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1967-06-14 第55回国会 衆議院 商工委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月十四日(水曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 河本 敏夫君    理事 中川 俊思君 理事 田中 武夫君    理事 中村 重光君 理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    岡本  茂君       神田  博君    小山 省二君       齋藤 憲三君    坂本三十次君       白浜 仁吉君    橋口  隆君       古屋  亨君    三原 朝雄君       箕輪  登君    石野 久男君       岡田 利春君    佐野  進君       多賀谷真稔君    中谷 鉄也君       平岡忠次郎君    古川 喜一君       塚本 三郎君    吉田 泰造君       近江巳記夫君    岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         中小企業庁長官 影山 衛司君  委員外出席者         大蔵省銀行局中         小金融課長   塚本石五郎君         中小企業信用保         険公庫総裁   長村 貞一君         中小企業信用保         険公庫理事   菅 博太郎君     ————————————— 六月十四日  委員田中六助君及び武藤嘉文辞任につき、そ  の補欠として箕輪登君及び古屋亨君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員古屋亨君及び箕輪登辞任につき、その補  欠として武藤嘉文君及び田中六助君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七号)     —————————————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。吉田泰造君。
  3. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 私は、昨日中村委員から信用保証制度について細部にわたる質問がございましたので、きょうは重複をできるだけ避けさしていただきまして、なお残されております問題について数点質問をいたしたいと思います。  私は、この信用保証制度は、今後ますます中小企業金融を拡大推進するためにその果たす役割りは非常に大きなものがあると思います。ところが、私の受けます気持ちは、また一般中小企業者のこの信用保証制度に対する気持ちは、他の中小企業施策と違いまして、何か非常に消極的な、ことばはたいへん適当でないかもしれませんけれども、何かうしろめたいような気持ちというか、そういう雰囲気一般の利用なさる中小企業者に与えておるのではないかと思うのでございます。したがって、中小企業者保証協会の門をくぐることに何か非常に消極的になっていはしまいか。たとえば特別小口保険が設けられたその際にも、私速記録を見てみましたところが、この商工委員会では天涯孤児というようなことばが議論で一つ話題になったようでございます。それで私は、中小企業者に何かしらん非常に消極的な気分を与える、現在のあり方でなぜこういうような雰囲気ができるのか、中小企業者あるいは小規模事業者こそが日本経済の底辺をささえるほんとうに基盤である、その存在意義を積極的に評価することによって、小規模事業者の不利な条件を当然の国の施策としてなくしていくという姿勢とPRが必要ではないかと思うのでございます。  そこで政府に伺いますが、この表現は前に申し上げますように非常に適当でないかもしれませんが、何か暗い消極的な雰囲気の印象をなくするために、またこのなくすることこそが信用保証制度発展のための不可欠の条件であると思いますが、政府並びに保証協会はいかなる努力をもってまずこういう雰囲気をなくそうとなさるか、そのことについて冒頭お尋ね申し上げたいと思います。
  4. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいま吉田委員の言わんとするところは大体想像ができるのでありまして、やはり借り手というものは弱みを持っておる、これは昔からの日本の伝統といってもいいくらいのもので、吉田さん自身はそういう体験があるかないかわかりませんが、われわれ質屋に行く場合やはりこそこそ出入りしておった体験を持っておるのでありますが、そのムードがやはり一般借り手にあると思います。普通の銀行に借りに行く場合でも、そういう堂々たる事業でありますけれども銀行に対して事業者が弱いという考え方がある。これは私から言うと、金融機関主導権を持っておるときには産業というものは発展しないという考え方で、むしろ産業人金融機関をリードするような世の中にならなければならぬということをかねがね私は言っておるのでありまして、いまの信用保証協会へ出入りする人も、おそらく自分自身は、弱みというと語弊があるが、やはり消極的な態度を持つ気分におのずからなっておるのじゃないかと思いますが、しかし本人が健全な経営をしておるのであれば、これは堂々と信用保証協会へ行って、ひとつ保証してくださいということを本人がはっきりして臨んでしかるべきじゃないか、こう思うのでありまして、また、信用保証協会も、経営が健全であれば、これを尊重してその人に保証するということをやるべきだと思うのでありまして、いまお尋ねの件は、保証協会自体にも、また保証をしてもらうという中小企業者自身にも、双方ともにひとつ考え方を改めてもらいたいという考えを私はしております。
  5. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 信用保証制度趣旨、これは普通の民間金融機関ではどうも物的担保並びに人的担保の面から融資しかねるという中小企業者に対しまして、それでは協会がかわって、すなわち国がかわって保証してあげましょうという制度であると思います。ところがその保証協会が、今度の改正によりましても、普通保険につきましては物的担保を要求しております。これは本来の姿からいきますと、どうしてもおかしいのではないか。たとえばきのう協会の方で出席なさいましたところの河村常務理事の、基本的にすべて無担保で勝負するのが本来の姿であり、そのためできるだけ今後努力したいという発言がある座談会の記事で載っております。そこでお伺いいたしますが、政府は、本来保証制度は無担保であるべきだということに理論的に賛成なさいますのか、それともまた、理論的にこの意見は、たとえば金額が、限度額が大きいから普通保険の場合担保を要求するのだという考え方でおられるのか、この点についてお伺いいたします。
  6. 影山衛司

    影山政府委員 理論的あるいは理想的には、やはり信用保証協会が相手としているところの中小企業者担保力信用力のない人たち信用力をつけてあげるということでございます。担保を徴求しないということが理想的であろうかと思うわけでありますが、ただ先生承知のように、信用保証協会はそれぞれ独立採算制をとっておりますので、その理想的なところまでなかなかいけないわけでございますが、中小企業の中でも小規模事業対策等を頭に置きました特別小口保険制度につきましては、担保力も、それから保証金もとらない、あるいは無担保保険制度につきましては担保をとらないというような制度もあわせてとっておるような次第であります。  それから保証協会の実際の担保徴求状況を見ますというと、件数構成比で大体一九%程度担保を徴求しております。それから金額構成比では三八%というようなことになっております。実際におきましても、やはりあまり担保を徴求していないというふうに考えられるわけでございます。
  7. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 いま長官の御答弁のように、本来の姿、金額パーセンテージ、あるいはまた申し込みのパーセンテージをお答えをいただいたのでございますが、無担保が望ましいとするならば、そのぐらいしか零小が占めてないところの担保金融政府の力で担保を要らないようにするような検討の余地があるのか、あるいはないのか、この点について再度お伺いいたします。
  8. 影山衛司

    影山政府委員 その方向で逐次実施に移しておるわけでございまして、御承知の、先ほど御答弁申し上げました無担保保険というようなものも昨年から実施をしておるわけでございます。逐次これはそういう方向努力してまいりたいと思います。
  9. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 きのうも中村委員質問の中で論ぜられておったのでありますが、保証協会格差問題につきまして、なお数点御質問をいたしたいと思います。  現在全国に五十一の保証協会がありますが、その保証率、最高の山梨、鳥取のように四厘六毛ですか、あるいは最低の群馬県の場合三厘のところもありますが、保証制度政府中小企業政策の一環であるからには、全国いかなる中小企業者も同じ条件でなければならないはずであると思います。他の施策は大体そのようになっておる。ところが、まあ独立採算制であるということでございますけれども、国の力で運営が行なわれているこの保証制度がそうなっていないというのはどういうことか。この原因が何であるか、また、この格差の欠陥をどういうところで是正しようとするのか、政府見解をお伺いしたいと思います。
  10. 影山衛司

    影山政府委員 先生の御指摘のように、保証料につきまして協会間で格差があるということは事実でございますが、これは従来からの歴史的な経緯がございます。それから信用保証協会独立採算制、あるいは従来は非常に信用保証協会自主性を尊重しなければいけないということが強調されておりました点もございまして、まちまちになっておる点があるわけでございますが、政府といたしましては、この格差を逐次是正するということの努力をいたしてきたわけでございまして、この一年間におきましても相当の実績をあげてきておるわけでございます。当初は高いところは六厘くらいなところもあったわけでございますが、それを逐次是正をしてきておる。その是正方法といたしましては、一つ保険料引き下げでございます。それから第二番目には、融資金配分、それによりまして高いところをねらい撃ちにしていきたいということでございます。現在さしあたり格差是正目標は、先生いまおっしゃいましたように、四厘六毛から三厘の問があるわけでございますが、四厘超のところが三十協会、四厘以下が二十一協会、大体四厘程度のところまで四厘超のところを引き下げていきたいという目標のもとに、私ども指導いたしておるような次第でございます。
  11. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 保証料引き下げまして、またその平準化する方法としていろいろ考えられると思うのです。たとえばその手段として使えるのは、第一に、資金の不足している地方公共団体出資金の拡大を促す。第二には、公庫融資金を拡大する、また融資利率保険料引き下げる、こういうことで方法としてはいろいろあると思うのです。  そこでお伺いいたしますが、きのうの公庫の説明では、公庫融資金算定基準実績主義であるというようなことで述べられております。私は、実績主義でいきますと地方公共団体出捐金の少ないところには融資を少なくするということでは、何か非常に懲罰的な感じを受けるのでございます。これは少なくとも間違っていはしないか。公庫融資はあくまでも協会平準化均一化のために使うべきであって、すなわち保証料の高いところには逆になるべく融資を増大してやる、出捐金の少ないところは別途の行政指導でこれを是正するのが正しいと考えますが、公庫並びに長官のこれに対する御見解をお伺いいたします。
  12. 影山衛司

    影山政府委員 原則として、融資金配分いたします場合には実績主義をとっておるわけでございまして、それによりましてむしろ府県等出捐その他の援助を誘導しようということを考えております。また計画だけをとりますというと、あと実績でまた調整をしなければいけないということになりますので、原則としては実績主義をとりたいと考えておるわけでございますが、ただ、保証料引き下げにつきましては、これは高いところをねらい撃ちにいたしまして、その保証料引き下げ計画に応じまして融資金配分をいたしていくというようなことにいたしておるような次第でございます。
  13. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 私は協会のこの平準化利率の違いをならすために、もっと政府協会努力をする余地があると思うのでございます。公庫はこれまで三百三十三億円を融資し、今年度新たに九十五億の融資を決定いたしております。その融資利率は永年固定した利率でございまして、すべての協会一律にその利子率を二・五%としております。私は保証料の高い協会に対してはこの利率を二・五%より下げることによって、この格差解消努力をすべきではなかろうかと思うのでございます。そうしなければ、いつまでたっても、いいところは安くなる、苦しいところはますます苦しくなるというようなことになりかねないと思うのでございます。この利子利率にいわゆる段階を設けるという構想は間違っておりますか。思い切って、一律二・五%というのじゃなくて、そういう行政的な措置をとられないかどうかということについてお伺いいたします。
  14. 影山衛司

    影山政府委員 先生の御示唆は一つ方法であろうかと思うわけでございますが、ただ、保証協会間に貸し付け金利格差をつけるということになりますと、その基準のきめ方、あるいは金利が高くなるところがまた不満を漏らしますし、なかなかフリクションが起きるのでございまして、考え方としては私はけっこうじゃないかと思うのでございますが、実施段階においては非常なフリクションが起こるであろうというふうに考えます。
  15. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 もちろん長官の御答弁のように、非常にむずかしい点はいろいろな点であると思うのですが、何かの強力な手段をとらないと、なかなか是正は言うべくしてできないと思うのでございます。  なお、私は大阪でございますけれども保証協会窓口に、——いろんな人が融資依頼で私らの事務所にも尋ねてまいりますけれども、これで耳にすることがよくございます。それは、協会保証してあげますから銀行へ行きなさいといって、いわゆる金融相談室を設けて親切に世話をなさっております。ところが銀行を見つけるのが先なのか、保証するのが先なのか、非常に中小企業者はそのことに迷っておる現実が非常に多うございます。保証してくれても銀行がないんだとか——あと銀行融資の問題については、もう少し質問をしてみたいと思いますが、どちらが窓口なのかということでございますね。この辺について、各銀行協会との関係、あるいは中小企業庁のいかなる指導で行なわれているか、窓口は一体どこなのか、それを利用する身になって考えた御答弁をひとつお願い申し上げたいと思います。
  16. 影山衛司

