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1967-05-19 第55回国会 衆議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十九日(金曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 中川 俊思君    理事 田中 武夫君 理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    岡本  茂君       神田  博君    黒金 泰美君       小山 省二君    齋藤 憲三君       坂本三十次君    田中 六助君       三原 朝雄君    武藤 嘉文君       石野 久男君    佐野  進君       千葉 佳男君    中谷 鉄也君       永井勝次郎君    平岡忠次郎君       古川 喜一君    塚本 三郎君       吉田 泰造君    近江巳記夫君       岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     北島 武雄君         経済企画庁国民         生活局長    中西 一郎君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業大臣官         房長      大慈彌嘉久君         通商産業省企業         局長      熊谷 典文君         通商産業省重工         業局長     高島 節男君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君         中小企業庁長官 影山 衛司君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局公害課長   橋本 道夫君         通商産業大臣官         房審議官    蒲谷 友芳君         通商産業省企業         局次長     下山 佳雄君         通商産業省企業         局産業立地部長 馬場 一也君     ――――――――――――― 五月十八日  委員坂本三十次君及び中谷鉄也辞任につき、  その補欠として登坂重次郎君及び山口シヅエ君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員登坂重次郎君及び山口シヅエ辞任につき、  その補欠として坂本三十次君及び中谷鉄也君が  議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十八日  石油開発公団法案内閣提出第六七号)  商品取引所法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三一号)(予) 同月十九日  私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第四七  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一一五号)  石油開発公団法案内閣提出第六七号)  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中谷鉄也君。
  3. 中谷鉄也

    中谷委員 公正取引委員会委員長さんにお尋ねをいたしたいと思いますが、まだ御出席がないようでございますので、その前提になるような事実関係というほどのことではございませんが、通産省のほうにとりあえずお尋ねをしていきたいと思います。  公取関係でございますけれども、カラーテレビの問題につきましては、昭和四十一年の十二月の二十七日すでに審判開始決定がなされまして、現在御審理中でございますが、この機会にカラーテレビにつきまして、いわゆるカラーテレビ国内価格とそしていま一つ輸出価格、その価格の問に相当以上の開きがあるということについては、すでに国会において論議されたところであるというふうに伺っておりますが、いわゆる輸出されているカラーテレビ国内販売されているカラーテレビとの価格開きがある。その理由として、品質格差物品税販売経費広告費あるいは据えつけ費、補修費部品準備費特許料金利その他ということで説明をしておられる向きがあるようでございますけれども、この点について、ひとつ通産省の御担当の方から御答弁をいただきたいと思います。
  4. 下山佳雄

    下山説明員 ただいま先生が申されましたとおり、現在カラーテレビ国内では、いわゆる19型、これが十六万円ちょっとでございますが、これに対しまして、輸出FOB価格がおおむね六万五千円程度でございまして、これが国内現金小売り正価との差は、国内小売り正価にはいま言われましたとおり、物品税卸小売りマージン、アフターサービス、広告費等メーカー側負担のものが含まれておるのに対しまして、輸出の場合には、このような経費が入っておりませんことが一つの要因でございます。二つには、品質上にやはり相違があるということが第二点でございます。それから第三には、輸出の場合には契約数量がまとまっておるというような事情もございまして、そういう関係におきまして輸出価格が安いというような事情でございます。
  5. 中谷鉄也

    中谷委員 もう少しその点について詳しくと申しますか、具体的にお尋ねをいたしたいと思います。  先ほど御答弁になりました型の大きさのテレビで、国内価格が十六万円程度、そうして輸出されている価格が六万五千円ということでございますと、御答弁二つ価格は、算術的な計算でほぼ九万五千円内外の差額があるということになります。そういたしますと、まず動かないものとして物品税関係がこの九万五千円余の価格差にどのような影響を及ぼしているか、この点はいかがでございましょうか。
  6. 下山佳雄

    下山説明員 物品税は一三%これに含まれております。
  7. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、物品税といたしましては大体一三%ということに相なりますと、金額にいたしましてどの程度に相なるわけでございましょうか。
  8. 下山佳雄

    下山説明員 おおむね一万二千円程度でございます。
  9. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、先ほど品質格差という御答弁があったと思いますが、具体的に品質格差とはどんなことなのか、品質格差による国内価格輸出価格との九万五千円の差、その金額差というのは、一体どういうものなのか、この点はいかがでございましょうか。
  10. 宇野宗佑

    宇野政府委員 実は、これは重工業局担当になっておりまして、こちらは企業局でございます。重工業局長は、いま参りますので、しばらくお待ち願いたいと思います。  いまのいわゆる品質格差はどうであるかという点は、国内販売されておるのは木製キャビネットでございますが、輸出のやつは、あまり木製のようなぎらぎらした装飾の多いものはアメリカ人好みませんので、これはメタルでつくられております。その辺の格差が相当あるのでございます。その具体的なことについては、いま局長が来ましたので、局長説明をいたさせます。
  11. 中谷鉄也

    中谷委員 それでは品質格差に関連をいたしまして、いい品物を安く売るというふうなこととの関係お尋ねをいたしたいと思いますが、主としてカラーテレビ輸出先アメリカであるというふうに聞いておりますけれども、アメリカ市場でどのような購買層と申しましょうか、どのような所得層日本カラーテレビを購入しているのか。先ほどの次官の御答弁にありましたアメリカ人があまり装飾の多いのを好まないということとの関係でお答えをいただきたいと思います。
  12. 高島節男

    高島政府委員 遅刻いたしまして、まことに申しわけございません。御質問を全部聞いておりませんでしたので、ちょっと行き届かぬところがあるかと思いますが、御了承願いたいと思います。  カラーテレビアメリカにおける購入所得層でございますが、これはアメリカ人所得購入者調査をこちらでいたしたわけではございませんけれども、大体のところをつかまえてみますと、比較的簡素な、そして安いといいますか、そういうものが、そういった形で需要が多い。おそらく日本ではカラーテレビというのは、まだわれわれのふところではなかなか買いにくいのですが、アメリカでは相当中堅所得層と申しますか、一般の並みのところが買っておるようでございます。そして日本の比較的簡素なタイプのものが出ていっている、そこにちょうどうまく需要が結びついて輸出が伸びてきている、こういう感じでございます。
  13. 中谷鉄也

    中谷委員 教えていただきたいと思いますが、その品質格差とされているところの輸出価格国内価格との差の内訳品質格差という項目によってあらわされている価格差内訳の先ほど御答弁になりました金額というのは、いわゆる装飾というふうなことでございますけれども、そういうものにそれほど費用が要るものだろうか、そんなに価格の開く理由になるだろうかという点が素朴な疑問でございます。この点について御担当局長さんのほうから御答弁をいただきたいと思いますが、その前に、前提になります国内販売価格が十六万円、輸出価格が六万五千円、その価格差が九万五千円であって、その価格差内容はかくかくである、たとえばその品質価格についてはこれだけ違うのだという根拠は一体何に基づくものなんでございましょうか。これは結局通産省でそのような説明を了承しているものなのか、それとも業者のそういう説明にすぎないのか、この点いかがでございましょうか。
  14. 高島節男

