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1967-06-23 第55回国会 衆議院 外務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十三日(金曜日)     午前十時十七分開議  出席委員    委員長 福田 篤泰君    理事 鯨岡 兵輔君 理事 永田 亮一君    理事 野田 武夫君 理事 三原 朝雄君    理事 堂森 芳夫君 理事 穗積 七郎君    理事 曽祢  益君       愛知 揆一君    青木 正久君       塩谷 一夫君    福家 俊一君       村上信二郎君    毛利 松平君       山口 敏夫君    山田 久就君       久保田鶴松君    黒田 寿男君       田原 春次君    戸叶 里子君       渡部 一郎君    川上 貫一君       斎藤 寿夫君  出席国務大臣         外 務 大 臣 三木 武夫君  出席政府委員         外務政務次官  田中 榮一君  委員外出席者         外務省経済局国         際機関第二課長 村田 良平君         外務省経済協力         局国際協力課長 野村  豊君         外務省条約局外         務参事官    高島 益郎君         専  門  員 吉田 賢吉君     ————————————— 六月二十日  委員伊藤惣助丸君辞任につき、その補欠として  渡辺一郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員宇都宮徳馬君及び松田竹千代辞任につ  き、その補欠として村上信二郎君及び塩谷一夫  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員塩谷一夫君及び村上信二郎辞任につき、  その補欠として松田竹千代君及び宇都宮徳馬君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国における経済協力開発機構特権及び免  除に関する日本国政府経済協力開発機構との  間の協定締結について承認を求めるの件(条  約第六号)(参議院送付)  アジア生産性機構特権及び免除に関する日本  国政府アジア生産性機構との間の協定締結  について承認を求めるの件(条約第一五号)(  参議院送付)      ————◇—————
  2. 福田篤泰

    福田委員長 これより会議を開きます。  日本国における経済協力開発機構特権及び免除に関する日本国政府経済協力開発機構との間の協定締結について承認を求めるの件、アジア生産性機構特権及び免除に関する日本国政府アジア生産性機構との間の協定締結について承認を求めるの件、両件を議題とし、質疑入ります。  質疑通告がありますので、順次これを許します。永田亮一君。
  3. 永田亮一

    永田委員 それでは、機構の問題について、事務的なことを少しお尋ねしたいと思いますが、この機構職員及び加盟国代表者、これはいま日本へ全部で何人ぐらい来ているか、東京のどこにそういう事務局があるのか、あるいはどういう仕事をしているのかというようなことをちょっと説明してください。
  4. 高島益郎

    高島説明員 OECD事務局は、現在パリにあります本部以外は、ワシントンに広報関係事務所が一カ所あります。日本には全然そういう事務所はございません。ただ、OECD会議が、いままでございませんけれども、場合によって日本で将来開かれる場合がございますので、そういう場合には、会議に参加いたします各国代表者あるいは職員に対します特権の問題が起こります。いままでの例ではございません。ただ、将来、大阪の万国博覧会の際に、もし博覧会場OECD館ができました場合には、OECD職員が常駐していろいろお世話をするという事態が考えられますので、そういう際にはOECD職員特権という問題が考えられますが、現在のところはございません。
  5. 永田亮一

    永田委員 いま日本にはいないわけですね。将来そういうことがあった場合にということに備えて、こういうことをやっておくわけですね。
  6. 村田良平

    村田説明員 職員あるいは代表者特権免除の問題のほかに、今回の協定につきまして国会の御承認をいただきますのは、実はOECD事務局職員退職資金引き当てのために、日本のある会社の社債を買っております。この社債に対します利子につきまして従来課税しておりましたのを、課税しないようにしよう、つまりOECDとして、その財産については直接税を免除するという規定を設けまして、その規定に基づきまして、日本社債に対します利子について課税を将来にわたって免除するというのが主要な目的で、職員あるいは代表者につきましての特権免除の問題は、現在直接にはございません。
  7. 永田亮一

    永田委員 その人間特権というようなことは、たとえばどういうことですか。外交官と同じような待遇をするということですか。
  8. 村田良平

    村田説明員 特権及び免除の点につきまして、一般的に申しますと、まず一番広い特権を認められておりますのが外交使節でございます。つまり外交官でございます。これはたとえば駐在国の裁判管轄権から一般的に免除される、外交官の場合はこういう原則になっております。  その次にございますのが国際機関代表者あるいは国際機関職員、そういう人たち特権免除でございます。これは外交官特権免除に比べますと若干狭い範囲特権免除でございます。たとえば、いま申しました裁判管轄権免除という点から申しますと、公務上の行為についてのみ原則として裁判管轄権免除を認め、したがって、一般私的な行為についてまでは認めないというのが一般の慣行になっております。  それから、その下に位しますのが領事官特権免除でございます。領事官は大体におきまして自国民の保護というのが主目的でございますので、その範囲で必要な特権が認められるということで、裁判権免除につきましても、国際機関職員と大体同程度あるいはそれ以下の免除が認められておるのが実情でございます。
  9. 永田亮一

    永田委員 いま日本からパリOECDのほうへ出かけていっている人は、そういう特権を与えられるわけですね。
  10. 村田良平

    村田説明員 いまパリOECD代表部がございます。この人たち特権免除につきましては、OECDフランスとの間で結ばれました協定がございまして、この協定内容は、今回私ども日本が結びます協定内容とほとんど同じ内容のものでございますが、この協定に基づきまして、特権免除を認められておるわけでございます。
  11. 永田亮一

    永田委員 経済局の人にちょっと伺いますが、ことしの、資本自由化コードによって、日本に対する義務遂行という審査、コンフロンテーション、それはどういう状況になっていますか。わかるところでけっこうですが、もう始まっているのでしょう。
  12. 村田良平

    村田説明員 OECDでは、加盟国に対しまして、十八カ月ごとに一度定期審査を行なっておるわけであります。わが国に対します審査は、昨年の二月に行なわれまして、その結果が来たる七月に理事会に提出されるということになっております。したがいまして、この次に日本が再び審査を受けますのは、まだきまっておりませんけれども、それから十八カ月以内ということで、おそらく来年になるのではないかと思います。
  13. 永田亮一

    永田委員 その審査をやる機関とか人とかいうのは、どういう人がやるのですか。
  14. 村田良平

    村田説明員 これはOECD資本取引自由化コードの中に規定がございまして、OECDの中の貿易外取引委員会というものがございます。それは各国代表ではございませんで、十一カ国から専門委員というのを出しております数の制限された委員会でございますが、そこで、各国定期審査をやっております。
  15. 永田亮一

    永田委員 その委員会日本も入っていますか。
  16. 村田良平

    村田説明員 わがOECD代表部稲村参事官委員でございます。
  17. 永田亮一

    永田委員 そうすると、日本審査をされるときにも、やはり日本メンバーも入ってやるわけですか。
  18. 村田良平

    村田説明員 稲村委員委員会メンバーでございますから当然それに出席しておりますが、かつ、わが国審査を受けます場合には、東京から日本政府代理者が参りまして、日本の立場を説明するということになっております。
  19. 永田亮一

    永田委員 自由化コードの中のA表B表というのがありますが、いままでのところ、日本留保しているものは何項目ぐらいあるのですか。全面留保部分留保とあると思うのですが、世界のほかの国に比べて多いのか少ないのか、そこのところを伺いたい。
  20. 村田良平

    村田説明員 いまわが国資本取引自由化コード留保しております数は、全部で十八項目でございます。このほとんどは部分留保でございまして、全面留保はわずかでございますが、他国と比べますと、わが国よりも留保の数の多いのは、ポルトガルとスペインだけでございまして、留保の数から申しますと、日本は多いほうから三番目でございます。
  21. 永田亮一

    永田委員 留保が非常に多いということですね。これは、自由化した場合に日本中小企業なんかが非常にやられる心配があるということでやっているのじゃないかと思うのですが、北欧なんかの諸国考え方は、むしろ資本が入ってくることを非常に歓迎しているということを聞いたわけです。これはつまり、資本が入ってきて、その国に新しい技術入り、新しい物ができ、安く生産されるというような意味で、むしろ入ってくるほうが得なんだという考えを持っているということを聞いておるのですけれども日本は非常に警戒をして、留保なり部分留保をやっておる。それで、外務省のほうで資本自由化をやった場合の得か損かということですな、メリットがあるのかあるいは反対なのか、そういう比較研究をされたことはありますか。あれば、そういう意見をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  22. 村田良平