    影山政府委員 窓口につきましては、中小企業者の便宜にしたがって、銀行の場合でも保証協会の場合でもいい。ただし、保証協会にこられた場合には、これはたいてい小規模事業者の方が多いわけでございますけれども保証協会銀行に対して融資のあっせんを行なうべきであるというふうに指導をいたしておりまして、ときどきそういかない例を聞くわけでございますけれども、そういう点につきましては、今後ともひとつ保証協会あるいは銀行等につきましても要請を強くいたしていきたいと考えておるわけでございます。
  17. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 現実保証を申し込んだ場合に、私がいま御質問して長官の御答弁をいただいたのですが、現実には案外非常に多いと思うのです。きれいごとで過ぎてないところが非常に多いと思うのです。たとえば、特に特別小口保険あるいは無担保保険のような場合には、保証を受けても、何となしに銀行がめんどうがってやってくれない実例が非常に多い。私は、これを行政指導でよろしくお願いしますといった程度のことでは、よくならぬと思う。何らかの意味銀行に対して法的な措置——保証したら必ず出さなければいけないのだというようなことができないものだろうか。そうしなければ、いかに保証協会がやってみたところで、これは空文化してしまって、ほんとうに利用する人が利用できないじゃないか。せっかく保証はもらったけれども銀行をさがすのがいやになるからやめてしまうということが現実に多いということですが、どの程度それがあるというふうに長官はお考えになっておられますか。
  18. 影山衛司

    影山政府委員 この問題はなかなかむずかしい問題でございます。理論的には保証協会が一〇〇%保証するわけでございますので、リスクはないので、銀行保証協会保証してあげますというものを断わる理由はないはずなんでございますけれども、どうもそこのところが、かみ合わせがうまくいってない例もあるわけでございます。そういう場合には具体的な例を少しつかまえまして、それによって銀行等指導をしていきたいというふうに考えておりますので、ひとつそういう具体的な例がございました場合には、たとえば大阪通産局あたりにも商工相談所が設けられておりますので、そういうところへ持ち込んでいただきまして、具体的な問題として解決を進めていきたいというふうに考えております。
  19. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 いま長官が具体的な問題で示してくれとおっしゃいましたけれども、実際具体的に、保証はできたけれども銀行ができないのだというような具体例がありましたら、それはその大阪通産局に持っていけば必ず解決してくれますね。
  20. 影山衛司

    影山政府委員 具体的の問題としてそういうふうな問題は解決するように、すでに指示は出してございます。
  21. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 長官、そうおっしゃっていますが、ほんとう現実に非常に多いのですよ。ほんとうに多いのです。そのことも、おそらく長官御存じだと思うのです。ただ、これからせいぜい通産局へ、どこの銀行がどうで貸してくれませんでしたという具体的な事例を、中小企業庁長官に言われたからと言って持っていくようにいたします。そういうふうに私のほうはさっそく実行さしていただきます。間違いございませんね。もう一点、私は担保融資の問題についてちょっと気になることがあるのでお伺いいたします。これは金融の問題にも大きく関係してまいりますけれども、実際は、たとえば保証協会担保を入れて保証してもらいますね。ところが現実に、銀行融資条件、これは毎度いろんな意味で問題になると思うのですが、預金の問題、いわゆる預貸率の問題で銀行がいい顔をしない。せっかく保証料を払いながら、普通のより高くなっておるにもかかわらず、ほんとうはいろいろな取引条件の上で、義務じゃないのですが、しなければ窓口になってもらえないものだから、中小企業者弱みで、何となしに定期も買う、裏定期も積むということが現実に私はほとんど行なわれておると思うのです。私の窓口でずいぶんお世話していますが、全部とられていますね。したがって、非常に条件が悪くなっております。保証料を払った上に、そしてせっかくのいい法律があるのに、銀行窓口に行ったならば、表面じゃなくて、表向きにはできないけれども定期を要求してくる、もしそれにかぶりを振ると、実際に金が入ってこない、こういう問題について、銀行に対する行政上の指導をどういうようにされておるか。ほんとう現実にそう行なわれておると思うのです。その問題について、私らがいままで窓口で地元のお世話をした場合に、そういうところで、預金も要らなかった、いわゆる法の趣旨に沿ったところの貸し付けが行なわれたという例はほとんどございません。たいてい何らかの形で銀行のペースで主張されておりますが、これはどうでございますか。
  22. 影山衛司

    影山政府委員 この問題は大蔵省からお答え願うのが適当であろうかと思うわけでございますが、歩積み、両建ての取り締まりにつきましては、大蔵省のほうが非常に銀行指導を厳重にやっておられるわけでございます。第一段階といたしまして自粛対象拘束預金というものを指定いたしまして、その取り締まりをやりまして、これはもうほとんどなくなったと言っていいわけでございますが、それ以外に、広い意味での拘束預金というものが行なわれておるということもまた事実でございまして、第二段階としてこれを銀行局のほうでも強力に指導をしておられる。それからまた、公正取引委員会におきましても、そういう見地から取り締まりをいたしておるということで、相当政府といたしましては、その絶滅に努力をいたしておる。それから保証関係に伴いましてそういう裏の定期預金をとるとかなんとかいうこと、これはただいま銀行局のほうの方に聞きましたら、銀行検査のときあたりもそういう点に留意をして検査をし指導をいたしておるということでございます。私どものほうも大蔵省ともよく連絡をとりながら、そういう点の指導をいたしていきたいと考えております。
  23. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 いま大体大蔵省関係でよく指導なさっているということでございますが、現実は、私らの最近の例なんかでも何口かそういう例がありましたが、やはり全然行なわれておりません。具体的な例がほしいというならお出しいたします。実際行なわれておりません。したがって、保証というのですから、国が保証したのですから、せめてその国の保証のあるものくらいは、法の精神にのっとって、必ず銀行がいろいろな条件をつけないで貸し出しをすべきであろうと私は思うのです。これについて何らの罰則がないと思うのです。法的な制約がないと思うのです。これについて何らか措置をお考えになっておられますか。
  24. 影山衛司

    影山政府委員 法的な制裁は現在のところございませんが、銀行検査あるいは具体的問題を取り上げての強力な指導というようなことで逐次改善をいたしていきたいと考えております。
  25. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 そうすると、銀行検査そのもの——私は、名前を変えた定期であったり、何かいろいろな形を変えて、検査にひっかからぬような処置をとられておると思うのです。たとえば最近の例で三件ほどありましたが、二千万円の保証で、大阪府、市の場合でも、やはりみんな銀行には定期をとられていますね。少なくとも二千万円で五百万円くらいとられていますよ。それは正式に言うのじゃないのです。預金協力をしてください。拘束もしないのです。ところが使えないのです。だから担保にとるのじゃないのです。質権を設定するわけじゃないのです。ところが預金協力をしてください。それならば、これは検査に対してなぜひっかからないのですか、検査でチェックをしておると言うなら。全然ひっかからぬ。現実に行なわれているじゃないですか。定期なしにやったという例をほとんど聞かないのです。これはどうでございますか。
  26. 影山衛司

    影山政府委員 いかに検査を厳重にやりましても、外形的につかまえられないものはなかなかむずかしいわけでございますが、できるだけ検査のほうでもそういうところをつかまえるように努力をされておるようでございます。それと同時に、また大蔵省のほうにおきましても、苦情相談所商工会議所あたりにも窓口として設けられておるわけでございますが、そういうところにも持ち出していただきまして——どうもこういう問題は、やはり中小企業者人たちから、あとの問題もおそれてなかなか申し出をしてもらえない例が多いわけでございます。そこのところをひとつ、商工会議所へでも、あるいは先ほど申し上げました通産局へでも具体的な問題としてやはり持ち出していただきまして、それをつかまえて銀行指導していくということ以外にどうも方法はないのじゃないかと思います。
  27. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 いま長官は、商工会議所苦情処理やいろいろな金融相談に持ち込めということでございますが、中小企業者あとのことをおそれて持ち込むことができない。これは長官ほんとうあとのことをおそれては困りますね。現実にたとえば、それによって持ち込みますね。私ら例を知っておるから、それじゃすぐ持ち込むとします。そうすると銀行との力関係で、何となしにほかの理由をもって融資が受けられなくなると思うのです。そのことについて持ち込んだあと保証をだれがしてくれるかということですね。したがって法律的な規制をする以外には、私は力関係で解決はつかないと思うのです。苦情を持ち込む、持ち込んでみたところで、やはり銀行に対して中小企業者がけんかするのはいやだ、あとあとまたおもしろくない感情を残して融資に支障を来たすというような現実があるから、幾ら長官がそうおっしゃっても、行きたいのはやまやまだけれども行けないわけです。そういう実情がやはり中小業者の中には根強くあると思うのです。したがって、それを解決するのは法律的な規制以外にはない。当然こういうルールをきめて保証をとったものは銀行は貸さなければいけないのだ、文句を言わないように、そういう法的な規制が望ましいと思うのですが、大蔵省関係だけでなく、せめて保証をとった分くらいは、高い保証料を払っておるのですから、しかも国の保証ですから、無条件に、いわゆる預貸率、条件を言わずに貸すぐらいに、その辺から正しく実行してもらえないだろうか、これは中小企業者ほんとうの声です。これはどういうふうにお考えになりますか。
  28. 影山衛司

    影山政府委員 法的規制をやるべきかどうかという問題でございますが、たとえば下請代金支払遅延等防止法という法律もあるわけでございます。これにつきましては、取り締まりも、相当立ち入り検査等もやっておるわけでございます。やはり先生が先ほど御指摘のような問題が出てきておるようなわけでございまして、どうも私は法律で規制することだけでは片づかない問題があると考えておりますが、やはりこれは中小企業者の迷惑にならない方法で、具体的な問題を取り上げて指導する。ただ具体的の問題の取り上げ方にもいろいろとあるわけで、名前を出すわけにいきませんが、そういうふうなことで、私どもとしましてはひとつ強力な指導大蔵省と一緒にやりたいと思っております。
  29. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 現実にいまかりに一例で二千万円の保証をとれたとします。保証協会でとれておって、それを銀行に持っていって、銀行が、それじゃおまえのところ定期五百万くらいはしてくれと言ったとします。その場合にこれはいけないことなのですね。それはどうですか。
  30. 塚本石五郎

    塚本説明員 お答え申し上げます。いま長官からるる御答弁がございましたように、保証協会保証があれば、金融機関にとってはリスクがないわけでございます。したがって、見返りに定期をとるということは理屈として合わないわけでございます。歩積み、両建ての整理を大蔵省はやかましく指導してまいったわけでございますので、債権確保のために必要だというようなことが一つの理屈としていわれておるわけですが、かりにそれをそのとおりだといたしました場合に、いま先生のおっしゃるように、保証があるんだから債権確保は何ら不安がないじゃないか、したがってそのために定期預金を見返りにとることは相ならぬわけでございます。従来とも検査官には厳重に、そのような場合は絶対に相ならぬことであるということをよく徹底いたしまして、検査の際に見つけた場合、厳重に指導しまして対処をさせておるわけでございます。ただ、いま長官からお話がございましたように、事実上定期を持ってこい、こう言った場合に検査官にはわからないのでございますので、私どもが歩積み、両建ての整理といいましてどういうものを整理するかという場合に、担保としてとったものはこれはもちろんいかぬ。それから担保ではとっていないけれども担保にする手続をする寸前の、事実上通帳を預かっておいて、担保の手続はしないけれども事実上拘束力を発揮するというものを見返りと称しておりますが、それもいかぬ。さらにいま先生がおっしゃいましたように、事実上、持ってこい、それでわかりましたというので持ってくる、こういうものも実は見合いと言っておるのでございますけれども、それもいわゆる広い意味拘束に入る、拘束預金だ、それはいけない、こう言っておるわけでございます。明確な担保とか見返り、物的なそういう事実がございますので、検査の際にすぐわかりますので指摘するわけでございますが、三つ目の見合い、これは何ぼつついても、そういうことはない、向こうがいろいろ事情があって中小企業者の便宜のために持ってきたのだ、そういうような言いわけをされてしまいまして、これは何かいろいろな事情があるようでございます。中小企業者にとりましても、ぜひ預金はしておきたいというような事情もあるようでございますから、そういうふうなものは、事実上持ってこられましてやっておられますと、どうにも処理できない。そういう面で非常に困ることは現実にあろうかと思います。先生のおっしゃるようなことが確かにあるのじゃなかろうかと思いますが、ただ実際問題として、それがなかなか見つからない。もし事実がわかり次第、これは厳重に是正させる、そういうように指導をいたしておるわけでございます。
  31. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 いまの御答弁で、わかり次第厳重に処置をするということでございますが、それではたとえばわれわれが、利用者がわからしたらどうしてくれるのですか。わからないというのですから、検査できないというのですから、それなら、こういって窓口に行ったけれども五百万定期を請求された、こういう場合に、銀行は、おまえのところには貸さぬと言いませんか。必ず貸してくれますか。
  32. 塚本石五郎

