運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-07-18 第55回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十八日(火曜日)    午後三時二十一分開議  出席委員    委員長 田原 春次君    理事 天野 光晴君 理事 池田 清志君    理事 細田 吉藏君 理事 湊  徹郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 佐野 憲治君    理事 永井勝次郎君       倉成  正君    塩谷 一夫君       白浜 仁吉君    砂田 重民君       保利  茂君    増岡 博之君       三池  信君   三ツ林弥太郎君       石橋 政嗣君    大原  亨君       神門至馬夫君    楢崎弥之助君       浜田 光人君    八木  昇君       山本弥之助君    小沢 貞孝君       鈴切 康雄君  出席政府委員         総理府総務副長         官       上村千一郎君         防衛政務次官  浦野 幸男君         厚生省公衆衛生         局長      中原龍之助君         厚生省国立公園         局長      大崎  康君         厚生省社会局長 今村  譲君         建設省河川局長 古賀雷四郎君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    上田 伯雄君         警察庁警備局警         備課長     三井  脩君         防衛庁防衛局第         一課長     今泉 正隆君         大蔵省主計局主         計官      長岡  実君         国税庁直税部所         得税課長    江口 健司君         文部省管理局教         育施設部指導課         長       大串不二雄君         厚生省環境衛生         局水道課長   大橋 文雄君         農林大臣官房参         事官      太田 康二君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       松井 芳明君         農林省園芸局園         芸課長     千野 知長君         林野庁指導部治         山課長     高桑 東作君         林野庁指導部林         道課長     大福喜子男君         林野庁業務部業         務課長     福田 省一君         中小企業庁計画         部長      本田 早苗君         運輸省港湾局技         術参事官    栗栖 義明君         気象庁予報部長 今里  能君         建設省計画局宅         地部長     井上 義光君         建設省都市局技         術参事官    馬場 豊彦君         建設省河川局防         災課長     坂井 秀正君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君     ――――――――――――― 七月十二日  委員山口敏夫君及び中澤茂一辞任につき、そ  の補欠として佐藤文生君及び岡本隆一君が議長  の指名委員に選任された。 同月十三日  委員仮谷忠男君、坂本三十次君、塚田徹君、武  藤嘉文君及び稲富稜人君辞任につき、その補欠  として保利茂君、三池信君、砂田重民君、増岡  博之君及び塚本三郎君が議長指名委員に選  任された。 同月十八日  委員橋口隆君、伊賀定盛君、稻村隆一君、佐々  栄三郎君及び渡辺芳男辞任につき、その補欠  として倉成正君、大原亨君、八木昇君、浜田光  人君及び石橋政嗣君議長指名委員に選任  された。 同日  委員倉成正辞任につき、その補欠として橋口  隆君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月十三日  小諸周辺干害及びひよう害対策に関する請  願(井出一太郎紹介)(第三三三九号)  同(林百郎君紹介)(第三三四〇号) 同月十四日  小諸周辺干害及びひよう害対策に関する請  願(下平正一紹介)(第三四四一号)  同(中澤茂一紹介)(第三四四二号)  同(原茂紹介)(第三四四三号)  同(平等文成紹介)(第三四四四号)  同(小川平二紹介)(第三五〇三号)  同(小沢貞孝紹介)(第三五〇四号)  同(吉川久衛紹介)(第三五〇五号)  同(小坂善太郎紹介)(第三五〇六号) 同月十五日  小諸周辺干害及びひよう害対策に関する請  願(羽田武嗣郎紹介)(第三七一八号) 同月十七日  小諸周辺干害及びひよう害対策に関する請  願(増田甲子七君紹介)(第四一五一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月十三日  久留米市等の降ひょう被害対策に関する陳情書  (第三三〇号) 同月十七日  災害防除対策強化促進に関する陳情書  (第四  五六号)  鹿児島県の農作物干害対策に関する陳情書  (第四五八号)  岐阜県の集中豪雨災害対策に関する陳情書  (第四九五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十二年七月の集中豪雨による災害対策派  遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 田原春次

    田原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、昭和四十二年七月の集中豪雨による災害対策について調査を進めてまいりたいと存じますが、まず、本問題の実情調査のため先般当委員会より現地に派遣されました委員から報告を聴取することといたします。第一班、池田清志君。
  3. 池田清志

    池田(清)委員 昭和四十二年七月の集中豪雨による被害状況調査のため、議長の承認を得て、七月十四日から昨十七日までの四日間、長崎県及び佐賀県に派遣せられました第一班の派遣委員を代表して調査の概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、自由民主党の私池田清志佐藤文生君、水野清君及び日本社会党佐野憲治君の四名でございまして、地元選出議員も御参加をいただき、長崎佐賀の両県に対し、議員一同から拠出せられました災害見舞い金をお届けいたしますとともに、現地実情をつぶさに調査をいたし、加えて、現地に向かう途中、飛行機から列車に乗りかえます四十分の間に、福岡県につきましても、知事関係部長から説明を聴取してまいったのであります。  第一班は、昨夕飛行機で帰京いたしたばかりでありますので、簡単に御報告申し上げることをお許しいただき、詳細は、委員長のもとに、現地よりちょうだいいたしました数々の資料を提出しておりますので、これをごらんいただきたいと存じます。  まず、長崎県について申し上げます。  七月初旬から九州中部に停滞していた梅雨前線は、その活動を次第に活発化していき、台風七号くずれの熱帯性低気圧の影響もあって、七月五日夕刻には対馬地方に、また九日早朝には五島列島及び県北地方を中心に集中豪雨をもたらし、雨量は、九日一日で、佐世保市三百五十四ミリ、時間雨量百二十五ミリ、福江市三百五ミリ、時間九十九ミリを記録するなど、県下三十三市町村に激甚なる被害発生せしめたのでありまして、災害救助法を発動したもの二市十三町を数えております。  県の報告による十五日現在の被害状況は、死者五十名、重軽傷者三百十三名、住家全壊三百八戸、半壊二百二十三戸、床上浸水八千六百九十五戸、床下浸水一万七千九百四十二戸、被害額は、農林関係七十五億二千万円、土木関係六十九億二千万円、商工関係十八億円、その他を合わせて、総額二百三億二千万円に及んでおります。  われわれ調査団は、佐世保市内にある県北開発振興局において、知事はじめ県当局の方々、佐世保市長佐々町長ほか関係者から説明を聴取した後、佐世保市の大野地区池野地区黒髪地区などの被災現地をつぶさに視察いたしますとともに、同地区において、自衛隊活動状況について、その作業ぶりを直接見る機会を得、さらに、五十余戸の部落を預かって避難誘導の先頭に立って適切な指導を行なわれた地元の一市民からも被災現場に立って直接説明を聞き、私どもととのやりとりが、被災者の身の振り方に具体的に影響を与える緊迫した雰囲気の中で、身の引き締まるような調査を行なってまいったのであります。  被災現地は、いずれの地区も、洪水鉄砲水のなまなましいつめあとが歴然としるされており、写真とあわせて現地状況を見ますと、当時の激甚さが十分にうかがい知れたのでありまして、中でも、黒髪上流巨岩累々たる鉄砲水あと、近接して全く対照的に、二十三災の直後設けられたというみごとな砂防堰堤が厳然として自然の暴威をさえぎった状況をあわせ見て、もしこの堰堤がなかったならば、被害惨状ははかり知れないであろうことが想像にかたくないだけに、いまさらながら適切な防災事業必要性を痛感いたした次第であります。  まず、県の要望事項から申し述べますと、  今次災害激甚災害に指定せられたいということは申すに及ばず、公共土木関係として、中小河川対策に大幅な予算的措置を講ずること、復旧事業は、改良復旧を施すとともに三年間で完了すること、また、災害防止抜本策として、治水砂防ダム建設促進が強く要望され、さらに、急傾斜地崩壊防止対策事業の推進、災害区域における建築規制災害住宅の復興について要望がありました。  農林関係といたしましては、天災融資法の発動と自作農維持資金融資ワク拡大並びに旧債の償還延期及び水稲再保険金早期概算払いについて要望されるとともに、農地復旧について、改良復旧に重点を置くこと、現行進度三・五・二を五・三・二とすること、査定前着工を認めること、十万円以下の小災害対象とすること、応急復旧工事採択基準は、地区五万円を二万円以上に緩和すること、補助残について全額起債対象とすること、事務雑費三%を五%にすることが要望され、また、種苗確保事業費国庫補助林道早期復旧緊急治山事業大幅拡大漁港災害復旧事業の早急な修築、しゅんせつ、漁業施設水産加工施設復旧措置について特段の配意が望まれております。  厚生関係としては、災害救助法による救助費限度額改正世帯更生資金国庫補助増額母子福祉資金国庫貸し付け金増額児童福祉施設保健所等災害復旧国庫補助、並びに水道清掃施設災害復旧工事費及び伝染病予防費高率補助適用について要望がありました。  商工関係としては、中小企業者に対する資金融資について、利率の引き下げ、利子、補給、償還期限延長政府金融機関災害特別融資ワクの設定、信用保証協会災害融資、並びに被災中小炭鉱に対する特別融資について、文教関係としては、小災害復旧事業費地方負担軽減効用復旧復旧費早期決定公立社会福祉施設設備災害復旧について、それぞれ要望がなされました。  税財政関係といたしましては、災害による緊急融資すなわち、つなぎ資金の問題、普通交付税の繰り上げ交付起債充当率の引き上げ、単独災害復旧事業採択基準の緩和、特別交付税増額配分並びに急傾斜地崩壊対策事業に対する財源措置について強く要望されたのであります。  佐世保市からは、今次災害に対する自衛隊救援活動に深甚なる謝意が表せられますとともに、特に、上水道の主たる給水管が被災したため、全市の水道が麻痺し、いまなお七千戸に対して毎日給水活動が続けられている現状で、五島列島町村にも同様の例がありますが、上水道復旧について高率補助ないし起債による解決が強く望まれておりました。なお佐世保市の水道米軍も三分の一使用していることから、基地対策の一環としても、ぜひ取り上げてほしいとの要望があったのであります。  また、災害救助法は全く実情に沿わないとの意見が述べられ、たとえば、応急仮設住宅の三分の一の規定はきわめてシビアに過ぎ、だれを優先的に入れるかということで問題が多く、全戸を対象とすべきであること、また、被災民の切実な声として、なべかまよりも、畳、むしろがほしいという希望が強く、市においてとりあえず手当てをしたが、法による手当てを大幅に引き上げられたいとのことでありました。  佐世保市の説明に関連して、知事から特に都市計画防災のウエートが少ないことが指摘され、根本問題は防災本位都市計画でなければならず、河川対策のみでは不十分であるとの意見が述べられたのであります。  佐々町からは、商店街被害が著しく、中小商工業者に対する低利長期融資が早急に必要であること、中小河川改修とともに町村河川についても特段の援助措置要望するとのことでありました。  また、町村長会長からは、同地方産炭地の火が消えてしゅんとなっているところに今次災害を受けたことから、一日も早い激甚法適用で、住民復旧意欲を振興するよう要望されるとともに、将来のかんがい用水対策について総合的施策が望まれておりました。  次に、佐賀県について御報告申し上げます。  本県におきましても、九日十二時から十四時にかけて県下全域が大雨となり、特に県の北西部地域には集中的な豪雨を記録し、伊万里市において二時間余の間に二百ミリをこえ、時間雨量にして百三十五ミリ、有田町で二時間に百七十五ミリをはじめ、各地に時間雨量にして百ミリをこえる降雨を見たのでありまして、このため、県下全域にわたって激甚なる被害発生し、災害救助法を発動したもの三市六町に及んでいるのであります。  県の報告による十五日現在の被害状況は、死者三十二名、行くえ不明二名、重軽傷者百五十六名、住家全壊流失百六十四戸、半壊三百四十四一尺床上浸水六千四百四十三一尺床下浸水一万九千三百九十九一尺被害額は、農林関係百十五億円、土木関係六十八億円、商工関係三十六億円、その他を合わせて総額二百三十一億円にのぼっております。  私ども調査団は、十六日、まず武雄市を振り出しに山内町、有田町、西有田町、伊万里市、唐津市、昨十七日は、相知町、厳木町、多久市の被災現地及び役場におもむき、最後に佐賀県庁を訪れたのでありますが、県並びにに各市町村要望事項は、大部分が、先ほど申し述べました長崎県同様でありますので、重複を避け、各市町村において特に印象の深かった点についてのみ御紹介申し上げてみたいと存じます。  まず、武雄市におきましては、平常はむしろ水不足に悩んでいるとのことで、むずかしい河川といわれる六角川の改修、特に改良復旧が望まれますとともに、水田二百八十一ヘクタール中、植えつけ不能五十七ヘクタールを除き、八十ヘクタールが苗不足を来たしており、二年連続米作反当収量日本一を誇る佐賀県だけに、村民の米づくりに対する意欲が盛り上がっていたところにこうむった災害ということで、目下立ち直りに努力中であり、近県からの早生種苗の移入、遠く石川県から種もみの急送を仰いでいるとのことでありましたが、種苗確保費用について格段の配意が望まれておりました。  山内町におきましては、地すべり対策が強調せられ、今次災害黒髪山系に端を発しているだけに、その山麓に位置する同町は、干ばつで亀裂が入っているところに集中豪雨を受け、随所山地崩壊地すべり発生、いまなお、日を経るにつれてじりじり進行しているとのことで、同地方一帯の地層が玄武岩であるため、全町を地すべり地帯に指定するとともに、技術的、財政的援助が強く望まれておりました。  有田町は、住宅の八〇%が有田焼生産、販売に従事し、年額六十五億の生産を行なっておりますが、九日の雨で二百カ所に及ぶ山腹崩壊発生し、このたぬ住宅や、有田焼かま随所被害を受けており、被災業者かま復旧従業員住宅並びに休業手当等、当面の危機を切り抜けるため、適切なる金融対策要望せられますとともに、反対側有田ダムにささえられた地方被害がなかったことから、抜本的対策として大規模砂防堰堤ないし防災ダム設置が強く要望せられていたのであります。  なお、これに関連して、国有林防災対策がきわめて不十分であることが、災害発生の一因をなしていることが問題点としてクローズアップされるとともに、通商局から、有田焼かまの再建に関して、今次災害機会に、中小企業近代化促進法に基づくスクラップアンドビルド方式にのっとって近代化計画を立て、特別の融資を受けることを検討すべきであるとの指摘がなされたのであります。  西有田町におきましては、二百五十を数える老朽ため池被害が顕著であることから、その改修について、国及び県で何とか援助する方法はないものかどうかが問題点となりました。急傾斜地である地形上、大きなため池はつくれず、町の財政規模はきわめて貧弱であるため、防災対策についての町長陳情は、まことに切実な声と承ってまいったのであります。  次に、本県で最も被害激甚であったといわれる伊万里市につきましては、問題点も一つにとどまらないのでありますが、まず、被災商店立ち直りをはかる必要が痛感せられるところでありまして、一商家二百万円程度長期低利融資措置はぜひとも必要であろうとのことであります。同市は、産炭地からの脱皮をはかるため、新建材工業都市石油基地構想をあげて意欲的に町づくりに乗り出そうとしているやさきでありましただけに、まことに同情を禁じ得ないものがあるのでありますが、地形上、伊万里川と有田川にはさまれたデルタ地帯に位置し、市街地の護岸に余裕がなく、道路もないため、洪水と火事には全くお手あげの状態であるといわれ、治山治水抜本的対策、特に防災ダム設置急流河川水勢を緩和する河川改修等が強く要望されるところであります。  伊万里川の上流にある鍋島焼で有名な大川内地区を視察したのでありますが、従来の川幅の倍以上に広がっている護岸決壊状況は、当時の水勢をしのんで余りあるものがあり、これが市内に向かって奔流となって押し出したのでありますから、もし日曜日の昼間でなく、男手がないあるいは夜半の災害があったとすれば、その被害ははかり知れないものがあり、その意味では不幸中の幸いであったとも言い得るのであります。  唐津市におきましては、上水道送水管が流されたが、応急復旧のため、とりあえず市議会で一般会計から二千五百万円の支出が認められたので、一週間で復旧するとの報告に接したのでありますが、上水道災害復旧に対する国の補助について強い要望がなされました。  相知町は、松浦川と厳木川の合流地点でありますため、毎回災害を受けているといわれ、今回も二メートルに及ぶ水が出て、全部落が被災したのでありますが、特に警察活動が目ざましく、各孤立部落救援に大きな成果をあげたとのことでありました。抜本的対策として、河川改修原則どおり下流から逐次改修を進めていくべきことが強調せられておりました。  厳木町は、旧炭鉱地帯で、特に生活保護世帯、失対事業に従事する世帯が多く、被災者が貧困でありますため、今次の災害に際し、一般会計予備費から見舞金支出を行ない、金額は、全壊二万円、半壊一万円、床上浸水五千円ないし三千円とし、対象については、不平が出ないよう二日間の十分な調査を行なったということであり、この適切なる措置は注目に値するものであります。  多久市におきましては、林道路面復旧についてぜひとも国援助の手を差し伸べてもらいたいとの熱心な要望がなされました。同市は、林道延長が長いことから、一度出水すれば、これが川となるため、路面が荒され、歩くことができないとのことでありますが、復旧には多額の費用を要し、砂利代も出せない状況にあるので、何とか国の援助をお願いしたいとのことでありました。なお、十万未満の小災害が多いため市の財政が圧迫されていることから、三万円程度まで補助対象にされたいことが望まれ、困難だとすれば、金額起債対象として、元利償還をお願いしたいとのことでありました。  また、千人の従業員をかかえる鉱山の土砂流入による災害復旧に対して緊急金融措置が望まれ、ボ夕山対策としては、一部に水路をつげたことが非常に効果的であったので、残余のものにも水路をつけ得るよう措置されたいとの要望がありました。  なお、同市死者二名中一名は、警察に協力して、孤立部落救援に向かう途中事故にあった高校生であるとのことで、法に基づく補償措置を考慮中であるとのことでありましたので、ぜひこれは実現するよう当局にお願いをいたしておきたいと存じます。  佐賀県の要望事項長崎県同様でありますので、重複する部分は割愛させていただき、残余部分について御紹介申し上げますと、商工関係といたしましては、危険ボ夕山の処理について特別の対策をはかられたいこと。農林関係といたしましては、農林土木技術者派遣あっせん緊急治山ワクの拡充とともに、樹園地等災害融資制度対象にならないものについても何らかの配慮が強く望まれておりました。  また、土木関係につきましては、砂防予算大幅増額と、特殊緊急砂防事業を大幅に採択し、二年以内で完成するよう配慮が望まれておりました。  以上、県及び各市町実情の一端を御紹介いたしたのでありますが、特に全体を通じて地元住民の強い不満の声が聞かれました点は、国有林野防災対策の不備についてでありました。林務当局におかれては、今回の災害を契機として、再びかかる災害を生ぜしめないような十分なる防災上の措置が強く望まれるところであります。  地すべり地区移転促進につきましては、県、市町などの条例で、若干の融資措置がとられているようでありますが、融資のみでは実効は期しがたく、一方、退却命令を出せば補償の問題が生ずることなどから国の適切なる指導援助が強く望まれるとともに、構造改善事業以外の個人の樹園地の無理な開墾につきましては、防災上の見地から何らかの形で指導を強化する必要があるとの意見につきましても、当局の適切な指導が必要であると感じてまいった次第であります。  老朽ため池の補強の問題につきましては、大きくて緊急性のあるものから、一定の基準に従って着々進められてはいるのでありますが、市町村財政力を考えるとき、防災上の見地からいま一歩何とか前進せしめる手だてはないものかと感じてまいったのであります。  さらに、同地方はいずれも産炭地域でありまして、ほとんど閉山して、人口もかなり減少しているところが多く、ようやく新しい産業を興し、町づくりに立ち上がろうとしている際の大災害でありますだけに、貧弱な市町村財政では打つ手がない状況であり、再び災害を起こさないよう、各般にわたる国のあたたかい援助が強く望まれますとともに、ボ夕山対策につきましても、災害防止措置から一歩進めて、何らかの形でこれを活用する方策の検討が必要であろうと痛感いたしてまいった次第であります。  次に、福岡県につきまして、御報告を申し上げておきます。  県の報告による被害は、死者二名、負傷者二名、住家全壊一戸、半壊十二戸、床上浸水八百四十四戸、床下浸水二万一千百四十二戸、被害額は、公共土木関係九億二千万円、農林業関係五億七千万円、その他で総額十五億四千万円にのぼっております。  同県の要望事項も、他の県とおおむね重複いたしますので、省略させていただきますが、特に宅地災害防止及び復旧についての要望を御紹介いたしますと、  宅地造成等規制法適用するにあたり次の事項につき善処せられたいとのことでありまして、  その一は、造成主に対する融資拡大及び改善命令による改良工事を行なう場合、造成主に対し国の財政的援助を願いたいこと。  その二は、現行法改正または新法の制定によって広範な危険区域を指定し、地形変更禁止等措置ができるように願いたいこと。  その三は、法に基づき行政庁が代執行をした場合、執行庁に対する国の財政的援助を願いたいこと。  以上であります。  最後に、今次災害調査を終えて、その被害の激甚なる状況に身をもって接してまいりました立場から一、二申し上げてみますと、  まず、いずれの県、市町村に参りましても、関係者はもとより、報道陣も含めて、異口同書に、激甚法の早期発動について熱烈なる要望がなされたのでありまして、政府におかれましては、一日も早くこれが指定を行ない、被災現地の方々の復旧意欲を高揚せしめるよう特段の御努力をお願いいたしておきたいと存じます。  次は、自衛隊をはじめ地元警察、消防団の目ざましい活躍についてであります。特に、自衛隊はその近代的装備、機動力をもって、いち早く救援活動に、応急復旧にと、昼夜をわかたぬ活動を展開し、一部では、日曜を利用した自発的奉仕の状況にも接してまいったのでありまして、県、市町村当局をはじめ被災者の感謝の気持ちを率直にお伝えいたしておきたいと思うものであります。  終わりに、今次災害でなくなられました方々の御冥福と、負傷された方々の一日も早い御全快をお祈りいたしますとともに、本調査に御協力を賜わりました県はじめ市町村関係者の方々に深甚なる謝意を表しまして、御報告を終わります。(拍手)
  4. 田原春次