    村田説明員 わが国留保の数が非常に多うございますのは、それは必ずしもいま御指摘になりました対外直接投資以外に、外貨準備が非常に少のうございますから、したがって、対外投資とかあるいは外債発行というような面についても留保あるいは部分留保をしております関係上、数が多いわけでございます。いま御指摘になりましたような北欧諸国のみならず、中央ヨーロッパ諸国でも、大体におきまして外資に対する自由化というものはプラスのほうが多いという考え方を持っております。  外務省といたしましては、単にOECDから要求があるから自由化するということではなくて、この問題が持ちますわが国経済に対する内容というもの、あるいは影響というものも、かなり研究もいたしましたし、あるいは分析もいたしました。その結果、一がいに資本自由化することが全面的にプラスであるということも言えませんし、また、マイナスであるということも言えません。それぞれプラスマイナス両面がございますけれどもマイナス面といいますのは、わが国が適当な施策を講じることによりまして、その弊害をできるだけ少なくできるものでございます。他方、プラス面というのは、やはりわが国経済の発展のために、ある段階自由化に踏み切りませんと、技術開発その他の点でおくれをとるおそれが非常に大きゅうございますから、わが国経済実情を見合わせながら自由化をやっていこうという考えでございます。
  23. 永田亮一

    永田委員 プラスの面とマイナスの面、これが新聞なんかに発表される意見の中では、大企業がそれをやれば国益になるとかならぬとかいう意見が非常に多いわけです。もちろん大企業のことも考えなければなりませんが、自由化したために国民全体が受けるプラスという面も相当あるのじゃないかと思います。外国資本が入ってきて賃金が上がるというようなことは、大企業にはマイナスかもしれませんけれども、雇われている人間にはプラスかもしれません。いままで日本で行なわれておった議論は、大きな企業意見がかなり強く出ているように思うのですけれども、やはり国民全体がプラスになるかマイナスになるかということを考えていただきたいのです。これはひとつ、大臣いいですか。そういう意味資本自由化についてどうも——いまお聞きいただいたかもしれませんけれどもナショナルインタレストというものが大きな企業についてだけ考えられる傾向があるのじゃないかと思うのです。資本自由化されれば新しい技術が入ってくるし、また新しい製品ができるということになる。また、外国資本が入ってくるということは、いままで日本のトレードマークであった低賃金というようなことをねらって入ってくるかもしれない。しかし、外国企業という形になれば賃金は上がってくる。そういう面では、大企業は困るかもしれぬけれども一般雇用者にとってはいい面もあるのじゃないか。全体の国民のバランスを考えながら、あまり留保の数を多くするばかりが能じゃないと私は思うのです。いかがでしょうか。
  24. 三木武夫

    三木国務大臣 自由化の問題について確かにメリットもあります。日本の場合はメリットのほうはあまり出てこないのですよ、デメリットのほうが非常に大きく言われて。確かにそういう面があると思います。しかし、ものによりますと、大企業といいますか、やはり頭に入れなければならぬのは日本の産業の二重構造、ことに日本中小企業形態というものは欧米形態と違いますから。欧米は専門化されてみな一応経営が安定しているのですが、日本の場合はまだ不安定な要素が多いですから、ここに、分野によるならば、外国資本が入ってきて、中小企業分野までも入っているということになれば、これは単に経済問題ばかりでなしに、社会問題にもなってまいりますから、やはり段階的に資本取引自由化を行なっていく。しかし、それは一面においてメリットもあるし、そういう外国資本が入ってくることによって真の開放体制、国際的な経済開放体制ができるのだというやはり大きな方向がありますから、それに向かって一応段階的に考えないと、いきなりということになれば、これは非常な衝撃を与えますので、政府のいま昭和四十六年に向かって段階的に思い切った資本取引自由化をやっていくのだという段階を設ける行き方、しかも方向資本取引全面的自由化である、こういうところが妥当ではないかと私は思っております。
  25. 永田亮一

    永田委員 それじゃ、分担金はいま日本は幾らぐらい払っているのですか。世界で何番目ぐらいか。分担金の算定の基礎というものはどういうことになっておりますか。
  26. 村田良平

    村田説明員 わが国OECDに対します分担金は約五億円でございまして、加盟国の中では第五位になっております。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの次がわが国でございます。その計算の方法は過去三年間の国民総生産の算術平均をとりまして、国民一人当たり百ドルというのを基礎控除いたしまして、残りを総計の中の案分比例で割り出す方式でございます。
  27. 福田篤泰

  28. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私は最初にアジア生産性機構のほうの問題について二、三点伺いたいと思います。時間の関係がありますから、質問を二つ一度に聞きますから、お答えいただきたい。  アジア生産性機構というのは何をするところで、いつから動いていて、いままで何をしたか、大まかにお話し願いたいと思います。
  29. 野村豊

    野村説明員 アジア生産性機構は一九六一年の五月に発足いたしましたものでございまして、その機構目的アジア生産性機構に加盟しておりますところのアジア地域におきますところの生産性を向上いたすことによりまして、この地域におきますところの経済開発を進めようという趣旨のものでございます。具体的には、そういった生産性機構加盟国はお互いに協力いたしまして、いま申し上げたような目的のためにいろいろ会議、たとえばシンポジウム、ゼミナールを開催し、あるいはまた訓練コースの開設、視察団の派遣、専門家によるところの技術指導あるいは調査研究というような活動を行なっております。現在までのところ、そういった活動に参画いたしました者は全部で約六千名くらいにのぼっております。
  30. 戸叶里子

    ○戸叶委員 一九六一年というとだいぶ前ですね。それ以来、この機構に入らなかった場合と入った場合とよほど違いますか。入ったためにこんなにたくさんいろいろなことができたということは、おっしゃることができますか。自信を持っておっしゃれますか。このアジア生産性機構というものがいまおっしゃったような内容のものであるということは、概念的には知っているのですけれども、何をしているのだろうかと、さっぱりわからないのです。ですから、もうちょっとわかるように説明をしていただきたい。
  31. 野村豊

    野村説明員 アジア生産性機構は、いま申し上げたとおり、生産性の向上というかなり抽象的な目的でございますので、その活動がすぐじかにあらわれてくるということはなかなかむずかしいわけでございます。ただし、いま申し上げたような活動を通じまして、現在これらの分野におきますところの生産性に対します認識が非常に深まりますと同時に、具体的には日本からのいろいろな経営指導を受けました各種の企業がいろいろな生産性を上げまして、従来の生産性を向上したという実例はございます。
  32. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いまの御説明では、私ども一九六一年からことしまでの間に、具体的にどういうことがあったのだろうかということの非常に納得のいかない面もいろいろあるけれども、その問題は別といたしまして、一九六一年に設立されたとおっしゃいますけれども、これは国会承認を得ていないわけですね。どういうわけで承認を得られなかったのか伺いたいと思います。
  33. 高島益郎

    高島説明員 従来政府国際機関に加入いたします場合に、その機関を設立する条約につきましてまず国会の御承認を得て、それから後に加入するということを原則としてまいっております。しかしすべての国際機関に、どのような国際機関に入る場合にもすべて同様の手続によるということではございません。若干の例外はございます。この例外の場合と申しますのは、その国際機関を設立する規約の規定上、政府としまして何ら新しい義務を負うことがなく、かつ政府法律または予算で与えられた権限の範囲内で十分活動し得る、したがって、何ら新しい義務を負うこともなく、またその機構といたしまして新しい義務を課するということが絶対にないというふうな国際機関につきましては、従来政府限りで閣議決定等を経まして加入いたしております。アジア生産性機構はまさにこのような事例の一つであります。これ以外に若干の例を申し上げますと、たとえば昭和二十七年に入ったものでございますが、国際米穀委員会、それから同じく二十七年にインド太平洋漁業理事会、それから三十六年にアジア生産性機構、それからまたさかのぼりますが、三十年にはアジアアフリカ法律諮問委員会国際ゴム研究会、それから国際養蚕委員会等々いろいろございますが、要するに、これらの国際機関は、大ざっぱに申しますと、調査研究それから情報交換、そういったような、政府行政権範囲内で十分処置し得る活動を主たる目的としておる機関であります。したがいまして、こういう機関につきましては、従来、いままでの取り扱いといたしまして、国会の御承認を得ずに政府限りで加入してまいっております。アジア生産性機構は、まさにそのような例の一つであります。ただ今回御承認を仰ぎます特権免除につきましては、これは当然国として新しい義務を負うわけでございますので、この部分につきましては御承認を仰ぐという次第にしたのであります。
  34. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いまお述べになりましたいろいろな機関には、分担金はお払いになっているのですか、お払いになっていらっしゃらないのですか。
  35. 高島益郎

