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1967-07-14 第55回国会 衆議院 建設委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十四日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 森下 國雄君    理事 木村 武雄君 理事 正示啓次郎君    理事 砂原  格君 理事 丹羽喬四郎君    理事 廣瀬 正雄君 理事 石川 次夫君    理事 岡本 隆一君 理事 稲富 稜人君       天野 光晴君    伊藤宗一郎君       池田 清志君    吉川 久衛君       佐藤 孝行君    田村 良平君       高橋 英吉君    谷垣 專一君       野田 卯一君  早稻田柳右エ門君       渡辺 栄一君    阿部 昭吾君       井上 普方君    勝澤 芳雄君       工藤 良平君    佐野 憲治君       福岡 義登君    渡辺 惣蔵君       内海  清君    小川新一郎君       北側 義一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         近畿圏整備本部         次長      上田  稔君         中部圏開発整備         本部次長    国宗 正義君         建設政務次官  澁谷 直藏君         建設省計画局長 志村 清一君         建設省河川局長 古賀雷四郎君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         通商産業省化学         工業局窯業建材         課長      吉川 佐吉君         専  門  員 熊本 政晴君     ――――――――――――― 七月十三日  委員井上普方君、勝澤芳雄君及び正木良明君辞  任につき、その補欠として石橋政嗣君八木昇  君及び北側義一君が議長指名委員に選任さ  れた。 同日  委員石橋政嗣君及び八木昇辞任につき、その  補欠として井上普方君及び勝澤芳雄君が議長の  指名委員に選任された。 同月十四日  委員森山欽司辞任につき、その補欠として野  田卯一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員野田卯一辞任につき、その補欠として森  山欽司君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月十三日  国電赤羽西口広場開設に関する請願(濱野清  吾君紹介)(第三三二五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月十三日  下水道事業早期整備に関する陳情書  (第三二二号)  地方道整備促進に関する陳情書  (第三二三号)  主要地方道国道昇格に関する陳情書  (第三二四号)  国土開発幹線自動車道建設促進に関する陳情  書  (第三二五号)  明石・鳴門連絡架橋建設促進に関する陳情書  (第三二六号)  同  (第四〇五号)  東北縦貫自動車道建設に関する陳情書  (第三二七号)  陰陽連絡道路網建設整備に関する陳情書  (第三二八号)  名古屋環状二号線の一部路線変更に関する陳情  書  (第三二九号)  庭窪中学校等交差点交通安全橋設置に関す  る陳情書(第三三  一号)  中小河川改修事業促進に関する陳情書  (第三九九号)  公共土木施設災害復旧事業早期完成に関する  陳情書  (第四〇〇号)  公営住宅標準建設費引上げ等に関する陳情書  (第  四〇一号)  道路法第三十五条改正に関する陳情書  (第四〇二  号)  市町村道整備費国庫補助増額に関する陳情書  (第四  〇三号)  救済土木事業の実施に関する陳情書  (第四〇四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  近畿圏保全区域整備に関する法律案内閣  提出第一一六号)  中部圏都市整備区域都市開発区域及び保全  区域整備等に関する法律案内閣提出第一一  七号)  宅地建物取引業法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一〇八号)(参議院送付)  建設行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 森下國雄

    森下委員長 これより会議を開きます。  近畿圏保全区域整備に関する法律案中部圏都市整備区域都市開発区域及び保全区域整備等に関する法律案、右両案を一括議題とし、審査を進めます。  両案につきましては、前会質疑を終了いたしております。  これより討論に入るのが順序でございますが、討論申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  まず、近畿圏保全区域整備に関する法律案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  3. 森下國雄

    森下委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、中部圏都市整備区域都市開発区域及び保全区域整備等に関する法律案賛成諸君の御起立を求めます。   〔賛成者起立
  4. 森下國雄

    森下委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  5. 森下國雄

    森下委員長 この際、ただいま議決いたしました中部圏都市整備区域都市開発区域及び保全区域整備等に関する法律案に対し、正示啓次郎君外三名から、自由民主党、日本社会党民主社会党及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  提出者趣旨説明を求めます。正示啓次郎君。
  6. 正示啓次郎

    ○正示委員 ただいま議決されました法案につきまして、四派を代表して附帯決議をつけていただく趣旨説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。    中部圏都市整備区域都市開発区域及び保全区域整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の運営に当り、次の点について特段の考慮を払うべきである。  一、中部圏基本開発整備計画及び都市整備区域建設計画等は、地域住民意見を十分集約して、早急に策定すること。  二、国は、中部圏内における都市整備区域等建設事業及び保全区域整備事業を円滑に実施するため、その財源の裏付け確保に努め、地方債増枠、金融のあつせん等について適切な措置を講ずること。   右決議する。  この趣旨は、すでに質疑応答等において十分明らかにされたとおりでございます。何とぞ御賛成をいただきたいと思います。
  7. 森下國雄

    森下委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議について別に発言申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  8. 森下國雄

    森下委員長 起立総員。よって、本動議は可決されました。  西村国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
  9. 西村英一

    西村国務大臣 政府といたしましては、ただいまの附帯決議趣旨を十分尊重いたしまして、善処をいたしたいと思っております。     —————————————
  10. 森下國雄

