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1967-05-26 第55回国会 衆議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十六日(金曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 中川 俊思君    理事 田中 武夫君 理事 中村 重光君    理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    小笠 公韶君       岡崎 英城君    岡本  茂君       神田  博君    小山 省二君       齋藤 憲三君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    砂田 重民君       田中 六助君    渡海元三郎君       丹羽 久章君    橋口  隆君       三原 朝雄君    武藤 嘉文君       村上信二郎君    毛利 松平君       佐野  進君    多賀谷真稔君       中谷 鉄也君    永井勝次郎君       平岡忠次郎君    古川 喜一君       塚本 三郎君    吉田 泰造君       近江巳記夫君    岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     北島 武雄君         警察庁保安局長 今竹 義一君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         中小企業庁長官 影山 衛司君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示課長   伊従  寛君         国税庁間税部長 今泉 一郎君         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 恩田  博君         通商産業省企業         局参事官    橋本 徳男君         労働省職業安定         局業務指導課長 保科 眞一君     ————————————— 五月二十五日  委員坂本三十次君辞任につき、その補欠として  荒舩清十郎君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員荒舩清十郎辞任につき、その補欠として  坂本三十次君が議長指名委員に選任され  た。 同月二十六日  委員遠藤三郎君、神田博君、黒金泰美君、坂本  三十次君及び中谷鉄也辞任につき、その補欠  として村上信二郎君、渡海元三郎君、砂田重民  君、毛利松平君及び下平正一君が議長指名で  委員に選任された。 同日  委員砂田重民君、渡海元三郎君、村上信二郎君、  毛利松平君及び下平正一辞任につき、その補  欠として黒金泰美君、神田博君、遠藤三郎君、  坂本三十次君及び中谷鉄也君が議長指名で委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五七号)  私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第四七  号)      ————◇—————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案を議題として、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中谷鉄也君。
  3. 中谷鉄也

    中谷委員 近促法についてお尋ねをいたしたいと思いますが、私が近促法関係においてお尋ねをしたいと思いました動機、それは次のような新聞報道記事に印象づけられまして、ひとつ近促法に規定されている中小企業の一問題についてお尋ねをしたい、こういうことでございます。  その記事というのは、次のような内容であります。四月十一日の報道でございますが、「話が違う集団就職」「少年百八十人が“家出”」「無神経な雇い主に警告」こういうふうな見出しに相なっておりまして、要するに「地方から就職してきたばかりの少年たちが、就職前に聞かされた雇用条件と現実との大きなへだたりのため、職場から“家出”したケースが目立った。」あと省略しますが、こういう記事報道されております。したがいまして、この新聞報道の具体的な内容については、あとでお尋ねをするかもしれませんけれども、現在の中小企業問題の中で労働問題、いわゆる従業員確保定着のための困難な問題、いま一つは、南北問題というふうな問題が新しい問題として現在あらわれてきているということを聞き及んでおりますが、その中で定着の問題を中心としてお尋ねをいたしたい、こういうことでございます。  そこで、まず最初お尋ねいたしたいのは、第三条の中小企業近代化基本計画、この中の二項の四に「経営管理合理化又は技術若しくは技能の向上に関する事項」について基本計画策定すべきであるということが明定されております。そこで現在すでに基本計画策定されておりますところの業種について、私しろうとでございますが、大体四十ないし五十ばかりの業種について基本計画を拝見いたしました。その中で、いわゆる一番初歩的なと思われる労務管理というふうなことばが全く基本計画の中に見当たらない、そういうふうないわゆる近代化基本計画というものにも私お目にかかったわけです。したがいまして、長官お答えいただきたいのは、基本計画の中で労務管理などに触れていない基本計画というのは、基本計画策定されている業種の中でどの程度あるか、これはまたいかなる理由に基づくのか、この点について御答弁をいただきたいと思います。
  4. 影山衛司

    影山政府委員 先生非常に勉強していただきまして恐縮するわけでございますが、確かに先生指摘のように、労務管理ということばを使ったものもございます。しかしながら、ほとんどそのことばを使っていない基本計画もあるわけでございまして、これは私どものほうといたしましては、この「経営管理合理化」という中に含めまして、いろいろと工程管理財務管理等もあるわけでございますけれども、その中に労務管理が含まれるということを解釈いたしまして、その中にできるだけ含めるようにという指導をいたしておるわけでございます。先生先ほど御指摘のとおり、定着あるいは労務者確保というようなことが非常に問題点になっておるわけでございますが、それに対しましては、労務確保の点につきまして、労務管理という点からは、むしろ生産性向上いたしまして高賃金を吸収して、その高賃金を与えることによりまして定着性確保するとか、あるいは福利厚生施設等についても基本計画で触れている点もあるわけでございます。でございますので、そういう点について全然触れていない、あるいは触れないでいいという指導をいたしておるわけではなくて、むしろ触れるべきであるというふうに考えておるわけでございます。
  5. 中谷鉄也

    中谷委員 基本計画業種ごとに拝見いたしまして、たとえば中小企業問題についての全く初歩的な知識さえも私持っておりませんけれども、たとえば木製家具製造業につきましては、「経営、その他近代化」の中に次のような記載があるわけなんです。「七五%を占める零細企業において、いまだにギルド的なものが残り、労働基準法に示された就労対策さえ守られていない企業が相当数ある。このことは、いかに労務管理が遅れているかを物語るものであり、」云々、こういうふうになっている。したがいまして、私はそういうふうな木製家具製造業のそういう実態を問題にするのではなしに、近代化計画の中において、基本計画の中において、木製家具製造業において労務管理改善をしよう、こういう意欲が基本計画の中にあらわれていることをむしろ高く評価をするわけなんです。そのような基本計画が一面にある。ところが労務管理の労の字も務の字もない、全く労務管理ということについて一言も触れられていないような基本計画が多数存在する。この点については長官の御答弁、必ずしも私の指摘した点についてのお答えになっていないと思うのです。要するに、逆に言うと、基本計画において労務管理なるものにほとんど関心を示していない。近代化といわれながら、労務管理については全く目をおおっている。このような基本計画がはたして基本法にいうところの従業員の社会的な地位向上ということとどのように結びつくのか、はたしてそのような基本計画基本計画たり得るのか、この点についてはいかがでしょうか。
  6. 影山衛司

    影山政府委員 現在の中小企業をめぐる環境のきびしさの中で、一番問題になりますのは労務問題であります。だから、労務管理に触れてないところの基本計画というのはむしろ場違いであると極言をしてもいいくらいであります。
  7. 中谷鉄也

    中谷委員 たいへん恐縮ですが、私のお尋ねがある意味で見当はずれであるならば御指摘をいただきたいと思いますが、そうすると、一応斜め読みをいたしました基本計画の中で、経営管理の項の中において労務管理に触れていないような基本計画があるとするならば、それは基本計画として大きく実施計画において修正をされねばならない、そういうふうな基本計画基本計画としてはなはだ近代化という目標に沿わないものだ、こういう御答弁とお伺いしてよろしいのでしょうか。
  8. 影山衛司

    影山政府委員 今後におきましても、この近代化基本計画を立案いたします際には、労務管理あるいは労務問題についても触れるようにという指導をいたしていきたいというふうに考えております。最近の近代化基本計画につきましては、特殊合板でございますとか、あるいは包装、荷づくり機械でございますとか、あるいは農業機械でございますとか、あるいは食料加工機械でございますとか、四十一年度につくりましたところの基本計画につきましては、ほとんどがこの労務管理にも触れてくるようにもなっておりますので、この点につきましては今後とも改善をいたしていきたいと考えております。
  9. 中谷鉄也

    中谷委員 労務管理ということばは、企業主従業員経営者労働者との関係において、いわゆる経営者の側に立っての観念であり、考え方だと私は思うのです。そういう中で、基本計画の中で労務管理について触れていないものが多数あるという指摘を私させていただきましたけれども、今度は雇用条件などということば、あるいは賃金体系改善などということば等について触れているものは、むしろきわめて少数である。ほとんど私自身斜め読みに読ましていただいた基本計画の中に二、三を数えるにすぎない。この点はいかがでございましょうか。
  10. 影山衛司

    影山政府委員 賃金体系につきましては、まだ中小企業の中には労働組合もできていないところも多いわけでございます。しかしながら、組合ができるできないにかかわらず、中小企業の問題としましては、高賃金を払っていかなければいけない。先ほど御説明いたしましたように、その前提として、生産性向上して高賃金を払えるような体系に持っていきたいということを主にして考えておるわけでございまして、賃金体系につきまして触れるということは、まだ中小企業者の意識がそこまでいっていないものも多いのではないかということでございますから、今後最低賃金制等の普及あるいは拡充というようなことにも関連いたしまして、そういうことも今後は触れてこざるを得ないような傾向になるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  11. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、冒頭私が本日のお尋ねをする私の気持ちの上での動機になりました「話が違う集団就職」という問題との関連でお尋ねをいたしたいと思うのですが、特に若年労働者、最も庶民のことばで言えば、学校を、特に中学校を出たばかりのかわいい子供さん、少年少女、こういう諸君のいわゆる中小企業における定着のための施策はどのようにすべきかという点については、すでに多くの配慮が払われていると思います。この点について一応お答えをいただきたいと思います。
  12. 影山衛司

    影山政府委員 集団就職等ではるばる就職にやってきました青少年等につきましての労務管理あるいは福利厚生施設等につきましては、特に後者の福利厚生施設につきましては、拡充をしなければならないということが必要であろうかと思うわけでございまして、この基本計画の中にも、福利厚生施設拡充ということに触れておるものが非常に多いわけでございますが、その福利厚生施設も、小規模零細個々事業者が個別にこれを行なうということは非常にむずかしいことでございますので。これは共同施設によって福利厚生施設を設けなさいという指導をいたしておりまして、そのために従来の中小企業高度化資金、今後は事業団になりますが、それの対象ともいたしております。あるいは年金福祉事業団等も活用いたしまして、福利厚生施設共同施設として充実をするということをやっていきたいというふうに考えておるところでございます。
  13. 中谷鉄也

    中谷委員 大体中学校卒業者は例年二百三十万前後だというふうに私理解いたしておりますが、したがいまして、そのうち就職者は六十万、これ前後ではないかと私これも理解をいたします。そこで、現在問題にされている若年労働者確保と、いま一つは、定着確保というふうなことがが適切かどうかわかりませんが、そういうことが中小企業問題の中で相当なウエートを占めているということになってまいりますと、いわゆる定着率というふうなことばが適当かどうか私よくわかりませんが、定着率あるいは就職離就というかっこうで御説明いただけるのですかわかりませんが、定着率は一体どういうことに相なっているのだろうか。特に定着問題については、中小企業庁のほうには資料が非常にたくさんあるというこうに私お聞きしておりますが、就職をして一週間、一月、あるいは三カ月、六カ月、一年というふうなかっこうの、就職をして、どの時期に定着しない、要するに離職するというふうなことについての資料等がありましたら、これに対する対策、これはどういうふうにしたらいいだろうか。この、私が申し上げました新聞記事によりますと、話が違う集団就職、また別の新聞報道によりますと、ことばが違うと笑われて就職をやめたという。これはもう人生門出において非常な打撃をそういう少年は受けていると思うのです。そういうような問題について、定着率を、就職をいたしましたいわゆる年月日、そういうことでひとつ御説明、御答弁をいただきたいと思います。
  14. 影山衛司

    影山政府委員 年月日をあげての資料につきましては、ただいま手元にございませんけれども、いわゆる中小企業白書等で調べました結果は、四十年度におきましては……。(中谷委員資料の出所を言っていただけませんか。統計の何でございましょうか」と呼ぶ)二三六ページに、中途退職者が多いということをアンケート調査をやっておるわけであります。中小企業庁中小企業労働問題実態調査で、(2)のほうに、四十一年に入って労働力不足が激しくなっている原因といたしまして、生産の拡大をあげているものが多数を占めておるけれども「繊維・衣服では、労働力の大部分若年女子労働者に依存しているというこの業種特有の事情もあって、「中途退職者が多い」ことが労働力不足の最大の原因となっている。」というふうな記述もいたしておるような次第でございまして、四十年度の実績を見ますと、五百人未満中小企業における離職率は二三・二%ということになっておるわけでございます。
  15. 中谷鉄也

    中谷委員 労働省の方においでいただいたと思いますので、労働省のほうからお答えをいただきたいと思いますが、要するに職業安定法等による就職あっせん、その就職あっせんをしたところの若年労働者についてのいわゆる就職離職状況等について、労働白書等を拝見いたしましたが、必ずしも私明確に統計を読むことができませんので、この点についてどのような状況に相なっているかということと、ことに中小企業就職をした若年労働者定着率が大企業に比べて悪いのではないかというふうにこれは私推定をいたしますが、その原因、特に先ほど長官お尋ねをいたしました基本計画等においても、労務管理等については、それほど積極的な関心をお示しになっていないというふうなことと私はどこかでつながっていると思うのです。そういう点にも相かかわりまして御答弁をいただきたいと思います。
  16. 保科眞一

    保科説明員 これは労働省昭和四十年の雇用動向調査でございますが、就職してから九ヵ月目までの離職率をとってみたものでございます。全体は離職率一二%でございます。そのうちで五百人以上、それから百人以上五百人未満、百人未満というふうな規模別に分けてみますと、五百人以上の事業所離職率が八・〇%、百人から四百九十九人が一〇・五%、三十人以上九十九人が一三・八%というふうに、規模が小さくなりますと離職率が高くなるという傾向でございます。これは受け入れましてからの労働条件あるいは労働環境によりまして、中小企業のほうが離職率が高くなっているのではないかというふうに想像されます。
  17. 中谷鉄也

    中谷委員 次に警察庁関係の方にお答えをいただきたいと思いますが、若年労働者確保定着率への努力というのは、ただ単に中小企業の繁栄、存続という観点からだけ私は見るべきではないと思うのです。要するに、そういう人生門出中小企業就職をした、ところが非常に雇用条件が違う、労務管理がきわめて不完全だというふうなことで離職をしていくというふうなことは、青少年に与える精神的な打撃というものは私は非常に大きいと思うし、いわゆる少年非行原因等について検討してみましても、そういうふうな定着できなかった少年少女転落をしていくコースというものについても常に新聞等報道されている事実がございます。このような点について、警察庁としては、特に中小企業経営者等に対して、こういう点だけは措置さるべきである、そうして少年非行の防止というようなことについては企業者としての社会的な責任において、そのような少年非行転落をしていく、虞犯少年になっていくというようなことを防止すべきだというふうな点について、経営者において措置し、努力すべき点について御答弁をいただきたい、こういうふうにお願いいたします。
  18. 今竹義一

    ○今竹政府委員 私ども毎年春の期間におきまして、こういう集団就職少年たち、あるいは入学試験等に失敗した少年たち家出が非常に激増いたしますので、そういう少年転落を防止するために、大都市の盛り場とかあるいは主要駅を中心にいたして補導いたしておるわけでございます。その一環といたしまして、ただいま先生指摘のような集団就職少年についての補導の事実がわかったのでございますが、いろいろその離職理由を見てみますと、年端もいかない少年のことでございますから、何と申しましても本人自体の問題、たとえば仕事がつらい、あるいは仕事が性格に合わない、あるいは小さい少年でございますからホームシックにかかった、あるいは同僚と折り合わないというようなことが原因の大部分、七六%ばかり占めております。しかし、職場側だけに問題があると思われるような、賃金が安いとか、あるいはまた仕事内容が約束と違うというようなこともございます。しかし最初に申し上げた本人自身の側に問題があるというようなことにつきましても、やはり私どもは、労務管理や、こういう若年少年の私行上の欠陥があるから本人自体に問題が生じてくるものだ、中小企業の側において、そういう年端もいかない雇用者のことゆえ、十分にあたたかい目をもって接すべきだ、かように考えております。いろいろ少年補導の問題につきまして、こういう職場と警察との連絡協議会というものを第一線で持っております。そういう機会を通じて十分にこういう問題について職場経営者理解を求めたい。また今度の補導個々のことについては、それぞれの経営者理解を求めて、さらに私どもとしましても関係の省庁とも連絡を密にしてまいる、かように考えます。
  19. 中谷鉄也

    中谷委員 重ねて長官お答えをいただきたいと思います。先ほど警察庁政府委員の方から御答弁がありましたとおり、少年定着をしない、離職をするという問題については、少年のパーソナリティーの問題少年の個人的な原因というものがないとは私も思いません。しかし、労働省から御答弁がありましたとおり、大企業就職をしている若年労働者中小企業に雇用された少年少女との離職率定着率に大きな懸隔があるということに相なってまいりますと、労務管理ということが近促法一つの大きなテーマであろうかと思うのです。したがいまして、先ほど長官答弁になりましたけれども、近促法基本計画策定あたりましては、労務管理については必ず基本計画の中に、現状においてなし得る労務管理のあり方、要するに従業員福祉厚生福利厚生等について近代化基本計画一環として策定をするということについて、いま一度、そのとおりなんだ、そういうふうにしようという御答弁をいただきたい、こういうふうに思います。
  20. 影山衛司

    影山政府委員 先生指摘の方向で、そういうふうに指導いたしたいと思います。
  21. 中谷鉄也

    中谷委員 何べんも申し上げますとおり、中小企業問題というのは非常に困難な、そしてたくさんの隘路のある問題であるということを私聞き及びましたが、したがいまして、この中小企業問題についてほとんど不勉強である私が立ち入ることについては若干のためらいを感じますけれども基本計画の中で、先ほど指摘をいたしましたように、労務管理ということばが出てきてない基本計画もたくさんある。しかも反面、賃金体系給与体系雇用条件というふうな勤労者保護の立場、要するに勤労者のための近代化というふうなことが基本計画の中に記載されておる基本計画というものはほとんど数がないということになってまいりますと、何か中小企業近代化というものを近視法によって策定をしながら、相も変わらず、中小企業近代化というものも、中小企業に従事しておる勤労者の低賃金というものを存立基盤として中小企業存続をはかっていくというふうに思われる節もあるわけなんです。もちろん最近における中小企業白書労働白書等によりまして、若年労働者中小企業と大企業との賃金格差が縮まっておるという統計については承知をした上でお尋ねをいたします。要するに、近代化計画の中において、中小企業従業者賃金ということについてどのようにお考えになっておるのか。これは相当大きな問題であろうと思います。この機会に、ただそういうふうな質問だけをするということは私はあまり好みませんけれども、この点についてお答えいただきたいと思います。
  22. 影山衛司

    影山政府委員 低賃金存立基盤としての中小企業企業経営というものは、もう最近は成り立たないということは、中小企業者全般に浸透しておる考え方ではないか、このように考えるわけでございます。また私どもといたしましても、昭和五十年度あたりにおきましての雇用労務者不足が非常にはなはだしくなるという数字労働省あたりからも出ておるような次第でありますので、そういうような数字も引きまして、労務管理及び賃金上昇——賃金を上昇することによって定着率高め生産性向上するというような指導をいたしておるような次第でございまして、近代化基本計画前提もそういう考え方を持って基本計画をつくっておるというふうに私どもは了解しておるような次第であります。
  23. 中谷鉄也

    中谷委員 日を改めて別の機会お尋ねをいたしたいと思いますが、中小企業近代化あるいは近促法の中における基本計画の中においても、労働賃金労働時間、若年労働者充足率、あるいは労働者定着率就離職率労働災害件数労働争議件数というふうなものが労務管理の中の問題として、私は、中小企業庁においても相当深い御認識と理解とがなければならないと思います。こういうような問題について、あらためてお尋ねをいたしたいと思いますので、そういう点についてもひとつ十分御調査、そうして対策等について御検討いただきたい。この点についてお願いをいたします。
  24. 影山衛司

    影山政府委員 御要望の趣旨に沿って検討いたしたいと思うわけでございます。
  25. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで一点お尋ねをいたしますが、私がきわめて素朴な形で指摘をいたしましたのは、いわゆる経営管理基本計画の中の経営管理の項についての労務管理について、基本計画は不備ではないか、不十分ではないかという点を指摘さしていただいたつもりでございますが、実は月刊「中小企業」の十二月号を拝見をいたしますと、金井次長さんの御出席になった座談会がございます。この座談会は非常に私、御発言については興味を持って読ましていただきました。その中で、特に委員会の調査室長さんでありますところの御発言、要するにこれは中小企業問題についての専門家、しかも中小企業問題について非常に打ち込んでおられる方の御発言でありますので、こういう方の御発言について、私は、今後私なりに十分検討をしていきたいと思いますけれども、要するに、倒産問題に触れられて、それは「社会進歩の一つの影」じゃないかというふうな御発言があるわけです。この点についても、中小企業問題について非常に打ち込んでおられる方の御発言でありまして、私、そういうことの持っている真の意味というものについてはひとつ検討をして、私なりに努力をしたいと思っておりますが、その金井次長さんの御発言の中に、近促法はすでにもう考え直すべき時期にきているんだ、こういう御発言があるわけなんです。要するに、現在の近促法によると、必ずしもいわゆる近代化促進という、近代化計画を推進するということに効果がないのじゃないかというふうにも読める趣旨の御発言があるというふうに私は読みました。この点については、現在改正案が提案されて審議をしているわけでございますけれども、現在の近促法の問題で、要するに、考え直すべき時期、近促法がもう曲り角にきているというなら、どの点が現在の近促法において不備なのか、どの点が前向きの形において近促法についてさらに改正すべきなのかというふうな点についてお答えをいただきたい、こういうことでございます。
  26. 影山衛司

