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1967-06-22 第55回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会運輸委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十二日(木曜日)     午後零時四十九分開議  出席委員  産業公害対策特別委員会    委員長 八木 一男君    理事 小山 省二君 理事 丹羽 兵助君    理事 板川 正吾君 理事 島本 虎三君       塩川正十郎君    砂田 重民君       田村 良平君    三原 朝雄君       加藤 万吉君    河上 民雄君       工藤 良平君    中井徳次郎君       岡本 富夫君  運輸委員会    委員長 内藤  隆君    理事 進藤 一馬君 理事 福井  勇君    理事 細田 吉藏君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 河村  勝君       大竹 太郎君    木部 佳昭君       徳安 實藏君    板川 正吾君       小川 三男君    神門至馬夫君       内藤 良平君    野間千代三君       渡辺 芳男君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         運輸政務次官  金丸  信君         海上保安庁長官 亀山 信郎君  委員外出席者         運輸大臣官房審         議官      鈴木 珊吉君         海上保安庁警備         救難部長    長野 義男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  船舶の油による海水汚濁防止に関する法律  案(内閣提出第六〇号)      ————◇—————   〔八木産業公害対策特別委員長委員長席に着く〕
  2. 八木一男

    八木委員長 これより産業公害対策特別委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  船舶の油による海水汚濁防止に関する法律案を議題といたします。
  3. 八木一男

    八木委員長 提案理由はお手元に配付いたしてありますので、これによって御承知願うこととし、直ちに質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。渡辺芳男君。
  4. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 すでに産業公害対策特別委員会で長い間議論をされてまいり、また、私の手元にも会議録が届いておりますので、でき得る限り重複しない部面で御質問いたしたいと思います。  この法案早期成立を要求して、去る五月に漁民全国大会東京で開催されました。このことはもちろん毎年行なわれておりますが、沿岸漁業被害が——特に石油産業の急速な発展とともに一面では漁民が犠牲になってきている。この法案で九〇%の油性被害防止できると言われておりますが、特に水質二法、あるいはたいへんな議論になると思いますけれども公害対策基本法など一連の関連がありまして、この際特に海水汚濁について、油に関する限り政府が言われておるような見通し、海水汚濁がそのとおりに実際防止できるものかどうか、この点は私ども非常に関心を持っております。この点については規制対象外小型船舶のうち特に百五十トン以下の内航タンカーが約千五百隻あるといわれておりますが、今日まで油性バラスト水投棄なりあるいはビルジ投棄などによって方々被害が出ておるところでありますが、港則法だけでこれらを取り締まって、実際問題として漁民なりあるいは一般国民がこの法案に大きな期待ができるものかどうか、もう一度明確にお伺いをいたしたいと思います。
  5. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問でございますけれども、私どもの推定で申し上げますと、おっしゃいますように八割くらいは百五十トン以上を規制すれば防止できるのではないかと思っております。したがいまして、まず第一段階といたしましては、条約と同じ範囲の適用の船舶規制しておきまして、もし将来それ以下の船が、もちろん港則法によって規制できますけれども、それ以上に被害が出れば、第二段階といたしまして規制範囲を引き下げるということも考えておるものでございます。
  6. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 この法案行政措置罰則強化の面もあると思いますが、民間の協力を求めるということも、いままで惰性になってきた状況もたくさんありますから、一体どういうふうに考えて小型船舶の油の投棄、無責任な体制協力を求めるか、そしてまた取り締まり方針としてどういうふうにやっていくかということについて、お考えがありましたら説明を願いたいと思うのです。
  7. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 ただいまの御質問は、小型船についての取り締まりとお聞きいたしましたが、要するに百五十トン未満の船だと存じますけれども、これにつきましては現在港則法という法律がございまして、その第二十四条で、港域の中と港域の境目から外のほうへ一万メートルの範囲海域につきましては、みだりにそういった汚物等投棄してはならないという規定がございます。それで現在まで、実はそういう規定がございまして、また罰則もございますけれども、それほど守られていなかったのではないか、これはやはりそういった汚物、特に油類を捨てます施設が備わっていなかったために、たとえば共同便所がないために立ち小便をする、その立ち小便を禁止するのだというような結果でございまして、いままでそれほど実効があがっていなかったのではないかと存じます。今回特に石油港湾につきまして、そういう廃油処理施設を整備していくということに相なりますので、そういうような共同便所ができますならば、海上保安庁のほうも取り締まりをきびしくしてやっていけるのではないかというふうに存じておる次第でございます。
  8. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 この監視や取り締まり海上保安庁でやられると思いますが、実際問題として、まず第一に体制が万全であるかどうか。それから第九条に油記録簿を備えることになっております。これによって必然的に廃油処理についていろいろと判明することはわかりますが、実際問題として非常に内航タンカーもふえてきておることであるし、これが検査ということもなかなか手が回らない。三十海里や四十海里のいわば規制海域以内で、バラスト水投棄なり、ビルジ投棄などというものがやられておっても、取り締まりの官憲の目をくぐっていくということが実際問題として多くあるのじゃないだろうか。  もう一つは、海上保安庁白書によりますと、特に昨年の十月ごろからそれぞれのみさきにおいて海流調査をやった、そしてこの法案国会提案されて、どういうところで一体廃油投棄すれば、被害がどういうふうなところに海流関係で流れていくかということも調査しておるようでありますが、この点なども非常に重要になってくると思います。  いずれにいたしましても、この罰則関係の、三十六条にありますが、三カ月以下の懲役なり十万円以下の罰金、このぐらいならたいしたことないじゃないかというふうに、軽いというふうなことがありはしないか、取り締まりと、実際問題として協力体制が求められるかどうか、この法案にいう期待がかけられるものかどうか、こういう点を船主協会などとも話し合われたと思うのですが、経過について、それから対策について御説明を願いたいと思います。
  9. 長野義男

