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1967-07-06 第55回国会 衆議院 決算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月六日(木曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 吉川 久衛君 理事 小峯 柳多君    理事 小山 省二君 理事 白浜 仁吉君    理事 高橋清一郎君 理事 佐藤觀次郎君    理事 華山 親義君 理事 吉田 賢一君       菅波  茂君    丹羽 久章君       中村 重光君    浅井 美幸君  出席国務大臣         国 務 大 臣 松平 勇雄君  出席政府委員         総理府人事局長 増子 正宏君         行政管理政務次         官       北畠 教真君         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房人事課長   秋富 公正君         科学技術庁原子         力局原子力開発         機関監理官   田宮 茂文君         通商産業省重工         業局次長    赤沢 璋一君         会計検査院事務         総局第一局長  斎藤  実君         会計検査院事務         総局第五局長  佐藤 三郎君         参  考  人         (原子燃料公社         理事長)    今井 美材君         参  考  人         (原子燃料公社         理事)     堀口 定義君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 七月五日  委員中村重光辞任につき、その補欠として千  葉佳男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員千葉佳男辞任につき、その補欠として中  村重光君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十年度政府関係機関決算書  昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管行政管理庁)〕  国が資本金の二分の一以上を出資している法人  の会計に関する件(原子燃料公社)      ————◇—————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  国が資本金の二分の一以上を出資している法人会計に関する件について調査を行ないます。  本日は、参考人として、原子燃料公社理事長今井美材君、理事堀口定義君の御出席を願っております。  参考人からの意見聴取は、委員質疑により行ないたいと存じますので、さよう御了承願います。  これより質疑を許します。丹羽久章君。
  3. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 政府要員出席名簿をちょっと見せていただきたいと思います。  お許しを得ましたので、それでは二、三の点についてお尋ねいたしたいと思いますが、国民注目公社公団は、最も慎重適切研究の結果、存続または改組、あるいは打ち切りをしなければならないと思います。私は去る五月十六日の当決算委員会におきまして、昭和三十九年九月に行なわれた臨時行政調査会答申のうち「公社公団等の改革に関する意見」について、行政管理庁がどのようにこの意見を尊重し実施するかについての質疑を行なったのでありますが、きょうは、いま出席いたしておられませんけれども、行政管理庁長官は、臨時行政調査会指摘した十八団体を含め、百八の公社公団事業団については、来年度の予算編成を目途に、本年八月ごろまでには一応の結論を得るよう検討するという答弁でありましたが、きょうは臨時行政調査会答申にある原子燃料公社並びに公営競技に関する法人として、日本自動車振興会日本小型自動車振興会事業内容等についての、行政管理庁の今後の公社公団に対する方針を明らかにしていただきたいと思います。  それについて第一点は、まず最初原子燃料公社赤字についてであります。原子燃料公社昭和三十年の原子力基本法の第七条に基づきまして、核原料物質開発及び核燃料物質生産並びにこれらの管理を総合的かつ効率的に行ない、原子力開発及び利用の促進に寄与することを目的として、昭和三十一年に設立されたことは御承知のとおりであります。自来公社探鉱事業試験研究事業に専念してきたのでありまするが、公社経営は一応独立採算制を前提としていますので、その観点から、経理決算を見ますると、昭和四十年度の政府出資金が十九億八百万円に対して、赤字額は、この年は驚くことに十五億三千二百八万九千円出しております。さらに昭和四十一年度は、政府出資額が十八億九千八百万円に対しまして、赤字は十六億八千百六十二万二千円になっております。公社設立昭和三十一年から昭和四十一年までの政府の出資いたしました累計は、百三十九億八三百万円、要するに百四十億からの金になっております。赤字累計は九十四億一千六百五十九万五千円になっております。この赤字は単なる経営の不手ぎわによるものとは言えず、試験研究費など、企業採算に乗りにくいものとして支出された経費であることは、科学技術経費の特性として当然と考えることはよくわかりまするが、昭和三十七年度、会計検査院においても、この経費処理について報告のあった点であります。今後これら経費企業採算に乗らない事業として、いかなる態度で検討すべきかが問題であろうと思いますが、公社が約十一年間いま申しましたように巨額な政府出資により事業を行なった結果、巨額な赤字を出しておることは、一方において相当投資効果が生じなければ、国民一般として納得できない状態であろうと思われます。この点について、原子燃料公社の御説明を、どういうわけでこういうふうになったかということをお聞きいたしたいと思います。
  4. 今井美材

    今井参考人 原子燃料公社は、ただいま御指摘のような目的をもって、三十一年に設立せられまして、それ以後、また御指摘のごとき赤字の累積ということに相なっておるわけでございます。このことにつきましては、当然これに見合うような投資効果があるべきではないかという御趣旨でございますので、これに関する説明を少しさせていただきたいと思います。  原子燃料公社設立目的に掲げました事業目的ということにつきましては、御指摘のとおりでございましたけれども、それ以来の実際の運営内容を見まするに、初期におきましては、もっぱらウラン探鉱につとめてまいった次第であります。またその後におきましては、原子燃料検査でありますとか、金属ウラン試験的生産などが主体でございました。これらにつきまして、投資効果という面から申してみますならば、たとえばウラン埋蔵量を探査いたします探鉱仕事におきましては、今日まで総鉱量といたしましておよそ七百六十万トンぐらい、またこれをウランの中身に換算いたしますならば三千六百トンくらいと相なっております。これは単なる計数上の問題でありますけれども、その間、初期におきましては、日本にはウランがないのではないかという地質学者意見などもありましたが、このような数字が出てまいりましたこと。またこれに関連いたしまして、どんなところにどのようにウランが存在しておるかというようなことにつきましても、相当の知識を獲得することができましたので、このような意味合いにおきましては、今後のウラン探鉱ということに一つ方針獲得することができたと考えております。  次にウランの製錬でございますが、この問題につきましては、まだ日本国内におきまして生産できる過程に達しておらないのであります。製錬をする技術そのものにつきましては、一貫製錬と私ども申しておりまして、多少海外における通常の方法と区別できる新しい方法確立などもいたしまして、技術的な確立をいたしましたのみならず、今日まで、試験的生産という意味において、国内需要量に対して七十六トンばかりのウラン生産し供給してまいりました。  次に、燃料検査ということがございますが、これは申すまでもなく、原子炉安全性に非常に大きな寄与をいたしますのは、燃料がいかに万全に加工、製造されておるかということを検査することでございます。ところが、これは一々ぶっこわして検査をするのではなくして、傷をつけないで、いわゆる非破壊検査をせねばなりませんので、そのことについては、当時何らの技術的確立はされておりませんでした。そのような事態に、燃料公社がこの仕事を担当いたしまして、今日まで引き続いて、燃料検査はいかに技術的にやるべきかという開発をやってまいりました。このような開発技術は、JRR3とかJPDRとかあるいは原子力船臨界実験等燃料等検査に実用してまいったわけであります。  このほか、近いところを申しますと、プルトニウム燃料開発するという命題がございます。プルトニウム燃料と申しますのは、ウラン燃料がたとえば一次の燃料であるとするならば、一度炉を通ってまいりますことによって人工的に生産される燃料でございます。これをいかに活用するかということが非常に大きな問題になっております。これを巧みに循環使用いたしますことによって、燃料をサイクルするといいながら、これで原子燃料有効利用をはかるわけでございますが、このプルトニウム燃料生産加工技術確立するために、特別の燃料開発施設を建設いたしまして、これによりまして、今後いわゆる高速増殖炉でありますとかあるいは熱中性子炉、これは一名軽水炉とも申しますが、そのような、原子炉プルトニウム燃料を供給するような開発をいま鋭意やっておるところであります。かような次第でございまして、これらの事業を通じまして、専門の技術確立することと、またこれに関連する技術者養成等につきまして実績はあげてまいったと考えておる次第でございます。  お尋ね意味における効果いかんということにつきまして、一応以上のとおり御答弁申し上げます。
  5. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 私は、先ほど質問をいたしましたうちに、速記録を読んでいただいてもわかりますが、試験研究費など、企業採算に乗りにくいものであるということはわかるがと、こうちゃんと言っておりますよ。しかし公団公社政府出資金というものは、採算に乗らないものはという原則論がある。そういう意味から、一致しない点があるでしょう。だからいまおっしゃったように、いろいろと苦労しておる。なるほど、赤字というものに対しては触れられなかったけれども、政府はばく大な金を出しておって、その趣旨からいくと採算が合わなければいけないということが原則的に考えられる。しかし九十数億、百億からの赤字が出てきた。それはいまの説明でいきますと、ずいぶん苦労してウランに対しての研究を進めてきたのだ、さらに新しくプルトニウム考えているのだ、こういうことですから、一応わかるにはわかるのですが、検査院指摘では、これはあまり苦しくない。それはお読みになって、また指摘をせられるだろうと思いますから、私はあんまり口数多くは申しません。  そこで、さらに、おいでいただいている理事長お尋ねいたしたいと思いますことは、日本にはひょっとするとないのじゃないかというようなこともあったのだけれども、そうでなくて、研究の結果七十六トンからのものが一応できた、あるいは大まかにいって七百六十万トンからのものをいろいろと研究をしてきたのだ、こういう話ですが、それでは、いままでにつぎ込んできた金、そして現在どこでどのような研究を進めつつ、ウランあるいは新しいものの試掘をしていらっしゃるか、その点をひとつ御説明願いたいと思います。
  6. 今井美材

    今井参考人 これからどこに今日まで獲得した技術を活用するかというお尋ねになりますと、いろいろな面がございますが、まず第一に、二、三の点に集中して申し上げたいと存じます。  一つは、先ほど御答弁申し上げた中にございましたプルトニウム燃料によります燃料サイクル確立という点でございます。この燃料は新しい燃料でありますのみならず、まだ当分の間民間で手かけることのできない理由もございましょうと存じますので、これを通じまして、今後の新しい動力炉開発などに貢献をいたしたいと思っております。  もう一つは、これにきわめて密接不可分な、問題でもございまするが、プルトニウム獲得せねばなりません。これは原子炉の中で一度燃えてまいりました燃料からとれるものでございまするので、それを入手いたしますためには、再処理と申しておるプロセスが必要でございます。これは原子燃料公社の当初から事業目的の中に入っておる大きな仕事一つでございまして、これにつきましては、再処理工場を建設するという目的で、目下建設のための設計を進めておる段階でございまして、およそ昭和四十七年を期して、工事の運転ができるようにありたいと存じております。  なおまた、資源獲得の問題というのは、これは永久にわれわれの努力の中に入っておる問題でございまして、そのためには、今後ますます国内における探鉱成果をあげることにつとめなければならぬと存じまするし、場合によっては、その技術海外資源獲得のために活用しなければならぬと存じております。これらがこれから実行してまいりたいと存ずる大きな仕事でございます。
  7. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 今井理事長の非常に御苦労していらっしゃる点についてはわかりました。それじゃまたあとでお尋ねすることができ得るかもしれませんが、そのときには御答弁願うことにいたしまして、新事業団運営についてですが、今国会の四月五日に提出され、一五月十八日に科学技術振興対策特別委員会に付託されまして、ただいま審議中の動力炉・核燃料開発事業団法案は、公社の業物を新事業団に統合する法案でございますが、これは、臨時行政調査会が意図する公社公団の中に入る性質のものでないという考え方から、累減赤字をそのまま新事業団に吸収することは、新事業団独立採算をたてまえとする関係上、政府としては、この赤字をそのまま継承して処理することについては検討する必要があろうと私は思いますが、この点、新事業団運営に関連のある問題でありますので、科学技術庁意見並びに行政管理庁考え方をお伺いいたしたいと思いますが、行政管理庁長官が来ておられませんので、行政管理庁政務次官がいらっしゃいますね、政務次官にひとつお尋ねをいたしたいと思います。最初科学技術庁のほうからお答えをいただきたいと思いますが、田宮さんがおいでいただいていますね。
  8. 田宮茂文

    田宮説明員 新しく発足いたします新事業団につきまして、燃料公社欠損金の処分をいかにするつもりかという御質問だと思います。御指摘のように、動力炉・核燃料開発事業団は、原子燃料公社業務をそのまま全面的に承継するものであります。そしてその資産の承継にあたりましては、御指摘もございましたように、減資等方法により、清算して新たなる姿で再発足するという御指摘は、一つ考え方であると思いますけれども、現在までの前例では、このような特殊法人資本金は、そもそもその事業にどれだけの資金を投入したかを示す一つの目標でございまして、有形的な資産が存在しなくても、開発されました技術あるいは養成されました人材の中に、無形の形で体現されている、こういうことでございまして、減資が行なわれました前例がないというふうに承知しております。そしてこの新事業団について言いますれば、御承知のように、民間資金を導入しょうという考えがございますので、民間資金を導入いたします動力炉開発業務につきましては、公社から承継するほかの業務とは区分して経理することとしております。したがいまして経理的に、公社から承継することとなります欠損金によって影響を受けることのないようにいたすつもりでおります。  このようにいたしまして、いろいろな点から検討いたしましても、この資産の再評価減資というような繁雑な手続をいたしますことが、あまり実益がないというふうに判断いたしまして、事業団業務の遂行上、資産の再評価を行なわなくとも支障がないと判断いたしまして、そのまま承継するという考えになっておるわけでございます。
  9. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 田宮監理官説明を聞きますと、先ほどの理事長からの話で、御苦労していらっしゃる、そうしてそれによって生じた赤字である、今度審議する燃料開発事業団、これにはこの赤字を全部受け入れていく、それには、これから先はあまりそういうものを出さなくてもいけるような、独立採算の行き方でいけるかもしれぬと思っておる、こうおっしゃるけれども、科学技術庁は、そうしたものが何か採算の合う、根本的な、こういうことがあるから、これからはそう心配をかけなくともだいじょうぶだ、赤字にはなりません、ということを示してもらいたいと思います。
  10. 田宮茂文

