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1967-06-09 第55回国会 衆議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月九日(金曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 森下 國雄君    理事 木村 武雄君 理事 正示啓次郎君    理事 砂原  格君 理事 丹羽喬四郎君    理事 廣瀬 正雄君 理事 石川 次夫君    理事 岡本 隆一君 理事 稲富 稜人君       伊藤宗一郎君    池田 清志君       吉川 久衛君    佐藤 孝行君       田村 良平君    高橋 英吉君       谷垣 專一君    葉梨 信行君       森山 欽司君  早稻田柳右エ門君       渡辺 栄一君    阿部 昭吾君       井上 普方君    工藤 良平君       佐野 憲治君    福岡 義登君       小川新一郎君    北側 義一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       武藤謙二郎君         建設省計画局長 志村 清一君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      長岡  実君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 六月九日  委員大野明君辞任につき、その補欠として葉梨  信行君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第三七号)  土地収用法の一部を改正する法律案内閣提出  第六一号)  土地収用法の一部を改正する法律施行法案(内  閣提出第六二号)      ————◇—————
  2. 森下國雄

    森下委員長 これより会議を開きます。  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。阿部昭吾君。
  3. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 現在の五カ年計画の完了する最終年次におきまして整備される道路状態は一体どういうことになるのかということにつきまして、先般整備率という形で都道府県別にいずれ明瞭にする、その明瞭にする時期も、先般の答弁ではそんなに遠くない将来、こういうように私ども理解をしておるのでありますが、整備率というのは一体どういうものなのか、お伺いしたいのであります。
  4. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いま御質問の、われわれ整備率と呼んでおりますものは、これはわれわれのことばでございますが、一次改築ということばがございます。これは現在の道路が未改良改良に分けまして、未改良というのは、要するに車がすれ違えない道路が未改良だと思います。これを車がすれ違えるだけの幅にするのを改良と称しております。詳しく言えば、やはり改良は、道路構造令のいろいろの構造を完備しなければいけないのでございますが、端的に言えば、そういう車がすれ違えるような幅員をとっていくというのを改良にしております。未改良道路改良するための仕事をまず一次改良といっておりまして、一次改良がその路線についてどれだけできておるか、これをパーセントで呼んでおるわけであります。  先般の委員会説明いたしましたのは、たとえば一般県道を何%から何%上げるというのは、現在のところ何%しかない改良率を、さらに二〇%上げるというような意味でございます。
  5. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 一次改築、二次改築、こういう説明よくわかるのでありますが、端的に言うと、延長で判断をする、それといまの説明との間には相当のずれが生ずることになるのかどうかという点であります。
  6. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これは実は五カ年計画閣議決定には、整備目標といたしましては県道を幾らやるという延長が出てくるものだと思います。延長といいましても、一例をあげますと、一般県道三千キロやるといいましても、三千キロやる分、そのために一般県道がどういうようなレベルまで上がるのかということがはっきりいたさない点もございますので、そういうような全体の整備率改良率鋪装率というような形で。パーセントを取り上げておりますが、五カ年計画閣議決定には県道を何キロやるというような延長で出てくるものと思います。
  7. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そこで、従来の説明の中で五カ年計画というのは単なる目標なんだ、こういうふうにとられる御説明がいままでしばしばあったのでありますが、地方の県なり自治団体一等が受け取っておる受け取り方は、五カ年計画権威というものに対して非常にきびしい見方をしておるわけであります。したがって、五カ年計画というのは単なるばくたる目標ではなくて、整備率というものを、いまの一次改築あるいは二次改築といったような込み入った説明もあるのでありますが、単純に延長という姿で改良される、延長というのが全体の中で一体どういう割合を占めていくか、一般的にこういうふうに受け取っておるわけであります。したがって、いま説明ございました一次改築にせよ二次改築にせよ、整備率というものを都道府県別に明らかになさる、こういう説明が先般あったのでありますけれども、この時期は一体いつごろになさるおつもりか、伺いたいのであります。
  8. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 五カ年計画閣議決定をやります場合に、地方財源の問題もいろいろございまして、各省と連絡をして合意に達しないと閣議決定に至らないと思いますが、これはできるだけ早くやりたいと思います。いままでの例だと、大体閣議了解ができましてからほぼ一年ぐらいたって閣議決定ということになっておりますが、ことしはいろいろ事情もございまして、また早くこういうものをきめないといけないということもありますので、一年以内に閣議決定をしたいというふうに考えております。  なお、そのとき各県ごとにどれくらい整備ができるかという問題がございます。これは閣議決定のあと、やはり各県と最終の協議をして、どこの県はどのくらいの改良延長をやるというようなことを出すと思いますが、これには五年間の仕事をやります際に、当初なかなか考えられぬようないろいろなこともございまして、かなり保留をとったような形でわれわれはまず示しまして、逐次道路進捗によってその保留を解いて、五カ年の六兆六千億の完遂をはかりたいというように考えております。
  9. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大臣にお伺いしたいのでありますが、五カ年計画には各地方市町村県等団体が非常にきびしい高い権威を認識して、そしてこの五カ年計画の遂行というものにたいへんな期待あるいは信頼というものを持っているわけであります。ところが先般来、長期計画なりあるいは五カ年計画にいたしましても単なる目安目標、こういうぐあいにおっしゃられておるわけでありまして、地方の受け取っておる権威というものと大臣が言われておることとの間に、私ども相当ずれを実は感ぜざるを得ないのであります。  そこで、いま局長のおっしゃる計画策定時において予期し得ざるいろいろな事態が生ずることが考えられる、この事態というのは、私どもの認識では、現在の自民党政府当局にとってのいわば泣きどころであります物価の急騰というのが予期し得ざるたいへんな事情、こういうぐあいになるのじゃないかと思うのであります。したがって五カ年計画は、私ども考えますと、大蔵省に対して建設省予算折衝する際にそこをいわばふんばり台にしてやっていく、単なるそういうものでしかない、こういうようなぐあいにどもには受け取られるのでありますが、私は、五カ年計画というものが単なる目安であり目標なんだということになりますと、建設省が対大蔵省予算折衝をやる、そういう一つの有力なふんばり台という意義を持つのだというふうに思っておられましても、これはなかなかそういうふんばり台にさえならぬのではないか。七兆三千億の五カ年計画予算折衝というのが六兆六千億に切られる際にも、わが党の佐野委員が先般指摘をなさいましたように、国のほうの負担分というのは大なたをふるわれて、逆に地方団体単独事業というのは、七兆三千億の当初の計画よりもさらに伸びて数字的な組み合わせがやられてくる。こういうことになりますと、建設省大蔵省に対する予算要求のいわば手段として五カ年計画——これは道路の五カ年計画のみならず、下水道の問題にいたしましてもあるいは治水あるいは河川改修、こういう問題の五カ年計画にいたしましても、非常に権威のないそらぞらしいものになりやせぬのか、こういうふうに思うのであります。したがってこの五カ年計画は、たとえば整備率を一体どの点まで五カ年の間に引き上げていくのか、こういうことを前提に立てて、むしろある意味では金額の問題は、なるほど物価値上がりどもありましょうしいろいろな経済情勢の変動等ありましょうし、そういう意味ではこれはなかなか予期し得ざる問題点があろうと思うのでありますが、しかし五カ年間に整備率を一体どの程度まで高めるのか——こういうことについては、金額で五カ年計画目標というものを示していくという形よりも、むしろ整備率というかっこう長期計画や五カ年計画中身にしていくということのほうが実質的ではなかろうか、こういうふうに思うのですが、大臣はどう思っていらっしゃるか伺いたいのであります。
  10. 西村英一

    西村国務大臣 阿部さんの心配は、五カ年計画はただ単に目標で実はあまり権威がないのじゃないかということですが、それはたいへんな思い違いです。非常に権威がある。もしこの五カ年計画がないと全然計画は立たぬ。昔は御承知のように継続予算でありまして、たとえば東名なら東名年度を置いて継続予算を組んでおったのですが、いまは御案内のとおり予算全体の立て方で単年度計画。単年度、ことし限り。したがってこういう五カ年計画という計画がなければ、やりかけた仕事が来年どうなるかわからぬわけです。そういう意味においては五カ年の間にはとにかくこれだけの金の量をもってやるんだからということで、やりかけた継続事業というものは引き続いてやれるんだという目安は立つのです。計画がないと全然目安が立たないのであります。昔のような継続予算であれば、あるいは五カ年計画等は要らぬかもしれない。線路ごとに四十二年度から始まって、昔はおおむね五カ年くらいの継続予算で、もっと事柄の長いものは七年くらいの継続予算でやっておった。いまは単年度予算でございますから、こういう目標というものは絶対に必要であろうと私は思います。  そこで、それならばもう少し詳しい各線路ごと整備率というものはわかるじゃないかというお尋ねのようでございますが、大ざっぱには五カ年の間でもってどれくらいをやるという整備率はわかるのであります。したがいまして、いよいよこの法律が成立することができまして、さらに線路別にどれだけの金をどこにかけるかということがわかりますれば、でき得る限りの精密度をもちまして、たとえば高速道路のどの線とどの線はどれくらい、国道についてはどのくらいまで改良をやる、どのくらいまで舗装の達成ができる、府県道につきましてはこれくらいまでまたできるというおおむねの整備率というものはわかるのであります。  そこで物価の問題でございますが、この予算はやはり組んだときの予算をもって物価をとっております。つまり、四十一年度物価をもって組んでおるのでございますが、おおむね普通の状態における物価はこれをもって吸収ができる。なぜ吸収ができるかというと、やり方もいろいろ方法が変わるのであります。やはり機械化するところもありますし、いろいろ節約、合理化するところもありますから、そういうような物価のみならず、別の変化要素がありますから、そういうものでおおむね吸収ができる。物価が異常な程度に上がるということになれば工事はそれだけ縮小されますけれども、普通の状態における物価の変動はこれで吸収ができるのであります。  もう一つお尋ねの、金できめなくて整備率できめたらいいんじゃないかということでございますが、それはやはりこういうものは金できめないとうまくいきません。整備率といいましても非常にこまかいところになれば必ずそうはいかないのであって、非常に変化に富んでいるのでございます。たとえば住宅五カ年計画でございますが、住宅五カ年計画は金できめていなくて戸数できめている。これは金よりもはっきり何戸建てるという戸数で数えられるからです。したがいまして、金できめてない、戸数できめておる。しかし道路下水道あるいはその他の河川というものはとうてい事柄別にこれをきめるということはなかなか困難でございますが、金に応じまして、五カ年間におおむね達成できるであろうという目標額は十分立てることができるんだ。この五カ年計画はただ大蔵省予算折衝で強気にいくんだということと違いまして、大蔵当局もまた財政心配する上におきまして見通しがつきます。あの道路には五カ年の約束をしておるから金がこれだけ要るんだ、私のほうではまたこの五カ年計画を胸に置いて仕事を継続的に進めていくことができまして、私は非常に有効な役目をしているものだ、かように考えている次第でございます。
  11. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いま大臣は、たとえば幹線自動車道及び海峡連絡道路あるいは一般国道都道府県道及び市町村道の一次改築、こういうようにいろいろ分類をして道路ビジョンというものを出していらっしゃるわけでありますが、このビジョンの中の今回の五カ年計画の中で大ざっぱなものは実はあるんだ、こうおっしゃっていらっしゃるのですが、この内容七つ八つくらいの種類があるようでありますけれども、この大ざっぱな積み上げと申しましょうか、これを局長のほうから説明をしていただきたいと思います。
  12. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 六兆六千億円の内客で、ビジョンとあわせまして大ざっぱないろいろの分類になりましてどのくらいの金が投資されるかの問題でありますが、この中のまず大きなものといたしまして幹線自動車道及び海峡連絡道路でありますが、これについては六兆六千億の中の有料道路事業が一兆八千億でございます。この一兆八千億の中で約半分以上が幹線自動車道に回るのではないかと思いますが、そのほかには都市高速道路——首都高速阪神高速道路、こういうものに回るのだ、さらに道路公団でやっております一般有料道路、こういうものを足しまして一兆八千億という数字でありまして、この内容は、いまのところ幹線自動車道に幾らという数字をまだはじけない状態でありますが、われわれの考えでは、一兆八千億のうち約半分以上が幹線自動車道に回るものだと思います。  次に一般国道都道府県道でございますが、一般国道につきましては、これは元の一級国道でありますが、これについては全線改良を終わりたい、さらにそのほかに交通の混雑しておる再改築も行なっていきたい。再改築の量をどのくらいにするか、いま検討中でございます。それから元の二級国道につきましては、これはこの六兆六千億の五カ年計画の中の最終年度、四十六年度概成というのはちょっと困難ではないか。先般の委員会等でもお話ししましたように、大体改良でいくと八〇%くらいできるのではないかというような感じでございます。さらにこの中で交通が混雑しておるものの再改築もやっていきたいと思います。  また地方道一般県道につきましては、先般御説明いたしました整備率、このくらいの数字を確保していきたいというふうに考えております。  市町村道については、これは市町村財源の問題がありまして、五カ年計画の中でどれくらい市町村がやれるかいま検討中でございます。  そのほかにビジョンの中にあります第三の一般国道都道府県道改築流通関連施設につきましては、これは非常に問題がありまして、大都市の周辺の流通業務管理、コンテナのターミナル、国鉄の貨物駅とか、この辺の構想はどうもはっきりいたしておりませんので、その辺は先般説明したような千五百億の予備費をかなりこういうものに持っていかなければならぬのではないかというふうに考えております。その予備といたしまして、都市計画街路及び都市高速道路につきましては、都市計画街路を大体六兆六千億のうち、金額にしてまだはっきりいたしませんが、約九千億以上のものが街路事業に投資されるのではないかというように考えております。  そのほかに維持管理、これにつきましては現在の指定区間、四十二年度直轄指定区間が一万キロでございますが、これも逐次延ばしまして、国道の大半、半分以上は国みずからが維持修繕をして管理するというようなことにしたいというふうに考えております。
  13. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大臣に伺いますが、いまの局長答弁で私はどうも、大臣がやはり先般言われておった、長期計画ビジョンなりあるいは五カ年計画というのは、目標であり目安なんだ、したがって、そう微に入り細にわたってというわけにはいかぬものなんだという、前にそういうふうにとれる答弁をなさっておるわけでありますが、そちらのほうがほんとうで、きわめて権威があるなんていうことにはどうも私ども受け取れないのであります。したがって、住宅のように、どの道路整備状況はどの状態にしていく、どこまで引き上げをする、元一級国道ならばどの程度まで、元二級国道はどの程度までといったぐあいに整備率を明瞭にしていくことが、計画内容を国民に対してきわめて鮮明にしていく、ほんとう権威ある計画らしくしていくゆえんではないか、こう思うのであります。いまの局長答弁を聞きましても、大ざっぱなものはあるとおっしゃるんですけれども、大ざっぱなものでは、たとえば大蔵省に対して予算折衝をするにいたしましても、なかなか説得力のある、権威のある、そういうものにはなっていかないのじゃないか、こういうふうに思います。同時に、各地域別路線別、若干の移動はこれは技術的にしょうがないと思うのですけれども、大めど整備率を明示しないところに、各地方自治団体等が毎年毎年予算の時期になりますと、膨大ないわば陳情費というものを使って建設省方面にたいへんな苦労をして出かけてくる。そのために使われている地方自治団体財源というものは決してばかにならぬものになっているわけであります。したがって、私は、そういういわば不経済な状態をやはり解消していくという観点からも、計画それ自体はやはり大ざっぱな金で明示をしていくという行き方ではなくて、五カ年計画の間に国全体の整備率はここまでだ、各都道府県別路線別——路線別といっても何々線何々線というわけには一挙にいかぬ場合もあるでありましょう。情勢変化等もいろいろあるでありましょうから、大めどの、たとえば主要地方道整備はこの程度まで引き上げるといったようなことを基礎として、これからはじき出された金額というものになってこなければ、地方方面に対しましてもほんとう権威ある基礎的な心がまえを固めさせるに足るようなものにならぬのじゃないか。同時にまた、さっき申し上げましたとおりに、大蔵省方面等に対しましても、予算折衝などやる場合に、非常に迫力のない、説得力のないものになっていくんじゃないか。そういう観点で、私は、いま大臣はきわめて高い権威あるものだとおっしゃるんですけれども局長答弁を聞きますと、どうもあまり高い権威を持っておる、いわば基礎から積み重ねられて、ほんとう説得力のある長期計画というふうには実は思えないのでありますが、大臣その点はいかがでしょうか。
  14. 西村英一

