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1967-07-05 第55回国会 衆議院 建設委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月五日(水曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員   委員長 森下 國雄君    理事 木村 武雄君 理事 正示啓次郎君    理事 砂原  格君 理事 丹羽喬四郎君    理事 廣瀬 正雄君 理事 石川 次夫君    理事 岡本 隆一君 理事 稲富 稜人君       天野 光晴君    伊藤宗一郎君       池田 清志君    吉川 久衛君       佐藤 孝行君    田村 良平君       谷垣 專一君    森山 欽司君     早稻田柳右エ門君    渡辺 栄一君       井上 普方君    勝澤 芳雄君       工藤 良平君    佐野 憲治君       福岡 義登君    内海  清君       小川新一郎君    北側 義一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         近畿圏整備本部         次長      上田  稔君         中部圏開発整備         本部次長    国宗 正義君         通商産業省公益         事業局長    安達 次郎君         建設政務次官  澁谷 直藏君         建設省河川局長 古賀雷四郎君  委員外出席者         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 七月三日  元近衛師団司令部建物の保存に関する請願(原  健三郎君紹介)(第二二七四号)  同外四件(加藤常太郎紹介)(第二三四五号)  主要地方道大口出水線等の改良に関する請願  (池田靖志紹介)(第二二七七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  近畿圏保全区域整備に関する法律案内閣  提出第一一六号)  中部圏都市整備区域都市開発区域及び保全  区域整備等に関する法律案内閣提出第一一  七号)      ————◇—————
  2. 森下國雄

    森下委員長 これより会議を開きます。  近畿圏保全区域整備に関する法律案中部圏都市整備区域都市開発区域及び保全区域整備等に関する法律案、右両案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。谷垣專一君
  3. 谷垣專一

    谷垣委員 いま問題になっております近畿圏保全区域整備に関します法律並びに中部圏のこれらの関係法律につきまして質問いたしたいと思いますが、ことに近畿圏の中で最近におきまして異常な事態が発生いたしております。これは都市近郊にとどまりません。河川全体の問題でございますけれども、ことに近畿圏の問題を議論いたします場合に、あの地域の諸君の非常な不安な感情をもたらしておりますので、近畿圏保全区域に関します法律を審議いたします際に、ぜひともこの問題について触れておかざるを得ないのであります。  案件は、去る二日の日に、由良川の上流にございますところの関西電力の設けました発電用ダム、およそ毎時五千七百キロの発電能力を持ちますダム決壊をいたしました。しかも非常に皮肉なことに、六月二十六日に監督官庁であります通産並びに建設両省検査が行なわれております。そして七月一日に、内部的な問題であろうかと思いますが完工式が行なわれておる。その二日の日に、たいした雨が降ったのではございません。私の調べたところによりますと、朝来約二十ミリの降雨があった。前夜の雨を入れましても三十ミリそこそこの雨量でございますが、そのような雨量でございますのにかかわらず、その新しいダムが、四枚ありますゲート一つであります第三ゲートが吹っ飛んでしまった。そのために五百万トン以上のためられました水が一挙に奔流となって流れていった。不幸中の幸いと申しますか、当時、日曜日でありますが、雨模様の天候でございましたために、通常はもっと多くの川遊びに来る釣り人諸君がいるにもかかわりませず、当日はわりあい少なかった。そのために被害が一人の死亡者を出した程度にとどまっておりますけれども、これがもし通常状態でございましたならば、非常な悲惨な災害を引き起こしたことは予想するにかたくございません。  そこで、ことに私たちのささやかな知恵ではわからないのでありますが、従来このようなダム決壊が一体あったのかどうかという点が一つ問題になります。私はまだこんな決壊事例がないように記憶をいたしておるのでありますが、しかも現実にみんなが注意をして竣工して、そして検査両省の手によって行なわれたその直後にこのような予想しない事例が起きておる。したがいまして、単に不幸中の幸いと申しますか、人命損傷等が非常に少なかったからといってこの問題を小さく見るわけにまいりません。わが国の、ダムをどんどん構築していこうというこういう状況のもとにおいて一体これはどういうような意味を持つのか、沿岸住民も非常な不安におちいっております。私のところにも続々手紙その他で衷情を訴えてまいってきておりますが、一体これはどういうことであるか。まず第一にこの起きました事件の概要と、それによって当面の問題として措置されましたことをお聞きいたしたいと思います。
  4. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 御指摘のとおりに非常に残念な事故でございまして、現在までアースダム等決壊という問題は若干ありましたけれども、かようなゲートの流失による事故というものは今回が初めてでございます。こういうゲートが流れるということは下流住民の方に非常に不安感を与えますので、われわれとしましては、今後水事情とか洪水対策としていろいろダムをつくっていかなければいかぬ段階におきまして、かような問題が起きたことは非常に残念しごくに存じております。したがいまして、われわれとしましては、急遽第三者による調査委員会を設けまして具体的な原因究明をはかっていきたいというふうに考えておりますが、とりあえずこの事故報告を申し上げたいと思います。  場所は由良川水系京都府船井郡和知地先関西電力株式会社和知発電所取り入れダムでございます。  事故発生日時昭和四十二年七月二日の十一時十五分。  事故内容は、水門が四門ございますが、そのうち左から数えまして三号ゲート事故でございます。第三号ゲート、寸法は、高さ十二メートル、幅九メートル、型式テンターゲート製作会社名株式会社日立造船所の第三ゲートが転倒いたしました。テンターゲートと申しますのは、ある一つの軸をもちましてこう回転するゲートでございます。あと詳細図面で御報告したいと思いますが、この事故のさらに詳細のことを申し上げますと、七月二日の十一時、和知ダムは第三ゲートを約三十センチ開きまして、流入量約二十トンを放流しておりました。ところがじんかいがたまりましたので、じんかいを処理するため第三号ゲートを締めまして、第四号ゲート流芥ゲートというのがございますが、その流芥ゲート操作に入りましたときに、第三号ゲートダム直下流に崩落したという事情でございます。その結果、ダムはほぼ満水に近い状態でございまして、ダムから毎秒約五百トンの放流が行なわれました。  事故対策といたしましては、事故発生に伴いまして、下流綾部市、福知山市等の由良川沿岸警報車を出しまして警告を実施しまして避難をしてもらっておりますが、残念ながら二人ほどその放流によりまして流されまして、一人の方がとうとい人命を失われたというような残念なことになっております。それに関しまして、近畿地建関西電力日立造船等は、現地において事故原因等調査を実施しております。先ほど申し上げましたように、非常に重大な事故でございます。これが与える影響は非常に重大だと考えておりますので、第三者による事故原因究明を行なうように、きのう事故調査委員会を設置いたしました。  事故調査委員会あとで申し上げますが、なお、事故に関連しまして、和知ダムの諸元あるいは河川法処分経緯等につきまして簡車に申し上げます。  諸元は、ダムの高さが二十五・二メートル、長さ百四十四メートル、コンクリートの体積は二万四千二百立米の小規模なダムでございます。そのダムの上に設けられましたゲートは高さ十二メートルで幅九メートルのもの三門、これが一号から三号ゲートまででございます。それから高さ二メートル、幅四メートルの流芥ゲートつき高さ十二メートル、幅九メートルのもの一門でございます。これは先ほど申し上げましたゲートの中に切り欠きが高さ二メートル、幅四メートルでつくってありまして、そこから流れ寄せられましたじんかいを捨てるようになっております。貯水池は、有効貯水容量百二十八万六千トン、総貯水容量五百十二万トンであります。その地点の計画洪水流量は二千六百四十トン毎秒でございます。なお参考のために申し上げますと、その付近におけるところの無害流量は約三百トンと想定されます。  それから河川法処分経緯でございますが、昭和三十六年の三月一日に関西電力より当時の河川管理者であります京都府知事あて発電水利使用に関する流水占用及び工作物設置許可申請書提出されております。これは旧河川法十七条及び十八条に基づく措置でございます。四十年六月九日に府知事より同申請書に基づき建設大臣あて認可申請がございまして、十二月十三日に大臣認可京都府知事あてやっております。十二月十七日に京都府知事申請書によって許可いたしております。なお四十一年四月一日由良川は一級河川となりまして、河川管理者建設大臣となっております。同日付で地方建設局長等河川管理事務専決規程が施行されまして、ダム竣工検査の権限を地方建設局長に専決させるということにきめられております。これは新河川法三十条の検査でございます。それから四十二年五月三十日に関西電力からダム竣工検査申請があっております。先ほど申し上げました法三十条の検査であります。それから四十二年六月二十二日に竣工検査官を命じておりまして、松村和歌山工事事務所長を任命いたしております。六月二十六日に松村検査官現地検査完了いたしまして、完成検査終了確認し、完成検査検了書というものを交付いたしております。ただし七月二日現在におきまして地建局長合格書はまだ未交付でございます。なお同日付で、後ほど説明があろうかと思いますが、電気事業法現地検査完了いたしております。なお参考のために申し上げますが、四十二年五月十九日にダム操作規程承認申請が、河川法四十七条に基づいて提出されております。同年六月二十二日本省に操作規程承認申請が到達いたしておりまして、六月二十八日操作規程承認地建局長に与えておりますが、関西電力には地建局長からまだ未交付でございます。  それからなお、ダム及びゲート契約等経緯について簡単に御報告いたします。  四十一年の二月十九日和知ダム本体工事株式会社森本組関西電力契約いたしました。その間の工期昭和四十一年二月十九日から四十二年九月三十日までとなっております。これは主として土木工事に類するものの契約でございます。それから四十一年八月九日にゲート製作、据えつけ工事株式会社日立造船所関西電力契約いたしております。工期昭和四十一年八月九日から昭和四十二年七月三十一日までになっております。なおその後ゲートにつきましては昭和四十一年の十二月にゲート碇着部工場検査完了し、四十一年の二月から四月にかけまして、いわゆる扇型になりました扇体戸当たり工場検査完了いたしております。第三号ゲートはちなみに四月七日に工場検査完了しております。それから四十二年三月十日から三月二十日までゲート締着金物の現場据えつけを実施し、据えつけ検査関電和知水力建設所長が実施いたしております。四十二年四月に扇体——ゲート部分でございます。それと巻き揚げ機の現場据えつけ検査完了いたしております。それから四十二年六月二十五日にゲートの現場無荷重試験完了いたしております。検査官関電和知水力建設所長、それから立ち会い者——立ち会い者というのはちょっとおかしいのですが、日立造船所大崎勝久という方が検査を受けられております。それから六月二十六日に先ほど申し上げました完成検査完了しております。それから四十二年六月三十日にゲートの有荷重試験続行中でございまして、ダム本体について請負契約上の完成検査はまだ終わっておりません。それからダム本体及びゲートについて関西電力請負業者より契約上の引き渡しをまだ受けておりません。  なお、参考のために申し上げますと、契約書記載引き渡し条項は次のようでございまして、ダム本体につきましては、引き渡し監督官庁検査及び使用認可を受けた後に行なう。ゲートは、関西電力の指示する各試験完了をまって工事全般竣工とみなし引き渡しを行なうという契約条項になっております。  それから、和知ダム事故技術調査委員会はきのうの夕刻大体委員の選定を終わりまして、通産省ともよく打ち合わせしまして、委員長京都大学教授矢野勝正先生、これは土木の担当でございます。それから畠昭次郎というお方ですが、京都大学教授で、これは機械専門お方でございます。それから芦田和男というお方ですが、これは京都大学防災研究所教授で、水利関係を担当されております。それから中川博次という方で、同じく京都大学防災研究所の助教授でございますが、これはゲート専門お方でございます。なお、近畿地建河川部長それから企画室長を加えまして、さらに川村幸司土木研究所ダム水利研究室長中野俊次機械研究室長、それから通産省から井上力氏、通産省大阪通産局公益事業部長千秋信一電力中央研究所水利研究室長、それから林正夫電力中央研究所構造研究室長というような技術調査委員会をきのう発足いたしました。それで、きょう七月五日十時に第一回の打ち合わせ地建技術事務所で行なう予定にいたしております。  この打ち合わせ内容としましては、事故の詳細の報告並びに設計の詳細の説明、それから、考えられる原因がどういうところにあるか、その原因の討議をやる。それから調査の方針を決定したい。それから、特に引き揚げにつきまして、事故原因となる部分損傷を受けないように引き揚げ方の方法をいろいろ検討する予定にしております。  ただいまさような事故状態でございまして、ここでちょっと図面説明いたしますが、おわかりになりますか。——これがいわゆるテンターゲートでございますが、これがテンターゲートの三本足がありまして、そしてこれが軸になって、これが回転してこういうぐあいに上がったり下がったりしまして、このダムの床から水を流したりとめたりするわけでございます。水路はこういうぐあいに入ります。それで、高さで十二メートルと申しますのは、これからこれまでが十二メートルでございます。  それから、これは平面図を書いてございまして、これがテンターゲートのこの面に属する部分でございます。それで、これを平面図に書いたのがこの図でございます。おわかりになると思いますが、これはこの柱でございます。ここにアンカーボックスガーターがございまして、これがこれによってコンクリートの中に碇着されております。これだけボックスガーターが出ておりまして、これにピンでかように連結されているというようなことになります。今度のこわれたところは、この赤をしるししてありますが、これからこっちは全部ゲート部分が流されている。これで言えば、ここからアンカーボックスガーターの点はしっかりしておりますが、これから先が全部やられているということになっております。  それからなお、これは詳細に書いた図面でございますが、これはいまのボックスガーターのところですが、このこわれたところは、これがアンカーピンの入ったところでございます。これから上が全部飛んでいる。ここにシンプレートが入っておりまして、これで調節をやるようになっている。これが斜めに入っているシンプレートになっております。これから上が全部やられている。ここで言えば、これから上が全部飛んでいるということになっております。  以上、簡単に事故報告を申し上げます。
  5. 谷垣專一

