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1967-05-31 第55回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月三十一日(水曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 小澤佐重喜君    理事 赤澤 正道君 理事 四宮 久吉君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 古川 丈吉君 理事 島上善五郎君    理事 堀  昌雄君 理事 門司  亮君       高橋 英吉君    永山 忠則君       松野 頼三君    大柴 滋夫君       伏木 和雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         警察庁刑事局長 内海  倫君         法務省刑事局長 川井 英良君         自治大臣官房長 宮澤  弘君  委員外出席者         自治省選挙局選         挙課長     山本  悟君         自治省選挙局管         理課長     鈴木  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公職選挙法改正に関する件      ————◇—————
  2. 小澤佐重喜

    小澤委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  赤澤正道君。
  3. 赤澤正道

    赤澤委員 けさ読売新聞を見られた方は、少なくとも国会でこの問題の審議に携わっている人はびっくりされたと思うのです。新聞は、言うまでもなく社会の公器でして、真実を報道することを使命としていると思うのです。ですから、新聞に出ましたものは、一般大衆は事実とじて受け取るのは私は当然だと思うのです。ところが、私の知る限りでは、まだこの法案に対する要綱というものは最終的に確定しておらぬと考えております。ただ、野党側からは早く法案を提出せいという御要求があることはわかっておるけれども、何せ全国民関係のある重大な法案だから、与党内でも意見の調整もはかり、いろいろ党議をまとめることに努力をしながら、いま答申につきまして真剣に検討もし、また政府のお考えども聞いておる最中で、もう間もなくの段階にはきてはおるけれども、ああいう形でまとまったということは私は聞いておらない。こういうものが出ますと、これが非常に与党内で反響を呼んで、そのためにまた審議がごたついておくれるということは、たびたび経験してきておるのです。社名をあげますけれども読売新聞の場合は、最近われわれから考えますと行き過ぎが多い。一番最初読売のスクープで答申案めいたものが出て、書く人もびっくりされて、私どもは真偽を確かめられた。そのときは何か一部の者がスクープされた実情もあったようでございますので、自治省のほうでは、これはいかぬというので、全部やり直そうということになったはずですね。二回目は、ちょうど先々週でしたか、自民党でこの問題を中心にして各九地区のブロック会議をやっておる。最終の九州のブロック会議はたしか十九日であったと思いますが、その朝の朝刊に読売はまた要綱まとまるという形で記事を出しましたために、非常にブロック会議がもめて、答弁のしようがなかったことは、これは役所の方、おいでにならなかったわけだけれども、私どもは党の役員として出席しておって非常にまずいなという印象を受けた。私、自治省には責任はないとおっしゃるかもしれぬけれども、全く困ったことだと思うのです。ことに読売新聞は顧問が審議会の会長である、委員に副社長の小林君がおられる。各紙にしてみれば、何か自治省読売新聞だけがツーツーじゃないかという印象を持っておられるわけなんです。けさも次々と新聞の方が私のところに見えて、あれは事実か、どうして読売だけにああいうことを漏らしたのだということできついおしかりがあったわけなんです。この問題がいま全国の関心を集めておることは当然のことなんです。新聞社諸君にしてみれば、一日も早くこれをきまり次第に皆さん発表したいという気持ちはよくわかる。私も自治省におったことはあるが、各社競争をなさる。過当競争ということばはおかしいかもわからぬが、他社を抜いて、自分の社で功名をしたいというお考えは確かにあるのです。ですから、この委員会を開きましても、大臣などは、始終閣議にいつかけるのだとか、進行状況はどうだということを、野党の方もお聞きになろうとして、委員会を開け、開けとおっしゃる気持ちはわかるが、しかし、いまここでもちょと話しましたとおりに、与党内で十分に調整ができれば、むしろ国会の当委員会での審議の時間というものは短くて済むじゃないか、十分調整ができないものを出したらたいへん委員会が難航すると私は思うのです。ことにわれわれとしては、何も答申のあらさがしをしておるわけじゃないので、実際法案化いたしました場合に、国民に、何だこれはというような印象を与えるわけにいきませんから、きわめて慎重に、いろんな場合をあげて、こういうときはどういう処置をするのだといったことを中心議論をしておるわけでして、これは自治省は、大臣おいでになってませんけれども事務当局はよく知っておるはずです。そういった点でも疑問点が非常にたくさん出てきて、先般も法務省や大蔵省なんか交えて議論をいたしましたら、とたんにああいうものが出ておるということは、審議するわれわれとしてみれば非常に不愉快千万なことでございます。きょうは選挙局長がここへ出てまいっておりませんが、聞けば、やはりああいうことについて責任感じたと申しますか、これではとても自分の役職はつとまらぬと思ったのか存じませんが、しかしながら、きょうこういう大事なときに選挙局長が姿を見せないということはたいへん残念だと思うのです。大臣もだいぶ追い詰められておられることを新聞紙上を通じて——たいへん同情しております。まあ新聞のしんぼうが足りないと申しますか、とにかくたいへん当局を責めたてるようですが、自治省には内政クラブというものもあるわけなんです。これは何とか皆さんのほうでよくこの諸君の御了解を願って、発表するものは同時にする、そうして統一ある——扱い各紙によって違うわけですけれども発表をしてもらいたいというくらいのことはやっていただかなければ困ると思うのです。私は読売新聞だけに自治省が何か漏らすということは信じません。そういうことはあり得るはずはないけれども、しかし、他紙はそういうふうにとると思うのです。そのこと自体がいま自民党でやっております選挙調査会のまた一つの議論の種になる。そのためにまた時間を食うわけでございまするので、この点は、私はどういうわけでああいうものが漏れたかということを聞こうとしない。おそらくは大体想像の記事であろうと思うのですけれども、やはり他の新聞等が非常にこういったことに対して不愉快に思っておられる事実を申し上げて、今後はかようなことがないように、新聞皆さんも良識のある方々ばかりですから、こういう発表のしかたというものがかえって逆作用を招くということもひとつよく皆さんに御理解を願うように大臣においても御配慮願いたいと思うのです。それだけ冒頭にあたって希望を申し上げておきます。
  4. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 実は私も、けさからいろいろ各方面からお問い合わせ等をいただいておるわけでございまして、最初に申し上げたいのは、ああしたまとまったいわゆる自治省の案と申しますか、そういうものは全然つくっておらないわけでございます。これはかねがね与党の皆さまに申し上げたように、まだ未調整の問題があるわけですから、その未調整のままにそういうものをつくることは不適当と考えまして、文章としてああいうものは全然つくってはおりません。しかし、いろいろ問題点は従来ともあがっておりますから、おそらくいろいろつくられたことと思いますが、ああいうものが一たん発表されますと、やはり一般国民は、何としてもあれが何か原案のように思い込まれてしまうということが、今後の国会の御審議はもちろんのこと、与党との調整の間においても非常な支障があることでございまして、私自身としても非常に残念に思っておるわけでございます。実はこの問題が始まって以来各社とも非常に注目をし、そうしてわれわれの考え方なり、あるいはもし要綱ができたらそれをいち早くキャッチしようという努力はされておりましたが、われわれも実はいま申し上げたようなことがございますので、内政クラブのほうにもいろいろ申し上げ、いわゆる抜けがけ的な、あるいはなまはんかなものを出されないように、そのかわりまたまとまれば必ずはっきりしたことを申し上げるということで御協力をいただき、いままでも協力をしていただいておったわけですが、本日突然ああいうことが出まして、非常に困惑いたしておるわけでございます。今後もいま御注意のあるような点は十分注意をいたしますとともに、またたとえ文章にできていなくても、関係係官が口の端にのぼせるようなことがあってそれがああいう作成になるということになってはいけませんので、本日事務次官を通じまして、係官にも厳重今後注意をするように戒告をいたした次第でございまして、今後はあのようなことのないように万全を期してまいりたいと思います。
  5. 小澤佐重喜