    西村国務大臣 局長おっしゃいましたのは、たとえばこの五カ年計画にしても、いま出ておる、あなた方にお示しをしておるのは、ほんの一部分の閣議了解のもとでやったのであるからということ、しかしそれをさらに小分けをしていけば、おおむねこういうことになるだろうと言ったのでございまするが、これはこの法律が通りまして、五カ年計画内容を明らかにして、閣議了解を求めるのでありますから、その折にはもう少し詳しくわかるのであります。阿部さんのおっしゃいますことは、事柄によって五カ年計画をつくったらいいじゃないか、金でつくるよりは、と言いますが、それは道路ではできません。それは非常に、それこそ計画はさっぱり狂ってしまいます。それは用地の買収、家屋の立ちのき、工事進捗状況、いろいろありまして、これを何カ年の聞こうやるといいましても、それはなかなか、金も狂ってきますし、工期もなかなか狂うのです。したがいまして、それはとにかくそういう事柄で五カ年計画をつくれ、それは非常にわかりいいようでありますけれども、それはなかなか五カ年計画はつくれませんです。したがいまして、いまの五カ年計画をつくるとすれば予算でもってその目標を立てる。もしこの目標が立ててないというと、ことしはやれても来年どうなるかということは全然わからぬわけです。その意味では、五カ年計画のワク内ということがあるから、われわれのほうの仕事をやるほうも、財政心配をする大蔵当局目安というものが立つのです。したがいまして、そういう意味で五カ年計画というものは道路の進展の上に非常に大きい役割りをしておる。これがあるから進捗して、スムーズに進んでおるんだ。これがないと、年々再々その交渉を繰り返し繰り返しやっていかなければならぬことになるので、そういう意味で非常に働いておる、こういうことを言ったのです。私は、非常に権威あるなんていうことを使ったのは、ちょっと権威あるなんていうことばはおかしいことばであるかもしれませんが、とにかく道路を進める上におきましては絶対に五カ年計画は必要だ、かように思っていまして、さらに各線ごと整備状況につきましては徐々に計画を立てるつもりでございます。
  15. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 どうもすらっと——どもも、五カ年計画が要らぬなどと言っておりませんので、五カ年計画どころではなくて、ぜひ建設省が示しておりますビジョンも、昭和六十年度を展望したあのビジョンもそのとおり進んでほしい、こう思っておりますし、そういう意味では、五カ年計画はこれは当然必要です。必要ですが、計画それ自体中身はきわめてばくとしておって、さっき大臣は、事柄によって、たとえば整備率といったような具体的なかっこうでやりますと、計画がいろいろ狂う、こうおっしゃっておられるのであります。しかし私は、先般大臣は、物価値上がりについてもこの計画の中で十分吸収できる計画だ、そういうふうにおっしゃっておるのであります。そうだといたしますれば、計画が立たぬという根拠一体——いわば整備率事柄によって、大臣のおっしゃる事柄を具体的に示して、金額はそれに追っかけてやっていく、いわゆる積み重ねでやっていくことになりますと、移転の問題、立ちのきの問題、用地の問題、いろいろあって、計画は狂うとこうおっしゃるのでありますが、物価値上がりその他はちゃんとこの計画の中にすでに吸収されておるとおっしゃるんなら、そんなに狂う根拠はないのじゃないでしょうか。私は、やはり各県別道路種類別等整備率を明示しておきますれば、従来のように毎年毎年各市町村団体も県もあるいは関係団体もあげて予算時期になりますと中央に殺到して膨大な地方財政を圧迫しておるのでありますが、ああいう事実も、もっと事柄によって計画内容を五カ年間明瞭にしておきますれば、五カ年間の計画策定時はやはり大いに陳情なり何なりが殺到するかと思うのでありますが、毎年毎年の予算時期にああいうような膨大な上京団地方自治団体財政を圧迫しながら出てくるなんていう状態は大いに緩和されてくる、こう思うのであります。そういう意味大臣に伺いたいのは、事柄整備率やそういったものでやりますと狂うという根拠はないのじゃありませんでしょうか。物価値上がりはちゃんとこの計画の中で吸収できておるとおっしゃるんならばですね。
  16. 西村英一

    西村国務大臣 それは物価だけではありません。いろいろな要素がたくさんあるからでございます。したがいまして、物価だけ取り上げていえば同じことじゃないかといいますけれども、それは物価だけではありません。それともう一つは、そういう事柄できめられるような道路等の整備計画は持っておりません。やはり一本や二本や十本くらいは、この事柄でもきめられますけれども、それはなかなかたいへんな複雑性を持っているのですから、やはり金をきめて、その金をどの道路にどう向けるかという大きなワクでもって、一般国道府県道、あるいは有料道路あるいはこの地方道、単独道という一般のことをきめて、それからさらにその中を分析していって、この道路にこうということをきめなければ、一本ずつ道路を取り上げてやろうといったってたいへんです。  それで、地方公共団体がどんどん押しかけてくるじゃないかといいますが、それは道路であまりどんどん押しかけて圧力団体になったという例はありません。きわめてうまくさばいておるつもりであります。それは希望もありますからあなたのほうの議員の方々、あなたの支持者は一人で来るかもしれません、それはやはり民意ですから。ですが、圧力団体となって道路のためにどんどん押しかけて、建設省がさばき切れぬというようなそういうやり方はいたしておりません。最近におきましてはうまくやっておるつもりです。  それからもう一つビジョンですが、ビジョンで二十年——二十年といったって、私なんか生きていないでしょう。あなたたち若い人にやってもらいたいと思いますが、まあ私は五カ年計画を満足にやるくらいがせいぜいでしょう。それに五カ年計画を立てるにしても、立てる当事者としてはおおよその日本の道路を頭に描いて、非常におくれておるのだから、欧米諸国に遜色のないように、また日本産業が困らないように、おおよそを頭に描いて、そしてその一環としてこの五カ年計画でやっておる。また次の第六次五カ年計画というものがいつかはできるわけですから、そういう五カ年計画をやらないでおけば、結局二十年後のビジョンに達しないのですから、そのころは私たちはいないと思います。あなた方は若いのですから、大いにやってもらいたいと思います。私はこの五カ年計画がなくてはどうしてもいけない。それを満足にやっていく。あなたのおっしゃいますような事柄はわかりますけれども、それはそう道路を一木ずつ綿密につかまえて五カ年計画を立てるなんということは、いまの段階ではちょっと私には考えられないと思います。
  17. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大臣は、二十年後はもう世代が変わっておるとおっしゃるのですが、最近はたいへん寿命が長くなってまいりましたから、大臣のように健康な方は二十年先もだいじょうぶだと思うのであります。  そこで、どうもすらっとかみ合わないので残念なのでありますが、五カ年計画不存在、要らないなどということは、私どもは一言半句言っておらないのであります。ますます五カ年計画中身権威のある——少なくとも計画策定したなら——それは毎年毎年の情勢によって計画どおりいかぬような多くの外的事情が生まれることもあるわけなんです。しかし、少なくとも計画策定したなら、この計画に対しては、国民はもちろん地方団体の当局者もあげてこの五カ年計画というものにたいへんな期待と注目をしておるのです。したがって、これは責任者であります大臣が、そこは努力目標だなんということになりますと、これは非常に困ると私は思うのであります。これはもうぜがひでも五カ年計画はやっていくのだ。そういう面で私は何も、たとえば県道どこどこ線といったように一本ずつ線を全部つかまえて、そして五年後の計画完了図の整備状況を明瞭にして、そうして五カ年計画を積み上げろといっているのではない。少なくとも、都道府県別の、主要地方道のこの県の整備率はここまでするんだとか、一本一本の道路ではありませんよ。主要地方道とか、あるいは国道とか、あるいはその他の種類別の道路状況を、この程度までやっていく、主要地方道に次ぐ一般県道はこの程度だ、こういう整備率は出す気になれば出せるのではないかと思います。
  18. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 私どものほうも一般県道に対して、これは一本一本この道路が五年の終わりにどうなるか、これはやはり目標として持たなければいかぬと思いますが、大体六兆六千億の中で一般県道をどう改良できるかにつきましては、もっと大きな各県ごとの未改良延長が幾らあるか、面積人口が幾らあるか、自動車の保有台数が幾らあるか、交通需要が幾らあるかというものから一つの配分をいたしまして、その中でどの道路を五カ年間で重点的にやるか、どの地域の開発を重点的にやるか、この辺は道路管理者である知事さんの意向を聞いてやっていかなければならぬことであります。また知事さんのほうもなかなか県内の各県道全部について、いま四十二年度にきめたから、四十六年まではもうそれを変えないんだということも、いろいろ県内の情勢でできにくいと思いますので、その辺は私たちも県の中の一般主要地方道を何キロやり、それから一般県道を何キロやるかという目標は、これは示したいと思っておるわけでございます。一番その中で問題になりますのは、一次改良のほかに交通事情に見合わなくなった道路の再改築、こういうものをどれだけやるか、これに金を持っていくと、一次改良ができなくなるというようなこともございまして、二次改良と一次改良をどれだけにするか、いまの整備率というのは、ほとんどこれは一次改良整備率でございます。その辺がわれわれ非常に苦労して作業しておるところでございます。
  19. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員大臣 従来の五カ年計画の中には物価値上がりとか——物価値上がりにこだわるわけではありませんけれども、それはちゃんと従来の五カ年計画の中に吸収されておったのでしょうか。いま大臣の責任で出しておられる五カ年計画は、物価値上がりといったようなものはこの計画の中には十分吸収してある、こうおっしゃられておるのでありますが、従来の第四次までの五カ年計画はそういう外的要因、特に物価の問題ですね。こだわるわけではありませんけれども、これは計画策定図において吸収されておったのかどうか伺いたい。
  20. 西村英一

