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1967-05-18 第55回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十八日(木曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 吉川 久衛君 理事 小峯 柳多君    理事 小山 省二君 理事 高橋清一郎君    理事 佐藤觀次郎君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       菅波  茂君    丹羽 久章君       葉梨 信行君    水野  清君       勝澤 芳雄君    中村 重光君       浅井 美幸君  出席国務大臣         国 務 大 臣 松平 勇雄君  出席政府委員         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         行政管理庁行政         監察局長    稲木  進君         経済企画庁水資         源局長     松本  茂君  委員外出席者         日本輸出入銀行         総裁      石田  正君         参  考  人         (水資源開発公         団副総裁)   柴田 達夫君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 五月十七日  委員秋田大助辞任につき、その補欠として村  山達雄君が議長指名委員に選出された。 同月十八日  委員村山達雄君及び江田三郎辞任につき、そ  の補欠として四宮久吉君及び勝澤芳雄君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員勝澤芳雄辞任につき、その補欠として江  田三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  歳入歳出実況に関する件  政府関係機関経理に関する件  国が資本金の二分の一以上を出資している法人  の会計に関する件(水資源開発公団)      ————◇—————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件、政府関係機関経理に関する件及び国が資本金の二分の一以上を出資している法人会計に関する件について調査を行ないます。  本日は、参考人として、水資源開発公団より、副総裁柴田達夫君の御出席を願っております。参考人からの意見聴取は、委員質疑によって行ないたいと存じますので、さよう御了承願います。  これより質疑に入ります。勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    勝澤委員 公庫、公団事業団その他の特殊法人改善につきましては、臨時行政調査会において勧告がなされ、いろいろ問題点につきましても議論が行なわれているわけでありますが、その実情を見ますと、前回も指摘申し上げましたように、あまり積極的な施策が見られないということで、たいへん遺憾に思っておるわけであります。そこで、私はきょうは特に経済企画庁関係する部分につきまして、特に水資源なりあるいは東北開発なり、こういう点についての改善意見というものがなされておるわけでありますが、これについてどのように取り扱ってきたのかという点で、経済企画庁並び行政管理庁のほうから、ひとつ御説明願いたいと思います。
  4. 松本茂

    松本政府委員 臨調答申は、水資源開発公団主務大臣が多元的でありますので、水資源開発を総合的に遂行するために総合開発庁——これは新設する予定ということでございますが、主務官庁として公団を再編成すべきであるという趣旨でございます。水資源開発に関します総合的な計画は、経済計画と表裏一体をなすべきものでございます。またその内容は、各省所管分野に関するものでございますので、もし総合開発庁が設けられる場合には、これを経済企画庁外局とすることが必要かつ妥当であるというふうに考えます。そういうことで総合開発庁が設置されますならば、同公団は、経済企画庁外局でありますこの総合開発庁所管とすることが妥当である、こういうふうに当時考えておったわけでございます。現在もしそういうふうになりますならば、これが妥当であろう、こういうふうに考えておるわけでございます。現在のところ、まだ総合開発庁というのが設置されるに至っておりません。現状現行法律に基づきまして、水資源開発促進法その他水資源公団法に基づきましてやっておるわけでございますが、現在、経済企画庁長官が、財務、会計というふうな管理的な、総括的な業務につきましては、監督をいたしているわけでございます。そういう総括的な管理的な業務を、できるだけ広く経済企画庁で行ないまして、また同時に、各省関係する分野仕事がわたっているわけでございますが、各省間の連絡を、経済企画庁中心になりましていできるだけ十分に行ないまして、総合的な水資源開発が円滑に行なわれるように努力してまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  5. 松平勇雄

    松平国務大臣 水資源開発公団に関する政府の多元的な監督の弊があるという指摘は、地域開発行政について、ただいま経済企画庁水資源局長からお話がありましたように、新たに総合開発庁を設けてこれを一元化すべしという改革意見とつながるものでございますが、総合開発庁新設につきましては、慎重に検討を要する多くの重要問題がございますので、その趣旨を尊重しながら、今後の問題として、検討を進めていきたいと考えております。水行政についての政府現行体制からすれば、水資源開発公団に対する監督は多元化することになりますが、当面これらの監督行政のあり方に具体的にどのような問題があり、どのような改善を要するかなどの点につきまして、現在実施しております水資源開発利用に関する行政査察におきまして、十分検討をいたすことにいたしたい、かように考えております。
  6. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この水資源についての考え方の総まとめといいますか、一応臨調としては十分な議論を長い間尽くして、そうしてこういう結論が出されたと思うのですが、それを受けた政府立場からいって、もう相当期間もたっているわけですが、大体いつごろのめどでこれについての結論を出す——それをどのように実施していくかいかないかということは別の問題になると思いますが、これはどうお考えになっておりますか。
  7. 松平勇雄

    松平国務大臣 御承知のとおり、ただいま現存の百八の特殊法人に関しまして、その統廃合を進めるにあたりまして検討いたしているわけでございまして、この調査は、大体来年度の予算編成が始まる前までに結論を出したいというような考えのもとに、ことしの八月を目途に、ただいま作業を行なっておる状態でございます。
  8. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから、これは経済企画庁一緒にお尋ねしたかったのですけれども水資源局長ではちょっと無理だと思うのです。もう一つ東北開発株式会社勧告が実はなされておるわけでありますが、これの担当者はおりますか。——それでは行管長官にお尋ねいたしますが、東北開発についても意見が出されておるわけでありますね。これについても、さっき御答弁なされました水資源と同じような考え方で進めておるのですか。これはどうなんでしょう。
  9. 松平勇雄

    松平国務大臣 これもやはり百八の特殊法人の中にございますので、この中に含めて、ただいま水資源と同じ時期までに結論を出そうというので、作業をやっております。
  10. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、行管のほうでは、百八の特殊法人全部について、こうお考えになっておるようでありますけれども臨調のほうは、一応この中からいろいろと審査した結果、十八というものをしぼって、一応の方向を示しているわけでありますね。そうしますと、臨調答申と、いまあなたのところでおやりになっておる十八の、何といいますか、行政監察といいますか、これとの関連は、どういうふうに私たちは理解したらよろしいのでしょうか。
  11. 松平勇雄

    松平国務大臣 御指摘のとおりに、臨調答申では十八を掲げてございますが、答申が出ましてから大体二年もたっておりますし、行政監理委員会といたしましては、百八に対してさらにあらためて調査をして、そうしてもちろんその中に十八も含めて、百八全部を調査して、その結論を出すということになっておりますので、行政管理庁といたしましては、それを受けまして、一応臨調答申を尊重しながら、行政管理庁として調査をしたいということであります。
  12. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、臨調臨調行管行管だということで、臨調そのものを推進する力というのはどこにあるのですか。一緒のようだと思ったら、一緒のようでもあるし、別個のようでもある、結論的には別個だ、こういうような感じがするわけですけれども……。
  13. 松平勇雄

    松平国務大臣 御承知のとおり、臨調答申を出して、一応の結論を出していただいておるわけでございまして、それを受けまして、行政管理庁は、その臨調答申を尊重して実行に移すという作業をやるわけでございまして、その間において、別々に切り離れたものではなくて、関連性があると思うわけでございます。  なお、行政監理委員会は、御承知のとおり、臨調答申を忠実に実行する目途のもとにできました監理委員会でございまして、それと緊密なる連絡をとりながら作業を進めております。さらにまた、実施面におきましても、行政改革本部とも打ち合わせながらやっていくというふうな作業の進め方を行なっておるわけでございます。
  14. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この答申が二年たってしまって、当時の実情から、臨調答申が、現在の実情とは相当食い違ってきているということは、私もよくわかります。わかりますけれども、二年たってしまったのはだれの責任でもないわけでありまして、二年たってしまったと言っている官庁責任じゃないだろうかと、私は思うのです。しかしそのことが、実情が変わるまで待っていたか、実情を変えるために期間を与えておったのかということにもなろうと思うのです。そういう点で、いま現在は八月末ということが一応のめどとしてたいへん言われておるので、やはりここでひとつ大いに申し上げておかなければならぬことは、池田総理は、大体行政改革については臨調答申を待って待ってと言って、任期が終わったわけであります。佐藤さんは、尊重する尊重すると言って、もう総理になって何年ですか。これでそんなことを言っておると、またことしか来年あたり佐藤さんがかわれば、次の総理がまた同じようなことを言っているんじゃないかと思うのですが、総理がかわろうが、大臣がかわろうが、自民党が政治をやっていることは間違いございません。一貫性を持ってやって、その場限りでなく進めてもらいたいと思うのです。これは私くどく申し上げておるようですけれども、やはりたよりになるものは、これを進めていくところの行管中心にならなければいけないと思うのです。そういう点で、ひとつ臨調答申というものを受けて、行管が積極的に進めてきながら、実際には十八というものをその間に扱ってきながら、今度はまた百八に戻って、もう一回全部洗い直すというような感じを受けて、後退したという見方もするし、いや前進したという見方もすると思うのです。しかし結論は、この八月にどういう意見が出てくるかによって、結果が出てくると思うので、ひとつこの八月までに十分な審査をやって、臨調で不十分な点は不十分という意見でいいのですから、そういう点は不十分は不十分で、思い切って出す。しかし臨調で掲げている方針というものを、行政改革をやろうという方針に従って——そうあっちこっち横道をしていてはできないわけですから、国会もそうですし、あるいは行政管理庁もそうだと思いますから、くどいようでありますけれども、お考えをもう一回お聞きいたしたい。
  15. 松平勇雄

    松平国務大臣 私は、全く勝澤委員と同じ意見でございまして、そういった方針で今後強力に推し進めたい、かように考えております。
  16. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、水資源公団のほうにお尋ねいたしますけれども臨時行政調査会で、水の行政について、いまいわれておりますように、総合開発庁とかいうようなもので総合的にやるように意見が出されておるわけであります。水資源公団ができましてから少しは仕事もやってきたわけであります。その経過から見て、これはざっくばらんなところ、やはり水資源公団から見て、この臨調答申に対して、御意見といいますか、こういう意見を申し上げるのが適当かどうかよく私はわかりませんけれども公団としての考え方というものをひとつお知らせ願いたいと思います。
  17. 柴田達夫

    柴田参考人 ただいまの水資源開発公団ができまして、ちょうど五年を経過いたしております。水資源開発促進法水資源開発公団法が三十六年にできたわけでございます。これに基づきまして、大筋を申しますれば、政府各省が水の行政についていろいろと権限を持っておいでになるわけであります。これらの各官庁一体になって、経済企画庁——これは法律上は内閣総理大臣でございますが、経済企画庁総合調整役割りを、一方に水資源開発審議会を設けまして、ここで共同して事業を進めるための話し合いの場と申しますか、調整の場、これをさらに推進していく場が設けられまして、現在五ヵ年の間に、おかげさまで相当順調に仕事を進めてまいっておると考えております。  ただいま、臨調答申についての意見はないかというお尋ねでございますが、臨時行政調査会勧告をわれわれは承知いたしておるわけでありますが、水資源開発公団に関する限りは、その中の一つにあげられておりますが、これはむしろ臨時行政調査会が、非常に水資源開発重要性に着目されまして、この中にもございますように、水資源行政は「典型的な地域総合行政である。」、それから、いろいろの水に関する利害というようなものを調整していかなければならないという仕事があるので、もっとこの公団をさらにあるいは強化をするというような意味におきまして、非常に激励的な再編成勧告されているものと私どもは伺っております。私ども意見といたしましては、しかし、先ほど行政管理庁長官お話にございましたように、水に関する行政は、とにかく現実には、河川行政と申しますか、これはまあ建設省、あるいは農業と水の関係農業用水としての農林省、あるいは水道行政としての厚生省、工業用水道としての通産省、これらに、現実には歴史的な経緯がございまして権限があるわけでございますので、水の仕事をするためには、この臨調答申にもございますように、地域的な総合行政をやっていかなければならぬ。ある一つの省だけで仕事はできないのであります。それから地域的に申しますれば、ある一県だけで仕事はできないのでございます。従来こういう制度ができます前は、そういう悩みを持っておったと思うのでございます。建設省なり農林省が一省だけで、もちろん相当な仕事はできますけれども、両方が一体になって提携しなければできない仕事がある。また、いまの厚生、通産省も、新しい都市用水需要するという立場から、一緒にならなければできない。そういうようなことで、これらが一体になってやるというところにねらいがあるわけでございまして、現実行政機構が分かれております以上は、この中に非常に多元的な監督を私ども公団が受けているといわれますけれども、確かにそれはそのとおりでございますが、みんなが一緒になって、りっぱに総合調整をしてまとまった仕事をやっていくというところにねらいがあります以上は、この多元的な現在の行政機構前提といたしまする限りは、その多元的な監督を受けているおかげで、従来一省なり事務局ではできなかったような仕事が、いま比較的大規模な、いろいろの部門にまたがるような、広域な地域にまたがるような仕事がすべり出し、順調に進められているというように考えておりますので、私どもは、現行行政機構前提といたしますれば、この制度が、複雑ではございますけれども、必ずしも悪いものであるとは考えておりません。しかしこの勧告にございますように、そういう分れている水の行政機構のほうを、もう少しまとめていくような努力を政府がなされるようにという勧告で、総合開発庁でございますか、そういう勧告がございますが、この総合開発庁ができますれば、直ちに監督が一本になるとは私ども考えません。これが全部の水の行政をもし一本にしたものができ上がるならば、それは監督が一本になると思いますけれども、しかし方向としては、少なくとも行政機構のほうもばらばらと申しますか、多元的に分かれている行政機構を、まとめて強化する方向に向かっていただきまするならば、それは公団のほうも、その結果として、複雑な組織がやや完全になっていくということは可能でございますし、いろいろと能率の面にも稗益はあることと存じます。しかし、それの内容は十分承知いたしておりませんので、この総合開発庁内容次第だということになると思います。現状がはなはだうまくいっていないということだけは私は絶対にない、現在の行政機構前提とする限り、この制度公団ができる前から見れば、確か一歩前進することができておる、かように申し上げますが、さらにこれを鞭撻激励していただきますような勧告がなされていることにつきまして、まことにありがたく思っておる次第でございます。
  18. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それ以上の御答弁を願うことは無理でありましょうから、そこで、次に私は水資源開発基本計画についてお尋ねいたしますが、水資源開発促進法の四条には、水資源開発基本計画は、内閣総理大臣閣議決定を経て作成するということになっているが、この計画決定に至るまでの仕組みとその計画内容、こういうものについて御説明を願いたいと思います。
  19. 松本茂

