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1967-03-29 第55回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年三月二十九日(水曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 森下 國雄君    理事 木村 武雄君 理事 正示啓次郎君    理事 丹羽喬四郎君 理事 廣瀬 正雄君    理事 石川 次夫君 理事 岡本 隆一君       伊藤宗一郎君    池田 清志君       大野  明君    吉川 久衛君       田村 良平君    高橋 英吉君       谷垣 專一君    森山 欽司君     早稻田柳右エ門君    渡辺 栄一君       井上 普方君    工藤 良平君       佐野 憲治君    福岡 義登君       内海  清君    小川新一郎君       北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         近畿圏整備本部         次長      上田  稔君         中部圏開発整備         本部次長    国宗 正義君         首都圏整備委員         会事務局長   鮎川 幸雄君         建設政務次官  澁谷 直藏君         建設大臣官房長 鶴海良一郎君         建設省計画局長 志村 清一君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 古賀雷四郎君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 三橋 信一君         建設省営繕局長 小場 晴夫君  委員外出席者         農林省農地局管         理部長     中野 和仁君         労働省労働基準         局監督課長   藤繩 正勝君         労働省職業安定         局失業保険課長 増田 一郎君         専  門  員 熊本 政晴君     ――――――――――――― 三月二十六日  委員船田中君辞任につき、その補欠として渡辺  栄一君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十五日  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第三七号)  住宅融資保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第三八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十七日  建設業法の一部改正に関する陳情書  (第四〇号)  東北縦貫自動車道建設促進に関する陳情書  (第四一号)  公物管理法早期制定に関する陳情書  (第四二号)  四国開発幹線自動車道早期建設に関する陳情  書)  (第四四号)  流通卸施設に関する陳情書  (第七四号)  中国縦貫自動車道整備促進に関する陳情書  (第八三号)  一般国道二号線バイパス建設促進に関する陳  情書  (第八四号)  関門橋建設促進に関する陳情書  (第八五号)  中国横断自動車道整備促進に関する陳情書  (第八六号)  山陽自動車道区間延長等に関する陳情書  (第八七号)  道路整備第五次五箇年計画策定等に関する陳  情書  (第八八号)  町村道整備に関する陳情書  (第九九号)  国道二一八号線の改良工事早期完成に関する陳  情書  (第一〇〇号)  国道二六五号線の整備強化に関する陳情書  (第一〇一号)  宮崎バイパス線及び都城バイパス線早期建設  に関する陳情書  (第一〇二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 森下國雄

    森下委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件につき調査を進めます。  前会に引き続き、昭和四十二年度首都圏整備委員会近畿圏整備本部及び中部圏開発整備本部関係予算につき、補足説明を聴取いたします。  鮎川首都圏整備委員会事務局長
  3. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 昭和四十二年度の首都圏整備事業関係予算概要について御説明を申し上げます。  お手元にすでにお配りしてあります「予算の大綱について」で、関係予算概要を述べておりますので、特におもな点について御説明を申し上げたいと存じます。  まず、当委員会所管として計上されております首都圏整備計画に要する調査費でございますが、この総額は四千七百万円でありまして、前年度四千四百万円に比べ八%の増加となっております。  この調査のおもな内容について申し上げますと、首都圏適正収容人口に関する調査過密対策調査既成市街地近郊整備地帯都市開発区域の各整備計画策定に関する調査首都圏内交通総合対策樹立調査首都圏内における水源調査等であります。  これらは首都圏における総合的な施設計画の立案を行なうとともに、実質的な整備計画を確立するための調査に必要な経費であります。  次に他省所管として計上されております首都圏整備関係事業費のうち、特におもな二、三の点について御説明申し上げます。  まず首都圏広域緑地保全事業でありますが、これは首都周辺緑地保全に要する事業費でありまして、その総額は三億円、前年度二億円に比べ一億の増加となっており、また補助率は三分の二であります。  次に研究学園都市建設につきましては、御承知のとおり前々から日本住宅公団において用地買収が進められており、この用地買収費として、四十一年度には八十五億円の債務負担が認められていましたが、四十二年度予算における住宅公団関係事業費といたしましては、用地買収費の残額及び都市施設など、基盤工事事業費としてさらに十九億六千万円の債務負担が認められ、用地買収業務を引き続き推進し、建設工事に着手することといたしております。  研究学園都市に移転する国立の試験研究機関につきましては、防災科学技術センターなどに装置費設備費などとして十二億八千万円が計上されております。  以上のほか、首都圏整備事業関係予算につきましては、道路河川港湾、上下水道、公共住宅公共空地清掃施設工業用水など関係省予算に計上されておりますが、これらにつきましては、お手元のプリントにより御説明にかえさしていただきます。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。よろしく御審議いただきたいと存じます。
  4. 森下國雄

  5. 上田稔

    上田政府委員 近畿圏関係予算について御説明を申し上げます  最初にお断わりを申し上げますが、近畿圏本部につきましては首都圏の場合と異なりまして予算書事項別また説明事項としても記載されておりませんので、事業別個所ごと予算関係省庁予算配賦の完了するまでは前年度との比較ができません。また四十二年度の事業量についても御説明申し上げることができませんので、近畿圏整備本部予算概要について申し上げたいと思います。  その資料につきましては前会に実は提出をいたしておったのでございますが、幾ぶん脱字がございましたのでただいまお手元に配付してございます資料で御説明を申し上げたいと思います。御了承をいただきたいと思います。  昭和四十二年度近畿圏整備本部予算は、一般行政事務処理に必要な経費、それから近畿圏整備審議会運営に要する経費近畿圏整備に関する総合的な計画を策定しその実施を推進するための調査に必要な経費、この三本立てになっておるわけでございまして、昭和四十二年度の予算総額は八千六百万円で、四十一年度は七千七百万円でございました。したがいまして一一・四%の増加となっております。  その第一の一般行政事務処理費は、昭和四十二年度は昭和四十一年度の九・六%の増加になっております。  近畿圏整備審議会運営に必要な経費、これは前年とほぼ同額になっております。  第三の近畿圏整備調査に必要な経費でございますが、これは四十二年度は四十一年度の一五%の増加となっております。この調査費の中には基本整備計画に関する調査として三百万円、既成都市区域及び近郊整備区域整備開発に関する調査費として九百五十万円、都市開発区域整備開発に関する調査費百二十万円、保全区域保全及び開発に関する調査費として三百七十万円、土地利用計画調査として四百五十万円、水需給計画に関する調査として五百万円、そのほか日本万国博覧会関連調査、また産業配置計画に関する調査交通関係整備計画に関する調査、宅地及び住宅等建築物整備計画に関する調査等が計上されてございます。  以上でございます。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  6. 森下國雄

  7. 国宗正義

    国宗政府委員 中部圏関係予算を御説明申し上げます。  前会配付いたしました一枚刷りの資料でございますが、中部圏開発整備本部昭和四十二年度の予算につきましては三つの点から相なっておりまして、第一には一般事務処理に必要な経費、第二に中部圏開発整備審議会運営に必要な経費、第三に中部圏開発整備に関する調査に必要な経費でございます。  なお中部圏開発関係事業費予算につきましては、事項ごと説明ごととも予算書に計上されておりませんので、各省庁予算の配分を待ちまして前年度と本年度との対比を明らかにいたしたいと思っております。  したがいまして、中部圏予算につきましては、以上三つの柱からなっておりまして、その総額は五千五百三十七万八千円でございまして、昭和四十一年度、前年度予算の二千万円に比べまして約二・八倍と相なっております。  次に、項目別内容につきましては、第一には、本部一般事務処理に必要な経費でございまして、その額は、前年度の実額に対しましておおむね二倍の二千八百三十四万円強でございます。  中部圏開発本部は、本日よりおおむね九カ月前の昭和四十一年七月一日に発足いたしまして、発足当初のことでございますので、最小限度の職員すなわち二十名をもって発足いたしましたが、昭和四十二年度におきましては、基本開発整備計画策定等各般業務を集中的かつ強力に推進する必要がありますので、これにふさわしい機構を整備するために必要な拡充をはかったわけでございます。  なお、基本計画につきましては、来年、昭和四十三年六月を目途として、目下中央・地方を通じて集計作業中でございます。  次に、第二番目は、中部圏開発整備審議会運営に必要な経費でありまして、その額は約百五十万円でございまして、年間を通じまして四回の審議会委員会を開催するのに必要な経費でございます。  次に、最後の第三番目は、中部圏開発整備に関する調査に必要な経費でありまして、その額は二千五百四十六万八千円でございます。  内容といたしましては、主として、中部圏基本開発整備計画策定に必要な経費でございます。その内容は五項目に分かれておりまして、詳細はさらに十二の項目に分かれております。  その第一点は、人口及び産業に関する調査で、約三百七十万円でございます。土地及び水その他の資源に関する調査は、三百四十万円でございます。交通及び通信施設に関する調査といたしましては、道路、鉄道、軌道、港湾、運河、東海、北陸自動車道等を含めまして約千五百万円でございます。次に、都市開発及び整備に関する調査といたしまして約百万円を計上し、また観光施設その他の調査といたしまして、二百三十六万円強を計上しまして、以上合計二千五百四十六万八千円が調査費でございます。  何とぞよろしくお願いいたします。
  8. 森下國雄

    森下委員長 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  9. 森下國雄

    森下委員長 大臣がお見えになりました。質疑の通告がありますので、これを許します。福岡義登君。
  10. 福岡義登

    福岡委員 建設大臣は三月の二十三日の本委員会において所信表明をされたのでありますが、その中で、社会資本充実をはかって豊かな住みよい国土を建設する、ということを表明されたわけでありますが、その具体的な中身重点はどういうことになっておるか、まずお伺いしたいのであります。
  11. 西村英一

    西村国務大臣 たいへん総括的な重要な質問でございまするが、大体の考え方といたしましては、いま一番社会的に変化をしつつあることは、人口の非常な大きい移動でございます。しかもこれは人口が農村から都市移動する、もう一つ言いかえれば、第一次産業から第二次産業、第三次産業移動しておる。そういうためにますます都市化するというのが世界的傾向でありますが、日本は特にひどいのであります。しかしそのうちで特に、このままにしておいてはやはりいけないと思うのは、人口近畿圏中部圏首都圏のいわゆる東海道ベルト地帯にことさらにたくさん集まっている。こういうようなことであれば、一方が非常に過密都市になる。そのために、これに対して何とかもう少しバランスのとれた考え方産業分布人口分布につきましてバランスのとれた考え方をしなければならぬ。したがいまして、そのために政府はいろいろ手を打つべきだということが根本でございます。過密にならないようにすることが、やはり住みよい世の中、住みよい社会をつくることじゃなかろうか、こういうことを申し上げたのでございます。そのためのいろいろな施策というものはたくさんあると思うわけであります。
  12. 福岡義登

    福岡委員 社会資本充実とおっしゃいますけれども、いままでの政府施策を見てみますと、国民生活に直接関係のあるような社会資本投資というのが非常におくれておるように思うのです。たとえば住宅で例を見ますと、総固定資本形成のうちに占める比重を見てみますと、アメリカの二八・三%は別にしましても、イタリアの二七・九%、フランスの二五・一%、さらにイギリスの一九・六%に比べて、日本の場合はわずかに一三・一%の比重しか占めていないわけです。いかに住宅政策がおくれておるかということがうかがえるのでありますが、住宅建設の五カ年計画が達成されたときには、総固定資本形成のうちでこの住宅関係は何%ぐらいのウエートになるのか、それをまず聞かせていただきたいのであります。
  13. 西村英一

    西村国務大臣 いま諸外国の例を引いて公共投資の比率をお尋ねでございますが、ちょっと私は数字がわかりませんが、結局数字のみでなしに、やはり今度の五カ年計画、昨年から出発した五カ年計画は、その数字のいかんにとらわれず五カ年間で少なくとも一世帯には一住宅を提供したいということ、その提供したいというのがばく然たることではなしに、数字を積み上げましてやっておるわけであります。したがいまして、諸外国との事情が違いますので、一世帯住宅を満足させればそれでいいわけでございます。しかしいま仰せのように、それにしても質その他の問題がありますから、それに公共投資をますますつぎ込むということにつきましては、あなたと私も同意見でございますが、いま数字の点はちょっと記憶いたしておりませんから、後ほど必要があればお知らせいたします。
  14. 福岡義登