    塚本説明員 そのような銀行中小企業者の間の、いまの歩積みあるいは両建てをめぐる紛争につきましては、各財務局所在地に苦情相談所を設けておりまして、また各地の商工会議所にも苦情相談所の出張所を設けまして、いつでも応接に当たる、そういう体制を整備しておるわけでございます。実際問題として、先生のおっしゃるように、なかなか窓口にあらわれるケースが少ないのでございます。それは確かに御指摘のように、申し出ると、あとで報復されるのじゃないか、銀行から断わられるのじゃないか、そういう心配があるのじゃないかと思いますが、そういうようなことで、実際問題としては利用するケースがわりあい少ないので、実は弱っているわけでございます。それで私どもとしましては、もしそういうことでかりに銀行が報復をした、そういう事実がわかりますれば、これはまたその当該銀行に対しまして厳重な注意を促し、必要な措置をとっておるわけでございます。ただ報復であるか報復でないか、その辺は銀行中小企業者との商売の問題でございますので、その辺の判定はなかなかむずかしいのでございます。銀行としましては、これが資金繰りもございましょうし、その他の関係で、必ず融資をしなければならぬということに追い込まれるということは、銀行の性格としてはいかがかと思いますので、融資するしないはやはりそのときの状況ですから、相手方の信用度とか企業の将来性とか、そういうものを見きわめて融資するしないを決定するわけでございますので、その辺のところ、いや報復でないとか報復であるとか、なかなかその判定がむずかしいような実情でございます。
  33. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 具体的にはほんとうにむずかしい問題だと思うのでございますが、ほんとう中小企業者の実態はそういうようなのがほとんどだということですね。ところが、いまお話しのように、ほとんどが大蔵省検査上はあらわれてこないのだ。しかも中小企業者は、たとえば定期を要求されたからといって断われないのですね。それと同時に見返り預金というような形ですが、半年間くらいは預金を置いてくれという例が非常に多いようでございます。ということは、保証料を払いながら半年間くらい見返りとして拘束される。担保を入れたと同じことなんですね。それをしなければ貸してくれない。現実にそれがほとんどで、私は、たとえば保証をとったものが、保証協会保証がおりてそのまままるまるすかっと融資ができたという例をほとんど聞かないのです。これはどうでございますか、間違っておりますか。ほとんど聞かないのですよ、ほとんどないのですね。たとえば二千万の保証をとって、二千万そのまま貸してくれたという例をあまり聞かない。
  34. 塚本石五郎

    塚本説明員 先生の御指摘のようなことがあるいはかなりの範囲において行なわれているのじゃないかと思いますが、それははなはだ残念な遺憾なことでございます。そういう事実上の強制力を銀行が発揮して無理やりに預金をさせる、そういうことのないように、今後も厳重に指導してまいりたいと思いますが、なおこの法律の施行の暁は、そういう問題につきましても通牒を発しまして、厳重に警告をしてまいりたいと思っております。
  35. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 厳重な処置はけっこうなんですが、望ましいのは、保証協会窓口くらいに説明書きでもちゃんと置いてくれて、銀行保証したものは全部貸してくれますよ、たとえば預金を要求されたり、そんなことをしたら保証協会に言うてきなさいとちゃんと書いてあげたら、なくなると思うんですよ。ところが現実は、いまおっしゃるように、ほとんどが、おそらく十人申し込んでほとんどの人が全部定期をとられていますね。何らかの意味で見返りをとられております。したがって、私が冒頭で、うしろめたいような気分があると、非常にことばが適切でないけれども質問を申し上げたのは、現実にいわゆる銀行預金の利息の上に保証料をとられて、なおかつ非常な率で、二割五分か二割か知りませんが、銀行によって差はありますけれども、何となしに法に隠れたいわゆる見返り預金——おたくのおっしゃるように正式ではございません。したがって法に隠れた拘束預金をとられながら、困るから何となしに、保証協会の門をくぐる者は、信用度が低くて、そういう高いものでも黙って借りるような、そういう印象を与えておると思います。したがって、そういう意味で、国が保証するのだから、銀行の貸し出しを、危険負担がないのだから利率を安くしなさい、安くすべきなんです。保証があるのだから安くすべきだ。そういうことと同時に、預金とかそういうことはいかぬのだから、いわんや国が保証したものについてはそんなことはすべきではない。そういうことからまず両建てなり見返り預金なりを禁止するような、そういうPRをしなければ、何ぼ言ったってそれはなくならぬと思うのですが、それについて長官ひとつ、検討しますとかそういうことでなくて、具体的に——中小企業者はその意味では泣いておると思うのです。現実にそれは皆さん方のところには耳に入ってこないだけだと思う。おそらく大多数の人に聞いてみても、十人申し込んだ人を十人並べて、銀行ほんとうの状況をありのままに述べてくれといったら、ほとんどの人が、保証協会の、いわゆる法律の立法趣旨以外の過酷な条件をのんでおると思います。その実態を御存じかどうか、率直に御答弁を賜わりたいと思います。
  36. 影山衛司

    影山政府委員 先生御指摘のような事例も私ども間々聞くわけであります。今後の指導方針でございますけれども、先ほど銀行局のほうからお答えしましたように、まずこの法律施行に際しまして通牒を発しまして、先生御指摘のような事態が起こらないように指導する、通牒を出すと同時に、保証協会窓口になるような場合には、保証協会が積極的に親切に銀行とももう少し突っ込んで融資のあっせんをしてあげるという方向で、保証協会を強力に指導したいというふうに考えております。
  37. 中川俊思

    ○中川(俊)委員 ちょっと関連……。いまの問題長官、これは幾ら水かけ論をやってもだめなんだ。これは実際問題として親の心子知らずで、せっかく通産省が信用保証の機関を設けてやっても、銀行はだめなんです。銀行は商売なんですから、一面から考えれば無理もない。そこで、前にも公正取引委員会から注意したことがあったでしょう。そんなことをしてもだめなんだ。幾ら公正取引委員会がそんなことをやってもきめ手がない。歩積み、両建てはいけないといったって、みんなやっておりますよ。いまの御質問のように、何ぼか借りれば必ずそのうちから一割なり二割なり定期にさせる。中小企業者は弱い立場にある、金を借りなければならない立場にあるから、ノーということは言えない。大臣なんかはよく知っておると思う、知らぬ顔をして聞いておるけれどもよく知っておる。だからそういうことは幾ら水かけ論をやってもだめなんです、時間がたつだけで。何か強力な手を打つか——銀行も民間企業だから、手を打つといっても、そんなことをされるとおれのほうは商売にならない、金を出せないといわれたら困るから、そこをどう持っていくかということが非常にむずかしい問題だと思うのです。苦情相談所なんかがあったって、そんなものは銀行はへとも思いません。中小企業者が行ったりなんかしておれば、そこから文句が行けば、いま吉田君のお話のように、そういう中小企業に今度金を貸さなくなる。だから中小企業者は困ってそんなところに行きませんよ。かりに行ったとしても、わしの名前は伏せておいてくださいよ、言ってもらっては困る。だから、通産省で考えておるような、せっかくこういういい機関をつくっていただいても、親の心子知らず、銀行は商売だからとにかく法律すれすれのところまでは必ずやります。これは多少商売でもして銀行から金を借りた人は、そんなことはみんなよくわかっておるのだ、いまの御質問のような御趣旨のことはみんなわかっておる。みんなを代表していま吉田君が言ってくれたのですが、通産省はせっかく信用保証機関なんか設けておるのだから、これを生かす手を考えてもらわなければならない。それを考えてほしい。
  38. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 いま関連して御質問をいただいたのですが、結論的に私がこの問題について最後に一点だけお伺いしておきたいのは、いまの長官趣旨はそのとおりだと思うのです。長官も御答弁のように、何とか通牒を出してという話でございますが、大蔵省との関係は非常にむずかしいと私は思っております。銀行の問題は。ただ、むずかしゅうございますが、せめて保証協会保証した分についてくらいの手近なところからしなければ永久にできないのです。この保証した分については少なくともそういうことはないようにしてくれというような行政指導を即時にやってもらいたい。そうしなければ幾らつくってみても空文化して意味ないじゃないか。これは大臣ひとつ御答弁のほどよろしく頼みます。
  39. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいま吉田委員、中川委員からお話しのとおり、そういうことが行なわれておることは事実だと思います。せっかく中小企業のこういう保証制度を設けて何とかして金融の便をはかりたいと考えておっても、いまお話のとおり、一方で定期預金をさせられたりしたのでは、予定の融資を得られないということで、中小企業者は困っておることも事実だと思います。  そこでこれは、問題は大蔵省の所管ですけれども、せっかくこういうような保証制度を設けておりまして、これは国が保証するのですから、したがいまして、この法案を実施する場合に、大蔵省とよく相談しまして、そして通産省と大蔵省との連署で銀行あるいは信用金庫のほうへも特に今後については注意してやってくれというような通達でも出してもらうということで、少し強く乗り出してみたい、こう考えております。
  40. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 それではそういうふうに特に適切な御指導をお願いをいたしまして、私は次の質問に移らしていただきます。  倒産関連保証について一、二点お伺いいたしたいと思いますが、昨年からことしにかけまして景気は非常に好転したといわれております。にもかかわらず、中小企業の倒産は依然として高水準を続けております。一昨年の倒産件数が六千百四十一件ですが、昨年なおこれを上回りまして六千百八十七件の多きにのぼっております。景気回復したというにかかわらず倒産が激増しておるというのは、長官一体どういうふうにお考えでございますか。
  41. 影山衛司

    影山政府委員 倒産が依然として高水準であるということの理由でございますが、現在の景気の上昇というものは、出荷とか生産あるいは注文が増加しておりますいわゆる数量景気でございます。ところが、中小企業のふところぐあいは必ずしもよくなっていないわけでございますが、これは賃金上昇あるいは金利の上昇あるいは原材料費の問題というようなことでコスト瀞相当高くなっており、経理状態が趨勢的に悪くなってきております。そういう状態、これを構造変化と申してもいいわけでございますが、そういうところに適応のできない人たちがやはり脱落をしていっておるというふうにも考えられるわけでございます。
  42. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 このように中小企業者の倒産の増大と並行しまして、倒産寸前で非常に苦しんでおる企業というものは数が非常に多いと思うのです。最近の現状に対しまして、これは少し古くなりますが、菅野通産大臣の、去年の末に、高利で金を借りてつぶれるのはあたりまえだという発言炉載っておる新聞記事を私持ってきたのですが、こういう考え方、実際高利で借りたら当然つぶれるであろう、しかしいわゆる高利で借りなければならぬ中小企業者、目に見えない倒産寸前の会社、こういうものが非常に多いのですが、この苦しい会社が高利で金を借りて倒れるのはしようがないかというこの認識、これは大臣現在でもそういうような御認識でございましょうか。一言だけひとつ……。
  43. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 それは新聞記事の誤りで、高利で借りて倒れる人が多いということは気の毒だ、なぜその前に相談にこないかということを言うておった、それが誤り伝えられておるわけであります。実際高利で倒れる人があることは私も知っております。私の身辺にもそういうこと歩あるのを知ったのですが、高利で借りる前に相談してもらえば何とか道があるのにということを私常に言っておるのであって、そういう場合には、通産局の相談所あたりに来て、何とかしてくれぬかと言うて相談してもらったら非常にけっこうだ、こういうことを言うたのです。
  44. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 いま大臣の御答弁でそういうことはよく理解できるのでございますが、せっかく事前に相談してくれという一つの例が関連倒産保証で、こういう制度がその一環として、事前の措置としてできておると思うのです。ところが、実際それができていながら、未然に悲劇を予防して倒産から防ごうというためにこのいわゆる関連保証が設けられたにもかかわりませず、実際は一昨年の十二月からことしの五月までの実績について、全保証額のどのくらいが関連倒産保証になっておるか、これを長官にひとつお伺いいたします。
  45. 影山衛司