    田原委員長 第二班細田吉藏君。
  5. 細田吉藏

    ○細田委員 第二班の調査の概要につきまして申し上げます。  派遣委員は、自由民主党の細田吉藏、日本社会党岡本隆一君、民主社会党の塚本三郎君及び公明党の小川新一郎君の四名であり、ほかに地元選出議員の参加を得まして、七月十五日から十七日まで、広島県におきます昭和四十二年七月の集中豪雨による被害状況につきまして、つぶさに調査をいたしてまいったのであります。  なお、本院議員一同から拠出されました今次災害のお見舞い金を県庁におきまして知事にお渡しし、罹災された方々につつしんでお見舞いを申し上げてまいりましたことを御報告いたします。  広島県におきましては、七月八日と九日の両日、県下一円にわたって集中豪雨があったのでありますが、特に呉市、竹原市、三原市、尾道市、豊田郡等の瀬戸内海沿岸部、及び大崎上島、大崎下島を中心とする島嶼部において激しく降り、呉市においては正味二日間に三百十五ミリを記録し、九日午後三時から六時までの三時間に百三十三ミリという集中豪雨が降ったのであります。  このため、同地方におきましては山腹崩壊が各所に発生し、また、渓流、中小河川は崩壊土砂を伴う鉄砲水となって、多数のとうとい人命を奪い、家屋を倒壊流失させ、道路、橋梁を破壊し、災害の比較的少なかった同地方の人々の夢想だにしなかった大災害発生したのであります。  県の報告によります。月十五日現在の被害状況は、死者百五十九人、負傷者二百十九人、住家全壊三百七十五戸、同半壊四百六十九戸、同一部損壊二百二十二戸、床上浸水五千四百三十一戸、床下浸水二万九千八百二十八戸、教育施設の被害約六千万円、上水道等施設被害約五千万円、農林関係約三十二億六千万円、土木関係約三十三億四千万円、商工関係約二十六億円、公園等約五千万円、総額で約百四十三億六千万円となっており、なお調査が進むに従って被害額はかなり増大するものと思われます。  県におきましては、九日午後五時災害対策本部を設置し、本部員を招集し、直ちに災害の応急対策に取り組んだのであります。呉市、竹原市、三原市をはじめ十五市町村に次々に災害救助法が発動されたのでありますが、九日午後十一時三十分に、県内の住家滅失世帯が二千をこえるに至り、県が災害救助法を発動し、罹災者の救援に当たったのであります。また、自衛隊災害派遣を要請し、九日午後五時二十五分、海上自衛隊員七十名が船で呉市に入ったのをはじめ、同日午後七時十分、陸上自衛隊二百名と続々増強し、生き埋めとなった人々の捜索、救出に当たり、多くの生き埋めとなった人々が救出されたのであります。  呉市におきましては、太田川送水管、三永送水管の本管が山くずれのために破壊され、約二万世帯が断水し、その給水対策が大問題となり、広島市及び自衛隊の給水車を総動員し、さらに広島陸運局に配車を要請し、タンクに入れた飲料水を断水地に輸送して応急給水につとめたのであります。  われわれ調査団は、県庁におきまして知事をはじめ各担当部長から説明を聴取した後、呉市、竹原市、三原市、福山市及び尾道市の各市役所においておのおのの市長から説明を聴取し、また、川尻町、安浦町及び安芸津町の各所長からは、同町内の災害現地において説明を聴取し、各市町における災害現地を視察してまいったのであります。  その詳細及び各地の要望等につきましては、時間の関係から省細させていただきます。  最後に、今回の調査で感じました二、三の点につきまして要点だけ申し上げます。  今回の災害は、呉市に見られるごとく、時間雨量にして七十五ミリ、二日間で三百十五ミリという驚異的な集中豪雨であったため、山地に接した急傾斜地で、山腹崩壊によって家屋が倒壊埋没し、多数のとうとい人命が失われているのでありまして、山地に接した住宅地の問題は、将来の災害防止の上からもその防災対策が望まれるのであります。  また、今回の災害によって多数の方々が家を流されたり、こわされ、家財道具の一切を失って、まる裸になっているのでありますが、これら個人の災害に対する手当てがほとんどない現況でありまして、個人災害の問題につきましても検討の時期にきていると思うのであります。  そのほか、中小河川、都市河川改修の問題予防対策強化の面からの集中豪雨の予報、テレビ、ラジオ等による警報の強化等、問題は多数ありますが、時間の関係上割愛いたし、以上、報告を終わります。(拍手)
  6. 田原春次

