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1967-07-12 第55回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十二日(水曜日)     午後三時四十六分開議  出席委員    委員長 矢野 絢也君   理事 小宮山重四郎君 理事 斎藤 憲三君    理事 福井  勇君 理事 渡辺美智雄君    理事 石野 久男君 理事 三木 喜夫君       池田 清志君    岡本  茂君       世耕 政隆君    箕輪  登君       石川 次夫君    三宅 正一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 剱木 亨弘君         国 務 大 臣 二階堂 進君  出席政府委員         科学技術政務次         官       始関 伊平君         科学技術庁長官         官房長     小林 貞雄君         科学技術庁研究         調整局長    高橋 正春君  委員外出席者         科学技術庁宇宙         開発推進本部長 高木  昇君         文部省大学学術         局審議官    岡野  澄君         郵政省電波研究         所長      上田 弘之君         参  考  人         (東京工業大学         教授)     岡本 哲史君         参  考  人         (明治大学教授)新羅 一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(宇宙開発に関す  る問題)      ————◇—————
  2. 矢野絢也

    矢野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  宇宙開発に関する問題調査のため、本日、東京工業大学教授岡本哲史君及び明治大学教授羅一郎君を参考人として、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 矢野絢也

    矢野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  4. 矢野絢也

    矢野委員長 この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ、本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。どうかそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。  それでは岡本参考人からお願いいたします。岡本参考人
  5. 岡本哲史

    岡本参考人 東大側から報告書が出されましたので、それを読みました所感について申し上げます。  本委員会からどのような種類の報告書要求されましたのか存じませんが、報告書の内容を総括的に見ますと、専門の人でない方を対象にして書かれておるように考えられます。  専門的に見ますと、不十分な点、不備な点が非常に多いように考えられます。たとえば第二章の三枚目の中ほどに「約サイクル毎秒のスピン」という字がございますけれども、サイクル毎秒の数字が記入されていません。また、第二、三、四章の飛しょう計画では加速度の単位が、一号機では重力の加速度でGとなっております。二号機、三号機ではメーター毎秒自乗というようになっておりまして、統一されていないというような点がございます。この点から見ますと、本報告書は、研究所の名で提出されてはいますが、研究所教授会で十分に検討されていないのではないかというように考えられます。  次に、専門的にちょっと不十分であるというふうに考えられます諸点について申し上げますと、空力特性の欄で風洞実験データがございません。  二番目に、最後の章の実験結果で、テレメーターデータが非常に少ないのでございます。一号機で四枚、二号機では皆無、三号機では一枚というような状況でございます。  第三番目に、ラムダ4S一号、二号、三号機の失敗原因追及が十分ではないというふうに考えられます。  この失敗原因については、一号機は、第三段の燃焼が異常であったということ、デスピン装置が作動しなかったという理由があげられておるのであります。二号機では、デスピンの作動が不十分であった、第四段目が点火しなかったというように報告されております。三号機については、第三段目が点火しなかったというようにされております。  最後に、第三段目が点火しないのは、これだけではなしに、その前にL4S型で二回、それからし3H型で三回もある。またその対策原因研究がなされていないというように報告されております。  そうしますと、今後当面の先決問題は、十分に時間をかけまして、第三段目の点火が確実になるように研究、改善をするというようなことが重要ではないかというように考えられます。それができましてから、スピンの問題あるいは人工衛星を上げるというような問題に取りかかるべきではないかというように考えています。  以上でございます。
  6. 矢野絢也

    矢野委員長 次に新羅参考人
  7. 新羅一郎

    ○新羅参考人 いま岡本参考人が、おっしゃいまして、私の考えたのとある程度ダブっておりますこともありましたから、そういう点はできるだけ省いた私の意見というものを申し上げたいと思います。  第一番に、これは少し妙な言い方かもしれませんが、本報告書というものの性格は、一体何であるのかということでして、との報告書が取り上げられたのは、多分ラムダが三回うまくいかなくて、それに対する検討だということになっているのだろうと思いますが、報告書を見ますと、これはその八〇%か九〇%ぐらいは計画そのものの記述であります。そして実際の飛行成績、その検討というふうなのは、あと残りのものだけで、ほんとう報告書のねらいが何にあったかというのがよくわかりませんので、それでいいのかもしれないが、何かはっきりしない——計画計画でそれも出していただきたいし、もし事故調査というふうなのが主眼であるならば、それはそれに焦点を合わせた報告書であってほしかった。私自身はどちらが要求されているのかよくわかりませんから、何とも申し上げられませんが、この厚いものを見た印象はそういう印象です。  計画書のほうについては、こういう非常に詳しい——詳しいといいますのは、いままで出ていなかったデータ資料が初めて出ている部分がところどころにありまして、さすがに国会というところはえらいところというか、権威のあるところだということを初めて知りました。ということは、逆にいって、こういう計画中身について、この程度あるいはもう少し詳しい技術的なものが、もっと学界の中で発表されて、そして自由な討議がそこで行なかれておるべきでなかったか。こういう報告書で初めて見るというふうな、一般多くの人の目に、触れないというのは何かおかしいという感じがするわけです。これは追って宇宙研報告でされるものであったのだろうとは予測しますけれども、過去のいろいろな報告から見ますと、これは普通の宇宙研報告なんかに比べると、ある面では非常に詳しいディテールも出ている。多分学界での論議というものが活発でないというのが、こういう結果を招いたことになるのでしょうが、これは非常に不幸な現実じゃなかろうか。こういうものが国会に出る以前に、もう少し学界の中で自由な検討が望まれる、そういうふうに思うのです。  それから、全体的な印象としまして、これを見ますと、非常に急いで作成されたのだろうという感じで、文章があちらこちらダブっておりますし、また全体の企画が非常に不親切というか、読みにくい。だから各章——たとえばラムダ一号機、二号機、三号機、それぞれの計画が出ています。それからモーター、姿勢制御、それぞれは非常に重要な中身なので、この報告東大宇宙航空研究所なんですけれども別々の論文、別々の執筆を寄せ集めた感じでして、それならばそれで、それぞれのところで執筆者の名前がはっきりされて、責任者がはっきりされていないとあとディスカッションにも困るような感じがするわけです。  中身につきまして私たちが特に興味を持ちますのは、ラムダ三回ともうまくいかない。それぞれが別々の理由になったようです。まず一回事故があったら、それを十分解析して、それ以後事故がないようにしなければならぬ。これは当然のことでありまして、事故調査というのは、たとえ人が乗っておらぬにしても、とにかく相当の大事業でありますから、慎重な手広い事故調査が必要である。多分所内では行なわれたと思うのですが、そういう事故調査中身報告が当面は一番知りたい。そういう点から見ると、この中身は客観的なデータの記載が、これはいま岡本さんが言われましたが、これでは不足でして、特に興味があるのは三号機のフライトデーダ、テレメーターデータですが、こういうものが三号機については一枚ありますが、それはちょうど発射後一分五十秒程度のところで、三号機がうまくいかなかったという理由として、四段目の首が切れた、その辺の状態が、どういうデータから、スピンがいつかかって、いつ変化して、そういうことがわかれば非常に興味深いと思うのですが、不幸にしてそういうものがありません。これは、全体的に報告書目的がはっきりしていないというところに原因があるのじゃなかろうか。もし事故調査というふうなのが主眼であるならば、もう少しフライトデータまではっきり入れた調査がほしい、そう思われます。  それから、去年の九月、第一号機を打ち上げる前から、今度の一号機は人工衛星になるかもしれぬ宇宙研からの公式の文書では、人工衛星にするということは目的には入っていなかったと思われますが、うまくすればなるかもしれぬという話と、それから、いや、人工衛星になるとしても、確率は十何%いったり、それから五、六十%だという数字があったり、いろいろな数字が新聞とか何かに宇宙研人たちの談話として出まして、よそから見ますと、人工衛星になるということに対して、どの程度確率があるのかというふうなことをやはり検討されていたに違いない。だとすれば、そういう信頼性に対するデータ、どういう確率をどういうふうにして計算されたかということは、やはり報告を見たい非常に大きいポイントになるのですけれども、そういう点に触れていないのです。こういうのが、もしできれば別の機会に拝見したい、そういうふうに思うわけです。  文章は、さっき言いましたように、ずいぶんダブっております。  それから、データの中でもう一つ事故調査という面からいいますと、フライトデータをとったのは内之浦だけでなくて、あのときはずっと鹿島でもとっているわけでして、そういうものともたぶん比較しながら事故調査というふうなことをやられたのだと思うのですが、それがどうなっているかもわからない。要するに、この報告書事故調査主眼でなかったということですと、いま言ったようなことは注文にならないわけですけれども、やはり事故調査ということ自体は大事だと考えられますので、そういう面も入れた報告書を見たい、そう思うわけでございます。
  8. 矢野絢也

    矢野委員長 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。     —————————————
  9. 矢野絢也

    矢野委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。三木喜夫君。
  10. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いま参考人から率直な御意見をいただきまして、私たちポイント、要点的ですが、非常に参考になったわけです。ただ、その中で、何のためにこの報告書が出されたかということについて、はっきりおわかりいただいていない面があると思いますので、最初に申し上げたいと思うのです。  私たちは、御存じのように、原子力の開発の問題にいたしましても、宇宙開発にいたしましても、いまやこれはビッグサイエンスになり、しかもそれがビッグビジネスになりつつある、そのときにあたりまして、東大が学問の自由という牙城の中にだけあってこういうビッグビジネスビッグサイエンスが十分にこなせるかどうかというところに問題を置いておりました。時たまたま、ラムダ4S一号機、二号機、三号機とあれだけ国民にアピールして、人工衛星になるのだというように宣伝しておきながら、これがほんとうに不幸にも失敗を続けたわけであります。この失敗原因は一体どこにあるかということは、これは国費をたくさん出してやるところの開発研究にとりましては重要な問題であります。したがいまして、せめてこれは国民の前にも明らかにし、さらに少なくとも国会に対しましてはそうした技術報告書を出していただきたい。そして、私たち技術的なことはわかりませんから、本日おいでいただきました科学者あるいは学者、技術者の方に見ていただいて、ほんとうにどこに問題があるかということを、真摯に、お互いに胸襟を開いて、秘密主義にならずしてやっていくことが日本科学技術振興のために役に立つのじゃないか、こういう見地に立ちましてこの技術報告書を出していただいたわけなんです。しかし、ただいま、そういう観点だろうというような両参考人のお考えで、非常に率直な御意見を承りました。  その御意見一つは、これは専門家を見せるところのものでなくして、しろうと対象にしておる。しかも、その書いてあることは重複しておるし、また、重要なものは抜いたか抜けたかわからないけれども、ない。さらに、事故中心にして、故障中心にして、これをほんとう浮き彫りにするというような態度でない。このようにただいま承って、私もそういう点では非常に遺憾に思うわけであります。  したがいまして、きょうは幸い東大航空宇宙研から高木先生、あるいは大学局側からは岡野審議官もおいでいただいておりますし、それから、日本科学技術を推進する総元締めでありますところの二階堂長官もおいでになり、文部行政中心である剱木文部大臣も後刻おいでいただくだろうと思いますので、そういう責任を持っておられる人々の御意見をよく聞いて、足らないところはひとつ補っていって、どうしたら日本宇宙開発がいい体制でいけるか、これをやはり浮き彫りにしなければならないと私は思うわけであります。先般、不幸にも、糸川教授が、責任をとられたか、あるいはまた後進に道を譲られたのかわかりませんけれども、この体制からはみ出してしまわれております。この問題をめぐりましても、あすでもいろいろ問題の追及に当たらなければならぬと思うのですが、私は、何といいましても、第一番には技術の問題、第二は体制の問題、第三は東大におけるところの経理の問題、こういう問題になっている点をひとつ改めていって、いい方向に持っていきたい、こういう考えを持っておるわけです。本委員会におきましても、そういう考え方で審議をやっていただいてあるわけなんです。  そこで、両参考人にひとつ端的にお聞きしたいのでありますが、時間もありませんから——このラムダ4Sの技術報告書を出してもらったわけですが、この報告書の全般的な印象はお二方はどう思われるか。こういう点では欠けておる、こういう点では欠けておるとおっしゃいましたけれども、いま私が申し上げました立場からいたしますと、この報告書をどう思われるかということをひとつ端的にお答えいただきたいと思います。
  11. 岡本哲史

