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1967-06-02 第55回国会 衆議院 外務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二日(金曜日)     午前十時十七分開議  出席委員    委員長 福田 篤泰君    理事 鯨岡 兵輔君 理事 小泉 純也君    理事 永田 亮一君 理事 野田 武夫君    理事 三原 朝雄君 理事 穗積 七郎君    理事 曽祢  益君       青木 正久君    臼井 莊一君       大平 正芳君    福家 俊一君       松田竹千代君    毛利 松平君       山口 敏夫君    山田 久就君       木原津與志君    久保田鶴松君       黒田 寿男君    戸叶 里子君       渡部 一郎君    川上 貫一君       斎藤 寿夫君  出席国務大臣         外 務 大 臣 三木 武夫君  出席政府委員         外務政務次官  田中 榮一君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君  委員外出席者         外務省経済局外         務参事官    伊藤 博教君         外務省条約局外         務参事官    高島 益郎君         通商産業省企業         局参事官    橋本 徳男君         通商産業省重工         業局計量課長  東   現君         専  門  員 吉田 賢吉君     ————————————— 五月三十一日  日本国における経済協力開発機構特権及び免  除に関する日本国政府経済協力開発機構との  間の協定締結について承認を求めるの件(条  約第六号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国における経済協力開発機構特権及び免  除に関する日本国政府経済協力開発機構との  間の協定締結について承認を求めるの件(条  約第六号)(参議院送付)  国際法定計量機関を設立する条約改正受諾  について承認を求めるの件(条約第一二号)  千九百二十八年十一月二十二日にパリ署名さ  れた国際博覧会に関する条約第四条を改正する  議定書締結について承認を求めるの件(条約  第一三号)      ————◇—————
  2. 福田篤泰

    福田委員長 これより会議を開きます。  日本国における経済協力開発機構特権及び免除に関する日本国政府経済協力開発機構との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。     —————————————    日本国における経済協力開発機構特権及び免除に関する日本国政府経済協力開発機構との間の協定締結について承認東めるの件  日本国における経済協力開発機構特権及び免除に関する日本国政府経済協力開発機構との間の協定協定規定適用範囲に関する交換公立を含む。)の締結について、日本国憲法第七十三条第三号ただし書規定に基づき、国会の承認を求める。
  3. 福田篤泰

    福田委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。三木外務大臣
  4. 三木武夫

    三木国務大臣 ただいま議題となりました日本国における経済協力開発機構特権及び免除に関する日本国政府経済協力開発機構との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国は、昭和三十九年四月二十八日に経済協力開発機構に加入いたしましたが、同機構条約は、機構機構職員及び機構における加盟国代表者わが国において享有すべき特権及び免除についてわが国と同機構との間で協定を結ぶべきことを規定しておりますので、同機構と交渉を行なった結果、本年三月十四日にパリにおいてこの協定署名及び同協定規定適用範囲に関する書簡の交換を行なった次第であります。  この協定は、機構、構機の職員及び機構における加盟国代表者が、わが国において、旧欧州経済協力機構条約に付属する第一補足議定書第一条から第十九条までに規定する特権及び免除を享有することを定めているものであり、また、交換公文は、機構の所得に対する課税免除わが国の同機構への加入時にさかのぼって認めること並びに自国民に支払われる給与及び手当に対してはわが国課税権を留保することを規定しております。  この協定締結により、わが国経済協力開発機構との関係が一そう緊密になることが期待される次第であります。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  5. 福田篤泰

    福田委員長 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  6. 福田篤泰

    福田委員長 次に、国際法定計量機関を設立する条約改正受諾について承認を求めるの件及び千九百二十八年十一月二十二日にパリ署名された国際博覧会に関する条約第四条を改正する議定書締結について承認を求めるの件、以上二件を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。渡部一郎君。
  7. 渡部一郎

    渡部委員 このたび大阪において万国博覧会が行なわれることとなりまして、私どもも、この条約に関してだけでなくて、万国博覧会のあり方というものについていろいろな面で感ずるところが多いのであります。したがいまして、本日は博覧会条約における改正点を含めて、本質的な問題やら今回の万博問題等について、からめて両方をお伺いしたいと思うのであります。  第一に、万国博覧会については戦争中に一ぺん停止になったことがありましたが、この万国博覧会自体のこの条約改正文を審議するにあたりまして、万国博覧会というものを実施することが一体どのような効果があるものであるか、私はこういう原則的な問題について明らかにされなければならない事態ではないかと考えるのであります。それはなぜかと申しますと、現在において、万国博覧会は、当初の考え方とは非常に違って、非常な大規模な出費が予想されております。資金計画についてもいまだ明瞭な御答弁をいただいていないのでわかりませんけれども、相当な費用がかかるようであります。また、これは外交上の問題としても、また通産省独自の問題としても、日本経済外交全体の問題としても、あるいは文化外交の問題としても、日本に与えるところの、あるいは東電アジア世界全般に与えるところの経済効果の点からいっても、これは十分に考察されなければならない多くの問題があると存ずるのでございます。したがいまして、まずこの万国博覧会条約全般にわたる問題でございますけれども、この万国博覧会条約そのものがどれくらいの意味を持つものであるか、特に外務省としての見解及び通産省としての見解を伺いたいと思うのであります。その与えるところの効果、そしてねらいは何であるか、そういう点について概括してお願いいたします。
  8. 三木武夫

    三木国務大臣 ある何年日ごとにかこういう博覧会を開いて、そしてそのときにおける科学技術その他文化といいますか、全般のものについてお互い理解を深め、それを機会にそういう文化進展のために寄与をする、そのことが世界の平和、発展のために大きな役割りを果たす。日本もこれに参加することによって、その機会に、今回の場合は日本で開くわけでありますが、従来よそで開かれる場合も日本参加することによって、日本というものの文化万般にわたる水準を示し、日本に対する理解を深めさすという効果がありますし、それを機会にしてある一つ科学技術進展をはかろうというねらいもありましょうし、いますぐにどうこうということではないにしても、長い目で見れば、やはりたいへんな人類に対する寄与万国博覧会というものはしておる、こう考えておる次第でございます。
  9. 橋本徳男

    橋本説明員 お答えいたします。  趣旨につきましては、いま三木外務大臣から御説明がありましたとおりでございます。われわれといたしましても、やはりこれの終局的なねらいというのは世界人類の平和に貢献するということでございます。したがいまして、開催国である日本経済文化社会、あらゆる面における発展を期待することはもちろんでございますが、これを通じまして、日本の場合は特に西南アジア等経済面の接触をさらに深めると同時に、世界人類がこういう機会におきましてお互い理解を深め、そして世界の平和に貢献していくというふうなことを一応考えております。  それから、これの効果でございますが、こういったいわゆる国際的な効果はもちろんでございます。同時に、端的な形におきます効果といたしましては、こういった経済的な投資多額に集中的にやることによりまして、経済成長自体を高めるという大きな役割りを持っておるのでございます。  それからさらに、近畿地域におきまする地域開発といったような側面につきまして、相当大きな効果が期待されるというふうに考えております。  さらに、日本の国にとってみますれば、こういう機会におきまして外貨の流入等多額のものが期待されると同時に、この開催地といいますものは、文化の面におきましても将来拠点になってくるというふうな、そこに種を落とすことになります。したがいまして、文化経済の交流の中核点としての近畿が将来役割りを果たすというための一つの時期にも役立つというふうなことも考えておりまして、そういった側面におきまして、経済文化あらゆる面における効果は相当大きいものというふうに期待しておるわけでございます。
  10. 渡部一郎

    渡部委員 外務大臣にもう一回お答えが願いたいのでございますが、私は、外務省予算をいつも拝見しておりまして驚くべきことは、一つ費用が非常に少ない分野があるように思うのでございます。それはいわゆる文化外交の面でございます。たとえば留学生交換等に対して、日本政府が支出している費用というのは非常に少ない。ドイツからも留学生がたしか二名ぐらいしか呼べないような費用になっていると思うのでございます。また、日本自身PRとか、日本全体の費用とかいうものをかけるという面になりますと、日本では、映画やテレビ等において対欧米へのPRが十分に行なわれておるかというと、きわめて少なくて、パンフレットが数百万枚配られておるということが一番大きなことのように思われるのであります。ところが、そういうパンフレットが数百万枚配られておる程度で、しかもそのうちの半分とか、あるいはひどい地域は三分の二は配られなかった、そういう報告が外務省から出ておるように存ずるのであります。また、先日あるアフリカの外交関係の高官とお会いしました際に、その方がしみじみ言っておりましたことは、われわれが一年かかって日本から受け取ったものというのは日本振りそで人形一個だった、われわれのほうは山ほどいろいろなものを買っておるのに、日本はさっぱりものを買ってくれない、そうして日本の与えてくれたものは人形一つとはあまりにも悲しいとその国の人が言っておったということは、大臣もよく御存じであろうと存ずるのであります。ところが、この万博全体に対しては、非常に日本政府としても多額費用をかける。ここにおいては何と七百億円もかけるだろうと言われております。ところが、外務省関係においての総予算というのも少ないのでありますけれども、この万博にかくも費用をかけることが、日本文化外交においてどの程度比重を持つものであるか。率直に言いますと、かけ過ぎではなかろうか、あるいはもっとほかに充実すべきものがあるにもかかわらず、こういう点に比重がかかり過ぎておるのではなかろうか、そういう疑問というのは非常に大きいのではないかと私は思うのであります。したがいまして、国民のそういう疑惑にこたえるためにも、一言わかりやすく御答弁いただきたいと思います。
  11. 三木武夫

    三木国務大臣 いま五百数十億円、もう少しこれはふえるでしょうが、かけ過ぎだとは私は思わないのです。これは毎年やるわけではないわけです。日本でやれば、おそらくアジアには、長い将来においてはともかくとして、現在万国博覧会開催できるような国はないのですから、そういうことを考えてみると、これはその程度の金は出しても、日本国民一般に対して、そのときにおける経済文化世界的な水準博覧会会場に集まってくるわけですから、そういうことで、青少年たちに対しても、やはり目に見えない一つ効果があるでしょうし、またそれを機会外国からもたくさんの人々が来て、日本というものに理解を持つような機会にもなるでしょうし、ことにアジアで開かれたことはないわけです。アジアというものに対しての非常な各国の関心というものもこの機会に高まってくるでしょうし、いろいろな意味で、五百億程度費用をこの万国博覧会にかけることが、今日の日本の国力からいってそうかけ過ぎではない、むしろもっと目に見えぬ効果というものが大きいと考えておるので、このことが非常に費用のかけ過ぎだとは考えていないのでございます。
  12. 渡部一郎

    渡部委員 重ねて伺いますが、そういたしますと、万博に関する費用はかけ過ぎでない。そう、ますと、いまの外務省文化外交自体に対する費用というものが少な過ぎるという意味と了解してよろしゅうございますか。
  13. 三木武夫