    谷垣委員 事故調査委員会がすでに発足をしたわけですから、そこでいまのような問題は当然に厳密に詳細に検討を期待をいたしております。これはぜひひとつはっきりしていただかないと今後のわが国ダム建設に非常に大きな問題がございますので、ぜひひとつ正確に厳密に調査を結論づけていただきたいと思います。  沿岸諸君のいまこの事件を受けました気持ちを端的に申しますと、一体河川管理をしておる、あるいは発電監督官庁である通産並びに建設両省完工検査をして、その直後にこういうことが起きておる。一体完工検査というものはどれだけ信頼していいのか。一体官庁監督並びに検査というものはどうなっておるんだという端的な疑問であります。不信であります。これはいろいろと完工検査ができたあとむずかしいとかなんとかいうそういうような逃げ口上は許されません。これは許されない事件であると思います。一体両省でこういう問題に対しまする検査監督をどのようにしておるのか。先ほどお話を聞いておりますと、なるほど関電がその下請をさしておる日立造船所の間において、ゲートをつけたり何かする過程においていろいろと検査をしておるという報告を受けました。しかし一体役所の許可なり認可をいたします場合の検査というものはどういうふうにやっておられるのか。単に工作物ができ上がったあと完工検査のみにとどまっておるのか。これはしろうとでも——たちにははっきりわかりませんが、しろうとで考えてみても、大きなコンクリートダムができておる。それを完工検査といってみたところで一体ほんとう検査ができるかどうか、素朴な疑問を持たざるを得ません。一体それがどうなっているかということが一点。  それから住民諸君の非常な不安な感じを持っておりますもう一つの点は、この事件が起きましたあと関電のとりましたいわゆるこの警告であります。こういう事件が起きたという下流沿岸に対する警告が非常に不十分であったという、あるいはおそかったという非難を持っております。これはもちろん、単に関電の問題ではなく、監督をいたしておられる建設省、あるいはまた防災の任に当たっておられる警察当局等の組織の問題でもあろうかと思いますが、この問題は少し私はおきまして、最初にお尋ねいたしました官庁完工検査、一体こういうような工作物に対してどのような監督をされておるのか。すでに新聞でもいっておりますように、河川法の規定いたしておるところによりましても、完工検査の正式な合格後でなければ当該工作物使用してはならないということになっておる。ところが、すでにこれは水をためて満水状況にいたしておる。新聞の報道によりますと、建設省は、これは厳密にいうと河川法違反になるかもしれぬけれども、すでにそういうような慣行としてそういうことが認められておるのだからこれは別に河川法違反という問題には当たらないというようなことを言っておるやに新聞紙が伝えております。それはともかくとして、完工検査なり、つまりこれだけ重要な工作物に対する官庁監督並びにそれを受けるこういうような公共事業をやっておる関電その他の諸君が、河川法の指摘しておるところをそのまま守らないという状況が慣例的に行なわれておるということは、何かその間に一本くぎが抜けておるのではないかという疑問を私たちは持たざるを得ないのであります。河川法違反であろうがなかろうがという問題は抜きまして、一体そういうようなことでほんとう許可なり認可をいたします場合の監督が行なわれておるのかどうか。沿岸住民諸君は、通産省なり建設省なりの十分なる監督があるということに信頼をしておるのであります。私はどちらに責任があるかという責任論関電責任があるのかあるいは官庁責任があるのか、その責任論をここで展開しておるのではありません。これは両方に責任があることでございましょうけれども、少なくとも沿岸諸君監督官庁検査なり監督というものに対して信頼をしておる。それがみごとに裏切られておるのがこの現実であります。これはもう技術上やむを得ないんだといわれるような非常な超自然的な原因があったとは思われないような先ほどの雨量であり、また何回も何回もこれと同じようなダムがつくられておる。すでに私たちは経験を持っておるのでありますから、その点がいかにも私たちは不可解であります。その点に関しまする建設省通産省当局の御説明なりあるいは回答を求めたいと思います。
  6. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 ダム並びに水門につきましては、それぞれ設計基準がございまして、特にダムにつきましては大ダム会議がつくりましたダム設計基準、並びに水門につきましては水門鉄管協会水門鉄管技術基準というのがございます。それによって設計製作、据えつけが現在まで行なわれてきておるわけでございます。材料の安全率等につきましても四程度を確保することになっております。したがいまして、その設計どおりにできておれば十分安全な構造となっておるというふうにわれわれは考えるわけでございますが、特に材質その他の問題につきまして完工検査のおりにそれらに関する資料の提出を求めて、さらに重要な部分における特にたとえばピンのところの問題とか、そういった材質におけるレントゲン写真等提出を求めて完全に検査する必要があるのじゃないかというふうに、今回の事故にかんがみ反省しております。したがいまして、先ほど申されました完工検査責任の問題と、それと今回の事故にかんがむ検査項目内容と、検査の今後のあり方の問題につきまして、ただいま検討をいたしておるわけであります。
  7. 谷垣專一

    谷垣委員 この完工検査以外に、建設省のほうでこの完工検査以外の検査というものはやっておられるのですか。
  8. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 ダムは非常に地盤が大事でございますので、岩盤検査というのを行なっております。
  9. 谷垣專一

