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1967-07-05 第55回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月五日(水曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 小澤佐重喜君    理事 赤澤 正道君 理事 四宮 久吉君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 古川 丈吉君 理事 島上善五郎君    理事 堀  昌雄君 理事 門司  亮君       大石 武一君    奥野 誠亮君       鍛冶 良作君    小泉 純也君       高橋 英吉君    永山 忠則君       長谷川四郎君    福田  一君       松野 頼三君    大柴 滋夫君       久保田鶴松君    小松  幹君       西宮  弘君    畑   和君       伏木 和雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 藤枝 泉介君         国 務 大 臣 木村 俊夫君  出席政府委員         警察庁刑事局長 内海  倫君         法務省刑事局長 川井 英良君         国税庁長官   泉 美之松君         労働省労政局長 松永 正男君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君         自治省選挙局長 降矢 敬義君  委員外出席者         大蔵大臣官房財         務調査官    結城 義人君         自治省選挙局選         挙課長     山本  悟君         自治省選挙局管         理課長     鈴木  博君     ————————————— 七月四日  委員鈴木善幸君及び灘尾弘吉辞任につき、そ  の補欠として福田一君及び大石武一君が議長の  指名委員に選任された。 同月五日  委員白浜仁吉辞任につき、その補欠として鍛  冶良作君が議長指名委員に選任された。 同日  委員鍛冶良作辞任につき、その補欠として白  濱仁吉君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月三十日  国会議員選挙等執行経費基準に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第一二五  号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正す  る法律案内閣提出第一四四号)      ————◇—————
  2. 小澤佐重喜

    ○小澤委員長 これより会議を開きます。  政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  前会に引き続き質疑を行ないます。奥野誠亮君。
  3. 奥野誠亮

    奥野委員 共和製糖事件その他の不幸な事件から、政治献金についての国民疑惑が深まり、また、一部政治家の私生活についても種々反省すべき点が指摘され、また、たび重なる政治資金の要求に困惑させられている向きもあったりいたしまして、世上一般にはばく然と、政治資金制限さえすればよいというような錯覚が生まれてきておるようにも思えて、心配をしておる一人でございます。もとより私は、公開原則中心とする現行政治資金規正法内容に、改善を加える必要は感じておるものでございますけれども、同時にまた、利害の錯綜しておるこの種の問題と取り組んでこられた政府当局の労苦は多としているものではございますが、なおその取り上げ方や内容には多くの疑念を抱いているものでございます。それと同時に、今日社会に、一部政治家の非行から、政治家一般が悪いのだという印象を植えつけてきていることにつきましても、真剣に政治の道を歩んでいる者にとりましては、迷惑千万だという感じを抱かされているものでございます。  私がお尋ねしたい第一は、選挙制度審議会政府との関係についてであります。選挙制度審議会設置法を見ますと、第二条に、審議会の使命として二つのことをあげておるわけでございまして、一つは、内閣総理大臣諾問に応じて調査審議する権能でございます。もう一つは、みずから調査審議して内閣総理大臣に意見を申し出る権能でございます。これまで出てまいりました累次の選挙制度審議会答申は、いずれも諮問に応ずる答申の形式をとっておるわけでございます。  そこで、どのような内閣総理大臣諮問が行なわれ、それに基づいて答申をしてきたのかということを調べてみましたところが、三十九年の九月に、「選挙区制その他選挙制度根本的改善をはかるための方策を具体的に示されたい。」こういうような一般的な諮問内閣総理大臣から発せられているわけでございます。さらに、昨年の十一月の自治大臣選挙制度審議会におけるあいさつを見ましても、やはりそのような趣旨のことが述べられておるわけでございます。すなわち、「衆議院の選挙区制の問題につきましては、前審議会の報告にもございますように、参議院選挙制度あり方とも見合って審議を進められるとともに、選挙運動方法改善、罰則、連座制の強化、政治資金規正その他の点につきましても、ただいま申し上げたような観点に立って検討を加えられ、早急に民主国家にふさわしい、明るい、正しい選挙が実現できるような道を示していただきたいのであります。」こう述べられておるわけでございます。  ところが、選挙制度審議会経過を調べてまいりますと、審議会に、当面緊急に措置すべき事項に関する特別委員会が設置され、その島田委員長審議経過や結果について報告されております。それを見ますとこう述べております。また、答申にもこのことが掲げられておるわけでございます。「選挙制度全般について検討を加え、すみやかに政党本位選挙制度を確立する必要があり、政治資金規正等に関する改善もその一環として行なわれるべきでありますが、最近の政治資金をめぐる問題、選挙実態等、諸般の政治情勢にかんがみるときは、これを選挙制度全般改善が実現されるまで現状のまま放置することを許さないものがあります。」こういうようなことでさきの答申が行なわれているわけでございます。  このようなことから、私は、このたびの選挙制度審議会答申それ自体矛盾が包含されている、このような感じを強く抱かされているものでございます。すなわち、政治資金規正等に関する改善も、選挙制度改善一環として行なわれなければならない、こう指摘しながら、現状のまま放置することを許さないものがありますと述べているわけでございますので、現状のまま放置することを許さない点についての政治資金規正法改善でなければならないはずだ。それが、そのらちをはるかに越えた内容答申になっているじゃないか、これが私が矛盾を包含していると申し上げる点でございます。  共和製糖その他一連の黒い霧問題が発生をいたしました。したがいまして、政治資金の質がもっと深く検討されなければならない、これに国民疑惑が高まってまいった、かように判断をしているものでございます。政治資金の量の問題ではなしに、政治資金の質が大きく国民の関心を呼んだ、かように考えておるものでございます。このような点についてメスを入れることが、答申に述べている態度からいえば必要ではなかっただろうか、また、それにとどめるべきではなかっただろうか、かような感じを抱くのでございます。  私は、現行政治資金規正法公開原則が不徹底だと思います。これをもっと徹底させる、そのことが政治資金の質について国民の前に明らかにしてあやまちなきを期するゆえんだ、かように考えるわけでございます。すなわち、現行法では、政党にあってはすべての寄付やその他の収入を届け出るわけでありますけれども、その他の収入については何らの内訳を必要としていないわけであります。あるいはまた、協会その他の団体、個人後援会等にありましては、すべての寄付はその内訳を届け出る必要がございますが、会費については一切届け出る必要はないわけでございます。こういうような点は、やはり公開原則に従って内容国民の前に明らかにしていかなければならない。個人後援会につきましては、会費でありましても国民の前に明らかにしていかなければならない、かように考えるわけでございます。またそういうこともありまして、今回の答申にはそういった意味内容も盛られているようでございます。盛られているようでございますが、それを越えて、もっぱら量の問題を大きく取り上げてきている。しかもまた政治資金規正を、選挙制度そのもの個人本位選挙にそのまましておきながら、政党本位を頭に置いたような政治資金規正のしかたをしてきている。そこに、答申自体選挙制度一環として考えなければならないといいながら、選挙制度のほうを政治資金規正面から改革をしていくという態度に出てしまっているわけであります。制度をいじらないで、政治資金の面から制度を改めたと同じような実効を期そうと、こういうかなり大それた考え方が出てきてしまっている、こう私は判断をしているものでございます。そこに、非常な答申自体矛盾があるということを私は指摘しているわけでございます。選挙あり方と直接関連する寄付金の額の制限に重点を置いている。しかも、個人本位選挙制度をそのままにしておきながら、政党本位選挙制度を前提としたような規正のしかたを答申してきている。このような矛盾したことをうたっているのはだれの責任であるのかということを私は明らかにしたいのであります。諮問に応じて選挙制度審議会答申をしているわけでありますが、しかし、諮問のしかたを調べてまいりますと、私が当初申し上げましたように、むしろ一体としての答申を期待しているようにも見受けられるわけでございます。はたして政府はそういう態度に終始したのかどうか、あるいはこのように政治資金規正法についてだけ全面的な改革答申するように、それを取り出して早く答申するように選挙制度審議会に訴えて出たのか、全く私にはわからないわけであります。この間の経緯をまず明らかにしていただきたいと思います。
  4. 降矢敬義

    降矢政府委員 選挙制度審議会に対する三十九年の諮問は、ただいま御指摘がありましたとおり、選挙区制その他選挙制度根本的改善に関しての具体的方策を求めるということでございます。四十一年の十一月に第五次審議会が発足いたしましたときに、自治大臣あるいは総理からもごあいさつがございまして、特に総理の御出席されました第一回総会におきまして、政治資金に関するいろいろな御質問、それに対する御回答がございました。次いで第二回総会及び第三回総会を通じまして、審議会といたしまして、当面の政治状況から、さしあたって政治資金の問題を緊急事項として、特に第一次及び第二次審議会答申の未措置事項というものを中心審議をして結論を出そうということに相なりまして、審議会としては緊急当面措置する事項として特別委員会を設置し、とりあえずこの問題だけ先に結論を出そうということに相なったわけでございます。
  5. 奥野誠亮

    奥野委員 私が伺っていますのは、政府選挙制度審議会に対してどのような注文をつけたのか、これを伺っているわけであります。私がるる申し上げたように、選挙制度審議会答申自体矛盾が含まれているじゃないか、これはおわかりいただけたと思うのであります。しかし、政府はこれを忠実に尊重して立法化して国会に出してきておられます。したがって、それ自体矛盾だということは言いにくいかもしれませんが、私るる申し上げたことから、これは矛盾があることはおわかりいただけると思うのであります。そこで、そのような矛盾が、選挙制度審議会自体判断の結果として生まれてきたのか、あるいは政府自身がそういう方向に誘導してしまったのか、そこを明らかにしておきたい。本来、選挙制度審議会二つ権能を持っているわけであります。二つ権能を持っているわけでありますが、諮問にこたえる形成を全部とってまいっておりますだけに、その点たいへん重要な点だ、かように私は考えるわけであります。今後の選挙制度審議会との関係におきましても深く心すべきところではなかろうか、こう思っておるわけであります。
  6. 降矢敬義

    降矢政府委員 諮問は、非常に大きな諮問をいたしておりまして、その諮問に応じて今回何を取り上げるかということにつきましては、自治大臣のごあいさつの中に一般的に問題を提示されましたけれども、どれをどうするというようなことで、特に政府が誘導したというようなことはございません。
  7. 奥野誠亮

    奥野委員 私がるる申し上げました矛盾が包含されている、そういう見解は十分成り立つと思うのですけれども、これについての所見だけ伺っておきたいと思います。
  8. 降矢敬義

    降矢政府委員 われわれといたしましては、答申を受けて立案し、御提案を申し上げたわけでございますが、審議会の御議論といたしましては、一般的に、答申にもありますとおり、選挙制度全般改革一環としての政治資金規正というものを意識しながら、しかし、当面さしあたって緊急に措置する事項として、連座制も含めまして、これだけは改善策答申しなければならぬということで、審議会考え方といたしましては非常に緊急事項としてこれは取り上げたということでございます。
  9. 奥野誠亮

    奥野委員 緊急事項について、そのらちを越えているものを含んでいる点についてただしているわけでありますけれども、事務当局にそういうことをお尋ねすることは無理なようにも思いますので、この点はそれにとどめまして、なお若干、自治大臣が見えましたときにお尋ねさしていただきたいと思います。  政府委員にお尋ねするような問題を、順序を変えて取り出して伺ってみたいと思います。  私は、今回の法案の中にあります寄付金額制限、その制限額のきめ方について多くの疑問を抱いているものでございますが、まず、法案の第二十二条に会社のする寄付について、「当該会社資本又は出資の金額の千分の二・五に相当する額(その額が前年の確定した決算における利益の額の百分の一に相当する額に満たないときは、当該百分の一に相当する額)」、こう書いてあるわけでございます。カッコのほうは答申に入っておりませんから、その後の検討の結果加えられたものだろうと思うのであります。おそらく分相応寄付金限度をどこに求めるかということで御苦労になったのだろうと、こう推定をいたしております。その分相応寄付金の額のめどというものを法人税法損金算入限度額、これに求めてこられたのではなかろうかと、かように考えるわけであります。それ以外に、資本の千分の二・五という数字が見当たらないように思いますので、これはおそらく法人税法損金算入限度額、これからとってこられたのだろうと思うのでございますが、まずこれを伺いたいと思います。
  10. 降矢敬義

    降矢政府委員 審議会におきまして、いわゆる小林案というものにおいて分相応の額を、法人税法損金算入限度額という提案がございました。御指摘のように千分の二・五は、着想としては、法人税法の千分の二・五に基づいて発せられたものと考えております。
  11. 奥野誠亮

    奥野委員 そこにも私は非常な疑問があると思うのであります。法人税法に書いております損金算入限度は、お祭り寄付であろうと何であろうとかまわないのであります。それはもちろん法人の任意の選択であります。その限度内までは全部損金に入れてあげます、こういうことできめている限度額であります。今度の法案に示されている限度額は、それをこえたらひっくくりますよという限度額であります。全く性質が違うのであります。それをこえたらひっくくりますよという限度額が、お祭り寄付であろうと何であろうと自由にそれまでは損金に入れなさい、こういうているものをそのままとってきていることは、ちょっと乱暴ではなかろうか、こういうように思うのであります。同時にまた、分相応めどとして資本を用いておられるわけでありますが、法案を見ますと、それらは政令で定める、こうなっておるので内容がわからないのでありますが、どのようなことを考えておられるか、お伺いしておきたいと思います。
  12. 降矢敬義

    降矢政府委員 資本の額につきましては、審議会の御議論におきましても、いわゆる貸借対照表に示されている資本の額でありまして、商法の二百八十四条の二の規定資本の定義が書いてあります。すなわち、「発行済額面株式株金総額及発行済額面株式発行価額総額」これを政令できめたいと思っております。
  13. 奥野誠亮

    奥野委員 私は、そこにもまた問題が含まれていると思うのであります。当初伺いましたように、分相応金額めどをどこに置くか、それを資本に置いているのだとおっしゃっている。そういう意味資本に置くのなら、単に払い込み済み資本等ばかりじゃなしに、資本積み立て金額等をも加えるべきではなかろうか、こう思うのであります。資本準備金でありますとか、再評価積み立て金でありますとか、あるいは額面株式発行価額のうちその額面をこえる部分金額法人が留保している、こういうものなどもみんな加えるべきだと思うのであります。それが会社能力を示す範囲だと思うのであります。どちらかといいますと、株主勘定資本、これを持ってくるべきだろうと思うのであります。要するに分相応めどをどこに置くか、それを資本に置くのなら、払い込み済み資本だけでは不十分なのでありまして、資本積み立て金等を加えるべきなのであります。これについてどうお考えになるか。同時に、そういう問題もございますので、いまの政令案要旨だけじゃなしに、利益の額とか、あるいは組合員または構成員の数とか、あるいは年間の支出額とかいうようなものが、二十二条で政令で定めるようになっておりますので、そういうような部分の要点を委員会に出していただきたい。出していただいた上で、さらにその部分についてのお尋ねをさしていただきたい、かように考えるわけでございます。いま私の指摘する、資本の額を分相応というもののめどにする以上は、資本積み立て金額等も加えなければ、経済的な常識に合わないじゃないかという点、あるいはまた、いま申し上げましたような政令案要旨を出していただけるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  14. 降矢敬義

    降矢政府委員 審議会におきましての御議論の中に、会社分相応の額を示す場合に、いま先生が御指摘になりましたような、いわゆる資本のほかに積み立て金その他を含めた意味での、貸借対照表資本の部というものに計上されている相応額というようなお考えは、議論過程では出されておりませんでした。それで、むしろ一般に株式会社としての資本というふうに表示されておるものを標準にとったほうがわかりやすくてはっきりするじゃないか、こういう御議論が、最後結論でそういうふうになったわけでございます。もとより、別の考え方として御指摘のようなことも成り立つかと思いますけれども、審議会答申をきめる過程における御議論はそのようなものでございましたので、われわれもそれを受けて立案したわけでございます。  なお、最後資料の点につきましては、取りまとめて御提出する考えでございます。
  15. 奥野誠亮

    奥野委員 私は、審議会答申が間違っている、こういう気持ちを持っておるのであります。経済的な常識を欠いている、こういう感じを持っておるわけであります。しかし、今度の政府案の中では、カッコ書きで、利益の百分の一という数字をつけ加えてきておられます。それは一つの前進だと思うのですけれども、その百分の一はどういう考えでおきめになったのか、お尋ねしておきたいと思います。
  16. 降矢敬義

    降矢政府委員 法人企業統計資料を求めまして、いわゆる資本の千分の二・五に相当する額が収益に対してどれぐらいの割合になるかということを過去調べてみますと、大体百分の一程度でございますので、したがって、資本に対する千分の二・五を基礎に置きながら、それとの比準を考えまして、いまのような数字を出したわけでございます。
  17. 奥野誠亮

    奥野委員 せっかく分相応めど利益を加えながら、間違ったものを基礎にして百分の一を算定されている、こう感ずるものでございます。私は、分相応というものは利益基礎にすべきだと思うのです。資本が大きいから寄付能力が大きいのだ、こんなばかげたことはないのです。利益が多くなれば多くなるに従って、寄付をたくさんする能力が出てくるのです。経済的な常識からいいますと、分相応めどというものは、資本じゃなくて利益に置くべきなんですよ。だから利益を追加されている点、これは進歩だと思うのですけれども、その百分の一をきめたのは、やっぱり資本金の千分の二・五を基礎にして、それに対応する金額を求めたのだということになってしまっている点に、私はいささか残念な感じがするのであります。私が申し上げますように、分相応というものは利益めどにすべきなんだ。だから、またこの法案の中でも、赤字会社は、欠損を生じている会社は、寄付ができないのだと書いているじゃありませんか。どんなにずうたいが大きくても、赤字であれば寄付はできないのだ、こう書いている。こう書いているということは、逆に言えば、やはり分相応めどというものは利益なんだということを、裏返しにいうていると思うのであります。裏返しにいうていながらそうなっていないところに、私は非常な疑問を感じ答申が間違っていると、こう指摘しているのであります。その間違った答申をあまりにも文理的、形式的に忠実に取り上げられている結果は、せっかく利益をまた加えながらも、その基準もとの間違ったものに対応する数字を選び出した、かように判断するものでございます。分相応めどとして、法人税法には、利益を対象にする場合に、百分の二・五という数字があがっているわけであります。だから、利益めどにして率をきめるなら、すなおに法人税法損金算入限度額に示されている百分の二・五を持ってきたらよかったのじゃなかろうか、かように考えるものでございます。これらについての御所見を伺っておきたいと思います。
  18. 降矢敬義

    降矢政府委員 審議会審議過程におきましても、会社分相応のものを示す場合の基準として、資本あるいは収益というような御議論がございました。ただいま御指摘のようなお考え方もあろうかと存じております。ただ、われわれといたしましては、資本というものを、先ほど申し上げましたような考え方でございましたので、それを基準にして収益を加味するとすれば、やはりそれに対応するものをとるのが適当じゃないだろうか、こう考えまして、このような収益の百分の一という考え方を提示したわけでございます。
  19. 奥野誠亮

    奥野委員 政府側としては、選挙制度審議会答申そのものを批判するのには困難を感ぜられるのだろうと思いますけれども、私の申し上げたことが間違いであるかどうか、ひとつ経済人に聞いてもらいたい。広く経済人に一ぺん尋ねてもらいたい。私は、即座に私の言うとおりに答えると思います。一ぺん確かめておいていただきたいと思います。  次に、法人税法損金算入につきましては、内容いかんを問わず、先ほど来議論になっております範囲内は無条件損金に算入されるわけでありますけれども、それ以外に、日本赤十字社でありますとか、数多くの私立学校でありますとか、理化学研究所、日本原子力研究所日本原子力船開発事業団農業機械化研究所日本てん菜振興会、日本科学技術情報センター、私立学校振興会日本育英会、その他数多くの民法三十四条の規定により設立された法人で、大蔵大臣の指定したものにつきましては、そのワクのほかで損金算入が認められているわけであります。それにもかかわらず政治資金であります場合には、資本金が二億円、利益が五千万円以内であります限りは、政党であれ、個人後援会であれ何であれ、五十万円をこえて五十一万円でも五十二万円でも寄付をした場合には、直ちにひっくくられてしまう、こういう内容になっているわけであります。全くおそろしい立法がここに計画されているわけであります。そんなに政党が悪いものだろうかと非常に疑問を持つのであります。損金算入法人税法限度額をとってきておられる、それはわかるのであります。しかし、法人税法限度額でも、無条件損金に算入する、内容いかんを問わず無条件損金に算入しますのは、これだけですよと書いてある限度額であります。そのほかに、いま私が申し上げましたような多数の公益法人、これに本案の業務に必要なものであります限りは、さらにまた無条件にそれに加えて損金に算入されるのであります。ところが、事政治に関しては、社会一般を明るくしよう、向上しようと努力している政党に対して金を出す、これは、国民の協力の義務があると私は思うのであります。世の中をよくしようと努力しているものに対して、国民一般が協力することは、何にもおかしくないのであります。資金的に協力して当然であります。それが資本金二億円、利益五千万円までのものについては、五十万円びた一文こえても直ちにひっくくってしまうという法案になっておるのであります。そんなに政党が悪いものだろうか、全く私は理解に苦しむのであります。限度額のきめ方に理解に苦しむのであります。この点について、法務省がどういう見解を持っておられるか伺っておきたいと思います。
  20. 川井英良

    ○川井政府委員 総ワク制限のきめ方につきましては、その額をどういうところに線を引くかということは、大きな問題であることは御指摘のとおりだと思います。罰則の面から申しますというと、その額のきめ方について、合理性があるかいなかということによって罰則もまた合理性が評価されるものだ、こう思うのでございます。この種の法案につきましては、政治的ないしは社会的、経済的ないろいろな面からの総合的な観点からその額を算定すべきものだ、こう思うのでございますが、私は、提案された政府案は、いま申し上げましたようないろいろな基準に立っての総合的な観点から得られた一つ結論である、かように考えております。
  21. 奥野誠亮

    奥野委員 いまの答弁を伺っておりましても、額のいかんによって罰則が妥当かどうかという判断が生まれてくるとおっしゃいました。そこで私は具体的に例をもって申し上げたわけでありますが、この額が政治に不当な影響を及ぼすような額でありましょうか。これはほんとうに政治を侮辱するものだと私は思います。そんなに政党は悪いものであろうか。(「悪い」と呼ぶ者あり)悪いのならば、そういうように悪いと言われている人の属される政党だけだと思います。こういうようなことを見ていきますと、何か自己矛盾におちいっているのじゃないだろうかという疑問を持つのであります。  言うまでもなく、アメリカでは、労働組合や会社については政治資金寄付を禁止しているわけであります。同時にまた、答申にも、五年後には法人の献金、組合の献金を禁止して、個人のみによるようにすべきだというようなことも書いているわけであります。そうすると、会社については、将来寄付を禁止するのだ、そういう前提でこの額をきめられたのだろうか。もしそうであれば、なるほどひどいきめ方をしておるけれども、考え方を貫く基礎がわからぬでもない、こういう感じがするのであります。この点について、政府当局のお考えをただしておきたいと思います。
  22. 降矢敬義

    降矢政府委員 審議会といたしましては、政党政治資金あり方についての一つの理想図は示しておりましたが、しかし、具体の額をきめる際に、具体的にその理想図なるものと結びつけてきめられたというような議論過程はございませんでした。
  23. 奥野誠亮

    奥野委員 いまお話しのように、法人寄付を禁止するのだという前提でこの額をきめたのではないのだということになりますと、やはり私が先ほど指摘したような矛盾が起こってくるのじゃないか、こう申し上げたいのであります。法人についても寄付を認めるのだということを前提にしてお考えになるのならば、限度額のきめ方について再考を必要とする、こう私ははっきり申し上げたいのであります。重ねてこれらの点について法務省の見解も伺っておきたいと思いますが、この額がはたして政治に不当な影響を及ぼすものなのかどうか。不当な影響を及ぼす額の問題がそういうことになってくるならば、罰則の合理性があるのだとあなたは先ほどおっしゃったが、これはそういう不当な影響を及ぼす額じゃないではないか。このことを重ねてただしておきたいわけであります。
  24. 川井英良

    ○川井政府委員 政治資金の公明化と申しますか、政界の浄化と申しますか、そういう大きな目的のために、本来許されている個人、会社から政党あるいは個人に対する寄付の行為を、ある限度をこえた場合においては、社会通念を越えるものとしてそれは制限していくのだ、こういうふうな政策を立てた場合には、その額をどういうふうな基準、根拠に基づいて策定をするかという問題は、御指摘のように、理論的にもたいへんむずかしい問題ですし、また実際的、具体的にも、その線をどこに引くかということはきわめてむずかしい問題だ、私はこう思うわけでございます。しかしながら、申し上げましたような大きな目的のためにそこに線を引くことが必要だ、こういう政策を承認する限りにおきましては、どこかに線を引かなければならないわけでございまして、その場合におきましては、先ほどからいろいろこまかい御指摘がございますように、あらゆる観点から総合的に勘案をいたしまして、そして、この辺のところが妥当な線だということをきめざるを得ないわけでございますが、それをきめるにつきましては、自治省当局におきまして、いろいろな観点から資料を集め、また、いろいろな法的立場から総合的に判断をいたしまして、提案されたようなところが、現時点においては妥当な額だ、こういうふうに判断されたものと考えまするし、私も、こういうふうな政策が必要だということになりますれば、この辺のところが、考えられる線としては合理性があり、また妥当なところではなかろうか、こう思うわけでございます。
  25. 奥野誠亮