    三木国務大臣 前の質問のあとお答えをいたしませんでしたが、あとのほうの文化宣伝費用といいますか、こういうものは非常に問題にならぬと思いますね、外務省のは。もっとこれはふやしていかなければならぬ。とにかく経済協力の面などで相当な費用をこれから次第に出していかなければなりませんので、まあ財政上の理由もいろいろあるでありましょうが、しかし、文化宣伝費というものは、これはもうよほど今後力を入れていかなければならない。東京なんかにおいても、文化広報活動というものでは、各国ともわれわれのところにもたくさんのものを送ってきますね。日本のは、そういうものに比べると、直接国民に向かって広範なそういう日本宣伝日本考え方理解してもらうような意味宣伝も非常に少ないし、また、外国からももっといろいろな人が来て、そして日本国民外国文化に対しても理解を持つことは必要でしょうし、いろいろな意味において、これは将来ふやしていかなければ、現在はむろんこれは満足な活動ができるような金額ではないと思っております。
  14. 渡部一郎

    渡部委員 しからば、外務大臣にこの次の予算編成等におきましては、十分な対案というものを出していただきたいということを、私は国民の一人として要望したいと思うのであります。  今度は、通産省の方が先ほど言われましたのですが、端的な万博効果というものに対して、また世界の平和に寄与するというふうにおっしゃいましたのですが、万博が今日まで最も大量に行なわれた地域は、これはヨーロッパであります。そのヨーロッパにおいて非常に万博が行なわれたのに、最も戦争の大きい地域になったのでありまして、その世界平和のためにというのは、精神としてはわかるとしても、事実とは大いに違うのではなかろうかと私はちょっとおかしな感じを受けるのであります。したがって、戦争が起こるか起こらないかは万博とは関係がないわけで、むしろ世界の平和とは関係がないのであって、別個の問題ではなかろうか、そういうように考えるのでありますが、どうでしょうか。
  15. 橋本徳男

    橋本説明員 お答えいたします。  国際的ないろいろな関係といいますのは、いろいろな諸要素——経済社会外交、あらゆる面における諸要素の複合によって形づくられるのであろうと思うのでございます。したがいまして、すべての要素要素において、そういった世界の平和に寄与するような努力というものは、われわれとしては当然やっていくべきである。そういう意味におきましては、これがすなわち即戦争その他との直結の度合いというものはわかりませんが、こういった催しによりまして一つの大きな平和への要素ということは言えるんではなかろうかと考えておるわけでございます。
  16. 渡部一郎

    渡部委員 私は、万博効果世界平和の分まで入れるということは、まことに当を得ないものである、きわめて説得力を欠く表現ではないかと思うのであります。それは、いまの御説明にもかかわらず、その疑いは解けないのでありまして、万博は、当初各国におけるヨーロッパ貴族等の自分のデモンストレーションであったり、あるいは当時の小さい国々のデモンストレーションであった時代が非常に長く続いておりましたけれども、世界の平和に寄与したというよりも、各国の示威の一つではなかったかと存ずるのであります。世界の平和というイメージは導入されなければならないし、それは努力目標としては私は確かだと考えるのでありますが、それが万博をやったから世界平和にプラスになると考えては、それは大きなマイナスであって、それ以上に平和問題に関するアピールでもそれだけの費用をかけて刷ったほうが、大いに何ぼか足しになるだろうし、あるいはベトナム仲裁のためにより多くの努力を注いだほうが、日本にはより大きなプラスになるのではないかと考えるのであります。私は、そのことをこれ以上議論しようとは思わないのでありますが、経済成長を高めようという万博効果経済成長を高めるというのはいかなる過去の実例に基づいてそのように言われるのか。その経済的効果があがって、その地域経済開発に大いに役に立ったという例をあげた上、私は御説明をいただきたいと思うのであります。
  17. 橋本徳男

    橋本説明員 実例等につきましては、ただいま具体的な数字持ち合わせがございませんが、われわれはこういういわゆる会場並びに会場周辺における関連公共事業投資というふうなものから、経済的にいかなる効果がもたらされるかということにつきまして、種々専門機関にそれの調査を依頼しておるわけでございまして、その調査によりますと、大体現在予想されておるような会場計画につきまして大体五百数十億円の金が投入され、それから関連公共事業として数千億以上の金が投入されるというふうなこと、それから民間の出展、海外の出展等で数千億円の金が投入され、約三千万人の人が観客として動員されてここへ来るというふうなことを想定いたしますれば、それの誘発効果等も考えまして、大体二兆円程度の需要の誘発を引き起こすというふうなことが試算されておりまして、こういう面につきまして、日本の場合には、大体四十五年における経済成長の〇・五%程度の上昇を、寄与率をするのではなかろうかというふうに感じておるわけでございます。
  18. 渡部一郎

    渡部委員 これだけの費用を使いまして、そうして経済効果があるという御返事でありますが、しからばその経済効果をあげるためだけであるならば、こういうお金の使い方でなくとも、他にお金使い道幾らでもある、より効果的なお金使い道があるのではなかろうか。その辺に対する明確な見解というものが、万博事務局からもあるいは通産省からもいまだに明瞭にされたためしはないと思いまして、いま資料のお持ち合わせがないということでありますから、そういう点はひとつ資料として提出をしていただきたいし、国民の前に明らかにしていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  19. 橋本徳男

    橋本説明員 経済効果等につきましては、後刻資料を提出さしていただきます。  それから、博覧会効果といいますものは、経済効果だけがねらいではないのでございます。ただしかし、そういったいろいろな面での多額投資が行なわれますので、それがもたらす経済的側面効果はどうかということを見ますれば、先ほど御説明したとおりでございまして、より以上高次元の目標がこの博覧会にはあるわけでございます。
  20. 渡部一郎

    渡部委員 私が経済効果についていろいろお伺いするのは、今度の条約改正の問題が、経済的な問題の動向に関して特に濃厚であるからと思うのでございまして、したがいまして、必然的に、今回の条約改正すべき要点について、なぜこのような博覧会の回数に関する制限というものが特に問題になったのか、またこの三地域というものがはずされた理由はどういうわけなのか、その辺のところを外務省当局からもう一度御説明にあずかりたいと思います。
  21. 高島益郎

    高島説明員 お答えいたします。  今回の改正の主要な点は、ただいま御指摘のとおり、世界地域的な区分、これを廃止いたしまして——従来は世界を三地域に分けまして、欧州地域、それから米州地域、それからそれ以外の地域アジアはそのそれ以外の地域に入っているわけであります。こういうふうに分けまして、同じ地区の中では第一種の一般博覧会、つまり今度日本が開きますような博覧会につきましては六年間の間隔を置く、それから異なった地域の間、つまりアジアヨーロッパ、あるいはアジアとアメリカというふうな関係でございますと、二年間の間隔でよろしいということになっていたものを、今回は全部地区制限を廃しました関係上、一律に六年間の間隔を置かなければ、次から次の博覧会を開くことはできないということにしたわけであります。  この改正趣旨は、従来二年間というふうな制限関係上、非常に参加国財政負担等がございまして、そういう観点から、もう少し間隔を延ばしてもらいたいというふうな主張が非常に多くございました。そういうことで、今後一律に六年以上間隔をあけなければ、一回から次の回への博覧会開催はできないようになったわけであります。
  22. 渡部一郎

    渡部委員 それでは、このような財政的な問題からと明瞭におっしゃいましたので、私は今度は通産次官にひとつお伺いをしたいと思うのであります。このような財政的な問題に対して、戦後におけるところの財政費用万博に対するかかり方でございますが、私は通産当局のほうから資料を出していただきましたので、あらためて通産次官に確認をしていただきたい。すなわち、いままでの日本は各博覧会幾らずつ費用をかけてまいったのか、お答えを願いたいと思います。
  23. 宇野宗佑

    宇野政府委員 お答えいたします。  数字の面は参事官のほうからより詳しく御報告いたしたいと思います。したがいまして、いま、財政的な問題で今回の条約改正されるということを外務省のほうからお話があったわけでございますが、その以外にも、たとえば最近の交通事情が非常に発達いたしまして、世界地域というものが時間的に狭くなったという意味合いからも、六年という問題が出されたと承っております。だから、日本といたしましては、一九七〇年に開催するわけで、一九七六年までにはいずれの地域においても一種一般博覧会開催できないことになりますので、わが国といたしましては、従来までも各博覧会に出品をいたしてまいりましたが、この機会を唯一のチャンスといたしまして、十二分に効果をあげたいと思うわけであります。
  24. 橋本徳男

    橋本説明員 数字につきまして御説明いたします。  一九五八年のブラッセル博覧会におきましては、日本政府参加といたしまして三億七千万円でございます。それから一九六二年のシアトル万国博覧会でございますが、これにつきましては一億二千万円でございます。それから現在行なわれておりまするカナダのモントリオール博覧会におきましては八億八千万円という金が出ております。
  25. 渡部一郎

    渡部委員 いままで、戦後におきまして一番少ない場合には一億二千万円程度規模のもので、最高、今回のモントリオールで八億八千万円、こういう費用のかけ方である日本万博に対する態度でありましたにもかかわらず、今回は、万博事務局の公表によりますと、どうやら非常に多額お金をかけているようであります。全体資金計画は約七百二十三億円というふうになっておりますが、これは通産省でお認めになった計画でございましょうか。その辺の経済的な資金的な問題について御説明にあずかりたいと思います。
  26. 橋本徳男

    橋本説明員 今回の場合は、日本開催国でございますので、土地の整備、それから基礎的ないろいろな施設、それから博覧会に共通的な施設というのは、その主催国がこれを完備、整備することになっております。したがいまして、昨年の十一月に博覧会協会のほうで一応の試算として立てましたものが、建設費五百四十七億円、運営費百六十八億円というふうなことになっております。  それで、百六十八億円につきましては、これは入場料収入等で、大体運営費としては他に依存することなく、自前でまかなえるというふうな見通しを立てておりまして、したがいまして、外部からの資金の投入は大体五百四十七億円というものをベースに考えておるわけでございます。  ただ、この五百四十七億円につきましては、昨年の十一月でございまして、これの資金計画策定という場合にいろいろな不確定な要素がたくさんにございます。また、博覧会というものは性格的にも非常に流動的な内容を持っておりますので、一応の試算は協会として立てておりますが、政府部内といたしましては、いろいろな諸要素が確定した段階において最終的な資金計画を立てたいということで、われわれはできるだけ早急に関係各省と打ち合わせいたしまして、全体資金を政府としても固めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  27. 渡部一郎

    渡部委員 読売新聞の五月十八日のあれによりますと、万博に対する閣僚協議会の方針として、資金計画が、各種計画というものがあまりにもずさんである、したがって各種の設計や調査の進行をはばんでおる、全然なってないので、計画を全面的につくり直せというように要求されたということが出ておりますけれども、この点はどうなっておりますでしょうか。通産次官にお伺いしたい。
  28. 宇野宗佑

    宇野政府委員 全面的につくり直せというのじゃございません。実はいままで諸要素が変わってまいりましたので、政府参加施設もございますし、また万博協会が主催いたしておる施設もございます。その辺のスケジュールに、時のたつに従いましていろいろと条件が変わってまいりましたから、それをひとつ両者の間において十二分に調整をして、そして全面的な計画をそこに打ち立てるということがきまったということでございます。  なお、資金計画に関しましても、毎年毎年予算要求ごとに折衝をするのではなくして、その計画に見合って、一九七〇年までに十二分に資金がうまく実行に移せるような体制をとりたいというような閣議決定があったわけでございます。
  29. 渡部一郎