    高島説明員 分担金の額は違いますが、それぞれみな分担金義務として負っております。ただしこれは毎年国会予算の一部として御承認いただいておりまして、その予算範囲内で分担金を払っております。したがいまして、たとえばその機構から三年ないし五年間は脱退できないというふうな種類の国際機関の場合ですと、これは当然国会の御承認を得なければならないのでございますが、そうでなくて、いつでも、たとえば非常に理論上の問題でございますけれども、もし万一分担金につきまして予算が認められないということになりました場合には、直ちに脱退し得るというような道がございまして、そういう場合に限って国会の御承認を得なくても、政府限りで加入し得るのではないかということで、従来そういう取り扱いをしてまいっております。
  36. 戸叶里子

    ○戸叶委員 アジア生産性機構の場合には、たしか予算が認められなければ、三カ月で脱退できるということですね。いまお述べになりました機関は、分担金は少ないけれども、いずれも分担金を払っている、しかし三年なり五年なりの長い期間にわたっているような場合には国会承認を得なければならない、こういう御答弁でございましたけれども予算というものは国民の税金からまかなわれるわけですね。そうなってまいりますと、三カ月であろうが、あるいは三年であろうが、一年であろうが、五年であろうが、出すということには変わりはないと思います。やはり三カ月だから国会予算承認を得なくてもいい、三年だから承認を得なきゃならない、こういうばかなことはあり得ないと思いますけれども、いかがですか。
  37. 高島益郎

    高島説明員 私が申しましたのは、三カ月の予告をもって脱退し得るということでございまして、三カ月分の予算を払って国会承認なしに脱退し得るということじゃございません。そういう趣旨じゃございませんので、御了承いただきたいと思います。
  38. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、アジア生産性機構というものは、それほど大事なものじゃない。もしも予算が認められなければ入らないで済むのだ。結局どっちに重点を置いているかと言えば、予算がもし否決されれば入らなくても済むのだけれども予算が黙って通されたから入ったのだ、この程度のものとして了解して差しつかえございませんか。
  39. 高島益郎

    高島説明員 先生の御指摘のとおり、非常に理論的に詰められますと、予算が万一国会で御承認いただけないということになった場合には、脱退するのもやむを得ない。理論上の問題でございますけれども、われわれそう考えております。しかしこれは全く理論上の問題でございまして、実際上は決して政府はこれに対して熱意がないとかいうふうな問題ではございません。しかし先ほど申しましたとおりの理由で、すべての国際機関について、常に必ず国会の御承認を得なければならないというふうには、私ども取り扱い上の例としてやっておらないのでございます。そういう点を御了承いただきたいと思います。
  40. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いまの高島さんの御答弁には、私は非常に反発を感じるのです。すべての条約なり、こういう機関については、国会承認を得なくてもいいのだということは、もっと軽い、たとえば学術会議に対する何か団体に入るとか、そういうものであればいいと思います。しかし、こういうふうに、明らかに年々の分担金を払わなきゃならないというものであるならば、当然国会の審議を経た上で、私はお入りになっていいのじゃないかと思います。しかもこの経緯を見ていますと、三月に予算を先に通して、そして四月になって何か署名したのですか、そうして閣議にかけて五月になって加盟しましたという通告をしたのですね。予算を先に通してしたわけですから、国会の手順は踏んだとおっしゃいますかもしれませんけれども、そういうやり方というのは少し異例ではないかと思うのです。これだけの機構で、しかもいままでの御説明を聞いていますと、アジア生産性機構というのは何をするところですかというと、中小企業にもいいし、情報交換もあるし、それから調査もするし、たいへん効果をあげるようにお述べになったのです。ところが、そういうふうな大事なものなら、なぜ国会承認を得て堂々とお入りにならないのですか。三カ月の破棄の通告がなかったから、ほっとした形でそろっと承認したとしか私らにはとれないのです。そこに何かしら変なものがあるのじゃないかしらと素朴な気持ちで疑問を抱くわけです。私は高島さんのようにくろうとじゃありません。しろうとですけれども、非常に疑問を持つのです。その辺をもうちょっと解明していただけませんと、納得がいかないと思います。
  41. 高島益郎

    高島説明員 戸叶先生のお感じになったような意味で、全くこれはそういう何と申しますか、背景のようなものはございません。私どもほんとうに憲法に基づきます条約取り扱いにつきまして従来いろいろ苦心しまして、条約とそれから行政取りきめというふうなものの区分を慣行上設けまして、こういうある一定の基準に基づきまして、このようなものについては国会の御承認を得なくても政府として加入し得るというようなことで従来やってきておりますので、アジア生産性機構について特別な理由があるという御心配でございますが、私ども確信を持って申し上げますが、全然そういうような事情はございません。全く従来の形式的な私ども取り扱い方針に従って、これを行政取りきめの一つとして扱ってきたというのが実情でございます。
  42. 戸叶里子

    ○戸叶委員 どうも割り切れません。しかし、ちょっと違う角度からお伺いします。  たしか外務委員会で、昭和三十九年三月十八日でした。条約国会提出する、しないという、そういうことでいろいろ議論をいたしました。そのときに藤崎条約局長がこういうふうに答弁しております。  「第一に、法律事項を含む条約」「第二に、予算または法律で認められている以上に国の財政負担をもたらすような条項を含む条約、たとえば賠償協定分担金の支払い義務に関する条項を含む条約」、これは分担金の支払い義務に関する条項を含んでいますね、この条約は。それから「第三に、右のような法律事項または財政条項を含んでおらなくても、政治的な重要性があると認められるもの、たとえば友好条約、文化協定というようなものでございます。」こういう三つの定義をこの委員会でお下しになって、私どもはいろいろな議論があるにしても、一応その線で来たと思います。ところがこの第二に書いてある分担金の支払い義務に関する条項が含まれておる。これは分担金の支払い義務というものは入っているのじゃないですか。
  43. 高島益郎

    高島説明員 仰せのとおり、アジア生産性機構規約第三十三条に分担金払いに関する条項がございます。これが政府として負っております唯一の義務でございます。しかし、これは先ほど来、申しておりますとおり、理論上の問題でございますけれども、各年ごとに国会予算として承認をいただいて、その範囲内で支払いをし得るという解釈でございまして、たとえばアジア生産性機構入りまして、五年とか十年間は脱退できないという、そういう種類の規約でございますれば、これはもう当然国会の御承認をいただくわけでありますけれども、実はそういう規定になっておりませんので、そういう解釈を従来からとっております。
  44. 戸叶里子

    ○戸叶委員 いまの、藤崎条約局長が説明されたその第二項に、いま私が指摘したこの第二の中に、五年なり十年なりという期限が縛られていなければいいのだということは、ちっとも説明してないですね。分担金の支払い義務に関する条項を含む条約とおっしゃっているのですよね。そうだとするならば、これが一カ月であろうが、二カ月であろうが、あるいは一年であろうが、三年であろうが、五年であろうが、このカテゴリーの中に入るじゃありませんか。もしそういうことがはっきりしているなら、このときに条約局長は説明していていいと思うのです。三カ月のときにはいいのです。五ヵ月のときにはいいのです。しかし何カ月になったらいけないのですよということがはっきり定義が示されなければ、これからも私は問題になると思うのです。都合の悪いような機構なり条約に加盟するときには、さっと短い期間で廃棄ができるようにしておいて、予算をごそっと出して——まあ、それは予算のところをよく見なかったと言われればそれまでかもしれませんけれども、そういうふうな形になるのじゃないかと思いますが、いまの理論と私の理論とどっちが正しいでしょうか。わからないのですけれども……。
  45. 高島益郎

