運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-06-13 第55回国会 衆議院 商工委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月十三日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 河本 敏夫君    理事 田中 武夫君 理事 中村 重光君    理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    遠藤 三郎君       岡本  茂君    神田  博君       黒金 泰美君    小山 省二君       齋藤 憲三君    坂本三十次君       丹羽 久章君    橋口  隆君       三原 朝雄君    武藤 嘉文君       岡田 利春君    佐野  進君       中谷 鉄也君    永井勝次郎君       平岡忠次郎君    古川 喜一君       塚本 三郎君    岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         中小企業庁長官 影山 衛司君  委員外出席者         大蔵省銀行局中         小金融課長   塚本石五郎君         中小企業信用保         険公庫総裁   長村 貞一君         中小企業信用保         険公庫理事   菅 博太郎君         参  考  人         (全国信用保証         協会連合会会         長)      服部富士雄君         参  考  人         (全国信用保証         協会連合会常務         理事)     河村 篤信君     ————————————— 六月十三日  委員中谷鉄也君及び松本忠助辞任につき、そ  の補欠として下平正一君及び岡本富夫君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員下平正一辞任につき、その補欠として中  谷鉄也君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(  内閣提出第七号)      ————◇—————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  本日は、本案審査のため、参考人として全国信用保証協会連合会会長服部富士雄君及び全国信用保証協会連合会常務理事河村篤信君の両君が出席されております。  参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  政府当局並びに参考人に対して質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)委員 それでは金融関係お尋ねをしたいと思いますが、大臣が見えましてから質問することにいたしまして、中小企業信用保険法改正案についてお尋ねをいたします。  まず長官に伺いますが、この特別小口保険の問題につきましては、先般の委員会におきましてもお尋ねをしたわけですけれども、まず保険資格要件について、この前私の質問に対しまして、そういう線で検討を進めてまいりたいという前向きの答弁があったわけであります。その点につきましてお尋ねをしたいと思いますけれども、一応きょうは参考人も見えておることでございますから、特別小口保険利用状況について参考人からお伺いをしてみたいと思います。
  4. 服部富士雄

    服部参考人 ただいま御質問ございました特別小口利用状況でございますが、御承知のように、この制度が発足いたしましてから、保証協会といたしましては、この制度趣旨を徹底をいたしまして、これが利用につきましていろいろ手段を講じてまいったのでございます。当初は若干出足が悪うございましたが、その後、保険限度の三十万円を五十万円に引き上げられまして、あるいはまた、付保条件等が緩和せられるということによりまして、その利用度が上がってまいりまして、四十一年度におきます利用状況は、件数にいたしまして約四万件、金額にいたしまして百五十億円でございます。大体当初予定をいたしておりました数字をあげ得たかと存ずる次第でございます。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 いまの御説明だと、特別小口保険新設がなされた、その線に沿うて順調に進んでいる、利用されているのだというお答えですが、各保証協会別アンバランスが相当あるのではないか。私、非常に関心を持っておりまして、いろいろと数カ所にわたって調査をいたしております。全体の五%程度利用されている保証協会があるのです。それは私の調査した範囲においては最高のものです。そうでなくて、わずかに全体の保険の〇・一%か二%という、全く成績のあがってない保証協会もある。どうしてそういうアンバランスというのが出てくるのであるか。その保証協会が、何というのか、これを普及するための努力というのが不足をいたしておる、あるいはこの資格要件というものをもっとゆるやかにしていく必要があるという私の問題提起に対して、保証協会の人員その他の能力の問題等があって無理ではないかということを中小企業庁長官お答えになったこともある。そういう点からこの利用というものがあまり推進できないのではないか、そこらあたり関係はどうでございますか。
  6. 服部富士雄

    服部参考人 お答え申し上げます。ただいま中村先生からお話のございましたように、無担保保証人利用状況が各県によりましていろいろであるというお話でございますが、大体そのような形になっております。私どもといたしましても、これが利用促進につきましては、いろいろ関係協会とも連絡をいたし、あるいは非常に利用されております協会やり方等資料といたしまして、あまり利用されていない方面に対しても啓蒙をするとか、あるいはまた具体的に保証事務やり方、いわゆる無担保保証事務やり方等につきましても、あまり利用されていない方面に対しまして十分趣旨を徹底し、いろいろ促進をしてまいったのでございます。最近におきましては、そうした方面におきましてもかなり利用されてまいった、かように存じておるのでございます。特に保険公庫より融資されます融資基金、いわゆる特別小口保険に対しまする融資基金割り当て等につきましても、そうした点を十分配慮されまして割り当てが行なわれておるのでございます。何と申しましても無担保保証人保証は、迅速にしかも簡易にいたしまして、ほんとうに零細なる業者に喜んでいただくということに私どもも最も気を配って仕事をいたしているような次第でございます。今後まだ十分ではないように考えております協会等につきましては、これが業務の執行につきまして十分御配慮を願いたい、かように存じているわけであります。  ただ、これの普及の悪いところがある、その普及が悪いという一つの理由として、いわゆる要件がきびし過ぎるからではないかというお話もちょっとあったのでございますが、現に、現在の条件をもちましてお話のようにかなりの%を占めて普及されているところもあるわけでございます。私といたしましては、資格要件が原因で普及の度合いが悪いとは存じ上げないのであります。  以上、簡単でございますが御答弁といたします。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 ただいま利用状況についてのお答えがあったのであります。さらにまた資格要件というものはきびしくはない、これが利用されてない、利用率が非常に低いところは資格要件一つマイナス要因として働いているのではないというお答えであります。しかし、それには私は私なりの考え方がありますから、あとでまた御意見を伺ってみることにいたします。  そこで、公庫総裁でも、菅理事からでもけっこうでございますが、いま服部参考人から、特別小口保険消化が非常に低いところ、あるいは成績のあがっているところがある、そういうところに対しての資金の割り合てについての配慮がなされておるというような意味お答えがあった。その点はどういうような配慮割り当てにおいてなされておるか。一応連合会と話し合いをいたしまして、各保証協会に対して割り当てをしておるのだと思うのであります。したがって、その際この消化をするのかしないのかということの結果は初めはわからないわけでありますから、まず一応この割り当てをしておられる。ところが、いま私が申し上げたように、またあなたのほうでは調査をしていらっしゃるのですからおわかりでございましょうが、まず全体の五%程度利用されているものがある。〇・一%か二%という、全く何というか、特別小口保険というものを、これをそのまましておくわけにはまいらないから、お義理みたいにこの制度を活用しておくにすぎないという協会もある。そういう場合はどういう措置をおとりになっていらっしゃるか。一応その割り当てをしたけれども、これを引き揚げる、そして成績のいいところの協会にその割り当て分を回すというような配慮をしておられるのであるかどうか。それからあなたのほうの指導はどういうようにしておられるのか、まずその点を伺ってみたい。  それから中小企業庁長官に伺いますが、いま参考人からもお答えがあったとおり、また私が指摘をいたしましたように、非常にアンバランスがあるわけです。そういうことに対してあなたのほうはどういう関心を持っていらっしゃるか。また、いままでこれに対する指導というものをどのようになさったか。もうこの制度が実施されましてから相当な年月がたっておる。だが、しかし、いま申し上げたように非常にアンバランスがある。全体の中の〇・一%か二%というようなことがあること自体に全く私は疑問を感じる。いわゆる保証力が非常に弱い、信用補完をしてもらわなければ金融の道というものが開かれないという零細な企業、いわゆる生業の部類に属する業者が非常に多いわけです。そういう人たちはこれに殺到していくというような現象というものが生まれてこなければならないのではないか。にもかかわらず、そのように利用状況というものが非常に低いということには、いままで問題をお感じにならなかったか、またどういう指導をなさったか。一応あなたのほうから先にお答えを願いまして、そのあと信用保険公庫のほうからひとつお答えをしていただきたいと思います。
  8. 影山衛司

    影山政府委員 先生承知のように、この特別小口保険は無担保であり、無保証でございますので、保証協会側から見ますと非常にリスキイ制度でありまして、この点につきまして当初相当消極的であったわけでございますが、私どもは、まずこれが零細企業対策一つの重要な部門を占める制度であることにかんがみまして、実績をあげていくことについて強力な指導を常にいたしておったわけでございます。保証協会の集まりのあるたびにその点も主張いたしますし、あるいは成績の悪い保証協会の県の商工部長あたりにも特別に指導方をお願いしてあるわけでございまして、そういう点で制度趣旨をよく理解されて、熱意をもってこの特別小口関係実績をあげることに力を尽くしておられる保証協会がだんだんとふえてきておるわけでございます。  また、先ほど融資基金の割り振りにつきましても御質問がございましたけれども、この構成比割りあるいは実績割りというふうに、成績をあげたところに融資基金特別小口についても多く流すというようなやり方も、保険公庫と一緒になって指導しておるわけでございまして、そういう点で、私どもとしましては、まずこの実績をあげるということに重点を注いで従来からも指導いたしておるわけでございまして、大体先ほど保証協会連合会会長から御答弁ございましたように、四十一年度は約百五十億の目標を置いておったと思いますが、全体におきましてそれに近いところの数字が、実績があがってきたということは、多少でも保証実績があがってきつつあるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  9. 長村貞一

    長村説明員 公庫融資のことについてお答えを申し上げます。  御承知のとおり、公庫では融資基金によりまして融資をいたしております。これはいろいろな貸し付けをやっておりますけれども、特に特別小口、これは先生指摘のように非常に重要な問題でもございますので、そのために年間二十三億の特別貸し付けワクを設けまして融資をしております。五十一の協会融資をいたしておりますが、その配分の問題が出るわけでございます。これはもちろん初めは実績がございませんから、計画と申しますか見込みと申しますか、それに従って融資ワクを考えるわけでありますけれども、おいおい実績も出てまいりまして、実績のあるところには多く、実績のないところにはそれほどでないという、実績のあがり方によりまして融資方法を方向づけるという考え方で、大ざっぱな話でございますが、融資をいたしております。
  10. 中村重光

    中村(重)委員 その実績というのは、いわゆる無担保保証特別小口保険というのはあまり実績があがらない。だが、しかし、無担保保険であるとかあるいはいままであったいわゆる第一種、第二種というのは成績をあげている、総体的には割り当て消化したのだ、こういうのですね。だが、しかし、特別小口保険というのは非常にアンバランスがある。その点に対してどういう措置をおとりになったのかということをお尋ねをいたしておる。  それから、私は長官に注意を喚起したいと思うのだが、四十一年度でもって百五十億円を消化したんだ、これは大体当初の目標というものは達成された、そういうお答えだ。それは私は参考人からも伺ったのだ。ところが、特別小口保険というものが保証協会によって非常にアンバランスがある。これはどういうわけなのか。だから、そういうことに対して、その利用をされていないような保証協会に対してどういう指導をなさったのか、こういうことに対しての関心はお持ちにならなかったのかということをお尋ねしたのだから、協会のほうがお答えになったことをあなたに、同じような数字をあげて成績があがっているのだということを、そういうお答えを伺うためにお尋ねをしたのではない。だから、質問に対して、どういう点を質問者質問しているのかということを十分お聞きになり、またその点にポイントを置いてお答えにならなければ、時間もありませんから、そういうことはまたたいへんむだになる。だから、それはけっこうです。公庫のほうから伺いましょう。
  11. 長村貞一

    長村説明員 ことばが足りなくて……。融資の場合には、特別小口を含めた全体の成績を勘案はいたします。そのほかに、特別小口だけを中心にいたしまして特別の貸し付けをいたしております。これは特別小口実績中心にしまして、それだけの実績中心にしまして各協会貸し付けを行なう、こういうことにしております。
  12. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、四十年度が非常に成績があがらなかった。したがって実績がないからこの割り当てというものも当然少なくなるのだ。そうすると四十一年度も、実績をあげたいのだけれども配分額が非常に少ないのでどうにもしようがない。そうすると依然としてアンバランスが続くということにもなり、むしろ拡大をしてくるという結果が生じてくると私は思う。だから、そういう実績主義ということだけでなくて、実績のあがっていないところの協会に対してその新しい制度というものを活用させるための努力というものが、連合会においても公庫においてもなされなければならないと私は思う。そういう点をどのように指導しておられるのかということをお尋ねしておるのですから、あなたはまだ御就任になってそう長くはありませんから、菅理事から、あなたは信用保険公庫菅理事として、菅理事保険公庫かというくらいに名主みたいになっているのですから、ひとつあなたのほうからお答えを願いたい。
  13. 菅博太郎

    菅説明員 ただいま先生の御指摘のとおりに、協会別の格差はございます。しかし、昨年に比べてはだいぶ少なくなったと思いますが、それでもなお非常に成績の悪いところがあります。これは当初は実績が薄弱でございますので、保証計画を見ながら貸した。しかし一年以上たっておりますので、今度は実績中心に貸したというわけでございます。今後もそういう保証意欲が非常に強いという場合には、これは検討いたしまして考えたいと思っております。  それから、私どもが一年各保証協会を回りましていろいろ成績の悪いところについて調べましたところ、県とか市町村小口制度というものがございまして、これは相当県なり市町村保証料の補助を出すとか保険でてん補されないものを保険をするというようなことで、非常に優遇した制度をつくっておられる、これが私ども特別小口と競合する点がございます。それで、ただ県の制度は、保証人を徴するという点が、公庫制度よりも悪いわけでございますので、この点については、県制度特別小口対象となるものは保証人を徴しない保証をしていただくように指導いたしてまいっておるのでございます。
  14. 中村重光