    西村国務大臣 大体はそういうことになっておると思います。それではなぜ四次計画を途中で変えるのかということですが、それはやはりそれ以上の大きい要素が、経済事情が変わってくるのであります。というのは、交通需要がふえた、つまり自動車の伸びが非常にふえたということのほうがもっと大きい影響になるからでございます。したがいまして、全然物価の影響というようなものはないというわけにはいきませんけれども、それ以上の大きな要素がまだたくさんあるわけであります。したがいまして、せっかく四次計画を立てまして、その中途で三年目を終えて四年目でまた改定をしなければならぬというのは、交通事情の需要の関係、それが思わざる伸びを示している。いままでの四次計画年度割りでは間に合わぬからということで変更するのでありまして、大体は計画を立てる場合には多少の物価値上がりに対しては、それは吸収し得る。それ以外に用地を買う場合にも、それはたいへんな変更があるわけであります。非常に安く買える場合もあり、非常に高く買わなければならぬような場合もあります。道路に対してはもっと大きい影響があります。民家の立ちのきその他の非常に不安定、不確実な要素物価のみならずたくさんあるのでありまして、そういうために五カ年計画を変えなければならぬということになったのであります。しかし、私は先般も申しましたように、この計画は相当な金も見ておりますし、できるだけこの計画の五カ年間をスムーズにこれでもってやりたい。非常に大きい変化がない限り、十分交通事情に対しても対応できるように今回の予算はできておる、この計画はできておる、かように思っておる次第でございます。
  21. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私はどうも納得ができないのです。五カ年計画というのは、少なくとも今後五カ年間の交通情勢変化あるいは経済の変化、こういうものを展望して、政府が相当ばく大な調査機関その他を持ち、いろいろな見通しを立てながら策定されておるのが五カ年計画というものだと思うのであります。したがいまして、そうであります以上、この五カ年計画が年次別に、あるいは道路種類別に整備されて、最終年次の段階における道路状態というものが示されていかなければ計画というものにならぬのじゃないか。大めどだけやってみて、どこまでいけるかやってみようというのでは、これは少なくとも政府の重要な五カ年計画としてはずさんに過ぎるのじゃないか、こう思うのであります。五カ年間の情勢はいろいろ変わるから、まず目標は大ざっぱにしておいて、単年度年度ごとに五カ年計画目標を立ててやるということだけでは、五カ年計画というものは非常に意義に欠けるものになってしまうのじゃないか。五年後の道路はこの状態まで持っていく、経済の情勢はこのように変わる、物価状態はこのように変わる——地価なんぞも安く買えるところも、高く買わなければならぬところもあるだろうとおっしゃるが、そのために地価対策なりいろいろなものを講じておるだろうと思うのであります。そういう意味で、どうして五カ年間の最終年次における道路はこのような状態になっていくのか——これはくどいようですけれども、一本ずつ全部やるということは不可能でありましょう。この道路と思っていたけれども、やっていく間にこの道路にウエートをかけなければならないということもあるだろうと思います。しかし国全体として大きな目から見た場合に、この道路はこの程度という整備めどというものは計画の中に明らかでなければならぬのじゃないか。私どもの主張が無理でしょうか。
  22. 西村英一

    西村国務大臣 それはできるのです。それはぜひやらなければならぬ。たとえばこの計画では、大きい線として東名道路は四十三年度末に仕上げて供用します。東京中央道は、やはり四十三年度末にでき上がるようにします。関門隧道は、この予算をもってすれば四十七年度には供用します。府県道はこういうふうになっておりますということは、それはこれから詰めていって出るわけであります。そうだから、あなたの言っている質問と食い違っておるようですが、物価を見るからそれ以上にいろいろ変わる点がある、こういうので、それは四十三年度にはこういう形になりますよ、これはできるのです。この作業はやっておる最中でございます。できるだけ明らかにするのは当然でございます。四十六年度までにはこういうようにこの予算ではこぎつける、だから、あなたの意見とあまり変わらないのですよ。
  23. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 そういたしますと、局長、五カ年計画の第一年次であります四十二年度予算、これは明らかであるわけですが、昭和四十三年度はどの程度、四十四年度はどの程度、こういう大めどは立っておりますか。
  24. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 四十六年までの一つ主要地方道なら主要地方道はどうなるか、まずこれも目標を立てるわけでございます。それを達成するために四十三年度はどうするか、四十四年度はどうするか、それはいろいろ財源その他の状況を見てやっていくわけでございますが、いままでの第四次の計画から見ますと、一般道路につきましては、大体五カ年の普通の進み方は、特定財源のガソリン税の伸びと同じような形で進めば、財源的に比較的無理がこないということもございまして、特定財源の伸びの割り、これが大体一四、五%だろうと思いますが、毎年毎年一四、五%から一六%くらい伸びていけば六兆六千億が達成できるという考え方で総ワクを考えております。
  25. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 四十六年度最終年次における整備率都道府県別に明示をするこの時期は、従来だと一年間くらいかかったけれども、本年はそれをもっとスピードアップしたい、こういう答弁であったのでありますが、そのスピードアップされて提示されてくる各都道府県別、もちろんそれは各都道府県知事の裁量等にゆだねられる、いわば選択や何かもいろいろあろうと思いますが、整備目標というものを都道府県別に明示する、このことは確認して差しつかえないわけですね。
  26. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 整備目標都道府県別に示す前に、大体われわれの考えているのは、このくらいの金が五カ年でおたくの道路の費用として投資されますよというようなことを示すようになろうかと思います。
  27. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 わかりました。  それで従来の五カ年計画の切りかえの場合にどういうふうにやられておったかということについて、私ども深く勉強はいたしておりません。しかしこの計画そのものが都道府県段階から積み上げて、そして建設省が相当の査定なりチェックをして、その積み重ねを土台にして、それにいまの五年間に道路交通その他がどういうふうに変化をしていくか、経済の状況はどういうふうに変化するか、こういうものを高い観点から見て、そうして五カ年計画というものを策定されている、こう私どもは考えているわけであります。したがって単なる大蔵省に対する予算要求の手段としての長期計画、こういうふうには私ども理解しておらないのであります。しかしいままでずっと説明を聞いておりますと、どうも積み重ねだ、その上にさらに建設省の判断でチェックすべきものはチェックして、一定の路線別とまでほんとは私たち言いたいのでありますが、そこまではいろいろな知事なり何なりの裁量で行なうべき分野というものを留保するにいたしましても、この積め重ねが土台になっておっていなければいけない。したがって計画が発表されてから閣議了解ですか、それからその決定までの間に一年間も経過する、このことについては何としても理解がいかないのであります。私は、何といっても、今後のこの計画運営については、ある意味では種類別にとどまらず、路線別にまで明示した計画でなければいけない、こういうふうに思うのであります。そういう意味でいままでいろいろお尋ねしたのでありますけれども、この計画内容というものは、結論的にはやはり単なる目標とおっしゃるのでありますが、その域を出ておらぬということにたいへんな不満を持つのであります。大臣は食い違っておらないとおっしゃるのでありますけれども、私は相当食い違いがあると思うのであります。計画というのはやはりそういう積み重ねの上に出てきているものだ、それが、積み重ねを乗り越えて、ばくたるかっこうで出しておる、こういうふうに思われてならぬのであります。
  28. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまの先生のお話もわかるのでございますが、いまの道路の事業の中には、たとえば東名高速道路みたいな非常な、何百億もかかるものから非常に小さなものまで、種々雑多でございます。われわれ、有料道路は除きましても、一般道路の中で、元の一級国道になりますと路線ごとに積み上げまして、これは全部でこれだけの金があれば改良が終わるということで積み上げておるわけでございます。元の二級国道になりますと、四十六年まで終わりませんので、大体どの辺は残るだろうという一応の想定のもとに積み上げた金を持っておるわけであります。都道府県道になりますと、非常に大きくつかみまして、主要地方道は現在の整備率は幾らだから五カ年にこれだけ整備率を上げたいという形で、大きな金をつかむわけであります。そういうことで六兆六千億の各道路種別ごとの内訳をきめまして、そのうち補助事業になるものが幾らかというのを各府県に、おたくの府県は大体これくらいになりますよというようなことを示しまして、それに基づいて府県がどの路線をどうやるか、こういう計画が出てきて、五カ年計画の細部までおおよその大綱がきまるというように私ども考えておる次第でございます。
  29. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これで終わりますが、都道府県道などの整備をいたします場合に、国が負担をする部分、それから都道府県が負担をする部分、それから当該市町村の負担金というのがさらにあるのであります。この市町村都道府県道整備にあって負担する負担金の割合というのが一定しておらぬのであります。このことについてどのように思っていらっしゃるか、これが一つであります。そしてこの負担金はなかなか都道府県ごとにアンバランスがある。小さな市町村などになりますると、比較的延長の長い都道府県道整備事業が起こってまいりますと、この負担金の問題でたいへんな財政圧迫を来たしておる事情があるのであります。そこでこの市町村負担金の軽減をすべきだという議論などが県段階が起こりますと、これは一々建設省と自治省の承認を得なければならない、こういうふうに県のほうでは説明をなさっておるのであります。これはしかし建設省がもっと積極的に、都道府県道整備の場合における市町村負担金の一定の基準というものを定めるべきではないか、こう思っておるわけでありますが、この点はいかがでしょう。これが一つであります。  もう一つは、私どもの見方では、この計画の一番の盲点は何かということになりますると、地方単独事業というのは、大臣が希望されるような方向では施行していくことができないのではないかということを私ども懸念しておるわけであります。したがって今日までもこの問題、ずいぶん議論になったのでありますけれども、この市町村道整備の場合における財源という問題について、必ずしもいままで明快な答弁があったとは思えないのであります。そこで伺いたいのは、今後この財源問題について建設省大蔵当局に対して、市町村道整備の場合の国の負担というものを継続的にさらに広げていく、こういう意味での強い要求をなさる用意、心がまえがあるのかどうか、この二つを承りたいと思います。
  30. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 最初の、県道整備する場合の市町村の負担でございますが、これは、県道につきましては、大体、改良は三分の二を国が補助して、三分の一を県が負担しております。その三分の一につきましての一部を市町村が負担するという事実はございますが、これは各県がおのおのその県の条例できめておることでございまして、われわれの承認とかなんとかということは全然ございません。私たちは、道路管理の立場からいうと、県道について地元の負担をとるということは、地元の財政を考えてやっていただきたいということで、実はこれについてわれわれが県に対して強制もできませんし、いまのところは県の自主性にまかせてあるような状態でございます。  次の、地方単独事業についての将来の市町村道の問題でございますが、これは、市町村道単独事業の中には、メンテナンスの維持の分と、市町村道を舗装していくというような改良の分と、二つございます。こういうものについては、今後どういうふうな形で市町村道の舗装をやるか、そういうことによって財源の問題は大蔵当局とお話ししていきたい、折衝していきたいというふうに考えております。
  31. 森下國雄

    森下委員長 それでは、大蔵大臣が見えられました、石川次夫君。
  32. 石川次夫

    ○石川委員 大蔵大臣が見えられましたので、ほんとうなら財政経済全般を質問したい気持ちで一ぱいでありますけれども、建設委員会でもあるし、時間もたいへん少ないようでありますから、道路財源を中心とする質問点二、三をいたしたいと思っております。  まず最初に伺いたいのでありますが、実は昨年から建設公債というものが発行されてりおります。この前の大蔵大臣福田さんは、建設公債というのの公債という面に非常に力を入れまして、フィスカルポリシーとしての不況対策として建設公債というものを発行する、こういう説明をされておったわけであります。ところが、水田さんにかわられましてから、建設公債の、公債の面ではなくて、社会公共投資というものが非常に立ちおくれているということで、建設の面に重点を置いて建設公債というものを発行するということで、大臣がかわられますと建設公債が使い分けをされてきておるわけであります。  そのことについての議論は別にいたしまして、実は公共投資の伸びというものをさかのぼって考えてみますと、昭和三十三年−三十五年のころは、大体公共投資は一五%ぐらい年率にして伸びておるわけでございます。それから三十六年、三十七年のころになりますと、それがまたさらに、公共投資というものが重視をされました結果、二二、三%というふうな非常な伸び率を示しておるわけであります。  今回、経済社会発展計画ですか、それが出されたわけでありますけれども、水田さんは、公債というものを、建設の立ちおくれ、公共投資の立ちおくれを克服をするということで、非常に積極的な意欲を燃やされておるわけであります。となれば、公共投資というものは今後相当伸びるのではないか、こういうふうに予測をされるわけでありますが、その点について、ここで何%くらい伸ばす、そういうことを言明してもらいたいとは思いませんし、またそういう言質をとって、あとでとやかく申そうという気持ちは毛頭ないわけであります。ただ今後の心がまえといたしまして、建設公債を含めて、公共投資というものにどういうふうに取り組んでいくか、大体の心づもりというものをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  33. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 公共投資のおくれを取り戻したいということが、公債発行に踏み切った一つの理由でもございますが、これはどの程度まで伸ばしていけばいいかという、いまのところのめどとしましては、先般の経済社会発展計画、これが政府施策の一つめどでございまして、今後いろいろなものを含めて、昭和四十六年までに二十七兆円くらいの投資をするということが妥当な投資規模であろうということになっておりますので、大体これをめどにして、たとえば道路へ六兆何千億とか、治水にどうするかというように振り分けをやって、これを今後の投資のめどにしていきたいというふうに私は考えております。
  34. 石川次夫