    奥野委員 自治大臣が見えましたので、この点についてさらにもう少し突っ込んで伺いたいと思いますけれども、政府の立場も、選挙制度審議会答申に盛られたものをそのまま立法化されておるものですから、言いにくいところだろうと思います。いま刑事局長の御答弁を伺っておっても、刑事局長自身が、相当な疑問を頭に描いてお答えになっているようでございます。したがいまして、政府の立場もあることでございますからその程度にして、最初に申し上げました選挙制度審議会政府との関係につきまして、もう一点だけ伺っておきたいと思います。  いままで選挙制度審議会は、全部諮問に応じて答申するのだという態度をとってきているわけでございますので、政府選挙制度審議会にどういう態度をもって臨むかということが非常に重要なことだ、かように私は考えるのでございます。引き続いての答申としては、衆議院議員の選挙制度でありますとか、参議院議員の選挙制度でありますとかいうようなものの改善策がございます。私は、この両制度は相互に深く相関連し合っている、こう考えているものでございます。ことに、中間答申にありましたように、衆議院の選挙制度に比例代表制を加味するということになってまいりますと、一そう大きくかみ合ってくるのだ、こう思うのでございます。そこで政府としては、両選挙制度について一体としての答申を期待されているのか、そうではなくて、ばらばらに答申が出てくることがあっても、それは選挙制度審議会自身の判断でやればいいことだ、こう考えておられるのか、その辺をただしておきたいと思います。同時にまた、かりに選挙制度審議会判断にすべてまかせるのだとしても、政府としてはどうあるべきであるか、どのような答申態度であるべきかということについては、考えを持っておるべきだと思うのであります。どういう考えを持っておられるのか、これをただしておきたい、かように考えるものでございます。
  26. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 第四次の中間報告にもありますように、選挙制度に関しましては、衆議院の選挙制度並びに参議院選挙制度、これらを関連して考えなければならないということが盛られております。目下選挙制度審議会におきましても、御承知のように、これら両方を並行して審議されておるわけでございます。私ども、もちろん選挙制度審議会審議の方法その他については、審議会の自主性に待つところではございますけれども、おそらく選挙制度審議会においても、いままでの議論からすれば、当然これら両制度、衆参両議院議員の選挙制度並びにそれに関連した選挙運動方法改善、こうしたものが一体となって答申されるであろうことを、私どもは期待いたしておりますし、また、そうなる方向で審議されておるものと私は承知をいたしております。
  27. 奥野誠亮

    奥野委員 よくわかりました。私もそうあるべきだ、かように考えておるわけでございます。自治大臣がお見えになります前に、私は、選挙制度審議会答申矛盾したことをやっておる、こういう指摘を先ほど来申し上げたわけでございます。今後はぜひそうした矛盾の起こらないような答申あり方を期待していきたいものだ、かように期待をいたしまして、その点については終わらせていただきたいと思います。  第二に、私は選挙界の実態が、私たちにとりましては情実因縁の積み重ねの競争みたいになってしまっている、こう感じているのでございます。この是正が大切だ、これについての所見をただしておきたいと考えているものでございます。私は、政界に入りますまでは、常時の政治活動は政策の徹底をはかっていくことだ、ふだんの選挙活動も政策をもって争うものだ、こう考えておったのでございます。ところが、だんだんその実態を知るにつけまして、このごろは情実因縁の積み重ねの競争みたいなことをやっていると皮肉っております。私たちの支援者は、だれだれの一行が東京に行った、どこへ旅行した、どこでどんな行事が行なわれるというようなことで連絡をしてきてくれます。有権者とのコネをつける機会、有権者にサービスを提供する機会を教えてくれるわけであります。これが支援者の私たちに対する非常な応援なんであります。そういう気持ちでやってくれているわけであります。支援者たちの努力であり、候補者への好意であるわけでございまして、この機会を有効に利用しませんと、支援者はがっかりしてしまいます。これらの点については、多くの先輩方が一様にすでに体験しておられることだと思うのであります。常時の活動にだれも好きこのんで余分の金を使っているわけじゃございません。同じ選挙区の同じ党派の者同士では政策の違いはございません。政策の違いがございませんから、自然このような情実因縁のつくり合い競争になっているのだ、こう思うのであります。その結果は、一般的には、同じ党派の同じ選挙区の者同士が一番仲が悪いのだということが、現に言われるような結果になってしまっております。一選挙区に二人以上の候補者を立てる政党では、どの政党でもこのことは同じだと思うのであります。同じだということを強く感じさせられたのは、先ごろの山口シヅエ代議士の社会党離党でありまして、そのときの経緯を、山口代議士自身が世間に訴えているわけであります。自分の選挙区内における同じ社会党同士の者が、お互いに足のすくい合いをやっているのだということを訴えております。政策で争えないからこういう結果になってしまっているわけであります。一つ選挙区に二人以上の候補者を立て得る政党でなければ、このみじめな姿は理解できないかもしれません。しかし、二人以上立てる政党でありまする限りにおいては、私は同じだと思うのであります。多額の金が選挙を腐敗させているといわれております。しかし私は、選挙に勝つか負けるか、当選するか落選するかは、生き長らえるか、命を失うかということであります。政治家にとりましては生死の問題であります。したがいまして、選挙区制が改まりません限りにおいては、無理算段しても情実因縁をつくる、コネをつける、その金をくめんせざるを得ないのじゃないかという心配を持っているのであります。もっぱら政党が相当に発展してまいりました今日におきましては、選挙区制に原因があると、こう断ぜざるを得ないのであります。政治に金のかからぬようにいたしますためにも、政策の徹底をはかって国民みんなに政治への理解を深めてもらいますためにも、選挙区制に手をつけざるを得ないのじゃなかろうか、かような考えを持つものでございます。政治を筋の通ったものにする、政策で争えるものに改めていくことが、日本の政治をよくするための緊急の課題であると考えておるものでございます。このような現状自治大臣はどう理解し、どう対処していこうとされているか、所見をただしておきたいと考えるものでございます。
  28. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 現在の選挙界の情勢は、残念ながら御指摘のようなことが非常に多く行なわれておると思います。選挙区制そのものだけであるかどうかということはにわかに断定できないと思いますが、少なくとも現在のような個人本位選挙が行なわれておる限りにおきましては、おあげになりましたような事態が起こる可能性が非常に多いということを考えなければなりません。もちろん、その選挙の腐敗の問題につきましては、根本的には国民政治道義あるいは政治意識の高揚をはかり、また、政治家が十分自粛自戒しなければならない点があろうと思いますけれども、しかし、それだけではなくて、やはり選挙制度そのものにメスを入れなければならないときがきておるのだと私は考えております。選挙制度審議会が御熱心にいま審議中でございますから、どのような区制がよろしいかということを私が申し上げるのは、あるいは適当でないと思いますが、少なくとも私は、個人本位でなく政党本位選挙が行なわれるような制度、これが望ましいものと考えております。
  29. 奥野誠亮

    奥野委員 第三に、今回の改正法案政治資金規正自体が問題ではなく、政治の姿勢を正すことがねらいだ、かように考えている点についてでございますが、政治の姿勢を正し、政治に対する国民の信頼を回復していこうということが今回の改正のねらいであったと、かように確信している次第でございます。アメリカの指図を受けて、議員立法の形で政治資金規正法が戦後間もなく制定されました。その当時、政党法案から政治腐敗防止法案、さらに三転していまの政治資金規正法という名前にされたと、かように記憶しているわけであります。政治の腐敗を防止することにねらいを置いた法律が、政治資金規正法と看板をかえたばかりに、政治資金規正がねらいであるような誤解を世上一般に与えるようになってきているのではないか、かような心配を持っているものでございます。また、政治資金の協力をしなければならない、そんなわずらわしいことはごめんだという人の気持ちからも、ただ政治資金規正それ自体として問題を考えるようになってしまったんじゃないか、かような心配を持つのであります。先ほども、よき国民はよき政治への協力者でなければならない、能力のある人は、資金的にも協力者でなければならないはずじゃないか、かようなことを私は述べたのでございます。ところが、どうも看板が政治資金規正法になったものだから、本来政治の腐敗を生じないように努力していかなければならないことが、資金の規正自体が目的であるような誤解を一般に与えてきている、またそんなとらえ方をされたんでは、日本の将来の政治を誤りはしないかという心配を持っている、かように考えるものでございます。  いま、黒い霧問題などからこの立法が行なわれようとしておるわけでありますけれども、病人が熱を出してきたことだけを見てあわてて解熱剤を飲ませる、同じような愚におちいらないようにわれわれは慎重に審議をしたい、かような感を深くしているものでございます。やはり病人があった場合には、熱が出た場合には、病状を総合的に診断して一連の処方せんを立てるべきでありまして、その一環として解熱剤を飲ましたほうがよければ解熱剤を飲ませればいいと思うのであります。一連の結論を得ないままに解熱剤だけをかってに飲ました場合には、病人を救うどころか、かえって病人を死に至らしめる場合だってあるのであります。政治資金規正だけを頭に置いて突っ走ってしまって、日本の将来の政治を、自由濶達な姿であるべきものが国民と遊離してしまったものになってはたいへんだという気持ちを、私は強く抱いている一人でございます。  あえて伺うまでもないと思うのでありますけれども、この法案のねらいは政治の姿勢を正すことだと、かように確信するのでありますが、これについてのお考えを伺っておきたい。同時に、政治資金規正法と看板を塗りかえたことが、逆にまた政治の姿勢を正すことに重点を置いて、この政治資金規正法を慎重に審議していく姿勢が間々欠けるきらいがあるのじゃないかと思いますが、この私の心配についても御所見を伺っておきたいと思います。
  30. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 確かにこの政治資金規正法のねらいは、政治に正しいお金が使われるように、しかも、それが国民の監視の前で、ガラス張りで使われるようにということでございますから、単に資金を規正するということが最終の目的ではなくて、政治を明るへ正しいものにするというその一つの手段として政治資金規正法があるものと私も解釈いたすわけでございます。したがいまして、ただいまお話しのように、これは単に政治資金規正ばかりではなくて、その他あるいは選挙制度、あるいは根本的には政治教育、そういうものすべてが相まちまして初めて政治が明るく、正しく行なわれるようになるもの、その一つの手段にすぎないというふうに私も考えるわけでございます。ただ選挙制度審議会におきましては、いろいろ勘案されまして、もちろん選挙制度そのもの、あるいは選挙運動そのものについての改善は当然考えなければならないけれども、現状としてこの程度の規制は、現在の政界の状態からしてやむを得ないものではないかという判断に立たれ、もちろん結論的な総合判断はされたわけではございませんけれども、そうした一面においては選挙制度その他の改善をいたすということを頭に描きつつ、当面やるべきものを答申されたと私どもは判断いたし、またその判断については、妥当なものであると考え提案をいたしたような次第でございます。
  31. 奥野誠亮

    奥野委員 第四に、選挙制度自体改善をはからないで政治資金の量だけ締め上げていきますと、政党政治家政治資金の質を選びにくくなるおそれはないか、かような心配を抱いているものでございます。黒い霧の問題、共和製糖の金の流れ、たまたま共和製糖から寄付を受けたばかりに、さきの衆議院選挙には落選された方もございます。非常にお気の毒だと同情しているものでございます。同時にまた新友会を通じて共和製糖の金が若干の政党に渡っております。もっと政治資金の受け入れ方について政党も候補者も吟味すべきではなかったか、かようなことを強く感ずる一人でございます。もっと吟味すべきであったという資金が、これだけにとどまっておればよいがなと念願もいたしておるものでございます。  私自身の体験を申し上げましても、これまで多額の金を寄付したいという申し入れを強く受けたことが何回かございます。私は自分の公正な判断を維持していきたいがために、強く断わり続けてきた問題が幾つかございます。私は、そのように政治家なり政党なりが公正な判断を持ち続けていきますために、みずから政治資金の質を選別すべきだと思うのであります。その選別すべき態度に従来十分であったかどうか、これは私は考えさせられる点が残っておると思います。政治家にとっては当落は、選挙に勝つか負けるかは生死の問題でありまするだけに、政治資金の分量だけ締め上げてしまって、金のかかる選挙制度を改めないでおきます場合には、かえって不純な、質の悪い政治資金まで積極的に取り入れるようになってしまいはしないだろうかという心配を深く持っている一人でございます。そうなったのでは一そう政治腐敗のおそれがあるのでありまして、政治資金が多額に寄付される、政治に不当な影響を及ぼすおそれがある、だから刑事罰まで設けてそれを押えようとかかる、その結果は逆に分量だけ締め上げて、金のかかる選挙の実態はそのままに据え置かれて、結果は、たちの悪い資金、いままでなら断わっておったような資金をあえて取り入れる、その結果は、政治に対する公正な判断力を政治家に失わせ、政治を悪いものにしてしまう、そういうおそれがあるじゃないか、かような心配を抱いているものでございます。この点についての自治大臣の御所見、同時にまた、そのような心配がないんだとおっしゃるなら、どのような対策をいま講じておられるのか、そのこともあわせて伺っておきたい、かように考えるものでございます。
  32. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 政治資金の質と申しますか、これはやはり受け入れる側の政党並びに政治家が十分戒心いたしまして、いわゆる質のよい政治資金を受けるように心がけなければならないことは、おことばのとおりだと思います。ただ、いまお話しの量だけを制限すると質をかまわなくなるおそれがあるではないかということでございます。もちろん、一面においてそういうことは絶無とはいえませんけれども、私は、今回程度の量の規制であるならば、たとえば、政党についてもあるいは個人につきましても、なるほど寄付をする側の制限はございまするけれども、受け入れる政党並びに個人等が、受け入れる総量については制限がないわけでございますから、その辺は十分政党並びに政治家の方々の戒心をまちまして、いやしくも疑惑を招くような政治献金を受けないように御努力をいただきたいと考えておる次第でございます。
  33. 奥野誠亮

    奥野委員 理事会の取りきめで、時間の制限があるということをいま聞かされました。まだ私のお尋ねしたい問題は半分にも達していないのでありますが、もう一つだけお尋ねをしまして、後日に保留をするということにさせていただきます。  第五に、選挙制度はいろいろの仕組みが一体になって組み合わされておるのだ、これをばらばらにしますと、それぞれについて各政党の利害が異なってまいります。やはり一体としてそれらの採否を検討するように持っていかなければならないじゃないか、このようなことを痛感するものでございまして、この点についてお尋ねをしておきたいのでございます。  私見を申し上げて恐縮でございますけれども、私は、わが国の政界の不幸な姿の一つとして、二院制度をとっていながら二院制度が全然生かされていない、こういう感じを抱いているものでございます。新憲法によって、内閣総理大臣国会指名する、衆議院の議決と参議院の議決が異なった場合には、究極的には衆議院の議決で内閣総理大臣がきまってまいります。また、衆議院議員の総選挙というものは、間接的に内閣総理大臣選挙する選挙であります。国民が衆議院の選挙を通じて間接的に内閣総理大臣を選んでいるはずなんでありますけれども、国民はそういう意識は持っていないと私は思います。しばしば私も有権者から、選挙は党を選ぶのですか人を選ぶのですかというふうな質問を受けます。昔の旧憲法時代の選挙と大同小異な誤解を持っておられる方がずいぶんあるのであります。衆議院の選挙内閣総理大臣選挙人を選挙するものですから、当然四九%の死票があってもやむを得ないじゃないか、だから参議院を設けて、そこに国民の良識を結集して、批判の府としての機能を発揮させようとしているのだ、こう私は考えておるものでございます。したがいまして、衆議院の総選挙は本来単純小選挙区制であるべきだ。他面、参議院の全国区制については、各政党が責任を持って国民の前に推薦すべきだ。国民の全国区の候補者に投ぜられた票は、個人に投ぜられると同時に政党に投ぜられたものとして、政党に投ぜられた票によって各政党に当選者数を割り当てるべきだ、割り当てられた当選者数の範囲内において、各政党ごとに得票の多い者から当選者にしていけばいいじゃないか、こういう考え方を持っておるのでございます。全国区制こそ比例代表制にしたらいい、こういう考え方を持っているものでございます。  これも、人それぞれに考え方は違っていると思います。それを私がここであえてこういうことを申し上げさせていただきますのは、衆議院と参議院の両院の構成のあり方は一体として考えられるべきものなんだ、こういう意味でこの点を取り上げたわけでございます。しかし、野党の中には、まだ選挙制度審議会答申も出てきていないのに、いまから小選挙区制粉砕を叫んでおられる方々がございます。現在の政治資金規正法、特に会社寄付制限する考え方、これは当然階級政党にとっては有利であります。国民政党にとっては不利であります。やはり階級政党では生産財の国有、公有、企業の国有化を基本に考えておるわけでありますから、企業が自己責任のもとに自由な競争をしながら発展していきたい、こう念願している者は、どちらかといいますと国民政党に好意を寄せます。会社寄付をどんどん押えていくことは、自然そういう影響を持つわけであります。いまもございますように、この社会を階級対立を前提に、階級政党を主張しておられる方々は考えておられるわけでございます。社会観、世界観が全く違うのであります。世界観が全く違っている政党が相対立している、これも日本の不幸な政界の現状であります。したがいまして、処方せんをばらばらにしますと各政党の利害がばらばらに区々になってまいります。そのような性格のものをこのように切り離して国会審議に問うことにつきましては相当な問題がある、かように考えるものでございます。  私は、戦後のシャウプ税制使節団の勧告を受けて税制改革に当たった人間であります。シャウプ博士は、自分の勧告を一体として受け入れてほしい、あるものは取り上げるがあるものは取り上げないというようなことのないようにということを、会うたびに口をすっぱくして言っておりました。また、勧告の中にもそのことを強調しておるわけでございまして、それを読み上げますと、こういっております。シャウプ税制使節団の勧告の序文の一節でありますが、「ここにわれわれが勧告しているのは、租税制度であって、相互に関連のない多くの別箇の措置ではない。一切の重要な勧告事項および細かい勧告事項の多くは、相互に関連をもっている。もし重要な勧告事項の一部が排除されるとすれば、他の部分は、その結果価値を減じ、場合によっては有害のものともなろう。従って、われわれは、勧告の一部のみを取入れることに伴う結果については責任を負わない。」と、こう言い切っております。私は、このようなことを考えまして、選挙制度をどう改善するかという案が練られるべきである、その一環としての審議が行なわれるべきである、かような希望を強く抱いているものでございます。   〔発言する者あり〕
  34. 小澤佐重喜

    ○小澤委員長 静粛に願います。
  35. 奥野誠亮

    奥野委員 昭和三十六年、そしてまた昭和三十八年、両度の答申において、政治資金は個人に限るべきだという趣旨を出しております。それをあえて政府は立法化してこなかった。私は、やはりこういう一体として検討にゆだねるべきだという配慮があったのじゃなかろうか、かような考え方を持つものでございます。同時にまた、今回は個人寄付に限定をしているわけじゃございません。法人寄付も認めております。ここに私は問題があると思うのであります。むしろ会社、労働組合の寄付を禁止してしまったほうが、いまのような制限のしかたをするよりはまだいいんじゃないかという疑問を抱いておるものでございます。また分量の制限は、私は将来日本の政治に悪い影響を及ぼすのじゃないかということを強く心配しているものでございます。これらについての御所見を伺っておきたいと思います。  なお、いろいろお尋ねしたいのでありますが、御注意もございますので、あとの質問は後日に譲らせていただきたいと思います。
  36. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 政治を明るく、正しいものにする手段といたしましては、根本的には国民に対する政治教育というようなものもありますが、当面いたしまして、選挙制度またそれにふさわしい選挙運動のあり方、さらに政治資金あり方等が考えられると思います。今回第五次の選挙制度審議会におきましても、そうした意味におきまして選挙制度の根本について、特に政党本位選挙が行なわれるようなそうした選挙制度並びに選挙運動の改善につきまして、一方においては頭に描きつつ、しかし、当面いたしまして、現行の選挙制度もとにおきましてもこの程度の規制、すなわち会社、個人等についても分相応寄付ということに重点を置いて答申がなされたものと解しておるわけでございます。ただいま、量の制限が将来非常にいろいろな問題を発生しはしないかというお話でございました。一面そういう点もあろうかと思いますが、しかし、やはり分相応寄付というこの原則はある程度考えていかなければならないのではないか、そういうことを思いまして、今回の法律案の提出になった次第でございます。
  37. 小澤佐重喜

    ○小澤委員長 次に小松幹君。
  38. 小松幹

    ○小松委員 政治資金規正法が昭和二十四年に出ましてから、相当の長い歳月を経てまいりました。できた当時、私どももその政治資金規正法に従って、いろいろな団体あるいは届け出等についても苦労をしてまいった経験がございますが、最近はどうもこの届け出も投げやりであり、一体何のためにこういうような規制が行なわれ、届け出が行なわれておるか意味がなくなってきておると思うわけであります。だから、結果として私は歳月のたつ間にその方面もずさんになったが、政治の腐敗もいいかげんになって今日を迎えたと思うのです。そういう意味から考えますと、この政治資金の規制あるいは届け出等に対して、いままではこれでよかったのかと、こういういままでの規制の中から反省した場合にはどうお考えでありますか、自治省としてはどう判断をしておるのか、それをお伺いしたい。
  39. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 具体的な例をあげますと、たとえば現在の政治資金規正法では、寄付以外の収入は細目の報告を必要としないことになっております。したがいまして、寄付という名前でなくて会費というような名前になりますと、その細目が報告されないでもよろしいことになるわけでございます。しかし、それではこの政治資金公開原則を守る上において十分ではないと考えまして、今回は会費という名前でありましても、寄付とみなしてこれを細目を報告させるようにいたしたわけでございます。これは一つの例でございますが、従来の政治資金規正法規定範囲におきましては、必ずしもいわゆる公開原則を十分に発揮するというに至っていない欠点があったことは、率直に認めるものでございます。
  40. 小松幹

    ○小松委員 公開されたもの、届けられたものが、そういう法的な不備もありましょうが、私は、単に法的の不備だけで済まされないものがあったのじゃないかと思う。いいかげんにつけ届けしておけば、あとは、三年間蔵に入っておればそれで時効になって消えていくのだということになれば、最初のほうは緊張していろいろ届け出もするし、きちょうめんにもやるでしょうが、これを受けたところの自治省なり監督官庁というものが、そのままそっとそこに置いて、じっとながめて、そのうちに忘れ去っていくような形で行なわれたところに、私は今日のどうにも手のつけようのないいいかげんな報告書が出てきておると思うわけなんであります。今度六月三十日に官報で出てまいりましたこの報告書を見ましても、私は、これは法の不備と言われるかもしれませんけれども、まことにあやふやなものが出ておると思う。第一、その政治資金規正団体でありながら、何の報告書もないのが、空欄のがたくさん出ておる。これなどは一体どうしてこういう空欄になるのか。これは寄付がなかったから空欄になっておるのか。寄付がなかったからといっても、その支出があり、あるいは何もやらなかったならそれで終わりか。いつまでもこういう空欄が残され、そしてその内容たるものもまたきわめてずさんなものになっておるわけであります。まず、この空欄になっているところは一体どういうことか、その説明をお伺いしたい。
  41. 降矢敬義

    降矢政府委員 それは、当該政治団体におきまして収支が全然ないということで空欄になっておるわけでございます。
  42. 小松幹

    ○小松委員 届け出のないところの団体もあるが、そういうものはどういう処置をしてきたのか。これはたくさんあるわけですが、実際いってそういう収支があっても知らぬ顔の半兵衛で通り過ごしていることも事実である。こういう点についてどういう処置をとってきたのか。
  43. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 確かに、政党その他の政治団体として届け出のあるものは、この席で選挙局長がお答えいたしましたように一万数千あるわけでございます。しかるに、報告のありますのは、ただいまお示しになりました官報にある程度の数でございますから、あるいは収支があっても報告しないものがあるのではないかということは考えられますが、私どものほうではこれを調査する機関を持たないわけでございます。そういう点の欠点もございましたので、今回は、政治団体の届け出をしながら、三回以上収支を報告しないものはもう政治団体とみなさないことにいたしまして、従来の欠点を除こうとしておるわけでございます。
  44. 小松幹

    ○小松委員 公開されて届け出られたものを見ましても、この総額は大体一年で、総額としてはわかるが、支出と寄付は半期ごとになっているから、非常にこの官報は、これはどなたが見ても見にくい。こういうスタイルの表示のしかたというものは、ほんの出すために出したのであって、比較検討もできなければこれを探求することも、ちょっとしろうとでは不可能に近い。こういう点についてどう改善しようとしているのか。
  45. 降矢敬義

    降矢政府委員 御指摘のとおり、現在の報告書は非常に見にくい、わかりにくいものでございます。したがいまして、今回の改正を契機に上期と下期の二回に分けまして——従来どおり分けますけれども、あとは上期、下期がそれ自体完結するような様式にいたしまして、したがいまして、上期の繰り越し金は下期にいく、下期はまた次の上期にいくというようなことで、報告書自体からその当期の活動全貌がわかるような様式に改めたいというふうに考えております。
  46. 小松幹