    岡本参考人 端的にお答え申しますと、技術的に十分に検討をされていない感がございます。
  12. 新羅一郎

    ○新羅参考人 同じ意見です。
  13. 三木喜夫

    三木(喜)委員 十分に検討されていないということは、高木さんも岡野審議官もおいでいただいておりますので、後ほどひとつそうでないという点がありましたらおっしゃっていただきたいと思うのです。その十分でないという立場は、私はさきがたのお話では失敗を再びやらないために、それに対するところの解析をやっておらないというようにとるわけなんですが、そのとおりでありますか。
  14. 岡本哲史

    岡本参考人 失敗原因究明以外に、基礎となるべき問題の研究が十分ではないと思います。
  15. 新羅一郎

    ○新羅参考人 解析が十分であったのかどうかわかりませんが、少なくとも報告の上では出ておらない。
  16. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そういう重要な問題がこの報告書の中に浮き彫りにされていないことは、これは私たちが願いました事志と非常に違うので残念に思いますが、その点についてはいずれあと高木さんにお聞きしたいと思います。  それでは、私もこれを見まして、報告書計画の面につきましては非常に膨大でありますけれども、このあとの実際の結果については二〇%とおっしゃいますけれども、ほんとうはもっと少ないのではないか。この前にはちょっと書いてあるようにしろうと目にはわかりますけれども、まあそういうように感じておったんですが、そのことは間違いないようであります。  そこでラムダ4S一号機、二号機、三号機、各段の速度加速度振動などについて解析したグラフがないように思っておりましたが、いま両参考人もおっしゃっていただいたようでありますし、テレメーターデータも一部分しか添付していない、こういうことになるようでありますし、私が見せていただいて、飛しょう経路についても南北方向にどれだけずれたかを示す資料もないように思うのですが、参考人の方、その点はどうですか。
  17. 岡本哲史

    岡本参考人 経路に関しましては水平方向といいますか、XY方向と申しますか、計測データもありませんし、実測データも計測されていません。
  18. 新羅一郎

    ○新羅参考人 垂直面の中の実測値だけはありますが、水平面の中で方位がどういうふうに変わったかという実測値はないように思います。
  19. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうしますと、要約いたしまして、この技術報告書専門家の目から見れば非常に不完全なものということが言えますか。そう言っていいでしょうか。
  20. 岡本哲史

    岡本参考人 そのとおりでございます。
  21. 新羅一郎

    ○新羅参考人 そう言えると思います。
  22. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これは非常に労作をかけて東大から出していただいた報告書でございますので、私は高木所長をとっちめようという気持ちは毛頭ございません。しかしながら、いまのお二人の参考人お話しになりました点で、こういう点があるじゃないかという御意見がありましたらひとつ言っていただきたいと思います。
  23. 高木昇

    高木説明員 この報告書専門家向きでないということでございますが、私はそう思っておらないのでございます。一々解析の詳細その他は抜けておりましても、これは結果は全部出ておりまして、そうしてL4S計画やり方、こういうシステムのやり方については漏らさず出ておるのでございます。  それからもう一つは、故障中心として浮き彫りがしてないというお話でございますが、そこにあります故障のほうは、おしまいに出ておるわずかなページではございますけれども、ここが故障になったということを浮き彫りにするためのデータは全部つけたつもりであります。  全飛しょう経路その他についてのデータにつきましては、これは必ずしもこの報告には必要でないということで省いてあります。それで三段目が着火しなかったというのはどういうテレメーターデータから判断したか、そういうことを述べたつもりでございます。  それから、ただいまロケットのエンジンの話がちょっと出ましたが、地上試験データ、それからどういう振動があるかというのは、これは地上試験でもオシログラフでもちろんはかっておりますけれども、そういうことがあっては計測器その他に影響が——異常燃焼などしますと、そういう強い振動が起きますので、必ず静かな燃焼をやる、そういう状態までに日常実験をやっておりまして、したがって、飛しょう時につきましては、現在はそういう心配がない。また、テレメーター加速度計その他から異常振動というのはひとりでにわかりますので、そういうものがないからこそやはりここにも出ていないわけでございます。L3HあるいはL3、過去何回かやっておりまして、この種のロケット飛しょうについてはかなりの経験がある。前のほうにも宇宙研報告なんかにそういうものが出ております。  それからこの報告書そのものは、先ほど執筆者お話が出ましたが、私は各章の執筆者を分担して御依頼しておりますけれども、ここにはあえて書きませんでしたが、いずれ印刷になりましたときに入れて、それぞれディスカッションをしていただくつもりでわざわざ省いてございます。  それからちょっとこまかいお話でございましたが、水平方向のずれというお話がございましたが、これももちろんデータはございます。追加資料のほうでも御要求がございましたけれども、これもちゃんとございまして、いずれこういう専門的なものはあとで一括して学会あたりに出す予定にしておりますので、ここでは垂直方向が軌道の速度とかそういうことから考えて一番重要な問題でございますから、この中にはレーダーの実測によってあらかじめ推定された角度の中でどういうふうに上昇していくか、そういうものは詳細に出しておるのでございます。
  24. 三木喜夫

    三木(喜)委員 きょうは郵政省電波研究所長上田さんにもおいでいただいておりますので、電波研所長さん、それから高木本部長にお聞きいたしたい。  ラムダ4S二号機の自転問題、あなたは五月十七日のこの委員会で、ラムダ4S二号機は第三段目の燃焼が終わったあと、毎秒一・六回の割合で自転していたが、姿勢制御装置が働いてその自転をゼロにしたと述べた。しかし私が郵政省電波研究所からもらった電波受信資料によると、ラムダ4S二号機は自転がゼロになっていない。この報告書でもラムダ4S二号機のスピンはゼロになっていない。あなたはここでもうそをついておるように思いますし、国会に対しての報告書の中にもこういう食い違ったものを出しておられるのですが、なぜそういうことをなされるか、私は非常にふしぎに思うのです。その点について、電波研所長さんからも二号機のデーターを出していただいておりますが、これと比較いたしまして、ゼロになっていないように思います。お二人からひとつお答えをいただきたいと思います。
  25. 上田弘之

    上田説明員 お答えいたします。  第二号機のスピンにつきましては、鹿島で受けましたものは、これは初めが二・五サイクルくらいだったと思いますが、それから急に落ちまして約一サイクルに近いくらいなところをずっと継続しておったように思います。  ただし、先生のいまおっしゃった御質問に関連いたしまして申し上げたいのでございますけれども、鹿島で観測しておりますデータと、それから東大でおとりになっておりますデータそのものが同じ電波をキャッチしておるものでないように聞いておりますので、その点におきまして実情何を対象として、何がどうであったかということまでの推論ということはわれわれのほうではちょっとできがたいと思いますので、つけ加えさしていただきたいと思います。
  26. 高木昇

    高木説明員 ただいま上田所長かの御説明もございましたように、鹿島で受けている電波は第四段目に塔載のビーコン装置百三十六・一六メガサイクル、この電波からそのスピンデータを出しておるのでございます。宇宙研では、鹿児島では第四段のその電波も受けると同時に、第三段に乗っけておるテレメーター送信機姿勢計データ、こういうものを使って測定しております。姿勢制御を行ないますものは第三段でございます。したがってこの四段目の出す電波は、鹿島とそれから鹿児島で両方で受けておりますし、第三段の出す電波鹿児島だけで受けております。そこで姿勢制御をやっておるわけでございます。ラムダ4S二号機におきましてスピン周波数が第三段と四段とで測定値で食い違っておりますのは、そこで第四段の結合がゆるんだというようなところで、その電波のほうから判断されるわけであります。私、鹿島のほうのデータもいただきまして両方突き合わせておるようなわけであります。
  27. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこが高木本部長先がた参考人のおっしゃいましたように、鹿島電波研周波数は違う四段目ですからそれを入れて、一体四段目はどういうところのスピンを示したか。そして、三段目はどういうスピンかということになりますと、当然この報告書のここに上がってこなければならないと思う。ここに出ておりますけれども、三段目のスピンは、最低でも一回転しておるわけなんです。あなたは、とまった、とこうおっしゃったのですよ。これは二号機のスピンですよ。最低でも一回転しております。そうして私の申し上げたいのは、なぜそういうように国会でうそをおっしゃるのか。われわれはしろうとですから、姿勢制御スピンがとまったというようなことを言われたら、ほんとうにするじゃありませんか。これが出ておりますのを見ましたら、三段目はなるほどサイクルが違います。三段目のはこういうグラフを示しておりますが、レスピンをかけたときにこれが一挙に七・五のスピンを示しておるじゃないですか。このうしろのほうを見てください、あなたが出されたものです。そして、鹿島電波研の観測したものは四段目のスピンだということになりますと、私、電波研かももらったのをここへ赤で入れてみました。そうすると、レスピンしたときも同じような調子で、一前後のスピンを示しております。なぜこんなものを出されないのですか。これでやってみますと、四段目は同じように一回転しておるのに、三段目は七回転しておるのですよ。そういうことを示すのじゃないですか。そうすると、すでにこのときには、レスピンをかけたときに四段目はもう一緒に回っていないわけですね。片方の下の胴体のところは七・五回回っている。ところが、上にあるところの衛星部分になるところ、この部分は一回しか回っていない。そうすると、この問に完全に断絶したものがある。それを鹿島電波研ではとらえておるわけです。なぜ二つ載せられないのですか。そうせぬことには、いまお二人がおっしゃいましたように、一体どこで、どういうぐあいに切れたか、打ち上げて何秒後にそれが切れておるかということのデータにはならないのじゃないか。うそをつき、しかも、それはとれなかったのだと言っても、鹿島電波研ではちゃんととっておられるじゃないですか。私たちしろうと鹿島に頼んで、とってみて初めてこういう失敗の状況がわかった。なぜ親切にこの辺を書いてくれないのですか。
  28. 高木昇

    高木説明員 この一一・七図でごらんになるように、鹿児島でもちゃんと四段目と三段目の電波のズレは認めておるわけでございますから、そこで接合がはずれて四段目が点火しなかったということを御報告したわけです。鹿島とは——別に私、うそをついているということを申し上げるわけじゃございません。ちゃんと……。
  29. 三木喜夫

