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島本委員 じゃ念のためにひとつ具体的な例をもってお伺いしたいと思うのです。
それは、労災
保険と健康
保険との問題点が、いま
労働大臣がおっしゃったこととおそらく全部反対になるわけです。それは、作業に基因する疾病の取り扱いについて、
行政努力としては十分
考えられなければならない点であろうと思うのです。会社、事業所において、この疾病、傷病に対して、この補償等の関係、または事故を少なくして現場の成績をあげるために、
健保扱いにする
傾向が最近あるのであります。このために患者と医師がそのとばっちりを受けて困っている実例があるんです。いま
大臣は、そういうことは絶対できない、あり得ないんだ、こういうふうに言うけれ
ども、これは川崎のT診療所、けがしたのは日本鋼管の川鉄の、名前は伏せてK氏です。これが作業中に重量物を足に落として挫傷を負った。そうして、これは
健保扱いにできない、作業中のけがだから当然労災の証明書を持ってこい、こういうふうに指示した。それを受領して帰してやった。ところが、
あとから会社側から、作業中の受傷でも本人の不注意の場合には労災扱いにはできない、したがって
健保でやってくれ、こういうふうに
医者のほうに出してきた。書類は会社側から出すのでございますから、
医者は最後まではがんばれません。
医者のほうは完全に受領してあった。しかしながら、これは
健保扱いにしてくれ、労災扱いにはしない、こういうふうに来た以上、その理由を付して、今度はやむを得ず前後の事情を書いて、そうして
健保扱いで請求したのです。これは昨年の八月の請求で、いまだに支払われていないという実例があるのです。
大臣はそういうことはないと言ったって、あるんです。これは、会社の成績をあげるためと、もう
一つは、こういうような事故に対しては、
健保のほうにやっておいたほうが会社は都合がいいのです。こういうようなことからして、
健保扱いにどんどんしていく。したがって、
健保のほうは
赤字になっても、
労働大臣の所管するそちらのほうは黒字で黒々としている、こういうふうな状態なんです。
そうだとすると、これは重大な問題だと思うわけです。医師は、そういうような場合には、最後までがんばれないじゃありませんか。そうして、この現認票、こういうものを持ってこない以上、これは労災扱いにできないじゃありませんか。現にそういうふうにしてどんどんやられ、
健保の
赤字がどんどんふえていっても、労災のほうは円満にいっているんです。こういうような点は、同じ
政府ですから、なぜ堂々とやらぬのですか。それをやってやって、
健保の
赤字を少しでも少なくしてやっていくのが、あなたの言う総合関連ではございませんか。
労働大臣はないと言うけれ
ども、こういうふうにあるじゃありませんか。これに対してどう思いますか。