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1967-05-11 第55回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十一日(木曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 山下 榮二君    理事 大久保武雄君 理事 大竹 太郎君    理事 木部 佳昭君 理事 登坂重次郎君    理事 太田 一夫君 理事 山田 耻目君    理事 春日 一幸君       加藤 六月君    河野 洋平君       濱野 清吾君    広川シズエ君       古川 丈吉君    古屋  亨君       小林 信一君    柳田 秀一君       松本 忠助君  出席政府委員         総理府総務副長         官       上村千一郎君         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         大蔵省銀行局保         険部長     上林 英男君         運輸省自動車局         整備部長    堀山  健君         自治省行政局行         政課長     林  忠雄君         自治省財政局公         営企業第一課長 近藤 隆之君     ————————————— 五月十日  交通事故防止抜本対策実施に関する請願(山下  榮二君外六名紹介)(第八八三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 山下榮二

    山下委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がございますので、順次これを許します。太田一夫君。
  3. 太田一夫

    太田委員 建設省道路関係のお方にお尋ねをいたしますが、このたび策定されております第五次道路整備五カ年計画、それに関連をします昭和四十二年の実施計画、この内容でございますが、先回予算委員会におきまして西村大臣は、内容については今後さらに具体化をはかる、急いでおるのであるが、東海道一号線の輸送力増強問題、この拡幅ないしは第二東海道をつくるという件については、実施をするという明確な御答弁があったのであります。したがって、それは相当具体化しておるだろうと考えられるのでありますが、とりあえず第五次五カ年計画内容のおもなるもの、それからそういう昭和四十二年の計画案のおもなるもの、並びに東海道一号線をいかにするかという具体的な方針、これについてひとつできるだけ御説明をいただきたいと思います。
  4. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 お答えいたします。  第五次の道路整備五カ年計画については、御承知のように総額六兆六千億ということで、現在その内容をいろいろと、有料道路一般道路に分けて検討しておる状態でございます。また、そのうちの一般道路につきましては、国道の一次改築及び国道の再改築地方道整備とか街路の整備、こういうものにどのくらい調和よく配分するか、これを現在検討中でございます。  なお、東海道一号線につきましての計画でございますが、そういう状態で、五カ年計画で幾ら再改築に投資するという、そのこまかい数字がまだ出ておりません。ただ、基本的な考えといたしまして、一号線の東海道につきましては、現在再改築をやられておりますのが、東からいきますと神奈川県の大磯から小田原間、静岡県にいきまして、沼津バイパス及び吉原から富士由比を通りまして興津、清水、静岡、その間のバイパス及び浜松のバイパス、そのうち、現在興津から静岡についてはまだ着工しておりませんが、これはできるだけ早く、この五カ年計画の早い年度バイパスを着工していきたいというふうに考えております。そのほかに、島田から金谷を通りまして日坂峠というのがございますが、これについての再改築を去年から実施しております。また静岡を出ましては、いわゆるわれわれのほうで名四国道といっております三重県の四日市から名古屋、さらにその東へ行きまして豊明町までのバイパス、こういうものを実施しております。  以上のように、東海道の現況を見ますと、東名高速道路ができても、さらに現道に残る交通量が相当多く計算されますので、それに対応するためのバイパスを着工しております。未着工のところにつきましては、できるだけ五カ年計画の早い機会に着手していきたいというような考えを持っております。
  5. 太田一夫

    太田委員 四十二年度予算に、もとの一級国道に対するところの予算千二百八十七億五千七百万円というのがあるわけですね。ですから、もう本年度予算というのはきまっておる。その内容はいまわかっていないのだが、私のお尋ねするのは、現在、バイパスなんというみみっちいものではなしに、総合的に東海道一号線の整備拡張問題——これは第二東海道という全然場所を異にする案であるかもしれませんが、バイパスをつくって、それをつないで第二東海道というものにする御計画であるのか、それとも、単にすべてのところにバイパスつくりまして補強をしていくのか、この基本方針もこの際あわせて承っておきたい。千二百八十七億五千七百万円というのは、もと一級国道に対する本年度予算でございますね。
  6. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 最初の東海道バイパスの問題でございますが、われわれは、やはり現在交通が非常にふくそうしておるところにバイパスをまずつくっていき、それを将来第二東海道という形で結ばれるような形で路線の選定をしていきたいというように考えておりますので、逐次そういうバイパスがつながって新たな第二東海道、いまの一号線と全然別な第二東海道になるというように計画しておるのであります。  先ほどの四十二年度予算につきましては、このうち、もと一級国道事業費が千二百八十七億五千七百万円ございますが、これは、もと一級国道のうちの一次改築に使われるものもかなりございます。そのほかに、全国的なそういうバイパスとか二次改築に使われております。さらにこの中には直轄の指定区間維持、修繕に使われる金が入っておる次第でございます。
  7. 太田一夫

    太田委員 そうすると、現在つくられておりますところのバイパスは第二東海道部分である、こういうぐあいに理解することになりますか。
  8. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 そのとおりでございます。
  9. 太田一夫

    太田委員 そうすると、いまほんのわずかの部分しか——先ほど御発表がありましたのは静岡から以東でございますが、静岡から以東というようなバイパスをつくることによって、ほとんど第二東海道——全然別系統の道路ができ上がるのですか。まだ全然きまっておらないというところがたくさん残っておるのですか。
  10. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 まだ全然手をつけていないところがございます。しかし、それは行く行くいまの一号線の混雑に合わせまして逐次やっていくつもりでございますので、現在着工しておりますのは、一号線で非常に混雑している部分だけでございます。
  11. 太田一夫

    太田委員 それでは道路局としては、第二東海道なるものの青写真というものは発表できるわけですね。
  12. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在まだルートがきまっていない点が二、三ございますので、全線ここでできるというようなものにはまだなっていないのでございます。
  13. 太田一夫

    太田委員 そうするとそのマスタープラン、幅員はどれだけ、そして上下線分離帯はつくるのであるか、歩道はどうなるのであるか、交通信号機はどうなるのであるか、いわゆる交通安全施設ですが、そういうことについてはどういうことなんですか。
  14. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 われわれが、一号線東海道と別に第二東海道というものをつくる場合に、その一部をいまバイパスとしてやっておるのでございますが、大体最小四車線でございます。さらに交通量の多いところは六車線をとるというような形を考えております。なお、中央の分離帯も設けまして、路肩はかなり広くとりまして、自転車及び歩行者車道に入らないで通行できるような構造を現在考えております。
  15. 太田一夫

    太田委員 四車線ないし六車線、なぜ六車線に統一できないのか。四車線のところから六車線のところに入る場合はよろしいが、六車線のところから四車線のところに入るときには、そこがネックになることは、これは物理的に必然だと思うのです。全部六車線くらいのものをこの際つくらなければ、第二東海道としてちょっと意味をなさぬような気がしますが、局長さんいかがですか。
  16. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実はわれわれ、四車線にするか六車線にするかをきめます場合は、やはり東海道の東から西へ行くあの一つのゾーンの交通考えまして、そのうち何台が東名高速に乗る、何台が現在の一号線に乗る、あと何台が新しい第二東海道に乗るというような交通配分をするのでございます。それで、第二東海道と称するバイパスに乗るものが、大体四万台から五万台くらいのときは四車線ぐらいで計画をしております。さらにそれが五万台、六万台、七万台になるというような場合に六車線計画をしておるわけでございます。
  17. 太田一夫

    太田委員 局長、それではちょっと伺いますが、毎月自動車登録台数はどれくらいあると理解していらっしゃるのですか。
  18. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 毎月の自動車登録台数というのは、私いま資料を持っておりませんが、全国的に見まして、大体一年で百二十万台から百五十万台くらいふえるものだと思っております。
  19. 太田一夫