    三木(喜)委員 この前、国会で言われたときには、スピンはゼロになった、こうおっしゃった。前にあなたはおっしゃったのですよ。  問題点を申し上げますと、二つあるのです。一つは、前の本委員会であなたは、ラムダ4S二号機のデスピンをかけてからスピンがゼロになった、こう言われておるのですけれども、非常に飛び上がって七・五回回っておる。
  30. 高木昇

    高木説明員 それは姿勢制御している部分ではないわけです。姿勢制御しているのは三段目でございます。
  31. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これは三段目のスピンじゃないですか。
  32. 高木昇

    高木説明員 三段目は姿勢制御です。
  33. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうでしょう。それが七・五だったらゼロになっていないじゃないですか。
  34. 高木昇

    高木説明員 七・五は四段目です。これはここにありますように、この時点では一サイクルになっております。
  35. 三木喜夫

    三木(喜)委員 四段目はいま鹿島では……。
  36. 高木昇

    高木説明員 四段目は七・五サイクルです。
  37. 三木喜夫

    三木(喜)委員 四段目はそんなに回ったのですか。
  38. 高木昇

    高木説明員 そうです。四段目は七・五サイクル回った。レスピンをかけて四段目が七・五です。このところを鹿島も同じにはかっておるわけです。
  39. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いま高木さんのお話では、この二号機のスピンについては、これは三段目のスピンデスピン、それからレスピン、こうだということを言われましたね。そうでしょう。三段目ですね。そうして、鹿島電波研では四段目をとっておるわけですね。私がその記録をここに書いてみますと、私の間違いかどうかわかりませんが、デスピンをかけて四段目は一に下がっておるのですよ。時間的に追っていきますと、ずっと一に下がっております。東大から出ておるのは、レスピンしたときには七・五を示しておるわけなんです。それをずっと示しておるわけです。ものすごく回っておるわけです。そうして四段目だけは、一・何ぼしか回っていないこういうことじゃないですかということを言っているのです。  それからもう一つは、前のときには、この三段目も四段目も一緒にして、あなたの御答弁ではスピンはとまった、こういうふうに言われておるんだということを言うんです。なぜそういうようなうそをおっしゃるのですかということを言っておる。この報告書にもそういうような親切な書き方をしていただかなかったらいかぬかと思う。問題はそういうあなたの態度のところを申し上げるのではなくて、なぜ七回も回ったか、片一方は一回しか回らなかったか。同じようにつけておるんでしょう、こういうぐあいにつけておるのでしょう。これが四段目といたしますと、これだけはスピンは一回しか回らない、これは七回も回っておる。そうすると、この間は完全に隔絶してしまっておるじゃないですか。そういうことがおそらく技術的な問題点になるだろうと思うのでお聞きしておるわけです。
  40. 高木昇

    高木説明員 この二百秒のところ近くまでは、第三段と第四段がほぼついておったわけでありますが、このレスピンでB3がなぜ早く、七サイクルで回ったかという御質問でございますね。
  41. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いやいや、それはまたあとでやります。
  42. 高木昇

    高木説明員 それはメーンと、四段目とこれが離れたために、マスが、質量が少なくなって、そうしてレスピンモーターのあれが十分で、早くなるこういうことです。つまりこういうことから、ここが切断したんだという一つの証拠になるわけです。二つがこう違ったスピンをやるというところで、それがはずれた、切れた、こういう結論になるわけでございます。
  43. 三木喜夫

    三木(喜)委員 高木さん、そうでしょう、そういう意味合いでしょう。
  44. 高木昇

    高木説明員 そういう結論です。
  45. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それならなぜ四段目と三段目のアンバランス、これをこのデータに載せられないのですかということを私はお尋ねしておるのです。
  46. 高木昇

    高木説明員 ここに出ております。
  47. 三木喜夫

    三木(喜)委員 四段目は載っていないでしょう。
  48. 高木昇

    高木説明員 私これがそうだろうと思います。間違えるといけませんが、B3が三段目でメーンが四段目でございます。
  49. 三木喜夫

    三木(喜)委員 時間がありませんから次へいきます。ここでラムダ4S二号機は首が切れた……。
  50. 高木昇

    高木説明員 ちょっと失礼します。この下の点線がそうでございます。下が第四段目でございます。両方出ております。
  51. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これはやはり時間的に追うて、ずっと出しておいていただかぬといかぬです。
  52. 高木昇

    高木説明員 両方出ております。
  53. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これからもう全然わからなくなったのですか、この点線のところから……。
  54. 高木昇

    高木説明員 この点線で切れておるのがそうだろうと思います。ここからがとれていないのだろうと思います。
  55. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これによりますと、ちょっとこまかくなってきますけれども、十一時二十一分三十一秒から二十二分二十五秒、これは二段目ですが、十一時二十二分二十五秒から十一時三十二分三十二秒まで、〇・九五から〇・九八を示しておるわけなんですが、これはちょうどそうなっていますか、高木さん。
  56. 高木昇

    高木説明員 いまちょと聞き落としましたが、この鹿島電波と、私のメモによりますと、百三十六メガの四段目塔載の電波は、電波研で出したスピンデータと、私たちが十一・七図に書きましたものとが一応合っておるというふうに私は報告を聞いております。そしていま時間をおっしゃいましたが……。
  57. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私の申し上げるのは、この測定結果については、十一時二十二分から三十二分まで——これによりますと、ちょうど四分少々のところで、メーンスピンレートが切れておるわけなんです。しかしこちらは十一時三十二分まで。だから打ち上げが二十分ですから、打ち上げてから約十二分間メーンスピンレートを示しておるはずなんです。このことはいいですけれども、これは鹿島のほうですからね。そこで二つ申し上げておるのですが、なぜそれを全部書いておかれないのですか。ここでもうすうっと落ちてしまったようなかっこうになっておる。それを一つ言ったのです。  それからその次は、あなたはここではスピンがゼロになったと十七日のときには言われたのです。なぜそんなことを言われるのですかということを言うのですから、まどろこしいことを言わないで、端的に言っていただきないというです。
  58. 高木昇

    高木説明員 この点線がここで切れておるのは、ここで電波が受からなかったかどうかという問題もございますので、よく調査してみます。  それから、この前報告したあれをちょっといま忘れてしまいましたので、どういうふうに私が、      —————・—————  それから、この前報告したあれをちょっといま忘れてしまいましたので、どういうふうに私が、うような言い方をしたかどうかわかりませんが、実際のデータはここにございますように、一サイクルぐらい残ったわけでございます。これからデスピンのところでそのまま三段目はその線をキープしていった、こういうことでございます。
  59. 三木喜夫

    三木(喜)委員 先へ進みます。  ここで首切れかあるいは三段目と離れたわけですね。これははっきりしていますね。こういうラムダ4Sのスピンの様子は飛行中にも手にとるようにわかるというのですが、それはほんとうですか。
  60. 高木昇

    高木説明員 このスピンのレートをごらんになるように、飛行中もデスピンしたりレスピンしたりするというのは電波からわかります。もう一つテレメーターに載せておる姿勢計がございますので、その磁力線の姿勢計を使います。
  61. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それなら、ラムダ4Sの二号機では、四段目がちぎれたため、三段目のスピンがレスピンを毎秒七回転ほどやっておりおります。ラムダ4S三号機でも、三段目のスピンはレスピンを毎秒七回転ほどやっております。しかも四段目はデスピンもレスピンも働いていない、とめるほうもあるいはもう一ぺんスピンをかけるほうも働いていないことが飛行中にわかっていたはずです。ということになりますと、二号機と同様三号機についても、首がちぎれて落ちたことが発射後間もなくわかったはずだと思うのです。それを記者会見では発表していないのです。テレビを見ていて、電波研究所鹿島支所の実況中継からいち早く首が切れたと疑問を持った人がおるわけです。テレビの実況中継でさえわかるのに、豊富なデータを手元に持っておられるあなた方がわからないはずはないわけなんです。なぜこういうことを隠しておられるのですか。ここに私は問題があると思うのです。
  62. 高木昇

    高木説明員 この点につきましては、前にも申し上げたと思いますが、二号機から三号機にかけましては、ねじり力については事実十分な対策を講じました。したがいまして、この電波実験結果、これもあとからサイクルを勘定していたしますので、グラフだけですぐその場で何か出すのは非常に危険でございます。そこで私たちは、二週間たったあとでこの検討会を開いたわけでございますが、三段目の不着火については、非常に重要問題ですので、すぐその対策を講ずるようにお願いいたしましたが、結局強いと思っていた三号機の改良、これにつきましては、何といってもわれわれ若干思い込んでおりまして、何かほかの原因でこういうことが起こりはしないかというので、電気のほうに非常に原因を求めつつありましたけれども、結局このグラフ、ドップラーのスピンテレメーターや何かも出そろってまいりますと、どうしてもここが何かの原因であった。しかしねじりについては、構造関係の関係者にすぐ調査していただきまして、かなり強いことがあとからわかっておるわけでございますが、軸方向に何らかの圧力がかかったというようなことで、その後所内でこういう結論になったわけであります。
  63. 三木喜夫

    三木(喜)委員 秋も三号機の打ち上げ、そして失敗当時の新聞を全部読んでみました。ここに持ってきております。あとで各紙が発表しておる様子をお知らせいたしますけれども、その各紙に対しまして、あなたはいま申しましたように、首が落ちたということを隠しておられるのです。非常に豊富なデータを持ってやっておられるのに、それがわからないはずがない。先がたわかるとおっしゃった。そこでなぜ隠しておられたのかということを聞いているのです。帰って結論を出すとか、そういう問題ではなく、何か意図があったのですか。
  64. 高木昇

    高木説明員 秋、実際その場におりまして、こういうことで隠すとかいう気は毛頭——その当時、何回も申し上げましたように、そこで事故が今度起こるとは秋たちも夢にも思わなかっただけに、非常に慎重にしなければならない、そこの設計者が一応自信をもって言われましたので、私としては第三段不点火のほかに、さらに三段、四段の結合がはずれたということについては、あとからゆっくり検討したい、こういうつもりでおっただけでございます。第三段が不点火ということはわれわれには非常にショックでございまして、二つ欠陥が出たということについては、これは十分検討しなければならない、こういう気持ちでございます。
  65. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうすると、わからなかったことはないというわけですか。あと検討するために、首が落ちたということは知らせなかった、こういうぐあいにとっていいですか。
  66. 高木昇

    高木説明員 結合がはずれたというのは、私たちすぐにはわからなかったということは事実でございます。
  67. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それなら、高木本部長、私は言いたい。すぐにそんなことがわからないようでは、豊富なデータを持って刻々わかる、こう言っておきながらわからなかった、これではほんとうロケットを打ち上げる資格があるかどうか、私は疑わしいと思う。あなた方は専門家でしょう。じっと見ておられて、各専門を分けて、たくさんの人が手分けしてやっておられてわからなかったとは、ほんとうに情けないことじゃないですか。そこで問題が起こってくるわけなんですよ。この一つデスピンあるいは首落ちの関係を見ましても、もっともっと基礎からやるべきなのに、あなた方はラムダ4S一号機、二号機、三号機から、人工衛生を飛ばすのだ、こんなことを言っておられた。そうでしょう。そういう宣伝をなさったのでしょう。国民ももみなそれに乗せられたわけですよ。そうしたところが、本部長みずから、宇宙航空研の所長みずから首が落ちておったことがわからなかった、こういうことなんです。二号機も三号機も同じことをやっておられるわけなんです。それでなぜ人工衛星が飛ばせるというようなことが言えますか。ここが私は問題点だと思うのです。
  68. 高木昇