    ○石川委員 ちょっと水田さん、経済社会発展計画によると、固定資本の形成率の伸びというものは、昭和四十二年から昭和四十六年の五カ年間で年率一〇・五%になっておるわけです。先ほど申し上げましたように、三十三年−三十五年でも一五%、三十六年、三十七年以降は大体二二%というふうに大幅に伸びておったものが、この計画によりますと一〇・五%、逆に非常に低下をする、伸び率が下がっていく、こういうことになるので、水田さんがおっしゃっておるような建設公債の建設の面を重視して社会資本の立ちおくれを直すのだということにはこの計画はなっておらない。こういう点の矛盾をぜひひとつ克服をして、統一をしてもらわなければいかぬと思っているのです。  と申しますことは、いままで経済自立五カ年計画を三十一年から三十五年までつくり、それがまだ中途にして新長期経済計画が三十三年から三十七年、それが終わらないうちに所得倍増計画が三十六年から十カ年計画を立てられたけれども、三年目の三十九年になりますと中期経済計画、この中期経済計画がまだすべり出したばかりなのに、あらためて経済社会発展計画、社会発展といったところが一つみそなんだろうと思うのです。これを公共投資のおくれというものを克服するという意欲を込めて社会発展計画、こういう名前をつけられたんだろうと思うのでありますけれども、この中には当然道路も大きく含まれておるわけであります。  これらいずれ長期計画を見ますと、中途で計画を変えざるを得ないということの破綻はどこからきておるかと申しますと、経済成長の伸びというものを非常に過小に評価をしておる、あるいはまた物価というものは上がらないというような見通しのもとに計画を立てておる。したがってこの経済成長というものの過小見積もりというところからくる結果はどこにあるかというと、社会資本というものと民間資本というものとのアンバランスというものが大きく出てきておる。したがって私は、この経済社会発展計画というふうなものをつくるときには、これは経済企画庁でつくるのではありましょうけれども、内閣の名前で、内閣の責任においてつくるわけなんですから、これはすぐに破綻を来たすことは必然ではないか。またこれをつくりかえなければならぬのじゃないか。そこに水田さんのおっしゃるように、建設公債を発行いたしまして、建設の面の立ちおくれというものを直すんだというような意欲を盛るとすると、なおさらこの計画というものはとたんに破綻を来たすのではないかということをおそれておるわけであります。  たとえば道路計画について見ますと、昭和二十九年から三十三年までの第一次計画、第二次は三十三年から三十七年、これは一兆円であります。第三次は三十六年から四十年、これは第二次が終わらないうちに二兆一千億という予算で組まれたわけであります。第四次が、これはまだ第三次が終わらない三十九年から四十三年まで四兆一千億円で、この四次が終わらないうちに第五次というものが今回示されまして六兆六千億円というのが昭和四十二年から四十六年までの五カ年計画として提示されました。これがいわゆる政府で出した長期経済計画と見合った形でそのつどつくりかえられて今日に及んでおるということでございますが、ここで見のがすことができないのは、経済社会発展計画の中における道路予算というのは六兆一千五百億円です。ところが経済社会発展計画がつくり終わって、公表されて一カ月もたたないときに、この道路計画第五次というものが発表されますと、六兆六千億円であります。もうすでにここでもって破綻を来たしておる。六兆一千五百億円が六兆六千億円になったというこの食い違いは一体どこから出たのか、これをひとつお聞かせ願いたい。
  35. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 過去の経済の伸び率が平均して相当多かったということは、これは確かでございます。しかし今後の経済計画でこれだけ規模が膨大になった、今後何年間というときに平均九%の経済成長を見るということも、ずいぶん多い見方でございますが、これをさらにそれ以上の大きい見方をしてどうこうということは、これは実際問題としては実情に沿わない計画というふうに見られてもしかたがございません。私どもは先般のあの経済計画でも相当伸び率を多く見た計画だと思っていますが、もしそうだとすれば、これと均衡のとれたいろいろなあり方を全部計算し、勘案して、公共投資の総額を算定するということをやったわけでございますが、これをめどにしていけば、やはり均衡のとれた経済社会がつくれるだろうということでございまして、やはりものさしとしてはこの計画をものさしにすることが私は一番適当だと思っております。そうしますと、その中で、たとえば六兆一千五百億とございましても、これは計画の中の一つめどでございますので、そこで私どもが、特におくれているものについて、こういう一つ計画の額の中で、どこへ比重を置いてどういう実施計画を立てるかということはこれはまた別の問題でございます。特にあの計画の中でも五千億の余裕がとってございますが、この中にも道路と関係するものが非常に多いということははっきりいたしておりますので、そういうことを勘案して、私どもは今回の五カ年計画を一応六兆六千億円ときめたわけでございます。これは別に先般の五カ年計画とすごした計画をきめたというわけではございませんで、大体あれをめどにした、最も適当な実施案というものをつくったわけでございまして、むしろ必要ではございますが、今後これだけの計画についての資金の裏づけというようなことについては、ある程度の無理を考えなければできないのじゃないかとすら思っておるところでございまして、若干の無理が伴うにいたしましても、さっき言いましたように、何としても社会資本のおくれは高度成長に伴わなかったところでございますから、私どもは無理をしても、こういう仕事だけは思い切った投資をやって、急速におくれを取り戻したい、こういう気持ちでございます。
  36. 石川次夫

    ○石川委員 どうも歯切れが悪い答弁ですが、実はこれを話しますと相当議論になりまして時間がかかりますから、いいかげんに切り上げますが、申し上げたいのは、この長期計画の中で経済成長はこの程度で押えなければならぬ、あるいは物価はこの程度で押えなければいかぬというような意欲で計量モデルをつくっておるとは思わないのですけれども、どうも数字はつくらなくても、たとえば成長率を押えるため、外生変数を変えあるいは方程式の常数項というものを変えて、物価というものを四・五%に押えていこうというために数字を選択することはできるのです。そういうことでつくりあげられた長期計画計量モデルということのように思われて、どうもこれは正確な見通しになっていないのじゃないか。そういう経済成長の見通しを誤ったところから、公共投資というものは相当社会資本の立ちおくれというものが出てくる、こういうことだけを申し上げておきたいと思うのです。特にいまの六兆一千五百億円と六兆六千億円の食い違いというのは、ほとんど同時に計画されたものがこういう数字がぱっと変わって出てくるというようなことでは、どうも統一された意思のもとに、長期の展望のもとに公共投資が行なわれておるというふうに考えられないというふうに私たちは思わざるを得ないということだけを申し上げておきたいと思います。  それから、そういうことで、道路というものはいわば人のからだにおける血管みたいなものでありまして、これは何としても整備しなければならぬ、急がなければならぬ。一番日本の立ちおくれている社会資本の中の大きなものの一つだろうと思っております。  ところで、都市の面積の中の道路の占める率、これは大蔵大臣御存じだろうと思いますけれども、東京では一〇・九%であります。それからワシントンは四三%、ニューヨークが三五%、パリが二六%、ロンドンが二三%ということで、この交通戦争、いわゆる交通災害が非常に頻発する、何とかしなければならぬ、非常に大きな課題になっておりますけれども、これを緩和して対策を立てるということの基本としては、やはり道路というものを整備するということが何としても基本だろうと思うのです。自動車がふえるというのを押えるのは不可能であります。したがって道路整備することが、いわゆる交通網としての道路ということだけではなしに、交通災害対策の面としてもぜひ必要だ。これは水田さんも否定はされないだろうと思うのです。その道路の率というものが、いま申し上げましたように、ワシントンはもちろんのことでありますが、パリやロンドンあたりに比べても格段に低い、半分以下というきわめて低い道路率になっておるわけであります。したがって今後は立体化をはかったり道路率の拡大をどうしてもはからなければならぬというのが、ただ単に道路交通の面だけではなくて交通災害を防ぐという面からも当然これは至上命令として出てこざるを得ないのではないかというように私は考えておるわけでありますが、その点大蔵大臣どうお考えになっておりますか。
  37. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そうだろうと思います。さっき歯切れが悪いと申しましたが、私のほうの財政計画から言いますと、いま言った程度の日本の経済の伸び率から計算した財政計画からいいますと、この六兆六千億円についての自信がなかったのです。これはなかなかむずかしいということでございましたが、ここにおられる建設大臣、いまあなたの言われるような問題も含めて、これくらいの計画がなければ今後の日本の交通情勢に対処できないということで、とうとう私がこれは譲歩してこの計画ワクをふやす、そのかわり財政的には相当の苦労をしてもこれだけはやってのけようといま私どもは決心しているところでございまして、そういう形でできたいきさつがございますので、ちょっと財政当局としては歯切れの悪いところがございますが、しかしこれはやはりどうしてもやらなければならぬものだと私は考えております。
  38. 石川次夫

    ○石川委員 どうも時間があまりありませんで、いろいろお話ししたいことも言えないのが非常に残念でございますけれども財政的に見てこの道路予算六兆六千億はなかなか容易ではないということは、一応私も理解できますが、しかしこれが当然また途中で計画を変更しなければならぬということは、大きい方向で、拡大する方向で計画を変更しなければならぬという可能性も大いにあると思うのです。そういう意味で六兆六千億自体にもおそれおののいて容易じゃないと言われたのではほんとうに困る。  ということとあわせて、実はこれは特定道路財源というものがございます。これは御承知のようにガソリン税というものが主体になって特定道路財源というものになっておるわけでありますが、この道路予算の中で大体特定財源、ガソリン税というふうなものに依存している度合いがずっと九〇%をこしておったのでありますけれども昭和四十二年になって、これは八〇%程度に実は特定道路財源に依存する比率というものが減っておるわけであります。ということも、このガソリン税というものがこれ以上増すということは非常に限界にきているのではないか、こういうふうに考えられるわけです。  建設大臣にちょっと伺いたいのでありますが、この五カ年計画六兆六千億ということの中に、ガソリン税というものを増税するということを頭の中に入れてそういうことで立てられた予算であるか、あるいはガソリン税というものはもうこれ以上増税しないのだ、こういうことで六兆六千億というものを組まれたかどうか、その点を念のために伺いたいと思います。
  39. 西村英一

    西村国務大臣 ガソリン税を上げるか上げないか、こういうことは建設大臣としては担当事項ではありません。今後経済の進展によりましては、これを大蔵大臣として考えることでありまして、ガソリン税を上げるから六兆六千億に到達するのだというようなことをきめてやったものではございません。現状におきまして経済の変動を見れて、そして弾力的になっていこうということできめたのでありまして、そういうことを前提としてきめたものではございません。
  40. 石川次夫

    ○石川委員 ガソリン税の引き上げの率は昭和三十二年に四一%、昭和三十四年二四%、昭和三十六年一五%、昭和三十九年一〇%、どんどんウナギ登りのようなかっこうで引き上げておりますが、引き上げ率自体はもうずっと鈍っておるわけです。大ざっぱな計算をしますと、大体店先で買うリットル当たりの値段が四十七円であります。四十七円といたしまして、その中で一体ガソリンの税金が幾ら入っておるか、二十八円七十銭、大体二十九円であります。といたしますとガソリンの値段は十八円です。ガソリン税は二十九円であります。ガソリン税をこれ以上引き上げるということは、少し多過ぎるのじゃないかということは、ガソリン税は、ガソリンを使う人だけが買うという問題だけでなくて、これが物価にはね返ってくる、物価対策としての面からいっても、これはかなり大きな要素としてとらえなければならぬ、こう思うわけです。したがって、ガソリン税は、実は前から建設大臣がかわるたびにガソリン税を上げるのか上げないのかと聞くとこれから上げませんと言うのですが、舌の根もかわかないうちに大臣がかわると上げてしまうということをずっといままで繰り返しております。繰り返しておるけれども、外国のガソリン税などを見ましても、日本のガソリン税は限界ではないか、こういう感じが強くするわけだし、またこれ以上上げてはならぬ、こういう気持ちが強いわけです。いまそれがこの場で言い切れるかどうかわかりませんが、私自身としてはガソリン税をこれ以上上げることはもう限界だと思いますが、大蔵大臣どうお考えになりますか。
  41. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いまのところガソリン税を上げるという方針をきめていることはございません。さっき申しましたように、ちょうど四十年までは特定財源のほかに一般会計から持ってくる財源は二八%ぐらいの比率でございましたが、公債を発行するということによって、一般財源のほうから持ってくる率をふやしまして四十一年から二〇%前後の一般財源の比率ということになっております。今後これをどうするかと申しますと、税収の自然増が多くなればなるほどやはりそれに伴って公債の発行額を減らすべきだというふうに私どもは考えておりますし、公債への依存度は年々減らすという方向で考えておりますというと、一般財源から持ってくる率を二〇%以上今後どんどんふやすということは実際上なかなか困難ではないかということを考えておりますが、しかしいずれにいたしましても、この特定財源はいまのところではまだまだ伸びる傾向でございますので、この六兆六千億円の具体的計画内容をきめますれば、その際に、事業別によって補助率がいろいろ違いますから、内容がきまったときでないと全部の財政計画というものは立たない、こういうことになっておりますので、これをきめるときにとにかくやりくりして一般財源から持ってこれるところは持ってくる、できるだけガソリン税の値上げはしないでこの措置をしたいというのがいまの私どもの考え方でございますが、さっき申しましたように、七兆円計画をここまで一応折れ合って調整したものの、財政の裏づけというものは非常にむずかしいと思いますので、検討の過程にガソリン税の問題が出てくるかもしれないとは思っておりますが、いまのところこれを当てにしていることは絶対ありません。
  42. 石川次夫

