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1967-05-24 第55回国会 衆議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十四日(水曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 中村 重光君    理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    岡崎 英城君       岡本  茂君    神田  博君       黒金 泰美君    齋藤 憲三君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       田中 六助君    丹羽 久章君       橋口  隆君    三原 朝雄君       武藤 嘉文君    岡田 利春君       佐野  進君    多賀谷真稔君       中谷 鉄也君    平岡忠次郎君       古川 喜一君    塚本 三郎君       吉田 泰造君    近江巳記夫君       岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         中小企業庁長官 影山 衛司君     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五七号)      ————◇—————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案を議題として、審議を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。岡本富夫君。
  3. 岡本富夫

    岡本(富)委員 このたび示されました近促法について、この近促法は、見ますと、三十八年につくられておりますけれども、これが現在の中小企業実態に即しておるかどうか、これについてお聞きしたいと思います。
  4. 影山衛司

    影山政府委員 この中小企業近代化促進法は、中小企業基本法の趣旨にのっとりまして、中小企業基本法関連法規として昭和三十八年度に提案をいたしまして、御審議を願いました制度でございまして、中小企業近代化を必要とするその実態に即した法律であると信じておるわけでございます。
  5. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それでは今度は大臣にお聞きしたいのですが、いま逆になりましたが、三十八年ごろの中小企業の姿と現在の姿というものはずいぶん変わっておる。これはもう大臣は大阪でよく御存じだと思います。すなわち昔の中小企業というのは、一つ一つ機械とそれから次に人力、こういうようになっておりましたけれども、現在の中小企業の姿というものは、やはり流れ作業、機械でずっとやっていかなければもう大企業あるいは競争に耐えていけない、こういうような状態にあると思います。したがって、この近促法に示されておりまするその助成措置、すなわちこれに関連してくると思うのですが、金融の問題にいたしましても、一台の機械近代化資金において借りましても、それでは能率が上がらない。すなわち一つ企業に大体一そろい、すなわち一連機械が必要になってきたと思うのです。したがってもっと大きな助成措置がないとだめじゃないか、こう思うのですが、大臣どうでしょうか。
  6. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話しのとおり、三十八年当時といまとは中小企業事態が変わっております。それはやはり近代化が漸次実現されてきたとは思っておるのですが、機械にいたしましても、前と違って、だいぶ機械の装置が大きくなったというようなことになってきましたので、したがいまして、いままでは個人企業でやっておったものがやれないというようなことで、どうしても協業的にやる、あるいは共同的にやらなければならぬというような事態になってきておりますから、したがって今度はそういう協業化共同化をひとつ促進しようというようなことで、今度の中小企業振興事業団などの法律をつくったような次第でありまして、とにかく三十八年当時とは違っておることはもうお話しのとおりであります。
  7. 岡本富夫

    岡本(富)委員 これは政府近代化促進によって現在こうなったのではなくして、現在の事業は、もうそうならなければならぬ自然の形だと思います。そこで、やはり一つ企業には経済単位あるいはまた適正規模、こういうものがある。そこでこれに関連したところ中小企業信用保険制度ですが、これを見ますと、現在の機械あるいは設備にしますと非常に少ない。これは一つ機械あるいは一つ設備くらいにしかとどまらないように思う。もっと一連の、要するに工場自体のすべての流れにしますと、非常にこの保証制度というものは少ないと思うのですが、大臣どうでしょうか。
  8. 影山衛司

    影山政府委員 おのおの施策も、いろいろな中小企業実態あるいは近代化の進め方に応じた施策をきめておるわけでございまして、先生質問信用保険限度額等につきましても、たとえば零細企業対策としての特別小口保険につきましては五十万円、あるいはさらに小規模、零細層対策も含めまして、無担保保険が三百万円というような小さい限度のものもございますし、あるいは近代化保険につきましては三千万円、それから組合が五千万というような限度額をきめておるものもあるわけでございまして、おのおのその実態に即しまして限度額もきめておるようなわけでございます。
  9. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この問題は、一つ機械だとかこうだとかいっていま説明いたしましても、おそらく大臣もそれから長官も、一つ企業についてこれだけの機械がこれだけかかってこうだと説明しても、あまりぴんとこないと思います。なぜかならば、大体机上計算ですから。今度これは次の問題にします。  そこで、いま大臣から協業化をするというお話がありましたが、そうした合併したときの課税特例について御説明願いたいと思います。
  10. 影山衛司

    影山政府委員 合併あるいは共同出資等によりますところ企業規模の拡大をはかりますため、あるいは近代化を進めるために、中小企業近代化促進法におきまして、第八条で、合併等の場合の課税特例があるわけでございます。この課税特例は、合併をいたします場合の清算所得につきまして圧縮記帳を認めておるわけでございますが、その制度につきまして、本条に基づきまして本法施行後現在までに約四十二件程度課税特例の適用を受けた件数があるわけでございます。
  11. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それぐらいの課税特例ではなかなかみな納得しないと思うのです。  そこで、ちょっと話がもとに戻りましたが、現在中小企業庁は、四十二年の中小企業施策を見ますと、一般会計のうち、一般会計中小企業対策費は一八・七%ふえた。そして三百四十八億円、四十二年度の石炭対策費は大幅に下がって、また財政投資も、新設される環境衛生金融公庫の分を含めて三千二百九十三億円、この程度中小企業構造改善高度化が期待できるとは思わない。そこで一般会計小規模対策費、これはわずか二十五億円にすぎない。こういうことでは指定事業に対するところ補助金は少ないし、また国民金融公庫の一件当たりの貸し付け金が、昨年は五十七万一千円であった。こういう面から見ますれば、もっともっと強力に中小企業対策に対して助成措置をしなければならない。またいまの課税状態でありましても、いま一番困っているのは税金ですから、一千万する機械協業化するために帳簿価格十万円にした。これは確かに固定資産税は安いかしれませんが、それくらいの税金の減税では、とても現在の中小企業はいかないのじゃないか、こう思うわけでありますが、どうでしょう。
  12. 影山衛司

    影山政府委員 合併あるいは共同出資だけに限って申しますというと、税制上の恩典もこれは特別の措置として認めておるわけでございますけれども、そのほかに、たとえば合併をやったり共同出資をやります。——これは近代化促進法指定業種でございますが、そのものにつきましては、従来は中小企業高度化資金対象にいたしておりましたし、今後中小企業振興事業団ができますれば、それの対象にもしていくというふうなことを考えておるわけでございます。合併共同出資等は、今度新設を予定しております協業組合等と並びまして一つ共同化協業化方式でもございますので、中小企業振興事業団対象に積極的にいたしていきたいと思っているわけでございます。
  13. 岡本富夫

    岡本(富)委員 大体ものごとというものは、これらの先のことを見きわめるときには、過去を振り返ってみなければならない。それで統計というものが必要だと思うのです。昨年の近促法によって指定された業種は八十四と聞いておりますが、この近促法によって実際に融資を受けたのは一年間にせいぜい四百社くらい。またある融資を受けたところ製本業をやっている人は、その機械を買ったために、やはりほかもそういう機械を買った。そのために過当競争をやるようになって、その機械代も払えなくなった、金利も払えなくなった、こういうように言っている人がいますけれども、これなども非常に計画性が乏しい。こういう面の指導育成、これについてはどういうように大臣、なさるでしょうか。
  14. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業者近代化を進めます前提といたしまして、やはり中小企業設備近代化だけではなくて、その前提となりますところ経営管理合理化あるいは事業計画というようなものを確立しなければいけないわけでございまして、その前提になります経営管理合理化につきましては、従来から中小企業庁設置以来重点を置いて行なっておるわけでございまして、各県に商工指導所というものを設けておりまして、最近ではそれをさらに拡充いたしまして、総合指導所というような形に逐次持っていっておるようなわけでございます。そういうところ診断員、コンサルタントを設けまして、そういうところがその相談にあずかっておる。あるいは先ほど先生がお触れになりました小規模事業対策として二十五億が計上してございますが、これは小規模事業対策の中の商工会、商工会議所経営改善普及事業補助金でございまして、小規模事業対策はそれ以外にもあるわけでございますが、少なくともその二十五億をもちまして経営改善普及事業、これは小規模事業経営改善向上をはかるという指導を行なう人員でございますけれども、そういうものも設けまして、その近代化前提となるところ経営管理合理化というものも指導をいたしておるわけでございます。
  15. 岡本富夫

    岡本(富)委員 小規模のその二十五億、これについて、それの対象になるところ業者が大体何件あるか、これについて一ぺん計算をして、一件あたり何ぼになるか、こういうものをまた一ぺん考えていただきたいと思います。いまわかりますか。
  16. 影山衛司

    影山政府委員 この小規模事業経営改善普及事業対象となりますところ小規模事業は、大体従業員規模製造業が二十人以下、それから商業、サービス業が五人以下でございます。そういう事業層に対しまして、従来は三百事業所に対しまして一人の経営改善普及員を置くというような基準でもって補助金を計上いたしておったわけでございますが、四十二年度から百事業所に対して一人という基準をもって配置をするということにいたしておるような次第であります。
  17. 岡本富夫

    岡本(富)委員 昨年の倒産企業相当多かったし、きのうもこれは数を言いましたけれども、今後もなお企業倒産が依然として高水準を占めていくと思うのです。したがいまして、この倒産企業に対する、それまでの倒産をさせないところ政府施策としましては、いまのような状態では私は満足ではない、こう思います。  それで、その問題はそれくらいにしておきまして、指定業種に対していまそういうような助成措置をするという話がありましたが、これは政令できめられるらしいのですが、この指定業種決定法についてお聞きしたいと思うのです。
  18. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業近代化促進法業種指定方式でございますが、近代化促進法指定につきましては第三条におきまして、中小企業相当のウエートを占める業種であることと、その業種に属する中小企業生産性向上をはかりますことが産業構造高度化または国際競争力強化促進する、それによって国民経済の健全な発達に資する業種であることというふうな抽象的な基準がきめられておるわけでございます。それに基づきまして、従来は国際競争力強化輸出競争力あるいは輸入防遏という見地から貢献する企業、あるいは産業構造高度化に寄与する企業というようなものを主として選定いたしておったわけでございますが、最近におきましては、物価対策という問題も非常に重要になってまいりましたので、民主安定的ん物資につきましても指定をいたします。それから今後はやはり流通問題も問題になっていきますので、流通の合理化という見地から必要な業種につきましても指定をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  19. 岡本富夫

