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1967-05-16 第55回国会 衆議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十六日(火曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 小峯 柳多君 理事 小山 省二君    理事 白浜 仁吉君 理事 高橋清一郎君    理事 佐藤觀次郎君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       丹羽 久章君    水野  清君       勝澤 芳雄君    中村 重光君       矢尾喜三郎君    安井 吉典君       浅井 美幸君    阿部 喜元君  出席国務大臣         国 務 大 臣 松平 勇雄君  出席政府委員         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         行政管理庁行政         監察局長    稲木  進君         大蔵省理財局長 中尾 博之君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         農林省農地局長 和田 正明君  委員外出席者         大蔵大臣官房財         務調査官    堀込 聡夫君         日本開発銀行総         裁       石原 周夫君         日本輸出入銀行         総裁      石田  正君         参  考  人         (愛知用水公団         副理事長)   丹羽雅次郎君         専  門  員 池田 孝道君     ――――――――――――― 五月十六日  委員江田三郎辞任につき、その補欠として勝  澤芳雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員勝澤芳雄辞任につき、その補欠として江  田三郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  歳入歳出実況に関する件  政府関係機関経理に関する件  国が直接または間接補助金奨励金助成金  等を交付しているものの会計に関する件      ――――◇―――――
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件、政府関係機関経理に関する件及び国が直接または間接補助金奨励金助成金等を交付しているものの会計に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。佐藤観次郎君。
  3. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 財政投融資の問題について、問題になっております輸銀の融資の問題それから日本開発銀行の問題について、両総裁来ておられますから、いろいろ伺いたいと思うのでありますが、特に両総裁大蔵省のベテランで、しかも次官の経験を経ておられるので、なかなか答弁がうまいから、要領よくやられると思うのですが、特に私五年ぐらい前にブラジルへ行きまして、ウジミナス製鉄工場を見てまいりました。御承知のように、日本が初めやった意気込みとは違いまして、必ずしも成功していないという一つの例だと思うのですが、これはブラジルインフレ関係もありまして、多少思惑の違った点があろうかと思いますが、現在どのような状態になっておるかということを、これも、石田さんは最近国民金融公庫総裁から移られたばかりで、まことに気の毒だと思いますけれども、現実が重大な問題になっておると思いますので、少し御説明願いたいと思います。
  4. 石田正

    石田説明員 ただいま御質問のございましたウジミナスの件でございますが、いま佐藤委員からもお話がございましたように、私しばらくほかのほうの仕事をいたしておりまして、今度新しい任務につきましてからまだ一月たったばかりでございまして、全部その内容につきまして勉強の行き届かぬ点が多いのでありますが、冒頭にお話がございましたことに関連いたしまして、できるだけ率直に、私がウジミナスにつきまして報告を受けて感じておるところを申し上げたいと思います。  先生も御承知のとおりに、これは十年越しの懸案でございまして、大体ブラジル側から日本に対しまして、製鉄所の建設について援助を求められましたいろいろな経緯がありましてスタートいたしたのでありますが、現在に至りましても幾つかの問題が、当初以来問題になっておると思います。その問題は、新しく出てきた問題というよりも、初めからの問題が必ずしも解決しておらぬということにあるのではないかと思うのであります。  第一の問題といたしましては、製鉄所自身に関しまして、百万トン計画というものが当時ございました。一番初めに百万トン計画について協力せよ、こういう話でありましたけれども、いまから十年以上前の日本実力から申しまして、なかなかそれだけの協力をすることが無理であるということで、まず五十万トン計画ということからスタートをしようというので始めたのが発端でございます。その五十万トン計画でございまするが、その五十万トン計画を遂行するにいたしましても、いろいろブラジルにおける経済状態変化影響を受けて、当初の予定どおり仕事が進まなかったということが一つの大きな問題であったと思うのであります。それはブラジル経済状態等が安定いたしませんので、そのためにインフレが進んでおる。インフレ下におけるところの事業の遂行ということが非常にむずかしいというような経緯をたどりまして、そして予定よりもだんだんとおくれるというふうな形でまいりまして、その五十万トン計画がやっと一昨年、昭和四十年に至りまして、大体四十万トンの規模がフルに稼働するという段階に相なったわけでございます。この点は、計画それ自体といたしまして一つの転機をもたらすものでございまして、四十一年度からその五十万トンがフルに稼働したということは、当初の計画の大体目途としたところが、そこで設備の上からいいましては完結したということだと思うのであります。しかしながら、先ほど申しましたぐあいに、これからの問題といたしまして、五十万トンでは、だんだんとそれだけでは満足ではない、もっと百万トンまで持っていけというような話があるというのが現状だと思います。これに対しまして、百万トンの問題につきましては、ブラジル当局におきまして、世界銀行にアプローチして援助を求めるという話がございますが、これも相手のあることでありますから、急速にどうこうするといいましても、なかなかいかぬ部面があると思います。ただ、五十万トンの計画でできましたところの設備というものが、もう少し手直しいたしますと、七十万トンまでいくことについてはあまり金がかからぬというような問題がございます。この問題を、世界銀行との関係は別として、まずとにかく進めるほうがいいのじゃないかというのが、現在の一つ問題点だと思います。  それから第二の点といたしまして、それじゃ設備がそういうふうに稼働したから採算その他はよくなっておるか、こういうふうな問題がございますが、これはインフレ等関係がございまして、いろいろ金がかかったとかなんとかいうような問題がございます。それからまた、最近の状態といたしましては、あまりインフレが激しいので、それに対する対処策ブラジル政府がとるということになりまして、引き締め政策が最近行なわれておるわけであります。この引き締め政策が行なわれますと、そのときにおきまして一つデフレ現象を生ずるわけでございまして、そういう場合において、製品の売れ行き等影響があるということも一つの事実でございます。これは長い目で見てどうこうという問題ではございませんけれども、一時的には、そういうことで浮き沈みで、なかなか困難な状態があるというようなことがあると思います。  それから第三の問題といたしまして、かりにインフレの問題というふうなものが将来問題でなくなる、設備のほうはちゃんと現在考えましたところの設備状態でいくということでありましても、いわゆる生産しましたところの鋼材の需要方面におきまして、どういう方面需要が伸びるかという見通し、物はつくるだけでなく売ることが大切でありますから、売るほうの見通しはどうかという問題につきましては、やはりなかなかむずかしい問題があると思います。前に考えたところの需要先というようなものがはたしてそのとおり動いていくかどうか、あるいは手直ししなければならないかというような問題がございます。大体私感じましたところでは、いま申しましたような三つの点が、ウジミナスとしては当面している問題ではないだろうか、かように考えておる次第でございます。
  5. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 御承知のように、ウジミナス製鉄所をつくる前に、どれくらいの調査が行なわれたかということはわかりませんけれども、しかしたとえばブラジルに出ておる石川造船あたりはわりあい成功しているんですね、インフレのところではあるけれども。しかし、ウジミナスだけが非常にうまくいっていないということは、三つ条件が悪いと思うのです。これは御承知のように、ブラジルインフレという経済状態、それから前の大統領がかわったという問題と、それから立地条件が悪いんじゃないか。あんな山の中で、これはあなたのほうの参考の地図を見てもわかりますが、ずっと山の中にいて交通機関が悪い。海岸に置けばよかったんだろうと思いますけれども、あの山の中にあるというのが、開発と兼ねてやったんじゃないかと思いますが、そういう点が非常にまずかったんじゃないかというふうにも思います。  いま七十万トンとおっしゃるが、百万トンくらいつくらなければ採算に合わないというようになってくるわけですが、そういうような点は、見通しはどのくらいになっておられるか。これはあなたのほうで、総裁になったばかりだから、そういう現場にも行っておられないし、その点についての、こうだ、ああだという確信は持てぬと思いますが、山本さんも来ておられますし、もし具体的にわれわれが安心できるような説明をしていただければ、どなたでもけっこうでございます。
  6. 石田正

    石田説明員 実は立地条件の問題につきましては、私、当時大蔵省におりまして、私自身がその点実は心配した一人なんでございますが、その後進行いたしておりますが、最近私いろいろ聞いてみますと、立地条件の問題といたしましては、何と申しましても鉱石が非常に豊富にある。しかも、それが安い。もう一つの問題は水がいいということなんですね。やはり製鉄関係では、水の問題が相当大切でありまして、水がいい。一番心配いたしますのは運輸の問題でございますが、これは道路にいたしましても、鉄道にいたしましても、だんだんと改善されつつあるということでありまして、その方面心配というものはだんだんとよほど除かれつつあるというふうに考えておる次第でございます。
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そうすれば、石田さんの考えでは、そう心配せぬでも、楽観してもいい、このまま進めていってもだいじょうぶだという自信があるのですか。
  8. 石田正

    石田説明員 これは一番初めに話しましたように、初め百万トンということがスタートになっておりました。それを日本側実力その他から申しまして、五十万トンでとにかく経済協力をやっていこうじゃないかということで、五十万トンでやったのでありますが、五十万トンだけではほんとうにりっぱな施設であるというふうなぐあいにいかないというのが、いまの状況ではないかと思います。その点をどうするかという問題になりますと、従来の五十万トン計画を遂行するにつけて相当投資してきたわけでありまして、これを百万トンまで持っていくについては相当の苦労が要るのではないか、かように考えておるわけであります。百万トンに一挙に持っていくということはなかなかたいへんな問題でございますが、いまの五十万トン計画でもって七十万トン計画に変えることが、わりあい技術的に安くできるということでございますので、まずとりあえずの問題といたしましては、七十万トンに持っていくということが、この際といたしましては大切でありまして、決して前途を楽観しているのではなくて、いまのウジミナスをどうするかということにつきましては、七十万トンに持っていくということを早くやっていったほうがいいんじゃないか、こういうことを申し上げた次第であります。
  9. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 これは政府にも責任があるのです。理財局長来ておられますが、御承知のように、最初は四〇%の日本ウエートがあったんだけれども、インフレ関係もありまして日本は二〇%のウエートしかないようになっているんですが、そういう点の解釈は、政府はどのようにしておられますか、ウジミナス関係のあれですね。
  10. 堀込聡夫

    堀込説明員 当初のウジミナスを出発いたしましたときの思想は四割ということを予想しまして考えたわけでありますけれども、その後の増資の機会にいろいろその点を考えてみまして、必ずしも増資を四割のシェアにおいて継続しなくても、経営その他に関していろいろ支障はないだろうというふうな議論がありまして、現在のような二〇%にしたということになっております。
  11. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 石田さんにお伺いするのですが、実際は相当内部的に事情があるように聞いておるのですけれども、このウジミナスの問題は、あなたのほうの銀行立場からいっても相当重荷になっていくのではないかということが憂慮されておるのですが、ほかのこともいろいろあると思いますけれども、この点については――あなた大蔵省におられたから、全然見通しがないわけではないと思いますが、どうもその点の見通しが、この席では楽観的なことを言われておっても、実際はそういう甘いものではないという感じもするわけです。鉄鋼界は活況を呈しておりますが、実際にはいろいろな支障があって、日本では放棄をするのじゃないかということまで言われておったのですが、そういう点についてのお考え方はどういうふうになっておりますか。
  12. 石田正

    石田説明員 この問題につきましては、私は別に政府と打ち合わせをしたことはまだございませんので、そういうことではなくて、私個人の感じとしてお聞き取り願いたいと思いますが、私はウジミナスの問題を決して楽観しておりません。なかなかこれはむずかしい問題だと思っております。しかしここまで協力した以上は、竜頭蛇尾に終わらせずに、何かできないかということに努力するのが、私のつとめだと思っておる次第であります。その点におきまして、私いままで申し上げましたことのほかに、やはり日本側でも大いに努力しなければなりませんが、ブラジル政府関係においてもいろいろお考えにならなければならぬ点があるのではないか、こういうことを実は考えております。これはまだ向こうと話したということではなくて、当面の問題は、日本ウジミナス代表が向こうと話し合うことだと私は思いますが、それより大きな問題は、先ほどお話がありましたように、石川島のほうはうまくいっておるけれども、なぜウジミナスはうまくいかないかという問題と関連すると思いますが、どうも鉄鋼業ブラジルにおいてはうまくいってないのじゃないかということを心配しておるわけであります。そのもとは何であるか、いろいろあると思います。思いますが、やはり大きな一つのあれといたしまして、鉄鋼政策という基本的な問題になるのじゃないだろうか、こういう感じがするのであります。特にインフレがありました場合に、いろいろな資材の値上がりがある。それから労賃のほうは物価にスライドして値が上がるということがありますけれども、鉄鋼は政策的に価格を押える、こういうことをやっておるようであります。そういうことが考えられるのでありますけれども、それが度を過ぎますと、鉄鋼業というものがはたして成り立つかどうかという問題が根本的にあるのじゃないだろうか。この点を、日本ウジミナス代表において、向こうの政府とよく話し合う必要があるのじゃないだろうか、かようなぐあいに実は私は感ずる次第であります。
  13. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 これは横道にそれたような話ですが、森永さんが取引所理事長に行ったということが、どうもあまり苦しいからということも聞いておりませんが、石田さん、国民金融公庫におったほうが楽だったと思うのですが、それは別な話でございますけれども、非常に難点があるのじゃないかということを心配しておるわけです。  もう一つ問題になるのは、例のインドネシアスマトラ油田の問題。これも私は、政情の不安定ということでうまくいってないと思うのですが、この点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  14. 石田正