    高島政府委員 こういう総合機械工業のうちの一部でつくっておりますもの、それから需要者好みというものが人によって非常に違いますものですから、それを反映させての価格差ということは、これは立て方は千差万別でございまして、まことに把握しにくい問題でございます。ただこれは、率直な私の感じを申し上げますと、政務次官から御答弁があったと思いますが、去年、例のテキサス・インスツルメントの問題がいろいろ騒がれましたときに、よく電子メーカー等が集まりまして、大臣ともお目にかかっておりますが、当時の三木大臣から、カラーテレビというのは高ねの花といいますか、十九万八千円で当時売り出しておったわけです。それが高いか安いか、幾ら高いかということをわれわれは言っておるわけじゃない。しかしそれは高ねの花の形にしておくほうがメーカーにとっていいのかどうか。ロングランに考えてみたら、少しものごとの考え直しが必要ではないかということを夏ごろ申し上げたことがございます。といいますのは、幾分簡素なタイプにいたしましても、すぐとは言えないにしても、国民が、比較的中堅所得層の手が届くような方向へだんだん生産計画その他を立てていくという余地はないものか、こういうことが問題の発端でございまして、そのときに輸出価格とも比べてみて高過ぎるという感じはしないかということになって、輸出向け国内向けとの価格開きについて内容をチェックしてみましたら、価格差の中身についていろいろ説明を持ってまいりました。私らのほうも、それに対しまして、理屈があるようなないようなことになってまいることと、またその点でいろいろ議論をいたしますことは対外関係――外ではいろいろと日本品物につきまして、いろいろな意味での実質的な輸入制限等もやるきっかけにもなってくるおそれもございますので、そこであまり議論をしたくない。したがって、こういったカラーテレビという特殊の一つ商品をとらえてコストとか販売好みとかいうものは、総合的にまとめにくいものではあるけれども、一息奮発する余地はないか、こういう感触の問題のとらえ方をしたわけであります。  それで、先生いまおあげになりました問題点に触れてまいりますと、外との関係もむずかしくはなりますが、大ざっぱにお考えいただきまして、ただいまおあげいただいた値段は、こちらは小売り価格でございます。われわれが店頭で買える価格向こうFOB価格でございます。したがって、輸出をいたします際、卸売り小売りマージンは全部その中に入っていない、計算ベースが違っておるということが一つ。  それから第二点としては、現在カラーテレビは、ある意味ではまだ奢侈的な品物であるという見方をしておりまして、物品税がかかります。一三%かかる。したがって一万二、三千円ぐらいになると思います。その程度物品税をかけておりますので、これがその中に入っておる。輸出物品税を全然免除いたしております。  第三点がいまおっしゃいました型式の問題。向こうへ出ておりますのは、向こうの中でも中堅所得層的なところの需要に食いついているという感じでございまして、ちょうど小さな車が日本から出ておって、大型車向こうでつくっておるという形とちょっと似たような、簡素なテーブルタイプというもので、金でできております。一見すればそうみやびやかでないというような感じがいたします。ところが、こちらでそのあとに出ておりますのは、木製で、かなりいろいろこまやかな細工等も施した型のものであります。それで、この型式の差も価格差が生ずる一つ理由であるということを政務次官から申し上げたわけであります。  第四に、これは売り方の問題といたしまして、海外取引の場合は、要するにこれはよしあしの問題はございますけれども、日本のほうとして輸出本船渡しで仕切ってしまいまして、それからあとは全部向こう商活動にまかす。日本の場合は、メーカーが商社の活動を通じてできるだけ品物が売れるようにしていく。しょい込みをしておりまして、たとえば販売経費であるとかあるいは広告費とかいったようなものの負担がこちらにかなりかかっております。それに対して輸出の場合はきれいになっておるという点がございます。  そのほか、輸出は、一般の問題でございますが、特に日本の場合は、最近は景気がよくなってきて、比較的そういうことが少のうございますが、まだ相当手形サイトでやっておりましてリスクが非常にあります。輸出の場合はLCが到達いたしまして、これは輸出入銀行のギャランティーがついておりますが、したがって現金がきた場合と全く同じである。つまり現金決済であって、その間に金利がない。また、これは対外関係としては一つのうるさい点ではございますが、あえて申し上げますと、国内金利に比べまして輸出の場合は日銀の法定制度がございまして、これによって誘導しておる。その意味での金利差等もございまして、そのあたりを総合いたしてまいりますと、十九万八千円と言っておりましたのが十六万円台になり、それから十三万円という――これは十五インチに下げるようでございますが、売り出し方法も出てきまして、だんだんに国内値段というものが下がってきておる。ここでむしろ問題は、非常に外国に売りにくくなっていく品物でございます。向こうでも体制が整いつつあります。したがって、現在の百八十ドルという値段を維持するために、どうもわれわれは非常に神経を使っていくべき段階にきたのじゃないか。こういう意味でははなはだ問題の取っ組み方に苦労しておるという段階にいまいっておると思いますので、従来の経緯と現在の立て方を御説明申し上げました。
  15. 中谷鉄也

    中谷委員 カラーテレビの問題は詳しく調べておりませんので、たいへん質問が、ある意味ではしろうとの質問になるかもしれませんが、先ほど政府委員がおあげになりました価格差内訳と申しますか、それはマージン物品税品質格差、第四点としては一応売り方の違い、第五点としては金利及びその金利に関するようなことということでございます。そういたしますと、局長おいでになりますまでに御答弁があったわけですが、十六万円と六万五千円の価格差九万五千円という前提に立ちまして、この五つ内訳で九万五千円という価格差金額的にどのように内訳されるのか、この点についてひとつお答えいただけませんでしょうか。
  16. 高島節男

    高島政府委員 先ほど申し上げましたように、これはいろいろ見方がございまして、一つのデータとしておおよその見当をつけておるところから申し上げますと、メーカー販売価格といたしまして、FOBに見合いますのは、卸売り段階小売段階がございますから、大体十二万円よりは上にいかないところで――FOB工場渡しと必ずしも一致はいたしませんが、こまかい取引条件がございますけれども、おおむね十二万円見当のものではないだろうかという感触で見ております。それに対しまして一万二千円物品税がついてまいります。それから販売経費とか、品質といいますか物の違いとかいうことになりますと、これは非常に主観的な要素が入ってまいりまして、その間にいろいろと議論余地があるかと思いますが、一応それを調べてみましたところでは、現在の価格で新しい市場に売っておるわけですから、何かとそれは言うに言えない苦労があると思います。あると思いますが、正面切ってこれで不当に外国へ安く売っているぞという感触向こうからつつかれることはまずないのではないかという心がまえは持っております。大体FOB価格に見合うのは国内卸販売価格、そう考えていいのではないか。そういたしますと、その差は大体五万円ちょっとになると思います。(中谷委員「その五万円というのは何ですか」と呼ぶ)十二万円見当卸売価格であるといたしますと、輸出価格が百八十ドルであるとすれば六万五千円、そうするとその差は五万五千円見当でございます。非常にまるい数字で申し上げて恐縮でございますが、その五万五千円というものの中に、税額で申し上げますと、これは不正確ですが、一万二、三千円の物品税が入っております。それを落としますと四万円ちょっとの差である。その四万円見当のものが、これは内訳先生に詰められますと非常にむずかしゅうございますが、先ほど政務次官がおっしゃいました物の違い、あるいは管理費販売費等の科目の向こう側負担すべきもの、金利差といったような要素に相なってくるのではないか。われわれもこれで満足をいたしておるつもりではございません。将来に向けまして今後の需要が伸びてくるに即応して、やはりできるだけ新しい売り方をしてもらって、そして一般に手の届くところに国内的には持っていきたい、こういうように考えております。
  17. 中谷鉄也

    中谷委員 たいへん恐縮ですが、もう少し。かりにそのことが実態にどの程度合っているのかどうか別といたしまして、もう一度御答弁いただけませんでしょうか。要するに局長の御答弁は、価格差の原因として五つおあげになったわけですが、そうすると、いわゆるマージン価格差一つ理由なんだとおっしゃったわけですから、そうするとマージンとしてはどの程度のものが価格差内訳になるのか。いま一つ金利という問題もおあげになったわけですから、金利としてはどの程度の差が出てくるのか、これは御答弁いただいたわけですけれども、もう一度念のためにお教えをいただきたいと思います。品質格差と申しますか、品質の違いとしてどの程度価格差が出てくるのか。それぞれについて、それが妥当なものであるのか、あるいはまた、通産省においてはそういうメーカー説明に基づいておられると思うのですが、あるいは通産省の御調査に基づくそのような価格差内訳というふうなものが通産省として納得のできるものなのかどうか、この点についてひとつ、どの程度までお聞きすることが適切であるかどうか私この問題についてはそれほど深刻に調べておりませんので恐縮ですが、少し納得いたしかねる点がありますので、お答えいただきたいと思います。
  18. 島村一郎

    島村委員長 ちょっと政府委員に御注意申し上げますが、もう少し御発言を大きな声で……。
  19. 高島節男

    高島政府委員 どうも少しかぜを引いておりまして、はなはだ申しわけございません。  いまの中谷委員の御質問の点で、十二万円見当であろうかということを私が申しておりますことと、一応十六万八千円でございますか、それとの問のマージンのところを卸と小売りに分けまして、一つの観念を持っております。これはぴたり合っているかどうかは、不特定多数でございますから何とも言えませんが、私の頭の中の常識としてお聞きいただきますと、大体卸のマージンとしましては八%見当です。一方小売りマージンですが、これは非常に販売リスクが伴い、こまかくあと分かれてまいりますから、大体二〇%くらいじゃないか。こういう常識的なベースでやってまいりますと、十二万円程度メーカー出し値という辺におおむね落ちついてくる。その程度のところを見てやっているのが一般ではないか、これは別段段階によって値段をきめているわけではございません。またそういう形で協定することは、これは競争の制限になってまいります。一般的に大体その程度のところにいっているのじゃないかというふうに私としてはつかんでおるというところで御了解いただきたいと思います。
  20. 中谷鉄也

    中谷委員 公取委員長お見えになりましたので、実は公取委員長カラーテレビの問題をお聞きすることでありましたが、おいでになるまでということでありましたので、こういうふうな問題のところに入っているわけですが、もちろんいまこのお仕事公取のお仕事でございまして、通産省の直接の御担当ではないわけですけれども、昭和四十一年判第六号、要するにカラーテレビに関する審判開始申し立て書記載によりますと、これは政府委員お尋ねしたいのですが、そういう事実があったかどうかは別でございますが、小売りマージンは一八%以内、卸マージンは八%以内、リベートは平均二%、最高四%以内とする申し合わせというふうなことが従来あった。そしてそういうふうな申し合わせがあったけれども、その後小売りマージンを一八%から二〇%以内に引き上げるというふうな申し合わせが、いわゆる十日会という会合であったというふうなことを私もうろ覚えに審判申し立て書記載から一応理解しているわけなんですけれども、いま御答弁いただいた卸のマージン小売りマージン政府委員の御答弁と、それはそういう申し合わせがあったかどうかは別としてというカッコがおつきになっての御答弁でございましたが、私が申し上げた数字と申しますかマージンと大体合っていたのでしょうか、ちょっと違ったような気がいたしますが、いかがでしょうか。
  21. 高島節男

    高島政府委員 卸で八%、小売りで二〇%でございますが、大体いま私の申し上げましたのが常識的に私の頭にございます。それが多いか少ないかというところは、おおむねこんなところではないだろうかという感じが私個人としてはいたしておりますが、ただ、いまおあげになりました審判の対象になりましたような点、すなわちお互いの間に申し合わせしておったかどうかということは、これは審判の事案に相なっておりますので、そこで明らかにさるべき筋合いじゃないかと思います。私は大体その辺が相場ではないかという感じを持っております。
  22. 中谷鉄也