    岡本(富)委員 まだまだ末端のほうの、すなわちあちらこちらに行って事業所に聞いてまいりますと、指定事業に入っていないところが見受けられます。その面については、きのうあなたのほうから調査をこれから進めるのだということを聞きましたからいいといたしまして、若干不満ですけれども、次の機会に譲りたいと思います。  この間「合成樹脂圧縮又は射出成型加工業実態調査についてお願い」これが通産省の化学第三課から回っておりますが、これを読みますと、「この調査に対して、報告しなかったり虚偽の報告をした場合には罰せられることがあります。」という文句がありますが、これは第何条のどういうところから……。
  20. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業近代化促進法におきまして、第十七条に報告徴収規定がございまして、その報告徴収義務に違反した者については罰則が第十九条で科されておるわけでございます。
  21. 岡本富夫

    岡本(富)委員 「実態調査についてお願い」上の文句と下の文句がずいぶん——これを見て何も知らない人はぎくっとするわけです。ですから、第何条にこういうことがあるからと、もう少しことばをやさしく、あるいはわかりやすく説明を加えていただきたいと思うのですが、どうですか。これはびっくりしますよ。
  22. 影山衛司

    影山政府委員 どうも先生指摘のように、役人の作文はえてしてそういうように固くなるわけでありますが、私どもとしましては、できる限り中小企業者に親切な表現を使うようにということを最近は指導しているような次第でございまして、今後そういったことについては気をつけていきたいと思います。
  23. 岡本富夫

    岡本(富)委員 指導はしているのだけれども下のほうでやらなかったということですが、今後は特に気をつけていただきたいと思うのです。これは現在の通産省中小企業責任者である長官が、長官直接というわけにはいきませんでしょうが、中小企業の方と若干話し合うという機会が必要ではなかろうか。ただ調査員を出して、そしてそれだけのものでやっておるのでは、机上の空論になって、こういう意思の疎通を欠く、すなわち愛情のないところやり方である、こう思うのですが、御意見はどうでしょうか。
  24. 影山衛司

    影山政府委員 私といたしましても中小企業実態というものを現実に把握いたしませんと、中小企業対策というものも進んでいかないわけでございます。特に最近におきましてはいろいろと中小企業をめぐる環境変化というものも激しいわけでございますので、できるだけ中小企業者皆さん方ともひざをつきあわせて話をしながら、中小企業対策は進めていきたいということが念願でございまして、できるだけそういう機会があるたびにそういう話し合いはいたしておるような次第でございます。
  25. 岡本富夫

    岡本(富)委員 非常に素朴なお願いのような話をしましたけれども、よろしくお願いいたします。  次に、これに関連したところ信用保証制度がございますが、この保証料について東京の場合は保証料率が日歩四厘九毛、川崎の業者は三厘七毛、こういうように保証率が違う。その差はわずか一厘二毛、こういうような状態ですが、この一厘二毛は非常に中小企業にとってはたいへんだ、これはものの本ですから私も調べておりませんけれども、その点についてはどうでございますか。
  26. 影山衛司

    影山政府委員 信用保証協会保証料につきましては、先生指摘のように、どうもまだばらばらな点が多いわけでございます。昨年に相当程度引き下げをいたしまして、できるだけ平準化をいたしたわけでございますが、今後とも保証料低位平準化するという方向で努力をしていきたいというふうに考えております。先ほど先生指摘東京信用保証協会につきましては、従来四厘九毛でございましたけれども、この四月一日から三厘九毛に引き下げるということになったはずでございます。
  27. 岡本富夫

    岡本(富)委員 もう一度こちらも調べてみないとわかりませんけれども、同じ役所がやるのに各県、各所によって保証料が違うというのはどうか、国民は納得がいかないと思います。ですから、この点も、あなたが話されたように、低位に統一しあるいはまたできるだけ下げていただきたい、こういうように思います。  次に、いよいよ資本自由化となってまいりましたので、これによって大きな打撃を受けるのは中小企業です。それにもかかわらず、いま大企業が非常に中小企業分野に乗り出してきている。これに対するところ分野調整の意図ありや、またどういうように考えておるか、それについて若干お伺いしたいと思います。
  28. 影山衛司

    影山政府委員 資本自由化に伴ないまして、外資が大企業と提携いたしまして中小企業分野に進出してくる可能性も大いにあるわけでございますが、その点につきましては、まず基本方針といたしまして、中小企業分野への資本自由化というものはきわめて慎重に運んでいくということが基本方針でございますし、また個別審査の段階でこれを入れていきます場合におきましても、認可権というものは残っておるわけでございますので、その際に、認可条件といたしまして、たとえば近代化促進法指定業種につきましては、その近代化がある程度達成されるまではこれを猶予するとか、あるいは生産量制限するとかいうような条件を付して、中小企業者影響を与えないような方法をとりたいというようなことを考えておるわけであります。そういう点によりまして、資本自由化に関連して大企業外資とが提携して中小企業分野に入ってくることをできるだけ影響を少なくなるように努力をしていきたい、このように考えておるわけであります。
  29. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いまのような答えでは若干満足ができません。ですから、これはもう一度次の機会にやりたいと思います。  時間がありませんから、最後にもう一点。現在、中小企業協業化、あるいはまた促進法、いろんなこういうものを政府が考えて打ち出されますけれども、長年しいたげられてきたところ中小企業は、ほんとうに政府施策をそのまま受け入れ、そうして安心していけるのかどうか、これに対して大きな不安を持っております。したがって、今後の中小企業の展望、ビジョンといいますか、これを明らかにし、またこれにはこうするというような、もっと明らかに平易にわかるようなやり方お願いしたい、またビジョンを打ち出してもらいたい、こういうように思うのですが、どうですか。
  30. 影山衛司

    影山政府委員 日本の経済構造といたしまして、中小企業と大企業との間に格差があるということになっておるわけでございまして、その格差の解消をいたしまして、将来中小企業問題のない中小企業に持っていくということが、中小企業基本法にも述べられておるところ中小企業対策ビジョンであるわけであります。そういう点につきまして、今後ともいろんな施策を活用いたしまして、また中小企業皆さん方はいろんなわれわれが用意いたしておりまするところ施策をまだ十分よく御存じない点もありますので、そういう点につきましての啓蒙指導という点も徹底をいたしまして、皆さんがいろんな制度を活用していただきまして、近代化をはかっていくということをしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  31. 岡本富夫

    岡本(富)委員 なぜいろいろと打ち出されるところ政府のこの協業化の問題にしても促進法の問題にしても安心して中小企業がそれを把握し乗ってこないか、それは根本的にいまの答弁では非常に納得いきかねる。ですから、もう一度はっきりと今後の中小企業のあり方、あるいはまた何年たったらこうなる、あるいはこういう援助があるんだということを打ち出していただきたい、また打ち出すべきだ、こう私は思います。いまの答弁では非常に不満です。
  32. 影山衛司

    影山政府委員 先生指摘の点は、おそらく、小規模零細企業体人たちが安心をして今後中小企業近代化施策のほうに乗っていけるかどうかという点についての御質問であろうと思うわけでございますが、どうも、共同化協業化を進めておったり、いろんな施策を私ども打ち出しておるわけでございますが、小規模零細層の切り捨てではないかとか、あるいは小規模零細層対策が忘れられておるのではないかというような御指摘がよくあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、たとえば、この振興事業団をつくりました場合にも、小規模零細層人たちが乗っていけるようにするために振興事業団をつくったわけでございます。あるいは、小規模零細層対策といたしましても、今度は完全給与制税制上の措置を四十二年度からとることにいたしましたけれども、そのほかにも設備近代化制度、あるいは機械類貸与制度、あるいは共同工場貸与制度というようなものがございます。それから、信用保険制度につきましても、特別小口保険、無担保保証保険というような小規模零細層を頭に置いた施策というもの、あるいは、国民金融公庫はまさに小規模零細層のための金融機関でございまして、二百万円までは無担保で貸せるということになっておる次第であります。私どもといたしましては、そういう施策に乗っていけるように小規模零細層人たち指導して、そういうところへ誘導していかなければいけない、その指導対策にも今後力を入れていきたいということをいま申し上げたわけでございます。中小企業者皆さん方が安心して近代化を行なっていけるようにしたいのが私ども念願でございます。
  33. 岡本富夫

    岡本(富)委員 何かわけのわかったようなわからぬような、中小企業金融中小企業者零細のほうは救えるのだというように言っておりますけれども、事実、中小企業人たちがそれを利用しようとすると非常にむずかしい。その規定に合わさないようにしているのか、なかなかうまくいかない。この点についても、もっと愛情あるところのものにして、また、もっと簡略にして、必要であれば、これとこれとこうなんだということが簡単にわかるようにして、何べんも何べんも足を運ばずにいけるような状態にやってもらいたいと思うのです。この問題については、時間がありませんので、次のときに質問しますが、またいまのようなわけのわからない答えをなさらないように、これはこうだ、これはこうだということでひとつやってもらいたいと思います。  きょうはこれで終わります。
  34. 島村一郎