    松本政府委員 順序といたしまして、まず第一に水系指定ということがあるわけでございます。開発促進法の第三条によりまして、広域的な用水対策を緊急に実施する必要があると認めます場合には、河川水系水資源開発水系として指定するということになっております。これにつきましては、関係都道府県知事、それから水資源開発審議会意見を聞いて行なうことになっております。また水系指定につきましては、閣議決定を経なければならない、こういうことになっております。この水系指定が済みまして、その次に具体的にどういう基本的な計画によって水資源開発をやっていくかという、基本計画を作成するわけでございますが、これにつきましては、開発促進法の第四条によりまして、関係行政機関の長と協議をいたします。かつ都道府県知事、それから水資源開発審議会意見を聞いて、この基本計画を作成する。またこれを決定するにつきましては閣議決定を経る、そういうことになっておるわけであります。そういう手順をもって基本計画をつくりまして、この基本計画に従いまして、具体的なこのダムあるいはこの水路というものの建設に着手していくわけでございます。  この基本計画内容でございますが、法律の第四条と第五条によりまして「水の用途別需要の見とおし及び供給目標」それからその「供給目標を達成するため必要な施設建設に関する基本的な事項」、こういうことが第二でございます。それから「その他水資源の総合的な開発及び利用合理化に関する重要事項」、そういったものがこの基本計画内容になっておるわけでございます。  たとえば、利根川水系基本計画について申しますと、水の用途別需要の見通し及び供給目標といたしましては、上水道用水としては毎秒約五十立方メートル、工業用水については毎秒約三十立方メートル、農業用水については毎秒約四十立方メートル、これは四十五年度を目標としてでございます。供給目標といたしまして、こういう新規水需要に対処するために矢木沢、下久保、神戸のダム群、それから利根川の河口ぜき、霞ケ浦及び印旛沼における水位調節施設等の、水資源開発または利用のための施設合口せき等既存水利の合理的な使用をはかる施設多目的用水路専用用水路等施設建設する、こういうようにして、毎秒約百二十立方メートルを供給する、こういうことを第一項に書きまして、その次に、供給目標を達成するため必要な施設建設に関する基本的な事項といたしましては、それぞれの建設対象事業別に、たとえば矢木沢ダムにつきましては、矢木沢ダム建設事業といたしまして、それの事業目的それから事業主体、それから河川名新規利水容量予定工期、そういったことを書くわけでございます。
  20. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それではちょっとお尋ねいたしますが、この吉野川水系の早明浦ダムというのがいま水資源のほうでやられているわけでございますが、この吉野川水系水系指定にまで至った経過についておわかりになりますか、審議の模様。
  21. 松本茂

    松本政府委員 吉野川四国の非常に重要な大きな川でございまして、これの開発につきましては、もうここ十年、二十年も前から、いろいろと調査研究が進められてまいったわけでございます。特に下流地方の洪水を防ぐという必要もございまして、建設省中心として調査が進められてまいったわけでございます。関係四県、それぞれいろいろ意見もございまして、その調節に非常に時間がかかったわけでございます。近年に至りまして、四国の総合的な開発をやっていくためには、吉野川の総合的な開発をその前提としてやっていかなければならないということで、地元の四県の調整もでき上がってまいりまして、昨年の十一月十八日に水系指定を行なったわけでございます。そしてことしの三月に基本計画閣議決定を見たわけでございます。
  22. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私の聞いておるポイントは、この間、建設委員会でちょっと問題になったのですけれども、これはいずれ内容については別の機会に聞くとして、吉野川水系閣議決定をされて、工事発注をされて、そして翌日水資源公団仕事が移管されておるわけですね。これは、促進法の上から、どういう流れでそういうことができるのか。私はどうもそれについてはちょっと疑問があるものですから、そういう点について……。それから、水資源に移して、水系指定水資源公団担当になるのでしょうから、そしてずっとやってきて、ある期間をおいて工事現実発注になるならいいですけれども、何か建設省がこうやってきて、水資源公団に移すために水系指定というものがなされておるように思うのですが、この辺の経過がちょっと従来と変わったように思いますので、その点についての経過だけをお聞かせ願いたいと思うのです。
  23. 松本茂

    松本政府委員 吉野川につきましては、先ほど申しましたような事情がございまして、すでに昭和四十年度から建設省建設に取りかかっておるわけでございます。もちろんそれにつきましては、基本的な調査とか、道路のつけかえとか、そういったことから始まっていくわけでございまして、四十年度は予算が十一億、四十一年度は二十七億ということでございます。そしてそれに関連するいろいろな手続、工事が進められていったわけでございます。これは建設省直轄工事としてスタートしていったわけでございます。しかしながら、この工事を進めてまいりますためには、全体といたしまして大体百七十億ぐらい経費が要るであろう、こういうふうに推測されるわけでございます。これにつきましては、治水だけではございませんで、下流の徳島県、それから香川県、高知県、愛媛県の四県とも、工業用水なり水道用水なりあるいは農業用水なり、そういったものを利用するわけでございます。これを建設してまいりますと、そういった水を利用する側は、それぞれのアロケーションに応じまして、費用を分担していかなければなりません。国の直営工事でやってまいりますときには、毎年毎年その費用を分担していかなければならないということになるわけでございます。しかしながら、この吉野川のそういった水利用のほうは、現在すでにもう緊急に必要としている部分もかなりあるわけでございますが、同時にまたかなりの部分が、今後人口も増加してくるであろうから水道用水が要る、あるいは工場もくるから工業用水が要るということで、先行的な要素がございまして、いますぐ毎年の費用を分担していくということはなかなかむずかしい。また四国各県とも、財政力が必ずしもそれほど十分ではございませんので、そういった点からも問題がある、こういうことでございます。  そこで、この事業建設省の直営じゃなしに、水資源開発公団でやってもらいたいという希望が、地元の四県から非常に強うございまして、関係各省でもいろいろ相談いたしまして、そういったことは望ましいことだということで、水資源開発公団に、この事業を四十二年四月一日から移管するということになったわけであります。しかし、政府部内にも、水公団に移管するにつきましてはいろいろ意見もございまして、その間の調整に若干期日がかかりまして、水系指定から閣議決定までに若干の日を要したわけでございます。政府部内の意見もまとまりましたので、ことしの三月十四日に、この基本計画閣議決定いたしました。それで、先ほど申しましたように、基本計画の中には事業主体も明記するわけでございます。四十二年四月一日以降は、建設省から水公団事業を引き継ぐのだ、四月一日以降は水公団事業主体となってやるのだ、そういう中身の基本計画閣議決定され、次いで公示されるということになったわけでございます。そういう経過をたどりまして、ことしの四月一日に、水公団建設省からこの事業を引き継いだ、こういうわけでございます。
  24. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いずれ私、水資源の問題につきましては、そのときの決算でまた十分質問させていただくことにしまして、きょうは特に行政管理庁に、今日の話題になっている、また国民から注目されている行政改革についての結論というものを、八月ごろを目途におやりになっているということでありますから、それに大いに期待をいたしまして、私の質問を終わります。
  25. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 吉田賢一君。
  26. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 行管長官に伺いたいと思います。  臨調答申によりましてだんだん論議が重ねられてまいりました、例の愛知用水公団の将来の問題でありますが、これは、当初の事業を完了したこと、さらに豊川用水の事業が本年度完了の見込み、その後水資源開発公団へ残務吸収、その他地方自治体へもなお一部の事務を吸収、こういうような一つ意見が出されておるのでございます。そこでこれは水資源開発公団自体にいたしましても、さらにその他の問題があるわけでございますので、まず大体の方向は、行管といたしましてはまだ最終的なものはおきめになっておりませんけれども水資源公団へ残務吸収という考え方、さらに総合開発庁水資源公団は吸収すべきだ、こういう線が出ておるのでありますが、この三者の関係はどういうふうに結論方向づければいいのだろうか、これにつきまして、ひとつ伺っておきたいと思います。
  27. 松平勇雄

    松平国務大臣 愛知用水公団の現時点の事業の状況は、御指摘のとおりでございまして、臨調答申は、これまた御指摘のように、この残務は水資源公団に委託する、それから、その中の借り入れ金の償還業務、そういったものを水資源公団に吸収し、そうして工事終了後の施設理事業は公共団体に委譲すべきであるというのが臨調答申でございます。たびたび申し上げておりますように、ただいま水資源開発利用に関する行政査察計画的にやっておりまして、同時に百八の特殊人に対して再検討をいたしておるのでございまして、それらをかみ合わせまして、どういった形にするのがいいのかという結論を出すべく、ただいま調査をやっておるわけでございますが、私どものかまえといたしましては、臨調答申を尊重して、その方向で進むというようなかまえでやっておるわけであります。
  28. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さらに発展して、それは水資源公団自体を総合開発庁に吸収すべし、こういう方向が、水資源公団に対する臨調答申として打ち出されておるのですが、これはいかがでしょう。
  29. 松平勇雄

    松平国務大臣 この問題は、臨調でも、御指摘のとおり答申が出ておりますが、総合開発庁というものを新設することにつきましては、いろいろ重要な問題がございますので、その趣旨を尊重しながら、今後の問題として、行管としては検討をしてまいりたいというふうに考えております。現在のところは、まだ結論は出ておりません。
  30. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 水資源公団をさらに総合開発庁に吸収すべしというこの臨調答申は、非常に広範な行政改革内容をなしておるものと思いますので、もちろん早急な結論はしごく至難なことかと思いますが、しかし行政機構の問題を整備する上におきましては、やはり水資源公団自体の将来というものを考えないといけますまいことと、それから、国土開発などの基本的な国策の線から考えましても、さらに強力なものへ発展的に新庁の設置ということは、これは意見として出ておるようでございますが、少なくとも、これは総合開発庁を新設するという方向へでも調査する、あるいはこれは、企画庁の水資源局も総合開発局も、北海道開発庁も、あるいは首都圏整備委員会、近畿圏整備本部もあわせて吸収するというのが臨調答申趣旨のようでありますが、結論は別といたしまして、非常に広範な改革というものの打ち出し方でございますので、少なくとも行政管理庁といたしまして、基本的にそういう方向作業を進めるということに御用意があるのだろうか、その点はいかがでございましょう。
  31. 松平勇雄