    高木説明員 三段目、四段目の結合の構造でございますが、私たち、かなり地上で動的試験もやり、ねじり試験もやっておりますことは、前に御報告したとおりでございます。にもかかわらず、飛ばしてみてそういうことが起こった。ただ三号機につきましては、あまりにそこに自信があっただけに、すぐ故障個所がそこであると即断することは、十分この電波データを見てからでないといけないわけでございます。いま基礎研究ということをおっしゃられましたが、こういう結合の強度つきにましては、一応地上では何回となくやっておりますので、あとは予想できなかった力がかかった、そこの安全係数の問題になってくるわけでございまして、これは貴重な経験だと考えております。こういうこまかいネジ一本につきましても十分な配慮を払うのは当然でございますが、こういうところ一つでも地上では何回もやったということを繰り返して申し上げさせていただきたいと思います。
  69. 三木喜夫

    三木(喜)委員 高木さん、時間がないので、かくあるべしとか、このように今後考えるという問題は一番最後の問題でお聞きしたいと思うのです。ここの一問一答で申し上げておることは、一つ一つ手にとるようにデータでわかる。そして先ほど申しましたね、四段目の、鹿島電波研で観測しておるところのあのデータを見ますと、十分間はスピン一でずっと続いておるわけです。そしてあなた方のデータでは、三分か四分のところでもう四段目のスピンは消してしまっておるわけです。これはごまかしですか。そして三段目はそれ以後も、デスピンからレスピンに移ったとき七・五を示しておるわけなのです。そういうデータをきちっとそこで押えられておるはずですよ。それを言うのです。自信を持っておったから気がつかなかった、あるいはネジ一本でも大切だ、こんなことはきまり切った話なので、そんなことをいま言うのじゃないのですよ。それが東大宇宙研の、私が日の丸衛星を打ち上げるのですというその態度ですかということを申し上ているのです。そこをおわかりください。そういうことでは、国民には日の丸衛星を打ち上げますということは言えないじゃないですかと言っているのですよ。それはどう思われますか。ネジ一本でも大切だと、こう御答弁になりますか。私はそういう質問をしていません。どうですか、その辺は。率直に言ってください。
  70. 高木昇

    高木説明員 三号機のいまの問題でございますけれども、確かに私、かりに十分改良したと思っても、二度こういうことがあったことについては深く反省させられております。したがいまして、いまこれについては、この設計者、この担当している人は非常に反省しておりまして、この構造を根本的に改良とまで言っておりまして、いまおっしゃられましたように、私たちとしてはそのときのベストを尽くしてやっているつもりでございます。
  71. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いま申し上げるようにベストを尽くしておりません。記録のごときもきっちりとれるはずなのですよ。鹿島電波研でさえ、四段目と三段目との違いを指摘しておるじゃありませんか。あなた方はずっとデータを持ち、たくさんの国費をかけてそういう機器を買い込んで、そうして万全の対策をしいて、おれは日の丸衛星を打ち上げると宣伝なさった。当時の新聞、これを私は全部切り抜いて、どこが、問題かということを全部一つ一つ、各紙の分を検討してみました。読売新聞は「日の丸衛星当分望めず」、日の丸衛星と書いておりますよ。宣伝しないのになぜこういうことを書きますか。これは毎日新聞「ラムダ打ち上げ失敗」「三段目ロケット点火せず」、それから朝日新聞「国産衛星ラムダ三号機打上げ三たび失敗」、みな国産衛星と書いていますよ。これは日本経済新聞「一人よがりなかったか」「日の丸衛星の失敗」「研究体制に不備」「見習いたい米国の科学性」「ラムダ三たび失敗」これは日本経済新聞です。産経のごときはこれだけたくさんの紙面をさいている。「衛星の夢三たび破れる」、三たびもこういう宣伝をして——失敗はいいですよ。自信のないのになぜこんな宣伝のしかたをするのですか。これは国民を愚弄するというものですよ。新聞も非常に期待を持っておりますよ。これは東京新聞「ラムダまた失敗」、読売の夕刊「日の丸衛星十分もかからず失敗」、みな衛星、衛星と書いておるのですけれども、私たちがここ一カ月ほどこのロケットの問題をいろいろ検討してみますと、東大には一号機から二号機から三号機には特別の意図があったような気がします。衛星を打ち上げる、打ち上げるといって、何ら準備もできていないし、同じ初歩的な失敗をずっと繰り返しているじゃないですか。みなそう書いていますよ。「初歩のミスくり返す「これは読売です。われわれ政治をやる者にしても、宇宙開発のこの仕事が成功してくれと願う者にとってはこの新聞は非常に頂門の一針です。この新聞をみな読まれましたか。なぜこんな宣伝をするのですか。責任者じゃないですか。そうして科学技術庁と両方の宇宙研究の衛星を打ち上げるところの最大の責任者ですよ。それがいまの応答の中でさえもほんとうにしどろもどろじゃありませんか。自信がないことおびただしいと思うのです。そうして、国会で私がこういうことを質問するということになりますと、ほんとうに御病気でお気の毒だと思いますけれども病院に入ってしまわれた。きよう来られるかと思ってひやひやした。こういうような態度、また糸川さんはもうあとはしり食らえ観音でどこかに行ってしまわれた。そうしてあと科学者がこういう負担を着せられては、日の丸衛星が上がる、上がるというような宣伝に踊らされては、国民も迷惑ですし、あとの方も非常にあせった気持ちになられるだろうと思うのです。二回失敗しようと三回失敗しようと、そこに真摯な科学者としての態度があってこそ私はいいと思うのですけれども、そうじゃないじゃないですか。記録一つを見ましても、ほんとうにまじめな記録をつくってくれていない。お二人の参考人は非常に言いにくいところを言っていただいたと思うのです。その点を申し上げておるのです。日の丸衛星を打ち上げる、打ち上げると宣伝せなんだですか、やったでしょう。その点答えてください。
  72. 高木昇

    高木説明員 私はそういうことをやった覚えはございません。しかし国民の声を反映している新聞が、確かに期待を込めて一号、二号、三号機と見守っていただいていたことは私も重々存じておりますし、私たちもまじめに、ほんとう技術的に、とにかくこういう人工衛星になるようなロケットのシステムをつくり、これである程度までいけるのではないかという実験を重ねてきたのでございまして、今後も——先ほどおっしゃった頂門の一針、確かそのとおりでございます。これを生かして、そして十分な基礎を続けていく、こういうつもりではあります。
  73. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうすると、高木本部長、私、姿勢制御に入りたいと思うのですが、これはもう少し言わなければならないと思うのです。あなたはこういうことを言っておられますよ。「「この計画は、すでに東大の評議員会(最高議決機関)もパスしておりまして……」といっていたが、実は「ミューロケットによる科学衛生計画」というパンフレットを評議会の席で配った」こういうように言っておられる。それから外務省から「衛星になる可能性があるなら、国連に事前通告すべきだ」と東大宇宙研に申し入れられておる。言わないものに何でそんな申し入れをするのですか。これは外務省ですよ。さらに郵政省東大に警告した。「ラムダロケットが使う電波は、高層気象観測用ロケットの遠隔測定実験用として免許したものだ。衛星になると、電波目的外使用で法律違反になる」これに対して東大宇宙研からこんなことを言っておる。「衛星にはならないから、ロケット観測用の電波免許のままで結構だ」と返事があった。国民にはそう言い、外務省にもそう思わして心配させ、郵政省にも心配さして、これは法律違反じゃないかというて心配さしておいて、その実はあなた方は、上がるかい、こう思っておったのでしょう。そんな態度ではいかぬと私は思うのです。こう書いてあります。「高木所長はこう答えた。「東大ラムダ4S一号機で衛星をまわすとは、ひとこともいっていない。あれはマスコミが勝手に騒いだのだ」」そうすると、これを書いたのはみなマスコミのいいかげんなことですか。外務省が心配したのも、これもいいかげんなことですか。郵政省の心配もいいかげんなことですか。新聞はでたらめですか。私は全部克明に見ましたが、衛星、衛星と書いてある。あなた方はそんなこと言わなかった、こう言うておるが、言わぬものを何でこう書くのですか。新聞はいいかげんなことを書くのですか。日本の新聞はみんな当てにならぬですか。日本経済新聞から産経から読売から毎日から朝日から、みなうそつきということになる。新聞がうそつきか、あなた方がうそつきか、ここにまた問題があるわけなんです、こんなことをしてくれて。私は、失敢は当然つきもので、そのことをとやかく言うのじゃないのですよ。みんな真摯な態度で打ち上げに努力しようじゃないか、公開もはばからない、悪いところはどこかということをちゃんと見せ合うてやったらどうですかということを言っておるのです。高木さん、これをよく見ておいてください。日経にはこう書いてあります。先がた言いましたように「一人よがりなかったか」「日の丸衛星の失敗」「研究体制に不備」「見習いたい米の科学性」、この中には三つのことが書いてある。一つは非科学的——先がたの話を聞いておりましても非科学的ですよ。科学者が非科学的な答弁ですよ。非公開性、秘密主義です。これは秘密主義の所産ですよ、これは秘密主義です。何にも見せてくれない。岡野審議官に私要求しても、あれは見せられません、これは見せられませんと何にも見せてくれません。委員会の決議で国会資料要求したのです。それが出せないのなら、あなたの名前を書いて、こうこうですということを出してくれと言うても、岡野さんは、名前も書きません。ひきょう未練です。あなた、名前を書いてないでしよう。そういう態度でやっておられる。そうしてもう一つは、協力を求めない、非協力的態度、この三つが日本経済新聞には書いてある。そうして、あとのほうに「がっくり首悩陣、記者団の質問に重い口」こう書いてある。こんなところでがっくりしたってだめですよ。国民みんなに対してこのことについての責任を持つというかっこうでいかなければいかぬのではないかと私は思うのです。  次に姿勢制御についてお伺いいたします。姿勢制御目的と意味は、四段目ロケットとその搭載機器の姿勢を水平方向に向けることだと思うが、どうですか。
  74. 高木昇

    高木説明員 そのとおりでございます。
  75. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうすれば、四段目ロケットがちぎれてしまったあとで、まるで抜けがらのようになった姿勢制御装置がうまく働いたからといって成功とは言えないではないですか。四段目の重さは百十四キログラム、つまり大人二人分の重さがある。それがついているのとついていないのとでは姿勢制御装置にしても、こちらは重さ二百五十三キログラムにかかる負担も大幅に違うはずであります。首がちぎれておるのにほんとう姿勢制御が成功したと言えるのですか。
  76. 高木昇