    島村委員長 この際暫時休憩いたします。    午前十一時十三分休憩      ————◇—————    午後零時九分開議
  35. 島村一郎

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。佐野進君。
  36. 佐野進

    佐野(進)委員 中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案について、若干の時間質問をいたしたいと思います。  通産大臣質問をいたしたいと思います。  私は、中小企業近代化促進する、現在、資本自由化を控えて、一番そのしわ寄せを受けるであろうといわれている中小企業者に対して、その近代化促進する措置をとるということはきわめて時宜に適したことだと思うのです。しかし、時宜に適したことであるけれども近代化促進法の一部を改正するという観点から見るならば、単に中小企業指定事業の範囲におけるいわゆる制限をなくする、あるいは償却のための特例の中における制限をなくする、こういうことで、何もわざわざ法案を改正しなければならぬということはないんじゃないか、行政上の指導においても当然できるんではないかという気がしてしようがないのです。そのことは逆のことばで言えば、中小企業近代化促進について一生懸命やっていますよというゼスチュア法案じゃないか、そんなような気がするのですが、この改正案を特にこの時点で出す最大の目標について、ひとつ政治的な意味で御答弁願いたいと思うのです。
  37. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この一部改正は、要するに、中小企業近代化のため税制や何かの範囲を拡大するという意味でこの一部改正案を出したものであります。いままでも相当な効果をあげておりますが、これは範囲を拡大してやっていきたいということで、それは法律を改正しなければならぬということでやったものであります。
  38. 佐野進

    佐野(進)委員 ですから、またことしも、この促進法に関係する指定事業というものについて、通産省の出しておる中小企業の四十二年度において講じようとする施策という形の中で十幾つかの業種をきめようとしておるわけです。したがって、現行法上における近代化促進の手続についてはまだまだ拡大しなければならぬし、充実しなければならぬ面が多いと思うのです。その面については、先ほど来の質問の中で御答弁等があったように、全体的な効果はあがっていない、一部に限定されておるといわざるを得ないと思うのです。まだまだこの法の趣旨に基づいて中小企業者近代化をはかろうとする、そういうことについての積極的な盛り上がった形の中における取り組みが行なわれていないというときに、あえてその上の壁をなくするということで、中小企業の上のほうに対する取り組みについて熱意を示しながら、実際に近代化促進に該当する下のほうというか、いわゆる中小の中においても零のほうに対して施策がおろそかになってくる可能性があるんじゃないかという気がするのです。したがって私は、政治的にこの問題を特にこの時点の中で改正をしなければならぬということの中で、中小企業対策という本来のあり方からはずれて、何か形式的に、このことが近代化になるんだという特定の業種だけに焦点をしぼっての改正案のような気がするのですが、この点について大臣の見解をひとつ聞いておきたいと思います。
  39. 影山衛司

    影山政府委員 今回の近促法の改正は、先ほど大臣から御答弁いたしましたように、ただいまのところ中小企業近代化促進法の定義におきまして中小企業者と定められておるものが税制の恩典に浴する範囲というもので限定をされておったわけでございます。それをその中小企業者の本来の範囲まで拡充していくということでございまして、これは税制上の特別措置見地だけからの改正でございます。またそれは技術的な問題でございますので、軽微な改正といえば軽微な改正でございますけれども、やはり必要性は認められるわけでございます。  ところで、この今度の改正によりまして中小企業の範囲が多少上のほうに拡大されるんではないか、下のほうについては恩典が薄くなるんではないかという御質問でございますけれども、たとえば金融の面等におきましては、上のほうへ中小企業の定義を拡大いたしますと、限られた範囲内の資金量の中において、配分が上のほうにいくか下のほうにいくかということが問題になるわけでございますけれども税制上の措置につきましては減税のワクというものがあるわけでございませんで、やはり小規模零細層もこの基準に該当するものにつきましては十分な適用があるわけでございます。減税のワクというものがございませんので、そういう点につきましては、上のほうに広げたからといって下のほうに手薄くなるということは考える必要はないのではないかというふうに考えるわけでございます。
  40. 佐野進

    佐野(進)委員 私はそこのところを申し上げておるので、政治的に御答弁を願いたいと言ったことはそういう意味を含んでおるのです。私はあとで中小企業庁の行政面について中小企業庁長官に聞きたいと思っておりますが、これは関連して聞きたいと思ってあとにしたのですが、税制上の措置でいわゆるワクをはずした、その面からするならば、中の下のほうと零細に対して何ら影響を与えるものではない、こういうことを言われておるのです。概念上はそのように解釈していいと思うのですが、実際の指導上の面からいうと、中の下のほうと零細のほうに対して近代化をどうはかるかということが焦眉の急ではないか。いわゆる中小企業の中の下の部面については、大企業に匹敵する競争力、あるいはそれに対する設備の拡充、ないしはその他いろいろな金融面における対策もでき得る条件を持っておるわけでありますけれども資本自由化を控え、あるいは一般競争の激烈な状況の中で、手を差し伸べなければならない対象者に対して、ことさら中小企業近代化促進法の一部を改正する法律案としてこの時点の中で通産行政の一つの大きな柱として出しておきながら、問題の内容を見るとき、税制上の優遇措置中小企業規定する、全体に及ぼすんだ、こういうことにするその真意が、私は、中小企業行政に対する政府の取り組みとしてちょっとおかしいんじゃないか、こういうような気がするわけです。いわゆる名目だけよくて実質的にはたいして効果をあげなくてもいいんだというような政策のあらわれじゃないかというような気がするので、政治的な部面から、これらについて提案するに至った経過の中でもっと明確に判断した結論を聞かしておいていただかないと、あとの質問に入りきれないと思うのです。
  41. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 御質問は大体零細企業に対してどういうような対策を講じておるかという御質問かと思いますが、この近代化促進法に限らず、零細企業については、昨年度から無担保保証の制度を設けましたし、それからまた中小企業の共済制度を設けましたし、あるいはまた個人企業であれば、家族専従者の減免の法も設けたり、完全給与の法も設けたり何かしまして、われわれといたしましてはやはり自立のできない中小企業を助けるという方針でいかなければならぬ。自分らの力でやっていける中小企業は自分らの力でやっていくのですから、自分らの力でやっていけないところ政府が助力するところにこの中小企業対策があると思うのでありまして、そういう意味でいろいろ考えてやっておりますけれども、まだあるいは行き足らない点があるかもしれない。それはまた今後いろいろ皆さん方のお知恵をお借りして、そういう不十分な点はひとつ今後また改善していきたい、こう存じておる次第であります。
  42. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣答弁で私なりに解釈すると、中小企業近代化促進法の一部を改正する法律の趣旨も、単にその制限をはずすという、税制上におけるあるいは償却における特別措置のそのワクをはずすということだけでなく、全体的にむしろ中の小ないし零細企業全体についてそれぞれの関連する面において、その近代化促進する意味においても効果があるのだ、こういうふうに考えておるというぐあいに理解して次に進みたいと思うのですが、それでいいかどうか、ちょっと大臣の見解を聞いておきたいと思います。
  43. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 御意見のとおりです。
  44. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで私は、この法律の改正の内容そのものはきわめて簡単なものであるから私自身も理解できるので、その内容についての条文的な質問を差し控えるとして、これに関連する中小企業近代化促進の状況等について二、三点質問をしてみたいと思います。  まず第一に、中小企業近代化促進するという意味で、近代化促進法施行令の中で八十幾つかの業種をきめて、指定業種ということに現在しておるのですが、これに対してさらに本年度十幾つかの業種を追加しよう、こういうことにいたしておるのですが、毎年毎年幾つかの業種指定していくという意図はどこにあるのか。何も毎年毎年でなくったって、近代化促進する必要があるとするならば、全体的に審議会等を通じて、審議した結論に基づいて一挙にやってもいいんじゃないか。一挙にやり得ないその条件はどこにあるのか、それをひとつ聞かしてもらいたい。
  45. 影山衛司

    影山政府委員 近代化促進法指定をいたしました効果は、一つ税制上の特別措置等が受けられるわけでございますけれども、基本的には業界と政府とそれから学識経験者の三者が一緒になりまして、中小企業の基本計画をつくって、それを進めていく、あるいはその前提としての実態調査を行なっていくということでございます。それにつきましては、やはり大前提となります業界のそういうことをやっていこうという自主的な意欲の盛り上がり、あるいはそれの受け入れ態勢、あるいは組織化というものがある程度整っておりませんと、指定をいたしましても、実態調査もできないし、あるいは近代化の基本計画もできないというようなことになるおそれがあるわけでございます。そういう点からいたしまして、われわれのほうとしましても、そういう業界の体制を逐次整備しながら業種指定をいたしていきたいということでございます。
  46. 佐野進

    佐野(進)委員 しかし、いまのような説明でまいりますと、四十二年度においても幾つを指定するのかわかりませんが、現在指定されておる八十幾つかの業種の中でも、いま説明があったように、完全に業界との話し合いがつき、近代化についての特別の措置ができ得る、こういうような具体的な対策が講ぜられてない業種がまだ相当あるんじゃないかと思うのです。そうでなく、すでに指定された全業種について、それぞれの対策が立てられておるなら立てられておるでけっこうなんですが、現在における指定業種促進法上における措置をどのようにとっておるか、ひとつ聞かせてもらいたい。
  47. 影山衛司

    影山政府委員 近代化促進法に基づきまして三十八年度以来四十一年度まで八十四の業種指定されておるわけでございますが、そのうち実態調査に大体一年ぐらいかけてやるわけでございます。その実態調査が終わりまして近代化基本計画が作成された業種というのは六十四業種でございます。あとの業種につきましては、ただいま実態調査をして近代化基本計画を作成の段階にあるわけでございます。
  48. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、六十四の業種についてはすでに実態調査が終わっておるということですから、これらの業種については促進法のもとにおける特別措置が講ぜられる、こう解釈していいと思うのですが、これらの業種の中において、指定された時期以降において中小企業者として倒産が事実上起きたのか起きないのか、その指導に基づいて近代化促進する特別措置という形の中において、企業倒産業種的にどの程度起きたか、他の指定産業でない業種との間に現実に差が出ておるのかどうか、わかれば教えてもらいたいと思います。
  49. 影山衛司

