運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-06-09 第55回国会 衆議院 商工委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月九日(金曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 鴨田 宗一君    理事 河本 敏夫君 理事 中川 俊思君    理事 田中 武夫君 理事 中村 重光君    理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    小笠 公韶君       岡本  茂君    神田  博君       黒金 泰美君    小山 省二君       齋藤 憲三君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    田中 六助君       丹羽 久章君    橋口  隆君       三原 朝雄君    武藤 嘉文君       石野 久男君    佐野  進君       中谷 鉄也君    永井勝次郎君       平岡忠次郎君    古川 喜一君       鈴木  一君    塚本 三郎君       吉田 泰造君    近江巳記夫君       松本 忠助君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業省通商         局長      山崎 隆造君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君         通商産業省公益         事業局長    安達 次郎君         中小企業庁長官 影山 衛司君         中小企業庁次長 金井多喜男君  委員外出席者         外務省中近東ア         フリカ局中近東         課長      椋本伊三郎君         通商産業大臣官         房総合エネル         ギー政策課長  田中 芳秋君         通商産業省貿易         振興局経済協力         部長      高橋 淑郎君         通商産業省重工         業局次長    赤沢 璋一君         運輸省海運局次         長       高林 康一君     ————————————— 六月八日  委員岡崎英城君及び中谷鉄也辞任につき、そ  の補欠として中村梅吉君及び下平正一君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員中村梅吉君及び下平正一辞任につき、そ  の補欠として岡崎英城君及び中谷鉄也君が議長  の指名委員に選任された。 同月九日  委員中谷鉄也君、塚本三郎君及び岡本富夫君辞  任につき、その補欠として下平正一君、鈴木一  君及び松本忠助君が議長指名委員に選任さ  れた。 同日  委員下平正一君及び鈴木一辞任につき、その  補欠として中谷鉄也君及び塚本三郎君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 六月九日  電気工事業及び電気工事士法案麻生良方君外  二名提出衆法第二〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中小企業振興事業団法案内閣提出第八一号)  通商産業基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  先ほどの理事会の御協議に基づきまして、内閣提出中小企業信用保険法の一部を改正する法律案審査のため、参考人から意見を聴取することとし、その人選、日時、手続等に関しましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。      ————◇—————
  4. 島村一郎

    島村委員長 通商産業基本施策に関する件について調査を進めます。質疑申し出がありますので、これを許します。橋口隆君。
  5. 橋口隆

    橋口委員 最近勃発いたしました中東戦争に関連をいたしまして、通産大臣石油問題についてお伺いしたいと思います。  中東では長い間の緊迫状態が破れまして、去る五日、ついに戦端が聞かれたようでございます。その後直ちに国連の安保理事会において停戦の決議が採択をされましたが、現在すでに停戦中のものは、実質的にはイスラエルヨルダンの間だけだろうと思われるのでございます。したがって、この戦争が直ちに拡大するとは考えられませんけれども、しかし早急に戦闘行為が終息し、そして平和がもたらされるとは限らないのでございます。いままでも、外電の報ずるところによりますと、この紛争長期化し、また複雑化するであろうという見通しのようでございます。そこで、この中東戦争は、対岸の火災視するわけにはいかないので、わが国にとっては、死活的な重大性をはらんでいると思うのでございます。それは、わが国石油は全輸入量のほとんど九〇%までを中東地域依存しておるわけでございますが、これがもしかりに途絶した場合には、国民経済にはかり知れない大きな影響を与えるものと思われます。発電用の重原油はすでに全体の五四%を占め、また国民の総エネルギーにおいて六〇%の高い比重を石油は持っていると思われるのでございます。そこで、わが国のこの石油の非常な重大性、それからまた差し迫った問題といたしましては、すでにアラブ諸国英米に対しましては石油輸出を禁止する旨の声明を出しております。また去る五月三十日戦乱に先立って、クウェート日本に対してすでに通告をいたしております。日本イスラエルを支持する場合は、クウェートにある日本利権のすべてを保障できないというような通告すら与えているのでございます。これにつきましては、わが国がこの戦乱に巻き込まれないように慎重な外交的な配慮が望ましいのでございますが、しかし同時に、わが国内の石油体制というものをいまから十分準備をしておく必要があるのではないかと考えられます。  そこで私は、二、三の点につきまして、通産大臣にお伺いいたしたいと思います。  第一は、わが国石油貯蔵量が非常に少ないという点であります。現在、政府統計によりますと、原油にして二十日分、製品にして二十三、四日分というふうにいわれております。これは四月末の統計のようでございますが、この数字は、六月上旬のこのいまの状態において、一体どの程度になっているのであるか、それをひとつお聞きしたいと思います。またわが国の二十日分のストック量というのは、これは何としても実に微々たるものでございまして、合わせても四十四、五日、これでは一たん緩急ある場合には、わが国石油は、エネルギー全体はどうにもならない状態におちいるものと思われます。イギリスではすでに、フランスでもそうでございますが、四カ月分のストックを持っているといわれ、西ドイツでも二カ月分は持っているといわれているのでございます。これに対して政府は将来どのくらいの貯蔵を目標とされているか、それをひとつお伺いしたいと思います。  なおこのストックを増強するにつきましては、民間の会社がいまからそれを整備するとすれば、金融面におきましてもあるいはその他の施設面においても非常にたくさんの資金を必要とするものと思われます。それに対して政府はどういうような特別助成措置を講じられるつもりであるか、これをお伺いしたいと思うのでございます。
  6. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 最初に中東問題について、いろいろ御心配になっておられることについて私からお答えしたいと思います。数量的の問題は政府委員からお答えいたします。  けさの閣議で、外務大臣より各国とも停戦を受諾したということの報告がありましたので、一応この中東紛争は落着したということだと思います。しかしなお具体的にどういうような取りきめができるかということは今後の交渉になると思いますが、とにかく停戦各国とも受諾したということでありますから、したがって、この中東紛争の問題についてのいろいろ日本に対する影響等は、これで一応解消したというようにお考えになってよいと思いますが、しかしこれは現在解消はしましたけれども、これによってまた考えなければならない問題があると思います。石油の問題については、いままでは、クウェートあたりも、日本英米に加担すれば、日本に対して石油云々というようなことをいっておった電報も来ておったようでありますが、日本が先般厳正中立ということを言明したために、アラブ各国とも日本に対しては非常に好意的になってきた。それもアラビア石油の副社長の大野氏が一昨日の晩帰って来まして、昨日私のところに報告にまいりまして、日本厳正中立を宣言したので態度が非常に好転してきました、クウェート政府なども、アラビア石油作業については一切支障がないようにいたします、こういうことをクウェート政府が言明したそうであります。一昨日の電報では、アラビア石油従業員が半分応召になったので、作業が差しつかえるというので電報が来たのでございますが、そういうことは一切ございませんということでございますので、大体今日では石油に対する影響はほとんどないというようにお考えになってよいと思います。  そのほかの問題も、停戦になりましたから、影響は大体ない、こう考えてよいのでありますが、しかし、こういうことが今後もまたあった場合に考えなければならぬことは、今度の事件で痛切にわれわれが考えさせられたことは、先ほどお尋ね貯油の問題です。これが先ほどお話のとおり一カ月半しかないということでありますから、今後この貯油をどうするかという問題、この点については、政府としても今後この問題に考慮を払いたい、こう存じておりますが、さしあたりある会社などは、そういう貯油場を設けたい、タンクを設けたいという申し出があります。したがって、そういうようなところへは、いま資金お話がありましたが、資金的な援助、たとえば開銀のお金を使用してもらうとかいうふうな援助は、政府が今後しなければならぬのじゃないか、こう考えております。とにかく外国と同じように四カ月ないし半年ぐらいは貯油をしなければならぬし、ことに日本としては海外にほとんど依存しておりますから、したがいまして、この貯油という問題を、考慮を払わなければならぬと思います。また、したがいまして、そういう意味で今度の石油開発公団というものはつくっておるのであって、外国資本依存しておったならばという、危険というと語弊がありますが、そういうことを心配いたしまして、日本資本海外石油採掘をやりたいというので、今度の石油開発公団をつくったのであります。でありますから、今度のような事件がありますと、石油開発公団の設立の必要性をますますわれわれ痛感いたしたような次第でありまして、そういう点については、また皆さんの方の御審議をお願いしたいと思っておりますが、そういうことで、われわれ今後、今度の問題を一つのわれわれに対する反省のケースとして考えていきたい、こう存じておる次第であります。
  7. 橋口隆

    橋口委員 ただいまのお話によりまして、中東戦乱停戦状態に入ったということは、これは非常にけっこうなことだろうと思われます。しかし、この戦乱を教訓としてわが日本経済考えなければならない最大の問題は、こういう事態に備えて石油ストックをいまからすぐ準備を始める、これが政府が一番急がなければならない大きな課題であろうかと思われます。これは日本経済国民生活全体にわたる大問題でございますが、もう一回お聞きいたしたいと思いますが、何カ月ぐらいを備蓄したならば日本経済においては適当だとお考えになられますか。
  8. 両角良彦

    両角政府委員 お尋ねのように、現段階におきますわが国貯油状況は約一カ月半でございますが、これでは不十分であるということで、さしあたり欧州諸国前例等をも考えまして二カ月程度貯油を持ちたい、そのために必要な大型原油基地の建設の促進等々につきまして、できるだけの推進をはかってまいりたいと考えております。
  9. 橋口隆

    橋口委員 それでは次にお伺いしたいと思いますが、日本石油はあまりにも中東地域に偏在をし過ぎていると思われるのでございます。それで、あの非常に発火点である中東地域に何かが起こった場合には、もうすぐ影響する。そこで、その供給源を世界的に分散をすることが必要だろうと思います。数字の示すところによりますと、一九六五年を比較いたしますと、イギリスは五八%を中東依存して、あとアメリカアフリカにたよっております。フランス中東地域に五一%、アフリカに四二%でございます。西ドイツは実に低いので四二%を中東地域依存し、アフリカに四七%を依存しておるようでございます。これに比べてわが日本は、六五年には八八%、六六年には実に九〇%以上の供給中東地域依存をしておるのでございます。そういう意味で、わが国もこれからアフリカあるいはアメリカあるいはその他のアジア地域分散をさせる必要があると思うのでございますが、これに対する政府方針を承りたいと思います。
  10. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のとおり、中近東地区に対しますわが国原油供給依存度は、九割をこえるような状態でございまして、これがわが国に対する原油安定供給の面におきまして問題があるのではないかという点でございますが、政府といたしましても、これまでさような安全保障の見地から、中近東地域以外の地域におきまするわが国企業の手による原油開発促進につとめてきた次第でございますが、今日までのところ、インドネシア、たとえば北スマトラカリマンタン地区におきます各種の計画、さらにはカナダあるいはアラスカ、あるいは将来はでき得ればソ連等々の各太平洋周辺地域諸国からの原油の確保ということにつとめたいと考えております。
  11. 橋口隆

    橋口委員 私に与えられた時間がございませんので、これで質問を終わりたいと思いますが、どうかただいまの方針を直ちに実行に移されますように切にお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  12. 島村一郎

  13. 永井勝次郎

    永井委員 中近東戦争停戦をみましたことは、国際平和の上からまことに喜ばしいことと思うのであります。しかし、停戦になっても、今後軍事的な関係外交関係においては、多くの問題を残しておると思います。しかし、きょうはそうした軍事的な面、外交的な面における質疑は省略いたしまして、そういう背景に立ちまして、主として貿易の側面からお尋ねをしてみたいと思うのであります。  貿易関係では、同僚の田中君から石油関係についてはお尋ねをすることとなっておりますので、その線をはずしまして、二、三お尋ねをいたしたいと思うのであります。  戦争停戦いたしましたけれども、問題はいろいろ残っておると思います。今後における貿易の面から見た現地の情勢の推移をどのように把握し、どのように展望されておるのか、この点を明らかにしていただきたい。
  14. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 現在のところ、貿易上においては、商品の価格なんかについてはほとんど影響ないという状態でありますが、これが紛争が長引くというようなことになってくると、いろいろまた影響を及ぼしてくると思いますが、幸い停戦になりましたから、貿易取引平常どおりになるのではないか、こう考えております。しかし、もしも停戦になったがいろいろの条件が解決しないという場合も考慮して、日本貿易がどうなるかということについては、いろいろいまわれわれのほうでも調査をいたしておりますが、なお詳しいことは局長からお答えしたいと思います。
  15. 山崎隆造

    山崎政府委員 今月の五日に戦争が勃発した関係で、六日から七カ国に輸出保険の引き受けを停止いたしました。七カ国と申しますのは、アラブイスラエル、レバノン、シリア、サウジアラビア、イラク、ヨルダンの七カ国に停止いたしましたので、その関係上、六日以後は輸出は七カ国に対して停止いたしております。この七カ国に対します貿易量は、年間では一億六千九百万ドルになっておりますが、今後の見通しとしまして、そういつまでも長期にわたります場合には非常に混乱が起きるかと思いますが、現在のところは、金融上に若干問題が起きております。つまり、この地域向け日銀まで担保あるいは買い取りとしまして手形が上がりましたものが、船積み長期にわたってとまりますと、これがデューデートがきますので、この点の遡求の問題で若干金融的に問題があると思いますが、これは十分金融当局手配をいたしておる模様でございます。そのほか、まだ手形等に組まれませんが、用意しておった船積みができなくなったという問題につきまして若干の問題があるかと思います。今後の問題でございますが、停戦はいたしましたが、あとスエズ運河の問題と石油問題がそう簡単に解決するとは思われませんので、その点の影響がどうなりますかと申しますと、七カ国につきましては先ほど申し上げた状態でございますが、あといわゆるマグレブ三国、リビアの地中海沿岸地帯、これが約三千万ドルの輸出がございますが、この地帯に対する輸出がやはり同じようにスエズの閉鎖によりまして停止するかと思います。ヨーロッパ方面におきましては、ケープタウンの回航で若干の船賃その他の上昇がございますが、継続できるというふうに見ております。輸入につきましては、この地帯の七カ国からは石油が大部分でございまして、一般商品は三千万ドル程度。このうち特に問題になりますのは、他に簡単に転換できませんといいますものは、エジプトから輸入しております綿花が若干ございます。あとスエズ封鎖の結果の影響としましては、黒海から出しますもの、つまりソ連から出しますもので、石油以外では銑鉄が大量ございます。これは若干問題がありますが、幸い国内銑鉄生産は十分ございますので、平炉メーカー等に対する融通は十分可能であるということで、混乱は起きないと考えております。
  16. 永井勝次郎

    永井委員 手形関係で問題がある、船の出港を停止させる点で問題がある、こういうお話でありますが、それならば、それらの問題について、手形については金融機関口添えをするという程度手配でありますか、あるいは利子その他についてめんどうを見てやるという意味口添えでありますか。あるいは船積みがおくれたという点について何らか国のほうで、命令によって押えたことであり、戦争という事態があるにいたしましても、問題は非常事態でありますから、これらに対する救済措置はどのようにお考えでありますか。お答えを願いたいと思います。
  17. 山崎隆造

    山崎政府委員 現在日銀等担保あるいは買い取りとして市中銀行を経由してまいりましたものにつきましては、日銀とか、要するに遡求されました場合に市中銀行が手当てするようにという話を伝えてありますが、ただ大部分輸出保険にかかっておるものでございますので、保険法上の救済によって十分処理できると思います。金利その他については現在は考えておりませんので、それは今後の問題でございますが、デューデートが来ましてからの問題でございますが、これはたいした金利差ではございませんので、保険等で、保険事故の処理でカバーできる範囲内と考えております。
  18. 永井勝次郎

    永井委員 積み荷保険戦争保険に切りかえたということでありますが、停戦になりましたらこれは平常に復するのですか、あるいは復するとすればいつからそれを回復するのか、積み荷保険に対する戦争保険の解除についてお答えをいただきたい。
  19. 高橋淑郎

    高橋説明員 ただいまの御質問でございますが、一応停戦状態になったと伺っておりますが、もうしばらく事態をよく見まして、そして非常危険のおそれがないということが明らかになりましたならば、なるべくすみやかに正常な保険関係が持ち得るようにするようにいたしたいと思いますが、その時期についてはまだお答えできません。そういう事態が来ればなるべくすみやかに行ないたい、こういう方針でございます。
  20. 永井勝次郎

    永井委員 きょうの新聞で見ますと、イスラエルから、停戦をした、貿易再開をしたい、こういう通知があったということでありますが、イスラエル関係停戦後における動きについて、こちらへの接触関係を明確にしていただきたい。
  21. 椋本伊三郎

    椋本説明員 ただいまのお話につきましては、まだ外務省に対してそういう申し越しはございません。
  22. 永井勝次郎

    永井委員 けさ新聞にも出ていたのですが、公式にはまだ何もない、こういうふうに了解してよろしいのですか。
  23. 椋本伊三郎

    椋本説明員 さようでございます。
  24. 永井勝次郎

    永井委員 油の関係では田中君からお尋ねいたしますが、先ほど輸入関係については長い繊維綿花関係が問題である、こういうお話だったと思うのですが、この関係日本国内の需要との関係で時期的にどうなのか、あるいは転換するとすればどういうふうに考えておるのか、あるいはそういう転換がきかないとすれば、日本のこれからの繊維生産についてどのような被害があるのか、その一連関係について明確にしていただきたい。
  25. 山崎隆造