    渡部委員 しからば、その全体の資金計画というのはどういうようになっておりますでしょうか。それが明らかにならないで、年度別の資金を次から次へと要求なさるようなやり方をするのだったら、これはきわめて不穏当だと思うのでありまして、これを明らかにしていただきたいと思います。
  30. 橋本徳男

    橋本説明員 昨年の十一月に立てました五百四十七億円というものは、そう大きくは変わらないのではないかと思いますが、それを構成しておりまするいろいろな施設の内容等につきまして、その当時は細部にわたっての設計その他が不完備でございましたので、終局的な最終的な積算が困難であるというふうな形でおったわけでございます。それをだんだんといろいろな調査、設計等が進んでまいりました段階におきまして再度それを見直しまして、大体この辺ならば一応の目的が達成できるということで、今日その作業に入っておりまして、全体的な五百四十七億がどういう規模になるかということにつきましては、もうしばらくお待ちいただきたいと考えておるわけでございます。
  31. 渡部一郎

    渡部委員 いつまでですか。
  32. 橋本徳男

    橋本説明員 大体八月ごろにはその作業が完了いたしまして、政府間の話を関係各省間でつけたいというふうに考えておるわけでございます。
  33. 渡部一郎

    渡部委員 お金の話にこだわるようでありますが、その五百四十七億円というのは、そのように予想されている費用というものは非常に多額であります。ところが、そういう多額費用のかかる万国博覧会というものを実施するにあたって、最初の初年度において予算を取った、そうして仕事を始めてしまった。まず家を建てる例で言うならば、まるでドアの代か何かを初めに支出しておいて、ドアだけ先につくった、ところが地盤がゆるんでいたのであとお金が要るというのと同じであって、このようなずさんなやり口というものはいまだかってないのではなかろうか。万博担当相としての通産大臣の責任もさることながら、政府は当初から本気で取り組む熱意がなかったのではなかろうか。私はこのような巨大な資金計画に関して非常に疑いを持つのであります。およそ政府多額費用を支出する場合においては、年度を境として別の年度にわたる場合においても、当然その支出全体に対しての見通しと計画とが提出されるのでなければならないと感ずるのであります。ところが、資金計画がずさんだ。不確定要素が多過ぎるというような表現だけでは納得のできかねるものを感ずるのでありますが、その点、監督官庁としての見解を伺いたいと思うのであります。
  34. 橋本徳男

    橋本説明員 この点につきましては、基本的には先生のおっしゃるとおりであろうと思うのでございます。ただ、現在やっておりまするモントリオール博覧会の例を見ましても、この四年間に資金計画が相当変化を実はしてきておるわけでございます。やはり三年先、四年先の姿というふうなものを描き、かつまた、どういう形においての博覧会かというふうなことが細部にわたってまで確定するのは、だんだんとそういった個別の問題を詰めていく過程においてきまってくるものだと思うのでございます。ただしかし、それが完全にばく然としたものではこれはもちろんいけませんので、大体五百四十七億円をそう変更のないような形において、昨年十一月に一応のめどとしてはできておるわけでございまして、今後の問題は、それをこまかい点にわたって詰めてまいりまして、あるいは中におきましてはプライオリティー等もいろいろ考えて、それを一部修正するというふうなことでございまして、根本的に、それが全然無計画の形において本年度実施したものではないのでございます。同時にまた、本年度の実施というものは、大部分が土地をならす費用であるとか、あるいはその土地に付着した施設を土地の中に埋設するとかというふうなことでございますので、そういった限りにおきましては、一応計画の上に立っての方法ということは言えると思うのでございます。
  35. 渡部一郎

    渡部委員 それでは伺いますが、全体の資金計画について、現在で、通産省のほうから、政府側として出そうと決定されているところの資金及び地元から調達すべき資金というものはどういうふうな割合になっており、どういう費用を現在予想されておりますか、伺いたいと思います。
  36. 橋本徳男

    橋本説明員 一応この五百四十七億円を前提にいたしますと、その中で、たとえば、たばこの広告とか、あるいは自転車あるいは競艇といったような形においての収益の還元という形におきまして、協会として独自に資金を調達するものが一応数十億円と考えられております。したがいまして、そういったものは、その五百四十七億円から引かれるわけでございます。そうしまして、その引かれたものの残ったものについて、国が三分の二、それから地元が三分の一というものを負担するというたてまえになっておるわけでございます。
  37. 渡部一郎

    渡部委員 そうすると、きわめてあいまいなお話でありますが、五百四十七億円のうち数十億円とおっしゃるのですから、それには五百億円見当がかかるのじゃないかと思うのです。三分の二というと、三百五十億円前後という金を政府で出すという意味でございますか。
  38. 橋本徳男

    橋本説明員 現在の段階における仕組みはそういう形にはなっておりますが、しかし、必ずしもそれを今日、政府が三百五十億円を出すときめたものではございません。ただ、それ以外にも、万博の協会といたしましては、いろいろな施設につきまして、民間の出展参加という形において、ある人はたとえば美術館は寄付しますとかといったような形において、一般からの出展参加がありますれば、その分だけは国の支出というのは減ってくるというふうな形をとっておるわけでございます。
  39. 渡部一郎

    渡部委員 さっぱり明瞭でないので、話がきわめて複雑でありますが、ブラッセルにおいては三億七千万円、シアトルにおいては一億二千万円、モントリオールにおいては八億八千万円しかお金を出していなかった日本政府というものが、今回は主催国であるからというので、一挙に三百五十億円、ないし、新聞の報道等によりますと、また万博協会で出しているこのPRパンフレットの中には、全体の資金計画は七百二十三億になっております。こういうような巨額な費用を一体出すというお話もさっぱりあいまいである。そうしておいて、主催国だから一体費用が高かったかと申しますと、決してそうではない。モントリオールのかけられている費用というものは、ここにあなたのほうから出していただいた費用は、カナダは二百七十万カナダドル、百七十億円しか支出をしておらない。またその前のブラッセルにおいては、一番費用をかけたのはソビエトでありますが、そのブラッセルにおいても百七十億円しかソ連はかけておらない。アメリカ政府は百五十億円しかかけていない。それに対して、日本が今回三百五十億円であるとか七百億円であるとかという高額の費用をかけなければならぬ理由は一体どこにあるのか、まことに奇妙に感ずるのでありますが、どうでしょうか。
  40. 橋本徳男

    橋本説明員 提出いたしました資料は、これはそれぞれ、世界各国がそれぞれのやかたとして出展するために必要な費用でございます。したがいまして、日本の場合におきましては、たとえばモントリオールでも、日本館というものをつくるためにこれだけの支出が要るということでございます。ところが、主催国になりますと、いわゆるお座敷を提供するという役割りをやらなければならない。そのためには土地をならし、それから土地にいろんな電気、ガス、水道等の工事をしなければならない。それから、主催国として、その博覧会の中核となりますような施設をやらなければならないというふうなために、単なる演技者として出展する場合と、そういう場を提供する主催国といたしましては、かなりそこに役割りの違いがございまして、したがって投入額も違ってくるわけでございます。
  41. 渡部一郎

    渡部委員 日本人の風習としまして、特に悪いほうの代表にされるのでありますが、他人とのおつき合いというのを非常に大事にして、わが家にお客を迎えるときだけ特別の食器を出したり、あるいは特別のびょうぶを立てたりする、要するに非常に貧乏人らしいやり方であって、突然、思いついたように羽織、はかまを質屋から出してくる、そうして見てくれだけをそろえようとする、私はこの数字のデータを見ていると、それをしみじみ感ずるのであります。ところが、万博のために一億ぐらいしかかけていない。おそらくは日本政府PRにかけるところの費用としても、あるいは、それこそ世界平和にかける費用としても、あるいは経済効果を考えるとしても、その地域に自分の国で主催しないという条件はありますけれども、万博そのものにいままではたいして目を向けていなかったところの日本が、今回においては非常な巨額の費用を一挙に支出する。私はその辺のバランスの欠いたやり方というものがどうしても納得できないのでありまして、この辺について次官の御説明見解を伺っておきたいと思うのであります。
  42. 宇野宗佑

    宇野政府委員 これはいま参事官が申しましたとおり、参加国の立場でやったときと主催国の立場でやったときとでは、その予算上の高によって論ずる問題ではない、こういうふうに私は考える次第でございます。したがいまして、五百数十億円、これが高いか安いかという問題以外の問題ではないかと思うのであります。あくまでも今回の条約改正までには少なくともアジアにおける初めての万博でございまして、しかも、いまや日本の産業、経済文化の復興が世界をして注目をせしめておるという段階におきましては、やはりわが国わが国といたしまして、将来わが国のその機能を十二分に発揮し得るようなデモンストレーションと申しましょうか、そうしたことをやるがためには、私は決して大きな金でもなければ、また少な過ぎる金でもないと考えておるのであります。もちろんそのデモンストレーションという意味合いからは、参加国という立場のときにも、では、なぜもっと使わなかったかということは言い得るかもしれません。確かに、先ほど報告いたしましたとおり、少なくて一億円、多くて八億円でございますので、他の諸外国と比べますと、まだまだ貧弱な施設しか今日モントリオールにおいてもできておらないわけでございます。こうした点についても、政府はもっと強力にPRするならば、多額の金を使うことによって、将来のわが国経済的基盤というものを諸外国に徹底せしめることも、わが国の将来にとりましては重大なことだと思いますので、いま御質問の御趣旨でございます参加国の場合と、主催国の場合の費用があまりにも違うではないかという問題に関しましては、私は私なりの見解で、決してそれは比較すべき問題ではなかろう、こういうふうに考える次第でございます。
  43. 渡部一郎

    渡部委員 参加国の場合と主催国であった場合と、その費用というものの差がひどすぎるというのは、単に日本の場合について言っているのではなくて、たとえばアメリカならアメリカが、自国で博覧会開催する場合と、他国に参加する場合の費用というものを比べてみても、それは明瞭に言えることではないかと思うのであります。そうすると、アメリカは、参加するときには、実に百五十億であるとかおよそ二百億に近いような費用を支出している場合が何回もある。ところが、自国において実際万博を成功させようとして、あるいは一般的なお座敷等を開拓するためにかかる費用というものが、それはある。たとえば、いまカナダのモントリオールにおいて行なわれている費用、その建物、敷地などというものに対して使われている費用というものが、一千百億といわれているほど使われておる。ところが、そういうときだけは、お座敷の費用としてはそう変わるものではない。ところが参加するときにはべらぼうに費用が違っておる。したがって、私はそういうような妙な関係にあるからこそ伺っておるのでありまして、今度は主催国であるから金がかかるんだというのではなくて、ふだん参加国としてろくろく費用を出していないならば、主催国としても日本相応のつつましさでやればいいのであって、もし日本主催国として非常に金を出すならば、ふだんからも参加国として堂々たる、それにつり合うだけの陣容をそろえるべきである。その辺のバランスを欠いた通産行政が、一体こういう問題に関してはばらばらである。大臣がかわり、次官がかわるとすっかり計画が変わる。考え方まで変わってしまう。大臣がちょっと意気込みが違うと、えらく金が豊富に出る。前会において堂森議員が言われておりましたけれども、すごい高額の費用職員に対しても支出する。万博出向社員に対しては位が一階級上がる。帰るとまた一階級上がるとか、それこそ至れり尽くせりのことが行なわれる。ところが、また大臣がかわると、一挙にそういう状態はまるでこじきのような状態に転落する。王侯からこじきへ、こじきから王侯へ、こういうような無計画、無節操なあり方というものが、通産行政のあり方なのか、私はその辺に重大な疑惑を感ずるのであって、一言の反省を求めたいと思って質問しているのであります。どうか御見解を明らかにして言っていただきたい。
  44. 宇野宗佑

