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1967-03-16 第55回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年三月十六日(木曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 吉川 久衛君 理事 小峯 柳多君    理事 白浜 仁吉君 理事 高橋清一郎君    理事 佐藤觀次郎君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       篠田 弘作君    菅波  茂君       丹羽 久章君    葉梨 信行君       水野  清君    村上信二郎君       村山 達雄君    中村 重光君       浅井 美幸君  出席国務大臣         労 働 大 臣 早川  崇君  委員外出席者         大蔵政務次官  小沢 辰男君         労働政務次官  海部 俊樹君         労働省労政局長 松永 正男君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君         労働省職業訓練         局長      和田 勝美君         会計検査院第三         局長      斎藤 信雄君         専  門  員 池田 孝道君     ――――――――――――― 二月二十一日  昭和四十年度一般会計予備費使用総  調書(その2)  昭和四十年度特別会計予備費使用総  調書(その2)  昭和四十年度特別会計予算総則第十  条に基づく使用調書       (承諾を  昭和四十年度特別会計予算総則第十 求めるの  一条に基づく使用調書(その2) 件)  昭和四十一年度一般会計予備費使用  総調書(その1)  昭和四十一年度特別会計予備費使用  総調書(その1)         (承諾を  昭和四十一年度特別会計予算総則第 求めるの  十一条に基づく使用調書(その1)件)  昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和四十一年度一般会計国庫債務負担行為総調  書 は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十年度一般会計予備費使用総  調書(その2)  昭和四十年度特別会計予備費使用総  調書(その2)  昭和四十年度特別会計予算総則第十  条に基づく使用調書       (承諾を  昭和四十年度特別会計予算総則第十 求めるの  一条に基づく使用調書(その2) 件)  昭和四十一年度一般会計予備費使用  総調書(その1)  昭和四十一年度特別会計予備費使用  (承諾  総調書(その1)          を求め  昭和四十一年度特別会計予算総則第  るの  十一条に基づく使用調書(その1) 件)  昭和四十一年度一般会計国庫債務負担行為総調  書  昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十九年度政府関係機関決算書  昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (労働省所管)      ――――◇―――――
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  決算委員会運営に関する委員長方針を申し上げて、御了承を得たいと思います。  かねて本委員会において、委員会運営公正化についていろいろ論議せられ、前委員長におかせられても、これが具体案についていろいろ研究中であった由でありますが、いまだ決定に至らずして引き継がれた次第であります。しかし、当委員会の任務はきわめて重大なものであり、かつまた厳正に行なわるべきものであることは言うをまたぬところであります。しかるに、その運営につきいろいろ議論があったり、それについて紛争を生じたりしては、大事な審議の妨げとなることはもちろん、万一その運営を逸脱するがごときことがあっては、大なる国民の批判を免れないものと信じます。したがいまして、ここに一つの、本委員会運営に関する方針を定めておくことが必要だと感じまして、前委員長時代より研究されていたもの等を参考として、別紙のごとき、決算委員会運営に関する委員長方針を作成いたしましたので、これを皆さまに披露申し上げ、今後この方針に従って運営したいと存じます。  もとより浅学非才の私の作成したものでございますから、あるいはいろいろと欠陥があるかもしれません。その節は、皆さまの御忠告によって徐々に改正していくこととして、一応この方針で進めてみたいと存じますから、御了承のほどをお願いいたします。     決算委員会運営に関する委員長方針  一、決算委員会決算及び国有財産に関する調査等衆議院規則によつて定められた決算委員会所管事項中心として審議する。    一般行政にわたる事項については所管委員会に譲る。  二、国政調査事項の取扱について    特定の個人及び団体に利害関係ある事件については原則として取扱わざること。    訴訟事件並に捜査中の事件についてはこれを取上げることを差控える。    一般民間人参考人、証人として喚問することはとくに慎重に取扱い、訊問については、その人格を重んずること。    調査を終了した際、委員長発言、あるいは決議等によって、当、不当を明らかにし、今後の是正改善を要望する等、調査に締めくくりをつける。  三、委員会出席について    公正なる運営を期するため委員会への出席を厳守する。  四、調査室調査事務処理について    議員から議案及び国政調査に関する調査依頼があつた場合、及び調査室において、調査のため資料を要求する場合、軽微にして既に公表されたものを除いて委員長の諒承または、理事会決定を経たうえ、室長名文書でこれを要求することとし、口頭連絡等は行なわない。    提出資料委員長および理事に呈示して依頼議員に送付する。    特に人の秘密に属することは秘密を遵守すべきこと。  申し上げるまでもないことかと存じますが、こういうものを作ってみましたので、先ほど申し上げましたとおり、これで一応進みたいと思いますから、御了承のほどをお願いいたします。
  3. 篠田弘作

    篠田委員 これは普通のことをうたっているだけだけれども、これはこのとおりでいいだろうと思うが、あまりこういうものを文書ではっきりt規制してしまうと、やはり決算委員会としての、ほかの委員会では持つことのできない一つの機能というものがある、それを全部押えてしまうことになって――過去における決算委員会の欠点は十分に私は認めますけれども、そうかといってこういうものを決算委員会冒頭において、決議してしまって、ワクをはめてしまうということについては、ぼくは反対なんだ。
  4. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや、決議じゃないんだ。ただ、私はこういう方針で進んでいきたいということを、ひとつ御了承願いたい。
  5. 篠田弘作

    篠田委員 方針はいいけれども、文章でこういうふうに決定してしまって、何もかもできないような形になる。たとえば、行政上の問題は決算委員会ではやらない、当該委員会でやる。当該委員会というのはどこの委員会のことを言っているんだ。地方行政だけでやるのか。
  6. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや、地方行政に関するものは地方行政委員会法務に関するものは法務委員会
  7. 篠田弘作

    篠田委員 決算とか、いろいろな国費の問題とか、あるいはまた官庁における非常な行き過ぎあるいは誤り、そういったような面の問題について、どこの委員会でやるのか。
  8. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 国費に関するものはこの委員会でやります。それはいままでずいぶん議論したんだ。した結果、こういうものを出しておいたらいいということで……。
  9. 篠田弘作

    篠田委員 だれが……。
  10. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 前からあったんですよ。
  11. 篠田弘作

    篠田委員 どこで議論したんですか。
  12. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは単なる方針ですから。これは前の……。
  13. 吉川久衛

    吉川委員 これは私の委員長時代からの、理事会で論議された問題でございますけれども、それを引き継がれて、委員長方針として、一応私は了承したいと思いますが、今後、篠田委員の御発言もございますので、これを原則として、そしてあとは理事会中心に、みんなの声を聞いて、ひとつ運営していただきたいことをつけ加えて、了承いたしたいと思います。
  14. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 当然のことと思いますが、そのとおりのつもりでおります。
  15. 篠田弘作

    篠田委員 いま吉川委員の言われましたような方向でいくならいいけれども、何か、委員会冒頭に、こういう決議案のようなものを出して、言論の府である委員会発言ワクにはまってしまったというのじゃ困るから、だから、それは原則として、従来の行き過ぎというものを是正するという意味において、こういう申し合わせも必要かもわからぬけれども、できるだけこういう申し合わせというものをしないで、そうして理事会において、精神というものを尊重しながら自由にやってもらいたい、私はそう思います。
  16. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 なるべく御意思に沿うてやりたいと思います。
  17. 華山親義

    華山委員 それは、委員長考え方なんであって、私はこういうことでやりたいと思うというのか、ここでひとつそういうことをきめようというのか、どっちなんだ。
  18. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや、先に述べたとおり、こういう方針でやりたいということを御了承願いたいと思います。
  19. 華山親義

    華山委員 御了承ということになれば、決議しなければならないでしょう。
  20. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたがいま言われたように、方針でやるということをお聞きおき願いますということです。
  21. 白浜仁吉

    白浜委員 御了承ということば自体が、それにこだわるわけではありませんけれども、やっぱり委員会了承ということになると、決議と同じで、これはお互いが縛られるわけですから、だから本問題については、委員長のお考えなり御方針なりというものは十分わかりますけれども、これはもう一度理事会かなんかで御検討して、これをどう扱うかということを検討する機会があったほうがいいのじゃないかという気が私はいたしますので、そのことを皆さんどうお考えになるか、ひとつおはかりいただきたいと思います。
  22. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや、それは、私さっき申し上げましたように、欠陥があるかもしれませんから、そういう場合は御忠告によって徐々に改正していくこととして、一応これで進めることにいたします、こういうことであります。
  23. 白浜仁吉

    白浜委員 そういうことであれば、私は、徐々にするとかしないとかという問題じゃないと思う。やはりこれは委員会運営基本方針になりますので、それはもう一ぺん理事会かなんかで、正式に御相談していただくほうがいいんじゃないかと私は思います。
  24. 篠田弘作

    篠田委員 委員会は、いかなる場合においても、委員長方針というものは一応の目安にはなりますけれども、しかし、もうすでに国会の最初の委員会において、委員長方針というものを印刷物で打ち出して、そして委員会運営なり委員発言なりに一応のワクをはめるような、そういう決議をここでするということには、私は反対です。これは与野党の問題ではなくて、議会そのものの問題なんです。
  25. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いま申し上げましたように、決議じゃございませんよ。
  26. 篠田弘作

    篠田委員 決議でなければ、印刷でもってこんなことをしなくても……。
  27. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはいま私は述べたのだから、述べたことをあげただけで……。
  28. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 私は、お許しを得ましたからちょっと申し上げますが、委員長はこういう考え方で進んでいきたいというお考えを、ただこの文書にあらわされただけでありますから、私は賛成します。どこまででもこれにこだわって、これを決議するとかどうとかという問題ではないだろうと私は思います。こういうような考え方で進みたい、こういう考え方で協力を願いたい、こういうお話だろうと思いますので、私は賛成いたします。
  29. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのとおりです。
  30. 篠田弘作

    篠田委員 ぼくは反対だ。
  31. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 決議するわけでもないんだから、ただお聞きおき願いますという程度で、よろしくお願いいたします。
  32. 吉川久衛