    影山政府委員 私どもといたしましては、中小企業施策全般につきまして、あるいは経済状況の変化、あるいは中小企業をめぐる環境の変化、あるいは業種業態に応じまして、常に施策の反省をしていきたいということを念願にいたしておるわけでございまして、中小企業庁次長の発言もそういう趣旨から出たものというふうに考えるわけでございますが、近代化促進法自体を考え直して、大幅な法律の改正を必要とするかどうかという問題につきましては、私どもはむしろ、近代化基本計画の各項目につきましては、製造業もあり、あるいは商業、サービス業、いろいろな項目につきまして近代化の目標が掲げられるようになっておりますので、あとは運用のやり方、実施の推進のやり方を従来よりも変えていくべきではないかという点については、私どもも内部でいろいろと議論をしておる点でございます。その一つは、やはり最近におきまして労務者不足が非常に重要な問題になってきておりますことと同時に、今後の問題といたしまして、外資の自由化という問題が日程にのぼっておりますし、あるいは後進国からの工業化の追い上げというような、中小企業にとっての非常な強いインパクトが出てきておりますので、そういう点を考慮いたしまして、従来の中小企業基本計画そのものを場合によっては、あるいは業種によっては見直していかなければいかないのではないかということを考えておるわけでございます。その適例は、綿スフ、絹、人絹につきまして、今回特定繊維工業構造改善臨時措置法案を提案いたして御審議を願うわけでございますが、その織布の産地の組合が行ないますところの構造改善計画の前提になるものは中小企業近代化基本計画でございます。中小企業近代化基本計画につきましては、すでに織布業につきましては基本計画ができておるわけでございますけれども、もう一度それを繊維の織布の構造改善という見地から見直し、あるいは改定をいたそうというふうに考えておる次第でございます。そういうふうな実態の変化に応じまして、あるいは従来の効果等の反省に基づきまして、運用あるいは実施方法を改善していきたいということを考えておるわけでございます。
  27. 中谷鉄也

    中谷委員 こういう点が考え直すべき時期という点で次長さんのお話の中に出てまいります。と申しますのは、要するに、近促法というのは、業種別の計画法だということをいわれているけれども、実際は個々企業近代化計画を推進する法律なんだ、だから、最近のように新しい過当競争時代に遭遇すると、具体的に実態的に考え直さなければならない面があるのではないかと思う、こういうふうな御発言でございます。いま一つ、こういうふうな御発言は結局中小企業庁としてのお考えということに相なるでしょうか。
  28. 影山衛司

    影山政府委員 先生指摘のような発言をいたしたといたしますならば、多少私の見解と次長の見解は違うわけでございまして、個別企業だけの近代化じゃなくて、業種ぐるみの近代化あるいは共同化を進めていきたいというふうに考えております。
  29. 中谷鉄也

    中谷委員 専門の次長の御発言でありますし、そのことをとらえてとやかく言うつもりは私ないのです。  そこで、先ほど御答弁のありました、現在の労働問題、あるいは過当競争、あるいは南北問題しいうふうな中で、近代化基本計画を変更しなければならないと思われるような業種というのは、一つ例をあげていただきましたけれども、どのようなものがあるか。理由はけっこうです、そういうふうな業種について、あるとすればお答えをいただきたいと思います。
  30. 影山衛司

    影山政府委員 綿スフの織布のほかに雑貨関係、雑貨関係につきましてはやはり見直していかなければいけないということを考えております。
  31. 中谷鉄也

    中谷委員 最後に一点だけお尋ねをいたします。  これは昨日、この点についてはひとつ御調査いただきたいということで通産省の方にお願いしておきましたが、エコノミストの三月二十二日号の中に「全産業規模別設備投資の伸び率」要するに、資料の出どころは「法人企業統計季報」そういう資料によってお尋ねをしたいと思うのです。と申しますのは、近代化基本計画の中において設備投資というものをやっていく。ところが実際の親企業と下請企業との関係において、下請企業の場合、近促法による基本計画とは別に、たとえば投資の伸び率は好況期の末期になってピークに達する、その傾向がきわめて顕著である。こういうふうな、親企業からのいわゆる圧力といいますか、要するに一サイクルずれていくというふうな点については非常に問題がある。いわゆる近促法のそういう点が矛盾でもあるし、この点についてはさらに掘り下げた質問をするだけの資料を私は持ち合わしておりませんけれども、世間では近代化地獄というふうな問題、あるいは近代化倒産というふうな問題と関連があるのだというふうなことがいわれております。したがいまして、要するに「下請企業における設備投資の始動は親企業である大企業からの増産要請やコスト引下げ要求によってはじまり、好況の末期にいたってピークに達するという傾向がある。」このことは資料の上から事実だと思うのです。お尋ねをいたしたいのは、そういう傾向は事実だと申し上げましたけれども、はたして事実であるかどうか。とすれば、これに対する対策は一体どういうことになるのか。またそういうふうな設備投資のあり方というのは近促法の予想しておるものとは私は違うと思うというふうな点についてお答えをいただきたいと思います。
  32. 影山衛司

    影山政府委員 お答えが一般的になって恐縮でございますけれども、一般的に、中小企業生産性が低い、それから賃金の上昇を生産性向上で吸収できない状況があるわけでございますが、それはなぜかと申しますと、結局のところ、中小企業の資本装備率が大企業に比べまして低い、三〇%以下になっております。だからそれを近代化することによって資本装備率というものを高めていかなければいけませんけれども、その際に、近代化いたします場合に業容の拡大だけを目的にしたところの設備投資では困るわけでございまして、いわゆる労務節約的なあるいは合理化投資をやっていかなければならないということ、それと同時に経営管理、あるいは工程管理等の合理化をやっていかなければいけないということ、それからもう一つは親企業との関係等もあるわけでございます。売れるということ、市場開拓、マーケティングというものを前提にしたところの設備投資をやっていかなければならないということに尽きるのじゃないかと思うわけであります。その点につきまして下請関係、親企業中小企業との間の、そういう親企業の下請中小企業に対する指導のしかた等というものは、下請関係をもう少し合理的にやっていかなければいけない一環でございますので、それは私どもといたしましては今後とも指導をいたしていきたい。日本商工会議所が先般つくりましたところの下請関係に関する取引のルールの中におきましても、できるだけ計画的な発注をする、あるいは発注をやめる場合には予告期間をもってあれするということも聞いておるわけでございます。そういう点で下請関係近代化合理化というものにつきましても、今後とも指導の努力をしていきたいというふうに考えておるわけであります。
  33. 中谷鉄也

    中谷委員 最後に一点だけ要望をかねていま一度お尋ねをしておきたいと思います。  要するに、中小企業問題について全くといっていいくらい理解の度の低い私があえて本日近促法に関して質問をさしていただきましたのは、東京、大阪、そういうふうな大都会へ県外から少年就職してくる、そういう少年の数というのは労働白書等によりましても相当の数に及びます。そういう少年少女中小企業のいわゆる労務管理雇用条件が低いということで定着できない、そうして人生門出においてつまづく、つまづくだけではなしに非行化していくというふうなことは、私は中小企業問題を越えたところの人間的な問題であろうかと思うのであります。再び来年の春就職の季節がめぐってまいります。こういう点について、中小企業従事者、ことに将来ある若年労働者のために、そのような少年のパーソナリティーを越えた外部的な要因によって、中小企業の内部に包蔵するところの、近代的なものとは違う封建的な要素によって職を去っていくというふうなことは、非常に残念なことであり、非常にいけないことだと私は思うのであります。こういうような点について、あたたかい目で格段の措置をされるという御答弁長官からいただきたい、これが一つです。  同時に、労働省の方にこれは御答弁をいただきたいと思います。このような問題については大体労働省の所管でございますが、少年がこのようなことによって非常に精神的な打撃を受け、一度離職した者だというふうなことで大企業等にも今後は就職できないというふうなことでは、私は非常にかわいそうだと思うのです。このような問題について、特に就職あっせんの面において今後特段の配慮、措置をしたいと思うというようなことについて御答弁をいただきたい。  いま一つは、警察庁の局長さんに御答弁をいただきたいのは、私率直に申し上げまして、中小企業の業者の方は、手が足りない、機械が回らないというふうな苦情はあっても、その少年少女が、たとえば製品工場をやめて喫茶店に女の子の場合つとめる、さらにバーのほうにつとめていくというようなかっこう転落していくというようなことについての関心というか、そういうことに対する心の痛みというものがあまりない業者が一部にはいるのじゃないかと思うのです。したがいまして、ひとつ警察庁のほうにおいて、そのような追跡調査といいますか、定着できなかった少年少女が、ただことばが違うといって笑われて離職した、全く少年自身の責任でも何でもなく、その少年非行転落していくというようなことについての追跡調査をしていただく。またそのようなことについての防止策については、十分ひとつ保安の立場から、防犯の立場から、あるいは少年の育成という立場から御努力をいただきたい、こういうように思います。  最後の質問ははなはだまとまりませんでしたけれども、それぞれ御答弁いただきたいと思います。
  34. 影山衛司

    影山政府委員 先生が冒頭に御指摘になりました新聞報道記事は私も読んでおります。集団就職についてこういう事態が起こるということは非常に困った事態であるということをその当時から考えたわけでございまして、そういうことのないように今後中央会あるいは商工会その他の団体を通じて、中小企業経営者指導していきたいというふうに考えております。
  35. 保科眞一

    保科説明員 就職後の補導の問題につきましては、前段階からの紹介の問題がございます。紹介に際しましては、求人条件の確認、的確な紹介等につきまして特段の努力をしていきたいと思います。また就職後の指導につきましては、本年から若干要領を改正しておりますけれども、従来半年間を指導期間にしておりましたのを一年間に延長いたしました。それから安定所に年少就職者相談室というのを設けまして、相談に当たりたい。それから転職の希望がある者につきましては、事業主それから少年にも相談いたしまして、適職をあっせんするということも考えてまいりたいと思います。就職後の指導につきましても、今後一段と措置を強化して十分やってまいりたいと思います。
  36. 今竹義一

    ○今竹政府委員 ただいま先生指摘のように努力を続けてまいりたいと思っておりますが、特に私ども、わかっておることを申し上げますと、この離職少年を東京で補導いたしました場合に、必ずしも東京の職場での離職少年ではございませんで、むしろ大阪なり名古屋なり、再就職いたしまして、その後東京へ来たという少年もかなりおるわけであります。しかもこれの補導場所は大部分が大都市の、東京で申しますと上野駅、東京駅、新宿駅というところでどうしようかと思いあぐねておるところを補導いたしておるのでございます。補導は早ければ早いほど効果的でございまして、こういう駅頭における補導を常時化してまいりたい、かように考えております。  少年にいろいろ将来の希望を聞いてみますと、大部分少年が、家へ帰って家族と相談したい、あるいは家の仕事を手伝いたいというような健全な方向で、その点心強いのですが、やはり中には飲食店の店員になりたい、バーテンになりたい、あるいは遊戯場、パチンコ屋でつとめたいという、非常に不健全な希望を言っておる者もございます。こういう風俗営業方面へのそういう若年少年就職は禁じられておりますので、私どもこういう点についての取り締まりも厳重にしてまいりたい、かように考えております。
  37. 中谷鉄也

    中谷委員 終わります。
  38. 島村一郎

    島村委員長 中村重光君。
  39. 中村重光

    ○中村(重)委員 近代化促進法改正案を中心にしまして、通商政策全般にわたって質問いたしたいと思いますが、あらためてまた機会をいただくことにいたしまして、本日緊急上程を本会議にされるという関係から、改正案にしぼって質問したいと思います。  長官に伺いますが、この改正案の「第八条第一項中「(企業組合にあっては、出資の総額が五千万円をこえ、かつ、その事業に従事する組合員の数が三百人をこえるものを除く。以下この条及び次条において同じ。)」を削る。」ということになるわけですが、企業組合に限っては、出資の総額が五千万円をこえて一億になろうと、あるいは二億であっても、さらには組合員の数が三百人をこえて五百人、千人になっても、この規制要件を削るわけでありますから、これは全く無条件で課税の特例の措置を企業組合には与える、適用する、こういうことになりますね。
  40. 影山衛司

    影山政府委員 そのとおりでございます。
  41. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうしますと、ほかの中小企業者関係は、この第八条については何も出てこない、関係はない、こういうことになるわけですが、第九条ですが、「「(資本の額又は出資の総額が五千万円をこえる会社であって常時使用する従業員の数が三百人をこえるもの及び常時使用する従業員の数が三百人をこえる個人を除く。)」を削る。」こういうことになるわけですが、そうなってまいりますと、これまた、資本の額が五千万円をこえて、一億であっても二億であっても、従業員の数も、これもまた三百人をこえるということでありますから、五百人であっても千人であっても、減価償却の特例を受ける、こういう形になるわけですか。この点はどうなんですか、中小企業の定義との関係は。
  42. 影山衛司

    影山政府委員 この中小企業近代化促進法におきましては、すでに施行令で、陶磁器でありますとか、ゴム製品の製造業でありますとか、あるいは染色整理業であるとか、マイニング、伸銅製造業等、労働集約的な産業につきましては、資本金の額は五千万円に一定させておりますけれども従業員の数について例外を認めておるような次第でございまして、そのものを、適用を今度広げる、そこまで適用を広げていこうということを考えておるわけでございます。
  43. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうしますと、施行令にありますところの業種ですが、それぞれの業種によって、ゴム製品の場合は従業員の数は九百人、織物の関係については六百人、綿糸等が百人、鉱業千人、こういつたように、一般の中小企業の定義からいたしますとこれらの業種は、従業員の数においては、まあ百人というのもあるわけですけれども、三百人をすべてこえている。だがしかし、近代化促進法の場合は、施行令でこれを認めておりながら、実はこれを適用していなかった。だから、これまで施行令で認めておる単位まで、今度は中小企業近代化促進法の場合も課税の特別の措置を講じていく、そういうことで了解してよろしゅうございますね。
  44. 影山衛司

    影山政府委員 御指摘のとおりでございます。
  45. 中村重光

    ○中村(重)委員 そこで、いろいろお尋ねしたいことがあるわけですが、この近代化促進法の実施計画の中にも「資金の確保」というのが第六条にあるわけです。ところが、政府はいろいろ金融上の施策を講じておられるということはわかりますけれども、特にこの近代化促進法の適用の業種に限って特別の資金対策というものが積極的に行なわれておるのかどうか、この点は必ずしもこの法律が期待をしておるような資金対策というものが講じられておるとは考えられない。そこで、実績ですが、企業庁としては、この法律がきわめて積極的にこの実施計画に基づいて働いておるということに対して確信を持っていらっしゃるならば、その点をひとつ伺ってみたいと思います。
  46. 影山衛司

    影山政府委員 実施計画推進上の必要の資金につきましては、特に中小企業金融公庫につきましては特別の融資ワクを設定いたしまして、また通利よりも低いところの七分七厘の特別金利による融資を行なっているような次第でございまして、昭和四十二年度におきましては百億円のワクを設けております。従来の実績は、四十二年の三月までに昭和三十九年度から特利によるものが百三十億円行なわれておるわけでございます。
  47. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうしますと、この近代化促進法による、いまお答えになりましたような特別の措置を講じていく、こういうことになりますと、扱いの面におきましても、できるだけこの法律の精神を生かしていくというようなことでなければならないと思うのです。担保の要件というものが大体どういうような扱いになっておるのか、それからいわゆる保証協会の保証をつけておることもあるのでありますが、保証料について保証協会が特別の配慮をしておるという事実があるのかどうか。
  48. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業金融公庫が行なっておりますところの特別融資につきましては、担保につきましては通常の担保をとっておるわけでございます。それから保険関係につきましては、先生御承知の、中小企業近代化保険という制度がございまして、その指定業種につきましては、積極的にそれを貸しておるわけでございます。  さらに下部の信用保証協会において、この近代化保険について特別の保証料をやっておるかどうかというお尋ねにつきましては、これは手元に数字がございませんので、はっきりした数字を申し上げるわけにいかないわけでございますが、特別の保証料でやっているところもあるというふうに了解しておるわけでございます。
  49. 中村重光

    ○中村(重)委員 保険公庫において、お答えのとおりに、これは特別の低率の措置が行なわれているということは私は承知をしておる。したがって、ただ保証協会の運営をなめらかにしていくということだけの役であっては私は意味がないと思う。だから保険料の料率というものを低くしておるということは、すなわち近代化促進法におけるところの特別融資というものに対する保証をつける場合、保証料そのものを下げていくということでなければ特別措置の意味がないと思うのです。だから、いまあなたがそういうところもあるように伺っておりますというようなことでは、確信がない、それじゃいけないのです。完全な行政指導というものが行なわれておるということにはならないのです。近代化促進の特別融資なんだから、保険料率においてもそういう特別措置を講じたんだから、それを受けて保証するところの保証協会というものも、その精神を生かしていくということでなければならぬと私は思うのです。
  50. 影山衛司

    影山政府委員 現に近代化について特別の保証料をやっておりますところは石川県等があるわけでございますが、さらにこの保証料の引き下げという点につきましては、従来からも努力いたしておるわけでございますが、保証料を引き下げるという方向で融資基金の配分につきましてそれを考慮いたしたい。それからまた、特に近代化保険関係の保証につきましても、融資基金の配分についてもそういう点で考慮していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  51. 中村重光

    ○中村(重)委員 きょうの質問に対する答弁としてはその程度以上出ないと思います。全国の保証協会がどういう扱いをしておるのか資料として後日御提示願いたいと思います。  さらに第七条に「勧告」、主務大臣は、中小企業構造の高度化、競争の正常化または取引関係の正常化のために特別に必要があると認めるときには、中小企業者中小企業団体、関連事業者または関連事業者団体に対し必要な勧告をすることができるとあるわけです。だからこの勧告の発動というものがどの程度なされておるのか、その実績を一応伺ってみたい。
  52. 影山衛司

    影山政府委員 この第七条に基づきましての形式的な勧告というものはないわけでございます。ただ、この中小企業の高度化あるいは取引条件等の改善という点につきまして行政指導をしておるわけでございますので、形式的な勧告はございませんけれども、その趣旨にのっとったところの運用というものはやっておるわけでございます。
  53. 中村重光

    ○中村(重)委員 第七条に勧告というものがあるんだから、中小企業近代化、高度化をはかっていかなければならない。なかんずくこれらの特に指定する業種に対して、この法律に基づいてその効果というものを十二分にあらしめるために、第七条に勧告という制度があるんだから、特に配慮されておられるのではないか、こう思っておるので、この第七条に基づいての勧告というものがなされておるという実績があるかどうかということをお尋ねしておるのです。だからこれに書いておるように、「中小企業構造の高度化」であるとか「競争の正常化又は取引関係改善」云々、こうあるわけです。しかし具体的に大企業の進出というものが、特に指定されておるところの業種に対してどのような影響力を及ぼしておるのであろうか、あるいは下請関係、取引関係改善の問題等々、中小企業近代化の目的というものを達成をするために、具体的な勧告というのを、第七条においてせっかく条文をつくっておるのだから、これを働かせるということが当然の施策である、こう私は思うわけです。その点、あなたはそうお考えになりませんか。
  54. 影山衛司

    影山政府委員 勧告は大体におきまして伝家の宝刀的に運用いたしておりますわけで、それに至る前に行政指導をやっておる例が多いわけでございますが、今後資本の自由化等に対処していきますためにいろいろと問題点も起こってまいりますので、場合によっては、この勧告も積極的に発動しなければいけない事態も起こるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  55. 中村重光

    ○中村(重)委員 御答弁のとおりに行なわれておるというならばけっこうです。勧告という伝家の宝刀があるといっても、必ずしも勧告があるのだからそれだけを働かすというのではなく、いわゆる前段の措置としては十二分に行政指導を行なっていくということが当然でありますから、そのことを御答弁のとおりほんとうに真剣にやっていらっしゃるということであるならば、私はこれは了承をいたします。ところが、現状から考えてみると、行政指導必ずしも私は十分に行なわれておるとは思わない。やはり伝家の宝刀とあなたが言われる勧告といったような強い措置も講じられなければならないのではないか。そのことは、大企業なんかが中小企業の分野にどんどん進出をして、その影響というものを受けて中小企業というものはとても苦しい状態におちいる、いわゆる倒産というようなことが現実に起こってきている。だから佐野委員の質問に対して、あなたは、この法律と倒産の関係はそれは違うのだというような、私は全く乱暴な答弁をするものだと聞いておったのですが、あらためてまたあなたが答弁を直された。答弁は間違うこともあるだろうと思うので、私は善意に解釈をしておったわけです。そういうことですから、行政指導をやっております。勧告は伝家の宝刀でありますから、だから勧告はやらないでもいいのですというあなたの答弁に対して、私は満足するわけにはまいらない。勧告をやらなければならぬというような現実というものが十分ある、私はこう思いますから、行政指導もおやりになる、勧告というものも必要に応じてやっていく、私はこういう態度をおとりにならなければならぬと思いますが、その点はいかがですか。
  56. 影山衛司

