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1967-06-22 第55回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十二日(木曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 山下 榮二君    理事 大久保武雄君 理事 大竹 太郎君    理事 木部 佳昭君 理事 登坂重次郎君    理事 堀川 恭平君 理事 太田 一夫君    理事 山田 耻目君       加藤 六月君    小峯 柳多君       丹羽 久章君    広川シズエ君       古川 丈吉君    古屋  亨君       井上  泉君    久保 三郎君       小林 信一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         総理府総務副長         官       上村千一郎君         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         文部政務次官  谷川 和穗君         文部省体育局長 赤石 清悦君         厚生政務次官  田川 誠一君         厚生省医務局長 若松 栄一君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省自動車局         長       原山 亮三君         海上保安庁長官 亀山 信郎君         建設政務次官  澁谷 直藏君         消防庁次長   川合  武君     ————————————— 六月十五日  児童生徒に対する交通安全対策推進に関する請  願(下平正一君紹介)(第一四三一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 山下榮二

    山下委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がございますのでこれを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 交通安全について各般にわたってお尋ねをしたいと思うのでございますが、それぞれ御答弁をいただく方々の時間の関係もありまして、系統立って御質問ができにくいので、やや質問が散漫になるかもしれませんが、そこは答弁者の頭によってひとついい答弁をしていただきたい、こういうふうに思っております。  なお、先に断わっておきますが、それぞれ要求した大臣等出席もきょうは不可能のようでありますから、後日それらの関係大臣出席を得て質問を重ねたい、こういうふうに思うので、あらかじめ委員長において御了承いただきたい、こういうふうに思います。  そこで、まず第一に運輸大臣にお伺いするわけでありますが、被害者救済についての問題であります。言うならば、今日制度化しているものとしては自賠責、いわゆる自動車損害賠償責任制度であります。これについていろいろ制度改正等を重ねてきたようでありますが、現在の時点で、この自賠責制度による保険財政というか、そういうものの状態はどういうふうになっておるのか、まず第一にそのことをお伺いしたいのであります。
  4. 大橋武夫

    大橋国務大臣 相当剰余金があるようでございますが、数字につきましては政府委員から御答弁申し上げます。
  5. 原山亮三

    原山政府委員 自賠責保険勘定のうちで、われわれのほうで関係しておりますのは再保険勘定でございますが、再保険勘定につきましては、最近の年次におきまして二百五十億程度の黒字を見ております。
  6. 久保三郎

    久保委員 ただいま実行しつつある最高限度引き上げをすべきだという声は内外に起こっているわけでありますが、引き上げに対する態度はいまどういうふうになっているのですか。
  7. 大橋武夫

    大橋国務大臣 死亡事故並びに後遺障害につきましては、最高額を三百万円に引き上げ、負傷の点につきましては、従来どおり五十万円ということで試算をいたしておるところでございます。
  8. 久保三郎

    久保委員 三百万円に限度額引き上げた場合には、料率を引き上げるということをせぬでも大体可能ではないかと思うのだが、それはできますか。
  9. 大橋武夫

    大橋国務大臣 その点はいま試算いたしておりますが、多少の引き上げはやむを得ないのではないか、こう考えますが、しかし、あくまでも大幅の引き上げは避けなければいかぬという考え方でいろいろと調査を進めております。
  10. 久保三郎

    久保委員 まだ最終的には引き上げするかどうかはきまらぬというお答えでございますが、引き上げするかどうかの前に、本制度全体に対して、御承知のように当初出発したときからでありましょうが、適用を除外されたものもあります。あるいは、自家保障制度といって、この制度から言うならば除外——実質的には除外されているものもある。これはかなりの数であります。  それからもう一つは、昨年でありましたか、この法律の一部改正に伴って農業共済組合等にも一部この仕事をやらせる、こういうことになりましたが、その際新しくつけ加えられた自動二輪車については、御案内のとおり国家の再保険というのはやめる、これはあまり理由がありませんで、言うならば保険企業というか、保険会社都合ではなかろうかというふうに私は思うし、もっと邪推すれば、政府というか与党というかわりませんが、そういう中でいままで保険会社が独占してきたところの自賠責制度を一部農協に移譲するからには、保険会社に対しても多少の手当てをしようということで、従来から声があった六割の再保険はやめさせる。そして保険会社保険財政のいわゆる歩どまりというか、そういうものをよけいにして、この農協の問題を片づけようとしたのではないかと、いまでも私はそう思っております。そのことが真実であるかどうかは別にして、かかる制度は、やはり全国的に見ても、国の責任で一体としてこれはなされるべき筋合いのものであります。また、国の責任が明確に打ち出されねばならぬものであります。さらにこれは、利益的な事業、いわゆる企業性を追求すべき性質仕事ではないと私は思っています。そういう点からいくならば、この際、適用除外になっているもの、あるいはこの制度から実質的にはずれている、自家保障制度によってこの制度から抜けている、こういうものを全部入れると同時に、いま申し上げたように、国の再保険に付さないものも全部国の保険に六割を再保険する、そういうことにして、全体的な保険経理の中で、限度引き上げや、あるいは被害者救済その他の施策もこの中でやっていったらどうか、こういうふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  11. 原山亮三

    原山政府委員 現在の自賠責のうちで、国の自動車とか、あるいはまた自家保障によりまして賠償能力が十分であると思われるものにつきましては、運輸大臣の認可によって強制保険契約を結ばなくてもいいというようなかっこうになっておりますけれども、自家保障の問題につきましては、問題は賠償能力でございまして、事故を起こした場合において、十分支払い得る能力があれば、強制保険契約を締結しなくてもいいということでございますので、その面につきましては、認可しました自家保障者につきましては、十分その賠償能力が保ち得るように、準備金についてはその取りくずしがかってにできないというふうなことで十分縛っておりますので、その運用の面において問題があれば、それを十分指導してまいりたいと思っておりますけれども、制度の根本からこれを現在否定すべき時期ではなかろう、かように考えております。
  12. 久保三郎

    久保委員 あなたがおっしゃっていることは、役所としての考え方であって、本制度ができたことは、いわゆる適正な賠償実施されたかどうかが問題なんです。能力の問題じゃない。もちろん能力がなければ実施はできません。ところが、能力があってもやらぬものがある。その理屈をおわかりでしょうか。支払い能力はある。あるけれども、その賠償が正当に行なわれなかったり、あるいは行なうにしても長時間たったり、そういう実例は今日山ほどあるわけです。だから、それを改めない限りは、本制度趣旨としてもまずいのではなかろうか。むしろこの際はそういう自家保障制度はやめなさい。それから、国あるいは国鉄、その他の公社、そういうものの持っている自動車も一般的な道路を走るのでありますから、法のもとでは平等でなくてはいかぬ。だから、支払い能力いかんとかいう問題ではなくて、これは支払い能力のあるなしにかかわらず、その保障制度の中において問題を処理する、こういうのが一番いいと思うのです。私が耳にしているのは、あなた御存じか知らぬが、この自家保障制度をやっているところで、示談というか話し合いに長いことかかって、被害者は途中であきらめるというものもあるわけです。こういうものを解決することが、まず限度引き上げと同時に必要だと私は思っているのであります。だから、原山自動車局長の御答弁ではなく、運輸大臣としての御答弁をいただきたい。
  13. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この自動車損害賠償責任保険性質から見まして、加害者賠償責任を担保するという制度でございますので、賠償能力が客観的に見て十分であるということならば、必ずしも保険に加入しないでよろしいという現在の取り扱いは、今後におきましても許されてしかるべき事柄と思います。ただしかし、御指摘のように、能力はありながら、実際賠償実施にあたりまして四の五の文句を並べて値切るとか、ないしは不当に実施までにひまをかけるというようなことがございましたならば、これは本来そのもの保険外に置きました趣旨から申しましても、まことにけしからぬ事柄でございますので、今後におきましては、十分そういう点は実地に当たりまして取り締まりを厳重にいたしまして、早期に解決をはからしめるよう万全の努力をいたしたいと存じます。
  14. 久保三郎