    福岡委員 それでは住宅関係に関して続いて質問したいのですが、当初建設省は一世帯住宅というたてまえに立つ場合には七百六十万戸程度必要であるということをおっしゃったわけであります。最近は六百七十万戸というぐあいにおっしゃっておるわけです。七百六十万戸が六百七十万戸に変わってきたという経過説明していただきたい。
  15. 西村英一

    西村国務大臣 七百六十万戸が六百七十万戸に変わったのではないのです。五カ年計画をつくる場合のいろいろな考え方があったわけです。大体五カ年計画をつくるのには四つ要素がございまして、第一は、その五カ年計画最終年度である昭和四十五年度に一体どれだけの世帯がふえるかということ、第二の問題は住宅不足の数、第三の問題は、それまでに災害その他で失われる住宅の数、それから第四の問題として、人の移動がしやすいように多少予備を見ておく、あき家を見ていく。そういうような四つ要素から割り出してやったのですが、その場合一番大きいファクターになりますのは、四十五年の一世帯構成人数が何人になるかということで多少違ったのでございます。したがいまして、そのときのあれは、四十五年の世帯は三・八人であろうというのと三・七人くらいであろうという数でもってそれだけの数が違ったのでございます。終局的に一世帯三・八人ということになりましたので六百七十万戸。それが三・七人ととりますと、いまあなたがおっしゃいました七百六十万戸となるのでございます。しかし四十五年の世帯構成人数が何人になるかということは、私もその後いろいろ役人から聞いて調べてみますと、これはどっちにしたらいいかということは私にも考えられますけれども、結局昨年の七月、三・八人にしたわけです。その根拠はいままでは昭和三十年の国勢調査昭和三十五年の国勢調査昭和四十年の国勢調査、この昭和四十年の国勢調査は間に合わなかったのです。昭和四十年の国勢調査の結果は四十一年の十一月ごろにわかったのです。国勢調査とその間に出ました住宅統計調査、そういうものを勘案して数字を引きますと、三・七人、三・八人でどのくらいになるかというところにきておるわけでございます。結果的に三・八人をとりまして六百七十万戸となったわけでございまして、初め七百六十万戸として考えておるわけではないわけでございます。
  16. 福岡義登

    福岡委員 いま大臣がおっしゃった三・八人で一世帯住宅という方針なんですが、今後この計算方式で一世帯住宅が六百七十万戸ではやっていけないというような事態が発生したときには、一世帯住宅ということはお約束をされておるわけですから、六百七十万戸については再検討する場合もあるというぐあいに理解していいですか。
  17. 西村英一

    西村国務大臣 とにかく法律のたてまえは四十五年まではあまり変えないというたてまえをとっていますが、結局非常な狂いができれば変えることもあり得ると私は思います。しかし四十五年でおしまいじゃないわけです。四十五年から後にはまた人口増加がありますし、ですから第二次の五年計画をつくるわけでございますから、途中ではなるべく変えたくないわけです。しかし非常に変化があればこれはまた変えることがあり得ても私はいいと思うのですが、なるべくは変更しないで現在のあれをスムーズにやっていく。そして四十六年から第二次五カ年計画をスタートする、こういうことでいいのではなかろうか、こう思っておるわけでございます。
  18. 福岡義登

    福岡委員 それならば大臣にちょっと重ねてその点を聞くのですが、さっきおっしゃったように、三・八人で計算は六百七十万戸ということを言われたわけですね。あくまでも私ども政府約束したものは四十五年には一世帯住宅中身はおっしゃったように三・八人、こういうことなんですから、その計算狂いが生じたときには、六百七十万戸が六百八十万戸になることもあろうし、あるいは六百九十万戸になることもあろうし、問題は一世帯住宅ということが昭和四十五年の時点で約束をされるかどうかということをいま聞きたいのであります。
  19. 西村英一

    西村国務大臣 この次の国勢調査は四十五年ですから、四十五年にきたら間に合わないですからね。あと四十三年に住宅統計調査があって、どういう世帯数であるか数字が出ると思うのです。それで、そういうことによりまして、世帯数がよほど違うようでしたら、それはそのときにやはり考え直せばいいと思いますが、とにかくこの計画は去年スタートしたばかりですから、したがいましてよほど違うようでしたら、それは考え直すこともあり得る、こういうことでございます。
  20. 福岡義登

    福岡委員 それではいまの点はあくまでも一世帯住宅という公約をなさっておるわけですから、それを約束してもらいたいということを特に要望して次に移りたいのですが、問題は六百七十万戸のやり方なんですけれども政府のほうはそのうちの四割を公的資金で大体二百七十万、あと民間自力による、こうおっしゃっておるのでありますが、私どもはそれを反対にして、公的資金によるものを六〇%、民間自力によるものを四〇%ということを主張しておるのですが、これは全然検討される余地はないのかどうかお伺いしたいのです。
  21. 西村英一

    西村国務大臣 それは、福岡さんの思い違いなんです。四割六割というのは、公的資金でもってやるのが四割になった、六割になったというのはたまたまそうなったのであって、初めから民間と公的と、そういうふうにしたわけではないのです。つまり、全体の総戸数が出まして、それから民間でいままで統計民間自力でどういうふうにやっておるかという過去の実績があるわけですね。それから民間自力のものを引きまして、それであとは公的でやらざるを得ないということで、公的が出たのでありまして、初めから四対六、こういうふうにやったものではないのです。それならば、いま言ったとおり、あなたの言われるように、公的を六にしたらいいじゃないか、こう言いますけれども、そういう行き方ではなかったのです。民間自力実績上いままでできたものを、今後もこれだけできるだろうということを予定して、それを差し引いた、その差し引いた不足数は公的でやらなければならぬ、こう出たわけでございます。
  22. 福岡義登

    福岡委員 いまの大臣の御説明では得心できぬのですが、この問題は、時間がありませんから、次の機会に譲りたいと思います。  そこでお伺いしたい点は、昭和四十一年度の実績なのでありますが、いわゆる公的資金による二百七十万戸のうち、四十一年度分は計画どおり完全に実施できるかどうかということをひとつ聞きたい。  それからもう一つは、民間自力によるものが昭和四十一年度は、政府がお考えになっておるように、計画どおりに進んでおるかどうか、この点を聞きたいのです。
  23. 西村英一

    西村国務大臣 民間も過去の実績を調べてみますと、予定と大体合っていますから、今年も合うと思います。それから公的のものも、これは予定どおりできると思いますが、数字住宅局長からお答えいたさせます。
  24. 福岡義登

    福岡委員 数字はいいです。計画どおり……。
  25. 西村英一

    西村国務大臣 大体計画どおりできます。
  26. 福岡義登

    福岡委員 もう一つお伺いしたい点は、住宅台帳といいますか、住宅関係戸籍謄本というか、日本の国内における住宅関係の具体的な統計資料がいま建設省にあると思うが、それは公表してもらえますか。
  27. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまの御質問にお答えしますが、住宅台帳というようなものはございません。しかし、住宅統計調査を五年ごとにやっておりまして、前回は昭和三十八年にいたしました。したがいまして、それの結果がございます。この次が、先ほど大臣が申し上げましたように、四十三年に次の住宅統計調査をいたしまして、これの集計に大体一年かかります。したがって、四十四年の秋ごろには、さらに今度新しいものができるということになっております。
  28. 福岡義登

    福岡委員 ちょっと私の質問がのみ込めていただいていないように思うのですが、家を建てるときには建築許可をとるわけです。ですから、その筋からいえば、どこにどういう家がいつ何ぼ建っておるかということは、建設省は常に掌握をしておるはずですね。そのことをお尋ねしておるわけです。
  29. 三橋信一

    ○三橋政府委員 着工につきまして着工統計をとっております。したがいまして、これは各都道府県において建築基準法に基づきます確認事務をやっております。そこにおきまして、どこにどういううちが確認の上に建てられたかということはつかんでおります。ただ建設省におきまして、それらのすべての台帳を持っておるということにはなっておりません。
  30. 福岡義登

    福岡委員 それはまたあとでお伺いすることにします。  次に、住宅関係から治山治水関係に移りたいのですけれども、私ども政府施策経過をたどってみますと、どうもこれも住宅と同じようなことが言えるのですが、国民生活に直接関係のあるような部分が非常に立ちおくれておる。たとえば、治山治水の最重点はいまダムに置かれておるのではないかと思うのです。その反面、砂防関係あるいは河川の保護は非常に落ちておる。これをちょっと数字的にながめてみますと、昭和三十八年でしたか、建設省長期構想治山治水について立てられたのですが、それに対して今日までの進捗状況を見ますと、ダムは非常に進んでおるけれども河川特に砂防関係は一番取り残されておる、こういうようになっておると思うのです。  そこでお伺いしたい点は、昭和三十八年に策定をされました長期構想に対して、現在河川、ダム、砂防と三つに分けて、それぞれの進捗状況というものをちょっと聞きたいと思います。
  31. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 治水事業五カ年計画の実施状況を御報告申し上げますと、河川八千五百億、これは治水事業五カ年計画は一兆一千億でございますが、そのうち、国が補助し、または直轄で施行する事業費が八千五百億でございます。そのほかに予備費が一千億、災害関連単独事業費が千五百億で、合計一兆一千億になっております。したがいまして、私どもが対象といたしております八千五百億の関係でその進捗率をそれぞれ調べてみますと、河川の治水事業五カ年計画額は五千二百億でございます。それに対しまして、四十二年度まで二千八百三十九億だけ実施いたしておりまして、五六・六%の進捗率になっております。ダムにつきましては千六百七十億でございますが、現在まで七百九十五億だけ施設いたしておりまして、進捗率は五二・四%でございます。それから砂防につきましては千七百八十億でございまして、現在まで、四十二年度までに八百八億が予定されておりまして、五四・六%でございます。機械でございますが、これは三十億に対しまして十七億で五七・二%でございます。したがいまして、トータルで五五・三%の進捗率でございますが、特に河川につきましては中小河川の災害が非常に多うございまして、それぞれ災害対策として実施をいたしておりますし、特に砂防が特段に進捗率が落ちておるということは考えられません。ダムにつきましては御承知のとおり五二・四%の進捗率でございまして、他に比べて若干落ちておるというような状況でございます。
  32. 福岡義登

    福岡委員 ちょっといまの説明では得心できないのですが、三十八年に策定をされた長期構想ですね。これは総額八兆六千億でしょう。それに対して新五カ年計画、四十年につくられたのはいまおっしゃった八千五百億ですね。これに対して四十一年度の予算と四十二年度の予算と、こう割合を出してみると、長期構想に対する砂防の進捗率というのは一〇%になっていないのですよね。昭和四十一年度予算で見れば砂防関係はたしか七・四%くらいしかなっていない。四十二年度予算の二百八十六億を見ますと八・八%前後しかなってないでしょう。それに対してダムはどれだけになっておるかといいますと、昭和四十一年度では三八%、四十二年度では四三%前後になるでしょう。私が聞きたいのは、三十八年に策定をされた長期構想に対してその後それを受けて新五カ年計画が出されたのですが、そのもとは長期構想に対しての進捗率を聞いておるわけです。それから砂防がおくれておるでしょう。
  33. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 現行治水、先ほど申し上げました八千五百億は、お話のとおり四十二年度以降の治水投資額としまして十兆二千億、そのうち治水事業が九兆六千億、災害関連事業地方単独事業六千億で、一応それを治水事業の投資額としてきめまして、そのうちの四十年度以降の治水五カ年計画がきまったわけでございます。その内容は先ほど申し上げましたように、それぞれの河川、砂防、機械と合わせまして八千五百億になるということで、その第一期の五カ年計画として八千五百億を策定されたわけでございまして、その八千五百億のそれぞれの中身につきまして進捗率を申し述べた次第でございます。したがいまして五カ年計画の進捗率としましてはこういうことになっておる。しかし今後次期の五カ年計画をまたつくるときに、そういうものの進捗ぐあいを十分勘案しまして次期の五カ年計画をつくっていくというようなことになるのではないかと思います。
  34. 福岡義登

