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1967-05-17 第55回国会 衆議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十七日(水曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 田中 武夫君    理事 中村 重光君 理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    岡崎 英城君       岡本  茂君    神田  博君       小山 省二君    齋藤 憲三君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       田中 六助君    丹羽 久章君       橋口  隆君    三原 朝雄君       石野 久男君    佐野  進君       千葉 佳男君    中谷 鉄也君       永井勝次郎君    平岡忠次郎君       古川 喜一君    塚本 三郎君       吉田 泰造君    近江巳記夫君       岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         通商産業省通商         局長事務代理  原田  明君         通商産業省貿易         振興局長    今村  曻君         通商産業省企業         局長      熊谷 典文君         通商産業省重工         業局長     高島 節男君         通商産業省繊維         雑貨局長    乙竹 虔三君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君         通商産業省公益         事業局長    安達 次郎君         中小企業庁長官 影山 衛司君  委員外出席者         外務省経済局外         務参事官    須磨未千秋君         通商産業省企業         局参事官    橋本 徳男君         通商産業省重工         業局次長    赤沢 璋一君     ――――――――――――― 五月十六日  特定繊維工業構造改善臨時措置法案内閣提出  第六五号)  中小企業振興事業団法案内閣提出第八一号) 同月十七日  中小企業団体の組織に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一一五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  特定繊維工業構造改善臨時措置法案内閣提出  第六五号)  中小企業振興事業団法案内閣提出第八一号)  通商産業基本施策に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石野久男君。
  3. 石野久男

    石野委員 私は、大臣所信表明に関連して、特に日中貿易の点でお尋ねしたいと思います。  先般、プラント類輸出に関連して大臣にお尋ねしました際に、特に中国をも含めて共産圏貿易の拡充ということは今後できるだけ努力したいという大臣の御答弁をいただいておるわけです。総理の所信表明も、それから外務大臣所信表明演説の際にも、中国貿易については従来の方針を変えないで拡大方向をとりたいということがいわれております。一昨日終わりました広州の交易会での実績は、昨年をはるかに上回るような取引が行なわれたようでございます。約一億ドルといわれておりますが、昨年に比べて約二千四百万ドルからの大きな商売をしている。こういうような実情の中で、四十一年度の通関実績もまた六億二千万ドルというような、非常にいい成績をおさめております。私は、こういう日本中国との貿易が漸次拡大方向をたどってきているということについては、高く評価しなくてはいけないと思う。ことに中国との間には、まだ国交は未回復であるし、吉田書簡があり、あるいはココム規定の制約があるというような、こういう中で、このような実績をあげているということ、これはむしろ政府努力じゃなくて、民間業者の非常に熱心な努力のたまものであるというふうに思っているわけです。通産大臣は、こういうような日中の貿易の現状に対して、どのようにお考えになっておられるか、まずそこからひとつ聞かしていただきたいと思います。
  4. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 日中貿易伸展ということにつきましては、実は私のことを申し上げて何ですが、戦後間もなく、私は大阪の日中貿易促進協会の会長をいたしておりまして、その後ずっと今日まで国際貿促にも関係いたしておりまして、日本中国というものは、貿易あるいは経済的な関係がだんだんと密にならなければならぬという信念を私自身持っております。したがいまして、日中貿易LT貿易のことにつきましても、高碕先生とも私じっこんにしておりましたから、いろいろ御相談を受けて、それでLT貿易の協定もでき上がったと思うのですが、そんなことで、日中貿易伸展ということについては、微力でありますが、今日までいろいろと尽くしてきたつもりでありまするし、また今後日中貿易といわず、共産圏自由諸国との貿易というものは発展せざるを得ない必至の運命にあると私は思っているし、それが発展することが、人類の幸福を増すというふうに考えておりますから、イデオロギーは別として、日中貿易は今後とも発展するように努力したい、こう考えております。
  5. 石野久男

    石野委員 大臣は、もう大臣就任前から、私たちと一緒に日中貿易について、熱意をもって御努力をなさっておったので、いまの所信表明といいますか、これは率直にそのように受け取りたいと思っております。  そこでお尋ねいたしますが、大臣承知のように、この六月一日から中国天津市で日本科学機器展覧会が開催されることになっております。通産省もこの展覧会に対しては非常に熱心な協力をされてきたと思います。業界は約九十社のメーカーがこれに参加して、六百余項目にわたるところのものが出る、点数にしまして、二千点以上のものがここに展覧されることになっている。それで業者はそのことのために、この一年有余真剣に努力してまいりました。大体四月末の船積みを目途として、出品されるべきものはほとんど全部倉庫入りをしました。そういう段階のときに、突如として四月十八日に、船積みについてのクレームがついたといいますか、通産省のほうから、十七品目についての積み出しはまかりならぬというような達しがあった。しかもこれは、別に文書ではなくして、口頭でそういう通知があったわけであります。業者は六月一日から展示しなくちゃならないという事情もありますので、その品目を何とかしなければ、船積みも何もできないというような事情がありましたために、暫時その十七品目を除く形での申請をいたした。そしてその他のものを船積みして出す、こういうような応急処置をとったわけであります。この処置というものは全くの口頭の指示でありまして、行政措置というべきものでございましょうが、そのいうところの理由ココム関係がある、こういうことのようでございます。  私どもこういう実情を見ておりますと、特に展覧会を成功させるという立場からいたしまして、この十七品目を出さないということには、これはたいへんな障害がくるし、実際に展覧会目的というものは、将来の貿易をふやすために、その国の技術を買ってもらおうということだろうと思う・のです。だから、他国の技術よりも低いようなものを展覧したって、これは意味がないのであって、やはり将来商売のできるようなものを出さなければいけないことはもう言うまでもない。通産省はそんなこと私が言わなくたってよくおわかりだろうと思う。ところが実際に二千点のものの中で、この十七点というものを除きますと、どちらかといえば、だるまさんに目が入らないと同じようなもので、選挙に負けたのと同じような結果になってしまう。選挙をやるものはやはり当選しなければだめなので、とにかく展覧会をやる以上はやはり売らなければいけない。売れないような展覧会をやったって何にもならないのだから、とにかくこういう通産省態度というものはどうも解せない。ぼくら見ておるというと、いま菅野大臣は、日中貿易人類の幸福のために広げなければならぬということを言っておられたけれども、この処置は、過去数回日本中国に対する展覧会が行なわれておりますが、かってないことであり、むしろこれはうしろ向き政策だといわなければいけない。通産省日中貿易についてこういう態度をとったということは、これはむしろやはりうしろ向き政策をとっていると見られまするが、口と実際とは違うのじゃないか、私はそう思う。なぜこういうことをやられるのか、これでもなお前向きであるというふうに大臣はお考えになっておるのかどうか、この際ひとつ大臣のお考えを聞かしておいていただきたい。
  6. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいまもお話がありましたが、天津日本科学機器展覧会には出品物品が二千点以上もあるのであります。この二千点以上は、いずれも中国よりも優秀なものだとわれわれは考えております。でありますからして、これだけ二千点も展示することによって、日本科学技術がいかにすぐれておるかということは、中国人によって非常に評価してもらえる、こう私は考えておるのであります。ただし、御存じのとおり、今日、輸出貿易管理令運用規約によりまして、ココムの約定された品物については、共産圏の地方には輸出ができないということになっておりますので、したがいまして、今回十三点という処置をとったのも、ココムに該当する品目であるということで、これはどうせ展示しましても輸出できない品物でありますからして、したがって展示をお断りしたということになったと思います。  なお詳細ないきさつにつきましては、政府委員から答弁させます。
  7. 石野久男

    石野委員 私は二つほど問題があると思うのです。  大臣は、今度の問題、二千点もある、この二千点はいずれも中国のそれよりもみな技術はすぐれている、こうおっしゃるけれども、それは必ずしも当たっていないだろうと思うのです。大臣日中貿易をよくやっておられておわかりだと思いますが、中国技術も非常に進んできております。ことに最近は核爆発とかいうものをやるようになってまいりまして、技術面においては相当進んでおるものがございますから、日本が進んでおると思いましても、思ったより向こうのほうが進んでいるものがありまして、中国工業技術は低いのだというような言い方をしているとするならば、それは間違いであろうと思います。こういう点はひとつ大臣も軽率なおことばはなさらないほうがいいんじゃないかと私は思います。したがって、やはり十七品目は非常に重要でございます。  それからもう一つは、展示してもどうせ輸出ができないのだから、こういうお話でございます。ココム禁制品というものは大体やはりそういう性格のものだということでココム委員会はできているのだろうと私は思いますから、したがって、やはり日本だけじゃなしに、各国においても持ち帰り展示というやつは許しておりまするし、ことに日本共産圏における過去の展示会は、ほとんどやはり持ち帰り条件として出品したものと思います。その間、昭和三十一年の上海見本市、あるいは三十八年のモスクワにおけるところのそれなども、みんなそういう意味においていろいろ問題がありましたけれどもココム委員会なんかの了解を得ながら出した、こういう経験を持っておるのでありまして、いずれの場合も、持ち帰りであればそれはよろしいということの確認を得た上でやってきておるわけでありますから、展示しても売れないのだからというようなものの考え方は間違いだ。展示会意味というものは、かりに売れなくても、技術はすぐれているのだ、だから、あそこへ頼んだらいいのだということを印象づけることにある、それが見本市意義だと思うのです。それがなかったら、見本市は何にもならない。それだったら商売人にまかしておけばいいと思うのです。そういう、売ることはできないのだから出さなくてもいいという考え方は改めてもらわなければいけない。大臣、いまの発言はひとつ、ちょっと変えてもらいたいと思うのです。
  8. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 第一番の件ですが、おそらく、出品される人は、自分の技術中国技術よりもいいという自信を持ってみな出品されておると思うのであります。さて出品してみて、中国のほうがすぐれたものがあるかもしれません。しかし、出される人がそれだけ自信がなければ、出す人はおそらくないと思います。中国よりも悪い品だったら、買うてくれないことはわかっておりますから、皆さんそういう自信を持って出されておる、こう私は考えておるのであります。  それから第二の問題でありますが、これは戦略性というところに問題があるのであって、戦略性のものは輸出ができないことに、日本輸出貿易管理令によってそういうきめになっておりますから、したがって、そういう品物戦略性があるかどうかというところに問題があるのではないか、こう考えておる次第であります。
  9. 石野久男

    石野委員 出す者はみな自信を持って出すのだし、事実いいものを出さなければいけないと思いますから、それはそれで――だから大臣考え方も、中国のものよりはみんないいんだという考え方だけは、それはやめるべきだ。問題は、日本人たちが売れるかどうかというよりも、相手方がやはりそれを評価するかどうかということが一番大事なんですね。だから、相手が評価しないものは、幾らいいものだってこれは展示する意味はなくなります。ところが、中国はこの問題についてどういうふうに評価しているかということについては、これは私たち考えなくちゃならぬ問題だと思います。国際貿促に対して五月十三日に中国国際貿易促進委員会から電報が入っております。これは御承知のように、展示すべき品目はあらかじめ向こうもわかっておりますから、十七品目が不許可になったということも向こうもわかっております。そういう意味で、向こうからこういうふうな、十三日付で中国国際貿易促進委員会の、中日友好協会日本国際貿易促進協会に対する祝電によりますと、次のように向こうからの電報が入っているんですよ。注意すべきことは、最近佐藤政府がいろいろな人為的障害をつくり出し、貴会が天津で間もなく行なわれようとしている科学機器展示会の妨害を行なっていることです、こういうように言っているのです。これは中日民間貿易中日両国人民友好事業を破壊する行為であり、われわれはこれに対して断固反対態度表明します、という電報国際貿促の会合に対してきております。これは、中国の側では、この問題について非常に関心を高めておることを示しておりまするし、同時にまた十七品目について意義というものが非常にあると思うことを示しておると思います。  そこで問題は、大臣は、ココム禁輸品戦略性のものについてあれこれだ、こういうことを言っております。いま、戦略性のものはココムというよりは日本輸出が云々と、こうおっしゃったわけですね。日本輸出がそうだというならば、たとえばカッパーですね、インドネシアに出しましたあのロケットなどは、もっと重大だと私は思うのですよ。だからそういうようなものは、通産省は問題なくずっと――もちろん共産圏じゃないという意味からなんでしょうけれども、しかし日本通商政策として輸出はそういうものを出さないのが本意だというならば、なぜあんなものを出したのです。それは矛盾しておると思う。私は、そういう言いのがれじゃなしに、むしろ、こういう対策をとりますると、日中貿易あと向きになってしまうだろうということを心配するんですよ。日中貿易あと向きにならないなら、どんなことやったって別に文句はありませんけれども、ただ、今日の段階日中貿易というものは非常にわが国輸出にとって重要な部分を占めておると思いまするし、今後、世界経済の動向、日本経済の姿を見ていきますると、日中貿易を広げるということが、いま一番大事な時期だとこう思う。その一番大事な時期にこうしたうしろ向きの態勢が出てきておるということを非常に残念に思うので、私はこれはうしろ向きにならないかということを大臣に聞いておるわけです。ことに、向こう中国国際貿易促進委員会からの日本国際貿促に対する電報なんかを見ると、そのことが明確に出ておると思うので、こういう態度はやはり改むべきじゃないか、こういうように考えるのです。
  10. 今村曻

    今村(曻)政府委員 ただいま大臣から申し上げましたことにつきまして、補足して経過説明をもう少し申させていただきますが、通産省考え方は、ただいま大臣から申し上げましたように、中国貿易に対しては前向きであるということは、従来と変わっておりません。特に、中共が、いま経済建設過程にございますので、機械類プラント類輸出については非常な重要性を持っておるということにつきましても、私どもこれを特に注目しておるわけでございますが、今回の展覧会がそういう科学機器展覧会でございます関係上、やはり先生お示しのとおり、なるべく技術的なレベルの高いものを見せることが、展覧会目的達成のために必要だということにつきましても、通産省としてはそれを認めておるわけでございます。で、できるだけこの展覧会の開催につきましては協力いたしてまいりたいということで、この展覧会主催者でございますところの日本貿易促進協会が準備をしております段階でいろいろ照会も受け、相談も受けたわけでございますが、何さま品目が非常に膨大でございまして、最終的に品目の全貌がわかりましたのは、初めの段階ではなかなかわからなかったというような事情もございまして、全部で二千二百四十点のものを一つ一つスクリーンするわけでございます。その途中の過程におきまして、戦略物資というものが、その中に含まれておる。具体的に申しますと、六十一品目がこの戦略物資に該当するということが最後段階になってわかった。先ほど申し上げましたように、私どもとしては、なるべく展覧会目的達成のために多くの技術的水準の高い品物出品するということはけっこうなことだ、こういう立場から審査と申しますか、検討をいたしたのでございますが、その六十一品目の中でも、いわゆる政府判断で、ココム物資であっても、数量とか品目等によりましてはこれを輸出承認できる範囲のものがございます。こういうものは輸出承認をする。それから、比較的戦略性の低いもの、しかも軍事的要素のないというようなことがはっきりしておりますものについても、これは最終的にはココムとの関係がございますけれども、とにかく出品は認める、これは持ち帰り条件つきでございます。そういうことで極力弾力的に検討いたしました結果、全部で二千二百四十点のうち、戦略物資が六十一点、そのうちで最後に残りましたものが十七点でございます。十七点も、その後さらに検討いたしまして、その中から四点をさらに落としまして、十三点が最終的に残ったわけでございます。この十三点につきましては、その戦略性の高さの関係から、これは現在、将来とも輸出承認対象にはなり得ないものだというふうに判断をいたしました。これはたいへん、残念ながら今回の出品は見合わせていただくということを主催者でございますところの国際貿易促進協会に回答をいたしたようなわけでございます。  なお、お話のとおり、この六月からの展覧会でございますので、船積みの時期に期限がございます。現実には四月二十日付で申請が出まして、二十二日付で輸出承認をいたしたわけでございます。  経過説明を補足して申し上げました。
  11. 石野久男

    石野委員 今村さんの御説明によりますと、結局十三点につきましては輸出承認対象にならない。私は先ほどから言うように、ココム該当品の中で、いわゆる持ち帰り条件出品するということは従来も許されていたことだ。ことに展示会というのは、やはり技術の高さということを示すことが大事なんだろうと思います。そうなりますと、持ち帰り条件であって、売れなくても、持ち帰り条件展示することによって、その国の技術が高いということを見てもらう、それが展示会意味だと私は思う。だから、展示したものが何もかも売れるということには限っていません。そういうことを政府が簡単にきめるということになりますと、わが国国際貿易上の視点に一つワクがあるということになるわけです。しかも、そのワク日本みずからが持つものじゃなくして、ココムとかいうようなものによって押えられるようでございますが、十三品目といっても、結局ココムリストの中の項目にすれば四つの項目なんですね。まあ、この項目は千三百五十五、千五百二十三、そのうち四品目を落としたのはどの項目か私はわかりませんけれども、千五百二十三、千五百八十四、こういう部類に属するもののようです。これらのものはどれほど戦略的に高い位置を持っているかどうか、日本みずからがそういうことを判定する基準はどこにあるのかわかりませんけれども、オシログラフのごときものは、ドイツあたりではハンガリー向けなんかにとっくの昔にみんな同じようなものを納めていますよ。日本がなぜこういうものを押えなければならぬのか、だれがそういうことを日本に要請するようなことをしているのか、ここらが問題だと思うのです。私は、日本政府みずからがこういうようなことをやったのであるとすれば、日本通産行政に疑いを持つ。何かやはり策略を持っているからそういうことになるんだと思う。そうでなくて、やはり外国から言われたとすれば、日本自主性は全くない。私は、もう少し日本国際貿易考えなければならぬ問題がこの見本市に対してとった処置の中にあると思うので、そこらの理由をもう少しはっきり大臣から聞かしてもらいたい。
  12. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 石野委員も御承知のとおり、ココムという制度があって、これはリストは一般に発表しておりません。そこで、このココムリストに載っている品物は、それを輸出する場合に特認を得なければならないし、また、日本輸出貿易管理令によっても、共産圏の国には、特にココム品輸出は、武器戦略性のあるものは許さないということになっております。したがいまして、そのココムリストというものは、大体戦略性があるというような意味を持っておると思うのでございます。そういう意味でこれは許さなかったと思うのでございますが、十三点が出なかったから日本輸出の高い水準が示されなかったとは限らないのでありまして、先ほど申し上げましたとおり、二千点以上も出ておって、みなそれぞれメーカー自信を持って出しておられるし、したがって、それによって日本科学水準がいかに高いかということを十二分に中国展示することができるのではないかと私は考えておりますから、十三点だけ出さなかったから、それで日本科学水準の高いのが評価されないとは私は見ていないのであります。でありますから、中国ココムということは知っておりますし、それから共産圏へは戦略物資輸出できないということも中国自身が知っておりますからして、ココムによってそれが出品できなかったことは、やむを得ないということは、おそらく中国も了解してもらえるのではないかと私は思っております。
  13. 石野久男

