは一応の定義はお答えになった。なるほど公団、それから公庫というものは——公団というのは公共性のあるものをやって、独立採算制という形の運営である。事業団は国にかわって政策的な問題をやっていくことを主たる任務とするということが伝えられているのだけれども、それすらも正確な定義と言えるかどうかということも問題があるのですけれども、どうもそこらあたりは政府としても、公団、公庫は別なものとしても、事業団というものに対して何か明確な解釈の上に立ってやっておるというふうに思われないような点が多いですね。しかし、このことについては触れません。  次にお尋ねをいたしますが、先ほども申し上げましたように、この事業団を設立をした趣旨あるいは意義というものに対しての積極面を感じないのです。そこでいまの説明を伺った中で、機構面であるとか、あるいは資金調達面であるとか、その他の事項について、従来やってきたことと比較をいたしまして、特別に事業団をつくったことによっての利点というのか、中小企業振興というものに大きく役立ち、中小企業がこれによって非常な恩恵を受けるというようなことを感じないのですが、従来とことに違っておるという点はどういう点でございましょうか。
  178. 影山衛司

    影山政府委員 改善されますものの第一点は、先ほど大臣が申し上げましたように、啓蒙、指導、助成等が一体的、総合的に実施されて、中小規模事業者の柱としてこれを浸透させていく体制が整ったわけでございます。  第二点の助成の場合でございますが、助成の割合が従来の五〇%、実質三割五分程度から、今度六五%ないし七〇%に引き上げられるということでございます。  それから金利につきましても、中小企業者——今度は金利を取りますけれども、全体としての中小企業者の実質負担金利はむしろ有利となるというふうに考えております。  それから助成対象も積極的に、弾力的に範囲——この事業団におきましても業務方法書において弾力的に付加していけるわけであります。  償還期間につきましても、従来工場団地につきましては十年でございましたけれども、今度十五年に延ばす、あるいは共同施設につきましては七年を十二年に延ばす、共同工場については十三年を十五年に延ばすというふうに償還期間も相当程度延長されたわけでございます。  それからもう一つ、先ほど田中先生に御答弁申し上げましたように、直接の建設貸与事業が今度できるようになったということであります。
  179. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまのお答えに対しては、またあとで御質問することにいたしますが、先ほど田中委員の質問に対して、この事業団の役員の構想については、いまのところ考えていないというお答えがあった。しかし、世上伝えられるところによると、副理事長のポストを大蔵に示したとか、いろいろなことが伝えられておるわけです。そういう事実があるかどうか。まだ考えてはいないというのだけれども、えてして、こういう何というのか公団、公庫、事業団等をつくるときは、人事のことがいつも先行しているのですね、いままでの例が。ただこれをひた隠しに隠して、ただ発表だけをしていないということが通常なんです。今度の場合も、事業団をつくってから考えるというのではなくて、もう考えているのでしょう。その点どうですか。
  180. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほど田中委員にもお答えしましたとおり、副理事長を大蔵省から持ってくるという話は、私は全然聞いておりません。それから理事長の問題も、この前からたびたび申し上げておりますとおり、まだきまっておりませんし、私は、中小企業にほんとうに全身をささげてやる人をさがしておるのです。そういう人がいたら、皆さんのほうからも御推薦願いたいということを申し上げている。でありますから、まだだれにきまっておるということはありません。
  181. 中村重光

    ○中村(重)委員 当然なことでありますが、いまの大臣の答弁の中からもうかがわれるように、有能な民間人をもって役員構成をやるということが原則であるし、当然通産大臣はそういう方向で役員構成をやるのだというように理解をしてよろしゅうございますか。
  182. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 実業家をもってやる、これは役員人事ですから、役員の中にももちろん実業家の人もありましょう。しかし私の希望を言えば、中小企業で苦労した人もひとつ役員に入れたいということでございます。
  183. 中村重光

    ○中村(重)委員 中小企業で苦労した人というと、範囲は非常に広いですね。しかし要するに、公団、公庫、そういう特殊法人が、いわゆる役人の卒業生を送り込むための組織であるという非難が、臨調からも、あるいは世間からも非常に指摘され、批判されてきている。したがって有能な民間人をもって役員構成をやるというのが、私はやはり原則でなければならぬと思う。そうでございますという答弁くらいはできるのじゃございませんか。そうあいまいに、中小企業で苦労をしてきた人という何かつかみどころのない答弁ではなくて、どうですか。
  184. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私が答弁したことばの中には、いま中村委員の言われたことも含まれております。中小企業で苦労したというのは、自身が中小企業をやって苦労をした人ということを意味して  おるわけです。
  185. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまの答弁で考え方はわかりました。  そこで、役員報酬というのは、どのくらいを考えておりますか。
  186. 影山衛司