    長野説明員 海上保安庁では、ただいま海水油濁に関しましては、港則法二十四条に基づいて、航空機船艇をもってこの取り締まりに当たっておりますが、この法案成立した暁には、さらに取り締まり海域が広くなりますので、現在の航空機あるいは船艇をもってさらに強力な取り締まりを行なわれなければならないと思っております。なお、この航空機船艇の増強につきましては、私ども今後とも鋭意努力してまいりたい、このように考えます。
  10. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 船主団体のほうの関係は話し合われているのですか。いま取り締まりだけの回答なんですが……。
  11. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 お答え申し上げます。  船主関係との間では、この法案準備いたします過程におきまして、大型船関係協会とか、あるいは小型タンカーの組合とか、あるいはタンカー協会というところとかなり話し合いを行ないまして、本法の趣旨につきまして十分説明しております。ただ船主さんのほうでは、やはり船が油を捨てに行くために航路を迂回するとか、あるいは料金を取られるというような、船主経済に及ぼす影響をだいぶおそれておりましたけれども、私ども、やはり公害の観点から全幅的に協力すべきだということを強く説得いたしておりまして、現在かりにこれを施行いたしましても、この趣旨に沿いまして十分やってくれるものと確信しておる次第でございます。
  12. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 私の質問趣旨が少しわからないようでありますが、罰則関係は、簡単にいえば国際レベルであるかどうか、これは軽くないか、隠れて従来どおりやりゃしないか、そうすると法の効果というものがあがらないじゃないかということを私は懸念をするわけです。これをひとつ御回答願います。
  13. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 お答え申し上げます。ただいま御質問量刑関係でございますけれども、一例といたしまして外国の例を御参考までに申し上げますと、英国では罰金だけでございまして千ポンド、約百万円の罰金。アメリカでは一年以下の禁錮もしくは五百ドル以上二千五百ドル以下、十八万円から九十万円の罰金というふうになっております。それからフランスでも罰金だけでございまして二千フラン以上五千フラン以下、約十五万円から三十七万円というふうになっておりますので、この法案量刑もそんなに軽いものではないのではないかというふうに存じております。  それからもう一点は、工場排水関係法律でございますけれども、その法律におきましては、たしか一年以下の罰金になっていると思います。これとの違いはございますけれども工排法のほうは直接汚水を流すこと自身を禁止しているのではなしに、汚水を流さないような設備をつくり、その設備をつくって確実に汚水が流れないように維持するというのを怠りまして、それではだめだ、そういう施設改善命令を出すといった場合に、その命令になおかつ違反して汚水を出すというような場合に罰則を科するということでありまして、こちらは船がじかに出すのを取り締まるのでございますから、多少の量刑の低さはございますけれども、その程度でいいのではないかというふうに考えている次第でございます。
  14. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 罰則関係は、私もやってみなけばわからないことであると思いますが、いたずらに強化することだけが能でないと思うのです。実際問題として、船主協力を求めないとどうもうまくいかないということはわかっていることでありますから、その点は一つ了解をいたしておきますが、保安庁の海上保安白書によりますと、四十一年中に発生をした海水汚濁事件で、油によるものが百七件あった。これを地域別に見ると、東京湾が二十四件、伊勢湾が十九件、駿河湾が九件などがおもなものであるといっています。原因別にも、バルブの操作の誤り、破損などによるものが全部で四十六件、不法投棄をして見つかったというものが八件ある。実際問題として、現実に投棄をしておるところを見つかったという話になれば、これからはたいへんなことになりますから罰則を適用されると思いますが、いままで巡視船などがこの不法投棄について一万メートル以内で取り締まったり、あるいは指導をしてきたと思いますが、特に東京湾なり大阪湾、関門海峡の門司港、それから伊勢湾駿河湾、こういうところの海域は、一番端的に国民にわかるのは夏の海水浴ができないということが非常に大きな問題になっておるわけです。それで、これらの特に被害の大きい地域、もちろん内航タンカーなどは運ぶ航路といいますか、生産地消費地はきまっておりますから、重点的に指導したり取り締まればある程度の効果はあがりますね。特別荷物の動きが通常より変わるということはあまりないと思うし、そういう問題についてこれから重点的にやってもらわなければなりませんが、ての破損事故なりあるいは不法投棄について、海上保安庁として、これからこの法案成立をいたしますと、格別に取り締まり体制といいますか指導体制、こういうものをとっていかれるかどうか、この点をひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。
  15. 長野義男