    石田説明員 私、参りましていろいろ話を聞きました感じから申しますると、ウジミナスは、先ほど来申しましたようなぐあいに、解決しなければならない問題が多々あると存じますが、北スマトラ油田の問題につきましては、従来は非常に心配ケースでございましたが、これはもうすでに見通しがある程度立ってきたのではないか、かような感じがいたしております。と申しますのは、一番初め、このインドネシア側日本側との間に話ができましたときに、一九六〇年から七〇年までの十年間に大体百八十八億のクレジットを出しまして、そうして五百六十万キロリットルの油を持ってくる、こういうことでございました。ところが百八十八億のほうは、これは先行投資の点もございますが、設備のほうは七〇%までいっておる、ところが油のほうは三〇%ぐらいしか日本へ来ておらぬ、これではたいへんではないかということが一番心配のもとだったと思うのであります。ところで、もう一つの問題は、一九六〇年から七〇年ということに契約がなっております。そうすると、この十年間に五百六十万キロリットルなんて、とってこれないのではないか、だからして、初めの目算がうんとはずれてしまうのではないか、こういうことが一番心配のもとだったのでございますが、最近これが三年半ですか、延長が認められまして、そうして一九七三年までの間に五百六十万キロを持ってくるということで、持ってくる権利としての期間延長がございました。片方におきましては、大体四十一年の暮れごろには、月十四万キロリットルぐらいとれるようになりました。生産が上がりますれば、当然日本へ持ってくる油の量というものがふえるわけであります。期間の点も延長された。それでありますので、これは時期的には三年余かかりますけれども、しかし初めの契約どおり油が入ってくるということはほぼ見通しがついたというのが現在の段階ではないかと思うのであります。もちろん、インドネシア政情変化によりまして、根本的な変化があれば将来別でございますけれども、現在の段階におきましては、これはほぼ見通しがついたというふうなぐあいに私は感じております。
  15. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 スカルノ大統領は親日でもあったし、日本人には好感を持たれておったのですが、御承知のように、ああいうようなスハルト議長にかわられて、日本との経済関係国際関係というのもだいぶ変わってきたと思うのです。そこへ持ってきて、もともと貸与の問題とか、いまいろいろ問題が紛糾していると思いますが、この点についての見通しは現在どのようになっておるのか、これをひとつ伺いたいと思います。
  16. 石田正

    石田説明員 どうも私の立場からいきまして、インドネシア政情につきまして、こういう見通しであるということを申し上げることはできないのでありまするが、ただ北スマトラ石油関係だけにおきまして、提携の相手先でありますところのインドネシア側機関、いわゆるプルミナと称しておりますが、そのほうの運行に今度の政変というものがどういう影響を及ぼすかということを実は心配したわけでございますが、これは大体心配なく、従来の計画どおり進むのではないか、こういうふうなぐあいに現在見通しておる次第でございます。
  17. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一つ根本的に伺いたいのですが、これはいま石田総裁就任早々でございますから、責任がないかと思いますが、どうも日本投資ということについて、私も最近ヨーロッパへ行ってきたのですが、海外投資について、調査研究が非常に粗雑だという意見が非常に多いのですが、こういう点について、あなたのほうの銀行では十分な調査研究ができておるのか、あるいは政府から強要されるからやむを得ずやられておるのか、そういう点について、ひとつ伺いたいと思います。
  18. 石田正

    石田説明員 いまのお話の点につきましては、まあ全般的と言いますと語弊がありますけれども、在外公館のほうからお話がありました場合に、その熱意というものはよくわかりまするけれども、具体的な計画としてはたして経済的な採算に乗るかどうかという問題につきましては、首をかしげるようなケースがあることは御指摘のとおりだと思います。そういう場合につきましては、輸出入銀行といたしましては、大体こちらの意見を申し上げまして、そうしてこちらの各省の御意見もございます。そういうことについて、できるだけ経済採算に乗るようなぐあいにお願いをいたしておりまして、それが経済採算に乗らないような場合はお断わりするというふうなことでまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  19. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それから、あなたのほうで大きな投資をしておられるパルプ石油の問題ですが、アラスカにおけるパルプ状態、これはうまくいっておるのですか、どうですか。
  20. 石田正

    石田説明員 これもなかなかむずかしい問題で、十年越しの一番古い案件でございまするが、一番初めにアラスカの森林を伐採して日本に持ってくる、こういうことが発端になっておったわけであります。ところが、なかなか材木として持ってくることはいかぬということで、それがパルプに変わった、こういうふうなことでございます。そうすると、一番初めパルプ業界は、材木を入れてきて、そうしてパルプをつくろう、こういうことでありましたが、原木が入らないということになると、パルプ業界あまり熱がなくなってくる。こういうような問題があったり、それから今度その分を、それではかわってパルプを使うところの人絹業者が大いに肩入れをしようといっておる間に、人絹のほうが世界的にもいろいろ変わってくるし、国内でもいいときもあるし悪いときもある、こういうことで、非常に問題があったというケースだと思います。しかし、最近の現状から申しますると、いろいろと設備合理化等もやりまして、日本で楽器に使うとか、いろいろパルプにしない方法によって、輸入をし、使うということ、これがだんだんと開拓されてまいりまして、その面では大体利益をあげるというふうな段階になってまいりました。パルプのほうの段階はいろいろ合理化はいたしておりまするけれども、まだ赤字が続いておる、こういうのが現状でございます。しかしながら、その両方を合併いたしまして、パルプ以外の用途における輸入によるところの利益で、パルプ関係赤字が完全に解消できないというのが現状でございまするけれども、これもいままでのままでまいりましても、一両年すれば大体片方の黒で片方の赤が埋まり、とんとんになるようになるかと、実は現状では考えております。  それからパルプのほうにつきましても、そう赤字を出しては困るので、さらにいろいろな合理化をいたしまして、その赤字を極力減らす、こういうことをこの一両年続けますれば、赤字がなくなるという状態にやっと入ってくるのではないか。あと残りますのは、累積赤字をどうするかという問題だと思っております。
  21. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 御承知のように、日本では原木の枯渇のためにいろいろ最近はソ連のほうへ手を伸ばしていますが、ソ連から材木を入れることも容易ではないので、いろいろ苦労しておるのです。こういうパルプ仕事とか原木の問題というのは、日本のような狭い国で資源の少ないところでは、やはりアラスカとか何かに手を出したいということは当然でありますけれども、そういう点について、日本のやり方が――私は海外に行くとそういう意見を聞くのですが、ずさんな場面が非常に多い、計画性の点がどうも、というような意見をちょいちょい聞くのですが、われわれ専門家ではありませんから、そう一々それを取り上げることはできませんけれども、そういう非難をちょいちょい耳にするわけでございます。  それから、現に石油の問題なども、アラビア石油などはどうにかうまくやっておるように聞いておりますけれども、その問題は一体どうなっておりますか、伺いたいと思います。
  22. 石田正

    石田説明員 アラビア石油のほうは、第一号の油井がこわれたとか、大協石油の船が行って、そうしてドックをこわしたとか、いろいろな問題がございましたけれども、大体計画どおり、全般的に言いますれば、生産、輸入ともにうまくいっておりますし、会社としても利益をあげている、こういう状況でございます。でございますので、いままでのところはアラビア石油はうまくいっておるほうである、かように考えております。
  23. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そこで、大体大きな事業をやっておられるいろいろなそういう投資の中で、アラビアくらいのものが、どうにかそういうふうに安心しておられる。あとの事業の中で、輸銀がやっておられる中で、こういう有望なものというのがありますか。
  24. 石田正

    石田説明員 いまのところ、新聞紙上等でソ連の話とか、大きな話がたくさん出ておりますけれども、私のほうへ具体的に持ち込まれて、そして審査をしておる問題といたしましては、別にございません。
  25. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 たとえばいまアラビア石油は配当もされておるのですけれども、最後の結着は、そういうものの赤字は一体どこが責めを負うのですか。責任です。
  26. 石田正

    石田説明員 私のほうは金融業でございまするから、適当な担保をとっておりまして、最後の責任は、投資をした人、輸出をした人、そういうふうな人に責任をとってもらう、こういう体制であります。
  27. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 銀行局長にお伺いするのですが、そういう点について、国家はそういう場合に損しないのですか。どういうことになっておりますか。こういう公的な、輸銀とか、開発銀行とか、そういうものの損害というものは、国は何も損害を受けないのですか。
  28. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいま石田総裁からも御答弁がありましたように、一応政府の金融機関の融資といえども、それぞれ担保をとり、債権保全には手を尽くしているということになっておりまして、そういう形で債権が保全される。輸銀の場合であれば、輸出をしたもの、あるいは投資をしたもの、そういうところから担保をとっておりまして、その担保が行使されて、それで債権が回収されるという場合には、国と輸出入銀行との間においても何ら損は生ずるというものではございません。国が責任を負うという問題もしたがって出てこない、こういうことになるわけであります。
  29. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 ぼくは石田さんに、希望的なあれで、膨大なものでございますから、あなたのところの事業をわずか一時間、二時間の質問だけで終わるわけではありませんが、これは決算委員会の問題として、相当重大な仕事をやっておるにかかわらず、こういうことが等閑に付せられるというような問題があって、決算委員会にいま大蔵大臣が来られぬものですから、ちょうど幸いにしてそういう投資銀行の方々に来ていただいたのですけれども、やはり一応国民が安心をして投資ができるような仕事にしてもらわないと、やはりその不安というものはあるじゃないか。特に、御承知のように、ブラジルのようなインフレの国、あるいはインドネシアのような政情不安定な国に投資をして、あとはどうなるのだろうか。結局最後はうやむやになってしまうような、そういう心配が国民にあるのじゃないかと思われます。この点はどういう形でなるか知らないが、何といっても国のあれが四〇%くらいの投資があるので、そういう点については、いろいろの機関でまたいろいろ制約を受けると思うのですが、これは十分注意をしていただきたいのですが、他日またお伺いしたいと思います。きょうはそのくらいにしておきます。また次の機会にお伺いしたいと思います。  それから、今度は石原さんに――副総裁から総裁になられて、もともとあなたは答弁のうまい人でありますから、あまりいろいろなことを聞きませんけれども、いま産業開発に対してどういうところが融資の対象になっておるかということをまず第一に伺っておきたい。
  30. 石原周夫

    ○石原説明員 日本開発銀行の目的は、法律によりまして、産業に対しまする長期資金の供給、すなわち産業の振興並びに経済の再建ということになっておるわけでありますが、具体的に申し上げますると、まず第一がエネルギー産業の確立の問題でございます。主として電力、石炭というものでございます。それから第二が国際競争力を強化いたしまするために産業体制の整備という問題であります。第三番目には、国際収支の改善というところから、主として海運業あるいは国際観光というものに融資をいたしております。第四番目には、地域開発、これは地域開発促進法、御承知のように、四開発地域を重点にやっているのでございますが、それ以外の、首都圏でありますとか、近畿圏でありますとか、そういう整備の関係、あるいはまた低開発地域の関係、新産都市、工特地域という地域開発関係でございます。第五番目には、最近出てきた問題でありますが、大都市再開発という問題で、大都市の交通関係、そういうような関係におきまする融資をいたしておるというのが私どもの銀行の業務でございます。
  31. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 実は、最近私は日本航空の宣伝映画でございますけれども、奄美大島の開発の問題で、偶然三十分ばかり映画を見たときに、その資金があなたのほうの開発銀行から出ていることを聞いてわかったのですが、その点はうまくいっていないというようなことも聞いておりますが、あの資金の問題、あの事業計画、こういう問題についてお伺いしたいと思います。
  32. 石原周夫

    ○石原説明員 奄美大島に開発銀行が融資をいたしておりまする一番大きな項目は砂糖関係であります。御承知のように、甘庶の増産をいたしておるわけでありまして、その増産いたしました甘庶を粗糖にいたします。それを内地に持って帰って精製いたしておるわけでありますから、奄美大島におきまする糖業は甘庶の粗糖まででありますが、その関係に、現在までのところでは六社で二十一億七千万円という融資をいたしております。現在の残高におきましては、これは四十二年三月末の残高でございますが、十六億二千六百万円という残高を持っております。この結果、粗糖が相当増産せられたわけでありまして、三十六年に比べますと、四十一年度は金額におきまして三倍の増産になっております。十二億から三十六億という関係になっております。島民所得におきまする甘庶関係の割合というものは二八%から五〇%にふえておる、こういうような状況でございます。精製糖段階につきましては、なかなかむずかしい問題があることは御承知のとおりでございますが、奄美大島におきまする粗糖段階までにおきまする開発におきましては、いま申し上げましたように、甘庶の量が相当ふえ、したがって一工場当たりの処理量もふえた。また一島に二つの会社がありましたものを一社にするというような整理統合の関係もございまして、おおむね工場の操業規模が経済単位に達しつつあるということもありますので、年におきまする甘庶の豊凶の関係もございまするが、大体収支採算がとれるという段階に至ったというように承知いたしております。
  33. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 石原さんは奄美大島に行かれたことがありますか。ああいう困難な、未開な島が開発されていくということはわかりますけれども、しかしそういうサトウキビ一辺倒でやるということは、やはりある程度行き詰まるときがくるのじゃないかというようにも心配されるのですが、そういう点について、もっとほかに多岐にわたっての投資をするということのほうがむしろ安全性があるのじゃないかというふうに思われますけれども、その点はあなたは副総裁を長くやっておられたし、現場でよく知っておられると思うのですが、その点はどうですか。
  34. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほど申し上げましたのは、砂糖の関係を申し上げた次第でありますが、四十二年三月、四十一年度末現在におきまする当行融資、これは累計でありますが、四十一億六千七百万、そのうち二十一億が先ほど申し上げたわけであります。したがいまして砂糖に出しております金は、奄美に出しております金の約半分強でございます。残りは何であるかと申しますと、電力九億八千六百万、約十億、御承知のように、あそこには大島電力という会社がございまして、各島にいま発電機を増設いたしております。それに約十億をかけております。それから、島に渡ります船、海運の関係、これにほぼ同額であります九億三千四百万、その二つで約二十億、それと砂糖の二十一億、それ以外に約一億ほどの金が出ておる、こういうことでございまして、おっしゃいますように、砂糖以外におきまする産業を振興する必要もあるわけでありまして、これは実は私どものほうの融資の関係ではございませんが、つむぎが非常に増産されているということは御承知であると思いますが、何ぶんにもああいうような土地柄からいたしますると、やはり農業のウエートというものは今後相当重きを置かなければならぬのじゃないかということもございまして、現在のところ、砂糖の生産というものにある程度抑制を加えなければならないというような段階に参っておるというふうには承知いたしておりません。いまのような、品種が相当改良されまして、人手が比較的少なくて増産ができるということにも相なってまいりましたので、私どもといたしましても、引き続き、奄美大島の振興開発には、御承知のとおり、政府のほうに五カ年計画もあるわけでございますから、五カ年計画に基づきまして、お手伝いを申し上げていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  35. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 私は映画で見たのですが、大島などのああいう未開の土地が、資本の流入によって非常に変わった姿になっていくということは非常にいいことだと思うのですが、それに関連して、最近はやっておる新産業都市建設という問題が各地に行なわれているのですが、新産業都市との関係は、開発銀行はある点までそういう指定されたところに投資をするという責任か何か、そういうものがあるのですか。それはどうなっておりますか。
  36. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほども申し上げましたように、私どもの銀行は、地域開発の融資ということが重要な項目の一つであります。そのうちにおきまして、どういうような地域に融資をいたすかということは、御承知のとおり、京浜地区でありますとか阪神地区でありますとか、あるいは名古屋の近辺であるとか、非常な過度の集中を生じておるという地区に対しましては、いわゆる地域開発の融資はいたしておりません。むしろ、それから工場を分散いたしまして、それ以外の地域に引っ越しをするというような場合に融資をいたすというようなことを考えておるわけでありますが、それ以外の地域には、御承知のような北陸、中国、四国、九州、各地域開発促進法がございますが、先ほど申し上げましたように、いわゆる拠点開発に属します、ただいまお尋ねの新産都市、工業整備特別地域、あるいは低開発地域というような指定がございます。この指定地域だけで相当な面積を占めるに至っておるわけでございますが、私どもの融資をいたしまする態度といたしましては、そういうような拠点開発ということが――現在全国総合開発計曲というものがございます。全国総合開発計画というものに基づきまして、大拠点としての新産都市ないしは工業整備特別地域あるいは低開発地域というのがございまして、地方開発の融資の場合におきまする一つの優先的な取り扱いをいたしております。ただ、それが一つの義務的なものであるということではございせんので、現在のところで見ますと、新産都市及び工特地域に対します融資が、うちの地方開発の融資の総残高におきまして三七%程度に達しておりますから、その程度のところには相なっておる、こういうことに御承知をいただきたいと思います。
  37. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 石原さんにもう一つお伺いしたいのですが、御承知のようにいまの日本のへんぱな発展、たとえば東京とか京阪神とか名古蹟付近とかいうところの発展というものは、非常に日本を不健全にしておると思うのです。それはあなたのところのいろいろ参考のあれを見てもわかるのですが、そこで私、公平に見て、たとえば日本ではわりかた新潟県の一部あるいは富山県あたりは昔と比べて非常に格段の相違があって、非常に発展しておりますが、たとえば九州の熊本はまだいいけれども、熊本の南のほう、鹿児島とか宮崎の南のほうというのは、日本では非常におくれているような感じがするのです。しかしそういうような日本全体の立場から考えて、そういう発展をしないような土地に対して、開発銀行が、自分のほうの銀行の目で、発展をさせるような方策がとれるものかどうか、政府のあれがなければやれないものであるかどうかということも、あなたに伺っておきたいと思いますが、どうですか。
  38. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほどちょっとお答え申し上げたことに補足をいたしておきまするが、新産都市につきましては、新産業都市建設促進法という法律がございます。その中の二十一条に「(資金の確保)」というところがございまして、政府が財政資金でその「確保に努めなければならない。」という規定がございます。義務づけられているわけでないということを申し上げたわけでありまするが、そういうような促進をすべき法律上の規定がございまして、それに基づいて融資をしているというふうに御承知をいただきたいと思います。  それから、おくれた地域、たとえばいま南九州というようなお話がございましたが、率直に申しまして、私どもの担当いたしておりまする地域開発の対象地域におきましても、ただいま仰せられた南九州でありますとか、あるいは山陰でありますとか、あるいは四国におきましても四国の太平洋岸とかいうような、その中でまた後進性が強いという地域がございます。そういう地域につきましては、私どもが地域開発の融資をいたしまするときに、たとえば融資率を表側よりはやや厚くするというようなこと、あるいは貸し付け条件を、企業の実態から見て無理がないように、期間をできるだけ考える、あるいは融資の決定をいたしまするのに、できるだけ表側に比べて優先的に考えるというような、いまおっしゃいますような後進性の著しい地域に対しましては、私どもの融資の実行におきまして、できるだけそちらのほうにお金が回るような扱いはいたしておるわけであります。
  39. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 高知県の地下資源の融資をやられたそうですが、その実績がどうなっておるのか、これはできるだけ詳しく伺いたいと思います。
  40. 石原周夫