    高島説明員 私は、昭和三十九年の藤崎局長の御答弁内容を存じませんで、よくわからないのですが、従来外務省といたしましてとってきた方針は、まさに私が先ほどから何回も申しておりますとおり、分担金条項を含む条約であっても、それが一年以内にいっでも脱退できるというふうなものでありました場合には、必ずしも国会に出さなくてもよろしいという取り扱いをしてまいっておりますので、その観点から、アジア生産性機構の問題につきましても特に御承認をいただかなかった次第でございます。戸叶先生の御指摘の点につきましては、もう一度よく調べてみたいと思っております。
  46. 戸叶里子

    ○戸叶委員 高島さんがどんなに苦労して答弁されても納得できませんよ。一年以内の分担金の支払い義務、つまり言いかえますと、一年以内で脱退しますと通告すればもういいのだ。しかし、それでは、一年一カ月になったらどうするのですか。そういう問題が出てくるでしょう。だから、期限では限られないのですよ、こういう問題は。そうお思いになりませんか。三カ月だったらと私が言ったので、ちょっと延ばして一年というようにおっしゃったのでしょうけれども、一年以内に脱退できるようなもので予算の分担を含むというような条約ならいいんだというふうに解釈するなら、今度は一年一カ月になった場合にはいいのですか、いけないのですか。そういうふうな答弁をされておくと今後行き詰まらないかと思って心配するのです。ですから、高島さんのために私はこれを申し上げておるのです。やっぱりこれは国会にかけるべきではなかったのですか。
  47. 高島益郎

    高島説明員 これは決して私の意見ということではなくて、外務省が戦後ずっととってきた方針を何回も繰り返して申し上げておるわけであります。一年と申しましたのは、わが国国会で御承認をいただく予算のカバーする範囲内ということでございます。この予算のカバーし得ない範囲につきましては、私は問題が全然違うと思います。国会で御承認をいただいた予算範囲内でカバーし得ることでありますれば差しつかえないというのが外務省の従来とってきた方針でありまして、これを私は何回も申し上げているわけでございます。
  48. 戸叶里子

    ○戸叶委員 外務大臣に伺います。
  49. 三木武夫

    三木国務大臣 これに対しては藤崎条約局長も一つの方針を言ったにすぎないので、これはこうすべきものだという一つの法規上の根拠があるわけでなしに、外務省はこういう方針ですと言ったので、確かに戸叶さんの言われるような一つ考え方も、これは分担金を伴っていますから、成り立ち得ると思います。しかしながら、従来このものが一つの行政行為としてやったという根拠は、いま説明員から答弁しておりますように、情報交換だけで、この条約が特別な義務を伴っていないですね。それからまた、問題の性質が研究機関である——まあ研究機関と言っていいでしょうね。そういう非常に政治的なものでなしに、研究機関である、義務は伴っていない、しかも脱退も非常に自由にできる、こういうことで、これはことさらに国会承認を得ることを避けるという理由は外務省にはないですね。問題があるものではないですから。しかし、こういうようなことに対しては行政行為としてやってきたという従来の慣例に従ったもので、別に国会の批准を特に避けるというものでなしに、従来の慣例に従ったものだと思います。この点は分担金を伴うような場合は、事の性質、その団体がどういう性格のものであって、脱退が自由であっても、これを国会取り扱いはどうすべきものかということで今後の検討をいたしてみることは私はやぶさかでございません。従来の慣行に従ったというだけで、特別な意図はない。しかし、いろいろ条件はあるにしても、分担金が伴うような問題については、国会承認を受けるべきだという御意見については、これはやはり研究はいたしてみたいと思います。
  50. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私は、外務大臣がいろいろ御答弁になりました中で、この機関というものは特別の義務を伴っていない、こうおっしゃたことだけは間違いじゃないかと思います。というのは、分担金を払うという特別な義務を伴っているのですよ。それは義務ですよね。分担金は払わないでいいのですか。やはり払わなければいけないのでしょう。条文の中に入っているのですからね。だから、これは特別な義務ですよ。特別の義務を伴っていないとおっしゃったことだけはお取り消しを願いたいと思うのです。もし、この条項の中で払わなくていいというなら別です。払わなければいけないというなら特別な義務があるというふうに私は理解しますけれども、外務大臣はそうお思いにならないかどうか、お伺いします。
  51. 三木武夫

    三木国務大臣 それは全く戸叶さんのおっしゃるとおりで、分担金を除いてその活動の中には特別の義務はない。お説のとおりでございます。
  52. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そこで、分担金を除いての義務というのは、それほど大した義務じゃないですよね。分担金というのが、日本国民にとってみれば大きな義務です。国民がそのお金は払うのですからね。だから、そういう形でごまかしていっちゃいけないと私は思うのです。それをはっきりさしていただきたいのです。まあ、今回は特権免除のほうですから、このところであまり議論はしません。  それともう一つは、外務大臣がこのように分担金を伴うものに対しては、外務省も今後検討するというそのおことばを私は信じまして、さっそく研究をしていただきたい、こう思います。そうでないと、やはりいろいろ問題が起きてきます。高島さんが一生懸命になっての答弁、よくわかるのですけれども、どうも納得がいかないのですよ。一年の予算年度だけカバーできるものならいいという形では、一年一カ月になればそれはだめなんだということにもなってきますし、そういう答弁をしないで済むように外務大臣はお考えになっておいていただきたい。これをまず要望いたします。  それからもう一点だけ伺いますが、四十六条には、加盟できる国としてエカフェのアジアにある国の政府、こういうことが書いてありますね。ところが四十五条になりますと、原加盟国となれる国として制限がしてありますね。原加盟国となれる国として附表二で制限がしてあるのですが、これはどっちが正しいのでしょうか。たとえばエカフェの加盟国は社会主義の国もなれるわけです。ところがこれには限定されてあってなれない。それはどちらが正しいか。
  53. 高島益郎

    高島説明員 この附表の二にございます国は、最初にこのアジア生産性機構をつくるときに招集した国でございまして、したがって、ここにございます国はいつでも加入する意思を表示すれば直ちに原加盟国となれるということでございます。それ以外に、これからその附表の二に、つまり最初の会議に参加してない国でエカフェの現在メンバーであるもの、つまりこれは当時エカフェのメンバーのうち東南アジアに位置する国だけを招集いたしまして開いた会議で設置した機関でございまして、四十六条で申しておりますのは、東南アジアだけに限らず、西のほうはイランまで含みます非常に広大な範囲をエカフェのメンバーには常に開放するという趣旨でございます。そのエカフェのメンバーという点につきましては、何ら矛盾はないと思います。
  54. 戸叶里子

    ○戸叶委員 エカフェのメンバーということは、エカフェの精神をくんで同じような国の加盟ができるという意味じゃないのでしょうか。エカフェに加盟できるような国はアジアでもできるということじゃないのですか。
  55. 高島益郎

    高島説明員 現実にエカフェのメンバーであるアジア諸国政府が加盟するという規定でございまして、もしある国が将来エカフェのメンバーになりますれば、当然加入資格が生ずる、こういうふうに考えております。
  56. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、エカフェには中国とかあるいはベトナムとかいう国がありますね。これはこちらのほうでは、はっきりとベトナム共和国なり中華民国なりというふうに限ってあるわけですけれども、これはどういうふうに理解したらよろしゅうございますか。
  57. 高島益郎

    高島説明員 附表二で書いてありますのは、先ほど申しましたとおり、アジア生産性機構を設置するための最初の会議に招集した国の名前でございます。現在この附表の二にございます国のうちでまだ入っておりません国は、アフガニスタン、ビルマ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア連邦、その六カ国でございます。
  58. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そういうふうに聞いているのじゃないのです。エカフェでは、加盟国として中国それからベトナムというふうにはっきり書いてありますね。こっちのほうでは中華民国、ベトナム共和国と、こう書いてあるわけです。分裂した国家の一方だけを載せているわけです。それはどういうふうに了解したらいいですかということを聞いている。わざわざ別な形で名前を載せた理由、そういうことです。
  59. 高島益郎

    高島説明員 別な形で載せたということではありませんで、実際に設立するための第一回の会議に招集された国がこれでございます。
  60. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうすると、いまの場合は分裂した国の一方だけが入っているということですね。  それからどこか、いま見当たらないんですけれども、どこかに理事国の承認か何かを条件として、よその国の援助をもらえるということになっております。——三十三条ですか、ありますね。これは主としてどこからですか、というよりも、いままではどこからどのくらいの援助を得ているか。
  61. 野村豊