    影山政府委員 行政指導で足らない分につきましては、やはり勧告もやらざるを得ない事態も出てくるというふうに考えております。
  57. 中村重光

    ○中村(重)委員 業種の指定の関係について伺いますが、業種指定の基準として、産業構造の高度化または国際競争力の強化に寄与する云々ということばがあるのですが、しかし業種の指定に対しては、抽象的なそういうことでなくて、具体的な基準というものがあるのだろうと思います。ですからそれにあたっての具体的な基準というものがどういうものか、まずその点を伺ってみたいと思います。
  58. 影山衛司

    影山政府委員 業種を指定するにあたりましての基準でございますが、まず第一番目は輸出促進産業でございます。第二は輸入防遏産業でございます。それから第三番目は物価問題に関係のあるところの民生関係業種でございます。それから今後は下請関係業種も、産業構造の高度化という見地からもやはり指定をいたしていきたい。それからさらに流通関係につきましても、やはり今後は積極的に流通構造の高度化という見地から指定をしていきたいというふうに考えている次第でございます。
  59. 中村重光

    ○中村(重)委員 具体的な基準を明らかにしてもらったのですが、そういう具体的な基準の上にのっとって業種指定をされる場合に、現在の指定の程度、また四十二年度において指定をされようとするところのその程度の指定業種でいいのか、もっと指定をふやしていくということでなければならないと思うのでありますが、その考え方があるのかどうか。
  60. 影山衛司

    影山政府委員 四十二年度におきましても、二十五業種程度を指定をいたしたいという方向で検討いたしておるわけでございますが、今後とも、これはやはりそういう熱意の盛り上がってきておる業界であることが必要でございますので、そういう指導をもあわせながら、逐次できるだけ指定をしていきたというふうに考えておる次第でございます。
  61. 中村重光

    ○中村(重)委員 業者の指導をして指定基準に達するようなところまで持っていきたい、こういうことなんですが、ところがそれは私は、業者の関係だけでなくて、予算的な面からの制約というものもあるのではないかと思う。業種の指定をふやしていくということは、金融その他の面において、あるいは税制面において特別の措置が講じられるわけだから、国の歳入あるいは歳出という面にも影響してくるということから、中小企業庁がお考えになっておるような業種指定というものはうまく運ばないということが政府部内にあるのではないかと思うのですが、そういう予算面からの制約ということによってはばまれておる事実が私はあると思いますから、その点はひとつ率直にお答え願いたいと思います。
  62. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業近代化促進法の施行関係の予算といたしましては、近代化基本計画をつくります前提となります実態調査費、これが一番大きなものであります。あとは中小企業近代化審議会の運営費、あるいは実施の指導員の旅費等でございまして、そう中小企業予算の中から見ましても膨大な金額であるというほどのものではございません。四十一年が九千万円でございますが、四十二年度におきましても九千百五十六万一千円というのを計上いたしておるわけでございまして、これは必要性があれば、この程度の予算でございますので、幾らでもふやしていきたいと考えておる次第でございます。
  63. 中村重光

    ○中村(重)委員 その業者の指導というものをあなたのほうでして、ぜひ指定をしたい、その基準にまで高めるようにやりたいというようなことであるといたしますならば、どうしてもその基準にまだ達していない、したがって、指定をするのには政府部内においては何もこれに抵抗するものはないのだけれどもまだやれないのだというような、あなたのほうで検討されておるところの業種というものがどの程度あるのか、またどういうような業種なのか、それを明らかにしていただきたいと思います。
  64. 影山衛司

    影山政府委員 先ほど先生お触れになりました指導をしながら業種指定を行なうわけでございますが、この指導は通産行政あるいは農林行政そのものでございます。産業行政そのものでございまして、全体の予算を使いましてこれを指導していくわけでございますが、四十二年度あたりにおきましても、その指定をする候補にあがっておりますのが大体四十業種近くあるわけでございます。私どもとしましては、今後流通関係業種あるいは下請関係業種というようなものを積極的に進めて指定をしていきたいわけでございますけれども、そういう業種は御承知のようになかなか小規模零細の人たちが多いわけでありまして、そういうところをやはり盛り上げていきまして、意欲も盛り上げて、近代化計画あるいは実態調査というところまで進めていくというのはなかなかたいへんな指導が要るわけでございますけれども、通産省内部の各原局あるいは農林省等のほうとも協力いたしまして指導をしていくように検討しておりますような次第でございます。
  65. 中村重光

    ○中村(重)委員 先ほど私が、業種をもっと指定をしていくということでなければならないじゃないか、政府部内においていわゆる予算面からの抵抗というものがあるのではないかという質問に対しては、いや、たいした金は要らないのだ、こういうことですが、それを裏返して言うと、指定はしたけれども、たいした効果をあらわすような措置というものは講じられていないのだということにもなるんですね。だから、もっと金融措置というようなもの、金融面からくる措置をするというのは、その額をふやすということだけでなくて、条件、いわゆる貸し付けの期限というものをもっと延長していくとか、あるいは利率を引き下げるとか、いろいろと改善措置というものが講じられてこなければならない。またあなたのほうはそこへ相当な力を入れなければならない。だから業種を指定する、たいして金は要らないのだからその面からの配慮はしたのだよという答弁では私は満足できない。せっかくこの法律というものをつくったのだから、そしてこれによって業種指定をやって中小企業近代化をはかっていくのだから、中身というものを十分なものにしていかなければならないと思う。決してあなたの答弁ことばじりをとるわけではないのだけれども、そこいらにどうも足りないところがあるのじゃありませんか。
  66. 影山衛司

    影山政府委員 先ほど私が御説明申し上げましたのは、中小企業近代化促進法の施行についての直接の経費でございますが、指定をしました以降におきまして、この実施計画を推進していく段階におきまして、金融面あるいは中小企業の高度化面等につきまして、いろいろと予算、財投等の面で経費がかかるわけでございます。それにつきましては、私どもといたしましても、たとえば中小企業の高度化を進めますために今度も中小企業振興事業団をつくりましたが、これは百二十億にのぼるところの政府出資を行なう、その場合に、その振興事業団の運用というものは、やはり中小企業近代化基本計画というものを中心にいたしまして業種、業態に応じたところの実態に即した近代化を進めていくところの一つの手段といたしたいというふうに考えておるわけでございますので、中小企業対策予算あるいは財投の全部をこれに投入していくといってもいいかと思うわけでございまして、そういう面では相当程度の予算の確保ができておるのじゃないかと考えるわけでございます。
  67. 中村重光

    ○中村(重)委員 それはそれとしてまた伺うことにいたします。  私は、近代化促進法によって、基本計画をつくり実施計画を立て、この法律を働かして中小企業近代化をはかっていく、そしてあなたが言うところの産業構造の高度化をはかり、国際競争力の強化をはかっていく、それにはこういう業種というものを特に指定をしていかなければならぬのだということでおやりになっていらっしゃるのだから、それならば、その目的を達成するためには、資金の問題等について格段の措置が講じられてこなければいけない。ところが内容的にはきわめて不十分な面がある、そこを指摘しておるわけです。この貸し付け限度額の八千万円、利率は指定機械であるものについては五千万円までは年率七・七%その他は八・二%、貸し付けの期間というものは七年以内、こういうことになっておるわけですが、この貸し付け限度額を八千万円にし、さらに利率を特別の指定の機械について七・七%にいたしたのはいつでございますか。
  68. 影山衛司

    影山政府委員 昭和四十年からでございます。
  69. 中村重光

    ○中村(重)委員 昭和四十年ですね。ことしは四十二年です。四十二年度の予算なりあるいはこの改正案というものを審議している。国の予算というものも、これは五兆円に達する膨大な額になってきたわけです。だから、中小企業政策というものを強力に推進していかなければならぬとお考えになるならば、中小企業の中でも、特に中小企業近代化というものがきわめて重要なものであるということは、これは明らかなんです。その中におけるこの中小企業近代化促進法、この実施計画、資金面については四十年度に八千万円であった、これもまた、いまも変わらないのだ、そして利率の七・七%、これはしかも八千万でなくて五千万という形に規制されておるというようなことは当然改めて、そういう面からの改正案というものをお出しになる必要があったのではないか。今回の改正案というものが施行令にあるところの特別の中小企業、その従業員関係を三百人以上というものをはずすということだけではなくて、もっと中小企業近代化のために根本的な改正案をお出しになる必要があった。私はこの改正案に対しては、きわめて不満なんです。だから、あなたのほうもどうしてそういう根本的な改正案をお出しになれなかったのか、その必要をお認めにならなかったのか。まず経過なりあなたのほうの考え方をひとつ明らかにしていただきたいと思う。
  70. 影山衛司

    影山政府委員 先ほどの答弁は不十分でございまして、特利、特ワク制度が始まりましたのが昭和四十年でございますが、貸し付け利率を七・七%まで下げましたのはことしの四月一日からでございまして、そういうふうに逐次この中小企業金融公庫関係につきましては、法律事項でもございませんので、ワクの拡大、貸し付け限度の拡大あるいは貸し付け利率の引き下げというような点につきましても、今後ともひとつ改善の方向で努力をいたしていきたいというふうに考えるわけでございます。
  71. 中村重光

    ○中村(重)委員 私はその点でも弱いと思う。御承知のとおり、機械工業振興臨時措置法、これに基づくところの特定機械工業に対する貸し付けは年率七・五%とする。そうですね。ならば、この近代化促進法にあるところの指定機械に対する貸し付けというものも当然七・五%まで下げなければならぬ。あなたのほうでは当然それを要求なさらなければならぬ。どうしてこれをおやりにならなかったか。しかも、環衛公庫というものを今度つくろうとしていらっしゃる。それには御承知のとおり、衛生上特に必要あるものというものに対しては六分五厘でしょう。そうですね。だから、いまあなたの御答弁というものは私は弱いと思う。そういうことであってはならぬ。ほかのいろいろな実施されているところの内容というものを調査して、それよりも条件が悪いというような形は、当然是正されてしかるべきだと私は思うのです。あなたはそうお考えになりませんか。
  72. 影山衛司

    影山政府委員 中小公庫の近代化促進融資の貸し付け利率を機振法の貸し付け利率まで持っていくということが私どもの当面の目標でございまして、従来からも毎年これを要求しているわけでございまして、ことしも七分五厘ということを要求いたしまして、やっとこさ七分七厘になったということでございます。私どもの努力の至りません点は認めるわけでございますが、今後ともこの七分五厘というところに持っていくということが私どもの目標でございます。
  73. 中村重光

    ○中村(重)委員 私は、機振法の七分五厘まで下げるのではなくて、新たに今度設置されようとするところの環衛公庫の場合、六分五厘という金利が実現をするのですよ。そうですね。今度改正案をお出しになるのだから、当然この資金貸し付け限度の問題、あるいは貸し付け期間の問題も、環衛公庫の場合は十年でしょう。環衛公庫に対しては、あなたのほうも、大蔵省と厚生省だけではなくて、通産省もこれはひとつ共管として環衛公庫に対して取り組みをしたいというようなことで強く御要求になったわけなんですね、これは実現をしなかったのだけれども。だから、これに対しては内容的に十分あなたのほうも御承知になっていらっしゃる。それならば、ただ単に環衛公庫に対するところの共管ということを要求なさるだけではなくて、中小企業近代化に対するところの融資条件というようなものを、環衛公庫の融資条件というようなものに劣らない形に私は当然是正なさるべきであったと思う。せっかく中小企業近代化ということを大きく強調していらっしゃる。また、その必要は十二分にあるわけですね。ならば、改正案をお出しになる場合に、施行令のほうの改正だけではなくて、根本的な改正をなさるということが当然ではございませんか。だからいまの御答弁では不十分である。政務次官もお聞きになっていらっしゃったところでございますから、十分な関心を持っていらっしゃると思いますから、政務次官のお考え方をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  74. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 先ほどからの中村先生の御意見、私もそのとおりに考えております。いやしくも中小企業近代化を促進しなければならないというたてまえにおいてこの法律というものが成立しておるわけでありますし、さらに、その範囲を拡大したいというので今回改正案を提出いたしました。したがいまして、環衛公庫との比較でございますが、近代化業種指定に関しましては、先ほど長官が申しましたとおりに、輸出増進であるとかあるいは輸入防遏であるとか等々幾つかのものを基準といたしている次第でございますので、環衛公庫と他の業種は、同じ中小企業とは言いながら、やや趣を異にするのではないかというふうな考え方をいたすのであります。しかしながら、特別という点におきましては、すべての中小企業者がやはり環衛が六分五厘でやるのならばそれを目ざして努力をするということが必要かと思いますので、今後仰せられましたような観点に関しましては、やはり全般の中小企業者に及ぶように、特に近促指定業者におきましては、その趣旨に従いまして、低利、特利ということを頭に置いて今後も行政上の努力をしていきたい、かように考えております。
  75. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣も御出席になった。  いま政務次官のお答えになりました環衛業者、これは主としてサービス業ですね。サービス業と一般中小企業というものとは性格を異にするというのは、私ももちろん認めるのです。ところが、環衛関係の業者というものは、比較的に零細の業者が多いという。しかし必ずしもそうではない。相当ないわゆる大企業の部類に属するというような業者もある。ところが、いまの政府の方針で、いまあなたの御答弁にありましたように、貿易というものをさらに振興していかなければならぬ、そういう面からいたしますと、製造業というものを特に近代化していく必要があるということが当然の要請として出てくるであろうと私は思う。それならば、こういう近代化促進法というものが、その要請にこたえるためには、きわめて有効に働いていくということでなければならない。その実施計画というものによるところのいわゆる特利の制度なんというようなものが、環術公庫によるところの特利というものよりも条件が悪いということは、私は納得がいかないのです。それぞれ性格は違うけれども、少なくともいま政府が考えている貿易振興をはかっていくためには、製造業というものを特に近代化をしていかなければならぬ。いまそういうような重要な役割りを果たしていく中小企業に対しては、特別の措置が講ぜられてしかるべきだと私は思う。当然今回の改正にあたっては、ただ単に施行令の従業員の数を、この近代化促進法に限って施行令のとおりにこれを実施していなかった、だからこれをはずす、そういう消極的な改正だけをもって、この重大な中小企業の振興をはかっていかなければならないというときに、より根本的な改正をなさらなかったということは、どうしても私は納得がいかない。少なくとも大臣が中小企業の施策というものを明らかにされ、あるいは白書の中においても昭和四十二年度に講ずるところの施策を明らかにした。そのことをほんとうに実行し、これを成果あらしめようとするならば、こういう近代化促進法の改正案というものに具体的にそのことがあらわれていかなければならぬと、私は思っております。私はきわめて不十分であると思うのですが、大臣はその点どのようにお考えになりますか。
  76. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 私、途中からで、あるいは私の答弁が間違っておるかもしれませんが、環衛金融公庫のみ六分五厘の特利ができた、この近代化のほうはそれだけ利が安くないというお話でありますが、環衛公庫のほうはこの近代化のほうのあとからできたものですから、私から見ると一つの突破口ができたと思っておるので、これを突破口として他の近代化のものもやはり六分五厘というように、来年度はひとつそれで押していきたい、こう考えております。
  77. 中村重光

    ○中村(重)委員 決意のほどはわかりますが、あとからできたのだからということでは私はこれは納得できない。昭和四十二年度の施策としてあなたのほうが明らかにした中には、環衛公庫の問題をその施策の柱の一つとしてお立てになっていらっしゃるのですよ。白書をお読みになったら環衛公庫、環衛公庫と書いてあるのが何十カ所も出てきます。これはあとから出てきたのだから、近代化促進法の貸し付け条件というものがこれよりも劣ることはやむを得ないのだ、これを突破口として来年はと、そういうことでは大臣、答弁になりませんよ。しかも環衛公庫の場合、あなたは突破口だとおっしゃったのだが、大きく後退をしておるということもお気づきになっていらっしゃいますか。あらためてこのことについては適当な機会に質問をしようと思いますが、少なくとも中小企業の中で中小企業金融公庫から金を借りることのできない業者というのが圧倒的多数なんです。そういう零細な業者というものは国民金融公庫にたよっているのですよ。環衛団体に対するところの貸し付けは国民金融公庫から六百万円まで特別の設備に対する貸し付けの道が開かれておった。これは少なくとも私どもは突破口であると考えておったのです。ところが今度環衛公庫をおつくりになる。後退ではありませんか。やはり三百万円しか国民金融公庫は貸さないんだ、三百万円以上千万円までは中小企業金融公庫でなければならぬということになるのですよ、政府の提案は。国民金融公庫から金を借りる場合は大体において担保というものを出さないで借りることが可能なんです。しかし中小企業金融公庫から金を借りる場合は、大臣、ほとんど担保が要るんです。したがって、せっかく突破口であったものが、今度は後退をしたというこの事実をお考えになるならば、ただ六・五%の特利の面だけを取り上げて、これは突破口になったんだからということで来年を期待するというあなたの考え方というものには、私は必ずしも同調できない。突破口をお考えになっておったならば、環衛公庫の場合において、せっかく国民金融公庫で六百万円まで貸し付けの道が開かれておった、一般中小企業の貸し付けもそこまでいかなければならない、これを突破口にしなければならなかったのだ。それを後退さすというようなことでは、どうもしょうがないじゃありませんか。通産省もこれに対して共管にしなければならぬということで強く御要求になったんだから、単に形式的な共管ということではなくて、そういう中身についても十分な関心を払って、その突破口というものをほんとうの突破口にするように、後退させないように、あなたは国務大臣として、共管はできなかったが、主管大臣の立場から、特に中小企業振興という観点から特別の配慮がなされなければならなかった。閣議においてそういう点を強調なさる必要があったと私は思うのですが、あなたはそのようにはお考えになりませんか。
  78. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いま環境衛生金融公庫のことについて、その特利のいきさつを政府委員から御説明いたさせます。
  79. 影山衛司

    影山政府委員 環境衛生金融公庫に関する利率でございますが、これは六分五厘と申しますのは特殊な衛生施設でありまして、これは一般の中小企業関係に還元いたしますならば、公害関係に該当するものだろうと思います。その他もう一つ七分七厘という金利が環衛公庫に設けられております。これはやはり限定されたものでございまして、近代化促進法並みのものについて七分七厘、そのほかのものについては八分二厘の通利ということになっておるわけでございます。そういう案がいまあるわけでございまして、大体中小公庫の関係と近促関係と平仄が合っておるわけでありますが、ただ先ほど先生指摘の六百万円の貸し付け限度というものは、国民金融公庫におきまして環衛公庫の特別貸し付けをやっておった——特別の機械設備についてやっておった場合に、それに限って六百万ということになっておったのを、そのまま今度は環衛公庫のほうに持っていったというような経緯があるわけでございます。それで私どもといたしましても、この限度の問題につきましては、国民金融公庫の限度の引き上げという問題は、やはりこの環衛関係だけに限られるということは、これはおかしいわけでございますので、今後とも、これはその当時も私は非常に強く主張したのでございますけれども、ひとつ今後改善の方向で努力をいたしていきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  80. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたは環衛公庫の中身をきわめて、何といいますか、たいして期待が持てないように御答弁になったが、衛生上特に必要あるものというのはまだきまっていない。公害的なものだというが、決してそんなものではありません。厚生省と大蔵省が目下、近代化合理化に対するところのいわゆる七分七厘の特利をつけるものに対してはどういうものにするか、衛生上特に必要あるものという六・五%の特利の対象となるその設備はどういうものにしようかというので、目下これは検討中なんです。決してあなたが考えるような狭いものであってはならない。またそういうことであっては、環衛団体の期待を大きく裏切ることになるのだから、環衛団体だってそういうことで決して引き下がるということではないだろうと私は思う。それから七・七%の関係でありますが、これはいま申し上げたように近代化合理化、そのために必要な特別な施設、こういうことになる。大体環衛公庫そのものがそうなんです。  一般の融資というものは、環衛業者であっても、それぞれの金融機関から貸し付けを行なう。特別の施設に対してのみ環衛公庫というものの融資が行なわれるわけですから、それは私はよくわかっている。わかっているんだが、ではこの近代化促進法にいうところの特別の施設、いわゆる指定した機械というのは、これは特別の設備ですよ、機械ですよ。ですから、こういうものに対する特利は少なくとも機振法よりも、あるいは環衛公庫のそういうものよりも下回ってはならない。そういうものでなければならない。またそれだけの熱意というものを持って取り組んでいかなければならないのです。でなければ中小企業近代化なんかできやしない、こう私は申し上げておるのです。ですから、足らないところは率直に、これは力が及ばなかったと、その点ははっきりこれを認めるところは認めて、そしてそういう条件よりももっといい条件で融資措置を講ずる、そしてこの法律を有効に働かせるということでなければならないと私は思うが、その決意が大臣にあるのかどうかひとつ御答弁願いたい。
  81. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いま中村委員からいろいろ御示唆をいただいておりましたのですが、まあいきさつについては長官から申し上げたとおりでございます。お話のとおり、これは中小企業全体に環衛公庫と同じようにやはり特利については均てんを及ぼすべきものであるということについては、われわれも同感であります。今後ひとつそういうように努力をしたい、こう考えておる次第であります。
  82. 中村重光

    ○中村(重)委員 第五十一回の国会に当委員会は附帯決議をつけました。それは「本法に定める税制上の優遇措置を事業協同組合も受けられるよう早急に措置すべきである。」御承知のとおりの附帯決議をつけたんですが、この改正案を見てみると、協業部分については依然として、この割り増し償却が認められないということになるようでありますが、その点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。附帯決議というものを尊重する必要はないという考え方ですか。
  83. 影山衛司