    中谷委員 では、この程度のことでひとつお聞きしたいと思いますが、要するに現在のカラーテレビ、これは統計を見ればすぐわかることなんですけれども、カラーテレビは大体どの程度量産されているのか、これは簡単でけっこうでございます。念のためにお聞きするわけですから。  それと、これは簡単なことでございますが、局長から御答弁いただけると思いますが、いわゆる普及率伸び率でございますね、この点が第二点。  第三点といたしましては、端的に申しまして、局長の御答弁の中から、私こういうように理解して言い過ぎではないと思うのですが、要するに、いろいろな複雑な問題等を含んではいるけれども、カラーテレビ輸出価格国内価格というものが、現在のような状態でいいとは思わないという趣旨の御答弁があったと思いますが、そういうことではないのでしょうか。結局、そうでないとすれば、また話がややっこしくなってくると思うのですが、そういうふうな、御答弁を伺っての私の理解であるとすれば、一体その価格差をなくするための方途、もっと端的に素朴なお尋ねのしかたをいたしたいと思いますが、カラーテレビ価格は一インチどの程度まで下がってくるということが、もう当然の見通しとしてあり得る、あるいは行政指導によってどの程度の間に値段を下げたいというふうなことも、通産省のお立場として御答弁いただけることじゃないかと思うのです。それらの点についてひとつお答えいただきたいと思います。
  23. 高島節男

    高島政府委員 まず、現在の生産の状況でございますが、これは普及率のほうから申し上げたほうが実態がおわかりいただきやすいかと思いますが、普及率はいま全世帯二千四百万世帯ぐらいございますが、それで見まして一・二%程度普及率にとどまっております。たとえばホテルであるとかそういった場所には別にございますが、これはむしろ十九万八千円で、デラックス版というような形のものが出ておりまして、一般家庭としては非常に低い普及率でございます。したがって、カラーテレビの生産につきまして、たとえば鉄鋼でありますとか、石炭でありますとか、石油でありますとか、そういったもののように、将来に向かって大きな線としてどういうコストダウンが行なれ、こういう辺にいくんだということを抽象的にも把握するのは非常に困難な相手でございます。と申しますのは、一つは、カラーということはすでに白黒のテレビというものが基礎にございまして、それが部分的にブラウン管をかえてカラーに変えるという形をとってまいるわけであります。したがって、基礎は白黒テレビで、ずっと中身にわたっての大きな点の量産というものが行なわれてきた、その基礎の上に立ってカラーというものがあるので、非常にその点は全般の将来の予測というものが立てにくい状況にございます。現在の生産台数は、三十九年が大体五万台と見ていただいていいかと思いますが、四十年になって大体十万にそれがなった。しかし、非常に小さいところの話でございまして、倍になったといっても、五万から十万という非常に小さなことでございますが、最近四十一年に輸出が非常に伸びた。四十一年の輸出が大きく伸び、国内需要も拡大いたしまして、五十万台をこすところまでまいったわけです。四十二年にどうなるかということは、非常にいろいろな説がございまして、むずかしゅうございますが、私は百万台くらいの数にはなっていくんじゃないか。輸出について先ほどから非常に神経質な憶病なことを言っておりますのは、一つにはそこにございまして、アメリカ関係で伸びなくなりますと、これはえらい輸出停滞という形になりますので、そこの点では非常な神経を使っておるわけでありますが、対米輸出を中心にした輸出関係がうまくいけば、その程度のところまでいくだろう。半分あるいはそれ以上の輸出の形の構成ということになってまいります。そういう形で今後伸びてまいります。それで、一般的にどういう見通しを持ち、どんな姿勢で臨んでいくかということでございますが、私の感じといたしましては、これはただ数量がふえるから直ちにコストが下がるという性格のものでは必ずしもございません。石油化学であるとか、鉄鋼であるとかいうような装置産業と違いまして、量産効果が直ちに製品のコストにくるという性格のものではございませんし、特に労働力に依存する部分が組み立て等かなり強い分野でございます。したがって、今後の全般の生活水準のアップ等からはね返ってくる一般の経済コスト構造からいいますと、必ずしも大きなものは期待できないと思いますが、ことし前半のいろいろな事例、事案がございました結果、業界の姿勢というものが、やはり一般に広く売っていくという方向に踏み切ってきたようであります。これは番組がふえたとか、あるいはいろいろ政府側の動きもあったようでございますが、それに即応して動いたからではなしに、必然だったかもしれませんが、量産して比較的簡素なものを出して一般所得層に食いつきたい、こういう動きになってきましたことは、価格が自然に下がっていく方向になっているのではないか。ただ、カラーテレビについては、価格統制は全然ございませんわけです。たとえば独禁法違反の事実があるというようなときに、その角度から追及するということは別にございますけれども、私らのほうでは、これをどの辺まで下げろと強制することはできませんが、商品としての傾向は、自然に下がっていく性格の商品ではないか。しかし、装置産業のようにずばりと生産量に見合った価格引き下げということはなかなか困難であろうというふうに判断をいたしておるわけであります。
  24. 中谷鉄也

    中谷委員 もう一度お尋ね申しますが、これは全くいろいろな数字を先ほどからおあげいただきましたし、私もその程度のことについては若干調べてみたんですけれども、結論として、国内価格輸出価格との格差については、違法というふうなことはないことはもちろんですが、そういうことが妥当なのかどうかということになってまいりますと、全く素朴な国民――ここで国民を持ち出すことがはたして適切かどうかわかりませんけれども、私自身の気持ちといたしまして、妥当ではない。本日御説明をいただきました、あるいはまたものの資料等を見てみましても、その価格差説明は合理的に納得をできるところまではいかない。もっと強いことばで申し上げれば、不当ではないのか、こういう価格差は不当ではあるまいかという感じがするわけでありますが、こういう結論的なお尋ねのしかたは私自身あまり好まないのですけれども、通産省の御見解として、国内価格輸出価格との差については不当でないのだ、妥当だというふうに、お考えになるのか、それとも不当とはいえないだろうけれども好ましくない、さらに行政指導を実施したいというふうなお答えになるのか、もっとメーカーの立場と申しますか別の観点から、あたりまえなんだというふうな私たちの全然予想しないようなお答えが出るのか。こういうふうな非常に詰めた質問のしかたになるかもしれませんが、お答えいただきたいと思います。
  25. 高島節男

    高島政府委員 私からお答え申し上げるのもどうかと思いますが、私なりの考え方でお答え申し上げます。開きが不当であるかどうかということは、むしろ現在のこういった家庭電気製品の生産から流通まで全体を見てみまして、一つ日本の構造としてある現在の姿にいろいろと根本的な問題が残っていると思います。たとえば先ほど答弁いたしましたように、販売経費等がメーカー負担でやっていかなければならぬといったあたり、それから物品税をかけたままでこれがずっといっていいかどうかという点の問題また構造的な問題が残っていると思います。したがって、われわれいま物価統制をやっておるわけでございませんで、原価をとって当か不当か、こうきめつける権限も持ち得ないわけでありますが、十九万八千円ということで議論がされておりました当時は、私はこれは生産の量の問題もあるかと思いましたけれども、対外関係におきましてときに開き方が激し過ぎる感じではないだろうか。それは基礎データをいろいろ追及いたしますと、こういう要素です、こういう要素ですと、いま私が申しましたのに数字をはめていくわけです。だからはめてくる数字は大きく持ってきて、これはうそだということはなかなか言えませんし、権限もございません。したがって要因はそういうところにあって、国内品と輸出品、特に輸出FOB国内工場渡しとの値段の間に相当の開きがあるのはやむを得ないと思います。しかし、それは逐次縮小されていくべきものだと思います。十九万八千円のときは、これは大き過ぎるのではないかということを申し上げ、また大臣からも注意を受けたこともありますが、今後いろいろな形において量産化しながらコストをダウンしてまいると思いますが、その線に沿っていけば、私はだんだん事実として価格差が縮まってくる性格のものだと思っております。ただ、いま輸出においてもむしろ過当競争で、そちらがありますとまた向こうが下がってくるだろう、目標のほうがさらに下がる可能性が出てきますので、そちらのほうの突っかい棒をしっかりしながら、国内値段は量産に応じて下げていくという方向にいくのではないかと思います。したがって、数値的にこれをどうということは私どもその態度を明らかにし得ないのは残念でありますが、そういう事情でありますから、御了承を願います。
  26. 中谷鉄也

    中谷委員 御答弁をお伺いしておりますと、国内価格そのものが下がってくるということは事実として当然あり得るだろう、しかし輸出価格が下がってくるというふうなことについては非常におそれている、こういうことなんですね。それは当然だと思うのです。そういう状態の中で――ではもう一度、この点少ししつこいと思うのですが、私お尋ねしたいと思いますが、要するに、いろいろなファクターがあり、両者のいろいろな動く関係があると思いますけれども、少なくとも他の製品との比較におきまして、国内価格輸出価格カラーテレビの場合、何万何千円の差が適当かどうかという聞き方をいたしませんが、どの程度国内価格輸出価格とのいわゆる価格の比率差というものが考えられ、一つのこれだったら妥当だろうと思われるようなものは私あり得ると思うのです。いろいろなファクターが多すぎると思いますけれども、あり得ると思うのです。そういう点から見て、はたして現在の価格差というものが適当なのかどうか、もう一度お答えいただきたいと思います。
  27. 高島節男