    影山政府委員 まだ決定をいたしておりません。ただ、この事業団の重要性にかんがみまして、一番いいAクラスの特殊法人並みの報酬を出したいということで折衝しております。
  187. 中村重光

    ○中村(重)委員 先ほどの私の質問に対して、いろいろと事業団の利点ということについてお答えがあった。各委員からも質問があったと思うが、事業団構想の原案というものが八〇%である、その際は、地方自治体が二〇%、それから国が六〇%であったわけですね。ところが今度は、国が四〇%になる、それから地方自治体が逆に五%原案より上がって二五%、これは地方自治体に対して非常な財政的な圧迫を加えたことになる。またこの事業団構想が明らかにされてから、中小企業者、なかんずく団地等に入る、いわゆる国の近代化、合理化の政策に対して協力してきたところの中小企業者は非常に期待をし、喜んでおった。ところが大きく後退をして六五%になった。ましてや地方自治体に対して二五%という、当初の構想よりも五%負担が大きくなったというところに、いろいろと地方自治体の財政の実態からいって、うまくいくのであろうかということで心配をし、非常な不満を持っている。どういうわけでこういうことになったのか、この点は、大蔵省からもお見えでございますから、企業庁並びに大蔵省からお答えを願いたいと思います。
  188. 影山衛司

    影山政府委員 当初八〇%の融資割合を要望しておったわけでございますが、これも財政力の限界等を勘案しまして、予算折衝の段階におきまして六五%になったわけでございます。これは棒ほど望んで針ほどかなうというわけでもございませんが、この八〇%まで持っていきたい、今後とも折衝を続けていきたいと思うわけでございます。  それから県の負担分が二五%になりましたのは、従来から中小企業高度化資金につきましては、二五%分をたてまえといたしまして都道府県のほうで負担をしてもらうということになっておりましたので、二五%にいたしたそのかわり、自治省のほうとも折衝いたしまして、地方交付税の算定基礎の中に十分に都道府県の負担分については組み込んでいただいたような次第でございます。
  189. 岩瀬義郎

    ○岩瀬説明員 先ほどの先生のお話のとおり、要求としては八〇%国並びに県の負担ということが言われておったわけでございますが、問題は、やはり国といたしましては、資金に一応の限度がございます。昨年までは二五%国が持っておりましたのを、四〇%に引き上げたわけでございます。結局国の負担増としては一五%になっているわけでございます。  それから結局、中小企業の問題といたしましては、資金量と金利の問題があるわけでございますが、従来の方式でございますと、国と県とで五〇%であったものを、六五%まで見るということは、資金量の面では、自己負担率が中小企業は三五%で済む、そして金利としては負担が変わらないということで、今度の新しい事業団としての方式でも、中小企業に対する資金の融通のしかたとしては十分効果があるのではないかというふうに考えているわけでございます。  それから県のほうは、先ほど二〇%とおっしゃいましたが、これは要求はそういうふうになっておりますが、二五%というのは、昨年までの比率をずっとそのまま採用いたしておりますので、県の負担が、そのまま今度事業団になりますから増額になったというわけではございません。
  190. 中村重光

    ○中村(重)委員 その点は、地方自治体の場合の負担は、従来二五%というところに非常な重圧を感じており、そのために消化ができないというのが実態であったのです。そういうことから、今度はせっかく事業団ができるのだから、事業団の新しいそういう組織の中においては、地方自治体の負担というものを軽減していくということでなければならない。さらに事業団をつくることによって大きくこの事業というものを発展させていく、そうすると、負担率というものは従来のとおりであったにしても、今度はそれだけ量的にこれを拡大するということになってくると、非常に大きくなってくる。したがって五%程度でもこれを引き下げる、そういうことが必要であろうという考え方というものが、私は少なくとも通産省にはあったのだろうと思う。それが二五%ということで、従来のとおりである、変わらない、地方自治体に対して負担を押しつけていくというところに問題がある。  そこで企業庁にお尋ねしますが、三十九年度、四十年度、四十一年度の不用額というものはどの程度あるのか。
  191. 影山衛司

    影山政府委員 三十九年度不用額が二十億、四十年度が三十八億七千五百万円、そのうち十億を一般会計で補正減しております。それから四十一年度は三十五億であります。うち二十六億を一般会計で補正減しております。
  192. 中村重光