    石野委員 大臣は、中国には了解してもらえると言うけれども、先ほど申しましたように、断固反対態度表明いたしますと言ってきておるのであるから、ちっとも了解していない。ココム禁制品は戦略的なものにかかわるということはみなよく知っておるわけだ。それがいいか、悪いかは別ですよ。アメリカがそのことを要請して、十六ヵ国にそういう委員会をつくらせて、共産圏に対する武器輸出について押えておるわけでしょう。しかし、三十八年にモスクワ日本科学機器と同じ展覧会があった。そのときに問題がありまして、国際貿促も苦慮し、通産省も苦慮して、当時、フランスにおる日本の大使を通じて、ハリのココム委員会に対してこの件についての問い合わせをしております。そのときの電報でも、通産省に対する返電としてきたわけですが、当時、西欧諸国も、社会主義圏で行なう見本市ではココム該当品展示が通例になっており、日本ココム関係なく持ち帰り展示をして差しつかえないという意味の返電を受け取って、そのことは国際貿促に対しても、通産省から明確に示されたところです。それで当時モスクワ展示会が行なわれたことはすでにもう御承知のとおりであります。だから、共産圏展示する場合でも持ち帰りであればよろしいということになっておるわけです。私は、ココム禁制品について、なぜ日本政府がみずから進んでココム規制をきびしくきびしくしていかなければならぬ理由がどこにあるかということを聞きたいのです。いま通産大臣は、二千点もあるから、十七点ぐらい押えたからといって、それで展示会意味はなくならないというようなことを言うけれども、これは子供だましに言うことだ。やはり商売は、お互いに買い手と売り手がここと思うところで商売が行なわれるのであって、何万点並べたところで、買い手のほうで興味がなければ一つ商売できないが、一点並べても、それが大事だと思えば商売になる。商売というものはそういうものだと私は思う。だから、十七点というものが二千点の中の一番目玉であり、中心であり、心臓であるとするならば、心臓を抜いて何か機能が出てくるか。私は、そういう子供だましのようなことは、大臣は言うのをやめたほうがいいと思う。だから、少なくともここで聞きたいことは、なぜ日本政府ココム禁制品についてみずから進んでこのきびしい締め方をやめるかということです。進んでやらないなら、だれから要請されたのか、はっきりしてもらいたい。
  14. 今村曻

    今村(曻)政府委員 一言、ただいまの、三年ぐらい前にココム、ハリに対して照会をしたかどうかということがございましたので、その点私も実はよく調査をしたわけでございます。ただいまおっしゃったような意味合いの照会を出しまして、そしてただいまおっしゃったような意味の御返事がきたということは、どうもございませんようでございますが、ただ、その当時、各国がどういうふうな態度をとったか、それからココム考え方等につきまして調査をしたことはあるようでございます。その結論を簡単に申しますと、展覧会出品につきましては、何らこれを積極的にいいとか、あるいは今度は反対にこれはいかぬとかいうような規定はございませんで、各国ともそれぞれの判断に従って、ココムの精神に従って処理をしておる、そういうことでございます。もちろん西欧各国におきまして、ココム該当品目の展覧会出品ということが皆無だとは私思いませんけれども、やはり戦略性の高いものと低いものとはある程度の区別をして、戦略性の低いものについてはこれを認めていく、こういうようなことであるように私ども承知しております。したがいまして、今回通産省考えました考え方も、大体そういう線に準じてやってまいったつもりでございます。
  15. 石野久男

    石野委員 私は、昭和三十八年の段階で、モスクワ展覧会のときに問い合わせがどうであったか、こうであったかということについて、今村さんはそういうことはなかったようだというけれども、事実はそういうことがあって品物を出す結果になったんですから、いまそれがあるとかないとかいうようなことはここで論議しませんが、すでにそういうことを経て、実はやはりある大きなメーカーモスクワに出すときには、そういう返電を受け取って品物を出しているわけなんですよ。ここではそのメーカーは言いませんけれども、そういう事実はあるんです。ただ問題は、やはり日本戦略物資についてきびしい取り締まりをすることが、日本通商産業政策上よろしいかどうか、輸出増強の上でいいのかどうかという問題を私は論じているのです。政府はいろいろな意味で遠慮をしなければならぬ国があるようでございますから、アメリカに遠慮するなら遠慮してもいいのだけれども、たとえば中国でいままでに、十数年前に上海や北京で自動車が走っている。その自動車の中にはアメリカの自動車が走っているのだ。アメリカは自分じゃ売らないけれども、スイスなんかを通じて、ちゃんと北京に自動車を走らしておるでしょう。そのとき日本では自動車の輸出はできないのだ、こういうようなやり方をしておったら、商売できやしないと思うのです。日本は戦争はしないという方針をとっているのだし、日本で持っている技術を示すのに何が悪いのです。日本が戦争に好戦的な意思を示し、あるいは大きな武器をどんどんつくっているという中で品物が出ていくのなら、あるいは問題になるかもしれませんが、日本は平和国家として物をつくっている。そこでつくったものを売ろうとするのに何がいけないのです。私は、こういうときにはもう少し国の利益、それこそナショナル・インタレストというものをあなた方は主張しなければいけないのじゃなかろうかと思うのです。ココム禁制品というものはいろいろある。政府がそういうものに入ったために制約を受けているようですけれども、われわれは反対だ。そういう反対立場でものを言うだけじゃなくて、ナショナル・インタレストの立場から私はものを言いたい。そうなりまするとなぜココム規定を悪いほうへ悪いほうへ解釈して、そして制約を加えていくのかという、その基本的な立場が私はわからない。だから日中貿易には前向きだと言ったって、私はうしろ向きだと言うのです。そういう矛盾したことをここで払拭してほしいのだ。どうしても、そうはいっても、こうしなければならぬのだという理由があるなら、それを明確にしていただいて、政府だけが悩まないで、国民とともにそれを打開するようにしたらどうですか。その根本になるところをひとつ言ってください。
  16. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ココム品出品についてだんだんきびしくなったというお話がありましたが、むしろ今度は寛大になっておるのでありまして、モスクワにはたった四点しか出しておりませんし、それから北京、上海にも十点しか出してない。今度は、最初六十一点というのを、十三点だけ省くことになったので、四十何点、世界的にこんなにココムの品を出品している国はおそらく外国にもないと思うのです。それほど今度は寛大に扱っておるのでありますからして、その点はだんだんきびしくなったという御解釈はどうかと私は思うのでありまして、できるだけわれわれは、ココムの品でも、戦略性関係のないものは出すべきであるという考えを持っておるのであります。が、しかし、一応ココムはやはり国際約束ですからして、わが国としても守るべきものは守らなければならないから、戦略性がないものはこれは出していいという考えをしておりますが、しかしココム自体については、これはお説のとおり、私は、もう今日になってみると問題があると思います。それで、これは最初つくったときから見れば時もたっておりますし、また世の中もいろいろ変わっておりますからして、これも問題があると思いますからして、その点については、今後そのココムの緩和ということについては、できるだけ何かの機会にひとつ考慮してみたい、こう考えておるのでありますが、とにかく今度の問題は、決して、御想像になっておるように、外部の圧迫とかなんとか、そんなものは全然一つもございません。私は、その点は、石野委員以上に、私自身がそういうことについては非常な疑いを持ち、事務当局にも二度も三度も念を押したのでありまして、したがいまして、今度の件については、全く政府自身で考えて、これだけは戦略物資というように判定して、これは出さないほうがいい。展示しただけでいいじゃないか、持って帰ればいいじゃないかと言うが、これはもう皆さんも御承知のとおり、品物を見たら、ちゃんとポイントは科学者はすぐつかむことができますからして、日本人はことにその点においては得意としておるという国民でありますが、中国だって、やはり展示すれば、これはこういうところが長所だということはすぐわかりますからして、そういう戦略物資のものは、持ち帰りということが条件であるけれども、まあ展示しないほうが無難じゃないかというふうに考える次第であります。
  17. 石野久男

    石野委員 ココムの問題については緩和している方向だ、四点が十点になり、六十一点になったのだから緩和しているじゃないかという。しかし大臣、世の中はずいぶん進んできているのですよ。科学技術はここ二、三年の間にずいぶん進みました。私たちが夢にも思っていなかった月の世界へももうすぐかという時代が来ている。地球のぐるりには幾つもの衛星が飛んでいるのですよ。そういうときに、戦略物資戦略物資というけれども日本でなぜそんなに戦略物資を論議しなくちゃならぬのです。平和国家ですよ。日本ではそんなにたくさん戦略物資をつくっているのですか。日本はそんなに戦略物資をつくっていないということになっているのでしょう。現実に大砲や何かをつくっているのだろうけれども政府は少なくともそういうものはつくっていないと言っているのでしょう。なぜそんな矛盾したことをやるのです。私はやっぱり、この十七点の問題は非常に寛大である、十三点にしたのだから非常に寛大でございますとおっしゃるけれども、実はその展示会というものの意味を低下せしめ、その本来の意味を達成しないような展示会なら、率直に言いまして、やめなければいかぬです。相手方が気持ちよく受けないような展示会をやってみたって、商売にならない。しないほうがいい。最初から出さないなら別だけれども、寝ている子供の目をさますようなことをして、ちゃんと床をしつらえておいて、ここへお休みなさいと言って、そうしておまえはそこへ寝ちゃいかぬと言えば、たいていおこっちゃうですよ。私は、政府のやり方、特に通産省は、最近、業者に対しては、できる限りココム規定ワクの中でも西欧諸国並みに大いに特認事項の活用を改正をしてきたのが、最近の実情なんでございましょう。西欧諸国並みという意味はどういうことかというと、日本はあまりにきびしく自制し過ぎておるのだ、だからもう少し、外国で問題にしないようなものは日本でも問題にしないでやりましょうということなんですよ。実を言うと。それほど日本ココムをあまりに大事に目をふさいで見てきたんだ。だからあまりにも過重に締めつけておるということはよくない。私は、展示すればポイントがすぐわかってしまう、だからどうだこうだというようなことは大臣は言わぬでもいいと思うんだ。率直に言って、そんなことは常識ですよ。だから、向こうへ行ってそういう禁制品を売ってしまったり何かするなら別だけれども、従来もココム禁制品の中で持ち帰りであれば許可した。しかし、そのココム禁制品の中にAランク、Bランクというふうに別に書いてあるわけじゃないですよ。われわれは禁制品の内容については完全にそれを掌握できませんけれども、私たちが入手しておる中には品目は並列してあるわけだ。別に品目はAランク、Bランクとしているわけじゃない。だから、それにAやBのランクをつけたのはだれがしたのか、政府みずからがそういうことをなぜやるんだ、日本政府がそういうことをやったのか、それともだれかにそういうことを要求されたのかということをここで明確にしなくちゃいけない。先ほど大臣は、外部からの圧迫はないと言った。外部から圧迫がなければ、日本政府がそういうランクをつけたことになる。日本政府はそんなことをする必要はないと私は思います。そういうことをしないからといって、どこからも圧迫はないんだから文句はないはずだ。私は、ものごとには裏と表とありまするから、裏の事情考えなければならぬことはよう知っておりまするけれども、しかし、何も国の貿易を広げ、産業を育成し発展させようという善意な立場でやっているものを、そんなにわれわれ自身が自縄自縛になることはないと思うのです。私は、この十七品目持ち帰りということを厳格に皆さんが指示して、四項目ははずしたそうですから、あとの十三については、これは従来のように――そのかわり持ち帰りだけは厳格にさせたほうがいい。それをいささかでも間違ったら、それは業者に罪を着せるべきだし、政府の言うことを聞かなかったら、幾らでも厳罰にしたらいいと思うんだ。だから、総理大臣も従来の方針どおりと言っている、外務大臣も従来の方針どおりと言っている、あなたも従来の方針どおりと言っているんだから、従来の方針どおりやったらいいのですよ。これは大臣、あまり考えないで、ひとつこの辺のところで従来の方針どおりやってくださいよ。
  18. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほど石野委員お話を聞いていると、十七品目以外の品物はそれほど魅力のない品物だというようなことを言われて、この十七品目を出さなかったら展覧会意味をなさぬということを言われた。そうすると、二千点からつくられたメーカーに対して非常に迷惑だと思うのです。二千点から出されたものは、みなりっぱなものだと思って、一生懸命になってつくられておるのですから、われわれはその点はメーカーに対しては敬意を表しておる。とにかく本人は中国技術より上だという自信を持って出しておられるのでありますから、私は十七品目がなくなったから展覧会意味をなさぬとは考えてないのであります。これは私が二千点出されたメーカーに対して敬意を表して申し上げる次第であります。  それから、いまの十三品目というものをココムの約定によって出さないことにきめましたけれども、こういうようにココムという事態がある以上は、やはりわれわれ日本国としては一応ココムの約定を尊重しなければなりませんから、したがって、そのココムの約定に従って、われわれのほうでこれは戦略性があるというように判断して出さないことに決定したのであります。ほかの四十八品目は、これはみんな特認をとるのです。われわれは十三品目というものは特認は大体見込みがないという判断をしておるのでありますからして、特認がとれなければ、せっかく持っていっても、それはすぐ展示ができないということになります。そこであとの四十八品目はこれから特認をとるわけですから、そういうことでわれわれのほうとしても一品でも多く出したいということで苦労しておることをひとつ御了解願いたいと思うのであります。
  19. 石野久男

    石野委員 大臣はことばじりをとらえて、二千点出している出品者にこれは非常に失礼じゃないかというようなことを言うけれども、ぼくはそんなことを言っているんじゃないから、大臣、あんまりことばじりを取り上げるようなことは言わないほうがいい。それから特認の問題については、あとで田中さんから関連質問がありますから、それをやったあとで話しますけれども、私はやはり、特認を申請しても見込みがないからこちらでやるということの配慮、これはいい場合と悪い場合とがあると思うのです。私どもは、先ほどから言っているように、なぜみずから進んできつい締め方をしなければならぬのかということを言っているんですからね。それで、特認を出した上で、それがだめで返ってくれば、問題はココム委員会にあるわけだ。ココム委員会は三十八年の段階では、やはりココムの規定の中にあるものでも、持ち帰り条件としてよろしゅうございますということを従前にはとっているわけなんですから、かつてとったココム委員会の意向を尊重しつつ、なお出して、向こうでチェックされてしまえばこれはしかたがありませんよ。それは今度は国と委員会との関係になりますからね。それを、国と業者との関係、そういうところで押えつけてしまうというやり方が後退していると言うんですよ。なぜ中国貿易にそういう後退をしなければならぬかということを私は聞いているわけですから、大臣の言うような意味では、非常にその場しのぎ的なものの考え方になり、非常に退嬰的な、後退的なものの考え方であって、そこには自主的に開発していこうという意図はない。ココム禁制品というものについては、先ほど大臣は、問題があるから、これの緩和につとめたいと、こう言った。それだけの意向があるなら、なぜ積極的に問題を出していって、抵抗しあるいは切り開いていくという意欲が出てこないのか。これはかりに総理がそう言っても、担当大臣である通産大臣がそのことをやるべきだと思うのだ。それを、逆に通産大臣のほうでうしろに下がったんでは、日本通商産業政策上の問題としても非常におもしろくないので、貿易もこのためにかえってまずいだろうと思います。そういう意味で、私は、特認の問題についても、もう少し積極的に出すものは出したらいいじゃないかと思うのです。そんなに憶測をたくましゅうしないで、もしそこでチェックされたらチェックされたで、それで六月一日に間に合うように通産省がやればよかったわけですよ。いまとなってそんなことを言っておるのは、これは逆に言えば、むしろ事務の怠慢ですよ。そういう点は大臣にもう少しよく考えてもらいたい。
  20. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 特認を得られないものを出しても、それは持ち帰ればいいじゃないかというお話でありますが、大体特認が得られそうもないものを出すこと自体が日本の信用の問題になるのでありますからして、したがいまして、われわれも慎重に考えまして、これはとても特認は得られそうもないというので、その展示をお断わりした次第であります。  なおココム自体については、私もこの問題については再検討しなければならぬという気もしておりますが、しかし今度の天津の問題については、ココム自体をどうするこうするということはできないのでありますからして、やはりココムがある以上は、このココムの約定に従ってわれわれは行動しなければなりませんからして、その点はひとつ御了承をお願いしたいと思います。  なお、うしろ向きうしろ向きというおことばがありますが、決してわれわれは日中貿易についてはうしろ向きじゃありません。機会があればこれを拡大したいと思っておりますし、幸い広州の交易会も、お話しのとおり取引高もふえてまいりましたし、したがいまして、日中貿易については、これはもう貿易自体が発展せざるを得ない日本の経済事情であるし、中国の経済事情である、こう考えておりますから、できるだけいろいろの困難を打開して日中貿易の発展に努力したいという考えを持っておるのであります。したがって、初めから後退するというような気持ちは毛頭持っておりませんからして、その点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 関連質問をいたします。  先ほど来の石野委員の質問を聞いておりまして、次の三点に疑問を持ったので明らかにしてもらいたいのですが、まず第一点は、何かというとすぐにココムココムの禁制品だからと、いうことになるのですが、ココムは条約ではなくて、自由主義国家間の申し合わせ事項とでもいいますか、しかもそれは一般には公表せられていないわけです。いうなら秘密主義なんです。その輸出なり展示なんかをするほうからいえば、通産省に生殺与奪の権利が握られておって、そしてあらかじめこういうものはいけないとかどうとかということは、ただ抽象的な戦略物資だとかなんとかというだけで、具体的なことはわからないのです。だから、このココムというのは一体何なのか。しかもそれを一般に公表しないということは秘密主義であって、そういうことを通産省自体が握っておるということは、私はどうも憲法上からいってもおかしいと思うのですが、この性格を明らかにしてもらいたい。  第二点は、ココムはおそらく輸出についてきめたのだと思うのです。そこで、展示品と輸出品とはどう違うのか。  第三点は、十三品目を削除したというこの措置は、一体通産省としてはどういう処置なのか、行政指導なのか、行政処分なのか。通産省設置法第何条から出てくる権限なのか。この三点を明らかにしてください。
  22. 今村曻