    中村(重)委員 いまの私は聞き違いだろうと思うのですが、保証人を徴しないということばがあったのですが、保証人を徴しないというのは、保証人をとらないように指導していく、そういうふうようなお答えですが、これは特別小口保険は無担保保証だから、私の聞き違いだろうと思うのですが、その点もう一度……。
  15. 菅博太郎

    菅説明員 県の制度は、保証人をとるという制度であります。身内保証人等をとっておる。しかし特別小口のほうは保証人がないわけでございますから、この制度のほうがより進歩的だという意味で、県の制度をなるべくこの特別小口に活用してもらうような指導をしてまいったわけであります。
  16. 中村重光

    中村(重)委員 それはそれならけっこうです。それで無担保保証保険事故状況はどうですか。
  17. 菅博太郎

    菅説明員 事故はまだはっきりした見通しはつきませんが、実績の長い協会で調べましたところ、ある協会では、予定よりも出ておるというところと、いや非常に少ないというところがございまして、全体の傾向はまだつかみがたいのではないかと思います。
  18. 中村重光

    中村(重)委員 それは菅理事専門家のあなたのお答えとしてははなはだ不勉強です。少なくとも四十年度の実績はどうであったか、四十一年度がどういうことであったかということを、事故の統計なんというものをあなたのほうはおとりになっていらっしゃる、またそれでなければ指導方法だってないじゃございませんか。だから、わかりませんということでは——いいですか、私が四十二年度に入ってからの実績はいかがでございますかとお尋ねしておるのだったら、いまの答弁でけっこうなんです。ですけれども、いままでずっとやってこられたのだ。だから四十一年度の実績、四十年度の実績というものはおわかりになっていらっしゃる。だからそういう事故状況はどうですかとお尋ねしておるのだから、的確にお答えにならなければいけない。
  19. 菅博太郎

    菅説明員 先生おっしゃるとおりに、保険公庫特別小口に対する今日までの事故率は非常に少のうございます。また、正確な資料はございませんが、何千万円かの段階で非常に少ない、保険価額については非常に少のうございます。ただ、これが非常に長期がおもでございますので、二年あるいは三年という長期のものでございますので、現段階では最終の事故率がちょっと予測しかねるということでございます。
  20. 中村重光

    中村(重)委員 必ずしも二年、三年という長期ばかりが特別小口保険とは言えないでしょう。それは一年だってある。なるほど零細な貸し付けなんだから、支払いをする側だって、できるだけ長期のほうがよろしいけれども、これは国民金融公庫とか政府関係金融機関ということだけが特別小口保険対象じゃないのだから、民間の金融機関というものがほとんどでなければならない。それならば、必ずしも二年、三年というような長期特別小口保険対象であるという考え方というのは、私はどうもお答えがわからないのです。私はそうではないと思うのだ。したがって、事故率というものはもっとはっきりしているのではないかと思うのです。しかしよろしいです。そのことであなたをぎゅうぎゅう締めつけるというようなことで質問しているのじゃないのだから。しかし四十年度の実績とか四十一年度の実績というものは当然あなたのほうは集約をしていらっしゃらなければならないのです。だから質問に対してきちっとお答えになるだけのやはり準備をなさらなければいけない。だから、いやまことに恐縮なんだけれども、実はその資料を持ってきてないので的確な数字お答えできないのだということならば、私も、それではけっこうです、適当な機会にひとつ資料でもお出しください、こう申し上げるけれども、どうもわからないのです、しかも非常に長期になっているので、まだちょっとそういう実績というような形を正確につかむことはできないのだというようなことでは、私はお答えとしては十分ではない、そのように思います。  この点について、連合会参考人のほうでお答えがございますならば伺ってみたいと思います。  続いて参考人に伺いますが、私どもはこの特別小口保険制度新設をいたしました際に、他の保険との併用というものが必要ではないか、そういうことを実は指摘をしてきたわけです。ですけれども併用というものはやはりどうも適当ではない、だからして五十万円の限度でもって特別小口保険というものを利用しておる、だけれども、今度かりに百万円ということになってくると、五十万円をこすと、いままでのいわゆる第一種なら第一種という形に移るのだから、だからして実質的に何も影響ないし、それでいいじゃないかというような実は政府答弁であったわけです。しかし現場では私は必ずしも政府が机の上で考えているようなことじゃないんじゃないか。特別小口保険限度をこすのだから第一種に変えるという場合に、それじゃ第一種に変えたのだから、第一種に移行したのだから、したがって、特別小口保険の場合は無担保保証なんだから、保証をとっていなかったのだけれども、今度は保証が必要なんです。こういうことで、新たに借りる分に対する保証でなくて、前の五十万円までの貸し付けに対しての保証というものを現実問題としてとることができるのかどうか、あるいは金融機関というようなものが、必ずしも同一の金融機関でないという場合もありましょうし、その金融機関が異なるという場合もある、いろいろと事務的な関係なんというものも非常に複雑になってこようかと思うのでありますが、現実にこれを利用してまいられた連合会の立場から、それらの各保証協会のこの問題に対する希望意見といったようなものもずいぶん吸い上げておられると思うのでありますが、これは従来のとおりこれを併用しないということでいいのかどうか、あるいはでき得るならばひとつ併用してもらったほうがよろしいという考え方であるのかどうか、そこらあたり考え方を明らかにしていただきたい。
  21. 服部富士雄

    服部参考人 ただいまの特別小口保険と他の保険との併用の問題でございますが、実は無担保保証人制度は、いわゆるほんとうに零細なる業者方々がまじめに堅実なる経営をしておられる、しかしながら保証人もどうしてもとり得られないという方に対してとりましたる措置かと存ずるのでございます。しかもそれを早く完全に実施をいたすというのがたてまえでございます。したがいまして、担保もあるいはまた保証人もとり得られないようなまじめな健全な経営をしておられる業者方々、こうした方に対しまして、無担保保証人保証をいたしました場合、その後におきまして保証人づきでさらに五十万円金を借りたいと言うた場合、現在の保険法のたてまえでは、従前のいわゆる無担保保証人特別小口保険がいわゆる無担保保険に移行する形になる。そうすると変更しなければなりません。その意味において非常に事務的に繁雑であるということでございます。ただ、その逆でございますね、現在保証人をとって金を借りておる、いわゆる保証づきで、すでに先に金を借りておる、あとで無担保保証人融資を受けたいという方につきましての併用はいかがかと私どもは考えます。前の保証人をとり得られるような方は、これはもちろん保証人の方が、五十万の範囲ならば私は保証しますぞということで、それが百万になるという場合にはわしは保証人にならぬということもあり得るかと思いますけれども、一応保証人をとって融資を受け得る、受けておられる方が、そのあとで無担保保証人融資保証を受けるということは、若干その無担保保証人制度趣旨にそぐわないのじゃないか。そういう意味で、先に保証人づきで融資を受けている、あとで無担保保証人制度を受ける、この併用は私どもとしては望ましくない。先に無保証人で金を借りて、だんだん調子もよくなった、経営もよくなった、事業の内容もよくなった、信用もできた、保証人もつけ得られるという段階になって、保証人づきで金を借りたい、前の無保証人分が残っているという場合の併用、これを一々また無担保保険のほうに切りかえをするというような手続はなくしてやる、その意味併用は、私どもとしてはお願いをしたいという気持ちでございます。この併用意味におきましても、中身が違う点がございますので……。
  22. 中村重光

    中村(重)委員 どうもあなたのいまのお答えがわかりにくくて。これは常識的に考えて、初め無担保保証というものを利用するんです。ところが、それは五十万円までだから——やはり企業もそれだけ信用力もついてくる、資金力がつくわけですから、やはり発展の方向に進むわけでしょう。どうしても五十万じゃ足りないから、やはり百万も借りたい、そういうことになる。またならなければいけないのですね、そのための金融だから。そういう場合に、五十万以上ということになってくると、特別小口保険というものは、それはそれで解消しなければならぬ。併用ができない。いいですか、だから、併用ができるならばそれはそのままでいいわけだ。あとの分は無担保保険利用も、これはありましょう。あるいはまた、今度は第一と第二が一緒になって普通保険ということになるわけですが、普通保険利用するということになる場合もあるでしょう。だけれども併用ができないのだから、前のものも、今度はこれは他の保険に移行しなければいけない、そういうことになる。そうすると、手続的にはやはり無担保保証じゃなくなったんだから、全体の額に対して担保なりあるいは保証人をとらなければならぬという形になる。だから、そういうことは実際は現実的じゃないんじゃないか。無担保保証というのは一応それはそのままにしておいて、ほかの保険はほかの保険として、その以降に借たものに対してつけていくという、併用というのが好ましいのじゃなかろうかというように、私どもは実は政府に対して進言もし、問題提起もしてきた。ところが、どうもぐあいが悪いというので、実はまだこれが実現をしていないというわけなんです。先ほどあなたのお答えを聞いていると、私の言うとおりなのか、そうじゃなくて、初めは無担保保険なりあるいは従来のいわゆる第一種保険なり第二種保険利用しておるんだけれども、その後また五十万円借りる場合に、この無担保保証人特別小口保険利用させてもらうということにしたならばいいんじゃなかろうかという意味お答えもあったわけですよ。いや、あったんだ、みなそれを聞いているんだから。それで、御答弁でちょっと、どういう考え方かなというように解しかねた。もしそうであるとすれば、私はそれは適当でない、無理な要求であろうと、こう思う。ですから、前段私が申し上げたとおり、あなたもそのとおりだとするならば、考え方は一致する。それがよろしいということであるならば、政府も考えてもらわなければならぬ。また保険公庫側もそういうことで考えていく、そういうように改めていくことが現実的であろうと思いますから、いま一度あなたのお答えを伺って、大臣に出席をしていただきましたから、大臣からひとつ、この点は前からのいろいろの懸案ですから、お答えを願いたい、こういうことにしてみたいと思います。
  23. 服部富士雄

    服部参考人 私の申し上げたのは、最初に無担保保証人制度をやっておって、あと保証人づきで金を借りる、それの併用のことを申し上げた。先に保証人づきでやっておる、あとで無保証人でやるというのは望ましくない、そういう趣旨のことを申し上げたのであります。何回となくぐるぐる回転したものですから、おわかりにくかったと思いますが、そういう意味でございます。
  24. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いま中村委員の言われたことは、今日までいろいろ問題があったことだと存じますが、問題は、五十万円ということに限定しているのは、そういう人たち担保もないし保証人もないというのでしたのです。そこで五十万円以上の資金を借りるという場合は、もうその特別小口保険対象とはなり得ないというのが法律のたてまえだと思うのです。しかし、この特別小口保険を設けてから、その後だんだん利用する人がふえてきたようでありますし、そうしてだんだん取引範囲も、すべての経済単位がだんだんと拡大されてきておりますから、その五十万円増額するということ自体については、これはわれわれも検討しなければならぬ、こう考えております。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 大臣、そのとおりだと思うのですよ。五十万までで特別小口保険をつけておるわけですね。それからまた借り入れをやるんですよ、それ以上。その場合には併用ができないのです。これは変えるという場合、非常に手続的にうるさいだけでなくて、現実にこれはもう保険が変わったんですから、保証人を前のものにもつけてください、そういう要求は、保証協会は現実問題としてできないはずだ。だから、そういう形式にこだわることなく、この際やはり前進する方向で問題を処理していくということでなければ、これは進歩はありません。もし大蔵省がそれに抵抗するならば、ひとつ大蔵省に——きょうは大蔵省来ておりますから、大蔵省からもお答えを願いますが、現実無視はだめですね。ですから、大蔵省どうですか、いま議論をお聞きになって、やはりいままでのようなことでこれを押えておかなければならぬというお考えですか、併用することがやはり正しいなというようにお感じになりましたか、考え方を聞かしていただきたい。
  26. 塚本石五郎

    塚本説明員 ただいま大臣から御答弁ございましたように、無担保保証人制度というものは、信用力のない、しかも零細な事業者対象として、それに対して金融をつけるにはどうしたらいいか、そういうようなことで編み出された制度と了解しておるわけであります。したがって、ほかの制度違いまして、いわゆる無担保保険なりあるいはその他の普通の保険と比べましてやはり制度趣旨が違う、異質なものだ、そんなように理解をしておるわけでございます。したがって、いま大臣からもあるいは御答弁がございましたように、併用というのは制度趣旨からしていろいろ問題がある。むしろそうではなくて、いまの制度をこれからどういうふうに利用しやすいように前進的に改善していくか、そういうような現実的なことがこれから検討していかなければならない問題ではないかと思っております。
  27. 中村重光

    中村(重)委員 塚本さん、どうもあなたは大蔵省ベースでものをお考えになるのかもわからないが、異質のものということがほんとうに当たりますか。いいですか。無担保保証制度、これがいわゆる特別小口保険だ。それに無担保保険というのがあるのですね。無担保保険保証人をとるかとらぬかというだけの違いですよ。何も異質じゃございませんよ。保証人をとらないでやっているのも実際はあるのですよ。その特別小口保険以外に、担保もとらなければ保証人もとらないでやっている、そして保証しておるという保証協会がある。この特別小口保険とその他の保険というものが異質だというものの考え方というものは、私は現実的じゃないと思いますね。ただ特別小口保険、これは五十万円まで無担保保証でいくのだ、無担保保険はその名称のごとく担保をとらないで身内保証でけっこうなんだ、そういう制度なんだ。そしてただ金額が、従来は二百万まで、今度は三百万までにこれを増額する、こういうことなんです。決して異質じゃございませんよ。だから、まず無担保保証で五十万まではつけておったのだ、しかしそれでは足りないからもっと借りなければならぬ、その借りた分だけ、借りたものに対しては、また別の保険をそれに適用していく。前の五十万は無担保保証だというのを、それを限度を越えたんだからというので他の保険に移行させるというような従来の制度というようなことに固執されることなく、現実的に問題を処理していくということであってよろしいのではないかというように私は思うのですよ。先ほど来何回か繰り返しましたが、ほかに移行するのだけれども、しかしそれは形式だけで、保証人なんてものをあらためて出してくださいなんていうようなことは、金も貸さないのに、もう金を貸してずっと支払いをやっておるのに、あらためて保証人を出せなんてことは、保証協会はなかなか言えるものじゃないですよ。だから私は、ここで形式にこだわる必要はないのだと思いますね。そう思いませんか。異質だという根本的なものの考え方は何ですか。
  28. 塚本石五郎