    福岡委員 その説明自体はわかるのですが、私の聞きたいのは、初め申し上げましたように、建設大臣社会資本充実して云々と言われるのだけれども国民生活に直接関係ある部分が立ちおくれておるという観点からこの点を聞いておるわけです。先ほど言いましたように、確かに新五カ年計画に対する進捗率はおっしゃったようなことだけれども長期構想に対する、いわゆる八兆六千七十億に対する進捗率を見れば砂防がはなはだしくおくれておる。非常に進んでおるのは工業用水を中心としたダム建設だけではないか。河川も相当進んでおる。その点を私は聞きたいのです。
  35. 西村英一

    西村国務大臣 私はちょっと数字をつまびらかにいたしませんが、いま福岡さんのお尋ねのように、砂防を等閑視しておるのじゃないかということの御質問ですが、私はもう河川のうちで最も砂防は大事なものだと思っております。したがいまして、どういう結果になっておるかはよくわかりませんけれども、もしそういう御心配でございましたら、今後とも砂防については十分力を入れたい、かように考えておる次第でございます。
  36. 福岡義登

    福岡委員 そのほか、社会資本関係国民生活関係のある部分がおくれておるというような問題が下水道そのほかいろいろあるのですけれども、ここで一々これ以上聞く時間がございませんので、ひとつ資料要求を私はしたいと思うのです。  社会資本中身、現状を具体的な資料にして出していただきたい、これを資料の要求としてお願いしておきたいと思います。  それから次に、道路整備五カ年計画について若干聞きたいのですが、この五カ年計画で六兆六千億、ばく大な投資をするのでありますが、どうも政府施策を見ておりますと、経済性というものが優先をして、大きく生じておる地域格差を是正するというような、そういう開発性という面が非常に立ちおくれをしておると思うのです。今後の具体的な実施計画を立てられるにあたっては、経済性だけを優先させないで、開発性というものに重点を置いてもらいたいと思うが、建設大臣の考えを聞きたい。
  37. 西村英一

    西村国務大臣 全く同感でございます。したがって、地方にも工場等の立地がうまくできるようにというために、やはり幹線の道路も進めていかなければならぬというようなことを考えておるわけでございます。それから地方道にいたしましても、実は力を尽くしたいと思うのでございますが、いまのところ予算の制限もありますけれども、やはり山村振興法によって指定されたところとか、その他の特別な法をもって指定されたところには力を尽くしたい。とにかく何をいたしましても道路が優先でございますから、地方に工場その他の立地がよくなるような方策をとりたい、こういうことにつきましては同感でございます。
  38. 福岡義登

    福岡委員 ぜひ建設大臣の答弁のようにやっていただきたいことを要望して次に移るのですが、国土開発の幹線自動車道の完成の最終年度は何年度に考えられておるか。  それから実施計画を立てられるにあたりまして、近く御承知のように万国博が開催せられるのですが、それとの関係は考えられておるのかどうか。
  39. 西村英一

    西村国務大臣 幹線道路につきましていま言えることは、大体東名高速道路につきましては昭和四十三年度末、四十四年の三月、それから中央高速道路につきましては東京-富士吉田間につきまして同じく四十三年度末、四十四年三月までを目標にしてぜひともそれまでにはこれは供用に供したいと思っております。いわゆる五道につきましては、これはまだいつこれが、どの線が仕上がるかという最終的な目途はちょっとわからないと思いますが、これは後ほど道路局長に説明させてもいいと思いますが、五道の千十キロにつきましてはこれは十分力を入れたい、かように考えております。  それから万博の道路のことでございまするが、これは万博を機会にしていろいろ要求がございます。要求がございまするけれども、それもたくさんの要求がきておるわけですが、大体こちらでしぼりましておもにやりたいというのは、会場に行くところの高速の道路と、それから会場とたとえば駅であるとか港であるとか飛行場であるとかいうようなものをつなぐ道路、それからもう一つは外人の宿泊地、奈良、京都あるいはその他のところにもあるかと思いますが、そういうところの関連の道路、こういうように整理をいたしまして、それらに適応したところはこの万博までにはぜひやりたい。要求は非常に大きかったのですが、大体整理をしてみますと、万博関係が三千五百億円くらい道路が要ることになっておるわけでございます。これはあらましのことですから、そのつもりで聞いてください。ぜひともそれくらいの予算が要ると思っておるわけでございます。しかも工事が最終にいって非常な困難を来たしはしないか、そうすると、大阪の特定の地域でございまするから、労銀等が非常に上がって、その完成が非常にむずかしいのじゃないかということをいま非常に心配をいたしておる最中でございますが、でき得るだけひとつ早期に着工をいたしまして、万博をスムーズにやりたいということでいませっかく努力中でございます。
  40. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまの説明を補足いたします。  五道につきましては、実は昨年の国会で法律が制定されまして、全七千六百キロに及ぶ国土縦断、または横断する幹線自動車道の中身がきまったわけでございます。これにつきまして、われわれの当面の目標は、七千六百キロはおそくても昭和六十年までに完成したい。そのうち特にいわゆる五道、東北道、中央道、北陸道、中国自動車道、九州自動車道、そういうものの国の七千六百キロの中の特に幹線になりますものにつきまして、約四千キロ程度を昭和五十年くらいまでには完成したいというふうに考えております。その考えのもとに現在五道の用地の買収を促進していきたい、かように考えております。  また万博につきまして、万博と幹線自動車道の関係でございますが、あの中にあります幹線自動車道といたしましては、中国自動車道と近畿自動車道の和歌山線、こういうものの促進を今後はかっていきたいというふうに考えております。
  41. 福岡義登

    福岡委員 時間がありませんので、道路関係は以上で終わりまして、次に移りたいと思うのです。  ダムなどを建設する場合の問題なのですが、一つは、窓口が、建設省の窓口があり、農林省関係の窓口がありというようなことで、地元との折衝段階で非常に問題が発生しておる例があるわけです。将来そういう混乱を生じさせないように、地元と円満な、しかも責任ある話し合いが進められるために窓口を一本にするというようなことは考えられないのかどうかということをひとつ聞きたい。  それからもう一つは、これは土地収用法との関係もあるのですが、現在の法のたてまえからいえば、原則として補償は金銭補償をするということになっておるのですが、われわれの気持ちとしては代がえ補償というものを原則とするべきではないかというように考えるのです。中身についてはいろいろありますが、今後の方向としてダムなど、道路その他も含むのですが、補償措置をする際に、現在の金銭補償から代がえ補償を原則とするというようなことに考えられないかどうか。  以上、二つの点を聞きたい。
  42. 西村英一

    西村国務大臣 いま福岡さんが言ったようなことがありましたので、実は水資源開発公団をつくったのです。大きい河川ではあちらこちら入り乱れて、窓口が一本ではないから非常に困る。投資も有効投資ができないということで水資源開発公団をつくった。ところが水資源開発公団は、全国の河川を全部取り扱うわけではありませんので、重要河川、指定河川だけを取り扱っておりますから、水資源に関する限り、この窓口は、ダムをつくる場合一本です。しかしその他の中小河川になりますと、やはり農業用水だけを目的とすれば農林省がやっておるし、また災害治水関係を主としてやれば建設省がやっておるということなのでありまして、それをどっちか一本にしようということは、いまの行政のやり方ではちょっと無理じゃないかと思うのです。農業用水のダムをつくる場合に建設省が窓口になってもおかしいし、また建設省のダムの問題について農林省が窓口になるといってもこれはおかしいし……。しかし窓口が二本であって、不便を来たしておるということでございまするから、なるべくそういうところは水資源開発公団に一括してやらせるというようなことを――おそらく今後も指定河川は、いまは数本でございますけれども、今後水資源開発公団が扱う河川もふえると思います。  それから金銭補償じゃだめじゃないか、これは私もしろうとでございますけれども、そういうふうに思われます。したがいまして、金を与えるのではなしに、やはり土地を与え、また職業を失われた人は職業を与えるというように指導することのほうが、その土地を失った人についてはやはりいいのではないか、こういうように考えられますから、さように指導していきたい、かように思っている次第であります。
  43. 福岡義登

    福岡委員 前段のいわゆる窓口問題なんですが、これは必ずしも建設大臣がおっしゃったようなことになっていない例があります。ここでその例を出してどうこう言うのも時間がありませんので、別の機会にそれを出していきたいと思いますし、あと後段のほうは、土地収用法との関係もありますから、そのときに十分議論したい。きょうのところは大臣が代がえ補償を指導するべきだ、こうおっしゃったことを覚えておきたいと思うのであります。   〔岡本(隆)委員 「いまの大臣の答弁でよろし     いか」と呼ぶ〕
  44. 西村英一

    西村国務大臣 私はその精神を言ったのでございますから――そういうふうに指導すべきだということは、それはやはりそういうふうに思われます。精神を言ったのでございますから、実際にぶち当たってどういうふうになるか、それはそのときどきのことになろうかと思います。
  45. 福岡義登

    福岡委員 これはもう大臣がおっしゃったいまの代がえ補償を、精神を確認すれば、そういう政策が具体的に出てこなければいけないわけですから、土地収用法その他のときに議論したいと思います。  そこで時間がもうだいぶ経過して、私の持ち時間がもうないのですが、あと二、三残っておりますから、お許しをいただきたいのですが、簡単な問題です。  一つは、建設業法二十二条で禁止されている一括下請の問題です。これが具体的な例がもし――いまここで具体的な例を出す気持ちはありませんが、もしそういう事実があったときには、建設省としては当然責任ある措置をとられると思うが、それをひとつ聞きたい。  それからついでに申し上げますが、これは建設省と大蔵省と両方関係があると思うのですが、公共工事の前払い金問題についてであります。  一つは、当該工事に使わなかったり、他に流用している、あるいは工事は下請に出すけれども前払い金を受けたその金はそっちに回していないというような例が二、三見当たるのですけれども、そういう事実が判明したときに、建設省は一体どういう取り締まりをされようとしているのか、これをひとつ聞きたい。  同じく公共工事の前払い金問題についてでありますが、保証料率の問題なんであります。昭和二十七年にできてから昭和三十八年に一回引き下げがなされたようでありますが、去年ごろからこの引き下げについて各方面から相当要望が出ている。ところが聞くところによると、大蔵省と建設省の話がまとまらぬ、こういうように聞くのですが、その辺の経過をひとつ聞きたい。  同時に、保証会社の収支状況といいますか、そういうものもここで聞きたいし、さらに必要ならば、今後資料要求をしていきたいと思いますが、この二つの問題についてお伺いしたい。
  46. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいま一括下請の問題と前払い関係の御質問があったわけでございます。先生御指摘のとおり、一括下請につきましては、建設業法の二十二条におきまして、一括して他人に再下請してはならない、また、受けるほうでも一括して再下請を受けてはならぬ、ただし元請人が注文者の了解を得た場合においてはこの限りでないという規定があります。この規定につきましては、当然一括下請をすることによって、いわばピンはね的なものを元請がすることを禁止する趣旨でございます。かような事例がございますれば、業法に従いまして指示、聴問その他、それでも聞かぬ場合には懲罰というふうなことを適用いたすというつもりでおるわけでございます。  次に前払いの問題でございますが、前払い金につきましては、国の工事につきましては四割、地方公共団体等につきましては三割部分の前払いができることになっております。この前払いが支払われることによりまして、公共工事を担当いたします業界につきましては資金の回転が非常に得やすくなり、したがいまして資材等をあらかじめ手当てをするなり、あるいは最近労務者の取得がなかなかむずかしくなっておりますが、労務者を集める費用に充当するとか、その他いろいろな当面必要な費用に充当することによって、公共工事が円滑にしかもよいものができるという趣旨で始められておるわけでございまして、さような趣旨に伴わないような使用をいたすことは望ましくない、かように思っております。  ただ、具体の問題といたしまして、資材部分をあらかじめ買っておいてその部分の支払いに充てるとかいうようなことは、当然会社の経理の内容でございますから、いろいろ応用場面もあろうかと思います。ただ、先生御指摘になりましたように、下請にその前払いの金をどう回すかというような問題につきましては、ただいまの段階におきましてはそれをチェックすべき定めがございません。そこで、これにつきましては建設業法の改正問題にからめまして中央建設審議会でいろいろ議論をいたしておるところでございます。大体、下請関係は、資材等は元請が支給するのがたてまえでございまして、そういう意味では前払い金を受けたから直ちに下請に回さねばならぬという議論にはならぬのじゃないかという議論等がございます。ただいまこれらについては検討いたしておる段階でございます。  次に保証料の料率の問題でございますが、これまた先生御指摘のとおり、昭和三十八年に日歩一銭であった料率を八厘五毛というふうに改定いたしたわけでございます。保証会社は御存じのとおり資本金の額もそれほど多うございません。相当多額の保証をいたしておりますので、保証会社自身の基盤というものを確実にするという必要がある。そういたしませんと、もしパニックでもまいりました場合にほかの仕事が結局できなくなる、公共工事の確実な施行ができなくなるというおそれもございます。保証会社の経理内容等も検討して大蔵とも相談を重ねておったわけでございますが、漸次保証会社の資産内容も堅実になってまいりましたので、実は昭和三十八年の保証会社の法の改正のときにも、できるだけ早い機会に料率を引き下げるべきじゃないかという御議論が諸先生方からもございました。それらもからみ合わせましてその後検討いたしました結果、ことしの四月一日から一厘下げの七厘五毛程度にいたしたいというふうなことで、大蔵とも大体了承はついておるということでございます。  以上、簡単でございますが。
  47. 福岡義登