    今村(曻)政府委員 田中先生の御質問の三点につきましては、ただいまお話しのとおり、ココムは条約ではございません。これは国際約束でございまして、日本は一九五二年にこれに加入をいたしたわけでございます。したがいまして、性格としては、一定範囲の国が集まって約束をした申し合わせの機関でございます。  それから次に、展示品と輸出品の違いはどうかという御質問でございますが、ごく法律的に申しますと、今回展示をするために国外に持ち出しますものは、これは全部輸出でございます。法律的に申しますと輸出でございます。ただ、実質的な意味輸出品と申しておりますのは、やはりそれが将来商売対象になるもの――現実に向こうに売れるか売れないか、輸出品になり得るかどうか、こういう見方もあると思いますが、先ほど来大臣からお答え申しましたのは、そこが違うので、展示をしても先方に結局において売れないものは、これは最終的にはいわゆる実質的な輸出品にならないのだから、これは展示品の中からは落とすほうが適当であろう、こういうふうに考え方を区別しておるわけでございます。  それから最後に、十三品目について落としたのは、これは指導かあるいは処分か、こういう御質問でございますが、具体的には、この十三品目につきましては、何ら輸出の承認申請が出てまいっておりません。したがって、承認申請が出てきたものに対して不承認という処分はしておりませんのですが、その前の段階におきまして事前に打ち合わせがありましたのに対して、通産省考え方を内報したということでございますから、まあ考えようによってはこれは一種の行政指導でやったというふうにとってもいいのじゃないかと思います。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 国際間の約定といいますか、申し合わせ事項の法的地位はどうなんです。条約より上なんですか、下なんですか。憲法との関係はどうなんですか。これが一点。  次に、輸出できないものは展示できない、こういうような言い方だったが、あなたのいまの答弁ですと、展示品と輸出品ははっきり区別していますね。ココム展示品にまでそういうことが及ぶようになっているのかどうなのか。  それから第三点は、いまあなたは、出てこないからあらかじめというのは、これは、そういうものを出してもあきまへんよ、こういうようなことだと思うのです。ただ指導だといえば指導かもしれないが、それが出たらどうするのか。各自に出したら許可をやらない、それは行政処分だと思うのです。そうなら、当然訴訟の対象になりますね、損害賠償に対しての。それを明らかにしておいてください。
  24. 今村曻

    今村(曻)政府委員 ココムの基本的な問題につきましては、むしろ外務省からお答え申したほうが適当かと思いますが、私どもとしては、先ほど大臣からも申しましたように、こういう国際約束がある以上は、それを守る、しかもそれに日本が自発的に加入しておる以上は、これを守るのが義務であるというふうに考えております。  それからこの十三品目につきましては、先ほど申し上げましたように、行政指導でやったわけでございますが、もしこれの輸出承認申請があった場合にはどうかというお尋ねに対しましては、方針が先ほど来申し上げたような方針でございますので、もし出てきました場合には、残念ながらこれは不承認にせざるを得ない、こういうふうに考えております。
  25. 須磨未千秋

    ○須磨説明員 ココムの性格につきましては、今村局長から初めに触れられたとおりでございますが、先生のおっしゃいますとおり、これは条約、協定によってできたものでございませんで、西欧諸国との間のいわば非公式の相談会のようなものでございます。ただし、西欧諸国との協調関係を維持するというのは、わが国の外交の基本的な政策一つでございまして、対共産圏諸国に対する輸出規制について西欧諸国と相談してやっていこうというのがその趣旨でございます。したがいまして、憲法上は、行政府に委任された範囲でもってやっておる、こういうふうに解釈いたしております。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 国際間、国と国との間に約束をしたのであって、国がそれを重んじるということは当然なのです。しかし、協定でも条約でも、それを実施するために必要な国内法をつくるのでしょう。それでは、その国と国とのいわゆる申し合わせのようなことによって国民を縛るのに、そんなことでいいのか。もしそれが必要ならば、ココムに基づいての法律をつくってやらなければ、国民の憲法に保障されたところの権利の侵害になりますよ。しかもそれは秘密主義で、発表していないのです。国と国とが約束したのだから、それを守らねばならぬということはありますよ。しかし、そのことが直ちに国民を縛ることになりますか。国民の権利を押えることになりますか。国民の権利義務に関係のある基本的なものに対しては、これは法をもってやるとかなんとかやらなければいかぬわけですよ。ほんとにそれをやるならば、ぼくはそれに基づいての国内法制が必要だと思う。そういうものではないですか。しかもそのココムの中には展示品のことはうたってないのでしょう。それで、輸出品と展示品とを区別をしておりながら、なぜそれを適用したのか。  それから行政処分ではないというが、それはあらかじめ、どうでしょうか、だめです、こういうことだけれども、私はやはり、秘密主義でこの内容も明らかにせずにいて、それで持っていったらこれはだめだということは、行政が国民の基本的人権に対して生殺与奪の権利を持っているということなんです。そんなことは憲法上許されますか。
  27. 今村曻

    今村(曻)政府委員 お答えいたします。確かに先生御指摘のように、ココム品目表そのものは、各国の約束でこれは外へ出さないことになっておる。したがって、わが国でも外へ出さないわけでございますが、それを実施いたしますには国内の法規の根拠が必要でございます。外国為替及び外国貿易管理法に基づきますところの輸出貿易管理令というのがございまして、この政令の中に、あらかじめ通産大臣輸出承認を要する品目というのが別表でございます。全部で二百十六ばかりのアイテムがございます。その中にココム関係品物として百六十三の品目があるわけでございまして、これにつきましてはあらかじめ通産大臣輸出承認がない限り輸出はできない、こういうふうに規定しておるわけでございます。  ただ問題は、その品目が出ただけではわからぬじゃないか、その承認の基準がはっきりしないとみんな困るという点を御指摘であろうと思うのでございますが、これは確かに先生御指摘のとおりでございまして、これはココム品目に限らず、それ以外の品目につきましても、実は内規基準というものがございまして、これはなるべくそういうものを一般に知らせるというたてまえでやっておりますけれども、諸般の関係でどうしてもそれができないものもございます。そういうものにつきましては、やむを得ず若干の、一般の民間の方から見れば迷惑だなというような感じを抱かれておるものがあろうと思うのですが、ココムにつきましても、できるだけ、従来の例等がございますので、そういうもので判断をして、皆さんの大体の見当がつくようなことにはだんだんなってきておると思いますけれども、残念ながら、この承認の基準につきましては、非常に技術的な問題でもございますし、なかなかこれを公表することはむずかしい、そういうような状況でございます。  第二番目に、展示品には何らココムの規定がないじゃないか、それなのにどうして展示品を入れるかという御質問でございますが、確かに、先ほど申し上げましたように、展示品について、これを積極的にいいとか、あるいはその反対禁止するとかいうようなことは、私ども承知しております限りでは、ないようでございまして、各国とも政府判断によりまして、ココムの精神に沿うて、それぞれの最も正しいと思う措置をとっていくということでやっておるのが現状でございますので、そういうふうに御了承をいただきたいと思います。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 いま説明せられたのは政令でしょう。
  29. 今村曻

    今村(曻)政府委員 輸出貿易管理令という政令でございます。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 それは政令でしょう。私が言っているのは、権利義務、権利を制限し、義務を新たに課する場合は法律によることがたてまえなんです。この問題について私は関連質問だから、これ以上はきょうは言いません。言いませんが、基本的な問題としてあらためて私はこれだけで時間をもらって、法制局等も呼んで、じっくりやりたいと思います。
  31. 石野久男

    石野委員 いま田中委員からも関連質問がありましたように、ココムというのは、これはほんとうに自由主義諸国における申し合わせに基づいているものなんですよ。その申し合わせに基づいているものが、日本貿易とかあるいは諸外国との経済的な諸関係について非常に大きな影響を及ぼし、特に共産圏に対してはきびしい状態が出てきている。この十三品目については、ココム委員会でおそらく特認の許可も出ないだろうというまず前提が通産省のほうにはあるわけですよ。私は、通産省としてその許可が得られないだろうというようなことについての推測は、結局戦略物資ということになってき、その戦略的な価値というものが非常に高いということからきているんだろうと思うんだが、たとえば電子計算機というのは、これは戦略的には価値の低いものなんでしょうか。大臣はそんなものはどういうふうに見ますか。
  32. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 そういう技術的なことは私はわかりませんが、先ほどから申し上げましたとおり、ココム自体について再検討すべきだというのは、技術水準がだんだん向上するに従って戦略性というものもだんだん減ってくるのじゃないかというようなことからして、ココム全体のリストを再検討する必要があるんじゃないかというように考えておるのです。戦略性が少なくなったものはココムからはずしてもいいじゃないかというような、私自身はそういう考えをしておりますが、技術的なことについては私はしろうとでありますから、それについてどうこうということは私としては申しかねます。
  33. 石野久男

    石野委員 どうです今村さん、電子計算機なんてどうなんですか。
  34. 今村曻

    今村(曻)政府委員 私も技術屋でございませんので、あまりこまかい技術的な問題はわかりませんが、確かに最近技術水準が全般的に向上しておりますので、従来の基準というものが、はたしてこれでいいかどうかという点は多分に疑いがございますが、ただいま御指摘の、たとえば電子計算機のようなものでも、これは一がいに電子計算機だからどうかというようなことではなくて、それの持っているたとえば性能によって、非常に高性能のものはどうだとかいうような問題がございます。  もう一つは、それの使われ方といいますか、最終用途が何であるかというようなことにつきましても、やはり考え方のファクターになると思いますので、一つ品物について一がいにいいとか悪いとかいう考えはしておりません。
  35. 石野久男

    石野委員 そうすると、通産省は十七品目を十三品目にしたのだが、それがやはりココム規定に該当するという認定を下す基礎になったのは、だれからそういう知恵をもらったので出てきたことですか。
  36. 今村曻

    今村(曻)政府委員 これは従来通産省戦略物資輸出について審査をしておりますが、ココムの約束に基づいてリストがございます。いろいろの内規もできております。そういうものと照らし合わせまして、通産省独自の判断でやっているわけでございます。
  37. 石野久男

    石野委員 大臣、いま今村さんからお話のあるように、やはり通産省独自の判断でやられたようです、いろいろな憶測もあるだろうと思いますがね。私はやはり、ココム規定については、技術もずいぶん進んできていることだから、かりにアメリカさんが何と言おうと、ココムの中の諸外国が何と言おうと、日本が戦争をしようとしているわけではないのだから、日本貿易を広げ、経済を向上させようという意味でやるものについては、進んでココム規定のらち外に出ていくように努力しなければいけないだろうと思うのですよ。十三品目通産省独自でそういうようにきめていったというけれども、私は、これは必ずどこからか示唆があって、そしてやはりそれにガチッと押えられているからこうなったのだと思う。答弁ができないだけなんだとぼくは思っている。問題は、それの大根はどこにあるかといえば、大体私はアメリカさんだと思うんですよ。しかしアメリカさんのほうでは、自分で商売をするについて、品物がたくさんできて過剰になってくれば、人さまを押えておいて自分はどんどん売っているのですよ。今度アメリカのIBMは電子計算機なんかソビエトにどんどん出しているでしょう。だから私は、そういうような外交政策の上からいっても、いずれの国もみなその国の利益を守るためにがんばっていると思うのです。日本はやはり通産政策の中においても国の利益を守るということを少し考えなければならぬと思うのだ。先ほど、その国の利益を守る過程の中で、特にこういう措置をされるということで田中委員からもお話があったように、憲法上考えなければならないような、国民の権利までも押えつけるようなことをかってに行政措置でやるというような結果が出てくる事情がこういうようにして明らかになってきている。だからこの際ひとつ、ココム委員会というものは全く任意的な団体であって、そしてできる限りお互いがやはり良識をもってやろうとしている、その良識の中で国の利益が押えられるようなことがあってはならないと思う。国の利益を押えるようなことを承知しながら各国へ義理立てをしているようなことであったら、これはもう政府は国民に対して間違った方策をとったといわなければなりません。だから私のお願いしたいことは、政府がいまとっているこの十三品目について、あなた方はあなた方でいろいろ配慮しているだろうけれども、国民の立場からすればよけいな心配だといわなければならぬと思います。だからもう一度これは考慮してもらいたいと思う。そうしてできる限りこういう禁止品目というか不許可のものを少なくしていく、できることならゼロにして、しかもこれは持ち帰りを前提にしているのですからね。一時出ていくときは輸出の形なのでしょうけれども、持ち帰るのだから、持ち帰る条件だけは厳格に業者に守らせてそしてやればいい。大臣技術はわからないくせに、何、ポイントをぴしゃっと押えればすぐわかるんだというようなことを先ほど言った。そんなわからないことを言わないで、あんまり遠慮しないで、ひとつ日本独自の方針でぴしゃっとやってほしいんだ。大臣、過去四回も五回もやった展示会ではこんなことはなかったのですよ。だからいわゆるココム委員会との間の交渉の過程において若干の時間をとるというような問題があるのは、私はそれはやむを得ないと思うのですけれども、やるだけのことをやって行き詰まったのなら、それは国と国との関係もあることだから、私たちは場合によっては文句があっても言うことを聞きます。だけれども、そういうこともしないで、国が業者をがちっと押える。しかもそれは秘密のリストの中で出てきたもので、それで一年間もかかってどんどん準備させて、相当な経費をかけて物をつくらせて、そして倉庫にまで入れて、もう船積みしようという段階のときにぴしゃっと押えたら、これは小さい業者だったらまいっちゃいますよ。事業をつぶしてしまいますよ。そんな権利が政府にあるのですか。こういう問題について、損害賠償なんかというものは当然出てくる。損害賠償の前に展示会をさせなければいかぬと思いますが、かりにそういうことを強行するとするなら、そういう業者に対する賠償、補償というものをちゃんとしなければいかぬです。私は、政府にもいろいろな事情があろうし、公の席上で言えないような事情もあるんだろうから、これ以上のことは言いませんけれども、しかしこれだけのことは大臣ひとつ言ってもらいたい。十七品目というものは十三品目になったのです。だからもう一度これを五品目にしたり三品目にしたりすることが、あなた方の決意次第でできるんです。その努力をしてください。できることならゼロにしてもらって、二千二百四十点というものは全部出して、そして外国からのいろいろな文句があったら、なぜ体を張って通産省はそれに対抗しないのですか。そして国の利益を守るという方針をとらないのですか。私の言っていることは間違っていますか。私は、これは社会党の石野という立場じゃなしに、国民の立場で言っているのですよ。日本の国民はこれを要求しているし、日本の業界がこれを要求していると私は思うんだ。通産省はあまりにも一方的な立場でそれを押えることはやめてもらいたいと思うんだ。あなた方の答弁のしかたがなかなかむずかしそうだから、多くは聞きませんが、一つだけ、やはりあとの品目についても配慮するということをひとつ考えてほしい。もうこんりんざいこれより動かないということなら、私はこれはまだ質問したいと思うんだが。
  38. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 国民的利益ということをしきりにおっしゃっておるようですが、私は、貿易というものは、日本の利益をはかると同時に相手国の利益もはかるということでなければいかぬと思うのです。日本さえもうければいいという考え方ではいかぬと思うのです。だからして、今度の展覧会も、展覧をすることによって、中国技術水準を高めてもらいたいというところにもやはりねらいがあると思うのであって、これによってもうけよう、そういうような小さい考えではいかぬと私は思っておるのであります。そこで、最初私が聞いたときには、十七品目がだめだということでありましたから、私はできるだけ展示禁止する品目を少なくしてほしい、もう一ぺん再検討してみないかということを事務当局に言って、そうして事務当局では、それでは四点だけは、ボーダーラインで、まあ無理と思うけれどもなにしましょうということで、四点だけ削ったようなわけで、これが最後の線です、こういうことであったのであります。そこで、これからはひとつこの点は、もう少し業者の人もあらかじめ前からよく相談してもらって、そしてココムに抵触するかどうかということをよく御相談いただいてやってもらったら、非常に都合がいいと思うのです。そしてこれからは、先ほどもお話し申し上げたとおり、いろいろ技術水準が高まっておりますからして、ココム自体についても再検討する余地もだんだん出てきておりますから、これからのココムの運営についてはひとつ弾力的にいきたい、こう私は考えておりますが、今度はもう時間的ななには間に合わない、こう考えておりますから、ひとつ石野さんも、せっかく日中貿易に一生懸命やっていただいておるのでありますからして、十三点はひとつかんべんしていただいて、二千点も出すのですからして、これが成功するように石野委員もひとつ御協力をぜひお願いしたい、こう思う次第であります。
  39. 石野久男

    石野委員 日中貿易拡大するためというよりも、世界貿易拡大するためになら一生懸命やりますがね。大臣は今度の問題について、いまの発言の中には、私たちもやるけれども業者の人ももう少し早く、こういうように業者におっかぶせるようなものの言い方をしておる。業者は前々から相談をかけているのですよ。そこで大体三月の末ぐらいまでは、だれも文句なしに、品目についてはけっこうですよというので、ちゃんと倉庫に入れるまでやってきていることなんです。四月十八日になって突如として、この品目に対する禁止というか、なにがあなたのほうから出てきたのです。いままで出しておったリストをもう少し下げて、十七品目を消してまた出すというような状態になっておる。だからこれを業者の人もというようなものの言い方は間違いです。そんなことを言っては間違いですよ。業者はそれは一生懸命考えていますよ。そうじゃない。業者は一生懸命やっているのだけれども、むしろ当局が、というよりも大臣が、とにかく十七品目について、業者の意向をそんたくしつつやはり四目だけ下げさせたのですから、これは実を言えば、通産省の配慮によっては、決意によっては、やり方によってはゼロにすることもできるのだ。これはだれに遠慮しているのか私は知りませんよ。だけれども、その遠慮している方に対して、もう少し強い態度で、業者を守り国を守るという立場通商政策考えてもらいたい。軍隊だけで国を守るのではないですよ。軍隊なんていまの日本は守る力はない。守るのは一にかかって貿易ですよ、産業ですよ。その産業の面でだんだん後退していったら、国民は生きていくことはできません。この問題はまさに日本が生きるか生きないかの一つの岐路を決する問題だと私は思っておる。それだけに、今日政府はその先頭に立って、やはりいろいろ苦しい立場があろうとも、ココム委員会での交渉をしてもらう、こういうことをやってもらわなければならぬ。だから、大臣が十三品目は、もうこれだけはかんべんしてくれということなら、私はもう少し考えてもらいたい。なぜそんなに遠慮しなければいかぬのか。そうじゃなく大臣、十三品目をゼロにすることができなければ、かりに六品目になったって五品目になったっていいですよ。今村さん、もう少し考えてごらんなさい。配慮の余地はありますよ。もし何だったら、昭和三十八年にやったと同じように、もう一ぺんココム委員会に問い合わせして、持ち帰りでよければそれでやりますということで了解を得たらどうですか。もしそれでだめだというなら、ココム委員会から抜けたらいいだろう、私はそう思う。そういうほんとうに政府の腹の底をひとつ聞かしてもらわなければ、大臣、十三目これでかんべんしてくれというのはちょっといただけませんよ。
  40. 今村曻