    高島政府委員 いまの御質問のポイントに対して端的に申し上げるだけのあれはございませんが、私ほかの品物を見ておりまして、非常に直感的に、問題を提起しましたときは、これは対外関係で言いたくはないけれども、ちと下げたらどうじゃいという感じを端的に去年の夏持ちまして、大臣にさような意見を申し上げた。したがって、その後三万円見当品質問題等もございますが、下がってきておる。この辺の段階でどうかということになってまいりますが、ここまでくると、ほかの品物の場合よりは、まだ比較的カラーテレビは開いておるというのが実態じゃないかと私は思いますけれども、これはカラーテレビ等の特殊の事情もいろいろございます。これは対外関係であまり申し上げたくない点もございますが、要するに、新しい製品として、向こうの技術力の備わった本家に売り込んでいっておるという感じもございますから、そこでの競争ということを考えてまいりました場合に、申し上げにくいデリケートなところはあり得ると思います。しかしそこは、相当に日本側のほうも値段が下がらぬようにいろいろと地固めをして、そして国内値段を量産においてむしろ下げていって、両者の差をなくす、こういう行き方でいって、いろいろと苦心惨たんいたしておるわけでございます。役所自身がどうということもできませんので、その点はやはり全体の流れに沿って下がっていくという方向に誘導するという以外に申し上げようがないと思います。
  28. 中谷鉄也

    中谷委員 一応この程度にいたしまして、公取委員長にお教えをいただきたいと思います。  まず最初に、カラーテレビに関する審判開始決定が、四十一年の十二月二十七日でございましたか、なされたわけですが、いままで御審理は何回あったわけでしょうか、そして後結審のお見通しはいつになるのか、この点をひとつお教えをいただきたいと思います。
  29. 北島武雄

    ○北島政府委員 昨年の十二月の二十七日に審判開始決定をいたしまして、本年に入りまして、一月三十一日に第一回の審判をいたしました。それからただいままでに六回の審判を経ております。今後の予定といたしましては、五月中にさらに一回、六月に二回の審判、七月中に三回の審判を予定しておりまして、そこで七月一ぱいまでの日程がきまっておりますが、都合十二回ただいまのところ予定されております。それからあとはどうなりますか、この審判の経過によって変わってくるわけであります。
  30. 中谷鉄也

    中谷委員 独占禁止法につきましては、非常にうかつであったわけですけれども、こちらに登院してまいりましてから初めて見たようなわけなんですけれども、いわゆるこのカラーテレビの御審判の対象になっている事案というのは、独禁法第二条第六項でございますか、「共同して」「相互にその事業活動を拘束し、又は遂行する」という点のおおむね法律解釈の御審判のように、私いただけた記録を拝見した範囲内では、そういうふうに理解をするわけなんです。御審判のことでございますから、理解が違っているかもしれません。特に被審人の各電気製品メーカーのほうでは、法の認定の直接の対象になる事実関係について争いのあることは当然であろうと思いますが、いわゆる事実関係についてそれほど強硬に証拠そのものについて争っているという事案ではないようにも思うのですが、御審判として、回数にしろ、したがいまして御結審に至るまでの期間が、精力的に期日をとっていただいて御審判していただいているわけですけれども、かなりかかっているような気がいたします。要するにこの御審判の審決の結果につきまして、カラーテレビの問題についてのいろいろな影響国民の側からいいますと好ましい影響、ことに事案の関係からいたしまして、委員長にどういう結論になるかというようなことはこの席でお尋ねする筋合いのものではございませんけれども、しろうとが考えましても、おおむね結論は理解できる。要するに被審人については被審人の主張が排斥されるような結論が出る成り行きになっているということは、一応両者の主張をしろうとながらに検討すれば、おおむね理解できる事案だと私は思うのです。それが御結審についてなおかなりかかるというようなことについて、問題点は一体どこにあるのかということと、いま一つは、いわゆる審査部の一般的な機構、それから人員等についての人手不足というような問題点がこの場合指摘されるべきではないかと思いますので、この点についてお答えをいただきたい、こういうことでございます。
  31. 北島武雄

    ○北島政府委員 すでに審判に入っておりますので、私からいまいろいろ申し上げることは、審判の結果を予断させることになりますので、適当でないと考えております。審判手続は、調べました審査官とそれから被審人――調べられる人、その上に審判官という中立的なものがおりまして、それが裁判手続類似の方式でもってただいまいたしております。結審いたしますと、審判官が審決案というのを作成いたしまして、これを委員会に提出するとともに、被審人のほうにも出す。被審人は審判を受けるほうですね。その被審人がこれに対して異議の申し立てをいたしますと、委員会といたしまして、審決案と、被審人の異議の申し立てがかりにありました場合に、両方さらに見比べまして、審判記録なども十分検討しました上で、最後的に合議体でありますところの公正取引委員会で決定をする、こういうことになっております。ただいま私から申し上げることははなはだ適当ではございませんけれども、ただ、ただいままでのところでは、今度の問題はカラーテレビだけではなく、白黒テレビにも関係いたしている問題ですが、審査官のほうでは、いつ幾日に会合しましてこういう申し合わせをしたのではないかということを言っているわけでございますけれども、会合の事実は認めているようでございますが、これに対しまして、はたしてそれが不当な取引制限になるのか、相互拘束になるのか、あるいは公共の利益に反するというようなことになるのかという点につきまして、被審人が争っているようでございます。  なお、ただいままで時間がかかっておりますのは、このために被審人が相当膨大な参考人の審訊を要求しておりまして、これを審判官がある程度取り上げて参考に審理しておる、こういうかっこうになるのであります。一応言うべきことは言わせ、尽くすべき作業は全部尽くさせて、その上でやはり審判官として最後的な審決案をつくる。それをさらに委員会でこれを慎重に検討する、こういうたてまえであります。ただいまのところ、内容につきましては、とやかくいろいろ申し上げるわけにはいかないわけでございます。
  32. 中谷鉄也

    中谷委員 内容についてお聞きしたというふうな印象をもし委員長にお与えしたとすれば、これは私そういう趣旨では全然なかったわけです。そういう点については、準司法的な機関である公取委にそういうことについてお尋ねする意思は全然なかったわけです。ただ、私がその後段で申し上げました、いわゆる審査部の権限、審査部の人員等について若干不足しているのではないかという点について申し上げたわけなんです。この点についてまずお答えをいただきたいと思います。
  33. 北島武雄

    ○北島政府委員 ちょっとただいまお答えの中で漏らしたわけでございますが、現在の審査官の数でございますが、昭和四十一年度、昨年度は本局で六十四名、地方を合わせて八十一名。これが四十二年度で予算が通過いたし、また現在御審議願おうとしております私的独占禁止法の改正案が、御審議の結果通過いたしますと、約九十名程度の審査官になるわけでございます。しかし何と申しましても、全国でこういう独占禁止法違反事件を取り上げる審査事務に従事する者が増員になりましても、本年度九十名程度ということは、これはやはり手薄だろうという批判は免がれないわけでございます。私ども手薄だという点につきましては、事件もできるだけ簡潔に早く片づけるものは片づける。それから取捨選択も十分にやって、そうしてできるだけ現在の独占禁止法違反事件について最も有効な審査をいたしたい、こう考えております。なお今後人員の充実とか、たとえば職員の資質の向上等についても十分心がけるつもりでございます。
  34. 中谷鉄也

    中谷委員 お尋ねしたい点は、その審査部の人員が若干ではなしにかなり足らないのではないかという疑問――審査部のみならず、そういう疑問を私は持ったわけなんです。と申しますのは、カラスの鳴かない日があっても牛乳の問題について報道されない日がないくらい現在牛乳の問題について報道されております。また現実に、これはもう国民生活については、ただ報道があるからというだけではなしに、一番密接なといいますか、直接的な影響を持っている問題だと思うのです。それと公取委との関係について非常に――大臣おいでになりませんので、この程度質問を終わりたいと思いますけれども、公取委のほうで乳価値上げに関して急ぎ調査をされた、さらに手入れをされたというふうなことでございます。四月十三日の新聞の報道によりますと、牛乳値上げはやみ価格協定なんだ、独禁法違反の疑いがあるということで立ち入り調査をされた、たとえば乳業の大きな会社に対して係官が立ち入り調査をしておられる。その見出しには、もう審査部をとにかく総動員しての立ち入り捜査なんだということなんです。そうすると、牛乳の問題だけでこれは総動員だということになれば、一体牛乳以外の問題についてどうなるのだということも私は疑問に思います。ところが、そういうふうな状態の中で、一つの注目すべき消費者の動き、消団連が方針をきめた。そして業界は公取委員会の結論を待て、それまでは牛乳の値上げ分を払わないのだ、こういうふうな方針といいますか、一つの抵抗を示しているわけです。私、消費者の立場としては、こういう立場は当然だと思うのです。しかし、そうすると公取としては、公取の結論待ちだということで、げたを預けられたというかっこうになってまいりますと、公取の結論をいずれにしても、消費者も、それから被審人になるかもしれない、いわゆる業者の人も、これは急ぐのがあたりまえだろうと思うのです。ところが先ほどのカラーテレビの問題について、これは私事案の内容についてお尋ねするつもりはありませんけれども、少なくとも現在までの記録を拝見した限りにおいては、要する二条六項の法律解釈が主たる争点の事案のように私は思える。それほど影響は大きいのでしょうけれども、御審理について非常にむずかしいのかなあという感じを私持つわけなんです。そうすると牛乳の問題について、かりに同じような問題が出てきましても、これは結論が出るのはいつのことになるかわからぬというようなことになってまいりますと、消費者、業者、小売り商、いろいろな混乱が出てくるだろうと思うのです。そうなってまいりますと、審査部の拡充、それから法律的には非常にお詳しいようですけれども、エコノミストとしての能力の養成だとか、いろいろな問題が出てくるだろうと思いますが、そういうような点について、ひとつ牛乳問題と関連してお答えをいただきたいということと、いま一つは、これは委員長にこういう御答弁をお願いしたいと思いますが、要するに消団連が、業界は公取委の結論を待て、それまでは牛乳値上げ代分は払いはしないといっておられる、その点については、これはけっこうでしょう、また結論の出てくるのを待つまで払わぬでいいでしょうという委員長の御答弁をいただけないことは当然であります。ただ消団連といいますか、消費者、国民の、払わないんだ、また払うだけの気持ちにならないんだという気持ちについては、公取委員長として、ひとつ公取としては、そういう気持ちについてはこう考えるということの所信の御表明があってしかるべきではないか、こう私は思うわけなんです。まさか払わないというものを公取で払ってくれというような所信の表明はあるはずはないと思います。いずれにいたしましても、そういう所信の御表明があるべきではなかろうか、こういうように思いますので、この点お尋ねいたします。
  35. 北島武雄