    田原委員長 第三班、天野光晴君
  7. 天野光晴

    ○天野(光)委員 第三班の調査概要について御報告申し上げます。  七月の集中豪雨による被害状況調査のため、去る七月十五、十六の両日、永井勝次郎君、小沢貞孝君、鈴切康雄君及び私が大阪府、兵庫県に派遣され、さらに地元選出議員多数の御参加を得まして、つぶさにその実情調査してまいりましたので、以下御報告いたします、なお、委員会の運営上、ごく簡単に概要を申し上げることをお許しいただき、細部については、府、県、市からの陳情書、資料等を委員長のお手元に提出いたしてありますので、御参照願いたいと存じます。  このたびの集中豪雨は西日本一帯に大きな被害をもたらしたのでありますが、大阪府では七月七日から十日、及び十二日の断続的な集中豪雨に見舞われ、特に大阪市の北部においては、九日の午後のみで二百十ミリをこす記録的なものであり、このため、中小河川ため池随所で決壊、はんらんし、各地で土砂くずれ、浸水等、甚大な被害を与え、府の報告によりますと、その被害は、死者四名、行くえ不明二名、重軽傷七十名をはじめ住居関係約三十五億円、土木関係九億八千九百万円、農林水産関係十億九百万円、商工業関係約十億六千七百万円等、物的被害は七十五億円余にのぼり、また、兵庫県においては、九日の朝から夜半にかけて、阪神間を中心に三百ミリをこす集中豪雨があり昭和十三年の大水害をしのぐ記録的なものとなり、そのため、河川のはんらん、山くずれ等が続発し、死者七十八名、行くえ不明二十一名、負傷者九十四名の多数の人命がそこなわれ、物的被害は、住宅関係約三十八億八千五百万円、建設関係約六十一億円、農林水産関係約十九億二千万円、商工関係約十億二千六百万円等、被害総額は百三十九億円余にのぼり、両府県の市民の生活、経済活動等にきわめて深刻な打撃を与えたのであります。  私ども調査団は、十五日、大阪府庁において、衆議院議員一同から託されましたお見舞い金を知事にお渡しし、府当局から被害状況等の説明を聴取した後、茨木市、高槻市、豊中市、池田市の被災地を視察するとともに、各市長から説明並びに要望を聞き、引き続き兵庫県に入り、伊丹市を視察いたしました。翌十六日、兵庫県庁においてお見舞い金を知事にお渡しし、県及び神戸市から災害状況説明を聴取した後、神戸市内、西宮市、尼崎市等を視察してまいりました。  次に、視察地から数多くの切実な要望がありましたので、そのおもなるものを、調査団意見を加えて申し上げます。  第一は、都市河川の創設であります。  最近の産業の発展等に伴う宅地造成等により急激な人口の増加を見、過密都市特有の問題が発生しておりますが、それに対応する治水、排水の施策が貧困であることが今回の災害の原因の一つではないかとも考えられますので、この際抜本的対策を立て、将来憂いのない復旧並びに改修事業を早急に進められたいと思います。  第二は、造成宅地の被害が甚大であったことにかんがみ、宅地造成等規制法住宅造成事業に関する法律の改正についてであります。  最近未改修中小河川周辺並びに山はだを切り開いた住宅が立ち並んでいる町の姿は、旅行者でも、大雨が降ればあぶないと心配されるものがあり、そういうところが山津波、がけくずれ等が続発しており、住宅難のおりとはいえ、惨事を起こすことが明らかな宅地造成や山地の開発については、適切な指導と規制が必要であり、特に地質変更、または急傾地の崩壊対策は急を要すると痛感いたしました。  第三は、七月の豪雨による災害激甚災害に指定されたいとの強い要望であります。  今回の被害の激甚なるにかんがみ、激甚災害の指定がなされることと思いますが、すみやかに指定されんことを望みます。  なお、災害復旧事業費については、改良復旧を大幅に認めるとともに、国庫補助高率適用に特段の考慮が必要であります。  第四は、被災中小商工業者及び農林業者に対する災害復旧資金の融資等の促進についての要望でありまして、融資ワク拡大長期低利、手続の簡素化等については、十分配慮されたいと思います。  その他、個人災害の問題、災害救助法に基づく救助基準額の引き上げ、対象件数の制限緩和、緊急査定、特別交付金の高率配分等、数多くの切実な要望がありました。  以上、調査の概要について申し述べましたが、政府は今次災害の特異性を考慮され、各要望事項について慎重に検討を加え、地元各位の期待にこたえるべく、特段の措置を講ずるよう強く要望いたすものであります。  最後に、本調査にあたり御協力をいただきました関係各位に感謝の意を表し、報告を終わります。(拍手)
  8. 田原春次

    田原委員長 これにて派遣委員報告は終わりました。  派遣委員各位には、まことに御苦労さまでございました。      ————◇—————
  9. 田原春次

    田原委員長 ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止〕
  10. 田原春次

    田原委員長 速記を始めて。  これより質疑に入るのでありますが、各地におけるその後の被害状況等につきまして、上村非常災害対策副本部長から説明を求めます。上村副本部長
  11. 上村千一郎

    ○上村政府委員 この際、昭和四十二年七月豪雨災害について政府のとっておりまする措置説明いたしたいと思います。  初めに、今回の豪雨により不幸にもおなくなりになられました方々に対し、つつしんで哀悼の意を表するとともに、罹災された多くの方々には、政府としてできる限りのことをいたし、一日も早く立ち直っていただけるように努力をいたす所存でございます。  今回の災害に対しまして、政府は、直ちに昭和四十二年七月豪雨非常災害対策本部を設置し、十一日に政府調査団三班を編成し、被害状況調査いたしましたが、それらの特色は次のとおりでございます。  兵庫県では、山くずれ、がけくずれによる住宅被害及び人的被害の大きかったことであり、広島県では、山腹崩壊、渓流での鉄砲水、都市河川のはんらんによる住宅被害及び人的被害が大きかったことでございます。  長崎県、佐賀県でも、山腹崩壊中小河川、都市河川のはんらんによる住宅被害、人的被害、及び冠水による農地被害等が大きかったことであります。  次に、いままでに判明いたしました被害状況について御説明申し上げます。  なお、お手元の資料は七月十四日現在の数字でございまするので、よろしくお願いを申し上げます。  まず、一般被害といたしましては、死者・行くえ不明が、広島県下での百五十九名を含め、三百六十九名、負傷者六百十八名、建物全半壊・流失二千四百四十棟、床上・床下浸水三十万棟、罹災者二十八万人の多くを数えております。  次に、施設関係等の被害といたしましては、県からの報告によりますと、公共土木施設三百二十三億、農地等百六十八億、中小企業関係九十四億等、総計七百九十億にのぼっております。  次に、政府のとった措置を申し上げます。  警備、救助活動について申し上げますと、警察庁及び管区警察局では、警備活動を強化するとともに、各府県警察では、広報の実施、避難の勧告、警備を実施しております。  消防機関の職・団員も、十九府県で、避難の指示、誘導、人命の救出、救助及び行くえ不明者の捜索をはじめ、水防活動等を実施しております。  防衛庁では、自衛隊員延べ二万二千六百二十名を派遣したほか、車両、航空機、艦艇等を派遣して、道路、啓開、給水、通信支援、遺体収容等を実施しております。  海上保安庁でも、巡視艇、航空機により、海中での遺体捜索のほか、緊急物資等の輸送を行なっております。  災害救助法適用については、広島県等八府県の五十七市町村に発動し、避難所の設置たき出し、飲料水の供給、被服、寝具等の給与、医療救出等を実施しております。  防疫対策について申し上げますと、都市部の被害が大きかったことにかんがみ、特に防疫対策について重視し、被災者の検病調査を行ない、伝染病の早期発見、流行の防止につとめ、避難所の衛生管理を強化しております。  住宅対策について申し上げます。  応急仮設住宅設置住宅の応急修理については、すみやかに実施すべく手配中であります。災害を受けた住宅に対しては、災害復興のための住宅資金の貸し付けを行なうほか、災害公営住宅の建設及び既設公営住宅復旧についても所要の措置を講ずることとしております。  文教対策としては、罹災児童生徒の学習に支障を生じないよう、教科書の調査、補給を行ない、また、就学援助補助金を市町村の申請に基づき交付するほか、授業料等の減免措置を講ずることといたしております。  交通関係について申し上げますと、主要道路については、一車線以上の交通を確保いたしております。国鉄については、主要幹線は全線復旧し、運行しており、現在の不通個所は、筑肥線等三線区、七区間であります。  中小企業対策としては、政府系中小企業金融三機関に対し、元利金の支払い猶予、貸し付け期間の延長等の措置を講ずるほか、据え置き期間の設定、担保条件の緩和等の措置を講じております。また、中小企業信用保険公庫からの融資、臨時金融相談所の設置などを行なっております。  公共土木施設等の復旧について申し上げますと、河川等公共土木施設については、緊急に復旧を必要とする個所は急速復旧作業を実施しております。  農地、農業用施設についても、緊急に復旧を必要とする個所については、応急工事、査定前着工を行なうよう指導しております。  被災者の援護対策については、被災者に対し、郵便はがき等の無償交付、為替貯金の非常取り扱い、保険年金の非常取り扱いを実施しております。また、労災保険料の延納措置、被災事業場に対する薬品の配布を行なっております。  財政金融対策について申し上げますと、資金運用部短期資金による融資については万全の措置を講じており、金融上の措置についても、手続の簡易迅速化、政府関係金融機関の災害融資等の措置を講じております。  また、税制上の措置として、申告納付等の期限の延長、租税の軽減免除、納税の猶予、滞納処分の猶予を行なっております。  次に、普通交付税の繰り上げ交付についても検討をいたしております。  以上、政府のとっております措置を簡単に御説明いたしましたが、今回の災害の特色を教訓として、原因等を十分調査した上、将来の対策を講じてまいりたいと考えております。
  12. 田原春次

    田原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  なお、先ほどの理事会の申し合わせにより、質疑時間は、答弁を含めておおむね二十分程度にお願いいたします。  砂田重民君。
  13. 砂田重民

    砂田委員 私は、まず、今回の災害でなくなられた方に心からのお悔やみを申し上げ、また、罹災者の皆さんにお見舞いを申し上げながら、同時に、この悲しい教訓を十分生かして将来に備えたい、こういう立場から、ただいままで政府のとってこられました措置等について若干の質問を申し上げます。  まず最初に、防災本部の激甚指定の見通しについて、公共土木、中小企業、農林水産業等、それぞれ事業別にその見通しについてのお話を伺っておきたいと思います。
  14. 上村千一郎

    ○上村政府委員 ただいま砂田委員から御質問がございましたが、各地区におきまして、一刻も早く激甚災害の指定をいたしてほしいという御要望の多くございますことは、先ほど国会側からの調査団の御報告の中にもあらわれておったとおりであります。それで、政府といたしましても、この激甚災害指定について急速に手続をいたしまして、そして復興意欲に対して対応いたしていきたい、こういう考えでございます。  実は、少しくこまかく申し上げますと、今回の災害激甚災害としての点につきましては、過般の本会議におきましても、総務長官が、その指定の方向に向かって手続を進めていくということを答弁申し上げておるわけでございますが、どの適用措置が指定されるかは、各施設関係の災害復旧事業等の事業量の査定見込み額が判明次第きまるものでございまして、現在個々の点につきまして明確に申し上げるという段階には至っておりませんけれども、今回の災害の大きさにかんがみまして、第二章グループの公共土木関係、第五条の農地等の災害復旧事業等にかかる補助の特別措置等の主要なもの、それに、今回の災害の特徴といってもよい中小企業関係のものに対しまする特別援助規定でありまするところの、第十二条の中小企業信用保険法による災害関係保証の特例、第十三条の中小企業近代化資金助成法による貸し付け金の償還期間の特例、それから第十五条の中小企業者に対する資金の融通に関する特例等は、指定すべきものとして鋭意事務を進めておる段階でございます。  そして、一体いつごろにこれが指定されるであろうかということは、被災の方あるいはその他一般に最も関心の深いことであろうかと思いまするので、この際明確には申し上げられませんけれども、来週一ぱいにはこの指定を終えたいというふうに、鋭意手続を進めておる実情でございます。
  15. 砂田重民

    砂田委員 来週一ばいというのはちょっとおそいような気がしますが、できるだけ早く、できれば今週中にでも指定をしていただきたい。これは要望をしておきます。  今回の災害は、都市災害というような一つの特色を持っておると思います。たまたま私は災害のその日に罹災地の一つである神戸市におりましたので、直接この災害にぶつかりまして、さらに、その後の政府の調査団、当委員会調査団のお供をいたしましたので、神戸市の例を一つずつあげていきながら伺っていきたいと思います。そういたしましたらば、各被害地に共通した問題がその中に出てまいろうと思います。  建設省関係にいろいろ伺いますが、その前に、国税庁はすでに十四日付の官報で納付等の期限の延長を告示されましたが、非常にこまかい地区指定をやっておられる。たとえば神戸市なんかは、神戸市生田区の下山手通一丁目及び八丁目から九丁目まで、こういう指定をしておられるのですが、この地区に住んでいる人だけが罹災をしているのではない。今回の国税庁の告示により指定をされておる地区以外にたくさん罹災者がいるわけでございます。被害を受けた中小企業の関係の方もたくさんおるわけでございますが、こういう形で告示をされますと、期限の延長だけの問題であるならばともかく、あとでその被害を受けた人の税の減免の問題がやはりからんできますから、この地区以外の人が非常に不安感を持っておる。この指定地区についてのPRもまたあなた方のお仕事だろうと思うのですが、この指定された地区以外で被害を受けた人たちに対しても同じような措置は行なわれると思うのだけれども、それについてのPRも同時におやりにならないと、相当大きな不安を罹災者に与えておりますから、その措置をどういうふうになさるか承っておきたい。
  16. 江口健司

    ○江口説明員 御説明申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、官報十四日付、国税庁告示九号で指定した地域は、当地の税務署、国税局から報告がまいりましたもので特に集団的に納税有資格者の集まっておるところにつきまして地域指定をしたわけでございます。したがって、今回はまとまった地域につきまして地域指定をいたしましたので、その地域内に住んでおられる方につきましては、自動的に八月三十一日まで諸手続あるいは納税の猶予ということが行なわれるわけでございます。  そのほかに、個々に納税有資格者がおられるところにつきましては、私どもへ直接、あるいは警察あるいは協力団体等を通じまして、個々の納税者につきましても、地域指定はいたしませんが、個々に、二カ月以内、場合によりましては二カ月をこえましても、猶予の手続等をしていただきますように、万般のPRをしておるところでございます。現在のところは、現地のほうの報告に基づきまして、集団的に広地域にまたがる地点だけを指定いたしましたので、なお引き続き現地のほうから報告がまいりますれば、追加指定ということももちろん考えられるかと思います。ただ、地域指定をした場合と、それから個々の申請の場合とでは、個々の場合には、個人個人が申請手続をしませんと、期限の利益を失うというような危険もございます。従来の災害等の場合には、そうした場合、かりに二カ月を過ぎましても、申請がございますれば、大部分は受け付けをするというふうな措置を講じてございますし、なお、来年の二月十六日から三月の十五日までの確定申告の期間におきましてもさらに手続をしていただきますれば、その際にも救済措置を講じたい、こういうようなことで、現地のほうには昨年の七月にこまかな通達を出しておりますが、それを徹底いたしますように指示はしてございますので、特に納税者の方々には御不便をかけないだろうというふうに想像しております。
  17. 砂田重民