    ○石原説明員 四国には、御承知のように非鉄金属の山がございます。それに対する融資もいたしているわけでございまするけれども、むしろお尋ねの関係は、四国地域におきまする石灰石の鉱山がございまして、これは現在四社に対しまして七億四千万の融資をいたし、残高におきまして五億五千四百万という数字が四十二年三月末の残高でございます。これは御承知のように、最近におきまする鉄鋼業の非常なる増産に伴いまして、石灰石の需要が非常にふえておるわけでありまして、おおむね鉄鋼向けであります。一部セメント向けがございまするが、出鉱量にいたしまして、四社合計月産にいたしまして二十六万トンという量に達しておるわけであります。現在の状況におきましては良好なる収支の状態にございまして、これもただいまお尋ねのございました私のほうの地域開発、これは四国と申しましても、大体南側の、先ほどお話のございました後進性の著しい地域でありまして、地域開発の重点はやはり地下資源の有効利用というようなことになってきまするから、その意味でまさに適合した形になっており、業績もいま申し上げたように数量も伸びておりまするから、収支の状況におきましても良好な状態になっておるということは申し上げられるかと思います。
  41. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 こういう公共性のある仕事にしては、金利が八分二厘では少し高過ぎると思いますが、そういう点でもう少し――資金のコストの問題もあるのですけれども、何とかしてもう少し安く貸すというような方法はないのでしょうか。この点はどういうように総裁考えておられますか。
  42. 石原周夫

    ○石原説明員 御承知のように、現在私どもの銀行の基準金利というものがございまして、それが、ベースになっておる金利が昨年の十月に二厘下げをいたしまして、八分二厘と相なっておるわけでございます。それに対しまして、たとえば従来からの海連関係であるとか、あるいは石炭の関係であるとか、電力の関係であるとか、最近におきまする石油資源の開発の関係でありますとか、公害の関係でありますとか、そういうようないわゆる特利といいますかがございまして、七分五厘ないし六分五厘というような特別の金利を実施いたしておるわけでございます。これに対しまして、実はいまお尋ねのございましたように、地域開発の関係その他当行の貸し出します金利を引き下げてくれという要請は毎年相当多いわけでございます。たとえば、大都市再開発というようなことに相なりますると、相当大都市への乗り入れであるとか、あるいは立体交差であるとかあるいは安全工事だとかいうような、採算そのものには必ずしも合わないが、大都市再開発にとって必要だということでございまして、そういう面からも、おっしゃるとおり地域開発の面からの要請もございまして、それらを勘案いたしたわけでございますが、御承知のように、私どものほうの政府納付金の関係がございまして、これはかリオヤ、エロアの返済以来の関係というものは申し上げるまでもないと思うのでありますが、私どもといたしましては、毎年大蔵当局とも御相談をいたしまして、非常に緊急皮の高いものから順を追うて、ある程度要請に応ずるという形をとっておるわけでございますが、地域開発の問題につきましても非常に要請が強いわけでございまして、いまおっしゃるような非常に後進性の著しい地域につきましても問題がございます。それからいまおっしゃいました過密地域に非常に集中度が高いという問題が一つある。過密地域からどきまするいわば地方分散、これにつきましては、特別の金利を適用するということでございますが、実は四十二年の予算の編成のときにもいろいろ相談をいたした点があるわけでございますが、なお今後全体の落ちつきぐあい考えながら、問題の一つとして考えていきたいというふうに考えております。
  43. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 最後に、やはり石原さんも御存じのように、日本の発展の度合いというのは非常に大都市中心主義になり、教育の機関などもほとんど東京とか京都とかというようなところに限られておりまして、地方の開発というのは非常にむずかしいと思うのです。しかし何といっても開発銀行ですから、そういう特殊な銀行である以上は、ある点までそういうことについては、ひとつ十分にそういう点を考えてやっていただきたいと同時に、何といっても公共性のある仕事をやるのがこの銀行のたてまえでございますから、ただ普通の銀行のように、金利を高くしてその利潤をあげようという資本主義的な経営じゃないのです。ですから、そういう点の関連においては、おそらく総裁になられてもそういうあれを持っておられると思うのですが、その点をどういうふうに今後指導されていかれるのか、私はそのことの結論を得、あと同僚議員から催促されておりますから、この次にしますけれども、そういう点について最後のお答えをいただきまして、私の質問は終わります。
  44. 石原周夫

    ○石原説明員 私どものほうは、やはり市中金融機関との関係が、御承知のように、補完並びに奨励ということが書いてございます。市中銀行と常に協調し、市中の金利をながめながら、ある程度まで誘導的な役割りを果たしていくというところにあるかと存じます。したがいまして、地方開発の問題におきましても、やはりその両者をかみ分けながらやっていかなければならぬわけでありまして、そのような地方の金利の実情というものから見ますと、八分二厘という金利は必ずしも高いほうだというふうには考えない点もございます。そこら辺も、これから、同じ地方開発と申しましてもいろいろなニュアンスがございますので、そのニュアンスの点もよく考えながら、なおよく検討してまいりたいというふうに考えております。
  45. 鍛冶良作