    福岡委員 四月一日から一厘引き下げられるということは、もう大体間違いない……。  それで、さっき言いました保証会社の収支状況ですが、最近公共事業が非常に多い。相当もうかっている。これは立法の趣旨がもうけさせるための処置ではないのですからね。だから、そんなにたくさんもうけなくてもいい。完全な保証をやれればいい。  ですから私は、これは資料要求になるのですが、今日まで事業をやってきて、その過程でどれだけの事故があったかということ、これが一つです。  それから、保証会社が三つあるのですが、それぞれの収支状況、これを後刻資料として提出をしてもらいたい。  最後に、これは労働省関係になるのですが、一つは、簡単に聞きますが、失業保険の改正問題が云々されて、建設関係には非常に季節労務者が多い。これに関する労務者が非常に多いわけです。非常に大きな問題なんですが、一体この失業保険の改正についてはどういう考えでおられるのかということをひとつお聞きしたい。  それからもう一つ、同じく建設労務者の賃金の未払い、そういうものが非常に下請関係で多い。われわれはその責任の所在というのは当然元請が持たなくてはいかぬというぐあいに思うのですが、その議論は別にしたいと思いますけれども、お尋ねしたい点は、労働省が掌握をされておるこの賃金未払いの実態、そういうものを明らかにしていただくと同時に今後の対策、それをお伺いしたいと思います。
  48. 増田一郎

    ○増田説明員 ただいま御質問のございました失業保険法の改正案につきましては、現在中央職業安定審議会に諮問中でございますが、このうちの季節的な循環受給者に対しまする改正の内容は、現在約五十八万人の季節的短期受給者がおりますけれども、そのうち約六割が建設関係に就労しております。この現在の五十八万人の受給者につきましては、これは従来どおりの給付を続けるということで、いわば既得権を尊重するわけでございます。今後新たに季節的循環受給者となろうとする方々に対しまして、ある程度給付を切り下げようということでございますが、その中身といたしましては、三年目から――一年目と二年目に循環の受給をいたしまして、また三年目に新たにこの循環を繰り返すという方々に対しまして、初めて九十日分の保険金を四十五日に切り下げよう、こういう非常に漸進的な内容でございます。  そこで影響でございますが、この五十八万人の中に約六割、三十五万人程度の建設労務者がおるものというふうに推定をされるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、五十八万人につきましては既得権を保障する。新たに入る人だけということでございますので、影響はもっぱら今後新たにどの程度の方々が入ってくるであろうかということでございます。これにつきましては、私どもといたしましては、十年来ふえ続けておりました季節的受給者が、大体三十八年をピークとして横ばいないしは減少ぎみに転じたのではなかろうかというふうに推定をしておりまして、今後新たに入るという方々はそれほど多くはないのではなかろうか。この数は私どもはっきりした数字はございませんが、年々新陳代謝する人間が大体一割程度ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、現在の既得権は尊重し、新しく入る方も三年目以降におきましては半減をする。その数もそうたいして多くはないのではなかろうかということでございまして、それほど大きな影響はないのではなかろうかというふうに推定をしておるわけでございます。
  49. 藤繩正勝

    藤繩説明員 お尋ねの建設業におきます賃金不払いの問題につきまして御説明申し上げます。  出かせぎ労働者を中心といたします建設業の賃金不払い事件でございますが、四十一年十二月末現在で未解決になっておりますものは、金額で約一億七千万円、件数で千六百十二件、労働者数で九千八百六十七人、こういうぐあいに相なっております。全産業の賃金不払いが十億二千万円でございまして、件数が二千九百七十四件でございますので、金額としては四%程度でございますけれども、件数が半数に及んでおるという点が非常に重要でございます。ただ、昨年の三月ごろをピークにいたしまして、若干ながら減少傾向にあるという次第でございます。  そこで、対策でございますが、賃金不払いは、言うまでもなく労働者及びその家族の生活に非常に大きな影響を持っておりますので、私どもかねがね行政の最重点としてやっております。たとえば、建設業に対する労働基準監督官の監督でございますが、全産業では大体八%程度の監督率でございますけれども建設業に対しましては二三・二%という監督率になっておるというような次第でございまして、今後とも十分な監督をしてまいりたいというふうに思っております。  それから、そういった基準法に基づきます行政措置のみならず、ただいまもお話がありましたような下請関係というような問題も含めまして、実は一昨年の暮れに、建設省のほうの次官通達が出まして、賃金不払いあるいは労働災害というようなものを起こしました事業主につきまして、入札参加の資格審査の要素に加えるということに相なりまして、それを契機にいたしまして、私ども建設省及び出先の都道府県土木部との間に、賃金不払い事業場の通報制度を確立いたしました。昨年の四月から十二月までに、千七百八十の事件発生の事業場について通報を行なっておるような次第でございます。さらに、賃金不払いはなかなか根の深い問題でございまして、建設業における労働条件が非常に複雑であるというような点も問題の原因になっておりますので、雇い入れ通知というような基本的な労働条件、たとえばいつからいつまで雇うとか、賃金は幾らだとか、賃金支払いはいつにするかというような、そういったものを少なくとも文書で書いて労働者に渡すというような慣行をぜひ確立していただきたいというようなことで、ただいませっかく行政指導を重ねておるような次第でございます。いろいろの方法をもちまして、また関係機関との連絡も密にいたしまして、今後ともこのような不払い事件の絶滅を期してやってまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  50. 福岡義登

    福岡委員 以上で終わります。
  51. 森下國雄

    森下委員長 それでは、次に工藤良平君。
  52. 工藤良平

    ○工藤委員 建設大臣所信表明に対しまして若干の御質問をいたしたいと思います。  まず第一番は、いま福岡委員のほうからも御質問がありましたが、特に社会開発を政策の基本として、豊かな住みよい国土の建設をはかる、したがって農業あるいは都市等、産業人口の適正な配置等をはかるということをうたわれているわけでありますが、特に本年度最重点とする建設省施策につきまして、きわめて簡単でよろしゅうございますが、御回答いただきたいと思います。
  53. 西村英一

    西村国務大臣 やはり建設省といたしましては、何と申しましても住宅問題が一番頭にあるわけでございます。  それからもう一つはやはり道路問題でございまして、もうあちらこちら行き詰まりまして、ことに、どの地方も同じことですが、いままでの道路では間に合わぬからバイパスをつくれ、メインの一幹線の計画はあっても、それでは間に合わぬからバイパスをつくれというので、道路整備は非常に強い要望がございます。それと申しますのも、やはり自動車産業、自動車の伸びが非常に多いからであろうと思います。  もちろん何もかも必要でございまするけれども、何に特に気をつけなければならぬかといいますると、やはり住宅問題、それから道路というようなものに非常に私たちの力を注がなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  54. 工藤良平

    ○工藤委員 四十二年度の予算その他を検討してみますと、いま建設大臣説明されましたように、主として住宅あるいは道路関係、その中でもとりわけ密集をしております過密地帯に対しての対策というものが相当重点に取り上げられているわけであります。この点については私どもも了解をいたしたいと考えるわけであります。  特に昨日の新聞等によりましても、都市計画法の問題等が具体的に提案をされるという段階にきておるということを聞くわけでありますが、この点については後日あらためて質問をするといたしまして、過密都市住宅あるいは道路難の解消という立場で問題をとらえる場合に、ただ単にその都市近郊のみを中心としてものをとらえるということでは、抜本的な解決にはならないのではないか。したがって私は、国土総合開発という立場で、特に都市近郊における農地が年々非常につぶされていっておる。これを全体的な見地から見ましても、肥沃な土地がつぶされて、農業が非常に奥地に追いやられているという実態を考えてみますときに、やはり総合的な国土開発という意味で、もう少し奥地の問題についても抜本的な解決策というものをあわせて検討する必要があるのではなかろうか、こういうように考えるわけでありますが、その点に対する大臣の御所信をお伺いいたしたいと存じます。
  55. 西村英一

    西村国務大臣 国土全体を考えますると、やはり都市化が極端に行なわれておるから、それを防ぎたいということで、先般から新産業都市だとかあるいは工業整備計画とかいうようなものを考えてきたのであります。しかしそれもさっぱり進まぬじゃないかという非難を受けておりまするが、やはりどうしても産業の構造が変わっていきますから、それに伴いまして、さいぜんも申しましたように、第一次産業から第二次産業、第三次産業に人間が移っていく。そうすると、どうしても人間が都市に集中するということでございます。しかし、都市問題はひっくり返すと農村問題になるわけです。農村問題はひっくり返すと都市問題になる。しかしその場合に、都市問題を考えてみたときに、私もあまりよくはわかりませんけれども住宅は一番大きな問題です。しかし、住宅問題といまの都市問題は、別々に分けて考えられないような状態になっておるのです。いままでの大正九年につくった都市計画法というのは、一定の都市内において土地を使う、業種別に区画整理をやる、商業地区とか工業地区とか分けるといったような都市計画法であったように思うのです。その点現在の都市計画法をもってしては、いまの都市問題の解決にはならないわけです。したがって住宅問題、都市問題は一緒に考えなければならぬというふうに思うのです。いまあなたがおっしゃいましたように、いまの状態では農地がどんどんつぶされるじゃないかというような御批判もありますけれども、この都市近郊の農地はいわゆる好むと好まざるとにかかわらずだんだんつぶれてきている。しかもそれが、いわゆる住宅がばら建ちになっておるからそれではやはりどうもいかぬだろうというようなことで、広い意味において土地の利用計画を立てるべきじゃないか、そのためには現在の都市計画法ではさばけないというようなことでいろいろ議論が出て、われわれも検討いたしておるのでございまするが、しかしあくまででき得れば国土を均衡のとれたようにしたいということでございまするから、東京、名古屋、大阪という大都市ではなしに、やはり地方は地方に中心になる拠点都市の育成をしていきたいということが一つあると思います。   〔委員長退席、木村(武)委員長代理着席〕 東北方面においては、東北の中心の都市がありますから、なるべくそこに集めてもらい、九州は九州の拠点都市に、なるべくそこに集めるように産業を持っていきたい。しこうして、それでもなおかついわゆる首都圏近畿圏中部圏に集まるようなものについては、住宅問題と都市問題を一緒に考えていきたいというふうな大体の気持ちを持ってやりたいと思っておるのでございまして、その点につきましては、皆さま方でいいお知恵がございましたら幾らでもわれわれは取り入れてやりたいという気持ちを持っております。
  56. 工藤良平