    田宮説明員 私の御説明が足りなかったと思いますけれども、新事業団になりました場合に、今後欠損金が、何らかの収益をあげることによって、あまりあがらないという御説明をしたつもりではございませんで、一つ区分経理をいたしますので、動力炉開発と、それから公社が現在までいたしました事業によります欠損金とは、切り離して経理をいたしますから、公社が現在まで出しました欠損金によって、新たに開発いたします動力炉関係仕事に悪影響を及ぼすようにはいたさないように、経理処理いたします、ということを御説明したつもりでございます。  また、先生の御質問で、将来何らかのかっこうでこの欠損金収益によって埋められる可能性があるかという点につきましては、公社が現在までやりました業務につきましては、先ほど今井理事長からも御説明がありましたように、特に再処理事業等につきましては、これは初めて日本でできます工場でございますが、これにつきましては独立採算制をとるつもりでおりますので、将来原子力発電が発展いたしまして、この再処理事業が順調に動き出しますならば、利益があがるようになりますし、また公社がいままで国内探鉱いたしましたウラン資源につきましても、国際的に原子力発電が盛んになりまして、現在ポンド四ドル、五ドルといっております原料の鉱石の値段が上がるようなことがございましたら、国内資源採算に乗る、そういう時点になりますと、この欠損金が改善される見込みがあります。
  11. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 制約された時間がありますから、あまり詳しくお尋ねせぬでも、それはけっこうなことですから、ひとつうんと努力していただいて、こういうような金額は、年々赤字であってはならない。いままで原子燃料公社理事長も率直に言われて、苦労していらっしゃるから、今後相ともに携えて、しっかりやっていただきたいと考えます。  それじゃ、それについて、いまは科学技術庁のほうから聞きましたが、行政管理庁のほうは次官がいらっしゃいますから、次官はどういうお考えを持っていらっしゃるか、その点、ひとつお尋ねをいたします。
  12. 北畠教真

    北畠政府委員 ただいまお話のありましたように、この事業団は非常に重要な問題であり、かついろいろな面におきまして、長期の計画を維持していかなくちゃならぬというようなことで、行政管理庁といたしましても、いろいろ関係の省庁と相談をいたしまして、この事業団を新設し、従来の原子燃料公社を併合、一本化したほうが適切であろうというようなことで、一本化の方式を承認いたしたような次第でございます。  なお、先生指摘のとおり、原子燃料公社赤字の問題、これはただいま詳細にわたってお話がありましたが、別勘定でいくという見通しがあるのだということで、これまた行政管理庁といたしましても、経済企画庁の御意忠、あるいは新しくできます公団の、予定されております方々のお活を聞いて、それで十分であろうというようなことで、この事業団を認めたようなことでございます。どうぞこういう面、御了承いただきたいと存じます。
  13. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それじゃ科学技術庁のほうも、それから行政管理庁のほうも、将来を楽しみにして、いまは赤字であるけれども、きっとよくなるのだ、また世界的にも大きな貢献をしていくのだということならば、日本が現在のところは犠牲になりつつあっても、世界の平和のために原子炉が進められていく、あるいは大きな研究がせられていくということはけっこうですから、それは了承することにいたします。  次にお尋ねいたしたいと思いますことは、会計検査院ですけれども、近年科学技術庁に対する投資額の増大の必要性が述べられておりますが、これらに対する経費は、一般事業収益とは異なる性質のものであるとはいえ、投資効果に対する期待は多大なるものがあります。会計検査院は、昭和三十七年度の決算報告の中で、日本原子力研究所事業報告で、同研究所多額欠損金を繰り越した理由として、事業収益がほとんどないので、必要財源を主として資本金に依存していることを報告しておる。これはいままで言ったことなんです。このような試験研究機関などの赤字額については、公社公団のような独立採算制を有する機関経理決算とは別途な特殊な取り扱いの必要性があると思うが、会計検査院としては、検査対象とするこれらの機関経理を、どのように検査してきたのか。いま説明を聞いてみると、一応なるほどと思うのだけれども、これに対して、会計検査院特殊性のあるところの公社公団に対しては、今後少し考え方を変えた検査をしなければ、何か疑惑を持つようになってくる。お金をもらっても何もやらずに、そのままで大きな赤字を出す、というようなことになるという意味にもとられる。しかし参考人を呼び、いろいろ事情を聞いてみますと、もっともだと思うけれども、会計検査院考え方は、こういうような問題に対して今後どのような考え方を持たれるか、その点を会計検査院お尋ねいたしたいと思います。
  14. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 国鉄、専売、電電、ああいう事業をやって、その結果相当収入をあげて、それでやっていくという団体と異なりまして、収入はある程度期待はいたしておりますが、どうしても、その投資と申しますか、開発費相当多額を、要するというようなことで、先生いまおっしゃいましたように赤字のやむなきに至っておる、こういった特殊の団体につきまして、私どもとしては赤字が出たから非常に非能率だというような考え方ではなくして、赤字は、そういう特殊な開発研究という事情によって出ているのだということで、いわゆる投資効果というものに着目して、検査をしてまいっておるわけでありまして、三十七年度の検査報告に、原子力研究のことについて書きましたけれども、その際にも、いまから考えますと、もう少し投資効果というような面について、検査院として、投資効果はどんなふうなことをやってきたかというようなことについて、もう少し研究したほうがよかったかというふうには考えておりますが、今後の検査報告の記述につきましては、そういう面で、なお先生のおっしゃいますような方向で書いていくように努力いたしたい、こういうふうに存じます。
  15. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 会計検査院佐藤第五局長からの御答弁だと、いまになってみると、三十七年ですか、そのときに書いたのが、もう少し研究してみればよかったと思うということですから、あえて追及しようとは思いませんけれども、それから数年たっているのですよ。そのつど会計検査に行っていらっしゃるのでしょう。そうしたら、そのくらいの説明は、きょうの参考人理事長にもお尋ねになったろうし、関係者にもいろいろと説明を聞かれておるだろうと思う。そうしたら、これに対する意見なり書き方というものはもう少し、赤字にはなっているけれども、こういう事情であるからやむを得ない赤字だと思うというような書き方が、数年の間やっていらっしゃるのだから、最初の一年はともかくとして、その後のあり方については、会計検査院がもっとよく内容を調べてみる必要があったのじゃないかと思う。その点どうですか。
  16. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 内容は、私どもとしてはよく調べておるつもりでございますが、ただ表現の点におきまして、なお研究不足の点があったかと思うのでございます。検査院としては、いわゆる不法不当事項、違法不当事項については、積極的に表現する。けれどもその他の点については、検査報告全体の記述のしかたの問題でございますけれども、いわゆる事業効果がこの程度あがっているというようなものにつきまして、そう積極的に検査報告に載せるというようなことは、これは過去の検査報告で、ずっとやってきておりません。しかしながら、最近検査院でも、こういった事業団のみならず、国の会計全体についても、そういったものについてもう少し検査報告に書くべきじゃないかというような機運に向いておりまして、そういった方向で今後は検討していきたい、こういうふうになっておりますので、その辺のところは御了解いただきたいと思います。
  17. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 公団公社に対しては、特に臨調から十八というものが指摘せられておるのですよ。その指摘せられたのは、現地を全部見てきて、これは悪いからこうしたほうがいい、これはこうだというように指摘せられた点もあろうと思うけれども、また一部には、会計検査院報告書に基づいてある程度検討せられて、そして答申せられた面もあると私は想像するのです。この間、長官は、答申は出たけれども、十八団体に対しては、これは適当なものもあるし、不適当とは言わないけれども、もう一度百幾つの公社公団に対しては検討する要がある、時代も三年有余たっているのだから変わってきたんだ、こういうことを言っていらっしゃる。だからもう少し——あなたのほうが悪いという意味じゃない。そういう特殊性のあるものは、やはり特殊性のあり方をどこかに表現しておいていただくと、私どもがずっと見たときに、どうしてこんなばかな赤字に年々つぎ込んでおるのだろう、こういうことを私どもは思うわけで、そういう点を指摘するのですよ。だからあなたが最初におっしゃったようなことばで、それですべては終わっておるけれども、私は、ただ頭に浮かべたことは、十数年の間そういうような会計検査をしていらっしゃった。その間よく事情は知っていらっしゃるはずだ。知っていらっしゃったら、何かそこで表現のしかたがなかったろうかということを聞いただけの問題なんです。あえて追及しようとは考えていないんです。おわかりいただけばけっこうだと思うのです。  それでは、時間がありませんから、次に移りましょう。  長官がいらっしゃいましたので、一言お尋ねいたしたいと思いますが、いま政務次官からもお話を聞きましたが、今度新しく燃料開発事業団体ができることになったんです。いままではずっと赤字で、今度これをやることについては、前の赤字を合わせますと相当ばく大な金になってくるんですよ。見通しが非常に心配であったから、どうなんだと言っていまお尋ねしたんです。きょうは参考人として御出席をしていただいておる理事長あるいは関係それぞれの方々から御答弁をいただきました。大体よくわかったんですけれども、ひとつ長官は、この際、公団公社というものの廃止統合、そして組織がえといったような問題に対しては、国民は大きな関心を持っておりますから、どうぞこういうものをつくっていかれる運営に対しては、つとめてひとつ熱心に御検討をして、そして運営の万全を期していただきたい、こういうことをお願いいたしたいと思いますが、お考えはどうか。
  18. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 特殊法人の整理統合に関しましては、私どもといたしましては、慎重に審議をいたしまして、公正な立場でいろいろ検討いたしまして、さきにあげました四つの基準に従いまして検討いたしまして、そうしてその尺度によって整理統合しなければならないものに対しましては、仰せのとおり、勇気を持って強力に仕事を推し進めて願いる覚悟でございます。
  19. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 長官がいらっしゃったから、もう総括質問に入るので、譲ってくれということでございますけれども、時間がだいぶオーバーしましたけれども、もう一点だけ、ひとつお願いいたしたいと思います。  日本自転車振興会及び日本小型自動車振興会についてでありますけれども、日本小型自動車振興会の問題については、私は時間がありませんからやりません。自転車だけのことを聞きたいと思いますが、昭和二十三年の八月に日本自転車振興会ができて、これは議員立法でできたと思っております。その次に、私が尋ねたいのですが、昭和三十一年に至って競輪運営密談会が行なった答申に基づいて、昭和三十二年にそれぞれ競技法の一部を改正して、特殊法人としての認可団体として、改組再編成が行なわれました。この改組の理由としては、事業の発展に伴って多額の金銭を扱うようになってきたということが一点、競技の公正を期するために監督を強化するという必要があった等であります。そこで、その収益の中から、実施地方団体の財政を消し、関連産業の振興をはかるために、さらに、社会への還元として、社会福祉の増進、体育の振興等へこの補助金をたくさん出しておるのでありますが、このような経過をたどって今日に至っておる二つの振興会でありますけれども、特に日本自転車振興会は、射幸的の競技の運営、そのあり方に対しての意見のうち、その第一とするところは、これらの機関が主管大臣の認可を得た公益法人としての認可団体であることについて、民法上の法人として自立的運営を行なうことがよいのではないかと私は思っております。ただし、これらの公営競技に関する機関は、関連産業の振興と一般公益事業に対する振興事業を行なっておりますところから、統制の必要を認めるのでありますが、この統制は別に検討するといたしましても、これらの競技機関の民法上の法人改組への方針について、監督官庁が通産省でありますので、通産省にひとつ説明をお願いいたしたいと思いますことは、このもうけた金のうち、昭和四十年度に地方財政へ、通称競輪と申しますが、これは三百十八億三千三百万円と、関連事業の振興に三十六億六千六百万円出しております。公益事業の振興に三十一億一千三百万円出しております。四十一年度は地方財政に三百三十五億円を潤わしておる。同じく関連産業には四十四億七千八百万円近くの金を出しております。公益事業のほうには四十二億五百万円を出しておりますが、この資金の配分については、臨時行政調査会ではこういうことを言っている。一元的重点的の配分方針を望んでおります。現在の配分制度と今後の資金配分のあり方について、どういうふうにいかれるか、現在どおりでいかれるのか、その点をひとつお尋ねいたしたいと思います。
  20. 赤沢璋一

    ○赤沢説明員 ただいまの競輪、特に競輪の売り上げに関する資金配分の問題でございまするが、これは先生御存じのように、自転車競技法の各条項で明示されております。それで、売り上げました車券の中で、七五%は要するに車券を買い上げた人に還元され、残りの二五%が各種の用途に使われる、こういうことになっております。施行者は、御存じのように都道府県、市町村でございまするが、その都道府県、市町村が施行いたしますその施行者が、残りの二五%の中から、まず開催経費、これは会場の借り上げ費でありますとか、あるいは選手に対する賞金であるとか、こういうものを支払い、残りの金の中から、法律に定めておりますように、一号、二号、三号、それぞれの交付金、また競輪の実際の施行請負をいたしておりまする競技会、これに必要な経費を支払い、残りがいわゆる施行者の収益として各地方団体のふところに入る、こういうことでございます。  いま御指摘資金の使途、配分について、今後一元化したらどうか、こういうような議論が出ておるわけでございまするが、現在のやり方といたしましては、一号の交付金は、御存じのように、機械工業の振興、こういうことに当てられております。この面につきましても、実際問題といたしましては、機械工業でございまするので、交付先の団体はすべて通産省所管の団体でございます。したがいまして、通常いろいろ知っておりまする関係のところから事情も聴取し、そうして競輪、オート両方合わせまして、その間粗漏のないような配分をいたしておるというような形でございます。二号の交付金につきましては、スポーツ、公益、社会福祉、医療その他全般、非常に広範にわたっておりまするが、主として文部省あるいは厚生省の関係団体、一部労働省も入ってまいりますし、司法保護といった関係では、法務省も関係があります。こういった各省の所管にまたがる事業にこれが配られるわけでございまして、これあたりを一元化したらどうか、こういう意見が一番中心のところであろうかと思うわけでございます。現在のところは、この二号の交付金——社会福祉、公益、医療その他、こういった関係につきましては、それぞれの申請者の内容につきまして、まず、振興会が十分調査をいたしまして、実際その具体性かあるか、また交付の基準に合致しておるかどうか、こういった点を審査をいたし、その内容を付しまして、一応の原案をつくりました後に、車両競技審議会というのがございますが、この審議会の幹事会にまずこれを付議いたします。この幹事会は、関係各省それぞれの所管の方々のほかに、さらに一般の学識経験者等が入っておりまして、ここで十分内容を審査し、全体のバランスのとれた形で審議をいたしまして、その上で車両競技審議会に上げて、交付の決定をする、こういうのが現在の仕組みでございます。一元化するといたしましても、他のいろいろなオートレース等がありまして、これらを一緒にやるということになるわけでございまするが、資金の使途、それぞれ従来十年以上の歴史を持っておりまするし、また振興会も、それぞれ専門家を育成し、そろえておりまするので、私どもとしては、現在のやり方で、答申にございまするような、公正にして適正な運営が行なわれておるのではないか、かような考えでおります。ただ、そういった御指摘もございまするので、今後、行政管理庁当局とも十分御相談をいたしまして、さらに検討を加えてまいりたい所存でございます。
  21. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 この問題はそれで置きましょう。またこの次にいたしますが、この機関によって行なわれた事業管理運営が適正に行なわれているかどうかということについて、事業終了後五年間にわたり、毎年監査を実施して報告を行なわせているようであるが、この監査の実態は、きちっといつでもやっていらっしゃるかどうか、という点をひとつ御説明願いたいと思います。
  22. 赤沢璋一