  46. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それでは、委員長のお許しを得ましたので、行政管理庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。  臨時行政調査会は、二億数千万円の予算を使って、さらに数多くの専門委員を任命し、しかも海外調査員を派遣したり、あるいは各地方において公聴会を開催したり、検討した結果を答申した。その中で、改組再編成すべきものとして、公団の九十五団体のうちで十八の公団等を列挙して、その後、これら諸団体に対しては、答申を受けてからもうすでに二年半になりますが、昭和三十九年の九月に答申を受け取ったはずですけれども、その後の進行状況について、ひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  47. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 臨調の答申は、御指摘のとおり、十八に対しまして再編成をするようにという勧告が出たわけであります。その十八の中で今日まで処理いたしたものを申し上げますと、これまでのところ実現を見ましたものといたしましては、日本蚕繭事業団と日本輸出生糸保管株式会社を統合し、日本蚕糸事業団を設立いたしました。このほか、鉄道建設公団については、政府の出資金をもう少し増額するようにという答申がございましたので、その趣旨に沿って、来年度は相当の増額をはかってまいっておるところでございます。それから、農地開発機械公団につきましては、国営農地地開発事業をできるだけ同公団に委託実施することにいたしております。それからまた、原子燃料公社については、高速増殖炉の開発を行なう事業団を設置するにあたり、これに吸収して動力炉・核燃料開発事業団を設立することにいたしております。
  48. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ただいまのお話を聞きますと、三十九年の九月の答申に対して、それぞれその趣旨に沿って調査あるいは編成あるいは合併というような方向へ進めつつあるということでありますが、十八のうちで、大体いまのお話を聞いてみますと、あれとこれと、日本蚕糸とどこどことが合併した、どこどこにおいてはもう少し融資をしてやらなければうまくいかぬから融資を考えておる、というようなお話であります。その十八のうちの十と申しますか、八つと申しますか、幾つ程度まで進められてきたかということをもう一度お尋ねいたしたいと思います。
  49. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 四つでございます。
  50. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 そうすると、私はあえてそれを追及するものではありませんけれども、もう二年数カ月たっておりますから、つとめて適当なお考え方をしていただき、そしてこの勧告と申しますか、答申に対して御研究をしていただき、答申の方針が適当であるならばその方向へ進み、あるいはその答申が一部違った点があるというなら是正するというように、至急すみやかにやっていただきたいと考えておりまして、この問題は、それではそれで一応打ち切ることにいたしますが、特に愛知用水公団についてちょっとお尋ねいたしたいと思います。  これは臨時行政調査会の答申によると、愛知用水事業はもう工事は完了したのだ、昭和三十六年以降は施設管理事業のみが行なわれている。それについて豊川用水が関連しておるけれども、この豊川用水も四十二年度にはもう工事が完了するから、工事の終了後は施設管理事業及び借り入れ金の償還業務が残るだけである。これについて、愛知用水公団の目的と異なるので、借り入れ金の償還業務は水資源開発公団に吸収をする。あるいは「工事終了後の施設管理事業は、地方公共団体に委譲すべき…」というような方針が出ておるようでありまするが、愛知用水公団の存続については、地元やあるいは財界はじめ、各方面より、相当陳情やいろいろこの愛知用水というものの功績、そうした機構、そうしたいままでの行なってきた事業の関係、また現在愛知用水公団関係しているダムの場所が長野県にあって、取り入れ口が岐阜県にあるというような関係から考えてみても、他の公団といささか趣が違っておって、しかもそれが、いままで指摘されておるように、地元の行政にまかしていくとかあるいは地元でこれを守りしていくというようなことはとうてい困難なことであるという意味で、強い陳情がせられておると聞いておりますが、これについてはどのようなお考え方で、すでに調査に着手せられたのか、それとももうすでに答申せられたとおりの方針で進んでいこうというお考えを持っていらっしゃるのか、この点はどうであるか、一応お尋ねいたしたいと思います。
  51. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 行管の仕事の方針といたしましては、御承知のとおり、臨調の答申を尊重して行なうことをたてまえといたしております。愛知用水公団の取り扱いにつきましては、現在実施しております既存の特殊法人の調査の一環として、目下作業中でございます。その検討の結果は、この八月を目途として取りまとめて、そのまとめたものを行政改革本部に提出し、さらにまた、行政監理委員会の意向等を取り入れて、そして検討することにいたしております。地元では、御指摘のとおり、愛知用水公団を存続せよという強い御意見がございました。その趣旨については、私も意見書とかあるいは陳情書等の形のものを拝見いたして、承知いたしております。この御要望には、本公団の取り扱い上十分に留意はいたしますが、臨時行政調査会の答申の趣旨もございますし、本公団の存廃を含む今後の方針の問題は、御承知のとおり、木曽川の多目的な総合開発をどういう体制で進めることが最も効果的であるかということの観点から、慎重に検討していかなければならないものと考えております。この点については、たまたま当庁で、水資源の開発利用に関する行政監察を目下実施中でございまして、この監察の結果に基づきまして、公正に判断をする所存でございます。
  52. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 そうすると、愛知用水公団については、そうした陳情も出ておるし、それから、その用水公団の重要性ということについてもひとつ慎重な検討をしてみて、そうして結論を大体八月ごろに出してみたい、それからいよいよ本格的にこの問題についての取り上げをしていきたい、こういうお考えだ、こう解釈してよろしいのですか。
  53. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 そのとおりでございます。
  54. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それでは次の問題に移りたいと思いますが、本年の三月七日の閣議で、行政組織の簡素化の問題が取り上げられております。閣議の了解事項として、四十三年度の予算、編成に際しては、臨時行政調査会の基本姿勢に基づいて行なうということであるが、行政管理庁の長官のお考え方はどんなようなお考えを持っていらっしゃるか、ちょっとお尋ねいたしたいと思います。
  55. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 三月七日の閣議の申し合わせは、行政の簡素化につきまして申し合わせをいたしたわけでございますが、御承知のとおり、この特殊法人をなるべくふやさないように、むしろ減らすほうにいこうという臨調の答申がございまして、従来は、新設の場合は必ずそれに見合う一つを廃止するというような方針でやっておったわけでございます。ところが、スクラップにする、廃止するほうのものを持っておる省は新しいものができまするけれども、実際に新しいものをつくりたくても、廃止するものを持っていないとどうしてもできないという状態に現在はなってまいりまして、それでは世の中の進展その他行政の要望にこたえることができないだろうということで、今度は多少それとは関係なく、特殊法人を新設したことがあったわけでございますが、しかし今後は、そういった事態を見まして、廃止するものは新設のものと関係なく、廃止の方向にあるいは統合する方向にいくというふうに持っていきたいというので、こういった申し合わせができたわけでございますが、その調査の基準といたしましては、第一に、法人の設立目的が果たされたかどうかということ、それから二は、性格が類似しているものは互いに統合して支障がないかどうかを検討する、第三は、当該事業を特別会計方式で行なうとかあるいはまた地方公共団体もしくは民間に委譲して実施させることが適当かどうか、第四は、その他業務の実績等から見て、特殊法人としての存立の意義があるかどうか、そういったものを基準にいたしまして検討いたしたいというように思っております。この結果は、先ほど申し上げましたように、行政改革本部及び行政監理委員会にはかって、十分検討して処置をいたしたいというふうに考えております。
  56. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 三月七日の閣議の行政組織の簡素化ということについては十分にこれを了解し、そして長官はその趣旨に沿って研究し、そして廃止するばかりが能でないから、あらゆる角度から研究をして、またでかさなければならぬものはでかし、廃止すべきものは廃止するという方針で簡素化をはかっていこうと考えておる、こういうことで私は了解するわけであります。  大体これで私の聞くべきことは聞いたわけですけれども、総括的にもう一度聞きたいと思いますことは、指摘せられた十八の公団に対して四つしか、二年有余の間にできていないのだ。そうすると、あとまた十四に対してはいろいろと御研究になって、臨時行政調査会の答申に基づく別な立場、各省の意見、そういうようなものもいろいろと聞き、そうして結論が出てくることだと思いますが、それは先ほどお話の、大体八月ごろに全部が終わるということになるのですか。その点をひとつお尋ねいたしておきたいと思います。
  57. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 臨調で指摘されました改組、再編成すべきもの十八件を含めまして、百八ございます特殊法人を全部あらためて検討いたしまして、そうしてその検討の結果を八月末までにまとめるということでございますから、これがやはり入っておるわけでございます。
  58. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 そうすると、十八だけでなくて、現在ある公団を全部もう一度再調査してみたい、こういうお考え方であると了承してよろしいのですか。
  59. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 そのとおりでございます。
  60. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 では、最後にもう一点お尋ねいたしますが、臨時行政調査会の答申によって、改組、再編成すべき団体として取り上げられた十八団体は、その結果について心配して、行政管理庁のほうへ、どうなるだろうという問い合わせがきっといろいろ多かったことだろうと思いますが、あなたのところは、四十年八月二日付で、行政監察局の諸永審議官名で、心配しなくてもいいという、要約するとそういうような文書を出しておるという、臨時行政調査会の答申とは全く正反対の通達が出たと、新聞は報道いたしておりますけれども、そういう事実はあるのかないのか、一応ちょっとお尋ねをいたしたいと思います。
  61. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 御指摘の問題に関しましては、当院の内閣委員会で御説明申し上げたのでございますが、少し長くなりますけれども、その経緯を申し上げたいと存じます。  本問題は、臨調の答申が三十九年の九月に出まして、これを実行するために、御承知の行革本部ができたわけでございます。行革本部といたしましては、臨調の答申をいかにして実行に移すかということを検討する本部でございまして、当時臨調から出ました答申を各関係省に提出いたしましたところ、特殊法人の問題に関しましては、否定的な御意見がほとんどでございました。したがって、行革本部としましては、これを何とかして臨調の答申のとおりに推進しなければならないというので、行革本部の中に推進班というのをつくりまして、いろいろな十数の班に分かれまして、そして推進をはかったわけでございますが、御指摘の問題の推進班は、諸永審議官が班長になりまして、特殊法人の問題に関しましてやったわけでございます。この推進の仕事といたしましては、まずその当該の庁なりあるいはその公団あるいはそういう特殊法人の意見も聞き、またこちらの意見も言って、互いに意見の交換をして調整していくような作業をやっておるわけでございますが、従来行管独自でやります場合には、口頭なりメモで往復してやっておったわけであります。ところが今度のこの問題に関しましては、行革本部に書類で提出しなければならないような関係上、まだ交渉の段階の中途において、審議官が推進班として意見をまとめて、そうして書類にして行革本部の事務局に提出いたしたのでございまして、そのときの書類が御指摘の書類なのでございます。したがって、この書類は、行政管理庁を代表したいわゆる公文書ではなくて、審議官がいわば意見を交換したメモ的なものであるわけでございまして、行政管理庁として意思を通知した公文書ではないわけでございます。その点ひとつ御了承願いたいと思うわけでございます。
  62. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 どうも答弁を聞いておりますと、楽な答弁でないようでありますが、まあ諸永審議官の名でそういうものが出た。しかしやはりこういうような大きな答申が出て、その答申に対するいろいろのことを聞く場合において、諸永さんが推進班長であったか推進班の中心人物であったかわかりませんけれども、この新聞紙上の書き出しなんかを見ますと、答申とは全然正反対な立場に立って、心配ないということを言わんばかりのことが響いてあったように書かれておりますが、そういう疑惑を持たれるようなことは非常に遺憾に思うから、今後ひとつ十分な注意をしていただきたいと、私は心から思うのでありますが、長官はそれに対するどういうお考えを持っていらっしゃるか、その点をひとつお尋ねいたしておきたいと思います。
  63. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 ただいま申し上げましたように、その諸永審議官の書類は、行管庁としてのまとまった意見ではないわけでございまして、ただいまやっております百八の調査に関しましては、もちろんこの書類は参考にはいたしますが、これには拘束されずに、厳正なる立場で、この百八の特殊法人を検討して、そうして強力に再編成を行なうという考え方でございます。
  64. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大体これで私の質問は終わるわけですけれども、くどいことを申し上げるようでありますが、どこの新聞とは申しませんけれども、大新聞が書いておるところによりますると、これは極秘通達をしてみたり、というようなことが書いてある。いまの長官の御答弁によりますると、そうでないのだ、諸永審議官がいろいろの調査の資料をまとめるためにそういう文書を出したのであるから、行政管理庁がそのようなものを出すように命令したでも何でもないということでありますから、私はそれで了承いたします。了承いたしますけれども、そういうようなことは、今後ひとつ十分注意をしていただかぬと、こういう大見出しで各新聞が筆をそろえて書いておりますから、内閣委員会で御答弁になったのか、どこで御答弁になったのか知らぬが、決算委員会は決算委員会として心配をしてお尋ねをするのでありますから、その点に十分注意をしていただきたいということを、心からあなたにお願いをいたしまして、一応私の質問は打ち切ることにいたします。どうも御苦労さんでした。      ――――◇―――――
  65. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この際、おはかりいたします。  すなわち、国が直接または間接補助金奨励金助成金等を交付しているものの会計に関する件中、愛知用水公団調査のため、本日、参考人として副理事長丹羽雅次郎君に出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認めます。さよう決定いたします。  なお、ただいま決定いたしました参考人の御意見は、委員の質疑により行ないたいと存じますので、さよう御了承願います。吉田賢一君。
  67. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 まず開発の総裁から一、二点簡単に伺うことにしたいと思います。  御承知のとおりに、日本の繊維産業は、平和産業としまして、明治以来の古い伝統を持っております。また紡績以外の織布加工というものは、これまた御承知のとおり非常に零細な、むしろ斜陽産業の位置に置かれておるわけであります。一種の典型的な中小企業の弱体企業であることは間違いないのであります。そこで今日、世界の情勢が、だんだんと低開発国の追い上げもありますし、あるいはまた先進国の設備近代化等も非常に進んでまいっておりますし、国内的にはとかくこれが進みませんし、対外貿易の関係ないしは国内経済、国民経済等の観点から見ましても、これは捨てておくことはできません。そこで最近、通産省の審議会におきましての例の構造改革の答申も出まして、それぞれの案が立てられんとしておるおりからでありますが、しかし、そのような案だけではとても耐え切れぬほどの危機にいま瀕しておることは、一般の常識であります。この際、開発といたしましては、従来の実績も持っておられるし、特に地方開発につきましては格段の融資姿勢を持ってきておられることも、これもとくと承知をいたしております。また財政投融資の開銀資金のルート、資金源から考えてみましても、この際、弱体企業に対しててこ入れをするということは、開銀の一つの重要な使命ではないか、こういうことさえ考えるのです。こういう意味におきまして、この構造改革、特に繊維産業の織布業の構造改革事業に対する融資は、ことしは開銀はなさそうであります。他の方面はあるようでありますが、なさそうにも聞くのですが、それはいかがですか。
  68. 石原周夫

    ○石原説明員 ただいまお尋ねになりました繊維産業の構造改革の関係でありますが、私どものほうは、従来からも、ただいま吉田委員が仰せられますように、地方開発の企業融資といたしまして、百八十億ほどの繊維産業に対する融資をいたしております。そのうち、お尋ねのございました染色加工、織布、こういう二次加工を含めて、大体百二十億ほどのお金を出しておるわけであります。ただ地域的には、御承知のとおり、北陸地方る一番中心に相なっておるわけでありまして、ここに半分くらい融資をいたしております。それ以外の各地にもあるわけでありますが、今回は御承知のように、いわゆる繊維新法というもののあとに、構造改革が現在進行中の段階にあるわけであります。したがいまして、これは紡績のみならず、織布加工段階におきましても、現在各県段階におきまして集約の進行中であることは承知をいたしておるわけであります。この集約ができました暁におきまして、当然第二段階に、近代化であるとかそういうような問題が生じてまいりますので、私どものほうといたしましては、当然そこで出てまいります集約の問題あるいは近代化の問題、そういうものに対します融資の用意をいたしておるわけであります。ただお尋ねの点は、あるいはこういうことかと思うのでありますが、御承知のとおり、中小企業金融公庫もございます。政府金融機関といたしましては、私どものほうで扱います分と中小公庫で扱います分との間に、ある境目を置いているわけであります。大体資本金が五千万円、従業員三百人というところに線を引いておりますので、それ以下のものに相なりますと、これは中小公庫のほうのお扱いになり、それ以上のことになりますと、私どものほうの銀行の扱いになるわけであります。そういうような規模でお考えいただきまして、いま吉田委員がおっしゃいます集約の問題、あるいはそれに伴います近代化等の問題、そういうことにつきましては、私どもの銀行で十分お手伝いをいたすつもりでおります。
  69. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 構造改革の助成資金の方面から見ますと、紡績業に対しましては相当の資金が出るようでございますが、織布業につきましては、開銀は本年度の予算には載せておらぬようにも思うのですが、そんなことはありませんか。
  70. 石原周夫

    ○石原説明員 昨年までは、いわゆる繊維新法の実施の関係におきまして、別ワクを設けておりましたことは、おっしゃるとおりであります。ただ本年度は、ああいうような構造改革という一つの方針を打ち出しまして、それに基づきます集約化の問題、あるいはそれに伴います近代化の問題でございますので、いわゆる体制金融ということばを使っておりますが、これが百億という額が載っているわけであります。これは従来は自動車とか特殊鋼とか石油化学というようなものに限定いたしておったわけでありますが、本年度は全体の産業体制の整備を非常に必要といたします時期でございますので、この金額を多くいたしますとともに、その内容につきましても、三業種に限定をいたしませんで、繊維産業もこのワクの中でやってまいりたいと考えております。ただ、構造改革ということに当たりません部分もございますから、当然これは地方開発資金のほうからもかなりの金が出る、そういう両方から金が出るというふうに御承知いただきたいと思います。
  71. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、これは一つの提案でございますが、いまの弱体化した織布業は、これはやはりいまのばらばらのものを転廃するとか、あるいは整理するとか、あるいは典型的なものをだんだんと育成するとか、そういったことは間尺に合わぬらしい。そこで一歩進めまして、近代化の一つの方式といたしましての協業化をもっと強力にやってはどうか。そして共同で仕入れもし、設備はもちろんのこと、あるいは労務も共同で雇用し、それから販売もあるいはその他の一切の付帯事業、そういったようなものも、相当高度な協業化を推進するということが、いま最後に残された一つの手ではないだろうか、そういうことが地方では相当言われておりますが、とかく資金その他いろいろな問題から制約がありまして、それが実現性は非常に乏しいのですけれども、そういった方面には、資本金が相当大きくなりますので、五十万円以上になることはもちろんでありますが、その方面には地域開発、ないしはそういう後進産業への一つの融資といたしまして、織布業に相当支援されてしかるべきではないか、こう思いますので、その点だけ一つ伺って終わります。
  72. 石原周夫

    ○石原説明員 ただいまおっしゃいまするような企業の協業化をいたしまして、組合の単位におきまする設備資金の要請もございます。従来私どものほうで扱っておりまする例は非常に少ないのでありますが、丹後地区におきまして、ちりめん業の共同精練施設の融資をいたしたことはございます。協業化というのは、おっしゃいますとおり、一つの有力なる繊維産業を再建いたしますことであると思いますので、今後とも、地方開発資金におきまして、そういうものが出てまいりましたら、十分に考慮をいたしたいというふうに考えております。
  73. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 次は、臨調答申をめぐりまして、愛知用水公団を中心にしたいと思いますが、まず総括的に、行管の長官にお伺い申し上げたいと思います。  臨調の答申のうち、公社公団に関する部分が最近大きくクローズアップしてまいりましたのでございますが、これはまことにゆえあるかなで、公社公団というたら、最近人の耳にはよくなれてきたようでありますけれども、一般にとんとよくわからぬ、こういうことになりますので、公社公団のうち、私は愛知用水に限りますけれども、総括的にあなたに伺いたいのは、公社公団一般でございます。  そこで、いわゆる公社公団に対する臨調の意見なるものの対象になりました事業団体、法人などですが、一体これは何とこの概念を規定すればいいのでございますか。たとえば、これは行政法的な一つの概念が前提になって、逐次設立されたものでもなさそうであります。いろんな理由から設立されておるのでございますが、これは、私どもとして、どういうふうに把握することがいいのでしょうか。特にこの法制的な面あるいは社会経済的な機能の面、あるいは国の行政業務との関連におきまして、これを補完するという趣旨になるのですか存じませんが、ともかく百八を総括いたしまして、その特徴をいま申しましたような観点からつかんでいけば、どういうふうに規定すれば、比較的全体をつかみ得るのでございましょうか。これは長官でもよし、また管理庁の専門家でもよろしいです。
  74. 大国彰