    山崎政府委員 エジプトの長繊維綿花高級織物に使用されておりますのは御承知のとおりと思いますが、日本輸入量の大体五%で、きわめて微々たるものでございますが、高級織物関係では六割を占めております。現在のところ、もし長期にわたりましてスエズが閉鎖されております場合、これは相当長期を申し上げるわけでございますが、その場合にはスーダンから入れます。スエズを通らずにポートスーダンという港から入れる予定にいたしておりますが、エジプトで確保していた程度が確保できるかどうか、あるいはエジプトからスーダンに運んで出せるかどうか、この点についてはまだ明確にはわかりませんが、従来からの経験上から言いましてさほど問題ではなかろう、国内の需給上に影響を与えるという事態には立ち至らぬ、こう考えております。
  26. 永井勝次郎

    永井委員 アラブ連合との間には、昨年の二月川島借款が成立しておると思うのであります。この川島借款の運用は今日の段階でどのような運びになっておるのか、今度の戦争その他においてどのような影響があるのか、またいままでこの借款のワクの中でいろいろ引き合いがあったと思うのですが、それらの一連関係について明確にしていただきたい。
  27. 高橋淑郎

    高橋説明員 ただいま川島借款についてお尋ねでございますが、これは俗に川島借款と呼ばれておるのでございまして、この中身は、当時、約五千万ドル相当日本プラント類を、二年間にわたりまして、商業ベースでもって商談が成立したときは延べ払いの形で出そうということを先方とお話し合いをされた、そういう経緯がございまして、それを俗に川島借款と呼ばれておると思います。したがいまして、商談といたしましてはいろいろございましたけれども、実際に輸出申請段階に至ったものはございません。それが現在の状況でございまして、政府政府との間で約束をして品物なり役務を出す、こういう借款とは性質が異っておるのでございます。  以上が現状でございます。
  28. 永井勝次郎

    永井委員 これは政策的な問題ですから、ひとつ大臣にお伺いしたい。  今度の戦争動きの中で明らかになったように、アラブ連合日本に対して非常に好意的だ、アメリカヨーロッパ各国に対しては相当にきつい、そういう動向が明らかになったわけですが、今後、戦後の貿易においては、日本が同方面に進出するのにはいい機会ではないか、そういう政治環境経済環境背景にして大いに日本が進出する機会ではないか、そういうことに対する分析あるいは対処はどういうふうに考えておるのか、これが一つ、それから今度の戦争は、単に紛争の起こった地域における影響だけではなくて、スエズ運河その他の関係を通しまして、アジアその他の各国には間接的な大きな影響がある、あるいはヨーロッパ向け日本貿易については大きな問題がある、こう思うのです。資本自由化が進む、あるいはケネディラウンドの協定が結ばれたというような新しい国際貿易の展開の中で、その自由化背景自由化の基礎になるものは、地域化条件相当考慮されて、そういうものなしに一つの国がまっ裸で、自由化の中に独創的な行き方をするということは、いまの条件からいってなかなかむずかしい、自由化背景にあるものは地域化である、こう分析されておるのでありますが、そういうような背景考えますと、今度の中近東動き、そういうものでみんなが一つのショックを受けておる。地域的にその影響を深刻に受ける地域においては、一そうその地域化の機運が出ておる、私はこう思うのでありますが、それらに対して、中近東における日本の今後の動き、それから今度の動乱によって打撃を受けるアジアあるいは東南アジア、こうした地域における自由化に備えての地域化の問題に対して、大臣は政策的にどのようにこれを把握され、国際動向を把握され、そしてこれに対して日本はどう対処されようとしておるのか、この政策的な所見をひとつ伺っておきたいと思います。
  29. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 今度の紛争アラブ諸国日本に対して非常に好意的であるということは、日本厳正中立を守ったということである。御承知のとおり日本は世界平和ということを国是といたしておりますから、したがって、そういう紛争に巻き込まれないようにするということで厳正中立ということを言明したのでありまして、したがって、それによってアラブ諸国日本に対して非常な好感を持っていただいたので、あるいは英米に加担しやせぬかと心配を持っておったのが、その心配がなくなったから、反動的により多く好意的になってきた、こう考えておるのであります。そこで、こういうような問題に関連して、われわれは世界平和というたてまえから日本の経済政策を立てておるのでありますが、しかしいま局地的にいろいろ紛争が起こると、これが日本貿易影響を及ぼすことがあり得るということはやはり頭に入れておかなければなりませんから、そこで日本の今後の貿易政策としては、御承知のとおり、いま大体先進国の貿易が大部分を占めておりますが、しかし先進国の貿易を拡大することはもちろんであるけれども、同時に東南アジアあるいは中近東、最近においては共産圏諸国、ことに東欧の共産圏諸国日本との貿易促進を向こうからも希望しております。またソ連も御承知のとおりなにしておりますが、共産圏との貿易ということをやはり頭に入れて今後日本貿易政策を考えなければならないというように考えております。幸い東南アジアは、日本海外経済協力をいろいろやっておりますから、そういう関係から東南アジア貿易というものは今後発展する可能性があると思います。共産圏の問題も、いま申し上げましたとおり、先方も希望しておることでありますから、共産圏の貿易は盛んになるし、また世界の大勢として自由諸国と共産圏との貿易というものは拡大せざるを得ない情勢にあると私は思いますから、したがって日本貿易政策としては、世界各国ともに貿易を盛んにするという国策で今後進んでいきたいという考えであります。
  30. 永井勝次郎

    永井委員 共産圏と拡大せざるを得ない——何かいやいや拡大しなければならぬような情勢に動かされておるような大臣のおことばですが、これは少し考え方がおかしいのではないですか。
  31. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 それはちょっと誤解で、世界の大勢がそういうふうになっておるということを申し上げたのであります。
  32. 永井勝次郎

    永井委員 私は、中近東における今後の動向に対する日本の取り組み方が、大臣のようなものの考え方は非常に浅薄だと思う。それから東南アジアその他における現状把握に対する分析も私は非常に浅薄だと思う。中近東においていまいろいろ取引をする、貿易を進めていく場合に、延べ払いその他の非常に条件の悪い取引は日本にいろいろ発注がある。しかし、キャッシュ、現金取引はみんなチェックされて、日本への注文はチェックされて、ヨーロッパとかアメリカ、そういう方面の先進国に全部有利な取引条件というものはいまさらわれておるでしょう。そういうものを奪還し、その市場を開拓するというのには、いまこれからの動きというものは絶好の機会だ、こう思うのです。その点に対して、現状がどのように動いて、そうしていままでどのような不利な条件の中で日本貿易を開拓しているか、その条件を回復するのに今後どういう方向で、どんな動きの中でこれを開拓していくか、もっと具体的な明確な構想というものがなければならぬ、私はこう思うのです。その点いかがです。
  33. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまのお話で、中近東あたりは、向こうから石油を買っております。したがってわれわれからいうと、向こうからたくさん買っておるから日本の品物を買ってくれということを言いますが、しかしその石油英米資本日本輸入しておるものが多いのです。だから向こうからいうと、それは自分らの輸出と違う、こういうことを言うのです。だからできるだけ自分たちの国産品を買ってくれ、そうして日本品を輸入したい、こういうことを言っておるのでありますが、今度のこの事件でおそらく英米系の関係がだんだんと薄くなるのではないか、それをひとつ活用したらいいじゃないかというのが永井委員の御議論だと思いますが、そういうようにひとつ開拓するようにわれわれも考えていきたい、こう存じております。  東南アジアの問題につきましても、やはり海外経済協力というような問題をだんだん拡大していって、延べ払いの問題、金利の問題、これはいろいろいま政府のほうでも研究しておりますし、また今度のインドネシアの借款の問題もきょう閣議で決定したのでありますが、実質金利は三分ということで六千万ドルというものを今度貸すことになりましたので、そういうことでおのずから日本の品物が輸出されるということで、海外経済協力とあわせて貿易の発展をやりたい、こう存じておる次第でございます。
  34. 永井勝次郎

    永井委員 中近東自体においても、現在はいろいろな不利な条件の中で日本は努力しておると思いますが、いままでキャッシュでの取引はもう先進国にさらわれているということに対して、これを日本に転換させるということについて、具体的にどのように考えておられるか。もし具体的な品目、それから具体的な取引の事例の中で考えがあるなら、ひとつ伺わせていただきたい。
  35. 山崎隆造

    山崎政府委員 中近東におきましては、日本貿易基盤はきわめて歴史が浅いわけでございまして、御承知と思いますが、一九五七年まではいわゆる日本の重化学工業機械は中近東にはまずほとんど絶無なぐらいな状態でございまして、当時の高碕大臣が非常に苦労をされて、エジプトのシドキ工業大臣を呼びまして、三千万円のクレジットラインを設定いたしまして、初めて機関車とか砂糖工場とか、そういうプラント類中近東に進出するきっかけをつかんだわけでございますが、やはり西欧からの影響がきわめて強くて、なかなか思うにまかせないで、このクレジットライン三千万円も、これを使用するに数年かかった状態でございました。中近東におきます日本品に対する評価というものは、私どもといたしましては、まだ十分徹底しているとは思いませんし、先ほど大臣が申し上げましたように、先方といたしましては、日本輸入量アラブ十三カ国にいたしますと八億以上にのぼるわけでございますが、ほとんど石油でございます。これは英米関係が買いまして日本に売るという関係で、日本が買っておるとは思っておらぬということです。イラン、イラク、サウジアラビア等につきましても、絶えず輸出入バランスの問題で日本が難局に直面しているわけでございまして、現在でも出ておりますものは、機械類といたしましては、ごく小さな機械類と、それから繊維品がおもでございまして、鉄鋼あるいはタイヤ、チューブとかいったような商品の傾向からうかがわれますように、日本の重化学工業のプラント類がしっかり地盤を中近東に植えつけたとは思いませんが、漸次この事態は改善されております。なお今後ともやはりこの地帯からの輸入量を、つまり石油はあまり換算いたしませんものですから、どうしても輸入量拡大ということが日本が進出する大きなベースになると思うわけでございます。何しろ、進出いたします場合には、クレジット等その他を相当ゆるい条件で与えませんと進出が困難かと思います。鋭意その方向で今後やると同時に、日本のいわゆる機械類の品質、技術水準の高さ等の徹底方につとめたいと思いますが、宗教上の関係その他がございまして、なかなか先方に食い入るのは困難であるという印象を私ども持っておる次第でございます。
  36. 永井勝次郎

    永井委員 中近東は、戦争は弱くても民族意識は強いのですから、プラントなんか十分向こうの好意をくんで進出し、それを足場にして、もっと密接に経済的な提携を強化し、ヨーロッパ依存地域日本の方向に転換させていく、そういう政治的背景と経済的条件がいま成熟しつつある。これからの、戦後の日本の政策というものの非常に重要なスタートである、こう思うのです。もちろん、この輸出入の関係において、片貿易でないようにとか、いろいろな要求もありましょう。こんなことは十分わかりますが、それにいたしましても、いろいろな客観的な諸条件は、非常に日本に有利に動いておる。その条件を生かさなければならない、こういうふうに思うので、一そうの努力を期待したいと思うのであります。  そこで、今度の中近東紛争から、油の問題は別として、日本貿易政策の中でどのような欠陥が具体的にあらわれたというふうに分析されておるのか。一つの不幸な事件を通してあらわれた事件をさらに克服して次に発展するためには、この諸欠陥というものを十分にえぐって対策を立てなければならぬと思うのです。非常に短い期間で済んだからわりあいに安心ができるようなものの、これが長引いたならば非常な打撃があったと思うのです。その日本の現在持つ貿易上の諸欠陥についてどのようにお考えであるか。これは政務次官からでも局長からでも、ひとつ解明をしていただきたい。
  37. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 貿易上の問題といたしましては、やはり通商航海上の問題が一つあるだろうと思うのであります。このことは、幸いにいたしまして戦争が長引かずに済んだわけでございますが、スエズ運河がもし封鎖されあるいは危険にさらされた場合に、当然そこに船賃なりあるいは保険料率の引き上げ——いま多少高騰いたしておりますが、そういう問題があります。したがいまして、それは直ちに中東貿易のみならず、長期にながめました場合には、欧州貿易にも重大な影響を与えるのではないか。だから、こうした面におきましては、通産行政のみならず、いわゆる船腹の問題もございますので、今後こういう非常事態に対してはいかなる措置を講じ得るかということを、通産省、運輸省ともに各関係省で協議をしなければならない微細な点もあろうかと存ぜられます。  そのほかの問題に関しましては、先ほど先生がおっしゃったとおり、中近東に対するわが国貿易政策推進上、どういたしましてもこういうチャンスをとらえまして、より日本の認識を深めてもらうということにつきましては、今日までその歴史が浅かったものでありますから、いろいろとそういう面におきましても、貿易そのもの自体といたしましては現状では支障はないとは申しますものの、やはりわれわれといたしましては、今後開発輸入体制等を推進することによって、向こうが要求しておる輸入の増大をはかり得るような、外交交渉もあわせて今後推進していかなくてはならないのではないか、かように考えております。
  38. 永井勝次郎

    永井委員 さっき大臣は、共産圏との貿易を一そう促進しなければいけないという国際的な情勢にある、こういうふうに言われた。われわれも同様に感じます。そのためにわれわれは日中貿易を困難な中で推進し、日ソ等各国との貿易拡大に社会党は大きな役割りを果たしてきた、こう確信しておるのであります。われわれのその推進に対して常にじゃまをし、チェックをし、それを阻害してきたのが政府・自民党であるとわれわれは考えておるのであります。それらについて今後日本中近東における一つの教訓を教訓として、広い地域貿易を拡大していくということのためには、その前提となるのは、やはりココムの問題であるとか、あるいは延べ払いの問題であるとか、そういう具体的な問題が、これはどうしても始末していかなければならない前提条件だと思うのであります。またこの中近東事件を通して、船腹の不足ということも深刻に欠陥として私は出てきておる、こう思うのであります。それから、それぞれの地域における日本の活動家、あるいは中近東においても英語でなければ話ができない、またその英語でさえ十分にこれを駆使することができない、こういうような貿易の衝に当たっていく人間をつくっていくという問題にも大きな欠陥がありはしないか。現地でなかなか浸透ができないという大きな欠陥になってきておると思うのです。さらにいえば、もっとアフターケアの問題もありましょうし、たくさんあると思うのですが、そういう欠陥をばらばらで思いつきで例示するのではなくて、この機会に十分に総合的にこれらの問題を追及し、分析し、そうしてその諸欠陥を急速に克服していくという体制を確立して、災いを転じて福とするという転機にしなければならないと私は思うのです。外交上の問題は別といたしましても、そういう貿易の先端にあり、それを推進していかなければならない通産省の姿勢というか態度というか、この事件についてただ非常事態だ、非常事態だから非常事態に特別に取り組むのだというのでなくて、非常事態を通して常時的な日本の欠陥というものが出てきているわけですから、それを単に非常事態として時間的にとらえるのではなくて、もっと長期的な展望に立ってこの問題をとらえなければいけないと私は思うのです。それらについてはいかがですか。
  39. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 先生のおっしゃるとおりだと思います。したがいまして、従来よりもわが国の通商貿易上、単に通産省のみならず、これはやはり関係諸官庁が一体となりまして、もっと強力に推進しなければならないということは、私たちは当然主張してまいった次第でございます。  そこで具体的に申し上げますると、経済協力、技術協力及び貿易、この三分野に分かちました場合に、技術協力の面におきましては、すでにこういう低開発国に対しましてなお伸展をはからなくちゃならないというので、たとえばジャパン・ユース・ボランティアーズ、海外青年技術協力隊、これは外務省の所管でございますが、わがほうといたしましてはそういう問題を推進してまいったのであります。また特に低開発国に対しましては、単に技術協力だけではだめである、やはり経済協力の面においてもりと日本は誠意を示すべきであるというような声もずいぶん高まっておりますので、この面におきましては、先ほどの御説にもありましたとおり、なるほどキャッシュ取引のほうが有利であることには違いないが、しかし願わくば、われわれといたしましても極力、経済協力の一環といたしまして、プラント輸出等における延べ払いを今後も積極的に容認していくべきではなかろうか、延べ払いのメリットは幾つもございまするが、いうならば、わが国の技術というものを海外に広く顕揚し、あるいはわが国の工業に対する信頼度を深める、そして他の商品に対しましてもそれだけの値打ちを十二分に認識せしめるという意義がありますので、先般もさような意味合いにおきまして、特に共産圏あるいは低開発国への延べ払いに対する信用保険制度等々も御審議願ったわけでございます。またさらに、われわれといたしましては、開発輸入の体制も整えておりまするが、人材養成、特にわが国貿易上の一つの隘路は言語でございます。なおかつ、先ほど局長が申しましたとおり、中近東方面は特に宗教的な色彩が濃厚でございますので、そうした民度、風俗、歴史、それにも通暁しなければなりませんので、通産省といたしましては貿易大学校を創設いたしまして、各商社のエリートをそこでひとつ養成をする、こういうことも考えて、いずれ御審議を願うと思うのでございますが、おっしゃるとおりでございます。海外協力基金もなかなかこれはフルに運転されておりません。こうした面におきましては、今後経済閣僚懇談会等を通じまして、いまおっしゃるような体制を強力に推進しなければならないと考えております。
  40. 永井勝次郎