    ○赤沢説明員 監査の問題でございます。ただいま御指摘のように、監査には、書面監査と実施監査がございまするが、現在の監査は、すべて実地監査をいたしております。事業の実施につきまして、まず補助金を出すわけでございまするが、補助金交付の決定をいたしましても、いわゆる概算払い、概算決定というような形でこれをきめておりまして、実際の、たとえば建物なら建物ができておるかどうか、こういうことは、全部現地に行って調べ、その報告をもとにして、最終の交付決定額をきめる、こういうやり方でございます。これができました後におきましては、ただいまお話しのように、五年間にわたりまして、補助を受けました団体から、実際の使用状況、管理運営の状況等の報告書を取り寄せ、これは書面で審査をいたしまするが、この書面審査の結果、問題があると思われる面につきましては、現地に行きまして、現地で監査をするということをいたしておるわけでございます。
  23. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それでは、十分に監査はやっておるから心配ないということですね。それではけっこうです。これで終りたいところですが、もう一点だけ聞きたいと思います。  愛知用水公団に対する愛知県議会における知事の答弁がこの間あったのです。七月一日付の中日新聞がありますが、読むことはやめて、県議会において、愛知県知事は——この間うち雨が降らなかったからといって、かんがい助成措置ということを県議会議員が質問をいたしております。そのときに、第二濃尾用水建設の見通しに対する答弁の中で、第二濃尾用水は愛知用水公団方式で建設したい、そのためにも同公団の存続を強く働きかけるが、この愛知用水公団方式でいくについて、この愛知用水公団は一〇〇%存続すると信じておる、こういう発言をしておるけれども、これはもう松平行政庁長官は関心を持たれておるから、ちゃんと新聞を読んでいらっしゃるだろうと思うが、行政管理庁は、もう八月が追ってきておりますから、公団存続についていろいろと御検討になっておることだろうと思うが、愛知用水公団は、知事が県議会で答弁したように、存続していただければ非常にけっこうだと思うが、もうすでにそういうような話し合いがついておるのですかどうかという点を、ひとつお尋ねいたして、私の質問を打ち切りたいと思います。
  24. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 愛知用水公団の存続に関しまして、いま県議会で桑原知事が御答弁されたそうでございますが、私はまだ聞いておりませんけれども、しかし桑原知事から、たびたび電報なりいろいろな書面で、存続の陳情は来ておりまして、それを拝見いたしております。  たびたびお話し申し上げるのでございますが、いま百八の公団調査いたしておりまして、その中に当然愛知用水公団も入っております。現在の段階におきましては、まだ中間報告程度の資料しか集まっておりませんので、まだ結論を申し上げるまでには至っておりません。私どもといたしましては、本庁とそれから出先と力を合わせまして、いま詳細に検討をいたしておりまして、八月末までには結論を出して、庁としての方針を決定し、そうして行政監理委員会、あるいは行政改革本部等にはかりまして、善処していく考えでございます。
  25. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 そうすると、その前に相談もなければ何の話もなくて、愛知県知事は一〇〇%の自信があると思って言ったというだけにすぎないことであって、そういうような要請はあったけれども、行政管理庁長官としては、別に答えを出した覚えはない、こういうことでございますね。
  26. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 そのとおりでございます。
  27. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それでは私からお願いしておきたいと思いますが、知事もそういうことを正々堂々と議会で答弁をいたしておりますので、その期待に沿うように、ひとつ努力してやっていただきたいと私は思うわけです。  これをもって一応、時間が来た来たとやかましいので、打ち切ります。
  28. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 参考人には、お忙しいところを調査に御協力をいただき、ありがとうございました。      ————◇—————
  29. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次に、昭和四十年度決算外二件を一括して議題といたします。  総理府所管中、行政管理庁について審査を行ないます。  まず、行政管理庁長官より、概要説明を求めます。松平行政管理庁長官
  30. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 昭和四十年度における行政管理庁関係決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  行政管理庁の歳出予算現額は、三十一億三千六百七十三万八千円でありまして、支出済み歳出額は、三十一億三千五百五万二千円、不用額は、一百六十八万六千円であります。  歳出予算現額の内訳は、歳出予算額三十一億一千三百四十八万六千円、大蔵本省から移しかえした額二十五万二千円、総理本府から移用した額二千三百万円であります。  支出済み歳出額のおもなものは、人件費十五億九千三百七万九千円、事務費二億二千八百十六万円、統計調査事務地方公共団体委託費十三億一千三百八十一万三千円であります。  不用額を生じましたおもな理由は、行政審議会が年度途中に廃止されたので、委員等旅費を要することが少なかった等のためであります。  以上、昭和四十年度の行政管理庁関係決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。
  31. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次に、会計検査院当局より、検査の概要の説明を求めます。斎藤会計検査院第一局長
  32. 斎藤実

    ○齋藤会計検査院説明員 昭和四十年度の行政管理庁所管の決算について検査をいたしました結果は、特に違法または不当として指摘した事項はございませんでした。  以上でございます。
  33. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  34. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小山省二君。
  35. 小山省二

    ○小山(省)委員 私が御質疑を申し上げたいと考えておりました二、三については、同僚から私にかわって御質問がありまして、私が大体考えておった点は丹羽君からただしていただけたので、ごく一、二だけ長官に、この機会にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  本日の読売、それから七月二日の朝日新聞の紙上で、さきに行管が勧告されました三十ほどの団体について、相当大きく取り上げられております。公社公団の整理統合については、本院においても、また参議院の決算委員会においても、いろいろな角度から論議をされておるようであります。ただ私は、別に報道されたことに対して、直接長官のほうで発表されたという意味お尋ねをするわけではありませんが、あたかも指摘された三十の団体は、違法な団体のような誤解を世間に与えておる。私は、行管の監察対象のうち外にあることはあるいは事実かもわかりませんが、別にこの団体は違法な団体ではないわけであります。私はそういう意味で、長官がこれら三十幾つかのこの指摘されておる団体に対して、総括してどういう考え方をお持ちであるのか、長官の御所見を、ひとつこの際承っておきたいと思います。
  36. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 ただいまの御指摘の朝日新聞、そのほかの新聞に出ておりました、新聞紙上においては、何か隠し法人とかいうような名目で出ておるようでございますが、私どもはそういったことばを使ったこともございませんし、新聞で初めて知ったようなわけでございますが、現在、私のほうの取り扱っておりまする所管は、御承知のとおり、行管設置法の第二条の四の二の法人を対象にいたしておるわけでございまして、それ以外の法人で、特別の法律によりまして設立された法人がございます。その中で、特に役員の任命につきまして政府が関与しておるものが大体四十四、五あるわけでございまして、それを私どもは、一応大体現在百八やっております途上において、そういったのもございますので、調査をいたしたわけでございまして、もちろん仰せのとおり、これは私のほうの所管事項では、直接はないわけでございます。しかし、まあそういったものがあったことは、そういった法人が現存しておることは事実でございまして、私のほうで別に新聞発表したわけでもなく、新聞社のほうで調査をして、そこに発表されたんじゃないかと思うわけでございます。おっしゃるように、この中では、やはりりっぱに働いておる、何ら問題のないようなものもあるわけでございますが、ただ役員の人事に関しまして政府が関与しておるものが、特殊法人とどんなふうに違うかという点に関しましては、多少、私どもといたしましては研究しなければいけないということで、これから研究の段階に入るというところでございます。
  37. 小山省二

    ○小山(省)委員 臨調の答申がなされたのは、たしか三十九年の九月でございます。いまお話しのように、特殊法人と同様な人事のあり方をしておるということは、私自身もあまり好ましい姿でないと思っております。してみれば、もう三十九年に答申が出されたその臨調の考え方に対して、所管の行政管理庁の、ある意味において、それに対する一つ方針というものは当然もう出ておらなければならないはずだと私は思います。またそういう意味において、委員会等において、長官考え方を御答弁されておるのではなかろうかと思うのです。もし行管として方針なり態度がきまっておらぬとすれば、できるだけ早くこういう団体をどういう方向に改組すべきかというような、そういう考え方というものは、少なくとも私、国の一つの最高の指導方針として、できるだけ早く確立すべきではなかろうか、かようにまあ考えておるわけでありますが、それらに対する考え方というものは、今日でも行管としてはまだはっきり態度がきまっておらないのかどうか、たいへん恐縮ですが、再度ひとつ御答弁を願いたい。
  38. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたように、行管の所掌しておりまする法人は、行管設置法の第二条の四の二というところにございまして、「特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきものとされる法人」というふうになっております。このいま御指摘の、お話のありました法人は、その設立に関しましては、民間の方々が発起人になってやっておられるというような関係もございまして、この私どもの言う特殊法人の中には入らないわけでございます。したがって、私どものほうでもって調査はいたしまするけれども、これに対してどうという権限はないわけでございますが、一応こういうものを私のほうの所管の中に入れて検討するということになれば、行管設置法なりその他を変えてやらなければならないという形になるんじゃないかと思います。実は、私のほうといたしましては、特殊法人とはどういうものだという定義が、ただこの第二条の四の二だけしかないものでございまするから、非常にあいまいな点もなきにしもあらずというような状態でございまして、これはもうちょっとはっきりしたものにしたほうがいいのじゃないかというので、いま検討することをやっております。これはなかなかむずかしい問題でありまして、早急には結論は出ませんけれども、検討課題として、いま私どものほうで研究いたしておるわけでございます。それができますれば、はっきりと、こういったものに対する処理方法が出るのじゃないかというふうに考えております。
  39. 小山省二

    ○小山(省)委員 ちょっと、私のお尋ねしておる趣旨と、多少食い違っておるわけですが、私は行管の中に細入すべきかどうか、監督下に置くべきかどうかということは別として、とにかく臨調がそれぞれそれらの団体に対して勧告をしておるわけです。当然、臨調の答申というものは、あなたのほうでは尊重されなければならないはずであります。したがって、そういう団体に対する、行管としての基本的な考え方ですね。それは、この団体は改組して、公団なり公社のような団体にしたほうがいいか、あるいは全然いまお話に出た自転車振興会のように、むしろそういう役所の人事面から解放して、純然たる民間の団体として自立経営を行なうほうが適当か、そういう臨調の答申に対して、あなたのほうがどういう——臨調の答申どおりを踏襲しようとされるのか、あるいはそれとは多少違った考え方を打ち出されるのか、その役所の考え方、臨調の答申に対する行管の考え方そのものを、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  40. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 私は御賛同の内容を間違えて御答弁したかと思いますが、私はこの特殊法人じゃないほうの法人の問題かと思いましたが、臨調の答申は、特殊法人に関する答申でございますから、それに対する行政管理庁としての方針なり考え方を述べろ、というような御質問でございましょうか。
  41. 小山省二

    ○小山(省)委員 いま丹羽君からお尋ねがあった、たとえば自転車振興会にしても小型自動車振興会についても、それぞれ臨調から勧告がなされておるわけですね。これらは隠れみのというか、公団公社でないから、直接あなたのほうの監督下には入っていないわけですね。しかし臨調が勧告をしたという考え方から言えば、あなたのほうでは、その臨調の勧告に対して、何らかの考え方というものは定まっておるのか、あなたのほうの所管外だから、たとえ臨調がどういう勧告をしても、一切そういうものは所管に関係ないからということで検討していないと言えば、それは権限外ですからなにですが……。
  42. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 ただいまの日本自転車振興会と、それから日本小型自動車振興会、これは特殊法人でございます。したがって、臨調の答申では、これに対する改組を意見として述べておるのでして、これは行管の所管の中に入る法人でございます。したがって、これに対しましても、私どもとしてはただいま、百八の中に入っておりますから、調査をいたしております。
  43. 小山省二

    ○小山(省)委員 それでは、通産省にお尋ねを申し上げたいのですが、この勧告に対して、通産省はどういう受け取り方をしておるか。つまり勧告を尊重して改組しようという考え方で進んでおるのか、あるいは他の考え方をお持ちになっておるのか、その点、通産省としての考え方をひとつ承りたいと思います。
  44. 赤沢璋一

    ○赤沢説明員 臨調の答申では、この自転車振興会等につきまして、一言で申しますと、民法法人に改組してはどうか、こういうような意見が出ておる点が一つあります。それで、先ほどの御質問にも若干触れておられて、お答えを申し上げたと思いまするが、これは自転車競技法で改新されたのですが、きめられましたのは三十二年でございます。それ以前はまさしく民法法人、社団法人であったと思いますが、競輪の関係につきましていろいろな問題が起こってまいりました。昭和三十年以前に、騒擾事件、紛争事件、いろいろな問題が起こってまいりました。こういうことではいかぬということで、国会の附帯決議等もあり、また車両競技審議会、競輪審議会、この審議会で調査もし、答申も得まして、それに基づきまして、競輪の運営というものをもっと公正、厳正に行なうべきではないか、また競輪の売り上げがだんだんふえてまいるにつれまして、ただいまも御説明いたしましたような、各種の交付金の金額が大きくなってまいります。そういうことでございますので、これらの面につきましても、さらに厳重な監督権を国が持つほうがいいのではないか、こういったような観点から、三十二年の法律改正におきまして、従来民法法人でございました自転車振興会連合会というものがあったわけでございますが、これを改組いたしまして、法定設立による日本自転車振興会にしたわけでございます。こういう経緯を経まして、現在までこれが十年たってきております。その間、内容も充実し、運営の基礎も固まるということでございまするが、これを、いまの段階で民法法人にして、単なる公益法人としての監督権にとどめるべきであるのか、あるいは民法法人にするけれども、監督規定は別に置くのか、こういった点についてはいろいろと問題があろうかと思います。私どもとしましては、三十二年当時に、これが法定設立による特殊法人になった当時の経緯、その後の進展状態、こういったものを十分考えまして、私どもとしては、いまの形態でさして支障はないと申しまするか、むしろ厳重な監督下に置いたほうがいいのじゃないか、こういう感じも持っておりまするが、この点等につきましては、なお所管の官庁でございまする行政管理庁当局の御意見等をも十分伺いまして今後検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  45. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 関連。次長さん、さっきぼくが聞いたときに、大体これでいく方針であります、そして変えないつもりでおりますと、あなた言っておるのじゃないですか。いまの答弁だと、各省ともよく相談をいたしまして解決するつもりでありますという答弁で、ちょっとそれは違うと思うのですがどうですか。
  46. 赤沢璋一

