○川上
委員 目的が大事なのであって、行くことはけっこうだ、こういうことをおっしゃる。一体南ベトナム
政府というのはどんなものですか。
目的の問題じゃない、相手なんだ。これはアメリカのベトナム侵略戦争の道具となっておる。間違いない。
世界の平和勢力はもちろん、
世界の人民はみなこう
考えておる。全くのかいらい政権だ。
目的がよかったら行ってもいいという、私はこんなことを聞いておるのじゃない。だからこそどうですか、ここをだれが訪問をしましたか。外務大臣は知っておられるでしょう。この南ベトナムのかいらい政権を訪問したのは、アメリカのジョンソンだ、これが第一。オーストラリアのホルト、これが二番目です。韓国の丁一権、これが三番目だ。これよりほかには参戦国の首相でさえだれ一人として南ベトナムを訪問した者はありません。ここへ佐藤総理が行くということをあなたが進言しておる。行くのはけっこうじゃないかと言われるが、だれが行っているか。参戦国の首相でさえ一人も行っていない。これは
目的の問題じゃないのです。それにもかかわらず、佐藤総理がかいらい政権をわざわざ訪問なさる。これは一体どういうことか。このことは、私は率直に言うが、何も共産党の主観じゃない。
日本政府がアメリカや南ベトナムかいらい政権と一心同体であることを証明するものだ。
目的がいい悪いの問題じゃないと思うのです。この
行為の問題だと思う。この訪問それ自体の問題だと思う。これはジョンソン、ホルト、丁一権の仲間に加わることを公然と
世界に宣言することなんだ。私は繰り返して言うが、三人しか行っていないのだ。ジョンソンと丁一権とホルト、そのほかの参戦国の首相でさえだれ一人行っていないところへ佐藤総理が行く。これは行くほうがいいとあなたは進言なさったというが、このことを私は言っておるのであって、
目的が問題じゃないと思うのです。それですから、こういうことは、あなたのほうの
外務省筋は、今回の訪問で南ベトナムに行かなかったならば、
世界の自由陣営から批判をされ、南ベトナム
政府からも信用を失うことになる、こう
考えておるのでしょう。さらにベトナム問題について、
日本政府は、アメリカと南ベトナムの立場に立つのが当然であるとさえ
説明しておるのです。行って、何をするかというのは、行く前にちゃんとこうきめてある。事態は、私は明瞭だと思うのです。このことについて私は外務大臣の率直な
考え方をここで聞かなければいかぬと思う。このことは第一にどういうことになるか。
日本がこれまで行なってきた協力、加担、南ベトナムの侵略戦争に対する、これを一段と拡大強化して、ベトナム侵略戦争に直接介入するという意図を実際は露骨に
世界に示すことだ、総理の訪問ですから。第二には、
日本の国の憲法の精神を踏みにじって、
政府自身が広範な
日本人民と
世界の平和愛好勢力の念願をじゅうりんするものだ、訪問が。
目的がじゃないのです。繰り返します。第三には、今後
日本がアメリカの
アジアにおける侵略戦争にいよいよ公然と参加する意思を
世界に表明するものだ、首相の訪問ですから。しかもその上にあなたは去る二十日にこう言っている。この訪問は単なる訪問ではなくて、政治
目的を持っておる、こういうことを言うておられるのです。政治
目的を持っておるのだ、単なる親善ではないと。このことは、私がいままで言うたことを明らかに証明するものといわなければならぬと思う。これは、
考えてみると、去る五月に第七回日米安保協議
委員会が開かれました。これは外務大臣、もちろん御存じのとおりなんで、このときにアメリカは要請しておる。この要請について、私はきょう時間がありませんから具体的に言いませんが、この要請に
日本の
政府が全面的にこたえようとしている。アメリカははっきり要請しているのです。アメリカの
アジア侵略戦争といえば、
考えてごらんなさいよ。
三木外務大臣も
日本人でしょう。これはきわめて重大な問題じゃないですか。ベトナムの侵略戦争に
日本が加担するというのは、客観的に、祖国と人民を売り渡す意図を露骨に明らかにするものだと言われてもしかたがない。私の言うことがむちゃくちゃかどうかということは、
国民に聞いてみてもいいと思う。そのとおりだと言うに違いないと思う。これを率直に見まして、アメリカの言いなりになって、アメリカのめしたの同盟者になって、一そうベトナム侵略に加担するための総理大臣の南ベトナム訪問、これはやめなければならぬ。これを
三木外務大臣はみずから推進しておる。私が繰り返しさっきから
説明したけれ
ども、
生産性を進めたらいいじゃないか、
アジア開発銀行、銀行だからいいじゃないか、こんなことで済む問題じゃないんじゃないですか。私は、この
生産性機構の性格についてお伺いするとこう言った。何をするかということを聞いておるのじゃないんです。この性格は、いま私がわずかの時間に述べましたこの性格の一環であろうということを言ったら、とんでもないことだ、それはあなたの主観だ、こういうことをおっしゃる。主観でも何でもないと思うのです。ほかのことで論証しておると思う。
私はあまり長く言いませんが、外務大臣がほんとうに
アジアの平和と
日本民族の運命をお
考えになり、また
日本人民の念願、これを外務大臣として反省されたならば、佐藤総理の韓国、台湾、南ベトナム訪問、これを即時中止することを外務大臣として進言されるべきである、これが正しい道だと思う。これは共産党だから言うておるのじゃありません。私は
日本人として言いたい。
三木外務大臣も賢明な
日本人です。子供さんもあるでしょう、お孫さんもあるでしょう、将来のことをひとつ
考えたらどうですか。私は、
三木大臣が賢明に、このような佐藤総理の危険きわまりない訪問を即時やめるように進言され、また実現されることを心から希望します。これについての
三木大臣の所信を承りたい。