    砂田委員 この指定をされた神戸市の地区でいえば、神戸市内には五つの税務署がありますけれども、二つの税務署の地区からだけしか指定地区が出てきていない。こんなふうに意地悪く勘ぐりたくないけれども、二つの税務署は一生懸命被害状況を調べて歩いて、あとの三つはあまり熱心にやらなかったのではないか、そういう感じを受けるほど、罹災者多発地区がそのほかにもたくさんあるわけです。ですから、これでいいかどうかということを、税務署がもしも御自分で調べたのだったらなおさらのこと、もう一度国税庁が調査なさる必要がある。  それから、さっきおっしゃった指定地区以外の場合は、個々に申請手続をしなければならない、その広報というか、PRは十分やっていただきたい。お願いをしておきます。  次に、中小企業関係について伺いますが、いま上村副長官の御報告によると、中小企業関係の激甚指定は大体確実のように思われる、そういう御報告をいただいたわけですが、いま副長官のおっしゃった、幾つかの激甚指定を受けた際の中小企業の金融の問題で、中小企業近代化資金の貸し付けの期限を延長するとか、そういう問題があったけれども、たとえば公害防止事業団が同じような目的をもってやったもの——何と申しますか、工場アパート協業化集団がやはり一つの協同組合の協業的な仕事として近代化資金の助成でつくった工場アパート的なもの、それに対しては法律上こういう特例が設けられる。公害防止事業団が同じような助成の措置でつくった工場アパートについても、やはり同じような措置を講じてあげるべきだと思うんだけれども、この点、中小企業庁はどうお考えになりますか。
  18. 本田早苗

    ○本田説明員 お答え申し上げます。  法律では近代化資金等について特別の規定があるわけでございますが、金融三機関の既貸付につきましても、災害の際には、償還期限について、実情に応じて、ある程度延長するという運用をいたしております。したがいまして、公害防止事業団が建設いたしました共同工場のようなものにつきましても、被害実情を考えまして適当な措置を講ずるよう、一応検討いたすようにいたしたいというふうに考えます。
  19. 砂田重民

    砂田委員 ただの検討ではなくて、ひとつできれば法律改正を——公害防止事業団法というものを別に改正しなくても何かやれるんじゃないかと思う。そういう措置を前向きに考えていただきたいと思います。  時間がないので走りますが、実は、激甚災害の指定を受けてから措置をされるわけだが、その前に別に激甚指定をされなくても、中小企業対策として、償還期限を延ばすとか、そういう金融のいろいろな措置をしておられると思う。同時に、県、市などが、罹災者に、特に中小企業の小さい経営者に当面の災害復旧の資金のようなものを貸しておるわけですね。たとえば、兵庫県で二億円、神戸市で二億円、一銭九厘の利息で、一人頭二百万、そういう融資を、とりあえず、災害を受けた翌日からすぐにやっている。せっかくそれだけのことをやられても、実際にほんとうに金を必要とする、たとえば商品を流してしまったそういう小さい零細企業者、特に小売り商、そういう人たちは、そういう制度融資を受けるときの手続が煩瑣で、なかなかうまく自分たちで手続ができない、中小企業の指導員等の助けを借りながら手続等を代行してもらうとか、そういうことをやるのですけれども、これは平時の場合の中小企業、零細企業融資にしても、保証人を二人つけてこいというようなことでは、ほんとうに金の要る人たちが、保証人をよそに頼みにいくということをようしない。だから、奥さん一人の保証でいいではないかというようなことで、これは別に法律できまっておることではないけれども信用保証協会等の受付は、最高二百万の担保なし、保証人は奥さんでもいいというような、零細企業の人情の機微に触れた融資を平時でもやっているわけです。平時のそういう実際に困っている小さな企業者に対する融資の手続制度よりも、緊急を要する災害復旧のこういうときのほうが手続がかえってむずかしいという事態が出てきております。せっかくそれだけのことをやっても、中小企業の上の部類といいますか、中企業の工場経営者などはそういった緊急の制度融資にうまく乗っていくけれども、ほんとうに気の毒な零細企業者は、保証人を二人連れてこい、担保物件はどうだということになると、実際なかなか乗ってこない。国で災害を受けた翌日からそういう制度をすぐに発足するなんということはむずかしいので、県、市がそういうことをとりあえずやっているわけですけれども、その県、市の手続条件でも、国が平時にそれだけの、人情の機微に触れたような、奥さんを保証人にしたらいいという、そういう手続よりも、もっとむずかしい手続を県、市の緊急の融資に要求している。国でさえこれだけ大ざっぱなことを考えているのだから、県、市がせっかくそれだけのことをやるのならば、国がやっているこういう制度と同じようにしたらどうだというふうなことを、これはあなたのほうから県、市に対してすすめてみませんか。どうですか。
  20. 本田早苗

    ○本田説明員 お答えいたします。  先般の保険法の改正で、いまお話のありました無担保保険につきましては、限度が百万円増加いたしまして三百万円になったばかりでございますので、おそらく若干のゆとりはあると思いますが、その場合は、おっしゃるように、保証人は身内保証でもいいということで運用しておるわけでございます。  それから、特別小口は、もちろん、無担保、無保証ということでやっておるわけでございますが、こういう時期でございますから、できるだけその辺の条件は実情に合うように運用してまいることが必要であろうと思います。特に、今度は激甚災害の指定を受けますと、別口でもう一口限度額ができることになりますから、特別小口で五十万、無担保で三百万の、いまおっしゃるような簡易な保証の方法で保証が受けられて融資を受けられることになると思いますので、激甚の指定についてもできるだけ早くやることによって、御希望に沿うような融資の道が開けるというふうに考えております。   〔委員長退席、池田(清)委員長代理着席〕
  21. 砂田重民

    砂田委員 激甚指定をやる前の、それまでの間のつなぎのとりあえずのことをぼくは言っているので、現地を見ておりましても、地方通信局の人々が府県のそういう仕事を非常にじょうずに指導しておられる。あれだけ親身にやられるならば、いま私が申し上げたような、ほんとうに身になる融資の制度というか融資手続というか、そういうものをひとつ中小企業庁から、せっかくそういう制度を打ち出している県、市に対しても、国がやっているあの制度と同じような手続にしたらどうだというふうにぜひこれは指導していただきたい。別に法律の問題でも何でもない。県、市に対してあなたがそういう権限をお持ちになっているわけではないけれども、罹災者の立場に立ってものを考えれば、それくらいのことは、緊急の場合であるだけに、中小企業庁がおやりにたるべきじゃないか。これはお願いをしておきます。  この点は、あなた方がお考えになると、いわば市民、県民の税金を貸すということになる、だから、貸し倒れということをまず心配される、だから、こういう緊急の場合の融資でも非常にきつい手続を要求されるけれども、議員側のわれわれが考えれば、少々の貸し倒れはあってもいいじゃないかという気持ちがする。何さま緊急の事態の緊急の融資なんだから、片方の貸し倒れのないほうの、うまく融資を利用して商売を早くやられればこっちの側で担税力がふえるのだから、片方で少々の貸し倒れがあったって、その担税力がふえればパーにいくのではないかという気が実はわれわれのほうではするわけです。そういった方向で、県、市の緊急の災害復旧融資の手続についても、もっと簡素化できるように指導をぜひともお願いしておきたい。  次に、今回の災害の一つの特色でございますいわゆる中小河川、都市河川の問題を特に建設省の河川局長に伺っておきたいと思うのですが、昨日の本会議でも、建設大臣は、中小河川に力を入れていく、都市河川に力を入れていくのだということをおっしゃっていただきましたが、何か中小河川対策、都市河川対策というものがここにきて新たに生じた問題のように受け取っておられる方が多いわけですが、決してそうではないので、私はその歴史的な経過を簡単にここで申し上げておきたいと思うのです。  御承知の昭和十三年のあの阪神の大洪水あと——あのときには表六甲河川だけで五百四十六人の方がなくなっております。表六甲河川沿線の各都市というものは一瞬にして廃墟になってしまった。そこで、それまでは明治三十年の法律で表六甲河川改修というのは県の事業であったわけです。ところが、あの災害あと、これではいけない、中小河川、都市河川というものを考え直してみなければいけないというので、実は昭和十四年の四月十九日付で内務省の告示が出て、県にこういった河川はまかせない、直接国がこれを実施するといって、膨大な改良計画を立てられたわけです。もうこのときに中小河川、都市河川というものの特殊性を国が認めて、県に仕事をやらせるのではなくて、直接国がこれと取り組んでいこう。河川数二十五、そのうち神戸市内河川が二十でありますが、そういう復興計画を国自身で七カ年の長期計画、三千万円の事業費で立てられたわけであります。このときにもうすでに、都市河川というものは別に考えていかなければいけないということを国自身が一ぺん決心されている。ところが、当時はもうシナ事変に入っておりましたが、戦争に入ってしまう、物価は上がっていくから、実際問題として工事費というものは削減されたと同じような状態が毎年毎年続いて、戦争が終わって、戦争のあとの混乱の状態ではまた災害復旧どころではないということになって、仕事がなかなか進まない。そこで、二十四年にもう一ぺん政府は決心をしておられるわけです。こんなことでは、雨が降ったならばあの表六甲河川というものはまたどんな惨状を呈するかわからないというので、二十四年に大幅に予算を増額されて、本格的な再出発をそのときにやっておられるわけです。  この国の予算は災害復旧予算から支出をしておられたのですが、せっかく十四年に一ぺん政府がそういう決心をし二十四年にさらにもう一ぺん決心をされて、都市河川というものは別に考えていくという決心をされたのですけれども、残念ながら、昭和二十五年度に至って、国家の税制の改革、あるいは戦後相次ぐ各地における災害等によって地方財政が窮迫してきた、そういったことから、昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律という法律が二十五年に出て、災害復旧というものは全額国庫負担でやる、ただし、原形復旧というものと改良工事というものの区分をこのときに一律に明らかにしてしまった。そのために、あれだけ都市河川というものは別建てでいくのだということを十四年と二十四年と二度決心をされた政府ではあったのだけれども、このときのいま申し上げた特例法というものが改良工事復旧工事というものを全然分けて考えてしまったために、表六甲河川の十四年、二十四年、二度ともその計画がほとんど全部が改良工事であったために、国でやれなくなってしまって、県にその仕事が移って、それからは中小河川という名前で、全国一律的に、その川が傾斜地を流れているのか、平地を流れているのか、その川の流域の経済環境はどうなのか、その川の流域の国民生活の環境というものはどうなのか、そういう一つ一つの、地域地域の特殊性などというものは何も考えられないで、全国一律に中小河川ということで今日まできてしまっているわけでございます。  都市河川中小河川というものを別に考えなければいけないというのは、特に新たに起こったことではなくて、もうすでに昭和十四年、昭和二十四年、二度実は政府が決心をされて予算も立てられたことでございます。  そこで、私はひとつ具体的に伺っておきたいと思うのですが、古賀さん、このときに政府が計画をされた二十五河川のうちで、都賀川、西郷川、新湊川、これは古賀さんなら御承知だろうと思うのだけれども、この三つの河川昭和十四年当時に計画されていた計画延長の中で、二十六年までに実施されていたのは何%あったか、その後二十六年から四十二年までにどれだけの仕事をしてこられたか、簡単でいいですが、金額では物価水準が違うので、計画を予定されたその延長距離といいますか、そんなようなものでもお答えいただけましたらけっこうです。
  22. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 都賀川につきましては、昭和十四年から二十五年まで、これは物価換算いたしておりませんが、五億三千一百万使っております。その後、四十二年度以降は一億三千万かかるそうでございますが、これは国鉄線と国道橋の関係が残っているというのが都賀川の現特でございます。それを解決すれば大体改修が終わるということになります。  それから西郷川につきましては、昭和十四年から二十五年まで一億一千二百万円ほど使っておりますが、四十二年度以降は二億九千三百万円、これもやはり国鉄橋と国鉄の上流の阪急までの間ができておらないということでございます。  それから新湊川につきましては、大体河道は改修いたしておりますが、なお上流洪水調節のダムをやる必要があるということで考えておりまして、ただいままで着工はいたしておりませんが、今回の災害にかんがみまして具体的に検討したいというふうに考えております。  都賀川、西郷川にごらんになるように、いずれも非常に都市部でございますので、橋梁の立体交差等につきまして非常に苦心を要するわけで、なかなか財政的な問題もございますし、それから計画上の問題もございます。しかし、今後十分それらの問題を詰めて早急に解決するようにいたしたいというふうに考えております。砂田委員 私はここに実は昭和二十六年の資料を持っているのです。これは主としてやはり財政的な事情から工事が非常におくれている。昭和十四年につくられた計画、その計画が非常におくれている。簡単に言いますと、この中を十四河川と十河川の二つに分けて、十四河川では、昭和十四年の計画について昭和四十二年現在で六〇%くらいできているのじゃないか。あと残った四〇%というものは、当委員会の先般の調査でごらんいただきましたが、私鉄、国鉄の下を暗渠で——依然として、上流の開口部は河口の開口部よりもはるかに狭い、流水能力も小さい暗渠がそのまま残ってしまっている。非常にむずかしいか。小さな川であるのにたいへんな金がかかる、そういう工事がまだ残っていると思うのです。しかも、中小河川という名前で呼ばれるその中では、おそらく、川の面積としては最左翼に考えられると思う。そのちっぽけな川があふれて今度は多数の人間がなくなっておられる。こういう点から、十四年、二十四年、二度の決心をされたような決心で都市河川というものと取り組んでいかなければならぬのですが、さらに、いま私が例をあげて三つの川を申し上げましたが、それは当時甲河川といわれた、六〇%くらいの工事が完了している川であって、他に、乙河川と呼ばれる、昭和十四年に立てた計画の今日までの実施量ゼロ%という十河川がまだ残っているわけです。この十河川についても、まことに小さい河川でございますが、中小河川という中に包括して一括してやってまいりましただけに、兵庫県全体が中小河川の予算として国と相談をしてきめるその金額の六三%をこの河川につぎ込んで、兵庫県全体の中小河川の面積からいえば、表六甲河川というものはわずか三%ですが、この三%のところに兵庫県全体の予算の六三%をつぎ込んでみても、ただいま改修中宇治川一本、こういう残念な仕事しかできていないのが実情でございますだけに、別に都市河川というものと取り組んでいくというきのうの建設大臣の本会議での御決心を具体的にぜひとも実現していただきたい。もっと強力な仕事ができるようにしていただきたい。  そこでもう一つ川のことを伺っておきますが、今回非常な災害、罹災者を出しました、改修途中の宇治川の問題であります。たいへん時間をとって申しわけないので、簡潔に御答弁をいただきたい。  改修計画はあと二年で終わりの予定だったのですが、都市計画のテンポがついていけるものならば、一年でやってしまうことができるかどうか。  それから、旧暗渠の断面と新改修予定の暗渠の断面の違い、新暗渠の流水能力があればこの間の水害はどうであったろうかという見方として、さらに流木どめというものができるかどうか。それから、宇治川のあれだけの大きな暗渠をつけて、なお上流の砂防に不足な点はないかどうか。これだけを一括して御答弁をいただきたい。   〔池田(清)委員長代理退席、委員長着席〕
  23. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 宇治川はたいへんな事故でございまして、お気の毒に存じております。われわれは計画流量七十トンでいま計画しておりまして、沈砂池から上流はすでに計画断面どおりできております。この前の災害におきましても、大体計画水位以下で水が流れてきておりますので、もしもいまの計画どおりの断面ができておれば、別にほかに条件がなければ大体流せると考えております。ただ、都市河川の問題等も同様でございますが、最近宅地開発が特に行なわれているということで、流木その他が流れてくる、これらのものをとめらるかどうかという問題が一つの問題でございます。しかし、宇治川の現状におきましても流木が相当つかえておりますし、それらが障害となりまして土砂がたまる。そういった問題が連鎖的に起こってくるだろうと考えておりますので、上流砂防ダムはもちろんやらなければいけませんし、それから、がけの切れたところとか、いろいろなところのくずれを防止する必要があるというふうに考えております。そういう点にかんがみまして、いま計画している断面につきましては、そういう防止ができれば十分間に合うというふうに考えております。また、都市計画上の措置ができるならば、一年でも十分やれるというふうにわれわれ考えておりまして、目下検討、打ち合わせ中でございます。御趣旨に沿うようにやりたいといま考えております。
  24. 砂田重民