    太田委員 それは蓑輪さん、別にあなたを責めるわけではありませんが、建設省のおつくりになるところの道というものは、これは日本らしい道をおつくりになっていらっしゃるわけですね。国土は狭いから道も狭く、こう考えていらっしゃる。国土の狭いところに道を狭くということは別に悪いわけではありませんよ。耕地を温存するとか、あるいは住宅地をおかさないとかいうことはいいと思うのです。けれども、自動車増加趨勢というものは、あなたたちは的確につかんでいらっしゃらなければ、これからどれくらいの交通量になって、何年先にそれが飽和状態になるかならぬかというようなことは、これは推定できないじゃないですか。いまのように、あなたの推定見込みというのは現状をはるかに下回った数字のように私は思います。  ついでに宮崎さん、これはどれだけですか、このごろの登録台数趨勢というものは。月に十万やそこらではないでしょう。
  20. 宮崎清文

    宮崎政府委員 ただいま道路局長がお答えいたしましたように、大体最近におきましては、年間自動車登録台数増加は百二十万台ないし百三十万台程度でございます。
  21. 太田一夫

    太田委員 正確なる御答弁としては過去のデータがあるでしょうから、それについては間違っておるとか何とか言いませんが、それでは最も手近な四月はどれだけありますか。四月、三月、二月、一月と本年になってからのものはどんな趨勢ですか。
  22. 宮崎清文

    宮崎政府委員 たいへん申しわけありませんが、その自動車登録運輸省の所管になっておりまして、そういう月別のこまかい点につきましては、現在私のほうで手持ちの資料はございません。
  23. 太田一夫

    太田委員 そういうのがばらばらになっているから、あなたのところでかなめのごとくに統括して、建設省に対して、一号線のバイパスをつくったり第二東海道をつくるというのに、四車線とは何事だということをちょっとおっしゃっていただくのが、宮崎さん、あなたのほうの、総理府の任務であるような気がするのですが、古い統計昭和四十年や四十一年度統計では間に合わぬじゃありませんか。もう自動車登録台数というのは、これは運輸省が逐次発表しておるけれども、おおよその私の見解では、十四、五万台が最近の毎月の趨勢のように思う。これはどんどんふえているのですから、過去がこうだったから将来もこうだということはないでしょう。どんどんふえているのですよ。それが東海道ベルト地帯とか、東京名古屋、大阪、北九州というような過密地帯に集中をしておるのです。これはわかっておる。毎月十五万台も増加していくのに、いま、蓑輪さんの言われるような第二東海道をつくるなんという——しかもこれからの五カ年計画でしょう。その中で四車線とは何事ですか。そんなことで間に合いますか。間に合わぬということですね、私の考えておるのは。  そういう見解からいまお尋ねをしておるわけですが、先月、四月の登録はたしか十四万台になっておるように思うのです。ですから自動車というのは、いままでは四年で倍になっているのですね。四年間で倍になっているという点からいいまして、今後さらにそれが拍車をかけて増加するとするなら、月に十五万台以上の登録台数になることも目の前だと思うのです。そういう傾向はどう考えていらっしゃいますか。
  24. 宮崎清文

    宮崎政府委員 太田委員の御指摘のように、道路計画を立てます場合には、将来の交通量の予測が何よりも前提になりますので、今後数年間に自動車保有台数がどの程度伸びるかということは、これは通産省、運輸省でも一応の推計をいたしております。建設省は、その資料に基づきまして将来の道路計画を立てているはずでございます。
  25. 太田一夫

    太田委員 建設省をかばっておられるが、宮崎さん、あなたは四車線で何年問持つとお思いですか。第二東海道交通の渋滞を来たさないで、道路たる機能を十分果たし得る期間というものがですね。四車線ですよ。
  26. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 私たち道路計画をいたします場合に、やはりわれわれは非常に大きな自動車保有台数についての二十年後の推定を持っております。三千五百万台というふうにふえるだろうという推定を持っております。これがどういう地区でふえるかは、これはまたいろいろ問題があろうかと思いますが、われわれ道路構造をきめます場合に、先ほど言いましたように、やはり現在の交通量が幾らある、それがどういうような傾向で伸びるかを推定いたしまして、それに伴って新しくつくる道路幅員を決定するということでございます。将来、昭和六十年度日本は三千五百万台という保有台数となり、ある一部で車の保有台数が非常に多くなるということは、これは起こるかもしれません。そういう場合に対しては、やはりその場その場で一つ道路の大きな網という形で交通の処理を考えていかなければならないのじゃないかと思います。たとえばいまの東海道で、さらに四車線で足りないというような場合には、いまの東名高速を六車線にするなり、現在の一号線の役割りを果たすようなそのほかの二級国道なり県道を、さらに増強していくという方法を講じなければいけないと思います。一応われわれが現在第二東海道考えます場合には、昭和六十年近くの交通量は、四車線ないし六車線でほぼさばけるというような計画でやっておる次第でございます。
  27. 太田一夫

    太田委員 狭い国土であるから狭い道路という考え方にどうもなりやすい。そしてまた事業費が少ないので、したがってみみっちい道路しかできない。先ほど申しましたが、分離帯を設けるということはけっこうだ。分離帯は必ず主要道路につけるということでなければうそなんです。これこそ衝突を防ぐ最大の条件ですから、これによっておそらく重大なる死傷事故は激減するでしょう。そう思います。しかし、路肩を広くしておいて自転車や歩く人たち車道に入らないようにするということですけれども、車道人道とが区別されておればそういうことですが、区別されておらない場合にはどういうことですか。歩道をつけますということじゃないでしょう。路肩を広くしておくということ、これまたおかしな話ですね。これはどういう意味ですか。
  28. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在の車道の外に車が出ないようなフェンスをつける、その外に自転車通行帯歩行者通行帯をつけようという考えでございます。
  29. 太田一夫

    太田委員 そういうことになれば、それが一つの典型、基準となりまして、主要道路は必ず車道人道自転車道とは分離されてくる。そういうことはけっこうです。しかし、あなたのお話で明らかになったことは、現在つくられておる東海道バイパスというのは、将来これを第二東海道と結び合わせて、いまの一号線の東海道とは全然別の道路にしようとする分離された第二東海道、そういうことにするという構想が明らかになった。建設大臣は先般たしか、東海道の問題についてはやります、必ず第二東海道ないしはいまの東海道を拡幅するなり改良いたしますという御返事でございましたが、そういうふうにバイパスをつくって将来つなぎ合わせる、それはそれでもいいと思うのです。問題は、それの規模と経過地構造の問題になると思うのですが、一号線に沿って全部どこをどう通るということは、将来の計画は、五カ年計画なら五カ年計画として分けてもいいのですが、大体わかっておりますか。現在どこにバイパスつくり、いつごろつくる、そしてこれをつなぎ合わせるのはいつごろであるという、この計画はどうですか。
  30. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 第二東海道をいつつくるということは、現在のところまだはっきりきめておりません。ただ、現在の、四十二年から四十六年までの第五次の道路整備五カ年計画では、少なくとも現在一号線の込んでおるところのバイパスには全部着手したいということでございますので、そのバイパスができるのは、たぶんおそくても四十七年くらいまでにはできるのではないかと考えております。ルートで、いま東海道で一番大きな問題になっておりますのは、小田原から箱根を越えまして沼津、三島に至る間、この辺がまだルートがはっきりきまっておりません。あと沼津バイパスから富士吉原由比、蒲原、この辺はほぼルートはきまっております。さらに愛知県に入りまして、豊橋から岡崎に向かって、これはどこを通してくれという要望がたくさんありますので、まだルートはきまっていないような状況でございます。おもなルートのきまっていないのはそういう個所かと思います。
  31. 太田一夫

    太田委員 四十一年の三月末に、八百十二万台自動車登録されておるということが、一度予算委員会で言われたように私は思っているわけです。八百万台あるとして四年間に倍になるとするならば千六百万台、千七百万台くらいになる。それは五カ年計画の間にそうなる。自動車が倍になるということになれば、いまの自動車交通混雑というものをそのまま移行するにしても、道路面積は倍にならなければならないわけです。そういう点から、いまから五カ年計画バイパス混雑しているところだけつくるといっても、いまから四十二年、四十三年、四十四年、四十五年に、まだ第五次五カ年計画の終わらないうちに、自動車は千六百万台をこえて倍になる。そうしていまの道路はさらに過密度が加わる、こういうことになるわけです。そのときに第六次五カ年計画に変えなければならぬということになると思う。したがって私は、いまの第二東海道構想というのは時宜を得た措置でありますから、三千億かかろうが、三千五百億かかろうが、すみやかにこれを系統的な道路として完成するという方面に、よほど力を入れてもらわなければならぬと思うのですが、その点はいかがですか。
  32. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまおっしゃいましたように、われわれは第二東海道交通には非常に関心を持っておる次第でございます。これはいろいろ説もございますが、東名高速ができるということは、われわれはかなりの現在の東海道に対しては緩和策ではないかと思います。しかし、それだけにたよっておったんでは、現道も車は相当ありますので、いま先生もおっしゃいましたように、いまの五カ年計画の中で、非常に込むところは早くこのバイパスの完成に努力してまいりたいというふうに考えております。
  33. 太田一夫