    ○小松委員 先ほど大臣がお答えになりましたけれども、これを見ますと、寄付はちょいちょい載ってまいっておりますが、しかし総額寄付とが、比較して見ますとたいへんな差があって、その他の収入というものが全然いままでわかっていない。これはわかっていないからという意味で悪く言うわけにもいかないでしょうが、こういうことでありますと、たとえば例をあげますと、自民党の党の総収入は五十九億、六十億に近い金がある。ところが寄付と見れば、ここに出ている寄付というのは、国民協会から九億何ぼ、あとは東宝株式会社から二百万円、千代田会から二百万円、全国信用金庫協会から一千万円、これだけしか載っていない。そしてトータルだけは六十億に近い金が出ている。一体国民協会は四十一年度に自民党に幾ら寄付をしたのか、それをちょっとお伺いしたい。
  47. 降矢敬義

    降矢政府委員 国民協会は自民党に対しまして、四十一年二十億六十八万七千五百円でございます。
  48. 小松幹

    ○小松委員 そうすると、自民党の総収入が六十億の中で国民協会から寄付が二十億だ、あと約四十億、三十九億幾らという収入は、一体どこからどうして出てきたのか。ちょっと想像できない巨額の収入が、これは政治金資として何ら届け出もなければ、関知されない段階に入ってきておる。ここに私は問題点があると思う。一億か五千万くらいの収入があったら諸雑費収入でいいかもしれぬが、四十億からの金の大宗が行くえ不明になっているというところは、これはたいへんなミスといえばミス、法の不備といえば不備で、こういうことをやっておるから問題が起こってくると思うのであります。この点どう判断をしますか、自治大臣からお答え願いたい。
  49. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 先ほども申し上げたように、現行法では寄付以外の収入の明細は報告する必要がないことになっておりますので、いまの御指摘の点はわからないわけでございます。ただ、私、これは推察でございますから、誤っておりましたら訂正いたしますが、推察するのに、借り入れ金等が入っておるのじゃないかと考えております。
  50. 小松幹

    ○小松委員 民社党の寄付欄を見ますと、民社党には民主社会協会なるものから三千六百万円の寄付を受けておる。それから団体のところを見ますと、民主社会協会という政治団体は全くないわけです。どこをさがしても見つからない。ここら辺は一体どうなっているのか。民主社会協会というのはやみの団体なのかどうか。その辺ちょっと……。
  51. 降矢敬義

    降矢政府委員 民主社会協会は、法人にはなっておりますけれども、政治資金法上の届け出はございません。
  52. 小松幹

    ○小松委員 それから国民協会の収入ですが、国民協会は一つ政治団体に登録されておりますから、その収入を見ますと、寄付というのがあがっておりますが、その寄付というのがごくわずかである。国民協会は一体寄付以外何をもって充てておるのか、それを知っておるならばお答えを願いたい。
  53. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 私の承ったところでは、会費でまかなっておると聞いております。
  54. 小松幹

    ○小松委員 そこで、会費なるものが問題になるわけでざごいますが、今度も党費及び会費というようなことばが出ております。党費といえば、政党人にとっては、党員の一人一人から拠出する党費だ。これは政党人はだれもわかるが、会費というのはきわめてあいまいもことしておる。そうすると、この会費ということばの概念から考えると、この国民協会なるものの会員は、これは動物的な人間でないで、一つの企業が会員になっているというきらいがあるわけなんです。生物的な会員でないで、単なる企業体が会員になっておる。こういう会員が国民協会には出てくると思うのです。そうすると、今後党費及び会費ということばを使う場合に、この会員なる概念が非常にあいまいに感じられてくる。法律案を見ましても、そこに「この法律において「党費又は会費」とは、政治団体の党則又は規約その他これらに相当するものに基づく金銭上の債務の履行として当該政治団体の構成員が負担するものをいう。」ということになっているが、この構成員というのは、生物的な人間か、あるいは法人的な会社をいうのか、この会員というものをはっきりしていただきたい。
  55. 降矢敬義

    降矢政府委員 御指摘の党費、会費の定義を掲げましたが、これは政治団体の党則、あるいは規約、あるいはその他これに類するようなものに基づきました、構成員として当該団体に対する金銭上の債務の履行として支払うものを党費または会費というふうにいたしました。ただいま御指摘の団体、法人あるいはその他の団体の会員がかりにございました場合におきましても、それは法人その他の団体が負担する党費、会費というものは、この法律上は寄付とみなすことにいたしまして、そして届け出上、寄付の欄に記載し、また制限上も寄付として、寄付制限のワク内に入るというふうに法律を整備したわけでございます。
  56. 小松幹

    ○小松委員 そうすれば、いままでのいわゆる国民協会式の会の会費は、企業体も会員になり、企業体自身が会費を納めるという構成員であったけれども、今度の法律案は、ここの党費または会費というその構成員は、なまの人間を対象にした構成員であるということを言われたのですか。それに間違いございませんか。
  57. 降矢敬義

    降矢政府委員 個人、団体あるいは法人、いろいろなものについて、当該政治団体がどういうものを党員とし、会員とするかということは、この政治資金規正法政党法じゃございませんので、そこまでは規定しておりません。したがいまして、構成員は団体を含むかもしれません。   〔委員長退席、古川(丈)委員長代理着席〕 政治団体としては、規約上含むことはございます。しかしながら、この法律の規定上、当該団体の構成員のうち、法人その他の団体が会費等の名において負担する金銭上の債務がありました場合においても、それは寄付とみなすというふうにいたしまして、一般会社寄付の中に、その会費として納める額も含めるというふうにいたしたわけでございます。
  58. 小松幹

    ○小松委員 だめを押すようでありますけれども、ここの「当該政治団体の構成員が負担する」という党費並びに会費は、いわゆる人間のするものであって、そのほかの会社あたりが会費とかあるいは賛助会費とか——おそらく政党なりあるいはそういう団体では、構成員に人間をしないで、さっき言うた国民協会式な会社構成員にしているかもしれない。そういうときでも、それははっきりなまの人間でなければ全部寄付とみなす、こういう意味でございますか。
  59. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 構成員がだれになるかは、この法律の関与するところではございませんけれども、構成員のうち、法人その他の団体が会費という名前で納めましても、それは寄付とみなす、そういうことでございます。
  60. 小松幹

    ○小松委員 それではっきりしましたから次に参りますが、いままできわめてあいまいなうちに逃げを打たれる、どっちにもつかないようなかっこうにしてトンネル機関をつくったり、あるいはカムフラージュしたりして、いろいろテクニックを使ってきて、こういういろいろな弊害もあったと思うわけなんです。これは、この収入を見ましてそういう感じをいたしました。今度新しい法案では、その収入の面をはっきりするというわけでございますが、今度支出の面をこの官報で見ますと、大体支出の項目というのが種々雑多です。全く常識的な項目をあげておるものもある、あるいはきちっと姿勢を正したのもあるが、これはどうなんでしょうか。たとえたならば、会議費となったり会合費となったり、あるいは中身は同じだけれども、食糧費として出してみたり交際費としてみたり、いろいろ呼び名が違う。たとえば、今度渡す金なんかは、政策研究会費、研究費、調査費、調査研究費、組織活動費、政策普及費あるいは啓蒙費なんというようなことばでいろいろ出てくるわけですね。内容はみな同じようなものですが、こういうようにもう全く会計操作も知らない。普通だったら、会計をやれば、大体まあ商業簿記ならば、こういうことばだったらこういう概念に入る、こういうことばだったらこういう概念、こういう内容のものはこういうところに入ると、大体置く位置、定位置がきまり、ことばがきまってしまっておる。にもかかわらず、この政治資金の届け出の支出というものは、かってほうだいに適当にやっておる。だから、これは幾らこれを比較検討してみようとしても、これはもう本人まかせで何もつかめない。これはほんの掲示したままであるということに落ちつくわけでございます。こういうような点は改善しなくてもいいのか。私は、政治資金規正法であっても、何億という金を出したり入れたりするその経理なんですから、経理の一つのシステムというか、ひな型というようなものはあってしかるべきだと思うのです。これがないでいいかげんに済ましておるところに、私はあとで言うけれども、問題が起こっておる。この点、こういう型を整理するつもりがあるのかどうか。
  61. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 政党その他の政治団体の政治活動の態様は、もう千差万別でございます。したがいまして、従来その団体、団体の政治活動の態様に応じて報告を受けておるわけでございますが、しかし、御指摘がありまするように、その点はあまりにも区々まちまちでございますので、今後この法律案が成立いたしまして、それに基づく規則等におきましては、できるだけ整理するように検討をいたしておる次第でございます。
  62. 小松幹

    ○小松委員 これは少し形式的になりますけれども、あまりにもずさんで、政治団体によっては変な取り方もしておるし、もうあっちこっち適当にやって経理がいいかげんだと見る以外にないわけなんです。公の書類でこういうことでは困る。これは改善してもらいたいと思う。  それから黒い霧があったときに、市川参議院議員がこの内容を調べて、大体会議費などは飲み屋のツケばっかしだ、赤坂、新橋の飲み屋のツケ、ゴルフのツケが多いとかいうようなふうに言われておりましたが、今度の下半期に出たのは、これがだいぶん影をひそめてきておるように見受ける。しかし、そのかわりに今度は個人渡しの金が非常に内容的に多くなっている。隠れみのが、飲み屋のツケでなくして個人渡しになっておる。こういうこともまことにずさんきわまりない。もういいかげんに、おい、おまえ名を貸しておけ、おまえちょっと三百万円——それがれっきとした政治家が三百万円、八百万円の領収を書いて受け取りになるならばいいが、秘書的な人間、あるいは所在の不明のような人間が三百万円、五百万円の金の受け渡しにちゃんと名が載っておるということは、これまた政治資金というものがいかに乱脈に使われておるかということになる。先ほど自民党の人が言うときには、政治資金というものは善なるものであると、いかにもお大師さまのお使いになる金のようにおっしゃる。しかし、結果として政治資金に届け出ておるその内容を見れば、大半が赤坂の飲み屋のツケであるということになれば、あんまり大きな声で政治資金は大事でございますなんと、もったいぶったようなことを言うても、結果がこう証明しておるということは、何ともいたし方がないことだと思うのです。  大体日本の政界の裏幕は、飲み屋のツケが多過ぎるということだ。役人もそうなんですけれども、待合政治が横行するために飲み屋のツケがほとんど政治資金の、半分とは言わぬけれども、三分の一は飲み屋のツケ、キャバレーやバーの伝票、あるいは個人に渡しても、赤坂の某料亭のおかみの名になっているというようなことです。これが、一体国民の前にいろいろ弁解をしてまかり通ることかどうか。ゴルフのツケは影をひそめたけれども、やはり依然としてそういうことが出ておる。私はこれはもう少したんねんに、それは三百万円渡したならば、何々代議士に三百万円渡したとちゃんと届けるべきである。あるいは秘書に渡したら秘書でもいいが、そういうような形にしなければ、あまりにもいいかげんな届け出になり果てておると私は考える。たとえば、組織活動費にある派閥——派閥の名を言ってもいいですけれども、ある派閥は三千万円を支出しているが、秘書的な人物が大体おもにこれを扱って出しておる。そういうように秘書的な人が三百万円も五百万円も出しているが、これは組織活動費という形になっているから所得にはならぬのでしょうけれども、税金の対象になるのじゃないか、こういうようにも考えられる。第一、政治家の所得があいまいだ。あれだけの豪勢な家を建て、あれだけの生活をやりながら、歳費にちょっと毛のはえたくらいな所得を出している。もう政治家の所得はつかみようがないと言う。まさにそのとおりで、こういうところに抜け穴と隠れみのがあるから、さっぱりつかめないということも事実だと思うのです。こういう点について、一体政府はこれをどう処理して、どう今後改善していこうというお考えを持っておるのか、お伺いをしたい。
  63. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 政治資金規正法は、政治資金の支出の性格と申しますか、どういうところへ支出してはいかぬとか、どういうところに支出したらいいんだというようなことを規制をいたしておりません。これは改正法案においてもそうでございます。そういう点で、結局それは公開して、ただいま小松さんが御批判なされたような御批判が各国民の間から起こって、それで正しく使われるようにするという以外に、この法律でどういうところへ支出してはいかぬとかよろしいとかというところまでは、規制はできないのではないかと考えております。
  64. 小松幹

    ○小松委員 政治資金規正法の届け出はうそが多いと、こう世間ではよく言われております。いま大臣は、どういうように使ってはいけないという内容規制はないのだから、それはもうしかたがない、こうおっしゃいますけれども、私は、キャバレーで使ったのがいい悪いの論議よりも、うそを届け出たりいいかげんな届け出に対しては、追跡して調査をする必要があると思う。それでなければ、言いっぱなしの聞きっぱなし、出しっぱなしのそれを受け取りっぱなし、そうして時限が来ればお蔵入り、こういうことになれば、政治資金というものは公開して、官報にこんなわけのわからぬむずかしい書き方でこれは出したって、国民のだれがこれを批判し、見る者があるか。こういうことを考えますと、もう少しこれを追跡調査すべきである。追跡調査をしないから、届け出をする者もいいかげんになると思うわけであります。追跡調査といっても、何も警察権を導入して刑事事犯を追うのじゃなく、行政的な観点からこれを追跡調査する機関があることが当然であると私は思う。これさえやっておけば、私は、いままでのような腐敗堕落はないと思う。いまかりに政治資金寄付の頭打ちをして量を制限したとしても、いままでのようにほったらかしの出しっぱなしでやっておけば、のど元過ぎれば熱さを忘れ、二、三年たてばまた同じことを繰り返していく、こう考えざるを得ない。やはり警察機関ではなくして、監督官庁としてこれを行政的に追跡調査する機関を設けなければ、幾らやってもさいの川原の石積みみたようなことになる、こういうおそれがあると思いますが、追跡調査の行政機関を設ける意思はございませんか、お尋ねをします。
  65. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 政治資金についての調査機関を設けよという御議論があることは、私も承知をいたしております。ただ、私自身といたしましては、政治資金規正というものは、政党並びに政治家がみずからほんとうにまじめにやっていただくということを土台にし、しかも、報告書には、御承知のように真実である旨宣誓書も入れておるようなことでございまして、その上役所によってこれを追跡調査することまでやる必要があるかどうか。まさにそれの実効をあげるのにはそういう機関も必要という御意見、私は決して否定するものではございませんけれども、政治資金規正ということの問題のとらえ方を、ただいま私が申し上げたようなとらえ方をいたしておるので、現在のところ行政的な調査機関を設けるという考え方はございません。
  66. 小松幹

    ○小松委員 私どもも政治家の一員として、みずから律していくという観点に立てば、それは大臣のおっしゃるようなこともそれなりに意味があり、わからぬこともないと思う。ところが今度の規制でも、量の頭打ちの規制があったりしますと、それはしばらくは緊張しておりましょう。しかし、だれもこれを見るものもないし、追跡調査もしないし、人のうわさも七十五日で忘れ去っていけば、結局、これはいろいろ規制をしてみたとしても、中身がどんなであろうが、その内容をごまかして適当にやっておけば、帳づらだけ合わせておけば、それで過ごしていけるのではございませんか。そうしてぎょうぎょうしく罰則の適用だけ——こういうものは罰則をえらいむずかしくいうよりも、もっと追跡調査をきちょうめんにやっておけば、罰則にひっかからぬように人間というものはやるものなんだと私は思う。ところが、威嚇射撃みたいなごとく、罰則だけはしりにぴしゃっとひっついて、禁錮三年以下の何のと、法律だけはあとから矢玉を突きつけたようなかっこうにしておいて、実際はほったらかしで何も調べはしない。こういう法の威圧主義的なやり方というものは、私は非常によくないと思う。そういう罰則適用とかいうような威圧主義的なものは、これは日本の法律には、必ず何か罰則というてしりからぴしゃっと鉄砲を突きつけたようなかっこうにしてある。けれども、黒い霧事件か何か起こってこなければだれも取り合わない。起こらねば知らぬ顔をして三年でも十年でも過ごせるわけです。それではいけないと思うのです。できるだけ刑事犯人をつくらないように、できるだけ黒い霧をつくらないように、平素から行政機関が追跡調査をしていく。何も罪人をつくるのが行政上いいわけでもなく、法律としても最善ではございません。罪人をつくらない前に、ちゃんと年々きちょうめんにきちっきちっとやる慣習をつくれば、私は、うしろから鉄砲を突きつけたようなことが、役もせぬで自然そういうことが解消する。自民党の人は、いかにもうしろから鉄砲を突きつけられたような、善意の寄付に罰金や禁錮を設ける必要があるか、こういうように言うが、それはそのとおりだ。しかし、それだったらちゃんと追跡調査の一つの行政機関を設けろというのです。おれたちはそういう会計にも暗い、しょっちゅう仕事があるから、そこまで届け出もようできぬ場合もあるから、担当者が行政的にチェックして、そうしてよく教えて、こうだからこうでないのかというように指導してくれれば、私はできるのではないかと思う。こういう心ゆくばかりの民主的な政治配慮、行政的な配慮というものをやってこそ、私はこれは貫き通すと思うのです。論より証拠、供応、買収あるいは戸別訪問などというのは懲役刑まで入れておるけれども、これは何ぼ懲役刑があろうが罰金刑があろうが、選挙をやったら選挙違反が起こらぬことはない。そういうようにできているんです。だから、罰金や刑を加えてそれで能事終われりとするような形でなくして、もう少し平素から指導よろしきを得る。指導というても、それは追跡調査の結果、チェックすべきものはチェックして、刑事に行かない前に行政的に片づけていくような指導をすれば、去年はチェックされたからことしはきちょうめんにやらねばならぬと、だんだん二年、三年たっていくうちにりっぱなものができ上がってくる、こういうふうに考える。この点ひとつよく考えておいていただきたいと思うわけであります。  次に、政治資金は私はたいへん要ると思います。これは、自民党の人が次から次に立って、政党は悪者じゃないのだから、個人が悪かったんだから、死一等を減じて政党の金は削るなというような言い方をしておる。その点は確かに、個人の政治家を含め政治団体の政治資金というものは年々歳々上がっている。これはとめどなく上がると言うても過言ではないぐらい上がってきておる。これはあに日本だけの問題ではなくて、アメリカだってそうだ。アメリカの大統領が、大統領選挙に銭がないからとても困るというわけで、何回も教書を出して、そうして国費を大統領選挙の一部に充てたいと今度も出しておる。西ドイツは六月の二十八日に政党法を通過させて、有権者一人大体二百五十円、総額八十六億円くらいな国費を出すようにしておる。これは世界の政治家も年々金がかかるということを率直に認めた結果だと思うわけです。確かに政治には金がかかる。しかし、私は日本の政治の中で特に——これは私が社会党だからというて自民党に文句を言うわけではございません。数字の上から出た結果から申しましても、自民党の総額は、党だけで五十九億でしょう。それから越山会とか何とか会とか派閥を加えると、派閥だけの金が二十数億ある。全部で、自民党だけの派閥と党が使った金で八十何億の金が現実に一年間に消費されてきておる。それを衆議院、参議院の自民党の議員の四百人で割りますと、一人年間二千万円以上の政治資金が——これはほんとうに表に出たところだけです。表に出たところだけで二千万円が平均額で使われておる。ところが、野党の社会党はどうなんでしょうか。社会党は実際は二億幾らしか出ておりません。これをかりに、まあちょこちょこの金があったとして三億と考えても、これは衆参議員が二百人でございますから、一人百五十万円でございます。これは何も私が社会党で自民党を悪く言うというわけではないが、数字の上から出た結果として、保守党は一人二千万円以上の金が政治資金として使われておる。社会党は百五十万円で貧乏して使われておる。こういうハンディがついておるという現実に対して、この問題をどう解釈していくのかという問題でございます。   〔吉川(丈)委員長代理退席、委員長着席〕 それは差がついてもいいでしょう。しかし、二千万円使おうが八千万円使おうがかまわないが、その届けられたものを見れば、過半は飲み屋のツケや赤坂のキャバレーのツケがあるというようなことで、幾ら政治に金が要ります、要りますと声を大にして言うても、世間は納得しない。私は、実際問題として日本の政治ほど飲み食いに使う金の多いことには驚くわけだ。世界の政治家選挙資金がどんどんふえていきますが、実際問題としてふえているのは、文書費が非常にふえておる。アメリカの国会議員あたりでも、たとえばタフト・ハートレー法案を自分が用意すれば、その法案をどんどん印刷して選挙民にサービスして配って、私はこういうタフト・ハートレー法案を用意して皆さんのためにサービスしますと言うて、国会の活動をサービスするような文書宣伝には力を入れております。西ドイツだって、そのように文書宣伝には力を入れておる。日本もだんだんそうなってまいりましたけれども、この官報に載っておる結果から見ても、印刷費とかあるいは新聞費というよりも、会議費、会合費、飲みしろというほうが多く出ておるというところに、日本の政治家が頭を切りかえていかなければならぬところがあるのじゃないか、こういうことを考える。これは大臣にお伺いをしますが、現在のような選挙資金の使い方がいいのか、あるいはまだまだ選挙資金は足りないのか、その辺のところを率直にお答え願いたい。
  67. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 政治には金がかかるという小松さんの御指摘、確かに六千万人近い有権者に十円のパンフレットを全部配っても六億、それに送料を入れればその倍ぐらいかかるということでございましょうから、そういう意味政治に金がかかるということは、これは私は是認されるものと思います。ただ、いろいろ御指摘がございましたが、今後政党の歩む道といたしましては、やはり政策徹底のための費用、主として文書あるいは演説会等になると思いますが、そういうものに十分な金をかけて、そうして自分の党の政策を国民に徹底するような、そういうあり方になっていくように考えなければいけないんではないかと、私も思います。
  68. 小松幹

    ○小松委員 この政治資金規正法を出したら、保守党の人はたいへんなかっこうで——金が要るからでしょうが、私はその発言を聞いておって、あまりにもみみっちい考え方に立っておると実際は思うのです。会社の金を善意だからとか、何かもらうほうがえらい恩に着せて、ちっとも悪いことをしておらぬのだから、ちょっとでもよけい出せということですが、出すほうの側になってみてごらんなさい。幾ら会社であっても、もうけた金を、去年の決算額の最高の額で、そうして内部保留金まで積み上げた額で計算しておれのところに持ってこい。持っていくのはいいが、ろくな金使わぬで赤坂辺で飲み散らかしておる。出すほうから考えてみてくださいと言いたいくらいだ。ただ、取るほうだけは一生懸命何か取ることばかりを考えておる。そういうみみっちい、いやしい発言が多かったのは、私はもう嘆かわしいと思う。こういう問題が起こったそもそもの原因というものは確かにあったんです。政治資金の長い歴史の中で幾たびか問題になって、政治資金がここまできたのだから、すなおに受けて立てばいいのだ。すなおに受けて立てばいいのを、みみっちく、何かいかにも、ちっとでも、一文でも会社からよけい吸い取らなければ損じゃというような言い方を次から次にやっておることを見ると、いかにもこじき根性になり果てたとしか考えられない。どうしてそういうふうになるのだろうか。先ほど奥野さんが言っているのを見ても、たとえば会社資本金で千分の二・五倍だったら悪い。法人というものは資本金が代表しているのです。資本金というものが看板で、資本金が問題なんです。それは資本金が小さくてももうける会社もあるかもしれぬ。しかし、私は大蔵委員会にもしょっちゅう出ておりましたが、できるだけ自己資本の拡大をはかれと、こう大蔵大臣は指導しているじゃありませんか。内部保留金をできるだけ自己資本の拡大に向けなければ、日本は株が小さいから会社の底が浅いので、いよいよ資本の自由化になるとたいへんだ、だから会社、企業というものは利潤をできるだけ自分の持ち株に回して、株の値を拡大せよというように片一方では言っておる。ところが、政治資金のときだけに限って資本金のことは言わぬ。資本金じゃない、その会社にはもうけもあれば内部保留金もあるから、それをみんな足し算をして、そういうやつから計算して持ってこい。虫のいいのもはなはだしいと思う。こういう言い方に惑わされて、今度少しだけあなたのほうはそれを是正した。答申の線をゆがめた。これはまことに妥協もはなはだしいと思うが、大臣、一体これはどう考えますか。
  69. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 会社の身分相応ということのはかり方は、まず資本金ということが先行することは御指摘のとおりだとは思います。もちろん、そうして自己資本の充実をはかれということもまた政府の方針でございます。しかし、現状としましては、やはり自己資本が少なくて他人資本が相当多い日本の会社現状から考えますと、その柄をはかる一つ資本金であり、一つ利益金ではなかろうかということで、全会社資本金の千分の二・五を利益金に割ってみますとちょうど百分の一ぐらいになりますので、その両方を使ったという次第でございます。
  70. 小松幹