    永井委員 貿易上の日本のいまの諸欠陥、また東南アジア地域におけるあるいはアジア地域における、共産圏との間における貿易の推進、発展についてのいろいろな問題等は後日に譲りたいと思います。昨年私とここにいる中村君と、社会党の代表としてソ連に参りまして、日本の中小企業の貿易発展について、向こうといろいろ折衝をしてまいりました。これらの推進等についても、日本政府はあるいは自民党は、もっと視野を広げ、国際的な経済の動向等について、もっと分析をきちっとして取り組まなければならない。そういう方面の推進について、いま障害になっているのは、問題は外にあるのではなくて内にあるのだとわれわれは考えているので、これらの問題等も十分時間をかけて論議しなければならない、政府の豪を開かなければならない、私はこう考えているわけですが、きょうは大臣がおりませんし、政務次官は優秀な、ただいまの貿易大学の宣伝するところなんかなかなかずうずうしいところもあって、なかなかなんですが、私は時期をあらためてまたこれらの問題を特に取り上げてまいりたいと思います。きょうはこの程度にしておきます。
  41. 島村一郎

    島村委員長 田中武夫君。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 前の二人の同僚委員質問と同じ立場に立って、中近東の動乱というのか戦争というのか、これが日本貿易あるいは原油供給等々についてどのような影響があるのか、こういうことをお伺いいたしたいと思うのです。  大体国連の期限つき停戦勧告を双方が受諾したので、終わるといったような上に立っての答弁でございますが、私はまだそう楽観は許さないのではないか。現にアラブ連合におきましても、は続ける、こう言っておりますので、あまり楽観的な立場に立っての御答弁でなく、最悪の事態をも考慮しながらひとつ御答弁を願いたいと思うのです。  なお前の二人の委員と同じような点につきましては省略していきたいと思うのですが、まず第一に、石油日本産業における地位と申しますか、これは重要であります。さらに、その石油がとまった場合に、あるいは十分に供給を受けることができなくなったような場合にはどういうことになるか。これは一応戦争というか動乱がおさまったといたしましても、たとえばスエズの封鎖がいつ解けるのかわからぬ等々の問題もあろうと思いますので、ひとつ最悪の事態考えながら御答弁していただきたいのですが、石油供給が思うようにならなかった場合にはどういうような処置をとられるおつもりでしょうか。
  43. 両角良彦

    両角政府委員 わが国の経済の中におきまして、石油が今日きわめて大きなウエートを占めておるということは御指摘のとおりでございまして、工業用あるいは輸送用の燃料といたしまして、あるいはまた石油化学の原料といたしまして、きわめて大きな役割りを果たしておる次第でございます。したがいまして、かかる石油供給わが国に対しまして、かりに紛争戦乱その他の事情によりまして不円滑になる、あるいは途絶されるというがごとき事態が起こると仮定いたしますと、それは国民経済の全般にわたりましてきわめて深刻かつ広範な影響を持つかと考えます。したがいまして、政府といたしましても、さような緊急かつ例外的な事態における影響をできるだけ緩和し、かつかかる危険を分散化するという見地から、海外の油田開発あるいは国内における備蓄の増強というような点につきまして、努力をいたしてまいりますし、今後ともさような方向で、危険の集中的なあらわれ方というものをできるだけ緩和してまいる努力をいたしたいと考えております。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 当面そういうことはあり得ないとは考えますが、もっと広く供給源がとまる、十分に需要に応ずることができない、そういう場合が起きたときには、たとえば割り当て制とか、あるいは輸入先を変えるとか、こういうことが必要であると思いますが、大体先が見えたんだからもういいんだ、こういうように考えておられるか。それとも、最悪の場合にはやはり、かつての戦時中のようなことは好ましくないが、割り当て制度等も考えなければならぬと私は思うのですが、いかがですか。
  45. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のように、かりにきわめて重大な供給の障害が起こったと仮定いたしました場合には、その程度にもよりまするけれども、まず第一に、わが国が現在原油を購入しております相手方である国際的な石油資本の側からのわが国に対する原油供給の確保ということを強く要請いたしたいと思っております。これにあわせまして輸入先の転換という点につきましても、紛争とは関係のない地域、たとえば今回の例で申せば、アメリカあるいはベネズエラといったようなところに輸入先を転換していくということも十分検討いたさなければならないかと思います。その上で、なおかつ国内における供給と需要との不均衡が著しく起こってまいるというような事態を仮定いたしますれば、さような際には需要の調整もしくは供給の調整もやむを得ないかと考えます。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 これを言うと、待ってましたとばかりに、だから石油開発公団をお願いするんだ、こうくるんだろうと思うのですが、さきのスエズ動乱の経験からといいますか、この痛手から西欧諸国では、いわゆる中近東に対する原油依存度を低下させるような政策を進めてきた。たとえば、フランスのごときは自主開発をやる、あるいは大型タンカーをつくってケープを回ってもやれるというような対策を立てる。いろいろそういうことで、一九五五年ですかのスエズ動乱のときと現時点とでは、西欧諸国では、依存度が大体半分くらいになっています。日本もそういうような政策をとらなければならないし、むしろおそきに失するのではないかと思う。だから開発公団をお願いしておりますということではなくて、もっと根本的な考え方をお伺いいたします。
  47. 両角良彦

    両角政府委員 中東依存度は今日九〇%という高い割合でございます。西欧諸国が六割を割ったという低い依存度に切りかえてきておりますこととはなはだ対照的であります。したがいまして、今回のような事例に徴しましても、今後ともわが国中近東からの石油輸入依存度を合理的な程度にまで低めていくという努力は、当然いたすべきことかと考えます。しかしながら、エネルギーの、特に石油わが国に対する供給につきましては、いわゆる安定供給の要請と低廉供給の要請とが二つながらに存在しております。中東の油は、国際的に見ましてきわめて安いという利点もまた見のがせないところであります。ある程度中東が重点的な供給源として今後とも存続していくことはまた当然であろうかと思います。しかしながら、これと並びまして、東南アジア諸国、特にインドネシアあるいはアラスカないしはアメリカ、カナダといったような諸地域からの原油輸入の確保という点につきましても、より積極的な施策を講じまして、全体として均衡のとれた安定供給体制を築いてまいりたいと考えております。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 イラク、クウェート、アルジェリア等は、英米に対して原油輸出と申しますか、持ち出しを停止していますね。日本には、先ほど大臣も言っておりましたけれども、厳正中立を宣言したので影響はない、こう言っておりますが、こういうように英米供給源を断たれることによって、英米の各社から一〇〇%の供給を受けておる日本の外資系の製油会社等々に間接的に影響があるのじゃないか、このように考えるわけでございます。詳細なことはわかりませんが、昨日の夕刊だったと思いますが、読売では、アメリカ石油の緊急計画について協議を開いたとか、あるいはまたきょうの、これは各紙に出ておりますが、これも読売を切り抜いておりますが、日本のタンカーがペルシャ湾で原油の積み出しができなくなったというようなことを報じておりますので、その詳しいことにつきましては、まだ通産省なり外務省においても入手しておられないとは思いますが、決してまだ安易に考えてはいけない、このように考えるわけでございますが、そういったようなペルシャ湾における日本タンカーの原油積み出しが、これは政治的な問題ではなくて、むしろ、何と言いますか民族感情からというようなことを報じておるようですが、できないという事態、あるいは先ほど申しました英米系から供給を受けておるところの日本の製油会社に対する影響、これについてはどういうように考えておられますか。
  49. 両角良彦

    両角政府委員 ペルシャ湾地域からわが国輸入いたしております原油の産出国は、御指摘にもございましたようにクウェート、イラクないしサウジアラビアといった諸国であります。これらの諸国は、アメリカ及びイギリス向けにつきましては、石油輸出禁止措置をとったと伝えられておりますが、その内容につきましては確認はできませんが、私どもの得ておりまする情報では、仕向け地がイギリスもしくはアメリカであるか、あるいは掲げておる船の国旗がイギリスもしくはアメリカの場合に、当該タンカーに対する原油の積み出しを拒否する、かようなことになっておりますので、わが国を仕向け地といたしまする英米系の出荷というものについては支障はないというふうに一応了解をいたしておる次第であります。しかしながら、現地の情勢が混乱をいたしておりまして、ただいまお話もございましたイラクないしはサウジアラビア等の積み出し港におきまして多少の混乱があって、混乱のために積み出しができないという可能性もあるいはあろうかと思います。なおイラクにつきましては、わが国をも含めた全面禁止措置であるというふうな報道もございますので、その辺もいろいろ勘案いたしますと、今日ペルシア湾地区からわが国に対する原油の積み出しも、必ずしも全部が全部円滑にいっておるとは考えられませんが、今後ともたいした支障は起こらないと考えております。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 いまそれを伺おうと思っておったのですが、英米に対する停止が、行き先が英米の場合あるいは船籍が英米の場合あるいは会社英米の場合、そのうちのどれなのか、全部なのか。いまの御答弁では、行き先が英米の場合と船籍が英米の場合だというのですが、それははっきりしておるのですか。
  51. 両角良彦

    両角政府委員 公的な確認情報ではございませんが、ニューヨークのガルフの本社から得ました情報では、仕向け地と船籍との二つによって規制を加えておる、かようなことでございます。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、いわゆる積み出しの会社英米会社であっても日本のタンカーでやるとか、あるいは仕向け地が日本であるとかいうような場合は停止の措置を受けない、こういう理解でよろしいのですね。  さらにイラクは全面的だといって、日本も含んでおる。イラクからの依存度は五%前後だったと思います。その五%に直ちに影響があるとは考えられませんが、そういうことに対してのもう少し的確な情報と、それから英米系といいますか外資系の会社が、それぞれ英米会社供給契約を結んでおる。その一〇〇%の履行ということをまずそれぞれの会社が相手方に対して申し入れる、あるいはそういうことに対する確約をとる、こういうことが第一になすべき仕事ではなかろうかと私は思いますが、そのような点についての通産省としての指導はどうなっていますか。
  53. 両角良彦

    両角政府委員 わが国原油の購入は、八割が英米系の国際石油資本から購入をいたしておりますので、かような事態におきましては、まずそれら各社の長期契約に基づきます原油の提供を、わが国に対してもう一度確認させることが必要であるという点は御指摘のとおりでございます。通産省といたしましては、去る六月の五日に、各社に対しましてさような意味での措置を早急にとるように指示をいたしております。これに対しまして、各社はそれぞれその原油購入先である大手の石油会社と交渉をいたしておりますが、現在までのところ明確なる回答はまだ十分そろっておらない状況であります。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 一応このたびのやつは下火になるだろう。しかし宿命的な紛争ですから、いつまた火を吹くかわからぬ。これは三回やっておるのですね。アラブ連合が三回とも負けて黙っておるわけにもいかぬだろうが、いつやめるかもわからぬというような状態の中であるならば、中近東に対して九一%の依存度を持っておるところの日本石油産業というものは、いつも噴火口の上におるといわねばなりません。したがいまして、まず第一に考えるべきことは、原油供給の多元化といいますか多角化、さらにエネルギー源の多角化ということも考えていかなければならないと思います。原油供給源の多角化ということになりますと、だから公団をつくってと、こうなるだろうと思いますが、そういうことじゃなくて、そういうことはもうすでにやっていなくてはならないし、これからやろうとするにはおそきに失するということにもなろうかと思います。同時に、今度はエネルギー源の多角化、したがいまして、いま石炭が斜陽だといわれており、もう過去のエネルギー源だとも考えられるようでございますが、たとえば発電におきましても、混焼ボイラー等では石炭等ももう一度考え直す必要があるのじゃないか。さらに原子力発電等についても、このやり方等についてはいろいろ問題があります。しかしながら、そういうことを考えて、エネルギー源の多角化と原油供給源の多角化ということについて適切かつすみやかな手を打ち、政策を立てるべきだと思いますが、いかがですか。
  55. 両角良彦

    両角政府委員 原油供給源の多角化につきましては、おそきに失したところの石油開発公団の設立のほかに、私たちとしましても大いに努力をいたしたいと考えております。  エネルギー源の多角化につきましては、公益事業局のほうからお答え申し上げます。
  56. 安達次郎

    ○安達政府委員 電力につきましても燃料の多角化をはかる必要がございますし、そういう意味では、今後ともやはり重油火力が中心になるとはいいながら、水力の開発とか、石炭についても石炭の需給面に応じた消費というばかりでなく、原子力の利用というようなことについて考えております。現に昭和五十年を目標にいたします長期計画なんかにおきましても、現在はほぼゼロに近い原子力の占めるシェアが、発電能力のうちで五十年度で約七%、六十年度末には実に二〇ないし二五%程度を占めるような計画になっております。
  57. 田中武夫

    田中(武)委員 エネルギー源の多角化ということをもっと突っ込んでいくと、またこれは動力炉開発公団ということになりますから、そこはやめます。  そこで、海外へ進出をして、一ところに集中せずに各地から供給源を求める、これは必要ではありますが、同時に、それに対しては、たとえば現在ではアラビア石油とか北スマトラ程度ですが、北スマトラはそんなにまだ出ていないようです。アラビア石油は、持って帰るときに、その受け入れについてかつて問題を起こしたことがあると思います。したがいまして、今度たとえば公団でやったとしても、いわゆる日本の技術と資本をもって海外において開発した原油、これを受け入れることについて問題を出さないような措置が講ぜられなければならないと思います。そのことで一番じゃまになるのは、私はいわゆる外資系の会社の一〇〇%供給の契約だと思うのです。そういう点についてどのように考えておられますか。
  58. 両角良彦

    両角政府委員 現在及び将来のわが国海外開発原油国内に円滑に引き取ることができるような体制をつくる必要があるという点は、御指摘のとおりでございます。この際最も有効な手段は、一〇〇%ひもつき契約の是正をはかっていくことであるという点も、まことに御指摘のとおりであると思います。したがいまして、私どもといたしましても、かかる原油購入契約の更改に際しましては、外資法の運用その他によりまして、それぞれ合理的な限度にまで原油のひもつきの割合を引き下げてまいるよう指導をいたしてまいりたいと考えております。
  59. 田中武夫

    田中(武)委員 口ではそうなんですが、実際そのことについてどれだけのことがやれるかということなんです。それで私、いま、それぞれの関係会社の名前は甲乙ということにして消したやつを手に入れております。これはアメリカの代表的な会社との契約とイギリスの代表的な会社との契約なんです。これを見ました場合に、なかなかそう簡単に一〇〇%ひもつきでなくて、そのシェアというか、それを下げていくということはできないと思うのです。たとえばこれは英国系のやつですが、期限が無期限ということなんです。そしてその項目の中を見ると、五年を下らざる事前の通告ということになっている。だからいまかりに直ちにやったとしても、五年後でなければ効力が発生しないということです。これが英国です。それからアメリカ系では、解約について双方の同意のあるときまで、こうなっている。一方的には解約ができないのです。そこでお伺いするのですが、これら国際契約は日本の民法及び商法の適用を受けますか、受けませんか。
  60. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまお話のございました国際的な長期契約の改定がきわめて困難であるという点は、私どももさような情勢はあろうかと思います。しかしながら、反面、改善のできる契約もいろいろございまして、近くそのような事例を一つ御説明できるようになるかと思っておりますが、要するに原油の購入割合を義務的な割合としてはなるべく下げていくという方向で努力いたしてまいりたいと考えております。
  61. 田中武夫

    田中(武)委員 私の質問には答えなかったのですが、たとえばイギリスの某会社、これはシェルだと思うのですが、某会社との原油売買契約、これは少なくとも私法上の契約だと思うのです、ともに民間の会社であります。したがって、この契約は独禁法の規定に基づいて公正取引委員会へ提出せられているものだ。私は、日本の民法なり商法なりの適用を受けるのじゃないか、また融資を受けたり、出資をしてもらうときに結んだ契約であります、したがいましてこの内容を読むといかにも一方的というか、相手方のほうに有利な条項が多うございます。これを端的に申し上げますならば、経済的に優位な地位を利用して、公正な取引を結んだといえない関係ではないかと思うのです。したがってその面からも、あるいはまた私は民法、商法等の適用ありという立場から、これは民法五百四十条はもちろん解約権が双方にある場合の規定でございますが、いわゆる契約解除権の発動、これも不可能ではないと思う。言いかえますならば、これは期限の定めなき契約である。そうならば、契約の当事者の一方の通告によって一定の期間を経たならば解約できるというように解釈すべきだと思いますが、いかがですか。
  62. 両角良彦

    両角政府委員 公正取引委員会のほうの御見解はつまびらかにいたしておりませんが、かりにさような長期契約、基本契約が不当な取引条件わが国に課しておるというようなことが独占禁止法上明白になるといたしましたら、適切な処置を公正取引委員会においてお願いをしたいと思っております。
  63. 田中武夫