    松平国務大臣 この総合開発庁の問題にいたしましても、水資源開発公団が非常に各省庁から多元的に監督その他を受けておりますし、さらにまた、この仕事というものは非常に総合的に遂行する必要があるといった関係から、こういった考え方が出たと思うのでございますが、その他御指摘になりました公社公団につきましても、やはり同じような観点から、そういった大きな組織にしたらどうかというような考え方が出たと思うのでございますが、これはただいまも申しましたように、なかなか大きな問題でございまして、いまどのような方向でやっているというようなところはちょっと申し上げかねるのでございますが、しかし臨調答申にもございますので、この答申趣旨に従って、私どもとしては、厳正公正にひとつ調査をいたしまして、検討をいたしたいというふうに考えております。
  32. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは臨調の広域行政に関する答申の一内容でございますが、非常に広範にわたりまするので、内閣の基本的な行革への姿勢が固まってきませんと、具体的に手をつけることは困難かと思います。したがって、この点はほかのもろもろの行政改革に対する意見と比較いたしまして、より基本的な重大問題にぶつかるように思いますが、ここまで、つまり目ざす総合開発庁まで発展するということには、そうすると、ちょっとほど遠いというふうに理解すればいいのでしょうか。総合開発庁まで踏み切っていくというような何らかの調査を完了するというところまで、八月までにいくものと理解していいのでしょうか。その辺はわれわれはどういうふうに受け取ればいいのでしょうか。
  33. 松平勇雄

    松平国務大臣 この総合開発庁の問題は、おっしゃるとおり、非常に大きな問題でございまして、これは今度の百八の調査の、八月までに一応まとめる中には入っておりません。
  34. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 わかりました。  それでは、もとへ戻りまして、水資源開発公団の任務は非常に重大であると考えるのでありますが、全国の水資源が、さらにあらゆる角度から、その利用もしくは開発が要望せられておる実情にかんがみまして、これにつきまして臨調答申の線は、行政管理庁といたしましては、大体この線に沿うていきますと、総合開発庁までぶつかってしまうのでありまするが、総合開発庁までいかない範囲で、水資源公団に対する何らかの結論を得ようということになりますと、ちょっと中途はんぱなことに、これはなってしまうのです。水資源開発公団が十六の項目のうちの一つにあがっておりまするが、これの解決には、どうしても総合開発庁というものが出てくるのでありますが、そこへいかない範囲で、暫定的に何かの結論でも得ようという構想があるということになるわけですか。つまり、水資源公団というものが百八の一つに入っておりまするが、これは総合開発庁へ吸収せよ、総合開発庁というもっと大きな行政改革になる、これが課題になって結論が出ておるのでございますが、しかし、いまおっしゃいましたように、百八の中には、総合開発庁まで手が届きませんという趣旨なんです。総合開発庁まで手が届かないと、水資源公団の行革の結論が離れてしまうのです。行革の結論は、総合開発庁を新設して、この中にいま申しましたような企画庁の一部、北海道開発、その他首都圏、近畿圏整備などを全部入れてしまえというようなのが案なのでございます。これが十六のうちの一つに、少なくとも公社公団の中の一つに入っているんです。でありますから、百八の中に入るわけなんです。入るわけだが、水資源公団に関する限りは、総合開発庁までいかない範囲で何らかの結論を出してみよう、こういうような御答弁というふうに伺うのでございますが、そういうふうに理解すればいいんですか。これは何らかの結論を出すのでしょうか。非常に至難なことじゃないかと思うのですが、どうでございましょうね。
  35. 松平勇雄

    松平国務大臣 先ほども申し上げましたように、ただいま水資源開発利用に関しまして、そういった問題もございますので、そういった問題も含めまして、ただいまいわゆる中央監察と申しますか、計画に入れて監察をいたしております。したがいまして、その結論を得ましてから、われわれといたしましては、適当な処置をいたしたいというふうに考えておりまして、現在水資源公団総合開発庁にはまだ検討はしてないけれども、それではさらにほかのもので何か考えているかというような御質問だと、現在のところは、まだそこまで私のほうは検討をいたしておらない状態でございます。
  36. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと問題点がぼけていくのでございますが、愛知用水公団の残務を水資源公団に吸収すべし、これが臨調答申でございます。内閣府に総合開発庁を設けて、総合開発庁は強力な総合開発行政機関として打ち出していこう、これは北海道開発庁も、首都圏整備委員会も、近畿圏整備本部も、あるいは企画庁の中の総合開発局、水資源局も全部包容していくべきだ、こういうような非常に大きな構想らしいんですね。でありますから、これは内閣としましてもたいへんな作業だと思いますので、それまでいかないで何らかの結論を出すということになると、水資源開発公団臨調答申というものは途中でぷっつり切れて、何らかの中途はんぱなものを打ち出していこうということになるんじゃないか、どうもこういうふうに思われてならない。この点、くどいようでありますけれども、愛知用水、水資源開発公団ともに非常に重要な公社公団一つといたしまして、その現在と将来あるべき姿、運営をどうなすべきかということを検討する上において、どうしてもこの臨調結論総合開発庁というものをほおかぶりしていくわけにいかぬように思いますので、そういかないで、別途に案を立てるとか、結論を出そうといたしますと、一応水資源公団に対する臨調意見なるものは打ち切って、再検討して、とても大きなことはできぬので、内閣の中核までぐらぐらすることになりはしないかという、そんな行革になるおそれもあるから、大作業はしにくいので、そうしない範囲で、何らかの水資源公団の将来のあり方について結論を出そうという考えでもあるんじゃないか、こういうふうに思いますので聞いたのですけれども、くるくると同じところを回るようでありますから、あまりくどく聞きませんけれども、大きな問題には違いありません。とてもたいへんでございます。この中央の総合開発庁をつくるということは、もうたいへんな決意が要ると思います。ことに答申内容を見てみますと、全国の総合開発計画の企画、立案、関連する地方開発計画調整から承認、指導、助言並びに総合、調整を所掌するところの機関として、企画庁の総合開発局、水資源局、北海道開発庁、首都圏整備委員会、近畿圏整備本部などを統合して総合開発庁を内閣府の外局として発足すべしというような、相当思い切った大胆な総合開発庁の打ち出し方でありますので、ここまでなかなかいかないということになるらしいのが、いまの大臣の御答弁というふうに思うのですが、そうすると、水資源開発公団も中途はんぱになりはしないか。愛知用水公団もこれまた前途どうなるかわからないというふうに、何か心細くなるのです。私の受ける印象ですがね。これは御意見としてどうでしょうね。こういう問い方はどうかと思いますけれども……。
  37. 松平勇雄

    松平国務大臣 私から申し上げる必要もないと思いますが、水資源開発というのは、たとえば農業用水の問題では農業関係の問題、あるいは電気発電用の用水の問題とか、あるいはまた治水の問題とか、それぞれいろいろ複雑な問題を含んでおるわけでございます。同時にまた、一つの県あるいは数県ではなしに、非常に多県にわたっておる広域な問題を含んでおるわけでございます。したがって、こういった水資源開発というものは、現在の段階におきましては、水資源公団のようなものでやっていただくほうがいい、さらにそれをもうちょっと、やはり臨調答申にあるように強力なものにして、総合開発庁という問題は先にはございますけれども、それにいく前には、公団をもう少し強力にして、でき得れば自主性を持たせてやっていくようにしていくのがいいのではないか、というような考えを私は持っておるのでございます。それはもちろん監督官庁との連絡は非常に密にし、またその指示を受けてやっていかなければなりませんが、ある程度の自主性も持たせて開発していくというようにしたほうがいいのではないか、というような考え方を持っておりますが、しかしこれはただいま私見のようなものでも述べてみろというお話で、申し上げたわけでありまして、正式の結論といたしましては、たびたび申し上げますように、ただいまやっておりまする水資源の監察の結果によりまして、公式に行管庁としての考え方を発表いたしたいというふうに考えております。
  38. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 監理委員会のほうでは、そこまで踏み込んだ調査もしくは討議の話題にはまだなっておらぬのですか。
  39. 松平勇雄

    松平国務大臣 まだなっておりません。
  40. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと大臣、すみませんが、もうしばらくお待ちくださいませんか。——水資源公団自体の検討の前に、順序を転倒してたいへん悪いのでありますが、大臣とも関連がありますので聞かせてもらいたいのですが、企画庁に伺いたいのですけれども総合開発庁につきまして、これは将来の非常に大きな問題と私も考えるのですが、企画庁の行政監理局に対する四十年の回答によりますと、ただいまの総合開発庁の新設は反対、ただし、開発計画とか経済計画の総合性を確保するために、総合開発庁ではなしに、総合開発庁を企画庁の外局とするということが必要があるというようなことも他面お述べになって、それは妥当である、また水資源開発の保全については、企画庁の外局としての総合開発庁所管とするというのは妥当であるというような、こういう理由づけがあるのでございますが、どうもはっきりしたようではっきりしない。反対か賛成かどうもはっきりしないのでございますが、これは大体どういうような考え方か、企画庁としてまとまった方向になっておるのでしょうか。これはやはり水資源開発事業として、また水資源開発公団の将来を決定する上におきまして非常に重要な問題で、企画庁といたしましても、基本的に、これらの問題について相当はっきりした態度を持っておらねばならぬと思うのですが、はっきりしたようでしないように感じるのですが、これはどういうものなんですか。どういう御意向が真相なんでしょうね。
  41. 松本茂

    松本政府委員 臨調答申がございましたときの本件に対します経済企画庁考え方は、総合開発庁が設置されるといたしますならば、この総合開発庁というものは、経済計画と表裏一体をなす非常に重要な意味合いを持っておりますし、経済企画庁そのものの仕事と非常に関係が深い役所になりますので、これは経済企画庁の対局として、経済企画庁の中に置く、こういうふうにする必要がある、そういうふうに総合開発庁が置かれ、これが経済企画庁外局として置かれるならば、水資源開発公団監督は、すなわち主務大臣はこの総合開発庁とすべきである、こういうのが企画庁の意見でございます。
  42. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この問題について、水資源開発公団に伺いたいのでありますが、やはり水資源開発事業が、国土開発を基本にいたしまして非常に重大であり、今後もますます重要性が増しておるように思いますが、そこで公団といたしましては、公団のあり方を、臨調答申の線でいくのがいいのかどうかについて、ひとつ率直なところをお述べ願えませんでしょうか。
  43. 柴田達夫

