○菅野国務
大臣 ただいま御提案になりました
中小企業団体の組織に関する
法律の一部を改正する
法律案につきまして、その提案
理由及び要旨を御
説明申し上げます。
わが国の中小企業を取り巻く諸情勢に対処するため、数年来中小企業の協業化の動きが多くの業種において活発に行なわれております。この動きは、個々の中小企業者の努力によっては達成が困難な生産性の向上を複数の事業者によって追求するものでありまして、中小企業の構造改善をはかるためには有効かつ適切なる方策であります。
従来から協業化の促進のため、政府としては金融、税制、指導等の施策を進めてまいりましたが、協業化のための組織のあり方については、過去三年間中小企業政策審議会において検討を重ねてまいりました結果、協業化を推進するための組織制度として、従前の組織のほか、協業組合制度を創設する必要があるという意見具申がなされたのであります。
すなわち、現行組織制度の中で、中小企業者が協業をはかるために利用し得る場としては、事業協同組合、企業組合及び会社がありますが、従来の組合制度にあっては加入脱退の自由、議決権の平等、配当方法の
制限等があって事業経営上企業性の発揮が十分にできない面があるほか、事業協同組合には員外利用の
制限やいわゆる全部協業が行ない得ないこと、企業組合には従事に関する
制限や法人が加入できないことなどの問題があり、また、会社制度にあっては、資本原理で割り切られ過ぎていることなどにより中小企業者感情にはそぐわないうらみがございます。
そこでこの際、中小企業者を中心とする事業
活動の協業化という面に着目して協業化をはかるために、最も合理的な、そして中小企業者が最も利用しやすい機能と性格を持った組合制度、すなわち協業組合制度を創設するため、ここに
中小企業団体の組織に関する
法律の一部を改正する
法律案を提案する次第であります。
次に、協業組合制度の概要について御
説明申し上げます。
まず第一に、協業組合は、組合員となる中小企業者等が加入前に営んでいた事業を統合して行なう事業、すなわち協業の対象事業及びその関連事業並びにこれらに付帯する事業を行なうことができます。
第二に、協業組合は、中小企業者のための組織でありますから、その組合員となる者は原則として中小企業者に限られますが、定款で特段の定めを置いた場合にのみ中小企業者以外の事業者の参加を一定の制約のもとに認めております。
第三に、組合員一人の出資限度を百分の五十未満として資本の充実をはかるとともに、一部の組合員の専横を防止することとしております。
第四に、加入及び脱退についてある
程度の
制限を付し得ることとして、組合事業の一体性と資本の維持とをはかります。
第五に、議決権は各組合員平等を原則としますが、定款により全体の議決権数の二分の一以下の範囲で出資割りの議決権を与えることとし、意思決定が機動的に行なわれるよう配慮しております。
第六に、組合員は、協業組合の行なう事業について競業
禁止義務を負い、それにより、事業の統合を保障することとしております。
第七に、剰余金の配当は、定款により別段の定めがないときは出資に応じて行なうこととします。
以上が協業組合制度の概要でありますが、この協業組合の創設は、中小企業の構造改善に大きく貢献し得るものと考えておりますので、何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
次に、
石油開発公団法案について、その提案
理由と法案の概要について御
説明申し上げます。
エネルギー革命の進展と経済の著しい発展に伴い、石油の重要性が近年とみに高まりつつあることにつきましては、御高承のとおりでございます。すなわち、石油は、現在すでに全エネルギー供給の大宗を占めるに至っておりますが、先の総合エネルギー
調査会での検討によれば、
昭和六十年度には、その比重は七五%
程度まで高まることが推定されております。したがいまして、今後この重要な石油の供給をいかに確保していくかは、わが国エネルギー政策の最も重要な課題の
一つであると申しても過言ではないと存ずる次第であります。
ひるがえって、わが国の石油供給の現状を見ますと、資源的な制約などもあって自主的な供給源がきわめて乏しく、その必要量のほとんどを
外国に依存している状況にあります。このため、供給源が中近東に相当に偏在する等種々の問題を内包しており、低廉かつ安定的な石油供給の確保の見地から、あるいは自主的なエネルギー政策遂行の上から、きわめて大きな問題があると申さざるを得ません。
かかる現状にかんがみますと、長期的な観点から事態の好転をはかるため、わが国自身の手による石油開発を強力に推進し、自主性のある石油供給源を確保することが喫緊の要務であります。加えて、特に海外石油開発の推進は、将来の膨大な石油輸入に伴う外貨の節約にも資し、かつ、発展途上国の経済協力にも寄与するところ大なるものがあると考えます。
政府といたしましては、このような見地から、これまで、国策会社石油資源開発株式会社に対し探鉱資金を供給する等、石油開発の推進につとめ、民間の努力と相まって、相当の成果をあげてまいっております。しかしながら、近年におけるわが国の石油
需要の急激な増大と、最近における産油地域での諸
外国の
活動の活発化を考えますと、この際、わが国として、計画的かつ一元的な石油開発体制を確立し、国の総力をあげて従来にも増して強力に石油開発を推進することがきわめて必要であると痛感されます。このためには、いわば石油開発の推進母体ともいうべき機関を設置し、総合的な視野のもとに、石油開発企業に対する投融資等の業務を行なわせることが最も適切な方策であろうと存じます。
かかる趣旨にかんがみ、この
法律案は、石油の探鉱に必要な資金の供給その他石油資源の開発に必要な資金の融通を円滑にする等のために必要な業務を行なう石油開発公団を設立し、これに対し、国が出資を行なう等所要の措置を講ずるとともに、必要な監督を行なおうとするものであります。
次に、この
法律案の
内容につきまして、その概要を御
説明いたします。
第一に、石油開発公団は、前述いたしました観点に立ち、石油資源開発株式会社の機構、機能を大幅に改組して発足するものであり、計画的かつ総合的に海外石油探鉱事業に対する出資及び資金の貸し付け、海外石油開発事業にかかる資金についての債務保証、石油探鉱機械の貸与、石油、天然ガスに関する基礎的な
調査等の業務を行なうことといたしております。
第二に、
昭和四十二年度におきましては、これらの業務に対しまして産業投資特別会計から四十億円の出資を行なうことを予定いたしております。
第三に、役職員など公団の組織に関すること、予算、決算その他の財務及び会計に関すること、公団の業務についての
通商産業大臣の監督等について規定しております。
第四に、石油資源開発株式会社の石油開発公団への移行に伴い、その移行の円滑化等につきまして必要な規定を設けております。
以上、この
法律案の提出の
理由及びその概要を御
説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。