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1967-05-23 第55回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十三日(火曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 中川 俊思君    理事 田中 武夫君 理事 中村 重光君    理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    岡本  茂君       神田  博君    黒金 泰美君       小山 省二君    齋藤 憲三君       坂本三十次君    白浜 仁吉君       田中 六助君    丹羽 久章君       橋口  隆君    三原 朝雄君       武藤 嘉文君    石野 久男君       岡田 利春君    佐野  進君       中谷 鉄也君    永井勝次郎君       古川 喜一君    塚本 三郎君       吉田 泰造君    近江巳記夫君       岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君         国 務 大 臣 塚原 俊郎君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         科学技術庁原子         力局長     村田  浩君         外務省中南米・         移住局長    安藤 龍一君         通商産業政務次         官       栗原 祐幸君         通商産業省通商         局長      山崎 隆造君         通商産業省貿易         振興局長    今村  昇君         通商産業省企業         局長      熊谷 典文君         通商産業省化学         工業局長    吉光  久君         通商産業省公益         事業局長    安達 次郎君         中小企業庁長官 影山 衛司君  委員外出席者         通商産業省企業         局参事官    橋本 徳男君     ————————————— 五月二十三日  委員中谷鉄也辞任につき、その補欠として下  平正一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員下平正一辞任につき、その補欠として中  谷鉄也君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月二十二日  電気工事業を営む者の営業所登録等に関する  法律案小宮山重四郎君外十六名提出衆法第  四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第四七  号)  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。麻生良方君。
  3. 麻生良方

    麻生委員 一般的な御質問を少し申し上げたいと思います。最近の輸出貿易振興状況について関係者にお伺いしたいと思います。  初めにちょっと資料じみたことをお伺いして恐縮ですけれども、最近の日本の、特に中小企業関係輸出状況ですね。できましたならばここ二、三年のその状況の推移をひとつお知らせいただきたい。
  4. 今村昇

    今村(昇)政府委員 ただいま御質問の、 ここ二、三年ばかりの輸出中小企業製品中心とした状況を御説明申し上げますが、輸出そのものは、御承知のように、昨年は一昨年に比べまして一四・二%増の約百億ドルの通関でございまして、全体的に伸びておりますが、その中に占める中小企業製品比率というものは、直接通関統計からこれを拾い出すことは不可能でございますので、工業統計から類推をいたしまして、輸出全体の中に中小企業製品が何%入っておったかという数字を試算をいたしますと、昭和三十八年におきましては五〇・四%、三十九年におきましては四八%、四十年におきましては四五・五%、四十一年は、一月から九月までの九ヵ月間でございますが、四五・六%というような数字になっておるのでございます。  次に、これを商品別に見ますと、昭和四十年度におきまして、中小企業製品輸出のうちでいわゆる重化学工業品というものの占めますところの比率は四五%でございます。これに対して、軽工業品その他の比率は五五%でございます。全体の輸出に対する重工業製品比率というものに比べますと、幾ら比率が少なくなっております。しかし最近の状況は、わが国の輸出の全体の構成が変化してまいりますのに伴いまして、中小企業製品の面におきましても、重化学工業品比重が逐次増大をしてくる、こういう傾向があるように思います。なお、もっと具体的に申しますと、機械類比重が非常にふえてまいりまして、その反対に繊維製品及び食料品といったものの比重低下をしてまいっておるわけでございます。  第三番目に、市場別に見ますと、やはり何と申しましても北米中心でございます。中小企業製品輸出の約三分の一は北米向けであるということができると思います。次いで東南アジアでございます。こういう主要市場に対しましての中小企業工業製品の占める比率は、大体四五から五〇%ぐらい、こういうふうに推定されるのでございます。
  5. 島村一郎

    島村委員長 政府委員の声がうしろのほうに通らないようですので、なるべく大きな声でお願いします。
  6. 麻生良方

    麻生委員 いま御説明をお伺いしておりますと、三十七年度が抜けておりますが、三十七年度は五三・何%か、五四%ぐらいの輸出になっておったと思います。そうすると、やはり一般的には少し下降のきみがあるというふうに感じられますね。  ちょっと角度を変えまして、あなたは、日本産業構造面から見て、中小企業関係輸出が全体の輸出総額のどのくらいの比率を占めることが望ましいというふうに考えておられるか、ちょっとお伺いします。
  7. 今村昇

    今村(昇)政府委員 これはたいへんむずかしい御質問でございまして、ちょっとどのくらいということを的確に申し上げることは困難でございますが、やはり日本輸出の現段階におきましては、主として中小企業分野によって生産をされておりますものがまだかなりウエートを占めておりますので、いわゆる発展途上国その他の関係でもし急速にこの比重低下をするというようなことがあるのは非常にゆゆしい問題でございますから、少なくとも現状程度比率が当分続いていくということが一番適当ではなかろうかと思います。
  8. 麻生良方

    麻生委員 今度の国会で中小企業近代化のための法律をいろいろ用意されておる。近代化をしていくということは、何も国内企業設備近代化するばかりでなくて、自由競争に耐えられる中小企業構造をつくっていこうということが大きな目標になってくる。そうすると、やはり日本大局的立場に立った特に貿易政策産業政策考えたときに、問題はやはり、目標というものをつくって、国民なり中小企業者努力をして、それに近づいていくことだと思うのです。そういう意味でお伺いしたのですが、あなたの答弁のように、現状維持でいいということであれば、何も近代化にも、これ以上自由化というものにも対処していく必要もなくなる。ただ単にいまの状態を維持していくために近代化を遂げていけばいいということでは、かなり消極的政策ということになるから、やはりもう少し中小企業積極的政策をとっていただく目標をお伺いしたわけです。それについてもう少しあなたの御見解を承りたい。
  9. 今村昇

    今村(昇)政府委員 ただいま私のことばがちょっと足りませんでしたので再度御質問がありましたが、現状程度と私が申し上げましたのは、輸出がたとえばいまの中期計画によりましても毎年一一%程度ふえていくということになっておりますので、輸出全体としてはふえてまいります。したがいまして、当然中小企業分野輸出もそれ相応の伸びをしなければならないわけでございます。ただ、いわゆる発展途上国その他の問題がだんだん出てまいりますので、このまま放置をしておきますと、やはり中小企業分野にしわ寄せがくるおそれもございますので、私どもとしましては、特に中小企業分野輸出振興というものに対しまして、ほかの分野以上に気をつけて特段の措置をとっていく必要がある、かように思っておりますので、この点訂正いたします。
  10. 麻生良方

    麻生委員 少し夢みたいなことを考えますと、日本工業国としてこれから世界の一位にしていこうということはなかなか容易なことじゃないのです。そこは鉄鋼産業輸出状況世界の三位だ、二位だと言っておりますけれども、何といっても、資源という点から考えると、これは入れるものもあるし出るものもあるという結果になるし、大資本主義国家を向こうに回して、大企業立場世界の一等国になっていくという目標はきわめてむずかしい。そうなると、資源の問題に日本は必ずぶち当たってくる。そういう点から考えると、どこで日本世界的なものにしていくかということを考えると、私はやはり中小企業分野輸出を増大さす、しかも世界市場の中で権威のある中小企業商品というもの——商品ばかりじゃありません、あるいは機械とか、それをつくっていく基本的な国家政策が必要じゃないかと思うのです。たとえばアメリカなどに行きまして私どもが非常に感激するのは、やはりホンダオートバイあるいはソニーですね。たとえばホンダオートバイなんかは、アメリカのロスアンゼルスの小学校の教科書にまで出ていますよ。日本総理大臣の名前なんか知らなくても、ホンダオートバイ世界的に優秀だということはみな知っておる。そういう世界的に優秀な製品を押し出していくのには、やはり中小企業分野貿易振興相当積極的な熱を入れないといけないと思うのです。社長の本田さんの書いた本を読んでも、これが世界的になったのにはさっぱり政府の協力がなかったと書いてありますよ。こういうケースもあるだろうが、しかしやはりもっと政府中小企業輸出振興というものに重点的な施策を置いていかないと、いつまでたっても日本はある部門だけが世界第三位、第四位で、主として日本国民の大部分の台所をまかなっている中小企業分野は依然として伸び悩みということになってはいかぬということで私は御質問申し上げたわけです。だからやはりあなた方も、中小企業振興ということは、当面の問題ということよりも、もっと日本の国家的な立場に立つ輸出振興という面からこれをとらえていただきたいという御注文を含めながら、実は御質問を申し上げたわけなんです。  ちょっと質問角度を変えますけれども中小企業商品世界的にしていくということのために、あなたはどういう方法があるとお考えですか。
  11. 今村昇

    今村(昇)政府委員 中小企業製品輸出振興につきましては、ただいまおことばにありましたように、積極的にやはり国としてこれを支援、助成していくという方針でやっておるわけでございますが、何と申しましても、中小企業海外の手足も少のうございます。それから資本力等にも乏しゅうございますので、そういう点をやはり国として助成をしていく、こういう見地からやっておるわけでございます。特に、日本貿易振興会という輸出振興事業団体がございますが、これの最も大きな仕事一つは、中小企業のために海外市場を開拓する、そういう目的で努力しておるわけでございますが、もう少し具体的に申し上げますと、たとえば引き合いのあっせんとか、あるいは製品展示事業、それから国内優秀デザイン海外に紹介をするような事業、それからPR事業、あるいはまた市場調査をする、こういうような事業を通じまして主として中小企業海外販路開拓、こういうことに努力を傾けておるわけでございます。また私ども通産省直接の仕事といたしまして、輸出デザインの奨励をいたしておりまして、毎年輸出優秀デザインを集めまして、これを展示をしております。そういうことでございますとか、あるいはまた輸出検査法、これの活用によりまして品質を確保していく、こういう点にも特に力を入れておりますが、こういうようなことに一番関係も深く、また一番利益を受けておりますのはやはり中小企業製品ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  12. 麻生良方

    麻生委員 一般的に日本中小企業製品といいますと、まだやはり、外国に行ってメイドインジャパンというやつが並んでいるところを見ますと、おみやげもの店に並んでいるというのをわれわれはよく見るわけですね。おみやげ品を買ってくると案外メイドインジャパンだったりする。やはり一般の市場の中でも、メイドインジャパンという商品はまだまだ高級品という扱いを受けていませんね。これも少し質問の範囲がそれるかもしれないけれども、私、アメリカを回ってみて、たとえば一つ品物食器なら食器をとります。デパートに参りますと、北欧からくる食器日本からいっている食器価格が違うのですね。品物が違うかと思って私調べさしてみた。品物はあまり違わない。それにもかかわらず、たとえばスプーン一つとってみても、北欧からくるスプーンは五十セントから一ドルくらい高く価格がついて、しかも売り上げを聞いてみると、北欧食器類のほうが売れ行きがいいという説明デパートの店員がしている。日本商品はそれよりか安いにもかかわらず売れ行きが悪い。こういう差はどこからくるとあなたお考えですか。
  13. 今村昇

    今村(昇)政府委員 ただいま先生の御指摘になったような事実も、ないと申し上げたいんですが、実は残念ながらまだかなり残っております。日本輸出のそもそもの始まりが、やはり低価格競争ということから海外進出をしておりますので、そういうもののなごりが残っておる。それからそれを受け入れますところの相手国の人も、当然そういうものだという評価が頭にございますので、やはり版売上高い値段をつけても消費者がついてこない、こういう事実がございますので、残念ながら、いま御指摘のように、金属洋食器でございますとか、あるいは陶磁器でございますとかいうようなものは、むしろ先進国製品と競合しないような価格帯のところをねらって輸出をしている、こういうのが現状ではないか。しからば品質はどうかと申しますと、必ずしも日本のものが値段が違うほど品質が悪いわけではございません。そういう点もだんだんよくはなってきておると思いますけれど、今後高級品イメージをつくっていく、あるいは売り方にいたしましても、それから宣伝のしかたにいたしましても、相手のディーラーの選び方にいたしましても、そういう高級品らしい売り方をして、だんだんイメージづくりをしていく、こういう努力が今後必要ではなかろうかと思う次第でございます。
  14. 麻生良方

    麻生委員 日本商品が安かろう悪かろうで雑貨扱いにされれば、雑貨を必要とする階層への売れ行きはある程度上がってきます。ところが、雑貨を必要とする階層は、いうならば日常消耗品としてこれを買うわけですから、もっと安いものが出てくれば、日本商品というものはまるで捨て去って顧みない。現に最近の太平洋沿岸デパートに陳列されておる雑貨品は、あなたも御承知のとおり、著しく日本商品が影をひそめております。それにかわって最近ここ一、二年来は香港雑貨が怒涛の勢いで進出をしている。きょうの新聞では、香港政情等もこれから関係があるかもしれないが、しかしこれからも後進国がこういうような商品雑貨として相当売り込みに狂奔してくるということは覚悟してかからなければならない。そうすると、あなたがいまねらっておる日本商品購買階層というやつは、やがてはもっと低価格進出してくる後進国との輸出競争に耐えがたくなってくる可能性がある。そうすれば、やはりその道は、あなたがさっき御指摘になったように、日本商品高級化ということによって購買層をある程度変えていく必要が市場の中に生まれてきておる、こういうふうに見なければならぬ。そうすると、高級品に仕上げていくということは、一口で言うけれどもなかなか容易なことではない。たとえば、北欧からきているスプーン日本からいくスプーンが、品質が同じでありながら一ドルの価格相違があるということは、これは購買者の中に北欧品物がよりすぐれているのだという先入観があるということが大きな原因でしょう、おそらく。これも市場調査の中でかなり指摘されておると思うのです。そうすると、日本商品高級化していくということは一口に言ってもなかなかできないのですけれども、この一ドルの高級品雑貨との差ということは、一体どういうところから生まれてくるとあなたはお考えですか。たとえば一つの実例を申し上げますと、あなたネクタイをしていらっしゃるでしょう。あなた、ネクタイ自分でお買いになりますか。
  15. 今村昇

    今村(昇)政府委員 主として自分買います。
  16. 麻生良方

    麻生委員 あなたそのネクタイをお買いになるときに、何を基準にして買われる。
  17. 今村昇

    今村(昇)政府委員 やはり自分好みというものが主になると思います。それから自分ふところかげんであります。
  18. 麻生良方

    麻生委員 そうすると、好みというのは何ですか。柄でしょう、柄を選ぶでしょう。あとはふところ二つですよ。これが両てんびんにかけられる。これはネクタイばかりではない。われわれが日常生活に使うあらゆる品物を買うときに、使えさえすればいいということでは買わなくなってきておる。たとえばいす一つ買うにも、そのデザインでわれわれは買うか買わないかを判断しておる。そうすると、柄を選ぶというその柄は何ですか。値段をつけるにはコストというものがありますね。柄というものはコスト価値があるとあなたはお考えになるのですか、ならないのですか。
  19. 今村昇

    今村(昇)政府委員 デザインというものは、いわゆる原料代というようなコスト計算ではございませんが、やはりデザインの持つ価値というものは当然価格に反映してきておると考えます。
  20. 麻生良方

    麻生委員 あなたはそれをお認めになる。そうすると、そのネクタイをつくるのに人件費幾ら原料幾ら、何が幾らということだけで価格というものはきまらない。かりに同じ品質のものでも柄の悪いものは売れ残る。売れ残ったものはデパートの安売りで売られるわけです。原価を割って売られるわけです。そうすると、この柄のデザインというもの、これは近代社会においては新しい商品価値をきめる一つの重要な要素になってきておる。このデザインというもの、これをもっと高く日本通産行政の中でも評価しなければならない。ところが、中小企業者というのはそこまで行ってないんですよ。たとえば、デザイン専門家を雇って、自分の売り出す商品をどういう包装紙に包み、どういうデザインを与えて売り出すかという力がない。だから、安かろう悪かろうでそのまま売り出してしまう。そこで、私は、中小企業振興のためにはもっと積極的に通産省がそういう指導を強化すべきだ。強化ということは取り締まるという意味じゃないんです。中小企業者ができないとすれば——企業はできる。だから、大企業は、どこの大企業でも、デザイン研究とかそういうものに巨額の資金をいま投入しつつある。たとえば本田技研のホンダモーターがなぜ世界的になったかといえば、単なる技術だけではない。そのデザインとその名称ですよ。それがアピールして著しく販路を開拓していって、それがいつの間にかホンダモーター世界的なんだというイメージを全世界に与えてきているわけですね。そういうことを考えますと、私は、通産省がもっとそういう方面における中小企業指導性というものをつくり上げてやらなければならないと思うんですよ。いまどういうことをやっておられますか。
  21. 今村昇

    今村(昇)政府委員 ただいまのデザインについての御指摘は、もうまことにそのとおりでございまして、私ども、そのデザイン問題が輸出に持っている役割りというものを幾ら評価しても、これは評価し過ぎることはないと思うのでございますが、残念ながら、どうもこの問題についての認識がやはり日本の各方面で必ずしも十分ではないんではなかろうかと思うわけでございます。ただいま御指摘のような点は、むしろ私どもとしても全くそのとおりの気持ちでおるわけでございます。特に中小企業関係の方々にとりましては、自分でやはりデザイン向上をやるということがなかなかむずかしゅうございます。通産省といたしましては、先生承知のとおり、ただいま輸出品デザイン法に基づきましてデザインセンターというのが四業種についてできております。すなわち、機械繊維雑貨陶磁器と、この四つにつきましてできておりますほかに、ジェトロに付属いたしましてデザインセンターという機関がございます。こういうデザイン関係機関が、一面におきましては、デザイン盗用防止を監督いたしますと同時に、デザイン向上ということにつきましても相当事業をいたしておるわけでございまして、その事業の最たるものは、いわゆる優秀デザイン展示事業でございます。これは、中小企業製品が非常に多数を占めるわけでございますが、優秀なものは、これを本年から海外展示いたしまして、日本優秀デザインの普及につとめよう、こういうことになっております。なお、通産省自身にも工芸指導所その他の機関がございまして、これが地方庁の同様の指導機関とタイアップいたしまして、全国的に相当幅広くこのデザイン指導事業を実施しておるのでございます。
  22. 麻生良方

    麻生委員 その二つですね。ジェトロでいまやっていることは私も存じています。それから、通産省指導所ですか、つくろうとしておることも存じております。その予算、金はどのくらい便っておりますか。
  23. 今村昇

    今村(昇)政府委員 予算面金額は、ジェトロ関係におきまして本年度二千五百万円、それから、四つデザインセンターに対する国の補助金が、これは比較的僅少でございますが、六百万円ばかりでございます。それから、優秀デザイン選定事業につきまして別に二千万円予算がございます。——ございますといって、まだ目下審議中の予算案でございますが、そういうぐあいでございまして、どうもデザイン関係予算は毎年相当額を要求しておりますが、なかなかこれは予算に乗りにくいのかどうか、私ども努力が足りませんのか、必ずしも十分でないと思いますので、引き続いて今後ともひとつ努力していきたいと思います。
  24. 麻生良方

    麻生委員 いまおっしゃった金額は、これはとても指導していると言えた義理じゃないですよ。たとえば丹下健三みたいな建築デザイナーがおるが、彼に一つ意匠設計をやってもらっただけでどのくらいデザイン料が取られるか、あなたは御存じだろうか。あえてここで申しませんけれども、やはり世界的にしていくということのためには、世界的なデザイナー、あらゆる面におけるデザイナーというものを養成していかなければならぬ。極端に言えば、いま丹下設計したものだというだけでその価格はべらぼうに世界で高いのです。日本で高いばかりではない。丹下設計料について  のよしあしはいろいろ議論があろうけれども、やはり丹下というデザイナーの名が世界的になっておる。それを基準にした設計なら、その品物は、家具であろうと住宅であろうと、都市計画であろうと何であろうと、べらぼうに高い価格で売れていく。それを考えたら、これはお話にならぬ。あなたはいま賛成されて、ぜひこれをやらなければいかぬとお考えになる。しかし隘路があるとおっしゃる。どこに隘路があるのですか。われわれも協力してその隘路を打開しようじゃないですか。ざっくばらんにおっしゃってください。
  25. 今村昇

    今村(昇)政府委員 私ども一番経験上困難があると思っておりますのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、やはりデザイン問題についての基本的な認識が行き渡っていないということではなかろうか。そのデザイン一つによって非常に倍にも三倍にも売れるというような事実があるにもかかわらず、単に色、柄じゃないか、形の問題だけじゃないかということで、あまりこの問題についての認識が足りないという点がやはり何と申しましても一番大きな障害ではなかろうかと思いますので、むしろそういう点をひとつ根気強く私ども、啓蒙というと口幅ったいですが、説明をいたしまして、そうしてデザイン問題の認識をやはり深めていくということから始めなければいけないのではなかろうかと考えます。
  26. 麻生良方