    森下委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 森下國雄

    森下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  12. 森下國雄

    森下委員長 理事会の協議により、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。岡本隆一君。
  13. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 先日由良川の和知ダム決壊に関しまして本委員会から調査団調査をお願いいたしました。私も現地参加の形でもってその調査に加わったのでありますが、その調査報告が先日の委員会文書でもって提出されたのでございますが、その調査報告を見ますと、私から言わすならば少し隔靴掻痒の感がありますので、きょう少し和知ダム決壊問題についてお尋ねをいたしたいと思うのです。  参りまして和知ダム決壊模様を見ました第一の印象は、これはやっぱりいわゆる技術を信頼し過ぎた。ゲートは、アームピンとのつなぎ目のところで十本ほどのナットで締めつけられておりますが、その左右両方アームともがその接合部てもって根元から引きちぎられておる。——ただいま局長がお見えになりましたが、この間一緒和知ダムを見に参りました。それでこの間の調査団報告書を見ますと、原因についてわれわれがいろいろ論議いたしましたが、それについては全然触れていないのです。そのときに大体みんなが決壊模様を見て感じたことは、異口同音にみんなが言っておられることは、あれはどうも技術がおかしいんだ、そしてまた現に関電の人もあるいはまた河川局の人も、テンターゲートは安全です、それでアームピンがきちっと受けていれば絶対に安全なものなんだというふうに言っておられましたが、しかしながら、さていよいよ決壊している現状を見ますと、アームピンところがら、根元から引きちぎられてとれておる。言いかえますなれば、圧力に耐えかねてゲートがぐっと下へ押しまくられて回転してアーム一緒に引きちぎられて飛んでいった、こういうことなんですね。だからどう見てもあれはダム建設の、ことにゲートをつくる建設技術上のミスである。操作上のミスではない。少々操作を誤ったとしても、あんなことになるはずがない。だからあれは明らかに技術上のミスです。そうすると計算が違っていたということです。圧力の加わり方、加わる方向あるいはそれをささえる力、そういうものについての計算が違っていたに違いない。だからそういうような技術上のミスについて、ダム構造が全然それに対するところ防御措置がないわけですね。言うなれば、そういうような技術上のミスがあれば、あとはもうノーズロです。もうどう受けとめようもないというふうなことになっておるのがテンターゲートです。だから、言いかえますならば、テンターゲートというものは、これは一つ間違ったら危険きわまりないゲートである、こういうことが言える。それが全国に現在六百もある。そしてまた非常に大きなダム、巨大な多目的ダムでも、上のほうはテンターゲートになっておるのもある。そういうことになりますと、これはもう私は、あのダム一個の問題でなしに、テンターゲートを備えておるダム全体にやはりそういう欠陥が内包しておるということが言えると思うのでありますが。  それではいままでのものをどうするかという問題が一つあります。すでに建造されたものをどうするかという問題が一つございます。もう一つは、これからつくる場合はどうするかという問題でございます。いままでのを改造するということになってまいりますと、これはたいへんな仕事になってまいりますが、しかしながらあえてそれの防災装置を考える必要がある。現在テンターゲートがついておるものについては、何かで破綻を起こしたときに、それについての防御措置を考える必要があるということが一つ。もう一つは、これからつくる場合には、テンターゲートはつくらないのか、あるいはつくるとするなれば、その技術破綻に対するところ防御措置というものを何らか設ける必要がある、こういうふうに思うのですが、これはごらんになった、一緒に行っていただいた河川局長なりあるいは報告を聞かれた政務次官からひとつ御所見を承りたいと思うのです。
  14. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 お答えいたします。  先日は先生わざわざ御視察いただいてたいへんありがとうございました。  このテンターゲートが突然に破壊したことにつきまして、原因が那辺にあるかということにつきましては、建設大臣の許可を得てつくりました技術調査委員会が責任を持って検討いたしておりますので、原因の問題はしばらくおくとしましても、いずれにしましても、岡本先生がおっしゃったような技術上のミスなのかあるいは施行上のミスなのか、その点まだはっきりいたしておりませんので、先生の御質問が冒頭にありましたけれども、その辺のミスはわりあい少ないのではないかとわれわれ判断いたしております。したがいましてきのう技術調査委員会現地ゲートを見まして、これから引き揚げをどうするかということを検討いたしております。それで早急にそういったことをやりまして、具体的に一つ一つメンバーについて調査する必要があるというふうに考えますので、その辺は技術調査委員会の結果が早急に出ることを待っております。  それから、テンターゲートは従来から非常にたくさんつくられております。したがいまして現在までつくられたテンターゲートを、さらに安全に二重安全装置をつくるというような御質問だと思いますが、ゲートはそれが一度決壊したら非常に被害が甚大なものになります。したがいましてわれわれとしましても、先生の御指摘の点をどういうぐあいにしたらうまくいくか、あるいはテンターゲートをつくりかえるとすれば、おそらくいまのテンターゲートをつくりかえるということは困難だと私は考えております。新しくそういった安全装置をつくれば、ローラーゲートないしはめ込み式ゲートと同じような形になるのじゃないかというふうに考えますし、これらの問題につきましては、さらに詳細に技術的に検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、従来から建造されましたものにつきましては、われわれとしましてはただいまのところいろいろ検討いたしまして、自動車の例で岡本先生おっしゃいましたように、たとえば定期検査励行等につきまして、今後十分勘案いたしたいというふうに考えております。  それから、これからつくるものにつきましては、構造基準的なものをつくりまして、これは河川法の政令でも出すようになっております。したがいましてダムについては比較的しっかりしたものがございますが、ゲートについて水門鉄管協会技術基準を使っておりますが、そういうものを今回の事故にかんがみまして新しく検討いたしまして構造基準をつくってまいりたいということで、ただいま建設省内検討委員会を正式につくりまして、関係者を集めまして具体的に作業を進めております。  そこで、その内容の骨子は、応力の問題とかあるいはアームのたわみの問題、たわみをどの程度に押えるかという問題、いろいろ技術上の問題がつきまといます。それから材質をどういうぐあいに指定するか、それから材質検査をどういうぐあいな形で確認するのか、いろいろな確認の問題まで含めまして、これをただいま検討しておるわけでございます。また、テンターゲートをつくる限界の問題もわれわれは検討してまいりたい。たとえば非常に高くなった場合テンターゲートアームが広がります。したがいましてそういったときにどういうぐあいに影響が及ぶのか、そういったことも検討いたしまして、ある限度以上はもっとしっかりしたゲートでなくちゃいかぬじゃないか、あるいは限度以下はテンターゲートでもいいというような問題もあるかと思いますので、その辺もただいま検討いたしておるところでございまして、早急に結論を得たいと私は急がしておるわけでございます。
  15. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうするといまの局長のお答えでありますと、ある程度まではテンターゲートでもいいではないか、それ以上大きくなればローラーゲートにしたほうが安全である、その限界をどこに置くかということを検討してみたいというふうにおっしゃいますが、そういうことならもうローラーゲートのほうがテンターゲートより安全であるということを局長自身すでにお認めになっておられる。いまの御答弁ではっきりそういうふうにお認めになっておられる。それならテンターゲートというものはやはり危険を内包したものであり、そういうものはつくらぬほうがいい。  ただやはりコストですね。結局費用の問題になってくるのじゃないかと思うのです。だからそういうことになってくると、経済性を第一に置くか安全性を第一に置くかということについて、われわれは慎重に考えなければいかぬと思うのです。建設するときに少々費用がかかったからといって、安もので、テンターゲートで済ませておく。しかしながら、一つそれが間違ったときにひどい被害下流に及ぶというふうなことが起こるのなら、テンターゲートというものはやめるべきだ。またテンターゲートが非常に操作しやすいということから使われるとするなら、私が現地でも申しておりましたように、それを受けるような、テンターゲートゲートに沿ったなにを、歯どめのような役を果たす突出部をつくっておけば、つまり水門の幅をゲートの幅より少し狭くしておく、みぞにする必要はないと思うのです。圧のかかるほうにはなには要りませんから。だけれども圧のかからない、つまり下流の側だけ、もし少し押されたときにすぐぴしゃっととまるような装置を一応しておけば安全になるのじゃないか。私がそういう意見を出しましたら、いやそんなことをしても、アームが折れたらしわってしまってとてももたぬのだというふうなことを関西電力の人、だれか言っておられました。しかし、もしもたないとするなら、そんなことならもつだけの強さにゲートをすればいいのであって、だからそれができないことは決してないと思うのですね。だから一つ間違ったらすぐ吹っ飛ぶような非常なあぶない装置テンターゲートを、いやもう技術上の計算でだいじょうぶなんですということでテンターゲートで済ませているというところに、いまだ——高いところ作業をやる場合には、事故が起こらないように必ずひもをつけて、足場を踏みはずしたときに落ちないように安全装置をしておきます。結局高いところ仕事をするのにそういうようなひもでくくっておくということをしないで、山登りするのだって、やっぱり二人三人が一緒に行くときにはロープでからだをつないで転落を防ぐということをやるのです。だからテンターゲートだって当然そういうものがあるものと私は思っておりましたが、現地に行ってみるとそれがない。そしてそれが必要ではないかと言っても、いや技術上の計算でだいじょうぶなんです、かりにそういうような安全装置をつけたところでしわって何にもなりません、そういうようなことを技術者は言っている。しかしながら、それならそれに耐えられるような構造ゲートにすればいい。どのようにでも安全性というものはやろうと思えばできる。結局安全性経済性とのかね合いになっておると思うのです。  だから私はこれから基準——この報告書にも、現在作成中の構造基準というふうな表現がちゃんとある。「また建設省においては今回の事故にかんがみ、目下作成中のダム等構造基準に再検討を加え、」というふうに書いてありますが、しかしながらこの間までは、こんな構造基準はいまつくっている、現在作成中だというお話は承らなかった。それから急遽作成されるということでありますからそれもけっこうでございますが、これの中に私がいま主張しているような、テンターゲートならばこうでなければいかぬということを必ず入れていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  16. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 ゲートダムの全体の事業費から比べますとそうたいした額ではございません。したがいましてゲート経済性はともかくとしまして、私は安全性第一であるべきだというふうに考えます。したがいましてその安全性を確保するためにどうするかという問題でございますが、あるいは先生のおっしゃったような二重のロックをチェックするというようなやり方もありましょうし、あるいはメンバー自体を強固なものにしてやるという考え方もございます。そこでそういった問題をどういうぐあいにするかということを検討いたしているわけでございまして、もしもメンバーが安全でしかも十分もてるということ、それから荷重試験等が現実にできて、たとえば工場荷重試験とかそういうものができて、それが具体的に証明されるということになれば、必ずしも私は二重ゲートを設けなくてもいいのではないかと考えます。そういういろいろな段階におけるテストをどうやるべきかということを真剣にいま議論しているわけです。  岡本先生のおっしゃいましたような、ゲートに二重のロックを設けて、そこで折れたらそこではめ込むということをしますと、これはいまのテンターゲートの特性である回転性が非常にいいとか悪いとかいう問題のほかに、ゲートそのものが非常に重くなります。たとえば全部荷重を、水圧を切り込みの中にささえ持たなければならぬということになりますので、そうしますと普通のローラーゲートメンバーをつくると同じ大きさをつくらなければいかぬ。そうしてテンターゲートをつくった場合の安全度を普通のローラーゲート安全度のようにするか、その安全度を落とすかという問題は、これはやはりアームが折れた前提に立って考えれば、当然普通の安全度を持たすべきであって、これはローラーゲートにしなければいかぬだろうというふうに考えるわけです。  したがいまして、そういう問題を全部一緒に解明いたしまして、ひとつ製作の問題、あるいは材料の問題、それから設計の問題、それから構造の問題、それらについて十分検討を加えまして、構造基準をつくりたいというふうに考えます。
  17. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 いずれにいたしましても、先ほどこれが技術上のミスなのか施行上のミスなのかというお話でございましたが、なるほど力学的な計算の違いということも一つミスであれば、あるいはまた施行材質が悪かったとか、あるいはまたアームなんかが設計どおりの強度のものが使われておらなかったとか、いろいろななにがあるといたしますが、しかしながら、そういうことはいずれにいたしても、だいじょうぶ、これなら受けられる、これなら安全だというふうな設計がされておったのが、実際的には、結果的にはそれがだいじょうぶでなかったというミスなんですね、どっちにしても。そういう意味においては同じことなんですね。だから、そういうような力学的な、あるいは技術的な計算できちっとだいじょうぶと思われていたことに破綻を起こしちゃっているんですね。それが破綻を起こしたときにぱんと飛んでしまうというふうなことでは、これは物騒きわまると思います。だから、そういうことがあっても、なおかつ、もう一度何か食いとめられるような安全装置、こういうものがなくてはならない。だから、それは、いかなる方法でつくっていただきましても、そういうことは専門家におまかせするよりしかたがありませんが、しかしながら、今度受けました下流住民恐怖心というものは非常なものでございます。だからそういうものができなければ下流住民は、もうあのダムを使うことは承知せぬと思うのです。いまのままで、いやこれは検査したところが溶接が少しこの部分では悪うございましたとか、あるいはこういうことでちょっとこういうふうなところ原因だった、しかし他のゲートについては、これはだいじょうぶでございますと、こんなことを言って、こわれたやつだけ直してもとのままで使おうたって、これは絶対に下流は応じないと思うのです。だからそういう意味では、何らかの形で安全弁というものをきちっと考え、これならこうすれば安全でしょう、こういうふうにしてございますから、ということをきちっとやっていただかぬと、とてもこれは無理だと思うのですね。それはもう下流住民から文書が出ておりますね。あなたもその要望書をお受け取りになったと思うんです。それで、安全が完全に確保されるまでは、このダムは使ってもらっては困るという申し入れがございますが、これはしかし、この申し入れ趣旨に沿ってあなたも運営されるじゃないかと思いますが、それはどうですか。
  18. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 今回の事故は非常に与える影響が多うございました。われわれ自身も今後、そういう与えた影響を取り除いていただくように全面的な努力をしなければならぬというふうに考えております。これは一会社の事故じゃなくて、それはもう全国に今後ダム必要性が大きくなってきますと、それらを施行するにあたりましても、そのダムが絶対安全であるということを確認していただいて、地元の皆さんが納得いくまで確認してもらうという段階を繰り返しやりたいというふうに考えております。したがいまして、この事故につきましては、私は、非常に重大に考えておりまして、今後ダム問題にそういう点からいろいろな問題が発生してくるんではないかというふうに考えておりますので、この原因究明並びにこれに対する対策につきましては、万全の措置をいたしたいというふうに考えております。
  19. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 その次に、この前の調査に際してわれわれがその中から指摘しなければならぬのは、やはり完工検査が完全なものでなかった。  その一つの一番端的な例は、警報装置が完成しておらないのに完工しておるという報告を一応検査官が出しておられるということですね。完工しておるということでありながら、当然その付属設備としてなければならない、下流のほうへワンタッチでずっとあぶないぞという警報が発せられるべきはずの警報装置がなかった。だから、現地の和知所長の話によりますと、目撃者が役場へ電話して、役場から有線放送でもって沿岸住民に知らしたということですね。  それからもう一つは、ダムの人は、ダム内の警報装置はあったのかもしれません。ダム内にありますと言っておりました。私らはそれをあのときに吹鳴さしてみるべきだったのです。しかし、少々ダム内にそこそこの大きな音を出すような吹鳴装置を鳴らしましても、ダムは相当付近の人家からは離れているんです。だから聞こえたやら聞こえなかったやらわからぬ。町役場があれで何百メートルありますかね、それでも三、四百メートルの距離だったですか、そんなに遠くないのですよ。ところが、役場でも鳴ったのを知らない。それで、電話通報によって知ったというふうなことでございます。大野ダムのお世話になって下流のほうへは警報装置を鳴らしたということでございますが、何といっても、ダム自体にワンタッチで下流の沿岸に危険を知らせることができるような警報装置は完成しておらなかったということは隠れもない事実なんです。にもかかわらず、工事が完工しておるというふうな報告を上へ出しておられるという点については、非常に検査の結果について不備があったと言われてもこれはやむを得ぬと思うのです。  だから、今後そういう点については建設省のほうももっと、この前の委員会でも申しておりましたが、いままで少し検査がおざなりに過ぎやしなかったか。だからやはり点検事項というものはきちっと整備して、こういうふうなものをきちっと点検しなければいかぬというふうな、検査についての責任体制を明らかにするように私はしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  20. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 御指摘のとおりでございまして、われわれとしましては、警報装置が完全にできていなかったのに完成とした——もちろん警報装置のかわりに警報車を四台準備しろということは指示してあります。しかし、ワンタッチでやるというような方法でやはり警報は伝達すべきであって、完工検査でこのようなことがあったことは非常に残念に思っております。したがいまして、これらの検査の問題も責任を明確にし、具体的の事実を確認して、はっきり安全であるということを確認して私は今後完工検査に臨むべきである。したがいまして、ただいま検査のことにつきまして、いろいろ検査すべき事項、こういうことは確認してから検査を終わったとしなければいかぬというような検査事項、そういったことにつきまして検査——それから荷重試験との関係もございますけれども、それらの問題も含めまして検査をどうすべきかということを検討いたしております。さような状況でございまして、これも早急に取りまとめるようにただいま検討委員会を開いて検討いたしております。
  21. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それから、湛水をやるということについて、京都府や関係の市町村に全然連絡がなかった。そういう点について、京都府からも、あるいはまた下流の町村長も、不満を漏らしておりました。この点についても、やはり河川法にきめられておるとおりに適正にこのダムの運営操作をやらなかったところにこういう不満の出る原因があったと思うのでございますが、これから後も河川法をきちっと順守しつつ——幾ら関西電力という電気の大会社であろうとも、やはり法律は法律として守るという順法精神を持たすように関西電力に対して建設大臣からおしかりをして、今後絶対こういうことをいたしませんという始末書くらいとっておく必要があるのじゃないか、こう思いますが、建設大臣どうですか。いまお帰りになったところで話がよくおわかりにならぬかもしれませんが、河川法上いろいろ違反行為があるので、そういうことについて、罰則を適用せよとまでは私は申しませんが、大臣あてに今度のことについてはいろいろ不始末が重なり、ダムの運営がルーズでありましたから、今後そういうことはいたしませんというくらいのことを、一札わび状を入れさすくらいのことをしておかないと、ああいう会社は今後どんどんダムをつくっていく、幾つかつくっていくうちには、なれてつい横着になるということがありますから、やはりこの際きちんとあなたからおしかりおきを願わないといかぬと思うのですが、いかがですか。
  22. 西村英一