    ○北島政府委員 牛乳問題につきましては、現在二つの県の価格協定の問題と、それから全国的な規模における価格協定の問題、この三つの事件があがってきております。これにからまりまして、安売り者に対するところの妨害行為に対する提訴の問題等がありまして、当初四月の十三日に一斉にしましたときには、二、三日続けまして、全国で二十八カ所、七十人くらい動員しました。ほとんど審査部全員動員したわけであります。もちろんこの動員がそう長く続くわけではありませんが、最初の数日問とにかく全部動員しませんとできません。その後だんだん専門のほうに収縮していったわけであります。牛乳事件に手がかかってほかに取り組めないということではございません。しかし牛乳問題は大きな問題でございますので、たとえば東に申告あればかけつけ、西に訴えあればかけつけるというふうに審査官を督励いたしております。とにかくこの問題は、その話があったらすぐ出かける、こうやっておりますので、目下追われておるわけであります。  これに関連いたしまして、消団連あたりで公取の結論が出るまで払わないということをやられていることは、これは消費者としていろいろ対抗措置を立てることは当然でございましょう。しかし、公正取引委員会自体としましては、これに全然関与しないわけであります。民事上のお互いの取引契約の問題でございますから、これは公取が関与する問題ではない、こう考えております。ただ消費者として納得しない気持ちはよくわかります。したがって、公取は早く片づけてくれ、それまでは払わないぞ、こういう気持ちはわかるわけでありまして、せっかく私どもいま努力しておるわけであります。
  36. 中谷鉄也

    中谷委員 先ほど委員長のほうから少しお話がありまして、私かえって恐縮したのですけれども、問題になる値上げ分は払わないということについて納得しないのはわかるというその御答弁の前に、十三円牛乳は廃止なのだ、要するに業者が圧力をかけたというので問題なんですね。先ほどちょっと委員長がおっしゃった、そういう末端と申しますか、消費者と直接つながるところで非常な混乱が起こってきている。この問題についても、こういう十三円牛乳が生まれたのだけれども、業者の圧力によってそういうことになってくるというのではお話にならないと思うのです。この点については、公取はすでに調査にお乗り出しになっておられますけれども、早急にお乗り出しになると同時に、こういうふうな混乱のないようにひとつ十分に努力をする一すでにもう御努力をいただいておるのですが、委員長のおことばによれば、まさに東奔西走の御努力をいただいておるということでございますけれども、この点についてさらにお答えをいただきたいと思います。
  37. 北島武雄

    ○北島政府委員 いわゆる十三円牛乳に対する妨害行為というようなことで提訴がございまして、この点いま調べております。これはまだ審査の段階でありますが、どうもその十三円牛乳を扱っている方に対しておろしている先と話が食い違っているところがだいぶあるようで、この点はなお十分検討を要すると思います。なお申告なさった方も、当初いらっしゃっただけで、あと何回も審査部でもって御来局をお願いしてもいらっしゃらないということもございます。しかしそういう問題がございますれば、私どもとにかく何でも取り上げて、どんどん調べるように――昨日か一昨日の新聞に出ておりましたが、小平の団地の牛乳の問題、これなんかも提訴がありましたので、たしか六人の審査官がかけつけて、ただいま調査いたしております。
  38. 中谷鉄也

    中谷委員 最後に、委員長に一言お尋ねしておきたいのですが、ポッカレモンの問題につきまして、参議院の予算委員会で、法務大臣がポッカレモンの現物をごらんになって、これは刑法上の詐欺なのだ、こういう御答弁があったわけです。刑法上の詐欺になるかどうかは別といたしまして、結局そういう不正な行為については許せないのだ、捜査権とか公訴権を発動するかどうかは別として、これはもう感覚的に見て詐欺じゃないか、これはいわゆる独禁法の補完法違反としての騒ぎどころじゃない、こんな気持ちが国民には共感を持って迎えられているということ、私はそういうふうに申し上げても間違いはないと思うのです。いわゆる詐欺罪ということで軽々に捜査権を発動するということがいいかどうか、いや断固として発動すべきだという、またいろいろな見解があるでしょうけれども、感覚的に見てひどい詐欺だという法務大臣のそういう考え方は、決して権力をもって業者を押えつけたというふうな感じじゃなしに、むしろ国民の気持ちを率直に表明したとして受け取られていると思うのです。そういたしますと、公取のほうの関係においても、独禁法のいろいろな補完法や付属法規等の罰則につきましても、あるいはさらに強化すべきものがあるというふうなこと、要するに単に審査部の方が東に走り西に飛びというだけではなしに、消費者保護の立場から、そういう罰則の強化ということもある意味では考えられてしかるべきではないか、こういうふうなことも私は感ずるのですが、この点についてはいかがでございましょうか。
  39. 北島武雄

    ○北島政府委員 レモンの問題につきましては、これは刑法上の詐欺に当たるかどうか、私どもはしろうとで存じません。もしそれが詐欺罪になるならば、司直の手でさばいていただくよりしかたがないのでありますが、それはそれといたしまして、不当景品類及び不当表示防止法違反でございますならば、私どもはその点を取り上げて、排除措置を命ずる、こういうふうなたてまえになっております。そして、もしこの排除措置に従わない場合は、これは確定審決に従わないという罪で二年以下の懲役または三十万円以下の罰金ということになっております。ただいままでのところでは、不当景品類及び不当表示防止法に基づきまして排除命令を出したものに対しまして、これに従わない例はございません。したがって、いままで罰則にかけたことはございません。しかし今後、たとえば悪質の不動産屋が繰り返すような違反行為がありますれば、これは直ちに確定審決違反の罪で持っていく必要があろうかと考えておりまして、その点ひどいものはやはり罰則にかけていくほうがいいのだというようなたてまえで持っていきたいと思います。とりあえずは罰則の強化というよりも、はなはだしい独禁法の違反事件に対しては、やはりだんだん罰則の適用をしていかなければならぬのじゃないか、そういう感じを持っているわけであります。
  40. 中谷鉄也

    中谷委員 公取委員長に対する私のほうのお尋ねはこれで終わりまして、あと大臣のほうにお尋ねいたしたいと思います。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 関連して。いまの話を聞いていて、ちょっと気がついたのだが、独禁法の六十七条でいわゆる停止処分の申請がありますね、緊急停止命令の。これは三条の違反のときはあるが、二条は載っていない。しかし私的独占の違反あるいは公正取引ということならかかると思うのです。先ほど中谷委員も言っているように、そういう事実が発生している、しかしあなたのほうの手続等もあって、結論が出るのが相当長期にわたる、そういうときには、現在の法のもとでは、これによるいわゆる停止処分、カルテルなどによる値上げなどの停止処分、あるいはもっと一歩進めるならば、独禁法を改正して、独禁法自体によって公取の権限としてのインジャンクションの規定を置くというようなことについてはどうですか。そういう事実をやっている、しかし調べるのには相当の期間がかかる、人が足らぬといっておっても、これは予算とかなんとかいうことになるわけじゃないので、審決が長くかかるなら、一応その事態を停止させるインジャンクションの規定を置く、こういうことをぼくはいつか議論したことがあるのです。現在は六十七条の裁判所の緊急停止命令ですが、これをもう一歩進めて、公取委員会自体が停止命令をかけられるようなインジャンクションの規定を置く必要があるのじゃないかと思うが、どうですか。
  42. 北島武雄

    ○北島政府委員 六十七条の裁判所の緊急停止命令またはその変更、この問題につきましては、いままで公取としても適用した事件が何回かございます。それを放置しておけないような緊急事態があるといった場合には、裁判所に申請いたしまして、認められた事件がございます。今後そういう必要があれば、私どもこれを使うわけでありますが、ただ公取自体でもってそういうものを置く規定の問題につきましては、ただいま私ども十分検討いたしたいと思いますが、まずは裁判所の緊急停止命令、こういうのが公正なる立場じゃないだろうか、こんな考えを、私自身いま伺っておりまして感じております。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 現在の法制のもとでは、六十七条の裁判所の緊急停止命令だという。しかし先ほど来中谷委員質問の中であらわれてきているのは、そういう事態が起こってきておるし、一方においてはその審決を待って金を払いましょうということもありますので、人の関係等々で手間がかかるのだ、そういうときには、そういうカルテルをぴしっと停止させるのだというような方法、これを考えるべきだと思うのです。現在では六十七条によるわけなんだが、それ以前に立法論として、ぼくは公取委員会自体が停止命令をするようにしてもいいと思います。あなたがやらなければ、ぼくらのほうでインジャンクションの規定をつくってもよろしい。意見だけ申し上げておきます。      ――――◇―――――
  44. 島村一郎