    塚本説明員 私の申し上げたことが多少言い過ぎの点があったかと思いますけれども、何といいますか、五人以下の零細な企業の、担保もとれない、それから保証人も立つ人がいない、そういうような人をどうやってめんどうを見ようか、そしていろいろな要件、納税要件あるいは居住要件とか、そういうような要件をつけまして、それに該当すれば、もう簡易迅速に保証していこう、そういうふうなことが、先生承知のように、この制度趣旨でございます。そこで、その他の保険制度制度趣旨が違うということを申し上げたわけでありまして、あるいは異質ということばが多少言い過ぎであったかと思いますけれども、その辺はひとつ御了解を願いたいと思います。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 いいですか、初め五十万までの特別小口保険をつけている。それは黙って二年なら二年、三年なら三年据え置いているのじゃないですよ。ずっと減らしておるのですよ。そして今度はまた新たな金融をする。そういう場合は半年で、あるいは二カ月で、あるいは一年で終わるかもしれないのだ。自然にそれは消えるのですよ。それを待っていいじゃないか、移行したからというのでことさら手続を変えさせて、さあ保証人を出せなんていうことを要求するような、そういう形式にこだわる必要はないのじゃないか、こう言っておるのですよ。だからもっと弾力的に運用さしたらどうかと私はこう言っておる。それがほんとうの生きた行政じゃありませんか。まあ、しかし大臣からさっき前向きの答弁があったわけですから、大蔵省がどういう考え方を持とうとも、少なくともあなたは中小企業の育成ということに対するところの最高責任者ですから、ひとつ大蔵大臣ともお話しになって、前向きで問題を処理して、弾力的な運用をやっていく、そういうことにされることをひとつ強く望んでおきたいと思います。  あなたの時間はまだよろしいですね。——そこで伺いますが、この申し込みに対しまして保証の承諾をすべて与えておるとは思いません。お答えの中から伺いますと、大体目標に達したという程度ではございますけれども、ところがやはりいろんな資格要件がありますから、そこでアウトされているものも相当あるだろう。あるいは保証協会によっては、配分額限度を越えてもっとつけたいけれどもつけられないということで断わられるというようなところもあるだろう。そういうようなことで、申し込みに対して保証の承諾を与えておるもの、与えなかったもの、その比率はどういうことになっておるのか、その点どうでしょうか。これは参考人からでもけっこうでございます。
  30. 服部富士雄

    服部参考人 ただいま資料を持っておりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、申し込みに対して大体八〇%以上は承諾をいたしております。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 それから、先ほど菅理事のほうから、これは非常に長期で二年、三年の保証であるというお答えがあったわけですが、確かにそういう点もあるだろうと思います。短期のものもあるだろうと思いますが、大体どういう状況であるのか。それから、この金融機関、国民金融公庫はこれは政府の資金です。保険の資金も政府資金だ。政府資金の貸し付けに対して政府資金でもって保証するということは好ましいことじゃないじゃないかというので、国民金融公庫貸し付けに対してはこの保険利用しないという方向がいまの方向なんですが、必ずしも絶対ではない、こう思うのです。そこで、商工中金なんかもあるだろうと思うのですが、その比率は、民間と政府関係金融機関との特別小口保険利用している比率はどういう結果になっていますか、正確でなくてもよろしい。
  32. 服部富士雄

    服部参考人 無担保保証人利用は、どういう金融機関にどの程度に利用されているかという問題でございまするが、これもまた資料を持っておりませんので、お答えができませんのですが、大部分民間金融機関であると存じます。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 まだいろいろお尋ねしたいのですが、時間の関係がありますから進めます。  そこで大臣に伺いますが、実はただいま私が申し上げましたように、国民金融公庫はこの特別小口保険というものを実はあまりつけさせないということで指導してきておると思うのです。ところが国民金融公庫の性格からいたしまして、やはり保証人もとらない、担保もとらないというような扱いを、この特別小口保険の精神を考えて、この趣旨にのっとって貸し付けを行なうべきではないかということを、当委員会におきまして数回にわたって実は提起をしてきておるのであります。いままで歴代の通産大臣お答えといたしましては、そのとおりさせるという明確なお答えを受けたことはありませんけれども、やはりそういう方向が望ましいという意味答弁は受けておると私は記憶をしておるわけです。国民金融公庫に対してはあなたの所管ではございませんけれども、やはり零細な中小企業というものが一番たよるものは国民金融公庫である。だから、その公庫貸し付けに対しては、非常に零細な企業者の利用でございますならば、できるだけ特別小口保険趣旨というものを生かしていくということが望ましいのではないか。できるだけ迅速に、そうしてろくに手続を経ないで、担保保証人もとらないというような、ある一定の限度で私はいいと思うのだけれども、そういうことが必要ではないかと思いますが、あなたはどのようにお考えになりますか。
  34. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いま服部参考人からのお話では、民間の資金を利用しておる場合が多いということを承ったわけです。国民金融公庫はやはり金融機関でありますので、金融機関の性質上、無担保保証という資金を出すということは、私は本筋じゃないと思うのです。でありますからして、幸い民間の資金で特別小口保険利用されておるのであれば、現行のままでもいいんじゃないか、こう私は考えております。
  35. 中村重光

    中村(重)委員 あなたがお聞きのとおり、特別小口保険というもの、これは政府関係金融機関ではなくて民間の金融機関というものに対する保証である、全部ではないけれども、そのほとんどはそうだというお答えが実はあった。ところが国民金融公庫の場合は、零細な中小企業者に対するところの貸し付けをするんだから、できるだけ弾力的な運用ということが好ましいのではないかという意味で私は申し上げた。いままで私はこの問題について、歴代の大臣に対して見解を伺っておりますが、あなたが一番うしろ向きの答弁です。経済的に権威者である菅野通産大臣としては、まことにどうも私は好ましい考え方ではない、こう思いますが、この点はあらためてまた、金融全般の問題で三公庫総裁に来てもらうことも考えておりますので、その際にひとつあなたの見解を伺ってみたいと思います。  そこで今度資格要件について、それぞれ御意見を伺いますが、先ほど参考人は、資格要件というものはきびしいものじゃない、裏返していえば、それでけっこうである、十分だ、こういうことになるわけです。私はそうは思わない。限度にいたしましても、当委員会において百万円程度ということが実は附帯決議としてついてあります。私は今度は当然付保険限度を百万あるいは八十万、その程度まで拡大して、院の意思を尊重する改正案をお出しになるであろう、こう期待をいたしておりましたが、お出しになっておられない。この点に対する大臣の御答弁も伺いたいと思うのです。同時に、この要件に対して租税の要件がある。それから居住の要件と事業経歴は同じでありますが、事業経歴の要件というものがついた。それだけではございません。従業員は御承知のとおりに五人以下、商業、サービス業の場合は二人以下という要件がある。いま一つは、資金の使途というものがどういう方向に使われていくのか、これも私は要件一つであると思う。これは厳密な意味において要件ではないとおっしゃるかもしれませんが、私は厳密な意味においてこれは要件であると思う。だからして、この無担保保証特別小口保険というものが、一カ年間同一地域において同一の事業を営んでおる、そして住民税の所得割りを完納しておるということだけで、ストレートにこの保証というものが直ちに適用されておるとは判断をいたしておりません。だから私の判断が間違っておるのか。そうでなくて、それだけの要件を整えておるならば、ストレートでこの無担保保証特別小口保険制度というものが実は適用されておるのかどうか。そういう点は、これは大臣からではなくて、ひとつ長官から前の関連もございますから伺いまして、それぞれこの点は重要な問題でございますから、保険公庫のほうからも、それから参考人のほうからもひとつお答えを願いたいと思います。
  36. 影山衛司

    影山政府委員 この無担保保証は非常に特殊な制度でもございますし、零細企業対策としてこれを推進していくという意味から、形式審査だけで迅速にこれを貸してあげるという意味もありまして、居住要件のほかに、所得割りまでの納税要件をつけておるわけでございまして、そういうことによりまして五十万円までは迅速な保証がなされておるわけでございます。さらに、この前の当委員会においても御答弁いたしましたように、それ以下のものについて、さらに時期はおくれてもいいから、実質審査をなすべきではないかという先生の御質問に対しまして、前向きで検討いたしますというふうに御答弁いたしたわけでございますが、その実質審査をいかにしていくかということにつきましては、寄り寄り検討もいたしておりますけれども、なかなかこの特別小口制度まで無担保保証であるということになりますと、結局のところ先生承知のように、善意の利用者もございますけれども、悪意の利用者もあるわけでございまして、これはいただきであるというふうな観点から、野方図な利用ということになっては困りますので、そういう点も勘案いたしながら、ただいま検討いたしておるような次第でございます。
  37. 中村重光

    中村(重)委員 それでは特別に発言があれば、参考人並びに公庫のほうからのお答えを願ってもけっこうですが、時間の関係から、続いていまの長官お答えに対して、私の考え方を申し上げて、大臣の御答弁を願いたいのですが、私は納税要件というものは改めなければならぬ、緩和しなければならぬと思います。大臣、この点は数回繰り返されてきた問題ですから、よく聞いておいていただきたい。私はこういうことをいつも緩和しろという理論の立て方として申し上げておるのですが、御承知のとおり、所得税にいたしましても、あるいは住民税にいたしましても、あるいは事業税にいたしましても、課税最低限を引き上げていくとか、あるいは控除率というものを引き上げていくとか、そういう能力の弱い、零細な税金を納める者に対しては、できるだけ税金を賦課しないような方向に税制というものは進められてきておると思うのです。いいですか、これは当然のことなんです。ところが、この無担保保証の信用保険というものは、いま私が申し上げたように、長官お答えの中からも、あなたがお聞きになっておわかりのとおりでありますが、住民税の所得割りというものを納めていなければ、実はこの制度対象にならない。そこで今度は住民税も課税最低限というものが実は引き上げられてきておる。所得税の課税最低限も、四十五年度までに政府の方針といたしましても、百万円まで持っていこうとしておる。地方行政委員会において、地方税の問題を審議いたしておるのでありますが、それに対してどういう附帯決議がつけられておるのか、これは長官からその附帯決議の内容についてお答えを願いたいと思うのです。地方税の中における住民税というものがどういう方向に改められていこうとしておるのか。私がいつも言っておるように、逆行する形においてこの政策というものが行なわれておるとお思いにならないかどうか。だから一応その点をあなたからお答えを願って、あとでまた私が質問をいたしますから、最後に大臣お答えを伺うことにいたします。
  38. 影山衛司