    谷垣委員 通産省のほうの答弁を…。
  10. 安達次郎

    安達政府委員 お答えいたします。  水力発電設備の一部としてのダムにつきましては、その新設なり変更に際しましては工事計画認可を必要といたします。それで、電気工作物使用する場合には使用検査、幾段階かのその工程、これは省令できめられております。その省令できめられた工程に応じた使用検査合格しなければ使ってはいかぬということで、その検査につきましては、資格を定められた電気工作物検査官が担当して検査するようになっております。電気事業法によるこの検査合格基準といたしましては、認可を受けた工事計画に従って行なわれているものであるということの確認通産省令で定めた技術基準に適合するものであるということの確認、この二つが法律上定められている合格基準でございます。この、ただいま建設省から御説明のありましたいろいろな技術基準、これは発電用ダム電気事業法系列におきましては、発電用水力設備に関する技術基準を定める省令というもの、及びそれの細目を定める告示というので、この水力ダムあるいはそういうゲートなりそういう部分についてのいろいろな技術基準が定められております。  それで、ただいまの問題になりました六月二十六日の検査、これは電気事業法系列におきましては、この各省令で定められた工程として、岩盤検査とそれからダム形態検査、それはダムの規模によりまして工事の半分あるいは三分の一、あるいは三分の二という過程がございますが、このダム本体形態検査、それから六月二十六日に行ないましたような水をためる場合の湛水検査、それ以外に圧力導水路貫通検査、あるいは地下に埋設する埋設水圧管路を据えつけようとするときの検査、これらが全部終わりまして、あとそれ以外に電気まわりの、電気関係設備等検査が終わりましたならばすべての工事完了ということで、普通私たち竣工検査と言っておりますが、今後竣工検査段階あとにあるわけでございます。湛水検査内容はあまり詳細になりますので省略いたします。
  11. 谷垣專一

    谷垣委員 私の疑問といたしております点は、どうもこの検査、あるいはその監督上なされますところのこれらの検査が、どこか手抜きがあるのじゃないか。手抜きということは少し表現が十分でございませんが、関電なりその他の諸君技術陣営というものを信頼するあまり、わりあいにその検査なり監督の点において何となく不十分になっておる。本来その法律の規定されておるとおりに行なわれておるのかどうか、その問題であります。こういう工作物はなかなか検査がむずかしいという点はあろうかと思いますけれども、もしも本来持っておる困難さのために不十分であったということになれば、これは今後の検査その他のやり方を変えていただかなければならぬ。それから、もしもその検査において、従来のとおり行なわれているが、それは形式的であって、その間に監督法律の規定しておるような完全な検査が行なわれていないということになれば、これは監督官庁としての怠慢と申しますか、そのそしりを免れない、こういう問題になると思います。これも事故調査委員会の結果がはっきりしてこないとわからないということになるのかもしれませんけれども、この二点について、今度の事案についてどのようにお考えになるか、建設省のほうからひとつお答えを願いたい。
  12. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 完工検査のあり方の問題でございますが、現在までは、大体竣工してから後に完工検査をやっておるわけでございます。したがいまして、そういう時期に、完全に内容的に把握できる検査というものがむずかしいのではないかというふうにわれわれは考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたとおり資料の提出、いわゆる関電と日立造船との間に、ピン構造ならピン構造検査をした結果のチェックができるような資料の提出とか、そういった問題もあわせて検討しまして、検査の完全性をひとつ期したいというふうに考えておりますし、先ほど御指摘の、若干形式的に流れたんじゃないかという点は、確かにいままでテンターゲート事故というものが全然ございませんでした。したがいまして、テンターゲートの安全性については、われわれ自身もかなり安心したきらいがあるのじゃないか、そういったこともわれわれとしては反省しなければならぬとただいま考えております。また、先ほど申し上げました完全な完工検査をやるためにはどうすればいいかということは、今後事故調査の結果にまちまして、ひとつ検査項目の追加なり検査内容のあり方なり、そういったものを具体的に討議してまいりたいというふうに考えております。
  13. 谷垣專一

    谷垣委員 すでに事故調査委員会が設置されまして、そこで厳密に原因が探求されるわけでありますので、その点に関しましては私はこれ以上の質問はいたしません。ただ、これはわが国の今後のダム構築の上に非常に大きな問題だと思います。したがいまして、この原因究明があいまいになるようなことのないように、ぜひひとつ皆さんははっきりした結論を出していただきたい。もしも検査の方法が不十分であるならば、それを改めていただきたい。それからまた、形式に流れて、現在の法律の規定しておることが十分行なわれないということであるならば、それはそれとして、その点について改めていただかなければならぬ。要するに、これは今後のダム構築に非常に大きな問題ですから、結論をはっきりさせていただきたい。私たちも、皆さんのそういうような結論を出していただくことを期待し、またそれに対して注意を払いたいと考えております。  そのほかに、地元の諸君に対しまする今後のいろんな問題、あるいは関電当局責任の問題があると思いますが、きょうは関電当局が出てきておられませんので、私はこの点については触れません。すべて、今後の事故調査委員会の結論をはっきりさせて、行政官庁としての監督の立場をもう一回整理をしていただくことを強く希望いたします。
  14. 森下國雄

    森下委員長 岡本隆一君。
  15. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 実は私、このダム決壊いたします約一時間半前に現地を通っております。行きがけは由良川ダムのところをずっと通りました。帰りにその反対側を通って国道九号線に出たものでありますから……。この事故は、帰りのときにはもう起こっておったのです。私、所用があって橋立へ参りまして、ダムのところを通って、十一時十五分、ちょうど決壊した時間に橋立に着いているのです。だから、帰りにもと来た道を通れば、その決壊事故を見て帰っているのですけれども、そのまま私、東京へ帰りましたので、東京でこの事故を聞いて、私も非常な驚きを感じた。その一番の理由は、これは船井郡和知町でありますが、ちょうどそのあたりは由良川水系と淀川水系の分水嶺になっておる。背中合わせに日吉町というのがありまして、そこにわれわれがいま問題にしておるところの日吉ダムの建設の計画がある。現実には強い反対運動があります。それをうまく何とか説得をいたしまして、淀川の治水のために日吉ダムはどうしても必要だ、だから、どうしてもこれをつくらせてもらわぬと困るということで、ようやく地元を説得いたしまして、それでもって地質調査まで承認させて、この六月に地質調査が終わるというふうな段階にまでようやく持ち込んだところへこの和地ダム決壊、ちょうど山一つ隔てた背中合わせにこういうふうなダム決壊があった。そのために下流の安全性が非常に脅かされたということになりましたので、これはもう日吉ダムの建設にたいへんな障害が出てきた。せっかくいままでいろいろ苦労して現地を説得してまいりましたのが、これで水泡に帰するのではないかということを私は心配しております。それだけにこの問題は、われわれとしては慎重に扱わなければならない。また政府としても、この事故究明、また今後の措置としてダムの安全性に絶対的なものをはかるということをやっていただかなければならぬ。そういう意味におきましては、これは幸い死亡者は一人だけ、被害もわりあいに少なかったからけっこうでございますけれども、これは雨降りの日曜でございまして、川で水泳をやっているというような人もなかったと思いますが、これがお天気の日に、子供なんかがたくさん水泳をしておる。釣りに出る人も非常に多いというふうなときにこんな事故が起こりましたら、これはたいへん大きな事故になっておったと私は思うのです。そういう点で、この事故を、建設省は今後の日本のダム建設のための重大な頂門の一針として参考にして、今後検討していただきたい、こういうことを冒頭に私は大臣にお願いをいたしておきたいと思うのです。  そこで、新聞記事を見ますと、この事故原因について、責任のなすり合いを関電建設省がやっておるというふうなことが書かれております。また建設省側では、まだ完工検査について合格承認書を発行しておらない、その間に関電が湛水を始めたのは少し早過ぎたというふうな意味の地建の発表がある。そうすると、今度は関電側では、いやもう検査が終わったらいつも水をためているのだ、湛水を始めているのだ、こういうふうなことで、これは慣例に従ってやったまでだ、こういうことでございますが、ダムが建設されまして、そして完工検査をやる。そうすると、建設省のほうで河川法の三十条に従ったところの、完工したということをはっきり承認して、使ってよろしいという文書を発行されると思うのでありますが、その文書を待たずしてどんどん湛水を始めておるというようなことが慣例であるかのようでございますが、事実いままでそういうことを黙認してこられたのか、こられなかったのか、それをひとつ伺いたいと思います。
  16. 西村英一