    野村説明員 APOの活動は主として加盟国分担金でまかなうわけでございますが、その他の国もしくは機関から援助を受けられるということでございまして、具体的にはフォード財団等からもありますし、アメリカのAIDの金も入っております。一九六六年におきましてフォード財団から四万ドル、AIDから十万ドル受けております。そのほか、各加盟国がいろいろその国で事業を実施する場合には、分担金のほかにそれぞれの事業実施のための金を出しておりますほか、香港あたりはこの事業のためにさらに五千ドル任意的に拠出しているわけであります。
  62. 戸叶里子

    ○戸叶委員 この援助のしかたなどにもいろいろ問題がありますけれども、きょうはこの程度にいたします。  外務大臣、今後の問題もありますので、どうぞさっきの国会承認の問題だけはきちんとこの辺でしておいていただきたいということを私は要望いたしまして、質問を打ち切ります。
  63. 福田篤泰

    福田委員長 堂森芳夫君。
  64. 堂森芳夫

    堂森委員 ただいま同僚の戸叶委員からアジア生産性機構の問題に関しましていろいろ質問がございましたが、重複を避けまして、私は一、二の点を質問をしたいと思います。  そこでさっきの高島参事官の答弁あるいは外務大臣からそれに補足して答弁がありましたが、私はやはり戸叶さんのおっしゃった議論が正しいと思うのであります。すなわち、今後検討するというのではなしに、国民の納めた大切な税金から分担金がまかなわれるのでありますから、こういう国際的な取りきめについては行政的な措置でこれをやっていくということは今後やめる。そしてやはり本筋として国会承認を得て、しかもさっきも指摘されましたように、第三十三条で経費の負担の義務が明記されておるのでありますから、そういった方向で今後はやっていく、こういうふうに外務大臣から、くどいようでありますが、もう一度そういう言明的なといいますか、答弁を願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  65. 三木武夫

    三木国務大臣 これは、この問題だけでなしに、ほかの問題でもこういう例が相当あるようでありますから、ここで即答いたすことは適当でない。ことにこれはやみくもに予算が使われるわけでないのですから、予算の審議の場においてこの問題は国会の審議を経るわけですから、そういうことでやみからやみというものではないです。予算に計上されるわけですから、予算の審議を通じてこの問題も検討され、それが非常に不合理なものであればこれは問題にされるわけでありますから。ただ国民の税金というものに対して、わけわからずに使われておるということの非難は当たらぬと思います。しかし分担金を伴うような協定に参加する場合の処置というものについては、これは検討を加えたいと私は思っておるのですが、この場でそれを変えるとかいうことを約束せよということは、まだ検討を経ずして約束をいたしますことはやはり適当でないと考えております。
  66. 堂森芳夫

    堂森委員 外務大臣の答弁でありますが、これはもう意見の相違になりますし、議論になりますからやめますが、しかしやはり本筋はそういう方向で今後検討していく、こういうことでなければならぬことは当然だろう、こう思うわけです。まあ、重複しますから、一、二の点で質問はやめます。  直接には関係はございませんが、このAPOと日本生産性本部というものとは、もちろん法理的には関係はございません。しかしその仕事の性格からいきまして、当然密接ないろいろな関連性がなければならぬと思うのでありまして、従来これがアジア経済開発機構発足以来、日本生産性本部というものとどういう関連性を持ってきたのか。この点について具体的に説明を願いたい、こう思います。
  67. 野村豊

    野村説明員 もともとこのアジア生産性機構日本生産性本部が中心になりまして、戦後におきますところのアジア地域におけるところの生産性を向上しようということで、各国におきます同様な生産性本部の機関と提携し合いましてアジア生産性機構というものをつくり上げたわけでございます。その意味から日本生産性本部はこのアジア生産性機構活動の中核的な存在となっておるわけでございます。具体的にさっき申し上げたとおり、アジア生産性機構加盟国の間におきましてシンポジウム、セミナー、その他専門家の派遣そのほかを実施しておるわけでございますが、日本におきますところのいろいろな事業につきましては、日本生産性本部が政府からの委託を受けて自主的にそういった事業をいたしております。そのために通産省の予算におきまして、一九六七年度において約八千万円の事業委託費というものが日本生産性本部に委託されまして、その金をもちまして、日本生産性本部がこのアジア生産性機構日本におきます事業を遂行しておるというふうな関係になっております。なお、ちなみに、アジア生産性機構に対しますところの日本理事は中山伊知郎氏でございますけれども、同氏はもともと日本生産性本部の副会長でございますし、この活動の中心的な活動をなさっておられた方でございます。
  68. 堂森芳夫

    堂森委員 いまの答弁説明を聞いておりましても、アジア生産性機構日本生産性本部が実際の仕事は分担してやっておる、こういうことでございますね。そこでさっきも戸叶委員から質問がございましたが、この機構はアメリカの援助等もある、こういう答弁でありました。日本生産性本部の発足を見ましても、元来こういう機構はアメリカに発達してきたもので、そうした意味で大きな影響を受けて日本にもこれが発足してきた。日本生産性本部はそういう経過で、アメリカの強い援助等で発足してきた。こういう経過があると思うのであります。たしか余剰農産物の円資金の一部がこの日本生産性本部にも寄付としてつぎ込まれてきておった、こういうふうに記憶しておるのですが、現在もそういうふうな援助は続いておりますか。いかがでございますか。あるいはその他の援助が何かあるのでありますか。日本生産性本部のほうですよ。あわせて御答弁を願いたいと思います。
  69. 野村豊

    野村説明員 日本生産性本部は、これは通産省の所管でございますので、詳細は通産省から御答弁いただくのがあるいは適当かと思いますが、そういったことはないやに私たちは存じております。
  70. 堂森芳夫

    堂森委員 ではいずれまた次の機会に……。  そこで、このアジア生産性機構におる職員でございますね、全体でどれぐらいの人がおって、そうしてどこの国の人が何人とか、メンバー内容、それから全職員のうちの、いろんな特権免除をもらっておるのはどれぐらいの人たちであるか。それからもう一つ日本人の職員がおるわけですね。当然常識として日本人は特権免除がないだろうと私は思うのですが、これはどうなっておるのか。協定ではわかりませんので、御答弁を願います。
  71. 高島益郎

    高島説明員 お答えいたします。  職員は全体で三十人、そのうち、この特権免除協定の対象になります職員はAPOとの了解でもって現在十人。十人と申しますのは、いわゆる高級な専門職員でございまして、この十人のうち、日本人は四人でございます。あとはインド人、韓国人、台湾人、ネパール人、フィリピン人、パキスタン人でございます。特権免除内容につきましては、この協定の中に書いてございますとおり、日本職員につきましては、公務上の行為について裁判権免除があるのみでございまして、それ以外、たとえば課税の免除はございません。それからなお、日本人の職員も含めまして、一般的に特に自動車事故が多いために、自動車事故に関しましては、一切の民事上の訴訴について裁判権免除を認めないということを特に協定に明記してございます。
  72. 堂森芳夫

    堂森委員 それからOECD特権免除協定と、アジア生産性機構特権免除協定と比較しますと、その中に車両による事故ですか、これの免除OECDには書いてないですね。このアジア生産性機構のほうにはちゃんと明記してあるのです。これはどうなんですか、実際は。
  73. 高島益郎

    高島説明員 全体といたしまして、特権免除内容につきましては、OECDの場合とAPOの場合と大差ないわけでございますけれどもOECDのほうは日本事務所がございませんので、実際に日本でそういう問題が起こるという可能性がほとんどないのに比べまして、APOのほうは現実に東京事務所がございまして、三十人もの職員がおるというようなことから、特に自動車事故につきましては、私どものほうで神経質になりまして、そういう規定を入れさしたわけでございます。
  74. 堂森芳夫

    堂森委員 OECD特権免除協定のほうを一、二聞いてみたいと思うのですが、OECD特権及び免除に関する云々というこの協定を見ますると、日本が加盟していないOEECの条約の附属議定書の第一条から第十何条まで云々をOECD協定として公布すると、こう書いてあるわけですね。それでは実際これを公布するとき、どういう表現を使うのですか。このOEECの附属議定書の一条から十何条ですか、これを記載して、それでこういうふうな協定を結んだというふうなことをしなければならぬと思うのですね。それよりは、こういう協定を結ぶときに、参考として欧州経済協力機構に附属する第一補足議定書ですか、こういうものを参考として出すよりは、このものを協定の本文にして、これを取りきめていくというのがほんとうじゃないのでしょうか。何か日本関係のないような議定書を参考として出してきて、そしてこれをもとにして協定を結んでいくというのは本筋じゃないように思うのですが、どうなんでしょうか。
  75. 高島益郎