    ○赤沢説明員 私の申し上げておりますのは、いまのような経緯でございまするので、通産省としては、現状の形で支障がないと考えておるわけでございます。現状のままでいいのじゃないかと思っております。ただ、せっかくこういう御指摘がございましたので、なお検討はいたしてみまするが、ということを申し上げた次第でございまして、答弁としては、同じ答弁を申し上げたつもりでございます。
  47. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 そうすると、通産省としては変えたくないけれども、各省との話し合いは一ぺんしてみる、こういうことですね。
  48. 赤沢璋一

    ○赤沢説明員 御趣旨のとおりでございます。
  49. 小山省二

    ○小山(省)委員 そこで、臨調の勧告は、以前の民法上の法人に改組したらどうだ、こういう勧告をしておるわけです。しかし、これの監督官庁である通産省のほうとすれば、現状でさして支障はない、こういう考え方の上に立って、役所と一応相談してみよう、こういう考え方です。私は、人事面からいろいろ問題のあることは、確かに事実であろうと思うのであります。しかし、金額も非常に大きな金額を扱っておる、同時に、監督もこれは非常にたいへんだろうというふうに考えております。したがって、民法上の法人にするという考え方自体に、私は反対はないけれども、実際にそういう民法上の法人に改組し、はたして別な意味において、人事行政というものが役所の指導監督から全く離れて、そうしてそういう団体を別な機関で監督をするということは、理想的ではあるが、事実上においてはなかなかむずかしい問題だろうというふうに私考えております。しかしそのことは別として、とにかく三十九年にすでに臨調から勧告が出ておることですから、できるだけ早く、そういう団体を、現状のようないろいろな論議を呼ぶような姿のまま長く放置するということは、さらに問題を混乱させるおそれがあると私は思うのです。できるだけ早くすっきりと問題を解決して、関係者が安心してその業務に専念できるように、そういうことを早急にひとつ、大臣が中心になって、問題を解決するために御努力を願いたい。大体この問題に対して、いつごろ大臣は解決しようというような御意思があるのか、あらかじめ目安ですが、たとえば本年中に解決したい、あるいは来年一ぱいくらいには少なくとも問題に取り組んで一つの目安をつけたい、そういうふうな一つの見通しについて、この際大臣の考え方を承っておきたいと思います。
  50. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 臨調では、御指摘のとおり、これを民法法人に改組するのが望ましいという答申を出しております。その中で、民法法人にしても、この種の公営競技については国の統制の必要性は認めておりますので、たとえば民法上の法人とした場合、どのような統制をすれば、少なくとも規正程度の秩序が確保できるかというような点が非常に問題になると思うわけでございまして、やはり百八の中にこれが入っておりますので、私どもはただいまほかのものと同じように、八月末を目途にして、結論を出すべく、調査をいたしておるわけでございます。来年度の予算の編成が開始せられる前、八月末か、大体その辺になるわけでございます。それまでに行管としての調査をやって、それから今度各省と折衝するなり行政監理委員会あるいは行政改革本部にはかって、そうして最後の決定をしたい。年内には、もちろん最後の決定はできるというふうに私ども考えております。
  51. 小山省二

    ○小山(省)委員 たいへん御熱意のある御決心でありますので、私もその成果を大きく御期待申し上げるわけです。ぜひ大臣がお考えになられるような方向で、強力にお進めを願いたいと思います。  最後に、原子燃料公社に——もういませんか。それじゃ、また適当な時期にやります。これで質問を終わります。
  52. 鍛冶良作

  53. 中村重光

    中村(重)委員 長官お尋ねしますけれども、予算執行のあり方というのが臨調の職務範囲に入るのかどうかわからないのですが、これはやはりいま問題になっておりますところの公社公団の問題であるとか、あるいは審議会の問題その他、臨調答申趣旨を生かしていかなければならぬと思います。そういうことと関連をいたしまして、予算執行のあり方ということについても重大な関心を持っていらっしゃると私は思う。所管の事項であるかどうかは別として、国務大臣としての松平長官は、特に各大臣よりもその点はやはり関心事として対処しておられると私は思うわけです。予算執行の状態を見てみますと、私どもはいまは四十年度の決算を審査いたしておるのでありますが、翌年度の繰り越しあるいは不用額というものが非常に多いわけですね。特に福祉行政をやりますところの厚生省なんかを見ましても、翌年度の繰り越しが十二億三千八百三十四万七千円、不用額が十一億八千三百二十七万三千円、これは数字の違いがあるかもしれませんけれども、ちょっと私の見ましたところでは、そういう数字が出ておるわけです。御承知のとおりに、昭和四十年度といたしますと、非常に不況の状態であったわけです。これは不況克服のために予算の繰り上げ実施をして、いろいろと事業を強力に推進をして、なかんずく公債発行を強行した年であったと私は記憶するのです。それらのことから考えてみますと、繰り越しであるとかあるいは不用額というものが全然ないということは言えないわけでありますけれども、どうもあまりにも多過ぎるのではないか。その反面、予備費の支出、使用が非常に多いということがあります。この予備費の支出のことにつきましては、真にやむを得ないもの、非常に緊急な措置を講じなければならぬというような場合におきましてはやむを得ないといたしましても、予算補正をしなければならない、また予算補正をやった後に執行し得るということが常識的に考えられる場合におきましても、予備費の使用というものを平然としてやっておる。そのことは、私は、行政権というものが立法権を侵害し、むしろこれを軽視しているということも言えるのではないか。いわゆる行政権の乱用ということも言えると思うのであります。いろいろと具体的な事例をもって申し上げたいのでありますけれども、お考え方をただしますことが当然なことでございますので、以上申し上げましたような点について、ひとつ長官の見解を承っておきたいと思います。
  54. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 ただいま御指摘の問題は、私のほうの直接の関係ではなく、大蔵省なり会計検査院の問題と言いますが、国務大臣としてどう思うかというようなお尋ねでございます。  実は、私のほうで直接当たっておりませんからよく存じませんが、年度の途中において、当初に予定したものが変更になったというような場合が起きることは、あり得ることだと思います。そんな関係で、不用額とか繰り越しの金額が出てくるということは、各省とも同じだと思うのでございますが、厚生省が非常に多いという御指摘でございます。これは何かそれなりの理由があったかと思います。予備費の使用に関しましても、これは予備費本来の姿というものがあるわけでございまして、これもやはり当初予定しなかったものが出てきたために使うというようなことで、なっておると思いますが、いずれにいたしましても、行管といたしましては、こういった問題に関しまして当然関心を寄せる問題でございますので、必要によっては、行政監察の面から調べてまいることもあり得るというふうに考えておるわけでございます。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 真にやむを得ないと、繰り越しの場合においても不用額の場合においても書いてありますね。しかし私どもが四十年度の決算の中で見ますと、当初予算は三兆六千五百八十億円であった。これが追加補正とか修正減額をいたしまして、三兆七千四百四十七億円になっておる。一方、今度は専売等の特別会計を見ますと、歳入額は七兆二千三百五十億、三公社とかその他公庫あるいは政府関係機関の総予算は、三兆二千七百六十四億円になっておる。ところが執行の状態を見ますと、先ほど触れましたように、翌年度に繰り越した額は、一般会計で四百二十六億円、特別会計で千二百八十八億円、政府関係機関で七百五十五億円になっておる。今度は不用額はどうかと見ると、一般会計で二百十二億円、特別会計で三千九百四十三億、政府関係機関で二百五十四億円という数字を示しているんですね。予備費の使用ということになってまいりますと、一般会計で四百四十九億円、特別会計で千百五十二億円、政府関係機関で百三十七億円ということになっておる。私は、厚生省の問題に対しましては、これが福祉行政であるという点で特に関心を持ったから実は申し上げたのでありますけれども、繰り越し金及び不用額全体の数字から見まして、特に厚生省が多いということではございません。やはりこうした不用額とかあるいは予算繰り越しがあるということは、長官お答えのとおり、真にやむを得ないものもあったと私は思う。ですけれども、予算獲得の際は、大蔵省に対して、血眼になって徹宵折衝等やって、やっきとなって予算を獲得される。しかし、一たん予算を獲得いたしましてこれを執行する段階に入りますと、予算獲得のときのような情熱が示されているとは私は思われない。ほんとうに責任を持って予算を執行していかなければならない、行政の任務を果たしていかなければならぬということになってまいりますと、容易に克服し得る点があるであろうと私は考える。臨調といたしましては、いろいろと機構上の問題だけではなくて、これらのことに対しては各省よりももっとこの点に目を向けて、これが改善、是正をされるように、閣議等においても、長官は発言をされる責任があるのではないかと考えるのであります。機構だけである、そのように狭い考え方の上に立って対処されることは、適当でないと私は思う。だから、ただいまお答えになりましたようなことでなくて、どうあるべきかということ等も含めて、ひとつ長官考え方をいま一度聞かしていただきたいと思います。
  56. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 申すまでもなく、行政管理庁といたしましては、行政のあり方が簡素化して効率のあるようにということを目標にして、やっておるわけでございまして、したがって、それには機構の問題あるいは人員の問題、あるいは予算の使用の問題等に関しまして、あらゆる角度から検討してまいるのが私どもの仕事でございます。したがって、こういった予算執行の問題に関しましても、当然私どもといたしましては関心を持っておるわけでございまして、今後は、御指摘のとおり、私どもといたしましては、こういった問題に関しまして、監察その他を行ないまして、むだの排除ということに関しまして、極力努力してまいりたいと思います。
  57. 中村重光

    中村(重)委員 具体的にいろいろと大臣の見解をただしてみたいということもありますけれども、ほかの問題もいろいろお尋ねしたいことがありますから、この程度で……。  内閣補佐官制度について伺ってみたいと思うのでありますが、すでに、この制度につきましては、閣議決定がなされたように伝えられておる。臨調は、この内閣補佐官制度に対しましては、大臣クラスの予算編成権を持った補佐官というものが必要ではないかということであった。それが臨調答申趣旨だったんではないかと思います。ところが閣議決定として伝えられておりますところのこの補佐官制度は、そうではない。法制局長官あるいは次官クラスで、そういう予算編成権という重要な権限を持つものではないと伝えられておりますが、その点どういうことになっておるのか。それから、大臣も、これは国務大臣ですから、この補佐官制度に対しては、臨調答申趣旨を生かしていくという強力な発言をしなければならぬ立場にあるわけでありますから、閣議の中におきましては、どういう態度をおとりになったか、そこらあたりをひとつお聞かせを願いたいと思う。
  58. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 内閣機能の強化の問題に関しまして、臨調の答申は、ただいま御指摘のとおり、予算の編成権まで与えるようにという意見相当出ております。しかしいろいろ検討いたしました結果、臨調の答申しております内閣府というものをつくる場合には、あるいはそういったものも考え得るかと思いますが、現在の内閣の制度では、そういったところまで進むにはなかなか困難な問題がございまして、今度一部改正されて御審議を願っておりまする内容は、御指摘のとおり、臨調の答申とは多少異なっておるところがあるわけでございまして、まず第一に、臨調の答申では、内閣補佐官というものは、内閣及び内閣総理大臣のブレーンとして考えられておりましたが、今度提出しておりまする法案では、内閣総理大臣のブレーンというふうになっております。第二には、答申の内閣補佐官は、行政各部の施薬の調整を行なう等、積極的能動的に外部に対して行政上の作用を行なう任務を持つのに対しまして、法案では、内閣補佐官は行政各部はもとより、国会、国民一般等に対しても、行政上の作用を及ぼす権限は与えられておらないということでありまして、もっぱら内閣総理大臣に対する進言または意見具中というような内面的補佐をするにとどめられておるわけでございます。こういった相違がございますが、先ほど申しましたように、内閣府ができるというふうな構想でありますれば、多少はもっと権限を与えたものになり得るかとも思うのでございますが、現行の内閣制度との関連によりまして、臨調の答申を尊重して、現実に即したような実行可能な制度をつくるということになれば、臨調の答申そのままとは言えないかもしれませんが、まあ一歩前進という意味におきまして、この辺が適当であるというふうに考えておるわけでございます。
  59. 中村重光