    高木説明員 これは、姿勢制御装置そのものは水平になったということはジャイロのほうからわかっておりまして、四段目がはずれて目方が軽くなっておれば、当然そこに姿勢制御の力も少なくて済むわけでございます。それがスピンの回転などにあらわれてくるわけでありまして、したがいまして、三号機の場合もそうでございましたが、二号機の場合も結合がはずれたわけでありますけれども、実際問題としては、それだけの目方のもの、はずれた三段目の目方のものもちゃんと姿勢制御できる。それがはずれて目方が軽くなっても、水平にちゃんと持っていけたわけなんですから……。そのものの力はくっついたままでも十分できるようになっておる、こういうことでございます。データをごらんいただくとおり、ある程度三段目のときにはずっと水平に入ったわけであります。この動き、つまり八本のノズルを自由に使ってジャイロが水平を検出するわけでありますので、私はこれでよろしいと思っております。
  77. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それは高木本部長さん、おかしいじゃないですか。姿勢制御に成功したとあなたは言われますが、この報告書によりますと、それはジャイロの基準軸の方向ロケットが向いたということであって、この基準軸そのものがちゃんと所定の方向を向いたかどうかわからないと書いてあるわけです。よろしいですか。これは私は重要な問題点だと思います。姿勢制御が成功したというのなら、水平にロケットがなった。そうして、この中のジャイロが、最初出発のときに軸が水平に持っていけるようにこう向けて、ジャイロが直角にというのですか、その方向になるようにしかけてあったわけですね。それがこういうぐあいになって、これ全体が水平の位置を保ったならば成功ですけれども、この報告書にはこの方向はどっちを向いたかわからない、こうなっている。こちらを向いておったらこれは水平じゃありませんよ。下に落ちてしまいますよ。報告書にはそう書いてあります。私の言うのは、先がたから問題点は、首が落ちてちぎれるほど振動があれば、ジャイロが狂うたんじゃないかということです。脂導装置がついていないのですから、ここまで行く間にがあっとみそすり運動もやりますしね。東大のは、誘導装置がついているのは四段目だけでしょう。あと全部誘導装置がついておりませんから、したがって、みそすり運動もやり、えらい振動があるわけですよ。何ぶん七・五のスピンがかかるくらいですからね。だから相当な振動でこうやって、この中のジャイロが方向がちょっと狂うてまいりますと、水平の位置が保てない、そう書いてあるじゃないですか。ちゃんと所定の方向を向いていたかどうかわからないとこの報告書には書いておるわけです。そういう結果であるのに、水平の方向を向いたということが言えるのですか。
  78. 高木昇

    高木説明員 その御質問はあるいはジャイロがドリフト——飛んでいる間に加速度や何かの影響を受けて軸が狂うんじゃないか、こういうことと私解釈いたします。ジャイロ自体は水平だということを知らしても、飛んでいる間に水平だというのが、こまですから少し動くんじゃないか。したがって、そのドリフトは電気で送るわけにはまいりません。どのくらい飛行中にドリフトがあったか、これは地上でもいろいろ試験をいたしまして、少なくとも一度以内であるというようなことは確かめてございます。したがって、三段目が確かにジャイロは水平ですよといって、今度は四段目が出ればうまく——はずれたから、いままでぐあいが悪かったので、これがうまくそのままの方向に飛び出せば、今度これをはかることによって逆にこれが水平だったら、中のジャイロの変動といいますか、これがないという証明になるわけでございまして、これが水平だと思って出たのに、一度か二度こういう向きに出た。これは電波とかレーダーなんかであとから測定いたします。そうすると、いま乗っけたジャイロの飛行中における基準の狂いは何度だということが逆に言えるわけでございます。地上でいろいろ振動だとか試験器がございますので、それによってやったところによりますと、まあ一、二度よりは狂わないだろう。したがって、そういう推定になっております。報告にはそう書いてございます。
  79. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうじゃないのです。報告書にその基準軸そのものがちゃんと所定の方向を向いていたかどうかわからないと書いておるのです。所定の方向というたら水平でしよう。それを向いておるということのわかる方法が何か地上からあるのですか。
  80. 高木昇

    高木説明員 一般にジャイロのドリフトは地上からわかりません。
  81. 三木喜夫

    三木(喜)委員 わからない。衛星が飛び出してみてわかるのですね。
  82. 高木昇

    高木説明員 逆に確認するよりしようがないわけです。それは自分自身はちゃんとこう向いているつもりが、みずからがずれたのをほかの方法で確かめるよりしようがない。
  83. 三木喜夫

    三木(喜)委員 どんな方法ですか。
  84. 高木昇

    高木説明員 つまり、そういうふうに人工衛星を、たとえば水平に行ったとして、それが水平でなかったらジャイロがドリフトしていたかもわからない。
  85. 三木喜夫

    三木(喜)委員 地上から地磁気の姿勢計によるデータはわからないのですか。これはちゃんと備えつけておるはずです。その点はどうですか。
  86. 高木昇

    高木説明員 地磁気の姿勢計は乗っかっております。それはデータをとりますときも時々刻々は——姿勢計は非常に複雑な図形をかきますから、あとから解析いたします。  それで、地磁気の姿勢計の精度の点でございますが、そのほうからはまだ十分明らかにすることはできません。姿勢計のいまの精度でございますね。いま乗っけておる地磁気でジャイロのドリフトがどのくらい出たということは明らかにすることできません。精度、詳しさの関係……。
  87. 三木喜夫

    三木(喜)委員 精度はわからなくても、こういうような報告書にどちらを向いておったかわかりませんという報告書を書く以前に、地磁気ではこういうようなデータを示しております、したがって、これはわからなかったんだというように結論してもらわなかったら、われわれは何を信じていいのやらわからない。あなたみたいに飛び出してみなんだらわからぬというようなことでは、これはたいへんなことですよ。一億円のものを、そういうような子供の遊びじゃありませんし、人工衛星が飛び出さなかったらそれが水平であったかどうかわからない。海の中へどぶんと落ってしもうても、これはしようがないじゃないですか、そういう不確実なことを言ってもらっては——一億円のおもちゃを与えておるのと違いますよ。おもちゃにしては高過ぎますよ。
  88. 高木昇

    高木説明員 いまのは何ページに書いてあるのでしょうか。
  89. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これはあなたが出したのでしょう。
  90. 高木昇

    高木説明員 私はそういうジャイロのドリフトのことは、実際にはどのくらい——しかし、一、二度以内だということは言えると思いますけれども……。
  91. 三木喜夫

    三木(喜)委員 何ページというても、これはページも打ってないから言いようがないのです。
  92. 高木昇

    高木説明員 「綜合結果」の八章の三でございますか、ここを引用されたのですか。
  93. 三木喜夫

    三木(喜)委員 「姿勢制御システム」のところを見てください、八章……。
  94. 高木昇

    高木説明員 八章ですね。一番終わりでございますか。「基準軸のドリフトがどの程度であるかという点である。これは姿勢制御終了後第四段ロケットの射出によって確認されるものであり、充分な資料は得られていない。」ここでございましょうか。
  95. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうです。
  96. 高木昇

    高木説明員 「これらの実験を通じてまだ不明の点は、実際に」このドリフトがどの程度であるかということです。これはいま申し上げたように、ちょっと地磁気姿勢計ではまだはかれないほど精度の高いもの……。
  97. 三木喜夫

    三木(喜)委員 読んでみますよ。あなたも読まれましたが、「これらの実験を通じて」——これはずれですね。ドリフトのずれ、流れを——「まだ不明の点は、実際に二自由度ジャイロスコープの基準軸のドリフトがどの程度であるかという点である。これは姿勢制御終了後第四段ロケットの射出によって確認されるものであり、充分な資料は得られていない。また一方再スピン時の姿勢変化が問題になる。L4S三号機では一度ないし二度程度の狂いが観測されている。制御終了後再スピン時点での制御順序は再検討の要があろう。」こう書いてある。だから、私の申し上げるのは、あなたがおっしゃるように、地磁気はそういう精度がわからないから、下からわかりません。ただ水平になったかどうかということは、衛星を打ち出してみなかったら水平であったかどうかわからぬというようなことでは、ほんとうに軌道に乗せて、そして水平にして、人工衛星を打ち出すことはできないじゃないですか、こういう不正確なものでは。出てみなければわからないという、まるで子供を生むような話ですよ。男か女かわからない。こんなことがあっていいんですか、一億円もかけて。私はこれは解せぬ。どうも合点がいきません。こんな態度でいいかどうか。
  98. 高木昇

    高木説明員 ジャイロのドリフトにつきましては、これは本質的に基準軸のズレというものはくっついておりまして、それが多いか少ないか、いかに少ないジャイロを選定するか、こういうような問題になるわけでございます。したがいまして、これに全面的にたよっていくことが、もしもかりに軌道に入るところで一度なり何か狂った場合にどうやって補正するか、バックアップの方法も普通は考える必要があります。たとえば、水平線を操作してその水平を見るとか、あるいはこちらからレーダーで指令を出して、オートパイロットのように指令を出してやる、こういうふうなやり方もとられております。いまはこのジャイロにだけたよってやっております。
  99. 三木喜夫

    三木(喜)委員 首がちぎれ、ジャイロの基準軸のドリフトさえよくわからないものを、姿勢制御に成功したと発表するのは、私はこれも国民をあざむくものだと思うのです。この新聞を見ましても、姿勢制御には成功していると、こう書いてある。この技術報告書は不完全なだけでなく、そういうようなうそも含んでおると私は思います。そういうことで一体どうなるんですか。非常に私は心配になるわけなんですよ、高木さん。  時間がありませんから次に移ります。ラムダ4S四号機問題をお聞きいたします。この技術報告書によれば「現在進めつつある無誘導打ち上げ方式が決して不確かなものではなく、技術的に十分な実現性の根拠をもつものであるということができるであろう。」と書いてあるが、一号機は第二、三段結合部の切り離しに失敗し、二号機は首がちぎれ、三号機は首がちぎれた上三段目にも火がつかず、こんな不確かなものはないと私は思うのです。この前歴を持ちながら四号機も日の丸衛星とやっぱり宣伝されるつものですか。そこからひとつお聞きしたいと思います。
  100. 高木昇

    高木説明員 三回にわたる実験につきまして、その故障個所について十分私たちも反省をしております。四号、五号機の今後の進め方につきましては、ただいま慎重に各部の再検討をやっておりまして、それに至る前に予備実験が必要ならば行なう予定にしておりまして、十分に故障個所その他を検討いたしまして、それからかかるつもりでおります。
  101. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そうすると、ラムダ4Sの問題だけきょうはやらしていただきます。いまおっしゃったように、よく検討してください。ラムダ4S機をやはり日の丸衛星だなんて宣伝して打ち上げると、東大はいよいよみずから墓穴を掘ることになって、日本の恥をさらすばかりです。衛星にならないのなら、私はやはり弾道飛行で一ぺんやられるほうがいいのじゃないか、こうさえ思うのです。世間をから騒ぎさせて、国民にはかない希望を持たしていくということは私はいけないと思うんです。そういう意味合いで、弾道飛行でやられたらどうかと思うのですが、どういうお考えですか。
  102. 高木昇