    高島説明員 堂森先生の御指摘のとおり、本筋はやはり協定の中に援用いたします欧州経済協力機構条約に附属する第一補足議定書の内容を書くのが本筋だと思います。現実に日本は、現在廃棄しましたけれども昭和二十七年に国際連合と特権免除に関します協定を結びまして、その際もやはり堂森先生の御指摘のとおり全部援用します条項を書いた経緯がございます。今回の交渉におきましてもそのとおり、実は私のほうでそういう交渉をしたわけでありますが、現にOECDがカナダとすでに締結しております特権免除に関する協定で、そういう再録する方式をとらずに、単に先生のおっしゃったOEECの第何条を適用するというふうなことにした経緯がございましたために、OECDの側で非常に強硬にがんばりまして、再録することに反対だということで、わがほうもやむを得ずその主張をのんだわけでございます。  なお、OEECという、現在はOECDのその前身でございますが、その名前が使われております理由は、現実に日本OECD入ります条約経済協力開発機構条約の中に、経済協力開発機構条約に附属する第二補足議定書というのがございまして、その中でもって欧州経済協力機構条約の云々というふうなことを書いてございますので、日本国といたしまして、全然関係のない条約ということには必ずしもならないのではないかというふうに考えます。
  76. 堂森芳夫

    堂森委員 わかりました。  このOECD協定規定の適用範囲に関する交換公文を見ますると、かりに今回の国会でこれが承認を経た、こうなりますと、一般にやはりそういう条約なり法律が通ったときを起点として免除とか特権が効力を発効してくるというのが常識ですね。ところがこの交換公文を見ますると、一九六四年四月二十八日、すなわち日本OECDに加盟をした日までさかのぼって免除が発効してくる、こういうことになる。普通の常識からいって、こういうことはあるのですか、あまりないのが当然だと思うのです。法律の場合、いろんな権利あるいは免除というようなものは、その法律が発効して初めて効果が出てくるのです。この場合は、日本が加盟した日までさかのぼって免除が発効してくる、こういうことになっておるのですが、こういうことは、私、よくわからぬのですが、いろんな外交条約等でこういうことが普通行なわれるのですか、あるいは珍しい例ですか、いかがでございますか。
  77. 高島益郎

    高島説明員 堂森先生の御指摘のとおり、こういうことは普通行なわれることではないと思います。本来、日本OECDに加盟いたしました一九六四年四月二十八日、その時点におきまして、このような種類の特権免除協定を結ぶべきであったわけであります。それがいろいろ都合によりまして遷延したということが一つの理由。もう一つは、やはり日本と同じように社債OECDが買っておる例がございまして、そのような社債につきましては最初から全部直接税の免除がなされておりまして、そういう全体の関連から、OECDの側でぜひ日本についても最初からさかのぼってそういう直接税を免除してもらいたいという主張がありまして、こういう取りきめをしたわけであります。
  78. 堂森芳夫

    堂森委員 もう一点で終わりますが、どうもそれはいろいろな事情でそうなったということでありますが、これはやはり特異な例だと私は思うのでありまして、どうも納得できないのです。  もう一つ聞いておきたいのですが、OECD日本で買っておる社債、伊藤忠商事ですか、そういうところだということでありましたが、ほかにもどういう社債等を日本で買っておるのか、そして全体でどれくらいの金額に達しておるのか、それもあわせて答弁を願いたい、こう思います。
  79. 高島益郎

    高島説明員 伊藤忠のほかに、住友、帝人、日立、東洋レーヨン等でございます。  全体の額は約三十六万ドルでございます。
  80. 堂森芳夫

    堂森委員 けっこうです。
  81. 福田篤泰

    福田委員長 川上貫一君。
  82. 川上貫一

    ○川上委員 私は三木外務大臣に対してだけお聞きします。生産性機構というものの性格の問題です。  アジア生産性機構、これについてはいろいろ、その目的その他で説明がありました。これは知っておりますが、要するにこの機構は、佐藤内閣が推進しておられる、また三木外務大臣も推進しておられるいわゆる政府アジア太平洋外交、これの一部をなすものであると考えてよろしいかどうか。
  83. 三木武夫

    三木国務大臣 一部をなすものであるかどうかということは、これは生産性本部ができたのはわれわれがアジア太平洋外交というものを申し上げる前からこういう機構があったわけであります。そのものの一部をなすとはいえないけれどもアジアにおいて生産性を高めるということはきわめて重要なことであって、いかなる構想が現にあり、今後生まれるにしても、これはアジア経済発展の基礎をなすものである。どんな構想が生まれても、アジア生産性を向上しなくてもいいということは、アジアの将来の発展を願うものとしてはそういう考え方は生まれてこないわけでありますから、これはもう構想というよりも、アジア発展の基本である、こういうふうに御解釈を願います。
  84. 川上貫一

    ○川上委員 大臣は答弁がなかなかうまいですが、しかし、この機構加盟国を見ますと、これはどこが加盟しておるか考えてみても、韓国でしょう、南ベトナムでしょう、台湾でしょう、このほかありますけれども、もちろんインドその他も加わってはおりますが、しかし主としてアメリカのかいらい政権、もしくはアジアのいわゆる後進国、しかもこの機構をつくる提唱は日本生産性本部がやっておる。こういう設立の経過を持っておる。これを率直に考えると、やっぱりアジア生産性機構このものは、率直にひとつ外務大臣の意見を聞きたいのですが、日本対外進出、これの一つの道具と考えてよいと思うのですが、これは見解が違うとかなんとかいうような答弁じゃなしに、率直にひとつ答えてもらいたい。こういう重要な性格を持ったものだということがあると思うので、私はそれはそのとおりだという御説明があったら、ほんとうのことを政府は言うておる、こう考えますが、外務大臣のお考えを聞きたい。
  85. 三木武夫

    三木国務大臣 川上さんは何でもそんなにものをひん曲げてとらえるんですがね。生産性を向上するということは、共産圏であろうが、自由圏であろうが、これは人間考えた労力あるいは設備の最大限度に効用を発揮するという必要は、社会あるいは政治形態、この違いを越えた人類社会の進歩の基本ですからね。これは、共産党であろうが何党であろうが、人類の進歩を願うものは支持しなければならぬ。そういう点で、これはひとつ川上さんにお考え直しを願わなければならぬというのが私の考えです。
  86. 川上貫一

    ○川上委員 考えれば考えるほど、外務大臣は言い方はまことにうまいけれども、私は納得がやっぱりできない。経済開発というようなこと、生産性向上というようなことは、どこでも大事なことであって、それは一般論です。そのとおりです。しかし、政府アジア太平洋外交、あるいは三木大臣の太平洋外交、これを見ておると、それはいかにもアメリカあるいは日本対外進出、これとは直接関係がないように一見見えるかもしらぬけれども、そういう答弁もされるのでありますが、事実上日本アジア太平洋外交というものを見たら、これははっきりすると思う。私が特別に一方的な考えを持って言うておるのじゃなくて、具体的に考えてみても、まずアジア太平洋閣僚会議アジア農業開発会議アジア開発銀行、その他たくさんありますが、これことごとく、事実上アメリカのベトナム戦争、ひいては今後のアメリカのアジア政策あるいはアジア侵略政策、それの背後を固めて、アジア太平洋地域における、これは率直に言えば新しい反共同盟を目ざしておるのですが、これの推進をずっとやっておるのです。このことは非常に重要な問題だと私は思うので、そこでお聞きしておるのであって、単に主観的にいいかげんなことを言うておるのじゃないのです。生産性機構そのものも性格としてそういうものではないかということを聞いておるのです。これはやっぱり正確にひとつ、日本アジア外交として見なければいけないので、それをはっきり言うたらぐあいが悪いとかなんとかいうのではなくて、私は外務大臣はそのほうがほんとうなんだとはっきり言われるのがほんとうだと思う。大臣は腹の中ではそう思うておられると思う。私が質問しているような問題はそうなんだ、それが日本アジア外交なんだ、こう腹の中では思うておられる。それを率直に言うたらどうなんですか、うまいことを言わないで。これが私は政府の正しい考え方であり、それについて異論があれば議論を戦かわせる、それが国会の審議であり、また国民政府のほんとうの考え方を訴えて、正しい外交の秩序を立てる道だと思う。もう一ぺんひとつ外務大臣の考え方をお伺いしたいと思う。
  87. 三木武夫