    ○工藤委員 ただいまの点について、特にこの住宅計画の無計画さといいますか、そういう点から、自力で住宅を建てる、宅地の転用というのは年々非常に増大をしておる、このように統計上からも出されておりますし、建設白書を見ましても、その点が明らかにされておるようでありますが、特に統計は三十九年は出ておるようでありますけれども、四十年、四十一年と、その後の傾向について、これは後日でもけっこうでありますけれども、ぜひひとつ統計的に明らかにしていただきたいと思います。  それと農林省にお伺いをいたしたいわけでありますが、都市近郊の農業というもの、これは生鮮食料品をやはり台所に届ける、あるいは物価の高騰を押えるという意味からも、道路整備と同じように、やはり都市近郊における農業というものをどのように保存をしていくかということも一つの方策として考えられるべきではなかろうか。これは将来にわたって奥地農業が開発されてまいりますと、それらの問題は解決ができるかもわからないけれども、現在の農業の実態からいたしまして、やはり生鮮食料品を短時間の間に、しかも経費を少なくして届けるということになりますと、この点は相当やはりきびしく宅地の転用を規制するといいますか、やはりそういう点を検討すべきではなかろうか、こういうように思うわけであります。その点について特に農林省の考え方をお伺いしたいと思います。
  57. 中野和仁

    ○中野説明員 農地の転用につきましての農林省の考え方についての御質問にお答えいたします。  先生御承知のように、農地の転用につきましては、農業生産の基盤であります集団的な農地を確保したいという考え方と、それから転用に伴いまして周辺農地に悪影響を及ぼさないようにするという観点、それから最近他の産業からのいろいろな土地利用計画がございます。それを無視して農地の転用だけを厳重にするということもできませんので、その辺の土地利用の調整を合理的にやるという考え方に立ってやっております。ところが先ほど御指摘もありましたように、都市近郊におきましてはかなり高度成長経済の影響を受けまして宅地化なり工場団地というものができてきております。そこでわれわれとしましては、たとえば首都圏の問題にしましても、あるいは近畿圏、近く出てまいります中部圏、そのほか都市計画の行なわれておる地域につきましては、事前に関係各省と相談をいたしまして、具体的な土地利用計画等として計画段階で詰めまして、そこを市街化地域と農林地域というふうに分けまして、大体の見当をつけた上で農林地域につきましては農業投資を引き続きやっていくという考え方で現在農林省としては進めております。
  58. 工藤良平

    ○工藤委員 それらの総合的な計画については所管はどちらになっておるのか、その点ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  59. 中野和仁

    ○中野説明員 私からお答えするのはいかがかと思いますが、たとえば、首都圏あるいは近畿圏等につきましては、建設省首都圏整備委員会あるいは近畿圏委員会と、それから農林省と、三者で事前に相談いたしまして、できるだけ合理的な地域を決定するように進めております。
  60. 工藤良平

    ○工藤委員 私は、ぜひこの機会に、総合的な国土開発という意味で、建設省といたしましても、奥地の開発について、道路あるいは治水問題について真剣に取り組んでいただきたい。特に現在の傾向として、東北、北海道方面に対する開発というものは相当進んでおるようでありますが、私どもが見る範囲におきましては、たとえば、大臣も九州でありますけれども、温暖地である九州におきましても、大分県、熊本県、宮崎県の県境を境にいたしまして、相当広大な未開発地域というものが存在をするわけであります。これは、農業あるいは観光の面につきましても相当有望な地域であります。これらの点についての開発について、もし具体的な御計画があれば大臣のほうからお示しをいただきたい。
  61. 西村英一

    西村国務大臣 なかなかむづかしい問題で、いまそういう計画を持っていませんですが……。
  62. 工藤良平

    ○工藤委員 具体的に、国土総合開発の中には、地域における総合開発計画というものが立案をされるということが出ているわけでありますけれども、そうしますと、その点についてはきわめて怠慢であるということになるわけでありますが、具体的にこれからさっそく御検討なさるおつもりであるかどうか、所信を伺いたいと思います。
  63. 西村英一

    西村国務大臣 国土総合開発法に基づく全国計画というものは、ざっとしたものはあるわけです。しかし、地方計画というものはまだないわけですが、地域計画というものはやはりあるわけです。しかし、あまりあの法律それ自身によってかちっとしたものができていないのです。それで、われわれもそれをひとつ何とかすべきだ、こういうふうに考えておるのですが、いまここにあの国土総合開発法に基づいてというものはないわけです。しかし、それにもかかわらず地方的には、九州は九州の開発があり、中国は中国にあります。まあ言いますれば、私といたしましては、国土総合開発計画、あれは主として経済企画庁が中心になってやっておりますが、あれを一ぺん洗いまして、いまの地方計画との関連は一体どうするのかということを再検討すべき時期にきておるように見受けるわけであります。こういう地区にこういう計画があるというようなことを、声を大にして言うほど大きい計画を実は持っておらないのが実情でございますが、十分検討いたしたいと思っております。
  64. 工藤良平

    ○工藤委員 たいへん不満でありますが、それらの問題については、過密人口をかかえておる都市の問題とあわせて総合的に早急に検討すべきではなかろうか、こういうように私は考えますので、ぜひ具体的に進めていただきたいと思います。  次に住宅の問題について、ごく小さな問題でありますが二、三お伺いをいたしたいと思います。  まず、その第一番が、先ほど福岡委員からも御質問がありましたが、具体的に、住宅五カ年計画の中で、一世帯住宅というような方針が出されております。その中で、特に民間自力建設に依存をするという、依存度がなお依然として高いようでありまして、昨年度で六十四万戸、本年度七十  一万戸というような計画が出ているわけでありますが、これらの問題について、今後建設行政の方向として、全体的に自力建設の依存度をだんだんと低めていくという行政をやらなければ非常に大きな問題があるのではなかろうか、こういうように考えるわけでありますが、その点についてのこれからの方向というものをひとつ伺いたいと思います。
  65. 西村英一

    西村国務大臣 さいぜんも申しましたように、民間自力でというのは、過去の実績でこれぐらいはやれるだろう、しかも宅地の心配をしてやったり金融の心配をしてやったりいろいろやりますれば、自力でこれぐらいになるだろうということでやりましたので、それでも間に合わなければ、これは公的のやつをどんどんふやしてなるべく早く皆さんに住居を与えるということにつきましては、私どもも工藤さんと同じように賛成をするのですが、いますぐに計画を直せ、こういうことにつきましては、自力でやるものがそれだけできれば――できなければ、ひとつ公的のものをどんどんふやさなければならぬ、かように思っておりますが、そういう気持ちは十分私どもわかりますから、なお検討してまいりたい、かように考えております。
  66. 工藤良平

    ○工藤委員 そういたしますと、やはり今後なお依然として民間自力建設に対してはある程度のウエートを置かなければならない、こういうことになろうと思うのですが、特に建築資金については漸次改善がされつつありますけれども、今後貸し付け資金等に対する金利の引き下げ等を考慮されるお気持ちがあるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  67. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまのお尋ねにお答え申し上げます。  民間の自力建設が四百万戸ございまして、これをどうやって達成していくか、これが五カ年計画六百七十万戸の達成のかぎであるというふうに私どもも考えております。そこで直ちにその金利を引き下げるということが、そう簡単にできることではないと思います。そこで私どもといたしましては、宅地の供給、これをできるだけ大幅にいたすこと、これがまず第一でございます。それから同時に減税措置、これは過般いろいろ税制調査会等におきましても公表されております。それをただいま租税特別措置法の改正という形でいろいろ詰めているわけであります。この減税措置によりまして、間接的に金利を下げたのと同じ効果がもたらされるようにまずやっていくことが必要ではなかろうかと考えております。  それからもう一つの問題といたしまして、自力建設の際に民間の金融機関から金を借りるわけでございますが、これにつきまして、金を貸しやすいようにし、同時にまた借りやすいようにするということで、住宅融資保険法の改正を今回国会に提案をしております。これによりまして、金融機関の範囲を従来の銀行等からさらに拡大いたしまして、信用組合等にまで及ぼすということ、さらにその保険のてん補率、これは金融公庫がてん補いたしますそのてん補率を従来の百分の八十から九十に上げるということ、さらに金融機関が公庫に対しましてそのてん補を要求し得る時期が、従来は損害が起きましてから三カ月でございます。これを一カ月間短くいたしまして二カ月にしようということ、さらにもう一つは、政令の問題でございますけれども、保険料は金を借りた個人が金融公庫に払うことになっておりますが、これが従来は保険料率が百万分の三十でございました。これを百万分の二十六に引き下げまして、その点個人としては楽にしてまいりたい。したがいまして、金を借りやすくしてまいりたい、それと同時に銀行は金を貸しやすくしてまいりたい、そういうふうなことを来年度はやってまいりたいというふうに考えております。
  68. 工藤良平

    ○工藤委員 時間があまりありませんので、なるべく大臣のほうに御質問をしたいと思います。  建設白書によりますと、これからの建設計画の中で、特に宅地の供給対策について、公営で大体二万四千ヘクタール、民間で二万四千ヘクタールというような計画をお持ちのようでありますが、これは現在の高騰しつつある宅地問題を解決する場合に、私はやはり公営でこの宅地を確保するということを相当大きく打ち出していかなければ、現在の宅地の高騰というものは押えることができないのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、現在の計画を見ますとほとんど五分五分という計画のようでありますけれども、これについてはやはりぜひ抜本的に解決をしていただきまして、その中に悪質業者が入ってまたさらに地価を引き上げる、こういうことをなくしていくためにも私はぜひそういう措置をとる必要があるのではなかろうか、こういうように考えるわけでありますが、この点についての大臣の御意見を伺いたい。
  69. 西村英一

    西村国務大臣 私も同感でございまして、そのために日本住宅公団でなるべくたくさん買いたい、公有地をふやしたいということを考えておるわけであります。そういうふうにしたいと思っております。
  70. 工藤良平

    ○工藤委員 住宅問題の中で、これは大分で具体的に起こったわけでありますけれども、財務部の所管をしております非常に老朽化した建物がございます。先般も火災がありまして、まっ昼間ですけれども二むね四十八世帯というものが焼け出されたわけであります。これがまだ依然として各地に点在をしておるようでありますが、この住宅難の中に財務部が所管をしておるこれらのものがどの程度あるのか。これに対する対策はどうするのか。これはやはり早急に解決をはかる必要があるのではなかろうかと思いますが、この実態について伺いたい。
  71. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの大分県の具体的な事例につきましてはまだ私詳細には承知しておりませんが、火災が起きました場合には、それに対しまして住宅金融公庫からの融資等をいたします。それから同時に、火災等の問題でなくて一般に老朽化していったもの、これにつきましては、その低所得の方のための住宅といたしましては、老朽の関係も見まして公営住宅を建てていくとかということを考えておりますと同時に、住宅金融公庫におきます住宅改良融資がございます。これが本年度四万二千戸のものを四万八千戸にふやすということにいたしておりますが、これによりましてちょっと手を加えれば老朽のものもよくなるというようなものについては、その融資によって解決してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  72. 工藤良平

    ○工藤委員 その点については確かに現在家賃が  一世帯百八十円程度ということでありますから、住居者にとりましては非常に重大な問題であります。ただ、非常に老朽化して、しかも素材が戦時中の粗悪な建物でありますから、もしこれが全国的にまだ依然としてあるということになりますと、住宅政策としては非常に重大な問題がありますので、これはぜひひとつ次の機会に、どの程度あるか財務部を通じまして御調査を願って資料提出していただきたいと思います。  それから、時間もございませんから次に下水道の問題についてひとつお伺いしたいと思いますが、新しく新五カ年計画が出されてまいりました。これはたいへん小さい問題でありますが、住宅建設と下水道の問題というものは、むしろ下水道の建設が先行するという立場をとらなければたい  へん重大な問題を起こす。具体的に先ほども申し上げましたけれども都市近郊の農業の中で新しく自力の住宅がぽつんぽつんと建つ。それらが、下水道の整備がないままに住宅が建てられてまいりますために、農業用水に対する非常に大きな影響というものが出てきておるわけです。これらについてはやはり抜本的に、今後の新五カ年計画の下水道対策について住宅問題とあわせてぜひひとつ先行的な投資をされるようにしなければ、農業との間に非常に大きな問題をかもしてくるということが考えられるわけであります。この点についてひとつ大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  73. 西村英一