    高木説明員 十分それを考慮して考えたいと思っております。ただいま、具体的にいつ四号、五号、いわゆる人工衛星実験をやるということは、その前段階としてどういうことをやるべきかということを検討しておりますので、お説のような弾道飛行なりあるいはほかの方法、案も出ておる現状でございます。
  103. 三木喜夫

    三木(喜)委員 岡本、新羅両参考人にお聞きしたいと思います。  ラムダS計画全体につきまして、ラムダ4S計画そのものが、スピンをかけたりとめたり無誘導だったりで、きわめて乱暴な計画だという話を私はよく聞くのです。両参考人はこれをどうお思いになりますか、ひとつ御所見を述べていただきたいと思います。
  104. 岡本哲史

    岡本参考人 総括的に言いますと、可能性があるという問題と実用性というのは別個の問題と思います。可能性といいますのは、確率が非常にわずかな場合でも可能であります。実用性といいますと、実現性の確率が相当大きくないと申されません。その点十分に研究を要する問題だと思います。
  105. 新羅一郎

    ○新羅参考人 ラムダ4Sでもって人工衛星が上がらないということを証明することはできない。ということは、逆に言えば上がる可能性はあると考えます。ただし、その可能性、その確率がどの程度あるかということについては、これはほんとにわからないと思います。けれどもというか、また別の面からいいますと、人工衛星を上げるという技術は、将来性のそれを土台にして着実にステップを踏んでいくものであるべきだ。そうすると、やはり常に確実な道を、将来の発展性を見越したそういう道を踏むべきでなかろうか。そういう観点に立ちますと、ラムダ4Sの計画はその後の発展性に結びつかないという感じがする。
  106. 三木喜夫

    三木(喜)委員 またあすおいでいただくことができませんので、ついでにもう一つお聞きしておきたいのですが、ミュー4S計画がいまあるわけなんです。そしてこのミュー4Sは、いままでの計画なれば四十二年度に人工衛星になる、こういうことなんですね。これはしかし、こういうような成績では、一基五億円もするような、ミューをまたぼかすかばかすか打ち上げられたらかなわぬ。どうせ四号、五号と打ち上げてそれをよく検討した上でミューへ入ると思うのです。しかし、ミュー4Sにつきましても、東大では、ラムダ4Sはミュー4Sをシミュレートする、そういう実験だ、こういうことを言っている。技術報告書にもそういうことが書いてあるのですが、ラムダとミューとでは、形や構造など、補助ブースターの数などもかなり違うし、これで相似の実験だ、こういうようなことは言えないと思うのですが、岡本、新羅両参考人はこの点についてどう思いますか。
  107. 岡本哲史

    岡本参考人 ラムダ4Sが、ミュー4Sの相似実験にはならないように考えます。
  108. 新羅一郎

    ○新羅参考人 何を目的にするかによって変わるのでして、無誘導という方式を踏襲するというか、そのものがどうだということになれば、やはりシミュレートしておるというふうにも言えますし、構造も詳しく分析すれば、相似関係にないとも言えるかもしれませんし、目的によって判断しないと、一がいにシミュレートしておるという断定もできないし、シミュレートしていないとも断定できない。そういう気がいたします。
  109. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこで高木さん、秘密が漏れるためか、あるいはまだ検討していないためか知りませんけれども、ミュー計画についても出してもらいたいということですが、これは東大のほうは出せないということです。「ミュー1型一号機報告書」が出ておるのですが、これは、見てもらいましても何にも役に立たぬそうです。こういう報告書が出ておりますけれども、これでは結局お二人に見てもらっても私はわからないだろうと思うのです。そういう点でもなんですか、ミュー1型一号機の報告書はどうしても門外不出ですか。そうしていま両参考人がああいうようにお述べになりました。高木さんはやはり相似の実験だ、ラムダ4Sを見たらわかるじゃないか、ミュー4Sだって一緒だ、こういうようにお考えになりますか。そういう大ざっぱな考えは私はどうかと思うのです。私はしろうとですからわかりませんけれども、そういう点についてあなたのお考えを述べてください。
  110. 高木昇

    高木説明員 ラムダのほうは、一段目に尾翼がついていて、尾翼安定でスピンをかけずに上がる。二段目の安定をとるためにスピンをかけております。ミューの一は済みましたが、この次にやる三は、やはり二段目をスピンをかけよう、こういう考えでいま進んでおるわけです。そういう点であるいは同じようなやり方だ、シミュレートだというふうにも言えるわけでございます。Mの一号の報告はそこにございます。役に立たないとどなたかおっしゃられたかもわかりませんが、あれだけ大きなロケット地上試験をやりまして初めてあそこの地上施設などを使って打ち上げたのでございまして、そういう点で一段目のブースター試験として私は十分成果があった、こう考えております。今度は二段目、三段目と順に積み重ねて、ゆっくりMならMでいい方式を考えていくつもりでございます。
  111. 三木喜夫

    三木(喜)委員 非常に一般的な御答弁をいただいたわけですが、それはその程度しかいまのところ言われないかと思います。  そこで、いままでの質疑応答の経過を見まして、各紙が筆をそろえまして人工衛星の上がらなかったこと、それに至らない失敗が多かったこと、こういうことについて非常に失望しておるように、私たちも非常にいままでの掛け声が大きかったから失望をするわけなんです。したがって、ただいま高木本部長が言われたように、ほんとうにじみちな研究から積み上げていただいて、その上で確信を得て、そうしてミュー計画に入っていただかなかったらいけないのじゃないか、こう思うわけであります。  文部大臣と科学技術庁長官とお二人にこのラムダ4S一号、二号、三号機の状況あるいは東大の主体的にやっておられるところのありさまはよくお聞きいただいたと思うのです。文部大臣にも私、聞いていただきたかった。そうして、どういうぐあいにすることがほんとう宇宙開発のためにいいのかというそういう方向づけを今後しなければならないと思うのですが、非常にしんぼうして聞いていただいておりました科学技術庁長官の所感を述べてもらいたい。ただし、そこらのありきたりの言い方でお茶をにごすということのないように、何とか人工衛星を打ち上げるように追いつけ、追い越せという国民の願いなり、あるいは科学技術庁、東大のこの考え方をどうしたら実現するかという、そういう責任のある立場に立ってひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  112. 二階堂進

    二階堂国務大臣 先ほど来、両参考人あるいは高木先生からいろいろな今日までの研究の成果、失敗等について御意見の御開陳がございました。私もずっと聞いておりまして、いろいろ参考になりました。  何と申しましても、空にいどむ体制人工衛星あるいは科学衛星を打ち上げる体制を一日も早くつくって、そうしてわが国の宇宙開発に対する技術、能力についての自信を国民に与えなければならないと思っています。しかしながら、率直に私が、きょうの意見だけではありませんが、いろんな方の意見等を聞いてまいっておりますが、いまのような宇宙開発体制では、なかなか実現がむずかしいのではないかという心配を私は非常にいたしております。しかしながら、この宇宙開発に対処するわが国の技術陣、頭脳というものは、総力を結集してまいりまするならば、米ソとまでは申しませんが、かなり優秀なものを持っておるし、また、それに追いつくだけの力があるのではないかということを私は感じております。  そこで、今日まで東大の方々が中心となって過去十余年間宇宙開発に多くの能力と技術を結集して当たってこられました。私はその過程において、あるいはまた、その成果については高く評価してもいいのではないかと思っております。ただ、過去における実験失敗をした、このことは私は率直に認めなければいかぬと思っております。その失敗原因が、きょうもいろいろ意見がございましたが、どこにあるのか、技術的にまだ未熟なところがあるのか、いろんな問題があろうかと思います。それらの問題点について東大におかれましても、あるいはまた、高木さんのほうにおかれましても深く反省し、慎重な検討を加えつつあるということでございますので、私はその検討やあるいは反省の成果を期待いたしておるわけでございますが、大学における研究の限界というものも私はおのずからあろうと思っております。また、実用衛星を打ち上げる体制というものは、そういう一大学だけではどうにもならないという限界を越えたビッグビジネスでもございますので、これについては国の総力を結集して当たらなければならぬと思っておりますので、総力を結集しておくれを取り戻し、追い越せという体制をいかにつくるかということについて、私は先生方の意見を十分聞きつつ、自分ながらいろいろ検討を加えております。また、党のほうにもお願いをいたしまして、空の体制をいかにすべきかということをいま十分検討していただいておる段階でございますので、私は一日、二日を急ぐというよりも、この技術、陣特に技術面においておくれておる制御、誘導等の技術陣あるいは技術部門、この足らないところをどうして補足していくかといったようなことなどについては慎重に検討を加えて、そうして、まずあらゆる部面における打ち上げの基礎研究から実用衛星を打ち上げる体制づくりをすることが目下の急務ではないかと私は思っております。きょうもいろいろ意見がございましたが、こういう過去の失敗があったからといって、先ほどから申し上げますように、わが国の宇宙開発に対処する頭脳とか技術というものはそうおくれておらないと私は考えておりますし、このために一般の方面に関係しておられる学者、技術者というものが意気阻喪しては困ると思っておりますので、こういう過去の失敗等を私どもも行政府の立場において十分検討し、また、学者は学者の立場において検討してもらいまして、そして、さらに勇気百倍して、十分な体制研究を重ねることによって所期の目的を達成し、国民に自信を与えるように持っていかなければならぬと思っております。これらのことについては、いずれもまた私なりの構想も皆さんのほうに御披露いたしまして十分御検討をいただき、御協力を賜わらなければならぬ、かように考えております。
  113. 三木喜夫

    三木(喜)委員 両参考人におかれては、私大体六時ごろまでと申しておったので、もはや時間も迫りましたので、ここでお引き取りいただきまして、そして、私たちがわからぬ点がまだまだ出てくると思いますので、その節は公式に非公式にまたす伺いすることといたします。本日はありがとうございました。  なお後ほど文部大臣が見えますので、政治の場で問題にしなければならぬ点につきましては、文部大臣が見えてからやらしていただきたいと思いますので、委員長にそういうようにす取り計らいをお願いいたします。
  114. 矢野絢也

    矢野委員長 この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。     —————————————
  115. 矢野絢也