    宇野政府委員 主催国の場合だけを考えますと、たとえば今日のモントリオールのカナダ政府の立場を例に引きますならば、やはり主催国といたしまして、土地造成をはじめ、邦貨に換算して約一千百億円程度を投下しておるわけでございます。したがいまして、わが国規模といたしましては、それよりも若干劣るような感じがするのでありますが、各国それぞれ事情もございましょうから、一般的にそれを比較検討して、どちらが熱意があった、なかったということは言い切れないのじゃないかと思います。ただ、いま渡部委員が申されましたとおり、通産行政において、大臣がかわるたびに、あるいは次官がかわるたびに、その見解が異なるというようなことは、間々過去にあってございましたでありましょう。そういうことはあくまでない、あってはならない、こういうふうに思っておりますので、今後はその点に関しましては、十二分に次の方々にも申し送りをいたしまして、見解の差がないようにやっていくべきが本筋である、私もかように考えております。
  45. 渡部一郎

    渡部委員 次官から率直な反省のおことばを伺いまして、私は少々満足であります。私は、今後においては、こういう問題については明瞭な方向というものを、一内閣の人気取りではなくて、続けていただかなければ、とんでもない日本の禍根になるのではなかろうかと感ずるので、あえて押して申し上げた次第でございます。  この博覧会の回数というものが今回減少になったということは、博覧会費用というものがかかり過ぎて、経済的に値段がかかり過ぎるということを外務省当局の方はいま申されたとおりでございます。今度は逆の意味の質問になって恐縮なのでありますが、いままで二年に一回行なわれておったものが六年に一回になる。ところが先ほど次官も言われましたように、世界は面積的にも交通機関の発達のもとに狭くなり、もう世界一つの様子になってきた。距離的にも狭くなってきた。そこで、そのような時代においては、世界はもう三地域に分けてやる段階ではなくて、一つ地域のようになってきた、そういう意味合いのお話があったように思うのであります。そうするならば、よけいに新しい後進国諸国等においては、この万国博覧会のごときものは、日本が今日相当の無理を押し払ってもやるように、自国において万国博覧会を行なって、世界の大きな潮流を自国において展示をし、また自国の国内の様子を諸外国の中に周知徹底せしめるという方向をとりたいと考えるのは理の当然ではなかろうかと思うのでありますが、その点について外務省当局の御見解を承りたいと思うのであります。
  46. 高島益郎

    高島説明員 お答えいたします。  先ほど財政理由がおもな理由となって開催の頻度を長くしたというふうに申し上げました。それはおもな理由でございまして、開催頻度を非常にひんぱんにいたしますと、それに応じまして参加国が、その国の事情によりまして、減少いたす結果にもなりますので、そういう観点から私は財政理由と申し上げた次第であります。事務局当局あるいは主催国等の問題ではありませんので、参加国がその結果減少するということになりますと、博覧会開催いたします趣旨そのものが減少いたす結果となります。たまたま日本万国博覧会の後に、二、三年後に、欧州においてもすぐに開きたいという要求もございまして、そういうことも考慮されまして、今回間隔を六年間ということにした次第であります。六年間と申しますのは、先ほど通産省のほうからお答えのありましたとおり、世界交通事情が非常に緊密になりました関係上、地区を区分する理由がなくなって、従来どおり同一地区の場合の六年間を原則とした次第であります。
  47. 渡部一郎

    渡部委員 従来まででありますならば、欧州地域米州地域日本はその他地域というのに入っておるわけでありますね。そうすると、そのその他地域においての開催というものは、かなり自由にされておったと思うのでありますが、今後東南アジア諸国、AA諸国、日本が少なくともその利害を代弁するべき諸国等において、これは私は痛感するのでありますが、それらの地域においては、万博を自国においてやりたいという要求は、今後十年間くらいの間には、相当頻度を増してくるのではなかろうか、こう考えるのであります。ところが、諸外国費用という点で、この万博開催というものを、全世界を三地域に分けたのを一地域にしてしまうのは、事実上において万博というものを世界の各地で開けない結果をもたらすのではなかろうか。要するに、ヨーロッパであるとか、アメリカであるとか、そういう国々においては開けるけれでも、おそらくはインドネシアで開くとか、あるいはタイ国で開くとか、あるいは南アフリカで開くとかいうような場合においては、こういうものが開けなくなる可能性があるのではないか。そうすると、このような規定というものは、アジア諸国あるいはAA諸国においては、きわめて不穏当な改正規定となるのではなかろうか、その辺の見通しについて伺いたいと思います。
  48. 高島益郎

    高島説明員 お答えいたします。  従来アジア地域つまりヨーロッパ及び米州地域以外の地域では、第一種博覧会の開かれたことはありません。将来の問題といたしまして、このような博覧会を開きたいという要求が、いままでのつまりその他の地域からございました場合、この博覧会条約参加しておる国の間でございますれば、当然加盟国同士の間の話し合いによりまして、従来開かれなかった国に優先権が与えられるものとわれわれは期待しております。
  49. 渡部一郎

    渡部委員 開かれなかった国々に対して優先権が与えられた実例というものは、今日まで相当多くあったのか、どうであったのか。それは私は寡聞にして存じませんので、お教えいただきたいと思います。
  50. 高島益郎

    高島説明員 お答えします。  実は、いままでのところ、第三地域、つまり米州、欧州以外の地域から博覧会を開きたいという要求があったことはございません。今後の問題は、私はまだわかりません。
  51. 渡部一郎

    渡部委員 私が伺ったのはそんなことじゃなくて、あなたがいまおっしゃいましたことは、新しく開催されるような国々において、万博の申請があった場合においては、優先的に開催を認められるであろうということを参事官は堂々おっしゃいましたので、そういう法律規定があるのか。実例を存じませんので、それは単なる参事官の個人的な見解なのか、法律上の根拠があるのか、そこを伺っておるのであります。
  52. 高島益郎

    高島説明員 御質問の趣旨を間違いまして失礼いたしました。私が申しましたのは、私の想像でそういうことになるであろうということで、規定としてはもちろんございません。したがいまして、今後そういう第三の地域の国から、一般博覧会を開きたいという要望があった場合には、その加盟国同士の間の話し合いで調整されるのがたてまえであろうというふうに考える次第であります。
  53. 渡部一郎

    渡部委員 単なる想像でそういうことをお答えになった上で、こういう条約が推進されるのであるならば、私が当初申し上げたところの疑問はいまだ解決しないのであります。つまり、こういうような条約改正点を認めることによりまして、結局万博というものはAA諸国からは縁の遠いものになるのではなかろうか、私はその疑いを強く深く濃くするものであります。そうであったならば、何もこんな改正に応ずる必要はないのではなかろうか。本筋の、いよいよ条約の問題でありますけれども、その肝心かなめの条約に対する博覧会開催の問題に関する見通しが、そのように単純な想像であるとか、個人的な推量で行なわれるというようなことがあるならば、国会討議にならないのであって、それは単なるお話し合いであり、討論会でなかろうかと思うのであります。それではAA諸国の地域に対するところの、三地域を区分するのをやめたという点に関して、今度は、少なくとも万博開催する権利というものがきわめて強度に見失われるのは、むしろこれから開発されていく、世界列強諸国に肩を並べようとする日本以下の、日本が率いるところの後進諸国ではないか。ところが外務大臣も、国会審議の冒頭にあたって、その抱負として言われましたけれども、少なくともアジアのリーダーシップを握る国としてものを考えていかなければならない現在の日本外交というものが、そういうことを一つも考えず、留保条件をつけないで、そのまま認めてもいいものかどうか。私は非常にきわめて疑問に思うのでありますが、その点について、大臣はいかにお考えになられるでしょうか。
  54. 三木武夫

    三木国務大臣 いまアジア・アフリカ、低開発諸国といわれておる国々が万国博覧会主催国になるということは、私まだ相当将来のことだと思う。相当に費用が要る。費用ばかりでもないのです。こういう大きな国際的な博覧会主催国になるというならば、その国も相当な高いいろいろな水準に達していないとやれない。だからそのことによって、六年というのを、もっと頻度を三年目ごととしたらどうかというような御意見であるとするならば——六年ぐらいでないとやはり、やるとすれば財政的負担が各国とも要るわけです。やったことによってその博覧会を意義あらしめなければならぬ。それからまたアジア日本でやっても、次に六年後にアジアでやれぬわけはないのですから、何か地域のことよりも全体として考えるというのが進歩でないでしょうか。三つに分けるといっても、世界は狭くなっておるから、アメリカとかヨーロッパとかアジアと分けないで、世界全体を考えて、そして次の六年目ごとの開催地をきめるということのほうが、今日の世界情勢だったら合理的じゃないでしょうか。こういう条約を結んだら、低開発国で万国博覧会を開きたい国がたくさん出てきておるのに、その機会を失わさすではないかということは、少なくとも現在の時点においてはちょっと考えられないのです。低開発国はほかのことにもっと忙しいのです。博覧会を開く前にしなければならぬことが一ぱいあるのですから、こういう条約日本が批准することによって、アジアの低開発諸国に対して、非常に万国博覧会開催機会を奪うものだといって、だれも腹を立てる人は私はないと思うのです。そういうふうに考えなくてもいいんだというふうに思います。
  55. 渡部一郎

    渡部委員 しからばちょっと議論をさしていただきますけれども、いま外務大臣は、三地域に分かれていたのが一地域になるのは進歩だというふうに申されました。私はそう思わないのであります。なぜかと言いますと、万博というものは、先ほどからの通産・外務両御当局の御説明によりますと——これは私の意見じゃないのです。そちらの御意見になりますが、その御意見を信ずれば、平和のために貢献し、経済効果を増し、そして国民の福祉を増大し、そしてなおかつ——あと何でしょうか、いろいろおっしゃいました。それとまたその地域文化面に対して大きな貢献をする、こういうことでございました。私が申し上げるのは、そんなにいいものならば、それこそそこらじゅうで開けるようにしておくということが、その主催国に与える効果というものは非常に大きい。むしろいままであまり開発されていなかった国こそ、大いにそういうものを催すことが経済効果においてもプラスになるのではないか。先ほど〇・五%の経済効果があるというお話がありましたけれども、そういうことであれば、まさに低開発国が非常に心から期待し、熱望されておるところではないかと思うのであります。ところが今度三つであったものが一つになったということはどういうことか。三つの地域ではおのおの六年間隔で次から次へ開けるわけであります。いままでの規定によりますと六年の間に三回ずつ開けた。ところが今度は全世界で一回しか開けない。そうするならば、全世界で希望するところ、AA諸国だけに限らず、いままで比較的おくれておる国とか、最近勃興してきた日本のような類似国のような場合は、非常に主催国の権利を握ることは困難ではないか。これは進歩でなく退歩である。進歩であると認めるのは、後進国を開発せしめないという意図がある場合だけ進歩であって、それこそ後進国の立場に立ってものを考えるならば、これは退歩ではなかろうか。いささかその点について討論を申し入れるものでありますけれども、外務大臣はいかがお考えでしょうか。
  56. 三木武夫