    田中(武)委員 いまここで両角さんに決定的な見解を述べろというのは無理かもわかりませんので、あらためて、どうせ石油開発公団のときにやるのですから、問題を提起しておきます。この種の原油売買契約は、これは私法上の適用を受ける。さらに出資その他の、相手方が優位な地位にあるときに結んだものである。したがって不公正な取引内容になっておる。さらに期限の定めなきということであるならば、民法の期限の定めなき契約の解除の手続によるわけでございますが、そういうことでなくて、無期限というような、これは期限の定めがなくじゃなくて、期限が無期限となっている。そういうものは私は公の秩序、善良の風俗に反する契約である、民法九十条によって無効である、このように申し上げておきます。したがいまして、そのときに至りまして一応法制局も交えて十分に論議をしたいと思いますが、ただ口で一〇〇%ひもつきの供給については改めさすほうに努力をいたしますだけでは解決しない。したがいまして、いま申し上げましたようなこれらの国際契約の本質等々について、法律的な論議は後日に譲りたいと思います。よく勉強をしておいてください。  次に、もう一つ問題なのは、先ほど橋口君の質問にも出ておりましたが、備蓄の問題でございます。今日、二十日そこそこしか備蓄がないということはあまりにもさびしい。そこで先ほどの両角局長の答弁では二カ月分ぐらい、こう言っております。二カ月がいいのか三カ月がいいのかは別といたしまして、少なくともこのくらいだということにつきましては、これは法律的に義務づけるということはもう少し研究しなくてはならないと思いますが、少なくとも通産省お得意の行政指導によって義務づけていく。あるいはできるならば製油所の設置の許可に当たっての一つ条件にするとか、あるいはこれはもっと研究しなければいけませんが、法的な義務を与える、そういうような方向をとるべきではなかろうかと思いますが、いかがですか。
  64. 両角良彦

    両角政府委員 貯油の増強につきましては、法律的にこれを義務づけるという点は、お話にございましたようにいろいろ問題もあろうかと思いますし、かつ戦前におきましてもきわめて困難な問題であったわけでございますので、われわれとしても慎重に検討をさしていただきたいと思いますが、それ以外の方法によりまして貯油の増強をはかってまいるということは、この際きわめて必要であると思います。したがいまして、大型原油基地の建設あるいはタンクの増強等につきまして所要の助成措置を検討いたしたいと考えますが、その中には、ただいま御示唆をいただきましたような有効な行政指導方式もあり得るならば大いにこれを活用してまいりたいと思います。
  65. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、なるほど有能な局長の指導、これによってある程度の効果をあげ得るとは思いますが、しかしながら、備蓄量の幾ら幾らを義務づけるとか、持つようにせよとかいうような指導、あるいは五〇%の出資に対し一〇〇%のひもつきの原油供給契約、これらを変えなさいといっても、そうそう簡単にいかぬと思うのです。したがいまして、こちらもある程度の法的根拠を持っていかなくてはならないと思うのです。いまここでそのことについて結論を求めようとは思いませんが、私がいま提起したような問題は、この場限りでなく真剣にひとつ考えてもらわねばならないし、また公団の場合にこれを申し上げますから、そのときにきょうと同じような答弁では許しませんよ。さらに、この公団発足後も考えまして——と言ったって直ちに賛成するとは申しませんが、外で開発してきたものを受け入れる場合の、かつてのクウェートアラビア石油原油の受け入れのような問題を起こさないかどうか、その点についてはいかがです。
  66. 両角良彦

    両角政府委員 かつてアラビア石油原油の受け入れにつきまして、御指摘のとおりいろいろ問題があったことは事実でございますが、今日におきましては、すべて精製会社アラビア石油会社との間の了解が成立いたしまして、問題は解消いたして、円滑な引き取りが行なわれております。将来においてわが国海外開発しました原油についても、再びさような事態が起こることのないように、あらかじめ精製元売り会社開発会社との間の相互の協力もしくは相互の理解というものを前提に進めてまいりたいと思いますし、また、政府といたしましても、さような引き取りの円滑に資するよういろいろ努力をいたしたいと考えます。
  67. 田中武夫

    田中(武)委員 そういう方向で努力をしてもらうとともに、いま資本自由化がやかましくいわれているときであるだけに、こういうひもつき契約というようなものはできるだけ排除していく。これは考え方によってはいい場合も若干あるだろうと思います、全部そちらに責任を持たすという意味において。しかしながら、この契約を見ると、免責条項等もいろいろございまして、都合のいいときには一〇〇%だが、都合が悪くなったときに一〇〇%やらなかったことに対する損害ということは、損害賠償に応じなくてもいいようにちゃんとできておるわけです。そういう点を十分配慮して今後は指導してもらいたい、こう思うわけなんです。  次に、貿易振興局長にお伺いいたしますが、輸出保険、これを停止いたしました七カ国、その間には、私が調べたところによりますと、イラクとの間には貿易協定がある。ヨルダンには通商に関する交換公文がございます。シリアとアラブ連合には貿易取りきめという、これはどういうものか知りませんが、あるわけでございます。そのことと今度の輸出保険の停止ということは、言いかえるならば事実上全面的輸出の停止になるわけですね、そういうことには関係はございませんか。
  68. 山崎隆造

    山崎政府委員 通商局長です。お答えいたします。保険の停止は、要するに取りきめその他とは関係ございませんで、取引が混乱いたしまして回収不能その他の事由が今後発生すると見通されましたので、今回停止したわけでございますので、取りきめ、協定その他とは関係ありません。そういう事態が発生いたしますと、停止いたす場合もございます。
  69. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、イラク共和国との貿易協定を持っておるんですがね。いまのそういう状態が起きたから輸出保険を停止した、危険度が高くなったからということだと思うのです。そのこととこの事態とは直接関係はないといたしましても、この貿易協定に盛られておる精神からいって、うしろにはこういうものを輸出し、こういうものを輸入するというようなことも書いてあるわけです。そういう点から、停止するならば、直ちに、一応その期間は全面的な貿易が停止せられるという結果を招くわけですね。それに対してこの協定とは、あるいは交換公文等との精神からいって、別に差しつかえないのかということが一点。さらに、先ほど触れました外資系製油会社外国石油会社との契約にはすべて免責条項がうたわれています。しかしそういうことによって——この場合、こちらが受ける場合については免責が行なわれるようにちゃんと書いてあるわけなんです。ところが、日本が出す場合、ああいう状態にあって、これはいまの七カ国だけではありません、スエズを通ってヨーロッパへ行くやつに対しても、そのために納期がおくれる、あるいはケープを回ることによって船賃が二〇%ぐらいは上がるだろう。そういたしますと、結局、出血輸出になるか、いわゆるコスト高になって、そういった出血輸出のような状態になるんじゃなかろうか。また、ケープを回ることによって納期がおくれる。そのことに対する相手からの損害賠償ないし遅延違約金、こういうものを請求を受けることにつきましてはいかがでしょうか。やはりこれはいわゆる当該会社の責めに帰せざる理由によるところの事件であるので、そういうことは免責になりますか、どうでしょう。
  70. 山崎隆造

    山崎政府委員 第一番目の、取りきめその他におきましての精神に違反するかどうかという問題でございますが、協定のみならず、一般貿易取りきめと称しますものでも、おのおのの法令の範囲内においてという項目が一応入っておりますもので、特に日本が保険の引き受け停止等につきまして、差別的に意思的に、実際的の事態が発生しないでやった場合には、これは問題になるかと思いますが、そういう事態が発生して法令に基づいて引き受け停止した場合には、現にイラクその他の取りきめとは違反いたしていないと私は考えております。  それから、ケープタウン回りでいろいろな引き渡し期間の遅延あるいは価格の上昇という問題につきましては、石油等その他長期的な契約については従来日本側も、フォールス・マジョール・クローズと申しまして、やむを得ざる事由による場合には免責になるというのは入れるのが慣例でございますが、個々の商品の取引につきましては必ずしもこれはないかと思います。そのために保険制度もございまして、保険をかけておりますと、いわゆる回航による増加運賃に対しててん補が行なわれる。したがいまして、輸出業者としては、特に価格を引き上げないでもそのまま損をしないでいくという制度もございます。しかし、引き渡しの遅延による先方のキャンセルという事態につきましては、そういう事態が発生いたしました場合には、これは普通保険の保険事故かどうかということは、実際のケースについて検討いたしたい、こう考えております。
  71. 田中武夫

    田中(武)委員 まあまあそういうことになるのだろうが、現にここにあります契約が実在する。その履行のために持っていくわけですね。ところが、スエズが通れない、ケープを回る、運賃が高くなる、時期がおくれる、そこで契約不履行という問題が国際的に起こるんじゃないが。それぞれ抜け目のない商社等でございますから、そういうことにつきましては、別に通産省がどうこうする以前に手は打っておると思うのです。しかしながら、そのような問題について十分検討をしておく必要があると思う。これは契約の内容によってどうなるかわかりません。しかし、その問題は必ず起こると思う。その場合に、日本がもらう場合は、これは免責条項がはっきりとしてある。日本が出す場合はどうもまだ十分に免責条項がうたわれていないというような問題が起きるわけなんですね。さらに、海上保険ということでございますが、こういう事態にあたりまして海上保険の料率がどんどん上げられていることも事実なんです。そういうことに対する通商局としての対策はもう打ってあるのですか。
  72. 山崎隆造

    山崎政府委員 第一の点は一般的な問題でございますが、従来契約をやりますときには、そういう免責条項その他を入れるように指導は従来から心がけておりますし、また問題が起きましたときには、商事仲裁というものを行なう機構も日本には設けておりまして、各国ともそういう協定を結んでおりまして、漸次この範囲を拡大いたしております。  それから、ウォーリスクに伴ういわゆる保険の料率、これは現実には四十倍になっておりますが、これは特にアカバ湾航行封鎖その他で危険が増大しまして、特別地域に——そういう事態がないでしょうが、その地帯にすでに向かって進んでいる船とか、そういう特殊な船につきまして、非常に戦争危険保険の料率が上げられましたが、これはやはりわれわれとしてはなるべく低いほうが好ましいのですが、これは商業採算上いろいろな関係上、やはりやむを得ない事態とこう考えております。
  73. 田中武夫

    田中(武)委員 外務省見えていますね。——これはきょうは説明員ですから、あまり政策的なこと政治的なことはどうかと思いますが、この地区における在留邦人の引き揚げについては何か勧告が出たらしいですが、こういうところに日本貨物船が出ておるのですが、海上安全について、航行安全について何らかの手を打っていますか。これは外務省やるのじゃないの。そういうことはその管轄が違うのかどうか知らぬけれども、それじゃ一番えらい人は宇野次官になるわけだな。政務次官にどういう手を打っておるか、こういうことを聞くのは無理だと思うのですが、ひとつ外務省と連絡をとって航海の安全に対する措置、そういうことについて積極的にやってもらいたい。
  74. 高林康一

    ○高林説明員 航海の安全につきましては、特にスエズ付近、これは当然閉鎖になっておりますので、その配船についてそれぞれ仕向け地別に航路を変更するというようなことを各関係の船会社に対しまして現実に実施しておるわけでございます。それからまたウォーリスクに伴います問題につきましても、各社におきまして保険付保等の手続をやっておるわけであります。実際問題といたしましていままでそのような各社の処理によって進んでおるという状況であります。
  75. 田中武夫

    田中(武)委員 たまたま当時スエズ運河を航行中であった郵船ですかの何とか丸が至近弾を浴びたということを聞いております。そのような危険なことは戦争自体が下火になればないというわけですが、心配ないですか。
  76. 高林康一

    ○高林説明員 先ほど御指摘のありました商船三井の松戸山丸がちょうど閉鎖になりますときぐらいにスエズのまん中におりましたけれども、これは確かに危険な状態にあったようでございますけれども、無事通過いたしました。その後スエズ付近に参りますところの船につきましては、スエズを迂回するように——多くはケープ回りになりますけれども、それぞれ近くスエズに入りますものにつきましては指令済みでございますので、おそらくそのような危険な状態には立ち至らないというふうに考えております。
  77. 田中武夫

    田中(武)委員 これは通商局長が適当かと思いますが、ロンドンの為替相場でポンドが暴落した、そして金がぐんぐん上がってきたというような情報がありますし、また綿花の取引が停止せられたところもあるというような状態日本貿易にどのような影響があるかは検討せられましたか。
  78. 山崎隆造

    山崎政府委員 金に関する情報について、的確にわかりませんが、ここ三週間以前からアラブ諸国がユーロダラーを引き揚げて金にかえたという情報はつかめておりますが、これは明らかに取引の混乱あるいは戦争状態の発生をおそれて、場合によってはドルとポンドの凍結その他の事態を予想しての操作だろうと思います。その結果特に関係はないと思いますが、日本から約二千万ドルに相当する短資、ユーロダラーが逃げていったという問題はございます。それから金が上がりましたこと自体については、そういったいろいろな情勢からある程度やむを得ないのだと存じますが、いま貿易上の問題として検討はいたしておりますが、すぐには影響はございません。むしろ短資が外に出ていったということから、国際収支上将来問題を起こすかどうかという点については十分検討しておりますが、現在の情勢では、なるべく輸入ユーザンス等の活用をはかることによって十分防ぎ得るし、また短資の逃げました分は、ある程度この辺でとどまるだろうという見通しから、現在までの情勢ではさして不安はないという見解を持っております。
  79. 田中武夫

    田中(武)委員 綿花がとまると思うのです。したがって繊維影響がある。そこでこの事態が下火になったら——そう長くは続かぬとは思いますが、現に国際商品が値上げを示しておりますね、繊維とかゴム製品が。さらに辛党には痛いと思うのですが、スコッチウイスキーあるいはブランデーといったような洋酒が値上がりを示すだろう。あるいはコーヒーも、日本に対しては、半分は南米、半分はアフリカです。こう考えたときに甘党——コーヒーが甘党かとうか知らぬが、甘辛双方に大きな影響を与えると思うのですが、そういう見通しはいかがです。
  80. 山崎隆造

    山崎政府委員 最近の国際商品の足取りを見ますと、非鉄金属、綿製品その他につきましては、六日がちょっと上がった状態がございましたが、その後平静になりまして、むしろ七日に下がったという情勢もございます。綿花の取引がとまったというのは、私はまだ存じておりませんが、そういう事態は現在ではないだろう、こう考えております。それから、コーヒーその他ウイスキー等が上がりますかどうか、見通しにつきましてはこれは何とも申し上げられませんが、コーヒーが特に影響を受けるということは、現在の中近東の情勢ではありません。ウイスキー等がイギリスからきますので、値段が上がるという思惑で若干市中が上がるということは考えられないことはございませんが、これもたいした問題にはならない、こう考えております。
  81. 田中武夫

    田中(武)委員 そうではなくとも酒は上がる傾向を示しておるわけですね。だから、私はスコッチウイスキーあたりは上がるだろうと思う。それは何もこれだけの原因ではないと思いますが、そこへこのことを口実にして上げるのじゃないか。これはむしろ公取委員会にも一言言うておかなくちゃならぬと思うのですが、きょうは呼んでおりませんが、こういう事態を口実にする国際商品なり消費物資の値上がりに対して、これは通商局がやるわけじゃないだろうが、宇野さん、ひとつ経済企画庁等とも連絡をして、この中近東戦争状態といいますか、このことを口実にしての物価の上昇に対しては、しかるべき手を関係の各省において考えてもらう必要があると思いますが、いかがですか。
  82. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 そういうことを口実にした場合の値上げに対しましては、先生おっしゃるとおりに、通産省といたしましても、経企庁あるいは大蔵省等々と十分に連絡して、そういうことがないようにいたしたいと思います。
  83. 田中武夫

    田中(武)委員 アメリカあたりのタンカーを日本はどの程度利用しておりますか。
  84. 高林康一

    ○高林説明員 現在日本輸入いたします原油の大体六割は日本船で積んでおります。それから残りは外国用船を使って約一〇%、日本関係のもので大体七割を積み取っておる状況でございます。残り三割は国籍別にはいま手元にちょっと資料がございませんが、主としてリベリアの船、それからノルウェーの船、こういうものが大部分を占めておりますので、おそらく直接米国、英国のフラッグを掲げておりますものは比較的少ないというふうに考えております。
  85. 田中武夫

    田中(武)委員 少なければ影響も比較的少ないと思うのですが、七日夕のニューヨークの海運市況では、タンカーの運賃が五月の二倍にはね上がったというような情報もあるわけですね。これによって他の諸国のタンカーもやはり運賃を上げられるんじゃないか。そういうことによる原油のコスト高というものが響いてくると思います。そういうことに対して、端的に言えば先ほど来言っておるこういういろいろな事態、あるいはタンカーの運賃の値上げ等をも含め、供給が少なくなるということならば、値段が上がるのが理の当然なんですが、直ちに石油製品の値上げを来たす、こういうことはなかろうと思いますが、そういうことについての手は打ってありますか。
  86. 両角良彦