    影山政府委員 附帯決議につきましては、つまびらかにいたしていないわけでございますが、昭和四十二年度の税制改正におきましては、扶養控除、基礎控除等が所得税におきましても、また地方税、住民税におきましても引き上げられておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。ただ、基礎控除等が引き上げられますのは、結局のところ、生計費等が上昇するということも考えあわせて引き上げられておるわけでございまして、そういたしますと、やはりコストが上昇いたしておる、そういうコストをまかなって、なおかつ税金が納められるような健全経営をやっておることが結局必要ではないか。この特別小口保険制度というのは、そういう健全経営をやっておる人の一つの目安として、税金を納めておる人ということで考えておるわけでございます。そういう点もあわせまして、また一方では、控除額が上がるにつれてこの恩典を受ける人の数も少なくなっていくじゃないかという先生の御指摘もまたごもっともな点もあるわけでございまして、これはまた今後の検討項目といたしまして、さらに検討いたしていきたいと考えておるわけでございます。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 附帯決議は、大体方向としては、所得税の課税最低限と同じような線をたどるような意味の附帯決議がついた。同時に、来年度はこれがまた引き上げられる。ことしは、四十二年度においては四十三万三千円、これが給与所得者の標準世帯における課税最低限、事業税の場合は三十八万一千五百五十三円、これが事業所得者の課税最低限です。来年はこれが十万円引き上げられてくる方向でございますから、五十万円程度に事業所得の場合なるわけですね。そうすると、それは課税所得だから、したがって経費が引いてあります。今日非常に家賃も高い、あるいはその他のいろいろな営業経費というものも非常に多い。少なくともその二倍程度は営業費として控除されておるであろうと私は思うのです。そうすると約七十数万円であります。それだけの所得者に対してこの無担保保証制度を適用されないということは、ほんとうに現実的であるのかどうか。少なくとも社会政策というものは同じ方向に進んでいかなければなりません。これは大臣も異論のないところだろうと思う。できるだけ零細なそういう事業者の税負担というものを軽減をしていくという方向に税制は進められている。ところが、この同じ社会政策的な制度であるところの無担保保証というものが、その税制上における社会政策的なそういう制度を適用されておるためにこの制度を適用されないということは矛盾していないのかどうかということが大きな問題点であると思う。七十数万円の所得ということになりますと、月に幾らの収入になるのかということは、申し上げなくても、答えは数字として出てくるわけです。  いまひとつ、大臣よくお聞きになってください。身体障害者に対して、あるいはその他の障害者に対して、法律に明記された住民税の減免措置がありますよ。そういう身体障害者等に対しては、住民税の減免措置を講じなければならぬというような、そういう人に対しましてこの制度が適用されないという隘路があるということをほんとうに中小企業庁はお考えになっておるのであるか。また先ほど参考人は、要件はちっともむずかしくありません、こうお答えになりましたが、私がただいま指摘しましたようなことが資格要件として問題がないとお答えになっておるのであろうか。ほんとうに五十一の保証協会の実態というものを連合会は吸い上げていらっしゃるのかどうか。さらに保険公庫は、こうした矛盾した行政のあり方というものに対して、どのようにお考えになっていらっしゃるのであろうか。身体障害者をできるだけ中央においても地方においても包んで、そういう人たちの明るい生活を切り開いていくということでなければならないはずである。そういう人たちが生活保護の適用を受けることがないように、できるだけ商売をやって、その商売によって生計を立てていきたい、庇護によって生きていくのでなくて、みずから自力更生をやっていきたいという、そういう気持ちを持って商売をやっていらっしゃる。だがしかし、税制面においてそういう人たちに対しては減免の措置が講じられておる。したがって、相当な売り上げがあるけれども、所得割りというものがかかっていない。だがしかし、住民税の所得割りがないために、そういう身体障害者に対してこの無担保保証制度が適用されていないということは、これでよろしいのかどうか。これに対して、少しも今日まで政府は矛盾をお考えにならなかったか。依然としてこの制度というものを推し進めていこうとお考えになっていらっしゃるのか。まずこの点に対して、私たちは憤りを持っておるのだ。附帯決議も、すみやかにこれを是正しろということをつけてある。にもかかわらず、法律要件でもない省令でもって改められるのだと私は思うのでありますけれども、なぜにこれを改めようとされないのか。私は、憤りを持っておるのだから、自分の気持ちをさらけ出して問題指摘をやっておるのです。だから、これに対しては、ひとつ関係者のそれぞれ責任ある答弁を伺いたい。
  40. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いま中村委員の述べられたことは、私全く同じ気持ちを持つのであって、いまの免税点が上げられることによって、所得割りが適用できないから、したがってこの特別小口保険の適用を受けられないというケースは、それはあり得ると思うのであります。そこで今日までは、大体迅速に融資をしたいということで、形式的な条件によって決定しておったと思うのでありますが、いま中村委員の述べられたようなことは、今後においては、そういう金融を受けたいという人の実際をよく見て、そういうような社会政策的な恩恵を受けておることによって形式上適用のできないという人は、これは考慮の余地があるのではないかというふうに考えます。要するに問題は、健全な経営を援助するというところに目的があるのでありますから、したがって、そういう意味において身体障害者であるけれども健全にやっておられるというようなものは、そういういろいろな社会政策的な免税のためにこの適用を受けられないということは、これはまことに私から見ると不合理なことだと思うのであって、中村委員がふんまんを抱かれるのはもっともだと思うのであります。今後においては、そういう実質的なことも考慮して、ひとつ金融の道を開くようにしたい、こう考えております。
  41. 中村重光

    中村(重)委員 これもそれぞれお答えを願おうと思いましたが、大臣のこの問題の矛盾を直していくという責任ある答弁でありますから、関係者のその他の答弁は伺いません。  ただ塚本さん、大蔵省は、この問題に対してだけは、先ほど異質ということについては釈明があったわけですから、あらためてこのことについて指摘しませんが、あなたのひとつ考え方をお述べ願いたい。
  42. 塚本石五郎

    塚本説明員 ただいま先生から御指摘のございました要件緩和につきまして、特に身体障害者は健全な経営をしているにもかかわらず税金が減免される、そういう意味で納税要件からはずれてしまう、そういう点で問題ではないかと思います。それに対しまして、いま通産大臣から御答弁があったわけでありますが、私ども実情をよく勉強いたしまして、通産省のほうでいろいろ考えをまとめていただきまして、一緒に研究して勉強していきたい、私はかように考えております。
  43. 中村重光

    中村(重)委員 まあ、考え方大臣からはっきりさせてもらいましたが、事務的な関係から長官に伺います。  この資格要件というのにそれぞれの制限規定があるわけですが、これは何によってやっていますか、政令、省令、業務規定、そのいずれによってやっていますか。
  44. 影山衛司

    影山政府委員 省令でございます。
  45. 田中武夫

    ○田中(武)委員 関連質問。——通産省令ですね。大体、予算委員会をはじめ各委員会でいつも問題にしておるのは行政権の行き過ぎ、行政の法に対する挑戦、この問題を私は今日大きく取り上げて考えねばならないと思うのです。法律ではもちろん政令あるいは省令に委任する規定はあります。法律においていかにもいいことをしたように見せておいて、いざ事務に入ると、政令とか省令とかあるいは業務規定等で中身をなくしてしまうという行き方がたくさんあります。中村委員が、この問題につきましてはもう何年か前に出ていたときから、機会あるごとに主張してきた問題なんです。また、一般中小企業、ことに零細企業からいっても、ともかく無担保で金が貸してもらえるのだ、こういうことで大いに期待をしたと思います。ところが、窓口へ行きますと、あなたは資格がございません、こうこうでございます。税金がこうでございます。というようなことが多いのですよ。これはこのことだけでなくて——大臣がおれば大臣に言うべきことであるけれども、大体、法律で支給しますとか、貸しますとかいっておりながら、政令、省令等で資格を限定する。たとえば養老年金等にしてもそうなんです。そういうことがいまいろんな場合に出てきておる。これは、私は総括して行政権の立法に対する挑戦であり、侵犯である、このように考えているわけです。したがって、法の精神の上に立ってそういう政令なり省令を検討し直す必要がある。具体的に言うなら、ただいまの中村委員質問の点、通産省令であります。ならば、通産省内での検討だけで変えることができるわけなんです。だからそういう上に立って、法の精神を尊重するという上に立って再考するのかしないのか。またこれは次官に申し上げるべきであろうと思いますが、私がいま言っているような行政の行き過ぎ、このことに対しては政府全体が考えるべきである。今後、私は事あるごとにこういう行政の行き過ぎ、立法に対する行政権の侵犯ということにつきましては取り上げてやりますから、これも一つのいい例ですから申し上げておきます。まず、省令の改正に対してどう考えるか。
  46. 影山衛司

    影山政府委員 先生の御持論は、かねてからよく拝聴いたしておるところでございまして、そういう趣旨に従って私どもも運用を改善していきたいというふうに考えております。  この特別小口関係におきまして省令に委任いたしましたのも、一方におきましては、やはり中小零細企業者の権利を守るという点からは、最初から法律で規定したほうがいいのでございますけれどもあと保証協会あたりの基盤の強化をするにつれて、限度あるいは運用で実態を変えていくということになりますと、やはり多少の弾力性を持たしていただいて、そういう方向で前進をしていただいたほうがいいというような見地もございまして、省令にやむを得ずいたしたような次第でございますから、先生の御趣旨は今後ともよく尊重いたしていきたいと思います。
  47. 田中武夫

    ○田中(武)委員 現にいまの省令は変えるのか変えられないのか。
  48. 影山衛司

    影山政府委員 変えられます。それで変える方向で検討いたします。
  49. 中村重光

    中村(重)委員 私が長官にその点は押すつもりでしたが、山本中小企業庁長官、現在の次官も、いまあなたがお答えになったことと同じような答弁をしている。それから三木通産大臣も、先ほどの菅野通産大臣答弁と同じように当時お答えになっておる。同じようなことばかり、いつも問題が指摘されるたびに答えている。今度はほんとうにいまの答弁を実行に移すのか。大体省令ですから、私はそう手続だってたいしてむずかしくないと思う。だからまたこれを繰り返すということはよろしくない。先ほどの通産大臣答弁を政務次官お聞きになったわけですから、ここで政務次官はっきり、いつごろまでに省令改正をやらせるというようになさいますか。もうここぐらいでは、あなたもはっきり答弁してもらったほうがいいですよ。いいですか、先ほど言ったように、当時の三木通産大臣も、いまの菅野通産大臣答弁したと同じような答弁をしておるんですよ。山本次官も中小企業庁長官当時に、いま影山長官答弁したと同じような答弁をしている。もう仏の顔も三度ということもあるじゃないですか。院の附帯決議をいままで軽視、無視してきているんだ。そういう答弁があったのにかかわらず、これを実行に移さないで、もう一度同じようなことを繰り返すということがあっては、私はならぬと思う。だからして、この際ひとつもう少し明確に、手続上の問題が入ってきますから、あなたからお答え願いたい。
  50. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 先ほど大臣お答えになられたところでございますから、早急にそういう御趣旨に沿った省令改正をいたしたいと思います。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 これはだれに質問したらよろしいんですかね、やはり要件一つと見られる資金の使途ですが、先ほど長官からもそれから大臣からもお答えがあったのですが、できるだけ迅速に貸し付けをしなければならない、それを裏返していうと、この要件を備えておるもの、これは一番問題は課税要件ですから、この住民税の所得割りを納めて、納税をしておるという納税証明書を持ってきたら、直ちにこの保証というものがなされなければならないというように答弁の中から判断される。ところが、問題はやはり資金の使途というもの、実際はこの資金の使途という形において調査をやっておるのではないか。だからそれだけの条件が整ったけれども、この資金の使途という形においてどの程度時間をとっておるのか、またこれをその資金の使途という形でアウトというケースが、どういう場合にまずあるのか、これは実情を連合会は各保証協会から吸い上げておられましょうから、ひとつ連合会の両参考人からお答えを願う。そして保険公庫のほうから、今度は菅さんでけっこうですから、ひとつこれに対してどのような指導をしていらっしゃるか、お答えを願いたい。
  52. 服部富士雄

    服部参考人 無担保保証融資に関する資金の使途でございますが、これは事業資金という包括的なことばに相なっております。したがいまして、設備を新設する場合もございましょうし、あるいはまた事業の運転資金に使う場合もございましょう。いずれにいたしましても、事業資金ということでございます。
  53. 菅博太郎

    菅説明員 公庫のほうは、ただいまの先生資格要件があれば、それから事業資金であるということであれば、それ以外の制限は現在いたしておりません。
  54. 中村重光

    中村(重)委員 あなたのほうは、その条件が整っておるならばこれを保証していくということは当然であるという考え方、その上に立っているということは答弁の中からわかるのですが、現実にはやはり資金の使途ということで、条件は整っておるけれども、ただその一点だけでアウトしているということが相当あるということです。私は先ほど、事故はどうなんだと言ったところが、あまりない。事故があることを決して好みません。しかし、そういう資金の使途というような形で非常に条件をきびしくしている。そこも私は事故というものが出ない一つの原因だと思う。だから、決して私は事故が出ることを好むものではない。ないけれども、やはりこの保険制度の特異性という点から考えて、金融の道が開かれていないところのそういう零細な生業者に対して、ある程度の事故が出ることもやむを得ない、そういう態度でもってできるだけこれに保護育成の手を差し伸べていくのでなければ、私は意味がないと思うのです。そういう点は、ひとつ参考人も、この制度というものがほんとうに生きた形において活用されるように十分御留意を願いたい。保険公庫考え方もお聞きのとおりであります。また、いままであなた方のほうでも十分な連絡をとっておられると思うのですが、ところが保証協会は独立採算制である。あとで私はその実態に触れてまいりますけれども、そういう点から、用心第一主義に立っておるということ、そういう点は、ひとつ反省するところは率直に反省をして、この制度趣旨を生かすように留意をしてもらいたいと思います。  そこで、次には無担保保険についてお伺いをいたしますが、時間もずいぶんだってまいりましたから、私もできるだけ単刀直入に簡潔にお尋ねをすることにいたしますが、答弁もひとつそういう方向でお願いしたいと思います。  無担保保険利用状況はどういうことなのかということと、それから、これも承諾を与えた企業の法人と個人というものの比率が大体どういうことになっておるか。さらにまた、申し込みがあったけれども資金の関係からこれに承諾を与え得ないということも相当あるのではないかと思いますが、それらの状況はどういうものであるのか、まずこの点についてお答えを願いたいと思います。これは参考人から伺います。
  55. 服部富士雄

    服部参考人 無担保保険利用状況でございまするが、四十一年度中の承諾件数が約四十九万件、金額にいたしまして二千七百億円、こういう数字になっております。以下御質問になりました数字につきましては、ただいま資料を持ち合わせておりませんので、御答弁をいたしかねます。
  56. 中村重光

    中村(重)委員 そこで、無担保ということですが、保証協会によっては、この無担保というのが実際非常な——無担保というものの解釈ですね。そういうことで非常に現実的ではないという考え方もあるように伺っておりますが、連合会としてはこの点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  57. 服部富士雄

    服部参考人 無担保の意義でございますが、これは保険法に掲げられておりますことばの解釈なり意義によって処置をするということに相なるわけであります。私どもといたしましては、現在格別に不都合は感じておりません。
  58. 中村重光