    ○大国政府委員 いわゆる特殊法人と申しておるのでございますが、これは行管設置法にあげられておりまして、第二条の四の二で、行管の審査を受けることになっております。それは「法律により面接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立すべきもの」とされておるわけでございまして、結局、行政管理庁は、本来行政制度一般に関する基本的事項を審査し、行政機関の組織、権限を整理することを任務としておるわけでございまするが、最近のように、実質的に見て行政機関と変わらない性質を持つ公社、公団、事業団、そういったいわゆる特殊法人が多数設立されてまいりましたので、これもやはり広い意味の行政機関の一端といたしまして、あわせて行管の審査に付されたわけでございます。ちょっと御質問のあれが……。
  75. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 行管の監察の対象になる範囲はどのような公社公団か、特殊法人か、というときはその御答弁でいいかと思います。私の聞こうとするのは、たとえば公社あり公庫あり銀行あり金庫あり基金あり、それから公団あり事業団あり、ずいぶんと名前がたくさんにございます。その中には国鉄もあれば電電公社もあるし、あるいはまたさっきの開発銀行もあるし、中小公庫もあるし、愛知用水もあるし、畜産から何とか基金、募金のそれとか、あれやこれや、とにかく百花繚乱でございますが、このような種類のものは、いま申しましたように法制的に、ないしは行政的に、国民経済的に、あるいはそういった面の機能の面から何か掌握していかなければ、これをやめる、あるいは統廃合あるいは改組あるいは能率の問題等いろいろと申しましても、なかなかその辺の前提をきめてくることがなければ、むずかしくはないだろうか。たとえば能率をあげるために、行政庁で直接やっては能率があがらぬ、そこへ独立した特殊法人をつくって能率をあげようとしましても、実際実情を見ますると、事業計画なり、あるいはまた予算なり、あるいはまた監督なり、あるいはまた人事なり、そういったものは主管庁がそれぞれと監督していくというようなことになって、能率があがったのやらあがらぬのやら、その結果は国会は全然知りませんのです。それがやはり問題のもとになるのじゃないかと思うのです。  そこで、そういうように能率をあげることを目的にしたような場合には、やはり能率があがったかどうかということを知り得るような何かの機関がなければ、方法がなければ、国民はめくらですから、また膨大な国の一般会計も使っているんだししますので、そういうことも思いますると、やはりこれらの百八つの特殊法人が、どのような性格のものであると規定すればいいのだろうかということを相当明確にしておくことが、行管の、または臨調の意見を推進し実現する上において必要なことでないかと思うのでお尋ねするのでございます。ちょっと、ただいまの御答弁は見当が違うのです。
  76. 大国彰

    ○大国政府委員 確かに、現在ございます百八の特殊法人でございますが、これは先ほど申し上げましたような法律上の、設置法上の規定に基づきまして、百八が一応数えられるわけでございますが、これが、それぞれの特殊法人それぞれの設置の沿革がいろいろございまして、現在のところ、それらに共通するものを見つけ出すことは非常にむずかしいわけでございます。しかし大体に申し上げまして、国の実施業務をより能率的に運営するために設けられたもの、あるいは国の財政上の支出を受けるために設けられたもの、あるいはまた民間の資金を吸収するために設置したもの、そういうふうなものに大体の分類ができるのではないかというふうに考えております。それら、特に百八それぞれ沿革と歴史がございまして、現在のところ、それに通ずる共通の性格を検討中でございます。
  77. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 長官に一つ御希望申しておきますが、その問題は、やはり全体を調査する上におきまして必要な事項であろうと思うのです。一々についてでありませんが、たとえば愛知用水は資本金はありませんね。資本金のない公団、一体これはどういうわけだろうと世人は考えます。役員の任命、業務の内容あるいは債券の発行、その他事業計画、資金計画、予算、決算から、管理官から、借り入れ金から、余裕金の運用、また議員の労働関係とか、幾多の問題があるわけでございます。こういう問題をそれぞれ知っておく、そういう問題を究明していく場合に、いまのように全体としまして性格をつかんで置くということは必要でないかと思いますので、これはできればやはり行管で、もしくはあなたが大臣としまして、他の省とも御相談の上、どこかでもっと明確に規定したものを打ち出して、当委員会に御報告願えぬかと思うのですが、どうでしょう。お約束できませんか。すぐじゃなくてよろしゅうございます。たとえば法制局とも相談し、あるいはそれぞれ主管省庁がありますから。いまお述べになりましたことは設立の理由、目的なんです。設立の理由、目的なんか聞いているのではないのでございます。幾多の、内容も変わり、形態も変わり、いろんなものが変わったものが、ともかく次々と自然発生的に、雨後のタケノコのように百八できた。またできた、またできた。つくりません、またできたというようなことでありますので、これでは国会としまして、これを考えあるいは審査し、ないしは監督する上におきまして非常に不便でありますから、この点はひとつ内閣の責任でやってもらいたいと思うのだが、閣議にでも持ち出して相談はできませんか。
  78. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 御指摘の問題はなかなかむずかしい問題でございまして、確かに、そういった点にある程度の定義をつける必要があるのじゃないかというふうに考えております。行管といたしましても、この百八の検討のほかに、そういった、いま御指摘のような基本的な問題を検討すべきではないかということで、特殊法人の一般について、設置基準と申しますか、たとえば事業団と公団といっても、どういう差があるのか。たとえば、しっかりした意見ではございませんけれども、公団というのは、国なり地方団体がやるべきことをかわってやるようなものを公団という、その他のものを事業団とする、というような通説のようなものをとっておりますが、これもはっきりした定義というところまではまいっておらないわけでございます。そういった面を含めまして、仰せのとおり検討いたしまして、各省とも連絡をいたしまして、もうちょっと明確なものにしてまいりたい、かように考えております。
  79. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 たとえば東北開発株式会社というのがあるのです。株式会社といったら商法の営利団体です。ところが、これがやはり財投の金を使い、また補助金を受けておるとなれば、これは一般会計、国民の税金を使っている株式会社なんです。株式会社もあれば、国鉄というものもありということでは、これは何じゃわからぬ。何じゃわからぬままに、あれは能率が上がった、あれはやめろ、これがうまくいっておらぬ、これは国の金をただ食うばかりじゃないかと言っておりましても、これは全く非合理です。もっと合理的に、能率的にやるということがやはり行管の一つの使命じゃないかと思いますので、これはせっかくのおことばがありましたから、ぜひすみやかに今国会中に明らかにいたしまして、そうして今後の臨調の意見を実現する一つの有力な柱にでもお使いになってはどうか、こう思いますから、委員長、至急におはからい願います。
  80. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御研究の上、それでは御返事を願います。
  81. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 研究の上、御返答申し上げます。
  82. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 一般的にじゃなしに一つ一つにわたることは、きょうは避けておきますけれども、臨調の意見のうち、公社、公団についての改革意見が出ておりますのについて、おしなべて、長官から、大体どういうふうな意見を持っておられるのか、これをひとつ伺っておきたいと思います。一つ一つはきょうは聞くつもりはございませんが、たとえば共通した問題点であるとか、基本的な考え方であるとか、あるいはまた今後どうすべきかということについて、その基準であるとかいうようなことにつきまして、概括的なところをひとつ御説明願いたいと思いますが、いかがでしょう。
  83. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 基本方針といたしましては、私何べんも申し上げておりますとおり、臨調の答申を尊重してやるわけでございますが、御承知のとおり、臨調の答申が出ましたのが三十九年の九月でございますから、それからもう約二年たっておりますので、特殊法人の現況も多少変わっておる、また社会、経済状態も変わっておりますから、部分的にはあるいは答申と一部変更するようなものもあるかとも存じますが、そういった点に関しまして、現在鋭意検討いたしておるわけでございます。その調査の基準といたしましては、設立当初……。
  84. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 公社公団に限定してもらえばよろしいのです、一般じゃなくても。ちょっと舌足らずになっておったかもわかりませんが、私の伺いたいことは、公社公団に対する意見が出ました。十八出ておりますが、それの共通した問題点とか、あるいは基本的な考え方につきまして、いずれも共通したものを持っておりますから、さらにこれに対処してどうあるべきか、どうなすべきかということにつきましての基準、こういうものの概況――概況のこさいなものは要りませんけれども、あなたのほうのお考え方がまとまっておると思いますので、伺ってみたい。
  85. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 十八の指摘された特殊法人に関しましては……。
  86. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 こっちから一々聞きましょうか。そのほうが説明しやすいと思いますから、そうしましょうか――それならそういたしましょう。この公社公団につきまして、期待するような能率化ができていないといううらみが共通してあるようにも聞くのですが、それはそのとおりでしょうかね。
  87. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 一がいには申せないのでございますが、やはり相当期待した効果をあげておる特殊法人もあるわけでございます。それから、当初はあまり発揮いたしませんでおりましたが、最近に至って非常に活発に活動いたしておるというのもございます。それからまた、すでに設立の目的を果たしておるという特殊法人もあるわけでございます。
  88. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 監督があまりにも多元的で、独立の公団か何かわからぬというふうにも考えられる面が――たとえば水資源公団にいたしましても、水資源公団になると、経企庁の長官もそうであるし、厚生省、通産省、農林省、建設省、どこもかもがんじがらめに監督いたしているというような状態でございますし、独立の公団かどうか、どうなんだろうというふうに思われるほど監督が多元的ですが、こういう点につきましては、もっとすっきりできぬものでございますかね。
  89. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 水資源公団に関しましては、御指摘のような問題がございますので、ただいま四万から、水資源の問題に関しまして、広範囲に調査をいたしておるわけでございます。そういった面を含めまして、監察いたしております。
  90. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 水資源は別の機会に聞くことにいたしますが、ただ監督があまりにも多元的であっては、独立性を失ってしまうのではないかということで、私は共通の一つ問題点として、指摘したわけでございます。  それから、よく世上に言われるのですが、どうも人事関係が、監督する官庁の天下り人事が多いとしきりに言われるのでございます。ずらっと並べて名前を書いたりいろいろするのでありますが、そういう辺は、もう少し民間も公平に入って運営できるようにできぬものだろうか、そういうことも確かに共通した問題だと指摘されておりますが、それはそうお考えになられましょうか、どうでしょう。
  91. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 人事の問題に関しましては、御指摘のような弊害があるわけでございまして、特殊法人をつくりました趣旨の一つには、やはりそういった民間人の優秀な方を入れて、そうしてりっぱな経営をしていきたいというような考え方があったわけでございますが、現実はあまり民間のほうからはお入りになっていらっしゃる方が少ないといったようなことでございます。  それから、監督官庁から天下り的な人事がどうも行なわれているようだというような御指摘でございますが、確かにそのような傾向があるわけでございまして、これに関しましては、先般閣議におきましても、官房長官から、そういう特殊法人の人事に関しましては必ず官房長官に話をして、そうして官房長官の了承を得てから人事をやるように、ということの申し合わせのようなものができましたので、今後は、そういった弊害も多少は、緩和されるのではないかというふうに考えております。
  92. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 たとえば監督官庁から天下り人事で行く。監督官庁の優秀な人材は、何も好んでそういうところに行かなくても、それぞれりっぱな地位、仕事が待ちかまえておるのでありますから、そういう人にかえって気の毒な面も、世評の結果は、実際はあるのではないかとさえ実は思うのでありますが、いずれにいたしましても、監督とか独立性とかあるいは官僚的とか、そういうものがとかく日本ではいろんな面で災いになっておるということは、日本一つの弊風でございますね。  そこで、そういった批判があるときには、相当思い切って、そうでないようにする方向で政府は強く打ち出していくことが、国民の期待にこたえるゆえんでないかと思うのです。もっとも反面から見まして、現状は、さきに御答弁のように、監督が厳重過ぎて独立性が乏しい、はしの上げ下げまで一々文句つけられておるというような現状らしいです。だから、公社公団といえども、ほんとうに独立しておるのやらどうやらわからぬというくらいな、それほど独立性のないようにさえ私ども感ずる場合もしばしばありますので、いずれにいたしましても、その辺はもっとすっきりしないものだろうか。せっかく独立の法人であるならば、独立の地位を与えてその機能を発揮せしめ、有能な人材は最大限に活用していくというふうに、何かその辺がもっとすっきりしないだろうか。もやっとしたものに包まれたような感じがしてならぬのであります。これが公社公団の成績があがらぬ、とかく当委員会等においても、臨調の対象にもなったり、問題の起こる一つの原因でないかとさえ思えます。それで、これは全般の問題でありますので、共通した一つの重要な問題として、お尋ねもしたわけでございます。  それから、さらに問題は、現実に、たとえば運営の問題なり改組の問題なりにつきまして、相当な基準があって、運営の改善とか改組の方向とかなされるわけでございますが、その辺につきましても、これは臨調の意見にも一応うたってあるのでございますけれども、長官としての一応のお考え方、どういうような基準で、運営ないしは改組に対する意見を取りまとめるべきであろうか、この辺のお考え方はどうでございましょうか。
  93. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 いまのお尋ねは、特殊法人の問題ですね。――ただいま整理、再編成の監察をいたしておりますが、その基準といたしましては、先ほどちょっと申し上げましたが、法人設立の目的がすでに果たされているかどうか、ということが一つでございます。第二は、その特殊法人の性格が類似しているものは、互いに統合しても差しつかえないかどうか。第三は、当該事業を特別会計方式あるいはまた地方公共団体もしくは民間に委譲して実施させることが適当であるかどうか。第四は、その他業務の実績等から見て、特殊法人としての存立の意義があるかどうかというような、四つの大きな基準をつくりまして、検討いたしております。
  94. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 統廃合とか改組、再編成の問題は、実は相当重大なことでございますので、特に横から見ますと、営利ではないけれども、ほとんど企業的な事業が多いのではないか、ということになりましたら、かなり重大な影響もあることでございますので、ここはいいかげんにヘビのなま殺しになっては自他ともに害をして、国民も何ら利益がないと思うのです。でありますから、一たん臨調の意見が出しました以上は、少なくとも十八のそれについては、すでに日本蚕糸については他と統合済みでございますけれども、残る十七につきましては、やはりほんとうに真剣に取り組んで、これがどうあるべきかということを、これは政府の全責任を持って臨んでもらわなければいくまいと思うのです。いいかげんにいたしましたら、これはいっそしないほうがよろしいし、臨調の意見は害をなす、益がない、こういうことにもなります。でありまするから――ただしあまり期間置きましたら、これはまたたいへんです。それは社会経済の変化のこともございます。またその他の諸条件も変わってまいりますししますので、いずれにしましてもたいへんな作業だが、しかし時間的にも相当急ぎませんと、五年も七年もほったらかしになって、まだやめるとかやめぬとか、改組するとか統廃合するとかという対象にあげられたということでは、全くやりきれぬと思うのですね。自他害を受ける以外に何にもない、こう思いますので、この点につきましては、統廃合、ことばは簡単ですけれども、事実はたいへんだと思います。たいへんだと思いまするが、しかし全力をあげて取り組んでもらわねばいかぬ。一体そういうときに、これは行管もそうだけれども、それからいまの監理委員会等におきましても、ちょっと手不足ではないのですか。こう言ってなんですけれども、何か、いまのような、政府が全責任を持って当たってもらわなければならぬ段階に、何か知らぬ手不足で、間尺に合わぬような感じさえするのですが、どんなものでしょうね。
  95. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 御意見は非常に私も同感で、強力に実行し、しかも短期間に実行に移したいというふうに考えております。しかし過去の実績から見ましても、なかなかこの問題は各省の反対等がございまして、はかばかしくまいらないのでございますが、しかし、やはり国民のための行政あるいは行政組織運営というものをやっていかなければならない観点から、私は、まず各大臣が国務大臣というような一段高いところから、各省の長であると同時に、国務大臣といったような考え方で検討していただいて、そうして行管と力を合わせて、ひとつこの問題をやっていただくように持っていきたいというふうに考えております。同時に、やはり国民の世論というものが非常に私どもは大切だと思っておりますし、またそれが非常に行革の実行には力になるものでございますので、私は世論を背景にして、そうしてこういった特殊法人の統廃合を強力に押し進めてまいりたい、かように考えております。  いま御指摘の、行政監理委員会の人員構成が少ないのじゃないかというようなお話がございましたが、委員はただいま委員長をまぜまして七名ございまして、事務のほうの仕事は行管の職員が担当いたしておりまして、実質的にはさほど不便を感じておらないのでございます。しかし、なお一そう督励いたしまして、御期待に沿うような成果をあげてまいりたいというふうに考えております。
  96. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 愛知用水に入りたいと思うのでございますが、関連しますから、もうしばらくひとつ長官お待ち願いたいと思います。  愛知用水の副理事長いらっしゃいますか。お尋ねいたしますが、さっきも他の委員から若干御質問が出たのでございますが、いま愛知用水公団は臨調の答申の一つの対象にもなり、また世上の批判の対象にもなっておりまする非常に重要な公団でございます。私どもは最も公正な見地から、愛知用水はどうあるべきかということにつきまして、ここでは十分に究明していくことが国民の期待に沿うゆえんである、こう考えております。  そこで伺ってみたいのでありますが、愛知用水公団が事業報告書を出しておりますのによりますると、国庫補助金が、愛知用水部門で百八十三億円、豊川用水部門が百十四億円余りというように補助金をもらったようになっておりますが、昭和四十一年三月末現在で、貸借対照表によりますと。これは集計でありますか、単年度ですか、どちらですか。
  97. 丹羽雅次郎