    影山政府委員 倒産関連保証を受けましたところの実績、四十二年四月まででございますが、一年余りでございます。これにつきましては、三百一企業で八億強でございます。割合は計算した上で御答弁申し上げます。
  46. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 いま御説明でございますが、私の調べた状況を言うと、倒産した企業が一昨年の十二月からことしの五月までで九千八百六十一件、このうち負債総額が一億以上の倒産企業が千三百七十一社、また五億以上の負債を残して倒産した企業が大体九十社でございます。ところが政府がこれまでいわゆる親事業者として指定したのは十二社でございます。非常に倒産が多く、関連倒産保証という制度を置きながら、三百幾つですか、それぐらいしかがきていない。これはどういうところにあまり利用されない原因があるのか。倒産が非常に多いにかかわらず、せっかくいい法律ができながら利用されていない。これは長官、どういうところに原因がございますか。
  47. 影山衛司

    影山政府委員 関連倒産企業についての特別保証制度は、この制度趣旨と申しますものが、ちょうど災害と同じように二重のワクを設けて行なっておるわけでございます。そういう災害に準ずべき措置であるということから、この倒産関連保証も、親企業の倒産によりまして関連中小企業者経営に重大な影響を及ぼす場合に、地域的な経済にも影響を及ぼし、あるいはその結果社会的不安も起こしかねないというようなものを対象にするということが制度趣旨でございますので、その趣旨にのっとりまして基準を設けて運用いたしている次第でございまして、その結果倒産の企業全部がその適用を受けるというものではないわけでございます。
  48. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 親事業のいままでに指定された十二社の表を私はここに持っておりますけれども、たとえば例をあげて質問いたしますと十二社の中に姫路の日伸建設工業というのがございます。二億二千九百万円の負債で親事業者に指定されております。同じような金額で、相前後して大阪の私らの選挙区で綜合建設工業というのが倒れております。これも約二億幾らですね。そういう場合、中小企業者としてわからないのは、なぜ、どういうふうに——その業者の親事業者の指定が官庁の一方的な判断で行なわれているのではないか、理由がはっきりしないのです。親事業者として指定の経過なり考え方をお伺いしたいと思います。
  49. 影山衛司

    影山政府委員 この倒産関連保証の親事業者の指定の基準は、まず銀行に対する負債額を除きまして、十億円を一応基準といたしております。それから第二段階といたしましては、地域的な経済に影響を及ぼす度合いのはなはだしいものにつきましては、五億円ということにいたしておりますが、そういう指定をいたしました親企業のトンネル会社というものも、これは親企業に準ずべきものとして指定をいたしませんと、実際上の効果がないわけでございます。先ほど先生御指摘の日伸建設あたりは播磨鉄鋼のトンネル会社でございますので、これは指定をいたしておるような次第であります。
  50. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 その指定の詳しい基準というのはどういうところにあるのでございますか。たとえば一般の下請業者のわかるような、なぜここは指定になったのだ、ここは指定にならないのだというようなことが、具体的に言うならば、その時点において相似たような状況でも私はできていない場合があると思うのです。同じようなよく似た条件で、片っ方は指定されても片っ方は指定されていない、その査定の基準を伺いたい。
  51. 影山衛司

    影山政府委員 認定基準におきましては、「負債総額十億円未満五億円以上の企業の倒産であって、当該企業の倒産が地域経済に著るしい影響を及ぼすものと認められる場合」ということになっておりまして、その認定は、当該都道府県あるいは通産局が認定をして、私どものほうへ持ち上げてくるわけでございます。
  52. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 そのことがかえって非常に何か一般の国民には理解できないことがあるわけなんです。たとえば同じようなケースで許可になっていない場合もあるし、指定を受けた場合もある。ということは、選考の経緯なんか全然わからないわけです、ただ指定をされたんだというだけで……。いま長官基準を読んでいただいたそれでは、なるほど原則論で、納得できないのです。具体的に同じようなよく似た状況で、全然指定になったりならなかったり、そういうことがあっていいものかどうか、それについてお答え願いたいと思います。
  53. 影山衛司

    影山政府委員 同様のケースで同様の地域的な、たとえば著しい影響を及ぼすものがあったとしますれば、それは当然指定をすべきものというふうに考えております。
  54. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 私は、ここで特別小口保険の資格条件と同じように、少なくともたとえば負債総額が親会社の関連であって、日伸建設は二億円でなったんだ、これは少なくとも独立法人なんですね。親事業であるにかかわらず、日伸建設というのは二億二千九百万円で、いうならば一つの独立法人なんです。この場合に親事業者として指定をする。同じように違った場合には指定をしない。これは官庁の権限が非常に専権になり増大すると  いうようなことはありませんか。
  55. 影山衛司

    影山政府委員 トンネル会社を指定いたしますのは、この制度趣旨が、まず親事業者を指定することによりまして、それに影響を受けるところの関連の第一次の下請企業を、特別の保証措置によって救済するということでございまして、救済を受けるのは下請の企業者でございます。その際にトンネル会社がございますと、そのトンネル会社が第一次の下請ということになりまして、実質上の下請の人たちが影響を受けないということがございますので、トンネル会社を指定しておるわけでございまして、実際は、その実質上影響を受けるところの下請企業を頭に置いて指定をいたしておるような次第であります。
  56. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 先ほどの長官の御答弁の中で、倒産関連事業者に指定されたのが三百社ほどであるという御答弁がございましたが、私はここでお伺いしますが、長官、まず五億円以上の負債の一つの会社が倒れた場合に関連する会社は、大体どのくらいあるとお思いでございますか。その五億の会社が一社倒産した場合、どのくらいの関連会社が生まれるか。
  57. 影山衛司

    影山政府委員 親会社の関連下請企業については、そのおのおのの場合によって違うと思います。先生御指摘の点は、おそらくそういう関連中小企業者の数は多いけれども、先ほど私が御答弁いたしました三百社、すなわち、適用を受けた中小企業、下請企業者の数が少ないではないかということでございますが、これはその適用を受け得るところの企業者は、親企業に対する依存度二〇%以上、それから五十万円以上の負債を持っておる者ということが受け得るということになっておるので、現実窓口に来た人が三百企業ということでございます。全部の企業者は、金額がそこまでいかなくとも、私ども実際上、山陽特殊製鋼だとかその他の関連倒産等について具体的なケースに当たってみますと、案外に小さい負債額のものも多いわけでございます。そういうところは必ずしも保証協会のほうへ特別措置を受けにいかないでも、たとえば国民金融公庫であるとか、そういうところもこういうケースについては積極的な貸し出しを行なっておりますので、そういうところの問題が解決されておるというふうに考えられるわけでございます。必ずしも適用を受けたところの下請企業者の数をもっては、この効果云々は論じられないのではないかというふうに考えております。
  58. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 いまの長官の御答弁で私は気になることがございますのですが、実際関連倒産のその必要度が、いま御明示をしていただいたような数ではたいして大きい問題ではないのじゃないか、私はそうじゃないと思うのです。少なくともいま一つの五億円以上の会社がつぶれた場合、これは商工興信所の調べによりますと、大体百五十から二百社くらいのいわゆる関連の中小企業者がこれによって被害をこうむる。かりに最下限の百五十社に限ってみますと、ことしになって一年間でまず五億以上が九十社倒れておる。九十社の関係会社が、一社で百五十社、したがって一万三千五百社、そのうち三百一社が指定を受けた、ということは、いわゆる取引関係があり、いろいろなふるいがあるにはいたしましても、少なくとも二%なんです。数においては、いま長官の御答弁のようにたいした問題じゃないが、しかし、それならばこの関連倒産の保証は私は要らないというのです。その必要がなかったら要らないじゃないか。全部に普遍的の対策を——何も特別なもののために立法化する必要ないじゃないか。国民金融公庫とかほかで償えるんだ。たいして実績をあげてないというならば、私は必要ないと思います。これは私は、いろいろの意味窓口が制約され過ぎて、なかなか行けないと思うのです。利用できないと思うのです。せっかくつくっても、去年一年見ても二%しか利用していないというのは、利用できないような隘路があるんじゃないかというふうにまず反省をしてかかるべき必要があるんじゃないか。それはどういうように検討されますか。
  59. 影山衛司

    影山政府委員 利用度が少ないことにつきましては、先生御指摘の点もあろうかと思いますけれども、この点については、今後ともひとつ反省して検討いたしてみたいと思うわけでございますが、ただこの倒産関連保証の指定をいたしましたような場合は、単に保証という問題だけではなくて、地域経済等におきまして相当の影響がございますので、関係金融機関、あるいは特に政府関係金融機関等が力を入れて、総合的に救済に乗り出すわけでございます。そういう点で倒産企業を指定いたします。たとえば山陽特殊製鋼というものを指定いたしましたことは、国家としても、地域経済等にも影響があるから、ひとつこれは乗り出していかなければいけないという態勢を示したことになりますので、保証協会だけではなくて、政府関係金融機関あるいは民間の金融機関も非常に積極的に協力をしていただいておるわけでございます。そういう点で総合的な効果を発揮いたしておるわけでございまして、必ずしも保証協会のほうへ出てくる数だけでは申し上げられません。また保証協会のほうにはいつでもこれが出てこれるようになっているわけでございます。ただ先生御指摘のように、なっておるのに出てこれない何かの隘路があるのではないかという点については、これは今後ともひとつ検討し、研究してみたいということを考えておるのでございます。
  60. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 私は、倒産関連事業者の指定が非常にむずかしい、あるいはまたこの下請業者の保証を得るのもむずかしいというふうに、一般からは私ら聞いておるのです。わずらわしいというわけですね。非常にめんどうだ。ということは、私はこの際特に指摘しておきたいのは、この制度が倒産関連事業者に直接融資するというのではなくて、間接に保証するだけでございますので、厳格なこういうものは要らぬじゃないか。これは二度ふるいにかけられておるわけです。一度は親事業者の指定というふるい、その次にはそこにいわゆる二〇%の取引、そういう形で、それは貸してくれるのではなくて、融資を受けるのではなくて、保証されるだけにそれほど厳格な条件をつけて、いわゆる窓口が、去年の例でも一万三千五百社あったうちでわずか三百一社しか窓口をたたくことができなかったような、そういう事態が起こったのは、私はむしろふるいをかけ過ぎてきびし過ぎるからだと思うのです。親事業者の倒産によって被害を受けておるのだから、もう少し簡単に保証をするような、広く門戸を開くような行政指導があっていいのじゃないか。かように思うのですが、どうでありますか。
  61. 影山衛司

    影山政府委員 この制度は、先ほど御答弁申し上げましたように、災害の特別措置に準ずるような制度でございますので、ある程度の手続を必要とするわけでございます。たとえば、指定されました場合に、中小企業者が借りにいく場合に、市町村長の証明を必要とするというようなこともあるわけでございます。これは災害の場合でもやはり市町村長の証明をとるようにいたしておりますので、その程度の手続はやはり必要かと思われるわけでありますが、それ以外になおいろいろと問題点がございますならば、もう少しこれは検討してみたいと思います。
  62. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 最後にその問題につきまして、倒産関連事業者の指定の問題と、いわゆる二〇%の取引がないと保証を受けられないという問題この問題両方同時にということは非常に問題があるかもしれませんが、もう少し御検討していただいて、その条件の緩和をして、その恩恵をもう少し拡大すべきじゃないか。これが、先ほど大臣の御答弁の中にもありましたように、私は倒産を未然に防ぐ予防的な処置の役割りを果たし得ると思うのです。その点両方ともの条件、これは二度の条件があると思うのです。二〇%をこえていなければいけないという下請の場合の条件ですね。そういう条件を緩和するようなお考えはないだろうか、最後にこれを質問さしていただきまして、私の質問を終わります。
  63. 影山衛司

    影山政府委員 先生御指摘の線に沿って検討さしていただきたいと思います。
  64. 吉田泰造

    吉田(泰)委員 ありがとうございました。
  65. 島村一郎

    島村委員長 次に、岡本富夫君。
  66. 岡本富夫

    岡本(富)委員 先ほどから私の聞かんとするところがだいぶ解明されましたので、時間もありませんから、要点だけをお聞きしたいと思います。  いま倒産関連の保証につきましてお話がありましたが、これについて若干お聞きしたいのですけれども、現在の制度では、その関連の企業が五十万円以上、取引依存度が二〇%、こういうふうに出ておりますけれども現実の姿を見ますれば、零細企業、要するに加工賃、労務費を提供しておるところの小企業に対して、政府はどういうように考えていらっしゃるのか、これについてまずお聞きしたいと思います。
  67. 影山衛司