    両角政府委員 本年の四月から九月までのわが国原油輸入におきますタンカーの用船状況を調査いたしましたところ、そのうちの八割強が長期用船によっております。したがいまして、昨今の情勢の変化によりまして、かりにタンカーフレートの値上がりが起こるといたしましても、それはスポットものにおいてさような事態があり得るわけでありますが、その比率は一二%ときわめて低い用船計画になっておりますので、かりにフレートの上昇があり得たといたしましても、わが国原油輸入コストに与える影響はきわめて微弱であろうかと思います。したがいまして、石油の製品市況というものには影響がないと考えます。
  87. 田中武夫

    田中(武)委員 ソ連輸入ものもシェアとしては少ないですが、これもやはりスエズを通過できないということで影響を受けると思います。私は実際的において、この事件石油だけではないが、あらゆるものに及ぼす影響よりか、そのことによる心理的な作用、ことにそれを口実としての物価の値上げあるいは石油製品の値上げということ、あるいは実際あらわれるのはしばらくたった後だと思うのですが、そういうことについてあらかじめ、先ほど一般物価については宇野次官にも申し上げましたが、石油製品については両角さん、抜かりなく手を打ってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  88. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のとおり、石油製品の便乗的な値上げがかりに将来起こるようなことがありといたしましたら、当方といたしましては適切な措置をとる心算でございますけれども、ただ御承知のように、昨今のC重油等を中心といたします石油製品市況は不当に低迷をいたしておる際でもございますので、その辺の判断はなかなか微妙であろうかと思います。
  89. 田中武夫

    田中(武)委員 微妙であろうかと思いますでなくて、あらかじめそういうことをさせないぞということですね。これは石油業法が直ちにそういうように動かないけれども、著しく高騰するおそれある場合はというようなことになっていますね。法律を提案せられたときには、これを通していただけばこれだけの効果があります、通ってみたらあまり効果はないのが、これは通産省だけじゃありません、政府の出してくる法律なんです。こういうときには、いままでのたとえば業法によってやれる点があるだろうし、きょうは公取はいないが、独禁法からでも手を打っていく場合があるだろうし、あるいは行政的に先ほど宇野さんが言ったような手を打つべき必要があるだろうと思う。そういう便乗ないし心理的物価値上げに対しては、特に石油製品に対しては、業法もあることだし、十分なる手を打ってもらいたい。もう一度確認いたします。
  90. 両角良彦

    両角政府委員 便乗値上げ等につきましては十分なる措置をとるつもりでございます。
  91. 田中武夫

    田中(武)委員 運輸省海運局次長さん、大体そういうことは各船会社でやることだろうと思うのですが、予定が変わるわけですね。そうすると配船計画といいますか、そういうものについての検討、これはもちろんしていると思うのですが、戦乱がおさまったとしてもスエズはまだ通れない、こういう上に立ってそういったような海運に対するしかるべき手といいますか、配船というようなことについては、十分考慮はなされておると思いますが、いかがですか。  それから、私よくわからぬのですが、このような場合、一般の貨物船とタンカーとは何か商慣習が違うというようなことも聞いたのですけれども、タンカーと一般貨物船の取り扱いの違いというのは何かありますか。
  92. 高林康一

    ○高林説明員 第一の配船の問題でございますが、定期船につきましては、いまスエズ閉鎖に伴いましてケープ回りになります関係上、おそらく日数はほぼ十日ぐらいよけいかかろうかと思います。これが長期化いたしました場合には、従来の船腹での配船は当然非常に困難な場合が出てくるかと思います。そういうような点につきましては、現在欧州航路を担当いたしておりますのは邦船に限れば二社でございますけれども、それぞれ配船変更の場合どのような船を充てるかということを検討しておりまして、そのたびごとにそれぞれ配船につきまして指示できるような体制を現在運輸省とも連絡をとりながら状況判断をしておるという状況でございます。  それから第二段の問題は、商慣習が違うということはちょっとよくわかりませんけれども、場合によりましては、定期船の場合におきましてはおそらく通常船荷証券に定めましたところの普通契約条款でいろいろの規定がございまして、たとえばスエズが何らかの障害で通れない場合はどうするとかいうようなことを船荷証券におきましていろいろとはっきり定めておるわけでございます。それからタンカーの場合におきましては、一般的にそういうような不特定多数に対する扱い方でなしに、具体的にその用船の対象になりますものとそれぞれ運送契約を結んでおりますので、そういうような運送契約の内容というものは相当違っておるということは実態だと思いますけれども、慣習的にはやはりそれぞれ定期船、タンカーそれ自身の違いはもちろんあるかと思います。
  93. 田中武夫

    田中(武)委員 私も舌足らずだったが、そうです、定期的な貨物船とタンカーに対してこういうような事態が起こったときの商慣習が違う、そういうことを聞いたわけなんですが、そのことについてはいまちょっと説明がありまして、定期的に通っているのはあらかじめそういうことが約束してある、それぞれの具体的なときに契約をするタンカーとは違うと言うのですが、こういうふうな状態になってタンカー自体の運航については特に注意せなければいけないというか、あるいは打たねばならない手はありませんか。
  94. 高林康一

    ○高林説明員 タンカーにつきまして特に注意しなければならないのは、やはりそれぞれの積み出し港におきますところの積み出し能力といいますか、それが混乱が起きました場合にいろいろな手違いが生ずる関係があります。それで、それぞれの運送契約におきましては、何日でこういうふうに運送するというようなことがきめられている場合が多いかと思います。そういうような積み出し能力あるいは積み出し港の情勢というようなことは常に把握しておかなければならない事態かと思います。また船主におきましても、こういうような状況を絶えず連絡をとっておる模様でございます。
  95. 田中武夫

    田中(武)委員 このような事態がしょっちゅう起こられたら困るわけですが、たまたまこういう中東戦争とでもいうのか、動乱が起こったことを契機として、いろいろな面、ことに石油政策において十分な措置が今後とられるように要望いたしておきます。  大臣がおればまだ聞きたい点がありますが、大臣も留守のことだし、あらためて伺うことにして、あとに質問者もありますので終わりたいと思いますが、これは政府委員の皆さんに申し上げてもしようがないのだが、総理とか閣僚に伝えてもらいたい。わが日本社会党が中立外交を宣言したときには、佐藤さんは幻想だと言った。ところが、この動乱が起きまして、日本厳正中立を宣言することが石油供給源その他についてよかったということを肝に銘じていただいて、日本社会党の中立外交について積極的な協力と検討を要望しておきます。これは一ぺん総理に言いたいのですが、終わります。
  96. 島村一郎

  97. 鈴木一

    鈴木(一)委員 同僚の田中君から詳しい質問がございましたので、重複を避けまして二、三の点についてお尋ねしたいと思います。  中近東の動乱の可能性というものは十分あったわけでございますが、いつ起こるかということはだれも予知できなかった。しかし現在その動乱の中に入っておるわけでありまして、これから一体どういうふうになるのか、長引くのか簡単に結末がつくのか、これもわからないことでございます。そうしたような状況におきましていろいろお伺いしてみても、聞くほうもなかなか容易じゃないし、答えるほうもたいへんだと思います。ただしかし、そうした中におきましても、多少基本的な問題につきましてお尋ねしたいことがありますので、これからお尋ねしてみたいと思うのであります。  先ほどお答えがあったと思いますが、日本原油並びに製品の備蓄の量というものはどのくらいなものか、もう一度お尋ねしてみたいと思います。
  98. 両角良彦

    両角政府委員 今日、四月末現在の数字によりますと、原油におきまして二十日分、それから製品におきまして二十二・五日分というのが四月末の備蓄の数字でございます。実数といたしましては、原油が四百九十五万キロリットル、製品が五百七十六万キロリットルという数字でございます。その後五月におきましてさらに原油で百万キロ程度の備蓄量の増加があると考えられます。
  99. 鈴木一

    鈴木(一)委員 いまの数字では少ないのではないかと思うわけであります。というのは、日本よりももっと産地に近い、先進国といわれておる国々、たとえばOECDの加盟国では、大体十年ぐらい前から少なくとも九十日間ぐらいの備蓄はすべきである、こういうふうな申し合わせのもとに現にこれを実行しておるわけであります。ところが、こうした国よりも不利な立場にある日本がわずか四十二、三日、四十五日ぐらいの備蓄しかないというようなことは、私ははなはだ少な過ぎると思うわけでありますが、何せ先ほどもるるお話がありましたように、相手が相手であり、必ずしもこちらの行政指導が十分行き届きにくいというような相手でもあると思うわけでありますけれども、しかし何といっても、今後エネルギーの構成が変わることはありましても、当分の間この石油というものがエネルギーの中心をなして進んでいくことは、これは事実としてやむを得ないと思うわけであります。そういう立場から考えてみますと、あまりにも少ない。一体その理由は、いま申し上げましたように通産省の力が及ばないのか、あるいは遠慮されてあまり強く言われなかったのか、その辺の理由をお伺いしてみたいと思います。
  100. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 先生おっしゃるとおり、わずか一月半という貯油量は少ない。これは、従来から私たちは繰り返して申してまいりました。わが国の産業に与える影響も当然でございますが、一方セキュリティーという問題から考えましても、これは当然地理的な環境からももっと増量すべきであります。したがいまして、私も実は個人的に業界の方がお見えになられましたときに、わずか四十日分程度では少ないじゃありませんか、もっと貯蓄される必要はないのかということを再三申し上げております。したがいまして、通産省といたしましても、そのようなことを従来から業界に対して要望もいたしておりますが、何ぶんにも貯油するためには相当な財政負担も要りましょうし、今後はこういうことを契機といたしまして、先ほど大臣お答えいたしましたとおり、少なくとも二カ月分くらいはどういたしましても保有をしておかなくてはなりませんので、それにつきましては通産省といたしましては、原油の基地をつくるなり、あるいは当然業界とも相談をいたしまして、そのような措置をとっていきたいというふうに考えております。
  101. 鈴木一

    鈴木(一)委員 日本ばかりが金利がかかり、あるいはまた設備に金がかかるわけではないんで、やはりどこの国も同じだと私は思うのです。それほど石油の公共性というものを、私企業である業者も自覚した上にこうした協力が行なわれておる、私は外国の例はそうだろうと思う。別に法的に縛っておるのではなくて、実際必要であるから自分の負担においてそういうことをやっておるのだと思う。ですから、もう少しこういう点については強腰に出て、日本石油供給する限りそのくらいの義務を負うのは当然であるというような立場から、もっと強く交渉してもらわなければならないと同時に、この設備その他につきましては、金もかかることでもありますし、融資その他については条件を出して、十分これだけのことはするから、少なくともOECD加盟国くらいの備蓄はすべきではないか、こういう態度が望ましいと私は思います。重ねてお伺いしたいと思います。
  102. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 私は、たとえば二十日分をさらに貯油をするとすればどれくらいの敷地が要るのか、こういうふうに聞きましたところ、二十日分で五百万キロリットルでございますから、敷地といたしまして、約五十万坪程度であります。それくらいのことであるならば、当然政府といたしましても、いま先生がおっしゃったような観点に立ちまして、財政援助をするなり強力な措置をとって進めていくべきである、こう考えておりますので、今後はこれを強力に御趣旨のとおりに進めたいと考えております。
  103. 鈴木一

    鈴木(一)委員 なお、これは非常にできにくいことかもしれませんけれども、その備蓄の一つの方法として、共同で備蓄をするとか、個々に分散せずに大規模のものを考える、それに対して政府援助していくというようなことも一つの解決の方法ではないかと思いますが、その点いかがですか。
  104. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のとおりでございまして、今日問題になっておりますCTSすなわち大型原油基地の建設の促進ということは、あわせまして貯油の増強につながる方策でございますので、政府といたしましても、これが推進につきまして十分配慮してまいりたいと考えております。
  105. 鈴木一

    鈴木(一)委員 そういう点について、せっかく天与のいい機会だと思いますので、ひとつ積極的な対策をお願いしたいと思います。ただここだけで言いのがれるのではなくて、やはり日本としてはどうしても必要なことでもあるし、こういう動乱が起これば、お互いこうしてあわてなければならないというようなことのないように、少なくともOECDに加盟するときに、なくなった池田総理が、われわれもいまや大国である、先進国並みだということで加盟されたことを私ら記憶しているわけであります。そういう点についても、向こうに劣らないだけの措置を十分政府の責任においてやっていただきたいと思います。  それから、次に価格の問題でございますが、これも繰り返しはいたしませんが、ただいまの政府の御答弁では何となく不安な点が感じられます。あるいは値上がりも起こるかもしれない、石油製品が安くなっておるのにというような印象を受けたわけであります。この際、火事場どろぼう的に、便乗して価格を上げるということは少なくとも絶対させない、こういう言明がほしいと思います。いかがでありますか。
  106. 両角良彦

    両角政府委員 今回の紛争を原因とする価格の上昇ということは、国内市場においては私は起こらないと考えます。かりに、そういう便乗的な値上げが起こるようでございましたら、われわれとしても万全の措置をとりたいと思います。
  107. 鈴木一

    鈴木(一)委員 よく抜本対策とか万全とかということばが使われるわけでありますが、具体的に、こうであるから万全だということをもう少しお聞かせ願いたいと思います。
  108. 両角良彦

    両角政府委員 御承知のように、昨今におきます石油市場はきわめて軟化状態でございまして、かかる需給の面から見まして、石油の価格というものが低い水準において安定をいたしておるという状態でございます。したがいまして、これが今回の紛争によりまして大きな原油供給減ということでも起こりますと、需給面に影響が出てくるわけであります。ただいまの情勢ではさようなことはないということでございますので、いま国内市況で継続しておりまする状況に大きな変化はない、したがって、これが値上げ等に結びついていく事情にはなってまいらないと考えるわけでございます。
  109. 鈴木一

    鈴木(一)委員 通産省としても、すでに外資系の会社を呼んで十分情報もとっておられると思いますが、彼らとしても国際的な信義もあることでもありますし、これに便乗してかせごうというふうな傾向は私はないと思いますけれども、そういう点について、もし接触した限りの情報でもございましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  110. 両角良彦

    両角政府委員 ただいままでのところ、今回の事態を理由といたしまして、あるいは今回の事態に結びつきました意味での価格の動きというようなものは、外資系を含めまして、ございません。
  111. 鈴木一

    鈴木(一)委員 ないという事実じゃなくて、しないというふうな言明はなかったのですか。
  112. 両角良彦

    両角政府委員 会社側から直接さような言明は政府としては受けておりませんけれども、おそらくさような事態にはならないということになろうかと思います。
  113. 鈴木一

    鈴木(一)委員 それでは、価格のことについては安心しておってもいいということですね。間違いありませんね。——わかりました。  それから、いままでの日本石油政策というものは、非常に重要な政策であるにもかかわらず、比較的重要視されなかった、そういうきらいがあった、そういうふうに私は感じております。鉄鋼だとか繊維とか肥料とか、そういうものは政治問題として非常に大きく取り扱われますけれども、石油のことにつきましては、供給する先が先である関係もあって、あまり大きく取り上げられなかったと思うわけでございます。しかし、今回石油開発公団というふうなものが取り上げられまして、しかも公団、公庫はつくらないというような行政簡素化の大きな声のある中で、一応予算も通って、法案も国会に出されておるわけでありますが、そういう努力に対しましては大いに多とするものでございます。しかし、実際問題として、これを今後具体化し、その成果をあげていくというふうな立場からするならば、いろんな困難があろうと思いますし、そう簡単に低廉で豊富な油の供給できるところが見つかるというふうにもわれわれ考えられないわけでございますが、しかし、一応おそきには失したけれども、そういう方向に進んでいこうとする姿に対しましては、先ほど申しましたように敬意を表するものでございます。ただ、しかし、たとえ開発に成功したとしましても、中近東の油のようなコストの安いものではなくて、相当高いものになりはしないかという感じも私はするわけでございます。その場合、日本に持ってくるよりもアメリカなり、そちらの市場でさばいたほうが開発した会社としては採算が合うといったふうな場合もあると思います。また同時に、こうした動乱の場合は、アメリカ日本、あるいはカナダと日本、あるいはオーストラリアと日本というふうに合弁会社をつくってみても、相手方の国としてもやはりその油がほしいということにもなると思うのです。そうした場合、間違いなく日本にそうした油を持ってこれるというふうな契約とか、そういう点についても十分抜かりなくやっていただかなければならないと思います。すぐわれわれの目の前で、ヒルトンホテルみたいに、建物はこっちだけれども経営権は向こうだ、そうしていろんな問題があって、なかなか戻ってこない、そういうことも——何しろ国際的な視野の広い、しかも商売にかけてはすぐれた連中を相手にしてやることだと思いますので、いろんな心配が私は出てくると思いますが、そうしたこまかいこと、それは出てからの話だといえばそれまでですけれども、やはり出ないうちからそうした契約その他についても十分な措置が必要ではないかというふうにも考えられますが、そうした点についての御見解を伺いたいと思います。
  114. 両角良彦