    中村(重)委員 あなたのほうが別にいまの無担保制度ということについて問題はないということですから、これは保険公庫に問題があるということにおそらくなるのではないか。ところが、無担保というものが、動産、不動産というものがいわゆる担保という解釈に立って、そうでなくて、たとえば代理受領あるいは債権譲渡あるいは積み金、そういうものも担保の範疇に入る、これは私は問題であると思う。ある土建業者に金を貸し付けた。これは金融機関が無担保保険を活用するという形で貸し付けを行なう。ところがその工事は、ずっと工事が進捗をしていかなければ実際にはその価値というものは出てこない。ところが、債権譲渡をするということも担保である。代理受領も担保である。いま一つ、積み立てに対する解釈ですが、相互銀行が昔の無尽方式みたいな形において融資をする場合がある。百万円なら百万円の金を貸し付けた、そしてそれについて掛け金は掛け金として、しかし別に同額のいわゆる積み金というものをやる、この積み金をしてくれなければ実際の効力は発揮しない。ところが、その積み金に対してこれを受領するというような代理受領みたいな形の手続をすると、それは担保機能という形においてこれがアウトになるということが現実にあるのではないか。  だから、まず中小企業庁長官に伺います。担保の解釈は、私がただいま申し上げましたものも担保の解釈のうちに入るのか、いわゆるその範疇に入るのか。また、ただいま私が指摘いたしましたようなことは現実には起こり得ないとお考えになっていらっしゃるか。まず、それらの点についてお答えを伺ってみたいと思います。
  59. 影山衛司

    影山政府委員 私ども担保要件につきまして、物的担保とは何ぞやということの解釈を一応いたしておるわけでございますが、普通の物的担保のほかに、譲渡担保、代物弁済の予約、代理受領、振り込み指定、商手見返り担保、その他これに準ずるものを含んでおります。また、売り掛け金の債権引き当てにつきましては、当該売り掛け金回収の権利を実質的に拘束している場合には担保と解されます。それから、定期積み金引き当てにつきましても、実質的に拘束性預金としている場合には担保と解されます。一般的なお答えになりますが……。
  60. 中村重光

    中村(重)委員 私は、それは間違っておるというほど、これに対してあなたに問題指摘をする確信がないのです。しかし、現実にはこれは参考人は支障はないとおっしゃった。けれども、支障がある。無担保だけれども、二百万円です。今度三百万円までその保険をつけることができるわけですね。したがって、それだけの金額になるわけですから、信用調査があります。担保を持っておっても取ることができない、あるいは持たない人もある。そうすると、その人は事業をやっているのだ、まあだいじょうぶだけれどもなと思っても、そう簡単に保証するわけにはまいらぬ。せめて請負契約なんかの場合のその債権譲渡あるいは代理受領、いま例を私もあげましたし、あなたもあげた。そういう積み金というようなものに対して何か裏づけみたいな形のそういうことをやってもらうと保証できるけれども、どうもそれもやってもらえないということになると保証できません。アウトになっちゃうのです。いいですか、この無担保制度というものがそういう意味では実はありがた迷惑なんです。これは実に問題点です。私は無担保という制度は、これはいいことなんだから、これを担保をとるようにしろというような、そういうような積極的な提言を実は政府にやるほどの確信というものがあるのじゃないのですけれども、現実問題としては、ただいま私が申し上げたように、これは隘路になっているのですよ。この金を借りたい、無担保保険制度対象にしてもらいたい業者人たちほんとうにありがた迷惑がっておるわけです。だからこういうことを何か方法はないだろうか、もう少し弾力的な扱いというものができないものだろうかというように実は思うのですが、この点はどうでしょうか。これは、保険公庫のほうではこの点に対しては確かに何とか考えてみなければいかぬというように、いままでのところそういうことについて検討されたことはございませんか。
  61. 菅博太郎

    菅説明員 先生の御指摘のように、担保の解釈が非常に厳密にいまとられております。したがって、たとえば建設業のような場合に、将来発生する受領権を返済引き当てにした場合でも、いまは担保だということで、無担保保証はできない。こういう点は私ども保証協会の現状からいきまして、できるだけ弾力的に活用の道を開いていただけば、それだけ協会のほうも円滑に使えるのではないかという気がします。
  62. 中村重光

    中村(重)委員 私はきょうは、先ほど申し上げたようなことで、それは担保ではないという解釈の上に立って弾力的にやりなさいというほど確信を持って申し上げません。しかし確かに何か検討してみる必要があるのではないかという気がいたします。業者人たちが私どものところに来るのです。実は保証協会に行きました、無担保保険制度対象として保証してください、こういうのだけれども、まああなたのほうは焦げつきをするとは思わないけれども、ともかく何かかっこうをつけてもらわぬとどうしても踏み切れません、こう言うから、それでは私がある工事金を取るのがありますから、それをあなたのほうに債権譲渡とか代理受領をとることができるようにいたします、私のほうはけっこうです、何も差しつかえないのです、ただそれを書くだけですから、ほかにこの金を持っていこうなんて考えてないのですからけっこうです、こう言ったところが、いやそれも実は担保ということになっているのでだめなんです、こういうわけで実は断わられているのです。どうにもならないのですが、もう少しこれを弾力的に考えてもらうことはできないものでしょうか、こう言って何人もの、実は保証協会に行って、あるいは金融機関に行ってアウトされた業者がある。信用はあるのです。焦げつきなんて出るような人ではないのです。ですけれども、やはり保証する側の協会から見ると、そうもいかないのです。この点はきょうははっきりするとかせぬとかという御答弁はいただきません。ですからひとつ関係者の方々は、何かこの制度というものがうしろ向きにならないというその限度において弾力的にこういうものを運用する方法はないものかどうか、ひとつ御検討いただきたいと思います。  次に、長期安定保証の問題について伺うのでございますが、この長期安定資金というものが、ある協会においてはこれがなされておる。ところがこの長期安定資金というものに対する的確な保証制度というものがない。ところが、現実問題としてやはり長期安定資金というようなものが貸し付けられておるというのに対しては、やはり一つ保険制度というものが考えられていいのではないかというような気がいたします。ですから、この長期安定資金というものの貸し付けが行なわれておる保証協会が全国の五十一の中にどの程度あるのか。また、私がただいま申し上げたようなことに対してどのようにお考えになっていらっしゃるか。検討されたこともあると思うのですが、その検討の結果はどういうことであったのか、ひとつ影山長官からお答えを願いまして、次に参考人からも、実情を把握していらっしゃいましょうから、お答えを願いたいと思います。
  63. 影山衛司

    影山政府委員 長期安定資金につきましては、今度の不況に対処いたします融資のいろいろとめんどうを見てきました経験から、民間の金融機関はあまり長期運転資金等を融資いたしません。したがいまして、商工中金その他政府関係金融機関のほうに長期運転資金を依存してくる傾向が非常に強かったわけでございますが、やはり民間の金融機関につきましても、中小企業者向けの長期運転資金等を安定して供給させる必要がある。それの誘い水といたしまして、できるだけこの保証制度もそういう方向で活用をいたしていきたいということで、今度は三年以上の長期安定資金を引き出す誘い水といたしまして、融資基金配分を通じましてその促進策をはかってまいりたいと思うわけでございます。四十年度あたりにおきましては、件数からいきまして、全体で七十万件のうち一万四千件程度しか三年超の保証を行なっているものはないわけでございます。非常にパーセンテージは低いわけでございます。これをさらに先ほど申し上げましたように融資基金配分等を通じまして長期運転資金のほうを誘導していこうということを考えておるわけでございます。
  64. 中村重光

    中村(重)委員 七十万件のうち一万四千件、これは非常に少ない。この長期安定資金というものがいかに重要な役割りを果たすかということに対しては、これは私からいまさら申し上げるまでもない。いわゆる資本構成というのをどうしても改めなければ企業というものは決して健全になるものではございません。そのためには近代化保険というものは必ずしもぴったりしない。それから従来の第一種保険あるいは第二種保険を適用するということになってまいりましても、これとてもてん補率の問題あるいは資金の限度問題等々やはり問題点が私はあると思う。やはりいまの中小企業の置かれておる現状というものは、いろいろな問題点から非常に苦しい経営をしておる。これを近代化、合理化をしていくという方向でなければならないわけです。そのためには、勢いこの資金構成というものを変えていくということでなければならない。資金構成を変えていくということになりますと、どうしてもそれだけの融資というものがなされなければならない。融資をするということになってまいりましても、必ずしもそれが健全金融とばかりはいえない。この場合は、ある程度の危険負担というものが伴ってくると思う。非常に苦しい企業に対して金を出してやる。それに対してそれを健全化の方向へ持っていかせようとするわけですから、それが軌道に乗っていけばいいですけれども、その過程におきましては必ずしもそういかないという場合がある。そうなってくると、銀行はどうしても融資をする場合に保証協会のいわゆる保証をしてもらわなければならないということになる。その場合は、第一種、第二種保険ということになってくると、七〇%のてん補率ということになってまいりますから、危険負担が非常に大きい。だから、どうしても八〇%ないし九〇%のてん補率というものがやはり必要なんだということになる。だから当然この信用保険法改正案をお出しになる。ただいま長官お答えになりましたとおり、七十万件に対してわずか一万四千件程度の保険をつけることしかできないというような現状でありますから、これに対してはやはり新しい保険制度新設するということが当然検討されなければならなかったのではないか。だから、いまお答えのように、ある程度の資金はつけておるんだとおっしゃいますけれども、その資金だけで問題は解決しない。ただいま私が申し上げましたように、てん補率その他の関係があるわけですから、そういう問題も解決してこなければならないのです。だから、その点はどのようにお考えになっていらっしゃるか、これはおそらく大蔵省との折衝があったと思うのでありますから、この点に対しての担当中小金融課長のお考え方もひとつあわせて伺ってみたいと思います。
  65. 影山衛司

    影山政府委員 長期安定資金あるいは近代化保険等のてん補率を上げることによりまして、この制度促進していくという考え方一つはあるわけでございます。先生承知のように、普通が七〇%でございまして、八〇%というのは、たとえば倒産関連というような重大なもの、あるいは災害の関係とか、あるいは特別小口というような零細企業対策というような、真に必要度の高いものから優先的にこれを行なってきておるわけでございます。それと、零細企業対策というような明確な分野というものについても、それは八〇%は行なってきておりますけれども、まだまだこの長期安定資金あるいは近代化保険というのは、利用するのはいずれかと申しますと零細よりも零細企業でない層も多いわけでございます。特に近代化保険等はそうです。そういう点も勘案いたしまして、いままで八〇%災害並みのてん補率にするというところまではまだ踏み切ってないわけです。これは今後の検討項目ではないかというふうに考えておるわけであります。
  66. 塚本石五郎

    塚本説明員 ただいま企業長官から御答弁のありましたように、いろいろ問題があろうかと思います。てん補率の引き上げ等について問題があろうかと思いますので、今後総合的に、長期資金の融通という目的のためにどういう方法をとるべきであるか、これは要は金融機関長期資金を大いに出しやすいような方策をとることが大事だと思うのでございます。そういう意味で、保険の問題に限らず、広く中小企業に対して長期資金の供給をする体制を整備するにはどうしたらいいか、いろいろ総合的に検討してみなければならない問題があると思います。その一環として今後も検討をする必要があろうと思っております。
  67. 服部富士雄

    服部参考人 長期安定資金の融資促進につきまして中村先生からお話を承ったのでございまするが、私どもも全く同感でございまして、私ども保証協会といたしましては、中小企業者の体質改善のためにはこの長期安定資金を融資いたしますることが最も喫緊の要務であると存じまして、昨年保証協会の全国大会でも私から所信表明といたしましてその点を強調し、国におきましてもその融資促進のために特別にひとつお取り上げ願いたいということを要望してまいったのでございます。本年は、先ほど企業長官よりお話がございましたように、融資基金の面におきまして御配慮を賜わったのでございまするが、保険料その他の点につきましては実現を見なかったのでございます。保証協会におきましては、従来からこの問題の重要性を考えまして、府県の制度といたしましてこの制度をかなり取り上げてまいっておるのでございます。先ほど件数等のお話がございましたが、三年以上というものにつきましては先ほどのような数字でございまするが、それに近いような年限のものにつきましてはかなり行なっておるのではないかと存じます。特に民間金融機関長期ものを出し渋る傾向がございまするが、そうした各府県におきまする制度による融資ということによりまして、そうした機運がかなり盛り上がってまいっております。ちょうどその時期に国においてお取り上げ願いまするならば、さらにこの中小企業金融問題がうまくいくのではなかろうかと存じまして、私どもも国において取り上げていただきたい、かように存じておったのでございます。今後におきましても、私どもこの問題につきましては協会の責任において十分努力をしてまいりたい、かように存じております。
  68. 中村重光

    中村(重)委員 これは統一したいと思うのです。長期安定資金というのが正しいのだと思うのです。先ほど運転資金とお答えになったけれども長期安定資金です。この制度はおそらく中小企業庁と大蔵省との間には折衝されたことがあるのじゃないかと私は思うのです。実際はこれが実を結ばなかったということが現実ではないかと思う。だから、これはどうしても新設をする必要がある。だから、前向きでもってこの制度は検討をされる必要があると思うのですが、まず政務次官のこの点に対するお考えを伺いたい。
  69. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 先ほどから御質問の御趣旨、私も聞いておりまして、なるほどと思っておりますから、長期安定資金に関しましては早急に検討いたしたいと存じます。
  70. 中村重光

    中村(重)委員 近代化保険について伺うのですが、いま長官からお答えがございましたように、今回の改正案については、無担保保険を恒久化するということと、付保険限度を引き上げる、それから第一種をなくし、第二種を普通保険にして付保険限度を上げる、この改正案にとどまる。当然この近代化保険というものを強化拡充をしていくということが、少なくともいま置かれている日本経済の実態から改正案として出されるべきではなかったか、いわゆる資本の自由化ということに対処していくためには、どうしてもこの中小企業を近代化し、合理化していくという要請、至上命令と言って差しつかえないのじゃないかと思いますが、そういう情勢の中にある。そこで当然保険制度を引き上げ、さらにてん補率を引き上げるということを改正案としてお出しになるべきだったが、検討されなかったのか、この点ひとつ長官から伺いたいと思います。
  71. 影山衛司