    吉川委員 理事会中心でやりましょう。
  33. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことで、どうぞ御了承願います。     ―――――――――――――
  34. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは、昭和四十年度一般会計予備費使用調書(その2)、昭和四十年度特別会計予備費使用調書(その2)、昭和四十年度特別会計予算総則第十条に基づく使用調書昭和四十年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用調書(その2)、以上四件の承諾を求めるの件、及び昭和四十一年度一般会計予備費使用調書(その1)、昭和四十一年度特別会計予備費使用調書(その1)、昭和四十一年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用調書(その1)、以上三件の承諾を求めるの件を一括して議題といたします。  大蔵政務次官より、各件について説明を求めます。小沢大蔵政務次官
  35. 小沢辰男

    小沢説明員 ただいま議題となりました、昭和四十年度一般会計予備費使用調書(その2)外三件、及び昭和四十一年度一般会計予備費使用調書(その1)外二件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十年度一般会計予備費につきましては、その予算額は四百五十億円であり、このうち、財政法第三十五条(予備費管理及び使用)の規定により、昭和四十年四月六日から同年十二月二十一日までの間において使用決定いたしました金額は、三百六十七億五千三百万円余であり、これにつきましては、すでに第五十一回国会にその事後承諾を求める件として提出いたしまして、御承諾を得たところでありますが、その後、昭和四十一年一月二十八日から同年三月二十九日までの間において使用決定いたしました金額は八十一億六千三百万円余であります。  その内訳は、災害対策として、農業施設災害復旧事業等に必要な経費等の十九件、その他の経費として広島県選挙区選出の参議院議員補欠選挙に必要な経費等の二十三件であります。  次に、昭和四十年度各特別会計予備費につきましては、その予算総額は二千七百二十億五千四百万円余であり、このうち、昭和四十年六月十五日から同年十二月十七日までの間において使用決定いたしました金額は九百六十億七千二百万円余であり、これにつきましては、すでに第五十一回国会において御承諾を得たところでありますが、その後、昭和四十一年一月十四日から同年三月二十九日までの間において使用決定いたしました金額は百九十一億七千六百万円余であります。  その内訳は、食糧管理特別会計国内米管理勘定における国内米買い入れに必要な経費労働者災害補償保険特別会計における保険金の不足を補うために必要な経費等十三特別会計の十九件であります。  次に、昭和四十年度特別会計予算総則第十条(特別給与支出)及び第十一条(歳入歳出予算弾力条項)の規定により、昭和四十年八月三十一日から同年十月十二日までの間において経費使用決定いたしました金額は、百四十七億二千万円余であり、これにつきましては、すでに第五十一回国会において御承諾を得たところでありますが、その後昭和四十一年三月十五日から同年三月二十九日までの間において経費使用決定いたしました金額は、百七十五億三千七百万円余であります。  その内訳は、食糧管理特別会計国内米管理勘定における国内米買い入れに必要な経費四十億円、郵政事業特別会計における業績賞与に必要な経費三十六億百万円余、仲裁裁定の実施に必要な経費六十一億三千九百万円余、郵便貯金特別会計における支払い利子増加に伴い必要な経費三十七億九千七百万円余であります。  次に、昭和四十一年度一般会計予備費につきましては、その予算額は、四百八十億円であり、このうち、財政法第三十五条(予備費管理及び使用)の規定により、昭和四十一年四月十九日から同年十二月二十三日までの間において使用決定いたしました金額は、三百十九億五千四百万円余であります。  その内訳は、災害対策として、農業施設災害復旧事業に必要な経費等四十三件、その他経費として、背子内親王殿下に対して支出する一時金額による皇族費に必要な経費等三十三件であります。  次に、昭和四十一年度各特別会計予備費につきましては、その予算総額は、三千九十七億二千百万円余であり、このうち、昭和四十一年五月十七日から同年十二月二十三日までの間において使用決定いたしました金額は、六百九十七億八千二百万円余であります。  その内訳は、食糧管理特別会計国内米管理勘定における国内米買い入れに必要な経費国有林野事業特別会計国有林野事業勘定における災害復旧事業に必要な経費、同特別会計治山勘定における緊急治山事業等に必要な経費道路整備特別会計における道路事業及び街路事業等調整に必要な経費等十二特別会計の二十六件であります。  次に、昭和四十一年度特別会計予算総則第十一条(歳入歳出予算弾力条項)の規定により、昭和四十一年五月十七日から同年十二月二十三日までの間において経費使用決定いたしました金額は、二百六十四億三千二百万円余であります。  その内訳は、国立学校特別会計における受託研究増加に必要な経費三千三百万円余、食糧管理特別会計国内米管理勘定における返還金等調整勘定繰り入れに必要な経費百十億四千万円余、同特別会計輸入食糧管理勘定における返還金等調整勘定繰り入れに必要な経費二十四億一千九百万円余、同特別会計農産物等安定勘定における返還金等調整勘定繰り入れに必要な経費九億三千万円余、同特別会計輸入飼料勘定における返還金等調整勘定繰り入れに必要な経費十億八千八百万円余、同特別会計業務勘定における返還金調整勘定繰り入れに必要な経費八千八百万円余、同特別会計調整勘定における国債整理基金特別会計繰り入れに必要な経費百八億三千万円余であります。  以上が、昭和四十年度一般会計予備費使用調書(その2)外三件及び昭和四十一年度一般会計予備費使用調書(その1)外二件の事後承諾を求める件の概要であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。
  36. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次に、昭和四十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書を議題といたします。  大蔵政務次官より概要説明を求めます。小沢大蔵政務次官
  37. 小沢辰男

    小沢説明員 ただいま議題となりました、昭和四十一年度一般会計国庫債務負担行為に関する報告につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十一年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定に基づき、災害復旧その他緊急の必要がある場合に国が債務を負担する行為をすることができる金額は、百億円でありまして、このうち、官庁施設災害復旧につきまして、昭和四十一年十二月十三日の閣議決定を経て、総額三億一千七百七万七千円の範囲内で国が債務を負担する行為をすることといたしました。  以上をもちまして、昭和四十一年度一般会計国庫債務負担行為に関する報告といたします。
  38. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ただいま説明聴取をいたしました各件に対する質疑は後日に譲ります。  なお、「予備費使用について」という閣議決定の抜粋を、予備費審査参考としてお手元に配付いたしました。      ――――◇―――――
  39. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次に、決算審査に入ります。  本委員会における今後の決算審査につきましては、従前どおり、お手元に配付してあります「決算審査に関する運営方針決算審査方針及び決算審査の要領について」に従って議事を進めることにいたしたいと存じますので、御了承願います。  昭和三十九年度決算昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書議題といたします。  まず、審査の方法についておはかりいたします。  本決算外二件は、昭和四十一年一月二十五日、本委員会に付託せられ、その後概要説明の後、質疑も行なわれておりますので、今回は決算及び国有財産関係二件の説明は、お手元に配付の説明資料によって御承知おきをいただくこととし、その説明資料会議録に参照として掲載するにとどめたいと存じます。   〔説明資料本号末尾に掲載〕
  40. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 また、今後の審査の進め方につきましては、特に問題のない限りは、すでに一応審査を行なった部分については、委員会議録等参考とせられ、残余の部分について審査を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  それでは、本日は労働省所管決算について審査を行ないます。  まず、労働大臣より、労働省所管決算概要について説明を求めます。早川労働大臣
  42. 早川崇

    早川国務大臣 労働省所管昭和三十九年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳出決算について申し上げます。歳出予算現額は、八百三十一億三千九百五十四万七千円でありまして、支出済み歳出額は、七百八十一億八千百五十七万七千円、翌年度繰り越し額は、二億三千八百八十八万三千円、不用額は、四十七億一千九百八万七千円であります。  歳出予算現額の内訳は、歳出予算額八百十八億二千二百八十三万六千円、前年度繰り越し額十二億八千六百五十二万六千円、予備費使用額三千十八万五千円でありまして、前年度繰り越し額は、失業対策事業費炭鉱離職者援護対策費及び庁舎等特別取得費等であり、予備費使用額は、政府職員等失業者退職手当等に要した経費であります。  支出済み歳出額のおもなものは、失業対策費でありまして、緊急失業対策法に基づく失業対策事業費失業保険法に基づく失業保険費負担金及び炭鉱離職者臨時措置法に基づく炭鉱離職者援護対策費に属する経費であります。  失業対策事業費のうち、失業対策事業実績は、事業主体数千二百二十四、事業数三千七百九十五、失業者吸収人員一日平均十八万六千三百八人であります。  また、炭鉱離職者援護対策費のうち、炭鉱離職者緊急就労対策事業実績は、事業主体数六十七、事業数四百八十六、吸収人員一日平均六千二百六人であり、炭鉱離職者職業訓練実績は、施設数二十二ヵ所、訓練人員延べ二千五十四人であり、炭鉱離職者援護事業実績は、移住資金支給七千二百九十一人、雇用奨励金支給一万七百五十五件、住宅確保奨励金支給八千百三件、再就職奨励金支給一万四千四百十三件であります。  翌年度繰り越し額は、炭鉱離職者援護対策費に属する経費であり、また、不用額のおもなものは、失業対策事業費等に属する経費であります。  次に、労働者災害補償保険特別会計決算について申し上げます。  歳入予算額は、九百三十三億六千百一万一千円でありまして、収納済み歳入額は、九百六十七億七千五百六十万九千円で、差し引き三十四億一千四百五十九万八千円の増収となっております。  そのおもな理由は、適用労働者賃金水準の上昇及び保険料率の改正により増加したこと等によるものであります。  歳出予算現額は、九百三十四億一千七百二十二万八千円でありまして、このうち、予備費使用額は、五十一億二千二十六万二千円でありまして、これは保険金保険料返還金及び業務取り扱い費に要した経費であります。  支出済み歳出額は、六百六億一千七百六十二万八千円でありまして、そのおもなものは、保険金であります。  昭和三十九年度末における労働者災害補償保険適用事業場数は、八十三万五千件、労働者数は、千九百三十五万人であり、災害補償実績は、件数三百三十九万六千件、支給金額五百十億四千百七十三万円であり、昭和三十九年度において新しく災害補償費支給を受けた者は、百九万七千人であります。  翌年度繰り越し額は、千二十八万一千円でありまして、これは公務員宿舎施設費に属する経費であります。  不用額は、三百二十七億八千九百三十一万九千円でありまして、そのおもなものは、支払い備金として充当されるべきものであります。  次いで、失業保険特別会計決算について申し上げます。  歳入予算額は、千二百六億九千八百五十五万四千円でありまして、収納済み歳入額は、千二百八十四億三千三百五十八万七千円で、差し引き七十七億三千五百三万三千円の増収となっております。  そのおもな理由は、適用事業所の被保険者の賃金上昇率が当初の見込みより上回ったことにより増加したこと等のためであります。  歳出予算現額は、千二百七十三億七千百三十五万円でありまして、このうち予備費使用額は、七十四億三千二百九万九千円で、これは、失業保険給付件数の増加に伴う保険給付に要した経費であります。  支出済み歳出額は、千二百六十六億六千百七十九万四千円でありまして、そのおもなものは、保険給付費であります。  昭和三十九年度末における失業保険適用の事業所数は、五十三万六千件、被保険者数は、一般失業保険千七百五十四万五千人、日雇い失業保険四十五万九千人であり、保険給付の実績は、平均受給者実人員は、一般失業保険六十一万八千人、日雇い失業保険二十一万六千人、支給金額は、一般失業保険千四十億八千七百九十四万五千円、日雇い失業保険三十四億八千九百六万円であります。  翌年度繰り越し額は、九百五十五万四千円でありまして、これは公務員宿舎施設費に属する経費であります。  不用額は、七億二千円でありまして、そのおもなものは、保険給付費を使用することが少なかったこと等によるものであります。  以上をもちまして、労働省所管昭和三十九年度決算説明を終わります。  なお、昭和三十九年度の決算検査報告において掲記されている事項につきましては、会計検査院の御指摘のとおりでありまして、まことに遺憾に存ずる次第であります。  指摘事項につきましては、鋭意改善につとめるとともに、かかる御指摘を受けることのないよう努力する所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  43. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 続いて、会計検査院当局より、検査の概要について説明を求めます。会計検査院斎藤第三局長
  44. 斎藤信雄