    両角政府委員 お話にございましたように、海外開発をいたしまする原油が、たとえば中近東のものに比較いたしまして、あまり割り高であっては困る、あるいはまた国内に引き取りましたときに、コマーシャルベースに乗らないような価格水準のものであっても困るということでございます。われわれといたしましては、やはりそういう経済性の原則にのっとって海外開発が行なわれるようにいたすべきだと考えております。それである限り、国内における引き取り問題というものも、やがて円滑にいくものと考えております。なお、そのほか、海外開発に伴いまして引き取り問題等について、こまかい面にわたりまして十全な配慮をいたしていくということは、私どももさような方向で努力いたしたいと考えております。
  115. 鈴木一

    鈴木(一)委員 公団のことにつきましては、後ほどまた法案の審議で触れたいと思っておりますが、ただ、ちょっと気になる点についてお伺いしたいと思うのです。実際、公団の融資を受けて仕事をするのは、帝石なりあるいは石油資源開発株式会社ということになろうと思いますが、そういうふうに理解していいですか。
  116. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまのお話のとおり、石油開発公団がかりに成立いたしました際には、みずから直接事業主体になるものではございません。したがいまして、開発もしくは探鉱等の直接の事業は、国内におきましては帝国石油海外につきましては石油資源開発の子会社でありまするところのインドネシアあるいはカナダ、オーストラリア等の現地法人というものが、さような探鉱活動ないし開発事業を行なうということになろうかと思います。
  117. 鈴木一

    鈴木(一)委員 そうすると、帝国石油の場合は、海外で向こうと合弁会社をつくるということはないのですか。
  118. 両角良彦

    両角政府委員 それは帝国石油の計画として、さような計画があるならば、当然可能であろうかと考えます。
  119. 鈴木一

    鈴木(一)委員 しかし、実際問題として、この帝石なり資源開発の実態を見てみました場合、いままでの国の援助も私は決して十分ではなかったと思います。したがって、はたしてそれだけの十分な能力を持っておるのかどうかという点についても、非常に不安に思うところが多いわけでございます。要は、技術その他につきましては今後普及すればいいわけですけれども、やはり相当資金の裏づけをもってしてやらなければ十分なことはできないし、かえってあわてて大きなものを逃がしてしまうというふうな場合もあると思うわけであります。ですから、今後この公団が成立した場合の資金の裏づけというふうなものは、ただその年その年大蔵省と折衝して、これだけだ、これだけだというふうなことではなくして、何かやはり長期的な展望に立った財政の裏づけ、たとえば原油に対する関税の何%かはこれに振り向けるとか、そうした長期的な資金の裏づけをしてやらないと、この両会社の力をもってしては所期の目的は達し得ないような感じがするわけでございますが、そうした点について、まだできもしないうちからこういう質問をするのは少し本末転倒かもしれませんけれども、皆さんの公団をつくられるという熱意を多とするあまり、あえてお伺いするわけです。
  120. 両角良彦

    両角政府委員 海外におきまする日本の手によりまする原油開発は、目標といたしましては、昭和六十年度におきまして三割というものを一応立てております。したがいまして、わが国が将来購入します原油の三割は日本系の企業によって海外において開発されるということを目標といたしまして、それを実現するために必要な海外における探鉱計画というものを毎年立ててまいることになるわけであります。平均いたしまして、さような探鉱に必要な投資資金というものは二百億円ぐらいかかるのではなかろうかというふうにわれわれは考えます。したがいまして、石油開発公団が成立の暁には、かかる大規模な探鉱計画というものが円滑に促進できるように、必要な財政資金の確保に努力したいと思います。
  121. 鈴木一

    鈴木(一)委員 大臣がおればそのことを確認したいと思いますけれども、政務次官からもひとつその点についてお伺いしたい。
  122. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 いま局長が申しましたとおり、一応二百億の予算を私たちはもくろんでおるわけであります。私はしろうとでございますが、詳しく聞きますと、探鉱と一口に申しますが、ボーリングの場合は、七本打ち込んで一本成功すればよいほうである、このようなむずかしい事業であることを考え合わせますと、先生おっしゃるとおりに、やはり長期見通しを立てまして、必ず昭和六十年度におきましてはそのうちの三割をわれわれの開発公団に基づいて供給し得るような体制を整えたい、こう思いますので、今後長期ビジョンに立っての、いうならば全面計画といったようなものを打ち立てておきたいと考えております。
  123. 鈴木一

    鈴木(一)委員 私から申し上げるまでもなく、自然相手の仕事でございますし、上から何千メートル下を推定しながらやっていく仕事でありますから、そう簡単にいい結果は私は出ないと思います。しかし、そういう努力を積み重ねることによって大きな成果も得られると思いますし、また、イタリアの天然ガスの場合を見ましても、第二次の五カ年計画の後半においてああいうふうなものが出てきておるわけですね。ですから、こうした自然相手の仕事は、ほんとうに腰を据えて、長期的な展望に立って、古くさいことばかもしれませんけれども、一つの国策というふうな形からぜひ進めてもらいたい、こういうふうに考えております。  なお、公団はつくらないという中に公団ができるわけでありますが、きのうも参議院の議院運営委員会で公団の人事についていろいろ問題が提起されておりますが、やはり何といっても、いまの日本の行政官庁の中では大蔵省が、金を握っているせいか、一番強いわけですね。ですから、公団はつくってやる、そのかわり総裁をおれのほうから出せというふうな、そんなばかな取引は私はないと思いますけれども、(「あるんだよ」と呼ぶ者あり)これはあるとすれば大問題でありますが、私としては、こうした画期的な仕事をする公団でございますから、経験と申しますか、キャリアと申しますか、政治力と申しますか、あらゆる点で相当の人物をこの公団の総裁に充てるのでなければ、単なる高級官僚の楽しい第二の人生を送るための公団であってはならないと思います。そういうものなら整理してしまったほうがいいと思いますが、政務次官にお伺いしますが、とにかく第一級の人物をほんとうに持ってくるつもりでやっているのかどうか、そういう点をひとつお伺いしたいと思います。
  124. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 おっしゃるとおり、これはもう国策推進の上におきましても一番重要な公団に発展することは間違いございません。したがいまして、単なる天下り人事であってはならないと私は思います。もちろん天下り人事とは申しませんが、万一適任者があらばこれはまた別でございますが、この点は十二分に大臣とも御相談をいたしまして、いま先生のおっしゃったような趣旨に立っての選択をいたしたい、かように考えております。
  125. 鈴木一

    鈴木(一)委員 重ねて申し上げますが、この公団ぐらいは、少し毛色の変わった、相当生きのいい、力のある者をずらっと並べてみたらどうですか。その辺の官庁の天下りとか、そういうものは一切やめて、公団というものはこういうものなんだ——そのかわり給料が高くても、仕事さえして、国のためになれば、私はいいと思うのですよ。何もしないで、ゴルフばかりやって、そして退職金をたくさんもらうというようなことであっては、全くこれはナンセンスだし、そんなような公団なら、われわれも表向きはよくても実際成立は拒まなければならぬと思いますが、ただ、なぜ私がこんなことを聞くかというと、どうも大蔵省のほうから、公団の総裁についてはおれのほうから出せというような、予算をつけるときにひもがついておるというようなうわさがずいぶんあるわけであります。まあそういうことを聞いても、そんなことはないと言うかもしれませんが、しかしうわさが出るだけ、やはり何かあると勘ぐらざるを得ないのでありますが、その点もう一回ひとつ念を押しておきます。
  126. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 予算折衝並びに党内の公団設立の可否、そうした論議の経緯におきましても、いま先生のおっしゃったようなひもつき人事という点に関しましては、一切私どもは存じておりません。したがいまして、今後の人選におきましては、十二分に御趣旨を尊重いたしましてやっていきたいと思います。
  127. 鈴木一

    鈴木(一)委員 まだお伺いしたいことがありますが、本会議の時間もあるでしょうし、これで一応打ち切ります。なおあらためて公団のどきはお聞きします。
  128. 島村一郎

  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほどからいろいろな問題が出たわけでございますが、パレスチナ問題、あるいは以前のスエズ動乱、あるいは今回の動乱と考えてまいりますと、そのたびに中近東石油がストップする、こういうわけで、わが国も特にスエズ動乱のときは非常に困ったわけであります。西欧も同じでございますが、しかしながら、西欧等においては分散化ということが非常に積極的に行なわれまして、たとえ中近東からの石油がストップをしてもかなり持ちこたえができる、そういうような体制にまできておるわけでございます。日本も当然そういうような姿勢で今日までこられたと思うのでございますが、しかしながら今回の動乱を見ますと、これはわが国にとって非常に深刻な打撃を与えられたわけです。  そこで、私はまず第一点にお聞きしたいことは、スエズ動乱以後、原油購入先の分散化ということについて、政府相当積極的な姿勢でこられたわけであります。その後どのように今日まで努力をされてこられたか、そのことについてお聞きしたいと思います。
  130. 両角良彦

    両角政府委員 前回のスエズの動乱にかんがみまして、西欧諸国中東依存度を低めるための努力をいたしたことは御指摘のとおりでございますが、わが国といたしましても、その経験にかんがみまして、国内及び海外の自主的な原油油田の開発、確保ということにつとめてきた次第でございますが、今日まで石油資源開発株式会社におきまして財政資金二十九億円を投入いたしましてかような努力を続けてまいったのであります。しかしながら、わが国において毎年増大してまいりまする石油の需要というものを考え合わせますならば、今日までのわが国開発規模というものは必ずしも十分でないということも御指摘のとおりでございます。さような見地から、今後中近東依存度を減少し、自主的な供給ソースというものをわが国において確保いたすという方向で、石油開発公団の設立その他を通じて努力をいたしてまいりたいと考えております。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 エネルギー調査会のこの答申案を見ますと、輸入分散化ということを非常に叫んでおるわけであります。そこで政府としても、いろいろと東南アジア等の開発あるいはカナダ等にも目を向けていらっしゃるわけでありますが、六十年代においても結局七五%はまだ依存しなければならない、こうした政策を立てていらっしゃるわけであります。しかし、さらに積極的なそうした分散化という点において非常に甘いように思うわけでございますが、これについてはどのような御見解をお持ちでございましょうか。
  132. 両角良彦

    両角政府委員 エネルギー調査会の答申において述べられておりますように、わが国におきます原油供給につきましては、安定供給という見地からは大いに多角化、分散化が必要であるわけでありますが、同時に低廉供給ということもまた、石油のように大量なエネルギーについては必要な要請でございます。さような見地からいたしますると、中近東原油というものは他の地区に比較いたしましてきわめて低廉であるという利点もございます。したがいまして、中近東依存度を低めるということは安全保障の見地からきわめて望ましいことでありまするが、また低廉供給の見地からは、おのずからこれにまたある程度依存していくということも必要な面があるわけでございます。この辺のかね合いということを今後考えながら、わが国の自主的な原油面の確保ということにつとめてまいりたいと思います。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう少し具体的に、先ほども東南アジア、カナダ等の話が出たわけでありますが、もう少し具体的に政府のほうで考えていらっしゃるその点を少しお尋ねしたいと思います。
  134. 両角良彦

    両角政府委員 現在中近東地域以外でわが国開発を計画をいたしておりまする地点といたしましては、インドネシアにおきまするスマトラの地域あるいはカリマンタンの地域がございます。さらにカナダにおきまするオイルサンド等の開発計画、あるいはアラスカにおきまする計画、さらには新しく別途カリマンタンにおきまする九州石油の計画等々、いろいろな地点におきまして計画を現在策定をいたしておる段階でございます。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 わが国石油の全輸入量の大体八〇%ぐらいが外国系のそうした会社に握られておる、こういう点においては、今後このひもつきの比率というものを下げなければいかぬと私は思う。この点についてどのように考えていらっしゃいますか。
  136. 両角良彦

    両角政府委員 原油の購入の自主性を高めるということは、低廉供給安定供給という面からきわめて望ましいわけでございますので、ひもつき原油等につきましても、できるだけそのウエート、割合を下げてまいるという方向で努力をいたしたいと考えております。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 分散化ということで先ほど答弁をいただいたわけでありますが、カナダなりあるいは東南アジア方面とか、いろいろな地域をいまあげられたわけでありますが、私はもっと日本の近辺のほうにも目を向けなければいけないのではないか、このようにも考えるわけであります。そうしますと、日本は島国でありまして、当然これは海底資源ということになってくるわけであります。そこで、現在海底資源の開発というものはどのようになされておるか、この現況についてお聞きしたいと思います。
  138. 両角良彦

    両角政府委員 海底資源の開発、特に大陸だなにおきまする石油もしくは天然ガスの探鉱は、現在まで石油資源開発株式会社並びに出光興産株式会社によりまして積極的に行なわれてきております。特にこの両社が日本地域におきまして海底油田の探査を行なうにあたりましては、相互の努力の重複を避ける意味において緊密な協力関係を保ち、今後とも探鉱に従事いたすことになっております。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 現在まで進めてこられたことについて、かなり具体的な報告をしていただかないと、これはずっと前から政府はそのような答弁をなさっておるわけでありますから、もう少し突っ込んだ答弁をいただきたいと思います。
  140. 両角良彦

    両角政府委員 今日まで石油資源開発によりまして海底油田の探査、探鉱のために投資されました金額は四十五億円といわれております。また大陸だなにおきまして現在までボーリングの数は四十坑にのぼっておるわけであります。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 特に東シナ海の開発について、まず通産省はどのように考えていらっしゃるか。一年前にたしか両角局長だったと思いますが、東シナ海方面における海洋探鉱の問題を具体的に検討してまいりたいと考えますと、これはたしか参議院の委員会と思いますが、答弁されておるわけでございます。特に東シナ海にしぼって委員会で答弁されて、以後どのような調査をなさってこられたか、これについてお聞きしたいと思います。
  142. 両角良彦

    両角政府委員 東シナ海におきます大陸だなの石油資源の開発につきましては、今日まで専門家の調査によりますと、地質構造的には相当な可能性があると伺っております。しかし水深百五十メートル程度相当深い地域であるようでありまして、技術的にこれが開発もしくは探鉱が可能になりまするためには、なお相当な検討が必要であろうかと思います。特に日本海の大陸だな等で石油資源開発について、今後これを試みた上で、技術的にも相当な自信を得た上で、東シナ海等につきましても、可能な範囲で進出することを検討いたしたいと考えております。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまお聞きしますと、要するに技術的に非常に困難な点がある。しかしながら海外の状況を見てまいりますと、中近東においては大体水深五十ないし六十メートル、確かに百五十メートルに比べれば浅い。しかし全部がそうであるかというと、必ずしもそうではないと思う。特に北海等におきましてもそうした海底資源開発が非常に盛んに行なわれております。こういう点において、海外の海底資源のそういう利用についてどのように行なわれておるか、現況をひとつ聞かしてもらいたい。
  144. 両角良彦

    両角政府委員 御承知のように、昨今におきまする原油の探鉱は、内陸地帯から御指摘の大陸だなというところに漸次世界的に探鉱の範囲が拡大されつつあるという状況でございまして、わが国といたしましても、北スマトラ沖の探鉱、あるいはこれから取り組んでまいりまするアラスカの探鉱等は、いずれも当該地域の海底探鉱ということになっておるわけでありまして、さような方向で各現地の開発が有効な成果をおさめるように努力をいたしておるわけであります。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほどの技術の問題に移りますが、私はそういった点については全然しろうとでありますし、それは言えませんが、しかし、百五十メートルのそういう発掘については現在の技術でもできる、このように学者は言っておるのですけれども、その点はどうでしょうか。
  146. 両角良彦

    両角政府委員 わが国がたとえば秋田沖等で行ないました海底探鉱は、海底掘さくバージ等の設備能力の関係もございまして、きわめて浅い地点でしかまだ行なわれておりません。百五十メートルという深い大陸だなの開発ということは、今日まで世界のどこにおいてもいまださような先例は持っていないところでございまして、今後の検討に待たなければならない問題もなお残されていると考えます。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから六月二十四日から七月の六日まで、ソウルでエカフェの海底鉱物資源の共同探査会ですか、こういう会議が行なわれるということは御承知でしょうか。
  148. 両角良彦

    両角政府委員 エカフェの下部機構といたしましての沿海鉱物資源探査調整委員会という委員会が近くソウルで開催されるということは承っております。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは具体的にどういう問題をそこでいろいろと討議されるのですか。
  150. 両角良彦

    両角政府委員 私どもが得ておりまする情報では、その際、公海における鉱物資源の調査について検討が行なわれるということであります。
  151. 近江巳記夫

    ○近江委員 このときの会議に、東シナ海の地下資源の問題について、各国が非常に大きな興味を持っておる。特に西ドイツあたりはメテオール、これは船ですね、あるいはまた人も金もどんどんと出そうと非常に積極的な態度が見えるわけです。そうしますと、いままでのそうした公海上におけるそうした権利についても、調査したものが結局大きなそういう利益を得ておる。こういう点において、東シナ海もほんとうにこれは九州の先ですよ。こんな近くで西ドイツあたりがそれだけ真剣に、積極的態度できておる。これについて、東シナ海について政府として調査をしたそういう資料なり、あるいはいままで参議院においてもそのことがいろいろと質問がされたそれ以後どれだけ積極的にやってきたか、その辺の見解をひとつ聞かしてもらいたいと思う。
  152. 両角良彦