    長野説明員 お答えいたします。先生おっしゃいますように従来から東京湾あるいは伊勢湾大阪湾、特に海水浴等環境衛生被害を及ぼすような地域につきましては、その時期、場所等を選んで重点的に取り締まってまいったのでありますが、現在の港則法ではみだりに捨ててはいけないというようなことになっておりますし、その点で検挙という点につきましては必ずしも十分でなかった。また、取り締まりにつきましても現場取り締まり方を指導してまいりましたけれども、必ずしも完全であったとはいえない状態でございます。今後は、この法案成立にあたりまして特に巡視船艇パトロール強化、しかも重点的あるいは時期的等を考えまして効果のあがるようなパトロール、あるいはまた航空機を有効に活用する、この面につきましても今後さらに検討を加える必要があると私は考えておりますが、そういう面におきまして取り締まり強化をはかってまいりたい所存でございます。
  16. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 端的にいえば、抽象的な話でなくして、取り締まりの陣容が整えられるものかどうか。それから成果があがるような体制があるかどうか、こういうことをお聞きしているわけです。時間がありませんから、ひとつその点は要望いたしておきます。  廃油処理施設設置をすることになっておりますが、本年は千葉港をはじめとしてとりあえず六カ所、石油基地中心に行なわれると思いますが、大体この石油基地東京湾伊勢湾、阪神、瀬戸内海その他たくさんありますが三十六カ所、港が十七、船舶修理ドック一万トン以上が二十二カ所ある、こういわれておりますが、これから石油産業発展に伴って、いま六大港を含む特定重要港湾が十五カ所、重要港湾の指定が八十カ所ありますね。三カ年計画自家用処理施設あるいは港湾管理者が行なう廃油処理施設などについて五カ所ないしは二十七カ所、こういうふうにそれぞれ設置計画をきめられておりますが、これで十分であるかどうか。それから、これからこれを設備してまいりますが、実際問題として主要港湾というものはほとんど設備をしなければいけないということになってくると思うのです。この点の計画は将来性をも含めて資金計画どもあると思いますが、明らかにしてもらいたいと思うのです。
  17. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のように、本年度はおもな石油集積地のあるところ六カ所でございますけれども、もちろんこれでは足りない。三カ年計画で約三十カ所の港に設備する方針でおります。それからもう一つ、これはおもに港湾管理者に勧告してやらすものでございますけれども、それ以外に大型船修理するときに船をクリーニングいたしまして汚水を大量に出しますので、造船所の集まっております地区に、おもに外航タンカー用廃油処理施設をつくらせる方針でおります。たとえば東京湾とか大阪湾とか、それから瀬戸内二カ所ぐらい、あと西九州、これにつきましては、造船所資金を出し合いまして別会社をつくって、そこでタンカーのクリーニングとあわせまして、洗った油性汚水を受け入れる施設をつくらせるということも考えております。これにつきましては、そういったような事業でございますので、政府といたしましても、開銀公害ワク特利融資をやるべく手配をつけております。また、固定資産税につきまして、地方税の減免につきましても手当てをいたしております。そういうことでございますので、港湾管理者がやる場合と大型タンカー修理をする場合の造船所で金を出してやる場合とございます。もちろんそれだけではちょっと足りませんので、それ以外に、何といいましても内航タンカー石油精製所へ行きまして油を積む場合にバラストを流しますので、できましたら石油会社でそういった施設をつくってもらいまして、その石油会社は専属して、あるいは子会社と専属して、そこへ行き来している小型タンカーにつきましては、もちろん自家用でございますけれども、そういう施設でもって処理していただく。この点につきましては、通産省のほうも御協力いただきまして、そういうふうに指導していただこうというふうに考えておる次第でございます。  なお資金計画につきましては、本年度の六カ所につきましては半額補助ということで、港湾管理者に対しまして三億の予算手当をいたしております。来年度再来年度につきましては、それに応じました国庫補助の要求をいたすつもりでおります。それから、いまの造船会社でやります大型タンカーにつきましての開銀融資というものにつきましては、本年度は十五億のワクの中でまかなう。来年、再来年、またさらにその後につきましても、そういった資金手当運輸省といたしましてはぜひやっていきたいというふうなつもりで考えておる次第でございます。
  18. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 長期計画を持っておるわけですね。
  19. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 さようでございます。
  20. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 先般英国西南海域トリーキャニオン号が座礁して、ドーバー海峡はたいへんな油の海になって大きな被害があったことが報じられておりますが、海上保安庁救難部長ですか、実情調査においでになったようでありますから、この点をひとつ説明をお願いします。  それから、時間がありませんからもう一つ質問をいたしますが、最近の陸上貨物輸送はあまり伸びていない、停滞ぎみだといわれておりますが、海上輸送はどんどん伸びているわけですね。特に油の輸送が全貨物輸送量の三割近くを占めているといわれておりますが、外航タンカーは非常に大型化するし、油送船事故どもこれに伴って方々で最近大小の事故が起きております。四十年の五月にはノルウエーのタンカーが室蘭港で二十八日間も燃え続けたとか、あるいは名古屋港でLPGタンカー貨物船衝突したとか、あるいは浦賀水道でも四十一年十月には油送船貨物船衝突をするとか、最近は神戸港で小型タンカー三重衝突をした、まあ大事故には至らなかって不幸中の幸いであった。非常に事故が起きる可能性が多くなってまいりました。陸上交通規制も順次行なわれておりますが、先日東京湾視察に参りまして、ほとんど海上交通規制は行なわれていない。端的にいえば無政府状態であり、無法状態である。こういうふうに聞いてまいりました。航路標識やその他海上交通を安全にするためには多くの規制ども必要だし、施設も必要だと思うのです。これは早急にやらなければならないと思うのですね。この点についてどうも海上交通安全確保という対策がおくれていると思うのです。いままで検討して、早急に手をつけなければならないというふうなことを考えていると思うのですが、この点ひとつ率直にお話しを願いたいと思います。もしそういうことがなかったならば、東京湾のあの視察で見た限りにおいても、これは将来一つ間違えば浦賀水道などに大事故が起きるのではないか、こんなことを考えられておりますから、私の要望として、すみやかに海上交通について全般的な検討を願いたいと思うのですが、この点の御説明を願いたいと思います。  以上二点です。
  21. 金丸信