    柴田参考人 私どもから臨調の御勧告について公式に意見を述べることは僭越だと思いますが、先生からいま率直に意見を述べよというお話でございますので、先ほど勝澤委員にもお答えを申し上げました。多少重複いたしますけれども、申し上げます。  水資源開発仕事が、先生お話しのように、非常に総合的に、国土開発地域開発あるいは地域総合行政という点から非常に大事な仕事であるということは、私どもまず認識いたしてやっております。それで、大体三十六年にこの法律体系あるいは水資源開発の方式と申しますか、現在のように水資源開発促進法水資源開発公団法、この二つができました。それから、臨調勧告にもございますように、水に関するたくさんの関係行政庁、ことに主務大臣としては、建設、農林、厚生、通産の四大臣、この四大臣の水に関する権限総合調整して、かつ話し合いの場と申しますか、水資源開発審議会を設け、基本計画閣議決定し実施をする機関の公団監督というか、一般的な世話をやいていただく庶務的な役割りをしていただく役割りが、総理大臣のもとに経済企画庁、がございますが、こういうことで、いまの体制は水に関係のある主務官庁がみんな一緒になって力を合わせて、前向きにこの開発仕事をしていくという仕組みが、三十六年の法律で、三十七年にでき上がったと私ども思っております。これに基づいて、私どもはこの現行水資源開発の総合的な仕組みというもののその総合的な力を重視いたしまして、企画庁もまたこの総合調整によくあたっていただきまして、それ以前に比べますれば非常な前進が見られるように——ども公団立場からそういうことを申しますのは手前みそで、まことに恐縮に存じますけれども、大体段階を分けまして、各省がばらばらに仕事をやっていた時代、こういう仕組みのなかった時代と、こういう仕組みができて総合的に各省が力を合わせて総合計画を立て、公団を共同の力で監督して実施させていくという仕組みになってからとは、非常な前進が見られるように、私ども考えております。したがいまして、段階は、先ほど来先生のお話が出ておりますが、三段階あると思うのでございまして、各省なり一つのものがばらばらで、一地域だけで仕事をやっていくというような段階、あるいは一省だけで仕事をやっていたような、過去の三十六年以前の段階と、三十七年以後、促進法公団法のもとに各省なり各地域が協力をして、全国的に新しいシステムで総合的に仕事をやっておる、いまの私ども公団が実施機関として責任を持っております段階、それから臨調の御答申は、そういうことからさらに、いまお話がございましたように、この国の行政機構のほうが幾つにも分かれているというようなことにも着眼されまして、あるいはその水の権利と申しますか、そういうものの調整というものが大事であるということに着目されて、さらに一歩前進をして、行政機構の面も強化していくべきだという御勧告をなさっているものと考えるのでございます。したがいまして、お話が出ました愛知用水公団の善後処理の問題は、第一段階と第二段階の間にある問題である。それから、水資源開発公団と国土総合開発庁関係も、現状よりもさらに行政機構の面を加えて、広範な意味においてこれを強化していくのだという段階の問題であると思いますので、必ずしも、次元が同じ問題とは私ども考えておりません。  それから、現在、水資源開発の第二段階と申しますか、現在の段階がはなはだ欠陥が多いものであるかのように考えられがちなんでございます。しかし、私どもの口から申し上げるのはまことにこれも口はばったいので、僭越でございますけれども意見を申せということでありますし、また私ども自分の仕事を、やっていることを率直に知っていただきたい気持ちを持っておりますので申し上げますが、従来に比べて、この開発方式を生み出した以上は、これを強化して、これを強力に進めていただきたいのでございます。これで実績を、五年間やってまいりましたけれども、これをさらに強化していただくのはけっこうでございますが、これがたいへん多元的な監督を受けてばらばらだから能率があがっておらぬ、公団は寄り合い世帯だからうまくいってないのじゃないかというようにとかく見られがちでありますが、私どもに関する限りは、そういう複雑な点やそういうふうになりがちな点もないとはもちろん申せませんでしょうけれども、極力この制度の総合的な効率性ということに着目いたしまして、政府各省公団一体になってみんな力を合わせて水資源開発をやっていくという方式を、せっかくいま努力しておるわけであります。したがいまして、この臨調の御勧告は、現在の公団方式に対して、さらに行政機構を含めてこれを激励する意味において、さらに強化する意味において、一段と高い立場で御勧告になっているものと考えておりますので、その方向につきましては、まことにありがたい御勧告であると考えておりますが、この総合開発庁内容あるいはその進め方等につきましては、私どもは詳細わかりませんので、政府のほうが、ほんとうに公団がより一そう能率をあげるように強化していただきますならばまことにありがたいことである、かように考えております。
  44. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 水資源開発公団のほうにおきましては、愛知用水の少なくとも残務的な一部を、いまの臨調勧告にありますような、そういう趣旨におきまして受け入れる。たとえば借り入れ金の償還は水資源公団に吸収してはどうかという、非常に具体的な提案がなされておるのですが、たとえばこういうことも、公社公団の全体のあるべき姿につきまして、たまたま非常に問題視されるに至ったのでございますので、この機会に、そのような問題が起こりましたのについて、さらに水資源公団といたしましては、吸収することが妥当であろうか、あるいはこのままさらに存続せしめていくのが妥当であろうかという辺につきましては、どういうふうにお考えになりましょうか。受けてよいというようなことになるでしょうか。そうではないほうが適当だというふうにおなりになりましょうか。私はやはり水資源公団というものが、水資源開発について非常に広範な、一つの企業的な国策的な仕事をやっておられる観点からいたしまして、いまのような課題に対しましても、これを受け入れるということも妥当でないかというふうにも一応考えるのですが、非常に具体的になるのですが、どうでございましょうか。
  45. 柴田達夫

    柴田参考人 ただいまの愛知用水公団水資源開発公団の将来の関係というようなことにつきましては、本来全くこれは政府が御決定になる事柄でございます。ことに私どもといたしましては、愛知用水公団も過去におきましてりっぱに役割りをなすっていらっしゃるのであると思いますので、そういう意味におきまして、私どもの口から軽々しく意見を申し上げることはなるべく差し控えたい気持ちを持っております。しかし、少なくとも申し上げられるだけのことを申し上げたいと存じますが、借り入れ金の償還業務あるいは維持管理業務、これは臨調によれば、公共団体へと書いてございますがそういうような事柄につきまして、政府結論が出て御命令があれば、私ども公団のほうは、それぞれ関係官庁の御理解に基づきまして、処置がとられるならば、喜んでお引き受けする気持ちを持っております。それから、もしそういう結論が出て、そういう決定が下されるならば、いろいろと言われております中部圏の地域につきましての、従来の愛知用水公団の商い技術水準、あるいは土地の事情に精通しているというような面につきましては、水資源公団の中におきまして、これらの方たちが十二分に力を発揮していただく、実際申しまして、地元が少しもお困りにならないような方法を講ぜられるように政府が御尽力くださいますならば、私どもは、命令次第それは可能なことであり、また全国的な水資源開発公団として、当然にその重要水系である木曾川水系におきまして、従来の実績も尊重しつつ、職責を全うしなければならないと考ております。私どもがお願いいたしておりますのは、その点につきましては、もう政府の御結論、御命令いかんによることでございまして私どもからかれこれ言うことではございませんが、水資源公団としては、木曾川におきます今後の総合的な事業は、当然水資源開発公団事業主体として、政府が御計画を御決定くださいますようにお願いをしていることでございます。愛知用水公団のほうも、従来の愛知用水事業、豊川用水事業が終了するまでは、これは非常に重要な仕事であったわけでございます。その残務の問題は、政府の御決定のいかんによることであると思いますが、今後新しく木曾川について総合的な事業をお進めになるにつきましては、木曾川水系だけをその水資源公団がやらない、あるいは各水系ごとに公団ができるというようなことは、私ども公団をつくって、これを強化して、これを育てていくという見地からも、非常に変則的なことであると考えますので、総合的に各水系について、私ども公団事業主体として今後進めていただきますように、政府にお願い申し上げておる次第でございます。
  46. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから、さらに新しく公害対策に関する立法もできる段階に来ておるらしいのですが、水資源公団といたしましては、水の積極的な水系利用、活用ということのほかに、消極的なそういう公害的なものを避けるという方面の計画が新たに付加され、織り込んでいくべきものというようなお考えはございますまいか。これは基本計画に基づくものでございますけれども、今後の水の利用のしかたにおいて、新たに発生してきた一種の行政需要のように思いますので、これは立法化その他いろいろな要請もあるおりからでありますから、一応聞いておきたいのです。
  47. 柴田達夫

    柴田参考人 現在水資源開発公団制度の中におきまして、いまお尋ねがございましたようなもろもろの点につきまして、先ほどお話がありましたような根本的なことは別といたしまして、将来さらに研究をして、政府にお願いしていきたいというようなことは、若干あるわけでございまして、調査の問題でございますとか、いろいろございますけれども公団業務範囲につきまして、いまお尋ねがありましたようなこと、ことに水資源でございます。水資源は量だけの問題ではなくて、内容の水質のよい水を供給しなければ意味がないわけでございます。幾ら開発いたしましても、それが上流で汚濁されてしまったのでは何にもなりませんので、水質の改善に関するような事業公団事業に加えていただく必要があるかどうかということは、研究課題として、関係省とも非公式にお話が出ております。しかし現段階でもできないわけではございませんので、公団はすべて本来の業務以外を委託事業としてやっているわけでございまして、現に利根川関係の隅田川の浄化事業を、建設省から委託を受けまして、水質汚濁防止という立場の治水事業のお金を公団が委託を受けまして、例の水飢謹のとき以来、東京都へ水を送水すると同時に、余剰水を隅田川の上流の新河岸川に現在までに六億何千万トン浄化用水を供給する、これは水質の面と申しますか、明らかに公害防止上の、お話のような立場におきまして、委託事業として実施して、もちろん下水道の整備と相待ちまして、この浄化事業が隅田川の浄化には役立っている。今後そのようなことにつきまして、公団としてはさらに業務範囲を正式に広げていただくことができるかどうかも検討はいたしております。なお水資源局におかれまして、水質の問題はあわせて御所管になっている関係がございますので、政府としては十分承知いたしておりません。
  48. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 経済企画庁松本水資源局長に伺っておきますが、水資源開発の対象はやはり河川のようでございますが、水系は川が終わって海になるという、この海にそそぐあたりですね。そのそそぐあたりまでさらに拡大といいまするか、包括して対象にするということになり得るものでしょうか、あるいは水資源開発促進法趣旨はそこまでいかぬのですか。言いかえると、海に注ぐようなあたりまで、この水系はいっているものなんでしょうか。その辺はどうなんでしょうか、ちょっと伺っておきます。
  49. 松本茂

    松本政府委員 水資源開発促進法の第一条に目的が書いてございますが、「河川水系における水資源の総合的な開発及び利用合理化の促進を図り、」こういうふうにありまして、やはり河川というものを対象にいたしておるわけでございます。しかしながら、現在もうすでに印旛沼というところの開発をいたしておりますし、また今後琵琶湖の開発でありますとか、霞ケ浦の開発でありますとか、そういうふうな湖沼につきましても、もちろんそれは現在でもすでに対象にいたしております。また今後もそういうところについてやっていかなければならないと思います。また、海に注ぐごく近くのところにつきましては、現在すでに利根川におきまして河口ぜきをやっておりますし、また長良川におきましても今後河口ぜきを建設していきたい、こういうことになっております。現在まだいたしておりませんが、河口にごく近いところで河口湖をつくりまして、そこに水をためるというようなことも将来起こってくるかと思いますが、これもやはり「河川水系における水資源の総合的な開発」ということに関連のあることでございますので、それも対象になろう、そういうふうに思います。ただすっかり海になってしまったというその海につきましては、これはこの法律の規定からいきまして対象外であろう、こういうふうに考えます。
  50. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私、残余の質問は保留させていただきまして、きょうはこの程度で終わります。
  51. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 中村重光君。
  52. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは、長官に二、三お尋ねします。何か内閣委員会のほうから呼ばれているそうですから、簡単にお尋ねしますが、昨日来、各委員から公社公団特殊法人の整理統合の問題と申しますか、いろいろ質疑がかわされております。大臣としても臨調答申を尊重して、できるだけその答申の実行をしなければならないという考え方はよくわかったんですが、どうも私どもが見てみると、まあ百八の中で十八の公団あるいは事業団を整理統合しなければならないという強い指摘がなされている。ところが相当な期間経過しているにかかわらず、実効はあがっていない。にもかかわらず、今度また政府は七つの公団であるとか事業団を新設しようとしている。どうも国民の受ける印象としても、大体何を政府考えているのか、まして行政管理庁はそうした整理もやらない、ましてや新しい公団事業団を新設するというのに対して、これを認めるというような態度をとっているのはおかしいじゃないか、率直に私はそういう感じを持っているだろうと思うわけです。まあ整理統合の問題に対しましては、各委員質疑に対して、長官のお答えがあったわけですが、そのお答えの中からも、私がどうも納得のいかないのは、公団とかあるいは事業団の定義というものに対しても明確にお答えができないのですね。長官は、事務当局と話し合いをなさって、公団というのは国がやることをかわってやるのだ、事業団というものはその他のものだというような、きわめてあいまいな御答弁をなさったんですよ。公団であるとか事業団であるとか、そういう特殊法人の性格というもの、定義というものまではっきり把握しないでおいて、整理統合なんということができようはずがないと私は思う。大体何をお考えになっておられるであろうかと思って、私は質疑応答を聞いておりまして、全く不可解に思ったんです。大体長官はそうした点についてどんなにお考えになっていらっしゃるか、ほんとうにやる気があるんですか、まず、その点をひとつお答え願いたい。
  53. 松平勇雄

    松平国務大臣 御指摘のとおり、特殊法人の中には、公団とか事業団あるいは公庫、金庫それからその他いろいろな、はなはだしいのに至っては株式会社というのまでございます。実はこの定義と申しますか、率直に申しまして、現在はっきりした定義がないわけでございます。そこでやはり特殊法人の個々の検討のほかに、そういった基本的な問題を片づけていかなければ、仰せのとおり、はっきりしたものが出ないのじゃないかということで、行管といたしましては、これをひとつ検討しようということで、まことにおそいのでございますけれども、これから検討に入ろうということになっております。
  54. 中村重光