    影山政府委員 倒産近代化促進ということ、促進法指定ということについては、必ずしも関連づけて考える必要はないのじゃないかと思うわけでございます。と申しますのは、現在日本経済というのは、御承知のように自由競争経済にもうなっておりますので、そこで対応できないところ企業倒産をしていくという現象も起こってくるわけでございます。そういう点からいきまして、必ずしもこれを関連づける必要はないわけでございますけれども、最近の傾向を一般的に申し上げますならば、昭和四十一年度の一年じゅうの倒産につきましては、むしろ製造業倒産件数というのは四十年に比べまして減っておるような状況でございます。そういうことで、従来主として近代化促進法につきましては製造業を主として指定をいたしておりますし、そういう点から見まして、一般的に申し上げますならば、製造業については近代化の効果もある程度出てきておるということを申し上げられるかとも思うわけでございます。
  50. 佐野進

    佐野(進)委員 だから、近代化をはかるのは何も倒産を避けるためにするのではないんだ、結びつけなくてもいいんだ、こういうような説明です。何も倒産を防ぐために近代化するということばかりじゃないが、しかしいま大臣が、資本自由化の問題についてたびたび質問があり、それに答弁をしておる経過の中においても、あるいはまた中小企業近代化こそ日本経済の繁栄の一つの基礎であるというような——基礎というのかそれはわかりませんが、そういうような見地からするならば、中小企業近代化をはかるのに倒産とか企業実態はどうなってもかまわないんだ、ただ形式的に近代化が行なわれたらいいんだということに、いまの答弁ではそう聞かざるを得ないわけです。そうすると、企業近代化というのは一体どこに通産行政としての目標を求めておるのか、その点ひとつ明確に聞かしておいていただきたい。
  51. 影山衛司

    影山政府委員 私の説明が多少足らなかった点がございますが、まず第一番目に、中小企業近代化促進法指定業種の中でも倒産がないというわけではないのでございます。私ども近代化促進法に基づき指定をいたしましてその近代化を進めておりますのは、終局的には、そういう自由競争経済の中におきましても倒産には立ち至らないように持っていきたいというのが終局の目的であることは当然でございます。
  52. 佐野進

    佐野(進)委員 すると、さっきとだいぶニュアンスが違ってきたのですが、私はいまの答弁なら了解できると思うのです。そういう見地からすると、八十四業種あるいは今度新しく加えようとする業種は、業種決定に際してあまりにも総花的な行き方になり過ぎているのではないかという気がするのです。中小企業近代化促進法の施行令の中でそれぞれ業種を見ておりますと、この業種が何もいけないのだということではないが、あまりにも総花的になり過ぎた。ことしさらに十幾つ加わるとすると、百幾つになるわけですね。それらについて中小企業庁なり通産省なりが、近代化促進をはかるのだということでこの方針に基づいていろいろな措置をしようとしても、審議会においての審議を通じてそれぞれ基本計画を作成しようとしても、途中でとまってしまう。事実上におけるそれらの面についての具体的な措置までいき得ない、いわゆるかゆいところに手が届くという施策には通じないのじゃないか、こういう懸念をするのですが、これらについて見解をひとつ聞かしてもらいたい。
  53. 影山衛司

    影山政府委員 近代化促進法指定業種が総花的になっておるかどうかという点でございますが、私どもといたしましては、中小企業業種というのは非常に多いわけでございますので、できるだけ中小企業近代化促進法の趣旨にのっとる限りは指定をして近代化促進していきたいということを考えておるわけでございますが、ただ、その基本計画等をつくり、あるいは実施計画等をつくりましたのを、さらに下部にまで浸透をさせていくということが必要なわけでございます。これは実施の推進協議会というようなものもつくりまして、各府県あるいは各通産局というようなものも協力をすることにいたしまして、その近代化の趣旨を徹底し、あるいはその前提となるところ指導というものも進めていっておるような次第でございます。
  54. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、各都道府県の意見等も聞きながら措置を進めていくということですが、具体的にたとえば東京なら東京という例をとった場合、東京で、そういう八十四の中で六十四が調査を終わったということですが、調査を終わっただけでなく、具体的にそういう指導に入った業種もあると思うのですが、一体幾つあるのか、それをひとつ教えていただきたい。
  55. 影山衛司

    影山政府委員 東京都内に限ってと申しますと、ちょっとそういう観点から調査はいたしておりませんので、幾つというふうにはお答えできないのでございますが、東京都内には非常に中小企業業者数も多いわけでございますので、相当数の業種東京都内にあるというふうに考えておることを御了承願います。
  56. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣にちょっと御質問申し上げたいのですが、中小企業近代化促進法昭和三十八年の三月三十一日にきまり、施行令は九月二十五日にきまっておるのです。もうすでに四年近くの年月を経ておるのです。しかし、いま長官が言われるように、非常にこの措置というものは机の上における論議で、税制上における優遇措置をするとは言いながら、全日本における中小企業近代化をはかろうとする意欲を持つ業種、業界に対して、何らと言ってもいいほど直接的な成果が見られていないということは、私はたいへん残念だと思うのです。いまの程度答弁では全く不満足だといわざるを得ない。さらにここでこういう法案を改正しようという意思が一体どこに生きてくるのかといわざるを得ないと思うのです。したがって私は、たとえば中小企業近代化促進法における法案の内容をずっと見た場合、この税制上における措置よりも、現実に中小企業近代化し、国際的な競争に打ち勝って、いわゆる中小企業者が大資本の圧迫をはねのけながら存立していくことができる、これは製造業に一応限定してもいいですが、そういうような対策は具体的なものとして幾つかをあげてしかるべきではないか。重点的なものが全然ないというのはおかしいのじゃないか、こういう気がするのですが、大臣の見解をひとつ聞かしてもらいたい。
  57. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまの御質問の御趣旨がはっきりしませんで、この近代化だけでは中小企業近代化ができないのじゃないかという御趣旨であったかと思いますが……。
  58. 佐野進

    佐野(進)委員 そうじゃないのです。じゃあもう一回。  私は、近代化促進法というのは非常にいいと思うのですよ。そしてこの施行令に基づく業種指定もいいと思うのですよ。それぞれやってこられたことについては敬意を表したいと思うのです。しかし、単なる空文であってはいけないと思うのです。やるんだやるんだといって予算をとっても、そのやるという成果があらわれなければ何にもならぬじゃないか。その成果が具体的にこの四年間にどういうところにあがったか、ひとつ教えてもらいたい、こう言ったところが、さっき具体的に答弁がないわけですよ。したがって、そういう点については、そういう状態にしておきながらこの法律を改正して、さも中小企業近代化促進のためにやってますなんということは、ちょっと言い過ぎじゃないか、こういうような気がする。だから、その点について重点的なことがあるのかないのか、やる気があるのかないのかということを聞かしてもらいたい、こういうことです。
  59. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この事例についてはまた長官からお答えすると思いますが、いままでこの法律の効果があったから、なおこれは拡大していきたいということで今度の一部改正をお願いしたのであって、いままでやってみて効果のなかったものなら何も改正する必要はないと私は思います。効果があったればこそ、ひとつなお拡大して近代化をやっていきたい、こう念願しておるのでございますから、その点ひとつ御了承願いたいと思います。
  60. 影山衛司

    影山政府委員 近代化促進法指定をいたしました結果の効果でございますけれども、これにつきましては、私どものほうで一応の調査をした結果がございますので、御報告申し上げます。  近代化計画の実施に入りましてから現在まで、三十九年度と四十年度、それから四十一年度の三年度を終了した段階でございますが、四十一年につきましては現在調査中でございますので、三十九年度と四十年度の実績を、それぞれ年度ごと業種別に近代化の実施計画を定めておりますが、その目標と対比してみますならば、次のようになっているわけでございます。  近代化の実施計画あるいは基本計画につきましては、まず生産増加の目標をきめておるわけでございますが、昭和四十年度につきましては、業種の中で八〇%の業種が目標をおおむね達しあるいは目標を上回っておるという結果が出ておるわけでございます。それから輸出増加の目標も、おのおの業種別に上がっておるわけでございますが、四十年度におきましては、六三%の業種が目標をおおむね達しあるいはそれ以上になっております。それから設備投資の目標もきめておるわけでございますが、四十年度は、不況の影響もございまして、五八%の業種が目標を達成しておるというようなことになっております。一方、性能、品質等の向上の目標も掲げておるわけでございますが、昭和四十年におきましては、この実態把握のできました中で五五%が大体目標を達成しております。それから生産費のコストの低下の目標も掲げておるわけでございますが、約八〇%の業種が一応の計画目標をおおむね達しておる、まあそういうふうな実態調査が出ておるわけでございます。
  61. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで、いま目標が達成されたということですから、これはまたあとで、委員会の席上でなく詳しくひとつ聞いてみたいと思うのですが、私は、その目標が、この近代化促進法上における基本計画第三条ないし第四条等に基づいてそのようなものが出たのかどうか。まあ出たというぐあいに説明されるので、そのように聞いておきたいと思うのですが、さっき言った倒産の問題について、それぞれの指定業種の中における倒産件数もできたらあとで調べておいてもらいたいと思うのです。それはそれとして、そうすると、そういう幾つかの業種、八十四の業種があるけれども、私は東京都出身者だから、東京都という例をとって申し上げてみたいのですが、東京都においては、工場の中で一番多い比率を占めているのが皮ですね、皮製品なんです。全国に対して四六・五%の比率を持っておる。いわゆる半分近く皮製品と皮の製造の工場が集中しておるということです。しかもその集中している度合いが、私の選挙の地域の中に非常に多いわけです。これを見たとき、それがいいとか悪いとかいうことじゃなくて、近代化促進し、その地域の中に非常にきわだった変化——これは業種の中で指定されておるわけですね、そしてその実態が、近代化促進で、その精神に沿って大きく変化したという事例を全然見ることも聞くことも私としてはできないのですが、いろいろなものがあるけれども、この業種ひとつをとって聞いてみたいと思うのです。その実態はわかりますか。
  62. 影山衛司