    西村国務大臣 私もさように考えております。実は、向こうの幹部の方々も、一応私のところにお断わりに来ました。しかしこれは私から声をかけたものではございませんが、私はこの事故の重大性にかんがみまして、建設省の監督の方法もまた新しく考えるとともに、業者の方々に対して警告を発したい、かように考えておるものでございます。
  23. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それからもう一つ、この河川法改正の大きな課題は、やはりダム規制だったと思うのです。それでダムに関する特則というのが第三款にありまして、ダムについてのいろいろな規定がございますが、しかしながら、どうもいまから考えますと、この河川法ダムについてまだ少し甘かった。たとえばダム建設技術については全面的な信頼を置いておりますから、それについて河川法の中には、ダムというものはどういうものでなければならぬというふうな規定は設けなかった。ことにダム安全性についての規定が入っておりません。操作安全性については入っておりますが、ダム建設安全性ということについての規定はございません。それからまた維持管理というような問題につきましても、現行の河川法では、たとえば定期検査をやるとか、そういうふうなことについては法律ではきめておらない。だから、河川の施設として非常に大きな施設であり、橋梁とか井ぜきとか、そんなものをこえてあれだけ大きな施設で、一つ間違ったら大災害を起こすというような河川の付属設備について、特別の管理、格段の配慮を払うような規定がもう一つ不十分なんです。だから河川法を改正して、ダムについてもっときびしい監督を建設大臣がやる。ことにこの間の大臣のお話のように、どうも発電用ダムについては通産省と共管のような形になっているから、どっちもが遠慮しがちで、監督がおろそかになるきらいがあったように思うというようなことを大臣おっしゃいましたが、そのことがこれはもうたいへんなことだと思うのです。やはり何といっても治水というものを第一主義に置かなければならぬ。治水あっての利水なんです。だからその上で河川の付属施設の保安規程というものを、きちっとダムについても法制上つくっておく必要があるのではないか、どんなダムでも建設大臣がぱちっと安全性を管理するという体制が整っておらなければいかぬと思うのでございますが、建設大臣の御所見を伺っておきたいと思うのです。
  24. 西村英一

    西村国務大臣 私は、やはり河川法制定のときには、もちろんダムのことを考えておりましたでしょうが、それほど意識しておったかどうかというのは、単に河川法といえば、いろいろ権限の問題、その他重要な問題がありますから、ダムは重要でも、多少その辺にやはり法律上手抜かりもあったのではないかと思います。しかしながら今後ますますダムはできていきますし、今回の事故にかんがみましても、また将来建設のみならず、やはり年限がたてば腐朽していきますから、それらの点も考えますれば、案外思わぬところ事故が起らぬとも限りませんから、法律の体系は考えておりませんけれども、河川法の中ではなしに、施行令の中とかいうもので、これは非常にこまかい技術上の問題になろうかと思いますので、利水用ダム検査の方法というようなことは、本法を受けて、河川法ダム安全性を受けて検査規程を詳しく入れるというのは、やはり施行令か何かでやったほうがいいのではないか。これは本法ではなしに、施行令や何かを直してやるべきではないか。ただいまそのように考えておりますが、なお検討いたしたいと思います。
  25. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 今度の事故は、異常な渇水が続いておったその直後の事故であったから、被害が少なかった。その後現地を見に参りました私の友人の話によりますと、遭難した人の遺体のあがった場所が、大体その後雨が降り続いておりましたが、ダムの水がすっかりなくなって、平水位に戻ったところ——少し増水しておるかもしれませんが、そこから一メートルくらい高いところにあったということです。言いかえますと、その後に雨が降り続いたときから二メートルくらい増水して、そこへ押し流されているということが、その遺体のあった位置から想像できるわけです。そうしますと、ダム決壊によって急にだっと二メートルくらいの増水が一瞬にして起こっている。そうすれば、その後御承知のように数日を出でずして、一週間くらいですか、近畿のほうは大豪雨に見舞われました。由良川ももうほかの河川と同じように非常な増水をしておったと思います。それが一週間おくれておったらたいへんなことになったと思います。一週間後の日曜日であったら、これはもう満ぱいに増水しておった。それでぽんとはねられた、そうすると二メートル一挙に増水してきたということになれば、付近の住家なんかも相当吹っ飛ばされておったと思います。そのことを考えれば、一人の犠牲が非常に多くの人の生命と財産のかわりになったということで、その人は気の毒ですが、しかしこれは一週間あれの決壊が早かったということが非常なしあわせであったと思うのでございます。  そういうことから考えてみますときに、この河川法ダムに関する特則はだいぶ不備です。これは私も検討してみますが、大臣もよくこれを検討していただきまして、たとえば水位、流量の観測とか、ダム操作事故の通報とか、ダム操作規程とか、記録の作成だとか、いろいろのこまかいことをあげています。これよりももっと構造安全性というようなことのほうが大事です。しかしながらそういうふうななにが河川法の中にはないわけなんです。だから構造安全性のための基準というようなものがないわけなんですね。だから、河川法の中にやっぱり——政令なら簡単に何ときでも国会の承認なしに何ぼでも変えられるんです。また事実、どんなものをつくりましたと、政令が変わってもちっともぼくらにそういう報告はないですよ。いつの間にやら政令が変わった。だけれども、法律である限りは、われわれが承知を必ずすることになるわけなんですね。だからやっぱりわれわれのほうへ、こういうものをきちっとつくります、この程度のものにします、それでよろしいかということで、国会の承認も経て。このダム安全性というものについてもっと完全に整備するというくらいの心がまえを持っていただかないで、とにかく政令でちゃんとしておきますから心配しなさんな、こういうことでは、私はどうも安心できない。ダム安全性確保のためには、これから後はこういう措置を講じます、こういうことを法律でもってきちっとやっていただきたい、こう思うのでございますが、重ねて大臣からお答え願いたいと思います。
  26. 西村英一

    西村国務大臣 とにかく検討いたしますが、いずれにいたしましても、やはりダム定期検査というようなことはやらなければならぬのじゃないか。建設のおりと、それの検査すべき順序、それからあと定期検査ですね。これあたりはやらぬと、やっぱり相当ダムがあります、これがもし万が一のことがありましたらたいへんなことでありますから。したがいまして、本法の中に入れるか施行法の中に入れるか、その辺を少し技術的に考えてみたいと思いますが、かりに政令を出すにいたしましても御相談してやりたいと思います。しかし、でき得れば法律をもってしなければいかぬです。定期検査をやるということであれば施行令ではいきません。やはり法律をもってせなければいけませんから、いずれにいたしましてもこれはひとつ成案を得ましたら御相談をしたい、かように思っております。
  27. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それでは次の質問に移りたいと思いますが、通産省の方、見えていますか。
  28. 森下國雄

    森下委員長 窯業建材課長が見えています。
  29. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 最近、私の近くの久世郡城陽町長池というところがありますが、そこには関西一といわれる砂利山があるわけなんです。この砂利の採取をめぐりまして、ここ二、三年来非常に問題が出てまいりました。  まず第一には、交通安全上の問題であります。その次には、道路を破壊して困る。ことに雨の日には道路をめちゃくちゃにどろ沼にしてしまうというようなことで、住民から非常な不満が出ておりました。しかしその範囲はまだがまんができる。最初住民もがまんをいたしておりましたが、昨年あたりから出水のたびにたくさんのどろ水が流れてくるということで、だんだん洪水の心配をし始めた。あれは幾日でございましたか、三日、四日前でございますか、この間の関西の豪雨のときに、百二十戸ですかがどっぷりつかったというふうなことでございます。その原因というのは、山砂利を掘って、大きな直径百メートルくらいあるような沼があるのですが、そこへ山砂利を洗ったところの水を流し込みます、そうすると、俗称にこと呼んでますが、微粉です、どろの微粉がそこへ沈でんいたしまして、上澄みが自然に外へ流れるというふうなことになっておるわけです。ところが今度の雨でもってそのなにへ水がたまっておった。それが軟化してどろどろの泥状のものになっておった。そこへ豪雨がやってきて、それを洗い出したわけですね。だから、そのどろんこの水でもって二百戸近い住宅が床上までつかって、どうにもならぬというふうなことが起こってまいったわけです。  いままでから、この砂利採取については、もうとにかく一日に何百台というダンプが狭い道路を通るものでありますから、非常な不満が起こっておったのです。これを何とかしてもらわなければ困るということを言ってまいっておるのでございますが、砂利採取法は、これは残念ながら許可なしに届け出でやれることになっている。だから、幾らどうあっても、市町村もどうにもならぬ。規制のしようがない。取り締まりようがない。それから府県もどうにもならぬ。通産省のほうへお願いしても、なかなか取り合ってもらえないというふうなことで今日に至っておる。しょうがないから、道路にくい打とうか、そして土のう築いて一勝負砂利屋とけんかしようかというところまで議論が沸騰してまいっております。このまま放置いたしましたらあるいはそういうことが起こるかもしれぬと思います。くい打って、土のう築いて、それを徹夜で張り番して、そうして砂利業者を通さぬ。実力行使ですな。こういうところまでこの問題は発展しそうに思うのです。  だから、こういうふうな事態に対して通産省は、これはやはり地域の住民の迷惑を考えていただかぬと困ると思うのですが、これはあなたでお答え願えますか。これはもうかなり懸案の問題であって、ほんとうなら大臣か、来られなんだら政務次官でもいいから、来てもらわなければいかぬね。答えられるなら……。
  30. 吉川佐吉