    島村委員長 この際、去る十七日付託になりました内閣提出中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案及び昨十八日付託になりました同じく石油開発公団法案を議題とし、通商産業大臣から趣旨の説明を聴取することといたします。菅野通商産業大臣
  45. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 ただいま御提案になりました中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  わが国の中小企業を取り巻く諸情勢に対処するため、数年来中小企業の協業化の動きが多くの業種において活発に行なわれております。この動きは、個々の中小企業者の努力によっては達成が困難な生産性の向上を複数の事業者によって追求するものでありまして、中小企業の構造改善をはかるためには有効かつ適切なる方策であります。  従来から協業化の促進のため、政府としては金融、税制、指導等の施策を進めてまいりましたが、協業化のための組織のあり方については、過去三年間中小企業政策審議会において検討を重ねてまいりました結果、協業化を推進するための組織制度として、従前の組織のほか、協業組合制度を創設する必要があるという意見具申がなされたのであります。  すなわち、現行組織制度の中で、中小企業者が協業をはかるために利用し得る場としては、事業協同組合、企業組合及び会社がありますが、従来の組合制度にあっては加入脱退の自由、議決権の平等、配当方法の制限等があって事業経営上企業性の発揮が十分にできない面があるほか、事業協同組合には員外利用の制限やいわゆる全部協業が行ない得ないこと、企業組合には従事に関する制限や法人が加入できないことなどの問題があり、また、会社制度にあっては、資本原理で割り切られ過ぎていることなどにより中小企業者感情にはそぐわないうらみがございます。  そこでこの際、中小企業者を中心とする事業活動の協業化という面に着目して協業化をはかるために、最も合理的な、そして中小企業者が最も利用しやすい機能と性格を持った組合制度、すなわち協業組合制度を創設するため、ここに中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正する法律案を提案する次第であります。  次に、協業組合制度の概要について御説明申し上げます。  まず第一に、協業組合は、組合員となる中小企業者等が加入前に営んでいた事業を統合して行なう事業、すなわち協業の対象事業及びその関連事業並びにこれらに付帯する事業を行なうことができます。  第二に、協業組合は、中小企業者のための組織でありますから、その組合員となる者は原則として中小企業者に限られますが、定款で特段の定めを置いた場合にのみ中小企業者以外の事業者の参加を一定の制約のもとに認めております。  第三に、組合員一人の出資限度を百分の五十未満として資本の充実をはかるとともに、一部の組合員の専横を防止することとしております。  第四に、加入及び脱退についてある程度制限を付し得ることとして、組合事業の一体性と資本の維持とをはかります。  第五に、議決権は各組合員平等を原則としますが、定款により全体の議決権数の二分の一以下の範囲で出資割りの議決権を与えることとし、意思決定が機動的に行なわれるよう配慮しております。  第六に、組合員は、協業組合の行なう事業について競業禁止義務を負い、それにより、事業の統合を保障することとしております。  第七に、剰余金の配当は、定款により別段の定めがないときは出資に応じて行なうこととします。  以上が協業組合制度の概要でありますが、この協業組合の創設は、中小企業の構造改善に大きく貢献し得るものと考えておりますので、何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、石油開発公団法案について、その提案理由と法案の概要について御説明申し上げます。  エネルギー革命の進展と経済の著しい発展に伴い、石油の重要性が近年とみに高まりつつあることにつきましては、御高承のとおりでございます。すなわち、石油は、現在すでに全エネルギー供給の大宗を占めるに至っておりますが、先の総合エネルギー調査会での検討によれば、昭和六十年度には、その比重は七五%程度まで高まることが推定されております。したがいまして、今後この重要な石油の供給をいかに確保していくかは、わが国エネルギー政策の最も重要な課題の一つであると申しても過言ではないと存ずる次第であります。  ひるがえって、わが国の石油供給の現状を見ますと、資源的な制約などもあって自主的な供給源がきわめて乏しく、その必要量のほとんどを外国に依存している状況にあります。このため、供給源が中近東に相当に偏在する等種々の問題を内包しており、低廉かつ安定的な石油供給の確保の見地から、あるいは自主的なエネルギー政策遂行の上から、きわめて大きな問題があると申さざるを得ません。  かかる現状にかんがみますと、長期的な観点から事態の好転をはかるため、わが国自身の手による石油開発を強力に推進し、自主性のある石油供給源を確保することが喫緊の要務であります。加えて、特に海外石油開発の推進は、将来の膨大な石油輸入に伴う外貨の節約にも資し、かつ、発展途上国の経済協力にも寄与するところ大なるものがあると考えます。  政府といたしましては、このような見地から、これまで、国策会社石油資源開発株式会社に対し探鉱資金を供給する等、石油開発の推進につとめ、民間の努力と相まって、相当の成果をあげてまいっております。しかしながら、近年におけるわが国の石油需要の急激な増大と、最近における産油地域での諸外国活動の活発化を考えますと、この際、わが国として、計画的かつ一元的な石油開発体制を確立し、国の総力をあげて従来にも増して強力に石油開発を推進することがきわめて必要であると痛感されます。このためには、いわば石油開発の推進母体ともいうべき機関を設置し、総合的な視野のもとに、石油開発企業に対する投融資等の業務を行なわせることが最も適切な方策であろうと存じます。  かかる趣旨にかんがみ、この法律案は、石油の探鉱に必要な資金の供給その他石油資源の開発に必要な資金の融通を円滑にする等のために必要な業務を行なう石油開発公団を設立し、これに対し、国が出資を行なう等所要の措置を講ずるとともに、必要な監督を行なおうとするものであります。  次に、この法律案内容につきまして、その概要を御説明いたします。  第一に、石油開発公団は、前述いたしました観点に立ち、石油資源開発株式会社の機構、機能を大幅に改組して発足するものであり、計画的かつ総合的に海外石油探鉱事業に対する出資及び資金の貸し付け、海外石油開発事業にかかる資金についての債務保証、石油探鉱機械の貸与、石油、天然ガスに関する基礎的な調査等の業務を行なうことといたしております。  第二に、昭和四十二年度におきましては、これらの業務に対しまして産業投資特別会計から四十億円の出資を行なうことを予定いたしております。  第三に、役職員など公団の組織に関すること、予算、決算その他の財務及び会計に関すること、公団の業務についての通商産業大臣の監督等について規定しております。  第四に、石油資源開発株式会社の石油開発公団への移行に伴い、その移行の円滑化等につきまして必要な規定を設けております。  以上、この法律案の提出の理由及びその概要を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  46. 島村一郎

    島村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ――――◇―――――
  47. 島村一郎

    島村委員長 引き続き、通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑を続行いたします。中谷鉄也君。
  48. 中谷鉄也

    中谷委員 大臣お尋ねをいたします。あと千葉委員のほうから質疑がありますので、時間が十分程度しかございませんので、簡単に問題の提起だけをいたしておきたいとと思います。  いわゆるニューサンスの問題でございますが、この問題についてまさに五十も百も問題点があるわけですが、一つだけ公害基本法の問題に関しまして、企業の利益のために健康が押され押されて後退に後退を続けてきているということが、新聞等の報道のみならず、私自身もそういうふうに思うわけです。だから、国民の生活と企業の利益との公害基本法というものをめぐっての一つの攻防戦だとさえ私は思っているわけですけれども、ただ、本日大臣お尋ねいたしたいのは、大臣がすでに他の委員会において公害問題についての考え方を述べておられるわけですけれども、要するに、公害問題については企業、国、地方公共団体、住民一体となって対処しなければならないということを述べておられる。しかし、そのことと、基本的な一義的な公害の発生源であり、したがって私法的な責任を負うべきもの、あるいはさらに社会的な責任を負うべきものは企業なんだということについての、一体となって公害防止に協力するということと責任の所在とはおのずから別個のことだろうと思う。これは通産大臣のほうから、何と言ってもやはり公害の責任というのは企業にあるんだということは――いろいろな責任の分散ということはあるが、一義的な第一の責任というものは企業にあると私は考えるけれども、この点についての御答弁をいただきたい。
  49. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 私はたびたび申し上げておりますとおり、産業が公害の加害者側であるかもしれません。その点において責任の問題もやはり企業、国、地方公共団体、住民というように、第一に企業という字を書いておるのでございます。
  50. 中谷鉄也

    中谷委員 まさにこの問題については、時間をたっぷりいただいてひとつお尋ねをいたしたいと思うのです。  一つだけこういう問題を提起しておきたいと思うのです。というよりも、これは大臣のみならず、政府の公害問題に対する考え方、基本法の説明のしかたをめぐっての考え方は、健康の保護については経済の健全な発展というものと調和させるべきものではない、健康の保護というのは別のところに置いておくのだ、生活環境の保全ということと経済の健全な発展とは調和なんだ、こういうふうなことを説明しておられる。私はこれは詭弁だと思う。そこで大臣に詭弁だということを論証するためには、五、六時間いただかなければ詭弁だということで大臣を説得するわけにいかぬわけだけれども、これは字句の解釈ではない。  そこで、私はこの問題の端緒を提起して大臣にひとつ御答弁をいただきたいと思いますが、産業構造審議会の公害部会の中間答申、この中間答申、大臣御存じでしょうね。文言も全部――私読んでみます。中間答申の中に「国民の健康の確保と産業の健全な発展との両立をはかりつつ」ということばがある。御理解いただけましたですね。そして提案をされようとしている公害基本法案なるものの中には、国民の健康保護ということばが出てくる。そうでございますね。そしていま一つは、生活環境の保全ということばが出てくる。私は字句の片言隻句をとらえて言っておるのじゃないのですよ。健康の確保ということと健康の保護ということは同義語なんですか、それとも違うことばなんですか。まずことばは違いますね。健康の確保ということと健康の保護ということとは同義語なのかどうか、この点ひとつお答えをいただきたい。
  51. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 確保と保護とどう違うかという問題だと思いますが、その点は私自身もはっきり認識いたしておりませんが、大体同じことだと私は考えております。
  52. 中谷鉄也