    太田委員 十分明らかでない点があるのに、なおお尋ねしていってもむだでありますから、第二東海道の問題は以上で終わりますけれども、局長さん、東名高速道路利用度というのは名神高速道路利用度と同じように、お金を出して道路を走るというのは、これは限られた層になってくる。これは証明済みです。したがって、もう東海道が通れないから無理やりに高速道路を通そうというようなことをすればどうかしれませんけれども、それは流れには逆行するわけです。したがって、第二東海道というのはあくまでもバイパスの様相をとり、そのバイパスが系統立った第二東海道としてやがて集約されていく。そしてこの道路を通るのは無料である。これはおそらく有料道路にされることはないと思うのです。しかも、インターチェンジから入らなくてある程度自由に出入りすることができるという実用路線である。庶民、平民、サラリーマン、つまり国民の道になる。ハイウエーというのは、これは大金持ちの道に自然になるわけであって、一般のその辺の魚屋さん、野菜屋さん、お百姓さんが、そこを通行料を払って通るということになるのは、はるかに先のことであろうと思うのです。でございますから、新たなる東海道、新東海道と申しますか、これはぜひひとつすみやかに実現ができますように、格段の御努力をいただきたいと思います。  これは道路局のことですけれども、上村さん、総理府として全体の交通ごらんになると、いま東海道死傷はひどいものでございます。われわれもどこかそういうところを拝見させていただきたいと思うのですが、この事故多発ルートであるいまの一号線、これをすみやかに第二号線をつくりまして改良するということは、あなたのほうからお考えになっても妥当なことでしょうね。急ぐ必要があるでしょうね。
  34. 上村千一郎

    上村政府委員 いま太田先生からいろいろ御質問が行なわれておりましたが、ごもっともな点が多いと存じます。この際総合的な施策というものを強力に推進していく必要があろうかと思いますので、御趣旨を体しまして、よく建設省のほうとも御相談をしながら総合的な施策を立てていきたい、こう思っております。
  35. 太田一夫

    太田委員 次に、これは警察庁鈴木交通局長さんが来ていらっしゃいますからお尋ねをいたしますが、東京都の道路交通は非常に混雑をしていて、湯雑度が激しいために交通事故が減ったというふしぎな話があるわけです。今後交通事故が絶滅するためには自動車を動かぬようにすればいいのです。全部東京自動車を集中させまして、道という道に全部これを並べてしまえばいい。これはトヨタ街道、これは日産街道、これはいすず街道というぐあいに車種別にでも分けて、見本市のように全部そこへ詰めてしまう。これなら事故は起きませんよ。現在の東京都の事故がだんだん減っておるのはそういうことなんです。事故が減ったから調子がいいなんて言って警視庁の交通関係の方々に表彰状を出すわけにはいかぬ。  それで特にこの際お尋ねしたいことは、東京都の中において交通機関として一番便利なものは何かというと地下鉄なんです。それからその次は何かといったら歩くことなんです。それで交通局長さんどうなんですか、路面電車というものが宝の持ちぐされになっているのでございますが、あれをさらに本来の機能を発揮させて、軌道上を自動車は通っては相ならぬ、電車を通せということで、電車は確実に走るということになれば、地下鉄路面電車と相まって都市交通というのは非常に便利になると思うのですがね。現在の交通ラッシュ状態から考えてどうお考えですか。
  36. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 路面電車の問題につきましてはいろいろ考え方があろうかと思いますが、現在の軌道敷内の通行の問題だと思いますが、これはやはり現在の交通事情もとにおきましては、軌道敷内を自動車通行させるということはやむを得ないところだろうと思います。現在全国で二十六都道府県にわたりまして軌道敷内の通行を認めております。残った六県が認めておらないということになりますが、趨勢といたしましては、やはり現在の交通事情もとにおきましては、敷地内を通過させるのはやむを得ないというふうに考えておる次第でございます。
  37. 太田一夫

    太田委員 警察庁からごらんになる交通秩序維持ということはどういうことなんですか。市民が不便になってもよろしいから、自動車が何とかうまく通っていけばよろしいということが交通秩序維持なんですか。どういうことですか。
  38. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 これは路面電車自動車も、すべての交通機関が円滑に、かつ事故もなく通行できるということが理想だと思います。したがって、その線に沿っての交通規制も行なわれるということになろうかと思います。
  39. 太田一夫

    太田委員 これはいささか妙な理屈かしれませんが、百二十人乗りの電車一両というのは三十平米の占拠面積です。それに百二十人乗れるわけです。六十人乗りのバスを使った場合には、電車一両のお客さんを二台で運ばなければならない。その占拠面積は四十平米になる。自家用車の場合は一台に一人半乗せたとすれば八十台要って、その占拠する面積は六百平米。いわば電車一両で運べるやつを自家用車八十台とか、バス二台で運べなんということになったときには、道路がよほど広くなければいけないわけで、道路が狭かったら、これを集中して輸送する路面電車によって輸送するということに、理屈の上で落ちつくじゃありませんか。道路占拠面積というのは、電車ならば三十平米でいいのを自家用車であれば六百平米も要るということは、今日のラッシュというときにちょっとぜいたくな話ですね。そういう点いかがですか。
  40. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 御指摘のような計算をいたしますれば、そういうことになろうかと思います。ただ、いかなる交通機関を使うかということにつきましては、私どもの所掌外のことでございますが、ただ、しいて私の意見を申し述べさしていただきますれば、やはり路面電車は漸次高速軌道とバスという方向にいくものではないかというふうに考えておるわけであります。これは一つ交通機関趨勢でございますが、現状のもとにおいていま申し述べられましたような数字からの問題はございますけれども、いかなる交通機関を使用するかということは私どもの所掌外の問題でもございますので、私どもはあくまでも現状の交通機関を、いかに円滑に危険なく運行させるかということに苦心を払っておる次第でございます。
  41. 太田一夫

    太田委員 一国の交通政策というものは、それは交通局長さんや警察庁の任務、所管事項じゃありませんから、それに対してあなたにとやかく言うわけじゃありませんが、たくさん自動車が来るから、しかたがないから電車軌道敷の上を通せとおっしゃるわけです。そうすると、電車軌道敷というのはずいぶん破損するのですが、それに対してだれが幾ら都の交通局特別会計に納めているのですか。これは道路局長さん御存じありませんか。何か負担金ででも補修費は払っているんでしょうね。
  42. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 軌道面を自動車が通れるような場合は、われわれのほうで硬質の舗装をするように補助金を出して、車が通ってもこわれないような舗装にしておる次第でございます。よく軌道に石の板が置いてありますが、あれでは自動車が通る場合にこわれやすいということで、いま青山通りにありますようなアスファルトの舗装にしております。こういう場合は、道路管理者のほうから補助をしてやっておる次第であります。維持費につきましては、現在のところ道路管理者は出しておりません。
  43. 太田一夫