    影山政府委員 先ほど申し上げましたように、業種の数が八十四と非常に多いわけでございます。それから基本計画はさらに小分類で百十四つくっておるような次第でございますので、ただいま手元に残念ながら皮及び皮製品についての基本計画あるいは実施計画あるいは実態調査というものを持ち合わせておりませんので、また資料をもって提出させていただきたいと思います。   〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕
  63. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣、いま私が質問したように、東京都という一つの例をとっても、全国におけるその生産量の半分、中小企業、ほんとうの零細企業で半分近くの生産量を持つ東京一つ企業に対してどのように指導したかということになってくると、いま私が質問したことに対してすぐ答えられないというのが現実だと思うのですよ。これはいい悪いはともかくとして。しかしこれは、その地域の特殊性を私はわかるから非常に激しく強く感ずるのですが、大臣やなんかわからないからその意味はわからないけれども、あの地域に行って、一たびそのにおいをかぎ、その工場の実態を見、その流通過程を見、その内容を分析することができたとしたならば、近代化促進法における基本計画あるいはまた実施計画の中で、いまの時点の中でこれこれこうだというようなことが四年の段階の中で行なわれ得てしかるべきだったと私は思うのですよ。これは東京都の都民の生活で、毎年出しているパンフレットですが、この中でいつも取り上げられておる問題の一つになっておるわけです。したがって、そういう面から見て、これらの地域に対しても、その環境に対しても、幾多の問題点を持っておると思うのですよ。それができないような、それに対して十分な施政を講ぜられないような形の中で近代化の線をもう少し幅を広げるのだというのはちょっとナンセンスじゃないかという——まあ大臣は出しているんだから、おれはそう思わないと言うのはあたりまえだろうけれども、私の目から見れば、そんなような感じがしてしょうがないのです。したがって、先ほど来申し上げているとおり、全業種の中において、ほんとうに外国なり国内産業なりこの目的に書かれてあるようなことを実現したいとするならば、いま少しくあたたかみがあるというか、誠意があるというか、これは東京都を指導してもいいのですが、やっていかなければならぬのじゃないか、こういうように考えるのです。これは政策問題ですから大臣からひとつ考えを聞かしていただきたい。
  64. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまの東京都の皮製品について、実は私も一昨年公害対策の関係であの地区へ行きました。これは公害対策という立場から何とかしなければいかぬということで、地元の人に案内してもらって視察したのでありまして、なるほどこれは公害であるという感じがしたのですが、それについていろいろこういうようにしたい、ああいうようにしたいという地元の御要望を承りました。特別にあそこだけは公害対策のほうで事業団で資金の融資をしたはずだと私は思っております。そういう意味で、事業団の事業目的を言うてきておるところへ視察に行ったのですからして、まあその後よくなっておるのじゃないかと思うのですけれども、いまお話しのとおり、私一昨年行ったときには実際これじゃ公害だという感じもしたのであります。しかし皮製品については、あなたの言われるところでは、一向近代化してないじゃないかというお話でありますが、私が大阪で関係しておるところは、非常に近代化をして効果をあげておりますから、これは業種業種によって違うのでありますが、同時に指導者が問題だと思うのですね。やっぱり指導者、これは業種の間の指導者、それからまた同時に通産省並びに東京都庁の指導者、そういう指導者がやはり親切に指導していくということが必要だと思うのです。今度中小企業対策をいろいろ出しておりますけれども、私が一番心配するのはやっぱり問題は指導者です。りっぱな有能な指導者を見出し、有能な指導者を育成していくというところにあるのであって何ぼ制度法律をつくったところが、何もいい指導者がいなかったら実際効果があるものじゃありません。だから問題はりっぱな指導者を見出すということであって、そういう点において、今後中小企業対策の問題も、ただ制度をつくってそれで通産省満足しておるというようなことではいかぬということで、そういう意味で通産省の者には私は指導しておるつもりであります。お話の点などはもっとよく調査させて、近代化実施の名においてやったけれども実際実効があがっていないかどうかということについては、もう一度調査させてみたいと思います。
  65. 佐野進

    佐野(進)委員 中村理事のほうから、きょうはだいぶ私のほうで手違いがあっておこられたのですが、もう一問ぐらいで保留しろ、こういうことです。私はきょうは、実は中小企業近代化促進法の問題に関連して、通商産業行政の中において近代化促進するについての行政的な統一についてどうしても大臣に聞いておきたいと思ったのですが、これはやっぱりやりだすとちょっと時間が長くなりますので、いまのところ保留しておきたいと思うのです。  最後に、いまの問題に関連して、近代化促進法業種的にその対象をきめてそれぞれ取り組みをしておるのですが、業種的な面はもちろんあるとしても、地域的な面について、業種の中に地域性を加味するという形のことについてどのような施策が講ぜられておるのか。私もずいぶん読んでみたのですが、新産都市とかその他いろいろなことがあるけれども近代化促進法上における地域性を業種性に加味したということについてはあまり出てこないのであります。あるのかないのか一応聞いておきたいと思います。
  66. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業業種は多くは産地産業でやっておる場合が多いわけであります。中小企業近代化促進法業種指定をいたしました場合におきましても、実施計画をつくり、あるいはそれを先ほど申し上げました実施の各協議会等においてアプライしていく場合においては、産地というものを前提にして推進していくわけでございまして、診断制度等におきましても、産地診断の制度というようなものもあるわけでございまして、そういう点も活用いたしまして、産地というものを頭に置いて進めていきたいということになっておるわけでございます。
  67. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、産地制度というのが地域化とどのような結びつきがあるのか、私もまだ研究しておりませんからよくわかりませんが、いずれにしろ、指定された特定の業種が一カ所に集約するということは無理な場合も相当あります、八十何ぼあるいは百幾つになっていくという場合においては。しかし、その数多い業種の中において自然的に一定地域に集中されている業種というものも相当あると思うのです。これらについて、一つの地域、その地域の近代化をはかるたてまえからいっても、あるいはその業種近代化をはかるという関連の面からいっても、今日の生産工場、そういう面においても、何か特別の措置促進法上において近代化の中で考えるべきことが必要じゃないかという気が、私は概念的にしかつかんでいないのですが、そんなような感じがするのですが、将来の方向でもけっこうですから、そういう面について、いまのただ産地主義に基づくだけではなくして、地域的な中におけるそういうことがはたして事実上この法律の精神からいうならば可能なのか不可能なのかお聞かせを願いたい。
  68. 影山衛司

    影山政府委員 地域的な問題につきましても、中小企業近代化の実施計画の中に今後とも盛り込んでいきたいと考えるわけでございます。団地あたりをつくります場合にも過密都市対策あるいは公害防止対策というような点も加味して中小企業の団地等も育成していきたいと思う次第でございます。
  69. 佐野進

    佐野(進)委員 それでは時間がきたようでありますから、あと保留をいたしまして、質問を一応終わりたいと思います。
  70. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 それでは塚本三郎君。
  71. 塚本三郎

    ○塚本委員 大臣に時間が少ないようですから最初にお尋ねしますが、近代化の問題につきまして、政府が考えてみえる近代化というのが、すべての面にわたって大型化であり、大量生産化であり、さらにまたコストを下げるということにすべてが注がれておるような感じがいたすわけでございます。確かに下請企業に対してはそのことが最も大切な要素になっておると思いますが、しかし中小企業の置かれた現況からすると、もっと別な分野というものにも力を注いでいかなければならないような気がするのですけれども、その大量生産化とか、こういうふうなほかで近代化ということで打っておられる施策についてちょっと説明していただきたいと思います。
  72. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 近代化というものは結局は生産性を高めるということです。生産性を高めて経営が安定していくというところ近代化だ、それが根本のねらいだと、こう私は考えております。
  73. 塚本三郎

    ○塚本委員 そういたしますと、生産性を高めるということに全力を注いでおりますると、そのことの方策は何かということを具体的に言いますると、共同化とか、協業化とか、機械化とか、こういうことにすべて集中されてしまう。そうすると、やがてこのことは大企業との実は競合になってしまって、行きつく先は共倒れになるという心配がありはしないか。過去の例から言いますると、そういう点が心配されるが、どうでしょうか。
  74. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 中小企業の今後の発展ですが、いままでの経過から申しますと、決して中小企業自体は斜陽産業でもありません。また白書にも書いてありますとおり、中小企業は日本の経済の発展とともに発展しております。大企業と同じ業種については、大企業中小企業とのそこで競争、競合という問題が起こってきますが、そういう場合には、先般来申し上げましたとおり共同化協業化をはかって、そうして大企業と対抗できるようにひとつ中小企業指導していきたいという考えをしておるわけであって、したがいまして、私は、中小企業協業化することによって大企業と対立、対抗ができるのじゃないか、そういうようにひとつ指導したいという考えです。
  75. 塚本三郎

    ○塚本委員 それは避けられない宿命かもしれませんけれども、かえってそういうふうな中小企業零細企業が大量生産することができるような道を開くことによって、逆にその分野資本力の強い大企業がそちらのほうに手を出してしまって、そして実は中小企業自身がそれに対抗しながら、ついにこまの前倒れになってしまうというような実例が非常に多くあったのではなかろうか。すべてがそういう方向に行って、いま政府施策というものは、中小企業近代化協業化であり、あるいは共同化であり、大型化であり、コストの低廉化であり、機械化であり、これは大企業への奉仕化であり、こういう形に宿命のレールが敷かれておるような感じがするのですが、どうでしょうか。
  76. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 大企業に吸収されるというような御心配ですが、大企業に対抗さすという意味においてわれわれ中小企業対策を講じておるのであって、それが結局吸収されるというようなことのないように指導したいということで中小企業対策を講じておるわけです。私が中小企業としても協業化や何かによって要するに生産性を高めるということは、大企業の生産と同じような生産性を持つということです。そういうようにして大企業と対立ができるという意味でありますからして、中小企業といえども、これを協業することによって大企業と対抗するような機械設備なりあるいは資本力を持つというようなことにして中小企業が大企業に圧迫されないようにしていきたい、こう考えておる次第です。
  77. 塚本三郎