    麻生委員 それは答弁にならぬですよ。認識が足らぬ足らぬとおっしゃるが、どこが認識が足りないのか。あなたは認識していらっしゃる。と、あなたの部下が認識してないのか、あなたの上司が認識していないのか、通産省自体が、そうは言うけれども、そんなものはほうっておけということなのか、あるいは大蔵省が全然認識しないのか、もっと具体的にひとつおっしゃってください。
  27. 今村昇

    今村(昇)政府委員 私の申し上げましたのは二つ意味がございまして、予算獲得上は、やはりこれは大蔵省との折衝になります。大蔵省に対しては十分説明はいたしておりますつもりですが、私ども説明がまずいのかどうか、必ずしも期待どおり予算がついておりません。それから、もう一つの問題は、やはり民間そのものに問題があるのではなかろうか。高いお金を払ってデザイナーに御指導を請うというようなことよりも、もっと手っとり早く安いものをつくって売り込んでいこう、こういう意識のほうがむしろ強いのじゃなかろうか。ですから、民間の関係者の方々自身にもやはりこの問題を認識してもらう必要がある、こういうふうに考えておるのでございます。
  28. 麻生良方

    麻生委員 民間の意識が低いということは、これは私も初めから申し上げている点で、だからこそ、通産行政の中でその指導性をつくっていかなければならぬ、こういうふうに申し上げておるわけです。いずれにしても、いまお話があったように、特に意匠センター、これはデザインの研究、指導をする法律じゃないですよ、登録ですよ。この法律を読むと意匠登録ですよ、そうでしょう。だからこれは本質的に違うのです。だから私は、あなたのほうで御研究になって、いまあなたがお考えになっているようなデザイン法、これを研究していただきたい。何もいますぐとは申し上げません。一年間くらいで、十分に部内で関係者を寄せて研究していただきたい。この法律の定めは、これは登録だけの業務です。いまむしろあるとすれば、雑貨センターに対して通産省幾ら補助金を出しておる。この雑貨センターが民間ではかろうじてデザインの研究その他の事業をやっておりますが、この雑貨センターに出ている予算も、ここであなたの口から申し上げさせるのははなはだ恐縮ですから、きょうは控えますけれども、これはスズメの涙ですね。だから全般的に見て、そういう面にきわめて積極的でないのです。あなたの御認識は、質問されてみればそうお答えになるが、しかし実際に通産省が、それに積極的に取り組んでいく体制をあなたがここで答弁された以上、ほんとうにひとつ実行していただきたい。これはやはり中小企業商品価格を高めていく一番キイポイントですよ。そうでないと、中小企業商品は、初めにあなたの御答弁にあったように、雑貨を購買する層は香港その他に取られ、高級品としてのレッテルをはれない。したがって、どんなに国内中小企業近代化促進をやってみても、輸出状況は下降の一途をたどらざるを得ないという結果にはね返ってくるわけですね。そういう面をひとつ十分に御研究をいただきたい。いずれまた一年ぐらいたったら私質問しますから、同じ答弁じゃいけませんよ。せめてこれだけの成果をあげたというものを出していただくようにお願いいたします。  それからもう一つ、私は少し方向を変えて。  先ほどあなたは、中小企業商品輸出振興は主としてジェトロがやっておる、こういう御答弁がございました。ジェトロ予算、これは本年度大体おわかりでしょうが、ちょっと念のために御説明いただきたい。
  29. 今村昇

    今村(昇)政府委員 本年度は一般事業予算として四十三億円、それからそのほかに出資としまして三億円、これがただいまの予算案に計上されております。
  30. 麻生良方

    麻生委員 この予算の内訳は本年度予算案に出ておりますから、これは省略をいたします。この予算で私は足りるとは思いませんけれども、この予算を一応前提として、問題は、この予算をいかに有効にジェトロが使っているかという点だと思うのですね。そこで私があなたにお聞きしたいのは、ジェトロがいま世界各国にセンターなりあるいは事務所なりを設けておりますけれども、その配置状況をちょっとお聞かせいただきたい。
  31. 今村昇

    今村(昇)政府委員 本年五月一日現在のジェトロ海外施設の配置状況は、概略次のとおりでございます。まずトレードセンターでございます。これは北米に五カ所、中南米一カ所、東南アジア・オセアニアが四カ所、ヨーロッパが三カ所、中近東・アフリカが一カ所、合計で十四カ所でございます。この十四カ所に対しまして、内地から派遣しております職員が六十七名でございます。  次にジェトロ事務所の配置状況でございますが、北米に五カ所、中南米六カ所、東南アジア・オセアニア九カ所、ヨーロッパが十一カ所、中近東・アフリカが十二カ所、合計で四十三カ所でございます。これに対する派遣職員の数は四十四名、こういうことに相なっております。
  32. 麻生良方

    麻生委員 センターのあるところにはかなり大人数の職員を派遣されておると思いますが、事務所と称しているところの場所、たとえば一つ取り上げましょう。アルゼンチンのブエノスアイレスにたしか事務所がある。ここには何名派遣しておりますか。
  33. 今村昇

    今村(昇)政府委員 アルゼンチンには本部からの派遣職員一名、それから現地採用の職員が二名、計三名でございます。
  34. 麻生良方

    麻生委員 その一名の健在員は何をやっているか御存じですか。
  35. 今村昇

    今村(昇)政府委員 おもな仕事は、自分の担当地の市場調査、それから引き合いあっせん、これがおもな仕事でございますが、場合によっては、自分の担当地あるいは近接地域に見本市等がございました場合には、これの手伝いをするというようなこともございます。
  36. 麻生良方

    麻生委員 ところが、そこに派遣されているのはたった一名ですよ。あと現地職員といったところで、現地でどれだけのことができると思いますか。私は、幾つか見聞しておりますが、名前は申し上げません。これはさわりがありますからね。私が何カ所かの一名の駐在員のところに行くと、異口同音に言われることは、内地から来る人の送り迎え、内地から来る人のお接待、飛行場の往復、ほとんどそういうガイド的な仕事で忙殺されて、報告書はだれかにたのんで義務的な報告をせざるを得ない状況であるということが言われていますけれども、かりにあなたがその一名として現地に行った場合、どれだけの効果をあげられる御自信がおありですか。
  37. 今村昇

    今村(昇)政府委員 一つの国に一人駐在させるということは、お説のとおり訪客の接待その他の仕事まで入れますと、かなりの重荷であろうということは容易に想像されるのでございますが、ただ、訪客の接待も、やはり考えようによれば、中小企業の方々などのおいでになったときには、これに対してサービスをすることは、これは仕事の中の重要部分なのでございまして、それだからどうということではないと思いますが、望むらくは私どもとしては、二人ないしは三人というものが一つのグループになって駐在する、二人になれば、やはり能率は三倍くらいにあがるということは、私どもも十分わかりますので、そういうことが望ましいわけでございますけれども、いろいろの制約のために、実はなかなかそういう状況になっていないのでございます。
  38. 麻生良方

    麻生委員 制約のためにそうなっていないことはよくわかります。しかし、四十何億の予算を使うのですから、ただ地図の上から見て、ここにもいます、ここにもいますという言いわけに置いておったのでは意味がないのです。実際にその人がおれば、市場調査なり開拓の先兵として、それだけの効果があがってこなければならぬ。  そこで、きょうはジェトロ関係者を呼んでいませんから、いずれまた機会をあらためてジェトロの参考人をお招きした席上で、もう少しこの問題は問い詰めて打開の方法を考えてもらいたい。ただ私は、いまあなたが御指摘のとおり、一名ではなかなか思うようなことができない。またそれを二名なり三名なりに当面増大できないとすれば、むしろ南米なら南米の二ヵ所なり三ヵ所にセンターを置いて、そこに集約して、そこから出張させるほうがはるかに効果的ではないかという気もいたしますが、これもひとつ御研究をしていただきたいと思います。  それからもう一つは、この出張所員の待遇の問題ですが、どのくらいの待遇が与えられておるのですか。
  39. 今村昇

    今村(昇)政府委員 まず最初の御質問でございますが、私ども実は、一ヵ所にまとめてセンター的なものを置いたほうがいいかどうかということは考えてみたこともございますが、やはりその国にいるかいないかということで、ときどき出かけていく調査ではなかなか中に入り込めないということがございますので、ある程度ネットワークというものは必要だろうというふうに考えます。そこで、できればやはり一ヵ所二人ないし三人という組織にいたしたいわけでございます。せめて現地採用の職員だけでもふやしていきたいということで、昨年度の予算で現地採用の職員をふやしましたのが十ヵ所ございますが、引き続きまして本年度の予算案におきましても十ヵ所の現地職員の採用が認められておりますので、せめてそういうことからだんだんとひとつ拡充してまいりたいというふうに考えておりますので、御了承いただきたいと思います。  それから次に待遇問題でございます。待遇問題につきましては、ジェトロの職員は、これは政府そのものではございませんので、海外では何らの外交特権のようなものは持っておりません。サラリーにつきましては、外務公務員の給料に比べまして、おおむねその八掛けという基準でもって俸給表を作成しておりますので、まあ外務公務員の待遇改善に伴いまして、これに追随しながら待遇改善をしてまいりたい、こういう実情でございます。
  40. 麻生良方

    麻生委員 外務省とのつり合いもあると思いますが、しかし少なくともジェトロから派遣されている駐在員というのは、現地の者から見れば、通産省関係の特にジェトロ、それの代表者というふうに現地では見るわけです。私が参りましたところのある駐在員は、私を自宅に招いて、いろいろと現地の事情を報告してくれた。自宅に行ってみたら、部屋におしめがぶら下がっていましたよ。これではとてもじゃないけれども市場開拓などできる道理がない。これではただほんとに置いているという名目だけにすぎないのです。だから、外務省とのつり合いがあるにしても、駐在員というのは少なくともジェトロの事務所長です。その事務所長の待遇が外務省の理事官と同程度ということでは、これはジェトロ仕事を背負ってできないと思う。あなたもその待遇でおいでになって、できますか。なんならあなたも一人でおいでになってみてください。
  41. 今村昇

    今村(昇)政府委員 ただいま御指摘のとおり、やはりジェトロ海外駐在員というものは相当な社会的評価を得ておりますので、それにふさわしい俸給が必要だ、こういうふうに私ども基本的には認めておるわけでございますが、やはり行った人の年齢、経歴、それから勤務年限その他によりまして、団体としての格づけというものもございますので、必ずしも所長だからといって大使、公使並みの月給というわけにはなかなかまいらぬと思いますが、私ども八掛けというのは、必ずしもこれは確たる根拠があるとは思わないのですが、一般的に政府関係団体は、その俸給表をつくります際に、大体そういうふうな基準でやっておりますので、それに準じてやっておるということでございますので、俸給そのものにつきましては、この基準によらないほかの基準というのはなかなかむずかしいと思います。ただ、たとえば住宅の問題でございますとか、あるいは自動車の問題でございますとか、そういうような付帯的な待遇改善というのは、これは相当考えてまいっておるつもりでございます。また今後ともそういう方向で進んでまいりたいというふうに考えます。
  42. 麻生良方

    麻生委員 外務省の八掛けというのはどこできめられたか私もわかりません。しかし少なくとも通算省として、それだけの輸出貿易の大責任をジェトロに背負わしている以上、よその役所との比例関係というのは二の次なんです。ジェトロとしてこれだけの待遇を与れえば、与えられた者もまたその使命を果たし得るという根拠から俸給体系というものを考えなければいけない。ジェトロ理事会を持っておりますが、ジェトロの俸給をきめるところはどこですか。
  43. 今村昇

    今村(昇)政府委員 これは日本貿易振興会法によりまして、ジェトロ理事長が政府の承認を受けて定めることになっております。
  44. 麻生良方

    麻生委員 そうしますと、きょうはジェトロ理事長を参考人で呼んでおりません。これは参考人がいないところでは議論になりませんから、いずれ日をあらためて参考人をお呼びをした上で、もう少しこの問題は煮詰めてみたいと思います。  委員長、御記録にとっていただきたいのですが、参考人がいないと話が進みませんので、いずれまたの機会に理事会で御相談して、参考人招致を決定していただきたいと思うのです。  それから、その給与の問題は、いずれ参考人を呼んだときに、もう少しいまのあなたの御答弁の趣旨に沿って、あなたもそうお考えになっておるとすれば、これは通産省も気をとどめていただいて、もう一度再検討していただきたい、こういうふうに思います。  それからもう一つは、このジェトロの職員というのは、これは国の仕事をある意味で委託を受けて海外に行っているのですね。
  45. 今村昇

    今村(昇)政府委員 ジェトロ事業の中には二種類ございまして、ジェトロ本来の事業に国が補助をしておりますものと、それから国の事業を委託をしておりますものと、二通りございますので、同じ職員が二通りの仕事をかねてやっておるのでございます。
  46. 麻生良方

    麻生委員 そうすると、ジェトロの職員というのは、公務員に準ずるものと解釈して差しつかえないのですか。
  47. 今村昇

    今村(昇)政府委員 そのとおりでございます。
  48. 麻生良方

    麻生委員 これは当然だろうと思います。ジェトロの法によると、秘密保持の責任も負わされておりますね。これは公務員並みに負わされておるわけです。したがって、一般的な解釈では、ジェトロの職員というのは、公務員に準ずるものとして扱われてしかるべきです。したがって、ジェトロの職員が出張する場合は、公務員に準ずるものとして、その仕事の責任を持って出張するものと解釈して差しつかえないですか。
  49. 今村昇

    今村(昇)政府委員 ジェトロ職員の出張は、いわゆる狭い意味の公務出張ではございませんけれども仕事の性質上、公務的な性格の非常に強い出張であるというふうに考えております。
  50. 麻生良方

    麻生委員 そうすると、ジェトロの職員が出張するときには当然公用として認められて出張しておると思いますが、いかがですか。
  51. 今村昇

    今村(昇)政府委員 その点は、一般的にはジェトロの職員の出張は一般旅券ということでございますが、特別に必要とする場合だけ公用旅券という扱いになっておるのでございます。
  52. 麻生良方

    麻生委員 それはおかしいじゃないですか。特別に民間のことを委託を受けて出張する場合に公務員としての扱いをしないというなら、これは話はわかりますよ。一般的にジェトロの者が出る場合に、公務員に準ずる仕事を責任を負わしておいて、その出張扱いは一般旅券というのは、これはどうも筋が通らぬですな。これはあなた自身はどうお考えになる。
  53. 今村昇

    今村(昇)政府委員 確かに先生のおっしゃるような点もございますけれども、一般の政府機関の職員の場合に準じてそういう扱いになっておるのでございます。
  54. 麻生良方

    麻生委員 それはわかるのでございますが、一般の公務員の場合はいろいろありますよ。そうすると、旅券の認定、この者は公務としての出張をするのか、一般の旅客として出張するのかという認定は、どこでするのですか。
  55. 今村昇

    今村(昇)政府委員 それは外務省でございます。最終的には認定は外務省でございます。
  56. 麻生良方

    麻生委員 外務省で認定するというのはおかしいじゃないですか。それじゃ外務省の認定どおりになってしまうのですか。ジェトロの責任において出張させる者が、外務省でこれは一般であると認定されれば、はい、そうですかといって一般になってしまうのですか。
  57. 今村昇

    今村(昇)政府委員 旅券の申請の場合に、これは公用だから公用旅券を発給してもらいたい、こういう申請をかりにいたしました場合も、最終的に外務省の認定によりまして公用旅券発給が認められない場合もございますので、最終的な判定ということになりますと、これはこちらの考えは別といたしまして、やはり外務省がその権限を持っておる、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  58. 麻生良方

    麻生委員 そうすると、いま各地に駐在員がいますね。ときどきジェトロから公務を帯びて出張しますね。その大部分は公用旅券としての手続がとられておるのですか。つまり特定のものだけが認められておらないのですか。
  59. 今村昇

    今村(昇)政府委員 これはやや技術的になりますけれども、たとえば後進地域で、公用旅券でないと長期の滞在が認められない、あるいはいろいろな事業活動の上に制限がありますとか、そういう国がございますので、そういう国は公用旅券ということで認められております。それから出張の場合に、たとえば国際会議あるいはミッション等で特定の公務を帯びて行くという場合には、もちろんジェトロの職員も公用旅券の発給が認められることがございます。しかしそれ以外の一般的の場合は、これは一般旅券ということで処理をいたしております。
  60. 麻生良方

    麻生委員 事情はよくわかりましたが、きょう外務省の関係者に来ていただいておると思いますが、ちょっとその間の事情をあなたのほうから……。
  61. 安藤龍一

    ○安藤政府委員 公用旅券は国の用務によって渡航する者に対してのみ発給されることになっております。ジェトロは国の機関ではございませんので、ジェトロの用務で渡航する場合には一般旅券が発給されることになっている次第でございます。ただし、ジェトロ職員でも、各省庁より用務を委嘱されて、国の用務により渡航する場合は公用旅券が発給されております。旅券法の第二条によります国の用務とは各省庁の用務をさすのでございます。
  62. 麻生良方

    麻生委員 そうすると、各省庁の用務をひっさげて行かないと公用旅券は出せないのですか。
  63. 安藤龍一

    ○安藤政府委員 そうでございます。
  64. 麻生良方

    麻生委員 ほんとうですか。各省庁というのは全省庁を網羅するのですか、それとも二つの省でもいいのですか。
  65. 安藤龍一

    ○安藤政府委員 いずれかの省でかまいません。
  66. 麻生良方

    麻生委員 それなら局長、技術的な問題ですよ。私は、ジェトロの職員というのは、行く場合には、当然通産省予算を出しているジェトロの職員の自負で行くと思うのです。だれも民間の仕事を手伝いに行くと考えている者はいない。また事実関係においても、国が通産省を通じて百万円の補助とか二千万円の補助というならこれは別ですよ。とにかく四十何億という予算を出しているジェトロの職員は、だれが見ても民間事業の職員だと考えないと思うのが当然だろう。とすれば、これが出張するものは当然国の用務をさげて行くと思っている。ところが、いまのような法律のために、公務として扱われないで、おまえは民間の用務の資格で行くのだといわれたら、あなただったらどう思う、ばかにするなと思いませんか。あなたがそういう立場に置かれたらどう思いますか。それでけっこうだとお思いになりますか。
  67. 今村昇

    今村(昇)政府委員 公用旅券で行ったほうがいろいろな面で便宜が多うございます。また仕事の性質も相当公務に近い性質だということは先ほど申し上げたとおりであります。ですから、公用旅券が出ることがやはり望ましいという感じを持っておりますが、いま安藤局長からもお話がありましたように、公用旅券以外の一般旅券のものが、全部これは瓦間の用務ということではなくて、直接政府機関仕事を委嘱されたもの以外のものは一般旅券だ、こういう区分でございますので、その一般旅券の中にまたいろいろなものが入っておりまして、たとえばジェトロのように政府そのものからの直接の委嘱は受けないけれども、公の機関の職員が公務に準ずるような仕事で行くというような場合のものもやはり一般旅券の中へ入っておるわけでございます。むしろ公用旅券そのものが非常に狭くなっておりまして、それ以外のものは全部一般旅券、こういう考え方でございますので、一般旅券になったからといって、これが全部民間そのものだというカテゴリーではないのではなかろうかというふうに考えます。
  68. 麻生良方

    麻生委員 理屈はともかくとして、幾ら民間の仕事をさげていくにしても、それがジェトロとして、ジェトロ仕事目標に合っているから民間の業務の委託を受けて出張するのであって、ジェトロ関係のない民間の業務で行く道理がない。もしそういう事実があったら、これはたいへんです。そうでしょう。政府としてはジェトロに対してそれだけの金を出していながら、出張する職員が、ジェトロの方向と関係なく、一民間の営利会社なり営利団体なりの仕事だけで行っている事実があれば、これはたいへんですよ。もし民間の仕事を委託されても、その本筋は、あくまでジェトロ立場に立って、その目標に合致するから出張許可を与えているのである、そういうふうに解釈すれば大体統一されるわけだ。  そこで私は、この問題を長く論争しても始まりませんから、大臣にひとつお願いしたい。それは、ジェトロというもののこれからの重要性にかんがみまして、現地に行った駐在員なりあるいは出張する者、単なる連絡の場合は別として、その場合は、国の仕事を彼に委託をして出張せしめるのでありますから、これは当然国が責任を持って公用として扱うべきだ、理屈はどうあれ。そのためにさしつかえのある法律があるなら、それを−たてにとってできないというなら、これは閣議で法律の改正案を出してもらいたい。これはひとつ責任を持って善処をしていただきたいと思いますが、大臣のお考えをお伺いしたい。
  69. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 私はジェトロというのは民間団体のようにいままで考えておったのですが、いま麻生委員のお話によると、公的の用もだいぶ帯びておるようでありますから、この問題はひとつ私も研究さしてもらいたいと思います。
  70. 麻生良方