    ○小松委員 中身は、千分の二・五と利益金の百分の一ですか、それはまあ似たようなものだから、どっちをとってもかまわぬ。それは別にたいした違いはないけれども、そもそも法を変えていく過程においてそういう考え方というものは、これは独善であると思うのです。これは自民党の独善にあなたが負けたのだと思うのです。中身は何にも変わらない、たいしたことはないものを、みみっちい考え方で、何か利益金でないと自分たちが損をするような考え方でちょこっと入れて、何ほどの効果もない、何ほどの差もないのに、それを変えたらいかにも自分にたんまり入ってくるような錯覚を起こしている。結果論は同じだ。こういう点について自治大臣は自民党と折衝して、相なるべくは半分くらい気に入られる法律案をつくろうという観点で妥協したのだと思っておりますが、こういう妥協的なものをつくったのでは——私はむしろこれは答申案どおりずばりやって、ほんとうはショック療法でやるべきだと思う。これは実際は、いま自民党がちょこちょこっと修正をしたって、あんな修正なんて何ほどの効果がありますか。それよりかも答申案をずばりとやって、ショック療法でおったまげて、そうして初めて政治資金というものの本質点に返るわけだ。松野さんから先ほどの奥野さんまで一貫的なものを考えろというふうになっておりますが、ショック療法をやれば一貫的なものにだんだん近づいてくると思う。これが何ともわからないぬえ的なものを出してやるから、わけがわからぬものになって、流そうかということになり、ショックが起こらぬ。反省も起こらぬ。だから、思い切ってショック療法をやれば、本格的な政治資金考え方に入ってくる。いわゆる西ドイツ並みあるいはアメリカ並みの政治資金、もっと言えば政治資金をがっと規正して、政党法をつくって、そして国が国費をもって、例をあげれば、西ドイツのように一人二百五十円の国費を有権者にかけて、それだけは得票数に割って分けるというような、一つ政治資金が公明正大に国費をもって分けられるようにすればはっきり出てくる。ところが、政治は国家の大事な仕事である、そう言って会社に頭を下げて、おまえ方利益金のうちの何ぽかをちょっとくれ、そういうみみっちい、げすな考えに落ちついたところに、私は保守党はいまこそ考えるべきだと思う。もっと本質的な、政治資金規正法というものを本格的にして政党法をつくって、そしてその費用が要るならば、宣伝費が要るならば国の費用でがぼっと取る、そのような形の本式なものに、振り出しに戻って考えるべきである。それををやらないでおって、みみっちくちょびちょびっと鼻くそほど変えて、それでその場をつくろっていこうという考え方は、取るに足らぬ意見だと思う。この点自治大臣は、先ほど自民党の方が言っておりましたように、政党法、政治資金など一貫したものを、そういうところに持ってきて小選挙区まで加えたりしているが——小選挙区は一応ここに置いておいて、小選挙区は置いておいたところにして考えたときに、あなたはどう判断されますか。
  71. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 この政党法につきましては、いろいろ長い間の御議論があります。そして例にあげられたように、西ドイツにおいては最近において政党法をつくり、そして国費でその政党をまかなうような方針をとられたことは承知をいたしております。いろいろ選挙制度審議会の中においても、政治には金がかかるから、税金で国が政党に補助をしたらどうだというような御議論もあったことは御承知のとおりでございます。それが、いわゆる税金で政党をまかなうということが日本の現状に適するかどうかという、いろいろの御批判もあろうと思います。しかしとにかく、いずれにいたしましても政治に使われるお金が正しく明朗なものであることは必要なわけでございます。今回の答申に基づく法律案もその一手段としてでございまして、これですべてが解決するということではないのでございまして、あるいはただいまお述べになりましたように政党法というようなものに踏み切り、しかも、その政党の資金をどういろ金でまかなっていくかというようなことは、十分検討しなければならない重要な問題であると私も考えます。
  72. 小松幹

    ○小松委員 最後に、こういうように判断してまいりますと、この政治資金規正法の問題点は多々あると思いますが、あっても、それは私は自民党の各位の一つの恐怖、資金恐怖といいますか、金に非常にかつえているというような形の意見が多いわけでございます。もう少し大所高所から考えてこういう法律案に対処すべきだ、私は答申が出たのもそういう趣旨だと思うわけでございます。実際この小選挙制度の問題にしても、金がかかるから、小選挙区をつくったら金が要らないのだという意見を出して、これで車の両輪というような形に言っております。しかし、小選挙区になったから金がかからぬで済むということをだれが保証しているか。だれも保証しておりはしない。大体地方の市町村、町会議員の選挙、町長や村長の選挙でも、何百万という金を使っておる。小さい選挙区であったからといって、その人の心がけなり、そのときの政治情勢で非常に違うわけなんです。小選挙区になったから金が要らないというような考え方というものは、これは私は金というものを選挙区に責任を転嫁した意見だと思うのです。むしろ私が車の両輪を言うならば、政治資金規正法と同時に、選挙をもう少しりっぱな、公明な選挙をするような選挙法を車の両輪のように考えてやればいいので、選挙区が、区割りが両輪のようにあるということはおかしいのであります。むしろ政治資金選挙の方法を車の両輪にしたほうがいい。そういう場合に選挙区の寄付制限なども、最初原案には寄付制限をぴしゃっとやれるようになっておった。自民党の議員でも選挙制度審議会では、それはいいことだ、もう地元に寄付ばかりさせられてかなわぬからいい案だと言っておった。ところが、いつの間にかこれがまた金のかかるような方向に修正をしてきた。片一方では金がかからぬようにと口では言いながら、法律案を改正するときには金のかかるように改正するというのは、これはどうも精神分裂を来たしておる。逆戻りしている。この点について大臣のお考えをお伺いして、最後の質問を終わります。
  73. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 結局、金のかからない選挙がどういう制度がいいか、これはいま選挙制度審議会において熱心に御論議をいただいておるところでございます。おあげになりました小選挙区だから金がかかるかかからないか、これはもう区制だけではなくて、いろいろな選挙運動の方法の改善その他あらゆる問題が並行して考えられなければ、その金がかかるかかからないかということの判断はなかなかつかないものではないかと思います。いずれにいたしましても、政党本位選挙が行なわれ、個人が選挙民と情実因縁で結ばれて金をかけるというようなことのないような、そういう制度が望ましいものと私は考えております。
  74. 小松幹

    ○小松委員 終わります。
  75. 小澤佐重喜

    ○小澤委員長 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時五十三分休憩      ————◇—————    午後一時五十六分開議
  76. 小澤佐重喜

    ○小澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西宮弘君。
  77. 西宮弘

    ○西宮委員 私は、これは官房長官に御意見を伺いたいと思います。  第一に指摘したい点は、今度のこの法律の提案ほど政府、特に佐藤総理でありますが、食言の多かったことはないと思うのであります。いろいろ言ってきたことがそのことばのとおりに実行されない、そういう点で食言の多かったことはかつてないのではないか、私はそういう点で二、三を指摘したいと思います。  たとえば昨年の十一月十七日でありますが、これは第五次の選挙制度審議会の発足のときであります。あの案を諮問をしたときでありますが、そのときの総理あいさつは「答申が出た暁には、その趣旨を尊重し、勇断をもってその実現に努力をする。」こういうことを言っておるわけであります。あるいは今度はその答申が行なわれたことしの四月でありますが、高橋会長あるいは小島副会長がそろって答申を持って総理をたずねたわけでありますが、そのときに高橋、小島の正副会長は、こもごもこういうふうに言っております。「第一次、第二次選挙制度審議会では政治献金は個人に限るとの原則を打出した。この答申は、この原則からみれば後退したものだが、政治の現実を一歩でも二歩でも前進させようという趣旨だ。それだけに、これ以上の後退はゆるされないぎりぎりの線で、ぜひ実現をはかってもらいたい。」こういう趣旨の申り入れをしたわけであります。これに対して佐藤総理は「政界の浄化と政党の近代化は私の信念であり、答申の趣旨にそってできるだけ実現に努力する。」こういうふうに答えているわけです。つまり、この審議会の発足にあたって、あるいはまた答申案が決定して総理にもたらされたその際に、きわめて明快な答えをしておるわけであります。  あるいは四月の十日に福岡で、旅先で談話を発表いたしておりますが、これは新聞記者の記者会見で言っておることでありまするが、「答申を受けたらできるだけ早く国会に提出をしたい、あれだけ骨子ができ上がっているのだからそうおそくはなるまい」さらに、これに対して新聞記者が「国会提出は五月上旬といわれているが」という質問をしたわけでありますが、それに対して佐藤総理は「もっと早く出せるだろう。提出する以上はもちろん今国会で成立をはかる。」こういうふうに答えておるわけであります。政治界のことでありますから、いろいろ流動的な要素もありまして、ときに計画のとおりにいかないというようなことがある場合も、政治の世界ではあり得ると思います。しかし、今度のこの政治資金規正法の問題に関する限り、佐藤総理の食言というのが目立ったときはかつてないと思うのです。私は、これほど総理の食言が各方面で——私がいまこれを取り上げたのはほんの一部分ですが、こういうふうにあるいは選挙制度審議会に対しましても、あるいは一般国民に対しても、あるいは議会答弁等におきましても、あらゆる面でそういう約束をほごにしてきている。そういう点で、かつて例を見ないまことに重大なことが多かったと思うのでありますが、本来なら総理にお聞きをしたいところでありますが、かわって官房長官からその点についての御意見を聞かしていただきたいと思います。
  78. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 総理がいろいろ前もって政治資金規正法の提出、あるいはその内容につきまして申し上げましたことは、今回国会に提出いたしました法案の中に十分盛られておると考えております。  御承知のとおり、この政治資金規正法案というのは、本来私どもが自由とすべき政治活動を、ある意味におきましてはその政治の倫理性というものを法律でもって規制するという内容でございます。そこで、そういう重要な内容を持つ法案でございますから、答申が出ましてから慎重に自治省及び政府部内で検討いたしました。そのために相当日にちがかかりましたのは事実でございますが、答申が御承知のように四月七日に出まして、私どものほうで閣議決定をいたしましたのは六月十三日、約二カ月かかっておりますが、これは法案内容からいって当然慎重であるべき期間だったと考えております。  また、内容につきましては、この審議を通じていろいろ御審議を願っておるわけでございますが、私どもは、総理が最初に申し上げたとおりのような内容で、ただ、ある点におきましては慎重を期したという点と、現実に即したという点で多少の変更がございますが、すべて総括的に申しまして答申内容を尊重した法案であると感じております。
  79. 西宮弘

    ○西宮委員 ただいまの長官の答弁は、とうてい私ども納得をして伺うわけにいかない。審議会答申は十分盛られたと言い、あるいは時間的にも多少おくれたけれども、必要最小限度であったというような意味の答弁であったわけですが、私どもは、そのいわゆる盛られた内容についてまず第一にいろいろな問題があるわけであります。それは今日までわが同僚委員からもいろいろ指摘をされておりまするし、また私もあとでお尋ねをしたいと思いますが、そういう内容の点についても問題があるし、あるいはその提出の時期についても、さっき申し上げたように、たとえば先ほどの福岡での談話などは、おそらく五月まではかからないだろう、つまり五月上旬にはならないだろう、言いかえれば四月中には出せるだろう。こういう意味の答弁をしておるわけでありまして、もう骨子は全部出そろっているんだから四月中にも出せる、こういうようなことを言っているわけであります。これは、おそらく当時ちょうど統一地方選挙が行なわれており、東京では都知事の選挙が行なわれておる。こういう大事な際でありまするので、おそらくそういうところで点数を落とさないように、こういうことから言ったのかもしれませんけれども、結果的にはそれがみんな食言になっておるわけで、私は今度ほどそういう点について大臣の食言が目立ったときはない、こういうことを強く指摘をせざるを得ないのであります。  さて、ただいままで自民党の皆さんがそれぞれ質問やら意見を述べておられます。私も大体拝聴しておりましたので、自民党の代表の方にお尋ねができればいいのでありますが、そういう形式もとれませんので、便宜選挙局長にお尋ねをいたします。それは別に局長からいわゆる責任のある言質をとろう、そういう意味ではありませんで、ただ局長は終始問答を聞いておられたので、その意味においてお尋ねをしたいと思う。  私、いままでずっと最初から聞いておりまして、自民党の皆さんがお述べになりましたのは、まず第一は車の両輪論。それから次は一千万、二千万あるいは五十万というそういう金額の根拠を示せ、どういう科学的な根拠に基づいてそういう数字が出たのか、根拠を示せというような問題。三番目には選挙のときは例外である、選挙のときは政治資金は別に考えなければならぬ、こういう御主張。あるいはまた、政治家は悪いことをしたかもしらぬ、しかし政党はそういう悪いことをしたことはない、それを政党を規制する、こういうやり方は間違いであるというような御意見。あるいはこういうやり方をすると官憲の介入が激しくなるのではないか、こういう問題。それから善意の寄付制限する、こういうことは全く筋違いである。こういう御意見がおおむね述べられた御意見の要約ではないか、集約してみるとこういうことになるのではないかと思いまするが、お聞きになっておられて、大体私の認識と違わないかどうか、お聞きをしたいと思います。
  80. 降矢敬義

    降矢政府委員 ただいま御指摘になりましたような御意見が御質問の中で述べられました。しかし、全部要約をしてそうなるかという点は、はっきり申し上げられませんが、御指摘のような御意見が述べられたことは事実でございます。   〔「撤回論も述べられたよ、これは一番大事な問題だ」と呼ぶ者あり〕
  81. 西宮弘

    ○西宮委員 第一日目は、この法律を撤回する意思はないかというような、きわめて思い切った発言があった。こういうことも大事だと思いますが、さて私は大体終始伺っておりましたので、私の認識もあまり違っておらないと思う。したがって、そういう問題について若干お尋ねをしていきたいと思うのでありますが、さらにその前に、いま私が数え上げた問題の前に、一つ取り上げたい、注目をしてもいいと思いまする発言が、本会議赤澤議員の代表質問の中にあったわけであります。それは「この法律起案の過程を通じて、世論の圧迫があったことは事実であります」こういうふうに言っているわけであります。いわゆる世論の圧迫ということを言っている。あるいは御本人は——御本人と申しましても、私は実を申しますと赤澤議員が最近ある雑誌に、非常に金のかからない選挙をやりたい、またそのために自分が非常に苦労したという経験談を書いておられるのを拝見いたしまして、私はその態度に深く敬意を表したのであります。したがって、このことばも私の想像をもってするならば、赤澤議員個人の意見ではないので、自民党の大方の意見を代表して言ったのではないかと思う。と申しますのは、たとえば私は、これは全く個人的の雑談でございますけれども、与党の方が、今度のこの政治資金規正法というのは何も大騒ぎする必要はないのだ、あれは単なるマスコミ提案なんだ、こういうことを言っておられるのを聞いたのであります。つまりマスコミがかってに独走してこの問題を騒いでいるんだ、こういう意見を述べておられたのを聞いておりまして、それと思い合わせて、そういう党内にある大方の意見を代表したことばではないか、したがって、私は、赤澤議員の言われました世論の圧迫、あるいはもっと言いかえるならば世論の暴力、マスコミの暴力というふうに言いたかったのではないかというふうに考えるのであります。私は、もしそういう認識に立っておられるとすれば、これはきわめて重大だと思うのでありまして、私は今日新聞、雑誌あるいはその他を見ておりましても、実は大方の批判が自民党に向けられておるということは争われない事実だと思うのであります。むろん社会党に対してもいろんな批判もありましょう。われわれはそういう批判に対してはあくまでも慎重にえりを正して粛然これに耳を傾けなければならぬとみずから考えておるのであります。そしてその批判にこたえるために、われわれは微力の限りを尽くしたいと自分では決意をいたしておるのでありますが、私は単なるこれはマスコミだけのかってな独走ではないというふうに思いますることは、実は私は昨年の秋、ある新聞の投書欄に投書をしたのであります。投書でありますからきわめて小さな一欄でありまして、全く顕微鏡で見なければ見えないくらいの小さな欄であります。しかし、私が政治資金について投書をいたしましたところが、ほんとうに予期しないたくさんの方から手紙その他をいただきました。全く見ず知らずの方々から非常な激励やら問い合わせやら、あるいはまた若干の反論やら、そういうものを非常に数多くいただいたのであります。私は一般の庶民がいわゆる政治資金に異常な強い関心を持っておるということをみずから痛感したのであります。したがって、今日この問題は国民の多くの者が非常に心から心配しておる問題だというふうに私は考えるわけであります。  実は官房長官、この前参議院で市川房枝さんが質問いたしました際に、それに対する釈明みたいなものが新聞に掲載されておりました。そのうちのある一つをとりますと、こういうふうにその方は述べております。前のほうを略しますけれども、その事務処理を知らない人がとやかく言っておるのであり、つまりいろいろ、たとえば市川さんがそういうことを批判しているのは、そういう実情を知らない人が言っておるのだ、どうのこうの言うのはやぼだ。こういうふうに言っておるわけでありますが、こういうふうにいまの政治資金の問題を取り上げて論議をすることはもう全くのやぼなんだ、そんなことはやぼの骨頂だ、こういうことだけで黙って済ませる問題であるかどうか、長官の御意見をお聞きしたいと思います。
  82. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 ただいまの同僚議員の御発言でございますが、これは与党の代表の御発言と承っております。しかしながら、政府といたしましては、少なくとも世論の強い要望というふうに受け取っております。
  83. 西宮弘

    ○西宮委員 ただいまの長官の御答弁は、そういう態度で受け取っておられるということは、われわれも非常に意を強うするのであります。それならばせめて——これは私は実は出身が仙台でありますので、私のほうの地方の新聞、河北新報と申しますが、そこに載っております社説であります。これはいわば地方民の声だといってもよろしいと思うのでありますが、この程度のことはぜひともやらなければならぬ問題ではないか。たとえばその社説の中に、一つは、今度の改正案は一歩前進というよりは半歩前進である。そういうふうにこの社説は見ておるわけですね。せいぜい半歩程度の前進だと。それから三点ほど指摘をいたしますが、政治的後進国のわが国とはいえ——私どももせっかく先進国、文明国といわれる日本も、どうも事政治に関する限り、政治資金に関する限り、あるいは事選挙に関する限り、残念ながら後進国といわざるを得ないと思うのでありますが、この新聞も、政治的後進国のわが国とはいえ、かつてこのような問題について与党内が挙党的にこのような態度をとったことがあるであろうか、つまり与党がこぞってこの法案に反対する、こういうような態度をとったことがあるであろうかといって嘆いておるわけであります。最後に、佐藤首相のようにつまらないことで閣議で閣僚に指示する総理はまれだが、総理、総裁としてこの人ぐらい勇断を欠く人は少ない。自民党と佐藤首相の命運が、この改正法案を通すかどうか、通すとしてもどんな通し方をするかにかかっている。こういうふうな言い方をしているわけです。よく新聞雑誌等に、佐藤総理がよく閣議で指示をする、これはまことに珍しい、いままでの総理になかったことだというふうに書いておるわけでありますが、その佐藤総理が、この案件に関する限りきわめて勇断を欠いている。こういうことを強く指摘をしておるわけております。私はせめてこの程度のことは地方民を代表する声だといってよろしいと思うのであります。したがって、先ほど長官がこれは世論のあらわれだというふうに理解しておられるようでありましたので、ぜひそういうことでこれを強く推進していただくようにお願いしたいと思います。  それでは、私は先ほど局長にお尋ねをいたしました数点について、私の意見を交えながら若干の御質問をしたいと思います。  まず第一は、いわゆる両輪論でありますけれども、両輪論のねらいは政党本位選挙をするということ、それから金のかからぬ選挙をするということ、これはわれわれも全面的に賛成でございます。そこで、政党本位選挙をするというのにはどうしたらいいか。これをもし徹底的にやるということであれば、完全比例代表制をとればいいと思うのです。そうなれば完全に政党本位で徹底的にやれると思うのですが、しかし、そうなりますと自民党は過半数を割ってしまうわけであります。したがっておそらく自民党としてはとらないだろう。そういうことになりますと、いわゆる小選挙区制だろうと思います。小選挙区制ではたして政党本位選挙ができるか、こういうことになりますと、たとえば保守、革新が一人ずつの候補で争っている、こういうときには確かに政党同士の争いということになり得ると思うのでありますが、そうではなしに、その選挙区、これは小さな選挙区になるわけでありますから、その選挙区内で保守、革新いずれかが圧倒的な力を持っているという場合には、必ずその一つの党の中で甲乙両輪が争う、こういう結果になることは当然であります。現にたとえば奄美大島の実例がそのことを物語っていると思う。そうしてこれはそれゆえにこそ各種の弊害が出ておりまして、いわばそういうきわめて狭い守備範囲の中で一つ政党同士で争うということになりますと、全く血で血を洗うような結果になるのではないかというふうに私どもは懸念をいたします。  金のかからぬ選挙でありますが、私は、その小選挙区制を金のかからない選挙という観点から申しましても、決してそうはならぬと思う。このことはすでに何人かが指摘をしておりますから私は省略をいたしますが、その守備範囲が狭いだけに、そこでいま申し上げたような血で血を洗うような争いが行なわれるということになったならば、もうおそらく金は問題じゃない。俗にいわれるように便所の落成式にまで御祝儀を持って歩かなくちゃならぬというようなことが起こらざるを得ないのではないか。そうなったときの弊害、害毒、これはまことにおそるべきものだと私は思うのでありますが、その辺について、これは自治大臣に伺いたいと思いますが、御所見いかがですか。
  84. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 政治を正しく明るくする手段としては、選挙制度の問題もありましょうし、根本的には国民政治意識の高揚というような問題もあります。また、政治資金の規制の問題もあろうと思います。これらのすべてがうまく組み合わされて初めてそういうことができる。また、金のかからない選挙というものはそういうものだと思います。したがいまして、ただいま御指摘のように、小選挙区にしたらすぐ金がかからなくなるかというお尋ねになると、私は、選挙運動の方法の改善であるとか、その他いろいろなものがそれとからみ合わなければ判断はできかねる問題だと思います。一般論として、小選挙区になれば金がかからないとよくいわれておりますが、これはやはりその他の、いろいろ選挙を取り巻く選挙運動の方法であるとか、その他いろいろなものがかみ合って初めて政党本位選挙ができ、個人の金がかからなくなるというものであると考えております。
  85. 西宮弘

    ○西宮委員 いわゆる金をかけない選挙ということについて、せっかくなるべく金をかけたくない——これはわれわれも当然でありまするし、自民党の皆さんもその点は全く同様だと思うのでありますが、それならなぜ今度の改正案では答申からさらに後退をするようなことをおやりになったのか、われわれは全く理解に苦しむのであります。私は、たとえばこれは選挙の際にお互いに競争する、選挙の過当競争が行なわれる、こういうことからおそらくこういう結果があらわれるのだと思うのでありますが、こういうふうに金をかけるということになれば、私は実は金をかけない場合と全く同様だと思う。いまはたいへん電話が普及発達をいたしましたが、前に電話が足りなかったころは、急ぎの要件は特急で申し込みました。しかし、だれもかれもが特急通話で申し込むということになれば、だれもが普通で申し込んだのと全く同じであります。選挙のときに金をかけて争うということは、それと全く同じだと思う。たとえば、これはたいへん卑近な例をあげて恐縮ですが、国会は毎年毎年、年賀状、暑中見舞いは出さぬ、こういうようなことを申し合わせをする。佐藤榮作さんをはじめとして、山口県の与党、野党の皆さんが名を連ねて、そういうものは出さないからあしからずというような新聞広告が出ておるのを見ました。そこで私は事情を聞いてみましたところが、なるほど印刷した年賀状等は出さないけれども、毛筆で書いたのが佐藤さんからたくさんに出ておる。そういう事実を知ったのであります。これはむしろたいへんな金がかかる。そのためによけいに金がかかっている、こういうことをやられておる。  あるいは、これは自治大臣にちょっとお尋ねしたいと思うのですが、たとえば国会が解散したときに、国会が解散したからよろしく頼むというような電報をたくさんに打つわけでありますが、ことしの解散の際なども、東京の発信全能力をあげて消化し切れないで、頼信紙を広島と福岡に運んであそこで打電をした、こういう話でありますが、実にばかばかしい。今日、新聞、テレビが発達した時代に、国会が解散したかしないかなんというようなことは直ちにわかる。なぜこういうことをやるのか。私は、これは前にはあるいはそういうことが許されておったのかもしらぬけれども、テレビの発達した今日、こういうことはむしろ許さるべきじゃないと思う。許す許さぬにかかわらず、こういう実にばかばかしい、くだらないところにもったいない金をかける、これがまさに今日の選挙の実態だと思います。そういう点について、ちょっと簡単にお答え願います。
  86. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 いまの解散の際に電報を打つ、まあ善意に解釈すれば、選挙の準備のための電報だから、したがいまして、常識的に許される程度の数であるならば、それは選挙の準備のための行為として許されると思うのでございますが、それが非常な数になるというようなことになれば、事前運動あるいは文書違反というような問題も生じてくるわけでございます。確かに西宮さんのおあげになりましたように、いろいろな通信手段その他が発達したときにおきまして、はたしてそういうものがほんとうに選挙に役立つかどうか、私も疑問に思いますし、また、前におあげになりました、いろいろ選挙区の者をごちそうしたりなんかするということも、お互いが同じようなことをやれば、一体それほどの効果があるかどうかということはほんとうに疑問でありまして、われわれはそういう点につきましては、今回の法律案は後退したとおっしゃいましたが、少なくともあの気持ちでやるべきではないかというふうに考えております。
  87. 西宮弘