    中村(重)委員 この問題に関しましては、担当の委員会で審議をしておるところでございますから、私は中身に入って、当委員会においていろいろとお尋ねしようとは思いません。ただ、あなたが臨調答申を強力に推進をしていかなければならぬという立場に立っていらっしゃる。私は、臨調答申と今度提案されておりますところの補佐官制度というものは、必ずしもいまあなたがお答えになったようには理解をしていない。少なくとも臨調からそういう答申があったのだからということで、形式的に補佐官制度を提案をした、むしろ一面から言うと、これを巧みに利用しておるというようなことも考えられる点もあるのであります。しかしそのことは、ただいま申し上げたように触れませんが、あなたが閣議においてどういう態度をおとりになったかということが私の関心事であったわけでありますので、その点についてお尋ねいたしたわけであります。これ以上この問題に対しましては、触れることを省略いたしたいと思います。  いま一つお尋ねをしてみたいと思いますのは、この閣僚協の設置の問題でございます。この閣僚協の設置に対しましては、政府部内におきましても、難色を示すきらいが非常に強い。したがって、設置が危ぶまれておるということが伝えられておるのであります。これがどうなったかということ。それから、難色を示しているというのはどういう理由によるものであるか。まずその点をお答え願いまして、逐次お尋ね申し上げたいと思います。
  60. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 行政改革に対する閣僚協議会設置の問題に関しましては、行政監理委員会においても、ぜひこれをつくるようにというような御要望があったわけでございまして、それから昭和三十八年の八月二十日の閣議によりまして行政改革本部ができましたときに、将来閣僚懇談会の設置を考慮するものとするというふうに、閣議で決議されております。そういった関係がございますので、私どもといたしましては、今日まではそういった閣僚協議会の必要も認められなかったので、設置をいたしておりませんでしたが、今後は、問題によっては、閣僚ベースによって審議検討を必要とする事項も当然予想されますので、この問題に関しまして、ただいま官房長官と御相談をいたしておりまして、官房長官の大体の御了承を得ましたので、前向きでこれを進めてまいりたい、というふうに考えております。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 あなたは新聞で談話を発表していらっしゃいます。談話の内容は、見通しとしては、いまのところ五分五分だということ。いまのお答えですと、官房長官の了承を得たからということでございますから、いわゆる五分五分ということじゃなくて、了承を得た、したがって、この政府部内にあった難色を示しておるという態度は、解消してしまった。この閣僚の協議機関をつくって、行政改革を強力に推進する、そういうことになったと理解をしてよろしいわけですか。
  62. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 実は官房長官と協議をいたしまして、その後いわゆる五者会談というのがございまして、そこで、この問題を個別に、委員の方と申しますか、その五者の方に相談いたしましたら、やはりいずれも、これを置くべきだという御意見でございまして、私どもといたしましては、総理の御意向を伺いまして、これを設置する方向に持っていくということで、近々総理にお目にかかる予定でございまして、それによって最終的な決定ができるという段階でございます。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 お見通しはどうですか。
  64. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 私は、必ずできるという考え方でもって、総理にお話しする考えでございます。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 総理との話し合いをするのでございますから、いま程度以上のお答えはできないだろう。しかし、あなたのお答えの中から、必ずこれを実現させなければならないのだという強い決意を持っておることがうかがわれるわけであります。その点、期待いたしますが、ともかく総理も、私の本会議質問に対しまして、圧力団体あるいは政府部内のいろいろな反対に対しては絶対に自分は支配されない、ともかく結果を見てください、こう私に、強い語調というのか、確信を持った答弁がありましたことは、あなたもお聞きのとおりであります。いままで、臨調答申にもかかわらず、非常におくれているわけでありますから、どうかひとついまからでも、ともかく強力にあなたが推進されることにおいて、臨調答申趣旨を生かして、国民の期待にこたえ得るということになろうと思いますから、大いにがんばっていただきたいということを強く要望いたしておきたいと思います。  それから、先ほど新聞に報道されておりましたところの、いわゆる隠れ法人が三十団体もあるということに対しまして、各委員から質問がございまして、お答えになっていらっしゃるのを私聞いておりまして、いわゆる百八の特殊法人ではないので、臨調としては直接これにタッチすることはできないのだというお答えがあった。しかしいま商工委員会等において審議されておりますところの貿易大学校の問題あるいは繊維関係法人の問題等考えてみますと、何だか判り切れないものを私は感じます。ということは、貿易大学校の設置の問題にいたしましても、当初これはいわゆる百八と同じような形の特殊法人でもって設置したい、そういうことで、臨調に同意を求めてきたはずであります。にもかかわらず、臨調はどういうことであったのか。これは適当ではないとして、同意を与えられなかったと伝えられているのであります。私は決してそれを悪いと申し上げているのではありません。どういう経緯であったのか、まずその点を伺ってみたいと思います。
  66. 大国彰

    ○大国政府委員 お答えいたします。  繊維関係の繊維工業構造改善事業協会並びに貿易大学校につきましては、両方とも、特殊法人として、予算の場合に要求があったわけでございますが、私どものほうといたしましては、この繊維の場合につきましては、すでに、転廃業の円滑化のための設備買い上げ機関といたしまして、財団法人の繊維工業整備促進協会というものがございましたので、別個の特殊法人として新たな組織に変えなくても、それを強化し、適当な助成を加えることによって目的は達するということで、特殊法人としては認めなかったわけでございます。さらに、貿易大学校につきましても、その業務内容は、企業につとめております人の養成、研修でございまして、本来各企業において行なわるべき事務であるという関係にございましたので、これも財政的な援助をすれば足りるのではないかということで、特殊法人とすることを認めなかったわけでございます。
  67. 中村重光

    中村(重)委員 率直なお答えで、私は敬意を表する。いま私の所属する委員会の審議になっておりますので、目下この点に対しましては審議をいたしているのでありますが、お答えのとおりに、実は私も感じている。したがって割り切れないものを感じると申し上げたのです。少なくとも臨調がいまお答えになったような趣旨から、特殊法人として設置するということが適当でないということで、特殊法人として設置ということよりも、そういりいわゆる法人格の問題ではない。いまあなたのお答えの点からいっても、貿易大学校の問題については、業界がやることがいいのではないか、あるいは財政的にも援助をすることによって足りるのではないか。そういう行管の同意を得るところの特殊法人ということでは、これは成功しなかった。したがって、臨調とは関係のない性格の法人でもって、まあ大学校をつくっていこうという形になって、いわゆる認可法人ということで、いま閣議決定になり、提案されて、目下商工委員会でこれを審議している。私は、少なくとも松平長官は閣議に御出席になるわけでありますから、そういう中で、これの採否を決定される立場にあるのでありますから、やはり行管庁長官として、これは適当でないということで同意を与えられなかったのであるなら、その同意を与えられなかった趣旨に基づいてのこの大学校設置を、閣議決定をし、提案をするということには、私は、当然反対をする、これに抵抗するということが、少なくとも長官としての責任を全うすることになるのではなかろうか、そのように思うのであります。その点、大臣はどのようにお考えになるのでございますか。
  68. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 ただいま行政管理局長から御答弁申し上げましたように、私のほうの立場といたしましては、その機能はあるいは必要であるというふうには考えておりましたが、特殊法人としてそれが設立されてしかるべきものかどうかということを検討いたしたわけでございまして、その結果、特殊法人としてはふさわしくないということで、私のほうとしては、これを許可しなかったのでございまして、その機能が必要であるということは認めておったわけでございます。
  69. 中村重光

    中村(重)委員 私の聞き違いがあったかもわかりませんが、局長答弁はそういうことではなかったのではございませんか。局長としては、これはやはりその業界が、業界の手によって設立をすることによって足りるのではないか、あるいは国がこれに何らかの財政援助をするというようなこと等で足りるのではないか、そういう点から、特殊法人のいわゆる貿易大学校を設置する必要はないという結論に到達をして、これに同意を与えなかった。私はそういう答弁であったというふうに伺ったのでございますが、そうではございませんでしたか。
  70. 大国彰

    ○大国政府委員 先ほどの御答弁、少しことばが足りなかったと存じますが、私どもの考えとしまして、特殊法人ということばは法律上ないのでございまして、これは行政管理庁が審査にタッチする法人、二条の四の二できめられております。この法人、これを一般に特殊法人と現在言っておるわけでございますから、これは行政管理庁のたてまえが、行政機関の整備ということを目的といたしております関係上、行政機関の延長、あるいはまたこれにきわめて類似した性格のものに限るべきだと思うわけでございます。したがいまして、今回出てまいりました、先ほどの繊維と貿易大学校につきましては、これはその業務内容から申し上げまして、国の行政機関にきわめて類似したものではないというような判断で、私どものほうは、特殊法人として認めなかったわけでございまして、現にこれが法案化されまして、いま出ておりますのも、民間の発起人の発意によりまして、できるということにはなっておるわけでございます。この二つとも、その事業そのものにつきましては、私どももちろん必要性を認めるわけでございます。そういう関係で、いわゆる行管の特殊法人としては認めないが、認可法人と申しますか、そういった一般の民法の普通の法人より以上に国家的な色彩を持つ事業を行なうものでございまして、それに対しまして、一般の民法法人よりも非常に強い国の監督を受けることは、これはもう当然であろうか、かように思っておるわけでございます。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 いまのお答えと先ほどお答えになったことと、必ずしも同じではない。中身に入っていろいろとお尋ねもし、指摘もしたいと思いますが、この点は、当該委員会でいま審議をいたしておるところでございますから、これ以上は、中身に入っては触れません。ですが、先ほど長官が、必要があるからこれを認めたんだ、こういうことで、きわめて積極的なお答えがあったのでありまして、そこまでいきますと、私は別に開き直るわけではございませんが、それではいま百八の特殊法人、その中で臨調が十八について特にこれを爼上に上げて、廃止または整理統合を政府答申をした。行管はこれを受けて、これの実現のために強力に推進をしていらっしゃる。その中で、今回新たに七つの公団あるいは専業団等をつくることを了承された。それでは公団公庫事業団等の整理をしていかなければならないという重大な段階の中において、この新たな七つをお認めになるという積極的な理由が、その一つ一つにあるのであろうか、どのような積極的な理由を行管は見出されたのか、私は七つのすべてに対してお尋ねをしたいのでありますけれども、時間の関係がございますから、環衛公庫と中小企業振興事業団、この二つについてお答えを伺ってみたいと思います。これは長官から伺います。
  72. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 環衛公庫につきましては、御承知のとおり、環境衛生事業は、一般産業と比べまして、経営規模が零細である。その形態もいわば専業的、前近代的段階のものが多いのでございます。労働力によるサービス提供的業務が大部分でございます。それから次には、小資本での開業が可能である。それから国民大衆の日常生活にも不可欠の営業であるというような理由のもとに、一定の衛生水準を維持するように義務づけられておる特殊な業種でございます。このために、高度経済構造の変動の中では、料金の上昇を余儀なくされまして、一般家計に大きな影響を与え、また他産業との格差が増大するというような困難な状況に置かれておるわけでございます。これらの障害を除きまして、経営の安定をはかるためには、その具体的な裏づけのために特別な金融措置が必要であるわけでございまして、昨年、御承知のとおり、国民金融公庫に、別ワクとして、二億を出しまして、そういった環境衛生関係のほうに対する特別な融資を行なったわけでございますが、今回の環境衛生金融公庫は——昨年度やりました国民金融公庫の形では、どうしても国民金融公庫に依存する他の産業、他の利用者との均衡上いろいろの問題等もありましたし、また環境衛生の事業そのものといたしましても、国民金融公庫の規定いたしております範疇以上のものもございましたような関係から、運営上非常に支障があった、また金融面と同じに、環境衛生に関するところの運営と申しますか、そういった面も指導していく必要も生じておるというような点から、環境衛生金融公庫をつくるのがよろしいというふうに判断いたしまして、決定いたしたわけでございます。
  73. 中村重光

    中村(重)委員 あなたは、臨調がこれを整理すべしという答申がなされておる医療金融公庫を、整理しなければならぬという考え方の上にお立ちになっていらっしゃいますか。
  74. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 医療金融公庫に関しましても、ただいま調査をいたしておりまして、まだ結論を得ておらないわけでございますが、御指摘のとおり、臨調の答申といたしましては、そういった公庫を統合するようにという答申がなされておりますので、それを尊重して、私どもとしてはやってまいりたいというふうに考えております。
  75. 中村重光

    中村(重)委員 長官に伺いますが、金融のあり方はどうあるべきだと思いますか。幾つもの業種がある、その業種ごとに政策的な金融機関をつくるということが、臨調の行政改革の答申趣旨からいたしましても妥当だと、あなたはお考えになりますか。医療金融公庫に対しては、臨調は、整理統合しろという強い答申をしていらっしゃる、いわゆる十八の中に入っている。にもかかわらず、今回は環衛金融公庫を設置するということで、あなたは、これに同意をして、目下提案されておる。魚屋さんたちも、それならば自分たちにも金融公庫をつくってもらいたいという運動がいま起こされておると伝えられております。その他いろいろな業種の人たちが、われもおれもと、そういう金融機関の設置をしてもらいたいという動きをする傾向が見受けられます。あなたは、そういう動きに対してどのようにお考えになりますか。
  76. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 いわゆる中小企業に対する金融のあり方を、おもに指摘されたと思うのでありますが、私ども、原則といたしましては、そういった金融の面に関しましては、統一された金融機関で、そういった各業種のものをまかなっていくのが好ましい姿と思うわけでございます。したがいまして、現存する中小企業金融公庫なり商工中金なり、あるいは国民金融公庫によって、そういったものを適当にやっていくのがいいと私は考えるわけでございます。しかし業態によりましては、行政指導との一体的運用を考慮いたしまして、独立の金融機関をつくるのもやむを得ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  77. 中村重光

    中村(重)委員 長官 あめとむちということばがあります。行政指導と一体となってということは、いわゆるあめとむち行政をやろうということです。いいですか。そういう行政のあり方というものが好ましいか好ましくないかということは、何というのか、いろはのいである。議論の余地はないと私は思う。少なくとも、しかしということばの前段であなたがお答えになりましたように、金融体系というものは、少なくともいま設置されておる中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫あるいは商工中金というそういう形において、すっきりした金融体系によって、足らざればその幅を広げ、深くしてきめこまかい金融政策をおとりになるということが当然のことでなければならないし、臨調答申を強力に推進していかれる行管の少なくとも責任でなければならぬと思う。にもかかわらず、大蔵省は国債発行時代において、いまさら政策金融でもないと、五十一国会の際には、提案に対して反対し、中小企業庁は、屋上屋であるとしてこれに反対した。臨調は、先ほどから何回も申し上げましたように、医療金融公庫の整理統合を強く要望している。ところが今回は、ひょうたんからこまがたように、肝心かなめの厚生省の環境衛生局は、臨調が反対なんだから、行管がこれに反対しているからと言って、これの提案を見送り、大蔵省に対して予算の要求をしなかった。にもかかわらず、予算編成の、党と政府の折衝段階の最終ぎりぎりのところで、この環衛公庫の設置ということになったという下火を、あなたはお忘れでないと思う。しかも、その事態において、あるいは衛生上からいっても云々というお答えがありましたが、ほんとうにいまあなたがお答えになったように、従来の二百億の特別ワクをもって融資しておったそのやり方が、今度の公庫ができたために、いわゆる大きく前向きの形において環衛公庫の業務が行なわれようとしているのか、金融がなされようとしておるのかというと、そうではない。国民金融公庫は、従来の三百万円ということではなく、五百万円、六百万円というふうに融資ワクを拡大してもらいたいということは、全国の中小企業者の声です。環衛業者に対する制度金融が六百万円ということになったのだから、これは一つの突破口です。これを全体の中小企業者に及ぼしてもらわなければならぬということになっておったにもかかわらず、今回環衛金融公庫ができたために、また三百万円にあと返りするのです。そういう大きな後退があるということを、あなたはお忘れになってはならぬと思う。私は、そうしたいろいろ具体的な問題にわたってお尋ねしたいのでありますけれども、時間がございませんから、その点は、これ以上あなたから答弁を伺おうとは思いません。問題は、社会労働委員会にこれがかかってまいりますから、その中で審議をいたすことにいたします。  だが、しかし、少なくとも長官、もう少し行管が見識と責任とを持って臨調答申を推進して、そうして財政の効率化と国民の利益を守っていくという責任ある立場にお立ちになる必要がある。いまのような、そういう腰の弱い態度でもって、どうしてこうした重要な問題の解決の役割りを果たすことができるでありましょうか。私は強く反省を促しておきたいと思います。  最後に、総理府の局長お尋ねいたします。  内閣及び各省庁設置法によって、審議会がたくさん設置されております。これは現在の行管に関係があることでございますから、行管にもお尋ねするのでありますが、この審議会というものは、任務が終了したもの、あるいは設置目的が類似なもの等については、整理統合等を行なうものとする、こういうことによって、昨年は廃止されたものもあるはずであります。四十二年度はどうしてこれを廃止しようとしておられないのか、いままで廃止したのはどれだけの数であるのか、ということを一応お尋ねをいたしまして、それから総理府の局長がお見えでありますから、人事局長のお答えをいただきたいと思うのであります。私が調べたところによりますと、四十二年三月現在で二百六十一、四月現在で二百六十、七月現在で二百五十九の審議会があるようでございますが、この数字に間違いはないのか、確認する意味で、この数字をはっきりお答え願いたい。そのお答えによりまして、ほんとうにこの機能を果たしておるのかどうかということを、続いてお尋ねしたいと思います。
  78. 増子正宏