    吉川説明員 いま先生の御質問でございますが、一〇〇%満足のできるようなお答えはできないかもしれません。だけど八〇%ぐらい満足していただけるのではないかというふうな答弁はあるいはできるかもしれないと思っております。  根本的な対策としましては、現在の砂利採取法の改正を検討しております。今国会にはちょっと間に合いませんが、なるべく早く提出するつもりでやっております。  改正の大体問題となるところは、第一は、従来は砂利採取業者につきまして、監督上十分把握をしていなければならないのですけれども、砂利採取法が採取についての事後届け出制になっておりますので、なかなか実際問題としては業としての把握ができない。そういうことで、業としての把握をいたしますために、砂利採取業の登録制というようなことを一案として考えております。それから、採取につきましては事後届け出制をやめまして、事前届け出制に切りかえる。  それから、一種の施業案の認可のような形になりますが、公害防止計画を、そういうケースの起こるような場合には、出させまして、認可制にいたします。その認可を守らない場合には公益保護命令を出すという形にしたり、それからもう一つは、現在砂利採取法の九条に、通産局長は公益保護命令を出せるというふうになっておりますが、その出せる要件が非常に限定的になっております。たとえば砂利の採掘、それから廃土の堆積によりまして公共の施設を損害する場合、それから付近の農林水産業等に悪い影響を与える、こういうふうに限定されておりますので、これを人身事故とか汚濁水の放流なんかも防止できるような形で改正することを現在案として考えております。それは根本的な対策でございます。  次に、城陽町ですか、この集中豪雨の被害につきまして、通産省に何を言っても取り合ってくれぬというお話ですが、それはちょっと違いまして、私どももこの問題はかねてから重要な問題として考えております。たとえば六月十九日にこの地区の砂利公害対策協議会というものを設けまして、大阪通産局で、地建、農政局、陸運局、警察、京都府、地元の城陽町、木津町、田辺町、それから防衛施設局の方々を呼びまして、現在の砂利採取法では不十分でございますし、またそのほかの一これはよその省のことに関係しますが、農地法等によっても、あるいは森林法等によっても、それだけで十分きめ手となるものはないので、お互いに協力して、砂利で公害を起こしているのを征伐しょう、そういうことで協議会をやっております。それから、現地視察もたびたびいたしておりまして、御指摘のように、穴があいて、いざ雨というときには非常なことになるじゃないかというような報告も来ております。それで、豪雨の前に、近畿砂利生産販売組合長に対しまして、この問題について、いざという場合には適切な解決をするようにも要請してございます。  それから、実は本日大阪通産局の商工部長が現地の町へ参りまして、京都府、町の方々、それから業界の人たちを集めまして懇談会を開催しております。現在入りました情報では、田辺町におきましては道路が一部決壊したのでございますが、これは一応通れるようになっておるようでございます。  それから、城陽町につきましては、水は大体引いた、ただ、たんぼにだいぶどろ水が入りまして、あと補償問題が残っております。  それから、自衛隊等の、長池の近所にあるそうでありますが、それのU字溝が埋まったというようなことで自衛隊にも連絡をしまして、その除去作業を現在進めております。  そういうふうにして、十分な御満足はいただけないかもしれませんが、通産省としてもできる限りのことをやっておるわけでございます。応急的な措置としてやっております。
  31. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 どうも八十点は出せぬと思います。それは四十点程度で落第ですわ。何をおいても、砂利採取をやろうと思えば許可を得なければならぬということにしてもらわぬと困る。届け出たらどこでもできるということだったら強いものです。許可がなければやれないということだったら、これはやはり法律は守ります。私、これは砂利業者全体のことを言うのじゃないのですが、しかしながら、砂利業者の中にはなかなかよくないのがいます。以前にも田辺町で——田辺町というのはその隣ですが、山から掘ってきた砂利を川のそば、堤防のそばで——堤防ですから河川の施設です。それを一部利用いたしまして、そこで砂利を洗っておる。川の近くですと水が豊富ですから、井戸を掘ってそこで洗っておる。そのにこ、どろの微粉がどんどん付近のたんぼへ流れ込んで、町や付近の農民が幾ら抗議を申し込みましても、てんで受け付けない。それで私が参りまして、田辺に川の出張所のようなものがございまして、そこの出張所長と一緒に話したのですが、もう居直ってしまって、なかなか強いものです。それで、しょうがないですから、私が、とにかく河川敷を使うことはまかりならぬ、くいを打ってと所長に言って、くいを打たせました。そのくいを抜いたら、君は公務執行妨害になるのだから……。それでもやめなかったのを、警官が出まして、やっとやめさすことができたというようなことでありまして、なかなかそんなもの、少々のなにじゃ、道義とか、あるいは、いまおっしゃるような事前の届け出にしたらだいじょうぶでございますなんて、届け出が事後やろうと前にやろうと、そんなものしませんわ。かりにどうしたって、それは形式だけで、届け出と一緒にどんどん掘り始める。いや、もう困るぞと言ったところで、そんなものやめやしませんです、もう力づくで。その田辺の場合なんかでも、付近の農家が砂利公害対策本部というのを、その砂利を洗っている現場から百メートルほどの公民館に置いて、毎日農民が集まって、場合によったら、くわを持ってでも出かけようかというふうな険悪な空気になりながら、来るなら来いというかまえでどんどん仕事をやっているんです。そんなあなたがおっしゃるようなことで、これは簡単に規制できません。だから、どうしてもこれは許可制にならなければだめです。あなたの口から、そういう許可制にしたいということが言ってもらえるだろう、言ってもらえなければ困ると思ってきょう来てもらったのですが、お答えができないのなら、大臣が来られないのなら政務次官を出してください。どうですか。
  32. 吉川佐吉

    吉川説明員 いまお話がありました許可制につきましては、たとえば登録制におきましても、登録の要件を厳重にするといったようなことで、許可と同じような効果も出し得ると思うのです。ただ、そういうお話でございますので、許可制につきましても、登録制、許可制を含めまして検討させていただきたいと思います。  それから、幾ら事前の届け出制にしても効果がないというお話ですが、今度の改正で考えておりますのは、要するに公害のおそれがある場合に、業者に公害防止計画というのを出させるわけです。こういうふうにしまして、それをうちのほうで認可するわけです。それで、それを守らないときには、公益保護命令というのを出しまして、それも守らない場合には処罰されるわけです。そういう規定を新しく入れますと、その効果がないということは言えないと思うのです。ただ、許可制につきましては、許可制というのは非常に法律上限定的になっておりまして、特に危険なものを運ぶとかそういうようなものでないと、なかなか法律上許可制がむずかしくなっております。しかし、そういう点についても検討いたしたいと思います。
  33. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 許可制ですが、たとえて言えば散髪屋さんでも免許制ですよ。許可を越えていますよ、免許というのは。それから宅建業なんかでも免許制ですよ。こういうふうにある程度の何といいますか多くの人の健康上あるいは財産保護といいますか、そういうふうな意味において、少しでも迷惑をかけちゃいかぬというふうなものについては、その営業することについて免許なり許可なりが必要なのも当然なんです。別に砂利とることについては特別の技術は要らないかもしれない。だからそれは免許とまでは——大工さんが家建築するのに建築士の免許が要るというほどのことは要らないかもしれない。しかしやはり砂利採取業を営むということによって、ダンプカーをどんどんたくさん走らす。そうすると積載量を越えて積んだり、あるいはまたその労務者を、朝早くから晩おそくまで運転手を不当にこき使う。そういうことのためについ過労で居眠って事故を起こす。こういうふうなことでいま大きな世論の攻撃の的になっている。言うならば砂利採取業というのは、何といいますか走る凶器とまでいま言われているほどの砂利採取業者です。これは経営の形態そのものが私は許可制であって当然だと思います。ことには、今度は掘る場所のいかんによったら、学校のそばの畑の砂利を、農地の砂利をどんどん掘ったために、子供がはまって死んでしまったということで、一、二カ月前もこの委員会から調査に行きました。いま申しました長池の砂利採取の現場でも、私は三、四年前に見に行きました。それはもう直径百メートルぐらいのどろ沼です。あそこへもしだれかあやまってはまったら、どうしたって抜けられませんね。あれはもう底なしの沼です。相当深いものが、何メートルの深さがありますか、あれに一ぱいになれば十メートル、二十メートルの深さでしょう。それがほんとうのぬるぬるなんです。だからそれが相当水分を含んでおって、どろだけで、そこへどぼりと入ったら、泳ぐこともできなければこれはそのままぬるぬると——映画なんかに出てくるいわゆる底なしの沼と同じです。そんな危険なものをつくっているのです。一たび雨が降って水を含んだら、底なしの沼になる。そこへあやまって子供でもころがり込んだら、どう救いようもない、救いに飛び込むこともできない。そういうようなものを現実につくっているのです。それじゃそのあと始末をどうしろという規制も何もないでしょう。それは永久にそういう形で放置されるのです。そんなものをそのまま残しておくようなことを許していいのかどうかということです。永久に底なしの沼を、だれがいつそれへはまって事故を起こすかしれないものを、あと復旧の規制何もないでしょう。そうでしょう。だから、そういうことについてもきちんとした規制をして、やはりそういうものは何とか安全に始末してそういう危険地域というものをなくさなければならぬ。いま町の付近では野つぼというのが危険だというので、野つぼにふたをせいということを盛んに言われております。京都市あたりでも年々二百、三百の野つぼにふたをする予算を組んで子供を守るということをやっております。しかしその付近も砂利採取して平地になりましたら、それはまた住宅地として売られるのです。宅地化されるのです。そうすると、宅地の近辺に底なしの沼があるということになってくるわけです。そういう危険なものがつくられつつある。またそういうことをしておる業者をあなたのほうは登録制でよろしい、許可は要りません、これは私はおかしいと思うのです。それだけでなしに、今度は業を営むのに許可が要る、採掘するのに許可が要る、二段階の許可制にしてもらわぬと、許可をとったらどこで掘ってもよろしいというのじゃ困る。また掘る現場をつくったらそこでもってここを掘ってよろしいかということでもって許可をとる。そしてそれには知事なり市町村長なりの同意が要る。非常なその付近の住民影響のあることをやるのですから、通産局長の許可だけでなしに、少なくとも知事や市町村長の同意、たとえて言えばその意見を聞かなければならぬとか、法律上どうというふうなことはあなたのほうも文章としてはできないかもしれません。できるならば知事の許可、そして市町村長の同意——同意といいますか意見を求めるという形、同意というような形の制度をつくっていただかなければこれはわれわれ引き下がれぬ。だからもしそういうことを通産省でやらないならほんとうに現地でそういうような紛争が起こってくるかもしれないのです。だからあなたのほうでそんななまぬるい御返事ではきょうはちょっと引き下がれませんが、どうです。
  34. 吉川佐吉