    ○西宮委員 先ほど私は幾つかの問題点をあげて、実はそれを一つ一つ私の見解を述べながらお尋ねをしたいと思いましたが、予想以上に時間が進みますので飛ばしてまいりますが、その私が数え上げた問題のうちのあと一、二についてお尋ねをしたいと思います。  たとえば、政党政党として悪いことをしたことはない、それを政党を規制するのはけしからぬ、こういう御意見がありました。私はそうではないと思います。たとえばまず第一に、政党が取得をした金、それをさらに政党員に配る。たとえば代議士にしても何にしても、政党員に配る。その金によって所属の政党員が悪いことをする、こういうことがあるといたしまするならば、これはやはり政党が間接的に悪いことをしていることになる。それからもう一つもっと大事な問題は、そういうことによって政府の政策が左右される。金で左右されると言うと、そういうばかなことは絶対にないと答弁をされると思いますけれども、私は決してそうではないと思う。これはいろんな例をあげて申し上げることができると思いますが、そういう意味で国の政治の方向がそれによって方向づけられてしまう、こういうことは何よりも大きな問題だと思うのであります。  私は一つだけ例をあげて申しますけれども、ちょうどいま米価の時期でありますので、米価に例をとって申し上げるのでありますが、これは農林省につとめております農林省詰めの新聞記者の座談会であります。こういうふうに書いてあります。米価決定のいきさつについて、その代議士会——自民党の代議士会ですね、その代議士会で要求を全部きめて、この要求が通らなければ脱党するとか、いろいろ決議をするわけだ。ところが決議をしてから二時間もたてば、いわゆる師団長に説得されて、幹部の出した金額でバンザイだ。それでまあ終わりだというわけですね。師団長は言ってみれば財閥の代表だ、金をもらって選挙資金を出している。それが説得をすれば全部おしまい。それをはねつける代議士はいない。これは新聞記者の座談会で新聞記者が言っておるのでありまして、私が言うわけではない。だから、こういうことが事実であるとするならば、金で、たとえば米価の問題なども間接的にはそれできまってしまう。こういうことになるわけでありまして、私はこういう例は幾らでもあげることができる。私は、実はことしの予算委員会の際も、そういう問題はきわめて重大でありますので、特に重大な問題について指摘をしたのでありますから、ここではさらに繰り返しません。  要するに、たとえば金を出す人の立場から見ると、これはいわゆる善意の寄付制限するのはおかしいという御意見とも通じますので、そういう点とあわせて申し上げたいと思いますが、たとえば金を出すほうの側からいえば、金を出しつばなし、そういう気持ちでないことはもう疑問の余地はないと思うのです。これはかつて造船疑獄に連座をした財界人が検察庁で述べていることばであります。すなわち、一銭を争う財界人が見返りのない政治献金をするなどはあり得ない。そんな献金をしたら財界人としては失格だ。こういうふうに述べておるのであります。これは財界人、つまり会社は金もうけをするのが目的なんでありますから、その金もうけをする会社がどぶに捨てるつもりで金を出すばかはないので、それはちゃんと見返りを考えているに違いない。あるいはこの間選挙が済んだ後の「エコノミスト」には、こういうふうに巻頭論文に書いてあります。「佐藤政権と与党主流派のために一はだ脱いだ財界は、これで二十億とやらを短時日の間に回収し、これからゆうゆうと利潤をあげることが約束されそうだ。」こういうふうにいっておるのでありまして、要するに、自分たちに都合のいい政治が行なわれたり、あるいは自分たちに都合のいい情報を流してもらったり、そういうことが十分に期待される。こういうことで出した金は決してむだにならぬ、そういうそろばんであることは申すまでもないと思うのであります。したがって、私はそういう点でこの政治全体が大きくゆがめられてしまうということが最大の問題、私はこの問題について実はたいへんこれはオーバーな表現で恐縮でありますが、私自身はほんとうにこの問題を命がけで取り組んでいきたいというふうに実は自分で考えておるわけです。なぜならば、そうでないと政治全体にいろいろと大きなゆがみを来たすからだというふうに私は考えております。むろん、私みずからまことに欠け目の多い人間でありますから十分なことはできないでありましょうが、とにかく私はそういう決意で当たっておるわけでございます。  もう一つだけ人のことばを引用させていただきます。これは有力証券会社の重役の談話として読売新聞に載っておりますが、「ぼくも宴席で先生方といっしょになることが多いんだが、金を出していると思うと、先生方が召使いのように見えてくるな」こう言っておるわけであります。これは読売新聞の一月の記事であります。こういうふうに宴会の席ではなるほど床の間にすわらしてくれるかもしらぬ、先生と呼んでくれるかもしらぬ、しかし腹の中では召使と思える。こういう気持ちで、私はこういうふうに思われてまでドルの前に、黄金の前にひざまずかなければならぬのかと思うとまことに情けない限りであります。こういうふうに、つまり召使のようにというのは、自分たちのやりたいと思うことを頼めば何でもやってくれる、われわれの都合のいいことをやってくれるのだ、こういうふうに彼らは考えておるわけでありまして、私はそれが今日の政治を毒する最大の問題であるというふうに繰り返し指摘をしたいのであります。  いろいろ申し上げてまいりましたが、要するに、さっき数えあげましたようなたくさんの問題点が自民党の皆さんから御指摘になっておられますが、結局、庶民の気持ちでものを考えたならば、そういうむずかしい憲法論とか、そういうことはしばらくさておいて、一体ああいうばく大な、膨大な金がどこからきて何に使うのだということが庶民の偽らざる感覚だと思うのであります。したがって、ああいうばく大な金がどこからきて何に使うのだということに対して答えができさえずれば、それで庶民に対する納得を得られると思うのでありますが、残念ながら今日その点が全く不明確なわけであります。午前の委員会で同僚のわが党の小松委員からもその点ずいぶん指摘をいたしましたが、そういう点、まことに残念でありますが、きわめて不明確であります。  そこで、私は選挙の問題に問題をしぼりまして、次にお尋ねをいたしたいと思います。つまり、要するに選挙に金がかかる、それが災いのもとなんでありますから、選挙の問題をどうしてもわれわれは取り上げなければならないと思うのであります。  先般、田中前幹事長が朝日新聞の座談会でこう述べております。「選挙中に法定選挙費用以上集めようということは、もうすでに違法行為をやっているのであって、それを集めないという原則であれば、この法律が施行されても、選挙の金にことさら困るというようなことは理論的にも実際的にもないはずです。」まさにそのとおりだと思います。私は田中さんの言うとおりだと思う。だから、要するに選挙が法定選挙費用でやれる、こういうことが、そういう原則が実行されるならば、今度のこの改正法が通っても理論的にも実際的にも何一つ困ることはないのだ、こういうことを言っておるので、まさに私は至言だと思います。それならば自民党の皆さんが反対するゆえんは毛頭ない。ところが、残念なるかな、今日選挙の現実はそのいわゆる法定選挙費用が守られておらない、さればこそ自民党の皆さんがこの新しい改正法に強く反対をするのだと思うのであります。なぜ選挙においてせっかくある法定費用が守れないのか。日本国民は法律を守るということにはかなり忠実であります。法律にそむくということはかなり重大だと考えております。ところが、事選挙に関する限り法律にそむくということを全く問題にしておらぬ。全然問題にしておらぬと言ってあえて差しつかえがないと思う。こういう現実は実に遺憾の限りだと思う。  そこで、それじゃお尋ねをいたしますが、法定費用でなぜやれないのか。これは予算委員会のときも自治大臣にちょっとお尋ねをいたしましたが、この機会にひとつお尋ねをいたします。
  88. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 選挙について法定費用の限度がありまして、それが守られなければならないことは申すまでもございません。おそらくその選挙時に法定費用以上を使う、特殊な買収供応をやるというような悪質な人は別として、選挙時に法定費用以上かかるというようなことはあまりないのではないか。むしろ選挙時以外、平常その選挙区の培養と申しますか、そういうことに相当な費用をかけておられるのが現状ではないかと思います。もっとも、法定費用そのものについても、たとえば最近の物価情勢からいって、人夫賃を七百円というようなことにきめておること自体にあるいは再検討を要するものがあろうかと思いますが、いま申し上げましたように、私は選挙に金がかかるというよりも、結局は選挙のためでございますが、平常の選挙区に対する金、これが相当かけられているのではないかというふうな理解を持っております。
  89. 西宮弘

    ○西宮委員 官房長官の都合があるそうでありますから、話が飛びますけれども、官房長官に二点ほどお尋ねをし、またお願いをしておきたいと思います。  私は、ぜひこれは佐藤総理にお伝えを願って、佐藤総理から適当な機会に、あるいはこの委員会に御出席ならその機会にお答えをいただきたいと思うのでありますが、佐藤総理あるいは佐藤総裁ですね、選挙は法定費用でやる、いま田中さんが言ったとおりに法定費用でやる、こういう強い姿勢を示せるかどうかということであります。これは私は先般も指摘をしたのでありますが、たとえばこの間の選挙で自民党がお出しになりましたのは貸し付け金も合わせて三百万であります。これはすでに平均の法定費用を上回っているわけであります。そういうばかなことがあり得るかということなんであります。だから私は、少なくとも公認料として、あるいは貸し付け金も合わせて、これはあとで官房長官がお帰りになってからゆっくり議論をいたしますが、それも合わせてですが、法定費用を上回る金を渡す、こういうことはまさに言語道断だと思うのです。そういうことでどうして選挙は法定費用でやれというようなことが主張できるでしょうか。自民党の皆さんがこの間の一月の選挙でお使いになったものを各都道府県の選管に報告をしております。私は全部それを取り寄せました。ただし、まだ未発表の分がございまして、そういう府県がございますので全部集まりませんでした。これは当選した方だけについて集めてみますと、二百九名だけ集まっております。あとでゆっくり申し上げたいと思いますが、これの支出の平均は百六十三万六千七百八十一円、つまり選挙の資金は百六十三万六千七百八十一円で上がっておるわけであります。こういう報告がなされておる。いかにこれが世間を愚弄した結果であるか、こういうことでもしも上がるならば、何を大騒ぎしてこういう法律をつくる必要があるのか、あるいはまた、こういう法律をつくろうとするのに対して抵抗する必要があるのか、全く問題外だと思うのです。こういう報告をしながら——これはあとで自治大臣からも伺いますが、おそらく自治大臣は、それ以外の経費が出るのだと答弁をされると思います。私はそれを克明に伺いたいと思うのであります。とにかくそういうものを加えても、私はりっぱにやれると思う。そういう点で、もう少なくとも党からお出しになる金は、法定費用を上回る金を候補者に渡すというばかばかしいことが行なわれていいというはずは絶対にないと思う。これはぜひとも佐藤総理からその点についてお答えをいただけるようにお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  90. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 お説のとおり金をかけない選挙、これは私ども政治家の自覚が一番大事でございます。しかしながら、金をかけないようにしようとしても、やはり現在の制度では金のかかる選挙になるのも現実でございますから、やはり金のかからぬ選挙制度にいたしますには、ただ政治資金規正法の改正案だけでなしに、選挙制度全般についての改善が必要だと思います。また、いまお尋ねがありました総裁としての総理に対する御注文の点は、党の立場でございますから、私からしかと伝えます。
  91. 西宮弘

    ○西宮委員 それでは官房長官のお答えは、端的にいえば法定費用は守れません、こういうお答えでございますか。
  92. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 私はそうは申しておりません。ただ金のかからない選挙をやはり実現しなければならないということだけ申し上げたのであります。
  93. 西宮弘

    ○西宮委員 そうじゃないしに、私の質問に答えてください。法定費用でやるのかやらないのか、それだけ答えてください。
  94. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 法定費用でやるかやらぬかは、各候補者自身の自覚と、また態度の問題でございますが、総裁といたしましては、私からお答えする限りではございませんけれども、総じて私ども政治家あるいは選挙の候補者は法定選挙費用を守るのが当然でございます。私どもといたしましては、あらゆる努力を払って法定選挙費用内で選挙をしたい、こういう考えは変わりはありません。
  95. 西宮弘

    ○西宮委員 各候補者の心がまえだということでありますが、さっきお尋ねした自民党としては——あなたは政府の役人ですから党の立場でお答えができないと思いますが、自民党としては、その法定費用以上は渡さない、そういうことを佐藤総理に伝えていただいて、佐藤総理から答弁をもらいたいと思うのですが、それは引き受けてくれますか。
  96. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 いま御要望のありました点はよく伝えますが、ただ党の総裁としての立場でございます。私は党人として総裁に伝えることはお約束いたします。
  97. 西宮弘

    ○西宮委員 それじゃ、それはぜひ総理にお伝えしていただくように、そして確言をして、ここでお答えを願えるようにお願いしておきます。  もう一つ官房長官にお願いしておきたいのは、かつて問題になりました国会対策費であります。あれについて世上いろいろな疑惑があるわけでありまして、これはぜひとも適当な機会にどなたからでもけっこうでありますが、その内容をお示し願いたいと思うのであります。このこともひとつ総理に、あるいは総裁にお伝えを願いたいと思う。これは先般の議論では、自民党内の金の使い方なんだから国会の論議する事項ではない、こういう答弁でありました。もちろんそうだと思います。しかし、事いやしくも国会対策費と名づける限り、これが何か自民党内でお使いになるそういう名目の金なら、それでよろしいと思いますよ。何か党員を激励するための会の費用とかなんとかそういう費目であれば私はあえて問題にいたしません。しかし、国会対策費ということであると、これはどうしたって国会の中でそういう金が要るのだ、いわゆる国会運営上そういう金が要るのだということになりまして、世間へ疑惑を持たすのは当然であります。しかもこの金は年々歳々ふえておる。たとえば安保のありましたあの激しい年でさえ千三百万であったものが、三十九年には五千四百万になり、四十年には一億をこして、昨年は一億六千二百五十五万になっておる。こういうふうに年々歳々非常な勢いで膨脹しておりまして、世間では、ややもするとこれが野党に渡っておるのではないかという疑問さえ持っておるのでありまして、なぜ国会対策——私は繰り返して申しますけれども、別な費目でお使いになるならば、これは他党の内部のことでありますから、われわれは何ら干渉いたしません。しかし、いやしくも国会運営のためにこういう経費が要るのだということになれば、これは黙っているわけにいかないと思う。ぜひ何らかの形で、もし国会で報告することが筋違いならば、たとえば新聞記者会見で発表してもいいでしょうし、方法は幾らでもあると思う。これはぜひ総理から御返事をいただくように、ひとつこれをお願いしておきたい、いかがですか。
  98. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 ただいまのお話も、党の国会対策費の問題でございまするから、幹事長を通じまして総裁にお伝えいたします。
  99. 西宮弘

    ○西宮委員 それでは、ぜひともその点に関しまして佐藤総理から確約をとっていただくようにお願いいたしたいと思います。  私は続いて質問をいたしますが、官房長官に関連質問を一つされるそうですから。
  100. 島上善五郎

    ○島上委員 ちょっと官房長官おいでの機会に質問し、かつ要望しておきたいのです。  というのは、この法律は与野党ともに重要法案として、特に提案者である政府においては、今国会で成立を期したいと再三にわたって言明していらっしゃる。私たちは、政府の原案は数カ所で骨を抜いているから、この骨を答申の線に戻して、そうして今国会で成立を期したい、こう考えている。そこで私たちは理事会で再三、今国会で成立を期するためには、もうこの辺で全体の審議日程をきめる必要があるというので、野党がきわめて具体的に建設的な提案をしておる。今週はきょうと七日、来週は定例日は十二日です。そこで私たちは、今週のきょうと七日で大体いままでの話し合いでいきますれば、自民党が八人、社会党四人、民社一人、公明一人、それぞれ質問できますから、もし参考人を自民党さんでお呼びになりたいというならば、十日の月曜日にしようではないか、そうして来週の定例日の十二日には総理においで願って各党一人ずつの総括質問をして、締めくくりの質問をして、ここでひとつ対論終局、委員会採決、こういうふうにしようではないか、そうすれば十三日の本会議提案できる。それでも参議院はあと一週間しかありません。最小限参議院に一週間の審議の時間を見ないわけには参りませんから、こういう提案をしておりますが、なかなか委員長をはじめ理事諸公が、党で相談をするということで色よい返事が得られない状況です。これはひとつ官房長官もお耳に入れていただきまして、他の法案につきましては、ずいぶん政府は与党の委員長あるいは委員理事諸君に審議促進の督励をしておるはずです、あるいは指示をしておるはずであります。この法案の会期内成立のために与党の委員長及び委員理事諸君に審議促進についての督励なり、指示なり、党の総裁として与えてほしいと思う。それこそ積極的な勇断をもって与えてほしいと思う。こういう指示ないし督励をされるお考えがあるかどうか。まあ、総裁ではありませんからはっきりした御答弁が得られなかったならば、ぜひあなたは私のいま申しましたことをよく胸に刻んでいただきまして、総裁にお伝え願って、そのような取り計らいをぜひ願いたい、こう思います。
  101. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 総理も、この法案を閣議で決定いたします際に、会期内成立を期するようという閣僚に対する指示をいたしました。しかしながら、国会に提出いたしました今日におきましては、国会審議の順序その他もございまするので、すべて国会におまかせしておる現状でございます。私も、いまおことばがございますので、党の機関を通じて総裁である総理によく申し伝えたいと思います。
  102. 島上善五郎

    ○島上委員 国会提案した以上は国会審議にゆだねる、こういうだけでは私は済まないと思うのです。ほんとうに会期内成立を期するならば、与党ですから、総理大臣であると同時に総裁ですから、総裁として党の委員及び理事に対してしかるべき強力なる指示、督励をするのは当然だと思うのです。それをしなければ会期内成立をはかるということがから念仏であったということが世の中にはっきりとわかってしまうわけです。総理大臣はときどきから念仏を申しますけれども、事この問題に関しては、から念仏を申しましたら相当佐藤内閣の信頼にかかわる、誇張して言えば命運にかかわる問題にすらなりかねないと思うから、このことをひとつ強く要請しておきます。  ついでにもう一つ、悪いのですけれども、今度は自治大臣に……。自治大臣は先般の答弁の際も申されましたし、その他の機会でも言っていらっしゃるようですが、修正に応ずる用意があるという意味のことですね。応ずるも応じないもない、委員会で修正となればそういうことになりますけれども、ただし、この修正ということについては二通りの内容があると私は思うのです。と申しますのは、これは的確かどうかわかりませんけれども、自民党の中には、この法律がもし今国会で成立するようならばさらに修正を加えよう、相当の中骨、大骨を数本抜いております上に、さらに後退した、さらに骨を抜いた修正を加えようという動きがあると伝えられる、そういう修正もある。それから野党のわれわれは七日に出しますけれども、答申の線に戻す、答申に最も忠実な修正を出そうとしておる。答申尊重の政府は、私は、当然答申の線に戻す修正を好ましいものとお考えになると思いますが、その点いかがでございましょうか。
  103. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 政府答申を尊重いたしまして、現在提出しておりまする法律案が最善のものとして提出をいたしたわけでございます。したがいまして、原案が通ることが最も好ましいのでございますけれども、審議過程におきましていろいろお知恵を出していただいて、よりよき法案になるならば、あえて原案を固執しないというのが一貫した私の態度でございます。
  104. 島上善五郎

    ○島上委員 そのよりよき修正です、それが問題です。よりよきというのは、政府答申尊重ですから、答申の線からすでにもう相当後退した、骨を抜いた案だと私は思いますが、それがさらに後退したものになる。こういうことはどう考えても、あなたのことばをすなおに解釈すればよりよきものではないわけです。よりよきものは答申の線に戻すものがよりよきものだと思うのです。私はそういうふうに解釈しますが、よりよきものというのは答申の線に戻ることを意味するのか、答申からさらに後退することを——よもやそんなことはあるまいと思いますが、もう一ぺん念のために伺っておきます。
  105. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 現在の政府案は決して答申の線から後退いたしたとは思っておらないのでございまして、これが現在の最善の案と考えておるわけでございます。よりよきというのは、皆さま方のこの委員会の御論議の結果、この現在の政治情勢下においてこれがいいんだという御結論が出たら、それには従いますということでございます。
  106. 西宮弘

    ○西宮委員 先ほど申し上げましたけれども、自民党の皆さんで、二百九名の方でありますが、支出の平均は百六十三万六千七百八十一円になっておるわけでありますが、これはいわゆる選挙法上選挙費用として指定されている費目についての金額であることはもちろんであります。現実はそれ以外にいろいろ金がかかるわけであります。どういう金がかかるか、これはこの前予算委員会で、それ以外に金がかかるんだという自治大臣の御答弁だし、また私もそうだと思います。それではどういう金がどの程度にかかるのかを、大臣でもよし、局長でもよろしゅうございます。お聞かせください。
  107. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 公職選挙法の百九十七条、「左の各号に掲げる支出は、選挙運動に関する支出でないものとみなす。」これは立候補の準備のもの、それから「公職の候補者が乗用する船車馬等のために要した支出」、あと小さいものもございます。それから第二項に、「第百四十一条」これは選挙用に使ういわゆる宣伝車でございますが、「の規定による自動車及び船舶を使用するために要した支出も、また前項と同様とする。」ということでございまして、まあ一番かかるものとしましては、公職の候補者が乗用する船車馬等のために要した支出、それからいわゆる宣伝車のための支出、これらが相当かかると思います。地方によりまして、またそれを買い上げるのか借り上げるのかというようなこともいろいろありましょうから、金額にはずいぶん差があると思いますけれども、いずれにしましても候補者が使う自動車と宣伝車の費用は相当額になるものと私は考えます。
  108. 西宮弘

    ○西宮委員 いわゆる俗称選車ですね。マイクのついた選車、それからもう一つ宣伝車、こういうことでありますが、むろんこの幅はありましょう。二十一日間使う車でありますが、大体常識的にどの程度かかりましょうか。局長でもけっこうです。
  109. 降矢敬義

    降矢政府委員 ちょっといまお答えできませんので、調べてお答えいたします。
  110. 西宮弘

    ○西宮委員 それでは保留いたします。私はあとで具体的な数字で御返事を伺いますが、いずれにしてもそう驚くべき金額ではない、何百万、何千万という金額ではないと思う。そうだとすれば、先ほどの平均した数字にそういうものを加えてみても、これまた驚くにあたらないきわめてわずかな数字済みまして、したがって田中前幹事長が言ったような、理論的にも実際的にも何も心配する必要はない、そういう限度内で選挙が行なわれるに違いないと思う。それではその点はあとで、御返事があってからさらに御質問をいたしましょう。  国税庁長官が見えておりますので、選挙費用について、税の立場からお尋ねをしたいのでありますが、その前にちょっと……。午前中の委員会でわが党の小松委員が質問をいたしました。それは、政治資金規正法の届け出を見ると、派閥その他から非常にばく大な金が各人に出ておる、そういうものについて一体税金はどうなるんだというような質問でありましたが、税の関係者がおられませんでしたので、だれも答弁がありませんでした。そこで私は国税庁の長官にお尋ねをしたいんですが、実はこれは去る五月の何日でしたか、私は大蔵委員会でその点を質問いたしました。そうして長官から答弁をいただいておりますので、そのときの答弁を私のほうから逆に要約して申し上げますから、それで間違いがないかどうかということを簡単に、イエス、ノーで御返事願いたいと思います。  当時の長官の答弁は、いわゆる派閥等から出た金については、百万円以上のものを対象としてこれを調査する。これは政治資金規正法に基づいて届け出をしたかしないかには何ら関係がない。しかして、むろんこれに見合うところの雑支出がある場合にはその雑支出は差っ引く。その残高が課税の対象になる。そのいわゆる必要な支出、雑支出が行なわれたかどうかということは、支出をした人が説明をすべきである。つまり、いわゆる挙証責任は支出をした人が負うべきである。こういうような御答弁であったと記憶をいたしております。つまり、何千万というそういう金が特定の人に渡されたという届け出が政治資金規正法では出ておるわけであります。それについて従来は全く不問に付しておった。ところが、昨年度からこれを対象にして調査をすることになった。その調査をする場合には百万以上を対象にする。そしてそれはいわゆる追跡調査をする。その際には、政治資金規正法によって届け出たかどうかということは問題外である。雑支出の支出があったと称する人については、その人から説明を徴する。その人からそれを証明をしてもらう。そしてそれに残額があれば、それを課税の対象にする。こういうお答えであったと思いますが、間違いがないかどうか、お聞かせください。
  111. 泉美之松

    ○泉政府委員 お答えいたします。  先般大蔵委員会におきまして西宮委員から御質問がありまして、私お答えいたしました内容は、いまお尋ねのとおりでございます。ただ、そういった政党または派閥から個人たる政治家に支出されました金額の幾ら以上を調査するかということは、これは別段法律や何かできまっておるわけではございませんので、そのときの行政の必要に基づいて調査するのでありまして、したがって、いま一応百万円というようなお話が出ておりますけれども、それを考慮して、それじゃ百万円以下ずつに分けて支出するというようなことが行なわれますと、それでは困りますので、その金額は、その調査上の必要に応じてきめていくことにするわけであります。したがって、おれは百万円以下しか受け取っておらないのに調べるのはけしからぬということを言われないように、私としましては、その点だけは調査上どういうふうにするかはそのときどききめていく、こういうふうに申し上げたいと存じます。
  112. 西宮弘

    ○西宮委員 わかりました。私が予算委員会でお尋ねをして答弁をいただいたことは、私の理解、おおむね間違っておらなかったと思います。  さて、これはけさの質問に関連をしてついでにお尋ねをしたいのであります。私は選挙に関連をしてお尋ねをしたいのであります。選挙の場合には収入と支出、つまり支出というのは選挙費用でありますが、その間に開きがありましても、その収入について課税の対象にしない。つまり支出を収入がオーバーしている。オーバーしている分についても課税の対象にしない、こういうふうに取り扱われておる。私も実は法律もかなり読んでみたわけでありますが、あるいは法律の解釈論等もかなりあさってみましたが、おおむねそういう解釈があり、またそれに反対する意見もございます。前の国税庁長官でありまして渡辺喜久造さんですか、あの人の反対論もあります。ただ常識的に、あとで局長から答弁があると思いますけれども、いわゆる狭義の、狭い意味選挙費用のほかに許される金がかかるというものがありまするから、したがってその分も見なければなりません。ここで私が取り上げておりまするのは狭い意味選挙費用でありますから、これだけで支出が全部済んだというわけにはもちろんまいりませんから、これ以外の経費も、やがてあとで局長から答弁があるであろうそういう金額等はもちろん加算をしなければなりませんが、おおむねそれと見合った収入ならば課税の対象に考えない。こういう見解ではないかと思うのでありますが、国税庁の見解はどうですか。
  113. 泉美之松