    麻生委員 あなたはいままでジェトロを純然たる民間団体とお考えだったのですか。さっきからの貿易振興局長の答弁で、公務員に準ずるものだ、しかも国の定めた法律によってでき上がっている団体であり、それに対して通産省は四十五億の金を出しておる、これは補助金じゃないですよ。だから、いまからでもおそくありませんから、大臣のお考えを改めていただいて、研究する段階ではなくて、私は関係者と折衝をしていただきたい、もう一度お願いを申し上げます。
  71. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 御趣旨よくわかりましたので、ひとつ慎重に検討したいと思います。
  72. 麻生良方

    麻生委員 その慎重に検討していただくことを、私も質問者の責任といたしまして、うしろから絶えず大臣に、あれはどうなった、あれはどうなったと毎日のようにお電話申し上げますから、ひとつ大臣御在任中に慎重に御検討いただいて解決していただきたい。これは単なる身分だけの問題でない。やはりジェトロの実績が上げられるか上げられないかという重要な問題です。私は何も外務省との対比だけ言っているのじゃないのです。外務省は手続上扱っているにすぎない。だから、そういう方向に行くならば、外務省としてもこれを検討する用意がおありだろうと思いますが、あなたは責任を持ってひとつ……。
  73. 安藤龍一

    ○安藤政府委員 三公社等の政府機関の職員の出張が原則として一般旅券でありますので、ジェトロだけ特別扱いするというのは現在のところ難色があると思いますが、この点旅券法ともからみ合わせまして、検討いたすことといたしたいと思います。      ————◇—————
  74. 島村一郎

    島村委員長 この際、去る十九日付託になりました、内閣提出私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題として、総理府総務長官から趣旨の説明を聴取することといたします。塚原総理府総務長官。
  75. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  本改正案は、私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律等の運用を強化するため、公正取引委員会の事務局の機構を拡充し、定員を増加しようとするものであり、その内容は、第一に、公正取引委員会の事務局に、地方支分部局として、新たに、高松地方事務所を設置し、第二に、公正取引委員会の事務局の定員三百七人を三百三十六人に改めようとするものであります。  これらは、第五十一国会において私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案が可決された際の附帯決議の御趣旨を尊重いたしたものでありますが、このように公正取引委員会の事務局の機構等を整備拡充することにより、違法な価格協定等の取り締まり、違法な再販売価格維持行為の規制、管理価格の実態の調査、不当景品類及び不当表示の規制並びに下請代金支払い遅延等の防止に関する業務を充実し、もって、物価対策、消費者行政及び中小企業対策の強力な推進をはかろうとするものであります。  以上がこの法律案提出いたしました理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  76. 島村一郎

    島村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  77. 島村一郎

    島村委員長 引き続き通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑を続行いたします。麻生良方君。
  78. 麻生良方

    麻生委員 ジェトロの問題につきましては、まだ御質問をしたい点がありますが、参考人がおりませんと明確にならざる点もあるようでございますし、先ほどの委員長へのお願いもございましたので、後日またあらためましてこの問題については再質問をさしていただく機会を持ちたいと思います。  もう一つ質問申し上げたいのは、私は直接の問題ではないと思いますけれども、いま原子力の開発問題がいろいろな点で話題になっております。電力会社がそれぞれの立場で開発をしている面もあるし、それから今度は法案付託は本委員会ではございませんけれども事業団が設置される法案も提出をされている。こういうような現状にかんがみまして、私は一つだけその事情の推移についてお伺いしたい問題があります。それは、中部電力が芦浜に原子力発電の計画を立てて、土地を買収してその計画にかかっておる話を伺っておりますが、これがなかなかに地元民との折り合いがつかず放置されておるやに開き及んでおりますが、初めにこれは関係当局から若干の推移を御説明願いたい。
  79. 安達次郎

    ○安達政府委員 お答え申し上げます。御存じのように、原子力発電はエネルギーとしてもきわめてすぐれたいろいろな利点を持っているものでありますし、政府といたしましては、これを大いに推進する必要があると考えているわけでございますが、民間の電気事業におきましても同様でありまして、すでに御存じのように、茨城県には東海発電所が運転開始しております。それからなお福井県の敦賀、美浜には原子力発電株式会社あるいは関西電力株式会社が建設中で、同時に福島においては東京電力がやはり原子力発電所の工事を開始しております。  このような状況のもとで、中部電力も昭和三十七、八年ごろからその建設の計画を立てまして、容量三十五万キロワットで、大体四十二年に着工して四十七年くらいに運転開始したいという計画になっております。そのような計画を立てたのでございます。  具体的ななにといたしましては、三十八年の暮れに、大体の立地地点として三重県に三ヵ所ほど候補地点をあげて公表いたしております。  三十九年の七月に、大体ただいま御指摘の芦浜地区、これは三重県の南島町と紀勢町という二つの町にまたがっております。その芦浜地区に立地地点が内定いたしました。  この立地地点の内定の前後、候補地点発表の時期と言ったほうが正しいかもしれませんが、それぞれその候補地点である紀勢町あるいは南島町、紀勢町の側では原子力発電所誘致連動、町議会において誘致決議をいたしました。あるいは南島町のほうでは反対の決議などを町議会においていたしたりしております。この立地地点の内定以後、大体三重県が地元説得のいろいろな努力をしていただいております。特に、反対する南島町に対しましては話し合いの呼びかけを行ない、あるいは熊野灘沿岸の総合開発委員会をつくったり、あるいはそのための調査費を予算計上いたしたりというようなことで、いろいろ地元説得のために必要な努力を県側でしてくれております。その際に、一応会社側は特に、原子力発電所を設置しても安全なんだというその安全確保の趣旨の面からのPRなど、いろいろと努力してまいったところでございます。特にこの南島町あたりの反対の論拠と申しますのは、大体冷却用水による海水温度の上昇、あるいは原子力発電所に基づくいわば海水の汚染などの漁業に及ぼす影響から見て反対であるというような論拠でスタートしたようでございます。これに対しましては、三重県側としては、水産の専門家などを入れた調査委員会のようなものをつくり、その中間報告などもいたしております。そのような漁業に対する影響は、さしたる影響はないというような中間的な答申も出ておるようでございますけれども、南島町側の地元の人たちの了解を得るまでには至っていないということのようでございます。  そのような情勢の間に、昭和四十年十一月に中部電力は用地の買収をいたしております。百万坪、約三百三十万平米、約三億数千万と承知しております。そのようなことで、現地の南島町側の賛成がなかなか得られないままに、四十一年の七月に、県側は今後の話し合いをいわば当事者間、電力会社と地元との間の直接の話し合いにまかせるというような、そのような見解を発表いたしました。それに引き続いて、中部電力は、この紀勢町及び南島町に対して、いわば立地地点を最終的に決定するための準備の段階のいろいろな測量などについて開始したいという申し入れをしております。その後、四十一年の九月に、衆議院の科学技術特別委員会から派遣されました調査団の方々が、何か地元漁民の反対によって事実上視察を阻止されたというような事件が起こっております。そして四十一年の十一月には、賛成側である紀勢町の側は、その測量についての協議がととのいまして、調印が行なわれ、すでに紀勢町においては一部測量を開始しているようでございます。しかし、南島町側は相変わらずその測量にも反対をしておるというのが大体従来の状況でございます。  四十二年に入りまして、一連の地方選挙も全部終了いたしまして、その終了した後におきましても、表面的にはまだ従来とさして情勢は変わっていないというふうに見受けられます。  以上、簡単でございますが、従来の経過を御説明申し上げます。
  80. 麻生良方

    麻生委員 一民間企業がやっておることですから、われわれとしても、政府としても、干渉がましいことはなすべきではないと私も思います。しかし、民間事業といえども、これは一つの公益事業であり、さらに国家的立場に立てば、今後原子力開発は相当進めなければならぬという機運が出ておるそのやさきに、この中部電力の一民間企業の原子力建設問題が三年間にわたって摩擦を続け、なおかつ今日まで解決の見通しがないということは、今後の原子力開発問題に対してきわめて憂慮すべき暗影を投げかけておるものだ、こういうふうに判断せざるを得ないのですけれども、私いまの答弁の中で一つお伺いしたいのは、科学技術特別委員会調査団が派遣されたという御説明がありました。これは正式な科学技術特別委員会の決議に基づいて派遣されたものですか。
  81. 村田浩

    ○村田政府委員 衆議院の科学技術振興対策特別委員会では、昨年七月二十七日に閉会中の委員の派遣につきましての理事会がございまして、その結果、一般的に委員長に委任を決定しておるわけでございますが、その後御相談になった結果、九月七日に原子力発電建設予定地並びに人形峠におけるウランの採掘の状況、探鉱の状況、そういうことを実情調査する、そういう目的で九月上旬に議長に申請されまして、その結果、九月十九日から二十三日まで四名の先生方が御出張になったのであります。
  82. 麻生良方

    麻生委員 いまの御答弁によれば、正規の委員会の議事手続を通じて派遣された。その派遣された代表の方の氏名を差しつかえなければちょっと御説明願いたい。
  83. 村田浩

    ○村田政府委員 おいでになりました先生方は、自民党から中曽根康弘委員並びに渡辺美智雄委員、それから社会党から石野久男委員並びに岡良一委員のこの四名でございます。  なお、当初私どもの伺いましたところでは、このほかに自民党から大泉委員並びに民社党から内海委員も御参加の御予定であったそうでありますが、諸種の都合で当日はおいでになれなかった、こういうふうに承知しております。
  84. 麻生良方

    麻生委員 他の委員会でありますから、私はとやかく言うことはないと思いますが、ただその経緯をもう少し知りたいのですが、いまの御説明によれば、あっせんに行ったわけではない、事実の調査をしに行ったということでございますね。そうすると、その事実の調査の結果はどうなったんでしょうか。
  85. 村田浩

    ○村田政府委員 九月の十九日に現地にお着きになりまして、現地で県当局あるいは中部電力当局から種々この芦浜の計画につきましてのそれまでの状況説明聴取されまして、その後関係者とともに名倉港におもむき、ここから船で海上から芦浜の現地のほうに参ろう、こういう予定であったわけであります。このような船によって海上から回るということは、海上保安庁等のいろいろサゼッションもございまして、そういう計画にいたしたわけでございます。しかるに、実際に名倉港に参りましたところ、この一行の中に県当局の方も入っておられた、あるいは中部電力の職員もおられた、そういうことがあったからかと思いますが、そこに多数の漁民の方が集まっておられまして、そうして調査に反対である、こういうことを言われまして、実際に港から調査船が出ることが阻止された、こういう状況で、結局目的を果たされることなく鳥羽までお戻りになりました。ここで記者会見をされ、遺憾の意を表明された次第であります。
  86. 麻生良方

    麻生委員 いまの説明をお伺いすると、要するに何も得ずして帰られたという結論になるようですけれども、私がもう少しお伺いしたいのは、少なくともその特別委員会の決議で調査団ということで派遣されておる以上、地元の県当局あるいは地元の町長その他関係者、それから科学技術庁は当然、それから通産省も、やはりそれだけ実情が調査でき、あるいは反対者の意思を十分にお聞きできるようなおぜん立てをしてしかるべきだと思うのですよ。そうしないと、委員会からかってに行ったのだからということになれば、それはそういう結果になるのは当然であります。そうすると、私は少し科学技術庁としても万全の措置の準備が不足であったのではないかと思われるのです。それが一つ。もう一つは、私は地元の人との関係はありませんけれども、仄聞するところによると、国会から来た連中をわれわれが追っぱらった、こういう宣伝がかなり行き届いている。これははなはだ国会としても困ることで、一党派で行ったことならこれは別ですけれども、少なくとも議長の承認を得て出た代表団が地元の代表から追っぱらわれたということをそのまま放置しておくことは、きわめて好ましくないのです。そういう点についてどのようにお考えになっているか。
  87. 村田浩

    ○村田政府委員 いま第一の点でございますが、衆議院の科学技術振興対策特別委員会のほうで、他の原子力発電所建設予定地も含めて一般的に実地の調査をされたいということは、私どもとしては非常にけっこうなことである、原子力発電の計画を推進するにあたりまして、非常に国会関係が深い関心をいだかれまして実情を御調査いただくわけでございますので、非常にけっこうなことだというふうに思いまして、種々便宜等につきましては現地等とも相談したわけでございます。ただその中で、福井県の敦賀及び美浜地区と並んで、この三重県の芦浜地区をこの時期に御視察になることが時期としてよろしいかどうかという点につきましては、実は私どももいろいろと心配いたしまして、県当局、地元のほうにも、中部電力等にも、状況を聴取したわけでございますが、私の記憶では、この計画を練っております八月ごろだったと思いますが、県のほうはちょっとまだ時期的に必ずしも望ましくないのではないかという御意見もあったかと思います。このような御意見はもちろん委員会のほうにはお伝えしておいたわけでございますが、先生指摘のとおり、この調査は一党の立場でなくて、国会の超党派の立場でおやりになっているわけでございますし、本問題について直接の利害関係をお持ちであるわけではごうもないわけでございます。先生方とされましては、そういう立場にあるわれわれが、やはり国の重要な計画である原子力平和利用を推進するという観点から現地の状況を見ておくことが、今後の原子力発電計画の推進に非常に有益であろう、こういう判断で御出発になったわけでございます。そういうことでございましたので、私どものほうといたしましては、この衆議院の事務当局からの随行はもとよりでありますが、科学技術庁のほうからも職員二名を同行させまして、種々現地等における連絡に当たるように配慮したつもりでございます。それで、御出発になった前日において状況を見ましたところ、先生がおいでになりましたときには、現地で漁民の代表の方々が反対陳情のアピールをなされるだろう、こういうことは聞いておったわけでございます。しかしながら、いわゆる実力を行使して調査を阻止するというようなことはまずないというふうに情報として判断されましたので、そのようなつもりで参ったわけでございますが、現実は遺憾ながら阻止に会いまして、調査が実行できなかったことについては、まことに残念だったと思っております。
  88. 麻生良方

    麻生委員 あなたを別に責めているわけではありません。ただ、少なくとも、どの委員会であろうと、国会の議決によって調査団が出るときは、それぞれ関係当局は、俗にいう根回しというやつをやらないと、特にこういう問題についての調査団のときは、いまのような思わざるそごにあうこともあります。しかもそれはある影響をもたらしてきます。そのことが、先ほど言っているように、国会からの調査団をわれわれが追っ払ったんだというような反響となって現に出ておる。ということになると、地元民の意向に立つか中部電力の意向に立つかは別として、今後関係者があっせんに乗り出すことさえできない状況が生まれてしまう。私は率直に言うと、この中部電力のいまの問題は、それがかなりの隘路になって尾を引いておると判断しておるんです。そういう状況になっておるものですから、これは何とかせにゃならぬなと思いながら、だれも手は出さない。だから、結局、ずるずるといまだに解決のめどが立たないという結果になっておるということを十分に知っておいていただきたい。これは特にあなたのほうの役所やその委員会を責めるわけではございません。  そこで、通産省に話を戻すのですけれども、いずれにしても、この原子力開発の問題は、特別委員会と本委員会との関連が当分の間続いてくると思います。やはり通産省としても、これを民間企業のことだからといっていつまでもほっぽらかしておくということは、私は好ましくないと思うんです。通産省としてやるか、あるいは関係者としてやるかは別として、地元民のやはり相当の主張があると思います。その主張と、それから、中部電力の主張というものをよく見きわめた上で、いずれにも相当責任のある解決方法を絶えず提示をしていかないと、ものごとは進展しません。このままの膠着状態に置いておけば、これはにらめっこでずっとこのまま続いていくものです。主としてこの種の問題は、推し進めれば反対が出る、反対が出れば調整が生まれる、またそこで話し合いが生まれるということを経由して解決方向に向かっていくんです。だから、一時的な問題が起こっても、これはやむを得ないこともあるかもしれない。しかし一番おそるべきことは、だれも関与しなくなってしまって放置をされるという状態が一番好ましくない。  そこで私は、きょうは大臣にひとつお願いがあります。私は、通産省という立場は別としても、通産大臣として、やはりもう少し積極的にこの問題を打開をしていく御努力を、通産省としても大臣としてもひとつおとりをいただきたいと思うのです。その具体的なやり方はここで申すべきことではないと思いますが、その所感をひとつ大臣からお伺いしたい。
  89. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 事情を聞いてみますると、中部電力からは事情を聞いておるようであります。しかし、こういう問題ですからして、できるだけ地元で解決をするということでこのままにしておりますが、しかしもう相当期間がたっておりますから、お話しのとおり、地元の意見もわれわれとしても聞く機会を得たいし、また中部電力の意見も聞いて、その上でひとつ通産省として、発電事業自体は通産省の所管でありますからして、通産省としてもこの問題の解決にひとつ早急に乗り出してみたい、こう考えております。
  90. 麻生良方

    麻生委員 いまの大臣の御答弁でけっこうでございますから、ひとつできるだけ解決の方向で御努力いただきたい。  以上をもちまして私の質問を終わります。
  91. 島村一郎

    島村委員長 塚本三郎君。
  92. 塚本三郎

    ○塚本委員 私は、資本自由化の問題について大臣の所信をお伺いしたいと思っております。  外資審議会が四月の七日に、資本自由化の進め方について検討した結果、特殊な例外を除いては六月から、実施させるというふうな結論を出しておるわけでございまして、それについて政府自身も、六月から順次これに対して自由化の方針を固めたということが伝えられております。これについての大臣の所信を最初にお聞きしたいと思います。
  93. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 資本の自由化の問題につきましては、本日の閣議でも大蔵大臣から経過の報告がありまして、その結果として、大体六月中旬をめどとして閣議決定をしたいということなのでありまして、結局、外資審議会でいろいろいま審議しておりますが、その材料は、やはり通産省が材料をいろいろ業種について出すわけでありまして、いま通産省としてその業種についての検討をいたしておりますので、おそくともこの月末かあるいは来月の早々までにその業種に対してどういう態度をとるかという結論を出して、それで外資審議会にかけて、そこで審議してもらって、またその答申によって閣議で決定したいという大体順序を定めておるのであります。
  94. 塚本三郎

    ○塚本委員 今月の末ごろには大体その業種について具体的なことが明らかにされるわけですか。
  95. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 業種についてのどういう態度をとるかという通産省としての態度をきめたい、こう考えておる次第でございます。
  96. 塚本三郎

    ○塚本委員 私は、もっぱらこの資本自由化の問題で、こちらに外資が入ってくるという受け身の立場できょう御質問申し上げてみたいと思っております。  いままで行なわれておりました貿易の自由化あるいは外資を導入することによって産業を伸展させる、こういう進め方は、私は一応成功してきたのではないかというふうに思っております。しかし最後の直接投資の問題は、これはきわめて重大な問題を含んでおるというふうに私ども考えております。私は、別に前提やあるいは含みを持ってお伺いするわけではございませんが、われわれ日本人の特に島国根性と申しますか、そういう立場で害いますと、これは単に外資を導入して資本の不足を補うとか門戸を開放するとかいうようななまやさしい問題ではなくして、いわゆる経営をとられるんだというふうな考え方が一部報道せられておりますが、この問題だけは、特に外国の例もないわけではないようにも聞いておりますが、そういう意味で、どうしてもやらなければならぬというような報道が政府筋からも聞こえてきておるわけですが、しかし、このどうしても自由化しなければならぬという義務的なことが、あらゆる国際会議、経済的な会議の舞台で言われてきておる。日本はその義務を果たしていないんだ、こういうふうな受け身の立場で、押され押されて、もはや持ち切れず開放しなければならぬというふうな空気を私どもは受け取っているわけです。したがって、自由化の義務というものが、この際、たとえばOECDに加盟しているものとしての法律的な義務であるのか、あるいは国際商慣習の中における道義的な義務としてこれを受けていくのか、さらに、積極的な立場でこれを受け入れていき、そしてこれをなし遂げることによって日本経済がさらに躍進するという利害関係立場からながめてみて、選択的に見た場合、こちらをとったんだというふうな意味に受け取っていいのか。法律的な義務なのか、道義的な義務なのか、さらに、選択的な道としていわゆる心組みでとってこれを実施するというのか、この三つのうち——もちろんそれはさい然としたものじゃないでしょうけれども、大臣の心組みとして、これに踏み切られる場合、これはどちらのほうに重点を置いておいでになるのか、これをお聞きしたいのです。
  97. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 私の意見といわず、これは政府の意見でありますが、いま塚本委員がおっしゃられた最後の立場をとったわけです。自由化することが日本の経済発展のために必要だという立場をとり、そしてこちらから進んで自由化すべきだという考えをとっております。決して義務的に法律的に入らなければならぬという問題ではありません。
  98. 塚本三郎