    吉川説明員 いま先生のおっしゃる許可の目的は要するにそういう危険防止、そういうようなことを非常に配慮されての許可だと思いますが、それにつきましてはさっき申し上げましたように、公害防止計画というのを出させましてそれを認可するという形になりますので、大体同じような目的は達せられるのじゃないか。ただ、これは業の許可ではありません。  それからさっき、穴があいて何もしておらぬというようなお話なんですが、いま農地につきましては農地転用許可というのがあるわけです。埋め戻しの条件をつけたりなんかしておりますが、農林省のほうと共同いたしまして、通産省のほうに業者が確実に埋め戻しのできる資力のある業者かどうかということを照会してもらいまして、うちのほうの判断をつけ加えて農地転用の許可をするように、近くそういう通牒を出す予定にいたしております。   〔発言する者あり〕
  35. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 いま木村理事も、こんな子供を相手にしないで人を見てものを言えと言っておりますが、局長政務次官を要求してください。——きょうは大臣は参議院、政務次官は商工委員会ということですから、これはあらためてまた議論いたします。しかし局長はどうした。それでは、あなた帰って宇野君にも局長にも報告しておいてください。  この問題は相当建設委員会でもやりました。この前神奈川県で学童が砂利とりのあとへはまって死んだという事故があって、調査に行きまして、それ以来建設委員会ではこれは困る。だからこの砂利採取法については何らかの形で法律改正をやらぬといかぬ、こういうあれが非常に強い。建設委員だけでなしに、いずれ商工のほうにも話をしまして、法改正への運びに持っていきたいと思っておりますが、あなた方が考えておられるようなそんな登録制では絶対だめです。あなたのほうでそういう法案を出されても、修正いたします。そして、商工委員会で審査しておりましても、われわれのほうから共同審査を申し入れて、またそれぞれ党の国対、その審議会で協議しまして、これはどうせ修正いたしますから、同じ出されるなら、修正されぬような原案を出していらっしゃい。そういう方向で来国会に必ず出す。とにかく砂利採取法の改正案は、来国会に出すということは、間違いないですね。
  36. 吉川佐吉

    吉川説明員 そういう予定にしております。
  37. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それでは、そのときに修正されないような法案で出していらっしゃい。われわれの意向はおわかりになったと思うのです。だから、そういう方向で法改正を検討されるようにお願いしておきます。
  38. 吉川佐吉

    吉川説明員 十分報告いたしておきます。
  39. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それでは、道路局長来ておりますね——去年の夏、東北地方を私国政調査に回りました。そのときに、市内へ入った道路が込んで困るから、至るところでバイパスをつくってくれという要望が出ておりました。そのときに私痛感したのですが、結局国道を幾らつくっても、都市の近くになると、すぐその国道に住宅やあるいは工場がとりつく。そしていつか街路化してしまう。そうするとまたバイパスをつくらなければならぬ。こういうことになってくるわけなんですね。だから都市周辺へバイパスをつくる場合には、やはり自動車専用にして、簡単に街路化しないようにやったほうが道路としての寿命が長い。一説には、そのことが町の発展になるのであり、地域開発になるのだ、こういう意見がございます。しかしながら、そういう場合には、その道路にとりつけのランプをつくって、幾らでもその都市計画道路をつくって、町づくりはできるのですから、やはり国道という主要都市と主要都市とを結んでいくというような形の道路は、本来自動車道として建設していくべきではないか。現在あるものの改良はやむを得ません。しかしながら、それを拡幅するとかいう場合でなしに、新たに建造していく場合には、少し高くして簡単に取りつかないような方向へ持っていくべきではないか。建設大臣、これは聞いていただきましたか。いままでの道路はいざ知らず、これだけ車がふえてまいりましたら、少なくとも国道級のクラスは——現在縦貫道路として自動車専用道路を建造しております。しかしそれ以外にも、たとえば名古屋−大阪に名阪が自動車専用道路で建造されました。私は名阪がああいうような形でできたのを見て、なるほどこれは賢い方法だ。これから道路をつくるならこういう名阪形式でつくるべきである、こういうふうに私は思ったわけです。今度はあちこちでバイパスをつくれというふうなことを言われた場合にも、やはり名阪形式でつくるべきじゃないか。また、昨年委員会で京都へもずっと視察に来てもらいまして、京都−奈良間の現在の国道二十四号線、これが非常に詰まって困るから、新しくもう一本京都−奈良間に国道をつくろう、こういうふうな計画ができてまいりまして、その第一着手がいま話の出ておりました城陽町でバイパスとしてつくられ始めるのですが、私は、最初からそういうふうな新しい道路を開発していく場合には、名阪形式にすべきではないか、こう思うのでございますが、これはこれからの日本の自動車建設一つの方向として、名阪形式がずっと他の道路にも及ぶというふうな方向をひとつ出していただきたいと思うのでございます。これは大きな問題でございますが、大臣の御所見いかがでしょう。
  40. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまのお話の、都市の周辺のバイパスをつくる場合には、自動車の専門道路でやったらどうか、その一つの方法として亀山から天理までの名阪国道というのが一これは自動車の専用道路で、用地は四車線をとりまして、現在は二車線で供用しておりますが、将来は四車線にする予定でございます。こういう名阪形式でやったらどうかというお話でございますが、私も、バイパスについては自動車の専用道路、こういうものが必要だと思います。東北に限らず全国至るところで、町の周辺、町の中で交通が渋滞化しております。こういうものの解決とすれば、やはりバイパスをつくる。さらに広く言いますれば、道路の密度をもっとふやしていかなければならぬということだと思います。  このバイパスについては、いろいろ土地土地によりましてかなり趣が違っているのでございます。われわれバイパスの道路をつくります構造上で一番考えなければならないのは、一つの町が込んでいるから、そこにバイパスをつくろうというような要望が出てまいります。これに対してわれわれ、その混雑を解消するためにどのくらいの幅員の道路が必要か、まず推定するわけでございます。どこの土地を通してそういうようなバイパスをつくったら一番利用価値があるかということから、バイパスのルートをきめるわけでございます。そのときにやはり問題になりますのは、そのバイパスの通るルートの沿道の土地の利用がどうあるべきか、こういうことによりまして、ただいまの自動車の専用道路、これに当然農地でありますれば自動車の専用道路ということは可能だと思います。また、その周辺が工場地帯、住宅地帯ということになりますと、やはりこれは将来街路化するということでございまして、街路の形でやっていく。やはりこれは地平式になりまして、適当に取り付け道路を制限した形、その一つの方法が、区画整理その他で、将来の土地の利用に合ったような区画街路を一緒に確保していくというようなのが一つの区画整理の方式かと思います。そういうことでございまして、やはりバイパスといいましても、百億、二百億かかるような非常に大規模なものと、また十億以内でできる、小さな部落をちょっとバイパスをするようなものとありまして、その辺やはり土地の利用がどうなるか、将来の車の輸送の方法として、自動車専用道路みたいに輸送の用途の非常に高いものがここに要望されているか、そういうことによってバイパスの性格をきめまして、自動車専用道路にするかあるいは街路的なものにしていくかをきめていきたいというふうに考えております。また京都−奈良につきましては、これはほかのいろいろの道路も、ほかの地区よりはさらに完備しております。やはりこういう地域ですと、いわゆる京都−奈良の通過交通を拒否するということがまず第一の目的ということになれば、自動車専用道路というような構想が出てくるのではないかというふうに考えております。
  41. 西村英一