    ○増子政府委員 私にお尋ねでございましたけれども、私のほうは、審議会の委員の手当というような面で、給与の関係で審議会の関係がございますけれども、いまお尋ねのございました審議会の組織、設置あるいは運営等につきましては、行政管理庁の所管になっておりますので、関係局長からお答えいただくほうがよろしいのではないかと思います。
  79. 大国彰

    ○大国政府委員 昨年は、お話がございましたような基準に基づきまして、三十四の審議会を整理したわけでございまして、七月一日現在では二百五十九でございます。間違いございません。
  80. 中村重光

    中村(重)委員 昨年は、三十四ですか、整理をなさった。だからどうして四十二年度はこれを廃止しようとしておられないのか、どういう方針であるのかということをお尋ねしたい。
  81. 大国彰

    ○大国政府委員 審議会の整理につきましては、昨年に引き続きまして、現在私どものほうでも鋭意努力をしておるわけでございます。行政改革本部におきましても、大体の方針を定めまして、今度は、先ほどの、任務の終わったものあるいはまた類似したもののほかに、その運営につきましても適切な合理化をはかるという面の基本方針を定めまして、現在各省のほうとそれに基づいて折衝中でございまして、次の通常国会には、さらにその線に沿いました整理並びに運営の合理化につきましての法案を提出いたしたい、かように思っておるわけでございます。
  82. 中村重光

    中村(重)委員 現在残っております二百五十九のうち、いわゆる任務が終了した、あるいは他の審議会と類似なもので、これを整理統合しなければならないというものが相当あるのではないかと思いますが、その点いかがですか。
  83. 大国彰

    ○大国政府委員 二百五十九の現存しております審議会の中にも、私どものほうといたしましては、整理統合いたしたいと考えておるのがございますが、関係各省のほうにおきましては、いろいろまた意見がございまして、ただいまその意見の調整中でございます。
  84. 中村重光

    中村(重)委員 いま四十年度の決算をやっておるのでありますから、三十八年、三十九年、四十年、まずこの三年間に、この審議会で、一年に二回以下の総会しか開かれていないものがどの程度ありますか。全然開かれていないものが幾らあるのか、あるいは一回あるいは二回、そういう程度の総会しか開かれていないのが幾つあるのです。
  85. 大国彰

    ○大国政府委員 ちょっと、そこまで調査ができておりませんので、ここでお答えすることはできませんが、審議会の中には、その設置の目的が行政不服の審査に当たるものも入っておりまして、そういうものは、当該事項がありませんと、一年でも二年でも——一応審査会として存続はしておりますが、会合は開かれないというのもあるわけでございます。
  86. 中村重光

    中村(重)委員 おっしゃるように、私がいまずっとこの資料によって出しておったところが、私の質問の順番になってしまったので、途中でやめたのですが、金利調整審議会というのは三年間一回しか開かれていない。関税不服審査会はゼロ、三年間一回も開かれていない。金融機関資金審議会というのが一年に一回ずつ、三年に三回。中央酒類審議会というのが、これは二十四年六月一日に設立されておりますね。これが三十八年、三十九年ともに開かれないで、四十年度に一回。開拓営農振興審議会というのが三十五年の七月二十五日に設立されて、三十八年に一回、三十九年に開かれないで、四十年に一回。中央生乳取引調停審議会というのが二十九年六月十四日に設立されて、三十八年に一回、三十九年、四十年ともに開かれていない。蚕糸業振興審議会というのが、これは三年間一回も開かれていない。電気工業審議会というのが三十八年、三十九年開かれないで、四十年に一回、こういう数字がずっとあるだろうと思うのです。ところが決算の結果を見ますと、開かれていないのだけれども、これは事務局もあるのだろうと思うのでありますが、相当な費用が支出されておるということですね。これはどうしても整理されないものもある、開かれていないからといってやめるわけにはいかないというものもあるかもしれません。ですから、一がいに言えないと私は思うのだけれども、任務を終了したとして廃止をし、あるいは類似なものとして統合しなければならぬものが、二百五十九の中には相当あるだろうと思う。これは重大問題である。にもかかわらず、今年度においてこの廃止あるいは整理統合ということをおやりにならないということについては、行管としてはたいへんな問題点であろう、こう思います。  そこで、今度は人事局長にお尋をいたしますが、この回数の点は、お尋ねをしたかったのでございますけれども、これはよろしゅうございますが、委員の数、あるいはこの委員が一人でもって——私は聞きますと、十から十五の委員を兼務しておる人があるようでありますから、そういう兼職の状況というものはどういうことになっているか。また開催された委員会に対して、ほとんど出席をしていない委員があるということも伝えられております。国会対策等において——国会の承認人事もこの中には多少あります。承認人事以外のものがまた多いのでありますが、承認人事の場合におきましても、あまりにもたくさん兼務し過ぎているのじゃないか、あるいはほとんどそれは委員会にも出席しておらぬじゃないか、そういうものをまた認めるということ、任命するというのはおかしいじゃないかという批判等もあるのでありますが、そうした委員会の出席の状況、兼職の状況等もひとつ伺ってみたいと思います。
  87. 増子正宏

    ○増子政府委員 各審議会の委員の兼職状況でございますが、この委員の選任は、法律に基づきまして、各省大臣が任命をするわけでございます。その各省の任命関係の連絡調整という意味で、内閣官房が従来から、お話の兼任の制限といいますか、そういうことにつきまして、閣議で一定の方針をきめまして、これを実施してまいっておるわけでございます。この関係につきましては、各省人事課長会議を通じまして、人事課長であります内閣参事官がこの事務を所掌いたしておりますので、内閣参事官から、ただいまお尋ねの点を詳しく申し上げたいと思います。
  88. 秋富公正

    秋富説明員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘のような、兼職数が多いという問題は、国会の議運におきましてもたびたび問題になりまして、議運の委員長からも、三十六年、三十七年と申し入れがあったわけでございまして、内閣におきましても、そのつど注意してまいりましたが、三十八年に閣議の了解に基づきまして、兼職数の多い者あるいは長期にわたり同一ポストについている者は極力排除をするように、こういう閣議了解が三十八年になされたわけでございます。その後、ただいま人事局長から申しましたように、毎月二回各省の人事担当課長会議をいたしておりまして、この席上で、一件ごとに委員の兼職につきましてチェックしてきたわけでございます。その後の状況を申し上げますと、三十八年の十一月におきましては、十以上の兼職者の数が二十九名でございました。そのうち最高に兼職しておられる方は、二十二の委員会を兼職しておられたわけでございます。これが三十九年の五月には、十以上の兼職をしておられる委員が十九名になったわけでございまして、それが四十年の一月には十一名になりまして、昨年の六月には十二名でございましたが、ことしの六月十四日現在におきましては、十以上の兼職数は四名に減じておる状態でございます。なお、最高の兼職数は、十二の兼職数の方が二名でございまして、十一の委員会の兼職の方が一名、十の兼職の方が一名、こういう状況になっております。
  89. 中村重光

    中村(重)委員 委員会の出席状況は……。
  90. 秋富公正

    秋富説明員 出席状況でございますが、国会同意人事につきましては、再任の場合でございますが、すべて出欠状況の表を添付いたしまして、国会に提出しておるわけでございますけれども、各種審議会の委員につきましては、実はそのつどにはチェックはいたしておりませんが、ただいま申しましたように、兼職数ということを極力しぼってまいりました関係上、名目的にポストについているというような方々は、各省におきまして積極的にみな交代されておりますので、現実におきましては、名目的委員をやっておられるというような方はきわめて少ないのじゃないかと考えておるわけでございます。
  91. 中村重光

    中村(重)委員 三十八年は十以上が二十九名あった。漸次これが整理されてきた。それにいたしましても、まだ最高十二の委員会を兼務しておられる人が二名いるというわけですね。こういう人が担当しておる委員会というのは、わりあいに開催日が多いと思うのです。どちらかというと有名人、それだけに委員会としても重要な委員会、こうなっておるわけですね。ところが物理的に、出席というのはなかなかできるものじゃない。やはりその点は問題があると思う。  それと、日当が大体どの程度になっておるか。それから、兼職がありますと、年間収入もそれだけ多いわけでございますから、そういう人は大体どの程度の年間収入になっているのか、一位から十位ぐらいまででけっこうですから……。
  92. 秋富公正

    秋富説明員 ただいまの兼職十二の方は、ちょっと具体的に名前を申し上げますと、日本開発銀行総裁の石原周夫さんと、東大名誉教授の有沢広巳さんでございます。開銀総裁は、実は機関代表的な意味がございまして、これも従前はたいへんな数でございましたが、これを極力副総裁あるいは理事あるいは他の方にかえてまいりまして、開銀がぜひ総裁を出さなければいけないというような審議会にしぼってきた状態でございます。それから有沢広巳先生でございますが、先生は極力少なくしてきたわけでございますが、なお従来に引き続きまして、会長、委員長というようなポストがございまして、その関係で、数は減ってまいりましたが、なおなっておるわけでございます。  なお、委員手当の問題でございますが、各種審議会は非常勤でございまして、日額でございます。これは二つランクがございまして、Aランクと申しますか、上位のほうは、会長が一日当たり五千五百円、委員は五千円でございます。それからBランクと申しますか、もう一つのグループのほうは、会長が四千円で委員が三千五百円、こういうふうになっておるわけでございます。これは今年の四月に改定して上がったわけでございます。
  93. 中村重光

    中村(重)委員 年所得はどのくらいになっておりますか。
  94. 秋富公正

    秋富説明員 いま急なお呼び出しでございましたので、こういった方々がどういう委員会かということはすぐわかりますけれども、その委員会がどういつだ回数をやっているかということは、ちょっといますぐはお答えできないわけでございます。
  95. 中村重光

    中村(重)委員 有沢先生なんかは、有名であると同時に、非常に熱心にそれぞれの委員会に出られて、重要な役割りを果たしていらっしゃる。必ずしも有沢先生が十も十二もの委員を希望していらっしゃるとは私も思わない。その点はひとつ十分話し合いをされて、無理のないように、適当な数を引き受けていただくということでなければならぬと私は思う。同時に、さほど委員会には出ていないで、委員会においてそう大きな役割りも果たしていないという人たちも相当いる。にもかかわらず、これに兼職をさしていくというような例もあるようであります。それから、私が何回も申し上げましたように、委員にはなっているけれども委員会にはほとんど出られないで、欠席ばかりしているという人たちもある。そういう人を依然として委員に選任している。これは問題であると私は思う。そういうことでありましては、せっかくの審議会の機能も発揮できないということになってまいります。  そこで、長官お尋ねをいたしますが、機構の問題と同時に、これらの委員の人選——出席もしないような委員というものを依然として任命をしていく、選任をする、というような考え方であってはならないと私は思いますが、そういう点に対してのお考え方を、ひとつ伺っておきたいと思います。
  96. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 委員会を非常に効率的にやるためには、やはり出席のいい方がいて、いろいろ御意見を発表していただくのが一番いいと思います。そういった意味において、やはり兼職しておられると、どうしても欠席しがちになるということも起こると思いますが、なるべくなら、やはり兼職が少ないほうが好ましいというように、私は先生と同じような意見を持っているわけでございます。
  97. 中村重光

    中村(重)委員 割り当ての時間が参りましたから、これでやめますけれども、長官、もう少し迫力のある、ということなのか、ことばが大きいのは、私は迫力があるとは言わないのですが、審議会の問題に対しても、任務が終わったもの、それから類似なもの、これは今度の行政改革の場合と同じなんです。だから、そういうことについても強力にこれを整理をしていくと同時に、人選の問題等についても、出席をしない人、そういう者は引き続いてお願いをしない。同時に兼職というものも、無理にそういういまのような形を改めていく、そういう積極的なかまえというものがあなたになければならぬと思うのですが、もう少し、どうなんですか、こういうことでひとつ改正をしていくというような、国民が納得いくような答弁はできないのですか。
  98. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 審議会の整理に関しましては、先ほど局長からお話しいたしましたように、次の国会を目途に、ただいま作業を進めておりますから、いずれ御審議願うことになっております。仰せのとおり、強力にこれを進めてまいるつもりでございます。  それから、委員の人選に関しましては、御意見のとおり、兼職をなるべく廃していくのが当然と考えるわけでございます。しかし、ものによりましては、やはりその方の経験なり知識なりが非常に必要な委員会が幾つかあると思いますが、そういった場合は、やむを得なく兼職を願うというようなこともあり得ると思います。
  99. 中村重光

    中村(重)委員 全然兼職をするなとは、私は言いません。ともかく整理の方向にあるわけでございますから、その誠意は認めます。ですけれども、私はもっと抜本的におやりになる必要がある。それから先ほど二百五十九というのは、これは各省庁の審議会の数であると思うのでありますが、内閣にそれ以外に審議会というものが設置されておると思うのですが、その数はどの程度ですか。これで質問は終わります。
  100. 大国彰