    太田委員 公営企業というのは非常に赤字に悩まされているわけです。公営企業の特に陸上交通電車なんというのはひどいものですが、鈴木局長、あなたのほうはそこをどんどん通れ通れ——それはトラックは通さないで乗用車だけですから、重みというのははるかに少ないとは思いますけれども、どんどん通れ通れということは、だんだんと一番大事な市電というものを滅亡へ追いやる政策に加担していることだと私は思う。それはいまのような動かない都電に乗り手はないですよ。したがって赤字になる。赤字になるから廃止しろ。あなたはバスでいいとおっしゃるが、どうしてバスなら安全に行けますか。普通の自動車が通れないところをバスのような大きな車が行って、早く行けるはずがないでしょう。自動車に乗っていれば気持ちがいいというだけじゃなく、目的地に早く着かなければならぬ。これはどうですか。あなたはバスがいいとおっしゃるが、どうしてバスがいいのですか。
  44. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 私はバスがいいと言ったわけではございませんで、ただ高速軌道とバスに転換する方向にあるということを申し上げたのでございまして、路面電車よりバスがいいということを申し上げたわけではございません。
  45. 太田一夫

    太田委員 なるほど。そうすると、方向としては路面電車からバスに移行する方向にあるという現実をあなたが把握していらっしゃる、こういうことですね。そうすると、自治省の公営企業の第一課長さんがいらっしゃるようですからお尋ねしますが、あなたはいまの実情から考えてみまして、路面電車というものをだんだん廃止の方向にわざと持っていくという政策を意識していらっしゃるのか、いらっしゃらないのか。
  46. 近藤隆之

    ○近藤説明員 路面電車でも所によって違うと思います。大都市の場合、しかも東京、大阪、名古屋などの場合と京都の場合は違いますし、それから札幌、函館、仙台、熊本というような中小都市でやっておるのがございますが、それぞれニュアンスが違います。中都市の場合は速度低下もそれほどございませんし、乗客の減少というのも目立っておりません。それぞれの都市はまだ維持しております。それから京都の場合も、これは市の立地条件等特殊事情によると思いますが、乗客の減少という傾向がそれほどあらわれておりません。したがいまして、撤去計画等も市当局ではまだ具体化しておらないという状況でございます。いま撤去計画具体化しておりますのは、東京、大阪、名古屋、それから最近神戸が検討しております。  そういった状況でございますが、これらの都市は速度の低下もさることながら、乗客の減少が非常に激しいわけです。速度が低下するから乗客の減少が激しいということもありますが、もう一つの要因は、最近これらの都市はみなドーナツ化現象を呈しておりまして、お客の流れと申しますか、それが郊外から都心へ来るといういう場合に、路面電車というのは都心部だけを走っておりますので、バスのほうにどうしてもお客が吸い上げられるという傾向がございます。そこで、いまの料金の問題もございますけれども、バスと路面電車と競争できない状況になりつつある。それからまた交通麻痺の問題もございまして、これらの都市はみないま地下鉄をやっております。したがいまして、路面電車にかわるべきものとすれば地下高速鉄道だろうと思います。地下高速鉄道は路面電車のようなこまかい網が広げられませんので、それを補う意味でバスが走るという形になっていくのだろうと思います。
  47. 太田一夫

    太田委員 近藤課長、補う意味においてバスが走るようになっていくだろうとおっしゃるというと、バスなら走れるというわけですか。自動車が一ぱいの道をバスなら走れるということですか。
  48. 近藤隆之

    ○近藤説明員 実は、大都市のほうはバスの乗客の伸びというのもそれほど伸びておりません。地下鉄の伸びが非常に激しいわけでございます。地下鉄が建設されますと、バスのお客も食う、路面電車のお客も食うという形になってくるわけでございます。地下鉄網を補てんする意味においてバスが近距離輸送をやるという形になっていくと思います。
  49. 太田一夫

    太田委員 バスの下に子供さんが引っかかったまま、運転手さんがちっとも気がつかずに何百メートルか走ったという悲惨な事件が、ついこの間ありましたね。これは交通が非常に混雑しておるから、一たび走る状態になると、走る方向に運転手さんの注意か集中するわけです。それでいま交通過密地帯というのは、よほど交通調整というものに力を入れませんと、事故が出ないようで、実は大きな事故多発の要素を含んでおると思うのです。それで、バスがいいとすれば、鉄道を敷くまでもありませんから、郊外の住宅地から地下鉄の乗り場とかあるいは国鉄山手線の乗り場とかいうところにバスを持っていって、そこから高速鉄道に乗りかえてもらう、市内へ参りました場合は、歩くかしからずんば都電ということになれば、そんなにたくさんの交通用具を用いずして相当たくさんの量がはけるというように私は思うのです。ですから、公営企業の立場からいうと、公営企業は赤字だ赤字だ、運賃値上げしろ、それでも追いつかない、やめてしまえ、やめてしまえというような、破壊主義者のようなことを自治省は考えていらっしゃるわけだが、そこがどうもふに落ちないわけですね。地上の交通機関として路面電車の価値とか任務とかいうものを再検討する御意思はありませんか。
  50. 近藤隆之

    ○近藤説明員 ただいま先生がおっしゃいましたようなことが、まさに名古屋とか大阪とかいうような都会では行なわれております。御承知のように、名古屋の場合で申しますならば、地下鉄のところにバスのターミナルをつくりまして、そこまでバスで行く、それから地下鉄に乗りかえて都心部に行ってもらうというような形で、いま路線等について検討もし、実施に移しておる部分もございます。将来はそういう形になっていくのではないかとわれわれは思っております。  それから路面電車につきまして、経営が成り立っていく、またバスその他の交通機関、そういうものとの競争に十分耐え得るというようなものについて、われわれは決して廃止の指導はいたしておりません。ただ東京、大阪、名古屋等につきましては、その路面電車の下に地下鉄が現に通っておる、そうすればその地下鉄のほうが早く確実に目的地に着く、そして路面は非常に混雑しておる、こういうような状況を勘案いたしますならば、そういう分について路面電車が廃止されるというのは、やはり時代の趨勢ではないかというように考えております。
  51. 太田一夫

    太田委員 課長さんの御意見は自治省の意見ですね。個人の意見ですか。これは、いずれともあれ公営企業課の意見として承っておきますけれども、実際今後の都市の交通というものを考える場合に、そういうようにだれが言ったか知りませんけれども、路面電車は前時代的なものだという考え方に問題があるのじゃありませんか。国鉄は、鉄道なんというものは前時代的なもので、やがて自動車と航空機によってとってかわられようというときに新幹線をつくりまして、一挙に鉄道たるものの使命といいますか、価値の偉大さというものを世界にアピールした。証明した。日本が、路面電車というものはこれくらいりっぱなものだ、大都市は路面電車の価値があるのだということを、一ぺんどこかで証明する必要がある、それは東京都だということを私は言っておるわけです。  スピードの問題でも、これは私が調べたから違っているかもしれませんよ。都心の自動車はどれくらいで走るだろうかというと、十キロで走るときはなかなか少なくて、二キロないし四キロ、平均して三キロだ、それから徒歩で歩けば、徒歩のスピードは平均して四キロだ、だから自動車よりも歩いたほうが速いということですね。自動車は三キロ、歩けば四キロ、都電に乗れば十三キロ、これは私の調べたものですから、一ぺんストップウオッチを持って調べてください。そういうことでございますから、もう何でもかんでも路面電車はだめだということでなしに再検討してほしい。  それで、これはもう一回警察庁鈴木交通局長さんのほうにお尋ねしますが、あなたのほうに交通取り締まりの予算というものがありますね。昭和四十二年度に五億五千三百万円の交通取り締まりの強化予算というのがある。交通警官というのは、非常に任務御苦労さんだと思う。非常にこの任務は御苦労さんであるが、交通取り締まりということはすぐに出るのですが、どうして渋滞をさばくか、いわゆる交通の秩序、これを守るためにやるいわば指導取り締まりというふうに、指導ということばがどうして入らないのか。取り締まりだけで五億五千三百万も使うなんてもったいないと思いますよ。自動車が少なくて道路整備されておれば、交通事故なんて起きませんよ。昨年はそれが一億九千八百万、差し引きして三億五千五百万も本年度はふえた。取り締まりに重点を置いて事故が防げますか。ここのところはいかがですか。どういう方針でございますか。
  52. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 予算面では取り締まり費ということになっておりますが、考え方といたしましては、私どもは指導取り締まりという考え方でございます。
  53. 太田一夫