    ○塚本委員 確かに通産省の意図はそういう意図で一生懸命やってみえるというふうには受け取られるのです。しかしそれが常に行きつく先は、いま申し上げた大量生産化であり、合理化であり、コストを下げるという、すべて合理化というものですね。近代化はそれだと最初大臣がおっしゃった。文字どおりその道を進むことは、中小企業の個々ばらばらのうちは大企業が手を出し得なかった、それが対抗しようと思って体制を整えると、すぽっと手を差し伸べてしまって、その中小企業分野というものが取られてしまいまして、そしてさらにまた自分たちは自分たちの大企業では手の出し得ないような分野を探し求めなければならぬ。こういうふうな状態に追い込めてしまって、そして結局は中小企業がまた未開の原野をこれから開拓をしなければいけない。こういうふうな宿命をたどっていくような気がしてしかたがないのですが、そういう心配は全然ないのでしょうか。
  78. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 そういう御事例を御存じならば教えていただきたいと思うのであります。私どもの見るところでは、そういう事例はないようにさせたいというつもりでおります。
  79. 塚本三郎

    ○塚本委員 たとえば私は家具屋でございますけれども、極端な表現ですけれども、家具の中でも私は木材家具を扱っておりますが、スチール家具は絶対におそろしくて扱い得ない。なぜならば、大量生産のベルトに乗っておるからでございます。そうすると、もはやこれはほとんど大企業の手に渡ってしまったということです。最初は小さな会社でやっておりましたスチール家具がいわゆる生産合理化、それが通産省の手でなされたと申し上げるわけではございませんけれども、必死になって合理化できました。それが大量生産へといきます。そうしてそのはけ口を、また役所関係に大量に流していくということから、確かに大量生産、コストを下げるということにおいて利幅が小さくなってしまう。しかし設備と資金量によって太刀打ちできるということから、もはや日本におきまするスチール家具は中小企業の手から大企業にと取られてしまったわけです。木材家具におきましても同じような形で徐々にそのような宿命をいま進みつつあるわけです。もともと実は私ども出発は和家具でございました。和家具の場合はそういうことがまだ手が入れられておらない。だからこそ、いわゆる近代化の手の入らないところはきわめて安泰でございます。たとえば、私ども問屋でございますけれども、メーカーのところに行ってみますと、洋家具の問屋というものはすばらしい敷地と、そして製品を山ほど積んでおります。しかし彼らが言いますのは、われわれは運送屋と同じなんだ、運ぶだけの運送の手間賃しか出ないんだという形にさせられてしまっております。そうして大きな敷地の中で、ほんとうにあばら家のような、工場の一すみの中にしか彼らは住まっておりませんし、小さなわれわれのような問屋に対して先に融通手形を書いてくれということをメーカーが盛んに言ってくる。品物を持ってくる前に手形を要求するというのが、いま日本における洋家具メーカーの姿です。ところが、いわゆる近代化のできていない、まあこういう表現は適当であるかどうかわかりませんけれども、和家具の小さいところは、製品も少ないし、場所も少ない。にもかかわらず、和家具のメーカーというものは五人か十人、もちろんこれは人手問題、職人の問題等ずいぶん悩みがあります。にもかかわらず、和家具屋はでんとした家の中に住まって、手形を書いてくれというようなメーカーはほとんどいないのです。それはなぜか、利幅が、和家具の場合は大量生産できない、特徴を生かしておる、だからこそわれわれ問屋が扱ってさえも二割から三割のいわゆるマージンをかけても、デパートや小売りは平気でそれを引き取ってくれる。ところが洋家具の場合、一割以上には断じてできない。それはもう競争が激しいからです。これがスチールメーカーになったら、一割じゃなくて一、二%という形に下がってきてしまっておるのではなかろうか。一たび不況の波が来てつまづいたときには、利幅と金額との差を考えてみたら、片一方は二割も三割もありますから蓄積ができておる。こういう形で、だから私は自分の関係しております事業からそのことを痛切に感じて、近代化ということはけっこうですけれども、そのことがいまおっしゃった形になるということは避けられない。通産省が手を入れなくても、おのずから生き抜くためにはそうしなければならぬかもしれません。だけれども、その速度を早めれば早めるほど、みずからの分野というものを大企業に売り渡してしまうような形になる。もっと極端な例は、そういう形で洋家具のメーカーが、たとえばミシン屋さんなどがほとんどミシンの下請でたたかれるものだから、その台をつくっておるところのいわゆる台企業といわれたメーカーがみんな洋家具になだれ込んできております。私どもの相手方も、ほとんどミシン屋が変わったところ人たち、ミシンの台をつくっておった人たちが洋家具、テーブルやそういうものをつくって持ち込んでくるという形できておる。そうなると、近代化とは何だ。これは家具だけの特徴だとは私は思わぬのです。やはり近代化というものは、一面においてその特殊性を生かすということでなければならぬので、それが一にも二にも二重構造の廃止だとかいうような、十年前に使ったそのことばをいままたそういう形でいく。それは避けられないとしても、やはりあとに残った中小企業者の立場というものは、大きくなりながら、その扱う量が大きいがために、一たびつまずいたときにはたいへんな状態になってくる。家具はそういう状態にあることを、私は自分の商売を通じて知っておるのです。だから下請企業においては、いま大臣がおっしゃったような、近代化ということは確かにコストを下げることなんだと言われますけれども、それが製品として市場に出る場合に、中小企業零細企業においてはそういう深刻な問題をいまかかえておると思うのです。したがって、そこにはやはりあくまで特徴を生かすような施策というものに重点を置かなければいかぬのではなかろうかというふうに思うのですが、どうでしょうか。
  80. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話の趣旨わかりました。大量生産できる品物とできない品物とがあります。いまのお話の和家具などは、その人独特の和家具をつくっておられると思うのですね。だから生産すれば高く売れるし、やはりあの人の作品であればりっぱなものだということで買う。それはそれで生かしてもらいたい。もうすべてのものをみな機械化して大量生産せいという意味ではありません。これはまた個人企業としてりっぱに繁栄する業種もあるのですから、これはこれで技術的な、専門的な、そういう人でなければならないようなものはやはり生かしていかなければならぬ。そういうものもみな近代化で、おまえら一緒に入れというものではないと思うのです。それはそういうものでりっぱに存立してやってもらいたい、こういうふうに考えておりますから、すべての産業が近代化してみな協業化するというようにお考えになるのでなくて、それは協業化し得る産業もあり、また協業化できなくても、個人企業としてりっぱにやっていけるものもある。その人でなければできない家具、そういうものはあります。私の知っている一例を申し上げれば、京都の樽源というたる屋さんは、その人でないとできない。そのかわり高いのです。注文しても二年か三年かかる。そのかわり樽源のたるであれば狂いがこない。それでりっぱな、豪奢な生活をしております。それはそれでまたその人の技術を世間が買うておるわけです。私は一つの技術だと思っておりますが、そういうような業者があるのです。そういうものを大量生産せいというのは無理で、それはそういうことでやっていきたい。大量生産できる品物、大量生産できない品物、それぞれありますから、それぞれによって考えていきたい、こう考えておる次第であります。
  81. 塚本三郎

    ○塚本委員 おことばを返すようですけれども、実はできないのじゃないのです。和家具でも洋家具と同じように完全に大量生産できるのです。たる屋の問題でも、私どもにおけ屋がありますけれども、完全に大量生産ができるのです。しかし一度はやろうとしてやった人たちが、実は生産過剰におちいってしまって、業界全体が危機に瀕してしまったというところから、共倒れのような形で自然淘汰される中で生き残ったという形が、おけ屋でも和家具でも産地においては出ておって、特に和家具なんかでも、私どもウルシの出でございますけれども、それはつぶれる寸前までいったのです。やろうと思えば完全にできるのです。洋家具よりもっと安い資金でこれらは大量生産ができるのです。できるにかかわらずやらなくて生き残ったという皮肉な現象、そのかわり、その場合にはずいぶん大きな犠牲があったと思うのです。だから、いま大臣のおっしゃったようなたる屋さんの特殊技術の個人は、そういう点はまねができませんけれども、業界としてはやればやれる。今日の日本の科学の中ではやり得るのです。やり得るにかかわらず、やる途中において犠牲が出ますね。そのときに先に手を助けてあげたがために、生き延びて、過当競争という形ですが、いわゆる和家具の場合はそれをやって相当の犠牲者が出て、半分以上失業してしまった、だから生き残っていまは安楽になっている、こういう形ですね。だから、それは自由主義経済の宿命であるかもしれない。こんなことまでここで論ずることは酷であるかもしれませんけれども、いま近代化という名前のもとに実は日本の独特のものが失われ、しかもそういう人たちはそれじゃその中で残りが少なくなるかというと、結局はまた別の分野に新しい独自のものを求めていかなければならない。あるとするなら、やはりその分野に対しても強力に何らか手を伸ばして、独特の技術というものを生かすような、そういう方法を——きのう麻生さんのほうからいろいろとデザインの問題等のことがありましたが、そういうことに並行してさらに強い施策を講じていただくということが要求されておるのじゃなかろうか。それでなければ、だんだんと分野というものが狭められてしまって、せっかくある分野自身も削られてしまうというふうに思うのです。これからそういう点にもさらに努力していただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  82. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 要するに、問題は、今後の業種はいかにあるべきかということについての指導ですね。それから、いまのお話の和家具でも、過当競争したわけです。過当競争したために共倒れになったわけです。そういう点もやはり指導していかなければならぬと思います。みんなが自分さえつくったらいいということで一生懸命やって、過当競争をやって、結局みな共倒れになってしまった。それだから、中小企業が共倒れにならぬように今後指導していくということが必要なことであって、何ぼ近代化近代化といっても、それで共倒れになるようなことはいかぬのであって、共倒れにならぬように指導していくということが私はやはり根本だと思うのです。
  83. 塚本三郎