    ○西村国務大臣 技術上の詳しいことは河川局長から申しますが、いま岡本さんが述べられましたように、私もこの事故を非常に重大視しておるものでございます。と申しますのは、従来も地方におきまして、アースダム等の小さなダムをつくって、ずいぶん昔流れて人家が流出した。そのためにいまいかにすすめても、その河川ダムをつくって水をたくわえようじゃないかと言ったって、取り合わないのです。いわんや相当な技術力をもってやった関西電力、また相当な技術力を持っておる地方建設局が監査に行き、また通産省も監査をして、そしてしかもこういう事故が起こったということは、だれの責任にしてもやはりどこかに大きい欠陥があったのだと私は思われます。なくなった方の遺族に対してはまことにお気の毒でございますが、それとともに非常に重大な事故でございますので、この機会に徹底的にこの原因を確かめるとともに、将来に向かっての対策を立てたいと思っております。竣工検査に対する慣習等につきましては、河川局長からお答えをいたさせます。
  17. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 合格書が渡らない前に湛水をやったのはおかしいじゃないかというようなお説でございます。従来から水門検査には工場検査——工場検査はもちろんでございますが、それから無荷重試験と有荷重試験をやらなければならぬということになっております。荷重をかけた試験というのは、実除問題として水をためることが一つ荷重試験の大きなポイントになるわけです。それで水をためて事故を起こすようだと非常に困るわけでございます。われわれは完工検査段階におきましては無荷重試験しか実際問題としてできないような状況でございまして、水をためてから事故が起きたのではたいへんなので、荷重試験を今後どういうぐあいにやるかということを検討しなければいかぬのじゃないかというふうに考えております。通常慣例としまして、大ダムにおきましては竣工前に貯水開始をやるわけでございますが、それはゲートのところまでは到達しないような大きなダムでございまして、ダム本体そのもので受けるような貯水を開始いたします。ところがこのダムは非常に小さいダムでございまして、直接ゲートにためるというようなかっこうになるダムでございまして、ゲート荷重試験が行なわれない段階におきまして、そういう荷重を直接かけていくという問題点がありまして、われわれもそういう試験方法が実際的に可能であるかどうかというような問題も検討しなければなりませんし、今後問題が残されているというふうに考えております。
  18. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これは三十条の規定によるところの完工検査をやって、そして、それについて新聞の報ずるところによりますと、ダム自体については別にこれといって問題点はない、しかし下流の護岸の整備が必要である、その整備ができたら使ってよろしい、こういうふうなことを条件として報告が出ておるというふうなことが新聞に報ぜられております。そういたしますと、ダム本体についてはよろしいということであれば、荷重試験も何も済んでおったということでなければならないと思うのでありますが、その荷重試験はそれではいつやられるのか。また、荷重試験が済んでおらないのに貯水を始めたのは不当だと局長はおっしゃいますが、その完工しておるということは、荷重試験も何もかも一切のテストは終わっておるということでなければ完工ということは言えないと思うのでございます。その辺が私にはわからないのです。いま局長の言われる、荷重試験を終わらぬうちに湛水を始めたのはけしからぬと言われる意味がわからぬのです。
  19. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 先ほど申し上げましたように六月二十六日に検査完了しまして、六月三十日現在ではゲートの有荷重試験を続行中でございました。荷重試験のやり方については、水をためてゲートに直接水圧がかかるような荷重試験なんでございます。その辺をどういうぐあいにするかという問題をお話し申し上げたわけでございまして、その荷重試験が終わって後に請負業者から関西電力契約上の引き渡しを受けるということになるわけでございまして、実際問題として完工検査とその辺の関係が具体的には——ほんとう完工検査とすれば、完全に荷重試験を終わった後にやるべきだと思いますが、そういう荷重試験が実態的に水をためることによって行なわれるものですから、水をためる前には一応機能の検査等を行なうわけでございます。
  20. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 荷重試験は水をためることによって行なうということになりますと、これはなまで検査をしていく、ぶっつけ本番ということになると思うのです。それじゃ、もしその荷重試験に耐えられないようなものであれば、決壊するのは当然ですね。言いかえますと、今度の事件というものは荷重試験をやっておる段階で、荷重試験のために貯水した、その貯水が満ぱいになったところでぼきんと折れた、こういうふうに解釈されるのでございます。そうするとこれは、動物実験もやらぬでいきなり人体実験で薬の効果を検査しているのと同じことで、乱暴きわまる荷重試験である、こう言わなければならないと思うのであります。それをいきなりぶっつけ本番の人体実験をやらなければならぬほど、いまの検査方法というものは未開発なんですか。それをお伺いしたい。
  21. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 ゲートの各部分につきましては、それぞれ工場検査を行なっておるわけです。たとえば先ほど申し上げました支柱が何トンの圧力が加わった場合に安全かどうかという検査は受けておりますし、それからピンにしましても、所定の安全率を持っているかどうかという検査は工場で行なわれております。ただ全体的に、組み立てたものが相当大きなものでございますから、それらを一体に検査する方法、水圧をかけて検査する方法はどうすればいいかということがあるわけでして、従来のテンターゲートの安全性が非常に確実でございまして、従来からこれによる事故というものがなかったものですから、したがいまして水門鉄管協会設計基準の安全率四程度をとってあれば、直接荷重試験をやっても差しつかえないのじゃないかというような観点もあったかと思います。
  22. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、この完工検査合格書を未発行の段階で水をためたということは、これはもういままでもいつもやっていることで、それは検査のためである、やむを得ないことなんだ、だからこれは合格書を受けておらないで湛水を始めたということについては、関電側に何ら瑕疵はない、こういうふうにいまのおことばでは受け取れますが、そう受け取ってよろしゅうございますか。
  23. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 適切な荷重試験がほかに見当たれば検討しなくちゃいかぬと思いますけれども、現在までの段階では経験的にそういうぐあいにやらされておりまして、先ほど岡本先生の御指摘のような問題はございますので、これの問題をどう考えていくかということを検討したいと思っております。
  24. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そういたしますと、そういうことについての十分な理解の上で新聞報道が行なわれるといいのですが、記者諸君がそれぞれ関電側、地建側にたずねていって、そんなものを合格書も出しておらぬうちに水をためたなんてけしからぬといって、いや片方は片方で慣例でやっているのだ、こういうふうなことでありますと、われわれといたしますと、どっちもずいぶんいいかげんなことをやっている、こういうふうに受け取れます。それで実質的に私どもは——しかしながらこの検査にいたしましても、とにかく私たちがこの新聞なんかを見て感じますことは、どうもなれ合いの運営が行なわれておる。そしてたとえていえば、われわれでありますと、完全な合格認可とか合格を書類で役所からもらわない限りは実質上その使用ができない。たとえば私は病院をやっておりますが、病院なんかでも消防署から完全な検査を受けなければ使用が始められない。また個人でいえば運転免許証をもらわぬことには自動車の運転をできない。自動車にいたしましても、車体検査証なしには自動車の運転ができないのです。だから小さな自動車、個人の自動車の運転というようなことでも、自動車の運転免許証を現実に持っておらなければ自動車の運転ができない。いやうちへ忘れてきたのです、きょう忘れてきているのですと言っても、免許証を持っておらなければ無免許運転、こういうことになって処分される。ところがこれはまあ無免許湛水ですよ。ことばをわかりやすくいえば無免許湛水。無免許湛水ということで平然と関電は行なっておる。また長い間それを役所のほうは見過ごしてきておる。検査なら検査で一たん水をためて、試験が終わったらすぐ一たん湛水した水をすっかり放出さして、それで検査としての湛水をやるということならいい。検査を終わりました、もうほかに問題がありませんというような報告をしておりながら、いま局長はいやまだ湛水荷重試験は残っておるのです。こういうふうなことは私たちには受け取れないのです。その点がずいぶんあいまいで、運営がルーズであると思います。そんなことならいま荷重試験をやっておるのだということで、まだ完工検査が終わったという報告は上のほうでは出ないはずです。だから上のほうでそういうものが出ておるということは私ども不可解でございますが、そういうことがどうも運営がなれ合いだ、さすが関電さん、日本で法人所得税のトップかセカンドバッター、何といいますか、日本銀行がトップで関電さんが二番だというような、法人所得税のトップバッターに頭を並べるような方でありますから、役所なんか眼中にない。だからそういうふうな文書をもらわないでも平気でダムの無免許操作をやる。われわれでありますと自動車の運転免許をやられたらかなわぬから、忘れたらどんなことがあっても運転免許だけは取りに帰って自分のポケットに入れなければ自動車の運転はいたしません。そういうような、やっぱり片一方は会社の大きな組織を背景に平気で無免許湛水をやるし、また役所のほうもそれを平気で見過ごしてきて、それを慣例として見過ごしていたことの言いわけに、そういう荷重試験は水をためなければできないから、こういうような弁明をなさるということになってまいりますと、これは非常に運営がルーズであると言われても、これは大臣、しかたがないのじゃないかと私は思います。そういうふうな両方のルーズさが中間検査のルーズさにもなる。私はそのことが問題だと思うのです。あるいは中間検査のいろいろ報告なんかを見る、その見る目もルーズになって、ここから出てきているのだ。関電のやっていることだからぐっとまかせておいたらだいじょうぶだ、こういうことですうすう文書や報告書やいろいろなものがフリーパスで出ていく。そしていま工場でいろんな材質検査が行なわれておる、たとえばアームがこれで十分な硬度を持っておるかどうか、あるいはまたピンがどのような安全率を持っておるかということを工場検査してあると言いますけれども、工場検査はしてあるのかしてないのか。ピン検査なんかは、この構造を見ますとピンが一番重要なんですね。そして破壊した——いまの局長の説明によりますとピンが飛んでいるのですよ。だから六百四十八トンという水圧が両端のピン二本にかかっているのです。そのピン二本に六百五十トンの水圧がぐっとかかって、それを絶えず受けていなければならぬようなピンについては、それはもう念の上にも念を入れてそれが安全であるということを確認しなければいかぬと思うのです。だからそういう点についてどの程度検査をやり、どの程度監督をやられたか。検査を会社で工場でやっているときに当然建設省のなにが立ち会わなければならぬと思うのですが、そういうことをおやりになっているのか、おられないのか、やった報告が出ておるのか出ておらないのか、そういうことを私は伺いたいのです。
  25. 西村英一