    三木国務大臣 博覧会を開くなというのではないのです。開いていいのです。だから万国博覧会条約による博覧会というものは、これはみな各国が陳列館を自分の費用でつくらなければなりませんから、そういう博覧会条約による博覧会財政的負担が伴うでしょう、自分が行ってやらなければならぬのですから。そういうことで、あまりひんぱんにやると、財政的負担も非常に伴うし、その博覧会があまりりっぱなものができないような結果になっても困るから、六年ごとにやろうではないか。それだけれども、そうではなくて、博覧会を開こうということ、低開発国が、ひとつ自分のところでやろうということ、これはだれも束縛したり阻止するようなことはないわけです。この条約による博覧会は六年目ごとにしようじゃないか、そういうぐあいに各国がひとつやることは非常な効果があるということで、各国にも話して出てくれ、出品してくれということで、博覧会を開くことは何も阻害されませんから、そういう必要があれば各国とも開くことは可能ですから、いまあなたが考えられるようにはだれも腹を立てていませんよ、アジアの諸国では、この条約について。非常に不便だなと思っている人はだれもいないので、開きたければ開いていいのですから、低開発国を押さえるというような意図は全然ありませんよ。だからそういう点はあまり御心配にならなくともいいのじゃないかと私は思うのです。
  57. 渡部一郎

    渡部委員 そんなに万国博覧会を開くことが自由でございまして、そしてまた入っていなくても開くことが自由であるというのでありますれば、それは万国博覧会条約に加盟する理由というものが立たなくなってくるのであります。入らなくたって同じ効果があるならば、なぜ入ったのか。まことに妙な話になりますけれども、そういうことを申されるならばもう一回蒸し返しして、万国博覧会条約日本はなぜ入ったのか。もう一回外務大臣に御答弁を願わなければならぬが、私は非常に妙な議論じゃなかろうかと思うのですが、どうでしょう。
  58. 三木武夫

    三木国務大臣 これは今度入ったことによって開かれるならば、各国が自分の責任においてパビリオンをつくらなければならぬでしょう。今度自分でかってに開くときは、各国と話し合いをしなければいかぬです。日本の今度万国博覧会条約によって開かれる場合には、各国にそれだけの義務があるわけですね。かってに開く場合には——開いていいのですよ。そのときは各国に話をして、君のほうも出してくれ、あるいはおれのほうで陳列館をつくるから品物は出してくれとかやるわけです。だから、この条約による博覧会というものは、それだけの責任と一つの長所を持っておるわけですね。普通に開く博覧会だったらそういうわけにはいかない。だからどうしても博覧会条約に入って、それにのっとって万国博覧会を開くほうが、いろいろな点において博覧会を開くのにはずっと権威があるということですね。
  59. 渡部一郎

    渡部委員 外務大臣の御答弁を聞いて私は安心したのであります。外務大臣万博条約に入っても入らなくてもこれは同じであるというような見解を危うく披瀝されるところであり、日本政府万博条約脱退の決意固しというふうにこの場から世界に向かって打電されるのではなかろうか、こういうふうにひやひやしておったのであります。  ところで私は申し上げますが、万博条約に入る長所を多少とも認められるならば、私はもう一回同じ議論に戻るのでありまして、そういう長所があるのであるならば、その長所に対して、これからわれわれ日本によって代表される中進国あるいは後進国等の国々がこの条約によって受ける権利をそこなうようなことがあってはならないのではないか。したがって私は、この万博条約にあたって、われわれ日本は少なくともある程度の保留をつけて——先ほど高島参事官は、いままで開いておらなかった国々が開催する際においては好意的にその国の開催を特に行なえるようにするはずだというような推量をされました。そのするはずだと言われたのは確かに推量で、まずいのではありますけれども、そういう精神のもとに了解をとりつけておくくらいのことは、外務当局として十分におできになるのではなかろうか。またそうあるべきがほんとうではないか。高島参事官の言われたことは、むしろプラス日本外交の姿勢ではなかったか。私はこう思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  60. 三木武夫

    三木国務大臣 この条約に入っておるのは三十三ヵ国ですよ。みな入っておるわけじゃないのです。低開発諸国では、入っていない国が大かたです。ところが、低開発諸国の中に、万国博覧会を自分のところで開催したい、自分の国はこういうふうに博覧会開催するだけのゆとりができてきたといったら、世界は支持するでしょうね。日本の場合でも、日本がやるといったら、メルボルンとか、いろいろ希望者はあったのですよ、しかし、アジアの第一回であり、やはり世界各地で開くほうがいいのだからというので棄権したのです。だから、いまの低開発諸国の中から、一ぺんおれたちがやりたいといったら、これは日本は支持しますよ。そういうことは非常にけっこうなことですよ。欧米だけが博覧会開催国でないほうが——アジアとかアフリカの国がこういう大々的な博覧会を開きたいというのなら、日本はまっ先に支持する。支持するばかりでなくて、そういう国ができるのはけっこうでありますから、外交的な努力を通じて、そういう国で開催されるような努力を当然に日本はすべきであるし、それはいたそうという考えでございます。
  61. 渡部一郎

    渡部委員 今後の外交努力を通じて、こういうような問題が起こった際にはそれを推進するというようなおことばがありましたので、私としては、もう一歩のところがほしいのではありますけれども、その辺でこの問題については打ち上げることといたしまして、今度は別の面で伺いたいのであります。  それは、先ほど外務大臣がちょっと論及されましたのですけれども、入っていなくても万博を開くことは随意ではないかということをちらっと言われました。多少の欠陥はあるとしても、入っていなくても開ける。ところが、これの意味するものはどういうものか。現に、万博条約を見てみますと、この万博条約にアメリカは加盟しておらない。そして、その巨大な資本力とその巨大な外交努力を傾注して、自分の力で次から次へと万博開催している。これは一体どういうことになるのか。こういうやり方がもし可能であるならば、この万博条約日本が加盟したということはどういうふうに考えるべきか。まず総括してその御見解を承っておきたいと思うのであります。
  62. 高島益郎

    高島説明員 アメリカは、実は博覧会開催する権限が州に属しておりまして、連邦政府にその権限がないために、この博覧会条約参加しておりません。たまたまニューヨークで行なわれました博覧会は、この条約にいう博覧会ではございませんで、したがって、この博覧会事務局のほうでも、この条約加盟国に対しましてなるべく参加しないようにというふうな勧告があった次第であります。将来、アメリカでこの条約に基づきます博覧会開催いたします場合には、当然アメリカがこの条約参加しなければできない次第であります。
  63. 渡部一郎

    渡部委員 そうしますと、もう一回伺うのでありますが、そのアメリカが当初において加盟しなかった理由はどこにあったのであり、またアメリカはどうしてそれに入らない状態を今日まで続けており、また今後に対してどうするようなことに国際的な取りきめではなっておるか。三つに分けてお答え願いたいと思います。
  64. 高島益郎

    高島説明員 先ほどお答えいたしましたとおり、アメリカはアメリカの国内法上、連邦政府にその権限がございません。つまり、博覧会開催する権限が州にのみございまして、連邦政府にない関係上、連邦政府としてこの条約参加することができなかった次第であります。将来アメリカがこの条約に基づきます一般博覧会開催するというふうなことになりましたときには、当然この条約参加しなければならないというふうに考えております。
  65. 渡部一郎

    渡部委員 たびたび歩いていただいて恐縮ですけれども、将来この条約にアメリカが加盟しなければいけないということは、何らかの法律的な根拠あるいは国際的な取りきめをアメリカにしたのでありましょうか。
  66. 高島益郎

    高島説明員 アメリカ政府がこの条約に基づきます博覧会に消極的であるということでは決してございませんで、アメリカは非常に積極的に熱意を持っておりまして、事実各国の催します一般博覧会参加している次第であります。ただし、アメリカで主催してこの条約に基づきます一般博覧会を行なおうという場合には、当然この条約参加しなければできないというふうに考えております。その点に関しまして別に国際的に合意があるということでございませんで、アメリカの国内法上の問題でありますので、連邦政府と州政府との関係でその点の調整がつきますれば、将来この条約参加することはあり得ると思います。
  67. 渡部一郎

    渡部委員 私はちょっと御答弁に不満なのでありますけれど、それは先ほども想像でものを言われたし、今回もまた想像に近いお話である。それじゃどうもぐあいが悪いのじゃないかと思うのであります。というのは、先ほどはアメリカ政府参加することになっておるというようなお話でございました。ただいまの御答弁では、今後においてアメリカが国内において万博を行なう場合には参加するはずだというようなお話であります。そういうのであっては、議論にならないんじゃないか。それは両方とも想像であって、今後の見通しではないんじゃないか。それでは国際的な法律的な取りきめをする議論にはならないんじゃないかと私は思うのですけれども、どうでしょう。
  68. 高島益郎

    高島説明員 私が申しましたのは、アメリカがこの条約参加するはずだと言ったのではございませんで、この条約に基づきます一般博覧会をアメリカが主催して行なう場合にはアメリカがこの条約参加しなければならないであろうというふうに申し上げた次第であります。参加するはずだというふうに申し上げたのじゃございませんで、この条約参加しなければアメリカが主催国として一般博覧会開催することはできない仕組みになっておるということを申し上げたわけであります。
  69. 渡部一郎

    渡部委員 じゃ私は次に伺いますが、アメリカにおいては今日までその強大な権力とその経済的な実力的な背景とをもって、そうして続けてその万博に対しほぼ同等の効果を持つところの博覧会を各所において開催してまいりました。そのようなものは非常な頻度によって行なわれております。その頻度によって行なわれているということはどういう意味かといえば、主催国あるいは当事国等におけるところの経済的な負担を幾らこの万博条約のほうにおいてこのような条約をたてとしてきめたとしても、実際問題として、アメリカのような政府万博類似のものを自国内において行なおうとする、そうすると、その実力の上からいって、ほぼ同等の規模のものが行なわれてしまう。また聞くところによると、アメリカにおいては、現在において、非常にアメリカの独立記念日を大々的に祝って、今後しばらくのうちに、一九七五年でしょうか、そのときに大々的な万博類似のもの、世界博覧会が行なわれる、こういうことがいわれております。そういたしますと、現在のアメリカにおけるところのそのような実力を背景にする博覧会というものが行なわれれば、せっかくこの条約規定したところの二年間の間隔を六年間に延ばそうという取りきめ自体が無効となってしまうのではなかろうか。経済的な効果が非常にあるにもかかわらず、その経済的な効果と、実質的には経済的な負担を軽からしめようというこの万博条約規定をこわすことに結局はなってしまうのではないか。そうすれば、この条約改正が実質的には意味がなくなってしまうのではなかろうか。その点について私は重大な疑惑を感ずるのであります。したがいまして、私は、今日までアメリカがこのような博覧会をどの程度、いつ開催してこられたか、その実例を伺いたいし、また今後においてどういうものが行なわれるかということを伺いたい。また、いま私が申し上げましたとおり、この万博条約を、二年間の期間を六年間に延ばしたという意味合いが、このように多数開催されるということは、これを結局は意味をなくしてしまうのではないかという疑惑に対して御答弁を願いたいと考えるのであります。
  70. 高島益郎