    金丸政府委員 私も先般浦賀水道視察先生方のお供をしてまいりまして、まさに道交法にかわるべき海の道交法もあってしかるべきだという感じがいたして帰ったわけでありますが、この問題につきましては、先般の英国の、先生の御指摘になったようなあの大災害を考えてみましても、瀬戸内海に起き、あるいは東京湾に起きたらどうなるのだろうということを考えてみますと、この問題につきまして、ただいま海上保安庁におきましても鋭意検討をいたしておるわけでありますが、速急にその成案を見るような方向に最善の努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  22. 長野義男

    長野説明員 お尋ねの第一問でありますところのトリーキャニオン号事件概要について御報告申し上げます。  リベリア船籍トリーキャニオン号重量トンで約十二万トンでございますが、原油を満載いたしまして、三月十八日午前八時五十分ごろ十五・七五ノットで航行中、英国コーンウォール半島西端ランズエンド岬西方十六海里のセブンストン礁に座礁いたしました。二時間後、海軍のヘリコプターが現場に到着いたしましたが、すでに前例のない大規模流出がありまして、この流出油による汚染のおそれが認められましたので、同日夜から海軍艦艇が出動いたしまして、流出油を消散させるための薬剤の散布等を実施いたしました。また沿岸漂着するおそれもありますので、汚染防止のための大規模準備がなされたわけでございます。なお、サルベージも三月十八日現場に到着いたしまして、この引きおろし等をはかったのでございますが、非常に海上模様が悪くて、その引きおろし作業は不成功に終わっております。二十日に海軍救難部長現場に到着いたしましたときには、すでに約十二万トンの積載油のうち三万トンは流出いたしておりました。二十三日、さらに天候は悪化しまして、また二十五、六日には船体三つ四つに分裂いたしまして、それまでに合計約八万トンの油が流出いたしております。この油は二十五年以降英国西南端コーニッシュ海岸に到達いたしまして、その海岸汚染いたしております。その汚染海域は約百海里に及んでおります。それで英国政府としましては、二十七日に船体を曳航して被害のない場所に持っていくという計画をあきらめまして、爆撃で残った四万トンの油を焼却するという作戦に出まして、航空機をもって残油焼却をするため爆撃を行なって焼却を実施いたしました。それで漂流油は、英国西南端でありますランズエンド中心とした百海里沿岸、またフランス沿岸にも漂着いたしまして、その海岸汚染された地区の清掃に、英国におきましては約二カ月、またフランスにおきましても約二カ月の日時を要しております。  以上がトリーキャニオン号事件概要でございます。
  23. 亀山信郎

    亀山政府委員 ただいま政務次官から申し上げましたように、海上交通関係法規の整備につきましては、ただいま大急ぎで検討いたしております。現在海上における交通規制する法規といたしましては、海上衝突予防法及び特定水域に関して特定水域航行令、さらに港内につきましては港則法という法規、大体この三つ海上交通法規でございます。  そこで私どもの構想といたしましては、現在この三つ分かれておるうちの海上衝突予防法と申しますのは、これは国際的なルールでございます。これはこれといたしまして、内水、つまり日本の領域に属する海、特に港内及び瀬戸内海等の、あるいは先生方にごらんいただきました浦賀水道等交通ひんぱんな場所における交通の方法について、従来は海上衝突予防法という大洋を航海する場合の一対一の関係規制するということが中心になっておる法規を改めまして、交通混雑するところについてはやや陸上に類したように、最高速力の制限とか、追い越しの禁止とか、そういう面における航行規制を立法化いたしたい。現在ではいろいろな行政指導というやり方でやっておりまして、これは必ずしも十分な効果をあげ得ない。常に好ましいことだとは思いませんが、場合によれば罰則をもって強制するという必要がある。現在起ころうとする危険に対応しては、そういう行政的な罰則も必要ではないか、かように考えておりますので、現在要綱案の作成を進めておるところでございまして、近く八月ごろには運輸省審議機関である海上安全審議会に諮問いたしまして、この次の通常国会にはぜひ新しい海上交通に関する法案国会提案をいたしたい、かように考えて鋭意準備をいたしておる次第でございます。
  24. 渡辺芳男