    ○中村(重)委員 これから検討に入るというようなことでは、第一話になりませんよ。行管としては、公団とかあるいは事業団を新設するということは反対であるということを声明しているんですね。にもかかわらず、今度また七つを新設するということに対して、大臣閣議決定にみずから参加なさったんだから、長官自体がこれを認めたということになるんですね。そういうことではしょうがないじゃありませんか。それと、定義はいろいろある、明確なものはないとおっしゃるが、公団というものは、国がやることをかわってやる、事業団はその他のものを言うのだというような、昨日の吉田委員の質問に対する御答弁、そういう答弁でよろしいですか。公団は国がやることをかわってやる、事業団はその他のものだとは何ということですか。特殊法人ですよ、事業団も。その他のものというのは何をやるというのですか、どうですか。
  55. 大国彰

    ○大国政府委員 御説明申し上げます。  御承知のように、特殊法人と申しますのは、まだ行政法上の概念も実ははっきりしていないわけでございます。去る三十九年に行管設置法が改正されまして、法律により設立された法人並びに法律により特別の設立行為によってつくられました法人等についての審査を、行管が行なうという権限を与えられました。それ以後、いわゆる特殊法人ということばが出てきたわけでございます。したがって、現実に百八ございます現在の特殊法人も、その設立は非常に古い歴史のものもございますし、また戦後いろいろな個々の必要性に基づきましてできたものもございまして、統一的な特殊法人という概念のもとにつくられたものではなかったわけでございます。したがいまして、先ほど御指摘のように、公団と申しましても、その公団内容にはいろいろ性格の違ったものも入っております。事業団しかり、またその他振興会、いろいろな名称がございますが、必ずしも名称そのものについても統一したものがないわけでございます。こういうことでは、やはり私どもといたしましても、審査の方針が立てられませんので、現在、先ほど長官が申されましたように、いわゆる特殊法人とは何か、どういうものをもって政府のかわりの仕事をする特殊法人にすべきかという点につきまして、いろいろ検討、研究をしておるわけでございます。公団事業団、そういった明確な定義まではまだ至っていないわけでございます。
  56. 中村重光

    ○中村(重)委員 そういう答弁では、大臣が昨日一つの整理統合の方針としてお答えになった、もう大体設立の目的が終わったものであるとか、あるいは大体似通ったものであるとか、あるいは能率があがっていないものとか、いろいろなことをおあげになったのです。しかし、公団というものは大体どういうことをやるのだ、事業団はどのような性格であって、その事業も独立採算でやるとか、あるいはそうでないとか、いろいろな違いが、公団事業団というものでは、あるだろうと私は思うのです。特殊法人というものの定義はいろいろむずかしい点があるにしても、公団事業団の違い、あるいは公社というもののそれぞれの違いがあるだろう。またそれによって運営もなされていくのでなければ、国の財政というものを効率的に使っていく、能率をあげていくという設立の目的を達成することはできないのではないか、私はそう思うのです。だからいまあなたのお答えになったような、そういう抽象的な定義の問題ということよりも、これを整理統合するということについては、具体的なことが把握されなければならないのだから、もっと公団はこうなんだ、事業団はこういう性格なんだ、そして運営の一つの方法というものはこういう形でやっていくんだということ、そういう具体的なお答えができるのでなければ、整理統合を強力に推進するということにはならないんじゃないか、私はそう思います。その点はどのようにお考えになりますか。
  57. 大国彰

    ○大国政府委員 御指摘もございましたように、実は公団事業団等の定義につきまして、はっきりしたものがないわけでございます。ただ、私ども考えておりますのは、公団と申しますのは、主として公共事業建設し、その建設しました施設を維持管理するというものを公団と言うのではないかというふうに思うわけでございますが、現在ございます公団の中には、必ずしもそういった公共事業を実際に行なっていないものも、すでに公団という名前で発足いたしておるわけでありまして、そういう点で、私ども定義つけに非常に苦労しておるわけです。
  58. 中村重光

    ○中村(重)委員 私が持っている資料を見ると、公団は主として公共事業を対象とする、そうしでこれは独立採算でやる。ところが事業団というのは、公団よりも企業性が稀薄であり、独立採算制を保持することは本来期待されないという点にある、こういうのがある。また事業団というものは大体どういうものが事業団で、実際の運営はどういう形でなされているということを、あなたのほうでつかんでおられなければならないですね。それをつかんで初めて、これは整理しなければならない、統合しなければならない、また新設の場合におきましては、やはりこれはどうしても新設をしなければ、国策を強力に進めていく上において、これは適当なんじゃないかという考え方というものが出てこなければならない。その上に立って初めて、新設の可否というものも私はきまってくるのではないかと思う。いまのような、長官なりあるいは局長のあいまいな答弁ですから、ここに七つの公団事業団を認める結果になったのではないか、私はこう思います。臨調答申というものを強力に実行するように推進していかなければならぬという立場に立っておる行管としては、今度の新設を認めたということに対してはきわめて重大な問題であると私は思うのです。これから、それぞれの委員会において審議されて、これを政府考え方のとおり認めるかどうかということがきまっていくわけですが、長官として、七つの公団あるいは事業団を認めるということに賛成をしたという責任ある立場に立って、臨調の、整理統合というようなことを推進するあなたの責任ある立場の上に立って、今度七つの公団あるいは事業団をお認めになった、その考え方ですね。その点を一応お聞かせ願いたいと思うのです。
  59. 松平勇雄

    松平国務大臣 御指摘のとおり、昭和四十二年度におきましては七つの公団を新設いたしました。同時に三つの既設の公団を、特殊法人を整理統合して、純増は四つというふうになっておりますが、特殊法人につきましては、新設は厳に抑制する方針で臨んだのでございますが、真にやむを得ない行政需要に即したものについて、ただいまの御指摘のような新公団を認めたわけでございます。しかしあくまでも私どもといたしましては、臨調答申もございますので、特殊法人をふやすということに対しましては、これを強く抑制するように努力いたしております。しかし世の中の進展に伴いまして、これに応じた行政需要も出てまいりますので、臨調といたしましては、そういった社会情勢の変化によっては、必ずしも絶対にふやしてはいけないというふうな趣旨でもないのでありまして、しかしながらその場合においては、やはり既設の不必要な特殊法人があるわけだから、それを整理して、そして必要なものは認めてもいいというふうな趣旨もございますので、私どもといたしましては、今日までとってまいりました方針といたしましては、一つつくるなら一つ減らして、そうしていわゆるスクラップ・アンド・ビルドの方針でやるということで、今日までやってまいったのでございますが、この方針は実際に即していない点もございまして、そういったスクラップにするような特殊法人を持っているところは、そういった新しい行政需要に応じて新しいものをつくることができまするけれども、持っていないところはできないというような欠陥もございまして、かたがた私どもといたしましては、新しいものと古いものとの相互関係を断ち切りまして、そうして新しい必要なものは、ただいま申しましたように、どうしてもしかたがないものは新設いたしますが、一方それと別に、既設のもので、すでに先ほどお話がございましたように、あの四項目にあてはまっておるものに対しましては、再編成あるいは整理統合を行なうという方針で、強力に進めてまいりたいというふうに考えております。
  60. 中村重光

    ○中村(重)委員 私も先ほど考え方を申し上げたのですが、絶対につくってはいけないとは言わないのです。それはどうしてもつくらなければならぬものもあるでしょう。私はそれを否定するものではないのです。しかしいまあなたがお答えになったように、スクラップ・アンド・ビルドの方針でいかなければならない。だから整理するものは整理していくのだ、統合するものは統合していくのだ、真にやむを得ないものはそれは認めていく、そういう態度は私は肯定するのであります。あなたのお答えを聞いておって、答弁としてはわかるのですよ。しかし、あなたの考え方がすなわちことばという形で出たのでしょうけれども現実にはそういうことになっていないではないかと言うのです。幾らいま整理なさいましたか、今度七つ公団事業団ができますが、整理なさったのと今度新設されるというものは、数の上からいっても問題にならないでしょう。スクラップ・アンド・ビルドじゃございません。そしてあなたはいま真に必要あるものとおっしゃいました。それでは今度公団事業団というもので真に必要あるものというふうに考えられるものが幾つあるのですか。あなたはほかの閣僚よりもっとこの新設に対しては強い関心をお払いにならなければならない。またそういうことで対処されたであろうと私は思う。たとえば、いま石田輸銀総裁がお見えになっていらっしゃいますが、先日までは国民公庫の総裁であられた。環衛公庫を今度おつくりになろうとするのです。いままでは公庫をおつくりにならなくて、特別の融資ワクというものを二百億国民公庫が管理して貸し付けをしておった。今度百億ふえて三百億ということになって公庫ができたのですが、この公庫は、いままでの二百億の公庫の中の特別ワクによって融資をしておったこととどれほど実態が変わるか。少しも変わらないじゃないですか。整理統合の方針は、明らかに似通ったものはこれを整理し統合しなければならぬということにあるのですよ。あなたはそれを責任を持って推進していらっしゃるのですよ。ところが、この環衛公庫の問題は、行管公団とか事業団の新設には強く反対をしておる、したがって厚生省としても、その行管方針に沿わなければならぬというので、前の年は強く公庫の新設に対して努力をしてまいったのでありますけれども、今度は出さなかった。あなたのほうの方針臨調答申を尊重していかなければならぬというあなたのほうの強い態度、それに対して厚生省はこたえたのですよ。ところが、ひょうたんからこまが出たように、予算編成の最終段階になって、公庫をつくるということに方針がきまったのですね。ところがどうです、実態は。あなたはおわかりになっていらっしゃるかどうか知らないのですけれども、環衛公庫は五十名の陣容でもって本部をつくろうというのですよ。それから先は一切いままでと同じように、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫あるいは商工中金にこれを委託をして貸し付けをしてやるのですよ。ただ五十名の人員を擁して本部をつくったというだけのことです。何が変わりますか。内容的に変わらないじゃありませんか。五十名なんというようなたくさんの人員を本部という形で準備をして、理事長というのか総裁というのか知りませんが、総裁とかあるいは副総裁とか、そういうものをつくって、そして多額の人件費を、あるいはその他の運営上の事業費を要してくるということになる。真にやむを得ないものということには、私はならないと思う。しかしこのことに対しましては、それぞれ担当委員会において内容的には議論されるでありましょうから、あえて私は、一問一答という形で環衛公庫の内容に対して、あなたと質疑をかわそうとは考えておりません。しかし少なくともあなたは、この環衛公庫その他の公団あるいは事業団をつくることに賛成をしたということに対しては、内心じくじたるものがあるのではないかと私は思う。もっとあなたは強い態度を持って、ともかく臨調答申を尊重していかなければならぬというその姿勢の上に立って、初めて行管の全体の人たちがあなたと一体となってこれを推進していくということになるのじゃないか。私は、もっと長官としての責任を十二分に認識した態度というものが望ましい、それが国民の期待にこたえるゆえんであると思うのでありますが、いま一度、あなたの考え方を聞かしてもらいたいと思う。
  61. 松平勇雄

    松平国務大臣 行政の改革の問題は、佐藤内閣におきましても重大施策の一つに掲げておりまして、何といたしましても、強力にこれを推し進めるという決意がございます。私といたしましても、ただいま先生のおっしゃった御意見を十分に体しまして、強力にこの行革の問題に対しまして心血を注いでやっていきたいと考えておりますす。
  62. 中村重光

    ○中村(重)委員 まだいろいろと突っ込んでお尋ねしたいことが多いのでございますけれども、しばらく長官にお尋ねしたいことがあるからということで、内閣委員会のほうにお願いをした立場もありますから、あと一、二点だけお尋ねをいたしますが、この国のやり方というものが、地方にずっと影響してきているのでね。株式会社というものを公社ということで運営しているところがあります。公社とは何ぞや。それは民間会社じゃないのです。県が出資をする、そして性格は株式会社だ、それを公社という形でやっております。国の場合は、公社というのは全額国庫の出資という形になっていて、はっきりしていますね。もちろん株式会社ではございません。ところが、民間も出資する、都道府県もこれに対して出資をする、そして株式会社の営利事業を行なう、それを公社という形で運営をする、こういうことが許されていいのかどうか、問題があると思うのです。やはりこれらの点に対しても、行管としてきちっとした態度をお出しになっていないというところに、いろんな混乱というものが出てくるのであろうと思うのです。具体的に申し上げてもよろしいのですが、時間がございませんから触れませんけれども、こういう点に対してどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  63. 大国彰