    太田委員 それでは指導取り締まりだということで私も理解しましょう。そういうことでなければ、そんな大幅な増加なんということはちょっとのみ込めない。取り締まりのためにそんなことをやられたらたいへんだ。取り締まるといったって取り締まれませんから、最後は、自動車が動かないように全部なわを張って並べて置くことだと思う。  そこで、もう一つ取り締まりと指導との関係でお尋ねしたいことは、自動車の保管場所の確保等に関する法律というのがあるのですが、あれは生きているのですか、それともあれはいま適用を中止しておるのですか。どちらですか。
  54. 宮崎清文

    宮崎政府委員 保官場所の確保等に関する法律は、現在でも施行中でございます。
  55. 太田一夫

    太田委員 施行中ですか。それにしては路上駐車が多いですね。では警察庁のほうで不法路上駐車としてレッカー車か何かでどこか撤去した事例が最近ございますか。
  56. 宮崎清文

    宮崎政府委員 御承知のように、自動車の保管場所の確保等に関する法律と申しますのは、主といたしまして俗にいいます青空車庫、夜間一晩じゅう自動車を置きっぱなしにしておくことを禁止することと、それから昼間でも、長時間にわたり自動車を路上に放置しておくことを禁止した法律でございます。それ以外の問題といたしましては、道路交通法によります駐車禁止の規定がございまして、駐車を禁止されている道路におきましては、これが駐車である以上、たとえ五分であっても十分であっても禁止されておる、こういうことになっております。問題は、実行性の担保の問題でございますので、これは警察庁のほうからお答えすることになります。
  57. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 御指摘の自動車の保管場所の確保等に関する法律違反の取り締まりの問題でございますが、これが四十一年には年間で全国三万三千七百九十五件を検挙しております。しかし、これは数が少ないじゃないかという御意見が、あろうかと思いますが、先ほど宮崎室長からお話がありましたように、この法律の根幹になっております第五条の規定で、第一項におきましては、御承知のとおりに道路を保管場所として使ってはならない。それから第二項は、長時間、昼間にありましては十二時間以上、夜間では八時間以上駐車してはいけないという規定になっております。いずれも非常に立証技術上の問題がございまして、これを立証していくというためには警察官の非常なる労力も要りますし、技術も非常に要請されますので、いろいろ私どものほうは指導しておりますけれども、いま言ったような程度の件数しかあがっておりません。  しかし、なおこの問題に関連いたしまして、おもに非戦災地でございますが、道路の非常に狭いところに駐車している場合には、道交法に規定されております駐車禁止の規定がございます。駐車した場合に、外側に三・五メートル以上の余地を残しておかなければならないという規定がございまして、この規定で取り締まっているものが、三万三千何がしの件数以外に相当あるのでございます。そういうことでございまして、保管場所の法の適用につきましては、いま言ったような問題点はございますけれども、さらに努力いたしまして取り締まりをしてまいりたいと思います。  いま言ったような実情でございますので、御了承を願いたいと思います。
  58. 太田一夫

    太田委員 終わりますけれども、ほんとうに警察庁として本気になってやってくださいよ。車庫がないんだ。駐車とか停車という問題じゃなく、実際上保管場所が確保されておらない。いわゆる車庫がないにかかわらず車を持っておる。これはたくさんあるわけだ。一ぺんこれを徹底的に調べてもいいくらいで、道路でかってにとめるから、その車の陰から飛び出してきて事故が起きる。あぶなくてしようがないですよ。これは厳正なる法律の適用を望みたいと思います。  終わります。
  59. 山下榮二

    山下委員長 次に、松本忠助君。
  60. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、さっそく質疑を始めさせていただきます。  最初に運輸省、大蔵省の方にお伺いいたしたいわけでございますが、東京地裁におきまして取り扱いました交通事故による死亡の賠償請求額を私のほうで調べてみましたところ、一人平均、四十年度は五百二十六万円、四十一年度は四百六十八万円となっております。またその判決の平均は、四十年度は三百六万円、四十一年度は三百二十四万円となっております。これで見ましてもわかるとおり、たいへん失礼なことばではございますが、死亡者の相場がある程度推定されるわけであります。これに対しまして自賠責の死亡限度額ははるかに低いわけでございますが、これを早急に引き上げるお考えがあるかどうかについてお答えを願いたいと思います。
  61. 堀山健

    ○堀山説明員 この問題については、大蔵省とも検討しておるところでございます。
  62. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もう少し何とかお答えができませんかな。
  63. 堀山健

    ○堀山説明員 限度額三百万円を目標にして検討しておるところであります。
  64. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 検討のそのお話はいつもいつも聞いているわけであります。一体いつになったら三百万円にするのか、その辺のところを明確なお答えをいただきたいと思う。
  65. 堀山健

    ○堀山説明員 実は検討中でございまして、できるだけ早くそういうことになりたいと思っております。
  66. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 どうしてそれがきめられないのですか。実際問題としていま申し上げたようなわけで、裁判所で判決を下している死亡の際の金額を申し上げてもそのようなものであるわけです。  ましてや航空機事故のような場合には、一千万円をはるかにこえた金額を支払っているわけであります。また外国の例をとってみても、相当高額な保険金の支払いがなされているにもかかわらず、日本は非常に低額過ぎる。この点については再々われわれは政府に対して明確な答弁を求めているのでありますが、依然としてそれのお答えがない。非常に不満に思うわけであります。ぜひひとつこの点について大蔵省のはっきりしたお答えをいただきたいと思うわけであります。
  67. 上林英男

    ○上林説明員 ただいまの問題につきましては、運輸省からお答えいただきましたように、自賠責の補償限度額を引き上げるようにいろいろと検討いたしております。ただいまお話がございましたように、補償金額というものは最近の趨勢によりまして上がってまいっております。しかし、一方におきまして自賠責の限度と申しますか、補償金額の限度額と申しますものは、御承知かと思いますけれども、最低の補償と申しますか、いかなる場合でもこの限度の補償がついていなければ自動車を運行しないという意味におきます最低限度の額であります。したがいまして、これですべて補償額が終わりというわけではございませんで、私どもできる限りこの最低の補償限度額自体を上げるようにただいま努力をいたしておるわけでございます。それと同時に、この上積みの保険と相まちまして、できるだけ補償金額が上げられるように努力してまいりたいと考えておるわけでございます。
  68. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いつもいつも同じような御返事でありまして、まことに遺憾でありますが、もう一点。自賠責の支払いにつきまして遅々として進まないで国民から非難の声がございますが、政府は事務の簡素化、近代化をはかる考えがないか、どうか、この点についてお答えを願いたい。
  69. 上林英男

    ○上林説明員 自賠責の支払いの手続の簡素化につきましては、私どももできるだけ努力をいたしております。ことに、不幸にして事故が起こりました場合につきましては、その請求の手続におきましては、必要最小限度の書類にするようにしぼっております。もちろん、権利義務に関係がありますことでございますので、必要な書類は整えていただかなければなりませんけれども、その書類の数なり様式なりというものはできるだけ簡素化いたし、またその査定も共同の査定事務所におきましてできるだけ簡素にする、あるいは査定基準にいたしましても、できるだけ明確、単純なものにするように努力いたしております。したがいまして、私どもはただいまのところではできる限りの簡素化をはかっておるつもりでございますが、今後なおそういう問題がありますれば、さらに簡素化いたすように努力いたしたいと思います。
  70. 上村千一郎

    上村政府委員 いま松本委員がおっしゃったことはごもっともなわけでございますし、実は昨年の十一月二十一日に、「交通安全施策の強化に関する当面の方針」というのを決定いたしております。閣議におきましても了解をされておられますし、先ほど答弁の一部にもございましたが、三百万円を目途にいたすことでほぼ内定をいたしておるわけでございます。でございまして、その後遅々といたしておりますので、ここに運輸と大蔵の関係者もおられますが、私どものほうが中心になりまして、急速にこの点については促進をするようにはかりたい、こう思っております。
  71. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 総務副長官のお話で了解いたしましたが、内定を見ている問題でありますので、これは至急やっていただきたい。  見通しとしてはいつごろになるか。この点はいかがでしょうか。
  72. 上村千一郎