    ○西村国務大臣 これはいま言ったとおり建設省監督というものは河川法の三十条によってやりますから、電気事業法監督もまた二重にかぶっておることになる。いま調べたものを見ますと、通産省関係の大阪通産局、これは途中でたびたび行っておる。建設省監督がたびたび行っておるのか行ってないのか、まだこれはわからぬのです。最後の二十六日の検査には行ったのですけれども、それの前に工場試験へ行ったのか行かないのか、ちょっとまだわからないのです。いずれにいたしましても、最終の荷重試験というものは、ものによってはできないものがある。だからその荷重試験をやって合格とするのが、ものによっては荷重試験といったってできませんよ、試験じゃない、実働になりますから。その辺の区分というものは、私の聞くところではどうもはっきりしていないのです。ただ私はいまもう少し調べてみたいのは、大阪通産局の人はこれは電気事業法で行かなければならない。これは電気の発電所だけではありません、ダムのほうもやっぱり電気工作物の事業に含まれておるからそれは行っておるらしい。そのときにどういうようなデータが出ておるのか、建設省の係官が、監督官が材料試験に行っておるのか行ってないのか、この点はまだわかってないのです。したがいまして今後もう少し調査をいたしまして御報告申し上げたい、私はかように思うのでございまして、事と次第によっては荷重試験はできないものもあるのだ。荷重試験をしなければ通らないのだということになりますれば、実際問題としてできないものがあり得るわけです。すべてのものにあるわけです。したがいまして、その辺のけじめはどうもはっきりしていないようでございます。  もう少し私は不安、不審なところがあるのですが、それはちょっと私はここで言うのをはばかります。なぜかと申しますと、いま警察当局がこれを調べておる最中でございます。ものが引き揚げられないのは、まだ現状を動かすことができないのです。刑法上の過失致死罪の問題もありますから、したがいまして、私の所見をここで簡単に申し上げると誤解がありますから、もう少し慎重に調べてからと、かように私も思っております。
  26. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 いま河川局と通産省、見えていますね。通産省建設省両方から、いま言ったような工場で材質検査をやるときに、それぞれの係官が当然立ち会われるべきだと私は思う。構造的に一番重要な少なくともピンとアームについては、どんなことがあっても事故が起こらないように十分な硬度を持っているように、材質検査のときに立ち会って、その報告がきちっとその過程で行なわれておらなければならぬと思いますが、その点いかがでしょう。
  27. 安達次郎

    安達政府委員 ただいまのメーカーからのいろいろな材料の検査には、通産局の担当官は、今回のケースにおいて立ち会っておりません。そうしてこれは発電設備のうちでももっともっとデリケートなものといいますか、質的な条件がうるさい火力の設備などにおきましては、一部製作段階でそういう資材の材質なりあるいはそういう面での工場検査などに立ち会っているケースも場合によってはあるわけでございますけれども、今回のこの和知ダムの場合には、ゲートについては立ち会っておりません。今度の原因究明の結果、もしもいま想像されておりますように、ピンまわりのそういう製作過程あるいは材質の問題などに今度の事故の主たる原因があるだろうというような結果がはっきりしてまいりました暁には、当然そのような途中のメーカー段階での検査などにもあるいは立ち会うというような方式を確立しなければいけないかと考えております。
  28. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これはどうも発電ダムでありますから、直接の監督通産省だ、だから建設省はあまりそういうものに立ち入るのは遠慮するのだということで、通産省が行っていられないくらいなら建設省はもちろん立ち会っておられないと思うのです。しかしいま局長からもお話があり、また大臣からも、とても荷重試験なんというものはできるものではない。おっしゃるとおりです。私もそう思うのです。だから、ぶっつけ本番が荷重試験になるということになって、その荷重試験に耐えられない、試験に落第だったら大災害が起こるということになるのです。そんなものはもう荷重試験でも何でもないのです。これは本番なのです。そういう意味で、工場における検査というものが一番大切な荷重検査にかわるわけです。ところが、いまの話でありますと、係官は立ち会っておらない。それではどういう検査をやりましたか。どういうテストをやって、どのような成績でございましたか。報告が出ておりますか。
  29. 安達次郎

    安達政府委員 普通、湛水検査の場合には、もちろん湛水のために必要な各種の検査が行なわれるわけでございますけれども、そのうちの特にゲートなどにつきましては、ゲートあるいは放流管などの材料なり施工方法などを検査して、先ほど申しました省令で定められております水力設備の技術基準、それから先ほど建設省で言われました鉄管協会等の技術基準内容は大体同じでございますが、そのような技術基準に合致しているかどうか、定められているような材料を使用しているかどうかを確認することになっております。これは大体メーカーの、鉄材、鋼材でありますと、製鉄業者のやりました試験成績表、これはJISの制度による検査方法による検査の成績表が全部ついております。こういうものは全部現場において整理されておりますので、こういうものを文書によって確認するとともに、戸当たり、先ほどのダム本体ゲートとの接触部分でございますが、戸当たりあるいは固定部などにとびら本体が適正な据えつけが行なわれておるかどうか、これは現場の確認ができます。それからそれらを検査いたしまして、工事計画どおり行なわれておるかどうか、それから次は無荷重、負荷のない、水のないところでいわゆるこのゲートの上げ下げのテストをいたします。そしてその場合に巻き上げ機のモーターにいわゆる設計どおりの数値以上の負荷がかかるかどうかということによって、いわゆる戸当たり部分の過度の摩擦があるとかあるいは異常な振動があるとか、そのようなものがないことを確認するということにいたしております。なおその場合、動力設備につきましては、もしもの事故の場合などを想定いたしまして、予備動力設備による検査もあわせて行なっております。設計どおりのスピードで上げ下げができるかどうかの検査をいたしております。   〔委員長退席、廣瀬(正)委員長代理着席〕
  30. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 問うていることにぴしっと答えてください。そんなことを私は聞いていないのです。一番大事なピンとアームの検査をやるときに工場で立ち会っていないというのなら、そのピンとアームについてどんなテストをやったかということの報告が出ているかと聞いているのです。
  31. 安達次郎

    安達政府委員 先ほど御説明しました材料についてのいわゆる文書による検査、それをいたしておるだけでございます。
  32. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 それではその材料について出てきた報告書をきょうすぐ私のほうに出してください。私は、材料については会社からそのピンを持ってきても、そのピンについて何らの検査をおそらくやっていないんじゃないか、こう思うのです。だから、その一番かなめになるものについての検査が十分でなかったからこんな事故が起こったんじゃないか。今日ではいろいろな検査について、たとえばそれは鍛造でつくるのか鋳物でつくるのか私は知りませんが、とにかくでき上がったものの密度にどこにも不均衡がないということでなければいかぬので、そういうことを調べるためにはアイソトープを使ったりレントゲンを使ったり、いろいろなことをして調べる方法もできているのですね。だからアームにしても、六本くらいのアーム、そんなものは、すっとレントゲン、アイソトープで調べるのだって何でもないことですし、あるいはまたピンなんかことに小さいのだから、検査するのは何でもないのですよ。また、私は技術上のことは存じません。しかし鋳物でつくるより鍛造でつくったほうがじょうぶに違いないと私は思っております。ですから、こんな重要なピンなどは鍛造でつくるということでなければいかぬと思うのですよ。だから、はたして鍛造でつくられているものか鋳物でつくられているものか、そういう点についてもあなたのほうできちんとした検査があるべきであって、強いが上にも強くするというふうにしなければいかぬと思うのです。そういう点についてもあなたのほうでいままで業者まかせであった。関電にまかせ切っておった。今度は関電関電で発注したところにまかせ切っておる。そんなものをつくっておるところは案外中小企業かもしれぬ。下請下請でいって中小企業でつくっておるかもしれぬ。そんなふうなことで下流にこれだけの何万、何十万という人口のあるところの河川が安全性が確保できるかという問題になってくるわけです。私はいま二人というよりも大臣からのお話を聞いて、これは通産省がやっておるのだ、建設省はどちらかといえば発電ダムについては従たる立場にあるのだということだったが、しかしながら大臣、この点は重要な問題ですよ。少なくも河川管理者として河川の流域の住民を水害から守る、災害から守るという意味においては、河川管理者というものは徹底的な何かなくちゃいかぬわけです。それでかつてこの河川法が改正になったときも、これが動機だったのです。河川法が改正になったときは相模川のダム操作が問題になったのです。河野さんが建設大臣になられて第一回の委員会だった。相模川のダム操作の誤りで一斉放流してしまって、そのために七時間後に山津波が下流にきて釣りをしていた数人が死んで、それで川にくい打ちに出ておった人夫が急に増水したために逃げられなくなってくいにしがみついておるのを助け出したという事故があったので、これはおかしいじゃないか。相模川のダム管理者は知事だ。そして河川管理者は知事で、同時にダム管理者も知事だ。そんなことでどうして監督ができるのだ。このようにダムがたくさんあちこちにできてきたら当然河川法の規定の中にダムをどうするかということの規定を入れなければいかぬということから、治水と利水がこのように姿が非常に変わってきたから、時代に即応したものにしなければならぬということで河川法の大改正になったのです。ところがいままた同じような問題が出てきておるわけです。発電ダム管理については河川管理者管理が十分に行き届いておらないということなんです。通産省にまかせ切りなんですよ。そんなことでは困るですよ。これは何としてでも河川の安全性というものは建設省できちんと管理してもらわなければ困る。通産省にまかして、通産省は業者にまかせ切りだ。業者は下請にまかせ切りだ。そんなようなことで河川の安全性、ダムの安全性というものが保てますか。特にこの河川法の中にはダムに関する規定をたくさん入れまして、そして、これについては河川法改正のときに、ダムの問題について、ダム監督についてずいぶん与野党との間に意見が違ったのです。それでダム操作についてはダム河川管理者が命令できるようにせよというふうに私らは主張したのですが、指示できることにしてしんぼうしてくれというふうなことで——これは上田整備本部次長が局長のときでしたね。そうじゃなかったですか。それでわれわれはそういう指示なんというふうなあいまいなことでは反対だということで、河川法のときにダム管理についての問題でずいぶん激論したのです。そういうふうにダム管理はいわくつきの問題です。今日なおこのようにダムをつくる段階からかようなルーズなことでダムがつくられておるというところに、今度の事故原因がある。大臣どうされますか。こんなことをこれからも続けていくつもりですか。どうなんですか。建設省が業者の立場に立って通産省に遠慮しなければならぬことはない。ダムをつくるときから仕上げるときまで終始建設省がきちっと責任を負ってもらわなければ、下流住民は安心できません。そういう意味でこれは必要があれば法律改正もしてもらわなければならぬ。これは当然政令の改正もやってもらわなければならぬ。そういうダムの安全確保のための政令をつくる、そういうふうな点について建設大臣いかがお考えになりますか。
  33. 西村英一