    影山政府委員 協同組合につきましてこの近促法上の割り増し償却の特例を認めるということは、先生御承知のように、毎年本委員会におきましても取り上げていただきまして、御激励をいただいた問題でございますが、なかなかこれが、事業協同組合自体につきまして法人税法上軽減税率が適用されておりますし、あるいは内部留保の損金算入、あるいは配当に充てた所得に対する法定税率の特例、あるいは協同組合自体に対する合理化機械等の特別償却というふうな、いろいろと手厚い税制上の特別措置があることから、もう一方では企業組合という企業体の組合との税制上の措置とのバランス等の点から、私どもも毎年努力をいたしておるわけでございますけれども、まだ残念ながらそこまでは、指定というところまでいかないわけでございます。ただ当委員会におきますところの審議の過程におきまして、協同組合の中で、完全なる協業をやっておるような組合、これをどうするかという問題も出てきたことが端緒になりまして、今度国会に御提案いたしまして御審議を願う協業組合の制度ができ上がりつつあるわけでございまして、その協業組合は割り増し償却の適用を受けるということにいたしておるような次第でございますので、さきの国会の附帯決議の趣旨をそういう点では十分参酌をいたして制度化いたしておるという次第でございますが、まだ全面的にその附帯決議の趣旨どおりうたっておるということを言えないのは残念でございますが、今後とも努力をいたしていきたいと考えておるわけでございます。
  84. 中村重光

    ○中村(重)委員 その協業組合に移行した場合というようなことでお答えがあったんだけれども、それとても三年間法人税の軽減税率の適用を受ける、その間は割り増し償却ができないということで、やはり問題であろうと思う。それから前段お答えになった協同組合との関係でございますね。あなたの御答弁はいつもそういうことで伺っているんだ。それじゃいけない。やはり協同組合というものを政府が考えておるところのいわゆる協業化の方向に強く推し進めていくという考え方からするならば、その前段として協同組合の果たしている役割りは大きいのだから、だからして当然その課税の措置というものを協同組合の場合においてもこれを行なうべきである、こういうことであなたの先ほどの御答弁は何回も伺いながら、われわれはやはり協同組合も変わらないように特別の税制上の措置を講じさせるべきであるというので附帯決議をつけたんですよ。だからまた同じような答弁をあなたから伺おうとは思わない。せっかく改正をするならば、なぜに附帯決議というものを生かすようにおやりになりませんか。部分的なことであってはしようがないじゃないですか。私どもがつけている附帯決議というものはほご紙じゃないのです。
  85. 影山衛司

    影山政府委員 附帯決議の趣旨につきましては尊重いたしまして、今度も私みずからその方向で大蔵省あたりとも折衝いたしたような次第でございまして、まあ企業組合等とのバランスの関係もございまして、なかなかむずかしい税法上の均衡論、それから議論もあるようでございまして、私どもの努力の至らなかった点はおわびを申し上げます。
  86. 中村重光

    ○中村(重)委員 いま私が申し上げましたように、租税特別措置法によると、割り増し償却というのは四十三年四月以降は適用されない、いわゆる指定したこの業種は適用されないということにもなるようですが、この点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  87. 影山衛司

    影山政府委員 当然それは延長されるべきものであるというふうに考えておるわけであります。
  88. 中村重光

    ○中村(重)委員 延長というのは、その場になってどろなわ式の延長でなくして、前もって——こま切れ延長ということですよ、いまあなたがお答えになるようなことでは。そうではなくて、それだけの期間的の適用をするということをはっきりしておくほうがいいんじゃありませんか。
  89. 影山衛司

    影山政府委員 先生指摘の点ごもっともの点があるわけでございます。中小企業近代化促進法は恒久法でございます。だからそれの指定業種についての税制上の特別措置は期限つきでないほうがいいわけでございますけれども、御承知のように今度は租税特別措置法のほうで税制上の特別措置を行なっておるわけでございますので、そちらのほうの法律の性質上期限つきということになっておるわけでございます。これは必要のあるたびにこれを延長いたしていくということは、母法である中小企業近代化促進法が恒久法である趣旨からかんがみまして当然ではないか、このように考えておるわけでございます。来年度、この次の通常国会の問題にもなりますので、この一年間かかってそういう点も検討いたしてみたいと思っております。
  90. 中村重光

    ○中村(重)委員 恒久法であれば恒久法らしい措置というものが行なわれてこなければならない。  そこで、最後に大臣に考え方をお伺いいたします。中小企業政策上の全般的なことにつきましては、あらためてまたお尋ねをすることにいたしますが、先ほど来何回も私が申し上げましたように、今回の改正案というものはきわめて不十分なんです。根本的にこの近代化促進法というものの内容の改正というものが強く私は要請されておると思う。それにこたえておられない。その内容に対しましては、先ほど来私が申し上げましたから、あらためてここで繰り返しません。だから、すみやかな機会に、内容に対して根本的に検討を加えて、すみやかに改正案をお出しになる。具体的に申し上げますならば、貸し付け限度額をふやしていく、あるいは貸し付け期間を延長するとか、利率を引き下げていく、その他法律でなくともできる部分があるのでありますが、その指定の業種をもっと大幅にふやして、そして近代化を促進をしていくといったような、それらのことが必要だと思うのでございますが、あなたはどのように対処していかれるか、決意のほどを伺っておきたいと思います。
  91. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 中小企業をいかに育成していくか、発展さすかということが通産省としての最も大きな仕事でありまして、その点につきましては、たびたび私も私見を申し上げ、また通産省としての意見も申し上げておるのでありますが、御存じのとおり、最近の経済事情の発展というものは目ざましいものがありますので、二、三年前の法律が今日適用できるかどうかということは問題があると思います。したがって、この経済事情の変転に応じて、既存の法律というのはやはり改正しなければならぬということは当然考えられることと思いますので、いまのこの近代化促進法のことについて、いろいろその内容についても御示唆をいただいたのでありますが、とにかく現事情に沿わないようなものがあるとすれば、これは根本的に改正して、次の国会、来年の通常国会までにはひとつ大いに勉強して検討いたしてみたい、こう存じておる次第でございます。
  92. 中村重光

    ○中村(重)委員 終わります。
  93. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  本案の質疑はこれを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、本案の質疑は終局いたしました。     —————————————
  95. 島村一郎

    島村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。  中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  96. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  97. 島村一郎

    島村委員長 この際、小川平二君外三名から、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案にかかる、本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提案者から趣旨の説明を聴取いたします。田中武夫君。
  98. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいま議決されました法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法運用にあたり、次の点に留意すべきである。  一、中小企業業種ごと実態調査をさらに積極的に行ない、必要ある業種を速やかに本法に基づく指定業種に指定するよう努めること。  二、中小企業の近代的経営には、労務対策は欠くことのできない要件であることにかんがみ、指定業種の指定にあたっては、当該業種における労務者定着福利厚生施設等状況を充分考慮すること。  以上でございますが、第一点の指定業種の拡大、第二点の業種指定における労務対策の重視、いずれも質疑の過程でその趣旨が明らかにされたところでありますので、省略をいたします。  何とぞ全員の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  99. 島村一郎

    島村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  100. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。菅野通産大臣。
  101. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案につきまして、皆さん、御熱心に御審議していただきまして、ただいま採決していただきましたことを厚く御礼申し上げます。  なお、ただいま田中委員よりの御発言によりまして附帯決議が付加されたのでありますが、この附帯決議の御趣旨は私も同感するところがあるのでありますからして、今後はこの御趣旨に沿ってひとつ善処したいと思います。(拍手)     —————————————
  102. 島村一郎

    島村委員長 おはかりいたします。  本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  104. 島村一郎

    島村委員長 本会議散会後まで暫時休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      ————◇—————    午後三時四十一分開議
  105. 島村一郎

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題として、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。古田泰造君。
  106. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 まず冒頭に、私的独占の禁止及び公正取引確保に関する法律の第三十五条の八で、定員を三百七人から三百三十六人に二十九人の増加ということでございますが、それについてひとつ御説明を願いたい。
  107. 北島武雄

    ○北島政府委員 当公正取引委員会の組織、人員が非常に貧弱でございますことは、すでに御認識いただいておることと思いますが、昭和四十一年度から、公正取引委員会といたしましていままでにない増員が行なわれました。と申しましても、四十一年度定員三十名、それから四十二年度、ただいま御審議いただいております独占禁止法改正案の内容によりまして二十九名、それと高松に地方事務所を置く、こういう内容拡充でございます。必ずしもこれで十分ではございませんが、逐次毎年拡充してまいるよう、今後も努力を続けてまいりたいと思います。
  108. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 独禁法のことにつきましては、あまりほかにお尋ねすることはございませんで、あと特に、この間の中小企業白書でございますが、一般的な質問をさせていただきたいと思います。  中小企業白書の中に、過去十年間の中小企業の動向について、従来からわが国の経済の二重構造ということが非常にやかましく叫ばれておりますけれども、白書では、だんだん二重構造が改善の方向に向いておるというような結論づけをいたしておりますけれども、はたして現在の中小企業はこの二重構造が解消する方向に向いておるのか、あるいはまた、ますます先鋭化しておるのか、そういうことにつきまして、簡単に中小企業庁長官の御答弁をお願いしたいと思います。
  109. 影山衛司

    影山政府委員 日本経済における二重構造、これを中小企業基本法におきましては格差と申しておりますけれども、その中小企業と大企業との格差は、一つの付加価値生産性の格差でございます。その付加価値生産性の格差は、三十六年度におきまして三四・三%でございましたけれども、それ以来上昇の傾向を続けまして、昭和四十年度におきましては四七・八%まで上昇いたしておりますが、これは中小企業の全産業でございますが、まだまだ半分以下であるということで、上昇はしておりますが、十分ではないというふうに考えております。  もう一つは、賃金格差の推移でございますが、これも昭和三十六年度におきましては非常に低うございまして、大企業との格差が三九・九%でございましたが、四十年度におきましては六一%まで上昇いたしておるような次第でございます。
  110. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 いま長官の御答弁で、大企業中小企業との賃金格差の問題、付加価値生産性の問題、この二つの問題で御答弁をいただいたのでございますが、なるほど現実に賃金格差が四十年現在六五・七%あるいは一人当たりの付加価値生産性、それも非常に向上はしております。三十二年の四五・九%から四十年四七・八%、伸びてはおりますけれども、付加価値生産性が一・九%上昇し、賃金格差といいますか、賃金の上昇がそれに比べまして一五・四%、これで解釈できるのは、なるほどこれは非常に大切なことでございますけれども中小企業従業員労務者の給料というものは上がってまいった、一五・四%上がってきた。ところが、それと同じように上がるべき——一番実質的に中小企業に潤うてくるのは、やはり付加価値生産性が一番のポイントでございます。それが一・九%しか上昇を示しておらないということは、中小企業者は、なるほど計数の上では上昇したのだというけれども、ほんとうはますます経営内容が苦しくなっておるのではないか、ますます二重構造の度を深めているのではなかろうか、というような解釈ができると思うのでございますが、それと同じように伸びていかないのは、どういうところに原因がございますか。
  111. 影山衛司

    影山政府委員 生産性の伸びは、中小企業も非常に伸びておるわけでございますが、これは大企業中小企業との比較ということでございますので、従来の高度成長経済過程下におきまして、中小企業も一生懸命走っておりますけれども、大企業もそれ以上に走っておるということで、伸びてはおりますけれども、やはり格差はついておるというふうに、私どもは解釈をいたしておるような次第でございます。
  112. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 なるほど大企業も伸びているから、中小企業もレートを出した場合には割合としては伸びておっても、やはり大企業が伸びているのだ、そういうところに原因があるのだという御答弁でございますけれども、私がここで問題にしたいのは、日本の現状は、たとえば大企業中小企業とを比較する、なるほど一つのメジャーにはなると思うのです。ところがいまここで大企業が伸びたから勢い中小企業も伸びたんだというような御答弁では、私は的確なるお答えにはなっていないと思うのです。なぜならば、たとえばこれをほかの国に比べたらどうだろう。たとえば一例をあげて、これは私、イギリスの場合を調べたのでございますが、ちょうど国民総生産約二十二兆、日本の場合は一昨年です。イギリスの場合一九五四年でございます。この例をとってみましても、ちょうど大企業中小企業とのいわゆる賃金格差が八〇%、それから一人当たりの付加価値生産性がやはり八〇%、そういうふうにほかの国でなし得ていることが、わが国の中小企業政策でなぜ、大企業が伸びたら同じように競争して伸びたんだ、したがって比較ができないというようなことじゃなくて、同じように付加価値生産性も伸びていくような、通産当局のいわゆる行政指導なり、そういうことはできないだろうかということについて御答弁をお願いいたします。
  113. 影山衛司

    影山政府委員 先生指摘のとおり、イギリスあるいはアメリカ等におきましても、中小企業と大企業との格差というものはほとんどないわけでございます。私どもといたしましても、中小企業基本法の大目的は、こういう格差を将来解消していくのだということが大目標でございまして、そのために、個別企業近代化、それからグループごとの中小企業の高度化、それから外部条件の整備といたしまして、取引条件の向上ということ、あるいは過当競争の防止ということ、こういうことにつきまして、いろいろな施策を講じてまいっておる次第でございますが、なかなかどうも所期の目的が達成せられないということは、先生の御指摘のとおりでございますが、今後ますます努力したいと思います。
  114. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 なるほどおっしゃるとおりでございますが、中小企業問題というのは、私はここで質問をさせていただいておりましても、非常にむずかしい問題だと思うのでございます。それと同時に、むずかしいから、白書を見ましても、いま長官から御答弁いただきましたような、そういう趣旨の、いわゆる問題意識のとらえ方が、白書を見ても、全然と言ったら過言かもしれませんが、非常に出ていないと思うのです。非常によくなったとか、解消の方向に向かっているのだしか、悪い条件の克服を進めるのだとか、そういうことで、結果的には何もよくなっていないじゃないかということが、その問題意識のとらえ方です。非常に抽象的な話になって恐縮でございますが、そういうところからいろいろな施策が生まれてまいる。むずかしいからよけい問題意識を持たないと、私は絶対に改善できないというような考え方を持つのですが、その点につきましては、再度御答弁を賜わりたいと思います。
  115. 影山衛司

    影山政府委員 先生指摘のとおり、私どもとしましては、非常に大きな問題意識を持ちまして、施策を行なっているわけでございます。それから中小企業者自体も、最近外資導入の自由化が日程にのぼったり、あるいは後進国からの追い上げを食っておりますし、あるいは労賃の値上がりというような問題もございまして、非常に深刻な危機感を持っておることは事実なんでございます。それで従来、中小企業が非常に斜陽化していくのであるという不安感が非常に横溢しておりましたので、この際今度の中小企業白書で、多少中小企業者を力づけてあげなければいけないということで、過去十年間の実態調査してみましたところ、案外日本経済が高度化いたしまして、重化学工業化する段階におきましての生産の迂回度が高まってきたということで、部品工業等におきまして、中小企業が存在する分野というものは、案外にこれはある。それから生活水準の向上に伴いまして、やはり軽工業部門あるいは繊維部門等につきましても、やはり中小企業の存立分野というものが案外にあるのだ。ただし、それに対して、環境の変化等に対して適応の努力をしなければいけませんよということは言っておるわけでございますけれども、そういう中小企業も捨てたものではないぞということで、力づけてあげる段階もひとつ必要ではないかということで、そういう分析も行なったわけでございまして、いたずらに楽観論を述べたというわけではないわけでございますので、御了承をお願いいたします。
  116. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 そこで次に、いまの御答弁で特に現在の賃金格差が、大企業に比べまして、日本の場合六五・七%であり、あるいは付加価値生産性が四七・八%。イギリスのそれをそれぞれ比べてみますと、両者数字が同じで約八〇%です。アメリカの中小企業の場合、水準七五%、こういう数字を見てみまして、行政上そういう八〇%くらいのところまで日本の賃金格差なりあるいは付加価値生産性を高めていこうというような想定で、何年くらいかかってどうなるだろうというような想定のもとに、作業をしたり、あるいは考え方をまとめられたことがございますか。それについて御答弁をお願いします。
  117. 影山衛司

    影山政府委員 何年計画でというようなことで計画をいたしたことはございませんけれども、本日御審議をお願いしました中小企業近代化促進法で、業種別にそういう基本計画をつくります場合に、あるいは五年間なら五年間でどこまで持っていくべきだというような目標をつくる、ということにいたしておるわけでございまして、これはある程度理想論も入っておりますけれども、そういうたてまえになっておるわけでございまして、具体的な問題として、そういう取り組み方を今後もしていきたいということを考えておるわけでございます。
  118. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 私のこれからお尋ねすることに重複いたしておる分が、過去のいろいろな質問であったかもしれませんが、確認の意味でごかんべんを賜わりたいと思います。ただ私非常に気になることは、中小企業のいろいろな御答弁、たとえば通産大臣の御答弁の中にも、将来中小企業のビジョン、それから総理も発言なさっておられましたけれども、何もないと思うのです、あの短い答弁の中では。あるなら聞かしていただきたい。何もない。御答弁を繰り返し続んでいただけばわかるのです。内容が何もない。なるほどむずかしいという問題はわかります。わかりますが、むずかしいだけに、いわゆる通産当局の、これから中小企業の力点をどこに置くのだ、いま申し上げましたような、そういう想定で、ほかの諸外国のある程度のレベルに持っていくまでに何年かかるかわからないけれども、何年間でやってみようではないかというような想定のもとの努力、施策、そういうことがあってもいいのじゃないか。ビジョンを聞かせと言ってみても、非常におざなりな、いいかげんな——私は聞いておっても、これは全然わからないと思うのです。そういうことで、担当の中小企業庁長官は、これからどういうことをしようという力点、幾つかのものがあると思うのですが、これらの施策の力点について、ひとつ御説明賜わりたいと思います。
  119. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業施策のビジョンは、一口に申しまして、中小企業問題がないところの中小企業に持っていくということではないかと考えるわけでございます。そのためには、従来中小企業対策一般的な施策を講じてきておりましたけれども、それだけではどうも足りない状況になっておりますので、今後は業種別にその対策を立てまして、業種ぐるみの構造改善を行なっていくという方向に持っていかなければならない。それのてことして今度創設することにいたしましたのが、中小企業振興事業団でございまして、そういう中小企業振興事業団等も中心にいたしまして、構造改善を行なっていきたい。その第一番目のはしりは、織布業の構造改善事業でございまして、これは特別の法律をつくりまして行なうわけでございますけれども、これにもやはり中小企業振興事業団が一枚加わっておるわけでありますが、そのほかにも、これを模範といたしまして、業種ぐるみの構造改善を行なっていきたい。それで格差のない、中小企業問題のない中小企業へ持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  120. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 いまの御答弁でございますけれども、現在中小企業対策は、産業政策の一環として、やはりわれわれの目に映りますのは、大企業政策の二の次というような感じがどうしてもぬぐえないのでございます。たとえて申しますと、これは非常にとっぴな意見かもしれませんけれども中小企業庁ということで通産省の下にある、これは大きな問題でございますので、これなんかも、たとえばこのままの姿では、私は画期的な、現在の中小企業政策にメスを入れて改善することは非常にむずかしいのじゃなかろうか。これはわが民社党の場合でございますが、中小企業に対する五カ年計画というのを真剣に検討し、あるいは改定を加えようとしております。こういうのを政府も、あるいは五カ年計画というようなやや中期的なそういう考え方で、あるいは長期になってもいいと思うのですが、ますますけっこうだと思うのですが、そういうビジョンの中に、こういう形でいくのだというような姿を、あるいは計画をお立てになられるというようなお考えがございますか。  と同時に、あわせて御質問しておきます。中小企業のいわゆる対策費が現在予算の〇・七%ですか、その程度から一%程度にまで中小企業対策費が伸びてまいることがはたして可能なのか、いっかそういうことができるのか、そういうことについて御答弁を賜わりたいと思います。
  121. 影山衛司