    ○大国政府委員 ただいまの御質問でございますが、地方におきます公社ということにつきましては、私ども行政管理庁といたしましては、国の組織だけを管掌しておりまして、私どもの全然管轄外でございますから、さようにひとつ御了承願います。
  64. 中村重光

    ○中村(重)委員 私はそういうお答えを聞こうとは思わなかったですね。なるほど、それは地方自治体がやるのだから、直接の担当の省は自治省ということになりましょう。しかし少なくとも国において、どういうやり方をやっているのか、むだはないのか、それから地方自治体、公共団体、これに対してあなたのほうは関心を持っていろいろと——それは自治省が監督の省でございますが、その自治省とそれらの点に対して相当検討していくということはあってしかるべきだと私は思う。だから私は、都道府県がそういう株式会社を公社にしているということについて、あなたのほうでなぜこれを許したかというので、責任追及をやっているのじゃ決してないのです。地方自治体がそういうことをやっておるのだが、そういうことが望ましいとお考えになられるのかどうか、これらの点に対して検討されたことがあるのかどうか、ということをお尋ねするわけですから、自分のほうは国だけをやっているのだからそれは関係ないのだ、そういう答弁を私は聞こうとは思わなかった。国であろうとも地方自治体がやっておることであろうとも、やはりあなたのほうでは十分な関心を持って、いろいろと検討していく、そういうことが望ましいのではないかと思いますが、そうはお考えになりませんか。
  65. 大国彰

    ○大国政府委員 地方におきます公社につきまして、もちろん関心と申しますか、そのことは承知しておるのでございますが、行政管理庁の職務といたしましては、先ほど申し上げましたように、国の行政組織並びに行政機関の業務運営ということに限られておりまして、地方自治体につきましては、国の事務の委任またはその補助にかかわる業務しか、私ども、自治の本旨にのっとりまして、タッチできないことになっておるわけでございまして、そういうような状態でありまして、国の業務関係する面におきまして、もし現実に府県のほうに公社という形での業務が行なわれておりました場合には、私ども所管と申しますか、調査権限を一これも調査権限しかないわけでございますが、調査ができるわけでございまして、そういう意味で、もちろん関心と申しますか、大きな意味で、私ども注意しなければならないというふうには思っておりますけれども、直接これにつきましての監督権もございませんし、これを調査するという権限さえないわけでございます。その点、ひとつ御了承を願いたいと思います。
  66. 中村重光

    ○中村(重)委員 権限の問題はわかっているんです。わかっているんですが、こういうようなこともあるのだ、したがって、やはり行管としては、そういう地方自治体なんかがどういうことをやっておるのかということに対しましても、研究をしておられてもいいのではないか、こう私は思ったから、お尋ねをしたわけです。しかし、あなたのほうでそういう調査も研究も何もやっていないんだ、全く無関心でおられるのだということになってくると、これは何をか言わんやということになる。しかしたいへんお忙しいことで、地方のことまで手が回らぬ、こうおっしゃるなら——決して皮肉を言っているわけではないのです。それほどあなたのほうで国の問題に対して熱意を持って積極的な取り組みをしておるというようなことでありますと、もう少し実効があがるような取り組みをされなければいかぬと思うのです。昨日の長官の答弁に対して、いろいろと補佐しておられたですけれども、もう少し補佐の責任というものを誤らないようにしていただかなければならぬと私は思います。  そこでお尋ねいたしますが、地方自治体のいろいろな補助事業等に対して、過大な負担をさせておるということに対しての関心もございませんか。そういうことに対してはどうですか。
  67. 稲木進

    ○稲木政府委員 国から出ている補助金等に関連して、地方公共団体の負担が重過ぎるというお話ですが、われわれはそういう点につきまして、その負担が法令に定められた基準以上に過重な負担になっておるということがあれば、これは何とか是正をしてもらいたいというふうに考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、私どものほうでは、国から出ている補助金の関連につきまして、過去何回かその実情調査もいたしました。その結果、いまおっしゃったような趣旨で、地方公共団体が法令にきめられた以上の負担になっておるものにつきましては、補助金の是正という問題で、それぞれの関係の省庁に勧告をいたしております。この問題につきましては、非常に関心を持っておるわけであります。
  68. 中村重光

    ○中村(重)委員 考え方はわかります。たとえば、建設省なら建設省が、道路あるいは港湾の補助事業——公共事業になるわけですから、これは補助事業ですね。この施行を地方自治体が事業主体としてやる。それにはきまった補助率というのがある。ところが、補助事業でありますから、補助金の交付というのは、事業の進捗状態を見て補助金を交付するということになる。そのための主管省としての現場の監査というものが行なわれてきますね。また、それだけじゃなくて、工事内容についての第一次的な検査というものを行なっている。この工事が終わった、そこへ今度は会計検査院が検査をやる。そして堤防の工事なら堤防の工事、その他のところでも、個所はどこでもいいわけですが、検査する。ところが鉄筋の入り方が少なかった、あるいはセメントの配合率が仕様書と違っている。予算のとおりに施行されておらないということで、手直し工事をやらせるということがある。一千万円かかった工事の手直しに、一千万円あるいは一千二百万円かかったということもある。そういう場合、全額地方自治体が負担をしてやらなければならぬということになる。ところが、第一次監査というものをそれぞれの主管省がやっておる。よろしいということで、これを実質的に認めたということになります。ところが、それが終わって、今度会計検査院が行って検査した結果、これはよくないのだということでやりかえさせたという場合、地方自治体では全額これを負担しなければなりませんが、第一次監査の責任というものはあるのかないのか、ないのだったら、単にこれは補助金を交付するための書類監査ということだけでとどめるべきであって、現場の監査等をやって、そして地方自治体はそれによって安心をしておるわけですね。セメントの配合率にいたしましても、あるいは鉄筋の本数が不足したというようなこと等も、悪意でいわゆる手抜きをやったということばかりではないであろう、善意の過失というものも私はあるであろうと思う。ところが、会計検査院の検査の結果によっては、これは手直し工事でありますから、たいへんな金がかかるということは常識的に判断できるわけですね。いまあなたから、補助率がそのとおりに行なわれていないということであれば、ということでお答えがあったわけですが、それとは違いますけれども、やはり第一次監査の責任というものだけは明確にしておかなければならぬと私は思う。やりかえをさせた場合、やはり第一次の監査の責任を負うならば、その補助金に対しては、手直し工事といえども、これを地方自治体に交付していくというやり方でなければ公平ではないのではないか、このように私は考えるのでございますが、それらの点に対してどのようにお考えになりますか。大臣のお考え方も、基本的なこととして、お聞かせ願いたいと思う。
  69. 稲木進

    ○稲木政府委員 いまお話しのような例につきましては、私直接聞いておりませんのでわかりませんが、問題は、工事の途中において主管省が監査をした、ところがその監査の際においては、その工事のやり方その他についてこれでよろしいというようなことで進めていった、ところが、そのとおりに事業主体がその後も引き続いてやったのだけれども、なおかつ欠陥として、検査院の検査の際に、いけないというようなことになった場合の問題としましては、これは法律論としてはいろいろの問題があろうかと思う。確かに先生のおっしゃるように、主管省が監査というものを中間においてやって、その際に監査の内容が適正でない、十分でなかった、そういうような場合におきましては、この監査をやった官庁側にも、一種の責任問題があるのではないかと私は思います。それはそのあと始末についての費用負担まで及ぶのか、あるいは監査を担当した役人が、その監査のやり方が不適当であったという意味においての個人的な責任ということになりますか、行政上の責任といいますか、そういう問題が起こり得ると思いますが、しかしその結果、手直しのために事業主体がまた非常に金をかけなければならぬという場合の費用負担につきまして、それを国がまた責任を負って分担しなければならないかどうかということにつきましては、私ここでちょっと即答いたしかねます。ですから、問題は中間的に主管省が行なう監査というものが、私ども調査した結果では、比較的十分に行なわれていない。むしろ、補助金の申請が出る、そしてそれに対して補助金の交付決定が行なわれるという場合におきまして、その中間においての監査といいますか指導といいますか、そういうものが一般に不十分であるというような感じがします。その結果、結局でき上がった場合におきまして、いろいろと欠陥があって、そして先生のおっしゃるように、会計検査院等が指摘されるという事案が多いように考えますので、やはりこの考え方からしますれば、もう少し主管省がそういうような中間的な指導監査というものに力を入れてやってもらったらどうか、こういうような考え方を持っております。
  70. 中村重光

    ○中村(重)委員 この問題に対しては、大臣の具体的な答弁を求めるということは若干無理ではないかと思いますから、答弁をあえて求めません。ただ、しかし大臣、この際あなたもよくひとつ聞いておっていただきたいことは、どうも地方自治体に対して過大な負担を、委任事務の中でも強く要求しておるということ。その露骨な例としては、失対事業なんかの場合には非常に多いということです。失対事業というのは、御承知のとおり、これは労賃でもって計算をするわけですが、紹介をやった。ところが雨が降ってきて、二時間か三時間働いて、もうあとの作業は続けられぬぐらいに強い雨である。そこで、もうこれで作業ができないからというので、作業をやめるんですよ。そして、そういうことは、市町村がやります場合は、第一次的には担当都道府県の職安課でございますから、職安課がこれを認めるわけですね。認証するんですよ。そしてその職安課長というのは国のひもつきですから、ある意味においては、国が第一次的にこれを認めたことになる。ところが、今度、会計検査院が検査をやる。雨が何ミリ降っておった——まことにこれは、検査院は非常に真剣にやっているのでございますから、私はあえて検査院を非難するわけではございませんが、何ミリと、この程度の雨では仕事がされたはずだとか、あるいはこんな強い雨の中に仕事がされたはずはない。これに対して賃金を払っておったのはけしからぬじゃないかというので、返還を求めるという事例が非常に多いということです。いまの補助金の問題等、特にこの失対事業というのは国の委任の事業でございますから、もっと行管としてはこれらの点に対しては関心を持って、地方自治体に無理をしいないようなやり方というものを、私は実行せさなければならぬと思う。こういう事例をいろいろお話し申し上げると、大臣も、無理をやっているということにお気づきになると思いますけれども、時間の関係がございますから、いずれまた適当な機会に、これらの問題に対しては、具体的に掘り下げてひとつ申し上げましょうし、お考えを私聞かしていただきたいと思います。  最後にお尋ねいたしますが、あなたのほうに行政監察局というのがあるわけですが、監察をやっておると思いますが、実はこれはどういうような行政効果というものをあげておるのですか。
  71. 稲木進

    ○稲木政府委員 行政監察をやっているが、その効果はどういう効果があがっているかというお尋ねですが、私どもがこの行政監察をやりまして、行政の運営上において欠陥があるという場合におきましては、その欠陥を指摘しまして、関係の省庁に、行政管理庁長官から勧告を出しておるわけでございます。その勧告に基づきまして、各省の側におきまして、できるだけ勧告の線に沿って改善措置をとっていただいておりますけれども、この改善措置は、直ちに手直しのできるものと、相当長期に時間をかけなければならないものとがあるわけであります。具体的に申し上げますと、勧告事項が、法令の改正を要する問題あるいは予算措置をとらなければできないというような問題につきましては、どうしても、勧告しましてからそれが実現するまでには、かなりの長期の年月を要する。しかし、そういう措置をとらなくても改善のできるものにつきましては、比較的短期の間において改善をやってもらっているわけでございます。私どもは、その勧告勧告のしっぱなしにならないようにという意味合いにおきまして、勧告が行なわれてから直ちに、これに対して各省がどういう処置をとろうとしているのか、こういう点についての回答を求めております。その回答の結果は、その後引き続き一年後あるいは二年後において、さらに、その処置が回答どおりにとられているかどうかというようなあと追いといいますか、トレースをやっているわけでありますが、現在までの、過去にやりました監察につきましての、いま申し上げましたような結果の大体の傾向を申し上げますと、勧告しました件数の約八〇%程度は改善をされている、というふうに私どもは判断をしております。もちろん中には、勧告がそのまま一〇〇%実施されているというものと、それから、勧告のうちの一部分的な手直ししか行なわれなかったというものもございますが、大体において、いま申し上げたような結果で、勧告事項の約八〇%は解決されているというふうに受け取っております。それでは残りはどうかということになるわけでございますが、勧告事項につきましては、関係の地方で、勧告の線でやろうと思ったが、いろいろの事情のもとに実現しなかったというものもございますし、これはきわめてまれでありますけれども勧告事項そのものについて、主管省が、どうしてもそのとおりにやることは無理だ、というようなものもございますが、私どもは、勧告がほんとうに主管省において、それぞれの勧告の相手方において、生かされていくようにというようなことで進めてきているつもりでございますし、今後もその方向で努力をしていきたい、かように考えております。
  72. 中村重光