    ○石川委員 いまのところと言われると、先はどうなるかわからぬという非常に不安な感じがするのです。私は先ほど申し上げたように、もうずいぶん高率なガソリン税で、これ以上無理である、外国の例を見てもこれ以上ちょっと日本では増税することは不可能だと思うのです。したがって私は強く要望したいことは、ガソリン税を上げない。しかしそのかわり、いま特定財源が八〇%、一般財源から二〇%というふうな大体比率になっておりますが、一般財源を相当ふやさないと、特定財源もある程度伸びるでありましょうけれども、六兆六千億に見合うほどの伸び方は示すのかどうかということについては、非常に大きな疑問があると思うわけです。そうしたならば、一般財源をふやすべきである。六兆六千億これ自体私は途中で改定をしなければならぬことになるのではないかという見通しを持っているわけであって、一般財源から相当大幅に出さざるを得ないということを決意して、大蔵当局としては六兆六千億達成のために臨んでもらわなければならぬ、こう思うのですが、この点をはっきり確約をしてもらいたい。
  43. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いま申し上げましたように、できるだけそういうふうにしたい、これから実施計画のときに私ども十分考えたいと思っております。
  44. 石川次夫

    ○石川委員 それじゃこれで質問を終わりますけれども、そうしたいということじゃなしに、ぜひそうしてもらわなければならない。これはおそらく与党も野党も一致した意見だろうと思いますから、強く要望しておきます。とれで終わります。
  45. 森下國雄

  46. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 時間がありませんので簡単に読み上げてお伺いいたしますから、お答え願います。  第一点としては、建設省予算要求の七兆三千億に対して六兆六千億に削られたために、五カ年計画の手直しが生じると思うがどうか、道路予算大蔵省は渋いのではないかという点についてまず一点お伺いします。  第二点、道路財源として確実に確保できる財源は幾らくらい見込まれているか、この二つをまず……。
  47. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いま申しましたように、六兆六千億円計画はできましたが、財政の裏づけをどういうふうにするかという計画はまだこれからの問題でございまして、いまのところ立っておりません。
  48. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 道路財源として向こう五カ年間の財源が確実に確保できるのは幾らくらい見込まれているかという点であります。
  49. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 計画を立てた以上、この計画財源だけは何としても調達するといま考えておるところでございまして、この財源がもうすでに確保されているという問題ではございません。
  50. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、特定財源収入の倍率が、新五カ年計画では、前の五カ年計画よりもちょっと下がっておるように私計算しておるのですけれども、その辺はどう見込まれておりますか。
  51. 武藤謙二郎

    ○武藤政府委員 まだ新しい五カ年計画内容がきまっておりませんので、内容がきまったあとでそれに対して財源措置はどういうふうになるかということを考えなければいけませんので、六兆六千億の財源措置がどうなるかということは、まだお答えできる段階ではございません。
  52. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それではその点はまたあとでお伺いしますが、揮発油税収入が毎年鈍化の傾向にある原因に、経済の問題があげられます。第二点はLPガス、プロパンガス車が非常に多くなってきております。昭和三十九年から昭和四十一年まで見ますと約倍の自動車がプロパンガスを使用しております。プロパンガスの使用は、御存じのとおり非常に税金が安いわけです。もうけのためにタクシー会社がどんどんプロパンガスに切りかえている。そうなってきますと揮発油税の自動車財源が圧迫されてくる。こういう点については大臣はどのようにお考えになられますか。
  53. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 道路財源としてはいまガソリン税がどういうふうに伸びるだろうか、いまプロパンガスがどう伸びるだろうかということを一応予想しまして、この二つを財源に見るということでございますが、その見方のときには、いまおっしゃられるようにガソリン税のほうは相当これに押されるというような事実は今後あると思いますので、やはりこれはその傾向を認めて、財源計算のときには二つをどう見るか、二つを合わせたものを財源にするというふうに処置するつもりでございます。
  54. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、新五カ年計画財源にはもうそういうふうなギャップが出ていることが明らかにわかっているわけですが、そういうことを調整しながら財源確保という点を大蔵省は考えておられるのですか。
  55. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 調整についてでございますが、御承知のようにいまプロパンガスの税金については、国会の大蔵委員会に例の問題がかかっておりますので、そうすればこれが通るということでございましたらそれを基礎にプロパンガスの料金を計算することになろうと思います。
  56. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうするとプロパンガスを値上げしようという考えを持っていらっしゃって、プロパンガスの税金を値上げということを前提として増収をはかっていくんだ。しかしこのプロパンガスの使用というものは、タクシー会社ばかりじゃない、ほとんどが一般家庭がLPガスを使っております。そうなった場合に非常に経済に及ぼす影響は大である。しかし道路財源確保のためには、揮発油税とLPガスとの税金の格差というものはものすごく大きいわけです。その点についての矛盾は、大臣はどうお考えですか。
  57. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 その他についての矛盾が若干ございますから、私どものほうでは税の改正によって調整しようとしましたが、なかなか国会側で承知しませんで、しばらくこれを一定期間待つようにというような意向が強うございますので、その線に沿った改正案がいま国会提出されているところでございます。
  58. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうするとプロパンガスを今後値上げしていかなければだめだという大臣の強い考えが私感じられるのでありますが、われわれにとっては値上げという点については絶対反対でありますので、そういう点をお含みの上で、この矛盾克服のために大臣の手腕を今後見ることにいたします。  第四番目には、軽い交通違反の罰金の還元のしかたについては大臣はどう考えているかという点であります。これを大蔵省と自治省との間に対立があります。このことは、国庫に納めるべきだという大蔵省、都道府県で道路の直接目的税として使うべきであるという自治省、こういう考え方が現在支配されておりますが、大蔵大臣はどのようにお考えになっておられますか、
  59. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 この考え方についての意見はいま分かれておりません。もう考え方は統一されまして国に帰属すべきものということでございますが、ただし交通対策の必要が緊急の問題であるという現状にかんがみまして、この収入を交通対策として地方団体に全部お返しするということで、いま法案を提出しておるということでございます。その分配のしかたは、交通事犯を多くあげて罰金を多くとったところへそのまま多く返すというようなことをしますというと問題が起こりますので、そういう基準でなくて、これを全部に特別交付金として配付する方法を考えたいと思っております。
  60. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 次は、きのうも討論のときに社会党の方々から討論が出た例の問題でありますけれども道路市町村財源の例の特交金二十五億円の算定は、どういう基準でおやりになられたのですか。
  61. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 地方道路の財源がほしいという自治省の要望に対しまして、折衝の結果これはきまった額でございまして、地方道延長に対して、案分でこれを配付するということになったものでございますが、この二十五億の根拠といいますというと、これは特別な根拠というものは実際にはございません。当時の財政の都合で本年度この程度予算計上をしよう、そうして今後はこの道路五カ年計画の細目がきまるときにおいて関係省、大蔵省建設省とにおいて相談してこれはきめましょうということで二十五億円をきめたのが当時のいきさつでございまして、これは予算折衝のときの財政の都合できまったというふうに御了解を願いたいと思います。
  62. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣財政の都合上というおことばをお使いになりましたが、これは地方では非常に困っている。私どもの正木委員予算委員会で大蔵大臣に御答弁を願った質問の中にも、自治省は一キロ当たり千円の割合で総額百三十三億になる予算をはじき出した上で要求を出された。それに対して、大蔵大臣はただいまの御答弁では都合によって——あいまいで、二十五億、このくらいやっておけばいいのではないかという考え方なんですけれども、大体きのうの討論の中に出ておりましたけれども、必要財源は一千三百億も必要であるという中で、算定は百三十三億でありますが、その中から二十五億というお金を地方へ回すんだ、それに対して、あまりにあいまいなんでございますが、その点、どうも納得いかないのですがどうなんでしょうか。ちょっともう一ぺんお答え願いたいのであります。
  63. 長岡実

    ○長岡説明員 お答え申し上げます。  ただいまの臨時地方財政交付金二十五億円につきましては、この二十五億円だけで特別の事業をやるという性格のものではないわけでございます。したがいまして、四十二年度予算編成に際しまして、自治省側としては、主として市町村道整備のための財源として幾ら幾らほしいというお話があったことは事実でございますけれども大蔵省といたしましては、結局はこの問題は地方財政計画全体の中にのみ込まれた議論になってしまうわけでございまして、一般の交付税は一体どのくらい入るであろうか、税収入はどうであろうかといったようなものを合わせまして、全体としての地方財政計画のバランスをとる上において、二十五億円を臨時地方財政交付金として交付するということで、大蔵省、自治省の間で話がきまった数字でございます。
  64. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣にかわっての答弁なんですが、私も何も大蔵省と自治省と立ち会って聞いたわけではありませんから、そういう御返事をいただければ納得せざるを得ないのです。こういった地方の要求に対しては、今後ひとつしっかりしていただきたいと思うのです。  時間もございませんので、最後に一点だけ。  高速道路は有料方式で独立採算制をとっております。しかし、その地域によっては償還能力に著しい格差がありますが、これらの格差是正に対しては、大臣はどのようなお考えと措置をおとりになっておられるか。
  65. 西村英一

    西村国務大臣 有料道路の料金の問題でございますが、これは現在線路別にやっております。したがいまして、早くペイした道路は、これを一般国道に直している例があるのであります。しかし、これはますます有料道路が発達をいたしますると、この料金をどうするかという点は一つ問題点でございます。たとえば東名高速道路が今度でき上がりますと、やはりこの料金をどういうふうに持っていくか、各道路で格差ができるのはあたりまえですが、プール制にするか、あるいはやはり線路別にして、早くその建設費が返せるものは一般国道に直していくか、あるいはそれとも全部プール制にしていくか、それがこれからの検討事項でございます。したがいまして、いまやっている方法は線路別ごとにやっておるわけでございまして、ペイしたところの道路で無料道路に直すという方法で、すでに有料道路から一般国道に直っているところもあるわけでありますから、今後有料道路がますます伸びますれば、こういう料金につきまして検討したい、かように思っております。
  66. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まだあと三分ばかりありますから少し伺いますが、大阪の万博を前にいたしまして、七十本の幹線道路がございますが、そのうち十九本が未完成であります。これからの万博を前にして未完成の十九本の幹線道路に対して、予算面ではどういうふうな配慮をされるか、早くやっていただけるか、これは建設大臣から伺いたい。
  67. 西村英一

    西村国務大臣 万博にはなるべくたくさんの道路を間に合わせたいというので、先般も関係者を集めまして、いま進めておる最中でございます。もうあまり年月もありませんので、こちらといたしましても万全の策をとってやってまいる。四十二年度予算はきまっておりますから、早期に工費は出すわけであります。大阪におきましては、おおむね十月ごろまでには四十二年度にきまった予算は急速に使う。したがいまして、四十二年、四十四年という道路につきましても、大かたどれくらいの予算を充てるかということは、六月中に大蔵省と次年度その次の予算について相談をして、六月中にはきめるということになっておる次第でございます。非常に切迫するようになりますれば、これは単価も非常に上がりますから、万全の措置をとりたい、かようにいま努力の最中でございます。
  68. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この十九本の完成を必ずお約束していただきたいと思いますし、また大蔵大臣も建設大臣予算要求に対しては、ひとつ色よい御回答、満足のいくところを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  69. 森下國雄

    森下委員長 井上普方君。
  70. 井上普方

    ○井上(普)委員 私、少し道路問題についてお尋ねいたしたいのでございますが、四十一年度末までの第四次五カ年計画進捗率を見てみますと、平均が五一・八%という数字、これは「国の予算」に出ておるのでございます。ところが地方単独の計画が五二・八%、平均よりもはるかに地方単独事業のほうが伸びておるわけでございます。こういうふうなことから考えますと、一方におきましては地方道路財源が非常に乏しくなっている。そして三十九年の様子を見てみますと、地方道路財源、都道府県の道路財源を見てみますと、国の支出金が三八・九%、地方道路譲与税が二二・八%、これは五大都市と府県だけでございます。軽油引取税二〇・三%、その他が二七・〇%というように非常に、何と申しますか、特定財源地方の特定財源というものの比重が軽くなっておるわけです。そして一般地方の自主財源というものがだんだんと押しつぶされてきておる。これが実態ではなかろうかと思うのでございます。地方道の特定財源に充てる比率が非常に低くなっている。したがって、自治省の出しておりますところの地方財政白書、これを見ましても、「最近の地方財政の傾向と課題」というところの第三番目に、特定財源が非常に少なくて、もう一度税財源の配分並びに地方財政の体質改善の方途についてさらに検討を加えなければならない。「一例をあげれば道路財源についてである。すなわち、最近地方道特に市町村道についてもその整備が強く要請されることになったことにかんがみ、これがための道路財源の増強について、検討する必要がある。」こう自治省の白書にも書いてある次第でございます。先ほど申しましたように、この三十九年度の都道府県の道路財源を見ましても、特定財源としての軽油引取税というものが二〇・三%というような低いところになってきておって、一般財源が、二七・〇%というようなところにまで一般財源を取り込むような道路行政が行なわれるようになっておるのでございます。いまでは国道も、まだまだ十分ではございませんけれども、かなり大きくなってきておる、完成ができてきておる。国道ができましてもその培養線ともいうべき地方道が十分できないと、国道と申しますか、幹線自動車道にいたしましても、十分その機能を発揮することができないと思います。そういう点について、まあこれは大蔵大臣にお聞きするのがほんとうであったかもしれませんけれども、建設大臣地方道の、先ほど来阿部委員なりからも申されましたように、地方道財源が非常に乏しくて、そして地方財政を圧迫しつつある現状に対してどのようなお考えを持ち、これに対してどういうような処置をおとりになろうとするのか、お伺いいたしたいのでございます。
  71. 西村英一