  6. 島上善五郎

    島上委員 私は、やはりけさ新聞を見まして、赤澤委員とは違った意味で、自治大臣なかなか努力しているわい、正式に発表すれば全社で出ましょうけれども、正式な発表でないにしても、当たらずとも遠からずと申しますか、そう違っていない、かなり進行しておる、この前のこの委員会答弁したほどに、そのとおりには進行はしていないけれども、ややそれに近い程度に進んでいるというふうに受け取ったわけです。これがいま言ったように正式な発表だとは思いませんけれども、そうかといって全く的はずれの、全然根拠のないものだとも思えない、一通り見ましたが。そうすると、いまの答弁で、またそれこそ失望を感じましたが、一体政府は、この前のこの委員会でも質問し、大臣から答弁がありまして、月のうちにまとめたい。月のうちといっても、きょう最後ですからね。月のうちにまとめたい、こういう話でした。それで四日が日曜ですから、私どもは、今週中にまとまらなければ、次の委員会には総理に来てもらって、政府考えをたださなければならぬ、こういうことを理事会でも申し上げておるとおりなんです。いまの御答弁を聞きますと、きょうまとまりそうもないし、へたをすれば今週中にもまとまらぬじゃないか。そうなると来週に持ち越されて、ぐずぐずしたら十日前に法案国会に提案されるという運びにならないというような心配がされてしょうがない。会期は六月で終わるのですから、当然政府としては、その会期内に衆参両院十分審議をして成立をはかるように、そういう考慮を払った上で——政治資金規正法ばかりじゃないですよ、その他の法案でも、出すべきだと思うのです。  いまの御答弁で、新聞社への発表についての注意は、それはよろしいけれども与党とのいわゆる調整が難航しているという感じを深くして、いささか失望したわけですけれども、一体今週中にまとまって、来週一番早い閣議で決定をするという運びになるかどうか、もう少し自信のほどを値わしていただきたい。
  7. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私が赤澤さんにお答えしましたのは、ああいう要綱とか条文改正案とか、そういうものをまとめて書いたものを持っていませんということを申し上げたのでございまして、担当係官の頭の中には相当進んだものがあるということはもう当然なんでございます。また、決して私は与党との調整が難航しているとは思いません。したがいまして、今月中ということのお約束といいますか、目途としたことは少しずれましたけれども相当早い期間に国会に提出して御審議をいただけることと私は考えております。また、この前も申し上げましたが、与党理解と納得をいただくならば、十分この国会成立させるだけの御審議の時間はあり得るものと考えておる次第でございます。
  8. 島上善五郎

    島上委員 相当早い機会にという御答弁はもう何回も聞いておって、その相当早い機会がずれてずれてずれてきているのですからね。いまになっては相当早い機会というよりは、もっと明確に、今週中には残っている数点について話し合いがついて、来週の最初閣議で決定する、こういう運びである、このぐらいのはっきりした答弁を私はいただけるものと思っておりましたが、この委員会また来週の水曜日にやりますから、また同じように相当早い機会にという答弁がないように、これは、ぜひそういうふうに希望しておきたい。  それから私の受けた感じでは、新聞報道ですからまだかたまっていないとおっしゃればそれまでかもしれませんけれども社会党に対して、これで七かこれでもか、このくらいやったら反対しそうなものだ。これでもかこれでもかという感じを与えることをやっているという印象を受けるのです。刑罰問題等については、私は法案が出てから論議したいと思っておりますから、深くは触れませんけれども労働組合関係するような方面は重くして会社のほうは軽くする、こういうようなバランス、均衡のとれない法律は、法律としても不適当でありまするし、私はそういうことはやるべきじゃないと思います。大臣のお考えをちょっと……。
  9. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 何か日本社会党がお困りになるようなことを考えているということは、たいへん心外なんでございまして、私はあの答申を忠実に法文化することにつとめておるわけでございまして、決してそういう点について不均衡を来たしているようなことはないと存じております。  いまの刑罰の問題は、ほんとうに審議が始まってからというお話でございますから深くは申し上げませんが、やはり行為性質——私も法律専門家じゃございませんけれども行為性質によってやはり刑罰の重い軽いは変わってくると思います。そういう行為性質によっての刑罰の差はありましても、それが特に労働組合を目当てに考えているというようなことは毛頭ございませんことを申し上げておきたいと思います。
  10. 島上善五郎

    島上委員 それから、どうも実効のあがらない法律になりそうな心配がしてならない。つくっても実効が何らあがらないということでは、これは大騒ぎをして世論にこたえて法律をつくるという意味が半減してしまうのですよ。法律をつくったからには実効があがるというのでなければならない。それが刑罰問題にも関連するわけですけれども、ぜひ実効のあがる法律にしてもらいたい。さっき古川君と雑談しておりましたけれども、どうも古川君の思想の根底には、政治資金規正することそのものを否定するようなお考えがありましたので、これはぜひ法案審議に入りました際に古川君からよく御高説を承りたいと思っておりますが、規正するからには規正実効があがらなければ意味がないわけですから、刑罰問題を考える際にも、あるいは法律条文考える際にも、ぜひ実効のあがるような法律にしてもらいたい、こう私は思うわけです。大臣のお考えをひとつ……。
  11. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 もちろん規正をいたす以上、その規正実効があがらなければ何にもならないわけでございまして、私はそういう面におきまして十分実効のあがるような法律をつくりたいと考えております。これは単に刑罰を重くするからいいというばかりではございません。やはり社会監視の中においてそういうものが実行されて、もしそれに実行されないようなものがあれば、それは社会的な指弾もきびしく受けるという性格のものでございますので、そういう点は、一面法律を十分整備すると同時に、この法の趣旨国民に徹底して、そうして国民的監視のもとにこれが行なわれるというようなものにいたしたいと考えております。
  12. 島上善五郎

    島上委員 規正法関係ではあと一点だけにしておきますが、たしか参議院の予算委員会か何かでの御答弁の中に、この法律成立後さらに再改正もあり得る、こういう御答弁があったように新聞で伺っております。どんな法律でも、実行してみて実態に合わない、都合が悪いという個所がありますれば、さらに改正をすることは当然のことですから、その再改正という意味の中に、例の五年後に団体の寄付は全面的に禁止するということをも考えていらっしゃるかどうか。つまり、今度の政府の提案には、五年の期限の問題には法律としては触れていないように私承っている。そうすると、五年をめどにして団体献金を全面的に禁止するという答申趣旨法律には何ら生かされないことになるわけですから、大臣答弁された再改正もあり得るということは、その五年後に団体献金を禁止するという改正をも考えての御答弁であったのかどうか、それを伺いたい。
  13. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 社会情勢経済情勢あるいは政治情勢、目まぐるしく変転をするわけでございますから、そのときの政治情勢社会情勢等を勘案して、やはりこういう政治資金規正というものもそれに合った規正をすべきだと思います。したがいまして、ただいまお尋ねの個人献金に限るというようなことも、審議会審議過程においては言われておることでございますし、それらも含めまして社会情勢政治情勢の変化に応じて手直しをすることがあり得るというふうに私は考えておるわけでございます。
  14. 島上善五郎

    島上委員 審議会過程で言われているのじゃなくて、答申文章の中に、ほぼ五年、こういう表現ではありますけれども、政党及び政治家はすべて党費及び個人支持者によって政治活動資金をまかなうべきものである、こういうことが答申の中にあるわけですから、審議会審議過程での発言というよりは、答申の中にありますから、当然私は、それまで自治大臣やっていないかもしれませんけれども、少なくともいまの答申尊重大臣のお考えの中には、これに賛成をして、五年後にはそういう改正をすべきであるというお考えがあるものと思いますが、どうでしょう。
  15. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいま申しましたように、審議会答申の中にもそういうことがうたわれております。したがいまして、政治情勢社会情勢あるいはまた各党の近代化組織化情勢等をにらみ合わせまして、党費個人献金に限るということも含めまして、そういう情勢に応じた手直し考えられるということでございます。
  16. 島上善五郎