    久保委員 御答弁は、自動車局長と同じような御答弁でございまして、私は不満であります。政府として、もちろん私の言い分が全部正しいというか、そうすべきだというふうに考えられない立場もありましょう。しかしながら、現実はあなたがおっしゃるように、そういう長期にわたるような不当なことをやっていたり値切るようなものは、これは指導していくということでありますが、そんなものを一々あなたのほうの機関で指導するような体制は、今日運輸省にはございません。大体、要員の問題からいったって、それはありません。だから、むしろこれは制度の中で解決することが一番いいのであります。四の五の文句をたれずにその保障制度に入らせれば、けがをすれば幾ら、死ねば幾らということに自動的になっている制度というものは、これは全くすばらしい制度と私は思うのです。  だから、その制度の中へ全部入れることが先決だと私は思う。国の車も、公社の車も、車と名がついて道路の上を自由に走れるものは、全部その制度の中に包含されなければいけない。たとえば公社あるいは運輸省自体乗用車があるとします。その車自体事故を起こさないかもしれない。ところが、その車がその具体的な道路の場所にいなければ、その前にいたバスなりうしろにいた乗用車事故を起こさぬかもわからなかったという状況も、これは仮定の上では一つ組み立てられることだし、実際にあるかもしれない。そうだとすれば、その役所の車だけは、これは別であります、あとを走ったり前を走って事故を起こしたものだけは、これは保障制度に入っていくというのでは、保障制度全体が、いわゆる国の制度として道路交通によって死傷を受けた者の救済をするのだという大義名分からはいささかはずれはしないか、こういうふうに私は思っているわけであります。御再考を願いたいと思うのでありまして、別にここであらためてまた答弁をいただくということでもなさそうであります。私は、これはやはり真剣に討議する一つの資料ではないか、こういうふうに思うのであります。  続いてこの問題について申し上げますけれども、私の手元に持っているのは運輸省交通事故防止対策委員会が四十年十二月にやりました交通事故防止対策要綱でありますが、それの二十四ページに「被害者救済機構整備強化」というところがあります。これはこういうふうに書いてあります。「現在、事故被害者のための公正中立相談機関がないため、悪質示談屋の介入を許す等、被害者保護に欠ける事態が発生している。また、政府保障事業については、保険会社業務大半を委託していたため、事務処理が遅れる等の弊害が生じている。したがって、全国的な組織網を持つ公的機関を設立し、保障事業を一本化して実施するとともに、損害賠償に関する各般相談に応じ保険金請求手続の代行、長期療養を要する被害者への資金の貸付け等業務を行なわせ、被害者保護充実強化を図る。」こういうふうに宣言しております。  これに対して聞きたいが、いま読み上げた中でどれとどれをどういうふうにおやりになったか、聞きたいのであります。
  15. 原山亮三

    原山政府委員 自動車事故を起こしました場合におきまして、被害者がそういう賠償金を取り立てる場合におきまして、悪質の示談屋等にひっかかって十分な賠償が得られないというふうなことが多うございますので、われわれとしましては、そういうふうな被害者救済するために全国的な保障センターというようなものをつくりまして、そういうふうな人たちに対して親切に相談に応ずるというような機関をつくりたいということで、四十二年度の予算要求の際にもそれを出しておったわけでございますが、その保障センター設立の問題につきましては一応認められなかった。しかし、現在保障勘定といいまして、ひき逃げ、無保険に対しまして、国が直接被害者に対して損害賠償を支払う制度がございますが、保障助走運用利子も、再保険勘定と同様に利益が上がっておりまして、その運用利子につきましては、法律扶助協会なり弁護士会というところで相談業務を現在すでにやっておられますけれども、そういうところの相談業務拡充基金のために一部助成していくという考えで、四十二年度の保障勘定運用利益の一部を使ってまいりたい、こういうことを考えておる次第でございます。
  16. 久保三郎

    久保委員 原山局長答弁は、いま読み上げたものの中にはちっとも書いてない。書いてないというか、これはやっていないということであります。時間の都合もありますので、やっておりません、こう答弁いただいたほうが能率的かもわかりません。もっとも、その答弁では不服だとするならば、後日また時間をいただいてあらためてやります。  いずれにしても、自分でそういう要綱を策定しながら、今日に至ってもやらぬ、というよりは、先ほど来私が申し上げておるように、この中にも、「保険会社業務大半を委託していたため、」こう書いてある。だから、これがどんなに悪いかというようなことは自分でわかっているわけだ。しかも去年は、国の再保険からも一部はやめた、こういうことは、この書いてあることと相反することじゃないですか、そういうものはやめなさい、こういうふうに私は言っておるわけです。  これは、言うならば自家保障の問題でありますが、いま原山局長答弁した中にも、自家保障についてどうやるかという問題は、自家保障のいわゆる弊害支払いがうまくいかぬ、長引く、額が値切られるというような問題については、このあなたがやろうとしたことについては何も御答弁がないですよ。何も言っていない。私は、そういう問題を一つ一つつぶすのが交通安全対策の基本であろう、こういうふうに思っているわけであります。だから、そういうものをたな上げしておいて、安全施設というか、いろいろなことを考えてみたところで、問題は解決しないと私は思うのであります。これまた時間がありませんから、一応問題を投げかけただけで、再考してもらいましょう。  運輸大臣は間もなく御退席の時間でありますから、もう一つお聞きいただきたい。  この中にも言及しておりますが、私は、被害者が一番困るのは、都会地事故が起きた場合には、あるいはそれぞれの相談機関もあろうかと思うのであります。また権威者もいるかわかりません。ところが、いなかで起きた場合には、なかなかそういうわけにはうまくいかない。そこで、私どもは地方自治体住民に対するそういうものの相談というか窓口は、地方自治体そのもの固有仕事であろう、こういうふうに考えているわけなんであります。あらためてこれはもちろん高度の弁護士的な相談をするとかということじゃなくて、これから予想されるところの、差しあたり自賠責による賠償の問題、あるいは救急病院手当ての問題、あるいは将来におけるリハビリテーションの問題、いろいろあると思うのです。ひいては、それがために生活保護に転落する者も数多くある。とするならば、そういう保護事業を含めてやはり町村固有事務として窓口を置くべきだろうと私は思うのであります。そういうことをなぜいまだにやらぬのか、私はふしぎに思っているわけです。やっているとおっしゃりたいようでありますが、現実窓口はない。だから、そういうものをまずひとつおつくりになるような考えはどうでしょう。
  17. 宮崎清文

    宮崎政府委員 ただいまの御指摘の点は、総理府でも検討いたした問題でございますので、かわりまして御答弁申し上げます。  実は、御承知と思いますが、大体七月一日を目途といたしまして都道府県に公的な交通事故相談所設置する予定にいたしております。これに対して国が所要補助をするというたてまえになっております。なお、これとあわせまして、先生が御指摘になりましたとおり、やはり地方住民方々には、県庁所在地までおいでいただくのはなかなか不便でございますので、市町村にすべて交通事故相談に関する窓口をつくり、特に大きな市等におきましては、みずから相談活動もいたしますし、それほどの能力のない小さな町村におきましては、窓口で一応受けつけまして、事件の内容によりましてこれを都道府県相談所に持っていく、こういうことを考えております。これも、大体いまのところの予定では、自治省相談いたしまして、七月一日ごろを目途として窓口を置くことにしております。  なお、この窓口設置所要経費につきましては、交付税で一応これを見ております。
  18. 久保三郎

    久保委員 おそまきながら、専門的に扱っている方がいまごろやろうというのでありますから、それはやることに賛成であります。その場合には、その町村固有事務として規定するのでありますか。
  19. 宮崎清文

    宮崎政府委員 交通事故に関します相談と申しますのは、一般的に申しますと住民福祉に関連する問題でございますので、地方公共団体のいわば固有的な事務だと考えております。
  20. 久保三郎