    三木国務大臣 重ねて川上さんの御質問でありますけれども生産性の向上というのは、イデオロギーを越えたものであり、進歩を願う人類社会の一つの原動力である。だからこれはもう政党政派を越えて、アジア生産性向上ということには、共産党でも協力すべきものだと私は考えています。したがって、日本アジア生産性の向上に役立つなら何でもしていいのだ、それが真に生産性の向上を目ざすものであれば、どんな協力でも日本はするべきである、こういう基本的な考え方であります。アジア開銀、東南アジア開発閣僚会議あるいはアジア太平洋閣僚会議というものがアメリカのベトナム侵略の一環であるということは、いろいろな会議に私も出ましたけれども各国代表者はそういうふうにそういう会議考えておるものは一人もありません。参加国各国がそういう考えを一人も持っていないのですから、世界のだれもかれもが理解するようにものごとを判断されないと、川上さんの言われるような御意見で、各国代表者はだれもそのように考えていないのです。あなたのように言うものは一人も聞いたことはない。そういうことでありますから、やはり世界情勢の判断は、あまり主観的な意見を入れないで、アジア地域協力の進行というものは客観的に見る必要がある。そうでなければ判断を誤るというふうに私は考えております。
  88. 川上貫一

    ○川上委員 それは一つの理屈です。たとえばアジア太平洋閣僚会議、これは閣僚会議をするのはいいじゃないか、これはあたりまえです。だから私は性格を聞くということで言うておるのです。農業開発会議、農業開発が何が悪い、これはそれだけで、農業開発だけで悪いと言う者はおらぬと思う。アジア開発銀行なるものも、開発銀行の性格、隠された目的、これが大事であると思って私は聞いておるのです。そこで、アジア各国のいろいろな人が寄っても、共産党の言うようなことはだれも言わぬとおっしゃるのですが、これは言うたか言わぬか知りませんが、日本政府三木外務大臣は、私の言うとおりのことを考えておることに間違いない。もしそうでないとおっしゃるなら、先日行なわれたアジア太平洋大使会議、その大使会議のあとで外務大臣はみずから進言して、佐藤総理の南ベトナム訪問を決定した。これは伝うるところによると、外務大臣の強い進言だということですが、一体どういう考えですか、これだけひとつ聞かしてもらいたい。
  89. 三木武夫

    三木国務大臣 私は、日本の総理大臣が南ベトナムを訪問するのは一向差しつかえないと思う。問題なのは、何のために行くかということなんです、目的が。何もしちゃいけない、じっとしておれ、すれば手がよごれる、こういうことで川上さんは言われる。手をよごさないとか、よごすとかということが目的ではないのです。どうしたら一日も早くベトナムの和平が実現するかということこそ問題の焦点です。それに役立つと思うなら、一ぺんでなしに、二へんでも三べんでも行ったらいいと私は思う。戦争のために行くのはいけませんけれども、平和のために総理大臣が必要があると考えて、そして訪問をするということは、これは何ら差しつかえがない。総理大臣が南ベトナムを訪問——決定はまだしていないのですが、予定されておるということは、南ベトナムに行って、そうしていろいろ言われておるけれども、ほんとうは何を考えておるのか、いまの情勢の判断はどうしているのか、日本の真意はどういうものであるかを伝えて、民政移管後の新しい政府と話し合うということが平和に通じます和平運動の一環である。一向差しつかえないと私は考えております。
  90. 川上貫一

    ○川上委員 目的が大事なのであって、行くことはけっこうだ、こういうことをおっしゃる。一体南ベトナム政府というのはどんなものですか。目的の問題じゃない、相手なんだ。これはアメリカのベトナム侵略戦争の道具となっておる。間違いない。世界の平和勢力はもちろん、世界の人民はみなこう考えておる。全くのかいらい政権だ。目的がよかったら行ってもいいという、私はこんなことを聞いておるのじゃない。だからこそどうですか、ここをだれが訪問をしましたか。外務大臣は知っておられるでしょう。この南ベトナムのかいらい政権を訪問したのは、アメリカのジョンソンだ、これが第一。オーストラリアのホルト、これが二番目です。韓国の丁一権、これが三番目だ。これよりほかには参戦国の首相でさえだれ一人として南ベトナムを訪問した者はありません。ここへ佐藤総理が行くということをあなたが進言しておる。行くのはけっこうじゃないかと言われるが、だれが行っているか。参戦国の首相でさえ一人も行っていない。これは目的の問題じゃないのです。それにもかかわらず、佐藤総理がかいらい政権をわざわざ訪問なさる。これは一体どういうことか。このことは、私は率直に言うが、何も共産党の主観じゃない。日本政府がアメリカや南ベトナムかいらい政権と一心同体であることを証明するものだ。目的がいい悪いの問題じゃないと思うのです。この行為の問題だと思う。この訪問それ自体の問題だと思う。これはジョンソン、ホルト、丁一権の仲間に加わることを公然と世界に宣言することなんだ。私は繰り返して言うが、三人しか行っていないのだ。ジョンソンと丁一権とホルト、そのほかの参戦国の首相でさえだれ一人行っていないところへ佐藤総理が行く。これは行くほうがいいとあなたは進言なさったというが、このことを私は言っておるのであって、目的が問題じゃないと思うのです。それですから、こういうことは、あなたのほうの外務省筋は、今回の訪問で南ベトナムに行かなかったならば、世界の自由陣営から批判をされ、南ベトナム政府からも信用を失うことになる、こう考えておるのでしょう。さらにベトナム問題について、日本政府は、アメリカと南ベトナムの立場に立つのが当然であるとさえ説明しておるのです。行って、何をするかというのは、行く前にちゃんとこうきめてある。事態は、私は明瞭だと思うのです。このことについて私は外務大臣の率直な考え方をここで聞かなければいかぬと思う。このことは第一にどういうことになるか。日本がこれまで行なってきた協力、加担、南ベトナムの侵略戦争に対する、これを一段と拡大強化して、ベトナム侵略戦争に直接介入するという意図を実際は露骨に世界に示すことだ、総理の訪問ですから。第二には、日本の国の憲法の精神を踏みにじって、政府自身が広範な日本人民と世界の平和愛好勢力の念願をじゅうりんするものだ、訪問が。目的がじゃないのです。繰り返します。第三には、今後日本がアメリカのアジアにおける侵略戦争にいよいよ公然と参加する意思を世界に表明するものだ、首相の訪問ですから。しかもその上にあなたは去る二十日にこう言っている。この訪問は単なる訪問ではなくて、政治目的を持っておる、こういうことを言うておられるのです。政治目的を持っておるのだ、単なる親善ではないと。このことは、私がいままで言うたことを明らかに証明するものといわなければならぬと思う。これは、考えてみると、去る五月に第七回日米安保協議委員会が開かれました。これは外務大臣、もちろん御存じのとおりなんで、このときにアメリカは要請しておる。この要請について、私はきょう時間がありませんから具体的に言いませんが、この要請に日本政府が全面的にこたえようとしている。アメリカははっきり要請しているのです。アメリカのアジア侵略戦争といえば、考えてごらんなさいよ。三木外務大臣も日本人でしょう。これはきわめて重大な問題じゃないですか。ベトナムの侵略戦争に日本が加担するというのは、客観的に、祖国と人民を売り渡す意図を露骨に明らかにするものだと言われてもしかたがない。私の言うことがむちゃくちゃかどうかということは、国民に聞いてみてもいいと思う。そのとおりだと言うに違いないと思う。これを率直に見まして、アメリカの言いなりになって、アメリカのめしたの同盟者になって、一そうベトナム侵略に加担するための総理大臣の南ベトナム訪問、これはやめなければならぬ。これを三木外務大臣はみずから推進しておる。私が繰り返しさっきから説明したけれども生産性を進めたらいいじゃないか、アジア開発銀行、銀行だからいいじゃないか、こんなことで済む問題じゃないんじゃないですか。私は、この生産性機構の性格についてお伺いするとこう言った。何をするかということを聞いておるのじゃないんです。この性格は、いま私がわずかの時間に述べましたこの性格の一環であろうということを言ったら、とんでもないことだ、それはあなたの主観だ、こういうことをおっしゃる。主観でも何でもないと思うのです。ほかのことで論証しておると思う。  私はあまり長く言いませんが、外務大臣がほんとうにアジアの平和と日本民族の運命をお考えになり、また日本人民の念願、これを外務大臣として反省されたならば、佐藤総理の韓国、台湾、南ベトナム訪問、これを即時中止することを外務大臣として進言されるべきである、これが正しい道だと思う。これは共産党だから言うておるのじゃありません。私は日本人として言いたい。三木外務大臣も賢明な日本人です。子供さんもあるでしょう、お孫さんもあるでしょう、将来のことをひとつ考えたらどうですか。私は、三木大臣が賢明に、このような佐藤総理の危険きわまりない訪問を即時やめるように進言され、また実現されることを心から希望します。これについての三木大臣の所信を承りたい。
  91. 三木武夫