    島上委員 この機会に一、二、政治資金規正問題じゃなくて、先般の統一地方選挙の際に起こったいわば不祥事件について承りたい。  愛媛県の町長選挙で二派に分かれて、事もあろうに投票所入口殺人事件が起こった、反対派運動員を刺し殺した、こういう事件がありましたことはすでに御承知だと思う。それに似通ったような事件がほかにもだいぶあるようです。選挙にこういう暴力がつきまとうということは、これは非常に困ったことでありまして、見張りを立ててなぐり合いをしたという事件もほかにもありまするし、村八分にしたり、非常に選挙の公正を乱すような暴力的な行為あるいはそれに近いような行為が随所に起こっている——と言えば少しことばが過ぎるかもしれませんけれども、かなり起こっておるわけです。これに対して自治省事前選管に対してこういうことを防止するための適切な措置をとられたかどうか。それから警察庁が、両派に分かれていがみ合って不穏な空気がわき立っているときに、人殺しまで起こるという事件に、ほとんど適切な防止措置を欠いたということは、警察としてもこれは大いに考えてもらわなければならぬ。警察権力選挙にあまり介入することはよくないことですけれども事暴行ざた殺人、負傷というような事態は急に一ぺんにぱっと起こるものじゃないのですから、そういう状態が前から察知できて適切な予防ができるはずだと思うのです。警察庁のとった措置についてもこの際伺っておきたい。
  17. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 愛媛県の松前町の町長選挙の際に、投票所付近殺人事件が起きたということはまことに残念なことでございまして、明るく正しい選挙推進という面からいたしましても、これは非常に憂慮すべきことであると考えます。実はこうした選挙の行なわれるたびに都道府県の選挙管理委員会委員長あるいは書記長等の会合を開きまして、投票あるいは開票の管理選挙の執行に関しましていろいろ注意を与えると同時に、そうした明るく正しい選挙推進のためのいろいろな啓蒙運動をさせておったわけでございますが、残念ながらああいうことが起こりました。また、例におあげになりましたように他にも選挙につきまとっていろいろな問題が起こりますことは非常に残念でございます。今後さらにこうした国民政治意識の高揚につとめると同時に、そうした両派に分かれて激しい選挙をやっておるというような場所については特に気をつけてまいりたいと思います。当日も、あの殺人事件が起こったときに、そういう非常に激しい選挙であるというようなことも考慮に入れまして、警察官二名が周辺を警戒いたしておったわけなんでございますが、非常にとっさなことのああいう事件でございまして、殺人が起こって、それを未然防止できなかったことは残念でございますが、警察としましても付近警戒には相当気を使ってやっておったわけでございます。今後さらにこうした点を十分検討をいたしまして、特に町長選挙のような、場合によっては非常に激しい選挙になるおそれのあるものにつきましては、警戒を十分いたして、そうして不祥事を未然防止したいと存じております。
  18. 内海倫

    内海政府委員 警察措置につきましての当日の模様は、いま大臣から御答弁申し上げたところでございますが、警察がこの愛媛県の問題につきましてとりました措置を申し上げておきたいと思います。  この愛媛県の当該町長選挙というものは、もっと前からもしばしば問題の多い選挙が行なわれておるというふうな沿革にもかんがみまして、今回の地方選挙におきましても、警察当局では暴行あるいは強引な選挙違反というようなものの行なわれることを非常に警戒しておったわけでありますが、たまたま投票日の前日、やはり両派相応じて夜間に乗じての戸別訪問というふうなことの行なわれるおそれもあり、さらに路上に火をたいて気勢を張るというふうな様子も見えましたので、当該町の警察署本部長自身も出張いたしまして、愛媛県の機動隊警察署に派遣して不測の事態に備え、集団警らども行なって未然防止につとめたのでございます。大体明け方近くになりまして、そういうふうな不穏な状態も全部おさまったということで、本部長の判断によりまして機動隊等は復帰させました。しかし、選挙投票所におけるまた不穏な問題が起きてはということでありますけれども御存じのように、そしていま御指摘のように、制服の警察官等投票所付近にたむろしあるいは動くというふうなことは選挙の公正さにも影響がありますことを懸念して、私服の者を二名投票所の端のほうに待機させておったわけでございます。その殺人事件は、すでに御存じのとおりでございますが、全く突如として起こったものでございまして、警察官はすぐその場にかけつけておりますが、これを未然防止し得なかったという点につきましては、われわれもはなはだ遺憾に存じておりますけれども、いま申しましたように、すでに事前から相当警戒もし、措置もとっておったということだけは申し上げておきたいと思います。
  19. 島上善五郎

    島上委員 私は選挙をもっと取り締まれということを言うわけではありませんけれども両派運動員がたまたま投票に行ってぶつかったというものじゃなくて、投票所入り口付近両派運動員相当数対峙しておった、こういう状態が前からあるわけです。こういうこと自体が、すでに選挙法違反行為ですね。当日はいかなる選挙運動もできませんし、ましては投票所入口に明らかに両派運動員と判明できる人たちが対峙しておるということは、これはもう選挙運動でもあるし、きわめて悪質な選挙運動です。危険な選挙運動ですよ。こういうことを排除しなかったところに問題があるのですよ。当然これは排除すべきで、選管注意で排除するか、それで排除できなかった場合には警察官の力を借りるか、いずれにしましても、排除すべきだった。こういう点で私は重大な手抜かりがあると思います。今後これは十分注意していただきたいと思います。  それから村八分というのがいまでも依然としてある。これも選挙の公正を害する非常に悪い習慣です。今度も、自分のおふくろの一票で当落が分かれたとかといって村八分にされて、それに対して子供の中学生が死んで抗議をしたという事件が岩手県下に起こっております。村八分というのは、おおむね農村地帯の比較的——何と申しますか、政治意識のおくれている地域に多いようですけれども、この村八分を今後なくすために、よほど積極的な啓蒙運動と申しますか、手を打ってもらわぬと、なかなかこの村八分というのはなくならぬと思うのです。これに対してひとつ大臣は強い決意をもって臨んでもらいたいと思いますが、所信をひとつ伺っておきます。
  20. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 確かに、たとえば部落推薦があって、その部落推薦の者をしなかったというようなことで村八分にするというような非常に前近代的な行為がしばしば行なわれていることは非常に残念でございます。要は国民政治意識の高揚だと思いますが、常時啓蒙運動も続けておりますが、その啓蒙運動のやり方等についても再検討いたしまして、そのような前近代的なことの行なわれないように、これからもさらに一段と力を入れてやってまいりたいと考えております。
  21. 大柴滋夫

    ○大柴委員 関連。実務的なことでありますが、参議院の全国区のポスターのことであります。たしか十万枚となっておりますが、あれは中央選管が検印をして、各県に張る場合にはまた県選管も検印をするのでありますか。その辺のところはどういうふうになっておりますか。
  22. 山本悟

    ○山本説明員 御指摘のとおり参議院全国区のポスターの枚数は、公職選挙法百四十四条の一項一号によりまして十万枚でございます。そして二項によりまして、ポスターは、参議院の全国選出議員の選挙については、中央選挙管理会が検印をするということになっているわけでございます。検印の場合と証紙の場合がございますが、いずれも中央選管がやるということになっております。
  23. 大柴滋夫

    ○大柴委員 そうすると、あのポスターはたしか一県一万二千枚、衆議院の選挙区を増すごとに五千枚ずつ張れる、こういうようになっているわけでありますが、たとえば東京なら東京に——東京でなくても、山梨県でもよろしい。山梨県は一万二千枚でありましょうが、それは十万は張らなくても、五万枚張ってもわからないでしょう。わからないことはどうやって識別をしますか。
  24. 山本悟

    ○山本説明員 ただいま中央選管では証紙制度をとっているわけでございます。検印のかわりに証紙制度をとるようにいたしております。そうして御指摘のとおりに一都道府県内においては一万二千枚、それから衆議院の選挙区が増すごとに五千枚ということでございます。この一府県内でどれだけ張っているのかというのがわからないとおっしゃいますが、そのとおりでございます。これはやはり各候補者のほうにおかれまして良識的にやっていただくというたてまえで、それまでチェックする方法は講じておりません。
  25. 大柴滋夫