    ○塚本委員 相当自信がおありのようだからけっこうだと思いますが、二、三の文献をあさってみますと、フランスや西ドイツにおきましても、的にそれをなさったようでございまするが、最近においては、これを押えることに手がないというふうなことで、たいへん困って見えるようで、そういういわゆる経済的問題の困惑の状態が政治的にも波及してきておるのではなかろうか。これは場違いかもしれませんけれども、この数年におけるドゴール大統領のアメリカに対する反発というものは、外資によって足元が一つ一つくずされて、フランスの経済の根本をというほどではないにしても、フランスのプライドというものをことごとに傷つけていく、このことに対する怒りというものが対米反発となって出てきておるのだ、こういうふうなことが二、三の文献では出ておるわけです。しかも、フランスの栄誉をになうような産業が足元からこんな状態でくずされていっても、経済的にそれを阻止する道がないのだというところから出てくるドゴールのあせりというふうに看取されるわけです。日本においてそういう心配がないかどうか。抽象的な御質問で恐縮ですけれども、やはりまだ、実際に踏み切っておりませんから、こんなことしかお聞きすることができないのですが、その点はどうでしょう。
  99. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いまお話しのとおり、外国では資本の自由化によって産業が奪われてというと語弊がありますが、産業がアメリカ資本によって支配されておるといったような先例がありますので、したがって、この自由化の問題は、われわれとしては慎重に取り扱わなければならぬという考えを持っておるのであって、そこで自由化を一〇〇%さすか、あるいは五〇%自由化さすか、あるいは五〇%以下に自由化するかというようなことを、いま業種について検討しておるのであります。そこで、自由化さすにしても、国際競争力を持つような時期に至れば自由化するという態度をとっておりますから、したがいまして、五年間以内でこの自由化を完成したい、こういうつもりをしておりますから、最初に自由化を認める業種は、大体自由化さしてもだいじょうぶだという業種について自由化をさす、最初に発表するのはそういう業種だと思います。その他の業種については、それぞれ対策を講じて、まず体質を改善して競争力を持つような力をつけさしていきたい、そういうことで、いわゆる産業構造の改善だとか体質改善というようなことをいまから用意しなければならぬということで、今度の予算の中にもいろいろまた御審議をお願いしておるような問題がある次第であります。
  100. 塚本三郎

    ○塚本委員 順序としてはそういうことになろうかと思いますが、何か政府の方針によりますと、四十六年度までに一般的にほとんど開放したいというふうな方針も伝えられておりまするが、最初はそういうふうに徐々に許すということで、だいじょうぶなところは開放しますが、しかし四十六年というとそんなに長い期間じゃないと思うのですね。それまでに一般的なところまでいくところのよほどの財政的な裏づけと指導がなければならぬと思いますが、この点大蔵省との関係相当自信のある取り組み方ができておるのかどうか、その点どうでしょう。
  101. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 資本の自由化の問題は、大体大蔵省が中心で、外資審議会というものをやっておるわけです。しかし業種については、通産省がいろいろ各業種について、これはいま自由化したほうがいいかどうか、何%自由化さしたらいいかどうかということをいま私のほうで検討しておるのでございます。したがって、それは先ほど申し上げましたとおり、体質改善というような問題、産業構造の改善というようなことで今度も予算相当もらいました。たとえば中小企業振興事業団あるいは繊維の特別措置法というものがやはりその一つのあらわれでありますが、そういうようなことで自由化のために必要な予算というものは昭和四十二年度に計上して、そして自由化に対する用意をしたいということでやっておりますから、大蔵省ももちろん自由化ということについてはそういう必要性を認めており、これは当然世界の大勢が自由化になる時代だということを大蔵省に十分認識してもらっておりますから、大蔵省と相談して順次実行に移したい、こう考えておる次第であります。
  102. 塚本三郎

    ○塚本委員 自由化は大蔵省のほうが積極的であるということも承っておるわけです。その点はいいと思うのですが、問題は、その場合、一般的なものまで開放した場合におけるこれの受け入れ体制と、太刀打ちできるかどうかといった問題。自由化をしたことによって大蔵省の海外に対する立場をよくし、受け取りの金額の点の計算を進めておるのではなかろうか。しかし通産省立場では、受け取りの金額よりも、いわゆる既存の日本におけるところの経済界そのものを守っていき、どう飛躍させるかということになると、私は大臣の考え方と大蔵大臣の考え方と向きが違うのではないかというふうに受け取っておるわけです。だから自由化させるということについては、大蔵省はより通産省よりも積極的だというふうに受け取っておるわけです。だけれども、それは金のことを考えて積極的なのであって、その受け身の立場にある側として、特にずば抜けた企業は別にいたしまして、全般的な企業というものを、それに見合うように、あるいはそれ以上にだいじょうぶだという形に盛り上げるために投入すべき相当の資金といいますか、そういうものを用意する腹があるかどうか。積極的であることはわかるのですけれども、その点、受け取りの金のことに中心を置いてしまって、こちらがとられないような、あるいはこちらが貧弱にならないようなためのいわゆる措置をするために、現在のテンポでだいじょうぶかどうか。いまはまだゼロの状態でありますから、やってくれたことあるいは事業団の問題等相当というふうに言い得られるかもしれませんが、堂々と入ってきた流れに対処するのに、はたしてそれのかまえがあるかどうか。これは通産大臣よほど強い姿勢で臨んでいただかなければならぬというふうに思いまするが、その点で大蔵省と通産省との間にやがて食い違いが出てきて、よほど強く当たっていただかなければ、だいじょうぶということは言い切れないのじゃないかという一まつの不安がありますが、どうですか。
  103. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 その御心配はごもっともだと私も思うのでありますが、大蔵省としては資本という立場考えますし、こちらは産業自体について考えますから、そこで、われわれのほうもできるだけ各業種について具体的に調査研究して、そしてその結果を外資審議会にかけてきめてもらうということにした次第であります。しかしわれわれといたしましても、この日本の産業の発展ということが中心でありますからして、日本の産業の発展を阻害するような場合には自由化は認められない、こう思うのです。でありますからして、そういう意味においてあくまで日本の産業を発展させるという立場から、通産省としても、調査研究、それに必要な体質改善、あるいは企業の合同というようなことも当然考えられてくると思いますが、そういうこともやって外国資本の跳梁には対抗のできるような用意もしてやらなければならぬという考えをしておるし、むしろそれによって日本の産業があるいは刺激されて飛躍するぐらいの元気を持ってもらいたいという考えをしております。幸い産業人自体は非常に積極的な議論を持っております。この間も経団連の総会で石坂会長は、この自由化に対しては非常な積極的な意見を持っておるようであって、むしろ産業人から、この際は大いに日本の産業界も積極的な態度でもって臨めということを石坂会長から言われて、私もその演説を聞いたのでありますが、そういうことで幸い産業界としては積極的な考えを持っておりますけれども、また業者としては消極的な考えを持つ人もそれはあります。そういう方々は、いま自由化してもらっては困るというような意見も、おそらく相当言ってきておるようでありますが、しかしそこらは、われわれのほうもよく調査研究をして、そして日本の産業に打撃を与えないように、混乱を来たさないように考えてやっていきたい、こう思っておる次第であります。
  104. 塚本三郎

    ○塚本委員 確かに産業界として、資本を投下してもらいたいというふうな産業がたくさんあると思うのです。ところが逆に向こうさんのねらっておるのは、有望な、そしてこのままでも自立してやっていかれるという堅実な企業をねらってでなければ、いわゆる投下資本に対する利益というものの勘定が合わない、こういうふうな形で、ずいぶん違った形に投下してきはせぬか。それは初歩の段階ではだいじょうぶなものしか開放しないからいいとはいうものの、一つを開放したならば、せきを切ったように、これが関連して、こいつはだいじょうぶだけれども、こいつを通じて隣のほうへと伸ばしていくという形で押しまくっていくというのが、西欧などの実例に見られるような自由化の姿であると思うのです。そういう点からいきますと、よほどこの点に気をつけていかないといけないと思うわけです。その点、もう相当腹は固まっておると思うのですけれども、やはり四十六年までにはだいじょうぶな道をとるというはっきりとした腹は固まっておるわけですか。
  105. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いま塚本委員が言われた事例ですが、それは法律改正をせぬでも防ぎ得るようなことをいま研究しております。そして表面は五〇%で来ておって、中に入ってきて、日本の金で株を買おうとかいうようなことは、これはそういうことができぬような行政措置をとりたいということで、こういう場合はどうするかということで、いまあらゆる場合の具体的な対策を研究しております。
  106. 塚本三郎

    ○塚本委員 幸い日本が産業の進んだ国としては最も自由化がおくれているために、よそにいろいろないい事例と悪い事例とが出ておりますから、これを十分参考にしてこれからやっていただきたい。その点では相当な資料があるというふうに思うわけでございます。とは言っても、資本のいわゆるどん欲性というものから見るときに、そんな美しいことばばかり言っておれないのではなかろうか。フランスだけではなくして、最近におきまして、西独などにおいても、国内において同様なことで政治的問題化しておるのではなかろうかというふうに私は見ておるわけです。そうすると、日本はこれからですから、この際白紙の立場でこのことを国際舞台で主張することができると思うのです。何らかの形で、資本の自由化に対して相当あちらこちら問題が起きていると思うのです。こういうものをはっきり調節するためには、いわゆる当事者国の中の争いという形、経済界の力関係だけでこれがはかられるということになりますと、これは外交問題、政治問題に発展する危険性があると思いますので、この際、国連のような舞台で、こういう問題があったときにはっきりと調節する委員会なり、そういう機関を設けさせるという必要はありはしないかというふうに思うのですが、この点は何か検討なさったことがあるのでしょうか。
  107. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 ただいまのところ、そこまでまだ考えておりません。西ドイツあたりの事例はわれわれも承っておりますが、しかし国連まで持ち出してやることかどうかということについては、私自身も考えていないし、おそらく西ドイツもまだそこまでは考えていないのじゃないか、こう思います。しかし将来いろいろの紛争が起これば、これはあるいは国連へかけるか、どこへかけるか知りませんけれども、国際的な仲裁によらなければならぬ場合も出てくるのじゃないかと思いますが、いまのところは、そこまでの必要はないのじゃないか、こう考えておりますし、幸い——幸いと言っては何ですが、西ドイツなんかで失敗しておりますから、その失敗をわれわれは研究して、前車の轍を踏まぬように日本はやりたい、こう考えておる次第です。
  108. 塚本三郎

    ○塚本委員 私ども太平洋戦争中に育った者の頭に浮かびますことは、ユダヤ資本によって民族のプライドを傷つけられたという、こういう教育が徹底的に戦争中に育ったわれわれにとっては頭の中にあるわけでございます。このことは、やはりドイツも同じだったと思うのですけれども日本の国の中にありながら、資本は向こうが過半数になってしまうことによって、これはすべてならぬと大臣が言明なさっても、よその国においては実例が出てきておる。そうなると、日本の政界の保守性といいますか、経済の大勢を動かすものが政治を動かす、こういうような今日までの姿を見てきますと、それに対する国民的な感情というものがきわめて大きく反発いたしまして、ここから日本の政治の右翼化というものがあの青年将校の諸君によって引き起こされたと思うのです。その一端が私はフランスの中にあらわれてきておるのだと思いますし、西ドイツもそういう傾向を否定するわけにいかないのではないか。こういうことを考えてみると、私は単に経済だけの問題としてこのことを扱うのではなくて、このことが進むことによって、そういう政治的に民族運動的な思想が出てきて、反動的な機運を醸成しはしないか、こういう心配さえも、ヨーロッパの姿を見ていると持つわけです。これは、もう前だからどんなことを言っても打ち消すこともできますが、他面からいいますと、私はきわめて慎重な問題として取り上げていかなければいかぬと思うのです。ただ外資導入のときも、若干そういうことを言われたのですが、このときは、いわゆるもうけて返せばいいのだという形なんですけれども、今度の場合は、入れた限りはどこかで——たとえば第二次世界大戦あるいは国有化というような形でいままではピリオドを打ってきたと思います。だが、これからどんどん入ってくるという形になりますと、再び追っ払うという言い方は変ですが、引き揚げてもらって、いわゆる日本の資本の形にする道がないじゃないかと思うのです。そうすると、際限なく入ってきてしまって、しまいにはどこかでそういう悲劇的ないわゆる幕を閉じなければ、国家としての産業の姿というものがなくなっていくような気がするのです。それが世界の大勢だからいいとおっしゃるかもしれませんけれども、われわれああいう戦争中に育った者の感覚からいたしますと、一まつの不安、それがいいか悪いかわからないのですが、そのことに対する反動が出てくるような気がするのです。そういうことに対する心配はどうでしょうか。
  109. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 私、産業人にはこういうことを申し上げておるのです。資本の自由化については、まず産業人自体が、この自由化に対して対抗するという意識を持ってください、それには一人でいかぬ場合もあるから、あるいはお互いに共同でやってもらうというふうにして、そうしてお互い日本の産業人同士が助け合うということ、たとえばある産業の一会社が経営困難で、そうして外資を入れたいという場合には、ほかの人が外資を入れずに、おれらのほうでひとつ資本を出してやるというようなことで、お互いに産業界自体が団結してやってもらいたい、それを、自分の営業さえもうかっておればいいというような考えでこの際資本自由化を迎えてもらっては困るということを私は産業界にも申し上げておるのです。でありますから、今日の産業人は、自分さえもうかったらいいという人も相当ありますが、お互いが共同しなければやっていけないという考えを、産業界自体においてもだいぶ持ってきておるように思います。ことに、これはほかの例でありますが、中小企業の問題にいたしましても、今度協業組合を設けるというのはそういう趣旨なんで、中小企業が大企業に対抗できるかどうかは、やはりお互いが共同行為をとらなければ対抗ができないのだから、中小企業者自体がひとつそういうふうにやってくださいということをお願いしよう、こう考えておるのでありますが、この自由化の問題でもそうだと思います。だから、そういうふうに日本の産業に非常な打撃を与え、混乱を来たすおそれのある場合には、これはひとつ業者同士でお互いが助けて、日本の混乱を防ぐようにやってもらいたいということをお願いしております。  それから、その自由化を認める場合には、向こうの利益のために自由化を認めるのではないのですから、日本の経済の発展のために自由化を認めるのでありますから、かりに向こうのほうが日本の産業をひとつ大いに横断してやろうという大それた考えを持ってくるような場合には、もちろんこれは自由化は認めないということでいきたい。向こうの会社などについての事情をよく調査して、日本の産業が打撃をこうむらぬように十分やっていきたいという立場で進んでいきたい。こう考えておりますから、そう御心配になるようなことが起こらぬようにやりたい。私自身はそういう考えで進んでいきたいと思っております。
  110. 塚本三郎

    ○塚本委員 外資がそんなにおおらかに日本に入ってくるということが考えられるかどうか。たとえば一、二の例でございますけれども、合弁会社をつくった、そうしたら、わざわざその会社を赤字にさせてしまって、立ち行かないようにしていくというあくどいやり方でもって乗っ取りが策せられたという事例も幾つか報道せられております。あるいは、合弁会社のような形ならまだいいのですけれども、もちろん独禁法等である程度の制限はしておられるのですが、日本の産業だけで独立してやっていけば十分発展をしていくでしょうに、それを乗っ取るという形ができないとすると、同じような会社をつくって、それが値段をくずすことによって、あるいはまた宣伝を過大にすることによってこちらの利潤を下げるというような、もっともっとどん欲にして過酷な姿が資本の実態ではないかと思うのです。そのときに、大臣はばかにおおらかな気持ちでそういうことをおっしゃっておいでになりますけれども、いままでの事例は特殊な事例だとか、あるいは経営者が特にどこか抜かっておったのでそういうことになったのだというふうな見方ではたしていいのでしょうか。
  111. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いままで、どういう事例か知りませんが、たとえば豊年製油と外国会社との間の合弁会社で赤字になって、ついに株は外国会社に買収されたということでありますが、結果から言うと、これは将来は知りませんが、現在で言うと、日本のカゴメケチャップが非常によくなってきたということです。むしろあれが一つの刺激剤になってきたということをけさも農林大臣から報告を聞いたのでございます。でありますから、外国の資本が入ってくることによって刺激剤になって、かえっていい場合もあるということであります。外国資本自体がそうそう悪らつであるというわけではないので、要するに向こうの経営者の問題だと思うのです。だから経営者については慎重にわれわれも検討していきたいと考えておりますし、今日、日本国内でもそうですか、経営者がほんとうに従業員に対しても十分考慮してやっていくような会社はやはり発展しておりますけれども、経営者自体が自分だけうまいことをするような会社は決して長続きしておりません。だから、そういう日本国内の事例においても、問題はやはり経営者自体の問題だと思いますから、われわれといたしましては、そういう外国の資本自体じゃなくして、外国の会社自体をよく調べて資本の自由化を認めていきたい、こう考えておる次第であります。
  112. 塚本三郎

    ○塚本委員 確かに自動車産業だとか、経営者同士がある程度協力なり合併なり提携なり、いろいろな姿を考えておられると思うけれども、しかしそういうふうなことをしてもなおかつ実は対抗し得ない業種がきわめてたくさんあるのではないかというふうに思うわけです。大臣はもっと警戒的かと思ったら、話を聞いていると、私が逆の欠点ばかりをお聞きするものだから、よけいにそういうふうにおっしゃっておいでになるのかもしれませんが、それならばなぜフラン入鮮西独があんな状態になってしまったのか。かつて、数年前にはとにかくあのような輝かしい産業の伸びを誇っておりました、あのようにすばらしい外貨を持っておりました西独が、今日なぜこんな沈滞の姿になってしまったのか。こういう姿を見るとき、日本の今日の姿から見ますと、日本もやはり開放したときには彼らと軌を一にするのだというふうな前提に立ってものごとを検討しなければいかぬような気がするのでございます。いかに合併しようとも、いかに提携しようとも、特にアメリカの資本というものはけたが違っておるというふうに私は思うわけです。そういうときに、それがだいじょうぶだというような見方でいいのでしょうか。
  113. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いや、私は初めから全部楽観論じゃないのであって、対抗のできるものは自由化を認める、対抗のできないものは体質改善をやっていって、対抗のできるようになったときに自由化を認める、それで五年かかるということを先ほど申し上げたのです。でありますから、そこらは十分こちらは用意して体質改善をして、競争力があるという場合に自由化を認めるという立場をとっておるのでありますから、何も楽観論というわけじゃないのでございます。しかし向こうの会が全部悪らつだとは考えていない。中には悪らつでない会社もあるから、そういう場合にはお互いに提携してやったらいいじゃないかという考え方をしておるので、悪らつな会社であれば、またこっちがそれは認めぬという方針でいくべきじゃないか。外国の資本は全部悪いやつだ、こう一がいには断定はできないと思うので、そこらはやはりこちらのほうで取捨選択して、日本の産業に打撃を与えないように、混乱を来たさないような態度で進んでいきたいというのが通産省としての立場であります。それで、先ほど申し上げましたとおり、いろいろ各業種について、これはいつごろになったら体質改善ができるかということをいま慎重に研究をしておる最中でありまして、月末までには大体結論を出したいというふうに考えておるわけです。
  114. 塚本三郎

    ○塚本委員 入ってきてからの措置でございますけれども、何らかの形で入ってしまったものはもはやどうしようもない。いわゆる独禁法なり国内の若干の規制はありますけれども、しかしあと、これはもうつぶれてしまって引き揚げるしかしかたがないのか、あるいはそれでなければ国有化以外にはないのか。日本人の感覚から言いますと、過半数が外国の資本になるということは、そんなことはかまわぬと言うけれども国民的な感情からいたしますと、何かその工場が治外法権的なものになったような感じを素朴に私ども持つのです。日本企業だとおっしゃっても、利益は向こうへいってしまう。金を世界銀行から借りたという場合なら、ここでもうけた金で返済する、利息だけじゃない、資本も返済する、金も返済するという形になっていくのだけれども、直接投資の場合には、それがなされないだけではなくして、経営権そのものが向こうになってしまうと、治外法権のような地域があちらにもこちらにもできてしまうというように素朴な国民はとるし、現に日本アメリカに占領されたという意識、いわゆる二十年昔のその意識を国民は持っております。間違いだと言ってみても、日本国内におけるその会社との取引の相手もそういう感情にならざるを得ないのが、国民のいまの心理だと思うのです。そういう中でだんだんそれがふえてきてしまうということは、あたかも日本の国に沖縄のような姿があちらこちらにできてしまう。これは極論ばかりですから常識のない質問かもしれませんけれども、そのときに何らかの形で向こうへ帰ってもらう、そういうふうな処置というものが考えられておるのかどうか、この点はどうでしょうか。
  115. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いまのお話のように、入ってきたらそれを追っ払うということはなかなか困難だと思います。だからその点については、入るときにこっちが慎重に調査してやらなければならぬということなのでありまして、その意味において、通産省といたしましては慎重に業種についていろいろ当たっておるわけです。具体的に今度は会社ということになってきますと、その会社の経営なんかもよく調査して、そして条件は、とにかく日本も利益するし、向こうも投資するのですから、向こうにも利益を得させなければいけませんから、双方ともに利益を得るという条件で資本の導入を許すということでいきたい、こう考えておる次第であります。
  116. 塚本三郎