    今村(曻)政府委員 事務的な立場からちょっとお答え申し上げます。  先ほど業者のほうからの相談とか連絡につきまして、大臣が申し上げましたその趣旨は、おそらく今後の問題につきましては、なるべく前もって相談をしていただく、こういう御趣旨であったと思います。今回の天津問題につきましては、先ほども申し上げましたように、三月、四月のころにいろいろ御相談を受けたわけであります。しかし何さま非常に膨大な品目でございますし、その品目につきましてスペックとかあるいは性能とか、いろいろなものがそれぞれ詳しくわかりませんと判断がつかないという事情がございましたので、はっきりした結論が出るのがややおそくなったといううらみはあったかと思いますが、そういう事情でありました点をひとつ御了解いただきたいと思います。  それから第二点の再検討の問題につきましては、私どもとしては、大臣からの非常な厳命もございましたので、極力何回も検討し直しまして、最後最後に残りましたのが現在のラインでございますので、事務的に申し上げますと、これをさらに再検討して違った結論を導き出すということは、非常に困難であろうと思います。しかも展覧会の終わるのが六月の十四日でございますので、少なくともそれまでには品物向こうに着かなければ、目的を達しないわけでございます。そういう時間的な判断から申しましても、それまでに違った結論を導き出すということは、これはむずかしいというふうに判断をいたしまして、先ほどのようなことに御答弁を申し上げたわけでございますので、この点もひとつ御了承いただきたいと思います。
  41. 石野久男

    石野委員 まあスペックや性能のことがはっきりわからないものだからもたもたしておりまして、こう言うのだけれども、実際に品目は幾つもありましょうとも、リストの中で出てきているのは、先ほども言ったように、ナンバーにすれば四つくらいのところの部類に属するものなんです。大体焦点はここだということはわかっておるのだから、そんなにわからないはずはない。だから三月、四月段階でわかってないことはなかったのだけれども、おそらくどこからか問題が出てきたのだ、私はこう思うのだ。そこはあまり言いませんが、とにかくそういうような実情なんだから、もしそういうことでどうしてもあちらさまに、どこどこさまに悪いというならしかたありませんよ。それははっきりしてもらえば、そうなれば、私たちは国民的な総意でそういう問題にもう少しぶつからなければいけない。そうでなければ、いつまでもこんな秘密なリスト日本貿易が押えられていてはどうにもならぬですよ。  それからもう一つ、事務的な手続の上からいいまして、六月十四日に終わるのだからというようなこと、それはありがたい配慮だけれども、しかし、許可をして、あとどういうふうにするかということは業者にまかせればいいのですよ。業者間で持っていかなければしかたがない。ごたごたして、せっかくいい結果が出たのだけれども持っていけなくなったというなら、これはまた両国の間の考え方の上でもずいぶん違ってきます。先ほど大臣が言うように、貿易というのは自分だけもうけるのではなくて、相手方ももうけなければならぬ。同時にやはり向こうも感じよくしてもらう、こちらも感じをよくしなければならぬという問題がある。かりに実績として品物を持っていくことができなくても、努力の結果は、こういうように政府もここまでいったけれどもこうなっちゃったというなら、また話のしかたは、商談を進める上から違いが出てくるのです。だから、そういうようなことは、私はやはり業者に対しては非常に大事なことだと思いますから、努力すべきものは努力してほしい。だから、私はもう多くは言いませんから、もうこれでだめだという紋切り型のようなことをしないで、自主的な立場でもう一ぺん、これだけわれわれの意見があるのだ、みんなの要望があるのだということを政府は聞き入れて、再検討してもらいたい。
  42. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 石野委員日中貿易への御熱意に対して、われわれ大いに動かされるものがあるのでありますが、今度の問題につきましては、どうせほかのものも特認をとらなければならぬのでありますからして、この十三品目について特認を申請しても、おそらくもうノーとくるということが大体わかっておるのでありますからして、したがって、われわれのほうでそういう手続をしても初めから結果はわかっておるというものについては、もうかえって手続をしないほうが日本の将来の信用のためにもいいんじゃないか。初めからわかっておるじゃないか、こんなもの特認を申請してくるのはおかしいじゃないかというような、そうような気持ちをココムで持たないようにすることが、私は今後の日本貿易の発展のためにもいいと思うし、また将来輸出する上においても私はいいと思うのでありまして、とにかく四十何ぼの品目について特認を得るということについては、これはやはり相当な理由をつけなければならぬのでありますからして、その点は事務当局は非常に今後苦労することと思いますからして、十三品目についてはそういう点でこれは検討した結果なんでありますからして、その点をお考え願って、天津展覧会が大いに成功するように御協力をお願いしたいし、また日中貿易伸展のためにもひとつこの上ともの御協力を特にお願い申し上げたいと存ずる次第であります。
  43. 石野久男

    石野委員 政府考え方というのは、いろいろ菅野大臣説明されておるけれども、私は、日中貿易に対しては全く誠意がないと思います、率直に言いまして。みずから難関にぶつかって打開しようというような熱意はないものと私は思います。それと同時に、ココムというものについて、政府が今後もこれに入っているということは、もう一ぺん国民的に考慮すべきだとぼくは思う。こういうものに入っていなければならない理由がどこにあるのか、ひとつそこまで考えなかったらいけないのではないだろうかと思います。そういうことでなく、全く秘密のリストの中で日本の経済上の自由行為が束縛されたり何かするというようなことは、これは大きな問題です。私はいままで政府がこのココムリストについてできる限り善意の努力をしてきたと見ていました。だから多くのことは言わないできたが、こうなってくるなら、これはココムリストをもう少し明確に政府は国会に出すべきだ、全部出すべきです。ココム協定の内容もはっきりすべきだ、私どもはそれを要求する。これは必ずこの次の委員会でそれをやってもらわなければ困る。そういうふうに政府がいろいろ苦しい中においても善意な努力をしてきているということを前提として、だから私たちはそのことをあまり触れようとしなかった。だけれども、こういうふうにして業界の自由行為を押えるということになり、そして将来の貿易の問題について政府は、貿易というものは相手方があるのだ、展示会だって相手方があるのだ、相手方が怒りをもって電報を入れてきている、そういう実情が出ているときに、民間は一生懸命、皆さんが吉田書簡とかココムだとか押えつけている中を払いのけ払いのけて業界が広げてきているやつを、今度また水をぶっかけるようなやり方をあえてこの時期にするということは、私はどうしても納得することができない。これは大臣、はっきり聞きますけれども大臣は、何でそんなに遠慮しているのですか。それでは通産省はなぜこの十七品目というものをそういうふうに認定したのです。日本の国の行為として、かりにけられてもいいから、ココムへ出したらいいでしょう。皆さんが業者立場だとか、あるいは展示会が発展するようにと言ったって、政府がそういう考え方だったら展示会は発展しっこない、成功する理由はないじゃないですか。もう少しきびしいものじゃないでしょうか。政府考え方がそういう方向を向いておったら、相手方はそんなに易々として受けてはくれないと思うのですよ。だから努力するだけ努力しているならいいけれども、みずからせきを立てて、もうこれ以上はだめでしょう、だめでしょうということでやったら、何もできないことになりますから、私はあえてこの点については、大臣の答弁でもございましたけれども、考慮していただくべきだと思う。  それともう一つ聞いておきますが、もしこういうことの結果、不幸にして十三品目が搬出すること、展示することができないという場合に、これらの人々が、通産省の協力を得ながら今日まで営々として努力してきたことが、非常に大きな経済的な損失を受けるだろうと思います。この損失は一にかかって通産省の従来の指導と、それから四月十八日に行なったところの指導との食い違いからくるのです。その責任はすべて政府にある。私は、そういうものに対して政府はその損害賠償をどうするのかということを明確にしておいてもらいたいと思う。
  44. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 再三再四の考慮を促されておるのでありますが、先ほども申し上げましたとおり十七品目については、できるだけひとつ少なくするようにということを事務当局に命じて、そして四品目だけは、これはいろいろ問題があるけれども展示するようにしようという返事をもらったわけでありまして、石野委員のお気持ちと私の気持ちは同じことだと思うのです。日中貿易を盛んにしたいという意味で、せっかくこの展覧会も成功せしめたい、また、それによって日本科学水準中国へ大いに誇示したいという気持ちを持っておられることについては同じ気持ちだと思うのですが、しかし、先ほども申し上げましたとおりここで再考するということを申し上げても、どうせ再考するということはパリへ特認を申請するということになるのでありますが、その結果については、大体そのお約束は私はできないと思うのであって、再考したが、石野委員の御希望どおりになるというお約束はできないと思うのであります。まあ御希望どおりの結果を得られることの可能性が乏しいということだけはあらかじめお断わりしておきたいと思います。
  45. 石野久男

    石野委員 ぼくは、努力をした結果考えたようにいかなかったりすることは、これはやむを得ないことだ、相手のあることでもあるし。実際は、ココム委員会そのものについては、われわれは問題があるんだ、だからこんなものの制約を受けることはないんだということだけれども、現実にあなた方がココムに入っておって、そこから出てくる問題がこうだということなら、これは私たちもしかたがない面もあると思います。しかし、従来は持ち帰りということの確認さえあればどんなものでも出していいということをココム委員会からもちゃんと返電をもらっておるのに、何も日本が進んで自分からワクを立てていくことはないということを私は言っておるのだから、十七品目が十三品目になった、あとのものにつきましても、もっと通産省努力して、時間的に間に合うとか間に合わないとかいうことは抜きにして、かりに時間的に間に合わないでも、その趣旨を達成することができれば、かりに品物が間に合わなくても、それだけでも私は前進だと思う。それを押えていこう押えていこうとしておるやり方が私はどうも納得がいかないから言っておる。だから、再考してもらいたい。結果がどうなるかということは別として、これはあなた方の努力の問題です。  もう一つ、もしそういうような品目展示できないということになりますと、従来通産省が指導してきた方向と、それから十八日の通達ですか、口頭通達、いわゆる行政措置によって展示ができなくなったということとの間の食い違いが出てくる。業者はそのために非常な損失を受けます。こういう問題についてどうするんだということは、これはひとつ考えなければいかぬでしょう。先ほど今村さんは、別にそれは行政措置をしていませんとかなんとか言いました。文句も来ておりませんというが、文句が来ていないんじゃないんです。リストが来ていたのをわざわざ十七品目にしたんだから、そのために繰り入れしたものはまた元に戻さなければならないということになっておる。それに対して政府は、これはおれは知らぬのだということをやってはいけない。私は、全部が出ることを前提としますけれども、不幸にして一品でも二品でも出ないというようなことについてはどうするんだということについても、政府ははっきりちゃんとした態度を示しておくべきだということを先ほど聞いたんで、これに対する答弁を聞いておきたい。
  46. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまの業者との関係については、私は大体あらかじめ業者とも打ち合わしてやっておることだと思っておったのでありますが、石野委員のおことばによると、そうではないということであります。だから今後業者品物をつくる場合には、通産省とよく相談してやってもらいたいという私の希望を申し上げたのであって、かりにそれが特認が認められぬということになっても、業者のほうはそれほどまでに損害賠償というようなことはおっしゃられないだろうとこっちは楽観しておる次第でございまして、そのときはそのときでまたひとつ業者の人ともよく御相談したい、こう存じております。
  47. 石野久男

    石野委員 いろいろ問題があるけれども、とにかくこれはこのままではいけませんから、先ほど大臣から答弁のあったように、もう一度考えてもらって、前向きの方向を一そう広めていただけるようにひとつ、お願いしておきます。  私の質問はこれで終わります。
  48. 島村一郎

    島村委員長 佐野進君。
  49. 佐野進

    ○佐野(進)委員 石野さんのほうから長時間質問がありましたし、お昼も過ぎたんでと思ったのですが、先輩からどうしてもやれということですから、やむを得ず、若干の時間質問をしたいと思いますので、答弁をひとつお願いしたいと思うのです。  私は、この前通産大臣お話しになりました通商産業政策の基本的方向と重点項目、この中できのう平岡さんのほうから触れられました点を避けまして、三点ばかり御質問をしてみたいと思います。  資本の自由化を前提として、ことしの重点施策をするのだということで、いろいろ大臣はきのうの本会議でもお話しになっておられますが、私は、それらの点を通じて、この方針をずっと読んで見て、幾多の矛盾点と、何かそのことをやるのだということでありながら、十分それに取り組む姿勢を示されていない。特に中小企業対策については、ことばではうまく言っておりながら、施策全体の面から見ると、やはり中小企業を圧迫する、こういうようなことでことしの重点施策が施行される、こういう感じをいなめないわけであります。  そこで第一点として、私は、この九ページの「産業の構造改善の促進」に関連して御質問してみたいのです。この中で、十一ページのところへきて、「財政、金融等の面で所要の促進措置を講ずるものとします。」ということで、四つ、特に繊維は別といたしまして、ここで三つの産業を指摘いたしておりますが、この中で、特殊鋼業を産業構造を改善する面で重点の一つにあげております。特殊鋼業を重点にあげるということは、それだけの理由はもちろんあると思うのでありまするが、今日一昨年来の不況あるいはそれから脱却したという現在の段階の中で、一番問題点として指摘されておりましたのは、やはり鉄鋼産業、それに関連する事業が、不況の中において一番問題になった一つだと思うのであります。ところが今日、鉄鋼は、いわゆる好況という形の中で設備の充実をはかるということで、鉄鋼設備の面についていろいろ話し合いを行なっておる、こういうことが言われておるわけです。したがって、特殊鋼業を産業構造改善のために一番重点として取り上げて、これに対して融資なりあるいは財政金融の面においていろいろ措置をするのだ、こういうように言っておりますのも、必然的にこういう企業に対しててこ入れを今日するということで、通産行政がこれを施行する、結果的には中小企業に対して圧迫を加える、こういうことになるのかならないのかということがたいへん心配になるわけです。たとえば鉄鋼が、設備の増強をする過程の中で、不況を脱却する過程の中で、中小企業の鉄鋼業者を系列化し、それに対する支配体制を固めつつある。これはだれもが否定することができない現状でありますので、これらの面から見た特殊鋼業に対する重点施策というものに対して非常に危険性を感ずるのですが、通産当局としては、特殊鋼業をその対象の重点に取り上げた経過と、いま私が申し上げた面についての心配がないのかどうか、まず第一点にお伺いしておきたいと思うのです。
  50. 高島節男

    ○高島政府委員 御指摘の特殊鋼工業でございますが、これを通産政策の重点部分として取り上げております趣旨は、これは機械の素材等になっておりまして、ここが一つの機械等の競争力を強化していく場合の大事なポイントになってまいりますので、ここの分野に対してたとえば開発銀行の体制金融とか、そういう政府資金を流すことによってこれを援助していこう、こういう角度から特殊鋼の体制整備ということが取り上げられているわけであります。特殊鋼業自身の実態から申しますと、御指摘のように、今度の不況で非常に打撃を受けた分野でございます。最近は再び機械工業の発注等がふえてまいっておりますので、それに即応して業界自身が立ち直りの方向に向かってきている過程にございます。そういう際に、政府として特殊鋼の分野に力を注いでまいりますということは、むしろ特殊鋼自身を中小企業と定義するのかどうかという問題でございます。これは、中小企業の要件に該当するかどうかは別として、比較的競争力の弱い部面でございます。そういたしますと、これはやはり技術なりあるいは場合によっては資金なり等々は、相当突っかい棒をやっていかないと、結局生存していくことが非常に困難ではないか、また、いまの企業数等もいろいろ問題があり、個々の企業も弱いという条件にありますので、ここへ突っかい棒をしていくというかっこうをとってまいることが特殊鋼業業界全体としても必要だという感じでございます。特殊鋼業の中には中小企業と大企業が存在するという感じよりは、全体が中堅企業で、しかもその技術の問題や経営の問題、体制の問題等をかかえた、全般がてこ入れを要するような感じが非常に強く、不況の際には打撃がここへまとまってくるという感じでございますので、通産当局として、その業界全体をできる限り充実した経営体制に持っていく、業界の力をつける、こういう意味で重点施策の中に織り込んでおるわけでございまして、そこが強くなることは、むしろある意味では中堅企業の助成である、こういう認識でございます。
  51. 佐野進

    ○佐野(進)委員 特殊鋼業を助成することが結局中小企業の圧迫にならない、こういうような言い方ですから、私もよく勉強しておりませんので、いまの発言をそのまま信じたいと思います。  ところが、そういうようなことで助成をして企業が発展していけば、苦しいときは助成を願うけれども、楽になってくれば必然的に膨張したいという意欲が出てくることはどこの企業でも当然なことだと思う。したがって、そういうことに対して、あらかじめどの限度においてそれらについて助成をしあるいは育成をするのかということをはっきりしておかなければ、たいへんな結果になる。いわゆる中小企業、中堅企業とはいいながらも、その中には格差があるわけですから、その小のほうに対する圧迫が必然的に強化されてくるということは否定し得ない現状だと思うのです。その一つのいい例が、いま鉄鋼設備について、この新聞にも出ておりますけれども、各社の競争がきわめて激しくなって、必然的に自主調整ができなくなっている。しかも鉄鋼産業はいまや日本における巨大産業の一つとして数えられ、これが政治的にもあるいは経済的にも与える影響がきわめて大きいといわれておるとき、中小の鉄鋼業界は必然的に大企業の系列下に入らなければその企業の存在が許されない、こういうような形になり、過酷な条件を受けつついま運営に四苦八苦しておる企業が、必然的に合併、吸収という形になろうとしている姿が見られるわけです。そういうとき、通産省は、片や特殊鋼業に対しては補助してこれを育成し、中堅企業をむしろ発展させますよと言いながら、大きくなって安定して少しよくなろうとするときにおいては、いわゆる自己の拡張をしようとする欲望のもとには、他のそれぞれの企業に対して何ら考慮しないという面が見られるような、そういうことに対しては何ら措置を講じておらない。特にこの方針の中では、「産業の構造改善の促進」の中で、「過当競争から設備能力の過剰、企業体質の弱体化を招く等の問題を内包しており、」云々ということをいっておきながら、現実には、これらの自主調整に対しては、自主調整という名のもとの鉄鋼産業の巨大化に対しては、全然と言っていいほど通産行政のほうの指導力がないような印象を受けざるを得ないわけでございますが、こういう点については、いまこの新聞にあらわれておるような経過の中で、通産当局としてはどういう措置をとろうとしておるのか、これについてお伺いしておきたいと思うのです。
  52. 高島節男