    ○西村国務大臣 両方で監査の責任がある。それが強化されるならいいけれども、両方で遠慮し合っている。こういうあいまいなところは通産省も監査をする。その上に建設省も監査をする。強化されればいいけれども、非常に責任の所在といいますか、そういうところが弱点なんです。したがいましてこの点につきましてやはり建設省といたしましては、もうたくさんなダムができておるのでありますから、十分ダム管理につきましては、電気事業法でどうあろうとも、徹底的な責任河川管理者は持たなければならぬという体制をとらなければならぬと私は思っております。私の言うことわかりましたか。(笑声)
  34. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 それでは通産大臣が最終的な責任をこの事故に対しては負うべきだとあなたおっしゃるのですか。
  35. 西村英一

    ○西村国務大臣 そうじゃないのです。法律では両方で監査をするということになっておりますから、非常に強化されておるように見えるが、それがあにはからんや非常に責任の所在が不明確になって両方とも遠慮し合っておるというような結果がややともすると生ずる。私も長い間官吏をやりましたからその辺のことはわかっておる。したがいましてそういうことが役所に反映するとたいへんでございますから、河川に関する限りは河川管理者が十分責任をとる体制をつくりたい、かように考えておる次第でございます。
  36. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そこでもう一つお伺いしますが、このダム操作を始めるときには、四十七条の規定によりまして操作規程をつくらなければならぬ、建設大臣承認を経なければならぬということになっておりますが、この操作規程建設大臣承認されたかどうか。さらにまたその承認を経るときには知事の意見を聞かなければならぬということになっております。京都府知事の意見をお聞きになりましたかどうか。その二点どうなっておりますか。
  37. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 操作規程につきましては、先ほど御報告申し上げましたように、四十七条に基づきまして五月十九日にダム操作規程承認申請関電から出てきております。それで四十二年の六月二十二日にダム操作規程承認申請地建局長を経由して本省に到達しております。当然その間におきまして知事に意見照会しておるというふうに考えます。それで六月二十八日ダム操作規程承認いたしまして、七月三日に地建に到達いたしておりますが、関西電力にはまだ未交付でございます。
  38. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、そんな未交付状態ダム操作をしておる。これは通産省どうなんですか。そんなことはすべきことじゃないですよ。こんなことは法律を完全に無視しているじゃないですか。操作規程をひとつ御承認願いたいと申請をした。その申請はなるほど順に上に上がって下におりていく途中であった。おりていく途中であっても無免許のものですよ。操作規程もまだ許可されておらぬのにダム操作をしたというようなことは、これは自動車の無免許運転と一緒ですよ。そんなことやらしていいですか。通産省がそんなルーズなことをやるからこんな事故が起こるのですよ。大体すべてが無軌道というよりしかたがない。こんな法律、規程は要らない。何でも好きなようにしたらいい。そういうことをやるからこういう事故原因になる。法律の執行者たちがでたらめな法律の運営をしておって、それでもって秩序が保たれますか。
  39. 安達次郎