    ○塚本委員 私も若干しか調べておりませんけれども、確かに、入れるにあたっては、大蔵省に比して通産省は実に慎重に、外国から見ると憎らしいほどの防御の検討をなさっておいでになるように思うわけです。この点私は非常に敬意を表するわけですけれども、入ってきてしまってからは、若干そういうふうな経営者がおったとすると、これは手がつけられないという状態になってきておる。しかも、予想以上に彼らが執拗にその点をうまみとして日本に来るんだということを考えるときに、そういうことの何らかの手段というものはないんでしょうか。
  117. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 御指摘のように、入ってきたものに出ていってもらうということはなかなかむずかしいと思います。しかし、入ってきましたものが、御指摘のように、またいろいろな弊害を起こすという面もあろうかと思います。その弊害の面として私は二つあろうかと思います。一つは、資本力がすぐれておりますし、また技術も格段の相違がございますので、経済力乱用といいますか、資本力にものをいわせてダンピングをやるとか、市場を撹乱するという点もあろうかと思います。それからまた、特許に守られた技術力によりまして、技術独占というような問題も場合によっては将来出てくる可能性があろうかと思います。そういう問題につきましては、規制の方法は、御承知のように独禁法でもあるわけでございますが、この運用の問題になるわけでございますが、外資だけを取り締まるということはなかなかむずかしいと思います。そういう問題で規制をいたします場合は、国内産業も同じようにそういう面については規制を受ける、こういう形にならざるを得ないと私は思います。  それからもう一つの弊害は、先ほど大臣から申し上げましたように、自由化をいたします場合は、実力のある業種から順次やっていく、こういう形にいたします。ところが、ある業種に入りました企業がもうけて、さらに他部門に出ていく、あるいは他部門についての会社の株を取得するとかいう問題が出てまいろうかと思います。一つの部門を拠点にいたしまして、だんだん他部門に手を広げる、こういう問題があろうかと思います。そういう問題につきましては、現在大蔵省、通産俗間で外資法あたり、これは政令改正になろうかと思いますが、政令を改正して、そういうものがさらに規制できないか検討中でございまして、おそらく一つのものを拠点にして無制限に大きくなっていくという形は規制できる、私はこういうように考えておるわけであります。
  118. 塚本三郎

    ○塚本委員 私が執拗にこんなことをお聞きいたしますのは、日本の産業といいますか、経済の特質は何であろうかということを考えてみますると、たとえばアメリカにおいては膨大な地下資源があるとか、あるいはカナダにおいては膨大な農地があるとか、あるいはまたヨーロッパにおきましては相当特許を持っておるとか、こういうものが中心になって産業を生み出してきておると思うのです。ところが日本の場合は、残念なことに、あるものは何だと言いますと、勤勉な労働力と、きわめて精巧な技術というものしかないと思いますね。結局そのものが、直接投資されたことによって、その会社が、また狭い考えか知らぬけれども、過半数の株を取得せられてしまったときには、これ自身まで外国にとられてしまったという意識になってしまう。そのとき、アメリカのような鉱業権を持っておるとか、あるいはまたカナダのように広大な農地がある、こういうものは、単なる資本の自由だけでなくして、ここにはおそらく採掘権の問題もあるでしょうし、あるいはまた不動産取得の法律もあるでしょう。幾つかの、何重にもこれを保護すべき、その産業に対する特質を守るべきいわゆる単独立法があって保護せられておるから、日本も行って向こうで採掘すればいいじゃないかというけれども、その限りにおいては、単なる過半数の株を取得することによって、いわゆる日本の根幹がとられてしまうというものと認識が違うと思うのです。そういう意味で、日本が他国に比していかに閉鎖的であったといっても、少しもそのことにはひけ目を感ずる必要はない。日本にあるべき産業はこれしかないのだということで、またこれがなくなってしまうなら、日本の経済は何にもないと同じことになってしまうのだ、この点は、いわゆる産業国と言われておる各国に比して、同じ産業国の中においても日本だけは特殊のそういう地位を持たされておると思う。   〔委員長退席、小川(平)委員長代理着席〕 それが今度は明け渡してしまうということであるために、いわばアメリカ自身が国内における鉄や石油資源を守るということ、あるいはカナダが農地を守ると同じようなレベルにおいて、日本自身がこの企業そのものを守っていかなかったならば、これは根幹を失ってしまうという感じに立つわけです。そういう意味において、執拗に、いわゆる経営権をとられるということの重大性というもの、このことを言っても言い過ぎではないというふうに私は思うわけです。だけれども、再三その点通産大臣は周到な用意をしておいでなさるということですから、これ以上同じことを申し上げることもないと思いますけれども、ただここで、日本がプラスになる、こういう考え方、それは技術の面におきましても、資本だけではなくして、いろいろな面においてプラスになるのだということのお話がありましたけれども、たとえば日本がその資本を受け入れることによって、今度は日本から外国にいわゆる資本を輸出して、そうしてここから得るいわゆる利益というもの、このことが、たとえばアメリカやヨーロッパ等において、それが相当の利益を受けられるものなのかどうなのか。私どもの直感からしますると、いわゆる科学技術の高いところから資本を受け入れるのだ、しかしそのかわりに日本は、もう一度日本で見合うところの技術で東南アジアヘこれを出したらいいという、だんだん一段ずつレベルを下げてこういうことを腹づもりとして持っておるとするならば、東南アジアの新興国はきわめて大きな反発力を示すのではなかろうか。向こうから来たのだから今度はこっちがやればいい、こういう形における意識がありはしないか、この点はどうでしょうか。
  119. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 お話しのとおりに、日本には天然資源はなし、食糧もありません。あるものは人です。その人が幸い優秀な人であるし、勤勉であるということ、この点で日本の産業はここまで伸びてきたのでありまして、その点は日本よりも生産力の多いアメリカ、ソ連とは事情が違っておりまして、向こうは天然資源がありますから、したがってあれだけの国民生産力を持っておると思います。日本はだから国内的には宝はない。ただ、お互いの勤勉、お互いの知能を働かせて今日まできておるのであります。したがって、これが日本の宝なんです。それを侵されぬようにしなければならぬということをもちろんわれわれは考えているのであって、そしてまた日本人がここまできたのは、戦後あれほど劣っておった技術であったが、海外の技術をどんどん取り入れて、今日では海外の技術以上の技術にしておる。それは鉄鋼にしましても造船にしましてもそうなんです。それは日本人が優秀であるからできたのです。でありますから、日本人は今後とも活動してもらわなければならぬので、向こうの技術は今後といえどもどんどん新しいものは取り入れて、それをまた活用して、そして今日ではアメリカへ鉄を輸出するような時代に変わってきておるのでありますからして、そういうことで向こうの技術なり資本を利用して、むしろまたアメリカヘも今度は輸出するというぐらいな意気込みでひとつやってもらいたいと私は産業人にはお願いをしておるわけなんです。でありますからして、アメリカの資本だからといって、そうびくびくする必要はないのであって、アメリカ資本が人ってきたから日本アメリカに従属するかどうかというような気持ちは日本人にはないのであって、日本人はむしろアメリカ人以上の意気込みでやってもらうというふうにいってもらいたいと私は思っておるわけです。そういうことでありますが、しかし資本力というものは、これはたいしたものでありますからして、私は資本力自体を決して軽視はしていないのであります。したがって、たとえば五〇%以上で経営権を向こうに渡すという場合はごくまれな事例です。大体五〇%以下でいきたいという考えをわれわれはしています。でありますから、経営権は向こうにやるということじゃなくて、こっちも五〇%、向こうも五〇%ということでいきたいというふうに考えておりますから、五〇%以上向こうに資本を持たす場合には、こちらの技術がすぐれておって、そして日本人でなければやっていけないという会社、外国人ではやれないという会社、資本だけしか出せないというような場合にのみ五〇%以上でもいいのじゃないかというつもりでおります。いま御心配の点は私たちも心配しております。そういうことで外国資本の跳梁にまかせないようにできるだけひとつ万全の対策を講じなければならぬ、こう存じておる次第でございます。
  120. 塚本三郎

    ○塚本委員 失礼な言い方かもしれませんが、いまはその体制をとっていただいておると思うのですけれども、菅野大臣が四十六年まで責任を持ってやっておっていただければ心配はないのですけれども、逆に大蔵省なんかの考え方の中にはきわめて安易な——たとえばこの一、二年国際収支が赤字になる傾向をたどっておる、そして一面において資本自由化でもって、資本が入ってくれば、これで穴埋めができるのだ、というふうなことがちらちらと文書で見受けられるのでございます。そういうような安易な考え方によってこれが運営されていくという危険性、特に私は、今日の証券界の姿を見たときに、特に大企業におきましては、一つの会社あるいは一つの個人が一〇%以上把握しておるというのは筆頭株主なんで、たとえばある書物の中には東芝の例も出ておりましたけれども、すでに東芝などにはアメリカの会社が重役も送り込んで一〇%の株を取得しておる。日本のいわゆる筆頭株主はわずか三%というようなことで、日本の筆頭はたしか第一生命だと記憶しておりますが、すでにその三倍を実はアメリカの一社でもって東芝の株を持っておる。筆頭株主も、アメリカの筆頭株主は日本の筆頭株主の三倍の位置を持っておる。五〇%じゃない、わずか一〇%だ、そんな企業の姿なんだ、こういうことが報道されております。だから五〇%でだいじょうぶだなんというような考え方が今日の日本の産業界、大衆化せられた証券界の中で言い得るものかどうなのか。そういうばらばらのものを集めてみても、集めるそのことさえもたいへんなところに、わずか一〇%でそういうような状態がすでにきておるんだというときに、五〇%ということを聞くと、何かもう産業人の中におきましては四分の一、二五%以下でももういかれたようなものだというようなことが言われておるときに、五〇%と平気で通産大臣は言っておいでになりますが、この点どうでしょうか。
  121. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 御承知のように、株の取得につきましては、新設会社をつくります場合と既存会社の株を取得する場合と、二つのケースがございます。御指摘のように、日本は株の民主化によりまして安定株主が非常に少ない。私ども調査によりましても、最大株主の平均は七、八%の株を持っておるのが平均的な株主である、こういうようにいわれております。そういう意味で、今回の自由化措置におきましても、既存会社の株の取得につきましては二〇%程度を限度にする——現在一五%程度でございますが、その程度にとどめたい、それで情勢を見ながらやってまいりたい、かように考えております。  それから新設の場合に大臣が五〇%の合弁を原則としたいと言われました趣旨は、日本側の五〇%の株主というのは同業者であるという限定が一つあるわけでございます。一般大衆が参加するというような会社の形を自動承認として考えておるわけではございません。したがいまして、五〇%持てば、同業者の集まりでございますので、それが向こうの外資と十分対抗できるという考え方を持っておるわけでございます。もちろん一般大衆が入りました場合でも認めないというわけじゃございませんが、自動認可をする、自由化をするという五〇%と五〇%というのはそういう趣旨でございますので、私どもは、日本側の同業者が団結して向こうに対抗してくれれば対でいける、かように考えておる次第でございます。
  122. 塚本三郎

    ○塚本委員 もう時間もおそくなりましたからこれでやめたいと思いますが、またこれが順次進められた段階でお聞きしたいと思っております。  一つだけ、技術面において非常にプラスになるという見通しもおそらくおありだと思いますが、ただ技術の研究機関と違うのですから、あくまで経済ベースの中で、産業として、利潤を中心として進んでいくのでありますから、外国から高い技術が人ってくる、これと競争するためには、日本は低い技術であると、またこれと競争するために外国のさらに高い技術でもって競争しなければならぬということで、次から次へとこれが悪循環で、自分の技術を高めるというよりも、そんなことしておったらもはや企業としての採算が成り立たないということで、新しく外国のいい技術を入れるという形でしか穴埋めができない形に日本の産業が立たされてしまう。すると、向こうが進むとさらにまた外国の企業でということで、独自の企業の開発が——いままでの例でいきますと、それは入れて、そして追いつくように努力をして、相当の期間でもってそれが追いついていった。いま大臣がおっしゃったような鉄鋼産業のみならず、電機産業におきましても、そういう姿が顕著にあらわれてきておると思う。だがこれからの問題は、そんななまやさしい問題ではなくて、一にも二にも競争で勝てるという向こうのものしか入ってこないでしょうし、そのときには外国の技術にたよらざるを得ないという形の悪循環を次から次へと重ねていって、わが国独自の技術の開発を逆に阻害するような形になっていきはしないか。この点もまた西欧の中における悲劇の一つの要素として見受けられるのですけれども、この点だけをお聞きして、一時間という予定ですから終わりたいと思います。
  123. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 非常にごもっともな御意見だと思います。欧州におきましても、優秀な技術導入をしたいが資本参加がなければできないということでやったわけでございますが、その外国の技術に安易に依存しておりますと、かえって国内の技術開発が進まない、とどまるところを知らない外国依存、こういう形でいまのような反省が欧州サイドにも出ておるのでございます。したがいまして、日本としましても、いまアメリカの技術に直ちに追いつくわけにはまいりませんので、優秀な技術は入れざるを得ないと思いますが、幸いにして、御承知のように過去の経験から見ますと、入れました技術を基礎にして、日本の創意くふうによりまして、さらにノーハウ的にそれ以上のものをつくるというのは日本人は非常に得意でございます。そういう意味におきまして、永久に技術を入れざるを得ないような形をなくしますためには、最初は入れますが、それプラス、政府も民間も、それを基礎にして技術開発につとめるということが今後の経済運営の一番ポイントだろうと思います。そういう意味におきまして、私ども自由化対策といたしましては、技術開発、これは民間、政府をあげての技術開発という面と、それからもう一つはやはり客観的な条件をそろえる。たとえば、先ほどもお話が出ましたように、できるだけ資金を豊かにする、それと同時に、できるだけ長期的に見て金融機関も合理化をやっていただきまして、長期金利を下げていただく、こういう二つが大きな政策の方向だろうと思います。そういうことをやりながら、実力を養いながら、できるだけ弊害の起きないように、できるだけメリットを生かすように、そういう形で自由化をしていきたい、かように考えております。
  124. 小川平二

    ○小川(平)委員長代理 近江巳記夫君。
  125. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは経企庁長官は御出席にならないようでございますが、理由をお聞かせ願いたいと思います。
  126. 小川平二