    ○高島政府委員 いまお尋ねのございました点は、大きく分けまして二つの問題点になってくるかと思います。一つは、特殊鋼業それ自体がいかように体質改善をしていくかという問題でございます。それから御引用になりました設備投資について、最近鉄鋼が非常に注目を浴びておりますが、この点は高炉を中心にした設備の問題が議論されておるかと思います。特殊鋼をつくっております分野は、これは不況になってみると非常にわかってくるわけですが、いずれも体質が劣っておる。これは日本という国が、一つは原鉱石の確保等について外国に仰がざるを得ない非常に特殊なレアメタルを特殊鋼は使うわけであります。電気の問題等もありまして、コスト的にも非常にむずかしい業界でございます。これは私の感じでは、やはり体制整備の基本方針を進めていっていい分野ではないかという感じがいたします。片方、先生御引用の、新聞に出ております鉄鋼設備調整と称しておりますこれは、普通鋼の、特に六社を中心にいたしました分野において、設備を拡張しようという意欲が非常に強く出ております。この意欲が起こってくる必然性を考えてみますと、日本の鉄鋼というのは相当に進んで、特殊鋼と違いまして普通鋼分野は非常に競争力がついてきた分野でありまして、これに対して技術革新がまた新たに世界的なベースで起こっている分野でございます。めいめい日本の進出に対して、さらに自分の力を一歩強化しようという動きが、ヨーロッパはもちろんのこと、アメリカ自体にも相当に強くあるわけでございます。そういたしますと、日本の場合、溶鉱炉を一本建てますと、粗鋼ベースで最近は二百万トンという大きな製鋼ができる形に世界的技術がなってまいりました。日本側のほうもそうなってまいります。そうしますと、各社は、この機会にその大きな設備で、競争力がある意味においては非常に充実した設備においてやりたい、こういう必然的な考え方が出てきます。これはいずれももっともであります、それに対して開発銀行の金を融資するとかいうふうな形のことはやっておりません。特別償却等はございますが、いきなり融資をするとか援助の措置は日本はとっておりませんが、めいめい自分の力で、あるいは銀行から借金をいたしましてやろうという気がまえが非常に多く、多数の高炉計画が出てまいっておるわけでございます。将来これはむしろ需給との関係をよく調整して、節度のあるところの、政府考え方としましては自主調整という形でおさめていってもらいたい。政府側のほうには、正直に申しまして何も手がないわけでございます。これは自由企業になっておりますから。しかし、できるだけみなの話し合いで、全体が将来過剰設備のようなことのないように話し合いをしてもらいたい、こういう形で目下それを進めておるわけでございます。  他方、中小企業問題という角度からの先生の論点から考えてみますと、そういう大手六社の間である節度を守らせるということが、ひいては他に平電炉業者と申しまして、単に、平炉、電炉を持ちまして、銑鉄を買ってくる、あるいはビレットを入れて圧延をするというだけの業界がございます。そういった分野に対しても、設備過剰ということで将来値段が暴落するようなことになりますと、一番先にそういった分野が打撃を受ける心配がございます。われわれのほうが何とか自主調整でこれを極力いいところへおさめてもらいたいということをしつこく念願しますのも、一つはその問題を気にするからでございます。かたがた平電炉業界自体を振り返ってみますと、これは常にここが弱いために、鉄鋼というものが値段が下がり出したときに、政府としてはほっておけないということになってくる原因でもございますので、片方設備調整の円滑な遂行を期待いたしますと同時に、平電炉業界自身にも、いままでこれは一回も集まったことがないというたいへんな業界でございますが、ようやく全国組織をつくってもらいまして、一堂に会して、どういう方向に行くべきかということを真剣に検討してもらう。これが全部中小企業だといいますとおこられるかもしれませんが、相対関係においてはここは弱い分野でございます。そうして条鋼類等を中心に生産しておりますので、ここが景気変動の波を非常に受ける。上がったときは非常に上がって人に迷惑をかけるし、下がったときにはそのために全体の生産を何とかコントロールしなければならぬというようなことになるので、ここの体質自身を何とか強化する方法をお互いに考えようじゃないか、こういう呼びかけをいたしまして、鉄鋼部会の中に、片方設備調整をお互いでやっていきますのと並行いたしまして、平電炉小委員会というものを新たに設けまして、ここでいろいろやっておるわけでございます。ただ、これは中小企業というとしかられるかもしれませんが、中堅企業の長年自分の力で開拓をしてきた分野のそれぞれのヘッドでございます。議論はまことにいろいろな角度から出てきまして、まとめ上げることはなかなかたいへんな仕事であろうと思いますが、そういう意味においてこの問題困難でございますが、今後取り組んでいきたいという姿勢で進んでおります。
  53. 佐野進

    ○佐野(進)委員 大体いまの質問でわかりましたけれども、特殊鋼といまの中小鉄鋼業者との問題が、大企業のいわゆる過剰投資といいますか、ただ膨張すればいいという形の中で、その拡張をする犠牲にならないように、特に特殊鋼業に対する助成をする場合において、それらの企業が将来健全な発展をする、そういう形の中でやはり指導してもらう、吸収し、中小企業に圧迫を加えるという形にならないように、ひとつ配慮しながら進めてもらいたいということで、この問題の質問を打ち切りたいと思います。  第二点は、流通消費者行政の中で質問をしたいと思うのですが、さっき物価局長ですかが、用があるからということで退席を私も承認しましたので、それにできるだけ関係しないで質問をしてみたいと思います。  この重点の第七の流通、消費者行政の中で、私は、消費者物価が上がる一番大きな原因として農水畜産物、中小企業製品、サービス料金、これが消費者物価を押し上げておる最大の条件だということをたびたび聞かされておりますし、私の調査した面についてもそういうことになっておると思いますが、こういうような消費者物価を引き下げるため通産省当局が消費者行政を推進するという形の中において、これらの問題とどのような関係を持っておるのかという点をまず第一に聞いておきたいと思います。
  54. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほどの中で中小企業の問題がございました。農林水産のほうは、これは農業のほうの問題でありますから、サービスというのも多少関係がありますが、中小企業では労力の問題、これがやはり中小企業の製品の値を高くしている原因だと思います。そのほか、中小企業は生産性が乏しいので、したがって製品が割り高になっておるというようなこと、そういうことで、あとで詳しいことは政府委員から御説明申し上げますが、生産性を高めて、そして物を安くつくるということ、そういうことが通産省としてなすべきことだと思います。それと流通面においてもいろいろ通産省としてなすべき仕事がある。そういう手でこの中小企業の製品の価格の高いのをできるだけひとつ抑制したいというような方針をとっておる。その具体的なことは政府委員から答えさせます。
  55. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 流通対策、消費者行政が物価対策の観点から見てどういうことになっておるかという御質問であろうと思います。  通産省といたしましては、御指摘の消費者物価、それからさらに卸売り物価というものにつきまして、低位に安定するような努力を払っておるわけであります。昨年も卸売り物価につきましていろいろ広範な調査をいたしたわけでございますが、その調査のねらいといいますのは、物価を下げるのにどういう点に問題があるかという点を調べてみたわけでございます。御承知のように、生産面では中小企業はおくれておりますが、その他の面におきましては、最近合理化が相当進んでまいりました。そういう意味で生産コストは比較的下がりつつあるわけでございますが、流通関係になりますと、むしろ人件費が主であって、しかも合理化が進まないということで、むしろ物価を押し上げる要因に働いておる、こういうことでございます。したがいまして、今後消費者物価にしろあるいは卸売り物価にしろ、これを低位に安定させるための対策といたしましては、流通機構の合理化が一番大事ではなかろうかという感じでございます。その意味におきまして、この流通の合理化という問題は真剣に取り組んでまいりたい、こういうことでございます。なお、このほかに、御承知のように資本自由化に対しましても、この流通面というのは一番弱いものでありまして、そういう意味から見ましても、流通行政の拡充ということは必要であろう、かように考えます。  それから消費者行政の面でございますが、やはり需要者、消費者から見ますと、値段が安いということと同時に、品質がいい、安心して使えるあるいはアフターサービスがいい、こういうことが国民生活としては非常に大事な問題だろうと思います。そういう観点からいたしまして、できるだけこの消費者の声を生産、流通に反映さしていきたい。それと同時に、消費者がいろいろ買い物をされる場合に便利になるような措置も講じていきたい、こういうのが消費者行政のポイントでございます。物価、消費者行政あわせまして、国民生活の充実に寄与してまいりたい、こういう考え方でございます。
  56. 佐野進

    ○佐野(進)委員 流通機構の問題についてはしばらくおくといたしまして、消費者行政の面について私はちょっと聞いてみたいと思うのです。  いま通産省の行なう消費者行政は、いまのような非常にばく然とした程度しか説明がないわけなんですが、私は、消費者行政が大事だという通産大臣のこの方針に対して、たいした取り組みが法的にも実際の面においてもないことをいろいろ研究した結果発見したわけです。法律的には商品表示の問題をはじめ、二、三これに関連する法律はありますが、実際施策の面からいうと、各都道府県を通じて消費者行政について指示をする、あるいはそれに必要な予算をきめる、この程度しかやっていない。やっていないのに、重点の第七として消費者行政を取り上げる。これは全く、消費者行政というものはいま大切だというそういう世論にこたえるような、ただ単なることばとしての表現それ以外にないように感ずるわけです。ところが実際、物価問題が出るならば、必然的に消費者行政がその裏としてあらわれてこなければならないわけです。そういう面からすれば、いま言ったような答弁では全く不満足だといわざるを得ないわけです。通産行政における消費者行政について、重点の第七にあげるほどのことであるなら、もうひとつ実のあった答弁をしてもらいたいと思う。これは大臣からひとつお聞きしたいのです。
  57. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 具体的な対策についてはあとから政府委員からお答えいたしますが、御承知のとおり、戦後物が足らぬということで、物の量ということで生産政策が進められてきたと思います。しかし、大体物が足りていきますと、質の問題に入っていきます。そこで、今日では通産行政としては、われわれはもちろん生産のほうをやっておるのでありますが、その生産した品物は結局消費に充てられるのでありますからして、やはり消費というものを目標にして生産を進めていかなければならぬ。それには質のいいもの、できるだけ生産性を高めて安いものをつくる。そして必要な量は十分に満たすように、必要な量をつくるという、この三つが通産行政の私は根本だと思っておるのであります。それがすなわち、結局は消費者行政に当てはまることになると思うのであります。なお具体的な問題については政府委員からお答えいたさせます。
  58. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 先ほど抽象的に申し上げましたので、通産省の姿勢がうしろ向きのようなお感じを与えたかと思いますが、全般的にこの消費者行政といいます問題が、生産行政より私は正直に申し上げましておくれておるということは、率直に認めざるを得ないと思います。それだけに、私どもといたしましては、昨年から話し合っておるわけでございますが、今後の対策の樹立をはかっていかなければならぬ、こういうふうに考えております。先ほど先生御指摘のように、家庭用品品質表示法とか、あるいはいろいろな計量法というようなことで、法律的な面から前進しておる。特に計量法も、この六月から施行になるわけでございますが、昨年の国会におきまして、消費者部門の面から改正をいたしたような次第でございます。なお、そういういろいろな制度はございますが、私は、今後の消費者行政として一番大事な点は、やはり消費者のじかの声を生産、流通に反映していくという点ではなかろうかと思います。そういう意味合いにおきまして、従来、産業構造審議会の中に消費経済部会というのがございました。これはどちらかといいますと、家庭用品品質表示法をどういうような制度に持っていくか、従来は制度面の検討を主にやっておったわけでございますが、菅野大臣就任以来、これではいかぬということで、むしろ消費者代表、第三者にも多数入っていただきまして、具体的問題についてのじかの声を聞くという形にいたしておるわけです。その具体的な問題を消費者の方から出していただきまして、あるいはモニター制度によりまして、消費者の声を直接につかまえてまいりまして、それを政府で解決すべきものは政府で解決する。企業局といたしましては原局に連絡して解決する。それを消費経済部会に定期的に報告していただく。それから、この消費者行政といいますのは、これは通産省だけではうまくまいりません、むしろ業界全体といいますか、産業界がその気持ちになって、消費者の声を聞きながら、物をつくり物を売るという形にならないと完ぺきではないと思います。そういう意味合いにおきまして、むしろこの問題は消費者と産業界とが懇談されたほうがいいという問題になりまして、業界のほうにそれを申し上げまして、懇談会を持っていただく、それでその出た結論を消費経済部会に報告していただく、こういうことを考えて発足いたしておるわけでございます。非常にじみな問題でございます。じみな問題でございますが、根気強く、われわれは一歩一歩そういう施策を進めてまいりたい、かように考えております。
  59. 佐野進

    ○佐野(進)委員 先ほど来申し上げたとおり、流通問題については、物価対策に直接な問題がありますから、しばらくおくといたしまして、物価対策の観点から消費者行政を推進する、こういうことが方針に出ている。私は非常にいいと思うのです。いいと思うんだけれども、いま大臣が言われたり政府委員お話しになっているような点は、重点施策でありながら、じみだと言われるように、それは全く発想にしかすぎない。ただそう考えておる、そうやろうとしておるということだけだと思うのです、実際上の問題としては。では、具体的に、ことしはいつどうやって何をやろうかという点の裏づけがなければ、いま一番むずかしい物価対策を中心とする消費者行政にはならないと思うのです。生産行政については、中小企業をはじめ、いろいろな点については、ほんとうに全体を通じて非常に強く、いろんな面で意欲的なものが出ておりますが、さて消費者の利益を守るということになると、それらについてはほとんど出ていない。かろうじて出ているのはこの最後なんです。その最後のこの文句の中においても、いま大臣が言われたように、こう考える、それからこうだと思いますという程度にしかすぎないと思うのです。私はそういう点で、消費者行政を守るということは、物価を下げる、あるいは安い物を買わせるようにする、こういうことと同時に、実際上の行政措置として、消費者の利益を守るために、通産省の持つ権限の中で具体的に取り組む要素が幾つかあるんじゃないか、なければならないと思うのです。そういう点について通産当局のほうで検討されたことがあるかないか。いわゆる通産六法、私どもこれを見ておりますが、この中で、いま直ちに取り組むことによって消費者の利益を守る、消費者というか、一般国民の利益を守る物価対策上から何か得られるものがあるような気がするんですが、そういう点について検討されたことがあるのかないのか。もっと具体的に申し上げますならば、何かいまやろうとする消費者行政の中心的なポイントが、いま政府委員お話しになった以外にこれとこれとこうだという、それについては国民は大いに賛成して、やってくれ、こう言われるような意欲的なものが出てこなければならぬと思うのですが、そういう面についてあるかないか、ちょっとお聞きしたい。
  60. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 先ほど来申し上げますように、消費者行政のポイントといいますのは、やはり消費者が買い物をいたします場合に、最近商品が相当高度化してまいりましたので、間違いのないように便宜をはかっていただく、知識を普及していただく、こういう点が一つのポイントだと思います。それからもう一つは、消費者というものはこういうものを要求しているんだというような声を聞く、あるいはアフターサービスについてはこういうようにしてもらいたいという声を聞く、それを生産、流通にできるだけ反映していく、こういう面が第二の点でございます。それから第三の点といたしましては、第一の問題にからむわけではございますが、家庭用品品質表示法とかあるいは計量法というように、法律、制度によりまして消費者を保護していくという点があろうかと思います。そういう三つのポイントがあろうかと思いますが、最後のポイントは、先ほど申し上げましたように、家庭用品品質表示法の品目追加とか、あるいは計量法におきます量目の適正化というような問題を通じて拡大してまいりたい。それから消費者の声を聞くという問題は先ほど申し上げましたが、消費経済部会、特に産業界を結びつけてそういうものを運用していく。さらに今年度は、これは通産省だけではございませんが、モニター制度というのを拡大することにいたしております。通産省には従来三百名のモニターがおったわけでございますが、これを五百名に拡大したわけでございます。経済企画庁におきましても、こういう面についてのモニター制度を活用するということになっているわけでございます。そういうようにいたしまして、非常にこまごました問題ではございますし、あるいはじみな問題ではございますが、われわれとしては、やはり可能な問題を取り上げて前進したい。それからなお、消費者行政としてこういうことをやるんだ、あるいは消費者の声はこういうところにあるんだから、こういうことをやるんだという計画がないじゃないかという御疑念もあろうかと思いますが、われわれのかまえといたしましては、やはり消費者がいまの時点において一番問題にしていることに重点を置いて解決してあげるのが効果がある方法だと思います。そういう意味合いにおきまして、消費経済部会におきましても、百貨店と消費者の懇談会を開いております。それで、買物の場合のサイズの統一とか、そういう問題をやっております。それから家庭電化製品についてアフターサービスの問題、安全性の問題、こういう問題を具体的に産業界と消費者の場で取り上げていただいておるわけでございます。そういうようにいたしまして、消費者の声を聞きながら、ポイントに重点を置いて施策を進めてまいりたい、かように考えております。
  61. 佐野進