    丹羽参考人 愛知用水公団は二つの事業をやっておりますが、知多半島につきましては事業が完了いたしましたから、百八十億は最終的集計でございます。それから、現在、本年度も百三十億の予算をもちまして、渥美半島で、明年の農業かんがい期を目途に突貫作業をやっておりますので、豊川用水に関します国庫補助金は、その年度の終わるまでの分の中間集計でございます。
  98. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 愛知用水部門と豊川用水部門を区別しましてよろしいですが、負債の総計はどのくらいになりますか。
  99. 丹羽雅次郎

    丹羽参考人 愛知用水事業のほうにつきましてまず申し上げますと、世銀が十七億、余剰農産物が百二十二億、資金運用部が二百二十九億でございます。それから豊川事業に関しましては、外資は使っておりませんで、資金運用部が二百十億、これは計画でございます。それから余剰農資金が六億でございます。
  100. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 昭和四十二年の自己資金等は、大蔵省の発行の予算説明によりますと八十四億円となり、前年が六十三億ですからだいぶふえておりますが、大まかな内容はどうなりますか。
  101. 丹羽雅次郎

    丹羽参考人 先ほど先生がおっしゃいましたとおり、資本金は持っておりません。そこで、現在先生がいま御指摘になりました自己資金と申しますものは、資金運用部及び世銀等に返済すべき期間と、それから現実に入りました国庫補助金、ないしそれぞれの業種、発電それから水道等から納めます負担金が蓄積されておる現状でございます。この蓄積されておりますものを、それぞれの償還期限の際――目標は一応昭和五十五年に置いておりますが――までに返済し終えますと、収支ゼロ、こういうことになる仕組みでございます。現在は約九十億でございます。
  102. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 補助金は、四十二年度何ほどになりますか。
  103. 丹羽雅次郎

    丹羽参考人 四十二年度には、先ほど申しましたとおり、豊川の事業をやっておりますだけでございますから、豊川関係補助金だけでございますが、七十八億円に予算計上されております。
  104. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから、貸借対照表に有価証券が九十八億日とありますね。これは何ですか。
  105. 丹羽雅次郎

    丹羽参考人 先ほど申し上げましたとおり、おいおいに返すわけでございますので、その期間資金か滞留いたします。その資金運用の形といたしまして、有価証券を購入して所有いたしておる、こういう形でございます。
  106. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 未収金は、これは賦課金の未収ですか、三十一億円。
  107. 丹羽雅次郎

    丹羽参考人 御承知のとおり、国庫補助金と借り入れ金で事業を完了いたしまして、それから借り入れ金部分に見合うものは賦課金といたしまして、発電、水道――これは上水と工水に分かれます、それから農民、という形で、年賦で取るわけでございます。農民部分を除きましては、全部年賦額が入っております。計上されております未収金は、主として農民から納めるべき賦課金の未収でございます。
  108. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 本年度やはり約八十億円の国庫の一般会計からの補助金をお受けになるようでございますが、これはやはり御承知のとおりに、財投全体といたしましても、きわめて零細な厚生年金とか、あるいは郵便局の貯金などもございますし、このような場合に、愛知用水といたしましては、当初の計画が少しでも過誤があったかなかったかということは、常に反省をしながらいくということ、それから、いやしくも国民の税金でございますので、最も効率的に使わねばならぬので、したがって、その結果が、とかく次に投資を呼び、あるいはまた回収ができなくなり、あるいは当初の目的のような事業の達成が目的のようにはできなかったということになれば、これはたいへんだと思いますが、そういう点について、いまは相当大きな反省をしてみなければならぬ状態があるのではないだろうか、こういうふうにも、実は世論にかんがみて、私ども感じるんです。もっとも、私自身が現地をまだ見ておりませんので、いろいろな報告書やらその他によって、これは一つの推測をするのでございますけれども、相当大きくこれは反省をする段階がきておるんじゃないだろうか、こう思いますのですが、あなたのお立場では、どういうふうにお考えになりましょうか。
  109. 丹羽雅次郎

    丹羽参考人 御指摘のとおり、相当の先行投資でございますから、いろいろと経済情勢の変化がありましたことは否定できません。が、しかし、この事業の終結を、国損を及ぼさない、かつ、この事業をきれいな形で始末をするということにつきましては、非常な反省をいたすと同時に、非常に責任感じておる次第です。でございますから、問題は主として農民負担の問題でございます。ここ数年非常な努力をいたしまして、事態の好転を見つつある、これをぜひ私どもの責任として解決したい、また、すべきであるという信念に立って、現在公団問題を御審議をお願いしたいということを、私ども強く主張いたしておるわけでございます。深い反省の上に立って責任感じておりますがゆえに、こういう立場でものを申しておる次第なのでございます。
  110. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 愛知用水公団法の第一条によりますと、その目的が明らかになっておりますし、木曽川及び豊川水系の水資源のそれぞれの総合開発、利用の高度化、そして食糧その他農産物の生産の増進、農業経営の合理化等、飛んで、かんがい排水施設の新設、管理、開田、開畑等――結局、これは広い意味におきまして、農業開発のための水資源の活用ということが大眼目であったようにも考えるのでありまして、工業用水に水を売って利益を得ますの、上水道で、それで収支を償いますのということは、たまたま付帯の仕事ではないだろうか、こういうふうに思います。これは先ほど来、公団たるものの性格に、私は論及したいと思ったのは、ここにあるのでございます。やはり法律によりますと、どうもそう思われます。それならば、農業の目的というものが、次第に経済成長の過程で独立の自営が困難になるようなものが多いし、また、だんだんと農家は減っていくし、農地はつぶれていくし、工場はふえるしということになりますと、おのずからそこにやはり農地として水を利用する度合いがだんだん減ってくるということは、これはもう明らかなことなんでございまして、これが何か誤算のもとではなかったかと思うのですが、いまは工業用水に使いますの、上水道に使いますのということをしきりにおっしゃっておりますけれども、また、地元も大いにがんばってくださいというような激励的なそういうものもあるようでありますけれども、ほんとうにくわをとっておる百姓、たんぼに野らに働いている百姓が、愛知用水さまさまと言うて、どうぞひとつ存続して大いにやってくださいなんて、そんなことを言うておるんだろうかどうか、この辺のことをどうも私は憂えるのでございますが、お考えどうでございます。
  111. 丹羽雅次郎

    丹羽参考人 先生のおっしゃっておりますことは、前段はきわめて基本的な問題でございまして、私どもの立場でお答えすることが適当であるかどうかという点はあるわけでございますが、御承知のとおり、この計画が行なわれましたのは、昭和の、いまから十五、六年前でございます。知多半島にいたしましても、渥美半島にいたしましても、御承知のとおり水のないところでございます。そこに水を引いて農業を生かそう、同時に、社会問題でもございまして、水を通そうという立場におきまして計画し、また、当時におきましては、日本の農業といたしまして、畑かん振興、畑作振興ということが声を大にして叫ばれた時代でございますから、非常に意欲的に計画を立てたことは事実でございます。ところが、その当時におきまして、せっかくこういう施設をつくるならば、いずれ上水道も要るし、工業用水も要るのだから、あわせてこういうことを考えたらどうかということを、私どもも地元にも言ったわけでございます。当時、名古屋の現状といたしましては、そういう見通しを持っておりました。したがいまして、当初におきましては、工水はわずかに一トン程度のものをようやく織り込んだわけでございます。その後におきまして、日本の経済の異常な成長におきまして、御承知のとおり、臨海工業時代が来ました。これは御指摘のとおり、労働力の面におきまして、人の面におきまして、農業に著しい影響を与えました。したがいまして、現在の段階におきましては、農業も大事でございますが、経済成長も大事であり、人間に対する都市形成も大事であるという立場におきまして、この施設を全幅活用したい、こういう立場で私どもも考えておりますし、地元も考えておるのでございます。いずれにいたしましても、農業の見通しが不十分であったではないか、経済の成長によって受ける農業の見通しが不十分であったのではないかという御批判は、私は甘んじて受けねばならないと思うわけでございます。ただ、十五年間の変化というものは、日本の三十年以来の大きな経済成長でございます。これは過去の人を、私、必ずしも責め得ない大きな変化ではなかったか、現在では、その実態に応じてどのようにして有効に国民経済的にその問題を処理するか、こういう立場考えるべきであり、またこうすることが農民負担問題を解決する方途である、かように考えておる次第でございます。
  112. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたのほうの事業報告書的なものによりますと、当初の計画は、受益農地が三万ヘクタール、そこできょう現在におきましては、賦課面積が一万ヘクタール、しかも反当は一年に一千円ということに減額されてしまっております。これでは、ともかく一ぺん農業用水のために愛知用水公団の事業を計画したけれども、これはこれで正直なところお手上げがほんとうじゃないか。あと存続するとか、建設するとか、充実するとかは別個の問題です。正直のところ、三万ヘクタールであったものが一万ヘクタールになったし、また一反につき年に一千円しか償還金が入らない。しかもこれはさっき質問しましたように、借り入れ金が三百三十七億円もありますし、また受知用水の国庫補助金が百八十三億円にものぼっておるのです。ということであれば、これは公団だから、こんななまやさしいことが言えるのですが、これが企業、株式会社であったら、ハチの巣を突っついたようなことになると思うのです。ですから、親方日の丸ですから、だれが何ぼ損をしてもいいということなら別の問題ですけれども、とにかくこういう大きな変化が生じました。農業を対象にしました用水事業としましては、一応は大きな変化が生じておる。変化が生じておるときに、農業を対象にした事業は、ともかく一ぺんピリオドを打つのがほんとうではないだろうか。新しい角度で新しく出発する、これは別個の問題ですよ。それならばそれで、しからば工業とは何ぞや。さっきだんだんとここでお聞き及びのとおり、愛知県におきましても、中小企業の機屋は青息吐息なのです。これも工業といえば工業です。そしてまた染色業は、悪水で、これまた公害の問題が起こっております、というようなことがございますので、一口に工業と申しましても、やはりこれは基幹産業、大企業と違うものもぎょうさんございますから、そういう意味におきまして、大きな変貌を生じたこの段階で、正直なところ何らかのピリオドを打って、新しく再発足するという構想を、最高幹部はお持ちになってしかるべきではないだろうか。もしあなたが会社の副社長であったら、やはりそういうことについて、率直に株主とひざを交えて御相談なさると私は思います。そういう意味におきまして、この点どうでございましょう。
  113. 丹羽雅次郎