    ○中村(重)委員 お聞きのとおり、ただ二十億とか、三十八億とか、三十五億という数字だけでは、予算原額が幾らであったか、これに対して支出済み額が幾ら、不用額が幾ら出てきたという数字を三つ並べなければわからない。私は四十年度だけをここへ調べてきておるのですが、歳入予算額が六十七億二千四十万七千円、これに対して支出済み歳出額が三十四億九千三百三十万円、これに対して不用額が三十八億七千五百十五万六千円。歳入予算額の六十七億に対して不用額が三十八億ですよ。いいですか、これは半分消化されていませんね。これが実態です。大蔵省、おわかりでしょう。この現実をどう見られるか。これは団地の土地の買収の問題であるとか、その他いろいろな支障が起こって、どうもうまく予算消化ができなかったというような点もあるでしょう。しかしそれはまた繰り越しという形の処理の方法が行なわれておる。結局不用額ということは、地方自治体がどうしても二五%を受け切らなかったというような点が、私はこの中において大きな比率を占めておるであろうと思う。したがって、せっかく事業団をおつくりになる、国が考えるところの国際競争力を強化していく、産業の高度化をはかっていくというような、特に資本自由化を控えた中において大きな役割りを果たす中小企業振興をはかっていこうという考え方の上に立って事業団をおつくりになる、臨調答申に逆行して事業団をつくるということについては、やはりそこに積極的な目的というものがなければならないと私は思う。その目的に沿うところの施策というものが行なわれてこなければならないと思う。そこに私は、地方自治体の負担を軽減してできるだけ国が大きく負担をしていくというような態度というものが望まれるというよりも、それでなければならない、こう思うのです。ところが先ほどのお答えの中からは、従来そうであったのだからこれはちっとも負担というものはふえていないんだ、こういう現実を全然念頭に置かないで、むしろこれに目をおおうて今度の負担割合を決定したといわざるを得ないわけです。私は、こういう点からいたしますと、せっかく事業団はつくったけれども、この事業団目的に沿うような効果的な運営というものが行なわれるのであろうかという疑問を感じているわけです。いま一度この点に対してはお答えを願いたい。重ねてお答えを願うためにこれは申し上げるのでありますが、ともかくもことしは予算はそれで通った。私がここでいかに強調いたしましても、四十二年度においてはどうすることもできません。もちろん補正の方法はありましょうけれども、やはり次年度四十三年度に期待する以外にはないのでありますが、少なくとも四十三年度におきましては、企業庁の当初原案であるところの八〇%程度の融資率を決定をする、その中に国が大きく負担をしていく、そういう方向でなければならぬと考えるのであります。この点に対しては通産大臣はどのようにお考えになり、また大蔵省はどのようにこれに対応していこうとお考えになっていらっしゃるか、お答えを願いたい。
  193. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま中村委員の言われるとおりに、もしも地方負担が多いがためにこの高度化資金の運用がうまくいかないということがはっきりいたしますれば、その点について今後大蔵省とも折衝して、地方負担を軽くするように来年度においては交渉したい、こう考えておる次第でございます。  しかし私は、この不用の金が出てきたということは、そのことよりも、昭和四十年度においては経済が不況時代であったために、せっかくいろいろ計画しておっても見合わす人が出てくるというようなことが大きな原因ではないかと考えておりまするし、もう一つは、やはりこの高度化資金というものについての指導よろしきを得たかどうかという問題、この点についても反省しなければならぬ、こう私は考えております。したがいまして、私は、ことしのように経済界が上昇するというようなときなれば、この高度化資金を利用したい人がたくさん出てくるのではないかというようにも考えておりますので、そこではたして地方負担が多いためにこれがうまく運用されていなかったかどうかということは、もう一度われわれのほうでも調査したいと考えております。
  194. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣は四十年度はどうだとか言うが、先ほど長官がお答えになったとおり、三十九年度二十億、四十年度三十八億、四十一年度三十五億ですよ。この数字は間違いないのですよ。少なくともあなたのほうの当初の原案というのが六〇%と二〇%、それが絶対にこの事業団をつくる上について必要であった。そういうお考えの上に立って省議をまとめられ、大蔵省との折衝をなさった。ところが、これが六五%に後退をして、都道府県の負担が五%アップしたということは間違いない事実じゃございませんか。あなたのお答えになるようなことなら、なぜ初めからそういうように八〇%なんという、そういう構想を持って発表されたのです。なぜにそういうことで中小企業者に多くの期待を持たせたのですか。最終的にこういう結果になったにしても、いつまでも、こういうことであってはならぬ。少なくとも四十三年度においては、もっと国が大幅な負担をやっていく、そうして地方自治体に対して負担を軽減をして、総体的には融資のワクを拡大をする、比率を高めることにおいて、この事業団目的というものをさらに発展をさしていくという積極的な態度があってしかるべきではありませんか。先ほど、事務当局である長官ですら、来年はこうしたいという考え方を強調された。しかも政治家であるあなたが、いまのような消極的な考え方を明らかにされるというようなことでは、中小企業者に対して大きな失望感を与えますよ。そういうことでどうしてこの重大な中小企業振興策なんかやれますか。
  195. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私が先ほど申し上げましたとおり、もし地方負担が重いためにこれがうまくいってないのであれば、来年度において要求するということを申し上げたのであります。前向きに考えておるということを申し上げておるわけです。
  196. 中村重光