    渡辺(芳)委員 時間もございませんから、海上交通関係についてはまた別の機会に譲りしまして、これで終わります。
  25. 八木一男

  26. 野間千代三

    野間委員 時間がありませんので、一つ二つお尋ねをいたします。  初めに大臣、今度油による汚濁防止する条約をようやく日本で批准をする段階になったのですが、御承知のように最初の条約ができてから十三年、改正をしてからすでに五年たっているわけですね。世界の主要海運国ではほとんど六二年の条約まで批准がされていると思います。たしか二つか三つ残っていると思いますが、その程度であります。しかも日本の場合には、海運の隆盛はたしか世界の四位か五位になっていると思います。したがって、それだけの海運国としての日本のいわば襟度といいますか、そういう点から見れば、当然すでに相当早期にこの条約が批准をされておってしかるべきだというふうに存じます。したがって、今回この批准をして国内法を制定する際には、そういう反省に立って国内法を制定する、こういうふうに考えるのが当然われわれの責任ではないかというふうに存じます。そこで六二年条約よりも今度の日本法律案のほうが前進的である、進歩的であるという点が当然なければならぬというふうに私は存じますが、特徴的に、いわばいま私の申しましたような観点からして、世界第四位か五位の海運国として、六二年条約に上回る特徴のある点はこれであると、世界の世論あるいは日本国民に対して示し得るものがあるのかどうか。ありましたら、ひとつその点をお示しいただきたいと思います。
  27. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 この条約批准が今日まで延び延びになっておりましたことは、お話しのとおり、世界の一流の海運国といたしまして、日本の立場からいうと、まことに遺憾千万なことであったわけでございますが、これにつきましては、やはりただ批准するというわけにもいかず、批准に伴いまして、油の処理施設を国内で完備する必要等があったわけでございますが、このたびの条約におきましても、なかなか処理施設の完備について海運業者あるいは海運界等だけにもまかせておけませんので、そこで本法案におきましては、港湾管理者にこの施設を整備させ、これに対して国庫補助を与えるという制度をとっておるのでございますが、しいて諸外国と違うという点を取り上げまするならば、これらの施設政府補助金まで出すという点は、これは新しい考えだと思います。しかし、このことはなかなか民間だけの力では設備の完備が期し得られないという日本の現状から出た必要欠くべからざる措置であるという点を考えますと、特にこの点が外国に比べて誇るに足る点であると言うわけにはまいらないことはもとよりでございます。
  28. 野間千代三

    野間委員 たいへん残念な話です。少なくともこの条約批准、国内法の制定には特徴のある部分があってしかるべきだというふうにしなければならぬと考えておるのですが、ただいまの大臣の御答弁ではそれがないので、これは非常に残念でございますが、いま大臣の言われた、たとえば国が廃油処理施設に二分の一補助するという点は、これは私は進歩ということよりも、関係をするのは海運、石油あるいは造船、こうした多くの日本の企業が油による海水、港湾等の汚濁防止すべき当然の責任があると思います。もちろん国のほうの責任は、それをどうしろと言うところにあるというふうに思うのです。その点からすれば、何も国が二分の一金を出して、しかも、それにもかかわらず地方財政からも負担をするというふうなことで、油の受け入れ施設をつくることがはたしていいかどうか。これは大臣も後半のほうでそれを少し言っておられましたが、これはむしろ進歩ではないというふうに考えていいのじゃないかと思います。したがって、おくればせながらこの条約批准をして、国内法を制定する。そしてその制定をする段階では、残念だが六二年条約よりも前進した部分はない。しかし、これは将来の日本の海運の発展あるいは石油工業の発展等から考えてくれは、当然これはすみやかに——いまたとえばイギリスの法律等で見れば、夜間の油の荷役の禁止であるとか——これは外国の条約、国内法、そういうものから比較をしてまいりますと、日本の国内法の場合にはこれは非常に問題が多いのですね。したがって、それを一つ一つ追及をするといっては語弊がありますが、御質問申し上げたいと思っておったのですが、そういうことを考えると、少なくとも国内法を制定をするときには、近い将来計画的に、たとえば問題になっております百五十トン以下の問題であるとか、あるいは港則法の「みだりに、」という条項を改正するとか、あるいは受け入れ施設の責任をちゃんと地方港湾管理者に与えて、それが指導をしながらつくる。そうした進歩的な、全体としての油による汚濁防止する計画的な法案の今後の改正、そうした日程をいま当然考えておく必要がある。それを考えておきませんと、当然協力をすべき海運、造船、石油、そうした企業がやはりいままでどおりのことで政府におぶさり、あるいは地方公共団体におぶさるという悪弊は、これは払拭ができないようになると思うのです。したがって、法案をつくっておいて、それですぐ改正ということは語弊があるでしょうけれども、少なくとも油の受け入れ施設、あるいは船の改造、あるいは各企業の協力体制、そうしたものも着実に積み上げていって、それに基づいて法律を改善していく、そういう決意なり、日程なりは少なくとも持つべきだというふうに私は思いますが、どうですか。
  29. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 全くお説に御同感でございまして、この法案成立をいたし、実施されました上は、ただこの法律の条項が実施されれば、それであらゆる意味において十分であるとは考えません。今後とも法律の足らざる部分を指導行政の面におきまして着々と補充し、改善し、時期を待ってこれを法改正の上にあらわしていく、こういう方針でまいるつもりでございます。
  30. 野間千代三