    西村国務大臣 下水道につきましては、皆さま方の非常な御支持によりまして新しい計画ができましたし、しかもその計画が五カ年計画でありますけれども、ワクも従来の倍額くらいになっておるのであります。しかもそれ以外に、終末処理を建設省で一元化してやるということになっておりますので、相当成績をあげたい、かように考えておる次第でございまして、この点につきましては皆さん方と全く同じ考え方を持ってこれを拡充していきたい、かように考えておる次第であります。
  74. 工藤良平

    ○工藤委員 次に、道路の問題についてごく基本的にお伺いしたいと思います。  道路の問題については非常な輸送の拡大と車の普及によりまして、ますます緊急な問題になってきておるわけでありますが、特に都市近郊における道路の整理というものは相当進んでおるようでございます。ただ、問題は各地方における地方道の整備を一体どのようにやるかということが、今後の新五カ年計画の中でも相当大きな重点を置いてもらわなければならないと私は考えるわけです。特に、近ごろの車の非常な大型化によりまして――地域における交通網というのは数は比較的少ないわけでありますけれども、大型化によってたいへん混雑をする、こういう場面が至るところで見られるわけでありまして、特に、地方道の整備の問題についてどのように考えておるかお伺いしたい。と同時に、また国道整備というのは相当大幅に進んでおりますけれども、その国道に結びつく地方道を整備することによってさらに大幅な交通緩和ができるというところもあるわけでありますが、大臣も御存じのように、国道十号線の開通がすでに見られまして、私どもたいへん喜んでいるところでありますが、特にこの横断道路と別府で結びつきます国道十号線があの別府の繁華街を通るということから、国道十号線さらに横断道路関係からいたしまして、大分から庄内、湯布院を通じます地方道の整備によりまして、国道十号線の交通緩和ということも非常に重要になっているわけで、そのように至るところに、全国各地にそういう問題があろうと思いますが、ただ残念ながら地方道の改修の場合には地方自治体の財政的な問題等から非常にむずかしいという問題もありますので、国道への昇格という点について全体的にどのようにお考えになっているかお伺いしたいと思います。
  75. 西村英一

    西村国務大臣 一口に地方道と申しましても、府県道と市町村道がありますが、府県道につきましては、そのうちでも主要な府県道がありますが、主要な府県道は都市の合併等によりましてもう旧二級国道と異ならないような重要性を持っているものもございます。したがいまして、府県道も国道に匹敵するようなものは国道に昇格して地方負担を軽減したいということもひとつ考えなければならぬと思っております。  それから市町村道の問題でございますが、実は市町村道交通はやはりメインラインだけよくなったのではいかぬので、やはりその末端機関とバランスがとれて初めて交通の役をするのですから、市町村道も直したい、こう思っていますが、なにさま市町村道は非常に延長キロもあるし、また調査も不十分でありまして、ピンからキリまでありますが、市町村道にも重要なものがありまして、そういうようなものはひとつ府県道に上げていく、それから府県道も重要なものはやはり国道に昇格していって、なるべくバランスのとれたような、いまあなたがおっしゃいましたバランスのとれたような交通網をつくりたい、かように考えております。  それからいま大分県につきまして、いろいろ路線の名前をあげて申されましたが、その点につきましては私もあんまり路線のあれが頭に浮かびませんので、どうすればいいかということはわかりませんが、また後ほどお伺いしまして、ひとつ改修すべきところがあれば十分御趣旨に沿いたい、かように考えております。
  76. 工藤良平

    ○工藤委員 第五次道路整備五カ年計画案のことについてちょっと御質問いたしたいと思いますが、この中の三ページに「農林産物等の消費物資の流通の円滑化に資するため、必要な道路について緊急に整備を行なう。」ということが特にうたわれているわけでありますが、具体的にどのような地域でどうなっているかという計画がおわかりになればお示しをいただきたいと思います。
  77. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 生鮮食料の物価の問題が非常にありまして、道路というのは全部輸送に関係するものでありますが、大体国道計画としてすでに整備されてきました国道から分離されます県道、地方道につきまして、そこに書いてありますような消費地と生産地あるいは国道みたいな幹線道路を結ぶこういうような道路を早くつくれば、それだけ生鮮食料品の流通がよくなるというような観点で、ただいま各県にいろいろそういう趣旨を話しまして、県の予算の要求の中になるべくそういう生鮮食料の輸送に関係のあるものを優先にして出すように、これも非常に問題がありまして大きな金がかかるというような事業はなかなかできませんので、ちょっとした改良でやれば非常にスムーズにいく、また舗装すれば非常にスムーズになるというようなものを重点的に取り上げて、来年実施していきたいと考えております。また具体的なものは現在各県といろいろ協議しておるような状況でございます。
  78. 工藤良平

    ○工藤委員 最後に一点、ダムの問題について簡単にお尋ねいたしたいと思います。  御存じのように、建設省がいま筑後川の全体的な水利計画をなさっておるわけでありますけれども、下筌、松原ダムをすでに着工いたしておりますが、全体的に筑後川の上流の総合開発について、なお防災ダム等の設置の計画があれば簡単にお示しをいただきたいと思います。
  79. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 筑後川は、御承知のとおり二十八年災害で非常に大災害をこうむったわけであります。筑後川は、地形でごらんになるとおり日田におきまして大きな支川が同時合流しております。したがいまして非常に大きな流量になってまいるわけであります。現在筑後川は、長谷(夜明)地点におきまして大体八千五百トンの基本高水量をもとにしまして、二千五百トンを下筌、松原でカットする、そして河道に六千トン、久留米市以下に六千五百トンで流すということで改修工事を進めております。おかげさまで下筌、松原も皆さまの御支持によりまして、ただいま着々と進んでおります。しかしながら、二十八災を顧みてみますと、やはり玖珠川上流、玖珠川周辺におきましても相当の水害がございましたし、また花月川の流量も相当大きなウエートを占めております。したがいまして、それらの地域の洪水対策並びにそれらの地域の開発を進めるために、水問題とともに何らかの措置を要するというふうにわれわれは考えております。特に筑後川は九州で唯一の水資源の大きい川でありまして、これらの問題とあわせまして、ただいま玖珠川あるいは花月川等につきまして予備調査を進めておるわけでございます。現在の段階では具体的な計画は持ちませんが、そういった将来の資源の開発並びに治水対策として、十分考えなければいかぬというふうにわれわれ考えております。
  80. 工藤良平

    ○工藤委員 以上で終わります。
  81. 木村武雄

    ○木村(武)委員長代理 北側義一君。
  82. 北側義一

    ○北側委員 私は、時間の関係もありますので、住宅関係につきまして四、五点の問題でお伺いしたいと思います。  先ほどからいろいろ住宅の問題で質問がありましたが、少し重複する点があるかもわかりませんが、それはできるだけ省くようにいたします。もし重複するような点がありましたら、ひとつお答え願いたいと思います。  まず最初にお尋ねいたしたいことは、このたびの選挙でもこの住宅問題は各党も大きく取り上げておるわけであります。   〔木村(武)委員長代理退席、委員長着席〕 この住宅建設につきましては、国民が非常に期待し、また非常に希望するところのいわゆる非常に大きな分野と現在なっておるわけであります。そういう点から見まして、政府は四十一年からの五カ年計画、これに着手された、このように私は思うのでありますが、本年度のいわゆる建設省が大蔵省に対しての当初要求、この戸数とそれからきまったいわゆる予算額、この差額は私の調べたところによりますと、約二万一千戸あるわけです。やはり建設省としてはこの五カ年計画に基づいて、そうして計画を立てられて、大蔵省に要求されると思うのです。ところがそういう差額が出た場合に、はたして建設省が、いわゆる大臣の言うところの一世帯住宅、これがはたして五カ年でできるのかできないのかということが、私にとりまして非常に疑問になってくるわけです。その点をまず御答弁いただきたいと思います。
  83. 西村英一

    西村国務大臣 要求と実際とは少し食い違っておる。私のほうはなるべく早くつくりたいというので、年々伸びていくものを等差でやりたいというわけです。向こうは平均してやりたいという違いでありまして、しかし違うじゃないかといえば違いますが、他の事業の要求のものとは比較にならないほど接近しておるのです。したがいまして、違うといえば違いますが、その違いも非常に少ないわけでして、私たちのほうとしては要求どおりやりたかったわけですが、いろいろな関係でそういうふうになったので、御了承を願いたいと思います。
  84. 北側義一

    ○北側委員 建設省のほうで非常に住宅関係には力を入れておられる。これは先ほどの御答弁でもよくわかるわけなんです。ところがたとえば政府施策の二百七十万戸、これを見てみますと、昭和四十一年に四十万四千戸、また第二年度に四十五万二千戸、合計八十五万六千戸が現在一応この第二年度として計画が着手されるわけです。そうしますと、残り二百七十万戸のうち、百八十四万四千戸といういわゆる公営住宅を、政府施策住宅を、建設省としてはこの三カ年に建てていかなければならないわけです。それにはほぼ三カ年間の見通し、どれくらいの戸数を建てて二百七十万戸にするのかということについてお伺いしたいのです。
  85. 西村英一

    西村国務大臣 四十五年までに公的の戸数は、われわれは毎年毎年こういうふうに建てていきたいという数字はあるのですが、いま局長から申し述べさせます。  もう一つは、これはあえて吹聴するわけではありませんが、全体の一般会計予算に占める住宅対策費の比率は、昭和三十八年、三十九年あたりは〇・九%ぐらいでしたが、四十年になりまして一%、四十一年が一・一%、それから四十二年は一・三%という比率になっておるわけでして、これは吹聴するわけではありませんが、そういうふうにやっておるわけであります。  年々の計画数はいま局長から発表させます。
  86. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  これの年度割りにつきましては、実は確固たる約束のもとに政府としてきめておるわけではございません。ただいま大臣から申し上げましたように、当初私どもは等差で要求いたしました。それがいろいろ財政上の都合もございまして、またこれは税に結びついておる、税収で結局やっていくわけでございます。そこいらで定率のほうが合理的ではなかろうかというような議論もございました。そこいらで、どちらかと申しますと定率に近い線で四十二年度はきまっております。したがいましてこれから申し上げます四十五年度までの戸数は、これはオーソライズされた数字ではありませんが、私どもこのようにやっていけばできるという試案でございますので、そのようにお聞き取りいただきたいと思います。  政府関係住宅が、四十一年度におきましては四十万四千戸でございました。これが四十二年度は先ほどお示しのとおり四十五万二千戸。これ以後が試案になります。四十三年度は五十二万五千戸、四十四年度は六十一万戸、四十五年度は七十万九千戸このようにいたしまして、四十一年度からの合計が二百七十万戸であるということになっておるわけでございます。
  87. 北側義一

    ○北側委員 よくわかりました。特に、私の見たところでは、改良住宅、これは五カ年計画におきまして九万戸建つようになっております。ところが第一年度で改良住宅が建ったのが幾ら建ったかということになりますと、四千五百戸、本年度の予算が五千戸で九千五百戸、残り八万五百戸というものがあと三カ年で建てるようになります。私いままでの数字から見ますと、こういう数字は不可能ではなかろうかというような考えが思い浮かぶわけですが、その点御答弁願いたいと思います。
  88. 三橋信一

    ○三橋政府委員 確かにいまお示しのとおりの数字でございます。したがいましてこの五カ年で九万戸が完成するかということになりますと、私どもも完成するとはちょっと申しかねます。ただ四十二年度におきましてはむしろ、戸数は五百戸よりふえておりません。おりませんけれども、スラムクリアランスをいたしますためのいろいろな基礎的な条件、たとえば一時収容施設、それからそれに関連しますいろいろの関連施設、それから用地の先買い、そういうようなクリアランスの費用、そういうものを重点に置きまして、と同時にその坪数等につきましても二種公営住宅と同じような坪数にいたしたいということで一・七平米増加をいたしております。そういうような基礎条件をまず四十二年度で固めまして、そうして四十五年度までには九万戸については着工をはかれるようにいたしたいというふうに考えております。その方法といたしまして、ただいままだ検討中でございますけれども、いわゆる不良住宅地区のとり方の問題、一ヘクタールにどれくらいの不良住宅があるかというそういう不良住宅地区のとり方の問題について、これは政令の段階になりますけれども、そこらにつきましても検討を加えまして、この九万戸というものについては、遺憾ながら完成するとは申しかねますけれども、少なくとも着工に持っていきたいというふうに考えております。
  89. 北側義一