    ○斎藤会計検査院説明員 昭和三十九年度決算労働省所管の検査の結果について、概要を御説明いたします。  昭和三十九年度決算検査報告に不当事項として掲記いたしましたものは、まず保険関係におきまして、労働者災害補償保険、失業保険の両保険にかかる保険料の徴収に関するものと、失業保険の保険給付に関するもの、合わせて三件でございます。次に、補助金関係におきまして、炭鉱離職者緊急就労対策事業に関するもの一件となっております。  なお、右の不当事項のほかに、失業対策事業の執行及び経理について労働大臣あて、改善の意見を表示いたしたものがございますので、掲記いたしております。  以下、順を追って御説明を加えます。  五八八号及び五八九号は、前者は労災保険、後者は失業保険、保険料の徴収に際し、いずれも保険料算定の基準となる報酬額についての調査が不十分などのため、保険料が徴収不足となっていたものでございます。  五九〇号は、失業保険の保険給付にあたり、被保険者がすでに再就職しているのに、調査不十分のため、保険金を給付していたものでございます。  五九一号は、地方公共団体が施行いたします補助事業にかかるもので、炭鉱離職者就労対策事業におきまして、道路の築造にあたりまして、盛り土ののり勾配等の設計が適切を欠いていたため、工事の効果が減殺されたと認められたものでございます。  なお、失対事業の執行及び経理についての改善意見については、一三三ページから一三七ページに掲記いたしておりますが、その内容は、作業歩掛かり率、資材費補助金の算定方法の改定、設計の技術的検討、計画の審査と完了の確認などの検討改善を求めたものでございます。  以上、簡単でございますが、御説明を終わります。
  45. 華山親義

    華山委員 議事の進行について。先ほど委員長のお出しになりました委員長方針につきましては、これを私はいまここで了承したということにはいたしませんから、その点だけ御了承を願っておきます。何か、先ほどうやむやのような文句でございましたし、この問題は委員会の基本に関する問題でございますし、あるいはこの問題につきましては、議院運営委員会の問題にも関係があると思う。私のほうでは、これを了承したということにはいたしておりませんので、議事録にもきちんと書いておいてもらいたい。
  46. 中村重光

    ○中村(重)委員 先ほど、大臣への質問が終わったら理事会を開くということになっておったのだし、いま華山理事のほうから発言があったように、委員長からきわめて重大な提案がなされている。こういう問題を理事会にもはからないで、一挙に委員長委員会にこれを提案するということは、全く私はけしからぬと思う。さっそく休憩をして、理事会を開いていただきたい。
  47. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ちょっと申し上げますが、了承ということばにたいへん――ちょっとさっきのあれ、ぼくの読んだの、これを了承してくれと言うたのじゃないのですよ。もう一ぺん読みましょうか。(「必要ない」と呼ぶ者あり)――「もとより浅学非才の私の作成したものでございますから、あるいはいろいろと欠陥があるかもしれません。その節は、皆さまの御忠告によって徐々に改正していくこととして、一応この方針で進めてみたいと存じますから、御了承のほどをお願いいたします。」という、これを了承してくれと言うたので、何も内容、そういうあなた方の言う意味で、決議とかそういう意味で言うたのじゃありません。こういう方針で、また悪かったらいつでも直しますから、御了承願いますと、こういうのですから。
  48. 中村重光

    ○中村(重)委員 ですから、そういうのは理事会で一応はかって、それからやるべきなので、こういう重大なものをここへ出しておいて、こういうことばを使ったのだというようなことは、これは詭弁ですよ。
  49. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 詭弁と言うたって、言うたことを読んでみただけで、詭弁でも何でもない。
  50. 中村重光

    ○中村(重)委員 いつも、委員長がこういう問題を提起をする場合には、理事会にかけて、こういう方針でいきたいと思うがどうなんだろうということで、理事会に一応はかるべきじゃないですか。これが常識ですよ。
  51. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 私はそう思っておらなかったのだが、あとでまた御相談いたしてよろしゅうございます。私はそうは思っておらなかったのです。
  52. 華山親義

    華山委員 一応この問題に関しては、昨年も理事会で前の委員長が提案をされて、そうしてまだきまっておらなかった経緯がある。まあ構成も変わったのですが、前の委員会と同じ構成であったならば、こういうことは理事会をもう一度開いてきめるべき性質のものなんです。構成が変わったからといって、突然これを出されたのでは、前の経緯を知っている者については、きわめて不可解な感じがするわけです。それは前の委員長はよく知っておられる。この点につきましては、理事会なり何なりで、もう一度慎重に審議してからにしていただきたいと思いますが、そのつもりでやってみると言ったって、こういうふうに文書が出てしまえば……。これは重大な問題だと思う。
  53. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 私はあなた方の考え方と違った考えで出したのですが、いまここで議論しておってもしょうがありませんから、いずれ協議いたしましょう。そういうつもりでは出しておりませんです。  まず、それはそれとしまして、先ほどの説明をもって、説明聴取を終わりました。     ―――――――――――――
  54. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  55. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 速記を始めて。  それでは、質疑はあとにして、しばらく休憩いたして、直ちに理事会を開きます。    午前十一時四分休憩      ――――◇―――――    午前十一時三十四分開議
  56. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  労働省所管決算について質疑を行ないます。小峯柳多君。
  57. 小峯柳多

    ○小峯委員 大臣に対する質問は保留いたしまして、担当官のお答えをいただきたいと思います。  検査報告の中に、不当事項として四件、是正改善事項として一項、労働省関係で、ありますが、その中で、失業保険の問題に関してお伺いしたいと存じます。失業保険の保険料の徴収が不足だという問題、保険給付が不適正だという問題を指摘いたしておりますが、この問題に対して、検査院の指摘程度よりも、はるかに実態は大きいのじゃないかというような感じがいたしますが、その輪郭をお示しいただきたいと思います。
  58. 有馬元治

    ○有馬説明員 会計検査院から御指摘がありました徴収不足の問題、それから不正受給の問題、これは指摘に相なった以上に実態は相当ございますけれども、私どもとしましても、これを徹底的に把握するということができかねている面もございまして、徴収の面については、内部の監察制度といたしまして、失業保険の監察官を中央に七名、地方においては二百一名配置いたしまして、この種の徴収面の監察を徹底いたしておる次第でございます。そこで実績といたしましては、三十九年度には七万八千ヵ所、四十年度には八万九千ヵ所の監察をいたしまして、総計で約八億六千万円の徴収不足を是正した実績がございます。これは、なお今後も監察官をフルに活用いたしまして、この種の是正は徹底を期したいと思っております。  それから不正受給の面でございますが、これも年々監察の徹底をはかりまして、昨年度では約四億の不正受給の返還徴収をいたしておる次第でございます。
  59. 小峯柳多

    ○小峯委員 監察官の徹底的な監察で、かなり改善されるというような御説明でございましたが、私はどうもそういうふうに思えない節があるように思います。制度そのものの中に欠陥みたいなものがあって、監察官のふやし方の限度もございましょう。いまおっしゃったようなことだけでは、なかなか検査院の指摘にこたえることにはなるまいという感じがするのでございますが、制度そのものに対する部内の見方というものがございましたら、御教示願いたいと思います。
  60. 有馬元治

    ○有馬説明員 制度そのものの改善策というのは、非常にむずかしいわけでございますが、一方で、いま申しましたように、監察の徹底を期するという方法と、それから私どもとしましては、労働市場センターを整備いたしまして、現在保険の徴収についても、機械徴収の方式を徹底的に採用いたしております。これらを充実することによりまして、徴収面の是正、不足の是正は今後十分徹底さしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  61. 小峯柳多

    ○小峯委員 技術的な問題はどうも限度があると思いますが、そのことの証拠みたいな意味で、あなた方では、新聞によると、中央職業安定審議会に失業保険法の改正を諮問しているんじゃないのですか。そういう問題があるのに、いまあなたのおっしゃったようなことだけじゃ、ちょっと答弁はおかしいと思います。
  62. 有馬元治