    久保委員 考えているんじゃなくて、それは本来ならば交通安全に関する事項というか、被害者というか、そういうものを扱うことが一つ事務であるというふうに規定するのが私は正しいと思うし、いまお答えがあったように、交付税で見るというお話でありますが、交付税で見る場合も、やはりそういう規定がはっきりせぬ限りは、私は後日問題になろうと思うのであります。この際、手間ひまはかかりませんことでありますから、予算的な措置もするというならばこれは法改正を一部すべきだろうと私は思うのですが、いかがですか。
  21. 宮崎清文

    宮崎政府委員 先ほども申し上げましたように、昭和四十二年度の予算におきましては、都道府県交通事故相談所設置に関します経費は、国が補助金を出すたてまえになっておりますが、市町村段階におきましては、一応交付税の中にその項目を入れまして、これで必要の措置を講ずる、こういうことになっております。
  22. 久保三郎

    久保委員 私は、くどいようですが、あなたがいるうちはもつかもしらぬが、だんだん自治省のほうとうまくいかなくなってきたときに、それはちびられる心配もある、そういう心配をしているから、固有事務として明記——地方自治法改正してきちんとしたらどうかということを尋ねているのでありますが、いかがですか。
  23. 宮崎清文

    宮崎政府委員 たいへん抽象的でございますが、交通安全及び住民福祉につきましては、現在地方自治法の二条の三項だったと思いますが、一応規定がございます。これに包括されると私たちは解釈いたしております。
  24. 久保三郎

    久保委員 いま条文が手元にありませんから、あなたは専門家だから、そういうふうになっているならそれでけっこうです。  この問題はそれじゃ大臣いいですよ。あなたの持ち時間三十分だそうでありますから、あとでまたお尋ねします。きょうは運輸大臣への質問はこれだけにしておきます。  次に、政務次官をお出しになっているところは誠意があると認めて先に質問します。  それじゃ学校のほうからいきましょう。文部政務次官にお尋ねしますが、道路交通法という法律がございますが、この道路交通ができたのはたしか昭和三十五年の六月であります。そのときに、衆議院の地方行政委員会でこれを可決するときに附帯決議がなされているわけです。その中に二項目ほど、学校というか、そういうものに関連した事項があるのを御存じですか——。おわかりにならないでしょうな、政務次官はおわかりにならないかもしれない。それじゃ文部省事務当局はいかがですか。
  25. 赤石清悦

    赤石政府委員 実は私もそこまで検討しておりません。
  26. 久保三郎

    久保委員 それでは、わかる役人はこちらへ来ていますか、どなたかおわかりになった役人いますか。——宮崎さんはどうだ。あなた専門だろう。——あなたも知らぬ。これはそれほどに関心がないんだ。あとからわかったと言ったら困るから、ないな。——よし。そういう程度の問題であります。しかも国会附帯決議というものを、政府においてはさように知らないことが通例になっている。警察庁来ているか。警察庁附帯決議を知っているか。あなたも知らぬな。
  27. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 具体的な内容については、いま手元にございませんが……。
  28. 久保三郎

    久保委員 学校に関した条項があったが、それは知っているかと聞いている。学童に関する、教育に関することを書いてあったが、これは知っておりますかと聞いている。あなた交通局長ですよ。
  29. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 三十五年の附帯決議については、私、具体的に存じておりません。
  30. 久保三郎

    久保委員 これは大問題です。それでいまごろ猿投町の学童事故に驚いて、なすところを知らずしていろんなことを考えている。不届き千万だと私は思うのです。国会軽視もはなはだしいし、時代の認識も浅い。そういうものに、言うならば交通安全がどうしてできるかというふうな憤りを私は持つのです。少なくともここに列席された政府の高官で、それを専門におやりになっている方——専門でないといえばあるいは専門でないかもしれないが、交通局長専門です。そうでしょう。文部省政務次官も、学校教育その他については専門です。体育局長は、学童なり学校の子供のからだを守る総本山だから……。そうだろう。これがわからぬ。これは三十五年にいなかったから知らぬと言うんだろうな。しかも、警察庁自体も知らぬのだから——道路交通法は大体警察庁の専管だから、文部省やなんかには関係ないと思うから、当時の役人でさえおそらく附帯決議には関心を持たなかったと私は思うのです。そういうものをいままでほおかぶりして、世間には全然知らぬ顔して、今日までのうのうとしてきた。それでこの交通安全対策特別委員会ができたら、何とか議員立法でやってもらえぬだろうかというような安易な考えを持っておるのじゃないかと私は思うんだ。そういう態度で、交通戦争といわれる今日、その中から学童や園児を守ることができると思っているのですか。上村長官、いかがですか。やはりあなたが交通安全の総元締めだ。お聞きしましょう。
  31. 上村千一郎

    上村政府委員 久保先生のおっしゃるとおりでございまして、この交通対策につきましては、全く打つ施策というものが後手後手になっておりまして、非常に申しわけないと存じておりますが、いま全努力をあげまして対策を考究いたしておる次第でございまして、御指摘の点は深く反省をいたしておる次第でございます。
  32. 久保三郎

    久保委員 これは、読んでみれば、なるほどそんなことか、そんなことはやっていますよと言いたいところだろうが、大体書いてあるところもわからぬから、やっておることも中途はんぱだと思う。そうでないという抗弁があるならば、ここで関係省庁は全部ぼくの質問に一々答えてもらいたい。  この附帯決議は衆議院のほうですが、これの二番目の二号に、二番目というのは、「交通道徳の確立と交通法令の普及を図るため、とくに次の方策を講じてその徹底を期すること。」ということで、1、2とある。2には「学校教育を通じ、学童に対して交通知識の普及を図ること。」三十五年ですよ。いまやっていますのという話ではない。それから、その次の項目としては、「道路交通の円滑、事故の防止並びに危害の予防を徹底するため、とくに次の事項について積極的な対策を樹立し、その実現を期すること。」その中の「1学童、幼児の登、下校の際における保護の徹底を期するため、所要の行政措置を講ずること。」猿投町ではない、三十五年に、政府に対して国会の意思としてこれは決議してあることなんです。ですから、やっておるならば、三十五年からどういうこととどういうことをおやりになったか、ひとつ御披露をいただきたい。
  33. 赤石清悦

    赤石政府委員 ただいまの附帯決議、失念いたしておりましてたいへん恐縮に存じておりますが、ただいま御指摘事項を思い合わせてみますと、文部省といたしましては、昭和三十二、三年に、すでに学習指導要領におきまして、集団登下校とか教育活動の全般にわたりまして、必要に応じましてさような指導が加えられるようにいたしてまいりましたし、いま思い合わせますと、昭和三十七年に、たぶんそのころたいへん内外におきましてさような声が高かった結果であると存じますが、文部省が次官通達をもちまして学童の交通安全のための通達を出しておるわけでございます。
  34. 久保三郎

    久保委員 これは文部省だけではないですよ。文部省は精神訓話でおやりになっておるわけですね。通達一本を出しておる。交通安全というのは、小さい子供に右側通行しなさいという教育だけで、学童の身体が、いわゆる交通が安全に守れるなら問題はないのですよ。だから、文部省としても、いつまでも指導要領だけ出して、私のところはやっています、学校先生や警察官にも立ち会ってもらって訓練をしていますというのではなくて、もっと積極的に学童の通行はどうあるべきか、どういう施設でなければならぬのか、積極的な意思を関係の省庁に出したためしがあるのかないのか。聞いてみます。ありますか。ないのでしょう。
  35. 赤石清悦

    赤石政府委員 御指摘のように、関係方面に、ただいまのような盛り上がった交通施設の整備といったようなことを、ただいまのような状態において各省庁にお願いしたというふうなことは、あるいは希薄であったかと存じます。ただ、学童事故が、加害者によるいろいろな問題もございますが、同時に、学童みずからが、交通安全教育によって事故を防止する、こういう面も非常に重要でございますので、文部省文部省の立場におきまして、教育の中身においてさような事故防止をする、こういうことに努力をいたしてきたのでございます。ただ、いろいろ関係方面とのことがございますので、あと総理府のほうからお話があるかと存じますが、やはり全般的に学童交通事故防止のために積極的に取り上げるという問題になりますれば、各省庁が協力しなければなりません。これはやはり総理府を中心にいたしまして、その後に展開されましたいろいろな会合において、そういうことが文部省から要望されたと考えております。
  36. 久保三郎