    ○泉政府委員 御存じのように、所得税法の第九条第一項第二十二号にいまお話しの規定があるわけでありまして、同様の規定が相続税法のほうにございます。所得税法のほうの規定は、「公職選挙法の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し法人からの贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、同法第百八十九条の規定による報告がされたもの」、これは一時所得になるけれども所得税は非課税とする。それから相続税法の規定は、同様の内容のものでありますが、個人からの贈与によって取得したものはこれは贈与税の対象になるが、それを非課税とする、こういうふうに規定されておるわけであります。  ところで、お話しのように選挙の際に個人または法人から収入がありまして、それを選挙運動のためにお使いになるわけでありますが、その際、収入と支出の間に差があったらどうなるか、こういう点でございます。この点につきましては、私どもといたしましては、現行の所得税法あるいは相続税法のいま申し上げました規定は、選挙に関して収入したものは同時に選挙運動のために支出される、まあ普通にはその収入でもなかなか支出をまかないきれないで、自分の金を出さなければならぬ場合が多いというふうに理解いたしておるのでありまして、収入があったけれども、それを支出しなくて済んだという事態は想定をいたしておらないのであります。したがって、この所得税法なり相続税法の規定は、収入したもので公職選挙法規定によって報告がされたものを非課税にするというのは、収入されたものが同時に支出されるからという考えであると思います。  ところが、いまお話のように、収入されたものが全部支出されないで残った、それは非課税のものとして税を払わなくてもいいのか、こういう点になりますと、私どもはここの公職選挙法第百八十九条の規定による報告の以外にいろんな選挙に関しての支出があると思いますので、そうした点に支出される部面につきましては、これは政治活動に伴う必要経費として認めるべきだと思いますけれども、しかし、収入と支出の間の差があって、それによってたとえば家をお建てになったとか、あるいは預金をされたとか、株をお買いになったというような場合におきましては、その部分は非課税の対象になるものではない、当然所得税の課税対象になるべきものだ、もし所得税法のいまの規定がそういうふうな解釈が困難であるというのであれば、そういうふうな解釈になるように規定を直すべきである、このように考えております。
  114. 西宮弘

    ○西宮委員 それでは具体的に二、三の例をあげてお尋ねをしたいと思うのですが、いま長官のお話は、入ったものはいずれば選挙に使われたであろう、そういうふうに考えられるので、その場合には課税対象にしない。こういう答弁でありましたけれども、その差があまりにも大き過ぎるのがあるわけです。たとえば、いわゆる収入のほうで一千万をこえるもの、これは何も個人の名前を申し上げても別に秘密をあばくわけでも何でもないので、公に報告したやつ、公開し、公表されておりますものを私はただ抜き書きをしてきただけなんでありますから、何も秘密を暴露するわけでも何でもないので、失礼に当たることもないと思います。そこで申し上げますが、たとえば一番多いのが中村梅吉さんで一千二百六十二万六百円、支出は二百六十四万五千八百十七円。關谷勝利さん、一千二百二十万三千円、支出は百二十二万三千四百二円、十分の一ですね。川崎秀二さん、一千百三十八万円、支出は百九十一万四千九百八十九円。渡辺美智雄さん、一千二十万八千七百五十円、支出は百六十三万九千二百九十二円。その他ずっと並んでおりまするけれども、いわゆる一千万をこえる収入の方はこの四人であります。これに見合う支出のほうはいま読み上げた程度であります。それにプラス広い意味での選挙費用がかかるといたしましても、この差額はあまりにも開き過ぎる。こういうことになると思うのですが、こういうときにはどうですか。
  115. 泉美之松

    ○泉政府委員 その点につきましては先ほど申し上げましたように、収入したものはすべて非課税であるというふうには私どもは取り扱っておらないのでありまして、もしその差額をもって家をお建てになるとか、預金をされたとか、株をお買いになったというときには、それについては当然課税する、こういう態度であります。
  116. 西宮弘

    ○西宮委員 そういうことになりますると、要するにそういう差が激しいもの、これは当然に問題だと思うのですが、もちろんそれで家を建てたとかなんとかする、外見上そういう点があらわれれば徴税上は非常にしやすいということになりましょうけれども……(「そのまま持っておったらどうする」と呼ぶ者あり)いまもどなたか発言があったように、たとえばこれをそっくりそのまま持っている、いわゆるたんす預金をしておくというようなことだってあり得るわけなんです。そういうことになると全く捕捉できないという懸念があると思う。この事実からそっちのほうを逆に追いかけていく、追跡をしていく、こういうことはおやりにならないのですか。
  117. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話のように、選挙運動に関しての御報告の中には収入と支出の間に相当開きのある報告をされていられる方がございます。したがいまして、私どもはそうした開きの部分がどういうふうにお使いになられているかという点について調査をいたす予定にいたしております。
  118. 西宮弘

    ○西宮委員 それはそれで十分調査をするということでありますから、それではその結果に期待をすることにいたします。ただお断わりをしておきますが、これはたまたまこういう収入を報告をされたので、私はいま報告をされたこの皆さんなどはむしろ正直な人ではないかと思うのです。実はそうではなしに、相当の収入がありながら何ら報告をしておらない、そういう人が実はかなり多いのではないか。かなり多いのではないかというより、私は具体的の例を全部持っております。持っておりまして、まことに非常識きわまると思うのでありますが、いま時間がありませんからその点はここでは省略をいたします。ですから、むしろそういう人には、いわば表に出さないで全部やみからやみに使ってしまう、そういう懸念がありまするので、私はそういうところに十分国税当局としては関心を持ってもらいたいということを希望しておきます。  その次にお尋ねをしますが、自民党では先般の選挙で二百万の公認料のほかに百万円の貸し付け金を出されたはずでありますが、このいわゆる貸し付け金と称するものは国税当局としてはどういうように見ておられますか。
  119. 泉美之松

    ○泉政府委員 まず、先ほどのお話の選挙あるいは政治活動に関連いたしまして収入いたします場合、それを公職選挙法規定あるいは政治資金規正法規定によって届け出る人と届け出ない人とがある。したがって、課税にあたってはそうした点を十分考慮しろという点はまことにごもっともでございまして、私どももそういった点を十分注意してまいりたいと存じます。  それから、自民党の方の選挙について昨年末貸し付け金が百万円各自に出されておるそうであります。それにつきましては、私どもといたしましては、貸し付け金というのが単に名目であって、実質上返す必要がなく、金利もきまっておらない、返済の条件もきまっておらないというのでありますれば、それは名目上貸し付け金でありましても貸し付け金と認めるわけにいかない。したがって、それを収入を得たものとせざるを得ないというふうに考えるわけであります。そこで私、せんだって自民党の経理局長さんにお目にかかって、あの百万円はいかなる性質のものでございますかということをお尋ねしたのであります。そのときのお話でございますと、今度のはほんとうの貸し付け金であって、いずれ返済する条件をきめて返済を受けるんだ、こういうお話でございました。もしそれが事実そういうことでございますれば、それは普通の貸し付け金と見ざるを得ないというふうに思います。事実そういうふうな返済が行なおれるかどうか、これによって決することだと思っております。
  120. 西宮弘

    ○西宮委員 もし文字どおり貸し付け金であるならば問題はないと思うのでありますが、ただ私どもは実態がわかりませんので、新聞等の記事で見るだけでありますが、これは去る一月二十日の週刊朝日でありますが、こういうふうに書いてあります。「この百万円は貸付金といっても、無利子で、返済期限もない。いや、従来の選挙でも、この種の貸付金を返済したばか正直な男は一人もいないそうだから、今回の候補者たちもむろんいただきのつもりでいる。」こういうふうに書いておるわけであります。さらに、ことしの五月二十五日の読売新聞でありますが、これによりますと、毎月一万円ずつ差し引いておる。ただし、これは党本部ビルの建設費の分担金である。党本部の建設費の分担金として徴収するものを毎月一万円ずつ引いて、それを貸し付け金の返済であるというふうな説明であるという話でありますが、もしそれが事実であるといたしますと、たとえば私どもも毎月一万円ずつ社会党本部の建設資金を取られているので、それと同じような性質のものじゃないかと思う。もしそういうことで——さらにその百万円がかりに月々一万円引かれるといたしましても、一万円ということになりますと百カ月かかるわけですね。これはとても通常いうところの貸し付け金とはとうていみなせないと思う。だからそういう点を十分国税局としては調査をされて、その上でりっぱな貸し付け金である、文字どおり貸し付け金の実体である、こういうことであれば私はそれ以上追及いたしませんけれども、それをぜひとも明らかにしてもらいたいと思います。それをこの次の機会に——この次といいますか、その調査ができたときにお聞きをいたしますから、お願いをいたします。  だんだん時間がなくなりますので、それでは最後に、刑事局長においでを願っておりますのでお尋ねをしたいのですが、それは先刻も申しましたけれども、党の本部あるいはまたいわゆる派閥等から非常に膨大な金額が特定個人に交付されておる、こういう届け出がされておるわけであります。ところが、それに対して先般その点を参議院で市川房枝さんが指摘をいたしました。そういたしますと、交付されたという相手の方々がいずれも新聞を通じて釈明をしております。それを見ますと、たとえば参議院の斎藤昇さん、この人は四千二百万もらったことは事実である。しかし、それは公金であるから使途は明らかにできないと言っておるわけです。この人は四千二百万もらったことは事実だということを認めております。その他の皆さんは、ほとんどの人が、そうではなしに、単に私は名前を使われただけだ。そういう派閥の団体があることも知らないというような答弁をしておられる。これは田中茂穂さんであります。この人は最も極端に、私は完全に被害者であるという答弁をしておられます。あるいは一ぺんもらったけれども、それは直ちにみんなにばらまいてしまい、だれにやったか一々覚えておらないという答弁があります。あるいはたくさんの人、数人、数十人に渡す金を便宜上私の名前にしておるので、これは毎年の通例だ、こういう答弁をしておるわけであります。  そこでまず自治大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、これでは明らかに現在の政治資金規正法の法律違反である。もしこれが事実ならば、申告をした人が、全く本人の知らない間に本人の名前をかたって届け出をしておる。こういうことであれば届け出の虚偽、申告の虚偽あるいはまた備えつけた帳簿の虚偽、あるいはまた、おそらくこれは法律に基づいて領収書がついていると思いますから、その領収書は偽造だ、こういうことにならざるを得ないと思うのですが、自治省の御見解はどうですか。
  121. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 具体的な事実が判明しませんのでお答えしにくいのでございますが、少なくとも収支報告に記載されている内容が真実に反しておるということならば、これは虚偽の報告になるわけでございます。ただ、御本人が知らなくても、秘書等が現実に収支に関与して現実の金の授受があったとすれば、それは虚偽の報告とはならないと思います。
  122. 西宮弘

    ○西宮委員 もし最後に言われたようなそういうことになれば、結局本人が受け取ったということでありましょうから、これはさっき申し上げたように税の対象として議論をする以外にないと思う。しかし、もしこの本人が言うとおりに、自分は何も受け取ったことがない、見たこともない。こういうことであるとすれば、いまの長官の答弁のとおり、これは虚偽の申告だということになるわけですが、警察当局としてはこういう点はどういうふうに始末をされますか。
  123. 内海倫

    ○内海政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問についての考え方、見方は大臣から御答弁されたとおりでございますが、もしそれが真実の記載でない虚偽のものであるということがはっきりしますならば、これは法に違反の行為でございますから違反という事実は出てくると思いますが、私ども政治資金規正法等の取り扱いにつきましては、他の一般的な公職選挙法規定等と異なりまして、いわば行政的な法規であろう、こういうふうに考えております。したがいまして、そういうものはできるだけ行政的に措置される、あるいは行政的な措置で救済されるというふうなことが望ましい。いわば私どもの取り締まりというふうなものによって、こういうふうなものが強く入り込んでいくということは必ずしも適当でない場合もあろうと思います。そういう意味で、私どもは今後もこういうふうな問題に対しましては具体的な事例そのものについて十分考えていくという立場をとっておりまして、いま抽象的、一般的にこれについてどうであるかということのお答えは遠慮させていただきたいと思います。
  124. 西宮弘

    ○西宮委員 抽象的なお答えは遠慮させてもらうというようなことでは、責任ある答弁とはいえないと思う。遠慮させてもらうということでは責任者の答弁にはならぬと思う。その点は明らかにしなければならない。たとえばつい最近の例をあげると、重政代議士の秘書をしておったという人、あの人はこの届けをしておらない。あるいは帳簿には記載しておらない。こういう理由で逮捕をし、あるいはまた起訴をしておるわけです。今日まで現行の政治資金規正法で受理された、事件として該当したものは、昨年までの合計で、これは検察庁の統計でありますが二百五十八件ある。その中で起訴されたものが三十三件、不起訴になったものが百五十一件、結果は不起訴が多いのでありますが、とにかくこの程度のものが出ておる。さらに最近の例としてはいま申し上げたあの人ですね。あの人などはこの法律違反のゆえをもって逮捕をし、起訴をしておるわけですよ。そういうことならば歴然たる——たとえば新聞に自分は何も関係してないというようなことを堂々と書いておるのですから、そういう事実があれば、これは警察当局としてそれを調べるというのは当然だと思う。私は決してそういう原則を言えないという理由はないと思う。
  125. 内海倫

    ○内海政府委員 お答え申し上げます。先ほども申しましたように、私どもはどこまでも実際に起こっておる具体的な事案に対しまして捜査をし、あるいはこれに対してどのような措置をとるかをきめるわけでありまして、いま一般的にどうするかと言われましても、やはり具体的な問題、それぞれの実情に応じて捜査というものは行なわれるもの、したがって、違法があれば違法に対してどうであるかという捜査はいたさなければならないと思いますが、それはどこまでも具体的な問題について論ぜられるもの、こういうふうに考えております。
  126. 西宮弘

    ○西宮委員 要するに、違法行為があればそれを捜査をする。むろん取り扱いは具体的な問題ですから具体的に処理する、具体的なケースに応じて処理するというのが当然でありましょうが、違法があれば違法を追及するというのは、当然の警察当局の態度だと思います。私はそのことをやってもらいたいと思う。いままでの天下のざる法といわれるあの法律でさえ、今日まで相当数のああいう違反件数が出ておるのでありますから、こういう問題に対する世間の非難がきびしくなった今日でありますから、ぜひ厳正なる態度で臨んでもらいたいと思います。  最後にお尋ねをいたしますが、こういう問題も含めまして、たとえば現在の報告なるものがまことに信用が置けない、こういう点があるわけでありますが、これを今後規制していくのに自治省としてはどういう態度を持っておられるか。午前中の委員会で小松委員の質問において、そういう監査、審査、そういう機関をつくらないか、こういう質問をいたしましたのに対しては、その用意はない、それは考えておらないというお答えでありました。しかし私は、もしそうであるとするならば、せめていまの行政機構の中で消化できる程度のものはやらなければならぬというのは、自治省として当然だと思います。今日までの実情は、ただ各人、各団体が出した報告、それを単に受理して、書類戸棚の中にしまい込んでおく。だれかが閲覧を求めて行けばそのとき出して見せるという程度で、それ以上のことは何もやっておらぬ。ただ年に二回だけ集計をして発表する。私はたまに行ってみるだけですからよくわかりませんが、担当している人は一人か二人しかいないのではないか。あの忙しい時期に行ってみると、やっているのはおそらくアルバイトの学生じゃないかと思います。そういう程度に処理されておる。単に数字を合計するというようなこと、それではとても正確を期することはできないと思います。したがって、少なくとも今日法律で許されている限度のことはどうしても明らかにしていく義務がある、責任があると思うんですね。むろん、それを踏み越えて、いわゆる官憲の介入というような非難を受けることはできませんから、限界はもちろんありますけれども、いまの法律で許された範囲内でも、少なくとも事務的に整然とした内容の説明ができるという程度のものであることは必要だと思います。  ところで今度の法律は、金を出すほうの側を規制をして、受けるほうの側は規制をしておるわけではありません。したがって、もし受けるほうの側を規制するのであれば、私は役所の事務手続としては非常に簡単だと思います。たとえば各政党であるとか、あるいは個人であるとか、それがこれ以上金を受けてはならぬ、そういう制限であれば調査は簡単だと思いますけれども、そうではなしに出すほうを規制をする、こういうことでありますと、たとえば一つ会社が日本全国どこのだれがしに何ぼ出したのかというようなことは、実にこれは繁雑きわまると思うのですね。そういうのをどうしてチェックするのか。それをいままでのように報告を出してもらって、ただそれを戸だなの中にしまい込んでおくということでは、とうてい規制のしかたができないと思う。そういう点はどうしますか。
  127. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 まず最初の、現在の届け出が非常にいいかげんではないか、私は、届け出のあった数字そのものに虚偽というようなものがあるとは思わないわけでございます。もちろん、先ほど例にあげられた自分の知らないうちに名義を借りられたというようなことは問題でございましょうが、大体そのあった収入または出した支出は、これは正しく出されておると思います。ただその支出の項目、これは午前中小松さんもおっしゃっておりましたが、それが非常にわかりにくい。あるいは各党、各政治団体によってまちまちである。そういう点については、もう少し明細にそれがわかるような整理をしてまいりたい。今回はそうしたいと思っております。  それから最後のお尋ねの調査をどうするか。これには、やはりこの法律が通りますれば、お話のように、たとえば資本金の千分の二・五をこえているかこえていないかというような問題が問題になるわけでございますから、そのためには現在の私のほうの陣容ではとうていこれらのことは処理しきれませんので、ある程度の陣容を整える必要があるのではないかと考えております。
  128. 西宮弘

    ○西宮委員 その最後の点をひとつ具体的にお答えを願って、私の質問を終わりにしたいと思うのですが、いわゆるそれを消化できるだけの機構を備えていきたい、こういうことですが、少なくとも自治省の中にこの政治資金問題を専門に扱う課くらいのものは——まあ局までもいかぬでしょうけれども、せめて課くらいのものができなければとうてい処理できない。さっき申し上げたように、一つ会社資本金の幾らという制限がありますけれども、日本全国どこのだれに出しておるのか全く見当もつかないわけであります。それを日本じゅうから資料を集めてきて、この会社限度内であるとか、限度をこえておるとか、そういうことを認定しなければならぬわけですから、私は、それを想像しただけでも並みたいていではないと思うわけです。また、それをやってもらわなければこういう法律をつくったって何にもならぬ。現行の規正法も、公開主義のねらいは正しかったと思うのでありますが、それがいまのように、けさ小松委員指摘したようなああいう状態でありますから、これはほとんど政治の浄化に役立っておらない。こういう点が問題なのであります。したがって、そういうチェックする制度がないということに一番大きな欠陥があるわけであります。ですから、今度は少なくとも課なり部なり、そういう程度のものを設けて、それで専門に朝から晩までかかるということでなければ、おそらくその規制はできないと思うのですが、いかがですか。
  129. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 午前中もお答えしましたように、積極的に追及調査をするようなことはいたしませんが、受け取ったものがはたして正しいのかどうか、そして明らかに誤りがある場合には是正措置も講ずることになっておりますので、課にするのがいいかどうかという議論はありますけれども、とにかく相当の陣容を専門的にかからせなければならない、そういうふうなことで検討をいたしておる次第でございます。
  130. 小澤佐重喜

    ○小澤委員長 次に、鍛冶良作君。
  131. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私も多年選挙法については関心を持っておったものですから、いろいろただいま出ました法案について疑問点がありますので、一度質問をして疑問を解かしてもらいたいと思っておったのですが、きょうはその機会を与えてもらったことを委員長及び他の委員諸君に深く感謝いたします。それから質問する方々に対しては、私途中で出たものですから、あるいはいままでずいぶんなされた議論を重複して聞くかもしれませんが、私としてぜひとも解明しておきたいと思うところを聞くわけでございますので、この点はひとつ御容赦を願いたいと思うものであります。  そこで、審議会から出ました答申案には前文がついておりましたが、ただいまの法案には前文はついておりません。おそらくこの前文の趣旨と同一の趣旨で出されたものでなかろうかと考えまするが、これは根本でございますので、あらためて責任者である自治大臣からこの法律を出された根本の原因、ことにいろいろ選挙に関しては改正すべき点はあるけれども、そのうち政治資金規正だけは特にやらなければならぬ必要があるのだ、こう言うておられますが、この精神であるならば、私は自治大臣にあらためて聞きたいのは、どのようなことを改正しなければいかぬと考えておられるのか、そういうものがあるにもかかわらず、政治資金規正だけは特にやらなければならぬと考えられたその理由を、ひとつまず明らかにしていただきたいと思うのであります。
  132. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 政治が正しく明るく行なわれるためには、根本的には国民政治思想の高揚であるとかいろいろありましょうし、また選挙制度も、あるいは選挙運動の方法、こういったものと政治資金の問題、こうしたものが調和がとれていくところに政治が正しく行なわれるようになるのだというふうに私は考えるわけでございますし、また審議会もそのように考えられた。したがって、政治資金規正というものは、選挙制度その他選挙運動等をも含めた根本的な選挙制度改善一環として本来行なわれるものである。しかしながら、昨年来のいろいろな政治上の問題からしまして、政治資金規正ということは、やはりそれが一方において選挙運動や選挙制度を頭に描きながらも、やはりそれに先行してやる必要があると審議会は見られたわけでございまして、要するに政治資金というものが分相応金額であることが望ましいということでこの答申が出されたのでございまして、私もそのような理解のもとにこの法案を提出した次第でございます。
  133. 鍛冶良作

    鍛冶委員 もう少し具体的に承りたいのですが、いま政治資金について分相応にということばがございましたが、いままで分不相応などういうことをやっておった、それを規制するにはこの法律が必要だ、こういうことであろうと思うのですが、それらについて具体的にひとつお聞かせを願いたいと思います。
  134. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 一つは、共和製糖等が相当経営が苦しいにもかかわらず相当な金額の献金をいたしておるというようなこと、そういう無理な献金をするというところに、何かそれが請託を含み、政治勢力を左右するというようなおそれがあるのではないか。したがって、献金はたとえ会社であっても、ある程度その会社の柄に合った、分相応と申しますか、そういうものである必要があるのではないかというふうなことが審議会過程におきましても論議になり、それが答申としてあらわれたのでございまして、その精神をくんだわけでございます。
  135. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私はこれはたいへんな考えの違いを承りました。社会的に考えればいろいろなことも考えられまするが、選挙をよくしよう、いままでの選挙ではなはだよくない事実があった、それをひとつここでないことにしよう、それには政治資金を規制するがいい。こういうことであろうかと思うのですが、そういうのじゃなくて、どうも持たぬくせに金を出す者があるからそれをやることが必要だ、こういうように聞こえましたが、そうですが。私は、それよりも、選挙をよくしよう、その選挙に金を使い過ぎるからいかぬのだ、それでなるべく使わせぬことにしようというつもりだろうと思いますが、いまのあなたのおことばを聞くと、それと違うようでございますが、どちらでございますか。
  136. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 選挙に金がかかってはならぬことは当然でございますが、しばしばこの委員会でも御議論がありますように、政治活動そのものには相当金がかかるということはこれは当然でございます。したがって、選挙に金をかけないために政治資金を規制するというよりも、先ほど申しましたようなことが一つ大きく取り上げられておるのだと思います。と申しますのは、なるほど寄付をすることは制限をいたしておりますが、受け取る側の政党等については、受け取る総額制限はいたしておらないわけでございます。そういう意味からも、もちろん政党あるいは政治家が心がけて選挙に金を使わないようにしていただくことは当然でございますけれども、今度の政治資金規正のねらいは、必ずしも選挙に金を使うかどうかという問題より、政治資金そのものが、何と申しますか、公明正大な政治資金であれかしということにねらいがあるように私は考えるのでございます。
  137. 鍛冶良作