    ○中村(重)委員 次にお尋ねをいたしますが、先ほど利率などの問題のお答えもあったわけですが、利率にいたしましても、いままでは無利子であった、今度は三分五厘の利子がつくわけでありますから、この面からは私は後退であると思う。少なくとも従来よりも負担が上回るような今度のこの案というものは、私はどうしても納得いかないですね。やはり従来よりも下回っていく、そういうようなことでなければならなかったのじゃありませんか。
  197. 影山衛司

    影山政府委員 先生の御指摘の点、ごもっともな点でございますが、金利につきましては、中小企業者の実質負担金利は、むしろ五〇%の場合といたしましてもほぼ同様に持っていくようにいたしたわけでございます。  それから、五〇%の助成割合でございますが、実質は三割五分程度でございますので、それを勘案いたしますと、計算上はむしろ今度は実質負担金利は有利になるというような計算も出るわけでございますが、そこのところはいろいろと計算のしかたもございまして、問題もあるかと思いますが、いずれにいたしましても、できるだけ事業団のコスト、経費等も低めるというようなことを努力いたしまして、今後金利の負担の軽減という方向で努力をしたいと思うわけでございます。
  198. 中村重光

    ○中村(重)委員 従来よりもよくなるというのは、どういう試算をしたらそうなるのですか。
  199. 影山衛司

    影山政府委員 従来の助成割合は五〇%ということになっておりましたけれども、実質助成率は、工場団地等で申しますと三一・六%、商業団地で二〇・九%、店舗の共同化が三三・五%というようなことになっておりますので、大体実質の負担率を三五%というふうに計算いたしますというと、従来の三五%無利子助成、残りの六五%を、かりに八・二%といたしますと、借り入れの場合の全資金コストは五・三三%になるわけでございます。今度事業団方式で四〇%を三・五%、それから二五%を県が無利子、残り三五%を八・二%で借り入れるということにいたしますと、全資金コストは四・二七%となるわけでございますので、従来の五・三三%に比較しまして四・二七%と有利になるということを考えておるわけでございます。いろいろと計算の方法はございます。
  200. 中村重光

    ○中村(重)委員 いろいろ計算の方法はあると言ったって、てまえがってな計算をされては困ります。そんなばかな話がありますか。いいですか、五〇%であったのだけれども、三一%しか事実は出ていなかった、そのことも問題があると思うのです。五〇%を見ておりますということを、いままで盛んに私どもの質問に対しては答えておきながら、実際はそうではございませんでした、三一%程度しか出ていなかったのです、そういうことをいまあなたがぬけぬけと答弁をするというのはおかしいと思う。それからもう一つ、五〇%の場合におきましても、残り五〇%はどこからその金を調達をしてきたとあなたはお考えになっておりましょうか。財産を処分した人もありましょう。あるいは低利の金を借りてきた人もありましょう。いろいろな形で中小企業者は半分資金調達をしてきたのです。あなたが言うように、あなたの利率計算というようなことによって、そこから金を借りてきたとばかりは言えないのです。そうでしょう。それなら、そういうてまえがってな計算で、いままでよりも負担が軽くなるというような、そんなばかな御答弁はありませんよ。これは私の計算によってくると、今度は逆に事業団になったほうが負担額というものがふえてくることになる。決して低くはない。これははっきりした数字を私はあなたにお見せしたいけれども、時間の関係があるから、資料によっての一つ一つの質問はいたしませんけれども、いずれにしてもいままでは無利子であった、ところが、今度は三分五厘の金利をつけるんだということです。その限りにおいては後退であることは間違いはないのです。ただ一五%融資ワクをふやしたというだけのことなんですね。しかし一方においては、マイナス要因は、やはり三分五厘の利子をつけるようになったということは間違いはないのだ。ただあなたは、質問に対して無理にお答えをしようと思って、かってな計算のしかたをもって、いや、いままでよりも実は有利になった、そんなばかな答弁のしかたってありませんよ。これはマイナス要因です。
  201. 影山衛司