    高島説明員 先生の御質問は、いままでアメリカでどういう博覧会が行なわれてきたかということと将来の計画についての御質問だったと思います。  最近の例で申しますと、一九三四年のシカゴの博覧会、これは一般博覧会でございます。それから一九三九年のニューヨーク第二種一般博覧会、それから一九六二年のシアトル特別博覧会、この三つにつきましては万国博覧会国際事務局で承認しておりまして、そういう承認のもとに行なわれたわけであります。ただ、一九六四年から六五年にかけて行なわれましたニューヨークの博覧会につきましては、現在行なわれておりますモントリオール博覧会関係上、国際事務局は承認いたしませんでした。これがいままでの例でございます。  将来のことにつきましては、先ほど先生が御指摘のとおり、情報によりますと、アメリカの独立二百年を記念いたしまして、一九七六年ごろに一般博覧会を開きたいという話があるそうでございます。その開催のために現在アメリカはこの条約参加することを慎重に研究中であるというふうな情報がございます。それ以上のことは私のほうでは存じません。
  71. 渡部一郎

    渡部委員 お答えをありがとうございました。  そのように、シカゴ、ニューヨーク、シアトル、またシカゴというふうに、未承認のものも合わせましていろいろな博覧会が行なわれております。そういたしますと、私がただいま質問しました内容でありますが、もう一回言いますが、この中におきましてせっかく二年間を六年間に延ばす、開催期間を開こう、間の間隔をあけようというこの万博条約の本日出ているところの修正案というものの意味が、このようなアメリカのやり方によっては全く無効になってしまうのではないか、それに対してどう考えられるか、またどう対処をされるか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  72. 三木武夫

    三木国務大臣 今度アメリカがどういうようにしますか、アメリカの国内法の問題ですから、将来国際博覧会条約によった博覧会を開こうとすれば国内の問題を解決しなければならぬですが、アメリカはああいうふうな力を持っているわけですから、ひんぱんに博覧会を開いておるのですが、それはいかぬとも言えないですからね。いろんなやっぱり寄与をしていますから。そのことで博覧会条約と違ってアメリカが主催する場合は、私もニューヨークの博覧会なんかを見たですけれども、何か国というよりある大きな事業団体の博覧会という感じを受けました。万国博覧会になってくるともう少し国の単位というものが出てくるのでしょう。あそこはゼネラルモーターズとか何かいろんな大きな会社が大きな陳列館を出して、多少性格が違うのではないかという感じを多少受けたですが、アメリカ自身が博覧会開催するということは、力があればひんぱんに開くことは悪いことではないでしょうから。ただ、博覧会条約によるものはみな国としての義務を非常に負うわけですから、あんまりこれをひんぱんにやると不徹底になるのではないか。財政的負担もありますし、そういうことで条約による博覧会は六年目ごと、その間条約によらずとしてアメリカのような国が開くということは、これは悪いことだとは言えないですから、そのことによって、六年ごとに開くということに大きな支障があるからきめても何にもならぬではないかというわけでもないでしょう。多少性質が違ってくるですから。だから、このことで条約の御批准を願うことは、アメリカがそういう六年ごとでない場合に開く場合があっても、六年ということによってそれがきめた意味がないじゃないかというふうには考えられないと私は思います。
  73. 渡部一郎

    渡部委員 条約において、二年間の開催期間を六年間に延長するということが経済効果等を考えて考えられているにもかかわらず、アメリカのような国の場合は別に悪くないのではないかと外務大臣が言われておりますのは、聞いていてどうもふに落ちかねる印象を強くするのであります。これは私だけがわからないので、ほかの人はみんなわかる議論かもしれませんし、私は何とも申しかねるのでありますけれども、ほんとうのことをいえば、もしもこの万博条約にアメリカ自身も同じく加盟しておれば、このような議論は展開しなくても済むし、また、各出品国あるいは参加国あるいは主催国のいずれにあったとしても、アメリカがそのような時期はずれのときにいきなり開催するのではなくて、やっぱり万博条約の中に加盟して、その制約の中において世界万博開催については協力すべきが妥当じゃないかと思いますが、いかがでありましょうか。
  74. 三木武夫

    三木国務大臣 アメリカ自身も、おそらく私はいろいろ検討をすることだと思いますよ。国内法の関係でアメリカは入れないので、入りたくないというよりも、アメリカの国内法の関係で入っていないのです。アメリカは熱心ですからね。各国博覧会には、たいへん熱心に、アメリカが一番大きな陳列館を持ってやっているですからね。入りたくないのじゃないのだ。国内法の関係ですから、将来国内法の関係をアメリカが調整するんではないかと思います。そういうことで、アメリカだけが開いていいというのじゃない。どこの国でも開いていいのですからね。どこの国も、アメリカに限らず、日本でもいろいろやっています、博覧会といって。スケールはともかくとして、博覧会というような名前で……。スケールだけの問題で、各国とも、博覧会条約によらないで、博覧会というものは世界でやっておるのが多いですからね。それはいいことじゃないか。そんなにいかぬということじゃないので、各国ともやっているし、日本でも規模の小さいやつは毎年のようにやって、博覧会とかいう名前をつけていますからね。
  75. 渡部一郎

    渡部委員 私は、いまこのようなお話を伺いますと、そこのところでどうしても、いまのお話では、博覧会のようなものはたくさんやればいいんではないかというお話に話がすりかえられてしまったように思うのであります。私は、こういう万博条約を結ばれる意味合いが、世界の最高首脳を中核として集めるところの最高権威を持つ最大規模万博であるがゆえに、六年間に一回の開催期間を設けた意味があるのだろうと思うのであります。したがいまして、アメリカも当然これに加盟すべきである、そういう方向で外交努力をするのが、わが国外交陣のあり方ではなかろうか、これが私の言いたい主点であります。これについて御見解を承りたいと思います。
  76. 三木武夫

    三木国務大臣 これは、アメリカは入りたくない、その中に入らぬというのじゃないのだけれども、国内法の関係で入らぬ。だから、国内法で都合があるからいままで入っていないのですが、将来は、この国内法の関係というのはアメリカ自身が私は研究をするものだと思いますよ。アメリカも入ったほうが便利だと思っているに違いない。アメリカ国内法の関係ですから、今後そういう問題はアメリカ自身が解決するに違いない、こう思います。
  77. 渡部一郎

    渡部委員 私はいまアメリカ政府の決意を伺ったのではなくて、日本外務大臣にお話を伺ったつもりでありまして、日本外交努力としては、そういうことをしていただきたい、こう要望してお話し申し上げたつもりでございまして、ちょっとお答えのお話が違うようでございます。
  78. 三木武夫

    三木国務大臣 今度アメリカと話をするときには、博覧会条約に入りなさい、国内法の問題を何とか解決してお入りなさいということを、私、申し上げたいと思います。
  79. 渡部一郎

    渡部委員 ようやくにして——えらい時間がかかりまして、まことに恐縮でございました。  最後に私は、現在の博覧会条約というものが、公式博覧会の様子を持っておりまするのと、公認博覧会の様子を持っておるのと二種あるように思うのでございますが、現在の日本のは公認の博覧会のようでございます。これについて民間団体が政府の認可を受けて、そして今回の日本の場合には公認博のスタイルでおやりになっているように思うのであります。通産関係の方に伺いたいわけでありますが、そうしますと、この公認博のやり方でいくということが一体どういう利点があるとお考えになって、今回の万博の場合にはそういうふうにおやりになることになったのか、私はその辺のところをひとつ通産関係の力にがっちりお答えを願いたい。また、私が心配しておりますのは、財団法人の形態でありますが、監督官庁としての通産省の権限はどこまで及ぶのか。また、私がもう一つ心配しておりますことは、いわゆる黒い霧といわれて、非常に大量に騒がれた事件がございましたが、万博の設備その他のいろんな問題については、非常にまたこの黒い霧類似の事件が続発する可能性があるように幾つかの報道で見えているように感ずるのであります。そういたしますと、一体そういう問題が起こったときに、それは財団法人万博協会が責任を負うのか、それとも通産大臣通産次官がそれについて責任を負うのか、企業局の局長さんがそれをお負いになるのか、その辺の責任体制のあいまいさを私は感ずるのであります。したがいまして、質問は三つでありますが、公認博にされた理由、またそのような経緯になったいかなる理由があったかということ、それからまた責任をどこがおとりになるかということ、その三つについて御返事を伺いたいと思います。
  80. 宇野宗佑

    宇野政府委員 民間企業を参加せしめた理由は、もちろん民間の今日のレベルが相当高うございますから、さらにその創意くふうを結集せしめるというので、民間団体に主催をさして、これを政府が援助するという形をとった意味合いが公認でございます。したがいまして、もう一言申し述べますと、ここで政府は考えなくちゃならないと思いますが、ややもすれば民間企業だけの参加では見本市になるというようなおそれもございますので、たとえばエレクトロニクスの分野におきましても、単に一会社の宣伝ではなくして、日本のエレクトロニクスの現在のレベルはこういうものである、また将来はこういうものであるというような総合的な方向へ私たちは指導をしていきたいと、かように考えておる次第でございます。  なお、それぞれの企業参加に関する、またその指導に関する責任はどこにあるかということでございますが、あくまでも通産大臣がその監督権を持っておるということでございます。
  81. 渡部一郎

    渡部委員 では、最後にもう一つ伺います。  通産次官にもう一回伺いますが、今回の政府が支出される費用というものは非常に巨額であります。沖繩問題等特別委員会と妙な比較をいたしますけれども、沖繩に対しては、日本お金の点だけ申しましても百八億のお金をいま沖繩のほうへ支出しております。ところが、今後数年間において三百何十億のお金あるいは一説によれば五百億を回るお金がこの万博関係に支出されるということは、非常に大きな問題である。一行政機関がその行政的な権限、能力の範疇において行なうべき問題としては、あまりにも大き過ぎるのではないか。そうするならば、当然オリンピックにおいてもつくられたところの特別委員会等と同じように、万博に関する特別委員会をつくる方向に向かうのが至当ではなかろうか、こういうふうに私案として感ずるのでありますが、それについては通産次官はどう思われますか、御返答を賜わりたいと思います。
  82. 宇野宗佑

    宇野政府委員 通産省といたしましては、いま渡部委員が申されましたような方向、非常に賛成でございますが、これはやはり委員会の構成は国会の問題でございますので、国会にも十二分にその意思を伝えておきたいと思います。
  83. 渡部一郎

    渡部委員 以上をもちまして私の万博に関する質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  84. 福田篤泰

    福田委員長 穗積七郎君。
  85. 穗積七郎

    穗積委員 時間がだいぶ経過いたしましたので、ごく簡単に補足した問題について、一、二お尋ねをいたします。  これは通産省から御答弁いただくのがよかろうと思いますが、いままで日本参加いたしました博覧会でどういうメリットがあったかということについての評価の総括ぱ全部やっておられますね。
  86. 橋本徳男