    ○大柴委員 たとえば社会党なら社会党が、山梨県と長野県なら長野県を一人の候補者に割り当てた。こういう場合に、長野県と山梨県へ十万枚ポスターを全部張っていっても、これは事実上選管警察も、趣旨には違反しているけれども法律的な何らの措置もとることはできないでしょう。
  26. 山本悟

    ○山本説明員 御指摘のようなことでございますが、事実問題として一つの県内に一万二千枚以上張られているかどうか、これの確認が非常に困難であるという意味におきまして、いま御指摘のとおりのことになろうと思います。ただ、これが明らかに一万二千枚、衆議院の場合一県一区といたしまして、一万二千枚をこえているということが確認される限りにおきましては、撤去命令その他の対象になるということでございまして、確認が非常に事実的に困難だという点におきましては御指摘のとおりだと思います。
  27. 大柴滋夫

    ○大柴委員 そうすると、とにかくどこへでも張ってよろしいというポスターを、山梨県には一万二千枚だといって事実的に勘定して歩くわけでもないだろうし、勘定したところで、張れるのはとにかく中央選管の判こがあるわけでしょう。だからこれを悪いというわけにもいかぬでしょう。実際的にはどういうふうにするのですか。私の党でいまそれが大問題になっているからお聞きしているわけです。
  28. 山本悟

    ○山本説明員 もちろん、これに違反して明かに多く張っているということになれば、撤去命令あるいは罰則の対象にもなろうと思います。ただ、事実問題として一万二千枚全部勘定する、あるいは警察なり取り締まり当局なり、あるいは他の手段を通じて確認されればもちろんこれは違反であろうと存じます。ただ、そこまで事実上確認が非常に困難だということがあろうかと思いますけれども、やはり一地区にあまり多数になるのは適当ではないという配慮から、法がこういう制限を置いていると存じますので、それに従って各候補者におかれましてもやっていただけるものというぐあいに存じているわけでございます。
  29. 大柴滋夫

    ○大柴委員 撤去命令に従わないときにはどういう罰則がありますか。
  30. 山本悟

    ○山本説明員 公選法の二百四十四条によりまして、「一年以下の禁錮又は千円以上三万円以下の罰金」でございます。
  31. 大柴滋夫

    ○大柴委員 いままでその種の全国区のポスターを集中的に張って、警察なら警察選管なら選管で撤去命令を下す罰則というようなことを事実上発動したことがありますか。
  32. 内海倫

    内海政府委員 いま私、手元に全く資料を持っておりませんので、過去にどういうふうな例があったか、承知いたしておりませんが、もし必要でございますれば、前回の全国区議員選挙の模様を調べまして、お答え申し上げたいと思います。
  33. 大柴滋夫

    ○大柴委員 ひとつそれを調べて出してください。  それから、なぜ選管で一万二千枚というのなら、山梨選管を使って、一連番号でもつけて張るというようなことを考えないのですか。何か中途半端で、守っているんだか、少々違反してもいいのかわからぬじゃないですか。
  34. 山本悟

    ○山本説明員 全国区でございますと、四十六都道府県いかなるところでも張れる、あるいはそういう制度にいたしますと検印を受けられるわけでございます。総数が十万枚という押え方でございますので、一ヵ所で系統的にやっておきませんと、技術的に申しまして、十万枚であるのか、そのこと自体すら、はっきり申しまして確認できなくなってくるというようなこともございまして、現在のところでは、中央で選管の証紙一本ということにいたしておるわけでございます。その証紙につきましてさらに県の選管で検印を受けるかというようなことになってまいりますと、技術的に申しますと非常に手間がかかる、候補者の方にとりましても手間がかかるというようなことをいろいろ勘案されまして、現行のようになっておる、かように私ども考えておるわけでございます。
  35. 大柴滋夫

    ○大柴委員 大臣、どうですか。そういう守れぬ、または守るような手段をお役所みずからが講じないようなことは、今度の改正かなんかで削除する意思はありませんか。
  36. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 確かに御指摘のように事実問題としてはなかなかむずかしい問題だと思います。しかし、全国区の方々のやり方もいろいろございましょうし、おそらく実際問題としては、一万二千枚というけれども、各県に一万二千枚ずつ張るのじゃなくて、許された範囲においても、少ないところも多いところもあるのじゃないかということだと思います。そういうことですが、ただ、あまり一地区に集中するのは全国区のたてまえからいってまずいということで、このような制限があるわけでございまして、確かに検討の余地はあることと思いますが、今回の公選法の改正におきまして、いま直ちにこれを廃止するという気持ちはございません。
  37. 大柴滋夫

    ○大柴委員 大体わかりました。参議院の全国区の場合に、小さな旗、俗称われわれは桃太郎旗というのですが、その旗をくれて、四十五名だかの運動員の腕章をくれる制度がありますけれども、あれは一県には幾ついれることになっておりますか。
  38. 山本悟

    ○山本説明員 街頭演説をする際には標旗が要るということになっておりまして、これは全国区の場合には、全国で十五街頭演説ができる標旗を出すけれども、一県内においては同時に二以上の標旗を掲げることができないわけですから、県内では一つしかできない、こういうかっこうになっております。
  39. 大柴滋夫

    ○大柴委員 失礼ですが、そこを読んでくれませんか。
  40. 山本悟

    ○山本説明員 公選法の百六十四条の五でございますが、三項に「前項の標旗は、公職の候補者一人について、一(参議院全国選出議員の場合にあっては十五)を交付する。」というのがございまして、それから百六十四条の七におきまして「参議院(全国選出)議員の選挙に係る選挙運動については、一の都道府県においては同時に二以上の標旗を掲げることができない。」こういう規定になっておるわけです。したがって、総数は十五お渡しするけれども、一つの府県では同時には一つしかできない。要するに県内の街頭演説は一ヵ所しかできないということになろうかと思います。
  41. 大柴滋夫

    ○大柴委員 一つの県に二組入ってやったという場合には、どういう処置をして、どういう制裁があるんですか。
  42. 山本悟

    ○山本説明員 罰則といたしましては、百六十四条の七違反は、二百四十三条の中の八号の四でございまして、「二年以下の禁錮又は三千円以上五千円以下の罰金」となっております。  この場合に、実際の取り締まりといいますか、指導といたしましては、県内で同時に二ヵ所以上で同じ人がやっているという事実がわかるのは、ポスターの際よりは比較的わかりやすいように思っております。
  43. 大柴滋夫

    ○大柴委員 厳密にいえば、ポスターを張るのも腕章をつけて張らなければならないのでしょう。それは腕章をつけている人がいればいいわけですか。それはどういうふうになっておりますか。
  44. 山本悟

    ○山本説明員 ポスターの貼付をするのは、単なる労務者でけっこうでございます。腕章は必要ないと思います。
  45. 小澤佐重喜

    小澤委員長 堀昌雄君。
  46. 堀昌雄

    ○堀委員 法務省にちょっとお伺いをいたします。  政治資金規正法では罰則が設けられておりますが、現在の政治資金規正法による罰則は、第六章で二十三条から二十七条までありますが、すべてこれは禁錮形がついております。全部禁錮刑と罰金刑です。さらにこの中では、公職選挙法百九十九条あるいは二百一条を受けたものも政治資金規正法の中にあらためて寄付制限として掲げて、これも禁錮の刑になっておる。いま、事実かどうかわかりませんが、新聞が伝えるところによりますと、新たに今度制定をされる政治資金規正法の問題については、禁錮がついているものと禁錮のついてないものがある。私は、罰則というものは、これは国民に対する重大な制裁でありますから、罰則は均衡がとれておらなければ、国民側として納得のできないことではないか。現在の政治資金規正法の中では、私どもが見て、事の性格上比較的ささいであると思われる届け出を怠った場合、虚偽の届け出をした場合は明らかに犯意があると思いますけれども、怠るといっても、この間の総選挙の際に、自由民主党でも政治資金規正法に基づくところの届け出がおくれたわけですね。それを怠ったときというならば、すぐ罰則が適用されるかといえば、そうもならないと思いますが、比較的軽微なものを含めてみな禁錮になっているのですね。そうすると、これから法案作成の過程でどうなるか、最終的には法案が提出されなければわかりませんけれども、現在行なわれておるものがすべて禁錮あるいは罰金となっておるのに、今度のものの中には、これまでとの権衡を考えて禁錮がついておるものもあるけれども、かなりのものは罰金だけによって処理されるやに新聞が報道しておるわけですが、この問題にかかわらず、そういう罰則を規定する場合における法務省側の基本的な考え方、これをひとつ承っておきたいと思います。
  47. 川井英良