    西村国務大臣 正直に申し上げて、私はよくわからないのですが、事実いまどこに行ってもバイパス、バイパス——私も建設省に来るときからバイパスには少し疑問を持っておった者の一人なんです。しかし疑問というのは、やはりバイパスじゃなしに、たとえば、東海道線にすれば、一本の東海道一号線では間に合わぬから、おっつけ二号線をつくったらいいのではないかと初めから考えておったのですが、それではやはり現、実の問題に間に合わぬから、あちらこちらの町をよけて通る。それがバイパス。もう東海道のみならず、どこの町へ行きましてもバイパス、こう言うのでして、実はいま非常に迷っておるわけです。しかしながら、御承知のように、法律によって、皆さん方の御協賛を得て、例の高速道路を全国にぶっ通そう。それは縦断的に、横断的にと言う。だから、将来、私は二十年も生きていませんが、二十年後には結局それが中心になるわけですね。しこうして、いまの一号線とかいまの国道というようなものは、これはもうほんの都市間をつなぐ地方道にしかならないという感じがするのです。しかしそれはあくまで恒久策でございまして、いまの生活には間に合いませんから、やはり応急策はどうすべきか。いまはやはりバイパス方式を専用にするか、あるいは、街路式にするのか。これらの点につきましては、いま局長もいろいろ地区的に言いましたが、これらの点につきましては、いよいよ五道にかかるというような段階でございますから、十分その研究をして、これに取り組みたい。応急策は応急策としてやらなければなりませんが、今後ますますどの都市もバイパス、バイパスという要求が非常に強くなってくるようなことは、これはもうどうも争えないように見受けますが、せっかく名案がありましたら、ひとつ御協力を賜わりまして、いい道路をつくりたい、かように思って、検討をいたすつもりでございます。
  42. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 国道の構造に歩道がないのですね。だから非常に危険なんです。いなかでも国道が開かれる。近くに学校がある。子供が通学するのに、相当の高速で自動車が走りますので、国道がいまたいへん危険で、これは歩道をつけてもらいたいという要求が非常に多いことは、大臣も御承知だと思う。だから国道に歩道をつけるということに——国道にもてきますか、街路にはつくが……。しかし、国道にも歩道をつけなければいよいよあぶないということが一つのなにでございますが、したがって同時に、国道を相当長距離にわたって新たにバイパスでもって改良をやるというふうな場合には、私はむしろ住宅が取りつかないような形式にして、人や自転車は地方道を利用して、国道は車専用にするというようにすれば安全性が確保できるのではないか、たとえて申しますと、国道一号線の枚方−京都間にバイパスがつくられましたが、全然歩道がない。だから歩く人は危険でしょうがない。それだけではなしに、今度は農家がリヤカーなんか引っぱって国道を渡ろうにも、ひっきりなしに車が通っておるものだから、簡単に農作物を運べないのです。だから国道で平面で突っ切られると、とても農作業にも困るというような声が農家からも出ております。そういう意味では少し土を盛って下を農道が通れるようにしてやればなんですけれども、またそれでは将来他の道路との交差上困るからということなら完全に立体交差にしなければなりませんが、しかし立体交差にしても、そうして上げておけば、将来そこは安全な道路として、国道でも使えるわけでありますから、そういう意味においては平面の道路をつくるということは、安もの買いの銭失いということばがありますが、結局そういうことになります。大都市と大都市を結ぶところの道路というものは、これからは自動車専用にするというふうにして、地方の地域の開発はそれに取りつけるようなランプさえすぐおろせば、幾らでもその道路は利用できるのでありますから、そういう形で一こんなに車がふえましたら、いまの道路についての概念というものを私たちは変えなければいかぬのではないか、国道と都市間を結ぶそういうような長距離輸送の道路と、それから地域の人たちの利用する道路というものをはっきり分類して考える必要があるのではないか、こういうふうに私は思います。だからこれから後の日本の道路行政の基本的な姿勢といいますか、かまえといいますか、そういうようなものとして相当長距離にわたって自動車が走るような性格の道路としてつくる場合には、自動車専用にする。  それでいま大臣がおっしゃいました国土縦貫自動車道路がありますね。それに肋骨の道路をつけて——もちろんこれからはそういうものとして開発されましょうが、たとえばいま申しました、京都−奈良間は、どうも二十四号線が詰まるから、もう一本新しくつくろうという新京都−奈良国道にいたしましても、これはいわばその縦貫自動車道に対する肋骨の一部のようなものになる性格を持っているのです。国道二十四号線を、現在の平面の国道からそれと並行して、もう一本京都−奈良間に道路をつくるということになれば、京都をたずねた観光バスがどんどんそのまま——現在では二十四号線を利用して奈良まで行くわけです。そうすると、春と秋とには観光自動車でもって国道二十四号線が一ぱいになるのです。それで転覆して東京の何名か死んだりした事故も去年かおととしにございましたが、観光バスでもって一ぱいになるというふうなこと、だから日曜日なんか詰まってどうにもしようがない。これはオーナードライバーの遊山のレジャー自動車ですね。これで詰まってどうにもならないというふうな現状でありますから、そういうようなものは全部自動車専用道路で、すいすい快適に走れるというふうにすることと一緒に、地域の交通安全、いろいろな面から、同時にせっかくつくった道路は寿命が長くなくてはいかぬと思うのです。つくったわ、すぐそこでどどっと工場や住宅が進出してきて、それに飛びついていってしまった。結局街路的な性格になってしまって、またなかなか走れない、こういうことになるのが現在の実情であります。  たとえば阪奈道路をいつかも視察に行きましたが、もう堺あたり、岸和田あたりから北に参りますと、ストップ、ストップでどうにもならぬじゃないですか。道路は広いが、もう一キロも行かぬ。五百メートル行けばストップ、また五百メートル行けばストップ。結局ずっと和歌山から上がってきて、岸和田あたりまではわりあい早く来れるが、それから先は、どうにも市内へ入るのに一時間も二時間もかかってしまう、こういうことになるのです。だからそういう意味では、あれがそういうものとして当時に開発されておりましたら、すいすい大阪まで入れると思うのです。  だからこれから後の道路建設のあり方ということで私は申しておりますので、それでまたせっかくこれから京都−奈良間の新国道をもう一本開こうということであれば、やはりそういうような形で建造していただくのが本筋ではないか。こういうことで、いま大臣に意見を申し上げておりますので、ひとつ十分御検討を願って、新しい方向を——もうここまでまいりましたら、日本の道路行政も新しい方向に進むべきではないか、こう思いますので、ひとつ御配慮をお願いしたいと思うのです。
  43. 西村英一

    西村国務大臣 道路局のほうも最近はようやく気がつきまして——気がついたというのは悪いのですけれども、とにかくやはり人道というのですか、歩道というものを日本の道路の場合は十分用意しなければならぬ。これは新聞でもいっておりましたがね。道路の中だけ舗装して車を通らせるけれども、その端のほうは舗装していない。そのままにほったらかしてあります。したがって、人道もないのであります。しかし日本の現状としては、まだ全部が車を持てるわけではありませんから、やはり人道と車道とは結局同じレベルで考えて、むしろ人道に対しては用意を十分しなければ事故が起こるわけであります。その点は、正直に申し上げてちょっとやはり、あまり車が多くなったから、車を通すことのみに重点が置かれておったようにも見受けるわけでありますが、これはようやく局長からも人道をつけろ、人道をつけろ、こう言っておりますから、つくと思います。まあ鉄道における客貨を分離したように、やはりほんとうは、原則は車道、歩道分離の原則がいいんでしょう。したがいまして、それはやはり、ところによりましては専用車道というものが要る。いまの阪奈のごときはやはりあれは車道、専用道路がなければにっちもさっちもいきませんから、十分今後は気をつけまして、一級国道もこれはどうしても歩道はつけなければならぬ、人道はつけなければならぬ、かように考えておりますから、十分研究いたします。
  44. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 もう一つですね、大臣にもお聞き願っておきたいんですが、いまからもう数年前でございましたけれども、国道二十四号線が伏見でもって北へ上がれないようになりましたときに、私は疎水を使いなさい——京都に疎水というのがあるのは御承知のとおりだと思います。疎水を使いなさい。あれは私たちの子供の時分には、あそこのところを船を引っぱりまして、船頭が、まきや石炭、炭、米といった重量の荷物を積んで引っぱって上がったものです。結局物資の輸送路だったわけです。いまでは京都の飲料水、工業用水、都市用水を運ぶ、大津−京都間はそういう水路になっておりますが、京都から南は公共下水路の役割りも果たしてはおりますが、しかしその役割りもあまり大きくないのです。だからそういう意味では、私は本来の使命に返して、やはり下へ下水道や工業用水の土管をいけて、上を国道二十四号線を通すべきではないかということをずいぶん主張いたしました。ところが、建造費が高くつく。つまり道路をつくる前に工業用水や下水道の投資を同時にしなければならなぬから、とても高くつくから困るというようなことで当時はさたやみになりました。しかし、いま工業用水や下水道の問題がこれだけやかましくいわれておる時代に、しかもちょうど京都ではその部分にいま下水道がまだできていない。だからちょうど下水道幹線を下へいけるのにも私は役立つと思いますし、だから建設省でもそういう方向でものを考えていただいたらどうか。それで現在では国道二十四号線は、局長も御承知のように最上から竹田街道へ抜けるということで始まっております。しかし竹田街道へ抜けてから後の方針についてはまだ固まっていない模様で、いろいろお聞きしましてもなかなかはっきりおっしゃらない。竹田街道を使って、それを広げて市内へ入るのか、あるいはもう一本、新京都−奈良国道ですね、それをつくってそれに取りつけるかということについてはまだ方針がはっきり固まっていない模様であります。京都市と建設省との間にどういう話し合いがあるのか知りませんが、あるいはおそらく京都—奈良街道をつくるということになりましたら、それへ取りつけていくということになるのではないかと思います。しかしこれもなかなか用地買収費その他にお金のかかる仕事であります。むしろ疎水であれば、まあ関西電力の発電所がありましてそれの補償が大きな問題でもありますが、この間関西電力の和知ダム事故で会いましたときに、あなたのほうであまり高う吹っかけたらあかんで、むしろ京都市に寄付してくれたらどうや、と副社長に申しておりましたのですが、しかし関西電力としてはそんなに高い補償金を要求するつもりはない、こういうようなことを言っておりましたので、一ぺんこれは建設省のほうでも近畿地建のほうで検討をさして、いまのような案をもう一ぺん考えてみる気はないか。もう一ぺん検討される必要があるのじゃないか。そういたしますと、いま行き詰まっておる先ですね、疎水の中へ、底へ入りましたら、立体交差でずっと市内まで国道一号線まで入れるのです。それはもう交通安全からいって、ずいぶんスピードも違いますし、少々川のことでゆがんでいますけれども、まっすぐでなくて——そう高速で走る必要はないです、むしろ町で子供がいつ飛び出してくるかわからぬところを心配しながら走っているよりも幾ら安全か知れませんから、もう一ぺんこの案を検討してみていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  45. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまの京都の疎水を道路にしたらというお話でございますが、私、実はもう一年半くらいになりますが、地建で調査した結果もございますので、現地を歩いてみました。疎水を埋めることそのものは、その機会にその下に都市下水その他を入れればできるかと思います。一つの困難性は、あそこの疎水をまたぎます国鉄、私鉄の本数が非常に多くなっております。こういうものの立体交差をしなければならないということになりますと、やはり全体を高架構造にしなければならないじゃないかという感じがございます。(岡本(隆)委員「底にいけろと言うんですよ」と呼ぶ)それと、高架にいたしますと、必ずしもいまの疎水を埋めなくてもある程度盤面を狭める程度であるいはできるかと思います。それとやはりいまの——ちょっと資料がないのでございますが、五条通りか七条通り、あの辺に行きまして、それだけの交通量のものをおろしましてこれを一体あそこの周辺でさばけるかどうか、この辺についてもう少し検討が要るのではないかというふうに考えております。またあそこの道路を高架構造にしますと、これは四車線はとれると思いますが、高架構造にしますと、非常に周辺に民家がございまして、それとあまり離れてないような感じを受けてきたわけでございます。またいまの疎水を埋めましてやりますと、これは四車線、十四メートルの道路はちょっと幅が狭いように思います。多少広げなければならないような気がいたします。その当時、私ははっきりこまかい数字を覚えておりませんが、高架にするのと、疎水を埋めて平面の道路をつくるのと、ほとんど工費はそう大差がないように記憶しております。  また、二十四号線を将来どうするかにつきましてはいろいろいま検討中でございます。例の堀川通りから下りまして大久保のバイパスにつけるというのが大体二十四号としての将来の姿ではないか、また、京都市内で見ますとやはり将来の交通もふえますし、疎水を使うような形で鴨川沿いに一つの内環状みたいなものが必要ではないかというふうに考えておりまして、広く京都市内の街路計画をどうするかということの一環でいまの計画検討を進めていきたいと思います。
  46. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 まあこれはもう一度私は御検討を、そういう気持ちで、ひとつやってみようという気持ちでもう一ぺん再検討していただきたいと思います。いま局長は高架にするというようなお考えのようでありましたが、高架にすれば金がかかる。むしろ、両側まだ水を通さないのなら、もっと掘れます。船頭が歩いていた幅だけ掘れるのですよ。またもし橋梁でもかけるということであれば、もっともっと掘れます。だからそういうふうにして広げることも可能でありますし、そしてまた相当の広さを持っております。そこをずっと通ればいいと思います。だからそういう意味で私は、もう一ぺん地建のほうで、少し調査費をつけて検討してみるということをぜひお願いしておきたいと思います。  以上で終わります。      ————◇—————
  47. 森下國雄