    両角政府委員 わが国といたしましても、わが国周辺の公海におきまする大陸だなの開発ということは、地下資源の有効利用という面あるいはわが国における燃料源の安全保障という見地から、できるだけ近い地点におきまして有望な地下資源を開発するということは、きわめて好ましいごとと考えます。さような方向で、ただいま御指摘のありましたような具体的な計画なり、あるいは具体的な会合なりの機会をつかまえまして、積極的に推進をはかってまいりたいと考えます。
  153. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、一年前にそのことをやりますと言っておりながら、実質的にいままで力を入れてこなかった、こういうことなんですか。
  154. 両角良彦

    両角政府委員 かような大陸だなの探査もしくは調査ということは、きわめて慎重な、かつ広範な準備も必要でありましょうし、また事前の予備調査も必要だと考えます。さような段階を経まして、具体的な進出ということに相なっていくかと考えます。
  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 私が最高権威の学者に聞いたところでは、三億円金があればできると言っておる。三億ですよ。わずかな、それだけの費用で学者はできると言っておる。あなたは広範な準備がなければできない。どっちがほんとうなんですか。
  156. 両角良彦

    両角政府委員 先ほど申し上げましたように、たとえば大陸だなのボーリングということにいたしましても、現在水深二十メートルないし三十メートル程度の海面下にボーリングをいたすのに精一ぱいの技術、設備しかわが国は保有しておらない状況でございます。さような段階におきまして一挙に、たとえば先ほど御指摘の東シナ海の大陸だな百五十メートルの水深の調査に乗り出すわけには技術的にもまいらない、やはりそれには設備的にも、また資源調査的にも、相当準備をしてかかっていくということが妥当ではないかと考えておる次第であります。
  157. 近江巳記夫

    ○近江委員 それはボーリングをするとかなんとかいう段階は、要するに電波探知機等使って、構造状態がこうなっておる、ここなら間違いないというところを選んでボーリングするわけですよ。そこまでの段階にくれば第二段階、第三段階です。要するに私が言うのは、地層の状態なりそういうことは飛行機から電波を発射してその反応を調べればそれでわかるのです。要するに技術の、その段階における調査にも、それは幾らでもありますけれども、私の言うのは、そこまでも一年やそこらで調査しろ、そんなふうには言いません。だけれども、要するにできる段階において、現実に外国はこのように日本のそばまで真剣になって来ている、これをばく然と、漫然と手をこまねいて、技術的にできません。それでは予算が少なくともできる方法はないか、真剣に学者を招聘して政府は研究したのですか。
  158. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のように、予備調査というような問題につきましては、いろいろ空中探査、磁力探査等の物理探鉱その他を用いまして可能であろうかと思いますけれども、何分東シナ海問題あるいは黄海問題等につきましては、まだ具体的な企業計画といたしまして、各企業体、会社のほうにおきまして、それを取り上げてきておる事例もなくて、むしろ学界その他の専門家の段階におきまして議論をされておる段階でございます。したがいまして、これが具体的な企業の計画として取り上げられる段階に至りましたならば、政府としても大いに推進してまいりたいと思っております。
  159. 近江巳記夫

    ○近江委員 企業の採算が合うとか合わないとか、そんなこと調査したあとでわかることじゃないですか。日本はこれだけ資源がない島国だ、みんな夢をとざされておる。たとえば今度の中近東の問題にしても、ここでもわずか三日か四日の戦争で、みんなどうなるか、国民が不安のどん底に落とされておる。わずかでも資源があるならば、それを利用しよう、そういう真剣な姿勢が政府になかったら——ただもうかるなら企業がやるだろう、それならまたこっちも考えましょう、その点どうなんですか。日本の国全体として、政府がもっと積極的に開発をしていこう、そういう考えはないのですか。
  160. 両角良彦

    両角政府委員 もちろん政府といたしましては、積極的な開発促進をいたす考えは十分持っておるわけでございます。ただ政府みずからがさような開発主体になるわけにまいりませんので、それにはやはりそのにない手が必要であろう、そのにない手の計画の策定を待ちまして、政府としても十分これに協力していく、かように考えております。
  161. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう、いうならば日本の宝ですよ。公海上ですから日本の領土ではないといえばそれまでですけれども、しかし地形的に見て、これは当然日本が乗り出さなきゃならない。しかもいま言ったように、西ドイツあたりがそれだけ積極的に来ているのですよ。これはあなたキャッチできなかったのですか、こういう問題を。ここで初めて聞いたのですか。その問題を言ってください。
  162. 両角良彦

    両角政府委員 わが国の周辺におきまして、いろいろ各国が関心を持っておるということは伺っておりますが、西ドイツの具体的な計画というものはまだ承っておりません。
  163. 近江巳記夫

    ○近江委員 各国がそれだけの関心を持っておる、それについて、要するに企業まかせだ、日本政府は知りません、それでいいのですか。もう一回お伺いします。
  164. 両角良彦

    両角政府委員 日本政府といたしましても十分、その黄海もしくは東シナ海における計画の調査委員会のメンバーには、日本側も入っておるわけでございますから、その限りでは大いに承知をいたしておるわけでございます。しかしながら開発それ自体もしくは探鉱それ自体をいたすのは政府ではございませんので、そういうにない手というものが別途必要であろう、かように考えております。
  165. 近江巳記夫

    ○近江委員 その委員会のメンバーに入っておるならば、当然これは政府として、要するに問題になっておる地域のことについて調査しても当然でしょう。それじゃ、日本政府の代表が行かなくて、企業の代表が行けばいいわけでしょう。
  166. 両角良彦

    両角政府委員 エカフェの下部機構でありますから、公的な委員会でございます。そのメンバーにわが国が入っておることは、これは御説明申し上げたとおりでございます。
  167. 近江巳記夫

    ○近江委員 それはわかっています、だからいま言ったでしょう。ですから、そのメンバーに入らておるわけです。したがって、それじゃ今度の韓国のソウルで行なわれる会議でも、当然そのことが大きくクローズアップしてくる。それで、代表で行っておるメンバーは、いままで察知できなかったのですが、政府に進言がなかったのですか、これを何とかして調査しなければならないということについて。聞かしてください、それを。
  168. 両角良彦

    両角政府委員 この調査委員の中にわが国が参加しておるわけでございますが、それが具体的に東シナ海なりあるいは黄海なりの探鉱を即時開始すべきであるというような意味での積極的な進言はまだ承っておりません。
  169. 近江巳記夫

    ○近江委員 だけれども、西ドイツのそういうような話は、外国がもう全部それで、西ドイツがそこまで力を入れるならこうしようと皆言っているのですよ。それを知りませんでしたということは、要するにそれじゃ政府としては居眠りをしに向こうに行ったのですか。当然そういうようなことはキャッチして、外国がこのような態勢で来ておる、日本のそばだ、これはいままでのように調査をいいかげんにしてきたらたいへんだ。政府としても水産庁なり、あるいは海上保安庁なり、あらゆるところを動員して——資金的には三億でできるといっている。何回もいままでそのことはお願いしたのです。ところが全然腰を上げてくれない。どうする気ですか、これは。
  170. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまお話のございました沿海鉱物資源探査調整委員会という委員会におきましていろいろ議論がなされたことは十分承知をいたしております。しかしながら、ここにおきまする議論は、もっぱら現在の段階では技術的な検討、特にかような大陸だなの開発というものが技術的に可能であるかいなかということを中心とした検討として伺っておりまして、具体的に即時開発に着手すべきであるというような意味合いでの報告は私ども委員からは受けておらないということでございます。
  171. 近江巳記夫

    ○近江委員 私はここで政府の根本的な考えを聞きたい。要するに、掘れるようになってきたらやりますという。調査については、国家予算から見れば三億なんというのはスズメの涙ですよ。そういうような眠れる宝庫ですよ。もっと真剣にこういう問題については、現実に国会においても、必ずそういう点については今後調査をやっていきます。——その場限りの答弁なら、何も国会でやることはないのです。私は、発言について、だれが言おうと、政府の一人が言うたなら、政府が責任を持つのが、これが、そのための国会でしょう。だから、私はいまのことはこれ以上言いません。ですけれども、今後この海底資源の調査ということについて、今後どのようにしていくか、さらに韓国のソウルで行なわれる委員会においてはどういう姿勢で臨んでいくか、この点を聞かしてください。
  172. 両角良彦

    両角政府委員 大陸だなでありますと、あるいは国内でありますと、あるいは海外でありますとを問わず、具体的な有望な探鉱計画というものに対しましては、政府としましては、ただいま御審議をお願いしておりまする石油開発公団を通じまして探鉱資金の助成を行なうとか、あるいは国内につきましては、その他の補助金の交付というようなことを通じまして、開発促進をはかってまいるという姿勢をとっておることは、御承知のとおりかと存じます。したがいまして、かりにいまお話のエカフェにおきまする調整委員会におきまして、さような意味での計画が有望な計画として結論づけられるならば、その具体的な着手についてわれわれとしても十分な推進をはかりたいと考えます。
  173. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、いままでこうした調査をやってきたところですね、これが要するに海上保安庁、それから気象庁、水産庁と、こういう系統がありますね。要するにこれの連絡が全然ないのですよ。それぞれ機能は持っておるけれども、この機能を集中してやるならば、ほんとうに最大の効果を発揮することができると思う。学者はみなそれを言っているわけです。今後は調査を進めるにあたって、要するに海底資源調査の特別班を、そのような編成をするとか、そういうようなお考えはありますか。
  174. 両角良彦

    両角政府委員 これは通産省が御答弁いたすのもどうかと思いますが、少なくとも鉱山局といたしましては、計画の具体的な段階におきまして、関係各省とも十分な連絡をとるというつもりは十分に持っております。
  175. 近江巳記夫

    ○近江委員 それではきょうは一時半までと言われておりますので、これで終わらしていただきます。
  176. 島村一郎

    島村委員長 本会議散会後再開することにいたしまして、この際、休憩いたします。    午後一時二十七分休憩      ————◇—————    午後三時十九分開議
  177. 島村一郎

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出中小企業振興事業団法案を議題として、審査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。松本忠助君。
  178. 松本忠助

    松本(忠)委員 私は中小企業の切実なる悩みを代弁するわけでございますが、中小企業の従業員は、納期の間に合わないようなときは昼めしも抜き、あるいは睡眠も切り詰めてやっているような状態、しかも安い賃金でこれと取り組んでいるようなわけでございます。従来政府の答弁は、する、あるいは検討を加える、遺憾に思います、というようなことばの繰り返しで終わっております。何ら具体的な進展を示しておりませんことをまことに遺憾に思うものでございますが、きょうはぜひとも誠意ある具体的な答弁をお願いする次第でございます。どうか中小企業者の身になって関係御担当の方々の答弁をわずらわしたいと思うものであります。  最近の通商産業関係者の談話等によりますと、ただいま議題になっております中小企業振興事業団こそ、中小企業対策のピンチヒッターであり、特効薬であるかのごときPRをしております。現在の日本中小企業指導センターと中小企業高度化資金融通特別会計とが果たしてまいりました線から考えまして、両者が合体いたしました場合、中小企業の育成強化指導について、どれほど前進するかについてお伺いいたしたいのでございます。
  179. 影山衛司

    ○影山政府委員 先生御指摘のように、中小企業振興事業団は、一応形式的には中小企業高度化資金特別会計と中小企業指導センターとを合体いたすものでございますけれども、従来中小企業指導センターは、主として指導者の学校だけであったわけであります。ところが、今度はその機能を拡充いたしまして、振興事業団では指導の面にも力を入れていくという方向、また啓蒙の関係にも力を入れまして、啓蒙指導をいたしながら、従来高度化資金から出しておりました助成というものをそれにくっつけて、両々相まって指導しながら高度化を進めていきたい。その場合におきましても、従来の高度化資金が貸し付けをいたしておりました条件を大幅に改善し、また助成対象あるいは助成のしかたというものも大幅に改善をいたしていくというようなことをいたしておるわけでございまして、私どもといたしましては、相当の前進であるというふうに考えておるわけでございますが、もちろんこれだけで問題が解決するわけではございません。従来からもやっておりますところの中小企業対策も全部合わせまして、ひとつ有効に活動をいたしていきたいと考えておるわけであります。
  180. 松本忠助

    松本(忠)委員 現在種々の問題をかかえております中小企業、すなわち外にありましては資本自由化に対してどう対処すべきであるか、国際競争が日に日に激化しているその状態に対していかになすべきであるか、また内にありましては労働力の需給の逼迫、労務賃金の上昇、さらに産業再編成の影響等、戦後最も困難な時期と、こういわれている今日、この程度のことではたして乗り切ることができるかどうか。政府の明快な御見解を願いたいと思います。
  181. 影山衛司

    ○影山政府委員 内には労働力の需給の逼迫及びそれに伴う賃金の上昇、外には外資導入の自由化、あるいは後進国からの追い上げというふうに、中小企業者をめぐる環境というものは非常にきびしくなってきておることは先生御指摘のとおりでございまして、そういう情勢に適応し、対応していきますためには、中小企業の構造改善を行なっていかなければいけない。その場合に、先生御承知のように、中小企業の特質というのは過小過多性という問題があるわけでございますので、そういう過小過多性に伴うところの過当競争を防ぎながら近代化するということになりますと、やはり業種ぐるみ、あるいは産地ぐるみ、共同の力によりまして問題を解決していかなければならないという考え方を私どもは持っておるわけでございまして、その線に沿うところの施策が今度の振興事業団であるというふうに考えておるわけでございます。
  182. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは事業団の事業内容についてお尋ねいたしたいわけでありますが、この事業団には専門のコンサルタントを配置するというわけでございますが、各業種にわたって実情に明るい専門的知識を持ったコンサルタントを置くわけでございましょうか、その点お伺いいたします。
  183. 影山衛司

    ○影山政府委員 先生のおっしゃいますとおり、できるだけそういう線でコンサルタントを集めたいと考えております。
  184. 松本忠助

    松本(忠)委員 何人ぐらい置く予定でありますか。
  185. 影山衛司

    ○影山政府委員 現在のところ五十名をこえるコンサルタントを置きたいと思っているわけでございます。現在すでに三十三名ぐらい指導センターにコンサルタントがおります。
  186. 松本忠助

    松本(忠)委員 五十名ぐらいになさるということは、日本全国に配置される数ですか。
  187. 影山衛司

    ○影山政府委員 これは中央におきますところの事業団に置いておくところのコンサルタントでございまして、地方におきましては、各都道府県に置いておりますところの商工指導所あるいは公設試験研究機関等の指導職員を活用するわけでございまして、現在各県の経営関係のコンサルタント職員は八百人おります。それから技術関係の指導職員は四千二百人というふうになっておるわけでございまして、こういう人たちも一緒になりまして中小企業の指導をやっていくということになるわけでございます。
  188. 松本忠助

    松本(忠)委員 突っ込んでお伺いいたしたいのですが、こういうコンサルタントの方々に対する給与、こういうものについてはどれぐらいのものを充てていくお考えでございましょうか。
  189. 影山衛司

    ○影山政府委員 今度振興事業団にいたしましたところの一つのメリットは、できるだけ優秀な方々を弾力的な給与でかかえていきたいということにいたしたいと思うわけでございます。
  190. 松本忠助

    松本(忠)委員 明快な金額の点は……。
  191. 影山衛司

    ○影山政府委員 金額につきましては、まだこれからでございます。
  192. 松本忠助

    松本(忠)委員 私の心配するのは、要するに専門的知識を持ったコンサルタント、やはりそういうものでなければならない、知識の厚い、しかもまた経験の深い、そしてまた社会的にも信頼のおけるような者でなければ、多種多様の中小企業の方々がほんとうにそれに心服追従していけるかというとなかなか困難であろう、単なる二十歳台あるいは三十歳台の方々であったならば、所期の目的を上げることは不可能ではないかと思うわけであります。そうなりますと、どうしてもコンサルタントは安い給料で雇うことができないのではなかろうか。こう考えますときに、その財政的な裏づけについてまだ何ら検討がなされていない。しかも七月一日から実施の段階に入るということも聞いております。もうあと二十数日であるにもかかわらず、それに対して最も関心を持たれるコンサルタントの給料すらきまっていないという点は、私は非常に不可解に思うわけでございますが、この点いかがでございましょうか。
  193. 影山衛司

    ○影山政府委員 予算額自体はきまっておるわけでございますが、現在、新しく雇うコンサルタントにつきましては選考中でございますので、それできまっていないと申し上げたわけであります。
  194. 松本忠助

    松本(忠)委員 とにかく役所の最末端、最先端で、たくさんの業態をかかえておるところの中小企業の方々に接触するわけでございますが、このコンサルタントのいわゆる窓口の応接というものについて、長官は責任を持ってやれるのかどうか、この点をお伺いしておきます。
  195. 影山衛司

    ○影山政府委員 やはり何と申しましても、大臣がいつも申していることでございますが、中小企業の近代化をはかる大前提は、やはり指導者、コンサルタントの人材によるということになるかと思うわけでございます。できるだけりっぱな人を雇いまして、責任体制をもって中小企業者を指導していきたいというふうに考えております。
  196. 松本忠助