    上村政府委員 大体これは審議会へかけて決定することになると思います。審議会のほうが多少おくれておるようでございまして、それの見通しになるかと思いますので、大蔵、運輸のほうからその点は答えていただくことにいたしたいと思います。
  73. 上林英男

    ○上林説明員 ただいま御説明がありましたように、できるだけすみやかに実施するように努力をいたしたいと思っております。  ただ、何ぶんにもこの問題を解決いたしますにつきましては、保険料率というものをどうはじいていくかというむずかしい問題がございますが、ただいま自動車保険料率算定会でいろいろ統計を検討いたしているので、そういう統計を見まして、また運輸省ともよく相談をいたしまして、できるだけすみやかに結論を出したい、こう考えておるわけでございますので、ただいまいつごろできるということを、ちょっと確たるお返事はできかねるわけでございますが、できるだけ急ぎまして結論を得たい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  74. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もういつもいつもきまって、できるだけすみやかに善処する、こういうことばで逃げておる。たいへん遺憾に思うわけであります。少しは死んだ人の身になって考えてもらいたいと思うわけであります。いつもいつもこの問題については明確な御答弁が得られないのをほんとうに遺憾に思うわけでありますが、なるべく早くこの点についてはおきめをいただきたい。これはもう内定を見ている問題でありますから、あと実行する熱意があるかないかによってきまることと思います。よろしくお願いいたしたいと思います。  次に、去る四月二十四日の予算委員会の第四分科会におきまして、私が発言いたしまして、御検討を願いたいと希望しておきましたことがございます。それは、道交法の改正によりまして反則金を取ることができるようになりますが、この反則金を自賠責の保険金の中に繰り入れて、保険料をあまり増額しないで保険金をふやしてあげられるようにしたらいいのではないか、こういうふうに私は希望を申し上げておきました。この考え方につきまして、副長官並びに大蔵省のお考えを伺いたいと思います。
  75. 宮崎清文

    宮崎政府委員 御指摘の、今回予定されております道路交通法の改正に基づきまして新たに創設される予定でございます反則金制度の反則金の帰属につきましては、実は現在の段階におきましてまだ最終的な決定を見ておりません。そういうことでございます。
  76. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この点について、総理府総務副長官のお考えはどうですか。
  77. 上村千一郎

    上村政府委員 松本委員がおっしゃったように、いまいろいろ考慮されて——新聞紙には多少流れておるようでございますが、室長がいま申し上げたところでございまして、まだ決定をいたしておる段階ではございません。
  78. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは次に自治省のほうにお伺いいたしたいと思いますが、交通事故の解決につきまして、被害者はいずれも多くの苦い経験を持っております。これにつきまして、地方の自治体が、交通事故当事者に対する法律手続の教示や、交通事故被害者と救護関係機関との連絡調整、または交通事故被害者救済のための措置等を講ずるために、交通相談所とでもいうべきものをつくりたい、こういう機運が急速に高まっておりますが、これに対してどのようにお考えでございましょうか。
  79. 林忠雄

    ○林説明員 お答えいたします。  この交通事故相談所につきましては、ただいまここにおられます総理府のほうで中心になって御検討なさっておいでになりまして、私のほうもできる限りそれに力を添えて検討している最中でございます。具体的には総理府のほうからお話があると思いますが、私のほうもそれに対しては助力を惜しまない考えでございます。
  80. 上村千一郎

    上村政府委員 交通相談所の件でございますが、四十二年度予算に五千万円計上いたしておりまして、そうしていま参議院の段階では御審議を賜わっておるわけでございます。
  81. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 地方自治体でもこれをやりたい、このように私どものほうにも来ておりますが、いまの予算は、全国的に交通相談所を総理府の責任において設置するという意味でありますか。
  82. 宮崎清文

    宮崎政府委員 ただいま総務副長官のお答えをいたしました五千万というのは補助金でございまして、設置の主体は、現在私たち考えておりますのは都道府県でございます。したがいまして、これは予算の御審議が終了すれば、大体七月ごろをめどといたしまして全国の都道府県に一カ所必ず公的な、都道府県が主体になります交通事故相談所を設置する。これに対して国が所要の経費を補助いたします。それと並行いたしまして、市町村にも何らかの形でそういう交通相談活動を強化することを自治省のほうでいま検討中でございまして、それらを合わせまして被害者の救済の完ぺきを期したい、このように考えております。
  83. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 全国で五千万という補助金は非常に少額に思いますが、この点はどうでしょうか。
  84. 宮崎清文

    宮崎政府委員 実を申しますと、この公的な交通相談所を全国一斉にスタートさせますのは今回初めてでございまして、相談事案がどの程度あるか、これはもちろん私のほうで一応の推定はいたしておりますが、それがまだはっきりつかめておらない点が一つございます。それと、本年度は御承知のように予算がおくれまして三カ月ばかりずれておりますので、とりあえず五千万で発足いたしまして、本年度の実績を見まして、さらに必要であるとすれば、財政当局とも交渉いたしまして、今後そのほうの措置を強化してまいりたい、そのように考えております。
  85. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私のほうでも、その辺につきまして市民相談所というようなものを開いておりますが、そこへ持ち込まれる問題の中では一番交通事故が多いわけでございます。したがいまして、これの解決には全力をあげて私どももやっておりますが、なかなか思うようにいかない、そういうことで、ぜひ地方自治体におきましてそういうものをつくって、またこれに対して補助金も十分出してあげて、そうしてこれの育成をはかっていただきたい、このように希望するものであります。  それでは次に、現在埼玉県の川口市において実施されているところの、いわゆる川口方式といわれる交通災害共済制度について、その実態の報告はしていただけましょうか、どうですか。
  86. 林忠雄

    ○林説明員 現在四十六府県のうちで三十三府県調査ができております。あと十三府県ほどはまだ回答が来ておりません。これが参りましたら報告いたしますが、現在その三十三府県中で、川口方式によるものが十三市、それから損保会社と提携をして実施しておるのが、仙台市を初めとして現在八市、それからその他の方式、たとえば共済方式その他で実施しておるのが五市ございます。これが四月現在でございます。それから、なお検討中のものは相当たくさんの市にわたっておるようであります。
  87. 松本忠助

    ○松本忠委員 川口市における実態の報告はいかがですか。
  88. 林忠雄

    ○林説明員 これは、まだ昨年度の実績の詳細な数字までとっておりません。
  89. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 川口市におきまして私ども調べたところによりますと、昨年だけでも三百万円からの黒字になっております。したがいまして、保険料も、学童については三百六十五円払っているものを、ことしは半額にしようというところまでいっているように、非常に川口方式は効果をあげているように思われます。どうかこの点につきましても、自治省でもその育成について十分力を注いでいただきたい、このように希望するわけであります。  それから、川口市におきましてこの方法を取り上げようとしましたときに、大蔵省、自治省または損保協会等から強い横やりがあったそうでありますけれども、これは事実でございましょうか。
  90. 林忠雄

    ○林説明員 大蔵省、損保協会のほうは別にお話があると思いますが、私のほうは横やりを入れたという趣旨のものではなかったと存じております。法的に何らかの疑義があるというお話がありましたので、その法的な疑義がはっきりするまでは見合わしたらどうかという勧告はしたようでございます。ただし、川口市は実施に踏み切られたわけでございますが、その後そのままの形になっておりますので、やめろとか干渉がましいことを言った趣旨ではないと考えております。
  91. 上林英男