    影山政府委員 市町村長の認定基準で五十万円または依存度二〇%というあれをつけておるわけでございますが、大体におきまして小規模零細層につきましては特別小口保険あるいは無担保保険というような制度もございますので、そういうところでひとつ利用をして救済をしていきたいということを考えておるわけでございます。
  68. 岡本富夫

    岡本(富)委員 その問題はもう一度あとで聞きますけれども、これはちょっと私の不勉強かもわからぬですが、倒産が十億円以上、こういう倒産が行なわれたときに対しての保証である、いまは弾力性ができて五億円、こういうようなことも聞いておりますけれども、そんな十億あるいは五億以上というようなりっぱな倒産はあまり見当たらない。先ほども話がありましたが、一千万円以上の倒産が六千何件、こういうようにあなたのほうから出してもらったこの資料のうしろのほうにも出ておる。そうすると十億以上、五億以上というような倒産は非常に少ない。そうすると、この一千万以上の倒産、要するに五億までのこの問のものが非常に多いと思うのです。これに対する救済法についてお聞きしたいと思います。
  69. 影山衛司

    影山政府委員 この倒産関連保証は、制度趣旨といたしまして、災害に準ずるところの制度でございますので、その親企業の倒産の結果、地域経済等にも著しい影響を及ぼすかどうかということを認定しなければいけない、その認定の一つ基準を十億とし、あるいは場合によりましては五億といたしておるような次第でございまして、実態に応じましてその認定は弾力的に行なっていこうということを考えておるわけでございますが、小さい倒産でそれに連なるところの中小企業者、下請が困っておるというような場合につきましては、これは主として政府関係金融機関等のあっせん、あるいは無担保保証保険の利用というようなことで、こういう問題につきましては、やはり先ほど大臣が答弁いたしましたように、通産局あたりにも商工相談所を設けておりますので、そういうところに具体的に持ち込んでいただきまして、相談に応じて金融のあっせんをいたしておる、こういうことで解決のついた事例は過去においても非常に多いわけでございますので、そういう方向で問題の解決をはかっていきたい、かように考えております。
  70. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いまお話がありましたが、そうすると倒産関連保証というのはほんとうにわずかな人たち、わずかな企業しか受けられない。すでにいろいろなところで発表されておるのは負債額一千万以上、その件数、こういうように白書にもありますし、またあらゆるところで議論されておりますが、そうするとこの倒産関連保証というのはもうほんとうにまれに見るわずかなものしか受けられない、こういうように思うのですが、どっちかというと倒産によって一番困るのは小さな企業である、一千万以上あるいはそれ以下かもわからない。したがって、もっとワクをふやすところの考えはありませんか。
  71. 影山衛司

    影山政府委員 倒産関連保証は、先ほど申し上げましたようにごく特例でございますので、ある程度制限されることはやむを得ないかと思うわけでございます。そのかわり、やはり昨年以来無担保保険という制度をつくりましたのも、昨年来の不況状態におきまして、倒産企業が非常に多いという状態を考慮いたしまして、特別の制度を設けたような次第であります。今般御審議を願っておりますところの保険法の改正につきましては、その無担保保険につきましても恒久化をしていこうということも考えておるわけでございます。そういう倒産企業が中小企業者に多いということを頭に置いての新しい制度であるということを御了承をお願いしたいと思うわけでございます。
  72. 岡本富夫

    岡本(富)委員 無担保保証がもう特効薬みたいに話をされておりますから、これはあとでもう一度話を聞かしていただきますけれども、実際に中小企業が取引しておるところの状態というものは、依存度二〇%、こういうのは非常に少ない。大体取引先は十件以上、多いところで百件以上。なぜかと申しますと、たとえば鉄鋼部門の下請をやっておりますと、そのほうが不況になりますとまずいからというので、電気関係、あるいはまた化学関係、そういうようにあらゆるところに中小企業というものは首を突っ込んでおりませんと、一つの不況によって全部こっちまで参ってしまうのです。ですから実情としては十件以上百件、集金に行くところは百件くらい回るわけです。こうしますと、取引依存度というものが二〇%というのは、この倒産関連の保証というものをなかなかさせない、法律はあるけれどもそれは利用させない、こういうように思うのですが、その点について長官の意見をお伺いいたします。
  73. 影山衛司

    影山政府委員 一企業が親企業に対する依存度二〇%以上のものを市町村長の証明によりまして対象にいたしておるわけございますが、この制度趣旨は、できるだけ利用させないという趣旨ではございませんで、いろいろと実態を調査してみますと、二〇%未満のところは、そこまでいかなくとも、いろいろとほかの道で何とか片づいておるというような点もございまして、打ち切っておるわけでございまして、趣旨は利用させない点ではございませんで、先ほど吉田先生の御質問に対して御答弁申し上げましたように、この点につきましては今後検討さしていただきたいと思うわけでございます。
  74. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この問題について大臣に明確な御答弁をしていただきたいと思うのですが、倒産企業が五十万以上、それから取引依存度二〇%、こういうのは非常に現実には少ないのです。これは皆さん方中小企業をやったことがないからあれですが、それに対してもっとワクを広げるところの考えはありませんか。大臣ひとつ明確に答弁いただきたい。
  75. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほど長官から吉田委員に対してもお答えしましたとおり、下請業者については市町村長等の認定基準があるのでありまして、その基準によって大体やっておる。いまお話しのとおり五十万以上の売り掛け金、あるいは取引依存度が二〇%以上ということになっておりますが、しかしこれで実際適用が少ないということであれば、その点についてはもっと検討してみたい、こういうふうに思うのです。
  76. 岡本富夫

    岡本(富)委員 じゃ、検討をお願いします。なぜかならば、先ほど申しましたように金額は非常に少ないけれども、ほとんど加工賃、労務費である、こういうところは一番零細で困っている。これはひとつ要求いたしまして、この質問は終わりたい思います。  次に、そちらの特効薬であるところの無担保保証につきましては、これは先ほど吉田さんからもお話がありましたが、神戸のある信用金庫におきまして無担保融資をお願いした。保証協会保証されておりながら、調査機関が両方で調査するわけです。そのために二カ月もかかる。そして最後にどういうようになったかといいますと、その信用金庫から、全額定期にしてくれといわれた。そしてそこからもう一ぺん貸す、こういうのが現実の姿で、これは公明党の議員が、ちょうどそのことを泣き込んできたのを聞いて、話をして押えましたけれども現実は先ほどもお話があったようにそういう状態なんです。したがって、この問題については先ほどいろいろ答弁があったから申し上げませんけれども、法的規制、あるいはまたそういうようにして銀行が弱い者いじめをしたことに対する何らかの法的規制をちゃんとしませんと、これは仏つくって魂入れず、こういうのが現在の現実の姿、したがってこれに対して大臣の明確な答弁をいただきたいと思います。
  77. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほど吉田委員にもお答えしましたとおり、この問題については、この法律実施する場合に、大蔵省とよく相談して、そして強くそういうことのないように通達を発するようにしたい、こう存じておる次第です。
  78. 岡本富夫

    岡本(富)委員 通達というのは、そういうことをしてはいけないという通達ですか。それとも、そういうことをするならば罰則があるとか、相当きびしい通達でなければ、聞きました、それくらいで終わりなんです。こういうことがあった場合には、通産省なりに申し込めといいますけれども、通産省のほうに申し込んだらよいということを業者は知らないわけです。これは私のほうでもっとどんどんPRしてよろしいですか。それについて大臣から……。
  79. 影山衛司

    影山政府委員 通達を出します場合にはきびしい通達を出しまして、それの趣旨に沿いまして、私ども大蔵省とも一緒になりまして、強力に指導いたしたいと思いますので、そういうふうにおっしゃっていただいてもいいと思います。
  80. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そのほうは特に要求いたします。  次に、先ほども話がありました保証料率につきまして、保証協会全国に五十一カ所あるというふうに聞いておりますけれども、そろそろ夏期手当の融資あたりが今度は必要になってくるわけでありますが、私のほうで調べますと、五十万までで大阪府は二厘五毛、大阪市は二厘五毛、これは同じですが、兵庫県では二厘、それから百万円までは三厘五毛、三厘五毛、兵庫県では二厘五毛、百万以上は大阪府は三厘八毛、市のほうが三厘九毛、兵庫県は三厘八毛、こういうふうに一毛違いのところもありますが、これを全国もっと調べますと、相当保証料がまちまちである。これはどういうわけでこういうように保証料がまちまちなのか、これについて長官にお伺いしたいと思います。
  81. 影山衛司

    影山政府委員 これは保証協会全国一律に設立されたものでございませんで、地方自治の精神にのっとりまして、おのおの独立に出てきたというような歴史的な経緯があるわけでございまして、そういう点からそういう形になっております。また、従来は保証協会自主性ということを相当強調された時代があるわけです。そういう点でまちまちの点はあるわけでありまして、過去におきましては、三厘五毛から六厘というような幅があったわけでございます。最近は、私どももそれを逐次幅を、格差をなくしていくという方向指導いたしておりまして、現在におきましては三厘から四厘六毛という幅に縮まってきております。大体四厘前後というところにひとつ将来は持っていくという第一段階目標を持っておるわけでありまして、そういう方向に従って強力に指導していきたいと思うわけでございます。
  82. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうすると、いまお聞きしますと、将来は四厘に全部引き上げちゃう、こういうように長官はお考えなんですか。
  83. 影山衛司

    影山政府委員 現在四厘超の保証協会は、五十一保証協会のうち三十あるわけであります。これを四厘程度にまでまず引き下げていくということで、四厘以下の保証協会が二十一あるわけでありますが、これはもちろんさらに引き下げをしてもらうということでありまして、引き上げるということはないわけであります。
  84. 岡本富夫

    岡本(富)委員 どういうわけでこういうように保証料がまちまちなのか、それは保証協会経営ができないからそういうようにまちまちなのですか。ただ、自主性自主性と申しましても、これは、そこら一般の商売人でないんですから、わしのところはこうきめたんだ、わしのところはこうきめたんだ、そういうように政府機関の一部としてわれわれは見ております。それに対して、自主性だからかってにきめていいんだ、こういうのは、通産省のほうで取り締まり、またよく検討して、そして適正なところの保証料に持っていくわけにはいかないんですか。それについてお伺いいたします。
  85. 影山衛司

    影山政府委員 これは、適正な保証料のほうに持っていくために、現在も、過去においても努力中でございまして、その方法といたしましては、まず保険料引き下げが第一でございます。それから融資基金を配分いたします場合に、高い保証協会ねらい撃ちにいたしまして、融資基金を特別に配分をいたすということが第二でございます。それから第三といたしましては、やはり何と申しましても、保証協会経営基盤を強化していかなければいけませんので、直接関係のありますところの県のほうに出捐金等をもう少し出してもらうということも指導いたしておりますし、また基礎を拡充してもらうということも強力に指導いたしておるような次第でございます。それから、県だけではございませんで、銀行あたりからも保証協会出捐をしておるわけでございますが、その出捐につきましては損金算入扱いにできるというふうに、今度税制上の措置もとったわけでございますが、そういう点で保証協会自体経営基盤の強化もはかっていくということで、そういうことをあわせまして、保証料引き下げの推進をしていくということを考えておる次第でございます。
  86. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この保証協会の制定は、中小企業庁の資料に出ているだけでも三十三年からになっておりますけれども、高いところからこれは抜き打ちに調べていく、こういうお話がありましたが、大体全国五十一カ所ですか、いまのところは。この五十一カ所ぐらいでしたらじきにできるんじゃないか、やる気になれば。よく調べれば簡単に五十一カ所ぐらいはもう早くできておる。それなのに、ひとつ高いところから逐次、こういうことでは、これは借りるほうの身になりますと、逐次やっておられたんではたまったものじゃないです。ですから、これは早くやれるような方法はありませんか。それについて長官に……。
  87. 影山衛司

    影山政府委員 私どもそういうふうに考えたわけでございまけれども、実際問題といたしましては、保証協会経営状態を考えてみますと、そう急にはなかなかいかない点もあるわけでございます。しかしながら、過去一年間におきまして、先ほど申し上げましたように、高いところは六厘ぐらいのところがあったわけでございますが、現在におきましては四厘六毛が高いところというふうなことに、過去一年あまりの間にそういうふうな引き下げをやってきたわけでございまして、私どもから考えますと、相当大幅な引き下げを急激にやってきたというふうに考えておるのでございますが、なかなか十分とは言えませんので、今後とも、先生御指摘のような趣旨努力をしたいと思うわけでございます。
  88. 岡本富夫