    ○中村(重)委員 いろいろ詳細なお答えがございましたが、私は、行管の監察局のあり方ということについて、具体的な問題をもっていろいろとお尋ねをしたいことがあります。しかし、きょうは時間の関係がございますから、それには触れません。まずあなたのほうは、監察局そのものを俎上に上げなければならぬと思います。みずから範をたれるあなたのほうの出先というものが、最も効率的な運営をしていくというようなことでなければ、他に、能率をあげるようにしろ、あるいはこういうことにはむだがあるからこれは排除しろということをおっしゃっても、何も効果がないだろうと思います。このあなたのお答えからいきますと、きわめて重要な任務を監察局は持っていると考えられるのでありますけれども、監察局のあるのかないのかということすら——あるということを知っているものがどれだけあるだろうか。いま申し上げたことは抽象的なことでございますが、具体的なことはいずれそのときにお尋ねいたします。それでは、行管に対する御質問は保留をいたしまして、きょうはこの程度にとどめます。  石田総裁にお尋ねをいたしますが、四十二年度のあなたのほうの財投の合計は、これは地方公共団体を除いてみますと最高になりますが、二千二百八十億という膨大な数字になるわけであります。これをもってどの程度あなたのほうでは効果ある投資をしておられるのかということになるわけであります。いろいろお尋ねしたいことはあるのですが、いま一時まででやめてもらいたいという連絡がありましたので、時間の関係もありますから、できるだけ御協力申し上げることにいたします。  まず、あなたのほうの融資でございますが、主として長期延べ払いのプラントに対する融資であろうと思う。具体的にお尋ねしたいのですけれども、時間を省略する点から、共産国家に限ってお尋ねしてみたいと思うのです。共産国家に対するプラントの輸出に対して、あなたのほうは、どの国に対するどの程度の輸出に融資をしておるか、まずその点をひとつ伺っていきたい。
  73. 石田正

    ○石田説明員 共産圏諸国に対しまする残高は、本年の一月末現在の数字がありますので、それで申し上げたいと思いますが、総額五百三十一億でございます。そのうち最も大きな融資先といたしましては、ソ連の三百六十一億、これが一番多うございます。その次が中共でございまして、六十一億でございます。その次がブルガリアでございまして、五十一億、それからルーマニアが四十三億、チェコスロバキアが十四億、かような残高に相なっております。
  74. 中村重光

    ○中村(重)委員 この中の中国の六十一億ですが、これはいつごろの融資になりますか。
  75. 石田正

    ○石田説明員 ただいま申し上げました数字は、これは残高でございませんで、こちらのほうは融資承諾のほうの数字になっておりますので、多少残高と食い違っておりますので、その点御了承願いたいと思いますが、三十八年の一月から三月までが四件で、大体十四億五千万、それから三十八年度が四十三件で五十億、それから三十九年度が六十四件で二十五億、四十年度は百十八件で十三億、四十一年度は四月から一月までの数字しかとってございませんけれども、二百八十四件で二十九億、こういうふうなことに相なっております。
  76. 中村重光

    ○中村(重)委員 これは長期延べ払い輸出に対する融資ではなくて、きわめて短期の融資ということになるのではありませんか。
  77. 石田正

    ○石田説明員 まあ長期、短期というのをどこで分けますかという問題がございますけれども、大体お話のように、中共関係におきましては、いわゆるプラント類のような非常に長期を要するというふうなものは少なくて、耐久財であります電気機械とかあるいは繊維機械等でございまして、わりあいに回収の早いものが多いということは、お説のとおりでございます。
  78. 中村重光

    ○中村(重)委員 この融資はどういうことになりますか。友好貿易に対する融資ですか。あるいはLT貿易に対する融資になりますか。
  79. 石田正

    ○石田説明員 大体LT関係が大部分でございますけれども、御承知のとおりにビニロンのときにもございます。
  80. 中村重光

    ○中村(重)委員 プラント類の長期延べ払い輸出に対する融資はやってはおられないということですか。御承知のとおり、吉田書簡以来、中共に対するプラント類の延べ払い輸出というものは、事実上ストップという状態にあるわけです。あなたのほうとしては、現在これに対してどのような考え方を持っていらっしゃいますか。また対処をしておられますか。
  81. 石田正

    ○石田説明員 中村先生御承知と思いますが、私も着任早々でございまして、あまり大きなことを申し上げられないような現状でございますが、私がこの一月ばかり、ほかのことでございますが、いろいろ話を聞きましての印象から申しますと、輸出入銀行としては、大体どの国がどうとかあの国がどうとかいうことではなく、そのアプローチされました案件に従いまして、ケース・バイ・ケースに、これは銀行で融資するのが適当であるかどうかということを判断するというのが基本的態度であろう、というふうに考えておるのでございまして、そうあるべきだと思うのであります。ただ、お話の中共関係のプラント輸出につきましては、いろいろとどうも複雑な事情があったようでございます。ことに輸出入銀行は、普通の民間の金融機関と違いまして、政府の設立した金融機関でございますので、やはり政府の御意向というものも考えながら処置しなければならない。そういうふうなところから、中共向けのプラント輸出への融資という問題がいままで実現されずに来たのではないか、かように考えておるのでありまして、どうも銀行だけで先走ってどうこうということの方針は、この問題については、なかなかいまきめがたいのではないかというふうに感ずる次第でございます。
  82. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは、政府方針が、中国に対する長期延べ払い輸出ということに対して輸銀を使うということは適当ではない、という考え方の上に立っておる、だから、政府のそうした方針に沿って、中国に対するプラントの延べ払い輸出に対しての融資はいまのところできない、そういう考え方の上に立っておられるわけですね。
  83. 石田正

    ○石田説明員 現在のところでは、従来の経緯にかんがみまして、まだその点がクリアされておらないというふうに考えております。
  84. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまのところ、その点はすっきりされておらない、こういうことですが、あなたは今度輸銀の総裁になられて、そこでこの長期延べ払い輸出に対する融資申し込みがありました場合、これに対してどのような扱いをなさいますか。
  85. 石田正

    ○石田説明員 これは大体先生も御承知だと存ずるのでありますけれども、輸出入銀行が本格的に融資をするという場合におきましては、その輸出について、政府の意思決定がある形においてなされるというのが通例でございます。御承知のとおりに、品物が出てまいりますためには、通商産業省のほうで輸出許可、輸出の認証をいたしております。その輸出の認証を出すかいなかというのは政府マターでございまして、輸出の認証が得られないものを輸出入銀行がやるということは、これは中共関係であろうとほかの国の関係であろうと、そういうぐあいにはなっておらぬと思うのであります。したがいまして中共へのプラントの問題についてアプローチがまいりました場合、もちろん話がありますれば、われわれのほうが受け付けるというのが筋でございますけれども、いま申し上げましたように、輸出許可というふうな問題がクリアされませんと、正式に取り扱うということにはなかなかいかない、こういうことだと思います。
  86. 中村重光

    ○中村(重)委員 その点はわかります。わかりますけれども、あなたのほうが長期延べ払いの輸出に対して融資をするということがわかると、待っていましたとばかりに、業界のほうでは輸出申請をする。したがって借り入れの申し込みをやるという形になることは間違いない。ところがかつて、御承知のとおりに、日立造船のプラント輸出の場合、あるいはニチボーのプラントの輸出の場合、これに対して通産省の認可はあったけれども、輸出入銀行の融資が行なわれないということによって、ついにこれが実現しなかったということは、あなたも御承知のとおりである。したがって輸出認証というものが行なわれるならば、あなたのほうで融資をするのだということになると、これは何も問題はないわけですね。ところが現実はそうじゃないということです。したがって、まずあなたのほうの態度をきめられるということが、この輸出ができるかできないかということになる。  そこであなたの考え方をひとつ伺っておくわけですが、政府方針方針としていろいろあるでしょう。また、輸出入銀行が政府関係の金融機関であるということはそのとおりであります。しかし政府方針がどうあろうとも、少なくとも輸出入銀行は輸出入銀行法という法律によって運営されていき、あなたはその総裁である。したがって、あなたはその総裁としてのみずからの責任をどう果すかということが最重要でなければならない。その点に対するあなたのお考え方を聞いておるわけです。ですから、まずこれからどうするのだということを明確にお答え願いたい。
  87. 石田正

    ○石田説明員 輸出認証の問題につきましては、先生御指摘のとおり、前回の例におきましては、輸出認証があって、しかる後にこれが行なわれなかったということであって、したがいまして、輸出認証ということは、輸出入銀行が態度を決する上において大きなファクターだろう、こういうお話でございます。そのとおりの面もございますが、私考えますのに、輸出認証というものを出したあとで、ああいうふうなごたごたがあるというふうなことは好ましくないことでございまするので、政府といたしましても、なかなか輸出認証を出すのに慎重であろう、こういうふうなぐあいに考えるわけであります。その輸出認証も、慎重にやって出ればいいのですけれども、出ない場合は、出てこないものをこちらが先にやるということは、政府金融機関としていかがなものであろう、こういうことを実は申し上げたわけであります。  それから、第二の問題でありますところの、政府方針がいかがであろうと、輸出入銀行総裁としては独自の判断でやるべきだということは、まことに御激励としてありがたいのでありますけれども、しかしながらやはりそれにはおのずから限度がございまして、ある国全体の問題として一つ方針とかがありましたような場合におきましては、輸出入銀行総裁といえども政府方針に従わざるを得ないのじゃないのか。ある方針がきまっておって、そのワク内でどうするのだ——政府のほうは、これはワクの中でも経済的その他いろいろな見地からいってあぶないからやめたらどうだろうかという話がありましても、われわれの判断からいって、これは出しても一向差しつかえないものならば、政府の判断に対して政府を説得すべきだと思います。また政府のほうで、これは安心だから出せということであっても、われわれの判断ではどうも経済的に考えてあぶなくてしょうがないという場合におきましては、政府方針でありましても、どうもあぶのうございます。御再考をお願いしたい、こういうふうにやっていきますことが、総裁としての働き方ではないか、こういうふうに感じておる次第でございまます。
  88. 中村重光

    ○中村(重)委員 独立採算制の上に立つところの輸出入銀行が、そうした金融ベースの上に立って対処をするということは、それなりに私は当然であろうと思う。ところが、前段にあなたがお答えになりましたように、政府が輸出認証を出さないという場合、これは当然あぶなくはないのだからこれは出すべきだという説得をほんとうにできるか。されるならば問題はそう複雑ではない。ところがあなたのほうはそういう説得もされるのでなく、輸出認証というものが出ないから、借り入れ申し込みはないのだということで、それであなたはそれ以上積極的に取り組もうとなされない。  それでは、前段お答えになりましたように、そういう借り入れの申し込みの動きがある、ところが輸出認証というものが出ない、これは出すべきであるということで、政府を説得するという態度をおとりになりますか。
  89. 石田正

    ○石田説明員 これは私、従来の経緯をまだほんとうのところ聞いておりませんが、あれほどもめたということは、相当むずかしい問題が伏在しておるのだと思うのでございまして、いま貿易上の中共の問題について、政府を説得する、必ずやってまいるということをここで言明することは差し控えさしていただきたいと思います。
  90. 中村重光

    ○中村(重)委員 差し控えると言うが、あなた先ほど、これはあぶなくないと思えば、政府を説得して輸出をさせるようにするのだ、とお答えになったから一これは私の聞き違いであったかどうか知りませんが、そういうお答えであったが、ほんとうにやるか、こう私は聞いておるのですよ。
  91. 石田正

    ○石田説明員 その問題につきましては、二つに分けて申し上げましたように、第一に政府の一般方針というワクがかぶっておる。そのワクの範囲内においては申し上げますけれども、その政府方針に反してまで、こうしろということは、なかなか言えないであろう。こういうことを申し上げる次第であります。
  92. 中村重光