    ○北側委員 いまお聞きしまして、四十三年からはこれは一応計画した、こういうことです。しかし二百七十万戸ということは、やはりこれは計画を立てて民間に四百万戸、公営が、政府施策が二百七十万戸。大体二百七十万でも政府施策は私は現在の状況からすると少ないということが言えるのじゃないかと思うのです。ただ経済性、いろいろな問題がありますので、政府もそのようにやっておられるかわかりませんが、しかしそのいわゆる二百七十万戸も、いま言われたとおりもし改良のほうで九万できないようでは、二百七十万戸にするためにはそれは一種なり二種なりへ入れていかなければならぬ。そこら辺の考えは、いま聞きますと、初めは二百七十万と言われた、そういう点が私はどうも不安を感じるわけなんです、正直いって。いまの住宅事情は、先ほど申しましたとおりいわゆる都市近郊、ここに住まわれる方は非常に困っておられる。その困り方も普通の困り方ではないように思うのです。住宅問題でいざこざがあるのは日本じゅうさがすともう数限りないほど私も耳にしております。そのことは皆さん御存じだと思うのです。これに対してはやはり政府は確固たる信念で対処せぬといけない。中途はんぱな、できるかできないかわからないというようなことでは困ると思うのです。そういう点をひとつしっかり改めていただきたいと思うのです。  次にお聞きしたいことは、この政府施策の二百七十万戸、これを見てみますと、公営住宅が改良を含めて五十二万戸、このようになっております。ということは、二百七十万戸のうちのわずか一九・二%がいわゆる公営である。大都市周辺における低所得者、これはもう公団いわゆる公庫に入れない、高家賃ですから。どうしてもやはり安い公営住宅に申し込みをするわけですが、これはもう宝くじ並み、このような計画で、はたしてこの五十二万戸の公営住宅で、大都市周辺におるところの住宅に困った困窮者がこの五カ年計画で一世帯住宅という名目のもとに入れるのかどうかというところに私は非常に疑問を持つわけです。そういう点についての考え方をひとつ御答弁願いたいと思うんです。
  90. 西村英一

    西村国務大臣 五十二万戸でございまして、いま言いましたように、改良住宅九万戸を引きまして、四十三万戸になるわけでございます。局長は非常に正直なことを言いましたので、実はスラムクリアランスはここにも申し述べられないように、住宅を建てるのには非常な手間が要るわけであります。いま大阪の釜ケ崎を一生懸命やっております最中でございます。でき得ればそれはぜひ私はやり遂げたいというあれは持っておりますが、局長はいまの進捗状態の困難さを考えまして、非常に正直なところを言ったんであろうと思いますが、ぜひ努力をいたしたい、かように思っています。  それからもう一つ、そのあとの残された四十三万戸の振り分けでございまするが、なるべく低所得者の方々に早く供給すべきではないかということも、これは十分わかります。したがいまして、実は、計画を昨年やったばかりでございまして、少し様子を見ましてから、また先生の御指摘のようなことがひどく感じられれば、それはその一種、二種の変更を考え直してもいいんじゃないか、私はそう考えるんですが、計画はスタートしたばかりでありまして、ことしはようやく二年目でございますから、低所得者には早く住宅を与えなさい。こういう御要望につきましては、十分私たちも注意をいたしてまいりたい、かように考えておりますが、なお詳しいことがありましたら、局長から御答弁をさせます。
  91. 北側義一

    ○北側委員 あくまでも計画当初ででも、五カ年計画でもう本年度は二年度目です。もう二割は、すでに一年度は過ぎたわけです。また、住宅事情のたいへんなことはすでに御存じであると思うんです。そういう点から、いろいろな答申案、そういういろいろな問題で考えておられることはよくわかっておるんですが、もう少し、諸外国と比べて日本住宅建設、これを見ますと、私は非常に公営関係が低いように思うんです。そういう点、何とか政府のほうで公営をふやして、そうして事実五カ年たっても、いまの現状では、大都市周辺のあのアパート、いろいろなそういう劣悪な住宅に住むところの人たちは、そういうところへはとてもかわれない。これはだれが見ても間違いないところだと思うんです。そういう点で、もっと政府のほうで公営に力を入れるような、そのような対策をひとつ考えてもらいたいと思うんです。  また、本年度の予算、これを見ていきますと、建設省関係のみの政府施策住宅は三十四万戸、このようになっております。そうして公団、公庫、この住宅の分類を見てみますと、非常に私はふしぎな感じがするわけなんです。と申しますのは、持ち家政策を政府で推進なされておられる、そういう関係かもわかりませんが、住宅建設というものはあくまでも国民の要望に沿って、そうしてそこに経済性をにらみ合わせて建設すべきである、このように私はいままで考えておったわけです。ところが、申し込み実態を公団側で見てみますと、大体賃貸住宅が一〇〇としますと、分譲は三か四、現在こういう申し込み状況です。ところが、建設される予算を見ますと、ここに四十二年度は四千戸、このようになっております。また、これが公庫住宅のほうに見ましても、分譲が三千戸、賃貸が千戸、このようになっております。この比率が、国民の要望は先ほども言いましたとおり、あくまでも入居しやすい、そういうところを望んでおるわけです。にもかかわらず、このような予算が計上されるということについては、どうしても私は納得いかぬわけです。それについてひとつ御答弁願いたいと思います。
  92. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答えを申し上げますが、ただいま三千戸とかいろいろ数字を示されたのでございますけれども、この数字増加数字じゃないかと思うわけでございますが、失礼でございますけれども、ちょっともう一度伺いたいと思いますが……。
  93. 北側義一

    ○北側委員 いまのことをもう一度言って……。
  94. 三橋信一

    ○三橋政府委員 増加の戸数じゃございませんか。
  95. 北側義一

    ○北側委員 そうです。増加です。だから、その率が一〇〇対四のような比率やったらどうかということです、結局。
  96. 三橋信一

    ○三橋政府委員 いまのお尋ねの点は、賃貸に力を入れろというお尋ねだと思います。
  97. 北側義一

    ○北側委員 そういうことです。
  98. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただ、私ども、持ち家か貸し家かということにつきましては、いろいろ議論がございます。極端な議論といたしましては、住宅は全部自分が持つべきであるという議論をする方もございます。また、同時に、全部借家にすべきだ、国なり公共団体が建てるべきだという議論もございます。そこで、私ども、これを一体いずれにつくかということが私どもとしては一番問題点でございますけれども、やはり従来からの住宅の希望の統計がいろいろございますが、これから申しまして、この五カ年計画におきましては、大体総数を一〇〇%といたしますと、持ち家を五〇%、借家を四〇%、給与住宅一〇%、つまり、給与住宅と借家とは同じものでございますから、大体五〇%と五〇%という割合で総数を考えてまいりたい。そこで、しからば、これの公的住宅についてはどうなるかということを申し上げますと、公的住宅には公団等の分譲もございます。したがいまして、全体を一〇〇といたしますと、持ち家におきましては四三%、それから借家におきましては三八%、それから給与住宅におきましては一九%、したがいまして、借家並びに給与住宅、いわゆる賃貸的なものといたしましては五七%というものを公的住宅では考えておるというような状況でございますが、こういう状況で進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  99. 北側義一

    ○北側委員 私の考えます意見といたしましては、幼稚なことですが、政治の方向というものはあくまでも国民の要望に沿ってやるものだと私は思うのです。そういう面から見た場合には、この増加の本年度の割合というものがあまりにも分譲に、持ち家のほうに力が入って、賃貸には力が入っていない。このことはすでに建設省のいろいろな役人の方においてもそういうことばを私は聞いております。これは私はどんなことがあっても改めるべきであると思うのです。でなければ、このままでいきますと、住宅に困る人がますます住宅に入れない、そういう現状が私は出てくるんじゃないかと思うんです。たとえば公庫住宅につきましても、頭金だけを払う。その金額が相当大きな、普通の一般の低所得者ではとても握れないようなお金なんです。その後の分割の支払い、これはたいへんな金額になってきます。いまの分譲を見た場合には、どうしても賃貸をやっていく以外にはない、そのように私は思うのです。そういう点を、分割をもっとこまかくするとか、頭金をたとえば地方公共団体から貸し付けるとか、何らかのそこに方向がなければ、持ち家政策は失敗である、こう私は思うのです。そういう点をひとつよく考慮していただきたいと思うのです。それに対して、もう一言、大臣はどのような考え方でやっておられるのか、それをお聞きしたいと思います。
  100. 西村英一

    西村国務大臣 大体持ち家住宅の思想は、勤労者に対して財産をつくってやりたいというようなことから持ち家住宅をやるべきじゃないかというので、一昨年、昨年ごろから出発したのであったと思います。しかし、いまあなたがおっしゃいますように、とにもかくにも低所得者の人が、おる家がないというのが一番困るから、その点については十分御意見として承りたいと思います。また、ただいまそういう御意見がありますから、住宅審議会に一体その辺をどう考えたらいいのか、やはり持ち家をつくって勤労者に財産づくりをするということも意味があるんだが、しかし一方、何でも低所得者には住まいを与えなければならぬという議論もございますので、せっかくいま住宅審議会にかけて検討いたしておる最中でございますから、じきその結果が出ましたらわれわれもその結果に従ってやっていきたいと、かように考えております。
  101. 北側義一

    ○北側委員 次にお尋ねしたいことは、この五カ年計画の策定された件につきまして、少し見通しが甘かったのではないか、このように私は思うのです。というのは、まず先般出ました総理府統計局の国勢調査によりますと、昭和四十年十月一日、そのときの数字を見ますと、昭和三十五年から四十年のこの五カ年に普通世帯増加というものが三・二倍になっておる、このように書いてあります。ということは、結婚適齢期の方が非常に多い。終戦子がちょうど適齢期になりますので、分離世帯が多いのではないか、このように私は考えるわけです。そういう面から考えますと、あの五カ年計画を策定されたときは、普通世帯が三十八年度で二千百五十万世帯、このように一応基準をとっているわけです。昭和四十五年の五カ年計画最終年度においては、普通世帯を二千五百三十万世帯、このようにあれには計算してあるわけです。ところが今度の昭和四十年度の国勢調査を見ますと、昭和四十年十月において、普通世帯が二千三百十二万世帯となっておる。ということは、三十八年からわずか二年間で普通世帯が非常に膨大に増加しておるということがこれによって見受けられるわけです。このままの増加率でいくと、私の試算によると、五カ年計画最終年度にはざっと二千六百七、八十万から二千七百万になるのではないか、このように私は思うわけです。したがって、一世帯の構成人員も非常に少なくなってくるということは当然であります。これはすでにこの五カ年計画を策定するときに普通世帯の分離が激しくなるということは、結婚適齢期層の人が非常にふえてくるわけですから予想されるわけです。ところがそういう見通しが、この計画から見ますと非常に甘いような感じを受けるわけです。その点について、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  102. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  確かに先生のおっしゃいます数字は、国勢調査数字でございます。その際に、四十一年の十一月ごろその結果が出たわけでございますが、世帯の構成員が何人になるかというのが四・〇五人と出ております。しかしこの傾向が、従来からずっとトレンドで延ばしてまいりますと、一体何人になるか。そこで私ども、最低は三・六人、最高は三・八人、上限と下限の幅を見たわけでございます。それは国勢調査でまいりますと三・八、それから住宅統計でまいりますと三・六と出ております。そこでそのまん中の三・七という平均値をとりまして、当初、先ほど大臣からも申し上げましたような七百六十万戸というものを住宅不足戸数から割り出したのでございます。ところがこの上限をとるか下限をとるか。そこで四十年の国勢調査の結果は四・〇五人、この結果が出ましたのが、先ほど申し上げましたように四十一年の十一月ごろでございます。五カ年計画を閣議決定いたしましたのは、四十一年の七月でございます。したがいまして、その時点においてはまだこの数字はわかっておりませんでした。ただ問題は、四・ ○五人になりますまでの、過去の世帯の分離がだんだん鈍化してきているんではないか。したがいまして、四・〇五人というのが出たら直ちにそれをトレンドで三・六になるということには必ずしもならぬのじゃないか。これは先ほど来大臣も申し上げましたように、四十三年の住宅統計調査がございますので、この結果は四十四年の秋ごろには出てまいります。したがいまして、そこいらの時点でやはりチェックしてみる必要があろうかと私どもは事務的に考えておる次第でございます。
  103. 北側義一