    ○塚本委員 大臣、時間のようですから、中小企業庁長官でけっこうです。  長官にお尋ねしますけれども、私、きのう大臣にいろいろとお尋ねしたのですが、資本自由化によって、国内企業でもそれに対する防衛策というものを相当に講じておる。そういたしますと、その防衛策の中で、たとえば企業統合とか、いろいろな施策が行なわれると思うのです。資本自由化で入ってきたことによって直接に影響を受けるよりも、その対抗策として、国内がそれこそ合理化なり、そういうことによって整理せられてきたり、あるいは親企業との関係を断ち切られたり、二、三すでにそういう実例がある程度問題化しておるようでございます。そういうものに対する防衛策といいますか、こういう意味からいいますると、近代化というよりもその防衛策というふうに申し上げたいと思うのですが、こういう施策というものを具体的に考えられていかなければならぬと思うのですが、その点、具体策はどうでしょうか。
  84. 影山衛司

    影山政府委員 資本自由化が進みますにつれまして、中小企業だけではなくて、大企業を含めまして、日本経済の中で産業構造の再編成ということが行なわれてくるわけでございまして、その中におきまして中小企業者影響をこうむってくるということは予想せられるわけでございます。それに対しましては、基本方針といたしましては、中小企業分野への資本の導入は慎重に行なうということが一つでございますが、基本的には、何と申しましても、中小企業の体質の改善をはかっていくということが問題でございます。これは、近代化促進法等を中心にいたしまして、いろいろな施策を講じていくわけでございますが、もう一つ、大企業自体がたとえば近代化合理化をはかって国際競争力をつけていく過程におきまして、下請等が系列の再編成によって影響をこうむるというような場合も起きてくるわけでございますが、これにつきましては、やはり何と申しましても、大企業中小企業を含めましての、ぐるみの近代化というものを進めていかなければいけないわけでございます。その場合に、大企業中小企業に対してしわ寄せをすることによって大企業だけの近代化をはかっていくということでは困るわけでございますので、そういうことのないように、親企業と下請企業の間の下請関係の近代化というものをはかっていきたいということを考えておるわけでございまして、それにつきましては、今後中小企業近代化促進法におきましても、そういうふうな下請の多いような業種につきましても指定をいたしまして、その実態調査をし、あるいは近代化をはかっていく、親企業との間もそういうことで近代化をはかっていくということを考えておるような次第でございます。
  85. 塚本三郎

    ○塚本委員 それが単に生産の問題じゃなくして、たとえば親企業との関係の契約の切れてしまったというような場合が一、二あるようでございますけれども、そんなのは合理化とは関係のない形で、親企業合理化したために下請は打ち切られてしまったんだ、こういうふうな処置が——事実大企業同士が合併をやってきますると、対等合併ならまだ連れ子同士ということですけれども、吸収というような形だと、自分たちの下請の中でやらしてしまって、向こうさまの下請はほうっておかれる、切られてしまう、こういうような関係も出てくると思うのですね。こんな問題なんか、特殊だというわけにいかぬじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  86. 影山衛司

    影山政府委員 日産とプリンスとの合併の例におきましても、プリンス側の下請というのが多少不利な影響をこうむっておるという事例もあるようでございます。そういう事例につきましても、私どもといたしましは、大企業側の社会的責任というものの自覚を喚起いたしまして、その再編成の場合にも、中小企業の下請に重大な影響のないようにやってもらうということを要請をしておるような次第でございまして、いずれにいたしましても、これにつきましては、大企業のほうの社会的責任を感じての経済的なモラルの問題でございますので、そういう点を喚起をしていきたいということを考えておるわけでございまして、こういう点につきましては、すでに日本商工会議所あるいは経済同友会等を中心にいたしまして、そういう下請を含めての近代化をはかっていきたい、その際に下請にしわ寄せをすることによっての近代化は避けていきたいというような傾向も出てきております。現実に、日本商工会議所で下請問題の懇談会を開きまして、そこには大企業の代表者、それから下請の協同組合の代表者、それから学識経験者、三者が集まりまして、下請関係の取引の公正なルールをきめていただくというようなこともあるわけでございまして、そういうふうにモラルの喚起をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  87. 塚本三郎

    ○塚本委員 いまの懇談会というのは、相当権威のあるような形で取り組まれておるのですか。
  88. 影山衛司

    影山政府委員 会長は三菱電機の関会長がなられまして、メンバーは東芝でありますとか日立とか、それから自動車会社も入っておりますけれども、そういうところの重役さんが入っておるものでございます。
  89. 塚本三郎

    ○塚本委員 そうすると、そういう懇談会の中から出てきた結論らしきもの、そういうものがある程度地方都市へも具体的に何らかの形で流れていくような、あるいはある程度心理的なりとも規制できるような効果というものの見通しはどうでしょう。
  90. 影山衛司

    影山政府委員 これは法律的な根拠があって行なっておるようなわけではございませんので、全くたとえば日本商工会議所あるいは同友会等の自覚あるいは指導というようなことにまたなければいけないわけでございますけれども、私どもといたしましても、こういうふうな大企業あるいは業界全体の傾向というものを受けまして、たとえば下請代金支払遅延等防止法あたりにおきまして取り締まりあるいは指導いたしますところ基準にそれを取り入れていきたいということを考えておるわけでございます。すでに私どもといたしましては、下請代金の手形のサイトにつきまして、機械工業でございますとか、あるいは金属というようなものにつきましては、従来手形のサイト百五十日以上を取り締まりの対象にしておったわけでございますが、それを今後は百二十日にいたすとか、あるいは繊維につきましては九十日を標準にいたすというようなことで、そういうような取引の規約的なものも私ども指導基準に取り入れていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  91. 塚本三郎

    ○塚本委員 そういう施策はいいのですけれども、先ほどの、たとえば合併などによって道義的にそういう下請を見捨てないような形にする、もちろんこれも自由経済の中ですから、能率の高いものはいかに小さいあれであってもかかえていくでしょうし、そういうことはもちろんそこまで言うべきじゃないというふうな考え方も一面においてありますけれども、しかし特に今度の資本自由化によっていわゆる合理化を余儀なくせられてきた、そのことがみずからの企業体質をよくするという意味では妥当なものではあったにしても、これはいいことだということで結論としては推し進めるのでしょうが、その過程の中で、各地方において下請の人たちが、これから幾つかの企業がそういうことをしていきますうちに、おれたちもまたやがて親工場がそういう動きをしたときにと、すぐ心理的にそういう影響を持ってくると思うのですね。そういうことに対して、単なる道義的なものだけでいき得るものなのか、あるいはそういうプリンスの例が特殊なものであるというふうにいわれるかもしれませんけれども相当多くの下請を使っておる企業が大阪、名古屋等にあるわけですね。そういう場合にやはり同じようなことがありはしないかということの心理的影響はあると思うのです。これは単なる商工会議所の懇談会のいわゆる申し合わせ的なものだけじゃなくして、もう少し各企業にこれを徹底させるような施策というのは考える必要がありはしないかと思うのですが、どうでしょうか。
  92. 影山衛司

    影山政府委員 私どもとしましては、先ほど申し上げましたような手形サイトの短縮の基準というようなものは、親企業と申しますか、大企業の団体、あるいは下請の団体、中小企業の団体、あるいは銀行等を通じまして、そういうものの徹底にはつとめておるわけでございますが、これから産業の再編成が行なわれます過程におきまして、従来一次下請であったものが二次下請等になっていくということも起こり得るわけでございますが、そういう場合におきましても、最近の産業の情勢といたしまして、重化学工業化が進んでいくということは、迂回度が高まっていくということでございます。それから先ほど先生が御指摘になりましたような過去の例におきましても、消費水準がだんだんと高まっていくということになりますと、そういう中小企業分野というものも、下請の分野におきましてもだんだんとふえていくわけでございまして、必ずしも系列からはずされたからといって直ちにそれが困っていくという状況にもならないわけでございますが、そういう状態人たち対象にいたしまして指導をしていかなければいけないということから、四十年度から下請企業振興協会というものを各県につくって補助金を出しておるわけでございます。東京、大阪、名古屋、神奈川等々でございますが、そこの下請企業振興協会におきましては、中小企業の下請の人たちに注文のあっせんをするとか、あるいはいろんな相談にあずかるとかいうようなこともやっておるわけでございまして、そういう組織も拡充いたしまして、できるだけ下請企業中小企業に不安を起こさないように指導をいたしたいと思っております。
  93. 塚本三郎

    ○塚本委員 これはなかなかむずかしい問題ですけれども、親企業にとっては、自分の会社だけの仕事をやってくれるというのはかわいいのですね。ところが下請企業にしますと、全面的に仕事をくれてめんどう見てくれる、しかしながら、これが一たん悪くなったらはずされるという危険性、そこまで非人道的な経営者は少なくなったと思うのですが、仕事量ががつんと少なくなってくるというような形が出てくるのですね。そういう意味で三社か四社くらいの仕事をやって、中小企業自身も多角経営的な——多角経営というとおかしいのですが、何社かのものを扱っていないと危険だという、そういうふうな声が出てきておるのです。そういうことなんかを加味した指導の方法をしていかないと、いまのような問題は避け得られないのではないか。  いま中小企業のあっせんということをおっしゃって、私、不勉強でその辺よく存じ上げなかったのですが、相当強力なあっせんの機関というものが進められておるのですか。
  94. 影山衛司

    影山政府委員 各県とそれから通産省からも補助金を出しまして、振興協会というものをつくっておるわけであります。これはまだ発足当初でございますので、十分とは申し上げられませんけれども、今後拡充していくべき機関であるというふうに考えております。
  95. 塚本三郎

    ○塚本委員 それは補助金の資金量はどれくらいでございますか。
  96. 影山衛司

    影山政府委員 まだたいした資金量ではございません。事務経費の補助をいたしておりますので、二千三百万円程度でございます。
  97. 塚本三郎

    ○塚本委員 横道にそれて恐縮ですけれども、これは順次相当に拡充していただくような見通しでございますか。
  98. 影山衛司

    影山政府委員 順次拡充していきたいと思っております。
  99. 塚本三郎

    ○塚本委員 話は横道にそれてしまいましたが、もう一ぺんもとに戻らしていただきますが、今度の基本計画で六十四業種が立てられておるという御説明でございましたけれども、これを実施する場合のいわゆる資金計画は、おおよそどれくらいが必要とされるわけですか。
  100. 影山衛司