    安達政府委員 電気事業法系列におきましては、河川法ダム操作規程と大体同じような内容の規程を保安規程として会社が定めて、これを通産大臣に届け出ることになっております。この保安規程はダム一つごとにつくられて、届け出るわけでございますが、これはダム使用する前にということになっております。また、電気事業法系列では竣工にはなっていないわけでございます。これは、ダム自体はできましても、湛水検査までは終わりましたが、あとこれから後にいろいろな電気関係の諸施設なりゲートなりの有荷重試験なり、そういうことをやりまして初めて電気工作物としての竣工ということになるわけでございます。それがあって初めて電気事業用の電気工作物として使ってよろしいということになるわけでございまして、それを本格的に使うまでにその保安規程を提出する、届け出るというたてまえになっておりますので、間もなく関西電力から出てくる時期ではあろうと思いますが、ただいままでダム操作規程内容の保安規程は提出されておりません。
  40. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 河川法によりますと操作主任を置かなければならぬということになっておりますが、これは操作主任がすでにおったのかどうか。それから、このときにダム操作した人、名前は何という人か、新聞には出ておりましたが、それは操作主任でないのか、その辺いかがなっておりますでしょう。
  41. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 ダム操作主任は未確定でございまして、届け出はあっておりません。
  42. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これは建設大臣どういうことですか。何といっても、これは操作しているのですよ。そして、流木が来たから——水が満ぱいになった。私が通りましたときには、少しゲートをあけまして、そこから水がきれいに噴水のように出て、横に飛んで、放流されておりました。それで車をとめてみたかったのですけれども、急いでおりましたから、車をとめずに行きました。とにかくばあっと放水されておりました。そうしてダムの放水をしておるところに流木がたくさん来たので、一部ゲートをあけて流木を流したいというので、なにを締めて——しかも、どうして流木を流すつもりだったのか知りませんが、とにかく流木というのは上に浮いたものですよ。上に浮いたものは、ゲートをあけなければ、流木は流れませんよ。ここから相当の水が流れることになるわけなんですね。そのことのなには別として、私から言わせれば、いま流木がたくさん来たから、流木を流すためにダムをあけようと思った。それでいま四門とも少しあけていたわけです。水を飛ばしていたわけです。ところが、たくさん一つゲートから流す必要があるから、ほかのを全部締めて、一本だけうんとあけるつもりだったんでしょう。そして流木を流すつもりだったんでしょう。そんな流木は、水門をあけて流木を流すだけのことをやれば、下流に急速な大きな増水が起こって、おまけにそこへ流木が流れていく。そういう危険な操作にいまから入るという段階だったわけですね。そこで飛んだわけです。ところが、そういうような急激に増水を起こすときには、すでにサイレンを押していなければいかぬわけです。そのダム管理者が、流木を流すということなら、満ぱいになにしなければ流木は流れません。しかも、流木を流すということが下流にとっていかに危険なことかぐらいは、これは川をちょっと知っている者なら当然わかっていることですね。そういうようなことをやるのに、サイレンも何も押さずにそういう操作を始めているのです。そうして事故が起こってからサイレンのブザーを押しているのです。なるほど新聞の報道を見ますと、事故の起こった後の警報操作は非常に適切であったと京都新聞は報じております。京都新聞だけです。それを書いているのは。ほかの新聞を見ている段階では、警報車が走った、サイレンが鳴った、ということは書いてなかった。私は、あわててサイレンも押してないのではないか、あるいはサイレンもできておらなかったのではないか、こう思っておったのです。ところが、サイレンは押された、同時に警報車を出してずっと周知徹底をやったので、被害者は一人で済んだ。これはその方にはお気の毒です。しかし不幸中の幸いです。五十人ほど川におりていたのが、一人で済んだのですから、これは非常な不幸中の幸いです。しかしながら、それは、吹っ飛ばなければどうなったかということです。吹っ飛ばずに流木を流したらどういうことになったか。そのときには、無警告にざあっと山津波がおりてくる。それは吹っ飛んだときには一挙に出ますが、ゲートを上げるのにちょっと時間がかかります。それにしたって、ゲートをあけたらざざざざっと来ます。そういうようなことになるのにサイレンを鳴らしてないのですよ。  そして、いま局長に聞けば、ダム管理者は未確定だ、おらなかった。それはダム操作専門家がおらないのですよ。河川法をその人は知っておったか知らなかったかわからぬです。ダム操作の規程はまだ受け取っておらぬ。だから、操作規程というものはそのダムにはないのです。だから、その操作をした人は、操作規程も何もなしに、ただちょっと水のたまっておらぬときの動かしようを知っておったから、水のたまっておるときも、水のたまっておらぬときも、動かしようは同じだと思って動かしたかもしれない。  そういうことになると、私は専門家じゃないから、現実ダム操作したことないから、知りませんが、しかしながら、考えてみても、そんな流木を流そうというふうなことを考えること自体が大きな間違いですよ。局長、そうでしょう、私の言う意見に間違いありますか。
  43. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 お答え申し上げます。  実は流木を流すということではなくて、第三号ゲートが三十センチあいておりまして、それを締めまして、第四号ゲートの上のほうに、高さが二メートル、幅が四メートルのじんかいゲートというのがあるわけです。そのじんかいゲートからじんかいを流そうとしたときにその事故が起こったということでございます。だから、ダム全体をあけたわけではないのです。そういう流木を流すときに、ダム全体をあけるわけではなくて、じんかいを流すために流芥ゲートと称するものがありまして、そこから流すわけでございまして、その流れる場合には流量は比較的小さいものでございます。
  44. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、第三号ゲートは締めて、じんかいゲートをあけようとした瞬間に起こったのだ、こういうことですか。
  45. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 そういうことです。
  46. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 じんかいと流木とどう違うのですか。流木を流すと新聞には報じていますが、それは新聞の報道の誤りであって、きたなくなっているからごみを流す。しかし、川だから、大きな、太いごみもあるのだ、こういうことなんですか。流木を流すということは下流の人にとっては非常に危険なことですよ。
  47. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 通常、大きな流木につきましては、そこで引き揚げるということになると思います。先ほど説明申し上げましたように、流芥ゲートは、高さが二メートル、幅が四メートルでございますから、大体においてじんかい程度あるいは流木でも小さいものということになると思いますが、完全に小さい流木まで取ってしまうかどうかということはちょっとわかりませんけれども……。
  48. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 建設大臣、いずれにいたしましても、それも一つダム操作ですよ。そういうようなダム操作を、操作主任なしにやっているのです。ダムについての専門家なしにやっているのです。そんなことは、これはものすごい河川法違反ですよ。そういうことを建設省は見過ごしておくのか。それではこれはだれの責任ですか。操作規程の渡らぬ間にそういうふうな貯水をすることを黙認しておった建設省責任なのか、あるいは操作規程もできていないし、操作主任もきめておらないのに、操作専門家でない——だから命令を受けておらぬわけです。ハンドルくらいは、操作主任の命令を受けて、だれが動かしてもいいのですよ。しかし、それはやはり専門家の指令を受けてやらなければならない。それじゃこのダムの所長はすでにきまっておったのですか。ダム管理者はきまっておりましたか。そのダム管理者がきまっておって、ダム管理者の命令で何をやったのですか。そうするとダム管理者は操作主任を任命せずに、操作規程も持たずにダム操作をやったということになりますが、そうなると、これは非常な責任ですよ。とにかく、操作主任をつくらなければならぬということは、きちっと河川法の五十条の「管理主任技術者の設置」というところで、ダムを設置する者はその管理主任技術者を置かなければならぬ。そして、置いた場合には、それを建設省に届けなければならぬということになっておるのですね。そういうことも何もせずに、現実ダム操作をしているのです。だからこれは河川法違反で、ダム管理者が今度の事故の最大の責任を負わなければならぬ。それでは、そのときのダム管理者はだれですか。
  49. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 関電報告によりますと、ダム管理主任技術者というのは、石田さんという方が関電の内部で命ぜられておるようでございます。その下に中村操作員という方がおって、現実操作をやられておるというようなことでございます。   〔廣瀬(正)委員長代理退席、委員長着席〕  ただ管理主任技術者の具体的な事務手続はまだ終わっていないということでございます。
  50. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 それでは、石田という主任になる予定者は、そのときに現地に行っておったのですか。
  51. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 現地におりました。
  52. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 現地におっても、これは無免許運転ですよ。そうすると、これは明らかに五十条違反です。三十条にも違反をしている。そういうような幾つかのことが重なって、それをお互いに既成事実だ、いままで始終やっている、慣例に従ってやっているんだというふうなことでなれ合いをやるから、だからこんな事故になったのです。しかもこのなには、そのアームやピンの一番重要な——今度折れたピンですね、いまの報告によれば、これはピンが折れたにきまっております。その折れたピンをつくったときには、その材質の点にも何にも、検査のときには立ち会ってもおらぬ。ピンの硬度、安全性というものは全然測定もしていない、こういうようなことでダムをつくるから、こういう事故が起こったということになると思うのですね。だからこれは、いまも大臣がおっしゃいました、両省にまたがっておるからいかぬ、建設省はこれから遠慮しません、これは、これからきちんとしたところのなにをやっていただかなければいかぬ。あとでまたもう一つ問題点を出しますから、それと一緒に、これは制度的なものをきちっと確立をしていただかなければいかぬ。  そこで、もう一つお尋ねをいたしますが、そのダム本体の問題です。ダム本体の建造中にどれだけの検査をやっておられるか。たとえば赤坂見付のところで首都高速がつくった、鉄筋を抜いてあった、西松建設がどんどん鉄筋を抜いて、骨抜きの高架道路をつくったということで、一時問題になり、この委員会でも問題になりましたが、それでは骨抜きのダム本体をつくったらどうなりますか。だから、このダムは全然骨を抜かれておらぬということを、後世にはっきり残せるような検査が行なわれているか行なわれておりませんか、それをお伺いします。
  53. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 ダム本体につきましては、当初岩盤検査を実施いたしました。岩盤検査通産省と両方立ち会いまして行なったわけでございます。その後の中間の段階において、私のほうは検査は行なっておりません。ただ、先ほど申し上げました完工検査段階におきまして、写真等によりまして、どういうぐあいに行なわれておるかということを確認しております。
  54. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 いまの写真はぜひとっておいていただかなければいかぬと思いますが、しかしながら、やはり鉄筋でも、写真だけでは十分確認できないと私は思うんですよ。だから、鉄筋を写真で数を数えなさいといったって、これはなかなか数えられませんよ。現地へ行って数えれば数えやすい。だから、そういう意味では、やはり中間検査を何回かたんねんにやっていただかぬと、アームやピンゲートが飛んだ、もし圧力に耐えかねてダム本体が崩壊してごらんなさい。これはもうそれより以上の大惨害が起こってきますよ。そういうことがないようにするためにも、その点建設省は、河川管理者として十分そういう検査もやるようにしていただかぬと、これは通産省発電ダムだから、建設省はあまりくちばしを入れたらいかぬ、こんなことでは困る。だから、ダム構造に関する規程、それからまた監督に関する規程、こういうものをきちんとつくって、河川管理者がこういう形で監督し、こういう形でなければダムの建設は許可いたしませんというような、たとえば道路構造令があるように、ダム構造についてもなくちゃいかぬと思いますから、その点ひとつ建設大臣にぜひ配慮していただきたい。  それで私は、このテンターゲートにつきまして——私もダムを、テンターゲートを見にも行きました。しかし、ここまでこまかいことを——こんなものがこわれるなんて思ってませんから、そんなこまかいことまで見てこなかった。そこで、ゲートが飛んだと聞いたときに、どうしてそんなものが飛んだか。おそらくみぞの中に入っているに違いない、こう思ったわけですよ。両端が、ダム本体の中に水をえぐってみぞをつくって、そのみぞの中でもって上がったり下がったりしておる、こう思ったわけです。だから、みぞの中にあるものが、かりに飛ぶというふうなことになれば、ゲートそのものが折れなければ飛ばぬですね。どうして飛んだかなと思っておりました。ところが、新聞テンターゲート構造が書いてありますが、なんとみぞなしなんですよ。だから、ピンが折れたらぱあんと簡単に飛ぶようになっているのです。あれを受ける側に、うしろ側ですね、向こうから水が来ておる、ゲートがある、ゲートのこちら側に、たとえ三センチでも五センチでも、ダム本体を突出させておいて、ばっと来たときに、がちっと受けとめるようにしておけば、つまりみぞになるわけですね。向こう側はみぞは要らぬかもしれません、水圧のかかる分は。しかし、こちら側に受けるものがあれば、ダム本体が受けられるような構造にしておけば、かりにピンが折れたとしても、ぱちんとすぐそれでとめられて、もう飛ばないんです。当然そういう構造でなければならぬ。ところが、もうピンの安全性にたより切って、それで飛んだのです。自動車を坂道でとめますときには、まずサイドブレーキを引きます。それだけでなしに、エンジンブレーキをかけます。それでもいまのジョイントが折れたり、そういうことのためにすべるようなことがあるといかぬから、車に歯どめをかけます。どの車でもこのごろみんな歯どめを持っておりますよ。そういうようなことで、坂道に自動車一つとめるのさえ必ず歯どめというものをかけるのです。だから六百五十トンの水圧を受ける、六百五十トンという圧力はものすごい圧力です。そんなもので絶えず押されているのをピンだけでいつも受けておる。それは一つ間違ってピンが折れたときにはどうするのかということは当然考えておかなければいかぬですよ。だから当然そんなものは常識として、しろうとの常識でみぞの中にゲートが入っているものと思っておりました。ところがみぞの中には入っておらぬのですよ。それがこの事故の最大の原因です。ピンが折れるということはこれはあり得ることですよ。当然考えなければいかぬですよ。それを考える必要がなかったら検査も何も要らぬですよ。そのための圧力検査やから、荷重検査やから。——荷重検査ということは折れる心配があるということです。だから折れる心配があるなら、それなら、もし折れたときにはどうするかという二段のかまえがなければいけない。絶対折れませんだけでは通らぬですよ。そのためにはやはり構造上の安全性というものをつくっておかなければいかぬ。それがないんです。それは初め、発電ダムというようなものは小さいものから始まりました。小さいものから始まってだんだん大きくなってきたのです。大きくするときにピンさえ大きくすればそれでいいのだということで、構造の安全性をあまり考えずにだんだん大きくしてきた。一体何トンの圧力まではこういうふうなピンで受けてもいいのか、こういうようなゲートでいいのか、これよりももう一つ大きなやつになるとみぞの中に入っているのですね。たとえば天ケ瀬とか、そういうものはみぞに入っているのではないですか。大きなダムになるとみぞに入っている。だからみぞの中に入れなければならぬのと、みぞなしにいいというのと限界がきまっていないのです。何トンまでというのは法律上も何も規定がない。政令上の規定もない。そういうふうな安全性というものの制度上、法制上の安全性の規定がないから、だからこういう事故が起こってきたのです。したがって今後は当然ダム建設についてはダムの安全確保に関する政令というような形で、材質検査をどうやる、それから本体検査はどういうふうにやる、それからまた構造はこうでなければいかぬ、必ず歯どめをかけてそんなものは飛ばぬようにする、岩盤の検査もどういうふうにやるというふうないろいろのなにを——現在は技術者の良識にまかせてあるのです。技術者の設計にまかせてあるのです。だから技術者がいろんな力学的な、またどういう学問か知りませんが、力学的な検査あるいは工学的ないろいろの考え方に基づいて設計をしたら、その設計で安全だという考え方に立っているわけです。しかしこれはいかなる人にもやはり読み違い、計算違いというものもあるし、サルも木から落ちるということもある。だからそれでもなおかつ安全が確保されるというような、これだけのことさえすればもう絶対に安全だろうというふうなことを、あらゆる角度から考えたところのダム構造基準、こういうものを私はつくらなければいかぬと思うのでありますが、大臣いかがお考えになりますか。
  55. 西村英一