    中谷委員 よろしいですか。そうすると、中間答申は間違いだというわけですね、まず。健康の確保と産業の健全な発展とは調和させるのだと言っておる。そうですね。提案されようという法というか考え方によると、健康の保護は産業の健全な発展とは調和すべきものではないのだ、優先すべきものだということを言っておる。私たちはこれは詭弁だと言っておる。中間答申はこの点においては間違いでございますか。
  53. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 中間答申は間違いだとは私は考えておりません。健康の確保と保護ということを使い分けをいたしておりますけれども、私はそれが間違いだという考えは決して持っておりません。
  54. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、ちょっとお尋ねします。要するに健康の確保ということばの中には、単なる健康の保護ではなしに、生活的なもの、生活環境的なものも含んでいるというふうに私は理解する。そうでなければ、中間答申が間違いでないとおっしゃるのだったら、中間答申の確保がイコール保護だったら、中間答申のその一番エキスになるところの文言と考え方と、法案で政府が説明している少なくとも政府の説明、私はこれは詭弁だと言っているけれども、これとが矛盾しているわけですから、いま一度お尋ねしますけれども、確保というのは単なる健康の保護を意味するのかどうか、この点いかがですか。
  55. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 確保ということは、広く解釈すれば、健康自体、それから生活の環境をよくするということ、それも含めておると私は思うのでございまして、しかし問題は、やはり健康という点においては、主体が健康を目的としておるという点においては、保護も確保も私は同じように解釈しておりますけれども、健康を保護すると同時に生活の環境をよくすることが、同時に健康の維持にもまた影響するという意味で保護ということばを使ったのではないか、こう思っております。
  56. 中谷鉄也

    中谷委員 いや、全くこれは大臣も突然の質問であって、私はことばじりをとらえ片言隻句をとらえて議論しようとは思わないのです。要するに、政府の苦心にかかると思われる健康が後退に後退をしている、企業の利益、企業のエゴイズムのために健康が追いまくられているといわれていることに対して、健康の保護は経済の発展に優先するのだ、しかし生活環境の保全は調和の対象になるのだというふうなことを言うておる。私はこれは詭弁だと言っておる。その詭弁だということを、じゃないと言うなら、まず大臣答弁は、健康の確保は健康の保護とは違うということを言わなければいかぬ。そうでなければ、健康の確保とそうして産業の健全な発展とはとにかく両立するのだという、とにかく両立させるのだという言い方と、法の政府が言おうとしている解釈とは明らかに違うわけですからそうでないとすれば中間答申は間違いだといわなければならない。いずれにしても大臣は間違いじゃないと言われる。この点について、まさに健康が企業の利益のために、しかも通産省がずいぶん奮闘努力されたらしいですけれども、健康が追いまくられているということについて、私はどうしても通産省の産業公害対策のあり方というものについて聞きたい。この点については、大臣自身整理できておらないようですから、この辺にしておきますが、ひとつ立地部長にお尋ねをしたい。大臣も聞いておいてください。  問題の点は一点だけですが、責任がまず企業にある、あたりまえのことなんです。にもかかわらず、通産省の「産業公害の現状と対策」というものを拝見すると、原因について広域的、複合的だ、大気汚染にしろ汚水にしろ広域的で複合的なんだ、要するに、企業だけが大気汚染させ、そしてまた企業だけが河川を汚染しているのではないのだということを非常に強調している。弁解がましい。そういうことは常識で、ある程度の複合的な要因はあると思う。しかし、そういうことを「産業公害の現状と対策」の冒頭に強調しているというふうなことが、私はおかしいと思う。企業の責任を第一にするという考え方とはかけ離れている。何か口では言うけれども、実態はそういうふうな責任の認識というものが欠けている点に私は問題があると思う。そこで、複合的だとおっしゃるのだけれども、じゃどの程度複合的なのかということについて、一体水質汚濁について、一般的にじゃなしに、例で隅田川を引いておられるのだから、汚濁の負荷量、工場の、いわゆる企業の汚濁負荷量というのは一体何%ですか。複合的だとおっしゃっているけれども、複合というようなことを麗々しく言うほどのことなのかどうか。この点をひとつお答えいただきたい。
  57. 馬場一也

    ○馬場説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生のほうから例に引かれました隅田川におきます家庭の下水と、それからその沿岸におきます工場等の汚水の負荷量の比率という例は、ただいま私手元に持っておりませんが、ほかのたとえば淀川の例について申し上げますと、淀川の京都市水域における負荷量のデータというのがございますが、これは昭和四十年度のBODでございますけれども、それの負荷量のデータは、家庭下水によるものが約三四・八トン・デー、工場事業場によるものが約七二・四トン・デーというような数字が手元にございます。おそらく隅田川におきましてもこの比率とあまり大差はないのではなかろうかというふうに存じます。
  58. 中谷鉄也

    中谷委員 国民生活白書ですね――時間がありませんのでもう経済企画庁の局長には御答弁を求めませんけれども、この中に隅田川のことちゃんと出ておりますよ。隅田川のことが出ておって、汚濁の負荷量からいいますと、複合的だなんて言えるような工場汚水の犯人共犯説というようなことには、私はならないと思う。ですから、私はこういうふうな「産業公害の現状と対策」の中で複合的だということを強調されるが、いわゆる通産省の立地部の産業公害課というようなところに何か意味があるのか。総合的な行政というなら、また別の省を立てて論ずべきである。私はそういう点をまず指摘しておきたいと思う。  それからいま一つ、最後に大臣にお答えをいただきたいと思うのですが、結局国民生活白書の基本的な考え方はこういうことなんです。生活に奉仕する経済ということば、まあ経済社会発展計画は四十年代への挑戦という非常にはでなことばをお使いになっておって、そのことばだけで感心してしまってはいけませんけれども、生活に奉仕する経済ということばが、私の白書を読んだ感じでは一貫していると思う。またそういうことであろうとしている。そうすると、生活に奉仕する経済ということになってまいりますと、生活と経済との関係、生活と産業との関係は、生活というものがあって、生活が主人公であって、産業がそれに対する奉仕者だというかっこうになっている。にもかかわらず、何か政府の産業公害対策においては、生活と経済とが調和さるべきもの、主人公であるべき生活が奉仕者であるべき経済と対等の立場に立っておる。だから経済企画庁の考え方が間違いないのか、それとも通産省の公害対策の考え方がまさに主人公の座にある生活を引きずりおろすことが産業発展のために正しいと考えたのか、というような点も基本問題として、公害防止基本法案が出てきたときには論議さるべき点だと思う。いずれにいたしましても、生活に奉仕する経済という考え方は大臣はどう思われるか。それと同時に、生活と経済とは両立するのだ、両立させよう、たまたま生活のほうでも譲るときは譲る、歩行者優先ではないのだ、歩行者もよく気をつけよ、そうでないとはね飛ばすぞというような考え方が正しいのか。この点はいかがでございますか。
  59. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 経済が生活に奉仕するものだということは、これは私はそうだと思うのです。われわれは生活ということが問題でありますからして、したがって、生活に必要な物資を獲得するということが経済行為である。そこで、生活に奉仕する経済というときには、問題は生活に必要な物資を獲得する、その物資をつくるのが経済でありますからして、物資をつくることをまたとめてはいかぬ。やはりそれを生産させることによって生活が維持されるのでありますからして、そこであなたの言うような、生活があったら経済は要らぬじゃないかということではなく、これは両々相まって、そして生活をよくするし、経済もよくするということでいくということがいいと思うのであって、したがいまして、白書がいうておることは決して間違いだという考えは持っておりません。
  60. 中谷鉄也

    中谷委員 この問題はゆっくりやりましょう。だから言っておきますけれども、生活と経済とが、生活に奉仕するというかっこうという前提が政府の公害基本法案や公害対策については欠けておる。要するに企業優先だ。企業というものがのさばってきているという点について問題がある。健康は後退に後退をしいられているのだということなんです。厚生省試案との関係などについて聞きたいことは山ほどあるけれども、きょうは、この程度にしておきますが、いずれにいたしましても、確保と保護というふうなことばは単なる字句の問題ではなしに、むしろこのあたりに健康保護ということについての政府の苦労をした解釈があるけれども、実際は健康が公害基本対策のもとにおいては後退視されているのだ。この点については論証をいたしますから、ひとつ通産省のほうにおいても、そうじゃないのだということが言えるのだったら、準備をしておいていただきたい。  以上です。
  61. 島村一郎