    影山政府委員 民社党のほうで非常に勉強されまして、中小企業の振興安定に関する法案でございますかの案をつくっておられるということは、私も承知いたしておりまして、勉強もさせていただいておるわけでございます。その法案の趣旨は、先ほど先生指摘のような計画のもとに、中小企業の振興安定をはかっていくというような趣旨でございますが、こればやはり私どものほうでいたしておりますところの中小企業近代化促進法、これの趣旨とも合っておるわけでございまして、むしろこの中小企業近代化促進法が、業種ぐるみ、五カ年計画で近代化の計画を立ててそれを実施に移していくということになっておるわけでございますが、それについての先生指摘のようなビジョンがある程度欠けておったり、あるいは緊迫度が欠けておるというようなことから、基本計画自体の内容が、まだ緊迫度が足りないという点がありますし、あるいはいままでは誘導政策というものがそれに足らなかったというような点もございますので、今度は先ほど申し上げました振興事業団等もつくりまして、そういう誘導政策を中心にいたしまして、これを引っぱっていこうということも、指導と同時にやっていこうと考えておるわけでございます。そういう点におきまして、私どもは、趣旨においては一致しておるように考えておるわけでございます。  それから、二番目の対策費でございますが、これは国家予算四兆九千九百八十四億のうちで〇・七%を占めることになるわけでございますけれども、これをさらに一%程度まで引き上げるということ、これは私どもも今後とも努力をしていかなければならないと思います。要は、やはり先ほど申し上げましたように、近代化促進法なら近代化促進法で、業種別の構造改善計画等もつくりまして、それを実際上当てはめてこれを推進していく。その民間の盛り上がり、それから政府との協力というようなことが必要でございまして、そういうところの盛り上がりなり計画が出てきますならば、私どもは、幾らでも予算をそれを受けて計上していくということを考えておるわけでございまして、まだまだそういう努力も足りないし、また実態もそこまでついてきていないこともある点を御了承願いたいと思います。
  122. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 お伺いいたしますと、中小企業政策は、いわゆる近代化政策に非常に重点を置いて計画的にやられておることは、非常にけっこうなことだと思います。近代化政策非常にけっこうでございますけれども、ただ私は、ここで中小企業の最大の問題は、白書でも指摘なさっておられるように、いわゆる過小過多性にあると思うのです。小さな資本で数が非常に多くある。それはなかなか解決ができない問題でございますが、その過小過多性に対しまして何らか方策がないことには、いつまでも中小企業のいわゆる不利な環境から脱却できないような、そういう業態が続いていくのではないか。この白書でも指摘しておりますように、この解決についての具体的な施策がございますか。
  123. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業の構造におきまして、過小過多性ということは非常に大きなガンになっておるわけでございますが、この過小過多性のままで個別企業近代化を進めていこうということになりますと、業種全体の近代化ということは成り立たなくなるわけでございます。そこで、やはり何と申しましても、小さい人たちは、これを共同の力によりまして近代化をはかるということになりますと、いまの問題も解決できるのではないかということが、私どもの基本的な考え方でございまして、今度国会に法案を提案いたしまして御審議を願いますところの協業組合というようなものも、そういう共同の力によって、近代化をはかるところの組織を新たににつくっていくということになっておるわけでございます。従来の協同組合も大いに活用いたします。それからそういうもの対しましての誘導の施策といたしまして、あるいは指導の施策といたしましては、先ほど触れました中小企業振興事業団を今度創設するということを考えておるような次第でございまして、そういう点で、過小過多性を前向きの形で解決していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  124. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 近代化政策を、おっしゃるようにどんどん推し進めてまいります。この間わが党の塚本委員が通産大臣に質問したときに、合理化近代化を進めてまいると、いわゆる帰着できたものに対しては大企業に吸収されるようなことはないか、というような質問がこの委員会で行なわれました。私は、それと同時に、もう一つ違った形で合理化近代化を推し進めていく上で考えなければいけないことは——もし私の考え方が非常に間違っておったら、長官指摘をしていただきたいと思うのです。それは、近代化合理化が進んでまいり、その成果がはたして中小企業者に帰着できるような社会的な環境なりシステムがあるかどうか。なるほど長官のいまの御答弁のように近代化を進めていこう、合理化を進めていこう、なるほど文字どおりまさにけっこうでございます。ところがはたしてその収益がどこへ帰着するか。なるほど大企業に吸収合併されたような、わが党の塚本委員が質問なさったようなそういう例もあるでしょう。あるいはまた、合理化になって下請単価が——これはまたあとで下請問題でも質問をしてみたいと思いますけれども、そういうことが大企業へのいわゆる下請単価の低廉化、そういうような中小企業に帰着しない形として、ますます資本蓄積ができない、過小過多性の度をますます広げてまいる、合理化をやって金を使ってずいぶんやることが、結果的にはそういう悪循環の原因をつくるような心配がないかということでございますが、そういうことについて、ひとつ長官のどういう考え方であろうということを、率直に承りたいと思うのでございます。
  125. 影山衛司

    影山政府委員 合理化近代化だけで問題が解決するわけでないことは、先生指摘のとおりでございます。近代化合理化を進めまして、生産性向上した結果の収益というものは、中小企業に還元され確保されなければいけないと思います。これは中小企業基本法を制定いたします際にも、価値実現性の確保ということで、その施策の一つの大きな柱にいたしたような次第でございまして、その一つの大きな方法といたしましては、お互いに過当競争をやります場合には、それを防止する手段として、商工組合を結成して、そこで生産から価格までに至ります調整行為を行なっていくというような手段もあるわけでございます。それからまた、せっかく生産性向上して単価を低めても大企業のほうに収奪をされる、親企業のほうに収奪をされるというようなことでは困りますので、そういう点につきましても、下請代金支払遅延等防止法等を中心にいたしまして、施策を講じておるわけでございます。ただ、この際、物価問題というような問題も出てきておりますおりから、やはりその収益の還元というものは、消費者のほうにもある程度までは還元していくということも今後考えなければいけないというふうに考えております。
  126. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 いま下請問題が答弁の中に出てまいりましたが、白書の中で、下請単価の決定について何ページかに表がございましたが、親事業者が一方的にいわゆるその単価を決定する場合が非常に多いと思うのですが、たとえば下請事業者が見積もりを出して、自主的な単価を決定するということであれば、いわゆる付加価値生産性も上がってまいる。いまおっしゃるように、合理化近代化で、中小企業者に収益が帰着すると思うのです。ところが片方で、なるほどそれはいけないのだと言いながら、現実の時点においては、単価の問題においても大企業が決定をする場合が非常に多いのですが、こういう問題につきまして、もう少し通産省の突っ込んだ適切な指導ができないのかどうか。あるいは現実に三〇%ほど、親事業者が値段を決定するというような場合があると思うのですが、そういう場合に対して、いまおっしゃっていることと逆な、たとえば中小企業経営者のところに収益が帰着するという形を生まない結果を生ずると思うのですが、それについてどういうようにお考えになりますか。
  127. 影山衛司

    影山政府委員 そういう下請単価の決定の方法につきましては、大体下請の言い分はある程度聞いてくれるというものが三五%、そのほかのあれも含めまして、大体四六%程度は中小企業の言い分を聞いてくれる。さらにまた、一応相談をするが、大企業の言い分どおりになるというのが三七%くらいあるわけでございます。そういうふうに単価の決定のやり方が力関係によって変わっていくというのは、あまり好ましい関係ではないと思うのです。私ども考えておりますのは、日本経済というものも全体が非常に近代化合理化しておるわけでございますので、親企業と下請との関係というものもやはり近代化をしていかなければいけない、対等の立場での決定をしていかなければならないという方向で指導をいたしておりますけれども、結局やはり親企業のほうの、社会的責任を感じてのもう少し慎重な態度を望みますと同時に、下請側におきましても、下請の協同組合等をつくりまして、発言力を増していくという方向で進んでいかなければならないということも、指導いたしておるような次第であります。
  128. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 下請事業者のいわゆる組合をつくる、これは一例でございますが、そういうことで発言力を増せというような一つの視点をお示しになりましたけれども、私がここで申し上げたいのは、いま長官も触れられましたけれども、これは力関係で非常にむずかしい問題だと思うのです。なるほどその答弁としては、そういうふうになると思うのですが、現実問題で、中小企業者が親事業者といろいろな契約をし相談をする場合、そんなことがはたして具体的な問題としてできるかどうか、やはり力関係が入ってくると思うのです。したがって、その力関係を押えるのは、行政指導なり何らかほかのところで押えなければ——なるほど、下請事業者の発言力を増せ、みんなかたまってこい、組合をつくれ——そういうことじゃなくて、むしろ中小企業者が一番困っている問題はそれでございます。政治で正しいことが言われても、現実にそれを実行する段になると、やはり力関係で押しまくられる。したがって、私は政治の力というものがそれを押えるところに向くべきであろうと思う。下請業者も力を増せと言ってみたって、現実に力ができないじゃないですか。言うていることはしごくもつともであっても、それは不可能なことだと思うのです。そうじゃなくて、これはたまたま長官のお話の中で、いわゆる支払い遅延防止法ですか、その実態調査なんかの例を見てみましても、これは白書でも述べておりますけれども、親事業者調査なんです。下請事業者調査じゃないのです。なるほど調査段階において、非常にむずかしいことも多々あろうと思うのです。いろいろな点でたいへんであろうと思うのですが、ほとんどが親事業者を対象に下請問題を調査しておる。これはいまおっしゃったような力関係で事実が認定をされる。しかしみんなあすの生活のために、あすの注文のために、中小企業者は、わかっておっても言えない分野があると私は思うのです。したがって政治の力、行政指導——通産省のあり方は指導が大企業に向くべきであろうと私は思うのですが、それについて、もう少し違った角度からの御答弁を承りたいと思います。
  129. 影山衛司

    影山政府委員 私どもの下請関係の取引の実態把握は、親事業者からの報告徴収だけではございませんで、下請企業者からも報告をとりまして、調査をいたしておる次第でございます。これは、親事業者からの報告徴収は、中小企業庁が年八千件をやっております。公正取引委員会のほうで年四千件ぐらいやっておると思いますが、ことしから予算をふやしまして、この八千件を一万件にいたしたいと思っております。  それから、下請企業からの報告は、中小企業の下請実態調査といたしまして、毎月下請五千事業所に対してアンケートを出して、調査をいたしておるような次第でございまして、その動向の把握及び取り締まりの前提としての報告徴収というようなことも、相当程度やっておるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  130. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 いま下請問題の調査では、下請事業者からの資料もいろいろ調査の対象にしているということでございますが。われわれが知る範囲、見る範囲では、案外そういう点は事実が隠蔽された——決して故意じゃないのですが、取引関係を円滑にやろうとするがために、そういうことが非常に多いと思うのです。これは決して抽象論で申し上げるのじゃない。具体的な数字を出せといえば、幾らでも出す用意がございます。現実にそれは目をおおうような発注の状況でございます。たとえば支払いの遅延をしちゃいけないというと、いつまでも検収という名のもとに、倉庫にほんとうにほってあります。なかなか手形も切りません。そういう実情がどういう数字になって白書に出ているか。それは長官、私も具体的な数字を持っておりますので、いいかげんな質問をしているのじゃないのです。こういう関係ですね。下請事業者の意見も聞いておる。しかし現実的なデータとしては、いま私が申し上げましたように、過小過多性が原因でございますので、いわゆる一番隘路で、データ一つもなかなかとりにくいと思うのです。とりにくいからといって、一つのデータをまとめるのに、とりやすい大企業、しかも事実を隠蔽しておるような、故意じゃないのですが、そういう形になる。これは力関係で、あるいは契約関係において、やむを得なかったところがあると思う。したがって、それに目を向けるのが私は行政指導だと思うのです。白書そのものが、そういう意味の下請関係において、正しい数字、もう少し具体的な突っ込んだ数字を出さないことには、中小企業者の悪い環境の是正にはならない。もっとさんたんとした状況でないかと私は思うのですが、その認識を長官お持ちでしょうか。
  131. 影山衛司

    影山政府委員 先生指摘のように、どうも下請のほうに実態調査を出しますと、親企業に対して遠慮いたしまして、ほんとうのことを言ってくれないという傾向もあるわけでございます。これは私どももいろいろと実態を聞いております。そういう実態がわかりました際には、私ども公正取引委員会と同じように、立ち入り検査権を持っておりますので、遠慮なく立ち入り検査をして、親企業のほうを指導いたすというようなこともいたしておるわけでございますけれども、なかなかほんとうの実態の把握というのはむずかしいし、現実も非常にきびしいものであるということは、私も承知いたしております。私どものほうで、下請企業振興協会というのを、今度東京、大阪、神奈川、名古屋等々七カ所に現在つくっております。そういうところからの報告等もひとつ活用いたしまして、できるだけ実態を把握いたしていきたいと考えております。最近は多少景気が上昇過程にありまして、機械部品等につきましては、むしろ親企業を下請のほうが逆選択をしておるような例もないではないわけでございますが、大部分の小規模零細層につきましては、お話のようにきつい実態であるということも、私ども承知はいたしておるわけでございます。
  132. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 私は、いま申し上げたような政策の中にも、いわゆる通産省の——大企業と下請事業者との間じゃなくて、通産省を基点にしてですよ、大企業中小企業のその指導、力関係、これは非常に無礼な質問かもしれませんが、そこらがだいぶん違っていると思う。もう少し大企業を堂々と指導したらどうですか、たとえばほんとうの声を聞いたら。三月も四月も倉庫に寝かす、手形も半年で切る、そういうことは枚挙にいとまがないと思うのです。そういう実態がこの中小企業白書には出ていないのですよ。何かきれいごとな白書である。それは報告とかいろいろな点があるのですが、現実にそういう点を、いわゆる力関係で——大企業はやはりなかなか力を持っておるので、通産省も結果的に遠慮をしておるんじゃないか。ことばとしてはどうか知りませんが、そういう形が案外出ているんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  133. 影山衛司

    影山政府委員 私どもといたしましても、別に遠慮いたす筋合いもございませんので、遠慮をいたしておるわけではございません。先ほども申し上げましたように、公正取引委員会と同じように、立ち入り検査権を持っておりまして、昭和四十一年度におきましても、四月から十二月の間に、親企業の中に立ち入り検査をいたしましたものが百五十九件もございます。それから、責任者を招致して指導いたしたものが七十五件、合計二百三十四件、そのほか調査をいたしました結果、文書指導しておるものが二百七十一件というふうに、立ち入り検査その他の指導も行なっておるような次第でございまして、その中で特にひどいものは、公取のほうへ移管いたしまして、さらに調査をしてもらうというようなこともやっておるわけでございます。私どもは、何も通産省におるからといって、大企業に遠慮をするというような気持ちは全然持っていないわけでございます。
  134. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 いま立ち入り検査百五十九件、指導七十五件、そういうことでございますが、現実にそのことによって、具体的にどういうふうにどんどん改善されているか、これを参考にちょっとお聞かせを願いたい。結果——検査をしたという事実じゃなくて、その後どうなったかということ、そのことをちょっと聞かしていただきたいと思います。
  135. 影山衛司

    影山政府委員 手形サイトの改善指導をいたしている結果をちょっと御報告いたしますと、私どもとしましては、公正取引委員会と共同通牒を出しまして、機械関係あるいは金属関係等につきましては、手形サイトを百二十日以内にするように、繊維につきましては九十日以内にするように、それ以上こえるものにつきましては指導をいたし、さらにひどいものは立ち入り検査をいたしておるというようなことでございますが、毎四半期、この改善指導の結果を調査いたしておりますが、四十一年の七−九月期におきまして、機械関係につきまして警告を発した事業所数が百十五件でございます。その中で改善をいたしたものが二十七件、すぐ改善いたしますと言って誓約をいたしましたものが十一件、改善するように計画中のものが二十三件、早急に改善するのはなかなか困難であるが今後努力いたしますと言っておるのが二十七件でございまして、現在まだ調査指導中のものが九件ということで、警告の百十五件のうちで、改善指導いたしたものが八十八件というふうな数字になっておるわけでございます。また繊維につきましても、警告を出しましたものが五十二件、改善指導の対象にいたしましたものが四十四件、そのうちで、いまのようなことで改善するよう検討中までも含めますと三十件でございます。早急に改善するのは困難であるが、ただいま努力をいたしておりますのが十四件というようなことになっておりまして、毎四半期、改善指導の結果も調査をいたしております。
  136. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 中小企業問題は非常にむずかしい問題でありますし、また非常に抽象的な議論になってまいりますし、いろいろお尋ねしたいことが一ぱいあるのですが、いずれまた次の機会に伺うとして、最後に、中小企業問題でもう一点だけ質問いたします。  環境整備の一つとして、中小企業と大企業の分野の調整、これについて、だんだんこのごろ大企業中小企業の分野に入ってまいっておると思うのですが、中小企業者は、最近口を開くと、大企業とのいわゆる分野の問題ということが論議をされておるようでございます。この問題につきまして、これは特に資本の自由化を控えまして、たいへんな問題であろうと思うのでございますが、これも、いわゆる中小企業者が現在置かれました非常に不利な環境一つの大きなウエートを占める問題だと私は思うのです。この問題につきまして、中小企業者を守る立場から、具体的などういう施策をもって、大企業が進出してくるのを防ごうとしておるか、そういう意図があるかということについて、ひとつ御説明を賜わりたいと思います。
  137. 影山衛司

    影山政府委員 大企業中小企業分野に進出して、中小企業に悪影響を及ぼしておる例もないではないわけでございますが、それに対する対策といたしましては、まず第一に、大企業と外資とが提携をして、中小企業分野に入ってくるという場合があるわけでございます。この場合におきましては、外資の自由化対策にも関連してくるわけですけれども、さしあたりの私どもの方策といたしましては、中小企業分野へ外資が入ってくる場合には、慎重にこれを取り扱うということになっておりますが、少なくとも外資法上の認可権が残っておるわけでございますので、個別の認可をいたします際に、中小企業分野に影響を及ぼさないように条件を付しながら、生産数量等につきましても条件を付しながら、これを認めていくというような方向で、調整をはかっていきたいということを考えております。  それから、純粋に国内の大企業中小企業分野に進出をしてくる場合もあるわけでありますが、それにつきましては、中小企業団体法に基づきまして、特殊契約の団体交渉の制度があるわけです。それでできない場合には、中小企業安定審議会にかけまして、通産大臣がその結果で勧告することができるというような制度があるわけでございます。そこまでいかないで、通産省の原局と中小企業庁が一緒になりして、両者の業界を行政指導いたしまして、いわば大岡さばき的なところで、消費者にも迷惑をかけない、中小企業者にも非常な影響を及ぼさないというようなところで行政指導しながら進んでいく、というような状況でございます。
  138. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 中小企業問題につきましては、時間もございませんから、また次の機会お尋ねさせていただきたいと思います。  時間がございませんので、次に簡単に二、三点、万国博覧会につきまして、ちょっとお尋ねをいたしたいと思います。質問も簡単にいたしますので、答弁もひとつ簡潔にお願い申し上げたいと思います。  まず、当初の資金計画ですが、当初の予定で五百四十七億円、これが新しい丹下案で変わったとか、いろいろ言われておりますけれども、ほんとうの資金計画はどうなんですか。
  139. 橋本徳男

    ○橋本説明員 お答えいたします。資金計画につきましては、昨年の十一月、建設資金につきまして五百四十七億、運営資金につきまして百六十八億ということでできたわけでございますが、しかしこの時点におきましては、非常に不確定な要素が多分にございます。したがいまして、その後この資金計画に基づきまして、具体的な設計等を進めてまいりました段階におきまして、相当再検討すべき問題が起きております。しかしこういった点につきましては、速急に資金計画の練り直しが必要であるという観点から、大体この一、二カ月をめどに全体の資金計画の練り直しをしたいというふうに考えております。
  140. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 五月十八日の閣僚協議会でまた資金計画を練り直すというようなことが、新聞紙上に発表されておりましたけれども、いまの御答弁で、練り直すというのはどういうことで練り直すのか。
  141. 橋本徳男

    ○橋本説明員 当初の資金計画といたしましては、一応博覧会というものを、一つのイメージのもとに、いろいろな施設を、想定の上に立ってやっております。そういったいろいろな想定が、その後の具体的な作業過程におきまして、かなり確定したものもございますし、あるいは若干変更になったものもございますし、そういった面から、個別の内容につきましての再検討をしたいというふうなことでございます。
  142. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 この点、私は非常に疑問に思うのですが、なるほど練り直すこともけっこうだと思うのです。ところが、この前の五百四十七億ということで予算を組んだときには、単年度予算で組んだので、そういう見通しがきっちりなくて、あとでまた練り直そうということで計画を立てたものでございますか。
  143. 橋本徳男

    ○橋本説明員 本年度の予算八十五億につきましては、この時点におきまして、本来ならば全体予算を確定すべきものであろうと考えますが、先ほどのように、非常に不確定要素がございます。したがいまして、そういう不確定要素につきましては後年度に回し、とりあえず本年度といたしましては、土地の造成、並びにたとえばランドマークとかあるいは橋とか、こういった、将来まず変更あるまいというふうなものの上に立ちまして、予算を組んだわけでございます。
  144. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 先を急いで質問いたします。  この地元負担ですね。この間、地元という概念は、ほかの委員の御質問で大臣がお示しになっておられますので、重複は避けます。この場合、地元が金を出し渋っている原因、各市みな、大阪以外は一銭も出さないというように新聞で発表しておりますが、それについての通産省の見解をひとつ聞かしてください。
  145. 橋本徳男

    ○橋本説明員 もともとこの万国博覧会の経緯といいますのが、二府六県が中心になりまして、近畿の万博というふうなことで誘致したいという経緯が実はございます。その段階におきましては、いわば近畿二府六県が非常に結束がかたかったわけでございます。ところが、その後の状況におきまして、どちらかといいますれば、いろいろな計画その他が府市を中心として行なわれたというふうな観点で、その周辺の府県の万博に対する関与度が若干従来とは変わったというふうな点から、この資金負担につきまして問題があるのだというふうなことを言っております。しかし、これはあくまでも地元におけるいろいろ話し合いを通じて解決をしていただきたいというふうなことで、要請しておるわけでございます。
  146. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 地元の問題につきましては、地元負担がどうなるといういまの御説明であろうと思うのですが、現実に、具体的にもう少し早く通産省が各地元、たとえば大阪府市を中心にして動いたんだ、だから最初の結束がおかしくなったんだ、というようなことが、私は組織のことでちょっとお尋ねをしたいのですが、そういうことにも大きく響いてきておるのではないか、私はかように考えます。  私は大阪でございますが、大阪へ帰って——通産大臣が、万国博というのは国家的な大事業だ、国の力でやるのだというようなことを再三言明されております。なるほどそのとおりだと思います。ところが、新聞でいろいろなことをいわれております。協会がどうだとか、いわゆる通産省と協会との対立がどうだとか、これは通産省の現在の万国博を運営していく組織、それがはたしてこれでいいかどうか、いまの準備室もあなたがトップでやっておるそうですか、ほんとうは一体これでやっていけるのか、どうなのか、通産省のいわゆる統率力の不足、各省関係の調整の不十分、これほどの大事業が、みな各省非常にセクト主義だ、そういうようなそしりがちまたに満ちておる。この間もある委員の質問で、要するに、そんなことはないのだ、協会にそんなことはないといわれた。しかし、火のないところに煙は立たぬのたとえで、火を起こさないでくれという質問が、どなたかからありましたけれども、ほんとうはもう少し組織面を手直しする考え方がないのか、このままでいけるのか。それと、現在の万博準備室、おたくがヘッドでやっておる、その大体の構想ですね、何をどうしているんだということを、簡単に説明をしていただきたいと思います。
  147. 橋本徳男