    久保委員 あなたの答弁は、学校の子供に聞かせれば嘆くだろうと思っているわけです。ぼくらの学校というか教育というのは、文部省というところで守ってくれるだろうと思っていたところが、からだのほうは別だ、頭の中身だけだ、そういうふうにしか聞こえませんよ、口が悪いようでありますが、それであなたに聞きますが、こういう法律があります。道路整備緊急措置法というものが昭和三十六年にできました。道路の上を学童もたくさん通りますね。これに関心を持たれたことがございますか。(「政務次官に聞いたほうがいい」と呼ぶ者あり)あるいは失礼かもしらぬが、私が人の親として言いたいことはそういうことを言いたいのです。
  37. 赤石清悦

    赤石政府委員 法律の中身を私十分よく知っておりませんので、一々どれをどういうふうにやったかということをお答えできませんが、もし教育関係にかかわりあるといたしますれば、おそらくそれは十分連絡をとらしていただきまして文部省努力しておったと存じます。
  38. 久保三郎

    久保委員 政務次官に聞いたらいいだろうという御忠告がありますから、聞いてみましょう。政務次官はやはり御存じないでしょう。そういう法律があることは、国会議員だから知っていますよね。けれども、文部省関係あるとはお考えになってはいないだろうと私は思うのですが、どうでしょう。
  39. 谷川和穗

    ○谷川(和)政府委員 学童の交通安全の問題でありますが、学童並びにそのまた下の年齢まで含めまして、こうした子供たちの、特に登下校の問題につきまして、それをあずかっております文部省といたしましては、二つの面から常々感ずるわけでございます。一つは、学童は交通安全の面においては常に被害者の立場に置かれるという問題が一つ。それからもう一つは、その学童もいつかは車を運転する運転者になるという問題、市民となるというこの二つの面でございます。ところで、その被害者であるという面だけを考えますと、文部省といたしましては、学校安全の責任の衝にある役所といたしまして、特に学童の登下校の問題が一番気になるわけであります。登下校の場合には、ただいま久保先生指摘のように、道路を歩いて学校へやってくるわけでありますが、その道路を歩くということ、それから、ただいま御指摘のありました法律、これと学校教育との関係につきましては、まことに不敏でございますが、私はいまこの時点ではよく存じておらないわけでございます。
  40. 久保三郎

    久保委員 政務次官、あなた非常にすなおな話をしておってけっこうであります。ただ、問題は、私がどうしてそういうひねくれた質問をしているのかというと、世の中の親はこういうことを言っております。道路がたくさんできて、りっぱな道路ができることは歓迎すべきことであるが、言うならば、いまの道路というのは、人間が通る道路がだんだんなくなってくる。いままでは人間が通る。改修したら今度は人間が通れぬ。たとえば踏切改良促進法というのも、これまたあなたは御関心がないと思うのでありますが、そういうのもあります。踏切道を改良することはだれも否定はしませんし、またいいことだと思う。ところが、片方では、踏切をふさいだら一番いいだろう。ふさげば一番いいです。通らぬのだから、だれも事故はないですよ。そういうふうになってきてしまう。道路の整備のほうでもそういうことになっているのです。これは皮肉な解釈かもしれませんが、道路整備緊急措置法には第一条に目的が書いてあります。御存じあると思いますけれども、読んでみましょう。第一条で「この法律は、道路道路法による道路をいう。以下同じ。)を緊急に整備することにより、自動車交通の安全の保持とその能率の増進とを図り、もって経済基盤の強化に寄与することを目的とする。」自動車交通を安全にして経済基盤の強化をするというのです。この中からは人間の命云々ということばは全然出てこない。自動車の交通安全ですよ。一般的な交通の安全なり、交通の円滑化と普通はいうのだが、この法律には、自動車交通の安全の保持をし、経済基盤の強化をしていく。人間の救われる道ではない。だから、先ほど申し上げたような道路がどんどん出てくる。建設省おいでになっていますか。いれば、そういうふうに言われて、建設省一言なかるべからずでしょう。ひとつ御答弁いただきたい。
  41. 澁谷直藏

    ○澁谷政府委員 先生指摘のように、確かに、この道路整備緊急措置法の第一条を見ますと、人間の規定は全然出ておりません。これは昭和三十三年の立法でございまして、おそらく当時は現在と対比いたしまして、いわゆる交通戦争といったような事態が非常に希薄な状態であったのではないかと考えられます。そのような関係で、もっぱら道路を整備して、そして経済基盤を強化しよう、おそらく国会あるいは政府の意識が、そういうところにしぼられておったということで、人命の尊重とかなにかというものが、この規定に含まれておらないのではないかというふうに考えております。
  42. 久保三郎

    久保委員 その通り。名答弁だ。それはその通りなんです。ただし、これはいまでもその通りなんです。それは、御案内のとおり、戦後日本の経済が急速に発展してまいりました。ところが、この交通輸送の面に対する投資はもちろんなくて、言うならば、産業資本というか、そういう設備投資に大半の資金を回していくことに急であったために、——あったためにというよりは、あるがままの交通輸送の機関、施設を食いつぶしながら、今日の経済発展をやってきた。ところが、経済成長のいわゆる所得倍増計画を策定する際に、すでにそういうひずみが出てきている。そこで、やっぱり社会資本の充実ということで、御案内のとおり三十三年にこういう法律を出して、社会資本である道路を整備しなければだめだ、こういうことになったのである。それは交通安全の問題ではなくて、むしろ産業資本というか、そういう資本側からの要求として道路の問題が経済発展の障害になってきた。そこで、道路整備をして自動車交通をもっと円滑にやるという趣旨でこれはできたのであります。最終的には、たしか三十六年にこれは改正した。あなたがおっしゃるとおり、その当時から、それでは交通安全というか、そういうのが全然なかったのかというと、全然とは言わない。御承知のように、大きな事故がたくさんあったが、まあまあ人間の命よりは自動車交通のほうが先である。社会資本というもののつながりは、産業資本に従属する形で、産業資本、いわゆる交通資本ということで、道路整備緊急措置法ができたのであります。今日ただいまも、その姿で道路の改良がなされているということは事実である。それが事実でないという抗弁はここに成り立ちません。なぜならば、これはこれ自体にも問題がありますが、昨年の国会で、いま実施中の交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法なるものを政府は提案してやっている。道路整備緊急措置法ではカバーできなかった面を、多少なりとも、道路のすみ切りくらいやらなければいかぬ、横断歩道橋の一つや二つはやらなければいかぬだろうというようなことになってきて、あわてふためいて道路整備緊急措置法の不足をカバーする。ところが、問題は、その本質的なものを解決しない限りは、これはだめなんです。私はそう思う。道路整備というものの観点を変えなければ、いまあるような五百億やそこらの金で、三カ年計画で、ひとつ歩道橋をつくろうとか、さくをつくろうというようなことでお茶濁しをしていく。片方では、部分的な、たとえばバイパスにしても、交通安全のためのバイパスはあと回しで、緊急整備法でやれば、これは自動車の交通が専門になってくる。それから、道路法というか、道路構造令というか、そういうものにもやはり若干の問題があろうかと思う。よって、これは基本の姿勢、あなたの答弁のとおりなんだから、この法律の精神がもう間違っている。だからこれを直していくというのが、私は大きな方針でなくちゃならぬと思うのです。いかがでしょうか。
  43. 澁谷直藏