    砂田委員 そういうふうにひとつお願いをいたします。   いずれにいたしましても、都市河川の現状がそういうことで、宇治川一本ただいま改修をしていただいておりますけれども、十四年の計画の今日までの実施量ゼロ%というのが十本もある。爆弾をかかえているようなものでございますから、これはあながち神戸市だけに限らず、今回の被災地各地にそういう実情があるのではないかと思います。それだけに、治山治水計画を変えてでも都市河川と取り組んでいただきたい。そういう御決意があるかどうか、基本的なことを伺っておきます。
  25. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 中小河川、特に都市河川の実態につきましては、降った雨は直ちにたくさん一ぺんに出てくるという現象がございます。それを、われわれ技術的に言えば、流出物の増大と称しております。たとえば百ミリの雨が降って、従来のたんぼだったら、七五%あるいは七〇%くらいしか洪水となってあらわれない。それが、東京の周辺とか、いろいろな開発が進みますと、九〇%から一〇〇%近くになる。したがいまして、中小河川全体として治水計画を検討しなければならぬという段階にきております。特に都市に人口の集中が重なりまして、そういった問題が激化してくるというふうに考えます。さらに、人口、資産が集中いたしますと、災害がひどくなる。また神戸市のようなところでも、ああいう急傾斜の河川におきましては、一度にいわゆる鉄砲水が入ってまいります。したがいまして、それらの対策は、十分上流砂防とからみ合わせてやっていかなくちゃならぬという問題もございますし、それらの問題を考え合わせますと、今後中小河川の安全度をどのくらいに持っていくかとか、いろいろな問題がございますし、治水計画を再検討中でございます。
  26. 砂田重民

    砂田委員 都市計画の新法をおつくりになっても、都市計画事業を推進していこうとおっしゃっても、一方、都市河川をほうっておいたのでは、都市計画新法が泣くだろうと思う。河川を治めないでその上に都市計画も何もできるものではありません。それだけに、都市河川というものをひとつ真剣に1昭和十四年のあのときの内務大臣が決意されたと同じ決意で今回もひとつ都市河川というものを別に考えていく、そういう決心をぜひともお願いしておきたいと思います。時間がございませんので、私は宅地の問題等にも触れておきたいと思ったのですが、砂防のことだけちょっと聞いておきたいと思うのです。  砂防というのは、谷と谷との足を固めるという性格と、それから、砂をためる貯砂機能というか、二つの機能を持っていると思うのですが、上流のほうはそういう脚部を固めていくという性格がより強く、下流のほうはやはり貯砂機能というものの性格が強い。そうなりますれば、昭和十三年以来やっていただいた砂防というものが今回の災害でも非常にものをいっておりますが、これは相当老朽的なものになってきているんじゃないか。特に下流の堰堤の砂の詰まりぐあい、これは下流の堰堤の機能が貯砂機能というものの性格が強いだけに、これはお取りになるべきじゃないか。そうでないと、あす降るか、あさって降るかわからないこういう雨に対して、やはり不完な感じを受けるのですが、この点はどうですか。
  27. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 今度の災害におきまして、下流の堰堤に相当砂がたまりまして、これを取ったらという御意見でありますが、実はわれわれも今回の災害にかんがみまして、砂防堰堤をつくるべきか、しゅんせつをすべきであるかというような、いろいろな問題をただいま調査中でございまして、まだ結論を出しておりません。しかしながら、今回の災害のような土砂くずれがあれば貯、砂堰堤に相当余裕をもってつくっておかなければいかぬというふうに考えられますので、われわれとしてはできるだけ堰堤を多数つくるという方向でいきたい。特に、ちょうど山から市街地に出るところの砂防堰堤は、これは非常に大きいものをつくって、そこでがっちり受けとめられるような堰堤を考えていくべきだというふうに考えております。そういう方向で、現場におきましてただいま計画を検討中でございますので、御趣旨に沿うようにひとつできるだけ努力したいと思っております。
  28. 砂田重民

    砂田委員 私の最後の質問にいたしますが、やはり都市災害というものの一つの特色といいますか、道路という道路、街路という街路、また、宅地といいますか、われわれが住んでいる家の庭、そういうところに土砂が非常にたくさん入ってきて、水がひいたあとも土砂だけが残っている。これの排除といいますか、清掃といいますか、こういったものはいままで補助対象になっていない。これは交通の安全だとか、われわれ住民の衛生の問題、こういった観点から——たとえば神戸なんかは、今度の災害で推定二十五万立方米くらいの土砂がおそらく道路、宅地に累積をしていると思うのですが、三億くらいのお金がかかるんじゃないかと思う。それが、道路だけをとってみればわずかしか埋まっていないじゃないかという考え方から補助対象にならないというのでは、地方自治体は実際非常に苦しいだろうと思うのです。これをやはり補助対象にしていくべきだと思うが、それはどう考えられるか。  もう一つは、舗装の場合のこわれ方。法律できめられている十五万円以下の小事業については補助しないんだ、こういうきめがございますけれども、全市的に見ればこれは膨大なお金のかかる舗装の回復をやらなければいけない、こういうものは法律のほうを改めていくべきじゃないか、これも都市災害としての一つの特色だろうと思います。それをどう考えられるか、お答えをいただきたい。  もう一つ、最後に、河川事業で港湾の船の泊地等が相当埋まっておりますが、港湾局は港湾管理者とさっそく打ち合わせをなさって緊急の順番さえもつけて取り組んでおられるようだけれども、港湾に流れた流木というものをどうするか。港湾管理者の財政状態が苦しいから、外貿埠頭公団をつくって港湾の建設をやっていくのだと言っておられる。おっしゃるとおり、港湾管理者がきわめて苦しい財政事情の中であの流木の清掃をやらなければならない。これは補助対象になるかどうか、もしもやっていないとすれば、今後どうやるか、これを伺って私の質問を終わります。
  29. 馬場豊彦

    ○馬場説明員 都市局の参事官馬場でございます。堆積土砂についてお答えいたします。  ただいま災害によります市街地の堆積土砂に対しまして補助対象にしておりますが、大きなものだけでございます。基準は、一市町村で三万立方メートル以上、一カ所につき二千立方メートル以上、これだけが補助対象になっております。それよりさらに零細なものは、目下のところは国補対象になっておりません。
  30. 砂田重民

    砂田委員 全市で二十五万立方メートルというのは対象になりますか。
  31. 馬場豊彦

    ○馬場説明員 いま申し上げたような基準以上の大きなものは対象になります。  道路の舗装関係は、局長がおりますから……。
  32. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 一カ所の公共土木施設の災害限度額を引き下げたらどうかという御質問でございますが、今回のような災害になりますと、舗装につきましても、上はりっぱでも下が浮いている、十分でないというものがあるだろうと思います。これは調査してみないとわかりませんけれども、しかし、いままで原則的には、都道府県工事においては十五万円、市町村工事においては十万円ということにいたしております。これは二十六年につくられております。したがいまして、その当時の建設工事の物価指数の約二倍以上になっておりますので、簡単に言えば、七万五千円と五万円ということになるわけでございますし、さらに、五万円以下の小災害復旧事業につきましては全額起債を認めて、その元利償還金を交付交付対象としておりますので、地方財政の問題として十分措置ができるというふうに考えますので、いまのところ、小災害につきまして限度額を引き下げるということはちょっと考えておりません。現地に当たりまして十分考えてまいりたいと思います。
  33. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 港湾につきましては、先ほど流木というお話がございましたが、流木に二つございまして、流れてきた材木が港湾の中の航路、泊地に埋まったものにつきましては災害対象になります。ただ、ごみその他が流れまして一緒に海面に浮かんで流れているもの、これはちょっととらえようがございませんので、いまのところは、維持工事ということになって、対象になっておりません。これに対しまして、むしろいろいろな料金体系その他を考え合わせて検討していきたいと思います。
  34. 田原春次

  35. 倉成正

    倉成委員 私は、七月豪雨による災害について、ごく簡潔に質問申し上げたいと思います。  まず、ただいまの砂田委員の質問の中に、激甚災害の指定問題がございまして、これに対して政府委員から前向きの御答弁がありました。しかし、やはり災害に対する対策は、何としても現地の人々に一日も早く安心感を与えるということが一番大切なことであると思いますので、来週と言わず、なるべくすみやかに、あすでも、あさってでも、できればきょうでも指定するような気持ちでひとつお進めをいただきたい。  そこで、激甚災害と相まって農林関係で一番関心がありますのは天災融資法による指定、これをいつ、いかなるしかたで発表するかということでありますが、この点について農林省のお答えをいただきたい。
  36. 太田康二

    ○太田説明員 昨日も衆議院の本会議におきまして私のほうの大臣からお答えを申し上げたかと思いますが、御承知のとおり、天災融資法の発動につきましては、従来とも、私のほうの統計調査部がまとめました被害調査の結果に基づきまして、その発動の可否をきめておるわけでございまして、いつも被害調査がおそいではないかという御非難をいただいておるわけでございますが、今回できる限りすみやかに被害調査をするということで、大体来週二十四、五日ころまでに集計をいたしまして、その前でもある程度被害等の額がわかりますれば、大蔵省と折衝いたしまして、天災融資法の発動の可否、並びに、これとあわせまして、激甚災の指定ができるかどうかという点につきまして早急に検討をいたしたい、かように考えておるのでございます。
  37. 倉成正

    倉成委員 事務的にはそのとおりです。しかし、今度のようにひどい災害で、天災融資法の発動があることは、これは常識でわかり切っておる。したがって、作報の調査を待って事務的な手続をするということもけっこうですけれども、こういうふうにはっきりしたものは早く発動して手続をするという姿勢が必要だと思います。したがって、その点では、もう少ししっかり前向きに直ちに御検討いただきたい。  そこで、自作農維持資金、これがやはり天災融資法と相まって災害に一番役立っておりますが、これについて、いまどの程度自作農維持資金災害地に振り向けようとしているか、その計画を承りたいと思います。  私、非常に時間を限られておりますので、ごく要点だけを御質問申しますから、御答弁も簡潔に、イエスかノーか、はっきり御答弁いただきたい。
  38. 太田康二

    ○太田説明員 自作農維持資金につきましては、御承知のとおり、天災融資法の発動がございますと、災害分として保留をしております分から配分をいたすのでございますが、先ほど申し上げましたように、まだ統計調査部の被害集計ができておりませんので決定はいたしておらないのでございますが、御承知のとおり、災害の保留分としては七十五億ございまして、そのうち、一、二月の降雪低温災害に対しまして二億を支出した程度でございまして、なお災害保留額といたしましては七十三億あるわけでございますので、これによって今回の災害に対しまして十分対処できるというふうに考えております。
  39. 倉成正

    倉成委員 その点も、先ほど申した趣旨でなるべくすみやかにお願いをしたいと思います。  そこで、建設、農林両省に通ずることでありますが、この災害に対する査定を一日も早くやる。  しかし、これだけ大きな災害になりますと、私も現地災害の総支配をふるったことがありますけれども、なかなか技術員が足らない。したがって、技術員をどうしても各県から応援を求める必要がある。現にやっておると思いますが、建設、農林両省で技術員の不足対策、査定を急ぐ対策についてどういう具体策を講じておられるか、これも簡潔にお答えいただきたい。
  40. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 建設省としましては、災害長崎佐賀で非常に多うございましたので、直ちに現地知事と応援体制の問題につきまして話し合いました。しかし、佐賀県、長崎県とも、十分ほかの土木事務所から技術員を回してとれる。それならば、ということで、応援はいま行なっておりませんけれども、いっでも応援する用意はありますし、また査定も、第一次、第二次、第三次というぐあいに、急ぐものから先に設計をまとめてもらって、そのつど査定を行なっていきたいというふうに申し入れいたしておりますので、準備が整い次第、早急に査定するつもりでございます。
  41. 太田康二

    ○太田説明員 農業土木技術者の派遣の要請が佐賀県あるいは長崎県等からあるわけでございますが、私のほうは、被害のない県、特に東海の各県あるいは九州の各県から農業土木技術者を派遣することにいたしておるのでございます。
  42. 倉成正

    倉成委員 農林省、そういう方針、けっこうですけれども、やはりどれだけやるということで、ちゃんと見きわめてやっていただきたい。  そこで、先ほどの砂田委員のお話にもありましたけれども、やはり中小河川は、もしこういう大きな集中豪雨が降れば危険な地域はもう全国至るところだと思うのです。ですから、一体雨量何ミリを大体基準として中小河川改修をやっておられるか、この点をまずお伺いしておきたい。
  43. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 河川洪水流量の計画降雨量に対しましては、平たく言えば、五十ミリないし六十ミリいうことでございますが、ただ河川にはいろいろ状況がございまして、緩勾配の河川、急勾配の河川、あるいは土砂を流れる河川、いろいろございます。したがいまして、普通の河川につきましてはその程度でございますが、重要な河川につきましては、到達時間以内の雨量につきまして既往最大にとるとか、あるいは第二位をとるとかということで、さらにそれに余裕高を加えて改修計画を行なっております。なお、最近都市化が非常に進みまして、先ほど申し上げたように、流出が非常に多くなっております。たとえば百ミリの雨が、従来は七十ミリぐらいの洪水になってあらわれたのが、九十ミリぐらいになるとか、そういう流出の状態が変わっておりますので、それらも加味して、計画洪水流量をきめてまいりたいというふうに考えております。
  44. 倉成正