    森下委員長 それでは、これより宅地建物取引業法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。  野田卯一君。
  48. 野田卯一

    野田(卯)委員 今回宅地建物取引業法の一部を改正する法律案が提案されましたが、宅地建物取引業法は昭和二十七年に制定されましたが、その後五回の改正が行なわれて、今回六回目でございます。その五回の改正の中で、ただ一回だけきわめて簡単な改正が政府提案でありましたが、その他は、本法が初めできるときも、その後の改正も全部議員提案であります。これはどういうわけで議員提案になったかと申しますと、業界の人々が、何とか不動産の取引業界を粛正したい、そして秩序ある取引をし、世間の信用を獲得したい、こういう熱意が盛り上がってまいりまして、それが議員提案という形で出てきた、こういうようないきさつがあるのであります。   〔委員長退席、廣瀬(正)委員長代理着席〕 どちらかと申しますと、建設省側としてはいつも受け身である。事柄がなかなかめんどうでございますから、建設省のほうから進んで取り上げないで、むしろ業界のまじめな分子が立ち上がって、それが国会を動かして議員提案として出てきた、こういういきさつをたどっております。  今度は相当重要な改正案でありますが、それが政府提案でなされておるということは初めてのことなのであります。建設省もようやく、この問題について自分から立ち上がってやろうという前向きの姿勢を示されておることはわれわれの喜びとするところであり、また当然そうあらねばならぬ、かように考えております。  こういうことを申し上げましたのは、この業法というのは、業界の人々を取り締まる法律なのです。いろんな義務を課し、負担を課する法律なのです。それを政府のほうから出さないで、業界から出してくるということについて、これまでずいぶん疑問を持たれたことがあります。どういうわけで自分を縛るようなものを、自分から国会を通じて出すことを希望するのか、こういうことでございましたが、これはいま申しましたように、業界のまじめな分子が、どうしても業界の秩序を正さなければならぬという熱情に燃えてやってきた。この気持ちは、今日でも依然として存在しているということを、ひとつまず建設大臣がお認め願いたいと思います。業界の人々の中には、非常に悪い者もおりますけれども、まじめに業界の運営をしていきたいという者がたくさんいるということですね。この事実をまず認識をしていただきたいと思います。こういうふうな観点に立って、私、数点お尋ねしたり希望を申し上げたいと思うのであります。  そこで、まず宅地建物取引業法に対する許可の問題、免許の問題でございますが、御承知のように、現在は全部の業者が免許を受けた業者ばかりになりまして、今後も、開業しようとする者はみんな免許が要るわけでございます。また、すでに免許を受けた者も、一定の年数がたてば、またさらに免許を受けなければならないということになるわけでございます。免許の基準は、同法の第四条に規定がございますが、一号から七号までにずっと免許基準を掲げておるわけでございます。ところが、問題になるのは資力、信用、資力があり信用があるということが免許の基準になっておりません。  そこで、ともすると、資力、信用に関する調査があまりなされないで、そして一号から七号にわたるところの形式的な基準に合致すれば許してしまうというようなことになりかねない。この点について建設大臣あるいは建設省としては、資力、信用という点をどう考えていられるか。免許する場合に、その業者の資力、信用というものに対してどういうふうな考えを持っておられるか。この点をまずお尋ねしたい。
  49. 志村清一

    ○志村政府委員 お尋ねの資力、信用の点でございますが、宅建業法の四条四号に「免許の申請前二年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をした者」は免許してはならぬという規定がございます。かような不正あるいは著しく不当な行為に該当するようなことは、業者の態度にもよりますが、同時に、資力あるいは信用といったものによるわけでございまして、こういった規定を十分活用いたしまして、不正、不当の行為のないように監督をし、それに伴いまして、もしかような行為があったならば一切免許をしないというようなたてまえにおきまして、資力なり信用のめどにするということも考えておるわけでございます。  また同時に、現行法におきましても、営業の保証金の規定がございます。これに関しましても、累次の改定によりまして、主たる事務所について十万円、従たる事務所については五万円、しかもその限界を設けないというようなこと等いたしまして、そのような営業保証金を納付するというようなことにつきましても、一種の資力、信用の判定の一助にするというようなことで進めておる次第でございます。
  50. 野田卯一

    野田(卯)委員 いま一応の御説明がございましたが、この資力、信用の点は、立法のときもなかなかむずかしい問題だったのです。議員提案でございまして、いろいろと論議されたいのですが、これを客観的な基準にしますと、実際これを適用する場合に困ってしまうようなことが起こりましたり、なかなかむずかしい。だから、この免許基準の中に入らなかったといういきさつがあるのです。しかしながら、実際問題としては、資力や信用のないものに許したらたいへんなことになる。過去において重大な過失がないにいたしましても、資力、信用のないものに許せば、将来どんなことが起こるかわからないということは、これはもうだれでもおわかりになると思う。したがいまして、との資力、信用というものを確かめる、そうして将来そういうもののないものが業務を営んで、顧客に非常に悪い影響を及ぼすというようなことのないように、特段の配慮をしていただきたいということを、いまは、この四号の適用において十分考えられるような当局の御説明もございましたが、そこの辺を十分くふういたしまして、この点を特に注意していただきたいということを希望申し上げる次第であります。  次に、いまお触れになりましたが、営業の保証金という制度があります。御承知のように、本店については十万円、支店について五万円の保証金をとっておられます。しかし、この十万円とか五万円という保証金で、一体取引に事故が起こったときに補償してもらっても、今日の経済界の実情から見ますと、あまりたいした効果がないというような意見もあります。だから、こんな十万や五万の保証金はやめてしまえという説が一方にあります。同時に、今度は、もうかっていく以上、これは百万円にしろとか、相当大きな金額にしろという説もある。ところが、これをかりに百万円などにしますと、零細な業者はなかなか払い込むことができない。こういうわけでたいへんに難儀をすることにもなりますので、そういう点からの反対が当然起こってくるわけです。また実際問題といたしましてもやることがむずかしい。それじゃ取っ払ってしまうというと、いままで、とにかく小なりといえども補償制度があったのが全然なくなる。これもまた不安な感じがいたします。ここに非常に大きな悩みを持っておられることはわれわれも建設省当局と同様なんです。  そこで考えられることは、十万円の金を出して供託しているが、いま全国で業者の数が多いから、その金の総額が一体幾らになっておるか。この法律に基づいて営業保証金として供託されている額はいま幾らになっているか、手元に数字があったらこれをお述べ願いたい。
  51. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいま手元に数字を持ち合わせておりませんが、大体業者の数が四万ございます。四万につきまして、本店だけで十万円といたしましても四十億になるわけでございますので、支店等を合わせまして、五十億程度の金になろうかと存じております。
  52. 野田卯一

    野田(卯)委員 いまお話がございましたように、四十億ないし五十億という金が現に積み立てられているわけです。しかし一人一人にとってみると、十万、五万だから非常に零細なものなんです。取引の額から見ると、非常に零細なものになるわけです。保証のほんとうの目的を達していない、こういうことになるわけです。そこでこれを第三者的に考えると、五十億からの金が寝ているわけです。これを活用したら、かりに損害に対して百万円とか二百万円というような相当高い金額の補償ができるようになるのじゃないか、こういうことがすぐに考えられる。いわゆる保険のシステムをとったら、補償の範囲をぐっと拡大しても五十億からの金が寝ているわけですから、それを見返りにしてやればできるのじゃないかという感じがするのです。そこで、私どもは政治家という立場から言いましても、あるいは経済界に関係する者といたしましても、この保証制度というもの、いまみたいな制度は非常に古い制度でございまして、近代的な経営というような点から見ると、根本的に改めらるべきじゃなかろうか、こういうような感じを持つのですが、御当局の見解はどうですか。
  53. 志村清一

    ○志村政府委員 先ほど信用の把握というようなことについての御質問がございました。宅建業界は業態がいろいろ分かれておりますので、そういった意味で資産を基準にするということはなかなか問題がございます。それでは営業保証金でという議論があることは先生御承知のとおりであります。ただこの営業保証金につきましても、先ほど御質問がございましたように相当の価格に上げるというふうにいたしましても、問題はございます。さればといって業態がいろいろ違っているのに一律にやるということも問題がある。しかも業態ごとの免許ということにも問題がある。いろいろ考え合わせますと、おっしゃられるようなこういった営業保証金的なものを損害補償制度的なものに切りかえるということが考えられないかという御意見もあろうかと存じます。これらにつきましては確かに一つの考え方でございますが、問題点といたしましては、一体取引事故がどれくらいあるのか。あるいは取引事故率というようなものの把握とかいうふうな問題等につきまして、いろいろ検討する必要があるわけでございます。それらも考え合わせまして、業界とかあるいは社団法人の損害補償協会というところでこの問題についての検討を行なっております。これらの検討の結果を待ちまして、さらに宅地審議会等の議も経まして、検討を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  54. 野田卯一

    野田(卯)委員 いま建設当局で各方面の知識を動員していろいろと案を練っておられるということでございますが、どうかその線をぜひとも進めていただきたい。現行の制度というのは一番古い制度で、現在の実情に合いません。だからこれを根本的に改定する案をぜひつくって、ひとつ実行に移すようにしていただきたいということを切望するものであります。  その次に、この法律ができましてから数回の改正をいたしておりますが、そのたびごとに業者の負担あるいは制約というものがだんだん重加されてきているわけです。いま営業保証金の話が出ましたが、営業保証金もそうですが、同時に取引主任者を置かなければならない。取引主任者は国家試験を通らなければならないとか、いろいろな意味における制約が加わってきております。  今度の法律改正の内容は、もうすでに皆さん御承知のとおりでございますが、私は今度の改正まことにけっこうなことだと思います。御承知のように、誇大広告の禁止であるとか、取引態様の明示義務だとか、重要事項の説明をしろとか、契約書の交付だとか、手付貸し付けの禁止だとか、いろんなことが規定してありまして、これは私は賛成なんです。賛成ですが、こういうようなたくさんの義務あるいは負担を課せられるのが免許を受けた業者なんです。建設省の監督下に立つ業者だけがこういう規制をどんどんされていくわけです。そこで、私が特にこの際建設大臣にお願いしたいことは、正規のレギュラーな業者に対してはいろいろな義務がどんどん加重されていっている。ところが問題なのは、許可を受けないでやみでやっているのが非常に多いということなんです。やみでやっているのが何らの制約を受けない、何らの負担も負わないで、どしどし取引をしている実例が山ほどあるわけです。そこで、そういうようなやみの業者を取り締まってくれということを警察や検察当局に申し出てもなかなか徹底しない。県やその他でもなかなかやってもらえないのです。そうすると、われわれが法律を整備して正規の業者だけぐっと縛っている。ところが反面には、それらに何も縛られない、かってほうだいしているところのやみ業者というものがはびこっていく。そして商売がそっちに流れるというような現象を生じているわけです。そこで私は、法律でもって正規の業者に対する制限が加われば加わるほど、やはり行政当局としてはやみ業者に対する徹底的な弾圧、これを絶滅するためにあらゆる方途を講ずるということが、行政当局の責任として当然に出てくると思うのです。これはずいぶん今までお願いしておりますけれども、実効があがっておりません。そこで、この点についてはどうしても建設当局が中心になられまして、あらゆる手段を考え出されて、県とも連絡をとり検察当局とも連絡をとられまして、徹底した措置に出ていただきたい。これについて建設大臣の御意見を承りたい。
  55. 西村英一