    ○澁谷政府委員 全く同感でございます。
  44. 久保三郎

    久保委員 全く同感だと言うならば、これは直していくということでございましょう。  それから、次に聞きますが、聞けば聞くほどわからなくなってきますね。同感だと言うなら、それ以上のことを言ってもしょうがないから……。  そこで、いま話をいたしました暫定法というか、交通安全施設の緊急措置法についてでありますが、これまた当委員会でそれぞれ取り上げつつあるようであります。それはけっこうな話であります。ところが、この法律そのものは、いわゆる多発の懸念があるところ、おそれがあるところも当然包含すべきだと、てまえどもは思っているわけです。それからもう一つは、これは踏切道改良ということにも相なろうかと思うのでありますが、踏切道と直接には関係なくて、取りつけ道路の問題、南海電車の問題一つをとりましても、いわゆる軌道面というか鉄道面が高くて、道路面に対しては縦断勾配がある。その縦断勾配がある上に、路面がでこぼこである。そういうのも事故の原因であることは事実であります。だから、言うならば、そういうものを簡単な縦断勾配を直す、あるいは路面の簡単な舗装をするというようなことくらいは、さしあたり、これはやろうとすれば、別に法律改正などの手続は要らなくてやれると思うのです。私はそう思っているのだが、そういうものをやることが、いずれにしても先決じゃないか。政府としてはそういうものをやらなければいかぬ。だから、建設省として、これはそういう考えがあるのかないのか、いかがでしょう。
  45. 澁谷直藏

    ○澁谷政府委員 昨年、四十一年に制定されました交通安全施設の緊急措置法は、現在できております道路の現状の中で交通事故が多発しておるところ、その他緊急に交通の安全を確保する必要があるといったようなそういう個所について、緊急に安全施設を整備していこう、こういうねらいでつくられました法律でございまして、先生承知の、現在六百三億円の予算でやっておる五カ年計画は、そういった観点で緊急性のあるもの、それから、交通事故が多発しておる地点を全国からとらえまして、とりあえず重点的にこれを整備していこう、こういうことでやっておるのは御承知のとおりでございます。しかしながら、もちろんこれだけでは十分でないわけでございまして、本年度から新たに発足いたしまする六兆六千億の第五次五カ年計画は、道路全般の整備改良を施行してまいるわけでございますが、その全般の道路整備事業の中で、当然この交通安全施設というものを十分織り込みながら、道路全般の整備改良を進めていこうという方針のもとに進めておるわけでございます。  なお、ただいま御指摘のございました踏切道あるいは取りつけ道路、簡単な操作で改良ができる個所は無数にあるわけでございますので、そういう点につきましても、地元との連絡をとりながら予算を有効に活用いたしまして、できるだけそういった改善を施行してまいりたいということでせっかく努力をいたしておるわけでございます。
  46. 久保三郎

    久保委員 建設省に続いてお伺いするのでありますが、建設省は、いま踏切の問題も御答弁がありまして、逐次やるということでありますが、実は四月でありましたか、南海電車の事故がありました直後、私が運輸委員会でこの問題について一応質問いたしました。その際、いろいろ金のかかることでは、予算関係もございますということで政府当局に逃げられると思うので、さしあたり金のかからぬことは全国の踏切の状態を総点検することである、だからこれはやるべきであるというようなことで提唱いたしまして、政府はその後点検をいたしているそうであります。  聞くところによると、まだその結果は集約できないというふうに聞いておるわけであります。集約できないことにも私は不満があります。しかし、それ以上に、私から、といっては語弊がありますが、点検を要請されて初めて全国的な踏切の状態がわかろうとしている。踏切道改良促進法という法律昭和三十六年にできた。ところが、実態調査は、なるほど局部的にはやっているのだろうと思うのでありますが、全体的な把握が政府部内においてはやっておらなかった。そうとられてもいいと思うのですね。だから、実際にこの踏切はどうなっているのか。いま政務次官から御答弁があったような簡単な踏切あるいは取りつけ道路の改良、やればできるものまで今日放置されておるというのが現状ではなかったかと私は思うのであります。だから怠慢です。結局、さっき申し上げた道路交通法ができる昭和三十五年に、附帯決議があっても、これは警察庁だけで承知したようなもので、警察庁には学童のことはあまり直接関係がないから警察庁でもお蔵入りにしてしまった。文部省は、道路交通法などは全然関係がないから、これまた入れてしまった。それから、猿投町の事件がなければ、建設省も交通安全施設等に関する緊急措置ということの考えも及ばなかった。運輸省も、ダンプカーの問題については、実態の把握がこれまた全然できていないから対策の立てようがないので、まあ精神訓話でいこうというような話になった。宮崎交通安全調査室長がしばらくその衝に当たっておられるのだが、残念ながら、力量はあるのだが、行政は各省庁にまたがって、資料の提出さえうまくいってない。本来なら、ここは、全国の踏切の実態はどうなのか、いわゆるダンプカーの実態はどうなのか、学童の通学状態はどうなのか、それが集約されなければならない参謀本部なんです。これがいまは大体小隊長クラスだ。それが参謀長の仕事をやっているというのでありますから、押し寄せる交通戦争に立ち向かう姿勢としては全くお粗末しごくだ。これでは戦争はできません。負けるのはあたりまえだ。負けるのはあたりまえだが、毎日四十人なり五十人なり死んでいく国民のことを政府責任でどうするのかという問題だ。私は、古いことばかりさらすようでありますが、実際に真剣に取っ組んでいるのかどうかわからぬ。しかも散発的な対策に追われているわけです。そんなことで政府責任が負えるはずがない。もっと基本に帰って、私から申し上げるようなことに建設政務次官も同感と言うならば、道路行政一つとっても私はきちんとすべきじゃないかと思うのです。  そこで、文部省に再びお尋ねをしますが、さっき申し上げたように、世の親の気持ちとしては、文部省が、たとえば道路交通法ができるときに附帯決議があった。だからこれをたてにして、施設について関係方面の協力を求めていっているならば、今日猿投町のような事故はあるいは起きぬで済んだかもわかりません。ところが、全然そういうものは御承知もないし、いわゆる訓令か指導要領かわかりませんが、そういうものを、気がついたときに、一年に一本ぐらい流している。学校の子供はそういうのは関係ありません。何で文部省は全国の学童を守るという立場をおとりにならないか。そのためには、関係の省庁に対してきつい注文もつけるべきだ。ところが、いまだに突きつけていない。これからやるつもりがあるのかどうか。学童の問題はあなたのところですよ。建設省の問題ではない。運輸省の問題ではない。総理府の問題ではないのです。あなたのところの問題だ。そういうふうに理解してほしい。もちろん、だからといってほかの省庁が逃げることは許しません。だけれども、積極的にあなた方がやるならば——単なる文部省のワク内だけの話をしているならば、これは事務官僚のやること、そういうことではできないのだから、繰り返し申し上げるように、もっと積極的に働きかけてやるべきだと思う。どうですか、政務次官。お帰りになったら省議を開いて、もっと外へ向けて役人がものを考えるようにしつけませんか。いかがですか。
  47. 谷川和穗

    ○谷川(和)政府委員 先ほども申し上げさしていただきましたように、交通安全の面で、交通事故という面から見ますると、学童は常に被害者の立場でありまするが、その被害者である学童の中には、確かに学童の不注意で事故を起こすということも間々あることであります。たとえば道路へ思わず飛び出すとか、道路交通の道徳を十分に身につけていないために、学童の不注意で起こる事故も、それは確かにあると思います。あるいは今日の学校は、たとえばきわめて交通ひんぱんな道路に面したところに出入口がついておるような、そういう学校構造もあることも事実でございます。こういうものに対しては、直ちに学童が通りの激しいところへ飛び出すことのないような、学校でできる施設というものを考えるような指導もいままでやってまいったわけでございます。しかしながら、先ほどから御指摘のあるような、たとえば猿投町の事件のような、今日間々起こっておりまする学童交通事故被害の状況は、これは学童のほうは全く交通道徳を守り、交通法規にのっとって通行しておったところへ飛び込んでくるというような、こういう事件が非常に多く起こってきているわけであります。この事件に対しては、一つには、ただに学校教育の中ばかりでなく、やはり一般社会教育の中で、一般社会人、特に車を運転する方々の御協力をいただかなければ絶滅を期すことができない問題でありますが、もう一つ学童に関する限り、登下校の問題で確かにわれわれがいままで手薄であったと思われることは、たとえば道路の状態、こういったものについてもう少しいままでも努力ができたのではなかろうかと思っております。まことに、先ほど総理府の副長官のお話で後手後手ということがございましたが、後手で恐縮でございますけれども、たとえば特に学童が通学する通学路の事故防止のために、文部省から関係の省庁に、ここへ大型の車の出入りを禁止してほしいという強い要請をいたしまして、最近それをようやっと認めてもらったこともございますし、あるいは交通安全施設整備の促進、拡充、こういった要請を、特にこれは建設省に対して何度かお願いをいたしまして、いま建設省の内部でも非常にこの問題を大きく取り上げていただき、特に本年度の予算あたりからまことに前向き、積極的に動き始めていただいた。さらにはまた、当委員会においてもこれを法制化していこうというような動きもいただいておるようでございまして、私ども、学童学校安全を扱う身といたしまして、まことに感謝をいたしておるわけでございます。先ほど御指摘のございましたように、いままで振り返ってみまして、確かにそういったことについて努力がまだまだなされておってよかったのじゃないかという反省はいまいたしておるわけでございます。
  48. 久保三郎