    三木国務大臣 南ベトナム政府、これはもうアメリカのかいらい政権である、こういう大前提に立っていろいろ質問を展開されたわけであります。日本は大使を交換しておるし、世界の六十三カ国の多きにわたって、南ベトナム政府承認を受けておるわけであります。川上さんとは、こういう南ベトナム政府というものに対する考え方の前提がわれわれと違う。ことにだれだれが行ったから、いままで行ったのはこれだけだといって名前をあげられましたが、だれが行かなくても必要があったら私は行ったらいいと思うんですよ。何人行っても、必要があれば行けばいいし、一人も行かなくても必要があると思ったらみずから行ったらいい。人が行ったからいかぬとか、あの人が行ったから行くべきでない、そんなことは、外交を考える者が、あの人が行ったからいけないのだとか、この人が行ったからどうだ、そんなことは必要ありませんよ。必要があったら、だれが行かなくても私は行ったらいいという意見です。その必要とは何かといえば、ベトナム和平の一環である。何とかして和平を実現したいという、その願いの一環であったら、私は何も行くことにちゅうちょする必要はない。この戦争を一日でも早く何とかして終わらせられないかということは、一億国民の願いですから、その願いを体して総理大臣が和平の道を探求するということは、私は当然のことだと思う。じっと何もしないで、そうしておれは手がきれいなんだ、おれの言うことを聞けと言ったって、そんなものじゃないと思うんです。そういうことで、やはり積極的に和平の努力は日本の総理大臣はすべきである。ただ、ベトナムの戦争に積極的に介入といったって、できるわけないじゃないですか。日本の憲法九条は、厳として軍事的介入を許してない。ちょっとしたことでも、やはり川上さんなんか許すわけないじゃないですか。これだけの国民が、九条に対する国会の監視、国民の定着した九条に対する信念、こんなものがどうして軍事的に介入できるのですか。そしてまた、日米安保協議委員会——川上さんは出席しておったようにいろいろ内容を言うが、そんなわれわれ要請を受けたこともないし、またこれに対して約束したこともありませんよ。これはいかにもその場で何か聞いておったようなお話で、そういう言辞は国民を惑わすもので、そんなことはありませんよ。そういうことで、どうか私は、この佐藤総理の訪問がやはり国民の願いである和平の達成ということに役立ってもらいたい、そういうことをできるだけ効果的に達成できるような旅行であれかしと願うのが外務大臣の願いでありまして、あなたの御忠告に従ってこの旅行を取りやめという進言をするという考えはないということであります。
  92. 川上貫一

    ○川上委員 もうこれ以上あまり言う必要はないと思うけれども、いま外交というものはそんなことじゃできないという、私は三木さんのような考えじゃ外交はできないと思う。だれが行ったからいかぬとか、だれが行ったから行くとか、そんなことで外交できぬ。ベトナムに行くということ自体がどんな大きいものであるか。和平を探りに行く、そうじゃないでしょう。あそこを訪問するということは、かいらい政権の激励でしょう。そんなら佐藤総理、中国に行きますか。佐藤総理は朝鮮人民民主主義共和国へ行こうと言いましたか。言いやしない。これはかいらい政権の激励で、和平じゃないです。これは戦争の突っかい棒です。それから日本がこの戦争に参加できますか、そんなことを言っておられる。これはとんでもない。日本人は参加しておる。戦死までしておる。日本から出した軍需品何ぼある。三十億になんなんとしている。車両、弾薬、これは機会があれば、何ぼ出ておるか一々聞きたいつもりでありますけれども、きょうはその時間じゃありませんから聞きません。国内に野戦病院をつくっておる。原子力潜水艦がベトナムに参加しておるじゃないですか。これがどんどん平気で来ているのです。最近においては千葉にB52が来たじゃないか。あれはベトナム戦争に行っておる。沖縄がどうなっている。参加しておらぬというようなことを言ったらだめです。そうじゃないのです。それじゃ外交にならぬです。もうまるで日本をアメリカのえじきにすればいいという、これは外交じゃないです。だから私は言うんです。ここで論争しても始まりませんから、三木さんの答弁はもう要りません。  ただ、私はこう言います。三木大臣も日本人でしょうということだけ。祖国は大事でしょう。子孫のしあわせは大事じゃないですか。ベトナムにこのような状態をして、日本政府はこういう態度をとって、三木さんが先頭に立って、佐藤さん、南ベトナムに行けと、これがほんとうに祖国の将来とアジアの平和と日本の安全を守る道ですか。腹の中じゃわかっていると思う。総理大臣の意思だからしかたがないというんじゃだめ。それじゃ外交にならぬ。ほんとうに私は三木さんが外務大臣のいすという問題じゃなくて、真に祖国を愛し、民族を愛する日本人としての政治家として、長い経験のある政治家として正しい態度をほんとうにとられ、反省せられることを希望します。お返事はもう要りません。これで終わります。
  93. 三木武夫

    三木国務大臣 一方的に、こうやって何か言い渡されて、B52が千葉へ来たり、軍需品三十億の弾薬をベトナムに送っているという、これは国民を惑わします。そういう事実はありません。日本はベトナムに対して軍事的に介入しておるという事実はない。佐藤総理だって、事情が許せばハノイにも行きたい気持ちでしょうが、事情が許さない。だから北ベトナムとの間には間接の方法で接触を保つよりほかない。一日も早くこの不幸な戦争を終わらせたいという願い、これはもう何も疑う余地はないわけです。これは国民全体の願いですから。だけれども、いま言ったように、北との接触というようなことは間接的な方法、第三国を通ずるよりほかないということで、可能な範囲でわれわれはやるよりほかない。南ベトナムは直接行けるけれども、北ベトナムのほうは間接の方法よりない。とにかく戦争をやっておる当事者にその真意をただし、いろいろ情勢の判断も聞き、そして和平を促進したいということ、これはもう総理大臣としては当然にやるべきことだと考えております。この点については意見が違いますが、あなたの発言中、国民を惑わす個所が多いので、あえて私は答弁をいたした次第でございます。
  94. 川上貫一

    ○川上委員 それはちょっと黙っておれぬ。このくらいは……
  95. 福田篤泰

    福田委員長 川上委員に御注意いたします。国際情勢に関する件はあらためて後日に質疑を願います。
  96. 川上貫一

    ○川上委員 ほかの時間であらためて聞きます。和平をほんとうにあなたも願っておるとおっしゃるが、そうじゃない。戦争の加担だけしておる。大体このかいらい政権を訪問するということは、平和を願うならできることじゃない。だからよそは行っておらぬじゃないか。訪問したのはだれが行ったか。だれが行ったの、どうこう言いますけれども、これは大事な問題です。ジョンソン、丁一権、ホルトだけしか行ってない。参戦国の首相でさえも行っておらぬ。なぜ行かないのか。ここに行って南ベトナムを激励することは戦争拡大になると思っておる。あなたが思っておらぬだけです。外務大臣は平和平和と言うておる。事実は戦争の拡大をやっておる。これはまあ水かけ論になりますから私はこれ以上言いません。もう一ぺん外務大臣が何か言うたら、言います。
  97. 福田篤泰

    福田委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  98. 福田篤泰

    福田委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  両件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  99. 福田篤泰

    福田委員長 起立多数。よって、両件は承認すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました両件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 福田篤泰

    福田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は、来たる二十八日水曜日、午前十時より理事会、十時十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十六分散会