    ○有馬説明員 今後の失業保険法の改正といたしましては、不正受給につきましては二倍を限度とした追徴金の徴収金制度を創設してまいりたい、こういうふうな考え方で、いま審議会に諮問をいたしております。ただ、これは一罰百戒的な意味はある程度ございますけれども、やはりこれにも限度があるのではないかと思いますが、制度として現在不備な点もございますので、追徴金制度は今後創設してまいりたい、かように考えております。
  63. 小峯柳多

    ○小峯委員 改正は、いまあなたのお答えになった点だけでございましょうか。あるいは失業保険全体に対する何かお考えがあってやっていらっしゃいますか。
  64. 有馬元治

    ○有馬説明員 失業保険制度全体の改正につきましては、けさの新聞にも出ておりますとおり、現在五人未満の拡大適用を主たる改正のねらいといたしまして、給付の改善あるいは制度運営の適正化というふうな見地から、相当広範囲にわたる改正を用意いたしております。特に問題になりますのは、短期の雇用にかかる保険の受給者が毎年繰り返して循環的に受給をするというケースが、季節労働者の場合を含めて相当多くなっております。これに対してどういうふうな改正をするかということが一番大きな問題でございましたが、私どもとしましては、現在五十八万に達しておりまする季節労働者の循環受給については、これは既得権を擁護しつつも、新しく発生する場合の循環受給者につきましては三年目に――、毎年失業保険をもらいに来て、三年目になりました場合には、所定の給付日数を二分の一に切り下げる、すなわち九十日もらえる場合には四十五日にする、百八十日の場合には九十日にする、こういうふうな内容の改正を、いま中央職業安定審議会に諮問をしている段階でございます。いずれ中央職業安定審議会と総理府の社会保障制度審議会の諮問を経た上で、成案を得て、国会に提出いたしたいと思っております。
  65. 小峯柳多

    ○小峯委員 改正の案のねらいというものは、どういうポイントにあるんでしょうか。
  66. 有馬元治

    ○有馬説明員 第一点は、先ほど申しましたように、五人未満に拡大適用する。これは失業保険制度始まって二十年になりますが、今日まで拡大適用すべきだという意見は各方面からございましたけれども、技術的な面、いろいろな点で、五人未満の零細規模の事業所に適用するということが今日までできなかったのでございますが、これをこの際当然適用に拡大をする、これが一番大きなねらいでございます。  さらに、先ほど申しましたような給付の合理化といいますか、循環受給者に対する給付の削減という措置は、これはやはり失業保険制度本来のあり方からいたしまして、予定された失業には失業保険を適用すべきではないという制度の本来の趣旨がございまして、まあそういった保険の姿勢といいますか、今後の失業保険のあり方をこの際はっきりする必要があるというふうな見地から、循環受給者については給付のある程度の削減をする、こういうふうな改正を含んでおるわけでございます。これはあくまで失業保険制度の今後の、将来に向かっての姿勢でございまして、現在すでにもらっておる五十八万に達するいわゆる季節受給者については、既得権を擁護してまいりたい、こういうふうな考え方で、今度の改正を考えておるわけでございます。
  67. 小峯柳多

    ○小峯委員 お答えで、ねらいはわかったんですが、いまのこの失業保険の実情というものの中に、保険本来の性格から逸脱した――存在するものは合理的だという考え方からいうと、いろいろな意味の、いい役割りを果たしていると思いますが、そういうものはいたし方ないと考えていらっしゃるか、だんだんのことでこれを直していくというふうにお考えになっておられるか、伺いたいと思います。
  68. 有馬元治

    ○有馬説明員 既成事実として、いま申しました五十八万にのぼる季節循環受給者、これは保険の制度上から見ますと、予定された失業で、偶発的な失業事故を保険するものではない、こういう正論があるわけでございますが、私どもとしましては、この五十八万になった経緯をつぶさに検討してみますと、三十五年ごろから漸次出かせぎ労働者がふえてまいりまして、今日の状態になっておるわけでございますが、これはやはり農村地帯における特殊な事情、農業と一般工業との所得の格差、いろいろ考えますと、私どもとしては、この分についてはやむを得ないんじゃないか、決してこれが故意に発生した既成事実でもございませんので、この分は既成事実、既得権として、今後も給付を切り下げずに続けて給付をしてまいりたい、そういう特例措置をとりながら、将来に向かって、新規にこういった毎年循環受給をする利用者については、三年目に二分の一に切り下げる、こういう姿勢を示すことによって、今後失業保険制度は健全なものになるだろう、こういう期待のもとに、改正を考えておるわけでございます。
  69. 小峯柳多

    ○小峯委員 私はいまのお答えを伺いましても、農村対策でやるべきものを失業対策でカバーしているような点がある、そういう点はいたしかたないんだとお考えになっていらっしゃるようですが、そのことで保険の姿勢というものは正しくなりましょうか。しかたないんだ、これは現実はそうなんだからということで、担当官として、よろしいのでしょうか。もう一ぺん御意見を承りたいと思います。
  70. 有馬元治

    ○有馬説明員 保険制度の立場から見ますと、これを是認することはよろしくないと思いますけれども、いま申しましたような経緯がございますし、事情がございますので、私どもとしてはこの既成事実については既得権的に認めざるを得ない、それが同時に、過去の雇用対策といいますか、労働力事情から見てもやむを得なかったんだということは、私ども認めざるを得ませんので、この点について、過去の分についてはやむを得ない、こういうふうに私どもは考えております。
  71. 小峯柳多

    ○小峯委員 これ以上あなたにお聞きすることはお気の毒のように考えますので、問題を変えてもう一つ伺いたいと思います。  失対事業の執行及び経理について、改善の意見を検査院が述べているようであります。そのことの実態、それに対する対処のしかた、これをひとつ伺いたいと思います。
  72. 有馬元治

    ○有馬説明員 先ほど検査院から御指摘がございました、失対事業運営についての問題点でございますが、第一点の作業歩掛かりの検討の問題、これは筋からいいますと、検査院の御指摘のとおりでございます。ただ、失業対策事業は、失業者を対策事業に吸収して就職の機会を与える、こういう特殊な目的のために運営をしておりますし、また現在の失対就労者の年齢構成等を見ますと、すでに平均年齢が五十二・八歳に達して、非常に老齢化をいたしております。また在職年限も平均八年ぐらいになりますので、非常に固定化をしております。非常に老齢化、固定化の現象が最近強いわけでございまして、これらの失対労務者を現にかかえて、失対就労事業をやっておるわけであります。歩掛かりの御指摘のところは、私ども非常によくわかるのでございますが、現実問題としては、必ずしも理想どおりにいってない、御指摘の線に沿って逐次改善をしてまいりたい、かように考えておりますが、必ずしも理想どおりにはいかないという実情も、御了解いただきたいと思います。  また、設計監督の不備について御指摘でございましたが、これは私どもとしましても、職員を督励しまして、設計監督の指導面について万全を期してまいりたいと考えております。
  73. 小峯柳多

    ○小峯委員 この失対事業には、中高年の労務者の問題がからんでくるのじゃないかと思うのですが、そのからみ合いといいますか、実態を御説明願いたいと思います。
  74. 有馬元治

    ○有馬説明員 失対法は御承知のように四年前に大改正をいたしまして、いままでの制度を改善いたしたわけでございます。その大きな点は、三十五歳以上のいわゆる中高年の就職促進措置を経過した後に初めて失対に吸収できる、こういう原則を打ち立てたわけでございます。したがいまして、失対の適格者も、三十五年当時約三十五万いたわけでありますが、最近は二十四万を割り込む程度の規模に、規模といいますか、適格者の数になっております。これは要するに、経済の成長に伴って雇用需要がふえてまいりましたので、数年前までのように失対事業に吸収しなくてもいい事情ができてきたわけであります。同時に、そういった措置ができまして、民間の正常雇用のほうに積極的に振り向けておるというのが実情でございます。そういう点で、先ほど申しましたような老齢化、固定化の現象も最近は出てきておるのが実態でございまして、失対事業の今後の運営につきましても、そういう就労者の現実の構成状態というものを無視しては、改善等も考えられないのじゃないか、かように考えております。
  75. 小峯柳多

    ○小峯委員 この中高年労務者の職業教育の問題はどんな進みぐあいでしょうか。何か予算がこなし切れていないように気がついているのですが。
  76. 和田勝美

    ○和田説明員 ただいま安定局長からお答えを申し上げましたように、安定所に参りまして、就職促進措置に入るか入らぬかという問題がございます。三十九年度につきましては――この制度が始まりましたのは三十八年の十一月からでございまして、したがいまして、その当事者のほうもあまりなれていない、それから失業保険をもらう者は失業保険でやりますが、失業保険をもらわない者につきましては、全額国費の手当を支給するというようなこともございますので、安定所のほうにおいても、非常に慎重な取り扱いを当時したわけでございます。そういうようなことがございまして、中高年の当該者がなかなか就職促進措置の中に入ってこなかった面がございます。それと、当初、予算で予定をいたしましたよりも失業保険受給者の比率が非常に高うございまして、大体七割ぐらいが失業保険にいく、そういうことになっております。したがいまして、一般国費で出します手当の支給がその分だけ減っておるという事情がございまして、三十九年度予算では、相当の不用額を立てております。その点につきましては、安定所側と私どもの訓練所側とで特に打ち合わせをいたしまして、手続の簡素化もいたしたりなんかいたしまして、漸次利用度も高まっておるというのが現在の実情でございます。
  77. 小峯柳多

    ○小峯委員 大臣に対する質問を保留して、これで一応打ち切りたいと思います。
  78. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 華山親義君。
  79. 華山親義

    華山委員 初めに申し上げますけれども、私といたしましては、予算と決算とを引き比べまして、予算の期待した効果が決算の面から出てきたかどうかということについて、今後私の審議の重要な問題としたいと思っております。  それにつきまして伺いますが、ただいま小峯委員からお話がございましたけれども、中高年齢就職の問題でございますが、三十九年の予算書の説明によりますると、非常に調子が高いのであります。今後の労働需給の問題につきまして、中高年齢にどういうことが、就職きせるために最も必要なことであり、それに重点を置かなければいけないということをいっているわけであります。そして三十九年には飛躍的な増額を、この面にしておるわけであります。ところが、その決算を見ますと、いまここで数字を言いませんけれども、まことに驚くべきほどの不用額を出しておる。一体どういうことなのですか。しかもその翌年度におきましても、やはり不用額を相当出している。予算の見積もり方が甘かったのか、労働省の予算の請求のしかたも大き過ぎたのか、予算はついたけれども、これを執行するところの熱意に欠けたのか、どこかに欠陥があると思いますけれども、どこに欠陥があってこのような不用額、驚くべき不用額が出たのか、その点を伺っておきたい。
  80. 有馬元治