    橋本説明員 先ほど申し上げましたように、ブリュッセル、それからシアトル、モントリオールというようなことでやっておりますが、これを形態的な評価という形において結論を出すことは非常に困難でございます。しかし、ブリュッセルのような場合には、そこにおきまする日本政府館というものが非常に好評を博しまして、当時でございますので、日本の国際的な知名度が相当それによって高まったというふうにわれわれは認識しておるわけでございます。
  87. 穗積七郎

    穗積委員 私は、あなたが先ほど御説明になりましたように、博覧会というものは単に経済的なメリット、貿易のプラスだけを評価すべきものではなくて、やはり政治的、文化的なメリットもあると思うのですね。それでいいと思うのです。そこで、私がお尋ねしたのは、そういう総合的な各部門にわたっての評価が、政府において各博覧会ごとに総括がなされておるか。締めくくりが行なわれて、どういう位置づけ、どういう評価でというように結末をつけておく必要があると思うのですが、そのことがデータによって締めくくられておりますかどうかということを聞いておるのです。単にどれだけの経済上のメリットがありましたかという経済主義の立場に立ってのみのお尋ねをしたのではないですから、そのことをあまり気にされないで、ただそういう総合的な総括が政府の責任において行なわれておるかどうかということです。
  88. 橋本徳男

    橋本説明員 一つのまとまった形においてというのはございませんが、それぞれの博覧会における終局的な報告といたしまして、どういうふうな面に効果があったかということは一つのレポートという形においてまとめられています。
  89. 穗積七郎

    穗積委員 私どもたまたま外国へ出ましたときに、この協定によるもの、よらざるものがありますけれども、政府が援助し、積極的な支持をいたしまして参加いたした博覧会をたまたま視察する機会がありました。そのときにいろいろなメリットもあったし、それからいろいろ反省すべき欠点もあったわけです。なぜ私がそういうことを言うかというと、一つ国民の金を使った財政上の報告の義務が国会にあるし、それからもう一つは、やはり次の博覧会参加する場合の日本の進歩発展のための問題提起にもなる。そういう意味で、私は、責任を持ってアクティブに、そういう総括と評価が、あるいは反省点が、問題点が指摘されておるかどうかということを聞いておるのです。どうですか。
  90. 橋本徳男

    橋本説明員 ただいま資料持ち合わせはございませんが、それぞれの博覧会におきまして、メリットとしては、たとえば先ほど言いましたように、非常に好評を博し、それによって世界各国日本に対する評価が非常に高まったとか、あるいは日本の新製品といいましょうか、そういったようなものが非常に参加各国の観客の注目を引いた、これが将来の経済発展進展するであろうとかいうふうな評価は、それぞれの博覧会のレポートという形において出てございます。同時にまた、問題というふうな点につきましては、どちらかといいますれば、博覧会の性格から見まして、ややコマーシャル的な方向に流れないようにという配慮を払う必要があるとかいったような問題が提起されておったように覚えております。
  91. 穗積七郎

    穗積委員 過去の参加いたしました博覧会で、大いに評価すべきもの、それから反対に、いろいろの弱点、欠点があって、反省して補強すべきものが、われわれから見たところでもあるわけですね。したがって、そういう前進のための積み重ねというものを政府としては当然責任を持ってなすべきである。いま、あなたは、いろいろなメリットについて、ちょっと内容にわたって言われましたが、時間があれば、私どもが見聞いたしました例について、特に将来のために——これは皮肉を言うのではなくて、将来の発展のために、アドバイスの意味で、日本政府の指導のやり方に欠点があったということを、内容にわたって多少具体的にと思いましたが、時間がありませんし、必ずしもこの機会にそれを申さなくてもできることですから、それはもう省略いたします。  そこで、それは総括がありましたら、しかもそういうふうにレポートの形でまとまっているものでありましたならば、少なくともこの機会に、事後でもよろしゅうございますから、材料としてわれわれに提供していただきたい。このことはやがて千里山におきます日本万博の補強のためにもこれから非常に役立つことだと思いますので、委員長、それは資料として要求いたしておきますから、よろしゅうございますね。よろしゅうございますか。
  92. 橋本徳男

    橋本説明員 よろしゅうございます。
  93. 穗積七郎

    穗積委員 それから条約についてちょっとお尋ねいたしますが、先ほど渡部委員も触れましたが、加盟国と非加盟国との間の調整、規制が、御説明を伺っておってもはなはだしく不正確なんですね。ここに加盟しておりますのは三十三ヵ国でございますか、これは、現在の経済情勢からながめましても、まだいささか少なきに過ぎると私は判断するわけです。したがって、現在の時点において、まだ万博を開く条件をそろえていない国はよろしゅうございますが、特に、アメリカをはじめとするその他の国につきましては、これは条約であります以上は、やはりこの決定をされる条約を結びます場合に——今度の改正だけではありませんよ。初めからそのことが討議され、そのことがあるいは議事録にも残り、あるいは今後改良すべき問題点として提起されているはずだと思うのですね。  先ほど伺いますというと、それは現実的かつ希望的観測によって、たいした混乱はないであろうというふうな御答弁だけであったが、条約機構からいきますと、加盟国と非加盟国との間の調整の問題、この万博の規制というのは、やりたい者がかってに仲よしクラブだけでやろうというのではなくて、今日の経済がグローバルなものにますますなりつつあるときに、そのときの政治的、経済的、文化的の効果をねらってここで調整しようというのがこの条約趣旨であるわけですね。そうでありましたならば、この条約と非加盟国との関係ですね。それらについてはまだ少し詰めが足らないように思うのですが、この交渉は外務省で担当なさったと思いますから、大臣または参事官からお答えをいただきたい。御方針がありましたら、過去の報告だけではなくて、同時に今後の方針につきまして御答弁をいただきたいのであります。
  94. 高島益郎

    高島説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問は、条約参加していない国の立場を参加している国はどういうふうにして見るかという話だったと思います。これは御指摘のとおり、現在国際博覧会条約参加しております国は三十三でございまして、それ以外の国は参加しておりません。わが国といたしましては、できるだけ多くの国がこの条約参加し、この条約機構のもとで各種の博覧会——一般博覧会、特別博覧会、各種の博覧会開催できるようになることが望ましいと考えておりますけれども、現状では三十三ヵ国しか入っておりません。ただし、先ほど大臣からお話のございましたとおり、条約に入っていないからといって博覧会そのものを開催することができないという趣旨ではございません。ただ、条約関係参加している国と条約に入っていない国とでは、どうしても入っていない国のほうが不利な取り扱いを受けるということは事実でございます。現実に、アメリカの先般行なわれましたニューヨークの一般博覧会につきましては、現在モントリオールで行なわれています博覧会関係上これは認められませんで、各国参加はあまりなかったわけでありますけれども、そういった不利な点は、この条約に入っておらないことから来ますやむを得ざる点でなかろうかと思います。なお、後進国と申しますか、アジア、アフリカその他の国で、将来この条約参加することがもちろん望ましいわけでありますけれども、その参加した暁に、博覧会開催するということになりますれば、当然加盟国同士の間の話し合いでその国の博覧会を優先的に考慮するということは外交上当然であろうかと思いますが、条約規定上はそのような国の開催について、特に優先権を認めるというような趣旨の法律的な定めはございません。その点は先生が御指摘のとおりでございます。
  95. 穗積七郎

    穗積委員 もう一つ、先ほど渡部委員が、主催開催をする場合の国の負担する、援助する費用、それから参加した場合の予算措置、それが多過ぎる、少な過ぎるという比較のお話がありましたが、私はそれに対して、外国へ出てみて、最近日本は鉱工業生産において世界の第三位または四位にのし上がってきたというふうに自負いたしておりますけれども、日本に対する認識というものは、非常にわれわれがうぬぼれておるほど世界から評価されていないのが実情です。そうなりますと、私は、今度の五百七十億円というものが必ずしも多過ぎるということを言うのではありません。そうではなくて、主催する場合のメリットがあると思いますけれども、参加する場合のほうを日本ではもっと高く評価すべきではないか。と申しますのは、日本で主催いたしましたときには、それぞれの参加国の専門家その他の人々が多く参りますけれども、これは非常に限られておる。この人たちは、むしろ日本のことを、あえてあれだけの施設と資金を投じて宣伝をしなくても、それぞれ専門家は日本経済文化その他についての一応の認識を不十分ながら持っておる。ところが、一般の国民の認識が大事なんですね。これは最近は、経済におきましてもやはり相手は大衆でございますし、特に政治的、文化的な利益というものを万博にかけるならば、さらに、私は参加した場合の力の入れ方のほうが、ヨーロッパ諸国間同士の場合とは違いまして、日本の場合は非常に必要じゃないか。これは私は出てみまして常に痛感をした一つであります。ですから、私はおそらくその点は少し欠陥ではないかというふうに思うのです、予算額の比較だけでなくて。したがって、非常にチャチなものが宣伝されておったり、そうして宣伝が跛行的であったり、それから特に政治、文化についての側面からの日本の国並びに国民の実情を認識せしめるためにはやはり非常に足りない。先ほどは、万博のメリットというものは経済、貿易だけではないということを盛んに宣伝なさいまして、それはそれでいいと思うのです。いいと思いますけれども、経済以外のことはほとんどやっていないというのが実情だと思うのです。これはおそらくは予算制限をされておるものだ。私は、むしろその国の人々がおるところへ行って、そこで日本経済、政治の方針あるいは文化の実情というものを宣伝して、それに力を入れたほうがいいのではないかというふうに思います。それはひとつ大臣から、今後の抱負としてぜひ、私はアドバイスを兼ねて御質問するわけですから、お答えいただきたい。  それからもう一つ、先ほどの通産省の方に、時間がありませんから一緒にお尋ねしておきますが、いままで日本参加したものの報告書をいただくことになっておりますが、その場合に、日本だけに局限をしないで、日本の利益にどれだけなったということでなくて、主催国の得たメリットと参加国が得たメリットとでは開きがあると思うのです。だから主催した場合と参加する場合との広い意味の利益の相違というものは正確に認識しておいていただかぬと困る。そういう意味で、報告書の中には、そういう分析のしかたはやっておられると思いますけれども、なければ、それに対してごくアウトラインでけっこうですから、われわれに報告書をいただきます場合に、それについて、あればよし、なければそのアウトラインだけでも追加していただきたい。各主催国でどのようなメリットを得たか。それからわが国参加国、その他の国はどの程度効果、実績があったかというふうにいささか分類しませんと、日本だけで、しかもやらぬよりはよかったというだけで総合的な判断というものはできないわけですから、特にそれは関連してですけどれも、報告の中へ追加していただくようにお願いして、それから大臣の御所感を伺っておきたい。
  96. 三木武夫