    久保委員 政務次官、さっきの答弁はすなおだったのだが、いまの答弁はちっともわからぬ。ちっともわからぬと言っては失礼だけれども、そういう答弁を求めて御質問申し上げているわけではございません。もっと関心を持ったらどうですか。具体的な、積極的な提案をなさったらどうか。  そこで、体育局長にお聞きしましょう。あなたのほうでは、全国の数多くの学童でありますから、全部が全部は御存じないかと思うのでありますが、学校の子供というのはどういう道路を通って学校へ行ったり帰ったりしているか、大体そういうことを御存じですか、お調べになったことがありますか、いかがでしょう。
  49. 赤石清悦

    赤石政府委員 個々の学校が、具体的にどこを通るかという詳細なデータは、もちろん非常に多うございますから一々そろってはおりませんが、しかし、先ほど来話がありますように、登下校時における事故が非常に多うございますので、どういう道路を通っていけば安全であるかといったようなことにつきましては、文部省はもちろんでございますが、現場の先生が非常に熱心でございまして、これにつきましては、十分事前指導をいたしておるわけでございます。絶えずこのことについては職員間において問題になりますし、しばしば通る道路につきましては、あそこでこういう事故が起こったから今度はこうしようとか、絶えずこれは検討いたしております。これは通学路でございますが、そういう資料は一々文部省にはございませんけれども、非常に一般的に指導しておりますし、教育の現場において非常に研究いたしております。
  50. 久保三郎

    久保委員 いや、教育の現場では、学校先生は一生懸命やっていますよ。また、やらなければ困るのですから……。そういうことを聞いているのじゃなくて、御存じですかと、こう聞いているのです。どういうところを通っているか知っておりますかと聞いているのです、たくさんあるけれども。だから、そういう聞き方はちょっと皮肉かもしらぬが、そのくらいにやはり関心を持って、ほかの省庁に注文をつけるというならば、そういうことを知らぬでは注文がつかないですよね。やはり学校教育だけで終わってしまう。
  51. 赤石清悦

    赤石政府委員 ちょっと追加させていただきますが、御指摘のような通学路の実態を全般的に把握する必要がございますので、個々のデータはもちろんございませんが、二十分の一程度の通学路の実態を、いま資料を集めまして、その状態を集計中でございます。
  52. 久保三郎

    久保委員 こういうことはどうですかね。こういう時代になっては、もはやいろんなことを言っても、なかなか子供の安全を守るということはむずかしい状態にある。だから、結局は車と子供を分離して通行させる、これはだれも考えるあたりまえのことだ。その分離するというのは、できれば学童専門道路をつくって登下校させることが理想的でありますが、しかし狭い国土でそういうふうに学童専門の通路といっても、なかなか急速に全部が全部できるはずのものではない、こういうふうに私も思います。そこで、極力さっき申し上げた基準に従って対策を立てていただく。学童の通路をそういう基準に従って指定していく。たとえば、極力車のふくそうする道路はよける。よけるためには、私道も農道も通るかもわからない。しかし、あるけれども、これは幅も狭いし、路面も悪いというならば、交通安全施設の緊急整備法によって、多少の拡幅や簡単な路面舗装ぐらいはしてもらう。全部でなくとも、その間だけの学童の安全は守れる。それからもう一つは、交通ひんぱんで、建設省がいう局部改良ではいかぬ、全体的な改良でなければ道幅を広げるということができない、そういう場合もある。そういうところをどうしても通らなければならぬ場合がある。そういうときには、御案内のとおり横断歩道橋というものをつくろうということでありましょう。しかし、横断歩道橋もなかなか有効にうまくつくれないという場合もあるかもしれない。しかし、幸いなことには、そこに側溝がある。側溝にふたをすればこれは通行が可能であるなら、わきにさくを設けるというような簡単な施策考えられる。そういうものはいまの交通安全施設等の整備事業に関する緊急措置法でひとつやってもらう。あなたらはあなたらの立場から、学童の登下校についての施策もやはりめぐらして、関係の省庁に提案をして、あるいは総理府に持ち込んで、この調整をしたり何かしたり、そういうことをやってくれるのがほんとうだろうと、私は親の気持ちとしては思うのであります。ところが、あなたたちのいままでの答弁では、指導要綱を出したり、いわゆる訓示を出したり、紙に書いたものだけ出しているわけです。紙に書いたものだけではもはや通用しない。なるほど政務次官おっしゃるように、子供が交通法規を知らぬでは、いわゆる飛び出したり左側を歩いたりされることは困るわけですから、そういう教育はもちろんなすべきである。これは安全教育じゃなくて、世の中の秩序、規範というものを教えるために必要なんですよ。それは安全のために必要なんじゃない。まず第一に、そういうルールを守るというしつけをするのが学校教育なんです。それがはみ出ればこれは警察の分野です。それ以上はあなたのほうでやっちゃいけないですよ。まかせなければいけない。だから、そういうことで、積極的な対策文部省自体も考えなさい、こういうことであります。当委員会だけにまかしておくのじゃない。政府の怠慢は、さっき申し上げたように、三十五年以来の怠慢なんだ。道路交通法ができて以来の怠慢だ。これは、警察庁文部省も建設省も運輸省総理府も全部一蓮托生の責任を負わなければならぬですよ、私から言わせれば。どうですか。さっきも申し上げたが、お帰りになったら、ひとつ集めてそういう対策をお練りになりますか。
  53. 谷川和穗

    ○谷川(和)政府委員 大いに努力をさしていただくつもりでございます。
  54. 久保三郎

    久保委員 努力していただくそうでありますから、お帰りになったならば、そういう多角的な関心を持った施策を練って、ある時期にこの委員会なり適当な委員会に御披露いただきたいと思います。よろしゅうございますね。それじゃ、文部省はきょうはこれまでにします。  そこで、次には、厚生省おいででありますから、田川政務次官、救急医療体制のことでありますが、片や消防庁の救急隊の問題がございますから、順序として救急隊の問題でお尋ねして、そのあと田川政務次官のほうにお伺いしたいと思うのです。  消防庁にお伺いしたいのは、救急隊の配置、そういうのが必ずしも十分でないということが一つあります。それに対してはどう考えていらっしゃるのか。  それからもう一つは、救急車を中心にする搭載器具、いわゆる装備の問題でありますが、現代の医学を導入した医療機械というか、そういうものを導入した救急自動車の配置というのは、世間からも強く望まれているのでありますが、その装備の点についてどういうお考えをしているのか。この二つ。  それから、もちろんこれは地方自治体に負担がかかる問題でありますが、地方自治体は御案内のとおりのような財政状況下に今日あるわけです。必ずしも大産業、大企業というか、そういうものの存在がないいわゆる通過地点におけるところの地方自治体というのは、言うならば一方的なサービスを強要されて、それに応ずるところのペイがなされていないということで、交通事故に対する体制としては、なかなかこれから先はうまくいかないだろうという見通しもある。これに対しては当然国において財政的な負担も考慮しなければならぬと思うのだが、こういう問題についてどういうふうに考えておるのか。
  55. 川合武