    ○川井政府委員 現在、罰則を伴う法案につきましては、法務省刑事局にあらゆる法案が一応審査を求めてまいりますので、私の手元で、過去の同種の罰則、それからただいま仰せがありました刑法の罰則についての一般理論、それからその法案の持っております特殊の目的、それからその時代にその法案をつくらなければならない時代的な要求というふうな諸般の事情を一応考慮いたしまして、そしてバランスのとれたと思われる適当な罰則を勘案して了承している、こういうのが抽象的な一般的な態度であります。
  48. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、私今度の改正もやはり重要な問題だと思うのです。政治資金について制限を加えられておるものがいろいろあるわけですが、その制限を越える場合には、やはりこれまでのものの概念から見ると、私は禁錮相当であろう、その禁錮の年数は、現在の法律でも三年以下のものもあるし、五年以下のもともありますが、でありますけれども、それはやはり禁錮相当であろう、こう思うのですが、その点について、これは多少仮定の事実になるかもわかりませんが、お答えがあれば承りたいと思います。
  49. 川井英良

    ○川井政府委員 たいへん御理解のある御質問でございまして、まだ審議中でございますので、私の口から確定的に申し上げるのは時期として適当でないと思いますが、せっかくのお尋ねでございますので、差しつかえない範囲で御説明申し上げたいと思います。  先ほどちょっと最初の御質問の中にありましたように、政治資金規正法という法律の目的としているところ、それから公職選挙法という法律の目的としているところは、その目的の趣旨が違いますので、おのずからその罰則のきめ方にも変化が出てきているのじゃないかと思います。前者の規正法におきましては、むしろ政治資金の公開と申しますか、公明というふうなことを目的としておりますので、先ほど御趣旨にありましたように、きめられた届け出を怠るとかあるいは虚偽の届け出をするとかいうふうな、一見軽微な事犯でありますけれども、この目的からいうならばそこが眼目でございまして、したがいまして、そういうふうな点を怠った、あるいは積極的に虚偽の報告をしたというふうなものにつきましては、非常に重い罰則が一応つけられている、こう思うわけでございます。だた、両法律を通じまして一応共通な場面は寄付の点でございまして、寄付の点におきましては、一部は規正法のほうに規定があり、大部分につきましては今日公選法のほうに規定があることになっておりますので、その辺のところにつきましては、両者一応バランスを考えまして、大体妥当な線が今日きめられているのじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。これは現行の法律の私の立場から説明でございます。  今度問題になりました公選法並びに規正法の一部改正案が自治省においていろいろ作業が進捗し、私どもも、率直に申しまして、そのつど御協議を受けて一応の意見を述べてまいっておりますけれども、それにつきましては、伝えられるようにあるいは罰金だけ、あるいは体刑と罰金とをつけたらどうだ、こういうふうな意見が過程において出ておるわけでございます。また、これは事実として申し上げてよろしい段階だ、こう思うわけでございます。その罰金だけと、こういうふうにいま議論がされておるといわれておるものにつきましては、一応いままでの公選法あるいは規正法にない新しい犯罪の類型をつくったものでございまして、これは今度の五次の答申に基づいてつくられたものでございますので、いままでの現行法にない全く新しい型の犯罪の型がそこにできるわけでございます。したがいまして、その新しい型に対してどういうふうな刑罰を盛るかということはたいへんむずかしい問題だと思いますので、あらゆる角度から、自治省その他内閣法制局なんかの意見も聞いておると思いますけれども事務当局がいろいろな観点から研究をして、どれが一番適当であろうかということを審議中の段階でございますので、その新しいものについてどういうふうなものを盛るかということにつきましては、——その新しさというものが、公選法や規正法に似たようなものはあるけれども、それとちょっと変わったものをつくるのだということならわりあいにやさしいのでございますが、両法律にないような全く新しい、たとえば総ワクでもって個人としては政党に何千万円、組合その他の法人としては何千万円、そのワクまではたいへんけっこうな浄財としての資金でいいのだけれども、ある一定の資金の限度のワクを越えますと、別な観点からまた適当でなくなる、そういうふうなものについては、そういうふうなことがないように一応規制をしたい、こういう行政上の要望でございますので、それに対してはたしてどういう刑罰がいいだろうかということにつきましては、現行のいろいろな、いままでのなるべく似たようなものとか、あるいは諸外国の法制なんかも一応資料を集めまして目下研究中、こういうことに相なっておるわけでございます。
  50. 堀昌雄

    ○堀委員 大体政治資金規正法は確かに公開を主たる目的としておりますが、いまあなたのおっしゃったように、今度は単に公開ではなくて、その量的な問題を含めて、その量的なものがある程度質的に政治の姿に影響を与えていく、こういうことに実はなってきておるわけですから、その限りでは政治資金規正法の一部改正とはいいながら、政治資金規正法に新たな段階が新たに設けられたと理解していいと思います。あなたのお話のとおりだと思います。ただ私どもは、あなたも御承知と思いますが、政治資金規正法は体罰も罰金もありますけれども、実はかなり守られていない。最近は政治資金規正法の体罰等が科せられた例は私はないのではないかと思います。ちょっとその点についてお答えをいただきたいと思います。
  51. 川井英良

    ○川井政府委員 実はここに統計表を持ってまいっておるのでありますけれども、この事件、一々これを本省といたしまして検察庁から報告させるような事件に入っておりませんので、統計の面では略式請求ではなくて公判請求をしたという事件の数もいままでに二十何件にも及んでおりますけれども、その結果執行猶予になったか、あるいは実刑になったかというところまで、いま手元に持っておりませんので、必要なときに調べた上で用意しておきたいと思います。
  52. 堀昌雄