    倉成委員 ただいまの御答弁にもありましたように、気象条件が非常に変わっておる。それからまた、都市の中の河川においては、やはり安全性ということを最大限に考えなければいけないということから、どうしても今度の災害の査定は改良復旧を原則として考えていかなければいけない。  しかし、改良復旧をやるといいながら、査定官がよほど裁量を与えられておりませんと、どうしても原形復旧に流れるという傾向があることは御承知のとおりです。したがって、建設、農林両省を通じまして、改良復旧をやるのだ、この程度のものをやるんだというきちっとした方針をやはり的確に査定官にもあるいは地方庁にも示すことが必要だと思いますが、それらの点についてはどういうふうにされておるか、お伺いいたします。
  45. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 災害の査定にあたりましては、原形復旧が可能な場合には、つとめて改良復旧を行なう査定をいたしたいと思います。さらに、われわれとしましては、ある区間における災害が八〇%ないし七〇%以上になれば、一定災という改良復旧計画に基づきまして、災害復旧工事を行なう、さらにそれでもどうしてもそういうものがとれない場合には、災害関連事業費というものをつぎ込みまして、災害に対処できるような改良復旧を行なっていきたいというふうに考えております。
  46. 太田康二

    ○太田説明員 原形復旧のみでは再度災害発生のおそれのあるものというものが当然わかるわけでございますので、こういったものは、ただいま河川局長からのお話もございましたように、極力関連工事をあわせ実施することといたしまして、施設の改良復旧をはかるということにつとめておるのでございます。
  47. 倉成正

    倉成委員 ただいまの点は、十分末端にその方針を早く示して明らかにしておいていただきたいと思います。  それから、長崎佐賀のような地域で特に一つの特色は、第三紀層の上に玄武岩が乗っておる。したがって、多量の集中豪雨がありますと、地すべりあるいはがけくずれの危険性が非常に多いわけであります。したがって、現在はくずれておりませんけれども、これから先非常に雨が降ってちょっとこれに力が加わると、ほんとうにがけくずれが出たり、あるいは地すべりが起こる。そういう危険地帯が非常に多いのですそういうところにあります住宅であるとか、あるいはそういうところの施設というのは非常に不安な状態にありますが、これらに対する施策というもの——現在は災害が起こっていないけれども、近く起こるかもしれない、あるいは起こらないかもしれない、わかりませんが、非常に不安な状態にある、これをどうするかという問題が現地の非常な関心事でありますけれども、この点についてどのように考えておられるか、建設、農林両者の御見解を承りたい。
  48. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 最近の災害におきましても、がけくずれと土石流によって非常な災害をこうむっております。したがいまして、昨年足和田村の災害にかんがみまして、大蔵当局とお話し合いしまして、調査費をお願いし、土石流の危険地帯を調査いたしました。現在のところ、地形、地質的に見て、全国に一万五千程度の危険個所があるわけでございます。これらにつきましては、予防砂防等の実施によりまして防いでいきたい。さらに、そういうものがなかなか全国的に回りかねるということになりますれば、これは人命尊重のたてまえ上、警戒雨量等を示しまして、適切な時期に避難していただくということで、ただいま行政指導をいたしておるわけでございます。  なお、がけくずれにつきましては、ただいま全国的に調査中でございまして、七月末くらいに全国的な集計ができます。その集計のできた段階におきまして、具体的に財政当局と打ち合わせまして、仕事ができるように実施いたしたいと考えております。
  49. 松井芳明

    ○松井説明員 農地等の地すべりについて申し上げます。  北九州、特に長崎県、佐賀県におきましては、現在地すべりの防止工事を行なっておるものが三十二地区ございますが、大体その地区は、いま御指摘のように、地すべり地帯で、現在指定している地区の防止工事を相当進めておりますが、こういったような地区につきましては、本年度の予算を特にそういう危険なものにつきましては、一部流用いたしまして、こういうような防止工事をできるだけ弾力的にやってまいりたいと考えております。  なお、こういうようなところがすべりまして相当の災害を起こしました場合には、災害復旧費をもって直ちに応急手当てなり復旧なりをやってまいりたいと考えております。
  50. 倉成正

    倉成委員 これはできるだけ現地知事に裁量をまかして、どんどん応急対策をやらしたらいい。  それから、ただいま御答弁の中でちょっと問題が私はあると思いますのは、危険なときに避難をさせる、知事がかりに避難命令を出せば、ある程度補償しなければならないという問題であります。その点非常にむずかしい問題ですけれども、上村副長官、何か腹案がありますか。生命の危険で避難をさせる場合には、どういう処置をしてやるか、そういう問題です。
  51. 上村千一郎

    ○上村政府委員 ごもっともなお尋ねでございまして、実は現実にこの七月の集中豪雨の際にとりました本部の御意向なり決定のことを御報告申し上げたいと思いますが、八号台風のくずれというものが、気象庁のほうのお見込みでは、去る十五日ごろに同じく西日本に及んでくるであろうということでございまして、私どもは実は災害現地に私、調査団長といたしましておもむいて実情をよく調査した結果、非常に危険な状態が多い。それかといって、直ちに工事なりその他をしまして危険の状態を除去するということが現実にできない実情がたくさんある。この際人命に危険を及ぼすということを放置するわけにもいきません。それで、各省庁全部集まりまして——従来、危険地区というものがあるわけでありますが、この点につきましては、避難をするよう処置をするようにというわけで、災害対策本部から各知事さんあて通達をいたしたという事実でございます。もちろん、それに対しますところのいろいろな財政上のことがございますれば、これは当然政府のほうでも検討し、期待に沿うような措置をしなければならぬという段階に立っておるわけでございます。
  52. 倉成正

    倉成委員 ただいま前向きの御答弁がございましたが、これはある程度県にまかせまして、そしてそのあとめんどうを見てやるというのが実際的ではないかと思いますので、特に御要望を申し上げておきたいと思います。  そこで、現在あります宅地の造成で、非常に危険な地域に宅地がつくられたりしておる、そういうところの建築を禁止する、これはいろいろ法制上の問題があるかと思いますけれども、そういう危険地域における建築を強力に規制するための立法措置、そういうものについての御用意があるかどうか、これをお伺いししておきます。
  53. 上村千一郎

    ○上村政府委員 この点につきましては、将来立法措置を検討していこうというような考えでございます。
  54. 倉成正

    倉成委員 今次の災害の現況にかんがみまして、河川上流あるいは渓流における砂防施設あるいは地すべり予防施設、その他いろいろなきちっとした施設をやっておるところでは、災害が最小限度に食いとめられておるということは明らかであります。したがって、砂防ダムであるとか、洪水調節用のダムであるとか、そういう恒久的なものをあわせて建設、農林両省で御検討いただきたいと思います。  そこで、農林関係で特殊な問題について若干御質問申し上げたいと思いますが、救援苗で田植えをするというのをやっておられると思います。これについて共済金の支払いはどういうことになるのか。  時間の関係上、もっと端的に御説明申し上げますと、再植えつけをしないで、田が流れたままでほっておけば、共済金を全部もらえるわけです。ところが、救援苗を持ってきて田に植えますと、現在の災害保険の法律によりますと、その分だけ差し引くということになる。これはちょうど十年前に諫早水害のときに同じような問題が起こりまして、私はちょうどそのとき担当者でありましたので、共同で田植えをした分については、いわゆる共済契約はなくなったものとみなしまして、全部流れたところには全額共済金を支払うということにいたした例があります。当時の農林大臣は赤城宗徳氏でありました。この点について何か御検討になっておることがあるかどうか、お伺いしたいと思います。  というのは、とにかく救援苗を植えるということは経済的になかなか合わない。トラックなんかで持ってきて苗を植えたりすると、なかなか経済ベースに合わない。しかし、田畑をなくしてほんとうにぼう然自失した農民が、本来の天職である田植えをすることによって元気を出すということに大きな意義がある。そういう意味において、あまりしゃくし定木に共済金の支払い等を考えていくと、これは正直者がばかを見るというふうな結果になるわけでありますので、もしいま御研究になっておれば、お答えいただきたいし、もしなければ、昭和三十二年の大水害において試みた例を今回もぜひ適用していただきたいと思いますので、御答弁をお願いします。
  55. 太田康二

    ○太田説明員 実は私どう措置していいのか、ちょっとお答えできかねるのでありますが、よく検討いたしまして善処いたしたい、かように考えます。
  56. 倉成正

    倉成委員 現に私が担当者のときにやったのですから、それは検討じゃなくして、勉強不足です。その点はさっそく十分勉強していただきたいと思います。  それから小災害の問題です。農林関係で、農地は個人のものでありますから、小災害については個人で復旧してよろしいということでずっとやっております。おのおの自分の力でやっておりますけれども応急復旧工事について五万円以上というのは、少し高いような感じがするのですが、もう少しこの基準を下げる御用意はありませんか。
  57. 太田康二

    ○太田説明員 小災害の問題につきましては、先ほど河川局長もお答えになったわけですが、私のほうの農地の場合は、大体十万円以上ということになっております。ただ、実際にこの基準それ自体がかなり昔にきめた基準でございまして、厳密なことを言うと、むしろ上げるべきではないかという議論も実はあるわけでございまして、御承知のとおり、激甚法との関連で、激甚法適用になりますと、小災害についても起債等の措置措が講ぜられるわけでございますので、いま直ちに基準を引き上げるというようなことは考えていないのでございます。
  58. 倉成正

    倉成委員 国のやる仕事、県のやる仕事、市町村のやる仕事、おのおのの分野がありますけれども、とにかく、小災害についても救済の道があるように、十分県や市町村指導してやっていただきたい。国で全部見るということはなかなかたいへんだということはよくわかります。しかし、災害を受けた者にとってはたいへんなことでありますから、この点はとくと御指導をいただきたいと思います。  そこで、時間もありませんので、ごく二、三点だけお許しをいただいて御質問させていただきます。  厚生関係で、水路送水管その他非常にやられておりますが、水はやはり人間の生命にとってなくてはならないものでありますから、一日も早く復旧をすると同時に、上水道災害復旧について高率補助の道がないかという点。融資のみでは、これは貧弱な市町村の公営水道等では相当無理がいくと思うのですが、この点についての厚生省の御答弁をいただきたい。
  59. 大橋文雄

    ○大橋説明委員 災害におきまして上水道被害を受けました場合に、それに対します財政措置といたしましては、予算措置で従来から国が補助金でもってこの財政措置をいたしております。今回も長崎県、佐賀県及び兵庫県で非常に水道がやられております。これにつきましても、従来のような方法でこれをやってまいりたいと考えております。
  60. 倉成正

    倉成委員 補助ですか。
  61. 大橋文雄

    ○大橋説明委員 はい。
  62. 倉成正

    倉成委員 どの程度補助ですか。
  63. 大橋文雄

    ○大橋説明委員 従来のあれですと、大体二分の一ということになっております。
  64. 倉成正

    倉成委員 ただいま補助の道があるということでありますから、十分ひとつ活用して、遺憾のないようにしていただきたいと思います。  そこで、通産関係について、先ほど砂田委員から詳細に御質問がありましたけれども、やはりちょうど田植え時期、しかもお盆の時期でありますから、農村付近の小さい商売人というのは、無理をして商品を仕入れて、このお盆のときに精一ぱい売ってやろうという準備をしておったわけであります。そういった小規模の商売人というのは、銀行やその他でなかなか融資の道がない。信用組合や、せいぜい相互銀行を利用したり、あるいは無尽を利用したり、そういう形で無理をして資金をつくって商品を仕入れておる。これが一挙にして流されたということになりますと、この救済の道というものは、よほど親身になって世話をしなければならないと思うのであります。とりあえずは、そういった手形決済を二月でも三月でも延ばしてやるということになってくるかと思うわけですが、それに対して県が保証の裏づけをしてやるとか、いろいろな方法があろうかと思いますが、これらの点についてはどういうふうな方法を講じられるつもりか、どうしたら一番安心してやれるかという点について、中小企業庁でお考えがあれば、ひとつお聞かせをいただきたい。
  65. 本田早苗

    ○本田説明員 小規模企業の方の災害に基づく資金需要に対しましては、信用保証による融資の道を特につけるということで、県も保証料の全額負担を考えておられまして、そうして保証料については全額免除ということによって保証を受けて、それに基づいて、いまお話のありました信用金庫なり信用組合等からも借りる。その場合は、てん補率は、少額の場合は八〇%でございますので、国の公庫から、もし貸し倒れのときは八〇%が信用金庫にてん補され、二〇%だけが保証協会の負担で、金融機関は全額損害がないという形になって、融資が円滑に行なわれるということになっておりまして、信用保証協会に対しましては、今回二千五百万円を低利で公庫から融資をするということを決定いたしております。
  66. 倉成正

    倉成委員 ただいま、信用保証協会融資をする、それからてん補率を八〇%に引き上げるというお話でありますが、これはできれば中小企業庁の方々も現地に行きまして、やはりその窓口の状態をできるだけ見ていただいて、そしてひとつ親切に指導していただきたいと私は思うのです。非常に零細でありますから、なかなか大きな声は出てまいりませんけれども、実際問題としては非常に困っておるという状態であります。  そこで、私の持ち時間がなくなったようでありますから、この程度にいたしますけれども、政府としては、迅速適切に、勇気をもって災害対策に取り組んでいただくことを御要望して終わります。
  67. 田原春次