    丹羽参考人 だんだんごもっともなお話でございます。一言言わさせていただきますと、実は三十七年に二万三千町歩ということで賦課をいたしたわけでございますが、面積に対します率は、実態把握につきまして見解の相違が起こりまして、二年間ほど、県庁と私のほうと農民団体で、一枚一枚話を詰めてまいりました。三つの土地改良区のうちの一つの土地改良区が詰めたものが一万町歩、ほかに二つの土地改良区がございますので、現在の詰めた姿は一万二千町歩。これをもう少し詰めていって、数字を確定したい、これが一つの作業の状況でございます。  それから、設立以来、これは全然払わぬでもいいという、政治的というとことばは穏やかではございませんが、ムードが、世紀の事業という美名のもとにあったことも否定できなかった。払わなければならぬのだという問題についての話が、ここ二年間ようやく決定をし、私どももずいぶん現地を飛び回りまして、四十年から、ともかく農民のさいふをあけまして、千円ずつ出さす。農民のところから出さしたわけです。もちろん千円では足りませんで、もう少しさいふをあけさせるということに、この二年間の努力があったわけであります。さようなことは手ぬるい。民間の会社では、こんなことではだめだという御批判もずいぶんあろうかと思いますが、それはそれなりに今日までまいりまして、ともかく払うことは払う、さいふはあけた、さあ幾ら払う、これを本年度の勝負にしたいという状態に相なりつつあるわけでございます。そこで私どもといたしましては、ある意味からいうと、お手上げをしてまいりたい面もないでもないのでありますが、農林省が手をかけ、またわれわれが長い間やった仕事というものはりっぱな仕事でございますから、最終的な資金の回収の問題、これはやはり自分らの手で片をつけたいという立場において、現在におきましては、責任感じますがゆえに、行動いたしているという現状でございます。
  114. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 事業の投下資金はもう四百億円をこえておりますね、現在におきまして。それから、一体これは何年かかったら愛知用水は償還できるのですか。
  115. 丹羽雅次郎

    丹羽参考人 借りました金は、先ほど申しましたとおり資金運用部は二十年、これは資金運用部のルールに従いまして、それぞれ返します。世銀、余震も、それぞれのルールがございまして、先ほど申しましたように、五十五年には全部返す。それから一方その返す財源は、農民及び発電、上水道から取っております。発電及び上水道は二十年年賦で払っていく形になって、返すべき金のほうとバランスをとっております。それから農民のほうは、現在のところ十五年で払うようになっております。その農民の払い方が実はいま問題になっております。そこで、その払い方の問題としての話をいま詰めておるわけでございます。いまの御質問として、いつまでに払うのかということにつきましては、農民及び発覚は、公団に対して二十年ないし十五年で払ってもらう。それから世銀、余農、運用部は、それぞれの条件によって違いますが、期限だけについて申しますと、余農は大体二十二年、運用部は御承知のとおり三年据え置きの二十二年、そういう条件で返すものは返そうということであります。
  116. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 行管の長官にお尋ねするのですが、やはり愛知用水公団のごときは、世上問題になりましたら、間髪を入れずに即刻行って、現地調査をして、そうして行管の立場立場として、もう徹底的にこれを明らかにするということにせねばならないと思います。もっとも、農林省におきましても、その主管庁ですから同様だろうと思うのです。農林省におきましても、これだけ世間に騒がれておりながら、まだ十分の結論を得ないということは、これはもう行政の怠慢です。行政の能率があがらぬ典型的なものです。ですから、やはり世論の焦点になっているのですから、行管のお立場から、きょうは農地局長も見えているようでありますが、行管の長管といたしまして、愛知用水公団につきましては、他のものもございますけれども、即刻相当な調査をして、行管なりの立場で、それぞれ結論を出してもらいたいと思います。いまの農地の問題、農業の問題、農家の問題、農家から償還をさせようという問題も、これは重大な問題であります。これは愛知用水公団だけの問題ではございません。日本じゅうのこの種の事業団のあるいは典型的なものとして取り扱っていいのかもわからぬ、私はそう思うのです。ですから、模範的な解決をするということでありましたなら、これは行政の全般の上におきましても、公社公団、特殊法人の全体の上におきましても寄与するところ大きいと思うのです。ぜひひとつさっそく動員をして、あなたのほうで徹底的に御調査になってしかるべき結論を別にお出しになったらどうですか。諸永文書というものも出たおりから、どうですか。
  117. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 ただいま行政監察局といたしまして、水資源の開発利用に関する行政査察というのを計画的に行なっておりまして、これは二月に計画、準備をいたしまして、実際には四月から調査にかかっておるのであります。この監察は、水資源の開発利用というものに関して行政監察をやるわけでございますが、その一環として、愛知用水  の問題も検討いたし、計画を実行に移しております。仰せのとおり、本庁の監察局から審議官が先般名古屋に参りまして、現地で調査をいたしまし  て、ただいまこちらに帰ってまいりましたが、その後のこまかい調査は、名古屋にございます中部管区局で調査をいたしております。これは先ほど申し上げました百八の特殊法人の調査と同じように、八月までに結論を出す目標で、鋭意調査をいたしております。
  118. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点はさっきも聞きましたけれども、八月までに百八を出すということ、それよりも、重大な問題化したときに、すぱっと行って、それを調査するということのほうが効率的なんです。また、その効果は、全体の調査が未了でありましても、大きいです。だから、愛知用水についてはこういう調査をした、こういう結論を出したということを、国民に知らしてもらいたい。国民は疑心暗鬼ですよ。疑心暗鬼でありまして、そしてなお本年度も七十八億円も一般会計補助金を使うのです。これはたいへんであります。これは豊川でありますけれども。そういうような愛知用水公団でありますので、したがいまして、これは、愛知用水のために、さっきの御質問を聞いておりますと、担当の職員等は動揺しておるという話も聞きます。長いことこんなことをしてほっておいたら、ヘビのなま殺しですから、動揺します。絶対いけません。だから、問題が起こりましたならば、間髪を入れず、国の特権を発動いたしまして、現地で調査をなさる、現地の調査にまかすべきじゃないと私は思います。直接御調査になって、今国会に報告してもらいたい。八月なんていったら、国会はありませんよ。八月といったら、また十二月、一月、来年のことになってしまう。そんな間の抜けたこと言っていたら間に合いません。八月からは予算であります。また予算を作成せなければならぬ。そういうことになるのでありますから、だから、愛知用水公団を今後財政の立場からどう処遇するかという問題にもつながってくると思います。大蔵省理財局にしても同様であります。だからあなたの立場からも即刻、愛知用水公団のためにも、国民のためにも、国の財政のためにも、またその他の百七つの公社公団のためにも、私はやはり模範的にすみやかに能率的に、これこそほんとうに能率をあげてもらいたい。能率があがらないのは行政が標本にいわれるおりからですから、行政管理庁は能率をあげてもらいたい。これはぜひしてほしいと思います。八月といわずにやってもらいたいと思いますが、どうですか、できますか。
  119. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 八月と申しましたのは、先ほどお話ございましたように、四十三年度の予算の編成に入る前に結論を出したいという考え方で、八月と申したのでございますが、先ほどお話し申し上げましたように、すでに調査にこれには特に早くかかっておるわけでございまして、なるべく御期待に沿うように、結論を早く出してまいりたいと思います。
  120. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今月中にでも、当委員会に報告できるような段階にいきますか。五月はまだ半月ありますよ。
  121. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 なるべく早く結論を出したいと思いますが、ちょっと今月一ぱいではむずかしいということでございます。
  122. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 若干まだ公社公団の問題は続くと思いますので、今月中に、何らかの中間報告でもよろしゅうございますから、出してください。世論はわいておるのです。わいておるときに、あまりゆうちょうになさることはよくないと思います。二週間まだだいじょうぶです。超音ジェット機が三時間でアメリカへ行く時代ですから、これは大急ぎでやってください。  農地局長和田さんに伺いますが、農林省としても重大な責任もあります。ことに農地局は重大であります。百姓の将来の見通しが立たずに、水代を取ろうとしたことに、大きなあやまちがあります。農林省といたしましては、百姓政策が、水代政策がいまのような状態でありますので、農地と水がというようなことはわかり切った話なんであります。まして愛知なんです。愛知の地帯の工業地域化すべき諸情勢があることは、これは当然のことなんです。こういうところにおきまして、ゆうちょうにかまえて、長い間に水代をもらおう、そして償還をするというようなことは、とんだ間違いだった、こう思うのです。あなたの嫌うといたしましても、農地局長のお立場からしましても、愛知用水公団につきましては、別途の角度からすみやかに御調査になって、そして他のもろもろの、たとえば水資源公団等の関連もありますし、国会の審議のこともありまするので、行管と歩調を合わせて、早くやるようにできませんか。
  123. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 愛知用水公団につきましては、先ほど来副理事長からるる御説明申し上げておりますように、法律では木曽川水系の事業と豊川水系の事業と二つがこの公団の事業になっております。そのうち愛知用水の木曽川水系の事業としては、現在、事業計画で農林大臣が認可をいたしておりますのが愛知用水の事業でございまして、これは三十六年に完成をして、現在管理段階に入っており、豊川水系の事業は、来年の春の農業用水の必要時期までに通水をするということで、現在事業をやっておりますので、愛知用水公団自身としての事業の目的は、なお引き続き、豊川用水の事業が完成するまでは、建設工事としても存続をいたしておるわけでございます。  一方、農民負担の問題につきましては、一般に、国営の土地改良事業を実施いたしまして、新たに水路を引き、あるいは各種の排水改良等の事業をいたします場合の農民負担は、それぞれ農一の負担能力等を考慮して、長期の年賦で償還をさせるのが本来のたてまえでございますので、愛知用水公団の事業として実施をいたしました愛知用水の事業につきましても、また今年中に完了いたします豊川の水系の事業にいたしましても、これはやはり十年なり十五年の年賦で農家の負担部分は償還をしていくというのが、一般の土地改良事業の制度でございます。したがって、愛知用水公団につきましても、同様の制度によって償還を町民から受けていかなければならないのでございまして、そういうたてまえで、余剰農産物の資金なりあるいは世銀の借款の返還計画なりが本来でき上がっております。そこで、いま問題は、愛知用水事業についての農民負担部分が、本来賦課をいたしました分だけを、農家がいろいろな――先ほど丹羽理事長は、政治的な動き等もあってということを申されましたが、本来賦課をいたしましたものを、関係者の間で、やや親方日の丸的に、償還に応じない。そのために一部延滞になっておる事実がございますので、一般の土地改良事業全体の償還計画との関連で、愛知用水だけ甘い目を見せるということは、私どもとしてはできませんので、当初の償還計画どおり、これを今後償還をしていくという方針で処理をせざるを得ないと思います。農林省としても、本来世銀借款等を返還をしていきますことは、愛知用水公団とともに、私どもの国際的な責任でもあると思いますので、そういう方向で、鋭意努力をいたしてまいりたいと思います。
  124. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまお聞き及びのとおりに、いろいろと当初の計画から食い違った事情もあり、いろいろとそごを来たしたような経過もあるようでありますので、いまの段階におきまして、主務官庁としての農林省は、愛知用水の過去、現在、将来につきまして、いまいろいろと批判の対象になっておる、また指摘されておるような事項につきまして、あらためてひとつ至急に調査する、こういうふうにせられたらどうかと思うのです。  時間の関係もありますので、あなたのほうの管理官が出しておられる文書もここに持っておりますけれども、一々について、ここでは問答はきょうは差し控えておきますが、ともかく農林省も、この問題は成り行きにまかすというべきじゃないと私は思うのです。どうしてもそうじゃないと思うのです。でありますので、このまま成り行きにまかしましたら、さらに三転いたしまして紛糾いたします。地元ではまた猛烈な運動が起こってきます。こういうことになりまして、結局はまた次の何かこぶでもひっつけたようなものになって解決するのじゃないか、ということさえ心配されている向きがあるのです。至急に事態を究明するという意味におきまして、御調査になりませんか。
  125. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 事態が紛糾しておるから、至急に調査をしたらどうかというお尋ねでございますが、監督官庁としての私どもは、問題の事態は十分に認識をいたしておるつもりでございます。問題は、先ほど申しましたように、豊川用水の事業が完了いたしましたあとで、愛知用水公団を存続させるのか、存続させないでそこで打ち切りにするのか、という問題であろうかと思います。もし打ち切るとすれば、世銀の借款なり、あるいは余剰農産物の借り入れ分なりを、どういう形の責任体制で今後償還をしていくかという問題が一つあるわけです。それと関連して、別個に木曽川の水系につきましては、まだ農業面からも工業あるいは都市用水の面からも、その水をもっと総合的に開発をしていくについて、地元の一つの事業体として愛知用水公団を存続させて、新たな事業を引き続きやらしてほしい、という地元の要望が昨年来出てまいっておりますので、前段申しました豊川の事業が完了したときに、愛知用水公団を、従来からの計画に従って償還をやる事務をどこでやらせるかという問題と、地元の要望の、存続をして新たな事業を同じような公団組織でやってほしいという問題と、どのように調整をしていくかというふうなのが問題点であろうと思います。農林省としては、地元のそういう強い要望もございますので、予算委員会等でうちの大臣等も、そういう地元の要望を受けて、善処したいということを申し上げておるわけでございますが、公庫公団全体についての行管の御方針もありますので、現在行なっておられます行管の調査の結果等をまちまして、関係省との間で慎重に処理をいたしていきたいというふうに考えております。
  126. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この問題は、やはり大臣に出てもらって質問せぬといけませんですから、ちょっと申し上げておきますが、やはりだんだんお聞き及びのとおり、当初の計画から相当変貌しておるということは認識してもらいたいのです。いまの現状を知っておるとおっしゃいますけれども、やはりあなたのほうは監督官庁なんですから、知っておるということだけでは問題は解決いたしません。したがって、存廃問題というふうに、非常に頭に大きくきておるようでございますけれども、存廃だけではございませんよ。これはやはり財投の角度から考えましても、本質を十分に究明していかなければいかぬのであります。当事者は存廃ということばかり頭に考えているかもしれませんけれども、国全体の財投の運営のしかたという観点からきましても、相当問題点があると思うのです。したがいまして、そういう点に一々農林省が答えなさるかということ――いま時間がないから言いませんけれども、やはりもっとよく研究しなさい。調査してもらいたい。そうして存廃だけでなしに、たとえば水資源公団との関係におきましても、いろいろと今後調査になってしかるべきでないかと思うのです。そんなことをよくわきまえておるというのなら、問答はやめて、大臣に来てもらって一々聞いてみますけれども、こういうふうに私は思うのです。世論がこういうふうになってきますと、よけいいろんな要素が入ってきまずから、きょうはこの程度にして「おきます。
  127. 鍛冶良作