    ○堀委員 実は私ども大蔵委員会で昨年佐藤総理の政治献金の問題を取り上げました。これは明らかに政治資金規正法違反なんです。佐藤さんは、自分は寄付をした覚えがない、ところが自由民主党の経理担当者は、佐藤総理二千万円として自由民主党に寄付されたことになっておる。これは明らかに政治資金規正法にいう虚偽の届け出がなされておるわけですから、当然当時の自由民主党の経理担当者は、私どもが告発をすれば、体刑か罰金かは別としても処分の対象になることは間違いないと思うのです。こういう形でかなり政治資金規正法というものがこれまでルーズな取り扱いをされておるものですから、そういう体刑及び罰金というようなものが併科されておるにもかかわらず、あまり実効的な処置はされてこなかったのではないか、こう思うのです。  私は、現在の日本の風習として、どうも選挙または政治に関する犯罪があまり破廉恥な犯罪ではない、場合によっては、あの人のためにやってやったんだ、特定の人はその犯罪に問われても、それが何か恩義を返したかのようなことにとられておる傾向が現在の日本の中にあると思うのですね。二の間も、鈴木仙八さんですかの選挙違反の人は、逃げ回って、とうとう告別式にようやく二名出頭した。それは死亡したから出てきたのでしょうけれども、その人たち新聞に書かれておるところを見ると、恩人に迷惑がかかっちゃいかぬと思って逃げ回っておったという話になっておるわけですね。どうもそこらに日本の選挙というものの感覚がやや正常でないものがあると思うのです。だから、私は何もそういう人たちを禁錮にしなさいということではない。罰則の目的は人を罰するのが目的ではなく、ただその法律に定めたことを実行することを担保するためにあるだけで、こういうことをしたら禁錮になるおそれがありますよ、だからしないでもらいたい、こういうことだろうと思うのですね。そういう限りにおいては、やはり届け出公開の原則も重要なら、今度私どもが論議をしておるところの資金の量的な規制も、私は公開と何ら異なることのない重要さを現在の政治に持っておるところではないか、こういう判断をしますので、これは私の側の要望だけ申し上げておきますが、何か罰金にしたら軽いんだという印象を与えるようなことが起きることは私は望ましくないと思っておるのです。その点はひとつ法案作成の過程において、自治大臣も日本の現状の風習、風潮を配慮されて、そのことは何も私がいま申し上げたように、違反をした人を必ずしも体刑に処さなければならぬということではありませんけれども、しかし、悪質な者もあるだろうと思うのですね。罰金なら、ああ罰金くらいなら払おう、ひとつ親分のためならやろうではないかというようになったんでは、せっかくの法案趣旨がそこなわれるおそれもあるので、希望としては、体刑または罰金として、その量刑は当然検察当局なりあるいは裁判所が判定をすべきことであるが、罰金しかないんだ、大したことはないじゃないか、五万円くらい払ったらどうかというようなことになるようなことを防ぐための措置は、私はやはり相当重要な問題だろうと思いますので、強くその点は自治大臣及び法務省に要望をしておきたいと思います。  それから、一つお尋ねをしたいのは、数日来の新聞をにぎわしておりまして、かなり誤解を生んでおる点が一つありますのは、あっせんに関して強制をした者については禁錮または罰金に処すという問題が新聞報道で伝えられておるわけです。これは何か私どもの側として労働組合に対する一つの規制であるかのように新聞報道がなされたり、あるいはどうも自治大臣新聞報道による談話では、それを思わせるような談話が実は伝えられておりますので、この点について、労働組合とそういうことで関係があるのかないのか、自治省側の真意を明らかにしておいていただきたい。
  53. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 この政治献金というものは、これは自発的に行なわれるべきものです。しかし、現実の問題としては、いろいろその政治献金を集めるあっせんをされる方がおるわけでございます。したがいまして、そういうあっせんをされる場合に、それが強制的になってはならないことは当然でございまして、それは何も労働組合がどうこうということではございません。そういうあっせんをするすべての人について、強制をしてはならぬということを考えておる次第でございます。
  54. 堀昌雄

    ○堀委員 現在の答申では明らかに労働組合の寄付を認めております。労働組合の寄付を認めるということは、労働組合の機関がいろいろな決定をして、たとえば選挙資金のカンパを労働組合として決定をし、機関として決定をして、一人百円なら百円のカンパを労働組合内でやって、その金は当然労働組合たる機関に集まるわけですから、労働組合たる機関に集まった金を寄付することは、これは私どもはあっせんだと思っていないわけです。だから、あっせんというのはそういう機関を難れて、労働組合であるといなとを問わず、一般的な個人から、ある個人または団体、これは労働組合じゃありませんよ、ある個人または個人が何名か連なった団体が、ある一つの目的を持って一つの政党あるいは団体に対して、その対象となる個人から金を集めてそれを寄付をする、こういう関係にあるものを私どもはあっせんだと考えています。だからその限りにおいては、あっせんという問題は、個人なり団体であっても、現在の会社とかあるいは労働組合というもの以外の団体ですね、個人に対してはですよ。個人に対して個人または団体になると思いますがね。たとえば一人で集めれば個人ですが、二人になれば場合によってはそれは団体とみなすことになるかもしれませんからね。そういうものに対しての問題だと理解をしております。その点は間違いがないだろうと思うのですが、私どものこのあっせんという問題に対する見解だけについてひとつ……。
  55. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 あっせんをする方は個人もあるし団体もあろうかと思います。したがいまして、労働組合があっせんされ、労働組合に入れて、労働組合の寄付として出す場合でなくて、組合員の個人の自発的な寄付を組合そのものがあっせんされることもあろうかと思います。そういうことはあまりないのだと思いますが、いずれにいたしましても、そういう自発的な寄付を集めるためのあっせんをする、そういうことでございますから、それはすべての国民に適用されるわけでございます。
  56. 堀昌雄

    ○堀委員 いろいろな談話や報道がややまぎらわしい感触を伝えたものですから、私どもの党内で議論がありましたが、私はいま申し上げたように、組合が機関として決定して処置しておることは、これは組合そのものの献金であって、あっせんとは認めないということで説明をしてまいりましたので、その点はちょっと正式に確認をいたしておいたほうがいいと思って申し上げたのです。  それからもう一つ、時間もないようでありますから、最後でありますが、さっきちょっと御答弁を伺っておりまして、どうもこの提出の時期が依然として明確でないのですね。一週間たったわけです。一週間前に私は、六月三日までの週に出ない場合には、七日に総理大臣に出ていただいて、総裁としての見解を承りたい、こう言っておいたわけです。少なくとも私どもは、今度の国会会期は六月三十日まででございますから、政府法案国会に提出されるについては、十分衆参両院における審議の日程等を考慮をして、そして十分な日数のある時点に法律を提案をしていただかないと、十分な日数もないところで提案をしておいて、日数が足らないから会期を延長してくれというのでは、私は筋が通らないと思うのですね。そういうふうに考えますと、これだけ重要な法案でありますから、私は衆議院、参議院が慎重に審議をするためには、少なくとも最低一ヵ月は常識的に必要ではないか、こういう判断をしておるわけですが、すでに本日は三十一日でありますから、もう一ヵ月はなくなるわけであります。そうなると、もう一歩譲るといたしましても、これはやはり少なくとも三週間程度はどうしても必要だということに、私は必然的になるのではないかと思うのです。実は皆さんのほうもだいぶ作業が進捗しておると見えて、本日の読売新聞に出ておるものを見ると、法制局の手になる案文が出ておるわけですから、問題点は残しても、かなり事務的な問題は進捗しておるように私は思うのでありますが、どうかひとつこの点について、一体何日の閣議におかけになるつもりかを明らかにしていただきたいと思うのです。
  57. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先週の当委員会で堀さんから御提言がありましたその方向で一生懸命やっておるわけでございます。ただ非常に申しわけございませんが、何日の閣議にかけるということをここで私に確言させることだけはお許しをいただきたいと思うのですが、しかし、いまお話しのように、衆参両院で十分御審議をいただけるようなそういう余裕を持って提出しなければならぬと考えておる次第でございます。
  58. 堀昌雄

    ○堀委員 何日のというのは非常に無理だということのようですが、来週は閣議が六日と九日ですか、二回ですね。来週中の閣議にはかけられますか。
  59. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私としてはそういう方向で努力をいたしておるということだけ申させていただきたいと思います。
  60. 堀昌雄

    ○堀委員 実は私、先週委員長に御要望を申し上げております。これでは私ども非常にまだ——自治大臣がサボっているとは思っておらない、一生懸命やっておられる誠意は認めますけれども、しかし、誠意を認めても法案が出てこない以上は、これはわれわれとしては問題があるわけでありますから、ひとつ来週中の閣議にかかる見通しがなくなった場合には、来週七日の当委員会には総理に出席をしていただいて——要するに七日だから六日の閣議にかからないのがわかりますし、また七日の時点なら九日の閣議にかかるかどうかは数日内のことですからわかると思いますから、来週中の閣議にかかる見通しがなくなった場合には、七日の日には総理大臣に出ていただいて、自由民主党総裁としても、——これまで私ちゃんと整理して持っておりますから、衆参両院において総理大臣がどういう答弁を何回どういうかっこうでされておるか、全部精査をして準備してありますから、要するにこれだけあなたが総裁として言ってきたものを一体どうなっているのですかということをひとつお伺いをしなければ、国民としても納得ができないのではないかと私感じますので、その点委員長の善処を要望したいと思います。よろしゅうございますか。
  61. 小澤佐重喜