  68. 石橋政嗣

    石橋委員 私も社会党の調査団に加わりまして、佐賀県、長崎県、おもな被災地をほとんど見て回ったわけです。いまさらのように災害の大きなことを確認し、一日も早くあたたかい手を差し伸べなくてはならないのではないかという義務感を新たに感じたわけですが、それと同時に、何といいますか、ほんとうにこれでいいのだろうかという気持ちにとらわれておるわけです。というのは、災害が起きるたびに、私たちはお見舞いを兼ねて調査に行きます。そうして地元被災者のいわゆる陳情というものを聞きます。ところが、被災者の言っておることはいつも同じことなんですね。私たちがそれに対して応待して答える返事までが同じになってしまっておるのです。あがってくる問題点というのは、大体いつの災害の場合もほとんど同じだと言っていいのじゃないでしょうか。確かに皆さん方の政府の対策というものも要領よくなっております。テンポも早くなっておることは私も認めます。それは確かに進歩ではありましょうけれども、皮肉な見方をすれば、しょっちゅうのことだものだから、ちょいと手ぎわがよくなったという程度にすぎないんじゃないか。ほんとうの対策を講じておるといっていいのだろうか、どうだろうか、こういう疑問を実は感ずるわけです。  時間も非常に制約されておりますから、私は、典型的な例をあげながら、考えていただきたいと思うのです。おそらく大臣が出席されたときにしか根本的なお答えは得られないのかもしれませんけれども、その代表的なのが、原状復旧改良復旧かという問題です。長い間原状復旧というものを貫いてまいりました。しかし、それではいけない。これではさいの川原の石積みだ。流れた、橋をかけた、また出水して、また流れた、こんなことじゃいけないというので、改良復旧部分的に認められ始めた。しかし、部分的にでもみんなの意見がいれられたのだから、進歩だと言いたいところなんです。言いたいところなんだけれども、こういう事件にぶつかったら、私は言えなくなってしまった。そういう例を幾つか見たわけです。逆に前の災害より大きくしてしまっておる。部分的なちょっと改良復旧をやったばかりに、そういう例が出始めておるのです。これは相浦の川下町の百人の人たちが全部冠水でやられたわけです。家財もほとんど流失してしまいました。その原因をたどる中から、その部分的な改良復旧というものにこんな被害を大きくした原因があるのだということがわかってきたわけです。  そこで、新聞でもずいぶん大きく扱われておりますから、まず私は事実を確認してみたいと思うのです。この伝えられておるような、あるいは地元の人たちがそう思い込んでおるような、それがほんとうの原因であったのかどうかということですね。場所は、先ほど申し上げたように、佐世保市相浦川下町です。ここにかかっております大和橋が原因になっておるわけですが、前に橋が流れました。ところが、どういうことが行なわれたかというと、原形復旧では、また増水すれば流れてしまうというわけで、先ほどから申し上げておるように、部分的な改良を加えて橋げたをコンクリートでじょうぶにしたわけです。ところが、じょうぶなコンクリートの橋げたをつくったのに、その橋げたの数は、木のときと同じ八本、数をそろえちゃったわけです。数は原形だ。そして、木がコンクリートにかわるという意味では強固な改良が加えられたわけです。もちろん、上にかかっております橋梁は木です。そこで、橋げたがじょうぶになってしまったから、前のように橋が流れてしまわなかった。全部そこに流木や何やらがたまって、自然に堰堤ができてしまったのです。これでたいへんなことになって、堤防を突き破ってあふれた水が、川下町一帯にあふれ出て、たいへん大きな被害をもたらした、こういうわけです。地元の新聞にはこういうふうに書いてあります。これは西日本新聞ですが、「つまり脚のコンクリート化だけの復旧予算が認められたわけである。しかし脚の数は現状復旧で八本と元どおりにちゃんとつけられた。こんなことにはまことに律義である。そのかわり、強くなったらなぜ数を減らさぬか。そんな疑問は、ひとたびお役所の計画なり予算査定の流れに入ると、消えてしまう。」地元の人もこう思い込んでおります。これは事実だとすれば問題だと思うのです。私たちは技術的なことはわかりません。じょうぶな橋げたにしても、やはり八本要るんだ、そういうことなんでしょうか。どうもしろうと目に見ると、間隔が非常に狭過ぎるような気がするんですがね。もし地元の方が言っているように、また、この新聞が扱っているように、数だけ原形復旧にして、質をよくしてその面で改良したということがほんとうに原因だったら、これはたいへんなことです。こういう例はほかにもまだございますよ。私は、こういうことを繰り返しておっていいのだろうかという疑問を持たざるを得ないのです。それは実際に実務を担当していらっしゃる方々にしてみれば言い分はたくさんあることはわかっております。災害に便乗して不正を働くとか、そんな疑惑を持っておられることもわかっておりますが、しかし、多少のことはあっても、私は、政治家としてはやはり思い切った改良に踏み切るべきだ。これなども、アーチ型にして、橋げたの数を一本か二本にしてしまう、そうしてやっておけば当然避けられた災害なんです。こういう点を非常に痛感したわけです。  もう一つ、あと住宅の場合の例をあげますけますけれども、まずこの事実から確認していきたいと思うのですが、いままではそういうことはあったのでしょうか。このケースについては調べておられないかもしれませんが、そういうことは、当然、本省の指導からいって、あり得ただろうというふうにお考えになりますか。このことからまず確認をしておきたいと思います。
  69. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 結論的に申し上げれば、あり得ただろうというふうに考えます。実は私九州に長らくおりましたけれども、そのときの二十八災等の実情を見てみますと、橋梁のスパンが狭いためにやられている実例が非常に多い。したがいまして、私、本省に来まして、河川の流量に応じたスパン割りをきめるべきであるということで、ただいまそれで指導いたしております。したがいまして、最近の橋梁につきましては、災害復旧も、あるいは改良におきましても、そのような指導をやっておりまして、間々、市町村財政の問題からなかなか話がまとまらぬところがございますが、しかし、極力さような方向で現地指導をしております。いっそう原形復旧をやられたかよくわかりませんけれども、特に急流の河川、中小の河川等におきましては、その橋梁のピアがたくさんあることは、断面を縮小いたしますし、材木が流れてこなくても、そこでせき上げになります。したがいまして、橋の上流が非常にあぶない状態になる。それから、材木とか、あるいは畳とか、いろいろなものが流れてくれば、当然つかえまして、それが破堤の原因になる。私らとしても、極力そういうことがないように現地指導をしておりますし、技術基準でもそういうぐあいにさしてもらっております。したがいまして、現在はたくさんはない、間々あるかと思いますけれども、そういうことのないようにいたしたいと思います。
  70. 石橋政嗣

    石橋委員 率直にお認めになりましたから、それでは私はこれ以上申し上げません。とにかく、部分的な中途はんぱな改良を加えたのでは、かえって被害を大きくしてしまう。これが完全な原形復旧ならば、まだ橋が流れるだけで済んだわけです。しかし、部分的に改良を加えたばかりに、非常にたくさんの人たちを犠牲者にしてしまう、これはたいへんな問題です。そういうことが起きてまいりますから、ぜひ思い切った改良ということで今度は指導していただきたいと思うのです。  いま一つの典型的な例は、いまのは相浦川ですが、日宇川の公営の分譲住宅地が流されて、ここは死亡者まで出たわけです。私たちも日ごろはあまり気がつかない。確かにうかつな話です。そのことがないときには気がつかないものです。行ってみて初めて、これは当然やられるという感を深くするわけです。調査に行かれた方々みんなそうだと思うのですが、まさに河川の角度九十度です。水は流れる本能のままにまっすぐ突き破ってたくさんの住宅を押し流し、そして人的犠牲まで出しておるわけです。これなども、当然河川のつけかえという形がとられなくてはならない。これもまた原形復旧だということになると、たいへんなことになると思いますが、これは何もいま例にあげました佐世保市の黒髪町の場合だけではないと思います。典型的な例として私はあげたわけですが、ほかの場合にもあります。そういう面でも、思い切って河川のつけかえをやっていただけるものかどうか、この点の確認をしておきたいと思うのです。
  71. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 結論的に、思い切ってやりたいと思います。けさ102で黒髪町の状態を拝見さしてもらいました。ああいう曲がりのある川、ああいう急流河川では絶対もたないだろうというふうに感じました。昨年も、加治川におきまして曲がり角のところからやられました。これは四十戸の家屋移転を行ないまして、ただいまほぼ直流の形に改修をいたしております。これは災害助成事業として実施しております。さような方向でひとつ十分検討さしていただきます。
  72. 石橋政嗣

    石橋委員 それからこのほかに、やはり異口同音に被災者が私たちに訴えるものの一つが、一般災害、民間災害にもう少し手を差し伸べてもらいたいということなんです。幸い、農地の場合は、十万円以上の場合、補助対象になっておるわけですね。ところが、そのほかはほとんどめんどう見てもらえない。せいぜい融資という道しかない。このことを訴えられるわけです。確かにケース・バイ・ケースでございますけれども、これは個人としては資力からいってもほんとうに手の施しようがなかろうという面をまのあたりたくさん見たときに、何とかしてやらなくてはいけないのじゃないかという気がするわけです。これはむずかしいことはわかります。いろいろの面でむずかしい面があると思います。しかし、せっかく農地までいったのですから、さらに、この災害を契機に、宅地なら宅地、家屋なら家屋、もう一歩進める、こういうものが出てきていいんじゃないか、こういう感じがするわけです。これは副長官になるかと思いますが、何とか検討してもらいたいと思うのです。私は、本委員会におきましてもこれはじっくりと取り組んでいただいて、超党派的に、今度の災害によって何かおみやげ——おみやげということばはおかしなことばですが、みんなで生み出すという努力をしていただきたいと思いますので、副長官の考え方をちょっとお聞きしておきたいと思います。
  73. 上村千一郎

    ○上村政府委員 石橋委員がおっしゃるのはごもっともでございますし、特に今回の災害は、都市災害の特色を持っております。そんな関係上、各個人災害が非常に増大しておりまして、昨年の集中豪雨につきましても、個人災害についてどういうふうに対策を練るかということは、この委員会におきましてもいろいろと御熱心に御主張されました。政府側としましても、これは真剣に取り組むべき時期ではないかというわけで、私ども中心になりましていろいろと各省へも検討してもらうように呼びかけたわけでございます。ところが、御案内のように、農地にはそういうことがある。だから全般的に個人災害というふうに大きくとりますと、この災害をどういうふうにするかとか、あるいは個々の点でございますから非常にむずかしくなる、こういう各省の御意見もある。しからば、いまお話のように、宅地とか、何か目的物に限ってやるようにしてはどうだろうかというわけで、相当進めようとしたのですが、なかなかまだまとまっていないわけでございます。これを機会にもう一度意欲を燃やしまして検討をしていきたい、こう思っております。  それまでの処置はどうするかということでございますが、先ほどもいろいろと質問がございましたけれども、少なくとも個人災害の特色を特に持っておりますし、非常にお気の毒であるし、しかも局部的に融資やあるいは税金面だけではとても立ち上がっていくことのできないような大きな被害をこうむっておられる個所が随所にあるから、何とか措置をしなければならぬが、これは立法措置の問題にもなってまいりますので、これは検討して進めていかなければならないが、しかしながら、そうかといって、従来の融資の面におきましても、税金の措置の面にしても、あまりしゃくし定木に事を運んでおったのでは、これは実態に即さぬだろう、こういうふうに思いまして、特にこの点について各省の御協力を賜わりたいというふうに災害対策本部は要望いたしておる次第でございます。
  74. 石橋政嗣

    石橋委員 被災者の側からは、何とかしてください、われわれの側は、何とかさせるように努力します、政府のほうは、検討いたしますというようなことの繰り返しにならないように、ひとついまの決意をぜひものにする、政府のほうでも全面的に実施する、ワクを何とか広げるという立場で検討していただく、委員のほうでもまた超党派的に一歩前進を今度に是が非でもやるのだという意気込みでお互いに取り組むということでやっていきたい、このように考えております。  時間がありませんから、被災者の方々の実態を見、またお聞きする中で直接痛感をいたしました問題をもう一つだけ申し上げたいと思うのですが、それは、畳を何とかしてやれないだろうかという気持ちがするわけです。このような水害の場合には、水につかってしまった畳というものはもう使いものになりません。私自身、昭和二十三年に軒下まで冠水したという経験を持っておりますから、よくわかるのですけれども、絶対に使いものにならない。どろんこになると、たとえ水で洗っても、敷きものがなければ寝るにも寝られない、場所もないというような実情を見るにつけて、畳あるいはそれにかわるカーペット類のようなものを何とか災害救助法によって認めてやれないものだろうか、こういう気がするわけなんです。現在では、たしか生活必需品の限度額の範囲には八種類ばかり指定されておるように聞いておるのですが、この畳とか、これにかわるカーペット類というようなものは入っていない。何とかこれを限度内に入れていただけないだろうか。そうしないと、このめんどうを見ると、ほかのものは見られない、こういう矛盾が出てまいりますから、これはひとつ早急に考えていただきたいと思うのですが、この点についてお尋ねをして終わることにいたします。
  75. 今村譲

    ○今村政府委員 お答え申し上げます。  ただいまのような問題は、県からもよく話を聞いております。実際問題といたしまして、水がついた、すぐ畳をといいますと、県のいわゆる備蓄物資で畳を何万枚も持っていなければならぬ。そうして、つゆどきになると腐ってしまうという問題があったり、いろいろ問題がありますので、畳そのものは備蓄物資で一枚一枚配給するというわけにはいかないだろうと思います。いま長崎県あたりでは、畳表といいますか、ござみたいなものを三百円か五百円くらいで応急に買えるというふうなものが若干ございますが、その点に対してどうだこういうことでございますので、現在、たとでば冬と夏では違いますけれども、五人世帯で一万幾らというワクの中で、そういうござ類なり、畳にかわるようなものを組み込めるならひとつ手配してくれ、こういう話をいたしたわけであります。ただ、どのくらい応急に手に入りますか、いろいろ疑問でございますけれども、その辺ならば手に入る余地があるのではないかというように考えております。
  76. 田原春次