    野間委員 一応答弁としては了承することにいたします。  ただ問題が残りますのは、たしか小型船廃油の受け入れ施設港湾管理者設置をする。そうして国で二分の一補助をして、当面六港ですか、設置をするようになっておると思いますが、先ほど渡辺君からも質問がありましたが、大型船の受け入れ施設ですね、これは民間に依存をしておる。これはまあいいと思います。したがって、地方公共団体が小型船の受け入れ施設については二分の一負担をしなければならぬというふうになっております。それは小型船が相手ですから、そういう考えも出てくるかもしれませんけれども、私はもっと本来的に、先ほど申しました油を排出をしていく企業ですね、そういう企業がやはり当然主体的に責任と義務を負うという考え方が必要ではないか、そういう体制が貫かれておって、かつ国や地方自治体がこれに補助をする。それはやむを得ないと思うのですが、そういう考えに立つべきではないかというふうに思うのです。そういう部分については、私は今度の法律については非常に不満であります。特にいま地方財政、また港湾の建設という意味で、今日まで起債によって港湾をつくってきたそういうものが、また再びこの条約の受諾によって新しい負担をしなければならない。油の処理施設というものに支出しなければならない。私は横浜の出身ですが、特に横浜港のごときは一年間にタンカーが二万五千隻くらい全体で入り、そのうちの一万九百隻くらいが百五十トン以下というふうに記録されておる。これはおそらく川崎あるいは多くの石油コンビナート等を持っておりますからそういう性格になってくると思いますが、そういうところでは、おそらく一カ所くらいの受け入れ施設で済むかどうかという問題も必ず出てくるというふうに思うのですね。したがって、もっと主体的に企業が責任を負うという体制をきちっとつくって、それに国が指導する。地方が協力をする。いまは逆ですからね。そういう考え方に立つべきだと思いますが、いかがですか。
  31. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 特に大量に石油を使用いたしまする業者、すなわち石油精製その他の石油関係の業者が、その工場に接する海面において自社専用の処理施設を設けるのは、今後の事業の経営からいって当然の事柄だろう。こう思いますので、今後そういう考えで業界を指導してまいりたいと思います。
  32. 野間千代三

    野間委員 それでは、ぜひいま申しましたような考え方で今後の法律の制定後の法律の運営について十分に留意を願いたいというふうにお願いをいたします。  時間もありませんので、あと簡単な問題を一、二お願いをいたしますが、最近タンカー・クリーニング・バージというものを造船七社が協力をして建造をしております。当面七隻ですか建造する予定だそうであります。このタンカー・クリーニング・バージ、着想なりあるいは考え方としてはよろしいと私は思います。ただ問題は、タンカー・クリーニング・バージというものは船舶なのか、あるいは施設なのか、まずそれをちょっと伺いたい。
  33. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 お答えいたします。  いま先生のお話しのタンカー・クリーニング・バージというのは、おそらく東京湾で現在石川島播磨造船所その他関係造船所資金を出しまして、それでタンカー・クリーニング会社をつくっておりまして、そこで完成いたしました。古いタンカーを区切りました箱みたいなものでございます。これは、バージでございますけれども、引き船で引っぱっていくわけであります。そのことだと存じます。それにつきましては、今度の法律成立いたしますれば、要件が合っておりますれば、条文によりまして、大型タンカー修理する場合のクリーニングとあわせた油性汚水受け入れ施設ということで許可していきたいというふうに存じておるのでございます。これは形は船でございますけれども、独航ではありませんので、いわゆる船舶法でいう船ではありません。単なる物体でございます。ただ形は、浮いておりますけれども、そういう種類の処理施設も、やはり廃油処理施設一つとして要件さえ合っておれば、今後法律ができましたならば認めていきたいというふうに考えております。
  34. 野間千代三