    影山政府委員 先生の御指摘の点もあるわけでございます。今後ともこの金利の引き下げにつきましては努力をしていきたいと思うわけでございます。
  202. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、細谷委員から過日の委員会において指摘をされたこと、さらにまた田中委員からもきょう御質問があったわけですが、この二十条の三号の問題ですね。これは他府県にまたがる場合は事業団がやるということであったわけです。ところが二十一条に「業務の委託」というのがありますね。これを見ると、事業団が直接行なおうとするところのいわゆる他府県にまたがる事業、これは都道府県が単県ではやることができないし適当ではないと考える場合に、事業団が二十条の三号によってやるのだというお答えであったのだけれども、二十一条の委託を見ると、イは金融機関にこれを委託する、ロの場合におきましては地方自治体にこれを委託するということになっておりますね。この点はどうもはっきりしないのですね。これをひとつ明らかにしてもらいたい。
  203. 影山衛司

    影山政府委員 二十一条の業務の委託でございますが、第一項のほうの融資事業につきましては、業務の一部を委託するということになっておりまして、先ほど御説明申し上げましたように、事業団が金の流れを行ないます場合に、たとえば商工中金に融資の実際の債権管理と申しますか、そういうようなものを委託するということでございます。一部を委託するということになるわけでございます。
  204. 中村重光

    ○中村(重)委員 一部であろうとも全部であろうとも、二十条の三号によって、地方自治体いわゆる単県がやるということは適当ではない、したがって、これはいわゆる二県以上にまたがるのだから、そこは事業団がやらなければならぬのだ、そういうお答えであったわけですね。ところが、二十一条の委託の場合は、これを金融機関に一部を委託したり、またロの場合は、地方自治体に一部を委託するということになっておる。これが私はわからないと言うのです。二十条において、単県でやれないのだから事業団がやるのだと言っておきながら、二十一条において、これを地方自治体に委託をするということはどういうことなのかというのです。
  205. 影山衛司

    影山政府委員 第二項のほうで地方自治体に委託します場合には、実際の土木事業でございます。実際の土木事業をやります場合に、事業団が直接やれないから、市町村あるいは地方の開発公社等に委託をするということでございます。  それから第一項のほうは、二府県以上にまたがります場合に、融資の事業を行ないます場合に、事業団に金を出す、あるいは一〇%しか単県が負担をいたしません場合に、この一〇%を事業団に持ち込みまして、金の流れは、事業団から商工中金なら商工中金を通じて金を流す、債権管理はそこに委託するということを書いてあるわけでございます。
  206. 中村重光

    ○中村(重)委員 金融機関にその一部を委託するという問題は、これは議論になってないんだ。私はそれはそれでよろしいと思う。ところが、いまのお答えでも、なおどうもはっきりしないのです。これは何であったにしても、二十条の三号においては、地方自治体がやるということが適当ではないから、やれないのだから、したがって事業団がやるのです、といってあなたはお答えになったのだ。その二十条においてやれないといっておきながら、二十一条において地方自治体にその一部を委任するのはおかしいじゃないか、矛盾していると言うのです。
  207. 影山衛司

    影山政府委員 第二十条の第三号におきましては、都道府県から必要な資金の一部の貸し付けを受けるということになっておりまして、都道府県が行なうのには適当でない、しかしながら、これを一番末端にありますところの開発公社あるいは市町村等に委託をするという場合が起こる、これは現実の土木事業でございます。そういう場合を書いてあるわけでございます。
  208. 中村重光

    ○中村(重)委員 二十条の整地であるとか、あるいは譲渡であるとか、そういういろいろな事業をやるわけでしょう。そういうような事業を二十条のイ、ロでやる。ところが二十条の三号においては、都道府県が、いわゆる単県の場合はやれるのだけれども、両県にまたがるといったような場合はやれない、こういうのでしょう。ところがその事業というものを、今度は二十一条において都道府県に委託をするとはっきり書いてある。この条文には書いてあるでしょう。だからその点が、政令でやるのですとかなんとかいってみても、はっきり二十条でこういうことを答えておきながら、二十一条において委託をするということは、これはおかしいというふうにだれでも考えるのじゃありませんか。
  209. 影山衛司