    松本(忠)委員 ただいまの御趣旨のとおりに、ひとつりっぱなコンサルタントを集め、中小企業の方々に安心して相談に乗ってあげられるようにどうか御配慮を願いたいと思うわけであります。  次に、中小企業の方々に対する融資の問題であります。いままでも中小企業者は、いわゆる政府関係するところの三公庫から資金を借りたいという気持ちは十分ありました。しかしながら事実はなかなか貸し出しに応じてくれない。急場の間に合わない。そうしていつもいつも困っているのは中小企業の方々であります。急場の間に合わない、この問題なんです。いつもお願いして、いろいろの書類調査をしてなかなか金が出てこない。それでは困るわけなんです。急場の間に合うような資金の配慮を願いたい。それにはやはり窓口にある者が懇切丁寧に中小企業者の身になって考えてやってもらいたい、こう思うわけであります。四十一年度あるいは四十二年度でもけっこうでありますが、三公庫の中の国民金融公庫の一件当たりの貸し付け額は一体幾らぐらいありましたか、その点についてお伺いしてみたいわけであります。
  197. 影山衛司

    ○影山政府委員 国民金融公庫は大体貸し付け限度が二百万円程度でございますので、平均いたしましてやはり百万円前後、零細な金額になっておるのではないかと思うわけでございまして、正確な金額につきましては、また後ほど調べましてお答え申し上げます。
  198. 松本忠助

    松本(忠)委員 私が調べましたところの資料によりますと、四十一年度の国民金融公庫の一件当たりの貸し付けの額は五十七万一千円でございました。四十二年度は貸し付けのワクが拡大するというお話を聞いておりますが、現在の五十七万一千円から考えました場合に、大きな期待は持てないと私は思うわけであります。この点いかがでございましょうか。
  199. 影山衛司

    ○影山政府委員 貸し付けの限度額は、特別に上に上げる予定はいまのところないわけでございます。  先ほど貸し付け限度額二百万円と申しましたが、三百万円でございます。それで先生おっしゃいましたように平均五十数万円でございますが、三百万円までが貸し付け限度額でございますので、できるだけ中小企業者の所要資金については十分めんどうを見てあげるという方針でいきますならば、限度が三百万円でございますので、今後その平均は上がっていくように指導もいたしたいというふうに考えております。
  200. 松本忠助

    松本(忠)委員 ただいまのお話の中の、めんどうを見るというおことばであります。確かにめんどうを見るに違いありません。しかし市中の銀行だったら、使ってもらうなんです。普通の銀行だったら使ってもらうと言う。金を貸して、そしてそこへ利息があがってきて初めて銀行としての収支が償っていく。やはりお役所の考えがあるから、長官のお考えもそのおことばの中にあるのじゃなかろうかと思って、私いささか心配するわけなんです。どうかそういう点についても、今後ぜひひとつ市中の金融機関と同じように、やはり金を使ってもらうのだというふうに——借りてくれる人がなかったら商売にならないのだ、そこまで考えていただくならば、三公庫とも状態によっては三百万円あるいは三百万円の限度額までも貸してくれるでしょう。しかし実際問題として、いま申し上げた五十七万一千円という限度額で押えられてしまう。しかも、まだまだ私これから申し上げたい実例は悲惨な状態であります。しかしその借り入れを申し込んだ人の状態を見てみると、決してそれがまずい仕事をやっているわけでもない。実にりっぱな仕事をやっている。しかるにこれに対しても、三公庫のどこへ申し込んでもいままで貸し付けされなかったという一つの実例があります。私はその点をひとつ申し上げてみたいと思うわけであります。  御承知のように、東京の板橋、練馬あるいは北区等には双眼鏡のメーカーが密集しております。わが国の双眼鏡のメーカーは、通産省の調べによりますと約二百二十社ございますが、そのうち資本金百万円未満のものが五三%を占めているといわれております。また従業員二十人以下のものが六〇・五%を占めている。これが通産省のお調べによるところの双眼鏡メーカーの実態でございます。しかもこれら中小企業の双眼鏡のメーカーは、世界一の生産量を誇っております。このことは御承知と思います。世界の輸出市場の八〇%を占め、昨年度の輸出額は百十四億というふうに聞いております。このように多大の外貨をかせいでおります業者に対しましても、政府の三機関の融資はまことに冷淡でございます。お調べがあるかどうかわかりませんが、これらの業態に対してどれだけの貸し付けがしてあったか、お伺いしてみたいのでございます。
  201. 影山衛司

    ○影山政府委員 双眼鏡関係で、特に板橋を中心にしての貸し付けを早急に調べてみたわけでございますが、商工中金が現在残高で約一億円ということになっております。それから国民金融公庫が、四十一年度が六千三百五十五万円、これは貸し付け額でございます。それから中小企業金融公庫、これはわりあい設備の大きいものに貸し付けることにしておりますので、数が非常に少のうございまして、四十一年度が九件、九千万円ということになっておるようでございます。
  202. 松本忠助

    松本(忠)委員 ざっといまのを計算いたしましても二億五千万程度輸出額が百十四億もあるというような多大の外貨をかせいでいるものに対してわずかに二億五千万、しかも中小企業金融公庫で取り扱った件数はわずかに九件、こういうことが実態であります。ほかの大企業と比較いたしましても、あまりにもこれでは冷酷ではないかと私は思うわけであります。  私の知っております板橋区富士見町にありますところの野口光学工業というのがございますが、ここでも今日までに政府の三機関に対して借り入れを申し込みましたが、何回申し込みましても一回も貸し出しの恩典にあずからなかった。それじゃこの会社は悪い会社かといいますと、決してそういう悪い会社ではないわけでございます。この会社は、双眼鏡のメーカーとしては最も古い歴史を持っております。しかもその間、献身的に努力を積み重ねてきたところの伝統的な会社なのでございます。こういう優秀な会社でさえも、政府関係金融三機関からの融資の対象になっていない。こういう点を考えましたときに、政府は口を開けば中小企業の育成であるとか強化であるとか、力を注いでおるとか言いますけれども、真実その気があるのかどうか、はっきりとお答えをいただきたいわけであります。
  203. 影山衛司

    ○影山政府委員 政府関係金融機関は、市中金融機関等で貸し付けがむずかしいものを補完的に金融をするという役目を持っておるわけでございます。また、特に国民金融公庫あたりは、小規模零細層の貸し付けにつきましては、今度総裁かわりましたけれども、前の石田総裁以下陣頭指揮に立って、親切な貸し付けをやってあげたいということで、貸し付けに至るまでの期間あたりも相当短縮をしておるような状況でございます。具体的に野口光学工業がどういう経営内容を持っておる、あるいは実績を持っておる会社かということを私まだよく存じていないわけでございますが、何回申し込んでも貸し付けを受けられなかったということは、普通の会社でございますならばそういうことはないはずだと私は思うのでございます。それでこういう問題、具体的に私どもひとつ調べてみまして、貸し出しができるものなら積極的にこれは貸し出しをさせてあげるべきだというふうに考えておるわけでございます。これは一度具体的にいまから調べてみますが、方針といたしましても、やはりできるだけ小規模零細層については国民金融公庫等は対象としていく方針でございますので、もしもそういう問題が具体的に出てきましたならば、たとえば東京通産局あたり商工部に中小企業のための相談室等を設けておるような次第でございます。そういうところへも来ていただきますならば、具体的に問題をあれしていけるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  204. 松本忠助

    松本(忠)委員 いわゆる中小企業者に言わせますと、中小企業に対するお役所の考え方はいつもいつもおざなりである、血の通わないところの政策である、こういうふうな批判を下しております。私はこういうことばが日本国民の中から出ることを非常に遺憾に思うわけであります。どうか血の通った、ほんとうに真心こめた指導をしてもらいたい、育成をしてもらいたい、こうお願いするわけであります。双眼鏡のメーカーはいずれにいたしましても中小企業でございます。いま申し上げましたように、お役所は相手にしてくれない、やむを得ず自衛の手段を講じなければならない、こういうところから、いろいろと自衛手段が講じられております。その中でも、いわゆる輸出の過当競争を防止するために、昭和三十五年からは輸出の割り当て制というものもとっております。ところが、これも輸出のワクを持っているところの輸出の業者に買いたたかれているのが実情であります。こういう実態を次官は御承知でございましょうか。この点をお伺いしてみたいのであります。
  205. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 双眼鏡のことに関しましては、いま松本委員から初めて承ったわけでございますが、その他の業界に関しましては、しばしば同様な陳情を私自身も受けてまいったものであります。
  206. 松本忠助

    松本(忠)委員 双眼鏡の輸出の価格を一つの実例として申し上げたいと思いますが、昭和三十年ごろ四千六十三円したものが昨年は三千七百五十円というふうに逆に価格が低下している。この間、材料費も人件費も年々高騰しております。ところが、なぜこのように売り値が下がってしまうか、こういう点に実に中小企業者の苦悩があるのじゃなかろうかと思うのであります。外貨を百十四億もかせいでいる業界に対しまして、通産省がもう少しあたたかい保護育成をはかってくれたならば、このような売り値が十年間で逆に下がってしまったというようなことはないわけじゃなかろうかと私は思うわけでありますが、この点私の調べが間違っているかどうか、お役所のほうの御意見も聞いてみたいのでございます。
  207. 赤沢璋一

    ○赤沢説明員 双眼鏡の輸出でございますが、ただいま御指摘のように、双眼鏡と申しますのは大部分輸出にいっておる品物でございます。その中で、最近ここ一年ばかり輸出価格が約四割下落をしておるというふうに私ども承知いたしております。どうしてこういうふうに一年ばかりの間に四割も値段が下がったのかということでございますが、本来この業界にはいろいろな意味で過当競争の要因があるわけでございます。もちろんいま御指摘のように、非常な中小零細企業であるといったことに加えまして、四十年ごろから非常に輸出のブームが起こりまして、輸出の引き合いも非常な勢いで伸びてきております。過去四年くらい前から比べますと、昨年の輸出数量あたりは約倍近い数量にまで伸びてまいったのでございます。そういうようなことから、輸出を当て込みまして各企業が相当生産設備の増強をいたしました。私ども十分ではございませんが、調査したところによりますと、現在の生産数量の倍近いぐらいの生産設備ができ上がっておる、こういう感じでございます。こういったような供給力の非常な過大な状況、そこへもってきて個々の中小企業者、個々の業者が非常な中小零細である、こういったことから非常な業者間の過当競争が起こり、また零細であるがためにアフターサービスの面その他も行き届きませんので、輸出業者あるいは相手国の輸入業者から非常な勢いで買いたたかれる、それに応じ切れない、とにかくその注文についていかなければ、設備はしたけれども注文はとれない、こういうことで非常に値段が下がってきておるのではないかと考えております。そういうこともございますので、御承知かと存じますが、昨年の暮れ以来、単なる完成品業者あるいは部品業者、輸出業者ということではなかなか対策が行き届きませんので、業界からもこれではどうにもならぬということから、輸出双眼鏡体制整備協議会というものが生まれました。そこでもって一つの案がまとまりましたので、いませっかくその案に基づきまして体制の整備をはかっておるという現状でございます。
  208. 松本忠助

    松本(忠)委員 私は、四十年からそういう事態にお役所のほうでもお気づきで、もう一、二年この施策が早かったならばここまで追い込まれなかったのじゃなかろうかと思うわけです。あまりにも放任し過ぎたのじゃなかろうか。あるいはお気づきじゃなかったのかもしれませんけれども、こういうふうな双眼鏡で代表されるような業態はまだまだ都内にもいろいろございますが、代表的なこの業態を一つ取り上げてみても、どうか役所も真剣になって中小企業者のために先手先手と手を打っていただきたい。後手後手ではこれはどうにもならぬわけでございます。しかも現在板橋、北区方面にございます百二十社の双眼鏡のメーカーはいずれも零細のメーカーであり、ことしに入りましてからも、すでに十社に及ぶものが倒産しております。こういう状態考えてみましても、やはり同じ日本国民といたしまして、私たちもほんとうに気の毒だと思うわけであります。何といいますか、産業の谷間に置き忘れられてしまったような、そしてほんとうに零細企業で、仕事をしなければ食っていけない、細々と仕事を続けるためにいろいろな苦労をしておる、こういう業態が双眼鏡事業者以外にもまだまだございます。どうかその点につきまして理解ある態度で臨んでいただきたい、こう思うわけであります。  なおまた、一般論になりますが、少しくお伺いしてみたい点がございます。たとえば一般会計の中小企業対策費は一八・七%増額されたといいますけれども、三百四十八億円と記憶しておりますが、四十二年度の石炭対策費よりも大幅に下回っておるのじゃなかろうかと思います。また財政投融資も、新設されるところの環境衛生金融公庫を含めましても三千二百九十三億円、この程度で中小企業の構造改善や高度化がはたして期待できるかどうか、私は非常に疑問に思うものでありますが、この点はいかがでございましょうか。
  209. 影山衛司

    ○影山政府委員 先生御指摘のような大体数字になっておるかと思うわけでございますが、私どもの一般会計予算、すなわち国民の税金をもってまかないますところの施策と申しますものは、やはり一般の金融あたりではなかなか誘導していけないようなむずかしい仕事に税金でまかなう一般会計の金を使うわけでございまして、たとえば今度振興事業団あたりにつきましても、百二十億近くの一般会計から出資をいたすわけでございますが、そういう場合も、これは中小企業者が一国一城のあるじの考え方を持っておりまして、協業化、共同化というものを誘導していくのに非常にむずかしい、だから一般会計からできるだけのものを出しまして低利の金を貸してあげよう、それによって引っぱっていこうというようなことでございますので、この私どもが計上しておりますところの予算全部を十分に使いこなすのがむしろ実情といたしましてなかなかむずかしいくらいなことでございます。一方では中小企業者を指導して、そういう体制に持っていきながら、助成もいたしておるということでございますので、そういう指導あるいは業界の体制が整うということと相まちまして、必要ならば幾らでも一般会計予算は計上をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  210. 松本忠助

    松本(忠)委員 なおまた零細企業対策でございますが、一般会計の小規模企業対策費はわずか二十五億円と記憶いたしておりますが、この点はいかがでございましょうか。
  211. 影山衛司

    ○影山政府委員 先生御指摘の二十五億円と申しますのは、小規模事業対策の中の商工会商工会議所を通じて行ないますところの経営改善指導関係の予算でございます。そのほかにやはり小規模事業対策の予算といたしましては、たとえば設備の近代化補助金、これは四十二億五千万円、中小企業機械類の貸与補助が四億八千七百五十万円、その他今度の振興事業団あたりも小規模事業者のむしろ協業化を進めていくということを主眼といたしましての事業団でございます。その関係の予算も小規模事業対策の中に含まれるわけでございます。むしろ私どもは、小規模事業というものを頭に置いていろんな施策もやっていきたいと考えているわけでございます。
  212. 松本忠助

    松本(忠)委員 最後に次官にお伺いいたしたいわけでありますが、これらの中小企業、小規模企業に対しまして、新事業団の発足だけでは抜本的な対策にはなりがたいと思うわけでありますが、新事業団は助成と指導の一本化という面で幾ぶん前向きとは思いますれども、国内産業の中に占めるところの中小企業の持っている利点を生かしてもらいたい。ほんとうの育成強化をはかる根本的な施策を当局はお持ちであるかどうか、この点を最後にお伺いしたいわけであります。
  213. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 事業団の趣旨は、先ほどから長官がお答えいたしましたとおりでございます。すなわち、平易なことばで申し上げますと、従来までなるほど都道府県においても指導をいたしておりましたし、また国家といたしましても指導センターで、いうなれば学校的指導はいたしてまいりました。しかしながら、たとえば指導によって病人が医者からカルテをもらっても薬代が出なかったというのが今日までの中小企業の実態ではなかったかと思うのでございます。したがいまして、さような問題でいままでは医薬分業的であったが、これからは兼業しなければならない。したがって、事業団が有する指導の面の機能というものは、過般もお答えいたしましたとおり、各都道府県、地方自治体の権限を侵さざる範囲において十二分に連係をして、指導と助成の一体化をいたしたいと思うのでございますが、何ぶんにも中小企業は、先ほど来先生がおっしゃっておりますとおりに、非常に多種多様でございます。したがいまして、今日当面する問題といたしましては、すみやかにその業種業態に応じたところの協業化あるいは共同化、その組織の強化を推進していかなくてはなりません。したがいまして、私どもの考えからいたしますれば、零細企業に振興事業団が一〇〇%間に合うかということになりますれば、いささか私たちも大手を振ってお答え申し上げるというわけにはまいらぬ点が多々あるわけであります。したがいまして、零細企業の面におきましては特別小口保険制度もございますし、あるいは無担保無保証等いろいろ金融の制度もございますから、そういう点をフルに運転いたし、今後ともさらに拡充いたしまして、御質問の趣旨に沿うべく強力な施策を推進していきたい、かように存じます。
  214. 島村一郎

    島村委員長 次会は、来たる十三日火曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十五分散