    田原委員長 白浜仁吉君。
  77. 白浜仁吉

    ○白浜委員 いろいろと各委員諸君から御答言がありましたが、今度政府が幸いにして災害対策本部をつくって緊急措置を考えようと、前向きにいろいろと御考慮を願っておることに対し、被災者の民意を代表して厚く御礼を申し上げたいと思うわけであります。  私どもどうしても取り返しのつかないものは人命でございます。この人命を失ったということにつきましては、ことばを幾ら重ねても、どうしてもこれは取り返しのつかない問題でございますが、この問題を考えるにつきましても、たとえば、先ほど石橋委員からも御発言がありましたが、災害復旧の問題につきまして、原形復旧にこだわらずに、もっと全体を見ての改良復旧を考えなければならぬというふうなことは、これはもう私がここで申し上げるまでもないことで、事務当局の諸君もこれは十分御了承の上だというふうに考えるのでありますが、今度の場合、特に私は佐世保黒髪地区をまのあたり見まして主として現実の面で感じましたことは、三分間おくれておったならば、しかも、あれが夜であったならば、おそらく数百人の死亡者、行くえ不明者が出たろうということで、現実にそういうことがいわれておるわけであります。そのことから考えてみますと、せっかく気象庁の諸君が少ない予算の中から非常に努力をしてやっておりますし、しかもまた、警察の諸君も、いろいろな情報から、いろいろな方法を講じてこの予防措置をして早く退避しろということをやっておりますけれども、今度のように分散的に集中豪雨的なことが出てまいりますと、なかなかこのことが徹底されません。このことにかんがみまして、幸いにして、現在日本は、ラジオあるいはテレビというものが世界でも最高だといわれておるくらい普及しておりますので、この機関をフルに利用してこの予防措置を講ずる、少なくとも人命だけは失わないような措置を講じたいということで、去る十四日ですか、わが党の災害対策別特委員会におきまして、このことを強く私は要望いたしたのでありますが、幸い同僚の細田議員が本会議でこのことを強く郵政大臣に要望されて、ぜひともこれは前向きにやろうというようなことを大臣も答弁されたのであります。この機会に、上村副本部長を中心にしまして、一生懸命になってこのことが実現されるように私はお願いを申し上げたいと思います。  もう一つ、全般的なことでお願いしておきたいことは、今度一番困ったのは、実は水がない水がないといって干ばつに悩まされておりましたその直後に、この水の被害でございます。ところが、水の被害を受けて一番困ったのはまた水でございまして、給水というものがうまくいっていない。これに引き続いての伝染病の発生その他というものをわれわれはひどく心配いたしておるのでありますが、給水ということにつきまして、今度、たとえば佐世保でやった例でございますと、民間の土建業者の給水車も動員する、あるいは消防車も動員するというようなことでいろいろやっておるようでございますが、こうしたあらゆるものを動員するような体制を日ごろ用意しておく必要があるのではないかということを痛感して帰りました。  われわれは、いま石橋委員も指摘しましたように、あとを追っかけ追っかけというような対策を講ずるよりも、たとえば中小河川、都市河川の問題にしましても、やはり地元民が協力してあらかじめ予防措置を講じなければならぬ。いろいろな施設をやり、公共事業をやるにしましても、やはり地元の協力が必要だ。たとえば、これは小さいことかもしれませんが、かってにごみを捨てる住民が非常に多いというようなことで、河川がだんだん浅くなり、水の許容量も減るというようなことで、追っかけ追っかけとうとい税金を使う。その税金を使ってもなお取り返しがつかない人命を失うというようなことを繰り返すよりも、むしろ、非常に不本意ではありますけれども、そういうふうなかって気ままに何かを捨てるというふうなことは、やはり厳重な禁止の法律をつくってやるべきじゃないかというふうな気がいたすわけであります。こういうふうな点につきましても、どうか本部長を中心にしまして政府が一体となって前向きに考えていただきたい。  全般的の問題はそれくらいにしまして、今度の災害で現在非常に困っております石炭、いま西日本、佐賀県、長崎県のいわゆる中小石炭の諸君が、水害を受けまして復旧に困っております。やっと安定補給金の問題も解決をしているというふうな状態でございますが、非常に傾斜的に石炭というものに希望がないというふうな状況では、市中銀行の金融も思うにまかせないと思いますので、この際でございますから、いろいろな特別な方法を講じて——私のところに参っております資料によりますと、八炭鉱でわずか二億円前後の災害だと申しておりますので、中小企業庁並びに石炭局の諸君は一体となってこの金融措置を至急講じてもらいたい。この相談があっておるのかどうか、そういうふうな点について、石炭局でもけっこうですし、中小企業庁でもけっこうですから、これをやってもらいたい。  特にこの際中小企業庁にお願いをしておきたいことは、うまくやる、何とかするということをよく諸君は言います。先ほど石橋君からも御指摘されたとおりであります。ところが、現実になりますと、なかなか下のほうは動いておりません。手続だけがめんどうで、なかなか動かないというふうな状態では、非常に苦しいさなかに、先ほどもお話がありましたが、もう目に見えないようなところで中小企業者は困っております。たとえば、日曜日でございましたので御主人が自宅におった。幸いに、雨も降るということで外出もしていないということで、非常に救われた例もあるようでございますが、たとえば問屋街、問屋筋、こういうふうなものは、休日でございますので、だっと瞬間に増水してきたということで思わぬ被害が中小の商店に及んでいるというふうなこともありますので、どうかそういうふうな点も勘案して、中小企業庁は特に強力な指導をやってもらいたい。私は特にこのことをお願いするとともに、この機会にひとつ言明をしてもらいたい、はっきりと御回答をお願いしたいと思います。
  78. 上村千一郎

    ○上村政府委員 中小企業庁のほうからも御答弁申し上げるかと存じますが、ただいま白浜先生からいろいろとおっしゃったこと、全く同感でございます。  なお、この人命救助の問題、避難の問題等につきまして、これは政府としましてもこの際総点検をすべきものではなかろうか。と申しますのは、特に私、神戸市内の市ケ原のあの大きな災害、人命事故を拝見いたしました際にも、いろいろと承りますれば、ある程度の避難はいたしておるものの、おとうさんの代、おじいさんの代から自分はここにおったんだ、だから、いろいろと、危険地区だ、あるいは避難だとは言うものの、心の中には、まだそれほどでもなかろうというお心持ちがあられるのではなかろうか。と申しますのは、それもごもっともなことでありまして、自分の見ている範囲内においてはそう変化を来たしていないのでありますが、少しくヘリコプターその他でずっとその周辺を見ますと、非常に大きく人工がその山に加えられておる。たとえば、あるいはカントリークラブ、あるいは宅地造成、いろいろな変化を来たして、それが知らないでおるうちに自然と影響を及ぼしていく。こういう点は、各被害をこうむられた方々にとりましてはこれは無理もないわけですけれども、全体の総合的な立場から政府は考えて、よく点検をして、危険地区というものにつきましては危険地区としてはっきりと御納得のいくように御説明するとともに、もちろん、そういうことのないようにいろいろな施策を講じなければなりませんが、しかし、その間に災害が来て人身事故が起きたらたいへんでございますので、こういうものについては、ある程度総点検をすべき時期に立ち至っておるのではなかろうか、こういう感じを持っておるのでありまして、私、非常にごもっともだと思うわけでございます。  それから水の問題でございますが、ちょうど兵庫県に行く際におきましても、行く前に、非常に水の問題を訴えておられました。現地に行きましても、非常に水で苦しめられ、また水で困っておるという実情もよくわかりますし、自衛隊のほうあるいはその他自治団体のほうの給水関係を動員されましてそうしてその危機を乗り切ったようでございますけれども、しかし、それもおくれてまいっております。でございますればこそ、相当の要望なり非難なりということが起きてきておりますので、これは何か総合的な施策というものを心がまえとして政府あるいは自治団体は考えていくべきではなかろうか、こういうふうに感じております。御趣旨全くごもっともでございますので、私ども中心になりまして、そうして御趣旨に沿うような検討を加えさしていきたい、こう思っております。
  79. 本田早苗

    ○本田説明員 ただいま白浜先生から、金融問題について臨機適切な措置をとれ、こういうことでございましたが、被害がありました直後に、通産局、並びに、すぐ引き続いて本省からも現地調査団を出しまして調査の結果、至急金融の措置を講ずる必要があるというので、佐賀県に五カ所、長崎県に三カ所、広島県に三カ所臨時金融相談所を設けまして、政府三機関と信用保証協会、商工会、商工会議所、県、市の担当者が一カ所に集まりまして、そして窓口で受けつけまして、即決でそれぞれ適当な窓口で融資の決定をするということで、できるだけ早い融資の実施をはかっておる次第でございます。  石炭につきましては、二十一炭鉱、一億八千万の被害がございまして、そのうち、中小炭鉱は十四炭鉱、一億三千万の被害がございますが、これは先ほど長官から報告のありました九十四億の内数でございまして、中小金融の内ワクとして融資を実施いたしたいというふうに考えております。
  80. 田原春次

  81. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは簡単に質問したいと思います。  中小企業関係の激甚指定ということは、砂田先生、白浜先生から御質問もありました。これは、きのうは本会議において、前向きで検討、きょうは、来週ごろ適用と、だんだん近づいてきたようであります。そこで私は具体的にお尋ねをしたいが、激甚災害法の第二条による指定基準で、当該災害にかかる中小企業関係の被害額が、当該年度の全国の中小企業所得推定額の〇・〇六%とあるが、その〇・〇六%は幾らですか。
  82. 本田早苗

    ○本田説明員 本年度の算定によりますと八十六億でございますので、先ほどありましたように、今回の災害は九十四億強になっておりまして、一応オーバーしております。
  83. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それからB基準の第一項で、佐賀県ですか兵庫県ですか、どこか一つの県の区域内の当該災害にかかる中小企業関係被害額がその県の中小企業所得推定額の二%、これは一番大きい被害のところはどこですか。
  84. 本田早苗

    ○本田説明員 現在の調査で、佐賀県は中小企業所得千二百四十一億と推定されておりますので、二%で二十五億になりますが、被害は二十七億五千万なので、一応事務的には基準には合うということになっております。
  85. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、激甚法第二条に基づく基準に照らして、激甚法の十二条、十三条、十五条、これは適用確実である、こういうことでいいわけですね。ここで言明をしてくださいと、砂田さんも白浜さんも言っているんだから。この基準にぴしゃっと合っているじゃありませんか。それじゃここで言明していいでしょう。
  86. 上村千一郎

    ○上村政府委員 先生も御案内のとおりかと思いますが、実は個々の点につきましては、委員の先生方おっしゃったように、できるものがありますから、何も来週ということを待ってやるつもりではないわけでございますが、ただ全体につきましてめどを申し上げておきませんと、検討検討では、従来のように、はなはだおざなりになってしまうという感じを与えて、こういう災害のときにはまずいというふうに思いまして、来週中にはすべて手続が完了するであろうということを申し上げておるわけで、御案内のように、これは閣議決定もいたさなければなりません、いろいろな査定の報告その他も集計しなければなりませんし、また財務当局のほうの意向もございましたり、いろいろな点もございますが、もちろん、基準が合ってまいりますれば、そして検討の結果がございますれば、早急にやっていきたいという意思に少しも変わりはないのでございます。
  87. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いいです。とにかく、いま数字からいってその適用基準に該当していて、みんな激甚災害の指定を受けられる、こういうことで、また、数字的に聞いてもそうだと思いますから、そこは一週間や三日はどっちでもいいと思います。  同様に、激甚法第二章及び第五条、これは指定基準は何億で、どの県はどうなってということを、建設省と農林省からお聞かせいただきたいと思います。全国所得推定とかいうものから始まって、その標準税収が幾らの県が幾つあってとかいう基準もありますけれども、建設省と農林省、この二つのあれだけでけっこうですから……。
  88. 太田康二

    ○太田説明員 農林省のほうから第五条関係の農地と農業用施設、それから林道、この関係を申し上げます。  御承知のとおりA基準とB基準がございまして、A基準は、「事業費の査定見込額が、当該年度の全国農業所得推定額のおおむね〇・五%」これを大体百七億と踏んでおります。「をこえる災害」、B基準は、「事業費の査定見込額が当該年度の全国農業所得推定額のおおむね〇・一五%」これが三十一億。「をこえる災害であり、かつ、一の都道府県の事業費の査定見込額が当該都道府県の当該年度の農業所得推定額の四%をこえ、又はおおむね一〇億円をこえる都道府県が一以上あるもの」こういう基準があるわけでございます。それに対しまして、先ほど先生方のところにお配りしました私のほうの被害、特に七月七日から九日までの農地、農業用施設、林道等の被害合計額が、県の報告で百六十八億一千五百万、これに対しまして、過去五年間の平均査定率というのがございます、これをかけまして査定見込み額を推定いたしますと、百五億一千六百万、こういうことになるわけでございます。したがいまして、まずA基準の百七億には若干足りないわけですが、B基準の三十一億はこえておる。しからば、一体十億をこえておる県があるかどうかということでございますが、同様の方法で計算をいたしましたものによりますと、広島県が十一億七千五百万、佐賀県が二十二億八千百万、長崎県が三十億三千八百万、こういうことになっております。十億をこえておる県は、いまのところ、三県あるということになるのであります。
  89. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 激甚災報の第二章グループの指定基準の関係を御報告いたします。  第一項の対象事業全体の査定見込み額が七百十七億をこえる場合ということでざいますが、現在まで査定見込み額が二章グループで約二百八十億程度になっております。これは適合いたしません。第二項関係で、対象事業の全体の査定見込み額が標準税収入のおおむね一・二%、これは二百十二億になりますが、これであって、「かつ」という欄までまず出しますと、現在まで査定見込み額が二百八十億でございますので、おおむねこれは適用されます。  なおもう一つの条件は、当該都道府県の対象事業の査定見込み額が当該都道府県の標準税収入をこえる都道府県が一以上ある場合、この場合佐賀県を例にとってみますと、県工事の査定見込み額が現在の段階では四十一億二千万と一応考えております。右の標税というのは約三十六億でございますので、これは適用されます。長崎県の場合は、査定見込み額が二十三億八千三百万で、標税は六十七億五千万でございますので、適格とはなっておりません。それから、(二)の市町村につきましては、佐賀県、長崎県とも適格となっております。  したがいまして、全体的に激甚災法の指定を受けるような資料ができ上がっております。
  90. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いま太田参事官からも、五条関係については、激甚災指定のB基準によって適用になる。数字的にも明らかである。それから建設省関係も、B基準によって適用になることは明らかだ、こういうことですから、これはあとは事務的の問題だけだ、こういうふうに私は理解をいたします。上村副長官から来週早々というお話もありましたので、数字の上からは間違いなく激甚指定だ、こういうふうに理解できますので、なるべく早く指定してやって、被災者を安心さしていただきたいということを要望しておきます。  ついでで悪いのですが、六月十六日、十八日の長野県の小諸災害、これは災害特別委員会でも視察に行っていただいたし、今度の七月の災害と一緒に激甚指定にしていただける公共土木及び農林施設、これはいいでしょうか。
  91. 上村千一郎

    ○上村政府委員 ただいまの先生の御質問でございますが、小諸地区の点につきましてはいま検討中でございます。
  92. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いいです。
  93. 田原春次

    田原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後五時五十九分散会