    影山政府委員 この三号のほうは、お答えいたしましたのは、単県がやるのは適当ではないという場合は、単県で資金負担をするのが適当でない、だからこの資金負担を単県でできない、従来の高度化資金でもできないわけでございますので、都道府県から資金の融通を受ける。しかしながら、土木事業は実際上都道府県がまた直接にやるわけにもいかないわけでございますので、開発公社、あるいは市町村長がそれを実際上やっておる場合もございますので、そういうものに委託をするということでございます。資金負担は単県ではできないから、事業団に出すけれども、実際の土木事業の直接の事業はもう一度再委託するということを言っているわけであります。
  210. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまあなたがお答えになったようなことの区別というのはないでしょう、この条文の中からは。
  211. 影山衛司

    影山政府委員 第三号には「都道府県から必要な資金の一部の貸付けを受けて、」ということが書いてございます。資金負担の点について単県でできない場合ということを前提にしておるわけであります。
  212. 中村重光

    ○中村(重)委員 ではこの問題はあとでお尋ねすることにいたします。  それから公害防止対策というのを、これは事業団が行なうという考え方が明らかにされたのですが、そのとおりですか。
  213. 影山衛司

    影山政府委員 公害防止事業につきましては八〇%まで、これは県が四〇%、それから事業団が四〇%を負担いたしまして、無利子で貸し付けをするということになるわけでございます。
  214. 中村重光

    ○中村(重)委員 公害基本法の中におきましてもいろいろ議論がなされたということはあなたも御承知のとおりであります。したがってこの公害防止対策事業というものをこの事業団が行なうことは、これが通産省の監督下にあるだけに、やはりこの基本法の中に示されたような方向で、どうもほんとうの意味の公害防止対策ということが行なわれない、いわゆる企業ベースという形においてその事業というものは行なわれるのではないかという不安を持っておる向きもある。そういう点は各省との十分な話し合いの中で行なわれたのかどうか。
  215. 影山衛司

    影山政府委員 その点につきましては、厚生省その他とも十分打ち合わせをいたしております。その実施の担保といたしまして、公害防止事業団が二〇%を負担するという、そういう協調融資を必ず行なうというようなことで、その方策の統一性と申しますか、そういうものを確保したい、そういうことでございます。
  216. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから第二十条の二項の一号ですか、中小企業者が他の中小企業者とともに出資して設立する会社というのがあるわけですね。これはどういう会社を構想しておるのですか。
  217. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業の高度化につきましては、合併、共同出資によりまして、中小企業者がその適正生産規模を高めていくという場合があるわけでありまして、そういうものを考えております。
  218. 中村重光

    ○中村(重)委員 中小企業というのは御承知のとおり定義があるわけですね。今度あなたは中小企業の定義というものを拡大をして、資本金の額等も一億円程度に広めていくということを考えておるというふうに伝えられておるわけです。ですから、いわゆるその定義一ぱいの中小企業者が話し合いをやって別の会社をつくっていくということになってまいりますと、その点からいわゆる中小企業の範疇からはずれてくるという形になる。持ち株会社ということが議論をされたということはあなたも御承知のとおり。このケースはちょうど持ち株会社の逆になるのですね。だから中小企業というものはおのずから定義があるのだから、その定義の中小企業というものが、中小企業の範疇に入るために別の会社をつくって、そして事業をやっていこうということになってくると、定義の上からは私は問題が出てくるような感じがいたします。その点はどのようにお考えになりますか。
  219. 影山衛司

    影山政府委員 そういう点もございますので、この第二項におきまして、中小企業者が合併しました場合に中小企業者の定義に合致しなくなった場合にも、これは年限を限りまして、中小企業者としての扱いを暫定的に認めていこうということを考えておるわけでございます。
  220. 中村重光

    ○中村(重)委員 これは設立をした三年以内まではよろしいわけでしょう。そう書いてありますね。だから、いまのあなたのお答えでは、私が問題視していることに対する答えにはならないですね。そう思いませんか。
  221. 影山衛司

    影山政府委員 三年以上経過いたしますと、これが中小企業者同士が合併してやったのかどうかという因果関係も不明確になりますので、一応三年で限っておるわけでございます。この中小企業者が合併をしあるいは共同出資をしまして高次の段階に達したものにつきまして、いわゆる中小企業の卒業生といいますか、そういうものは、今後やはり基本的にも検討していかなければいけないと考えておるわけでございます。
  222. 中村重光