    ○佐野(進)委員 どうもかみ合わないで困るのですがね。物価対策の観点を中心として、消費者保護のための行政をさらに拡充する、そういうことで消費者行政を推進する、こういうことが重点施策だ、こういうのですよね。ただ単なる通産行政の中において、消費者行政を推進するというのではないのですね。したがって、当面、一番問題になる物価対策の観点に立って消費者行政を推進するということになるならば、いわゆる、いかに安い物を確実な品物として消費者が簡単に買うことができるか、そしてそのことによって生活を豊かにすることができるかということが問題でなければならぬと思うのです。ところが、いまのお話では、単なる通産行政の中における消費者行政として、何かやることがないのかということで、こういうことがあるんですという説明にしかすぎないと思うのです。いま国民が願っておる、消費者として消費者行政をしてもらいたいという――このことはいいのですよ。ここに書いてある文章はいいんだけれども、文章に合うようなものが、いまの説明の中では何もないんじゃないですか。何もないといっては言い過ぎになるかもしれませんけれども、たとえばきょうの新聞で、物価安定推進会議が幾つかの問題を上げている中にも、あるいは議論している中にも、具体的に牛乳の問題が出ていますね。あるいはこの前のあれでポッカレモン問題が出ていますね。そういうようなことで、これは通産行政の範囲でないんだということになれば話は別ですよ。そういう消費者行政ということで通産省が取り組むという範囲が一体どこにあるのかということにおのずとその問題はなってくるのだけれども、物価対策だということになるならば、そういう面についていま少しく取り組む幅があってもいいのではないか、いやむしろそうしなければならぬではないか、こう思うから私はお聞きしたいと再三言っておるのですがね。
  62. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 御質問の御本旨は大体了承したのですが、政府委員のほうでは、消費者行政という小さいワクの中でどういうことをやっておるということを御説明申し上げたと思います。物価全体に対しての通産省の行政といたしましては、たとえばことしの三月ごろ鉄の値段が非常に上がったというようなときに、何とかして鉄の値段を下げなければならぬというようなことで、業者を集めて、ひとつ鉄を安く売るようにやってもらいたいということになって、なお下がらなければ、この際鉄を輸入したらいいじゃないかということまでお願いをした。それで鉄の値段が下がってきたというようなことです。そういうようなことで、貿易の上においても、これはやはり物価ということを考え貿易をやっておる。ほかの例も申し上げると多々あると思いますが、いま頭に浮かんできたのは、たとえば台湾から入ってくるバナナが高い、それでは中南米の安いバナナを入れたらどうかというようなことで、バナナの値段を安くする。そういうわけで、貿易政策においても消費者のためになるようにということでやっておるわけであって、これがいろいろな点に関係がある。そういう点がいろいろの方面にあると思います。たとえば設備の近代化をはかるということは、それによって生産性を高めて、したがって、いい物が安くできるということなんで、金がなければ融通してあげる、近代化、高度化をはかるための資金を融通するというようなこと、それもやはり一つの消費者行政だと思うのです。そういうことで、通産省の仕事というものは、結局は消費者を目当てにやっておるというように、ひとつ大きくお考えくださったらけっこうじゃないか、こう思っておるのです。
  63. 佐野進

    ○佐野(進)委員 いまの大臣の答弁で、やや近づいてきたような感じがするのです。ことしの重点の第七と言われており、いわゆる大臣が仕事をやる上に大切な仕事だとして特に取り上げているのですから、ただ、いま消費者が高物価で悩み、いろいろの問題で苦労しておるから、こういう文章を一つ入れなければだめなんだぞと言われて書かれるような、さっきの政府委員説明では私は満足できないですよ。どう考えたって、それは単なることばの羅列にしかすぎない。特にこれが当面する国民生活の上においては一番重要だと思われる点ですから、そういう面でいま大臣お話しになったようなことについて、体系的に消費者行政とはかくあるべきだということについて、通産行政としてこうなければならないのだということについての、先ほど来お話のあった単なる好況の際の商品がどうだとかこうだとかいうことでなくて、国民が安心して手がたたけるというような、そういう面についての方針を立てられるお考えがあるかないか、この際ちょっとお聞きしておきたいと思うのです。
  64. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 物価の問題については、通産省としては、先ほどからも繰り返し申し上げますとおり、安くいい物を必要な量つくるということであって、それがやはり消費者本位で考えるということでありますからして、そのときどきに応じてまた処置考えていかなければならぬ。しかし物価という問題は、これは通産省ばかりではありません。運輸省も関係があるのです。建設省も関係があるのです。物の値段の大部分というものは今日運賃だと思うのです。それを安くするということは、道路をよくするとか、あるいは鉄道をよくするということ、それらもあわせて考えていかなければならぬことで、今度政府のほうでは、この物価問題についての閣僚懇談会を設けまして、それらの各関係大臣が寄って、そういう問題を対策を講ずるということにいたしたのでありますが、これは学識経験者も入れて研究することでありますが、そういうようなことで、この物価というものは、農林省も、通産省も、運輸省も、建設省も、みなこれはやらなければならぬ、こう思います。牛乳の点などでも、もっと道路がよくなれば牛乳も安くなるのではないか。長野県あたりからの牛乳が簡単に東京にすぐ運ばれるということになれば、生産者から消費者へというような制度ができれば、牛乳の値段なども安くなるのではないか。野菜類などでも、御承知だと思いますが、あるいはパリやその他の大都会などにおきましても、生産者自身がオートバイに載せて、つくったものを一ぱい持ってきて、それで売っておるということで、町の人、奥さん連中はかごを持って買いにいくということであるからして、したがって、日常のそういう食料品が安く買えるというようなことで、そういうことで流通機構の問題、交通の問題いろいろ各方面を合わせていかなければ、物価問題というものは解決はできないということを考えておるのでありまして、そういう意味政府が特に公共投資ということについて力こぶを入れる。いままで物価が高くなったのは、民間の設備投資だけはどんどん伸びたけれども、公共投資がおくれたために、したがって輸送費が高くなる、あるいは労賃が高くなるというようなことで物価が高くなったので、各方面を勘案してこの際物価問題に取り組みたいというのが、この佐藤内閣の政策でありまして、これをひとつ順次実現していきたい、こう考えておる次第であります。
  65. 佐野進

    ○佐野(進)委員 質問がまだありますけれども、一応留保しておきます。
  66. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 関連して……。  大臣が何か一時からお出かけになるそうですから、ごく簡単に大臣に二分か三分時間をかりてお尋ねいたしたいと思います。  最近、自動車生産に非常に通産省が力を入れられ、また業者自分も真剣に取り組んで、自動車生産というのがうんと向上してきた。それで、ここ二、三年の間の生産量と、それに伴いますところの自動車輸出、これがどのような状況になっておるかということをちょっとお尋ねいたしたいと思います。
  67. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま手元に資料がありませんから、あとからお知らせいたします。
  68. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 私は関連質問ということでありますので、通告がなかったし、資料がないなら、それでけっこうです。今度あらためてゆっくり聞くことにいたしたいと思いますが、最近の陶磁器だとか、繊維類だとか、あるいは玩具だとかいう輸出に対して、業者たちの声を聞いてみますと、非常に不振だというのです。商売がうまくいかない、輸出が非常に少なくなってきたというようなことを言って、いままでどおりのような調子にいかないと言って騒いでおるけれども、この点はどうでしょう。
  69. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 それはアメリカ向けの品物でないかと思いますが、アメリカは御承知のとおり最近経済状態がよくないので、したがって日本品の輸出が鈍っております。それであるいは陶器などの輸出も私は鈍ってきたのではないか、こう思うのです。アメリカの景気は経済状態が下期になればよくなるというように、アメリカの内部においても観測をしておりますから、私は下半期になればそういうほうの輸出もまたふえるのではないかというように考えております。
  70. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 ありがとうございました。それでは忙しい大臣にはお帰りいただくことにいたしまして、あとの方にちょっともう少しお尋ねをいたそうと思います。  いまの大臣の話を聞きますと、陶磁器だとか、繊維類だとか、あるいは玩具だとかいうような輸出に対しては、アメリカ向け以外には――アメリカ向けのは非常に悪くて、これは下半期になってくればよくなるのではないかという見通しであるというお話でありますけれども、そうでなくて、東南アジア向けの情勢に対しての見通しというものはどんなお考えで、どんな状況になっておるかということを私ちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、資料ありますか。――政府委員がいないようでありますから、それでは午後にします。
  71. 島村一郎

    島村委員長 それでは午後二時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。   午後一時五分休憩      ――――◇―――――   午後三時三十九分開議
  72. 島村一郎

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  去る十六日付託になりました内閣提出特定繊維工業構造改善臨時措置法案及び同じく中小企業振興事業団法案を議題とし、通商産業大臣より趣旨の説明を聴取することにいたします。菅野通商産業大臣
  73. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただいま議題になりました特定繊維工業構造改善臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  わが国の繊維工業は、国民の衣料及び生産用資材を供給するとともに、多額の輸出を行なうことにより国民経済全体の発展に大きな役割りを果たしてきた重要産業であります。  しかるに、最近、わが国の繊維工業を取り巻く内外の経済的環境は、一段ときびしさを加えるに至っているのであります。すなわち、国内におきましては、若年労働者を中心とする労働力需給の逼迫と、これによる賃金の急上昇によって労働集約的産業である繊維工業の存立の基盤に重大な影響を与えかねない情勢になっており、また、複合繊維化の進展は、従来の繊維工業の供給構造に変革をもたらそうとしております。  外国に眼を転じますると、発展途上国における繊維工業の目ざましい発達によって、従来、海外市場において圧倒的地位を誇っていたわが国の繊維製品が次第に後退を余儀なくされつつあります。この間にあって、先進諸国によるその繊維工業の構造改善策が相当の効果をおさめつつあることは、一方では、わが国にとって楽観が許されないできごとでありますとともに、他方、わが国繊維工業の構造改善の早期実施に対する教訓を与えるものと申せましょう。  ひるがえって、わが国の繊維工業は、過去十数年にわたって公的規制のもとに置かれてきたのでありまするが、この間において、企業数の過多、企業規模の過小と設備過剰の事態は改善されず、依然として過当競争を繰り返し、このため収益力の低下により近代化投資の著しい遅延をもたらし、これが国際競争力を低下させるという悪循環におちいっています。  繊維工業に見られるかような事態は、国民経済全体の立場から見て放置し得ないものであり、早急にその国際競争力の強化をはかるため、その構造改善対策を早急に樹立すべく、一昨年十二月に通商産業大臣の諮問機関である繊維工業審議会及び産業構造審議会に対し、「織維工業の構造改善対策はいかにあるべきか。」との諮問をし、その後両審議会において鋭意審議が行なわれた結果、昨年九月には、特に対策実施の必要性が大きく、業界のこれに対する熱意が旺盛であり、かつ、対策についての準備の整いつつある紡績業及び織布業についての答申を得ることができたのであります。  その後、政府といたしましては、この答申の趣旨を尊重し、必要な施策の内容及びこれに対する助成措置について鋭意検討を加えました結果、昭和四十二年度を初年度として、ほぼ答申の趣旨を体した施策を実施するのに必要な予算等の措置を講ずることとなりました。これに合わせ、この施策を実施するために必要な法律的裏づけを得るため、特定繊維工業構造改善臨時措置法案を作成し、提案することとなった次第でございます。  次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。  第一は、その対象業種としては、繊維工業の中心的業種である特定紡績業、すなわち綿糸、スフ糸、合繊糸及び混紡糸を製造する紡績業と特定織布業、すなわち綿スフ織布業及び絹人絹織布業としていることであります。  第二は、特定紡績業の構造改善について、通商産業大臣が設備の近代化、生産または経営の規模の適正化、過剰設備の計画的な処理その他構造改善に関する事項について特定紡績業構造改善基本計画及び毎年の実施計画を定めるものとしているのであります。そして、政府は、この実施計画に定める設備の近代化等の事項に関し資金の確保につとめ、また、基本的計画に定める過剰設備の処理に関し課税の特例を認めることとし、一方、その施策を講ずるにあたり関連労働者の職業の安定につき配慮するものといたしております。  第三は、特定紡績業の構造改善に関する措置のうち、過剰設備の計画的な処理に関しましては、通商産業大臣が特定紡績事業者に対し・その特定精紡機の繊維工業構造改善事業協会への一括売り渡し等に関する共同行為を指示することとし、さらに、共同行為の指示の後、特に必要ある場合には、特定精紡機の処理に関する命令をすることができるものとしているのであります。  第四は、特定織布業の構造改善について、特定織布業商工組合がその地区内の組合員の設備の近代化及びこれに伴う設備の処理、生産または経営の規模の適正化等の構造改善に関する事業の実施のため特定織布業構造改善事業計画を作成し、通商産業大臣の承認を受けることができるものとしているのであります。そして、政府は、承認を受けた計画に従って実施する事業について資金の確保につとめ、設備処理の事業につき繊維工業構造改善事業協会を通じて補助金を交付することができるものとし、また、特定繊布業商工組合の構造改善準備金への積み立てに関し課税の特例を認めることとし、一方、その施策を講ずるにあたり関連労働者の職業の安定につき配慮するものといたしております。  第五は、繊維工業構造改善事業協会についての規定であります。協会は、この法律に基づき、業界関係者、関係都道府県知事及び学識経験者が発起人となって定款を作成し、通商産業大臣の認可を受けて、一を限って設立されるものであり、協会の資本金は、設立の際等に政府が出資する金額をもって構成するものとしているのであります。  次に、業務に関しては、協会は、特定紡績業における過剰設備の処理のための特定精紡機の買い取り及び廃棄、特定紡績業及び特定織布業の事業廃止者からの設備の買い取り及び廃棄、特定紡績業にかかる納付金の徴収、特定織布業構造改善事業に必要な資金調達をはかるための保証及び融資その他構造改善に関する業務を行なうものとしているのであります。  協会の業務のうち特定織布業構造改善事業に必要な債務保証及び融資の業務に関しましては、政府からの出資金及び特定織布業商工組合からの出指金によって構成される信用基金を設けることとしております。  また、協会は、特定紡績業における過剰設備の買い取り及び廃棄または特定紡績業の事業廃止者からの買い取り及び廃棄の費用に充てるため特定紡績事業者から納付金を徴収することができるものとし、その徴収につきましては、強制徴収ができるものとしているのであります。  さらに協会の監督につきましては、その業務の公共的性格から通商産業大臣が監督するものとしているのであります。  第六は、この法律の廃止につきましては、構造改善対策が五年間にわたって実施されることと関連して、昭和四十七年六月三十日までに廃止することとしているのであります。  第七は、本法律の附則により繊維工業設備等臨時措置法の一部改正を行なおうとすることであります。  繊維工業設備等臨時措置法は、繊維工業の合理化等をはかるため、過剰設備の廃棄の促進等に必要な措置を講ずることを目的として昭和三十九年に制定、施行されたものでありますが、今回、繊維工業の構造改善の円滑な実施を確保するため、昭和四十三年九月限りで失効する同法の期間を昭和四十五年六月まで延長すること、昭和四十二年九月限りで統合される精紡機の区分制を従来どおり維持すること、第四号の区分に登録された精紡機の一定比率の廃棄を条件としての第一号の区分への変更登録を認めること、過剰精紡機の格納の延長等の改正を加えることとしているのであります。  以上御説明申し上げましたように、繊維工業の経済的諸条件の著しい変化にかんがみまして、特定繊維工業の構造改善をはかるため、特定繊維工業につきまして、設備の近代化及び生産または経営の規模の適正化の促進、過剰設備の計画的な処理等のための措置を講じようとすることが、本法律案をここに提出する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、中小企業振興事業団法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  申し上げるまでもなく、中小企業は、わが国経済においてきわめて重要な役割りを果たしておりますが、最近の中小企業をめぐる経済環境は一段ときびしさを増しており、外にあっては資本取引自由化の要請、発展途上国の進出等による国際競争の激化、内にあっては労働需給の逼迫や産業再編成の影響等激動する内外の経済情勢に対処するため、わが国の中小企業は画期的な構造改善を迫られております。  政府といたしましては、中小企業の構造改善を促進するため、従来から各種の施策を実施してまいりましたが、このような最近の経済情勢の変化に対処してわが国の中小企業をより一そう振興するためには、中小企業の構造改善を推進するための指導と助成を有機的かつ総合的に実施する専門的な機関が必要であると考えられます。  中小企業振興事業団は、このような要請にこたえるため、現行の中小企業高度化資金融通特別会計と特殊法人日本中小企業指導センターを発展的に解消し、両者を統合して一つの総合的な機関とするものであります。  次に本法案が規定する中小企業振興事業団の概要を御説明申し上げます。  まず事業団の資本金としましては、一般会計からの出資金約百四億円のほか、中小企業高度化資金融通特別会計の貸し付け金債権等約百四十億円と、日本中小企業指導センターへの出資金約六億円を引き継いで、合計で約二百五十億円を予定しており、役員は、理事長以下七名を予定しております。  次に事業団の業務といたしましては、中小企業の構造改善を促進するために必要な事業を総合的に行なうこととしておりますが、これを法案に即して御説明いたしますと、まず第一は、指導事業であります。中小企業の構造改善を促進するためには、大企業の場合と異なり、何よりも親身になって相談に応じ、適切な助言を行なうことが大切であります。事業団は、都道府県と協力して中小企業者の依頼に応じて必要な指導を行なうこととしております。  第二は、資金の貸し付けあるいは施設の譲渡事業であります。事業団は、都道府県の助成を前提に、都道府県と協力して中小企業者の事業の共同化、協業化を中心とする構造改善事業あるいは織布業が産地組合を中核として行なう設備の近代化、企業の集約化等の構造改革事業に対して長期、低利の資金の貸し付けを行なうとともに、さらに中小企業者の依頼に応じてこれらの事業に必要な施設の分割譲渡を行なうこととしております。  第三の事業は研修事業であります。企業の発展をささえるものは、何よりも人でありまして、本事業団は、中小企業の経営管理の合理化や技術の向上をはかるため都道府県の指導担当者を養成するとともに、中小企業者またはその従業員に対する研修にも力を注ぐこととしております。  事業団は、以上の業務のほか、これらの各業務を行なうための基礎となる中小企業に関する情報の収集や調査研究を行ない、その成果を広く中小企業者に普及する事業も行なうこととしております。  本法案は、さらに事業団の借り入れ金や債券の発行等の会計に関する規定を置くとともに、附則におきまして、中小企業近代化資金等助成法、中小企業指導法その他の関連法律につきまして所要の改正を行なうこととしております。  なお、最後に、本事業団の監督は、通商産業大臣が責任を持って当たることとしております。  これが、この法案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  74. 島村一郎

    島村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ―――――――――――――
  75. 島村一郎

    島村委員長 通商産業基本施策に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。質疑を続行いたします。丹羽久章君。
  76. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 それでは先ほどちょっと質問申し上げましたうちで、陶磁器、繊維、玩具の輸出、これに対する答弁をお願いいたしたいと思います。時間の関係大臣が非常に急いでいらっしゃったので、ごく簡単に話を終わってしまいましたから。時間がありませんので、ごく簡単でけっこうですからお願いをいたしたいと思います。
  77. 今村曻