    ○橋本説明員 すべての行政行為といいますのは、社会的環境がある程度熟した段階において、相当な威力を発揮するであろうというふうに感ずるわけでございます。最近までの段階におきましては、先生御承知のように、博覧会というふうなものに対する一般の空気といいますか、関心度といいますか、これはやや低調であったろうという感じがしておりますが、モントリオール博が新聞に報ぜられる段階から、相当な関心を最近呼んでおるというふうな観点からしまして、私は、いままでそういった問題もあったかと思いますが、今後におきましては、十分いまの組織でやっていける、関係各省も、最近になりましては、相当協力的態勢に向いてきておりますので、私は十分やっていけるというふうに考えております。いまの段階で、私のほうは約十人ばかり職員をかかえておりますが、しかし、関係各省に相当協力依頼をすべき問題がございますので、そういった関係各省との連絡会等を通じまして、十分円滑にやっていきたいというふうに考えております。
  148. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 各省の協力でやるのは当然でございますが、私らの聞くところによれば、通産省に対して、少なくとも全般的に協力的なムードがあるというようには考えられない点があると思うのです。ということは、どこにその原因があるか。なるほどいまおっしゃったように、この体制でいけるんだ、モントリオール博でそういう環境が熟成してきたんだ。ところが、その前に、そういう外国のほかの条件でなくて、これは通産省の中で指導力が弱いから、やはりモントリオールをかりなければできないんだ、行政指導の名のもとに、何か具体的な施策がやっていけるんだ——そうでなくてもとかくいわれておるのに、モントリオールが開いたから関心が高まったからいけるんだ、そういうお説でございますか。
  149. 橋本徳男

    ○橋本説明員 省といたしまして、実はこの四十二年度から課長ポストが二つできまして、人員が若干増加したというふうなことで、通産省内部といたしましては、もとよりこれには相当力は入れておりますが、特に非常に困難なそういった管理職をふやすといったようなことで、全体といたしまして相当——もちろん省全体がこれをバックアップしてやっていくというふうな形にはなっております。したがいまして、必ずしも外的な要因だけではなしに、内部は当然相当な推進力となり、その上に、先ほどのように、外的な条件が加わりまして、最近は一段とそういう環境になってきておるというふうなことでございます。
  150. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 老婆心ながらお聞きをしておきたいのですが、われわれ大阪へ帰って、協会のいろいろな人のいろいろな話を総合して——これは当たっていないかもしれません。当たっていないかもしれませんから、話として聞いていただきたい。それは、協会の連中は一生懸命やっておるんだ、ところが、協会が一生懸命やっても、何でもかんでも通産省がくちばしを入れるんだ、したがって、その協調がうまくいかないんだというような声が、ありていに言えばあると思うのです。これは直接どういう声で通産省に入っているか知りませんが、そういう声に対して、ほんとうにそんなことはないんだ、現在のままでいいんだ、機構上もう少し考えなければならぬ点が——オリンピックのときを考えてみても、いわゆる通産省だけじゃない。オリンピックのときの状況を私はよく知りませんが、おそらく機構上に、組織上に、だいぶん違いがあると思うのです。これほど国家的な大事業であるにかかわらず、現在のままでなおいいという考え方なのか。いま二課を置かれました。私は課長がどうだとか、どこにどなたがおるかという大体の組織も調べさしてもらいましたが、これではたしていけるのかということをひとつお尋ねいたします。
  151. 橋本徳男

    ○橋本説明員 御質問二つに分かれるかと思いますが、前段につきましては、いろいろなことが新聞には載っております。問題は、博覧会協会というものは、御承知のように財団法人でございます。したがいまして、財団法人に対する一般的な監督権というものは、おのずから限界がございます。ただ一つ問題は、やはり相当多額の政府資金によって建設をやる、そしてそれから生ずる。果実を運営するというふうな形になっておるわけでございます。したがいまして、それだけ国の税というものが入りますれば、おのずから放置はできない。したがいまして、財団法人である以上、の創意くふうを相当活用すべきであろうという感じはしておりますので、その民間の創意くふうと、いわゆる税による政府の介入のしかたというふうなものは、われわれとしまして十分気をつけてやっていきたいというふうな気持ちを持っております。  それから、機構の点につきましては、関係各省の協力を十分得られるような体制で今後も進めてまいりたいと思いますので、私は十分やっていけるというふうな確信を持っております。
  152. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 これは組織の問題でございますが、前に石坂協会長ですかから、政府の特殊法人にしていいんだというふうな発言があったと思うのですが、それについて見解を承りたいと思います。
  153. 橋本徳男

    ○橋本説明員 おそらく当初博覧会のこの発足時におきまして、特殊法人にすべきか財団法人にすべきかということは、相当論議されたと思うのでございます。しかし、やはり日本の場合にはいろんな制度、制約がございますので、財団法人という形式で進んだと思いますので、われわれはこの財団法人形態を、現時点において変えるべき要素はないのじゃないかというふうに実は考えております。
  154. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 協会が発足して以後に、たとえば石坂協会長の、組織をそういうふうにしたほうがいいんじゃないかというような発言があってみたり、そういうところに、私は通産省の現実的な——おたくは新聞みたいなことはないのだとおっしゃいますが、大きな事業だけに、いろいろな各省関係の協力を要するだけに、そういう点があとに起こっておるというところに、私は問題があると思うのです。これはおたくがいまおっしゃるように、前に討論されたのだ、されてこういう形になったのだ、しかし、その後に起こってくるということは、ある意味では、現在の体制に対する一つの疑問を投げかけたものだと思いますので、それについて、いずれにしても現在の組織が貧弱でないのか、指導力に欠けておるんでないのかということについて、ひとつお考えを承りたい。
  155. 橋本徳男

    ○橋本説明員 財団方式を特殊法人にという問題は、組織うんぬんといいますよりは、先ほどのように、いまの財政法の単年度主義による予算のきめ方、こういうふうなところに、むしろ問題があるとすればあるのではないか。たとえばことし予算はとりまして設計を始めましても、その設計がどこまで来年の予算で可能であるかという問題は、単年度主義の原則を貫く以上は当然出てくる問題でございます。したがいまして、これを何らかの形において、将来の見通しの上に立って、毎年予算を確保していかなければならないというふうな観点から、先ほど申しましたように、われわれは全年度を通ずる全体の規模というものを早期に確定して、それによって一定の見通しの上に立って、手戻りのないような進行体制を進めていきたいというふうなことにしますれば、現時点におきましては、私はその必要性はないんじゃないかと感じております。
  156. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 それでは最後に二点だけ。  一点は、私先ほど中小企業問題を質問さしていただきましたので、それに関連いたしまして……。中小企業者の出展は認めないのだというような通産省の見解があるやに聞いておるんですが、政府としては、中小企業館をつくるけれども中小企業の出展はしないのだ、そういうことでございますか。
  157. 橋本徳男

    ○橋本説明員 出展につきましては、差別待遇は全然していないのでございます。したがいまして、中小企業者がこういった多額の資金を必要とする博覧会において、少数のグループによって出展すること自体は非常に困難である、したがいまして、そのグループが適当な形において出展をしていただくということは、これはわれわれとしては当然望んでおるところでございます。ただ、その場合において、われわれ中小企業の方に申し上げておることは、従来の見本市と違って、ただ製品を並べて、いわゆる商売というものを主眼にしたような形においての出展を頭に置かれる場合には非常に問題がある、しかし商売を目的にしないような形での出展、中小企業の過去におけるいろいろな役割りとか、この経済社会発展に対する将来の位置づけといったようなものを、必ずしも抽象論ではなしに、ある程度具体的にそういった形において展示することは、これは中小企業を政府館で受け持つ形になりますので……。それ以外に、中小企業がはたしてこういう博覧会にどういう形が予想されるだろうかというふうなことを見ますと、現在中小企業者の言っておるような、そういう製品を並べるような形では、むしろ博覧会の趣旨にも沿わないし、出展者もそれによって何ら利するところはないのではないかというふうな形での指導をしておるわけで、あながち中小企業者がまとまって出展をしようということを、われわれは決して拒もうとしておるものでもなければ、むしろそれはどちらかといえば期待をしておるものでございます。
  158. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 時間が非常に長くなりましたので、これで質問を打ち切らしていただきますが、一つだけ最後に気になることがあるのです。協会の名簿を見ると、たとえば国から出ておる人、府から出ておる人、銀行から出ておる人、混成軍ですね。それで、私たち非常に奇異に感ずるのですが、全部出身が国とか府とか書いてありますけれども、これは何かおかしいのではないかと思うのですよ。こういう普通一般的なこととして、いわゆる人間関係が非常にやかましく言われ、能率向上がやかましく言われておるときに、これだけの大事業をするところが、しかもかたまったところが、Aは出身は国だ、Bは府だ、こういうところまで、名簿を見るとみんな出ておる。こんなことはナンセンスだと思います。おかしいではないですか。これでは協調した形じゃない。これではたして心のこもった仕事ができるかどうかという疑問を持ったのですが、それを回答をしていただいて、私の質問を終わります。
  159. 橋本徳男

    ○橋本説明員 これは、協会に対しまして、十分指導したいと思います。
  160. 吉田泰造

    ○吉田(泰)委員 どうもありがとうございました。
  161. 島村一郎

  162. 近江巳記夫

    ○近江委員 最近、国会でも、表示と中身が違うのは詐欺行為であるというような問題が非常に大きく上がってまいりまして、特にレモンとかフルーツ牛乳あるいはコーヒー牛乳等においてはヤシ油まで入っておる、こういったような、非常に食品関係において大きな問題が出てきておるわけであります。こういう点については、私も国民の一人といたしまして非常に憂慮しておる問題でございますが、この問題につきまして、結局総括的な取り締まりをやっておるのは公正取引委員会である。こういう点におきまして、公取の勇気あるそうした行動というものを国民がみんな期待しておるわけでありますが、ここで公取委員長が三月七日から、大手メーカーを含む十三社に対して、不当表示防止法違反の疑いで調査をされましたね。その結果をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  163. 北島武雄

    ○北島政府委員 不当表示は、消費者の正しい商品選択の目を狂わせるものでございまして、消費者に対して敵と考えてもいいわけでございます。昭和三十七年不当景品類及び不当表示防止法ができましてから、私ども鋭意これに当たってきたわけでございますが、最近の問題といたしまして、これは消費者からの声もございます。はたして現在市販されているフルーツ牛乳、それからコーヒー牛乳等のいわゆる色ものが、牛乳の名に値するかどうかというような問題につきまして疑念を持ちまして、調査を開始したわけでございます。  まず、東京都内に生乳を提供しておりますところの十三の乳業メーカーに対して、自主的に調査報告を求めたわけでございます。これによりますと、まあ普通牛乳にもございますが、一応問題のフルーツ牛乳、コーヒー牛乳について申し上げますと、コーヒー牛乳は生乳が二〇%ないし五〇%、水分が三〇%ないし五〇%、コーヒー分が一%ないし三%、その他脱脂乳、脱脂粉乳等から製造されておる。そうしてその成分は、脂肪分が〇・六%から一・五%、それから無脂乳固型分が四・七%から六・五%という内容でございます。これに対しましてフルーツ牛乳のほうは、その報告によりますと、生乳はほとんど使用されておらず、脱脂乳が三〇%ないし六〇%、水が二〇%ないし七〇%、果汁が五%ないし一〇%等から製造されておるのでありまして、その成分は脂肪分が〇・一%ないし〇・五%、それから無脂乳固型分が四%ないし五%という数字になっております。なお、ちなみに、厚生省で乳及び乳製品の成分規格等に関する省令というようなものをおつくりになっております。大ざっぱに分けまして、牛乳とそれから加工乳、乳飲料——ただいま申しましたコーヒー牛乳それからフルーツ牛乳というのは、乳飲料に属するといいますか、この省令の成分規格によりますと、牛乳と申しますのは、脂肪分が三%以上、それから無脂乳固型分八%以上、こういうことになっておるのでありまして、それから見ましても、ただいまの業者の報告によりましても、どうも、フルーツ牛乳、コーヒー牛乳と称しまして、牛乳という名前を冠するのは適当でないのではないか、こういう感じを持っておるわけであります。  なお、これにつきましては、関係官庁もあるわけでございまして、厚生省、経済企画庁、それから農林省とございますが、これとも意見を交換いたしました。それからまた、この分析の結果も最近出てまいりましたので、それもあわせまして、近いうちに消費者代表と、それからメーカー側の言い分も一応聞かなければならないということで、消費者代表とメーカー側を呼びまして、そうしてはたしてこの表示をどう改めたらいいか検討いたしたい、こう考えておるわけであります。
  164. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまの御説明によりますと、成分のうちからいきますと、牛乳という名前を使えば、これは当然不当表示と私は思います。私、きょう、先ほどちょっと時間を見まして、その辺のフルーツ牛乳なりコーヒー牛乳なりを買ってきました。当然公取委員長も御存じと思いますが、これは牛乳ですが、白い牛乳ですね、これはコーヒー牛乳ですね、これはフルーツ牛乳、はっきり牛乳と出ているわけです。そうしますと、これはだれが考えても不当表示である、国民のみなが思っているわけです。これについて関係官庁とも折衝しているとか、いろいろなことをいまおっしゃいましたけれども、要するに、公正取引委員会というのは、これは独立した権限を持っている立場にあります。そういう点から、あなたとして不当表示であると、この点についてのもう少しはっきりとしたお考えをひとつ承りたいと思うのです。どういう点が、農林省なり厚生省と相談しなければならないか。
  165. 北島武雄

    ○北島政府委員 これは乳及び乳製品については、厚生省にああいった省令もあることでございますし、それから農林省は乳業家に対して指導いたしているわけでありますから、それに一応あいさつをしないということは、これは私どもとしても適当ではないので、一応その意見もよく聞いて、それからさらに消費者代表の意見も聞いて、その上で最後的に判断すべきものと思うのでありますが、しかし私のただいまの考え方を申しますと、コーヒー牛乳といえば、消費者は牛乳の上にコーヒーを入れた、それからフルーツ牛乳といえば、牛乳に対してフルーツを入れたんだ、それだから普通の牛乳よりか値段が高いんだ、こういう感じを持つわけであります。これは加工乳も同様であります。ビタミン牛乳あるいはホモ牛乳とかいっております。これらは大体牛乳の成分があるようでありますが、フルーツ牛乳、コーヒー牛乳に至っては、少なくともただいままでの調査の段階では、どうもこれは牛乳の名に値しないんじゃないか、こういうふうに考えております。
  166. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは、厚生省はどういう考えを持っているか、ひとつ聞かしてもらいたいと思う——。政府委員答弁は、もう少し大きく声を出してもらいたいと思うんですね。非常に聞き取りにくいんですね、外がやかましいし。
  167. 島村一郎

    島村委員長 政府委員にお願いしますけれども、なるべく大きな声でお願いいたします。
  168. 恩田博

    ○恩田説明員 乳飲料について一言御説明申し上げますと、名称とそれから商品名というのが、なかなかこれはむずかしいのでございます。そこで、乳飲料を牛乳の範疇に入れて取り締まりをいたします理由は、牛乳が非常に腐敗、変敗が早い、そこで牛乳に準じて品質を保持しなくちゃいかぬということで、それを取り締まりの範疇に入れておるわけでございます。そこで、その場合に、私どものほうでは、乳飲料ということばを実は使っておるわけでございますが、それではその中に——乳飲料というものは牛乳を原料としてつくった飲みものでございますので、その中にコーヒーを入れましたのもありましょうし、あるいは紅茶を入れたのもありましょうし、あるいは最近フルーツを入れたようなものもあるわけでありますが、それらを総括して、牛乳を使ったものは腐敗、変敗が早いからやかましくするぞ、こういうふうなしかけになっておるわけでございます。  そこで、その牛乳が入っておる程度はどのくらいかということを、以前に、昭和二十五年にきめましたときには、大体牛乳の量が四分の一入っているものは牛乳としての範疇で、いわゆる細菌の発育が早いからやかましくいう、こういうことにいたしましたのでございます。それでその場合に、それではコーヒー牛乳というのはけしからぬじゃないかということを、私ども当時検討したことがございます。ところがその当時、ずっと前からコーヒー牛乳というのがあったのでございます。あるいは駅でちょうどサイダーびんのようなものに入れて、それに王冠をしまして売っておった。それを買うと、ビールのせん抜きのようなもので抜いて売っておった。そういうのは、昭和の初めごろからあったのであります。そこで、そういうものを一括して乳飲料として、衛生上の危害の防止のためにきめたのでございますので、名称としてはいろいろ疑義が、その当時検討しましたときにも、ちょっとこれは牛乳のような気もするな、そこで、きめ方といたしましては、先ほどお話がございましたが、牛乳に類するものは全部牛乳の色にせい、そのものは牛乳と同じ成分にせい、乳飲料というものは間違わぬように色をつけておけ、こういうことになっております。しかもそのほかにちゃんと牛乳の成分が幾ら入っておるか書いておけ、こういうふうになっております。なおかつ乳飲料ということを表書きに書くように、しかも活字も規制してございます。そこで、先ほどコーヒー牛乳の話が出てまいりましたが、そのときに、コーヒー牛乳というのはちょっとおかしいぞという意見があったのでございますが、食品衛生法でございますので、それから先には入れない。そのときに出ました話題としましては、そばの中にうどん粉が入っておると、うどんそばと言うのか、そばうどんと言うのか、その当時議論が出たのでございます。そばが大部分でうどん粉が幾らか入っておるから、それはそばだと言うのだろう。それならば、ある程度コーヒー牛乳もそうかいなというふうな議論等もなされたのでございます。シナ大陸から入ってくるそば粉、それを日本でつくってシナそばと言う、そうすると、シナのそばというのは色が白いのかと言ったり、そういったような議論もございまして、そこまではわれわれは入れないな、それではそういったものを一括して、とにかく牛乳を使ったのは全部衛生上の危害防止から取り締まるということできめましたのが、先ほど御披露ありました牛乳についての省令でございます。以上でございます。
  169. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま厚生省は、乳飲料の名前を明記してあると、非常に得意そうに言われたわけですけれども、私いまこれをお見せしましたけれども、このどこに書いていますか。書いていることは書いていますけれども、あなた、めがねをはずして見えますか。虫めがねを持ってこなければ見えないような字で印刷してあるのです、キャブに。一ぺん見てください。(実物を示す)まだいろいろ種類がありますから、見てください。課長、一ぺんあなたごらんなさい。(実物を示す)大道でまやかしの品物を、なるほど言いのがれを残しておいて、よく売る場合がありますけれども、本質的にはそれと変わらないでしょう。牛乳という名前が入っておる。ミルクという名前が入っておれば、みんな栄養があると思って買うのです。現にこの間まで学習院の初等科でも、この色牛乳、フルーツ牛乳等を使用しておったのです。栄養がないものをそんな児童に飲ませますか。そうでしょう。要するにそういうようなこと、これはだれが考えても大衆を欺く、とんでもないことです。農林省はどう考えていらっしゃいますか。一ぺん全部聞いてみますから一。ちょっと待ってください。予算委員会の関係もあると思いますけれども、私はきょうは農林、厚生の大臣の出席も求めておるわけです。直ちに政府委員から連絡して、たとえわずかな時間でも、ひとつ出てもらうように、委員長のほうからも、さらにその旨をひとつ命令していただきたいと思います。
  170. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ただいま御質問の点でございますが、現行制度のもとにおきましては、ただいま厚生省から御説明がございましたように、乳飲料として、混合物の百分を表示して製造販売をすることも認められておるわけでございます。その成分は、先ほど公取委員長からもお話がございましたし、われわれとしても、日本乳製品技術協会等で例示的に調べたものを聞いておるわけですけれども、乳成分としましては、おおむね半分ないし半分以上というふうな形で含まれておるというふうに伺っておるわけでございまして、どの程度のものをどういう名前をつけたらいいかということは、はなはだむずかしいわけでございまして、現在のところは、特にコーヒー牛乳だとか、あるいはフルーツ牛乳だとかいうことで不当表示であるかどうかという点については、問題はあろうかと思っておるわけでございます。
  171. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は責任ある答弁を聞いているのです。問題があろうかと思いますという、その問題を聞いているのです。もう一回お答えください。
  172. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 特に何%のものは牛乳という名前を冠したらいいとかいけないとかいう基準がないわけでございますから、したがって、現在半分ないし半分以上乳成分を持っているものにつきまして、コーヒー牛乳、フルーツ牛乳というものを使って、これが不当表示であるかということにつきましては、必ずしも不当表示とは言えないのではないかというふうにも考えられるわけでございますけれども、これは検討してみる必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  173. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま公取委員長から発表があったでしょう。牛乳が、要するに乳分が入っていないわけですよ。そうでしょう。問題は、それをこのようなフルーツ牛乳という名前を使うということですよ。
  174. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 公取委員長からも申されましたように、牛乳成分は入っておるわけでございます。乳成分として見ますと、先ほどお話がありましたように……(近江委員「規格に入っていないじゃないか。」と呼ぶ)規格でございますか。規格は、乳飲料としては特に規格はきめていないわけでございますけれども、現実の乳飲料としてのフルーツ牛乳なりコーヒー牛乳の中には、牛乳成分が半分程度は入っておるというふうに私たちは理解しておるわけであります。
  175. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと関連。この中に牛乳が何パーセント入っておるか。(コーヒー牛乳を示す)牛乳ですよ。牛乳成分じゃないですよ。
  176. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 それではお答えいたしますが、牛乳というのは、牛乳の乳成分と水分とで成り立っておるわけであります。したがって、牛乳を計ります場合に、われわれとしましては、乳成分というものが何%入っておるか、乳脂肪なり無脂固形分、そういうものが何%入っておるかというふうに実は見ておるわけであります。
  177. 田中武夫