    影山政府委員 近代化保険対象となります事業、この中の大きなものとして団地があるわけです。今後法律を改正いたしまして、その他の協業化も加わるわけでありますが、大体におきまして、この対象となります事業におきましては、金額が非常に大きいわけでございます。今度御審議をお願いしますところの振興事業団のほうで、それに必要な資金はできるだけめんどうを見る。それが六五%でございますので、あとの三五%は商工中金、中小企業金融公庫等の協調融資を活用して、できるだけそちらの方面で救っていきたいということを考えております。非常に金額も大きいわけでございます。この近代化保険の必要性も認めないわけではありませんが、そこで各保証協会等の基盤が強化していくにつれまして、この限度の引き上げ、その他近代化保険の拡充につきましては、逐次こういうことも実行いたしていきたいというふうに考えております。
  72. 中村重光

    中村(重)委員 いまあなたのお答えを聞いてみると、振興事業団のほうで今度やる、三五%は、商工中金とか中小企業金融公庫でまかなってもらう。したがって、この近代化保険というものの付保険限度を引き上げたり、てん補率を引き上げるということは今度は考えなかった、こういうことなんです。ところが、現実はどうですか。いま五〇%に対しましてでも協調融資というものはなされています。その協調融資をしておるところは商工中金と中小企業金融公庫がもうほとんどやっておるのです。それに対して保険がすべてつけてあるんでしょう、そうじゃありませんか。団地がいま一番困っているのは何であるとあなたお考えになりますか。金を借りたい、金を借りたいけれども、資本投資を相当やった。それから団地に入って、新しく営業を拡大してみたいという関係等もあろう。それから親企業の締めつけというものもあって、単価の引き下げ、その他いろいろな条件というものがあって、なかなか利益が上がらない。そこで、利子負担等における営業コストが上がってきた。それから、いま私が申し上げたようなことで、利潤が低下してきた。だから、借り入れ金の償還ができないという実態、現状にいまあるわけです。そこで、先ほど申し上げました資本の構成というものをひとつ改めていかなければならぬということも起こってくる。このことは振興事業団ができて、六五%の融資が行なわれ、三五%の協調融資というものがなされるという場合におきましても、ただ量だけの問題で、質的には変わらないのです。依然として近代化保険というようなものが、いわゆる限度額であるとか、てん補率であるとかいうようなものを強化していかなければならぬということは少しも変わらない。いまはもう限度一ぱいある。すべての保険利用しているのです。無担保保険利用し、第一種も利用し、第二種も利用し、近代化保険利用し、それでも足りないんだ。いまどうすることもできないんだ。それをどうするかということは、いまの保険制度を強化していくということ以外には解決の道はない。振興事業団ができてからでも同じなんです。振興事業団ができたならば、これで解決するというような安易な考え方をお持ちになるということは、あなたは実態を御存じない。だから、そういうような答弁をなさるんです。現実はそういうものじゃないということを私は申し上げたいのです。私の言うことが違っているかどうか。これは参考人からもひとつお答えを願ってみたいと思うのです。
  73. 影山衛司

    影山政府委員 近代化保険の必要性がないということを申し上げたのではなく、振興事業団というものをつくりまして、できるだけそちらのほうで救っていきたいということを申し上げたわけでございます。一方におきまして、先生指摘のような事由によりまして、近代化保険というものを拡充していく必要性も認めておるわけでございますが、何ぶんにも金額が大きいので、だんだんと保証協会等の基盤強化につとめて、実態を見ながらそれの拡充策を考えていきたいということを申し上げたわけでございます。
  74. 中村重光

    中村(重)委員 あなたのほうでは今度振興事業団法をお出しになる。いままでの点で間違っておったんだから、より中小企業の近代化、合理化を促進し、いわゆる健全経営を進めてまいらなければならないということで、振興事業団法というものをお出しになったんだから、それに伴って当然補完制度をいかに強化していくかということは、そのごとに考えるのではなく、並行して考えていかなければならない。したがって、当然今度改正案をお出しになるべきであったんです。いまお答えになるようなことは現実の姿でない。私が申し上げたことが、これは決して押しつけではございませんが、実態ですよ。せっかく信用保険法改正案をお出しになったのだから、なぜこれを並行してお出しにならなかったのか。それをお尋ねする。だから、大蔵省と折衝して、大蔵省からアウトになったのか、どうしてこのようになったのか、お答えを願いたい。
  75. 影山衛司

    影山政府委員 大蔵省との折衝の過程ではございませんで、先ほど申し上げましたように、近代化保険対象の金額あるいは期間等につきましては相当膨大なものになりますので、これを特に現在の保証協会の力不相応のところまで持っていくのは非常に無理があるという点を勘案いたしまして、ただいまのところは現在程度にとどめました。保険料率は一毛ほど引き下げるわけでございます。それだけは前進の姿である。今後保証協会の基盤強化等につきましても、施策を講じまして、だんだんと限度も引き上げていくということでございます。この点につきましては、中小企業政策審議会の金融委員会におきまして、相当熱心な討議をいたしたわけでございます。そういう無理やりに保証協会に押しつけるという点が多少ほども確信が得られなかったので、この程度の改正にいたした次第でございます。
  76. 中村重光

    中村(重)委員 どうもあなたの答弁答弁のための答弁のような感じがしてしようがない。並行してやれということは、保証協会保証能力を強めるということが実態で、それがなくて何がありますか。保険公庫の資金というものは四十二年九十五億つけておられる。それをもっとふやしていくということでもいいじゃないか。せっかく振興事業団というものをおつくりになって、中小企業の対策というものを強化していこうとなさるならば、不可欠の要件である補完制度というものを強化するのはあたりまえじゃないか。無理やり保証協会に押しつける、こういうことがあってはなりません。当然出捐金の問題にいたしましても、これを当委員会において取り上げられてまいりました。会社等が保証協会に対して出捐金を出します場合には、これをいわゆる損金扱いにするという前向きの取り扱いをされるということになっておる。私はあなたは院の意思を尊重されたのであるからけっこうであると思う。そういう面からも期待はできるでありましょう。  同時に、私はあとで、自治省が見えておられれば、自治省からも伺いたいと思うのでありますけれども、当然この交付税としての扱いというようなものを、この出捐金等に対して配慮する必要がある、そういう面からの解決策だってある。決して保証協会に対して無理やりにこれを押しつけるというのではない。国自体がその必要を感じておられるならば、それだけの措置を講じていくならば、問題は解決するわけなんだから、当然中小企業の近代化、合理化を強力に進めていかなければならぬということは十分理解し、その上に立っていろんな施策を講じながら、信用補完制度というものに対して手をつけられなかったのか、どうしてこれをあと回しにされたのかということを私は問題として言っておるのです。答弁としては、まずこれをやります、そうしてそのあとでこれを考えますなんということは出てくるかもしれない。しかし、少なくともこの信用補完制度というものが中小企業金融問題を解決するための不可欠の要件なんだから、これは並行して考えられてこなければならないわけです。どうもこの点に対してのあなたのほうの扱いというものは、私は片手落ちだという感じがしてならない。きわめて消極的な改正である。私はこれではいけないと思うのです。あと金融問題についてもお尋ねをするのですけれども、中小企業金融というものがいかにむずかしいかということは、実績がこれを証明している。振興事業団をつくったということにおいて中小企業金融難というものが解決をされるのではない。信用補完制度というものを強化するということにおいて中小企業に対するところの資金というものがなめらかに流入されてくるという道は、何よりも優先をして考えていかなければならない措置であると思うが、そのようにはお考えになりませんか。
  77. 影山衛司

    影山政府委員 必要性につきましては、私どもも認めておるわけでございまして、中小企業政策審議会におきましても、相当突っ込んだ熱心な議論がなされたわけでございます。その限度額を、現在組合関係で五千万円でございますけれども、これに対して一億程度までは上げてほしいという要望があることは私ども承知をしておるわけでございます。ところが、これを一億にいたしました場合に、それで七〇%のてん補率、保証協会が三〇%を負担しなければならない。そうしますと、その場合に非常にリスキーな事業が多いわけでございまして、その保証協会自体が負担するところの損失というものも大きくなり過ぎるわけでございます。そういう点も勘案いたしまして、全然別個な制度をつくるのならまた別でございますけれども、いろいろと各方面から検討をいたしまして、現在のところでは、そこまでは踏み切っていないわけでございます。  一方、保証協会の基盤強化につきましては、出捐金につきましては損金扱いをする、それからまた、先ほど先生指摘の地方交付税の交付金の算定基礎にも出捐金を今度は計上してもらうというようなことで、基盤の強化ということも逐次はかっておりますので、もうしばらくこの制度の拡充につきましては時間をかしていただきたいということを申し上げたいわけでございます。
  78. 中村重光

    中村(重)委員 だから、保証協会の損失というものを最少限度にこれを押える、いわゆるてん補率の引き上げなんということが並行して考えられていかなければならないということですね。私が信用補完制度を強化しろという意味は、すべてをひっくるめてそれを言っている。具体的に申し上げたつもりなんです。それをお考えにならなければならなかった、長期安定資金というものをその一環として考えなければならなかったということです。ともかく、改正案というものは非常に消極的だということを私は指摘しておく。いま中小企業政策として求められているものを、実は前面に押し出して取り組んでいない、そのことを指摘しておるわけなんです。  それでは、いまのことと関連をしてまいりますが、大蔵省に伺うのでございますが、保証残高に対して保証倍率の認可基準というものが実はある。私は、これはどうも少しきびし過ぎるのではないかという感じがいたします。だから、この倍率をおきめになった根拠というものはどういうことなのか、その根拠あるいは基準、これを緩和するための検討というものがなされていないのか、まず伺ってみたいと思います。
  79. 塚本石五郎

    塚本説明員 御指摘のございました保証債務の最高限度が基本財産に対して何倍まで認められるかというふうな、いわゆる定款倍率というものだと承知しておるわけでございますが、現在の定款によりますと倍率を定めておるのでございます。その定款倍率の変更につきましては、主務大臣の承認を得ることになっておるわけであります。いま最高が五十倍ということになっておるわけでございます。五十倍ということになりますと、逆算いたしますると、その保証債務の残高に対してちょうど五十分の一ですね。二%ですか、二%のいわゆる基本財産を持つべきである、そういうことになるわけでございます。そこで、二%というものがはたして適正なものであるかどうかというふうな御質問だと思うのでございますが、これにつきましてはいろいろ考え方もあろうかと思いまするが、私どもが一応の基準として考えておりますのは、現在保証いたしまして、それのいわゆる事故率といいますか、代弁率、これが一定の、おおむね二%強だと記憶しておりますけれども、それが全国平均の数字でございますので、中にはかなり高いものもある。また、景気変動等によりましてかなり変動もございます。平均の二%強ですから、かりにこれを三%といたしますと、それに対して、評価によりまして、あるいは季節的な変動、あるいは景気変動等によりまして、安全度を見込みまして、かりに二倍と見まして、三%の二倍ですから六%でございますか、六%の危険度といいますか、リスクがあるわけでございます。それに対しまして、いまのてん補率が七割、あるいはものによって八割、平均して大体のところが七割といたしますると、残りの三割が自己の負担というか、保証協会の負担になるわけでございます。そうすると、先ほど申し上げました六%の三割ですから、約一・八%でございますか、おおむね二%となるわけでございます。その程度の自己資本というものは協会を健全に運営していくという面で必要ではなかろうかというふうな考え方を一応内部的には持っております。  そこで、二%、逆算いたしまして五十倍ということにしておるわけでございまして、現在一応そういうようなことでやっておりますが、これは今後、たとえば協会に対する府県の援助なり協力の度合いということと、あるいは自己資本の充実の度合いとか、そういうものを勘案してやっていくつもりでありまして、必ずしも未来永劫に五十倍が絶対正しいのだということではもちろんございません。それにつきましては、現在のところ五十倍ということを一応の限度としておりますが、これはいろいろ先生の御指摘なりお知恵を拝借いたしまして、将来問題として検討する余地はあろうかと考えております。
  80. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、いままで私が質問してきたことにこれが関連してくるのですが、影山長官が、保証協会の負担というものが非常に大きくなるのではないかと言った。だから、この点非常に重要なんです。百億の保証残高の場合に基本財産は幾らになりますか。
  81. 塚本石五郎

    塚本説明員 いまの五十倍の場合におきましては、二%ですから、二億でございます。
  82. 中村重光

    中村(重)委員 これが二百億になったら四億になる。私は、これがきびしいと言うのです。保証協会が何か民間の会社ならば別ですが、事実上これは国の機関ですよ。国の機関と言っていいのか、地方自治体の機関と言っていいのか、いずれにしても公共的な機関なんです。したがって、保証協会というのは、国あるいは地方自治体からの融資、出捐金——会社、銀行等もこれは出捐金というものを若干出している。いずれにしてもそういうものによって保証協会は運営をなされているわけです。それならば、この保証協会がぶっつぶれるなんてことはないのです。保証協会がぶっつぶれるなら、中小企業そのものが全部がぶっつぶれてしまう。それに対して、あなたの答弁を聞いていると、いかにももっともなように聞こえるのですけれども、そうきびしいワクをはめなくたっていいじゃないかというのですよ。地方自治体は、百億の保証残高に対して基本財産二億を出さなければならない。これが二百億なんということになってくると、四億の基本財産を必要とする。保証協会保証残高がふえるごとに基本財産をふやしていかなければならない。これは地方自治体にとってはそう簡単なものじゃないのです。だからゆるめればそういう問題は解決をする。だからこれをやはり五十倍ということでなくて、ゆるめていくということが必要ではないか。この点に対しては、未来永劫そういうことではないのだ、やはり前向きでもってこれを検討するということでございますけれども、それも期待が持てるような持てないような答弁でありますから、これはそう遠いかなたを見るというのでなくて、そういう保証協会の置かれておる実態というものから考えて、さっそくこれを緩和する、こういう扱いをされる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  83. 塚本石五郎