    岡本(富)委員 借りるほうの中小企業は、ほんとうに一厘、一毛でも非常にこたえるわけです。ですから、やはり一つ全国的な規定というものを一応ラインをきめて、そうしてあと保証協会経営につきましては、先ほど長官から話があったように、県からもっと出捐金を出してあげるとか、あるいは銀行から保証させるとか、なお政府のほうでもっともっと便宜を与えてあげるとか、要するにこの保証料を払って使っていくほうの立場に立った保証率にしてもらいたい、私はこういうふうに思うのですが、大臣どうでしょうか。
  89. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま述べられたとおり、借りる身にすれば一厘でも安いほうがいいのですから、したがって保証料が各県によって違っておるということは、これは決して合理的ではないと思います。であるからして、より早く安くするように、できるだけひとつ指導していきたい、こう存じております。
  90. 岡本富夫

    岡本(富)委員 では、大臣のその答弁で、あとどうなるかということを見ることにいたします。  次にお聞きしたいことは、先国会において附帯決議の中で、特別小口保険は百万円程度の引き上げの配慮を要求しておりますけれども、これに対して、今度の法案を見ますと配慮がされてない。これは長時間かけ、また各先輩の議員が一生懸命に勉強をし、また国民の立場に立って附帯決議をつけて要求したことと思うのです。その議員の発言または決議に対して政府は何の配慮もしてないということは、ぼくはゆゆしい問題である、こう思うのですが、大臣どうでしょう。
  91. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 昨日中村委員からもこの御質問がありましたので、だんだんと経済も拡大してまいりまして、経済単位も上がってきたので、したがって五十万というものがはたして適当であるかどうかということを再検討して、そうして前向きに考えるということを、昨日中村委員にお答えしたとおりであります。
  92. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうすると、この附帯決議は第五十一回の衆議院の商工委員会、このときに一応決議をしたものなんですが、それからだいぶん日がたっておりますけれども、いままでは検討はなされてなかったのか、前向きに検討をされていなかったのか、これについて大臣の明確な答弁をお願いいたします。
  93. 影山衛司

    影山政府委員 本委員会においてなされましたこの附帯決議の趣旨に沿いまして、昨年一年間中小企業政策審議会の金融委員会におきまして、いろいろな角度からこの特別小口保険制度の改善につきまして検討を行なったわけでございますが、ただこの結論といたしましては、この五十万円の範囲内でもまだ利用度というものが非常に少ない、むしろこれは、当分はこの範囲内で実績をあげるということに努力をすべきであるということに結論が出たわけでございまして、これは先生承知のように無担保保証ということで、保証協会にとりましては、ある程度リスキーな制度でもございますので、保証協会のほうのしりを私どもたたきながら、実績を逐次あげていっているわけでございます。そういう点から、当面変更を加えるよりも、実績をあげることにつとむべしという政策審議会の結論が出たような次第でございます。
  94. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうすると、この五十一回のときにいたところの商工委員は、実際のことを検討せずに、あまり使われていないのに百万円に引き上げることを要求したのか、あなたのいまの答弁からいってこういうように感じますけれども、私はそうでないと思う。実際五十万くらいの程度では困るわけなんです。したがって、これは百万円程度に上げなければならぬと思いますし、この姿から見ますれば、仮定としまして、今度また議員がこうして一生懸命勉強もし、また実際に当たって、いろいろと附帯決議をつけた場合に、それを次の国会でまた無視されて、何の配慮もされていないということは、これはまことにゆゆしい問題である、こう思うのですが、大臣の決意をお願いしたいと思います。
  95. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほど長官から申しましたとおり、五十万円で実績を見たいということで、審議会でいろいろ議論されたのでありまして、したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、五十万円では実勢に合わないということであれば検討しようということを先ほどから繰り返し答弁しておるのでありますからして、したがいまして、この委員会の附帯決議もあることでありますからして、われわれもそれを尊重して、今後前向きで検討してまいりたい、こう存じます。
  96. 岡本富夫

    岡本(富)委員 では、前向きで次にどういう手を打たれるか、国民とともに監視しております。  次に、無担保保証の小口保険を借りるにつきましても、現実に納税証明、要するに事業税の納税証明、こういうようなものが必要なのでありますけれどもほんとうに困っている連中は、赤字で事業税も払ってない、こういうときにはどういうようにしてこの小口保険を借りたらよいのか、こういう証明をつけなくてもよいのか、これについて、これは長官質問したいと思います。
  97. 影山衛司

    影山政府委員 特別小口保険は、零細企業対策といたしまして、五十万円まで、納税証明をつけまして、簡易迅速に、形式審査だけで保証して金融してあげるという制度でございまして、その納税証明につきまして、所得割りを納めておるということは、これは健全経営をしているということの一つの証拠でございますので、そういう点で納税証明というものをつけてもらうということになっておるわけでございます。それ以下の人たちに対しましては、いずれにいたしましても、借金をする場合は健全経営が必要なわけでございますけれども、この適用を受けない人たちのためには、無担保保険をつくりまして、担保はないけれども身内保証でも借りることができるという制度が、無担保保険としてできております。そういうところも利用していただく。それから特別小口保険につきましても、ある程度納税証明書の出せない人たちについても、何らかの配慮を要すべきではないかということも、当委員会において議論がされたところでございますので、この点につきましても今後検討させていただきたいと思うわけでございます。
  98. 岡本富夫

    岡本(富)委員 検討ばかりではちょっと困るのです。なぜかならば、先ほど倒産関連の保証につきまして、長官は加工賃とか、そういう労務代価の非常に少ないものに対しては、小口保険を借りたらよい、要するに無担保保証のものを借りたらよいではないか、こういうお話。こっちにくると今度はそれは借れない。そうすると自然つぶれるよりしかたがない。同時にそういう小さいものは食べていけなくなるわけです。したがってこの面についても十分な配慮をひとつ要求したいと思います。どうでしょうか。
  99. 影山衛司

    影山政府委員 御趣旨の線に沿って検討いたしたいと思うわけでございます。
  100. 岡本富夫

    岡本(富)委員 次にお聞きしたいことは、災害及び産炭地の場合の保証保険の補てん率が、いままでは普通一般よりは一〇%高かった。そして八〇%であった。今度この問題につきまして補てん率をどのくらいにするところの用意があるか、これについて長官の答えをいただきたいと思います。
  101. 影山衛司

    影山政府委員 八〇%というのは大体これがマキシマムではないかと思うわけでございます。八〇%はとりもなおさず国が損失を負担をするということでございますので、あとの二〇%は、やはり損失が出てきた場合には、銀行とそれから保証協会が分担をしてもらうということも必要でございます。そういう点から、これ以上にいたしますと、保証協会自主性、独立性というものがなくなるわけでございます。現在の制度から申しまして、八〇%というのが限度ではないかというふうに考えるわけでございます。
  102. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そういうように規制をされますと、ほんとに私の知っている尼崎とか神戸とか淡路島、こういうところはまず大体毎年と言っていいくらい水害にあうわけです。そのような災害が多いところに対して、普通でありますとなかなか保証協会保証して金を貸さない。したがって、そういう災害あるいは産炭地、そういうところに対しての保証保険の制度があるわけですから、この際やはり一般も一〇%上がれば一〇%上げるべきでないか、そうでないと利用する人が——私はむしろ一〇〇%てん補率にしてもらいたい、こう要求したい。なぜかならば、こういう中小企業はもうかったときは税金をきちんととられているわけです。そうしてそういう不慮の災害を受けたときには国の補償というものは非常に乏しい。こういう面を見ますと、むしろ商店街や中小企業あるいは淡路島などの造船業、これらに対しては突発事件ですから一〇〇%のてん補率を見てあげるべきではないか。こういうように思うのですが、長官、どうでしょう。
  103. 影山衛司

    影山政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、八〇%は国がてん補いたすわけでございますので、そういう災害の場合におきまして、あと二〇%につきましては、従来の例から見ましても、また私ども指導方針といたしましても、地方行政に携わるところの都道府県がその程度の手当てはしてもらう、また従来においても手当てをしていただいておる例が多いわけでございます。今後ともそういう方針でいきたいと思うわけでございます。
  104. 岡本富夫

    岡本(富)委員 地方財政は非常に交付金なんかが少なくて赤字のところが多い。したがって、これはもっともっと国のほうで見てあげなければならぬと私はかねがね思っておるのです。ですから、一応ひとつこれは検討してもらいたい、これを要求いたします。どうでしょうか。
  105. 影山衛司

    影山政府委員 今後ともあらゆる角度から検討さしていただきたいと思うわけでございます。
  106. 岡本富夫

    岡本(富)委員 次に、関連といたしまして、この前の委員会のときに私が一言お話ししましたのですが、政府中小企業に対するところの政策、ビジョンについて明確にしていただきたいことが一つある。それは、百貨店の規制あるいは生協及び農協の員外利用の規制または購買会事業の規制、製造業者の小売り兼業の規制、こういうような規制をされておりますけれども、これは大体零細層、そういう零細企業の保護を考えてつくられたものと思うのです。しかしながら、いま政府が行なおうとしてまいりますのは、近代化といいますか、要するにそれを集合して大規模にしよう、零細層を大規模に育成しよう、こういうようなこの間からの考えではないか。要するに、その政策が百八十度の回転をしたのじゃないか、こういうように思われるのですが、どうでしょうか。
  107. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 中小企業をみな大企業にするという意味ではないので、中小企業の中には大企業になるものもあります。また企業者の経営能力などでそれだけ大企業にする人もあるのです。がしかし、中小企業は大企業とやはり併存して存在すべきであって、したがって、われわれは中小企業と大企業との間の所得の格差をなくするということ、これが目的なんです。中小企業として大企業と同じような所得があるとすれば問題ないのです。それが大企業と同じような所得を得られない、格差があるから、そこで中小企業の問題がいろいろあるわけであって、したがってその格差をなくするために、あるいは税金あるいは資金面においてできるだけ政府が援助するということをやっておるわけなんで、中小企業全部なくして大企業にするという意味では決してありませんから、その点は誤解のないようにお願いしたいと思います。
  108. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この協業化とかあるいはまた近代化、こういうことになりますれば、大企業とはいきませんけれども、そういうような政策になってまいりますと、先ほどの百貨店の規制あるいは生協及び農協の員外利用の規制、こういうものと何かジレンマ、その目的がジレンマになってくるのじゃないか。と申しますのは、その協業化もできないような零細層、これは自然にもう淘汰されてしまう、こういうように思うのですが、どうでしょうか。
  109. 影山衛司

    影山政府委員 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、零細企業対策といたしましてもいろいろな手段を用意いたしておるわけでございますが、特にまた小売り商業対策といたしましても、必ずしも協業化、厳密な意味の協業化だけを目的にしておるわけではございませんので、ボランタリーチェーンの制度あたりも、独立の小売り店舗をかかえたままで居抜きのままで合理化をやっていくにはどうしたらいいかということを考えた結果の制度でございます。ボランタリーチェーンの制度あたりも、やはり零細企業がそれに参加いたしまして、共同仕入れであるとか、あるいは共同の経営の合理化というところにつとめていく必要があるというふうに考えるわけでございます。
  110. 岡本富夫

    岡本(富)委員 その問題については、もう少し突っ込んだところの質問をしたいと思っておりますが、次回に譲りたいと思います。  そこで、いま中小企業が一番困っておる問題は下請代金の問題なんです。これについて、公取が来ておりませんけれども、公取の力が非常に弱い。こういう面をいろいろ考えますれば、現在の通産省の思想と申しますか、また機構と申しますか、これは大企業も一緒に含んだ行政でありまして、中小企業対策に対しておのずから限界がきておる。大企業と中小企業と一緒にしたような行政でありますから、非常に中小企業に対するところの前向きの姿勢がとれないのではないか、こういうように危惧する人もありますし、また、われわれも常にそういうように考えておる。要するに、現実の姿のところへまいりますと、通産省の現在のあり方、あるいは行政のあり方に対して非常に不信を抱く場合がある。それについて長官の、そうじゃない、あるいはまたこうだというような話をしていただきたい。
  111. 影山衛司