    ○大国政府委員 現在、内閣には審議会はございません。
  101. 中村重光

    中村(重)委員 総理府じゃなくて、内閣に審議会はありませんか、あるでしょう。
  102. 大国彰

    ○大国政府委員 憲法調査会がございましたが、これはもうなくなりましたので、現在はないと思います。
  103. 中村重光

    中村(重)委員 じゃいいです。
  104. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 吉田賢一君。
  105. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 第一は、行政管理庁長官に、行政改革の全般的な推進につきまして、二、三の基本的な態度にわたる問題を伺ってみたいのであります。  長官がかなり御熱心にこの問題と取り組んでおられることはよくうかがえます。六月一日の本会議におきましての、私の臨調答申についての質問に対しましても、簡単でしたが、相当熱意のあるようにも見受けたのであります。しかし振り返ってみますると、過去におきまして、三十八年の八月に首都圏についての意見が出されまして、三十九年の臨調の答申が出ましてこのかただけをとって考えてみましても、なかなかに難航しておるという一語に尽きるのではないだろうか。現在の実情について考えてみましても、必ずしも、国政上重大問題、基本問題というような取り組み方がどうも感ぜられないのであります。同時にまた、国民におきましても、この行政改革が国民生活全体にあるいは国政全体に及ぼす影響の重大性というものにつきましてなかなか理解がされておらぬ。こういうことを思いますと、私どもはやはり数年間の過去も一応振り返りまして、重要な点については、さらに行政管理庁長官のお立場をよく聞いて、内閣の方針がどこにあるかということを、あらゆる機会を利用しまして、承ってみなければならぬと思うのであります。こういう前提に立ちまして、私はまず一、二伺いたいと思います。  一つは、三十八年の八月に、池田内閣の際に閣議決定がせられて、いわゆる行政改革本部なるものが構成せられたように思います。あのときはたぶん川島長官だったかと思うのでありますけれども、一体これはどうなったのだろうか。まさか開店休業になっておるまいと思うのですけれども、これはやはり非常に重要な機能を持っておるものと思います。こういう観点からいたしまして、この行政改革本部は三十八年の八月設定されましてこのかた、一体どういうふうに歩んできたのであろうか。簡単でよろしゅうございますから、時間の関係もございますので、要点だけお答え順いたい。
  106. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 御指摘の行政改革本部は、仰せのとおり三十八年八月二十日の閣議で決定されたものでございまして、その後現在までの開催回数は二十六回でございます。最近開きましたのは、四月十八日がごく最近のものでございます。
  107. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この改革本部は、各省庁の事務次官なども参画しておるようでございますけれども、やはりもっと大きな政治的な面が一つの障害になっておるということをどうもわれわれ看取するのであります。この本部がしばしば会合も重ねておられることはわかりますが、一体これは行政改革を推進する事務的機能としまして、相当重視すべきものでないかと思うのでありますが、もちろんこの本部長は行政管理庁長官、あなたでありまするので、いまは管理委員会が中心に活動しておるようにもちょっと見えますけれども、しかしこの行革本部というものはこのような歴史を持ったもので、相当推進の事務的な機能を発揮されてしかるべきだと思うのですが、お考え方を聞いておきます。
  108. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 御承知のとおり、行政改革本部は、行政運営の改善に関する基本的事項について審議し、その実行の推進をはかるものとするというふうになっておるわけでございまして、私どもといたしましては、臨調の答申にいたしましても、非常に広範にわたっておりますし、また現行制度に関係する問題でございますので、実行の面におきましては非常な困難を来たしておるわけでございますが、この行革本部におきましては、そういった面を検討していただきまして、今日まで非常な好成績を上げておるというふうに考えておるわけでございます。大体今日まで行政改革本部が取り上げましたおもな事項を申し上げますと、一つは本部の運営方針、二つは内閣機能の強化に関しまして、それから首都行政の改革、消費者行政の改革、青少年行政の改革、事務運営の改善、審議会制度の合理化と審議会等の整理再編成、許認可事項の整理簡素化等に関しまして、行政改革本部に積極的に作業をしていただいたわけでございます。
  109. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その具体的な内容にわたりましては、逐次伺ってみたいと思うのでありますが、全体から受ける印象といたしましては、行政改革なるものは、内閣の総理のリーダーシップの発揮ということが頂点をなすものでないかと思いますが、そういう辺から、全体の公務員制度に至りますまで、ともかくかなり広範にわたっておるのと、十六項目と申しましても、これは実に多岐にわたりますので、回数を重ねて論議なさったことはわかりますけれども、しかし、それはなかなか至難な実情であって、容易でない、こういうふうな感じはお持ちになっているに違いないと思うのです。少なくともスムーズにいきつつあるということは絶対に言えないことは、去年十月に出されました行政改革の現状によっても明らかでございますので、そういう点について、少し焦慮するとかいら立つぐらいな気持ちでおられるのではないだろうか。それほどに数年間たつのであります。一番古い歴史を持った行革の一つ機関ですから、そういう点におきましても、かなり積極的な体制にいまこそ再検討、切りかえるべきだ、このぐらいであってしかるべきだ、私はこう思うのですが、これはちょっとことばのやり取りみたいになるのでありますけれども、少し顧みまして再検討を要する、さらに積極性を発揮する必要がある等々、かなり多分に積極的御意見が出ていくだろう、こう思うのですが、結論的に申しまして、そういう辺はどうでこざいましょうか。——そうしたら、これは私が次の質問の前提に少し聞きたかったのですが、次の質問に移って一緒に答えてもらいます。  過日、六月一日に、行政監理委員会におきまして、例の定例委員会で、全会一致をもちまして、閣内に閣僚の協議会を設置するという問題が取り上げられておりまして、これは新聞に伝わりまして、おそらく前後の事情から考えましてもっともだと思いますが、ここに一つの積極的な解決の道を切り開こうとする努力がちょっと見えるようにも感ずるのであります。この点、さっきの質疑におきまして、長官は、積極的なかまえを持って進むというふうにお述べになっておりましたが、要するに、事務段階をもって解決し得るものは逐次解決する。解決しつつあるとも言えますが、たとえば許認可にしましても、もう半分あとさきは整理されたかと思うのでありますが、しかし、いやしくも政治性を持った方面になってきますと、ちゃんと進んでおらない。総理大臣のリーダーシップがほんとうに発揮されていくならば、あらゆる面において、流れるがごとく解決するものが多々あると私は見ておるのですが、そういうふうになってまいりますと、なかなかあれしない。末端の事務からぼつぼつ仕上げていくということであり映したならば、私はやはりこの社会情勢の激しいときに、諸般の変化もございますので、客観、主観の諸条件の変化によりましてだんだんむずかしくなり、多くは古い過去の証文であるということになってしまうおそれもあります。何も臨調の答申というものは神さまがつくったものではございませんし、やはりそこには間違いもあろうし、未熟もあろうし、不十分もあるに違いないのですから、やはりこれは、鉄は熱い間に鍛えておかなければいけませんので、こういう面から考えまして、私は、問題が残っている面は、むしろ政治性を持ったものが相当大きく残っておる、事務的に解決し得るものはやや進んでいる、こういうふうな一般観がする。それならば、今後五者会談にしろ、総理に直接お会いになって御協議になるにしろ、進んで、この内閣におきまして、この行政改革を推進するという中心体をつくることが絶対に必要でございます。あなたが長官で、各省の、もしくは数個の事務次官を集めた部員をつくり、幹事をつくる等々ではいけません。また行政監理委員会におきましても、これは実施責任者でも何でもございませんから、そういうことから考えますと、内閣の責任で行なっていく以上は、内閣の一本の体制が必要でございます。過日、総理も、六月一日のお答えで、閣内一致しているという確言をされました。それならば、やはりこの際、あなたは相当強くその要請に応ずる必要があろうと私は思うので、いわゆる閣僚の協議会、行政改革を目的にした閣僚協議会をぜひとも設置するという非常な意気込みを持って進まねばならぬのではないか、こういうふうに思うのです。これは失敗いたしましたら、おそらく大臣は一そう困難になります。私はそう思う。だんだん遠くなっていくのです。カビのはえたような問題をいまごろ言うなという意見が出ます。たとえばいろいろな問題が出ましても、何年度の実績によってみればそれはもう数年たっているということになりますから、遠のけば遠のくほど困難になりますので、事の重要性にかんがみて、これは必死の体勢をもって、閣僚協議会の設置実現に進まれることを希望しながら、あなたのお覚悟のほどをもう一ぺん伺っておきたい、こう思うのです。
  110. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 従来行政改革本部では、御指摘のとおり、事務ベースの検討を行なっておったのでございますが、今後は仰せのとおり、やはり閣僚のレベルでもって審議検討する事項が相当ふえてきているというふうに考えられるわけでございまして、このことにつきましては、先ほど申し上げましたように、三十八年八月二十日の閣議決定では、臨時行政調査会意見の提出の状態に対応し、将来閣僚懇談会の設置を考慮するものとするというふうに決定されておりますから、当然これを受けて、私はつくり得るものというふうに考えております。現段階におきまして、仰せのとおり、総理を中心として強力な体制でもってやっていく事項が相当多くなってまいりましたので、私といたしましては、そういった観点から、なおまた行政監理委員会のほうからも満場一致をもって閣僚協議会を置くようにという御意見もございましたし、五者会談のメンバーの方々にも一人一人伺いましたところが、いずれも積極的にこれを置くべきであるというような御意見も出ましたので、私は近々のうちに総理にお目にかかりまして、こういった意見を具申いたしまして、早急にこの閣僚協議会を設定することを強力に推し進めてまいるというように考えております。
  111. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで第三に移るのでありまするが、総理は、やはり内閣を組織しまた内閣を指導する方は、単に論議をされておるからというだけでは、この重大問題はなかなか踏み切りにくいというのが、私は客観情勢であると思っております。これにはやはり国民的な支援、国民的な背景というものが現在は絶対に必要でございます。そういたしますると、まず段階層に、行政改革の必要性、行政改革をすることによって、国民は何の利益がもたらされるであろうか、どう社会が明るくなるであろうか、どうわれわれの生活、家庭が明るくなるであろうかというような一つの希望がつながっていく、こういうことが、私は、背景として、前提として必要であろうと思います。そうしないと、やはり総理が一人おやりになるのでなしに、また内閣の閣僚数名がおやりになるのではないのですから、国民を背景にしておるという確信がないと、踏み切りにくいだろう。これは私は非常に善意に、好意的に解釈してものを言っておりまするのですが、そういたしますと、どうしてもこれは国民にもっと問題の重要性を知らさなければいかぬ。そのことが乏しかったので、たとえば国会でもわいてこないのであります。いま政治資金規正法がてんやわんやでございます。米価値上げということも、これはもう全国の農民が殺到しておられます。ともかく、身近に感ずるということが民主政治、議会政治のこれは一つのコツでございますので、身近に感ぜしむるには一体どうしたらいいか。この点につきましては、臨時答申の総論の末尾のほうにも記載しておりました、例の白書の問題でございます。白書は、これは数次あなたとも問答をしたわけですが、おそらくは、国民に行政改革の現状を知らす、行政改革の何ものであるということを知らす、どのように国民の生活と利害に重要かということを知らすということが目的であろうと思うのであります。その白書は去年の十月に出まして、私は、やはりこの白書はちょっとむずかし過ぎるので、読んだ人は少ないだろうというふうにほんとうは考えております。このごろはやはり週刊誌時代ですから、わかりやすく大衆的に、ほんとうに見てわかるくらいな——一番率直なのは見てわかること。むずかしい字句を並べて字引きを片手に読まなければわからぬというのでは、それはだめですし、小学校を出た人でもわかるというぐらいが最上です。しかしそうもいきますまいから、やはり国民に知らす手段としては白書が一番よろしい。その白書は去年の十月に出たが、この欠点は十分に指摘しながら、やはり今年も白書を出すということに積極的に踏み切らねばならぬ。ことにこの八月は予算の要求時期であります。概算予算を要求しなければならない。それなら、来年への行政整理のかまえもしなければならぬ。八月には、十八の公団につきまして、行管として結論を出さなければならぬ、非常に重大な段階に迫っております。したがいまして、私は、これはどうしてももっとやさしく書いたもので、そうして、何もかも言わぬでも、それはよろしゅうございますから、津々浦々の太郎兵衛、甚兵衛さんにもわかるようにして、行政改革がお互いの生活にどんなに重要なつながりがあるかということを知らすことを目的にして、行政改革の現状と課題について、できるだけ早い機会に準備を進めて、そうしてこれを完成して世に送り出すというふうにしなければならぬ、こういうふうに考えておるのですが、この点に対する覚悟と御用意、これをぜひ伺っておきたい。
  112. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 行政機構改革はなかなかむずかしい問題であることは、ただいま吉田委員のおっしゃったとおりでございまして、これには閣内が総理を中心として一致団結して、強く当たるという体制が必要であることは申すまでもございませんが、やはり世論の力というものが非常に大きく影響するわけでございまして、仰せのとおり、世論を起こすには行政の実態を知らせることがまず必要ではないか、それによって世論が起こるということは、私も同感でございます。そういった意味におきまして、昨年行政監理委員会から出しました「行政改革の現状と課題」、いわゆる行政改革の白書と申しますものでございますが、これはそういった意味において意味があったというふうに考えるわけでございますが、御指摘のとおり、多少その中の文章はわかりやすいという点においては難点があったと思います。  ただいま、前々回の監理委員会におきまして、今年度の行政改革の現状と課題と申しますか、白書をつくる骨子を一応つくりまして、そうして題目だけをつくりまして、これによって肉づけをして、ちょうど昨年度出しましたのは九月か十月だったと思いますが、その時期までには今年も編さんをしようという考え方で、いま作業にかかっております。なるほど、おっしゃるように、なるべくだれにでもわかるようにするのが一番いいということは私も感じたわけでございますので、この編さんに当たる者に対しまして、おっしゃるように、見てわかるような、あるいはまた読んでも、小学校卒業生の方でもある程度理解ができるような文体なり形式なりでつくるように、考慮いたしたいと思っております。
  113. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は実は不得手なのでありますけれども、たとえば財政白書といいますか、財政の現状などについて小さな本を出しておりますし、またその他いろいろな数字の説明を必要とするようなときには、最近は全部絵をかいておりますが、やはりもっと絵をかいて、親しみを持った人形でもかくとか、その他、グラフもあまり専門家でなければわからぬようなものでなしに、絵もかくとか、この間も木馬座が四万人も武道館に人を集めて大騒ぎとなりましたが、これは児童を対象に、特殊な絵や色彩が、単純な児輩心理を奪うという原理に発したものです。いうならば、ぐっと砕けたものでやらないと、民衆と接着いたしません。日本におきまして、アメリカのように市民委員会の設置がむずかしいということをあちらこちらで聞きます。それですから、日本人に向くような方法で周知徹底するよう特に御留意せられまして、ただいまの点よく了承いたしますから——私は、その辺は詳しくわからぬけれども、どうか、見てわかるようなものをどっと織り込んでいくということを、積極的にせられんことを御希望申し上げておきます。  それからもう一つは、頒布方法、価格、そういうものにつきましても、こんな大きなものでしたら、国会以外のところではおそらく持っておらぬだろうと私は思う。出版センターに並べましても、こんなものを買う人はございません。だから売れません。本屋の店頭ではなおさら商品にはならぬ、等々考えましたならば、これはもう義理買いなどで持って帰る以外には読んでくれません。とんでもないことでございますので、その辺につきましても、頒布方法あるいは価格、こういうものを格段にごくふうを願いたい。  もう一つは、これはそうなりますと、若干の予算が要ることでありますけれども、失礼な話でありますが、どんな予算でやっておられるのか知りませんけれども、これはこれなりで監理委員会の経費でやるのかどこか知りませんけれども、何か特にこういうものについて宣伝用というと語弊がありますが、理解を深めるための特別の予算措置でも講じておやりになっておるというような、そこまで配慮があるのでしょうか。これは局長、どうですか。
  114. 大国彰