    ○北側委員 先ほど大臣から、大きな変化がある場合には、この五カ年計画というものはある程度は変えてもいたし方ないというような御答弁があったわけです。私は、政治というものはうしろ向きではなく前向きにいってもらいたいのです。そうでなければ国民がやはり不幸です。そういう点を考えて私はいまこういうことをお尋ねしたわけです。これは常識で判断しますと、どうもふえる傾向が多いように私は思います。そういう点で特に一世帯住宅ということは国民はみんな知っております。住宅に困っている方は、政府の五カ年計画で一世帯住宅が実現する、このようにみな思っておるわけです。ところが現実にそのようにならない場合には、これは一つの大きな問題になってくると思うのです。また大臣の初めの所信表明にも、その目的に向かって実践の段階にある、このようにおっしゃっておるわけですから、そこのところはもっと目を開いて、そうして前向きの姿勢で住宅建設というものをやっていただきたい、このように私はお願いしたいと思います。  次に、先般の説明住宅局長のほうから、建設費、また用地費、この件につきましては、建設費は一五%、用地費が一一%、このように上がって、それでもまだ足りない実情です、各地方公共団体が非常に超過負担を持っておるということについてはよく承知しておる、こういう御答弁があったわけです。考えてみますと、このように一五%、一一%がなるほど引き上げられたわけですが、最近の建設資材、特に鋼材の値上がり状況を見てみますと、たとえば昨年の十一月あたりに小型棒材が三万九千円だったものが、昭和四十二年一月、わずか三カ月か四カ月で六万五千円くらいになっております。中型棒鋼につきましては、四万円前後のものが四カ月で八万五千円、大体倍になっておる。ということは、いわゆる建設費また用地費の各公共団体に対する補助金の引き上げで、プラス、マイナスすると事実はそれほど各地方公共団体は助かっておらない。またそれに対する周囲の下水、道路、こういういろいろな関係があるわけであります。そういう問題で各地方公共団体におきましては非常に悩んでおるのが現在の実情です。こういう点につきましてきのうの新聞を見ますと、総理もそのようなことをおっしゃっておられる、こういう記事を読みましたが、もっと計画を立ててやらなければこの五カ年計画もふいになってくる、このように思うわけです。その点についての大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
  104. 三橋信一

    ○三橋政府委員 計数的なことになりますので、私からお答えいたします。  確かにいま先生のおっしゃいましたように、ある時点におきましては、三万幾らのものが六万円以上になっておる。これはそのとおりでございます。しかし、最近の実情を見ていただきますと、例のあっせん価格、これが四万一千円であっせんいたしました。したがいまして、最近におきましては――本日現在ちょっと存じませんけれども、四万三千円見当に大体なってきているはずだと思います。従来、昨年の私ども関係の鋼材は十九ミリの棒鋼が主でございます。これの予算単価は三万一千円でございまして、それを三万七、八千円くらいで実はやっておったわけでございます。そういう点におきまして、四十一年度においてはかなり無理があったということはこの前にも申し上げましたように承知しております。それが持ち出しの原因等にもなっておる。ただ来年度におきましては、これを四万円くらいの単価で大体見ております。したがいまして、この暴騰いたしました鋼材は大体どこいらまで下がってくるか。これは私にもはっきりした点はわかりませんけれども、大体私どもの単価と同じ程度のところまで下がってくるのではないか。そうなりますと、いま御指摘のありましたように、五カ年計画が画餅に帰するということにはならぬというふうに私どもは信じておる次第でございます。
  105. 北側義一

    ○北側委員 時間もありませんので、もう一、二点だけお伺いしたいと思います。  私どもこの用地費につきましては、非常に大都市周辺の、一番住宅建設されなければならないところが一番高騰しておるわけであります。そういう点から考えまして、どうしても家賃のほうは値段が上がっていくわけです、高くなっていくわけです。入居基準というのは金額がきめられております。一種の場合また二種の場合におきましても、非常に低い金額に入居基準がなされているわけです。そうしますと、高い家賃で低い入居基準、そうしますと、どうしても生活費が非常に圧迫されてくるわけです。そういう面から考えますと、やはり先進国はすでに家賃補助制度、こういうものが設けられております。政府におかれましても、そのような対策があるのかどうか、これに対する対策を特にお伺いしたいのです。
  106. 三橋信一

    ○三橋政府委員 御指摘のとおり、工事費等が上がりますと、ただいまの体系におきましては、標準的な計算上の家賃は上がってまいります。そこでそれに対しまして、公共団体がいわゆる政策家賃をとっております。これが一つの問題点でございますけれども、それにつきまして、一体家賃と所得と家族構成、つまり広さでございますが、これとの関係を一体どう考えていくべきか。それから将来その公共的な住宅に対しまして、家賃というものをどういうふうに考えていくべきか。これにつきましては、ただいま住宅対策審議会において鋭意検討中でございます。したがいまして、そこいらの点をにらみ合わせまして、この秋くらいまでに私ども一つの結論を出してまいりたいと思っております。
  107. 北側義一

    ○北側委員 そのほかいろいろ聞きたいこともありますが、時間もきたようですから、次会に回すことにいたします。まだずいぶんいろいろなことがあるのですが、住宅建設につきましては、やはり一つのいろいろな過密問題、そういう都市周辺の、特に都市開発を叫びながら都市周辺にはいろいろな家が建ってきます。逆のことがなされているわけです。これに対する規制とか、また基本的ないわゆる政府考え方というもの、こういうものをいま立てなければ、ますます日本のいわゆる住宅建設住宅事情というものが悪化してくる、このように私は思うわけなんです。そこで先般の代表質問におきましても、わが党の竹入委員長住宅省を設けたらどうか、また住宅基本法を策定してはどうか、こういう提案をいたしたわけであります。新聞によりますと、都市住宅庁ですか、そのようなものを設けられるような動きがある、このように聞いて非常に喜んでおるわけでありますが、ひとつ大臣におかれましても、どうかこの住宅関係につきましては、全力をあげて国民の要望にこたえていただきたいと思います。  以上で私の質問を終わらせていただきます。
  108. 森下國雄

  109. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 時間がございませんので、簡単に二、三点聞いておきたいと思います。  まず大臣にお聞きしますが、最近建設大臣がたびたびおかわりになる。平均して六カ月から一年ということでありまして、昭和二十三年からただいまの建設大臣まで数えて二十九代、一体建設行政の基本的施策というものは、建設大臣がたびたびおかわりになるのでありますけれども、そういうことはお変わりになるのかならないのか、この点まずお聞きしたいと思います。
  110. 西村英一

    西村国務大臣 建設大臣はかわりましても、政府はかわらないのでございますから、大体大きい筋の基本方針というものは変わりません。
  111. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この基本的施策に関する所信表明の中で、「長期的展望のもとに」ということがございますが、この「長期的展望」というのは一体どういうものか、また私ども議員のところには、正式にその建設省の構想、計画というものが回ってきておりませんが、新聞等また建設省に行ったときに案等は見たことがございますけれども、こういうものがまだ発表されていないように思いますが、これはどういうものでございますか、御説明を願いたいと思います。
  112. 西村英一

    西村国務大臣 やはり今後も経済が、安定的ではあるが、だんだん進んでいくだろう、したがいまして、国民生活もだんだん進めていかなければならぬというようなことを考えれば、やはり目先だけではいかぬので、ある程度の長期的な展望の上に立って全部進めていかなければならぬのではないかという考え方でございます。その前提条件としては、やはり構想を立てるのが前提条件であります。人口がどうなる、産業構造がどういうふうに変化する、農業構造がどういうふうに変化するという前提条件を考えて、そうして公共投資等をやっていくのだ、全国の都市の姿、農村の姿を考えてやっていくのだということであろうと思うわけでございます。私はあまりそういうような――大体あまり考えがないほうでございますが、前大臣の橋本大臣が、これはデザインというか、そういうようなアイデアに非常に富んだ方でございまして、(笑声)わずか四カ月くらいでございましたが、辞任の前に、やはり国土建設についての長期的展望というものをせっかく置いてくれてあるのです。まことに構想は雄大でございまして、したがいまして、私はこの構想を追うて実現をはかっていけばいいんだろうと思っております。ひとつおたくのほうにも届けてもよろしゅうございますが、なかなかいい展望をやっております。したがいまして、私は一生懸命その展望に向かって実行をやってまいりたい。かようにいま考えております。
  113. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これはいつ正式に閣議にはかったものを私どものほうに回していただけますか。
  114. 西村英一

    西村国務大臣 閣議にはかったものではございません。橋本大臣の大構想でございます。したがいまして、その中から具体的に取り上げて、閣議にはかるものがあればその中から取り上げまして――たいへん広い構想なものでございますから、それを全部閣議にはかって、閣議了承というわけにはいきませんが、中からいいものを取り上げまして、また中には広過ぎまして取り上げることのできないような大構想もありますから、取捨選択してまいりたいと思います。
  115. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、大臣は、橋本大臣の構想をお受け継ぎになっていく、それをいま確認いたしました。しかし、その中で取るものは取る、捨てるものは捨てるというふうに解釈してよろしいでしょうか。
  116. 西村英一

    西村国務大臣 さようでございます。
  117. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それでは具体的に申し上げたいのでございますが、時間がございません。  先ほど社会党の委員の方の御質問に対して、大臣がお答えになったおことばのことばじりを取り上げるということは非常にいやなのでありますが、私ちょっと感じましたのでお聞きしたいのです。先ほど大臣は、民間自力建設の点についての御質問に際し、提供したいというおことばをお使いになったのでありますが、私は提供するということばは、何かわれわれ国民に一世帯住宅というものをただであげてしまうんだ、また、あげるんだというような感覚でありますけれども、たびたびここにも論議の争点になっております、政府施策住宅というものは四である、公共施策が四で、あとは自力建設にまかしておる。大体土地を確保しなければ住宅金融公庫等から融資もできない。そういうふうに非常に公共の土地の確保ということがいま住民の一大関心事になっております。だからこの自力建設ということは国民の血と涙と汗の結晶の上に積み重ねていくところの計画である。それにもかかわらずこれを提供したいということばをお使いになったので少し行き過ぎじゃないかと思うのですが、それについての御所見を承りたいと思います。
  118. 西村英一

    西村国務大臣 提供という、いまどういうことを言ったのか、私ちょっと……。転用と言ったんですか、どういうことを言ったのか、ちょっと思い出しませんが……。   〔「もう一回速記録を調べて」と呼ぶ者あり〕
  119. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 お忙しいようですから大臣にもう一点だけ……。  土地の問題ですが、土地問題に対する基本的な考え方大臣はどのようにお考えになっておられますか。土地に対する大臣の所見をちょっと聞いておきたいと思います。
  120. 西村英一

    西村国務大臣 土地の問題は安定したようにしたい。あまり高騰させないようにしたい、安定したような地価にしたい。そのためにはきめ手はありません、一つ、二つでは……。いろいろな手をやってこれを安定させるということでございます。一つこれをやったからこうなるということではありません。したがいまして、そういう目的のためにわれわれといたしましてはいろいろな手を講じていく、こういうことでございます。
  121. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それでは大臣もお行きになりますから、私は大臣質問はこれくらいにしておきまして、ちょうど時間もまいりましたので、残念でありますけれどもきょうはこの辺のところで質問をとどめておきます。
  122. 森下國雄

    森下委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会