    ○中村(重)委員 どうもいまのあなたのお答えではっきりしないのだけれども、「他の中小事業者とともに資本の額若しくは出資の総額の三分の二以上の額の出資をして設立する会社(合併後存続する会社を含む)であって、その合併若しくは設立をした日から三年を経過しないもの」こう書いてあるのですね。どうも、法律の条文というのはどの法律も非常に難解なんです、わかりにくいのですよ。わかりにくいのですけれども、これはどう考えてみても、中小企業者というものが、二つの会社がある、それが話し合いをやって別の会社をつくるということは、やはり問題があるわけです。それで、年限をここで限ったのだというようなことでは答弁にはならないですね。それはやはり明確にしておかなければ、中小企業の定義の問題とも関連が出てくると思うのですよ。
  223. 影山衛司

    影山政府委員 これによりまして中小企業の定義を変更するという問題ではございませんで、中小企業近代化促進法におきましても、税制上の措置につきまして、中小企業中小企業とが合併したり共同出資をして会社をつくる場合には、圧縮記帳の措置も認めておるような次第でございまして、そういう中小企業の高度化という点につきましてもこの事業団の対象にいたすわけでございます。ただいま中小企業中小企業が合併をしあるいは共同出資をして、中小企業の定義からはずれていくものは、例外的に期限を限ってこの助成の対象にしようということでございます。それだからといって、中小企業の定義にこれが根本的に影響してくるという問題ではないというふうに考えております。
  224. 中村重光

    ○中村(重)委員 だから中小企業中小企業が合併をして、そしていわゆる中小企業の範疇から資本的にも従業員の数の面からもはずれた。しかし直ちにいま中小企業者ではないのだということでこれを打ち切ってしまうということ、そこに問題がある。中堅企業の場合に確かにいま出てきておる中堅企業というのは大企業扱いをされないのだが、範疇からはずれたものだから、中小企業としての保護的な施策も講じられない、宙ぶらりんみたいなものになっている、いまの中堅企業というものは。だからその点は、やはり考えなければならぬということはそれなりにわかる。ところが、この条文の中で、私がその解釈をしておるのは、中小企業中小企業が合併をするのじゃないのだな。お互いに資本を出し合って別の会社をつくる、こう書いてあるでしょう、条文は。それがどうも何か脱法行為をやるのだというように受取られませんか。二つの会社というものがぎりぎり一ぱい——中小企業としての最高の範疇としては資本金も五千万あるいは従業員も三百名、これはその二つのしぼりがあるのですから、ある場合は中小企業は一億の資本であっても、従業員の数によっては中小企業として扱われることに定義のほうからはなっていますからね。しかしそのいずれの場合であっても、ともかく中小企業のぎりぎりの定義一ぱいの企業、そこが二つ集まって、そして別の会社をつくるということになってくる。やはりどうも中小企業として直接自分たちが合併をしたらば中小企業の範疇からはずれるから、施策を受けることができなくなるから、ここでひとつ別の会社を資本を出し合ってつくろうじゃないか、こういうことになってくると、私はやはり脱法行為的な感じがいたします。持ち株会社の場合等もいろいろと議論があるわけですが、持ち株会社の場合はそうじゃなくて、手足だけは自分たちがどんどん持っておいて、資本を持つ会社だけが合併をする。ちょうどこのケースは逆になりますね。そこにこの問題を私は感じておるわけです。だから、いまのあなたの答弁の中からも、どうしても私の疑問というのは解けない。それから先ほどの二十一条の問題もどうもはっきり理解ができないのですが、とりあえずいまの点についてもう一度お考え方をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  225. 影山衛司

    影山政府委員 先生御心配のように、脱法的な場合もあるいは考えられないわけでもないと思いますが、しかしながら今度事業団の対象としてこれを取り上げる場合には、そういう脱法的な問題が起こらないようにひとつ注意して、助成対象の選定の基準というものではっきりさせていきたいと考えております。
  226. 中村重光

    ○中村(重)委員 脱法行為が起こらないようにいたしましょう、こう言うけれども、政令で法律を曲げることはできませんよ。法律で、中小企業者二つ集まって資本を出し合って別の会社をつくるのだということをここではっきり条文に掲げてしまった以上は、これをどうすることができますか。だからこれはどんなにでも解釈できるような条文であればいいのだけれども、これははっきり書いてあるのです。そこに問題があるように思うのです。
  227. 影山衛司