    影山政府委員 私自体が中小企業庁長官として通産省の中にありまして仕事をしておるわけでございますから、現在では私ども中小企業対策は大いばりでいろいろと発言をし推進をいたしておりまして、むしろ通産省の行政は今後は中小企業を中心とした業種別の行政になっていかなければいけないというくらいに私ども考えて発言をしておるわけでございます。
  112. 岡本富夫

    岡本(富)委員 長官大いばりだそうでありますが、全企業の九九・四%をかかえるところの中小企業です。これに対するところの国の予算はどうでしょう。農林の予算に比べて十分の一、また石炭対策費、これからも大幅に下がっておる。要するに、こういうことを考えますれば、大いばりでこの予算をつけてやっていると私は思えないのですが、どうでしょうか長官
  113. 影山衛司

    影山政府委員 農林予算との比較はよく出るわけでございますけれども、農林予算と申しますのは、従来からも農山漁家と申しまして、家庭ぐるみの社会保障的な、社会政策的な見地からの行政が多いわけでございまして、そういう点から補助金行政等にも力が注がれておりまして、したがいまして、予算も多くなっておるわけでございますが、中小企業行政は、やはり企業でございますので、補助金を出すというよりも、金を融資に依存するという点が多いわけでございます。そういう点から申しまして、やはり一般会計予算と同時に、融資を前提といたしますところの財政投融資関係金額も頭に入れて考えなければいけないわけでございまして、財政投融資等につきましては、むしろ農林省よりも多いというふうに私は考えておるわけでございまして、そういうところを総合してものを考えなければいけないと思います。
  114. 岡本富夫

    岡本(富)委員 その財投の金額あるいは予算、これについては次の事業団のときに私は質問したいと思いますけれども、いずれにしましても、昨年の一般会計の〇・六八%、コンマ以下しか中小企業に対しては予算が取れてない。それに対して、長官は、中小企業に対するところのいまの予算というものに対しても国の姿勢というものは大いばりで間違いないのだ、こういうように言い切れますか。それについて明確に……。
  115. 影山衛司

    影山政府委員 私どもは、たとえば中小企業高度化資金等につきましても、四十一年度八十一億の予算を計上したわけでございますが、なかなかこういう制度に乗ってこない、あるいはわれわれの指導の至りません点もございまして、使い切れないような例もあるわけでございます。そこで今度中小企業振興事業団を御審議願っておるわけでございますが、そういう点で啓蒙、指導とあわせまして助成の金を流していくというようなことで、できるだけそういうものを消化をしていく方向考えておりますので、今後は必要資金が出て、必要な予算がございますれば、ひとつ大臣にもお願いいたしまして、また使い得る予算をますます増額をしていきたいと思うわけでございます。
  116. 岡本富夫

    岡本(富)委員 大いばりで中小企業は間違いない、こういうようにおっしゃっておると伺っていいでしょうか。どうですか。——それはそれとして、そうではないと私は思う。たとえば、この前の工場団地の一番最初やりました船橋の状態を調べましても、三十九年の不況で大企業は倒産した、そのあおりを食って、結論から言いますと、いまの鉄工団地を見ますと、船橋の実態を見ますと、中の人がどんどん入れかわっておる。名目はその当時の出資者あるいはまた指定を受けた人になっておりますけれども、中はどんどん入れかわっておるのです。また木材関係の、木工関係のほうを見ましても、全然使わずに、材木の置き場になっている。この一つ一つを検討しますと、もう時間がありませんから、結論から言いますと、いよいよ企業を動かしてやりかけたときに、運転資金を設備に使ってしまって、あと運転資金に困っておるわけです。それに対して、この保証協会、県にも申し込んだ。そうすると、大体向こうの辺の風評では、団地企業をやっておる人には金を貸すな、こういうような風評が飛んだというのです。そのために倒産をしたといいますか、その企業から脱落していく人たちがずいぶんあらわれているわけです。またここの金属組合の組合長といいますか、これは自分が何の企業もしてないような人が組合長となって交渉しておる。こういう面を見ますれば、ほんとうに現在の中小企業対策について、長官が大いばりで完全無欠にやっておるのだ、またこんなにたくさんの予算も取ってやっておるのだ、こういうようには私は言えないと思うのですが、その点についてどうですか。
  117. 影山衛司

    影山政府委員 通産省の中での地位、中小企業対策をやっておる者の地位を言ったわけでございまして、完全無欠の対策をやっておるから大いばりだというところまでまだいってないわけでございます。団地等につきましても、問題点があることは、先生御指摘のように、承知いたしておるわけでございまして、団地をつくりましたあとでアフターケアもしてあげなければいけないということが重要なわけでありまして、今度振興事業団をつくりました趣旨も、そういう点のアフターケアもひとつ十分やってあげようというような趣旨からこれを設立予定をいたしておるわけでございますので、御了承をお願いしたいと思います。
  118. 岡本富夫

    岡本(富)委員 結論といたしまして、この中小企業信用保険につきましても、三十三年に三十億、四十二年には四百二十八億、これくらいふえておると申しますけれども中小企業の現在の姿を見て、四百二十八億くらいの予算でこの信用保険制度が完全にいけるとは思わない。したがって、もっともっとたくさんの予算を取って、そしてこの倒産を防ぎ、またりっぱに中小企業を育成してもらいたい。これを最後に大臣にお願いしたいと思いますが、どうでしょう。
  119. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いままで中小企業に対していろいろ政府がやったことについて、成績が十分あがっていないということについての御指摘がありましたが、それはそういう場合も私はあると思います。事業を始めて間もない事柄、ケースが多いのでありますからして、したがいまして、政府自身もふなれな点があるし、またこれを利用する人もふなれな点があるというようなことなどから、うまくいかない場合があると思いますが、しかし今後はそういうようなこともいろいろ考慮いたしまして、中小企業振興事業団というものを設けて、より完全にひとつこの中小企業の対策をやりたいというように考えておる次第でございます。したがいまして、信用保険のほうの問題にいたしましても、またいろいろ従来あった信用保険法の一部を改正して、そして今度も御審議をお願いしておるのでありますが、これでやってみて、まだ資金もこれでは足らぬということであれば、また今後の実績に顧みて考えてみたい、こう思うのでありまして、最初はすべり出しでありますからして、したがいまして、どれだけ信用保険を利用していただくか、またわれわれのほうも、ほんとうにこれだけは利用できるという確信もないわけでありますからして、今後はこの実績によって、これが資金などが足らなければもっとふやすというように考えていきたい、こう思っております。
  120. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いま大臣の答弁をいただきましたが、どうか影山長官が大いばりでいけるように、ひとつ最後に要求いたしまして、質問を終わります。
  121. 島村一郎

    島村委員長 小山省二君。
  122. 小山省二

    ○小山(省)委員 ただいま審議が行なわれております信用保険法につきましては、もう各委員から熱心に問題点が指摘され、詳細な質疑応答もあったようでございますので、重複するような面もございますから、私はごく簡単に二、三の点について大臣並びに長官に御意見を承りたいと思うのであります。  御承知のように、日本金融機関というものは、中小企業につきましてはきわめて理解が乏しいと申して私は差しつかえない。したがいまして、円滑な金融をはかるという意味におきまして、補完制度というものがきわめて必要であるというふうに私ども考えております。こういう要請にこたえて、地方の自治体が保証協会を設立いたしまして、この問題の解決に当たったわけでございますが、何と申しましても、限られた地方財源の中で、そうした保証業務を行なうわけでありますから、勢いその保証協会の行なう考え方、方針においてもあるいは実際の仕事の面においても相当まちまちであろう。たとえば保証料の問題においても、先ほど来指摘をされておりますように、相当違った保証料において行なわれておる。こういう実績から見まして、また枯渇せる地方財政の現状から見て、できるだけ公平な角度において保証業務を行なうというたてまえから、できれば保険公庫が地方におきます保証協会のような業務を一括して踏襲して、統一のある保証業務を行なうということは不可能な問題であろうか。いま各方面からだいぶ機構の簡素化というようなことも言われております。また、保証業務の公平化という立場等のいろいろな面から総合して、保険公庫がこれらの保証協会を吸収合併をしてその業務を行なわせるという、いわゆる保険公庫の強化策というものはもう検討されていい時期に来ておるのではなかろうかという感じを実は持っておるのでございます。これに対してひとつ大臣の保証業務という問題に対する御見解をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  123. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この信用保証業務というものは、私のことを言うてはなんですが、私が大阪市役所時代に設けた制度全国で最初だと思うのです。大阪市というものは中小企業の本場でございますので、この信用保証業務というものをやるべきだということでやったのでありまして、それがその後順次今日全国的に広がってきております。大阪府もやっておりますで、大阪府はずっとあとからできたものであります。そういうことで、私自身がこの信用保証業務ということについては非常に関心を持っておるのでありまして、これが先ほどもいろいろ御指摘がありましたとおり、各府県によって保証料も違っておるということ自体は決して合理的ではないと私は思う。したがいまして、大体自主的の運営ということを認めて今日まで来ておりますが、しかし、政府が債務保証する場合が多いのでありますからして、この点については全国的にこれを統一する、あるいはこれについて何か全国的な運営をするように指導していくということが必要になってきたのではないか、こう私自身思っております。
  124. 小山省二

    ○小山(省)委員 確かに公庫が設立されません過程においては、やはりそれぞれの地方自治体が独自な考え方の上に立って中小企業対策の一環としてこの保証業務を強化してきた、その功績、その実績というものはわれわれは高く評価するのにやぶさかではないわけです。しかし、今日保険公庫が相当保証の率も引き上げ、再保険の率を引き上げておる過程におきましていろいろ問題が指摘されておるということは、それだけ都道府県の負担というものは軽くなっておるはずです。したがって、相当保証業務の進展を見なければならないはずだと私は思うのでありますが、従来の保証協会考え方から一歩も前進をしておらない。私はこういう立場を考えてみますと、やはり国において十分これらの仕事を一元的に取り扱うという機構強化をはかる必要性というものを今日の段階においては痛感しておるわけです。どうかひとつ今後の中小企業対策の一環として、この問題を十分御検討をいただきたいということを特にこの機会にお願いを申し上げておきたいと思うわけです。  それから、ちょっと私矛盾したように考えておるのは、この保証協会は、それぞれ都道府県から融資基金——もちろん保険公庫も同様なことをしております。元来保証協会は、その損失に対しては都道府県が全面的に保証しておる、さらに、保険公庫が保険契約をかけておる、そういう中において相当の融資基金を金融機関に出さなければ保険業務、保証業務というものが円滑に拡大をされていかないという考え方ですね。また、年々この信用保険公庫においても、そういう考え方、何か基金をふやしてやらなければ保証業務は拡大できないのだ、こういう考え方になっておるわけです。この考え方に対して長官はどういうふうにお考えになっておるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  125. 影山衛司

    影山政府委員 保証協会保証は、やはり地方自治の精神にのっとりまして、県がまずてこ入れをするということから始まっておるわけでございまして、そのために、県のほうでも制度的に何がしかの予算を計上いたしまして、それを保証協会を通じまして、銀行に預託して、できるだけ中小企業者保証づきの融資ができるようにという趣旨での制度をつくったわけであります。こういう点は、やはり国あるいは保険公庫を通じましての融資基金だけでも問題が解決しない不十分な点も多いわけでございますので、県からのそういう制度も、今後ともますます拡充をしていただきたい、むしろそういうふうに考えております。
  126. 小山省二

    ○小山(省)委員 金融機関保証協会によって保証されるということは、自分自身の問題にとって非常にプラスになると思う。それなのに、ある程度の基金を積んでもらわなければ、そういう行為を積極的に行なわないという考え方に私は一つの矛盾を感ずるわけであります。自分自身が安全な行為になぜそれほど積極的にならないのか。要するに、保証をしなくともある程度融資ができるものを無理におれのほうは保証協会を利用してやるのだというむしろ恩恵がましい考え方金融機関が持っておるから、基金を相当積まなければわれわれはこの制度を活用しない、こういう考え方が相当金融機関の中にあるのではないか。ですから、相当の基金を要求する、その要求が受け入れられなければ保証行為はそう積極的に支持しない、こういう結果になっておるように思うのでありますが、これらに対する金融機関指導という面について、従来中小企業庁ではどういう考えを持って指導しておられるか、その点をひとつお聞かせ願いたい。
  127. 影山衛司