    今村(曻)政府委員 丹羽先生御指摘のように、最近の数字を調べてみますると、繊維製品、陶磁器、玩具等の輸出が一ころほど伸びておりません。特に繊維につきましては、ことしの一月以降、昨年の同期に比べましても実は減少しておる、そういう状況になっておりますが、その理由はいろいろあろうかと思いますが、考えられますことは、繊維につきましてはアメリカの景気が沈滞しかけておりまして、非常に伸びかかっておりました合繊が頭打ちになっておるということが一つございます。それから、綿製品につきましても同様の関係がアメリカについてございますが、ひるがえって東南アジア等の後進地域につきましては、やはり片貿易関係輸出がなかなか伸び悩んでおるわけでございまして、かつ昨年は、インドネシアの例の委託加工等が、後進国の競争にあいまして日本に注文が来なかった。したがって、それで綿製品の輸出実績が落ちたというような不幸な事例がございましたために、輸出が伸び悩んでおるのが実情でございます。それから陶磁器、玩具等につきましても、これも同様アメリカの景気の最近の不振、それから後進地域向けの輸出につきましては、発展途上国の同様の製品の競争が激しくなりまして、そのために日本のシェアが食われておる、こういう状況が出てまいっておるように思います。これらの商品はいずれもわが国輸出から見ますと非常に重要な商品でございますので、私どもといたしましても、何とかこれを伸ばすようにしたいということでいろいろ努力をしているわけでございますが、何と申しましても、やはり根本は国際競争力を強めるということでございまして、企業の体質ないしは産業構造、こういうものをやはり立て直していくということが根本でございます。それに関連して国産技術の開発とか、いろいろな問題があろうかと思いますが、特に繊維、雑貨の分野におきましては、申し上げましたように、後進国の追い上げが非常に急でございますので、やはり製品の品質を改善すると同時にこれを高級化していく、そして日本と後進国のものとが競合しないように、高級なものにだんだん仕上げていくというような方向で業界を指導してまいりたいというふうに考えております。  なお、具体的な施策といたしましては、通産省は一昨年から海外で貿易会議を開きまして、これは輸出会議の海外版でございますが、特に繊維品、雑貨等のものを取り上げまして、その主要な輸出先におきまして現地で会議をいたしまして、そして輸出上のいろいろな問題点、特に輸出秩序の問題、これらを中心にいたしまして検討して、改善の方法を打ち出してまいっております。またその国の需要の傾向、あるいはまた第三国からの競争の状況がどうなっているか、こういう点も事こまかに審議いたしまして、具体的に輸出の振興をはかっております。
  78. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 よくわかりました。それで私のお願いいたしたいと思うことは、中小企業、零細企業者は非常に輸出が伸び悩んでおり、同時にストック品が多くなっておる、出るものが出ないというような状態で困っておりますから、どうぞひとつ政府当局においては慎重にお考えいただいて、指導していただき、そして先進国に売っていけるような品物は、どのようなものを与えるならばこれがいけるかということ、現在の日本は戦争放棄をし、そして平和国家としての経済一本で成り立っていかなければならないということは、私が申すまでもなく、あなた方十分御存じのはずでありますから、十分にその点を考慮に入れてもらって、指導していただくようお願いをいたしまして、この問題は一応終わります。  では第二の問題でありますが、これはどうしても聞いておかなければならぬと思うことですけれども、最近の自動車、これは大臣にもお尋ねいたしましたけれども日本の自動車の生産量は非常に伸びてきたのです。それについて昨年と一昨年のトラック、乗用車の生産量はどの程度であるかということをひとつお答えしていただきたいと思います。
  79. 赤沢璋一

    ○赤沢説明員 四十年度、四十一年度の乗用車並びにトラックの生産台数でございますが、まず乗用車のほうから申し上げますと、四十年度は七十二万一千五百二台、四十一年度が九十八万二百三十七台、四十一年度は四十年度に比べまして二二六%の伸びでございます。  トラックでございますが、トラックは、普通のもの、小型トラック含めまして、四十年度が百十九万七千百五十二台、四十一年度が百四十六万四千百二十八台、四十一年度の対前年度比は一二二%でございます。
  80. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 四十年度、四十一年度の伸びは相当たくさんな伸びをいたしておりますから、非常にけっこうなことだと思うのです。それについて私はお尋ねいたしたいと思う点が一点ありますが、自動車で、乗用車、トラック、これが、四十年のことはいいといたしまして、四十一年はどのくらい海外へ輸出せられたかということをひとつお尋ねをいたしたい。
  81. 赤沢璋一

    ○赤沢説明員 四十一年度の輸出でございますが、乗用車につきましては十七万二千百十九台、対前年度比一五五%、五割も輸出が伸びております。  トラックのほうは、四十一年度十一万百五十七台が輸出をされておりまして、これも対前年度で申しますと一二%の伸びでございます。
  82. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 百万台からできておるうちの十七万、出た率からいうと、四十年から見ると五割の伸びがあるということでありますけれども、実際のでかした量からいったら、伸びは五割であっても、自動車の全体が百何十万台できているうちで、十七万や十一万の自動車では、これはどうかと思う。今後の見通しは、非常に日本の自動車というものが海外へ伸びていくという十分な見通しがあるかどうかということ、この点をもう一度お尋ねいたしておきたいと思います。
  83. 赤沢璋一

    ○赤沢説明員 まず乗用車でございますが、乗用車につきましては、現在のところ対米市場、オーストラリア、大洋州、こういった方面から、さらにヨーロッパのほうに輸出が伸びてまいっております。そういったような点からいたしまして、四十一年度は五割も伸びたわけであります。非常な伸びでございますが、今後五割も伸びるということはなかなかむずかしいと思います。ただ現在、乗用車の将来の伸びを予測いたしてみますと、やはり毎年々々少なくとも二割以上の伸びでここ数年間は乗用車は輸出されていくのじゃないか、こういうような感じでございます。  トラックのほうは、これは年によりましていろいろばらつきがございます。主として東南アジアが中心の輸出でございますので、ばらつきがいろいろとございますが、今後とも輸出としては相当程度伸びていく、こういうふうに考えてよろしいかと思います。
  84. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 あとがつかえておりますので、新幹線並みにお聞きをして終わることにいたしたいと思います。  もう一点だけお尋ねをいたしたいと思いますことは、日本が現在使っている原油、原油を持ってきて、石油にしたり軽油にしたりあるいはガソリンにしたりしておる。これは一体現在どのくらいの輸入をせられておるのかというのが一点。そうして国内でとれる量はどの程度であるか、この点をひとつお尋ねいたしたいと思います。
  85. 両角良彦

    ○両角政府委員 昭和四十一年度におきましてわが国で輸入いたしました原油は、九千九百八十九万五千キロリットルでございます。これに対しまして、国内で生産されました原油は七十七万一千キロ、全体の中で九九・三%が輸入に依存をいたしておる、かような数字になっております。
  86. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 九九・三%が輸入であって、国内でとれるのがあとの〇・七%ですか。そうすると、こういうことを考えてはいいことではないと私は思うが、これも一つ考えのうちに入れておかなければならぬと思いますが、もしも船が原油を運ぶことのでき得ないような事態になってきた場合、日本でとれる原油というのは〇・七%だ。そうすると、九九・三%は外地から持ってくる。これは全部ストップしてしまう。そうなってきたときに、日本はそういう事態が起きても心配なく現状のすべてが円滑に運営せられて何年くらい持ちこたえる用意をしておられるのか、あるいは何ヵ月くらいの用意をしておられるのか。それはたいへんな問題だと私は思う。ベトナムの問題が不幸にして世界大戦へ導かれるようなことはあり得ないとは思いますけれども、もしそういうようなことになってきて、原油の船がストップしてしまったというような事態になってきた場合には、一体どういうような考え方、どういうような措置をとられるか。いまどれだけの手持ち量を政府としては民間と共同で持っておられるか。この点ひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  87. 両角良彦

    ○両角政府委員 ただいま御指摘のございました点は、石油の安定供給の上でまことに重要な問題点でございます。さような見地から、現在わが国におきます石油の貯蔵、すなわち貯油の増強ということをはからなければならないと考えておりますが、今日の状態は、わが国におきます貯油は、製品で二十三日分余り、原油で十九日余り、合わせまして四十三日分、約一ヵ月半分が国内で貯蔵されております。西欧諸国におきましては、これが現在六十日分、約二ヵ月分が貯蔵されておるのが通常になっておりますので、わが国はなお今後とも一そう貯油の増強をはかっていく必要がある。さような見地から、たとえば大型の原油基地の建設あるいはタンクの貯蔵能力の増強等々につきまして、今後とも十分政府といたしましても業界の指導をいたしてまいりたいと考えております。
  88. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 西欧の話が出ましたが、西欧では、二ヵ月、日本では大体一ヵ月とおっしゃるけれども向こうは運搬しなくても、ふき出すやつをそのままにすれば使えるけれども日本は持ってきてもらわなければいかぬ、また運搬しなければならぬ。そこに私はいまの局長さんの見解といささか違った見解を持っている。そういうことであるけれども、そういう心配をしておる。だから、これから大型のやつを持って、もしもの事態のときにはもっと耐え得るだけの体制を整えようと思って、いま考えつつこれを進めていこうという考えだということなら、もうこれ以上何も質問することはないんです。しかし、あなたがそういうようなことだけで済まそうということだというと事態がたいへんなことになる。だから、あなたがこれからこれをほんとうに実行に移していこう、大臣をはじめ皆さんが民間にも協力さして、そしてどんな事態があっても、そう心配しなくても、当分のうちはいけるんだという体制をひとつ特に主管であるところの通産省考えてもらいたい、こういうことを私はお願いするのです。  以上をもちまして、あとの質問者もございますので、私の質問は終わることにいたします。どうも御苦労さまでした。
  89. 島村一郎

    島村委員長 佐野進君。
  90. 佐野進

    ○佐野(進)委員 だいぶ時間がたって、もうあまり長くやることはどうかと思いますので、いろいろ聞くものがございましたが、省略しまして、しぼって質問をいたしたいと思います。  さっきの消費者行政の問題ですが、通産当局のお考えを聞いておりますと、消費者行政についてきわめて熱意が不足しておる。考えはあっても、それをどう実行するかということについては具体的な内容が乏しい、こういうことを痛切に感じました。したがって、いろいろありますが、それらの点は省略して、一点にしぼって、こういう点についてどうかということについて御質問をしてみたいと思います。  通商産業六法の中に通産行政として、公共事業的性格を持つものの中で電気事業とガス事業については通産省がその料金やその他指導について責任を持つことができるというぐあいに書かれております。そこで今日の物価対策上から消費者の生活を守るということになりますれば、当然生産過程の中における原価の引き下げ、あるいは流通部門におけるところの単価の引き下げ、その他先ほど大臣も言われたようないろいろな点が考えられなければならぬと思うのでありますが、直接的に効果を発揮し、しかも具体的に消費者である国民に喜んでもらえる点としては、電気料金並びにガス料金に対して適切なる通産行政としての指導があれば可能だと思うわけであります。そこで私どもの知っておる範囲においては、まず電気事業から入りますれば、全国的に電気事業における収益性の向上、こういうところから、ある特定の電気事業会社については、その料金の引き下げないし訂正、改正といいますか、そういうことをやっておるやに聞いておるわけでありますが、これらの点について少しく具体的に御説明を願いたいと思うわけであります。
  91. 安達次郎

    ○安達政府委員 消費者行政との関係におきまして電気事業行政、ガス事業行政にちょっと触れてみますと、電気事業法におきましてもガス事業法におきましても、消費者の利益、事業の健全な発達、公共の安全の確保ということを目的にうたっておりますように、消費者の利益の保護ということを第一の柱にして考えておるわけであります。そこで電気事業を中心に御説明申し上げますと、昔からいわれております良質な電気を豊富にしかも低廉に、しかも安全に供給すること、そこら辺のところに電気事業なら電気事業行政の中心があろうかと思っております。そこで料金の問題について言いますと、ただいまのところ料金は電気事業法――ガスにおいても同様でございますが、いわゆる認可制のもとに置かれておる供給規程の中で、健全な運営のもとにおける必要な原価に適正な利潤を加えたものというようなことで料金をきめるのだということがうたわれております。そしてそれに基づきまして、電気においてもガスにおいても料金の算定基準というものができておりまして、厳密な原価計算、それから料金制度がきめられておるわけでございます。御指摘のように、最近電気事業におきましても、電気事業は御承知のように、事業者が分割されて、全国に九電力会社があるわけでございますが、経理状況はみなまちまちでございます。これは発電構成、需用構成なりの事情があるわけでございますので、当然みなまちまちでございますが、その中の一部のものにつきましては、特に最近経理状況が好転しておると見受けられる社もございます。そこで料金の問題に関連いたしまして、そのような経理状況おおむね良好と思われるところについて引き下げ――もちろん引き下げができましたら、これは消費者としても一番好ましい限りであるわけでありますので、その引き下げが可能かどうかという問題については、常にいろいろな関係資料をもって、特に最近の経理状況の好転したような情勢を盛り込みまして、常時慎重に検討を重ねてきているわけでございます。ただいまのところ、一般論的に申しますと、確かに過去におけるように、量が足りなくて電源開発に追われて、そしてそのための設備資本比が著しく高騰した結果いわゆる九電力中の六つか七つの会社に至るまで料金値上げをしなければならなかったというような情勢は、大体昭和三十七年くらいには終わっております。そして、今後とも大体料金の値上げをする必要のある会社、ここ近い機会に値上げしなければならないかと思われるような会社はただいまございません。問題は値下げのほうでございます。そういう会社につきましても、いわゆる電源開発が、そういう資本比への圧力こそ相対的に減ったものの、やはり同じく送電、配電、いわゆるそういう系統強化と申しましょうか、送電、変電、配電施設の強化、特に配電なんかにつきましては、過度に集中しておりますところの大都市などにおいては配線の地中化というようなこと、あるいは特に企業の社会的責任からして果たさなければならない公害防止への施設というようなことで、電源開発それ自体の圧力は相対的に減ったものの、やはり相当な設備投資が予定されているわけでございます。そのようなことから、やはり資本比の圧力は相当収支上に影響を持つであろうというふうに私たち考えております。  そういうことで、現在の収支状況の好転、これだけでは結論を出しにくいわけでございまして、ある程度少し前広に長期的に収支の状況を見て、そしてその料金値下げをしても、将来それを理由とするような値上げの可能性が出ないような情勢、その辺のところを確認してでないと、ある程度大幅な料金値下げということはむずかしかろうかと考えておるわけでございます。ただいままでのところ、常時そういう九電力の経理の状況等については慎重に検討を重ねておりますし、それから、それぞれの比較的長期的な収支計画といいますか、見通しと申しましょうか、そのようなものを常時用意していろいろと検討されておりますけれども、そういう見るべき幅の料金値下げをやっても、後日の料金の不安定を招くような心配は要らないという確信を持てるところまでにはまだ到達しておりません。  それからガスについて一言触れますと、ガスは御承知のように、ただいまガス事業法の許可を受けた事業者がおおむね二百二十三ほどございます。そのうちの二、三の会社につきましては、相当他の業界の大企業の列に並べても恥ずかしくない程度のところのものがございますけれども、あと大部分が中小規模でございます。そしてその経理状況等につきましても、収支状況等につきましても、これも常時よく見ているわけでございますけれども、何と申しましょうか、相当部分が赤字経営になっている会社もある。それから収支とんとん、それから一応収支状況の特に良好のもの、大体そんなふうに分かれるわけでございますけれども、このガス事業の収支状況の良好な社会につきましても、やはり一般論としては、先ほど電気について申し上げたような事情と大体似ているような事情がございます。いま詳細な御説明は省略させていただきます。
  92. 佐野進

    ○佐野(進)委員 私は、きょう突然質問したので、通産省としてこうだというような具体的な答弁ができかねるであろうということは了解にかたくないわけですが、いわゆる公益事業として最も力を入れておる事業、さればこそ政府のほうとして十分これに配慮し、財政措置においても、あるいは租税措置においても、これらについてそれぞれ厚遇をしておる。またするように努力しておると思うし、国民としても、これらの企業の健全なる発展を願わざるを得ないわけです。しかし、それといま私の申し上げたことは全く同じであって、受ける立場は違うと思うのです。企業の健全な発展が消費者の利益に還元されるように、そうであればこそ政府機関としてこれに十分な配慮をしておると思うのですが、私は、いまここでいろいろ調べている点あるいは考えておる点がありますが、それをやっておったのでは時間がなくなりますから、きょうはやめたいと思いますが、できるならば、各電力会社のいわゆる収支状況について、それから有力といわれるガス会社について、その経理の最も近い状況における内容をひとつ資料として出していただくようにお願いをしたいと思うのです。  それからそれに関連して、これは資料として請求するのでありますが、電力料金の中で一番問題になることは、これは値下げをすることができるかできないかはこれからの問題ですが、いまのところはそこまでいっていないということで資料をお願いするとして、一番問題は、現行の料金制度がいわゆる一般消費者大衆に高くて、特別の企業に対して安くなっておる。これはその企業、特定の会社における一例ですが、全国的にそうだと思うのですが、企業の健全なる発展をせしめるために料金として通産省が認可をしたとき、それが適当だと考えて許可したと思うのですが、それは時代の変遷があると思うのです。それから相当時間を経過しておる。当時重要な企業と認定したものが、はたして今日重要な企業であるかどうかということについても、いろいろ判断してみなければいけない問題だと思います。特に、そのために一般消費者が料金をよけい払わなければならないということであるとすると、これは消費者行政の面からして、きわめて不合理が存在すると思うのです。私は二、三年前、東京都の水道の料金改定が行なわれた際に、それまで行なわれた現在の電気料金と同じようなシステムにおける料金体系が、いわゆる口径別料金体系という形の中で合理的に変革された経過を私も知っております。したがって、今日の事態の中で、消費する立場にある人が喜んで――喜ぶこともできませんが、料金を納得して払えるような体系、そういうものをつくり出さなければいかぬと思うのですが、これについて現在通産省当局はどのように考えておるか、いま資料がないならやむを得ませんけれども、これらの考えについてひとつ聞いておきたいと思います。
  93. 安達次郎