    ○川合政府委員 第一点でございますが、現在のところ、法的に義務で救急業務を行なっておりますのは人口十万以上でかつ集中人口五万以上というところであります。これでは現在の交通事故等の救急事故に対処することは非常にむずかしいので、先般政令を改正いたしまして、これは施行は九月一日からになっておりますが、人口五万以上のところに対しましては救急業務実施しなければならない、かようにいたす段取りになっております。なお、義務以外のところでも、これに準じてつとめております市町村が相当ございますけれども、ただいま申しましたような状況でございます。  しかし、なおかつそれをもちましては、たとえば主要国道というようなところにおきましては、いわば村落地帯におきましての通過交通事故の多いところもございますので、さようなところにおきましては、補完的でございますけれども、府県が救急業務を行なう、これは政令で一定区間をしぼりますわけでございますが、さような法改正をただいま国会に御審議をいただこうとしておるところでございます。  第二点の搭載品でございますが、これは消防法の施行令に基づきまして実施基準がございまして、人工蘇生器等のいろいろ具体的に搭載すべきものを定めております。なお、それが改善と申しますか、その内容を向上する必要があることは御指摘のとおりでございますので、それは厚生省等の御意見をいろいろ聞き、また共同研究等、私のほうは、動きます場面のところを担当しております実際の場面から言いまして、また医学的な見地からのいろいろなあれで共同研究等もいたしておりまして、この内容の向上につとめておる次第でございます。  財政問題でございますが、お話のように救急車に対しましては補助をいたしておりますが、その運営に対しましていろいろ市町村の、いわば無縁とははたして法的にいえるかどうかは別にいたしましても、常識的に言いまして、その市町村外の人がすっ飛ばしまして交通事故を起こすというような場面が多いわけでございますので、かような問題に対しまして、ことに他地区への応援というような問題もありますような現状も考えまして、さような点については、従来特別交付税というような措置で考慮をいたしておりました。これまたもう少し前進すべきじゃないかということでございまして、先ほど申しました法改正の中に、ある拠点都市のようなところに、これを特別応援するようにというふうに県が要請できるようにし、その場合は県が費用を持つ、そしてその県の費用に対しましては国が財源措置をする、こういうしかけというと語弊がございますが、かような措置考えました法改正を、先ほど申しましたように国会で御審議をいただいておるところでございます。
  56. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんから、消防庁のほうのお話は一応聞いておくだけにしておきましょう。  それで、最後でありますが、田川政務次官に簡単に一言お伺いしたいのですが、救急医療体制のあれが、言うならば、きちっとした制度になっていない面のほうが多いと思うのです。たとえば救急医療センターですね。こういうものは救急医療センター法というかどうかわかりませんが、そういう制度にしていかぬと、計画的にやるにしても、なかなかむずかしいのじゃなかろうかと私は思う。そういう意味で、たとえばこのサプライセンターをつくったらいいだろうという話も出ていますね。それから、そういうものは年次計画といういうか、はっきりして、裏づけを持って私はやるべきだと実は思うのです。ついては、政府としてはどう考えているか。  それからもう一つは、何といっても医者の問題が最後のきめ手になるわけでありまして、いろいろ多少のことはやっているようでありますか、脳神経外科医の育成というか養成ですね、こういう問題について、とことんの配慮をしなければ、なかなかどうも、看板を法律で分離してもいいというだけでは無理ではなかろうかというふうに私は考えるわけです。だから、いまの大学医学部といいますか、そういう中でももう少し手厚い助成なり何なりして、研究はもちろんきわめると同時に、そういう医者の養成をあわせて計画的に早めていかないというと、単に道路交通だけじゃなくて、複雑な交通事故が年々歳々多くなってくる今日でありますから、そういう点も考えるべきだ、こう思っておるわけですが、それはどういうふうなお考えでいまおられるか、お伺いしたい。
  57. 田川誠一

    ○田川政府委員 ただいま久保委員のおっしゃっていること、全く同感でございまして、最近のように交通事故が多発し、しかもいつどこでどんな事故が起こるかわからないような状態でございますので、そうした事故に対応するような救急施設というものを、もっと整備しなければならないと私ども考えております。御承知と思いますけれども、いまおっしゃった救急医療センターや医療器具のサプライセンターというようなものばかりでなく、厚生省といたしましては、昭和三十九年から救急医療の機関を、できるだけたくさんつくることを勧奨しておるわけでありますけれども、厚生省令を施行いたしまして、現在全国で三千五百の救急医療病院、診療所というものができておるわけであります。脳神経外科、それから医療器具を備えた救急医療センター、これはただいま制度化したらどうかというお話がございましたが、厚生省といたしましては、いま計画として人口百万につき一カ所ということを目標に立てまして、国立、公立病院を中心として、全国に配置するという計画を進めておるわけであります。できるだけ早くこうした救急医療の専門機関を全国的に整備して万全を期すように、私ども努力をしております。それから医療機器のサプライセンターでありますが、これは現在福岡県で実験中でございます。御指摘のように、民間医療機関と共同して医療器具を互いに利用できるという施設を、できるだけ早く整備することの必要がある、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、こういうような交通事故が多発をしておる状態にかんがみまして、いま御指摘の線に沿いましてできるだけ整備をしていくように努力をしてまいるつもりでございます。
  58. 久保三郎

    久保委員 時間がありませんから、また後日こまかい点をお伺いしたいと思うのです。  そこで、あと二つほど申し上げますが、鉄監局長、これは上村長官も聞いてもらいたいのでありますが、さっき大橋運輸大臣自賠責の問題を中心にお尋ねをしたわけですが、それはそれなりにおいて、いま交通機関の災害ですね、それに対する損害の賠償、こういうものは自動車については前段御承知のとおりの制度が今日ある。それから船でありますが、船といっても、国内の港湾に出入りというか、国内を結ぶところの定期旅客船というのでありましょうか、これは自賠責に似通った自家保障というか、旅客船の団体として、協会として一応それに類する保険制度をしておる。しかし、これも全然問題がないわけじゃありませんが、制度としてはある。それから航空機については、国際条約等によるものとして運送約款の中でこれはきめられている。そこで、あと交通機関で残るものは何かというと、国有鉄道の汽車、電車あるいはモノレールを含むところの地方鉄道並びに軌道法によるところの鉄軌道、こういうものについては、自賠責の類は、そういう制度はないわけであります。ある会社のごときは、言うならば子供が踏み切りで即死したという事故に対して、幼児に責任あり、よって香典二千円というのが通例である。もしも不服であるならば、ひとつ正当な裁判で争いましょう、こういうことを言われる。被害者の親は、そういう財政的な能力もないままに、香典二千円でかわいいわが子の弔いをせざるを得なかったという悲しい事件を私は聞いています。これは鉄道、軌道をやっている事業者がいい悪いの問題以前に、さっきもちょっとお話し申し上げたが、自動車による死傷ならばそれ相当の限度額による補償がある。ところが、片方の同じ会社でやっている、言うならば電車にひかれた場合には何もないということでは、これは制度としても片手落ちではないかと思うので、この際、特に穴になっている私鉄というものに対し、自賠責制度というようなものを考えてみる必要はないかどうか、いかがでしょう。
  59. 増川遼三

    ○増川政府委員 従来こういうおっしゃいますような保障制度というものは確立いたしておりません。これは事実でございますが、国鉄はもとよりのこと、鉄軌道につきましては、従来資金能力も相当大でございまして、鉄道軌道側の責任における事故というものに対しましては、賠償能力というものが相当あるというふうに観念されていたのでございます。今日におきましても、国鉄あるいは大私鉄というものにつきましては、こういった保障制度を設けなくても、常識以上の補償というものはやっておると存じております。また、われわれといたしましても、現在の物価等から見まして、相当程度以上に賠償に対して誠意を持って当たるように指導をいたしておったわけでございます。中小企業とか、あるいは今後も国鉄あるいは私鉄における相当大規模なる事故というものが考えられますので、こういった場合におきましては、自賠責のような制度も必要ではないかというふうにも考えられるわけでございます。特に中小私鉄につきましては、最近成績も非常に悪化いたしておりますので、こういう場合におきましては、非常に危ぶまれるわけでございます。したがいまして、御指摘のような制度につきまして、今後は研究をしてみたいと考えます。
  60. 久保三郎