    矢野委員長 引き続き質疑を行ないます。三木喜夫君。
  116. 三木喜夫

    三木(喜)委員 科学技術庁長官から率直な御意見を承りました。批評申し上げては悪いのですが、長官として非常に真摯な気持ちでビッグサイエンスと取り組もうというす気持ちをいま承ったわけで私たち非常に意を強うするわけです。しかし、この体制を十分に整えるという中に、いま体制が整わない条件が出てきておるわけです。たとえばせっかく愛知文部大臣のときに、高木さんを宇宙研から推進本部の部長に迎えて、そして一元化、一本化の努力をされたのであります。しかし、この間の成果については、先般来私申し上げたように、必ずしもその方向は不幸にしてたどらなかった。そして今日高木さんが辞意を漏らされておるわけです。この時点にきて辞意を漏らされるということは、これは宇宙開発に対するところの熱意を失われたものか、健康を云々されますけれども、私はそう思うわけであります。慰留するだけが能じゃないと私は思いますけれども、おからだが悪ければ——そういう問題が現実に足元に出てきておるわけであります。  それから、いま私はわからぬなりに技術的な問題である御質問申し上げました。問題点は私でさえ気がついておるのですから、大臣のほうでもいろいろ気がつかれたろうと思います。したがって、非常に真摯な御親切な人柄から、種子島と内之浦のあの漁民対策のことに非常に力を入れておられる。これはこれなりに当然のことだと思い、御努力は非常に多とするわけなんですけれども、しかし、目を漁民や魚のほうに向けてもらうことも大切ですけれども、いま技術がどうなっておるかという、ただいま申し上げましたようなところに目を向けて問題の解決に当たっていただきたい。  申し上げますことは二つです。いま東大宇宙研のやっておられる中に私たち技術的に疑問があります。この点をどうお考えになるか。さらに、体制のことをおっしゃいましたが、体制は必ずしも長官の言われるような体制ではありません。それをどうされるか。ますます両極端に進んで離れていくところの自乗作用をするのか、やり方によってはなかなかデリケートの問題だと私は思うのです。その点を抽象的なおことばでなく、大体一元化体制ができたら魚のほうや漁民のほうに目を向けることにして、現在は技術のほうに目を向けていただき、そうして体制がどうかというところに目を向けていただいて、その隘路を克服するという具体的な御答弁を私はほしいと思うのです。抽象的におっしゃっていただいたら——悪い言い方ですがこらえてください。この国会も七月を越してしまって八月に入りますともう終わります。そういたしますと、それから後は開店休業ということで、国会開会中はこめかみに力を入れて一生懸命話をしたけれども、あとはさっぱり進められなかったということでは困ると思う。そういう点をよくお考えいただいて御答弁をいただきたい。
  117. 二階堂進

    二階堂国務大臣 宇宙開発の問題は、国会が開かれておろうがおるまいが、そういうことには関係なく、これは国策として取り組まなければならない重大な問題でありますから、むしろ国会が休会になったならば一そう時間もありますから、真剣にこの問題に取り組む考えでございます。  この体制の問題に真剣に取り組んで、漁業対策はそのあとでもいいじゃないか、そういう意味ではないかと思いますけれども、そういうような意味の御質問がございました。この漁業対策についての問題もやはり並行して解決をしていかなければ、これは関係漁民や関係地区の人の非常な関心事でありまして、これをどうするのかという真剣な声もございますから、私はこれにもこたえるべくできる限りの努力——漁民の生活の問題、漁業振興の問題あるいは住民の福祉向上の問題とあわせて国としてやはり考えるべきものは考えて、そして協力してもらう体制をつくることも必要だと思います。これを全然没却してはならないと私は思っております。  しかしながら、先ほどからお話がありますとおり、宇宙開発の問題に対処する体制というものが現状では非常に不安だということを私は率直に申し上げましたが、この体制をつくるということについては、異常な努力を今後もいたさなければならぬと思っております。その中で、宇宙研高木さんがこのことについて触れられましたが、私は御病気であるという御内意を承っておりますし、そういつまでも病気を押してやれるかどうか、そういう意味のお話も承っておりますが、実際は、まだ辞意を私は直接聞いておりませんし、辞表も受け取っておりません。しかし、何と申しましても宇宙開発に対処するわが国の頭脳、技術者というものが非常に少ないと私は聞いております。三木先生はどういうふうにお聞きになっておるかわかりませんが、特に技術面では誘導とか制御の部面に対する研究者、技術者というものが非常に少ない、こういうことも私は聞いておりますが、まだ十分私は実態を把握いたしておりません。おりませんが、おぼろげながら私は宇宙開発に対処するだけの頭脳、技術者というものが不足しておるということは大体間違いないところではなかろうかと思っております。そういうときでもございますので、大学におられてこの問題に取り組んでこられた方々、これは過去のいろいろな失敗を取り上げていえば、何をやったかというおしかりがあるかもしれません。しかし、多年にわたりそれぞれの専門的な立場から研究されたグループもありますし、頭脳もあるけであります。また、航技研においてもそれぞれの研究を積み重ねてきておる。あるいは産業界におかれても、これに関係する研究をやり努力をしてこられた方々があるわけであります。そういうような頭脳、技術者というものを一つにして、そうして協力して、これからその失敗を繰り返すことのないような研究実験もやっていかなければならぬと思っております。一部の人が失敗をしたからその頭脳は要らないのだ、そういう考え方では——たくさんそういう技術者、頭脳があれば別です。少ないそういう技術者、頭脳を集めて、そうしてほんとうに心から一体となって協力してこの仕事に取り組んでいくというような体制を私は何としてもつくっていかなければならぬと思っております。そういう意味から高木さんも中にあって一意今日まで非常な努力をしてこられた方であります。からだのためにどうしてもということであればやむを得ませんが、私はこの頭脳とか今日までの努力とか研究の成果というものは、やはりどこかに利用できるべきものであろうと思っております。また、そのほかにもたくさんの隠れた方々、学界の方々、大学の方々もおられると思いますから、そういう方々を全部ひっくるめて、そうして新しい体制のもとに喜んで参加してもらうというようなものをつくるべく、いろいろ自分なりにも勉強もいたしておりますし、また、このことについては文部大臣や郵政大臣あるいは運輸大臣等とも十分ひとつ御協議願って、できればこのための閣僚懇談会か協議会というようなものを政府の部内につくって、そうして基本的な考え方の一致を見ますれば、それを事務当局におろしてそういう体制をつくっていくことにいたしたい。こういうふうに考えておるわけでございます。  具体的な答弁になったかどうかわかりませんが、抽象的でそんなことはいいのだとおっしゃるかもわかりませんが、私のいま考えております気持ち、それから自分の決意というものを表明したようなわけでございます。   〔委員長退席、石野委員長代理着席〕
  118. 三木喜夫

    三木(喜)委員 具体的にそれではお聞きいたしましょう。いまおっしゃいましたように郵政省とか通産省とか、各省庁にわたってこの衛星の打ち上げの研究を願っておるということ、これを一元化の方向に持っていって、そうしてむだを省こう、こういうお考えだと思います。しかし、今回そういう企てをなさいましたけれども、これについて文部省は入っていない。協議会か懇談会か知りませんけれども、新聞でそういうように見たわけです。それはどうですか。
  119. 二階堂進

    二階堂国務大臣 ちょっと私から申し上げておきますが、いま私は構想を申し上げたのであって、懇談会はまだできておりません。漁業対策については私を長とする事務次官クラスの協議会ができておりまして、その中には文部省も入っております。一元化に関する協議会とか懇談会というものはまだこれからで、それには文部大臣も必ず入っていただけるという私は自信を持っておりますし、また、協力してやろうという文部大臣の御意思も十分ございます。
  120. 三木喜夫

    三木(喜)委員 研究調整局長がおられますが、事務段階ではどうですか。そういう会合を持たれて、その中に文部省関係は入られたか、入られなかったか。
  121. 高橋正春

    ○高橋(正)政府委員 事務段階におきまして各省庁の調整の場は三つあるわけでございます。一つ宇宙開発審議会の幹事会、これは当然文部省は入っております。それから宇宙開発推進本部が打ち上げの実験を行ないますけれども、これに対しましてやはり各省庁の連絡会がございますが、これにも入っておられます。もう一つは、私どもの行政部局内の、あるいは先ほど三木先生お示しのことは去る五月に発足いたしました長期計画室のことかと存じ上げますが、これは当初発足いたしましたときの考えは、実用衛星そのものを考えまして、お知り置きのとおり科学衛星につきましては、すでに文部省のほうにおきましてラムダ4SあるいはSHのような御計画がございますけれども、実用衛星は目標だけで長期的な計画がきまっておりませんので、その線につきましての、特にたまの関係を考えまして、過日委員会で御答弁申し上げましたような関係各省は全部入っておりますけれども、文部省はその中には入っておりません。ただし、その件につきましては、実は長官からも御示唆がございましたので、文部省の事務当局のほうに、何らかの形で連絡的な形の担当官を併任もしくは御派遣願いたいということで、事務的にはお話を申し上げておる段階でございますが、現実におきましては、長期計画室の室員の中には文部省の関係の方は入っておられません。なお、申し忘れましたが、過去におきましては計画局本部に科学調査官といたしまして文部省の御出身の方が併任でおられましたが五月末の異動で文部省のほうにお帰りになりまして、その御後任がまだ文部省のほうから来ておりません。その調査官のポストの問題等解決いたしました場合には、また別の形でお配りいただけると思います。いまのところでは担当係官を何らかの形におきまして連絡役としてお出し願いたいとお願いをいたしておる最中でございます。
  122. 三木喜夫