    田中(武)委員 脱脂牛乳も、やはり牛乳として見ておるわけですか。
  178. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 フルーツ牛乳にも無脂固形分が四・八%程度入っておるわけでございます。したがいまして、これにつきましては、牛乳というふうに一般に称されるわけでございます。
  179. 田中武夫

    田中(武)委員 四・八%入っておるのでしょう。それでも牛乳と称せられるとだれがきめたのです。どこで、だれがきめたのです。
  180. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 これは厚生省のほうで御答弁いただいたほうがいいと思うのでございますけれども、普通の牛乳につきましては、無脂固形分が八%入っておるわけであります。フルーツ牛乳につきましては、必ずしも全部が一がいにそうというわけではございませんけれども、四・八%程度入っておるわけでございます。したがいまして、普通の牛乳の半分以上が入っておるというふうに考えておるわけでございます。
  181. 田中武夫

    田中(武)委員 ぼくは何で関連したかというと、あなたは確信を持った言い方で、牛乳が入っておる、こう言ったからです。しかし実際は、それは牛乳成分になるか知らぬが、入っておるのは脱脂牛乳でしょう。いわゆる牛乳じゃないでしょう。脱脂牛乳が何%か入っておるだけでしょう。あなたは先ほど声を大にして言われたが、それなら分析をひとつはっきりしてください。それから農林省は脱脂牛乳も牛乳と言うのかどうか。
  182. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ただいま申し上げましたのは、乳成分という意味で申し上げたのでございます。
  183. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ乳成分を牛乳と呼んでいるのですか。農林省はそれを認めておるのですね。
  184. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 牛乳といいますのは、どういうものを牛乳というかということば、必ずしもはっきりはしていないと思うのでございます。厚生省の省令によりますと、普通牛乳、加工牛乳それから乳飲料という区別がありまして、それぞれ脂肪が何%以上、そういうふうなこまかい規格がきめてあるわけでございます。乳飲料につきましては、厳密なそういう規格がきめられておらないというふうに存じております。
  185. 田中武夫

    田中(武)委員 私は関連ですからこれでおきますが、近江委員の質問に対して、あなたは確信のあるような答弁をせられた。だから申し上げておるのですよ。脱脂牛乳は一般の概念からいって牛乳じゃないですよ、常識からいって。農林省ではそれが通るかもしれないが、一般の観念からは通りませんよ。あなた局長かね。そんなことでよく君はやっておるね。一般に通らぬような頭をもって畜産行政をやってもらっては困るね。関連ですから、おきます。
  186. 島村一郎

    島村委員長 近江君に申し上げますが、さっき御要求の農林大臣それから厚生大臣、目下参議員の予算委員会の採決のために、こちらに抜けてくることがちょっと困難のようでございます。御承知おきを願います。
  187. 近江巳記夫

    ○近江委員 あとでとにかく時間を見つけて、大臣に来てもらってください。よろしいですか。  それから、公取委員長、要するに、フルーツ牛乳等については四割が牛乳という名に値しない、そういうような成分であった。四割がにせものなんです。ところがびんにははっきりとミルク、牛乳と出ておる。児童たちが栄養があると思って飲んでおるのです。これだけの大きなこういった事実があって、いまのそうした関連の、なぜそこに話し合いをしなければならないのかという点においては非常に希薄ですよ。納得させる意見がないのです。これについて明確なあなたの考えをもう一回言ってください。
  188. 北島武雄

    ○北島政府委員 これは、不当表示ということは、一般消費者を中心にして考えなければいかぬ。たとえば一般消費者をして誤認せしめるような表示は、たとえどこかに言いわけがありましても、これはほんとうの言いわけにならぬと私は思います。ただいまフルーツ牛乳、コーヒー牛乳の四割ですか、四割が牛乳の名に値しないというお話がありましたが、新聞にもそういうふうに出ておりましたが、私は全部値しないのじゃないかと思います。と申しますのは、一般消費者は、やはりコーヒー牛乳といえば牛乳にコーヒーが入っておる、フルーツ牛乳といえば牛乳にフルーツが入っておる、こう思うのはあたりまえで、これが常識なんでございまして、乳成分が少しでも入っておれば牛乳の名に値するということは、私どもの常識ではうなづけない、こういうふうに考えております。
  189. 近江巳記夫

    ○近江委員 公取委員長、この点について、要するに不当表示という根本的なそういう基準はいまあるのですか。なかなかそれを言えないというふうに迷っていらっしゃるが、要するに基準さえあれば、不当表示だということは言えるわけでしょう。
  190. 北島武雄

    ○北島政府委員 基準は法律でございますね。不当景品類及び不当表示防止法第四条「不当な表示の禁止」の第一号に、この問題はどうも入りそうですね。商品の品質、規格その他の内容について、実際のものよりも「著しく優良であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、」云々ということでございますが、結局一般消費者に実際のものよりも優良であると誤認せしめるような表示はいかぬ、これは常識的な判断ではなかろうかと思います。これはもちろん商品については売らんかなのために、ある程度誇大な、いいところだけを取り上げることはやむを得ないでしょう。しかしこの規定のように、著しく優良であると一般消費者に誤認せしめるというような表示は、やはり不当表示防止法の規定に触れる、こう考えます。それはやはり結局一般消費者の立場になって、消費者の身になって一体どう判断するがというところに基準を置かなければならない、こう考えております。
  191. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたは不当表示と思われるわけですね。
  192. 北島武雄

    ○北島政府委員 はたして一般消費者が不当表示と思わないかどうかにつきましては、これから消費者代表の意見もよく聞き、それからメーカー側の意見もあわせて聞きまして、その上で判断を下したい、こう思っておりますが、これは私ども行政委員会でございますから、独断的にやるのは禁物で、各省それぞれ所管なさっておるところもあるわけでございますから、その御意見も一応承る必要があると思っております。実はただいま農林省のそういう話がございましたが、いままで各省との打ち合わせにおいて、農林省からそういう話があったということを聞きまして、それはどうもおそらく下の方が出て、そんなことを言ったのではないか、こういうふうに思っております。こういう点につきましては、消費者の身になって、消費者はどう考えておるかという立場から考えなければならぬのがほんとうだろう、こう思っております。
  193. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなた自身は牛乳がお好きかきらいか知りませんけれども、あなたも消費者の一人です。これはいまさらみんなの声を聞くとかなんとかの問題じゃないのですよ。だれが考えたって、これは牛乳でないものを牛乳という表示をして売っておるじゃありませんか。あなたは公取委員長として、それだけの権限を持っていらっしゃるのだから、あなた自身の考えを言ってもらわなければ、国民はだれをたよりにするかといえば、消費行政からいうならば、公取委員会です。そういう点において、この結論をあなたいつつけられますか。大問題です。
  194. 北島武雄

    ○北島政府委員 御承知のとおり、公正取引委員会会議制度でございまして、私個人でもってきめるわけのものではない。委員会といたしましてある行動をとる場合は、やはり各般の事情をよく調べて、言うべきところは言ってもらい、聞くべきところは聞いて、その上でもって最終的に委員会で判断するのが、これは公正取引委員会としての職務でなかろうか、こう思って、いま慎重な態度でいかなければならぬ、しかし最後において判断すべきときは断固として判断する、こういう立場であります。
  195. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから農林省ですけれども、たしか三十七年ごろと思いますが、普通牛乳と色牛乳の値段の差が二円ぐらいあきましたね。あのときにいろいろ行政指導した、このようなことを聞いておるわけでありますけれども、裏では盛んに色牛乳をつくれ、このように農林省は指導した。これは業者の話でありますが、農林省が色牛乳をつくれというので量産した。しかしここで、公取から文句が入った——文句というのはおかしいですけれども、業者が言うのですから……。文句が入った。どうも納得いかない。要するに政府の指導というのはばらばらじゃないか。私は公正取引委員長に聞くのですけれども、いまの問題、もしも仮定とした場合でも、要するに、あるいはまたそれを調査なすって事実であるとしたときに、いま厚生省、農林省、またおたくのほうで話し合いをされておりますけれども、そういう点についてどういうように今後考えていかれるか、そういうことを聞かれたことはありませんか。ちょっとお聞きします。
  196. 北島武雄

    ○北島政府委員 少なくとも一般消費者を誤認せしめるような表示は、私はよろしくないと思う。一応考えましても、牛乳という名に値しないのじゃないか、こういう疑いがございます。これはさらに確かめまして、適当ではないという結論が出ましたならば、どういうふうな表示をさしたらいいか、これをひとつ検討いたしたいと思います。
  197. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、もう一ぺん厚生省に聞きたいのですけれども、いまの成分の基準というのは厚生省令でやっておりますね。この点が非常に、乳飲料と普通の牛乳と、それがどういうわけかはっきりしないわけです。ですから、少なくともそうした牛乳という名前で売られる以上は、これは一つのあれでありますけれども、普通牛乳より何%低い、これだけのものを含まなければ、そういう牛乳という名で売れないという、そうした法的なはっきりした基準の改正というものを考えなければいけないのじゃないか、私はこのように思うのですが、どうでしょうか。
  198. 恩田博

    ○恩田説明員 この省令ができましたころは、牛乳が非常に少のうございまして、子供の牛乳を確保するに非常な難儀をしておった時代でございます。そこで厚生省として考えておりますことは、牛乳は非常に貴重なものであるから、牛の乳ぶさからしぼったそのままの状態であることはもちろんでございますが、それをそのまま、牛の病気が人間にうつらないということを確認して販売するということにしておるわけでございます。そこで、牛が健康であり、容器がりっぱであれば、消毒しなくても差しつかえない、それが理想でありまして、それを特別牛乳といって売らせております。最近は牛乳の絶対量が足りませんので、それと牛乳を生産します時期と、消費者が牛乳のほしい時期とが、いろいろな農業の実態から考えまして食い違いがございますので、必要なときに必要な量が間に合いません。しかも絶対量が足りないということで、お客に何とかかっこうのものをとらせたいということで、私どもは加工牛乳というものを類似品と考えておるわけでございます。しかも、それは赤ん坊用としてではなく、むしろ乳離れした程度なら、それでもよかろうということで、加工乳というものを考えておるわけでございます。そのほか、牛乳は牛からしほったままのものを、そのまま水も入れないし、何も入れないで、ただ牛の病気がたくさん人間にうつりますので、その病気をなくすることで処置をするというだけで売るというのが牛乳でございますので、今度は牛乳のないところ、あるいは遠隔の地で牛乳が手に入らないというところは、やむを得ぬから粉ミルクで間に合わせる、そこで牛乳に代用するもの、これを原則的に乳製品というふうなことを考えておるのでございます。ですから、その乳製品の中には、考え方としては加工乳も入りますし、コンデンスミルク、加糖練乳、無糖練乳、従来の粉ミルクというものは全部それに入る、こういうことでございます。それをきめますと、今度はそれを原料としてまたつくるものがある、それは牛乳が外気で非常に汚染しやすいので、非常に変敗が早いということで、それに類似するものも取り締まりをしなければいかぬ。少なくとも普通の清涼飲料水を使って、若干牛乳の成分が入っておる、そういうことになりますならば、それも事故を起こさないような施策を講じなければならぬということで、いわゆる考え方としますと、第一、第二、第三とでもいいますならば、その第三のもの、すなわち普通の牛乳と、あるいは一般に考えております乳製品、それに次ぐものとして類似乳製品とでもかりにいう時代もありましたが、そういうふうな関係のものは、いわゆる栄養をとるよりも、むしろ安全性をとるということで、いわゆるその他といたしまして、乳製品というものを考えたのでございます。そこでその場合に、私どもといたしましては、これはその当時そういうことはまだなかったのでございますが、これが牛乳とまぎらわしいと非常に困るということで、牛乳と同じような外観をしたものはいけないということを、そこの中に入れまして、なおかつ牛乳の成分がどのくらい入っておるかということを、重量百分率を書け、しかもその飲料水という活字を、ほかの牛乳でございますとかあるいはその他のものよりも大きく書けということで、たしか四号活字かと思いましたが、活字の大きさも規定いたしまして、それを書け、そして消費者の選択にまかせろということで、昭和二十六年からずっとそれをやり、かつ努力しているわけでございます。  しかし、いまお話がございましたとおり、コーヒー牛乳というものは、牛乳とどういうことになりますか知りませんが、コーヒーの中に牛乳をぼたっとたらしたというのか、あるいは牛乳の中にコーヒーをぽたっとたらしたというのかよくわかりませんが、そういうものが前にありましたし、今後もまたあり得ると思いますが、当時コーヒーが非常に少のうございまして、何か豆のいったものをコーヒーのようにして、それに牛乳を入れてつくったという時代も、昭和二十五年ころでございますので、あったわけでございます。そういうものが非常に不潔なところでつくられ、かつ事故が起こるには至らなかったのでございますが、検査しましたところ、非常に好ましくないということで、このものは牛乳が入っている、しからば牛乳と同じような衛生上の保持が必要であるということで、それを含めたのでございます。いま御指摘のとおり、考えなければいかぬじゃないかと言われますと、そういうことでございますので、私どもといたしましても、こういった当時の事情と今日の事情とでは変わってまいりましたので、いろいろ上司と相談いたしまして検討しなければいかぬ、こういうふうに考えておるのでございます。
  199. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、この新聞にも出ておりますが、普通牛乳の中にヤシ油が入っている、これについて、公取でも油メーカーのほうに調査に入ったというようなことを聞いているわけであります。このことについて、公取委員長も御承知かと思いますが、東京都でも通達を出しているわけです。四十二年の三月二十四日、「飲用牛乳の製造に関する注意について」、これを読んでみましょう。「最近、市販される牛乳、加工乳の一部に乳脂肪以外の脂肪、その他庶糖等の他物が添加されて飲用牛乳として出荷されている疑いがあるとの声をきくが、かかる行為は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」別表の二の(五)乳等の製造又は保存の方法に関するその他の基準の(1)の規定により禁止されているところであり、かかる製品が万一製造、市販された場合は、業界に対する消費者の不信を招くこととなるのみならず、法令違反として厳重に処分されることとなるので、牛乳、加工乳の製造の過程においては勿論のこと、原乳に対しても充分注意を払い異種脂肪等の混入したものを使用することのないよう会員に周知徹底方をお願いいたします。」あとずっとまた法律等の抜粋したのが書いてあるわけですが、このヤシ油等のそういう混入について、現時点においてあなたのほうで調査なさったものを発表してください。
  200. 北島武雄

    ○北島政府委員 昨日の夕刊あるいはけさの朝刊に、製油会社について私ども調査をしたことが出ておりました。これは、一部の新聞には、製油会社に手入れということで、製油会社がちょうど独占禁止法違反の疑いがあるような書き方でありましたので、この点は私どもも、たいへんその製油会社に対してはお気の毒に思っておりますが、問題は、製油会社の独占禁止法違反の問題ではなくて、はたしてその油がどういうふうに流れているかという方面の調査に着手をしたわけであります。これはどういう意図を持っておるかということにつきましては、いま審査の段階でございまして、ただいま申し上げることは、審査上支障を生ずるので、差し控えさせていただきたいと思います。
  201. 近江巳記夫

    ○近江委員 東京都とあろうものが、ただのうわさだけでこういうような通達を出すわけがない。これはわれわれ自身が考えておることですし、また現実に新聞にもその事実が発表されておりますし、こういう点について、私は完全に食品衛生法の違反だと思うのです。これは一回厚生省から言ってください。
  202. 恩田博

    ○恩田説明員 私どものほうは警察的検査でございます。しかもその検査の結果を非常に早くやりませんと、検査を終わったときは飲んでしまっているということでは非常に困るということで、いわゆる私どもで食品衛生法できめております検査方法につきましては、いろいろ研究をしているわけでございます。検査をしまして、収去しまして、それが三日も四日もかかってはちょっと困る。いろいろな関係からいたしますと、保健所単位で早急にできる方法ということでやりますと、いわゆる精密な非常にこまかい検査、試験ができないという点に非常に悩みがあるわけでございます。そこで、この程度であればこれは違反と認めるというふうな検査の方法をきめるわけでございますが、私どもが、かりに脂肪の検査はこうやってはかる、これは学者その他経験者の意見を徴して、食品衛生調査会にかけましてきめるわけでございますが、きめますと、それに合うような脂肪が逆に出てくるということで、追っかけつつかけしなければならないということで、非常に困っておるわけでございます。非常に精巧な検査法はあるわけでございますが、それを保健所でいたすとしましても、そのために人間がついて回らぬと効果があがらないということでございます。そこで私どもといたしましても。必ずしも追っかけられて困ったなというだけではいけません。ただいまたまたま御指摘のありました異種脂肪という話がございますので、私どもとしても、これは前からでございますが、このところ学者にお集まりを願って、なるべくすみやかに、かつ異種脂肪が発見される程度でいいということの検査を、実はお願いしているわけでございます。
  203. 近江巳記夫

    ○近江委員 公取委員長も、厚生省も、東京都が三月の二十四日に出しておったこれを知らなかったのですか、まずそれを聞かしてください。こういう通達が出ておったということ……。
  204. 北島武雄

    ○北島政府委員 私自身は存じません。
  205. 恩田博

    ○恩田説明員 その通知は、最近実は聞いております。その出ましたころではなく、最近でございます。
  206. 近江巳記夫

    ○近江委員 このような重大なことが公取でキャッチできない。どのような連絡方法を持っているのでしょうか。またあなたも厚生省の代表できょうは来ていらっしゃる。厚生省は一切の食品監視をしていかなければならない、その立場にあるのです。それを最近ちょっと聞きましたという。手抜かりじゃないですか。それじゃもしも人体に大きな影響があったら、どうして責任とりますか。あなた、その場限りの無責任なそういう言い方は、私はよくないと思う。先ほど、これは食品衛生法から見てどうなんですかと私は聞いている。そのことを言ってください。
  207. 恩田博

    ○恩田説明員 先ほど申しましたとおり、牛乳というものは、牛のからだからしぼったままの状態のものをいうわけでございます。ですから、そういうものを入れますことは違法でございますので、私どもとしましては非常に残念で、厳重な処置を東京都にお願いしているわけでございます。たまたま東京都に問い合わせましたところ、先ほど申しましたとおり、監視員の検査の程度では非常に判定がしにくい。そこで実は私ども、前からそういううわさがあるし、そういった脂肪が出ておるということを聞いておったために、監視のときには、牛乳をとってくるだけではなくて、何かほかのものがそこら辺にあるかどうかということも厳重に監視するように、二、三年前から会議のつど注意をしておったわけでございます。そこでたまたまその工場へ行きましたところが、そういう脂肪があったということで、それを使う前にそれがつかまったということでございましたので、この件はよかったというので、私どもはそういうふうにしておったわけでございます。なおかつ、いまお話ございましたとおり、事牛乳に関しましてはこれは重大問題でございますので、現在それぞれの件につきまして、内々調査をさせておるところでございます。
  208. 近江巳記夫

    ○近江委員 この件について、公取委員長はどのようにお考えになっていらっしゃるか、その御見解をお聞きしたいと思います。
  209. 北島武雄

    ○北島政府委員 一連の問題につきましては、ただいま審査の過程にございます。これは一応審査して、すべての材料を整えて、その上で判断すべきで、ただいまのところ、いろいろ申し上げることは、審査上支障がありますので、ちょっと遠慮さしていただきたいと思います。
  210. 近江巳記夫

    ○近江委員 だけれども、事実であるかどうかしいうことは、これははっきりと大阪府の衛生研究所でも前に分析しておるわけです。こういう事実があるわけなんです。これに対して、要するに一部分にあることがそこだけということは絶対にないわけです。やはり全体に及んでいると考えなければならない。こういうことに対して、それはなるほどいま具体的に名前を出せない、それはいろいろな点があるかもしれない。だけれども、全体としてこういう異種油が混入しておるということについて今後どうするか、その御意見を明確にお聞きしたいと思う。
  211. 北島武雄