    影山政府委員 第二項に「特に必要がある場合には、通商産業省令で定めるところにより、」というふうに書いてございます。特に必要があるかどうか、あるいは通商産業省令で合同、合併の場合の基準を定めます場合に、そういう脱法的な行為は、これを排除するという方針でいきたいと思います。
  228. 中村重光

    ○中村(重)委員 どうも役所がつくる法律というのは政令事項が多過ぎる。生かすも殺すも全部政令でやる。そのことは、田中委員からいつも指摘されるように、立法機関なんというものはどうでもよろしい、とにかく行政機関が自由自在にどんなふうにでもできるというような法律の組み立て方はいかぬです。そんな本文で書いておったことを、政令で自由自在に扱っていくということができますか。そういうような不見識な法律を出すということは、立法機関に対する軽視ですよ。
  229. 影山衛司

    影山政府委員 先生指摘の点も非常によくわかるわけでございますが、先ほど先生が御質問になりましたときに私ども直ちに答弁ができなかったように、いろいろな場合があるわけでございますので、ひとつ弾力的な運用、あるいは今後どんな予測し得ない事態が起こってくるかもわからない場合がありますので、そういう点も考慮いたしまして、不本意ながら通商産業省令で基準を定めることにしたわけでございますので、どうぞ御了承を願いたいと思います。
  230. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは、私の質問はこれで終わります。運用の面において、委員会等において質疑されたことについては、いささかも問題が起こらないように通産大臣は対処していかなければならぬと思います。通産大臣の明確なお答えをいただきたいと思います。
  231. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 およそ法律というものは、大体こういうことが起こり得るだろうということで予定して法律をつくっておるのでありますが、実際になってくるといろいろ問題が起こります。でありますから、そういう場合には、あるいは政令でそれを規定するとか、あるいはまた法律を改正するとかというようなことが起こってくると思います。私は予測すべからざるいろいろな事件が起こると思いますから、いま中村委員のいろいろ御心配になっておられることは、私もそういうことが起こり得るということも考えられるので、そういう場合はそういう場合でひとつまた善処したい、こう存じております。
  232. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  本案の質疑は、これを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、本案の質疑は終局いたしました。  暫時休憩いたします。    午後二時十六分休憩      ————◇—————    午後二時十九分開議
  234. 島村一郎

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出中小企業振興事業団法案を議題として、審査を進めます。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。  中小企業振興事業団法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  235. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  236. 島村一郎

    島村委員長 この際、小川平二君外三名から、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案にかかる本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提案者から趣旨の説明を聴取することにいたします。中村重光君。
  237. 中村重光

    ○中村(重)委員 ただいま議決されました中小企業振興事業団法案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表して提案の趣旨を御説明申し上げます。  まず案文を朗読いたします。     中小企業振興事業団法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、特に次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。  一、事業団への政府出資の増額、財政投融資資金の大幅導入等により、中小企業者に対する貸付比率の引上げ及び貸付金利の引下げ等を図るよう、今後積極的に努力すること。  二、事業団の貸付が当初計画を達成するよう、事業団資金の効率的運用につき特に指導監督するとともに、都道府県の財政負担の軽減に努めること。  三、中小企業者が集団化計画に参加する際の旧債の処理、跡地の処分等につき必要な助成を行なうよう配慮すること。  四、事業団の役員には有能な民間人を起用するよう努めること。 以上でございます。  決議案の第一は、今後事業団への政府出資の増額及び低利の財政資金の導入等により、中小企業者に対する貸し付け比率がたとえば当初構想にあった八〇%程度までできる限りすみやかに引き上げられるよう、また貸し付け金利は極力引き下げられるよう政府の努力を要請するものであります。  第二点は、従来中小企業高度化資金特別会計が年々多額の使い残しを出していた事実にかんがみまして、事業団設立後はかかることのないようにという趣旨であります。  第三点は、中小企業者が団地に入ろうとしても、自己の旧債により、またあと地処分の困難により、できない場合があったのでありますが、これに対して政府が特段の助成をすべき旨を要請したものであります。  第四点は当然のことでありまして、特に説明の必要もないと存じます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  238. 島村一郎

    島村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  239. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。菅野通商産業大臣
  240. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいまの附帯決議の御趣旨を十分尊重して本法の運用をはかるよう努力いたします。     —————————————
  241. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  242. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕
  243. 島村一郎

    島村委員長 次会は、明二十八日水曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十四分散会