  128. 勝澤芳雄

    勝澤委員 時間がありませんから、簡単に二、三の問題についてお尋ねいたしますが、行政の簡素化というのは長い間懸案になっておりまして、池田内閣当時からわれわれはこれについて強く要望してきたわけでありますが、池田内閣当時は、臨時行政調査会が調査しておるから、その答申をまってということで経過をいたしてまいりました。佐藤内閣になりましてから、われわれは、この臨時行政調査会の答申というものをできるだけ尊重して、この趣旨に沿った簡素化を行なうべきであるということを強く訴えてきたわけであります。しかし御案内のように、この問題はたいへん複雑でありまして、与党から見ればやはり官僚の抵抗があると思いますし、われわれ野党から見れば労働組合の抵抗があるわけでありまして、両両相まって、こういう問題を徹底的に行なうということは、やはり政府の政治の姿勢と、そしてこれを推進しようとする行政管理庁の態度、そしてこれを支持しようという国民世論と、それから特にわれわれ党派を超越して進めてきた決算委員会というようなところがバックアップしなければ困難であろう、実はこう思っているわけであります。ですから、たとえば一つ愛知用水公団を取り上げてみても、それは農林省あるいは愛知用水公団の役人の抵抗があるでありましょうし、またわれわれに対しては労働組合の片方の抵抗があるでありましょう。しかし、どこかでだれかがこれを進めなければ、やはり国民の今日の輿望をになっていく立場から、推進にはならぬというのが今日の実態ではないだろうかと私は思うのです。そういう点から考えてみると、やはり行政の簡素化というものは、あるいは行政管理庁とか、あるいは経済企画庁とかいうところを見てみますと、過去の政治の中で、そこに実力のある大臣が来ると、そこがクローズアップするけれども、大臣があまり力がないと何もクローズアップしなくて、半年なり一年なり終わってしまう、あるいはまた総理も同じことだと思うのですが、そういう点から考えてみると、行政管理庁というものが、やはり異常な決意を持ってこういう問題は取り上げて推進しなければならぬ、私はこういうように思うわけであります。  しかし、残念ながら、最近の状態を見てみますと、これは大臣がおなりになってからでなかったようでありますけれども、行政管理庁の中で、これに逆行するような通達が流れておったということで、いま行政監理委員会の中でもたいへん問題になっているようでありまして、この質問があったようでありますけれども、この通達なり、あるいはこの取り扱いなり、あるいは経過というものについて、詳細に決算委員会に御報告を願いたい。これは、私は責任を追及するとかなんとかいうことでなくて、やはりこの臨時行政調査会の答申というものをわれわれが、国会も、あるいは政府も、尊重していくという立場で、あるいは臨時行政調査会の答申自体に対して疑問があるならば、それをやはり国会の場で、これはこういう見解だ、臨時行政調査会はこう言っているけれども、われわれ国会としてはこうだという、相対立する結論が出るかもしれませんけれでも、やはりそういうことについては十分の審査をすべきだと私は思う。そういう点で、臨時行政調査会の答申が出てから、行政管理庁としてどういうふうにそれを取り扱ってきたかという問題と、それから、問題になっているこの公社公団公庫の整理の問題として行管が通達を出した、その通達が少し問題になっている。この通達の詳細について、それから、これらについての取り扱い、こういうことについて、私はひとつ報告を願いたいと思うのですが、いかがでございますか。
  129. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 行政のあり方につきましては、私も全く勝澤先生と同じ考え方でございまして、その方向に向かって、微力ではございますが、努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  行政管理庁の基本方針といたしましては、臨調の答申を忠実に尊重して実行に移していくということが基本方針でございます。ただいま御指摘の、昭和三十九年に出ました推進班の意見につきまして、簡単に、先ほども御質問がございましたので、要約して申し上げますと、臨調答申を受けまして、それを推進のために行革本部ができまして、当面の処理方針を受けて、行管の中に臨調意見推進班というのを幾つか設けたわけでございます。御指摘の文書は、その中の公社公団特殊法人班のものでございまして、特殊法人に関する臨調の意見につきましては、大体各省とも全面的に反対の態度をとっておったわけでございます。したがって、当推進班は、臨調の意見に即しながら、その趣旨を実現に移すためにどうすべきかということの観点から、必要な処置について調査を行なったのでございます。そして推進班といたしましての一応の調査意見を立てた段階において、これについての関係各省の意見も徴しまして、この両者をまとめまして、行革本部における検討の資料として提出する必要上、作業班長として、当時このほうの担当をいたしておりました諸永監察審議官から一応の素案として出しましたものが、先般問題になり、またこのたび御指摘になった文書でございます。これは普通の監察におきましては、大体こういった段階におけるところの文書の交換というものは、メモあるいは口頭等でお互いにやっておったわけでございまするが、先ほど申し上げましたように、行革本部に書類をもって提出しなければならない関係上、ああいったような形式で出したわけでございまして、これは要するに、意見交換のためのメモ的連絡文書であったのでございまして、行政管理庁としての意見を通知する文書ではないわけでございます。したがって、私どもといたしましては、現在百八の特殊法人に対しまして、再調査をやっておりますが、さきに出されましたこの書類は参考にはいたしますけれども、これには拘束されずに、厳正公正にひとつ調査をして、結論を出したいというふうに考えております。
  130. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それはこの公社公団以外にも、これに似たような書類は、ほかの推進班で出ているのですか。
  131. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 ただいま聞きましたところによりますと、こういったはっきりした文書は、どこの班も出てないそうでございます。
  132. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、この諸永さんの名前で出たのだけですか。ほかのはないのですか、あるのですか。あるいは、調査はまだそこまでしてないのですか。
  133. 稲木進

    ○稲木政府委員 私から。こういう形のものを、実はこの当時推進班というものをつくりまして、臨調の答申の項目が十六項目くらいに分かれていたと思います。それぞれの項目につきまして、一応担当部門をきめまして、そして臨調の意見を、先ほど長官からお話がありましたように推進していき、実現するためにはどういうふうに持っていったらいいのかという、こういうふうな作業をやったわけであります。その作業は、それぞれ臨調の改革意見の項目ごとに一応班ごとにさした。外部にこういう形でもって出ておるものはほかにはございませんが、たとえば許認可等の問題について臨調が改革意見を出しております。これにつきましては、その後行政監察という形でいろいろやりまして、各省といろいろ折衝しまして、ある程度といいますか、現在約半分近く臨調の改革意見を実現しておるわけでございます。法律改正の問題等につきましても、実は今国会に、その許認可の整備に関する法律を出していただこうということで、準備を進めておるわけでございます。そのほか各省の部局等の問題につきましても、いろいろこの作業班でもってやったわけでございますが、なかんずく許認可の問題と、それから特殊法人関係の作業班の作業が順調に進みまして、そしていま申し上げたような形になって残っておるわけなんです。その他の班につきましては、作業が必ずしも十分進んでおりません。そのうち行政監理委員会というものができまして、実はこの作業班は行政監理委員会ができる前の作業でございまして、行政改革本部にいろいろ調査した結果の資料を提出する、こういうたてまえでやっておるわけであります。
  134. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私の言っているのは、そういう説明を聞こうと思っていないのです。これと同じような通達がほかからも出たのですか、ないのですか。もしないとすれば、これだけが特殊なものですか、こういうことですから、それだけ答弁を願いたいと思います。
  135. 稲木進

    ○稲木政府委員 おっしゃるとおりに、こういうような形というものは、これだけでございます。
  136. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、この通達の写しなり、それからこれを出すに至った経過なりという資料は、資料として御提出願いたいのですが、よろしゅうございますね。
  137. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 出せますか――正式の書類はない、メモみたいなものならあるということですが……
  138. 勝澤芳雄

    勝澤委員 出していいか悪いか、判断に困っているということだから困るのだが、極秘文書ではないのだということだから、いいのだよ。行政監理委員会でも、その通達自体を議論しているわけですから……。
  139. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 出せるかどうか、返事をしますから……。
  140. 勝澤芳雄

    勝澤委員 だから問題になるのですよ。大臣、出せない文書でないから、私いまここで言っているわけです。御返事を求めているわけです。これは行政監理委員会で議論しているわけですね。この通達そのもので議論しているわけですから、あるいは新聞の中で、ある程度通達の内容について出ているわけでありますから、そういうものを国会に出せないということになると、これはたいへんな問題なんです。ですから、そうむずかしい問題じゃありませんから、出します、こう言ってくれれば次に移ります。出せるか出せないかということだけでいいです。むずかしい議論はいいですよ。
  141. 稲木進

    ○稲木政府委員 ちょっと申し上げさしていただきたいと思います。御承知のとおり、新聞等でいろいろ出まして、この文書について誤解もあるわけでございますが、私どもとしましては、現在いろいろ庁議を重ねて調査いたしておりますので、そうすると、いまの段階考えてみますと、前にその推進班が考えました点で、ある程度手直ししなければならぬ問題があるのじゃないかというような予想も実は立てておるわけでございますので、できればそのほうの、いまやっております作業が済んだ上で、両方合わせて提出するということにお願いできないものかどうかということであります。
  142. 勝澤芳雄

    勝澤委員 現実に行政の中で議論しておる、そうしてそれが問題になっている、そういうのを、いまの段階で国会へ報告できないということ自体が――一体行政管理庁というのは、この臨調の答申についての扱い方自体に疑問があるわけであります。ですから、いまおっしゃっていることも含めて、一体こういう通達がどういうわけで通達としてなったのか、あるいは過去はメモ程度であったとか、いまはそれがどうなっている、行政監理委員会でどういう議論をしているとかいうことを、なまのままこうやって出せば、それで一番いいわけであります。何か問題を秘密にしておけばおくほど、何かあったのじゃないか、処分の追及なんというばかばかしい議論なんというのが出てくるわけでありますから、それはやはりそのときの情勢の中で生まれてきた文書でございましょうから、そのときの情勢というのを、私たちにわかるように言えば、そうむちゃにものを言うわけではないですから、どうでしょう。
  143. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 提出いたします。
  144. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから次にもう一つ。これだけ公社公団あるいは事業団というのが問題になりながら、今度の国会の中で新設するものがあるわけでありますね。これについての見解をまず聞きたい。  それからもう一つ、この公社、公団、公庫、事業団あるいは特殊法人に対する人事の問題です。官僚の天下りということが問題になっておりますけれども、最近官僚だけでなくて、何か政治家の天下りというのも出ているようじゃありませんか。そういう点についての御見解、二つ。
  145. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 特殊法人の問題に関しましては、臨調においては、なるべく整理統合するというような方針があるわけでございますが、しかし世の中の進展あるいは行政面の要求によりまして、それに即応した特殊法人も必要になってくるわけでございまして、絶対に新設はいけないというような趣旨のものでないと、私どもは解釈いたしておるわけでございます。しかし一方においてそういった法人がふえるのは好ましくないというような観点から、今度とりました処置は、なるべく、新しく一つつくるならばそれの見返りに一つつぶすことということの方針でやってまいりましたが、現実にはなかなかそういったふうにまいりませんで、またつぶすべき法人を持っておらないというような省もあるわけでございまして、そういったことを勘案いたしまして、実質的には今回新しく四つつくりましたが、これらの経緯にかんがみまして、三月七日の閣議におきまして、今後いままでのようなスクラップ・アンド・ビルドの方針でなくて、新設は新設として新しく検討し、またこれとは関連なく整理統合すべきものはするというふうな方針でやることに、閣議で申し合わせいたしたわけでございまして、それに従って、ただいま百八に対しまして検討いたしまして、来年度の予算編成時期に間に合うように、八月までにその結論を出すというようなことで、作業をやっておるわけでございます。  それから、人事の天下りの問題でございまするが、御指摘のとおり、現在そういったような傾向にあるわけでございます。実は内閣でもそういった点を認めまして、先般閣議におきまして、官房長官が、特殊法人の人事は、新設のものはもちろんのこと、既設のものでも、人事の異動があったときには、官房長官のところでもって一応検討して、そしてその主務官庁の大臣と打ち合わせてきめるということを申し合わせたわけでございます。  なお、特殊法人の役員の給料というものはわりあいに高くしてあるわけでございますが、その趣旨というのも、やはり民間人からなるべく有能な人を入れたいというような趣旨でやったそうでございますが、なかなか現実にはそういったような運びにはいっておらないわけでございます。
  146. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣、最初私前提で申し上げましたように、新設の問題でも、人事の問題でも、給与の問題でも、これは政府から見れば、与党、官僚、われわれ野党から見ると労働組合、こういう形で、なかなかこういう問題の整理というのはよほどの決意が必要なんです。ですから、池田総理は、私は前向きの形でやる気持ちが少しあったと思うのですよ。佐藤さんは、なったときには、やはり世論を気にしたから、新設はしなかったと思う。ことし選挙ですから、選挙の前あとを考えながら新設をしているわけであります。ですから、理屈をつければ、あなた自体でも納得しないのが新設されているんでしょう。納得していると言ったら、行政管理庁長官の価値はない。閣議の中で、あなたも抵抗してきたわけです。ですから、やはり一大臣が抵抗しただけではなかなか直らないというものをやるには、よほどの決意で全体的にやらなければならぬわけです。私もこうやって質問しておると、たとえば一つのものを取り上げてみれば、社会党の中から、おかしいじゃないか、新設せよ、いやそれは廃止してはいかぬという議論等が出てくるわけでありますから、ここで公社公団の許認可事項一つ手をつけるにも、あなたも御苦労でしょうけれども、われわれが発表するについても、よほどの決意でなければできぬわけでありますから、ましてや選挙が近いとなおさらであります。もう選挙は終わったばかりでありますから、これはないわけでありますが、いま以上の決意をもって、いまのうちにやらなければ、そういう人たちがたくさん出て――たとえば今度の新設なんというものは、私がどう考えても理屈に合わぬ新設があるわけであります。だれが考えても合わぬ。あるいは天下り人事にいたしましても、与党の大ものが入ってくる。それからいま言いました給与の問題につきましても、私もその理屈は八年前から聞いておるわけですよ。民間から入れなければならぬ――入れた例はないし、結局実情に沿ったものに直さなければならぬわけでありますけれども、その意見そのものを――行管よりも大蔵省というものは力を持っておるわけでありますし、なかなか直らぬわけであります。しかし直すように努力していくことをだれかがしなければ、これはいつまでたってもよくならないと思います。そういう意味で、きょうは一応それだけにしておきますけれども、あと、今度は具体的な問題につきまして、もう少し掘り下、げた質問を、行政管理庁長官だけでなく、やはり各省各省の大臣にも認識を深めてもらって、これはやはり超党派というか、国民的立場で、少しでもよくするように努力していきたいと思います。これで終わります。
  147. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 参考人には、お忙しいところ、調査に御協力をいただき、ありがとうございました。      ――――◇―――――
  148. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この際、おはかりいたします。  すなわち、国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件中、水資源開発公団調査のため、本委員会に、参考人として関係者の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、参考人の出頭日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十八分散会