    鍛冶委員 公明正大はわれわれも希望するところでありまするが、これを規制し、しかもこれに違反したら罰則までもつけて、刑罰に処するというところまでいっております。私は、いまおっしゃる公明正大ということはどういうことか知りませんが、不法ということでなくちゃいかぬと思います。そこで、寄付をする者は不法なんだ、だから規制するんだ、こうおっしゃるのだろうと思うが、公明正大を望んでおるからこれを規制するということは、それは一つの道徳論か何かならば承りますが、いやしくも法律でこれを規制し、これに違反するならば罰する、刑罰でもって臨む、こういうからには、そのことが不正である、こういうことでなかったらさようなことは出ぬと心得ますが、これはどうでありますか。
  138. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 もちろん私も、たとえば会社において二千万円は善であって、二千一万円は悪であるという理論的な根拠があるとは存じません。また、審議会の先生方、委員の方々も、二千万円は善で二千百万円は悪だという、不法だということの理論的な根拠はおそらくないと思います。しかしながら、従来の届け出にある実績その他から考えまして、大体二千万円ぐらいで頭を押えることが分相応寄付ということになるのではないかという多数の方々の御意見でありましたので、それを政府としても取り入れた次第でございます。
  139. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あなたは、政治をやるときにはそういうことが望ましい、そうあってほしい、こういうことからやられたと言うが、これは私もさもありなん、また賛成いたしますがね。私の言うのは、そうだからといって、こうあってほしいというところをもとにして、それをこえてやったら不都合だ、刑罰をもって臨む。人を罰するというからにはよほど社会悪というものがなくちゃいかぬ。モラルに反しておるということがなくてはいかぬと思うのです。ところが、ただ政治上好ましいことであるからそれでやってほしいということで人の行為を規制したり、いわんや処罰をもって臨むということはあり得べからざるものと心得ますが、あなたの考えは違いますか、いかがです。
  140. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 もちろん財産の処分は自由であり、憲法で保障されておると思います。しかしながら、その寄付があまりに多額でありまして、政治勢力に影響を及ぼすおそれがあるというようなことも考えられますと、ある程度の限度を設けるということは、やはり公共の福祉の限度、いわば公共の福祉に適合するように使わなければならないという限度を示すものというふうに考えるわけでございまして、そういう意味にとりまして、今回の法案を提出した次第でございます。
  141. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それは、世の中には公共の福祉に反する金が出ておるものもございます。そういうものはできるだけ規制しなければならぬ、こう思います。これは私も認めますが、しかし、何でもかんでも二千万円以上のものはみな公共の福祉に反する、社会悪である、こういうものをほっといては社会がいかないんだ、だから法律で規制する、これに刑罰をもって臨まなければならぬ、こうでなくては人の自由なる行為を規制するわけにいかぬものだ。それは中には悪いのはありますよ、そういう悪いものをできるだけつかまえてやるようにしよう、これなら私は賛成しますがね。悪いものもあるから二千万円以上のものはこれを悪と認めて、好ましからざるものなるがゆえにこれをとめる、それできかなんだら罰してやる。あなたの希望としてはいいかしらぬが、法律をもって臨むということにはいかぬものだ。私はかように断定するものでありますが、いかがです。
  142. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 重ねてお答えするようで恐縮でございますが、これは二千万円の理論的な根拠でありましたら私も非常に弱いわけでございます。二千万円がいいのか三千万円がいいのか、二千五百万円がいいのか、いろいろ議論があろうと思います。しかし、とにかく分不相応な、少なくとも相当多額な金が出て、それが政治勢力を左右するようになってはならぬという意味におきまして、ある種の限度を置く。まあ審議会委員の皆さん方が衆知を集めて二千万円という結論が出たわけでございますが、そういうある種の制限を置くということは、いまの憲法下においても許されるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  143. 鍛冶良作

    鍛冶委員 同じことを繰り返したっていけませんから、端的にお尋ねしますが、二千万円以上のものは社会を毒しますか。社会モラルに反しておりますか。これを規制しなければ社会上たいへんな悪いことが起こりますか。この点どうです。率直にお答えいただきたい。
  144. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 二千万円をこすものがすべて社会悪だと断定するわけにはいきませんけれども、それ以上になりますと、政治勢力に相当な影響を与えるというおそれがある場合があると考えております。
  145. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私、一昨日、ほかの会で座談会に呼ばれまして、その点を言ったら、あったじゃないか、悪いことをしておった、製糖グループはどうだった、保全経済会はどうだった。それはなるほど製糖グループで出した金、保全経済会で出した金は悪かった。そういうものをもらって政治をやれば悪いだろうが、それはそういうものがあればどこまでも押えてもらうのはいいのですが、そういうものがあったからといって、一切のものがどうもいかないのだ、すべて寄付しちゃいかぬのだ。そういうことでは、それは政治論として通るか知らぬが、法律論としては通らぬ。これをやったらみんな政治悪が起こるのだ、だからこれはやらなければならぬ、モラルに反しておるのだ。こういう答えがない限りは人の自由を制限できぬ、こう心得ますがどうですか。もう一ぺんひとつ……。
  146. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 法律の専門家の鍛冶さんにしろうとの私がお答えするので反対なんでございますが、私は、やはりそういう実例があり、また今後も決して起こりかねない、そういう危険がある、そういうものについてある程度の制限をいたしますことは、これは日本の憲法下においても許されるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  147. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それでその議論はよくわかりましたが、好ましからざるものがあるけれども、一般にこれを好ましいとはいわれないけれども、政治をやる上においてなるべくそういうものはないほうがよろしい、こういうふうに承りました。そういうことで人の自由を束縛したり、一般の自由を束縛したり、いわんや、これに刑罰を科するということは法律上あり得べからざることと私は信じます。したがって、こういう法律ができれば、これによって押えられたら、必ず私は憲法違反の訴訟があって、たいへんそういうものが起こるのだ。こういう法律をこさえられる以上は、そういうことがあったときの責任をそれではひとつ考えてもらいたい。これ以上申しませんが、あなたはこれで考えておいて、今後どういう議論が出るか知りませんが、それに対して政府として処していただくことをここで申し上げて第一番の質問としておきます。  その次に、さっき聞こうと思ったが出てこなかったが、いろいろまた選挙法を改正しなければならぬということをおっしゃいましたですね。特に政治資金の規制だけやると言うたのですが、改正しなければならぬと思われる幾つもあろうがその一つをあげてください。そのうちどれが一番重要とお思いになるか、それをひとつお聞きしたい。
  148. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 選挙現状というものは確かに改善すべき幾多のものを持っておると思います。選挙運動期間中ばかりでなくて、ふだんの場合も相当金がかかる。結局、それは選挙に当選する最終の目的のためで、相当金がかかる。そうしたことについていろいろな批判があるわけでございますから、金のかからない選挙が行なわれることが望ましいのでございまして、そういう意味においては選挙区制あるいはそれに対応する選挙運動の方法等を含めて、政党本位選挙ができるような、そうした調和のとれた一貫した制度がとられることが望ましいのではないかと考えております。
  149. 鍛冶良作

    鍛冶委員 まことにどうもわが意を得た答弁をいただいて喜びにたえません。私は何十年前からいろいろ考えた結果、どうしてもこういうことじゃいかぬ、根本的に金の要らぬ選挙考えるときには、ひとつ根本的にそれを改めなければならぬということを考えて、そして選挙は完全公営でやるべきだ、選挙運動は政党がやるべきものだ、いま大臣がおっしゃったとおりのことを主張しましたが、議論としてはいいか知らぬが、実際はいいと言わぬので、そこらにおられる方々でも、議論としてはけっこうだがと言うが、実際においては賛成してくれないので、はなはだ私は心外だったのですが、いまあなたからそのことを聞いて、まことにわが意を得たるものとして喜びます。そして申し上げたいのですが、まずそういうことが必要だとすれば、金のかからぬことをひとつ選挙法上考えていただく。そして金のかからぬ選挙にすることに第一番にかかるべきものじゃなかろうか。あなたはいま、現在の法律では金がかかるから、そういうふうに金のかからぬようにしよう、こういうふうに言われるのですから、金のかかるということを前提に置かれるならば、金のかからぬことをひとつまずこさえて、そしてやることがほんとうじゃありませんか。しかるに金のかかるのを見ておりながら、金をやればこいつを使うから、やらなければよろしいのだ。出てくるから選挙が腐敗するのだから、これは出さぬことにしよう。これは選挙の腐敗のもとになる原因だからといって先ほどから言われるのだが、それよりもかからぬことにしておいて、このとおり要らぬことになったじゃないか。なぜそんな金を取るのだ、そういうものをやるな。こうおっしゃってくださるならよろしいが、かかることがわかって、あなた自身が認めておりながら金を出さぬと、こう言えば、赤ん坊が腹が悪くなったというと、おまえおっぱい飲んだから腹が悪くなったのだ、これは飲ませなければそれでいいのだというのと同じことになる。飲ませなければ、なるほど腹の悪くなったのはなおるけれども、その次は命がなくなりますよ。まず、どうしてそれをやるということを前提にせられるか、それをひとつ承りたい。
  150. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 政治資金規正の問題は、もちろん他の選挙制度選挙運動の方法等と関連をするものでございます。ただ、昨年来の政治情勢からいたしまして、現行制度の上においてもやはりこの程度の規制はやむを得ないとして答申がされたわけでございまして、先ほどもお答え申し上げましたように、今回の規制は寄付をする側の規制はございますけれども、政党等が受け取る総額についての規制はいたしておらないわけでございます。したがいまして、現行制度の上におきましてもこの程度の規制はやむを得ないと考えたわけでございます。もちろん、政治資金の規制というものは選挙制度やあるいは選挙運動の方法等と十分関連のあるものであることは当然でございます。
  151. 鍛冶良作

    鍛冶委員 大臣たいていおわかりになったと思うが、私はもっとわかりやすい例を引きます。いま赤ん坊の例を引きましたが、私は寝汗が出てどうもおかしいと思って医者のところへ行った。それで、おまえ尿を検査してみろ、尿を検査したら糖尿だということがわかった。早くなおさなければいかぬと言うから、どうすればなおるのだと言ったら、酒を飲まぬこと、御飯を食べぬことだと言われた。そこで医者の言うとおり酒もやめました、御飯も減らしましたら、一カ月たたぬうちに糖は出なくなりました。出なくなったが、からだが弱って二階へも上がれないことになってしまいました。酒も飲まぬ、御飯も食べなければ、それはなるほど糖の出るもとを与えないのだから出なくなるのはあたりまえだろうが、なおったんじゃありゃしない。そのままいったら命がなくなりますよ。やはり何といっても生きておる以上は、どういったって少なくとも御飯や滋養物を命をつなぐだけのものを与えなければいかぬ。糖尿をなおすのだといって、その食べるものを減らせば糖は出なくなるか知らぬが、かわりに命がなくなりますよ。やはり与えるものは与える。そうして初めてなにすべきものだ。それからからだを強くして、そういうことをやらぬでもいいからだに、これは体質のようですが、体質をなおして、それからやれとおっしゃるならいいが、体質をなおすのはどうでもいい、酒も飲むな、御飯も食べるな、こう言われれば、それはなくなるかもしれませんが、命もなくなりますよ。あなたはそういうことから考えてみて、政治資金規正法だけを出して政治がきれいにいくものか。お互いのこのいまの選挙法で、このような実情の社会において、私は大臣自身が選挙をやれるかどうか、ひとつ正直に言ってみてもらいたい。
  152. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 おことばを返すようでございますが、この今回の政治資金の規制というのは、要するに会社等が非常に多額な金を出して政治勢力にいろいろな悪影響を与えてはいけないということが第一なわけでございまして、その限りにおいては選挙制度と直接の関連はないという判断審議会ではされておるわけでございます。要するに、政党の受け取る総額を規制するというようなことになれば、ただいま鍛冶きんがおあげになりましたような例に該当するわけですが、今回のは、その寄付をする側の制限はいたしておりますが、政党が受け取る金額総額の規制をいたしておるわけではないわけです。もちろん、従来のような資金の収集方法では相当な制限を受けるでございましょうけれども、やはりその点につきましては、いろいろくふうをすれば他の方法があるのではないかと私は考えておるわけでございます。
  153. 鍛冶良作

    鍛冶委員 一昨日も審議会中心の人々と座談会をやったのですが、結局、政治論とか道徳論からならば私は賛成いたしますが、現実に当てはめてみたら、現実は何と言うても金のかからぬ選挙をひとつくふうしてもらうことです。この点は何人も争いのないところです。それをやらないで規制するものだけをやる、そういうことはいけない。やはり少なくとも一緒にひとつ審議してもらわなくてはいけない。急いでその法律を出しなさいと言うと、何やら車の両輪論かといわれるが、私はいまいわれておる車の両輪論なんというものは賛成しません。けれども、純理論からしてそこからやらなければならぬのです。少なくともそれと一緒に通してもらわなくては実際において行なわれぬことだ。いわんや、そのために、政治論か道徳論、倫理論ならばどうか知らぬが、そういうことをやろうとして人の自由であるべき寄付制限し、これに違反したからといってこれに罰則をつける。これは全く本末転倒だと私はここで断言して差しつかえないと思うのでありまするが、もう一ぺんこの点について御返答願いたい。
  154. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 選挙制度審議会におきましても、金のかからない選挙と申しますか、その意味において政党本位選挙制度に改める、選挙運動の方法も改める、これについてはいま熱心に御審議をしていただいて、そう遠くないときに答申をいただけるものと私は確信をいたしておるわけでございます。しかし、制度審議会といたしましては、そういうことを一方に頭に描きながら、やはり現在の政治情勢からいたしまして、この程度の規制はやむを得ないというふうに考えられたものと拝察するわけでございまして、その御意見を尊重した次第でございます。
  155. 鍛冶良作

    鍛冶委員 審議会においてもそこまで十分知っておっていま審議しておられるというならば、早く出していただくことですな。これは出た以上はしかたないから審議をしなければならぬが、どうかそれが出てさましたらそれと一緒に通してもらわなくては、これはどうしたって平仄が合ってこないですよ。これはいま研究しておるならまことにけっこうですよ。私もできるだけひまをつくって出て研究させてもらいますが、これだけどうも先走りされたのでは行なわれぬことをやる。いわんや、先ほど言うように憲法違反であることの明瞭なものが通らなければならぬことになりまするから、私はこの点をひとつ政府として十分お考えおきを願って、言うてみればもっと考え直していただくことを希望いたすものでございます。  その次に聞きたいのは、個人の寄付はよろしいが法人寄付はおもしろくない、原則として個人の寄付とすべきもので、法人寄付はやむべきものだ。こういうことで、ある程度のことは私も言われることはわからぬでもないけれども、私自身はふに落ちないので、ひとつ提案者である大臣からその根本理由を聞かせていただきたい。
  156. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 選挙制度審議会におきましては、第一次以来、政党のあるべき姿として党費と個人献金でまかなうべしという御意見がずっと貫かれております。私は、これは政党が近代化し組織化されて、国民大衆を基盤とした組織になり、またその広範な国民大衆からの財政援助で政党が運営されるということが理想の姿であるというふうな考え方であろうと拝察しておるわけでございますが、今回の提案にあたりましては、そういう個人の献金に限るべしという思想で私は提案をいたしたのではないのでございまして、緊急に措置すべしといわれました答申内容についてこれを法文化したというわけでございます。
  157. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それはちょっとふに落ちないんだが、この法律は、それはそういう考えでございましたろうが、審議会では、個人の寄付基礎とすべきもので、法人寄付をやるべきものでないとりっぱに書いてありますから、審議会の案に書いてあります。それじゃ大臣はそれを受けておやりになったろうと思う。あなた個人はどういうお考えであるか知らぬが、私はそれを受けてこの法律を出されたものと思うから聞くのですが、あなたは法人から取っても差しつかえないというのですか、そう承ってよろしゅうございますか。
  158. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 政党の理想の姿としては、そういう広範な国民大衆の財政援助において運営されることが望ましいということを審議会はいわれておるわけでございますけれども、ここでもしばしばお答えいたしましたが、法人といえども社会の単位として生存——生存といいますか、存在しておるわけで、そして会社によりましては、自分の会社の企業が円滑にいくために望ましい政治形態というものを持っておられると思うのでありまして、そういう望ましい政治形態を政策としておる政党会社寄付をするということそのものを禁止するということは、なかなか憲法上も問題があるのではないかと私は考えております。
  159. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それならば先ほどから言うように、なぜこういう法人のは二千万円以上やってはいかぬとか、資本の幾らやらをこしてはいかぬとか、そういう制限をおつけになったのですか。私はあなたと同じような考えを持っておるのにこういう法律が出た。あなたもこれを出された責任者である以上は、そういう考え方が出ておるだろうと思って質問したのですが、そうじゃないのだというならば、かような制限はあるべきものでないと心得ますが、どうですか。
  160. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 しばしばお答えしましたように、もちろん会社寄付をすること自体を禁止するのはなかなか憲法上もむずかしいことだと思います。しかし、分相応を越えて多額な金を寄付をいたし、それが政治勢力を左右するようなおそれがある、その限度をきめることは私は矛盾ではないんじゃないかと考えております。
  161. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私は先ほどから何べんも申しますが、いやしくも法律で規制する以上は、そういうことを許しておいては社会悪なんだ、社会に害毒を流すんだ、そういうことは許すべからざるものだ、この大前提がなかったらやれぬものですよ。いまあなたのおっしゃるようなことならば、法人がするのはいいじゃありませんか。それから二千万円はよろしくて二千百万円は悪いという理由がわかってこない。あなたのようなお考えであるならば法人も差しつかえない。分に応じて、小さい会社が千万円やるなら大きな会社は一億やったって決してふしぎがない。そういう意味分相応なものならば差しつかえないという結論にこなければならぬと思うのです。ただし、先ほどから申しますように、不浄な金をまくのならいかぬ、不浄な目的をもってまくのならいかぬ、これは私は聞きますよ。そうでない以上は制限する必要がない、また制限してはいかない。こういう結論に、いまのあなたの御答弁からいくとこなければならぬと思うのですが、どうです。
  162. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 会社政党に献金すること自体を禁止するということにつきましては憲法上問題はある。しかし、分相応という制限をすること、そのことは許されるものではないか、そういうふうに私は考えておるわけでございます。
  163. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうすると、分相応かいなやでこれは議論がきまることになりますね。これはなかなか容易にきまらぬじゃありませんか。これは君の寄付分相応であるか分相応にあらざるか、これは何も標準はありませんね。何によってきめられるのですか。いやしくも法律上、いま言うように刑罰をもって臨むのですから、ぴしっと、これ以上はいかない、これ以上はいかぬから刑罰にするのだ、こういうなら、これが分相応である、これが分不相応である、こういうことのりっぱな基準がなくては、そういう議論が成り立ちません。どうもこの法案ではそういう基準は見当たりませんが、これはどうです。
  164. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 分相応というものを、資本金の千分の二・五、あるいは利益金の百分の一というものをまずその尺度にいたしております。そうしてその上で最高限として二千万円という制限を受ける。要するに、先ほど申しましたように二千万円という限度につきましては、いろいろ御議論はあろうと思います。しかし、従来われわれが届け出をいただいておる政党の実態、届け出の実態その他を見まして、大体この辺が限度であるということで二千万円、あるいは資本金の千分の二・五、利益金の百分の一ということを分相応の尺度としたわけでございます。
  165. 鍛冶良作

    鍛冶委員 どうも、そういうことを分相応基準にせられたとすれば、問題の起こるたびごとに千分の二・五が分相応であるかいなやということが争いの根本になりますよ。さようなことでは法律にはならぬと私はここで断言いたします。ぴしっと、こういうことはいかないのだ、こう言ってもらわぬと、おれはどうもそれ以上分相応と思うと言われて、分相応であるかいなやということが争点になってまいります。いまのこの答弁が速記に載りますから。いまに裁判にいったらそういうことが問題になりまして、私は法律論としてはそういうことはのみ込めない、かように考えます。これはいずれまたなにしますが、十分研究して、いずれまたひとつ御研究の上で御答弁願いましょう。  その次は、それじゃ、かりに千分の二・五が相応だとします、この寄付は千分の二・五以内であった、これは利益の百分の一以内であった、こういうことがきまらぬと、その寄付のよしあしはきまりませんね。それはどうしてきめます。これは容易なことできまらぬと私は思うが、法律上そういうことが書いてあっても、事実上きまりのないもの、取り調べようのないものじゃないかと思うが、それはこまかくいえば、どんどん計理士か税理士でも頼んでやれば、それはどうかは知りませんが、ここに出てくる法律として、少なくとも弁護士がそれを見て、これは千分の二・五だとかなんとかということではきまらぬと思うが、いかがです。
  166. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 なるほど、受け取る側においてはなかなか判定しにくいと思います。しかし、寄付をする側は自分の資本金、あるいは自分の利益金というものはわかっておるわけでございますから、寄付をされる側においてはこの法律に従って寄付をされるものと私は信じております。
  167. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それは人間はみな法律に従うものと思ってやられることはまことにけっこうなことです。私もそれに賛成で、それならば犯罪はないわけだが、それがどうも、ずいぶん犯罪が起こったり捜査が起こったりするので困るのです。そうすれば、寄付する人はみなこの法律に従って寄付するものとして、さようなことはないものとして、ここに条文はあるけれども、そういうことはつつき回さぬ、ほじくり回さぬ、こういうお考えですか、どうです。
  168. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 元来政治資金というようなものは、寄付する側あるいは受け取る側等が誠実をもってそれをやられることでございます。したがいまして、寄付する側におきましては自分の制限額は十分わかっておるわけでございますから、その範囲において寄付されるものと私は信じるわけでございます。これに一々立ち入り検査だのをやって、そうしていかにも官憲がそういう政治資金などに入っていくというようなことは好ましくない姿であると考えております。もちろん、現実に違反が起こった場合に、これを捜査することは当然でございます。
  169. 鍛冶良作

    鍛冶委員 どうも、もう少しそれをはっきりしてもらわぬと、寄付があったからといって、一々これは千分の二・五であるか、千分の三であるか、千分の一であるか、これははたからはなかなかわからぬものだ、私はこう考えますよ。そこで、それにもかかわらず、分相応はそれでやる、こうおっしゃるものだから、それならあなたそれをはっきりきめなければいかぬ、とこう申しましたら、あなたは、そんな違反をしてやると思わぬから、それは心配ないと言う。それならば、こういうものは法律には書いてあるけれども、そういうものは一々ほじくり回さないのだ、伝家の宝刀か神だなに上げた神様、飾りものだというなら、これは私は聞こえますが、そうじゃない、いよいよやろうというならば、やるときにはやらねばならぬと、こうおっしゃるならば、どのようにしてやるかを承りたいのです。それが問題なんです。どのようにしてやられるのか、私では見当つきません。これは実際あなたのおっしゃるようなことならけっこうですけれども、そのかわり、それはただ飾りものだということになりますよ。違反があればやるのだ、こうあれば、さて違反があるかということをどうしてわかるのですかと、こう私は聞かなければならぬ。
  170. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 これらの寄付はみな結局届け出られるわけでございます。届け出の中におきまして、たとえばA会社がその総額におきまして制限額をこえておるということは届け出そのものを見れば、もし制限額をこえてやったものがあるとすれば、そのときはわかるわけでございますが、受け取るほうは、それはなかなかわかりません。したがいまして、そういう情を知らないで受け取ったということにつきまして刑罰をかけるような考え方はございません。
  171. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それはもちろん出したものが刑罰をかけられるから、その点は法律違反ですね。違反があれば取り調べするということになると重大なことで、これはわれわれは本職ですからね、どういうときにそういうことが起こるかはわかるのです。いまあなたのおっしゃるように、悪いことはせないだろうというのですが、そういうものを摘発せないのだというならいいけれども、そうじゃない。あるいは摘発するというならば、どのようにしてあるということを見られるのか。そうしてまた摘発するということになると、届け出を一々見て、これははたしてその範囲であるかどうかをだれか判断せなければならぬ。その判断をどうしてやるか。これは容な易ことではない。あなたもしなんなら、局長なり、またその他からでもよろしゅうございます。これはどのようにして判断するつもりなんだ。現実論として容易なことでできるものじゃありません。もしそれができないものならば、それはないほうがいいと思う。  それともう一つ考えなければならぬのは、われわれも知っておるのですが、選挙違反の起こりの大部分は、ほとんどは反対派から投書するのですよ。そうすると、必ずあいつは千分の二・五以上のものをやっておる、あるいは三以上だった、こういう投書がある。そのたびごとにそれにおっつけてやられたのではたいへんだと思うが、そこらのところを、大臣に答弁してもらえるならなおけっこうだが、あなたができなかったら局長からでもよろしゅうございますから、明瞭な答弁をいただきたい。
  172. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 選挙にからんでいろいろ投書等がありますことは、お示しのとおりでございます。今回の問題がそのようなことになってはならぬと思うわけでございますが、まず先行するものは、やはり会社は自分の寄付し得られる限度を心得ているわけなのでございますから、それに従ってやってもらうということだと思います。ただ、われわれが届け出を総計いたしまして、限度を越えるというようなものがあれば、これは摘発するというよりも、むしろそれを是正してもらうというような方向でやることが、実際の取り扱いとしてはそうだと思います。
  173. 鍛冶良作

    鍛冶委員 どうも大臣のは、常識論ならそれでいいが、法律上はそんなことではいかないですよ。局長、あなたは条文をつくられた責任者だと思うのだが、これをつくるときにそういうことをどのように想定しておつくりになりましたか。ひとつ答えてください。
  174. 降矢敬義

    降矢政府委員 いま大臣がお答えいたしましたように、寄付をする側につきましては、それぞれの団体において自分の限度額というものは明確にわかるわけでございまして、それを前提にしてこの法律を立案いたしました。もらう側につきましては、法律の明文にもその事実、違反した事実を知ってもらってはならぬというふうに書いたわけでございまして、したがいまして、やる側におきましては、そもそも自分の限度額というものは自分で計算できるわけでございます。それを前提にしてこの法律案を立案いたしました。
  175. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それなら先ほど大臣に言ったように、会社はみな自分でわかっておるのだから、その以内でやるもの、かように考えておるというならば、あなた方のほうからはそういうものを摘発することはない、こう承ってよろしゅうございますか。そうじゃないですか。それをひとつ言ってみてください。
  176. 降矢敬義