    ○小川(平)委員長代理 経企庁長官は、大蔵委員会に出席中のため、こちらに出席できないということであります。
  127. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは委員部の方から、段取りがとれ次第少しでもこっちへ来ていただくように、もう一度御連絡をひとつお願いしたいと思います。  それではケネディラウンドのことについて若干お聞きしたいと思いますが、十六日に妥結したと伝えられておるわけでございますが、要するに、今回の関税の引き下げでもってわが国にどのくらいの利益があるか、このことについて御説明願いたいと思います。
  128. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 お答えいたします。今回の十六日に妥結いたしましたのは大筋だけでございまして、全般的に最終決定は今月末になるかと思いますが、大体わが国がオファーいたしましたのが二十億ドル、それで大体各国からもらいました総計がこれをやや上回る程度ということでございますが、わが国の輸入の六〇%が大体原材料で、製品が四〇%でございます。それからわが国の輸出の九割が製品でございます。今回の関税引き下げはほとんど製品に関して相互に行なわれましたので、交渉にあたっては非常につらい面、つまり四割分しかございませんので、こちらからオファーするのが非常に少なくなり、先方からもらうものが多いので、交渉上難点がございましたが、結果といたしましては、わが国の輸出で受ける恩典はきわめて大きい、こう考えております。
  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは五年間の期間があるわけでございますが、五年以後、年間で金額にして推計どのくらいになるのですか。
  130. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 五年間で御承知のように平均五〇%カットということでございましたが、実際の結果はまだファイナル・オファーがわかりませんが、現在推定されますところは、三〇%から二、五%の間のカットに終わりまして、予定よりは少なくなりましたが、五年にわたりまして毎年五分の一ずつカットするということでございます。それから、この交渉にあたりましては、一九六四年べースで実際計算しておりますが、その後にわが国の貿易の量は三割以上増加しておりますし、今後の伸び、五年後には相当伸びますので、これの受ける利益は増大するというふうに考えております。詳しい数字的には的確な結論は出しにくいわけでございますが、今回取り扱いました品目の総額は、現在の六四年ベースにおきましては世界じゅうで四百億ドルの商品についての交渉が行なわれたわけであります。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 それではいま的確な資料をお持ちでないようでございますので、次の機会に、大体わが国が受ける利益について金額で推定いたしましてどのくらいになるかということをお聞かせ願いたいと思う。  それからオファー品目に乗せた品物ですが、何を基準としてこれを出したのですか。
  132. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 日本からいたしますと、最初にわれわれのほうといたしましては、一応四段階に分けて商品を選定いたしまして、やはり交渉の推移を見なければわかりませんので、まず一番困難なものはあと回しにいたしまして、わが国として国内産業上関税を五〇%下げても差しつかえない、十分対抗できると思われますものを第一に選びまして、さらに五〇%下げてはやや困難であるというものにつきましてはパーシャルオファーといたしまして、部分カットをいたすという方針でオファーいたしまして、対米におきましてはわが国では大体当初におきましては十四億ドル前後をオファーいたしました。大体国内の産業が競争上困難と思われるものは一応省いてあるつもりでございます。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 これで最も大きな打撃を、受けるのは中小企業製品、これが考えられるわけです。これにつきまして、要するに影響がどのくらいになるかということは予測の段階でありますが、それに対しまして最終的な妥結は、先ほどお話がありましたようにまだきまってないわけですね。それが行なわれて、そうした弱小産業等について貿易政策あるいはまた輸出産業の施策を当然考え出さなければならない、このように思うわけです。通産大臣、これについてどのようにお考えになっていらっしゃるか。   〔小川(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  134. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 完全に引き下げによって打撃を受ける産業はないとは思いません。したがって、そういう産業については、こちらの産業構造の改善、体質改善をやりまして、したがって生産費を安くするような方法をとりまして、外国品の輸入に対して対立のできるように養育したい、こう考えております。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま大臣もこまかいそういった品目等についての対策はお持ちでないようでございますので、次の機会に、特に打撃を受けると思われるそういう産業についてどのような施策をとるか、また貿易面においてどのような施策をとるか、そうした具体的な問題について資料をもってひとつお答え願いたい、このように思います。  それから、この五年間のうちに五〇%引き下げるということでございますが、先ほどお話がありましたように、その五〇%には実質上はいかない、こういう問題があるわけですが、きょうあすの問題じゃありませんが、今後五年間に当初の見込みと違って、国際競争から非常に脱落していくそういう企業があると思うのです。そういう点についてこのオファー品目からそういうものをはずせるかどうか、これについてお聞きしたいと思います。
  136. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 ガットの関税交渉のルールに従いまして、かってオファーいたしました関税、つまりこれはバインドされるわけでございますが、これをもし引き上げるという場合には、その当時交渉した第一相手、たとえば品目ごとに大体きまっているわけでございますが、アメリカとかEECとかきまっているわけでございますが、その国国に対しまして申し入れいたしまして、コンペンセーション、つまりそれに身がわりの代償を払うことによって引き上げる方法がございます。一応従来関税交渉のあとに修正いたします場合には、そういう方法を用いております。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 次にお聞きしておきたいことは、関税以外による輸入規制の問題ですけれども、すなわち非関税障壁といいますが、その個別交渉という段階になっておりますね。今後それについて非関税障壁として交渉をしようとするその範囲ですね。どの程度まで含めて考えていらっしゃるのか。それについてお聞きしたいと思います。
  138. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 現在わが国から見まして、非関税障壁のおもな問題につきましては、たとえば対米におきましてはアンチダンピングの手続の問題、それから四〇二A条の問題、ASPの問題、それからバイアメリカンローというのがございまして、そのうち、今回の会議で大体交渉して、行政府といたしまして確約はできませんけれども、大体なくなるであろうと思われますものは、アンチダンピングは国際構造ができましたので、この点では将来アメリカにおきますアンチダンピングの非関税障壁としての弊害は漸次縮小する、こう考えております。それからASP、アメリカン・セーリング・プライスというシステムにつきましては、文書での確約はございませんが、行政府といたしましては二、三年後にはこれは廃止しますということを申しておりますので、これもなくなると思います。四〇二A条につきましても、同様に一応運用について改善に努力する、口頭でこれは廃止に努力いたしますということで、これもその善処を期待しているわけでございます。ただ今回の交渉で、どうしても先方を説得できなかった問題はバイアメリカンの問題でございまして、この点については今後の二国間交渉に待ちたいと思っております。それからEEC、ヨーロッパ関係におきましては、いわゆるおもな非関税障壁といたしましては対日差別待遇でございますが、これにつきましてはケネディランドの交渉中に西独、仏、伊、英とそれぞれ接触を保ってまいりましたが、現在のところ、い、ずれの国ともいまのところ妥結を見るに至りませんが、特にケネディラウンド終息におきましては、対英につきましてはこの秋、イタリアにつきましてはなお交渉を行なってみました上ですが、近いうちに再度交渉を開始したい、こう考えております。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 要するに、輸出促進のための間接援助策について今回の話し合いにはそれはなかったのですか。対策ですね。
  140. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 今回はいわゆる非関税障壁と関税の引き下げを重点として行ないましたものですから、関税の引き下げについては今月末に、ファイナルになりましてから発表ができるかと思いますが、非関税障壁については、いま申し上げた点を交渉してまいったわけでございまして、その他の問題、たとえば日本には直接関係はございません非関税障壁についても、つまりアメリカとEECとの関係が特に密接な問題につきましては、別途EECではやはり廃止を提案しているものもございます。これはやはり日本にも同じような恩典が受けられると思います。たとえば、いわゆるボーダータックスあるいはロードタックスとかいろいろな非関税障壁がヨーロッパにはございますが、日本は直接第一次の被害者でございませんので、アメリカが交渉してこれを廃止させるように努力いたしておりますが、その結果はわれわれ日本側も恩典を受けることと思います。  それから輸出促進策の個々の問題で、各国の、いわゆる何と申しますか、ガットでいこうと思われます問題につきましての御質問も含まれているかと思いますが、これについては今回は交渉いたしませんでした。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 今後自主規制という名前のもとに日本品の輸入制限が考えられるわけですが、そういう国に対して関税が引き下げられても、数量制限あるいは価格制限で私はあまりメリットは得られないと思うのです。この点どういうふうにしていくか、この点についてお聞きしたいと思います。
  142. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 その点につきましては、まさに御指摘のとおりでございまして、わが国の立場から申し上げますと、対米、対加における自主規制あるいは対英に関する自主規制の制度が残っておりますし、また、ヨーロッパ、EECは対日差別待遇を持っておりますので、関税を幾ら引き下げられても、わが国としては輸出効果があがらない。逆に制限を受けていない国あるいは自主規制をしていない国のほうがより有利な地位に立つ懸念があるということで、そういう品目に対しますオファーに対しましては、評価と申しますか、いろいろ評価をいたすわけでございますが、その評価を低くするというふうにいたしております。たとえばある特定の品目につきまして、アメリカがたとえば対日オファーをいたします。しかしながら、この品目につきましては、日本では日米間の話し合いで自主規制をしている品目だとしますと、このオファーが、たとえば五〇%オファーであっても、その評価を低く見るというようなぐあいで、今回の折衝にあたってはそういうことをやりまして、差別待遇その他についてはあるいは自主規制の問題につきましては、十分な成果をあげませんで、むしろ関税引き下げにあたっての評価の変更で現在は交渉を終わったわけでございます。今後の問題といたしましてはバイラテラルにこの交渉を続行いたしたいと思いますが、特にたとえばカナダにいたしますと、対加につきましては相当多数ありましたが、四品目に現在減っておりますが、今年度中にこれはぜひなくしたいという目標で現在なお交渉を続けておりますし、対米につきましては、今後の推移を見まして絶えずこの自主規制を減らす、あるいは対英につきましても、現在五十六品目ございますが、これも減らしていこうということでやっていきたいと思います。一番はなはだしいのはイタリアでございまして、これは約百八品目ございますので、まず第一に対伊の交渉をできるだけ早い機会に開始したい、こう考えております。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 この関税の引き下げによって、商品によっては非常に過当競争になることが考えられるわけです。輸出秩序が相当乱れる点が将来考えられるわけです。こういう点で、自主規制あるいは輸入制限等の問題が、先ほどお話がありましたが、出てくるわけでありますが、一部においてそうした心配のある輸出品について、輸出組合といいますか、そういうようなものをつくったらどうかというような意見もあるわけです。これについて政府はどのように考えていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  144. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 まだ現在具体的な個々の品目につきまして、その点まで検討が至らないわけでございますが、一般的に申し上げますと、わが国から、たとえば対米におきまして過当競争になるおそれがあるような品目につきましては、アメリカ側におきましてもやはりこれは非常にセンシチブな品目といたしまして、大体関税の引き下げを行なっておりません。したがいまして、逆にわれわれがそういった品目について関税の引き下げを特に望んだものはほとんど拒否されておりますので、私自身といたしまして、まだ現在のところ具体的な品目につきまして、そういう品目についてまだ検討が進んでおりませんが、もしございましたら、これは十分その方向でやはり検討すべきだ、こう考えております。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 いろいろな問題点が数多く調べていきますと出てくるわけですが、一つ問題になっておりました化学品の関税引き下げの問題でありますが、これはアメリカがたしか五〇%、EECが最初に二〇%、それから米国はASP制度の撤廃後に三〇%をそれぞれ引き下げる、このようにいっておりますが、この点については日本はどうなのですか。
  146. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 この点は、最終的には十五日の最高会議と申しますか、四カ国会議で大体決定いたした線がございまして、それで申し上げますと、ただいま御指摘のとおりアメリカがASP品目については一応五〇%カットします、ただし染料につきましては三〇%までしかカットいたしませんというふうに言っております。それに対してEECが、ASPが廃止されるかどうかわからないので、とりあえず二〇%だけカットいたします、ASPが廃止になりました場合には残りの三〇%もカットする、いわゆるデクパージという方法をのんだわけでございまして、それに対しまして、日本側としては、われわれは化学品は五〇%のオファーをしておりましたけれども、かりにアメリカン・セーリング・プライス制度が廃止にならない場合におきましては、ヨーロッパは一般的にいいまして二〇%カットにとどまる、その際に、日本側が五〇%カットした場合に非常にアンバランスが出てくるのだ、あるいはヨーロッパ方式を固執しないけれども、何らかのセーフガードが必要だと思われるということを四ヵ国委員会で申し述べまして、その点は記録にとどめまして、それに基づきまして化学品につきましてのオファーの撤回及びASPが廃止にならない場合におきましてはどうするかということで、なおEEC及びアメリカとの間に折衝が続けられているわけでございまして、最終決定ができませんのですが、アメリカは現在のところ拒否しておりますので、これに対しまして一応ガット事務局に通告いたしまして、五〇%のオファーを約束するけれども、EECが二〇%カットにとどまりました場合においては、日本はセーフガードの発動として一応関税の引き下げをそこでとめるかもしれない、とめた場合に、賠償というものを要求してもわれわれは関知しないというような申し入れをガット事務局及び対米、対EECに出しております。一応その線で決着がつくのではないか、こう考えております。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう一つ、私なりに理解というか判断しておるわけでありますが、二国間交渉、要するにきまった引き下げの幅、要直接交渉しなかった国の関税の引き下げの問題ですけれども、これについてどうするか、要するに他国の問題ですが、その問題についてお聞きしたいと思います。
  148. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 今回日本が交渉いたしましたのは十一ヵ国でございますので、あと交渉に参加いたしましたのは全体で四十九ヵ国でございますが、バイラテラルに交渉いたしておりませんのが大部分で、あとの三十八カ国は交渉いたしておりません。そういう国に対しましても、われわれとして特に差別その他ございませんで、十一ヵ国に提供したオファーはそれらの国に全部提供されるわけでございまして、またそれらの国のほかには、あるものは日本とは交渉しないけれどもあるいはアメリカ、あるいはイギリスと交渉している国がございまして、その交渉結果はやはりわが国も均てんを受けるということになっております。さらにそのほかに、四十九ヵ国の中でいわゆる後進国と称せられるグループ、さらにこれに参加していない後進国に対しましては、わが国及び先進国は当然オファーを提供いたしまして、その見返りはもらわないということになっております。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは交渉段階でお聞きする程度に終わったわけでありますけれども、また次の機会に一応の妥結がなってからもう少し突っ込んだ質問をさしてもらいたいと思います。  それから万国博の問題でありますが、この最終の責任はたいがい国が持つわけですか。
  150. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 最終の責任は政府です。
  151. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうですね。要するにあと開催まで期間は、大臣も御承知のとおり非常に迫ってきているわけです。まず目先において解決しなければならない問題も、たとえば土地の買収の問題もあるし、地元負担の問題もあるし、あと地利用の問題もあるし、いろいろあると思うのです。こういう点について、たとえば買収については大阪府、あるいはまた地元負担についても地元で話し合いをしろ、そういった点が要するにまかし切りの状態になっておるわけですね。それについて地元としては、遅々として進まない、こういった点について政府は一体真剣に悩んで、しかもこれを解決しようとしているのか、非常にこういう点が私たちとしては疑問に思うわけです。こういう問題について、要するに根本的な決意といいますか態度についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  152. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 敷地の買収は大阪府が分担するということになっておりますので、敷地の買収は全部大阪府にまかしてあるわけです。向こうは責任を持ってやりますということなんです。そこであと地の問題も、土地の所有者は大阪府でありますから、そこで大阪府として、あと地をどういう考えをしているかということを、もう少しはっきりしてこいということですが、しかしあと地の問題については、府ばかりにもまかされぬという考えをわれわれしておりますので、この問題については、もう少し国家的に見て、あと地の利用ということを考えてみたい、こう考えておる次第でございます。
  153. 近江巳記夫

    ○近江委員 そのあと地の問題ですけれども、けさの読売の記事をごらんになられたでしょうね。これは京大の西山グループが提出しているわけですが、要するにこのあと地の問題について西山グループが案を立てているそれと、大阪府が考えているそうしたあと地の問題、さらに政府考えている問題、全然ばらばらなんですね。どこの博覧会を見ても、あと地の問題というものは、一番最初にこれは検討されておりますし、真剣な取っ組みがあるわけです。もうすでにこの工事が着工しておる、そういう段階において、いまこういったばらばらな状態で、今後一体あと地のことについてどう考えておるか、これについてお聞きしたいと思います。
  154. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 あと地の利用の点については、まだ決定しておりません。私は、これは万博の永久の記念地でありますから、したがって各方面の知識を集めてやるべきである。それに対して所有者はいま大阪府でありますけれども、もしこれに対して、政府がその土地を大阪府から買収しなければならぬという場合には、政府が出してもいいということで私は考えておりまして、いま即時にきめなければ困るというところにはいっておりません。しかし、あと地の利用というものは早晩きめなければならぬので、ひとつ各方面の意見をこの際聞いて、その上で万遺漏なきように、また永久に残るようなものをつくりたいというのがわれわれの考えでありまして、そういう意味で、あと地利用については、ひとつアイディアを持っておる人はできるだけ協会などに申し出てもらうようにしたらどうかというようなことまで、私は協会でも言っておるのでありますが、ひとつこれは全国民の知恵をしぼって、あと地利用ということを考えてみたい、こう思っておるのです。
  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 それは当然考えられるとして、このあと地の問題がいろいろとこの委員会等においても問題になりまして、相当時間的に経過しておるわけです。しかしながら、そうした進捗の状況がいつも同じような答弁なんですね。要するに、時期的にそんなあとになって、こうだ、ああだと言ってもしかたがないわけです。この点について最終的なそうしたまとめを、大体いつごろまでに考えていらっしゃるのか、それについてお聞きしたいと思います。
  156. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 あと地利用の問題については、いま言ったように、いろいろ議論をしておる最中でありますからして、甲の人もいろいろな意見を持っておる、乙の人もいろいろな意見を持っておるということで、議論をしてもらっておるわけです。そこで最終的には八月ごろまでにはきめたい、こう私は存じております。
  157. 近江巳記夫

    ○近江委員 それはひとつまた委員会のほうへ正式に発表してもらいたいと思うのです。  それから地元負担の件でありますが、これは地元の声を聞きますと三分の一の負担になっておる。昨年においては大阪府と大阪市が折半した。関連事業とか考えていきますと、当然近畿全体に考えていかなければならない問題ということも言えるわけです。そこにおいて京都府なんかのそうした意向を聞いてみますと、結局負担はするけれどもそれでは交付金をもらいたい、こういった言い方をしておるわけです。たとえば自治省の関係についてもそのような地元の意見がある。それについてどのようにそうした調整をはかろうしておるか、こうした問題についてお聞きしたいと思う。
  158. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 地元負担の問題については、自治省と通産省でいろいろ打ち合わせしております。それで、どのように負担してもらうかということは、大体の素案を持っておりますけれども、しかし問題はやはり地元側の意見も尊重しなければならぬというので、今後は地元側の意見も徴してそうして最後的な決定をしたい、こう存じております。
  159. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほど私もお聞きしようとしておった問題ですが、地元の定義ですね、大臣はどのように考えていらっしゃいますか。
  160. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 地元といえば近畿一帯です。
  161. 近江巳記夫

    ○近江委員 具体的に。
  162. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 具体的には二府六県、それから指定都市。指定都市は大阪市、京都市、神戸市。
  163. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま地元負担のことを聞いてはおりますけれども、何も私は賛成じゃないのですよ。本来はこの万国博というのは国家事業ですから、当然政府が全額負担をしてあたりまえだと私は思う。こういう点において、いま三分の二、三分の一のそういう線が出ておりますけれども、これだけの負担というものは非常に大きな負担になるわけです。当然住民自身にそれがしわ寄せされてきます。いろいろな点が考えられるわけです。そういう点におきまして、負担率についてさらに引き下げる、こういった前向きのお考えは持っていらっしゃらないか、それについてお聞きしたい。
  164. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 地元の負担ということになりますけれども、しかしこの万博に投じられるものは、公共事業その他いろいろのほうで計算しておりますけれども、この万博のために需要の増加が大体二兆円というものは起こると思います。その需要の増加というものは、大体がやはり会場付近で起こるのですからして、したがって、万博によって一番恩恵を受けるのがやはり地元なんですから、したがって、その点について地元が負担しなければ全部国の負担ということになってきますと、たとえば北海道なんか恩恵がないじゃないかというようなことで、いろいろ非難が起こってくると思いますから、恩恵を受けるところが相当の分は負担するということは、すべてほかの公共事業についてもみんなそういう例になっておりますからして、したがって、私はやはり地元が負担してもらいたい、こう思っておるものであります。
  165. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほどの負担率の問題ですが、基準はどういうところから出たんですか、三分の一とか三分の二とかというのは……。
  166. 橋本徳男

    ○橋本説明員 三分の一、それから国が三分の二というふうなことでございますが、現在、国がいろんな事業に補助を出しておる場合のその補助率というものを見ますと、大体において三分の二というのが最高に近い線だというふうなことから、国が三分の二負担するというふうなことになっております。
  167. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから関連事業のことですが、これについて地元では非常にいろいろな計画を立てておるわけです。これについて、建設省あたりと、認可の程度において、その線は話は進んでいるんですか、それをひとつ。
  168. 橋本徳男

    ○橋本説明員 御説明いたします。関連事業については、当初、近畿二府六県から二兆三千億というものが一応要望としてまいりましたが、いろいろその内容等につきましては、万博との関連という以上に、地域開発を中心にしたものがかなりございましたので、ある程度これにつきまして各省といろいろ話し合いまして、七千数百億というふうな、一応要求数字が出たわけでございます。したがいまして、それに基づきまして、現在道路が中心になりますが、道路、河川それから鉄軌道、こういったものにつきまして、関係各省は地元と話し合いをいま進めております。中央といたしましては、大体六月末までにはそういった関連公共事業の範囲なり規模なりというふうなものをきめるということで、現在作業をしております。
  169. 近江巳記夫

    ○近江委員 いままでに万博についてはいろいろな問題が出ておるわけでございますが、各国のいままでの経過から見ますと、相当工事がおくれているわけですね。これについて大臣として、この間の分科会においても、日本人の技術を述べられて、必ずやれるというような御意見でありましたけれども、ほんとうに自信はあるのですか。
  170. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 土地造成が少しおくれておりますけれども、カナダなどの例を見ても、建築や何かはおくれてないように思っております。
  171. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから運営上の、運営というか、現在の準備のための運営ですが、協会自体も、東京、大阪、そういうふうな点で、新聞にも非常にそうした連絡の不備といいますか、そういういろいろな問題もありますが、今後そうした機能的な面において一元化するとか、要するに、非常にそうした点においてもみな心配しているわけなんです。こういう点についてどのように考えていらっしゃるか。
  172. 橋本徳男

    ○橋本説明員 協会の機能は、御承知のように東京と大阪というふうに、事務所が分かれておりますので、先生のおっしゃる点はございます。したがいまして、現在の段階におきましては、どちらかといいますと、かなりいろいろな面におきましてプランニングの段階でございますので、主力を東京にというふうなことでやっております。それから建設が具体的に進む段階になりますと、これはやはり現場といいますか、大阪が中心になりますので、中心を大阪に移動するというようなことで計画を立てておりまして、そういう形によって、十分事務の進捗に支障を来たさないように考えております。
  173. 近江巳記夫

    ○近江委員 将来いまのその機構のままで押していかれるわけですか。
  174. 橋本徳男

    ○橋本説明員 三月末現在で、協会は二百五十名程度でございます。しかし四十二年度、いわゆる本年度におきましては、四百名前後くらいに増員をすることを現在話し合っております。そしてすでにある程度の人も具体的に採用しております。それから最終年度におきましては、モントリオールでは九百八十名になっておりますが、こちらのほうはモントリオールと仕事の形態がやや違いますので、若干それを下回るかと思いますが、相当の機構の整備は必要であろうというふうに考えております。
  175. 近江巳記夫

    ○近江委員 この万博の問題については、これからまた工事が進んでいけばいろいろな問題が出てくると思います。その時点でまたいろいろと質問したいと思います。きょうは非常に昼も回っておりますし、これで私の質問を終わりたいと思います。
  176. 島村一郎

    島村委員長 岡本富夫君。
  177. 岡本富夫

    岡本(富)委員 大臣、食事をしていないそうですか、じきに終わります、私も食べていませんから……。  最初に資本の自由化、いま日本で各産業も非常に期待しておるような状態でありますけれども、この資本の自由化について、大臣の対策を簡単にわかりやすく説明していただきたい、こう思います。
  178. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 ただいま塚本委員にもお答えしたのでありますが、資本の自由化についての基本的な考え方と申しますか、前向きでいくということは、きょうの閣議でもそういう決意をしたのでありまして、前向きで資本の自由化に対処しようということになっております。私から申すまでもないことでありますが、資本の自由化によって、新しい技術の開発、また資本力の増大、あるいは経営の合理化というような利益があるのでありますからして、これらを取り入れて、日本の産業の今後の発展に資したいという考えを持っておりますが、同時に資本の自由化によって、日本市場の混乱、あるいは個別的な産業の打撃というようなことは受けないような準備体制、体質改善などして、そして自由化を進めていきたい、こう存じておる次第でございます。
  179. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いま大臣から総括的なような答えがありましたが、日本の産業は御承知のように九九・四%まで中小企業です。特に大阪ですからよく御存じだと思いますが、この中小企業をかかえたところの現代の日本の国の産業状態ですが、非常に小さな企業が乱立しておる。また過当な競争をしておる。そしてこういうような状態において外国資本が入ってきまして、りっぱな技術が入ってきたとしますと、それがたちまち群を抜いてしまって、そして寡占状態になってしまう。そういうことになりますれば、日本の現在の中小企業というものは一たまりもなくつぶれてしまう。こういう見解について、大臣の確固たる信念と申しますか、また施策について、お願いしたいと思います。
  180. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 資本の自由化について打撃を受けるのはお話のとおり中小企業でありますから、したがいまして、中小企業に対しては特別に各観点から、この資本自由化に対してどうしていいかという対策をいま練っておる最中でありまして、資本の自由化は、自由にだれでも自由化を認めるというわけではないのでありまして、大体日本の産業が対立し得る状態になったときに自由化を認めるという方針なのでありますからして、したがってこれを五年間の範囲内においてやりたいということで、対立のできるものから自由化を認めていく。それまでに中小企業の体質の改善、構造改善などをやって、そして、これならば自由化してもいい、しかもその自由化も、あるいは五〇%じゃなくして二〇%くらいならいけそうだというような場合には二〇%で自由化を認めるとかいうようなことで、中小企業が打撃を受けないようなことについては特にわれわれのほうでもいま研究いたしておるのであります。
  181. 岡本富夫