    野間委員 自航力がないから当然船じゃなかろうと思いますが、ただ船のごときものなんですよ。陸ではないわけです。もし船であれば大体三千トンから五千トンくらいの大きさですから、これは当然条約に引っかかる。したがって、五十海里外へ出て排出するものは排出しなければならぬということになると思うのですが、そうなってまいりますと、問題は排出をするものがどの程度の油性混合物であるかということになると思います。そこでこの法案にも基準というか、これは陸上施設でも、タンカー・クリーニングでも、排出する場合の基準が必要ではないかと思います。それでまず第一点として、その基準はどの程度に生きておるか。一〇〇PPMは通常船ですね。こういう施設の場合、常時そこでやるのですから、常時やるものが一〇〇PPMではまずいと思うのですね。そういう意味で今後、陸上施設でもあるいはタンカー・クリーニング・バージでも、当然排出していい基準が必要であるというふうに考えます。したがって、その基準はどのくらいあるか。陸上施設の場合、用地がわりあい十分にとり得るというふうに思いますが、タンカークリーニング・バージの場合には当然限定をされる。したがって、狭い範囲の中に洗浄施設を置かなければならぬということになってまいりますから、陸上施設とこのタンカー・クリーニング・バージの場合の基準、そういうものは相当厳密に考えておかないと——しかもこれはたくさんの大型、小型のタンカーを洗浄するのだろうと思うのです。そこでこのタンカー・クリーニング・バージから出てくる排出物は洗浄されなければならぬということになってくる。そこで一つの調べがあるのです。同じタンカー・クリーニング・バージの排出した液体を三回にわたって調べた記録がございます。その調べによると、四十二年の二月九日に調べた場合には、排出された物質が五六PPMであった。それが四十二年四月二十八日に調べたときには少し下がって三九・七PPMであった。それが四十二年六月六日に調べた際は、ある一つの調べは一七一・〇九九PPM、もう一つの調べによると一八九PPMであったということなんですね。そうすると、なぜ同じタンク・クリーニング・バージでこういうふうに排出したものが変わるのかということが問題になると思うのです。私はおそらく対象であるタンカーの古さであるとか、あるいはこのバージの中で洗浄した際の洗浄液の性能であるとか、いろいろな要素があると思うのです。私が気になるのは、そういうふうに相手のタンカーによって数字が相当変わってくるということなんです。そこで、いかなるタンカーを持ってきても必ず一定の結果が出てくるというふうにしないと、これは非常に危険である。ここがタンカー・クリーニング・バージという一定の範囲の中でつくられる施設のむずかしさだと思う。しかもこれはこれからつくろうとしておるのですから、相当厳格に監督をして、ちゃんと基準をきめる必要があるというふうに思うのですが、それはどういうふうにお考えですか。
  35. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 ただいま先生のご質問の基準の件でございますけれども、現在まだきめておりません。ただ今後この法律が通りましたあと、本法案によりますと、第二十一条でこういった廃油処理の方法について省令で技術上の基準をきめることになっております。そこで省令を出すときにその点ははっきりしようと思っておる次第でございます。それからたとえば工排法のように、ある海面なら海面を指定いたしまして、その辺の水質環境ということがかりにきまりますれば、そういう廃油処理施設から出る廃油の濃度も、そういった基準に合わせなければならぬと思います。そういう点につきましては、たとえば特定の地区が指定されれば、その地区につきましてはそういった限度の廃油しか処理施設から捨ててはならないという規定のしかたもあると思います。いずれにいたしましても、省令でもってそういった技術基準をきめるつもりでおります。  なお、これにつきましては、そういった技術基準に適合しない場合はそういった施設改善命令を出すことがやはり二十一条の三項に規定しております。そういった面での監督並びに運輸省職員が検査いたすこともできると思いますが、そういったことも含めまして監督していきたいというふうに存じておる次第でございます。
  36. 野間千代三

    野間委員 時間がだいぶ迫っていますのでお答として了解をいたしますが、陸上施設の場合にも同じだろうと思うのですね、そういう意味で、省令をお定めになるときには、できれば省令を定める前に——実はこの問題は非常に重要だろうと思うのです。陸上施設の場合でも、クリーニング・バージの場合でも、これは今度は恒久的に出るわけですから、したがって、その技術上の基準を省令できめる場合には、ぜひこの公害委員会等と十分に御相談をいただいて、将来に悔いのないようにひとつ十分な慎重な御配慮をいただきたいというふうに思います。  それから次に、もう一点ですが、石油コンビナートからいろいろな排せつ物が出てくる。その排せつ物の中にはソーダのかすであるとか、あるいは泥油といってどろのような油であるとか、タール液といっているようなものであるとか、そういうものがだいぶ出ているようです。それをいま、たとえば川崎に例をとると、川崎のコンビナートから、四つか五つの小さな会社があって、その会社が十六トンから大きくて九十トンくらい、その程度の船に積んで港湾に捨てている。これを海上保安庁あるいは市、県等で監督をして、たしか波浮の港と千葉と伊豆の突端を結んだ線から外というふうにでしたか、投棄するという指導をされていると思いますが、私はこの問題、まず最初に泥油あるいはタール液その他のものはもちろん油を含んでおりませんと思いますが、泥油あるいはタール液、そういうものは当然油を含んでいると思います。したがって、この問題は、いま申し上げましたように横浜の海上保安部あるいは横浜市、神奈川県等で検討をして、そうした線を引いて、それから外というふうにたしか指導しているはずですから、相当長い間の問題だったと思います。したがって、この積み出している。まあ当面泥油あるいはタール液、そういうものの成分ですね、油性混合物になるのかどうか、その成分などについて御検討したことがあったかどうか。
  37. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生お話しの川崎のコンビナートの件でございますけれども、その明らかに油性であるもの以外のものにつきましてどういう成分なのか、運輸省といたしまして調べたことはございません。いまのお話で、波浮の港の線から外へ捨てるということだと存じますけれども、本来そういうものは海や川へ捨てればいいんだという考え自身がおかしいのではないかと存じます。したがいまして、これはまあ通産省とも関連いたしますと思いますけれども、そういうものは陸上でもって焼却する、そういったような処分をすべきではないかと存ずるのでございますけれども、この点につきまして通産省のほうへ相談いたしまして、一ぺん調査してみたいと思うのでございます。   〔板川委員「この第一条にあるじゃないか、百万分の百以上と」と呼ぶ〕
  38. 野間千代三