    ○西村国務大臣 技術上、日本の技術は相当に進んでおるのですが、こういう簡単なことが事故を起こすようになればたいへんだと思います。したがいましてやはりセーフティファーストでございますから、安全第一でありますから、あらゆる場合にやはり安全第一を考えなければならぬと思います。したがいましてそのピンの強度についてセーフティ・ファクターが強くても、それはやはり間違いがあることもあり得るということでございますから、さらに構造上の点につきましては、専門家の方々にも注意を喚起したいと思います。  いずれにいたしましても、河川管理者といたしましては、河川による被害、ことに人畜の被害ということは重大な問題でありますから、——電気事業は使用者でございます。河川を使う側でございますから、河川に対する被害はあらゆる場合に河川管理者責任を負わなければなりませんから、今度のこれを契機といたしまして、さらにダム管理、それから検査の方法等、あらゆる問題につきましてひとつ検討を十分に遂げたい、かように考えておる次第でございます。
  56. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 私がいま申した河川管理者責任体制というものを明らかにする、そういうふうな点で、これはもう必ずそういうふうな法制的な安全性のための方策をとっていただくように特にお願いしておきたいと思います。  その次に、このダムをこれからどうするかという問題があると思う。このまま使わすのか、あるいは当分使わぬで置いておくのか、あるいはどういうふうに使わすかというふうなことでございます。これは原因が明らかにならぬとわからぬというお答えが出るに違いないのでありますが、しかし、やはり基本的な姿勢というものがなくてはならぬ。せっかくつくられているので、これを少し改良して、それでいまの安全が確保されるというふうなことにした上で使われることになるのじゃないかと思うのでございますが、建設省としてはいかがお考えになっておられますか。
  57. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 御指摘のように原因をはっきり究明いたしまして、どういうような点が欠点であったかということを十分調べてみたい。その結果、ダム水門の安全性を確保することができるような措置を、できれば現在使用しているものをさらに改良いたしましてやっていくようにしたいと思います。できなければ廃棄になると思いますが、それがきまるまでは当然ダムゲートはあけたまま、自然流下のままで置かしたいと思っております。
  58. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 なお、こういうふうなダムもたくさんあるのです。ところで、日がたっておりますから、やはり日がたてば、アームなんかもそうでありますし、ピンでも腐蝕してくる。ではいままでつくったあとのアフターケア、それをどういうふうにやっておられましたか。年一回か半期に一回定期検査を、安全性について既設のダムではおやりになっておるのか、おらないのか、その点はいかがです。その責任通産省建設省か、どっちがやるのですか。
  59. 安達次郎

    安達政府委員 御指摘の既存のダムのアフターケアというのは事実上あまりやってないようでございます。今度の特にテンターゲートを使っている実例は数は相当多いはずでございますし、今度の原因究明の結果ともにらみ合わせて、やはり既存のダムの再点検などの点は別途検討しなければいけないと考えております。
  60. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 実は、先ほどお話をいたしておりました背中合わせの日吉町、そこに現在天若ダムというのがあるのです。これはテンターゲートですね。あの天若ダムを埋没さして、今度、より大きな日吉ダムをつくろうということになっておる。その天若ダムダム操作で水害が起こって困るという下流からのいろいろな苦情が何べんもあったものですから、私は天若ダム構造を見に行きました。そのときに、天若ダムダム操作をする人といろいろ話をしておりましたら、とにかく洪水で満ぱいになってあふれそうになってきた、ピンが飛んだら困るのでゲートをあけるのです、洪水になって、あふれさしたらダムがあぶないからあけるのだ、こういうことです。あふれるほどの満ぱいの水で大洪水やというときに、そのダムをあける操作というものは、ものすごくこわいというのです。というのは、おそらく水圧でどっどっとゆれるのだと思うのですよ。ものすごいこわいものだということを言っておりましたのを私思い出します。それほどきつい水圧をそのピンが耐えているのです。ピンがささえているのです。とにかくそれはこわい、おそろしいものだそうです。それだけの水圧をささえるようなピンを、私はそれがピンでささえられているとは思わなかったのです。しかしピンでささえられているとすれば、なるほどそれは危険です。いまさら私もその構造をもっと勉強して帰らなければいけなかったと思うのです。長い月日——たとえば天若ダムなんか大正年間につくられている。だから三十年も五十年も百年近くもなってきているようなものが、月日の間に相当な腐食をしたり操作のたびに摩滅してくるということはあります。それは定期的な検査をやっておらぬ。私はせめて年に一回ぐらいの定期検査はやられているのかというふうに思っておりましたが、定期検査はやっておらない。自動車ですら二年に一回定期検査を受けぬと運転できぬのです。下流に何万という人間をかかえてその安全性をこれでささえているのですよ。その安全性をささえておる重大なダムゲートに定期検査が行なわれておらぬというようなルーズなことでどうしますか。そういうようなルーズさが今度の事故原因です。建設大臣、どうされますか。これはやはり定期検査もきちっとやる。これはもう通産省にまかすわけにいかぬです。建設省でやってください。河川管理者でやってください。河川管理者はきちっと定期検査をやる。こういうことをやってもらわないと、下流住民は安心してダムの下に住んでいられません。それができないというなら発電ダム全部運転停止してください。テンターゲートはもう全部当分お預け、全部使わぬ、こういうふうにしてもらわぬと下流住民は安心できません。これは一斉に検査をして、安全性が確保されて、その上でなければテンターゲートは使わぬ、こういうことにしていただかぬと、下流住民は安心できませんが、建設大臣いかがですか。
  61. 西村英一

    ○西村国務大臣 そういう議論は起こっております。私のほうもこれはいかぬぞ、やはりこういうことがあり得れば、あなたのお説のようにたいへん心配だ、どうすべきかという議論が起こっております。したがいまして、検討してみたいと思います。
  62. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 通産省、異議申されませんね。いやおれのところで監督しておるダムを、そんなもの困る、通産省がそういうことを言われたら困ると思うのですが……。
  63. 安達次郎

    安達政府委員 ダムのアフターケアの政府の検査は事実上従来は制度的にやっておらないわけでございますが、今後安全、保安確保のためにそういう道が開かれれば、これは当然今度の事故に対する反省として政府として検討しなければならぬことだと思います。この場合どうも通産省はあまり御信用がないようでございます。これはやはり発電用電気工作物の一部でございますし、電気工作物としてそれが社会的ないろいろな害悪を与えるようなことがあっては、これは電気事業としての監督上もゆるがせにはできません。そういう意味では、河川管理者としての河川法監督者の建設省とよく御相談の上、私たち責任を十分果たしたいと思います。
  64. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 御相談の上で責任を果たしたいということは、通産省でやりたい、こういうことですか。
  65. 安達次郎

    安達政府委員 いいえ違います。そのようなことは考えておりません。このような保安の問題でいわゆる権限争議的なそのような感覚は毛頭持っておりません。
  66. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 それでは、いまいろいろ議論いたしました議論の成果に基づいてきちんとした政令をつくっていただいて、それでもってダムの安全が確保されるようにしていただく、それに対しては通産省も全面的な協力をしていただく、こういうふうにお願いいたしたいと思います。  それでは、委員長、以上でダムの問題についての質問を終わりますが、近畿圏保全区域整備に関する法律案、これを私は担当して審査するようにということでございまして、これは槌より柄が太うなったということで時間を食ってしまいましたので、あと簡単に保全区域整備に関する法律案についてお尋ねをいたしたいと思います。——一時からこの部屋を公害対策特別委員会が使うそうでございます。そうしますと、いまから法案の審査に入りますともう時間が何ぼもありませんし、中途はんぱとなりますので、これはそんなに問題点がございませんし、法案の審査に入りましたらやはり三十分や一時間私もまとめていただかぬと審査らしい審査になりませんししますから、きょうはこの程度にしていただいて、それで金曜日に始めさしていただいたらどうでしょうか。
  67. 森下國雄

    森下委員長 承知いたしました。      ————◇—————
  68. 森下國雄

    森下委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  京都府下における和知ダム水門決壊問題について現地委員を派遣し、その実情を調査するため、議長に対し委員派遣承認申請を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 森下國雄

    森下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣委員の人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  70. 森下國雄

    森下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる七日金曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会