    ○有馬説明員 中高年の促進措置にかかる予算が不用額が非常に多額に出ておる、これは御指摘のとおりでございますが、これが出てきた事情、は当時失対法の改正に伴って、中高年の就職促進措置という制度が初めて設けられまして、この制度がまだ十分周知徹底ができなかった関係もございまして、この制度の利用者が少なかった。最近ようやくこの制度に乗って再就職をはかっていくという対象者が漸次ふえつつございますけれども、当初においては非常に少なかったというごとは事実でございます。また、先ほど訓練局長から御答弁がありましたように、実は失業保険のほうで再就職――失業保険をもらいながら再就職をはかっていくという方々が、われわれが予想した以上に多く出ておりまして、この一般会計からまかなわれる就職促進の措置というものを経ずに、失業保険をもらいながら再就職をはかっていったという比率が非常に高く出ておりますので、これはまずは失業保険制度のほうが優先して再就職をはかっていくという趣旨からいって、当然のことだと思います。そういう事情がございまして、今日まで、この一般会計にかかる就職促進措置が予算的に不用額が相当多額に出ておる、これはけしからぬじゃないかというふうなおしかりが各方面からございますが、私どもとしましては、PRをもっと徹底し、その上で慎重な措置を講じつつ予算を適正に消化してまいりたい、こういうふうな考え方で、今後指導してまいる予定でございます。
  81. 華山親義

    華山委員 今後のことはそれといたしまして、予算があるからといって使ってもらっては困るわけでございます。これは不用額が出るならばそれで私けっこうだと思うのでございますけれども、一体どうしてこういうふうな予算を要求なさったのか。予想外に予想外にと言われるけれども、どうしてそれが予想されないのか。あなた方は専門家なんでございます。失業保険といったって、やはり労働省の所管なんだ。官僚が仕事に熱中して、中高年齢の人の就職がこれから大切だ、それっというので、それに便乗して多くの予算を要求する、ところがそれが使えない、そして不用額が出る、こういうことになる。一般官僚の悪いくせがここに出てきているのじゃないか。予想外とか言われますけれども、大蔵省の査定も私は間違いだと思うのでございますが、そういうふうな探求がその当時なされなかったのですか、ひとつお聞きしておきたい。
  82. 有馬元治

    ○有馬説明員 私どもとしましては、予算を執行するにあたりましては、予算がついたから全部消化するというふうな考え方ではなくて、やはり制度本来の趣旨にのっとって慎重に運用していくというふうな基本的な態度を貫いておりますので、現実に不用額が出た場合には、これをお返しするということになっております。予算がついたから全部消化する、という考えで指導しておるわけではございません点を御了解願いたいと思います。
  83. 華山親義

    華山委員 私がお聞きしておるのは、そういうことはけっこうなのであって、不用額が出たことそのこと自体をどうこうというのではないけれども、予算の要求が多過ぎたのではないか。大蔵省の考え方も甘かったでしょうけれども、説明は労働省がするわけだ。予想外ということを言われますけれども、予算の要求のしかたが多過ぎて不用額が出たのではないか。当然これは消化されるものとして要求されたのかどうかということをお聞きしているのです。
  84. 有馬元治

    ○有馬説明員 予算の要求が過大でなかったかという御意見でございますが、結果的には、そういうことが言えると思いますけれども、最近数年間の雇用事情の移り変わりは、私どもが年々予想している以上にいろいろと移り変わりが出ております。したがいまして、中高年の就職の問題につきましても、労働市場の需給の関係が非常に大きく動いておりますので、最初予定したような利用者が出てこないというケースが相当出ております。しかしわれわれとしては、中高年の問題は、一刻も早く再就職をはかるということにねらいがあるのでございまして、必ずしもこの中高年の就職促進措置を経過しないで再就職をはかるということが理想でございます。そういうふうな点で若干見込み違いがあったことはわれわれも認めておりますけれども、もしこれが多少でも経済事情その他で狂ってまいりますと、この程度の促進措置の経費は十分消化したのではないかというふうにも考えられますので、その点は雇用事情の移り変わりの見込みについて多少甘かったという点は確かにあると思います。
  85. 華山親義

    華山委員 私はいまおっしゃったことを争うわけではありませんけれども、多少はという数字じゃないんじゃないですか、半分も使っていない。非常な不用額でしょう。多少という問題じゃないと私は思うのです。いまここに数字をたくさん持ってきたものですから、ちょっと見えませんので申し上げませんが、五〇%、六〇%の不用額が出ている。これは非常な見込み違いなのであって、多少予想が違ったからとかなんとかいうことじゃないと思う。しかも四十年度におきましても、この状態がやはり決算の上に出ている。あなた方が予算を要求される場合には、国費なんですから、よほど注意をして、不用額等は出さないような綿密な計算の上で要求していただきたいと思います。しかし、中高年齢の問題につきまして私が熱意を持たないわけじゃございません。あるいはこの予算でもってさらに中高年齢の就職の促進ができる他の方法があるのではないだろうか。そういう点もひとつ十分に考えられまして――中高年齢の就職に関する予算が多過ぎるとか少な過ぎるとかの問題ではない。今後どういうふうにするならば、もっと国費を節約して、そして中高年齢の就職という国の方針に合致するか、真剣に取り組んでもらいたいと思います。  その次に、失業保険のことでございますけれども、このことにつきましては、先ほどやはり小峯委員からお話がございました。社会党といたしましては、今度の季節労働者に対する政府の方針につきましては、反対する立場をとるということを私はここで申し上げまして、いまここに大臣もいらっしゃいませんので、御回答は要りません。  ただ、私は申し上げますけれども、出かせぎ者についての問題、そのことにつきまして、私は三年越し叫び続けてきた。労働省におきまして努力されていることは、私はわかりますけれども、しかし政府としての確たる方針が何ら打ち出されていない。今度の審議会に諮問された改正案につきましては、これは閣議を経ておりますかどうですか、お伺いしたい。
  86. 有馬元治

    ○有馬説明員 現在諮問中の改正案は、これは労働大臣審議会に諮問いたしておりますので、いずれ二つの審議会の審議の結論を得て、法案とする場合に閣議決定をする。現在は労働大臣限りでやっております。
  87. 華山親義

    華山委員 それで私が申し上げますことは、かつて池田総理大臣は、閣議で、季節労働者、出かせぎ労働者の失業保険をなくす、一年以上就職した者でなければ失業保険は出さないというふうなことを言われた。このたびはまた、閣議を経てないそうでございますけれども、こういう政府の考え方として諮問していられる。しかも出かせぎ者に対しまして、政府として問題にするのは失業保険だけで、何ら問題にしたことがない。出かせぎ者も、何も好んで出かせぎに来ているのではありません。山村の最も貧困な人が出てきている。そして日本の今日の労働力の重要な部分を占めている。八十五万人と言われたけれども、私は出かせぎ者の数は百万人だと思っておりますが、こういうふうな状態の今日の労働における重要な問題について、政府は真剣に基本的に取り組んでおらない。私の言っている間に、皆さま方のほうでもいろいろなことはやってくだすっております。それは私は多といたしますが、出かせぎ労働者の労働力における重要性を認識して、これを保護する立場をもっと徹底すべきだ。関係各省、建設省その他がとにかく合同して、あるいは法律をつくるなり、あるいは閣議決定をするなり、そういう面において徹底したところの施策をとってもらいたいと思うのでございますけれども、おやりにならない。行政の小手先でやっていらっしゃる。しかも出るものは、くどいようでございますけれども、失業保険の問題ばかりなんです。片手落ちだと私は思うのでございますが、出かせぎ者の問題について、私は労働大臣にも伺いますけれども、基本的にはどういうふうにお考えになっているのか、その点だけをきょう伺っておきたいと思います。
  88. 有馬元治

    ○有馬説明員 失業保険の今回の改正問題をめぐって、先生から御指摘がございましたけれども、私どもは出かせぎ労働者に対しては、これは先ほど小峯先生にもお答えいたしましたように、十分事情がわかりますので、保険制度としてはおかしいという議論はあっても、なおかつこれは擁護していこう、こういう考え方を基本にとっております。保険の立場ではそういう考え方をとりながら、さらに出かせぎの対策といたしましては、二年前に先生に御説明申し上げたような、農林省とタイアップした対策を講じつつ今日に来ております。また雇用事情も、数年前からしますと、相当変わってまいりまして、出かせぎ者の数も、三十九年ごろをピークにして、大体横ばいないしはむしろ減りつつあります。私どもの就職対策といたしましても、特に学卒若年労働者は、出かせぎ者のあと継ぎにならないような、通年的な正常雇用に就職をあっせんするという方針をとっておりますので、新規に出かせぎ者がふえていくという傾向はすでになくなってきつつあると思います。また地元の産業振興あるいは工場誘致等によりまして、農業の兼業化は進んでおりますけれども、出かせぎ形態でなしに、やはり通勤形態の就労者がふえてきておる、こういう実態もございます。また失業保険の制度といたしましても、昨年来通年雇用融資制度というものを創設いたしまして、建設業をはじめ、ことしからは食品加工業にも、年間を通じて作業が遂行できるような、適当な施設あるいはその他の設備融資を考えているわけでございまして、私どもも、三年前に池田総理から閣議において発言があって、打ち切り問題が云々された時代から比べますと、決して打ち切りの考え方を持っているわけではなく、その後の雇用対策としましても、及ばずながらいろいろとやっておるわけでございますので、この点はひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  89. 華山親義

    華山委員 それでは、大臣に対する質問を保留いたしまして、ただ一点だけ伺っておきますけれども、最近医療費がだんだん上がってきておりまして、医療費の問題につきまして、いろんな各種の保険が圧迫を受けて大きな赤字を出しておる状態でございますけれども、労災保険につきましてそういうふうな徴候がありますかどうか伺っておきたい。
  90. 村上茂利