    小澤委員長 善処いたします。
  62. 堀昌雄

    ○堀委員 それでは最後に、選挙運動の問題で一つ申し上げておきたいのは、さっき標旗の問題が出たのですけれども、実は私今度の選挙に際して御承知のようにこれまでの選挙のときはトラックとかその他のものでしたから、標旗というあの長いのについたものはどこかに立てて結びつけておけばよかったわけですね。これを今度の選挙の最中に、車のそばで街頭演説をやっておりまして、乗用車ですから外には出せませんから、車の中にくっつけてあるわけです。ところが、そこへ警察官がやってきて、標旗が立っておりません、こう言うわけですね。個人演説会、街頭演説ですから標旗を立ててください、しかし乗用車の中からあの長いものを持ち出してくるのか、車のそばでやっているのだから見えているわけだ、それでは掲げたうちに入らぬということで、だいぶもめました。私、公選法をこまかく読んでみると、外に立てなければならぬようには書いてないわけです。「標旗を掲げ」と、こうなっているのですね。だからここは私は、かつての乗用車でなかった時代の規定でありますから、何とか乗用車になったのだからもう少し乗用車に適当な標旗の状態考えるなり、警察側としても、そういう取り締まり上明らかに車の中の一部に——実は乗用車というものは、車の中に標旗を張りつけますと、運転の障害になるわけですよ。うしろが見えなくなりますから、置くところがないわけです。何とかひとつ、車の前のところに小さなカードのようなものでも何でもいいから、そういうものを、運転の障害にならない程度のものを張りつけることによってこれにかえるとか、何らかひとつ新しい乗用者を使っておる段階に適当したそういう標識の問題ですね。要するにマイクの標識、それから選挙用自動車の標識及び街頭演説の標識——街頭演説というものはこれは場合によっては今様桃太郎ということになるかもしれません。車を離れて移動するときは旗を持って立っているわけですが、車のそばに立って車からやる場合には、車に取り付けた何らかの標識をもって処置するということにすべきではないか。ただ末端の警察官とすれば、現行法としては当然旗を立てて、持っておってやるのが至当だということになりかねないので、三回ぐらい問題が起きたから、私ちょっと文句を言ったのですけれども、しかし、末端の警察官法律を一生懸命守っておるつもりであるかもしれませんから、これはやはり立法上の措置として現状に即した改正を行なう必要があるのではないか、こう思いますが、ひとつ自治大臣から……。
  63. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 確かに乗用車を使うようになりましてからの問題でございますから、いま堀さんお話しのようなことが起ころうと思います。これはひとつ、ただいまの御意見もありましたが、われわれとしても十分考えて、実態に合ってしかも取り締まりもできる、また候補者の方の不便にもならないようにというようなことで検討したいと思います。
  64. 堀昌雄

    ○堀委員 では、私はこれで終わります。
  65. 小澤佐重喜

    小澤委員長 伏木和雄君。
  66. 伏木和雄

    ○伏木委員 政治資金の問題につきましては、いままでいろいろございましたが、ただ一つ、先ほど大臣からの御答弁にもありましたように五年という問題ですけれども、大体この審議会からの答申それ自体も実際には規制にはならないのではないかということは、新聞報道にもずいぶん出ておる問題でありますが、しかし野党とすれば、五年たてば会社もしくは団体の規則が強化される、五年を目途としてということで、答申に沿った線ならばというふうに考えを持っておるわけでございます。したがって私は、この答申の内容、規制の内容それ自体よりも、むしろ将来五年先には規制が強化されていくというところに大きな問題があるのではないか、このように思うわけですが、この一番大事な五年という問題がぼかされてしまうということで、総理並びに自治大臣の言われる答申尊重ということが実行されないというように解釈をしておるのですが、先ほど御説明がありましたように、五年たったらまた改正するというような考えで進めているのか、その時点になってみなければわからないということであるのか、この点について明らかにしておいていただきたい。
  67. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほど島上委員にお答え申し上げたのは、この改正案が国会で御審議をいただき、成立をいたした後におきましても、現在のような政治情勢社会情勢経済情勢相当激変をいたしておるときでございますので、そうした情勢に合わせて何が適当かということを考えてまいりたい。そうしてその情勢に応じた手直しも必要であろう。その手直しという中には、審議会が言われておるような党費個人献金に限るというような問題も含めて検討をしたいというふうに考えておる次第でございまます。
  68. 伏木和雄

    ○伏木委員 この五年間の間にさまざまな規制のもとに法が執行されていくわけでありますが、この法が先ほどお話のありましたように公開法である。しかし、この規制されるべき対象になるものをどのようにチェックしていくか、はたしてその規制内であるかどうかという点をどこで調査し、確認をしていくか、これがきわめて問題ではないかと思います。従来でありますと、自治省に提出されて、それをただ官報に載せて公表する、これだけにとどまっておったのでありますが、このように規制をされた以上、はたしてそれがそのとおり規制の中に入っておるかどうか、このチェックをどこで行なうか。これがなくては、その政治資金がはたして会社なりあるいは個人なりのその規制のワクから出ているかどうか、または届け出されたものそれ自体が正確なものであるかどうか、偽りのないものであるかどうかがわからない。こういった点をチェックしていくのは、調査していくのはどこでこれはやるのですか。これがなくては、いかに規正法をつくったところで、公開法であるからという一方通行のことに終わってしまうのではないか、このように考えるわけですが、この点についてどう対処していくのか。
  69. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 まあ、こういう政治献金というような問題でございますので、私はこの規正法によって選管並びに自治省に届け出る。その届け出に際しましては、それが真実であることの誓約書も入れておるわけでございます。したがいまして、それ以上に、たとえば側々の会社に立ち入りをして調査をするというようなことまでやることはいかがかという気持ちで現在はおるわけでございます。
  70. 伏木和雄

    ○伏木委員 先ほどから罰則の問題が議論に出ておりましたけれども、その罰則も、その調査機関なくしては正確な罰則もできないのではないか。調査機関があってこそ初めてこれは規制のワク外であるということで罰則の対象になっていくと私は考えます。それをやらないで、あくまでも一方の出てきたものを全面的に一〇〇%信用していくことになれば、罰則規定も何もなく、当然その規制の範囲内で形としては出されてくるのではないかと思います。それではあまりにもこの規制自体が、ざるの上にざるを重ねていくというような結果になってまいるのではないか、このように考えますが、この点について御見解を伺いたい。
  71. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 なるほどそれが正確に真実であるかどうかということをやるためには、調査あるいは立ち入り検査というようなことも必要かと思います。しかし、こうした政治献金というような性格のものでございますので、やはり私は国民なりあるいは会社なりが、この政治資金規正趣旨を十分に理解をしていただいて真実を報告していただくということであろうと思います。したがいまして、今回の改正にあたりまして、私は立ち入り検査とかその他の調査というようなことまでをやるような機関を設ける考え方はないわけでございます。
  72. 伏木和雄

    ○伏木委員 私も、全部善意のものと、このように理解してまいりたいと思います。しかし、中には誤った考えのもとにこれを運用されていくということもなきにしもあらずです。ないということは断言できないだろうと思う。そういう事態が起きた場合にどこで調査していくか。
  73. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 これはいろいろ事態によって違うと思います。要するに刑罰に触れるわけでございます。したがいまして、それはそれなりの捜査をやるというようなことも、特に故意にやるというような場合にあり得るかと思いますが、私は、まあ政治資金といいますか、政治に対する寄付というような問題は、そこまで立ち入って調査をするというようなことは、むしろこれはもう国民全体の問題でございますから、それが一々疑いの目をもって見てやられるというようなことになりますと、この政治資金規正法を中心にして、むしろ非常な警察的な干渉だとか、そういうものも起こり得る問題でございますので、できるだけこういうものは国民の善意に待って、しかも正しい報告をしていただく、また正しい運営をしていただくということを国民に訴えることが一番適切ではないかと考えておる次第でございます。
  74. 伏木和雄