    三木(喜)委員 技術庁長官、いま局長からお話がありましたように、そこに問題がございますね。文部省のほうから出ておられないような様子があるようです。その点についてはいま局長が言われたような方途をとって、やはりお互いにこういう話し合いの場を持たなければいけないと思いますので、そういうような御配慮をいただきたいと思います。  ちょうど文部大臣おいでいただきましたので、私しばらく御質問を申し上げたいと思うのですが、ずっと話を聞いておられませんので質問するにもしょうがないわけですが、実はきょう参考人にお二人来ていただきました。その前に名前が出ておるだろうと思いますが、東京工業大学教授岡本哲史先生、それから明治大学教授の新羅一郎先生のお二人に来ていただいて、私は、先般出していただきましたこの技術執告書なるものがわれわれにはわかりませんので、これについて下見をしていただき、研究をしていただいた結果の御意見をいろいろと聞いたのです。その御意見を聞いた要点は、ラムダ4S一号機、二号機、三号機が相次いで失敗いたしました。私は失敗をとがめるのでなくて、その失敗原因が那辺にあるかという、そういう態度でこれができておるかどうか、それはこの報告書の中には非常に不備で、そういうことがわからない。概略的に申し上げましてそういう御意見をいただいた。それから、私は技術のことはわからないですけども、いろいろ自分なりに勉強してみまして、そして、東大の打ち上げましたラムダ四S一号、二号、三号機につきまして、技術的にここが問題じゃないか、ここが問題じゃないかということで、おもな点を二点にわたってお聞きいたしました。  一つは、技術的な問題になって、非常に時間的に長く説明しなければならぬのですけれども、とにかくラムダ4S一号機を打ち上げられるときに、スピンがかかって上がっていきます。このスピンの状況が三段目と四段目とどこかで隔絶いたしまして、三段目は七回半も回っておるのに、一番重要なこの先の人工衛星になるであろうところの四段目が一回ほどしか回っていなかった。同じように回らなければならないのに、それがどこかで回らなくなってしまった。それはデスピンといいまして、スピンをとめるときがあります。スピンをとめて水平にして人工衛星軌道に乗せる。その段階で両方の隔絶があった。それがこれの中には具体的に明示されていない。そこで私は電波研スピンの状況を電波でとらえた分を聞きまして、そして私はずうっと記録してみました。これには一部は記録してあるのですが、どこまでそれが続いたかということがわからないわけです。そこに、人工衛星にならなかった大きな問題がスピンの上であるのじゃないか、こういうふうに言ったわけであります。いままで高木本部長はこの委員会において終始スピンは停止しましたということを、私たち報告されておる。しかしこれにはスピンは停止したとは書いてない。それがはっきりわかるようなデーターとしては出ていない。こういうようなことで、国費を使ってロケットを打ち上げるのに、科学者としてあるいは東大としていいのだろうかという疑問が私は持たれたわけなんです。そういう点についてお聞きいたしました。そうすると言い方は悪いですけれども、この打ち上げ当時の日本経済新聞に東大はなぜ失敗したかという原因を端的に書いておる中に、東大は非科学的、非協力的、非公開的、なるべく秘密でやろう、そして協力を求める態度でない、そして科学的でない。いま私、スピンの問題だけで申し上げましたけれども、そういう態度ではいけないじゃないかということが日本経済新聞のラムダ4S三号機の問題には書かれておるわけです。私はきょう全部の新聞を読んでみました。おっていただいて、各紙がどういうふうにとらえておるかということを聞いていただきたかったわけです。  第二の姿勢制御の問題であります。姿勢制御は、人工衛星になるであろうところの位置に行きまして、ロケットが水平に保たれる状況で人工衛星になる秒速をこれにかけて、そして人工衛星になるわけなんでありますが、これを見ますと、その姿勢制御がうまくいっていない。そして、いま聞いてみますと、姿勢制御は四段目ロケットを打ち出してみなければわわらないというような状況を聞いたわけです。私は驚いておるわけなんです。そういうことが、あれだけのデータを持ちいろいろしておきながら、どちらを向いておるかわからない、こういうことでは私は非常に不安定なものだと思うわけなのです。この二点を技術的にきょうは高木さんから聞いてみてわかったわけです。非常に不安な感じがしたわけです。  何を言おうとしておるかといいますと、要するに、東大側といたしましては、最終的には、私は高木さんからもそういう御答弁をいただいたのです。じみちな研究を積み上げて衛星になるんだ、衛星になるんだというような、国民を惑わすようなことはやってもらいたくない。ほとんどの新聞が当時衛星になる、衛星になるということを書いております。冗漫になるかもしれませんけれども、産経新聞は「衛星の夢三たび破れる」それから朝日新聞は「打ち上げ三たび失敗国産衛星ラムダ三号機」「基礎研究が不足」、こう書いてある。読売は「日の丸衛星十分もかからず失敗」同じく読売は「日の丸衛星当分望めず」そうしてその中に「初歩のミスくり返すと」書いてある。基礎からやはり積み上げていただかなければならない。それから日本経済新聞が書いておりますように、ひとりよがりにならないようにしなければならない。「研究体制に不備」ということが書いてあります。非科学生、非公開性、非協力性が指摘されておるわけなのです。そういう問題について、いまるる申し上げた。そして、大臣に私は何を申し上げるかといいますと、いままで大臣は私がいろいろ質問したときに、東大の問題についてはりっぱにやっているという立場から、私が申し上げましたことに聞き捨てならぬ、こうおっしゃいました。私は聞き捨てならぬから聞き捨てならぬところをきょうはるる申し上げたのです。どうか速記録を一ぺん読んでいただきたい。あなたも東大の監督官庁としての最高の責任者でありますし、学問の自由はわれわれは大事にしなければなりません。しかしビッグサイエンスになったときにどのような態度でわれわれは臨まなければならないか、体制はどうあるべきかということについて、あすもう一つお聞きしたいと思いますので、きょうは取りあえず、何にも聞いていただいておりませんので、本日の質問の概要を申し上げ、そうして大臣の、これだけでお考えを聞くわけにはいかぬだろうと思いますけれども、新聞等が率直にラムダ4S三号機が失敗したと書き、そうして国民が非常な失望をしておるわけなんであります。その失望の原因人工衛星になるということが東大から出ておると思うので、そういう点についても、大学というところは研究の府であります。国民にそういうはかない夢を持たすところでは私はないと思うのです。ただし断わっておきますけれども、私は決してこの三回の失敗を責めておるわけじゃありません。実験には失敗はつきものです。しかしながら、真摯な態度で臨むべきだと思うのです。そういうところを高木さんに私はきゃうは質問いたしました。そういう点でひとつ大臣の所見を聞きたいと思います。できればずっと聞いておっていただいてそのつど、そのつど聞きたかったわけですけれども、足らないところはひとつ、ずっと説明しておりますと皆さんも御退屈だろうと思いますので、速記録を読んでいただいて、おまえ、ばかなことを言うな、ここおかしいというところは、また後日ひとつ御指摘をいただきたいと思います。
  123. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 いろいろの点に触れまして、御意見なり御忠告でございますか、いただいたわけでございますが、まず第一点といたしまして、ラムダ三号が失敗しましたことにつきまして、もちろん私どもも成功いたすことをこいねがっておったわけでございますが、しかし、その際におきまして、私どもは、二号機及び三号機につきまして、これは必ず今回は成功するというようなあらかじめの予告を受けてはおりません。むしろ、逆に、実験段階でございますので——私はこれを国会で申し上げましておしかりを受けたのでござまいすが、七〇%か七五%ぐらいな期待はできるであろうということは申したのでございますが、必ずこの実験が成功するという報告を受けていなかったわけでございます。ただ新聞等で、この失敗したことにつきまして、非常にいろいろな御批判を受けておるようでございますが、これは、私どもとしまして、やはり成功しなかったことはまことに申しわけないと思っておるのでございます。  それから、技術報告につきまして、いろいろ非常な御調査をいただいておるわけでございますが、実は技術面につきましては、私全くしろうとでございまして、いろいろな御説明をいただきましても、私自身には、実はその学問的な意味は了解はできないのでございます。しかし、お話しのように、まだまだこのロケットの打ち上げにつきまして、学問的に、東大におかれましても今後相当努力をしていただかなければならぬ点があることだけは私どももわかるのでございます。ただ、私どもといたしましては、やはり学問研究の場におきまして、いろいろな実験過程において学者が研究されます場合においては、いろいろな失敗を繰り返すということは、これは実験段階においては当然つきものであろうかと思いますし、また、科学研究の面におきまして、この研究体制において、不十分な点もあることは十分あり得ると思うのでございます。しかし、私どもとしましては、現段階において不十分であればあるほど、やはりその学術研究についてお骨折りをいただだいて、一そう研究を精密にお続け願いたい、これが私どもの念願でございまして、もちろん、このロケット技術にいたしましても、日本は世界的に申しまして、決してまだ世界の域に達しておるとは申すことができませんので、これからやはり開発してぜひひとつ、この研究が成功いたしますように精進をしていただくように希望する次第でございます。  なお、私、このごろはなはだ失礼な申し分をいたしまして、聞き捨てならぬというようなことばをつい申し上げまして、まことに申しわけございませんでした。ただ私どもとしましては、ビッグサイエンスになりまして——ビッグサイエンスの限界というものはあるかと思いますが、ビッグサイエンスになりまして、非常に金がかかってくる。こういうことに金が非常にかかってまいります場合には、大学の研究の範囲の外になる。こういうような感じがいたしたものですから、これは将来の研究におきましては、相当金のかかることがございましても、重要な研究でございましたならば、やはり国として、そういう研究につきましては、研究費を支出いたさなければならないのではないか。それで私ども、実は先般からいろいろ論議されましたけれども、大学におきまする研究費につきましても、大学の要望の十分の一くらいしかかなえておらないというのが現状でございまして、やはり大学において研究が不十分であるという御批判を受けますのは、同時にまた、私どもとしましては、文部省が、研究に対しまして十分なる研究費を支出していないという意味合いにおきまして、私どもも深く責任感じておるわけでございまして、今後重要になってきます学術研究に対しましては、私どもといたしまして、科学研究が十分なされるようにその諸条件を整備するのが私の責任であると考えます。いままで不十分であったことにつきまして、心から申しわけなかったと考えておる次第でございます。
  124. 三木喜夫

    三木(喜)委員 非常に低姿勢な御答弁をいただいて、何も言うことはないわけなんですけれどもね。ただ、いまのお話の中で注意しなければならぬと思うことは、実験だから失敗するのはあたりまえだということ、これはそのとおりですけれどもね。大臣、ラムダ4S一号、二号、三号機とも、一体何ぼくらいのお金が一機に対してかかると思われますか。
  125. 剱木亨弘

    ○剱木国務大臣 私、しろうとでございますから、はっきりわかりませんけれども、ラムダは大体一億ぐらいだと聞いておったのでございますが、それは間違いかもわかりません。
  126. 三木喜夫

    三木(喜)委員 一億円ですから、学校が二つも三つも建つ分だけの費用が、一ぺん失敗すれば空へ飛んでしまうわけです。だから、地上実験において、弾道飛行において、ラムダ4S一号、二号を衛星にするのだ、衛星にするのだといって貴重な機器を積んで、打ち上げるのではなくて、前々から専門家の人が言っているように、そういう伸び上がった実験をしないで、弾道飛行でよく経験を積んで、その上でやらなかったら、二回とも、一番大事な衛星機器を積んでおるところのものがどこへ行ってしまったかわからない。これではもったいないと私は思うので、したがって、そういうような実験を慎重に基礎からやってもらいたいということです。失敗はつきものですけれども、失敗することに対するところの対策をやはり立ててもらわなければいかぬと思う。  それから、「ラムダ4S一、二、三号機報告書」、これは資料として非常に不備なんです。こういうような不備なもの、これはしろうとにわからないようにしてあるのか、あるいは非公開性という立場からこれは書かれておるのか、あるいはこれだけしかデータがそろわなかったのか。こういうデータのままでやるということになりますと非常に危険だという御指摘がきょうあったわけです。非常に不安である、何もわかならないという点もあるわけなんです。これを聞いてみますと、高木さんは、いやちゃんとそういう資料がついているということなんですけれども、私がいろいろ聞いてみまして、ついていないような点、あるいは不安な点はたくさんある。スピン、それから姿勢制御についてもそういうことが言えると思う。そういう非科学性では困るじゃないかということを申し上げた。やはり科学的な立場に立って基礎からやっていただきたい、こういうように私は申し上げたわけであります。そういう点については、ただ簡単に、失敗はつきものだからということでぼかすかぼかすかと一億円のものを打ち上げられて、人工衛星にもならぬのに、人工衛星になるのだ、なるのだということでは、これは困ります。こういうように申し上げておるので、失敗はつきものだというようなことでは私は納得いたしません。こういうような非常に不備な資料では困る。それが一つ。  それからもう一つは、先がた申し上げましたように、真摯な態度でやってもらいたいと思うのです。こういう点で非常に私は不満に思ったということをきょうは申し上げたわけであります。  きょうは文教委員会のほうでもいろいろお忙しかったようであります。私は、しかし午後はこちらにぜひ来ていただいて——文部大臣はこの前には非常に興奮して言われた。きょうはそれは私が悪かった、こうおっしゃいましたけれども、私はただ単に感情的にものを言うておるのではなくて、そういう技術的な面、体制的な面、それから研究開発と事業、ビッグサイエンスの場合にはどう分離してやっていくべきか、国はどういうようにこれを応援すべきか、そういうポイントを見つけたかったために申し上げたのです。それで聞いていただきたかったのですが、あすもう一回これをやらしていただきますので、あすはぜひおいでいただきまして、そして、そのほか体制とか、内部体制、外部体制、こういう点をお互いに検討してみたいと思うのです。よろしくお願いいたします。
  127. 石野久男

    ○石野委員長代理 次会は、明十三日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。   午後六時二十二分散会