    ○上林説明員 ただいまお話になっておりまする川口市のやられておりますることは、川口市の市民の方が一年に三百六十五円でございますか保険金を払いまして、交通事故がございますと、死亡いたしますと五十万円、傷害の場合には十万からたしか二千円だったと思いますが、そういう給付金を払うということでございます。この実態は一体何であるかということを考えますと、保険に類似をするといいますか、保険行為ではなかろうかという疑問を起こすものでございます。当初川口市がいろいろ計画されましたときの趣旨にも、保険ということばが実は書いてあったわけでございます。その後そういう問題の議論がありますと同時にこれを共済というふうに改められたり、あるいは、ただいま五十万円と申しましたけれども、実は死亡いたしましたときは五十万円以内の金を払うというふうに改められたり、あるいは貧困者の場合には保険の掛け金を払わないでも給付金を払うというように直しておられます。  いずれにいたしましても保険業法におきましては、保険事業は保険会社でしか営めないということになっているわけでございます。そういうような観点から、保険業法の違反の疑いがあるのじゃなかろうかというふうに、感じたわけでございます。したがいまして、これを行なっているものはことに地方公共団体でございますので、慎重な配慮をしていただきたいということを自治省にもお願いをしたわけでございます。  なお、これが保険業法の違反であるかということになりますと、なかなかむずかしい問題がございます。保険と共済というものはどういう点でどう違うのかということは、ずいぶん昔から議論のあるところでございます。またことに、いま申しましたような本来の保険と申しますのは、掛け金と保険金との間に対価関係があるということが保険と共済との一つの相違点としていわれております。形式的には五十万円以内、あるいは五十万円必ずやるとは限らないというようないい方になってまいりますと、保険かどうかという議論がよけいむずかしくなるわけでございます。実質的に必ず五十万円やるということになりますと、対価関係が明確になるというような問題もありますが、法律的にはそういう問題がある。あるいは掛け金を払わない貧困者の方にも給付金を払うということになりますと、これは保険ではない、共済ではないかという議論も形式的には成り立つわけでございます。しかし、実質的に見ますと、なおいろいろ問題があるような気がいたしておるわけでございますが、一方におきまして、この事柄自体は市民の、不幸にして交通傷害にあった人に救済の手が差し伸べられるということを考えますと、それ自体は私どもも大いに協力、努力すべき問題ではないかとも考えるわけでございます。  そういう意味におきまして、法律論だけにこだわっておるということではなくして、できますれば実態に即応いたしましたように、それを充足することができますようにいたしまするのが、免許企業としての保険会社の責務でもある、こう考えるわけでございますので、保険会社におきましても、できるだけ安い料率でこういうような市民共済といいますか、市民交通傷害に対する需要に即応できるような制度を満たすように努力をするということを保険会社のほうから申し出てまいりましたので、それを認めて実施をさせておる、こういう状況でございます。
  92. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私のお伺いしたいのは、その時点において大蔵省として横やりを入れたような話を地元からは聞くわけでございます。そういうことはあったのですか、ないのですか、その点をお伺いしたい。
  93. 上林英男

    ○上林説明員 先ほど申し上げましたように、保険業法違反の疑いがあると申しますか、疑問があるということで、慎重に配慮していただきたいということは、自治省を通じて申し上げたわけでございます。
  94. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 先ほどの自治省の御答弁にもございましたように、この川口方式がすでに十三市において取り上げられており、また、今後も取り上げられる傾向が非常に強いように見受けられますので、自治省、大蔵省、運輸省はこの制度に対して今後どのようにこれを見ているか、この点についてお答えをいただきたい。
  95. 林忠雄

    ○林説明員 先ほど御報告申し上げましたように、直営の川口方式でやっているのが十三市、それから保険会社とタイアップしてやっているのが現在八市でございます。そこで、これについてはそれぞれの長短得失もあろうかと思います。観念的には長短得失いろいろ考えられるわけでございますが、いま実際の運営状況をじっくり検討しておるわけでございます。その実績を見まして今後の指導の参考にしたいと思っております。
  96. 上林英男

    ○上林説明員 基本的にいまの市民交通傷害が保険業法違反であるかどうかという問題については、さっきも申しましたように、非常にむずかしい問題であると考えております。さらに実態的には、いま自治省のほうからお話がありましたような幾つかの実績もあるわけでございまして、そういう中で、具体的にどういうふうにやっていけばよろしいかということになりますと、私どもの保険部の希望としましては、先ほどから申し上げておりますように、実態的には、そういうふうに不幸にして交通傷害にあわれた人の救済制度というものがよりよくなってまいりますこと、これは私どもの希望でもございます。その意味におきまして、いまのような法律違反論議とかそういうような問題をアウフェーベンいたしましたような意味におきましても、私どもの考えておりますのは、損保会社が本来の業務、その公共性に目ざめまして、できるだけ低率にサービスのよい市民交通傷害の保険というものができ、それが利用され、拡充をされていくということを、私どもは念願いたしておるわけでございます。
  97. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 最後にもう一点お伺いしますが、日本損害保険協会で市民交通傷害保険と名づけて掛け金を、いわゆる川口方式よりも五円安くした三百六十円という損保方式を打ち出しておりますが、これは川口方式に対抗するために故意につくり出されたようにも考えられますが、この点は大蔵省としてどのように考えられますか。
  98. 上林英男

    ○上林説明員 ただいま市民交通傷害といいますか、損保会社がやっております制度の趣旨は申し上げたとおりでございまして、こういうような制度ができますこと自体、損保会社自体として反省をしなければならない。免許企業たる保険事業を行なっております保険会社といたしましては、そういう需要を積極的に開発し、その需要に即応していく義務があるわけでございます。そういう意味におきまして、保険会社がこういう制度を創設することによってそれらの需要にこたえていくということが、保険会社の義務であるというような観点も入りましてこういう制度をつくったものと考えております。
  99. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 けっこうでございます。
  100. 山下榮二

    山下委員長 次に、春日一幸君より発言を求められております。これを許します。春日一幸君。
  101. 春日一幸

    ○春日委員 私は、まず最初に、本特別委員会の運営のあり方について所見を述べて委員長の善処を求め、かつは御出席の政府委員諸君にも十分御認識を賜わって、関係閣僚に御運絡を願いたいと思うのであります。  と申しますのは、本委員会はわが国交通禍の現状にかんがみて、この事態を特に重視をいたしまして、これが解決をはかることのために、超党派の合意によってこの特別委員会が持たれたものでございます。すなわち、昨昭和四十一年度におきます交通禍による死者が一万三千人をこえ、傷害を受けた者が五十一万人ということでございまして、このことは、ベトナム戦争において現実に米軍が払ったその犠牲を、はるかにはるかに大きく上回るものであるのでございます。もし、かりに日本国内においてコレラかペストで毎日三十数名が死亡しているというような事態が惹起されますならば、おそらく国は総力をあげてこれが解決のために立ち上がるでございましょう。しかるところ、これが交通事故であるということで等閑に付せられておるうらみがある。かくて、時々刻々この交通禍というものはそのレコードを更新しつつあるのでございます。さればこそ、各党ともにこのような事態は何とか解決をはからなければならないし、最もすみやかにこの措置をとらなければならないという必要を痛感されて、この特別委員会が設置されたものにほかなりません。  したがいまして、本委員会はこの会期中において何らかの対策を確立しなければならない。お伺いするところによりますと、社会党におかれては交通安全に関する基本法の御提出の御用意があるといわれておりますし、わが党もこれに対して一案を設けて、これを各党に御提示申し上げておるのでございます。自民党さんはもとより責任政党として、これについてはそれぞれの検討がいま進められておるように伺っておるのでございます。  したがって、この委員会はこのような経過にかんがみて、内閣総理大臣はもとよりのこと、少なくとも担当閣僚であります総務長官が出席をされて、そして本委員会の審議に参加されることが当然不可欠の要件であると思う。私は、同僚議員御両氏が質問された内容も拝聴いたしておりまして、ことごとく交通禍をなくすることのための重大なるポイントに触れられた、非常に貴重な意見が述べられ、また、問題の核心に触れての質問がなされたと思います。こういうような問題を閣僚がだれも聞いていないとは何事か。私は本日のこの委員会に対して、塚原総務長官が出席されるものと期待しておりましたし、その出席の通告もしてあるはずである。しかるところ、御連絡によりますと、彼は参議院の予算委員会で質問ありとのことで全然出てこない。われわれの経験によりますと、そういうような質問がありましても、それは午前中ことごとく総務長官に質問が集中するというわけのものではないだろうし、少なくとも質問を受けるまでの時間、質問を受けた後の時間というものは、これは十分スぺースがあるはずである。私は、その責務を果たしたらいち早くここへ飛んで来てわれわれの質問に答える、それが担当閣僚として当然の責務であろうと思う。  ことに私は上村副長官に申し上げたいが、貴殿は出席されることを、遅刻まさに十数分である。そしていままた中途で用事があるから退席をしたいという連絡を私申し受けたのであるけれども、不謹慎きわまるのではないか。一体大臣も出てこない、おくれて出てきた副長官が、そのおくれて来た責任を痛感しないのみならず、まだ審議さなかに退出したいとは何事であるか。私は、国会が各党の総意に基づいて本委員会をつくったその意義と、この委員会の使命というものを、何らわきまえていないことの最もはなはだしきものであると思う。私は猛省を促したいと思う。  そこで、私は委員長に申し上げますが、このような状態でこの審議を進めて、一体われわれこの委員会がいかなる成果が期待できるのでありますか。事務当局、事務当局と言っては失礼であるけれども、それらの諸君に事務的なことをお伺いして、事務的な答弁を得て、それで問題が解決するものではない。御質問になりましたお二方も、大臣が出てこないからやむなくして事務当局にお聞きになっておるのであるけれども、これはきわめて不本意なことであろうと拝察申し上げる。そのような意味で、今後は必ず塚原総務長官、ときには総理大臣にみずから出てきてもらって、そうして、このような国民的災害、民族的災害に対して、世論は、全国民的規模で、少なくとも超党派的規模でこの問題の解決に当たってくれと要望いたしておるのでありまするから、次の委員会においては、ひとつ何とか総理に万障繰り合わしてもらいたい。参議院予算委員会の関係でどうしても繰り合わせがつかないというのであれば、少なくとも担当閣僚でありまする総務長官、あるいは運輸大臣、建設大臣、あるいは警察庁長官、こういうような人々がここへぴしゃっと出てきて、そうして各党の研究の成果、そのような政策について当然質疑応答を熱心に繰り返して、そこで超党派的な成果を得なければならぬ。国会としての一つの総合的な基本政策を樹立することのための必要なる論議を固めていかなければならぬ。そのことなくしては意味がないと私は思う。申し上げるまでもなく、各委員会があって、その委員会の審議では間に合わないから、特別にこの委員会をつくったというこの交通安全対策特別委員会の設置の意義と目的、このことをあらためて想起願って、今後の運営についてはそのような規模でひとつやっていただきたいと思う。  私は、御質問申し上げようと思って若干の資料もそろえてまいったけれども、そわそわにやにやしておるようなそんなあなたを相手に話をしてみたところで何ともしかたがないと思う。だから私の質問は、これを次会に譲らしていただいて、そのときには、いま申し上げたように関係各大臣——参議院の審議も、来週はおそらく分科会あるいは一般質問に入られるのではないかと思います。御都合をその気になってつけていただけば、御出席を求めること決して不可能ではないと思う。そのようにお扱いを願いたいと思うが、この際委員長の所見をお伺いいたしたい。
  102. 山下榮二