    降矢政府委員 法律違反の事実があれば、全く放置するというわけには当然いかないわけでございます。
  177. 鍛冶良作

    鍛冶委員 あなたは会社が間違ったことをせぬものと思う、こう言われるから、そうすると、出てくるものは間違いのないものと思うておる、こう言うのでしょう。それなら、あなた方のほうで摘発はいたしませんということにならぬですか。もしそれでも、それは悪いことがあるならばやるとおっしゃるなら、それを私は聞いておるのだ。これは悪いことがあると認めてどういうときにやられるか、それを聞いておるのですよ。それでも会社はどうもそういうことがないものと思うている、それならやらぬということになるんだ。そうじゃない、それはやるときはやりますと言われるが、やるならどういうときにやりますか、それを答えてください。
  178. 降矢敬義

    降矢政府委員 要するに、会社は自分の限度額は自分で計算できるわけでございますが、それを越えて寄付をしようとする会社の意思自身の問題になりますので、そういう違反が全くないかというと、それは皆無とは申し上げられませんけれども、ありました場合においては、それは当然法の規定に従って処置するということになると思います。
  179. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それは何べん言うても同じことだな。あったらと言うが、そのあったらというのは、世間が言うのもありますよ。あなた方のほうで、これはあるなと思われたのをやるのでしょう。それを言うのです。それはないものとしてわれわれはやりませんとおっしゃるなら、それはいいですよ。あったらやるんだ、こう言われれば、あったということをどうしてつかまえますか、私はつかまえられぬと思うから言うのですよ。どのようにしてつかまえるのですか。私はそれを聞いておるのですよ。
  180. 降矢敬義

    降矢政府委員 要するに、政治資金規正法におきましては、私たちは届け出を受けまして、それの公開をするということであります。これは会社は、国の段階あるいは府県、市町村の段階、それぞれ寄付をします。寄付を受けたほうは、それぞれの段階に応じて、市町村あるいは府県の選管あるいは自治大臣に届け出を出すことになっております。今回の法律でも二十条に、府県あるいは市町村におきまして収支報告書を公表した場合には、それを自治大臣に報告してもらうことに規定は入れております。その送付を受けたものをわれわれのところで集計をする、こういうことにして事実を明らかにいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  181. 鍛冶良作

    鍛冶委員 どうも質問に対する答弁がないのであなた困りますね。しかしながら、これを見ただけでは私はわからぬと思うのですよ。それでも、あったらやるのですと、こうおっしゃれば、どういうときにあなたはあったと認められるか。もちろん想定でしょう。法律をこしらえるときにはみなそういうものを想定しなければ条文になってこないもの。それを私は聞いておるのだ。あなた方言われないならそれはそれでいい。秘密なら秘密でそれはしかたがないけれども、あなた方こういうときはどうするということを考えておられましょう。それは私のいままでやってきた常識からいって、これを見ただけではわからぬ。わからぬときに、おそらく投書があるときにあなた方どうせられるか。投書があっても、会社はうそのことを言わぬものだと信じておるから、少なくともわれわれのほうでさようなことはやらぬ、こう言われるなら、私は聞きますが、いや、それはあるとなればやりますと言う。それならば投書があれば必ずやるのか、それとも何かくさいところをさがして歩いてやるつもりなのか、それはどっちだということをはっきりしてください。必ず想定をやったに違いない。
  182. 降矢敬義

    降矢政府委員 事実上ある会社が国の段階においてのみ寄付をしておるという場合には、その寄付を受けた政治団体は自治省にだけ届け出を出すことになります。その届け出をわれわれは見て公表をするということになります。それが府県あるいは市町村の段階においても寄付が行なわれた場合においては、府県、市町村の選挙管理委員会政治団体からの届け出を公表いたします。今回の規定におきましても、府県、市町村の選挙管理委員会において公表したその要旨自治大臣に送付してもらうことにしておりまして、それで私たちは、ある会社について、全体としてどれくらいどういう寄付額になっておるかということを集計することを考えておるわけでございます。  なお、捜査の着手その他につきましては、これは捜査当局そのものの問題でございまして、自治省自身として司法警察権を持っておるわけではございませんので、そこまでは私からお答え申し上げるわけには参りません。
  183. 鍛冶良作

    鍛冶委員 くどいようですが、あなたに捜査することを聞いておるのではないですよ。これは怪しいからといって、それでは捜査当局に申し出ることはありますか、ありませんか。あるとすれば、どういうときに怪しいと見てやられるのか、それを聞いているのです。
  184. 降矢敬義

    降矢政府委員 怪しい怪しくないという問題でなしに、その寄付を受けました政治団体の届け出書に寄付額として記載されておるものを、同一会社について集計をいたしまして、そうして限度額を越えている場合にいま御指摘のような問題が起こるわけでございまして、何回も繰り返して申し上げましたが、いままではそういう集計というような規定もございませんでしたが、今回は府県、市町村からも報告書の要旨を受け取って会社ごとに集計をするという考え方でおります。
  185. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私は、はなはだ意に満たない答弁でございますが、あなた方やられることあるというが、なかなかつかめないと私は思う。そこで、どういうときにそうやるということを考えて立法されたかを聞きたいのだけれども、これはどうもそこまでは考えなかったのでしょう。そこで、幸い警察庁からおいでになっているようだから承りますが、こういうものがいやしくもあって罰則がついている以上は、疑いあるとすれば捜査されるでしょうね。どういうときに疑いをはさみ、どのようにして捜査をするお考えでおられるか。これは条文は研究しておられましょうな、出ておるのだから。その点、研究せられたところをひとつ聞かしてもらいましょう。
  186. 内海倫

    ○内海政府委員 条文につきましては一応読んで検討はいたしておりますが、一般的に申しまして、私どもはいま仰せのように違反の容疑があった場合において捜査に入るわけでございます。いままでの政治資金規正法等についての容疑の端緒というものは、過去の実際の例から見ますと、告訴または告発があったような場合、あるいはその他の公職選挙法等の違反を捜査中に、その途中において発見された場合に違反を処理いたしております。今後の問題につきましては、はなはだ不見識な答弁でございますが、さらに法案を、あるいは成立の上は法律をよく検討いたしまして、今後のわれわれの合理的な捜査方針というものを考えていきたいと思います。
  187. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私がここで一番聞きたいのは、何でもないのにあなた方は手を入れてやるわけにはいかぬでしょう。そこで捜査の端緒はどういうところで得られると思われるか、もっとその点を明らかにしてもらいたい。いまお聞きのとおり、選挙局長がこの法文をつくるときにその点は明瞭に考えておられなかったようです。したがって、自治省からはこれは違反だというて出られないものだろうと思います。そうかといって条文がある以上は、あるいはやると言わなければならぬからそう言われるのでしょうが、そこで考えられることは投書ですよ。こんなものをやると、しきりに投書が出てくることになる。届け出が出たら投書が出る。そのときに投書に飛びついてあなた方がやられるということになったら、社会上不安を起こすことおびただしいと思うのだ。それで私は、そういうことがあるのかないのか、まずそれから聞いてかかっている。少なくとも自治省で調べて、これは疑いがあるというので出てきたら、それはやりますというならいいけれども、自治省ではないと思っているから、いままで考えていませんというのだから、そうすると、その次に考えられることは投書ですよ。投書に基づいてあなた方は踊ってやられるということになると、われわれはいままでそういうことに何十年間携わってきておるから、どうしてやるかということ——そういうことがあってはいかぬが、どういうときでなければそういう端緒には入らぬという決心を持っておられるか。これはいやしくもこの法案が出て、あなた方に関係ある以上は研究せられているでしょうが、その点をひとつもう一ぺん明確にお答え願いたい。
  188. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 とにかく政治団体から届け出たものは私の自治省で集計するわけです。極端な例は、たとえば集計したら二千万円をこえておった、これは完全な違反になります。そういう事実で判断をしていくわけでございます。
  189. 鍛冶良作

    鍛冶委員 その点私は、二千万円は額でいうておるから言わないのですが、これは資本の千分の二・五、利益金の百分の一ですか、そういうことがわからぬというのです。だから、それに従っておらぬという疑いを起こすというにはなかなかっかみどころがないと私は思うのに、あなた方こういう法律がある以上は、警察がそのときにこれは調べなければならぬものだと考えられるとするならば、どういうときに考えられるか、これを聞いているのです。それは二千万円という額があるから、それは私はやめます。いまの資本金の千分の二・五、利益の百分の一、それがなかなかわかるものじゃないと思う。そこで、あろうがなかろうが、これはやってやればいいというので、調べてみろ、千分の二・五をこしておるのだぞ、利益の百分の一以上こしているのだぞ、なぜ調べぬか、こういうときに、一々そういうものに踊らされてやられるということになると、たいへんだ。それをわれわれは言う。そういうことでないというならば、ひとつ警察のほうでも、こういうときならそういうものはやります、そういうときでもやりますとおっしゃるのか、それを聞きたい、将来に対してのたいへんな問題ですから。
  190. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 告訴、告発等の成規の手続があれば、これは捜査をいたさなければならないと思います。
  191. 鍛冶良作

    鍛冶委員 まあ告訴、告発は——告訴はなかろうけれども、告発はあったらやるとおっしゃると、いま言うように投書でさえおそれておるのに、無謀な告発をやられて、そのたびごとに社会に波紋を起こしてはたいへんでございます。告発は、おそらく自信を持って告発する者はありません。わかるものじゃないのです、会社の中身なんて。会社の内部から事実を知っておってやるのなら、これは別ですよ。しからざる限りは、調べてみろ、必ずあるというて出すなら、これはかってに出されます。それを私は憂えているのです。そういうときには警察庁はどのようにお考えになりますか、お聞きしたい。
  192. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 会社の経理等は、すべて公表をされております。資本金もはっきりしておりますし、前年度の利益金もはっきりするわけであります。したがいまして、それの計算によるわけでございますから、いたずらな投書や告発ですぐ踊らされないでも、その会社そのものは外形的にはっきりした基準を持っておるわけでございますから、それと照らし合わせれば、その告発や投書が真実のものかどうかということはすぐわかるわけでございます。
  193. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そういうことだけで済むのなら、私は言うのじゃありませんよ。そうすると、少なくともそういう寄付があれば、会社から考課状を取る。しこうしてまた考課状に間違いがないかどうかを調べ上げるのですか、どうですか。それはなかなかそういうふうにはいかないと思うから、言っているのですよ。
  194. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 いたずらな投書などに踊らされるなというお話でございますが、そういう投書がありましても、そこの会社資本金なり利益金は公表されておるものでございますから、直ちにその投書が真実なりやいなやということがわかるわけでございまして、いたずらに投書に踊らされるようなことはないということを申し上げておるわけでございます。
  195. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これはまことにどうもいい御答弁を得ました。これは速記録に残っておるわけですから、それでやってもらわなければならぬが、それでは、ここでこう承りました。投書などでは踊らされるものではない、告訴、告発があれば、会社の考課状等を十分調べた上でやるので、そういう心配はないのだ、こう承っておきましょう。まことにけっこうです。  そこで、もし考課状なんかがなかった場合には、それはどうですか。ひとつ家宅捜査をやりますか、いかがですか。それはあなたに聞いたってしようがない。刑事局長が見えているから、その点はどうですか。まず警察から聞きましょう。
  196. 内海倫

    ○内海政府委員 私どもの捜査に関します考え方は、ただいま大臣から申し上げたとおりでございますし、私どもは具体的な事案について具体的な方針を持って臨むことにいたしておりますので、それぞれの具体的な事案によりまして、必要な法に定められた措置をとりたいと思います。
  197. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それはその程度にしておきましょう。それはあとでまたお聞きします。  その次に承りたいのは、請負をする者の寄付制限ですね。いまあなた、会社利益資本金を言うたら、考課状でやると言ったが、請負額の十分の一でしたか、それから国及び政府資金を得ておるものから金を借りておるものの制限、これもその十分の一以内にすぎない場合は差しつかえない、こういうことになっておりますね。そういうものはどうしてわかりますか。
  198. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 会社のいろいろな考課表等が公表されますので、それでわかるわけでございますが、この請負をしておるかしていないか、しかもその金額がどれだけあるかということにつきましては、よほど調査をしないとわかりにくいものであると考えます。
  199. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そこで、そうだと思うから、そういうものに投書があったら、あなた方投書に踊らされるようなことはなかろうと思うが、いまそれは会社のは考課表でやると言われたが、なかなかそれだって容易ではないと私は思うけれども、そうお聞きしておきます。請負の場合、あったらどうして調べられますか。先ほどから言われるように、それはうそは言わぬだろうというので、その範囲内とみなしてやるか。ここにもみなすというのがあるから、その点はどう調べます。
  200. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 いずれにしましても、この会社内容等は特定の新聞等に公表されるわけでございます。それで、それの外形標準でああいう基準をきめておるわけでございますから、一々投書があったからといって、その会社へ乗り込んでいって帳簿をひっくり返さなければわからないというものではないと考えております。
  201. 鍛冶良作

    鍛冶委員 問題は、私の言うのは、なかなかそういう疑うに足るべき事実ははっきりつかみかねる、こう思うことを前提で言うておるのですよ。そのつかみかねるにもかかわらず、この条文があるがゆえに捜索に着手されるということになるとたいへんだ、こう思うから申し上げるので、いま、それは普通一般会社は考課状を見てやられるということは速記録に載っておれば、これはたいへん助かります。それでもまだいろんなことがあるが、しからば請負はどうだ、こういうのですから、それはなかなか容易にはわからぬ。  それからもう一つは、政府の資金を借りておるものは全借金の十分の一以内であればということがありますが、それもなかなか容易にわからぬと思うが、わからぬでも告発があればおやりになるつもりなのか、わからなんだらやらぬつもりなのか、やるとすればどのようにしてやられるか、警察も法務省もおいでになりますから、それをひとつ承っておきたい。
  202. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 要するに投書等があった場合に、一々会社へ出かけて行ってその帳簿をひっくり返したり何かするようなことがあってはならぬということだと思うのでございまして、そういうことは、会社の業績その他は特定の新聞その他に公表されるわけでございますから、それでわかるわけでございまして、一々会社へ行って帳簿をひっくり返すようなことをしなくても、その投書が真実の投書なりやいなやということはわかる、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  203. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これだけ問答いただければ、私の言う意味もわかりまするし、将来に対することもわかりまするから、どうかそういうことのないようにひとつお願いしたいと思います。  どうです。法務省からお見えになっておるが、あなたはこの点に対してどういうお考えがありますか。私はわかりにくいと思うが、わかりますか。わからなんだらどうするか。どのような方法で捜索させるつもりでおられるか。あなたはその大責任だと思うから……。
  204. 川井英良

    ○川井政府委員 御指摘のように、捜査の端緒をつかむのにたいへんむずかしい犯罪の類型だと思います。しかしながら、この法律が通れば犯罪でありますので、捜査当局としましては、いろいろ研究いたしまして、確実な端緒をつかめば、その端緒をもとにして捜査を開始すべきものである、こう思います。具体的にこういうようなものについてどういう方法で捜査の端緒をつかみ、つかんだ後にどういうふうに捜査をしていくかということは、これは捜査のいろいろ研究の部面で多少秘密にわたる点もございますので、抽象的には、捜査の端緒をつかめば捜査を開始しなければならない、こういうふうに申し上げざるを得ないと思います。
  205. 鍛冶良作

    鍛冶委員 月並みの返事ではそのとおりでございましょう。私の言うのは、容易にわかるものじゃありませんぞ、わからぬときに投書があったり無責任な告訴があったからというて一々やられることははなはだ迷惑だと思うがどうだということと、それから、その捜査をするときに、ただちょっと調べたくらいでは、あなた、なかなかわからぬですよ。おそらく一切の収支を見る帳簿、伝票等を引き揚げられるだろう。そんなことを簡単にやられてはたいへんだと思うから、それらの点に対してどのような覚悟を持ってやるつもりでおられるか、それを聞きたい。
  206. 川井英良

    ○川井政府委員 事柄の性質上きわめて慎重な態度で捜査をすべきものだと思います。なお、現行の政治資金規正法におきましても、すでに十何年間の運用の実績を持っておりますけれども、その運用の実績がほかの法律に比べて数において非常に少ないということは、この種の事件についての捜査の困難性とあわせて、また捜査当局の態度の慎重性を物語っているものではないかと思います。
  207. 鍛冶良作

    鍛冶委員 その点は十分お考えくださいまして、この法律ができたがゆえに財界に恐怖の念を起こさせ、悪影響を及ぼさないことをわれわれはいたく注意しておるわけでございます。  その次は、寄付の禁止にはまだまだ聞きたいことはたくさんありますが、匿名の寄付はこれを禁止する。それから他人の名前をかりた寄付は禁止する。これは先ほどここで質問もありましたが、他人の名前をかりた寄付は禁止するといったって、それは虚偽の申告でございますよ。他人の名前を出すことがわかっておるとすれば、これは虚偽の申告だから、こういうものはなくても規正法によって虚偽の申告は罰することになる。禁止されておるからこういうものは要らぬように思うが、これはどうか。  それから、匿名の寄付を禁止するということは、どういうわけでそういう規定を置かれたか、これを聞きたい。
  208. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 政治資金規正法は、要するに公開原則をとっておるわけですから、匿名というようなわけのわからぬのは公開原則からいって望ましくないということでございます。他人名義についても同様でございます。
  209. 鍛冶良作

    鍛冶委員 他人名義のものといえば虚偽の申告でございますよ。だからこんなものはなくてもいいではないかというのです。虚偽の申告、なぜこんなものを使ったか、けしからぬじゃないかと言えばそれでいいじゃないか。  その次、匿名ですよ。公開原則を守りたいからと言われるが、私の言うのは、いつも言うように、これを禁止し、これに違反した者は罰する、こう言われるからには、そういうことは社会上悪なんだ、社会モラルに反しておるのだ、だからこれを禁止するというものでなかったら、そんな法律上禁止したり罰則をつけたりできるものじゃない。この前提から聞くのですよ。ほんとうに匿名であなたを援助したいと言って置いていったら、何か社会悪になりますか。私はそれを言いたい。
  210. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 公開をするということは、どのような人からどのような寄付があったかということを公開するわけでございますから、この匿名の、名前のわからない寄付というようなものは、これはやはり排除すべきもの、いわゆるこの政治資金規正法という資金を公開するという原則からは排除すべきものというふうに考えるわけでございます。
  211. 鍛冶良作

    鍛冶委員 公開原則から反すると言われることは私はわかりますが、ほかにもずいぶん匿名の寄付というものは世の中にはありますね。むしろ、それは善行としてほめられておるものがたくさんある。しかしあなた方は政治資金規正法というものを設けた以上は、そういうことは好ましくないと言われるのはわからぬでもありませんが、社会悪ではないと私は言うのですよ。社会悪でないものを、それをなるべくそういうことで指導し、その他をやられるのはよろしいが、いかぬというて罰則を設ける、法律上禁止する。そんなあなた方、政治資金規正法を設けた以上はそれは好ましからざるもの、そんなことで人を罰したりなんかするものではないので、その点を言うのです。これは社会上悪だ、こういうことはいかぬのだ、こうおっしゃるならいいが、政治資金規正法をつくったがゆえにという、それは政治資金規正法によって社会の善行をも抹殺することになる。私は決して匿名の寄付は悪とは心得ません。
  212. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 これは現在も、公職選挙法におきまして、選挙に関しては匿名の寄付は禁止されております。なるほど、たとえば社会事業に匿名で寄付をした、これは善行ともいわれるだろうと思いますが、政治資金という常に公正であり、また国民の目の前に常にはっきりと公開をするという性格からいたしまして、匿名というものはその限りにおいては排除さるべきものだというふうに考えるわけでございます。
  213. 鍛冶良作

    鍛冶委員 いまのなには、もとぼくらこさえたときはなかった。あとで入れたんだ。それにしても、われわれはそういうものをやることは、あるがゆえにと言われるが、そういうものはおもしろくないからどうお考えになるかと聞いておるのです。あるからいいんだと言われたんじゃ議論になりません。われわれは善行をもそういうことで、先ほどから言うすべて同一の論法からくるのですが、法律上規制すべきものじゃない。まだまだたくさんありますが、もう一つだけなにしましょう。  代議士の寄付の禁止です。これは寄付は一切禁止するという——この間座談会でずいぶんその経緯をみな聞きました。これは初めてこさえたときも、私は一切禁止すべきものだ、こういうことを主張したのです。これはあとでたしかこの規定をこれも入れたんだと思うのだが、一般通常社交の限りにおいてはいいとか、いわんやいまのものを見ますと、正当なる弁当代ならいいとか、研究費ならいいとか、これは一体こういうものを入れますときりがないようになるのだが、入れなければならなかった理由はどういうところにあるのですか。
  214. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 選挙時でなく、普通のときにおきまして政治家選挙区において行なう一番最大の問題は、自分の政策等を選挙民に浸透することであろうと思います。そういう意味におきまして、もっぱらそうした政治上の信条その他政策を選挙民に徹底するための講習会等について、その必要最小限度の実費弁償は、これは認められてしかるべきではないかということでこの条項が入ったわけでございます。
  215. 鍛冶良作

    鍛冶委員 まあ、そういうことであることはわかりますが、これくらいは必要最小限度だと言われるその限度がわからない。どのようなところであなた方はその線を引かれるのか、それを聞きたい。実例から申しましょう。近ごろはやりますのは、町の婦人をバスに乗せて、バス何台と連ねて、そうして近ごろはやっておるレジャー場所へ連れて行って弁当を食べさせておる。これはバス代からその部屋料から弁当代からというとばく大な金で、それも一ぺんだけで済むのならよろしいが、私の知っておる者なんか、日曜ごとに毎月毎月やっておる。年に何十回、月に何回かずつやっておる。これらも彼に言わせれば必要なんだ。夏だからなるべく涼しいところへおれは連れて行ってやった。冬だからあたたかいところへ連れて行ってやった。これは必要なことだ。弁当を食べさせて何が悪いか。もっと言ってみれば、しまいには、せっかくおいでだからといって、おみやげにふろしきをやったり、いろいろなものをやったりしておる。そういうようなものでも、そう言うたらあなた方は必要外だ、こう言われるかどうか。言われるならば、どこが必要外だという基準があるのか、それを聞きたい。
  216. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 ただいまおあげになりましたようなことは、もっぱら政治教育のための集会ではないと考えます。
  217. 鍛冶良作

    鍛冶委員 向こうは政治教育のためにどこそこへ呼ぶ、こういうときにそれを言うんですよ。いままでもこういうものを取り上げるならば、また全部取り上げるならば私はそれほど言わないのだ。ある候補者のごときは、一ぺんやったからといってそれを起訴されておる。ある候補者のごときは年じゅう、何十回もやっておるが起訴されておらぬ。こういう現実において弊害があるものがわかっておる以上は、これはなくすというあなたは根本観念をもって臨んでいただかなければいかぬと思うのですが、その点をひとつ考えてもらわなければならぬ。それにもかかわらず、こういうものを入れたということはまことに私は残念だと思うが、あなたは、いやそれは認めますと言われるのですが、それはどこで規律されるのですか。
  218. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 単にこれは主観的に、自分は政治教育のための集会だと思ったところで、それで許されるものではございませんで、ただいま設例にあげられましたようなものは、これはもっぱら政治教育のための集会とは認められませんということを申し上げたわけでございます。これも禁止しろというお説については、十分私は拝聴いたしておくつもりでございます。
  219. 鍛冶良作

    鍛冶委員 その次は通常一般の社交ですが、これもどうもわからぬです。そこで、あなた方が言われる通常一般の社交、要するに常識判断するよりはかなかろうと思うのだ。そこで、私はこういう法律をつくるときによく言うのですが、なぜこういう法律を入れなければならぬと主張するかといえば、通常一般の社交をやっても、おまえは選挙の目的でやったろう、こう言われて捜査の対象にされる。家宅捜索をされる。こういうことはやりきれぬから言うんですよ。もうわかっているでしょう。入れると、それじゃどこに区別があるかということになってごちゃごちゃになってしまう。そこで私は申し上げたいのは、常識論とすればだれが見たってわかっておるのだから、捜査にかかられるのは警察だろうと思うのだ。そういう常識上だれが見ても一般通常の社交の範囲だということになったら、そういうことをやらなければこういうことは起こらないのですよ。それをどうもあるときにはやり、あるときにはやらぬ、これがいかぬわけです。これを大臣どうお考えになるかお伺いして、警察からまたあとで御返答を願いたいと思います。
  220. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 この通常の社交の限度というものはなかなかむずかしいと思いますが、それに対してこの取り締まり等が区々に分かれるというようなことがあってはならぬわけでありまして、それらの点については十分今後も注意してまいりたいと思います。そういう意味におきまして、その選挙区における寄付は一切禁止してしまえという御議論に対しては、十分傾聴いたします。
  221. 鍛冶良作

    鍛冶委員 どうです、警察は。
  222. 内海倫

    ○内海政府委員 いま大臣が答弁されましたような方針で、私どももまいりたいと思っております。また具体的な問題については具体的に考えることにいたします。
  223. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そういうことです。私のお願いしたいことは、こういう条文をやめるんですよ。そのかわり、だれが見ても常識上通常一般の社交の程度だということを言うたら、そういう官憲が入ってやるなどということは要らぬことだ。これを今度ひとつ明瞭にしておいてもらって、そうして私はこれを削るということをお願いしたい、こう思います。その点をここに主張をして、委員の皆さんにもそれで賛成をしていただくことをお願いして、きょうは終わります。
  224. 小澤佐重喜

    ○小澤委員長 次会は公報をもってお知らせすることといたし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時一分散会