    三木国務大臣 私も穂積さんと同じように感ずるのであります。日本外国の陳列館へもっとやはり力を入れたらいい。今度モントリオールに初めて九億円くらい出した。いままでの数字よりは、金額だけではないでしょうが、それは一番端的に力の入れ方を示す基準でもあるわけでしょう。やはり今日世界の第四位から三位にのぼろうとしておる先進工業国日本の陳列館としては貧弱です。私もニューヨークで見て帰ってきて、いろいろ自分の印象というものを話をしたわけです。またその中にも、単にいろいろなものを陳列するばかりではなくて、それを日本人の生活文化、こういうものをやはり紹介する機会にすべきであるということを、帰ってきてジェトロなどにも申したのですが、いわゆる今度のモントリオールではそういう点が多少改善はなっておるようでありますが、これから海外に日本がそういう博覧会のような機会に出る場合には、やはりもう少し堂々とした、そして日本の広い意味における文化全般にわたる紹介の意味もかねた陳列館であるべきであると、全く私も同感でございます。
  97. 穗積七郎

    穗積委員 次にお尋ねいたしますのは、主催または参加する場合に、政府とその主催団体との関係は、わが国のほうが、政府比重が違うのではないかと思うのです。これは資本主義あるいは民主主義の成長度も影響しておると思うのですよ。思いますけれども、政府の権力、財政の力に依存する弊風というものは、わが国の財界にもいまだに風をなしておる傾向があるわけです。そういう意味で、主催のとき、参加する場合をおしなべまして、政府と民間との支持関係といいますか、協力関係といいますか、そのウエートは外国と比較してどうなっておるか。このことについては計算ができておると思いますが、念のためちょっと伺っておきたい。
  98. 橋本徳男

    橋本説明員 先ほどの資料要求の中に諸外国開催地としての効果はどうかというふうな点がございましたが、われわれもそういった面につきましていろいろなデータを見ましたが、これもほんとうに確実にこういうメリットがあったのだというふうなものではなくて、いろいろな角度から、それが万博による影響ではなかろうかというふうな推測的なものはかなり出ております。たとえて申しますと、ブラッセルが博覧会をやる前に、あそこの経済力は日本に比べても非常に低かった。ところがブラッセル博覧会の翌年以降、海外への輸出が相当伸びたというふうなことも聞いております。しかしこれはどこまでが万博の影響であり、どこまでがその他の経済環境の変化によるかということは非常に把握しにくいのでございますが、そういった報告を見ております。それからまたシカゴなんかについても、これが国際的ないわゆる会議都市というふうなことになったのが、シカゴの博覧会において世界各国会議が催された。それが契機になりまして国際会議都市ということになったというふうなものはいろいろ出てございます。これをどこまで因果関係を結びつけるかにつきましてはいろいろ問題はあると思いますが、そういった点については可能な限り提出いたしたいというふうに考えております。  それから、博覧会をいたします場合の国と民間の団体につきまして世界各国との比較でございますが、世界各国の戦後の状況を見ますと、この博覧会をいたします場合には、大体国が直接博覧会の主催者になるか、あるいは国が法律をつくりまして委任した形において特殊法人をつくって、そこが主催者になるかといったふうな形でございます。前者についてはブラッセルでございますし、後者についてはモントリオールでございますが、日本の場合におきましては、そういった面への技術の水準等が世界各国に比べて遠隔な地にあります関係上ややうとかったというふうなことで、これをほんとうにうまくやりますためには、むしろ民間の創意というものを基本的に、大々的に活用すべきであるという観点から、民間団体が主催者、そして政府はそれにつきまして条約上は指揮監督、援助というふうな形になって現在運営しておるのでございます。したがいまして、そういう意味においては世界各国のやり方と日本の場合と、それぞれの国の特色によってやや違っておると思うのでございます。
  99. 穗積七郎

    穗積委員 最後に一つだけ、ちょっと注意を含めてお尋ねをしておきたい。  今度の千里山の計画は大阪を中心とする関西財界の諸君が——御承知のように、重化学工業等で伸びに伸びてまいりました日本の実情からいきますと、経済的な地盤沈下がひどくなってきているわけです。それにもってきて、東京はオリンピックという国際的な大きな行事をやった、この立ちおくれを取り戻すためにというので、非常に熱心な態度を示した。ところが、関西の諸君は、ある意味で非常に経済的に聡明ですから、イニシアはとりましたけれども、負担はなるべく政府並びに関東でやらしたいということですね。そのことと予算の問題といささか関連するから、私は申し上げて注意しておきたいのです。  三木大臣は関西財界と非常に親しい仲であるし、宇野政務次官は隣の滋賀県出身で、これまた実情はおわかりでしょう。したがって、主催地としてのメリットと、この行事を施行する場合の地元の負担が不均衡になっているのじゃないか。それから、民間と政府の負担との間の不均衡もあるのではないか。さらにもう一つは、これを開催することによって、あの地域は、私も他の用件があってちょっと外観を見たことがありますけれども、ベッドタウンが計画的にすばらしくできたというので有名にはなっておりましたけれども、あそこの地域は元来非常に交通の便の悪いところで、あそこを選んだということは、私は必ずしも悪いとは言わないのですよ、言いませんけれども、それに伴って電鉄会社をはじめとする地価の値上がり、あるいはその他の非常な、われわれから見れば万博を利用した不当利得計画が公然と行なわれつつある。これは大阪府並びに大阪市行政の中でもそのことが指摘されるようになってきております。われわれもいささか遠耳でありますけれども、そういうことがときどき耳に入るわけで、まして大臣、政務次官は、先ほど言いましたように、関西の事情にはわれわれよりはるかに明るいわけですから、そういうことが当然耳に入っていると思うのです。そこで、私は重箱のすみをつついたり、ごみ箱をひっくり返していやがらせを言うというようなことは考えてはおりません。また聞き及んだ程度であって、行ってそれを全部調査したということでもないわけでありますけれども、それらのことは、大臣、政務次官はお耳にしておられるでしょうか。不当利得に対してそういう大衆の不満があるということ。利用主義ですね。これは施行にあたっての予算の負担の比率から見ましても、それによって付随的に出てまいります土地利用をはじめとする経済的な利得からいたしましても、大衆の目に余るものが今日ささやかれておるわけですね。私はそれが全部権力と結んだスキャンダルだとは言いませんよ。言いませんけれども、これを施行するにあたって、責任所管庁は通産でやるということであれば、当然大衆の不満というものは耳にしておられると思う。この利益は公平に全国民が受け継ぐべきものでしょう。政府が援助いたします巨額な金は、大阪の納税者だけの金ではありません。関西の納税者だけの金ではない。日本の納税者全体の金であります。そして行事も、大阪の博覧会ではない、日本博覧会でありますから、したがってそれに伴って生ずる利得あるいはいろいろな権力や中央、地方の財政予算を利用いたしました先行投資に伴う関係については、通産省は特に良心を持って監督すべきだと思うのです。私の言いたいのは、それらを一々摘発するということではなくて、われわれですらこういうことを耳にしておるから、そのことに無関心であっては困りますよ。事が起きてからではおそいのですから、それをあらかじめこの機会——総括的なことはですから、そんなことはしませんと言って答弁すればそれで済むと思われないで、良心的に、大衆の不満を耳にして、負担と利益が不公平でないように、施行にあたって配慮すべき重大な点だというふうに思いますから、御注意を申し上げておきます。それに対して三木大臣から御感想を承り、それから通産省の局長に一つお尋ねするのは、まるで広野に今度あそこに施設ができるわけですが、その施設あとの利用方法についてはどういうふうに御計画がなっており、監督をどういうふうに指導されるつもりであるか、それを伺いまして、私の質問を終わります。
  100. 三木武夫

    三木国務大臣 国と地方との負担というのは、私は日本は三分の二と三分の一ぐらいがいいところだと最初から思っておりました。カナダの例もありますけれども、やはりカナダとは、たとえば州というものが大阪府とはちょっと性質が違うわけですから、あれでまあ適当である。  それから、いろいろなスキャンダル、こういうものが起こって住民ばかりでなしに国民大衆の不満が起こらないようにしなければならぬという御注意はもっともです。最初にあの万博協会の会合があったときも、私は最初に申したのはこの点でありました。石坂さんも、これだけは、もうスキャンダルだけはこの万博に起こしたくないということを強くみなに注意を与えておりました。しかし、ああいう何ぶんにも短期間の間に工事をやろうというのですから、今後ともこれは十分に注意をしていかなければならぬ問題だと思います。ただ、土地の値上がりというものは、どうもああいう問題があると、やっぱりある程度の値上がりが起こるのは非常に残念な点でありますが、しかし、この万博のいま土地の買い上げに対しては、そんなに価格をつり上げておるようなものではないと私は考えております。大阪府がいまやっているのは、あまり法外な値段ではないと思っております。しかし万博開催機会に一部の者が利得を得るというようなことは、厳にそういうことはやはりできるだけ防ぐような努力をしなければならぬと考えております。
  101. 橋本徳男

    橋本説明員 あと地利用の問題でございますが、これは御承知のようにその土地の所有者が大阪府でございます。したがいまして、基本的には大阪府の処分によるということになりますが、相当膨大な国家資金をあの関連公共事業その他において投入いたしますので、私たちの考え方としては、一応このあと経済並びに社会発展の基盤となるような使い方が第一点であり、第二点は、これは将来におきまして、ここでこういう意義を持った博覧会開催されたということを後世に伝えると同時に、国民なり地域住民のいこいの場を兼ね備えるような形においていかなる施設をやるべきかというふうなことで、現在大阪府と私のほうで検討しておりまして、大体八月ごろまでにはその結論を出そうというふうなことで急いでおるわけでございます。
  102. 穗積七郎

    穗積委員 最後の私の質問に対するいまの御答弁、本来言いますと、これは私よりも当委員会に大阪出身の久保田委員、川上委員等もおられて、多少具体的なものをもってただしておいていただいて、そしてあやまちなきことを期していただくことが適当だと思ったのですが、私の実はささやかな遠耳ですらそのことが非常に——ある一部の会社、ある一部の階級、これに政府の出資により、その施行によって得る、それにからんでいろいろな疑惑を大衆的に持ちだしておるのがわれわれの耳にも伝わってくるわけです。だから、いま私は御注意程度でこれで終わっておきますけれども、このことは外務省、特にまた実施に当たる通産省におかれましては、今後とも一そうの注意と公平な精神をもってやっていただきたいということだけ申し上げておきます。
  103. 福田篤泰

    福田委員長 永田亮一君。
  104. 永田亮一

    ○永田委員 関連してちょっと国連の問題について、博覧会あと施設の利用については何か日本に、ユネスコでも何でもいいのですが、そういうものを誘致することを考えたらどうかということをこの前椎名外務大臣に私は御質問を申し上げたことがございました。それで国連局長が国連の本部のほうへその意向を打診するということであったわけでありますが、その後国連の大使松井さんのほうから何か御返事があったかどうか、そういうことがあったら聞かせていただきたいと思います。
  105. 三木武夫

    三木国務大臣 そういう話を私自身も記憶しています。何かそういう希望があったことを。しかし、どういうふうになったかということは松井さんからはまだ何も報告をしてきておりませんが、そういう可能性があるだろうかということは、今後ともわれわれとしても注意をいたしていくことにいたします。
  106. 福田篤泰

    福田委員長 これにて千九百二十八年十一月二十二日にパリ署名された国際博覧会に関する条約第四条を改正する議定書締結について承認を求めるの件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  107. 福田篤泰

    福田委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 福田篤泰

    福田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本件に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 福田篤泰

    福田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  110. 福田篤泰

    福田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる七日、午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時三十分散会