    西村国務大臣 最近、宅地の問題が非常に問題です。従来からも問題があった。しかし登録制度がいけないということでようやく免許制度になったわけです。そこでこの問題、私も役所に参りましてからいろいろ聞いてみますと、やはりどうも納得いかないところがたくさんあるのです。一応国会の答弁はしますけれども、実情はなかなかよくわからない。現実にいまお話しのようなことがあるわけです。取り締まりができない。しかし法律の番は建設大臣がやらなければならぬということなんで、私は実際は気をもんでおる。したがいましてこの法律の中でも、営業してはならないとか、しかもそれにちゃんと罰則もきめてあって行なわれるということなんですが、これはやはり公式にはそれらは取り締まる、こう言う以外にはありません。その方法として、やはり正規なレギュラーな業者が強固な協会をつくっていただく。しかもそれがばらばらでなしに、やはりブロック別に東北なら東北、関東なら関東、県は県でもってちゃんとつくり、そしてあと中央でちゃんとした協会があるというような、自主防衛の方法をもう少し講ずべきじゃないだろうか。実際、宅地の営業をするということの取り締まりができない原因というのは、あっせんをするということの定義というものがこれまた非常にむずかしいことになって、わけのわからぬようなことになっているのです。私がある人の世話をしてやった、それは一回ならいいとか二回ならいいとかと言っているが、それらのことがたびたび行なわれるものだから、何か隠れてやる業者があるのであります。私も先般岡山に行きましたときに、水島のあの地域開発のためにどれだけやみ業者があるかわからぬと思いまして、一体建設大臣が取り締まるというのだがどうするのだろうか、かように考えたのでございますが、私はやっぱり、レギュラーな業者がちゃんと協会を県別につくっていただいて、そうしてそれを建設省がうんと指導して、その業界に入らぬ者は免許も与えぬ、こういうようなきびしい方法でいって、一方の県別の取り締まりは法律でやりますからそれは警察官が法律に基づいて取り締まるけれども、それ以外の自主的な防衛といいますか、取り締まりといいますか、やはりしていかなければならぬのじゃないか、しろうとながらそう考えておるわけでございますが、ひとつ野田さんはそのほうの専門家でございますから御指導を願いたい、かように思う次第でございます。
  56. 野田卯一

    野田(卯)委員 大臣がこの方面に対して非常に深い認識をお持ちになって、また本筋の考え方をしておってくださって、たいへんに私質問者として満足するわけなんですが、いまおっしゃいましたように取り締まりをするといいましても、現在取り締まりに当たる役人の数が制限されているわけです。全国にわたって何人いるかということになる。しかし業者の数は非常に多いし、取引は無数に行なわれる。なかなかやろうと思ってもむずかしいわけです。そこでその欠陥を補うために、まじめな業者の集まりの業者団体をつくりまして業者団体がその取り締まり当局と協力、タイアップしていくという構想でいままでもわれわれ努力してきているわけです。この前の法改正のときに二十二条の三という規定を設けまして、ここで宅地建物取引業協会を各県に一つずつ、それからそれの連合体として全国一つの宅地建物取引業協会連合会、こういうものをつくることに法律で明定されているわけです。その協会並びに連合会の目的等につきましては第三項に「宅地建物取引業協会及び宅地建物取引業協会連合会は、宅地建物取引業の適正な運営を確保するとともに宅地建物取引業の健全な発達を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行なうことを目的とする。」と書いてある。その次の第四項に「建設大臣は、宅地建物取引業協会連合会に対して、都道府県知事は、宅地建物取引業協会に対して、宅地建物取引業の適正な運営を確保し、又は宅地建物取引業の健全な発達を図るため、必要な事項に関して報告を求め、又は必要な指導、助言及び勧告をすることができる。」この第三項、第四項は非常に意味があるわけでございまして、建設大臣は、自分の直接の配下だけではとても手が回らぬからしっかりした団体をつくらして、しっかりした団体に対して、おまえこうせい、ああせい、これはどうだとこれを動員をしてその全力を活用されるという仕組みになっているわけです。ところで、この取引業協会並びに取引業協会連合会というのはことしの四月以降にできることになっているわけです。いま続々できつつありまして、全国組織であるところの連合会も近く生まれようとしている。ようやく西村大臣の時代になってこれが生まれてくるわけです。そこでこういう目的を持った団体ですから、これを非常に力強く育成していただきたいと思うのです。いまもうすでにこのメンバーに入っておる者が二方とか三方とかいっておりますが、いま何方でしょうか、あとでお聞かせ願いたい、これは非常な数で、私は全員がこれに入るようにという気持ちでこういう問題を推進してきたんですが、まだ全員入っておりません。全員が入れば、それが建設大臣の意図を受けて正しい取引をやる。こういうことになると、いまの取り締まりというものが非常に徹底する。特に、業者というのはジャの道はヘビで、お役人でわからぬことでも業者筋でよくわかるし、特に自分たちの商売のかたきです。自分たちの商売を乱すやつだからそいつに対しては非常に神経が敏感なんです。みなデータを持ってきて、自分たちでやることは自分たちでやる。自分たちの手に負えないことは官庁に持ち出す、警察に持ち出す、建設省に持ち出す、こういうことに提携していきますと、初めて業界の粛正というものが可能じゃないか、かように考えられるわけです。ですから私は、できれば全部の者が免許を受けて、仕事をする者は全部これに加入するんだという制度になりますとこれが徹底すると思う。この方面のことが考えられないかというふうに思われます。それに対する御答弁を……。   〔廣瀬(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  57. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいま先生御指摘のように、最近の状況では三十都府県で地方の協会が成立いたしました。二、三を除きまして、大部分の府県におきましてもただいま申請中でございます。また全国をカバーする連合会につきましても来月くらいにめどがつく、かように思っております。私どもといたしましても、先ほど大臣からお話ございましたように各地に団体が結成されて、全体がカバーされるような団体がつくられるのが望ましい。その点につきましては私どもといたしましても指導いたしておるわけでありますが、ただこれらの団体に入らない限りは仕事ができない、いわゆる強制加入と申しますか、弁護士会等が行なっております強制加入で妥当かいなかという点につきましてはかねてからの問題でございましたので、宅地審議会における議論におきましてもたいへん重要な問題といたしまして数次議論をかわしたわけでありますが、現在の段階におきましては強制加入という問題は適当でない、なるべくたくさんの人が入るということは望ましいことであるが、強制加入というようなことは現在の段階においては適当でない、団体を結成して、団体の方々が相互にチェックし合って指導連絡というようなことで業界の資質の向上をはかることはけっこうであるというような結論でございました。私どもといたしましては、現在のところはさような方向で進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  58. 野田卯一

    野田(卯)委員 いまの段階ですぐ全員を強制加入させるということについてはまだ検討の余地があるという当局のお考えのようですが、それも一つの見方だと思いますけれども、ほとんど全部に近いものが入って、そして協力体制がとれるように今後も行政指導が非常に望まれる次第であります。  それから、その協力体制の一つといたしまして、先ほどちょっと触れましたが、免許基準の問題。資力、信用などにつきましてはその団体がしっかりできればその団体の意見を聞いて参考にする。何といっても全国に何万人というものがおりましてできておる団体でありまして、ジャの道はヘビで全部知っておりますから、したがって免許される場合にそれについていろいろ疑問の点を聞かれれば、相当リライアブルな、信頼すべき意見が出てくると思う。そこで行政の適正を期するため、なまなかな意見を業者に聞いてかえって行政が乱れるのではないかということがありますが、業界によってはそういうことがあるかもしれませんが、いまの業界をうまく指導されますとそういう心配はないわけであります。幾らでもそういう乱れない方法がありますから、どうかそういう方法を講じつつ業界の真摯な協力というものを求めて、そして免許も適正に行なわれるということにぜひしていただきたい。それが業界のためでもあるし、建設省の威信のためにもなる、かように考えますので、その点に対する答弁を……。
  59. 志村清一

    ○志村政府委員 業界がお互いの資質の向上等に努力いたしまして、メンバーである業者が非常に信用すべきりっぱなものに成長していくということはまことに望ましいことであります。そのような方法で私どもも指導と申しますか、ともども進んでまいりたいと思います。免許といったような行政行為につきまして、かような民間団体の意見を聞く、これを制度的に考えるということはいろいろ弊害もございますので問題かと存じます。私どものほうといたしましては、先ほど申し上げましたように、免許の基準にございますような不正不当な行為のあったものは必ず処分する。処分されたものは免許は受けられないというふうな方向で今後とも進めてまいりたいと思うのでございますが、実際上の問題といたしまして、調査の一助といたしまして、業界から意見を聞くということも場合によっては考えられないこはないというふうに存じます。
  60. 野田卯一

    野田(卯)委員 最後に、これは私、質問でなしにむしろ希望でございますが、西村建設大臣、不動産の取引業あるいはその他の不動産関係のいろいろな業務に関して、今日非常に重要性が増してきておりまして、また、これがへたをすれば社会的にもいろいろな害毒を流して、無事の人々を非常な悲しい目にあわせることになりましょうし、国民生活の安定を害することになりますから、この行政というものは建設省の行政の中でも、きわめてむずかしい問題であり、きわめて大切なものであると思います。したがって、今後この業界が健全に運営されて、そうして業界がになっている使命が十分果たせますように、どうか高いお立場から御好意ある強力な御指導をひとつ賜わりますように切にお願い申し上げて終わります。
  61. 西村英一

    西村国務大臣 非常に大事な業者でございまして、私もあまりよく通暁しておりませんけれども、建設省としては監督の責任がありますので、やはり十分その業界の健全な育成のために努力したい、かように考える次第でございます。
  62. 野田卯一

    野田(卯)委員 ありがとうございました。終わります。
  63. 森下國雄

    森下委員長 本日はこの程度にとどめ、来たる十九日水曜日午前十時より理事会、十時半より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時五十二分散会