    岡本(富)委員 まだ研究中だそうでありますから、そのつどそのつどひとつ国民の前に明らかにしていただきたい。そうでないと、外資が上陸してからあわてて対策を立てるようではおそいと思います。  そこで、いま私の一番懸念しますところは、事業面はそうやって対策を立て、また一ぺんにやるんじゃないということを聞きまして若干安心いたしましたが、外国の資本の入る会社あるいは企業、そこに雇われておる人たち、すなわち、労務対策です。現在まで神戸とか大阪にはそういう小さな、また外人系の会社がありますが、その外国人が経営をやめて帰ってしまったら、もうあとは一ぺんに路頭に迷ってしまう。ある新聞の報道によりますと、日本タイプライター会社、この会社が、四百人近いところの従業員がおったが、四月の初めに解雇通知をしております。そしてその人たちはいま非常に困っておる。最初スペリーランドという名前に引かれて入社したものの、帰ってしまったら、あとどうしようもないというような状態にあります。こういう面はお考えでしょうか。
  182. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 資本自由化に対する労務面でございますが、これは欧州の例でございますが、御承知のように、技術者の引き抜きとか、労務者の引き抜き、さらには、いま御指摘のございました大量解雇というような問題が一、二欧州でも出ておるようでございます。外資の経営方針といたしましては、採算に合わないとなりますと非常に簡単に工場をやめるという傾向があるのは事実でございます。したがいまして、この資本取引の自由化は、経営面のみならず、やはり労務面についてもある程度の対策を今後講ずる必要があるということは、御指摘のとおりだと思います。現在通産省といたしましても、また、特に労働省といたしましても、この問題を検討していただいておるわけでございます。そこで、根本は、私どもは、外資がその国の労働慣行に従わずに自分の国の労働慣行で押し通すという点が問題だろうと思います。そういう点は、これは政治的にもあるいは世論としても、入ってくる以上は外資に強く訴えたいと思いますが、それと同時に、われわれとしては、そういう場合は外資もいろいろな事業計画はあるだろうと思いますから、工場をやめるという場合は、十分事前にやはり連絡をしてもらって、そのあと始末をしながら事業を撤退するというような形をぜひとってもらいたい、かように考えておるわけであります。具体的な方法につきましては、現在労働省等でもいろいろ研究をいたしておりますので、十分労働面に対して急激な刺激がないように配慮してまいりたい、かように考えている次第であります。
  183. 岡本富夫

    岡本(富)委員 じゃ、いままでこういうことは考えたことはありませんでしたか、あるいはまた、どういう対策をとられたのでありますか。
  184. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 先ほど御指摘の事例は最近起こったものでございますが、従来は御承知のように、個別審査をいたしまして、厳重な話し合いの上に外資を認めております。最近御指摘のような事例が出たわけでございますが、今後自由化を進めていく段階におきましては、そういうケースがふえてくると思います。そういう意味で今後対策を強化したい。いままでのところはそういう事例は初めてでございますので、たくさんな事例は出ておりませんので、特段の対策はとっていないというような率直に申し上げて現状であります。
  185. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そういう問題は、これは初めて出た、いままでこんな問題はなかった、こういうように説明していらっしゃるのですけれども一つの事例をあげますと、兵庫県に宝塚というのがあります。少女歌劇のあるところです。あすこに清涼飲料水の会社があるのです。そこの社長はイギリス人です。ここはもう何十年とやっているのです。十年来の交渉をやっておりますけれども、いまだに全然対策も変わらないのですね。大体定年が男が五十歳、女が四十歳、就業規則なんというのは十年前のものである。基準局のほうに申し出ても、外人のほうの会社はそのままになっているというような、何か治外法権的なような感じであります。ですから、いま説明なさった方が、こんなのは初めだとおっしゃいますけれども、神戸においてもずいぶんあるのです。知らなかったのじゃないでしょうかね、どうでしょうか、大臣。
  186. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 私がことばが足りなかったかと思いますが、先ほど申し上げましたのは、大量解雇の問題を申し上げたわけでございます。いわゆる労務管理といいますか、労働条件の問題につきましては、いろいろな問題があろうと思います。たとえば日本は大体退職規定がございますが、外資系の会社におきましては退職規定がない。あるいはまた、日本は住宅手当というような制度がございますが、あまり外資系の最近の会社はそれをとっていない。そのかわり、賃金ベースが高いというように、労働条件といいますか、そういうものについて外資系の会社と差があるのは事実でございます。われわれもそのすべての実態を調査はいたしておりませんが、先ほど御指摘のような非常に酷な労働条件といいますか、労働基準法に違反するような労働条件をしいておるということは、これは外資系の会社であるから治外法権というわけにはまいらないと思います。これは国内に参りました以上は国内法人として、同じく国内法の適用を受けるということでございます。これは労働省の問題でございまして、私あまりそういう事情は、残念ながら現在のところ知っておりませんが、もしそういう事例が多々あるということでありますれば、労働省とも十分連絡しながら是正してまいりたい、かように考えております。
  187. 岡本富夫

    岡本(富)委員 あまり知らぬけれども説明したというような、何かあやふやなように聞こえますけれども、国の為政者として大臣は、今後こうして外資がどんどん入ってくる、そうして経営者が外人になってくるという面に対しては相当前向きに取り組んでいきませんと、日本人は働くだけで、あとはたいへんなことになる、こういうような状態がたくさん起こると困ると思いますので、一言申し上げたわけであります。したがって、また次の機会に労働省のほうでよく検討していただいて、ひとつ是正していただきたい、こう思います。  次に申し上げたいことは、小さいことですが、お教えいただきたい。今国会に提出されました振興事業団の問題について二、三お尋ねしますが、この事業団法の内容を読みますと、いままでの指導センターと助成措置、これが一緒になっただけで、何ら前進していないのじゃないか。口の悪い連中は、指導センターは企業診断をする養成をするところである、それから助成措置、これは銀行だ、大学と銀行が集まったみたいなものだ、これで何ができるのだというようなことを言っている人もいますけれども、大臣の所信をひとつお願いしたいと思います。
  188. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 中小企業振興事業団のことにつきましては、先般御説明申し上げたことでありますが、高度化の資金とそれから指導センターと単に合わしたというだけのものでは決してないのでありまして、この中小企業の問題については、もうすでに皆さん方とともにわれわれも中小企業の育成ということを叫んでまいったのでありますが、中小企業の問題は決して消えていないのであって、ますます中小企業の問題がやかましくなってきております。これは最近においては特に高度成長の結果のひずみとして、中小企業並びに農業などが生産性が低いという意味においてこのひずみがだんだんと大きくなってきたということが言えると思うのです。そこで、どうしても中小企業の問題は、ことに日本の産業では中小企業というものが非常に重要な役割りを演じておりますから、その中小企業をひとつ根本的に何とかしなければならぬということで今度考え出したのが中小企業振興事業団でありまして、いままでは中小企業が困っておったら金を貸したらいいとか、利子を安くしたらいいとか、あるいは困れば零細企業ならば、たとえば無担保資金を融通するとかやっておりましたが、同時に今後中小企業はいかにあるべきかということなどについて指導していくことも必要じゃないか、そのほうがむしろ親切なやり方じゃないか、ただ金を貸すだけではいかぬのじゃないかということ。それからまた、中小企業自体が単独企業であるがために大企業に押されるというようなこと、ことに下請業者などが親企業から圧迫されるとかいうような事例も多々あるのであります。したがって、中小企業が協業行為あるいは共同行為をとることによって大企業に対立し、あるいは親企業に対立するというようにやってもらいたい、そういう指導もしたいというようなことで今度の中小企業振興事業団をつくるのでありまして、この点については、われわれといたしましては、その事業団によってひとつ何とかこの中小企業の問題の解決をはかりたい、こう存じて、みなそれぞれかたい決意を持ってこれに臨んでおる次第であります。
  189. 岡本富夫

    岡本(富)委員 かたい決意を伺いましたが、いままでの指導センターと助成措置、それと今度の事業団と、どの点が前進したのでしょうか。私どもこの法文を見ますとそう変わってないように思うのですが、どことどことが具体的に前進したのか、これをちょっとお伺いしたいと思います。
  190. 影山衛司

    ○影山政府委員 お答え申し上げます。高度化の資金と中小企業指導センターとを単純に合体をして中小企業振興事業団を今度創設いたすことにしたわけではございません。それらを合体いたしました結果、相当程度の前進があるわけでございます。  第一点は、先ほど大臣から御説明ありましたように、従来高度化資金で団地等の共同化、協業化事業を進めておったわけでありますが、それは金を流すだけであって、指導の面が一体になっていなかった、指導の面が欠けておったということで、この指導面と助成面とを総合化する、一体化するということが一つの大きな基本方針だったと思いますが、中小企業指導センターは、従来の事業がいわば中小企業指導者の養成、研修の学校のようなものであって、必ずしも直接に中小企業者指導に乗り出すという体制にはなっていなかったわけでございます。今度はさらにコンサルタントの配置を増員いたしまして、直接相談を受けるし指導もできる、もちろん県と一緒になってやるわけでございますけれども、そういうことができるというふうなことになっておるわけでございます。  それから第二点といたしましては、従来の中小企業高度化資金につきましては、県と国とで五〇%までの融資割合をもって助成をするということになっておったわけでございますが、従来の制度は単価の頭打ち等ございまして、実質の助成率は三五%ないし四〇%となっておったわけでございます。そこのところを、今度は中小企業振興事業団を創設することによりまして、六五%のもの、七〇%のもの及び八〇%のものというふうに実質的に助成割合も確保していくということにいたしたわけであります。  それからもう一つ、第三点といたしましては、従来高度化資金は県を通じて貸し付け助成をいたしておったわけでございますが、そのために二県以上にまたがる場合につきましては従来対象になっていなかったわけでございます。たとえばボランタリーチェーンを助成の対象にいたします場合も、大阪府なら大阪府内のボランタリーチェーンでなければならなかったわけでございますが、本部が大阪府内にありまして、神戸とかあるいは奈良県とかいうようなところに店舗が散在しておるというような場合も、今度は中小企業振興事業団の直接の助成ができるというような体制になりますので、そういうことで広域にわたってこの活動ができるというようなこともあるわけでございます。  さらに指導の面につきましては、啓蒙指導というようなことも必要でございますので、情報提供の活動というような点につきましても予算を計上いたしておりまして、従来の中小企業指導センター以上に積極的な啓蒙指導を行なっていきたいということも考えておるわけでございます。いろいろそういうふうな点がございまして、従来の制度よりも数段の前進を見ておるというふうに私ども考えておるわけでございます。
  191. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いまお話がありましたように、従来の高度化資金ですか、これはなかなか借りられない。これはもう現地の声でございまして、その中に入った市町村の指導する人たちも非常に困ったわけですけれども、いま聞いて少し安心をいたしました。そうすると、今度は診断は県の要請がなくても、事業団が直接行って中小企業に相談できる、こういうようになったわけですか。
  192. 影山衛司

    ○影山政府委員 原則といたしまして、県と協調いたしまして指導することになっておりますけれども、今度振興事業団の業務につきましては、直接の指導もできるということにいたした次第でございます。
  193. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうしますと、旧の指導センターでは百二十五名いたのです。これに対して四十二名の新規の採用があると聞いておりますけれども、四十二名の新規採用では日本に一道一都二府四十二県ありますが、これはどうでしょうか。親切に一つ一つの相談に応じて、それで企業診断ができるのでしょうか。
  194. 影山衛司

    ○影山政府委員 従来の指導センターの定員が百二十五名であることは先生指摘のとおりでございます。その中にも、やはりコンサルタントがたしか三十数名おるわけでございますので、それに四十名の中でやはりコンサルタントも相当部分を占めるわけでございますから、従来の人員とこれから増加する人員と一緒になりまして、できるだけ体制を固めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  195. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それで、従来の高度化資金のほうの工場団地の資金ですね。普通に説明を聞きますと、半分貸してもらえるからというので、これはいい話だ、こういうわけで中小企業の経営者が集まって、そして申請するのです。ところが地域によって、土地にしても全額出さない。そうすると、うかうかすると二分一だということだったのが四分の一になったり、それで結局はあとで資金繰りで困っているという状態です。しかし、今度はいまのお話によると全額貸すのだ、全額のうちの半分だ、そういうように解してよろしいでしょうか。
  196. 影山衛司

    ○影山政府委員 事業団の業務の方法につきましては、業務方法書等でこれからきめていくわけでございますが、少なくとも従来高度化資金の対象となっております場合には、土地の単価等につきまして、予算単価というものがきめられておりまして、そういうところで頭打ちになっておりまして、先ほど御説明申し上げましたように、実質三五%くらいの助成割合にしかならなかったわけでございますが、今度は六五%まで実態に応じて貸し付けを行なっていくという方向でやっていきたいと思っておるわけでございます。
  197. 岡本富夫

    岡本(富)委員 大臣、実はこの国会においてこの法案が通過するわけです。それからあとで規則をきめていくわけです。そうしますと、ぼくはいつも思うのですが、じゃ半分なら半分貸してくれるのだ、こういうことで、だいじょうぶだろう、こういうふうに私どもは思っている。いよいよ借りにいくと、先ほど話があったように、それは頭打ちだ、その土地は五万円する土地だけれども、国としては一万五千円しか見てない、だから七千五百円しか貸せない、こういうようなやり方のように私は思うのであります、そうでないかもわかりませんけれども。したがって、いま総額全部のうちから二分の一出すのだ。これをはっきり大臣の口から聞いておきたいと思うのです。どうでしょう。
  198. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 ただいま中小企業庁長官が答弁したとおり、大体その方向でいきたい、こう考えております。
  199. 岡本富夫

    岡本(富)委員 大体と言われると、大体というのは非常に差が出るのです。そうすると十億かかるところの団地をつくるのに、大体こちらのほうで予定するのは五億、今度六五%ですから三億五千万円、二十人でつくる、こういったときに、大体こうきめてあるのだから、今度はちょっと変わって、いろいろの頭打ちをつくったけれども、三億五千万円ではだめだ、五億五千万円かかるのだ、こう言われますと、これは一ぺんにこわれてしまう。ですから、これは土地の相場がありますから、五万円する土地を十万円かかったなんていうと、それは間違いですけれども、大体の相場あるいはその単価によってきちんと総額の六五%を助成する、貸す、これははっきり言えますか。
  200. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 それは正当な価格であり、また企業立場、観点から見て、企業効率のあがる事業であれば、それは六五%貸す、半分貸すということは、それは言えると思います。企業経営者の立てておる計画が不当な——不当というと語弊があるが、少し企画性がない、合理性がないというような場合には削る場合がそれはあり得ると思うのです。だからして、こういうような計画のもとで事業をやる場合に、企業性があるという場合にはできるだけ融通すべきだ、こう私は考えておるのです。
  201. 岡本富夫

    岡本(富)委員 実際に申請するときには予備申請をするわけです。そうして検査を受け、それで許可が出るわけです。それから本申請をするわけです。実際は、膨大な資料が要るわけです。ですから私の言わんとするところは、いよいよ本申請をする段階になって、そしてあとになってから、先ほど聞きましたように、十億のうち六億五千万円貸すというておったのが、これが五億しか出ない、こういうようになりますと、中小企業というものは非常に困るわけです。その点ひとつはっきりしておいてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  202. 影山衛司

    ○影山政府委員 先生指摘のような事例も間々ないではないわけでございますが、従来の高度化資金の場合におきましても、それから今後中小企業振興事業団の融資の場合におきましても、前提といたしまして診断を行なうわけでございます。事業計画の診断、あるいは個別企業についても診断を行なうわけでございますが、その診断の結果妥当だと認められたものにつきましては、できるだけ貸していくという方向でやっていきたいと考えておるわけでございます。
  203. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いま私が申しましたことが、もうひとつぴんときていないと思うのです。あるいはまたわかっているんだけれども言えないのかもしれませんが、予備申請をして、いよいよこれならだいじょうぶだというようになってから、今度は本申請するのです。これは私なぜ言うかと申しますと、従来のあり方は国のほうでちゃんときまってきた。本申請をいよいよ出す段階になって出した。ところがそこに金額が変わってきたために、今度は話が違うじゃないかということで中小企業の経営者たちがしり込みして逃げるわけです。そうすると、今度これを直接担当したところの市の吏員ですが、要するにいままで国の出先としてやった人が頼みにいかなければならぬ。ひとつこの前お願いしたやつをよろしくお願いいたしますと、初めは中小企業のほうがお願いしますと言っておったやつを、今度よろしくお願いします、そう言わぬとかっこうがつきませんのや。そうすると、中小企業のほうも、市のほうは困っておるぞということ、こういう状態をちょっと見てまいりました。市の係りの人たちが苦しんでおる状況を除去してやらないと困る、こう思いますので申し上げたわけです。
  204. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いままでそういう事例があったと思います。これはやはり県市というようなところで食い違いがいろいろあったのではないかと思いますが、今後は事業団自体にいろいろそういう点については、申請をして、企業診断をして、そしてひとつ御迷惑をかけぬようにできるだけ指導したい、こう思っております。
  205. 岡本富夫

    岡本(富)委員 その点はひとつよろしくお願いいたしますが、そこで、従来の団地の資金の返還の期間ですが、これは従来は大体何年でありましたか。
  206. 影山衛司

    ○影山政府委員 十年でございます。
  207. 岡本富夫

    岡本(富)委員 今度はどのくらいの期間になりますか。
  208. 影山衛司

    ○影山政府委員 ただいま大蔵省と折衝いたしておりますが、十年から二十年の間で考えております。
  209. 岡本富夫

    岡本(富)委員 こういうように、十年から二十年といいますと、十年間の差があるのです。だからそういう面もはっきりひとつやってもらいたい。えらいこまかいことを聞きましたけれども、教えておいてもらいたい、こう思います。その点も早急にきめていただきませんと、やるほうでは計画が立たない、こう思うのです。  次に、いま大臣からお話がありましたように、中小企業を守るために協業化をするのだ、そして一本にまとめて今度の自由化に向かって防備をするのだ、こういうようなお話がございましたが、この中に第五条の二十のところに余剰金の配当は出資の口数に応じて行なう、こういうようにございます。会社では株に相当するということだと思いますが、なにするにしましても、中小企業はやはりもうかるかもうからぬかできめるわけですから、そうすると協業になりますと、いままで自分仕事だったら非常に力を尽くしてやっていた人が、日本人の悪いくせですけれども、往々にして全力を尽くさない。そうすると金だけではちょっとだめじゃないかと思うのですが、どうでしょうかね。要するに、資金を出した出資の口数に応じただけの配当金、余剰金、こうなりますと、そこにちょっとトラブルが起こってくるんじゃないか、こう思うのです。
  210. 影山衛司

    ○影山政府委員 今度国会に提案いたしまして御審議を願います協業組合の制度は、先生承知のように、従来協同組合という制度がありまして、そこで協同事業をやっておったわけでございますが、この協同組合につきましては一定の原則がございまして、一人一票主義であるとか、あるいは剰余金の配当につきましては従事分量配当にするとかいうことで、一人一票主義をとっておるわけでございます。そういう点が従来企業体としての活動に不十分な点があるということが強く叫ばれておったわけでございまして、今回この協業組合制度を制定いたしまするに際しましては、議決権につきましても、簡単に申しますと半分は出資数に応じて、半分は一人一票というようなシステムを立てておるようなわけでございます。また余剰金の配当につきましても、出資口数を原則といたしますが、やはりこれも組合でございますので、先ほど議決権のときに半分までしか出資口数に応ずるところの議決権を認めないというふうな規定をいたしておりますように、定款で定めます場合は従事分量配当もできるというような弾力性も持たしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、この協業組合というものは、従来の協同組合制度がロッチデールの原則に従っておるよりも、さらに企業体としての活躍ということを眼目に置いた制度でございますので、ある程度出資口数に応ずる剰余金配当というようなこともやむを得ないのではないかというところで踏み切っておるわけでございます。
  211. 岡本富夫

    岡本(富)委員 出資口数ということでありますと、自分はその仕事をせず出資だけしておく、そうしてあと余剰金ができればそれを分配してもらえる、こういうようなシステムになっておるのですか、どうですか。
  212. 影山衛司

    ○影山政府委員 協業組合のメンバーというのは、従来の自分仕事はやめますけれども、出資者としてこれに参加するわけでございます。また役員としてこれに参加するわけでございます。単純な出資だけをもって隠居しておるというような形にはならないもの、こういうふうに考えております。
  213. 岡本富夫

    岡本(富)委員 と申しますのは、兼業の場合がある。自分が別に職業を持っておって、それで協業組合に入る。これはよろしいと承っておるのですが、その場合やはりよいリーダーシップがないと、結局先で行き詰まってしまう、こういうように思うのですが、この養成についてどういうお考えでしょうか。
  214. 影山衛司

    ○影山政府委員 この協業組合制度の趣旨と申しますのは、自分たちが従来やっておりました事業をやめまして、協業組合一本の事業に没入していくという制度でございますので、そこに人っていくところの事業主は従来の事業はやらないということになっておるわけでございます。
  215. 岡本富夫