    ○中村(重)委員 法律は厳たるものです。輸出入銀行法の第一条の目的には「日本輸出入銀行は、金融上の援助を与えることにより本邦の外国との貿易を主とする経済の交流を促進するため、一般の金融機関が行う輸出入及び海外投資に関する金融を補完し、又は奨励することを目的とする。」こうはっきり書いてある。「本邦の」ということでありますから、どこの国に輸出する場合といえども、日本の輸出入業者であるということになるわけです。ならば、中国に対して本邦の業者が輸出をしたい、内容的には別にあぶなげはない、こういう場合にあなたはその法律によって運営をしていかなければならぬところの責任がある。輸出入銀行の総裁として、政府方針があるからというようなことだけでなく、この法律をいかに守っていくかという態度が優先しなければならぬと思う。でなければ、ある意味であなたは法律違反をやったということにもなる。だからして、この法律の第一条をどう解釈されるのか。それからまた、第十八条に業務の範囲というのがある。これは長文にわたりますから私は読みませんけれども、この「目的」からいっても、業務の範囲の第十八条からいっても、中国に対する長期延べ払い輸出に対する融資を拒否する理由は、私はないと思う。あなたとしても、輸出入銀行の総裁に選ばれたということに対しては、これらの点については十分研究をして御就任になったのであろうと思うのであります。だから、就任早々のあなたに対して決意のほどを伺っておくということは、これは当然なことでありますから、それを伺っておるわけですから、もっと、あいまいでなくて、はっきりした答弁をちょうだいしたいと思います。
  93. 石田正

    ○石田説明員 私、実は法律家でないので、法文の解釈については誤りがあるかもしれませんので、自信は必ずしもないのでありますが、輸出入銀行がどういう目的で設立された、どういう業務を行なうのだということは、法律の明文の定むるところでありまして、それを踏み越えてやるということは、私は違法行為だと思います。しかし、その法律に書いてあるところの範囲内のことであるならば、必ずやらねばならないということには、必ずしもならぬのではないかというふうに思うのであります。ということは、これはほかにも法律がございまして、いろいろなものがございます。法律関係でそうであるのみならず、また、いろいろな政府の政策というものもあるのでありまして、やはり政府機関としては、法律としてはこういうことをやるところの機関である、しかし政府の大方針には反するな、こういうのがどうも常識的な解釈ではないかと思うのでありまして、その意味で、私は先ほど来御答弁申し上げておる次第であります。なお、私はむしろどっちかと申しますると、先生に対してきわめて率直に申し上げている次第でありまして、これを前のようなぐあいに、何と申しますか、私のほうからして、いろいろな商売をやっている方々に対して、その商売がいいようだから早く申請を出しなさいというようなことはあまりいたしません。問題は、受け付けてからと思いますけれども、しかし受け付けるときに、あるいは政府その他あれによって、われわれのところへ、窓口へ出てこなければこれは審査の対象にならない。この前の場合はそういう場合だったんじゃないかと思うのです。しかしそういうことを先生はお聞きになっておるのじゃなくて、ほんとうの腹はどうなんじゃというお尋ねかと思いまするので、私もできるだけ率直に、現在の心境を申し上げる次第であります。
  94. 中村重光

    ○中村(重)委員 法律にどうあろうとも、必ずやらなければならぬということはない、こういうお答え、それはどういう意味であるかわからないのですけれども、いわゆる金融ベースという立場から見て、どうもこれは適当ではない、先ほどお答えになった、いわゆるあぶないというようなことを意味してのお答えであるのかどうか、もっと政策的なことでお答えになったのかわかりませんが、そういうお答えになりますと、やってはいけないということもない。そうでしょう。必ずやらなければならぬということにならないというのならば、それでは、いまやっているように、必ずやってはいけないのだということにもならないでしょう、実際は。だからして、政府方針は、中国に対する長期延べ払い輸出をやるということについては、まあいろいろと複雑な内容というものがあると、外務大臣もあるいは通産大臣もお答えになって、まだこれに踏み切るというような考え方の上に立っていないということは、私もわかるのです。わかるのだけれども法律は厳として生きているというのですよ。長期延べ払い輸出に対しては、どのようなものであろうとも、その輸出をするところの業者が決してあぶなくはない、健全な経営体であるというような場合であっても、これは絶対にやってはいけないという考え方の上に立って、いままでやっておられないのだ。ところが、きょうの新聞でも、お読みになっておわかりのとおり、ココムまでもこれをゆるめなければならぬという状態にいま進んできた。それからまた、西独の大型プラントの輸出というようなものが今度は成約がなされたということも、あなたは御承知になっていらっしゃるであろうと思う。そうなってまいりますと、お隣の中国がヨーロッパ諸国のかってな市場としてこれをじゅうりんされてくるということを、日本が見守っておらなければならぬということになってくる。私は将来日本にとって大きな損失であろう、こう考えるわけです。だからあなたのほうとしては、先ほど質問によってお答えになりましたように、中国に対しましても、短期の輸出に対しての貸し付けをしておるわけです。だから、総裁に就任なさったあなたとしては、できるだけ中国に対する輸出に対して融資をやっていくというかまえでなければならない、こう思うのです。だから、それに対してあなたはどのようにこれに対処していこうとしておられるのか、現在の動き等からして、やはりあなたの決意というものではなかろうかと思いますからお尋ねしておるわけですので、いま一度ひとつお答えを願いたい。
  95. 石田正

    ○石田説明員 冒頭にも申し上げましたようなぐあいに、輸出入銀行といたしましては格別にディスクリミネートすることなく、ほんとうの実態に即して、ケース・バイ・ケースに適正なる融資を行なうということが理想と思います。したがって、その方針でいくということは、輸出入銀行としての立場としては当然であります。しかし、それはまた総裁としてもその考え方で進んでいくべきだと思いますが、さりながら、政府機関でありまする限りにおきまして、政府が、特定の考えのもとに、こういう方針を暫定的にとれということがありまするならば、それを無視してやるということは、輸出入銀行としてはいたしかねる、こういうことを申し上げておるのでございまして、その間の事情をひとつ御了承をいただきたいと思う次第でございます。
  96. 中村重光

    ○中村(重)委員 同じようなことを繰り返すことになって、かみ合わないし、一歩も前進はないんですね。しかし政府方針政府方針であるということは、私もわかるのです。それに耳をおおって、あなたに申し上げているのじゃない。しかしあなたは、輸出入銀行法という法律によって運営をしていかなければならぬという、そういう責任ある立場に立たされておるということも事実なんです。政府方針がそうであるから、政府方針のみにそれを支配されて、法律というものを全然無視するというような態度も、これまた許されないと私は思う。だから、この法律に基づいてあなたはどう対処していこうというお考えなのか、その点に対しても、もっとはっきりした考え方というものがなければならぬと私は思う。その点どうですか。
  97. 石田正

    ○石田説明員 法律に関しましては、先ほども申しましたようなぐあいに、この法律に書いてあることのほかのことをやれば法律違反だと思いますが、この法律に書いてあることを、すべての業者からの申し出に対して、やらなかったら法律違反になるかというと、必ずしもそうではないのじゃないか、その前提たる法律論としては、そうも言えぬのではないだろうか。私は法律家でございませんので、これは法制局その他でお確かめになったほうがいいのじゃなかろうかと思うのでございますが、私はそんなふうに感じます。  それからなお、おまえは一体、この問題について政府を説得する意思がありやいなやということが端的なるお尋ねだと思うのでございます。おそらくその点は、輸出入銀行の立場としては、そういう足かせがない——足かせというと語弊がありますけれども、ワクのないことが望ましいということが本来の立場でありますので、これはその点を了承の上で、政府がやっておられることだと思います。したがいまして、政府のほうでいわゆる客観情勢の変化に応じて、そこのところをお考え願わなければわれわれといたしましては、ちょっと従来の態度を変更することはできません。こういう次第でございます。   〔「了解」と呼ぶ者あり〕
  98. 中村重光

    ○中村(重)委員 了解しない。法律に書いてあることを逸脱したやり方、それをやった場合が法律違反である、法律にこういう場合にはこうしなければならぬという場合、国民はこの法律によって守られているんだ。いいですか、法律によって守られている国民を、あなたは全然無視して忘れた議論をしてもそれじゃ議論にならない。輸出入銀行法というものがあるんだ、この第一条の目的にはこう書いてある、第十八条の業務の範囲はこういうことだ、したがって当然輸出入銀行というものがなされるべきであるという考え方の上に立って、国民がこの法律に期待をして計画を立てていくということは当然ではありませんか。ところが、法律にはそう書いてあるにもかかわらず、全然この法律を尊重していこうとしない。法律の上に立って国民を保護しようとしない考え方は、法律違反ではないとあなたはお考えになりますか。
  99. 石田正

    ○石田説明員 おことばを返すようで、まことに申しわけないのでございますが、ココムの場合にいたしましてもなかなかむずかしい問題がございまして、これは何も法律論だけでこうだと割り切れる問題ではなく、むしろ実際政治の問題として、また大きな経済の問題、先生の御心配になっておりますところの経済及び日本の将来ということから考えて、いろいろ判断すべき問題でございまして、事柄があるワク内でありますならば、私なり銀行の当局者が判断いたしますけれども、むずかしい問題はやはり政府の判断というものにわれわれは従わざるを得ない、こういうことを申し上げる次第でございます。
  100. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたがそういう答弁をされるであろうということはわかるのだけれども、その答弁のみによって、では、やむを得ませんと、われわれは引っ込むわけにはいかない。やはりあなたは輸出入銀行の総裁であるのだから、法は守ってもらわなければならない。そういうことを要求するということは国民の権利なんだ。だから私どもは、国民の代弁者の立場に立って、法律の目的を尊重しなさい、これを生かして国民を保護していく、こういう態度でなければならない、そういうことをあなたに要求しておるわけです。国の方針方針として、あなたがお答えになったようにあるでしょう。あるでしょうけれども、やはりあなたはあなたとして、総裁としての任務を全うするために、あらゆる努力をしていくという態度でなければなりません。国がこうなんだからということだけで、ただ機械的に動くというような態度であっては、あなたの任務は全うできないのだ。積極的な態度をおとりにならなければ、今度は長期ではなく短期の融資をやっておることに対しても、ますますもってあなたの任務を狭められてくることになる。できるだけこれを排除していく、これを拡大していくというような態度こそ望ましいのです。私はそういうあなたの積極的な態度を期待しておるわけであります。あなたから、国の方針というものがあるのに対して、全然そういうことにとらわれません、ただ全面的に私は長期延べ払い輸出をいたしますという答弁がここであろうなんて、私も考えていないですよ。しかし、あなたの姿勢というものは、やはりはっきりしたものがあってしかるべきだと思うし、私はそれを期待するから質問したのです。あなたが答弁し得ることで、もっと積極的な意思表示をする余地はあるでしょう。どうですか。
  101. 石田正

    ○石田説明員 同じことばを繰り返すようでありますが、輸出入銀行というものがあって、その総裁になっておる。法律論で御追及でございますけれども法律論のみならず、私は、輸出入銀行というものがどうして設立せられ、どう運営せられているかというその現実から、われわれが日常業務を通じて知っておるところのはだで感じた事情から申して、国別の差別をしたほうが望ましいのだということを申し上げていることで、その間にわれわれがどういうポーズでおるかということを御理解願えるとしあわせだと思う次第でございます。
  102. 中村重光

    ○中村(重)委員 せっかくあなたに前向きの答弁ができるように、誘導した質問を私はやったのだけれども、そういうような答弁では何の効果もない。そうでなくて、あなたとしては、国のそういう方針があります、それに全然制約されないということにはならない。どうしても制約は受ける。だけれども、この法律の上に立って、輸出入銀行の総裁として選ばれた以上は、できるだけこの法律を活用して、日本の経済の発展をはかり、国民を守っていくという立場の上に立って、積極的な取り組みをしたいというような、そういうあなたの姿勢というものがここで明らかにできないのですか。その程度のことならできるでしょう。
  103. 石田正

    ○石田説明員 繰り返して申しますことで、どうも中村先生にはおしかりばかり初めから受けておりまして、まことに申しわけない次第でございますが、私はできないことをやりますと言うことはきらいなたちでございまして、その点におきまして非常に御不満であろうことは重々お察しいたしますが、私が申しましたことは、そのとおり言っておるわけであります。なお申し上げますが、実は私は新米でございますので、また人間が完全にできておりませんから、事を簡単にするために、政府方針ということばを使いましたが、はたしてこれは政府方針であるのか、もっともやもやしたものであるのかということは、私自身よく勉強しておりませんので、その点も、最後でございますので、私なりに率直に、先生の御質問に対して申し上げたということを御了承願いたいと思うのであります。
  104. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十七分散会