    塚本説明員 いま先生お話でございますが、おことばを返すようでございますけれども、私ども保証限度が定款倍率による保証最高限度にぶつかって保証ができないで困るのだ、そういう事例は実は聞いたことがないのでございます。現実にどの程度いま余裕があるかと申し上げますと、この四月末で見ますと、約千六百三十億、全国五十一協会設けてございますが、一協会当たり平均しましても三十二億、これは、四月末の保証債務残高は約六千億でございます。これから二割なり三割思い切って延ばさなければ天井にいかない、そういうふうな現実でございます。また私ども保証の倍率を上げてせっかくの中小企業者に対する債務の保証に差しつかえがあってはいかぬ、保証需要に十分こたえられるようにしなければならぬというふうには思っておりますが、その点は先生と全く同感なのでございます。同時に基本財産をふやす努力をひとつしていただきたい。府県なり市町村はひとつ応分に御援助を願いたい。また金融機関も、保証協会経営基盤を強くするために大いに出捐をしてもらいたい。保証協会も収支差額についてそういうふうないろんな努力をしてもらいたい。それと並行しまして、いまの定款倍率の引き上げというものを考えていきたい。やはり両者の調和をとっていかなければならないと考えておるわけでございます。先生の御趣旨のように、どうしても天井につかえて困る、そういうことのないように、私どものほうも定款倍率につきましていろいろ配慮をしていくと同時に、協会に対しまして、基本財産の増強ということにつきまして努力をしていただきたい。先生のおっしゃったような支障、中小企業者に対する保証ができない、そういう支障の起こらぬように努力していきたいと思っております。
  84. 中村重光

    中村(重)委員 簡単なようだけれども、そう簡単じゃないのですよ。いいですか、地方自治体が出捐金を出すわけですね。それが全部基準財政需要額として認められておれば別ですよ。これが全部認められないということになってくると、地方自治体というものは出ししぶるのですよ。基本財産がふえなければ保証倍率はふえないんだから、そうするとそれだけ保証能力というものがないわけだから、あなたが言われるように簡単じゃありませんよ。まず解決をしなければならぬことは——基本財産をふやすために出捐金というものを要請されるということはよろしい、私はその点は異論がありません。しかしやはり保証協会保証料をいかにして下げるかということも同時に並行して考えられなければならない。そのためには、いつも言っておるところの保険準備基金というものをふやしていく、これは依然として八十一億三千七百万円からふえないのでしょう。ふやしなさい、ふやしなさいと言っている。これをふやすということは、焦げつきなんかがあった場合にこれを利用することもできましょうし、事故がない、焦げつきがないという場合には、そういうものによっての運用益としてこれを利用するということもある。だから融資基金だけじゃなくて準備基金もふやしなさいと言うのです。そういうことをなさらなければならない。ただ出捐金だけをふやせふやせというだけでそれを期待されるということは、私は国が一方的だと思う。だからそういう要求をされると同時に、出捐金に対しては全部基準財政需要額として交付税の対象にしなさい、国は当然それをなさる必要がある。きょうは自治省はおいでですか。来ていませんか。——だから塚本さん、これは自治省の所管ですけれども、あなたもそれを求められるならば、大蔵省の威力でもって、自治省に対して基準財政需要額は全額を認めなさい、そういう要求をされたらどうですか。そうして基本財産をふやしなさい。そのために出捐金をふやしていきなさい。これを並行しておやりになるならば、私は何にも言わないのですよ。やるべきことはやらないで、ただ地方自治体に、保証協会に負担だけを要求されるところに問題がある。それがいけないと私は言っておるのです。それをおやりにならなければいかぬ。そうじゃありませんか。
  85. 塚本石五郎

    塚本説明員 まことにごもっともだと思います。いまの地方交付税交付金の都道府県分の商工行政費中金融保証協会出捐金の単位費用をふやしなさい、ふやすという方向で、実は四十年度までは四百万であったのですけれども、これを四十一年度において引き上げ、四十二年度においてさらにこれを引き上げ、現在八百万円にしております。いろいろと努力はしたのでございますが、今後ともこれについてはそういう方向で努力してまいりたいと思います。
  86. 中村重光

    中村(重)委員 これはひとつ政務次官からも、大いに強力に折衝する必要があると思いますから、お答えを願いたいのでありますが、それでは塚本さん、これをゆるめるような方向で前向きで検討する、それから自治省に対しても基準財政需要額として交付税の対象にその出捐金をするように——あなたがそうしますという答えはできないだろう。そういう形で大蔵省としても強力にそれを折衝する、こういうような努力をなさいますか、もう一度……。
  87. 塚本石五郎

    塚本説明員 一中小金融課長の身でございますので、なんでございますが、いまの交付税のことにつきましては、今後とも関係方面に強く働きかけまして、増額の実現に努力してまいりたいと思います。いまの定款倍率の問題は、私が先ほど申し上げましたように、さしあたってその必要がないと考えておりますが、その必要に応じまして、当然保証債務の支障にならぬように措置してまいりたいと思います。
  88. 中村重光

    中村(重)委員 大蔵省は支障がないと言っておるけれども、現実には支障があるのです。
  89. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 いまの御質問でございますが、通産省といたしましても、特に中小企業庁担当でありますから、自治省に対しましては相当強力な折衝を今回重ねたわけでございます。したがいまして、基準財政需要額の費目も、いままでは代位弁済の助成金であったのをはっきりと出捐金といたしました。今回は八百万円が限度になっておりますが、さらに引き上げるということについては、私たちも今後とも努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
  90. 中村重光

    中村(重)委員 ぜひそれをやっていただきたいと思うのです。そうしてできるだけ保証協会保証能力を高めて、剰余金が出たり何かした場合、それを基本財産の中に入れるのでなくて、保証料を引き下げるという方向でなければなりませんよ。だから、塚本さんはさしあたって困らないのだと言っておられるけれども、それは大蔵省のペースから見るから困らないので、あなたのほうは特に中小金融課ですが、中小企業の実態というものに対して認識が足りない。信用保険公庫もあなたのほうの所管であるのに、中小企業者に対し安い金利で融資することをはばんでいる。それはどこに原因があるのか、いろいろな問題をひとつ十分あなたのほうで把握されて、現実遊離な形にならないように、少なくとも中小企業をできるだけ有利な体制に持っていくということについて、あなたがもっと前向きにならなければ、大蔵省の中においては、最もあなたは前面に出なければならない人なんです。そのあなたが理解がないのでは中小企業は浮かばれません。だからその点は十分この際心機一転をして、真の中小企業の味方は大蔵省の中小金融課だ、特に塚本課長である、こういうようなことになってもらわなければどうにもならぬと思います。  次に、保険公庫に伺いますが、この保証協会に対して四十二年度九十五億ということになる。昨年はたしか七十五億でした。そういう資金の配分をされると思うのですが、資金の配分はどういう方法と、それから手続、基準というものによってやっていらっしゃいますか。一々資金の配分を、これは一期にはやらないで、何期かに分けてやっていらっしゃると思いますが、大蔵省に一々お伺いを立ててやるというようなやり方をやっていらっしゃるのか、そこらの手続、基準等を伺っておきたいと思います。
  91. 長村貞一

    長村説明員 大体のことを私のほうからお答え申し上げます。融資金の配分につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、大ざっぱに分けますと、一般の貸し付けと申しますか、全般的に見てそれぞれの保証協会保証の額を増大するにはどうしたらいいかという見地からするものと、たとえば特別小口、無担保等の特殊な保証の増大のための貸し付けと二つに分けております。いずれにいたしましても、あるいはいままでの融資実績、あるいはまたそれに将来の計画等も勘案いたしましてやっておりますが、大蔵省あるいは中小企業庁、監督官庁と十分にお打ち合わせをした上で決定をいたしておるわけでございます。個々の貸し付けあるいは特別貸し付けにつきましての具体的な基準、さらに詳細は、御質問によりまして菅理事から申し上げたいと思います。
  92. 中村重光

    中村(重)委員 どうもあなたのお答えを伺っておりますと、何ですか、大蔵省その他との打ち合わせをやっていらっしゃるということでございますが、まあ打ち合わせを全然するなとは言いませんけれども、あなたのほうに四十二年度は九十五億という政府の出資がなされた。その配分は自主的におやりになる——あまりあちこちと相談するとチェックされて自主性を失います。だから自主性を失わないように、あまり干渉させる必要は私はないと思う。そういう点は、何というか、十分な権威を持っておるのは、実態をつかんでおるという点においては、やはりあなたのほうでしょう。そういう点は、十分必要な話し合いということは、これは私はやるなとは言いません。自主性をそこなうような形のいろいろな手続、話し合いというものはおやりになる必要はない。また大蔵省なり通産省なり、保険公庫が十分な機能を発揮するためには、あまり必要以上の干渉がましいことをやられる必要はないんじゃないか、私はそう思います。異論もあるかもしれませんが、もしあれば伺いますけれども、この点は私も希望として申し上げたのですから。  次に、いつも言っておることですが、保証協会保証機能を強化していくというためには、この代位弁済をした者に対して、焦げつきに対する回収を強力に進めておられる。これに対しては、保証協会に対して還元する必要があるんじゃないか。保証協会ばかり骨折り損のくたびれもうけみたいでは困る。これを絶えず私は提起をして、菅理事は前回の私の質問に対しては、そういうことにいたしますと、これはもうはっきり言明をしていらっしゃる。だから、これはどのように改められたか、ひとつ実情を聞かしていただきたい。
  93. 菅博太郎

    菅説明員 還付金は、先生指摘のように、かりに回収費用の一部を保証協会に還元したいということで、もっともな御議論でございますから、私どものほうは毎年予算要求としては政府にお願いをいたしておるわけでございます。ただ、これは毎年実現を見ませんので、私ども努力が足りないわけでございますが、政府におかれては、保険料の引き下げとかあるいは低利資金の増大等もあるので、がまんしてくれというようなことになって、今日まで要求が実現を見ておらない実情でございます。
  94. 中村重光

    中村(重)委員 では、これも塚本さんのほうになるわけですか、お聞きのとおりなんだけれども、焦げついたのを保証協会が回収する。回収するには費用だって要るわけですよ。人も動かなければならぬ、車馬賃だって要る、いろいろな費用が要るでしょう。それはやはり保証協会にその回収したものを還元していく。費用の全部ではないから、そういう意味ではことばは一部負担——半分も一部負担でしょうし、七割も一部負担ということになるのかもしれませんが、ともかく保証協会に回収金を還元をしていく。経費負担という名目でけっこうだろうと思うが、これは当然おやりにならなければならない。協会のほうで保証したのだから、これは協会のほうが見込みが違っていたのだ、だからその責任は自分で負いなさい、こういうことだけでは私はいかぬと思う。その点はどうお思いになりますか。
  95. 塚本石五郎

    塚本説明員 これは主計官から御答弁申し上げなければならぬことだろうと思いますが、ただ私の推測といいますか、私の感じを申し上げますると、いまの、回収に大いに努力したのだから、そのために経費がかかった、それをひとつ見てくれ、そのような気持ちは非常によくわかるのでございますけれども、おそらく主計局の考え方としては、たとえば全体の保険料の体系とかあるいは融資基金とか、そういうもので見ておるのだ。見ておると言えばそれは見ておると言えると思いますが、全体のどんぶり勘定の中で見ておるのじゃないか。それを還付金といいますか、かかった経費を償ってあげよう、返してあげようということになりますと、それはその分保険料を上げるとかあるいは融資金の配分についてもっと減らすとか、これは非常にこまかい話になって恐縮でございますけれども、そういうふうなことで、あっちを立てればこっちがひっ込むということにしいて言えばなるわけでございます。全体で見ておるのだから、そこのこまかいところはいいのじゃないかということも一つの主計局の考え方じゃないかと思うのですけれども、これも一理あるように思います。どうも私それ以上は担当者でございませんので……。
  96. 中村重光