    ○大国政府委員 行政改革白書の印刷につきましては、一応わずかながら経費がついておるわけでございますが、もちろん不足いたしますので、一般庁費のほうからもそれに充てておるわけでございます。
  115. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 臨調答申の十六項目につきまして、行革本部のほうで若干検討されたものをいま御指摘になっておりましたが、事実上、各項目に取り組んでいくということはたいへんでございますので、実現の事務的作業の面につきまして、本格的にまだ取り組んでおらぬというものが相当にあるのではないだろうかということが実は感ぜられます。  ことに「首都行政の改革に関する意見」につきましては、時の責任者の委員長なども、時期を早めて、三十八年の八月に、ほかのものより一年も先に意見を公表して、答申をいたしております。こういうような事態にかんがみて、ことに東京はマンモス都市になっておりますし、また行政当局の変化もございますし、やはりいまこそこの種の問題に積極的に取り組む必要があるのではないだろうかというのが一点。  それから、第十五にありますように、「行政の公正確保のための手続の改革に関する意見」でありますが、この面も、これは行政手続不服審査等につきましての若干の規定はございますけれども、かなり詳細な規定ができて、そして意見も出されておることも私ども見るのでございますが、これにつきましても、どうも一向に詳しい報告、進展途上の報告というものは出てこないのであります。  あるいはまた第三の「共管競合事務」の問題でございますが、錯綜いたします事務を整理するということはきわめて重要でございますが、これもどうもはっきりしておらぬ。  さらに四の「行政事務の配分」の問題でございますが、これは地方行政の見地から見ましたら非常に重要でございまして、この点につきましても、臨調は、現地性とか総合性とか経済性とかの原則を掲げまして、事務再配分に踏み切るべしというくらいの強い要請を掲げております。この点につきましては、中央、地方の相互不信の関係がございますのか、まだどうもはっきりしたものが日程にのぼってこないというのが現状でございます。  それからまた、十二の「科学技術行政の改革」の問題でございますが、これも例の科学行政の問題の重要性にかんがみて、科学技術基本法案というものが昨年できたようでございますけれども、これもそのままになっておるのではないか、こう思われます。しかしこの問題はきわめて重要であります。こういうふうに考えてまいりますと、これらの諸問題につきまして、未着手といっては少し語弊がありますが、ともかく前進の体制は全然見られないというふうに考えられます。私は、やはりこういうふうに区別してお考えになっていくべきではないかと思います。  まず第一は、根本的に重要なもので手をつけておらぬのは何であろうかということが一つ、もう一つは、すればすぐにできるというものを全部あげて、そしてこれは各省の少し協力があるならばできる、総理大臣がリーダーシップを発揮していくならば即座にできるというものを幾つかあげて——これは私も若干持っておりますが、ちょっとあっちに置いてあって、いま手元に見当たらぬのでございますが、これも全部あげて、社会の理解、各省の事務方町の理解というものを努力して深めていくならば、実現可能であるというようなものが第三、さらに第四は、これは再検討を要する臨調の答申ではあるけれども、まだ検討不十分というようなものがあれば、どんどんとこれはのけていくというくらいにいたしまして、このようにランクを四つくらいに分けて、根本的に重要な問題点をねらうというふうにでもなさって、そして推進体制を整えなさるということがまことに必要ではないだろうか。国会といたしましても、この全体について、各委員会で一つ一つこま切れで審議すると申しますより、統一的な、総合的な理解に基づくのでないと、ばらばらになって、結論を得ないと見ておるのでございます。また各省におきましても同様でございます。したがって、こういうものは、やはり行革本部長であるあなたが中心になる、また閣僚協議会ができましたならば、そこで決定せられて、いまのような大きなグループに分けて、そのような整理のしかたをするということも一つ方法ではないだろうか。これは、すでに行政監理委員会などもいろいろ御検討になっているかと思いますが、私は前進せしめるためには、どうしてもこういう整理段階が必要ではないかと思います。  少し多岐にわたった御質疑になりましたけれども、いまの臨調答申の十六項目のうち、本格的に着手をしておらぬと見るべきもの、そうしてそのいずれもきわめて重要であるもの、次は、いま申しましたように、やろうと思えばすぐできる、次はなかなかに困難であるけれども、努力すればできる、最後には再検討を要するというくらいにまでこれを区分していくということも必要ではないだろうか、こういうふうにも私考えるのであります。私自身、これを全部消化することも容易ではございません。不勉強でございますから、これは未熟な意見かもわかりませんけれども、そういうふうに一ぺん整理でもしてもらうなら、国会審議も非常に助かります。来年、昭和四十三年は大きく飛躍的に前進せしめる年である、こういうかまえをもって、われわれ国会議員としては進んでいきたい、こう思っておりますので、これに対する御意見を、ひとつはっきりしておいていただきたいと思います。
  116. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 前段のことは、局長からお答えいたします。後段のほうの、いまの三項目に分けて御意見のございました問題につきましてお答えいたします。  臨調の答申は、いろいろ広範にわたっておりますので、ただいまのように、根本的に重要でまだ手のつけてないものはどういうものであるか、またもう一つは、やればすぐできるようなものは何であるか、もう一つは、再検討を要するものは何であるかというような三つに分けて、今後作業を続けたらどうかという御意見、非常に私はいい御意見だと思いまして、そういった方針でやってまいりたいと思います。
  117. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはまことに至難な課題でございます。われわれとしても、言いやすくして行ないがたい問題と取っ組んでおられると思うのです。私どもにしましても、予算を下さい、補助金下さいというなら、言うことはやすいのです。しかし、切りなさい。整理しなさい、廃合しなさいと言えば、選挙民はそっぽを向きますよ。そっぽ向くけれども、国民のために、国会の責任において前進せしめねばならぬということも、これもまた議員としての重責であろうと思いますので、実はあえて申し上げるのです。私が一々申し上げることは、どれもこれも要らぬこと、さわってくれるな——なるべく物はほしいのです。予算もほしい。補助金ほしい。ある機関ができたら、置いておいてもらいたいし、整理統合、とんでもない、まっぴらです。そんな議員はやめてもらいたい、どうぞどんどん国会を去ってもらいたいというのが、これが世態、人情です。この中で前進さそうというのでございますから、私は、ことばはやすいけれども困難な作業だと思っております。そういうふうに思いますので、ひとつ長官在任中に相当進展せしめまして、松平長官のときには大いに前進したと、あとから賛辞でも贈れるようにしてほしいと思うのでございます。ぜひお願いを申し上げたい。  それから、ちょっと具体的になるようでありますが、時間も来ましたので、私はどんどんと進めてしまいたいと思います。いま一つは、公営競技に関する法人の諸問題でございます。これにつきまして、実は臨調の基本線に一応は立つようでございますけれども、しかし、言うならば、これはまだ検討の余地が十分に私はあると思います。臨調の答申は必ずしも精細にわたっておりません。したがいまして、この根拠、理由、あるいは今後なさんとする形等々におきまして、まだ私は不十分だと思いまするので、全面的に直ちにぴしゃっとそうしなさいというような意味じゃなしに、もっと白紙的な意味において、取り組んでいきたいと思うのであります。そこで、だんだんの問題になりました、例の自転車競技の会など四つの問題でございます。四つと申しますると、一つ日本自転車振興会、一つ日本小型自動車振興会一つは地方競馬全国協会、一つ日本船舶振興会等々の問題につきまして、一番国民がぴんとくる問題は何だろうかということになりますると——これはことばは非常に悪いですよ、お許し願いたいのですが、ぴんとくる問題は、クモのようにお客さんが殺到している、あらゆる不道徳もそこにかもされるのではないか。そうしてそこにはものすごい金が動く。ばく大な金が動く。その結果、それは産業の振興のために、あるいは社会福祉振興のために有益な経費として使われる、地方自治体の財政難を救う等々、よいことに使われる。つまり、行く道はあまりかんばしくない、しかし結果的にはほしい、こういうことでございまするから、ここを一体どうしたらいいのかということを、おそらくはこの問題と取り組む人はみな迷うだろうと思うのであります。私自身が、弁護士なんかやっておりますので、この種のことに関係して、あらぬ金使いをしたようなことすら幾つか扱った経験もありますので、一そうそういう、何かしら社会的な暗い面も連想するのであります。しかしきょうはそういうような立場ではなしに、こういう点をひとつぜひはっきりさしておきたいと思うのであります。たとえば、提出された資料によりますと、競輪関係におきましての売り上げ金の配分の問題であります。たとえば三十八年、売り上げ金の合計が千四百八十億円という大きな金額になっております。三十九年が千八百十億円、四十年が二千百二十億円。ちょっと何千億円の競輪の売り上げがあるということをおかみさんが聞いたら、ほんとうにたまげますよ。わずかな生活保護の増額の問題で泣きの涙で陳情に来ておるようなおばあさんに、こんなことを聞かしましたら、これはびっくりいたします。何千億円の売り上げ金がある、こういうことでございますので、これは法律に基づきましてそれぞれと補助事業が行なわれておることも、これを読みましてわかります。けれども、どうかそういうことでありまするので、私は、臨時の答申を即行ないなさいという意味ではございませんけれども、少なくとも臨調の答申のうち、民法上の法人としたらどうかという意見がありますが、これは少し未熟な考え方ではないかと私も思います。しかし現行の交付金制度につきましては、やはりもっと考える余地があるのではないだろうか、一律ではなしにです。重点的、総合的というのは臨調の意見なんですが、重点的、総合的ということも、主管庁におきまして、積極的にやはり意見を立てるという方向に持っていくべきでないかと思います。あるいはまた、主管庁におきまして管理を一元化してはどうかという意見があります。それからまた、社会福祉、医療等の事業の振興に充てるというふうな問題等々につきましては、これは例の郵便募金の管理会と同じように、ひとつもっと一元化した、強力な、大きな組織にすべきでないかという意見がございます。この膨大な金の行くえが、やはり国民として知ればえらいことでございます。競馬、一ぺんに数万の人が行きまして、ちょっと忘れましたけれども、大きな金が落ちるようでございます。等々思いますというと、私は、競輪によってあがりまする経費の割り振り、使用につきましては、法律に基づくことは、前段通産省から御説明になっておりました。これも法律の御説明ならそのとおりでございますので、そのとおりであります。それに非違を申すのではありませんけれども、しかし財政政策といたしましては、やはりこれは一考を要する問題が残っておる。だから、こういうような次元を変えた角度から見まして、この金の取り扱い方を、ひとつ政治的にもう一ぺん再検討するということが必要でないか、こういうふうに考えております。  こういうような思想が、現内閣の一つの方向につけられましたならば、次の小型自動車の問題にしましても、あるいは競馬の問題にしましても、船舶の問題にしても、みなそれぞれ同様になりますので、広く公営競技に関する法人の一貫した問題としまして、私はきょうは詳しくは指摘しませんので、そういう観点から再検討をするというふうに踏み切ってはどうか、こういうふうに思うのですが、この点は行管よりも通産省——きょうは局長でなしに、次長が来ておられますが、この点は通産大臣に伺いたいと実は思ったのですけれども、きょうは不可能でございますので、あなたに法律解釈を求めるという意味でなしに、私のこういうふうに申し上げますことは、一つの重要な問題点であるという問題認識はぜひひとつしていただきたい、こういうふうに思っておりますのですが、ひとつ御意見を伺いたい。
  118. 赤沢璋一

    ○赤沢説明員 競輪益金の配分につきまして、ただいま御意見がございましたが、かつて昭和二十八年までは国庫に納付しておった時代がございます。その後制度が変わりまして現状のようになっておるわけでございますが、私どもといたしましては、この益金の一部が、先ほども御説明いたしましたように、機械工業の振興、スポーツ、公益、医療、社会福祉等々にこれが回っておるわけでございます。これを一たん国庫に納めて、これをまたそういったふうにひもつきで配るという形がいいのか、あるいは現状のように、これはこれといたしまして、各省庁関連の上で十分審議をして重点的に配ったがいいのか、いろいろなやり方があろうと思います。私どもとしては、現状の制度の上で万全を尽くしておるつもりでございますが、さらに高い観点に立っての御意見でございますので、その点も十分拝承いたしまして、今後検討してまいりたいと思います。
  119. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 資料要求いたしますので、委員長において御配慮願いたい。  臨調答申のうちの例の公社公団のうち、原子燃料公社、それから日本てん菜振興会、それから畜産振興事業団、森林開発公団、魚価安定基金、郵便募金管理会、この幾つかにつきましては、一応臨調答申に対しましては、若干の——一行、二行で済むような意見は出ております。出ておりますけれども、現段階におきまして、どういうような御意見になるのか、これは論議すれば相当材料はございますけれども、一応資料要求にあらずして、もしできますれば、そんなに精細なものでなくてもよろしゅうございますから、いまの段階におきまして、臨調の意見に対する各これらの公社公団特殊法人意見を、ひとつ文書で当委員長あてにお出し願うよう要求しておきます。
  120. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 よろしゅうございますか。出せますか。——それじゃ、あとで、出せるか出せないか、ひとつまとめて、どなたからか御返事願いましょう。
  121. 中村重光

    中村(重)委員 資料要求をいたします。  先ほどお尋ねしました審議会の件ですが、四十一年度の予算で、日本学術会議の三億三千七百十四万を最高にして、二百五十九の委員会ですか、相当な予算になっていると思いますが、各審議会の数及び予算、それから委員の氏名、兼職の関係も明らかにしてもらう、それから審議会の開催の状況、委員の出欠の状況、事務局の構成、それに委員会の設立の年月日であるとか、そういうものは申し上げるまでもないと思います。それから退職——日額ですから退職金の関係はないと思いますが、手当以外にそういうものもありますれば、そういう点も明らかにしていただきたい。
  122. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それじゃ、これを要求しまして、差しつかえない限り提出させることにいたします。  次会は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十四分散会