    久保委員 あなたの結論的な答弁は、検討してみたいということでありますから、別に文句のつけようはないのでありますが、前段の説明がどうも趣旨を間違えているんじゃなかろうかというふうに利は考える。大私鉄は支払い能力が十分あるから、中小私鉄はないから、だからそういう問題については考えてみたらどうかというふうに受け取れるわけですが、そうだとするなら困るのです。困るというか、違います。さっきの自賠責の問題と同様だ。同じ法のもとで国民は保護されねばいかぬ。保護ばかりではなくて、そういう制度の中では同じでなくちゃならぬ。そういうふうに努力するのが政府責任であり、国の中に入る国会の任務でもある。支払い能力があるかどうかという問題は、これは今日の時点では考えるべき——考えるというか、それによって左右されるのじゃなくて、もちろんこれは支払い能力がなければ困ります。それは支払い能力があったほうがいいですよ。だけれども、それだけでそういう保障制度は必要ないというのではなくて、無過失賠償にも応じられるような制度が今日必要なんですよ。おわかりでしょうか。それは、少なくとも車や飛行機や船を動かして企業としてやっていくものは、責任を負うべきだという立場に立っているのですよ。そういう責任が負えないものならば、そういう企業を運営すべきではない、極端な言い方でありますが……。それはいいか悪いかわからぬが、香典二千円で泣きの涙に暮れさせること、そういう企業であってはならぬと私は思うのです。上村長官どうですか。
  61. 上村千一郎

    上村政府委員 久保委員のおっしゃることにつきまして、ごもっともと存ずるとともに、従来私ども各関係省庁の施策並びに事務について総合調整をする任務を持っておるわけであります。この仕事を遂行していく際におきまして、各立場立場が相当ございましたり、いろいろございますけれども、現時点におきましては、交通機関によりまして被害を受けるという立場になっておるし、また、先ほど久保先生も御指摘になっているように、人命というものの立場から交通対策というものを一回総合的に反省してみるという必要からいたしますれば、自賠責の問題につきましても、支払い能力云々というだけでなくて、別の観点から交通機関保障制度全体につきまして総合的に考える時点であろう、こう思いまして、至急に調査検討をいたしたいと思います。いま室長ともお話ししまして、もっともな御意見であるから、各省庁におきましていろいろと御意見もあるかと思いますが、総理府としましては進めてまいりたい、こう思います。
  62. 久保三郎

    久保委員 最後に、これはお伺いというよりは資料の要求であります。  これは総理府で取りまとめることになると思うのでありますが、現在ダンプカーの交通安全というか、そういうものが課題になっているわけだ。ついては、各方面でいろいろなことを考えておりますけれども、さっき申し上げたように、ダンプカーの実態調査はおそらくまだできていないと思うのですが、できていないところに対策の立てようがないのでありますから、ダンプカーに対する実態調査を急いでほしいと思います。これは、もし警察庁のほうでやっているのなら、その資料だけでも公表してもらいたいと思います。きょうは労働省は来ていませんけれども、このダンプカーというか、そういうものに対する質問はまたあとでいたしますが、さしあたりダンプカーの実態調査を、局部でもいいから——全国的にもちろん必要だと思うのですが、たとえば東京を中心にした問題でもいいから、これをひとつやってみたらどうか。その調査結果に基づいた対策をやらぬ限りは、これは決定的なものはできぬと私は思うのです。だから、先走った政策など立てたってこれは何にもならぬ、私はそう思うのです。だから、私から言われるまでダンプカーの調査ができていないとするならば、これはまた怠慢のそしりは免れないと私は思うのです。それで、あれはだめなんです、これはいいですと言ったって、話にならぬと思うのです。学童の問題についても同様であります。いかがでしょう。
  63. 宮崎清文

    宮崎政府委員 ダンプカーの事故防止の問題につきましては、総理府交通対策本部に専門部会を設けて、自来何回も検討いたしておるところでございますか、まさに御指摘のように実態か必ずしも明らかでない点が、結論がなかなか出ない一つのネックになっております。そこで、各省庁がそれぞれの分野で実態調査をいたすことになっておりますが、最近におきましては通産省が大体関東ブロック範囲で抽出の調査をいたす予定になっておりますので、それらの省庁の調査結果を早急に取りまとめて御報告を申し上げようと思います。
  64. 久保三郎

    久保委員 通産省だけじゃ困るのですよ。業態としての調査はもちろん通産省の調査だ。それから、車のいわゆる運送事業に類似をしておる行為がどの程度あるかというような問題は、これは運輸省自動車局、それから交通法規にどういうふうに違反しているか、たとえば過積みをしているのはどうか。それから、労働省は、ダンプカーの運転手の労働条件はどうなっているのか、実態はどうなのか、こういうのを全部調べなければいかぬ。通産省の業態だけの調査では事足りませんよ。いかがですか。
  65. 宮崎清文

    宮崎政府委員 ただいま通産省の調査を申し上げましたが、例として申し上げただけでございままして、それぞれ各省庁が所管の事務に従いまして調査をいたす予定にしております。ただ、一定の範囲、ブロックと申しますか、そのブロックについて調査をすることがいまきまっておりますのは通産省であります。こういうことでございます。
  66. 久保三郎

    久保委員 室長、いまぼくが言ったように、関係する省庁は、警察庁もある、労働省、運輸省、それからあなたのところ自体もある。五つだ。最低五カ所は調査をしなければならぬ。もしできるならば、同じブロックを対象にしてやることがあるいはいいかもしらぬが、しかし、その調査の方法その他については、私はおまかせしますけれども、早急に結論を出してほしい。いつごろできますか。会期延長になれば会期中だな。延長にならぬと六月一ぱいだから——延長になるかとうかわからぬけれども、いかがですか。
  67. 宮崎清文

    宮崎政府委員 ダンプの実態は非常に複雑でございますので、集計その他につきましていろいろ問題があろうかと存じますが、なるべく御指摘の期間までに何らかの結果を御報告申し上げるように努力いたします。
  68. 久保三郎

    久保委員 くどいようだが、踏切の実態調査も二月、三月かかって結論が出ていない。それでは踏切をどうしようかといったって、これは実際無理ですよ。だから、やろうとするならいつでもできる。何をまごまごしている。いま一番大事なことは何だ、われは何をなすべきやということを考えれば、これは当然早いところできるのです。あなたにだけ言ったってしょうがない。これは政府代表の上村長官に言っておくけれども、そういう気がまえがないのだ。だから、応急対策と恒久対策がございましてやってますなんて、対策の区分けくらいだれでもできるのだ。中身がほしい。基本的な姿勢がほしいのですよ。どうですか。
  69. 上村千一郎

    上村政府委員 御指摘のとおりでございまして、実は政府としましても、この交通対策本部を中心とし、あるいは交通関係閣僚会議を中心としまして、相当熱意を持ってやってまいるわけでございますが、何と申しましても、進めてはおりまするものの、事故のほうが先へまいりまして、ほんとうに申しわけないと思っておりますが、ひとつ一そう努力をいたしたいと思っております。
  70. 久保三郎

    久保委員 上村長官は純情だから、そういうことでお考えがあると思うが、後手後手になっているということを——後手後手になっているのは、あとでまた何でなっているかを論議したいと思うのですが、いずれにしても、私の質問に答えて、精一ぱいやってくれるというお話でありますから、期待しております。  きょうお呼びして質問をできなかった関係省庁の方々にはたいへん恐縮であります。次会に当委員会のお許しを得まして継続させていただきたいと思います。ありがとうございました。
  71. 山下榮二

    山下委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会をいたします。    午後零時四十二分散会