    西村国務大臣 たびたびこの席でも言っておるのでございますが、地方道といいましても、分けまして府県道市町村道でございます。府県道につきましては、これはやはりガソリン税があるわけでございますから道路整備国道と同じようにやっておる。問題になるのはいわゆる市町村道でございます。市町村道が、その自主財源が非常に苦しいということでございますが、もう一つそれを分けて、市町村道でも街路に相当しておるところはそれはやっております。ただ街路に相当していない一般市町村道につきまして、それを直すのには財源が非常に苦しい。したがいまして、先般、地方制度調査会からガソリン税の一部分を地方に移譲したらいいのじゃないかという議論が出ておるわけであります。しかしたびたび言っているように、いまのガソリン税をもってしても、今後国として一般国道を直すのにガソリン税だけでは間に合わぬ、一般財政を相当つぎ込まないとこれも完全に直らないということで、直ちに地方にそのガソリン税を移譲することについては異論があるということで、ことしはそれができなかったのでございます。しかしながら、地方道の重要性もわれわれはわからないことではありませんから、今後この地方道を直すためにその財源処置については大蔵省財政当局と十分打ち合わせをしてこれに対処しなければならないということでございます。先般も、さいぜんも二十五億円のつかみ金の問題が出ましたが、それらあたりもやはりその折衝の過程におきまして、個々の市町村道はこれくらいはというようなことで詰めていってああいうことになったのでありますが、おそらく今後五カ年計画最終的な閣議決定になるまでには地方財政財源の問題についても討議が行なわれるものと、かように考えておる次第でございます。またいまでも全然やっていないわけではないので、特定の法律をもってしておる奥地振興であるとか、山村振興であるとか、あるいは空港に行く道であるとか、あるいは踏切であるとか、いろいろな緊急を要するものにつきましては、市町村道でもわれわれはそれに対して補助金を出しておるのでございまして、いまでもやっておるのでございますから、全然市町村道については建設省は取り合っていないというようなことはないのでございます。しかしこれを全般的に考えますれば、八十数万キロもある市町村道でございますから、その中にはやはりおのずから甲乙がある、重要なものもあるしそうでないものもある。したがいまして、建設省の立場といたしましては市町村道をこれをこまかく調査をいたしたい。そうして場合によっては市町村道のクラシフィケーション、格づけをしまして、それに対してこの財政を考慮するというようなことも考えていかなければならない、かように思っております。  数字局長からひとつ説明をさせます。
  72. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いま地方道のうちの市町村道整備の問題でございますが、これは四十二年度都市局関係でありますが、これは都市計画に基づいて街路事業としてやられるものが約五百二十五億ございます。そのほかに地方道としての一般の補助事業及び交通安全とかそういうものを入れまして道路事業でやられますものが百四十六億、全体で六百七十一億が市町村の事業に四十二年度は投資される予定でございます。
  73. 井上普方

    ○井上(普)委員 ただいま大臣は、市町村道のほうに問題がある、こう仰せられました。まさにそのとおりだと思います。これは後ほどお尋ねいたしますが、しかし都道府県道自体を見ましても、特定財源は三四・一%しかないわけでございます。そして国庫支出金は三八・九%、そういうような低いところに、現在の都道府県の道路財源というものはあるわけでございます。こういうようなことで、一般財源が二七・〇%というような低いところに押えられて、地方自治体といたしまして、都道府県の場合を見ましても、道路をよくしたいという気持ちは持っておるのでございますが、何ぶんにも金がないというので、都道府県道整備がおくれておるのが現状ではないかと思います。国道はかなり整備されつつあります。しかし、いまのこの第五次五カ年計画を見てみましても、七兆三千億円が六兆六千億になる。しかもそのうちで、地方単独事業が、当初、昨年の九月につくられた「道路ビジョンと第五次五箇年計画案の概要」では一兆九百億円であったのに、これを地方に一兆一千億円にかさ上げしておる。ところが、国道のほうの全体計画は縮小している。地方道に百億円ではございますけれどもかさ上げしてきておる。一方裏から考えますというと、それだけ地方道整備というものが緊急を要するようになったとも考えられるわけでございます。もちろん、国のほうの財源が少ないから六兆六千億円に圧縮したという考え方があるかもしれませんけれども地方単独事業を、要求のとおりおたくでつくられた五カ年計画の概要というこれでは、一兆九百億円としておるのを一兆一千億円に上げておる、全体計画は下げておるというようなところを考えますと、地方道整備というものは、これから建設省もおいおいに力を入れようとする考えであろうし、またこれをやらなければ、ほんとう国道の使命あるいはまた幹線自動車道路というような、こういう道路の使命というものが十分に果たせない。地方道といいましても、国道あるいはまた幹線自動車道路のなにからいいましても培養的な意味を持ってまいります。そういうような意味からして、県道あるいは地方道に対する補助金をもう少し出すべきじゃないか、あるいは特定財源をもう少しとるべきじゃないか、このように私は思います。  次に市町村道の問題につきましても、これは、五大都市を除きましても特定財源はゼロというようなところで、昨日も討論のときに、二十五億のつかみ銭、しかもそれは市町村道延長にいたしして二円六十銭というような低い単価の交付税の算安基準を与えておるにすぎません。こういうことで、はたして地方道がその機能を十分に発揮でき、しかもまた国道はつくられたけれども、その培養線が十分に完成しない、使命を達成しないというような事態になるのではないかと私どもは憂えるのでございますが、都道府県道並びに市町村道に対して、この点いかがな処置を建設省としてはおとりになるおつもりでございますか、もう一度ひとつお伺いいたしたいと思います。
  74. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまのお話のように、やはり幹線道路だけやっておってはだめだ、幹線道路をやるには、その培養線になる地方道も一緒にやらなければならない、これはそのとおりだと思います。私もやはり地域の道路というのは、幹線があって、その支線があって、一つの網としてやっていかなければならぬ、こういう意味から言いましても地方道、特に市町村道整備が今後重大な問題になってくるように考えております。  ただいまお話のございました市町村道に対する財源がないじゃないかということで、まことにそのとおりでございますが、いまの特定財源というのは、ガソリンを主体とした財源だけでございまして、そのほかに道路として使われておるのは、町村にはあまりないのでございますが、都市計画税等もございます。都市計画税というのが、大体いまの都市計画の事業で施行されます街路事業、こういうものの財源になっておるのじゃないかというふうに考えております。  また、市町村にもっと財源を与えてやれということも、これも私将来必要だというふうに考えております。ただ、いまの現状といたしまして、道路財源は特定財源一般財源の二つからなっておるわけでございます。特定財源につきまして、ガソリン税をさらにふやせば別ですが、これも非常に限界があるし、今後のふえ方からいっても、特定財源だけにたよって今後の道路整備をやっていけない。やはり特定財源以外に一般財源を相当つぎ込んでもらわないと六兆六千億の事業ができないという意味で言いまして、やはり国の財源にも特定財源以外の一般財源も与えてもらう。地方も交付税その他によって、道路に使われるような財源をどんどんふやしてもらいたいということを、われわれは大蔵省とのいろいろの折衝の中で今後はかっていきたいというふうに考えております。
  75. 井上普方

    ○井上(普)委員 ひとつ建設省といたしましても、地方財政が非常に窮乏いたしておる、しかも住民要求といたしましては、道路を早く直せという強い要求が住民の中からも出ておりますし、かつまた、先ほどこの五カ年計画で、国道あるいはまた幹線道路ができましても、それを培養する道路県道あるいはまた市町村道であるということをひとつお考え願いまして、格段の御尽力をお願いいたしたいと思うのでございますが、ただ、道路局長は、ただいま都市計画税が道路財源一つであるというようなお考え方は、私はちょっと——それはもちろんありますけれども、それをもってすべきではないと思います。もちろん都市計画税には、先般も出てまいりました下水道の問題であるとか、あるいはまた街路の問題であるとか、いろいろと都市計画税が持っております目的がございます。それを道路財源に全部使うというような考え方、これは直していただいて、都市計画税は市町村のあるいは街路事業都市計画をそのまま実行するものであるというお考え方の上に立って、道路財源としての意味合いを持たせないようにひとつお考え願いたいと存ずるのでございます。  もう一つお伺いいたしたいのは、交通安全整備三カ年計画というのがございますが、これが明年でございましたか、大体終わるようでございます。しかし、このたびの第五次五カ年計画を見てみますと、交通安全についての一応の目標といたしましてはあるのでございますが、道路の、予算的にどのような処置をなさるおつもりであるのか。この点ひとつお伺いいたしたいと思うのです。今年、明年はこの財源が、十分ではございませんけれどもあるけれども、明年終わりますと、安全施設のこの予算はなくなるのじゃないかという心配がございますので、この点どうでございますか。
  76. 西村英一

    西村国務大臣 そうではありませんで、第四次五カ年計画のワクの中で、その三カ年計画としてやって、それが前半建設省それから警察等も入れまして六百五億円にきまったのであります。したがいまして今年で二年目でございます。来年は新しい五カ年計画に基づきまして、この予算は、四兆一千億から六兆六千億ですから、その比率からいきましても、相当に来年は交通安全施設の予算はふえなければならぬ。いわんやまた、特に交通安全について身を入れるのでございますから、その比率以上にこれは進むと思っております。したがいましていまの段階では交通安全になるいろいろな歩道であるとか架道橋であるというようなものにつきましては、新しい観点からいま調査を進めておりまして、できるだけこれを早く完成したいというわけでございますから、今後おそらく来年は新しい三カ年計画と申しますか、そういうことで対処したい、かように考えております。
  77. 井上普方

    ○井上(普)委員 それでは、この交通安全三カ年計画が明年終わりますので、一応あれで打ち切りだなんという考え方が流布されておるようでありますが、また続いて明後年から新しい交通安全三カ年計画をつくられるというお答えを得まして、私も安心いたした一人でございます。いずれにいたしましても、交通安全の問題にいたしましても、これもかなり地方財政におぶさらざるを得ないという状況でございまして、先ほども地方財政白書で申しましたように、一例をあげればということで、常にこういうように特定財源地方に与えるべきだということを自治省も申しており、どの町村へ参りましても、金がないからできないのだ、どの府県へ参りましても銭がないからもう少し国があるいは交付金の形ででも出してほしいというようなことがございますので、ひとつ格段の御尽力を、建設省といたしましても、先ほど来申しますような意味合いからいきましても、ひとつお願いいたしたい、このように思うわけでございます。  続きまして、この三月の十八日でございましたか、大臣にお伺いいたした件でございますが、本州・四国の連絡橋につきましてお伺いいたしましたら、大臣は総理大臣とまだ茶飲み話もしておらぬ、こういうお話でございまして、まことに私どもとしてあ然といたしますと同時に、これが新聞に出ますというと、関西方面の各県民は実は一驚をいたしたというよりも、ぼう然とした。自民党はそれほどまでに——失礼ながら選挙のたびにこの橋はかけるのだということをおっしゃっておりながら、担当大臣が、総理大臣がこういうように言明いたしております橋につきまして、茶飲み話もしていないというようなことでは、どうも自民党の諸君はいままでもそうだったのかというようなことに、県民あるいは関西付近の人たち、瀬戸内海沿岸の人たちは実は一驚をいたしておるのです。しかし五月十九日に土木学会が一応技術的なことを建設大臣に答申したようでございます。今後このルートを決定するにつきまして、どのようなスケジュールで、どのような時期に決定をされるのか、これをひとつお伺いいたしたいのです。あるいはまたわれわれ建設大臣のお考え方をはたから揣摩憶測いたしまして、これから経済効果を考えるのだ、もちろん経済効果も考えなければなりません。しかしこの橋の完成、おそらくや早くて十二、三年後、おそくとも十四、五年ぐらいには大体完成の時期じゃないか。そういうような、今後十四、五年後の日本の橋の経済効果と申しますよりは、むしろ国土開発というような観点から、この橋の問題を考えるべきだと思います。そういうようなときに、どのようなルートを決定するのにつきまして——いままで各大臣、佐藤さんもおっしゃっておられますし、また池田さんもなにを言われましたが、常にこういうふうに明石——鳴門ルートが非常に経済効果がある、あるいはまた国土開発面から非常に必要だというようなお考え方で、私は関西方面においていつも発言されたのだろうと思いますが、このルート決定に至るまでの間、どういうようなスケジュールで、あるいはまた経済効果を測定するにはどういうような方法でやられるのか、あるいはそれを閣議で決定されるのか、審議会を置かれるのか。いろいろ揣摩憶測されておりますが、大臣といたしましては、どういうような考え方でひとつルート決定にまで持ち込まれようとするのかお伺いいたしたいと思います。
  78. 西村英一