    島村委員長 千葉佳男君。
  62. 千葉佳男

    ○千葉(佳)委員 私は、特定繊維工業の構造改善臨時措置法についてお尋ねいたします。  この法案が出されました背景と申しますか、立法の趣旨と申しますか、この目的の中に繊維工業を取り巻く条件の著しい変化、それからきびしい条件、こういうふうな認識があるようでございますが、いまから約二年半ほど前ですか、三十九年の六月に、俗にいう繊維新法を出されましたが、あの当時と今日といかなる条件の変化といいますか、著しいきびしさというのですか、そういうものがあるかどうか、まず最初にお尋ね申し上げたいと思います。
  63. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 きびしい事情というのは、これは外部的な事情が一部含まれております。御承知だと思いますが、英国などにおきましては、繊維産業につきまして非常に思い切った構造改善をやっておるということ、いままでは日本の繊維産業は英国の繊維産業を追い越して発展してきたのでありますが、英国などでは日本に負けてはいかぬというようなことで、思い切った構造改善をしておる。それから最近において目立ってきたことは、あるいは韓国、台湾、東南アジアにおける低開発国が安い労賃で繊維産業に乗り出してきたということ、これが日本の繊維産業の競争相手になってきたということ、これがきびしい条件だと思っております。それから一方国内的に見ますれば、繊維産業というものは御承知のとおりに、戦後は非常ないんしん産業でありまして、そこで繊維産業というものが無計画に拡大をしてきたと思います。そこで、そのために、いわゆる過剰生産というものが起こってきたということが言えるし、過当競争というものが起こってきたということ、それに対して何とかそれを整備しなければならないという事情、そういうことからして、この前の繊維新法をやりまして、自主的にやるということをしましたけれども、このわずか二、三年の間に、それだけの社会的情勢が変わってきたから、この際このまま繊維産業をほうっておくわけにいかぬじゃないか、この際思い切ってやろう。繊維産業がいよいよ赤字というときにやるといったらだめだから、とにかく繊維産業がこの一、二年海外へも一割七分も輸出しておりますし、日本国民総生産額からいうと、約一割を生産しておるから、まだまだ繊維産業としては相当な地歩を占めておりますから、この占めておるときに思い切った構造改善をやるべきではないかということで、今度の法律を出したような次第であります。
  64. 千葉佳男

    ○千葉(佳)委員 さきの繊維新法が出された後の設備の廃棄等についての具体的な実績と申しますか、当時の法がねらいとしていたものが大体どれほど実現されたか、その点については、どのようにお考えになっておられるか、それについてお尋ねしたい。
  65. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 御説明申し上げます。  繊維新法が三十九年の十月に施行されまして、その際に過剰設備として三百三十万錘の設備を格納しました。その後、繊維新法のルールで二台つぶせば一台稼働していいということで、ルールによりまして、結果的には現在約百八十万錘の設備がつぶれております。当時の三百三十万錘の格納から百八十万錘が現実に消えておるという結果に相なっております。
  66. 千葉佳男

    ○千葉(佳)委員 それではお尋ねしますが、ここ二、三年来、綿糸の市況というものはどのようになっておるか、お尋ねいたしたいと思います。
  67. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 概略申しますと、繊維新法を施行する前に大体二百円をこえておりました綿糸が、繊維新法施行後下がってまいりまして、四十一年の春が一番悪くて、大体四十番手の代表銘柄で百五十円前後、悪い場合には百四十三円まで下がっておりますが、そういうような市況をたどりまして、大体二カ年間そういう悪い市況を持っております。そのために、実は繊維新法のいま言ったような設備の状況だけでは、この不況状態が維持できませんので、四十年の十月から独禁法の不況カルテルを行ないまして、在庫調整を行ないまして、結果的にはその効果も出てまいりまして、市況が昨年の秋から回復に向かっております。実はいまは非常に苦しく、いわゆる三品相場で見ますと、異常なほどに高騰しております。現在それらにつきましても問題がございますので、この十五日から手を打ちまして、実は十八日から新しい取引については停止する程度の強い措置をとって、現在市況措置をやっております。大体の概略は以上でございます。
  68. 千葉佳男

    ○千葉(佳)委員 最近の市況は異常なほど高騰をしておる、こういう御説明でありますが、繊維新法が施行されて以来、構造改善も多少自主的に行なっておるかのごとくお聞きしておるわけですが、最近に至りまして、新聞報道によりますと、日産五百万トンの設備を廃棄する、こういうふうな要請がありながら、実際業界としては二百万トンとか三百万トン台でこれを押えよう、こういうふうな実態になっておるそうでありますが、これは業界自体の中に熱意といいますか、そういったものが薄れておるのじゃないか、またいまの株式市況と関連して市況が高騰をしたので、実際廃棄する分は少なくしたい、こういうやに聞いておりますが、それはどういうふうになっておりますか。
  69. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いまの綿糸の市況が異常に高いのは、これは一つの投機的な、スペキュレーション的な要素を含んでおりますから、いま申し上げましたとおり、取引停止をしようということでやっております。そこで、綿糸の値段が高くなる、したがって今度の法律案で目的とするいろいろの整備がにぶりはせぬかという御心配だと思いますが、その点は私どもも心配をいたして、一時的な高騰のために将来の大計を誤ってはいかぬということを業者にもよく言って聞かせまして、綿糸の値段が少々上がったくらいで――大体この法律案というものは、業者から熱意を持って何とかしてくれという依頼があって、われわれもこれに踏み切ったのでありますからして、したがって、それが値段が少々上がったからといって、今度政府がやるという施策に対して強調しないというようなことであるならば、君、結局また将来悔いるときが来るよ、だから、あくまで政府がやるという政策に協力してやってもらいたい、いまやろうとしておるこの政策は、業者自体がやるべき仕事なんで、政府はそれに対していろいろと援助、補助をするわけですからして、業者自体が熱意を失うといかんぞということで、実はこの法律を出す前に業者のおもな者を集めまして、そして再度彼らの熱意を私が確かめて、それではこの法律案を出しますということにいたしたような次第であります。これは業界がただ目先のことで迷って百年の大計を誤ってはいかぬ、われわれはあくまで日本の繊維産業の百年の大計のために、これは断固としてこの方針でいきたい、こう存じておる次第であります。
  70. 千葉佳男

    ○千葉(佳)委員 最近の高騰にもかかわらず、業者のほうは熱意を持って百年の大計を立てる、こういうふうな大臣のお話でございますが、繊維産業のうち今回の場合は特定繊維工業、こういうふうに言いまして、三つか四つかに特定いたしましたが、たとえば麻とか毛とか、それから染色関係、そういったものをおろして特定された理由というものはどの辺にあるのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  71. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 まず、この特定したもの、これは繊維産業でも基本的なものでありますので、まず基本的なものから手を染めていきたい。したがいまして、いまお話のありました、ことに染色とかあるいは二次的な繊維産業というようなものについては、やはりこれは引き続き着手すべき問題だ、こう考えておりますが、まず基本的なものから手を染めていきたい、こう考えている次第であります。
  72. 千葉佳男

    ○千葉(佳)委員 ここに国際競争力の強化というようなことがうたわれておりますが、繊維工業部門を考えてみますと、紡績、それから機織り、それは比較的競争力が実際ついておるのではないか。むしろ足りない面は縫製の面とかメリヤスとか染色、そういったことが国際競争力を増す上においては実際大切ではないか、そういうふうに一般には言われておるようでありますが、その点はあくまで基本的なものというふうに限られるわけでございますか。
  73. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 基本的なというのは、紡績とか織布ということを私は言うておるわけですが、そこでやはり製品は高級なものをつくるということを目標にしていかなければならぬ、こう考えております。というのは、先ほど申し上げましたとおり、低開発国のほうでは粗悪な製品をつくっておるのです。それでは日本はどうしても労賃の関係で負けますから、なるべく労働力を使わないで、機械による繊維産業に進んでいって、そうして高級なものをつくって、低開発国の製品が日本と競争できないものということをねらっていきたい、こう思っておるのであります。したがいまして、いまお話の染色とかいうようなことも、それはどうせあわせて研究しなければならない問題だ、こう存じております。
  74. 千葉佳男

    ○千葉(佳)委員 いまの国際競争力の関係でありますけれども、現在の紡績業における一人当たりの資本装備率というのですか、これは従業員一人を節約するための投資額について、廃棄する関係お尋ねしたいと思いますが、たとえば紡績は、私の調べたところによりますと、一人当たり七十八万円、鋳鋼業は七十一万円、電子が十三万円、それを一人を節約するに要する投資額、これは八十三万円、七十一万円、三十六万円、それぞれあるわけで、紡績業に関する限りは、現在でも非常に投資額が多いという実態でありますから、これに対してさらに行なうということは、国民経済的な観点から見て一体いかがなものか、その点のお考えはどうですか。
  75. 蒲谷友芳

    ○蒲谷説明員 お答えいたします。資本装備率の問題につきましては、われわれも勉強しておりますが、なかなかむずかしい問題でございます。私のほうの試算では、現在紡績業が、先生がおっしゃったように、八十五万円くらいでありますが、将来はこれを百三、四十万円くらいに持っていく必要があるのではないかというふうな試算をしております。ただ、いまのお話についてお答えいたしますが、現在たとえば、いま申しました四十番手の糸をつくりますのに、先進国では大体一こうり当たり二名くらいの人員でつくっているという実態でありますが、いま日本では大体五名ないし六名、近代化された大企業でもそういうような実態でございます。また織布につきましても、現在の先進諸国で受け入れております機械では、従業員一人当たりで八十台から百台の機械を持っているというような状態でございます。それに対して日本の設備は、現在の綿スフ・タイプでも平均が二十五台というようなセットなので、やはり今後労働需要の逼迫とそれに伴う工賃の上昇を考えました場合に、先進国タイプに持っていく必要があるというふうに考える次第でございます。
  76. 島村一郎

    島村委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  77. 島村一郎

    島村委員長 速記を始めて。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十三日火曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十一分散会