    ○安達政府委員 お答えいたします。  ただいまの御質問は、一言にして言いますと、電灯が高くて電力が安いじゃないか、こういう御指摘の趣旨かと思います。そのうち、特に重要企業云々というおことばでございましたが、重要企業だから電力を安くするとか、あるいは重要でない企業だから高くするということはやっておりません。  そこで、電灯が高く電力が安い事情について、その点御説明申し上げます。  まず先ほど私ちょっと申し上げましたように、電気事業法の規定によりまして、料金はいわゆる公平でなければいかぬ。すなわち、企業電力でも電灯でも、みな原価主義の原則にのっとって料金を定めるのだ。そしてみな需用者に対して公平でなければいかぬのだというたてまえが書かれております。その原価主義の原則をこの電気料金について適用いたしますと、まず、電灯料金が特に大口の電力料金に比べて著しく高いのは、理由が幾つかございます。  まず一つには、供給する電圧の相違がございます。特に大口などで、いわゆる発電所から――発電所は数万ボルトの大きい、高い電圧で電気は生産されるわけでございますが、それが各家庭の電圧になりますと、百ボルトないしは二百ボルトという低いところまで下がってくるわけでございます。その過程を通じて――送電線を通じ、第一次変電、第二次変電という幾つかの過程を経て、そうして最終需用家の各家庭に参るということになっております。ところが、大口の需用者あるいは普通の小口でも、それぞれその途中の段階から線を引かれるわけですね。そうしますと、電力を供給されるまでの全原価の中で、それぞれの需用、こういう電圧別の部門ごとに原価を配分するわけでございますが、その過程において、最終的な電灯需用部門に対するあれは、電圧の関係で、まず大きな原価の配分がくるわけでございます。そういう形で、いわゆるかかる原価に従って料金をきめるというたてまえからいきますと、まずこの供給電圧の違いという点が一つ事情がございます。それから大口の電力の場合の一需用家当たりの月間の使用時間数は大体平均四百時間前後でございますが、電灯の一需用家当たりの月間の使用電力量は大体八十時間程度に平均なっております。したがって電灯の場合は、一キロワットアワー当たりのいわゆる固定費の負担が、いわゆる大量使う大口需用家に比べて原価の割り方が高くなるという事情一つございます。  それからもう一つは、送電の距離ないしは段階が長くなればなるほどロス率が高くなるという事情。もう一つには、需用家費と申しておりますけれども、いわゆる検針、集金等の費用というようなことがまた大口の場合に比べて違う原価の要素になっております。このような形で、まあ一応理屈を申しますと、ただいまのような高い電灯料金とただいまのような電力料金、全部一くるめにして比較してみますと、それぞれが原価の上から見れば公平なんです、こういう体制になっております。
  94. 佐野進

    ○佐野(進)委員 もう時間がありませんから議論をしているひまがございませんが、私のさっき申し上げたのは、いまが、いまきまったことが悪いんだ、そのきまっておる原価がいいとか悪いということはしばらくおくとして、決定してから時間もたったことだし、そういうような社会情勢の変化の中で消費者行政というものは非常に重く見られておるときで、しかもこの人たち、消費者というものは何ら力を持っていわゆる利益を要求するということが不可能な立場にあるとき、通産行政の面から、電力消費その他いろいろな面について支援というか、行政上において特別の措置をされる立場にある人たち、あるいは企業、こういうことについてはもうこの時点の中で、さっき言った電力事情の好転と収支の安定、こういうような形の中で値下げということが行なわれ得れば一番いいし、行なわれ得ないとしても、それらの問題について通産省としては考えておくことができるのではないか、こういう点について、もっといろいろ資料を持っておりますが、考えがありますが、時間がないから――聞きたかったのでありますが、ひとつ大臣からそれについての総括的な御意見を聞かせていただいて次へ進みたいと思います。
  95. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先にどの御質問の中で、電力が安くて電灯が高いということですが、電力のほうは、御承知のとおりいろいろの生産にみな電力を使いますから、したがってそれがコストになっておりますから、それが安ければできた製品が安くなるということでありますからして、一般消費者としては、電力が安いことによってまた安い着物も着られるとかいうようなことになると思いますからして、その点の計算がなかなかむずかしいと私は思うのです。だからして電力が安いからいかぬ、消費者が損するとかなんとかということは、なかなかこれはむずかしいことだと思います。しかし総じて、電力というものは国民一般が消費するものでありますからして、安いほうがいいことはもう申すまでもないことであります。したがいまして、今後あるいは生産コストが安くなるようであれば、電気をつくる発電コストが安くなるようであれば、もちろんそれについては電力なり電灯も安くしてもらうということは望ましいことだと考えております。
  96. 佐野進

    ○佐野(進)委員 そういうことでさっき申し上げた資料と、それから電力と電灯との料金格差についてどのような形になっておるか、ひとつ後ほど出していただきたいと思います。  最後に、「万国博覧会の開催準備」という第二五ページの問題について、これは私知りませんからひとつお答えを願いたいと思うのです。この法律によりますと、日本万国博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律ということで、「予算の範囲内において」これを支援するといいますか、「補助することができる。」こういうことで、この中では「三分の二を計上いたしております」こういうぐあいに書いてあるのです。「予算の範囲内」という判断はどういう判断で、三分の二ということがどういうことできまったのか、この点についてちょっとお聞きしておきたいと思うのです。
  97. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 国の負担が三分の二、全体のうちの三分の二を国が負担するということできまっております。
  98. 佐野進

    ○佐野(進)委員 だからそのきまった原因、三分の二というのは法律では「予算の範囲内」というんですよ。予算の範囲内で補助することになったとき三分の二ということになったんだから、これは「予算の範囲内」というのは三分の二というように解釈すると、その三分の二の基準というのはいかなるところから出たのかということを聞いたんですよ。
  99. 橋本徳男

    ○橋本説明員 お答えいたします。「予算の範囲内」といいます規定は、こういった民間に対する政府の財政援助の場合の例文でございまして、考え方といたしまして、政府がその予算の許す範囲内において補助するというふうに解釈すべきであろうと思います。その三分の二にきまりました経緯は、これは大臣折衝できまりましたが、その背景としての事務的な考え方と申しますと、昨年度におきましては、暫定的に国が半分、地元が半分というようなことになっておりました。それからモントリオールの例をとりますと、国が半分とやはり地元が半分となっておりますが、日本の場合には、こういったモントリオールに比べまして、地方の国に対する財政力の関係が、よほどカナダの場合に比べまして国のほうがウエートが高いというふうな点も加味されてきまったんであろうというふうに考えております。
  100. 佐野進

    ○佐野(進)委員 あのね、そのきまったんであろうと思いますじゃ困っちゃうですね、きまったんだから。私は万国博に金を出しちゃいけないと言うんじゃないです。うんと出してやりなさいという立場で話しているんですよ。ということは何か。モントリオールがどうだとか、ブラッセルがどうだとか、あるいはパリがどうだとかいうことを聞いているんじゃないのです。これはあくまでも日本でやる万国博なんでしょう。したがって、私が首尾一貫しないように感ずることは、そういうようにして「予算の範囲内」でやるということは、全額出してもいいんでしょう。結局全額出しても予算があればいいということでしょう。半分にしてもいいということでしょう。三分の二にしても悪くないのですよ、それは。だからその背景がどうしてそうなったのか、三分の二以上にはもうなれないのかどうか――これはやはり大臣でなければだめだ。あなたじゃ、そうなったんであろうと思いますと言うだけだから、大臣のほうからどうしてそうなったんだということをひとつ聞いておきたいと思います。
  101. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 三分の二ということをきめましたのは、外国の例が半々というような例になっておりますからして、外国の例をも参酌いたしまして、それはもちろん国が全部出してもいいわけです、全部出してはいかぬというわけじゃない。予算が許せば全部国が出してもいいし、また半分でもいいし三分の一でもいいということになりますが、まあ日本としては三分の二が適当じゃないか、こう思いまして三分の二出すことに決定したわけです。
  102. 佐野進

    ○佐野(進)委員 だからその三分の二が適当だという根拠は何なのか、三分の二が適当だと思ったのは財政上の理由かあるいはどういうことかということなんですよ。政治的な折衝の中でそうきまったのか。
  103. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 政治的な折衝ということではなくして、地元も負担すべきだという観点をしたわけです。だからして、地元がそこで三分の一持つか半分持つかという考え方であって、そこで私は、三分の一は地元が持つべきだということで、国は三分の二ということにきまったわけです。
  104. 佐野進

    ○佐野(進)委員 どうもかみ合わないで困っちゃうのですが、時間がないから、いつまでやったって始まらないから次へ進みますが、ともかく三分の二出すことにした。そしてできる諸施設は、ともかく三分の二だから、政府館は別としても、地元のそれぞれの施設に三分の二出すということだから、政府の発言権が三分の二の範囲なのか、あるいはどの程度の範囲内であるか、あることは事実だと思うのです。ただ私たちは、だれでもそうであると思うのですが、この万国博は成功してもらいたいと思うのですよ。思うけれども、ここでちょっと新聞を見ると、ずいぶん変なことを言っている。もう少ししっかりしてもらわなければ困ると思うから、あえて質問しているのですが、ここに「会場設計また大幅手直し」ということで通産省が文句を言ったということを書いてあるのです、この新聞によると。だから、通産省が三分の二を出すということによって――本来ならば国が全部やるべきだが、地元の施設だから、金は全部出してもいいけれども地元にやってやれ、これはわかります。そうだとすれば、文句を育って新聞に書かれるような行動をする通産省のあり方がちょっとおかしいじゃないか。何でも中途はんぱで、いわゆる三分の二を出すのも、何だかわからないうちにやっちゃった。四分の三出してもいいし二分の一出してもいい。だから、仕事についても積極的に取り組むものではなくて、向こうでできてきた案に一々けちをつける。通産省通産行政として万国博にそういうことで取り組んでおられるのかということに疑問が生ずるわけですよ。
  105. 橋本徳男

    ○橋本説明員 この博覧会におきまする政府の役割りと申しますか、これはいまの提出されました例でまいりますと、二つあると思うのです。一つは、政府はあくまでもこの博覧会協会に対しまして、博覧会を成功させるために助成し監督するというふうな立場がございます。それからもう一つは、博覧会の場合に、政府もやはり民間と同じように出展者の一人になるというふうな立場があるのであります。先ほどの例で参りますと、後者の例がそれでございます。したがいまして、そういった会場におきまする、いわゆるどういうふうに建物を配置するかといったようなきわめて専門的な問題につきましては、協会が専門的な人たちを集めまして、英知をしぼってそれをやっておるわけでございまして、大部分それに依存せざるを得ないという考え方に立っております。ただその場合に、その新聞に出ておりますのはやや過大な感じで書かれているのではないかと私思うのでございます。といいますのが、通常の民間の建物は、博覧会のあと全部取りこわしてしまいます。ただ政府館の場合には、これは博覧会のマークの形で設計をいたしまして、永久に残る建物というふうなことでやりたい。したがいまして、通常の建物に比べまして、どこに置くかといったような場合に、いわゆるあと地利用の考え方を配置の場合の要素の一つとして加味してほしいというふうな考え方で、それを協会に申し込んでおるというふうなことが、ややそういうふうな対立概念的に言われておると思いますが、これは決してそういう対立の状態で話をしておるのではなしに、要素の一つにそういうものを加味して考えてほしいというふうなことをわれわれのほうから申し込み、いま協議をしておる段階でございます。
  106. 佐野進

    ○佐野(進)委員 ともかく万国博は成功さしてくださいという気持ちはだれも持っておると思うので、そういうような形の中で、予算の面その他についてやはり通産省が、さっき大臣説明されたように、私どもが聞いた場合、これこれこうだというもっと的確な説明が聞けると思い、かつまたこの「菅野副会長」云々ということについても、もう少し突っ込んだ答弁を求めたいと思う点もありますが、時間の関係もありますからやめたいと思います。いずれにしても、ひとついまの説明のように大げさに書かれてあるということであれば、そういうぐあいに解釈せざるを得ないと思うので、ひとつ大げさに書かれないよう十分なる配慮でやってもらいたい。  それから最後に、ここに「この世界的行事をそれにふさわしい企画と規模で成功させるよう、関係各位の御協力をお願いする次第であります。」この方針の中にこう書いてある。「関係各位の御協力」というのはどういうことか。いわゆる精神的な御協力をお願いしますということなのか、これは議会に対して説明したのか、あるいはそうじゃなくて、全体的な意味においての表現なのか、その点についてひとつお答え願いたいと思います。
  107. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 今度の万国博覧会は日本で初めてでありまして、アジアでも初めてであります。私は、この博覧会というものは全国民がやはり協力すべきものだという考えをしておりますし、またこの博覧は、私は全国民の教育道場であってしかるべきだという考えをしております。したがって、そういう意味においてこれは官民ともに協力してもらいたいし、ことに国会においてはもう超党派的に実はお願いしておるのであって、皆さんの御協力も得て、そうして成功せしめたい。これはもう日本の――そう言っては何ですが、これだって日本の運命を決するというと語弊がありますけれども、私から言うと、戦争に匹敵するような大じかけなものだ、こう考えておるので、そこで、これはひとつ全国民が協力して万国博が成功するようにお願いしたいというのが私の念願でありまして、それを言いあらわしたわけであって、ひとつよろしくお願いいたします。
  108. 佐野進

    ○佐野(進)委員 どうも長い間質問してたいへん皆さんに申しわけなかったのですが、ただ最後の締めくくりとして、ひとつこういうことをあまり書かれたり何かしないで、われわれも協力するから、するならするような形の中で、やはりいろいろ教えてもらったり、あるいは情報を提供してもらったり、そういうことについて要望したいと思うのです。  質問を終わります。
  109. 中村重光

    ○中村(重)委員 関連。万博に対して、アメリカが参加の要請に応じておった。ところが何か外務省の事務処理ではそれが明らかになっていなかったということが報道されておった。その経緯はどういうことです。
  110. 橋本徳男

    ○橋本説明員 これは正式の公式参加をどういう形においてとらえるかという問題で、アメリカの場合には、予算が議会を通れば参加いたしますというふうな条件つきになって来ておるのを正式参加と受け取るかどうかというふうな解釈で、いままで一般的にはその条件がついておることから不参加というふうにしておったのですが、そういう条件は各国共通の問題ということで、参加という形にしたわけでございます。
  111. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、そのことはわかっておったということですか。だからアメリカはもう正式に参加をするのだという態度である、それはアメリカに要請に行ってわかったのだというんですね。ところが、そのことが伝えられると、今度は外務省の事務処理というのがまずかったのでそれがわからないでおった、外国に対してまことに失礼だというような新聞報道があったんですね。あなたのおっしゃられるとおりであるならば、それはそうじゃないということになる。ただ明確でなかったのだというにすぎないというふうになるのだけれども、その点がはっきりしないじゃないですか。
  112. 橋本徳男

    ○橋本説明員 お答えいたしますが、ほかの諸外国の場合には、実はそういう条件なしで政府から政府へ参加するというふうに外務省に来ておるわけでございますが、アメリカの場合に、特にそれを念入りに書いたために、外務省としての整理が間違ったのじゃないかというふうに思っております。
  113. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、アメリカも正式に参加をするのだということがわかったのですが――それから共産圏に対しての参加要請というのはどうなっているのです。大臣どうです。
  114. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 共産圏全体については、出品を依頼しておるところもあるし、また依頼してないところもあります。例をあげれば中共です。これは依頼しておりません。しかし、できれば中共も、私自身としては参加のできるような時期の来たらんことを望んでおるわけであります。
  115. 中村重光

    ○中村(重)委員 共産圏は全部じゃない、いま中共ということをあなたがおあげになったのだけれども中国とどことに要請をしてないのです。
  116. 橋本徳男

    ○橋本説明員 世界で七ヵ国招請をしていないところがございます。中国それから北鮮――ちょっといま調べて……。
  117. 中村重光

    ○中村(重)委員 中国も参加するような時期に到達することを期待をする、えらい回りくどいむずかしい表現をされるのだが、そうすると、中国は参加を要請しない、そういうことだと思うのですよ、あなたのいまの御答弁から言えば。先ほどは、日本ではもちろん初めてであるし、アジアでも万博の開催は初めてなんだ、全国民はもちろんこれに全面協力をしなくてはならぬ、戦争のような気がまえでやれとあなたは言うが、にもかかわらず隣の中国と、それは政経分離とかなんとかいう理屈はあなたのほうでつけておるとしても、貿易の振興をはかっていかなければならぬということを、これは一つ政策であるということで胸を張って佐藤総理は答弁をしておる。そういう際に、万国博覧会に中国はじめ共産国家の参加を求めないという態度は何ということですか。何が引っかかりになるのですか。そういう時期が来たらんことを望むなんという、そういうあいまいなことではどうにもしようがないんじゃないですか。
  118. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 中共につきましては、三木大臣のときもやはり私と同じようなことを答弁されたそうであります。私は聞いてなかったのですが、おそらく三木大臣中国が参加してもらうような時期が来たることをやっぱり望んでおられると思うのです。しかし、いまの国際情勢上、それがはっきり言えないところに、私は三木大臣もやはり心の悩みがあったと思いますが、私も同じ悩みを持っておる次第であります。
  119. 中村重光

    ○中村(重)委員 万国博覧会のような、そういうような行事に対して門戸を開いて参加を要請していくという、そのくらいの気がまえがなくてどうするのですか。それで三木大臣のときはどうであった、私も同じだというが、あなたは通産大臣におなりになったのだから、あなたはあなたの考え方というものがあるのだから、そういう立場から三木外務大臣に対しても、あるいは政府全体に対しても、これに参加を要請するというような積極的な取り組みをされることが当然じゃありませんか。三木大臣のときにこうであったのだからというので、そのまま、あなたもこれを再検討していくというような積極的な態度がないというようなことでは、それは少しも進歩はないということになりますよ。それではだめだと思いますが、どうですか。
  120. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 中村委員のおっしゃることは私もよくわかっておるし、私も同じ気持ちを持っておるのでありまして、いまそれをはっきり言えないところに私の悩みがあると申し上げて御了解をいただきます。  それからなお、私、先ほど戦争みたいなということを言って、ちょっと誤解があったらいけませんが、私は、全国民がみなこれに参加をしてひとつやってもらいたい、挙国一致でやってもらいたいというのが私の考え方であります。そういうことで、それを誤解のないようにひとつしてもらいたい。だから戦争という意味を取り消しておいてください、それは誤解されると困りますから。私は、全国民がひとつみなやってもらいたい、一丸となってやってもらいたいという意味でございます。
  121. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは、あらためてまたそのことについては質問をします。いまの参加の問題等含めて、決してこれで終わりじゃありませんから、もっと前向きにはっきりした答弁ができるように……。
  122. 島村一郎

    島村委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明後十九日金曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後四時五十五分散会