    西村国務大臣 茶飲み話もしなかったというのは、質問が相当前でしたから、しかも総理と内々打ち合わせをしてきめておるのじゃないかというようなにおいの質問でございましたから、実際は私としては話もしても、知識を持っておらないから、しなかった。しかし五月十九日に小委員会の報告がいよいよ出るというから、私はその前に閣議で発言を求めて、実は小委員会の報告をまだ受けておりません、受けておりませんが、これが発表されると、あの五ルートのうちではどこがよかろうというようなことで、各マスコミの方々が大騒ぎをするだろう、今度の報告はかくかくの報告であるから、それによってはルートはきまるものではございませんということを十九日の前に私は閣議に報告したのであります。そのときの閣議の模様は、実に重大な橋の問題であるから慎重に取り扱わねば困るという注意が、各閣僚からこもごも私にありました。したがいまして、また私といたしましては小委員会の報告書はわかっておりますから、ただいまいろいろ考え中でございます。実はまだ正式の報告書は受け取っておりません。というのは、その資料は膨大でございまして、印刷するだけでも約一カ月かかります。おそらく今月の終わりにはその総会にかけて、正式な報告がその委員会からあると思っております。  それはともかくといたしまして、われわれがお願いした技術上の観点から見たいろいろな調査はできておるわけでございます。したがいまして、今後はこの調査資料に基づいていかなるルートを選ぶべきかということが焦点になるわけでございますが、今後私といたしましても第一番にはこのデータに基づきまして建設省で建設費をはじき出します。そうしてまた、各ルートごとに、このルートであれば何年ぐらいかかるというふうに、いわゆる建設費と工期を計算をいたしたいと思います。おおむね四カ月ぐらいかかるでしょう。早くかかりたいのですが、国会が忙しくて、毎日こういう状態でひまがございません。しかし私は徐々に考えを進めております。  いずれにいたしましても、われわれ建設省だけでルートをきめるわけにはいきません。民間の方々を入れた審議会はつくりたい。しかし、それとは別に、やはり政府の決定事項でございますから、関係閣僚会議も同時に持ちたいということを考えておる次第でございます。なるべく早く結論を出したいと思いますが、非常に重大でございますから慎重に取り組みたいと思っております。
  79. 森下國雄

    森下委員長 渡辺栄一君から関連質問の申し出があります。これを許可いたします。渡辺栄一君。
  80. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)委員 時間もございませんので、簡単に大臣の所信を承りたいと思います。  今度の五カ年計画におきましても高速自動車道が計画をされておるわけでありますが、これを計画どおり推進をしてまいりますためには、言うまでもなく関係地元の力を得まして用地買収がすみやかに行なわれねばならぬ。これにつきましては、各それぞれの路線につきましてただいま調査が進められ、路線が決定されようとしておると思います。私ども建設省の高度な技術というものには全幅の信頼を寄せておるわけでありますが、ただそれぞれの地元におきましては、いろいろな意見もあるだろうと思うのです。そういう意味におきまして、ぜひともひとつ技術的な良心に基づきまして理解を求めるように懇切丁寧な説明をしていただきたいということであります。  もう一点は、地元の切なる要望等につきましては、十分配慮するような御指導を大臣としては願いたいと思うわけでありますが、こういう点につきまして、ひとつ大臣の誠意ある御回答をお願いしておきたい、これだけであります。
  81. 西村英一

    西村国務大臣 非常に重要なことでございまして、地域住民の方々の御協力を得ないとあれだけの大事業はできないわけであります。したがいまして、用地の取得にいたしましてもその他いろいろな問題にいたしましても、つとめて説明会を開く等、どちらかと申しますとそういうところは従来も少し欠けておるやに私も聞いておる場合もありますから、十分ひとつそういうことは地域住民の方々に御相談を申し上げて御協力のもとに進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  82. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)委員 特に中央道におきましてもそういう問題がございますので、ひとつそういう意味におきまして、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  83. 井上普方

    ○井上(普)委員 私どもは、いま関連質問がございましたので、申し上げるのでございますが、いままで河野建設大臣にいたしましてもまた池田総理大臣にいたしましても、同じように発言されておるわけでございます。これは佐藤さんにお見せしてもよろしいと思います。審議会といいますものは、いままでの審議会を見てみますと、とかく隠れみの的な存在になって時間を制限するだけになってきておる。これは私どもといたしましては、どうも納得がいきかねる。いままで五年ないし六年かかってこの調査をやっておられるのですから、ひとつ早急におきめ願うようにあるいは関係閣僚会議でもよろしゅうございますから、十五年後あるいはまた十七、八年後の日本の国土開発というような点をひとつお考え願って早急にルート決定にまで持ち込んで、来年の参議院選挙に利用することのないようにお願いして、私の質問を打ち切ります。
  84. 森下國雄

    森下委員長 他に質疑の申し出がありませんので、これにて質疑を終了いたしました。
  85. 森下國雄

    森下委員長 これより討論に入るのが順序でありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  86. 森下國雄

    森下委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 森下國雄

    森下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  88. 森下國雄

    森下委員長 土地収用法の一部を改正する法律案土地収用法の一部を改正する法律施行法案、右両案を一括議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。工藤良平君。
  89. 工藤良平

    ○工藤委員 それではただいま議題となりました土地収用法の一部を改正する法律案につきまして、若干御質問をいたしたいと思います。時間がございませんので、あるいは全部質問できるかどうかわかりませんけれども、もしできない場合には、次にぜひよろしくお願いいたしたいと思います。  今回の土地収用法の改正の趣旨でございますが、その中に、このたびの改正が行なわれました理由といたしまして、特に地価対策の一環としてこれが考えられる、こういうように御説明がなされているわけでありますが、はたしてこの収用法の一部改正によって現在の土地騰貴という問題が解決できるかどうか、非常に大きな疑問が持たれるわけであります。もちろん私も、土地騰貴の問題、地価対策の問題としてこれによって若干は影響はあろうと思いますけれども、非常に大きな疑問を持たれるわけなんで、ぜひこの全体的な地価対策の問題について、その概要をまずお聞きをいたしたい、こういうように考えるわけであります。
  90. 志村清一

    ○志村政府委員 地価対策につきましては、ある特定の対策を一つ立てまして、それが何と申しますか万能的な役割りを果たすという対策がなかなかございません。いろいろな方法で地価安定のための対策を推し進めてまいらなければならぬと思うわけでございますが、この地価対策に関していろいろな御議論が従来もございました。すなわち、国会におきましても、三党決議案で土地利用計画の設定あるいは鑑定制度の問題等々につきまして御決議があったわけでございますが、それらを受けまして地価対策閣僚協議会が四十年に設置されたわけであります。それに基づいて宅地の開発、供給の推進という面、これは公的、私的の両面から進めてまいりたい。また既設市街地の高度利用を進めてまいる。また同時に、ただいま御審議いただいております土地取得制度の改善というふうなことで土地収用法を改正するということを進めてまいりました。また同時に、前国会でも御承認いただきました都市開発基金の制度を確立するというようなこと等も進めてまいりたいということであります。   〔委員長退席、廣瀬(正)委員長代理着席〕 また同時に、土地利用計画の確立を進めてまいりたい。と同時に、土地に関する取引の円滑化、これはすでに衆議院建設委員会におはかり願おうとしております宅建業法の改正等によって進めてまいりたいというふうに、いろいろな施策をもってアプローチしておるわけでございます。
  91. 工藤良平

    ○工藤委員 この地価対策の問題についてはさらに次に追及をいたしたいと思いますけれども、二つ目の問題として、この中に、「収用の裁決のときの近傍類地の取引価格等を基準とすることとしておりますが、裁決時においては、事業が実施されることによる値上がりの期待をもって」云々、したがってごて得の弊害を生じておるのでこれを除去していく、こういう立場が非常に強調されているわけでありますけれども、この点についてお考え方をお聞きをしておきたいと思います。
  92. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、事業が実施されるということになりますと、地価が非常に値上がりいたしまして、近傍の土地の地価が高騰するわけでございます。現行の土地収用法におきましては、裁決時価格でございますので、高騰した時点における価格をもって裁決価格としなければならぬということになりまして、時間がたてばたつほど値段が上がる。したがいまして、非常に御協力を願って、早期に協力した方とのバランスがとれない。同時に、公共用地についてそういう高い値段で買いますと、それが付近地の地価にも非常に悪い影響を及ぼす。大規模な事業が行なわれますと、その付近地が高くなる。というのは、電源開発等の大事業、あるいは国鉄新幹線とかあるいは道路事業の大きなものというようなことがあるたびに、付近地から苦情が出るわけでございます。さような意味合いにおきまして、一般の地価を抑制するというふうな役にも立ちますし、また同時に国の費用でございますから、結局税金でございます。国民全体の負担も軽減させたいという趣旨で、今回の改正法案にありますように、事業認定時の価格を基準として考えてまいりたい、かようにいたしておるわけでございます。
  93. 工藤良平

    ○工藤委員 それではひとつ、現在の土地問題の傾向といたしまして、これは土地調整委員会から出されております四十一年の年次報告をずっと読ましていただきまして、またいま問題になっております総武線の東京工事局の土地収用の問題をめぐりまして問題が出ておるようでございますが、これらの内容を見まして痛切に感じますことは、現在の傾向としてそれぞれの起業者が公共の利益という名のもとにおいて土地の収用が行なわれる場合に、地域の住民の人たちなりあるいは土地所有者の人たちが、その収用予定者の態度というものが非常に強圧的である、こういうようなことから、むしろ問題の解決を長引かす、現在の法規でいう、いわゆる現在の用地取得制度のもとにおいては、非常に地価をつり上げていく、こういう傾向は全体的に出ておるだろうと思います。その意味においては、確かに一つの意義があるだろうと私も考えるわけです。ただ問題は、いまの土地所有者の人たちが、この土地収用法の第一条から第三条にいう公共性というものと、憲法に保障しておる私有財産との関係において、非常に大きな問題が提起をされてきておる。むしろかつては土地収用法あるいは公共性という名のもとにおいて、むしろ簡単にというとちょっと問題があるかもしれませんけれども、ある程度話し合いでできておりましたけれども、非常に権利的な意識というものが高まるにつれて、そういう問題がこじれてくるというかっこうになっている、そういうようなことも考えられますし、現在建設省が考えておるいわゆる土地収用法の場合の公共性というものに対して、一体どのように私たちが考えていったらいいのか、その点について、非常にむずかしい問題でありますけれども、お聞きをいたしたいと思います。
  94. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいまお話がございましたように、用地取得にあたりましてとかく起業者側が強権を振り回すかのごとくおどかす。片や土地を提供される側は、土地収用法を適用されますといかにもまた罪人になったかのごとく思われるというふうな事例がございます。いわば伝家の宝刀か、またたいへんな悪法か、そういう両方の矛盾があるわけでございます。確か編戦前の土地収用法におきましては、ある程度強い力、国の権力をバックにした強い力というふうな色彩がございました。戦後改正されました土地収用法におきましては、土地収用委員会というのがいわば第三者の立場に立ちましてお互いの言い分を聞いてきめているというたてまえになっておりますから、それらにつきまして漸次国民の間に理解が深まってまいりまして、大都市周辺とか比較的そういう知識の多いところにおきましては、むしろ収用委員会で審議していただきたい、お互いでやり合ったのではとてもだめだから収用委員会にかけてくれという声も漸次多くなってまいりました。法律の本来の趣旨はさような趣旨で進められておるわけでございます。  また後段でお尋ねがございました公共の利益となるものは一体何だろうかということでございますが、これは収用法の第二条に公共の利益となる事業の用に供するものについては収用できるという規定がございまして、第三条におきましてそれらを具体的に列挙いたしておるわけでございます。これらは公共の利益となる事業に該当する。ただこれはたとえば道路というのがあがっておりますが、道路ならば何でもかんでも公共の利益に合致するかといえばそうはいかない。事業認定の申請をいたしまして、その土地がはたして十分な土地の利用に役立つものかあるいは施行者がそれをちゃんとやる能力があるかということ等を判断いたしました上で、これが公共性があるかどうかということを決定するという仕組みになっているわけでございます。
  95. 工藤良平

    ○工藤委員 ただいまの公共性の問題でございますが、これは先般の国会におきまして本委員会で論議をされておるようでございますが、その中の論議を見ましても、たとえば公共性というものの中には純然たる、だれが見ても公共だといわれるもの、道路におきましてもいまおっしゃるようにまったくこれは公共だというものとそうでないものとのいろいろな区別があると思いますが、完全に公共性と認められる、あるいは公共性を伴うけれども営利をある程度目的としたもの、たとえば電源開発のように電気資本との関係があって営利を伴うものというものがあるだろうと思います。ところがもう一つは、やはり公共性という問題について起業者とそれから土地所有者との間に意見が、判断が食い違う、そういうものが大体あるだろう、こういうように考えるわけでありますが、この際にやはり問題がこじれてくるだろうと思います。したがって私は、この土地収用法の中で確かに第二条、第三条でそれぞれ公共性の問題をうたっておりますけれども、問題になりますのは、いま言ったように第二条、第三条を持ってきて、ここに道路をつくるのだあるいはダムをつくるのだという形で強制的にくる。そのことが地域住民にしてみれば非常に感情にさわる。こういうことからこの公共用地の取得に関する特別措置法というものができて、あるいは地域住民に対する相当丁寧な説明をしなければならぬということがなされているのだろうと思うのですが、現実にこの年次報告を見ますと、法律ができたあとにおいてもなお依然としてそういう問題が続いている。そういうことから考えてみると、私は建設省なり土地起業者の考え方というものが、特に土地収用法の第一条は「この法律は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、」こういうことになっているわけであります。やはりここに非常に大きな問題の視点というものを当てていかなければ、いま申し上げましたような事件というものが幾つも発生してくるのではないか。たとえばこれは話が余談になりますけれども、産業公害のようにいわゆる産業との調整ということでぽかされておりますけれども、この場合には特に「私有財産との調整」ということで、これはやはり憲法との関係において非常に重要視しなければならない問題じゃなかろうか、この点について第一条と第二条、第三条との関連、この点について意見をお伺いしたい。
  96. 志村清一