    岡本(富)委員 大体こういう協業組合化するときには、個人で隆々とやっておる人は、なかなか国民感情として、中小企業の一国一城のあるじですから入らないと思うのです。そうすると、すっかり商売が斜陽になってきた、まずい、ここらで協業して、そして資金でも仰いで立ち上がろう、こういう人が多いと思うのです。そういう場合は機械を持ち得るについて、聞くところによりますと、機械が一千万なら一千万する機械が出資のときには十万くらいに帳簿価格を落としている、こういうように——これはぼくが聞き違いかしりませんが、聞きましたけれども、たいがい機械はいままで個人借り入れの担保に入っておるわけです。そういう場合は協業化はできないのかどうか、こまかいことですけれどもちょっと教えてもらいたいのです。
  216. 影山衛司

    ○影山政府委員 非常にむずかしい技術的な問題でございますので、もう少し研究させていただいて、法案審議の際にお答えをさせていただくべき問題かと思うわけでございますが、機械類につきまして、それを現物出資した場合には、税制上圧縮記帳を認めるということになっておりまして、これは税制上の措置でございます。また現物出資をするわけでございますので、自分の所有権も離れていくということになりますので、従来の自分の所有権に基づいて担保に入れておったという場合には、ちょっとそこのところに問題があると思いますので、そこの点もう少しよく研究をさせていただきたいと考えておるわけでございます。
  217. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いろいろと教えていただきましたが、テーブルの上で計算しますと、協業化というと非常によいように聞こえますけれども、現実に即した場合、現実に行なわれなかったら、何ぼ法律をつくってもらっても、これは机上の空論になるわけです。ですから申し上げているのです。そうでない人もいます。そういう人は協業化できるであろう。しかしいま私が申しましたような状態で協業化できない、こういう人に対するところの助成措置、これは大臣どうでしょうか。これはだいぶあると思うのですが……。
  218. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いまお尋ねの要旨、私、実ははっきりしないのですけれども、現物出資のできない場合は現金出資をしてもいいのですが、協業組合に本人がどうしても入れないという場合、本人が単独でやってもいいというのは、それはもうやむを得ないと思います。そのほかの人がみな協業をやって、そうしてある特定の人だけがどうしても入らないというのであれば、その人は組合に入らないで単独にやってもらうよりしかたがない、こう私は考えております。
  219. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いま私が言ったのは、そういう意味じゃなくて、入らないとかいうことじゃないのです。現金出資できる人だったらいいのですが、それもできない、要するにこの規定に入れない——千の企業がありましたら、そのうちのこれはほんの一部じゃないかと思うのです。そのほかの入れない、また助成措置をしてもらわなければならぬ一般の中小企業に対して、この資本自由化に備えて大臣はそこまで考えていらっしゃるかどうか。
  220. 影山衛司

    ○影山政府委員 現実の問題といたしまして、いろいろな問題が出てくると思いますけれども、資本自由化対策等に相応じまして協業化を進めていかなければならないという大前提があるわけでございまして、個別企業がそういう協業組合に加わりたいけれども金がないというような場合には、それに必要な資金の融通も、たとえば中小企業金融公庫でもあるいは商工組合中央金庫でもやってあげなければいけないというふうに考えております。そういう点も万遺漏のない対策を講じつつ、資本自由化の措置を進めてまいりたいということでございます。
  221. 岡本富夫

    岡本(富)委員 御説明は、なるほど中小企業金融公庫から金を借りたらいいということでありますけれども、現実はなかなか金を貸さない。だから、それが心配なので、いま御質問申し上げたのですが、ほんとうはなかなか貸さないのです。私は中小企業をやっておったからよくわかっておるのです。それはそれとして、よく一ぺん次の段階の、協同組合にも、協業組合にも入れないような人たち、もうほんとうに困っている人たちに対する指導育成と申しますか、日本の大きな国策として取り上げていただかなければならぬ、こう思うのです。  それはそれとして、その一部として官公需に対するところの中小企業の現在の供給状態をちょっとお聞きしたい。
  222. 影山衛司

    ○影山政府委員 官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律は、昨年の六月に国会を通過成立いたしまして、その後実施の段階に入っているわけでございますが、それの実績も、これを集計することになっているわけでございますが、まだ年度が終わりまして間もない状況でございますので、これは六月末くらいを目途として各省から、実績をとりたいというふうに考えております。
  223. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それでは、それが出ましたら、また教えていただきたいと思います。  そこで次にもう一つ、こまかい問題で申しわけないのですが、中小企業近代化促進法の中で合成樹脂、これは租税特別措置ですか、割り増し償却につきまして、これを拝見しますと、射出成型と直圧成型の中で射出成型だけがこの特別措置の中に入っており、あとの部類は入っていない。これは同じ企業でありますのに、どういうわけで分かれているのでしょうか。
  224. 影山衛司

    ○影山政府委員 中小企業近代化促進法の対象業種は政令で指定することになっておりますが、政令には「合成樹脂の圧縮又は射出成型加工業」という指定になっておりまして、圧縮も射出成型も両方含めております。
  225. 岡本富夫

    岡本(富)委員 こんなこまかいことはなんですが、この圧縮は、やはり積層も圧縮してやっている。ところが積層成型は含まれない、こういうふうに書いてある。その辺非常にあいまいなように思うのですが、どうでしょうか。
  226. 影山衛司

    ○影山政府委員 この業種を指定いたします場合には、その業種指定をして単純に割り増し償却の対象にするということが目的ではございませんで、その業界の実態を調査いたしまして、その実態に応じて基本計画をつくり、近代化を進めていく、あるいは業界といたしましても、そういうことを自分たちも一緒になってやっていくという受け入れ体制が整っておるということも一つの指定の条件になるわけでございます。もちろんそういう受け入れ体制が整うように側面からわれわれも指導はいたしますけれども、やはり指定をいたします前には、そういう状況で整っていなければならないということが一つの条件でございます。先ほど先生指摘の積層の場合につきましては、圧縮成型あるいは射出成型の中に含まれておりませんので、まだ指定をいたしておりません。今後これにつきましては、業界組織の確立等、条件整備をまちまして、私どもは指定をするに決してやぶさかではないのでございます。
  227. 岡本富夫

    岡本(富)委員 非常に小さい問題をお聞きしましたが、要は、言わんとするところは、中小企業というものはこうして特別割り増し償却ですか、こういうような非常にこまかい、つめに火をともすような状態でもってしか企業は立っていけない現在の状態です。ですから、ただいまお聞きしますと、射出成型のほうが調査ができておって、あとの積層のほうはできていない。これは逆だと思うのです。ほんとうば積層のほうが先に日本の国には早く渡って、射出成型はあとになっているのです、事業の沿革としまして。ですから、その点そういうこまかいところに対しては若干机上の計算要するにプランが、ほんとうに業界を守る、中小企業の育成ということに対しての配慮が欠けておるように私は思うのですが、どうですか、全体としてですよ。
  228. 影山衛司

    ○影山政府委員 中小企業近代化促進法の目的に合致いたします限り、私ども中小企業の業種指定を続けていくつもりでございます。いずれにいたしましても、実態の調査等をもう少しよくやらなければいけない、こう考えております。
  229. 岡本富夫

    岡本(富)委員 では、お待ちするようにいたします。  そこで、いま中小企業が一番困っておりますのは、最近の全国銀行協会の発表を見ますと、四十一年の九月中に倒産したのが千二十八件、特に資本金百万円から三百万円の小規模の倒産が多い。この大きな原因になっておりますのは、中には黒字倒産がある。これはどういうわけかと申しますと、売り掛け金の回収がつかない、非常におそい。そこで、下請代金支払遅延等防止法というものを政府はつくっていらしゃいますけれども、これがある新聞にも載っておりますようにざる法である。すなわち申告制度ですから調査制度でないように思いますが、調査もしておるんですか。非常に人数が少ない。一ぺん調査が終わりますと、今度のは二年目くらいにしか来ないというような状態ですから、大企業の横暴、それに耐えかねておるのが現在の中小企業です。この点についての強化、あるいはまた調査するにあたりましても、もう少しいい方法はないでしょうか。これについて大臣にひとつ大まかなところを、骨子をお聞きしたいと思います。
  230. 影山衛司

    ○影山政府委員 下請代金支払遅延等防止法の運用につきましていろいろと批判も、受けておるわけでございますが、私どもとしましては、相当これを厳重な運用をいたしておるつもりでございます。先ほど先生、申告制度によっておるというお話でございましたが、申告制度だけではなくて、私どものほうから積極的に調査をいたしておるわけでございまして、その調査の結果、違反の事実が明らかなものにつきましては、地方通産局が立ち入り検査を行なっているわけでございます。これは公正取引委員会も立ち入り検査権限がございますが、通産省のほうもその立ち入り検査権があるわけでございます。従来この立ち入り検査の対象事業は、大体その前提となる調査の対象事業所数は従来一・四半期二千企業でございましたが、四十二年度からは予算を増加いたしまして二千五百企業になったわけでございます。したがいまして、年間八千企業の親企業調査を、今度は一万企業にふやしたわけでございます。そういう面で、相当程度調査の対象も拡充されたわけでございます。さらに、それに対しての違反事実がありましたならば立ち入り検査も行ないまして指導を行なっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  231. 岡本富夫

    岡本(富)委員 税務署は大体年に一ぺん大きな調査をやります。もうすっきり出てしまうくらいの大きな調査をやります。だから全部わかるわけですけれども、そのためにあれだけ大ぜいの人員を擁しているのです。公正取引委員会はどれくらいの人員を持っているか知りませんけれども、これをちょっとあとでお聞きしたいと思いますが、もしもこれを無視して、遅延防止法にひっかかりますと社名を公表する、こういうようにいわれているのですが、ほんとうでしょうか。
  232. 影山衛司

    ○影山政府委員 公正取引委員会は、立ち入り検査を行ないまして指導を行ないました結果、勧告にも応じないというような場合には公表をすることができることになっております。
  233. 岡本富夫

    岡本(富)委員 社名を公表したところで別にそう痛いこともかゆいこともありませんものね。それはそれとして、公正取引委員会は現在全国で何名でしょうか。
  234. 影山衛司

    ○影山政府委員 ちょっと通産省の所管でございませんで……。
  235. 岡本富夫

    岡本(富)委員 じゃ大臣からちょっと答えてください。
  236. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 その人員は私のほうでちょっとわかりかねますが……。
  237. 影山衛司

    ○影山政府委員 現在公取の事務局の定員が三百七人でございますが、今度三百三十六人ということでございます。
  238. 岡本富夫

    岡本(富)委員 私の言わんとするところは、大体その人数が非常に少ない。現在困っておるところの下請企業が、台風手形あるいはまたお産手形、飛行機手形というんです、落ちそうで落ちないから。これは大企業にはありませんけれども、この手形を持っていきましても、銀行ではなかなか金を貸さない。そういうわけで行き詰まりで黒字倒産するのが、非常に多い。したがって、もっともっと強力に、いまの説明あるいはお答えによりますとこれで十分だというような感じを受けるわけです。私は不十分であるという感じがするのですが、どうでしょうか大臣の感じの問題として。
  239. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 決して十分だというようにも答えなかったように私は思うのです。万全を期してやっておるけれども、この下請の問題、これなどは私どものほうでは非常に関心を持っておる問題でありますから、実際に人員が足らぬということであれば、今後は大蔵省に増員を要望して、そして下請業者の救済のために乗り出したい、こう存じておる次第でございます。
  240. 岡本富夫

    岡本(富)委員 まあしろうとの考えとして、いま話がありましたように、大蔵省と協力して増員するというけれども、増員よりも、大蔵省は大企業の税金の問題なんかをよく監視しているわけです。ですから、その買い掛け金のほうを見れば、大体どこに何ぼ残ってどうだ、また帳簿を見れば、どこに何ヵ月前の手形が行っているというのはわかるわけです。ですから、非常にこれは話が飛躍した状態でありますけれども、よくそういう画からも調べられると思いますので、ひとつ強力にやっていただきませんと、この資本自由化に備えて、国の九九・四%まであるところの中小企業はどうしようもない、こう考えるのです。大臣のひとつ決断をお願いしたいと思います。
  241. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 先ほど長官からもちょっとお答えしましたが、通産局も立ち入り検査ができるようになっておりますから、まあそれで通産局側としても立ち入り検査をして、下請業者をできるだけ援助したい、こういうふうに思っております。そして、いまの自由化の問題については、先ほども塚本委員に申し上げたのですけれども自由化という問題について最も打撃を受けるとわれわれが想像するのは中小企業でありますからして、したがって、中小企業をいかに守るかということでいま通産省といたしましては対策を練っておる次第であります。でありますからして、まあ大企業は大企業として力でやると思いますけれども中小企業はとても自分らの力でやれませんので、今後の中小企業振興事業団などもその一つのあらわれとして皆さんの御審議をお願いしておる次第でありまして、中小企業の問題については、ひとつこれは皆さんとともに取り組んで解決したい、こう存ずる次第であります。
  242. 岡本富夫

    岡本(富)委員 菅野大臣は大阪の出芽で、非常に大阪には中小企業が多いから、強力にやっていただけると期待をしておりますけれども、まあ今後ひとつよろしくお願いしたいと思います。  最後に一点お聞きしたいのは、新潟県に阿賀野川という川がありまして、御承知のようにここで水銀中毒事件が起こって、現在で足かけ三年です。この問題につきましては、もう現地の人たちは非常に不安な状態です。政治に対して、また政府に対しても全部不信を持っております。ある本によりますと、この原因というものを少し深く掘ってまいりますと、熊本県の水俣市に起きましたところの水俣病と同じようなケースですが、これは二十八年から三十四年にかけて熊本県の水俣で起こったのですが、このときに有機水銀のまじった廃液を川に流していた工場が約二百ヵ所あった、それで通産当局はちゃんと処理したところの廃液を流すようにという指示をしたというように出ておりますが、事実でしょうか。
  243. 吉光久

    ○吉光政府委員 水俣病は、先ほどお話ございましたように昭和三十一年に問題になりまして、その後厚生省の食品衛生調査会を中心にいたしました調査会で調査団を編成いたしまして、この原因の解明に当たったわけでございますが、三十四年の十月に一応食品衛生調査会の中間の形での答申が出ておりまして、その中間答申で有機水銀説ということが答申されたわけでございます。その翌月の十一月に、実は同系統の工場に対しまして、いまお話に二百社程度とございましたが、実は同系統はそれほど多くはございませんで、要するにカーバイド系統からアセトアルデヒドを取っておりました工場は、当時で新日本窒素水俣工場を含めまして五工場あったわけでございます。これらの同種の系統の工場に対しまして、廃液中の水銀の含有量についてすぐに調べて報告するようにということの通達を出したわけでございます。この水銀の含有量は、これは当時、トータル水銀でありまして、有機、無機合わせたものについての含有量がどの程度のものが流れておるかということについて調査をいたしたわけでございます。その後さらにその調査等を参考にいたしながら、それぞれの工場の現地の立地状況等に応じまして、それぞれ工場でなし得る限りの排水についての処置をとるようにということを指導いたしておったわけでございます。
  244. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いまお聞きしますと、やはり昭和三十四年の十月に約二百ヵ所の工場に対して、水銀の状態を報告するように、またやったことを報告するように、こういうように聞きましたが、この水俣病で、水銀中毒であるというような答申が出た。そうすると、工場排水というのは、これは通産省の管轄じゃないでしょうか。報告ですと、これは悪くいえばどうでも報告できます。あのときには大ぜいの人が死んだりあるいはまた病気になった。為政者として、通産大臣はその当時とかわっていますけれども、通産当局としましては、直ちに飛んでいって、その工場、それに類似したところの工場に対しては、立ち入り検査をして、そしてこういうような災害を防ぐのがほんとうではないかと私は思う。人命をあまりにも軽薄に考える。ただ企業から報告だけを受ける、これではあまりにも私は責任がないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  245. 吉光久

    ○吉光政府委員 先ほどの中間答申で有機水銀説のお話を申し上げたわけでございますけれども、実は当時この原因につきましていろいろな異説等もございまして、中間答申的な形で有機水銀説というものが出たわけでございますけれども、ただその有機水銀がどの過程で生成されるかという点につきましては結論を得ていなかったわけでございます。したがいまして、通産省といたしましても、当時とり得ます最大の措置といたしまして調査を依頼いたしますと同時に、さらに各工場に対しましても、要するにそういう有機水銀説というものが現に出ておりますので、その生成過程がどういうことであるかということの結論を待たずして現実の工場の排水等についての指導を促してまいったというふうなわけでございます。
  246. 岡本富夫

    岡本(富)委員 水質保全法やら工場排水法、こういう面から見ましても、私は、この当時にもしも有機水銀説が出た、ただ説が出ただけでありましても、ただ工場からこの報告だけをさせる——聞けばこの阿賀野川の昭和電工は排水法の試験はしてなかった、またそのほうの沈でん装置やいろいろなそういうことはしてなかった、こういうように聞いておるのです。その点について私は、通産当局の怠慢である、また人命を軽視したところの大きな誤りである、こういうように思うのですが、どうでしょうか。
  247. 吉光久

    ○吉光政府委員 先ほど申し上げましたように、調査の回答でございますけれども昭和電工の鹿瀬工場の回答は当時参っておりますけれども、現在と違いまして、当時まだ水銀の分析検定技術というものが未発達でございまして、昭和電工の鹿瀬工場から報告が参っておりました数字によりますと、検出当時の分析の検定限界でありました〇・一PPM以下であるというふうな報告を得ておるわけでございます。と同時に、昭和電工におきましても実は処理施設、排水施設等はつくっておらなかったわけでございます。これは御指摘のとおりでございますが、当時昭和電工としてとりました措置といたしましては、アセトアルデヒドの製造工程中に水銀の捕集器を設置しますとか、あるいは排水をさらに還元いたしまして回収して、できるだけ排水中に含まれる水銀の量が少ないような形で処理する方式と申しますか、排水をさらに回収して用いるというところまでの手当てを行なっておるわけであります。他の工場等につきましては、その後さらにだんだんと、除濁池でございますとか、調整池でございますとか、そういうふうな方式の施設を整備いたしてまいりましたけれども昭和電工につきましてはそういう施設まではつくっていなかったというのが現状でございます。
  248. 岡本富夫

    岡本(富)委員 通産当局は報告だけ受けて判断する。いまの話を聞きましても、国民の命がそうやってむしばまれている。公害の問題でありますけれども、それに対しても工場排水の状態を——あの辺にもやはり通産省の出先機関があるはずです。いま聞きますと、全国に二百ヵ所ぐらいしかありませんし、重要なのは五ヵ所くらいです。それに対して特別出張して、また地元の水質試験所あたりともよく協力をして手を打っておけば、今度の阿賀野川の問題ももっとはっきりし、そして防げたのではないか、こう私は国民の一員として考えるときに、今後起こってくる問題についてもすわって報告を受けておるだけでは相ならないと思うのですが、大臣、どうでしょうか。
  249. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 公害の問題につきましては、総理の施政演説の中にも言っておりましたとおり、政府といたしましては真剣に取り組むということを言っておるのです。通産省といたしましては、公害の加害者側の立場でありますから、その公害の発生を除き、また未然に発生を防ぐというように指算するのが役目であります。したがいまして、いろいろ問題が起こった場合には、その施設を調査して、公害の発生しないように指導していくのが通産省の役目だと思いますので、そういう点においていままで抜かりがあったとしますれば遺憾だと思います。今後は、住民に関する重大な問題が起こりますれば、直ちに調査して、そういう公害の発生しないように強力に指導したい、こう存じております。
  250. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この問題は、もうこれ以上の追及はよしますけれども、今後の問題といたしまして、いま大臣が所信表明されましたように強力にやっていただきたい。これを最後にお願いしまして終わります。
  251. 田中武夫

    田中(武)委員 先ほどの近江委員質問に関連をいたしまして、大臣答弁で一言だけ意見を留保しておきたいと思いますので申し上げます。  万博の会場の負担費の問題で、地元の二府六県、すなわち近畿全体だ、こういうお話であります。私は兵庫県であります。この委員の中には、和歌山県、奈良県等の方もおります。したがいまして、大臣がそうおっしゃったので、黙っておるとこの委員会で了承をしたように思われるので、われわれ了承しないということが一つ。  それから、公益事業については地元が負担するのが例である、こういうふうに大臣はおっしゃった。これはおそらく受益者負担の理論であろうと思うのです。なるほど道路法あるいは河川法には受益者負担の規定があります。したがいまして、この次にはこの受益者負担という問題をもう少し掘り下げて、それから地元とは何ぞやということをやりたいと思いますので、保留しておきます。
  252. 島村一郎

    島村委員長 次会は明二十四日水曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五分散会