    ○北島政府委員 これはどの範囲の業者の人がそういうことをされておるのか、実際はまだわからぬわけでございます。わかりましたら、これはやはり正当でない名前を使っておるわけですから、やはり不当表示防止法にかかる。その場合には不当表示防止法で措置せざるを得ない、こう考えております。
  212. 近江巳記夫

    ○近江委員 要するに、こんな日本の広いところで一カ所一カ所、大体公取のメンバーから考えたらたいへんでしょう。一つの事実をもってどのように行政指導していくか、これがあなた方の仕事じゃないですか。それについて、現実に衛生研究所でも、そのような異種油が混入しておるという事実をつかんでおるわけです。あなたのほうでもそれはつかんでおるはずですよ。どのように今後行政指導するか、そのことをお聞きしておる。
  213. 北島武雄

    ○北島政府委員 特定の会社がそういうことをいたしておりますれば、その特定の会社に対して、不当表示防止法に従って措置をするわけであります。一般的にそういうものが行なわれておるならば、これは業界全体の問題として、これをどう指導していくかという大きな問題になるわけであります。いままでのやり方としましては、多くの業者で一般的にそういうことが行なわれて、不当表示防止に該当するというような場合におきましては、公正競争規約をつくらせて、それによって指導しておるのがいままでの例であります。たとえばかん詰めの場合でありますが、これはかん詰め業者がたくさんある。  一件一件それを排除していたらたいへんです。それよりも、むしろかん詰め業者をして自主的に公正競争規約をつくらして、そうして一般消費者の誤認を招かないような表示をさせるのが適当である、こう考えております。
  214. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは御参考に申し上げておきますけれども、ミルクを置いておきますとクリームが浮いてくるのです。このクリームは非常に高価な値段で売れるのです。そのために、脂肪を補給するために異種油を混入するのです。こんなことは業界の常識みたいになっておる。公取委員長、ほんとうに栄養として、結核患者で身を横たえて、そうして栄養源としてミルクをとっているのです。私は病床に横たわっている人も知っておる。生活保護を受けて苦しんでいる人が飲んでいるのですよ。それを、そのような不当業者があったら取り締まる、それは全部に当てはまらない。確かに優良な業者もおいでるかもしれない。だけれども、これは全体にそのようなことが及んでいるということが考えられる。そのことについて、公取委員長として、あなた、現実にこういうことがあるのですからどうするかということを私は聞いておる。
  215. 北島武雄

    ○北島政府委員 それは先ほどから御答弁申し上げておるわけでありまして、特定の審査事件につきましては、これから突き詰めて個々の業者に当たってまいるわけであります。その程度しかただいま申し上げられません。その結果、それでもし不当表示防止法に触れるならば、その法に従って処置する、こういうことでございます。
  216. 近江巳記夫

    ○近江委員 公取の職員は、いま全国で何名おりますか。
  217. 北島武雄

    ○北島政府委員 ただいま私的独占禁止法の改正案で御審議願っておりますが、今年度の予算が通りまして、この法律改正が通りましても、全国で三百三十六人、非常に手薄な状況ではございます。したがいまして、こういう仕事につきましては、一般消費者の御協力、それからことに私どもが委嘱した消費者モニターの活動等を特にお願いするわけでございます。そういうところから資料をつかみまして、消費者に最も関係の深いところから逐次、手薄な陣容でございますが、手をつけていく、これが私どもの態度でございます。
  218. 近江巳記夫

    ○近江委員 牛乳関係調査をし、その関係をやっておる職員は何人おるのですか。
  219. 北島武雄

    ○北島政府委員 不当表示防止法関係の職員は、きわめて貧弱——ただいまここに景品表示課長がおりますが、ただいま景品表示課というものは、不当景品類の取り締まり、それから不当表示の取り締まり、課長以下現在七人でございます。今度の私的独占禁止法の改正案が通過いたしますと、わずかでございますが、景品表示の関係で二名の増員、こういうことになるわけで、非常に乏しい陣容ではございますが、できるだけわずかな陣容で最も効果的に実効をあげていきたい、こう考えております。
  220. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから、それだけの少人数でこれだけのことをやっていかれるわけですよ。まだほかにも再販価格なんか担当は二名でしょう。そのような手薄なことで、いまおっしゃった最高の効果をあげていきたいという、その最高の効果を私は聞きたい。言ってください。
  221. 北島武雄

    ○北島政府委員 それはやはりわずかではございますが、優秀な人材をそろえて、そうしてみんなそろって不当表示防止法の趣旨の徹底につとめる、こういうことでございます。それ以外にございません。それとやはり一般消費者の御援助、消費者モニターの御協力、こういうことでございますね。
  222. 近江巳記夫

    ○近江委員 これ以上は私も聞きませんけれども、要するにこれは牛乳だけの問題ではなくて、たとえばズルチンやサッカリン等もそうです。諸外国では全然認めていない。有害である。ところが日本だけはどんどん使っている。これはあなたのほうで真剣にやっていらっしゃいますけれども、さらに国民を守るという立場から、一つ一つを見ていただかなければ、これはほんとうに国民が実際を知れば、その概要を知れば、ほんとうにたいへんなことになります。そういう点におきまして、今回のこの牛乳の点についても、これはもうはっきりとそのような事実があるわけですから、ひとつ公取としてもほんとうに消費者を心から守るという立場から、やっていますけれども、人数が少ないからできませんわ、そういうようなことではないとは思いますけれども、ひとつほんとうにいままでおっしゃった最大の効果をあげるように、しっかりとがんばってもらいたいと思います。今後、今度の機会に、私はこの牛乳についてどのように趣旨徹底方をはかり、どういう手を打ったかということを報告してもらいます。これについて言ってください。
  223. 北島武雄

    ○北島政府委員 御鞭撻まことにありがとうございます。できるだけ御趣旨に沿うように努力いたします。
  224. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから次は国税庁のほうに聞きますけれども、国税庁来ておられますか。要するに牛乳という成分がないものが牛乳という名前で売られている。これは牛乳なら非課税です。また十二円六十銭ということは私は知っております。そうしますと、要するに成分が規格に合わないというのは、にせものを売っているわけです。そうすればこれは飲料水ということになるわけでしょう。飲料水には課税されますね。ですからこの点についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、まずそれをお聞きしたい。
  225. 今泉一郎

    ○今泉説明員 先生もうすでに御承知のように、嗜好飲料には物品税がかかってございます。価格において五%。ただ法律並びに関係法令をごらん願えればすぐわかるわけでございますが、嗜好飲料のうち、その価格とか性状とかによりまして、税金がかからないというものもあるわけでございます。したがいまして、いわゆる市販の牛乳ですか、先ほどからフルーツ牛乳ですか、名称のやかましいような品物について、かかるものもあり、かからないものもある、こういうことになるわけでございます。
  226. 近江巳記夫

    ○近江委員 そこで、要するに成分が牛乳として認められないものがたくさんあるわけですよ。それについての課税についてはどう考えていらっしゃるのですか。
  227. 今泉一郎

    ○今泉説明員 私どもは税法のたてまえがございまして、しかも明文で規定してございます。ここに物品税法施行令というものがございまして、「果実水及び果実みつ並びにこれらに類するもの」、こういうものに税金をかける、こう書いてあります。それから「果実水とは、」云々というような注釈がございまして、さらに非課税物品というのを特に欄を設けて書いてあるわけでございます。それによりますと、一つには「牛乳又は乳製品を使用したもので、その乳固型分の重量又は無脂乳固型分の重量の全重量に対する割合がそれぞれ一〇〇分の六・六以上又は一〇〇分の四・八以上のもの」、こういうものは非課税品であるというようなことが書いてあるわけであります。また価格につきましては、先生もいろいろおっしゃいましたが、「一〇〇ミリリットルにつき七円」これまではかからない、こういうことが書いてございます。これに該当するものはかからないわけでございます。これに該当しないものがございますれば課税いたします、こういうことに相なっております。
  228. 近江巳記夫

    ○近江委員 二十四億一千八十七万本出ているのです。これについて五%−全部がにせものとは言いませんが、五%を課税すればばく大な金ですよ。ですから、公取のほうで完全に不当表示である、このように結論が出たときには、あなたのほうではそれに課税するわけですね。
  229. 今泉一郎

    ○今泉説明員 国税庁といたしましては、不当表示かどうかということとは関係ございませんで、税法に書いてございますところに従いまして、税金をかけるものはかける、取れないものは取れない、こういうふうに相なるわけでございます。
  230. 近江巳記夫

    ○近江委員 だから私はそのことを言っているのですよ。要するにその非課税に入っていないこういうフルーツ牛乳なり何なりが、牛乳という名前でこれは非課税になっているわけです。ところが現実に成分は要するに牛乳ではないわけでしょう。これをどうするかと言っているのです。
  231. 今泉一郎

    ○今泉説明員 たとえ名称のいかんにかかわらず、非課税の規定に該当しないものがございますれば、先生はたぶんそれをおっしゃっているのだろうと思うのですが、そういうものが見つかれば、課税するのがあたりまえでございます。したがいまして課税しますし、また現に課税していると思います。
  232. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃ牛乳関係のフルーツ牛乳には課税していますか。
  233. 今泉一郎

    ○今泉説明員 個別的には、それぞれ現地の税務署なり局に聞いてみないと、この牛乳が課税されているかどうかというのはわからないのです。ですから、先生指摘のその牛乳というようなお話でしたら、また別途調べますが、税金の関係がありまして、比較的われわれの現在の課税内容調査してみますると、やはり税金がかかると、いろいろ採算上の観点もありまして、価格並びに成分におきまして、かからないようなものが比較的多いのじゃなかろうかと思っております。これはやはり業者の一つの営業政策だと思います。  それからもう一つ申し上げるのは、価格の点は、もちろん末端価格で見るのじゃございませんので、税法の規定に従いまして、メーカーの移出価格、製造者の移出価格、こういうことでございますから、御参考までに……。
  234. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほども吉田さんが中小企業の質問をなさっていました。税金をほんとうに払うために店をつぶす人がある。またサラリーマンもばく大な税金を取られておる。あなたのほうだって、税金の取り方については、やはり少しでも不正があれば徹底的に追及しているはずです。現実に成分の分析結果が、これは牛乳と認められない、また値段も、やはり物価上昇のおりから、みんなこれは国民は全部反対しています。だけれども悲しいかな、もしも上がった場合においても、当然これは非課税の対象にあがってくる。今後これだけの、二十四億も、さらにこれが上昇するでしょう。それについてただばく然と、事実があったら私はやりますというが、それについて今後前向きに、今後どのようにこの問題を考えていかれるか、その意見をひとつ聞かしてもらいたいと思う。
  235. 今泉一郎

    ○今泉説明員 やや繰り返しになるようでございますけれども、この非課税、要するに牛乳は、物品税法のたてまえは、先生つとに御承知のとおりと思いますので、申し上げるのもなにかと思いますが、要するに、非常に安いものは大衆の商品である。したがって税金、物品税を負担するのは飲むほうの消費者なんです。その分だけはメーカーから取りますが、納税義務者はメーカーですが、実際に金を払うのはメーカーではなくて、最終的の実質の負担者は消費者になりますので、安いものはかけない、こういうたてまえでやっております。それからもう一つは、いわゆる名前は何とあろうと、牛乳は、とにかくほんとうの牛乳は、これは大衆の、何と申しますか、栄養品でございますゆえにかけない、こういう見地だろうと思うのです。したがいまして、あまり牛乳分の少ないものは、これは牛乳といってもだめだ、牛乳だなんていって税金がかからぬといってみたってだめだ、それはそういうものはかける。ただかける限度というものはどこに置くべきかというので、国会で御審議を願った法律に基づきまして、先ほど申し上げたような、固型分だとか何かむずかしいパーセンテージが入っておりまして、これ以下のものは幾ら何でもひどいじゃないか、これを牛乳だなんていって、税金負けろなんていってもこれはだめだ、こういう趣旨で書いてあるのがその考え方でございます。したがいまして、私どもは、こういうものからはずれたものがあれば、税金を課税するのは当然でございます。これは名前とかなんとかと関係なく、きちっと課税いたしたいと思います。
  236. 近江巳記夫

    ○近江委員 いままで、これが出回ってから相当の期間たっておりますし、これは脱税ということも考えられるわけです。その調査も困難と思います。しかしこうした点について、やはりひとつ明確に、横の連携をとって、そういった一つ一つをけじめをつけていくことによって、国民の皆さんも納得するものは納得する、私はそう思います。先ほどあなたがおっしゃったように、その該当品については課税をなさると言われたのですが、そういう連携をよくとってやっていただきたいと思います。
  237. 今泉一郎

    ○今泉説明員 先生のおっしゃったとおり、法律上課税すべきものがあれば、十分課税していきたいと思います。
  238. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは私はなぜ言ったかというと、税金はみな国民は困ります。だけれども、そのことによって、食品自体の品質にしろ何しろ、ほんとうにみんながそれを守っていこう、それのほうがプラスです。にせものを飲まされるよりも、牛乳だといって水を飲まされるよりも、牛乳のほうが何ぼいいかわからない。そのように一貫した、そうした横の連携をとって、ほんとうに消費者のそういう立場を守っていく、そういうような立場で今後やっていただきたいと思います。これは要望しておきます。  時間もあれですし、他の委員も御迷惑か〜思いますので、もう一、二点で終わりたいと思いますが、公取でいま再販の単独法を予定なさっておりますね。それをなすにはいろいろな問題があると思いますが、いまどのような作業が進んでいるか、それについてお聞きしたいと思います。
  239. 北島武雄

    ○北島政府委員 ただいま法制局で法案審議中でございます。考え方といたしましては、現在、再販売価格維持行為というものの範囲が明確でない、それを明確にして、原則としてそれは禁止する。しかし適用除外といたしまして、現行法どおり、著作物とそれから公正取引委員会の指定した商品は適用除外するが、しかし公取の指定した商品については登録制度を採用いたしまして、再販売価格維持契約をしようとする場合には事前に届け出をさせて、そうして登録の際にチェックをする。そうして登録したその内容は一般の閲覧に出するということ、それから適法に認められた再販売価格維持契約にかかる商品についてはその旨か表示させる、それから小売り価格を表示させるということ、あるいはまた事後においても、施行状況を報告せしめて、そうして法の要件に当てはまっているかどうかを十分チェックするということ、それから消費生活協同組合、それから農業協同組合等に対しましては、現行法どおり再販売価格維持契約を認めないということ、それだけでなく、再販売価格維持契約ができないことを理由としてこれらの組合に対して取引をしないということは、これは違法であるということ、こういったことなどを内容とするものでございまして、目下法文化につきまして法制局で検討しております。
  240. 近江巳記夫

    ○近江委員 一部では、非常に骨抜きになってくるのではないかというようなことも聞くわけです。そこで、一つだけ聞いておきたいと思うのですが、薬品、洗剤、それから染毛料は、これは新法ではどうなるか、この点についてひとつ聞かしていただきたいと思います。
  241. 北島武雄

    ○北島政府委員 法律のたてまえといたしましては、新法施行の際に旧法によって指定せられておった商品は、一応新法の線に乗せるということは考えております。しかし同じ条件でやはり自由な競争が行なわれていることが必要でございますので、現在指定しておる商品につきましても、分類も適当なものとは必ずしも考えておりませんし、内容につきましても、はたして自由な競争が行なわれているかどうかにつきまして疑問のあるものもございます。こういう点につきましては、十分検討した上で、きれいにしてから新法にする、こういうことを考えております。
  242. 近江巳記夫

    ○近江委員 いろいろな問題もあるようですし、今後公聴会等を開いて、慎重にまたそうした問題を明らかにしていかれるか、そうした点について再度ここでお聞きしておきたいと思うのですが、そういうようなお考えがあるかどうか。
  243. 北島武雄

    ○北島政府委員 新法では、商品を指定する場合には公聴会を開く、それからまた、取り消す場合も公聴会を開くということを要件といたしております。しかし現行法においては、そういうことは要件ではございません。現行法におきまして、新法にのせる前に十分内容を検討して、はたして新しい法律の要件に当てはまる商品であるかどうかということをふるい分けて、その上で新法に乗せる、こういうことでありまして、その点につきましては、法が成立いたしましてから施行まで、若干の期間を置く予定でございますので、その間に十分検討して、新法の上にのらないものはそこで落とす。ただし、新しい商品を指定するかというと、そういうことはとうていただいまのところ考えておりません。いまのところ、とにかく現在あるものの規制が十分でございませんので、規制をしっかりやっていく。それで、いまここで新しく商品を指定するなんという段階ではございませんので、いかにして現在ある商品をしぼって新しいルールにのせるかということが当面の問題。それで何年か経過いたしまして、これで再販の規制はできるという自信がついたならば、あるいはそのときになって指定ということも考えられるかもしれませんが、そういうことは当分、物価事情もあるときでございますし、消費者保護という点も十分考えますと、ちょっと想像できない。現段階においては、とにかく現行の商品をできるだけしぼって、そうして認める場合においても厳格に規制していく、一般消費者の監視の目にもさらす、こういう考え方であります。
  244. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまお話しになった、そうした公聴会等を開いて十分意見を聞いて、そしてひとつ問題をはっきりとしてやっていただきたい。これは最後に要望しておきます。  では、以上をもって、私の質問を終わらしていただきます。
  245. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいまの近江委員の質問に関連いたしまして、北島さん、何だかはっきりせずに逃げてしまったようなところがあるので、少しだめを押しておきたい、こう思うのです。要は、いまのミルク関係ですがね、これは不当景品類及び不当表示防止法の四条一号だと思うのですよ、問題は。がたがたと書いてあるけれども、これは簡単に言うと、商品の品質が実際のものより優良であると消費者に誤認せしめて、そして不当に顧客を誘引する、これだけの要件があったら、どんぴしゃできるでしょう。したがって、これは要件を満たしておると思うのです。そこであなたが、公聴会を開くとか、各省との連絡をとるとか、こう言っておられますが、これはあなたのほうで事務の遂行上やられることはけっこうですが、この五条で公聴会を開く場合は、四条の場合、三号だけですね。一号の場合は公聴会を必要としない、法律上は。しかし、あなたは、公正取引委員会は合議制でございまして云々と言った。合議制であるから、直ちに私がここで云々という答弁をなさったんです。そんなことを求めているんじゃないのです。これは当然公正取引委員会とすれば合議制によってやっているんです。したがって、第六条の排除命令を直ちに出せ、こういう要求じゃなかったかと思うのです。少なくとも第四条一号の違反行為である、こう認めて直ちに調査を開始いたします、公正取引委員会調査権を発動させます、ということの答弁くらいできるでしょう。
  246. 北島武雄

    ○北島政府委員 それはただいま調査中で、調査権を発動してやっているのが、きのうきょうの新聞に出ている問題であります。
  247. 田中武夫

    田中(武)委員 調査の結果によって、その調査と並行して、各省との連絡をとるとか、あるいは公聴会を開く、こういうことですか。その必要はないと私は思うのです。調査の結果直ちに私は第六条を発動していいと思うのです。ただそれは行政委員会という立場から、他の所管、原局を無視することはできないということの非公式な意味において、あなたのほうでは事務遂行上考えられるということならいいですけれども、しかし公聴会を開く、そういうことは必要ないんですからね。
  248. 北島武雄

    ○北島政府委員 お説のとおりでございます。ただし、公聴会を開くということではございません。消費者の代表に来ていただきまして、メーカーも来ていただいて、メーカーの言い分も聞き、それから消費者に一体これでどう考えるかということもやはり聞く、これは正式の公聴会ということでありません。いつもしょっちゅうやっている連絡会でございます。
  249. 田中武夫

    田中(武)委員 それは調査なんでしょう、調査の一方法なんでしょう。だから、先ほどあなたが近江委員の質問に対して、ここでは言えませんとか、何かちょっとひっかかったので、いま言ったのです。だからそういうことで、あなたの言っているのは調査の一部ですよ。だからもう直ちに調査に入っているのだから、それを進めて、もしその事実があるならば、六条の排除命令を出します、こういう答弁をしてもらったら、それで満点だと思うのです。いかがですか。
  250. 北島武雄

    ○北島政府委員 法律上どんぴしゃりまいりますのならば、そのとおりいたします。ただし、これは先ほど申しましたように、乳製品の規格等につきまして厚生省の省令もありますし、それから乳製品については農林省も一応所管されている。そういうところ等の意見を聞くということも、これは行政委員会としては必要であるので、その点はひとつ各省の意見も十分聞いていかなければならぬ、行政委員会の独断でやっちゃいかぬと思うのです。その点は十分意見を聞いた上で、適正な結論を出したいというのが一番至当かと思います。
  251. 田中武夫

    田中(武)委員 あとのことはよけいなことなんです。法律上やります、できるだけすみやかに調査を完了して、そして六条の排除命令を出します、こう努力いたします、でいいのですよ。厚生省がどうだとか農林省がどうだとかということは、あなたの内部の仕事なんです。大きな意味における調査一つです。だからそんなことを一々言わなくてもいい。言うから、むしろ公正取引委員会は、独禁法を守る、あるいはその補完法を守るという上に立ってやればいいと言われるのです。あなたはやはり独禁法の番人の長らしく、法律に従ってどんぴしゃと回答すればいいのですよ。答弁したらいいのです。  以上です。
  252. 島村一郎

    島村委員長 次会は来たる三十日火曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時七分散会