    ○志村政府委員 先生御指摘のように、土地収用法は公共の利益と私権との調整をはかる非常に重要な法典でございます。その根拠は憲法二十九条にございますが、二十九条の第一項「財産権は、これを侵してはならない。」ということになっておりますが、同時に第二項、第三項に、財産権そのものに内蔵するいろいろな制約というものをはっきり規定いたしておるわけでございます。土地収用法に関連のございますのは、第三項の「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」という規定がございます。この規定を受けまして、土地収用法が制定され、国会の御審議を経て動いているわけでございますが、これらに基づきまして、第一条の目的あるいは第二条、第三条の規定がつくられているわけでございます。この中で、先ほど先生が公共性というふうな問題につきまして、私企業についても第三条各号の中で収用ができることになっているが、この点については公共性という問題についてさらに追及すべき点があるのではないかという御指摘がございました。確かにそのとおりでございますが、民間事業でも、たとえば私鉄のような場合におきまして、はっきり公共のための利益をはかる事業でもあるわけでございます。ただいたずらに公共のための利益をはかると言いながら料金をべらぼうにとったり、その他の問題がございますればこれはいかぬ、そういう意味で、地方鉄道法等におきましては事業をやるにつきましても主務大臣の免許を必要とするし、料金につきましても監督官庁の認可が要る、しかも商売がうまくいかないからもうやめたいという場合にも、主務大臣の許可を得なければならないというふうに、いろいろな制約をいたしております。特に端的に申し上げますと、料金の決定につきましては厳重な主務大臣の監督を経ておりまして、国や地方公共団体が行なう事業等に比べまして、その公益性ということについては劣るところはあまりないんじゃないか。ただ収用法の適用がない私企業であるから、用地費はできるだけよけい出したらいいじゃないかということになりますと、それがめぐりめぐりまして、料金の非常に大きな値上げになるというふうな問題にも関連しまして、公共的な色彩の企業についてはいろいろな問題があるようなわけでございます。さような意味におきまして、私どもといたしましては私企業に対する土地収用法の規定というものは、それをいろいろチェックいたしております監督規定によりまして、十分カバーされるのではないかというふうに考えておる次第でございます。   〔廣瀬(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  97. 工藤良平

    ○工藤委員 公共性の問題は非常に大きな問題で、この程度にしておきたいと思いますけれども、いま申し上げましたように、公共性の中にも確かに営利を伴うものがあるし、全く公共的なものもあるわけなんで、そういった意味から、問題は、だれの利益のためにだれが権利を犠牲にするのか、こういうことが現在の判例等を見ましてもやはり問題になっているわけでございます。したがって私は、当然土地収用の判断にいたしましても、たしか収用法の中に正当な補償をしなければならないという規定があったと思いますけれども、そういう問題が出てくるだろうと思うのであります。それでは少なくとも正当な補償をしなければならない。この正当な補償とは一体何を基準にして言うのか。いま申し上げましたように、公共性というものがある。一つのだれかの利益のために、もちろんこれは公共の利益というものが中心でありますけれども、それが、あるだれかの利益のためにというものが入ってきた場合に、正当な補償というものは一体どういうことになるのか。これはまた一つ問題が提起されるだろうと思うのです。したがって、正当な補償というものは、たとえば土地の場合に土地の評価を第一義に考えるのか、それとも生活権というような問題を補償の場合に第一義に考えて、それを正当な補償と見るのか、これはもちろんそれぞれの事例によって違うだろうと私は思いますけれども、これもまた土地収用法問題については非常に重要な問題になると思うので、その点についてのお考えをひとつ聞かしていただきたい。
  98. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいまの御質問でございますが、土地の収用を行ないます場合に、土地の価格をいかに評価するかという問題でございます。これは法律にも近傍類地の価格を考慮して相当な価格で補償しなければならぬという現行法になっております。さような意味におきまして、事業が行なわれるときの土地の状況に対応するような土地を手に入れられるようなとかということで考えるのが妥当だろうと考えるわけでございますが、先生のおっしゃっておられた生活権の問題等のことにつきましては、むしろ土地の値段とは別個の問一題でございます。たとえば私の土地でありましても大臣の土地でありましても、土地所有者がどうあろうと、土地の値段というのはやはり客観的にはある。私が貧乏だからといってよけい金を出すというのは相当の補償ではないと考えられます。ただ、この土地収用法の中におきましても、八十八条の中に、いろいろ規定している損失の補償のほかに、離作料とか営業上の損失とか、その他土地を収用することによりまして土地所有者が通常受ける損失は補償しなければならぬという規定がございます。この規定に基づきまして、閣議決定で補償要綱を定めております。各省はそれに基づいていろいろ議論いたして規程をつくっておるわけでございますが、共通いたしておりますのは、たとえば農民などの場合におきましては、土地が全部なくなってしまうといたしますと農業を廃止しなければならない。片や同じ三百坪をとられましても、大地主さんは農業を廃止する必要はない。片や小さな百姓は三百坪をとられては廃止せざるを得ない。そういう場合にはいわゆる離作料、離作補償と言いまして、大体年々その農家が得ておった所得の三年間分くらいは補償としてみたらどうかというふうな定めをいたしております。これが漁民になりますと、農民の場合よりもさらに生活を再建するのがむずかしいだろうということで、大体四年間分以内で離漁料と言いますか、さようなものを払うという仕組みになっております。それが普通の店舗等を営業している場合には、二年以内というふうなことで、その生活の態様によりまして大きなワクをつくりまして、さような方向で生活再建と申しますか、さようなことの手づるを考えるというふうな規定を置いておりますが、これは土地収用法の八十八条に基づく通損として考えられております。
  99. 工藤良平

    ○工藤委員 ただいまの問題でありますが、憲法二十九条の中にも、私有財産をそういうように公共のために用いる場合には正当な補償をしなければならない、こういうことになっております。私はなぜこういう問題を聞くかといいますと、土地収用法の今度の改正が地価の騰貴を押える、こういう一つの大きな目的があって実施をされるとするならば、土地収用法にいう土地を取り上げなければならない。そのために補償するということであれば、土地はいわゆる土地としての価値という立場で評価をする。したがってこの憲法二十五条のいわゆる生活権の確保、そのことによって生活権が奪われる、こういうことになった場合には、その土地によって補償するということよりも、むしろ生活権を補償してやるという立場を堅持していけば、いまおっしゃるように、たとえばダムの場合に五町歩水没をする、その中で十町歩のうちの一町歩取られる人と四町歩持っておる土地を全部取られる人と、おっしゃるように全然違ってまいりますから、そういった意味では私は、全く同じ土地であるとするならば、隣が十万円で隣が十五万円ということはあり得ないわけでありますから、その土地は土地として評価をする。しかし生活権というものをやはり第一義に考えて補償という問題を考えていけば、この地価の騰貴という問題については相当緩和、改善されるのではないだろうか、こういう気がするわけなんで、その点についてもう一ぺんお答えいただきたいと思います。
  100. 志村清一

    ○志村政府委員 先生おっしゃられるとおり、同じ土地について人によって値段が違うということはきわめておかしいのであります。土地収用法において要求しておるのも、同じ土地については同じ値段というのが正当であろう、かように解しております。ただ先ほど申し上げましたように、そのほかたとえばその土地の上に家を建ててそこで商売をしておった、あるいはそこで百姓をしておった、あるいは漁民として魚をとっておったとか、いろいろな生活態様がある。そういうものが土地収用法に伴いまして通常受ける損失としてとられた場合、それは補償いたします。その通損につきましては先ほども申し上げましたが、たとえば山の中で、ワラビをとったりゼンマイをとったりというような場合には一体どうなんだろうか、これははたして権利といえるかどうかという問題がございますが、特産物補償といたしまして通常社会通念上いわば権利にまで熟しておるものというふうにみなしまして、これに補償を与えるというふうなことをいたしております。ただ何となしに気の毒だから生活を補償してやるという生活補償というのはおかしいじゃないか。むしろこの通損においてそれぞれ関係のある損失を補償することによって生活再建はおのずから出てくるというふうなことで閣議決定の補償要綱もきまっておりますし、われわれの補償の規定もきまって進めておるわけでございます。
  101. 工藤良平

    ○工藤委員 次に、土地収用の場合にいわゆるできるだけ話し合いの場で解決をする。こういうことが本来原則であろう、こういうように考えるわけでありますけれども、したがいまして、そういうように土地収用法を適用して強制的に取り上げるというのは最悪の事態であって、やはりそれ以前に話し合いで解決をしていくということが一番いいことだと思うわけです。そのためにはやはり公共用地の取得に関する特別措置法にもありますように、相当綿密な事業計画というものをやはり示していただきまして、それに基づいた懇切丁寧な説明というものをやっていかなければ問題がこじれたあとでどうにもならなくなってくる、こういうようなことになろうと思うわけです。したがって私は、この公共性の問題なりあるいは正当な補償の問題、そういうことを考え合わせますときに、法二十条の特に四号の中にある「土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること。」とことさらにそこを書いてあるわけなんでありますけれども、この点については特に建設大臣の自由裁量に属するものなのか。あるいは公益上の必要性が客観的に認められるものでなければならない、こういうように解釈しなければならないと思うのでございますけれども、この点について事業認定の処分の問題、基本計画の問題等ありますので、この点をひとつ明らかにしておきたいと思うのです。
  102. 志村清一

    ○志村政府委員 二十条の規定におきまして一号、二号、三号、四号とございますが、この四号の規定についてのお尋ねでございますが、法律上で申しますと、これは大臣の自由裁量の問題になります。ただ自由裁量でいたすにいたしましても、大臣が事業認定をいたしますと、その事業認定そのものが不適当であるということで不服審査法に基づく異議申し立てもでき、また同時に訴訟も並行してできるというようなことで、端的に申し上げますならば、あまりに野方図な事業認定のあり得るはずがないということになっております。われわれといたしましてもさような意味におきまして、事業認定をいたします場合におきましてはできる限り客観性をもって公益性のあるという判断に基づいて事業認定の手続をいたしておるわけでございます。
  103. 工藤良平

    ○工藤委員 そういたしますと、特にこの認定の際に基本計画が非常に問題になってくると思うのでありますが、途中で設計変更がなされる。こういうことで先般河川の問題で下筌・松原ダムの例を取り上げてお話ししたわけでありますが、それではこの基本計画については一体どの程度の条件を必要とするのか。途中で設計変更が簡単に行なわれるあるいは計画変更というものがたやすく行なわれるということになりますと、その収用された土地の所有者にとりましては、非常に重要な問題であります。この基本計画についてどの程度の条件を必要とするのか、そこら辺をひとつ明らかにしていただきたい。
  104. 志村清一

    ○志村政府委員 ある特定の事業が収用にたえ得るかどうかという判断は、事業認定申請書の提出によって、それをよく審査をすることによって行なうわけでございますが、申請書の中に添付書類として事業計画書がございます。その事業計画書は、この第二十条にございますような判断が可能な内容であることが望ましいわけでございます。それらにつきましても、非常に大きな事業等におきましては必ずしも微細にわたってまでそのとおりいくということがなかなかむずかしい場合もございます。さような些少な変更という場合、そのもの自体について大きな性格上の変更はない些少な変更は現行法上許されるというふうなたてまえになっておるのでございます。
  105. 工藤良平

    ○工藤委員 これは具体的な事例に若干なりますけれども、補償の話し合いをしている過程の中で、お互い土地所有者同士の不均衡が生じたことによって非常に問題を複雑化をしていく、こういう事例があろうと思うのです。したがって、そういう問題を除去するために事業認定を早くとって、そしていま言ったような土地の高騰やいろいろな問題を押える、どういうことになっているのだろうと思うのですが、この前河川法の関係で、たとえばダムの建設をする、こういうようなことで事業の認定が告示をされた。その告示された以降にその河川区域内に建築の許可が出てきて、それを建設省で認めた。一方においては土地収用法の適用をやって土地を取ろうとしている。こういうような矛盾がある程度出てまいりまして、問題をさらに複雑化していったという事例が実はあるように私は聞いているわけでありますが、河川法でいうその事業認定の告示がなされて、もちろんあの中には、建設省が許可をすれば建築してもいいことにはなっているんだけれども、実際の運用としてそういうことができ得られるかどうか。これは一方では土地を収用いたしまして取ろうといっているのに新しい建築を許可していこうということですね。しかもそれに対して補償金をまた払う、どういう問題がお互いに矛盾として問題をこじらせるという結果が出てきておるので、この点に対してひとつ建設省としての考え方をお伺いしたいと思います。
  106. 志村清一

    ○志村政府委員 現行土地収用法におきましては、事業認定を行ないまして、そしてその後ここの土地が必要だということを明定させる土地細目の公告という制度がございまして、この土地細目の公告があったときに初めて土地収用法第三十四条にあります土地の保全義務が発生するわけでございます。したがいまして、土地の保全義務というのは、先生先ほどおっしゃいましたように、その土地が事業以外のほかのものに使われたんじゃかなわぬから、これは保全する義務がある、許可を得ない限りはできないことになっておるわけでございます。今回の新しい改正におきましては、むしろそういった土地細目の公告なんというものでなくして、事業認定そのものの時期に土地の保全義務をさかのぼらせるべきじゃないか、土地が必要であるならば当然早くこれにいろいろな手を加えるということはおかしいということで、改正法の第二十八条の三によると土地の保全義務を事業認定時にさかのぼらせるというふうなことにいたしておる次第でございます。
  107. 工藤良平

    ○工藤委員 本会議の関係もあるようでありますから、今度の土地収用法の改正の内容につきましては次回に譲ることといたしまして、本日はこの程度で一応終わることにいたします。
  108. 森下國雄

    森下委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十四日水曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時三十三分散会