    村上説明員 先生御指摘のように、確かに医療費増高というものの傾向はあらわれておりまして、労災保険について申し上げますと、三十五年度におきまして、労災保険給付の中で医療費として支払いましたものは八十七億程度でございましたが、それがだんだん増高してまいりまして、昭和四十年度におきましては二百十二億と、八十億台のものが二百億台になった。その間徐々に上がったのでありますけれども、相当増高いたしてきております。もちろん、保険給付総額が相当ふえております。したがいまして、医療費だけの増高ではございませんが、しかし、いま申しました実金額を、比率の点から申しましても、昭和三十五年度は保険給付総額に対する医療費の比率は三二・二%でございましたが、昭和四十年度におきましては三六・四%になっておる、こういうようなことでございまして、医療費の増高の傾向はいなめないと存ずるわけでございます。
  91. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 関連質問として、丹羽久章君。
  92. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 先ほど労働大臣から、検査院から指摘せられた問題については、今後十分注意してやろうというお話でございますので、これを了とするものでありますが、私がただいまお尋ねいたしたいと思う関連の問題は、失業対策のことについてお尋ねしたいと思います。  すでに華山委員からお尋ねになりましたので、あまり私がお尋ねする点はございませんが、問題は、年々失対の年齢層が老化していく、そうして高齢になっていく。そういう人々に与える職業というものが、土木事業に従事するということは耐えられないという関係から、ある県なんかでは、やってもらうことができぬから、官立学校の校庭の草むしりでもやってもらおうかというようなことで、全く側から見ていると、一体何をやっているのか、これで一体金がもらえるのかというような傾向があるわけであります。ほかの者に対する影響というものを考えてまいりますると、これが年々ふえてくるような情勢になってまいりますが、生産意欲的なまじめな人々に対する影響が非常に大きいと思うのです。そういう点から、局長は、今後こういう人々に適当なものを与える、適当にやれるような方策を考えていかなければならぬと思うが、その点についてどのようなお考えを持っていらっしゃるか。これは決算とはいささか筋が違っておるようでありますけれども、委員長は、決算と筋は違っておっても、そういう点についても尋ねておくほうがよかろうということでありますので、お聞きいたしたいと思います。本来の筋から申しますと、これは社会労働委員会でお尋ねするのがほんとうだと思いますが、この際、局長から、今後の方針について、ちょっと御返答を聞きたいと思います。
  93. 有馬元治

    ○有馬説明員 御指摘のような、失対就労者の年齢構成が非常に高齢化しておるという実情でございますので、私どもとしましては、昨年来いままでの失対運営を多少改正いたしまして、第三種事業というものをつくりまして、これは老人向きの仕事場を創設いたしたわけでございます。老人には老人向きの仕事場を、失対事業として創設していくということで、現在運営をいたしております。しかし、失対事業が今後さらに一そう老齢化するという傾向ははっきりいたしておりますので、今後どうしていくかという基本的な問題につきましては、四十三年度が、五年ごとの再検討の時期に際会いたしますので、この時期に根本的な将来に向かっての再検討を加える、こういうことで考えておるわけでございます。  しかしながら、こういう高齢化の実態がございますので、実情に合わせたような運営はいたしてまいりますけれども、運営管理の面においては、適正化をさらに一そう徹底をいたしまして、一般の労働者の就労意欲をそぐような状態をできるだけ防止していくというふうな考え方で、運営管理については万全を期してまいりたいと思います。
  94. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 年寄りには年寄り向きの仕事をいま考えておると言われるが、具体的に、こんなようなことを考えたという例を一、二あげていただきたいと思うのであります。
  95. 有馬元治

    ○有馬説明員 第三種事業は、年寄り向きの事業でございますので、先ほど先生から御指摘のありました、公立学校の清掃あるいは学校の施設の修理、こういった事業種目が、この第三種事業に加えられております。
  96. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 もう一点だけ尋ねたいと思います。  三十八年に法改正をせられて、就職促進措置ができたことは非常にけっこうだと思いますけれども、その前から安定手帳を持っておった者は、既得権ということで認められておるが、何十年間という長い間、ここに巣くっている連中が非常にたくさんいるわけですが、これに対して、今度の局長がお考えになって、一応こういうような問題に対していろいろの角度から検討しなければならないという時期に、そういうようなところをあわせてお考えになる意思があるかないか、その点ひとつお尋ねをしておきたいと思うのでございます。非常にたくさんの人たちが、三十八年のときの改正前に持っておる者は全部既得権があるからということで、そのまま居すわりをいたしておりますので、これをこの際明確にしていただけたらけっこうだと思います。
  97. 有馬元治

    ○有馬説明員 先ほども申し上げましたように、固定化の傾向が非常に強くなっておりまして、現在八年十一ヵ月が在職期間の平均でございます。したがいまして、法改正以前の就労適格者が今日も大部分残っているわけでございますが、再来年度失対事業の再検討をいたす場合に、この現実を無視して再検討するというわけにもいきませんので、私どもとしては、やはり現実を十分重視しながら、今後の失対事業のあり方について再検討をしてまいりたい、こういう考え方でおります。
  98. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 労働大臣がお見えになりましたから、先ほど来留保の質問に入ります。時間がありませんから、十分程度でお願いします。小峯柳多君。
  99. 小峯柳多

    ○小峯委員 大臣にひとつお尋ねいたしたいのですが、会計検査院の方もいらっしゃいますが、会計検査というやつが、あなた方の行政を改善する上にどのくらい役に立ちますか。おかしな質問だとお考えになるかもしれませんが、先ほど、検査院の御忠告は大いに春省服暦するというようなきまり文句をおっしゃっておったが、私どもから見ると、どうも検査院が手薄で、これだけでほんとうの機能を発揮するかという疑問を感じます。特に内部監査というような制度もあるでしょうし、理屈を言えば、確かに違うかもしれませんが、行政監察みたいなものがあるので、そういうものをひっくるめて、いまのままで、私ややこしいような感じがするのですが、大臣の感想なり、率直にそういうような感じございませんか。あなたそういうことにもたいへん御勉強なさっていると、私は記憶しているので、伺っておきたいのです。
  100. 早川崇

    早川国務大臣 会計検査院がございますために、資金の使途その他について非常にきびしく自粛する精神的、具体的な効果があることは、決算委員会があることによって、非常に締まっているというほど、やはり非常に重要な意味を持っておるものと考えております。
  101. 小峯柳多

    ○小峯委員 たいへんわかったようなわからぬような答弁ですが、私の言うのは、会計検査院の機能というのが、私の承知しておる限りではどうも小さいようです。これでいいのだろうかということだったのです。それ以上あなたに聞くと、かえって御迷惑かもしれません。  もう一つ、先ほどお留守に担当官に伺ったのですが、出かせぎに対する失業保険の問題について、高い次元でひとつ御答弁いただきたいのです。  先ほど社会党の委員から、出かせぎの問題は、ちっとも国家が扱っていないじゃないか、失業保険だけじゃないかという御指摘があったので、そのとおりだと思うのです。しかし私は、失業保険本来の性格を逸脱して、季節受給者というか、だいぶふくらんでいると思うのです。たとえば青森県なんかの例を小耳にはきみますと、県税の収入よりも季節受給者への支給が大きいという話も聞いております。私は、出かせぎという問題は、経済の成長に伴う労務構造の変化といいますか、人口構成の変化といいますか、そういう問題に関連して、たいへん大きな問題だと思うのですが、それを失業保険がしょい込んで、失業保険だけで処理しなければならぬ問題だろうか。あるいはもっと区分を、区画整理をはっきりさせて、ほかの分野でもってめんどう見るというふうなことがいいのじゃないだろうか。たいへん次元の高い質問なのですが、お考えを伺いたいと思います。
  102. 早川崇

    早川国務大臣 お説のように、季節労務というのは、保険理論から言いますと、保険料の二十二倍の給付金を払わなければならぬ。したがって諸外国でも適用していないのが多いわけですけれども、日本の場合には構造的なアンバランスがございますので、現在五十八万に近い農村からの季節労務に対しまして失業保険を適用いたしておるわけであります。したがって、今回労働省として考えておりまする失業保険の改正におきましても、そういう既得権というか、法律上厳密な意味の既得権でないかもしれませんが、こういう社会構造上やむを得ずに出ておる状態でございますので、それはいじらないという考えで、現在審議会に御諮問をいたしておるわけでありますが、大きく方向としては、やはり通年雇用という方向に行くべきものであって、不安定な季節労務を失業保険にたよっているという姿は好ましくないと思っております。そういう意味におきまして、日本独特の失業保険である。いわばそういう人に対する社会保障的保険という概念ではなかろうか。しかしその結果、いわゆる通年雇用の人の保険料の負担において、あまりにも有利なあれが無制限に出ていくということになりますと、公平の原則から申しまして、いろいろな問題が出てまいるわけでありますので、これから、むろんこれは季節労務者だけではありません、都市における、しょっちゅう、六ヵ月働いてすく三ヵ月保険で――デカンショ保険というのですが、半年働いて半年寝るという、こういうことをある程度改めなければなりません。今後の新規のそういうものに対しましては、三年後保険金の給付を二分の一にしていく、それでも、私の計算では、保険料を納めた十一倍保険金をもらうのですね。しかしそのくらいの歯どめは必要じゃないかと思っておりますが、いずれ審議会その他手続を経まして、国会の御承認を得るという段階になろうと思っております。
  103. 小峯柳多

    ○小峯委員 現在の状態から必要やむを得ないものだというお考えなら、私はむしろ、この給付の額を減らすというふうなこと宿考えることは及び腰じゃないかという感じがするのです。ほんとうにこれでもっていまの出かせぎを救っていくのだということになれば、腰を据えてかかってもいい問題じゃないかと思います。その辺の腹の置き方というものが、何か少しあやふやなような感じがするのでございますが、いかがでございましょう。
  104. 早川崇