    ○伏木委員 かりに申し上げているのですが、虚偽の報告があった場合——ないということは断言できない。これは大臣理解できると思います。そういう事態が発生した場合に、これはどこかに調査機関というものを設定しておかたければならないのではないか。自治省がやるのか、あるいは大蔵省がやるのか、または警察当局がやるのか、この辺の見解を明らかにしておかなくては、全くこの規制というものが、ただ善意のみの解釈では規制の意味がなくなる、私はこのように考えるわけです。したがって、この点を明らかにしておく必要があると思います。これは水かけ論になりますから、この程度にしておきます。  一つお伺いしておきたい点は、自治省考え方ですと、欠損を生じた会社は資金の寄付はできない、このように考えているようでございます。その欠損というのはどの時点に置くか。出してしまって、年末の決算期、年度の決算期において欠損が出てしまったという場合は、それを引き返すようにするのか、あるいは前年度の決算を対象にして次年度においての寄金を認めるのか、この辺か非常に技術的にむずかしい問題ではないか、こう理解するわけですけれども、いつの時点の決算をもとにしての損益を見ていくか、それを対象としてのいつの時点での政治資金のワクにするか、このお考えを承っておきたいと思います。
  75. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 直近の前期の決算で見ていきたいと思っております。一年を二期に分けておるものは、その前二期を通算して欠損があるものはこの制限にかける、そういう考え方でいままとめておるわけでございます。
  76. 伏木和雄

    ○伏木委員 その年度の決算でまいりますと、税務署の税額の問題に触れてまいると思います。決算期におきまして決算をする、損益がそこに出てまいります。それを税務署は対象にしてまいります。次年度に欠損を生じた場合、その資金が課税対象からはずされるという問題がちょっと矛盾してくるのではないか。次年度の欠損の場合ですね。もうすでに前年決算におきまして税額というものは定まっているわけです。その次年度にその決算の対象にした政治資金を法人税法によって免税していくというようなことが少し矛盾が出てくるのではないか。
  77. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 お尋ねの趣旨を十分理解しておらないための門違いのお答えになるかと思いますが、私ども考えておりますのは、直近の前期の決算、しかもそれは税務署へ報告する決算ではなくて、株主総会に出されたその決算で赤字があったというものを対象にいたしたいと考えておるわけでございます。
  78. 伏木和雄

    ○伏木委員 それはその程度にしておきます。  次に、選挙法について二、三承っておきたいと思います。  まず第一に、永久選挙人名簿の登録制度の問題ですが、これは御承知のように年二回の登録によりまして、実際選挙の際に大きな問題を残しておったわけです。実際選挙でき得る人ができないということになりまして、自治省ではこれを年四回にしよう、こういうお考えのようでございますが、四回にしても、まだ大きな問題が残されてくると思います。たしか前回のときは十四万に近い人が選挙ができなかったということを聞いておりますが、これを算術計算しますと、四回にしても約二十万の新しく選挙権を得られるべき人が選挙ができなくなるというような結果が出てまいると思います。この点について自治省は、どうしてもやむを得ない、このようなお考えであるのか、それとも、そのできない人たちに何らかの方法をもってこたえていこう、こういうお考えであるのかどうか。
  79. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 お話のように、永久選挙人名簿制度を採用して以来、いろいろ問題が起こっております。今回は年二回を四回にする。これは、どうも現在の選挙管理委員会の能力としては、四回以上にすることははなはだ困難であると考えております。ただ、御承知のように住民基本台帳制度を今後二年間にわたって整備する予定——法律を御審議いただければそういうことになるわけでございまして、それが完成の暁には、住民基本台帳からすぐに移しかえをするということでございまして、そういう不自由はなくなるわけでございます。選挙管理委員会の陣容の現状からして、この程度でごかんべんをいただきたいと考えておる次第でございます。決してそれが万全だというつもりではございません。
  80. 伏木和雄

    ○伏木委員 時間がございませんので、もう一点だけ伺っておきます。  これは過日、自治省からの提案によりまして、各都道府県の選管から、総選挙の結果について選挙制度を改正すべき意見を聴取をされまして、これがまとまって審議会に提出された、このように承っております。その要旨、どのような点の意見が強かったか、大ざっぱでけっこうですが、お答え願いたいと思います。
  81. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 いま各項目を持っておりませんが、大体選挙の自由な方向というものが中心であったと記憶しております。
  82. 伏木和雄

    ○伏木委員 自由化の中で、個人選挙運動として戸別訪問の禁止を緩和せよ、あるいは立ち会い演説会等はテレビを用いてということが新聞に出ておりました。このような内容ではないかと思います。これは審議会答申がどのような形で出てまいるか、自治省はそれをお待ちと思いますが、それが出てくる以前に、大臣としては、選挙の自由化、戸別訪問の禁止の緩和、あるいはテレビによる演説会というものにどのようなお考えを持ち、またそれを進める意思があるかどうか、伺いたいと思います。
  83. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 選挙の自由化——基本的には私は自由化さるべきものだと考えております。ことに選挙運動にテレビを導入するということは、ぜひ実現をいたしたいと考えておる一つの項目でございます。また、戸別訪問の禁止をやめるというような問題についても、いろいろ御論議があるところでございます。しかし、こういう問題につきましては、現在すでに審議会において御研究中でございますので、いろいろ私が私見を申し上げるのもいかがと思いますが、基本的にはそういうできるだけ自由な方向に持っていくということを考えておる次第でございます。
  84. 伏木和雄

    ○伏木委員 時間もありませんから、けっこうです。
  85. 小澤佐重喜

    小澤委員長 門司亮君。
  86. 門司亮

    ○門司委員 一つだけですが、これは自治省と刑事局長両方に考えを聞きたい。  いろいろさっきから堀委員からもお話がございましたように、わが国の選挙犯罪に対する国民考え方というものが、何というか、国事犯的の考え方、ある意味においては英雄視するというような妙な見方がある。これはやはり是正する必要が私はあろうに思います。そうするには、いまの選挙法の中の罰則を刑法に移したらどうか、こういうことであります。この点について検討されたことがあるかどうか、もし検討されたことがあるとするなら、その結果をひとつ御報告を願っておきたい。
  87. 川井英良

    ○川井政府委員 御指摘のように、選挙法違反の中にも、非常に軽微な手続的な違反行為もありますけれども、中には買収行為のように、いわゆる私どもでいっております自然犯に近いような、国民倫理にそのものずばりで違反するようなものも数種類あることは、御承知のとおりでございます。そういうふうなものについて、特別法である公選法の規定の中に置いておくことが国民倫理の高揚のために妥当であるかどうか、むしろこの際刑法という基本法の中にそれを取り込んでおくことが、国民一般に犯罪の悪質性なり重要性なりを認識させるというふうな意味合いにおいて妥当ではないか、こういうふうな意見が、学界にも、また私ども法務省部内においても、かなり前から出ているわけでございます。私どもの部内に刑法の全面改正の法制審議会が発足いたしまして、ただいまちょうど四年目に入っておりますけれども、その審議過程におきまして、新しい刑法の体系の中に公職選挙法の中のただいま申し上げましたような特別な類型のものについてはこれを取り込んでいったらどうだろうという前向きの姿勢で実は検討がなされている実情でございます。先般五月の十一、十二日に第九回の法制審議会の部会がございまして、ちょうどこの問題が議題になったわけでございまして、当時ちょっと新聞にも出ておりましたけれども、まだどれとどれを確実に取り込むというところまで決議がとられませんでしたけれども、大かたの委員の意向といたしましては、ごく限定した範囲において刑法の中に取り込むことが妥当ではないかという意見が強かったということをもってお答えにかえたいと思います。
  88. 小澤佐重喜

    小澤委員長 次会は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会をいたします。    午後零時十八分散会