    野間委員 そうそう。ですから、いま言われるように、これは捨てていい基準がちゃんと条約にもあるわけですね。私はいま自分で分析したのじゃないからわかりませんが、少なくとも泥油あるいはタール液という名前からいっても、これそのものが油じゃないかと思うのです。百PPMどころじゃないと思う。したがって、これはぜひ早急に調査をしていただいて、そうして明らかに——しかもこれはちょっと参考までに申し上げておきますが、月間泥油が三百四十七トン、それからタール液が三十八・五トンというふうに出ているんですね。それは月によって違うかもしれませんが、そういうことは平均してそうだと思うのです。ですから、これはぜひ分析をしていただいて、もし油性混合物だとすれば、これはいま申しました線では、これは明らかに五十海里ずっと中ですからね。陸上で廃棄をするとか、あるいは条約のとおりにするとか、私の言いたいのは、いつでもやっているわけですから、これは海上に捨てていいものかどうかという点について厳密に考える必要がありはしないかと思うのです。ただ実は私の気になるのは、小さな運送業者のようです。十九トンから八十トンくらいの船で集めてきて、それをいまはたしか百六十トンか百八十トンくらいの船に乗せて、となっておるらしい。そうすると、これは百六十トンの船で捨てるとすれば、今度はこの法律によって五十海里以上に捨てなければならない。こうなりますけれども、そういう構想でもいいと思うのです。それはもう一回検討してみますけれども、そういうことでひとつ御調査をいただいて、ただ小さな企業がたくさんやっているらしいので、そういう企業がつぶれたらこれはほかの公害になりますから、そういうことも配慮をしなければなりませんので、十分にひとつ御調査をいただいて、あと御相談をいただきたいというふうに思いますが、ちょっとお答えだけいただきます。
  39. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 ただいまの事例でございますけれども、実情をよく調査いたしまして、そういう大きい船であれば、いまの五十海里以上に出るように準備するように言っておきます。それから小さい船ならば当然これはもう海洋に出られませんので、廃油処理施設のほうに捨てなければならぬじゃないかと思います。いずれにいたしましても、実情をよく調べまして、どうして処置したらいいかを検討したいと思います。よろしくひとつお願いします。
  40. 野間千代三

    野間委員 それじゃそれは御答弁のように調査をしていただいて、あとの処置については、なかなかこれはおそらく問題がありそうに思います。小さな会社——大会社ならかまわないと言っては悪いですけれども、そういう点については十分に配慮をしていただきながら御調査をしていただきたいというふうにお願いをいたします。  時間がないので最後にいたしますが、繰り返すわけでありませんけれども、全国で石油積み出し港がたくさんあり、かつコンビナートのあるところもたくさんございます。したがって、論議を尽くされてまいりました百五十トン以下のタンカーの問題あるいはコンビナートから出てくる排せつ物の問題、あるいはその排せつ物を処理する処理施設ですね、そういうものの洗浄したあとの廃棄の問題とか、これは海上を清浄にする点については、この法案では漏れている部分が一つ一つあげてくればまだ無数にあるというふうに思うんですね。その点をちゃんと担当のほう、政府のほうで、それがどういうものがあるか、どれがこぼれるか、この法律では何がこぼれ、それがどういうふうに海上をまた汚濁しているかという点について実は追及したんだけれども、まだ残念ながら正確に把握していないと思うのですよ。把握しておられない。少なくともまずこの法律を出す際には、この法律ではこの点はこぼれます、それはどの程度に海上がどうなるということくらいは把握をしておいて——ただ漫然と九〇%、八〇%直りますなんということでは困ると思う。ですから、その点はちゃんと把握をして、それはどういうふうにして何を直したらいいか、港則法をどういうふうにしたらいいか、この法律をどういうふうにしたらいいか、陸上施設をどういうふうにしたらいいか、きちっと計画を持って提案をすべきだと思うのです、その点についてだけ大臣にひとつ伺いたい。
  41. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 仰せのとおり、この法案にはいろいろ国内の公害防止の万全を期するという観点からは不備な点があろうと存じます。しかし、何と申しましても、運輸省といたしましては、いままで行政のほかにありました仕事を新しく行政の中に取り込んで新しい立法をしていくわけでございまして、今後この法案が実施に移される段階になりますと、この法案の実施の業務を通じましていろいろと実情も把握することができるようになりましょうし、また、それに伴って、法の不備は不備であるという点も一そう明確化できることと存じまするので、そういうことを基礎といたしまして、今後この不完全な法案を逐次完備して公害防止の完ぺきを期するようにいたしてまいりたいと存じまするので、何とぞ法案をあげていただきまして、実施をさしていただいて、その上しかるべき時間をお与えの上一そう御督励を賜わりたいと存じます。
  42. 野間千代三

    野間委員 終わります。
  43. 八木一男

    八木委員長 連合審査会はこれにて散会いたします。    午後二時二分散会