    山下委員長 春日君の質問にお答えを申し上げます。  けさほども御相談を申し上げましたように、参議院の予算委員会等の関係から閣僚の出席のできなかったことは、委員長といたしましてもまことに遺憾でございます。  本特別委員会ができましたゆえんのことについては、いま春日委員から申されたとおりであります。今日の交通災害のきわめて重大なことは、いまさら論ずるまでもないので、したがいまして、事務当局はよくお聞きをいただいたことと思いますが、次会から必ずそれぞれの最高責任者である大臣がぜひ御出席願いたい。また、特に理事会等で御相談をいただいて、適当な日にちに総理に手をあけていただいて、総理のかねての政治信条である人命尊重の政治は交通災害絶滅から始まらなければならぬ、そのように私も考えておりますので、委員長といたしましても、春日君の要望にこたえてできるだけ各大臣、あるいは総理等の出席を求めまして委員会を推進をしていきたい。  さらに、いまお話のとおり、各党でもそれぞれ交通安全対策についての法案その他の用意があるやにも伺っておりますので、それ等も早急に委員会に御提出を願い、さらに本国会会期中の間に何らかのめどを定め、本委員会ができましたゆえんが直ちに日本全国の交通災害の上に非常に役立つ結果がもたらされるように努力してまいりたい、かように考えております。
  103. 春日一幸

    ○春日委員 この際あわせて上村副長官の所見を伺いたい。
  104. 上村千一郎

    上村政府委員 春日委員がおっしゃったとおりに、交通問題につきましてはきわめて重要な問題であり、この委員会の御通告に際しましては必ず出席をいたしておる次第でございます。  なお、本日総務長官がお見えになっておりませんが、このことにつきましては先ほど御指摘のように、参議院の予算委員会へ出席をされておるということであり、なお、私が十分間おくれたといいまするのは、これは御案内のように叙勲関係その他の伝達の問題もございまして、打ち合わせでちょっとおくれるからといって委員部のほうへ御了解をあらかじめ得ておるわけでございます。また、大体十二時にこれは終わるであろうというようなお話もございましたので、実はその予定で出席をいたしておる。こういうわけでございまして、いま御了解がございませんでしたので、結局ほんの二、三十分の、十二時から一時までの間と、こういうふうに申し上げておきましたけれども、もちろん委員会の御審議でございまするので、御了解がない場合におきましては当然私はここにおるという意味で申し上げておいた次第でございまして、総理並びに総務長官にも十分いま御趣旨のことは申し上げまして、この委員会に対しまして、とにかく他の委員会その他とよく都合をつけまして出席のできるようにお伝えをいたしておきたい、こう思っておるわけでございます。
  105. 春日一幸

    ○春日委員 別にぼくはこまごましたことをあげ足をとったり何かするわけじゃないが、委員部に連絡をとって了解を得たならばそれでいいなんと思ってもらっては困る。君たちの責務はこの委員会にきちっと来て、そして質疑に答えることなのだから、ほかにどんな用事があろうと、国権の最高機関たる国会から要請されたら、いま申し上げたように、国会の他の審議に支障のない限り何でもかんでもここへ来てもらわなければ困る。そんな叙勲や何かの伝達はあとにしておいてもらいたい。  それから十二時までの予定と言ったといったって、審議が都合によって延びるか早まるか、そんなことは慣例によってきまっておることであって、委員会が開かれていて、現に政府委員一人もいないじゃないか。貴殿一人しかいないときに貴殿が退席するなんということは不謹慎きわまる。そういう意味で、ターザンの逆襲みたいに、おくれたのは了解が得てあるとか、十二時までの予定であったから十二時過ぎたら行くとか、失敬千万なことは取り消されたい。そんな気持ちでおるのであったら、今後われわれは相手にできないからよく考えてもらいたい。国権の最高機関たる国会における政務次官あるいは所管大臣その他の責務がどのようなものであるか、あらためで検討の上出直してもらいたい。
  106. 上村千一郎

    上村政府委員 いま春日委員がおっしゃったような点につきまして、いま十二時までだからと言っておるわけじゃございません。要するに、その予定がございましたので……。
  107. 春日一幸

    ○春日委員 予定なんというものはないよ。君たちの義務はここにおることだ。つべこべ言うのは失敬じゃないか。委員部に了解を求めたらおくれてもいいのか、十二時までといったって、一時、二時になってここにいなければ、ほかにだれもいないじゃないか。政府委員が他におればこんなことを言うのじゃないですよ。君一人しかいない。そのときに、十二時までに帰るということを質問者に持ってくるということは何事だ。そんなことでこの特別委員会の審議が進められると思うのか。ぼくは何も意地悪をしようとこまごましたことを言うのじゃない。ああ言えばこういう、こう言えばああ言う、それで問題が済むと思うか。
  108. 山下榮二

    山下委員長 春日君に申し上げます。  いま春日委員の申されたとおりでございまして、本委員会をもし政府当局が軽視されるようなことがありといたしますならば、これは委員会としても考え直さなければならぬ、こういう結果にもなろうかと思うのであります。本日の春日委員の叱正に基づいて、今後当局はもちろんのこと、お互いに性根を入れかえて、本委員会の今後の運営に努力、精進してまいりたい、こう委員長考えております。それでひとつ御了解を願い、当局はもちろん、いま上村副長官も言われましたけれども、各大臣に強く要望されて、委員会の開会のときにはぜひ出席をされるよう、強く委員長からも要望申し上げておきます。  それでは、次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。午後零時三十一分散会