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井出委員 災害対策特別委員会におかれましては、長年月にわたって、
松代地震災害等にまことに適切な
措置をお講じくださって、
地域の一同たいへん感謝いたしておりますが、また、その同じ
長野県の
東信地帯に、
先ほど陳情をお聞きくださいましたような相次いでの、
一つは
集中豪雨による
鉄砲水と称せられる
災害があり、わずか二日おきまして大
降ひょうがございました。たいへんな
被害があったわけでございます。
本年は、
異常気象を叫ばれてまいりましたが、同じ
長野県において、北信と称せられる
地帯には水の
被害が出ておりますし、
南信といわれる方面には
干害がこれまたはなはだしい、こういったまことに皮肉な運命に見舞われておるような次第でございます。
私は、きょうは、以上申し上げましたように、この
集中豪雨と
降ひょうの二つの問題に限定をいたしまして、主として事情の開陳をいたし、あえて
答弁までここで求めようとはいたしておりません。
そこで、十六日の
集中豪雨でございますが、ごく限定された
地域でございますが、二時間に百ミリ近いものが降っておるという記録であります。この
浅間山麓地帯は
火山灰土でございますから、土質がまことに脆弱でありまして、
保水力が至って乏しい。その付近は乱伐、過伐をいたしたということもあり、
開墾地に転用したというような場所もございますが、私、
現地を二日ばかり見て回りまして思いましたのに、必ずしも
林木伐採ということだけではなくて、やはり未曾有の
降水量であったということが主たる原因でございましょう。土地の古老は、
延宝何年か
——約二百年前、こういった大きな
水害を受けたということを、伝説として聞いておるというふうなことでございます。近年は、私も二十年
余り政治に携わっておりますが、そういうことは絶えてなかった。その名も優に
みやびやかな乙女川といったような、常日ごろは清流がせせらぎの音を立てておるというような川に、一瞬にして
鉄砲水といわれる
異常出水がございまして、
家屋あるいは
人命にも損傷がございましたことは、お聞き及びのとおりでございます。この
地帯は高
冷地ではありまするけれども、水田の反当収量はたいへん高いところでございまして、谷間を縫って美田を開いておるのでありますが、これらが一瞬にして
壊滅状態に相なりました。何とかしてどろの中から苗を起こして、そして
収穫の秋にというような
気持ちで、御
婦人方がたんぼで、一時はぼう然として、一時は気を取り直して
——私はそのようなことをしてもむだだとは思うけれども、まあ子供かわいさと同じような
気持ちが農村の
婦人の心情でありまして、涙なくしては見られない
状態であったのでございます。
明細な
被害の
数字については、書面をもってお手元へお届けをすることにいたしますが、
災害が、
農林関係、
公共土木被害、
農作物等々にわたりまして、十数億というふうな計数が発表されておるのであります。
それからわずか二日を出でずして今度はこの
山麓一帯を見舞った雷雨並びに
降ひょうでございますが、
先ほど軽井沢、
御代田両町の代表が陳情されましたが、範囲はそれのみでなくして、
小諸市、さらに小県郡東部町、真田町、川西村、これら
一帯にわたっておりまして、けさの
新聞に伝える
被害高は、それを合わせると十八億円にのぼる、こういうふうに報道されておるのでございます。
この
地帯は、特産である
高原蔬菜を産出する
地帯でございまして、京阪神あるいは
東京地方における
生鮮蔬菜の
一大給源地になっておるのでございまして、最近は、レタス一箱千円以上もする、こういった
状態のもとに、
出荷直前の結実まぎわの畑が、もう見るも
むざんにピンポン玉の大きさの
ひょうによって痛めつけられたわけでございます。私は、その翌朝直ちにかけつけたのでございますが、まだ家の軒下には
ひょうがたまっておりまして、氷が置いてあるような
状態でございました。あるいは
カンランのごときは、これはすっかり結球しておりまして、
相当かたいのでございますが、これが
ひょうに打たれまして、全くささくれ立って、見るも
むざんに口があいたままの
カンランが畑一面にある、まことにさんたんたる
被害でございますが、それにもかかわらず、
農民諸君は消毒に立ち向かっておりました。いまさら消毒しても、これは売りものになるはずはございませんが、聞いてみると、それから腐れが入る、
伝染病等が発生してあとたいへんである、言うならば、アフターケアのために薬剤を散布するのが、その
地方の
農民の当面の仕事であるというわけでございます。この
高原蔬菜というものは、かなり肥料を食うのでございます。単に金肥のみならず、堆厩肥をふんだんにまず基肥として入れないと、味わいのいいものがとれないということでございまして、
相当な資本と労力がつぎ込まれている。これが一朝にして
壊滅状態になったということであります。ですから、この二日間に同一
地帯がまるで
往復びんたを食らったようなかっこうで、わずかな
地域ではありますけれども、合わせれば三十億からというような、とても
地方農民の肩に背負い切れない大きな
被害が、ここに生じておるわけであります。
そこで
お願いいたしたいことは、従来の先例もあります。したがって、一応
災害対策としては型にはまっておるように私も承知いたしておるのでございますが、できるだけ
査定をお急ぎいただきまして、その
被害の実態を計数的に十分把握していただくと同時に、これが
対策にひとつ万遺漏なき
措置を
お願いしたいわけでございます。すでに
農林省、
建設省もそれぞれ
係官を派遣してくださっておるような次第でございますが、願わくは当
委員会におかれましても、
東京から三時間
程度の距離でございますから、日帰りも可能でありまして、しかるべく
委員の御
派遣等をちょうだい願えれば、まことにしあわせでございます。
さらに、これはすでに
災害に関する
立法措置ができておりまして、それに乗せれば、自動的に
復旧の
措置は講ぜられることではありましょうけれども、
地元では、
災害激甚でありまするから、
激甚地の
指定でありますとか、あるいは
天災融資法などが
発動できるようにというふうな期待をしておるのでございます。
長野県といたしましては、
災害救助法を出しまするのには、
人命あるいは
家屋等の
被害はそれほどでないがために、
災害救助法発動に準ずる
措置で万事扱っておってくれます。それから、
自衛隊のほうではさっそく出動してくださって、約六百名の
自衛隊の
諸君が、
農民とともにどろにまみれて営々として
復旧を取り急いでおってくださるようでございます。
大蔵省もお見えですが、これは
規矩準縄というものがあるかもしれませんが、そういう点は、
地域の住民が何とか立ち直ることができまするように、特段の御配慮をちょうだいいたしたい次第でございます。
以上、
お願いが主でありますが、
地元のゆえをもちまして発言をいたした次第でございます。お取り上げいただければしあわせでございます。