    早川国務大臣 これはなかなかむずかしい問題で、産業構造がアンバランスになって、ほとんど季節労働に出ておるような東北、北海道あるいは北陸というような、まあ鹿児島もございますし宮崎もございますが、そういう地域は、地域的にも冬場は雪が降るとか、仕事がないとかいうので、土建業その他都市の製造業に半年働いているという形態、こういうものは、特に若いこれからの人たちはむしろ通年雇用の方向に行く指導をいたしておりますけれども、お説のように一挙にはいきませんので、その点労働省も苦心しておるわけでございますが、小峯委員の申されますように、本筋のほうにできるだけ指導していきたいと思っております。しかし、少し時間がかかります。
  105. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 華山親義君。
  106. 華山親義

    華山委員 出かせぎ者の問題につきましては、社会党といたしましても、今後慎重に対処していきたい。おそらくは反対せざるを得ないということを申し上げましたけれども、これにつきましては、いまここでは時間もございませんから、御答弁はいただきませんが、結局、私は、政府は出かせぎ者の実態に即する措置というものが足りないのじゃないか、熱意を持たないのじゃないかということを申し上げたのでございます。  一つの問題だけお聞きしておきたい。今日、青少年がたくさん東京等に出かせぎに来て、悪い感化を受けて帰っていく。これらの者につきまして、とにかく青少年だけでも、一つのまとまったところへ就職きせる、仕事をきせる、そういうふうなことがあってもいいんじゃないかということを、二年越し、私は言い続けてきた。しかし、ちっとも政府はそれに取り組まない。昨年、私はこの委員会におきまして、その問題を取り上げて、どうしてそういうことをやらないのかということを言った。私のことばが激越であったかもしれませんが、出席せられた政務次官は、やるんだ、やるんだ、やらないんじゃないんだと叫んだと議事録にも出ておるのです。しかし、それに対する施設の要求をなさいましたか。労働省なりほかの省からされておりますか。やるんだと言っている以上は責任があるんだから、されておりますか。
  107. 早川崇

    早川国務大臣 中卒の学卒、あるいは高校出の学卒につきましては、求人に対しまして求職が非常に少ない。特に、いわゆる中卒なんかは要望が三倍ないし四倍あるわけでありまして、労働省といたしましては、むろん通年雇用ということで、職安を通じましてお世話をしておるわけであります。ただ問題は、朝日新聞だったと思うのですけれども、会社に雇用されたあとフォローするのが足らないから、離職したりどこへ行ったかわからないということで、強い要望がマスコミに出ておりました。それにおこたえいたしまして、労働省は、非常に人手不足でありますけれども、単に世話しただけじゃなくて、さらに、その将来までフォローしていこうということを、職安につきまして、省内で具体的に指示いたしました。その後、そういう面でのきめのこまかい職業安定行政が、青少年に対してとられておるということを御報告いたします。
  108. 華山親義

    華山委員 時間がありませんし、私もことばが少なかったから誤解されたのかもしれませんが、私の聞いているのはそういうことじゃない。青少年で出かせぎに来ておる人が多い。山形県等におきましては、一月十五日の成人式もやれない。そういうふうな青少年が、東京に出て、最も悪い飯場の環境において働いている。青少年の教育上、こういう問題につきまして、労働省は関心を払うべきじゃないか。したがって、そういう青少年たちの冬の働き場所をつくってもらいたい、こういうことを要求したところが、昨年、次官が、私の発言中にやるんだやるんだと叫ばれた。それだから私は質問をやめたんだけれども、そういうことについて予算を出されるのかどうかということを、事務当局でよろしいから、端的にお聞きしておきたい。やったかやらないか、それだけでよろしい。
  109. 有馬元治

    ○有馬説明員 御指摘の学卒を中心とする若年労働者につきましては、出かせぎのような不安定雇用じゃなしに、通年正常雇用の職場へ就職をあっせんする。その後の補導についても、大臣の御指示によって、いままで半年補導であったものを、来年度からは一年間の補導をしよう、こういうことで、補導の充実も期しながら、青少年の就職問題について万全を期してまいろう、こういう態勢で、必要な予算は十分獲得いたしております。
  110. 華山親義

    華山委員 私の質問に答えない。時間がないからだめだけれども、私の聞いているのは、青少年の出かせぎ者が最も悪い飯場で働いている。そういうものでなしに、とにかく青少年だけはひとつ働く場所を与えて、これに働かせたらいいじゃないか、そういうことを聞いておるのでありますし、そういうことについて少しもお答えがないのは、予算要求をなきらなかったのですね。
  111. 村上茂利

    村上説明員 出かせぎ者に対する対策は、職業安定行政の面と労働基準行政の面があります。総合的に扱ってやっておるわけでありますが、いまの寄宿舎の問題につきましては、この前の通常国会でも非常な御論議がございました。これは改善したいという方向でお答えをいたしましたが、具体的に処理いたしますのは、事業場付属宿舎規程の改正という問題があるわけでございます。これは中央労働基準審議会で検討してまいりまして、昨日は出かせぎ者の代表の方々の御意見も聞くといったように、事前の公聴会的な手続も終わりまして、近く本格的な規則改正という段取りに入ります。そういうことで措置いたしたいと思っております。それは規則上の改正の問題でございますが、行政指導の面につきましては、先生も御承知のように、基準監督の面でこれを重視いたしまして、不良な飯場は是正する、こういうことでいま推進いたしておるわけであります。そういうことで、不良な飯場における環境不良による少年の悪化という点につきましては、まず居住条件である寄宿舎から正したい、こういうことで手続を進めておるような次第でございます。
  112. 華山親義

    華山委員 時間がありませんから、もうこれで話はやめます。しかし、農村の青年は、出かせぎによって、とにかくばくちは覚えて帰る、酒は覚えて帰る、たばこは覚えて帰るのだ。つまらないその辺の安バーに行って、女というものを知ってくるんだ。そういうことをやめさせることをどうしてやらないのか。これを私は何べんでも言っているのだけれども、ほかのお答えをするから、私はこの問題はあとに延ばします。  一つ大臣にお聞きいたしますが、最近特に資本の自由化という問題にかんがみまして、企業の合同ということが行なわれているようであり、政府もその辺に関心を持っておられるわけでありますが、資本の合同によって、いろいろな労働条件の問題について、これが低下される問題であるとか、あるいはそれに伴って不祥事件が起きております。日産プリンス等はその例でございますが、こういうふうな合同その他の合理化に伴って起きるところの労働問題について、どういう関心を持っておられるか、大臣の御所見を伺いたい。
  113. 早川崇

    早川国務大臣 資本の自由化、これは一つのムードでして、どこまでやるか疑問ですけれども、それに備えるのみならず、国際競争力を強くするための、たとえば江商と兼松の合併、七百人の首切りという問題がありました。労働省としては、非常にこれに関心を持ちまして、その七百人に及ぶ離職者に対して、全部一〇〇%、あるいはほかの商社とかあるいはいろいろな面に就職するめんどうをみたわけであります。今後、国際競争力激化に伴います合同あるいは合理化という問題が起きましても、労働省は労働者の味方の役所でありますから、労働者の側に立ちまして、失業したりあるいは不当なる労働行為が起きたりしないように、全力を尽くしてそれらの人たちの福祉を守ってまいりたい、こう考えております。
  114. 華山親義

    華山委員 私の質問に関連でもなければ、これで私は終わります。
  115. 中村重光

    ○中村(重)委員 関連して……。もう時間がありませんから、華山委員から、日産プリンスの合併に伴って起こりました問題に対して質疑があったわけですが、ただいま大臣は、国際競争力を強めていくんだ、そういう面から合併が必要だということをおっしゃったわけなんです。ところが労働省は、そういう場合、労働者側の立場に立って行政を進めてまいりたいという意味の答弁があった。ところが、現実には、大臣がただいまお答えになった方向ではない。必ず、そうした合併というものが行なわれてくると、労働組合の分裂というものが引き起こされてきている。あるいはまた労働条件というものがむしろ改悪されてくる。二つの会社が――日産プリンスの場合を具体的な問題として、私は指摘をいたしますが、日産とプリンスと合併をした。ところが労働条件というものは、日産よりもプリンスがよかった。ところが合併後にはどういう現象が引き起こされてきたかというと、高いプリンスの水準に合わせていくというのではなくて、低い日産の水準に合わしてきた。さらにまた労働組合の分裂というものも引き起こされてきた。こういう現象が起こってきたんだが、そうすると、大臣がいまお答えになった、労働者の立場に立って労働行政を進めてまいりたいということではないではないか。この事件というものは、警察問題等にも発展をしておるのでありますから、基準局長もよく御承知になっておると思うのでありますし、また大臣も御承知になっていらっしゃると思うのです。そういう具体的な問題に対して、大臣は、基本的には労働者側の立場に立つとおっしゃったんだが、この具体的な問題に対してどのようにお考えになっておるのか、その点をまず伺っておきたい。
  116. 村上茂利

    村上説明員 日産プリンスの問題につきましては、御承知のように、一面においては労使の紛争という面がございますし、一方におきましては、暴力行為の問題として、一般の司法警察の問題、それからさらには労働基準法違反ということで、組合側が告訴、告発をいたしました関係上、これを司法処理の手続によって処理する幾つかの性格を有する形で、問題が展開されております。労働省で扱っております労働基準法違反の告訴の問題につきましては、目下管轄の監督署におきまして捜査をいたしておる次第でございますが、先生御承知のように、捜査の関係になりますと、司法警察職員としての行動に移るわけでございまして、刑事訴訟法第二百四十二条によりまして、「告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。」こういうたてまえになっておりますので、目下鋭意、書類及び証拠物を検察官に送付するというこの手続を進めておる次第でございまして、証拠その他の取り調べにつきまして、鋭意、迅速に行なわれますように、これに当たっておるような次第でございます。
  117. 中村重光