    中村(重)委員 では、あなたから主計官に話をしておいてもらいたいと思いますが、私は一理はないと思う。融資金だって、これは保険をつけるために、その九十五億なら九十五億保険公庫に今度は出資される。だからその政府融資、それによって今度はそれぞれ配分をするわけです。だからそれでもってこの回収金に対しての経費を見たということにならないと私は思うのです。だから、国は、大蔵省は一銭も損はせぬ、取るだけは取るというようなものの考え方ではなくて、やはり保証協会に対してもう少しゆとりを持った取り組みをさせることが必要じゃないですか。焦げつきだって相当ありますよ。そういう場合に、保証協会がその焦げつきを回収するためにはやはり相当な労力というものを費やしておる。保証協会の機能というものは、そういう面については相当ほかの業務のための機能というものを阻害されるのですよ。そういうことをやったのだから、それはそれとして、いろいろな理屈を言わないで、やはりそれだけ回収したならば、何%かはこれに還元をするということをきちっときめてやっていいじゃないですか。そうしないでおって、ともかく取るだけを取るということでは、保証協会保証能力は強化されていきませんよ。保証料だって下がりませんよ。いつも私は言っておるのですけれども、これは実現をしない。塚本さんあたりよく聞いておいてもらいたい。大企業への融資に対してなぜに利子が安いのですか。これは大企業は信用力があるからそれだけ安い、こういうことになるのでしょう。それならば中小企業は非常に信用力が弱い。しかし保証協会保証したものは、七〇%、八〇%のてん補率というものが事故が起こった場合にあるのだ。信用力は強大ですよ、何よりも強い。それに対してちっとも利子は安くしないじゃありませんか。保証をつけたものに対してはその保証料だけは下げる、金利を下げていく、当然それがなされなければならない。そういうことだってやらないのですよ。だから私は大蔵省がほんとうに反省をしなければ、ほんとうの中小企業の健全な経営というものをさせる、時代の要請にこたえるほんとうの役割りを果たさせるということにはならないと思うのです。だからそういう点はあなたがその中小金融課長という立場から、たとえば相互銀行とか信用金庫、そういうような金融機関の問題を取り扱うことが中小金融課の仕事だというふうに狭く考えず、それに関連して中小企業というのはつながっているのだから、中小企業そのものを強くしていくというような観点に立って強力に、先ほども申し上げたが、大蔵省の中でがんばってもらわなければ——ともかく主計官の言うことも一理があります、ごもっともなようですということでは私は問題だと思いますね。私が言っていることはほんとうでしょう。中小企業者こそ大企業よりももっと金利を安くしていくのでなければ格差の解消もできないでしょう。何の不安があるのです。保証協会保証しているということに対しては、最も信用力が強大なら、それだけ金利を下げてやる、何回私はこれを繰り返して言っても言い足らない。それもさっきの特別小口保険制度と同じように私は憤りを感じているのだ。矛盾がある。これはひとつもう一ぺんあなたの前向きの答弁を伺って次に進みたいと思います。
  97. 塚本石五郎

    塚本説明員 保証づきの貸し出しに対する金利がそれに保証料がオンされるので非常に中小企業者の負担が高くなる、何とかひとつ金利を安くして、中小企業者の負担を軽減しようという、その御趣旨には全く同感でございまして、実はいろいろな機会に金融機関指導しておりまして、特に一昨年でございましたか、通牒を出しまして、よく指導せよ、金利の引き下げにつきましていまの保証貸し出し金の金利の引き下げについては金融機関指導せよという通達を出しました。その後も機会あるごとに言っておるのでございますが、その結果、私どもの手元の資料によりますと、現実に引き下げている分が場合によっては安い日歩一厘くらいのものもございますが、中には三厘以上引き下げるというようなものもある。この保証料の平均が約四厘かと思いますので、したがって、中には保証料まるまるまけておる、こういうものもある。しかし、平均いたしますると、先生のおっしゃるように、まだまだ十分でございません。一厘なり二厘というのが大体多いように見ております。したがって、保証料が乗っかる分は金融機関がそれをまけてやる、そういう心がけでやってもらいたい、そういうつもりで指導してまいりたいと思っております。ただ、これは金融機関一つ企業体でございますので、もうけを全く吐き出すわけにもいかぬ、また損をしてまで貸し出すわけにまいらぬ、指導が行き過ぎますと、それじゃ保証つきの貸し出しはいやだということでしり込みされても困るので、その辺のかね合いがちょっとむずかしいと思いますが、極力もうけを吐き出して保証料の額をオンする分を軽減するように、金利をまけるように強く今後におきましても指導してまいりたいと思います。先ほど先生からいろいろ御激励なり御叱正をいただきまして、私ども身ぶるいのする思いがいたします。大いにがんばらしていただきたいと思います。
  98. 中村重光

    中村(重)委員 時間がだいぶたちましたから促進をしますが、参考人に伺います。  保険の種類というものは御承知のとおり幾つもあるわけです。現実の保証協会保証する保険の種類によって保険の料率も違うのだから、保証料率というのも区別をしておりますか、その点はどうですか。
  99. 服部富士雄

    服部参考人 保証料率の実態でございますが、これは保険の種別によりまして保証料率に差はつけておらないのが大体の現況でございます。大体の傾向といたしましては、たとえば金額五十万円以下、百万円以下、百万円超というような金額によりまして保証料の利率を変えていく、もう一つは、いわゆる制度保証等につきましてはまたそれよりも安い保証料率を定めてやっているというような内容に相なっておりまして、必ずしも保険料率とは一致してないのが現況ではないか、かように存じます。
  100. 中村重光

    中村(重)委員 影山長官、お聞きのとおり。そこで今度は保険公庫に伺いますが、保険の種類によって保証料率が違うのは、私はそれぞれの意味があると思う。そこで末端で保険の種類によって保証料率を変えないということがいいのか、あなたのほうはそれでいいとお考えになっていらっしゃるのか、その点見解をひとつ伺っておきたいと思います。
  101. 長村貞一

    長村説明員 保険の種別は御承知のとおりでございますけれども、これと保証とのつながりということを考えますと、一方保証協会それ自身の一つの採算というものがございましょうし、私まだ経験は浅いのでございますが、保険の種別に従って当然保証料率が変わったほうがいいか、あるいはいまお話しのように、現状のように融資の額に応じて変えたほうがいいか。私は保険の種別に従って当然に変わらなければならぬというほどのことはないような感じがいまいたします。
  102. 中村重光

    中村(重)委員 そういうような考え方もある。ところが特別小口保険、非常に零細です。信用力が弱い。そういう零細な中小企業者に対しては、私は保証料は当然引き下げていくことが必要だと思う。要するに、保険というのはその種類別によって保険料率を変えているというところに意義があるのじゃないですか。そうでなければ一律にしたらいいじゃありませんか。そうして適当に案分させるということだってできる。しかしそれじゃいけない、やはりこういう保険制度の料率はこうしなければいかぬということで、それぞれの意義がある。それならば末端で趣旨が生かされていくということは常識じゃないでしょうか。そうじゃないですかね。零細な業者特別小口保険だって、その他の中小企業のそれだって同じでけっこうだというのですか。配慮があってしかるべきじゃないですか。
  103. 服部富士雄

    服部参考人 私が先ほど中村先生からの御質問お答え申し上げましたのは、ただ一般的に申し上げたわけでございます。現実の問題といたしましては、特別小口、いわゆる無担保保証人、五十万円以内というようなものにつきましては、非常に保証料率を低くいたしております。その点におきましては保険料率と見合って保証料率も定められているということになります。ただ第二種保険等は、たとえばいま二厘二毛でございますか、ということで広い範囲になっております。ところが保証協会におきましては、それを百万円以下とか、百万円以上とか、あるいは五百万円以下というようにいろいろ区分をしてきめているということでございまして、私の先ほど申し上げましたのは包括的なことで、現実に零細企業者等に対します保証料率は実は保険料率に見合う以上に下げているのじゃないか、かように存じております。
  104. 中村重光

    中村(重)委員 長村総裁、私もそうだと思います。でなければ保険の料率を区別した意味がないではありませんか。長崎県の保証協会の例を私調べてみたのですが、特別小口保険長期安定資金の保証料率は四厘五毛、その他は全部四厘六毛、近代化資金なんか、私この前影山長官に当然保証料率は下げていくというやり方が必要であると言ったら、そのとおりであります、そういうようにやっておりますという意味答弁をなさったのだけれども、現実はいまお聞きになるとおり。特別小口保険、これは当然なことでございますが、配慮している。私は協会連合会のそういう指導というものは正しいと思う。しかし不徹底であるということは事実でありまして、ましてや保険公庫のものの考え方というものが保険料率と保証というものは必ずしも一致した方向に進む必要はないのじゃないかというものの考え方、これは私は納得できません。ですからその点はあなたはあなたなりのものの考え方があるわけでしょう。どうもその点は、まだ御就任になってから長くないわけですから、十分実態を把握していないというような点もありましょうけれども、私はおのずから常識的にどうあるべきかということは出てくるのではないかと思います。ですから十分検討されて生かしていくように配慮していただきたい、こう思います。同時に、私は重ねて申し上げたいのでありますが、これは塚本さんもいまから言うことは非常に気に入られると思うのです。せっかく会社なんかの出捐金なんかにいたしましても、今度は損金扱いにするという免税の措置が講じられている、そういったようなこと、それからあなたのほうも保証協会に対してできるだけその保証能力を強めるために資金を回していく、いろいろな措置をやっているけれども保証協会保証料を下げない、あるいは当該府県が出捐金を出さないというようなことに対しては、やはりき然たる態度をおとりになる必要がある。懲罰とはあえて私は言いませんけれども、ある程度、そういう誠意がない、みずから正すところを正さない、やるべきことをやらない、そういう非協力な都道府県に対してはおきゅうをすえていく必要がある。同時に、そのことは先ほど交付税の対象として当然減額を見ることをやるべきだということを申し上げた。中には交付税の対象としてめんどうを見ているのがあるのです。それすらも出捐をしていない都道府県があるのです。私は調査していますよ、あえてきょうはその県の名前は出しませんが、もってのほかです。交付税の基準財政需要額に出捐金を見てもらっているのです。したがって、交付税はそれだけ配分されているのですよ。にもかかわらずそれだけの出捐金を出していない都道府県がある。あなたのほうでは調査しておられないかもしれない。しかしそういうことは調査をして、そういう誠意のない都道府県に対しては厳然たる態度をもって臨んでいく。ある程度一時的でもしかたがないから、何というか、これに対して割り当てをやらぬぞというくらいの強力な態度で、保証協会に対してだけではなく、その都道府県の知事と強力にひとつ話し合いをする、こういうことをなさる必要があると私は思う。この点政務次官も同じではないかと思いますが、どうですか、私が申し上げたとおりあるのです。
  105. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 各府県の熱意ということもございましょうが、万一そういう府県がありました場合には、当然よき指導意味におきまして、ある程度そうしたことも必要じゃないかと考えております。
  106. 中村重光

    中村(重)委員 これは割り当てをするんだ、しなければ中小企業者が困る。中小企業者を犠牲にしてはいけませんから、決してやるなとは言わないけれども、少なくともかまえとしてはそういうかまえでもって、やはり保険公庫は対処してもらいたいと思います。  そこで連合会に伺いますが、保証料の概念ですが、これはどうでしょうか。金利という概念の中に入りましょうか。これを言うのは、保証料率が各保証協会によって一率ではないのです、違うのですね。また保証料の取り方も違うでしょう。いわゆる逓減方式をとっている保証協会がある。それから六カ月間の箱取りで取っている保証協会がある。だから、この料率だけ見て高いということできめつけるわけには私はいかないと思う。逓減でいくと高くったってずっと下がるわけでしょう。箱取りになってくると、年二回だけしか下がらないのですね。だから、見せかけは低いようであっても、その中小企業者の負担というものは大きいということがある。だから、ここらあたりも十分あなたのほうも検討しておられるだろうと思う。そこで、やはり根本は、保証料というものはどういうものか、利子という概念に入るのか入らないのか。これは実際は入らないんだろうと思うのですけれども、やはりそういう保証料率を引き下げるというような指導をされると同時に、逓減方式をとるのか、あるいは箱取りという形でいいのか。箱取りだと割引方式との関連も当然考えられてくると思うのですが、そういうような点に対してどういうようにお考えになっていらっしゃるか、この点はひとつ保険公庫連合会のほうからお答えを願いたい。
  107. 服部富士雄

    服部参考人 保証料の意義と申しますか、定義でございますが、実は私ども連合会自体におきまして、いろいろ委員会を持ちまして、その問題について研究をいたしておるのでございますが、はっきりした定義というものを見出し得ないのであります。保証料保証料なりということ以外にはちょっとないと思います。ただ、その性質といたしましては、いわゆる協会の経費並びに危険負担を持つものであるというように解釈をいたしまして、それに合いますような保証料の徴求方法と申しますか、そういうものを連合会に特別委員会を持ちまして従来研究してまいったのでありますが、お話のありましたように箱取りかあるいはまた割引にするかというような問題もありまして、一応の連合会としての案を得まして各協会に連絡をいたしておるのでございます。ただ、保証料の徴求に関連しまして、いわゆる均等償還につきましては割引料率を適用していく、その場合にやはり保険公庫保険料の徴収方法の問題に関連をいたします。したがいまして、保険公庫と連絡をいたしつつ保証協会保証料徴求につきましても、さらに今後検討を加えてまいりたい、かように存じております。
  108. 菅博太郎

    菅説明員 私も保証料は金利ではないと思うのです。資金の使用料と金利とはおのずから違う、やはり保証料というものは金利とは別にあるものだと思いますが、一般の中小企業の方は、金利と同じように考えておられる方が多い。そこで、理屈は別といたしまして、やはり保証料も金利の一部だということが利用される方の感触だと思います。それで、公庫のほうでも当初の保険価額でいただきますが、割賦条件については、その割賦した分だけ割り引いた料率を考えようということで、いま検討いたしております。
  109. 中村重光

    中村(重)委員 いずれにしても保証料はできるだけ下げる、また下げられるように政府も十分ひとつ資金的な措置をしてやるということをしてもらいたいと思います。なおまた、取り方ということもいろいろありましょうけれども、要は、末端の中小企業者の負担をいかに軽減するかということにあるわけです。菅理事お答えになりましたように、負担する側はこれは事実上金利です、概念的にはどういうことになるかということは別として。だから、そういう点はできるだけ安くなるように、制度面においても検討してもらいたいと思います。  金融問題、またその保険問題等につきましてもいろいろとお尋ねしたいこともあるわけですが、大臣が時間がありますときにあらためてまたお尋ねすることにして、きょうはこれをもって一応保留して終わります。
  110. 島村一郎

    島村委員長 ほかに御発言もなければ、参考人に対する質疑はこれをもって終了することといたします。  参考人各位には、御多用中のところ、長時間にわたり御出席をいただきまして、ありがとうございました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明十四日水曜日午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十一分散会