    影山政府委員 保証づき融資でございますので、金融機関としては絶対安全な融資でございますので、文句なしに金融をしてよさそうなものであります。私どもも全く先生御指摘のとおり考えておるわけでありますが、ただ金融機関のビヘービアというものがどうもいろいろと問題があるわけでございまして、現実の点におきましてはなかなかそういうふうに喜んでいないということでございます。私どもといたしましても、大蔵省とも一緒になりまして、保証づき融資についての推進につきましては、あるいは保証料づきのものについては金利をそれだけ引き下げるというようなことにつきましても、機会あるごとに銀行指導いたしておるような次第でございます。
  128. 小山省二

    ○小山(省)委員 私は二つの方法があると思うのです。それだけ安全性が高い融資ですから、その融資については多少金利の上に差をつけるか、そうでなければ保証料の一部を金融機関が負担する、自分たちの安全のために犠牲を払ってこういう行為をしてくれる別の機関があるわけですから、その機関の維持費の一部を負担するということが、私は当然な行為だろうというふうに考えております。そういう面のもう少し積極的な指導中小企業庁がひとつ強力に行なってもらいたい。そうして利用者の負担ができるだけ軽くなるように考えていただきたいと思うのであります。  それから、保証協会担保をとるという行為ですが、元来担保力があれば、保証協会保証をお願いしなくても、当然金融機関融資をしてくれるはずです。しかるに、その担保をとる行為というものが、今日保証をする上において常識となっておる、基本的な考え方になっておる。保証協会の任務からいって少し矛盾したような感じを持つわけですが、将来この保証協会担保を徴収するという行為について何らかの形で規制をする、ひとつできるだけ無担保において保証をする、こういう方針に保証の基本的な考え方を統一するという御意思があるかどうか、その点をひとつお尋ねしておきます。
  129. 影山衛司

    影山政府委員 考え方といたしましては、先生御指摘の点に全く同感であるわけでございまして、ただ、現実の問題といたしましては、保証協会経営基盤の問題等もございまして、全部担保を徴求しないというわけに現在ではまいっていないのが残念な点でございますけれども制度的には先生承知のように、無担保保証人、それから無担保保険担保はとらない、そういう制度を推進してまいってきておるわけでございます。それと同時に、やはり現実の問題といたしましても担保供給の実情は、徴求が件数で一九%、金額で三八%というふうに思ったよりも低いわけでございます。先生御指摘の線に沿いまして今後とも指導していきたい、そういうふうに考えております。
  130. 小山省二

    ○小山(省)委員 元来が信用力が乏しい、あるいは担保力がない、こういうたてまえに立つ人が保証協会にかわって保証してもらうわけですから、私は原則が無担保であるべきだと思うのです。しかし、本人が多少でも担保を持っておるとするならば、それを徴収することを禁ずる必要はないと思うが、元来が、保証行為を行なうたてまえがそこに考え方を置かなければならないと私は思うのです。相当の担保があるとすれば、なぜ金融機関がその担保をとって貸し付けをしないのか、むしろ金融機関の肩がわり的な仕事を保証協会が行なっておる。保証協会担保をとらしておる。金融機関はそういう一切の事務的な行為まで省けてしまうわけですから、本来金融機関自体が担保をとって貸し付けすべきそういう一切の義務的行為を保証協会に肩がわりさしておるというならば、金融機械がそれだけなまけておるというか、ずるい考え方融資を行なっておるということになるわけです。私はこういう面は見のがしてはならぬと思うのです。今日金融機関が非常な利益を得ているという反面に、私はそういう公益性に富む協会金融機関の肩がわり的な行為まで引き受けるというようなことは一考を要する問題だと思うのであります。今後の保証業務を行なう上において、原則として担保のないというようなものが保証の対象になるのだ、こういう考え方の上に立ってひとつ十分強力な指導をしていただきたいと思うのです。その問題についてもう一度長官から重ねて明快な考え方を承っておきたいと思います。
  131. 影山衛司

    影山政府委員 先生御指摘の方向で強力に指導をいたしたいと思うわけでございます。中小企業者信用力が乏しくて、通常では金融機関がなかなか信用してくれないというところに問題があるわけでございまして、そういう点の補完及び金融機関のビヘービアの変更、助成ということにつきましても、今後大いに努力していくつもりでございます。
  132. 小山省二

    ○小山(省)委員 時間もないようでございますから、私、一応これで質疑を打ち切りたいと思いますが、どうかひとつ保証業務の強化についてはなお一段と御留意願いまして、全国の業界からそのような苦情の出ないような当局の善処方を重ねてお願いしたいと思います。
  133. 島村一郎

    島村委員長 田中武夫君。
  134. 田中武夫

    田中(武)委員 私は質問ではなく、むしろ要望と確認をいたしたいと思います。  実は昨日の中村委員質問に関連をいたしまして、大臣中座のあと政務次官と長官に申し上げたのですが、法律をつくるときに重要な要件を政令あるいは省令にゆだねる、こういう行き方に対しては前から私は批判をいたしております。実は五十一国会において、本法律の改正案と臨時措置法のときにも同じことを申し上げておるので、その議事録の一部を読んでみますと、これは臨時措置法の関連倒産に対する政府の態度といいますか、法できめるべきものを政府裁量、すなわち、政令、省令に委任したところが多い、こういうところに関連して言ったのですが、「私は次の機会において——そのころはあなたは」この「あなた」というのは山本さんのことを指しておるのですが、「もうかわっておるかもしれないが、中小企業庁の法案に対しては全部けちをつけると断言します。再検討しますかどうですか。」と聞いておるのです。それに対して山本さんは、「先生の強い御要望の線に沿いまして、実情を見て必ずこれは検討して、実際に役に立つ法律にいたしたい、かように考えます。」と、こう答えております。さらに重要なものに対して政令、省令に委任することについての問題につきまして、法制局も私と同じような意見を肯定しております。  そこで、この件について申し上げますが、実は本法律、すなわち信用保険法の第二条で、その対象になる中小企業の範囲を政令できめておるのです。これはいままでの法律でもままあることです。次の第三条の二で、これの資格要件を政令ではなしに省令に委任しておる。きのう中村委員が盛んに、住民税の問題につきまして、完納を条件としておるということにつきまして、いろいろと質問をしております。それに関連して言ったわけですが、このような法律をつくりまして、その法律の適用を受けるか受けないかという一番大事な資格要件を省令にゆだねるというようなことは、私はいつも言うことですが、行政の立法に対する侵害である、このように考えておるわけです。したがいまして、いま直ちに省令にゆだねることを改正せよとかあるいはこの法律自体を改めよとは申しません。しかし、今後いろいろの法律立案のときに重要なことを政令なり省令にゆだねるということは、法を無視した態度だと思うのです。そのことについてもう一度強く私は要望いたします。  きのうは政務次官と長官に申し上げましたが、大臣からもはっきりした考え方を聞いておきまして、今後出てくる法律に対して、私はその点に十分目をつけていきたい。ことに中小企業関係につきましては、そういったような運用の妙ということもあろうと思いますが、省令委任ということが多過ぎる。したがって、法律ではいかにも中小企業のためを考えておりますというような法律の出し方をしておるが、実際の面になると、省令なり政令、ことに通産省令によって締められておって、窓口に行ったら断わられるということが多いのです。今後立法にあたって、きょうは法制局を呼んでおりませんが、十分に考えてもらいたいと思いますが、その点をもう一度確認をいたします。
  135. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま田中委員が述べられた重要な事項はやはり法律の案文の中に入れるべきだという御意見は、私も全く同じ考えです。でありますから、今後の法律制定については、われわれその趣旨を体してやっていきたいと存じます。これは法制局との関係において、こういう法律をみなつくっておるのでありますから、法制局ともその点はよく話し合ってやっていきたいと存じております。
  136. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣がそうおっしゃるならそれでよろしいですが、もう一度申しますと、この信用保険法に関しても、中小企業の範囲を定めるところは、第二条の定義において、政令に一部委任しておる。三条の二において無担保融資を受けるものの資格要件、これが通産省令に委任せられておる。範囲と資格要件のどちらが重要かということはさておきまして、そういう行き方については、与党の諸君もどうですか、私は中小企業庁法律だけではないけれども、そういう重要なところを政令なり省令というような行政権にゆだねることは全く反対です。これは与党の諸君も含めて、行政の立法に対する挑戦、侵害である、侵犯である、こういうふうに申し上げて終わります。
  137. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  本案の質疑は、これを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、本案の質疑は終局いたしました。     —————————————
  139. 島村一郎

    島村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  140. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  141. 島村一郎

    島村委員長 この際、鴨田宗一君外三名から、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案にかかる本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提案者から趣旨の説明を聴取いたします。田中武夫君。
  142. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいま議決されました本法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    中小企業信用保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、左記事項につき所要の措置を講ずべきである。  一、特別小口保険の付保限度額の引上げ、他種保険との併用及び具備すべき要件の緩和について、速やかに改善を図るよう努めること。  二、中小企業向け長期安定資金の確保を図るための必要な制度について検討すること。  三、信用保証協会保証率の引下げ及び保証能力を拡大するため、融資基金、保険準備基金等の増額を図ること。  四、中小企業者に対する金利負担を軽減するため、保証付き借入れの金利引下げについて必要な指導を行なうこと。  五、災害、産炭地域及び倒産関連保証のてん補率を引上げるよう検討すること。 以上が案文でございます。  第一点は特別小口保険についてでありますが、現在、特別小口保険は付保限度額五十万円で、他種保険との併用は認められず、しかも保証を受ける場合の具備すべき要件として、資金の使途、対象企業者、一年以上の居住要件、住民税の所得割りの完納といった制約があるために、当然対象としなければならない零細企業者が対象になり得ないのが実情であります。たとえば、身体障害者が健全な経営を行なっている場合に、社会保障的見地から市町村民税については減免の扱いを受けているが、一方本制度では、住民割りを完納していなければ保証しないといった矛盾が生じるのであります。  また、特別小口保険の付保限度額の引き上げ、他種保険との併用、具備すべき要件につきましては、第五十一回国会において、当委員会で検討すべきであるとの附帯決議を付しましたが、いまだ実現されてない点は遺憾であります。  したがって、特別小口保険につきましては、真の零細企業対策という見地から、零細企業が本制度を利用し、健全な発展ができるよう付保限度額の引き上げ、他種保険との併用及び具備すべき要件については、すみやかに改善をはかるよう努力すべきことを要請いたします。  第二点は、中小企業向け長期安定資金についてであります。  現在、中小企業者にとって必要なものは、長期安定資金であるといっても過言ではありません。したがいまして、中小企業者に対する三年以上の資金について保証協会保証する制度を新たに検討すべきであります。  第三点は、信用保証協会保証料率の引き下げ及び保証能力の拡大についてであります。  保証料率はまだ各保証協会においてまちまちであり、安いところで日歩三厘、高いところで日歩四厘九毛となっておりますが、今後は融資基金、保険準備基金、出捐金等の増額をはかり、保証料率の引き下げをはかるとともに、保証協会の能力を拡大して中小企業者の利用に応ずべきであります。  第四点は、中小企業者に対する金利負担の軽減についてでありますが、担保力信用力があって一般市中銀行より金融を受ける場合と、信用保証協会保証つき借り入れの場合を比較してみますと、保証つき借り入れのほうが金利が高くつくのであります。これは一般市中銀行金利のほかに保証協会に日歩四厘程度保証料を納めなければならないからであります。金利保証料とにより借り入れ負担が過重となっております。  したがって、保証つき借り入れについては、保証料に見合う程度金利一般市中銀行引き下げて、中小企業者金利負担を軽減するよう指導すべきであります。  第五点は、災害、産炭地域及び倒産関連保証のてん補率の引き上げについてであります。  従来まで災害、産炭地域の場合の保証は、てん補率が一般より一〇%高い八〇%となっておりましたが、今回の改正により無担保保険が恒久化せられ、災害等の場合同じの八〇%となりました。したがって、災害、産炭地域、倒産関連保証については、その性格からして、てん補率を引き上げるよう検討すべきであります。  以上決議案の要旨について簡単に御説明をいたしましたが、何とぞ各委員の御賛同をお願い申し上げまして、提案説明を終わります。
  143. 島村一郎

    島村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  144. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。菅野通商産業大臣
  145. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいま御決議なさいました附帯決議を尊重いたしまして、善処することを申し上げます。     —————————————
  146. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  148. 島村一郎

    島村委員長 次回は、明後十六日金曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十九分散会