    影山政府委員 各業種別に計画を立てておりますので、それが先ほど御説明いたしましたように百十四あるわけでございます。それを全体が総合いたしまして資金計画がどれだけという数字はないわけであります。中小企業金融公庫におきまして、近代化促進のための特別の融資制度を持っておるわけでありますが、これは四十二年度におきましては百億円のワクを計上いたしておるような次第であります。
  101. 塚本三郎

    ○塚本委員 それは承知しておりますが、これは公庫としての予想のワクでして、これを実施する場合、全体計画を実施する場合の予想資金量というものはどれくらいなんでしょうか。
  102. 影山衛司

    影山政府委員 大体期待量が市中銀行も含めまして一千億円程度というふうになっておるようでございます。
  103. 塚本三郎

    ○塚本委員 一千億円というのは、おたくのほうで大体それくらいあればいわゆる理想的な近代化ができるという、その六十四業種における全金額の総合計が一千億ですね。
  104. 影山衛司

    影山政府委員 近代化基本計画に基づきますところの実施計画で、そういうふうに一応の目標を立てておるような次第でございます。
  105. 塚本三郎

    ○塚本委員 これは以前四十年度から五十億、八十億、そして百億というふうに、三年度にわたってこういうふうな公庫からの資金量が出されておるというふうに承っておるのですけれども、これは総合計いたしますと二百三十億でございますか、こういうふうになっておりますが、この点の消化の状況はどんな状態ですか。
  106. 影山衛司

    影山政府委員 実績を申し上げますと、四十二年三月までに行なわれました貸し付けの総額は百八十七億円に達しております。
  107. 塚本三郎

    ○塚本委員 そういたしますと、五十億と八十億で百三十億。百八十七億というのは予定よりオーバーしておるという計算になりますが、これはどういうことになりますか。
  108. 影山衛司

    影山政府委員 この中には七分七厘の特別金利によるものが百三十億で、五十億、八十億というのはこれは特別金利によるものでございます。それ以外に中小企業金融公庫の八分二厘の普通利によるものがあるわけでございます。これが五十七億になっておるわけでございます。百八十七億になっておりますが、特別金利によるワクを設けておりますものは、近代化に要する機械指定をいたしておるようなわけでございまして、それによるものが五十億、八十億のワクが設けられておる。それが百三十億でございます。
  109. 塚本三郎

    ○塚本委員 先ほどの一千億というあれは、この四十年度からの全部の合計の必要の金額が一千億というふうに受け取っていいのですか。
  110. 影山衛司

    影山政府委員 これは毎年の一応の計画でございます。
  111. 塚本三郎

    ○塚本委員 そうすると、今年度における計画が一千億ということですか、完全実施する場合に。
  112. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業近代化促進法におきましては、基本計画、実施計画で一応の計画をつくるのでございますけれども、これはいろいろな実態調査に基づきまして、そういうあるべきといいますか、目標をきめるわけでございまして、それに応じまして各業種に属する企業が、実際にそういう近代化設備を入れるかどうかということは、これまた別問題でございますけれども、一応一千億というようなものが、資金量として目標が掲げられておるというふうになっておるわけでございます。
  113. 塚本三郎

    ○塚本委員 これは私まだあまりのみ込めないのですけれども、そうすると昭和四十二年度は一千億必要なんだ、それに対して中小企業金融公庫からの特別融資のワクとして百億ということは、一割だけは特別にめんどうを見てやろう、あと九割というものは中小企業独自の力でやりなさい、こういうふうに考えていいわけですか。
  114. 影山衛司

    影山政府委員 それに必要な金額は、指定設備につきまして中小企業金融公庫についてめんどう見ようということでございまして、それ以外の施設につきましては、たとえば商工組合中央金庫でありますとか、あるいは国民金融公庫とか、あるいは一般の市中金融機関等についてめんどうを見てもらうということになっておるのであります。
  115. 塚本三郎

    ○塚本委員 私は不勉強なものだから、こんなことを聞いておって御迷惑かもしれませんけれども、この考え方からいきますと、一般に私どもが私どもなりの立場で中小企業の方々に御相談を申し上げるときに、最も喜ばれるのは、近代化資金等助成法の中に出ている金額ですか、この場合には非常に需要が多いのですね。もちろんこれは一つ一つ企業に対してということでしょうけれども、これとの根本的な違いというものですね。これをもっとふやして、そうしてどんどんとこれを伸ばすということが、いま中小企業者にとって最も近代化設備面における大きな需要となって出てきているのですね。何か、これぐらいのことでは、政府施策として、そういう業種によって救済の道あるいは助成の道にはなっておるでしょうけれども、こんなことをしてくれるのだったら、もっとこのほうの道をうんと広げてほしいというのが中小企業者の強い希望じゃないかと思うのですが、これとの根本的な相違というのはどうでしょうか。
  116. 影山衛司

    影山政府委員 設備近代化補助金は、御承知のように小規模企業対策として小規模の近代化に適するところの施設を指定いたしまして、それに対して半額無利子の融資を、県を通じて行なうという制度でございまして、もちろんこれも中小企業近代化促進法の資金助成の一環として活用できるわけであります。中小企業金融公庫のほうは、多少それよりも程度の高い近代化設備対象にいたしておるわけでありまして、設備近代化補助金の貸し付け額も、昭和四十二年度におきましては二百十一億の貸し付けワクを予定いたしております。それも一緒に活用したいと思っております。
  117. 塚本三郎

    ○塚本委員 こちらのほうが百億の予定をしているときに、もっとさらに、比較からいきますと、もちろん片方は無利息だということもありますけれども、こちらでさえも百億を予定しておるにもかかわらず、需要がさらに大きいその分野におきまして二百億という比率をもっと——設備近代化のほうにも需要がさらに大きいような気がするのですけれども、その辺のところ通産省のほうではどういうふうに考えておりますか。
  118. 影山衛司

    影山政府委員 従来もこの設備近代化補助金についての需要の調査等もやりながらやっておるわけでございますが、確かに相当の需要もあるわけでございますけれども、一方におきまして、設備近代化補助金と申しますのは県との協調融資になっておるわけであります。県のほうで県会の議決を経て予算を計上いたしませんと、これは実際上融資の道ができないわけでございまして、大体県の財政状態等も見合わしながら、あるいは御相談しながらワクをきめていく、できるだけたくさんの資金ワクを計上するという方向で従来からもやってきております。
  119. 塚本三郎

    ○塚本委員 そうしますと、県のほうが大体出してくるわけですか、計上する場合においては。そういたしますと、中小企業庁としては、県のほうから出してきた要請に対してはほとんど一〇〇%応じて出してみえる、こういうふうに受け取っていいわけですか。
  120. 影山衛司

    影山政府委員 大体資金ワクにつきましてはほぼ各県の需要は拡充しておる、充足しておるというふうに考えております。
  121. 塚本三郎

    ○塚本委員 ほとんどが充足しておるといいますのは、県からの要請が出てきて、それがきめられるとするならば、県のほうの要請に対しては、たしか半分ずつでしたか、そうすると県がこういうふうだときめれば、それにはほとんど受けて立っておるということで、事前にこれくらいにしてくれという打ち合わせをして、話し合いをして、ほんとうはこうだけれどもここまでというふうな打ち合わせをしているのじゃないでしょうか。その点どうでしょうか。
  122. 影山衛司

    影山政府委員 そういうことはございません。県の言ってくるのは最近はほとんどそのまま認めております。
  123. 塚本三郎

    ○塚本委員 わかり切った質問ですけれども、それでは県がさらに多くを要請して受け入れ態勢を整えた場合は、相当程度まで増額をさせるという、そういう余地は残してみえるわけですね。
  124. 影山衛司

    影山政府委員 基本方針としてはそういうことでございますが、先生御承知のように、設備近代化補助金はすでに長年やってきておりまして、県の段階で回収金というものも相当程度出てきておるわけであります。そういうものも勘案いたしまして県の予算額もきめておるような次第であります。最近におきましては、そういう回収金もたくさん出ておりますので、そう膨大な額にものぼりませんので、私どもといたしましては要請にこたえていきたいと考えておるような次第でございます。
  125. 塚本三郎

    ○塚本委員 見通しはそうですけれども、さらに本腰を入れて、あるいはある県が、私ども愛知県でございますが、ある県が特に今回こういうふうな中小企業に力を入れようという場合には、そういうふうなことで今度は特別増をしたいというような要請を出してきたときには、おたくのほうとしては、その返済金があるじゃないかということでなくして、さらに相当程度までは応じて出してやれる、こういうふうな体制になっておるわけですか。
  126. 影山衛司

    影山政府委員 愛知県は各県の中で最も設備近代化の関係では熱心な県でございます。従来からも愛知県の要望については十分応じてきておるというように考えております。今後もそういうようにしたいと思います。
  127. 塚本三郎

    ○塚本委員 ありがとうございました。  もう一つだけお聞きしたいのですけれども、毎年毎年業種をふやしておいでになるのですが、今度、新しく今年度ふやされる業種について、具体的にここでどんな業種をこれからふやしていくかということの御説明をいただきたいと思います。
  128. 影山衛司

    影山政府委員 四十二年度の指定業種につきましては、ただいま各省それから通産省の中の原局、それから各業界と検討中でございますので、まだ残念ながら発表さしていただく段階でないと思います。
  129. 塚本三郎

    ○塚本委員 幾つくらいの数になるわけですか。
  130. 影山衛司

    影山政府委員 大体申し出がある業種は三十六くらいの業種が申し出ておりますけれども、それが、業界のほうでほんとうに、まだ体制が整っていないものも一応出てきておるようなものもございますので、大体二十五くらいになるのではないかと考えております。
  131. 塚本三郎

    ○塚本委員 どうもありがとうございました。
  132. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明後二十六日金曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十八分散会