○塚本
委員 私が執拗にこんなことをお聞きいたしますのは、
日本の産業といいますか、経済の特質は何であろうかということを
考えてみますると、たとえば
アメリカにおいては膨大な地下
資源があるとか、あるいはカナダにおいては膨大な農地があるとか、あるいはまたヨーロッパにおきましては
相当特許を持っておるとか、こういうものが
中心になって産業を生み出してきておると思うのです。ところが
日本の場合は、残念なことに、あるものは何だと言いますと、勤勉な労働力と、きわめて精巧な技術というものしかないと思いますね。結局そのものが、直接投資されたことによって、その会社が、また狭い
考えか知らぬけれ
ども、過半数の株を取得せられてしまったときには、これ自身まで外国にとられてしまったという意識になってしまう。そのとき、
アメリカのような鉱業権を持っておるとか、あるいはまたカナダのように広大な農地がある、こういうものは、単なる資本の自由だけでなくして、ここにはおそらく採掘権の問題もあるでしょうし、あるいはまた不動産取得の
法律もあるでしょう。幾つかの、何重にもこれを保護すべき、その産業に対する特質を守るべきいわゆる単独立法があって保護せられておるから、
日本も行って向こうで採掘すればいいじゃないかというけれ
ども、その限りにおいては、単なる過半数の株を取得することによって、いわゆる
日本の根幹がとられてしまうというものと
認識が違うと思うのです。そういう
意味で、
日本が他国に比していかに閉鎖的であったといっても、少しもそのことにはひけ目を感ずる必要はない。
日本にあるべき産業はこれしかないのだということで、またこれがなくなってしまうなら、
日本の経済は何にもないと同じことになってしまうのだ、この点は、いわゆる産業国と言われておる各国に比して、同じ産業国の中においても
日本だけは特殊のそういう地位を持たされておると思う。
〔
委員長退席、小川(平)
委員長代理着席〕
それが今度は明け渡してしまうということであるために、いわば
アメリカ自身が
国内における鉄や石油
資源を守るということ、あるいはカナダが農地を守ると同じようなレベルにおいて、
日本自身がこの
企業そのものを守っていかなかったならば、これは根幹を失ってしまうという感じに立つわけです。そういう
意味において、執拗に、いわゆる経営権をとられるということの重大性というもの、このことを言っても言い過ぎではないというふうに私は思うわけです。だけれ
ども、再三その点通産大臣は周到な用意をしておいでなさるということですから、これ以上同じことを申し上げることもないと思いますけれ
ども、ただここで、
日本がプラスになる、こういう
考え方、それは技術の面におきましても、資本だけではなくして、いろいろな面においてプラスになるのだということのお話がありましたけれ
ども、たとえば
日本がその資本を受け入れることによって、今度は
日本から外国にいわゆる資本を
輸出して、そうしてここから得るいわゆる利益というもの、このことが、たとえば
アメリカやヨーロッパ等において、それが
相当の利益を受けられるものなのかどうなのか。私
どもの直感からしますると、いわゆる科学技術の高いところから資本を受け入れるのだ、しかしそのかわりに
日本は、もう一度
日本で見合うところの技術で東南アジアヘこれを出したらいいという、だんだん一段ずつレベルを下げてこういうことを腹づもりとして持っておるとするならば、東南アジアの新興国はきわめて大きな反発力を示すのではなかろうか。向こうから来たのだから今度はこっちがやればいい、こういう形における意識がありはしないか、この点はどうでしょうか。