    ○中村(重)委員 なるほど司法事件になっておるのですね。ところが基準法違反の関係については、あなたのほうの基準監督署の職員が調査をやった。調査をやった結果、これは基準法違反ではないのだ一たとえば、私は第一組合と第二組合ということで申し上げますが、第一組合に対して、会社をやめろ、あるいは、第一組合から脱退をして第二組合に入れ、そういったようなことを実は強要する、昼食時間に昼食もさせないで、これを拘束をして、ただいま申し上げましたような行為をやった。これは基準法違法ではないかということで、あなたのほうに摘発をする。ところがあなたのほうは、いやそれは会社側がやった行為ではない、これは組合員同士がやったのだから、基準法違反ではない。あるいは退社時に、今度は、ただいま申し上げたようなことで盛んにつるし上げをやる。ところが、そのつるし上げは、第二組合に対しては、会社が残業手当を支給して、そういうつるし上げをやらしておる。このことは不当労働行為ではないかということに対しては、いや残業手当は――具体的にそのときに言われておるのは、四時半から五時半までは残業手当は出してないのだが、五時半から六時半までは出しておる。この間に一時間ブランクがある。そういうようなことにあえて目をおおって、これは基準法違反ではないのだということを言っておられる。これは単に司法事件ではなくて、あなたのほうの職員が調査をして、その結果は基準法違反ではないということをはっきり言っておるのだから、あなたは、これは司法事件ということになっておるのだから、いま、このことについては答弁ができないということではないはずだ。これはいま大臣がお答えになった、労働者側の立場に立って労働行政を進めていくということとは違っておる。その点どうお考えになりますか。
  118. 村上茂利

    村上説明員 内容が幾つにもわたっておりまして、組合からの申告に基づきまして東京労働基準局が行ないましたのは、休憩時間の自由利用を妨げるという点が基準法違反ではないか。それからまた、時間外労働をきせていろいろ説得工作をしておる。それについて会社は認めて残業手当を払っておるじゃないか。こういう二つの内容が東京基準局関係の主たる問題でございます。それから監督署に参りましたのは、労働基準法三条違反じゃないか、こういう問題でございます。そこで、労働基準局で扱いました休憩時間の自由利用と時間外勤務の問題につきましては、これをさっそく調査をいたしたわけであります。二月の一日に調査を実施いたしたわけでありますが、法律違反と認め得るような証拠が十分に確認できない。特に残業手当の問題は、翌月に払います問題ですから、調査時点におきましてはそういう事実がない、といったような問題がありまして、労働基準法違反と認めることが困難であるという一応の判断が出ておるわけでありますが、別に監督署に提示されました第三条違反の問題は、これは正式の告訴、告発がなされましたので、司法処分の問題として処理しておる、こういうことであります。
  119. 中村重光

    ○中村(重)委員 もう時間がないから、残念ですが、やめなければなりませんが、昨年の十二月の二十一日ですか、中労委から、第一組合を組合として認めないという態度をとっておった会社側に対して、これは間違いである、当然組合として認めなければならないし、したがって団体交渉に応じなければならないのだ、こういうことを言った。その一点をお考えになりましても、いかに会社側が労働組合を圧迫し、不当労働行為というものをあえてやっておったかということが明らかである。ならば、あなたのほうとしては、より積極的に、会社にそのような間違いを起こさせないような指導というものもしていかなければならないと私は思う。しかし、その後あなたのほうでやっておられる指導というのが、その点を見てみると、どうも熱意がないということが考えられるわけです。  あらためてまた適当な機会にお尋ねをしたいと思うのですが、最後に一つ伺っておきたいと思います。労働組合法の十七条でいう一般的拘束力、いわゆる四分の三以上の労働者代表との協約というものが、他の労働者にも及ぶという法がありますね。この法の精神というものを、あなたのほうはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  120. 松永正男

    ○松永説明員 ただいま御質問がございました十七条につきましては、四分の三の多数の組合との間の労働協約につきまして、同種の労働者についてはその効力が及ぶという規定でございまして、十七条の考え方といたしましては、労使関係の望ましい姿といたしまして、労働協約によって、労働条件につきまして、労使の対等の自主的な交渉によりまして決定せられるということが、労使の安定にも労働条件の向上改善にも望ましいという考え方でございますので、その職場におきまして多数の者がその適用を受けるような労働協約につきましては、これを他の者にも及ぼすことが、一般論として望ましいというのが、その立法の趣旨であると解釈いたします。
  121. 中村重光

    ○中村(重)委員 そのとおりだと私は思うのです。そのことは、大臣の先ほどの、合併等の場合は、労働者側の立場に立ってやらなければならぬ、ということは、できるだけ労働条件というものが向上していくようにしなければならないということになる。十七条の精神というものもそういうことで運営していかなければならぬ。ところが、具体的にはそうではない。このことは大臣の答弁にも反していることだし、あなたのほうのいわゆる指導行政というものにも誤りがある。きょうは時間がありませんから、これでやめますが、十分ひとつ、そういう点に対しては、責任を持って指導をやっていく、こういうことで対処してもらいたいと思います。
  122. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 吉田賢一君。
  123. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 早川労働大臣に、臨時行政調査会の意見のうち、労働省所管に関する事項、これについて、基本的なお考え方、態度、これを伺っておきたいのであります。  この問題は、すでに佐藤内閣におきましては、しばしば閣議申し合わせもございます。また、一月二十九日の総選挙の自民党の公約にも明記されております。また、今月十四日の本会議における総理の施政演説の末尾にも、やはり臨調の答申を尊重する、こういう趣旨が明確にされておるのであります。言いかえますならば、佐藤内閣は一貫いたしまして、池田内閣同様に、この臨調の行政改革につきましては、尊重してこれを実行していくという態度は変わらぬのであります。これにつきまして、具体的にどういうふうなことをお考えになっておりましょうか。まず伺っておきたいと思います。
  124. 早川崇

    早川国務大臣 臨調の答申では、労政局の改組とかいろいろございますが、その中で認可事務の簡素化等につきましては、十二件の答申のうち、すでに九件答申に沿って処理いたしました。また、労働災害、産業公害をなくするために部局を拡充強化しろという答申がありました。これも国会で御審議願う、安全衛生局というものが新たに新設されたのも、臨調の答申の趣旨を十分生かしたわけであります。ただ、労政局の改組という問題につきましては、御承知のように、雇用対策法によりまして、雇用計画基本対策ができまして、十分産業とマッチした雇用計画というものがすでに実行する段階になっていますから、必ずしも局の改組の必要はないものと考えます。その他につきましても、そのまま実現するという趣旨を十分尊重して、今後ともまいりたい、かように存じます。
  125. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 第一点は、労政局の改組の問題でございます。これにつきましては、労働省が去年の二月二十一日に出しました意見によりますと、やはり長期的な視点に立つ、総合的な基本的な労働政策を企画するという機能を強化する、こういう趣旨においては、根本的に賛成をしておられるのであります。そして、この労政局の改組という意味は、基準局の賃金部と職安局の失対部の一部を総合する。そして別の仮称の労働経済局といったような名称のものに再編成するというのがねらいであります。これはかなり高度の企画性を中心とし、これを根底とした考え方であろうと思うのであります。なお、現在の労働需給の実勢から見ましても、また、この間十四日に閣議決定いたしました雇用対策基本計画によりましても、広範な雇用対策の各般の実施要綱、方針というものが決定されつつあるわけであります。したがいまして、従来の労政局をもってしましてはとうていその任にたえないのではないか。この官房には企画室もあるようでございますが、これは定員三名であります。とてもその任にはたえない。幾らか応援隊が出ているようでございまするけれども、これをもってしましても、その企画というものにたえないのではないか。言いかえまするならば、企画を中心といたしまして、この大きな新しい雇用対策の基本的な施策に打ち当たって取り組んでいくという労働省の姿勢のうちには、いまの労政局をもっと充実強化するということは異論のないところだと思うのであります。でありますから、これはやはりあなたのほうが意見として検討してまいりたい――総合的な企画機能を強化しなければいかぬということについては意見が一致しているのでありますが、さらに検討してまいりたいということでありまするので、積極的に検討される必要があるのじゃないか、これが眼目です。五つの勧告案、意見が臨調から出ておりまするけれども、これは今後の労働行政の根本的な中核をなすべき問題ではないかとさえ、私ども考えております。したがいまして、その具体的な対策を検討中ということであるならば、どのような構想を持っておられるのであろうか。いまの雇用対策基本計画もできた際でありますし、四十年代における広範な今後の計画を推進していかなければならない段階でありますので、そのあたりについての労働大臣としての構想を伺っておきたい。
  126. 早川崇

    早川国務大臣 労働組合運動が変貌いたしまして、いわゆる労働組合対策という意味の労政局という時代はもう去ってきておると思います。それに加えて、最近は、労働政策が、産業政策あるいは社会開発政策とマッチして進めなければならぬという時代の要請が出てきていることは御指摘のとおりであります。ただ、それを労働経済局ということにすること自体は、これはほかとの関連もございますので、なお今後の事態の推移をながめながら検討してまいりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  127. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 時間がありませんから、吉田さん、それだけで……。やったってもう時間がない。鈴が鳴る。
  128. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 朗読しておきますから、ひとつ文書で出してもらいましょう。  第二点は、中労委と公共企業体労働委員会、それから船員中労委への労使関係の紛争を一元的な機関で処理することはどうかということでございますが、これは運輸省方面でも反対しているようでありますので、とかく反対が相当あるらしいのだが、これに対しまして、ひとつ御意見を積極的に文書で御回答願いたい。  第三番目につきましては、労働災害の防止に関する部局の拡充、これは安全衛生局の新設がありまするので、しごく歓迎すべきものでありますけれども、これとてもやはり相当将来のことも考えまして、重視すべきでありまするので、積極的な面を、さらに法案並びにその理由、根拠等につきまして御説明を願っておきたい。  第四番は、公共職安行政専務の問題でありますが、これは都道府県への委譲、移管、こういうことをいっておるのでございます。この問題につきましては、最近の労働需要が次第に広域的な措置が必要であり、その方針になっておりまするのは、これは周知のところでありまするので、必ずしも府県の段階にとらわるべき理由がないように思われますのですが、これらにつきましても、しからば現在におけるそれは第二の案としまして、このままでいいのかどうか、他に案ありやいなや、こういう点につきまして、積極的な御意見を伺っておきたい。  許認可の改革に関する第五番目のそれにつきましては十一、残っておるものが三つばかりあるようでありまするが、さらに検討中のようでございますので、検討の経過並びに見通し等につきましての意見、これもいずれも労働大臣から、文書をもちまして、当委員会に御回答願いたい。
  129. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 お出し願います。――回答をもらうことにします。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二分散会      ――――◇―――――